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特表2022-545206分枝状アルカン及びこれを調製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(54)【発明の名称】分枝状アルカン及びこれを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 9/22 20060101AFI20221019BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20221019BHJP
   C07C 6/04 20060101ALI20221019BHJP
   C07C 5/03 20060101ALI20221019BHJP
   C07C 2/08 20060101ALI20221019BHJP
   C10M 105/04 20060101ALI20221019BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20221019BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20221019BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221019BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221019BHJP
【FI】
C07C9/22 CSP
C07C11/02
C07C6/04
C07C5/03
C07C2/08
C10M105/04
A61K8/31
A61Q1/00
A61Q19/00
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510210
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(85)【翻訳文提出日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2020072987
(87)【国際公開番号】W WO2021032672
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】1909242
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】2003014
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】セルジュ・ラトン
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ルメール
(72)【発明者】
【氏名】リュック・マチス
(72)【発明者】
【氏名】エステル・メテイ
【テーマコード(参考)】
4C083
4H006
4H039
4H104
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083CC01
4H006AA01
4H006AA02
4H006AC21
4H006AC29
4H006BA21
4H006BA68
4H006BB11
4H006BE20
4H039CA19
4H039CA99
4H039CB10
4H039CL11
4H039CL60
4H104BA02A
(57)【要約】
本出願は、n個の炭素原子を含み、nが9から50の間の整数である分枝状アルカン、これを調製するための方法、及びその使用に関する。本出願はまた、これらの分枝状アルカンを得るためのオレフィンに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(I):
【化1】
[同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~46個の炭素原子を含むアルキルから選択され、R1、R2、R3、及びR4基のすべてにおける炭素原子の総数は、7から48の間であり、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4基の最大2つがHであり、
- R1、R2、R3、又はR4基の1つがtert-ブチル基を含む、又はtert-ブチル基である]
の分枝状アルカン。
【請求項2】
R1、R2、R3、又はR4の1つがメチル基を表す、請求項1に記載の分枝状アルカン。
【請求項3】
nが同一である又は異なる、少なくとも2種の請求項1又は2に記載の分枝状アルカンを含む混合物。
【請求項4】
芳香族化合物不含である、請求項3に記載の混合物。
【請求項5】
式(III):
【化2】
[同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~46個の炭素原子を含むアルキルから選択され、R1、R2、R3、及びR4基のすべてにおける炭素原子の総数は、7から48の間であり、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4基の最大2つがHであり、
- R1、R2、R3、又はR4基の1つがtert-ブチル基を含む、又はtert-ブチル基である]
の分枝状オレフィン。
【請求項6】
nが同一である又は異なる、少なくとも2種の請求項5に記載の分枝状オレフィンを含む混合物。
【請求項7】
請求項5に記載のオレフィン又は請求項6に記載の混合物を脱水素化する工程を含む、請求項1若しくは2に記載の分枝状アルカン、又は請求項3若しくは4に記載の混合物を得るための方法。
【請求項8】
請求項5に記載のオレフィン、又は請求項6に記載の混合物が、nが16、24、32、40、又は48を表す場合、n/2個の炭素原子を含む分枝状オレフィン異性体の混合物の二量化によって、低級オレフィンの共二量化又はメタセシスによって得られる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
n/2個の炭素原子を含む分枝状オレフィン混合物が、生物資源から得られる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
二量化の工程が、溶液中のブレンステッド酸、例えば、H2SO4、H3PO4、HF、CH3SO3H、CF3SO3H;固体ブレンステッド酸、例えば、有機樹脂、粘土、ゼオライト、シリカ上のH3PO4;ルイス酸、例えば、ZnCl2、AlCl3;有機金属化合物、例えば、Ni錯体、Ni及びAlの錯体の混合物;イオン液体、例えば[BMIm][N(CF3SO2)2]/HN(CF3SO2)2;モンモリロナイト等のラメラ構造を有する粘土;アンバーリスト、スルホン酸樹脂等の有機樹脂;例えば[LNiCH2R9][AlCl4][式中、L=PR10であり、R9は、直鎖又は分枝状の9個の炭素原子を含むアルキルを表し、R10は-CH2-R9基を表す]等の有機金属化合物から選択される触媒の存在下で実行される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
