(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-25
(54)【発明の名称】生分解性物品及び製造方法
(51)【国際特許分類】
A47G 21/18 20060101AFI20221018BHJP
D01F 2/28 20060101ALI20221018BHJP
C08B 3/06 20060101ALI20221018BHJP
C08B 3/08 20060101ALI20221018BHJP
C08B 3/16 20060101ALI20221018BHJP
C08B 3/10 20060101ALI20221018BHJP
A47G 19/22 20060101ALI20221018BHJP
A47G 19/00 20060101ALI20221018BHJP
A47G 19/02 20060101ALI20221018BHJP
A47G 21/02 20060101ALI20221018BHJP
A47G 21/04 20060101ALI20221018BHJP
A47G 21/00 20060101ALI20221018BHJP
B29D 23/00 20060101ALI20221018BHJP
C08L 1/08 20060101ALI20221018BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20221018BHJP
【FI】
A47G21/18
D01F2/28 Z ZBP
C08B3/06
C08B3/08
C08B3/16
C08B3/10
A47G19/22 M
A47G19/00 A
A47G19/02 A
A47G19/22 A
A47G21/02 Z
A47G21/04 Z
A47G21/00 E
A47G19/22 G
A47G19/02 E
A47G19/00 G
B29D23/00
C08L1/08
C08L101/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520948
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(85)【翻訳文提出日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 US2020048916
(87)【国際公開番号】W WO2021046041
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522082263
【氏名又は名称】アールジェイソルター,リミティド ライアビリティ カンパニー
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ソルター
(72)【発明者】
【氏名】ジョス シモン デ ウィット
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー アービン マクラウド
【テーマコード(参考)】
3B001
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4L035
【Fターム(参考)】
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4L035FF01
(57)【要約】
例示の生分解性管状部材及び生分解性管状部材を製造する方法は記載されている。生分解性物品は長尺管状部材を含む。長尺管状部材は、1つ以上のセルロースエステルを含み、そして管状部材内に複数の細孔を含む。複数の細孔は、複数の細孔の少なくとも一部への水又は細菌のうちの少なくとも1つの透過又は浸透を可能にし、長尺管状部材の生分解性を促進するように、長尺管状部材内でサイズ決定及び構造化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のセルロースエステルを含む長尺管状部材と、前記長尺管状部材内の複数の細孔とを含む、生分解性物品であって、
前記複数の細孔は、前記複数の細孔の少なくとも一部への水又は細菌のうちの少なくとも1つの透過又は浸透を可能にし、前記長尺管状部材の生分解性を促進するように前記長尺管状部材内でサイズ決め及び構造化されている、生分解性物品。
【請求項2】
前記複数の細孔は、ASTM D5338に記載された産業上堆肥化条件下での長尺管状部材の生分解性又はASTM D6400、EN 13432又はISO 17088のうちの少なくとも1つに記載されているとおりの長尺管状部材の堆肥化可能性のうちの少なくとも1つを促進するように前記長尺管状部材内でサイズ決め及び構造化されている、請求項1記載の生分解性物品。
【請求項3】
前記複数の細孔は、周囲温度で実施されるEN 13432生分解試験の下で前記長尺管状部材の生分解性を促進するように前記長尺管状部材内でサイズ決め及び構造化されている、請求項1記載の生分解性物品。
【請求項4】
前記複数の細孔は、NF T T51-800の家庭用堆肥化に適したプラスチック仕様に記載されるように、前記長尺管状部材の家庭用堆肥化を促進するように、前記長尺管状部材内でサイズ決め及び構造化されている、請求項1記載の生分解性物品。
【請求項5】
前記1つ以上のセルロースエステルは、約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含み、前記長尺管状部材は、少なくとも複数の細孔の部分及び少なくとも10%の多孔度を有する壁を含む、請求項1~4のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項6】
前記1つ以上のセルロースエステルは、約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含み、前記長尺管状部材は、少なくとも複数の細孔の部分を有し、約5%未満の多孔度を有し、少なくとも約1.24g/cm
3の密度を有する壁を含む、請求項1~4のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項7】
前記酢酸セルロースは約0.2~約2.9のDS Acを有する、請求項1~6のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項8】
前記酢酸セルロースは約1.0~約2.8のDS Acを有する、請求項1~7のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項9】
前記酢酸セルロースは約1.8~約2.8のDS Acを有する、請求項1~7のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項10】
前記1つ以上のセルロースエステルは、アセチル、プロピオニル、ブチリル、他の脂肪族アシル基及び芳香族アシル基からなる群より選ばれる少なくとも2つの部分を含む混合セルロースエステルを含む、請求項1~9のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項11】
前記長尺管状部材は、前記酢酸セルロース以外の1つ以上の生分解性ポリマーをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項12】
前記1つ以上の生分解性ポリマーは、デンプン、PLA、PHA又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項11記載の生分解性物品。
【請求項13】
前記長尺管状部材中に0wt%~約2wt%の1つ以上の追加のポリマーをさらに含み、前記長尺管状部材は、約1.8~約2.8のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含む、請求項11記載の生分解性物品。
【請求項14】
前記長尺管状部材は、前記1つ以上のセルロースエステル以外のポリマーを含まない、請求項1~10のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項15】
前記長尺管状部材は、0wt%~約2wt%の1つ以上の可塑剤を含む、請求項1~14のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項16】
前記長尺管状部材は可塑剤を含まない、請求項15記載の生分解性物品。
【請求項17】
前記長尺管状部材は0wt%~約2wt%の添加剤を含む、請求項1~16のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項18】
前記長尺管状部材はいかなる添加剤も含まない、請求項15記載の生分解性物品。
【請求項19】
前記長尺管状部材は、10wt%のメタノール中に約10mg/dm
2以下の総抽出可能物量を含む、請求項1~18のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項20】
前記長尺管状部材が飲料用ストローとして構成されている、請求項1~19のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項21】
前記長尺管状部材は、約76nm~約508nmの範囲の壁厚を有する壁を含む、請求項20記載の生分解性物品。
【請求項22】
前記壁厚は約102nm~約381nmである、請求項21記載の生分解性物品。
【請求項23】
前記長尺管状部材は、約1mm~約20mmの範囲の外直径及び約50mm~約500mmの長さを有する、請求項20~22のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項24】
前記長尺管状部材は、攪拌ストロー、包装用途又は農業もしくは園芸用途として構成されている、請求項1~19のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項25】
前記長尺管状部材は前記長尺管状部材の半径方向内側に面する内側部分と、前記長尺管状部材から半径方向外側に面する外側部分とを有する壁を含み、前記外側部分は前記内側部分の密度よりも高い密度を有する、請求項1~24のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項26】
前記長尺管状部材は、少なくとも複数の細孔の部分を含み、全体としての密度が約0.6~約1.3g/cm
3である壁を含む、請求項1~5及び7~25のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項27】
前記複数の細孔は、ASTM 6200に記載の条件で産業上堆肥化環境において24週間以内に前記長尺管状部材が生分解するように、前記長尺管状部材内でサイズ決定及び構造化されている、請求項1~26のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項28】
前記複数の細孔は、本明細書に記載の条件下で家庭用堆肥化環境において26週間以内に前記長尺管状部材が生分解するように、前記長尺管状部材内でサイズ決定及び構造化されている、請求項1~27のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項29】
前記複数の細孔は、前記長尺管状部材が表面淡水中で50週間以内に生分解するように、前記長尺管状部材内でサイズ決定及び構造化されている、請求項1~28のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項30】
前記長尺管状部材は、約1%~約10%の結晶化度の1つ以上のセルロースエステルを含む、請求項1~29のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項31】
前記1つ以上のセルロースエステルは約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含み、
前記長尺管状部材は、少なくとも複数の細孔の部分を含み、少なくとも約10%の多孔度、約0.6g/cm
3~約1.3g/cm
3の全体としての密度及び約1%~約10%の結晶化度の1つ以上のセルロースエステルを有する壁を含み、
前記長尺管状部材はいかなる添加剤及び可塑剤も含まず、総抽出可能物量は10wt%メタノール中で約10mg/dm
2以下である、請求項1記載の生分解性物品。
【請求項32】
生分解性長尺管状部材を製造するための方法であって、
1つ以上の溶媒中に溶解された生分解性セルロース成分を含むセルロース系ドープ組成物を提供すること、
前記セルロース系ドープ組成物を処理して管状形状を形成すること、及び、
前記セルロース系ドープ組成物から前記1つ以上の溶媒を除去する1つ以上の非溶媒を含む溶媒捕捉媒体中に物質移動させることによって、前記管状形状のセルロース系ドープ組成物から前記1つ以上の溶媒を移動させて、複数の細孔を有する実質的に固体のチューブを形成すること、
を含み、
前記生分解性セルロース成分は1つ以上のセルロースエステルを含む、方法。
【請求項33】
前記セルロース系ドープ組成物を処理することは、管状形状を形成するように構成された少なくとも1つのオリフィスを通して前記セルロース系ドープ組成物をデリバリー及び計量することを含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記1つ以上のセルロースエステルは生分解性酢酸セルロースを含む、請求項32~33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記生分解性酢酸セルロースは約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有し、前記実質的に固体のチューブは少なくとも複数の細孔の部分及び少なくとも10%の多孔度を有する壁を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記生分解性酢酸セルロースは約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有し、前記実質的に固体のチューブは少なくとも複数の細孔の部分を有し、約5%未満の多孔度及び少なくとも約1.24g/cm
3の密度を有する壁を含む、請求項34記載の方法。
【請求項37】
前記酢酸セルロースは約0.2~約2.9のDS Acを有する、請求項34記載の方法。
【請求項38】
前記酢酸セルロースは約1.0~約2.8のDS Acを有する、請求項34記載の方法。
【請求項39】
前記酢酸セルロースは約1.8~約2.8のDS Acを有する、請求項34記載の方法。
【請求項40】
前記1つ以上のセルロースエステルは、アセチル、プロピオニル、ブチリル、他の脂肪族アシル基又は芳香族アシル基からなる群より選ばれる少なくとも2つの部分を含む混合セルロースエステルを含む、請求項32又は33記載の方法。
【請求項41】
前記1つ以上の溶媒は、アセトン、NMP、THF、別の水混和性溶媒又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項32~40のいずれか1項記載の方法。
【請求項42】
前記セルロース系ドープ組成物は、前記セルロース系ドープ組成物の総質量に基づいて約5質量%~約40質量%の固形分を有する、請求項32~41のいずれか1項記載の方法。
【請求項43】
前記セルロース系ドープ組成物は、前記セルロース系ドープ組成物の総質量に基づいて、約25質量%~約35質量%の固形分を有する、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記生分解性長尺管状部材を提供するために実質的に固体のチューブを処理することをさらに含み、前記生分解性長尺管状部材は、ASTM D5338に記載の産業上堆肥化条件下で生分解性であるか、又は、ASTM D6400、EN 13432又はISO17088のうちの少なくとも1つに記載されているとおりに産業上堆肥化可能である、請求項32~43のいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
前記セルロース系ドープ組成物及び実質的に固体のチューブは可塑剤を含まない、請求項32~44のいずれか1項記載の方法。
【請求項46】
前記セルロース系ドープ組成物及び実質的に固体のチューブは添加剤を含まない、請求項32~45のいずれか1項記載の方法。
【請求項47】
前記セルロース系ドープ組成物及び実質的に固体のチューブは、前記1つ以上のセルロースエステル以外のいかなるポリマーも含まない、請求項32~46のいずれか1項記載の方法。
