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特表2022-545254医療用インプラントおよび医療用インプラントのための送達装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(54)【発明の名称】医療用インプラントおよび医療用インプラントのための送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
A61B17/00 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511191
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2020073175
(87)【国際公開番号】W WO2021032773
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2019/000967
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522064269
【氏名又は名称】ホリスティック・メディカル
【氏名又は名称原語表記】HOLISTICK MEDICAL
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロッシュ,エレン
(72)【発明者】
【氏名】キロワー,マチュー
(72)【発明者】
【氏名】プーレティ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ポー,アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ガード,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ワーナック,ボリス
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノー,マエル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD55
4C160DD65
4C160MM33
(57)【要約】
本発明は、欠損(D)または空腔、好ましくは心房壁もしくは隔壁(W)の欠損 または左心耳を閉鎖するように適合された医療用インプラント(1)に関する。インプラント(1)は、閉塞装置(6)を備え、2つの状態を有する。それは、第1の状態において、欠損部位(D)に展開されるように適合され、そこで活性化機構によって第2の状態にすることができる。それは、上記第2の状態において上記欠損(D)を閉鎖するように適合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
欠損または空腔を閉鎖するように適合された医療用インプラント(1)であって、
前記医療用インプラント(1)は、閉塞装置(6)を備え、
前記医療用インプラント(1)は、2つの状態を含み、第1の状態において、欠損部位(D)に展開されるように適合され、
作動機構によって第2の状態にすることができ、前記第2の状態において前記欠損(D)または空腔を閉鎖するように適合されている、医療用インプラント(1)。
【請求項2】
前記医療用インプラント(1)は、少なくとも1つの周縁ディスク(5)、好ましくは少なくとも2つの周縁ディスク(5)を備える、請求項1に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの周縁ディスク(5)、好ましくは前記少なくとも2つの周縁ディスク(5)が、前記閉塞装置(6)を機械的に固定するように適合されている、請求項2に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項4】
前記閉塞装置(6)が、相互接続手段(20)、好ましくは縫合糸、ワイヤ、およびストラットからなる群のうちの少なくとも1つによって少なくとも1つの周縁ディスク(5)に接続されるかまたは接続可能である、請求項2または3に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項5】
編組構造(3)、好ましくはPLLAおよび/またはPLGAからなる編組構造(3)を備え、前記医療用インプラント(1)は、第1の状態において実質的に細長い形状を有するように適合され、第2の状態において長手方向軸(L)から直交して延びる少なくとも1つ、好ましくは2つのディスク(5)を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項6】
好ましくは前記医療用インプラント(1)の長手方向軸(L)に沿って配置された少なくとも1つの放射線不透過性マーキング(7)、好ましくはカフをさらに備える、請求項5に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項7】
前記編組構造(3)が、接着剤(14)、好ましくは無水接着剤で少なくとも部分的に、好ましくは完全に充填された少なくとも1つの内腔(13)を備え、前記空腔(13)が前記編組構造(3)の内側に位置する、請求項5または6に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項8】
前記医療用インプラント(1)が接着剤組成物(14)を含み、前記第1の状態において、前記接着剤組成物(14)が前記医療用インプラント(1)に包含され、前記医療用インプラント(1)が、第2の状態において前記接着剤組成物(14)を放出するように適合される、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項9】
前記医療用インプラント(1)は、少なくとも1つの空腔(13)を備え、前記接着剤組成物(14)は、前記少なくとも1つの空腔(13)内に配置され、前記少なくとも1つの空腔(13)は、前記接着剤組成物(14)を選択的に放出するように適合されている、請求項8に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項10】
前記医療用インプラント(1)が、前記接着剤組成物(14)が機械的変形、好ましくは機械的圧縮を受けて放出されるように適合されている、請求項8または9に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの周縁ディスク(5)、好ましくは前記少なくとも2つの周縁ディスク(5)が、機械的変形、好ましくは前記機械的圧力を前記閉塞装置(6)に選択的に加えるように適合されている、請求項2~4および請求項10のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項12】
前記医療用インプラント(1)が、好ましくは外面(17)に近接して配置された少なくとも2つの空腔(13)を備え、前記接着剤組成物(14)が、前記少なくとも2つの空腔(13)内に個別に配置された少なくとも2つの成分を備える、請求項8~11のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項13】
前記接着剤組成物(14)が、前記少なくとも2つの成分の混合によって硬化可能であるように適合されている、請求項8~12のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項14】
前記接着剤組成物(14)が、好ましくは電磁放射線への曝露によって漸進的に硬化するように適合されている、請求項8~13のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項15】
前記接着剤組成物(14)が、電磁放射線への曝露によって硬化可能であるように適合されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項16】
前記医療用インプラント(1)が、拡張可能材料、好ましくは形状記憶材料、さらにより好ましくはアルギン酸塩ベースの形状記憶材料を含む、好ましくはそれからなる、請求項8~15のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項17】
前記形状記憶材料は、展開時に拡張し、拡張時に前記欠損(D)を閉塞するように適合されている、請求項16に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項18】
前記医療用インプラント(1)は、中心直径(16)と、2つの周縁直径(15)とを含み、前記中心直径(16)は、前記周縁直径(15)よりも小さく、結果、前記医療用インプラント(1)は、ダンベル形状を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項19】
