(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(54)【発明の名称】呼気関連アプリケーションを使用した結核およびその他の疾患の診断
(51)【国際特許分類】
G01N 33/497 20060101AFI20221019BHJP
G01N 1/02 20060101ALI20221019BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20221019BHJP
【FI】
G01N33/497 A
G01N1/02 W
G01N1/02 B
G01N27/62 V
G01N27/62 G
G01N27/62 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512715
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 US2020048040
(87)【国際公開番号】W WO2021041571
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2020-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520148932
【氏名又は名称】ゼテオ テック、 インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(72)【発明者】
【氏名】ブライデン、ウェイン、エイ.
(72)【発明者】
【氏名】コール、チャールズ、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウッド、ロビン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ダペン
【テーマコード(参考)】
2G041
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041DA04
2G041DA05
2G041EA06
2G041FA10
2G045AA25
2G045CB22
2G045DA77
2G045FB06
2G045HA06
2G052AA05
2G052AA34
2G052AB16
2G052AD06
2G052AD23
2G052AD46
2G052BA14
2G052GA11
2G052GA24
2G052JA07
(57)【要約】
気道疾患を含むいくつかの疾患の迅速で低コストの自律的なポイントオブケアアッセイを可能にする種々の診断ツールを使用して、呼気エアロゾルおよび呼気凝縮物を分析するための方法および装置が開示される。MALDI-MSを含む質量分析を使用して結核診断のために呼気エアロゾルおよび呼気凝縮物を分析するための方法および装置が開示される。開示されたシステムおよび方法は、約20分未満で診断テスト結果を提供し、最小限の人間の介入で自律的な操作を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気を使用して個人の呼吸器疾患を診断するための自律システムにおいて、
当該システムは、
サンプル収集サブシステムであって、
抽出コンポーネントに供給される空気の流れへの上記予め定められた回数の呼吸操作中に個人から放出された呼気エアロゾル(EBA)粒子を抽出するために個人の顔を受け取るように構成されたサンプル抽出コンポーネントと、
インターフェースチューブによって上記サンプル抽出コンポーネントに流体接続され、収集されたサンプルとして呼気および空気からEBA粒子を分離および収集するように構成されたサンプル捕捉コンポーネントとを有する上記サンプル収集サブシステムと、
上記サンプル捕捉コンポーネントに流動的に接続されたサンプル分析サブシステムであって、
収集されたサンプルの少量をサンプルプレート上にスポットし、収集されたサンプルをサンプルプレート上に濃縮するためのサンプル処理コンポーネントと、
上記サンプルを分析するための診断装置とを有する上記サンプル分析サブシステムとを有することを特徴とする上記システム。
【請求項2】
上記EBA粒子が、上記呼吸器疾患に特徴的な微生物、ウイルス、代謝産物バイオマーカー、脂質バイオマーカー、およびプロテオミクスバイオマーカーのうちの少なくとも1つを有する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記サンプル捕捉コンポーネントに入る空気の流量レートが約100L/分から約1000L/分の間である請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
上記サンプル捕捉コンポーネントに入る空気の流量レートが約50L/分から約500L/分の間である請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
収集されたサンプルの体積が約100マイクロリットルから約1mlの間である請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
上記サンプル捕捉コンポーネントが、空気ポンプとインパクタ―とをさらに有し、上記空気ポンプが、呼気を上記抽出コンポーネントから上記インパクターに運ぶための空気の流れを提供し、上記インパクターが上記EBA粒子を上記呼気から分離して収集したサンプルを生成する請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
上記インパクターが、サイクロン、接液壁サイクロン、1または複数の接液フィルムインパクター、およびインピンジャーのうちの少なくとも1つを有する請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
上記インパクターの上流に配置された少なくとも1つの仮想インパクションステージをさらに有する請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
上記サンプル抽出コンポーネントが、円錐形の装置、シュラウド、CPRレスキューマスク、CPAPマスク、人工呼吸器マスク、および医療用ユニバーサルマウスピースのうちの少なくとも1つを有する請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
上記サンプル収集サブシステムは、個体を受け入れ、上記個体の呼気を周囲空気から隔離するための封じ込めブースをさらに有し、上記抽出コンポーネントは、上記封じ込めブースの壁を介して上記捕捉コンポーネントに流体接続される請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
上記診断装置が、PCR、rt-PCR、免疫ベースのアッセイ、質量分析計(MS)、MALDI-MS、ESI-MS、GC-MS、GC-IMSおよびMALDI-TOFMSのうちの少なくとも1つを有する請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
上記インターフェースチューブおよび上記サンプル捕捉コンポーネントのうちの少なくとも1つの壁と熱連絡して上記サンプル捕捉コンポーネントを冷却するように構成された1または複数の冷却装置をさらに有する請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
上記サンプル捕捉コンポーネントが、上記1または複数の冷却装置を使用して、約0℃より高く、約10℃未満の温度に冷却される請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
上記サンプル捕捉コンポーネントが、上記1または複数の冷却装置を使用して、約0℃より高く、約4℃未満の温度に冷却される請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
上記1または複数の冷却装置が、ペルチェ熱電装置を有する請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
上記サンプル抽出コンポーネントと流体通信するように構成された1または複数のセンサをさらに有し、上記1または複数のセンサの出力は、上記サンプル捕捉コンポーネントに入る呼気エアロゾル粒子の総累積量を計算するために使用される請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
上記1または複数のセンサが、CO
2センサ、酸素センサ、湿度センサ、光学粒子サイズカウンタ、空力粒子サイザ、および比濁計のうちの少なくとも1つを有する請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
上記診断装置を使用して呼吸器疾患を診断するために必要とされる呼気操作の数が、呼気エアロゾル粒子の総累積量を使用して決定される請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
上記サンプル収集サブシステムを消毒するための滅菌コンポーネントをさらに有する請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
上記滅菌コンポーネントが、消毒剤を噴霧するためのネブライザ、UV放射を生成するための1つ以上のUV光、蒸気発生器、オゾン発生器、過酸化物蒸気発生器、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを有する請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
上記消毒剤が、水中の60%エタノール、水中の少なくとも60%イソプロパノール、および過酸化物溶液のうちの少なくとも1つを有する請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
上記収集されたサンプルが、分配ポンプ、重力誘導流、およびロボットサンプル移送システムのうちの少なくとも1つを使用して上記サンプル処理コンポーネントに移送される請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
上記ポンプが蠕動ポンプである請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
上記インターフェースチューブが、銅、およびニッケル-銅合金400のうちの少なくとも1つで製造される請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
上記サンプル捕捉コンポーネントが、銅、およびニッケル-銅合金400のうちの少なくとも1つで製造される請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
上記診断装置がMALDI-TOFMSを有する請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
上記サンプル処理コンポーネントは、流体リザーバおよび流体分配ポンプの少なくとも1つを有し、上記サンプル基板上に配置された上記収集されたサンプル上に約1マイクロリットルの流体を分配する請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
上記液体が、溶媒、MALDIマトリックス化学物質、水、および酸のうちの少なくとも1つを有する請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
上記個体が、結核およびコロナウイルス疾患のうちの少なくとも1つに感染した人、および、感染していない人のうちの少なくとも1人である請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
脂質バイオマーカーが、Mtbに特徴的なバイオマーカーを有する請求項2に記載のシステム。
【請求項31】
上記サンプル捕捉要素が、上記サンプル抽出コンポーネントと流体連絡する充填床カラムを有し、EBA粒子を選択的に捕捉する請求項1に記載のシステム。
【請求項32】
