(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(54)【発明の名称】カテーテル、製造方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
A61M25/00 506
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510892
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 US2020047178
(87)【国際公開番号】W WO2021035042
(87)【国際公開日】2021-02-25
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515308682
【氏名又は名称】エンボルクス,インク.
【氏名又は名称原語表記】EMBOLX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ハルステッド,グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】アレン,マイケル,ピー.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA06
4C267BB04
4C267CC08
4C267GG05
4C267GG07
4C267GG22
4C267GG23
4C267GG24
4C267HH03
(57)【要約】
内側及び外側長尺シャフトを含み、各々が膨張可能な部材の端に相対的に固定されるカテーテル。バルーン接着位置は、外側長尺シャフトの外側寸法に対して半径方向内方に配設されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.0035インチ未満の壁厚を有する外側長尺シャフトと、
内部に送達ルーメンを有する内側長尺シャフトであって、前記外側長尺シャフトを越えて遠位に延びる部分を有する前記外側長尺シャフトの内部に位置し、0.0035インチ未満の壁厚を有する、内側長尺シャフトと、
前記外側長尺シャフトの遠位の領域に固定されたアダプタであって、前記外側長尺シャフトを越えて遠位方向に延びる遠位の領域を有し、前記アダプタの前記遠位の領域は、前記外側長尺シャフトの遠位端の外側表面に対して半径方向内方に配設された外側表面を有する、アダプタと、
近位端を有する膨張可能なバルーンと、
前記バルーンの近位端の半径方向外側の近位のカラーであって、前記近位のカラーと前記アダプタの前記遠位の領域の前記外側表面との間でバルーンの前記近位端を圧縮し、前記バルーンの前記近位端の内側表面は、前記外側長尺シャフトの前記遠位端の前記外側表面に対して半径方向内方に配設されている、近位のカラーと、を備え、
膨張可能なバルーンは、前記外側長尺シャフトを越えて遠位方向に延びる前記内側長尺シャフトの部分に対して安定した遠位端を有し、膨張可能なバルーンの前記遠位端は、前記外側長尺シャフトの前記遠位端の前記外側表面に対して半径方向内方に配設された内側表面を有し、
前記外側長尺シャフトと前記内側長尺シャフトは、前記膨張可能なバルーンと連通する膨張ルーメンを形成して、流体が前記膨張ルーメンを通り、且つ前記バルーンの内部容積内に前進させ前記バルーンを膨張させることができ、
前記膨張可能なバルーンは、拡張していない構成にある時には、実質的に前記外側長尺シャフトの外径上又は下方に配設される、バルーンカテーテル。
【請求項2】
前記バルーンの遠位端の半径方向外側の遠位のカラーであって、前記バルーンの前記遠位端を、前記遠位のカラーと前記外側長尺シャフトを越えて遠位方向に延びる前記内側長尺シャフトの前記部分との間で圧縮する、遠位のカラーを更に含む、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記遠位のカラーが、前記バルーンの前記遠位端を圧縮する熱収縮材料である、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記遠位のカラーが、0.003mm乃至0.05mm、任意で、0.006mm乃至0.01mmの厚みを有する、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
前記遠位のカラーが、0.1mm乃至10mm、任意で、0.5mm乃至6mmの長さを有する、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
前記遠位のカラーは、高分子材料を含み、任意で、シリコーン、ラテックス、ポリエステル、ナイロン、Pebax、ポリエチレン、及びポリウレタンからなる群から選択される、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
前記アダプタが前記外側長尺シャフトの前記遠位の領域の外側表面に固定されている、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
前記アダプタは、第1の領域から第2の領域への段差を含み、前記第1の領域は、前記第2の領域より更に半径方向外側に延びている、請求項7に記載のバルーンカテーテル。
【請求項9】
前記アダプタが前記外側長尺シャフトの前記遠位の領域の内側表面に固定されている、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項10】
前記アダプタが、第1の領域から第2の領域への段差を含み、前記第1の領域は、前記第2の領域より更に半径方向外側に延びている、請求項9に記載のバルーンカテーテル。
【請求項11】
前記アダプタが、0.0016mm乃至0.025mm、任意で、0.003mm乃至0.015mmの厚みを有する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項12】
前記アダプタが、前記外側長尺シャフトの前記遠位端の壁厚の15%以下の厚みを有する請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項13】
前記アダプタの遠位の領域が0.01mm未満の壁厚を有する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項14】
前記アダプタが、2mm乃至25mmの長さを有する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項15】
前記アダプタが、高分子材料を含み、任意で、ポリエステル、ナイロン、Pebax、ポリエチレン、及びポリウレタンからなる群から選択される、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項16】
前記近位のカラーが、前記バルーンの前記近位端を圧縮する熱収縮材料である、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項17】
前記近位のカラーが、0.003mm乃至0.05mm、任意で、0.006mm乃至0.01mmの厚みを有する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項18】
前記近位のカラーが、1mm乃至10mm、任意で、1mm乃至6mmの長さを有する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項19】
前記近位のカラーは、高分子材料を含み、任意で、シリコーン、ラテックス、ポリエステル、ナイロン、Pebax、ポリエチレン、及びポリウレタンからなる群から選択される、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項20】
前記バルーンは弾力性である、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項21】
前記バルーンはシリコーン材料を含む、請求項20に記載のバルーンカテーテル。
【請求項22】
前記バルーンは、本質的にシリコーン材料から構成される、請求項21に記載のバルーンカテーテル。
【請求項23】
前記バルーンの前記近位端と前記アダプタの前記遠位の領域の前記外側表面との間に放射状に配設された接着剤を更に含む、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項24】
バルーンの遠位端と、前記外側長尺シャフトを越えて遠位に延びる前記内側長尺シャフトの部分との間に半径方向に配設された接着剤を更に含む、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項25】
拡張していない構成の前記バルーンは、前記外側長尺シャフトの前記外径上又はその下方に配設される、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項26】
前記バルーンの前記近位端の前記内側表面は、前記外側長尺シャフトの外径より少なくとも0.001インチ下方にある、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項27】
前記バルーンの前記遠位端の前記内側表面は、前記外側長尺シャフトの外径より少なくとも0.001インチ下方にある、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項28】
近位の可変推移ゾーンを有するカテーテルであって、
前記カテーテルの近位の領域に配設されたハブであって、1つ又は複数の流体ポートを含む、ハブと、
前記ハブの内部容積内に配設されたカテーテルシャフトであって、前記1つ又は複数の流体ポートの第1のものと流体連通しており、前記ハブより更に遠位方向に延びる、カテーテルシャフトと、
前記ハブの遠位端の周囲に配設され、前記ハブを越えて遠位方向に延びる第1のストレインリリーフ部材であって、第1のストレインリリーフ部材の内部を通り、且つ前記第1のストレインリリーフ部材を越えて更に遠位方向に、前記カテーテルシャフトが延びる、第1のストレインリリーフ部材と、
近位端がハブの内部容積内に配設され、第1のストレインリリーフ部材の内部を通り、且つ第1のストレインリリーフ部材を越えて遠位方向に延びる第2のストレインリリーフ部材と、を備え、前記第2のストレインリリーフ部材は、前記カテーテルシャフトの周囲に配設され、前記カテーテルシャフトは、前記第2のストレインリリーフ部材より更に遠位方向に延び、
前記第2のストレインリリーフ部材は、遠位端と長さを有し、第2のストレインリリーフ部材は、少なくともその長さの一部分に沿って可変の可撓性を有し、
前記第1のストレインリリーフ部材の遠位端から延びる前記第2のストレインリリーフ部材は、前記第2のストレインリリーフ部材の遠位端の可撓性より低い可撓性を有する、カテーテル。
【請求項29】
前記第2のストレインリリーフ部材は、前記ハブの前記内部容積に対して固定された近位端を有し、前記張力リリーフ部材の遠位端は、前記ストレインリリーフ部材が前記シャフトに対して自由に移動可能となるように前記カテーテルシャフトに固着されていない、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項30】
前記第2のストレインリリーフ部材の遠位端の前記可撓性が前記第2のストレインリリーフ部材の前記遠位端の位置にある前記カテーテルシャフトの可撓性と実質的に一致する、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項31】
前記第2のストレインリリーフ部材の、前記第1のストレインリリーフ部材の前記遠位端から延びる部分の前記可撓性が、前記第1のストレインリリーフ部材の前記遠位端の前記可撓性と同一又は実質的に同様であり、前記可撓性は、前記第1のストレインリリーフ部材及び前記第2のストレインリリーフ部材の間のよじれを低減するように、同一又は実質的に同様である、請求項30に記載のカテーテル。
【請求項32】
前記第2のストレインリリーフ部材の、前記遠位端の前記可撓性が、前記カテーテルシャフトの、前記第2のストレインリリーフ部材の前記遠位端から延びる部分の可撓性と同一又は実質的に同様であり、前記可撓性は、前記第2のストレインリリーフ及び前記シャフトの間のよじれを低減又は防止するように、同一又は実質的である、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項33】
前記カテーテルシャフトの前記第1のストレインリリーフの前記遠位端の直ぐ遠位側の位置に前記カテーテルシャフトのよじれの量が前記第2のストレインリリーフ部材がない場合に起きうるよじれの程度より少ない、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項34】
前記第2のストレインリリーフ部材の前記近位端は、中実の管状部材を含む、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項35】
前記第2のストレインリリーフ部材に複数の切込みが形成されている、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項36】
前記複数の切込みが、遠位の領域に、近位の領域より高い可撓性を付与する、請求項35に記載のカテーテル。
【請求項37】
前記第2のストレインリリーフ部材に複数の切込みが形成されており、前記切込みの分布により前記近位の部分の可撓性より高い可撓性を遠位の部分に提供する、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項38】
第2のストレインリリーフ部材の、遠位端を含む遠位の部分が、近位端を含む近位の部分より可撓性が高く、近位端は、ハブの前記内部容積内に配設される、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項39】
前記第2のストレインリリーフ部材が第1の可撓性を有する第1の部分と第2の可撓性を有する第2の部分を有し、前記第2の部分は前記第1の部分の遠位側であり、前記第1の部分より可撓性が高い、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項40】
前記第2の部分は、前記ハブの遠位側であり、前記第1の部分は、少なくとも部分的に前記ハブ内に配設されている、請求項39に記載のカテーテル。
【請求項41】
前記第2のストレインリリーフ部材が第3の可撓性を有する第3の部分を有し、前記第3の部分は前記第2の部分の遠位側にあり、前記第3の部分は、前記第2の部分より可撓性が高い、請求項40に記載のカテーテル。
【請求項42】
前記第3の部分は、遠位方向に可撓性が高くなる勾配可撓性を有する、請求項40に記載のカテーテル。
【請求項43】
前記第1の部分が、勾配可撓性を有する、請求項39に記載のカテーテル。
【請求項44】
前記第2のストレインリリーフ部材が円筒体を含む、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項45】
前記第1のストレインリリーフ部材が円錐形部分を含む、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項46】
前記第2のストレインリリーフ部材が4つ以上の部分を有し、その各々が他の部分の各々とは異なる可撓性プロファイルを有する、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項47】
前記第2のストレインリリーフ部材がステンレススチールを含む、請求項28に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2019年8月20日提出の米国特許出願第16/545,519号及び2020年5月27日提出の米国特許仮出願第63/030,802号の優先権を主張するものであり、これらの開示は、全ての目的の為に参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0002】
本明細書で言及されている全ての刊行物及び特許出願は、個々の刊行物又は特許出願の各々が参照により組み込まれることが具体的且つ個別に示されている場合と同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、カテーテル、その製造方法及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
カテーテルは、通常、流体、治療薬、インプラントなどの送達並びに組織や体液の採取など、薬物療法で使用される。カテーテルは、組織を拡張したり、流体流を遮断したり、生体構造の部位間を分離する為にバルーンや他のツールで構築することができる。カテーテルの比較的一般的な用途は、血管をアクセス手段として用いた標的組織へ薬剤を送達することである。バルーンを使用すると、バルーンの遠位側の血管部分がバルーンの近位側の血管部分から隔離され、診断薬、治療薬、又は塞栓治療剤の灌流が局所的且つ集中的に行われるようになる。
【0005】
マイクロカテーテルの一般的な1つの用途として、腫瘍への塞栓治療剤や抗癌剤の送達が挙げられる。
【0006】
NIHによると、2013年に米国で原発性肝臓癌(肝細胞癌、HCC)と診断された人は30,640人、大腸癌と診断された人は142,820人であった。そのうちの75%は肝臓に転移する。肝切除と移植が唯一の治療手段であるが、ごく少数の患者にしか有効ではない。肝臓の原発性及び転移性腫瘍に対しては、全身化学療法は効果がなく、奏効率は約20%、生存期間は10.7か月で、対症療法では、7.9か月である。
【0007】
経動脈的塞栓症療法とは、マイクロカテーテルを用いて、薬剤及び/又は塞栓治療剤を腫瘍血管系やその近傍に直接注入する経血管アクセスのことをいう。塞栓症療法は、血流を遮断し、薬剤や放射能が存在する場合は、高濃度の薬剤や放射能を同時に放出させる。この技術は、また、毒性レベルが非常に低いことでも知られている。化学塞栓術は、2006年に中期の肝細胞癌に対する標準治療として確立された。経動脈的塞栓療法は多くの原発癌に有効であり、肝臓における肝細胞癌(HCC)や遠隔転移を有する大腸癌の両方に対して、化学療法よりも優れたパフォーマンスを示すことが、数多くの研究によって証明されている。
【0008】
様々な先行技術文献は、医療用カテーテルの構造の態様に関する指針を提供している。例えば、特許文献1には、バルーンが長尺の外側チューブに接着されて、バルーンが狭い通路を通って押し進められている時に、バルーンが入れ子式に座屈するのを防ぐ同軸カテーテルについて記載されている。特許文献2は、アンカージョイントが内側チューブの遠位方向への移動を許容し、近位方向への移動を防止するように構成された同軸冠状動脈形成術カテーテルについて記載している。特許文献3には、バルーン内の空間を画定する、一対の離間したバルーンを有するカテーテルが記載されている。カテーテル内をルーメンが通り、バルーン内の空間に出るので、薬剤、乳液、流体、及び流体/固体混合物などを注入することができる。灌流ルーメン又はバイパスが、近位のバルーンの近位側の位置から遠位のチップまで延び、膨張したバルーンを通過する血液が分流できるようにする。特許文献4には、固形腫瘍を治療する為に設計された2つのバルーンカテーテルについて記載されている。バルーンは腫瘍への血流を隔離するように位置決めされて、血管閉塞性コラーゲン材料を注入して腫瘍への血液供給を遮断できるようになっている。非特許文献1は、肺癌の治療の為の2つのバルーンカテーテルをについて記載している。4ルーメンカテーテルは、バルーン間の空間に独立して注入する為のルーメンを含む。非特許文献2には、抗癌剤を肝臓内に送達させる為のバルーンカテーテルデバイスについて記載している。また、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、及び特許文献20も参照のこと。
