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特表2022-545304斜突防護技術製品、該技術製品を含むヘルメット、該技術製品を含むスポーツ用品、およびそのためのプロセス
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  • 特表-斜突防護技術製品、該技術製品を含むヘルメット、該技術製品を含むスポーツ用品、およびそのためのプロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】斜突防護技術製品、該技術製品を含むヘルメット、該技術製品を含むスポーツ用品、およびそのためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/12 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A42B3/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525323
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2020113232
(87)【国際公開番号】W WO2021043207
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】19129096.4
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HK
(31)【優先権主張番号】32019000081.2
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517287785
【氏名又は名称】ストラテジック スポーツ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】STRATEGIC SPORTS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ティエン ホウ
(72)【発明者】
【氏名】リン,マイケル ミン-ジェ
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107AA03
3B107BA05
3B107CA02
3B107DA01
3B107DA03
(57)【要約】
【解決手段】斜突防護技術製品部材(20)は、第1の表面(52)、第2の表面(54)および第1の表面(52)上の複数のウェル(56)を含むクローズドセルフォームの層(50)を含む。第1の表面(52)は、複数の第1の表面アパーチャ(58)を含み、第1の表面アパーチャ(58)は正方形である。第2の表面(54)は、第1の表面(52)に対向し、および随意に複数の第2の表面アパーチャ(62)を含む。各々のウェル(56)は、第1の表面アパーチャ(58)に対応し、および第2の表面(54)は、第1の表面(52)に対して実質的に平行であり、または平行である。ヘルメット(10)および/またはスポーツ用品(12)は、本技術製品を含んでもよく、およびプロセスは本技術製品を製造することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜突防護技術製品であって、該斜突防護技術製品は、
A)クローズドセルフォームの層を含み、該クローズドセルフォームの層は、
i)複数の第1の表面アパーチャを含む第1の表面であって、ここで、第1の表面アパーチャは正方形を含む、第1の表面と、
ii)前記第1の表面に対向する第2の表面であって、随意に複数の第2の表面アパーチャを含む、第2の表面と、
iii)前記第1の表面内にある複数のウェルであって、ここで、各々のウェルは、第1の表面アパーチャに対応する、複数のウェルと、を含み、
ここで、前記第2の表面は、前記第1の表面と実質的に平行である、斜突防護技術製品。
【請求項2】
前記第1の表面は、前記第2の表面と平行である、請求項1に記載の斜突防護技術製品。
【請求項3】
各々の第2の表面アパーチャは、第1の表面アパーチャに対応する、請求項1または2のいずれか1つに記載の斜突防護技術製品。
【請求項4】
前記複数のウェルにおける1つのウェルは、クローズドウェルであり、または、前記複数のウェルの少なくとも25%は、クローズドウェルであり、または、前記複数のウェルの少なくとも50%は、クローズドウェルであり、または、前記複数のウェルの実質的に各々は、クローズドウェルであり、または、前記複数のウェルの全ては、クローズドウェルである、請求項1から3のいずれか1つに記載の斜突防護技術製品。
【請求項5】
前記複数のウェルにおける1つのウェルは、第2の表面アパーチャに対応し、または、前記複数のウェルの少なくとも25%は、第2の表面アパーチャに対応し、または、前記複数のウェルの少なくとも50%は、第2の表面アパーチャに対応し、または、前記複数のウェルの実質的に全ては、第2の表面アパーチャに対応し、または、前記複数のウェルの全ては、第2の表面アパーチャに対応する、請求項1から4のいずれか1つに記載の斜突防護技術製品。
【請求項6】
前記複数のウェルにおける1つのウェルは、オープンウェルであり、およびオープンウェルは、第2の表面アパーチャに対応し、それによって第1の表面から第2の表面へ経路を形成し、または、前記複数のウェルの少なくとも25%は、第2の表面アパーチャに対応し、それによって第1の表面から第2の表面までの複数の経路を形成し、または、前記複数のウェルの少なくとも50%は、第2の表面アパーチャに対応し、それによって第1の表面から第2の表面までの複数の経路を形成し、または、前記複数のウェルの実質的に全ては、第2の表面アパーチャに対応し、それによって第1の表面から第2の表面までの複数の経路を形成し、または、前記複数のウェルの全ては、第2の表面アパーチャに対応し、それによって第1の表面から第2の表面までの複数の経路を形成する、請求項1から5のいずれか1つに記載の斜突防護技術製品。
【請求項7】
前記層の厚さは、第1の表面から第2の表面まで測定されるように、約0.5mm~約2cmであり、または約1mm~約1.5cm、または約2mm~約1.2cmであり、または約0.3~約1cmである、請求項1か6のいずれか1つに記載の斜突防護技術製品。
【請求項8】
前記正方形は、丸みを付けた角部、または4つの丸みを付けた角部を含む、請求項1から7のいずれか1つに記載の斜突防護技術製品。
【請求項9】
前記クローズドセルフォームは、気泡ゴム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、エチレン酢酸ビニルフォーム、ラテックス製フォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、ビニルニトリルフォームおよびそれらの組み合わせ、または、アクリルポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、エチレン酢酸ビニルフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、ビニルニトリルフォームおよびそれらの組み合わせ、または、ポリウレタンフォーム、ラテックス製フォーム、ゴム製フォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、ビニルニトリルフォームおよびそれらの組み合わせ、からなる群から選択されたクローズドセルフォーム材料を含む、請求項1から8のいずれか1つに記載の斜突防護技術製品。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の斜突防護技術製品を含む、ヘルメット。