上記充填層カラムが、樹脂、セルロース、シリカ、アガロース、および水和Fe
3O
4ナノ粒子のうちの少なくとも1つを有する固体粒子を有する請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
上記充填層カラムが、表面上にC18官能基を具備する樹脂ビーズを有する請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
呼気を使用して個人の呼吸器疾患を診断するための自律的な方法において、
当該方法は、
上記予め定められた回数の呼吸操作中に個人から放出されたEBA粒子を、個人の顔を受け入れるように構成されたサンプル抽出コンポーネントに供給される空気の流れに抽出するステップと、
インターフェースチューブによって上記サンプル抽出コンポーネントに流体接続されたサンプル捕捉コンポーネントを使用して、収集されたサンプルとして、呼気および空気からEBA粒子を収集するステップと、
上記収集したサンプルの少量をサンプルプレートにスポットするステップと、
溶媒、MALDIマトリックス化学物質、水、および酸、ならびにそれらの混合物のうちの少なくとも1つを使用して上記サンプルを扱うことによって上記サンプルを処理するステップと、
診断装置を使用して上記サンプルを分析するステップとを有することを特徴とする上記方法。
【請求項35】
上記EBA粒子が、呼吸器疾患に特徴的な微生物、ウイルス、代謝産物バイオマーカー、脂質バイオマーカー、およびプロテオミクスバイオマーカーのうちの少なくとも1つを有する請求項34に記載の方法。
【請求項36】
上記処理するステップが、適切な乾燥手段を使用してサンプルを乾燥させることによってサンプルを濃縮するステップをさらに有する請求項34に記載の方法。
【請求項37】
上記診断装置がMALDI-TOFMSを有する請求項34に記載の方法。
【請求項38】
上記サンプル捕捉コンポーネントを使用して収集する上記ステップが、
上記抽出するステップからの出力を充填層カラムに流して、EBA粒子を選択的に捕捉するステップと、
サンプル抽出システムで約12.5%酢酸、約70%イソプロパノール、約5%TFA、約5%ギ酸、および約10%HClの少なくとも1つを使用して、上記充填層カラムからEBA粒子を抽出し、収集サンプルを生成するステップとを有する請求項34に記載の方法。
【請求項39】
上記収集されたサンプルを消化して、EBA粒子に特徴的なペプチドサンプルを生成するステップをさらに有する請求項34に記載の方法。
【請求項40】
上記充填層カラムが、樹脂、セルロース、シリカ、アガロース、および水和Fe
3O
4ナノ粒子のうちの少なくとも1つを有する固体粒子を有する請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
上記充填層カラムが、表面上にC18官能基を有する樹脂ビーズを有する請求項38に記載のシステム。
【請求項42】
呼気を使用して個人の呼吸器疾患を診断するための自律的な方法において、
当該方法は、
呼気からEBA粒子を抽出するためのサンプル抽出コンポーネントを配置するように個人に指示するステップと、
呼気からサンプル抽出コンポーネントに供給される空気の流れにEBA粒子を排出するために、上記予め定められた回数の呼吸操作を開始するステップと、
サンプル捕捉コンポーネントの壁、および、サンプル抽出コンポーネントと上記サンプル捕捉コンポーネントを流体で接続するインターフェースチューブを冷却しながら、空気中のEBA粒子を上記サンプル捕捉コンポーネントに流し込むステップと、
収集したサンプルを生成するステップと、
溶媒、MALDIマトリックス化学物質、水、および酸、ならびにそれらの混合物のうちの少なくとも1つを使用して上記サンプルを扱うステップを有する、収集された上記サンプルを処理するステップと、
MALDI-TOFMSを使用してプレート処理されたサンプルを分析するステップとを有することを特徴とする上記方法。
【請求項43】
上記サンプル捕捉コンポーネントに入る空気の流量レートが約100L/分から約1000L/分の間である請求項42に記載の方法。
【請求項44】
上記サンプル捕捉コンポーネントに入る空気の流量レートが約50L/分から約500L/分の間である請求項42に記載の方法。
【請求項45】
収集された上記サンプルの体積が約100マイクロリットルから約1mlの間である請求項42に記載の方法。
【請求項46】
上記予め定められた数の呼吸操作が、
a.上記個人の肺をきれいにするために深い息を吐くステップと、
b.最大10秒間一時停止するステップと、
c.FVC吸入を実行するステップと、
d.深い息を吐き出すステップと、
e.上記のシーケンスを最大10回繰り返すステップとを有する請求項42に記載の方法。
【請求項47】
呼気呼吸、咳、通常のFVC呼吸、発話、およびくしゃみのステップのうちの少なくとも1つをさらに有する請求項46に記載の方法。
【請求項48】
上記呼吸器疾患が、結核、インフルエンザ、肺炎、癌、およびコロナウイルスによって引き起こされる疾患のうちの少なくとも1つを有する請求項42に記載の方法。
【請求項49】
上記予め定められた呼気操作の数が、吐き出される粒子の体積および呼気の体積の少なくとも1つを示す、1または複数のセンサによって決定される請求項42に記載の方法。
【請求項50】
上記1または複数のセンサが、CO
2センサ、酸素センサ、湿度センサ、光学粒子サイズカウンタ、空力粒子サイザ、および比濁計のうちの少なくとも1つを有する請求項49に記載の方法。
【請求項51】
エアロゾル化されたウイルスおよび細菌粒子によって引き起こされる呼吸器疾患を診断するためのシステムにおいて、
当該システムは、
サンプル捕獲コンポーネントであって、収集されたサンプルとして当該サンプル捕獲コンポーネントに供給される空気の流れに予め定められた体積の空気中のEBM粒子を収集するサンプルを収集し、上記空気の流れは約30L/分から約1000L/分の間である、上記サンプル捕獲コンポーネントと、
上記サンプル捕獲コンポーネントに流体的に接続されたサンプル分析サブシステムとを有し、
上記サンプル分析サブシステムは、収集された上記サンプルの少量をサンプルプレート上にスポットし、収集された上記サンプルをサンプルプレート上で扱うサンプル処理コンポーネントと、上記サンプルを分析するための診断装置とを有することを特徴とする上記システム。
【請求項52】
上記サンプル処理コンポーネントが、溶媒、MALDIマトリックス化学物質、水、および酸、ならびにそれらの混合物のうちの少なくとも1つを使用して上記サンプルを処理するための流体コンポーネントを有する請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
1または複数のセンサをさらに有し、当該1または複数のセンサは、上記サンプル抽出コンポーネントと流体連通するように構成され、当該1または複数のセンサの出力は、上記サンプル捕捉コンポーネントに入る呼気エアロゾル粒子の総累積量を計算するために使用される請求項51に記載のシステム。
【請求項54】
上記1または複数のセンサが、CO
2センサ、酸素センサ、湿度センサ、光学粒子サイズカウンタ、空力粒子サイザ、および比濁計のうちの少なくとも1つを有する請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
上記予め定められた空気の体積が、1または複数のセンサの上記出力を使用して決定される請求項51に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、2019年8月26日に提出され「呼気を使用した結核およびその他の疾患の診断」と題された米国仮出願62/891954、および2020年8月23日に提出され「呼気を使用した結核および他の疾患の診断」と題された米国仮出願63/069120に関連し、その利益を主張し、これらは両方とも参照によりその全体がここに組み込まれる。
【連邦支援研究開発】
【0002】
該当しない。
【技術分野】
【0003】
本開示は、呼吸器疾患を含むいくつかの疾患の迅速で低コストの自律的なポイントオブケアアッセイを可能にするために種々の診断ツールを使用して呼気エアロゾルおよび呼気凝縮物を分析するための方法および装置に関する。より具体的には、限定ではないけれども、本開示は、MALDI-MSを含む、質量スペクトルを使用する、結核診断のための呼気エアロゾルおよび呼気凝縮物を分析するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0004】
結核(TB)は、毎日4000人以上が死亡し、世界的な殺人者としてHIV/AIDSを上回っている(Patterson、B.、その他、2018)。発生率の低下率は、報告されている年間1.5%と不十分なままであり、治療だけで病気の負担が大幅に軽減される可能性は低い。HIVが非常に蔓延している地域社会では、結核菌(Mtb)のジェノタイピング研究により、再活性化ではなく最近の感染が結核の発症の大部分(54%)を占めることがわかっている。結核感染の物理的プロセスはまだ十分に理解されておらず、感染性エアロゾルの生成、放出、および吸入における重要なイベントを解明するための新技術の適用は遅れている。空中感染性粒子を特徴づけるための経験的研究はまばらである。調査を悩ませている2つの大きな問題は、自然に生成されたMtb粒子の濃度が低いことと、環境および患者由来の細菌の複雑さ、および空気中のサンプルの真菌汚染とである。それにもかかわらず、空中探知の試みは数多くある。ウガンダでの2004年の概念実証研究とその後の実現可能性研究では、肺結核患者から咳が発生したエアロゾルをサンプリングした。2つの実行可能なカスケードインパクターを備えたサンプリングチャンバに直接咳をすると、1~6日間の化学療法を受けたにもかかわらず、参加者の4分の1以上から陽性の培養が得られた。同じ装置を使用した追跡調査では、エアロゾルの細菌負荷が高い参加者は、家庭内感染率の上昇と疾患所見の進展に関連している可能性があり、定量的な空中サンプリングが臨床的に関連する感染力の尺度として役立つ可能性があることがわかった。したがって、感染の中断は、結核の発生率に迅速で測定可能な影響を与える可能性がある。
【0005】
結核の感染を制御する最良の方法は、活動性のTB例を迅速に特定して治療することである(Wood、R.C.、その他、2015)。肺TBの診断は、通常、患者の喀痰の微生物学的、顕微鏡的、または分子的分析によって行われる。発展途上国のほとんどにおけるTB感染の「ゴールドスタンダード」テストは、喀痰サンプルに基づく塗抹標本培養である。サンプルを培養プレートに塗り、Mtbに特有の染色を加え、顕微鏡を使用して染色された細胞をカウントする。塗抹標本中の細胞の濃度が設定されたしきい値よりも高い場合、サンプルは陽性として分類される。TBカウントがこのしきい値を下回る場合、陰性の値として分類される。診断には数時間かかる場合がある。診断サンプルとしての喀痰の必要性は、患者から喀痰を収集するという課題とその複雑な組成のために制限要因である。材料の粘度は、テストの感度を制限し、サンプル間の不均一性を高め、テストに関連するコストと労力を増やす。さらに、喀痰の生成(咳が必要)は医療従事者にとって職業上危険であす。喀痰には、サンプル培地としていくつかの欠点がある。第一に、患者の約50%だけしか良い喀痰サンプルを提供できない。たとえば、約8歳未満の子供は、通常、喉の奥から痰を「咳き込む」能力が発達していないため、要求に応じてサンプルを作成できないことがよくある。高齢者や病気の人は、痰咳をする力がないかもしれない。他の人は単に喉に痰がないかもしれない。したがって、喀痰分析に基づく診断方法は、喀痰サンプルを提供する患者の50%もの診断を提供しない可能性がある。喀痰は、抗生物質で治療されてから1~2日後に採取された場合、肺の深部の病状を表していないため、診断サンプルとしても役立たない。治療開始後数日以内に、喀痰中の生きているMtbの数は大幅に減少する。尿と血液は、TB感染の診断のためのサンプル培地として提案されている。血液は侵襲性が高く、HIV陽性であることが多い血液サンプルの取り扱いには高いコストがかかる。これは、世界の一部の地域では、多くのTB患者にもHIVの重複感染があるためである。さらに、活動性のTBの患者は、血液中を循環している結核細胞が少ない可能性がある。尿ベースの診断も提案されているけれども、これらの検査は、生きているTB菌以外の、疾患のバイオマーカーを探しており、広範な臨床使用について検証されていない。
