(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(54)【発明の名称】セチル化脂肪酸を含む組成物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 67/08 20060101AFI20221019BHJP
C07C 69/24 20060101ALI20221019BHJP
C07C 69/58 20060101ALI20221019BHJP
A61P 19/02 20060101ALN20221019BHJP
A61K 31/23 20060101ALN20221019BHJP
A61P 1/00 20060101ALN20221019BHJP
A61P 3/10 20060101ALN20221019BHJP
【FI】
C07C67/08
C07C69/24
C07C69/58
A61P19/02
A61K31/23
A61P1/00
A61P3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570408
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 IB2020055037
(87)【国際公開番号】W WO2020240443
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】102019000007311
(32)【優先日】2019-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515028964
【氏名又は名称】アレスコ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Alesco s.r.l.
(71)【出願人】
【識別番号】521516248
【氏名又は名称】ファーマヌトラ エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】PHARMANUTRA S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via delle Lenze, 216/B, 56122 Pisa(IT)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラコルテ, アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】タランティーノ, ジェルマーノ
(72)【発明者】
【氏名】ブリィリ, エリーザ
【テーマコード(参考)】
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C206DB06
4C206DB49
4C206MA01
4C206ZA66
4C206ZA96
4C206ZC35
4H006AA02
4H006AC48
4H006BA07
4H006KA06
(57)【要約】
本発明は、関節炎、炎症性関節痛及び筋骨格痛を治療する方法に用いられる、少なくとも1種のセチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物と、重量百分率を低減した酸化防止剤と、を含むか又は代替的にそれらからなる混合物を含む組成物に関する。さらに、本発明は、胃粘膜を保護し、血糖値を調節するための治療方法に用いられる、少なくとも1種のセチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物と、必要に応じて酸化防止剤と、を含むか又は代替的にそれらからなる混合物を含む組成物に関する。最後に、本発明は、少なくとも1種のセチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物を製造し、セチル化脂肪酸及び酸化防止剤を含む組成物を製造する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物を製造する方法であって、
反応器(2)のチャンバー(3)内で、溶媒の非存在下で、少なくとも1種の脂肪酸と、セチルアルコールと金属触媒とを接触させて、反応混合物(15)を得る工程(I)と、
不活性ガスを用いて容器(3)を飽和状態にし、容器(3)を約1気圧の圧力P1にし、前記チャンバー(3)を介して前記不活性ガス流を適用する工程(II)と、
約1気圧の圧力P1及び不活性ガス流の存在下で、120℃~200℃の温度T1に達するまで前記反応混合物(15)に第1の加熱ランプを適用して、前記セチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物とエステル化水との初期形成を伴うエステル化反応を開始させる工程(III)と、
前記温度T1及び圧力P1で前記反応混合物(15)を10分間~2時間撹拌しながら保持する工程(IV)と、
約1気圧の圧力P1及び不活性ガス流の存在下で、201℃~260℃の温度T2に達するまで前記反応混合物(15)に第2の加熱ランプを適用して、前記セチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物とエステル化水との更なる形成を伴うエステル化反応を続ける工程(V)と、
前記温度T2及び圧力P1、並びに不活性ガス流の存在下で、前記反応混合物(15)を4時間~12時間撹拌しながら保持する工程(VI)と、
チャンバー(3)内に真空プログラムを適用することで、100mbar~10mbarの減圧P2に達するまで反応圧力を低下させる工程(VII)と、
前記減圧P2及び不活性ガス流の存在下で、前記反応混合物(15)を30分間~4時間撹拌しながら保持して、前記少なくとも1種の未精製のセチル化脂肪酸(MI)又は未精製のセチル化脂肪酸の混合物を完全に形成する工程(VIII)と、を含む方法。
【請求項2】
前記温度T2及び圧力P1、並びに不活性ガス流の存在下で、前記反応混合物(15)を6時間~12時間撹拌しながら保持する前記工程(VI)は、AOCS公定法Cd 3d-63で測定した反応混合物(15)の酸度値が経時的に安定するとともに、5mgKOH/g~8mgKOH/gに達するまで行い、そして
前記減圧P2及び不活性ガス流の存在下で、前記反応混合物(15)を30分間~4時間撹拌しながら保持して、前記少なくとも1種の未精製のセチル化脂肪酸又は未精製のセチル化脂肪酸の混合物(MI)を完全に形成する前記工程(VIII)は、AOCS公定法Cd 3d-63で測定した反応混合物(15)の酸度値が4.5mgKOH/g~3.5mgKOH/gに達するまで行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種の脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エイコサン酸及びこれらの混合物を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択され、
好ましくは、ミリスチン酸、オレイン酸、ミリスチン酸とオレイン酸の混合物のうちから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記不活性ガス流を、チャンバー(3)の容積部に配置された送風手段(7)を用いて反応混合物(15)の上に適用する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記エステル化反応の過程において不活性ガス流及び真空プログラムを適用することでチャンバー(3)から引き出されたエステル化水を、垂直凝縮器(16)に通してから水平凝縮器(11)内で凝縮し、容器(13)に収集する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(VIII)から得られた前記少なくとも1種の未精製のセチル化脂肪酸(MI)をフィルタープレス(23)内の漂白土及び/又は濾過土上に濾過して、少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)を得る工程(IX)(濾過工程)をさらに含み、金属触媒は、存在しないか、又は前記濾過されたセチル化脂肪酸又は濾過されたセチル化脂肪酸の混合物(Mf)の重量に対して2wt%未満の量で存在する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(IX)の後に、反応器(27)内で前記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)を、150℃~200℃の温度T3及び1mbar~20mbarの減圧P3、並びに水蒸気流の存在下で、1時間~5時間処理して、精製されたセチル化脂肪酸(MF)を得る工程(X)(脱臭工程)をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸を含む組成物を製造する方法であって、請求項1~6のいずれか一項によって得られる前記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)、又は代替的に請求項1~7のいずれか一項によって得られる前記少なくとも1種の精製されたセチル化脂肪酸(MF)と、少なくとも1種の酸化防止剤とを混合する工程を含み、前記少なくとも1種の酸化防止剤は、組成物の全重量に対して0.001wt%~0.5wt%、好ましくは0.005wt%~0.1wt%、より好ましくは0.01wt%~0.08wt%の重量百分率で混合される、方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)又は少なくとも1種の精製されたセチル化脂肪酸(MF)は、セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物を含むか又は代替的にこのような混合物からなり、前記少なくとも1種の酸化防止剤は、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)である、請求項8に記載の組成物を製造する方法。
【請求項10】
工程(X)の前に、工程(IX)から得られた前記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)、好ましくは濾過されたセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物について、前記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)に植物油、好ましくはオリーブ油を添加する工程(XII)を行って、(Mf)と植物油とを含む混合物を形成し、その後この混合物に工程(X)を行う、請求項8又は9に記載の組成物を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節炎、炎症性関節痛及び筋骨格痛を治療する方法において用いられる、少なくとも1種のセチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物と、重量百分率を低減した酸化防止剤と、を含むか又は代替的にそれらからなる混合物を含む組成物(例えば、LIPOCETTM)に関する。さらに、本発明は、胃粘膜を保護し、血糖値を調節するための治療方法に用いられる、少なくとも1種のセチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物と、必要に応じて酸化防止剤と、を含むか又は代替的にそれらからなる混合物を含む組成物に関する。最後に、本発明は、少なくとも1種のセチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物を製造し、セチル化脂肪酸及び酸化防止剤を含む組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、セチル化脂肪酸の混合物を含む組成物、並びにその関節炎及び関節の炎症の治療における使用が知られている。例えば、特許文献国際公開第2004/084829号、国際公開第2017/029580号には、セチル化脂肪酸と、必要に応じて全重量に対して1wt%~5wt%の重量百分率で、酸化防止剤などのトコフェノール類の混合物と、を含む組成物が開示されている。
【0003】
先行技術文献国際公開第2004/084829号には、少なくとも1種のセチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物を製造する方法は、開示されていない。
【0004】