【請求項11】
前記斜突防護技術製品は、接着、射出成型、熱融着、超音波融着およびそれらの組み合わせからなる群から選択された技法、または射出成型によって前記ヘルメットに取り付けられる、請求項10に記載のヘルメット。
【請求項12】
前記斜突防護技術製品は、斜突防護技術製品のない同様のヘルメットと比較して、斜突の力/トルクの伝達を、少なくとも10%、または約10%~約50%、または約12%~約45%、または約13%~約40%低減させる、請求項10から11のいずれか1つに記載のヘルメット。
【請求項13】
ヘルメットを製造するためのプロセスであって、該プロセスは、
A.メス部の成型部分を提供する工程と、
B.前記メス部の成型部分に相補的な前記オス部の成型部分を提供する工程であって、ここで、メス部の成型部分とオス部の成型部分は、それらの間に中空成型を形成するように一体的に適合可能である、工程と、
C.請求項1から9のいずれか1つに記載の斜突防護技術製品を含む斜突防護技術製品部材を提供する工程と、
D.前記斜突防護技術製品部材を、前記オス部の成型部分に適用する工程と、
E.衝突消散材料を提供し、および中空成型内に衝突消散材料を適用する工程と、を含み、
ここで、前記斜突防護技術製品部材および前記衝突消散材料は、前記中空成型内に射出成型プロセスにさらされ、
ここで、前記斜突防護技術製品部材は、前記斜突防護技術製品部材内面を含み、
ここで、前記斜突防護技術製品部材は、前記斜突防護技術製品部材内面に対向する斜突防護技術製品部材外面を含み、
ここで、前記衝突消散材料は、衝突消散部材内面を含む衝突消散部材を形成し、
ここで、前記衝突消散部材は、衝突消散部材内面に対向する衝突消散部材外面を含み、
ここで、前記射出成型プロセスは、斜突防護技術製品部材外面を衝突消散部材内面に恒久的に結合させる、プロセス。
【請求項14】
前記射出成型プロセスは、約65℃~約250℃、または約80℃~約180℃、または約90℃~約160℃の温度で行われる、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
請求項1から9のいずれか1つに記載の斜突防護技術製品を含む、スポーツ用品。
【請求項16】
前記スポーツ用品は、フットウェア、ボディウエア、フェースマスク、ヘルメット、ラケット、クラブおよびそれらの組み合わせ、またはフットウェア、ボディウエア、ヘルメットおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載のスポーツ用品。
【請求項17】
前記斜突防護技術製品は、接着、射出成型、熱融着、超音波融着およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたプロセス、または射出成型によってスポーツ用品に取り付けられる、請求項15から16のいずれか1つに記載のスポーツ用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜突から防護するための技術製品、そのような技術製品を含むヘルメット、およびその製造のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルメットは、事故等によって引き起こされた衝突および潜在的被害からユーザーの頭を防護するために一般的に使用される。ヘルメットは、スポーツヘルメットなどの特定の状況のためにあってもよく、例えば、スキー、サイクリング、水上競技、オートバイおよびスクーターの運転、カーレース、乗馬、モトクロス/BMX、アメリカンフットボール、スノーボード、ボクシング、スケートボードラグビー等における頭の衝突防護を最大化する際の使用に周知である。他のヘルメットは、潜在的に危険な状況、例えば、建設現場、事故および自然災害の現場、格闘、消火、軍隊治安活動、騒動(騒乱用ヘルメット)等における防護のために着用される場合がある。これ以外の場合は、ヘルメットは、その成長に応じて幼児の頭の適切な形作り(頭蓋の装具)を支援するために着用される場合があり、例えば、赤ん坊がフラットスポットまたは他の頭部奇形(すなわち、位置の斜頭)を有して生まれる場合、および/または頭蓋のプレートが、不適当に融合して頭蓋骨癒合症を引き起こす場合に着用される。
【0003】
ヘルメットを作るためのプロセスは、周知であり、典型的に、中空成型の使用を含み、その成型にフォームおよび/または発泡前駆体などの拡張可能な材料が加えられる。成型は、プロセスの前に、またはそのプロセス中に典型的に加熱され、およびフォームおよび/または発泡前駆体の拡張を支援するために真空がしばしば適用される。フォーム用品、フォームヘルメット等を作るために様々なプロセス、例えば、射出成型(injection-moulding)および共射出成型(co-injection moulding)としても知られる射出成型(in-moulding)、蒸気室成型、蒸気圧成型等が周知である。例えば、射出成型は、硬い外部シェルを内部のポリスチレン形状と組み合わせるためにヘルメットの技術において周知である。プロセスは、発泡スチロール、ポリスチレンフォーム、または他のフォームヘルメットに外部シェル、または漆塗りの外部シェルを加えることで周知である。いくつかのプロセスは、射出成型プロセス中に成型に異なる材料を同時に適用する(例えば、2015年4月30日に公開された、Chengに対するUS2015/01137709 A1を参照、それは参照によってその全体が本明細書に組込まれる)一方、他の従来のプロセスは、最初に部分を別々に形成し、そしてその後、それらをともに取り付ける。
【0004】
さらに、世界中で自転車用ヘルメット、オートバイ用ヘルメット等のための様々なヘルメットの基準が存在する。例えば、European Uniform Protective Helmet Standard ECE 22.05(別名「規則第22号(Regulation No. 22)」)は、以下に見つけることができる:http://www.unece.org/trans/main/wp29/wp29regs21-40.html, European CSN Engineering Standard EN 1077 for Helmets for Alpine Skiers and Snowboarders (https://www.en-standard.eu/csn-en-1077-helmets-for-alpine-skiers-and-snowboarders/を参照), European CSN Engineering Standard EN 1078 for Helmets for Pedal Cyclists, Skateboarders, and Roller Skates (https://www.en-standard.eu/csn-en-1078-a1-helmets-for-pedal-cyclists-and-for-users-of-skateboards-and-roller-skates/を参照), European CNS European Engineering Standard EN 1384 for Helmets for Equestrian Activities ( https://www.en-standard.eu/csn-en-1384-helmets-for-equestrian-activities/を参照)等である。
