(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】関節リウマチの診断及び処置の方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20221020BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20221020BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20221020BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221020BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20221020BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20221020BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20221020BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61K31/519
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P37/02
G01N33/53 X
G01N33/53 D
G01N33/53 P
C07K16/28 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562992
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(85)【翻訳文提出日】2021-12-13
(86)【国際出願番号】 US2020029930
(87)【国際公開番号】W WO2020219960
(87)【国際公開日】2020-10-29
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515337475
【氏名又は名称】サノフィ・バイオテクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】モーシェ・イー・ジルバーシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】アニータ・ボイアパティ
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ムシヒド
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB15
4C086ZC51
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、特定のバイオマーカーの血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置するための抗IL6受容体抗体の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
27.9mg/Lより高いC反応性タンパク質(CRP)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法であって、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される、上記方法。
【請求項2】
CRPの血清濃度は対象において65.1mg/L未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、3.2未満のDAS28-CRPスコアを達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア又は朝のこわばりVASにおいて改善を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
6.9mg/Lより高くかつ13.1mg/Lより低いC反応性タンパク質(CRP)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法であって、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される、上記方法。
【請求項7】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - REドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおいて改善を達成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
105.2ng/mLより高くかつ256.0ng/mLより低い血清アミロイドA(SAA)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法であって、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される、上記方法。
【請求項9】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、ACR20、ACR50又はACR70を達成する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、3.2未満のDAS28-CRPスコアを達成する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - PFドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおける改善を達成する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
11.83ng/mLより高くかつ30.08ng/mLより低い血清アミロイドA(SAA)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法であって、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される、上記方法。
【請求項13】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、HAQ-DIにおける改善を達成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
77.0ng/mLより高いマトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP-3)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法であって、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される、上記方法。
【請求項15】
MMP-3の血清濃度は、対象において154.3ng/mL未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、3.2未満のDAS28-CRPスコアを達成する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - PFドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおいて改善を達成する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
35.5ng/mLより高くかつ54.1ng/mLより低いマトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP-3)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法であって、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される、上記方法。
【請求項20】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、痛みVASにおいて改善を達成する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
180.8pg/mLより高いケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13(CXCL13)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法であって、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される、上記方法。
【請求項22】
CXCL3の血清濃度は、対象において323.9pg/mL未満である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、HAQ-DI、SF-36 - PCSスコア又はSF-36 - PFドメインにおける改善を達成する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
98.2pg/mLより高くかつ130.6pg/mlより低いケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13(CXCL13)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法であって、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される、上記方法。
【請求項26】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、HAQ-DIにおける改善を達成する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
72.0pg/mL未満のケモカインCXCL13の血清濃度及び212.1ng/mL未満の可溶性細胞内接着分子-1(sICAM-1)の血清濃度、を有する対象において関節リウマチを処置する方法であって、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される、上記方法。
【請求項28】
CXCL3の血清濃度は、対象において52.4pg/mLより高い、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
sICAM1の血清濃度は、対象において179.7ng/mLより高い、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR50を達成する、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
180.8pg/mLより高いケモカインCXCL13の血清濃度及び313.7ng/mLより高いsICAM-1の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法であって、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される、上記方法。
【請求項32】
CXCL3の血清濃度は、対象において323.9pg/mL未満である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
sICAM-1の血清濃度は、対象において380.0ng/mL未満である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR50を達成する、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
対象は中程度から重度の関節リウマチを有する、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
抗体は、充填済みシリンジ又は自動注射器を用いて投与される、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
抗体は、約21mMヒスチジン、約45mMアルギニン、約0.2%(質量/体積)ポリソルベート20、及び約5%(質量/体積)ショ糖を含有する約pH6.0の水性緩衝化液剤として投与される、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
液剤は抗体を少なくとも約130mg/mL含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
液剤は抗体約131.6mg/mLを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
液剤は抗体約175mg/mLを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
抗体はサリルマブである、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
対象は1つ又はそれ以上のDMARDに対して不耐容である、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
DMARDはメトトレキサートである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
対象に有効量のメトトレキサートを投与することをさらに含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
メトトレキサートは週に6~25mgの間で投与される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
対象は、中程度から重度の関節リウマチを有し、かつ1つ又はそれ以上のDMARDに対して不適切な応答を有していたことがある、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
DMARDはメトトレキサートである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
抗体は、2週間ごとに1回150mgで対象に皮下投与される、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
抗体は、2週間ごとに1回200mgで対象に皮下投与される、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対する増加した傾向を有するか否かを決定する方法であって、対象からの血清サンプルにおけるCRP濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが27.9mg/Lより高いCRPの濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対する増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む、上記方法。
【請求項51】
対象からの血清サンプルは、対象において65.1mg/L未満のCRP濃度を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する増加した傾向を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、3.2未満のDAS28-CRPスコアを達成する増加した傾向を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - REドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおいて改善を達成する増加した傾向を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法であって、対象からの血清サンプルにおけるCRPの濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが6.9mg/Lより高くかつ13.1mg/Lより低いCRP濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む、上記方法。
【請求項56】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - REドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおいて改善を達成する増加した傾向を有する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法であって、対象からの血清サンプルにおけるSAAの濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが105.2ng/mLより高くかつ256.0ng/mLより低いSAAの濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む、上記方法。
【請求項58】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20、ACR50又はACR70を達成する増加した傾向を有する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に3.2未満のDAS28-CRPスコアを達成する増加した傾向を有する、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - PFドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおいて改善を達成する増加した傾向を有する、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法であって、対象からの血清サンプルにおいてSAA濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが11.83ng/mLより高くかつ30.08ng/mLより低いSAAの濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む、上記方法。
【請求項62】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にHAQ-DIにおける改善を達成する増加した傾向を有する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法であって、対象からの血清サンプルにおいてMMP-3の濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが77.0ng/mLより高いMMP-3濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む、上記方法。
【請求項64】
対象からの血清サンプルは、対象において154.3ng/mLより低いMMP-3濃度を有する、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する増加した傾向を有する、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、3.2未満のDAS28-CRPスコアを達成する増加した傾向を有する、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - PFドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおいて改善を達成する増加した傾向を有する、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法であって、対象からの血清サンプルにおいてMMP-3の濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが35.5ng/mLより高くかつ54.1ng/mLより低いMMP-3濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む、上記方法。
【請求項69】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、痛みVASにおける改善を達成する増加した傾向を有する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法であって、対象からの血清サンプルにおいてCXCL13の濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが98.2pg/mLより高いCXCL13濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む、上記方法。
【請求項71】
対象からの血清サンプルは、対象において323.9pg/mL未満であるCXCL3濃度を有する、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する増加した傾向を有する、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、HAQ-DI、SF-36 - PCSスコア又はSF-36 - PFドメインにおける改善を達成する増加した傾向を有する、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法であって、対象からの血清サンプルにおいてCXCL13の濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが72.0pg/mL未満のCXCL13濃度及び212.1ng/mL未満のsICAM-1濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む、上記方法。
【請求項75】
対象からの血清サンプルは、対象において52.4pg/mLより高いCXCL3濃度を有する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