【請求項48】
前記実質的に固体のチューブは、10wt%のメタノール中に約10mg/dm
2以下の総抽出可能物量を含む、請求項32~47のいずれか1項記載の方法。
【請求項49】
前記長尺管状部材が飲料用ストローとしてサイズ決め及び寸法決めされるように前記実質的に固体のチューブを切断することをさらに含む、請求項32~48のいずれか1項記載の方法。
【請求項50】
前記飲料用ストローは、約76nm~約508nmの壁厚を有する壁を含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記壁厚は約102nm~約381nmである、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記飲料用ストローは、約1mm~約20mmの外直径及び約50mm~約500mmの長さを有する、請求項49~51のいずれか1項記載の方法。
【請求項53】
前記実質的に固体のチューブは、攪拌ストロー、包装用途又は農業もしくは園芸用途として構成される、請求項32~48のいずれか1項記載の方法。
【請求項54】
前記実質的に固体のチューブは、前記実質的に固体のチューブにおいて半径方向内側に面する内側部分と、前記実質的に固体のチューブから半径方向外側に面する外側部分とを有する壁を含み、前記外側部分は前記内側部分の密度よりも高い密度を有する、請求項32~53のいずれか1項記載の方法。
【請求項55】
前記実質的に固体のチューブは、少なくとも複数の細孔の部分を含み、全体としての密度が約0.6~約1.3g/cm
3である壁を含む、請求項32~35及び37~54のいずれか1項記載の方法。
【請求項56】
前記実質的に固体のチューブを、前記長尺管状部材内の生分解性セルロース成分の約1%~約10%を結晶化するのに有効な約10秒~約20秒間の約120℃~約150℃の熱処理にかけることをさらに含む、請求項32~55のいずれか1項記載の方法。
【請求項57】
前記セルロース系ドープ組成物を約60℃~約80℃に加熱することをさらに含む、請求項32~56のいずれか1項記載の方法。
【請求項58】
前記長尺管状部材内の生分解性セルロース成分の約1%~約10%を結晶化するのに有効な約10秒~約20秒間の約120℃~約150℃の熱処理に前記実質的に固体のチューブをかけることをさらに含み、
前記1つ以上のセルロースエステルは、約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含み、
前記長尺管状部材は、少なくとも複数の細孔の部分を含み、少なくとも約10%の多孔度及び約0.6g/cm
3~約1.3g/cm
3の全体としての密度を有する壁を含み、
前記長尺管状部材はいかなる添加剤及び可塑剤も含まず、総抽出可能物量は10wt%メタノール中で約10mg/dm
2以下である、請求項32記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月3日に出願された米国仮出願第62/895,315号の優先権を主張し、その開示の全体を、この参照により本明細書に取り込む。
【背景技術】
【0002】
背景
廃棄物処理、特に許容可能な時間的制限内で生分解性と考えられないプラスチック又はポリマーなどの大量コンシューマー物品の廃棄物処理には、よく知られている世界的な問題がある。これらのタイプの廃棄物を、リサイクル、再利用又はその他の方法で再生物品に取り込み、循環又は埋め立て地における廃棄物の量を減らすことが一般に望まれている。これは、使い捨てのプラスチック物品/材料に特に当てはまる。
【0003】
ストロー、持ち帰り用カップ、プラスチック袋などの使い捨てプラスチックの環境運命に関する消費者心理が世界的なトレンドになりつつある中で、先進国及び発展途上国の両方でプラスチックの禁止が世界中で検討/制定されている。禁止は、例えば米国だけで、プラスチックショッピング袋からストロー、カトラリー及びクラムシェルパッケージにまで拡大した。他の国々は、禁止、使用制限、又は欧州連合全体での生産者責任の拡大が義務付けられる予定の10種の使い捨て物品のリストなど、さらに極端な措置を講じている。その結果、業界のリーダー、ブランド所有者及び小売業者は、今後数年間でリサイクル可能、再利用可能又は堆肥化可能なパッケージを実装するという野心的な取り組みを行ってきた。幾つかの用途では、リサイクル可能な材料が望ましいが、他の用途では、物品が食品で汚染されているとき、又は、廃棄物管理システムが不十分なために環境に高レベルで漏れているときなど、堆肥化可能及び/又は生分解性の材料が適している。
【0004】
意図された用途に十分な性能特性を有し、堆肥化可能及び/又は生分解性である使い捨て消費者物品に対する市場のニーズが存在する。そのような特性を持ち、再生可能、リサイクル及び/又は再利用された材料を有意な含有量で含む物品を提供することは有益である。
【発明の概要】
【0005】
要旨
酢酸セルロースは、分子の骨格がセルロースであるという点で再生可能な材料である。酢酸セルロースをエステルにするセルロース骨格に結合したアセチル基は、ポリマー材料の特性に影響を与え、ストロー、カトラリー、カップ、プレートなどの使い捨て物品などの溶媒キャスト又は溶媒押出品に酢酸セルロースをより有用にしそしてより良い最終用途の特性を提供するために有用にすることができる。
【0006】
堆肥化可能及び生分解性の材料には様々なものがあるが、それぞれにコスト、処理又は性能のいずれかの欠点がある。酢酸セルロースの幾つかの堆肥化可能な代替品には、ポリ乳酸(PLA)及び非コート化紙がある。非コート化紙は比較的速く堆肥化するが、ストローなどの物品はねばねばし、使用中に必要な剛性が不足するため、消費者の体験はかなり悪いことがよくある。
【0007】
実施形態において、生分解性物品は、1つ以上のセルロースエステルを含む長尺管状部材と、前記長尺管状部材内の複数の細孔とを含む。複数の細孔は、複数の細孔の少なくとも一部への水又は細菌のうちの少なくとも1つの透過又は浸透を可能にし、長尺管状部材の生分解性を促進するように長尺管状部材内でサイズ決め及び構造化される。実施形態において、長尺管状部材は、生分解性(ASTM D5338に記載されている産業上堆肥化条件下で)であり、又は、産業上堆肥化可能(ASTM D6400、EN 13432又はISO 17088に記載されているとおり)である。実施形態において、長尺管状部材は、生分解性(ASTM D5338に記載されている産業上堆肥化条件下で)であり、かつ、産業上堆肥化可能(ASTM D6400、EN 13432又はISO 17088に記載されているとおり)である。
【0008】
実施形態において、長尺管状部材は家庭で堆肥化可能である。実施形態において、長尺管状部材は、周囲温度で実施されるEN 13432生分解試験下で生分解性である。1つの実施形態において、長尺管状部材は、産業上堆肥化環境(ASTM 6200に記載されている条件下)において24週間以内に生分解する。1つの実施形態において、長尺管状部材は、家庭用堆肥化環境で26週間以内に生分解する。1つの実施形態において、長尺管状部材は、淡水表面水中で50週間以内に生分解する。
【0009】
実施形態において、生分解性二酢酸セルロース(BCA)から作製された生分解性長尺管状部材(例えば、チューブ)が提供される。1つの実施形態において、酢酸セルロースは、約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有し、管状部材は、少なくとも約10%の多孔度を有する壁を含む。実施形態において、長尺管状部材は、約20%~約70%、又は約40%~約60%の平均多孔度を有する壁を含む。
【0010】
実施形態において、長尺管状部材は、管状部材の内側に半径方向内側に面する内側部分又は表面と、管状部材から半径方向外側に面する外側部分又は表面とを有する断面を有する壁を含み、外側部分又は表面は、壁の断面の残りの部分よりも密度が高い(又は多孔性が低い)スキン層を含む。
【0011】
実施形態において、長尺管状部材は、合計0%~約2wt%の可塑剤又は他の加工助剤添加剤を含む。1つの実施形態において、長尺管状部材は、可塑剤又は他の加工助剤添加剤を含まない。実施形態において、長尺管状部材は、合計0wt%~約2wt%の任意の添加剤を含む。実施形態において、長尺管状部材は、いかなる添加剤も含まない。実施形態において、長尺管状部材は、約10mg/dm2以下の総抽出可能物量を有する。
【0012】
実施形態において、長尺管状部材は、飲料用ストローとして有用であるように構成されている。1つの実施形態において、長尺管状部材は、3ミル~約20ミル(約76nm~約508nm)、又は約4ミル~約15ミル(約102nm~約381nm)の範囲の壁厚を含む。実施形態において、長尺管状部材は、約1mm~約20mmの範囲の外直径と、約50mm~約500mmの長さを有する。
【0013】
別の態様において、1つ以上の溶媒に溶解した生分解性セルロース成分を含むセルロース系ドープ組成物を提供することを含む、生分解性長尺管状部材を製造するための方法が提供され、ここで、前記生分解性セルロース成分は1つ以上のセルロースエステルを含む。この方法はまた、セルロース系ドープ組成物を加工して管状形状を形成することを含む。この方法はまた、セルロース系ドープ組成物から1つ以上の溶媒を除去する1つ以上の非溶媒を含む溶媒捕捉媒体への物質移動によって、管状形状のセルロース系ドープ組成物から1つ以上の溶媒を移動して、複数の細孔を有する実質的に固体のチューブを形成することを含む。実施形態において、この方法はまた、実質的に固体のチューブを処理して、生分解性長尺管状部材を提供することを含む。
【0014】
開示の実施形態のいずれかからの特徴は、限定されることなく、互いに組み合わせて使用されうる。さらに、本開示の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面を考慮することにより、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図の簡単な説明
【
図1A】
図1Aは、1つの実施形態による、生分解性物品の側面図である。
【0016】
【
図1B】
図1Bは、1つの実施形態による、線1-1に沿って取られた
図1Aの生分解性物品の断面図である。
【0017】
【
図1C】
図1Cは、1つの実施形態による、線1-1に沿って取られた
図1Aの生分解性物品の断面図である。
【0018】
【
図1D】
図1Dは、1つの実施形態による、線1-1に沿って取られた
図1Aの生分解性物品の断面図である。
【0019】
【
図1E】
図1Eは、1つの実施形態による、線1-1に沿って取られた
図1Aの生分解性物品の断面図である。
【0020】
【
図2】
図2は、1つの実施形態による紡糸プロセスの図である。
【0021】
【
図3】
図3は、1つの実施形態による、
図2の領域Aの拡大断面図である。
【0022】
【
図4】
図4A及び4Bは、ストロー壁の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【0023】
【
図5】
図5は、1つの実施形態による、家庭用堆肥ビンの側面図である。
【0024】
【
図6】
図6は、1つの実施形態による、生分解性物品を製造する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
様々な実施形態の詳細な説明
本明細書に開示される実施形態は、制御された転相によって製造されうる生分解性飲料用ストロー及び他の物品、ならびにそのような生分解性飲料用ストロー及び他の物品を製造するための方法及びプロセスに関する。生分解性であり、また、従来のプラスチックの対応物と同様の感覚刺激特性も含む飲料用ストロー及び他の物品を製造することが望ましい。本明細書でより詳細に説明するように、1つ以上のセルロースエステルから製造される飲料用ストロー、攪拌棒又は他の長尺管状又はカプセル部材などの物品は、プラスチック物品に対する生分解性代替物を提供するように構成されることができる。セルロースは物品が生分解するときに無毒であるため、生分解性物品にセルロースを使用することも有利である。
【0026】
1つの態様において、1つ以上のセルロースエステルを含む生分解性長尺管状物品が提供される。実施形態において、1つ以上のセルロースエステル及び複数の細孔を含む長尺管状部材が提供され、ここで、長尺管状部材は、ASTM D5338に記載される産業上堆肥化条件下で生分解性であるか、又はASTMD6400、EN13432又はISO17088のうちの少なくとも1つに記載されるとおりに産業上堆肥化可能である。1つの実施形態において、長尺管状部材は、ASTM D5338に記載されている産業上堆肥化条件下で生分解性であり、かつ、ASTM D6400、EN13432又はISO17088のうちの少なくとも1つに記載されているとおりに産業上堆肥化可能である。
【0027】
実施形態において、長尺管状部材は、周囲温度で実施されるEN 13432生分解試験下で生分解性である。実施形態において、長尺管状部材は、家庭用堆肥化に適したNF T T51-800プラスチック仕様に記載されているとおりに家庭用堆肥化可能である。
【0028】
実施形態において、長尺管状部材は、ASTM 6200に記載された条件下で、産業上堆肥化環境において24週間以内に生分解する。実施形態において、長尺管状部材は、家庭用堆肥化について本明細書に記載された条件下で、家庭用堆肥化環境において26週間以内に生分解する。実施形態において、長尺管状部材は、淡水生分解について本明細書に記載されている条件下で、淡水表面水中で50週間以内に生分解する。
【0029】
実施形態において、本明細書に記載される物品は、生分解性二酢酸セルロース(BCA)を利用する。アセチル基によるヒドロキシル基の置換のレベルは、理論的には、ニートセルロースのゼロから、三酢酸セルロースである3まで変化しうることに留意されたい。このようなポリマーを処理する能力は、アセチルレベルによって異なる。1つの実施形態において、3つのヒドロキシル基のうち平均で約2.5がアセチル基で置き換えられた二酢酸セルロースは望ましい加工性を有する。さらに、生分解性は、一般に、アセチルレベルの低下とともに改善し、有用な生分解は約2.5のレベルで見出された。
【0030】
実施形態はBCAを利用して提供されるが、特定の実施形態において、セルロースエステルはまた、アセチル、プロピオニル、ブチリル又は他の脂肪族又は芳香族アシル基の任意の組み合わせを有する混合セルロースエステルを含むことができることに留意されたい。これらの混合エステルを処理する能力は、特定の用途/処理に応じて、酢酸セルロースよりも優れている可能性がある。実施形態において、アセチル基(適切なDSを有する)は、物品に良好な生分解性特性を提供することが示された。
【0031】
実施形態において、BCAから作製され、その骨格がセルロース自体から作製される生分解性長尺管状部材(例えば、チューブ)が提供される。粉末として評価されたBCAポリマー自体は、産業上堆肥化、家庭用堆肥化、土壌及び淡水を使用して生分解性であると認定されている。1つの用途はストローであるが、本明細書に開示される他の生分解性物品としては、攪拌機、包装容器として使用されるチューブ、又はカプセルを挙げることもできる。
【0032】
別の態様において、セルロースエステル(CE)組成物、例えば、BCA組成物をチューブにする方法が提供される。実施形態では、チューブは、制御された転相を可能にして、ミクロ細孔を有する固体構造を作り出すCEの溶媒溶液、例えば、BCAの溶媒溶液を非溶媒(沈殿)浴に押し出すことによって作製される。水などの非溶媒への暴露によって生じる転相により、このチューブの壁にミクロ細孔及びミクロボイドの作製の正確な制御が可能になる。実施形態において、空気/ポリマー界面からの光の内部反射のために、チューブの色は白色になる。実施形態において、多孔度は、約30%の多孔度など、約10%~約50%で変化しうる。長尺管状部材の壁におけるBCAの密度は、約1.3g/cm3であることができる。実施形態において、転相によって生成される管状部材、例えば典型的なストローの密度は、約0.95g/cm3であることができる。所望ならば、染料又は着色剤をポリマー溶液に添加して、チューブの壁に色を加えることができる。
【0033】
