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特表2022-545094積層造形のための三次元モデルの向きを決定する方法
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  • 特表-積層造形のための三次元モデルの向きを決定する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-25
(54)【発明の名称】積層造形のための三次元モデルの向きを決定する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20221018BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20221018BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20221018BHJP
【FI】
B29C64/386
B33Y50/00
B29C64/124
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511110
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2020073452
(87)【国際公開番号】W WO2021032867
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】19192934.8
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】シュタール、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】バイス、ダニエル
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL06
4F213WL85
(57)【要約】
本発明は、光硬化性材料を保持するための槽と、3Dモデル(1)に対応する3D物体を保持するためのプラットフォームと、ここで、プラットフォームは、槽に対して相対的に移動可能である、を備える積層造形装置によって生成される3Dモデル(1)の向きを決定する方法に関し、方法は、3Dモデル(1)の表面ジオメトリを定義するステップを含み、ここで、表面ジオメトリは複数の表面セグメントsを含み、ここで、iは整数を示し、Aはi番目の表面セグメントsの表面積を示し、ユーザによって手動で、またはコンピュータプログラムによって自動的に、1つ以上の重み付け係数fを表面セグメントsにそれぞれ割り当てるステップと、ここで、重み付け係数fは、表面セグメントs上の任意の支持構造の機械的除去から生じる効果に対する表面セグメントsのそれぞれの感度の程度を示し、ここで、敏感であると考えられる表面セグメントsについて、重み付け係数fは、1より大きく、すべての他の表面セグメントsについて、fは1に等しく、評価関数R(θ,φ)=-(I)を定義するステップと、ここで、θおよびφは、構築方向に対する3Dモデル方向の極角および方位角をそれぞれ示し、psupp,iは、支持構造を通して支持される個々の表面セグメントsの必要性を示す確率を示し、Σで示される合計は、全ての表面セグメントsに及び、3Dモデルの敏感な表面セグメントにおける支持構造の必要性を可能な限り回避または低減するために、極角および方位角それぞれに関する最適化を通して評価関数Rに基づいてプラットフォームに対する前記3Dモデル(1)の向きを決定するステップとをさらに含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性材料を保持するための槽と、3Dモデル(1)に対応する3D物体を保持するためのプラットフォームと、ここで、前記プラットフォームは、前記槽に対して相対的に移動可能である、を備える積層造形装置によって生成される前記3Dモデル(1)の向きを決定する方法であって、
前記3Dモデル(1)の表面ジオメトリを定義するステップを含み、ここで、前記表面ジオメトリは複数の表面セグメントsを含み、ここで、iは整数を示し、Aはi番目の表面セグメントsの表面積を示し、
ユーザによって手動で、またはコンピュータプログラムによって自動的に、1つ以上の重み付け係数fを前記表面セグメントsにそれぞれ割り当てるステップと、ここで、前記重み付け係数fは、表面セグメントs上の任意の支持構造の機械的除去から生じる効果に対する前記表面セグメントsのそれぞれの感度の程度を示し、ここで、任意の支持構造の機械的除去から生じる効果に対して敏感であると考えられる表面セグメントsについて、前記重み付け係数fは、1より大きく、すべての他の表面セグメントsについて、fは1に等しく、
評価関数
【数1】
を定義するステップと、
ここで、θおよびφは、構築方向に対する前記3D物体の極角および方位角をそれぞれ示し、psupp,iは、支持構造を通して支持される個々の前記表面セグメントsの必要性を示す確率を示し、Σで示される合計は、全ての表面セグメントsに及び、
前記3Dモデルの敏感な表面セグメントにおける支持構造の必要性を可能な限り回避または低減するために、前記極角および前記方位角、θおよびφそれぞれに関する最適化を通して前記評価関数Rに基づいて前記構築方向に対する前記3Dモデル(1)の向きを決定するステップとをさらに含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記評価関数
【数2】
において、
【数3】
は、i番目の表面セグメントsの法線ベクトルを示し、
