(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】透明相変化アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H01L 41/09 20060101AFI20221020BHJP
H01L 41/187 20060101ALI20221020BHJP
H01L 41/083 20060101ALI20221020BHJP
H01L 41/22 20130101ALI20221020BHJP
G02B 27/02 20060101ALN20221020BHJP
【FI】
H01L41/09
H01L41/187
H01L41/083
H01L41/18 101D
H01L41/22
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571326
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(85)【翻訳文提出日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 US2020045073
(87)【国際公開番号】W WO2021034505
(87)【国際公開日】2021-02-25
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】スミス, キャサリン マリー
(72)【発明者】
【氏名】ウェルズ, スペンサー アラン
(72)【発明者】
【氏名】ウーダーカーク, アンドリュー ジョン
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA04
2H199CA91
2H199CA92
2H199CA93
(57)【要約】
透明光学的要素は、透明電極が、各々、電気活性セラミックの層の無極性方向に対して垂直に配向されるように、電極の間に配設されたセラミック層を含み得る。透過率、ヘイズ、および透明度を含む、光学的要素の光学的特性は、電気活性セラミックへの電圧の印加、および関連する相変態によって改善され得る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次電極と、
前記1次電極の少なくとも一部分に重なる2次電極と、
前記1次電極と前記2次電極との間に配設され、前記1次電極および前記2次電極に当接する電気活性セラミックであって、前記1次電極および前記2次電極が、各々、前記電気活性セラミックの無極性方向に対して垂直に配向された、電気活性セラミックと
を備える、光学的要素。
【請求項2】
前記電気活性セラミックは、
菱面体晶相であって、前記1次電極および前記2次電極の各々が、前記菱面体晶相の<110>結晶学的方向、または前記菱面体晶相の<100>結晶学的方向に対して垂直に配向される、菱面体晶相と、
斜方晶相であって、前記1次電極および前記2次電極の各々が、前記斜方晶相の<111>結晶学的方向、または前記斜方晶相の<100>結晶学的方向に対して垂直に配向される、斜方晶相と、
正方晶相であって、前記1次電極および前記2次電極の各々が、前記正方晶相の<111>結晶学的方向、または前記正方晶相の<110>結晶学的方向に対して垂直に配向される、正方晶相と
のうちの1つ以上を備える、請求項1に記載の光学的要素。
【請求項3】
前記電気活性セラミックが、少なくとも約50%の可視スペクトル内の透過率、および約10%未満のバルクヘイズを備える、請求項1または2に記載の光学的要素。
【請求項4】
前記電気活性セラミックが、少なくとも約0.5MV/mの印加された界に曝露されたとき、
少なくとも約50%の前記可視スペクトル内の光学的透過率、
約50%未満のバルクヘイズ、および
少なくとも約75%の光学的透明度
のうちの少なくとも1つを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学的要素。
【請求項5】
前記電気活性セラミックが、少なくとも約0.5MV/mの印加された界に曝露されたとき、
少なくとも約10%の光学的透過率の相対的増加、
少なくとも約25%のバルクヘイズの相対的減少、および
少なくとも約10%の光学的透明度の相対的増加
のうちの少なくとも1つを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の光学的要素。
【請求項6】
前記電気活性セラミックが、少なくとも約0.5MV/mの印加された界に曝露されたとき、
菱面体晶~斜方晶、
菱面体晶~正方晶、
斜方晶~菱面体晶、
斜方晶~正方晶、
正方晶~菱面体晶、および
正方晶~斜方晶
からなるグループから選択された少なくとも1つの相変態が起きる、請求項1から5のいずれか一項に記載の光学的要素。
【請求項7】
前記電気活性セラミックが、
好ましい<111>配向を有する菱面体晶結晶構造、
好ましい<110>配向を有する斜方晶または単斜晶結晶構造、および
好ましい<100>配向を有する正方晶結晶構造
のうちの1つ以上を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の光学的要素。
【請求項8】
前記電気活性セラミックが、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、インジウムニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛-チタン酸鉛、インジウムタンタル酸鉛、チタン酸バリウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸カリウムナトリウム、チタン酸ビスマスナトリウム、およびビスマスフェライトからなるグループから選択された少なくとも1つの化合物を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の光学的要素。
【請求項9】
前記電気活性セラミックが、約5nm未満のRMS表面粗さを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の光学的要素。
【請求項10】
前記電気活性セラミックが、ペロブスカイトセラミックからなる、請求項1から9のいずれか一項に記載の光学的要素。
【請求項11】
前記電気活性セラミックは、電圧が、前記1次電極に印加されたとき、透明性の少なくとも25%の増加、透明度の少なくとも25%の増加、およびバルクヘイズの少なくとも25%の減少を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の光学的要素。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の光学的要素を備えるデバイス。
【請求項13】
1次透明電極と、
前記1次透明電極の少なくとも一部分に重なる2次透明電極と、
前記1次透明電極と前記2次透明電極との間に配設され、前記1次透明電極および前記2次透明電極に当接する透明電気活性セラミック層であって、前記電気活性セラミック層は、前記電極の間で電圧が印加されない場合に、複数の磁区を備え、電圧が、前記電極の間に印加されたとき、単一の磁区を備える、透明電気活性セラミック層と
を備える、光学的要素。
【請求項14】
1次電極を形成することと、
電気活性セラミック層を、前記1次電極の上に形成し、前記1次電極に当接させることと、
2次電極を、前記電気活性セラミック層の上に形成し、前記電気活性セラミック層に当接させ、前記1次電極の少なくとも一部分に重ねることと、
前記1次電極に電圧を印加することであって、前記電気活性セラミック層が、
前記電圧を印加するより前に、第1のバルクヘイズおよび第1の光学的透明度を、ならびに
前記電圧の印加中に、前記第1のバルクヘイズ未満の第2のバルクヘイズ、および前記第1の光学的透明度よりも大きい第2の光学的透明度を
備える、電圧を印加することと
を含む方法。
【請求項15】