【0006】
収集と取り扱いがより簡単で、より安全で、より均一なサンプルは、TB診断を簡素化する。呼気にはエアロゾル(「EBA」Exhaled breath aerosol)と蒸気が含まれており、これらを非侵襲的に収集して特性を分析し、肺の生理学的および病理学的プロセスを解明することができる(Hunt、2002年)。分析のために呼気を捕捉するために、呼気は凝縮装置を通過して、呼気凝縮物(「EBC」、Exhaled breath condensate)と呼ばれる液体の蓄積物を生成する。EBCは主に水蒸気に由来するけれども、EBCは、サイトカイン、脂質、界面活性剤、イオン、酸化生成物、アデノシン、ヒスタミン、アセチルコリン、セロトニンを含む、不揮発性化合物に溶解している。さらに、EBCは、アンモニア、過酸化水素、エタノールなどの潜在的に揮発性の水溶性化合物、およびその他の揮発性有機化合物をトラップする。EBCのpHは容易に測定できる。EBCには、エアロゾル化された気道内膜液と揮発性化合物が含まれており、肺で進行中の生化学的および炎症性の活動を非侵襲的に示す。EBCへの関心が急速に高まっているのは、肺疾患において、EBCには感染者と健康な人を区別するために使用できる測定可能な特性があるという認識から生じている。これらのアッセイは、急性および慢性喘息、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸器疾患症候群、職業病、および嚢胞性線維症における気道および肺のレドックス偏差、酸塩基状態、および炎症の程度とタイプのエビデンスを提供している。不確実で変化する希釈度を特徴とするEBCは、天然の気道内膜液内の個々の溶質濃度の正確な評価を提供しない場合がある。ただし、濃度が健康と病気の間で大幅に異なる場合、またはサンプルで検出された溶質の比率に基づいている場合は、有用な情報を提供できる。
【0007】
Pattersonその他(2018)は、特注の呼吸エアロゾルサンプリングチャンバ(RASC)を使用した。これは、患者由来の呼気エアロゾルサンプリングを最適化し、1人の患者から呼吸可能なエアロゾルを分離して蓄積するように設計された新しい装置であす。環境サンプリングは、チャンバの空気中で一定期間エージングした後に存在するMtbを検出する。35人の新たに診断されたGeneXpert(Cepheid、Inc.、Sunnyvale、CA)の喀痰陽性の結核患者が、約1.4m3のRASCチャンバに1時間閉じ込められている間に監視された。GeneXpert遺伝子アッセイは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づいており、BT診断のためにサンプルを分析し、TBサンプルに薬剤耐性遺伝子があるかどうかを示すために使用できる。TB用のGeneXpertPCRアッセイは、喀痰サンプルを受け入れ、約1時間で陽性または陰性の結果を提供する。チャンバには、空気力学的粒子サイズ検出、実行可能および実行不可能なサンプリングデバイス、リアルタイムのCO2モニタリング、および咳の録音が組み込まれている。微生物培養および液滴デジタルポリメラーゼ連鎖反応(ddPCR)を使用して、各バイオエアロゾル収集デバイスでMtbを検出した。Mtbはエアロゾルサンプルの77%で検出され、サンプルの42%はマイコバクテリア培養で陽性であり、92%はddPCRで陽性であった。咳の発生率と培養可能なバイオエアロゾルの間に相関関係が見られた。Mtbは、エアロゾルサイズ2.0~3.5μmにピークを持つすべての実行可能なカスケードインパクターステージで検出された。これは、エアロゾル培養陽性の呼気の中央値が0.09CFU/リットルであり、呼気粒子状バイオエアロゾルの推定中央値が4.5x107CFU/mlであることを示唆している。Mtbは、RASCチャンバを使用して未治療のTB患者の大多数によって吐き出されたバイオエアロゾルで検出された。分子検出は、固体培地でのMtb培養よりも感度が高いことがわかった。
【0008】
Mtbは、培養、ddPCR、電子顕微鏡、イムノアッセイ、および細胞染色(oramineやdmnTreなど)によってEBAにおいて識別できる。これらのうち、PCRおよびイムノアッセイは迅速かつ種レベルに特異的である可能性がある。PCRおよびその他のゲノミクスベースの技術は、菌株レベルに固有である可能性がある。質量分析は、細菌感染から得られた培養物の菌株レベルに特異的であることが示されている。たとえば、Bruker Daltonics(ドイツ)のBiotyperは、人間に感染を引き起こす最大15,000株の細菌を識別できることが示されている。これらの技術は、EBAからの結核感染を特定できることが示されている。リポアラビノマンナンに基づくものなど、Mtb検出のためのイムノアッセイもよく知られています。
【0009】
TBの場合、TBに感染した人は、個人が診療所に来たときに受動的な症例発見によって診断されることがよくある。積極的な症例発見(「ACF」、Active case finding)は、一般的に、一次医療制度の外で結核感染が疑われる人々に到達する他の方法を含むと考えられている。WHOによると、ACFは「迅速に適用できる検査、審査、またはその他の手順を使用して、活動性TBが疑われる人々を体系的に特定する」ことである。ACFの目標は、感染者を早期に治療し、平均感染期間を短縮し、それによって病気の蔓延を減らすことである。結核の場合、個人が助けを求めて診療所に行くまでに、その人は結核感染を他の約10人から約115人に感染させた可能性がある。ACFは、結核の重大な感染を減らすか防ぐのに役立つ。喀痰分析や血液分析などの診断システムと方法は、自動化されておらず、自律的に操作されていないか、迅速ではない。多くは、分析ごとに消費される高価なアッセイを必要としているため、特に発展途上国や発展途上国では、積極的な症例発見のための一般的な有用性がない。先に述べたように、EBA分析は、高価なアッセイや消耗品の必要性がなくなるため、迅速な分析、携帯性、および低コストを提供するTB検出のための説得力のある診断ツールであろう。McDevittその他(2013)は、インフルエンザ診断のためのEBA分析装置と方法を報告している。インパクターを使用して呼気から大きな粒子(>4μm)を除去し、続いて小さな粒子(<4μm)用の湿式フィルムコレクターを使用する。収集された粒子の2つのサイズのビンは、ゲノミクスベースの方法である逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(rt-PCR)を使用してインフルエンザウイルスについて分析された。PCRテクノロジーは、酵素を含む他の生体分子と組み合わせた生体分子プローブを使用して、DNAの特定の配列がサンプルに存在する場合、その特定の配列を増幅する。標的となる配列は、同定されている疾患に特異的であると考えられている。McDevittその他が、EBAサンプルがインフルエンザの診断に使用できることを示した。開示された装置および方法には、実用的な観点からいくつかの欠点がある。まず、呼気エアロゾルサンプルは、体積が数ミリリットルの個別のサンプルに収集されるため、サンプルを濃縮するにはかなりの労力が必要である。さらに、診断デバイスはサンプルコレクターに結合または統合されておらず、ACFツールとしての使用には適していない。RNAアッセイを自動化して、TB分析用の自律診断ツールを作成する機能は明確ではない。十分な量の咳または呼気エアロゾルが特定の患者によって生成されたかどうかを決定する方法は記載されていない。その結果、サンプルがインフルエンザに対して陰性であることが判明した場合、それは不十分なサンプル収集に起因する偽陰性が原因である可能性がある。種々の呼吸操作中に生成されるエアロゾル化された肺液の量に関して、人間の間で大きなばらつきがあることはよく知られている。
【0010】
GeneXpert Ultarは、PCR技術を使用する最先端のゲノミクスベースのポイントオブケア診断装置である。結核やその他の呼吸器疾患のACFを実施するために、EBAサンプル収集方法と統合することもできるけれども、サンプル収集時間は長すぎて実用的ではない。Pattersonその他は、20~200のTB菌が通常EBAで産生され、1時間のサンプリング期間で収集できることを示している。GeneXpert Ultraを診断アッセイとして使用するには、最低1時間のサンプリングが必要である。GeneXpertは、空気をサンプリングして空気中の病原体の空気サンプルを分析するシステムと統合できる。BDSシステム(Northup Grumman、メリーランド州エッジウッド)は、郵便物が流通センターを通過するときに炭疽菌を引き起こす細菌胞子について米国郵政公社の郵便物をスクリーニングするために使用されている。接液壁サイクロンとGeneXpertPCRシステムを組み合わせて、空気を自律的にサンプリングし、病原体が存在するかどうかを報告する。ただし、GeneXpert Ultraアッセイは、テストあたりのコストが比較的高く、アッセイを完了して結果を提供するのに約1時間かかりる。一般に、PCRベースの診断は、サンプリングと分析に必要な時間が長く、テストあたりのコストが比較的高いため、ACFアプリケーションのTBスクリーニングには適していない。
【0011】
診断アッセイに関連する時間は、フィールドテストまたは「ポイントオブケア」テストの重要なパラメーターである。定義上、ACFは医療システムの外部で行われるため、ACFはフィールド診断アッセイの例である。米国において、ポイントオブケア検査は20分以内に回答を提供する必要がある。そうでない場合、テストは遅すぎると見なされ、短い患者待機時間を達成するには受け入れられない。発展途上国、特に結核の流行の歴史がある国では、GeneXpertを使用して約1時間で診断を行うことができる。先の述べたように、このアッセイは「テストあたりのコスト」ベースで実装するには費用がかかるため、まだ広く展開されていない。費用が高いため、健康に見える(無症候性)がTBに感染している可能性のある患者のスクリーニングには使用されないけれども、他の検査や要因に基づいて強く疑われる診断を確認するために使用される。
【0012】
Fennellyその他(2004)は、咳エアロゾルと、活動的な患者であることが知られている個人を使用する2つのAndersonカスケードインパクターを含む収集チャンバを使用するTB分析を説明した。個人は、激しい咳の2つの別々の5分間のバーストを提供するように求められた。影響を受けたサンプルの培養には30~60日かかったため、このアプローチは自動化に適していない。臨床サンプルとしてのEBAの挑戦的な側面は、呼気から収集できる呼気粒子の量の比較的少量のサンプルである。さらに、収集された質量のかなりの部分が水である。診断情報(「バイオマーカー」)を含む分子は、ナノリットルまたはピコグラムの量で存在する。その後、エアロゾル収集法は、呼気中のバイオマスの大部分を捕捉するのに効果的でなければならない。呼気には、呼吸、深呼吸、咳、くしゃみなど、さまざまな操作によって肺から吐き出される空気が含まれる。強制肺活量(FVC、forced vital capacity)などの特定のタイプの深呼吸操作を使用して、可能な限り呼吸し、可能な限り深く(または深く)吐き出して呼気の容量を最大化することにより、肺活量の最大量を測定できる。強制呼気量(FEV、Forced expiratory volume)は、強制呼吸中に人が吐き出すことができる空気の量を測定する。呼気の量は、強制呼吸の1秒(FEV1)、2秒(FEV2)、および/または3秒(FEV3)の間に測定できる。強制肺活量(FVC)は、FEVテスト中に吐き出される空気の総量である。強制呼気量と強制肺活量は、肺活量測定中に測定される肺機能検査である。強制呼気量は、肺機能の重要な測定値である。
【0013】