対象からの血清サンプルは、対象において179.7ng/mLより高いsICAM1濃度を有する、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR50を達成する増加した傾向を有する、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法であって、対象からの血清サンプルにおいてCXCL13の濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが180.8pg/mLより高いCXCL13濃度及び313.7ng/mLより高いsICAM-1濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む、上記方法。
【請求項79】
対象からの血清サンプルは、対象において323.9pg/mL未満のCXCL3濃度を有する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
対象からの血清サンプルは、対象において380.0ng/mL未満であるsICAM-1濃度を有する、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR50を達成する増加した傾向を有する、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
対象は中程度から重度の関節リウマチを有する、請求項50~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
抗体はサリルマブである、請求項50~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
対象は、1つ又はそれ以上のDMARDに対して不耐容である、請求項50~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
DMARDはメトトレキサートである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
対象は中程度から重度の関節リウマチを有し、かつ1つ又はそれ以上のDMARDに対して不適切な応答を有していたことがある、請求項50~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
DMARDはメトトレキサートである、請求項86に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、米国仮出願第62/837,793号(2019年4月24日出願);及び欧州出願第20305193.3号(2020年2月27日)の利益を主張する;これらはそれぞれその全体として参照により本明細書に加入される。
【0002】
分野
本開示は、特定のバイオマーカーの血清濃度を有する対象において、抗IL6受容体抗体を対象に投与することにより、関節リウマチを処置する分野に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
関節リウマチ(RA)を有する患者は、慢性炎症の結果として滑膜関節において骨及び軟骨の損傷を生じ、これはインターロイキン-6(IL-6)及び腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)のような炎症促進性サイトカインにより媒介される。RAにおいて、上昇した循環サイトカイン濃度は、骨吸収性因子(例えば、核因子-κBリガンドの受容体活性化因子[RANKL])及び関節破壊性タンパク質(例えば、マトリックスメタロプロテアーゼ)を介した破骨細胞の刺激をもたらすシグナル伝達カスケードの活性化により骨及び軟骨の破壊を誘発する。根底にある関節損傷は、身体機能の長期障害をもたらす。
【0004】
IL-6は、炎症、代謝、神経、及び再生プロセスにおいて役割を果たす多面的サイトカインである。IL-6は、2つの異なる機序 - 古典的(シス)及びトランスシグナル伝達 - により機能し、これは全身徴候及び一般的にRAに伴う併存症にまでその作用範囲及び寄与を拡大させ、これらとしては、急性期応答、骨粗鬆症、疲労、抑うつ、貧血及び心血管(CV)疾患が挙げられる。RA患者は、健常個体と比較して、心筋梗塞及び発作を含むCV事象の増加した危険性を有する。炎症促進性サイトカインは、内皮障害及び構造的血管異常を促進し、そして脂質レベルの変化、インスリン抵抗性、及び酸化ストレスを含む他のCV危険因子を誘導することが理解される。さらに、炎症及び血栓症の両方に関与するCVリスクのバイオマーカーであるリポタンパク質(a)(Lp[a])の有意に上昇したレベルが、健常者コントロールと比較してRA患者において観察された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サリルマブは、膜結合及び可溶性IL-6受容体-αに結合してIL-6シグナル伝達を阻害するヒトモノクローナル抗体である。これは、単剤療法として及び従来の合成疾患修飾抗リウマチ薬(csDMARD)と組み合わせて、中程度から重度の活動性RAを有する成人の処置について承認されている。RAを処置する場合に、これらの薬物がより迅速に投与されるように、サリルマブを用いてより良好な有効性を示す患者集団を明確にする必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本開示は、とりわけ、抗インターロイキン6受容体(IL-6R)抗体、例えば、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体(例えば、サリルマブ)を用いた処置に対して応答する傾向を有する対象を同定するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、TNF-α阻害剤(例えば、アダリムマブ)よりもIL-6R抗体(例えば、サリルマブ)に応答するより高い傾向を有する対象を特定する。本開示はさらに、IL-6R抗体の投与に応答する傾向を有するとして対象を特定する特定のバイオマーカーのレベルを有する対象において、RAを処置する方法を提供する。
【0007】
一態様において、27.9mg/Lより高いC反応性タンパク質(CRP)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法が本明細書において提供され、該方法は、対象を選択すること、及び該対象に抗IL-6R抗体を投与することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、抗体は皮下投与される。
【0009】
いくつかの実施形態において、対象は37.6mg/Lに等しいか又は37.6mg/Lより高いCRPの血清濃度を有する。いくつかの実施形態において、対象は65.1mg/Lに等しいか又は65.1mg/Lより高いCRPの血清濃度を有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、27.9mg/Lより高いC反応性タンパク質(CRP)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法は、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される。
【0011】
いくつかの実施形態において、CRPの血清濃度は、対象において65.1mg/L未満である。いくつかの実施形態において、対象は24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する。
【0012】
いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に3.2未満のDAS28-CRPスコアを達成する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア又は朝のこわばりVASにおいて改善を達成する。
【0013】
本開示はさらに、6.9mg/Lより高くかつ13.1mg/Lより低いC反応性タンパク質(CRP)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法を提供し、該方法は、対象を選択すること、及び抗IL-6R抗体を対象に投与することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、抗体は皮下投与される。
【0015】
いくつかの実施形態において、6.9mg/Lより高くかつ13.1mg/Lより低いC反応性タンパク質(CRP)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法は、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される。
【0016】
いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - REドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおいて改善を達成する。
【0017】
本開示はさらに、105.2ng/mLより高い血清アミロイドA(SAA)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法を提供し、該方法は、対象を選択すること、及び対象に抗IL-6R抗体を投与することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、対象は、256.0ng/mL未満のSAAの血清濃度を有する。いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、抗体は皮下投与される。
【0019】
いくつかの実施形態において、対象は、174.9ng/mLに等しいか又は174.9ng/mLより高いSAAの血清濃度を有する。いくつかの実施形態において、対象は、256.0ng/mLに等しいか又は256.0ng/mLより高いSAAの血清濃度を有する。
【0020】
いくつかの実施形態において、105.2ng/mLより高い血清アミロイドA(SAA)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法は、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される。いくつかの実施形態において、対象は、256.0ng/mL未満のSAAの血清濃度を有する。
【0021】
いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20、ACR50又はACR70を達成する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に3.2未満のDAS28-CRPスコアを達成する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - PFドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおいて改善を達成する。
【0022】
本開示はさらに、11.83ng/mLより高くかつ30.08ng/mLより低いSAAの血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法を提供し、該方法は、対象を選択すること、及び対象に抗IL-6R抗体を投与することを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、抗体は皮下投与される。
【0024】
いくつかの実施形態において、11.83ng/mLより高くかつ30.08ng/mLより低い血清アミロイドA(SAA)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法は、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される。
【0025】
いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にHAQ-DIにおける改善を達成する。
【0026】
本開示はさらに、77.0ng/mLより高いマトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP-3)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法を提供し、該方法は、対象を選択すること、及び対象に抗IL-6R抗体を投与することを含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、抗体は皮下投与される。
【0028】
いくつかの実施形態において、対象は、99.9ng/mLに等しいか又は99.9ng/mLより高いMMP-3の血清濃度を有する。いくつかの実施形態において、対象は、154.3ng/mLに等しいか又は154.3ng/mLより高いMMP-3の血清濃度を有する。
【0029】
いくつかの実施形態において、77.0ng/mLより高いマトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP-3)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法は、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される。
【0030】
いくつかの実施形態において、MMP-3の血清濃度は、対象において154.3ng/mL未満である。いくつかの実施形態において、対象は24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に3.2未満のDAS28-CRPスコアを達成する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - PFドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおける改善を達成する。
【0031】
本開示はさらに、35.5ng/mLより高くかつ54.1ng/mLより低いMMP-3の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法を提供し、該方法は、対象を選択すること、及び対象に抗IL-6R抗体を投与することを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、抗体は皮下投与される。
【0033】
いくつかの実施形態において、35.5ng/mLより高くかつ54.1ng/mLより低いマトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP-3)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法は、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される。
【0034】
いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に痛みVASにおける改善を達成する。
【0035】
本開示はさらに、180.8pg/mLより高いケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13(CXCL13)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法を提供し、該方法は、対象を選択すること、及び対象に抗IL-6R抗体を投与することを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、抗体は皮下投与される。
【0037】
いくつかの実施形態において、対象は、236.8pg/mLに等しいか又は236.8pg/mLより高いCXCL13の血清濃度を有する。いくつかの実施形態において、対象は、323.9pg/mLに等しいか又は323.9pg/mLより高いCXCL13の血清濃度を有する。
【0038】
いくつかの実施形態において、180.8pg/mLより高いケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13(CXCL13)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法は、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される。
【0039】
いくつかの実施形態において、CXCL3の血清濃度は、対象において323.9pg/mL未満である。いくつかの実施形態において、対象は24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、HAQ-DI、SF-36 - PCSスコア又はSF-36 - PFドメインにおける改善を達成する。
【0040】
本開示はさらに、98.2pg/mLより高くかつ130.6pg/mlより低いCXCL13の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法を提供し、該方法は、対象を選択すること、及び対象に抗IL-6R抗体を投与することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、抗体は皮下投与される。
【0042】
いくつかの実施形態において、98.2pg/mLより高くかつ130.6pg/mlより低いケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13(CXCL13)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法は、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される。
【0043】
いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にHAQ-DIにおける改善を達成する。
【0044】
本開示はさらに、43.9ng/mLより高いヘプシジンの血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法を提供し、該方法は、対象を選択すること、及び対象に抗IL-6R抗体を投与することを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、抗体は皮下投与される。
【0046】
いくつかの実施形態において、対象は、62.4ng/mLに等しいか又は62.4ng/mLより高いヘプシジンの血清濃度を有する。いくつかの実施形態において、対象は、77ng/mLに等しいか又は77ng/mLより高いヘプシジンの血清濃度を有する。
【0047】
いくつかの実施形態において、62.4ng/mLより高いヘプシジンの血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法は、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される。
【0048】
いくつかの実施形態において、対象におけるヘプシジンの血清濃度は77ng/mL未満である。いくつかの実施形態において、対象は24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する。
【0049】
本開示はさらに、17ng/mLより高くかつ28.9ng/mlより低いヘプシジンの血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法を提供し、該方法は、対象を選択すること、及び該対象に抗IL-6R抗体を投与することを含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、抗体は皮下投与される。
【0051】
いくつかの実施形態において、17ng/mLより高くかつ28.9ng/mlより低いヘプシジンの血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法は、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される。
【0052】
いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にHAQ-DIにおける改善を達成する。
【0053】
本開示はさらに、72.0pg/mL未満のCXCL13の血清濃度及び212.1ng/mL未満の可溶性細胞内接着分子-1(sICAM-1)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法を提供し、該方法は、対象を選択すること、及び対象に抗IL-6R抗体を投与することを含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、抗体は皮下投与される。
【0055】
いくつかの実施形態において、72.0pg/mL未満のケモカインCXCL13の血清濃度及び212.1ng/mL未満の可溶性細胞内接着分子-1(sICAM-1)の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法は、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される。
【0056】
いくつかの実施形態において、CXCL3の血清濃度は対象において52.4pg/mLより高い。いくつかの実施形態において、sICAM1の血清濃度は対象において179.7ng/mLより高い。いくつかの実施形態において、対象は24週間の抗体を用いた処置の後にACR50を達成する。
【0057】
本開示はさらに、180.8pg/mLより高いCXCL13の血清濃度及び313.7ng/mLより高いsICAM-1の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法を提供し、該方法は、対象を選択すること、及び対象に抗IL-6R抗体を投与することを含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、抗体は皮下投与される。