【0009】
特に末梢血液循環に使用する経血管カテーテルの設計に於いて重要な検討事項は、カテーテルが細い血管にアクセスし、その中へ、またその中を通って前進することができるように、カテーテルの外径(OD)をできる限り小さくすることである。もう1つの重要な検討事項は、中央ルーメン(例えば、流体送達ルーメン)は、1種類又は複数種類の治療剤又はデバイスをその内部を通して送達しやすいように、できるだけ大きい方が一般的に望ましいということである。デバイスの1本または複数本のカテーテルシャフトの壁厚は、中央ルーメンのサイズに影響すると同時に、デバイスのODにも影響するため、シャフトの壁厚を小さくすることにより、中央ルーメンのサイズをあげると同時に、デバイスのODを縮小することができる。
【0010】
末梢血液循環に使用するのに適した経血管カテーテルは、1つ又は複数の拡張可能なバルーンを含むものがある。デバイスのODを最小化することは重要な検討事項であるため、バルーンを装置に固定する方法を含め、バルーンを組み込むことによってODが不都合に増大しないようにすることも重要である。例えば、バルーンをカテーテルの外側表面に接着している幾つかの試みが以前にあったが、この場合、カテーテルのODが(拡張していない場合も)必然的に大きくなる。
【0011】
そのため、内側ルーメンのサイズを大きくし、デバイスのODを最小化したマイクロカテーテルの開発が引き続き必要である。このデバイスは必ずしも拡張可能なバルーンを内蔵しているわけではないが、拡張可能なバルーンを内蔵する場合には、サイズの制約が特に重要である。
【0012】
また、医療用カテーテルは湾曲した血管系の中を前進するため、血管に沿いやすい可撓性を有する遠位の部分と、血管の中でねじれながら回転するカテーテルの長手方向の前進を支えることができる、剛性の近位の部分が必要とされる。また、用途によっては、カテーテルが近位端から遠位の領域まで全長に亘ってトルクを伝達できることが望ましい。成形したカテーテルチップを使用する場合は、その傾向が特に顕著である。成形したカテーテルチップを利用して、ガイドワイヤ及び/又はカテーテルを鋭角周りに曲げたり、枝分かれした血管内に導いたりすることができる。90度の形状も好ましいチップ構成に含まれる。使用時には、カテーテルチップを回転させながら方向づけ、角度の付いたチップを所望の進行方向に向ける。これには、近位のカテーテルの回転が遠位のチップの回転に変換される必要がある。
【0013】
一般に、可撓性を有するカテーテルは血管系内で湾曲部をうまく辿ることができるが、トルクをうまく伝達できず、剛性のカテーテルはトルクを伝達する事ができるが、湾曲した血管系をうまく辿ることができない。そのため、カテーテル、特に追跡可能で且つトルク伝達可能なマイクロカテーテルには、カテーテルとハブの接合部でのよじれを回避できるという、未だ実現されていない医療ニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願第10/128,977号
【特許文献2】米国特許第6,066,157号
【特許文献3】米国特許第5,647,198号
【特許文献4】米国特許第5,674,198号
【特許文献5】米国特許第6,780,181号
【特許文献6】米国特許第6,835,189号
【特許文献7】米国特許第7,144,407号
【特許文献8】米国特許第7,412,285号
【特許文献9】米国特許第7,481,800号
【特許文献10】米国特許第7,645,259号
【特許文献11】米国特許第7,742,811号
【特許文献12】米国特許出願第2001/008451号
【特許文献13】米国特許出願第2001/0041862号
【特許文献14】米国特許出願第2003/008726号
【特許文献15】米国特許出願第2003/0114878号
【特許文献16】米国特許出願第2005/0267407号
【特許文献17】米国特許出願第2007/0137651号
【特許文献18】米国特許出願第2008/0208118号
【特許文献19】米国特許出願第2009/0182227号
【特許文献20】米国特許出願第2010/0114021号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】クリフトン(Clifton)ら著「癌(Cancer)」16巻、pp444-452、1963年
【非特許文献2】ルーセロット(Rousselot)ら著「JAMA」191巻、pp707-710、1965年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示の一態様は、バルーンカテーテルであって、0.0035インチ未満の壁厚を有する外側長尺シャフトと、内部に送達ルーメンを有する内側長尺シャフトであって、外側長尺シャフトを越えて遠位方向に延びる部分を有する外側長尺シャフトの内部に位置し、0.0035インチ未満の壁厚を有する、内側長尺シャフトと、外側長尺シャフトの遠位の領域に固定されたアダプタであって、外側長尺シャフトを越えて遠位方向に延びる遠位の領域を有し、遠位の領域は、外側長尺シャフトの遠位端の外側表面に対して半径方向内方に配設された外側表面を有する、アダプタと、近位端を有する膨張可能なバルーンと、バルーンの近位端の半径方向外側の近位のカラーであって、近位のカラーとアダプタの遠位の領域の外側表面との間でバルーンの近位端を圧縮し、バルーンの近位端の内側表面は、外側長尺シャフトの遠位端の外側表面に対して半径方向内方に配設されている近位のカラーと、を備え、膨張可能なバルーンは、外側長尺シャフトを越えて遠位方向に延びる内側長尺シャフトの部分に対して安定した遠位端を有し、膨張可能なバルーンの遠位端は、外側長尺シャフトの遠位端の外側表面に対して半径方向内方に配設された内側表面を有し、外側長尺シャフトと内側長尺シャフトは、膨張可能なバルーンと連通する膨張ルーメンを形成して、流体が膨張ルーメンを通り、且つバルーンの内部容積内に前進可能としてバルーンを膨張させ、膨張可能な部材は、拡張していない構成にある時には、実質的に外側長尺シャフトの外径上又は下方に配設される。
【0017】
バルーンカテーテルは、バルーンの遠位端の半径方向外側の遠位のカラーであって、バルーンの遠位端を遠位のカラーと外側長尺シャフトを越えて遠位方向に延びる内側長尺シャフトの部分との間で圧縮する、遠位のカラーを更に含んでもよい。遠位のカラーは、バルーンの遠位端を圧縮する熱収縮材料でもよい。遠位のカラーは、0.003mm乃至0.05mm、任意で、0.006mm乃至0.01mmの厚みを有していてもよい。遠位のカラーは、0.1mm乃至10mm、任意で、0.5mm乃至6mmの長さを有していてもよい。遠位のカラーは、高分子材料を含んでもよく、任意で、シリコーン、ラテックス、ポリエステル、ナイロン、Pebax、ポリエチレン、及びポリウレタンからなる群から選択される。
【0018】
アダプタは、外側長尺シャフトの遠位の領域の外側表面に固定されてもよく、アダプタは、第1の領域から第2の領域への段差を含んでいてもよく、第1の領域は、第2の領域よりも更に半径方向外側に延びていてもよい。
【0019】
アダプタは、外側長尺シャフトの遠位の領域の内側表面に固定されてもよい。アダプタは、第1の領域から第2の領域への段差を含んでもよく、第1の領域は、第2の領域より更に半径方向外側に延びている。
【0020】
アダプタは、0.0016mm乃至0.025mm、任意で、0.003mm乃至0.015mmの厚みを有していてもよい。
【0021】
アダプタは、外側長尺シャフトの遠位端の壁厚の15%以下の厚みを有していてもよい。
【0022】
アダプタの遠位の領域は、0.01mm未満の壁厚を有していてもよい。
【0023】
アダプタのは、2mmから25mmまでの長さを有していてよい。
【0024】
アダプタは、高分子材料を含んでもよく、任意で、ポリエステル、ナイロン、Pebax、ポリエチレン、及びポリウレタンからなる群から選択される。
【0025】
近位のカラーは、バルーンの近位端を圧縮する熱収縮材料を含んでもよい。
【0026】
近位のカラーは、0.003mm乃至0.05mm、任意で、0.006mm乃至0.01mmの厚みを有していてもよい。
【0027】
近位のカラーは、1mm乃至10mm、任意で、1mm乃至6mmの長さを有していてもよい。
【0028】
近位のカラーは、高分子材料を含んでもよく、任意で、シリコーン、ラテックス、ポリエステル、ナイロン、Pebax、ポリエチレン、及びポリウレタンからなる群から選択される。
【0029】
バルーンは弾力性があってもよい。バルーンは、シリコーン材料を含んでいてもよい。バルーンは、本質的にシリコーン材料で構成されていてもよい。
【0030】
バルーンカテーテルは、バルーンの近位端とアダプタの遠位の領域の外側表面との間に放射状に配設された接着剤を更に含んでもよい。
【0031】
バルーンカテーテルは、バルーンの遠位端と、外側長尺シャフトを越えて遠位に延びる内側長尺シャフトの部分との間に半径方向に配設された接着剤を更に含んでもよい。
【0032】
バルーンは、拡張していない構成にある時には、外側長尺シャフトの外径上又は下方に配設されてもよい。
【0033】
バルーンの近位端の内側表面は、外側長尺シャフトの外径より少なくとも0.001インチ下方でもよい。
【0034】
バルーンの遠位端の内側表面は、外側長尺シャフトの外径より少なくとも0.001インチ下方にあってもよい。
【0035】
本開示の一態様は、バルーンカテーテルシステムであって、内部を貫通して軸方向に延びるルーメンを有する内側カテーテルと、内側カテーテルの外側カテーテルであって、内側カテーテルと外側カテーテルは、1つの又は複数の離散的な接続位置に於いて互いに固定されており、外側カテーテルは、近位側外側部分と遠位側外側部分を含み、近位側外側部分と遠位側外側部分は、接合部にて合流し、遠位側外側部分は、近位側外側部分より可撓性が高い外側カテーテルと、外側カテーテルを越えて遠位方向に延びる内側カテーテルの一部分に遠位端が固定されており、また、近位端が外側カテーテルに対して固定されている、膨張可能な部材とを備え、外側カテーテルと内側カテーテルは、それらの間に膨張可能な部材の内部と流体連通する膨張ルーメンを形成し、膨張流体を膨張ルーメンに前進させ、膨張可能な部材を膨張させることができる、バルーンカテーテルシステムである。
【0036】
1つ又は複数の離散的な接続位置には、内側カテーテルが近位側外側部分に接続される第1の離散的な接続位置と、内側カテーテルが遠位側外側部分に接続される第2の離散的な接続位置とを含むことができる。内側カテーテルは、第1及び第2の離散的な接続位置に於いて、接着剤で外側カテーテルに接続されてもよい。
【0037】
カテーテルシステムは、更に、膨張可能な部材を越えて遠位方向に延びる遠位のチップ部分を含み、遠位のチップは、長手方向軸線に対して側方外側に延びるプリセット形状を有する。
【0038】
近位側外側部分は、ストレインリリーフ部分から遠位側外側部分まで、遠位方向に延びてもよい。遠位側外側部分は、接合部からアダプタまで延びていてもよい。
【0039】
遠位側外側部分の長さは、少なくとも20cmあればよい。
【0040】
近位側外側部分の長さは、約20cmあればよい。
【0041】
内側カテーテルは、その長さに沿って延びる編組材料を含んでもよい。
【0042】
遠位側外側部分の長さは、少なくとも20cmあればよい。
【0043】
外側カテーテルは、その長さに沿って延びる編組材料を含んでもよい。
【0044】
本開示の一態様は、近位の領域が可変の可撓性を有するカテーテルであって、カテーテルの近位の領域に配設されたハブであって、1つ又は複数の流体ポートを含む、ハブと、ハブの内部容積内に配設され、ハブから遠位方向に延びる1本又は複数本のシャフトを有するカテーテルと、ハブの内部容積内に配設され、ハブに対して遠位方向に延びるストレインリリーフ部材と、を備え、ストレインリリーフ部材は、カテーテルの近位の領域の周囲に配設されており、ストレインリリーフ部材は、その長さに沿って可変の可撓性を有し、ストレインリリーフ部材は、ハブの内部容積内に配設された領域に於いてはストレインリリーフ部材の遠位端より可撓性が低いカテーテルである。
【0045】
ストレインリリーフ部材の、遠位端を含む遠位の部分が、近位端を含む近位の部分より可撓性が高くてもよく、近位端は、ハブの内部容積内に配設される。
【0046】
ストレインリリーフ部材は、円筒体から構成されていてもよい。円筒体には、1つ又は複数の切込みが形成されていてもよい。
【0047】
カテーテルは、単一の長尺のシャフトのみを有していてもよい。
【0048】
カテーテルは、更に、可撓性を有し、第1のストレインリリーフ部材の一部分の周囲に配設された、任意で円錐形領域を含む第2のストレインリリーフ部材を更に備えてもよい。
【0049】
ストレインリリーフ部材は、ハブの内部容積に固定された近位端を有していてもよく、ストレインリリーフ部材の遠位端は、カテーテルシャフトに固着されていない。
【0050】
ストレインリリーフ部材の遠位端の可撓性は、カテーテルの外側シャフトの可撓性と実質的に一致していてもよい。
【0051】
本開示の一態様は、近位の領域が可変の可撓性を有するカテーテルであって、カテーテルの近位の領域に配設されたハブであって、1つ又は複数の流体ポートを含む、ハブと、ハブの内部容積内に配設され、ハブに対して遠位方向に延びる1本又は複数本のシャフトを有する長尺部材と、ハブの内部容積内に配設され、ハブに対して遠位方向に延びるストレインリリーフ部材と、を備え、ストレインリリーフ部材は、長尺体の近位の領域の周囲に配設され、長さを有し、長尺体は、ストレインリリーフ部材より更に遠位方向に延び、ストレインリリーフ部材は、少なくともその長さの一部分に沿って可変の可撓性を有し、ストレインリリーフ部材の可変の可撓性は、長尺部材の1つ又は複数の位置に於いて、ストレインリリーフ部材を有さない場合に1つ又は複数箇所の位置に於いて存在し得るより、よじれに対して、より大きい耐性を提供するカテーテルである。
【0052】
本開示の一態様は、近位の領域が可変の可撓性を有するカテーテルであって、カテーテルの近位の領域に配設されたハブであって、1つ又は複数の流体ポートを含む、ハブと、ハブの内部容積内に配設され、ハブに対して遠位方向に延びる1本又は複数本のシャフトを備える長尺部材と、ハブの遠位端の周囲に配設され、ハブを越えて遠位方向に延びる第1のストレインリリーフ部材であって、第1のストレインリリーフ部材の内部を通り、且つ第1のストレインリリーフ部材を越えて更に遠位方向に、長尺部材が延びる、第1のストレインリリーフ部材と、近位端がハブの内部容積内に配設され、第1のストレインリリーフ部材の内部を通り、且つ第1のストレインリリーフ部材を越えて遠位方向に延びる第2のストレインリリーフ部材と、を備え、第2のストレインリリーフ部材は、長尺部材の周囲に配設され、長尺部材は、第2のストレインリリーフ部材より更に遠位方向に延び、第2のストレインリリーフ部材は、少なくともその長さの一部分に沿って可変の可撓性を有し、ストレインリリーフ部材の可変の可撓性は、長尺部材の1つ又は複数の位置に於いて、ストレインリリーフ部材を有さない場合に1箇所又は複数箇所の位置に於いて存在し得るより、よじれに対して、より大きい耐性を提供するカテーテルである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】例示の血管カテーテルシステムを示す断片的な側面図である。
【
図2】例示の内側カテーテルの側断面、近位の外側カテーテル部分、及び遠位の外側カテーテル部分を示す断面図である。
【
図3A】例示のカテーテルシステムの遠位の部分を示す側面図である。
【
図4】遠位の外側カテーテル部分及び内側カテーテルの屈曲部分を示す側断面図である。
【
図5A】内側及び外側カテーテルを有する各種例示のカテーテルを示す側面図である。
【
図5B】内側及び外側カテーテルを有する各種例示のカテーテルを示す側面図である。
【
図5C】内側及び外側カテーテルを有する各種例示のカテーテルを示す側面図である。
【
図5D】内側及び外側カテーテルを有する各種例示のカテーテルを示す側面図である。
【
図6】例示の実施形態に於ける外側カテーテル部分の内部に位置する内側カテーテルを示す拡大斜視図である。
【
図7A】例示の遠位の外側カテーテル部分の3つのサンプル試料上で行った可撓性試験の結果を(グラムで)示す表である。
【
図7B】例示の近位の外側カテーテル部分の3つのサンプル試料上で行った可撓性試験の結果を(グラムで)示す表である。
【
図8】バルーン接着部が外側カテーテルの外側表面の下方にある、例示の実施形態の縦断面図である。
【
図10】同軸カテーテルアセンブリの長手方向の図である。
【
図12A】ノーズコーンを含む例示の実施形態の縦断面図である。
【
図13A】第2の外側カテーテルを含む例示の実施形態の縦断面図である。
【
図14A】内側アダプタを含む本開示の実施形態の縦断面図である。
【
図15A】2ルーメンカテーテルを含む本開示の第4の実施形態の縦断面図である。
【
図16A】操作の為にカテーテルの遠位のチップを側方に偏向できる程度に膨張させたカテーテルバルーンの側面図である。
【
図17A】各種例示の成形チップを概略的に示す一連の側面図である。
【
図17B】各種例示の成形チップを概略的に示す一連の側面図である。
【
図17C】各種例示の成形チップを概略的に示す一連の側面図である。
【
図17D】各種例示の成形チップを概略的に示す一連の側面図である。
【
図17E】各種例示の成形チップを概略的に示す一連の側面図である。
【
図18】製造の様々な段階にある3つのカテーテルチップを示す平面図である。
【
図19】更に3つの例の成形カテーテルチップを概略的に示す平面図である。
【
図20A】内部でガイドワイヤを前進させることにより、漸進的に直線状になる成形チップを示す一連の平面図である。
【
図20B】内部でガイドワイヤを前進させることにより、漸進的に直線状になる成形チップを示す一連の平面図である。
【
図20C】内部でガイドワイヤを前進させることにより、漸進的に直線状になる成形チップを示す一連の平面図である。
【
図20D】内部でガイドワイヤを前進させることにより、漸進的に直線状になる成形チップを示す一連の平面図である。
【
図21A】近位の外側カテーテル部分が遠位の外側カテーテル部分に固定可能な例示の方法を示す図である。
【
図21B】近位の外側カテーテル部分が遠位の外側カテーテル部分に固定可能な例示の方法を示す図である。
【
図21C】近位の外側カテーテル部分が遠位の外側カテーテル部分に固定可能な例示の方法を示す図である。
【
図22】バルーンをバルーンカテーテルに固定できる方法を示す図である。
【
図23】バルーンをバルーンカテーテルに固定できる方法を示す図である。
【
図24】バルーンをバルーンカテーテルに固定できる方法を示す図である。
【
図25】バルーンをバルーンカテーテルに固定できる方法を示す図である。
【
図26】可変の可撓性推移ゾーンを有する例示のカテーテルの近位の領域を示す図である。
【
図27】可変の可撓性推移ゾーンを有する例示のカテーテルの近位の領域を示す図である。
【