呼吸器疾患は呼気エアロゾルと呼気凝縮液から検出できることが研究によって示されているけれども、結核、インフルエンザ、肺炎などの感染症や疾患の最新の臨床検査では、喀痰、血液、鼻腔スワブを引き続き利用している。呼気に存在する微量の分析物を効率的に収集および濃縮する方法および装置が不足しているため、呼気分析ツールは商品化されていない。さらに、特定の診断にどれだけの呼気が十分であるかを評価するための標準または方法論はない。開示された例示的な装置および方法は、呼気エアロゾルおよび呼気凝縮物を高流量、高効率で、比較的濃縮されたサンプルに収集することによって、これらの制限を克服する。さらに、エアロゾルのサイズソーティングを組み込んで、分析物を収集する前に、特定の分析物の信号対雑音比を高めることができる。次に、濃縮されたサンプルをいくつかの方法で分析することができるけれども、好ましくは、対象の分析物に対して感度が高く、迅速で、非常に特異的な方法を使用する。より好ましくは、分析は迅速で、ほぼリアルタイムである。質量分析、リアルタイムPCR、およびイムノアッセイは、感度が高く、特異的で、ほぼリアルタイムである可能性が最も高くなる。
【0014】
喀痰分析よりも迅速で信頼性が高く、血液分析よりも侵襲性が低い質量分析(「MS」)などの高速診断ツールと組み合わせて、高速、高感度、詳細で、好ましくは、テストあたりのコストが低い点で特徴づけられる診断アッセイを提供できるサンプル収集方法が必要である。このようなシステムは、TBやその他の肺疾患または呼吸器疾患の活動的症例発見(ACF)に使用できる。効果的であるためには、ACFのシステムは「診断ごと」をベースにして迅速かつ安価でなければならない。TB感染を予防的に予防し、実際にTBに感染している少数の人を探すために、多数の個人をスクリーニングするためには、テストあたりのコストを低く抑える必要がある。「普通の風邪」に感染している患者はライノウイルスに感染している可能性があるため、インフルエンザやその他の病原性ウイルスのポイントオブケア診断には、低コストのデバイスと方法も必要になる。いくつかのケースにおいて、呼吸器感染症は細菌または真菌の微生物によって引き起こされ、抗生物質で治療できる可能性がある。他のケースにおいては、微生物は抗生物質に耐性があるかもしれない、そして抗生物質に対する微生物の耐性を特定することができる診断方法が好ましい。サンプル量が不十分なために偽陰性が発生するのを最小限に抑えながら、気道内のウイルス感染と細菌感染を区別するための迅速なEBA法が望まれている。質量分析、PCRを含むゲノミクス法、およびイムノアッセイは、感度と特異性が最も高い可能性がある。質量分析、特にMALDI飛行時間型質量分析(MALDI-TOFMS)は、感度が高く、特異的で、ほぼリアルタイムであることが実証されているため、EBAおよびEBCサンプルの分析に適した診断ツールである。
【発明の概要】
【0015】
ここに開示されるのは、結核診断を含む、信頼できる診断結果を30分未満、好ましくは20分未満で提供して、ポイントオブケアヘルスサービスを可能にし、能動的症例発見法(Active Case Finding)を使用して疾患の伝播を最小限に抑えるためのEBAおよびEBC分析のための例示的な方法およびデバイスである。このデバイスおよび方法は、また、患者あたり低コストであるという特徴があり、また、自律的である。
【0016】
呼気を使用して個人の呼吸器疾患を診断するための自律システムが開示され、当該システムは、サンプル収集サブシステムであって、抽出コンポーネントに供給される空気の流れへの上記予め定められた回数の呼吸操作中に個人から放出された呼気エアロゾル(EBA)粒子を抽出するために個人の顔を受け取るように構成されたサンプル抽出コンポーネントと、インターフェースチューブによって上記サンプル抽出コンポーネントに流体接続され、収集されたサンプルとして呼気および空気からEBA粒子を分離および収集するように構成されたサンプル捕捉コンポーネントとを有する上記サンプル収集サブシステムと、上記サンプル捕捉コンポーネントに流動的に接続されたサンプル分析サブシステムであって、収集されたサンプルの少量をサンプルプレート上にスポットし、収集されたサンプルをサンプルプレート上に濃縮するためのサンプル処理コンポーネントと、上記サンプルを分析するための診断装置とを有する上記サンプル分析サブシステムとを有する。上記EBA粒子は、上記呼吸器疾患に特徴的な微生物、ウイルス、代謝産物バイオマーカー、脂質バイオマーカー、およびプロテオミクスバイオマーカーのうちの少なくとも1つを有して良い。上記サンプル捕捉コンポーネントに入る空気の流量レートは約100L/分から約1000L/分の間であって良い。上記サンプル捕捉コンポーネントに入る空気の流量レートは約50L/分から約500L/分の間であって良い。収集されたサンプルの体積は約100マイクロリットルから約1mlの間であって良い。上記サンプル捕捉コンポーネントは、空気ポンプとインパクタ―とをさらに有し、上記空気ポンプが、呼気を上記抽出コンポーネントから上記インパクターに運ぶための空気の流れを提供し、上記インパクターが上記EBA粒子を上記呼気から分離して収集したサンプルを生成して良い。上記インパクターは、サイクロン、接液壁サイクロン、1または複数の接液フィルムインパクター、およびインピンジャーのうちの少なくとも1つを有して良い。上記システムは、上記インパクターの上流に配置された少なくとも1つの仮想インパクションステージをさらに有して良い。上記サンプル抽出コンポーネントは、円錐形の装置、シュラウド、CPRレスキューマスク、CPAPマスク、人工呼吸器マスク、および医療用ユニバーサルマウスピースのうちの少なくとも1つを有して良い。上記サンプル収集サブシステムは、個体を受け入れ、上記個体の呼気を周囲空気から隔離するための封じ込めブースをさらに有し、上記抽出コンポーネントは、上記封じ込めブースの壁を介して上記捕捉コンポーネントに流体接続されて良い。上記診断装置は、PCR、rt-PCR、免疫ベースのアッセイ、質量分析計(MS)、MALDI-MS、ESI-MS、GC-MS、GC-IMSおよびMALDI-TOFMSのうちの少なくとも1つを有して良い。上記システムは、上記インターフェースチューブおよび上記サンプル捕捉コンポーネントのうちの少なくとも1つの壁と熱連絡して上記サンプル捕捉コンポーネントを冷却するように構成された1または複数の冷却装置をさらに有して良い。上記サンプル捕捉コンポーネントは、上記1または複数の冷却装置を使用して、約0℃より高く、約10℃未満の温度に冷却されて良い。上記サンプル捕捉コンポーネントは、上記1または複数の冷却装置を使用して、約0℃より高く、約4℃未満の温度に冷却されて良い。上記1または複数の冷却装置は、ペルチェ熱電装置を有して良い。上記システムは、上記サンプル抽出コンポーネントと流体通信するように構成された1または複数のセンサをさらに有し、上記1または複数のセンサの出力は、上記サンプル捕捉コンポーネントに入る呼気エアロゾル粒子の総累積量を計算するために使用されて良い。上記1または複数のセンサは、CO2センサ、酸素センサ、湿度センサ、光学粒子サイズカウンタ、空力粒子サイザ、および比濁計のうちの少なくとも1つを有して良い。上記診断装置を使用して呼吸器疾患を診断するために必要とされる呼気操作の数は、呼気エアロゾル粒子の総累積量を使用して決定されて良い。
【0017】
上記事例的なシステムは、上記サンプル収集サブシステムを消毒するための滅菌コンポーネントをさらに有して良い。上記滅菌コンポーネントは、消毒剤を噴霧するためのネブライザ、UV放射を生成するための1つ以上のUV光、蒸気発生器、オゾン発生器、過酸化物蒸気発生器、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを有して良い。上記消毒剤は、水中の60%エタノール、水中の少なくとも60%イソプロパノール、および過酸化物溶液のうちの少なくとも1つを有して良い。上記収集されたサンプルは、分配ポンプ、重力誘導流、およびロボットサンプル移送システムのうちの少なくとも1つを使用して上記サンプル処理コンポーネントに移送されて良い。上記ポンプは蠕動ポンプであって良い。上記インターフェースチューブは、銅、およびニッケル-銅合金400のうちの少なくとも1つで製造されて良い。上記サンプル捕捉コンポーネントは、銅、およびニッケル-銅合金400のうちの少なくとも1つで製造されて良い。上記診断装置はMALDI-TOFMSを有して良い。上記サンプル処理コンポーネントは、流体リザーバおよび流体分配ポンプの少なくとも1つを有し、上記サンプル基板上に配置された上記収集されたサンプル上に約1マイクロリットルの流体を分配して良い。上記液体は、溶媒、MALDIマトリックス化学物質、水、および酸のうちの少なくとも1つを有して良い。上記個体は、結核およびコロナウイルス疾患のうちの少なくとも1つに感染した人、および、感染していない人のうちの少なくとも1人であって良い。脂質バイオマーカーは、Mtbに特徴的なバイオマーカーを有して良い。上記サンプル捕捉要素は、上記サンプル抽出コンポーネントと流体連絡する充填床カラムを有し、EBA粒子を選択的に捕捉して良い。上記充填層カラムは、樹脂、セルロース、シリカ、アガロース、および水和Fe3O4ナノ粒子のうちの少なくとも1つを有する固体粒子を有して良い。上記充填層カラムは、表面上にC18官能基を具備する樹脂ビーズを有して良い。
【0018】
呼気を使用して個人の呼吸器疾患を診断するための自律的な方法が開示され、当該方法は、上記予め定められた回数の呼吸操作中に個人から放出されたEBA粒子を、個人の顔を受け入れるように構成されたサンプル抽出コンポーネントに供給される空気の流れに抽出するステップと、インターフェースチューブによって上記サンプル抽出コンポーネントに流体接続されたサンプル捕捉コンポーネントを使用して、収集されたサンプルとして、呼気および空気からEBA粒子を収集するステップと、上記収集したサンプルの少量をサンプルプレートにスポットするステップと、溶媒、MALDIマトリックス化学物質、水、および酸、ならびにそれらの混合物のうちの少なくとも1つを使用して上記サンプルを扱うことによって上記サンプルを処理するステップと、診断装置を使用して上記サンプルを分析するステップとを有する。上記EBA粒子は、呼吸器疾患に特徴的な微生物、ウイルス、代謝産物バイオマーカー、脂質バイオマーカー、およびプロテオミクスバイオマーカーのうちの少なくとも1つを有して良い。上記処理するステップは、適切な乾燥手段を使用してサンプルを乾燥させることによってサンプルを濃縮するステップをさらに有して良い。上記診断装置はMALDI-TOFMSを有して良い。上記サンプル捕捉コンポーネントを使用して収集する上記ステップは、上記抽出するステップからの出力を充填層カラムに流して、EBA粒子を選択的に捕捉するステップと、サンプル抽出システムで約12.5%酢酸、約70%イソプロパノール、約5%TFA、約5%ギ酸、および約10%HClの少なくとも1つを使用して、上記充填層カラムからEBA粒子を抽出し、収集サンプルを生成するステップとを有して良い。上記方法は、上記収集されたサンプルを消化して、EBA粒子に特徴的なペプチドサンプルを生成するステップをさらに有して良い。上記充填層カラムは、樹脂、セルロース、シリカ、アガロース、および水和Fe3O4ナノ粒子のうちの少なくとも1つを有する固体粒子を有して良い。上記充填層カラムは、表面上にC18官能基を有する樹脂ビーズを有して良い。
【0019】