前記電圧を印加することが、前記電気活性セラミック層内の磁区の回転、および前記電気活性セラミック層内の相変化の一方または両方を誘起する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、拡張現実、複合現実、および/または仮想現実システムなど、人工現実システムに関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックおよび他の誘電体材料は、アクティブおよびパッシブ光学素子および電気活性デバイスを含む、様々な光学および電気光学デバイスアーキテクチャ中に組み込まれ得る。圧電、強誘電、および電歪セラミック材料を含む、電気活性材料は、電界の影響下で電気活性材料の形状を変更し得る。電気活性材料は、作動、検知および/またはエネルギーハーベスティングを含む、様々な技術において使用するために調査されてきた。軽量で、適合性のある電気活性セラミックは、触覚デバイスなど、ウェアラブルデバイス中に組み込まれ得、快適で、調整可能なフォームファクタが所望される仮想現実/拡張現実デバイスを含む、新技術のための魅力的な候補である。
【0003】
仮想現実および拡張現実アイウェアデバイスまたはヘッドセットは、3次元世界のコンピュータ生成シミュレーション中の人々との相互作用、または現実世界の眺め上に重畳されたデータを眺めることなど、イベントをユーザが体感することを可能にし得る。仮想現実/拡張現実アイウェアデバイスおよびヘッドセットは、レクリエーション以外の目的のためにも使用され得る。たとえば、政府は、軍事トレーニングのためにそのようなデバイスを使用し得、医療専門家は、手術をシミュレートするためにそのようなデバイスを使用し得、技術者は、設計可視化補助としてそのようなデバイスを使用し得る。
【0004】
これらおよび他の適用例は、導電性電極の間の圧縮に対する応答として横方向の変形(たとえば、横方向の拡張または収縮)を生成するための圧電効果を含む、電気活性材料の1つまたは複数の特性を活用し得る。電気活性層を含んでいる例示的仮想現実/拡張現実アセンブリは、ミラー、レンズ、または適応光学素子など、変形可能な光学素子を含み得る。電気活性セラミックの変形は、レンズシステムなど、光学的アセンブリ中の光学的要素を作動させるために使用され得る。
【0005】
多くの電気活性圧電セラミックの薄層は、本質的に透明であり得るが、電気活性圧電セラミックの薄層の、光学的アセンブリまたは光学的デバイス中への組込みに関連して、そのような材料と、隣接する層(たとえば、空気)との間の屈折率の変動は、光散乱、および光学的品質または性能の対応する劣化を引き起こし得る。これに関連して、強誘電体材料は、磁区、および光を散乱する関連する複屈折境界を形成する異なる方向に、自発的に偏光し得る。
【0006】
多くの強誘電体材料における圧電応答の起源は、印加された電界の印加の下で起こる圧電拡大と、材料内の磁区のせん断回転の両方によるものであり得る。いくつかの実施形態では、電界が、無極性で高対称性の軸に沿って印加されたとき、磁区は、印加された界の方向にまとめて回転し、材料が、圧電拡大のみが起きる場合と比較して、圧電応答の10~20倍の増加を(いくつかの場合には)生じ得る。
【0007】
光学的散乱のさらなる発生源は、多孔性、磁区壁、および粒界を含む。これにより、最近の発展にもかかわらず、光学的に透明なパッケージ中の制御可能でロバストな変形応答を含む、改善された作動特性を有するセラミックまたは他の誘電体材料を提供することは、有益であろう。
【発明の概要】
【0008】
以下でより詳細に説明されるように、本開示は、作動可能で透明な光学的要素、およびそのような光学的要素を形成するための方法に関する。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、1次電極と、1次電極の少なくとも一部分に重なる2次電極と、1次電極と2次電極との間に配設され、1次電極および2次電極に当接する電気活性セラミックであって、1次電極および2次電極が、各々、電気活性セラミックの無極性方向に対して垂直に配向された、電気活性セラミックとを備える、光学的要素が提供される。
【0010】
電気活性セラミックは、菱面体晶相を備え得る。1次電極および2次電極の各々は、菱面体晶相の<110>結晶学的方向、または菱面体晶相の<100>結晶学的方向に対して垂直に配向され得る。
【0011】
電気活性セラミックは、斜方晶相を備え得る。1次電極および2次電極の各々は、斜方晶相の<111>結晶学的方向、または斜方晶相の<100>結晶学的方向に対して垂直に配向され得る。
【0012】
電気活性セラミックは、正方晶相を備え得る。1次電極および2次電極の各々は、正方晶相の<111>結晶学的方向、または正方晶相の<110>結晶学的方向に対して垂直に配向され得る。
【0013】
電気活性セラミックは、少なくとも約50%の可視スペクトル内の透過率、および約10%未満のバルクヘイズを備え得る。
【0014】
電気活性セラミックは、少なくとも約0.5MV/mの印加された界に曝露されたとき、少なくとも約50%の可視スペクトル内の光学的透過率、約50%未満のバルクヘイズ、および少なくとも約75%の光学的透明度のうちの少なくとも1つを備え得る。
【0015】
電気活性セラミックは、少なくとも約0.5MV/mの印加された界に曝露されたとき、少なくとも約10%の光学的透過率の相対的増加、少なくとも約25%のバルクヘイズの相対的減少、および少なくとも約10%の光学的透明度の相対的増加のうちの少なくとも1つを備え得る。
【0016】
電気活性セラミックは、少なくとも約0.5MV/mの印加された界に曝露されたとき、菱面体晶~斜方晶、菱面体晶~正方晶、斜方晶~菱面体晶、斜方晶~正方晶、正方晶~菱面体晶、および正方晶~斜方晶からなるグループから選択された少なくとも1つの相変態が起き得る。
【0017】
電気活性セラミックは、好ましい<111>配向を有する菱面体晶結晶構造を備え得る。
【0018】
電気活性セラミックは、好ましい<110>配向を有する斜方晶または単斜晶結晶構造を備え得る。
【0019】
電気活性セラミックは、好ましい<100>配向を有する正方晶結晶構造を備え得る。
【0020】
電気活性セラミックは、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、インジウムニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛-チタン酸鉛、インジウムタンタル酸鉛、チタン酸バリウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸カリウムナトリウム、チタン酸ビスマスナトリウム、およびビスマスフェライトからなるグループから選択された少なくとも1つの化合物を備え得る。
【0021】
電気活性セラミックは、約5nm未満のRMS表面粗さを備え得る。
【0022】
電気活性セラミックは、本質的に、ペロブスカイトセラミックからなり得る。
【0023】
電気活性セラミックは、電圧が、1次電極に印加されたとき、透明性の少なくとも25%の増加、透明度の少なくとも25%の増加、および/またはバルクヘイズの少なくとも25%の減少を備え得る。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様の光学的要素を備えるデバイスが提供される。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、1次透明電極と、1次透明電極の少なくとも一部分に重なる2次透明電極と、1次透明電極と2次透明電極との間に配設され、1次透明電極および2次透明電極に当接する透明電気活性セラミック層であって、電気活性セラミック層は、電極の間で電圧が印加されない場合に、複数の磁区を備え、電圧が、電極の間に印加されたとき、単一の磁区を備える、透明電気活性セラミック層とを備える、光学的要素が提供される。
【0026】
本発明の第4の態様によれば、1次電極を形成することと、電気活性セラミック層を、1次電極の上に形成し、1次電極に当接させることと、2次電極を、電気活性セラミック層の上に形成し、電気活性セラミック層に当接させ、1次電極の少なくとも一部分に重ねることと、1次電極に電圧を印加することであって、電気活性セラミック層が、電圧を印加するより前に、第1のバルクヘイズおよび第1の光学的透明度を、ならびに電圧の印加中に、第1のバルクヘイズ未満の第2のバルクヘイズ、および第1の光学的透明度よりも大きい第2の光学的透明度を備える、電圧を印加することと、を含む方法が提供される。