【0005】
それに加えて、米国運輸省(DOT)は、例えば、オートバイのヘルメットに関するFederal Motor Vehicle Safety Standard No. 218 (別名, 「49 CFR 571.218」, 「FMVSS 218」等)などの別の基準を設けている(https://www.nhtsa.gov/document/tp-218-07pdfを参照)。日本の基準は、例えば、乗車用ヘルメットJSA JIS 8133-2007を含む(http://www.freestd.us/soft/136571.htmを参照)。それに加えて、オーストラリアおよび中国のヘルメット基準などの追加の国家基準は、当該技術分野において周知である。最後に、スネル記念財団は、自身の基準、例えば、オートバイのヘルメットのためのM2010をさらに公表する。
【0006】
そのような試験では、試験されるヘルメットは、典型的に、様々な表面上でヘルメットの衝突を模擬するために使用される様々なアンビル上に、所与の速度で落とされる。例えば、平坦なアンビルは、ヘルメットが平坦な舗装に衝突することを模倣する一方、半球状のアンビルまたは傾斜したアンビルは、ヘルメットが道路の脇の縁石に衝突することを模倣する。それらのアンビルのタイプ、衝突速度/力、持続時間、等のすべては、上記の特定の試験に記載されている。
【0007】
ECE、ENおよび/またはJIS試験によるヘルメットを試験するのに適している機器は、例えば、ベルガモ市、イタリアのAD Engineering s.r.l.社から入手できる1002 MAU 1006/CF/ALUーモノレール衝撃吸収試験機器(Monorail shock absorption test equipment )を含む。例えば、以下を参照:http://www.adengin.it/en/products/2_1002_MAU_1006_CF_ALU___Monorail_shock_ab。
【0008】
しかしながら、上記に記載された平坦および半球状のアンビルの衝突のタイプは、現実の条件を的確に表すのに不十分であることが次第に明確になった。したがって、斜突から人々を防護することに対して払われている注目量は増加している。論理的根拠は、平坦および半球状のアンビルのための現在の試験方法および要件が、ヘルメットが90°の角度で舗装に衝突するとき、およびヘルメットが縁石に衝突するとき、生じる衝突のみを表わすということである。しかしながら、衝突の大部分は、ヘルメットが斜角で舗装に衝突するときに生じるという認識が高まっている。さらに、軟組織および脊柱の椎骨の重大な損傷は、そのような斜突において伝達されたトルクによって引き起こされ得、したがって、斜突は、以前に認識されたより大きな脅威である、という認識が高まっている。
【0009】
したがって、様々な新しいヘルメット技術製品が、斜突の危険に取り組むために開発されている(例えば、https://www.singletracks.com/blog/mtb-gear/most-of-the-new-helmet-technologies-are-more-alike-than-different/を参照)。最近のMIPS(マルチ方向の衝突防護システム、https://mipsprotection.comを参照)のヘルメットは、内部のヘルメット表面とユーザーの(すなわち、着用者の)頭の間に、低摩擦で、僅かに移動可能なフレーム/層を含む。
【0010】
衝突の瞬間にユーザーの頭に対して少しのヘルメットの滑りを可能にすることによって、MIPSシステムは、ユーザーに低減された力が伝達されるため、斜突に対する改善された防護を提供するとされる。
【0011】
MIPSが、現在、斜突防護のゴールドスタンダードである一方、それは斜突防護ためだけに設計され、それ自体は、直接の垂直の衝突に対して著しく防護しない。
【0012】
Bontrager社の WaveCel(https://wavecel.trekbikes.com/us/en_US/)は、折り畳み式オープンセル構造から形成された技術製品であり、その技術製品は、おそらくその折り畳み可能性によってMIPSより機能がよいとされる。しかしながら、この議論は、現在、MIPSおよび他の業界関係者によって議論される。
【0013】
Koroyd社は、様々な衝突に対して防護するヘルメット中に衝撃吸収帯を形成するために二重コアのストロー風材料を使用する。例えば、この技術製品は、MIPSとの組み合わせで使用してもよい。
【0014】
同様の効果を達成するための他の技術製品は、SPIN(Shearing Pad INside)回転防護システムが挙げられ、それは、内部のヘルメット表面とユーザーの頭との間にシリコーンゲルパッドを取り付ける。
【0015】
これらのゲルパッドは、ヘルメットが、斜突中に任意の方向にせん断することを可能にし、さらにユーザーの頭に伝達される衝撃力を低減させる。対照的に、Fox社によるFluid systemは、斜突による損傷を軽減するようにヘルメットの流体鞘(Fluid pods)で脳脊髄液の性質を模倣することを試みる。
【0016】
KaliとLeattは、衝撃力を吸収し、さらに斜突力のより低い伝達を可能にするために収縮する、緩衝スマート材料であるArmourgel材料を使用する。Kaliは、それらのLDL(低密度層)を形成するためにAmourgelを使用し、そのLDLは、衝突中に硬化する小さなカップを含むストリップ(strips)として形作られる。Leattによる360°Turbine technologyは、重要な頭部位に位置する小さく形成された青いAmourgelフォームディスクを使用し、その結果、直接の衝突のためのクッション作用および斜突中にユーザーに伝達される力を低減させるための滑りの両方を可能にするとされる。
【0017】
6D Helmet’s ODS(全指向性サスペンション、例えば、https://www.6dhelmets.com/innovation/を参照)は、それらの間にサスペンション層を有する2個の同心性ヘルメットを本質的に形成する。ODSシステムは、ユーザーに、直線衝突防護とともに斜突防護の両方を提供するとされる。しかしながら、そのようなシステムは、厳格な供与誤差を有する2個の別々のヘルメットを本質的に作り上げることとともに大幅な製造複雑性を伴う。したがって、そのようなヘルメットは、高価で、製造するのが難しく、より厚く、かつかさばったものであり得る。
【0018】
Shred社は、斜突中にユーザーに伝達される回転衝撃力を低減させるとされる、戦略的に置かれたディスクを使用する。
【0019】