一方、先行技術文献国際公開第2017/029580号には、セチル化脂肪酸の混合物を製造するプロセス、及びこのプロセスを行うシステムが記載されている。しかしながら、先行技術文献国際公開第2017/029580号に記載されている方法は、以下に詳述する工程(II)、工程(IV)、工程(V)、工程(VI)、工程(VII)及び工程(VIII)を備えていない。
【0005】
先行技術文献米国特許第4113881号明細書には、合成的に得られたセチルミリストリン酸、又はより好ましくは実施例1に記載されているように、浸軟マウス組織から抽出することで得られたセチルミリストリン酸を用いて、哺乳動物の炎症性関節リウマチの症状を緩和及び抑制する方法が開示されている。したがって、先行技術文献米国特許第4113881号明細書には、少なくとも1種の脂肪酸と、セチルアルコールと金属触媒とを接触させて反応混合物を得る方法は、記載されていない。
【0006】
先行技術文献国際公開第2010/079514号には、セチルミリストリン酸(cis-9-テトラデセン酸ヘキサデシル及びcis-10-テトラデセン酸ヘキサデシル)の2つの異性体を製造するプロセス、並びに変形性膝関節症及び他の炎症性疾患の治療における後者の治療用途が記載されている。先行技術文献国際公開第2010/079514号に記載された方法は、特に-70℃~-78℃の温度及び溶媒の存在下での冷却工程、オゾン酸化工程及び酵素的エステル交換工程を含む。したがって、このようなプロセスは、溶媒の非存在下では行われず、加熱ランプの適用によって実行されることはなく、本明細書で提案されるプロセスとは基本的に異なるステップを含むものである。
【0007】
最後に、文献ニュージーランド公開特許公報332959号には、少なくとも1種の酸触媒と溶媒として機能する少なくとも1種の芳香族炭化水素との存在下で、ミリスチン酸及びパルミチン酸と、セチルアルコールとを高温で反応させる工程を含む、セチル化ミリスチン酸とセチル化パルミチン酸との混合物を製造するプロセスが記載されている。ニュージーランド公開特許公報332959号には、本発明のプロセスの主題とは逆に、溶媒が完全に存在しないため、相当量のエステルを生成することが不可能になり、したがって、エステルの形成を抑制しないために、溶媒の非存在下での操作に対する明らかな阻害要因が含まれることが説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開特許公報 国際公開第2004/084829号
【特許文献2】国際公開特許公報 国際公開第2017/029580号
【特許文献3】米国公開特許公報 米国特許第4113881号明細書
【特許文献4】国際公開特許公報国際公開第2010/079514号
【特許文献5】ニュージーランド公開特許公報 332959号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が処理及び解決しようとする技術的課題は、既知の組成物に対して、改良されたセチル化脂肪酸を含む組成物を提供することにあり、この組成物は、関節炎、炎症性関節及び筋骨格の障害の治療、並びに胃粘膜の保護及び血糖値の調節に有効であり、副作用がなく、忍容性が高く、酸化剤の作用に関して経時的に安定であり、さらに製造上、経済的に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術的課題を解決するために、本発明は、少なくとも1種のセチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物と、必要に応じて少なくとも1種の酸化防止剤と、を含む組成物(医薬組成物、医療機器用組成物、新規な食品(食品又は特別医療目的用の食品(FSMP)又は医療食)、栄養補助食品又は化粧料組成物、すなわち本発明の組成物)(例えば、LIPOCETTM)を提供する。
【発明の効果】
【0011】
酸化防止剤の存在により、活性成分(セチル化脂肪酸)の力価は経時的にほとんど変化しないままであり、酸化剤の作用からセチル化脂肪酸を保護することを前提に、本発明の組成物は、経時的に安定している。したがって、酸化防止剤が存在することで、本発明の組成物を含む包装体を最初に開封した瞬間から、本発明の組成物は有効性、輸送、貯蔵、並びに保存時間及び形態に関して有利となる。
【0012】
さらに、従来のセチル化脂肪酸に基づく組成物に対して、含有する酸化防止剤の重量百分率がより低いため、本発明の組成物は、大規模生産において経済的に有利であり(即ち、抗酸化剤の使用がより少量ですむ)、例えば、小児を対象として投与された場合にも忍容性が高い。
【0013】
本発明の上記組成物(例えば、LIPOCETTM)は、本明細書において以下の(i)~(vi)に列挙された疾患、症状又は障害などの関節及び/又は筋肉の疾患の症状又は障害を効果的かつ迅速に治療することができる。
【0014】
さらに、本発明の上記組成物は、(i.i)胃粘膜を保護し、(i.ii)糖尿病を治療し、そして(i.iii)高血糖値に由来するか又は関連する糖尿病以外の疾患及び/又は障害を治療することができる。
【0015】
最後に、本発明は、上記少なくとも1種のセチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物を製造する第1の方法と、(第1の方法により製造された)少なくとも1種のセチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物と、酸化防止剤と、を含む本発明の組成物(例えば、LIPOCETTM)を製造する第2の方法を提供する。
【0016】
上記方法は、適用が容易であり、経済的に有利である。
【0017】
さらに、この第1の方法は、エステルを形成するステップの全期間にわたる不活性ガス流の適用と、エステルを形成するステップの最後の部分のみでの反応器のチャンバー内の真空プログラムの適用との組み合わせにより、簡単かつ経済的な操作条件下で、酸の完全な変換及びエステルの生成の優れた収率を有利に可能にする。
【0018】
最後に、上記第1の方法は、基本的に触媒の痕跡がなく、したがって健康上安全であり、そして投与対象者にとって忍容性が良好なセチル化脂肪酸の製造を保証する。
【0019】
以下の詳細な説明から明らかなこれら及び他の目的は、特許請求の範囲に記載された技術的特徴により、本発明の組成物、混合物及び方法によって達成される。
【0020】
鋭意に研究した結果、本出願人は、本明細書で詳細に報告されるように、革新的な組成物、それらの治療的及び非治療的治療方法における使用、並びにそれらを製造する方法及びプロセスを開発した。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物を製造する第1の方法を実施するためのプラントを示す。
【
図4C】実験例3に係る組成物の細胞培養物におけるIL6のアッセイを示す。
【
図5C】実験例3に係る組成物の細胞培養物におけるLTC4のアッセイを示す。
【
図6C】実験例3に係る組成物の細胞培養物におけるPGE2のアッセイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的を形成するのは、(I)と、必要に応じて(II)とを含む組成物(要するに、本発明の組成物)(例えば、LIPOCETTM)であって、
(I)は、
炭素数がC6~C21、好ましくはC8~C18、より好ましくはC14~C18の範囲であり、飽和又は不飽和であってよい(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸(又はセチル化脂肪酸の混合物)と、必要に応じて、
組成物の全重量に対して0.001wt%~0.5wt%又は0.001~0.4wt%又は0.001~0.3wt%又は0.001wt%~0.2wt%又は0.001wt%~0.1wt%であり、好ましくは0.005wt%~0.1wt%であり、より好ましくは0.01wt%~0.08wt%である(b)少なくとも1種の酸化防止剤と、を含む混合物か又は代替的にそれらからなる混合物(要するに、本発明の混合物)であり、そして
(II)は、少なくとも1種の食品又は医薬品グレードの添加剤及び/又は賦形剤である。
【0023】
本発明の組成物は、医薬組成物、医療機器用組成物、新規な食品(食品又は飲料、又は特別医療目的の食品/飲料(FSMP)、又は医療食)(例えば、LIPOCETTM)又は新規な食品用の栄養補助食品又は組成物又は栄養補助食品又は化粧料組成物であってよい。
【0024】
1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物は、
脂肪酸がC6~C21、C8~C18又はC14~C18であり、飽和又は不飽和である(a)上記少なくとも1種のセチル化脂肪酸(又はセチル化脂肪酸の混合物)と、組成物の全重量に対して0.001wt%~0.5wt%又は0.001wt%~0.4wt%又は0.001wt%~0.3wt%又は0.001wt%~0.2wt%又は0.001wt%~0.1wt%又は0.005wt%~0.1wt%又は0.01wt%~0.08wt%である(b)少なくとも1種の酸化防止剤と、を含むか又は代替的にそれらからなる(I)混合物を含む。
【0025】
上記(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸(又はセチル化脂肪酸の混合物)は、セチルアルコール(1-ヘキサデカノール、CH3(CH2)15OH)でエステル化された脂肪酸又はセチルアルコールでエステル化された脂肪酸の混合物である。
【0026】
好ましくは、(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸の脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エイコサン酸及びこれらの混合物を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択され、より好ましくは、上記(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸は、セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物を含むか又は代替的にこの混合物からなるセチル化脂肪酸の混合物であり、さらにより好ましくは(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸は、セチル化ミリスチン酸、セチル化オレイン酸、セチル化リノール酸及びセチル化パルミチン酸を含むか又は代替的にそれらからなるセチル化脂肪酸の混合物である。
【0027】
(a)、(b)及び(c)LIPOCETTM(記載された実施形態のいずれかに係る)を含む本発明の組成物の1つの実施形態によれば、脂肪酸プロファイルは、
30%~55%、好ましくは35%~50%、より好ましくは約41%の(a1)ミリスチン酸と、
35%~60%、好ましくは40%~55%、より好ましくは約46%の(a2)オレイン酸と、
3%~12%、好ましくは5%~10%、より好ましくは8%の(a3)リノール酸と、
1%~8%、好ましくは2%~6%、より好ましくは3%の(a4)パルミチン酸と、
1%~4%、好ましくは1.5%~3%、より好ましくは1.8%の(a5~a9)様々な脂肪酸(ミリストレイン酸ではない)と、を含むか又は代替的にそれらからなり、ここで、%は、(a1)~(a9)の脂肪酸の全重量に対するwt%である。
【0028】
1つの実施形態では、上記(a)は、特に本発明の組成物が関節炎と、炎症性関節痛及び筋骨格痛を治療する方法に使用する場合、セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物を含み、ただしセチル化ミリストレイン酸を含まないものとする。
【0029】
1つの更なる実施形態では、上記(a)は、特に本発明の組成物が胃粘膜を保護し、血糖値を調節するための治療方法に用いる場合、セチル化ミリストレイン酸を含み得る、セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物を含む。
【0030】
ミリスチン酸は、テトラデカン酸(CH3(CH2)12COOH)であり、乳誘導体(バター、クリーム、チーズ)、ヤシ油、パーム核油及びいくつかの香辛料(ナツメグ)中に存在する炭素数14の飽和脂肪酸である。本発明に用いられるミリスチン酸は、例えば、1%以下のラウリン酸C12:0、99%以上のミリスチン酸C14:0、1%以下のパルミチン酸C16:0という百分組成(%、GLC)を有する、少なくとも99%のミリスチン酸(CAS 544-63-8)(EINECS 208-875-2)を有するものから選択され得る。
【0031】
オレイン酸は、炭素数18の単不飽和カルボン酸であり、かつ最も多くの植物油の構成成分であるcis-9-オクタデカン酸(CH3(CH2)7CHCH(CH2)7COOH)である。
【0032】