実施形態において、1つ以上の溶媒に溶解された生分解性セルロース成分を含むセルロース系ドープ組成物(又はキャスティング溶液)を提供することを含む、生分解性長尺管状部材(本明細書の実施形態のいずれかに記載されるとおり)を製造するための方法が提供される。生分解性セルロース成分は、1つ以上のセルロースエステルを含む。この方法はまた、管状形状を形成するように構成された少なくとも1つのオリフィスを通してセルロース系ドープ組成物をデリバリー及び計量することを含むことができる。この方法はまた、1つ以上の非溶媒を含む溶媒捕捉媒体への物質移動によって管状形状のセルロース系ドープ組成物から1つ以上の溶媒を移動させて、複数の細孔を有する実質的に固体のチューブを形成することを含むことができる。この方法はまた、実質的に固体のチューブを処理して、生分解性長尺管状部材を提供することを含むことができる。
【0034】
実施形態において、1つ以上のセルロースエステルは、生分解性酢酸セルロースを含む。実施形態において、1つ以上の溶媒は、アセトン、n-メチル-2-ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、別の水混和性溶媒又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。1つの実施形態において、1つ以上の溶媒は、溶媒の総質量に基づいて、95wt%以上、少なくとも約90wt%、少なくとも約75wt%、少なくとも約50wt%の量のアセトンを含む。実施形態において、セルロース系ドープ組成物は、ドープ組成物の総質量に基づいて、約5質量%~約40質量%、約5質量%~15質量%、約10質量%~約20質量%、約15質量%~約25質量%、約20質量%~約30質量%、約25質量%~35質量%、約30質量%~約40質量%、約15質量%~約20質量%、約20質量%~約25質量%、約22.5質量%~約27.5質量%、約25質量%~約30質量%、約27.5質量%~約32.5質量%、約30質量%~約35質量%、約20質量%~約22.5質量%、約22.5質量%~約25質量%、約25質量%~約27.5質量%、約27.5質量%~約30質量%、約30質量%~約32.5質量%、約32.5質量%~約35質量%、少なくとも約20質量%、少なくとも約22.5質量%、少なくとも約25質量%、少なくとも約27.5質量%、少なくとも約30質量%、少なくとも約32.5質量%、約20質量%、約21質量%、約22質量%、約23質量%、約24質量%、約25質量%、約26質量%、約27質量%、約28質量%、約29質量%、約30質量%、約31質量%、約32質量%又は約33質量%の固形分を有する。
【0035】
実施形態において、セルロース系ドープ組成物は、1つ以上の添加剤(本明細書で論じられるとおり)をさらに含む。実施形態において、セルロース系ドープ組成物は、いかなる添加剤も含まない(例えば、添加剤は、セルロース系ドープ組成物に存在しない)。実施形態において、溶媒捕捉媒体は、より多くの水を含む。
【0036】
実施形態において、生分解性長尺管状部材を製造するための方法は、溶媒捕捉媒体が、セルロース系ドープ組成物から移動された1つ以上の非溶媒及び1つ以上の溶媒を含む連続プロセスである。溶媒捕捉媒体の濃度は、媒体に新鮮な非溶媒を導入し、媒体から溶媒を含んだ液体を除去することによって制御することができる。実施形態において、実質的に固体のチューブは、ある体積の溶媒捕捉媒体を通って連続的に移動され、新鮮な非溶媒は、チューブの移動方向に対して向流で導入される。
【0037】
実施形態において、溶媒捕捉媒体は、移動しているチューブが十分な溶媒の浴への物質移動を可能にするために一定時間浸漬又は部分的に浸漬したままにするのに十分な長さを有する液体の長尺トレイを備えた液体浴(例えば、水浴)の形態である。実施形態において、浴及び/又はトレイは、チューブの移動を支援し、チューブの伸長を可能にしてポリマー配向及び寸法制御を提供するためのベルト搬送デバイスを含む。実施形態において、浴及び/又はトレイは、チューブを所望の経路に沿って回転又は方向付けるように構成された複数の固定又は回転ガイドを含む。
【0038】
実施形態において、少なくとも1つのオリフィスは、入口及び出口を有するダイに提供される。1つの実施形態において、ダイ出口は液体溶媒捕捉媒体中に沈められる。他の実施形態において、ダイ出口は液体溶媒捕捉媒体の上方にあり、溶媒除去の第一段階として、ダイ出口と液体溶媒捕捉媒体との間に空気ギャップを提供する。実施形態において、空気ギャップは、約0.1mm~約8m、又は約0.1mm~約1m、約0.1mm~約50cm、約0.1mm~約10cm、又は約0.1mm~約50mmである。1つの実施形態において、方法は、表面光沢を制御するためにチューブにスチームを適用することを含むことができる。例えば、スチームは、オリフィスと液体溶媒捕捉媒体との間の空気ギャップにおいてチューブに適用されうる。1つの実施形態において、処理工程(d)は、チューブを熱処理することを含む。
【0039】
長尺管状物品を押し出し、形成するための転相プロセスの例は、1つの実施形態によれば、
図2に示される。
図2に図示された方法によって形成された長尺管状物品は、本明細書に記載の任意の長尺管状物品を含むことができる。例えば、
図2に図示された方法によって形成された長尺管状物品は、本明細書に開示されるセルロースエステルの結晶化、密度、多孔度及び/又は全抽出物のいずれかを備えることができる。転相プロセスは、生分解性ストロー又は他の管状部材を製造するように構成された紡糸プロセスを含むことができる。この方法は区別される工程で記載されうる。
【0040】
図2を参照すると、第一の工程は、紡糸口金(又は押出ダイ)108への計量ポンプ104、106によるポリマードープ(又はキャスティング溶液)100及びボア流体(例えば、水)102の正確なデリバリーを含むことができる。ポリマードープ100は、本明細書に記載のドープ又はキャスティング溶液の態様を含むことができる。例えば、ポリマードープ100は、本開示を通して記載される様々なアセチル化及び質量%を含む、本明細書に記載されるセルロース系ドープ組成物の任意の態様を含むことができる。次の工程は、ダイと水浴112との間の空気ギャップ109における揮発性溶媒の蒸発を含むことができる。実施形態において、空気ギャップ109は存在しない。ドープが水浴に入ると、転相プロセスが開始し、物理的なチューブが形成し始める。ホイール110によって案内されるチューブ111が水浴を通って移動するときに、溶媒と水の交換が継続し、溶媒は形成しているチューブ111から移動し、チューブ111はより固体で剛性になる。ホイール110は、チューブをコンベヤーベルト(図示せず)に案内し、コンベヤーベルトは、次いで、水浴を通してストローを引っ張る。コンベヤーベルトは摩擦によってストローを引っ張り、水浴の終わりに、カッター114によりチューブを所望の長さに自動的に切断してストローを作ることができる。ストローは、さらに乾燥又はアニールされ、ストローコレクタ116に収集されうる。
図2のホイール110、ポンプ104、106、紡糸口金108、カッター114及びストローコレクタ116の数及び配置は例示の目的のためのものである。本開示による生分解性管状部材を形成するための方法の他の実施形態は、ホイール110、ポンプ104、106、紡糸口金108、カッター114及びストローコレクタ116の様々な他の数及び位置決めを含むことができる。
【0041】
実施形態において、ストローなどの長尺管状部材は、長尺管状部材内の1つ以上のセルロースエステルの少なくとも一部を結晶化するのに有効な所定の時間、所定の温度の熱処理を受けることができる。長尺管状部材中の1つ以上のセルロースエステルの少なくとも一部の結晶化は、長尺管状部材の強度を改善しうる。熱処理の所定の温度は、約120℃~約150℃、約120℃~約130℃、約130℃~約140℃、約140℃~約150℃、少なくとも約120℃、少なくとも約130℃、少なくとも約140℃、少なくとも約150℃、約120℃未満、約130℃未満、約140℃未満又は約150℃未満であることができる。
【0042】
長尺管状部材は、約5秒~約30秒、約5秒~約15秒、約10秒~約20秒、約15秒~約25秒、約20秒~約30秒、約5秒~約10秒、約10秒~約15秒、約15秒~約20秒、約20秒~約25秒、約25秒~約30秒、少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、少なくとも約15秒、少なくとも約20秒、少なくとも約25秒、約30秒未満、約25秒未満、約20秒未満、約15秒未満又は約10秒未満などの所定の時間、熱処理を受けることができる。
【0043】
長尺管状部材を所定の温度で所定の時間だけ熱処理を受けさせることは、長尺部材中の1つ以上のセルロースエステル及び/又は他の生分解性成分の少なくとも一部を結晶化するのに有効であることができ、例えば、長尺管状部材中の生分解性セルロース成分の約0.5%~約15%、約1%~約10%、約1%~約5%、約5%~約10%、約1%~約2.5%、約2.5%~約5%、約5%~約7.5%、約7.5%~約10%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満又は約1%未満の結晶化度である。%結晶化度は、示差走査熱量測定(DSC)又はその他の適切な手法を使用して測定できる。
【0044】
図2の領域Aの拡大断面図を
図3に示す。
図3を参照すると、実施形態において、セルロースエステルポリマー及び溶媒を含むポリマードープ(又はキャスティング溶液)100は、紡糸口金108において環状オリフィス(又は開口部)を通して押出され、非溶媒を含むボア液体(例えば、水)102は、紡糸口金108における環状開口部の中央にあるオリフィス(又は開口部)を通して同時押出される。ドープ100及びボア液体102のポリマー溶液は、紡糸口金108から下向きに、非溶媒含有(例えば、水)浴112の上方にある空気ギャップ109に出て、浴112に流入し続ける。ポリマー溶液ドープ100とボア液体102との間、及び、ポリマー溶液ドープ100と浴112との間で、溶媒及び非溶媒の交換が行われる。ポリマーチューブ111は、空気ギャップ109内で形を作り始め、浴112で形を作り続け、成形されることができる。
【0045】
この方法により、例えばストローとして機能するための使用要件への適合性を満たすチューブの製造が可能になる。この方法を制御して、長さ、内直径及び外直径、厚さを含む寸法、多孔性、チューブ壁の強度を含む、チューブの物理的特性を決定できる。実施形態において、寸法、特に壁の厚さ及び強度は、負圧下で崩壊することなく、濃厚な飲料(例えば、ミルクセーキ)用のより厚い(又はより重い)壁、又は、飲料水、ソフトドリンク、紅茶及びコーヒー用のより薄い(又はより軽い)形態を備えたストローなど、意図された目的にチューブを使用できるように選択される。実施形態において、チューブは、カクテル用に又は攪拌機として使用されるように構成されている。
【0046】
使い捨て食品消費物品以外の用途としては、包装も挙げることができる。例は生分解性のハニースティック又は肥料スティック(肥料を詰めたチューブ)であり、これらは土壌に突き刺され(挿入され)、チューブの壁が分解するにつれて肥料をゆっくりと放出する。
【0047】
本開示の1つの態様において、生分解性である1つ以上の使い捨て物品が製造される。生分解性の1つの特定の態様は、家庭用堆肥化可能性と産業用堆肥化可能性の両方の堆肥化可能性である。家庭用堆肥化は、機械的攪拌が少なく、低温で行われるため、達成がより困難である。本開示に従って製造された物品の実施形態におけるマイクロボイド及び細孔の存在は、生分解を助けるように構成することができる。理論に拘束されることはないが、表面積が大きいほど、ストローの構造全体への酵素/細菌アクセスが改善されると考えられる。さらに、十分な細孔体積は、断片化速度を増加させるだけでなく、ストローあたりのポリマーの量を減少させると考えられる。本明細書で論じられる実施形態による多孔質構造を有するストローは比較的速い速度で生分解することが見出された。これは、転相プロセスで製造された、壁の厚さが10ミルの8インチ、外径1/4インチのストローを使用して示され、それは23週間で家庭で堆肥化された。
【0048】
図1Aは、長尺管状部材12を有する生分解性物品10の側面図である。長尺管状部材12は、貫通孔18を画定する外面14及び内面16を有する壁を含むことができる。生分解性物品10としてはストローが挙げられ、本明細書に開示される任意の方法に従って形成することができる。さらに、生分解性物品10は、本明細書に開示される他の生分解性物品及び長尺部材の任意の態様又は特徴を含むことができる。生分解性物品10は、転相プロセスで形成することができる。実施形態において、転相プロセスは、一般に、4つの要素に分割されることができる。転相プロセスの4つの要素を使用して、本明細書に開示される生分解性物品のいずれかを形成又は製造することができる。第一の要素としては、目的の寸法、靭性及び剛性などの物理的特性、及び、生分解特性を有する適切なチューブを得るために溶媒紡糸及び転相されるのに最適な置換度を有するセルロースエステル、例えば酢酸セルロースの選択を挙げることができる。
【0049】
第二の要素としては、ドープ配合物を挙げることができる。実施形態において、ドープ配合物は、アセトン又は同様の適切な水混和性溶媒及び水の中に、1%~40%の濃度の酢酸セルロースのみを含む単純なものであることができる。実施形態において、ドープ配合物は、より複雑であることができ、そして1つ以上の他のポリマー、1つ以上の他の非溶媒、又は1つ以上の広範囲の添加剤のうちの少なくとも1つを含むことができる。添加剤としては、限定するわけではないが、イオン強度を制御する添加剤、初期のチューブを安定化させるグリセリン、靭性及び可撓性を制御する可塑剤、生分解を促進する添加剤、染料及び着色剤などの外観を変える添加剤、及び、壁面の滑らかさを変更することができる添加剤を挙げることができる。実施形態において、ドープ配合物は添加剤を含まない(例えば、添加剤はドープ配合物に存在しない)。
【0050】
第三の要素としては、紡糸速度、延伸比、温度、アセトンを除去するための空気流、転相を誘発するためのスチーム流及び転相媒体、例えば、水、溶媒及び添加剤を含むことができる溶液などの紡糸条件を挙げることができる。実施形態において、条件は、横方向及び垂直方向の圧縮抵抗に関して、チューブの内直径及び外直径、壁の厚さなどのチューブの寸法、多孔性及び物理的強度を決定するように選択することができる。
【0051】
第四の要素としては、後処理を挙げることができる。連続プロセスにおいて、連続チューブを目標の長さに切断する前又は後に、アセトン及び水を除去するためにチューブを乾燥又はさらにはアニーリングする必要がある場合がある。十分に高い温度では、アニーリングによってポリマーの壁の強度を向上させることもできる。実施形態において、チューブの寸法は、紡糸ダイ(又は紡糸口金)の設計によって制御され、限定するわけではないが、攪拌棒及びミルクセーキチューブなどの物品を含む。
【0052】
実施形態において、強度及び生分解性は、転相によって作成されたチューブの細孔の関数であることができる。実施形態において、生分解性長尺管状部材の4つの異なる構成は、
図1B~1Eに示されるように、溶媒蒸発、転相及びアニーリングの組み合わせによって達成することができる。
図1B~1Eは、異なる実施形態による、
図1Aの線1-1に沿った断面図である。
図1Bを参照すると、管状部材22は、管状部材22の外面上に形成されたスキン又は外側部分24を含むことができる。スキン又は外側部分24は、内側部分26又は表面を含む管状部材22の残りの部分よりも高密度(又は低い多孔性)を有することができる。スキン又は外側部分24の形成は、紡糸口金と凝固浴との間の空気ギャップによって制御することができる。この空気ギャップにおいて、溶媒の蒸発が起こり、物質移動速度に影響を与える。空気ギャップをなくすか、空気ギャップ内の滞留時間を短縮すると、滞留時間が長い空気ギャップと比較して、外部をより多孔質にすることができる。空気ギャップの温度及び組成は、空気ギャップの周りでの爆発のリスクを軽減するために窒素などのガス混合物を流すことによって制御することもできる。水蒸気又はスチームを空気ギャップの周囲で使用して、管状部材のモルホロジーに影響を与えることもできる。実施形態において、空気ギャップは、物質移動速度及び/又は管状部材の外面の細孔構造を制御するように構成された、制御された流速のガス及び/又は蒸気を含むことができる。実施形態において、制御された流れは、空気及び/又は不活性ガス、又は、空気及び/又は不活性ガス及び溶媒蒸気の混合物を含む。実施形態において、流れは、チューブの流れに対して並行流又は向流であるか、又はチューブの流れに対して垂直であることができる。実施形態において、内壁モルホロジーは、環状開口部を通してセルロースポリマードープを供給し、場合により、環状開口部(ボア流体)の中心空間を通して液体非溶媒(又は非溶媒/溶媒混合物)を同時供給することによって制御することができ、ここで、開口部(ドープが紡糸口金を出る場所)は沈殿浴の上方の空気ギャップに存在する。