前記閉塞装置(6)が、好ましくは前記インプラント(1)の前記外面(17)に配置された心臓周囲組織(21)を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項20】
前記閉塞装置(6)は、前記第1の状態において可撓性であり、前記第2の状態において、好ましくは電磁放射線に曝露されると剛性になる材料を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項21】
前記医療用インプラント(1)が、近位端よりも剛性である遠位端を備え、結果、前記遠位端が左心房に向けたキャップとして機能するように適合されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項22】
前記インプラント(1)が、前記医療用インプラント(1)の内側の行き止まりの空腔(18)、好ましくはバルーンカテーテルを受け入れるように適合された空腔(13)、好ましくは細長い形状を有する空腔(13)を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項23】
前記インプラント(1)が自己拡張性である、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項24】
前記インプラント(1)は、特に前記インプラント(1)の長手方向軸(L)に沿って、光、特に可視光、紫外光、および/または赤外光に対して少なくとも部分的に透明である、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)。
【請求項25】
前記インプラントは、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、ヒト左心耳に実質的に対応するサイズおよび形状のうちの1つを有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項26】
前記インプラントは、長手方向軸に沿って第1の区画および第2の区画を有し、前記第1の区画は、前記長手方向軸に垂直な平面内で前記第2の区画よりも大きい断面を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項27】
前記インプラントが平坦な形状を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項28】
前記インプラントが、10~25mm、好ましくは15~20mmの範囲内の直径を有する少なくとも1つの区画を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項29】
先行する請求項のいずれか1項に記載の医療用インプラント(1)を搬送する送達装置(100)。
【請求項30】
患者内の空腔、好ましくは左心耳を閉鎖する方法であって、前記空腔が、請求項1~28のいずれか1項に記載の医療用インプラントによって閉鎖されることを特徴とする、方法。
【請求項31】
患者内の欠損、好ましくは心房壁または隔壁内の欠損を閉鎖する方法であって、前記欠損が、請求項1~28のいずれか1項に記載の医療用インプラントによって閉鎖されることを特徴とする、方法。
【請求項32】
患者の弁傍漏出を治療する方法であって、前記漏出は、弁インプラントと前記患者の組織との間の開口部によって形成され、前記開口部が、請求項1~28のいずれか1項に記載の医療用インプラントによって少なくとも部分的に、好ましくは完全に閉じられることを特徴とする、方法。
【請求項33】
医療用インプラント、好ましくは請求項1~28のいずれか1項に記載の医療用インプラントを製造する方法であって、
-処理される領域、特に開口部、欠損、および空腔のうちの1つを画像化するステップと、
-前記処理される領域のサイズおよび形状のうちの少なくとも1つを決定するステップと、
-前記治療される領域と少なくとも同じサイズおよび/または形状を有するようにインプラントを設計するステップと
を含む、方法。
【請求項34】
患者内の空腔、好ましくは左心耳を閉鎖する方法であって、前記空腔の外側の領域を封止し、前記空腔を潰すように前記空腔に負圧を印加するステップを含み、前記潰れた空腔を接着剤で充填するステップ、および、前記潰れた空腔を恒久的に封止するステップのうちの少なくとも1つをさらに含む、方法。
【請求項35】
患者内の空腔、好ましくは左心耳の空腔を治療するための治療装置であって、前記空腔を少なくとも一時的に封止するように適合された封止部材を備え、少なくとも、前記封止部材の遠位の領域に負圧を加え、および/または流体を輸送して、前記空腔を潰すように適合された流体伝送路をさらに備える、治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前文に記載の医療用インプラントおよび医療用インプラントを埋め込む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば心房中隔欠損(ASD)または心室中隔欠損(VSD)などの組織の欠損は、典型的には低侵襲的に治療されるヒトにおいてかなり一般的な状態においてある。そのような欠損は、息切れならびに心臓および肺へのより高い負担などの様々な症状を引き起こす可能性がある。
【0003】
同様の状態が、例えば人工心臓弁における弁傍漏出などのインプラントの不完全な嵌合によって引き起こされる欠損から生じ得る。
【0004】
人体の空腔は、生理学的に正常であっても、病状を引き起こす可能性がある。例えば、血栓が、左心耳(LAA)に形成され得、特に心房細動を有する患者において、脳卒中などの状態を引き起こし得る。
【0005】
結果として、従来技術では無数の埋め込み型装置が提案されており、その多くは低侵襲的な方法で展開することができる。
【0006】
例えば、カテーテルを通じて傘状インプラントを展開することによる心房中隔欠損(ASD)の閉鎖が、Lock他(DOI:10.1161/01.CIR.79.5.1091)によって開示されている。
【0007】
同様に、欧州特許出願公開第2 688 486号明細書は、中隔欠損を閉鎖するための拡張可能装置を開示している。
【0008】
しかしながら、既知の装置にはいくつかの欠点がある。それらは通常、サイズが予め定められており、特定の患者の個々のニーズに適合させるための柔軟性がほとんどない。しかしながら、インプラントが埋め込み部位にうまく嵌合しない場合、患者にとって合併症のリスクが高まる可能性がある。
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服すること、特に、特定の患者のニーズによりよく適合させることができ、嵌合不良による合併症のリスクを低下させる医療用インプラントを提供することである。
【0010】
この目的および他の目的は、本発明の独立請求項の特徴記載部分による医療用インプラントおよび方法によって達成される。
【0011】
本発明による医療用インプラントは、欠損または空腔、特に心房壁もしくは隔壁の欠損、または左心耳を閉鎖するように適合される。それは閉塞装置を含む。さらに、それは、第1の状態および第2の状態を含む。第1の状態においては、それは、欠損部位、特に心房壁もしくは隔壁の欠損部位または左心耳内に展開されるように適合される。それは、活性化機構によって第2の状態にすることができ、第2の状態においてそのような欠損または空腔を閉鎖するように適合される。第1の状態と第2の状態との間の差は、形状の差であってもよく、および/または、それは接着剤もしくは活性物質の放出を含んでもよい。付加的または代替的に、それはまた、インプラント材料の拡張、特に温度増大および/もしくは水への曝露ならびに/または物理的制約の解放に起因する自己拡張を含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、インプラントは、自己拡張性発泡体プラグまたはタンポンに接続された螺旋状アンカーを含んでもよい。螺旋状アンカーは、特に、一定の付着力を提供することができる。そのような螺旋状アンカーは、離脱のリスクを低減し、種々の組織への付着を提供することができ、活性化を必要としないため、特に有利である。そのようなアンカーはまた、一時的な付着手段として使用されてもよい。
【0013】
付加的または代替的に、インプラントは、多孔質メッシュまたは多孔質カプセル、特にポリウレタンを含むかまたはポリウレタンからなるカプセルまたはメッシュを含んでもよい。インプラントは、経カテーテル注入によって液体、好ましくは液体ポリマーおよび/または接着剤、好ましくは後に光活性化または他の化学的性質などの機構によって硬化させることができる液体ポリマーおよび/または接着剤で充填されてもよい。インプラントは、接着剤内の圧力が特定の閾値に達した場合に液体を放出するように適合されてもよい。