図28】例示の管状ストレインリリーフの例示の領域を示す図である。
【
図29】可変の可撓性推移ゾーンを有する例示のカテーテルの近位の領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本開示は、概ねカテーテル、その使用方法及び製造に関する。本明細書の実施形態は、細い血管を通して前進させるように適合され、構成されたマイクロカテーテルに特に適している場合がある。本明細書の実施形態は、送達ルーメンを通して治療剤(例えば、流体又はデバイス)を送達するように適合され、構成されたマイクロカテーテルに特に適している場合がある。本明細書の実施形態が、例示であり、任意の特定の実施形態に対して記載された全ての特徴が要求されているわけでも限定されるわけでもないことは理解されよう。例えば、本明細書の実施形態の幾つかは、1つ又は複数の拡張可能なバルーンを含み、バルーンは、本明細書の任意の特定の実施形態に必ずしも組み込まれる必要はなく、本明細書の発明的概念は、必ずしもバルーンを含まなくてもよいことは理解されよう。更に、例えば、本明細書のカテーテルの幾つかは、外側シャフト及び内側シャフトを含んでもよく、本明細書の開示は、1本のシャフトのみを有するカテーテルにも十分に適用される。
【0055】
本発明の幾つかの実施形態は、外側カテーテル(外側シャフトと表現することもある)及び内側カテーテル(内側シャフトと表現することもある)を含み、内側カテーテルの一部分は、外側カテーテルを越えて遠位に延びているマイクロカテーテルについて記載している。拡張可能なバルーンは、外側カテーテルの遠位端に対して、且つ、外側カテーテルを越えて遠位方向に延びる内側カテーテルの一部分に対して固定されることによって、流体が内側カテーテルと外側カテーテルの間に形成されるルーメンを通ってバルーン内部まで前進し、バルーンを拡張できるような流体密な結合を形成してもよい。
【0056】
有利には、内側カテーテル及び外側カテーテルは、薄肉であるため、内側カテーテルの内部の送達ルーメンのサイズを大きくし、全体的なデバイスの外径(OD)を最小化することができるという利点を提供する。本明細書の実施形態の何れかに於いて、外側カテーテルの壁及び/又は内側カテーテルの壁は、0.0005インチ乃至0.005インチの厚みを有していてもよい。
【0057】
本明細書の実施形態の幾つかは、1つ又は複数の拡張可能なバルーンを含む。有利には、デバイスに固定されるバルーンの表面(例えば、バルーンの近位端の半径方向内側表面及びバルーンの遠位端の半径方向内側表面)は、外側カテーテルのODに対して半径方向内方に配設されている。バルーンをこのように接着することにより、拡張していないバルーンを外側カテーテルのOD上、又はその下方に維持することができ、それにより、システムのODを最小化することができ、その利点は、本明細書に記載されている。
【0058】
必ずしも必要ではないが、デバイスのバルーン接着部(単数又は複数)領域には、デバイスのODを最小化するのに役立つ1つ又は複数の態様が存在する可能性がある。例えば、限定するものではないが、デバイスに組み込まれ得る本明細書の任意のカラー(本明細書ではシースと呼ぶことがある)又はアダプタのうちの1つ又は複数は、デバイスのODを最小化するのに役立つ1つ又は複数のサイズ(例えば、厚み、長さ)を有していてもよい。
【0059】
本明細書の幾つか実施形態は、遠位の部分より剛性の高い近位の部分を有するシャフト領域を含む。より剛性の高い近位の部分は、より可撓性の高い遠位の部分にトルクを変換するように構成されており、遠位の領域の可撓性がより高いことにより、細い血管を通ってデバイスを追跡できるようになる。
【0060】
更に、必ずしも必要ではないが、本明細書の幾つか実施形態は、離散的な接続位置に於いて共に固定された外側カテーテル及び内側カテーテルを含む。離散的な接続位置では、外側カテーテルの内側表面及び内側カテーテルの外側表面の間での動きが抑制される。
【0061】
薬剤送達用の標準マイクロカテーテルは、細い血管系にアクセスするように設計されており、必然的に、0.5mm乃至2mm、最適には、0.75mm乃至1mmの範囲の小さい外径を有している。末梢血管系で使用する場合、及び、特に、腫瘍の塞栓に使用する場合、送達カテーテルの長さは、一般的に50cm乃至210cmである。カテーテルが血管内の標的部位に配向されると、薬剤、塞栓治療剤、造影剤などの流体が、近位端から遠位端へ長手方向に延びるルーメンを通して注入される。流体は、粘性があることが多いので、1ml/秒乃至10ml/秒の範囲の高流量で注入しなければならないのが一般的である。しかし、流量は、注入ルーメンの直径、断面積、長さ、及びカテーテルの壁の、250psi乃至2000psi、より一般的には500psi乃至1500psiの範囲の高圧に対する耐性によって制限される。カテーテルの長さが経血管手術の条件によって決まっているならば、流量は、注入ルーメン及び注入圧の許容範囲をできるだけ高くすることによって最大化することができる。
【0062】
バルーンマイクロカテーテルを考える場合、カテーテルの近位端から遠位端まで長手方向に延びる追加のルーメンを、バルーンの膨張及び収縮用に追加する。多くの実施形態では、バルーンをできるだけ短い時間、且つ、10秒から最大でも60秒までの範囲で膨張及び収縮させるのが最適である。バルーンが血管を閉塞又は拡張する場合、合併症を回避する為に速やかに収縮させる必要があり得る。バルーンは、粘性の流体である放射線不透過性の造影剤で膨張されることが多い。よって、バルーン膨張ルーメンも、できるだけ大きい方が望ましい。
【0063】
マイクロカテーテルは、断面が小さいので、中心注入ルーメンサイズが大きい方が望ましい速やかな薬剤注入速度と、バルーンの膨張ルーメンが大きい方が望ましい速やかなバルーンの膨張及び収縮時間の両方を達成することが課題となっている。
【0064】
更に、バルーンはその格納した構成ではカテーテルの外径を越えて延びないようにして装着するのが最適であることから、装着したバルーンにとっては、カテーテルの外径を大きくならないことが非常に望ましく、バルーンはプロファイルを小さく維持する方が望ましい。
【0065】
図1及び
図2は、カテーテルシステムの例示の実施形態を示す。本実施形態は例示であり、含まれる全ての態様によって限定されるものではないことは理解されよう。1つ又は複数の特徴は任意であってもよい。
【0066】
図1及び
図2は、トルクを効果的に比較的剛性の高いカテーテル部分から比較的可撓性のあるカテーテル部分に伝達することができる、例示の同軸カテーテル設計を示す。カテーテルは、少なくとも1つの高トルク剛性部分と1つの低トルク可撓性部分を含む、少なくとも2つの部分を有する外側カテーテルを含む。この実施形態では、外側カテーテルは、より剛性の高い近位の部分上の少なくとも1つの離散的な接続点と、より可撓性のある遠位の部分上の少なくとも1つの離散的な接続点に於いて、内側カテーテルと機械的に接続されている。
【0067】
図1に示すように、本開示の態様によって構成された、例示の高トルク血管カテーテルシステム100は、Yハブ110と、内側カテーテル112と、ストレインリリーフ114と、近位の外側カテーテル部分116と、遠位の外側カテーテル部分118と、膨張可能なバルーン120と、マーカバンド122と、遠位のチップ区間124とを含む。
図1では、明確に示す為にYハブ110は、ストレインリリーフ114からは離れて示されているが、通常は、接続されている。近位の外側カテーテル部分116は、Yハブ110の内部から遠位の外側カテーテル部分118との接合点126まで延びる。遠位の外側カテーテル部分118は、接合点126からバルーン120の近位端まで延び、バルーン120の近位端は、遠位の外側カテーテル部分118の遠位端に対して流体的に密閉されている。近位の外側カテーテル部分116は、外側カテーテルが、流体圧密となるように、遠位の外側カテーテル部分118に接合点126に突き合わせ接合溶接で接合してもよい。近位及び遠位の外側カテーテル部分は、近位又は遠位の部分を他方(半径方向外側)に重ねる、例えば、段差構成、又はテーパ構成など、他の接合タイプを用いて接合してもよい。
【0068】
内側カテーテル112は、Yハブ110内から近位の外側カテーテル部分116、遠位の外側カテーテル部分118、バルーン120、任意のマーカバンド122を通り、遠位のチップ区間124の近位端まで延びる。この例示の実施形態では、バルーン120の遠位端は、内側カテーテル112の遠位端の近くで流体的に密閉される。この配置により、第1の概ね環状の容積(図示せず)が内側カテーテル112の外径と近位の外側カテーテル部分116の内径の間に形成される。この容積は、本明細書では、流体通路、又は流体ルーメンとも呼ばれることがある。同様に、第2の概ね環状の容積(図示せず)が、内側カテーテル112の外径と遠位の外側カテーテル部分118の内径との間に残る。この第1と第2の概ね環状の容積は、接合点126に於いて互いに流体連通している。幾つかの実施形態では、内側カテーテル112は、近位の外側カテーテル部分116及び遠位の外側カテーテル部分118の内部で側方に概ね自由に移動することができる。このように、内側カテーテル112は、(
図4に示すように)これらの外側カテーテル部分に接触することができるので、概ね環状の容積は三日月形状となり得る。ここでいう「概ね環状の容積」とは、それが常に環状であるかどうかに関係なく、内側カテーテル112と外側カテーテル部分116及び118の間の空間を意味する。
【0069】
上記の第1の環状容積は、Yハブ110の内部で側方ポート128と流体連通している。第2の環状容積は、バルーン120の内部と流体連通している。従って、側方ポート128にバルーン膨張圧が提供されると、バルーン120は、
図1に示すように膨張する。膨張圧が側方ポート128から除去されると、バルーン120は、収縮して内側カテーテル112の遠位の領域を囲む格納状態(図示せず)に戻る。
【0070】
幾つかの実施形態では、カテーテルシステム100は、作動長A(すなわちYハブ110及びストレインリリーフ114の外側)が約50cm乃至約210cmでもよい。幾つかの実施形態では、遠位の外側カテーテル部分118の長さBは、約20cm乃至40cm、例えば、約25cm乃至35cm、例えば約30cmである。幾つかの実施形態では、バルーン120の直径は、約2mm乃至10mm、例えば、約4mm乃至8mm、例えば約6mmであり、その長さは、約5mm乃至15mm、例えば、約10mm、そして、遠位のチップ区間124の長さは、約5mm乃至12mm、例えば8mmである。バルーンとチップの組み合わせ距離Cは、約1cm乃至2.7cm、例えば、約2cm、そして接合点126の遠位側の合計距離B+Cは、約21cm乃至42.7cm、例えば約32cmでもよい。長さDは、約70cm乃至130cm、例えば、約119cm(Yハブ110及びストレインリリーフ114から延びる近位の外側カテーテル部分116の一部)でもよい。幾つか実装形態では、カテーテルシステム100は、診断カテーテル(図示せず)を通って標的血管系に導入される。これらの実装形態の幾つかに於いて、用途によっては、湾曲した血管系を追跡する為に、診断カテーテルから延びる約30乃至32cmの可撓性カテーテル部分(例えば、B+C)を有することが望ましい場合もある。よって、上記の寸法であれば、接合点126及び近位の外側カテーテル部分116の遠位の部分は、医療処置中は診断カテーテルの内部に留まることができる。バルーンを標的となる解剖学的部位に向かって前進させる為に使用する血管経路により、長さB+Cを同一に保ちながら、任意の特定のデバイスについての長さDを変化させることが可能となり得る。例えば、限定されることなく、ある処置では、大腿動脈アクセス位置を使用する場合もあり、またある処置では、橈骨アクセスを使用する場合もある。長さDは、各々の異なる処置によって変わることがあるが、長さB+Cは同一になる可能性がある。
【0071】
図2を参照すると、内側カテーテル112、近位の外側カテーテル部分116、及び遠位の外側カテーテル部分118の断面を示している。この例示の実施形態では、これらの3つの構成要素の各々は、内層、中間層、及び外層を備える。幾つか実装形態では、ガイドワイヤは、カテーテルシステム100の内側ルーメンを通して前進させる。よってそのような場合、内側カテーテルの内層は潤滑性を有することが望ましい。使用できる材料は、フッ素重合体である、PTFE、FEP、PFA、EFEP、及びHDPEを含むが、これらに限定されるものではない。粘性の高い造影剤が内側カテーテルの内側ルーメンを通って注入される場合が多く、高圧に耐え得ることが要求される。通常使用される支持材料には、ステンレススチール又はニチノールなどの金属を編組したもの、又はコイル状にしたものが含まれる。
【0072】
内側カテーテルの外層に使用できる材料は、熱可塑性である必要はなく、強度、寸法安定性及び可撓性を提供するものが選択され、HDPE、ナイロン、プリイミド、ポリエステル、PEBAX及びTECOFLEX等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
経血管カテーテルは、湾曲した血管を通して前進させる押し出す力並びに、ねじれやトルク伝達ができることが必要となる。近位の外側カテーテル部分は、押し出す力や、回転する能力を持つように構成される。よって、HDPE、ナイロン、ポリイミド、エポキシ、ポリエステル、PEBAX、TECOFLEX、及びフッ素重合体など、デュロメータ硬さが高い、より剛性の高い材料を使用することができる。遠位の外側カテーテルは、細い湾曲した血管を前進することになるので、可撓性がなければならない。この場合、上記の材料の、デュロメータ硬さが低いものを使用できる。
【0074】
図3A及び
図3Bを参照すると、カテーテルシステム100の例示の遠位の部分を示す拡大図が提供されている。
図3Aは、遠位の部分の組立図であり、
図3Bは、分解図である。
図3A及び
図3Bに示す膨張したバルーン120’は、
図1に示すバルーン120より丸みを帯びたプロファイルを有する。
図3Aに最もよく見られるように、遠位の外側カテーテル部分118は、バルーン120’の近位端の直ぐ近くで停止する。バルーン120’の近位端を、遠位の外側カテーテル部分118の遠位端に対して密封するため段差が付いた内側スリーブ及び/又は外側スリーブ(何れも図示せず)を使用してもよい。
【0075】
本明細書の他の箇所で記載するバルーン及びバルーン接着部の概念は、システム100を参照して説明したバルーン及び/又はバルーン接着部に組み込んでも、その代わりに使用してもよい。
【0076】
図3A及び
図3Bに示すように、遠位のチップ区間124は、任意で、その遠位端を側方の外側に向けて延びる、予め設定した形状で設けてもよい。この実施形態では、遠位端が45度の角度で外側に延びている。他の実施形態(図示せず)では、遠位端が、約70度乃至約90度の角度で外側に延びている。また別の実施形態では、チップ角度は、約10度乃至約70度の間、又は約90度乃至約180度の間(すなわち、チップを折り返すこともできる)とすることができる。幾つかの実施形態では(図示せず)、チップは、示している例示の実施形態のような1箇所の屈曲部ではなく、2箇所又はそれ以上の屈曲部を含むことができる。この外向きの角度によって、医療従事者は、(Yハブ110を患者の外方に回転させることによって)遠位のチップ区間124を分岐血管に向けて回転させ、ガイドワイヤ(図示せず)を遠位のチップ区間124から分岐血管内に遠位方向に延ばし、ガイドワイヤを介してカテーテルシステム100を分岐血管内で追跡させることができるようになる。これを繰り返し行って、カテーテルシステム100を湾曲した血管系に深く、標的組織まで追跡してもよい。
【0077】
図3Aに描かれているように、遠位の外側カテーテル部分118は、内側カテーテル112に、少なくとも1つの離散的な接続点130を介して接続してもよく、これにより、内側カテーテルと外側カテーテルの間でのトルクの伝達を助けることができる。幾つかの実施形態では、離散的な接続点(複数可)130は、熱的又は化学的接着によって形成してもよい。例えば、レーザ、無線周波エネルギー及び/又ははんだごてのような加熱プローブを使用して遠位の外側カテーテル部分118と内側カテーテル112の材料を共に溶融してタック溶接部又はスポット溶接部を形成することができる。別の例として、遠位の外側カテーテル部分118に穴を形成して、少量の糊、接着剤、エポキシ、又は他の流体材料をその穴の中に注入して2つのカテーテル118及び112を互いに接着してもよい。幾つかの実施形態では、上記の結果得られた離散的な接続点130は、0.006インチ以下の直径を有してよい。幾つかの実施形態では、得られた離散的な接続点130は、約30度以下の周方向角度を通って延びてもよい。他の実施形態(図示せず)では、スルーピン、ワイヤ、マイクロリベット等を使用して離散的な接続点を形成してもよい。
【0078】
図4に描かれているように、離散的な接続点130を形成する際、幾つかの実施形態では、遠位の外側カテーテル部分118及び内側カテーテル112を屈曲させて、互いに接触させることが望ましい場合がある。このアプローチでは、内側カテーテル112と遠位の外側カテーテル部分118の間の公称ギャップ0.003インチが、屈曲部の外側では0.000インチになり、屈曲部の内側では0.006インチになる。糊又は他の流体材料を使用して離散的な接続点130を形成している場合には、流体は、周方向よりむしろ軸方向に毛管作用で広がるので、長円形の離散的な接続点130が形成され得る。幾つかの実施形態では、流体を注入する遠位の外側カテーテル部分118の穴は、約0.006以下でよい。同様の離散的な接続点130を、近位の外側カテーテル116と内側カテーテル112の間に形成してもよい。離散的な接続点130の形成により、内側カテーテルと外側カテーテルの間のバルーン膨張経路の開存性を維持するはずである。つまり、接続点は、膨張流体のバルーンへの流れを完全に遮断するようなものであってはならず、そうでなければバルーンを膨らませることはできない。
【0079】
図5A乃至
図5Dを参照すると、本開示の態様に従って構成された各種例示のカテーテルが描かれている。これらの図ではカテーテルの近位端が右側に示され、遠位端が左側に示され、Yハブ、ストレインリリーフ、バルーン、マーカバンド、及び遠位のチップ区間(あってもなくてもよい)などのような他の構成要素は明確に示す為に取り除いてある。トルクが適切に近位の外側カテーテル116から遠位の外側カテーテル部分118まで内側カテーテル112を通して確実に伝達され得るように、十分な数の離散的な接続点130の載置が行われるべきである。しかし、離散的な接続点の数は、最低限に維持し、その位置は、カテーテルの可撓性が良好に保たれるように選択しなければならない。
図5A乃至
図5Dに示す例示の構成の各々は、他の可能な構成と同様に、これらの目標の両方を達成すると考えられている。
図5A乃至
図5Dに示す離散的な接続点は、全て、明確に示す為にカテーテルの近傍側に示されているが、幾つかの実施形態では、カテーテルが1つ又は2つの側面に沿って著しく剛性が高くならないように交互の側、又は周囲方向に間隔を空けて載置される。
【0080】
