(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(54)【発明の名称】電子膨張弁及びその取り付け方法
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
F16K31/04 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577294
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2020097222
(87)【国際公開番号】W WO2021031682
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】201910775851.6
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】曾 慶軍
(72)【発明者】
【氏名】陳 勇好
(72)【発明者】
【氏名】徐 冠軍
【テーマコード(参考)】
3H062
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062AA15
3H062BB31
3H062BB33
3H062CC01
3H062DD01
3H062DD09
3H062EE06
3H062GG01
(57)【要約】
電子膨張弁及びその取り付け方法を提供する。電子膨張弁は、弁座アセンブリ(10)と、順に接続される小径セグメント(21)及び大径セグメント(22)を含み、大径セグメント(22)は弁座アセンブリ(10)に接続され、小径セグメント(21)は第1止め突起(211)を有し、大径セグメント(22)は第2止め突起(221)を有するナットアセンブリ(20)と、ナットアセンブリ(20)を貫通するように設けられ、下端はスピンドルセグメント(33)を有し、上端はナットアセンブリ(20)にねじ接続されるスピンドルアセンブリ(30)と、頂部にてスピンドルアセンブリ(30)に固定接続されて、スピンドルアセンブリ(30)を駆動して回転させるロータアセンブリ(40)であって、ロータアセンブリ(40)は第3止め突起(41)を有し、第3止め突起(41)は、ロータアセンブリ(40)の底部からずれた位置から内部に突出して延びるように設けられ、電子膨張弁が全開される場合、第3止め突起(41)は第1止め突起(211)に当接され、電子膨張弁が全閉される場合、第3止め突起(41)は第2止め突起(221)に当接されるロータアセンブリ(40)と、を含む。従来技術における、電子膨張弁の運転中の騒音が大きいという問題を解決している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子膨張弁において、
外部管路に連通される第1接続口(11)及び第2接続口(12)を有する弁座アセンブリ(10)と、
順に接続される小径セグメント(21)及び大径セグメント(22)を含み、前記大径セグメント(22)は、前記弁座アセンブリ(10)に接続され、前記小径セグメント(21)は第1止め突起(211)を有し、前記大径セグメント(22)は第2止め突起(221)を有するナットアセンブリ(20)と、
前記ナットアセンブリ(20)を貫通するように設けられ、下端はスピンドルセグメント(33)を有し、上端は前記ナットアセンブリ(20)にねじ接続されるスピンドルアセンブリ(30)と、
頂部にて前記スピンドルアセンブリ(30)に固定接続されて、前記スピンドルアセンブリ(30)を駆動して回転させるロータアセンブリ(40)であって、前記スピンドルアセンブリ(30)は、前記電子膨張弁の軸方向に沿って移動して、前記第1接続口(11)と前記第2接続口(12)との導通・遮断状態を制御し、前記ロータアセンブリ(40)は第3止め突起(41)を有し、前記第3止め突起(41)は、前記ロータアセンブリ(40)の底部からずれた位置から内部に突出して延びるように設けられ、前記電子膨張弁が全開される場合、前記第3止め突起(41)は前記第1止め突起(211)に当接され、前記電子膨張弁が全閉される場合、前記第3止め突起(41)は前記第2止め突起(221)に当接されるロータアセンブリ(40)と、
を含む電子膨張弁。
【請求項2】