【0014】
インプラントは、自己封止プラグ、特にシリコーンプラグをさらに含んでもよい。そのようなプラグは、例えば接着剤が完全に硬化する前に、送達および/または治療装置の引き抜くことを助けることができる。プラグは、カプセル内に液体をさらに含んでもよい。
【0015】
インプラントは、特に柔軟なバルーンによって拡張可能な、電界紡糸拡張可能構造を含むことができる。拡張可能構造は、メタクリル化ゼラチン(GelMA)および/または組織接着剤によってコーティングおよび/または含浸されてもよい。付加的または代替的に、生体接着剤を使用してもよい。構造が伸張されると、GelMAおよび/または接着剤が放出され得る。電界紡糸構造は、製造が容易であり、適合可能であり、適切な組織内部成長の可能性を提供するため、有利である。
【0016】
閉塞装置は、特に、欠損/空腔自体にもたらされ、欠損/空腔を塞ぐように適合される。それは、閉塞される欠損/空腔の特定のサイズおよび形状、特に個々の患者の欠損の個々のサイズおよび形状に適合させることができる。特に、それは、欠損壁に半径方向外向きの力を加えるように適合されてもよい。
【0017】
第1の状態および第2の状態は、特に、埋め込み部位へのより容易な展開を可能にする。例えば、インプラントは、低侵襲的な方法でのより容易な展開を可能にする、それに含まれる接着剤のより小さいサイズ、より適切な形状、または不活性化状態を有することができる。
【0018】
好ましくは、医療用インプラントは、少なくとも1つの周縁ディスクを備える。さらにより好ましくは、それは少なくとも2つの周縁ディスクを備える。そのようなディスクは、欠損の両側に適合させることができる。周縁ディスクは、閉塞装置の封止効果を高めることができる。付加的または代替的に、周縁ディスクはまた、当該技術分野で知られている任意の固定手段を通じて埋め込み部位への固定を提供することもできる。例えば、閉塞装置は、ワイヤ、縫合糸、もしくはストラットを通じて周縁ディスクに機械的に付着されてもよく、または接着剤によって付着されてもよく、または周縁ディスクと一体的に形成されてもよい。
【0019】
好ましくは、少なくとも1つの周縁ディスクは、閉塞装置を機械的に固定するように適合される。さらにより好ましくは、少なくとも2つの周縁ディスクが、閉塞装置を機械的に固定するように適合される。これにより、欠損を通じて周縁ディスクが容易に移送され得ないため、埋め込み時の安全性が向上する。これにより、閉塞装置が欠損に固定される。特に、欠損の各側に1つのディスクが使用される場合、閉塞装置が、例えば嵌合不良に起因して偶発的に欠損から出ることが防止される。
【0020】
好ましくは、閉塞装置は、相互接続手段によって少なくとも1つの周縁ディスクに接続されるかまたは接続可能である。特に、相互接続手段は、縫合糸、ワイヤ、およびストラットからなる群のうちの少なくとも1つであってもよい。相互接続手段は、閉塞装置が偶発的に欠損から出ることが防止されるように、機械的強度を高める。インプラントが2つの周縁ディスクを備え、閉塞装置が両方の周縁ディスクに機械的に接続されることが、特に有利である。この場合、閉塞装置は欠損に堅固に固定される。
【0021】
好ましくは、医療用インプラントは編組構造を含む。特に、編組構造は、ポリ-L-乳酸および/またはポリ-乳酸-co-グリコール酸から作製されてもよい。これらの材料から作製されたインプラントは、生分解性であり得、人体内で分解することができる。
【0022】
インプラントは、その第1の状態において実質的に細長い形状を有するようにさらに適合され、その第2の状態においてその長手方向軸から直交して延びる2つのディスクを備えることができる。これにより、第1の状態のインプラントの形状が実質的に直線状であり得るため、例えばカテーテルによる低侵襲的な方法での容易な展開が可能になる。第2の状態においては、2つのディスク状構成は、同じく本明細書で説明される周縁ディスクと実質的に同じタイプの機械的固定を提供する。編組構造は、いずれの形状にも容易にすることができる構造を提供するという点で特に有利である。さらに、例えばより大きいもしくはより小さいディスク、または異なる数のディスクなど、多種多様な形状を容易に達成することができる。これに関連して、ディスクは、長手方向軸から/に対して直交して配向された任意の実質的に平坦な形状として理解されるべきである。しかしながら、それは、長手方向軸に直交する平面内の2次元形状に関して、例えば円形形状に限定するものとして決して理解されるべきではない。例えば、ディスクは、星形、三角形、または正方形の形状を有することができる。さらに、編組構造はまた、接着剤組成物によって発泡体を支持してもよい。
【0023】
ポリ-L-乳酸および/またはポリ-乳酸-コ-グリコール酸は、生体適合性であり、したがって、例えば炎症またはアレルギーなど、身体による否定的な反応、を誘発しにくいため、特に有利な材料である。さらに、それらは生分解性であるように適合させることができる。したがって、インプラントは、インプラントの一部分またはインプラント全体が特定の時間枠にわたって人体内で分解するように適合させることもできる。これは、例えば固定を提供するために、インプラントの一部分が展開中にのみ必要とされるが、身体から容易に除去することができない場合に特に有利である。しかしながら、インプラントは、当然ながら、他の材料、特に他の生体適合性ポリマーからなってもよい。
【0024】
好ましくは、医療用インプラントは、少なくとも1つの放射線不透過性またはエコー源性マーキング、好ましくはカフを含む。特に、それは医療用インプラントの長手方向軸に沿って配置されてもよい。これにより、手術者は、インプラントの複数の異なる位置を容易に検出することができる。例えば、放射線不透過性マーカが閉塞装置の両端にインプラントの長手方向軸に沿って配置される場合、手術者は、閉塞装置が欠損内に適切に配置されているか否か、およびいつ配置されるかを容易に決定することができる。同様に、それらは、2つの周縁ディスクまたは他のディスク状構造の端部に配置することができる。当然ながら、展開状態の決定を可能にする追加の放射線不透過性マーカを配置することも考えられる。例えば、それらは、手術者がディスク状構造が長手方向軸からどれだけ延びるかを追跡することができるように、編組構造の拡張可能な部分上に配置することができる。
【0025】
好ましくは、編組構造は、接着剤で少なくとも部分的に充填された少なくとも1つの内腔を含む。内腔はまた、接着剤で完全に充填されてもよい。好ましくは、接着剤は無水接着剤である。空腔は、編組構造の内側に配置されてもよい。これにより、埋め込み部位に接着剤組成物を展開することが可能になり、欠損におけるおよび/または欠損内の医療用インプラント、特に閉塞装置の固定が強化される。接着剤は、光硬化性接着剤、および/または乾燥接着剤、および/または無水接着剤であってもよい。それは、水、湿度、または好ましくは血液への曝露によって活性化可能であるように特に適合され得る。当然ながら、他の物質、好ましくは人体中に存在する他の物質への曝露によって活性化可能であるように接着剤を適合させることも可能である。空腔は、編組構造の内面上のポケットであってもよく、または編組構造の内部容積全体を充填してもよい。付加的または代替的に、空腔はまた、編組構造の繊維内に配置されてもよい。
【0026】
好ましくは、医療用インプラントは接着剤組成物を含み、第1の状態においては、接着剤組成物は医療用インプラントに包含される。医療用インプラントは、接着剤組成物を、その第2の状態において放出するように適合されてもよい。これは、埋め込み部位に到達するまで身体または体液に曝露されないため、接着剤を埋め込み部位に移送するための特に安全な方法を提供する。特に、医療用インプラントは、接着剤組成物を選択的に放出することができるように適合させることができ、これは、手術者がトリガの作動によって接着剤組成物を自由裁量で放出することができることを意味する。トリガは、特に、バルーンの膨張であってもよい。当然ながら、接着剤を選択的に放出する他の機構、特に機械的、熱的および/または化学的機構も可能である。
【0027】
好ましくは、医療用インプラントは、少なくとも1つの空腔を備える。接着剤組成物は、少なくとも1つの空腔内に配置される。空腔は、接着剤組成物を選択的に放出するように適合される。例えば、空腔は、機械的変形または圧力が加わると破裂するように、またはUV/可視光などの電磁放射線に曝露されると劣化するように適合されてもよい。
【0028】
好ましくは、医療用インプラントは、接着剤組成物が機械的変形、特に機械的圧縮を受けて放出されるように適合される。インプラントの低侵襲性埋め込みの文脈では、例えばバルーンカテーテルによって容易に適用することができるため、機械的変形がそのような放出のための特に有利な方法である。特に、接着剤は、接着剤を絞り出す医療用インプラントの内側に配置された内側バルーンの膨張によって放出され得るように、医療用インプラント、特に閉塞装置の表面の近くに配置されてもよい。