【0059】
いくつかの実施形態において、180.8pg/mLより高いケモカインCXCL13の血清濃度及び313.7ng/mLより高いsICAM-1の血清濃度を有する対象において関節リウマチを処置する方法は、対象を選択すること、及び抗体約150mg~約200mgを2週間ごとに1回対象に投与することを含み、ここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そして抗体は皮下投与される。
【0060】
いくつかの実施形態において、CXCL3の血清濃度は、対象において323.9pg/mL未満である。いくつかの実施形態において、sICAM-1の血清濃度は、対象において380.0ng/mL未満である。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR50を達成する。上で提供された方法のいずれかのいくつかの実施形態において、対象は中程度から重度の関節リウマチを有する。いくつかの実施形態において、抗体は充填済みシリンジ又は自動注射器を用いて投与される。
【0061】
いくつかの実施形態において、抗体は、約21mMヒスチジン、約45mMアルギニン、約0.2%(質量/体積)ポリソルベート20、及び約5%(質量/体積)ショ糖を含有する約pH6.0の水性緩衝化液剤として投与される。いくつかの実施形態において、液剤は抗体を少なくとも約130mg/mL含む。いくつかの実施形態において、液剤は抗体約131.6mg/mLを含む。いくつかの実施形態において、液剤は抗体約175mg/mLを含む。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、対象は1つ又はそれ以上のDMARDに対して不耐容である。いくつかの実施形態において、DMARDはメトトレキサートである。いくつかの実施形態において、方法は、対象に有効量のメトトレキサートを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、メトトレキサートは、週にメトトレキサート6~25mgの間で投与される。いくつかの実施形態において、対象は、中程度から重度の関節リウマチを有し、そして1つ又はそれ以上のDMARDに対して不適切な応答を有していたことがある。いくつかの実施形態において、DMARDはメトトレキサートである。いくつかの実施形態において、抗体は、2週間ごとに1回150mgで対象に皮下投与される。いくつかの実施形態において、抗体は2週間ごとに1回200mgで対象に皮下投与される。
【0062】
本開示はさらに、関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法を提供し、該方法は、対象からの血清サンプルにおいてCRPの濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが27.9mg/L、37.6mg/L、又は65.1mg/Lより高いCRP濃度を有する場合、対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、対象は、TNF-α阻害剤(例えばアダリムマブ)と比較して、抗IL-6R抗体(例えばサリルマブ)を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有する。
【0063】
いくつかの実施形態において、対象からの血清サンプルは、対象において65.1mg/L未満のCRPの濃度を有する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する増加した傾向を有する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に3.2未満のDAS28-CRPスコアを達成する増加した傾向を有する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - REドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおける改善を達成する増加した傾向を有する。
【0064】
本開示はさらに、関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法を提供し、該方法は、対象からの血清サンプルにおいてCRP濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが6.9mg/Lより高くかつ13.1mg/Lより低いCRP濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、対象は、TNF-α阻害剤(例えばアダリムマブ)と比較して、抗IL-6R抗体(例えば、サリルマブ)を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有する。
【0065】
いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - REドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおいて改善を達成する増加した傾向を有する。
【0066】
本開示はさらに、関節リウマチを有する対象が抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法を提供し、該方法は、対象からの血清サンプルにおいてSAAの濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが105.2ng/mL、174.9ng/mL、又は256ng/mLより高くかつ256.0ng/mLより低いSAAの濃度を有する場合、対象は、抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、対象は、TNF-α阻害剤(例えば、アダリムマブ)と比較して、抗IL-6R抗体(例えば、サリルマブ)を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有する。
【0067】
いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20、ACR50又はACR70を達成する増加した傾向を有する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に3.2未満のDAS28-CRPスコアを達成する増加した傾向を有する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - PFドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおいて改善を達成する増加した傾向を有する。
【0068】
本開示はさらに、関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法を提供し、該方法は、対象からの血清サンプルにおいてSAAの濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが11.83ng/mLより高くかつ30.08ng/mLより低い濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、対象は、TNF-α阻害剤(例えば、アダリムマブ)と比較して、抗IL-6R抗体(例えば、サリルマブ)を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有する。
【0069】
いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にHAQ-DIにおいて改善を達成する増加した傾向を有する。
【0070】
本開示はさらに、関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法を提供し、該方法は、対象からの血清サンプルにおいてMMP-3の濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが77.0ng/mL、99.9ng/mL、又は154.3ng/mLより高いMMP-3の濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、対象は、TNF-α阻害剤(例えば、アダリムマブ)と比較して、抗IL-6R抗体(例えば、サリルマブ)を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有する。
【0071】
いくつかの実施形態において、対象からの血清サンプルは、対象において154.3ng/mL未満であるMMP-3濃度を有する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する増加した傾向を有する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に3.2未満のDAS28-CRPスコアを達成する増加した傾向を有する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - PFドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおいて改善を達成する増加した傾向を有する。
【0072】
本開示はさらに、関節リウマチを有する対象が抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法を提供し、該方法は、対象からの血清サンプルにおいてMMP-3の濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが35.5ng/mLより高くかつ54.1ng/mLより低いMMP-3の濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、対象は、TNF-α阻害剤(例えば、アダリムマブ)と比較して抗IL-6R抗体(例えば、サリルマブ)を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有する。
【0073】
いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に痛みVASにおいて改善を達成する増加した傾向を有する。
【0074】
本開示はさらに、関節リウマチを有する対象が、抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法を提供し、該方法は、対象からの血清サンプルにおいてCXCL13の濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが、98.2pg/mL、116.4pg/mL、130.6pg/mL、180.8pg/mL、236.8pg/mL、又は323.9pg/mLより高いCXCL13の濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、対象は、TNF-α阻害剤(例えば、アダリムマブ)と比較して抗IL-6R抗体(例えば、サリルマブ)を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有する。
【0075】
いくつかの実施形態において、対象からの血清サンプルは、対象において323.9pg/mL未満であるCXCL3濃度を有する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する増加した傾向を有する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後に、HAQ-DI、SF-36 - PCSスコア又はSF-36 - PFドメインにおける改善を達成する増加した傾向を有する。
【0076】
本開示はさらに、関節リウマチを有する対象が抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法を提供し、該方法は、対象からの血清サンプルにおいてヘプシジンの濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが17ng/mL、23ng/mL、28.9ng/mL、43.9ng/mL、62.4ng/mL、又は77ng/mLより高いヘプシジンの濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、対象は、TNF-α阻害剤(例えば、アダリムマブ)と比較して、抗IL-6R抗体(例えば、サリルマブ)を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有する。
【0077】
いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20を達成する増加した傾向を有する。本開示はさらに、関節リウマチを有する対象が抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法を提供し、該方法は、対象からの血清サンプルにおいてCXCL13の濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが72.0pg/mL未満のCXCL13濃度及び212.1ng/mL未満のsICAM-1濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、対象は、TNF-α阻害剤(例えば、アダリムマブ)と比較して抗IL-6R抗体(例えば、サリルマブ)を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有する。
【0078】
いくつかの実施形態において、対象からの血清サンプルは、対象において52.4pg/mLより高いCXCL3濃度を有する。いくつかの実施形態において、対象からの血清サンプルは、対象において179.7ng/mLより高いsICAM1濃度を有する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR50を達成する増加した傾向を有する。
【0079】
本開示はさらに、関節リウマチを有する対象が抗体を用いた関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定する方法を提供し、該方法は、対象からの血清サンプルにおいてCXCL13の濃度を測定することを含み、ここで血清サンプルが180.8pg/mLより高いCXCL13濃度及び313.7ng/mLより高いsICAM-1濃度を有する場合、該対象は抗体を用いたRAの有効な処置に対して増加した傾向を有し、そしてここで抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、対象は、TNF-α阻害剤(例えば、アダリムマブ)と比較して抗IL-6R抗体(例えば、サリルマブ)を有する関節リウマチの有効な処置に対して増加した傾向を有する。
【0080】
いくつかの実施形態において、対象からの血清サンプルは、対象において323.9pg/mL未満であるCXCL3濃度を有する。いくつかの実施形態において、対象からの血清サンプルは、対象において380.0ng/mL未満であるsICAM-1濃度を有する。いくつかの実施形態において、対象は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR50を達成する増加した傾向を有する。関節リウマチを有する対象が上記の有効な処置に対して増加した傾向を有するか否かを決定するいくつかの実施形態において、対象は、中程度から重度の関節リウマチを有する。いくつかの実施形態において、抗体はサリルマブである。いくつかの実施形態において、対象は1つ又はそれ以上のDMARDに不耐容である。いくつかの実施形態において、DMARDはメトトレキサートである。いくつかの実施形態において、対象は、中程度から重度の関節リウマチを有し、かつ1つ又はそれ以上のDMARDに対して不適切な応答を有していたことがある。いくつかの実施形態において、DMARDはメトトレキサートである。
【0081】
いくつかの実施形態において、血清サンプルは対象の末梢血からのものである。
【0082】
いくつかの実施形態において、対象は、少なくとも5、6、7、8、9、又は10個の圧痛関節を有する。いくつかの実施形態において、対象は、少なくとも10、15、20、25、又は30個の圧痛関節を有する。いくつかの実施形態において、対象は5~10、10~15、15~20、又は10~20個の圧痛関節を有する。いくつかの実施形態において、対象は少なくとも5、6、7、8、9、又は10個の関節腫脹を有する。いくつかの実施形態において、対象は、少なくとも10、15、20、25、又は30個の関節腫脹を有する。いくつかの実施形態において、対象は、5~10、10~15、15~20、又は10~20個の関節腫脹を有する。いくつかの実施形態において、対象は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の関節において骨びらんを有する。いくつかの実施形態において、対象は、1~5、5~10、1~10、10~15、又は1~15個の関節において骨びらんを有する。いくつかの実施形態において、対象は5、6、7、8、9、又は10の28個の関節を使用する疾患活動性スコア(Disease Activity Score)(DAS28)を有する。いくつかの実施形態において、対象は少なくとも5のDAS28スコアを有する。いくつかの実施形態において、対象は少なくとも6のDAS28スコアを有する。いくつかの実施形態において、対象は少なくとも7のDAS28を有する。いくつかの実施形態において、対象は少なくとも8のDAS28スコアを有する。いくつかの実施形態において、対象は少なくとも9のDAS28スコアを有する。いくつかの実施形態において、対象は少なくとも10のDAS28スコアを有する。いくつかの実施形態において、対象は5~10のDAS28スコアを有する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】
図1は、ベースラインバイオマーカーと血液学パラメーターとの間の相関を示す。CRP: C反応性タンパク質;CXCL13:ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13;Lp(a):リポタンパク質(a);MMP-3:マトリックスメタロプロテアーゼ-3;OPG:オステオプロテゲリン;P1NP:プロコラーゲン1型N末端プロペプチド;RANKL:核因子-κBリガンドの受容体活性化因子;SAA:血清アミロイドA;sICAM-1:可溶性細胞間接着分子1;TIBC:総鉄結合能。
【
図2】
図2は、ベースラインから24週までのバイオマーカーのパーセンテージ変化中央値を示す。(A及びB)急性期応答(CRP及びSAA)並びに(C)骨リモデリング(P1NP)のバイオマーカーのベースラインからのパーセンテージ変化中央値。*調整済みP<0.05;**調整済みP<0.01対アダリムマブ;***調整済みP<0.0001対アダリムマブ(Benjamini-Hochberg手順)。CRP:C反応性タンパク質;P1NP:プロコラーゲン1型N末端プロペプチド;q2w:2週間ごと;SAA:血清アミロイドA。
【
図3】
図3は、ベースラインから24週までのバイオマーカーのパーセンテージ変化中央値を示す。(A~C)骨リモデリング(OC、総RANKL及びOPG)、(D)滑膜炎症(MMP-3)のバイオマーカーのベースラインからのパーセンテージ変化中央値。*調整済みP<0.05;**調整済みP<0.01対アダリムマブ;***調整済みP<0.0001対アダリムマブ(Benjamini-Hochberg手順)。MMP-3:マトリックスメタロプロテアーゼ-3;OC:オステオカルシン;OPG:オステオプロテゲリン;q2w:2週間ごと;RANKL:核因子-κBリガンドの受容体活性化因子。
【
図4】
図4は、ベースラインから24週までのCXCL13及びsICAM-1のパーセンテージ変化中央値を示す。 ***調整済みP<0.0001対アダリムマブ(Benjamini-Hochberg手順)。CXCL13:ケモカイン(C X-Cモチーフ)リガンド13;Q:四分位数;q2w:2週間ごと;sICAM-1:可溶性細胞間接着分子-1。
【
図5】
図5は、処置後2週目の慢性疾患の貧血のバイオマーカーのベースラインからのパーセンテージ変化中央値を示す。処置後2週目の(A)ヘプシジン、(B)鉄、(C)フェリチン、及び(D)TIBCのベースラインからのパーセンテージ変化中央値。 ***調整済みP<0.0001対アダリムマブ(Benjamini-Hochberg手順)。**調整済みP<0.01対アダリムマブ(Benjamini-Hochberg手順)。Q:四分位数;q2w:2週間ごと;TIBC:総鉄結合能。
【
図6】
図6は、(A)ベースラインから24週までのアテローム血栓症(Lp[a])のパーセンテージ変化中央値及び(B)そのバイオマーカー値が24週目に正常参照範囲になった患者の比率を示す。
図6Aにおいて、*調整済みP<0.05;**調整済みP<0.01対アダリムマブ;***調整済みP<0.0001対アダリムマブ(Benjamini-Hochberg手順)。
図6Bにおいて、ベースラインで参照範囲を超え、24週目に参照範囲内に正常化されたバイオマーカー血清濃度を有する患者の比率。 ***未調整P<0.0001対アダリムマブ(χ
2検定)。CRP:C反応性タンパク質;Lp(a):リポタンパク質(a);OC:オステオカルシン;OPG:オステオプロテゲリン;P1NP:プロコラーゲン1型N末端プロペプチド;q2w:2週間ごと;RANKL:核因子-κBリガンドの受容体活性化因子;SAA:血清アミロイドA。
【
図7】
図7は、(A)ベースラインバイオマーカー三分位数による24週での有効性評価項目の達成についてのオッズ比、(B)ベースラインバイオマーカー三分位数による24週での患者報告アウトカム(PRO)のベースラインからの変化を示す。