【0027】
電圧を印加することは、電気活性セラミック層内の磁区の回転を誘起し得る。
【0028】
電圧を印加することは、電気活性セラミック層内の相変化を誘起し得る。
【0029】
本明細書で使用される、「透明」または「光学的に透明」である材料または要素は、たとえば、少なくとも約50%、たとえば、下記の値のうちの任意の値間の範囲を含む、約50、60、70、80、90、95、97、98、99、または99.5%の可視光スペクトル内の透過率(すなわち、光学的透過度)と、約80%未満のヘイズ、たとえば、下記の値のうちの任意の値間の範囲を含む、約1、2、5、10、20、30、40、50、60または70%のヘイズとを有し得る。いくつかの実施形態によれば、「十分に透明な」材料または要素は、少なくとも約75%、たとえば、下記の値のうちの任意の値間の範囲を含む、約75、80、90、95、97、98、99、または99.5%の可視光スペクトル内の透過率と、約10%未満のヘイズ、たとえば、下記の値のうちの任意の値間の範囲を含む、約0、1、2、4、6、または8%のヘイズとを有し得る。透明な、および十分に透明な材料は、一般に、極めて低い光学的吸収および最小の光学的散乱を呈する。
【0030】
本明細書で使用される、「ヘイズ」および「透明度」という用語は、材料を通る光の透過に関連する光学的現象を指すことがあり、たとえば、2次相または多孔性、および/あるいは材料の1つまたは複数の表面からの光の反射による、材料内の光の屈折に起因し得る。当業者によって諒解されるように、ヘイズは、広角(すなわち、法線から2.5°よりも大きい角度の)散乱を被った光の量、および透過コントラストの対応する損失に関連し得るのに対して、透明度は、狭角(すなわち、法線から2.5°未満の角度の)散乱を被った光の量、および光学的鮮明度またはシースルー品質の付随する損失に関し得る。
【0031】
添付の図面は、いくつかの例示的な実施形態を図示しており、明細書の一部である。以下の説明とともに、これらの図面は、本開示の様々な原理を明示および解説する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】いくつかの実施形態による、例示的な光学的に透明なマルチレイヤアクチュエータの概略図である。
【
図2】例示的電気活性セラミックの平衡相図である。
【
図3】様々な実施形態による、(A)ランダムに配向された粒子、(B)テクスチャ加工多結晶微細構造、および(C)単結晶微細構造を有する、電気活性セラミックの概略図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、菱面体晶微細構造を有する電気活性セラミックについての極性方向を示す図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、斜方晶または単斜晶微細構造を有する電気活性セラミックについての極性方向を示す図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、正方晶微細構造を有する電気活性セラミックについての極性方向を示す図である。
【
図7】いくらかの実施形態による、代表[111]方向に沿ってポーリングされた例示的菱面体晶電気活性セラミックの概略図である。
【
図8】いくらかの実施形態による、代表[110]方向に沿ってポーリングされた例示的斜方晶電気活性セラミックの概略図である。
【
図9】いくらかの実施形態による、代表[100]方向に沿ってポーリングされた例示的正方晶電気活性セラミックの概略図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、例示的電気活性セラミックのためのE界誘起相変態を図示する概略図である。
【
図11】いくらかの実施形態による、E界誘起相変態に関連する電気活性セラミックの機械的応答を図示する、ひずみ対電界のプロットである。
【
図12】いくつかの実施形態による、E界誘起相変態のペアに関連する電気活性セラミックの機械的応答を図示する、ひずみ対電界のプロットである。
【
図13】さらなる実施形態による、E界誘起相変態に関連する電気活性セラミックの機械的応答を図示する、ひずみ対電界のプロットである。
【
図14】いくつかの実施形態による、菱面体晶~正方晶相変態が起きる間に青色光を用いて照らされた電気活性セラミックの光学的特性に対する、印加された界の影響を示すプロットである。
【
図15】いくつかの実施形態による、菱面体晶~正方晶相変態が起きる間に赤色光を用いて照らされた電気活性セラミックの光学的特性に対する、印加された界の影響を示すプロットである。
【
図16】いくつかの実施形態による、斜方晶~正方晶相変態が起きる間に青色光を用いて照らされた電気活性セラミックの光学的特性に対する、印加された界の影響を示すプロットである。
【
図17】いくつかの実施形態による、斜方晶~正方晶相変態が起きる間に赤色光を用いて照らされた電気活性セラミックの光学的特性に対する、印加された界の影響を示すプロットである。
【
図18】いくつかの実施形態による、正方晶~菱面体晶相変態が起きる間に赤色光を用いて照らされた電気活性セラミックの光学的特性に対する、印加された界の影響を示すプロットである。
【
図19】いくつかの実施形態による、正方晶~斜方晶相変態が起きる間に赤色光を用いて照らされた電気活性セラミックの光学的特性に対する、印加された界の影響を示すプロットである。
【
図20】いくつかの実施形態による、正方晶~菱面体晶相変態が起きる間に青色光を用いて照らされた電気活性セラミックの光学的特性に対する、印加された界の影響を示すプロットである。
【
図21】いくつかの実施形態による、正方晶~斜方晶相変態が起きる間に青色光を用いて照らされた電気活性セラミックの光学的特性に対する、印加された界の影響を示すプロットである。
【
図22】いくつかの実施形態による、菱面体晶~斜方晶相変態が起きる間に青色光を用いて照らされた電気活性セラミックの光学的特性に対する、印加された界の影響を示すプロットである。
【
図23】いくつかの実施形態による、菱面体晶~斜方晶相変態が起きる間に赤色光を用いて照らされた電気活性セラミックの光学的特性に対する、印加された界の影響を示すプロットである。
【
図24】いくつかの実施形態による、斜方晶~菱面体晶相変態が起きる間に青色光を用いて照らされた電気活性セラミックの光学的特性に対する、印加された界の影響を示すプロットである。
【
図25】いくつかの実施形態による、斜方晶~菱面体晶相変態が起きる間に赤色光を用いて照らされた電気活性セラミックの光学的特性に対する、印加された界の影響を示すプロットである。
【
図26】本開示の実施形態に関連して使用され得る、例示的な人工現実ヘッドバンドの図である。
【
図27】本開示の実施形態に関連して使用され得る、例示的な拡張現実眼鏡の図である。
【
図28】本開示の実施形態に関連して使用され得る、例示的な仮想現実ヘッドセットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面全体にわたって、同等の参照符号および説明は、必ずしも同等とは限らないが、類似の要素を指し示す。本明細書で説明される例示的な実施形態は、様々な変更形態および代替の形態が可能であるが、特定の実施形態が、図面中で例として示されており、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本明細書で説明される例示的な実施形態は、開示される特定の形態に限定されるものではない。そうではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲内に入るすべての変更形態、等価物、および代替形態を包含する。
【0034】
図1を参照すると、様々な実施形態によれば、光学的要素100は、1次電極111と、1次電極の少なくとも一部分に重なる2次電極112と、1次電極111と2次電極112との間に配設され、1次電極111および2次電極112に当接する第1の電気活性層121とを含み得、ここで、光学的要素100は、光学的に透明である。図示されている実施形態では、開示されるマルチレイヤアーキテクチャは、2次電極112の上に配設された第2の電気活性層122と、第2の電気活性層122の上に、すなわち、2次電極112の少なくとも一部分の反対側に配設され、2次電極112の少なくとも一部分に重なる3次電極113とをさらに含み得る。