しかしながら、現在のシステムは、様々なデメリット、例えば、費用の増加、原料の増加、製造複雑性の増加、重量の増加、複雑性、換気の低減、可撓性の低減、および/または不快さに悩まされる。したがって、斜突に関する問題に取り組む、改善されたヘルメットおよび改善されたヘルメット成型加工プロセスが必要とされ続ける。
【発明の概要】
【0020】
本発明の実施形態は、第1の表面、第2の表面および第1の表面上の複数のウェルを含むクローズドセルフォームの層を含む、斜突防護技術製品に関する。第1の表面は、複数の第1の表面アパーチャを含み、および第1の表面アパーチャは正方形である。第2の表面は、第1の表面に対向し、および随意に複数の第2の表面アパーチャを含む。各々のウェルは、第1の表面アパーチャに対応し、および第2の表面は、第1の表面に対して実質的に平行であり、または平行である。
【0021】
本発明の実施形態は、斜突防護技術製品を含むヘルメットに関する。本発明の実施形態は、斜突防護技術製品を含むスポーツ用品に関する。
【0022】
本発明の実施形態は、メス部の成型部分を提供する工程と、オス部の成型部分を提供する工程と、本明細書の斜突防護技術製品を含む斜突防護技術製品部材を提供する工程と、衝突消散材料を提供する工程によってヘルメットを製造するプロセスに関する。オス部の成型部分は、メス部の成型部分と相補的であり、したがって、それらがそれらの間に中空成型を形成するように、メス部の成型部分およびオス部の成型部分は一体的に適合可能である。オス部の成型部分とメス部の成型部分が一体的に適合される前に、またはオス部の成型部分とメス部の成型部分が一体的に適合された後、斜突防護技術製品部材はオス部部分に適用される。
【0023】
製造プロセスでは、衝突消散材料は、液体または複数のビーズの形で、あるいは複数のビーズとして中空成型に適用される。斜突防護技術製品部材および衝突消散材料は、中空成型内で射出成型プロセスにさらされる。本明細書のプロセスでは、衝突消散材料は、衝突消散部材内面、および衝突消散部材内面と対向する衝突消散部材外面を有する衝突消散部材を形成する。射出成型プロセスは、斜突防護技術製品部材、典型的に斜突防護技術製品部材の外面を、衝突消散部材内面に恒久的に結合させる。
【0024】
理論によって制限される意図もなく、本明細書の発明は、斜突事象中にユーザーの身体または頭に伝達される力および/またはトルクの量を減少させることによって、頭、背骨、骨格および/または軟組織の潜在的な外傷を低減し得ると考えられる。具体的には、複数のウェルを含む第1の表面の構成は、クローズドセルの層が、快適な適合を提供するとともに、層の側のおよび横の屈曲を可能にすること、両方を可能にすると考えられる。これは、ヘルメットがユーザーの頭に、結果として生じる力および/またはトルクを伝達する前に、層がヘルメットの回転および/またはトルクを低減させることを可能にする。さらに、本発明は、従来の(すなわち、90°の)衝突と斜突の両方からの大幅な防護を提供し得ると考えられる。それに加えて、本発明は、同時に原料を減少する、製造の複雑さを減少させる、費用を減少させる、廃棄物を減少する、ヘルメット当たりの製造時間を減少させる、ユーザーのための通気性および/または換気性を改善する一方、大幅な、または改善された防護を提供すると考えられる。それに加えて、本斜突防護技術製品は、当業者が、様々なヘルメット、多数のスポーツ用品等に、それに必要とされる追加の改造をほとんど、または全く必要とすることなく、広く適用できるということにおいて非常に適応性があり得ると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】は、本発明に係るヘルメット(10)の実施形態の一部を切り取った側面図を示す。
図2】は、斜突防護技術製品部材の実施形態の部分的、平面斜視拡大図を示す。
図3】は、斜突防護技術製品部材の実施形態の部分的、低面斜視拡大図を示す。
図4】は、図1の斜突防護技術製品部材の実施形態の部分的、平面図を示す。
図5】は、図1および図4の斜突防護技術製品部材の実施形態の部分的、側面図を示す。
図6】は、斜突防護技術製品部材の実施形態の部分的、側面図示す。
図7】は、45°アンビルおよび関連のヘルメット試験の概略図である。
【0026】
本明細書の図面は、例示目的に過ぎず、必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
別段の定めがある場合を除き、本明細書の全ての試験は、25℃の室内温度および試験温度、海水面の圧力(1atm。)、および、関連する場合、pH7を含む標準条件で行なわれ、および、全ての測定は、メートル単位でなされる。さらに、別段の表示がある場合を除き、本明細書のすべての割合、比率などは重量によるものである。別段の注意がある場合を除き、本明細書に記載された材料、成分、化合物、化学薬品等は、世界中の様々な供給源から入手可能な典型的な品目および/または業界標準アイテムであると理解されるであろう。
【0028】
別段の明示的な表示がある場合を除き、ヘルメットに関して本明細書に使用されるように、用語「内面」および「内部で」は、着用者の頭に近いまたは近くなるヘルメット部分に対する相対位置を示す。別段の明示的な表示がある場合を除き、ヘルメットに関して本明細書に使用されるように、用語「外面」および「外部で」は、着用者の頭から離れているまたは離れるヘルメットの外部に近いヘルメット部分に対する相対位置を示す。
【0029】
本発明の実施形態は、第1の表面、第2の表面および第1の表面上の複数のウェルを含むクローズドセルフォームの層を含む斜突防護技術製品に関する。第1の表面は、複数の第1の表面アパーチャを含み、第1の表面アパーチャは正方形である。第2の表面は、第1の表面に対向し、および随意に複数の第2の表面アパーチャを含む。各々のウェルは、第1の表面アパーチャに対応し、および第2の表面は、第1の表面に対して実質的に平行であり、または平行である。
【0030】
理論によって制限される意図もなく、本明細書の発明は、従来の(すなわち、90°の)衝突中とともに、斜突事象中にユーザーの身体または頭に伝達される力および/またはトルクの量を減少させることによって、頭、背骨、骨格および/または軟組織の潜在的な外傷を低減させ得ると考えられる。具体的には、複数のウェルを含む第1の表面の構成は、クローズドセルの層が、快適な適合を提供することと、層の側のおよび横の屈曲を可能にすることの両方を可能にすると考えられる。これは、ヘルメットがユーザーの頭に、結果として生じる力および/またはトルクを伝達する前に、層がヘルメットの回転および/またはトルクを低減させることを可能にする。
【0031】
さらに、第1の表面が、使用中にユーザーの身体または頭に頻繁に接していることは理解されるであろう。第1の表面が大きな表面積を有する場合、層は、ユーザーの身体または頭に伝達される力および/またはトルクを大幅に低減させないこともあると発見された。したがって、本発明の設計は、第1の表面がユーザーの頭を優しくしっかりつかむ一方、ウェルの壁が、斜突からの全体の力の一部を吸収するように圧縮するおよび/または屈曲することができるように、最適化されたと考えられる。これは、事故中にユーザーの身体または頭に伝達される力および/またはトルクの総量を低減させると考えられる。
【0032】
