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特表2022-545111日焼け止め化合物用組成物及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-25
(54)【発明の名称】日焼け止め化合物用組成物及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20221018BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20221018BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/81
A61K8/73
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511354
(86)(22)【出願日】2020-08-18
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 US2020046811
(87)【国際公開番号】W WO2021034834
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】62/888,526
(32)【優先日】2019-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/910,902
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522066344
【氏名又は名称】ピーエムアイディージー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】グラヴェット デヴィッド
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC052
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC312
4C083AC331
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC512
4C083AC521
4C083AC532
4C083AC641
4C083AC761
4C083AC762
4C083AC812
4C083AC841
4C083AC851
4C083AC902
4C083AD022
4C083AD071
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD152
4C083AD172
4C083AD211
4C083AD242
4C083AD252
4C083AD262
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD412
4C083AD572
4C083AD662
4C083BB46
4C083CC03
4C083CC12
4C083CC14
4C083CC19
4C083CC23
4C083CC32
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD31
4C083EE17
(57)【要約】
少なくとも1つのUV吸収結合化合物を含む日焼け止め組成物を作製及び使用する方法を本明細書で開示する。本開示には、UV-A、UV-B並びに/又はUV-A及びUV-B両方などのUV放射を反射及び/又は吸収し、対象の身体表面により吸収されず、対象の身体表面を通過して伝搬されず、並びに/或いは対象の身体表面から身体内部又は対象の身体の循環系に輸送されない、少なくとも1つのUV吸収結合化合物を有する組成物が含まれる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合化合物と結合したUV吸収化合物を含有する1以上のUV吸収結合化合物を含む局所製剤組成物であって、前記UV吸収化合物が、スルホンアミドリンカーを介して結合化合物に結合したベンゾフェノン化合物であって、少なくとも800ダルトンの分子量を有するベンゾフェノン結合化合物;スルホンアミドリンカーを介して結合化合物に結合したベンゾイミダゾール化合物であって、少なくとも800ダルトンの分子量を有するベンゾイミダゾール結合化合物;アミドリンカーを介して結合化合物に結合したベンゾトリアゾール化合物であって、少なくとも800ダルトンの分子量を有するベンゾトリアゾール結合化合物;マイケル付加反応の生成物を通して結合化合物に結合したベンゾトリアゾール化合物であって、少なくとも800ダルトンの分子量を有するベンゾトリアゾール結合化合物;少なくとも800ダルトンの分子量を有するベンゾトリアゾール機能化ポリマーであって、ベンゾトリアゾールがベンゾトリアゾール化合物のメタクリレート、アクリレート又はアクリルアミド誘導体としてポリマーに結合したベンゾトリアゾール機能化ポリマー;及び多糖に結合したベンゾトリアゾール化合物であって、少なくとも800ダルトンの分子量を有するベンゾトリアゾール多糖結合化合物からなる群から選択され、前記UV吸収結合化合物が、皮膚を通って輸送されない、又は吸収されないことを特徴とする局所製剤組成物。
【請求項2】
前記UV吸収化合物が、(U-X)n-Cを有し、
式中、UがUV吸収化合物部分であり、Xがチオエーテル、アミン、アミド、ウレタン、スルホンアミド基、又は-CO-NH-NH-CO-であり、Cが結合化合物部分であり、nが整数で、n≧1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記UV吸収化合物が、(U-X)n-Cを有し、
式中、UがUV吸収化合物部分であり、Xがエステルであり、Cが結合化合物部分であり、nが整数で、n≧1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記UV吸収結合化合物が、構造:
【化1】
を有し、
式中、YがUV吸収化合物部分であり、Xがチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、-CO-NH-NH-CO-であり、Dがビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミド基の残基であり、Aがビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、BがAと異なるビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、nが整数で、n≧1であり、m及びzがそれぞれ整数で、m≧0、z≧0である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記UV吸収結合化合物が、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記UV吸収結合化合物が、(U-X)n-C-(X-U1)mを有し、
式中、UがUV吸収化合物部分であり、U1がUと異なる化学構造を有するUV吸収化合物部分であり、Xがチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、-CO-NH-NH-CO-であり、Cが結合化合物部分であり、n及びmがそれぞれ整数で、n及びmが≧1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記UV吸収結合化合物が、
【化2】
を有し、
式中、YがUV吸収化合物部分であり、Y1がYと異なる化学構造を有するUV吸収化合物部分であり、Xがチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、-CO-NH-NH-CO-であり、Dがビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミド基の残基であり、Aがビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、BがAと異なるビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、n及びpがそれぞれ整数で、n及びpが≧1であり、m及びzがそれぞれ整数で、m≧0、z≧0であり、式(4)の構造はブロックコポリマー、又はランダムコポリマーでよい、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記UV吸収結合化合物が、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
UV吸収結合化合物が、約200から約380nm範囲の吸光度を有するベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、又はベンゾイミダゾール系化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記UV吸収結合化合物が、アクリルアミド基、アクリレート基、メタクリレート基、マレイミド基、アクリロニトリル基又はビニルスルホン基の反応残基を有する1以上のUV吸収ベンゾトリアゾール化合物を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
日常使用の日焼け止め、耐水性日焼け止め又はこれらの組合せを含む日焼け止め製剤として製剤化され、化粧製剤が、保湿剤、ファンデーション、リップスティック、リップグロス、チャップスティック、コンシーラ、ハイライタ、ブラッシュ、アイシャドウ、化粧落とし、トナー、セラム、アンチエイジング製品、固定スプレー又はこれらの組合せを含み、ヘア製品組成物が、シャンプー、コンディショナ、洗い流さないコンディショナ、ヘアムース、ヘアジェル、ヘアスプレー、カールクリーム、ヘアワックス、トリートメントオイル、薬用ヘアトリートメント又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の局所製剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2019年8月18日に出願された米国仮特許出願第62/888,526号明細書、及び2019年10月4日に出願された米国仮特許出願第62/910,902号明細書の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張するものであり、それぞれその全体が本明細書に組み入れられたものとする。
【0002】
本開示はUV放射の吸収を防止する化合物を含み、特に局所適用に使用する組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
多くのヒトは日焼け止め組成物を使用しており、例えば以前から知られているよりも高い頻度で、より長い期間、身体の外面から紫外(UV)放射を反射するものを使用している。ヒトは日焼け止めを日々塗布し、幼児から高齢者まですべての年齢層がこのような組成物を使用している。以前は、ヒトは屋外活動に限定して日焼け止めを塗布していた。
多くのヒトが高い頻度で何年間も、長期間使用することで、日焼け止め組成物の安全性が問題となっている。UV反射化合物は皮膚を通って、身体の全身循環に吸収されないと長く想定されていた。しかし、最近の研究では、このような化合物が皮膚に吸収され、身体の内部に入ることが示されている。例えば、2019年に、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーションにおいてMattaらは、予備的な最大使用量試験(MUsT)の結果を記載しており、4つの市販の日焼け止め製品を用いて日焼け止め有効成分の(皮膚を通って身体への)全身性吸収を研究した。MUsT研究は、製品の使用説明書の最大限度で使用した際の局所用薬物(つまり皮膚に塗布するもの)の全身性吸収を評価している。このパイロット研究では、試験した4つすべての有効成分が各試験製剤から吸収されており、日焼け止めの吸収が単なる理論的な懸念ではないことを示した。アメリカ食品医薬品局(FDA)は、米国の多くの日焼け止め製品に関する規制上の要件を更新する規則案を公表している。米国では日焼け止めは薬物として規制される。この規則の一部として、成分が局所適用後に身体に吸収されるかどうか、及びどの程度吸収されるのかに関するデータが無いため、FDAは、現在市販品に利用することができる12の日焼け止め有効成分に関する追加の安全性データを要請している。
ヒトによる日焼け止めの使用が増えても、皮膚がんの発症率は上昇し続けており、依然として皮膚がんは米国において最も診断されるがんである。この発症率により、過剰な日光暴露による危険性は重要な公衆衛生の優先事項となる。SPF値が少なくとも15である広い波長範囲の日焼け止めが、皮膚がんを予防し、日焼け及び他のUV損傷から皮膚を保護するのに必要である。身体表面のバリアを通過して吸収されない、伝搬されない、及び/又は輸送されない、或いは皮膚、髪、爪及び粘膜などの身体表面を通過して吸収されにくい、伝搬されにくい、及び/又は輸送されにくい、或いはゆっくり吸収される、伝搬される、及び/又は輸送される、並びに身体の全身循環に容易に入らない、少なくとも1つのUV吸収(conjugate)結合化合物を含む日焼け止め製剤などの製剤組成物が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、UV-A、UV-B並びに/又はUV-A及びUV-Bの両方など、UV放射を反射及び/又は吸収し、対象の身体表面により吸収されない、表面を通過して伝搬されない、及び/又は身体の表面から身体の内部又は対象の身体の循環系に輸送されない、少なくとも1つのUV吸収結合化合物を有する組成物を含む。ある態様において、本明細書は、ベンゾトリアゾール化合物がアミドリンカーにより結合化合物に結合して形成され、分子量が少なくとも800ダルトンであり、ベンゾトリアゾール(benzatriazole)化合物が紫外線光を吸収する、ベンゾトリアゾール結合化合物を含む製剤組成物;ベンゾトリアゾール化合物がマイケル付加反応の生成物を通して結合化合物に結合して形成され、分子量が少なくとも800ダルトンであり、ベンゾトリアゾール(benzatriazole)化合物が紫外光を吸収する、ベンゾトリアゾール結合化合物を含む製剤組成物;分子量が少なくとも800ダルトンであり、ベンゾトリアゾールがベンゾトリアゾール化合物のメタクリレート、アクリレート又はアクリルアミド(acrylaminde)誘導体としてポリマーと結合し、ベンゾトリアゾール化合物が紫外光を吸収する、ベンゾトリアゾール機能性ポリマーを含む製剤組成物;並びに/或いはベンゾトリアゾール化合物が多糖に結合して形成され、分子量が少なくとも800ダルトンであり、ベンゾトリアゾール(benzatriazole)化合物が紫外光を吸収する、ベンゾトリアゾール多糖結合化合物を含む製剤組成物を開示する。ある態様において、UV吸収結合化合物(UV吸収化合物)は式(1)(U-X)n-Cに示す構造を有し、式中UはUV吸収化合物部分であり、Xはチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、又は-CO-NH-NH-CO-であり、Cは結合化合物部分であり、nは整数で、n≧1である。