共二量化の方法が、式(IV)及び(V):
R5R6C=CR7R8 (IV) R9R10C=CR11R12 (V)
の低級オレフィンを用いて実行され、
オレフィン(IV)が、m個の炭素原子を含む、エキソオレフィン(末端二重結合)又はエンドオレフィン(非末端二重結合)であり、オレフィン(V)がp個の炭素原子を含み、m+p=nであり、nは9から50の間の整数を表し、mは4から32の間の整数を表し、pは3から46の間の整数を表し、
したがって、式(IV)及び(V)において、
R7及びR8はHを表し、同一である又は異なるR5及びR6は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でm個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
同一である又は異なるR5、R6、R7、及びR8は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でm個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
R5はHを表し、同一である又は異なるR6、R7、及びR8は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でm個の炭素原子を含むアルキル基を表し、
同一である又は異なるR9、R10、R11、及びR12は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でp個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
R9、R11、及びR12はHを表し、R10は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でp個の炭素原子を含むアルキル基を表す、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
メタセシス法が、式(VI)及び(VII):
R13R14C=CR15R16(VI) R17R18C=CR19R20 (VII)
の低級オレフィンを用いて実行され、
オレフィン(VI)が、q個の炭素原子を含む、エキソオレフィン(末端二重結合)又はエンドオレフィン(非末端二重結合)であり、オレフィン(VII)がr個の炭素原子を含み、qは4から32の間であり、rは3から40の間であり、
したがって、式(VI)及び(VII)において、
R15及びR16はHを表し、同一である又は異なるR13及びR14は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でq個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
同一である又は異なるR13、R14、R15、及びR16は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でq個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
R13はHを表し、同一である又は異なるR14、R15、及びR16は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でq個の炭素原子を含むアルキル基を表し、
同一である又は異なるR17、R18、R19、及びR20は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でr個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
R17、R19、及びR20はHを表し、R18は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でr個の炭素原子を含むアルキル基を表す、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
共二量化の工程が、溶液中のブレンステッド酸、例えば、H2SO4、H3PO4、HF、メタンスルホン酸、トリフル酸(CF3SO3H);固体ブレンステッド酸、例えば、有機樹脂、粘土、ゼオライト、シリカ上のH3PO4;ルイス酸、例えば、ZnCl2、AlCl3;有機金属化合物、例えば、Ni錯体、Ni及びAlの錯体の混合物;イオン液体、例えば[BMIm][N(CF3SO2)2]/HN(CF3SO2)2;モンモリロナイト等のラメラ構造を有する粘土;スルホン酸樹脂等の有機樹脂;例えば[LNiCH2R21][AlCl4][式中、L=PR22であり、R21は、直鎖又は分枝状の9個の炭素原子を含むアルキルを表し、R22は-CH2-R21基を表す]等の有機金属化合物から選択される触媒の存在下で実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
メタセシス工程が、2種のオレフィンを、メタセシス触媒、特にメタセシスについての当業者に公知の触媒から選択される触媒、特にルテニウム触媒、特に第2世代グラブス触媒、例えば、ベンジリデン1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデンジクロロ(トリシクロヘキシル-ホスフィン)ルテニウム、又は(1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドの存在下で反応させることによって実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
化粧品組成物、可塑化組成物、又は潤滑組成物を調合するための、請求項1若しくは2に記載のアルカン、又は請求項3若しくは4に記載の混合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、n個の炭素原子を含み、nが9から50の間の整数を表す、分枝状アルカン又は分枝状アルカン異性体の混合物に関する。本出願はまた、n個の炭素原子を含み、nが16、24、又は32を表す、分枝状アルカン又は分枝状アルカン異性体の混合物に関し、前記アルカン又はアルカンの混合物は、n-4個又はn+4個の炭素原子を含む分枝状アルカン不含である。最後に、本出願は、水素化によって本発明のアルカンを得ることを可能にする、分枝状オレフィンに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の炭素原子、特に9個以上の炭素原子、好ましくは16個以上の炭素原子を含む分枝状アルカンは、多様な用途を有する。これらは、特に、化粧品調合物中の成分として、農芸化学調合物中の成分として、様々な他の分野の用途に属する調合物中で、可塑化添加剤として、潤滑剤として、等で使用することができる。