図7Aにおいて、ベースラインバイオマーカー三分位数による24週目にACR20、ACR50及びDAS28-CRP<3.2を達成するオッズ比(サリルマブ対アダリムマブ)。*名目上の処置ごとのバイオマーカー(biomarker-by-treatment)相互作用対低三分位数。低い、中間及び高いサブグループは、処置群全体におけるバイオマーカー三分位数値に基づく(三分位数範囲については表1を参照のこと)。ACR20/50:米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)20/50%改善基準;CI:信頼区間;DAS28-CRP:C反応性タンパク質を使用する疾患活動性スコア(28関節);MMP-3:マトリックスメタロプロテアーゼ-3;NS:5%で有意ではない;SAA:血清アミロイドA。
図7Bにおいて、HAQ-DI(上)及び痛みVAS(下)におけるベースラインバイオマーカー三分位数による24週目のサリルマブとアダリムマブとの間のベースラインからの変化の最小二乗平均差異。*名目上の処置ごとのバイオマーカー相互作用対低三分位数。低い、中間及び高いサブグループは、処置群全体におけるバイオマーカー三分位数値に基づく(三分位数範囲については表1を参照のこと)。CI:信頼区間;CXCL13:ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13;HAQ-DI:健康評価質問表-機能障害指数(Health Assessment Questionnaire-Disability Index);LS:最小二乗;MMP-3:マトリックスメタロプロテアーゼ-3;NS:5%で有意ではない;P1NP:プロコラーゲン1型N末端プロペプチド;SAA:血清アミロイドA;VAS:視覚的アナログ尺度。
【
図8】
図8は、CXCL13及びsICAM-1の異なった組み合わせを用いた24週目のACR50応答及び対応するORを示す。*名目P<0.05。95% CIとともに示されるOR、ACR50:米国リウマチ学会50%改善基準;CI:信頼区間;CXCL13:ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13;OR:オッズ比;q2w:2週間ごと;sICAM-1:可溶性細胞間接着分子-1。
【発明を実施するための形態】
【0084】
詳細な説明
本開示は、MMP-3、SAA、ヘプシジン、CXCL13、sICAM-1、及びCRPを含むいくつかのバイオマーカーが、臨床有効性及びサリルマブ処置に対する個々の予測される応答に関連していたという証拠を提供する。例えば、サリルマブを投与されたSAAの最も高いベースライン濃度を有する患者は、低三分位数における患者と比較してアダリムマブを用いるよりもACR20/50/70又はDAS28-CRP<3.2応答を達成する可能性がより高かった:ACR20(OR[95% CI]5.5[2.1、14.5]);ACR50(5.4[2.2、13.2]);ACR70(5.7[1.8、18.4]);DAS28-CRP<3.2(6.1[2.3、15.7])。ACR20及びDAS28-CRP<3.2応答のみ予測的であった高いMMP-3及びCRPと比較して、SAAは一貫して予測的であった(表5)。骨リモデリング、滑膜 リンパ及び骨髄細胞浸潤並びに炎症による貧血と関連するバイオマーカーのベースラインレベルは、ACR20応答と関連していたヘプシジン及びCXCL13を除いて24週目の有効性が予測的ではなかった。
【0085】
循環バイオマーカーに対する処置の薬力学的効果の分析により、アダリムマブと比較して、サリルマブ処置が急性期応答、骨吸収、滑膜炎症及びCVリスクのバイオマーカーを減少したということがわかった。これらの効果は、概して初期に観察され、そして24週間持続した。これは特にCRPで明らかであり、そして以前の観察と一致している。さらに、アダリムマブ単剤療法に対して、サリルマブで処置された患者のより高い比率が、24週目に血清バイオマーカーの正常化を示し、これは急性期応答のバイオマーカー(CRP及びSAA)について最も高かった。
【0086】
本明細書で提供されるように、SAA及びCRPは両方ともベースラインでDAS28-CRPと強く相関していた(名目P<0.0001)。しかし、ベースラインバイオマーカーとPROとの間に相関は見られなかった。いくつかのバイオマーカーの減少は、アダリムマブ処置患者において24週目に臨床有効性と関連していた;しかし、これらの関連性はサリルマブ群において観察されなかった。この結果は、TNF阻害剤とは対照的に、IL-6受容体遮断が、疾患活動性に対するその効果とは無関係にこれらのバイオマーカーの産生に対して直接的な効果を有するかもしれないということを示唆する。
【0087】
高レベルのCRP、SAA、MMP-3、CXCL13及びsICAM-1はサリルマブに対するACR20応答を予測した。これらのマーカーは、何人かの患者における報告アウトカム(PRO)の変化と関連していた。SAA及びMMP-3の高ベースラインレベルもまた、患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 PCS及びMCSスコア、朝のこわばりVAS及びRAIDスコアを含むいくつかのPROにおける改善と関連していた。
【0088】
C反応性タンパク質(CRP) (GenBank参照:NP_001315986.1)
この遺伝子によりコードされるタンパク質はペンタキシン(pentaxin)ファミリーに属する。これは外来病原体及び宿主の損傷細胞を認識するその能力並びに血液中の体液及び細胞のエフェクター系と相互作用することによりそれらの排除を開始するその能力に基づいて、いくつかの宿主防御に関連する機能に関与する。その結果、血漿におけるこのタンパク質のレベルは、組織損傷、感染、又は他の炎症性刺激に対する急性期応答の間大幅に増加する。
【0089】
特定の実施形態において、CRPの血清濃度は、低三分位患者において1.0~3.4mg/l、中三分位患者において6.9~13.1mg/l及び高三分位患者において27.9~65.1mg/lの範囲に及ぶ傾向がある。特定の実施形態において、その血清CRP濃度が高三分位数にある患者は、24週のIL-6受容体抗体を用いた処置の後にACR20、DAS28-CRPスコア3.2未満又は患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコアもしくは朝のこわばりVASにおける改善を達成することができる。特定の実施形態において、その血清CRPが中三分位数にある患者は、24週のIL-6受容体抗体を用いた処置の後に、患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - PFドメイン、朝のこわばりVAS又はRAIDスコアにおける改善を達成することができる。
【0090】
特定の実施形態において、CRPの核酸配列及びアミノ酸配列を以下に示す。
【0091】
CRP転写バリアント2 cDNA配列(GenBank参照:NP_001315986.1):
ATGGAGAAGCTGTTGTGTTTCTTGGTCTTGACCAGCCTCTCTCATGCTTTTGGCCAGACAGACATGTCGAGGAAGGCTTTTGTGTTTCCCAAAGAGTCGGATACTTCCTATGTATCCCTCAAAGCACCGTTAACGAAGCCTCTCAAAGCCTTCACTGTGTGCCTCCACTTCTACACGGAACTGTCCTCGACCCGTGGGTACAGTATTTTCTCGTATGCCACCAAGAGACAAGACAATGAGATTCTCATATTTTGGTCTAAGGATATAGGATACAGTTTTACAGTGGGTGGGTCTGAAATATTATTCGAGGTTCCTGAAGTCACAGTAGCTCCAGTACACATTTGTACAAGCTGGGAGTCCGCCTCAGGGATCGTGGAGTTCTGGGTAGATGGGAAGCCCAGGGTGAGGAAGAGTCTGAAGAAGGGATACACTGTGGGGGCAGAAGCAAGCATCATCTTGGGGCAGGAGCAGGATTCCTTCGGTGGGAACTTTGAAGGAAGCCAGTCCCTGGTGGGAGACATTGGAAATGTGAACATGTGGGACTTTGTGCTGTCACCAGATGAGATTAACACCATCTATCTTGGCGGGCCCTTCAGTCCTAATGTCCTGAACTGGCGGGCACTGAAGTATGAAGTGCAAGGCGAAGTGTTCACCAAACCCCAGCTGTGGCCCTGA (配列番号11)
注:CRP転写バリアント2は、バリアント1と比較して3’UTRにイントロンを保持する。両方のバリアント1及び2が同じアイソフォームをコードする。
【0092】
CRPペプチド配列:
MEKLLCFLVLTSLSHAFGQTDMSRKAFVFPKESDTSYVSLKAPLTKPLKAFTVCLHFYTELSSTRGYSIFSYATKRQDNEILIFWSKDIGYSFTVGGSEILFEVPEVTVAPVHICTSWESASGIVEFWVDGKPRVRKSLKKGYTVGAEASIILGQEQDSFGGNFEGSQSLVGDIGNVNMWDFVLSPDEINTIYLGGPFSPNVLNWRALKYEVQGEVFTKPQLWP (配列番号12)
【0093】
CRPゲノムDNA配列(GenBank参照:NG_013007.1):
GACTGGATTCAGAGACTCAAACAATGTTATTGAGGCATGGTCTATCTCTCAGCTCTACTCGTGAGTCAAGGATGGTGTATTAGTTGGTTTTCACACTGCTGTAAAGAACTACCTGAGTATGGGTAATTTATAAACAAAAGAAATTTTAAATGAACTTACAGTTCCACATGTTTGGGGAGGACTCATGAAACTTACAATCATGGTGGAAGGTGAAGGGGAAGCAGGCATTTTCTTCACAAGGCAGCAGGAGAGAGACAGTGTGAGTGGGGGACTGCCAAGCACTTTTATTTAAATCATCAGACCTAGTGAGAACTCATTATCATGAGCACAGCATGGGCAAAACTACCTCCACGATCCAATCTTCTCCCACCATGTCCCTCCCTCAACTCATGGGGATTACAATTTGAGATGACATTTGGGTGGGAACACAGAACCAAACCATATCATTCCACCTCTGGCTCCTCCAAAATATCATGTTCTTTTCACATTTCAAAACCAATCATACCTTCCCAACAGTCACCCAAACTTAACTCATTTCAGCATTAACTCAAAAGTCCAAGTCTAAAGTTCCATCTGAGAAAAGGCAAGTCACTTCTGCCTATTAGCCTAGTAAAATAAAAAACAAGTTAGTTACTTCCAAGATACAGTGGGGGTATAGGCATTGGGTAAATGGTCCTGTTTGAAATGGGAGAAATTGGCCAAAACAAAGGGGCCACAGGCCCCATGTAAATCCAAAATCTGGCAGGACACTCATGAAATCTTAAAGCTCCAAAATAATCTCCTTTGATTCTTTGTCTCACATCCAGGGCATGCTGATGCAAGCGGTAGGCTTCCATGGCCTTGGGTAGCTCCATACTTGTGGCTCTTCAGGGTACAGCCCCTGTGGCTGCTTTCACAGGCTGGCATTGAACACTTGCAAGCTTTTCTAAGCACAAGGTGCAAACTGTCAGTGGTTCTACCATTCTGGGATCTGGAGGACAGTGGCCCTCTTCTCACAGATCCACTAGGCAGTGCCCCAGTGGGGACTCTGTGTGGAGACTCCAACCCCACATTTCCCTGCTGCATTGCCCTAGTAGAGGTTTTCTGTGAGGGCTCCATGCCTGCAGAAGACTTCTGCCTGAACATCCAGGTGTTTCCATACATCTTCTGAAATCTAGACAGAAACTCCCAAAGCTCAACTCTTGTCTTCTGTGCATCTGCACCCTCAACACTACTTGGAAGCCACCAAGGCTTGGGGCTTGTGCCCTCTGAAGCAATGGCCTGAGCTATATACATTGCCCCCTTTTAGCCATGGCTGGAGCCGCAGCAGCTGGCACACAGGGTGCCATGTTCCTGGGCTGCACAGAGCAGCGGGGCCCTGGGCCTGGCCCATGATACCATTTTTTCCTCCTAGGCTTTTGGACCTCTGATGGGAGGGGCTGCCATGAAGATCTTCTGAAATGACCTGAAGACATTTTCCTCATTGTTTTGGCTATCAACATTCATCTCCTCATTACTTATGCAAATTTCTGCAGCCAGCTTGAATTTTTCCCCAGAAAATGGGTTTTTCTTTTCTACCACATGGTCAGGCTGCACATTTTCCAAACTTTTATGCTCCCTTTCCCTTTTAAACATAAGTTCCAATTTCAGATCATCTCTTTGTGAACACATATGATTGTATGTTTTCAGAAAAAGCCAGGTCACTTCTTGAATGCTTTGGTGCTTAGAAATTTCTTAAGCACCAAAGCATTCAAGAAATCATGTCTCTTAAGTTAAAAGTTCCACAGATCTCTAGGGCATGGGCAAAATGCCACCATTGTCTTTGCTAAAACATAGAAAGAGTGACCTTTACTCCCGTTTCCAATAAGTTCCTCATCTCCATCTAAGGACACCTCTGCATGAACTTCATTTTCCATATCACTATCAGCATTTTGGTCAAAACCATTCAACAAAACTCAGGAAGTTCCAAGCTTTTCCACATCTTCCTGTCTTCTCCTGAGCCCTCCAAACTCTTCCAGCCTCTGCCCCTAGTTGGTTCCAA (配列番号13)
【0094】
マトリックスメタロペプチダーゼ3(MMP-3)(Genbank参照:EAW67032.1)
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)ファミリーのタンパク質は、胚発生、生殖及び組織リモデリングのような正常な生理学的プロセスに加えて、関節炎及び転移のような疾患プロセスでも、細胞外マトリックスの破壊に関与する。大部分のMMPは不活性プロタンパク質として分泌され、そしてこれらは細胞外プロテアーゼにより切断された場合に活性化される。この遺伝子は、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲンIII、IV、IX、及びX、並びに軟骨プロテオグリカン類を分解する酵素をコードする。この酵素は、創傷修復、アテローム性動脈硬化の進行、及び腫瘍惹起に関与すると考えらている。この遺伝子は、染色体11q22.3に局在するMMP遺伝子のクラスターの一部である。
【0095】
特定の実施形態において、MMP-3の血清濃度は、低三分位患者において10.3~20.8ng/mL、中三分位患者において35.5~54.1ng/mL、そして高三分位患者において77.0~154.3ng/mLの範囲に及ぶ傾向がある。特定の実施形態において、その血清MMP-3濃度が高三分位数にある患者は、24週間のIL-6受容体抗体を用いた処置の後に、ACR20、3.2未満のDAS28-CRPスコア又は患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコアもしくは朝のこわばりVASにおける改善を達成する場合がある。特定の実施形態において、その血清MMP-3濃度が中三分位数にある患者は、24週間のIL-6受容体抗体を用いた処置の後に痛みVASにおける改善を達成する場合がある。
【0096】
特定の実施形態において、MMP-3の核酸配列及びアミノ酸配列を以下に示す。
【0097】
MMP-3ペプチド配列:
MKSLPILLLLCVAVCSAYPLDGAARGEDTSMNLVQKYLENYYDLKKDVKQFVRRKDSGPVVKKIREMQKFLGLEVTGKLDSDTLEVMRKPRCGVPDVGHFRTFPGIPKWRKTHLTYRIVNYTPDLPKDAVDSAVEKALKVWEEVTPLTFSRLYEGEADIMISFAVREHGDFYPFDGPGNVLAHAYAPGPGINGDAHFDDDEQWTKDTTGTNLFLVAAHEIGHSLGLFHSANTEALMYPLYHSLTDLTRFRLSQDDINGIQSLYGPPPDSPETPLVPTEPVPPEPGTPANCDPALSFDAVSTLRGEILIFKDRHFWRKSLRKLEPELHLISSFWPSLPSGVDAAYEVTSKDLVFIFKGNQFWAIRGNEVRAGYPRGIHTLGFPPTVRKIDAAISDKEKNKTYFFVEDKYWRFDEKRNSMEPGFPKQIAEDFPGIDSKIDAVFEEFGFFYFFTGSSQLEFDPNAKKVTHTLKSNSWLNC (配列番号 14)
【0098】
MMP-3 cDNA配列:
ATGAAGAGTCTTCCAATCCTACTGTTGCTGTGCGTGGCAGTTTGCTCAGCCTATCCATTGGATGGAGCTGCAAGGGGTGAGGACACCAGCATGAACCTTGTTCAGAAATATCTAGAAAACTACTACGACCTCAAAAAAGATGTGAAACAGTTTGTTAGGAGAAAGGACAGTGGTCCTGTTGTTAAAAAAATCCGAGAAATGCAGAAGTTCCTTGGATTGGAGGTGACGGGGAAGCTGGACTCCGACACTCTGGAGGTGATGCGCAAGCCCAGGTGTGGAGTTCCTGATGTTGGTCACTTCAGAACCTTTCCTGGCATCCCGAAGTGGAGGAAAACCCACCTTACATACAGGATTGTGAATTATACACCAGATTTGCCAAAAGATGCTGTTGATTCTGCTGTTGAGAAAGCTCTGAAAGTCTGGGAAGAGGTGACTCCACTCACATTCTCCAGGCTGTATGAAGGAGAGGCTGATATAATGATCTCTTTTGCAGTTAGAGAACATGGAGACTTTTACCCTTTTGATGGACCTGGAAATGTTTTGGCCCATGCCTATGCCCCTGGGCCAGGGATTAATGGAGATGCCCACTTTGATGATGATGAACAATGGACAAAGGATACAACAGGGACCAATTTATTTCTCGTTGCTGCTCATGAAATTGGCCACTCCCTGGGTCTCTTTCACTCAGCCAACACTGAAGCTTTGATGTACCCACTCTATCACTCACTCACAGACCTGACTCGGTTCCGCCTGTCTCAAGATGATATAAATGGCATTCAGTCCCTCTATGGACCTCCCCCTGACTCCCCTGAGACCCCCCTGGTACCCACGGAACCTGTCCCTCCAGAACCTGGGACGCCAGCCAACTGTGATCCTGCTTTGTCCTTTGATGCTGTCAGCACTCTGAGGGGAGAAATCCTGATCTTTAAAGACAGGCACTTTTGGCGCAAATCCCTCAGGAAGCTTGAACCTGAATTGCATTTGATCTCTTCATTTTGGCCATCTCTTCCTTCAGGCGTGGATGCCGCATATGAAGTTACTAGCAAGGACCTCGTTTTCATTTTTAAAGGAAATCAATTCTGGGCTATCAGAGGAAATGAGGTACGAGCTGGATACCCAAGAGGCATCCACACCCTAGGTTTCCCTCCAACCGTGAGGAAAATCGATGCAGCCATTTCTGATAAGGAAAAGAACAAAACATATTTCTTTGTAGAGGACAAATACTGGAGATTTGATGAGAAGAGAAATTCCATGGAGCCAGGCTTTCCCAAGCAAATAGCTGAAGACTTTCCAGGGATTGACTCAAAGATTGATGCTGTTTTTGAAGAATTTGGGTTCTTTTATTTCTTTACTGGATCTTCACAGTTGGAGTTTGACCCAAATGCAAAGAAAGTGACACACACTTTGAAGAGTAACAGCTGGCTTAATTGTTGA (配列番号15)
【0099】
MMP-3 mRNA配列(GenBank参照:NM_002422.5):