本明細書に有用なクローズドセルフォームは、典型的に複数の独立気泡を含む発泡フォームである。クローズドセルフォームは、典型的に、気泡ゴム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、エチレン酢酸ビニルフォーム、ラテックス製フォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、ビニルニトリルフォームおよびそれらの組み合わせ、または、アクリルポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、エチレン酢酸ビニルフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、ビニルニトリルフォームおよびそれらの組み合わせ、または、ポリウレタンフォーム、ラテックス製フォーム、ゴム製フォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、ビニルニトリルフォームおよびそれらの組み合わせ、またはビニルニトリルフォームからなる群から選択されるクローズドセルフォーム材料を含む。
【0033】
クローズドセルフォーム材料は、典型的に、約60℃~約250℃、または約80℃~約180℃、または約90℃~約160℃の融点を有する。本明細書の一実施形態では、クローズドセルフォーム材料の密度は、約0.1g/cm3~約0.5g/cm3、または約0.15g/cm3~約0.4g/cm3、または約0.175g/cm3~約0.35g/cm3である。本明細書の一実施形態では、層の硬度は、約20~約85、または約25~約75、または約30~約70である。
【0034】
理論によって制限される意図もなく、そのようなクローズドセルフォーム材料の温度範囲は、靱性、他のヘルメット構成要素と恒久的に結合する性能、快適さなどの所望の性質の平衡を保つと考えられる。そのような材料は、ヘルメット製作、絶縁などの技術分野において周知であり、様々な品質等級および特質のものが世界中の複数の供給元から入手可能である。
【0035】
本明細書の一実施形態では、第1の表面アパーチャの表面積は、対応する第1の表面の表面積の25%以上であり、または、対応する第1の表面の表面積の約25%~約95%であり、または、対応する第1の表面の表面積の約35%~約90%であり、または、対応する第1の表面の表面積の約45%~約85%であり、または、対応する第1の表面の表面積の約50%~約80%である。本明細書に使用されるように、対応する第1の表面および/または対応する第2の表面の表面積は、アパーチャの表面積を含んで全体表面積として計算される。
【0036】
本明細書の一実施形態では、第2の表面に対して第1の表面は実質的に平行であり、または平行である。典型的に、層の厚さは、第1の表面から第2の表面まで測定するように、約0.5mm~約2cmであり、または約1mm~約1.5cm、または約2mm~約1.2cmであり、または約0.3~約1cmである。
【0037】
本明細書の第1の表面は、層の表面、または層の最上の表面によって形成された面を指す。本明細書の一実施形態では、第1の層は、ユーザーの身体または頭に触れるように、および/またはユーザーの身体または頭に最接近の斜突防護技術製品の表面であるように意図される。
【0038】
本明細書の第1の表面アパーチャは、正方形であり、なぜならそのような形状は、他の形状と比較して改善された利点を提供すると考えられいるからである。六角形状、円形状などの様々な形状が、試験され、および全体として、機能性、力/トルクの吸収、快適さなどの様々な因子を考慮して正方形が、最も好ましいであると確認されたと考えられる。理論によって制限される意図がなく、斜突中に、層は、それらに伝達される力/トルクを低減させるために、ユーザーの身体または頭の周りで屈曲して回転すると考えられる。一般的に、角のある形が、斜突中にこれらの位置に力を蓄積/集中させ得ると考えられる。対照的に、第1の表面アパーチャの円形状が、理論上、衝撃力の集中を回避する一方、円形を使用すると、第1の表面アパーチャ間に大きすぎる表面積を形成し、それは層を不快にし、その効果を低下させたことがわかった。さらに、六角形状のアパーチャなどの多角形状は、あまりにも多くの角(ここに力/トルクが集中することになる)を含むと考えられる。したがって、第1のアパーチャが正方形を含む場合に、これは、例えば、力/トルク低減と、快適さと、通気性との最適なバランスを提供すると考えられる。さらに、鋭利角度は、さらに不要に力を集中させ得ると考えられる、したがって、本明細書の実施形態では、正方形は丸みを付けた角部、または4つの丸みを付けた角部を含む。
【0039】
第2の表面は、第1の表面に対して典型的に平行で、および第2の表面アパーチャ、または複数の第2の表面アパーチャを含んでもよい。本明細書の一実施形態では、第2の表面アパーチャには、ある形状、または正方形、円形、楕円形およびそれらの組み合わせの群から選択された形状、または円形あるいは楕円形、または円形がある。
【0040】
層は、さらに、第1の表面の複数のウェルを含み、および各々のウェルは、第1の表面アパーチャに対応する。本質的には、各々の第1の表面アパーチャは、ウェルの開口を形成する。ウェルは、非常に重要であると考えられる。なぜなら、層の中のウェルの容量のより大きな割合は、結果的により薄い壁を形成し、したがって、その壁は、より多く屈曲し変形することができ、ユーザーの身体または頭に伝達される力/トルクより少なくするからである。したがって、当業者は、低減された力/トルク伝達の結果をもたらすより大きなウェルの容量と、快適さ、ヘルメット(または他の用品)が安全であるという感覚、および常用中に大きく滑らないというような因子とのバランスを保たなければいけない。
【0041】
本明細書の一実施形態では、正常な平坦および半球状のアンビルの代わりに45°アンビルを使用する改定規則第22号(modified Regulation No. 22)の試験によって測定されたように、斜突防護技術製品を有しない同様のヘルメットと比較して、斜突防護技術製品は斜突の力/トルク伝達を少なくとも10%、または約10%~約50%、または約12%~約45%、または約13%~約40%低減させる。
【0042】
本明細書の一実施形態では、斜突の力/トルク伝達の低減に加えて、平坦なアンビル(すなわち、従来の90°の衝突)および/または半球状のアンビルを使用する規則第22号の試験によって測定されたように、斜突防護技術製品を有しない同様のヘルメットと比較して、斜突防護技術製品は、さらに衝撃力の伝達を少なくとも2%、または約2%~約50%、または約3%~約45%、または約4%~約40%低減させる。
【0043】
本明細書のウェルは、層を部分的に通ってもよく、その場合には、それはクローズドウェルであると特徴付けられ、または層全体を通ってもよく、その場合には、それはオープンウェルであると特徴付けられる。クローズドウェルのウェルの深さは、典型的に、層の厚さの25%以上、または層の厚さの約25%~約99%、または層の厚さの約35%~約95%、または層の厚さの約45%~約90%である。ウェルの深さは、第1の表面、または第1の表面の面から、ウェル床が存在する場合(すなわち、クローズドウェル)、ウェル床まで測定される。典型的に、ウェル床は、第1の表面、または第1の表面の面それぞれから垂直に測定されるように、第1の表面、または第1の表面の面から最も遠いウェルのポイントである。ウェルが完全に層を通る(例えば、ウェルはオープンウェルである)ので、ウェル床がない場合、ウェル深さは100%として画定され、層の厚さと同等である。