本発明に用いられるオレイン酸は、例えば、0.5%以下の[ラウリン酸+ミリスチン酸]C12:0+C14:0、78%以上のオレイン酸C18:1、15%以下のリノール酸C18:2、1%以下の他のC18:3という百分組成(%、GLC)を有する、少なくとも78%のオレイン酸(CAS 112-80-1)(EINECS 204-007-1)を有するものから選択され得る。
【0033】
本発明に用いられるセチルアルコール(1-ヘキサデカノール)は、例えば、CAS 36653-82-4(EINECS 253-149-0)を有するものから選択され得る。
【0034】
有利には、上記(a)は、セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物を含むか又はこの混合物からなる場合、セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸とのモル比は、4:1~1:1の間であり、好ましくは3:~1~1.5:1の間であり、より好ましくは(2.0±0.2):1である。
【0035】
1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物は、
好ましくはモル比が4:1~1:1又は3:1~1.5:1であり、好ましくは(2.0±0.2):1である(a)セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物と、
組成物の全重量に対して0.001wt%~0.5wt%又は0.001wt%~0.3wt%又は0.001wt%~0.2wt%又は0.001wt%~0.1wt%又は0.005wt%~0.1wt%又は好ましくは0.01wt%~0.08wt%の(b)少なくとも1種の酸化防止剤と、を含むか又は代替的にそれらからなる(I)混合物を含む。
【0036】
本発明の組成物に(a)と共に、必要に応じて(c)と共に含まれる酸化防止剤は、本明細書で報告された目的のための医薬組成物、医療機器用組成物、新規な食品(食品)、補助食品又は化粧料組成物での使用に適すると当業者が考える任意の酸化防止剤であってよい。
【0037】
酸化防止剤は、酸素の存在下で始まる酸敗の発生を遅らせるために、主に脂肪を含む食品にしばしば添加される。天然系酸化防止剤としては、例えば、フラボノイド類、ポリフェノール類、アスコルビン酸(ビタミンC)及びトコフェロール類(ビタミンE)などが挙げられる。合成系酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びエトキシキノリンなどが挙げられる。
【0038】
好ましくは、上記(b)少なくとも1種の酸化防止剤は、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、AperoxidRTLA(本発明で定義される)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェロール)又はトコフェロール類の混合物、天然のローズマリー抽出物、小麦胚芽油、ブチルヒドロキシトルエン及びそれらの混合物を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択され、小麦胚芽油であり、より好ましくは(b)は、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)である。
【0039】
t-ブチルヒドロキノン(TBHQ又はターシャリーブチルヒドロキノン)は、不飽和植物油の防腐剤として食品産業及び多くの食用動物油脂に用いられる。TBHQは、許容される日常摂取量(ADI)が体重の0.7mg/kgであるため、欧州連合においては食品添加剤として使用され、コードE319で識別される。
【0040】
AperoxidRTLA(登録商標)は、例えば、化粧品分野で使用される脂肪酸敗の現象を排除するのに有効な酸化防止剤の商品名である。AperoxidRTLAは、10~15%のトコフェロール((±)トコフェロール)、>50%のレシチン、8~10%のパルミチン酸アスコルビル(脂溶性のビタミンCを生成するアスコルビン酸とパルミチン酸によって形成されたエステル)及び<1%のクエン酸(INCI名がレシチン、トコフェロール(±)トコフェロール)、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸であり、CAS番号が8002-43-5、10191-41-0、137-66-6、77-92-9である)を含む混合物である。
【0041】
1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物は、
脂肪酸がC6~C21、C8~C18又はC14~C18であり、飽和又は不飽和である上記(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸(又はセチル化脂肪酸の混合物)と、
組成物の全重量に対して0.001wt%~0.5wt%又は0.001wt%~0.3wt%又は0.001wt%~0.2wt%又は0.001wt%~0.1wt%又は0.005wt%~0.1wt%又は0.01wt%~0.08wt%の(b)t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)と、を含むか又は代替的にそれらからなる(I)混合物を含む。
【0042】
1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物は、
好ましくはモル比が4:1~1:1又は3:1~1.5:1又は(2.0±0.2):1である(a)セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物と、
組成物の全重量に対して0.001wt%~0.5wt%又は0.001wt%~0.3wt%又は0.001wt%~0.2wt%又は0.001wt%~0.1wt%又は0.005wt%~0.1wt%又は0.01wt%~0.08wt%の(b)t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)と、を含むか又は代替的にそれらからなる(I)混合物を含む。
【0043】
1つのより好ましい実施形態では、本発明の組成物は、
モル比が3:1~1.5:1であり、好ましくは(2.0±0.2):1である(a)セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物と、
組成物の全重量に対して0.01wt%~0.08wt%の(b)t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)と、を含むか又は代替的にそれらからなる(I)混合物を含む。
【0044】
1つの更なる実施形態では、本発明の(I)混合物は、(a)及び必要に応じて(b)の他に、(c)植物油をさらに含む。
【0045】
好ましくは、上記(c)植物油は、オレイン酸の含有量が高いオリーブ油、ひまわり油、コーン油又はそれらの混合物を含む又は代替的にそれらからなる群から選択され、オレイン酸の含有量が高い任意の植物油及びそれらの混合物である。有利には、(c)はオリーブ油である。上記油中のオレイン酸及び/又はオレインの含有率は、重量割合にて55%~95%であり、好ましくは60%~90%であり、より好ましくは65%~85%であり、例えば70%~80%である。
【0046】
1つの好ましい実施形態では、本発明の(I)混合物は、
組成物の全重量に対して重量百分率が50wt%~90wt%であり、好ましくは60wt%~85wt%であり、より好ましくは70wt%~80wt%である上記(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸(又はセチル化脂肪酸の混合物)、好ましくはセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物と、
組成物の全重量に対して重量百分率が0.001wt%~0.5wt%又は0.001~0.3wt%又は0.001wt%~0.2wt%又は0.001wt%~0.1wt%であり、好ましくは0.005wt%~0.1wt%であり、より好ましくは0.01wt%~0.08wt%である上記(b)少なくとも1種の酸化防止剤、好ましくはt-ブチルヒドロキノン(TBHQ)と、
組成物の全重量に対して重量百分率が9.5wt%~50wt%であり、好ましくは14.5wt%~40wt%であり、より好ましくは19.5wt%~30wt%である上記(c)植物油、好ましくはオリーブ油と、を含むか又は代替的にそれらからなる。
【0047】
1つの好ましい実施形態では、本発明の(I)混合物は、
モル比が4:1~1:1又は3:1~1.5:1であり、好ましくは(2.0±0.2):1であり、組成物の全重量に対して重量百分率が60wt%~85wt%であり、好ましくは70wt%~80wt%である(a)セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物と、
組成物の全重量に対して重量百分率が0.005wt%~0.1wt%であり、好ましくは0.01wt%~0.08wt%である(b)t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)と、
組成物の全重量に対して重量百分率が14.5wt%~40wt%であり、好ましくは19.5wt%~30wt%である(c)オリーブ油と、を含むか又は代替的にそれらからなる。
【0048】
1つのより好ましい実施形態では、本発明の(I)混合物は、
モル比が(2.0±0.2):1であり、重量百分率が70wt%~80wt%である(a)セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物と、
組成物の全重量に対して重量百分率が0.01wt%~0.08wt%である(b)t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)と、
組成物の全重量に対して重量百分率が19.5wt%~30wt%である(c)オリーブ油と、を含むか又は代替的にそれらからなる。
【0049】
本発明の目的を形成するのは、本明細書に報告された本発明の組成物(例えば、LIPOCETTM)であって、(上記と同様の)(a)、(b)、及び必要に応じて(c)を含むか又は代替的にそれらからなる(I)本発明の混合物と、必要に応じて(II)少なくとも1種の食品又は医薬品グレードの添加剤及び/又は賦形剤とを含み、治療有効量で、必要とする対象に投与する場合、薬剤として使用される。
【0050】
本発明の目的を形成するのは、本発明の組成物(例えば、LIPOCETTM)であって、必要とする対象に投与された場合に、(i)炎症性及び非炎症性の関節リウマチ、特に変形性膝関節症、(ii)関節リウマチ以外の関節の炎症性症状、(iii)乾癬、狼瘡、歯周病又は心血管疾患又は心臓病、(iv)スポーツ関連の外傷、例えば、鼠径部痛症候群又は運動性恥骨痛を含む外傷後の骨関節及び筋骨格の疾患(鼠径部痛症候群は、腹部及び鼠径部の慢性的な痛みを指す)、(v)変形性関節疾患、好ましくは変形性膝関節症、変形性膝関節炎、変形性股関節症、及び/又は(vi)腱及び筋肉関連の炎症性/外傷性症状などの疾患、症状又は障害の予防的及び/又は治癒的及び/又は対症的な治療に使用される、(本明細書で説明された全ての実施形態に係る)(a)、(b)、及び必要に応じて(c)を含む。
【0051】
好ましくは、上記特定された(i)~(vi)の疾患又は障害を治療する方法に使用される本発明の組成物は、
モル比が3:1~1.5:1であり、好ましくは(2.0±0.2):1である(a)セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物と、
組成物の全重量に対して0.01wt%~0.08wt%の(b)t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)と、を含むか又は代替的にそれらからなる(I)混合物を含む。
【0052】
好ましくは、上記特定された(i)~(vi)の疾患又は障害を治療する方法に使用される本発明の組成物は、
モル比が(2.0±0.2):1であり、重量百分率が70wt%~80wt%である(a)セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物と、
組成物の全重量に対して重量百分率が0.01wt%~0.08wt%である(b)t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)と、
組成物の全重量に対して重量百分率が19.5wt%~30wt%である(c)オリーブ油と、を含むか又は代替的にそれらからなる(I)混合物を含む。
【0053】