【0029】
好ましくは、少なくとも1つの周縁ディスク、特に少なくとも2つの周縁ディスクが、閉塞装置に機械的変形、特に機械的圧力を選択的に加えるように適合される。特に、相互接続手段は、閉塞装置に圧力および/または変形を加えるように、周縁ディスクを引っ張るように適合されてもよい。好ましくは、この圧力および/または変形が、接着剤を放出する。
【0030】
好ましくは、医療用インプラントは、少なくとも2つの空腔を備える。特に、少なくとも2つの空腔は、外面に近接して配置されてもよい。接着剤組成物は、少なくとも2つの空腔内に個別に配置された少なくとも2つの成分を含む。これにより、医療用インプラントでは、2つの成分が互いに分離され、混合されない。しかしながら、これは、接着剤組成物の放出を受けた混合を可能にする。近接とは、接着剤がインプラントの表面に浸透することができるように十分に短い距離として理解されるべきである。特に、それは、表面から2つよりも少ない、好ましくは1つの空腔直径分として理解することができる。付加的または代替的に、それは1mm未満、好ましくは0.5mm未満、さらにより好ましくは0.1mm未満の距離として理解することもできる。空腔は、医療用インプラントまたは閉塞装置の実質的に表面全体に、またはインプラントの一部のみに配置することができる。それらは、閉塞装置の遠位端もしくは近位端、または周の一部分のみに配置されてもよい。
【0031】
好ましくは、接着剤組成物は、少なくとも2つの成分の混合によって硬化可能であるように適合される。あるいは、接着剤組成物は、2つの成分の混合を受けて自発的に硬化するように適合されてもよい。少なくとも2つの成分を含むこのような接着剤組成物は、硬化をより良好に制御することができるため、インプラントの安全性を高める。特に、例えば埋め込み前の光への曝露による偶発的な硬化を回避することができる。
【0032】
好ましくは、接着剤組成物は、特に可視光、赤外光、紫外光、またはX線などの電磁放射線への曝露によって、漸進的に硬化可能、好ましくは架橋可能であるように適合される。漸進的な硬化は、硬化の連続的な進行と理解されるべきであり、機械的強度は、硬化および/または架橋の程度と共に連続的に増加する。例えば、これは、接着剤組成物中の架橋の増加によって、特にUV光、可視光、IR光および/またはX線への曝露によって達成され得る。これにより、インプラントの機械的特性の調整が可能になる。例えば、接着剤組成物は、特定の埋め込み部位においていくらかの弾性が必要とされる場合、硬化の程度をより低くすることができる。対照的に、より硬い材料が必要とされる場合、硬化はより高い程度まで行うことができる。付加的または代替的に、架橋の程度は、プレポリマーの分子量および/または架橋性官能基による官能化の程度を調節することによって制御することができる。
【0033】
好ましくは、接着剤組成物は、電磁放射線、特にUV光、IR光、可視光、および/またはX線への曝露によって硬化可能であるように適合される。これは、例えば国際公開第15/175662号パンフレットに開示されているようなカテーテルなど、光ガイドを備えるカテーテルと組み合わせて特に有利である。特に、閉塞装置はまた、光ファイバがそれを通じて移送および/または引き出され得るようにも適合され得る。
【0034】
好ましくは、医療用インプラントは、拡張可能材料を含み、さらにより好ましくは拡張可能材料からなる。特に、拡張可能材料は、例えばアルギン酸塩ベースの形状記憶材料など、形状記憶材料であってもよい。医療用インプラントの任意の部分が拡張可能材料から作製されてもよいが、欠損内の閉塞装置および周縁ディスクの少なくとも1つを拡張可能材料から作製することが特に有利である。これにより、カテーテルによって容易に埋め込むために医療用インプラントの長手方向軸に直交する断面を最小限に抑えることができる。当然ながら、拡張可能材料を医療用インプラント内の別の位置に配置すること、および/または拡張可能材料が単に体積拡張を提供するように別の材料によってそれを覆うことも可能である。埋め込み部位における拡張は、所望の形状を提供する。特によく適した材料は、ヒドロゲル、アルギン酸塩ベースのクリオゲル、コラーゲンベースの材料、ゼラチンベースの材料、および他の生分解性材料である。特に、医療用インプラントはまた、3D印刷または鋳造材料を含むかまたはそれからなってもよい。
【0035】
好ましくは、形状記憶材料は、展開時に拡張し、拡張時に上記欠損を閉塞し、拡張時に欠損を閉塞するように適合される。インプラントの長手方向軸に直交する方向の直径は、拡張前は3mm未満、好ましくは2mm未満、さらにより好ましくは1mm未満であり得、拡張後は3~8mm、好ましくは4~7mm、さらにより好ましくは5~6mmの範囲に含まれ得る。
【0036】
好ましくは、医療用インプラントは、中心直径と、2つの周縁直径とを含む。好ましくは、医療用インプラントがダンベル形状を含むように、中心直径は周縁直径よりも小さい。あるいは、医療用インプラントはまた、中心直径よりも大きい1つのみの外周縁直径を有し、したがってマッシュルーム形状を含んでもよい。これは、医療用インプラントの自己センタリングを可能にし、インプラントは、その形状に起因して欠損の中心に自動的に押し込まれる。
【0037】
好ましくは、閉塞装置は、特にインプラントの外面に配置された心臓周囲組織を含む。心臓周囲組織は優れた生体適合性を提供する。したがって、それは、医療用インプラントを取り囲む組織と接触するように配置されることが好ましい。特に、それは、接着剤、特にグルタルアルデヒドベースの生体接着剤によって欠損に接合され得る。それはまた、天然組織と架橋されてもよい。
【0038】
好ましくは、閉塞装置は、第1の状態において可撓性であり、第2の状態において、特に電磁放射線、特にUV光、IR光、可視光、および/またはX線に曝露されると剛性になる材料を含む。
【0039】
好ましくは、医療用インプラントは、近位端よりも剛性である遠位端を備える。遠位端は、左心房に向けたキャップとして機能するように適合されてもよい。あるいは、近位端は、右心房に向けたキャップとして機能してもよい。
【0040】
好ましくは、医療用インプラントは、バルーンカテーテルを受容するように適合された、特にその長手方向軸に沿った行き止まりの空腔または止まり穴を含む。これにより、バルーンカテーテルが医療用インプラントの拡張を補助し、および/または接着剤を放出することが可能になる。それはまた、医療用インプラントの長手方向軸に沿って均一に光を分配する可能性を提供することによって、光硬化性接着剤組成物の硬化を助けることもできる。
【0041】
好ましくは、医療用インプラントは自己拡張性である。それは、自己拡張性材料を含んでもよく、または含まなくてもよく、拡張可能構造の拡張によって自己拡張性とすることもできる。
【0042】
好ましくは、医療用インプラントは、特にインプラントの長手方向軸に沿って、光、特に可視光、紫外光、および/または赤外光に対して少なくとも部分的に透明である。これにより、例えば接着剤組成物の硬化を提供するために、または信号伝送のために、または加熱のために、インプラントを通る光の伝達が可能になる。透明性は、透明材料、部分的に中空の形状、またはこれら2つの組み合わせによって提供され得る。特に、医療用インプラントは、内部に透明材料が配置された編組構造であってもよい。付加的または代替的に、インプラントの表面上の光硬化性接着剤は、充填剤として使用するために透明材料による光透過を介して活性化されてもよい。
【0043】
好ましくは、医療用インプラントは、少なくとも部分的にヒト左心耳のサイズに実質的に対応するサイズおよび形状のうちの1つを有する。インプラントのサイズはまた、ヒト左心耳のサイズに完全に対応し得る。
【0044】
好ましくは、インプラントは、長手方向軸に沿って第1の区画および第2の区画を有し、第1の区画は、長手方向軸に垂直な平面内で第2の区画よりも大きい断面を有する。特に、インプラントは、マッシュルームの半ダンベル形状を有してもよい。
【0045】
好ましくは、医療用インプラントは、平坦または平面形状を有する。平坦とは、特に、第3の寸法と比較して2つの寸法が実質的に大きいことであると理解され得る。形状は、特に短寸法に垂直な平面に対して湾曲および/または傾斜していてもよい。インプラントの形状は、この平面が特に、例えば弁傍漏出を閉鎖するために実質的に半月形状であってもよい。
【0046】
好ましくは、インプラントは、10~25mm、特に好ましくは15~20mmの範囲内の直径を有する少なくとも1つの区画を有する。
【0047】
本発明はさらに、患者の空腔、特に左心耳を閉鎖する方法に関する。この方法は、本明細書に記載のインプラントを用いて空腔を閉鎖するステップを含む。
【0048】