ACAAGGAGGCAGGCAAGACAGCAAGGCATAGAGACAACATAGAGCTAAGTAAAGCCAGTGGAAATGAAGAGTCTTCCAATCCTACTGTTGCTGTGCGTGGCAGTTTGCTCAGCCTATCCATTGGATGGAGCTGCAAGGGGTGAGGACACCAGCATGAACCTTGTTCAGAAATATCTAGAAAACTACTACGACCTCAAAAAAGATGTGAAACAGTTTGTTAGGAGAAAGGACAGTGGTCCTGTTGTTAAAAAAATCCGAGAAATGCAGAAGTTCCTTGGATTGGAGGTGACGGGGAAGCTGGACTCCGACACTCTGGAGGTGATGCGCAAGCCCAGGTGTGGAGTTCCTGATGTTGGTCACTTCAGAACCTTTCCTGGCATCCCGAAGTGGAGGAAAACCCACCTTACATACAGGATTGTGAATTATACACCAGATTTGCCAAAAGATGCTGTTGATTCTGCTGTTGAGAAAGCTCTGAAAGTCTGGGAAGAGGTGACTCCACTCACATTCTCCAGGCTGTATGAAGGAGAGGCTGATATAATGATCTCTTTTGCAGTTAGAGAACATGGAGACTTTTACCCTTTTGATGGACCTGGAAATGTTTTGGCCCATGCCTATGCCCCTGGGCCAGGGATTAATGGAGATGCCCACTTTGATGATGATGAACAATGGACAAAGGATACAACAGGGACCAATTTATTTCTCGTTGCTGCTCATGAAATTGGCCACTCCCTGGGTCTCTTTCACTCAGCCAACACTGAAGCTTTGATGTACCCACTCTATCACTCACTCACAGACCTGACTCGGTTCCGCCTGTCTCAAGATGATATAAATGGCATTCAGTCCCTCTATGGACCTCCCCCTGACTCCCCTGAGACCCCCCTGGTACCCACGGAACCTGTCCCTCCAGAACCTGGGACGCCAGCCAACTGTGATCCTGCTTTGTCCTTTGATGCTGTCAGCACTCTGAGGGGAGAAATCCTGATCTTTAAAGACAGGCACTTTTGGCGCAAATCCCTCAGGAAGCTTGAACCTGAATTGCATTTGATCTCTTCATTTTGGCCATCTCTTCCTTCAGGCGTGGATGCCGCATATGAAGTTACTAGCAAGGACCTCGTTTTCATTTTTAAAGGAAATCAATTCTGGGCTATCAGAGGAAATGAGGTACGAGCTGGATACCCAAGAGGCATCCACACCCTAGGTTTCCCTCCAACCGTGAGGAAAATCGATGCAGCCATTTCTGATAAGGAAAAGAACAAAACATATTTCTTTGTAGAGGACAAATACTGGAGATTTGATGAGAAGAGAAATTCCATGGAGCCAGGCTTTCCCAAGCAAATAGCTGAAGACTTTCCAGGGATTGACTCAAAGATTGATGCTGTTTTTGAAGAATTTGGGTTCTTTTATTTCTTTACTGGATCTTCACAGTTGGAGTTTGACCCAAATGCAAAGAAAGTGACACACACTTTGAAGAGTAACAGCTGGCTTAATTGTTGAAAGAGATATGTAGAAGGCACAATATGGGCACTTTAAATGAAGCTAATAATTCTTCACCTAAGTCTCTGTGAATTGAAATGTTCGTTTTCTCCTGCCTGTGCTGTGACTCGAGTCACACTCAAGGGAACTTGAGCGTGAATCTGTATCTTGCCGGTCATTTTTATGTTATTACAGGGCATTCAAATGGGCTGCTGCTTAGCTTGCACCTTGTCACATAGAGTGATCTTTCCCAAGAGAAGGGGAAGCACTCGTGTGCAACAGACAAGTGACTGTATCTGTGTAGACTATTTGCTTATTTAATAAAGACGATTTGTCAGTTATTTTA (配列番号16)
【0100】
C-X-Cモチーフケモカインリガンド13(CXCL13)(GenBank参照:NP_006410.1)
B 独立してクローン化されAngieと名付けられたリンパ球走化性因子は、抗菌ペプチドであり、そしてCXCケモカインは脾臓の濾胞、リンパ節及びパイエル板において強く発現される。これは一見したところバーキットリンパ腫受容体1(BLR-1)を発現する細胞へのカルシウム流入、及びその細胞の化学遊走を刺激することにより、(T細胞及びマクロファージと比較して)優先的にBリンパ球の遊走を促進する。したがってBリンパ球の濾胞へのホーミングにおいて機能し得る。
【0101】
特定の実施形態において、CXCL13の血清濃度は、低三分位患者において52.4~72.0pg/mL、中三分位患者において98.2~130.6pg/mL、そして高三分位患者において180.8~323.9pg/mLの範囲に及ぶ傾向がある。
【0102】
特定の実施形態において、血清CXCL13濃度が高三分位数にある患者は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR20又はHAQ-DI、SF-36 - PCSスコアもしくはSF-36 - PFドメインにおける改善を達成する場合がある。
【0103】
特定の実施形態において、CXCL13の核酸配列及びアミノ酸配列を以下に示す。
【0104】
CXCL13ペプチド配列(GenBank参照:NP_006410.1):
MKFISTSLLLMLLVSSLSPVQGVLEVYYTSLRCRCVQESSVFIPRRFIDRIQILPRGNGCPRKEIIVWKKNKSIVCVDPQAEWIQRMMEVLRKRSSSTLPVPVFKRKIP (配列番号17)
【0105】
CXCL13 cDNA配列(GenBank参照:NP_006410.1):
ATGAAGTTCATCTCGACATCTCTGCTTCTCATGCTGCTGGTCAGCAGCCTCTCTCCAGTCCAAGGTGTTCTGGAGGTCTATTACACAAGCTTGAGGTGTAGATGTGTCCAAGAGAGCTCAGTCTTTATCCCTAGACGCTTCATTGATCGAATTCAAATCTTGCCCCGTGGGAATGGTTGTCCAAGAAAAGAAATCATAGTCTGGAAGAAGAACAAGTCAATTGTGTGTGTGGACCCTCAAGCTGAATGGATACAAAGAATGATGGAAGTATTGAGAAAAAGAAGTTCTTCAACTCTACCAGTTCCAGTGTTTAAGAGAAAGATTCCCTGA (配列番号18)
【0106】
CXCL13ゲノムDNA配列(GenBank参照:NM_006419.2):
GAGAAGATGTTTGAAAAAACTGACTCTGCTAATGAGCCTGGACTCAGAGCTCAAGTCTGAACTCTACCTCCAGACAGAATGAAGTTCATCTCGACATCTCTGCTTCTCATGCTGCTGGTCAGCAGCCTCTCTCCAGTCCAAGGTGTTCTGGAGGTCTATTACACAAGCTTGAGGTGTAGATGTGTCCAAGAGAGCTCAGTCTTTATCCCTAGACGCTTCATTGATCGAATTCAAATCTTGCCCCGTGGGAATGGTTGTCCAAGAAAAGAAATCATAGTCTGGAAGAAGAACAAGTCAATTGTGTGTGTGGACCCTCAAGCTGAATGGATACAAAGAATGATGGAAGTATTGAGAAAAAGAAGTTCTTCAACTCTACCAGTTCCAGTGTTTAAGAGAAAGATTCCCTGATGCTGATATTTCCACTAAGAACACCTGCATTCTTCCCTTATCCCTGCTCTGGATTTTAGTTTTGTGCTTAGTTAAATCTTTTCCAGGAAAAAGAACTTCCCCATACAAATAAGCATGAGACTATGTAAAAATAACCTTGCAGAAGCTGATGGGGCAAACTCAAGCTTCTTCACTCACAGCACCCTATATACACTTGGAGTTTGCATTCTTATTCATCAGGGAGGAAAGTTTCTTTGAAAATAGTTATTCAGTTATAAGTAATACAGGATTATTTTGATTATATACTTGTTGTTTAATGTTTAAAATTTCTTAGAAAACAATGGAATGAGAATTTAAGCCTCAAATTTGAACATGTGGCTTGAATTAAGAAGAAAATTATGGCATATATTAAAAGCAGGCTTCTATGAAAGACTCAAAAAGCTGCCTGGGAGGCAGATGGAACTTGAGCCTGTCAAGAGGCAAAGGAATCCATGTAGTAGATATCCTCTGCTTAAAAACTCACTACGGAGGAGAATTAAGTCCTACTTTTAAAGAATTTCTTTATAAAATTTACTGTCTAAGATTAATAGCATTCGAAGATCCCCAGACTTCATAGAATACTCAGGGAAAGCATTTAAAGGGTGATGTACACATGTATCCTTTCACACATTTGCCTTGACAAACTTCTTTCACTCACATCTTTTTCACTGACTTTTTTTGTGGGGGGCGGGGCCGGGGGGACTCTGGTATCTAATTCTTTAATGATTCCTATAAATCTAATGACATTCAATAAAGTTGAGCAAACATTTTACTTAAAAAAAAAAAAAAAAAA (配列番号19)
【0107】
血清アミロイドA(SAA)(GenBank参照:AAB24060.1)
この遺伝子は、アポリポタンパク質の血清アミロイドAファミリーのメンバーをコードする。コードされたプレプロタンパク質は、タンパク質分解性プロセシングにより成熟タンパク質を生じる。このタンパク質は、炎症及び組織損傷に応じて高度に発現される主要な急性期タンパク質である。このタンパク質はまた、HDL代謝及びコレステロールホメオスタシスにおいても重要な役割を果たす。このタンパク質の高いレベルは、アテローム性動脈硬化、関節リウマチ、アルツハイマー病及びクローン病を含む慢性炎症性疾患と関連している。このタンパク質はまた、特定の腫瘍についての可能なバイオマーカーにもなり得る。選択的スプライシングは、同じタンパク質をコードする複数の転写バリアントを生じる。この遺伝子の偽遺伝子は染色体11に見いだされる。
【0108】
特定の実施形態において、SAAの血清濃度は、低三分位患者において2192.7~5346.4ng/l、中三分位患者において11832.0~30082.0ng/l、そして高三分位患者において105200.0~256000.0ng/lの範囲に及ぶ傾向がある。特定の実施形態において、その血清SAA濃度が高三分位にある患者は、24週間の抗体を用いた処置の後に、ACR20、ACR50もしくはACR70、3.2未満のDAS28-CRPスコア、又は患者の全般VAS、HAQ-DI、痛みVAS、SF-36 - PCSスコア、SF-36 - PFドメイン、朝のこわばりVASもしくはRAIDスコアにおける改善を達成する場合がある。特定の実施形態において、その血清SAA濃度が中三分位にある患者は、24週間の抗体を用いた処置の後にHAQ-DIにおける改善を達成する場合がある。
【0109】
特定の実施形態において、SAAの核酸配列及びアミノ酸配列を以下に示す。
【0110】
血清アミロイドAペプチド配列(GenBank参照:AAB24060.1):
MRLFTGIVFCSLVMGVTSESWRSFFKEALQGVGDMGRAYWDIMISNHQNSNRYLYARGNYDAAQRGPGGVWAAKLISRSRVYLQGLIDYYLFGNSSTVLEDSKSNEKAEEWGRSGKDPDRFRPDGLPKKY (配列番号 20)
【0111】
血清アミロイドAcDNA配列(GenBank参照:AAB24060.1):
ATGAGGCTTTTCACAGGCATTGTTTTCTGCTCCTTGGTCATGGGAGTCACCAGTGAAAGCTGGCGTTCGTTTTTCAAGGAGGCTCTCCAAGGGGTTGGGGACATGGGCAGAGCCTATTGGGACATAATGATATCCAATCACCAAAATTCAAACAGATATCTCTATGCTCGGGGAAACTATGATGCTGCCCAAAGAGGACCTGGGGGTGTCTGGGCTGCTAAACTCATCAGCCGTTCCAGGGTCTATCTTCAGGGATTAATAGACTACTATTTATTTGGAAACAGCAGCACTGTATTGGAGGACTCGAAGTCCAACGAGAAAGCTGAGGAATGGGGCCGGAGTGGCAAAGACCCCGACCGCTTCAGACCTGACGGCCTGCCTAAGAAATACTGA (配列番号21)
【0112】
血清アミロイドA mRNA配列(GenBank参照:M81349.1):
【化1】
【0113】
可溶性細胞間接着分子-1(sICAM-1)(GenBank参照:NP_000192.2):
すべてのICAMタンパク質はI型膜貫通糖タンパク質であり、2~9つの免疫グロブリン様C2型ドメインを含有し、そして白血球粘着LFA-1タンパク質に結合する。このタンパク質は、LFA-1依存性細胞接着を遮断することによりリンパ球再循環において役割を果たし得る。これは抗原特異的免疫応答、NK細胞媒介クリアランス、リンパ球再循環に重要な接着性相互作用並びに免疫応答及び監視に重要な他の細胞相互作用を媒介する。同じタンパク質をコードするいくつかの転写バリアントがこの遺伝子について見いだされている。
【0114】
sICAM-1の血清濃度は、低三分位患者において179.7~212.1ng/mL、中三分位患者において239.7~272.3ng/mL、そして高三分位患者において313.7~380.0ng/mLの範囲に及ぶ傾向がある。特定の実施形態において、その血清CXCL13濃度が低三分位にあり、かつそのsICAM-1濃度が低三分位にある患者は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR50を達成する場合がある。特定の実施形態において、そのCXCL13濃度が高三分位にあり、かつそのsICAM-1濃度が高三分位にある患者は、24週間の抗体を用いた処置の後にACR50を達成する場合がある。
【0115】
特定の実施形態において、sICAM-1の核酸配列及びアミノ酸配列を以下に示す。
【0116】
sICAM-1ペプチド配列(GenBank参照:NP_000192.2):
MAPSSPRPALPALLVLLGALFPGPGNAQTSVSPSKVILPRGGSVLVTCSTSCDQPKLLGIETPLPKKELLLPGNNRKVYELSNVQEDSQPMCYSNCPDGQSTAKTFLTVYWTPERVELAPLPSWQPVGKNLTLRCQVEGGAPRANLTVVLLRGEKELKREPAVGEPAEVTTTVLVRRDHHGANFSCRTELDLRPQGLELFENTSAPYQLQTFVLPATPPQLVSPRVLEVDTQGTVVCSLDGLFPVSEAQVHLALGDQRLNPTVTYGNDSFSAKASVSVTAEDEGTQRLTCAVILGNQSQETLQTVTIYSFPAPNVILTKPEVSEGTEVTVKCEAHPRAKVTLNGVPAQPLGPRAQLLLKATPEDNGRSFSCSATLEVAGQLIHKNQTRELRVLYGPRLDERDCPGNWTWPENSQQTPMCQAWGNPLPELKCLKDGTFPLPIGESVTVTRDLEGTYLCRARSTQGEVTRKVTVNVLSPRYEIVIITVVAAAVIMGTAGLSTYLYNRQRKIKKYRLQQAQKGTPMKPNTQATPP (配列番号23)
【0117】
sICAM-1 cDNA配列(GenBank参照:NP_000192.2):
ATGGCTCCCAGCAGCCCCCGGCCCGCGCTGCCCGCACTCCTGGTCCTGCTCGGGGCTCTGTTCCCAGGACCTGGCAATGCCCAGACATCTGTGTCCCCCTCAAAAGTCATCCTGCCCCGGGGAGGCTCCGTGCTGGTGACTGCAGCACCTCCTGTGACCAGCCCAAGTTGTTGGGCATAGAGACCCCGTTGCCTAAAAAGGAGTTGCTC
CTGCCTGGGAACAACCGGAAGGTGTATGAACTGAGCAATGTGCAAGAAGATAGCCAACCAATGTGCTATTCAAACTGCCCTGATGGGCAGTCAACAGCTAAAACCTTCCTCACCGTGTACTGGACTCCAGAACGGGTGGAACTGGCACCCCTCCCCTCTTGGCAGCCAGTGGGCAAGAACCTTACCCTACGCTGCCAGGTGGAGGGTGGGGCACCCCGGGCCAACCTCACCGTGGTGCTGCTCCGTGGGGAGAAGGAGCTGAAACGGGAGCCAGCTGTGGGGGAGCCCGCTGAGGTCACGACCACGGTGCTGGTGAGGAGAGATCACCATGGAGCCAATTTCTCGTGCCGCACTGAACTGGACCTGCGGCCCCAAGGGCTGGAGCTGTTTGAGAACACCTCGGCCCCCTACCAGCTCCAGACCTTTGTCCTGCCAGCGACTCCCCCACAACTTGTCAGCCCCCGGGTCCTAGAGGTGGACACGCAGGGGACCGTGGTCTGTTCCCTGGACGGGCTGTTCCCAGTCTCGGAGGCCCAGGTCCACCTGGCACTGGGGGACCAGAGGTTGAACCCCACAGTCACCTATGGCAACGACTCCTTCTCGGCCAAGGCCTCAGTCAGTGTGACCGCAGAGGACGAGGGCACCCAGCGGCTGACGTGTGCAGTAATACTGGGGAACCAGAGCCAGGAGACACTGCAGACAGTGACCATCTACAGCTTTCCGGCGCCCAACGTGATTCTGACGAAGCCAGAGGTCTCAGAAGGGACCGAGGTGACAGTGAAGTGTGAGGCCCACCCTAGAGCCAAGGTGACGCTGAATGGGGTTCCAGCCCAGCCACTGGGCCCGAGGGCCCAGCTCCTGCTGAAGGCCACCCCAGAGGACAACGGGCGCAGCTTCTCCTGCTCTGCAACCCTGGAGGTGGCCGGCCAGCTTATACACAAGAACCAGACCCGGGAGCTTCGTGTCCTGTATGGCCCCCGACTGGACGAGAGGGATTGTCCGGGAAACTGGACGTGGCCAGAAAATTCCCAGCAGACTCCAATGTGCCAGGCTTGGGGGAACCCATTGCCCGAGCTCAAGTGTCTAAAGGATGGCACTTTCCCACTGCCCATCGGGGAATCAGTGACTGTCACTCGAGATCTTGAGGGCACCTACCTCTGTCGGGCCAGGAGCACTCAAGGGGAGGTCACCCGCAAGGTGACCGTGAATGTGCTCTCCCCCCGGTATGAGATTGTCATCATCACTGTGGTAGCAGCCGCAGTCATAATGGGCACTGCAGGCCTCAGCACGTACCTCTATAACCGCCAGCGGAAGATCAAGAAATACAGACTACAACAGGCCCAAAAAGGGACCCCCATGAAACCGAACACACAAGCCACGCCTCCCTGA (配列番号24)
【0118】
sICAM-1 mRNA配列(GenBank配列:NM_000201.3)
GAGCTCCTCTGCTACTCAGAGTTGCAACCTCAGCCTCGCTATGGCTCCCAGCAGCCCCCGGCCCGCGCTGCCCGCACTCCTGGTCCTGCTCGGGGCTCTGTTCCCAGGACCTGGCAATGCCCAGACATCTGTGTCCCCCTCAAAAGTCATCCTGCCCCGGGGAGGCTCCGTGCTGGTGACATGCAGCACCTCCTGTGACCAGCCCAAGTTGTTGGGCATAGAGACCCCGTTGCCTAAAAAGGAGTTGCTCCTGCCTGGGAACAACCGGAAGGTGTATGAACTGAGCAATGTGCAAGAAGATAGCCAACCAATGTGCTATTCAAACTGCCCTGATGGGCAGTCAACAGCTAAAACCTTCCTCACCGTGTACTGGACTCCAGAACGGGTGGAACTGGCACCCCTCCCCTCTTGGCAGCCAGTGGGCAAGAACCTTACCCTACGCTGCCAGGTGGAGGGTGGGGCACCCCGGGCCAACCTCACCGTGGTGCTGCTCCGTGGGGAGAAGGAGCTGAAACGGGAGCCAGCTGTGGGGGAGCCCGCTGAGGTCACGACCACGGTGCTGGTGAGGAGAGATCACCATGGAGCCAATTTCTCGTGCCGCACTGAACTGGACCTGCGGCCCCAAGGGCTGGAGCTGTTTGAGAACACCTCGGCCCCCTACCAGCTCCAGACCTTTGTCCTGCCAGCGACTCCCCCACAACTTGTCAGCCCCCGGGTCCTAGAGGTGGACACGCAGGGGACCGTGGTCTGTTCCCTGGACGGGCTGTTCCCAGTCTCGGAGGCCCAGGTCCACCTGGCACTGGGGGACCAGAGGTTGAACCCCACAGTCACCTATGGCAACGACTCCTTCTCGGCCAAGGCCTCAGTCAGTGTGACCGCAGAGGACGAGGGCACCCAGCGGCTGACGTGTGCAGTAATACTGGGGAACCAGAGCCAGGAGACACTGCAGACAGTGACCATCTACAGCTTTCCGGCGCCCAACGTGATTCTGACGAAGCCAGAGGTCTCAGAAGGGACCGAGGTGACAGTGAAGTGTGAGGCCCACCCTAGAGCCAAGGTGACGCTGAATGGGGTTCCAGCCCAGCCACTGGGCCCGAGGGCCCAGCTCCTGCTGAAGGCCACCCCAGAGGACAACGGGCGCAGCTTCTCCTGCTCTGCAACCCTGGAGGTGGCCGGCCAGCTTATACACAAGAACCAGACCCGGGAGCTTCGTGTCCTGTATGGCCCCCGACTGGACGAGAGGGATTGTCCGGGAAACTGGACGTGGCCAGAAAATTCCCAGCAGACTCCAATGTGCCAGGCTTGGGGGAACCCATTGCCCGAGCTCAAGTGTCTAAAGGATGGCACTTTCCCACTGCCCATCGGGGAATCAGTGACTGTCACTCGAGATCTTGAGGGCACCTACCTCTGTCGGGCCAGGAGCACTCAAGGGGAGGTCACCCGCAAGGTGACCGTGAATGTGCTCTCCCCCCGGTATGAGATTGTCATCATCACTGTGGTAGCAGCCGCAGTCATAATGGGCACTGCAGGCCTCAGCACGTACCTCTATAACCGCCAGCGGAAGATCAAGAAATACAGACTACAACAGGCCCAAAAAGGGACCCCCATGAAACCGAACACACAAGCCACGCCTCCCTGAACCTATCCCGGGACAGGGCCTCTTCCTCGGCCTTCCCATATTGGTGGCAGTGGTGCCACACTGAACAGAGTGGAAGACATATGCCATGCAGCTACACCTACCGGCCCTGGGACGCCGGAGGACAGGGCATTGTCCTCAGTCAGATACAACAGCATTTGGGGCCATGGTACCTGCACACCTAAAACACTAGGCCACGCATCTGATCTGTAGTCACATGACTAAGCCAAGAGGAAGGAGCAAGACTCAAGACATGATTGATGGATGTTAAAGTCTAGCCTGATGAGAGGGGAAGTGGTGGGGGAGACATAGCCCCACCATGAGGACATACAACTGGGAAATACTGAAACTTGCTGCCTATTGGGTATGCTGAGGCCCCACAGACTTACAGAAGAAGTGGCCCTCCATAGACATGTGTAGCATCAAAACACAAAGGCCCACACTTCCTGACGGATGCCAGCTTGGGCACTGCTGTCTACTGACCCCAACCCTTGATGATATGTATTTATTCATTTGTTATTTTACCAGCTATTTATTGAGTGTCTTTTATGTAGGCTAAATGAACATAGGTCTCTGGCCTCACGGAGCTCCCAGTCCTAATCACATTCAAGGTCACCAGGTACAGTTGTACAGGTTGTACACTGCAGGAGAGTGCCTGGCAAAAAGATCAAATGGGGCTGGGACTTCTCATTGGCCAACCTGCCTTTCCCCAGAAGGAGTGATTTTTCTATCGGCACAAAAGCACTATATGGACTGGTAATGGTTACAGGTTCAGAGATTACCCAGTGAGGCCTTATTCCTCCCTTCCCCCCAAAACTGACACCTTTGTTAGCCACCTCCCCACCCACATACATTTCTGCCAGTGTTCACAATGACACTCAGCGGTCATGTCTGGACATGAGTGCCCAGGGAATATGCCCAAGCTATGCCTTGTCCTCTTGTCCTGTTTGCATTTCACTGGGAGCTTGCACTATGCAGCTCCAGTTTCCTGCAGTGATCAGGGTCCTGCAAGCAGTGGGGAAGGGGGCCAAGGTATTGGAGGACTCCCTCCCAGCTTTGGAAGCCTCATCCGCGTGTGTGTGTGTGTGTATGTGTAGACAAGCTCTCGCTCTGTCACCCAGGCTGGAGTGCAGTGGTGCAATCATGGTTCACTGCAGTCTTGACCTTTTGGGCTCAAGTGATCCTCCCACCTCAGCCTCCTGAGTAGCTGGGACCATAGGCTCACAACACCACACCTGGCAAATTTGATTTTTTTTTTTTTTCCAGAGACGGGGTCTCGCAACATTGCCCAGACTTCCTTTGTGTTAGTTAATAAAGCTTTCTCAACTGCC (配列番号 25)