前記スピンドルアセンブリ(30)は、順に接続される縮径セグメント(31)、拡径セグメント(32)、及び前記スピンドルセグメント(33)を含み、前記スピンドルアセンブリ(30)は、前記大径セグメント(22)から前記ナットアセンブリ(20)内に伸び込み、前記縮径セグメント(31)は前記小径セグメント(21)に位置し、前記拡径セグメント(32)は前記大径セグメント(22)に位置し、前記スピンドルセグメント(33)は前記弁座アセンブリ(10)内に位置し、前記小径セグメント(21)は、前記縮径セグメント(31)にねじ接続される、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項3】
前記ロータアセンブリ(40)は、
逆U字形構造をなし、前記ナットアセンブリ(20)の外側に被せられるロータ(42)であって、前記第3止め突起(41)は前記ロータ(42)の内側に位置し、前記スピンドルアセンブリ(30)は前記ロータ(42)の端面を貫通するロータ(42)と、
前記ロータ(42)の端面と前記スピンドルアセンブリ(30)との間に設けられる挿入部材(43)であって、前記ロータ(42)は、前記挿入部材(43)を介して前記スピンドルアセンブリ(30)を動かして回転させ、前記ロータ(42)の端面には離型孔(44)が開設され、前記ロータアセンブリ(40)の軸方向に沿って、前記離型孔(44)は、前記第3止め突起(41)に対向している挿入部材(43)と、
を含む請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項4】
前記ナットアセンブリ(20)は、
前記大径セグメント(22)及び前記小径セグメント(21)を有するナット(23)と、
前記ナット(23)の外側に設けられて、前記ナット(23)と一体に射出成形され、前記弁座アセンブリ(10)に接続される連結プレート(24)と、
を含む請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項5】
前記第1止め突起(211)の長さは前記第2止め突起(221)の長さと異なる、請求項4に記載の電子膨張弁。
【請求項6】
前記第1止め突起(211)の端部から前記ナット(23)の中心線までの距離は、前記第2止め突起(221)から前記ナット(23)の中心線までの距離と等しい、請求項5に記載の電子膨張弁。
【請求項7】
前記大径セグメント(22)の外側に位置決めリブ(25)を複数有し、前記位置決めリブ(25)は、前記弁座アセンブリ(10)の内壁に当接され、各前記位置決めリブ(25)は、前記大径セグメント(22)の周方向に沿って設けられる、請求項4に記載の電子膨張弁。
【請求項8】
前記大径セグメント(22)の前記位置決めリブ(25)が設けられていない外壁と前記弁座アセンブリ(10)の内壁との間には、隙間が形成され、前記連結プレート(24)には貫通孔(241)が開設され、前記貫通孔(241)は、前記隙間に連通されて、流体を通過させるための通路を形成する、請求項7に記載の電子膨張弁。
【請求項9】
前記ナット(23)は均衡化孔(26)を更に有し、前記均衡化孔(26)は前記ナット(23)の軸線に向かって開設される、請求項4に記載の電子膨張弁。
【請求項10】
前記大径セグメント(22)の前記小径セグメント(21)に近い端面には、位置決め段差(27)が形成され、前記第3止め突起(41)は、前記位置決め段差(27)に当接して、前記ロータアセンブリ(40)の移動範囲を制御することができる、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項11】
前記第1止め突起(211)、前記第2止め突起(221)、及び前記第3止め突起(41)は、いずれもプラスチック部材である、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項12】
スリーブ(50)を更に含み、前記スリーブ(50)は前記弁座アセンブリ(10)に接続され且つ前記弁座アセンブリ(10)と収容室を形成し、前記第1接続口(11)及び前記第2接続口(12)はいずれも前記収容室外に位置し、前記ナットアセンブリ(20)、前記スピンドルアセンブリ(30)、及び前記ロータアセンブリ(40)はいずれも前記収容室内に位置する、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項13】
前記弁座アセンブリ(10)は、
前記第1接続口(11)及び前記第2接続口(12)を有する弁座(13)であって、前記ナットアセンブリ(20)の一部が前記弁座(13)内に伸び込む弁座(13)と、