本発明はさらに、患者の欠損、特に心房壁または隔壁の欠損を閉鎖する方法に関する。この方法は、本明細書に記載のインプラントを用いて空腔を閉鎖するステップを含む。
【0049】
本発明はさらに、患者の弁傍漏出を治療する方法に関する。漏出は、弁インプラントと患者の組織との間の開口部によって形成される。この方法は、本明細書に記載の医療用インプラントを用いて開口部を少なくとも部分的に閉鎖するステップを含む。好ましくは、開口部は完全に閉鎖される。
【0050】
本発明はさらに、医療用インプラントを製造する方法に関する。特に、インプラントは、本明細書に記載のインプラントであってもよい。この方法は、治療される領域を画像化するステップを含む。好ましくは、治療される領域は、開口部、欠損、または空腔、特に左心耳または卵円孔開存を含むかまたはそれからなる。さらなるステップは、治療される領域のサイズおよび形状のうちの少なくとも1つ決定することを含む。この方法は、治療される領域と同じサイズおよび/または形状を有するようにインプラントを設計するステップをさらに含む。あるいは、サイズおよび形状は、それぞれ係数が乗算されたサイズおよび形状であってもよい。
【0051】
本発明はさらに、患者の空腔、特に左心耳を閉鎖する方法に関する。本方法は、
-空腔の外側の領域、特に空腔の入口、特に小孔を封止するステップと、
-空腔を潰すように空腔に負圧を加えるステップと、
-以下のステップ、すなわち、
・特に空腔をその元の容積に再拡張させるために、潰れた空腔を接着剤で充填するステップ、
・潰れた空腔を恒久的に封止するステップ
のうちの少なくとも1つとを含む。
【0052】
本発明はさらに、患者の空腔を治療、特に閉鎖するための治療装置に関する。空腔は、特に左心耳であり得る。装置は、空腔を少なくとも一時的に封止するように適合された封止部材を備える。封止部材は、特にバルーンおよび/または拡張可能ディスクを含むか、またはそれらからなってもよい。装置は、空腔を潰すなどのために、少なくとも負圧を加え、および/または流体を封止部材の遠位の領域に輸送するように適合された流体伝送路をさらに備える。特に、流体伝送路は、真空ラインおよび/または流体リザーバ、例えば生理食塩水緩衝液(そのような生理学的緩衝食塩水)のリザーバに接続されてもよい。
【0053】
装置は、好ましくは、別の流体を同時に吸引および輸送するためのいくつかの別個の流体伝送路を備えることができる。
【0054】
本発明はさらに、本明細書に記載の医療用インプラントを搬送する送達装置、特にカテーテル装置に関する。特に、カテーテル装置は、拡張機構および/または硬化機構を提供することによって医療用インプラントに特に適合させることができる。例えば、カテーテル装置は、光および/または熱を伝送するように適合されてもよい。
【0055】
付加的または代替的に、送達装置は、インプラントの生体内形成のために、開口部、欠損、または空腔に接着剤を送達するように適合されてもよい。送達装置は、特に2成分接着剤を混合するための混合チャンバを備えてもよい。
【0056】
本明細書に開示される任意の送達装置は、接着剤の鋳型を作製するために、少なくとも1つのバルーン、好ましくは2つのバルーンをさらに含んでもよい。特に好ましくは、送達装置は、2つのバルーンと、2つのバルーンの間の領域に開口して接着剤組成物を上記領域に輸送する伝送路とを含む。送達装置はまた、治療部位に電磁放射線を送達するための、例えば光ファイバなどの光伝送ガイド、を備えてもよい。電磁放射線は、特に、UV光、可視光、IR光、および/またはX線を含んでもよい。
【0057】
その目的のために、本発明はまた、好ましくは止まり穴として形成される開口部が重力の方向とは反対の方向に開くように患者を回転させるステップと、本明細書に記載の送達装置を使用して開口部を接着剤で充填する第2のステップとを含む方法に関する。接着剤は、血液の密度よりも高い密度を有し得る。あるいは、特に接着剤が血液の密度よりも低い密度を有する場合、開口部が重力の方向に開くように患者を回転させてもよい。
【0058】
本発明によるインプラントは、付加的または代替的に、ヒドロゲルでコーティングされたメッシュまたは編組を含むか、またはそれらからなってもよい。
【0059】
以下では、添付の図を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】医療用インプラントの概略的な実施形態の側面図である。
図2】カテーテル装置を有する医療用インプラントの実施形態の図である。
図3】医療用インプラントのための拡張可能要素の図である。
図4a】2つの異なる視点のうちの1つからの医療用インプラントの実施形態の図である。
図4b】2つの異なる視点のうちの1つからの医療用インプラントの実施形態の図である。
図5a】2つの異なる視点のうちの1つにおける医療用インプラントの別の実施形態の図である。
図5b】2つの異なる視点のうちの1つにおける医療用インプラントの別の実施形態の図である。
図6】第1の折り畳まれた状態にある医療用インプラントの別の実施形態の図である。
図7】第2の拡張状態にある図6の医療用インプラントの実施形態の図である。
図8a】第1の状態にある医療用インプラントの別の実施形態の図である。
図8b】第2の状態にある医療用インプラントの別の実施形態の図である。
図9】医療用インプラントの別の実施形態の図である。
図10】医療用インプラントのための閉塞装置の図である。
図11a】装置を使用した空腔の閉塞の概略図である。
図11b】装置を使用した空腔の閉塞の概略図である。
図11c】装置を使用した空腔の閉塞の概略図である。
図11d】装置を使用した空腔の閉塞の概略図である。
図12a】インプラントを使用した空腔の閉塞の概略図である。
図12b】インプラントを使用した空腔の閉塞の概略図である。
図12c】インプラントを使用した空腔の閉塞の概略図である。
図13a】代替的なインプラントを使用した空腔の閉塞の概略図である。
図13b】代替的なインプラントを使用した空腔の閉塞の概略図である。
図13c】代替的なインプラントを使用した空腔の閉塞の概略図である。
図13d】代替的なインプラントを使用した空腔の閉塞の概略図である。
図14】空腔を閉塞するために使用されている代替的なインプラントの概略図である。
図15】空腔を閉塞するために使用されているインプラントの概略図である。
図16】空腔に埋め込まれているインプラントの概略図である。
図17】空腔内のインプラントの概略図である。
図18】空腔内の代替的なインプラントの概略図である。
図19a】空腔を閉塞するように適合されたインプラントの代替的な実施形態の概略図である。
図19b】空腔を閉塞するように適合されたインプラントの代替的な実施形態の概略図である。
図20】空腔を閉塞するための代替的なインプラントの図である。
図21】治療装置の概略図である。
図22a】空腔を閉塞する方法の概略図である。
図22b】空腔を閉塞する方法の概略図である。
図22c】空腔を閉塞する方法の概略図である。
図22d】空腔を閉塞する方法の概略図である。
図22e】空腔を閉塞する方法の概略図である。
図22f】空腔を閉塞する方法の概略図である。
図22g】空腔を閉塞する方法の概略図である。
図23a】空腔を閉塞する代替的な方法の概略図である。
図23b】空腔を閉塞する代替的な方法の概略図である。
図23c】空腔を閉塞する代替的な方法の概略図である。
図23d】空腔を閉塞する代替的な方法の概略図である。
図23e】空腔を閉塞する代替的な方法の概略図である。
図23f】空腔を閉塞する代替的な方法の概略図である。
図23g】空腔を閉塞する代替的な方法の概略図である。
図24a図23a~図23gのインプラントの概略図である。
図24b図23a~図23gのインプラントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、本発明による医療用インプラント1を概略的に示す。それは、自己拡張性材料、この場合はアルギン酸塩ベース形状記憶材料から作製される。この単純な実施形態では、閉塞装置3は実質的にインプラント全体である。しかしながら、それは、長手方向軸Lに沿った中心直径16と、2つの周縁直径15とを含む。中心直径16は、周縁直径15よりも小さい。したがって、医療用インプラント1は、砂時計またはダンベル状の形状を有する。これにより、欠損が閉鎖されるように、埋め込み部位の中隔または心房の欠損(図示せず)内で自己センタリングすることが可能となる。ここで、インプラントは、それが埋め込まれるときの第2の状態においてのみ示されている。
【0062】