【0005】
ある態様において、UV吸収結合化合物は式(2)に示す構造:
【化1】
を有し、
式中、YはUV吸収化合物部分であり、Xはチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、-CO-NH-NH-CO-であり、Dはビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミド基の残基であり、Aはビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、BはAと異なるビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、nは整数で、n≧1であり、m及びzはそれぞれ整数で、m≧0、z≧0である。式(2)の構造はブロックコポリマー又はランダムコポリマーでよい。
ある態様において、UV吸収結合化合物は式(3)の構造:
(U-X)n-C-(X-U1)m (3)
を有し、
式中、UはUV吸収化合物部分であり、U1はUと異なる化学構造を有するUV吸収化合物部分であり、Xはチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、-CO-NH-NH-CO-であり、Cは結合化合物部分であり、n及びmはそれぞれ整数で、n及びmは≧1である。
ある態様において、UV吸収結合化合物は式(4)に示す構造:
【化2】
を有し、
式中、YはUV吸収化合物部分であり、Y1はYと異なる化学構造を有するUV吸収化合物部分であり、Xはチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、-CO-NH-NH-CO-であり、Dはビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミド基の残基であり、Aはビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、BはAと異なるビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、n及びpはそれぞれ整数で、n及びpは≧1であり、m及びzはそれぞれ整数で、m≧0、z≧0である。式(4)の構造はブロックコポリマー又はランダムコポリマーでよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1はベンゾトリアゾールアクリレートUV吸収化合物と、結合化合物として小分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図2図2はベンゾトリアゾールアクリルアミドUV吸収化合物と、結合化合物として非分解性ポリマー分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図3図3はベンゾトリアゾールアクリルアミドUV吸収化合物と、結合化合物として分解性ポリマー分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図4図4はベンゾトリアゾールアクリレートUV吸収化合物と、結合化合物として小分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図5図5はベンゾトリアゾールアクリレートUV吸収化合物と、結合化合物としてポリマー分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図6図6はベンゾトリアゾールアクリレートUV吸収化合物と、結合化合物として吸収性/分解性分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図7図7はベンゾトリアゾールカルボキシレートUV吸収化合物と、結合化合物として小分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図8図8はベンゾトリアゾールカルボキシレートUV吸収化合物と、結合化合物として非分解性ポリマー分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図9図9はベンゾトリアゾールカルボキシレートUV吸収化合物と、結合化合物として分解性ポリマー分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図10図10はベンゾトリアゾールUV吸収化合物を有する直鎖ポリマーを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図11図11はベンゾトリアゾールUV吸収化合物を有する架橋ポリマーを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図12図12はスルホネートを有するUV吸収化合物と、結合化合物として小分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図13図13はスルホン酸を有するUV吸収化合物と、結合化合物として非分解性ポリマー分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図14図14はスルホン酸を有するUV吸収化合物と、結合化合物として分解性ポリマー分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図15図15はベンゾトリアゾールヒドラジドUV吸収化合物と、結合化合物として小分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図16図16はベンゾトリアゾールヒドラジドUV吸収化合物と、結合化合物として非分解性ポリマー分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図17図17はベンゾトリアゾールヒドラジドUV吸収化合物と、結合化合物として分解性ポリマー分子とを含む例示的なUV吸収結合化合物を示す。
図18図18は実施例16のUV吸収結合化合物に関するNMRの結果を示すグラフである。
図19図19はジクロロメタン中の実施例16のUV吸収結合化合物に関するUVスペクトルのグラフである。
図20図20は実施例18のUV吸収結合化合物に関するNMRの結果を示すグラフである。
図21図21はジクロロメタン中の実施例18のUV吸収結合化合物に関するUVスペクトルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
少なくとも1つのUV吸収結合化合物を含む組成物、及びこのような組成物を作製、使用する方法を本明細書で開示する。本明細書で使用するとき、UV吸収化合物はある紫外(UV)波長の放射を反射及び/又は吸収する化合物である。ある態様において、皮膚から光を反射又は散乱させる無機化合物、及び紫外線を吸収する有機(炭素系)化合物を本明細書で開示する。酸化亜鉛又は二酸化チタンを含む一部の無機化合物は、放射が身体表面に到達するのを防止する身体のサンブロックとして作用する。
UV吸収化合物である有機化合物の例としては、限定されないがアボベンゾン又はオキシベンゾンが挙げられる。これらの分子は紫外線を物理的に偏向させるのではなく、化学結合によりUV放射を吸収する。結合がUV放射を吸収するにつれ、日焼け止め成分はゆっくりと分解し、熱を放出する。
SPFは日焼け止め組成物の保護レベルを示すのにしばしば用いられる。SPFはSun Protection Factorであり、日焼け止めが日焼け及び数種の皮膚がんを引き起こし得るUVB線からどれだけ保護するのかを指す。UVA放射は皮膚のより深くに侵入し、早期のしわ、しみを引き起こし得、一部の皮膚がんに関するリスクも高め得る。広い波長範囲の日焼け止めは、UVA及びUVB線のどちらもブロックするが、現在UVA吸収力を記載する基準はない。太陽光を偏向させる無機化合物はUVA及びUVB線のどちらも偏向させる。
SPF50より高い日焼け止め組成物はSPF50より効果的であると立証されていないため、SPF15から50の日焼け止め組成物の使用が推奨されている。紫外線を100パーセントブロックすることができる組成物はないが、SPF15の日焼け止めはUVB線の約93%から保護し、SPF30では紫外線の97パーセントから保護する。日焼け止め組成物は、身体表面に到達するUV放射を除去しないため、SPF数は赤くなるなど、ヒトの皮膚が放射損傷を示すのにかかる時間のおおよその長さを指す。SPF15の日焼け止め組成物は、日焼け止め組成物を塗布していない皮膚よりもおおよそ15倍長く白色人種の皮膚が赤くなるのを防止する。例えば、皮膚が10分後に焼け(赤くなり)始めるなら、SPF15の日焼け止め組成物は約150分、つまり2.5時間焼けるのを防止する。
【0008】
本明細書では、太陽からなど、UV放射の有害効果を防止又は改善する際に使用する少なくとも1つのUV吸収結合化合物組成物を含む製剤組成物、例えばUV-A、UV-B又はUV-A及びUV-B放射のどちらも反射及び/又は吸収する1つ又は複数の化合物又は分子を含む化粧品組成物を開示する。UV吸収結合化合物は、皮膚などの身体表面を通って著しく吸収されない、又は身体の全身循環に輸送されないことが望ましい。現在使用される多くのUV吸収及び/又はUV反射化合物の生物活性及び毒性は研究されていない。
本明細書では、小分子又はポリマーでよい結合化合物に結合したUV吸収化合物を含むUV吸収結合化合物を開示する。ある態様において、本明細書で開示する組成物は、少なくとも1つのUV吸収化合物を含む。この有効分子量は結合化合物をUV吸収化合物に結合させることにより増加し、皮膚を通過するUV吸収化合物の吸収を低減させる。ある態様において、結合した分子の全分子量が500ダルトン超、又は800ダルトン超、又は1000ダルトン超であるように、結合化合物又は分子にUV吸収化合物を共有結合する(本明細書ではUV吸収結合化合物と呼ぶ)ことにより、UV吸収化合物の有効分子量を増加させることができる。簡潔に、UV吸収結合化合物は本明細書では「吸収化合物」と呼ぶ場合があり、UV放射を吸収する、又はUV放射を反射する、又はUV放射を吸収及び反射する化合物を含む。
【0009】
ある態様において、UV吸収結合化合物(UV吸収化合物)は式(1)に示す構造:
(U-X)n-C (1)
を有し、
式中、UはUV吸収化合物部分であり、Xはチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、又は-CO-NH-NH-CO-であり、Cは結合化合物部分であり、nは整数で、n≧1である。
ある態様において、UV吸収結合化合物は式(2)に示す構造:
【化3】
を有し、
式中、YはUV吸収化合物部分であり、Xはチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、-CO-NH-NH-CO-であり、Dはビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミド基の残基であり、Aはビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、BはAと異なるビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、nは整数で、n≧1であり、m及びzはそれぞれ整数で、m≧0、z≧0である。式(2)の構造は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーでよい。
ある態様において、UV吸収結合化合物は式(3)に示す構造:
(U-X)n-C-(X-U1m (3)
を有し、
式中、UはUV吸収化合物部分であり、U1はUと異なる化学構造を有するUV吸収化合物部分であり、Xはチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、-CO-NH-NH-CO-であり、Cは結合化合物部分であり、n及びmはそれぞれ整数で、n及びmは≧1である。
ある態様において、UV吸収結合化合物は式(4)に示す構造:
【化4】
を有し、
式中、YはUV吸収化合物部分であり、Y1はYと異なる化学構造を有するUV吸収化合物部分であり、Xはチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、-CO-NH-NH-CO-であり、Dはビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミド基の残基であり、Aはビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、BはAと異なるビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、n及びpはそれぞれ整数で、n及びpは≧1であり、m及びzはそれぞれ整数で、m≧0、z≧0である。式(4)の構造はブロックコポリマー又はランダムコポリマーでよい。
【0010】
本開示の組成物は、結合化合物と結合(結合)したUV吸収化合物を有する1つ又は複数のUV吸収結合化合物を含んでよい。ある態様において、UV吸収結合化合物の結合化合物はポリマーを含む結合化合物(下記)ではなく、分子量が1000ダルトン未満、約100ダルトンから約1000ダルトン、約100ダルトンから約900ダルトン、約200ダルトンから約8000ダルトン、約200ダルトンから約1000ダルトン、約100ダルトンから約300ダルトン、約200ダルトンから約500ダルトン、約300ダルトンから約1000ダルトン;約400ダルトンから約8000ダルトン;約400ダルトンから約1000ダルトン;約500ダルトンから約1000ダルトン;約400ダルトンから約800ダルトン約500ダルトンから約600ダルトン;約600ダルトンから約1000ダルトン;約600ダルトンから約800ダルトン;約700ダルトンから約1000ダルトン;約800ダルトンから約1000ダルトン;約800ダルトンから約900ダルトン;約900ダルトンから約1000ダルトン、及びこれらの間のすべての範囲の小分子である。ある態様において、結合化合物はUV吸収化合物の官能基と反応可能な1つ又は複数の官能基を有する。官能基は結合化合物の一部でよく、又は化学合成方法により結合基に添加されてよい。結合化合物の官能基としては、限定されないが1つ又は複数のチオール基、アミン基、ヒドラジド基、カルボン酸基又はこれらの組合せが挙げられる。ある態様において、結合化合物はアルカンでよい。ある態様において、結合化合物は直鎖アルカンである。ある態様において、結合化合物は分岐アルカンである。ある態様において、結合化合物は芳香環を含む。ある態様において、結合化合物はベンゼン環を含む。ある態様において、結合化合物は2つ以上のチオール又はアミン基を含む。ある態様において、結合化合物は少なくとも1つのチオール基及び少なくとも1つのアミン基を含む。ある態様において、アミン基は第1級アミン基である。ある態様において、結合化合物は1つ又は複数のカルボン酸基を含む。ある態様において、結合化合物は1つ又は複数のヒドラジド基を含む。