前記弁座(13)の外側に設けられて、前記弁座(13)に接続されるスリーブホルダ(14)であって、前記スリーブ(50)は前記スリーブホルダ(14)に接続されるスリーブホルダ(14)と、
を含む請求項12に記載の電子膨張弁。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の電子膨張弁の取り付け方法において、
前記電子膨張弁の弁座アセンブリ(10)の各部材を一体に組み立てることと、
前記電子膨張弁のスピンドルアセンブリ(30)の各部材を一体に組み立てることと、
前記スピンドルアセンブリ(30)の縮径セグメント(31)を、前記電子膨張弁のナットアセンブリ(20)の大径セグメント(22)から前記ナットアセンブリ(20)内に伸び込ませ、前記ナットアセンブリ(20)の小径セグメント(21)にねじ込むことと、
前記ナットアセンブリ(20)を前記弁座アセンブリ(10)に取り付けることと、
前記電子膨張弁のロータアセンブリ(40)を前記ナットアセンブリ(20)の外側に取り付け、前記ロータアセンブリ(40)の第3止め突起(41)を前記ナットアセンブリ(20)の第2止め突起(221)に当接させ、前記スピンドルアセンブリ(30)が前記弁座アセンブリ(10)に伸び込む距離を調整して、前記電子膨張弁を全閉にし、前記スピンドルアセンブリ(30)と前記ロータアセンブリ(40)とを一体に接続することと、
前記電子膨張弁のスリーブ(50)を、前記ロータアセンブリ(40)の外側に被せて、前記弁座アセンブリ(10)と一体に接続することと、
を含む電子膨張弁の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、バルブの技術分野に関し、具体的には、電子膨張弁及びその取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術における電子膨張弁の全開及び全閉時の位置制限機能は、バネガイドレール、スリップリング、及びロータに取り付けられた止めロッドの連係作用によって実現され、弁体が駆動されると、止めロッドがロータと一緒に回転し、スリップリングを動かしてバネガイドレールのストローク内で摺動させるが、この構造には2つの欠点が存在する。
1.3つの部品は、いずれも金属材質からなり、運転中に金属が衝突する騒音が大きく、特に、従来のマルチ型空調システムでは、電子膨張弁が屋内に取り付けられるため、電子膨張弁が発生する稼働騒音は、快適さを望む人々の使用要件を満たすことができない。
2.バネガイドレールを取り付ける際に、一端のみが固定され、他端は固定されず、自由な状態になり、バネガイドレールが変形しやすくなるため、スリップリングの位置精度が不十分になり、特に、電子膨張弁が復帰操作される場合、スリップリングの初期位置の変動が大きくなるため、電子膨張弁の流量調節の精度が不充分になり、空調システムのエネルギー効率に影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本出願の主な目的は、従来技術における、電子膨張弁が運転中に騒音が大きいという問題を解決するための電子膨張弁及びその取り付け方法を提供することにある。
【0004】
本出願の一態様によれば、上記の目的を達成するために、外部管路に連通される第1接続口及び第2接続口を有する弁座アセンブリと、順に接続される小径セグメント及び大径セグメントを含み、大径セグメントは、弁座アセンブリに接続され、小径セグメントは第1止め突起を有し、大径セグメントは第2止め突起を有するナットアセンブリと、ナットアセンブリに貫通するように設けられ、下端はスピンドルセグメントを有し、上端はナットアセンブリにねじ接続されるスピンドルアセンブリと、頂部にてスピンドルアセンブリに固定接続されて、スピンドルアセンブリを駆動して回転させるロータアセンブリであって、スピンドルアセンブリは、電子膨張弁の軸方向に沿って移動して、第1接続口と第2接続口との導通・遮断状態を制御し、ロータアセンブリは第3止め突起を有し、第3止め突起は、ロータアセンブリの底部からずれた位置から内部に突出して延びるように設けられ、電子膨張弁が全開される場合、第3止め突起は第1止め突起に当接され、電子膨張弁が全閉される場合、第3止め突起は第2止め突起に当接されるロータアセンブリと、を含む電子膨張弁を提供している。
【0005】