図2は、カテーテル装置100と組み合わせた医療用インプラント1を示す。カテーテル装置100は、バルーン102および光ファイバ101を備える。医療用インプラントは、カテーテル装置100のバルーン102の挿入に適合されている、インプラントの内側の細長い行き止まりの空腔18を有する。医療用インプラントは、複数の空腔13を有する、その表面17に近い領域をさらに備える。これらに接着剤組成物が充填される。ここで、接着剤組成物は、1つの成分のみを含み、可視光への曝露によって硬化可能である。医療用インプラント1は、カテーテル装置によって埋め込み部位に運ぶことができる。埋め込み部位において、バルーンが膨張され、結果、医療器具1が膨張する。膨張したバルーンによって加えられた機械的変形が、接着剤組成物を空腔13から絞り出す。次いで、接着剤組成物は、光ファイバ101によって伝送される可視光への曝露によって硬化される。これにより、接着剤組成物の接着によって医療用インプラント1が欠損(図示せず)に恒久的に固定される。したがって、カテーテル装置100を引き込むことができ、ここで治療されている中隔欠損が閉鎖される。接着剤組成物は、医療用インプラント1を欠損内に保持するのに十分な強度を有するため、所望の効果を達成するために形状を変更する必要はない。しかし、当然ながら、医療用インプラントを、例えば図1に示すような形状に変更するように適合させることも可能である。ここで、医療用インプラントは、閉塞装置6自体も可視光への曝露によって硬化可能であるようにさらに適合される。したがって、接着剤組成物の硬化中、閉塞装置6は機械的により剛性になる。したがって、それは展開前および展開中に弾性である。しかしながら、治療の終了時には、医療用インプラント1全体が剛性を有する。
【0063】
図3は、編組構造3を備える医療用インプラント1を概略的に示す。ここでは、医療用インプラント1は、ディスク構造4を備えるその第2の状態において示されている。ディスク構造は、第1の状態においては存在せず、長手方向軸Lに直交する方向の拡張から生じる。したがって、第1の状態においては、医療用インプラント1の図示の実施形態は、細長い形状を有していた。編組構造3は、生分解性ポリ(乳酸-co-グリコール酸)およびポリ(乳酸)から作製される繊維18を含む。したがって、編組構造3は、組織内部成長のための足場として作用することができる。当然ながら、2つの材料のうちの一方のみからなる繊維を使用することも可能である。あるいは、編組構造3は、生分解性ではない材料を含むか、またはそれからなってもよい。さらに、編組構造3は、中空形状を有し、その長手軸Lに沿って可視光に対して透明になっている。この図では見えない編組構造の内側では、編組構造の表面上に無水接着剤が配置されている。接着剤組成物は、人体内部の湿度に曝露されると自己拡張するように適合される。したがって、それは編組構造の内側の相当部分を充填することができ、次いで可視光への曝露によって硬化可能である。接着剤組成物は、拡張および硬化すると、欠損を閉鎖する。その結果、編組構造はもはや必要とされず、1週間以内に人体内で分解する。
【0064】
図4aおよび図4bは、閉塞装置6に機械的に接続された1つの周縁ディスク5を備える医療用インプラント1の実施形態を示す。機械的接続は、閉塞装置6および周縁ディスク5の両方に恒久的に付着されたワイヤ12によって提供される。ワイヤは、周縁ディスク5を貫通せず、したがって、図4aに示すように、閉塞装置6から外方に面する周縁ディスクの側では見えない。ここで、医療用インプラント1は1つの周縁ディスクのみを備えるが、当然ながら、同じ方法で閉塞装置6に2つ以上の周縁ディスクを配置することも可能である。閉塞装置6は、拡張可能材料から作製され、一方、周縁ディスク5は、拡張不可能な生体適合性ポリマー材料から作製される。周縁ディスク5と閉塞装置とを接続するワイヤ12はニチノールから作製されるが、当然ながら別の生体適合性金属材料、またはさらにはポリマーから作製されてもよい。
【0065】
図5aは、図4aおよび図4bに示すものと同様の医療用インプラントの一実施形態を示す。この実施形態では、医療用インプラント1は、2つの周縁ディスク5を備える。それらは、閉塞装置6への付着も提供し、医療用インプラント1の長手方向軸Lに沿って配向される機械的相互接続手段20によって接続される。閉塞装置6は、接着剤組成物が中に配置されている複数の空腔(図示せず)を含む。接着剤組成物は、2つの成分を有し、混合時に自発的に硬化するように適合される。
【0066】
図5bは、心房壁Wの欠損Dを閉鎖するために埋め込まれたときの、図5aに示すような医療用インプラント1を示す。閉塞装置は、欠損D内に配置される。周縁ディスク5は、壁Wおよび欠損Dの両側に配置される。相互接続手段20は、周縁ディスクをともに引っ張るように適合されており、この図ではもはや見えない。それは、閉塞6装置が圧縮されて欠損に固定されるように、長手方向軸Lに沿って力を及ぼす。これにより、接着剤組成物が複数の空腔(図示せず)から放出される。接着剤の2つの成分は自発的に混合および硬化し、したがって欠損Dを完全に封止する。
【0067】
図6は、編組構造3を備える医療用インプラント1の実施形態を示す。編組構造3は、この図では折り畳み構造8として配置されている。医療用インプラントは、医療用インプラントを3つの部分9a、9b、10に分割する4つの放射線不透過性カフ7をさらに備える。医療用インプラントは、折り畳まれた編組構造8に起因して、低侵襲性埋め込みに特に有利なほぼ線形の形状を有する。
【0068】
図7は、図6に示したのと同じ実施形態を示しているが、ディスク状構造4を形成する編組構造の2つの周縁部分9a、9bの拡張後の図である。インプラントの中心部分10は、この実施形態では折り畳まれたままであり、閉塞装置6を形成する。閉塞装置は、この例では機械的に可撓性であり、構造の内側に無水接着剤を含むことができる(見えない)。無水接着剤は、血液への曝露時に膨潤するように適合され、次いで、紫外線、赤外線、および可視光への曝露によって硬化可能である。
【0069】
図8aおよび図8bは、アルギン酸塩ベースの形状記憶材料から作製された医療用インプラント1の実施形態を示す。図8aでは、インプラントはその第1の状態11aにあり、細長い形状を有する。
【0070】
図8bに示すように、埋め込み部位に輸送されると、インプラント1はその第2の状態11bになることができ、ここでそれは自己拡張し、中心直径16が周縁直径15よりも小さいダンベル形状に達する。この拡張により、医療用インプラント1は、欠損を閉塞することができる。図8aおよび図8bに示す医療用インプラントは、優れた生体適合性を提供する心臓周囲組織21の層によってコーティングされている。
【0071】
図9は、編組構造3を備える医療装置1の別の実施形態を示す。それは、長手方向軸Lから外方に延びる2つの周縁部分4と、欠損内に配置されるように適合された中心部分10とを備える。ここで、編組構造の中心部分10は、他の実施形態のように折り畳まれておらず、代わりに管状形状を呈する。編組構造の一部分は、管状部分10の内側の空腔13を示すように透明にされている。空腔は、可視光への曝露によって漸進的に硬化可能な接着剤組成物を含む。硬化の程度が増大するにつれて、その機械的剛性が増大する。したがって、この実施形態は、例えば、手術者が遠位端を近位よりも剛性にするように医療用インプラント1を構成しようとする場合に特に有利である。これは、例えば、左心房に向けたキャップを提供することができる。しかしながら、当然ながら、インプラントの任意の他の部分をより剛性になるようにより長期間硬化させることも可能である。同様に、それは、硬化後に機械的特性が均一になるように、全体を通して完全に硬化させることもできる。
【0072】
図10は、閉塞装置6を、2つの異なるタイプの空腔13a、13bを有するものとしてより詳細に示す。ここで、異なる空腔13a、13bは、明確にするために異なる形状で示されているが、当然ながら、そのように適合させる必要はない。それらを同一の形状であるが異なるサイズ、または同一の形状かつ同一のサイズで構成することも考えられる。接着剤組成物の2つの異なる成分をこれらの空腔内に配置することができる。ここで、空腔は、紫外線に曝露されると分解するように適合されている。したがって、紫外線への曝露によって、閉塞装置6およびその空腔13a、13bの接着剤組成物が放出される。あるいは、本明細書に開示された他の任意の電磁放射線が分解に使用されてもよい。閉塞装置6はまた、周縁ディスクに接続されるワイヤを備える。閉塞装置6の図示の実施形態は、図5aおよび図5bに示す閉塞装置と同様であるが、別様に適合された接着剤組成物が空腔13a、13bに含まれるという点が異なる。
【0073】
図11a~図11dは、本発明による装置200を使用して、空腔203、この場合は左心耳LAAを閉塞する方法を概略的に示す。
【0074】
図11aは、本方法の第1のステップを示す。封止部材201を備える装置200は、バルーンによって形成され、このバルーンを通って伝送路202が装置200の遠位領域まで延びる。バルーン201は、空腔203を一時的に閉鎖して封止するように配置される。伝送路202は、空腔203の内部容積と流体連通している。ここに示すステップにおいて、空腔203が血液212で充填される。