【0011】
ある態様において、2つ以上のアミン基を有する結合化合物は、カルボン酸基、アクリレート基、メタクリレート基又はアクリルアミド基を有する1つ又は複数のUV吸収化合物と反応することができる。例えば、2つ以上のアミン基を有し、アルカンである結合化合物は、限定されないがC2からC20ジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸、メソ-1,4-ジアミノ-2,3-ブタンジオール二塩酸塩、1,4-ジアミノ-2-ブタノン二塩酸塩、2,2-ビス(アミノエトキシ)プロパン、スペルミジン、DL-5-ヒドロキシリシン塩酸塩、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンシスチン、ジエチレントリアミン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、N,N’-ビス(2-アミノエチル)-1,3-プロパンジアミン、4,9-ジオキサ-1,12-ドデカンジアミン、及び2,6-ジアミノピメリン酸が挙げられる。
ある態様において、ベンゼン環及び少なくとも2つのアミン基を含む結合化合物は、限定されないが1,2-ジアミノ-3,5-ジメチルベンゼン、4,4’-ジアミノ[1,1’-ビフェニル]-3,3’-ジオール、1,2-ジアミノ-4,5-ジメトキシベンゼン、4,4’-ジアミノ-2,2’-スチルベンジスルホン酸、6,9-ジアミノ-2-エトキシアクリジン-DL-乳酸塩一水和物、2,2’-ジアミノ-4,4’-スチルベンジカルボン酸、3,8-ジアミノ-6-フェニルフェナントリジン、2,6-ジアミノ-4-フェニル-1,3,5-トリアジン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、o-キシリレンジアミン、2,4,6-トリメチル-m-フェニレンジアミン、2,2,4(2,4,4)-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、4,4’-メチレン-ビス(2-メチルアニリン)、4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)、2,5-ジクロロ-p-フェニレンジアミン、4,4’-ジブロモ-2,2’-ビフェニルジアミン、2,6-ジアミノトルエン、2-メチル-m-フェニレンジアミン、ベンジジン、2,4-ジアミノベンゼンスルホン酸、2,4-ジアミノフェノール二塩酸塩、1,4-ジアミノアントラキノン、2,6-ジアミノアントラキノン、1,5-ジアミノアントラキノン、1,2-ジアミノアントラキノン、3,5-ジアミノ安息香酸二塩酸塩、及び4,4’-ジアミノベンズアニリドが挙げられる。
【0012】
ある態様において、2つ以上のアミン基を含む結合化合物は、限定されないが3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、5,6-ジアミノ-1,3-ジメチルウラシル水和物、2,4-ジアミノ-6-フェニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(ヒドロキシメチル)プテリジン、2,4-ジアミノ-6-(ヒドロキシメチル)プテリジン塩酸塩、2,6-ジアミノ-3,5-ジフルオロピリジン、2-クロロ-4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジン、2-ニトロ-1,4-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノプリン-9-アラビノシド、メラミン、6-メチル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノピリミジン、リシン、リシンメチルエステル、リシンエチルエステルなどのリシンのエステル、アルギニン、アルギニンメチルエステルなどのアルギニンのエステル、及びヒスチジンが挙げられる。
ある態様において、2つ以上のチオール基を有する結合化合物は、アルケン基を有する1つ又は複数のUV吸収化合物と反応することができ、チオエーテルを含むUV吸収結合化合物が形成される。アルケン基は、限定されないがビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、シアノアクリレート基又はアクリルアミド基が挙げられる。2つ以上のチオール基を有するアルカンである結合化合物は、限定されないがC2からC20ジチオール、ジチオトレイトール、及び2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、及び2,3-ジメルカプトコハク酸が挙げられる。
【0013】
ある態様において、ベンゼン環及び少なくとも2つのチオール基を含む結合化合物は、限定されないが1,4-ベンゼンジメタンチオール、1,4-ベンゼンジメタンチオール、ベンゼン-1,2-ジチオール、ベンゼン-1,4-ジチオール、1,3-ベンゼンジチオール、ビフェニル-4,4’-ジチオール、及びp-テルフェニル-4,4’’-ジチオールが挙げられる。
ある態様において、少なくとも1つのチオール及び1つのアミン基を含む結合化合物は、限定されないが2-アミノブタン-1,4-ジチオール塩酸塩、4,5-ジアミノ-2,6-ジメルカプトピリミジン、4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン、及び4,6-ジアミノ-2-ピリミジンチオールが挙げられる。
ある態様において、2つ以上のヒドラジドを含む結合化合物が本開示に含まれる。1つ又は複数のヒドラジド基は、UV吸収化合物のカルボン酸基と反応することができる。ジヒドラジド化合物は、限定されないが炭素原子数2から18の飽和脂肪族カルボン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、チオカルボヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、オキサリルジヒドラジド、エチルマロン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、ピロメリット酸ジヒドラジド(puromellitic acid dihydrazide)が挙げられる。トリヒドラジド結合化合物は、限定されないが1,2,4-ブタントリカルボン酸、トリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,3,5-ベンゼン(トリカルボントリヒドラジド)、ニトリロ-アセトトリヒドラジド、1,2,4-ベンゼントリヒドラジド及びシアヌル酸トリヒドラジドを挙げることができる。テトラヒドラジド(tetrathydrazide)結合化合物は、限定されないがエチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド及び1,4,5,8-ナフトエ酸テトラヒドラジドを挙げることができる。
【0014】
結合化合物はポリマーを含むことができる。本明細書では「結合ポリマー」と呼ばれ、ホモポリマー及びコポリマーを含む。ある態様において、結合ポリマーは非吸収性ポリマーを含む。非吸収性ポリマーは、1つ又は複数のアミン基、1つ又は複数のカルボン酸基、1つ又は複数のチオール基、1つ又は複数のヒドラジド基、或いはこれらの組合せを含むポリマーを挙げることができる。本明細書で開示する結合ポリマーは、2つ以上の繰り返し単位を有することができる。ある態様において、開示したポリマーは200ダルトン超の分子量を有することができる。ある態様において、結合ポリマーの分子量は約1000超である。ある態様において、結合ポリマーの分子量は約5000超である。結合ポリマーは、限定されないが1つ又は複数のアミン、カルボン酸、チオール又はヒドラジド基を含むポリアルキレンオキシドポリマーが挙げられる。ポリアルキレンオキシド結合ポリマーは、限定されないがメトキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマーが挙げられる。ある態様において、結合ポリマーはUV吸収化合物のカルボン酸基と反応可能な1つ又は複数のアミン基を含むことができる。1つ又は複数のアミン基を含む結合ポリマーは、限定されないがポリ(エチレンイミン)、ポリ(ビニルアミン)塩酸塩及びそのコポリマー、ポリ(アリルアミン)及びそのコポリマー、ポリ(4-アミノスチレン)及びそのコポリマー、ポリ(N-メチルビニルアミン)及びそのコポリマー、ポリ(エチレングリコール)ビス(2-アミノエチル)、ポリ(2-アミノエチルメタクリルアミド)及びそのコポリマー、ポリ(N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミド)及びそのコポリマー、3アームPEGアミン(グリセロールコア)、4アームPEGアミン(ペンタエリトリトールコア)、6アームPEGアミン(ジペンタエリトリトールコア)、8アームPEGアミン(ヘキサグリセロールコア)、8アームPEGアミン(トリペンタエリトリトールコア)、メトキシPEG酢酸、メトキシPEGブタン酸、メトキシPEGヘキサン酸、メトキシPEGプロピオン酸、PEG(酢酸)2,4アームPEG酢酸、6アームPEG酢酸、及び8アームPEG酢酸が挙げられる。
【0015】
ある態様において、結合ポリマーはUV吸収化合物のカルボン酸基と反応可能な1つ又は複数のヒドラジド基を含むことができ、-CO-NH-NH-CO-結合を有するUV吸収結合化合物が形成される。1つ又は複数のヒドラジド基を含む結合ポリマーは、限定されないがメトキシPEGヒドラジド、PEGジヒドラジド、3アームPEGヒドラジド、4アームPEGヒドラジド、6アームPEGヒドラジド、8アームPEGヒドラジド、及びポリ(アクリロイルヒドラジド)が挙げられる。1つ又は複数のヒドラジド基を含む結合ポリマーは、カルボン酸基、アクリロニトリル基又はアクリルアミド基を含むポリマーから調製することができる。これらのポリマーの例は米国特許出願公開第20070225453号明細書に記載され、参照により本明細書に組み入れられたものとする。ポリヒドラジドは、カルボン酸低級アルキルエステル基を有するポリマーをヒドラジン又はヒドラジン水和物と反応させることにより得ることができる(特公昭52-22878号公報を参照)。ポリヒドラジドは、得られるポリマーが残留するヒドラジド基を有するように、ポリカルボン酸含有ポリマーを過剰なジヒドラジド化合物と反応させることにより得ることができる。これらの残留するヒドラジド基は、UV吸収化合物のカルボン酸部分と反応する場合がある。
【0016】
ある態様において、結合ポリマーはUV吸収化合物のアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド又はアルケン基と反応可能な1つ又は複数のチオール基を含むことができ、チオエーテル結合を有するUV吸収結合化合物が形成される。1つ又は複数のチオール基を含むポリマーは、限定されないがメトキシPEGチオール、PEGジチオール、3アームPEGチオール、4アームPEGチオール及び8アームPEGチオールが挙げられる。
ある態様において、結合ポリマーは、UV吸収化合物のアミン又はヒドラジド基と反応可能な1つ又は複数のカルボン酸基を含むことができ、それぞれアミド又は-CO-NHNH-CO-結合を有するUV吸収結合化合物が形成される。ある態様において、1つ又は複数のカルボン酸基を含む非分解性ポリマーは、限定されないがポリ(アクリル酸)及びそのコポリマー、ポリ(リンゴ酸)及びそのコポリマー、ポリ(マレイン酸)及びそのコポリマー、ポリ(フマル酸)及びそのコポリマー、ポリ(2-カルボキシエチルアクリレート)及びそのコポリマー、ポリ(4-ビニル安息香酸)及びそのコポリマー、ポリ(マレイン酸,モノ-2-アクリルオキシエチルエステル)及びそのコポリマー、ポリ(メタクリル酸)(poly(methacrylic acid))及びそのコポリマー、並びにポリ(フタル酸,モノ-2-アクリルオキシエチルエステル)及びそのコポリマーが挙げられる。
【0017】
UV吸収結合ポリマー化合物は、フリーラジカル重合が可能な少なくとも1つのUV吸収化合物を含むモノマー組成物にフリーラジカル重合反応を行うことにより調製することができ、上記式2及び/又は4のUV吸収結合化合物が作製される。フリーラジカル重合が可能なUV吸収化合物は、限定されないがビニル基、アクリレート基、メタクリレート基又はアクリルアミド基を含むUV吸収化合物が挙げられる。UV吸収化合物は、限定されないがN-[[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル]メチル]-2-メチルプロペ-2-エンアミド(CAS107479-06-1)、及び2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(CAS96478-09-0)が挙げられる。ある態様において、フリーラジカル重合が可能なモノマーは、限定されないがビニル基、アクリレート基、メタクリレート基又はアクリルアミド基を含むモノマーが挙げられる。モノマーは親水性又は疎水性モノマーを含むことができる。使用することができるモノマーは、限定されないがポリサイエンス社により供給されるものが挙げられ、参照により本明細書に組み入れられたものとする。モノマーと開始剤との比を調整して、作製したポリマーの分子量を変更することができる。
【0018】
本明細書で開示するモノマー組成物は、架橋固体組成物が作製されるように、架橋剤を更に含むことができる。架橋組成物は粉砕、微粉化、ふるい分け又はこれらの組合せなど更に加工することができ、微小粒子又はナノ粒子が作製される。ある態様において、乳化重合は架橋粒子を調製するのに用いることができ、このような重合反応は当業者に公知である。
ある態様において、結合ポリマー化合物は分解性である。ある態様において、結合ポリマー化合物は少なくとも6か月間、pH6.5からpH7.5で加水分解的に安定である。ある態様において、結合ポリマー化合物を酵素的に切断することができる。ある態様において、結合ポリマー化合物は少なくとも6か月間、pH6.5からpH7.5で加水分解的に安定であるが、適当な酵素にさらされると切断される。
ある態様において、酵素的分解性の結合ポリマー化合物はタンパク質、ペプチド又はポリペプチドを含む。ある態様において、タンパク質、ペプチド又はポリペプチドは、少なくとも1つのUV吸収化合物と反応する1つ又は複数の利用可能なアミノ基を有する。このような化合物は、限定されないが1つ又は複数のリシン部分を有するタンパク質、ペプチド又はポリペプチドが挙げられる。1つ又は複数のリシン部分を含む化合物は、限定されないがポリ(リシン)が挙げられる。