【0035】
本明細書で使用される、「電気活性材料」は、いくつかの例では、電界によって刺激されたときにサイズまたは形状の変化を呈する材料を指し得る。静電界(E界)の存在下で、電気活性材料は、印加された電界の大きさおよび方向に従って変形(たとえば、圧縮する、伸長する、曲がるなど)し得る。そのような界の生成は、2つの電極、すなわち、各々が異なる電位にある、1次電極および2次電極の間に電気活性材料を置くことによって達成され得る。電極の間の電位差(すなわち、電圧差)が、(たとえば、ゼロ電位から)増加させられるにつれて、変形の量も、主に電界線に沿って増加し得る。この変形は、いくらかの静電界強度に達したとき、飽和を実現し得る。静電界がない場合、電気活性材料は、内部または外部のいずれかの、誘起された変形、または言い換えると、誘起されたひずみを受けない電気活性材料の弛緩状態にあり得る。
【0036】
いくつかの事例では、反対の電荷の間で作り出される力である、静電界(E界)の存在下での電気活性材料の圧縮性質の物理起源は、マクスウェル応力テンソルを用いて数学的に表現される、マクスウェル応力のものである。所与のE界によって誘起されるひずみまたは変形のレベルは、E界強度の2乗、ならびに電気活性材料の誘電率および弾性コンプライアンスに依存する。この場合のコンプライアンスは、応力に関するひずみの変化、または類似して、さらに実際的にいうと、力に関する変位の変化である。いくつかの実施形態では、電気活性層は、光学的要素の剛性、よって、光学的要素の作動特性を変えるために、事前にひずませられ(または事前に応力を加えられ)得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、反転対称性のない結晶材料における電気的に誘起されたひずみである、E界の存在下での電気活性材料の電気機械ひずみの物理起源は、圧電テンソルを用いて数学的に表現される、逆圧電効果に由来する。
【0038】
電気活性層は、たとえば、セラミック材料を含み得、電極は、各々、透明導電性酸化物(たとえば、ITOなど、TCO)、グラフェンなど、任意の好適な導電性材料の1つまたは複数の層を含み得る。いくつかの実施形態では、多結晶セラミックは、内部空気材料インターフェースからの散乱を減少させることによって、光学的品質に対する散乱の影響を緩和することができる、少なくとも99%の相対密度、ならびに粒子の間の複屈折の実効的な大きさを減少させることによって、光学的品質に対する散乱の影響を緩和することができる、好ましい結晶学的配向を有し得る。
【0039】
例示的電気活性セラミックは、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、マグネシウムニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、インジウムニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛(PMT-PT)、亜鉛ニオブ酸鉛-チタン酸鉛(PZN-PT)、インジウムタンタル酸鉛、チタン酸バリウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸カリウムナトリウム、チタン酸ビスマスナトリウム、およびビスマスフェライト、ならびにそれらの固溶体または混合物を含む、ペロブスカイトセラミックなど、1つまたは複数の電気活性、圧電、反強誘電、リラクサ、あるいは強誘電セラミックを含み得る。例示的非ペロブスカイト圧電セラミックは、石英および窒化ガリウムを含む。いくつかの実施形態によれば、電気活性セラミックは、カルシウム、ランタン、ユウロピウム、ネオジム、スカンジウム、およびエルビウムから選択された1つまたは複数のドーパントでドープされ得る。
【0040】
いくらかの実施形態では、本明細書で開示される電気活性セラミックは、ペロブスカイトセラミックであり得、実質的に2次相がないことがあり、すなわち、約2容量%未満の任意の2次相を含んでいることがあり、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、または0.1%未満の多孔性を含む。さらなる例示的2次相は、材料の圧電応答に悪影響を与え得る、パイロクロアを含み得る。いくらかの実施形態では、開示される電気活性セラミックは、異なる屈折率を有する様々である偏光の複数の固有の磁区または領域を含む材料に起因し得る、複屈折であり得、したがって、材料を通過する光が受ける屈折率は、光の伝搬方向ならびに光の偏光の関数であり得る。
【0041】
単結晶圧電材料など、セラミック電気活性材料が、たとえば、所望の結晶配向を有するウエハをもたらすために、指定された結晶面に沿って切断され得る、配向されたインゴットをもたらすために、熱水処理を使用してまたはチョクラルスキー法によって形成され得る。単結晶を形成するためのさらなる方法は、フロートゾーン、ブリッジマン、ストックバーガー、化学気相堆積、物理気相輸送、ソルボサーマル技法などを含む。ウエハは、たとえば、ラッピングまたは研削、および/あるいは研磨されることを介して薄くされ得、透明電極は、たとえば、スパッタリングまたは蒸発など、化学気相堆積または物理気相堆積プロセスを使用して、ウエハ上に直接形成され得る。
【0042】
上記に加えて、多結晶圧電材料が、たとえば、粉末処理によって形成され得る。高純度で、超微細な多結晶粒子の高密度にパックされたネットワークは、高度に透明であり得、高密度にパックされたネットワークの単結晶カウンターパートよりも、薄層において機械的にロバストであり得る。たとえば、>99.9%の純度を有する光学的グレードランタンドープチタン酸ジルコン酸鉛(PLZT)は、サブミクロン(たとえば、<2μm)粒子を使用して形成され得る。この点について、La2+および/またはBa2+を用いたAおよびBサイト空格子点におけるPb2+のドーピングを介した置換が、PZN-PT、PZTおよびPMN-PTなど、ペロブスカイトセラミックの透明性を増加させるために使用され得る。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、超微細粒子前駆体が、化学共沈、ゾルゲルおよびゲル燃焼など、ウェット化学方法を介して作製され得る。グリーンボディが、テープ鋳造、スリップ鋳造、またはゲル鋳造を使用して形成され得る。たとえば、ホットプレス、高圧(HP)および熱間等方加圧、スパークプラズマ焼結、およびマイクロ波焼結などの技法を介した、高圧で高温の焼結が、セラミック粒子パッキング密度を改善するために使用され得る。ラッピング、研削および/または研磨を介した薄化が、高い変位作動に好適である、薄く、高度に光学的に透明な層を実現するように表面粗さを減少させるために使用され得る。原子間力顕微鏡法(AFM)または干渉法により測定されると、電気活性セラミックは、約5nm未満、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、約1、2、または5nmのRMS表面粗さを有し得る。
【0044】
電気活性セラミックは、所望のダイポール整合を実現するためにポーリングされ得る。本明細書で使用される、「ポーリングされた」材料を形成するための「ポーリング」は、いくつかの例では、それによって、電界が、電気活性セラミックに印加されるプロセスを指し得る。ポーリングの効果は、印加された界の方向における純偏光をもたらすための、材料内の様々な磁区の整合を含み得る。
【0045】
好ましい結晶学的配向(すなわち、テクスチャ)を有するセラミックが、電気泳動、スリップ鋳造、電界整合、磁界整合、高圧焼結、一軸プレス、温度勾配、スパークプラズマ焼結、方向性凝固、テンプレート化粒子成長、ローリング、およびせん断整合を含む、様々な方法によって形成され得る。
【0046】