【0075】
図11bは、本方法の第2のステップを示し、装置200は、実質的に図11aに示すように構成される。空腔203は、伝送路202を介して空腔内に流された生理食塩水緩衝液212’で充填される。装置200の図示されている実施形態では、伝送路202は、液体を空腔203に輸送することと、空腔から液体を除去することの両方の役割を果たす。あるいは、装置200は、血液212および/または他の液体を除去するためのものと、流体を輸送するためのものとの、2つ以上の別個の伝送路を備えてもよい。この場合、血液212の一部を伝送路202を通して除去し、続いて、等量の生理食塩水緩衝液を空腔203に注入した。この流体置換は、ここに示すように、空腔が生理食塩水緩衝液で完全に満たされるまで繰り返すことができる。あるいは、他の液体も同様に使用されてもよい。
【0076】
図11cは、液体接着剤212’で充填された空腔203を示す。接着剤212’は、ここでは、体温に曝露されると硬化し、剛直化する1成分接着剤として構成されている。あるいは、2成分または多成分接着剤も考えられる。付加的または代替的に、接着剤は、光、湿度、および/または当該技術分野において知られている他の硬化機構への曝露によって硬化可能であってもよい。生理食塩水緩衝液は、上記の図11bの血液212と生理食塩水緩衝液212’との交換の文脈で説明したのと実質的に同じ方法で接着剤と交換することができる。生理食塩水緩衝液212’で中間的にすすぐことなく、血液212を接着剤212’’と直接交換することも考えられる。ここで、伝送路202は、接着剤212’’が剛直化している間に空腔203を封止するように、バルーンが所定の位置に留まっている間にバルーン201に対して引き込むことができる。
【0077】
図11dは、装置200を取り外した後の空腔203を示す。接着剤212’’は剛直化され、空腔203の内壁に接着接合されている。
【0078】
図12aは、装置200が空腔203の小孔213に配置されている空腔203を示す。装置200の管腔204の内側にインプラント300が配置されている。本インプラントは、ヒドロゲル302によってコーティングされたメッシュ301を含む。インプラント300は折り畳まれた状態において示されており、インプラントは送達装置200の管腔204の内側に配置され得る。
【0079】
図12bは、送達装置200から取り外され、空腔内に配置された後のインプラント300を示す。インプラント200は、メッシュ301の形状記憶効果によって拡張可能である。ここで、インプラント300は、折り畳まれた状態から拡張されているが、完全に拡張した状態にはまだ達していない(図12c参照)。
【0080】
図12cは、完全に拡張した状態のインプラント300を示す。さらに、ヒドロゲルコーティング302は膨潤し、静水圧または化学結合のいずれかによって単独で空腔203の内壁への接着を提供する。
【0081】
図13a~図13dは、インプラント300の埋め込みを示す。埋め込みの方法は、図12a~図12dに示すものと同様である。
【0082】
しかしながら、図13aは、バルーンとして構成された封止部材201を備える装置を示す。管腔204が、バルーン201内に配置される。インプラント300は、管腔204内に配置される。インプラントは、血液または生理食塩水などの水性液体に曝露されると膨潤してヒドロゲルを形成する高吸収性ポリマーとして構成される。
【0083】
図13bは、管腔204から押し出され、したがって空腔203内に配置された後のインプラント300を示す。ここでは、実質的に膨潤する前のインプラント300が示されている。
【0084】
図13cは、空腔203に入って湿度に曝露された1分後のインプラント300を示す。結果として、インプラント300は膨潤し、そのサイズが増大する。短いまたはより長い期間の後にインプラント300を膨潤するように構成することも可能である。
【0085】
図13dに示すように、インプラント300は、空腔203を閉塞する最終状態にある。さらに、高吸収性ヒドロゲルは機械的に可撓性であり、したがって空腔203の形状に適合し、液体が、存在する場合、インプラント300によって吸収され得る。したがって、空腔203は、インプラント300によって全体が充填される。
【0086】
図14は、送達装置200を有するインプラント300の代替的な実施形態を示す。インプラント300は、その容積が空腔203の容積を大幅に超えるバッグ208を備える。さらに、バッグ208は、機械的に非常に柔軟な材料、例えばポリエチレン、ポリウレタン、ePTFE、シリコーン、ならびに/またはこれらの材料のブレンドおよびコポリマーから作製される。バッグは、埋め込まれる空腔のサイズに対して大きすぎてもよく、空腔の形状に適合するように非常に柔軟であってもよい。そのようなバッグは、埋め込み前に空腔と位置合わせする必要がないという点で有利である。バッグ208は、インプラント300の近位領域に配置され、空腔の小孔213の領域に配置されるように構成された細孔206をさらに含む。しかしながら、そのような細孔206のないバッグ300を構成すること、またはバッグ208の異なる位置に細孔206を配置することも考えられる。送達装置200は、ねじ機構を備える取り外し可能なコネクタ207を介してバッグ208に接続される。送達装置200は、伝送路202を通って輸送される2成分接着剤を混合するための混合チャンバ205をさらに備える。これにより、混合された2成分接着剤を伝送路を通じてバッグ208内に輸送することができる。付加的または代替的に、バッグ208は、発泡体または樹脂で充填されてもよい。バッグ208の容積の増加によって空腔203が充填され、バッグ208の可撓性材料は、バッグが空腔203の形状に適合することを可能にする。接着剤は、小孔213の領域に接着を提供するように、細孔206を通じて灌流することができる。その後、接着剤は、外部硬化機構を介してまたは自発的にいずれかで剛直化して、空腔に付着された剛直化インプラント300を形成することができる。インプラント300は、取り外し可能なコネクタ207を取り外すことによって送達装置200から取り外すことができる。取り外し機構はねじ機構であってもよく、取り外し可能なコネクタ207の内側ねじ山が、送達装置200の外側ねじ山に動作可能に接続される。あるいは、取り外し可能なコネクタ207と自己封止接続を形成するように構成された送達装置200の内側カテーテルが、バッグ208から引き込まれてもよい。
【0087】
図15は、送達装置200によって生体内で組み立てられているインプラント300を示す。送達装置200は、図14に示すものと同様であり、混合チャンバ205を有する伝送路202を備える。送達装置200の遠位端には、取り外し可能なコネクタ207が付着されている。ここでは拡張可能な封止ディスクの形態の封止部材201が、取り外し可能なコネクタ207を介して送達装置200に可逆的に付着される。封止ディスク201は、接着剤組成物が伝送路202を通じて空腔203に注入され得るように、空腔203に封止閉鎖を提供する。接着剤は、当該技術分野において知られている任意の接着剤組成物、特に本明細書に開示される任意の接着剤組成物であってもよい。特に好ましくは、接着剤組成物は、2成分樹脂または発泡体である。さらに、封止ディスクは、空腔203内に配置された2つのアンカー209に接続される。接着剤の送達および剛直化中、封止ディスク201は、空腔203内の接着剤と患者の身体の残り、例えば患者の左心房との間にバリアを形成する。接着剤の剛直化後、アンカー209は、インプラント300を共に形成する空腔203内の接着剤プラグと封止ディスク201との間に不可逆的な接続を形成する。
【0088】
図16は、送達装置200を使用したインプラント300の埋め込みを示す。ここで、インプラント300は、マイクロチャネル214を有するスポンジとして構成される。インプラントは、カプセル204内で送達することができ、その中で、それは、折り畳まれたサイズに拘束され、特にシースを引き抜くことによってプランジャ210によってカプセル204から押し出すことができる。さらに、接着剤組成物は、インプラントを空腔203の内壁に付着させるために、送達装置およびインプラント300のマイクロチャネル214を通して展開することができる。本明細書に開示される任意の接着剤は、本明細書に示されるインプラントおよび方法と組み合わせるのに適している。
【0089】
図17は、本発明による空腔203を閉塞する一般原理を概略的に示す。一時閉塞フレーム201を利用して、小孔213を封止することができる。硬化性材料から形成されたインプラント300が、送達装置によって空腔203に挿入され、硬化機構を介して固体になる。本明細書に開示される任意の硬化機構は、硬化性材料の硬化、特に電磁放射線(UV光、IR光、可視光、X線)への曝露による光硬化に適している。付加的または代替的に、架橋剤および/または光開始剤などの化学活性剤を利用してもよい。