ある態様において、タンパク質、ペプチド又はポリペプチドは、UV吸収化合物と反応する1つ又は複数の利用可能なチオール基を有する。このような結合ポリマー化合物は、限定されないが1つ又は複数のシステイン部分を有するタンパク質、ペプチド又はポリペプチドが挙げられる。1つ又は複数のシステインを含む結合ポリマー化合物は、限定されないがポリ(システイン)が挙げられる。
ある態様において、タンパク質、ペプチド又はポリペプチドは、UV吸収化合物と反応する1つ又は複数の利用可能なカルボン酸基を有する。このような結合ポリマー化合物は、限定されないが1つ又は複数のカルボン酸部分を有するタンパク質、ペプチド又はポリペプチドが挙げられる。1つ又は複数のカルボン酸を含む結合ポリマー化合物は、限定されないがポリ(アスパラギン酸)及びそのコポリマー、ポリ(グルタミン酸)及びそのコポリマーが挙げられる。
ある態様において、タンパク質、ペプチド又はポリペプチド結合ポリマー化合物は、UV吸収化合物と反応する1つ又は複数の利用可能なアミン基及びチオール基を有する。
【0019】
ある態様において、結合ポリマー化合物は多糖を含んでよい。酵素的に分解性であり、UV吸収化合物又はUV吸収化合物の誘導体における官能基と反応可能な1つ又は複数の官能基を有する多糖は、UV吸収結合化合物を調製するのに用いることができる。開示した組成物で使用することができる多糖の種類は、限定されないがヒアルロン酸、アルギン酸、セルロース、デキストラン、キチン、キトサン、キサンタンガム(xantham gum)、キシラン、グアーガム、プルラン(pullan)、ローカストビーンガム、デンプン、グルコーゲン、シクロデキストリン、アマロース(amalose)、アミロペクチン、ペクチン、カロース、ラミナリン、クリソラミナリン、アラビノキシラン、マンナン、フコイダン及びガラクトマンナンが挙げられる。これらの種類は、これらの誘導体及び塩を含む。
例えば、セルロースの誘導体は、限定されないがセルロースエステル、セルロースエーテル及びニトロセルロースが挙げられる。セルロースエステルは、限定されないが酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース(CAP)、及び酢酸酪酸セルロース(CAB)が挙げられる。セルロースエーテルは、限定されないがメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース及びエチルヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。アルギン酸の塩は、限定されないがアルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カルシウムが挙げられる。
多糖又はその誘導体がUV吸収化合物と反応するために、多糖はUV吸収化合物の官能基と反応可能な少なくとも1つの官能基を含む。UV吸収化合物との反応に使用することができる官能基は、限定されないがヒドロキシル、カルボン酸、チオール、アミン、アクリレート、メタクリレート、ビニル、アクリルアミド、ヒドラジド、アリル及びビニルスルホン基が挙げられる。
【0020】
ある態様において、多糖はアミン基を含む。多糖のアミン基は、UV吸収化合物のカルボン酸基と反応することができ、アミン基が形成される。多糖のアミン基は、マイケル付加反応によって、UV吸収化合物のアクリレート、アクリルアミド又はメタクリレート基と反応することができる。ある態様において、アミン含有多糖は、限定されないがアミノデキストラン、アミノシクロデキストリン、キトサン、アミノセルロース、及び脱アセチル化ヒアルロン酸が挙げられる。
使用するアミノデキストランは、1000ダルトン超の分子量を有することができる。アミノシクロデキストリン化合物は、限定されないが6-モノデオキシ-6-モノアミノ-β-シクロデキストリン塩酸塩(CAS29390-67-8)、ヘプタキス-(6-アミノ-6-デオキシ)-ベータ-シクロデキストリン7塩酸塩(CAS65024-90-0)、ヘプタキス-(2,3-ジ-O-メチル-6-アミノ-6-デオキシ)-β-シクロデキストリン7塩酸塩、6-モノアミノ-6-モノデオキシ-パーメチル-β-シクロデキストリン塩酸塩、A,D-6-ジアミノ-6-ジデオキシ-β-シクロデキストリン二塩酸塩、ヘキサキス-(2,3-ジ-O-メチル-6-アミノ-6-デオキシ)-α-シクロデキストリン6塩酸塩、A,D-6-ジアミノ-6-ジデオキシ-α-シクロデキストリン二塩酸塩、ヘキサキス-(6-アミノ-6-デオキシ)-α-シクロデキストリン6塩酸塩、オクタキス-(6-アミノ-6-デオキシ)-γ-シクロデキストリン8塩酸塩、オクタキス-(2,3-ジ-O-メチル-6-アミノ-6-デオキシ)-γ-シクロデキストリン8塩酸塩、6-モノアミノ-6-モノデオキシ-γ-シクロデキストリン塩酸塩及び6アルファ-[(2-アミノエチル)アミノ]-6a-デオキシ-ベータシクロデキストリンが挙げられる。
アミノセルロースは、限定されないが6-デオキシ-6-(ω-アミノアルキル)アミノセルロースカルバメートが挙げられる。アミノ含有ヒアルロン酸誘導体は、限定されないが脱アセチル化ヒアルロン酸が挙げられる。
【0021】
ある態様において、多糖はチオール基を含む。多糖のチオール基は、マイケル付加反応によりUV吸収化合物のアクリレート、アクリルアミド又はメタクリレート基と反応することができ、チオエーテルが形成される。チオール化シクロデキストリンは、限定されないがヘプタキス-(6-デオキシ-6-メルカプト)-ベータ-シクロデキストリン(CAS160661-60-9)、ヘキサキス-(6-デオキシ-6-メルカプト)-α-シクロデキストリン、及びオクタキス-(6-デオキシ-6-メルカプト)-γ-シクロデキストリンが挙げられる。
チオール化キトサンは、限定されないがキトサン-システイン、キトサン-チオブチルアミジン、キトサン-チオグリコール酸、キトサン-N-アセチルシステイン及びキトサン-チオエチルアミジンなどのアルキルチオール化キトサン誘導体、並びにキトサン-6-メルカプトニコチン酸及びキトサン-4-メルカプト安息香酸などのアリールチオール化キトサンを挙げることができる。チオール化キトサン誘導体の調製は、国際公開第2015169728号、Kast,Constantia E;Frick,Wolfram;Losert,Udo;Bernkop-Schnurch,Andreas,International Journal of Pharmaceutics,,Volume256(1)-Apr30,2003、Roldo,Marta&Hornof,Margit&Caliceti,Paolo&Bernkop-Schnurch,Andreas.(2004)に詳細に記載され、参照により本明細書に組み入れられたものとする。チオール化ヒアルロン酸は、米国特許出願公開第20100330143号明細書、第20080031854号明細書に従って調製することができる。米国特許出願公開第20100144902号明細書及び第20100152423号明細書は参照により本明細書に組み入れられたものとする。
【0022】
ある態様において、多糖は1つ又は複数のヒドラジド基を含むことができる。ある態様において、ヒドラジドを含む多糖は1つ又は複数のカルボン酸基を含む多糖に由来するものであり、1つ又は複数のカルボン酸基は、誘導体化多糖が1つ又は複数のヒドラジド基を含むようにジヒドラジド化合物と反応する。ある態様において、1つ又は複数のカルボン酸基を含む多糖は、限定されないがヒアルロン酸、ガラクツロナン、キシロガラクツロナン、アピオガラクツロナン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、及び酢酸フタル酸セルロースが挙げられる、ある態様において、ヒドラジド多糖は、限定されないがヒドラジド誘導体化ヒアルロン酸、ヒドラジド誘導体化カルボキシメチルセルロース、ヒドラジド誘導体化酢酸フタル酸セルロース、ヒドラジド誘導体化、アルギン酸及びヒドラジド誘導体化ガラクツロナンを挙げることができる。
ヒドラジド官能化ヒアルロン酸は、米国特許出願公開第20100330143号明細書、米国特許出願公開第20100144902号明細書及び米国特許出願公開第20100152423号明細書に従って調製することができ、参照により本明細書に組み入れられたものとする。
ある態様において、多糖を酵素的に分解することができる。ヒアルロン酸をヒアルロニダーゼにより分解することができ、キトサンをリゾチームにより分解することができ、セルロース系ポリマー及びオリゴマーをセルラーゼ及びエンドグルカナーゼにより分解することができ、デキストランをデキストラナーゼにより分解することができる。
【0023】
ある態様において、結合ポリマー化合物はポリアミノ酸を含んでよい。ポリアミノ酸は、ペプチド及び/又はタンパク質を含むことができる。ペプチドは、2つ以上のアミノ酸を有する化合物が挙げられる。カルボン酸基又はスルホン酸基を有するUV吸収化合物は、ペプチド又はタンパク質の末端アミン基と反応することができ、UV吸収化合物及びペプチド又はタンパク質間に、それぞれアミド又はスルホンアミド結合が形成される。
結合する2つ以上のUV吸収化合物を有するUV吸収結合化合物は、1つ又は複数のアミン含有アミノ酸を含むタンパク質又はペプチドを用いて調製することができる。好適なアミン含有アミノ酸は、リシン、アルギニン及びヒスチジンが挙げられる。カルボン酸基又はスルホン酸基を有するUV吸収化合物は、ペプチド又はタンパク質のアミン含有アミノ酸の末端アミン基及びアミン基と反応することができ、UV吸収化合物及びペプチド又はタンパク質間にそれぞれアミド又はスルホンアミド結合が形成される。
ヒドラジド基を有するUV吸収化合物は、ペプチド又はタンパク質の末端カルボン酸基と反応することができ、UV吸収化合物及びペプチド又はタンパク質間に結合が形成される。ヒドラジド基を有するUV吸収化合物は、ペプチド又はタンパク質の末端カルボン酸基と、ペプチド又はタンパク質内の任意のカルボン酸含有アミノ酸と反応することができ、UV吸収化合物及びペプチド又はタンパク質間に結合が形成される。好適なカルボン酸含有アミノ酸は、1つ又は複数のアスパラギン酸及びグルタミン酸を含む。ある態様において、ペプチドはポリ(グルタミン酸)、ポリ(アスパラギン酸)又はこれらの組合せである。態様において、結合化合物は加水分解コラーゲンでよい。ある態様において、加水分解コラーゲンはグルタミン酸を含むゼラチンでよい。
結合する2つ以上のUV吸収化合物を有するUV吸収結合化合物は、1つ又は複数のアミン含有アミノ酸を含むタンパク質又はペプチドを用いて調製することができる。好適なアミン含有アミノ酸は、リシン、アルギニン及びヒスチジンが挙げられる。ある態様において、ペプチドはポリ(リシン)、ポリアルギニン又はポリ(ヒスチジン)又はこれらの組合せである。態様において、結合化合物は加水分解コラーゲンでよい。ある態様において、加水分解コラーゲンはアルギニンを含むゼラチンでよい。
【0024】
アルケン基を有するUV吸収化合物は、1つ又は複数の遊離チオール基を含有するペプチド又はタンパク質と反応することができる。ある態様において、ペプチド又はタンパク質は1つ又は複数のシステイン基を含むが、そのチオールは遊離しており、ジスルフィド結合の一部ではない。
多糖又はポリアミノ酸を含むUV吸収結合化合物は架橋することができる。好適な架橋剤は、限定されないが2つ以上のビニルスルホン基、エポキシド基、イソシアネート基又はカルボジイミド基を含む化合物が挙げられる。架橋した材料は粉砕、微粉化、ふるい分け又はこれらの組合せなど、更に加工することができ、微小粒子又はナノ粒子が作製される。ある態様において、乳化として架橋反応を行うことができ、架橋粒子が作製される。
【0025】
別の態様において、乳化反応により、又は架橋反応を通して、多糖結合化合物又はポリアミノ酸結合化合物を架橋粒子にすることができ、粉砕、微粉化、ふるい分け又はこれらの組合せなどの次の加工を行う。
多糖又はポリアミノ酸は、好適な架橋剤を用いて架橋させることができる。ある態様において、架橋反応は乳化反応でよく、粒子が形成される。ある態様において、粉砕、微粉化、ふるい分け又はこれらの組合せを含むプロセスにより、架橋された材料を微粒子状に変えることができる。本明細書に記載する通り、UV吸収化合物が架橋前粒子に化学的に結合するように、架橋粒子はUV吸収化合物と反応することができる。
架橋反応前に、UV吸収結合化合物は多糖又はポリアミノ酸に取り込まれ、その後架橋された材料に捕捉され得る。ある態様において、架橋反応は乳化反応でよく、粒子が形成される。ある態様において、粉砕、微粉化、ふるい分け又はこれらの組合せを含むプロセスにより、架橋された材料を微粒子状に変えることができる。
ヒドラジド基を含むUV吸収化合物は、カルボジイミドを用いて分解性ポリエステルの残留カルボン酸基と反応することができ、エステルを活性化させる。ある態様において、少なくとも1つのヒドロキシル基及び少なくとも1つのカルボン酸基のどちらも含む開始剤は、ポリエステルの開環重合を開始するのに用いることができる。使用することができるモノマーは、グリコリド、ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン及びモルホリンジオンが挙げられる。使用することができる開始剤は、限定されないがヒドロキシアルカンカルボン酸化合物が挙げられる。ヒドロキシアルカンカルボン酸化合物の例としては、限定されないが10-ヒドロキシデカン酸、12-ヒドロキシドデカン酸、11-ヒドロキシウンデカン酸、15-ヒドロキシペンタデカン酸、16-ヒドロキシヘキサデカン酸、12-ヒドロキシオクタデカン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、クエン酸、グリコール酸及び酒石酸が挙げられる。ポリエステルの分子量は、1000ダルトン超である。ある態様において、分子量は1500超である。
【0026】
UV吸収化合物
UV吸収化合物は400nm未満、例えば200から400nmの波長を有するUV放射を吸収する。UV吸収化合物は例えばUV-A(320から400nm)、UV-B(290から319nm)及び/又はUV-C(200から289nm)光を吸収することができる。ある態様において、UV吸収化合物はUV-A及び/又はUV-B放射を吸収する。ある態様において、UV吸収化合物は、UV-A及び/又はUV-B放射を吸収し、吸収した放射エネルギーを非放射的に不活化する。UV吸収化合物は、限定されないが200から400nm範囲の吸光度を有するベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物が挙げられる。ある態様において、UV吸収化合物は、限定されないが200から380nm範囲の吸光度を有するベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物が挙げられる。ある態様において、UV吸収化合物は、限定されないが200から350nm範囲の吸光度を有するベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物が挙げられる。