【数4】
はプラットフォームに垂直で、前記構築方向を指す垂直方向の単位ベクトルを示し、
【数5】
はスカラー積を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3Dモデル(1)の前記表面ジオメトリは、三角測量によって表され、前記i番目の表面セグメントsは、前記表面積Aを有する三角形であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記割り当てるステップは、前記3Dモデル(1)のディスプレイ上で、1つ以上の表面セグメントsをそれぞれ重み付け係数fでマーキングすることを通して、前記ユーザによって手動で実行されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記割り当てるステップは、前記3Dモデルの領域をその局所的な表面ジオメトリに基づいて分類するように訓練されたニューラルネットワークを含むコンピュータプログラムを通して実行され、領域分類に基づいて前記表面セグメントに重み係数fを割り当てることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
CADモジュールに、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法ステップを実行させるためのコンピュータ読取可能コードを含む、コンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取可能記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元物体の積層造形の方法(a method of additive manufacturing of a three-dimensional object)に関する。本発明は、より具体的には、積層造形を通して生成される3Dモデルの向きを決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形では、3D物体は、UV放射の影響下で選択的に硬化される液体印刷媒体、すなわち液体光硬化性樹脂の光誘起硬化を通して層ごとに印刷される。積層造形の一般的に知られているバリエーションでは、3D物体は、好ましくは、槽に充填された液体光硬化性材料からプラットフォームによって逆さまに引き出される。積層造形の他のバリエーションも当業者に知られている。
【0003】
3D印刷中、適切な支持構造が3D物体に取り付けられなければならない。支持構造が取り付けられなければならない3D物体の表面上の位置は、3D印刷される3D物体のジオメトリおよび構築方向に対する3D物体の向きに依存する。
【0004】
所定のジオメトリのどの点が、3D物体の所定の向きのための支持構造を必要とするかは、当技術分野で一般に知られている。例えば、US 2015/0151492 A1は、積層造形されるべき3D物体のための支持構造を生成する方法を開示している。P.Alexander et al.,"Part orientation and build cost determination in layered manufacturing",Computer-Aided Design,vol.30,no.5,pp 343-356,1998,Elsevier Science Ltd.への更なる参照がなされている。さらに、EP 2922029A2は、3Dプリンタから印刷された3次元(3D)モデルを視覚化するためのシステムを開示している。
【0005】
3D物体の3D印刷、洗浄ならびに熱および/または光化学後硬化の後、支持構造は機械的に除去されなければならない。除去プロセスは、時間がかかり、例えば、回転ツールを用いて支持体残留物を除去するときに、または支持体除去プロセスによって小さな切れ目が生じるときに、印刷された3D物体のジオメトリの変化をもたらす可能性がある。形状精度に対する高い品質要件を有する歯科修復物、穿孔テンプレート、歯科模型、およびこれらに類するもののような歯科コンポーネントについて、機械的後処理の結果が重要になることがある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、結果として得られる3D物体の局所的な品質要件を考慮して、積層造形装置によって生成される3Dモデルの向きを決定する方法を提供することである。
【0007】
この目的は、請求項1に記載の方法を通して達成される。従属請求項は、更なる発展に関する。
【0008】
本発明は、光硬化性材料を保持するための槽と、3Dモデルに対応する3D物体を保持するためのプラットフォームと、ここで、プラットフォームは槽に対して相対的に移動可能である、を備える積層造形装置によって生成される3Dモデルの向きを決定する方法を提供する。方法は、以下のステップを含む:
1.3Dモデルの表面ジオメトリを定義するステップであって、表面ジオメトリは複数の表面セグメントsを含み、ここで、iは整数を示し、Aはi番目の表面セグメントsの表面積を示す、ステップ。本発明によれば、3Dモデルの表面ジオメトリは、三角測量が計算に便利であるため、三角測量によって表されることが好ましい。あるいは、異なるジオメトリを有する他のタイプのメッシュが使用されてもよい。
2.ユーザによって手動で、またはコンピュータプログラムによって自動的に、1つ以上の重み付け係数fを表面セグメントsにそれぞれ割り当てるステップであって、重み付け係数sは、表面セグメントs上の任意の支持構造の除去からの効果に対する表面セグメントsのそれぞれの感度の程度を示す、ステップ。好ましくは、任意の支持構造を除去するための後処理に対して敏感であると考えられる表面セグメントsについて重み付け係数fは、1より大きく、すべての他の表面セグメントsについてfは1に等しい。