図1を再び参照すると、離散的な接続点130の別の例示のレイアウトが示されている。この例示の実施形態では、近位の外側カテーテル116と内側カテーテル112との間に1つの離散的な接続点130が形成され、遠位の外側カテーテル部分118と内側カテーテル112の間に3つの離散的な接続点130が形成されている。Yハブ110もまた、近位の外側カテーテル116及び内側カテーテル112を接続する役割を果たすことができる。近位の外側カテーテル116と内側カテーテル112の間に形成された離散的な接続点130は、図示の如く、ストレインリリーフ114から距離Eだけ離れていてもよく、これは、幾つかの実施形態では、約2cm乃至約10cmの間である。遠位の外側カテーテル部分118と内側カテーテル112の間に形成された3つの離散的な接続点130は、それぞれ、図示の如く、バルーン120の近位端から所定の距離、F、G、及びHだけ離れていてもよい。幾つかの実施形態では、これらの距離は、それぞれ、約1cm乃至3cm、例えば2cm、約5cm乃至15cm、例えば約10cm、そして約20cm乃至30cm、例えば約25cmである。これら3つの離散的な接続点130のうちの中央の接続点は、他の2つとは反対側、すなわち、周方向に180度離れた位置に配置されてもよい。
【0081】
図6を参照すると、遠位の外側カテーテル部分118の内側に位置する内側カテーテル112を示す拡大図が提供されている。見てわかるように、この例示の実施形態では、内側カテーテル122及び遠位の外側カテーテル部分118は、共に内側メッシュ又は編組構造を有する。
【0082】
湾曲した血管系を通って追跡できるように、システム100の遠位の部分は、非常に可撓性が高い必要がある。しかしながら、カテーテルシステムの非常に可撓性が高い部分は、先に述べたように、トルクの伝達が悪くなりがちである。カテーテルシステムが十分なねじれ剛性を有していない場合、カテーテルの近位端で入力された回転と、遠位端で発生する望ましい出力回転との間に遅延又はヒステリシスが発生する。先行技術のねじれ剛性が低い幾つかの場合に於いて、カテーテルの近位端は、遠位端を1回転させる毎に2、3、又はそれ以上回転させる場合があり、それ以上の回転は、カテーテルの位置エネルギーとして蓄積される。これらの追加の回転は、最終的に解放されない場合もあるが、突然予想外に解放される場合もある。湾曲した血管系を通って追跡する幾つかの実装形態では、先行技術のカテーテルの近位端を10又はそれ以上の回数だけ回転させても遠位端は回転しない場合もある。本明細書に開示された材料、寸法、及び離散的な接続点130を独自に組み合わせることにより、出願人は、カテーテルシステムを追跡可能で且つトルク伝達可能に構成することができることを見出した。
【0083】
図7A及び7Bを参照すると、例示の遠位の外側カテーテル部分118の3つのサンプル試料(
図7A)及び例示の近位の外側カテーテル部分116の3つのサンプル試料(
図7B)について行われた可撓性試験の結果が提供されている(グラム単位)。本開示の幾つかの実施形態では、カテーテルシステムは、1つ又は複数の拡張可能なバルーンも含む。バルーンをカテーテルに固定する従来の試みでは、1つ又は複数のバルーン面をカテーテルのODに固定するため、必然的にシステムODが大きくなってしまうことは別記したとおりである。バルーンを含む本明細書に記載の実施形態では、内側バルーン接着部/固定面が外側カテーテルの外径(外側表面)に対して半径方向内方に有利に配設されていることにより、システムのODを最小化することができる。バルーンの含む本明細書に記載の実施形態では、バルーンは、デバイスに固定される。全てではないにしても実質的に全てのバルーンが外側カテーテルのOD上又はその下方に配設される。幾つかの実施形態では、バルーンは、拘束された構成にある時にはカテーテルの表面の下方に位置決めされ、膨張及び収縮の後に、またそこに戻る。本明細書の幾つかの実施形態は、カテーテル内に周方向に配向された単数又は複数のポケットを含み、1つ又は複数のバルーン接着面がカテーテルの表面の下方に位置決めされる。
【0084】
この開示がバルーン接着面に言及する場合は、他の表面に対して固定されたバルーン表面を指す。バルーンは、特別な方法で他の表面に固定される必要はない。例えば、接着面とは、バルーン表面が接着剤で他の表面に固定されている必要はない。
【0085】
本明細書の実施形態の何れかに於いて、他の表面に接着されているバルーン表面は、流体経路が流体を前進させる為に内側カテーテルと外側カテーテルとの間に残るかぎり、外側カテーテルの外径(外側表面)より少なくとも0.001インチ以上下方でもよい。
【0086】
本明細書で説明しているように、経血管マイクロカテーテルは、可撓性を有する遠位の領域を含むべきである。遠位のバルーン(例えば、本明細書に記載のものなど)を含む実施形態では、カテーテルは、湾曲した血管系を通って前進できるように、カテーテルの遠位の部分に装着するバルーンの位置も可撓性を有していなければならない。バルーン接着用接着剤を使う場合、剛性になってしまう傾向があるので、バルーン接着面を可撓性に構成するように工夫しなければならない。
【0087】
よって、多くの実施形態では、バルーンマイクロカテーテルの最適な特性は、1)大きな薬剤注入ルーメン、2)大きなバルーン膨張ルーメン、3)高圧に耐えるカテーテル、4)押出可能且つトルク伝達可能な剛性の高い近位の部分、5)可撓性のある遠位のカテーテル部分、6)小さい外径、を含む。本明細書の異なる実施形態は、これらのうち1つ又は複数の利点を提供する。
【0088】
バルーンのカテーテルへの強固な接着は、医療処置の間に剥離しないように防止するため、及び膨張後にバルーンがカテーテルの外径の表面上、又はその下方の位置に確実に戻れるようにする為にも重要である。
【0089】
本明細書の多くの方法及びデバイスは、上記の課題を解決し、バルーンマイクロカテーテルを、バルーンがカテーテルの外径以下である格納直径以下に確実に戻る、大きな注入ルーメン、大きなバルーン膨張ルーメン、可撓性の遠位のカテーテル部分、及び強固なバルーン接着を含むように適合させることができる。
【0090】
本開示のデバイスは、カテーテルに固定されたバルーンを含む。バルーンの接着部がカテーテルアセンブリの外側表面の下方(すなわち、外径の半径方向内方)に位置決めされ、所望により、膨張していない構成のバルーンをカテーテルアセンブリの外側表面の下方又はその上に位置決めすることができる。本デバイスは、バルーンをカテーテルアセンブリの表面の下方から膨張させ、且つ、収縮した時にはそこに戻すことができる。このようなバルーンカテーテルアセンブリは、本明細書に開示されているように、プロファイルが小さく、バルーンがカテーテルに強固に接着し、粘性の高い溶液を使用しても膨張及び収縮時間が速い。
【0091】
本明細書に於けるバルーン及び/又はバルーン接着部の実施形態は何れも、本明細書に於ける任意のカテーテルの、他の態様の何れかと統合又は使用してもよい。例えば、本明細書に於けるバルーン及び/又はバルーンの概念は、何れも、例示の内側カテーテル及び外側カテーテル(例えば、
図1乃至
図6)を示す実施形態の何れかと共に使用することができる。
【0092】
図8を参照すると、本開示の例示の実施形態の遠位端の縦断面が、カテーテルアセンブリ2、外側カテーテル4、内側カテーテル6、内側カテーテル延長部8、任意の外側アダプタ10、支持シース12、バルーン14,内側カテーテルルーメン16、環状ルーメン18、流体チャネル20、近位のバルーン接着部22及び遠位のバルーン接着部24を備えて示されている。この実施形態では、同軸カテーテル設計が、近位端及び遠位端、並びに同じく近位端及び遠位端を有する内側カテーテル6より大きい直径を有する外側カテーテル4と共に示されており、これにより、内側カテーテル6は、外側カテーテル4よりも長手方向内側に位置づけられている。内側カテーテル6は、延長距離8で示すように、外側カテーテル4の遠位端を越えて遠位方向に延びており、前記内側カテーテル延長部は、バルーン又は付属品を結合できる位置の直径が小さくなっている。内側カテーテル及び外側カテーテルは、内側カテーテル及び外側カテーテルの間の任意の離散的な接続位置の何れかを含む、本明細書の内側カテーテル及び外側カテーテルの何れかであってよい。
【0093】
内側カテーテル6及び外側カテーテル4は、層間に位置づけられる、又は層の1つを形成するスチール又は他の編組、コイル、織物素材、及び/又は補強材料による積層体又は少なくとも2層の複合体で構成することができる。幾つかの実施形態では、補強材料は、補強層が封入層内に埋め込まれるように、剛性のより低い基材内に成形される。この構造は、よじれに対する耐性及び高圧注入に耐えるだけの強度を持たせる為に提供される。多層構造の場合、これらの壁厚は、一般的に0.1mm乃至1mmの厚みであり、この分は、本来なら注入ルーメン又はバルーン膨張ルーメンのサイズを大きくする為に使用できる半径方向の面積を消費することになる。従って、強度、よじれ耐性、及び高圧に対する耐性が維持できれば、薄肉構造が最適である。この例示の実施形態では、外側アダプタ10は、Pebax、ポリアミド、PET、ポリエチレン、ポリウレタン等のような単層の可撓性材料で構成されており、壁厚は、0.0016mm乃至0.025mm、より一般的には0.003mm乃至0.0150mmであり、前記厚みは、内側カテーテル又は外側カテーテルの厚みより小さい。幾つかの実施形態では、外側カテーテル4は、約0.0635mmの壁厚を有し、外側アダプタ10は、約0.00635mmの壁厚を有する。幾つかの実施形態では、外側アダプタ10の壁厚は、外側カテーテル4の壁厚の約15%以下である。厚みと材料のタイプは、外側カテーテルのタイプとは異なり、バルーンの膨張、注入ルーメンの直径、及びアダプタに対するバルーン材料の可撓性及び接着性を最大限に高める為に最適化されている。
【0094】
本明細書の実施形態の何れかに於いて、内側カテーテルの壁厚は、0.0001インチ乃至0.0040インチ、例えば、0.001インチ乃至0.0035インチ、例えば、0.0015インチから0.003インチである。本明細書の実施形態の何れかに於いて、外側カテーテルの壁厚は、0.0001インチ乃至0.0040インチ、例えば、0.001インチ乃至0.0035インチ、例えば、0.0015インチ乃至0.003インチである。内側カテーテル及び外側カテーテルは、本明細書で記載の3層構成の何れかのように、任意の数の「層」を含むことができる。
【0095】
幾つかの実施形態では、外側アダプタ10の近位端は、外側カテーテル4の遠位端の外側表面の周囲に周方向に配向され、外側カテーテル4の遠位端の遠位側の点に於いて中心方向に段差を設けて縮径しており、前記縮径は、内側カテーテル6の周囲に周方向に配向されている。その近位端では、支持シース12が外側カテーテル4の遠位端及び外側アダプタ10の近位端の上に位置決めされ、支持シース12の遠位端がバルーン14の近位端上に位置決めされる。支持シース12は、バルーン14の近位端を、外側カテーテル4の他方の直径の下方の空間に押込み、バルーンが外側カテーテル4の外径上又は下方の位置に確実に戻し、外側アダプタ10上のバルーン接着部22を強化する。幾つかの例示の実施形態では、本明細書の任意の支持シースは、単層の可撓性材料で構成されており、外側アダプタのようなアダプタと実質的に同一の壁厚及び材料組成を有する。
【0096】
内側カテーテル6の近位端は、内側カテーテルルーメン16によって内側カテーテル6の遠位端と流体連通する。外側カテーテル4と内側カテーテル6の間の空間は、概ね環状のルーメン18を画定し、外側アダプタ10の縮径部と内側カテーテル6の間の空間は、流体チャネル20を画定する。バルーン14は、その近位端に於いて外側アダプタ10の縮径部にバルーン接着部22によって接着され、バルーン14の遠位端は、遠位のバルーン接着部24に於いて内側カテーテル6に接着されているので、近位のバルーン接着部22及び遠位のバルーン接着部24は外側カテーテル4の外径から半径方向内方にある。この例示の実施形態では、近位のバルーン接着部22及び遠位のバルーン接着部24もまた、
図1に示すように、外側カテーテル4の内径から半径方向内方に位置する。バルーンの近位端及び遠位端にある半径方向内側表面は、外側カテーテルの外側表面に対して半径方向内方に配設されている。カテーテルアセンブリ2の近位端は、環状ルーメン18及び流体チャネル20によってバルーン16の内部容積と流体連通している。幾つかの実施形態では、内側カテーテル6は、間に形成された膨張ルーメンが環状ではなく、三日月形状になるように、外側カテーテル4内でオフセットして位置していてもよい。
【0097】
前述の開示により、バルーンマイクロカテーテルが最適な、細い血管で使用する為の小さい外径と、湾曲した血管系内で操ることができる可撓性と、高流量の薬剤及び造影剤を許容する高圧耐性、短時間でのバルーン膨張及び収縮、バルーン接着性、バルーンの膨張及び収縮後も外側カテーテルの外径上又はその下方に留まる為のバルーン接着強度及びバルーン外径の維持、に適合させることができるようになる。
【0098】
図9を参照すると、外側カテーテル4、内側カテーテル6、内側カテーテルルーメン16、及び外側カテーテル4と内側カテーテル6の間の空間を画定する環状ルーメン18を有する同軸カテーテルアセンブリ。内側カテーテルルーメン16は、外側カテーテル4の近位端から外側カテーテル4の遠位端まで延び、その間の流体連通を可能にする。環状ルーメン18は、カテーテルアセンブリの近位端からバルーンの内側容積まで延びバルーンを膨張及び収縮させる為の流体連通を可能にする。
【0099】
図10を参照すると、外側カテーテル4、内側カテーテル6、内側カテーテルルーメン16、環状ルーメン18、内側カテーテル延長部32、カテーテル外表面34、カテーテル内表面36(すなわち、外側カテーテル4の内径の一部分)、バルーン内表面38及びバルーン外表面40を有するカテーテルアセンブリ30の縦断面を示す。外側カテーテル4は、内側カテーテル6より直径が大きく、内側カテーテル6の長さより短い長さを有する。環状ルーメン18は、外側カテーテル4と内側カテーテル6との間の空間を画定し、カテーテルアセンブリ30の近位端からバルーン14の内側容積まで延びてバルーンを膨張及び収縮させる為の流体連通を可能にする。内側カテーテル6の長さは、外側カテーテル4のそれよりも長く、カテーテルアセンブリ30の近位端からカテーテルアセンブリ30の遠位端まで延び、その間の流体連通を可能にするルーメン16を有する。外側カテーテル4の直径よりも小さい直径を有する内側カテーテル延長部32は、外側カテーテル4の表面の下方(すなわち、外径から半径方向内方)の接着面でバルーン又は他の付属品を結合でき、所望により、バルーン又は他の付属品を、その外径が外側カテーテル4の表面上又はその下方にくるように位置決めることができる面を提供する。幾つかの実施形態では、バルーン接着面はまた、外側カテーテル4の内径から半径方向内方にあってもよい。カテーテル外表面34は、外側カテーテル4の遠位端の外側に、アダプタ及びシースを取り付けることができる周方向の領域を規定し、カテーテル内表面36は、外側カテーテル4の遠位端の内側に、アダプタを取り付けることができる周方向の領域を画定している。カテーテル外表面34及びカテーテル内表面36の直径は、それぞれ選択したカテーテルの外径及び内径と等しく、通常0.3mm乃至5mmであり、固定面の長手方向の長さは0.2mm乃至25mm、より一般的には1mm乃至10mmとすることができる。
【0100】
図11Aを参照すると、大径面42と小径面44との間で縮径した外側アダプタ10の縦断面が示されている。外側アダプタ10は、大径面42から小径面44まで1つの段差で示されているが、推移部は、2、3、4以上の段差で構成することも、円錐形アダプタのように緩やかにすることも可能である。外側アダプタ10は、外側カテーテル4のカテーテル外表面34と、バルーン14のバルーン内表面38との間の接続を提供し、環状ルーメン18及びバルーン14の内側表面との間に流体連通を提供することによって、近位のバルーン接着部がバルーン14のバルーン内表面38と外側アダプタ10の小径面44との間に位置決めされ、バルーン接着部が外側カテーテル4の外径の表面の下方に位置づけられる。幾つかの実施形態では、外側アダプタ10(或いは本明細書に於ける任意の他のアダプタ)が、ポリエステル、ナイロン、Pebax、ポリエチレン、ポリウレタン、又は他の好都合な材料などの塑性高分子材料から作られる。多くの実施形態では、薄肉が好ましいが、用途に応じて任意の厚みを使用することができる。材料の厚みは、通常0.0016mm乃至0.025mm、より一般的には0.003mm乃至0.015mmの範囲である。外側アダプタ10の大径面42は、一般的に、外側カテーテル4のカテーテル外表面34に糊着、熱接合、圧縮又はリフローされる。リフローは、外側アダプタ10の大径面42が、カテーテル外表面34で外側カテーテル4の外側表面に溶け込み、外側カテーテル4の直径が大きくならないという利点がある。大径面42及び小径面44の直径は、カテーテル直径と、外側カテーテル4の外径の下方のバルーン接着面の所望の位置決めとに依存することになる。一般的に、医療用カテーテルの外径は、約0.25mm乃至10mm、より一般的には、0.5mm乃至5mmの範囲であり、よって、外側アダプタ10の大径面42は、約0.5mm乃至4mmの範囲となる。外側アダプタ10は、任意の好都合な長さ、一般的に2mm乃至25mm、より一般的には4mm~10mmとすることができる。本開示の外側アダプタ10は、通常0.5mm乃至1.5mmの範囲と外径が小さいマイクロカテーテルに特に有用であり、末梢血管系内や細い血管にアクセスする為に使用する。この場合、カテーテルの外径を可能な限り小さくすることが重要である。バルーン又は他の付属品がカテーテル上に載置されていれば、その付属品を外側カテーテル4の少なくとも外側表面の下方に接着、或いは装着するのに大きな利点となり得る。バルーンに加え、付属品は、組織アンカ、刃、機械的閉塞デバイス、部分閉塞デバイス、塞栓粒子を捕捉するデバイス、又は血管系に使用する任意のデバイスを含むことができる。
【0101】
図11Bを参照すると、大径面48と小径面50との間で縮径した内側アダプタ46の縦断面図が示されている。本明細書の実施形態の何れかに於いて(何れかのアダプタが含まれている場合)、内側アダプタ(例えば、内側アダプタ46)を、外側アダプタ10の代わりに使用することができる。内側アダプタ46は、大径面48から小径面50へ1つの段差で示されているが、移行部は2、3、4以上の段差で構成することも、円錐形アダプタのように緩やかな移行部とすることも可能である。内側アダプタは、カテーテル内側表面36に固定された外部表面を有する近位の領域48を有する。内側アダプタは、外側カテーテル4のカテーテル内表面36とバルーン14の間をバルーン内表面38に於いて接続を提供することにより、バルーン接着面又は付属品結合面を外側カテーテル4の外側表面及び内側表面の下方に位置決めする。組成、測定値、使用、及び利点は、
図4Aに関して述べた通りである。
【0102】
幾つかの実施形態では、アダプタは、段差領域を含まない。例えば、アダプタは、円筒形の構成を有し、内側表面36に結合され、尚且つ、接着面が外側カテーテルのODの下方にくるようにバルーンの近位端を接着できる面を提供することができる。
【0103】
ここで、