更に、スピンドルアセンブリは、順に接続される縮径セグメント、拡径セグメント、及びスピンドルセグメントを含み、スピンドルアセンブリは、大径セグメントからナットアセンブリ内に伸び込み、縮径セグメントは小径セグメントに位置し、拡径セグメントは大径セグメントに位置し、スピンドルセグメントは弁座アセンブリ内に位置し、小径セグメントは、縮径セグメントにねじ接続される。
【0006】
更に、ロータアセンブリは、逆U字形構造をなし、ナットアセンブリの外側に被せられるロータであって、第3止め突起はロータの内側に位置し、スピンドルアセンブリはロータの端面を貫通するロータと、ロータの端面とスピンドルアセンブリとの間に設けられる挿入部材であって、ロータは、挿入部材を介してスピンドルアセンブリを動かして回転させ、ロータの端面には離型孔が開設され、ロータアセンブリの軸方向に沿って、離型孔は、第3止め突起に対向している挿入部材と、を含む。
【0007】
更に、ナットアセンブリは、大径セグメント及び小径セグメントを有するナットと、ナットの外側に設けられて、ナットと一体に射出成形され、弁座アセンブリに接続される連結プレートと、を含む。
【0008】
更に、第1止め突起の長さは第2止め突起の長さと異なる。
【0009】
更に、第1止め突起の端部からナットの中心線までの距離は、第2止め突起からナットの中心線までの距離と等しい。
【0010】
更に、大径セグメントの外側に位置決めリブを複数有し、位置決めリブは、弁座アセンブリの内壁に当接され、各位置決めリブは、大径セグメントの周方向に沿って設けられる。
【0011】
更に、大径セグメントの位置決めリブが設けられていない外壁と弁座アセンブリの内壁との間には、隙間が形成され、連結プレートには貫通孔が開設され、貫通孔は、隙間に連通されて、流体を通過させるための通路を形成する。
【0012】
更に、ナットは均衡化孔を更に有し、均衡化孔はナットの軸線に向かって開設される。
【0013】
更に、大径セグメントの小径セグメントに近い端面には、位置決め段差が形成され、第3止め突起は、位置決め段差に当接して、ロータアセンブリの移動範囲を制御することができる。
【0014】
更に、第1止め突起、第2止め突起、及び第3止め突起は、いずれもプラスチック部材である。
【0015】
更に、電子膨張弁はスリーブを更に含み、スリーブは弁座アセンブリに接続され且つ弁座アセンブリと収容室を形成し、第1接続口及び第2接続口はいずれも収容室外に位置し、ナットアセンブリ、スピンドルアセンブリ、及びロータアセンブリはいずれも収容室内に位置する。
【0016】
更に、弁座アセンブリは、第1接続口及び第2接続口を有する弁座であって、ナットアセンブリの一部が弁座内に伸び込む弁座と、弁座の外側に設けられて、弁座に接続されるスリーブホルダであって、スリーブはスリーブホルダに接続されるスリーブホルダと、を含む。
【0017】
本出願の別の態様によれば、電子膨張弁の弁座アセンブリの各部材を一体に組み立てることと、電子膨張弁のスピンドルアセンブリの各部材を一体に組み立てることと、スピンドルアセンブリの縮径セグメントを、電子膨張弁のナットアセンブリの大径セグメントからナットアセンブリ内に伸び込ませ、ナットアセンブリの小径セグメントにねじ込むことと、ナットアセンブリを弁座アセンブリに取り付けることと、電子膨張弁のロータアセンブリをナットアセンブリの外側に取り付け、ロータアセンブリの第3止め突起をナットアセンブリの第2止め突起に当接させ、スピンドルアセンブリが弁座アセンブリに伸び込む距離を調整して、電子膨張弁を全閉にし、スピンドルアセンブリとロータアセンブリとを一体に接続することと、電子膨張弁のスリーブを、ロータアセンブリの外側に被せて、弁座アセンブリと一体に接続することと、を含む、上述した電子膨張弁の取り付け方法を提供している。
【0018】
本出願の技術態様を適用すると、ロータアセンブリによってスピンドルアセンブリを動かして回転させ、ナットアセンブリは、弁座アセンブリに対して固定して設けられ、スピンドルアセンブリとナットアセンブリとがねじ構造によって接続されるため、スピンドルアセンブリは、回転すると同時に、軸方向に移動し、スピンドルアセンブリが電子膨張弁の全開位置まで移動した場合、ロータアセンブリにおける第3止め突起がナットアセンブリにおける第1止め突起に当接されることによって、ロータアセンブリは回転し続けることができなくなり、スピンドルアセンブリが電子膨張弁の全閉位置まで移動した場合、ロータアセンブリにおける第3止め突起がナットアセンブリにおける第2止め突起に当接されることによっても、ロータアセンブリは回転し続けることができなくなる。