【0053】
図1Cに目を向けると、管状部材32は、管状部材32の内面に形成されたスキン又は内側部分36を含むことができる。例えば、スキン又は内側部分36は、管状部材の貫通孔又は通路を画定することができる。スキン又は内側部分36は、外側部分34を含む断面の残りの部分よりも高密度(又は低い多孔度)を有することができる。スキン又は内側部分36の形成は、形成の間にチューブの中央空間を通して空気又は別のガスを供給することによって制御することができ、例えば、環状開口部を通してセルロース系ポリマードープを供給し、環状開口部の中央空間を通して空気又はガスを同時供給するように構成された紡糸口金を有し、ここで、開口部(ドープが紡糸口金を出る場所)は、沈殿浴の表面の下にある(浸漬される)。
【0054】
図1Dに目を向けると、管状部材44は、外側スキン層44又は内側部分と、内側スキン層46又は内側部分との両方を含むことができる。内側スキン層46は、管状部材42の貫通孔を画定することができ、管状部材42は、内側スキン層46と外側スキン層44との間に配置される中間層45又は中間部分を含むことができる。内側スキン層46及び外側スキン層は、中間層45などの断面の残りの部分よりも高密度(又は低い多孔性)を有することができる。幾つかの実施形態において、内側スキン層46の密度及び多孔性は、外側スキン層44の密度及び多孔度と実質的に等しい。幾つかの実施形態において、内側スキン層46の密度は、外側スキン層44及び中間層45の両方の密度及び多孔度よりも大きい。幾つかの実施形態において、外側スキン層44の密度は、内側スキン層46及び中間層45の両方の密度よりも大きい。内側スキン層46及び外側スキン層44の形成は、紡糸口金と沈殿浴との間の空気ギャップ、及び、形成中にチューブの中央空間を通して空気又は別のガスを供給することによって制御することができる。
【0055】
図1Eに目を向けると、管状部材52の幾つかの実施形態は、内面56及び外面54上に形成されたスキン層を含まないことがある(例えば、スキン層は管状部材52に存在しない)。そこで、管状部材52の断面は、比較的に均一な密度(又は多孔性)を有する。スキン層を持たない管状部材52の形成は、環状開口部を通してセルロース系ポリマードープを供給し、場合により、液体非溶媒(又は非溶媒/溶媒混合物)を環状開口部の中央空間を通して同時供給することによって制御することができ、ここで、開口部(ドープが紡糸口金を出る場所)は沈殿浴の表面の下にある(浸漬される)。
【0056】
実施形態において、内壁の多孔性は、ボア流体によって影響を受ける可能性がある。ボア流体は、凝固バッチと同様に、選択された溶媒と非溶媒からなることができる。流速及び温度も調整できる。溶媒及び非溶媒の選択、ならびにそれらの相対濃度は、沈殿浴及び/又はボア流体に対して選択されて、管壁の断面に所望の密度(又は多孔性)プロファイルを提供することができる。
【0057】
実施形態において、ガス(又は蒸気)を使用して、チューブの内壁を成形するために内輪を通って流れることができる。実施形態において、ガスは、空気、又は、空気と溶媒/非溶媒蒸気の混合物、例えば、水蒸気混合物であることができる。ガス/蒸気成分の相対濃度、ならびに温度及び圧力を制御して、内壁の望ましいモルホロジープロファイルを実現することができる。このアプローチにより、高密度の内壁面の形成が可能になる。1つの実施形態において、内壁は、10%以下、又は5%以下の多孔度を有し、例えば、乾燥ポリマー自体の10%又は5%以内の密度を有する。
【0058】
実施形態において、本明細書で論じられる実施形態のいずれかにおけるスキン層は、水に対して実質的に不透過性である。実施形態において、本明細書で論じられる実施形態のいずれかによる長尺管状部材は、20~70%又は40~60%の平均多孔度を有する。実施形態において、本明細書で論じられる実施形態のいずれかによる長尺管状部材の壁は、約0.6g/cm3~約1.3g/cm3、約0.6g/cm3~1.25g/cm3、約0.6g/cm3~約1.2g/cm3、約0.6g/cm3~約1.15g/cm3、約0.6g/cm3~約0.9g/cm3、約0.9g/cm3~約1.2g/cm3、約0.6g/cm3~約0.8g/cm3、約0.7g/cm3~約0.9g/cm3、約0.8g/cm3~約1.0g/cm3、約0.9g/cm3~約1.1g/cm3、約1.0g/cm3~約1.2g/cm3、約1.1g/cm3~約1.3g/cm3、約1.4g/cm3未満、約1.3g/cm3未満、約1.2g/cm3未満、約1.1g/cm3未満、約1.1g/cm3、約1.0g/cm3未満、約0.9g/cm3未満、約0.8g/cm3未満、約0.7g/cm3未満又は約0.6g/cm3未満の密度を有する。
【0059】
1つの態様において、ドープ配合物及び得られる長尺管状部材は、セルロースエステル、例えば、酢酸セルロースに加えて、合計で0~約2wt%、又は0~約1wt%の任意の添加剤を含む。実施形態において、ドープ配合物及び得られる長尺管状部材は、セルロースエステル、例えば、酢酸セルロースに加えて、添加剤を含まない(例えば、添加剤は、ドープ配合物及び得られる長尺チューブに存在しない)。実施形態において、本明細書に記載の方法から製造された製造チューブは、BCAのみを含むように製造することができる。これは、可塑剤などの加工助剤を必要とする殆どの熱処理セルロースエステルとの大きな差別化要因になると考えられる。実施形態において、そのようなチューブは、抽出物が少ないか又はないという利点を有することができ(例えば、抽出物がチューブに存在しないことができる)、これは、食品接触用途を管理する特定の規制を満たすために望ましい。
【0060】
本明細書で使用されるときに、「溶液紡糸」としても知られる「溶媒紡糸」という用語は、合成ポリマー繊維又は他の押出プロファイルを製造する方法を指し、ここで、1つ以上のポリマー樹脂は1つ以上の溶媒中に溶解され、そして得られる液体溶液を1つ以上のオリフィス、ダイ又は紡糸口金を強制的に通過させて、連続したストランド又はシリンダーを形成する。次に、溶媒は、ストランド又は押出プロファイル形状から除去されて、気体又は液体の紡糸媒体(又は非溶媒)、例えば、凝固又は沈殿浴への物質移動によって固体繊維(又はプロファイル形状)を形成する。「乾式溶媒紡糸」又は単に「乾式紡糸」は、ガス状紡糸媒体又は貧溶媒(又は非溶媒)のみを使用する溶媒紡糸プロセスを指す。「湿式溶媒紡糸」又は単に「湿式紡糸」は、液体紡糸媒体又は浴、例えば、凝固又は沈殿浴を含むが、浴の前の乾式紡糸又は「空気ギャップ」工程を含むことができる溶媒紡糸プロセスを指す。紡糸浴は、凝固浴又は沈殿浴と呼ばれることもある。
【0061】
紡糸ダイ又はダイという用語は、紡糸口金と相互互換可能に使用される。内輪、内側ダイシリンダ、環状開口部の中央空間及びボアという用語は、相互互換可能に使用される。これらの用語は、ポリマー溶液及びボア流体又は液体の1つ以上のオリフィスを介した強制的な流れによってストランド又はチューブの形成を可能にするデバイスの幾何形状の説明である。内側ダイシリンダの半径方向の位置は、外側ダイシリンダ(又は環状部)に対して調整して、2つのダイ構成要素を中央に配置し、チューブ壁の均一性を改善させることができる。幾つかの設計において、内側ダイシリンダはその外径がテーパーになっており、外側ダイシリンダに対するその軸方向の位置を調整して、チューブの壁厚又は紡糸性を変えることができる。
【0062】
ダイの向きは、最も一般的にはドープが真下に出る垂直方向であり、紡糸プロセスを最適化するために垂直と水平の間の任意の角度で調整できる。ダイ(又は紡糸口金)は、チューブ幾何形状を変更又は調整するように、又は、例えば沈殿浴においてチューブを案内するのを助けるように配向されうる。
【0063】
紡糸プロセスはまた、複数のダイを使用して、例えば、同じ非溶媒媒体を使用して処理される複数のチューブを形成することができる。実施形態において、複数のダイは、ダイの内部環状部への共通の紡糸溶液フィード及び共通の非溶媒フィードを備えた共通の装置又はシステムに統合することができる。
【0064】
「紡糸溶液」又は「ドープ」という用語は、溶媒紡糸プロセスに供給するために生成される液体溶液を指す。紡糸溶液は、1つ以上のポリマー樹脂(セルロースエステルに加えて他の生分解性ポリマーを含む)及び1つ以上の溶媒を含むことができる。ドープはまた、他の可溶性添加剤又は不溶性添加剤(例えば、フィラー、例えば、炭酸カルシウム)、紡糸プロセス又は最終物品属性(向上された生分解速度を含む)を向上させるための分散添加剤を含むことができる。紡糸溶液は、その後、紡糸プロセスを最適化するために、ろ過され、所望の温度に調節され又は剪断薄化されうる。ドープ温度は粘度に影響を与え、紡糸プロセスを最適化するために調整できることに留意することが重要である。
【0065】
紡糸溶液の関係における「固形分」又は「%固形分」という用語は、加工温度での非溶媒の物理的状態に関係なく、溶液への溶解度に関係なく、全溶液に対する溶液中のすべてのポリマー樹脂及び固形添加剤の質量基準でのパーセントを指す。「樹脂固形分」という用語は、配合されたドープ溶液中のポリマーの質量パーセントを指す。
【0066】
ポリマー加工の関係における「延伸(drawing)」又は「延伸(drafting)」という用語は、固体又は半固体のポリマー物品にひずみを誘発して、(a)ひずみ方向のポリマー鎖の整列を増加させ、それによって、通常は伸張性又は延性を犠牲にして、その方向での引張強度を増加させる、及び/又は(b)物品のサイズを縮小するか又は形状を変更するプロセスを指す。本明細書で使用されるときに、繊維又はプロファイル押出加工では、延伸は紡糸プロセスの下流の連続プロセスであり、ここで、物品は、押出軸に沿ってひずみを誘発するために異なる速度で駆動される2組のロール又は他の何らかの把持機構を通して供給される。本明細書で使用されるときに、「延伸(drafting)」という用語は、紡糸プロセス内のプロセスを記載するために使用され、ここで、物品は半固体であり、ひずみを生成する抵抗は、主に紡糸媒体の流体抗力抵抗によって提供される。
【0067】
「アニーリング」という用語は、延性、引張強度、内部応力、モルホロジー及び/又は表面滑らかさを含む、物理的特性を変化又は均質化する目的で材料を熱処理するプロセスを指す。熱処理は、所望の設定点まで及び/又は制御された変化速度で、物品の全部又は一部の温度を上昇させること及び/又は温度を低下させることを含むことができる。本明細書で使用されるときに、繊維又は押出プロファイル処理の関係において、アニーリングは、例えば、物品が加熱又は冷却プロセス又は加熱媒体を通過する連続プロセスであり、ここで、温度変化は、対流、伝導又は放射熱伝達により又は電磁波誘導により誘導される。後処理中に、熱処理をチューブに適用して、微量の溶媒及び遊離アシル基を除去し、チューブをアニーリング又は強化し、又は、チューブの寸法及び表面粗さを変更することができる。実施形態において、熱処理は、例えば、チューブの寸法を変更するために、加熱された筒形ダイを通して適用することができる。
【0068】
「物質移動速度」という用語は、紡糸された物品から紡糸媒体又は非溶媒への溶媒の移動の正味の速度(単位時間あたりの単位質量又は重量)を指す。物質移動速度は、物品の断面内での溶媒の拡散速度と、物品の表面から紡糸媒体への溶媒の対流速度に影響を与える多くの変数の関数である。これらの変数としては、物品の温度及び%固形分、及び、紡糸媒体の溶媒濃度、温度及び物品に対する相対速度が挙げられる。
【0069】
「沈殿」又は「凝固」とも呼ばれる「転相」という用語は、ポリマー溶液が非溶媒を含む容器に導入されるプロセスを記載する。非溶媒、しばしば、水又は水性配合物は、ポリマーを沈殿させる。溶媒及び非溶媒は、ポリマー系が溶解する1つの「相」と、そうでない他の「相」である、複数の相と考えることができる。この沈殿は、粉末、ペレット、繊維、又は、ポリマー溶液が非溶媒含有媒体、例えば、沈殿浴に押出されるダイによって形成される任意の形状をもたらすことができる。実施形態において、沈殿物のモルホロジーは、溶媒、ポリマー及び非溶媒の溶解度パラメーター、ならびに処理温度に依存することができる。実施形態において、多孔質モルホロジーを提供することができ、細孔のサイズは処理条件によって制御することができる。
【0070】
「凝固浴」又は「沈殿浴」という用語は、ドープが紡糸口金から入って出口に向かう容器を表し、そこで連続チューブを巻き上げるか、又は目標の長さに切断することができる。実施形態において、この浴の溶媒濃度は、設定された組成(又は組成プロファイル)を維持するために向流技術を使用して制御することができる。実施形態において、ガイドホイールの使用を通じて、初期チューブが成形チューブの寸法に影響を与える圧力差を作り出す深さを決定する垂直構成を使用することができる。
【0071】
1つの実施形態において、長尺管状部材は、飲料用ストローとして有用であるように構成されている。実施形態において、飲料用ストローとしての構成としては、ストローが挟まれたときに割れず、低圧(飲み物を吸い上げるため)が加えられたときに崩壊しない強度、ストローが許容できない味又は匂いを与えない(例えば、知覚試験パネルによって決定される)味及び匂い、ストローが心地よい感触(例えば、口当たり)を持ち、鋭い縁又は粗さを有しない感触、及び、ストローが飲料用ストローとして認識できる外観など、プラスチックストローの使用基準に慣用的な適合性を満たすことが挙げられる。
【0072】
実施形態において、長尺管状部材は、約3ミル~約20ミル(約76nm~約508nm)、約4ミル~約15ミル(約102nm~約381nm)、約3ミル~約6ミル、約6ミル~約9ミル、約9ミル~約12ミル、約12ミル~約15ミル、約15ミル~約18ミル、約18ミル~約20ミル、約20ミル未満、約15ミル未満、約10ミル未満、又は約5ミル未満の範囲の壁厚を備える。実施形態において、長尺管状部材は、約1mm~約20mm、約1mm~約5mm、約5mm~約10mm、約10mm~約15mm、約15mm~約20mm、少なくとも約1mm、少なくとも約5mm、少なくとも約10mm、少なくとも約15mm、少なくとも約20mm、約20mm未満、約15mm未満、約10mm未満又は約5mm未満の外直径を有する。実施形態において、長尺管状部材は、約1cm~約50cm、約1cm~約10cm、約10cm~約20cm、約20cm~約30cm、約40cm~約50cm、少なくとも約1cm、少なくとも約10cm、少なくとも約20cm、少なくとも30cm、少なくとも約40cm、少なくとも約50cm、約50cm未満、約40cm未満、約30cm未満、約20cm未満、約10cm未満、約5cm未満又は約1cm未満の長さを有する。
【0073】
実施形態において、長尺管状部材は、攪拌ストローとして有用であるように構成される。実施形態において、長尺管状部材は、約1mm~約3mmの範囲の外直径及び約4cm~約12cmの長さを有する。実施形態において、長尺管状部材は、包装用途に有用であるように構成される。実施形態において、長尺管状部材は、閉じた端部を有し、食品材料をカプセル化する。特定の実施形態において、長尺管状部材は、閉じた端部を有し、農業又は園芸用途に有用な材料をカプセル化する。
【0074】
実施形態において、長尺管状部材は、水又はアルコール(例えば、エタノール)溶液中で試験したときに、総抽出物が少ない。例えば、実施形態において、長尺管状部材は、約12mg/dm2未満、約11mg/dm2未満、約9mg/dm2未満、約8mg/dm2未満、約7mg/dm2未満、約6mg/dm2未満、約5mg/dm2未満、約5mg/dm2~約12mg/dm2、約5mg/dm2~約10mg/dm2、約5mg/dm2~約7mg/dm2、約6mg/dm2~約8mg/dm2、約7mg/dm2~約9mg/dm2、約8mg/dm2~約10mg/dm2、約5mg/dm2~約6mg/dm2、約6mg/dm2~約7mg/dm2、約7mg/dm2~約8mg/dm2、約8mg/dm2~約9mg/dm2、又は約9mg/dm2~約10mg/dm2の総抽出可能物量を含む。長尺管状部材中の総抽出物は、以下のように測定できる。長尺管状部材の8インチのセグメントを4つの片に切断し、20mLのヘッドスペースバイアルに入れ、水中10wt%エタノールをバイアルに添加し、それにより、すべてのセグメントは完全に浸漬される。次に、バイアルに蓋をして、70℃のオーブンに2時間入れ、得られた溶液をHPLAとUV検出(210nm)で分析して、抽出物の総量を決定する。
【0075】