図11Cを参照すると、例示の支持シース12の縦断面図が近位端、遠位端、外側表面54、及び内側表面56と共に示されている。支持シース12は、外側カテーテル4のカテーテル外表面34及びバルーン14のバルーン外表面40上に周方向に覆うことができる。支持シース12は、バルーン接着部を強化し、所望により、バルーン14の近位端を外側カテーテル4の外側表面上又はその下方に保持するように機能する。支持シースの近位端から遠位端までの長さは、一般的に0.20mm乃至10mm、より一般的には0.5mm乃至6mmであり、残りをバルーン又は他の付属品の上に延長して、その長さの任意の部分をカテーテルに接着することができる。幾つかの実施形態では、支持シースは、外側カテーテルの遠位端の外径と少なくとも同程度の長さを有する。一般的に、支持シース12は、圧縮され、糊着され、リフローされる、或いは外側カテーテルに取り付けられてその上を延びるが、バルーン又は他の付属品に結合されなくてもよい。幾つかの実施形態では、支持シースが、シリコーン、ラテックス、ポリエステル、ナイロン、Pebax、ポリエチレン、ポリウレタン、又は他の都合のよい材料など、高分子材料から作られる。多くの実施形態では、薄肉が好ましいが、用途に応じて任意の厚みを使用することができる。本明細書の実施形態の何れかに於いて、支持シースは、カテーテル及びバルーン、又は他の付属品上の所望の位置に載置され、加熱され、材料を縮径して外側カテーテルの表面及びバルーンの周囲で圧縮する熱収縮材料でもよい。厚みは、一般的に0.003mm乃至0.05mm、より一般的には0.006mm乃至0.01mmの範囲である。リフロー及び圧縮は、支持シース12の外側表面54が、外側カテーテル4の外側表面に溶け込む又は外側表面に圧縮されて、外側カテーテルの直径が大きくなることがないという利点を有する。支持シース12の直径は、カテーテルの直径に依存する。一般的に医療用カテーテルの外径は、約0.5mm乃至5mmの範囲にある。
【0104】
本明細書では、シースは、カラーと呼ぶこともある。
【0105】
ここで、
図12A及び12Bを参照すると、本開示の第2の実施形態の縦断面図が、カテーテルアセンブリ58、外側カテーテル4、内側カテーテル6、外側アダプタ10、大径面42、小径面44、支持シース12、ノーズコーン60、流体チャネル20、バルーン14、近位のバルーン接着部22、及び遠位のバルーン接着部24と共に示されている。カテーテル4のカテーテル外表面34は、アダプタ10の大径面42の内側表面に接着される。バルーン14の内側表面は、その近位端に於いて、アダプタ10の小径面44の外側表面の近位のバルーン接着部22に接着され、その遠位端は、ノーズコーン60の近位側に位置決めされている遠位のバルーン接着部24に於いて、内側カテーテル6に接着される。支持シース12は、外側カテーテル4のカテーテル外表面34及びバルーン14の近位端上を延びるように位置決めされる。支持シース12の近位端は、外側カテーテル4のカテーテル外表面34及び/又は外側アダプタ10の大径面42に接着、リフロー、圧縮、或いは取り付けることができ、また、支持シース12の遠位端は、バルーン接着部22を強化し、所望により、外側カテーテル4の表面の下方にバルーン14を保持できるという利点を有して、バルーン14の近位端上に位置決めされている。支持シース12は、カテーテル外表面34及びバルーン14の近位端に取り付けてもよく、或いは、外側カテーテル4又はバルーン14に対して移動しないのであれば、一方又は両方の表面に取り付けなくてもよい。内側カテーテル6は、外側カテーテル4の遠位端を越えて延び、ノーズコーン60は、内側カテーテル6の、外側カテーテル4の遠位端より遠位側の位置に取り付けられる。この実施形態では、バルーンは、バルーン接着部を外側カテーテル4の外径、所望により、バルーンの外径より低い(半径方向内方)位置に位置決めする利点を有して、外側カテーテル4の遠位端とノーズコーン60の近位端との間のポケットに収まっており、拡張していない構成の時には、実質的に、外側カテーテル4の外径以下となるように、位置決めすることができる。このようにして、バルーンは、拡張していない構成の時には、外側カテーテル4の外側表面上又はその下方のポケット内に位置決めでき外側カテーテル4より大きい直径まで拡張でき、収縮すると、外側カテーテル4の外径以下の直径まで戻ることができる。カテーテルアセンブリ58の近位端は、環状ルーメン18、及びアダプタ10の小径面44の内側表面と内側カテーテル6の外側表面との間の環状空間によって画定される流体チャネル20のアダプタ10によって、バルーン14の内部空間と流体連通する。本明細書の本実施形態又は任意の実施形態の代替構成には、アダプタ10を使用して支持シース12なし、又は支持シース12を使用してアダプタ10なしを含む。支持シース12のみを使用する場合、近位のバルーン14の外径を支持シース12の内側表面に接着する。この実施形態の別の構成としては、外側アダプタ(図示せず)を使用して、バルーンをノーズコーン60に取り付ける、又は支持シースを使用してバルーン14をノーズコーン60に取り付ける、又は、アダプタと支持シースの両方を使用してバルーン14をノーズコーン60に取り付けることを含む。最適には、バルーン14,アダプタ、支持シース、及びノーズコーン60が外側カテーテル4の外径以下の外径を有する。
【0106】
図13A乃至13Bを参照すると、本開示のデバイスの例示の実施形態が、カテーテルアセンブリ62,外側カテーテル4、内側カテーテル6、外側アダプタ10、大径面42、小径面44、支持シース12、流体チャネル20、バルーン14、近位のバルーン接着部22、遠位のバルーン接着部24、第2の外側カテーテル64、遠位の外側アダプタ66、大径面68、小径面70、及び第2の支持シース72と共に示されている。内側カテーテル6は外側カテーテル4の遠位端を越えて延び、第2の外側カテーテル64は外側カテーテル4の遠位端より遠位側の位置で内側カテーテル6に取り付けられてもよく、それによってバルーン14は外側カテーテル4の遠位端と第2の外側カテーテル64の近位端の間のポケット内に、近位のバルーン接着部22と遠位のバルーン接着部24が外側カテーテル4及び第2の外側カテーテル64の表面の下方に位置決めされるように配設される。本実施形態の1つの構造では、バルーン14は、カテーテル4及び第2の外側カテーテル64の外径以下の外径を有して構成され、従って、それらの間のポケットの中に隠蔽される。半径方向に拡張した構成まで膨張したときバルーン14は外側カテーテル4及び第2の外側カテーテル64の外径より大きい直径を有し、前記ポケットから半径方向外側に延びる。そして、バルーン14がその半径方向に拡張した構成から収縮すると、外側カテーテル4及び第2の外側カテーテル64以下の直径に戻り、再び、ポケットの中に隠蔽される。外側カテーテル4の遠位端のカテーテル外表面34は、アダプタ10の大径面42の内側表面に接着される。バルーン14の近位端は、その内側表面を外側アダプタ10の小径面44の外側表面に接着され、バルーン14の遠位端は、その内側表面が遠位の第2のアダプタ66の小径面70の外径に接着される。代替的に、バルーン14のルーメンの内側表面はその遠位端を内側カテーテル6に直接接着することができる。遠位のアダプタ66の大径面68の内径は、第2の外側カテーテル64の近位端又は他の遠位方向に延びる構造、例えば、1本又は複数本のシャフトなどに接着、リフロー、圧縮、或いは取り付けられる。第2のアダプタ66の小径面70の内側表面と内側カテーテル6との間の流路は、存在してもしなくてもよい。1つのバルーンが存在する場合には、バルーンの遠位端は密閉される。しかし、第2のバルーンが第1のバルーンの遠位側に位置決めされている場合には、流路は、第2、第3、第4、又は任意の数のバルーンを膨張及び収縮できるように構成してもよく、このことから、任意の数のバルーン及び外側カテーテル区分が直列で位置決めできることが理解されよう。第1の支持シース12は、外側カテーテル4の遠位端の外側表面及びバルーン14の近位端上に延びるように位置決めしてもよく、第2の支持シース72は、第2の外側カテーテル64の近位端の外側表面及びバルーン14の遠位端に延びるように位置決めしてもよい。支持シース12及び72は、外側カテーテル4の遠位端又は第2の外側カテーテル64の近位端に接着、糊着、リフロー、圧縮、或いは取り付けてもよく、所望により、バルーン14に取り付けてもよい。支持シース12は、バルーン14の近位端を、近位のバルーン接着部22で拘束又は圧縮し、バルーン接着部を強化し、剥離を防止するという利点を提供する。第2の支持シース72により、遠位のバルーン接着部24においてバルーン14を拘束又は圧縮し、又はバルーン接着部を強化し、剥離を防止するという利点が加わる。
【0107】
1つ又は複数の支持シース(カラー)を含む本明細書の実施形態の何れかに於いて、カラーの何れかは、本明細書で記載した任意他の適したシース/カラーと置き換えてもよい。
【0108】
カテーテルアセンブリ62の近位端は、流路26に見られるように、環状ルーメン18及び外側アダプタ10の、アダプタ10の小径面44の内側表面と内側カテーテル6の外側表面との間の環状空間によって画定される流体チャネル20によって、バルーン14の内部空間と流体連通する。本実施形態の代替の構成は、バルーン14の近位端及び遠位端が、少なくとも1つのアダプタ又はシースを有している、又は内側カテーテル6に直接接着されており、環状ルーメン18がバルーン14の内部表面と流体連通しているという条件で、支持シース12を有さない外側アダプタ10、アダプタ10を有さない支持シース12、第2の支持シース72を有さない外側アダプタ66、外側アダプタ66を有さない第2の支持シース72、又はアダプタ及び支持シースの任意の組み合わせを含む。任意で、バルーン14、両支持シース、及び両アダプタは、外側カテーテル4及びカテーテルアセンブリ62の第2の外側カテーテル64の外径以下の外径を有しているが、接着面22及び/又は24は、カテーテルアセンブリ62の外側表面の下方に位置決めされているという条件で、バルーン14がカテーテルアセンブリ62の表面の下方に拘束されている必要はない。このことは、細い血管内で治療を行う場合には、その拡張していない状態に於いて、バルーン又は他の付属品又はツールをカテーテルの表面の下方に位置決めし、その後、膨張又は展開した後にそのカテーテル表面の下方の同一位置に戻すために特に有用である。
【0109】
ここで、
図14A及び14Bを参照すると、本開示の更に別の例示の実施形態の縦断面図が、カテーテルアセンブリ74、外側カテーテル4、内側カテーテル6、近位の内側アダプタ46、大径面48、小径面50、流体チャネル76、遠位の内側アダプタ78、大径面80、小径面82、及び支持シース86と共に示されている。この実施形態では、外側アダプタの代わりに内側アダプタ46及び78を使用することにより、内側アダプタ46及び78の大径面48及び80の外側表面が外側カテーテル4の内周及び第2の外側カテーテル84の内周に接着、或いは取り付けられる。この実施形態では、バルーン14は、外側カテーテル4の遠位端と、第2の外側カテーテル84(又は他の遠位方向に延びる構造、例えば、1本又は複数本のシャフト)の近位端との間のポケット内に配設される。アダプタ及び支持シースは、任意の組合せで使用できることは理解されよう。例えば、外側アダプタは、内側アダプタに置き換えることができる。近位及び/又は遠位のバルーン接着部は、外側カテーテル4及び第2の外側カテーテル84の外側表面の下方に位置決めされ、環状ルーメン18、及びアダプタ46の小径面50の内側表面と内側カテーテル6の外側表面との間の環状空間によって画定される流体チャネル76のアダプタ46によって、カテーテルアセンブリ74の近位端及びバルーン14の内部表面からの流体連通が維持される。また、ノーズコーン又は他のノーズピースを第2の外側カテーテル84より遠位側の位置に取り付けることと、任意の数のバルーン及び外側カテーテル区分をカテーテルアセンブリ74に沿って直列に配向させることができることも理解できよう。
【0110】
ここで、
図15A及び15Bを参照すると、本開示の更に別の例示の実施形態が、カテーテルアセンブリ288、2ルーメンカテーテル290、注入ルーメン292,バルーン膨張ルーメン294、注入ルーメン延長部296、ノーズコーン298、外側アダプタ200、大径面202、小径面204、支持シース206及び208、バルーン210,近位のバルーン接着部212,遠位のバルーン接着部214,流体チャネル216、及び流路218と共に示されている。この場合、上記の実施形態に記載したような同軸構造の2つのカテーテルの代わりに2本のルーメンを有する単一のカテーテルを使用している。2ルーメンカテーテルは、多くの用途に有用であるが、このカテーテルは、必要に応じて3、4、又は5本以上のルーメンを有することもできる。カテーテルアセンブリ288は、医療用途に有用な任意の長さ、一般的に25cm乃至250cm、より一般的には50cm乃至150cmでよい。注入ルーメン292は、近位端と遠位端を有し、カテーテルアセンブリ288の近位端からカテーテルアセンブリ288の遠位端まで延びて、それらの間に流体連通を提供している。バルーン膨張ルーメン294は、近位端及び遠位端を有し、カテーテルアセンブリ288の近位端からバルーン210まで延びて、膨張及び収縮の手段を提供している。注入ルーメン292は、注入ルーメン延長部296及び長さ220によって示すように、2ルーメンカテーテル290の遠位端を越えて遠位方向に延びるとともに、バルーンルーメン294の端部を越えて遠位方向に延びている。注入ルーメン延長部は、一般的に0.1cm乃至50cm、より一般的には1cm乃至10cmの範囲の長さを有する。ノーズコーン298は、注入ルーメン延長部296の、2ルーメンカテーテル290の遠位端より遠位側の点の周囲に位置しているので、バルーン210は、2ルーメンカテーテル290の遠位端とノーズコーン298の近位端との間のポケットの中に配設される。ノーズコーン298は、一般的に2ルーメンカテーテル290の遠位端から0.25cm乃至10cm、より一般的には、1cm乃至3cmの距離に載置され、任意の形状又は構成でよく、又、放射線不透過の材料を含む任意の好都合な材料で構成できる。例示のためにのみ、
図15A及び15Bの実施形態は、外側アダプタ200及び近位及び遠位両方の支持シース206及び208を含むが、膨張ルーメン294とバルーン210の内部表面との間で流体連通が維持できることを条件に、任意の組み合わせのアダプタ及び支持シースを使用できる。外側アダプタ200は、大径面202及び小径面204を有しているので、大径面202の内側表面は、2ルーメンカテーテル290の遠位の外側表面に接着され、長径面は、注入ルーメン延長部296の周囲に配向されているため、小径面204の内側表面と注入ルーメン延長部296の間の環状空間が維持される。カテーテルアセンブリ288の近位端は、バルーン膨張ルーメン294、外側アダプタ200、流体チャネル216及び流路218によって画定される、外側アダプタ200の注入ルーメン延長部296と小径面204の内側表面との間の環状空間とによって、バルーン210の内部空間と流体連通している。ほとんどの場合、中央注入ルーメン292により、内部を通して流体連通が可能であることが望ましいが、これは要件ではない。幾つかの使用法では、注入ルーメン292は、中実で、流体連通しておらず、それによって、1ルーメンバルーンカテーテルを形成することができる。バルーン210は、カテーテルアセンブリ288の外径の下方に収まることが望ましい場合もあるが、これは必須ではない。幾つかの実施形態では、バルーン210は、カテーテルアセンブリ288の外径の下方に収まっておらず、少なくとも近位のバルーン接着部212がカテーテルアセンブリ288の外径の下方に位置決めされている。
【0111】
バルーンを含む本明細書の実施形態の何れかに於いて、バルーンは、シリコーン材料を含んでもよく、任意で、本質的にシリコーン材料から構成されていてもよい。バルーンの1つ又は複数のシリコーン材料を使用することにより、より高い弾力性を提供することができ、それにより、バルーンが外側カテーテルのOD上又はその下方である拡張していない構成に戻ることができるようになる。
【0112】
しかしながら、バルーンに使用される材料、例えば、シリコーンは、バルーンを接着剤、溶剤、又は熱のみに頼って他の表面に接着させるのが困難な場合があるという課題がある。本明細書の実施形態の何れかに於いて、バルーン表面が接着される(すなわち固着される)表面は、バルーン表面と、バルーン表面が接着される表面との間の安定性を高めるように適合され、構成された1つ又は複数の表面特徴部を含んでもよい。
【0113】
1つ又は複数の表面特徴部は、本明細書のアダプタの何れか、例えば、本明細書の近位のアダプタの何れか、又は本明細書の遠位のアダプタの何れかでよい。1つ又は複数の表面特徴部は、アダプタの全長に存在してもよく、又、アダプタ全体より短い範囲、例えば、バルーン表面が接着される場所のみに存在してもよい。例えば、
図11Aに示すアダプタに於いて、1つ又は複数の表面特徴部は、小径の遠位の領域の外側表面44のみに存在していてもよい。例えば、
図11Bに示すアダプタに於いて、1つ又は複数の表面特徴部は、遠位の領域の外側表面50のみに存在していてもよい。或いは、アダプタが段差を有しない(例えば、円筒形の構成を有する)場合でも、1つ又は複数の表面特徴部は、アダプタの遠位の領域上にのみ存在し、遠位の領域の外側表面のみであってもよい。同一の概念が、本明細書で使用され得る任意の遠位アダプタに適用される一方で、1つ又は複数の表面特徴部は、(アダプタの構成に関係なく)アダプタの近位の領域のみ、例えば、バルーンがそれに接着され得る場所などに配設できることが理解できよう。
【0114】
1つ又は複数の表面特徴部は、1つ又は複数の特徴部とバルーン表面との間の摩擦を増加させ、且つ/又は安定性を高めるように適合及び/又は構成された、多種多様な特徴部を含むことができる。
【0115】
幾つかの実施形態では、表面特徴部は、表面上に隆起した領域を含むことができる。
【0116】
幾つかの実施形態では、表面特徴部は、1つ又は複数のテクスチャ加工を施した特徴部を含むことができる。
【0117】
幾つかの実施形態では、表面特徴部は、バルーン表面との摩擦を増加させるように構成された非平滑面を含むことができる。
【0118】
幾つかの実施形態では、表面特徴部は、1つ又は複数のかかりを含むことができる。
【0119】
幾つかの実施形態では、表面特徴部は、1つ又は複数の鋭利な特徴部を含むことができる。
【0120】
任意の特定の表面には、2種類以上の表面特徴部を含んでもよい。例示に過ぎないが、表面は、1つ又は複数の隆起した領域と1つ又は複数の鋭利な特徴部を含んでもよい。
【0121】
バルーンが接着される表面には、テクスチャ加工を施した、粗面化した、及び/又は非平滑面を形成できる多様な技術を使用して、1つ又は複数の表面特徴部を形成してもよい。例えば、限定することなく、表面を任意の数の溶剤や研磨剤に曝して、テクスチャ加工を施した表面を形成することができる。この処理は、例えば、機械的、化学的、及び/又は光学的に行ってもよい。
【0122】
本明細書の何れかの実施形態に於いて、表面に対するバルーンの安定性を高めるように適合された、アダプタ、カラー、及び/又は内側カテーテルの表面(又はバルーン表面が接着され得る他の何れかの表面)上に材料が堆積してもよい。これらの実施形態に於いて、バルーン表面は、材料とのみ接触してもよく、又は、材料だけでなく、構造部品(例えば、アダプタ、カラー、及び/又は内側カテーテルなど)とも接触してもよい。安定性を高めるために材料を表面に堆積させてもよく、また、安定性を高めるように適合された1つ又は複数の表面特徴部の何れかを表面に含んでもよい。例えば限定されることなく、表面に堆積され得る材料は、接着剤が一般的な接着剤で通常生じるようなバルーン材料(例えば、シリコーン)との強固な接着力を生じないとしても、摩擦の増加させる接着剤であってもよい。
【0123】
ここで
図16A及び16Bを参照すると、バルーンを介した操作可能なカテーテルを構成する実施形態が示されている。