【0003】
しかしながら、これらの化合物は一般に、化石資源、特に石油から生じる。環境に対する負の影響を有することに加えて、化石資源、特に石油の使用は、芳香族化合物型の不純物を有するアルカンをもたらす。加えて、高級アルカン、特に少なくとも16個という多数の炭素原子を有するアルカンを得るためには、特にオリゴマー化反応を通過する必要があり、これらの反応はオレフィンの混合物を生じ、次いで(オレフィンの水素化の後に)、n-4及びn+4個の炭素原子の不純物を有する、n個の炭素原子を含むアルカンの混合物を生じる。このような不純物は、n-4の場合には揮発性が高すぎ、n+4の場合には粘度が高すぎるため、得ようとする特性と比較して望ましくない。
【0004】
そのため、好ましくは特に低レベルの不純物を有する、高級分枝状アルカンを提供できることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2012052427号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2017085167号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2018206262号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その結果、本発明の1つの目的は、高級分枝状アルカン、特にn個の炭素原子を含み、nが9から50の間の整数を表す、好ましくは16、24、32、40、又は48個の炭素原子を含むアルカンを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、低レベルの不純物を有するこのようなアルカン、特に16、24、32、40、又は48個の炭素原子を含むアルカンを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的はまた、このようなアルカンを調製するための方法を提供することである。
【0009】
なおも他の目的は、以下の本発明の記載を読むことから判明するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願は、n個の炭素原子を含み、nが9から50の間の整数である、好ましくはnが16、24、32、40、又は48に等しい分枝状アルカンに関し、好ましくは、nが16、24、32、40、又は48を表すアルカンは、n-4個又はn+4個の炭素原子を含む分枝状アルカン不含である。
【0011】
好ましくは、nは12に等しい。
【0012】
本発明の文脈において、分枝状アルカンが、n-4個又はn+4個の炭素原子を含むアルカン不含であるという事実は、アルカンが不純物としての、n-4個又はn+4個の炭素原子を含むアルカンを含まないことを意味する。
【0013】
好ましくは、本発明によるアルカンは、次の式(I):
【0014】
【化1】
【0015】
[同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~46個の炭素原子を含むアルキルから選択され、R1、R2、R3、及びR4基における炭素原子の総数は、7から48の間であり、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4基の最大2つはHであり、
- R1、R2、R3、又はR4基の1つはtert-ブチル基を含む、又はtert-ブチル基である]
を有する。
【0016】
好ましくは、R1、R2、R3、又はR4基の1つはメチル基である。
【0017】
好ましくは、R1、R2、R3、及びR4基における炭素原子の総数は10に等しい。
【0018】
好ましくは、本発明によるアルカンは、次の式(I):
【0019】
【化2】
【0020】
[同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~46個の炭素原子を含むアルキルから選択され、R1、R2、R3、及びR4基における炭素原子の総数は、14、22、30、38、又は46に等しく、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4基の最大2つはHであり、
- R1、R2、R3、又はR4基の1つはtert-ブチル基を含む、又はtert-ブチル基である]
を有する。
【0021】
好ましくは、本発明によるアルカンは、次の式(I):
【0022】
【化3】
【0023】
[同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~46個の炭素原子を含むアルキルから選択され、R1、R2、R3、及びR4基における炭素原子の総数は、14、22、30、38、又は46に等しく、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4基の最大2つはHである]
を有する。
【0024】
好ましくは、本発明によるアルカンは、次の式(I):
【0025】
【化4】
【0026】
[同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~46個の炭素原子を含むアルキルから選択され、R1、R2、R3、及びR4基における炭素原子の総数は、14、22、30、38、又は46に等しく、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4基の最大2つはHであり、
- R1又はR2基の1つがHであるならば、又はR1及びR2基がHであるならば、R3及びR4基は(C1~C46)アルキル基であり、
- R3又はR4基の1つがHであるならば、又はR3及びR4基がHであるならば、R1及びR2は(C1~C46)アルキル基である]
を有する。
【0027】
好ましくは、本発明によるアルカンは、次の式(I):
【0028】
【化5】
【0029】
[同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~46個の炭素原子を含むアルキルから選択され、R1、R2、R3、及びR4基における炭素原子の総数は、14、22、30、38、又は46に等しく、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4基の最大2つはHであり、
- R1又はR2基の1つがHであるならば、又はR1及びR2基がHであるならば、R3及びR4基は(C1~C46)アルキル基であり、
- R3又はR4基の1つがHであるならば、又はR3及びR4基がHであるならば、R1及びR2は(C1~C46)アルキル基であり、
- R1、R2、R3、又はR4基の1つはtert-ブチル基を含む、又はtert-ブチル基である]
を有する。
【0030】