生分解性酢酸セルロース(「BCA」)という用語は、1~2.8又は1.5~2.6のアセチル置換度を有する酢酸セルロースを指す。実施形態において、BCAは、溶媒としてNMPを使用するポリスチレン同等物を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定して、10,000~90,000の範囲の数平均分子量(Mn)を有する。実施形態において、BCAは、100~150未満の平均重合度を有する。BCAの分子量分布は、単一の分布であることができ、又は、分子量分布は、マルチモーダルであることができる。実施形態において、酢酸セルロース組成物は、20~70%のバイオ含有量、及び、場合により、再生プラスチック(リサイクルBCA)に由来する最大60%のアセチル含有量を含む。
【0076】
実施形態において、本明細書で利用される酢酸セルロースは、当該技術分野で知られており、生分解性である、いかなるものであってもよい。本明細書に開示される1つ以上の実施形態で使用することができる酢酸セルロースは、一般に、以下の構造の繰り返し単位を含む。
【化1】
(上式中、R
1、R
2及びR
3は、水素又はアセチルからなる基より独立して選ばれる)。セルロースエステルの場合、置換レベルは通常、置換度(DS)で表され、これは、無水グルコース単位(AGU)あたりの非OH置換基の平均数である。一般に、従来のセルロースは、置換可能な各AGU単位中の3個のヒドロキシル基を含む。したがって、DSの値は0~3であることができる。天然セルロースは、パルプ化及び精製後でも重合度が250~5,000の大きな多糖類であるため、最大DSが3.0であるという仮定はほぼ正しい。DSは統計的平均値であるため、値1は、すべてのAGUに単一の置換基があることを保証するものではない。幾つかの場合には、非置換の無水グルコース単位が存在することができ、2つ及び3つの置換基を持つものもあり、典型的に、値は非整数になる。総DSは、無水グルコース単位あたりのすべての置換基の平均数として定義される。AGUあたりの置換度は、例えばヒドロキシル又はアセチルなどの特定の置換基を指すこともできる。実施形態において、nは、25~250又は25~200又は25~150又は25~100又は25~75の範囲の整数である。
【0077】
1つの態様において、長尺管状部材は、1つ以上のセルロースエステルを含み、生分解性である(本明細書で論じられるいずれか又は実施形態による)。実施形態において、1つ以上のセルロースエステルは少なくとも酢酸セルロースを含む。酢酸セルロースは、約0.05~約2.95、約0.05~約1、約1~約2、約2~約2.95、約0.05~約0.5、約0.5~約1、約1~約1.5、約1.5~約2、約2~約2.5、約2.5~約2.95、約0.2~2.9、約1.0~約2.8、約1.8~約2.8、少なくとも約0.05、少なくとも約0.2、少なくとも約0.5、少なくとも約0.75、少なくとも約1、少なくとも約1.25、少なくとも約1.5、少なくとも約1.75、少なくとも約2、少なくとも約2.25、少なくとも約2.75、約0.5、約0.75未満、約1未満、約1.25未満、約1.5未満、約1.75未満、約2未満、約2.25未満、約2.75未満又は約2.95未満のアセチル置換度(DS Ac)を有することができる。実施形態において、他のセルロースエステル及びポリマーは、長尺管状部材には存在せず、長尺管状部材は、本質的に酢酸セルロースからなる。特定の実施形態において、1つ以上のセルロースエステルは、混合セルロースエステルを含み、混合セルロースエステルは、アセチル、プロピオニル、ブチリル、他の脂肪族アシル基又は芳香族アシル基から選ばれる少なくとも2つの部分を含む。
【0078】
特定の実施形態において、1つ以上のセルロースエステルは、0.05~2.95(又は上記の置換度のいずれか)のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含み、管状部材は、実質的に細孔を含まない中実物品組成物(例えば、物品を構成するポリマー組成物)の密度と比較した物品の密度によって決定して、少なくとも約10%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約50%、約30%~約70%、約30%~約60%、約30%~約50%、約40%~約70%、約40%~約60%、約40%~約50%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%又は少なくとも約80%の多孔度を有する壁を備える。
【0079】
他の実施形態において、1つ以上のセルロースエステルは、0.05~2.95(又は上記の置換度のいずれか)のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含み、管状部材は、5%以下、又は1.24g/cm3を超える密度を有する壁を含む。
【0080】
実施形態において、本明細書に記載の酢酸セルロース組成物から作製された物品は、生分解性及び/又は堆肥化可能な物品、例えば、ストロー又は攪拌機であり、ASTM D6400に従って産業用堆肥化可能物として認定される。実施形態において、生分解性及び/又は堆肥化可能な物品は環境的に非持続性である。
【0081】
1つの実施形態において、酢酸セルロース組成物の環境非持続性は、ISO 17566に従う土壌生分解によって認証される。土壌中の最終的な好気性生分解性の決定は、呼吸計での酸素需要又は発生する二酸化炭素の量を測定することによって行うことができる。実施形態において、酢酸セルロース組成物の環境非持続性は、ISO 14851に従って淡水生分解によって認証される。水性媒体中のプラスチック材料の最終的な好気性生分解性の決定は、閉鎖呼吸計で酸素需要を測定することによって行うことができる。
【0082】
1つの態様において、酢酸セルロース組成物の環境的非持続性は、海洋生分解によって示される。実施形態において、生分解レベルは、ASTM D6691によって測定され、これは規定微生物コンソーシアム又は天然海水接種物による海洋環境におけるプラスチック材料の好気性生物分解を決定するための標準試験方法であり、30日又は60日又は90日又は120日又は150日又は180日後に測定して50%又は60%又は70%又は80%又は90%又は100%である。
【0083】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載のように形成されたチューブはいかなる種類の添加剤も必要としないが、特定の実施形態において、組成物は、可撓性、外観(例えば、色及び滑らかさ)及び生分解量及び/又は速度などの特性を変化させることにより、使用のための適合性を改善する添加剤の添加により変化されうる。幾つかの実施形態において、そのような添加剤は、ドープ配合物に、又は、幾つかの場合に、さらには反転浴又はアニーリング工程に導入することができる。生分解性酢酸セルロースは、可塑剤(例えば、生分解性可塑剤)、フィラー、バイオポリマー、安定剤、臭気調整剤及び/又は他の添加剤を添加して、物品組成物に配合することができる。実施形態において、長尺管状部材は、長尺管状部材の強度、靭性、色、不透明度、透明度又は生分解性を変化させるのに十分な量の1つ以上の機能性添加剤を含む。実施形態において、1つ以上の機能性添加剤は、塩、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、安定剤又はそれらの組み合わせから選ばれる。
【0084】
生分解性可塑剤の幾つかの例としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ポリエチレングリコール、Benzoflex(商標)可塑剤シリーズなどのベンゾエート含有可塑剤、ポリ(コハク酸ブチル)などのポリ(コハク酸アルキル)、ポリエーテルスルホン、アジペートベースの可塑剤、Paraplex(商標)可塑剤シリーズなどの大豆油エポキシド、スクロースベースの可塑剤、セバシン酸ジブチル、トリブチリン、酢酸イソ酪酸スクロース、Resolflex(商標)シリーズの可塑剤、リン酸トリフェニル、グリコレート、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジイルビス(2-メチルプロパノエート)及びポリカプロラクトンが挙げられる。添加剤の例としては、ワックス、相溶化剤、生分解促進剤、染料、顔料、着色剤、光沢制御剤、潤滑剤、酸化防止剤、粘度調整剤、抗真菌剤、防曇剤、熱安定剤、耐衝撃性改良剤、抗細菌剤、軟化剤及びその組み合わせが挙げられる。同じタイプの化合物又は材料が、酢酸セルロース組成物中の成分の複数のカテゴリーの成分について識別されうるか、又は含まれうることに留意されたい。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)は、可塑剤として、親水性ポリマー又は生分解促進剤などの可塑剤として機能しない添加剤として機能することができ、例えば、低分子量のPEGは可塑化効果を有し、高分子量PEGは親水性ポリマーとして機能するが、可塑化効果はない。
【0085】
実施形態において、酢酸セルロース組成物は、少なくとも1つのBCAを含む生分解性CA成分と、1つ以上の他の生分解性ポリマー(BCA以外)を含む生分解性ポリマー成分とを含む。実施形態において、他の生分解性ポリマーは、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA及びPHB)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトンポリマー(PCL)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、コハク酸ポリエチレン(PES)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、セルロースエステル、デンプン、タンパク質、それらの誘導体及びそれらの組み合わせから選ばれることができる。実施形態において、酢酸セルロース組成物は、酢酸セルロース組成物に基づいて、0.1~50wt%未満、又は1~40wt%、又は1~30wt%、又は1~25wt%、又は1~20wt%の量の生分解性ポリマー(BCA以外)を含む。特定の実施形態において、1つ以上の生分解性ポリマーは、デンプン、PLA、PHA又はそれらの組み合わせから選ばれる。実施形態において、管状部材は、約1.8~約2.8のアセチル置換度(DS Ac)、及び、0~約2wt%、又は0~約1wt%の他の任意のポリマーを有する酢酸セルロースを含む。実施形態において、管状部材は、酢酸セルロース以外のポリマーを実質的に含まないか又は含まない。
【0086】
特定の実施形態において、酢酸セルロース組成物は少なくとも1つの安定剤を含む。酢酸セルロース組成物が堆肥化可能及び/又は生分解性であることが望ましいが、例えば、光暴露、酸化安定性又は加水分解安定性に対して、選択された貯蔵寿命又は安定性を提供するために、特定量の安定剤を添加することができる。様々な実施形態において、安定剤としては、UV吸収剤、酸化防止剤(アスコルビン酸、BHT、BHAなど)、他の酸及びラジカルスカベンジャー、エポキシ化油、例えば、エポキシ化大豆油、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0087】
実施形態において、酢酸セルロース組成物は、少なくとも1つのフィラーを含む。実施形態において、フィラーは、生分解性及び/又は堆肥化性を向上させるタイプのものであり、生分解性及び/又は堆肥化性を向上させる量で存在する。実施形態において、酢酸セルロース組成物は、炭水化物(糖及び塩)、セルロース及び有機フィラー(木粉、木質繊維、麻、炭素、石炭粒子、グラファイト及びデンプン)、鉱物及び無機フィラー(炭酸カルシウム、タルク、シリカ、二酸化チタン、ガラス繊維、ガラス球、ホウ素窒化物、アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アルミナ及び粘土)、食品廃棄物(卵殻、蒸留穀物及びコーヒーかす)、乾燥剤(例えば、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム)、アルカリ性フィラー(例、Na2CO3、MgCO3)から選ばれる少なくとも1つのフィラー又はこれらのフィラーの組み合わせ(例えば、混合物)を含む。実施形態において、酢酸セルロース組成物は、着色添加剤としても機能する少なくとも1つのフィラーを含むことができる。実施形態において、着色添加剤フィラーは、炭素、グラファイト、二酸化チタン、乳白剤、染料、顔料、トナー及びそれらの組み合わせから選ばれることができる。実施形態において、酢酸セルロース組成物は、安定剤又は難燃剤としても機能する少なくとも1つのフィラーを含むことができる。
【0088】
実施形態において、用途、例えば、使い捨て食品接触用途に応じて、酢酸セルロース組成物は、少なくとも1つの臭気変性添加剤を含むことができる。実施形態において、酢酸セルロース組成物に使用される用途及び成分に応じて、適切な臭気変性添加剤は、バニリン、ペニーロイヤルM-1178、アーモンド、シナミル、香辛料、香辛料抽出物、揮発性有機化合物又は小分子及びプラスチドールから選ばれることができる。1つの実施形態において、臭気変性添加剤はバニリンであることができる。酢酸セルロース組成物は、組成物の総質量に基づいて、0.01~1wt%の量の臭気変性添加剤を含むことができる。臭気変性添加剤の機構としては、マスキング、捕捉、補完又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0089】
上記のように、酢酸セルロース組成物は他の添加剤を含むことができる。実施形態において、酢酸セルロース組成物は少なくとも1つの相容化剤を含むことができる。実施形態において、相容化剤は、非反応性相容化剤又は反応性相容化剤のいずれかであることができる。相容化剤は、酢酸セルロース又は別の成分が所望の小さな粒子サイズに到達する能力を高めて、組成物中の選択された成分の分散を改善することができる。そのような実施形態において、所望の配合に応じて、生分解性酢酸セルロースは、分散体の連続相又は不連続相のいずれかにあることができる。実施形態において、使用される相容化剤は、生分解性酢酸セルロースと別の成分、例えば他の生分解性ポリマーとの間の界面相互作用/結合を変性することによって、組成物の機械的及び/又は物理的特性を改善することができる。
【0090】
実施形態において、長尺管状部材は、合計0~約2wt%、又は0~約1wt%の可塑剤又は他の添加剤(例えば、加工助剤添加剤)を含む。幾つかの実施形態において、長尺管状部材は、可塑剤又は他の添加剤(例えば、加工助剤添加剤)を実質的に含まないか、又は含まない。言い換えれば、可塑剤及び/又は他の添加剤は、長尺管状部材に存在しなくてもよい。
【0091】
実施形態において、所望ならば、酢酸セルロース組成物は、生分解剤及び/又は分解剤を含むことができ、例えば、加水分解助剤又は任意の意図的分解促進剤添加剤を酢酸セルロース組成物に添加し又は含有することができ、BCAの製造中又はBCAの製造後のいずれかで添加し、BCAと一緒に溶融又は溶媒ブレンドしてセルロースアセテート組成物を製造する。実施形態において、添加剤は、酸性又は塩基性残基を解放することによって加水分解を促進し、及び/又は光(紫外線)又は酸化分解を加速し、及び/又は選択的微生物コロニーの成長を促進して、堆肥及び土壌培地における崩壊及び生分解を助けることができる。分解を促進することに加えて、これらの添加剤は、物品の加工性を改善する、又は所望の機械的特性を改善するなどの追加の機能を有することができる。
【0092】
可能な分解剤の例の1つのセットとしては、無機炭酸塩、合成炭酸塩、霞石閃長岩、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、珪藻土、天然又は合成シリカ、焼成粘土などが挙げられる。実施形態において、これらの添加剤が酢酸セルロース組成物マトリックス中に十分に分散されていることが望ましいことがある。添加剤は、単独で使用することも、又は、2つ以上の組み合わせで使用することもできる。
【0093】
可能な分解剤の別の例のセットは、ベンゾフェノン、アントラキノン、アントロン、アセチルベンゾフェノン、4-オクチルベンゾフェノンなどを含む、酸化分解剤として使用される芳香族ケトンである。これらの芳香族ケトンは、単独で使用することも、又は、2つ以上の組み合わせで使用することもできる。
【0094】