上述したような(i)~(vi)に列挙された疾患、症状又は障害を治療する方法に使用される本発明の組成物は、好ましくは局所又は経皮経路、より好ましくは局所経路を介して上記対象に投与される。有利には、混合物(a)に含まれる(a1)~(a7)のセチル化脂肪酸は、420Da~510Daの分子量を有する。この分子量の範囲であるため、混合物(a)、したがって本発明の組成物は、角層バリア(皮膚)を効果的に克服することができ、局所経路を介した吸収が容易になる。
【0054】
代替的に、上述したような(i)~(vi)に列挙された疾患、症状又は障害を治療する方法に使用される本発明の組成物は、好ましくは経口経路を介して上記対象に投与される。
【0055】
本発明の目的を形成するのは、本発明の組成物(例えば、LIPOCETTM)であって、必要とする対象に投与された場合に、(i.i)胃粘膜の損傷に起因又は関連する症状及び/又は障害(胃粘膜を保護するための治療)と、(i.ii)糖尿病及び糖尿病に起因又は関連する障害又は症状と、(i.iii)高血糖値に起因又は関連する糖尿病以外の疾患及び/又は障害と、を予防的及び/又は治癒的及び/又は対症的に治療する方法に使用される、(本明細書で説明された全ての実施形態に係る)(a)、(b)、及び必要に応じて(c)を含む。
【0056】
上記(i.i)胃粘膜の損傷に由来又は関連する症状又は障害(胃粘膜の保護)は、消化性潰瘍、胃食道逆流(GERD)、胸焼けを含むか又は代替的にそれらからなる群から選択される。
【0057】
有利なことに、本発明の組成物をラットに用いると胃粘膜が効果的かつ持続的に保護されることが、ラットにおいてインビボで観察された。胃粘膜は、バリア効果を発揮することが知られており、胃の粘膜を覆う約0.2mmの粘膜層からなる。このバリアの目的は、胃の壁細胞が生成したHCIの損傷作用から胃上皮を保護するためである。これは、胃粘膜細胞による高分子量(したがって非常に粘性のある)ムコタンパク質液滴の生成と重炭酸塩の生成に由来する。
【0058】
したがって、本発明の目的を形成するのは、消化性潰瘍、胃食道逆流(GERD)、胸焼けを含むか又は代替的にそれらからなる群から選択される胃粘膜の損傷に由来又は関連する障害又は症状を(予防的及び/又は治癒的に)治療する方法に使用される組成物(表2又は試料2~6を参照)である。
【0059】
上記(i.iii)高血糖値に由来又は関連する糖尿病以外の疾患及び/又は障害は、高血糖症、慢性肝疾患、肥満を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択される。
【0060】
有利なことに、本発明の組成物、例えば試料4を、高用量、例えば1600mg/kgよりも高い用量でラットにインビボで投与することにより、治療対象のラットの血液中の血糖値が統計的に有意に低下することが発見された。
【0061】
したがって、本発明の目的を形成するのは、糖尿病、又は高血糖症、慢性肝疾患及び肥満などの血糖値に由来又は関連する糖尿病以外の疾患及び/又は障害を治療する方法に使用される組成物(表2又は試料2~6を参照)である。
【0062】
上述したような(i.i)~(i.iii)に列挙された疾患、症状又は障害を治療する方法に使用される上記本発明の組成物は、好ましくは経口経路を介して上記対象に投与される。
【0063】
好ましくは、上記特定された(i.i)~(i.iii)の疾患又は障害を治療する方法に使用される本発明の組成物は、
好ましくはモル比が4:1~1:1又は3:1~1.5:1であり、好ましくは(2.0±0.2):1である(a)セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物と、
組成物の全重量に対して0.01wt%~0.08wt%の(b)t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)と、を含むか又は代替的にそれらからなる(I)混合物を含む。
【0064】
本発明の組成物は、溶液、二相液系、乳化液、懸濁液、シロップ、噴霧、軟膏、油又は飲料などの液体形態、又は代替的にゲル、軟質ゲル、クリーム、発泡体などの半固体形態、又は代替的に粉末、噴霧用粉末(噴霧乾燥)、顆粒、マイクロ顆粒、フレーク、凝集体、口腔可溶性スティック、錠剤、発泡錠、カプセル、座薬、バー又は食品などの固体形態、及び当業者に公知の等価形態で製剤化され得る。
【0065】
例えば、本発明の組成物は、経口用途のために、本発明に係る(a)セチル化脂肪酸の混合物、%に基づく本発明に係る(b)少なくとも1種の酸化防止剤と、例えば、ゼラチン、グリセリンなどの賦形剤、及び/又は防腐剤を含むカプセル(例えば、LIPOCETTM)として製剤化できる。1つの実施形態では、組成物は、牛ゼラチンの300mgカプセルの形態である。
【0066】
有利には、本発明の組成物を経口用途に用いる場合には、固体形態又は液体形態で、より好ましくはカプセル又は油又は粉末又は噴霧用粉末(噴霧乾燥)又は噴霧用液体又は飲料又は食品の形態で製剤化される。
【0067】
有利には、本発明の組成物を経口用途に用いる場合には、固体形態又は液体形態で、より好ましくは油又は粉末又は噴霧用粉末(噴霧乾燥)又は噴霧用液体の形態で製剤化される。
【0068】
有利には、本発明の組成物を局所用途に用いる場合には、半固体形態で、より好ましくはクリーム又はゲルの形態で製剤化される。
【0069】
有利には、本発明の組成物を経皮用途に用いる場合には、半固体形態で、パッチによる投与に適した形態で製剤化される。
【0070】
本発明の目的を形成するのは、本発明に記載の(a)又は(a)及び(b)又は(a)及び(b)及び(c)を含む本発明の組成物のうちの1つを、有効量で必要とする対象に対して、好ましくは局所又は経皮経路を介して投与することにより上記(i)~(vi)に列挙された疾患、症状又は障害を治療する方法、又は代替的に好ましくは経口投与することにより上記(i.i)~(i.iii)に列挙された疾患、症状又は障害を治療する方法である。
【0071】
本発明の組成物の適切なアッセイは、例えば、治療/予防対象の症状、症状の重症度及び経過、組成物が予防又は治療目的で投与されるという事実、前治療、患者の病歴及び組成物に対する反応、並びに治療を行う医師の裁量に依存する。
【0072】
本発明の組成物を局所経路で投与する場合、投与される組成物の量は、1日当たり上記対象の体重の約1mg/kg~15mg/kgであり、好ましくは3~10mg/kgであり、より好ましくは5~8mg/kgである。さらに、本発明の組成物、例えばクリーム又はゲルは、問題の解剖学的領域に応じて、例えば、治療対象領域の直径1cm~25cmの範囲に含まれる領域(例えば、指3cm、背部20cm)に局所経路を介して塗布される。
【0073】
本発明の組成物が経口経路で投与する場合、投与される組成物の量は、1日当たり上記対象の体重の約100mg/kg~5000mg/kgであり、好ましくは200mg/kg~4500mg/kgであり、より好ましくは300~4000mg/kgである。
【0074】
本発明の組成物は、対象に一回又は数回の治療で適宜投与される。
【0075】
本発明の組成物は、単剤として投与してもよく、本明細書で説明したような(i)~(vi)及び/又は(i.i)~(i.iii)に列挙された疾患、症状及び/又は障害の予防的及び/又は治癒的及び/又は対症的な治療に有用な他の組成物又は治療法と組み合わせて(コアジュバントとして)投与してもよい。
【0076】
本発明の目的を形成するのは、胃粘膜を保護するための、(a)又は(a)及び(b)又は(a)及び(b)及び(c)を含む本発明の組成物の非治療用途であって、上記組成物は、好ましくは経口用途のために製剤化される。
【0077】
本発明の組成物は、胃粘膜を損傷しないように胃粘膜を保護するので、例えば消化性潰瘍、胃食道逆流(GERD)、胸焼けなどの胃領域に関連する障害が発生するのを防止することができる。
【0078】
本発明の文脈において、「対象」という表現は、ヒト対象又は動物対象(例えば、イヌ又はネコ又は他の哺乳動物などのペット)を示すために使用される。好ましくは、本発明の組成物は、ヒト対象の治療方法に使用される。
【0079】
本発明の文脈における「治療方法」という表現は、病理学又は疾患及びその症状又は障害を除去、軽減/防止することを目的とする、物質の投与、物質の混合又はそれらの組み合わせを含む作用を示すために使用される。
【0080】
本発明の文脈における「医療機器」という表現は、1997年2月24日付イタリア立法令第46号によって定められた意味に従って(又は新しい医療機器規則(EU)2017/745(MDR)に従って)使用される。即ち、この「医療機器」は、単独又は組み合わせて使用され、疾患の診断、予防、制御、治療又は軽減のために、ヒトにおいて使用されるよう製造業者によって指定された物質又は別の製品を示しており、その製品は、指定されたように人体内又は人体上で主な作用を発揮せず、薬理学的又は免疫学的手段も、代謝プロセスも用いないが、その機能はそのような手段によって相互補助することができる。
【0081】
本発明の組成物は、必要に応じて、薬学又は食品用途に適する治療活性を欠く物質などの(II)少なくとも1種の食品又は医薬品グレードの添加剤及び/又は賦形剤、例えば、希釈剤、溶媒(例えば、水、グリセリン、エチルアルコール)、可溶化剤、増粘剤、甘味料、固化防止剤、調味料、着色剤、潤滑剤、界面活性剤、抗菌剤、酸化防止剤、防腐剤、pH安定化緩衝剤、酸性化剤、及び当業者に知られている全ての補助物質を含む。
【0082】
本発明の組成物は、上記(a)、(b)及び必要に応じて(c)の他に、他の活性成分、例えば、抗炎症性活性成分、プロバイオティクス、制酸薬、関節及び/又は筋肉に関連する障害の治療のための製品、B及びE群のビタミン類、鉱物塩類、鎮痛薬、葉酸、メントール、グルコサミン、コンドロイチン、メチルスルフォニルメタン(MSM)、精油などをさらに含んでよい。
【0083】
特に断りがない限り、組成物が1種以上の成分又は物質を「含む」という表示は、具体的に示された1種以上の成分又は物質の以外に他の成分又は物質が存在し得ることを意味する。
【0084】
特に断りがない限り、組成物が「x~y」の範囲の量で成分を含むという表現は、上記成分が、特定されていないが、上記範囲の両極端を含む上記範囲に存在する全ての量で組成物中に存在し得ることを示すために用いられる。
【0085】
本発明の目的を形成するのは、本明細書で定義されるような上記(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸(又はセチル化脂肪酸の混合物)を製造するための第1の方法であって、
反応器2のチャンバー3内で、溶媒の非存在下で、少なくとも1種の脂肪酸と、セチルアルコールと、触媒、好ましくは金属触媒とを接触させて、反応混合物15を得る工程(I)と、
不活性ガスを用いて容器3を飽和状態にし、容器3を約1気圧の圧力P1にして、上記不活性ガス流を、好ましくは5m
3/h~0.05m
3/h、より好ましくは0.5m
3/hで、上記チャンバー3を介して適用する工程(II)と、
約1気圧の圧力P1及び不活性ガス流の存在下で、120℃~200℃、好ましくは145℃~175℃、より好ましくは160℃の温度T1に達するまで、上記反応混合物15に第1の加熱ランプを適用して、上記セチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物とエステル化水との初期形成を伴うエステル化反応を開始させる工程(III)と、
上記温度T1及び圧力P1で上記反応混合物15を10分間~2時間、好ましくは30分間~1.5時間、より好ましくは1時間撹拌しながら保持する工程(IV)と、
約1気圧の圧力P1及び不活性ガス流の存在下で、201℃~260℃、好ましくは210℃~240℃、より好ましくは220℃の温度T2に達するまで、上記反応混合物15に第2の加熱ランプを適用して、上記セチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物とエステル化水との更なる形成を伴うエステル化反応を続ける工程(V)と、
上記温度T2及び圧力P1、並びに不活性ガス流の存在下で、好ましくはAOCS公定法Cd 3d-63で測定した酸度値が経時的に安定するとともに、5mgKOH/g~8mgKOH/gに達するまで、上記反応混合物15を4時間~12時間、好ましくは6時間~10時間、より好ましくは8時間撹拌しながら保持する工程(VI)と、
チャンバー3内に真空プログラムを適用することで、100mbar~10mbar、好ましくは80mbar~30mbar、より好ましくは50mbarの減圧P2に達するまで、反応圧力を低下させる工程(VII)と、