本発明によれば、アルキル基とは、直鎖又は分枝状で、反対の言及がない限り、1~46個の炭素原子を含む、飽和炭化水素脂肪族基を指す。例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ウンデセニル、ラウリル、パルミル、オレイル、リノレイル、エルシル、又はリシノレイル基を挙げることができる。
【0031】
前述の式(I)において、一実施形態によれば、R1、R2、R3、又はR4基の1つはtert-ブチル基を含む。一実施形態によれば、式(I)において、R1、R2、R3、又はR4基の1つはtert-ブチル基である。
【0032】
一実施形態によれば、式(I)において、R1、R2、R3、又はR4基の1つは、tert-ブチル基を含み、式-A-C(CH3)3[Aは、1~6個の炭素原子を含むアルキレン基を表す]を有する。
【0033】
「アルキレン」という用語は、本発明によれば、1~6個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を含む基を指す。アルキレン基は、水素原子が除去されている、ここで定義されるアルキル基に対応する。
【0034】
好ましくは、本発明によるアルカンは、芳香族化合物不含である。
【0035】
本出願はまた、n個の炭素原子を含み、nは9から50の間の整数である、本発明による分枝状アルカン異性体の混合物に関する。本発明の文脈において、異性体の混合物は、n個の炭素原子を含み、nが9から50の間の単一の値を有する様々なアルカン異性体から構成されても、nの値が異なるアルカン異性体の混合物から構成されてもよい。
【0036】
本出願はまた、n個の炭素原子を含み、nが16、24、32、40又は48に等しい分枝状アルカン異性体の混合物に関し、前記混合物は、n-4個又はn+4個の炭素原子を含む分枝状アルカン不含である。
【0037】
本発明の文脈において、異性体の混合物は、n個の炭素原子を含み、nが16、24、32、40、又は48から選択される単一の値を有する様々なアルカン異性体から構成されてもよい。本発明による異性体の混合物はまた、16個の炭素原子、及び/又は24個の炭素原子、及び/又は32個の炭素原子、及び/又は40個の炭素原子、及び/又は48個の炭素原子を含む様々なアルカン異性体から構成されてもよい。
【0038】
好ましくは、本発明による分枝状アルカン異性体の混合物は、芳香族化合物不含である。
【0039】
好ましくは、本発明による分枝状アルカン異性体の混合物は、少なくとも2種の次の式(I):
【0040】
【化6】
【0041】
[同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~46個の炭素原子を含むアルキルから選択され、R1、R2、R3、及びR4基における炭素原子の総数は、7から48の間であり、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4基の最大2つはHであり、
- R1、R2、R3、又はR4基の1つはtert-ブチル基を含む、又はtert-ブチル基である]
の分枝状アルカン異性体を含む。
【0042】
好ましくは、R1、R2、R3、又はR4基の1つはメチル基である。
【0043】
好ましくは、本発明による分枝状アルカン異性体の混合物は、少なくとも2種の次の式(I):
【0044】
【化7】
【0045】
[同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~46個の炭素原子を含むアルキルから選択され、R1、R2、R3、及びR4基における炭素原子の総数は、7から48の間であり、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4基の最大2つはHであり、
- R1又はR2基の1つがHであるならば、又はR1及びR2基がHであるならば、R3及びR4基は(C1~C46)アルキル基であり、
- R3又はR4基の1つがHであるならば、又はR3及びR4基がHであるならば、R1及びR2基は(C1~C46)アルキル基であり、
- R1、R2、R3、又はR4基の1つはtert-ブチル基を含む、又はtert-ブチル基である]
の分枝状アルカン異性体を含む。
【0046】
好ましくは、R1、R2、R3、又はR4基の1つはメチル基である。
【0047】
好ましくは、本発明による分枝状アルカン異性体の混合物は、少なくとも2種の次の式(I):
【0048】
【化8】
【0049】
[同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~46個の炭素原子を含むアルキルから選択され、R1、R2、R3、及びR4基における炭素原子の総数は、14、22、30、38、又は46に等しく、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4基の最大2つはHであり、
- R1、R2、R3、又はR4基の1つはtert-ブチル基を含む、又はtert-ブチル基である]
の分枝状アルカン異性体を含む。
【0050】
好ましくは、本発明による分枝状アルカン異性体の混合物は、少なくとも2種の次の式(I):
【0051】
【化9】
【0052】
[同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~46個の炭素原子を含むアルキルから選択され、R1、R2、R3、及びR4基における炭素原子の総数は、14、22、30、38、又は46に等しく、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4基の最大2つはHであり、
- R1又はR2基の1つがHであるならば、又はR1及びR2基がHであるならば、R3及びR4基は(C1~C46)アルキル基であり、
- R3又はR4基の1つがHであるならば、又はR3及びR4基がHであるならば、R1及びR2は(C1~C46)アルキル基である]
の分枝状アルカン異性体を含む。
【0053】
好ましくは、本発明による分枝状アルカン異性体の混合物は、少なくとも2種の次の式(I):
【0054】
【化10】
【0055】
[同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~46個の炭素原子を含むアルキルから選択され、R1、R2、R3、及びR4基における炭素原子の総数は、14、22、30、38、又は46に等しく、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4基の最大2つはHであり、
- R1又はR2基の1つがHであるならば、又はR1及びR2基がHであるならば、R3及びR4基は(C1~C46)アルキル基であり、
- R3又はR4基の1つがHであるならば、又はR3及びR4基がHであるならば、R1及びR2は(C1~C46)アルキル基であり、
- R1、R2、R3、又はR4基の1つはtert-ブチル基を含む、又はtert-ブチル基である]
の分枝状アルカン異性体を含む。
【0056】
