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特表2022-545079油圧式ブレーキシステムのためのブレーキ圧を生成する油圧ユニット用の、製造が最適化されたハウジング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-25
(54)【発明の名称】油圧式ブレーキシステムのためのブレーキ圧を生成する油圧ユニット用の、製造が最適化されたハウジング
(51)【国際特許分類】
   B60T 11/20 20060101AFI20221018BHJP
【FI】
B60T11/20 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510854
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 EP2020076158
(87)【国際公開番号】W WO2021058400
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】102019214917.0
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ローケ・イェルク
(72)【発明者】
【氏名】クレーマー・ホルスト
(72)【発明者】
【氏名】リュファー・マンフレート
【テーマコード(参考)】
3D047
【Fターム(参考)】
3D047BB38
3D047CC17
3D047LL01
(57)【要約】
本発明は、油圧ユニット用のハウジング(1)、特に油圧式自動車ブレーキシステム用のマスタブレーキシリンダ用のハウジング(1)と、対応するユニットと、ブレーキシステムとに関する。本発明によれば、ハウジングの製造中に、特に精密に、同時に、コスト効率良く、確実に再現可能に加工工程を実行できるように、別個の少なくとも1つの第1の成形要素(2)及び1つの第2の成形要素(3)は、ハウジング(1)の空間的に明確に定められた取り付け及び外部保持装置への張力の導入のためにハウジング(1)の少なくとも一方側に形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧式ブレーキシステム、特に自動車ブレーキシステムのためのブレーキ圧を生成する油圧ユニット用のハウジング(1)であって、前記ハウジング(1)は、少なくとも長手方向軸線(L)に沿った部分において細長く構成され、且つ少なくとも領域における加工のために用意され、別個の少なくとも第1の成形要素(2)及び第2の成形要素(3)は、前記ハウジング(1)の空間的に明確に定められた取り付け及び外部保持装置へのクランプ力の導入のために前記ハウジング(1)の少なくとも一方側に配置されることを特徴とし、前記長手方向軸線Lに加えて、空間的横断方向軸線Q及び空間的垂直軸線Hは、直交座標系の軸線交差を形成するように定められる、ハウジング(1)。
【請求項2】
前記長手方向軸線(L)に対して前記成形要素(2)及び(3)とは反対側にある前記ハウジング(1)の側には、少なくとも1つの別個のクランプ面(6、7、8、9)が、前記垂直軸線Hに直交して配向された平面に平行に形成され、前記面は、前記ハウジング(1)を前記保持装置内に固定するためのクランプジョーの適用のために設けられることを特徴とする、請求項1に記載のハウジング(1)。
【請求項3】
前記長手方向軸線(L)に対して前記クランプ面(6、7、8、9)とは反対側にある前記ハウジング(1)の側には、前記クランプ面(6、7、8、9)に平行に配向され且つ前記保持装置へのクランプ力の導入のために設けられる少なくとも1つの別個の支持面(10、11、20)が形成されることを特徴とする、請求項2に記載のハウジング(1)。
【請求項4】
前記第1の成形要素(2)は、前記ハウジング(1)の前記長手方向軸線(L)に沿った中立位置を定めるために設けられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のハウジング(1)。
【請求項5】
前記第1の成形要素(2)の端面は、前記外部保持装置へのクランプ力を導入のための平坦な支持面(20)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のハウジング(1)。
【請求項6】
前記第1の成形要素(2)は、回転対称成形部(4)を有し、前記回転対称成形部(4)の回転軸線(R)は、前記長手方向軸線(L)に略直交して配向されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のハウジング(1)。
【請求項7】
前記第2の成形要素(3)は、前記ハウジング(1)の前記長手方向軸線(L)周りの回転に対する中立位置を確保するために設けられることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のハウジング(1)。
【請求項8】
前記第2の成形要素(3)は、前記長手方向軸線(L)に対する遠心方向に先細りになるように構成され、並びに前記長手方向軸線(L)に平行に配向され且つ互いに向かって延在する2つの側面(12、13)を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のハウジング(1)。
【請求項9】
前記第2の成形要素(3)は、前記長手方向軸線(L)に略軸平行に配向される外縁(5)を備えた略楔状であるように構成されることを特徴とする、請求項8に記載のハウジング(1)。
【請求項10】