【0119】
痛みVAS
痛みについての視覚的アナログ尺度(VAS)は、痛みの強度の一次元評価基準であり、リウマチ疾患を有する集団を含めて多様な成人集団において広く使用されてきた。痛みVASは、水平(HVAS)又は垂直(VVAS)な線から構成される連続的な尺度であり、通常は長さ10センチメートル(100mm)で、2つの文字記述子により固定され、一つにつき一つの症状の極限を表す。痛みの強さについて、この尺度は最も一般的には「痛みなし」(スコア0)及び「これまでで最悪の痛み」又は「想像し得る最悪の痛み」(スコア100[100‐mmスケール])により固定される。スコアが好ましい数値に集まるのを避けるために、中間点における数値又は言葉の記述子は推奨されない。
【0120】
患者の全般VAS
疾患活動性の患者全般評価は、関節リウマチ(RA)における疾患活動性の様々な評価尺度の重要な構成要素である。本発明者らの目的は、定量的な多変数データ整理アプローチを使用して患者全般評価を推進する根底にある潜在的な特質を同定することであった。特定の実施形態において、患者は、質問「あなたが罹っている疾患のあらゆる面を考慮して、過去1週間の具合はどうですか?」に回答することにより視覚的アナログ尺度(VAS)で彼らの全般評価を等級付けする。それ故、患者全般は、患者視点から疾患を評価するだけでなく、RAに加えて患者に影響を及ぼす様々な因子も包含する。
【0121】
朝のこわばりVAS
患者は、起床時に関節のこわばりがあったかどうかを尋ねられた(はい又はいいえ);はいと答えた患者は、重症度尺度(100‐mm 視覚的アナログ尺度[VAS]、ここで0=全く重くない、及び100=非常に激しい)に交差する垂直線を付けることにより朝のこわばりの重症度を示すよう求められた。これらの患者はまた、関節における朝のこわばりが治まった時間を記録するように求められた;朝のこわばりの持続時間を、この時間から起床時間を差し引くことにより計算した。患者はまた、100‐mm VAS(ここで0=痛みなし、及び100=非常に激しい痛み)上に線を付けることにより、起床時の痛みの強度を記録するよう求められた。
【0122】
抗IL-6R抗体
本開示は、hIL-6Rに特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む方法を含む。本明細書で使用されるように、用語「hIL-6R」は、ヒトインターロイキン-6(IL-6)に特異的に結合するヒトサイトカイン受容体を意味する。特定の実施形態において、患者に投与される抗体は、hIL-6Rの細胞外ドメインに特異的に結合する。
【0123】
本明細書で使用されるように、用語「抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖の4つのポリペプチド鎖を含む免疫グロブリン分子、さらにはその多量体(例えば、IgM)を指すことを意図される。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVR又はVHと略される)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVR又はVLと略される)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は1つのドメイン(CL1)を含む。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が組み入れられた相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分することができる。各VH及びVLは3つのCDR及び4つのFRから構成され、以下の順序でアミノ末端からカルボキシ末端に配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。いくつかの実施形態において、抗体のFR(又はその抗原結合部分)は、ヒト生殖系列配列と同一であっても、天然で又は人工的に改変されていてもよい。アミノ酸コンセンサス配列は、2つ又はそれ以上のCDRの対照分析(side-by-side analysis)に基づいて定義され得る。
【0124】
本明細書で使用されるように、用語「抗体」はまた、全長抗体分子の抗原結合フラグメントも含む。本明細書で使用されるように、用語抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合フラグメント」などは、抗原に特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然に存在する、酵素的に得られる、合成の、又は遺伝子操作されたポリペプチド又は糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合フラグメントは、タンパク質分解消化、又は抗体の可変ドメイン及び場合により定常ドメインをコードするDNAの操作及び発現を含む組み換え遺伝子操作技術のような任意の適切な標準的技術を使用して、全長抗体分子から誘導され得る。このようなDNAは公知であるか、かつ/又は例えば商業的供給源、DNAライブラリー(例えば、ファージ-抗体ライブラリーを含む)から用意に入手可能であるか、又は合成することができる。DNAは、配列決定され、そして例えば1つもしくはそれ以上の可変ドメイン及び/もしくは定常ドメインを適切な構成に配置するため、又はコドンを導入するか、システイン残基を作製するか、アミノ酸を改変、付加もしくは欠失するなどのために、化学的に操作されても、分子生物学的技術を使用することにより操作されてもよい。
【0125】
抗原結合フラグメントの非限定的な例としては:(i)Fabフラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント;(iii)Fdフラグメント;(iv)Fvフラグメント;(v)単鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAbフラグメント;及び(vii)抗体の超可変性領域を模倣したアミノ酸残基からなる最小認識単位(例えば、CDR3ペプチドのような単離された相補性決定領域(CDR))、又は拘束FR3-CDR3-FR4ペプチドが挙げられる。他の操作された分子、例えばドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、及び二価ナノボディ)、小分子モジュラー免疫医薬品(small modular immunopharmaceuticals)(SMIP)、及びサメ可変IgNARドメインもまた、本明細書で使用される表現「抗原結合フラグメント」内に包含される。
【0126】
抗体の抗原結合フラグメントは、典型的には少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、いずれのサイズ又はアミノ酸組成でもよく、そして一般的には、1つもしくはそれ以上のフレームワーク配列に隣接しているか又はそれらとインフレームである少なくとも1つのCDRを含む。VLドメインと結合したVHドメインを有する抗原結合フラグメントにおいて、VH及びVLドメインは、互いに対して任意の適切な配置で位置づけられ得る。例えば、可変領域は二量体であってもよく、そしてVH-VH、VH-VL又はVL-VL二量体を含有し得る。あるいは、抗体の抗原結合フラグメントは、単量体VH又はVLドメインを含有し得る。
【0127】
特定の実施形態において、抗体の抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合で連結された少なくとも1つの可変ドメインを含有し得る。抗体の抗原結合フラグメント内に見いだされ得る可変ドメイン及び定常ドメインの非限定的な例となる構成としては:(i)VH-CH1;(ii)VH-CH2;(iii)VH-CH3;(iv)VH-CH1-CH2;(v)VH-CH1-CH2-CH3;(vi)VH-CH2-CH3;(vii)VH-CL;(viii)VL-CH1;(ix)VL-CH2;(x)VL-CH3;(xi)VL-CH1-CH2;(xii)VL-CH1-CH2-CH3;(xiii)VL-CH2-CH3;及び(xiv)VL-CLが挙げられる。上に列挙された例となる構成のいずれかを含めて可変及び定常ドメインの任意の構成において、可変及び定常ドメインは、互いに直接連結されていても、完全もしくは部分的ヒンジ又はリンカー領域により連結されていてもよい。ヒンジ領域は、様々な実施形態において、単一のポリペプチド分子において隣接する可変及び/又は定常ドメイン間の可動性又は半可動性の連結を生じる少なくとも2(例えば、5、10、15、20、40、60又はそれ以上)のアミノ酸からなり得る。さらに、抗体の抗原結合フラグメントは、様々な実施形態において、互いにかつ/又は1つもしくはそれ以上の単量体VHもしくはVLドメインと(例えば、ジスルフィド結合により)非共有結合で結合した、上に列挙された可変及び定常ドメイン構成のいずれかのホモダイマー又はヘテロダイマー(又は他の多量体)を含み得る。
【0128】
全長抗体分子と同様に、抗原結合フラグメントは単一特性でも多選択性(例えば、二重特異性)でもよい。抗体の多選択性抗原結合フラグメントは、典型的には少なくとも2つの異なる可変ドメインを含み、ここで各可変ドメインは、別々の抗原又は同じ抗原上の異なるエピトープに特異的に結合することができる。本明細書において開示される例となる二重特異性抗体形式を含めて、任意の多選択性抗体形式は、様々な実施形態において、当該分野で利用可能な慣用の技術を使用して、抗IL-6R抗体の抗原結合フラグメントの状況における使用のために適合され得る。
【0129】
抗体の定常領域は、補体を固定しそして細胞依存性細胞傷害を媒介する抗体の能力において重要である。したがって、抗体のアイソタイプは、それが抗体が細胞障害を媒介するために望ましいかどうかに基づいて選択され得る。
【0130】
本明細書で使用されるように、用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する抗体を含むことを意図される。それでもなお様々な実施形態において、本開示において考慮されるヒト抗体は、例えばCDRにおいて、及びいくつかの実施形態ではCDR3において、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでランダムもしくは部位特異的変異誘発により又はインビボで体細胞変異により導入された変異)を含んでいてもよい。しかし、本明細書で使用される用語「ヒト抗体」は、マウスのような別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上にグラフト化されている抗体を含むことを意図されない。
【0131】
本明細書で使用されるように、用語「組み換えヒト抗体」は、組み換え手段により製造され、発現され、作製され、もしくは単離されるすべてのヒト抗体、例えば宿主細胞(以下にさらに記載される)にトランスフェクトされた組み換え発現ベクターを使用して発現された抗体、組み換え体から単離された抗体、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリー(以下にさらに記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor et al.、(1992) Nucl.Acids Res.20:6287-6295(その全体として参照により本明細書に加入される)を参照のこと)又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNAを配列へのスプライシングを含む任意の他の手段により製造、発現、作製もしくは単離された抗体を含むことを意図される。このような組み換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する。しかし、特定の実施形態において、このような組み換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発(又は、ヒトIg配列についてトランスジェニックな動物を使用する場合、インビボ体細胞変異誘発)を受け、したがって組み換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来し、関連するが、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内には天然で存在しないかもしれない配列である。
【0132】
ヒト抗体は、ヒンジ異種性に関連する2つの形態で存在し得る。一実施形態において、免疫グロブリン分子は、二量体が鎖間重鎖ジスルフィド結合により一緒に保持される約150~160kDaの安定な4つの鎖の構築物を含む。特定の実施形態において、二量体は鎖間ジスルフィド結合を介して連結されず、そして共有結合でカップリングされた軽鎖及び重鎖から構成される(半抗体)約75~80kDaの分子が形成される。これらの実施形態/形態は、アフィニティー精製後でも分離することが非常に困難であった。
【0133】
様々なインタクトなIgGアイソタイプにおける第二の形態の出現頻度は、限定されないが、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造的差異に起因する。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域における単一アミノ酸置換は、ヒトIgG1ヒンジを使用して典型的に観察されるレベルまで第二の形態の出現を減少させ得る(Angal et al.、(1993) Molecular Immunology 30:105(その全体が参照により加入される))。本開示は、様々な実施形態において、例えば製造において、望ましい抗体形態の収量を改善するために望ましいかもしれない1つ又はそれ以上の変異をヒンジ、CH2又はCH3領域に有する抗体を包含する。
【0134】
本明細書で使用される「単離された抗体」は、その天然環境の少なくとも1つの成分から同定及び分離されかつ/又は回収された抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1つの成分から、又は抗体が天然で存在するかもしくは天然で産生される組織もしくは細胞から分離されたか又は取り出された抗体は、「単離された抗体」である。様々な実施形態において、単離された抗体はまた、組み換え細胞内のインサイチュにある抗体を含む。他の実施形態において、単離された抗体は、少なくとも1つの精製又は単離工程にかけられた抗体である。様々な実施形態において、単離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含んでいないものであり得る。
【0135】
用語「特異的に結合する」又は同様のものは、抗体又はその抗原結合フラグメントが抗原と、生理条件下で比較的安定な複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するか否かを決定する方法は、当該分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などが挙げられる。例えば、本明細書で使用されるように、IL-6Rに「特異的に結合する」抗体は、表面プラズモン共鳴アッセイにおいて測定して、IL-6R又はその一部に、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満又は約0.5nM未満のKDで結合する抗体を含む。しかし、ヒトIL-6Rに特異的に結合する単離された抗体は、他の(非ヒト)種由来のIL-6R分子のような他の抗原に対して交差反応性を有していてもよい。
【0136】
本明細書で使用されるように、用語「表面プラズモン共鳴」は、例えばBIAcoreTMシステム(GE HealthcareのBiacore Life Sciences部門、Piscataway、NJ)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することにより実時間相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。
【0137】
本明細書で使用されるように、用語「KD」は、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指すことを意図される。
【0138】
用語「エピトープ」は、パラトープとして知られる抗体分子の可変領域における特異的抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原が1つより多くのエピトープを有していてもよい。したがって、異なる抗体が抗原上の異なる領域に結合してもよく、そして異なる生物学的効果を有していてもよい。エピトープは立体構造的でも線状でもよい。立体構造的エピトープは、線状ポリペプチド鎖の異なるセグメントからの空間的に並置されたアミノ酸により生成される。線状エピトープは、ポリペプチド鎖における隣接するアミノ酸残基により生成されるものである。特定の状況において、エピトープは、糖類、ホスホリル基、又はスルホニル基の部分を抗原上に含んでいてもよい。
【0139】
本明細書において特徴づけられる方法に有用な抗IL-6R抗体は、様々な実施形態において、抗体が由来する対応する生殖系列配列と比較して、重鎖及び軽鎖可変ドメインのフレームワーク領域及び/又はCDR領域において1つ又はそれ以上のアミノ酸の置換、挿入及び/又は欠失を含んでいてもよい。このような変異は、例えば公開の抗体配列データベースから利用可能な生殖系列配列と、本明細書に開示されたアミノ酸配列を比較することにより容易に確認され得る。本開示は、様々な実施形態において、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体及びその抗原結合フラグメントの使用を含む方法を含み、ここで1つ又はそれ以上のフレームワーク領域及び/又はCDR領域内の1つ又はそれ以上のアミノ酸は、抗体が由来する生殖系列配列の対応する残基に、又は別のヒト生殖系列配列の対応する残基に、又は対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換に変異される(このような配列変化は本明細書では集合的に「生殖系列変異」と呼ばれる)。1つ又はそれ以上の個々の生殖系列変異又はそれらの組み合わせを含む多数の抗体及び抗原結合フラグメントが構築され得る。特定の実施形態において、VH及び/又はVLドメイン内の全てのフレームワーク及び/又はCDR残基は、抗体が由来する元の生殖系列配列において見られる残基に変異して戻される。他の実施形態において、特定の残基のみが元の生殖系列配列に変異して戻され、例えば、FR1の最初の8つにアミノ酸内、もしくはFR4の最後の8つのアミノ酸内に見られる変異した残基のみ、又はCDR1、CDR2もしくはCDR3内に見られる変異した残基のみである。他の実施形態において、フレームワーク及び/又はCDR残基の1つ又はそれ以上は、異なる生殖系列配列(すなわち、抗体が元々由来する生殖系列配列とは異なる生殖系列配列)の対応する残基に変異される。さらに、抗体は、フレームワーク及び/又はCDR領域内の2つ又はそれ以上の生殖系列変異の任意の組み合わせを含有していてもよく、例えばここで、特定の個々の残基は、特定の生殖系列配列の対応する残基に変異され、一方で元の生殖系列配列とは異なる特定の他の残基が維持されるか、又は異なる生殖系列の配列の対応する残基に変異される。1つ又はそれ以上の生殖系列変異を含有する抗体及び抗原結合フラグメントが得られると、改善された結合特異性、増加した結合親和性、改善された又は増強されたアンタゴニスト又はアゴニストの生物学的特性(場合によって)、減少した免疫原性などのような1つ又はそれ以上の望ましい特性について容易に試験することができる。この一般的なやり方で得られた抗体及び抗原結合フラグメントの使用は、本開示内に包含される。
【0140】
本開示はまた、1つ又はそれ以上の保存的置換を有する本明細書において開示されるHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかのバリアントを含む抗IL-6R抗体の使用を含む方法を含む。例えば、本開示は、本明細書において開示されるHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかと比較して、例えば、10又はそれ以下、8又はそれ以下、6又はそれ以下、4又はそれ以下などの保存的アミノ酸置換を有するHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列を有する抗IL-6R抗体の使用を含む。