一実施形態によれば、本発明の混合物は、上に定義した式(I)の化合物のすべてがn個の炭素原子を含み、nは上に定義した通りであり、前記混合物のすべての化合物について同一であるものである。
【0057】
好ましくは、前記混合物は、芳香族化合物不含である。
【0058】
本出願はまた、本発明による分枝状アルカン又は分枝状アルカンの混合物を調製するための方法に関する。この調製方法は、n個の炭素原子を含み、nは上に定義されており、好ましくはnは16、24、32、40、又は48に等しい、分枝状オレフィン又は分枝状オレフィンの混合物を水素化する工程を含む。好ましくは、nが16、24、32、40又は48に等しい場合、分枝状オレフィン又は分枝状オレフィンの混合物は、n-4個又はn+4個の炭素原子を含むオレフィン不含であり、好ましくは芳香族化合物不含である。
【0059】
水素化工程は、分枝状オレフィン又は分枝状オレフィンの混合物を、二水素(H2)と一緒に投入することに対応する。
【0060】
水素化工程は、Pd、Pt、Ni等の金属の誘導体から選択され、溶液中、これらを投入する時点で、有機金属錯体の形態、又はシリカ、アルミナ、若しくは炭素等の固体に支持された形態、好ましくはラネーニッケルである、水素化触媒の存在下で実行することができる。
【0061】
水素化工程は、溶媒が存在しなくても、溶媒が存在しても実行することができ、溶媒は特に、水素化の結果として得られる分枝状アルキルから、当業者に公知の技法によって分離することができるアルカン、特にイソオクタン、エーテル、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、又は高分子の(heavy)アルコール、例えば4個超の炭素原子を含むアルコール、例えば、オクタノール、デカノール、ドデカノール、イソドデカノールから選択することができる。好ましくは、溶媒は、生物資源溶媒(生物学的資源から生じた溶媒)、特に生物資源イソドデカノールから生じたイソドデカノールである。
【0062】
水素化工程は好ましくは、50℃から150℃の間の温度、例えば80℃において実行される。
【0063】
水素化工程の間、水素は、圧力を1.013×106Paから5.066×106Paの間の一定の値、例えば2.027×106Paに調整することによって導入する。
【0064】
好ましくは、水素化工程は、2時間から6時間の間、例えば3時間の継続期間を有する。
【0065】
水素化工程の終了時に、過剰の水素を減圧によって排除することができ、反応器を不活性ガス、好ましくは窒素で3回パージする。
【0066】
触媒は、不均一系である場合、濾過によって回収することができ、再生利用することができる。反応の溶媒は、蒸留によって分離することができ、再生利用することができる。加えて、有利には、連続反応器を使用することができる。
【0067】
必要な場合、本発明による分枝状アルカンの異性体は、蒸留によって分離及び精製することができる。
【0068】
本発明はまた、n個の炭素原子を含み、nが9から50の間の整数であり、好ましくはnが16、24、32、40、又は48に等しい分枝状オレフィンに関する。好ましくは、分枝状オレフィンは、芳香族化合物不含である。好ましくは、分枝状オレフィンは、nが16、24、32、40又は48に等しい場合、n-4個又はn+4個の炭素原子を含むオレフィン不含であり、好ましくは芳香族化合物不含である。
【0069】
本発明による分枝状オレフィンは、好ましくは式(II):
【0070】
【化11】
【0071】
[式中、R1、R2、R3、及びR4は、式(I)について与えた定義を有する]
を有する。
【0072】
好ましくは、この式(II)において、
- R1、R2、R3、及びR4基の最大2つはHであり、
- R1又はR2基の1つがHであるならば、又はR1及びR2基がHであるならば、R3及びR4基は(C1~C46)アルキル基であり、
- R3及びR4基の1つがHであるならば、又はR3及びR4基がHであるならば、R1及びR2基は(C1~C46)アルキル基である。
【0073】
好ましくは、式(II)の化合物は、合計8+4x個の炭素原子を含む分枝状化合物であり、xは2、4、6、8、又は10を表す。そのため、式(II)の化合物は、主鎖が16、24、32、40、又は48個の炭素原子を含む分枝状化合物である。
【0074】
そのため、式(II)のオレフィンは、次の式:
【0075】
【化12】
【0076】
[式中、R'1、R'2、R'3、及びR'4は、(C1~C30)アルキル基である]の1つを有し、好ましくは、
【0077】
【化13】
【0078】
である。
【0079】
一実施形態によれば、式(II)のオレフィンは、2個の水素原子を含んでもよく、一方はR'1又はR'2基に対応し、他方はR'3又はR'4に対応する。
【0080】
本発明による分枝状オレフィン異性体の混合物は、少なくとも2種の式(II)のオレフィンを含む混合物である。好ましくは、本発明の混合物は、上に定義した式(II)の化合物のすべてがn個の炭素原子を含み、nは上に定義した通りであり、前記混合物のすべての化合物について同一であるものである。
【0081】
本発明はまた、n個の炭素原子を含み、nが16、24、32、40又は48に等しい分枝状オレフィン異性体の混合物に関し、分枝状オレフィン異性体の混合物は、n-4個又はn+4個の炭素原子を含むオレフィン不含であり、好ましくは芳香族化合物不含である。好ましくは、分枝状オレフィンは式(II)を有する。
【0082】
本発明はまた、n個の炭素原子を含み、nが9から49の間の奇数を表し、又はnが10、14、18、22、26、30、32、34、36、40、42、44、46、50を表す、分枝状オレフィンに関する。
【0083】
好ましくは、オレフィンはこのとき、次の式(III):
【0084】
【化14】
【0085】
[式中、同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~48個の炭素原子を含むアルキル(これらのアルキルの少なくとも1つは分枝状である)から選択され、式(I)の炭素原子の総数はnに等しく、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4の少なくとも2つはHとは異なり、
- R1とR2とが同時にHとなることはできず、
- R3とR4とが同時にHとなることはできない]
を有する。
【0086】
好ましくは、この式(III)において、R1、R2、R3、及びR4の1つ以下がHである。
【0087】
好ましくは、式(III)のこの化合物において、R1は、H、又は1~15個の炭素原子を含む直鎖又は分枝状のアルキルであり、同一である又は異なるR2、R3、及びR4は、直鎖又は分枝状の1~15個の炭素原子を含むアルキルから選択される。
【0088】
好ましくは、式(III)の化合物において、R1はHであり、R2は直鎖の1~15個の炭素原子を含むアルキルであり、同一である又は異なるR3及びR4は、直鎖又は分枝状の1~15個の炭素原子を含むアルキルから選択される。
【0089】