図16Aに示すように、カテーテルチップは、先に記載した構成と同様又は同一のバルーン230をその遠位のチップ232付近に設けてもよい。バルーン230は、図示のカテーテルチップ232の片側に側方に膨らむような小血管を閉塞するのに必要な直径を通り越えて図示のように膨張させてもよい。バルーン230のこの偏った状態により、カテーテルの遠位のチップ232を「屈曲点」234の周囲で強制的に側方反対方向に屈曲させる。遠位のチップ232の屈曲の程度又は屈曲角度は、バルーン230内の流体の体積の関数である。この配置を利用して、カテーテルが急峻な湾曲部の周囲で操作ができる。
【0124】
図16Bは、カテーテルチップ232が主カテーテルの長手方向軸線から離れるように曲がり得る様々な角度を描いている。バルーン230がより多くの流体で漸進的に膨張するにつれて、チップ232は、図示のように、真っ直ぐな配向(a)から、種々の鋭角(b)、(c)及び(d)を経て、直角(e)及び鈍角(f)及び(g)へ屈曲することができる。
【0125】
幾つかの例示の実施形態によれば、急峻な湾曲部の周囲でカテーテルを前進させるためのプロトコルは、以下のステップのうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。
1)ガイドワイヤ上でカテーテルを血管枝又は鋭角に進める。
2)ガイドワイヤの遠位のチップをカテーテル屈曲点234の近位側に位置させるのに十分なだけガイドワイヤを引き抜く。
3)バルーン230を膨らませ、蛍光透視法を使うなどして、カテーテルチップ232が屈曲している方向を可視化する。
4)チップ232が所望の方向に向くように、カテーテルを軸方向に回転させる。
5)カテーテルチップ232が所望の分枝動脈に向くまで、バルーン230を更に膨張又は収縮させる。
6)ガイドワイヤを分枝動脈内に進める。
7)ガイドワイヤ上のカテーテルを分枝動脈内に前進させる。
8)バルーンを収縮させ、引き続きガイドワイヤ上でカテーテルを前進させる。
【0126】
プロトコルによっては、カテーテルの遠位のチップ232から造影剤を注入し、蛍光透視法を使用して標的の血管を可視化することができる。
【0127】
バルーン230は、均一な壁厚で構成されてもよいし、又は毎回同一側に側方に確実に膨張するように、片側の壁厚を薄くして設けてもよい。幾つかの実施形態では、壁厚を変化させて、所望の形状又は膨張プロファイルを提供してもよい。幾つかの実施形態では、バルーンはカテーテルの周囲を取り囲むように構成され、他の実施形態では、カテーテルの片側のみに結合できる。カテーテルを囲むバルーンを利用する実施形態では、カテーテルの片側とバルーンの内側表面の一部の間に接着剤を使用して、その側でバルーンが決して膨張しないようにしてもよい。
【0128】
幾つかの実施形態では、屈曲点234は、曲線の中点である。曲線は、50mm、25mm、10mm以下の半径を有していてもよい。カテーテルは、バルーン230によって加えられる力を少なくして屈曲できるように、屈曲点234で変更されてもよい。例えば、カテーテルは、屈曲し易さ及び/又はより小さな曲率半径を促進するために、1箇所又は複数箇所で直径及び/又は壁厚を減少させてもよい。幾つかの実施形態では、カテーテル内でガイドワイヤを前進又は後退させることによって、屈曲点を変化させ、カテーテルがガイドワイヤの遠位端を越えて直ぐのところで屈曲し始めるようにすることができる。
【0129】
本明細書の実施形態の何れかは、成形チップを含むこともでき、その例を以下に記載する。
【0130】
本明細書では、成形チップを湾曲した血管系を通して容易に操ることができるカテーテルの設計について記載する。カテーテルは、血管の外傷を最小限に押さえるために、可撓性があり、柔らかいチップで終端することが望ましい。可撓性を有する部分(支持や補強がない)はよじれや過度の屈曲を起こしやすいため、遠位のチップに近接した剛性部分に支持を追加することが、カテーテルの追跡を更に助けることになる。
【0131】
図17A~17Eを参照すると、様々な例示の成形チップが概略的に示されている。これらの各例では、2層以上のチューブを組み合わせてチップ構成を形成している。各図の左側は、本明細書の任意の内側カテーテル(例えば、
図3A乃至
図3Bに示すような内側カテーテル112)の遠位端に接続され得る成形チップの近位端を表し、各図の右側は成形チップの遠位端を表している。参照文字A乃至F及びWは、幾つかの実施形態では、それぞれ異なる材料から形成されるチューブの離散的な部分を示す。チューブAの基材は、カテーテル本体に接着するように配合されている。Wは、タングステン、又は幾つかの実施形態では、外科的処置中に蛍光透視法又は他の結像法の際の位置マーカとして機能する別の放射線不透過材料を含むチューブを示す。他の実施形態では、Wは単にA乃至Fの材料と同様の別の材料(すなわち、特別な放射線不透過特性を有していない)を示す場合もある。本明細書に開示された成形チップは、バルーンの有無にかかわらず、カテーテルの遠位端で使用することができる。
【0132】
図17Aに描かれた構成では、第1の高分子材料(ポリエーテルブロックアミド、又はPEBAなど)を含むチューブAが、第2の高分子材料(これもPEBAであってよい)を含むチューブB内に載置される。本実施形態では、チューブBの材料は、チューブAの材料よりも柔らかく、可撓性があり、デュロメータ硬さが低くなっている。タングステンを含むチューブWは、チューブBの遠位端上に載置され、チューブAとBが重なり合う中間領域の直ぐ遠位側に位置している。
【0133】
チューブAは、近位端が内側カテーテルの遠位端の上を摺動するような特大サイズであってもよい。チューブAを加熱することにより(チューブB、Wを加える前、又は加えた後)、チューブAを内側カテーテルに焼き嵌めすることができる。その後、3本のチューブA、B、及びWを加熱して溶かし、材料リフロー工程を使って内側カテーテルに接着してもよい。複数の層は、並列又は直列に加工してもよい。
図17Aの中間部分では、チューブAとチューブBが重なっているが、チューブAとチューブBの材料は、中間部がもはや離散的な層を持たず、材料のブレンドから構成されるように、リフロー工程でブレンドされてもよい。焼き嵌め及び/又はリフロー工程の温度プロファイル、時間、その他のパラメータは、材料の選択、直径、厚みにより異なっていてもよい。幾つかの実施形態では、材料A、B、Wは各々異なる色を持ち、リフロー工程中に混ざり合うこともあれば、区別されたままであることもある。この開示された製作方法では、材料の選択と積層により、異なる屈曲プロファイルの成形チップを形成することができ、突然の推移ではなく、剛性から可撓性への勾配推移を提供し、カテーテルチップのよじれを減らすことができる。
図17Aに描かれた構成は、その形状に対する強固な保持力、比較的厚い壁、及びその遠位のチップ付近の放射線不透過性マーカを有するという特徴を含むが、製造が困難な場合がある。
【0134】
図17Bを参照すると、
図17Aに示される構成と同様の成形チップが提供される。この例では、チューブA及びBの間の重なり領域はより長く、チューブBが重なり領域から遠位に延びる長さはより短く、チューブWは、
図17Aに示す例のように重なり領域から遠位側ではなく、近位側に位置している。
図17Bに描かれた構成は、その形状に対して良好な保持力、比較的厚い壁、その遠位のチップから離れた放射線不透過性マーカを有するという特徴を含み、
図17Aに示されるチップよりも製造が困難でない。
【0135】
図17Cを参照すると、
図17Aに示される構成と同様の成形チップが提供される。この例では、使用するチューブは、A及びWの2本だけである。
図17Aに示すように狭いマーカバンドWのみを有する代わりに、
図17Cに示すように、遠位のチューブW全体がタングステンのような放射線不透過材料を含んでもよい。この例示の実施形態では、チューブWの材料は、チューブAの材料よりも柔らかく、より可撓性があり、より低いデュロメータ硬さを有する。
図17Cに描かれた構成は、その形状に対して良好な保持力と、その遠位のチップまで延びる放射線不透過性マーカを有し、可撓性/剛性の勾配が少なく、先に説明したチップと比較してかなり容易に製造できるという特徴を含む。
【0136】
図17Dを参照すると、
図17Aに示される構成と同様の成形チップが提供される。この例では、第4の材料Cが使用されている。A、B、及びCの各材料は、遠位方向に行くほど漸進的に柔らかくなり、より可撓性が高くなって、デュロメータ硬さが低くなる。
図17Dに描かれているように、本実施形態の成形チップには、6つの領域(近位から遠位まで)A、A+B、A+B+C、B+C+W、B+C、及びCが存在する。
【0137】
図17Eを参照すると、
図17Cに示される構成と同様の成形チップが提供される。この例では、7つの材料が使われている。A、B、C、D、E、及びFの各材料は、遠位方向に行くほど漸進的に柔らかく、より可撓性を高くなって、デュロメータ硬さが低くなる。
図17Eに描かれているように、本実施形態の成形チップには、8つの領域(近位から遠位まで)A、A+B、A+C、A+D、A+W、A+E、E及びFが存在する。チューブB、C及びDは、チューブE及びFと同様に、互いに重なるのではなく、接している。この実施形態ではチューブAがチューブEの一部のみを通過して延びているので、チューブE及びFを融合する際にマンドレル上に一時的に装着し、正しい位置関係を確保することができる。
図17D及び17Eの構成は、先に記載した実施形態よりも可撓性/剛性の勾配が大きい。また、材料の壁厚を変えることで、チップのパフォーマンスと挙動を更に調整することも可能である。
【0138】
図17A~17Eに描かれた例示の実施形態では、2本のチューブ間に突き合わせ接合ではなく、重なり接合がある場合、2本のチューブのうち、より遠位のチューブがより近位のチューブの上を摺動する。これは、成形チップの製造を完成させた後に、外側(遠位の)チューブの縁が残っていても、患者の血管系に挿入する際に支障がないようにするためである。このような外縁が製造後も残っていると、成形チップがカテーテルとともに患者から引き抜かれる際に、摩擦が大きくなったり、更に/又は湾曲した血管系の特徴部に引っかかったりする可能性がある。しかし、カテーテルが血管系を通って前進せずに座屈する傾向があり、挿入時には圧縮された状態とことなり、カテーテルの抜去時には、カテーテルに張力がかかっているため、この問題はあまり生じない。別の実施形態(図示せず)では、製造中に、2本のチューブのうちより近位側のチューブを、より遠位側のチューブの上に摺動させてもよい。
【0139】
図18を参照すると、製造の様々な段階にある3つのカテーテルチップを示す平面図が示されている。3つのチップは全て、先に記載した
図17Aに示すものと同様の積層工程を用いて形成される。カテーテルチップ250は、様々な層が一緒にリフローされた後に容易に分からないように、概ね同一色である材料を使用する。チップ252では、それぞれ色の異なる材料A、W、及びBを使用している。このような幾つかの実施形態では、リフロー工程の後でも材料の色ははっきり識別できる状態である。他の実施形態では(図示せず)、様々な重なり合う材料の色が混ざり合い、異なるチューブ材料がもはや容易に識別できないようになっている。
【0140】
先に記載したような直線状のカテーテルチップを形成した後、非直線状の構成に成形することができる。例えば、
図18に示すチップ250は、その直線的な構成で使用できる一方、チップ252は、図示のように湾曲したチップ254に形成されてもよい。上述のリフロー工程後、材料を所望の形状に硬化させるために、低温で使用することも可能である。リフロー温度未満の温度、例えばPEBAチューブの層状構成では華氏225度でおよそ120乃至180秒間、材料を所望の形状に保持することで、寸法的な態様を変えずにチップの全体形状を変化させることができる。これらの温度と時間のパラメータは、所望の形状を有する成形用マンドレルをチップの中央ルーメンの遠位端を通して挿入した後、対流ベースの技術に作用する。マンドレルの代わりに、或いはマンドレルと併用して、所望の形状を有する外型やツールを用いてもよい。チップを空気以外の媒体に接触させる場合、形状変化工程の際に寸法変化が決して起きないように温度を調整する必要がある場合がある。例えば、ガラスやアルミニウムの固定具などにチップを保持する場合、華氏110乃至150度の温度が必要で、この温度では、保持する時間が短くてもよい。
図18に示すように、この例示の実施形態の成形チップ254は、チップ254が弛緩状態にあるときにカテーテルの本体258の長手方向軸線から逸脱するように構成された直線状の遠位の部分256を有する。直線状の遠位の部分256は、長手方向軸線から約70度の角度を通って延びている。図示のように、直線状の遠位の部分256と本体258との間に湾曲部分260が設けられてもよい。この例示の実施形態では、湾曲部分260は、約0.10インチ、すなわちチップ254を形成するチューブの外径の約3倍の内側曲げ半径を有する。このように曲げ半径を小さくすることで、カテーテルチップを血管系の中のより狭い湾曲部を通して操作することができる。他の実施形態では、曲げ半径はより小さくてもよく、より大きくてもよい。幾つかの実施形態では、同一の直径のチューブでこれより小さい曲げ半径はガイドワイヤで縦走するのが困難であるため、曲げ半径は約0.015インチ以上である。
【0141】
図19を参照すると、更に3つの例の成形したカテーテルチップを概略的に示す。チップ262は、
図18のチップ254と同様であるが、より尖った屈曲部264を有する。チップ266は、3つの屈曲部268、270、272を含む。第1の屈曲部268は、遠位のチップに向かって次第に小さくなる曲げ半径を有する。第2の屈曲部270は、第1の屈曲部268と同一の方向に曲げ半径を小さくしている。屈曲部268と270が一緒になってチップ266を約180度回転させ、フック形状を形成する。第3の屈曲部272は、屈曲部268及び270よりも大きな曲げ半径を有して反対方向に屈曲している。チップ274は、2つの尖った屈曲部276及び278を含み、それぞれが反対方向に屈曲し、直線部分280によって分離されている。本明細書で開示する製造技術を使用して、単一又は複数の屈曲形状のチップの様々な他の組み合わせが可能になる。例えば、チップ266と同様のJ字型チップは、一定の半径の単一の連続した屈曲部を有し、180度、120度乃至160度の間、又は他の角度で延びていてもよい。
【0142】
図20A乃至
図20Dを参照すると、成形チップ254が、内部でガイドワイヤを前進させることにより、漸進的に直線状になる状態を示す一連の図が提供されている。先に記載したように、カテーテル及び成形チップ254は、可撓性ガイドワイヤ282を受容するように構成された中央ルーメンを備えている。
図20Aは、弛緩状態にあり、62度の偏向角を有する成形チップ254を示す。
図20Bに示すように、ガイドワイヤ282の遠位のチップが成形チップ254に通されると、ガイドワイヤ254の剛性により、チップ254は、この場合35度など、より真っ直ぐな構成に向かって(すなわち、本体258の長手方向軸線から62度未満のずれ角を有するように)移動する。ガイドワイヤは、その遠位端からその近位端に向かって剛性が増すものを使用してもよい。チップ254を通してこのようなガイドワイヤ282を更に前進させると、チップ254がカテーテルの長手方向軸線に向かって更に直線状になるようにする。この例示の実施形態では、チップ254を通るガイドワイヤ282の10mmの延長部は、
図20Bに示すように35度の角度に直線状にされ、30mmの延長部は、
図20Cに示すように16度の角度にされ、80mmの延長部は、
図20Dに示すように12度の角度にされる。したがって、外科医は、ガイドワイヤ282の深さでチップの角度を調整することによって、患者の血管系に於ける湾曲部を通してチップ254を操作することができる。
【0143】
先行技術の成形チップは、一般的に、単一の材料で作られており、多くの場合、約1.5乃至3.0cmの間の長さを有している。本明細書に開示された製作技術を用いれば、より短い距離で同様の屈曲プロファイルを実現することができる。幾つかの実施形態では、ベースカテーテルを越えて延びる本発明のチップの長さは、0.3乃至1.0cmの間である。このように長さが短いことによって、カテーテルの遠位のチップからバルーンなどの操作インターフェースまでの距離を最小化しつつ、血管系内のより狭い湾曲部を通って操ることができるようになる。これにより、治療用送達などのような所望の用途に合わせて、操作インターフェースと遠位のチップを正確に位置決めすることができる。
【0144】
1つの特定の例示の実施形態では、
図17Cに示されるものと同様の開始構成で、2つのPebaxチューブから成形チップが形成される。チューブAは35デュロメータ硬さのPebaxに40%の硫酸バリウムを注入し、潤滑性を高めたものである。また、材料が、より長時間、より高温、及びより長い時間の紫外線・蛍光灯への曝露に耐えられるように、安定剤を添加することもある。本実施形態では、チューブAの内径は0.031インチ±0.0005インチ、壁厚は0.004インチ±0.0005インチ、同心度は≧85%、長さは4.0mmである。チューブWは、70重量%のタングステンを注入した25デュロメータ硬さのPebaxから作られている。安定剤をチューブWに加えてもよい。チューブWの内径、壁厚、公差、長さはチューブAと同一である。
【0145】
図17Aに示す構成と同様の別の実施形態では、BaSO
4添加剤を有する55デュロメータ硬さのPebaxチューブがチューブAとして使用され、35デュロメータ硬さのPebaxチューブがチューブBとして使用され、タングステンを含有する25デュロメータ硬さのPebaxチューブがチューブWとして使用されている。チューブAはデュロメータ硬さが高いため、およそ華氏25度の高い温度で加工する必要がある場合がある。
【0146】
異なる材料を積層又は突き合わせることによって形成された本明細書に開示された、成形したカテーテルチップは、改善された屈曲プロファイル、カテーテルチップのよじれを軽減できる急激な変化ではなく、剛性から可撓性への勾配の推移を提供することができ、且つ、血管系内の狭い屈曲部を通してより容易に操るために、より短いカテーテルチップの長さでより鋭い屈曲を提供することができる。
【0147】
幾つかの実施形態では、外側カテーテルは、近位の外側カテーテル部分116及び遠位の外側カテーテル部分118のような、近位の外側カテーテル部分及び遠位の外側カテーテル部分を含む。2つの部分は、多様な技術で互いに固定することができる。
図21A乃至
図21Cは、近位の外側カテーテル部分302が遠位の外側カテーテル部分304に位置306で固定される例示の方法を示す。近位のカテーテル部分と遠位のカテーテル部分に使用される材料の種類によっては、2種類の材料を直接、確実に固定すること、例えば、2つの部分の間の突き合わせ接合などが困難な場合がある。例えば、2つの異質な材料同士は、使用中に決して引き離されないように確実に接着することが困難な場合がある。例えば、一方の部分がポリイミド、隣接する部分がPEBAX材料を含む場合、使用時に、これらの部分が互いから弾き離されないように突き合わせ接合部で2つの部分を確実に熱融着させることが難しい場合がある。
図21A乃至21Cは、近位の外側カテーテル部分を遠位の外側カテーテル部分に固定する(又は少なくともより確実に固定する)ために1つ又は複数の外側固定層が使用される実施形態を例示している。
図21A乃至21Cは、近位側外側部分302、遠位側外側部分304、第1のオーバーレイ固定部材308、及び任意の第2のオーバーレイ固定部材310を含む外側カテーテル300の一部分を示す。