本明細書では、結合化合物との反応に利用可能なアクリルアミド、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、アクリロニトリル、ビニルスルホン、アミン、スルホン酸、アリル、ヒドラジド及び/又はカルボン酸基を有するUV吸収化合物が開示される。ある態様において、マイケル付加反応が可能なアクリルアミド基、アクリレート基、メタクリレート基、マレイミド基、アクリロニトリル基又はビニルスルホン基を含むUV吸収化合物は、結合化合物を調製するのに用いることができる。マイケル付加反応が可能な1つ又は複数の官能基を含有するUV吸収化合物は、1つ又は複数のアミン基、チオール基又はこれらの組合せを有する化合物に結合することができる。使用することができるUV吸収化合物は、限定されないがアクリルアミド基、アクリレート基、メタクリレート基、マレイミド基、アクリロニトリル基又はビニルスルホン基を有するUV吸収ベンゾトリアゾール化合物が挙げられる。これらの化合物の例としては、限定されないがN-[[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル]メチル]-2-メチルプロペ-2-エンアミド(CAS107479-06-1)及び2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(CAS96478-09-0)が挙げられる。
【0027】
ある態様において、結合する化合物のアミン基と反応可能なカルボン酸基を含み、アミド結合を形成するUV吸収化合物を本明細書で開示する。UV吸収化合物は、カルボン酸基を含むベンゾトリアゾール化合物が挙げられる。カルボン酸基を含むベンゾトリアゾール化合物は、限定されないが、3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸(CAS84268-36-0)が挙げられる。
UV吸収化合物はヒドラジド基を含むことができる。ヒドラジドを含むUV吸収化合物は、1つ又は複数のカルボン酸基を含む結合化合物と反応することができる。ある態様において、ヒドラジドUV吸収化合物は、3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸を過剰なジヒドラジドと反応させることにより調製される。反応生成物は、UV吸収化合物に化学的に結合するヒドラジド基を含む。
【0028】
ある態様において、UV吸収化合物は、結合化合物のチオール基とチオールエン反応が可能なアルケン基を含む。アルケン含有UV吸収化合物は、限定されないがアルケン基を含むベンゾトリアゾール化合物が挙げられる。アルケン基を含むベンゾトリアゾール化合物は、限定されないがN-[[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル]メチル]-2-メチルプロペ-2-エンアミド(CAS107479-06-1)、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(CAS96478-09-0)及び2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(2-プロペニル)フェノール(CAS2170-39-0)が挙げられる。ある態様において、光開始剤及び光源の存在下、チオールエン反応が起こり得る。ある態様において、光源は紫外線を放射する。
ノリッシュI型光開始剤とも呼ばれる開裂型光開始剤、及びノリッシュII型光開始剤とも呼ばれるH引き抜き型開始剤によりチオールエン反応を開始することができる。開裂型光開始剤は、限定されないが2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TMDPO)及び2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)が挙げられる。H引き抜き型光開始剤は、限定されないがベンゾフェノン(B)、チオキサントン(TX)、イソプロピルチオキサントン及びカンファーキノン(CQ)が挙げられる。光開始剤はBASF/Cibaのイルガキュア(Igacure)シリーズの光開始剤も含む。
チオールエン反応を熱開始剤により開始することができる。熱開始剤は、限定されないが2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)及びベンゾイルペルオキシドが挙げられる。
【0029】
ある態様において、スルホン酸基を含むUV吸収化合物は、結合する化合物のアミン基と反応することができ、スルホンアミド結合が形成される。スルホン酸含有UV吸収化合物は、限定されないがスルホン酸基を含むベンゾイミダゾール化合物、スルホン酸基を含むベンゾトリアゾール化合物、及びスルホン酸基を含むベンゾフェノン化合物が挙げられる。スルホン酸基を含むベンゾイミダゾール化合物の例としては、限定されないが2-フェニルベンゾイミダゾール-5-スルホン酸つまりエンスリゾール(CAS27503-81-7)が挙げられる。スルホン酸基を含むベンゾフェノン化合物の例としては、限定されないがスリソベンゾンつまりベンゾフェノン-4(CAS4065-45-6)が挙げられる。スルホン酸基を含むベンゾトリアゾール化合物の例としては、限定されないが3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-ブタン-2-イル-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(CAS92484-48-5)、3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-ブタン-2-イル-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール-4-スルホン酸、2-(5-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール-5-スルホン酸、2-(5-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-3-プロパン-2-イルフェニル)ベンゾトリアゾール-5-スルホン酸、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-スルホン酸及び3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸が挙げられる。
【0030】
開示したUV吸収結合化合物を粒子、球体、中空球体、繊維、中空繊維又はリポソームに形成するか、又は取り込んでよい。開示したUV吸収結合化合物をマトリクス材から形成した粒子、球体又は中空球体、繊維又は中空繊維に取り込ませてよい。ある態様において、マトリクス材はポリマー、ガラス又は無機マトリクスでよい。開示したUV吸収結合化合物をマトリクス材から形成した粒子、球体又は中空球体、繊維又は中空繊維にコーティングしてよい。開示したUV吸収結合化合物を中空球体、中空繊維又は多孔質無機マトリクスの空洞に添加してよい。ある態様において、粒子、球体、中空球体又はリポソームの平均径は約500nm未満である。ある態様において、粒子、球体、中空球体又はリポソームの平均径は約400nm未満である。ある態様において、粒子、球体、中空球体又はリポソームの平均径は約300nm未満である。
日焼け止め、化粧品又はヘア製品など、1つ又は複数の身体表面に塗布することができる製剤組成物に本明細書で開示するUV吸収結合化合物を取り込ませることができる。日焼け止め組成物は、限定されないが日常使用の日焼け止め、耐水性日焼け止め、又はこれらの組合せを挙げることができる。化粧品組成物は、限定されないが保湿剤、ファンデーション、リップスティック、リップグロス、チャップスティック、コンシーラ、ハイライタ、ブラッシュ、アイシャドウ、化粧落とし、トナー、セラム、アンチエイジング製品、固定スプレー又はこれらの組合せなどの製剤を挙げることができる。ヘア製品組成物は、限定されないがシャンプー、コンディショナ、洗い流さないコンディショナ、ヘアムース、ヘアジェル、ヘアスプレー、カールクリーム、ヘアワックス、トリートメントオイル、薬用ヘアトリートメント又はこれらの組合せが挙げられる。
【0031】
開示したUV吸収結合化合物を含む製剤組成物は、化粧品製剤の当業者により周知である方法により調製することができる。様々な形状の製剤組成物が公知である。これらの形状は、限定されないが溶液、懸濁液、エマルション、リポソーム、分散状、微粒子が挙げられる。日焼け止め、化粧又はヘア製剤の製品形状は、限定されないが液剤、スプレー、ゲル、ローション、クリーム、ムース、エマルション、スティック、パウダー又はこれらの組合せを挙げることができる。
ある態様において、日焼け止め、化粧又はヘア製剤など、本明細書で開示する製剤組成物はエマルションでよい。ある態様において、製剤は連続する水相及び連続しない油相を有するオイルインウォーター(o/w)エマルションである。保湿剤又は日焼け止めローションは、オイルインウォーター組成物の一例である。ある態様において、製剤は連続する油相及び連続しない水相を有するウォーターインオイル(w/o)エマルションである。日焼け止めクリーム製剤組成物はウォーターインオイル組成物でよい。ある態様において、UV吸収結合化合物は水相中に存在することができる。ある態様において、UV吸収結合化合物は油相に存在することができる。ある態様において、UV吸収結合化合物は水相及び油相に存在することができる。ある態様において、製剤組成物は2つ以上の異なるUV吸収結合化合物を含むことができ、1つのUV吸収結合化合物は水相に存在し、他方は油相に存在する。ある態様において、製剤は2つ以上の異なるUV吸収結合化合物を含み、任意に1つのUV吸収結合化合物は水相に存在し、他方は油相及び/又は水相に存在する。ある態様において、製剤は2つ以上の異なるUV吸収結合化合物を含み、1つのUV吸収結合化合物は油相に存在し、他方は油相及び/又は水相に存在する。
例えば、オイルインウォーターエマルションの含水量は、最終製剤の約40%(w/w)から80%(w/w)でよい。ある態様において、含水量は最終製剤の約50%(w/w)から約70%(w/w)とすることができる。
【0032】
乳化剤(Emulsifier)
本明細書で開示する製剤組成物は、1つ又は複数のUV吸収結合化合物を含み、乳化剤を含んでよい。ウォーターインオイル乳化剤は、限定されないがステアリン酸グリセリル、レシチン、オレイン酸ポリグリセリル、ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸グリコール、オレイン酸グリセリル、オレイン酸ソルビタン、ラウレス-3、PEG-8ミツロウ、ジステアリン酸グリコール、シアバターグリセリド、ジオレイン酸メチルグルコース、ヒドロキシラノリン及びEvonikから販売される乳化剤が挙げられる。personal-care.evonik.com/product/personal-care/en/products-solutions/products/pages/default.aspx?category=3591参照。
オイルインウォーター乳化剤は、限定されないがセテアレス-20、セテアレス-25、アラビアガム、PEG-7グリセリルココエート、PEG-40水添ヒマシ油、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ジステアリン酸PEG-150、セテアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸クエン酸グリセリル、ラネス-16、セテス-16、オレス-16、ステアレス-16、ステアリルアルコール、Evonikから販売される乳化剤が挙げられる。personal-care.evonik.com/product/personal-care/en/products-solutions/products/pages/default.aspx?category=3496参照。
【0033】
1つ又は複数のUV吸収結合化合物を含む製剤組成物は、エモリエント剤を含んでよい。エモリエント剤は、限定されないがペトロラタム、シリコーン油、ヒマシ油、ラノリン、ココアバター、流動パラフィン、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、シアバター、ステアリン酸、ステリルアルコール、植物油及びこれらの組合せを挙げることができる。
1つ又は複数のUV吸収結合化合物を含む製剤組成物は、湿潤剤を含んでよい。湿潤剤は、限定されないがアルゲエキス、アロエベラ、パルミチン酸アロエベラ、ブチレングリコール、カプリリルグリコール、エトキシジグリコール、グリセリン、ヘキサンジオール、ハチミツ、ヒアルロン酸、メチルグルセス-10、ペンチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール(prolylene glycol)、ソルビトール、ヤシ脂肪酸スクロース、尿素、乳酸ナトリウム、及びこれらの組合せを挙げることができる。
1つ又は複数のUV吸収結合化合物を含む製剤組成物は、コンディショニング剤を含んでよい。コンディショニング剤は、限定されないがコカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオクチルドデシル、ジイソステアリン酸PEG/PPG-8/3、ミリスタミドプロピルジメチルアミンリン酸(及び)プロピレングリコール、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-53、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-5、アセチル化ラノリン、セテアリルアルコール(及び)臭化セトリモニウム、ソイアミドプロパルコニウムクロリド、コカミドプロピルジメチルアミン、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、アセタミドMEA、イソステアラミドプロピルラウリルアセトジモニウムクロリド(及び)プロピレングリコール、イソステアラミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート(及び)プロピレングリコール、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、PEG-7アモジメチコン、PEG-33(及び)PEG-8ジメチコン(及び)PEG-14、ステアリン酸ジメチコノール、PEG-8ジメチコンリン酸、シリコーンクオタニウム-8、ヤシ油脂肪酸PEG-7ジメチコン、ジメチコンPEG-8ミツロウ、並びにこれらの組合せが挙げられる。
1つ又は複数のUV吸収結合化合物を含む製剤組成物は、無機微粒子を含んでよい。無機粒子は、限定されないがガラス粒子、ガラスビーズ、染料、酸化亜鉛及び二酸化チタンを挙げることができる。
【0034】