上記の設置形態は、バネ、スリップリング等の部品の使用を必要とせず、ロータアセンブリによってスピンドルアセンブリを直接動かして回転させれば、電子膨張弁の開閉を実現することができるため、金属の衝突に起因する騒音が大きいという問題を回避している。また、第3止め突起がロータアセンブリの両端とも一定の距離を保っているため、即ち、第3止め突起がロータアセンブリの端部に位置しないため、第3止め突起がロータアセンブリの中心に近接していることになり、力臂の設置がより適切になり、止め力をより合理的にすると同時に、ロータアセンブリの全体の強度を高めて、より耐久性を持つようになり、且つロータアセンブリの端部の磁性への干渉がないため、ロータアセンブリの軸方向に沿って、第3止め突起の両側がいずれも磁性作用を有するようにして、ロータアセンブリが通電コイルの磁力作用をより良く受けることができ、ロータアセンブリと外部の磁気リングとの対向面積をより大きくし、スピンドルアセンブリのストローク要件を更に最適化している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本出願の一部を構成する明細書の図面は本出願に対する更なる理解を提供するためのものであり、本出願の模式的な実施例及びその説明は本出願を解釈するためのものであり、本出願を不適切に限定するものではない。
【0020】
【
図1】本出願の電子膨張弁の全開時の構成模式図を示す。
【
図2】
図1における電子膨張弁の全閉時の構成模式図を示す。
【
図3】
図1における電子膨張弁のロータアセンブリの構成模式図を示す。
【
図5】
図1における電子膨張弁のナットアセンブリ及び弁座アセンブリの構成模式図を示す。
【
図6】
図1における電子膨張弁のナットアセンブリの構成模式図を示す。
【0021】
ここで、上記図面には、以下の符号が含まれる。
10 弁座アセンブリ、11 第1接続口、12 第2接続口、13 弁座、14 スリーブホルダ、20 ナットアセンブリ、21 小径セグメント、211 第1止め突起、22 大径セグメント、221 第2止め突起、23 ナット、24 連結プレート、241 貫通孔、25 位置決めリブ、26 均衡化孔、27 位置決め段差、30 スピンドルアセンブリ、31 縮径セグメント、32 拡径セグメント、33 スピンドルセグメント、40 ロータアセンブリ、41 第3止め突起、42 ロータ、43 挿入部材、44 離型孔、50 スリーブ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
なお、矛盾しない限り、本出願における実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。以下、図面を参照して実施例と併せて本出願を詳細に説明する。
【0023】
なお、特に説明がない限り、本出願で使用される全ての技術的及び科学的用語は本出願の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を持つ。
【0024】
本出願において、反対の説明がなされていない場合、使用される「上、下、頂、底」のような方位用語は、通常、図面に示した方向を指すか、あるいは部材自身の鉛直、垂直又は重力方向における位置を指し、同様に、理解及び説明を容易にするために、「内、外」は、各部材自身の輪郭に対する内、外を指すが、上記の方位用語は本出願を制限するためのものではない。
【0025】
本出願は、従来技術における、電子膨張弁の運転中の騒音が大きいという問題を解決するために、電子膨張弁及びその取り付け方法を提供している。
【0026】
図1から
図6に示す電子膨張弁は、弁座アセンブリ10、ナットアセンブリ20、スピンドルアセンブリ30、及びロータアセンブリ40を含み、弁座アセンブリ10は、外部管路に連通される第1接続口11及び第2接続口12を有し、ナットアセンブリ20は、順に接続される小径セグメント21及び大径セグメント22を含み、大径セグメント22は、弁座アセンブリ10に接続され、小径セグメント21は第1止め突起211を有し、大径セグメント22は第2止め突起221を有し、スピンドルアセンブリ30は、ナットアセンブリ20を貫通するように設けられ、その下端はスピンドルセグメント33を有し、上端はナットアセンブリ20にねじ接続され、ロータアセンブリ40は、頂部にてスピンドルアセンブリ30に固定接続されて、スピンドルアセンブリ30を駆動して回転させ、スピンドルアセンブリ30は、電子膨張弁の軸方向に沿って移動して、第1接続口11と第2接続口12との導通・遮断状態を制御し、ロータアセンブリ40は第3止め突起41を有し、第3止め突起41は、ロータアセンブリ40の底部からずれた位置から内部に突出して延びるように設けられ、電子膨張弁が全開される場合、第3止め突起41は第1止め突起211に当接され、電子膨張弁が全閉される場合、第3止め突起41は第2止め突起221に当接される。