他の例としては、酸化分解剤として使用される遷移金属化合物が挙げられ、例えば、コバルト又はマグネシウムの塩、例えば、コバルト又はマグネシウムの脂肪族カルボン酸(C12~C20)塩、又はステアリン酸コバルト、オレイン酸コバルト、ステアリン酸マグネシウム及びオレイン酸マグネシウム、又はアナターゼ型二酸化チタン、又は二酸化チタンを使用することができる。ルチルとアナターゼの両方の結晶構造が同じ粒子に存在する混合相二酸化チタン粒子を使用することができる。光活性剤の粒子は、BET表面積法によって測定して、比較的高い表面積、例えば、約10~約300平方メートル/g、又は20~200平方メートル/gを有することができる。所望ならば、光活性剤を可塑剤に加えることができる。これらの遷移金属化合物は、単独で使用することも、又は、2つ以上の組み合わせで使用することもできる。
【0095】
酸化分解剤として使用できる希土類化合物の例としては、周期律表第3A族に属する希土類及びその酸化物が挙げられる。その具体例としては、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)、希土類酸化物、水酸化物、希土類硫酸塩、希土類硝酸塩、希土類酢酸塩、希土類塩化物、希土類カルボン酸塩などが挙げられる。そのより具体的な例としては、酸化セリウム、硫酸セリウム、硫酸セリウムアンモニウム、硝酸セリウムアンモニウム、酢酸セリウム、硝酸ランタン、塩化セリウム、硝酸セリウム、水酸化セリウム、オクチル酸セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化スカンジウムなどが挙げられる。これらの希土類化合物は、単独で使用することも、又は、2つ以上の組み合わせで使用することもできる。
【0096】
1つの実施形態において、BCA組成物は、コバルト、マンガン及び鉄などの遷移金属を含む遷移金属塩又は化学触媒を含む、生分解性を向上させるための分解促進機能を有する添加剤を含む。遷移金属塩は、酒石酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、クエン酸塩及び塩化物を含むことができる。添加剤は、フリーラジカル捕捉系、及び、チョーク、タルク、シリカ、デンプン、綿、再生段ボール及び植物物質などの1つ以上の無機又は有機フィラーをさらに含むことができる。添加剤はまた、酵素、細菌培養物、膨潤剤、CMC、糖類又は他のエネルギー源を含むことができる。添加剤はまた、ヒドロキシルアミンエステル及びチオ化合物を含むことができる。
【0097】
特定の実施形態において、他の可能な生分解及び/又は分解剤は、膨潤剤及び崩壊剤を含むことができる。膨潤剤は、水を吸収した後に体積が増加し、周囲のマトリックスに圧力を加える親水性材料であることができる。崩壊剤は、水性環境でマトリックスのより小さな断片への分解を促進する添加剤であることができる。例としては、架橋又は変性されたポリマー及び膨潤性ヒドロゲルなどの無機物及びポリマーが挙げられる。実施形態において、BCA組成物は、水膨潤性無機物又は粘土、ならびにラポナイト及びベントナイトなどのそれらの塩、ポリ(アクリル酸)及び塩、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(エチレングリコール)及びポリ(ビニルアルコール)などの親水性ポリマー、デンプン、アルギン酸塩、ペクチン、キトサン、オオバコ、キサンタンガムなどの多糖類及びガム、グアーガム、ローカストビーンガム、架橋PVP、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、糊化デンプン、クロスカルメロースナトリウムなどの変性ポリマー又はこれらの添加剤の組み合わせを含むことができる。
【0098】
実施形態において、BCA組成物は、組成物又は組成物から作製された(又は組成物を含む)物品の分解又は崩壊を増加させることができる塩基性添加剤を含むことができる。酸化分解剤として使用できる塩基性添加剤の例としては、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、ZnΟ及び塩基性Al2O3が挙げられる。実施形態において、少なくとも1つの塩基性添加剤は、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、NaHCO3、Na2CO3、K2CO3、ZnO、KHCO3又は塩基性Al2O3であることができる。1つの態様において、アルカリ土類金属酸化物、ZnΟ及び塩基性Al203を塩基性添加剤として使用することができる。実施形態において、異なる塩基性添加剤の組み合わせ、又は塩基性添加剤と他の添加剤との組み合わせを使用することができる。実施形態において、塩基性添加剤は、1wt%の水の混合物/溶液で測定して、7.0超~10.0又は7.1~9.5又は7.1~9.0又は7.1~8.5又は7.1~8.0の範囲のpHを有する。
【0099】
酸化分解剤として使用できる有機酸添加剤の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、安息香酸、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸、マレイン酸塩、フタル酸、フタル酸塩、安息香酸塩及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】
他の親水性ポリマー又は生分解促進剤の例としては、グリコール、ポリグリコール、ポリエーテル及びポリアルコール、又は、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリジオキサン、ポリオキサレート、ポリ(α-エステル)、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリアセタール、ポリカプロラクトン、ポリ(オルトエステル)、ポリアミノ酸、ポリ(ブチレン)コハク酸塩、ポリ(エチレン)コハク酸塩などの脂肪族ポリエステル、デンプン、再生セルロース、又は、PBATなどの脂肪族芳香族ポリエステルなどの他の生分解性ポリマーを挙げることができる。
【0101】
実施形態において、着色剤の例としては、カーボンブラック、赤色又は青色酸化鉄などの酸化鉄、二酸化チタン、二酸化ケイ素、カドミウム赤、炭酸カルシウム、カオリンクレー、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、及び、アゾ及びジアゾ及びトリアゾ顔料、縮合アゾ、アゾレーキ、ナフトール顔料、アントラピリミジン、ベンズイミダゾロン、カルバゾール、ジケトピロロピロール、フラバントロン、インジゴイド顔料、イソインドリノン、イソインドリン、イソビオラントロン、金属錯体顔料、オキサジン、ペリレン、ペリノン、ピラントロン、ピラゾロキナゾロン、キノフタロン、トリアリールカルボニウム顔料、トリフェンジオキサジン、キサンテン、チオインジゴ、インダントロン、イソインダントロン、アンサントロン、アントラキノン、イソジベンズアントロン、トリフェンジオキサジン、キナクリドン及びフタロシアニンシリーズ、特に銅フタロシアン及びその核ハロゲン化誘導体染料、及び、酸、塩基及び媒染染料のレーキ、及び、イソインドリノン顔料などの有機顔料、ならびに、植物(plant)染料及び植物(vegetable)染料、及び、その他の利用可能な着色剤又は染料を挙げることができる。
【0102】
実施形態において、光沢を調整するための光沢制御剤及びフィラーとしては、シリカ、タルク、粘土、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。
【0103】
適切な難燃剤としては、シリカ、金属酸化物、リン酸塩、カテコールリン酸塩、レゾルシノールリン酸塩、ホウ酸塩、無機水和物及び芳香族ポリハロゲン化物を挙げることができる。
【0104】
抗真菌剤及び/又は抗細菌剤としては、ポリエン抗真菌剤(例えば、ナタマイシン、リモシジン、フィリピン、ナイスタチン、アンホテリシンB、カンジシン及びハマイシン)、ミコナゾール(WellSpring Pharmaceutical CorporationからMICATIN(登録商標)として入手可能)、ケトコナゾール(McNeil consumer HealthcareからNIZORAL(登録商標)として市販入手可能)、クロトリマゾール(Merckから入手可能なLOTRAMIN(登録商標)及びLOTRAMIN AF(登録商標)及びBayerから入手可能なCANESTEN(登録商標)として市販入手可能)、エコナゾール、オモコナゾール、ビフォナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール(OrthoDematologicsからERTACZO(登録商標)として市販入手可能)、スルコナゾール及びチオコナゾールなどのイミダゾール抗真菌剤、フルコナゾール、イトラコナゾール、イザブコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、テルコナゾール及びアルバコナゾールなどのトリアゾール系抗真菌剤、チアゾール系抗真菌剤(例えば、アバファンギン)、アリルアミン系抗真菌剤(例えば、テルビナフィン(Novartis Consumer Health, Inc.からLAMISIL(登録商標)として市販入手可能)、ナフチフィン(Merz Pharmaceuticalsから入手可能なNAFTIN(登録商標)として市販入手可能)、及びブテナフィン(MerckからLOTRAMIN ULTRA(登録商標)として市販入手可能)、エキノカンジン抗真菌剤(例えば、アニデュラファンギン、カスポファンギン及びミカファンギン)、ポリゴジアル、安息香酸、シクロピロックス、トルナフテート(例えば、MDS Consumer Care, Inc.からTINACTIN(登録商標)として市販入手可能)、ウンデシレン酸、フルシトシン、5-フルオロシトシン、グリセオフルビン、ハロプロギン、カプリル酸及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0105】
実施形態において、所望ならば、香料を加えることができる。香料の例としては、スパイス、スパイス抽出物、ハーブ抽出物、エッセンシャルオイル、嗅塩、揮発性有機化合物、揮発性小分子、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、酢酸エチル、酪酸エチル、酢酸イソアミル、酪酸ペンチル、吉草酸ペンチル、酢酸オクチル、ミルセン、ゲラニオール、ネロール、シトラール、シトロネラル、シトロネロール、リナロール、ネロリドール、リモネン、カンファー、テルピネオール、アルファイオノン、ツジョン、ベンズアルデヒド、オイゲノール、イソオイゲノール、シンナムアルデヒド、エチルマルトール、バニラ、バニリン、シンナミルアルコール、アニソール、アネトール、エストラゴール、チモール、フラネオール、メタノール、ローズマリー、ラベンダー、柑橘類、フリージア、アプリコットブラッサム、グリーン、ピーチ、ジャスミン、ローズウッド、パイン、タイム、オークモス、ムスク、ベティバー、ミルラ、ブラックカラント、ベルガモット、グレープフルーツ、アカシア、パッシフローラ、サンダルウッド、トンカ豆、マンダリン、ネロリ、バイオレットリーフ、クチナシ、レッドフルーツ、イランイラン、アカシアファルネシアナ、ミモザ、トンカ豆、ウッズ、アンバーグリス、ラッパスイセン、ヒヤシンス、ナルキッソス、黒カラント芽、アイリス、ラスプベリー、リリーオブザバレー、サンダルウッド、ベティバー、シダーウッド、ネロリ、ストロベリー、カーネーション、オレガノ、ハチミツ、シベット、ヘリオトロープ、キャラメル、クマリン、パッチーリ、デューベリー、ヘロニアル、コリアンダー、ピメントベリー、ラブダナム、キャシー、アルデヒド、オーキッド、琥珀、オリス、ツベローズ、パルマロサ、シナモン、ナツメグ、モス、スタイラックス、パイナップル、キツネノテブクロ、チューリップ、フジ、クレマチス、アンバーグリス、ガム、樹脂、シベット、プラム、海狸香、シベット、ミルラ、ゼラニウム、ローズバイオレット、ジョンキル、スパイシーカーネーション、ガルバナム、プチグレイン、アイリス、ハニーサックル、ペッパー、ラズベリー、ベンゾイン、マンゴー、ココナッツ、ヘスペライド、海狸香、オスマンサス、ムースデシェン、ネクタリン、ミント、アニス、シナモン、オリス、アプリコット、プルメリア、マリーゴールド、ローズオットー、ナルキッソス、トルバルサム、フランキンセンス、アンバー、オレンジブロッサム、バーボンベティバー、オポパナックス、ホワイトムスク、パパイヤ、シュガーキャンディー、ジャックフルーツ、ハニーデュー、ロータスブロッサム、ムゲ、マルベリー、アブサン、ジンジャー、ジュニパーベリー、スパイスブッシュ、牡丹、バイオレット、レモン、ライム、ハイビスカス、ホワイトラム、バジル、ラベンダー、バルサミクス、フォティティエン、モクセイ属、カロカルンデ、ホワイトオーキッド、カラユリ、ホワイトローズ、ルブルムユリ、タゲテス、アンバーグリス、ツタ、グラス、セリンガ、スピアミント、クラリーセージ、コットンウッド、ブドウ、ブリンベル、蓮、シクラメン、オーキッド、グリシン、ティアレフラワー、ジンジャーリリー、グリーンオスマンサス、パッションフラワー、ブルーローズ、ベイラム、キャシー、アフリカンタゲテス、アナトリアローズ、オーヴェルニュナルシサス、ブリティッシュブルーム、ブリティッシュブルームチョコレート、ブルガリアローズ、チャイニーズパッチーリ、チャイニーズガーデニア、カラブリアマンダリン、コモロスアイランドチューブローズ、セイロンセカルダモン、カリブ海パッションフルーツ、ダマスケナローズ、ジョージアピーチ、ホワイトマドンナリリー、エジプトジャスミン、エジプトマリーゴールド、エチオピアシベット、ファルネシアキャシー、フィレンツェアイリス、フレンチジャスミン、フレンチジョンキル、フレンチヒヤシンス、ギニアオレンジ、ガイアナワカプア、グラスプチグレイン、グラスローズ、グラスチューブローズ、ハイチベティバー、ハワイアンパイナップル、イスラエルバジル、インディアンサンダルウッド、インディアンオーシャンバニラ、イタリアンベルガモット、イタリアンアイリス、ジャマイカペッパー、メイローズ、マダガスカルイランイラン、マダガスカルバニラ、モロッコジャスミン、モロッコローズ、モロッコオークモス、モロッコオレンジブロッサム、マイソールサンダルウッド、オリエンタルローズ、ロシアレザー、ロシアコリアンダー、シチリアマンダリン、南アフリカマリーゴールド、南アメリカトンカ豆、シンガポールパチョリ、スペインオレンジブロッサム、シチリアライム、レユニオンアイランドベティバー、ターキッシュローズ、タイベンゾイン、チュニジアオレンジブロッサム、ユーゴスラビアオークモス、バージニアシダーウッド、ユタヤロウ、ウェストインディアンローズウッドなど及びそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
【0106】
実施形態において、リサイクルBCAは生分解性であり、再生可能な供給源、例えば、木材又は綿のリンターからのセルロースに由来する含有物、及びリサイクルされた材料供給源、例えば、再生プラスチックに由来する含有物を含む。したがって、実施形態において、生分解性であり、再生可能及びリサイクルされた含有物の両方を含む、すなわち、再生可能及びリサイクルされた供給源から作られた処理可能な材料が提供される。
【0107】
実施形態において、BCA含有物品は、生分解性でありそしてある程度の分解性を有することができる。分解の程度は、特定の環境条件への特定の期間の暴露におけるサンプルの重量損失によって特性化されることができる。
【0108】
「堆肥化可能」と考えられるためには、材料は次の4つの基準を満たさなければならない。(1)ISO 14855-1(2012)による高温(58℃)での制御された堆肥化条件下での試験で、材料は生分解要件に合格すべきであり、それは絶対90%生分解又は対照ポリマーの相対90%に対応する。(2)ISO16929(2013)による好気性堆肥化条件下で試験された材料は、90%崩壊に達しなければならない。(3)試験材料は、ASTM D6400(2012)、EN 13432(2000)及びISO 17088(2012)で規定される、揮発性固体、重金属及びフッ素に関するすべての要件を満たさなければならない。そして(4)材料が植物の成長に悪影響を与えるべきでない。本明細書で使用されるときに、「生分解性」という用語は、一般に、有機分子の生物学的変換及び消費を指す。生分解性は材料自体の固有の特性であり、材料は、さらされる特定の条件に応じて、様々な程度の生分解性を示すことができる。「崩壊可能」という用語は、特定の条件にさらされたときに、材料が物理的に小さな断片に分解する傾向を指す。崩壊は、材料自体だけでなく、試験される物品の物理的なサイズ及び構成の両方に依存する。生態毒性は、植物の生命に対する材料の影響を測定し、材料の重金属含有量は、標準的な試験方法に定められた手順に従って決定される。