上記減圧P2及び不活性ガス流の存在下で、好ましくはAOCS公定法Cd 3d-63で測定した酸度値が4.5mgKOH/g~3.5mgKOH/g、好ましくは4mgKOH/gに達するまで、上記反応混合物15を30分間~4時間、好ましくは1時間~2時間、より好ましくは2時間撹拌しながら保持して、上記少なくとも1種の未精製のセチル化脂肪酸又は未精製のセチル化脂肪酸の混合物(MI)を完全に形成する工程(VIII)と、を含む(
図1)。
【0086】
エステルを形成する工程の一部又は全期間にわたって不活性ガス流を適用し、それと組み合わせて、上記エステルを形成する工程の最後の部分のみで反応器のチャンバー内における真空プログラムを適用することにより、上記第1の方法は、有利なことに、エステル化水の除去及び脂肪酸のエステルへの高収率かつ完全な転化を可能にする。上記第1の方法は、エステル化反応の全期間にわたって真空プログラムを適用する必要がないため、適用が容易であり、かつ経済的に有利である。
【0087】
上記第1の方法の1つの実施形態(FR1)では、上記少なくとも1種の脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エイコサン酸及びこれらの混合物を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択され、好ましくはミリスチン酸、オレイン酸及びミリスチン酸とオレイン酸との混合物から選択され、より好ましくはミリスチン酸とオレイン酸との混合物であり、さらに好ましくはミリスチン酸とオレイン酸との混合物であり、ただし上記混合物はミリストレイン酸を含まないものとする。
【0088】
上記第1の方法の1つの実施形態(FR2)では、上記不活性ガス流は、チャンバー3の容積部に配置された送風手段7を用いて反応混合物15の上に適用する(
図1)。
【0089】
上記第1の方法の1つの実施形態(FR3)では、上記エステル化反応の過程において不活性ガス流及び真空プログラムを適用することでチャンバー3から引き出されたエステル化水を、垂直凝縮器16を通してから水平凝縮器11内で凝縮し、容器13に収集する(
図2及び3)。
【0090】
上記第1の方法の1つの実施形態(FR4)では、上記水平凝縮器11は、10℃~40℃の温度に保持され、70℃~90℃の温度に保持された垂直凝縮器16により上記容器3に接続される(
図3)。
【0091】
上記第1の方法の1つの実施形態(FR5)では、上記第1の方法は、工程(I)~(VIII)の他に、工程(VIII)から得られた上記少なくとも1種の未精製のセチル化脂肪酸又は未精製のセチル化脂肪酸の混合物(MI)をフィルタープレス23内の漂白土及び/又は濾過土上に濾過して(
図3)、少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸又は濾過されたセチル化脂肪酸の混合物(Mf)を得る工程(IX)をさらに含み、金属触媒は、実質的に存在しないか、又は上記濾過されたセチル化脂肪酸又は濾過されたセチル化脂肪酸の混合物(Mf)の重量に対して2wt%未満の量、好ましくは0.01wt%~1.5wt%の量、より好ましくは0.05wt%~1wt%の量、例えば0.5wt%の量で存在する。
【0092】
金属触媒(ゼロ酸化状態での金属)、好ましくは金属亜鉛は、粉末状で使用することが好ましく、好ましくは粉末状の金属亜鉛である。触媒の添加量は、反応試薬(即ち、脂肪酸又は脂肪酸+セチルアルコールの混合物)の全重量に対して0.01wt%~0.5wt%、好ましくは0.05wt%~0.25wt%、より好ましくは0.1wt%の範囲である。
【0093】
上記第1の方法の1つの実施形態(FR6)では、工程(I)~(IX)の他に、上記第1の方法は、反応器27内で上記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸又は濾過されたセチル化脂肪酸の混合物(Mf)を、150℃~200℃、好ましくは165℃~180℃、より好ましくは180℃の温度T3、及び1mbar~20mbar、好ましくは3mbar~5mbarの減圧P3、並びに水蒸気流の存在下で、1時間~5時間、好ましくは2時間~3時間処理して(
図3)、少なくとも1種の精製されたセチル化脂肪酸又は精製されたセチル化脂肪酸の混合物(Mf)を得る工程(X)(脱臭工程)をさらに含む。
【0094】
本発明の目的を形成するのは、本明細書に定義されたような上記(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸(又はセチル化脂肪酸の混合物)を含む本発明の組成物を製造する第2の方法であって、実施形態FR1~FR4のいずれか1つと組み合わせて実施形態FR5によって得られる上記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)、又は代替的にFR1~FR5のいずれか1つと組み合わせて実施形態FR6によって得られる上記少なくとも1種の精製されたセチル化脂肪酸(MF)と、(本明細書に定義されたような)(b)少なくとも1種の酸化防止剤とを混合する工程(XI)を含み、上記(b)少なくとも1種の酸化防止剤は、組成物(本発明の組成物)の全重量に対して0.001wt%~0.5wt%又は0.001wt%~0.4wt%又は0.001wt%~0.3wt%又は0.001wt%~0.2wt%又は0.001wt%~0.1wt%、好ましくは0.005wt%~0.1wt%、より好ましくは0.01wt%~0.08wt%の重量百分率で混合される。
【0095】
1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物を製造する第2の方法は、好ましくはモル比が4:1~1:1又は3:1~1.5:1又は(2.0±0.2):1又は約1:1であるセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物を含むか又は代替的にこのような混合物からなる上記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)又は少なくとも1種の精製されたセチル化脂肪酸(MF)を混合する工程を含み、上記(b)少なくとも1種の酸化防止剤は、組成物の全重量に対して重量百分率が0.001wt%~0.5wt%又は0.001~0.4wt%又は0.001~0.3wt%又は0.001wt%~0.2wt%又は0.001wt%~0.1wt%であり、好ましくは0.005wt%~0.1wt%であり、より好ましくは0.01wt%~0.08wt%であるt-ブチルヒドロキノン(TBHQ)である。
【0096】
1つの実施形態では、脱臭工程を行う前に、上記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(又はセチル化脂肪酸の混合物)(Mf)、好ましくは濾過されたセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物に、(本発明に定義されたような)上記(c)植物油、好ましくはオリーブ油又はコーン油を添加する。
【0097】
1つの実施形態では、脱臭工程(X)の前に、上記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)、好ましくは濾過されたセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物について、上記(Mf)に上記(c)植物油、好ましくはオリーブ油又はコーン油を添加する工程(XII)を行って、(Mf)と(c)とを含む混合物を形成し、その後この混合物に脱臭工程(X)を行う。
【0098】
1つの好ましい実施形態では、少なくとも1種の精製されたセチル化脂肪酸(MF)、好ましくは精製されたミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物を得る第1の方法の脱臭工程(X)と、上記少なくとも1種の精製されたセチル化脂肪酸(MF)と、少なくとも1種の酸化防止剤、好ましくはTBHQとを混合する第2の方法の工程(XI)と、必要に応じて、少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)に(c)植物油を添加する工程(XII)とは、同一の反応器内で実施される。
【0099】
基本的には、本発明の方法は、以下の実施形態により概略的に要約できる。
1)MI(工程I~VIII)→Mf(工程IX)→MF(工程X)+(b)(工程(XI))+(c)(工程(XII))
2)MI(工程I~VIII)→Mf(工程IX)+(c)(工程XII)→MF(工程X)+(b)(工程(XI))
3)MI(工程I~VIII)→Mf(工程IX)+(b)(工程XI)→MF(工程X)+(c)(工程(XII))
【0100】
上記(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸(又はセチル化脂肪酸の混合物)は、セチルアルコール(1-ヘキサデカノール、CH3(CH2)15OH)でエステル化された脂肪酸である。
【0101】
好ましくは、上記(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸の脂肪酸は、(a1)ミリスチン酸、(a2)オレイン酸、(a3)リノール酸、(a4)パルミチン酸、(a5)ラウリン酸、(a6)パルミトレイン酸、(a7)ステアリン酸、(a8)エイコサン酸、(a9)エイコセン酸及びこれらの混合物を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択され、より好ましくは、上記(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸は、セチル化ミリスチン酸と、セチル化オレイン酸と、セチル化リノール酸と、セチル化パルミチン酸とを含むか又は代替的にそれらからなるセチル化脂肪酸の混合物であり、さらにより好ましくは、上記(a)は、セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物を含むか又は代替的にこの混合物からなる。
【0102】
(a)、(b)(少なくとも1種の酸化防止剤)及び(c)(例えば、LIPOCETTM)を含む本発明の組成物の1つの実施形態(記載された実施形態のいずれか1つ)によれば、脂肪酸プロファイルは、
30%~55%、好ましくは35%~50%、より好ましくは40%~45%、例えば41%又は42%又は43%又は44%の(a1)ミリスチン酸と、
35%~60%、好ましくは40%~55%、より好ましくは45%~50%、例えば46%又は47%又は48%又は49%の(a2)オレイン酸と、
3%~12%、好ましくは5%~10%、より好ましくは6%~9%、例えば7%又は8%又は8.5%の(a3)リノール酸と、
1%~8%、好ましくは2%~6%、より好ましくは3%~5%、例えば3.5%又は4%又は4.5%の(a4)パルミチン酸と、を含むか又は代替的にそれらからなる。
【0103】
さらに、上記(a)+(b)+(c)は、1種以上の上記(a1)~(a4)と共に、
0.1%~0.3%、例えば0.2%の(a5)ラウリン酸と、
0.3%~0.5%、例えば0.4%の(a6)パルミトレイン酸と、
0.7%~0.9%、例えば0.8%の(a7)ステアリン酸と、
0.05%~0.15%、例えば0.1%の(a8)エイコサン酸と、
0.2%~0.4%、例えば0.3%(a9)エイコセン酸と、を含む。
【0104】
上記(a5)~(a9)の総量は、好ましくは1wt%~4wt%であり、より好ましくは1.5wt%~3wt%であり、さらに好ましくは2wt%~2.5wt%であり、例えば1.8wt%である。
【0105】
上記混合物(a)+(b)+(c)のクロマトグラフ分離により、(重量%で)60%~80%、好ましくは65%~75%の(a1)~(a9)のワックス画分が得られ、そして残りの部分はグリセリド画分である。上記ワックス画分中の鎖長分布のタイプは、炭素数30が60%~70%であり、炭素数32が1%~3%であり、炭素数34が25%~35%である。上記ワックス画分中に、ミリスチン酸の量は、60wt%~70wt%であり、オレイン酸の量は、25wt%~35wt%である。
【0106】
以下、混合物(a)+(b)+(c)の実施形態について説明する。
【0107】
試料2、本発明に係る組成物は、
ミリスチン:オレインのモル比が約2.1:1であるセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物(試料の全重量に対して約75wt%である)と、
オリーブ油又はコーン油(試料の全重量に対して約25wt%である)と、
t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)(試料の全重量に対して0.02wt%である)と、
必要に応じて賦形剤及び/又は添加剤と、を含む。
【0108】
試料3、本発明に係る組成物は、