図21Bは、領域306で接合されている近位の部分及び遠位の部分の各々に於ける編組材料を示している。
【0148】
図21Cは、近位側外側部分302及び遠位側外側部分304を有する、例示の外側カテーテル300の拡大部分を示す図である。外側カテーテル300はエポキシ接着剤層312を含み、その底部は1つ又は複数の繊維314(例えば、ケブラー)で補強されている。第1のオーバーレイ固定部材308は、繊維強化底部エポキシ接着剤層312の上に配設される。部材308の上には第2のエポキシ接着剤層が配設され、第2の接着剤層の上には第2のオーバーレイ固定部材310が配設される。
【0149】
第1の固定部材308で、近位の部分及び遠位の部分を固定するのに十分であるが、第2の固定部材310を使用すると、外側カテーテル部分が決して離れないようにするためにさらなる補強を提供することができる。幾つかの例示の実施形態では、部材308及び310は、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)を含んでもよい。
【0150】
幾つかの実施形態では、第1及び第2のオーバーレイ固定部材の長さは、0.01インチ乃至0.2インチとの間であってもよい。幾つかの実施形態では、第1及び第2のオーバーレイ固定部材の厚みは、0.0001インチ乃至0.001インチの間であってもよい。
【0151】
図21A乃至21Cは、隣接する外側カテーテル部分の半径方向外側に配設され、2つの隣接する部分に軸方向に重なる1枚又は複数枚の層で固定される(又は少なくともより確実に固定される)軸方向に隣接する外側カテーテル部分(例えば、302、304)を含むカテーテルを例示している。接着剤層(単数又は複数)はまた、2つの隣接する外側カテーテル部分の半径方向外側にあり、隣接する外側カテーテル部分に軸方向に重なっている。
【0152】
図21A乃至21Cに示される例示の外側カテーテルの部分は、本明細書のカテーテルの何れにも組み込むことができる。
【0153】
本明細書で説明しているように、カテーテルの一部は、膨張可能なバルーンを含む。何れの実施形態に於いても、圧縮部材を使用して、バルーン端部をカテーテルの一部分に取り付ける(又は取り付けるのを助ける)圧縮接着を形成することができる。圧縮接着は、バルーン材料を変形させ、カテーテルの一部分に対するバルーン素材の位置を維持するのに役立つ。ここでいう圧縮接着とは、機械的な拘束と考えることができる。
【0154】
バルーンをカテーテルに取り付ける従来日常的に使われている方法としては、熱接着の使用であるが、溶剤や接着剤を使用することもある。しかし、シリコーンはこれらの方法の何れでも取り付けできない。バルーンの片端又は両端をカテーテルの一部分に圧縮接着することで、シリコーン材料を含むバルーンを固定し易くすることができる。シリコンは優れた特性を持つが、接着が困難なため使用されていない。よって、圧縮接着により、シリコーン材料を含むバルーンのカテーテルへの接着が容易になる。
【0155】
圧縮接着を実装するために、本明細書に於けるカラーの何れを用いてもよく、カラーは、小さな環状部材の形態をとり、バルーンの遠位端及び近位端に配設されてもよい。カラーは、バルーン外側表面以外のカテーテルの任意の他の部分に固定されている必要はない。本明細書で使用されるカラーは、本明細書の支持シースと互換的に使用することができる。
【0156】
図22乃至
図25は、例示のバルーン接着技術を示し、その何れもが本明細書のカテーテルの何れに於いても実施可能である。
図22乃至
図25の実施形態の何れかに関連する本明細書の好適な開示は、本明細書に特に示されていない場合でも、
図22乃至
図25の実施形態に組み込むことができる。
【0157】
図22は、外側カテーテル322、内側カテーテル324、バルーン326、アダプタ328、及び遠位のチップ334を含む例示のカテーテル320を示す図である。近位のカラー330は、バルーン326の近位端に圧縮接着を形成することができ、一方、遠位のカラー332は、バルーン326の遠位端に圧縮接着を形成することができる。カテーテル320は、本明細書の他の任意の実施形態に従って変更されてもよい(例えば、アダプタ328は、内側アダプタであってもよい)。
【0158】
図23は、外側カテーテル352、内側カテーテル354、バルーン356、アダプタ358、及び遠位のチップ364を含む例示のカテーテル350を示す図である。近位のカラー360は、バルーン356の近位端に圧縮接着を形成することができ、一方、遠位のカラー362は、バルーン356の遠位端に圧縮接着を形成してもよい。接着剤366も示されており、これは、本明細書の他の場所で議論される接着剤による接着部を形成するよりもむしろ摩擦を作り出すのに役立ち得る。カテーテル350はまた、バルーン356内に配設され、内側カテーテル354に固定されたマーカバンド368を含むことができる。カテーテル350は、本明細書の任意の他の実施形態に従って変更されてもよい(例えば、アダプタ360は、内側アダプタであってもよい)。
【0159】
図24は、外側カテーテル371、内側カテーテル372、バルーン373、アダプタ374、支持シース/カラー375、及び遠位のカラー376を含む、例示のカテーテル370の一部分を示す。近位のカラー375は、バルーン373の近位端に圧縮接着を形成してもよく、一方、遠位のカラー376は、バルーン373の遠位端に圧縮接着を形成してもよい。遠位のカラー376は、バルーン373と内側カテーテル371とに重なる。
【0160】
図25は、外側カテーテル382、内側カテーテル381、バルーン383、アダプタ384、近位の環状カラー385、及び遠位の環状カラー386を含む、例示のカテーテル380の一部分を示す図である。近位のカラー385は、バルーン383の近位端に圧縮接着を形成してもよく、一方、遠位のカラー386は、バルーン383の遠位端に圧縮接着を形成してもよい。
図25では、カラーは環状であり、バルーン以外のカテーテル表面と係合することはない。
図24乃至
図25の近位のカラー及び遠位のカラーは、互いに互換的に使用することができる(例えば、1つのカラーは、バルーンのみと境界をなし、1つのカラーは外側シャフト又は内側シャフトに重なる)。
【0161】
本明細書に於けるバルーンは、何れも、ラテックス、ウレタン、ポリウレタン、及び/又はナイロン材料を含んでもよい。
【0162】
シリコーン材料を含む本明細書に於けるバルーンは、何れも、シリコーン共重合体を含んでもよく、2種以上のシリコーンを含んでもよく、及び/又はラテックスとシリコーンとを含んでもよい。
【0163】
本明細書のアダプタは、何れも、PETを含んでもよく、また、本質的にPETから構成されていてもよい。本明細書に於けるカラー及びシースは、何れも、PETを含んでもよく、また、本質的にPETから構成されていてもよい。
【0164】
本明細書に於けるカテーテルは、何れも、その全文があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,844,383号に記載された何れかの方法又は何れか1つ又は複数のステップに使用することができる。
【0165】
カテーテルによっては、カテーテルの近位の領域に配設されたハブを含んでもよい。ハブによっては、ハブを通してカテーテルの1つ又は複数の部分に流体を送達することができる、1つ又は複数の流体ポートを有していてもよい。ハブによっては、ハブに対して遠位方向に伸びる1つ又は複数のカテーテルシャフト部分と比較して、相対的に非常に剛性が高い場合がある。カテーテルによっては、ハブとカテーテルシャフトとの境界でのよじれを軽減するために、ハブからカテーテルシャフトの近位の部分にかけて延びるストレインリリーフを含んでもよい。
図1は、例えば、Yハブ110、(例示の内側シャフト112を例示するために、製造されるように更に遠位に延長して示される)ストレインリリーフ114、及びカテーテルの外側シャフト116を含む例示のカテーテル100を示す。この例示の実施形態では、カテーテルは外側シャフトと内側シャフトを含むが、本明細書のカテーテルは、何れも、1本のシャフトのみを有していてもよい。ハブ110は、内側シャフト112内の中央ルーメンに流体を送達することを可能にする第1のポート(この例では近位)、及びこの例示の実施形態である内側シャフトと外側シャフトの間の容積及び膨張バルーン120の内部と連通する第2のポート128(この例では横)を含んでいる。
【0166】
カテーテルとハブの接合部では、異なる構成要素の可撓性の違いによりよじれ点が発生し、その部分でカテーテルがよじれる傾向が強まることがある。一般的に使用されているカテーテルのうちの一部は、通常は全長に亘って可撓性があり、カテーテルとハブの境界を除いて、よじれる可能性がないものがある。この例では、剛性のプラスチックハブと可撓性のカテーテルとの間に一般的に使用されるストレインリリーフは、
図1の円錐形状のゴム又は同様の材料、例えば、円錐形のストレインリリーフ114で、剛性のプラスチックハブと近位のカテーテル部分のそれの間にある可撓性を持ち、この境界でカテーテル損傷を低減する方法を提供する。本明細書のカテーテルは、よじれる傾向がより強い、より剛性又は脆い近位の部分を含み得るカテーテルの例であり、よって、この接合部に於けるよじれ点を実質的に軽減するには、この一般的な円錐形状のストレインリリーフ(
図1に於けるリリーフ114など)で十分であり得る。
【0167】
したがって、ハブとカテーテルとの境界領域で可撓性を可変推移させることは有益であり、又は必要でさえある場合がある。
【0168】
幾つかの実施形態では、本明細書の開示は、可変推移ゾーンと組み合わせて、2段階の推移ゾーンを構成することができる、円錐形状のストレインリリーフを含む。
図27は、2段階の推移ゾーンを有するカテーテル450の例を概略的に示す図である。カテーテル450は、縦縞の領域で示される領域「B」として一般に示される可変推移ゾーンと組み合わせて、ハブとカテーテルの境界領域に於いて2段階の推移ゾーンを構成された、円錐形状のストレインリリーフ460を含む。この実施形態では、2段階推移ゾーンの近位端は、ハブ458に機械的に接続され、2段階推移ゾーンの遠位端は、カテーテルが2つ以上のシャフトを含む場合は外側カテーテルシャフトであってもよく、又はカテーテルの唯一のシャフトであってもよい、カテーテルシャフト452の近位の領域上に取り付け又は摺動可能に載置される。
【0169】
ストレインリリーフ460は、ゴム、ラテックス、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、又は剛性ハブ458よりも可撓性の高い任意の材料で作られてもよい。ストレインリリーフ460は、1cm乃至7cm、最適には2cm乃至5cmの範囲の長さを有していてもよい。
【0170】
カテーテル450は、可変推移ゾーンB(領域C及びD、並びにストレインリリーフ460内の領域を含む)を含む。幾つかの実施形態に於ける可変推移ゾーンは、近位の外側カテーテル上を摺動し、その近位端に於いて円錐形ストレインリリーフ460のものと同様の可撓性を有し、その遠位端に於いて近位のカテーテルシャフト452のものと実質的に同様の又は同一の可撓性を有する管状部材の形態であってよい。可変推移ゾーンBの長さは、2cm乃至20cmの間であってもよく、より好ましくは5cm乃至15cmの間である。可変推移ゾーンの厚みは、0.05mm乃至0.5mmの範囲であってもよく、より多くの場合には0.07mm乃至0.25mmの間の範囲であってもよい。可変推移ゾーンは、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリエチレン、PEBAX、ステンレススチール、ニチノール、合金、又は一般的に使用される金属で作られてもよい。可変推移ゾーン又は領域の材料の厚み又は組成に関しては、その長さに沿って可変の可撓性を有するような、又はその長さに沿って機械的に変化して可変の可撓性を生み出す材料を使用することにより形成することができる。本明細書で説明する多段階推移では、2つ、3つ、4つ、又は多くの異なる段階又は材料が使用されることがある。一例示に過ぎないが、ステンレススチールチューブをその長さ方向にレーザエッチングし、例示の
図28に示すように、近位端から遠位端に向かって頻度が増加する一連の切欠きを漸進的に形成することができる。切欠きの頻度が高くなると、金属が少なくなり、可撓性が高くなる。切欠きの頻度は、近位端の可撓性が可変ストレインリリーフの直ぐ近位の材料の可撓性に類似し、可変ストレインリリーフの遠位端の可撓性が可変ストレインリリーフの直ぐ遠位側の材料の可撓性に実質的に同様となるように調整されてもよい。それによって、前述の(
図27に示すような)2段階可変推移ゾーンは、高剛性のプラスチックハブ458からよじれ可能な近位のカテーテルシャフト452に推移し、可変推移ゾーンの下(又は中)及び可変推移ゾーンと近位のカテーテルシャフトとの接合部にある近位のカテーテルシャフトのよじれを実質的に防止している。それによって、円錐形のストレインリリーフ(
図27のリリーフ460など)は、ハブ458と可変推移ゾーンとの間のよじれを実質的に防止し、可変推移ゾーンは、可変推移ゾーンと近位のカテーテルシャフトとの間の接合部に於ける近位のカテーテルシャフトのよじれを防止している。これらは、本明細書の開示の例示の利点である。
【0171】
本明細書の実施形態では、カテーテルは、1本又は複数本のシャフトを含んでもよい。本明細書では、可変推移ゾーンとの接合部を形成するシャフトを「外側」シャフトと呼ぶことがあるが、それは必ずしも外側シャフトの中に内側シャフトを必要とするわけではない。したがって、本明細書のカテーテルは、1本のシャフトのみを有し、そこを通るルーメンを含んでもよい。
【0172】
上述したように、カテーテル450の可変推移ゾーンは、チューブの形態であってもよい可変の可撓性ストレインリリーフ部材456(ストレインリリーフ又はストレインリリーフ部材とも表現する場合もある)を含んでもよい。
図27は、カテーテルの異なる構成要素の部分の例示に過ぎない長さを示すものであり、限定することを意図していない。
図27に於いて、カテーテルは、
図26のカテーテル400に組み込まれてもよいが、明瞭化のために
図26には示されていない円錐形ストレインリリーフ460(
図29に示されている別の例)を含む。ストレインリリーフ456は、ハブ458内に延びる近位の領域を有し、ハブ458から遠位方向に、そしてシャフト452の周囲に延び、
図27の「D」領域又はゾーンの直ぐ遠位側に遠位端を有する。円錐形部分を有する外側ストレインリリーフ460は、ハブ458の遠位端の周囲に配設される近位端を有してよく、ハブ458から遠位方向に、カテーテルシャフト452の周囲に延びてもよい。すなわち、ストレインリリーフ456は、外側ストレインリリーフ460を通って延びるので、本実施形態及び他の同様の実施形態に於いて「内側」ストレインリリーフと見なされる場合がある。
【0173】
上述したように、ストレインリリーフ456には、近位から遠位方向に頻度が増加する切込みが形成されていてもよく、それによって、近位から遠位方向に管状部材の可撓性を増加させることができる。可撓性は、2つの構成要素の間の接合部に於いて、隣接する構成要素の可撓性と一致する、又は実質的に同様となるように設計することができる。可撓性は、領域Cと領域Dの間で増加してもよい。
【0174】
図26は、カテーテル400の例示の近位の領域を概略的に示すものであり、この領域は、カテーテルシャフト402、任意の内側カテーテルシャフト404、可変の可撓性ストレインリリーフ部材406、及びハブ408を含む。明確にするために示されていないが、カテーテル400は、円錐形のストレインリリーフも含むことができ、このストレインリリーフは、ストレインリリーフ406と共に、多段階の可変の可撓性領域を形成することができる。内側シャフト404は任意であり、カテーテルは、図示のものよりも更に近位方向にハブ内まで延び得るシャフト402のような単一のカテーテルシャフトを有していてもよいことが理解されよう。ハブは、ハッシュ線で示すように、その中を軸方向に伸びる内側ルーメン409を含む。ストレインリリーフ部材406は、ハブ408の内側にある遠位端410及び近位端412を含む。ストレインリリーフ部材406は、シャフト402の一部分の周囲に延びている。カテーテルがよじれの影響を受けやすい可能性がある位置430も図示されている。ストレインリリーフ部材406の遠位端の直ぐ近位側にある位置420も、構成要素間の接合部及び可撓性の違いにより、よじれの影響を受けやすい可能性がある。
【0175】
可変推移ゾーンの重要な態様は、その全長に亘って可変推移ゾーンの可撓性が一定でないことである。逆に言えば、長さ方向に可撓性が変化するということである。これにより、本明細書のストレインリリーフ部材は、その長さ方向の異なる部分に於いて所望の可撓性を有するよう設計することができる。このように、ストレインリリーフ部材の長さ方向の任意の位置で、必要性に応じた可撓性が設計可能である。本明細書の幾つかの実施形態で用いられるように、ストレインリリーフ部材は、ストレインリリーフ部材に直ぐ隣接する任意の特定の軸方向位置に於いても、追加のカテーテル構成要素と同一又は実質的に同様の可撓性を有することができる。これは、本明細書では一般に、隣接するカテーテル構成要素の可撓性を一致させる、又は実質的に一致させると呼ぶことがある。同様の、同一の、或いは実質的に同一の可撓性を持つ構成要素を設計することで、それらの構成要素間の境界でのよじれの可能性を低減することができる。例えば、外側ストレインリリーフの遠位端の直ぐ遠位側にある内側ストレインリリーフの領域では、内側ストレインリリーフ部材は外側ストレインリリーフと実質的に同一の可撓性を有していてもよい。更に例えば、カテーテルシャフトの周囲に配設されるストレインリリーフ部材406の遠位端又は遠位端領域(例えば、410)は、カテーテルシャフト402と同一又は実質的に同様の可撓性を有していてもよい。
図26では、例えば、位置420でのよじれを排除又は低減することができる。したがって、ストレインリリーフの長さに沿った可撓性の変化は、カテーテル内の他の構成要素の材料に応じて、カテーテルの近位端領域の1つ又は複数の領域に於けるよじれの可能性を低減するか、或いは排除するように設計することができる。
【0176】
本明細書の開示では、可変の可撓性部材とストレインリリーフ部材という表現を互換的に使用することができる。更に、本明細書のストレインリリーフ部材の何れか(例えば、406)は、ストレインリリーフと表現されることもある。
【0177】
本明細書に於ける可変の可撓性部材の可撓性は、多種多様に変化させることができるように設計されている。例示に過ぎないが、可変の可撓性部材は、その長さに沿って、異なる可撓性を有する複数の離散的な部分を有していてもよい。更に、幾つかの部分は、その長さの少なくとも一部に沿って連続的に変化する可撓性を有していてもよい。長さ方向の任意の位置に於ける可撓性は、理論的には、あらゆるデザインニーズや好みを満足するように設計することができる。また、異なる可撓性領域の長さは、何れ必要に応じてデザイン上のニーズや好みを満足するように設計することができる。
【0178】
本明細書で使用する「実質的に同一又は同様の可撓性」は、特定の接合部の位置でのよじれを低減又は排除するように実質的に同様になるように設計された可撓性を指すことを意図している。
【0179】