【0044】
したがって、本明細書の実施形態では、複数のウェルの1つのウェルは、クローズドウェルであり、または、複数のウェルの少なくとも25%は、クローズドウェルであり、または、複数のウェルの少なくとも50%は、クローズドウェルであり、または、ここで、複数のウェルの実質的に全ては、クローズドウェルであり、または、複数のウェルの全ては、クローズドウェルである。
【0045】
オープンウェルの場合、当業者は、ウェルが完全に層を通る経路を形成するため、ウェルの深さが層の厚さの100%であると理解されるであろう。したがって、オープンウェルを含む実施形態では、第1の表面アパーチャは、ウェルに対応し、および第1の表面アパーチャおよび/またはウェルはさらに第2の表面アパーチャに対応し、言いかえれば、オープンウェルは、第1の表面アパーチャを、対応する第2の表面アパーチャと接続する経路を形成する。本明細書の一実施形態では、複数のウェルの1つのウェルは、オープンウェルであり、およびウェルは第2の表面アパーチャに対応し、または、複数のウェルの少なくとも25%は、第2の表面アパーチャに対応し、または、複数のウェルの少なくとも50%は、第2の表面アパーチャに対応し、または、複数のウェルの実質的に全ては、第2の表面アパーチャに対応し、または、複数のウェルの全ては、第2の表面アパーチャに対応する。
【0046】
本明細書の一実施形態では、複数のウェルの1つのウェルは、オープンウェルであり、およびウェルは、第2の表面アパーチャに対応し、それによって第1の表面から第2の表面までの経路を形成し、または、複数のウェルの少なくとも25%は、第2の表面アパーチャに対応し、それによって第1の表面から第2の表面までの複数の経路を形成し、または、ここで、複数のウェルの少なくとも50%は、第2の表面アパーチャに対応し、それによって第1の表面から第2の表面までの複数の経路を形成し、または、複数のウェルの実質的に全ては、第2の表面アパーチャに対応し、それによって第1の表面から第2の表面までの複数の経路を形成し、または、複数のウェルの全ては、第2の表面アパーチャに対応し、それによって第1の表面から第2の表面までの複数の経路を形成する。本明細書の一実施形態では、ウェルの実質的に全てはオープンウェルである。
【0047】
本明細書の一実施形態では、本明細書の斜突防護技術製品は、フットウェア、ボディウエア、フェースマスク、ヘルメット、ラケット、クラブおよびそれらの組み合わせ、またはフットウェア、ボディウエア、ヘルメットおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるスポーツ用品に含まれる。本明細書の一実施形態では、本明細書に有用なフットウェアは、例えば、靴、サンダル等、またはバスケットボールシューズ、ランニングシューズ、スキーブーツ等を含んでもよい。本明細書の一実施形態では、本明細書に有用なボディウエアは、例えば、防護パッド、衣類、ウェットスーツ等、または肩部パッド、ひざパッド、すねパッド、防護外装等を含んでもよい。本明細書の一実施形態では、本明細書の斜突防護技術製品は、スポーツヘルメットなどのヘルメットに含まれる。
【0048】
本明細書に有用なヘルメットは、典型的に、衝突消散部材および、衝突消散部材の内面に直接または間接的に取り付けられる斜突防護技術製品を含む。衝突消散部材は、衝突消散部材内面および衝突消散部材内面に対向する衝突消散部材外面を有する。本明細書に有用な衝突消散材料は、典型的に、ポリスチレン、ポリプロピレンとそれらの混合物、または押出ポリスチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレンおよびその混合物、または発泡ポリスチレン、およびその混合物から選択される。
【0049】
本明細書の実施形態は、衝突消散部材外面の外部にあり、典型的に恒久的に接合されたシェルを含む。シェルは、典型的に、衝突消散部材外面の全てでなくてもほとんどをカバーし、および美的感覚、追加の衝突消散、摩擦低減などの複数の目的に役立つ。本明細書の一実施形態では、シェルは、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレートとおよびそれらの混合物から、または押出ポリスチレン、発泡ポリスチレンおよびそれらの混合物から、または発泡ポリスチレンおよびその混合物から選択されたシェル材料を含む。典型的に極めて薄いが、シェルはシェル内面、およびシェル内面に対向するシェル外面を含む。シェル内面は、例えば、射出成型プロセス中に、典型的にさらに衝突消散部材外面に恒久的に結合される。代替的に、シェルは、衝突消散部材外面に、その形成の後に着剤、または当該技術分野において周知である他の方法を介して結合されてもよい。
【0050】
斜突防護技術製品は、衝突消散部材および/または別のヘルメット部分に、例えば、接着、射出成型、熱融着、超音波融着およびそれらの組み合わせ、または射出成型からなる群から選択された技術を介して取り付けられてもよい。例えば、2015年4月30日に公開された、Chengに対するUS2015/01137709 A1で見られるプロセス関連の情報とともに一般的なヘルメットの記載を参照して頂きたい。
【0051】
製造プロセス:
本明細書のヘルメットを製造するプロセスは、メス部の成型部分を提供する工程と、オス部の成型部分を提供する工程と、本明細書の斜突防護技術製品を含む斜突防護技術製品部材を提供する工程と、衝突消散材料を提供する工程と、を典型的に含む。オス部の成型部分は、メス部の成型部分と相補的であり、したがって、それらがそれらの間に中空成型を形成するように、メス部の成型部分およびオス部の成型部分は組み合わせられ得る。オス部の成型部分とメス部の成型部分が組み合わせられる前に、またはオス部の成型部分とメス部の成型部分が組み合わせられた後、斜突防護技術製品部材はオス部部分に適用される。
【0052】
衝突消散材料は、液体または複数のビーズの形として、あるいは複数のビーズとして中空成型に適用され得る。斜突防護技術製品部材および衝突消散材料は、中空成型における射出成型プロセスにさらされる。本明細書のプロセスでは、衝突消散材料は、衝突消散部材内面、および衝突消散部材内面に対向する衝突消散部材外面を有する衝突消散部材を形成する。射出成型プロセスは、斜突防護技術製品部材、典型的に斜突防護技術製品部材の外面を、衝突消散部材内面に恒久的に結合させる。追加の他の部分も、この時点で、例えば、シェル、取付け領域、フレーム、反射器等の様々なヘルメット構成要素の中に、その上に、または側に形成されてもよい。本明細書の一実施形態では、シェル材料は、典型的に射出成型プロセスの前に、または射出成型プロセス中に、メス部の部分に提供されて適用される。本実施形態では、シェル材料は、シェルを形成し、かつ射出成型プロセスは、シェル、またはシェル内面を、衝突消散部材外面に恒久的に結合させる。
【0053】