【0109】
図6は、1つの実施形態による、生分解性長尺管状部材を製造するための方法又はプロセス600の流れ図である。方法600の様々な実施形態を使用して、本明細書に開示される生分解性製品のいずれかを製造することができる。方法600はまた、上記の長尺管状部材を形成するために使用される材料の任意の態様又は特性を含むことができる。方法600は、「セルロース系ドープ組成物を提供すること」と記載する動作605を含むことができる。動作605の後には、「セルロース系ドープ組成物を加工して管状形状を形成すること」と記載する動作610が続くことができる。動作610の後に、「物品を非溶媒浴に浸漬すること」と記載する動作615が続くことができる。
【0110】
方法600の動作605、610及び630は例示の目的のためである。例えば、方法600の605、610及び630は、様々な順序で行い、複数の動作に分割し、変更し、補足し、又は、組み合わせることができる。1つの例において、方法600の605、610及び630のうちの1つ以上は方法600から省略されうる。
【0111】
動作605は、「セルロース系ドープ組成物を提供すること」を記載する。幾つかの実施形態において、動作605は、1つ以上の溶媒に溶解された生分解性セルロース成分を含むセルロース系ドープ組成物を提供することを含み、生分解性セルロース成分は1つ以上のセルロースエステルを含む。1つ以上のセルロースエステルは、生分解性酢酸セルロースを含む。方法600の幾つかの実施形態において、生分解性酢酸セルロースは、約0.05~約2.95のアセチル置換度を有し、実質的に固体のチューブは、少なくとも複数の細孔の部分及び少なくとも10%の多孔度を有する壁を含む。方法600の幾つかの実施形態において、生分解性酢酸セルロースは、約0.05~約2.95のアセチル置換度を有し、実質的に固体のチューブは、少なくとも複数の細孔の部分及び約5%未満の多孔度及び少なくとも約1.24g/cm3の密度を有する壁を含む。方法600の幾つかの実施形態において、酢酸セルロースは、約0.2~約2.9、約1.0~約2.8、又は約1.8~約2.8のDS Acを有する。方法600の幾つかの実施形態において、1つ以上のセルロースエステルは、アセチル、プロピオニル、ブチリル、他の脂肪族アシル基及び芳香族アシル基からなる群より選ばれる少なくとも2つの部分を含む混合セルロースエステルを含む。
【0112】
方法600の幾つかの実施形態において、1つ以上の溶媒は、アセトン、NMP、THF、別の水混和性溶媒のうちの少なくとも1つ又はそれらの組み合わせを含む。方法600の幾つかの実施形態において、セルロース系ドープ組成物は、セルロース系ドープ組成物の総質量に基づいて、約5質量%~約40質量%の固形分を有する。方法600の幾つかの実施形態において、セルロース系ドープ組成物は、セルロース系ドープ組成物の総質量に基づいて、約25質量%~約35質量%の固形分を有する。幾つかの実施形態において、方法600は、セルロース系ドープ組成物を約60℃~約80℃に加熱することをさらに含む。
【0113】
動作610は、「セルロース系ドープ組成物を加工して管状形状を形成する」ことを記載している。幾つかの実施形態において、動作610は、管状形状を形成するように構成された少なくとも1つのオリフィスを通してセルロース系ドープ組成物をデリバリー及び計量することを含む。
【0114】
幾つかの実施形態において、方法600は、実質的に固体のチューブを処理して、前記生分解性長尺管状部材を提供することをさらに含む。生分解性長尺管状部材は、ASTM D5338に記載されている産業上堆肥化条件下で生分解性であることができ、又はASTM D6400、EN 1432又はISO 17088に記載されているように産業上堆肥化可能である。
【0115】
幾つかの実施形態において、方法600に従って形成されたセルロース系ドープ組成物及び実質的に固体のチューブは可塑剤を含まない。幾つかの実施形態において、方法600に従って形成されたセルロース系ドープ組成物及び実質的に固体のチューブは、添加剤を含まない。幾つかの実施形態において、方法600に従って形成されたセルロース系ドープ組成物及び実質的に固体のチューブは、1つ以上のセルロースエステル以外のポリマーを含まない。幾つかの実施形態において、方法600に従って形成された実質的に固体のチューブは、10wt%のメタノール中に約10mg/dm2以下の総抽出可能物量を含む。
【0116】
幾つかの実施形態において、方法600は、長尺管状部材が飲料用ストローとしてサイズ決定及び寸法決定されるように、実質的に固体のチューブを切断することをさらに含む。飲料用ストローは、約76nm~約508nm又は約102nm~約381nmの壁厚を有する壁を含むことができる。飲料用ストローは、外直径が約1mm~約20mm、長さが約50mm~約500mmであることができる。方法600の幾つかの実施形態において、実質的に固体のチューブは、攪拌ストロー、包装用途又は農業もしくは園芸用途として構成される。
【0117】
方法600の幾つかの実施形態において、実質的に固体のチューブは、実質的に固体のチューブにおいて半径方向内側に面する内側部分と、実質的に固体のチューブから半径方向外側に面する外側部分とを有する壁を含む。壁の外側部分は、壁の内側部分の密度よりも高い密度を有することができる。方法600の幾つかの実施形態において、壁は、少なくとも複数の細孔の部分を含み、約0.6~約1.3g/cm3の全体としての密度を有する。
【0118】
幾つかの実施形態において、方法600は、実質的に固体のチューブを、長尺管状部材中に約1%~約10%の生分解性セルロース成分を結晶化するのに有効な、約10秒~約20秒の間、約120℃~約150℃の熱処理にかけることをさらに含む。方法600のこれら及び他の実施形態において、1つ以上のセルロースエステルは、約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含むことができ、長尺管状部材は、少なくとも複数の細孔の部分を含み、少なくとも約10%の多孔度及び約0.6g/cm3~約1.3g/cm3の全体としての密度を有する壁を含むことができ、長尺管状部材は添加剤及び可塑剤を含まなくてもよく、長尺管状部材は、10wt%のメタノール中に約10mg/dm2以下の総抽出可能物量を含むことができる。
【0119】
生分解性物品について本明細書に開示される実施形態は、本明細書に開示される物理的及び化学的特性の1つ以上、2つ以上又は任意の組み合わせを示しうることに留意されたい。例えば、生分解性物品は、本明細書に開示されるDS Ac範囲、多孔度範囲、密度範囲、抽出可能範囲、結晶化度範囲又は堆肥化可能性の1つ以上、2つ以上又は任意の組み合わせを示しうる。
【0120】
以下の実施例は、CDAストローを形成するための配合物及び方法を示す。
【実施例】
【0121】
例
例1:連続チューブから目標長さに切断されたCDAストローの形成
いかなる添加剤も含まない、アセトン中のDSが2.45の23wt%の二酢酸セルロース(CDA)のドープ溶液を次のように調製した。5ガロンの単一ブレード混合容器にアセトンを入れ、次いで、2500rpmの撹拌下にCDAを徐々に加えた。溶解プロセスを補助するために、容器を温水で覆い、70℃に加熱した。閉じ込められた空気をドープから逃がすことができるように、容器を低圧に保った。23wt%の溶液が達成されるまで、BDAの添加を続けた。
【0122】
転相された(PI)チューブは、
図2及び3に示されるように、転相/沈殿紡糸プロセスによって製造された。脱気したドープをドープ容器100に注いだ。ドープ容器は出口に10ミクロンのフィルタを備えた。計量ポンプ104、106はB9000シリーズゼニスであった。ポンプドライブはTEFCモータによって1.0HPであった。ドープポンプの出口圧力は80psi(add metric)であった。ボア流体に脱イオン水のみを使用した。
【0123】
連続チューブを製造するために、ポリマードープ溶液を紡糸口金においてマンドレルの周りでオリフィスを通してポンプで送った。
図3に見られるように、ボア液体として使用されたDI水を、紡糸口金においてマンドレルの中央を通ってポンプ送りした。チューブの断面寸法、内直径、外直径及び壁厚は、マンドレルとマンドレルが中央にあるダイプレートの幾何形状によって部分的に決定された。
【0124】
ダイの出口を、1インチの空気ギャップで、水浴の上方に配置した。ドープをダイから出すと、アセトンが蒸発して薄いスキンを形成した。このスキンは、ドープが水浴に入るときに溶媒交換に大きな影響を与え、チューブ壁のモルホロジーに影響を与えたと考えられる。
【0125】
方法は周囲温度で実行した。アセトンドープが水浴に入ると、アセトンが水と交換されるにつれてCDAは沈殿し始めた。当初、ドープ流は透明であったが、CDAが沈殿するにつれて目に見えるようになった。
【0126】
形成されたチューブは、外直径が5.1mm、内直径が4.9mm、壁厚が0.11mmであった。チューブを8インチの長さのストローに切断し、それぞれの重さは約0.35グラムであった。密度勾配溶液で測定した密度は、約0.97g/cm3であった。
【0127】
ストローをフラスコ内で水中に入れると、それは1日間浮かび、ストローのごく一部のみがメニスカスの上方にあった。約1日後に、ストローは最初に浮力が中立になり、次にフラスコの底にゆっくりと沈んだ。浸漬したストローの密度が水の密度とほぼ同じになるまで、水はミクロポアに浸透し、ポリマー自体も水を吸収したと考えられている。また、ストローは味がなく、臭いがなく、心地よい滑らかな感触であり、摩擦係数が低いことが観察された。
【0128】
ストローの多孔性又はモルホロジーを、電子顕微鏡を使用して調べた。ストローを断面化し、クライオミクロトームを使用して-40℃で研磨し、SEMを使用して画像化した。SEM画像は、
図4A及び4Bに示されている。
図4Bは、
図4Aより約10倍に拡大されている。
図4A及び4Bのレビューは、ストローが壁の断面全体に、直径約500nmまでのサイズの範囲の細孔を有していたことを示している。
【0129】
例2.ストローの生分解分析
例1に従って製造されたストローの生分解を、家庭用堆肥化を使用して評価した。37ガロンのインビー(Yimby)堆肥タンブラーは、
図5に示すように、成熟した堆肥及び食品の混合物で満たした。成熟した堆肥は供給者から購入し、4:1の比率(堆肥/食品)で食品(地元の食料品店から購入)と組み合わせた。堆肥をよく混ぜ、2つのストローを加えた。タンブラーを屋外に置き、周囲温度は80°Fから25°Fまで変化した。これらの条件下で、ストローは24週間後に完全に消失することが観察された。
【0130】
本明細書で使用されるときに、「約」又は「実質的に」という用語は、「約」によって修飾された用語の許容可能な変動を指し、±10%又は±5%である。さらに、「より小さい」、「以下」、「より大きい」、「を超える」又は「以上」という用語は、「より小さい」、「以下」、「より大きい」、「を超える」又は「以上」という用語によって修飾される値を端点として含む。
【0131】
様々な態様及び実施形態が本明細書に開示されているが、他の態様及び実施形態は考えられる。本明細書に開示される様々な態様及び実施形態は例示を目的とするものであり、限定することを意図するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0131
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0131】
様々な態様及び実施形態が本明細書に開示されているが、他の態様及び実施形態は考えられる。本明細書に開示される様々な態様及び実施形態は例示を目的とするものであり、限定することを意図するものではない。
(態様)
(態様1)
1つ以上のセルロースエステルを含む長尺管状部材と、前記長尺管状部材内の複数の細孔とを含む、生分解性物品であって、
前記複数の細孔は、前記複数の細孔の少なくとも一部への水又は細菌のうちの少なくとも1つの透過又は浸透を可能にし、前記長尺管状部材の生分解性を促進するように前記長尺管状部材内でサイズ決め及び構造化されている、生分解性物品。
(態様2)
前記複数の細孔は、ASTM D5338に記載された産業上堆肥化条件下での長尺管状部材の生分解性又はASTM D6400、EN 13432又はISO 17088のうちの少なくとも1つに記載されているとおりの長尺管状部材の堆肥化可能性のうちの少なくとも1つを促進するように前記長尺管状部材内でサイズ決め及び構造化されている、態様1記載の生分解性物品。
(態様3)
前記複数の細孔は、周囲温度で実施されるEN 13432生分解試験の下で前記長尺管状部材の生分解性を促進するように前記長尺管状部材内でサイズ決め及び構造化されている、態様1記載の生分解性物品。
(態様4)
前記複数の細孔は、NF T T51-800の家庭用堆肥化に適したプラスチック仕様に記載されるように、前記長尺管状部材の家庭用堆肥化を促進するように、前記長尺管状部材内でサイズ決め及び構造化されている、態様1記載の生分解性物品。
(態様5)
前記1つ以上のセルロースエステルは、約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含み、前記長尺管状部材は、少なくとも複数の細孔の部分及び少なくとも10%の多孔度を有する壁を含む、態様1~4のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様6)
前記1つ以上のセルロースエステルは、約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含み、前記長尺管状部材は、少なくとも複数の細孔の部分を有し、約5%未満の多孔度を有し、少なくとも約1.24g/cm
3
の密度を有する壁を含む、態様1~4のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様7)
前記酢酸セルロースは約0.2~約2.9のDS Acを有する、態様1~6のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様8)
前記酢酸セルロースは約1.0~約2.8のDS Acを有する、態様1~7のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様9)
前記酢酸セルロースは約1.8~約2.8のDS Acを有する、態様1~7のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様10)
前記1つ以上のセルロースエステルは、アセチル、プロピオニル、ブチリル、他の脂肪族アシル基及び芳香族アシル基からなる群より選ばれる少なくとも2つの部分を含む混合セルロースエステルを含む、態様1~9のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様11)
前記長尺管状部材は、前記酢酸セルロース以外の1つ以上の生分解性ポリマーをさらに含む、態様1~10のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様12)
前記1つ以上の生分解性ポリマーは、デンプン、PLA、PHA又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、態様11記載の生分解性物品。
(態様13)
前記長尺管状部材中に0wt%~約2wt%の1つ以上の追加のポリマーをさらに含み、前記長尺管状部材は、約1.8~約2.8のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含む、態様11記載の生分解性物品。
(態様14)
前記長尺管状部材は、前記1つ以上のセルロースエステル以外のポリマーを含まない、態様1~10のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様15)
前記長尺管状部材は、0wt%~約2wt%の1つ以上の可塑剤を含む、態様1~14のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様16)
前記長尺管状部材は可塑剤を含まない、態様15記載の生分解性物品。
(態様17)
前記長尺管状部材は0wt%~約2wt%の添加剤を含む、態様1~16のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様18)