諒解されるように、本明細書で示され、説明される方法およびシステムは、電気活性材料の単一の層または複数の層(たとえば、数個の層~数十、数百、または数千個のスタック層)を有する電気活性デバイスを形成するために使用され得る。たとえば、電気活性デバイスは、2個の電気活性層および対応する電極から、数千個の電気活性層(たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、約5個、約10個、約20個、約30個、約40個、約50個、約100個、約200個、約300個、約400個、約500個、約600個、約700個、約800個、約900個、約1000個、約2000個、または約2000個よりも多い電気活性層)までのスタックを含み得る。多数の層が、高い変位出力を実現するために使用され得、ここで、全体的なデバイス変位は、各層の変位の和として表現され得る。そのような複素配列は、電気活性デバイスを動作させるとき、圧縮、拡大、ねじり、および/または曲げを可能にし得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、光学的要素は、電気活性層の狭窄を強いる静電界の作成を可能にする、ペアにされた電極を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される、「電極」は、薄膜または層の形態にあり得る、導電性材料を指し得る。電極は、相対的に薄い、導電性金属または金属合金を含み得、コンプライアンスがないまたはコンプライアンスがある性質のものであり得る。
【0048】
電極は、金属、(ドープ半導体など)半導体、カーボンナノチューブ、グラフェン、酸化グラフェン、フッ素化グラフェン、水素化グラフェン、他のグラフェン派生物、カーボンブラック、透明導電性酸化物(TCO、たとえば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)など)、または他の導電材料など、1つまたは複数の導電性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、電極は、アルミニウム、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、タンタル、スズ、銅、インジウム、ガリウム、亜鉛、それらの合金、および同様のものなど、金属を含み得る。さらなる例示的透明導電性酸化物は、限定はしないが、アルミニウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化カドミウム、インジウム酸化亜鉛、インジウムガリウム酸化スズ、インジウムガリウム亜鉛酸化スズ、バナジウム酸ストロンチウム、ニオブ酸ストロンチウム、モリブデン酸ストロンチウム、モリブデン酸カルシウム、およびインジウム亜鉛酸化スズを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、電極または電極層は、回路の局所短絡からの損傷が隔離され得るような、自己回復型であり得る。好適な自己回復型電極は、たとえば、アルミニウムなど、ジュール加熱時に不可逆的に変形または酸化する材料の薄膜を含み得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、1次電極は、2次電極の少なくとも一部分に重なり(たとえば、平行方向において重なる)得る。1次および2次電極は、概して、平行で、離間され、電気活性材料の層によって分離され得る。3次電極が、1次または2次電極のいずれかの少なくとも一部分に重なり得る。
【0051】
光学的要素は、電極の第1のペア(たとえば、1次電極と2次電極)の間に配設され得る、第1の電気活性層を含み得る。第2の光学的要素は、使用される場合、第2の電気活性層を含み得、電極の第2のペアの間に配設され得る。いくつかの実施形態では、電極の第1のペアと電極の第2のペアの両方に共通である電極があり得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の電極は、随意に、たとえば、接触またはショーページ層を通って、共通電極に電気的に相互接続され得る。いくつかの実施形態では、光学的要素は、第1の複数の電極に接続された第1の共通電極と、第2の複数の電極に接続された第2の共通電極とを有し得る。いくつかの実施形態では、電極(たとえば、第1の複数の電極のうちの1つおよび第2の複数の電極のうちの1つ)は、誘電体層など、絶縁体を使用して互いから電気的に隔離され得る。絶縁体は、明らかな電気伝導率をもたない材料を含み得、たとえば、アクリレートまたはシリコーンポリマーなど、誘電体材料を含み得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、共通電極は、1つまたは複数の他の電極、たとえば、1次電極の両側に位置決めされた2次電極および3次電極に電気的に結合(たとえば、低い接触抵抗を有するインターフェースにおいて電気的に接触させられる)され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、電極は、可撓性および/または弾性があり得、光学的要素が変形を受けたとき、たとえば弾性的に、伸張し得る。この点について、電極は、アルミニウム、グラフェン、カーボンナノチューブなど、金属を含み得る。他の実施形態では、相対的に剛性の電極(たとえば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、および同様のものなど、1つまたは複数の透明導電酸化物(TCO)を含む電極)が使用され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、電極(たとえば、1次電極および2次電極)は、約0.35nm~約1000nm、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、約0.35、0.5、1、2、5、10、20、50、100、200、500、または1000nmの厚さを有し得、約10nm~約50nmの例示的厚さをもつ。いくつかの実施形態では、共通電極は、傾斜させられた形状を有し得るか、またはより複雑な形状(たとえば、パターニングされたまたは自由形態)であり得る。いくつかの実施形態では、共通電極は、動作中の光学的要素またはデバイスの圧縮および拡張を可能にするように整形され得る。
【0056】
いくらかの実施形態における電極は、少なくとも約50%、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、約99%、または約99.5%の光学的透過率を有し得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される電極(たとえば、1次電極、2次電極、または任意の共通電極を含む任意の他の電極)は、任意の好適なプロセスを使用して作製され得る。たとえば、電極は、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、蒸発、スプレーコーティング、スピンコーティング、浸漬コーティング、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、エアロゾルジェット印刷、ドクターブレード法、および同様のものを使用して作製され得る。さらなる態様では、電極は、熱蒸発器、スパッタリングシステム、スタンピング、および同様のものを使用して製造され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、電気活性材料の層は、電極上に直接堆積され得る。いくつかの実施形態では、電極層は、電気活性材料上に直接堆積され得る。いくつかの実施形態では、電極は、事前作製され、電気活性材料に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、電極は、基板、たとえば、ガラス基板または可撓性ポリマーフィルム上に堆積され得る。いくつかの実施形態では、電気活性材料層は、電極に直接当接し得る。いくつかの実施形態では、電気活性材料の層と電極との間に、誘電体層など、絶縁層があり得る。
【0059】
電極は、すなわち、全域カバレッジを介して、大規模変形に影響を及ぼすために使用され得るか、または電極は、空間的に局所化された応力/ひずみプロファイルを提供するために、パターニングされ得る。特定の実施形態では、変形可能な光学的要素および電気活性層は、共組み込みされ得、それにより、変形可能な光学素子は、光学素子自体で作動可能になり得る。加えて、溶液ベースの固体堆積技法を含む、光学的要素を形成する様々な方法が開示される。