前記回転軸線(R)及び外縁(5)は、前記ハウジング(1)の前記長手方向軸線(L)及び前記垂直軸線(H)を通って延在する共通平面(E)内に配置されることを特徴とする、請求項6又は8に記載のハウジング(1)。
【請求項11】
前記油圧ユニットは、油圧式ブレーキシステム用のマスタブレーキシリンダであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のハウジング(1)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つのハウジング(1)を含む油圧ユニット。
【請求項13】
請求項10に記載の少なくとも1つの油圧ユニットを含む油圧式自動車ブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ユニット用のハウジング、特に油圧式自動車ブレーキシステム用のマスタブレーキシリンダ用のハウジングと、対応するユニットと、ブレーキシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるハウジングの製造では、通常、まず軽金属合金からブランクが鋳造され、次いで、ブランクは、種々の箇所が材料除去法によって加工される。種々の孔、封止面及び接触面、溝、並びに類似物が製造され、これらは、それ自体に及び互いに対して精密公差を有する。この目的で、ブランクは、多くの場合、同じ若しくは更にはいくつかの異なる保持装置又はワーク搬送装置内の異なる空間位置に繰り返しクランプされ再配置され、且つ異なる各ブランクのそれぞれの外形に個別に適合される交換可能なアダプタ及びクランプ装置を用いてしっかりと固定される必要がある。加工工程で所要の公差を遵守するために、厳密で確実に再現可能な空間的位置決めだけでなく、加工中に発生した荷重を受けるのに必要な高いクランプ力の歪みのないしっかりとした支持も確保することが特に重要である。不良品が生じるのを回避するために、この公差の遵守は、工具交換、再クランプ、及び位置変更中の、監視の著しい複雑さに関連し、製造コストを実質的に増加させる、広範な工具物品などの必要性にも関連する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それゆえ、本発明は、品質を損なわずにハウジングの製造を最適化する目的、特に、ハウジングをより有利に構築するとともに簡単で信頼性の高い再現性を実現する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本目的は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴の組み合わせで達成される。図の説明と併せて従属請求項は、本発明の更なる有利な実施形態及び改良形態を規定する。
【0005】
本発明による特徴の組み合わせは、標準化及び簡略化されたワーク保持を伴う経済的で標準化された強固な概念の実現を可能にする。不正確なワーク保持に起因する不具合及び時間損失が回避される。その結果、段取り工程で大幅に時間が節約される。
【0006】
同時に、クランプ箇所は最適化された位置に配置され、これにより、より高いクランプ力の歪みのない使用が可能となる。ハウジング1の位置決め及びクランプは、精密で、正確に再現可能で、したがって、工程信頼性の高い態様で行われる。
【0007】
説明及び図面を参照して、本発明のそれぞれの特徴及び利点を以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明によるハウジングの非常に簡略化された全体図を正面図(a)及び側面図(b)として示す。
図2】更なる実施形態による第1の成形要素を示す。
図3】本発明によるハウジングの実施形態を種々の空間図(a、b)として示す。
図4】別の実施形態による第1の成形要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、明確で曖昧でない開示のために、ハウジング1の物理的形状及び位置は、直交座標系における軸線交差との関連で示されており、X軸線は長手方向軸線Lであり、Y軸線は横断方向軸線Qであり、Z軸線はハウジング1の垂直軸線Hである。
【0010】
図1
図示の例では、油圧式自動車ブレーキシステム用のタンデムマスタブレーキシリンダのハウジング1が非常に簡略化されて図示されている。
【0011】
マスタブレーキシリンダのハウジング1のブランクは、通常、鋳造工程においてアルミニウム合金から一体的に製造され、次いで、このブランクには、加工によって必要な表面、輪郭及び機能要素が設けられる。例えば、ハウジング1は、ピストンを収容するための有底孔を内部に穿設する必要がある、長手方向軸線Lに沿って延びる略円筒状本体と、マスタブレーキシリンダをブレーキ力増幅器に固定するのに役立ち且つ平坦にする必要がある、長手方向軸線Lに対して横断方向に延びる固定フランジ18と、種々の接続のために収容輪郭を内部に穿設する必要がある、いくつかの成形突出部19、19’、19’’と、材料除去製造法によって加工される更なる領域とを有する。この目的で、ハウジング1は、保持装置又はワーク搬送装置(ここでは図示せず)上の精密に定められた空間位置に位置決めされて、この位置に固定される必要がある。
【0012】
ハウジング1の底部側には、垂直軸線Hに沿って配向される2つの別個の成形要素2、3が配置される。
【0013】