3.評価関数
【数1】
を定義するステップであって、θおよびφは、構築方向に対する3D物体の極配向角および方位配向角をそれぞれ示し、psupp,iは、支持構造を通して支持される個々の表面セグメントsの必要性を示す確率を示し、Σで示される合計は、すべての表面セグメントsに及ぶ、ステップ。評価関数Rは、総表面積で正規化され、負の全体的符号を有する。別の正規化を選んでもよい。例えば、全ての支持確率の合計による正規化は、支持構造の総数の減少から、敏感な表面セグメント上の支持構造の回避を切り離すことを提供できる。
4.3Dモデルの敏感な表面セグメントに取り付ける支持構造を可能な限り回避または低減するために、それぞれ、極角および方位角に関する最適化を通して、評価関数Rに基づいて、プラットフォームに対する3Dモデル(1)の向きを決定するステップ。
【0009】
本発明の主な有利な効果は、印刷される3Dモデルの向きを決定することを通して、支持構造が3Dモデルに取り付けられなければならない位置に影響を与えることができることである。より具体的には、評価関数Rを最適化することによって向きの決定を通して、3Dモデルの敏感な表面セグメントにおいて支持構造を回避または低減することができ、代わりに他の敏感でない領域に位置付けることができる。それによって、敏感な表面セグメントにおいて、機械的後処理に起因して起こり得る表面アーチファクトを回避または低減することができ、支持構造の正確な除去のために手動による余分な作業を投資する必要性を可能な限り排除または低減することができる。したがって、ユーザは、手動で再加工された表面の損傷を受け入れることを控えることができる。本発明の別の主な有利な効果は、重み付け関数fの割り当てを通して、任意の支持構造自体の除去プロセスにも影響を与えることができることである。歯科コンポーネントの場合、他の部分よりも低い感度が必要とされる印刷される3Dモデルの表面セグメント、または支持構造が他の部分よりも容易におよび/または迅速に除去されることができる表面セグメント、または他の部分よりも手動による後処理から予想される損傷が少ない表面セグメントは、容易に識別され、重み付け係数fの割り当てにおいて考慮されることができる。本発明の別の主な有利な効果は、方法ステップが、重み付け係数fに基づく評価関数Rのおかげで、印刷される3Dモデルの他の位置と比較して、機械的後処理からの負の効果に対する保護の必要性が増大するような位置での支持構造の取り付けを回避するための自動アルゴリズムを提供することである。それによって、ユーザは、3D物体の手動での配向および/または支持構造の配置から解放される。支持構造の配置の手動操作は、ユーザの経験を必要とし、限られた範囲でのみ可能であり、したがって、ミスプリントのリスクを増大させることがある。したがって、本発明の別の大きな有利な効果は、ミスプリントのリスクを減らすことができることである。
【0010】
本発明によれば、印刷される3Dモデルの向きは、評価関数Rを最適化することを通して決定される。したがって、3Dモデルの最適な向きにおいて、評価関数は極値を有さなければならない。評価関数Rの全体的な代数符号が負であり、敏感な表面セグメントについての重み付け係数がf>1であり、その他の場合は上記で定義された正の確率値である場合、最適な向きは評価関数Rの最大値によって与えられる。それによって、本発明は、その上に取り付けられた支持構造の機械的除去の負の効果に対して敏感な表面セグメントの保護に関して最適化された向きを見出すための正確なアルゴリズム的解決策を提供する。
【0011】
一般に、より高い感度を有する表面セグメントが、構築プラットフォームから離れる方向に向けられるように配置されるか、または構築方向に対して小さい角度で配向されるとき、そのような表面セグメント上に位置付けられる支持構造は、可能な限り回避または低減されることができる。そのような原理は、3Dモデルの最適化された向きを決定するために使用することができるいくつかの異なる評価関数Rを通して、本発明において具現化することができる。実施形態では、支持構造を通して支持される個々の表面セグメントの必要性を示す確率psupp,iは、構築プラットフォームに平行な平面上に表面セグメントsを投影することによって推定され:
【数2】
ここで、
【数3】
はi番目の表面セグメントの法線ベクトルを示し、θおよびφは3Dモデルの向きの極角および方位角をそれぞれ示し、
【数4】
はプラットフォームに対して垂直な、すなわち構築方向の単位ベクトルを示し、
【数5】
はスカラー積を示す。サポート確率のこの推定値を用いて、評価関数は、
【数6】
によって与えられる。
【0012】
代替実施形態では、
【数7】
かつ
【数8】
であり、ここで、max(a,b)は2つの値a,bの最大値を示し、nは実数値指数である。
【0013】
本発明はまた、CAMモジュールに方法ステップを実行させるためのコンピュータ読取可能コードを有するコンピュータプログラムを提供する。また、本発明は、コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取可能記憶媒体を提供する。
【0014】