呼気を使用して個人の呼吸器疾患を診断するための自律的な方法が開示され、当該方法は、呼気からEBA粒子を抽出するためのサンプル抽出コンポーネントを配置するように個人に指示するステップと、呼気からサンプル抽出コンポーネントに供給される空気の流れにEBA粒子を排出するために、上記予め定められた回数の呼吸操作を開始するステップと、サンプル捕捉コンポーネントの壁、および、サンプル抽出コンポーネントと上記サンプル捕捉コンポーネントを流体で接続するインターフェースチューブを冷却しながら、空気中のEBA粒子を上記サンプル捕捉コンポーネントに流し込むステップと、収集したサンプルを生成するステップと、溶媒、MALDIマトリックス化学物質、水、および酸、ならびにそれらの混合物のうちの少なくとも1つを使用して上記サンプルを扱うステップを有する、収集された上記サンプルを処理するステップと、MALDI-TOFMSを使用してプレート処理されたサンプルを分析するステップとを有する。上記サンプル捕捉コンポーネントに入る空気の流量レートは約100L/分から約1000L/分の間であって良い。上記サンプル捕捉コンポーネントに入る空気の流量レートは約50L/分から約500L/分の間であって良い。収集された上記サンプルの体積は約100マイクロリットルから約1mlの間であって良い。上記予め定められた数の呼吸操作は、上記個人の肺をきれいにするために深い息を吐くステップと、最大10秒間一時停止するステップと、FVC吸入を実行するステップと、深い息を吐き出すステップと、上記のシーケンスを最大10回繰り返すステップとを有して良い。上記方法は、呼気呼吸、咳、通常のFVC呼吸、発話、およびくしゃみのステップのうちの少なくとも1つをさらに有して良い。上記呼吸器疾患は、結核、インフルエンザ、肺炎、癌、およびコロナウイルスによって引き起こされる疾患のうちの少なくとも1つを有して良い。上記予め定められた呼気操作の数は、吐き出される粒子の体積および呼気の体積の少なくとも1つを示す、1または複数のセンサによって決定されて良い。上記1または複数のセンサは、CO2センサ、酸素センサ、湿度センサ、光学粒子サイズカウンタ、空力粒子サイザ、および比濁計のうちの少なくとも1つを有して良い。
【0020】
エアロゾル化されたウイルスおよび細菌粒子によって引き起こされる呼吸器疾患を診断するための事例的なシステムが開示され、当該システムは、サンプル捕獲コンポーネントであって、収集されたサンプルとして当該サンプル捕獲コンポーネントに供給される空気の流れに予め定められた体積の空気中のEBM粒子を収集するサンプルを収集し、上記空気の流れは約30L/分から約1000L/分の間である、上記サンプル捕獲コンポーネントと、上記サンプル捕獲コンポーネントに流体的に接続されたサンプル分析サブシステムとを有し、上記サンプル分析サブシステムは、収集された上記サンプルの少量をサンプルプレート上にスポットし、収集された上記サンプルをサンプルプレート上で扱うサンプル処理コンポーネントと、上記サンプルを分析するための診断装置とを有する。上記サンプル処理コンポーネントは、溶媒、MALDIマトリックス化学物質、水、および酸、ならびにそれらの混合物のうちの少なくとも1つを使用して上記サンプルを処理するための流体コンポーネントを有して良い。上記システムは、1または複数のセンサをさらに有し、当該1または複数のセンサは、上記サンプル抽出コンポーネントと流体連通するように構成され、当該1または複数のセンサの出力は、上記サンプル捕捉コンポーネントに入る呼気エアロゾル粒子の総累積量を計算するために使用されて良い。上記1または複数のセンサは、CO2センサ、酸素センサ、湿度センサ、光学粒子サイズカウンタ、空力粒子サイザ、および比濁計のうちの少なくとも1つを有して良い。上記予め定められた空気の体積は、1または複数のセンサの上記出力を使用して決定されて良い。
【0021】
本開示の他の特徴および利点は、以下の説明および添付の図面に部分的に記載され、ここで、本開示の好ましい態様が、説明され、また、図示されており、これは、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を検討することにより当業者に明らかになり、または、または本開示の実施を通じて学習することができる。本開示の利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘されている手段および組み合わせによって実現および達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示の上述の側面および多くの付随する利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるようになるので、より容易に把握されるであろう。
【
図1】
図1は、例示的なEBAベースの診断システムの模式図である。
【
図2】
図2は、例示的なEBAサンプル収集サブシステムの模式図である。
【
図3】
図3は、EBAサンプル収集サブシステムでオプションで使用できる封じ込めブースの斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、呼気分析における揮発性有機化合物-TB患者(
図4A)と非TB患者(
図4B)の間のスペクトルシグネチャの違いを示すイオンクロマトグラムである。
【
図4B】
図4Bは、呼気分析における揮発性有機化合物-TB患者(
図4A)と非TB患者(
図4B)の間のスペクトルシグネチャの違いを示すイオンクロマトグラムである。
【
図5】
図5は、呼気エアロゾル(EBA)および呼気凝縮液(EBC)分析を使用する例示的な診断方法の模式図である。
【
図6A】
図6Aは、修正されたFVC呼吸操作を使用した3人の健康な個人からの呼気における粒子サイズ分布の変動のうちの1つである。
【
図6B】
図6Bは、修正されたFVC呼吸操作を使用した3人の健康な個人からの呼気における粒子サイズ分布の変動のうちの1つである。
【
図6C】
図6Cは、修正されたFVC呼吸操作を使用した3人の健康な個人からの呼気における粒子サイズ分布の変動のうちの1つである。
【
図7】
図7は、種々の呼吸操作中の呼気中の二酸化炭素測定を示す。
【
図8】
図8は、種々の呼吸操作中に呼気から収集された肺気量である。
【
図9】
図9はTBおよび非TBサンプルの正および負のイオンモードから取得したMS信号の加重主成分分析(PCA)である。
【0023】
図中のすべての参照番号、識別子、およびコールアウトは、ここに完全に記載されているかのように、この参照によってここに組み込まれる。図の要素に番号を付けないことは、いかなる権利も放棄することを意図したものではない。番号のない参照は、図や付録の英字で識別されることもある。
【0024】
以下の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面への参照を含む。図面は、例示として、開示されたシステムおよび方法が実施され得る具体的な実施例を示している。「例」または「オプション」として理解されるべきこれらの実施例は、当業者がこの発明を実施することを可能にするのに十分詳細に説明される。この発明の範囲から逸脱することなく、実施例を組み合わせることができ、他の実施例を利用することができ、または構造的または論理的変更を行うことができる。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、この発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物によって定義される。
【0025】
本開示において、エアロゾルは、一般に、空気またはガスに分散された粒子の懸濁液を意味する。「自律的な」診断システムおよび方法は、「医療専門家による介入なし、または、最小限の介入で」診断テスト結果を生成することを意味する。米国FDAは、医療機器(医療デバイス)に関連するリスクに基づいて、また医療機器の安全性と有効性を合理的に保証する規制の量を評価することにより、医療機器を分類している。機器は、クラスI、クラスII、またはクラスIIIの3つの規制クラスのいずれかに分類される。クラスIにはリスクが最も低いデバイスが含まれ、クラスIIIにはリスクが最も高いデバイスが含まれる。すべてのクラスの機器は、一般管理の対象となる。一般管理は、すべての医療機器に適用される食品医薬品化粧品(FD&C)法の基本要件である。インビトロ(試験管内)診断製品は、疾患またはその後遺症を治癒、緩和、治療、または予防するために、健康状態の決定を含む、疾患または他の状態の診断に使用することを目的とした試薬、機器、およびシステムである。このような製品は、人体から採取した検体の収集、準備、および検査での使用を目的としている。ここに開示される例示的な機器は、自律的に動作し、信頼性の高い結果を生成することができ、その結果、クラスIデバイスとして規制される可能性がある。TB感染の負担が高い世界の一部の地域では、医学的に訓練された要員へのアクセスが非常に制限されている。自律診断システムは、自律的でない診断システムよりも優先される。
【0026】
単数表記(英語の「a」または「an」という用語に相当するもの)は、1つまたは複数を含むために使用され、「または」(「or」)という用語は、特に明記されていない限り、非排他的な「または」を指すために使用されている。さらに、ここで使用され、他に定義されていない表現または用語は、説明のみを目的としており、限定を目的としていないことを理解されたい。本開示で別段の定めがない限り、「約」という用語の範囲を解釈するために、開示される値(寸法、動作条件など)に関連する誤差範囲は、本開示で示される値の±10%である。パーセンテージとして開示された値に関連する誤差範囲は、示されたパーセンテージの±1%である。特定の単語の前に使用される「実質的に」(「substantially」)という単語には、「指定された範囲のかなりの部分」、および「指定されたものの大部分ではあるが全部ではない」という意味が含まれる。
【詳細な説明】
【0027】
この発明の具体的な側面は、開示された方法およびシステムの組成、原理、および動作を説明する目的で、以下にかなり詳細に説明されている。しかしながら、様々な修正を行うことができ、この発明の範囲は、記載された例示的な側面に限定されない。
【0028】
呼気分析(「EBA」)に基づく例示的な診断システム100は、EBAサンプル収集サブシステム101、および分析サブシステム102を含んで良い(
図1-3)。これらの2つのサブシステムについて、以下で詳しく説明する。
【0029】
[EBAサンプル収集サブシステム101]
サブシステム101は、シュラウドのうちの少なくとも1つの形態であって良いサンプル抽出コンポーネント104、および、ゆるくフィットする円錐形のデバイスを含んで良い。個人の顔を受け入れるのに適した、または患者/個人105の顔/頭にストラップなどを使用して取り外し可能に取り付けることができる、ぴったりフィットする適切なマスクも使用できるけれども、すべての人間、特にあごひげ/顔の毛のある男性に、良好にフィットすることを確実にすることが困難であるため好ましくない。個人は、オプションの封じ込めブース106に座って、当該患者のEBAを試験室または領域内の周囲空気から隔離することができる。例示的な封じ込めブース106は、Morgan Scientific Inc.(マサチューセッツ州、Haverhill9)によって販売されているような呼吸機能検査ボディボックスを修正されたものを含んで良く、この修正は、ブース106が抽出コンポーネント104と流体連絡するように、プレチスモグラフコンポーネントを、ここで説明される抽出コンポーネント104で置き換えることによって行われる。ブース106は、また、Woodその他(2016)によって記述された呼吸エアロゾルサンプリングチャンバ(Respiratory Aerosol Sampling Chamber:RASC)というチャンバの修正バージョンであり、そこに記述された特徴と能力を組み込んで良い。Woodその他(2016)は参考文献のセクションで引用されている非特許文献であり、その開示は、参照によりその全体がここに組み込まれる。RASCチャンバにおいて、参加者は着席し、呼気サンプリングプロトコルに受動的に従事する。Woodその他に概説されている段階に続いて、チャンバ内で約1時間が費やされる。簡単に説明すると、チャンバを密閉し、高効率の粒子状物質阻止(high-efficiency particulate arrestance:HEPA)フィルタを介して周囲の空気を10分間同伴するエアパージフェーズを実行する。これに続いて、参加者主導の汚染フェーズが行われ、チャンバは外部環境から隔離され、呼気の割合は、周囲レベルより4,000ppm高いチャンバCO2濃度によって定義される10%のしきい値まで上昇することが許可される(想定される呼気CO2濃度が40,000ppmの場合)。測定されたCO2は、Woodその他に記載されているように、呼気量を計算するために使用できる。30分経過しても目標に到達しない場合は、より低い呼気比率でサンプリングフェーズを開始する。