1つ又は複数のUV吸収結合化合物を含む製剤組成物は、製剤組成物の耐水性を強化する化合物を含んでよい。製剤の耐水性を強化する化合物は、限定されないがフィルム形成ポリマーが挙げられる。使用することができるポリマーは、限定されないがデヒドロキサンタンガム、ダーマクリルAQFポリマー、ビスPEG-18メチルエーテルジメチルシラン、トリメチルシロキシケイ酸、及びブチル化PVP(ポリビニルピロリドン)、オクチルアクリルアミド/アクリレーツコポリマー、オクチルアクリルアミド/アクリレーツ/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマーが挙げられる、本発明で使用するのに好適なフィルム形成ポリマーは、ナショナルスターチアンドケミカル社のアンホマー及びアンホマーLV-71ポリマー(オクチルアクリルアミド/アクリレーツ/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー)、アンホマーHCポリマー(アクリレーツ/オクチルアクリルアミドコポリマー)、バランス0/55及びバランスCRポリマー(アクリレーツコポリマー)、バランス47ポリマー(オクチルアクリルアミド/アクリレーツ/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー)、RESYN28-2930ポリマー(VA/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー)、RESYN28-1310ポリマー(VA/クロトン酸コポリマー)、DynamXポリマー(ポリウレタン-14(及び)AMP-アクリレーツコポリマー)、RESYN XPポリマー(アクリレーツ/オクチルアクリルアミドコポリマー)、ストラクチャー2001(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20コポリマー)ストラクチャー3001(アクリレーツ/イタコン酸セテス-20コポリマー)、ヨドゾール32A707、ヨドゾールGH15、ヨドゾールGH32、ヨドゾールGH33、ヨドゾールGH34、ヨドゾールGH35、ヨドゾールGH256、ヨドゾールGH800、ヨドゾールGH810、ヨドゾールGH32A707F、ヨドゾールGH15F、ヨドゾールGH34F、ヨドゾールGH800F、ヨドゾールGH810F、ヨドゾールGH800PF(アクリレーツコポリマー)、ヨドゾールGH52、ヨドゾールGH52-OP(スチレン/メタクリルアミド/アクリレーツコポリマー)、ヨドゾールGH265(ポリアクリレート-2)、ヨドゾールGH840、ヨドゾールGH41F、ヨドゾールGH41(スチレン/アクリレーツコポリマー)、ヨドゾールPUD(ポリウレタン-10(及び)PEG-12ジメチコン(及び)アルコール)、ダーマクリル(DERMACYL)AQF(アクリレーツコポリマー)、ダーマクリルC(案:アクリレーツコポリマー)及びダーマクリル79及びLTポリマー(アクリレーツ(acylates)/オクチルアクリルアミド(octyacrylamide)コポリマー);ISP社のOMNIREZ-2000(PVM/MAハーフエチルエステルコポリマー)、ガントレッズA-425(PVM/MAコポリマーのブチルエステル)、ガントレッズAN-119PVM/MAコポリマー、ガントレッズES225(PVM/MAコポリマーのエチルエステル)、ガントレッズES-425(PVM/MAコポリマーのブチルエステル)、アクアフレックスXL-30(ポリイミド-1)、アライアンツLT-120(アクリレーツ/コハク酸アルキル(C1,2)/アクリル酸ヒドロキシアルキルコポリマー)(Acrylates/C1-2 Succinates/Hydroxyacrylates Copolymer)、アライアンツOPT(アクリレーツ/メタクリル酸アルキル(C12-22)コポリマー)、スタイリーゼCC-10(PVP/DMAPAアクリレーツコポリマー)、スタイリーゼ2000(VP/アクリレーツ/メタクリル酸ラウリルコポリマー)、スタイリーゼW-20(ポリクオタニウム-55)、アドバンテージプラス(VA/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー);BASFのウルトラホールドSTRONG(アクリル酸/アクリル酸エチル/t-ブチルアクリルアミド(acrylic acid/ethyl acrylate/t-butyl acrylamide))、ルビマー100P(アクリル酸t-ブチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸)、ルビマー36D(アクリル酸エチル/アクリル酸t-ブチル/メタクリル酸)、ルビセットPUR(ポリウレタン-1)、ルビセットクリア(VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー)、ルビフレックスSoft(アクリレーツコポリマー)、ウルトラホールド8(アクリレーツ/アクリルアミドコポリマー)、ルビフレックスSilk(PEG/PPG-25/25ジメチコン/アクリレーツコポリマー)、ルビセットCAN(VA/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー)、ルビマーPRO55(アクリレーツコポリマー);アマコールのアマホールドDR-25(アクリル酸/メタクリル酸/アクリレーツ/メタクリレーツ);ロームアンドハースのアキュダイン258(アクリル酸/メタクリル酸/アクリレーツ/メタクリレーツ/アクリル酸ヒドロキシアルキル)、アキュダインDHR(アクリレーツ/アクリル酸ヒドロキシアルキルコポリマー(acrylates/hydroxyesters acrylates copolymer))アライアンツOPT(アクリレーツ/メタクリル酸アルキル(C12-22)コポリマー);クラリアントにより流通される三菱のダイヤフォーマーZ-301、ダイヤフォーマーZ-SM、及びダイヤフォーマーZ-400(メタクリロイルエチルベタイン/アクリレーツコポリマー)、アキュダイン180(アクリレーツ/アクリル酸ヒドロキシエステルコポリマー)、アキュダインSCP(エチレンカルボキシアミド/AMPSA/メタクリレーツコポリマー)、及びアキュリンレオロジー調整剤;オンデオナルコのフィクソマー40(アクリレーツコポリマー)、フィクソマーA-30及びフィクソマーN-28(INCI名:メタクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウムコポリマー);イーストマンケミカルのイーストマンポリマーAQ38S及びAQ55S(ジグリコール/CHDM/イソフタル酸/SIPコポリマー)(diglycol/CHEM/isophthalates/SIP copolymer);ISPのガネックスWP660として入手できるインターポリマーのビニルピロリドン/トリコンタニルコポリマー、シントラン5009及びシントラン5760(スチレン/アクリレーツ/メタクリル酸アンモニウムコポリマー)、シントラン5190(アクリレーツコポリマー)、シントラン5900及び5902(ポリスチレン)、シントラン5903、5904、5905(スチレン/アクリレーツコポリマー)、シントランKL-219C(アクリレーツコポリマーアンモニウム)、シントランPC5112(ポリアクリレート-16)、シントランPC5208(ポリアクリレート-15)、シントランPC5100(ポリアクリレート-21及びアクリレーツ/メタクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー)シントランPC5107及びPC5117(ポリアクリレート-18及びポリアクリレート-19)、シントランPC5205及びPC5227(ポリアクリレート-15及びポリアクリレート-17);ノベオンのフィクセートG-100(アクリレーツ/メタクリル酸アリルコポリマーAMP)、フィクセートプラス(ポリアクリレーツ-X)、カーボポールウルトレッツ10(カルボマー)、カーボポールウルトレッツ20(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)コポリマー)、AVALURE ACシリーズ(アクリレーツコポリマー)、AVALURE URシリーズ(ポリウレタン-2、ポリウレタン-4、PPG-17/IPDI/DMPAコポリマー);イノレックスケミカル社のLEXOREZ TL8(トリメチルペンタンジオール/アジピン酸コポリマー、LEXOREZ TC8及びLEXOREZ TC-1(INCI名:トリメチルペンタンジオール/アジピン酸/イソノナン酸コポリマー)、LEXOREZ200(トリメチルペンタンジオール/アジピン酸/グリセリンクロスポリマー)、LEXOREZ100(アジピン酸/ジエチレングリコール/グリセリンクロスポリマー)(Adipic Acid/Diethylene Glycol/Glycerin Crosspolymer)、ガネックスV220としてNJ州ウェインのISPスペシャルティケミカルズ(ISP Specialty Chemicals)から市販されるものなど、ビニルピロリドン及び長鎖アルファオレフィンのコポリマー;LEXFILM SUN(ポリエステル-7(及び)ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール)、LEXFILM SPRAY(ポリエステル-10(及び)ジ安息香酸プロピレングリコール);ダウコーニングのDOW CORNING FA 4002 ID SILICONE ACRYLATE(イソドデカン(及び)アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシクロスポリマー)、DOW CORNING FA4001 ID SILICONE ACRYLATE(シクロペンタシロキサン(及び)アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシコポリマー);並びに上記の任意の組合せ、コスメディアDCとしてPA州アンブラーのコグニス社から入手できる水添ダイマージリノレイル/炭酸ジメチルコポリマーが挙げられる、フィルム形成ポリマーは、国際公開第2017048706号に記載されるように水溶性が無いか、又は水溶性に乏しいポリマーを挙げることができ、参照により本明細書に組み入れられたものとする。組成物に存在するフィルム形成ポリマーの量は、約0.1%から約5%、又は約0.1%から約3%、又は約0.1%から約2%でよい。
【0035】
本明細書で開示する製剤組成物は、1つ又は複数のUV吸収結合体を含んでよい。ある態様において、UV吸収結合化合物は約10以上のSPFを提供するのに効率的な量で存在する。ある態様において、製剤組成物における1つ又は複数のUV吸収結合化合物の量は、最終製剤の約2%(w/w)から約60%(w/w)で変わり得る。ある態様において、製剤に存在する1つ又は複数のUV吸収結合化合物の量は、最終製剤の約6%(w/w)から約40%(w/w)でよい。ある態様において、製剤中の1つ又は複数のUV吸収結合化合物の量は、最終製剤の約6%(w/w)から約25%(w/w)でよい。
日焼け止め、化粧及びヘア組成物など、本明細書で開示する製剤組成物は、限定されないが酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、着色剤、増粘剤、ポリマー、収れん剤、香料、湿潤剤、乳白剤、コンディショナ、角質ケア剤、pH調整剤、保存料、天然抽出物、精油、皮膚感覚剤(skin sensate)、スキンスージング剤、スキンヒーリング剤、SPF増強剤、又はこれらの組合せを含む成分を含むことができる。ある態様において、SPF増強剤はUV光を反射又は屈折させることができる薬剤でよい。ある態様において、SPF増強剤は中空粒子、中空球体、中空繊維、多孔質粒子、多孔質球体又は多孔質繊維でよい。ある態様において、SPF増強剤はポリマーを含んでよい。ある態様において、ポリマーは分解性ポリマー又は非分解性ポリマーでよい。ある態様において、ポリマーはスチレン/アクリレートコポリマーでよい。
日焼け止め、化粧及びヘア組成物など、本明細書で開示する製剤組成物は、約4.0から約8.0、又は例えば約5.5から約7.0のpHを有することができる。
組成物及び製剤組成物は、身体表面、特にヒト及び動物の皮膚表面に対するUV放射の作用を改善するのに用いることができる。例えば、UV吸収結合化合物組成物を含み、本明細書で開示する製剤組成物の有効量が、ヒト又は動物の皮膚に少なくともSPF15の保護を行う量及び頻度で皮膚に塗布される。
【0036】
キット
本開示は、本明細書で開示するUV吸収結合化合物組成物を含む製剤組成物を容器内に備えるキットを含む。キットは使用説明書を更に含んでよい。
本明細書では、組成物、方法、及び容器に本明細書で開示する1つ又は複数のUV吸収結合化合物組成物を含むキットを開示する。キットは更に使用説明書を含んでよく、任意に容器に又は容器内に配置してよい。
本明細書では、結合化合物と結合したUV吸収化合物を有する1つ又は複数のUV吸収結合化合物を含む局所製剤組成物を開示する。UV吸収化合物は、ベンゾフェノン化合物がスルホンアミドリンカーにより結合化合物に結合して形成され、分子量が少なくとも800ダルトンであるベンゾフェノン結合化合物と;ベンゾイミダゾール化合物がスルホンアミドリンカーにより結合化合物に結合して形成され、分子量が少なくとも800ダルトンであるベンゾイミダゾール結合化合物と;ベンゾトリアゾール化合物がアミドリンカーにより結合化合物に結合して形成され、分子量が少なくとも800ダルトンであるベンゾトリアゾール結合化合物と;ベンゾトリアゾール化合物がマイケル付加反応の生成物により[結合化合物に結合して形成され、分子量が少なくとも800ダルトンであるベンゾトリアゾール結合化合物と;分子量が少なくとも800ダルトンであり、ベンゾトリアゾールがベンゾトリアゾール化合物のメタクリレート、アクリレート又はアクリルアミド誘導体としてポリマーに結合する、ベンゾトリアゾール機能性ポリマーと;ベンゾトリアゾール化合物が多糖に結合して形成され、分子量が少なくとも800ダルトンであるベンゾトリアゾール多糖結合化合物と、からなる群から選択され、UV吸収結合化合物は皮膚を通って輸送されない、又は吸収されない。UV吸収化合物は、1)(U-X)n-C、式中UはUV吸収化合物部分であり、Xはチオエーテル、アミン、アミド、ウレタン、スルホンアミド基、又は-CO-NH-NH-CO-であり、Cは結合化合物部分であり、nは整数で、n≧1である;或いは2)(U-X)n-C、式中UはUV吸収化合物部分であり、Xはエステルであり、Cは結合化合物部分であり、nは整数で、n≧1である;或いは3)UV吸収結合化合物は構造:
【化5】
を有し、式中YはUV吸収化合物部分であり、Xはチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、-CO-NH-NH-CO-であり、Dはビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミド基の残基であり、Aはビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、BはAと異なるビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、nは整数で、n≧1であり、m及びzはそれぞれ整数で、m≧0、z≧0であり、この構造はブロックコポリマー又はランダムコポリマーでよい;或いは4)UV吸収結合化合物は(U-X)n-C-(X-U1)mを有し、UはUV吸収化合物部分であり、U1はUと異なる化学構造を有するUV吸収化合物部分であり、Xはチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、-CO-NH-NH-CO-であり、Cは結合化合物部分であり、n及びmはそれぞれ整数で、n及びmは≧1である;5)UV吸収結合化合物は、