本発明において、コンピュータプログラムは、重み付け係数fが表面セグメントのそれぞれに割り当てられる割り当てステップを実行する手段を提供する。第1の実施形態では、割り当ては、3Dモデルのディスプレイ上で、1つ以上の表面セグメントをそれぞれ所望の重み付け係数fでマーキングすることを通して、ユーザによって手動で実行される。別の実施形態では、重み付け係数の割り当ては、印刷される3Dモデルを設計するために使用されたCADソフトウェアによって実行される。設計プロセスにおいて、モデルの異なる表面領域の関数はよく知られており、割り当てられた重み付け係数は、その領域に対応するそれぞれの表面セグメントの関数にしたがって選ぶことができる。例えば、歯科用途では、修復物の適切な適合に関連する歯科修復物の領域は、設計プロセス中に識別することができ、その上の任意の支持構造の除去からの効果に対して高い感度で割り当てることができる。
【0015】
好ましい実施形態では、コンピュータプログラムは、割り当てステップを自動化するためにニューラルネットワークを利用し、重み付け係数fが表面セグメントのそれぞれに割り当てられる。そのような実施形態では、ニューラルネットワークを使用して、その局所的な表面ジオメトリに基づいて3Dモデルの特徴領域を分類することができる。例えば、3Dモデルが歯科作業モデルを表す場合、適切な特徴領域ラベルは、歯、歯肉、歯槽などであることがある。この分類に基づいて、適切な重み付け係数fをある特徴領域に属する表面セグメントに割り当てることができる。歯科作業モデルの前の例では、可能な適切な割り当ては、「歯」領域に属するセグメントに対する高い感度に対応する大きな係数、および「ソケット」領域に属するセグメントに対する感度なしに対応する係数f=1である。例えば、ニューラルネットワークは、ユーザによって手動で、またはCADソフトウェアプログラムによって、特徴領域が識別された3Dモデルで訓練することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下の説明では、例示的な実施形態を使用することによって、図面を参照することによって、本発明のさらなる態様および有利な効果をより詳細に説明する。
図1図1は、実施形態による3Dモデルとしての半球の概略的な垂直断面図であり、太線部分で示された曲面には、後処理に対して敏感であると考えられる重み付け係数f>1が割り当てられている。
図2図2は、代替的な実施形態による3Dモデルとしての半球の概略的な垂直断面図であり、太線部分で示された平面には、後処理に対して敏感であると考えられる重み付け係数f>1が割り当てられている。
【0017】
図面に示される参照番号は、以下に列挙される要素を示し、例示的な実施形態の以下の説明において参照される:
1.3Dモデル
i:整数
s:表面セグメント
:i番目の表面セグメント
f:重み付け係数
:i番目の表面セグメントに割り当てられた重み付け係数
:i番目の表面セグメントの表面積
R(θ、φ):評価関数
θ:極角
φ:方位角
【数9】
:i番目の表面セグメントの法線ベクトル
【数10】
:垂直方向の単位ベクトル
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態にしたがう方法を通して向きが決定された3Dモデル(1)としての半球の概略的な垂直断面図である。
【0019】
本方法の定義ステップにおいて、3Dモデル(1)の表面ジオメトリが最初に定義される。表面ジオメトリは、複数の表面セグメントsを含み、ここで、iは整数である。3Dモデル(1)の表面ジオメトリは、好ましくは、i番目の表面セグメントが表面積Aを有する三角形(図示せず)である三角測量によって表される。さらなる定義ステップにおいて、評価関数Rは、以下のように定義される。
【数11】
【0020】
評価関数Rは、任意の支持構造の除去からの効果に対する表面セグメントsの感度の程度をそれぞれ示す重み付け係数fと、表面セグメントsが支持構造を通して支持される必要がある確率を示すpsupp,iとに依存する。Σで示される合計は、すべての表面セグメントsに及ぶ。
【0021】
図1に示すように、太線部分で示された全体の曲面には、後処理に対して敏感であると考えられる重み付け係数f>1が割り当てられている。平面には重み付け係数f=1が割り当てられている。決定ステップでは、3Dモデル(1)の向きが、割り当てられた重み付け係数fを有する評価関数Rに基づいて、構築方向に対して決定される。図1において、半球、すなわち3Dモデル(1)は、Rが最大である最適化された方向に向けられている。3Dモデル(1)は、積層造形装置(図示せず)によって生成することができる。積層造形装置は、光硬化性材料を保持するための槽と、3Dモデル(1)に対応する3D物体を保持するためのプラットフォームとを有する。プラットフォームは、槽に対して相対的に移動可能である。積層造形装置を用いて3Dモデル(1)を生成するとき、すべての支持構造は平面上に位置付けられ、したがって、曲面は、支持構造の機械的除去から生じる効果から保護される。
【0022】
図2は、他の実施形態にしたがう3Dモデル(1)としての半球の概略的な垂直断面図である。この代替実施形態では、太線部分で示された曲面に重み付け係数f=1が割り当てられている。平面には、支持構造の機械的な除去から生じる効果に対して敏感であると考えられる重み付け係数f>1が割り当てられている。図2において、半球、すなわち3Dモデル(1)は、Rが最大である最適化された方向に向けられている。積層造形装置を用いて3Dモデル(1)を生成するとき、すべての支持構造は曲面上に位置付けられ、したがって、平面は機械的な後処理から保護される。
【0023】
図1および図2における上記2つの例示的な実施形態は、比較的単純な3Dモデル(1)を使用することによって本発明を実証するために選ばれている。もちろん、この方法は、歯科修復物およびこれに類するもののようなより複雑なジオメトリに容易に適用することができる。
図1
図2
【国際調査報告】