ミリスチン:オレインのモル比が約2.1:1である、主にセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸とを含む混合物(試料の全重量に対して約75wt%である)と、
オリーブ油又はコーン油(試料の全重量に対して約25wt%である)と、
AperoxidRTLA(試料の全重量に対して0.05wt%である)と、必要に応じて、
賦形剤及び/又は添加剤と、を含む。
【0109】
試料4、組成物は、
ミリスチン:オレインのモル比が約2.1:1である、主にセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸とを含む混合物(試料の全重量に対して約75wt%である)と、
オリーブ油又はコーン油(試料の全重量に対して約25wt%である)と、
トコフェロール類の混合物又は酢酸トコフェロール(0.001~0.3wt%)と、必要に応じて、
賦形剤及び/又は添加剤と、を含む。
【0110】
試料5、本発明に係る組成物は、
(a1):(a2):(a3)のモル比=4:4:1である(a1)+(a2)+(a3)の混合物(試料の全重量に対して約80wt%である)と、
オリーブ油又はコーン油(試料の全重量に対して約20wt%である)と、
重量比が1:25である酢酸トコフェロールと小麦胚芽油との混合物と、必要に応じて、
賦形剤及び/又は添加剤と、を含む。
【0111】
試料6、本発明に係る組成物は、
(a1):(a2):(a3):(a4)のモル比=4:4:1:0.5である(a1)+(a2)+(a3)+(a4)の混合物(試料の全重量に対して約85wt%である)と、
オリーブ油又はコーン油(試料の全重量に対して約15wt%である)と、
重量比が1:25である酢酸トコフェロールと小麦胚芽油との混合物と、必要に応じて、
賦形剤及び/又は添加剤と、を含む。
【0112】
以下、本発明の第1の目的に係る実施形態(An)について説明する。
【0113】
An1 (I)と、必要に応じて(II)とを含む組成物において、
(I)は、
炭素数がC6~C21の範囲であり、飽和又は不飽和脂肪酸である(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸と、
組成物の全重量に対して重量百分率が0.001wt%~0.5wt%の範囲内である(b)少なくとも1種の酸化防止剤と、を含むか又は代替的にそれらからなる混合物であり、そして、
(II)は、少なくとも1種の食品又は医薬品グレードの添加剤及び/又は賦形剤である。
【0114】
An2 An1に記載の組成物において、上記(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸の脂肪酸は、ミリスチン酸、オレイン酸及びこれらの混合物を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択され、
好ましくは、(a)は、セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物を含むか又は代替的にこの混合物からなる。
【0115】
An3 An1又はAn2に記載の組成物において、上記(b)少なくとも1種の酸化防止剤は、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)と、トコフェロール、レシチン、パルミチン酸アスコルビル及びクエン酸を含む混合物(AperoxidRTLA)と、トコフェロール類の混合物と、天然のローズマリー抽出物と、を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択され、好ましくは(b)は、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)である。
【0116】
An4 An1~An3のいずれか一項に記載の組成物において、上記(b)少なくとも1種の酸化防止剤は、組成物の全重量に対して0.005wt%~0.1wt%、好ましくは0.01wt%~0.08wt%の範囲の重量百分率で存在する。
【0117】
An5 An1~An4のいずれか一項に記載の組成物において、
上記(a)は、セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物を含むか又は代替的にこの混合物からなり、上記セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸とのモル比は、4:1~1:1、好ましくは3:1~1.5:1の範囲であり、より好ましくは(2.0±0.2):1であり、そして
上記(b)は、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)であり、組成物の全重量に対して、0.001wt%~0.5wt%、好ましくは0.005wt%~0.1wt%、より好ましくは0.01wt%~0.08wt%の範囲の重量百分率で存在する。
【0118】
An6 An1~An5のいずれか一項に記載の組成物において、(a)及び(b)の他に、(c)植物油をさらに含み、好ましくは、上記植物油は、オレイン含量の高いオリーブ油及びひまわり油 を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択される。
【0119】
An7 An1~An6のいずれか一項に記載の組成物は、
組成物の全重量に対して重量百分率が50wt%~90wt%、好ましくは60wt%~85wt%、より好ましくは70wt%~80wt%の範囲である、上記(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸、好ましくはセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物と、
組成物の全重量に対して重量百分率が0.001wt%~0.5wt%、好ましくは0.005wt%~0.1wt%、より好ましくは0.01wt%~0.08wt%の範囲である、上記(b)酸化防止剤、好ましくはt-ブチルヒドロキノン(TBHQ)と、
組成物の全重量に対して重量百分率が9.5wt%~50wt%、好ましくは14.5wt%~40wt%、より好ましくは19.5wt%~30wt%の範囲である、上記(c)植物油、好ましくはオリーブ油と、を含む。
【0120】
An8 An1~An7のいずれか一項に記載の組成物は、薬剤として使用される。
【0121】
An9 An8に記載の使用のための組成物は、必要とする対象に投与することにより、(i)炎症性及び非炎症性の関節リウマチ、特に変形性膝関節症、(ii)関節リウマチ以外の関節の炎症性症状、(iii)乾癬、狼瘡、歯周病又は心血管疾患又は心臓病、(iv)スポーツ関連の外傷を含む外傷後の骨関節及び筋骨格の疾患、(v)変形性関節疾患、好ましくは関節症、変形性膝関節炎、変形性股関節症、及び/又は(vi)腱及び筋肉関連の炎症性/外傷性症状を予防的及び/又は治癒的及び/又は対症的に治療する方法に使用される。
【0122】
An10 An8又はAn9に記載の使用のための組成物は、局所又は経皮用途、好ましくは局所用途のために製剤化される。
【0123】
以下、本発明の第2の目的に係る実施形態(Bn)について説明する。
【0124】
Bn1 組成物は、
(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸を含むか又は代替的にこのようなセチル化脂肪酸からなる(I)混合物と、必要に応じて、
(II)少なくとも1種の医薬品又は食品グレードの添加剤及び/又は賦形剤と、を含み、
上記組成物は、必要とする対象に投与することにより、
消化性潰瘍、胃食道逆流(GERD)、胸焼けを含むか又は代替的にそれらからなる群から選択される(i.i)胃粘膜の損傷に由来及び/又は関連する障害又は症状と、
(i.ii)糖尿病と、
高血糖症、慢性肝疾患、肥満を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択される(i.iii)高血糖値に由来又は関連する糖尿病以外の疾患及び/又は障害と、の予防的及び/又は治癒的に治療する方法に使用される。
【0125】
Bn2 Bn1に記載の使用のための組成物において、(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸の上記脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エイコサン酸及びこれらの混合物、好ましくは、ミリスチン酸、オレイン酸又はセチル化ミリスチン酸及びセチル化オレイン酸を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択される。
【0126】
Bn3 Bn2に記載の使用のための組成物において、上記セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物中に、セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸とのモル比は、4:1~1:1、好ましくは3:1~1.5:1の範囲であり、より好ましくは(2.0±0.2):1である。
【0127】
Bn4 Bn1~Bn3のいずれか一項に記載の使用のための組成物において、上記(a)を含む上記(I)混合物は、(b)少なくとも1種の酸化防止剤をさらに含む。
【0128】
Bn5 Bn4に記載の使用のための組成物において、上記(b)少なくとも1種の酸化防止剤は、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)と、トコフェロール、レシチン、パルミチン酸アスコルビル及びクエン酸を含む混合物(AperoxidRTLA)と、トコフェロール類の混合物と、天然のローズマリー抽出物と、を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択され、好ましくは(b)は、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)である。
【0129】
Bn6 Bn4又はBn5に記載の使用のための組成物において、上記(b)少なくとも1種の酸化防止剤は、組成物の全重量に対して、0.001wt%~0.5wt%、好ましくは0.005wt%~0.1wt%、より好ましくは0.01wt%~0.08wt%の範囲の重量百分率で存在する。
【0130】
Bn7 Bn1~Bn6のいずれか一項に記載の使用のための組成物において、上記(I)混合物は、
好ましくはセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸とのモル比が4:1~1:1、好ましくは3:1~1.5:1の範囲であり、より好ましくは(2.0±0.2):1である上記セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物と、
好ましくは組成物の全重量に対して、0.001wt%~0.5wt%、好ましくは0.005wt%~0.1wt%、より好ましくは0.01wt%~0.08wt%の範囲の重量百分率で存在する上記(b)t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)と、を含むか又は代替的にそれらからなる。
【0131】
Bn8 Bn1~Bn7のいずれか一項に記載の組成物において、(a)及び(b)の他に、(c)植物油をさらに含み、好ましくは、上記植物油は、オレイン含量の高いオリーブ油及びひまわり油並びにそれらの混合物を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択される。
【0132】
Bn9 Bn1~Bn8のいずれか一項に記載の使用のための組成物は、経口用途のために製剤化される。
【0133】
Bn10 Bn1~Bn9のいずれか一項に記載の組成物は、(i.i)、(i.ii)又は(i.iii)の予防的及び/又は治癒的治療に使用される1種以上の組成物のコアジュバントとして使用される。
【0134】
以下、本発明の第3の目的に係る実施形態(Cn)について説明する。
【0135】
Cn1 (a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物を製造する方法は、
反応器2のチャンバー3内で、溶媒の非存在下で、少なくとも1種の脂肪酸と、セチルアルコールと金属触媒とを接触させて、反応混合物15を得る工程(I)と、
不活性ガスを用いて容器3を飽和状態にし、容器3を約1気圧の圧力P1にし、上記チャンバー3を介して上記不活性ガス流を適用する工程(II)と、