【化6】
を有し、式中YはUV吸収化合物部分であり、Y1はYと異なる化学構造を有するUV吸収化合物部分であり、Xはチオエーテル、アミン、アミド、エステル、ウレタン、スルホンアミド基、-CO-NH-NH-CO-であり、Dはビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミド基の残基であり、Aはビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、BはAと異なるビニル、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドモノマーの残基であり、n及びpはそれぞれ整数で、n及びpは≧1であり、m及びzはそれぞれ整数で、m≧0、z≧0であり、この構造はブロックコポリマー又はランダムコポリマーでよい、を有することができる。
【0037】
一般に、UV吸収結合化合物は、約200から380nm範囲の吸光度を有するベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、又はベンゾイミダゾール系化合物を有するUV吸収化合物を含む。UV吸収結合化合物は、アクリルアミド基、アクリレート基、メタクリレート基、マレイミド基、アクリロニトリル基又はビニルスルホン基の反応残基を含む1つ又は複数のUV吸収ベンゾトリアゾール化合物を含んでよい。
本明細書で開示する局所製剤組成物は、日常使用の日焼け止め、耐水性日焼け止め又はこれらの組合せを含む日焼け止め製剤;保湿剤、ファンデーション、リップスティック、リップグロス、チャップスティック、コンシーラ、ハイライタ、ブラッシュ、アイシャドウ、化粧落とし、トナー、セラム、アンチエイジング製品、固定スプレー又はこれらの組合せを含む化粧品製剤;シャンプー、コンディショナ、洗い流さないコンディショナ、ヘアムース、ヘアジェル、ヘアスプレー、カールクリーム、ヘアワックス、トリートメントオイル、薬用ヘアトリートメント又はこれらの組合せを含むヘア製品組成物を含んでよい。
【0038】
定義
本明細書で使用するとき、有機化合物を含む化合物は、命名についてIUPAC、IUBMB又はCASで推奨される一般的な名称により命名することができる。1つ又は複数の立体化学的特徴が存在するとき、立体化学のカーン・インゴルド・プレローグ順位則をE/Zの事項など立体化学的優先度を指定するのに利用することができる。命名されていれば、当業者は命名規則を用いた化合物構造の系統的簡略化(systemic reduction)、又はCHEMDRAW(登録商標)(ケンブリッジソフト社、米国)などの市販のソフトウェアのどちらかにより、化合物の構造を容易に確認することができる。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形の「a」「an」及び「the」は、文脈から明らかでない限り複数の指示物を含む。従って、例えば、「官能基」「アルキル」又は「残基」への言及は、2つ以上の該官能基、アルキル又は残基等の混合物を含む。
【0039】
明細書及び結びの特許請求の範囲における組成物中の特定の要素又は成分の質量部に関する言及は、質量部が表す組成物又は物品中の要素又は成分、及びその他の要素又は成分間の質量関係を示す。例えば、2質量部の成分X及び5質量部の成分Yを含有する化合物において、X及びYは質量比2:5で存在し、更なる成分が化合物に含有されているかどうかに関わらず、このような比で存在する。
特に反対のことが述べられない限り、成分の質量パーセント(質量%)は、その成分が含まれる製剤又は組成物の全質量に基づく。
本明細書で使用するとき、化合物がモノマー又は化合物と呼ばれる場合、これは一分子又は一化合物として解釈されないことが理解される。例えば、2つのモノマーは一般的に2つの異なるモノマーを指し、2分子を指さない。
【0040】
本明細書で使用するとき、「任意の」又は「任意に」という用語は、その後に記載する事象又は状況が起こり得る又は起こり得ないこと、記述に該事象又は状況が起こる例、及び起こらない例が含まれることを意味する。
本明細書で使用するとき、「約」「おおよそ」及び「で又は約」の用語は、問題の量又は値が、指定される厳密な値であるか、或いは特許請求の範囲で列挙される又は本明細書で教示されるような同等の結果又は効果を与える値であり得ることを意味する。つまり、量、サイズ、製剤、パラメータ、並びに他の分量及び特性が厳密でなく、厳密である必要はなく、おおよその値及び/或いはより大きな又はより小さな値でよく、所望の通り、許容量、変換係数、四捨五入、測定誤差など、及び同等の結果又は効果が得られるような当業者に公知の他の係数を反映することが理解される。ある状況では、同等の結果又は効果を提供する値は、合理的に決定することはできない。このような場合において、本明細書で使用するとき、「約」及び「で又は約」は他に指示又は示唆されない限り、公称値が±10%の変動を指すことを意味することが一般的に理解される。一般的に、量、サイズ、製剤、パラメータ或いは他の分量又は特性は、明白に述べているかどうかに関わらず「約」「おおよそ」或いは「で又は約」である。「約」「おおよそ」或いは「で又は約」が定量値の前に用いられる場合、他に特に記載されない限りパラメータは具体的な定量値自体も含むことが理解される。
本明細書で使用するとき、「対象」という用語は、哺乳動物、魚、トリ、爬虫類、又は両性動物などの脊椎動物でよい。従って、本明細書で開示する方法の対象は、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモット又はげっ歯動物でよい。この用語は、特定の年齢又は性別を示さない。従って、雄又は雌に関わらず成人及び新生児の対象並びに胎児を包含することが意図される。ある態様において、哺乳動物の対象はヒトである。「患者」という用語はヒト及び動物の対象を含む。
本明細書で使用するとき、「投与する」及び「投与」は、開示した組成物を対象に与える任意の方法を指す。
【0041】
本明細書で使用するとき、「comprises」「comprising」「includes」「including」「containing」「characterized by」「has」「having」の用語又はその他の変形物は、非排他的な包含であることを意図する。例えば、要素の一覧を含むプロセス、方法、物品又は装置は、必ずしもこれらの要素のみに限定されず、明確に一覧されない他の要素、或いは該プロセス、方法、物品又は装置に固有ではない他の要素を含んでよい。「comprising」という用語は、「consisting of」又は「essentially consisting of」の使用に伴う制限も含んでよい。
「consisting of」の移行句は、請求項に明記していない任意の要素、工程又は成分を排除し、その請求項は通常関連する不純物を除いて列挙する物質以外を含まない。「consisting of」の句が、プレアンブルの直後ではなく、ある請求項の本文の一節に現れるとき、その節に記載される要素のみを限定し、他の要素は全体としてその請求項から排除されない。
「consisting essentially of」の移行句は、ある請求項の範囲を特定の物質又は工程と、クレームされた発明の基本的及び新規特性に物質的に影響しないものとに限定する。「consisting essentially of」の請求項は、「consisting of」形式で書かれたクローズな請求項、及び「comprising」形式で書かれた完全にオープンな請求項の中間である。適当な量の本明細書で定義される任意の添加物、及び少ない不純物は「consisting essentially of」の用語により組成物から排除されない。
組成物、プロセス、構造、或いは組成物、プロセス又は構造の一部が「comprising」などのオープンエンドな用語を用いて本明細書で記載されるとき、特に指示がない限り、この記述は組成物、プロセス、構造、或いは組成物、プロセス又は構造の一部の要素「から実質的になる(consists essentially of)」又は「からなる(consists of)」実施形態も含む。
【0042】
「a」及び「an」の冠詞は、本明細書で開示する組成物、プロセス又は構造の様々な要素及び成分に関連して用いてよい。これは単に便宜のため、及び組成物、プロセス又は構造の一般的な意味を与えるためのものである。このような記述は要素又は成分の「1つ又は少なくとも1つ」を含む。更に、本明細書で使用するとき、単数の冠詞は複数が排除されることが具体的な文脈から明らかでない限り、複数の要素又は成分の記述も含む。
「約」の用語は、量、サイズ、製剤、パラメータ、並びに他の分量及び特性が厳密でなく、厳密である必要はなく、おおよその値及び/或いはより大きな又はより小さな値でよく、所望の通り、許容量、変換係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に公知の他の係数を反映する。一般的に、量、サイズ、製剤、パラメータ或いは他の分量又は特性は、明白に述べているかどうかに関わらず「約」又は「おおよそ」である。
【0043】
本明細書で使用するとき、「又は」の用語は包括的であり、すなわち「A又はB」の句は、「A、B又はA及びBの両方」を意味する。より具体的に、「A又はB」の条件は以下:Aが真であり(又は存在する)、Bが偽である(又は存在しない);Aが偽であり(又は存在しない)、Bが真である(又は存在する);或いはA及びBの両方が真である(又は存在する)のいずれか1つにより満たされる。排他的な「又は」は、例えば「A又はBのどちらか」及び「A又はBの1つ」などの用語により本明細書で指定される。
また、本明細書に記載される範囲は、特に明確に指示がない限り終点を含む。更に、量、濃度、或いは他の値又はパラメータが範囲として、1つ又は複数の好ましい範囲として、或いは好ましい最大値及び好ましい最小値の一覧として与えられるとき、これは任意の上限範囲又は好ましい値、及び任意の下限範囲又は好ましい値の任意の対から形成されるすべての値を具体的に開示するものとして理解されるものであり、このような対が別途開示されるかどうかに関わらない。本発明の範囲は、範囲を定義するときに列挙される具体的な値に限定されない。
物質、方法又は機械が「当業者に公知の」、「従来の」の用語、或いは同義語又は句を用いて本明細書に記載されるとき、この用語は本願出願時に従来のものである物質、方法及び機械が本記載によって包含されることを表す。現在は従来のものではないが、類似の目的に好適なものとして当技術分野で認識されるであろう物質、方法及び機械も包含される。
【0044】
特に指示のない限り、すべての割合、部、比率、類似の量は質量により定義される。
本明細書に含まれるすべての特許、特許出願、及び引用文献は、そのすべてが参照により具体的に組み入れられたものとする。
当然、上記が本開示の好ましい実施形態のみに関しており、本開示に記載されるような本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、多数の変更又は修正がなされる場合があることを理解すべきである。
更に本開示を実施例により説明するが、その範囲を限定する何らかの方法で解釈されるべきではない。反対に、本開示の主旨及び/又は添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、説明を読んだ後、当業者に示唆される場合がある様々な他の実施形態、変更及び均等物を用いる場合があることを明確に理解すべきである。
【実施例
【0045】
実施例1 ベンゾトリアゾール結合体1の合成
N-[[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル]メチル]-2-メチルプロペ-2-エンアミド(CAS107479-06-1)をクロロホルムに添加する。1,6-ヘキサンジアミンをクロロホルムにベンゾトリアゾール:ジアミンのモル比2.5:1で添加する。混合物を約4時間、約40℃に加熱する。ロータリーエバポレーターを用いて、得られる反応混合物を濃縮する。結合体をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製する。図1に示すように、N-[[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル]メチル]-2-メチルプロペ-2-エンアミド(左側に示す、U)を1,6-ヘキサンジアミン(C)のZと反応させ、n=2である結合体C-(X-U)nが形成される。これは、図1に示す他の化合物の例となる反応であり、2つ以上のZ部分がUV吸収結合化合物を作製する際に使用される。
【0046】
実施例2 ベンゾトリアゾールヒドラジドの合成
3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸(CAS84268-36-0)を好適な有機溶媒(例えばジクロロメタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン)に溶解する。ジシクロカルボジイミド(DCC)を約1:1のモル比でこの溶液に添加し、溶液を5分間撹拌する。過剰なモル比のアジピン酸ジヒドラジドを撹拌溶液に添加する。反応混合物を4時間反応させる。沈殿物をろ過により除去する。その後、溶液を少なくとも4回酸性水を用いて抽出し、残りのアジピン酸ジヒドラジドを抽出する。得られるベンゾトリアゾールヒドラジドを好適な有機溶媒から再結晶させる。図15に示すように、3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸のジヒドラジドとの反応により、結合体U-CO-NNH2が形成される。
実施例3 ベンゾトリアゾール-HA結合体の合成
ヒアルロン酸ナトリウム(50kDa)をDMSOに添加した。実施例2のベンゾトリアゾールヒドラジドをDMSO混合物に、ヒドラジドとヒアルロン酸の2糖単位とのモル比0.1:1で添加する。ジシクロカルボジイミド(DCC)をヒドラジドにモル比約1:1で添加する。反応混合物を一晩撹拌する。任意の形成した沈殿物をろ過し、得られる混合物を水に対して透析して、DMSOを除去する。透析後、透析バッグの内容物を過剰な冷エタノールに添加する。沈殿した物質をろ過する。沈殿物をメチルエチルケトンと粉末にする。ベンゾトリアゾール(benzatriazole)-HA結合体を真空下で乾燥させた。図17に示すように、ベンゾトリアゾールヒドラジド(U-CO-NHNH2と示す)をヒアルロン酸(C)のカルボン酸基と反応させ、結合体C-(X-U)nが形成される。式中、Xは-CO-NHNH-CO-基で、n>1である。これは、図17に示す他の化合物の例となる反応であり、多数のカルボン酸基を有する他の結合化合物はUV吸収結合化合物を作製する際に用いられる。