可撓性の変化は、多様な技術を使用して製造時に作り出すことができる。例えば、幾つかの実施形態では、可撓性の変化は、管状部材に1つ又は複数の切込みを入れ(例えば、レーザエッチングを用いて)、その切り込みを所望の可撓性を付与するように作ることによって作り出すことができる。管状部材のレーザ切断は一般に知られており、そのような切込みを入れるためのいかなる技術も、可変の可撓性を有する管状ストレインリリーフ部材を作成するために用いることができ、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0180】
ストレインリリーフに可変の可撓性を持たせる別の方法として、軸方向に間隔をあけてデュロメータ硬さの異なる高分子材料の領域を使用することを含んでもよい。例えば、ストレインリリーフ部材は、その長さに沿って可変の可撓性を生み出すために、各々が異なるデュロメータ硬さ(D)を有する高分子材料の離散的な領域を含んでもよい。例えば、デュロメータ硬さのより高い材料はより近位に位置させ、より低いDの材料は遠位に配置することができる。管状部材の切断に関する本明細書の概念は、ポリマー製管状部分にも同様に適用できることが理解されよう。
【0181】
本明細書の実施形態の何れかに於いて、可変の可撓性部材は、その全長に沿って非一定の可撓性を有する。幾つかの単なる例示の実施形態では、可撓性は遠位方向に向かって増加する。これは、連続的に増加する必要があるということではなく、むしろ、遠位方向に増加することはないということである。可撓性は、複数のセグメントで段階的に増加させる、連続的に可撓性が増加するセグメントを1つ又は複数持たせるなど、任意の所望の方法で変化させることができる。また、他の用途では、任意の部分に於いて部分間の可撓性を、要望通り増加又は減少させることができる。
【0182】
本明細書に於けるストレインリリーフ、例えば456及び406は、所望の特性を付与することができる多様な適切な適した材料から作ることができる。幾つかの単なる例示の実施形態では、ストレインリリーフは、ステンレススチールの管状部材を含んでもよい。幾つかの実施形態では、ストレインリリーフは、既知の技術を用いて一緒に接着し得る1つ又は複数のポリマー部材から構成されてもよい。
【0183】
図28は、例示のストレインリリーフ500の例示に過ぎない軸方向部分を示し、管状部材に切込みを作ることによって管状部材の異なる部分の可撓性を変更する、例示に過ぎない幾つかの例示の方法を示す。これらの例示の切込みパターンは、不連続性によって区切られた概ね螺旋状の切込みを含んでもよい。例えば、
図28に示す例示の部分504は、第1の端511及び第2の端512を有する第1の切込みを含み、その切込みと次の切込みとの間に管状部材の一部分がある(ラベル付けされていない)。切込みパターン(ピッチ、切込みの軸方向間隔など)を変えることで、ストレインリリーフに所望の可撓性を付与することができる。
図28に於いて、領域502は、部分502の遠位側にある部分504、506、508及び510と比較して、切込みがなく、中実のチューブであり、比較的剛性である。部分502は、本明細書に於いて、比較的剛性の高い(例えば、プラスチック)ハブの何れかに配設されてもよい。部分510は、本明細書のストレインリリーフ(例えば、406、465など)の何れかの最遠位の領域であってよい。
図28の何れの部分も、任意の所望の長さを有することができる。
【0184】
幾つかの単なる例示の実施形態では、ストレインリリーフ(外側ストレインリリーフ以外)は、そこに作られた複数の切込みを有する、異なる可撓性を有する、少なくとも3つの軸方向に間隔を空けた領域を含む。第1の領域の少なくとも一部分は、外側ストレインリリーフ内に配設されてもよい。第2の領域の少なくとも一部分は、外側ストレインリリーフの遠位側まで伸びていてもよい。第3の領域は、ストレインリリーフの遠位端を含んでもよい。幾つかの実施形態では、ストレインリリーフは、近位端領域を含む第4の領域を含んでもよく、これは、他の3つの部分よりも剛性が高く、そこに切込みが形成されていなくてもよい(例えば、
図28の部分502)。
【0185】
第1の部分は、
図28の部分502のような中実のチューブであってもよい。幾つかの実施形態では、第1の部分は、0.2インチ乃至1インチ、例えば0.3インチ乃至0.9、例えば0.4インチ乃至0.8インチ、例えば0.5乃至0.7インチなどの長さを有してもよい。第1の部分は、少なくとも一部がハブ内に配設され、その上に相対的に固定されてもよい。
【0186】
第2の部分は、第1の部分の遠位側にあってもよい。第2の部分は、0.4インチ乃至2インチ、例えば0.5インチ乃至1.5インチまでの長さを有してよい。第2の部分の少なくとも一部分は、外側ストレインリリーフ(例えば、460)内に配設されてもよい。第2の部分は、第2の部分の近位端から第2の部分の遠位端に推移するピッチを有する推移部分であってもよい。単なる例示の実施形態では、ピッチは近位端で0.005乃至0.015インチ、遠位端で0.001インチ乃至0.009インチに推移してもよく、5乃至35度の間の角度で切込まれてもよい。
【0187】
第3の部分は、第2の部分の遠位側にある場合がある。第3の部分は、1.5インチ乃至3.5インチ、例えば1.75インチ乃至3インチまでの長さを有していてもよい。第3の部分の少なくとも一部分は、外側ストレインリリーフ(例えば、460)に対して遠位側に配設されてもよい。第3の部分は、第3の部分の近位端から第3の部分の遠位端まで変化しないピッチを有してよく、例えば、制限なく0.001インチ乃至0.01インチの間であってよい。
【0188】
第4の部分は、第3の部分の遠位側にあってもよい。第2の部分は、0.3インチ乃至1インチまでの長さを有していてもよい。第4部分の少なくとも一部分は、外側ストレインリリーフ(例えば、460)に対して遠位側に配設されてもよい。第4の部分は、第4の部分の近位端から第4の部分の遠位端に推移するピッチを有する推移部分であってもよい。単なる例示の実施形態では、ピッチは、近位端で0.001乃至0.01インチ、遠位端で0.001乃至0.007インチの間で推移してもよい。
【0189】
単なる例示の実施形態では、本明細書に於けるストレインリリーフ(外側ストレインリリーフ以外)の外径は、0.02インチ乃至0.07インチである。単なる例示の実施形態では、本明細書のストレインリリーフ(外側ストレインリリーフを除く)の内径は、0.01インチ乃至0.05インチである。
【0190】
カテーテル及びカテーテルシャフトに関して本明細書で説明した材料及び可撓性の何れかが、本明細書に於いてストレインリリーフ部材を説明する実施形態の何れかに組み込まれる。したがって、可撓性又は剛性の一致に関連する記述には、それらのシャフト部分からの可撓性の何れかを組み込むことができる。
【0191】
本明細書の幾つかの実施形態では、ストレインリリーフ部材(460などの「外側」ストレインリリーフ部材以外)は、近位端がハブに対して固定されているが、遠位端はカテーテルシャフトに対して固定されていない。これにより、ストレインリリーフの遠位端がカテーテルシャフトの上で自由に浮くことができるという利点が得られる。これは、カテーテルシャフトとストレインリリーフの間の相対的な移動量を制限することが望ましくない場合に有益となる場合がある。ストレインリリーフの遠位端とカテーテルシャフトを結合すると、好ましくないことによじれ点が生じることがある。ストレインリリーフの近位端は、接着、糊着など、任意の数の技術を使用してハブ内に固定することができる。
【0192】
本明細書のストレインリリーフは、本明細書に記載された以外の特性を有する可変の柔軟部分を有していてもよい。例えば、近位から遠位までの部分は、比較的剛性~より柔軟~比較的剛性~より柔軟とすることができる。これらは単なる例示の説明に過ぎない。
【0193】
本明細書に於ける管状ストレインリリーフは、カテーテルがよじれの影響を受けやすい可能性があるカテーテルの長さに沿っていかなる場所にも設置することができる。
【0194】
代替の実施形態では、カテーテルは外側ストレインリリーフ(例えば、円錐形のストレインリリーフ114)を除外してもよいが、ハブとカテーテルの境界に於けるよじれを低減又は防止するためにカテーテルシャフトとハブとの間にストレインリリーフ部材を含んでもよい。したがって、本明細書の実施形態は、外側ストレインリリーフ(ストレインリリーフ114など)を除外してもよいが、それでも可変推移ゾーンを含んでおり、その例が本明細書に記載されていることが理解されよう。
【0195】
図26乃至
図29に関連する開示は、何れも、
図1乃至
図25の何れかに含まれる本明細書の任意の他の部分に於ける任意のカテーテルの特徴又は使用方法に組み込まれてもよい。
【0196】
本明細書の実施形態の何れかに於いて、ストレインリリーフ(「外側」ストレインリリーフ以外)の遠位端は、その接合部に於いてカテーテルシャフトと実質的に同一の可撓性を有していてもよく、近位の領域は、それぞれの位置に於けるよじれ点を低減又は排除するように、その接合部に於いて第2の(外側)ストレインリリーフの遠位端とおよそ同一の可撓性を有していてもよい。ストレインリリーフ部材の可撓性は、これらの位置の間で変化することができる。
【0197】
図29は、外側ストレインリリーフ602(円錐形部分を含む)、ハブ604、近位端がハブ内に延びて固定されたストレインリリーフ606の近位端、例示のカテーテルシャフト608、及び例示のカテーテルシャフト610を含む例示のカテーテル600の例示の近位の領域を示す図である。カテーテル600は、ハブ内に固定された近位端部を有し得る1本のシャフトのみを含んでもよいことが十分に理解できよう。本明細書に於ける任意の他のカテーテルの任意の他の態様又は特徴は、カテーテル600に組み込まれてもよく、その逆もまた然りである。
【0198】
本明細書に於いて、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素の「上にある」と表現される場合、それは他の特徴又は要素上に直接存在することができ、又は介在する特徴及び/又は要素も存在可能である。対照的に、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素の「真上にある」と言われるとき、介在する特徴又は要素は存在しないものとする。また、ある特徴又は要素が他の特徴又は要素に「接続されている」、「結合されている」又は「連結されている」と表現されている場合、その特徴又は要素は他の特徴又は要素に直接的に接続、結合又は連結することができ、又は介在する特徴又は要素が存在してもよいことも理解されよう。対照的に、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素に「直接接続されている」、「直接結合されている」又は「直接連結されている」と表現されている場合、介在する特徴又は要素は存在しない。1つの実施形態に関して記載又は図示されているが、記載又は図示されている特徴及び要素は、他の実施形態に適用することができる。当業者にとって、他の特徴物と「隣接して」配設される構造又は特徴物は、隣接する特徴物と上下に重なる部分を有していてもよいことは理解できよう。
【0199】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明する目的で使用するものであり、本開示を限定することを意図したものではない。例えば、本明細書で使用するように、文脈から明らかに示されていない限り、単数「a」、「an」及び「the」は複数の形態も含むことを意図している。更に、本明細書で使用される「含む(comprise)」及び/又は、「含む(comprising)」という用語は、述べられた特徴、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除するものではないことが理解されよう。本明細書で使用される、用語「及び/又は」は、列挙された関連項目の1つ又は複数の任意及び全ての組み合わせを含み、「/」を省略してもよい。
【0200】
本明細書では、空間的関係を示す用語、例えば、「下に」「下方に」「より低い」「上に」「より上に」などは、図面に示すように、1つの要素又は特徴物の、他の要素(複数も含む)又は特徴物(複数も含む)に対する関係の説明を容易にするために使用している場合がある。空間的関係を示す用語は、使用中又は操作中のデバイスについて、図面に示した方位に加え、異なる配向も含むことを意図している。例えば、図面のデバイスを反転させた場合、他の要素又は特徴物の「下」又は「下方」にあると説明した要素は、その要素または特徴物の「上」の方位となる。よって、例示の用語「下」は、「上」と「下」の配向双方を含むことができる。デバイスは、別の方位とする(90度回転する、又は他の配向)でもよく、本明細書で使用する空間的関係性を示す記述用語はそれに従って解釈するものとする。同様に、説明のみを目的として本明細書で使用する「上方に」「下方に」「垂直に」「水平に」なども、特に指定がない限りは、説明の目的のみに使用する。
【0201】
「第1」及び「第2」という用語は、様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明するために本明細書で使用することができるが、これらの特徴/要素は、文脈がそのように示さない限りはこれらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、ある特徴/要素を別の特徴/要素と区別するために使用できる。したがって、以下で議論する第1の特徴/要素は第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、以下で議論する第2の特徴/要素は本開示の教示から逸脱することなく、第1の特徴/要素と名付けることができる。
【0202】
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して、文脈が他を必要としない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」という語及びその活用による変形は、方法及び物品に於いて結合して採用できる様々な構成要素を意味する(例えば、組成物及びデバイスを含む装置及び方法)。例えば、「含む(comprise)」及び/又は、「含む(comprising)」という用語は、任意の記載された要素又はステップを含むが他の要素又はステップを排除するものではないことを意味すると理解される。
【0203】
概して、本明細書に記載された装置及び方法の何れも包括的であると理解されるべきであるが、構成要素及び/又はステップの全て又は一部は、排他的であってもよく、様々な構成要素、ステップ、副次的な構成要素、副次的なステップ「から構成される」又は代替的に「本質的に~から構成される」と表現される場合もある。
【0204】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されているように、実施例で使用されているものを含み、他に明記されていなければ、用語が明示的に表示されていなくても全ての数は、用語「約」又は「およそ」が付くものとして読み取るものとする。記載された値及び/又は位置が、値及び/又は位置の合理的な予想される範囲内にあることを示すために、大きさ及び/又は位置を記述するときに、「約」又は「およそ」という語句を使用することができる。例えば、数値は、記載された値(又は値の範囲)の±0.1%、記載された値(又は値の範囲)の±1%、記載された値(又は値の範囲)の±2%、記載された値(又は値の範囲)の±5%、記載された値(又は値の範囲)の±10%などでもよい。本明細書に示される数値は、何れも、文脈が特に示さない限り、約又はおよそその値を含むと理解されるべきである。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されるものとする。本明細書に列挙された任意の数値範囲は、その中に包含される全ての下位範囲を含むことを意図している。当業者にとって適宜理解できるように、ある値「以下」、ある値「以上」、及び複数の値で可能性のある値の範囲も開示されていることは、理解できよう。例えば、値「X」が開示される場合、「X以下」及び「X以上」(例えば、Xは数値である)も開示されるものとする。また、本出願全体を通して、データは多くの異なる形式で提供され、このデータは終止点及び開始点、及びこれらデータポイントの任意の組み合わせの範囲を表すことも理解さできよう。例えば、特定のデータ点「10」及び特定のデータ点「15」が開示されている場合、10及び15より大きい、10及び15以上、10及び15未満、10及び15以下、及び10及び15と等しいことも、10と15の間と同様に開示されているとみなすことが理解されよう。2つの特定のユニット間の各ユニットもまた開示されると理解するものとする。例えば、10及び15が開示されている場合、11、12、13、及び14もまた開示されていると理解する。
【0205】
以上、様々な実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に対して多くの変更を行うことができる。例えば、説明された様々な方法ステップが実行される順序は、代替実施形態ではしばしば変更されてもよく、他の代替実施形態では、1つ又は複数の方法ステップが完全に省略されてもよい。様々なデバイス及びシステムの実施形態の任意の特徴は、幾つかの実施形態に含まれてもよく、他の実施形態に含まれなくてもよい。したがって、上記の説明は、主に例示の目的のために提供されるものであり、特許請求の範囲に明記される本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0206】
本明細書に含まれる実施例及び図解は、発明の主題を実施することができる特定の実施形態を図示するものであり、限定するものではない。上述したように、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的及び論理的置換及び変更を行うことができるように、他の実施形態を利用又は他の実施形態から導き出すことができる。本明細書では、発明の主題の実施形態は、便宜上、「本発明」又は「本開示」という用語で個々に、又は集合的に使用しているが、これは便宜上に過ぎず、実際に2つ以上が開示されていれば、本出願の範囲を任意の単一の発明又は発明の概念に自発的に限定しようとするものではない。したがって、特定の実施形態を本明細書に図示し説明してきたが、例示の特定の実施形態を、同一の目的を達成するために計算された任意の構成に置き換えることができる。本開示は、様々な実施形態の任意の及び全ての適合又は変形を網羅することを意図している。上記の実施形態と、本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態の組み合わせは、上記の説明を読めば、当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0207】
100 カテーテルシステム
4、322、371 外側カテーテル
6、324、354 内側カテーテル
10 外側アダプタ
12、72、375 支持シース/カラー
16 内側カテーテルルーメン
30 カテーテルアセンブリ
46 アダプタ
56 内側表面
64、84 第2の外側カテーテル
66 第2のアダプタ
74、288 カテーテルアセンブリ
110 Yハブ
112 内側カテーテル
114 ストレインリリーフ
200 外側アダプタ
120、120’、210、230、326、356、373、383 バルーン
328、360、374 アダプタ
320、350 カテーテル
328 アダプタ
372 内側カテーテル
456、460 ストレインリリーフ
452 カテーテルシャフト
【国際調査報告】