好ましくは、オレフィンはこのとき、次の式(III):
【0090】
【化15】
【0091】
[式中、同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~48個の炭素原子を含むアルキル(これらのアルキルの少なくとも1つは分枝状である)から選択され、式(I)の炭素原子の総数はnに等しく、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4の少なくとも2つはHとは異なる]
を有する。
【0092】
好ましくは、オレフィンはこのとき、次の式(III):
【0093】
【化16】
【0094】
[式中、同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~48個の炭素原子を含むアルキル(これらのアルキルの少なくとも1つは分枝状である)から選択され、式(I)の炭素原子の総数はnに等しく、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4の少なくとも2つはHとは異なり、
- R1、R2、R3、又はR4基の1つはtert-ブチル基を含む、又はtert-ブチル基である]
を有する。
【0095】
好ましくは、オレフィンはこのとき、次の式(III):
【0096】
【化17】
【0097】
[式中、同一である又は異なるR1、R2、R3、及びR4は、H、直鎖又は分枝状の1~48個の炭素原子を含むアルキル(これらのアルキルの少なくとも1つは分枝状である)から選択され、式(I)の炭素原子の総数はnに等しく、
ただし、
- R1、R2、R3、及びR4の少なくとも2つはHとは異なり、
- R1とR2とが同時にHとなることはできず、且つ
R3とR4とが同時にHとなることはできず、
- R1、R2、R3、又はR4基の1つはtert-ブチル基を含む、又はtert-ブチル基である]
を有する。
【0098】
n個の炭素原子を含み、nが16、24、32、40、又は48個の炭素原子に等しい、本発明による分枝状オレフィン又は分枝状オレフィン異性体の混合物は、n/2個の炭素原子を含む分枝状オレフィン異性体の混合物の二量化によって得ることができる。
【0099】
したがって、16個の炭素原子を含む分枝状オレフィンは、8個の炭素原子を含む分枝状オレフィンの二量化によって得ることができる。24個の炭素原子を含む分枝状オレフィンは、12個の炭素原子を含む分枝状オレフィンの二量化によって得ることができる。32個の炭素原子を含む分枝状オレフィンは、16個の炭素原子を含む分枝状オレフィンの二量化によって得ることができる。40個の炭素原子を含む分枝状オレフィンは、20個の炭素原子を含む分枝状オレフィンの二量化によって得ることができる。48個の炭素原子を含む分枝状オレフィンは、24個の炭素原子を含む分枝状オレフィンの二量化によって得ることができる。
【0100】
n/2個の炭素原子を含む分枝状オレフィン異性体は、二量化の工程の前に、特に蒸留による、精製をされていてもよい。
【0101】
二量化の工程は、溶液中のブレンステッド酸、例えば、H2SO4、H3PO4、HF、メタンスルホン酸、トリフル酸(CF3SO3H);固体ブレンステッド酸、例えば、有機樹脂、粘土、ゼオライト、シリカ上のH3PO4;ルイス酸、例えば、ZnCl2、AlCl3;有機金属化合物、例えば、Ni錯体、Ni及びAlの錯体の混合物;イオン液体、例えば[BMIm][N(CF3SO2)2]/HN(CF3SO2)2;モンモリロナイト等のラメラ構造を有する粘土;アンバーリスト、スルホン酸樹脂等の有機樹脂;例えば[LNiCH2R9][AlCl4][式中、L=PR10であり、R9は、直鎖又は分枝状の9個の炭素原子を含むアルキルを表し、R10は-CH2-R9基を表す]等の有機金属化合物から選択される触媒の存在下で実行することができる。
【0102】
二量化の工程は好ましくは、30℃から250℃の間、好ましくは100℃から200℃の間の温度において実行される。
【0103】
特に有利には、8、12、及び16個の炭素原子を含む分枝状オレフィンを、イソブテンから得た。好ましくは、前記イソブテンは、生物資源から、特に国際公開第2012052427号パンフレット、同第2017085167号パンフレット、及び同第2018206262号パンフレットの出願に記載されているように、例えば多糖類(糖、デンプン、セルロース等)から得られる。
【0104】
本発明のオレフィン(II)はまた、低級オレフィンの共二量化によって、又は低級オレフィンのメタセシスによっても得ることができる。
【0105】
本発明の文脈において、低級オレフィンとは、n個未満の炭素原子を含むオレフィンを意味する。
【0106】
共二量化の方法は、m個の炭素原子を含むオレフィンと、p個の炭素原子を含むオレフィンの間で実行され、m及びpは、m+p=nであり、nは、9から50の間の整数を表すように選択される整数である。
【0107】
共二量化の方法に使用する低級オレフィンは、例えば、式(IV)及び(V):
R5R6C=CR7R8 (IV) R9R10C=CR11R12 (V)
を有していてもよく、オレフィン(IV)は、m個の炭素原子を含む、エキソオレフィン(末端二重結合)又はエンドオレフィン(非末端二重結合)であり、オレフィン(V)はp個の炭素原子を含み、m+p=nであり、nは9から50の間の整数を表し、mは4から32の間の整数を表し、pは3から46の間の整数を表し、
したがって、式(IV)及び(V)において、
R7及びR8はHを表し、同一である又は異なるR5及びR6は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でm個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
同一である又は異なるR5、R6、R7、及びR8は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でm個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
R5はHを表し、同一である又は異なるR6、R7、及びR8は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でm個の炭素原子を含むアルキル基を表し、
同一である又は異なるR9、R10、R11、及びR12は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でp個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
R9、R11、及びR12はHを表し、R10は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でp個の炭素原子を含むアルキル基を表す。
【0108】