約1気圧の圧力P1及び不活性ガス流の存在下で、120℃~200℃の温度T1に達するまで上記反応混合物15に第1の加熱ランプを適用して、上記セチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物とエステル化水との初期形成を伴うエステル化反応を開始させる工程(III)と、
上記温度T1及び圧力P1で上記反応混合物15を10分間~2時間撹拌しながら保持する工程(IV)と、
約1気圧の圧力P1及び不活性ガス流の存在下で、201℃~260℃の温度T2に達するまで上記反応混合物15に第2の加熱ランプを適用して、上記セチル化脂肪酸又はセチル化脂肪酸の混合物とエステル化水との更なる形成を伴うエステル化反応を続ける工程(V)と、
上記温度T2及び圧力P1、並びに不活性ガス流の存在下で、上記反応混合物15を4時間~12時間撹拌しながら保持する工程(VI)と、
チャンバー3内に真空プログラムを適用することで、100mbar~10mbarの減圧P2に達するまで反応圧力を低下させる工程(VII)と、
上記減圧P2及び不活性ガス流の存在下で、上記反応混合物15を30分間~4時間撹拌しながら保持して、上記少なくとも1種の未精製のセチル化脂肪酸(MI)又は未精製のセチル化脂肪酸の混合物を完全に形成する工程(VIII)と、を含む。
【0136】
Cn2 Cn1に記載の方法において、
上記温度T2及び圧力P1、並びに不活性ガス流の存在下で、上記反応混合物15を6時間~12時間撹拌しながら保持する上記工程(VI)は、AOCS公定法Cd 3d-63で測定した反応混合物15の酸度値が経時的に安定するとともに、5mgKOH/g~8mgKOH/gに達するまで行い、そして
上記減圧P2及び不活性ガス流の存在下で、上記反応混合物15を30分間~4時間撹拌しながら保持して、上記少なくとも1種の未精製のセチル化脂肪酸又は未精製のセチル化脂肪酸の混合物(MI)を完全に形成する上記工程(VIII)は、AOCS公定法Cd 3d-63で測定した反応混合物15の酸度値が4.5mgKOH/g~3.5mgKOH/gに達するまで行う。
【0137】
Cn3 Cn1又はCn2に記載の方法において、上記少なくとも1種の脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エイコサン酸及びこれらの混合物を含むか又は代替的にそれらからなる群から選択され、
好ましくは、ミリスチン酸、オレイン酸、ミリスチン酸とオレイン酸の混合物のうちから選択される。
【0138】
Cn4 Cn1~Cn3のいずれか一項に記載の方法において、上記不活性ガス流は、チャンバー3の容積部に配置された送風手段7を用いて反応混合物15の上に適用する。
【0139】
Cn5 Cn1~Cn4のいずれか一項に記載の方法において、上記エステル化反応の過程において不活性ガス流及び真空プログラムを適用することでチャンバー3から引き出されたエステル化水を、垂直凝縮器16を通してから水平凝縮器11内で凝縮し、容器13に収集する。
【0140】
Cn6 Cn1~Cn5のいずれか一項に記載の方法は、工程(VIII)から得られた上記少なくとも1種の未精製のセチル化脂肪酸(MI)をフィルタープレス23内の漂白土及び/又は濾過土上に濾過して、少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)を得る工程(IX)(濾過工程)をさらに含み、金属触媒は、存在しないか、又は上記濾過されたセチル化脂肪酸又は濾過されたセチル化脂肪酸の混合物(Mf)の重量に対して2wt%未満の量で存在する。
【0141】
Cn7 Cn1~Cn6のいずれか一項に記載の方法は、工程(IX)の後に、反応器27内で上記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)を、150℃~200℃の温度T3及び1mbar~20mbarの減圧P3、並びに水蒸気流の存在下で、1時間~5時間処理して、少なくとも1種の精製されたセチル化脂肪酸(MF)を得る工程(X)(脱臭工程)をさらに含む。
【0142】
Cn8 上記(a)少なくとも1種のセチル化脂肪酸を含む組成物を製造する方法は、実施形態Cn1~Cn6のいずれか一項によって得られる上記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)、又は代替的に実施形態Cn1~Cn7のいずれか一項によって得られる上記少なくとも1種の精製されたセチル化脂肪酸(MF)と、少なくとも1種の酸化防止剤とを混合する工程を含み、上記少なくとも1種の酸化防止剤は、組成物の全重量に対して0.001wt%~0.5wt%、好ましくは0.005wt%~0.1wt%、より好ましくは0.01wt%~0.08wt%の重量百分率で混合される。
【0143】
Cn9 Cn8に記載の組成物を製造する方法において、上記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)又は少なくとも1種の精製されたセチル化脂肪酸(MF)は、セチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物を含むか又は代替的にこのような混合物からなり、上記少なくとも1種の酸化防止剤は、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)である。
【0144】
Cn10 Cn8又はCn9に記載の組成物を製造する方法において、工程(X)の前に、工程(IX)から得られた上記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)、好ましくは濾過されたセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸との混合物について、上記少なくとも1種の濾過されたセチル化脂肪酸(Mf)に植物油、好ましくはオリーブ油を添加する工程(XII)を行って、(Mf)と植物油とを含む混合物を形成し、その後この混合物に工程(X)を行う。
[実験例1]
【0145】
実験例1では、酸化防止剤を含むか又は含まない本発明の組成物の安定性を解析した。以下に説明するのと同じ方法を使用して、表2に示された組成物及び試料1、2及び3に対して試験を行った。特に、試料2、3(本発明)及び試料1(比較用試料)に対する試験は、非限定的な例として報告されている。これは、表2に示された組成物で得られた安定性の結果は、試験された組成物に少なくとも1種の酸化防止剤が存在するため、試料2、3と同程度であるからである。
【0146】
材料
前提:試料1、2、3の重量百分率(wt%)は、試料の全重量を意味する。
【0147】
試料1、(比較用組成物)の組成物は、
ミリスチン:オレインのモル比が約2.1:1である、主にセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸とを含む混合物(試料の全重量に対して約75wt%である)と、
オリーブ油又はコーン油(試料の全重量に対して約25wt%である)と、を含む。
【0148】
試料1は、酸化防止剤を含まない。
【0149】
試料2、本発明に係る組成物は、ミリスチン:オレインのモル比が約2.1:1である、主にセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸とを含む混合物(試料の全重量に対して約75wt%である)と、
オリーブ油又はコーン油(試料の全重量に対して約25wt%である)と、
t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)(試料の全重量に対して0.02wt%である)と、必要に応じて、
賦形剤及び/又は添加剤と、を含む。
【0150】
試料3、本発明に係る組成物は、
ミリスチン:オレインのモル比が約2.1:1である、主にセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸とを含む混合物(試料の全重量に対して約75wt%である)と、
オリーブ油又はコーン油(試料の全重量に対して約25wt%である)と、
AperoxidRTLA(試料の全重量に対して0.05wt%である)と、
賦形剤及び/又は添加剤と、を含む。
【0151】
方法論
時間T0の後に、試料1、2、3を18℃の制御温度で保存し、約40~45日ごと(即ち、T1、T2、T3、T4)に、各試料から一部の試料を採取し、過酸化物価(PV)及びクライス試験を測定した。
【0152】
過酸化物価
過酸化物価(PV)は、当業者によく知られているように、ISO3960法(第4版2007-07-15、修正版2009-05-15、技術委員会ISO/TC 34/SC編)に従って標準的な方法で測定した。
【0153】
上記試験は、食用油の酸敗の程度を決定するための典型的な分析化学法である。この試験は、脂肪酸の一次自動酸化生成物の量の指標である過酸化物価(PV)を定量的に測定する。
【0154】
この方法では、(簡単に)、油試料をイソオクタンと氷酢酸(氷酢酸:イソオクタン=6:4v/v)に溶解させ、ヨウ化カリウムを添加する。過酸化物から放出されたヨウ素は、澱粉指示薬及びチオ硫酸ナトリウム標準溶液(0.01NのNa2S2O3)でヨウ素還元滴定により(視覚的に)測定する。滴定終点は、ヨウ素還元滴定により(視覚的に)決定する。
【0155】
PVは、油1kgあたりの酸素のmEqで表される。
【0156】
過酸化物価(PV)の測定が非常に経験的な手順であることを考えると、ISO03960:2007では、PVが1より大きい場合は試料の質量を5gに、PVが1以下の場合は試料の質量を10gに設定し、この方法の適用を1kgあたりの活性酸素の過酸化物価が0mEq~30mEqである動植物油脂に限定した。
【0157】
クライス試験
クライス試験は、当業者に知られている標準的な方法で実施する。
【0158】
クライス試験は、食用油の酸敗の程度を定性的に決定するための典型的な化学試験である。この試験は、脂肪酸の二次自動酸化生成物を検出するために用いられる。
【0159】
実際のところ、酸敗した脂肪及び酸敗している脂肪の官能特性は、酸素と不飽和脂肪酸との相互作用によって形成されるカルボニル生成物の存在と有意に相関している。
【0160】
フロログルシノール(1,3,5-トリフェノール又は対称性トリフェノール)は、原始的な式C6H6O3のフェノール基の化学化合物であり、その水溶液から二水和物(C6H6O3・2H2O)として結晶化する。
【0161】
クライス試験は、赤色の化合物を生成するHCIの存在下での(脂肪の酸敗から生じる)カルボニル化合物とフロログルシノールとの縮合反応に基づくものである。これは定性的な方法であり、下層の着色がKMnO4の0.0012%溶液よりも強い場合に陽性であり、逆の場合は陰性であると考えられる。
【0162】
クライス試験方法
1.10mlの油と10mlの濃縮されたHCIとを30秒間撹拌した。
【0163】
2.10mlの試薬を添加し、さらにエチルエーテル中のフロログルシノールの0.1%溶液を30秒間撹拌した。
【0164】
成層した後に、下層の酸層の着色を以下のように観察した。
陰性反応⇒茶色の着色又は褪色、
陽性反応⇒ピンク又は赤色の着色(腐敗した油)
【0165】
結果
表1に示すように、試料2及び3(酸化防止剤を含む本発明の組成物)は、時間T3(即ち、約150日後)及びT4(即ち、約210日後)において試料1(酸化防止剤を含まない組成物)に比べて顕著に低い過酸化物価(PV)を示している。
【0166】
さらに、クライス試験に関して、試料2及び3は時間T3及びT4で陰性であり、これに対して、試料1は陽性である。
【0167】
【0168】
実験例2では、本発明に係る化合物(試料4)のインビボ毒性試験を行った。
【0169】
インビボ試験は、CrL CDスプラーグドーリー(SD)ラットにおける本発明に係る化合物に対する14日間の経口毒性試験である。
【0170】
試験対象の化合物
試料4、組成物は、
ミリスチン:オレインのモル比が約2.1:1である、主にセチル化ミリスチン酸とセチル化オレイン酸とを含む混合物(試料の全重量に対して約75wt%である)と、
オリーブ油又はコーン油(試料の全重量に対して約25wt%である)と、
(試料の全重量に対して)重量百分率が0.001wt%~0.3wt%である(b)少なくとも1種の酸化防止剤、例えばトコフェロール類の混合物又は酢酸トコフェロールと、を含む。
【0171】
試験系としては、処置開始時7週齢のスプラーグドーリーラット60匹(雄30匹及び雌30匹)である。
【0172】
サイズ群は、雄5匹及び雌5匹/群のラットである。
【0173】
アッセイレベルは、0~1600~1900~2200~2600~4500mg/kg体重である。
【0174】
投与量は、10ml/kg体重とした。
【0175】
治療用混合物は、毎週製造し、4℃に保持した。
【0176】
治療計画は、14日間連続で毎日投与とした。
【0177】