サンプリング後、チャンバを再度パージして、空気から残留Mtbを除去する。サンプリングチャンバの汚染は、自発的な咳やくしゃみに加えて、主に周期性呼吸によって引き起こされた。参加者がサンプリング中に全身のデュポンタイベックスーツを着用し、周囲の汚染を最小限に抑えるための最初のパージ段階を行うことで、呼吸以外の発生源に由来する粒子や有機体を最小限に抑えた。コンポーネント104は、患者105の口および鼻から放出されたエアロゾル粒子を、空気源107から供給されるシース流体(通常は空気)として機能する空気の流れに抽出するように働き、エアロゾルをコンポーネント104の出口に向かって輸送し、コンポーネント104の壁に堆積することなく、サンプル捕捉コンポーネント108に導入するのを支援する。空気源107は、空気ポンプまたは圧縮機であって良い。コンポーネント104の例としては、Miltonのグループが使用した漏斗状の円錐や、Fennellyが使用したフェイスマスクがある。エアシース流体は、コンポーネント104の壁を通して、または大きな縁で、またはより一般的にはブース106に加えることができる。コンポーネント104に供給される空気流は、適切に濾過され(例えば、HEPAフィルタを使用して)、すべての、または、ほぼすべての粒子状物質を除去することができ、これは、周囲の空気中のほこりや感染媒介物を含むけれども、これらに限定されない。HEPAは、High Efficiency Particulate Airを表し、0.3ミクロンの粒子の99.97%をトラップできるフィルタを表すために使用される呼称であり、これに限定されないが、ほこりやすすを含む、すべて、または、ほぼすべての、周囲の空気中の粒子状物質を除去するために使用される。さらに、シース流体の流れを加湿して、EBA粒子サイズの成長を可能にし、それにより、呼気中の粒子の大部分をエアロゾル捕捉デバイス108の下流で捕捉することを可能にする。インターフェースチューブ109は、抽出コンポーネント104をサンプル捕捉コンポーネント108に流体接続し、さらに冷却して、EBA粒子のサイズを成長させることができる。冷却は、冷凍システムを使用して、またはより好ましくは、ペルチェ熱電冷却装置113を使用して提供して良く、これは、小型で軽量であり、動作上消費する電力が少ない。たとえば、Marlow Industries(テキサス州Dallas)、TE Technologies Inc.(ミシガン州Traverse City)によって供給されるペルチェ冷却装置は、一般に、交互のn型およびp型半導体のアレイを含む。アレイは、電気的に直列に、熱的に並列に、2枚のセラミックプレートの間にはんだ付けされる。テルル化ビスマス、テルル化アンチモン、およびセレン化ビスマスは、180Kから400Kで最高の性能を提供し、n型とp型の両方を作成できるため、ペルティエ効果デバイスに適した材料である。ペルティエ効果は、結合された交互のn型およびp型半導体に電圧が印加されて電流を生成するときに、2つの電気接合間で熱を伝達することによって温度差を生成する。1つの接合部で熱が除去され、冷却が行われる。熱はもう一方の接合部に蓄積され、ファンまたはブロワーで簡単に除去される。
【0030】
コンポーネント104は、患者が前の患者によって放出された病原体に汚染または感染するリスクを制限するために使い捨てであって良い。代替的には、コンポーネント104は再利用可能であって良く、その場合、適切なネブライザ、UV放射、過酸化物溶液または蒸気処理、蒸気滅菌、またはそれらの組み合わせを使用して生成される消毒スプレーリンスの少なくとも1つを使用する滅菌コンポーネント110を使用して滅菌されて良い。ナブライザー、例えば、衝突型ネブライザ(CH Technologiesによって供給される)は、コーンの排気の近く、すなわち喉領域111の近くに流体接続されて良い。洗浄流体は、抽出コンポーネント104、チューブ109、および捕捉コンポーネント108を消毒するために噴霧される。洗浄流体は、EBAおよび凝縮されたEBA(呼気凝縮物)サンプルおよびサンプル収集サブシステム101内のコンポーネントが一般的に無菌状態のままであることを確実にするために選択される。たとえば、イソプロピルアルコール中の70%エタノールを使用する場合、この消毒溶液は蒸発によってサンプルから容易に除去でき、分析に干渉しない。滅菌コンポーネント110(例えば、ネブライザ)は、サンプル収集期間の終わりに短時間活性化されて、入口管109および捕捉コンポーネント108の最終洗浄を提供することができる。ネブライザ110は、次の患者による再利用の前に、サンプル抽出コンポーネント108を洗浄するために再び活性化されて良い。廃液は、ポンプ116を使用して、ポンプ116を廃液容器に流体接続するようにバルブ117を切り替えることによって、受容可能な廃液にポンプ輸送することができる。例示的なサンプル抽出コンポーネント104およびサンプル捕捉コンポーネント108は、患者間で消毒されて良いけれども、MS診断装置を備えた例示的なシステム100は、微量汚染物質の存在下でさえ、目的のバイオエアロゾルフラグメントに対する高い感度のために、異なる個人間の例示的なシステムの100%の除染を必要としない。
【0031】
抽出コンポーネント104およびチューブ109は、直径が収束/発散していることが示されているけれども、チューブの直径は、コンポーネント104の喉111の直径と同じであってもよく、または喉111の直径よりも大きいまたは小さくて良い。センサ112は、これに限定されないけれども、CO2センサおよび粒子サイザー/カウンターを含む、喉領域111の近くのコンポーネント104に流体的に接続されて良い。センサ112は、サンプリングされた呼気の量の表示を提供する。継続的なCO2モニタリングは、任意の所与の時点での封じ込めブース106内の各参加者の呼気量の割合の厳密な概算を可能にする。たとえば、肺活量が低下し、強制肺活量(FVC)が比較的小さい(たとえば2リットル未満)、または咳が弱い(たとえば1リットル未満の呼気)場合、患者は自動的に、および十分な量の呼気エアロゾルが収集されるまで、より多くのFVC呼吸または咳を提供するようにリアルタイムで指示される。Wurie(2016)は、正常な呼吸中の結核患者によるバイオエアロゾル産生と感染リスクへの影響について説明している。光学式パーティクルカウンター技術を使用して、4つのグループ(健康/非感染、健康なIMtb感染、胸腔外TBの患者、胸腔内TBの患者)の15回の呼気(直径0.3~20μmの範囲)中のエアロゾルサイズと濃度を時間の経過とともに測定した。高粒子生成は、すべての参加者の中央値を超える1~5μmサイズのバイオエアロゾルカウントとして定義された(中央値カウント=2カウント/L)。188人の参加者からのデータは治療前に得られた(ベースライン)。バイオエアロゾルの生産は個人間でかなり異なった。多変量解析では、胸腔内結核は、健康な/感染していない個人と比較して、1~5mmのバイオエアロゾルの高生産のオッズの3.5倍の増加と関連していることが示された。参考文献のセクションで引用されている非特許文献であるWurie(2016)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0032】
EBAサンプル捕捉コンポーネント108は、湿潤壁サイクロン(
図2に示される)、1または複数のインパクター(例えば、ミルトンによって示される)、またはインピンジャーであって良く、これらは、以下の乾燥またはほぼ乾燥収集方法を使用する。洗浄すると、サイクロンの収集表面からEBA粒子が再懸濁する。例示的な捕捉コンポーネント108には、湿潤フィルムインパクター(McDevitt、2013)、Coriolis(商標)湿潤壁サイクロン(Bertin、フランス)、インピンジャー、例えば、BioSampanr(SKC、Inc、ペンシルベニア州エイトフォー)、インパクションベースの装置、例えば、BioCapture(FLIR Systems、OR)、300L/分ウェットウォールサイクロン(King、2012)、BioSpot Sampler(Aerosol Devices、Fort Collins、CO)が含まれるけれども、これらに限定されない。McDevittのウェットフィルムインパクターとBioSpotSamplerは、加湿と凝縮の組み合わせを使用してエアロゾル粒子のサイズを「成長」させ、それによってEBAでのサブミクロンサイズの粒子の収集効率を高める。参考文献のセクションで引用されているように、McDevittおよびKingによって公開された非特許文献およびその中の内容のそれぞれは、参照によりその全体がここに組み込まれる。EBAエアロゾル粒子は、液体に直接収集するか、または、フィルタ媒体に収集して、フィルタを通して水または溶媒をバックフラッシュするか、溶解可能なフィルタ材料を使用してフィルタを溶解するか、フィルタを液体に粉砕して抽出し、こののち得られたスラリーを分析して良い。EBAエアロゾル粒子は、粒子を乾燥した表面に衝突させ、次に適切な流体で表面から粒子を洗浄することによって収集することができる。仮想インパクターは、特定の「カットサイズ」のエアロゾル、およびカットサイズよりも大きいエアロゾルを濃縮するために使用できる。仮想インパクター、例えば、米国特許第6,062,392号に記載されているような仮想インパクターを、米国特許第6,267,016号に示されているように、インパクターおよび他の装置と組み合わせて、呼気を含む空気の入口空気流量を増加させることができる。サンプル捕捉コンポーネント108は、サブミクロン粒子をミクロンサイズの粒子に成長させるための凝縮成長管を含んで良い。バイオマーカーはMtb細胞壁からの脂質を含んで良く、これらの脂質はMtb細胞に加えて疾患診断に使用されて良い。呼気サンプルのほぼ100%が収集される。生理食塩水で採取したサンプル115を希釈する必要はない。
【0033】
EBAエアロゾル粒子捕捉コンポーネント108は、約100L/分から約1000L/分の間の流量シース流体(空気)を有して良い。空気流量は、好ましくは200L/分以上であり、約300L/分である。McDevittは、咳中に生成されたEBAを確実に捕捉するには不十分な130L/分の流量を使用した。高流量は、咳操作中のブローバックによるエアロゾルの損失を最小限に抑える。より高い流量は、EBA粒子のより多くの同伴につながる。好ましくは、エアロゾル捕捉コンポーネント108は、粒子を少量の凝縮サンプル115に収集し、したがって、濃縮されたエアロゾルバイオマス(例えば、収集流体1mlあたり少なくとも1ナノリットルの末梢肺液)を生成する。サンプル115は、好ましくは蠕動ポンプであるポンプ116を使用して分析サブシステム102に移送されて良い。バルブ116は、例えば、サンプル収集サブシステム101の除染中に、凝縮されたサンプル115を分析サブシステム102または廃棄物容器に送るために使用されて良い。約1ml未満のEBAサンプル液の量が好ましく、目標とされる。例示的な開示されたシステムは、約100マイクロリットルから約200マイクロリットルの間の流体を生成することができて良い。したがって、ここで識別される例示的なEBAサンプルキャプチャコンポーネントのすべてが、自律システムのための開示された例示的なサンプル収集サブシステム101での使用に好ましいわけではない。たとえば、BioSamplerおよびCoriolisエアロゾルサンプラーは、EBAエアロゾル粒子を10mlを超える容量の水性サンプルに収集する。この大容量は非常に希薄なサンプルになり、粒子濃縮法が必要になる。好ましいエアロゾル捕捉コンポーネント108は、咳の間でさえ、呼気のくしゃみ流量が時間的に非常に不均一である場合でさえ、呼気中に粒子の大部分を同伴するために高い入口空気流量を有するであろう。同様に、McDevitfのウェットフィルムインパクターは、インパクターの上流に蒸気を注入し、それを凝縮してサンプルを提供する。サンプルは50mlの遠心分離管に収集され、遠心分離機を使用して濃縮される。先に述べたように、例示的なEBAサンプル収集サブシステムは、約1ml以下の液体体積中の粒子を捕捉する。ペルチェデバイスを使用して抽出コンポーネント104をコンポーネント108に流体接続する冷却チューブ109と同様に、コンポーネント108は、好ましくは、1または複数のペルチェ冷却デバイス114を使用して冷却され、呼気中のEBA粒子が、肺の深部に形成されたサイズの物品で成長できるようにする。直径は100ミクロンのオーダーである可能性がるけれども、1ミクロンを超えるまで成長させることができます。コンポーネント108およびチューブ109の冷却は、液体サンプルにも収集される呼気中の揮発性化合物の凝縮を促進する。したがって、例示的なEBA捕捉コンポーネント108は、呼気中の揮発性および不揮発性バイオマスの両方を収集する。サイクロンが捕捉コンポーネント108として使用される場合、サイクロンおよびサイクロン入口管は、好ましくは、銅、ニッケル-銅合金400などの銅合金、または高い熱伝導率および低コストを有する他の合金で製造される。さらに、銅および銅合金には固有の抗菌特性がある。ペルチェ冷却装置113および114は、サイクロン入口109およびサイクロン108の本体の温度を制御することが容易かつ正確であるため、冷却装置として好ましい。サンプル捕捉コンポーネント108に供給される同伴空気(例えば、108がサイクロンのとき)は、ポンプ118を使用して供給され、HEPAフィルタ119を使用して濾過されて良い。