【0027】
本実施例では、ロータアセンブリ40によってスピンドルアセンブリ30を動かして回転させ、ナットアセンブリ20は、弁座アセンブリ10に対して固定して設けられ、スピンドルアセンブリ30とナットアセンブリ20とがねじ構造によって接続されるため、スピンドルアセンブリ30は、回転すると同時に、軸方向に移動し、スピンドルアセンブリ30が電子膨張弁の全開位置まで移動した場合、
図1に示すように、ロータアセンブリ40における第3止め突起41がナットアセンブリ20における第1止め突起211に当接されることによって、ロータアセンブリ40は回転し続けることができなくなり、スピンドルアセンブリ30が電子膨張弁の全閉位置まで移動した場合、
図2に示すように、ロータアセンブリ40における第3止め突起41がナットアセンブリ20における第2止め突起221に当接されることによっても、ロータアセンブリ40は回転し続けることができなくなる。上記の設置形態は、バネ、スリップリング等の部品の使用を必要とせず、ロータアセンブリ40によってスピンドルアセンブリ30を直接動かして回転させれば、電子膨張弁の開閉を実現することができるため、金属の衝突に起因する騒音が大きいという問題を回避している。また、第3止め突起41がロータアセンブリ40の両端とも一定の距離を保っているため、即ち、第3止め突起41がロータアセンブリ40の端部に位置しないため、第3止め突起41がロータアセンブリ40の中心に近接していることになり、力臂の設置がより適切になり、止め力をより合理的にすると同時に、ロータアセンブリ40の全体の強度を高めて、より耐久性を持つようになり、且つロータアセンブリ40の端部の磁性への干渉がないため、ロータアセンブリ40の軸方向に沿って、第3止め突起41の両側がいずれも磁性作用を有するようにして、ロータアセンブリ40が通電コイルの磁力作用をより良く受けることができ、ロータアセンブリ40と外部の磁気リングとの対向面積をより大きくし、スピンドルアセンブリ30のストローク要件を更に最適化している。
【0028】
本実施例において、スピンドルアセンブリ30は、順に接続される縮径セグメント31、拡径セグメント32、及びスピンドルセグメント33を含み、スピンドルアセンブリ30は、大径セグメント22からナットアセンブリ20内に伸び込み、縮径セグメント31は小径セグメント21に位置し、拡径セグメント32は大径セグメント22に位置し、スピンドルセグメント33は弁座アセンブリ10内に位置し、小径セグメント21は、縮径セグメント31にねじ接続される。本実施例のスピンドルアセンブリ30は、スピンドル、パッキン、バネ、ブッシュ、バネスリーブ、及びスクリュを含み、スピンドルはスピンドルセグメント33とされ、バネスリーブは拡径セグメント32とされ、スクリュは縮径セグメント31とされ、スピンドルは、弁座13内に伸び込み、第1接続口11及び第2接続口12の導通・遮断に対する制御を実現し、スピンドルの第1接続口11から離れた一端はパッキンに当接され、スクリュは、ナット23内に伸び込み、ナット23にねじ接続され、バネは、スクリュ及びパッキンに同時に嵌合され且つその両端がスクリュ及びパッキンにそれぞれ当接され、これにより、スクリュ及びパッキンは互いに離れる移動傾向を有し、スクリュとパッキンとの間には小さな隙間が残され、ロータアセンブリ40がスクリュを駆動して若干大きく移動させると、スピンドル及びパッキンは、弁座13に当接されているため、移動し続けることができなくなり、この場合、スクリュは、パッキンを動かして移動させることなくバネを圧縮し続けることができるため、スクリュの移動に一定の余裕があり、バネスリーブは、バネの外側に嵌合され、且つスクリュ及びパッキンに接続されることによって、バネを保護する。
【0029】
図3及び