【0141】
本開示によれば、抗IL-6R抗体、又はその抗原結合フラグメントは、様々な実施形態において、米国特許第7,582,298号(その全体として参照により本明細書に加入される)において特許請求される抗IL-6R抗体のアミノ酸配列のいずれかを含む重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)、及び/又は相補性決定領域(CDR)を含む。本開示の方法の状況において使用することができる抗IL-6R抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRの重鎖相補性決定領域(HCDR)及び配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRの軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む。特定の実施形態によれば、抗IL-6R抗体又はその抗原結合フラグメントは、3つのHCDR(すなわち、HCDR1、HCDR2及びHCDR3)及び3つのLCDR(すなわち、LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含み、ここでHCDR1は配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は配列番号7のアミノ酸配列を含み;そしてLCDR3は配列番号8のアミノ酸配列を含む。なお他の実施形態において、抗IL-6R抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1を含むHCVR及び配列番号2を含むLCVRを含む。
【0142】
特定の実施形態において、抗IL-6R抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号9を含む重鎖及び配列番号10を含む軽鎖を含む。特定の例となる実施形態によれば、本開示の方法は、当該分野でサリルマブと呼ばれ公知である抗IL-6R抗体、又はその生物学的同等物(bioequivalent)の使用を含む。
【0143】
配列番号1のアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASRFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAENSLFLQMNGLRAEDTALYYCAKGRDSFDIWGQGTMVTVSS
である。
【0144】
配列番号2のアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYGASSLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFASYYCQQANSFPYTFGQGTKLEIK
である。
【0145】
配列番号3のアミノ酸配列は、RFTFDDYAである。
【0146】
配列番号4のアミノ酸配列は、ISWNSGRIである。
【0147】
配列番号5のアミノ酸配列は、AKGRDSFDIである。
【0148】
配列番号6のアミノ酸配列は、QGISSWである。
【0149】
配列番号7のアミノ酸配列は、GASである。
【0150】
配列番号8のアミノ酸配列は、QQANSFPYTである。
【0151】
配列番号9のアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASRFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAENSLFLQMNGLRAEDTALYYCAKGRDSFDIWGQGTMVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
である。
【0152】
配列番号10のアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYGASSLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFASYYCQQANSFPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
である。
【0153】
本明細書で使用されるように、用語「生物学的同等物」は、同じモル用量で、かつ類似した条件下で(例えば、同じ投与経路)投与された後に類似したバイオアベイラビリティ(速度及び利用能の程度)を有し、その結果効果が、有効性及び安全性の両方に関して、比較分子と本質的に同じであると期待することができる分子を指す。抗IL-6R抗体を含む2つの医薬組成物は、薬学的に等価である場合に生物学的に同等であり、それらが同じ投与経路のための、同じ投薬形態で、同じ量の活性成分(例えば、抗IL-6R抗体)を含有し、かつ同じか又は同等の基準を満たすことを意味する。生物学的同等性は、例えば、2つの組成物について薬物動態パラメーターを比較するインビボ試験により決定することができる。生物学的同等性試験において一般的に使用されるパラメーターとしては、ピーク血漿濃度(Cmax)及び血漿薬物濃度時間曲線下面積(AUC)が挙げられる。
【0154】
本開示は、特定の実施形態において、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体を対象に投与することを含む方法に関する。
【0155】
本開示は、上記抗体を含む医薬組成物、及びこれらの組成物を使用する方法を提供する。
【0156】
配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体は、ヒトインターロイキン-6受容体(hIL-6R)に特異的に結合する抗体である。その全体として参照により本明細書に加入される国際公開第WO2007/143168号を参照のこと。
【0157】
特定の実施形態において、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体はサリルマブである。
【0158】
DMARD
DMARDは、疾患進行を減速させるための関節リウマチにおけるそれらの使用により定義される薬物である。
【0159】
DMARDは合成(sDMARD)及び生物学的(bDMARD)と分類されてきた。合成DMARDとしては、非包括的に、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、及びヒドロキシクロロキンが挙げられる。生物学的DMARDとしては、非包括的に、アダリムマブ、ゴリムマブ、エタネルセプト、アバタセプト、インフリキシマブ、リツキシマブ、及びトシリズマブが挙げられる。
【0160】
投与方法及び処方
本明細書に記載される方法は、患者に治療有効量の抗hIL-6R抗体を単独で、及び場合により治療有効量の抗hIL-6R抗体をDMARDと組み合わせて投与することを含む。本明細書で使用されるように、句「治療有効量」は、抑うつもしくはうつ病性障害に関連する1つもしくはそれ以上の症状における検出可能な改善を生じるか、又は抑うつもしくはうつ病性障害の状態又は症状を生じる根底にある病態機序と相関する生物学的効果(例えば、特定のバイオマーカーのレベルの減少)を引き起こす治療薬の用量を意味する。例えば、以下の症状又は状態のいずれかにおける改善を引き起こす抗hIL-6R抗体の用量は、「治療有効量」とみなされる:自信及び自尊心の喪失、不適切な罪悪感、死及び自殺の考え、減少した集中、睡眠及び食欲の障害並びに悲嘆の感情並びに大部分の状況にわたる興味の喪失。
【0161】
様々な実施形態において抗体は対象に投与される。様々な実施形態において、抗体は、2週間ごとに1回投与される。「2週間ごとに1回」は、「q2w」又は「2週に1回」と同じ意味を有し、すなわち、抗体は2週間の期間に1回投与される。特定の実施形態によれば、抗体は皮下投与される。
【0162】
特定の実施形態において、抗体は、2週間ごとに1回約150mg又は約200mgで投与される。この文脈において、「約」は、示された量の5%以内の量を指す。例えば、「約150mg」は、142と158mgとの間の範囲であり、そして「約200mg」は90と210mgとの間の範囲である。特定の実施形態によれば、抗体は皮下投与される。
【0163】
抗体は、様々な実施形態において、適切な担体、賦形剤、及び改善された改善された移動、送達、耐性などを提供するための他の薬剤を含み、かつ皮下注射に適した処方で対象に投与される。
【0164】
注射可能製剤は、公に知られている方法により製造され得る。例えば、注射可能製剤は、例えば、上記の抗体又はその塩を、滅菌水性媒体又は注射剤に従来使用される油性媒体中に溶解、懸濁又は乳化することにより製造され得る。注射用の水性媒体として、例えば、生理食塩水、グルコース及び他の補助剤などを含有する等張液があり、これらは、アルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート20又は80、HCO-50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]などのような適切な可溶化剤と組み合わせて使用され得る。油性媒体としては、例えば、ゴマ油、ダイズ油などが使用され、これらは、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどのような可溶化剤と組み合わせて使用され得る。このようにして製造された注射可能製剤を、適切なアンプルに充填することができる。
【0165】
抗体は、典型的には本明細書及び国際公開第WO2011/085158号(その全体として参照により本明細書に加入される)に記載されるように製剤化される。
【0166】
様々な実施形態において、抗体は、
- 約21mMヒスチジン、
- 約45mMアルギニン、
- 約0.2%(質量/体積)ポリソルベート20、
- 約5%(質量/体積)ショ糖、及び
- 約100mg/mLと約200mg/mLとの間の抗体
を含有する約pH6.0の水性緩衝化液剤として投与される。
【0167】
特定の実施形態において、抗体は、
- 約21mMヒスチジン、
- 約45mMアルギニン、
- 約0.2%(質量/体積)ポリソルベート20、
- 約5%(質量/体積)ショ糖、及び
- 少なくとも約130mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝化液剤として投与される。
【0168】
特定の実施形態において、抗体は、
- 約21mMヒスチジン、
- 約45mMアルギニン、
- 約0.2%(質量/体積)ポリソルベート20、
- 約5%(質量/体積)ショ糖、及び
- 約131.6mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝化液剤として投与される。
【0169】
特定の実施形態において、抗体は、
- 約21mMヒスチジン、
- 約45mMアルギニン、
- 約0.2%(質量/体積)ポリソルベート20、
- 約5%(質量/体積)ショ糖;及び
- 約175mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝化液剤として投与される。
【0170】
特定の実施形態において、抗体は、
- 21mMヒスチジン、
- 45mMアルギニン、
- 0.2%(質量/体積)ポリソルベート20、
- 5%(質量/体積)ショ糖、及び
- 100mg/mLと200mg/mLとの間の抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝化液剤として投与される。
【0171】
特定の実施形態において、抗体は、
- 21mMヒスチジン、
- 45mMアルギニン、
- 0.2%(質量/体積)ポリソルベート20、
- 5%(質量/体積)ショ糖、及び
- 少なくとも130mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝化液剤として投与される。
【0172】
特定の実施形態において、抗体は、
- 21mMヒスチジン、
- 45mMアルギニン、
- 0.2%(質量/体積)ポリソルベート20、
- 5%(質量/体積)ショ糖、及び
- 131.6mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝化液剤として投与される。
【0173】
特定の実施形態において、抗体は、
- 21mMヒスチジン、
- 45mMアルギニン、
- 0.2%(質量/体積)ポリソルベート20、
- 5%(質量/体積)ショ糖;及び
- 175mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝化液剤として投与される。
【0174】
本開示に従う抗体は、任意の許容しうるデバイス又は機構を使用して対象に投与することができる。例えば、投与は、シリンジ及び針を使用して、又は再使用可能なペン型及び/もしくは自動注射器送達デバイスを用いて達成され得る。本開示の方法は、抗体(又は抗体を含む医薬製剤)を投与するための多数の再使用可能なペン型及び/又は自動注射器送達デバイスの使用を含む。このようなデバイスの例としては、限定されないが、2、3名前を挙げると、AUTOPENTM(Owen Mumford、Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONICTMペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25TMペン、HUMALOGTMペン、HUMALIN 70/30TMペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPENTMI、II及びIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIORTM(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BDTMペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPENTM、OPTIPEN PROTM、OPTIPEN STARLETTM、及びOPTICLIKTM(Sanofi-Aventis、Frankfurt、Germany)が挙げられる。本明細書に記載される医薬組成物の皮下送達において有用性を有する使い捨てペン型及び/又は自動注射器送達デバイスの例としては、限定されないが2、3名前を挙げると、SOLOSTARTMペン(Sanofi-Aventis)、FLEXPENTM(Novo Nordisk)、及びKWIKPENTM (Eli Lilly)、SURECLICKTM自動注射器(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLETTM(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey、L.P.)、HUMIRATMペン(Abbott Labs、Abbott Park、IL)、DAI(登録商標)自動注射器(SHL Group)及び PUSHCLICKTM技術(SHL Group)を特徴とする任意の自動注射器が挙げられる。
【0175】
特定の実施形態において、抗体は充填済みシリンジを用いて投与される。
【0176】
特定の実施形態において、抗体は、安全システムを含有する充填済みシリンジを用いて投与される。例えば、安全システムは偶発的な針刺し事故を防止する。様々な実施形態において、抗体は、ERISTM安全システム(West Pharmaceutical Services Inc.)を含有する充填済みシリンジを用いて投与される。米国特許第5,215,534号及び同第9,248,242号(それら全体として参照により本明細書に加入される)も参照のこと。
【0177】
特定の実施形態において、抗体は自動注射器を用いて投与される。様々な実施形態において、抗体はPUSHCLICKTM技術(SHL Group)を特徴とする自動注射器を用いて投与される。様々な実施形態において、自動注射器は、1用量の組成物及び/又は抗体の対象への投与を可能にするシリンジを含むデバイスである。米国特許第9,427,531号及び同第9,566,395号(それら全体として参照により本明細書に加入される)も参照のこと。
【0178】
患者集団
本開示によれば、「対象」はヒト対象又はヒト患者を意味する。
【0179】
本開示に従う抗体は、様々な実施形態において、上記の血清バイオマーカー濃度を有する対象に投与される。
【0180】
本開示によれば、彼又は彼女の医師により「非効果的に処置された」とみなれる対象は、様々な実施形態において、医師により試験された1つもしくはそれ以上のDMARDに対して不耐容であると示された対象、及び/又は医師により試験された1つもしくはそれ以上のDMARDに対して不適切な応答を示した対象、典型的には以前に1つもしくはそれ以上のDMARDを投与されたにも関わらず活動性関節リウマチを示すか又は有していると医師になおみなされる対象である。「活動性関節リウマチ」は、典型的には:
- 典型的な定量的関節腫脹及び圧痛関節の計数試験において医師が計数して、66のうち少なくとも6つの関節腫脹及び68のうち8つの圧痛関節、
- 高感受性C反応性タンパク質(hs-CRP)≧8mg/L又はESR≧28mM/H
- DAS28ESR>5.1
と定義される。
【0181】
特定の実施形態において、対象における「中程度活動性RA」は:対象における68のうち少なくとも8つかつ多くとも26の圧痛関節並びに66のうち少なくとも6及び/又は多くとも16の関節腫脹と定義される。特定の実施形態において、対象における「重度活動性RA」は:(i)対象における68のうち27より多くの圧痛関節及び/又は66のうち少なくとも17の関節腫脹として定義される。
【0182】
いくつかの実施形態において、抗体とは異なる少なくとも1つのDMARDを投与することにより以前に関節リウマチを非効果的に処置された対象は、DMARDを投与することにより以前に関節リウマチを非効果的に処置された対象である。いくつかの実施形態において、DMARDは、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、及びヒドロキシクロロキンからなる群より選択される。様々な実施形態において、DMARDはメトトレキサートである。
【0183】
いくつかの実施形態において、抗体とは異なる1つ又はそれ以上のDMARDを投与することにより以前に関節リウマチを非効果的に処置された対象は、メトトレキサートに対して不適切な応答を有するか不耐容であった対象である。
【0184】
本開示によれば、抗体とは異なる1つ又はそれ以上のDMARDを投与することにより以前に関節リウマチを非効果的に処置された対象に対して、1つ又はそれ以上のDMARDは、該対象にもはや投与されず、そして抗体は様々な実施形態において、対象に単独で、単剤療法で投与される。国際公開第WO2017155990号(その全体として参照により本明細書に加入される)を参照のこと。
【0185】
いくつかの実施形態において、対象は、DMARDを用いた処置からの1つ又はそれ以上の身体的な反応、状態又は症状に起因してDMARDに不耐容である。身体的反応、状態又は症状としては、アレルギー、疼痛、悪心、下痢、高窒素血症、胃出血、腸出血、口内炎、血小板減少、腸の穿孔、細菌感染、歯茎又は口の炎症、胃の内膜又は腸の内膜の炎症、細菌性敗血症、胃潰瘍、腸潰瘍、太陽感受性皮膚、眩暈、食欲不振、活気がない、及び嘔吐が挙げられ得る。特定の実施形態において、不耐容は、対象により、又は対象を試験した医療従事者により決定され得る。様々な実施形態において、様々な実施形態において、DMARDは、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、及びヒドロキシクロロキンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、DMARDはメトトレキサートである。
【0186】
いくつかの実施形態において、本開示は、IL-6R抗体と組み合わせた1つ又はそれ以上のさらなる治療剤を対象に投与することを含む。本明細書で使用されるように、表現「と組み合わせて」は、さらなる治療剤が、IL-6R抗体を含む医薬組成物の前に、後に、又は同時に投与されるということを意味する。特定の実施形態において、対象は、DMARD及び/又はTNF-αアンタゴニストとともに抗体を投与される。
【0187】
本明細書において言及される全ての刊行物は、あらゆる目的のためにそれら全体として参照により本明細書に加入される。
【実施例】
【0188】
実施例1 - 骨吸収及び心血管リスクバイオマーカーに対するサリルマブ及びアダリムマブの異なった効果、並びに処置アウトカムの予測。
方法
このフェーズIII実薬対照ランダム化比較試験は、以前に全て記載されている(Burmester GR、Ann Rheum Dis 2017;76:840-7)。手短には、MTX-INT/IR患者を、24週間の間、2週間ごとに(q2w)サリルマブ200mg又はアダリムマブ 40mg q2wに無作為に選んだ。16週目に、圧痛関節及び関節腫脹数における≧20%の改善を達成しなかった患者には毎週アダリムマブに用量上昇を許可した。試験は優良臨床試験基準及びヘルシンキ宣言の原則に従って行われた;全ての実施計画書及び患者情報材料は、適切な治験審査委員会により承認され、そして全ての患者が書面のインフォームドコンセントを提出した。
【0189】
有効性及びPRO評価項目
有効性評価項目は:米国リウマチ学会基準に従う≧20/50/70%の改善(ACR20/50/70)、臨床疾患活動性指標(CDAI)≦2.8、CDAI≦10、CRPを使用したDAS28(DAS28-CRP)又はDAS28-ESR<2.6及びDAS28-CRP又はDAS28-ESR<3.2を達成した患者の比率を含んでいた。
【0190】