【0034】
[EBAサンプル分析サブシステム102]
次に、EBAエアロゾル粒子を含むEBA液体サンプル115は、EBA粒子を分析するための診断装置112、および呼気中の揮発性有機物を分析するための装置122の少なくとも1つを使用する、分析のためにサンプル処理コンポーネント120に送られる。サンプル処理コンポーネント120は、以下のステップのうちの1つまたは複数を実行するために必要な要素を含んで良い。
【0035】
(a)サンプル115はカップまたはバイアルに配置されて良い。たとえば、シリーズ110Aスポットサンプラー(Aerosol Devices)は、円形ウェル形状(75μLウェル容量)またはティアドロップウェル形状(120μLウェル容量)の32ウェルプレートを使用し、加熱してサンプル内の過剰な液体/液体を蒸発させ、サンプルを濃縮する。
【0036】
(b)サンプル115をカップに入れ、真空源にさらして、流体を蒸発させてサンプルを濃縮して良い。
【0037】
(c)サンプル115は、揮発性の高い溶媒(たとえば、メタノール、エタノール、およびアセトニトリル)と混合して、蒸発プロセスを加速させて良い。
【0038】
(d)サンプル115は、ビーズベースの抽出に供されて良い。ビーズベースの抽出は、希薄溶液からバイオマーカーを抽出するために使用されて良い。たとえば、ミクロンサイズの磁性ビーズは、EBA粒子などのタンパク質バイオマーカーとよく結合するグリカン材料でコーティングされて良い。ビーズは、振動磁場によってEBAサンプルと密接に混合されて良い。一定期間混合した後、ビーズを一定の磁場で片側に引っ張り、次に少量の溶媒に放出して、濃縮サンプルとしてEBA粒子を抽出して良い。
【0039】
(e)サンプル115は、バイオマーカー(EBA粒子)が優先的に非混和性流体に移されるように、サンプルが非混和性流体と密接に接触される溶媒抽出プロセスに供されて良い。たとえば、比較的大きな水性収集液サンプル(>1ml)を、比較的少量の有機溶媒(たとえば、ヘキサンまたはクロロホルム)と接触させて良く、これが、サンプル中のEBA粒子および細胞断片を資質から有機相に移動させる。
【0040】
多くの診断デバイスを分析サブシステム102での使用に適合させて良く、これは、ゲノミクスベースのアッセイ(PCR、rt-PCRおよび全ゲノム配列決定など)、バイオマーカー認識アッセイ(ELISAなど)、およびおよび質量分析(MS)などのスペクトル分析を実行するデバイスを含むけれども、これに限定されない。これらの診断装置のうち、MSは分析速度の点で好ましい。バイオマーカーの同定に適したMS技術は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)MSである。ESIは、Oribtrap(ThermoFisher)などの高分解能質量分析計と組み合わせることができる。ESI-MSデバイスは通常、非常に大きくて重いため、操作には高度な専門知識が必要であり、自律操作やポイントオブケア診断などの用途には適していない。対照的に、MALDI-MSデバイスは、コンパクトで軽量で、消費電力が100ワット未満で、15分未満でサンプル分析を提供する。MALDI-MSは、ACFに適したポイントオブケア診断に適した診断デバイスである。サンプル前処理の時間を含め、MSを使用した分析時間は約15分未満になる場合がある。サンプルは、MALDI分光計に挿入する前に乾燥させる必要があり、大きな(>1ml)サンプルは、分析物の損失または分解なしに迅速に乾燥させることはできない。濃縮サンプル115の場合、サンプルから水分を蒸発させるのに必要な時間が短いため、MALDI MSを使用したサンプル分析は5分未満(サンプル前処理を含む)になる可能性がある。
【0041】
「マトリックス支援レーザー脱離イオン化」(MALDI)では、質量分析を使用して大きな分子を無傷で分析できる。この手法では、ターゲット粒子(分析物)をマトリックス化学物質でコーティングする。マトリックス化学物質は、レーザーからの光(多くの場合紫外線波長)を優先的に吸収する。マトリックスがない場合、質量分析計でレーザービームにさらされると、生体分子は熱分解によって分解する。マトリックス化学物質は、また、気化した分子に電荷を移動させ、イオンを生成する。イオンは、電界によってフライトチューブを下って加速される。微生物学とプロテオミクスは、質量分析の主要なアプリケーション分野になっている。例としては、細菌の同定、化学構造の発見、タンパク質機能の導出などがある。MALDI-MSは、藻類の脂質プロファイリングにも使用されている。MALDI-MSでは、通常、トリフルオロ酢酸(TFA)などの酸とα-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸などのMALDIマトリックス化学物質で構成される液体を溶媒に溶解してサンプルに添加する。溶媒は、アセトニトリル、水、エタノール、およびアセトンを含む。TFAは通常、サンプルのマススペクトルに対する塩不純物の影響を抑えるために追加される。水は親水性タンパク質の溶解を可能にし、アセトニトリルは疎水性タンパク質の溶解を可能にする。MALDIマトリックス溶液をMALDIプレート上のサンプルにスポットして、サンプル上にMALDIマトリックス材料の均一で均質な層を生成する。溶媒は気化し、再結晶したマトリックスのみが残り、サンプルはマトリックス結晶全体に広がる。酸はサンプルの細胞膜を部分的に分解し、タンパク質をMSでのイオン化と分析に利用できるようにする。他のMALDIマトリックス材料は、3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシ桂皮酸(シナピン酸)、α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸(α-シアノまたはα-マトリックス)、および2,5-ジヒドロキシ安息香酸(DHB)を含み、これは米国特許第8,409,870号に説明されている。
【0042】
例示的なシステム100では、捕捉コンポーネント108および入口ライン109を冷却するための冷却装置の使用は、呼気中の凝縮揮発性有機化合物およびEBAを含む冷却液体サンプルを含むサンプル115を生成する。したがって、サンプル115は、凝縮された揮発性有機化合物を分析するために診断装置122に、そして不揮発性EBA粒子を分析するために装置112に送られて良い。ステップ204(
図5)のサンプル処理中に、液体サンプル115は、ヒーターを使用して加温されて良く、揮発性化合物を診断装置122、例えば、GC-MS、GC-IMS、揮発性イオンクロマトグラフィー、または揮発性有機化合物の分析に適した他の任意の分析方法に供給する。
図4は、呼気からのイオンクロマトグラムを使用して、健康な個人と結核感染患者を区別できることを示す。Hashoul(2019)は、呼気から結核を含む肺疾患を検出するためのセンサの使用を開示している。Hashoulは、GC(ガスクロマトグラフィー)-MSを使用した226人の症候性高リスク患者の呼気分析について説明し、活動性肺結核のいくつかのバイオマーカーを指摘している。彼らは、アルカンやアルカン誘導体などの酸化ストレス生成物、およびシクロヘキサンやベンゼン誘導体などの結核菌の揮発性代謝物のバイオマーカーを提案した。彼らの結果は、C統計値を使用して、85%の全体的な精度、84%の感度、および64.7%の特異度で正と負の結核を区別した。金属酸化物センサが使用された。さらに、センサアレイは、健康な対照とTB患者を区別する際の感度が93.5%、特異度が85.3%であり、テスト母集団全体でTB患者を識別する際の感度が76.5%、特異度が87.2%であった。金ナノ粒子(GNP)とQMB(水晶振動子微量天秤センサ)の使用についても議論された。金ナノ粒子(GNP)およびQMB(水晶振動子微量天秤センサ)の使用についても議論された。参考文献のセクションで引用されているHashoulによって公開された非特許文献は、その全体がここに組み込まれる。先に述べたようにサブシステム101において冷却が使用されない場合、液体サンプル115は、凝縮した揮発性有機化合物を含まないかもしれない。結果として、診断装置は、装置121を使用した、液体中のEBA粒子の分析に限定されるかもしれない。
【0043】
図5は、ここで先に開示された例示的なシステム100を使用する例示的な診断方法200の模式図である。例示的な方法200を使用して、呼気に基づく自律的なポイントオブケア診断を実行することができる。ステップ201において、個体105は、着座するように指示されて良い。椅子は、オプションで、封じ込めブース106に配置されて良い。ステップ202において、抽出コンポーネント104は、個人の頭に取り外し可能に取り付けられて良く、または、頭よりも大きい円錐が、個人の頭の周りに緩く適合するように配置されて良い。サンプル捕捉コンポーネント108が作動され、これにより、空気が患者の頭の周りに引き込まれ、サンプル捕捉装置に入る。サイクロンがサンプル捕捉コンポーネント108として使用される場合、コンポーネント108への空気の流れ、およびサイクロン本体および入口管109の冷却が開始される。好ましくは、濾過されたシース空気がコンポーネント104に供給される。シース空気は、好ましくは90%を超える相対湿度に加湿されて良い。次に、個体105は、1または複数の上記予め定められた操作203を実行するように指示され、これは事前に設定された回数の繰り返しを含んで良い。操作は、下気道からEBAサンプルを生成するための1つ以上のFVCまたは修正FVC操作の実行、主に上気道からEBAを生成するための1つ以上の咳サンプルの生成、および主に鼻腔/上気道からEBAを生成する1つ以上のくしゃみサンプルの生成を含む。修正されたFVCは、深い呼気が先行し、その後に5~10秒の休止が続くFVCである。この呼気と一時停止により細気管支が閉鎖され、FVC吸入中に再び細気管支が開く。肺胞を含む小さな肺通路の閉鎖と再開は、粒子産生の増加をもたらすと考えられている。例示的なシステム100を使用するTB診断の場合、約3から約5回の修正されたFCVの繰り返しが必要となる可能性がある。操作は、咳、FVC呼吸、修正されたFVC呼吸およびくしゃみを含んで良い。他のいくつかの病気の診断には、すべての操作が必要になる場合がある。くしゃみは、少量のコショウまたは他の香辛料をエアロゾルの形で鼻腔に注入することによって誘発されて良い。好ましくは、下気道をサンプリングするための少なくとも3つの修正されたFVC呼吸、および上気道をサンプリングするための一連の咳が必要とされて良い。下気道は一般に気管、肺、および気管支樹のすべての部分(肺胞を含む)で構成され、下気道の器官は胸腔内にある。上気道は一般に鼻、咽頭、喉頭で構成され、上気道の臓器は胸腔の外側にある。いくつかの場合、少なくとも10回の修正FVC呼吸が必要になることがある。鼻腔をサンプリングするために、一連のくしゃみを誘発して良い。呼吸あたりのバイオマス収集を増加させる好ましい修正FVCは、患者が最初に息を吐き、次にFVC吸入の前に最大10秒間休止し、続いてBake等(2019)によって開示されるように完全に息を吐くものであり、これは、参照セクションで引用された非特許文献であり、参照によりその全体がここに組み込まれる。好ましい呼吸操作は、10倍の咳/FVC/気管支爆風を含んで良い。コーンまたはシュラウドの代わりに、サンプル抽出コンポーネント104は、睡眠時無呼吸の治療に使用される持続的気道陽圧法(CPAP)マスク(たとえば、Philips Respironicsによって販売されているDreamwareおよびAmaraマスク)を含んで良い。CPAPは、マスクを介して喉に空気を吹き込み、喉の空気圧を微妙に高め、気道が狭くなるのを防ぐことで機能するけれども、シース液として空気の流れを使用して、さまざまな呼吸操作から呼気を収集するように変更されている。