図4に示すように、ロータアセンブリ40は、ロータ42及び挿入部材43を含み、ロータ42は、逆U字形構造をなし、ナットアセンブリ20の外側に被せられ、第3止め突起41は、ロータ42の内側に位置し、且つロータ42の径方向に沿って伸びており、ロータ42の弁座アセンブリ10に向けた一端は開放して設けられ、弁座アセンブリ10と反対側の一端は密閉して設けられ、スピンドルアセンブリ30は、ロータ42の密閉して設けられた方の端面を貫通して、ロータ42と一体に射出成形され、挿入部材43は、ソケット状をなし、スピンドルアセンブリ30上に嵌合され、且つロータ42の端面とスピンドルアセンブリ30との間に位置し、即ち、スピンドルアセンブリ30が挿入部材43を介してロータ42に駆動接続され、これにより、ロータ42は、挿入部材43を介してスピンドルアセンブリ30を動かして回転させ、スピンドルアセンブリ30に対する駆動を実現する。更に、ロータ42の端面には離型孔44が開設され、ロータアセンブリ40の軸方向に沿って、離型孔44は、第3止め突起41に対向しており、離型プロセスを容易にし、第3止め突起41の加工に便利である。
【0030】
図5及び
図6に示すように、ナットアセンブリ20は、ナット23及び連結プレート24を含み、ナット23は、ナットアセンブリ20の最も重要な部材として、大径セグメント22及び小径セグメント21を有し、連結プレート24は、ナット23の外側に設けられて、ナット23と一体に射出成形され、ナット23を弁座アセンブリ10に取り付ける際に、連結プレート24が弁座アセンブリ10に当接されることは、ナットアセンブリ20が所定の位置に取り付けられていることを表し、それからレーザ溶接等によって連結プレート24と弁座アセンブリ10とを一体に接続すればよい。
【0031】
選択的には、第1止め突起211及び第2止め突起221は、ナット23の異なる径のセグメントから径方向に沿って延びるため、第1止め突起211の長さは第2止め突起221の長さと異なり、且つ、第1止め突起211及び第2止め突起221が両方とも第3止め突起41に確実に当接されることを確保して、位置制限作用を実現できるように、第1止め突起211の端部からナット23の中心線までの距離は、第2止め突起221からナット23の中心線までの距離と等しいことが好ましい。
【0032】
図6に示すように、大径セグメント22の外側に位置決めリブ25を複数有し、位置決めリブ25は、大径セグメント22の軸方向に沿って延びており、大径セグメント22を弁座アセンブリ10内に取り付ける際に、位置決めリブ25が弁座アセンブリ10の内壁に締り嵌めされることによって、取り付けの同軸度を確保する。位置決めリブ25は、一般に3~4つ設けられ、各位置決めリブ25は、大径セグメント22の周方向に沿って等間隔に設けられる。
【0033】
位置決めリブ25は、大径セグメント22の外壁と弁座アセンブリ10の内壁との間に位置するため、大径セグメント22の位置決めリブ25が設けられていない外壁と弁座アセンブリ10の内壁との間には、自然に均衡化室として隙間が形成され、連結プレート24には貫通孔241が開設され、貫通孔241は、隙間に連通されて、流体を通過させるための均衡化通路を形成する。
【0034】
選択的には、ナット23は均衡化孔26を更に有し、均衡化孔26はナット23の外側からナット23の軸線に向かってナット23を貫通する。均衡化孔26はナット23の径方向に沿って開設されることが好ましく、もちろん一定の角度で傾斜して斜めに開設されてもよい。
【0035】
本実施例において、大径セグメント22の小径セグメント21に近い端面には、位置決め段差27が形成され、位置決め段差27と第2止め突起221とは係合し、ともに第3止め突起41の移動を止め、第3止め突起41が第2止め突起221に当接される際に、第3止め突起41が位置決め段差27にも当接することによって、ロータアセンブリ40の移動範囲をより確実に制御する。
【0036】
本実施例において、第1止め突起211、第2止め突起221、及び第3止め突起41は、いずれもプラスチック部材である。プラスチック部材であるため、止めることで位置制限する際の衝突音が小さい。なお、3つの止め突起は、いずれも金型にて射出成形され、金型の精度が高く、その寸法の一致性が良く、電子膨張弁が復帰操作される場合、反発するようなことがなく、初期位置の一致性が良く、電子膨張弁の流量精度を高めた。
【0037】
好ましくは、ナットアセンブリ20は磁性を必要とせず、ロータアセンブリ40のみが磁性を必要とするため、ナット23全体は純粋なプラスチック部材であるが、ロータ42は、プラスチックに磁性粉末が加えられて、磁性プラスチック部材に製造され、これにより、ロータ42の磁性要件を満たすと同時に衝突音を低減する効果を実現することができる。挿入部材43は、衝突が起こらないため、金属部材としてもよい。