ここに示す実施形態では、第1の成形要素2は、空洞を形成する内向きの回転対称成形部4を端部に有し、この成形部4の回転軸線Rは、長手方向軸線Lに略直交して配向される。保持装置において、第1の成形要素3は、第1の接触要素14上に位置決めされ、第1の接触要素14は、このために、相補的な円錐形状を端部に有する。成形部4の芯出し効果によって、ハウジング1から保持装置にクランプ力を伝達するのみならず、長手方向軸線Lに沿ったハウジング1の中立位置を精密に確保して、この位置を加工中に維持することもできる。
【0014】
本発明の範囲内で、外側に向けられるように成形部4を構成して第1の接触要素14内に相補的な収容空洞を設けることも許容される。
【0015】
もう1つの、第2の成形要素3は、第1の成形要素2から所定の距離Sにある固定フランジ18の領域内におけるハウジング1上に配置される。第2の成形要素3は、ここでは、長手方向軸線Lに対する遠心方向に、ここでは垂直軸線Hに沿って先細りになるように構成される。第2の成形要素3は、長手方向軸線Lに平行に配向され且つ互いに向かって延在する2つの側面12及び13を有する。
【0016】
図示の例示的な実施形態では、第2の成形要素3は、楔状及び鏡面対称に設計され、側面12、13は、平坦であり、互いに対して直角に配向され、且つ端部側外縁5において合わさって延在する。したがって、外縁5は、長手方向軸線Lに平行に延在する。また、本発明の範囲から逸脱することなく、側面12、13を僅かに凸状又は凹状であるように構成することも可能である。
【0017】
厳密な平行性は、技術的理由からブランクの鋳造において必ずしも達成可能であるとは限らないので、できるだけ近似した近似物も本発明の範囲内で許容可能であることがここでは指摘される。
【0018】
保持装置において、第2の成形要素3は、第2の接触要素15内に位置決めされ、第2の接触要素15は、このために、相補的な切欠き16を有する。互いに対して斜めに配向された側面12及び13は、クランプ力を伝達するのみならず、ハウジング1の長手方向軸線L周りの回転に対して厳密に中立な位置を確保して、この位置を加工中に維持する、支持及び自動芯出し効果も有する。いかなる傾斜モーメントも効果的に相殺される。
【0019】
最適に対称な力の発生のために、回転軸線R及び外縁5は、好ましくは、図示のように、ハウジング1の長手方向軸線L及び垂直軸線Hを通って延在する共通平面E内に配置される。
【0020】
第1の成形要素2が第1の接触要素14上に載置され、同時に、第2の成形要素3が第2の接触要素15上に載置されたときに、外部保持装置内でのハウジング1の精密で空間的に明確に定められた取り付け又は位置決めが達成される。この位置決めはまた、同じ又は類似のブランクと、また、互いから同じ距離Sだけ離れて配置される同一の成形要素2、3が設けられる異なるブランクとの両方に対して、精密に再現可能である。
【0021】
また、図3から明らかなように、長手方向軸線Lに対して成形要素2及び3とは反対側にあるハウジング1の側には、垂直軸線Hに直交して配向される別個のクランプ面6、7、8、9が配置される。これらのクランプ面6、7、8、9は、ハウジング1を外部保持装置内に固定するためのクランプジョー(ここでは図示せず)の適用のために役立つ。
【0022】
別個の支持面10、11は、ハウジング1の反対側に配置され、且つクランプ面6、7、8、9に平行である。これらの支持面10、11は、ハウジング1から外部保持装置にクランプ力を導入するのに役立つ。
【0023】
クランプ面6と第1の成形要素2とが互いに直線的に上下に位置するので、クランプ力は、てこ作用をもたらさず、横断方向軸線Q周りにも長手方向軸線L周りにも縦揺れモーメントが生じず、本体17は曲げ荷重を受けない。したがって、寸法公差又は角度公差を超える可能性がある、クランプ力による本体17の変形が生じない。
【0024】
同様の効果が、クランプ面8と支持面11との組み合わせ、及びクランプ面9と支持面10との組み合わせによって生み出され、これらは、垂直軸線Hに対して実質的に互いに上下に配置される。
【0025】
図2
図2は、第1の成形要素2の更なる可能な実施形態の1つを例として示しており、この第1の成形要素2はまた、大きな角度公差を可能にし、特に高いクランプ力を吸収することもできる。成形部4は、保持装置の対応する相補的な半球状に形成された第1の接触要素14と協働する球形を有する。
【0026】
図3
明確にするために、図3は、油圧式自動車ブレーキシステムのタンデムマスタブレーキシリンダのハウジング1における例としての本発明の可能な実施態様を2つの空間図として示している。特に、2つの成形要素2及び3が、長手方向軸線Lを通って延在する共通平面E内に配置されることは明らかである。これにより、例えば、回転軸線が同じ平面Eを通って延在する、突出部19、19’内に接続輪郭を穿設する際に、てこ作用による長手方向軸線L周りの回転モーメントの発生が防止される。
【0027】
図4
別の特に強固な実施形態によれば、第1の成形要素2は、ブロックとして製造されるとともに、保持装置の対応する第1の接触要素14に特に高いクランプ力を導入するのに特に好適である平坦な支持面20を、成形部の代わりに、端部に有し、これらの力は、平行なクランプ面6を介してハウジング1に導入される。
【符号の説明】
【0028】
1 ハウジング
2 第1の成形要素
3 第2の成形要素
4 成形部
5 外縁
6 クランプ面
7 クランプ面
8 クランプ面
9 クランプ面
10 支持面
11 支持面
12 側面
13 側面
14 接触要素
15 接触要素
16 切欠き
17 本体
18 固定フランジ
19 突出部
20 支持面
E 平面
L 長手方向軸線
H 垂直軸線
Q 横断方向軸線
R 回転軸線
S 距離
図1a-1b】
図2
図3a
図3b
図4
【国際調査報告】