【0090】
図18は、空腔203を閉塞する代替の一般原理を示す。可撓性バルーン208を空腔203に挿入し、インプラント300を形成するように接着剤組成物で充填することができる。さらに、ねじ山215を使用して、硬化前にインプラント300の長さを制御することができる。
【0091】
図19aは、インプラント300の代替的な実施形態を示す。インプラントは、球状編組メッシュ216として形成され、粘性ゲルおよび/または接着剤で充填されてもよく、またはされなくてもよい。そのようなゲル/接着剤は、血液が浸透することができないように編組メッシュを封止することができる。さらに、ゲル/接着剤は、組織への接着を提供し得る。インプラント300は、機械的に可撓性であり、その形状を空腔の形状、特に楕円形に適合させることができる。編組メッシュ216は、インプラント300の内部の粘性ゲルの漏出を回避するようにそのメッシュサイズに適合されている。好ましくは、メッシュのサイズは、10μm~500μmの範囲内、特に好ましくは50~100μmの範囲内、さらにより好ましくは60~80μmの範囲内である。さらに、編組メッシュ216は、組織内部成長を高めるように適合されている。したがって、ここに示すインプラント300は、空腔を閉塞するように組織によって完全に過成長させることができる。ここで球形で示されているインプラント300は、小孔とインプラント300との間の位置合わせに関する問題を回避し、埋め込み中のアプローチ角度を単純化することができるため、特に有利である。例えば、球形は、任意の配向角で導入され、空腔内に残ることができる。さらに、球形は、球形が空腔に対してわずかに大きい、すなわちより大きい場合、空腔の形状に適合し得る。
【0092】
図19bは、図19bのインプラントと同様のインプラント300を示す。ここでインプラント300は、編組メッシュ216の周りに縫合された布のストライプ217をさらに備える。光活性化可能ゲルがストライプ217上にコーティングされる。ストライプ217は、メッシュ216の変形に対して調整するように十分に機械的に弾性である。
【0093】
図20は、送達送達装置200の遠位端を示す。送達装置200は、伝送路202を備える。第1のバルーン218’および第2のバルーン218’’は、伝送路202の長手方向軸Lに沿って互いに距離を置いて伝送路202に付着されている。伝送路202は、それを通じて接着剤を注入することができる第1のバルーン218’と第2のバルーン218’’との間に位置する開口部2019をさらに備える。したがって、送達装置200は、ここに示すように空腔203に挿入されてもよく、バルーン218’、218’’は膨張して、空腔203内に封止されたエンクロージャ220を形成してもよい。封止されたエンクロージャ220は、接着剤プラグによって形成されたインプラントを形成するように、接着剤で充填することができる。好ましくは、接着剤は、混合時に硬化する2成分接着剤である。付加的または代替的に、接着剤は光221によって硬化可能であってもよい。インプラントの形成後、送達装置200およびバルーン218’、218’’は引き込まれる。あるいは、バルーン218’、218’’の一方または両方、好ましくは遠位バルーン218’’が、送達装置200から取り外し可能であり、インプラントの一部を形成するように体内に留まることができる。
【0094】
図21は、本発明による治療装置400を示す。治療装置400は、本明細書に開示される送達装置(200、例えば、図13図18参照)として構成されてもよい。治療装置400は、好ましくはシリコーン製の吸引フード401を備える。あるいは、任意の生体適合性ポリマーが好適である。吸引フード401は、雄ねじ山404を有して構成されたシリコーンチューブ403に接続されている。管は、その周囲に常圧が加えられている間にその管腔に真空が加えられた場合に潰れないように機械的に適合されている。シリコーンチューブ403の雄ねじ山404は、シース402に固定的に接続された雌ねじ山405と動作可能に接続されている。雌ねじ山404および雄ねじ山405によって、吸引フード401を展開または引き込むことができる。あるいは、当該技術分野で知られている従来のスライド機構を、治療装置400の残りの部分に対する吸引フード401の動きに利用することができる。真空を介して組織に付着することにより、治療装置400は、血液を除去し、および/または別の材料もしくはインプラントを挿入するために、それ自体および/または組織への別個の送達装置を有利に安定させることができる。
【0095】
図22a~図22gは、図21に示されるような治療装置400による可能な治療を概略的に示す。
【0096】
図22aは、閉塞によって治療される空腔203、この場合は左心耳(LAA)を示す。
【0097】
図22bでは、治療装置400が空腔の小孔213上に配置されている。
続いて、図22cに示されるように、治療装置によって真空が加えられる。
【0098】
その結果、図22dに示すように、真空および治療装置400による負圧によって空腔203が潰れる。
【0099】
図21の治療装置400に関して述べたように、治療装置400は、送達装置としてさらに構成されてもよい。ここで、治療装置400は、接着剤組成物を送達するように構成された伝送路202をさらに備える(図22f参照)。
【0100】
図22fは、後にインプラント300を形成する接着剤組成物で充填された後の空腔203を示す。接着剤組成物は、特に好ましくは、架橋可能ヒドロゲルを含む。ここで、空腔203内部の圧力は、何の介入もない生理学的値と同じであり、すなわち、例えば図22aに示す血圧と実質的に同一である。しかしながら、生理学的圧力よりも高いまたは低い圧力を使用することが可能である。接着剤は、体温において硬化可能であり、したがって、自発的に剛直化する。本明細書に開示される任意の接着剤、特に光照射、湿度、添加剤、または2つ以上の成分の混合によって硬化可能な接着剤を使用することが可能であろう。
【0101】
続いて、インプラント300は、図22gに示すように、空腔を充填し閉塞する。
図23a~図23gは、図22a~図23gに示す方法と同様の方法を示す。
【0102】
図23aは、空腔203、ここでは左心耳(LAA)を示す。
図23bは、図22bに示すステップと実質的に同一のステップを示す。しかしながら、治療装置400は、インプラント300を搬送するようにさらに構成されている。インプラント300は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)303およびシリコーンプラグ304から作製された接着パッチを含む。本明細書に開示される任意の接着剤が、接着パッチに含まれるのに適している。プラグ304は、開口部305に近接して配置され、開口部305を閉鎖するように適合される。治療装置400は、パッチ303内の開口部305を通って延び、吸引フード401の内側領域と流体連通する伝送路202をさらに備える。
【0103】
図23cおよび図23dに示すステップは、図22cおよび図22dのステップと実質的に同一である。
【0104】
図23eに示すように、伝送路202は、その後、もはやパッチ303の開口部305を通って延びないように引き込まれる。シリコーンプラグ304は、ばね作用によって開口部305を自動的に閉鎖する(図24aおよび図24b参照)。これにより、空腔203が真空下で封止される。
【0105】
図23fは、吸引フード401の内部容積が生理食塩水500で満たされて空隙を充填し、圧力を増加させることを示す。並行して、インプラントが形成され、空腔を恒久的に封止するように空腔203の小孔213と接着結合する。
【0106】
図23gは、治療装置400の取り外し後に閉鎖されている空腔203を示す。
図24aは、図23bに示すインプラント300を示す。インプラント300は、パッチ303およびプラグ304を備える。プラグ304は、送達装置の伝送路202が開口部305を閉塞するとき、張力下で弾性バンド306によって保持される。ここで、プラグ304はパッチ303の近位側に配置されているが、プラグ304を遠位側に配置することも考えられる。
【0107】
図24bは、伝送路202の引き込み後の図24aのインプラント300を示す。弾性バンド306の弾性力により、プラグ304は開口部305内に引き込まれてこれを閉塞する。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図11d
図12a
図12b
図12c
図13a
図13b
図13c
図13d
図14
図15
図16
図17
図18
図19a
図19b
図20
図21
図22a
図22b
図22c
図22d
図22e
図22f
図22g
図23a
図23b
図23c
図23d
図23e
図23f
図23g
図24a
図24b
【国際調査報告】