メタセシス法は、q個の炭素原子を含むオレフィンと、r個の炭素原子を含むオレフィンの間で実行され、q及びrは、q+rがnよりも大きく、nが9から50の間の整数を表すように選択される整数である。メタセシス反応によって、最終化合物における炭素原子が減少し(少なくとも2個の炭素原子の減少)、減少する炭素原子の数は、関与するオレフィンと、特に、二重結合の2個の炭素原子の置換基の性質とに依存する。
【0109】
メタセシス法に使用する低級オレフィンは、例えば、式(VI)及び(VII):
R13R14C=CR15R16(VI) R17R18C=CR19R20 (VII)
を有していてもよく、オレフィン(VI)は、q個の炭素原子を含む、エキソオレフィン(末端二重結合)又はエンドオレフィン(非末端二重結合)であり、オレフィン(VII)はr個の炭素原子を含み、qは4から32の間であり、rは3から40の間であり、
したがって、式(VI)及び(VII)において、
R15及びR16はHを表し、同一である又は異なるR13及びR14は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でq個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
同一である又は異なるR13、R14、R15、及びR16は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でq個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
R13はHを表し、同一である又は異なるR14、R15、及びR16は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でq個の炭素原子を含むアルキル基を表し、
同一である又は異なるR17、R18、R19、及びR20は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でr個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
R17、R19、及びR20はHを表し、R18は、直鎖又は分枝状の、二重結合を有する炭素原子と合わせて合計でr個の炭素原子を含むアルキル基を表す。
【0110】
好ましくは、炭素原子の数nが9から49の間の奇数を表す、又は数nが10、14、18、22、26、30、32、34、36、40、42、44、46、50を表す、式(II)のオレフィンを調製するためには、
共二量化の方法に使用する低級オレフィンは、例えば、式(IV)及び(V):
R5R6C=CR7R8 (IV) R9R10C=CR11R12 (V)
を有していてもよく、オレフィン(IV)は、4t個の炭素原子を含む、エキソオレフィン(末端二重結合)又はエンドオレフィン(非末端二重結合)であり、tは1から6の間の整数であり、
したがって、式(IV)及び(V)において、
R7及びR8はHを表し、同一である又は異なるR5及びR6は、直鎖又は分枝状の、1~12個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
同一である又は異なるR5、R6、R7、及びR8は、直鎖又は分枝状の、1~12個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
R5はHを表し、同一である又は異なるR6、R7、及びR8は、直鎖又は分枝状の、1~12個の炭素原子を含むアルキル基を表し、
同一である又は異なるR9、R10、R11、及びR12は、直鎖又は分枝状の、1~12個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
R9、R11、及びR12はHを表し、R10は、直鎖又は分枝状の、1~12個の炭素原子を含むアルキル基を表し、
式(IV)における炭素原子の総数はmであり、式(V)における炭素原子の総数はpである。
【0111】
好ましくは、炭素原子の数nが9から49の間の奇数を表す、又は数nが10、14、18、22、26、30、32、34、36、40、42、44、46、50を表す、式(II)のオレフィンを調製するためには、
メタセシス法は、q個の炭素原子を含むオレフィンと、r個の炭素原子を含むオレフィンの間で実行され、q及びrは、q+rがnよりも大きくなるように選択される整数である。これは、メタセシス反応によって、最終化合物における炭素原子が減少し(少なくとも2個の炭素原子の減少)、減少する炭素原子の数は、使用するオレフィンと、特に、二重結合の2個の炭素原子の置換基の性質とに依存するためである。
【0112】
メタセシス法に使用する低級オレフィンは、例えば、式(VI)及び(VII):
R13R14C=CR15R16(VI) R17R18C=CR19R20 (VII)
を有していてもよく、オレフィン(VI)は、46個の炭素原子を含む、エキソオレフィン(末端二重結合)又はエンドオレフィン(非末端二重結合)であり、tは1から6の間であり、
したがって、式(VI)及び(VII)において、
R15及びR16はHを表し、同一である又は異なるR13及びR14は、直鎖又は分枝状の、1~12個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
同一である又は異なるR13、R14、R15、及びR16は、直鎖又は分枝状の、1~12個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
R13はHを表し、同一である又は異なるR14、R15、及びR16は、直鎖又は分枝状の、1~12個の炭素原子を含むアルキル基を表し、
同一である又は異なるR17、R18、R19、及びR20は、直鎖又は分枝状の、1~12個の炭素原子を含むアルキル基を表し、又は
R17、R19、及びR20はHを表し、R18は、直鎖又は分枝状の、1~12個の炭素原子を含むアルキル基を表し、
式(VI)の炭素原子の総数はqであり、式(VII)の炭素原子の総数はrである。
【0113】
共二量化の工程は、溶液中のブレンステッド酸、例えば、H2SO4、H3PO4、HF、メタンスルホン酸、トリフル酸(CF3SO3H);固体ブレンステッド酸、例えば、有機樹脂、粘土、ゼオライト、シリカ上のH3PO4;ルイス酸、例えば、ZnCl2、AlCl3;有機金属化合物、例えば、Ni錯体、Ni及びAlの錯体の混合物;イオン液体、例えば[BMIm][N(CF3SO2)2] / HN(CF3SO2)2;モンモリロナイト等のラメラ構造を有する粘土;アンバーリスト、スルホン酸樹脂等の有機樹脂;例えば[LNiCH2R21][AlCl4][式中、L=PR22であり、R21は、直鎖又は分枝状の9個の炭素原子を含むアルキルを表し、R22は-CH2-R21基を表す]等の有機金属化合物から選択される触媒の存在下で実行することができる。
【0114】
好ましくは、共二量化に使用する触媒の量は、オレフィンの重量に対して、1000重量ppmから10重量%の間、好ましくは1000重量ppmから5重量%の間である。