前記長尺管状部材はいかなる添加剤も含まない、態様15記載の生分解性物品。
(態様19)
前記長尺管状部材は、10wt%のメタノール中に約10mg/dm
2
以下の総抽出可能物量を含む、態様1~18のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様20)
前記長尺管状部材が飲料用ストローとして構成されている、態様1~19のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様21)
前記長尺管状部材は、約76nm~約508nmの範囲の壁厚を有する壁を含む、態様20記載の生分解性物品。
(態様22)
前記壁厚は約102nm~約381nmである、態様21記載の生分解性物品。
(態様23)
前記長尺管状部材は、約1mm~約20mmの範囲の外直径及び約50mm~約500mmの長さを有する、態様20~22のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様24)
前記長尺管状部材は、攪拌ストロー、包装用途又は農業もしくは園芸用途として構成されている、態様1~19のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様25)
前記長尺管状部材は前記長尺管状部材の半径方向内側に面する内側部分と、前記長尺管状部材から半径方向外側に面する外側部分とを有する壁を含み、前記外側部分は前記内側部分の密度よりも高い密度を有する、態様1~24のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様26)
前記長尺管状部材は、少なくとも複数の細孔の部分を含み、全体としての密度が約0.6~約1.3g/cm
3
である壁を含む、態様1~5及び7~25のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様27)
前記複数の細孔は、ASTM 6200に記載の条件で産業上堆肥化環境において24週間以内に前記長尺管状部材が生分解するように、前記長尺管状部材内でサイズ決定及び構造化されている、態様1~26のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様28)
前記複数の細孔は、本明細書に記載の条件下で家庭用堆肥化環境において26週間以内に前記長尺管状部材が生分解するように、前記長尺管状部材内でサイズ決定及び構造化されている、態様1~27のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様29)
前記複数の細孔は、前記長尺管状部材が表面淡水中で50週間以内に生分解するように、前記長尺管状部材内でサイズ決定及び構造化されている、態様1~28のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様30)
前記長尺管状部材は、約1%~約10%の結晶化度の1つ以上のセルロースエステルを含む、態様1~29のいずれか1項記載の生分解性物品。
(態様31)
前記1つ以上のセルロースエステルは約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含み、
前記長尺管状部材は、少なくとも複数の細孔の部分を含み、少なくとも約10%の多孔度、約0.6g/cm
3
~約1.3g/cm
3
の全体としての密度及び約1%~約10%の結晶化度の1つ以上のセルロースエステルを有する壁を含み、
前記長尺管状部材はいかなる添加剤及び可塑剤も含まず、総抽出可能物量は10wt%メタノール中で約10mg/dm
2
以下である、態様1記載の生分解性物品。
(態様32)
生分解性長尺管状部材を製造するための方法であって、
1つ以上の溶媒中に溶解された生分解性セルロース成分を含むセルロース系ドープ組成物を提供すること、
前記セルロース系ドープ組成物を処理して管状形状を形成すること、及び、
前記セルロース系ドープ組成物から前記1つ以上の溶媒を除去する1つ以上の非溶媒を含む溶媒捕捉媒体中に物質移動させることによって、前記管状形状のセルロース系ドープ組成物から前記1つ以上の溶媒を移動させて、複数の細孔を有する実質的に固体のチューブを形成すること、
を含み、
前記生分解性セルロース成分は1つ以上のセルロースエステルを含む、方法。
(態様33)
前記セルロース系ドープ組成物を処理することは、管状形状を形成するように構成された少なくとも1つのオリフィスを通して前記セルロース系ドープ組成物をデリバリー及び計量することを含む、態様32記載の方法。
(態様34)
前記1つ以上のセルロースエステルは生分解性酢酸セルロースを含む、態様32~33のいずれか1項記載の方法。
(態様35)
前記生分解性酢酸セルロースは約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有し、前記実質的に固体のチューブは少なくとも複数の細孔の部分及び少なくとも10%の多孔度を有する壁を含む、態様34記載の方法。
(態様36)
前記生分解性酢酸セルロースは約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有し、前記実質的に固体のチューブは少なくとも複数の細孔の部分を有し、約5%未満の多孔度及び少なくとも約1.24g/cm
3
の密度を有する壁を含む、態様34記載の方法。
(態様37)
前記酢酸セルロースは約0.2~約2.9のDS Acを有する、態様34記載の方法。
(態様38)
前記酢酸セルロースは約1.0~約2.8のDS Acを有する、態様34記載の方法。
(態様39)
前記酢酸セルロースは約1.8~約2.8のDS Acを有する、態様34記載の方法。
(態様40)
前記1つ以上のセルロースエステルは、アセチル、プロピオニル、ブチリル、他の脂肪族アシル基又は芳香族アシル基からなる群より選ばれる少なくとも2つの部分を含む混合セルロースエステルを含む、態様32又は33記載の方法。
(態様41)
前記1つ以上の溶媒は、アセトン、NMP、THF、別の水混和性溶媒又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、態様32~40のいずれか1項記載の方法。
(態様42)
前記セルロース系ドープ組成物は、前記セルロース系ドープ組成物の総質量に基づいて約5質量%~約40質量%の固形分を有する、態様32~41のいずれか1項記載の方法。
(態様43)
前記セルロース系ドープ組成物は、前記セルロース系ドープ組成物の総質量に基づいて、約25質量%~約35質量%の固形分を有する、態様42記載の方法。
(態様44)
前記生分解性長尺管状部材を提供するために実質的に固体のチューブを処理することをさらに含み、前記生分解性長尺管状部材は、ASTM D5338に記載の産業上堆肥化条件下で生分解性であるか、又は、ASTM D6400、EN 13432又はISO17088のうちの少なくとも1つに記載されているとおりに産業上堆肥化可能である、態様32~43のいずれか1項記載の方法。
(態様45)
前記セルロース系ドープ組成物及び実質的に固体のチューブは可塑剤を含まない、態様32~44のいずれか1項記載の方法。
(態様46)
前記セルロース系ドープ組成物及び実質的に固体のチューブは添加剤を含まない、態様32~45のいずれか1項記載の方法。
(態様47)
前記セルロース系ドープ組成物及び実質的に固体のチューブは、前記1つ以上のセルロースエステル以外のいかなるポリマーも含まない、態様32~46のいずれか1項記載の方法。
(態様48)
前記実質的に固体のチューブは、10wt%のメタノール中に約10mg/dm
2
以下の総抽出可能物量を含む、態様32~47のいずれか1項記載の方法。
(態様49)
前記長尺管状部材が飲料用ストローとしてサイズ決め及び寸法決めされるように前記実質的に固体のチューブを切断することをさらに含む、態様32~48のいずれか1項記載の方法。
(態様50)
前記飲料用ストローは、約76nm~約508nmの壁厚を有する壁を含む、態様49記載の方法。
(態様51)
前記壁厚は約102nm~約381nmである、態様50記載の方法。
(態様52)
前記飲料用ストローは、約1mm~約20mmの外直径及び約50mm~約500mmの長さを有する、態様49~51のいずれか1項記載の方法。
(態様53)
前記実質的に固体のチューブは、攪拌ストロー、包装用途又は農業もしくは園芸用途として構成される、態様32~48のいずれか1項記載の方法。
(態様54)
前記実質的に固体のチューブは、前記実質的に固体のチューブにおいて半径方向内側に面する内側部分と、前記実質的に固体のチューブから半径方向外側に面する外側部分とを有する壁を含み、前記外側部分は前記内側部分の密度よりも高い密度を有する、態様32~53のいずれか1項記載の方法。
(態様55)
前記実質的に固体のチューブは、少なくとも複数の細孔の部分を含み、全体としての密度が約0.6~約1.3g/cm
3
である壁を含む、態様32~35及び37~54のいずれか1項記載の方法。
(態様56)
前記実質的に固体のチューブを、前記長尺管状部材内の生分解性セルロース成分の約1%~約10%を結晶化するのに有効な約10秒~約20秒間の約120℃~約150℃の熱処理にかけることをさらに含む、態様32~55のいずれか1項記載の方法。
(態様57)
前記セルロース系ドープ組成物を約60℃~約80℃に加熱することをさらに含む、態様32~56のいずれか1項記載の方法。
(態様58)
前記長尺管状部材内の生分解性セルロース成分の約1%~約10%を結晶化するのに有効な約10秒~約20秒間の約120℃~約150℃の熱処理に前記実質的に固体のチューブをかけることをさらに含み、
前記1つ以上のセルロースエステルは、約0.05~約2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含み、
前記長尺管状部材は、少なくとも複数の細孔の部分を含み、少なくとも約10%の多孔度及び約0.6g/cm
3
~約1.3g/cm
3
の全体としての密度を有する壁を含み、
前記長尺管状部材はいかなる添加剤及び可塑剤も含まず、総抽出可能物量は10wt%メタノール中で約10mg/dm
2
以下である、態様32記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のセルロースエステルを含む長尺管状部材と、前記長尺管状部材内の複数の細孔とを含む、生分解性物品であって、
前記複数の細孔は、前記複数の細孔の少なくとも一部への水又は細菌のうちの少なくとも1つの透過又は浸透を可能にし、前記長尺管状部材の生分解性を促進するように前記長尺管状部材内でサイズ決め及び構造化されて
おり、
前記長尺管状部材は飲料用ストローとして構成されている、生分解性物品。
【請求項2】
前記複数の細孔は、
(a)ASTM D5338に記載された産業上堆肥化条件下での長尺管状部材の生分解性又はASTM D6400、EN 13432又はISO 17088のうちの少なくとも1つに記載されているとおりの長尺管状部材の堆肥化可能性のうちの少なくとも1つ
、
(b)周囲温度で実施されるEN 13432生分解試験の下で前記長尺管状部材の生分解性、又は、
(c)NF T T51-800の家庭用堆肥化に適したプラスチック仕様に記載されるように、前記長尺管状部材の家庭用堆肥化、
を促進するように前記長尺管状部材内でサイズ決め及び構造化されている、請求項1記載の生分解性物品。
【請求項3】
前記1つ以上のセルロースエステルは
、0.05
~2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有する酢酸セルロースを含み、前記長尺管状部材は、少なくとも複数の細孔の部分及び少なくとも10%の多孔度
、又は5%未満の多孔度及び少なくとも1.24g/cm
3
の密度を有する壁を含む、請求項1~
2のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項4】
前記酢酸セルロース
は0.2
~2.9
、1.0~2.8、又は1.8~2.8のDS Acを有する、請求項
3記載の生分解性物品。
【請求項5】
前記1つ以上のセルロースエステルは、アセチル、プロピオニル、ブチリル、他の脂肪族アシル基及び芳香族アシル基からなる群より選ばれる少なくとも2つの部分を含む混合セルロースエステルを含む
か、又は、
前記長尺管状部材は、前記酢酸セルロース以外の1つ以上の生分解性ポリマーをさらに含み、及び前記1つ以上の生分解性ポリマーは、デンプン、PLA、PHA又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項
3~
4のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項6】
前記長尺管状部材は、
(a)前記1つ以上のセルロースエステル以外のポリマー
、(b)可塑剤、又は(c)添加剤を含まない、請求項1~
5のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項7】
前記長尺管状部材は、10wt%のメタノール中
に10mg/dm
2以下の総抽出可能物量を含む、請求項1~
6のいずれか1項記載の生分解性物品。
【請求項8】
前記長尺管状部材は
、76nm
~508nm
、又は102nm~381nmの範囲の壁厚を有する壁を含むか、又は、
前記長尺管状部材は、1mm~20mmの範囲の外直径及び50mm~500mmの長さを有する、請求項
1記載の生分解性物品。
【請求項9】
生分解性長尺管状部材を製造するための方法であって、
1つ以上の溶媒中に溶解された生分解性セルロース成分を含むセルロース系ドープ組成物を提供すること、
前記セルロース系ドープ組成物を処理して管状形状を形成すること
、
前記セルロース系ドープ組成物から前記1つ以上の溶媒を除去する1つ以上の非溶媒を含む溶媒捕捉媒体中に物質移動させることによって、前記管状形状のセルロース系ドープ組成物から前記1つ以上の溶媒を移動させて、複数の細孔を有する実質的に固体のチューブを形成すること、
及び、
前記長尺管状部材が飲料用ストローとしてサイズ決め及び寸法決めされるように前記実質的に固体のチューブを切断すること、
を含み、
前記生分解性セルロース成分は1つ以上のセルロースエステルを含む、方法。
【請求項10】
前記セルロース系ドープ組成物を処理することは、管状形状を形成するように構成された少なくとも1つのオリフィスを通して前記セルロース系ドープ組成物をデリバリー及び計量することを含む、請求項
9記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のセルロースエステルは生分解性酢酸セルロースを含
み、
前記生分解性酢酸セルロースは0.05~2.95のアセチル置換度(DS Ac)を有し、及び、
前記実質的に固体のチューブは少なくとも複数の細孔の部分及び少なくとも10%の多孔度、又は5%未満の多孔度及び少なくとも1.24g/cm
3
の密度を有する壁を含む、請求項
9~
10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記酢酸セルロース
は0.2
~2.9
、1.0~2.8、又は1.8~2.8のDS Acを有する、請求項
11記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の溶媒は、アセトン、NMP、THF、別の水混和性溶媒又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項
9~
12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記生分解性長尺管状部材は、ASTM D5338に記載の産業上堆肥化条件下で生分解性であるか、又は、ASTM D6400、EN 13432又はISO17088のうちの少なくとも1つに記載されているとおりに産業上堆肥化可能であ
り、
前記セルロース系ドープ組成物及び実質的に固体のチューブは(a)可塑剤、(b)添加剤、又は(c)前記1つ以上のセルロースエステル以外のいかなるポリマー、を含まず、
前記実質的に固体のチューブは、10wt%のメタノール中に10mg/dm
2
以下の総抽出可能物量を含む、請求項
9~
13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記飲料用ストローは
、76nm
~508nm
、又は102nm~381nmの壁厚を有する壁を含む
か、又は、
前記飲料用ストローは、1mm~20mmの外直径及び50mm~500mmの長さを有する、請求項
9~14のいずれか1項記載の方法。
【国際調査報告】