射出成型プロセスおよび機械は、典型的に射出成型プロセスを、約65℃~約250℃、または約80℃~約180℃、または約90℃~約160℃の温度で実行する。そのようなプロセスおよび関連する機械は、当該技術分野において周知であり、世界中の様々な製造業者から入手可能である。
【0054】
斜突防護技術製品部材は、クローズドセルフォームから、クローズドセルフォーム材料から、および/または1つ以上のクローズドセルフォーム前駆体から、例えば、真空成型、発泡などの当該技術において知られる方法によって形成されてもよい。
【0055】
図面:
次に図面を見ると、図1は、本発明に係るヘルメット(10)の実施形態の一部を切り取った側面図である。ヘルメット(10)は、典型的に、相補的または鏡像の左側面図を同様に含むが、それは簡潔にするためにここで示されない。ヘルメット(10)は、一種のスポーツ用品(12)の例であり、および斜突防護技術製品部材内面(22)および斜突防護技術製品部材外面(24)を有する斜突防護技術製品部材(20)を有する。斜突防護技術製品部材外面(24)は、斜突防護技術製品部材内面(22)に対向する(すなわち、対向する側面上にある。
【0056】
ヘルメット(10)は、衝突消散材料から形成される衝突消散部材(26)をさらに含む。ヘルメット(10)は、着用されたときヘルメット(10)を通して空気を流れさせる穴部(28)を含み、それによって、ユーザー快適さおよび通気性を増加させる。ヘルメット(10)は、多くの場合、複数の穴部(28)を含み、それは、さらにヘルメットの重量を減らし、および材料の量と製造費用を削減する。複数のリブ(30)は、穴部(28)の間を通り結合させ、これらは、衝突消散材料から作られる。したがって、リブ(30)は、ヘルメット(10)の衝突消散部材(26)の構造的基盤を形成する。複数の斜突防護技術製品部材(20)は、ヘルメット(10)の内部で見つかり、それらの各々は、衝突消散部材(26)、多くの場合にリブ(30)で、穴部(28)間に、恒久的に取り付けられ、または、恒久的に結合され、または射出成型される。具体的には、斜突防護技術製品部材外面(24)は、典型的に衝突消散部材(26)にリブ(30)で射出成型される。衝突消散部材(26)は、衝突消散部材外面(34)を含む。
【0057】
ヘルメット(30)は、衝突消散部材(26)の外部にあるシェル(32)をさらに含み、かつ衝突消散部材(26)のほとんどをカバーする。シェル(32)は、シェル内面(36)を有し、衝突消散部材外面(34)に恒久的に結合される。シェル外面(38)は、空気に開放され、およびユーザーの頭から最も遠いヘルメットの部分である(図示なし)。
【0058】
ヘルメット(10)は、衝突消散部材(26)にさらに射出成型される追加特徴(40)を有する。この場合、追加特徴は、例えば、顎ひも(図示なし)を取り付けるためのバックルである。ヘルメット(10)は、別の追加特徴(40’)をさらに含み、それはこの場合、例えば、小さい頭の着用者のためのインサートを取り付けるために使用され得るねじのためのねじ穴である。
【0059】
図2は、本明細書に有用な斜突防護技術製品部材(20)の実施形態の部分的、上面斜視拡大図を示す。斜突防護技術製品部材(20)は、クローズドセルフォームの層(50)から形成され、および第1の表面(52)と第2の表面(54)を含む。当業者は、層(50)の小さな部分のみが図2に示されると理解されるであろう。第1の表面(52)は、複数のウェル(56)を含む。図1では、各々のウェル(56)は、第1の表面アパーチャ(58)に対応し、それらの各々は、4つの丸みを付けた角部(60)を有する正方形である。層(50)は、例えば、1つのスポーツ用品(図1の(12)を参照)、またはヘルメット(図1の(10)を参照)に取り付けられるとき、それは、典型的に、1つのスポーツ用品(図1の(12)を参照)、またはヘルメット(図1の(10)を参照)に取り付けられる第2の表面(54)になるであろう。本実施形態では、ウェル(56)の全ては、形状とサイズが同一であり、第1の表面アパーチャ(58)の全ては、形状とサイズが同一であり、および第2の表面アパーチャ(62)の全ては、形状とサイズが同一であると見られる。
【0060】
図2では、各々の第2の表面アパーチャ(62)は、第1の表面アパーチャ(58)に対応し、および各々の対応するウェル(56)、この場合、オープンウェル(64)は、第1の表面(52)と第2の表面(54)との間に経路(66)を形成する。ウェル(56’)とウェル(56”)との間にウェル壁(68)があり、それは層(50)への構造的一体性を提供し、かつユーザーに伝達される力/トルクを低減させるように、斜突時にさらに屈曲および/または変形することが分かる。本実施形態では、第1の表面アパーチャ(58)とウェル(56)との間の遷移は、丸みを付けた端部(70)を含むとさらに見られ、それは層(50)の製造をより容易にし、かつユーザーへのより大きな快適さをさらに提供し得る。
【0061】
図3は、本明細書に有用な斜突防護技術製品部材(20)の実施形態の部分的、低面斜視拡大図を示す。本図面は、複数の第2の表面アパーチャ(62)および複数のウェル(56)、(56’)、(56”)を含む第2の表面(54)を明確に示す。第1の表面(52)は、第2の表面(54)に対向する。図3は、さらにウェル壁(68)が、ウェル(56’)とウェル(56”)との間で形成されることを明確に示す。
【0062】
図4は、図1の斜突防護技術製品部材(20)の実施形態の部分的な平面図を示す。本図面は、第1の表面(52)を上から撮り、かつ第1の表面アパーチャ(58)を明確に示す。正方形の第1の表面アパーチャ(58)の表面積は、第1の表面アパーチャの幅(AW)と第1の表面アパーチャの長さ(AL)を測定し、それらを掛け算し、および対応する丸みを付けた角部(60)間の表面積を引くことによって計算されてもよい。他の非正方形表面アパーチャの表面積は、当該技術分野において周知の幾何学的な原則および/または式、あるいは計算機援用設計(CAD)プログラムによって同様に計算されてもよい。図4では、第1の表面アパーチャの幅(AW)は、任意の対向する端部間の最も遠い距離である一方、第1の表面アパーチャの長さは、第1の表面アパーチャの幅の方向に垂直の、任意の対向する端部間の最も遠い距離として測定される。同様に、対応する第1の表面の表面積は、第1の表面の幅(SA)および第1の表面の長さ(SL)を計算するために、各々の第1の表面アパーチャ(58)間の中間点からの距離の測定し、その後に第1の表面の幅(SA)および第1の表面の長さ(SL)を掛け算することによって計算されてもよい。
【0063】
図5は、図1および図4の斜突防護技術製品部材(20)の実施形態の部分的な側面図を示す。本図面は、第1の表面(52)が、第1の表面平面(FSP)を形成する一方、第2の表面(54)が、第1の表面平面(FSP)と平行な第2の表面平面(SSP)を形成することを示す。さらに、第1の表面アパーチャ(58)の第1の表面アパーチャの幅(AW)は、ウェル壁(68)のあるポイントより、第1の表面アパーチャ(58)が第1の表面平面(FSP)を断面させる(breaks)(対向の)ポイントから測定されると明白であろう。さらに、明確にするために、第1の表面アパーチャの幅(AW)は、第1の表面平面(FSP)に垂直な角度で測定されることは示される。
【0064】