【0115】
共二量化の工程は好ましくは、30℃から250℃の間、好ましくは100℃から200℃の間の温度において実行される。
【0116】
特に有利には、オレフィンは、イソブテンから得ることができる。好ましくは、前記イソブテンは、生物資源から、特に国際公開第2012052427号パンフレット、同第2017085167号パンフレット、及び同第2018206262号パンフレットの出願に記載されているように、例えば多糖類(糖、デンプン、セルロース等)から得られる。
【0117】
メタセシス工程は、2種のオレフィンを、メタセシス触媒、特にメタセシスについての当業者に公知の触媒から選択される触媒、特にルテニウム触媒、特に第2世代グラブス触媒、例えば、ベンジリデン1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデンジクロロ(トリシクロヘキシル-ホスフィン)ルテニウム、又は(1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドの存在下で反応させることによって実行される。触媒の量は、オレフィンの重量に対して、好ましくは50ppmから5重量%の間のRu元素、好ましくは200ppmから1%の間である。反応は好ましくは、0℃から150℃の間、例えば20℃から100℃の間の温度において実行される。媒体を次に精製工程にかけるが、例えば、反応媒体を溶媒、例えばトルエンに溶解させ、次いで、得られた混合物を、例えば中性アルミナにおいて濾過する。
【0118】
本発明によるオレフィンは、化粧品組成物、可塑剤組成物、又は潤滑剤組成物を調合するために使用することができる。
【0119】
本発明のオレフィンはまた、水素化して対応するアルカンにしても、官能化アルカンに転換する反応にかけてもよく、前記アルカンは、化粧品組成物、可塑化組成物、又は潤滑組成物を調合するために使用することができる。
【0120】
本出願はまた、化粧品組成物、可塑化組成物、又は潤滑組成物を調合するための、本発明による分枝状アルカン、又は本発明による分枝状アルカンの混合物の使用に関する。
【0121】
本出願を、次の実施例によってここに記載する。
【実施例1】
【0122】
イソオクテンの二量化
次のものを撹拌オートクレーブに装填し、密閉して不活性雰囲気にする。
- 100gのイソオクテン
- 10gのモンモリロナイト
- 5gのイソオクタン
【0123】
加熱を段階的に行い、二量化は150℃前後で開始する。
【0124】
温度を最大200℃まで継続して上昇させる。
【0125】
混合物を、撹拌下で、このレベルの温度において3時間維持する。
【0126】
反応混合物を周囲温度に冷却する。
【0127】
モンモリロナイト触媒を、濾過によって液相から分離する。
【0128】
分析上の要求事項のため、液相をクロロヘキサン溶媒中に希釈する。
【0129】
イソオクタンの変換率は70%から95%の間である。イソオクタンの二量化生成物(ヘキサイソドデセン)の収率は、50%から90%の間である。
【実施例2】
【0130】
イソオクテンの二量化
この実施例に使用する触媒はAXEN社によって販売されており、これは、C6~C8パラフィン系石油画分中50重量%におけるジクロロアルキルアルミニウム、及びニッケル系液体触媒の溶液である。
【0131】
次のものを撹拌オートクレーブに装填し、密閉して不活性雰囲気にする。
- 100gのイソオクテン
- 0.45gの上に定義した触媒溶液
【0132】
反応混合物を、45℃から50℃の間で2時間維持する。
【0133】
混合物を周囲温度に冷却する。
【0134】
混合物を、炭酸ナトリウム又はソーダの塩基性水溶液によって処理し、次に、落ち着かせることによって有機相と水相とを分離する。
【0135】
有機相を分析する。
【0136】
イソオクタンの変換率は70%から100%の間である。
【0137】
イソオクタンの二量化生成物(ヘキサイソドデセン)の収率は、60%から90%の間である。
【実施例3】
【0138】
実施例1及び2から得られる化合物の水素化
窒素流下で3回パージした後、次のものを水素化反応器(撹拌及び圧力下で維持)に装填する。
- 100gの実施例1及び2において得たイソオクタンの二量体
- 5gのラネーNi触媒
- 50gのイソオクタン
【0139】
撹拌した混合物を80℃の温度に加熱する。
【0140】
圧力を20気圧の一定値に調整しながら、水素を導入する。
【0141】
反応混合物を、50℃において一定圧力の水素下で、3時間の期間撹拌し続ける。
【0142】
反応の終了時に、過剰の水素を減圧によって排除し、反応器の上部を窒素で3回パージする。
【0143】
分析目的のために、反応媒体をシクロヘキサン中に希釈する。
【0144】
反応媒体を分析する。
【0145】
イソオクタンの二量体の変換率は100%である。
【0146】
水素化二量体(本発明による分枝状アルカン)の収率は100%である。
【実施例4】
【0147】
イソオクタンとオクテンとのメタセシス
次のものを、シュレンクフラスコに連続的に加える:18.5mmolのイソオクテン(2.1mL)、4mmolのオクテン(0.45mL)、及び(1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド(68mg、0.08mmol)。溶液を55℃に加熱し、定期的にガス抜きする。40時間後、0.3mLのエチルビニルエーテルを加える。生成物をトルエン(50mL)に溶解させ、次いで、中性アルミナにおいて濾過する。溶媒を蒸発させた後、42%の生成物(C14オレフィン)を得る。
【0148】
次の反応についても、同一の方法を実行することができる。
【0149】
【化18】
【実施例5】
【0150】
共二量化
次のものを撹拌オートクレーブに装填し、密閉して不活性雰囲気にする。
- 100gのイソオクテン
- 100gのn-オクテン
- 10gのモンモリロナイト
- 5gのイソオクタン
【0151】
加熱を段階的に行い、共二量化は150℃前後で開始する。
【0152】
温度を最大200℃まで継続して上昇させる。
【0153】
混合物を、撹拌下で、このレベルの温度において3時間維持する。
【0154】
反応混合物を周囲温度に冷却する。
【0155】
モンモリロナイト触媒を、濾過によって液相から分離する。
【0156】
分析の要求事項のため、液相をクロロヘキサン溶媒中に希釈する。
【0157】
変換率は70%から95%の間である。ヘキサドデセン、及びイソオクタンとnオクテンとの共二量化の生成物の収率は、50%から90%の間である。
【0158】
次の反応についても、同一の方法を実行することができる。
【0159】
【化19】
【実施例6】
【0160】
C12オレフィンの入手
例えば次の反応ダイアグラムに従って、本発明の方法(共二量化及びメタセシス)を実行して、12個の炭素原子を含むオレフィンを得ることができる。
【0161】
【化20A】
【化20B】
【国際調査報告】