【0060】
いくらかの実施形態によれば、透明電極の間に配設された電気活性層を含む光学的要素が、様々なデバイスアーキテクチャ中に組み込まれ得、ここで、電気活性層中で実現される容量性作動および付随するひずみ(すなわち、印加された電界の方向における横方向の拡張および圧縮)が、デバイス内の1つまたは複数の隣接するアクティブ層中の変形を誘起し、したがって、アクティブ層の光学的性能を変更し得る。横方向の変形は、本質的に、アンカード薄膜の場合、1次元、または2次元であり得る。いくつかの実施形態では、逆に印加された電圧によって拡張と圧縮とに交互に置かれる2つまたはそれ以上の電気活性層の計画された変形は、焦点または収差制御など、光学的同調を提供するために使用され得る、デバイススタック中の曲げまたは曲率変化を誘起するために使用され得る。
【0061】
いくつかの適用例では、本明細書で開示される原理に関連して使用される光学的要素は、1次電極と、2次電極と、1次電極と2次電極との間に配設されたテクスチャ加工された光学的に透明な電気活性層とを含み得る。様々な実施形態によれば、電気活性層は微細構造工学によって形成され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の追加の電極があり得、共通電極が、追加の電極のうちの1つまたは複数に電気的に結合され得る。たとえば、光学的要素は、スタック構成中に配設され得、第1の共通電極は、第1の複数の電極に結合され、第2の共通電極は、第2の複数の電極に結合される。第1および第2の複数は、スタック構成中で交互になり得、そのため、各光学的要素は、第1の複数の電極のうちの1つと第2の複数の電極のうちの1つとの間に位置決めされる。
【0063】
いくつかの実施形態では、光学的要素(すなわち、それぞれの電極の間に配設され、それぞれの電極に当接する、好ましい結晶学的配向を有する電気活性セラミックの1つまたは複数の層)は、約10nm~約300μm(たとえば、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約200nm、約300nm、約400nm、約500nm、約600nm、約700nm、約800nm、約900nm、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約20μm、約50μm、約100μm、約200μm、または約300μm)の厚さを有し得、約200nm~約500nmの例示的厚さをもつ。
【0064】
電極の間の電圧の印加は、印加された電界の方向における介在電気活性層の圧縮または拡張、および1つまたは複数の横次元における電気活性層の関連する拡張または収縮を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、(たとえば、1次電極および/または2次電極への)印加された電圧は、少なくとも1つの方向(たとえば、定義された座標系に関するx、y、またはz方向)における電気活性層中の少なくとも約0.02%のひずみ(たとえば、材料の初期寸法で除算された、印加された電圧から生じた印加された力の方向における変形の量)を作り出し得る。いくつかの実施形態では、印加された電圧は、電気活性層内での磁区再構築を誘起し得、ここで、1つまたは複数の磁区は、印加された界の方向に回転し得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、電気活性応答は、デバイスの空間範囲にわたって変動する電気的入力に対する機械的応答を含み得、電気的入力は、1次電極と2次電極との間に印加される。機械的応答は、作動と呼ばれ得、例示的デバイスまたは光学的要素は、アクチュエータであるかまたはアクチュエータを含み得る。いくらかの実施形態によれば、光学的に透明なアクチュエータが、同調可能光パワーを提供するアセンブリ中に組み込まれ得る。
【0066】
光学的要素は、第1の電圧が1次電極と2次電極との間に印加されたとき、初期状態から変形状態に変形可能であり得、第2の電圧が1次電極と2次電極との間に印加されたとき、第2の変形状態にさらに変形可能であり得る。
【0067】
電気信号は、直流または交流電圧を含み得る、電位差を含み得る。いくつかの実施形態では、周波数は、デバイスの最も高い機械的応答周波数よりも高くなり得、そのため、変形は、印加されたRMS電界に応答して起こり得るが、印加された周波数に対する明らかな振動性機械的応答はない。印加された電気信号は、1次および2次電極の間で電気活性層の一様でない狭窄を生成し得る。一様でない電気活性応答は、いくつかの実施形態では複合曲率であり得る、光学的要素の表面の曲率を含み得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、光学的要素は、非変形状態において最大厚さを、および変形状態において圧縮厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、光学的要素は、変形状態における光学的要素の密度の約90%以下である、非変形状態における密度を有し得る。いくつかの実施形態では、光学的要素は、電圧が1次電極と2次電極との間に印加されたとき、少なくとも約0.02%のひずみを呈し得る。
【0069】
本明細書でさらに詳細に説明されるように、印加された電気信号は、電気活性層内の磁区の回転、および十分に高い電界の下で、セラミック層の結晶対称性の再構築を誘起し得る。すなわち、様々な実施形態によれば、電気活性層は、E界誘起相変態が起き得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、光学的デバイスは、1つまたは複数の光学的要素を含み得、光学的要素は、1つまたは複数の電気活性層を含み得る。様々な実施形態では、光学的要素は、1次電極と、1次電極の少なくとも一部分に重なる2次電極と、1次電極と2次電極との間に配設された、好ましい結晶学的配向を有する電気活性層とを含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、電気活性層の全体にわたる電界の印加は、1次および2次電極の間の実質的に均一な変形を生成し得る。いくつかの実施形態では、1次電極および/または2次電極は、パターニングされ、たとえば、局所化変形を提供するために、局所化電界が光学的要素の一部分に印加されることを可能にし得る。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、パターニングされた電極(たとえば、1次電極および2次電極の一方または両方)が、すなわち、同じ電気活性層内の隣接する領域を除外して、介在電気活性層内の1つまたは複数の領域を作動させるために使用され得る。たとえば、セラミック電気活性層を含む光学的要素の空間的に局所化された作動が、そのような構造の複屈折を同調させるために使用され得、ここで、複屈折は、磁区再構築を含む、局所機械的応力の関数であり得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、そのようなパターニングされた電極は、独立して作動可能であり得る。パターニングされた電極は、当業者に知られているように、たとえば、フォトリソグラフィ技法を使用して、パターニングおよびエッチングが後続する、電極層の選択的堆積によってまたは電極層のブランケット堆積によって形成され得る。たとえば、パターニングされた電極は、ワイヤグリッドを含み得るか、または、ワイヤグリッドは、電極層に隣接する別個の層として光学的要素中に組み込まれ得る。離散的にパターニングされた電極は、同時にまたは連続的にのいずれかで、固有の電圧を用いて個々にアドレス指定可能であり得る。
【0074】