層の厚さ(LT)は、第1の表面平面(FSP)に垂直で測定されるように、第1の表面平面(FSP)と第2の表面平面(SSP)との間の距離であり、および図5では、これは層(50)の全体にわたって実質的に同様であると示される。本図面では、ウェルの深さ(WD)が、層の厚さ(LT)の100%と等しいとさらに理解されるであろう。なぜなら、ウェル(56)は、オープンウェル(64)であり、それは第1の表面(および第1の表面平面(FSP))から第2の表面(および第2の表面平面(SSP))へ経路(66)を形成するからである。本図面では、複数の第2の表面アパーチャ(62)も見られるであろう。
【0065】
図6は、斜突防護技術製品部材(20)の実施形態の部分的な側面図を示す。本図面は、第1の表面(52)および第1の表面(52)に対向する第2の表面(54)を有する層(50)を示す。第1の表面アパーチャ(58)は、第1の表面(52)で、ウェル壁(68)を有するウェル(56)に対応する。第1の表面(52)は、第1の表面平面(FSP)を形成し、および第2の表面(54)は、第2の表面平面(SSP)を形成する。
【0066】
しかしながら、本実施形態では、ウェル(56)の各々は、丸みを付けた端部(70)およびウェル床(74)を有するクローズドウェル(72)である。浅い第2の表面アパーチャ(62)は、本実施形態では示され、第2の表面アパーチャ(62)は、第1の表面アパーチャ(52)と接続もせず、または経路(図4の(66)を参照)を形成しないが、ウェル床として、(74’)が存在する。
【0067】
図7は、45°アンビル(76)および関連のヘルメット試験の概略図である。ヘルメット(20)は、頭形状(78)に安全に取り付けられ、および45°アンビル(76)へ矢Aによって示された方向に制御された方法で加速された。45°アンビル(76)は、矢Aの落下方向に対して45°であり、かつさらに正常な平坦なアンビル表面(FA)に関する45°である、角度(α)である衝突表面(80)を有する。
【0068】
衝突されると、ヘルメット(20)は、衝突表面(80)から矢Bによって一般的に示される方向に跳ね返る。
【0069】
試験プロセス:
本明細書の斜突性能のためのヘルメットの試験は、アンビルが45°アンビルであること、それは規則第22号の正常な試験に使用される正常で平坦なアンビルから45°の角度である衝突表面を有するアンビル(すなわち、「Modified Regulation No. 22 test with 45°anvil」)、を除き、例えば、規則第22号における記載されたものなどの業界標準機構を使用して実行される。例えば、図7を参照。頭形状は、3次元で頭形状の速度、加速等を測定するためにセンサー(例えば、加速度計)、または複数のセンサーを含む。加えて、試験を記録するために高速度カメラも存在してもよい。
【0070】
<実施例>
<実施例1>
斜突防護材料は、クローズドセルフォーム材料から製造し、あらかじめ形成されたヘルメットに業界基準のコンタクト型接着剤によって取り付け、およびヘルメットAというラベルを付ける。斜突防護材料がないということを除いて、同一のヘルメットを製造し、比較ヘルメットA1というラベルを付ける。MIPSシステムを含む比較可能なヘルメットは製造し、比較ヘルメットA2というラベルを付ける。
【0071】
規則第22号の定期的な試験で平坦および半球状のアンビルを使用し、および高さ205cmから落とされた、ヘルメットAの平均ピークG値は、比較ヘルメットA1より4.7%、および比較ヘルメットA2より2.4%少ない。したがって、このデータは、本発明が、比較ヘルメットと比較して、改善された直線衝突防護(すなわち、より少ない力の伝達)を提供することを示す。
【0072】
<実施例2>
斜突防護材料は、クローズドセルフォーム材料から製造し、あらかじめ形成されたヘルメットに業界基準のコンタクト型接着剤によって取り付け、およびヘルメットBというラベルを付ける。斜突防護材料がないということを除いて、同一のヘルメットを製造し、比較ヘルメットB1というラベルを付ける。MIPSシステムを含む比較可能なヘルメットは製造し、比較ヘルメットB2というラベルを付ける。KALIのLDLシステムを含む比較可能なヘルメットは製造し、比較ヘルメットB3というラベルを付ける。
【0073】
これらのヘルメットは、本明細書で記載されるように、Modified Regulation No. 22test with 45°anvilを使用して試験され、および高さ210cmから落とされた。収集されたデータは、(ラジアン/second2で測定された)頭形状からの前部、X軸回転、Y軸回転、Z軸回転、後頭部および側部-Rの測定を含んだ。ヘルメットBの平均回転は、比較ヘルメットB1より14.1%少なく、比較ヘルメットB2より3.3%少なく、およびヘルメットB3より7.5%少ない。したがって、このデータは、本発明が、比較ヘルメットと比較して、改善された回転衝突防護(すなわち、より少ない力/トルクの伝達)を提供することを示す。
【0074】
<実施例3>
斜突防護材料は、クローズドセルフォーム材料から製造し、あらかじめ形成されたヘルメットに業界基準のコンタクト型接着剤によって取り付け、およびヘルメットCというラベルを付ける。斜突防護材料がないということを除いて、同一のヘルメットを製造し、比較ヘルメットC1というラベルを付ける。MIPSシステムを含む比較可能なヘルメットを製造し、比較ヘルメットC2というラベルを付ける。
【0075】
これらのヘルメットは、本明細書で記載されるように、Modified Regulation No. 22test with 45°anvilを使用して試験され、および高さ210cmから落とされた。収集されたデータは、(ラジアン/second2で測定された)頭形状からの前部、後部、左側、右側、および上部の測定を含んだ。ヘルメットBの平均回転は、比較ヘルメットC1より15.5%少なく、および比較ヘルメットC2より15.7%少ない。したがって、このデータは、本発明が、比較ヘルメットと比較して、改善された回転衝突防護(すなわち、より少ない力/トルクの伝達)を提供することを示す。
【0076】
上記は、本発明が実行され得る例を例示し記載するのみであり、およびその改造および/または変更が、本発明の精神から離れることなく、それに行われてもよいことが理解されるべきである。
【0077】
明確性のために別個の実施形態の内容に記載される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態における組み合わせで提供されてもよいことも理解されるべきである。反対に、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈で記載されている本発明の様々な特徴も、別々に、あるいは任意の適切な下位組み合わせで提供されてもよい。
【0078】
本明細書で具体的に引用される全ての参照は参照により全体として本明細書に組み込まれる。しかしながら、そのような参照の引用または組み込みは、その適切さ、引用可能性、および/または本発明に対する/反対する先行文献としての利用可能性に関する承認であるわけではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】