【0038】
図1及び
図2に示すように、電子膨張弁はスリーブ50を更に含み、スリーブ50は弁座アセンブリ10に接続され且つ弁座アセンブリ10と収容室を形成し、第1接続口11及び第2接続口12はいずれも収容室外に位置し、ナットアセンブリ20、スピンドルアセンブリ30、及びロータアセンブリ40はいずれも収容室内に位置する。スリーブ50は電子膨張弁の正常な使用に影響を与えない状態で電子膨張弁の非露出構造を保護し、同時に、通電コイルはスリーブ50の外側に巻かれてロータ42の駆動を実現することができる。
【0039】
本実施例において、弁座アセンブリ10は弁座13及びスリーブホルダ14を含み、弁座13は第1接続口11及び第2接続口12を有し、ナット23の大径セグメント22は弁座13内に伸び込み、弁座13に締り嵌めされ、大径セグメント22を圧入等によって弁座13内に取り付ける際に、連結プレート24がスリーブホルダ14に当接されることが所定の位置に取り付けられていることを表し、弁座13は電子膨張弁の基礎部材として基礎支持を提供し、スリーブホルダ14は弁座13の外側に設けられて弁座13に接続され、スリーブ50はスリーブホルダ14に接続され、スリーブホルダ14はスリーブ50の取り付けに用いられ、スリーブホルダ14には巻かれたコイルを整えるためのコイルパネルが更に設けられてもよい。
【0040】
本実施例は、上述した電子膨張弁の取り付け方法を更に提供しており、取り付け方法は、以下の通りである。
【0041】
まず、電子膨張弁の弁座アセンブリ10の各部材を一体に組み立て、弁座13、外部接続管、及びスリーブホルダ14を一体に溶接して、弁座アセンブリ10とし;電子膨張弁のスピンドルアセンブリ30の各部材を一体に組み立て、スピンドル、パッキン、バネ、ブッシュ、バネスリーブ、及びスクリュを一体に装着して、スピンドルアセンブリ30とし;その後、スピンドルアセンブリ30の縮径セグメント31を、電子膨張弁のナットアセンブリ20の大径セグメント22からナットアセンブリ20内に伸び込ませ、ナットアセンブリ20の小径セグメント21にねじ込んでから、ナットアセンブリ20を弁座アセンブリ10に取り付けて、レーザ溶接によって連結プレート24とスリーブホルダ14とを一体に溶接し;電子膨張弁のロータアセンブリ40をナットアセンブリ20の外側に取り付け、ロータアセンブリ40の第3止め突起41の側面をナットアセンブリ20の第2止め突起221に当接させ、第3止め突起41の別の側面をナット23における位置決め段差27に当接させ、その後、スピンドルアセンブリ30の位置を調整し、スピンドルアセンブリ30が弁座アセンブリ10に伸び込む距離を調整して、スピンドルアセンブリ30を0パルスの位置にねじ込んで電子膨張弁を全閉にし、このように調整を完了した後、第3止め突起41が第2止め突起221に当接されると、電子膨張弁は全閉された状態となり、その後、更にスクリュと挿入部材43とをレーザ溶接によって一体に溶接し;最後に、電子膨張弁のスリーブ50を、ロータアセンブリ40の外側に被せて、スリーブホルダ14と一体にレーザ溶接すれば、電子膨張弁の組み立てを完了することができる。
【0042】
なお、上述した実施例における複数は、少なくとも2つを指す。
【0043】
以上の説明から、本出願の上記の実施例は、以下のような技術効果を達成していることが分かる。
1.従来技術における、電子膨張弁の運転中の騒音が大きいという問題を解決している。
2.第3止め突起が中心に近接して、力臂の設置がより適切になり、全体の強度がより高く、より耐久性を持つようになる。
3.第3止め突起は、ロータアセンブリの端部の磁性への干渉がないため、ロータアセンブリが通電コイルの磁力作用をより良く受けることができ、ロータアセンブリの対向面積が大きいため、スピンドルアセンブリのストローク要件を満たすことができる。
4.プラスチック部材は、止めることで位置制限する際の衝突音が小さく、且つ金型の精度が高く、その寸法の一致性が良い。
【0044】
上述した実施例は、本出願の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。本出願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力なしに得られる全ての他の実施例は、いずれも本出願の保護の範囲に属するべきである。
【国際調査報告】