この試験において評価されたPROは、ITT集団全体について以前に記載されており(Strand V、Arthritis Res Ther 2018;20:129)、そして(24週目にベースラインからの変化として評価される)、疾患活動性視覚的アナログ尺度(VAS)の患者全般評価、健康評価質問表-機能障害指数(Health Assessment Questionnaire-Disability Index)(HAQ-DI)、痛みVAS、慢性疾患治療の機能評価(Functional Assessment of Chronic Illness Therapy)(FACIT)-疲労、朝のこわばりVAS、疾患の関節リウマチの影響(RAID)スコア及び医学的アウトカム研究ショートフォーム(Medical Outcomes Study Short-Form)(36項目)健康調査(SF-36) 身体的(PCS)及び精神的(MCS)コンポーネントサマリースコア(身体機能、日常役割機能-身体、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)及び心の健康のドメインを含む)を含んでいた。
【0191】
血清採取及びバイオマーカー分析
患者が無作為に選ばれ、そして二重盲検期間の間サリルマブ又はアダリムマブで処置され、サンプルの将来の使用についての書面のインフォームドコンセントを提出しており、血清サンプルが投薬前(ベースライン)に採取されかつ評価可能(バイオマーカー集団)である場合、患者をこのバイオマーカー分析のために選択した。治療企図集団における307人の患者(サリルマブ:n=153;アダリムマブ:n=154)からベースライン及び24週目まで処置後に血清サンプルを集め、そして凍結保存した。ベースライン結果を表1に示す。
【0192】
【表1】
データはベースラインでの中央値(Q1、Q3)として表される。CRPについての参照範囲は、健常な男性及び女性の集団に基づく(参照範囲はCovanceにより提供される);全ての他のバイオマーカーについては、参照範囲は、健常な閉経後の女性(5~95百分位数;参照範囲はBioclinicaにより提供される)に基づく。*未調整ウィルコクソン検定P値<5%。CRP:C-反応性タンパク質;CXCL13:ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13;Lp(a):リポタンパク質(a);MMP3:マトリックスメタロプロテアーゼ-3;OC:オステオカルシン;OPG:オステオプロテゲリン;P1NP:プロコラーゲン1型N末端プロペプチド;Q:四分位数;q2w:2週間ごと;RANKL:核因子-κBリガンドの受容体活性化因子;SAA:血清アミロイドA;sICAM-1:可溶性細胞間接着分子-1;TIBC:総鉄結合能。
【0193】
1つ又は2つのベースライン後の時点から24週までバイオマーカーを遡及的に(CRPを除いて)分析した(表2)。分析のために選択された時点は、サリルマブ処置後の以前のデータ又は特定のマーカーに対するRAの治療の急性もしくは潜在的な効果のいずれかを示唆する文献に基づく。大部分のバイオマーカーについてアッセイ特徴は以前に記載されている(Gabay C、2018)。
【0194】
【表2】
CRP:C反応性タンパク質;CXCL13:ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13;Lp(a):リポタンパク質(a);MMP-3:マトリックスメタロプロテアーゼ-3;OPG:オステオプロテゲリン;P1NP:プロコラーゲン1型N末端プロペプチド;RANKL:核因子-κBリガンドの受容体活性化因子;SAA:血清アミロイドA;sICAM-1:可溶性細胞間接着分子-1;TIBC:総鉄結合能。
【0195】
統計分析
ベースラインバイオマーカーレベルを、ウィルコクソン検定を使用して処置群間で比較した。ベースラインでのスピアマンの順位相関を、バイオマーカー集団全体で計算した。
【0196】
循環バイオマーカー濃度の薬力学的変化を各時点で処置群間で評価するために、ベースラインからの絶対変化及びパーセンテージ変化を記載した。さらに、バイオマーカー濃度のパーセンテージ変化を、非正規分布のために非母数法を使用して解析した。ベースライン後に1回測定されたバイオマーカーについては、ベースライン値に対して調整されたランクベースの共分散分析(ANCOVA)を実行した。ベースライン後に2回測定されたバイオマーカーについては、反復された測定値を用いた混合効果モデルを、固定された効果として処置、来診及び来診ごとの処置(treatment-by-visit)相互作用、ランクで変換されたベースラインバイオマーカー値、固定共変量としての来診ごとのランク(rank-by-visit)相互作用で変換されたベースラインバイオマーカー値を用いて非構造化共分散構造を仮定して、ランク変換したデータ(分散[ANOVA]型の方法の分析)に対して行った。P値を偽発見率について調整した(Benjamini-Hochberg 5%閾値)。処置で正規化してベースラインで異常なバイオマーカーレベルを有する患者の数(試験検査室により提供された参照範囲に従う)を、χ2検定を使用して群間で比較した;未調整P値を報告する。
【0197】
24週でのバイオマーカー濃度のパーセンテージ変化を、類似した非母数方法を使用して同じ来診で各処置群内で臨床応答者と非応答者との間で比較した。P値を偽発見率についても調整した。
【0198】
二元有効性評価項目について、アダリムマブに対するサリルマブの有効性に対するベースラインバイオマーカー値の予測効果を、固定効果として処置群及び地域を用いたロジスティック回帰、連続的共変量としてベースラインバイオマーカー値、並びに処置群ごとのベースラインバイオマーカー相互作用を使用して試験した。連続的PROについて、上と同じ効果、さらには共変量としてベースラインPRO値を用いて線形回帰を使用した。相互作用についての未調整P値を、バイオマーカーの予測値を評価するために報告する。バイオマーカー集団において3分位数値を使用してベースラインでの高、中及び低三分位数への患者の分類後に同様の解析を行った。さらに、サリルマブとアダリムマブとの間の反応の一対比較を、高、中及び低バイオマーカーレベルを有する患者で別々に行い、そして地域により階層化したオッズ比(OR)のマンテル-ヘンツェル推定量、及び95%信頼区間(CI)を導き、そしてフォレストプロットを使用して図に示した。連続的PROについて、線形回帰を各バイオマーカー三分位数において別々に行い、そして両処置間で95%CIで最小二乗平均(LSM)変化の差異が得られた。
【0199】
循環CXCL13及びsICAM-1(ベースライン中央値レベルと比較して規定された低又は高レベル)の異なった組み合わせを、各組み合わせについて導かれたORのマンテル-ヘンツェル推定量を使用して、サリルマブに対する応答の予測のために評価した。
【0200】
全ての解析は、SASバージョン9.2又はそれ以上(SAS Institute Inc.、Cary、NC、USA)を使用して行われた。
【0201】
バイオマーカー分析
C反応性タンパク質(CRP)を除いて全てのバイオマーカー血清濃度を、Bioclinica Lab(Lyon、France)において有効な専用の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用して遡及的に分析した。CRPは、Siemens高感受性CRP 比濁分析アッセイを使用してCovance Laboratories(Indianapolis、IN、USA、Geneva、Switzerland又はSingapore)において評価された。アッセイ内精度は<3%であり、アッセイ間精度は<5.4%であり、そして健常対照についての参照範囲は≦2.87mg/lであった。ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13及び可溶性細胞間接着分子-1の血清レベルを、ELISA(Quantikine(登録商標)ELISAキット、R&D Systems、Minneapolis、MN、USA)を使用して、変動のアッセイ間計数(CV)<8%及びアッセイ内CV<15%で評価した。血清プロコラーゲン1型N末端プロペプチド(P1NP)を、Rocheモジュール式S P1NPアッセイを使用して、アッセイ内及びアッセイ間CV<7%で測定した。血清アミロイドAを、ELISA(Anogen)を使用してアッセイ内及びアッセイ間CV<7%で測定した。フェリチンを、Rocheモジュール式血清フェリチンアッセイを使用して、アッセイ内及びアッセイ間CV<3%で測定した、総鉄結合能を、Kone20分析機、Konelab(総鉄結合能[RANDOX])を使用してアッセイ内及びアッセイ間CVそれぞれ<5.5%及び<4.7%で測定した。鉄の血清レベルを、Kone 20分析機、Konelab(鉄[Thermo Scientific])を使用して、アッセイ内及びアッセイ間CVそれぞれ<7.8%及び<6%で測定した。ヘプシジンレベルを、ELISA(ヒトヘプシジン25(生理活性)HS ELISA[DRG])を使用して、アッセイ内及びアッセイ間CVそれぞれ<9.6%及び<8.1%で測定した。定量化の下限(LLOQ)より低いバイオマーカーレベルを、全ての分析においてLLOQ/2で置き換え、そして定量化の上限(ULOQ)より高いものをULOQで置き換えた。
【0202】
ベースライン人口統計、疾患特徴、有効性及びバイオマーカーレベル
バイオマーカー集団のベースライン人口統計及び疾患特徴は、全体的に治療企図(ITT)集団全体と類似していた(表2)。概して、有効性及びPROも全体的に、ITTとバイオマーカー集団との間で類似していた(表3)。
【0203】
【表3】
別の記載がなければ平均(標準偏差)。Δ:ベースラインからの絶対変化;ACR20/50/70:米国リウマチ学会20/50/70%改善基準;CDAI:臨床疾患活動性指標;DAS28-CRP:C反応性タンパク質を使用した疾患活動性スコア(28関節);DAS28-ESR:赤血球沈降速度を使用した疾患活動性スコア(28関節);FACIT:慢性疾患治療の機能評価;HAQ-DI:健康評価質問表-機能障害指数;ITT:治療企図;MCS:精神的コンポーネントサマリー;PCS:身体的コンポーネントサマリー;PRO:患者報告アウトカム;q2w:2週間ごと;RAID:疾患の関節リウマチの影響;SJC:腫脹関節数;TJC:圧痛関節数;VAS:視覚的アナログ尺度。
【0204】
大部分のバイオマーカーのベースライン血清レベルは、Lp(a)を除いて処置群間で類似しており、Lp(a)はサリルマブ群よりアダリムマブ群において高かった(Lp[a]:それぞれ中央値235.5対179.0mg/l;ウィルコクソン検定P値:0.039;表1)。
【0205】
ベースラインでの個々のバイオマーカー間の相関は、全体的に低いか又は中程度であった(ρ<0.5;
図1A)。0.7より高い相関係数が、予想どおり、炎症(CRP及びSAA;ρ=0.81)、骨形成(P1NP及びOC;ρ=0.82)、及び慢性疾患の貧血(フェリチン及びヘプシジン;ρ=0.74)のマーカーについて観察された。中程度の相関が、ベースラインCRP、SAA又はMMP-3間で異なった血球数で(白血球及び好中球;ρ0.4~0.5)、及び予想通り、鉄とヘモグロビンの間で(ρ=0.57;
図1B)観察された。
【0206】
バイオマーカーに対する処置の薬力学的効果
サリルマブ及びアダリムマブ処置のバイオマーカーに対する経時的な効果を比較するために、バイオマーカー濃度のベースラインからの絶対変化(表4)及びパーセンテージ変化を、24週まで分析した。急性期応答に関連するバイオマーカーのより大きな減少が、アダリムマブに対してサリルマブを用いた処置の12週後及び24週後に観察された(調整済みP<0.0001;
図2A及びB)。CRPの減少は、アダリムマブに対してサリルマブを用いて4週という早期に観察され、そして処置期間全体を通して持続した(
図2A)。
【0207】
【0208】
【表5】
バイオマーカー集団全体におけるサンプルサイズ:アダリムマブ 40mg q2w:n=154、サリルマブ 200mg q2w:n=153。CRP:C反応性タンパク質;CXCL13:ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13;Lp(a):リポタンパク質(a);MMP3:マトリックスメタロプロテアーゼ-3;OC:オステオカルシン;OPG:オステオプロテゲリン;P1NP:プロコラーゲン1型N末端プロペプチド;Q:四分位数;q2w:2週間ごと;RANKL:核因子-κBリガンドの受容体活性化因子;SAA:血清アミロイド A;sICAM-1:可溶性細胞間接着分子-1;TIBC:総鉄結合能
【0209】
24週目に、サリルマブ処置は、アダリムマブと比較して、骨芽細胞活性化のマーカーであるP1NPの濃度を増加させた(調整済みP=0.027;
図2C)。骨芽細胞活性の別のマーカーであるOCの数値的増加もまた、アダリムマブに対してサリルマブ処置患者で観察された(
図3A)。さらに、骨吸収のマーカーである総RANKLの減少は、アダリムマブと比較してサリルマブで2週間という早期に観察され、そして24週目まで持続した(調整済みP<0.0001;
図3B);さらに、総RANKLの数値的減少は、アダリムマブ処置後に観察された。RANKLのデコイであるOPGの一過性の減少が、アダリムマブ処置後2週目に観察されたが、24週目までは持続しなかった(
図3C)。さらに、MMP-3のより大きな減少がサリルマブで24週目に観察された(調整済みP=0.020;
図3D)。
【0210】
それぞれ滑膜のリンパ系細胞及び骨髄系細胞の浸潤を反映すると言われるマーカーに関連するバイオマーカー、CXCL13及びsICAM-1に対するサリルマブ及びアダリムマブの効果も試験した。これらのバイオマーカーのより高い減少が、サリルマブと比べてアダリムマブで処置された2週間後に観察されたが、これらの効果は24週目まで持続しなかった(
図4)。
【0211】
本発明者らはまた、慢性疾患の貧血に関連するパラメーターに対する処置の効果を調べた。ITT集団において(Burmester GR、Arthritis Rheumatol 2018;70)、サリルマブは、24週目にアダリムマブと比べてヘモグロビンレベルのより大きな増加を生じた(ベースラインからのLSM変化0.59対0.08g/dl;LSM差異0.52g/dl [95%CI:0.32、0.71;名目P<0.001])。この分析において、ヘプシジン及びフェリチンの減少が、サリルマブ及びアダリムマブの両方で2週目に観察された。対照的に、鉄及びTIBCの増加が処置後2週目にアダリムマブと比較してサリルマブで観察された(
図5)。脂質粒子Lp(a)の減少が。24週目にアダリムマブと比べてサリルマブで観察された(調整済みP<0.0001;
図6A)。
【0212】
一部の患者は、参照範囲と比較して異常なベースラインバイオマーカーレベルを有していた。これらの患者において、CRP及びSAAの正常化は、24週目にアダリムマブと比べてサリルマブで処置されたより大きなパーセンテージで明らかであった(未調整P<0.0001)。総RANKL、OPG及びLp(a)の正常化は、24週目にアダリムマブと比較してサリルマブで処置された患者の数値的により大きなパーセンテージで起こった(
図6B)。
【0213】
バイオマーカーレベルの変化と臨床応答との間の関係
24週目のバイオマーカーレベルの処置後の変化が臨床有効性と関連しているか否かを確立するために、変化をサリルマブ処置応答者とアダリムマブ処置応答者及び非応答者の間で比較した。総RANKL、OPG、P1NP、OC及びLp(a)における24週目のパーセンテージ変化中央値は、応答者と非応答者との間で大きく異なっていなかった(データは示していない)。しかし、24週目のベースラインからのSAAの減少は、非応答者よりもアダリムマブ ACR20及びDAS28-CRP<3.2応答者において大きかった(それぞれ-33.3%対0.0%;名目P=0.0038及びそれぞれ-39.2%対0.0%;それぞれ名目P=0.0061)。MMP-3のより大きな減少も、非応答者と比べてアダリムマブACR20応答者において観察された(それぞれ-23.6%対17.1%;名目P<0.0001)。臨床有効性とSAA及びMMP-3におけるベースラインからの変化との間の関係は、サリルマブ処置患者において観察されず、そして応答者及び非応答者の両方がCRPの≧90%減少を有していたが、応答者非応答者の比較についてのP値は、ACR20/50、DAS28-CRP<3.2及びDAS28-CRP<2.6を含むいくつかのパラメーターにわたって<0.05であった(データは示していない)。
【0214】
ベースラインでのバイオマーカーと疾患活動性及びPROとの間の相関
ベースラインバイオマーカーとベースライン疾患活動性との間の最も強い相関は、SAA及びCRPとDAS28-ESRとの間(それぞれρ=0.26及び0.31)並びにCRP、SAA、MMP-3、ヘプシジン及びCXCL13とDAS28-CRPとの間(ρ0.36~0.58)について観察された。どのバイオマーカーもベースラインPROと相関していなかった(全てρ<0.3)。
【0215】
臨床応答及びPROに対するベースラインバイオマーカーレベルの予測解析
臨床有効性に関連する閾値は現在確立されていないので、三分位数(低、中及び高)により連続的な分類尺度としてベースラインバイオマーカーレベルを解析し、そしてバイオマーカーごと処置の相互作用P値を、バイオマーカーの予測因子を評価するために計算した。三部位数でのベースラインバイオマーカーにより解析された24週目の有効性評価項目についての三部位数ごとの処置相互作用を
図7A及び表5に示す。SAAの最も高いベースライン濃度を有するサリルマブを投与された患者は、低三分位数の患者と比較して、アダリムマブを用いたよりもACR20/50/70又はDAS28-CRP<3.2応答を達成する可能性がより高かった:ACR20(OR[95% CI] 5.5[2.1、14.5]);ACR50(5.4[2.2、13.2]);ACR70(5.7 [1.8、18.4]);DAS28-CRP<3.2(6.1[2.3、15.7])(
図7A及び表5)。SAAは、ACR20及びDAS28-CRP<3.2応答についてのみ予測的であった高いMMP-3及びCRPと比較して一貫して予測的であった(表5)。骨リモデリング、滑膜リンパ系細胞及び骨髄系細胞浸潤並びに炎症の貧血に関連するバイオマーカーのベースラインレベルは、ACR20応答と関連していたヘプシジン及びCXCL13を除いて、24週目における有効性について予測的でなかった。
【0216】
【表6】
M/L:中三分位対低三分位についてのバイオマーカーごと処置相互作用の名目上のP値;H/L:高三分位数対低三分位数についてのバイオマーカーごと処置相互作用の名目上P値。ACR20/50/70:米国リウマチ学会20/50/70%応答;CRP:C反応性タンパク質;CXCL13:ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13;DAS28 CRP:疾患活動性スコア(28関節)C反応性タンパク質;DAS28-ESR:疾患活動性スコア(28関節) 赤血球沈降速度;MMP-3:マトリックスメタロプロテアーゼ3;NS:5%で有意ではない;OC:オステオカルシン;OPG:オステオプロテゲリン;SAA:血清アミロイドA。
【0217】
PRO応答を予測するベースラインバイオマーカーレベルの能力を、それらのそれぞれの三分位数ごとに分析し、そしてより高いSAA、MMP-3及びヘプシジンレベルを有するサリルマブで処置された患者は、アダリムマブ処置患者と比較してHAQ-DI(
図7B上)及び痛みVAS(
図7B下)スコア、さらには患者の全般VAS、朝のこわばりVAS、SF-36 PCS及び身体的機能ドメイン及びRAIDを含む改善されたPRO応答を報告することを示した。これらの相互作用についてのP値は
図7B及び表6に含まれ、低レベルと比較してこれらのバイオマーカーの高レベルにより予測される異なった有効性を実証した。慢性疾患の貧血に関連するマーカー(ヘプシジン、フェリチン及び鉄)のベースラインレベルも、24週目のPRO改善と関連していた(表6)。連続的尺度としてのバイオマーカーの解析も、SAA、MMP-3、CRP及びP1NPと24週目のHAQ-DIとの相互作用を明らかにした(相互作用名目P値<0.01)。
【0218】
【表7】
M/L:中三分位数対低三分位数についてのバイオマーカーごと処置相互作用の名目P値;H/L:高三分位数対低三分位数についてのバイオマーカーごと処置相互作用の名目P値。BP:体痛;CRP:C反応性タンパク質;CXCL13:ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド13;FACIT:慢性疾患治療の機能評価;HAQ-DI:健康評価質問表-機能障害指数;Lp(a):リポタンパク質(a);MCS:精神的コンポーネントサマリー;MH:精神的健康;MMP-3:マトリックスメタロプロテアーゼ-3;NS:5%で有意でない;OC:オステオカルシン;OPG:オステオプロテゲリン;P1NP:プロコラーゲン1型N末端プロペプチド;PCS:身体的コンポーネントサマリー;PF:身体機能;RAID:疾患の関節リウマチの影響;RANKL:核因子-κBリガンドの受容体活性化因子;RE:日常役割機能(精神);SAA:血清アミロイドA;SF-36:医学的アウトカム研究ショートフォーム(36項目)健康調査;sICAM-1:可溶性細胞間接着分子-1;TIBC:総鉄結合能;VAS:視覚的アナログ尺度;VT:活力。
【0219】
臨床応答の予測のための骨髄系リンパ系活性化に関連するマーカーの特異的組み合わせの評価
CXCL13及びsICAM-1のベースラインレベルを解析して、これらのバイオマーカーの異なった比(高/高、高/低、低/高及び低/低;カットオフとして集団全体の中央値を使用する)が24週目のサリルマブ又はアダリムマブ処置に対する臨床応答を予測し得るか否かを決定した。CXCL13高/sICAM-1高及びCXCL13低/sICAM-1低の患者は、アダリムマブよりもサリルマブでより高いACR50応答を有していたが、他の組み合わせは予測的ではなかった(名目P>0.05;
図8)。さらに、CXCL13高/sICAM-1高の患者は、アダリムマブよりサリルマブでより高いACR20応答を有していた(OR 3.8[95% CI 1.5、9.8];名目P=0.004)が、他の組み合わせは予測的ではなかった(名目P>0.05)。
【0220】
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【国際調査報告】