治療手順としては、1日あたりの投与量を2つの等しい二次画分に分割し、60分間隔で各々の絶食させたラットに投与した。
【0178】
死亡率(毎日)、臨床徴候(毎日)、体重(週2回)、摂食量(週2回)、血液学(犠牲)、臨床化学(犠牲)、尿検査(犠牲)、肉眼病変、組織学(必要な場合)について観察した。
【0179】
統計量について、ANOVAを使用してデータを分析し、続いてJMP統計検出ソフトウェアによる事後ダネット検定を行った。
【0180】
結果
血糖値に関連する統計的に有意な用量依存性の差は、高用量試験群で記録され、対照群と比較して有意に低かった(p<0.05)(本発明の投与された化合物用量と血糖値との間に逆関係がある)。驚くべきことに、例えば試料4の組成物を最高用量でラットに投与することにより、処置されたラットの血液中の血糖値が統計的に有意に低下することが発見された。これにより、本発明の組成物は、高血糖症、慢性肝疾患、肥満の場合など、糖尿病又は高血糖値に由来又は関連する糖尿病以外の疾患及び/又は障害に罹患している対象を治療する方法において、有効に適用/使用できることが見出された。
【0181】
完全な血液学では、群間に治療関連の差は見られず、14日間の処置期間にわたって臨床的兆候は見られなかった。
【0182】
実験群間の白血球百分率及び尿検査では、異常は記録されなかった。
【0183】
体重の増加と摂食量は全ての群で同等であり、ラットの処置期間にわたって行動異常は観察されなかった。
【0184】
剖検レベルでは異常は記録されず、様々な器官の全ての臓器及び組織は、正常な外観、サイズ、色及び位置を示した。
【0185】
このように、試料4(本発明に係る化合物)は、試験された全ての用量で高い忍容性を示し、高用量ラット群において血糖値が統計的に有意に低かった(逆の用量効果関係がある)。
【0186】
驚くべきことに、今回のラットのインビボ試験においては、効果的で耐久性のある胃粘膜保護が視覚的に観察された。胃粘膜は、バリア効果を発揮することが知られており、胃の粘膜を覆う約0.2mmの粘膜層からなる。このバリアの目的は、胃の壁細胞が生成したHCIの損傷作用から胃上皮を保護することである。これは、胃粘膜細胞による高分子量(したがって非常に粘性のある)ムコタンパク質液滴の生成と重炭酸塩の生成に由来する。したがって、本発明の組成物(表2を参照)、例えば試料2~6は、消化性潰瘍、胃食道逆流(GERD)、胸焼けを含むか又は代替的にそれらからなる群から選択される胃粘膜の損傷に由来又は関連する障害又は症状を(予防的及び/又は治癒的に)治療する方法において、有効に適用/使用されることが見出された。
【0187】
上記で説明したインビボ毒性試験を90日間繰り返した。その結果は、14日間で得られたものと同等であった。特に、試験したラットの4500mg/kg体重の用量(毒性効果を与えなかった最大用量)では、食餌及び社会的行動が変化することなく、良好な甲状腺機能を維持し保持していることが驚くべきことに観察された。
[実験例3]
【0188】
インビトロ有効性試験-細胞培養物に関する本発明に係る製品及び比較用製品の抗炎症活性のインビトロ評価を行った。
【0189】
1.試験計画
実験例3で説明した試験は、インビトロ系において、ヒト腱細胞培養物で誘発される炎症性メカニズムを調節する試験製品の能力の評価を目的としている(ZEN BIO TEN-F、ロット#TENM012214F)。抗炎症活性の試験は、ELISA法を用いて、いくつかの炎症マーカー、特に、アラキドン酸からの炎症カスケードに関与する主な酵素である、炎症誘発サイトカインIL6、並びにシクロオキシゲナーゼ及びリポキシゲナーゼの後発製品であるプロスタグランジンE2(PGE2)及びロイコトリエンC4(LTC4)のアッセイ及び各々の活性を通じて実施した。
【0190】
2.試験製品
クリーム製品Cn(本発明に係る組成物であり、表2におけるC1-C6を参照)について、濃度は、0.050%、0.025%及び0.010%である。
【0191】
アルニカ5.5%クリームについて、濃度は0.070%、0.035%、0.014%である。
【0192】
グルコサミン5.5%クリームについて、濃度は0.070%、0.035%、0.014%である
【0193】
試験製品は、いずれもグリセリン及び/又はモノステアリン酸グリセロールに基づくクリームである。
【0194】
上記インビトロ抗炎症活性評価試験で試験した本発明に係る製品(クリームCn製品)は、表2に示された以下の組成物(C1~C6)を有する。本発明に係るC1~C6の製品は、いずれも同様の実験結果が得られた。したがって、以下、製品C2~C6を表すクリーム製品C1のデータのみを示す。
【0195】
【0196】
(*)植物油(オリーブ油、コーン油又はひまわり油)中のセチル化脂肪酸の混合物は、セチル化された、
30%~55%、好ましくは35%~50%、より好ましくは約41%の(a1)ミリスチン酸と、
35%~60%、好ましくは40%~55%、より好ましくは約46%の(a2)オレイン酸と、
3%~12%、好ましくは5%~10%、より好ましくは8%の(a3)リノール酸と、
1%~8%、好ましくは2%~6%、より好ましくは3%の(a4)パルミチン酸と、
1%~4%、好ましくは1.5%~3%、より好ましくは1.8%の(a5~a9)様々な脂肪酸(ミリストレイン酸ではない)と、を含むか又は代替的にそれらからなり、ここで、この%は、上記セチル化脂肪酸の混合物の全重量に対するwt%であり、重量比(a):(c)=4:1又は3:1又は2:1又は1:1である。
【0197】
有効性試験を行う前に、培地で1mlに0.05g希釈という比率から開始し、試料を培地で製造した。その後の培地で希釈した。
【0198】
製品に対して最終試験に最適な濃度を選択することを目的とした予備的な細胞毒性試験を行った。細胞毒性試験の結果を評価した後に、抗炎症活性試験を実施するために上述の濃度を選択した。
【0199】
3.方法
試験では、ヒト腱細胞培養物(ZEN BIO TEN-F、ロット#TENM012214F)を、予備的な細胞毒性試験後に非細胞毒性の製品から選択された3つの濃度で試験した製品と共に、インターロイキン-1ベータ(IL-1β、10ng/ml、範囲測定試験後に選択された用量)と、腱障害の炎症性症状に関与する薬剤と、で48時間処理した。監視された実験期間の終わりに、培養基中の目的の炎症マーカーのレベルを、ELISA法により測定した。陰性対照培養物(未処理、CTR-)及び陽性対照培養物(IL-1βで処理、CTR+)に関して結果を比較した。
【0200】
要約すると、実験プロトコルは、
未処理の細胞培養物(陰性対照、CTR-)、
炎症イベントが実験的に誘導された細胞培養物(陽性対照、CTR+)、及び
炎症イベントが実験的に誘導され、かつ試験に供された製品と同時に処理した細胞培養物における3つの炎症誘発マーカー(IL6、LTC4及びPGE2)のアッセイに供される。
【0201】
4.炎症マーカー(IL6、PGE2及びLTC4)のアッセイ
対照及び試験に供された製品で処理された細胞の培養基(パラグラフ2)を、ELISA法を使用する炎症マーカーIL6、PGE2及びLTC4の決定のために使用した。
【0202】
この目的のために、抗原(この場合は目的のサイトカイン)とその一次抗体との競合的結合を利用する市販のキットを使用した。ペルオキシダーゼに結合した二次抗体によって、免疫複合体(抗原-抗体)を認識した。ペルオキシダーゼの基質を添加することにより、免疫複合体の存在量、したがってサイトカイン結合量に比例した強度を有する発色反応が生じた。定量分析では、標準サイトカインの既知と増加する濃度で作成された検量線を利用した。
【0203】
5.結果
以下の表及びグラフは、本試験で得られた結果を示している。
【0204】
これらの結果は、実験期間中に培地に放出されたサイトカインの量(平均値±標準偏差)、及び対照と比較した平均%変動量として示されている。
【0205】
IL6アッセイの結果
試験製品による細胞培養物の処理(パラグラフ2)により、炎症の実験的誘導後、細胞から放出されたIL6のレベルは低下を示した(表3~5及び
図4A、4B及び4C)。試験試料は、炎症中に監視された炎症誘発サイトカインの放出を多かれ少なかれ著しく調節し阻害している。全てのグラフ(
図4A、4B及び4C)は、多かれ少なかれ明らかな用量依存性の傾向を示しており、試験した最高濃度のアッセイはIL6よりも低くなっている。
【0206】
5.I.CTR-、CTR+細胞培養物中及び本発明に係るクリーム製品C1(表2)で処理されたIL6のアッセイについて説明する。これらの結果は、平均含有量±標準偏差(ng/lで表される)及び対照と比較した平均%変動量として表される(表3及び
図4A)。
【0207】
【0208】
5.II.CTR-、CTR+細胞培養物中及びアルニカクリーム5.5%で処理されたIL6のアッセイについて説明する。これらの結果は、平均含有量±標準偏差(ng/lで表される)及び対照と比較した平均%変動量として表される(表4及び
図4B)。
【0209】
【0210】
5.III.CTR-、CTR+細胞培養物中及びグルコサミンクリーム5.5%で処理されたIL6のアッセイについて説明する。これらの結果は、平均含有量±標準偏差(ng/lで表される)及び対照と比較した平均%変動量として表される(表5及び
図4C)。
【0211】
【0212】
LTC4アッセイの結果
試験製品による細胞培養物の処理(パラグラフ2)により、炎症の実験的誘導後、細胞から放出されたLTC4のレベルは低下を示した(表6~8及び
図5A、5B及び5C)。試験試料は、炎症中に監視された炎症誘発マーカーの放出を多かれ少なかれ著しく調節し阻害している。全てのグラフ(
図5A、5B及び5C)は、多かれ少なかれ明らかな用量依存性の傾向を示しており、試験した最高濃度のアッセイはLTC4よりも低くなっている。
【0213】
5.IV.CTR-、CTR+細胞培養物中及び本発明に係るクリーム製品C1(表2)で処理されたLTC4のアッセイについて説明する。これらの結果は、平均含有量±標準偏差(ng/lで表される)及び対照と比較した平均%変動量として表される(表6及び
図5A)。
【0214】
【0215】
5.V.CTR-、CTR+細胞培養物中及びアルニカクリーム5.5%で処理されたLTC4のアッセイについて説明する。これらの結果は、平均含有量±標準偏差(ng/lで表される)及び対照と比較した平均%変動量として表される(表7及び
図5B)。
【0216】
【0217】
5.VI.CTR-、CTR+細胞培養物中及びグルコサミンクリーム5.5%で処理されたLTC4のアッセイについて説明する。これらの結果は、平均含有量±標準偏差(ng/lで表される)及び対照と比較した平均%変動量として表される(表8及び
図5C)。
【0218】
【0219】
PGE2アッセイの結果
試験製品による細胞培養物の処理(パラグラフ2)により、炎症の実験的誘導後、細胞から放出されたPGE2のレベルは低下を示した(表9~11及び
図6A、6B及び6C)。試験試料は、炎症中に監視された炎症誘発マーカーの放出を多かれ少なかれ著しく調節し阻害している。全てのグラフ(
図6A、6B及び6C)は、多かれ少なかれ明らかな用量依存性の傾向を示しており、試験した最高濃度のアッセイはPGE2よりも低くなっている。
【0220】
5.VII.CTR-、CTR+細胞培養物中及び本発明に係るクリーム製品C1(表2)で処理されたPGE2のアッセイについて説明する。これらの結果は、平均含有量±標準偏差(ng/lで表される)及び対照と比較した平均%変動量として表される(表9及び
図6A)。
【0221】
【0222】
5.VIII.CTR-、CTR+細胞培養物中及びアルニカクリーム5.5%で処理されたPGE2のアッセイについて説明する。これらの結果は、平均含有量±標準偏差(ng/lで表される)及び対照と比較した平均%変動量として表される(表10及び
図6B)。
【0223】
【0224】
5.IX.CTR-、CTR+細胞培養物中及びグルコサミンクリーム5.5%で処理されたPGE2のアッセイについて説明する。これらの結果は、平均含有量±標準偏差(ng/lで表される)及び対照と比較した平均%変動量として表される(表11及び
図6C)。
【0225】
【0226】
6.結論
この報告で得られて示された結果を考慮し、適用した実験モデルを参照すると、全ての試験製品は、細胞培養物で誘発された炎症性メカニズムを調節し、これにより、監視された炎症誘発マーカーのレベルを低下させ、したがって抗炎症活性を示した。特に、本発明に係るクリーム製品C1及びクリーム製品C2~C6は、IL-6、PGE2及びLTC4のレベルを低下させ、したがって、異なる増幅メカニズムを調節することができることが証明された。
【符号の説明】
【0227】
2,27 反応器
3 チャンバー
7 送風手段
11 水平凝縮器
13 容器
15 反応混合物
16 垂直凝縮器
23 フィルタープレス
【国際調査報告】