光学的デバイスは、複数のスタック要素を含み得る。たとえば、各要素は、電極のペアの間に配設された電気活性層を含み得る。いくつかの実施形態では、電極は、要素の間で共有され得、たとえば、デバイスは、交互電極と、電極の近隣するペアの間に位置決めされた電気活性層とを有し得る。様々なスタック構成が、形状、整合、および要素の間の間隔を改変する異なるジオメトリにおいて構築され得る。そのような複素配列は、そのようなアクチュエータを動作させるとき、圧縮、拡大、ねじり、および/または曲げを可能にし得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、光学的デバイスは、スタック構成においてなど、電極の間に差し込まれた追加の要素を含み得る。たとえば、電極は、電極の交互嵌合スタックを形成し得、交互電極は、第1の共通電極に接続され、残りの交互電極は、第2の共通電極に接続される。追加の光学的要素が、1次電極の反対側に配設され得る。追加の光学的要素は、第1の光学的要素に重なり得る。追加の電極が、いずれかの追加の光学的要素の表面に当接して配設され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、光学的デバイスは、より多くの(たとえば、2つ、3つ、またはそれ以上の)そのような追加の電気活性層と、対応する電極とを含み得る。たとえば、光学的デバイスは、2つまたはそれ以上の光学的要素と、対応する電極とのスタックを含み得る。たとえば、光学的デバイスは、2個の光学的要素から、約5個、約10個、約20個、約30個、約40個、約50個、約100個、約200個、約300個、約400個、約500個、約600個、約700個、約800個、約900個、約1000個、約2000個、または約2000個よりも多い光学的要素の間を含み得る。
【0077】
本開示は、概して、結晶学的にテクスチャ加工された電気活性セラミック、および結晶学的にテクスチャ加工された電気活性セラミックを含む光学的要素を対象とする。以下でより詳細に解説されるように、例示的電気活性セラミックは、好ましい結晶学的配向によって特徴づけられ得、ここで、好ましい結晶学的配向は、電気活性セラミックの極性軸に実質的に平行に、およびいくらかの実施形態では、光学的要素の1次電極および2次電極の各々に平行に整合され得る。本明細書で使用される、「実質的に平行な」配向は、最高5°、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、0、1、2、3、4、または5°だけ不整合であり得る。そのようなテクスチャ加工電気活性セラミックは、約20°未満、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、1、2、5、10または20°の半値全幅(FWHM)を有する、配向の分布を含み得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、テクスチャ加工電気活性セラミックは、少なくとも90%のロットゲーリングファクタによって特徴づけられ得る。ロットゲーリングファクタは、テクスチャ加工材料における配向の程度の推定値を提供し得る。ランダムで、非配向の材料の場合の0から、完全に配向された材料の場合の1まで変動する、ロットゲーリングファクタ(F)は、F=(P-P0)/(1-P0)として計算され得、P=ΣI(00l)/ΣI(hkl)であり、ここで、Pは、すべての(hkl)回折の強度の和で除算された、優先的結晶学的配向の方向におけるすべての回折についての積分強度の和であり、P0は、ランダムに配向されたサンプルについて類似的に定義される。特定の実施形態では、透過率、ヘイズ、および透明度を含む、開示される電気活性セラミックの光学的特性は、印加された電圧に応答して安定(すなわち、実質的に不変)であり得る。さらなる実施形態では、印加された電圧に応答して、透過率および透明度は増加し得、バルクヘイズは減少し得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される電気活性セラミックは、印加された界がない場合に、約10%よりも大きいバルクヘイズを呈し、印加された界の印加中に、約10%未満、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、1、2、5、または8%のバルクヘイズを呈し得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される電気活性セラミックは、印加された界がない場合に、約10%よりも大きいバルクヘイズを呈し、印加された界の印加中に、少なくとも約25%のバルクヘイズの減少、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、25%、50%、100%、150%、または200%のバルクヘイズの減少を呈し得る。
【0080】
様々な実施形態では、印加された電圧は、約0から、5MV/m、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、0、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5MV/mに及ぶか、または0から、-5MV/m、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、0、-0.5、-1、-1.5、-2、-2.5、-3,-3.5、-4、-4.5、または-5MV/mに及び得る。いくらかの実施形態では、電気活性セラミックは、光学的透明性に有益に影響を与え得る、単磁区状態を呈し得る。様々な実施形態では、印加された電圧は、電気活性セラミックの破壊強度の少なくとも約50%、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、破壊強度の50%、60%、70%、80%、または90%に等しい電界を作り出し得る。様々な実施形態では、印加された電圧は、電気活性セラミックの抗電界の少なくとも約50%、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、抗電界の50%、75%、100%、125%、150%、175%、または200%に等しい電界を作り出し得る。
【0081】
本明細書で説明される実施形態のうちのいずれかからの特徴は、本明細書で説明される一般的な原理に従って、互いと組み合わせて使用され得る。これらおよび他の実施形態、特徴、ならびに利点は、添付の図面および特許請求の範囲とともに以下の詳細な説明を読むと、より十分に理解されるであろう。
【0082】
以下は、
図1~
図28を参照しながら、透明で電圧が安定した電気活性セラミックの結晶学的にテクスチャ加工された層を含む、アクティブに同調可能な光学的要素を形成するための方法、システムおよび装置の詳細な説明を提供する。
図1に関連する考察は、いくつかの実施形態による、そのような電気活性セラミックを含む光学的要素の説明を含む。
図2に関連する考察は、例示的ペロブスカイトセラミックについての平衡相図の説明を含む。
図3に関連する考察は、好ましい結晶学的配向を有する多結晶電気活性セラミック材料の説明を含む。
【0083】
図4~
図6に関連する考察は、例示的ペロブスカイトセラミック多形体についてのポーリング方向の説明を含む。
図7~
図9に関連する考察は、共通結晶軸に沿ってポーリングされた様々な電気活性セラミックの説明を含む。
図10に関連する考察は、E界誘起磁区回転および相変態の説明を含む。
図11~
図13に関連する考察は、例示的電気活性セラミックについての印加された電界に対する応力場応答の説明を含む。
図14~
図25に関連する考察は、印加された界に対する物理的および光学的応答の説明を含む。
図26~
図28に関連する考察は、作動可能で透明なテクスチャ加工電気活性セラミック層を含む光学的要素を含み得る、例示的な仮想現実および拡張現実デバイスアーキテクチャに関する。
【0084】
様々な実施形態によれば、例示的電気活性セラミックは、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3(PMN-PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3-PbTiO3(PZN-PT)など、二元組成物、およびPb(Zn1/3Nb2/3)O3-PbTiO3-BaTiO3(PZN-PT-BT)など、三元結晶を含む、圧電セラミックのリラクサPTベースファミリーからの1つまたは複数の組成物を含み得る。概して、鉛ベースリラクサ材料は、式Pb(B1B2)O3によって表され得、ここで、B1は、Mg2+、Zn2+、Ni2+、Sc3+、Fe3+、Yb3+、In3+などを含み得、B2は、Nb5+、Ta5+、W6+などを含み得る。