実施例4 ベンゾトリアゾール-セルロース結合体1の合成
酢酸フタル酸セルロース1gを酢酸エチル:エタノール(1:1)50mLに溶解した。ジシクロカルボジイミド(DCC)をフタル酸基とのモル比0.9:1でこの溶液に添加する。溶液を5分間撹拌した後、実施例2のベンゾトリアゾールヒドラジドをフタル酸基のモル比0.8:1でこの溶液に添加する。反応混合物を一晩撹拌する。任意の形成した沈殿物を溶液からろ過した。ロータリーエバポレーターを用いて、得られる反応混合物を濃縮する。溶液を過剰な冷水に注ぎ入れて、生成物を沈殿させる。沈殿物をろ過し、エタノールで洗浄する。生成物を真空下で乾燥させる。図17に示すように、ベンゾトリアゾールヒドラジド(U-CO-NHNH2と示す)を酢酸フタル酸セルロース(C)のカルボン酸基と反応させ、結合体C-(X-U)nが形成される。式中、Xは-CO-NHNH-CO-基で、n>1である。これは図17に示す他の化合物の例となる反応であり、多数のカルボン酸基を有する他の結合化合物はUV吸収結合化合物を作製する際に用いられる。
【0047】
実施例5 ベンゾトリアゾール-ポリアクリル酸結合体の合成
2MのHClを滴加することにより、ポリ(アクリル酸ナトリウム塩)溶液(H2O中の平均Mw約1,200、45質量%)が溶液から沈殿する。沈殿したポリ(アクリル酸)をろ過し、真空下で乾燥させる。ポリ(アクリル酸)をDMSOに10%(w/v)で添加する。ジシクロカルボジイミド(DCC)をカルボン酸基とのモル比0.9:1で溶液に添加する。溶液を5分間撹拌した後、実施例2のベンゾトリアゾールヒドラジドをカルボン酸基のモル比0.8:1で溶液に添加する。反応混合物を一晩撹拌する。任意の形成した沈殿物を溶液からろ過した。ロータリーエバポレーターを用いて、得られる反応混合物を濃縮する。溶液を過剰な冷水に注ぎ入れて、生成物を沈殿させる。沈殿物をろ過し、エタノールで洗浄する。生成物を真空下で乾燥させる。
【0048】
実施例6 部分的脱アセチル化ヒアルロン酸の合成
2%(w/v)ポリマー溶液について、ヒドラジン一水和物300mLを6gのヒアルロン酸(50kDa)に添加する。硫酸ヒドラジン3gをこの溶液に添加する。得られる溶液を55℃で72~96時間撹拌する。冷エタノール120mLを反応混合物に添加して、ヒアルロン酸生成物を沈殿させる。沈殿物質をろ過し、エタノールで洗浄し、真空下で24時間乾燥させる。
乾燥させた物質をビーカーに添加し、酢酸100mL及び0.5Mヨウ素酸(HIO3)60mLをビーカーに添加する。溶液を水槽中4℃で、少なくとも1時間撹拌した。水性HI(57%、17.5mL)を添加し、混合物を15分間撹拌する。
この溶液を分液漏斗に移し、ここにジエチルエーテル150mLを添加する。混合物を激しく振り、水層を回収する。紫色が有機層に見えなくなるまで、ジエチルエーテルで抽出を繰り返す。採取した水溶液のpHを0.2MのNaOHで7~7.5に調節する。過剰な冷エタノールを溶液に添加することにより、ポリマーを沈殿させる。沈殿物をろ過し、エタノールで洗浄した後、真空下で乾燥させる。
実施例7 ベンゾトリアゾール-HA結合体2の合成
部分的脱アセチル化ヒアルロン酸(実施例6)をDMSOに添加した。3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸(CAS84268-36-0)をDMSO混合物に、カルボン酸と部分的脱アセチル化ヒアルロン酸のアミン基とのモル比1:1で添加する。ジシクロカルボジイミド(DCC)をカルボン酸基に対するモル比約1:1で添加する。反応混合物を一晩撹拌する。任意の形成した沈殿物をろ過し、得られた混合物を水に対して透析し、DMSOを除去する。透析後、透析バッグの内容物を過剰な冷エタノールに添加する。沈殿物質をろ過する。沈殿物をメチルエチルケトンと粉末にする。ベンゾトリアゾール(benzatriazole)-HA結合体を真空下で乾燥させた。図9に示すように、3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸を脱アセチル化ヒアルロン酸(C)のアミン基と反応させ、結合体C-(X-U)nが形成される。式中、Xはアミドで、n>1である。これは、図9に示す他の化合物の例となる反応であり、多数のアミン基を有する他の結合化合物はUV吸収結合化合物を作製する際に用いられる。
【0049】
実施例8 ベンゾトリアゾール-PEG結合体1の合成
3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸(CAS84268-36-0)1gをジクロロメタンに添加する。ジシクロカルボジイミド(DCC)をモル比1:1でジクロロメタンに添加する。溶液を5分間撹拌した後、PEG-ジアミン(2,000;シグマアルドリッチ)をジクロロメタンにカルボン酸基とPEGアミン基とのモル比1.2:1で添加する。反応混合物を一晩撹拌する。任意の形成した沈殿物を溶液からろ過した。ロータリーエバポレーターを用いて、得られる反応混合物を濃縮する。結合体をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製する。図8に示すように、3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸をPEG-ジアミン(C)のアミン基と反応させ、結合体C-(X-U)nが形成される。式中、n=2、Xはアミドである。これは、図8に示す他の化合物の例となる反応であり、少なくとも1つのアミン基を有する他の結合化合物はUV吸収結合化合物を作製する際に用いられる。
実施例9 ベンゾトリアゾール-シクロデキストリン結合体1の合成
3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸(CAS84268-36-0)1gをDMSOに添加する。ジシクロカルボジイミド(DCC)をDMSOにモル比1:1で添加する。溶液を5分間撹拌した後、6-モノアミノ-6-モノデオキシ-ベータ-シクロデキストリン塩酸塩をDMSOにカルボン酸基とPEGアミン基とのモル比1.2:1で添加する。反応混合物を一晩撹拌する。任意の形成した沈殿物を溶液からろ過した。ロータリーエバポレーターを用いて、得られる反応混合物を濃縮する。結合体をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製する。図9に示すように、3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸をアミノ-シクロデキストリン(C)のアミン基と反応させ、結合体C-(X-U)nが形成される。式中、n=1、Xはアミドである。これは、図9に示す他の化合物の例となる反応であり、少なくとも1つのアミン基を有する他の結合化合物はUV吸収結合化合物を作製する際に用いられる。
【0050】
実施例10 ベンゾフェノン4-ヘキサン結合体の合成
ベンゾフェノン-4(CAS4065-45-6)1gを無水ジメチルホルムアミド(DMF)50mLに添加する。塩化チオニルを反応混合物に、塩化チオニル:スルホン酸基のモル比が0.95:1であるように添加する。混合物を4時間撹拌した後、過剰な1,6-ヘキサンジアミンを添加した(アミン基:スルホン酸基1.2:1)。反応を50℃に加熱し、一晩行った。反応混合物を過剰な水に注ぎ入れる。沈殿物をろ過し、水で洗浄した後、真空下で乾燥させる。図12に示すように、ベンゾフェノン-4をヘキサンジアミン(C)のアミン基(Z)と反応させ、結合体C-(X-U)nが形成される。式中、n=2、Xはスルホンアミド又はU-X-C-X-Uである。これは、図12に示す他の化合物の例となる反応であり、少なくとも1つのアミン基を有する他の結合化合物はUV吸収結合化合物を作製する際に用いられる。
【0051】
実施例11 UV吸収ポリマーの合成
N-[[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル]メチル]-2-メチルプロペ-2-エンアミド1g及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート2gをジメチルスルホキシド50mLに添加する。AIBN300mgを混合物に添加する。混合物を窒素で15分間バブリングする。混合物を60℃に約18時間加熱する。混合物を水に添加して、形成したポリマーを沈殿させる。ポリマーを真空下で乾燥させる。図10に示すように、N-[[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル]メチル]-2-メチルプロペ-2-エンアミドを2-ヒドロキシエチルメタクリレート(A)と重合させ、
【化7】
として示されるポリマーが形成される。
式中、D-X-YはN-[[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェニル]メチル]-2-メチルプロペ-2-エンアミドの反応残基であり、n>1、m>1、Z=0である。これは、図10に示す他の化合物の例となる反応であり、他のモノマーはUV吸収結合化合物を作製する際に使用される。
実施例12 UV吸収結合粒子
ヒアルロン酸1gを10mLの0.25MのNaOHに溶解する。溶解すると直ちに、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)0.06gを添加する。混合物を50℃に3時間加熱する。形成したゲルを水500mLに添加し、0.2MのHCLを添加して、溶液を中和する。上澄水を静かに移し、洗浄工程を更に2回繰り返す。その後、ゲルを60mLシリンジに添加する。ゲルをフィルタホルダの100メッシュのふるいを通して押し出す。その後、ゲルをフィルタホルダの400メッシュのふるいを通して押し出す。その後、ゲルを真空下で乾燥させる。乾燥させたゲル粒子を50mLのDMSOに添加する。ベンゾトリアゾールヒドラジド化合物(実施例2)0.1gを反応混合物に添加する。EDCを反応混合物に添加する(EDCとヒドラジドのモル比0.9:1)。混合物を一晩反応させる。混合物を過剰な水に注ぎ入れる。ゲル粒子をろ過し、真空下で乾燥させる。乾燥させた粒子を酢酸エチルで洗浄した後、真空下で乾燥させる。
【0052】
実施例13 日焼け止め1
以下の表1に示す成分を用いて3つの異なる日焼け止め製剤を調製する。
【表1】


水を容器に添加し、約75から80℃に加熱する。相Aの残りの成分を添加し、溶解するまで分散混錬機で混合する。相Bの成分を同時に添加し、混合しながら約75から80℃に加熱する。ホモジナイザーで混合しながら相A混合物を相Bに添加する。やさしく撹拌しながら、水槽を用いて得られるエマルションを室温まで冷却する。別途実施例1、3~5及び7~12で調製されるUV吸収結合体を用いて製剤を調製する。
【0053】
実施例14 日焼け止め2
【表2】


グリセリン及びキサンタンガムを同時に添加し、分散混錬機で混合する。その後、分散混合した混合物に水を添加する。混合物を約70から75℃に加熱する。相Bの成分を同時に添加し、約70から75℃に混合しながら加熱する。ホモジナイザーで混合しながら、相Bを相Aに添加する。やさしく撹拌しながら、水槽を用いて得られるエマルションを約40℃まで冷却する。相Cをエマルションに添加し、混合物を2~5分間ホモジナイズする。その後、やさしく撹拌しながら、製剤を室温まで冷却する。
【0054】
実施例15 日焼け止め3
【表3】


ダーモフィール(登録商標)PA-3、キサンタンガム及びクロルフェネシンを同時に添加した。その後、水を添加し、高せん断混合下で、混合物を約80~85℃に加熱した。別のビーカーに、相Bの成分を同時に添加し、混合物を約80~85℃に加熱した。その後、高せん断撹拌下で、B部分をA部分に添加した。混合物を約3~5分撹拌する。得られる混合物を媒体撹拌下で冷却する。温度が40℃未満になると、メリタンを添加する。混合物を室温まで冷却し、必要であればpHを5.0から5.5に調整する。別途実施例1、3~5及び7~12で調製されるUV吸収結合体を用いて製剤を調製する。
【0055】
実施例16
ドデシル硫酸ナトリウム1gを脱イオン水100gに添加した。過硫酸カリウム200mgを溶液に添加した。溶液を約250~280rpmで撹拌した。溶液を約40℃に加熱し、過硫酸カリウムが溶解するまで撹拌した。窒素流を用いてこの溶液を脱気した。2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール4.92g及びメタクリル酸ヘキシル5.18gをトルエン8.55gに添加した。懸濁液をボルテックスし、水溶液に注ぎ入れた。窒素流下、溶液を約70℃に加熱した。溶液を約3時間撹拌した。溶液を室温まで冷却し、ろ過した。サンプルを真空下で乾燥させた。NMRを図18に示す。ジクロロメタン中の物質のUVスペクトルを図19に示す。
実施例17 酸クロリド誘導体の合成
反応用ガラス製品をオーブンで一晩乾燥させた。3-[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸(CAS84268-36-0)25.1gを丸底フラスコに添加した。管及び窒素を用い、無水トルエン249mLをフラスコに添加した。無水DMF1.5mLを反応混合物に添加した。反応混合物を約400rpmで撹拌した。シリンジ及び18G針を用いて、塩化チオニル8.33mLを反応混合物に添加した。
反応混合物を80℃に4時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、トルエンを真空下で除去した。おおよそ126mLのヘキサンを残渣に添加した。残渣を一晩放置し、上清を静かに取り除いた。沈殿した物質を約60mLのヘキサンと粉末にした。これを5回繰り返した。サンプルを真空下で乾燥させた。
【0056】
実施例18 キトサン-ベンゾトリアゾール誘導体
キトサンオリゴ糖(TCI)4gを真空下50℃で乾燥させた。無水DMF102gをキトサンに添加した。約2.2mLのトリエチルアミンを反応混合物に添加した。混合物を約400rpmで撹拌した。実施例2のスルホニルクロリド4gを反応混合物に添加した。温度を80℃まで上げ、混合物を一晩200rpmで撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した。
約200mLの水(pH8.3)を反応混合物に添加した。沈殿物が形成されるまで溶液を撹拌した。沈殿物を遠心分離し、上清を静かに取り除いた。このプロセスを4回繰り返した。水/メタノール(60/40v/v)を沈殿物に添加して、沈殿物を洗浄した。遠心分離後、上清を静かに移した。メタノールを用いて、このプロセスを繰り返した。沈殿物を真空下で乾燥させた。NMRを図20に示す。ジクロロメタン中の物質のUVスペクトルを図21に示す。
図1
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【国際調査報告】