【0044】
次に、患者は椅子を離れて待合室に着席するように指示される。抽出コンポーネント104は、UV光で消毒されて良い。サンプル処理ステップ204において、サンプル115は、分析サブシステム102におけるサンプル処理のために、収集サブシステム101から自動的に転送される。サンプル処理のタイプは、診断デバイスのタイプによって異なる。診断装置がMALDI-MSである場合、サンプル処理は、蠕動ポンプを使用してサンプル115をMALDI-MSサンプルディスク上にプレーティングし、ディスクを加熱してサンプルを濃縮し、MALDIマトリックス/酸/溶媒を加え(以下に説明する)、そしてディスクを乾燥するステップを有して良い。次に、ステップ205でMALDI-MSを使用してサンプルディスクを分析する。得られたスペクトルは、特定の呼吸器感染症に対して陽性であることがわかっているサンプルのスペクトル、および健康であることがわかっている患者のサンプルのスペクトルと比較され、そして、患者の診断が形成される。次に、結果を臨床医または患者に伝えて良い。抽出コンポーネント204が患者に取り付けられ、サンプル抽出が開始されると、例示的な方法は、必要な操作を実行した後、自律的であり(患者に椅子を離れるように求めることを除いて)、診断のテスト結果を生成する。
【0045】
ステップ203におけるFVC操作に関して、
図6A~Cは、FVC呼吸操作の10回の繰り返しに対する健康な個人からの呼吸エアロゾルの正常な変動性を示している。健康な人でも、呼気エアロゾルの量と粒度分布のばらつきは非常に大きい。データは、LASEX II(PMS、City、CO)を使用してキャプチャされた。同様の変動は、咳の操作からのEBA収集中にも見られた。粒子サイズ分布は、時間の経過に伴う粒子サイズ分布を統合することにより、総呼気粒子質量を決定するのに役立つ。この側面は、収集されたサンプルが分析に十分であるかどうかを判断するのに役立つ。
図7は、細気管支フィルムバースト(BB)、FCVおよび咳操作中の呼気中の二酸化炭素測定値を示している。Patterson等によってCO
2生成率とエアロゾル粒子生成の間に強い相関関係が観察された。Wood等に記載されているように、測定されたCO
2を使用して呼気量を計算することもできる。
【0046】
図8は、LASEX装置によって測定された、粒子サイズ分布および粒子濃度に基づく呼気液量の量(ナノリットル)を示している。推奨される方法が最大のサンプルを提供する方法である場合、修正されたFVC操作が標準のFVCよりも優先される。咳は、主に上気道からの同様の量のEBAサンプル量を提供する。これらの方法はどちらも、感染していることがわかっているけれどもまだ治療を受けていない患者の結核感染を検出するのに十分なサンプルを生成する。
【0047】
呼気中の結核感染のバイオマーカーを検出するためのMSの使用に関して、結核患者(n=20)、および非TB/コントロールサンプル(n=13)から収集したサンプルから高分解能Orbitrap質量分析計(ThermoFisher Scientific)を使用して、数千の特徴を含む正および負のイオン信号を取得(または抽出)した。5:1の信号対雑音比(SNR)を超える質量が選択された。教師なし次元削減アルゴリズムである加重主成分分析(PCA)を使用して、信号の大規模なセットを2つのコンポーネントに削減した。PCAは2D視覚化を提供し、これは、抽出された信号が2つのクラスのサンプル(TBと非TB)間の本質的な違いを明らかにするかどうかを調査するために使用された。PCAの結果(
図9)は、各グループのサンプルが一緒にクラスター化する傾向があることを明らかにし、高分解能質量分析から収集された抽出信号を使用して、2つのクラスのサンプルを区別できることを示唆している。
【0048】
ここに記載の例示的なシステムおよび方法は、必ずしもそれらの診断能力が呼吸器感染症に限定されるわけではない。例えば、肺癌はまた、バイオマーカーを末梢肺液に放出する可能性があり、これらのバイオマーカーは、開示されたシステムおよび方法によって容易に検出されるであろう。さらに、血液は肺の肺胞内層と密接に接触するため、体の他の部分(肺を超えて)の感染および癌のバイオマーカーが肺胞内層を越えて末梢肺液に移動する可能性があり、EBAの分析によって検出されるであろう。結果として、本発明の範囲は、呼吸器疾患の検出および診断に限定されない。
【0049】
例示的なサンプル抽出コンポーネントは、呼気中のEBA粒子を含む非揮発性有機成分を選択的に捕捉するための充填層カラムを含んで良い。呼気中の非揮発性成分は、呼吸器疾患に特徴的な微生物、ウイルス、代謝物バイオマーカー、脂質バイオマーカー、およびプロテオミクスバイオマーカーのうちの少なくとも1つを含む呼気エアロゾル粒子を含んで良い。充填層カラムは、樹脂、セルロース、シリカ、アガロース、および水和Fe3O4ナノ粒子のうちの少なくとも1つを含む固体粒子を含んで良い。充填層カラムは、表面にオクタデシルアクリレート(C18)官能基を有する樹脂ビーズを含んで良い。樹脂ビーズは、約12μmから約20μmの間の公称直径を有して良い。固体粒子は、粒子の表面に固定化された官能基を含んで良く、ここで、官能基は、C18(オクタデシル)、オクチル、エチル、シクロヘキシル、フェニル、シアノプロピル、アミノプロピル、2,3-ジヒドロキシプロポキシプロピル、トリメチル-アミノプロピル、カルボキシプロピル、ベンゼンスルホン酸、プロピルスルホン酸、イオン交換相、ポリマー相、抗体、グリカン、脂質、DNAおよびRNAのうちの少なくとも1つを有する。イオン交換相は、ジエチルアミノエチルセルロース、QAEセファデックス、Qセファロース、およびカルボキシメチルセルロースのうちの少なくとも1つを有して良い。ポリマー相は、ポリスチレン-co-1,4-ジビニルベンゼン、メタクリレート、ポリビニルアルコール、デンプン、およびアガロースのうちの少なくとも1つを有する。抗体は、抗ヒトアルブミン、抗インフルエンザAウイルスNPおよび抗SARS-CoV-2ウイルスのうちの少なくとも1つを有して良い。抗体はプロテインA/Gアガロースビーズに固定化して良い。捕捉要素は、周囲温度以下の温度に冷却して良い。「呼気およびエアロゾルの分析を使用する呼吸器疾患の診断」と題された、本出願人による米国仮特許出願第63/069,029号は、充填層カラムを含む例示的なサンプル抽出コンポーネントに関連する追加の詳細を提供し、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0050】
ここに開示される例示的なシステムおよび方法は、ロボットシステムおよびコンポーネントを含んで良い。例えば、システムおよび方法は、収集されたサンプルをサンプルプレート上にスポットし、さらなる処理またはサンプル処理、および処理されたサンプルの分析を実施するためのロボットサンプル移送システムを含んで良い。「エアロゾル粒子の迅速かつ自律的な検出のシステムおよび方法」と題された、本出願人による、米国仮特許出願第62/931,200号は、例示的なロボットサンプル移送システムに関連する追加の詳細を提供し、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0051】
収集されたサンプルは、処理および分析の前にサンプルプレートにスポットする必要はない。例えば、収集された液体サンプル中のEBA粒子は、ネブライザを使用してエアロゾル化され、MALDIマトリックスを使用して「オンザフライ」でコーティングされて、コーティングされたエアロゾルEBA粒子を形成して良い。コーティングされた粒子は、エアロゾル飛行時間型質量分析(ATOFMS)を使用して分析されて良い。「オンザフライ」とは、エアロゾルを構成する粒子が、コーティングプロセスのステップとして表面(たとえば、MALDIプレートの表面)または液体に収集されないことを意味する。「音響コーティングを使用するエアロゾル粒子のコーティング」と題された、本出願人による米国特許出願第15/755063号は、追加の詳細を提供し、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0052】
要約は、37C.F.R.§1.72(b)に準拠して、読者が大まかな把握から技術的開示の性質および要点を迅速に判断できるようにするために提供されている。特許請求の範囲または意味を解釈または制限するために使用されるべきではない。
【0053】
本開示は、それを実施する好ましい形態に関連して説明されてきたけれども、当業者は、本開示の精神から逸脱することなく、それに多くの修正を加えることができることを理解するであろう。したがって、本開示の範囲が先の説明によって制限されることを意図するものではない。
【0054】
本開示の本質から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることも理解されたい。このような変更も暗黙的に説明に含まれている。それらは依然としてこの開示の範囲内にある。この開示は、独立して、そしてシステム全体として、そして方法および装置モードの両方において、開示の多くの側面をカバーする特許をもたらすことを意図していることを理解されたい。
【0055】
さらに、本開示および特許請求の範囲の様々な要素のそれぞれは、また、様々な方法で達成されて良い。この開示は、任意の装置実装のバリエーション、方法またはプロセスの実装、あるいはこれらの任意の要素の単なるバリエーションであろうと、そのような各バリエーションを包含すると理解されるべきである。
【0056】
特に、各要素の単語は、機能または結果のみが同じであっても、同等の装置用語または方法用語によって表現され得ることを理解されたい。このような同等の、より広い、またはさらに一般的な用語は、各要素または動作の説明に含まれると見なす必要がある。このような用語は、この開示が権利を与えられている暗黙的に広い範囲を明示するために必要な場合に置き換えることができる。すべての動作は、その動作をとるための手段として、またはその動作を引き起こす要素として表現される可能性があることを理解する必要がある。同様に、開示される各物理的要素は、その物理的要素が促進する動作の開示を包含すると理解されるべきである。
【0057】
さらに、使用される各用語に関して、本出願におけるその利用がそのような解釈と矛盾しない限り、例えば、技術者によって認識されている標準的な技術辞書とランダムハウスウェブスターのUnabridgedDictionaryの最新版の少なくとも1つに含まれている、共通の辞書定義は、各用語およびすべての定義、代替用語、および同義語について、ここに組み込まれるものとして理解されるべきである。
【0058】
さらに、「有する」(comprising、comprise)という移行句の使用は、従来のクレーム解釈に従って、本明細書の「オープンエンド」クレームを維持するために使用される。したがって、文脈上別段の必要がない限り、「有する」は、記載された要素またはステップあるいは要素またはステップのグループを含むことを意味することを意図しているけれども、他の要素またはステップあるいは要素またはステップのグループを除外することを意味するものではない。そのような用語は出願人に法的に許容される最も広い範囲を提供するための最も広範な態様で解釈されるべきである。
【0059】
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【国際調査報告】