【0085】
Pb(Mg
1/3Nb
2/3)O
3-PbTiO
3(PMN-PT)についての平衡相図が、
図2中に示されている。諒解されるように、PMN-PTおよび他のリラクサPTベース圧電セラミックは、多形であり得る。PT含有量(X)の増加とともに、室温(23℃)において、PMN-PTは、菱面体晶(R)、斜方晶(O1)、単斜晶(Mc)、斜方晶(O2)および正方晶(T)相を呈する。相境界201を上回る温度において、PMN-PTはまた、高温立方(C)相を呈する。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、様々なセラミック相は、多結晶であることも、単結晶であることもある。
図3を参照すると、多結晶構造300は、
図3A中に示されているように、異なって(ランダムに)配向された粒子310、または
図3B中に示されているように、非ランダムで、好ましい結晶学的配向を有する粒子320を含み得る。いくらかの実施形態では、多結晶電気活性セラミック内での粒子の優先的整合は、たとえば、好適な前駆体粉末の締固めおよび焼結中に、熱間静水圧圧縮成形など、異方性力を加えることによって、合成中に発生し得る。好ましい結晶学的配向を有する材料のサブカテゴリーと見なされ得る、例示的単結晶構造330が、
図3C中に示されている。
【0087】
ポーリング(ダイポール整合)に先立って、多結晶圧電セラミックの個々の粒子は、単位セルの極性方向が、材料の対称性によって規定された個別の配向の間でランダムに整合された、磁区を含み得る。粒子および磁区が、ランダムに配向された場合、マクロ的材料の純偏光は、ゼロであり、すなわち、セラミックは、圧電特性を呈しない。ポーリング中の十分に高いDC界の印加が、界方向に磁区を配向し、純残留偏光をもたらすために使用され得る。
【0088】
当業者によって諒解されるように、菱面体晶、斜方晶、および正方晶圧電セラミック結晶についての極性方向が、それぞれ、
図4~
図6中に概略的に示されている。室温(23℃)において、菱面体晶構造は、<111>に沿った極性方向を有し、斜方晶(および単斜晶)構造は、約<110>に沿った極性方向を有し、正方晶構造は、<100>に沿った極性方向を有する。これにより、菱面体晶材料は、8つの(すなわち、立方単位格子の中心から隅に向かう)極性方向を有し、斜方晶材料は、12個の(すなわち、立方単位格子の中心から縁に向かう)極性方向を有し、正方晶材料は、6つの(すなわち、立方単位格子の中心から面に向かう)極性方向を有する。
【0089】
例示的単結晶アクチュエータにおいて、電極は、無極性方向に対して垂直に配向され得、これは、光学的特性を代償にして、電気活性特性に優先的に影響し得る。すなわち、無極性方向に対して垂直な電極の配向は、多磁区材料、および印加された電界に平行に伝搬する光の関連する電界誘起散乱を作り出すことがあり、これは、ヘイズを増加させ、透過率を減少させ得る。
【0090】
様々な実施形態によれば、単磁区電気活性圧電セラミックは、極性方向に沿ってセラミックをポーリングすることによって形成され得る。その上、そのような圧電セラミックを含む光学的要素の改善された光学的特性は、無極性方向に対して垂直な光学的要素を形成する1次電極および2次電極の各々を整合させることによって達成され得る。例として、菱面体晶電気活性結晶は、
図7中に概略的に図示されているように、<111>に沿ってポーリングされ得、斜方晶(および単斜晶)電気活性結晶は、
図8中に概略的に示されているように、<110>に沿ってポーリングされ得、正方晶電気活性結晶は、
図9中に概略的に示されているように、<100>に沿ってポーリングされ得る。菱面体晶圧電セラミックの上に形成された1次および2次電極は、<110>方向または<100>方向に対して垂直に配向され得る。斜方晶圧電セラミックの上に形成された1次および2次電極は、<111>方向または<100>方向に対して垂直に配向され得る。正方晶圧電セラミックの上に形成された1次および2次電極は、<111>方向または<110>方向に対して垂直に配向され得る。粒子のランダム分布を有する多結晶セラミックと比較して、好ましい結晶学的配向を有する電気活性セラミックは、光が、印加された電界に平行に進むとき、実質的により少ない複屈折を呈し得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される電気活性セラミックは、印加された界がない場合に、多結晶微細構造を呈し得る。
【0091】
複屈折は、望ましくないことに、材料における光学的散乱および/または反射損失として現れ得る。様々な実施形態によれば、極性軸に沿って配向およびポーリングされたときの、テクスチャ加工多結晶電気活性セラミックの発現は、ランダムに配向されたセラミックに対して、複屈折を劇的に減少させることができる。例として、(非テクスチャで、完全に無秩序の材料に対応する)90°から0.5°に角度配向を減少させることは、粒子配向のガウス分布の場合、約100分の1に、および粒子配向のローレンツ分布の場合、約30分の1に複屈折を減少させ得る。
【0092】
単磁区強誘電体の典型的なものである、相対的に小さい圧電係数(d33、d31、d32)を呈することなしに単磁区様光学的特性を呈し得る、電気活性セラミック、および電気活性セラミックを形成するための方法が、本明細書で開示される。例示的セラミックは、最初に、相変態を誘起するために、無極性配向に沿ってポーリングされ得、それによって、磁区は、材料の極性配向に沿って再配向し得る。たとえば、菱面体晶PMN-PT組成物は、最初に、<110>または<100>に沿ってポーリングされ得、斜方晶PMN-PT組成物は、最初に、<111>または<100>に沿ってポーリングされ得、正方晶PMN-PT組成物は、最初に、<111>または<110>に沿ってポーリングされ得る。
【0093】
様々な実施形態によれば、E界誘起相変態は、(a)菱面体晶~斜方晶相変態、(b)菱面体晶~正方晶相変態、(c)斜方晶~菱面体晶相変態、(d)斜方晶~正方晶相変態、(e)正方晶~菱面体晶相変態、および(f)正方晶~斜方晶相変態のうちの1つ以上を含み得る。
【0094】
E界誘起相変態は、
図10中に概略的に示されている。
図10Aおよび
図10Bを参照すると、菱面体晶材料は、最初に、<100>配向に沿ってポーリングされる。<100>方向における第1の電界(E)の印加の下で、磁区は、<100>に向かって回転し得る。第2の、より大きい電界が印加されると、磁区は、さらに回転し得、菱面体晶材料は、
図10C中に示されているように、単磁区正方晶相への相変態が起き得る。諒解されるように、正方晶相は、菱面体晶相よりも少ない複屈折散乱を呈し得る。様々な実施形態によれば、磁区回転は、<111>結晶学的方向、<110>結晶学的方向、または<100>結晶学的方向に向かうものであり得る。
【0095】
図10の相変態についての応力場応答が、
図11中に図式的に示されている。ひずみ対電界のプロットにおいて、低い電界(たとえば、第1の電界)では、PMN-PT材料は、菱面体晶相(R)に関連する第1のスロープ1101によって明示されているように、相対的に大きいd
33値を有し得る。電界の増加とともに、プロットのスロープは、減少し、相変態界(Ec)において、正方晶相(T)の形成に対応する第1のスロープ1101よりも小さい第2のスロープ1102を呈する。
【0096】
さらなるE界誘起相変態についての応力場応答が、
図12および
図13中に描かれている。
図12を参照すると、
図11の材料よりも多いPT含有量を有するPMN-PT材料は、2つの相遷移が起き得る。材料は、第1のスロープ1201を有するプロットされた領域によって特徴づけられる低界菱面体晶状態と、第1のスロープ1201よりも小さい第2のスロープ1202を有するプロットされた領域によって特徴づけられる中間の単斜晶(または斜方晶)相への遷移と、第2のスロープ1202よりも小さい第3のスロープ1203を有するプロットされた領域によって特徴づけられる高界正方晶相への第2の遷移とを呈し得る。
【0097】
図13を参照すると、PMN-PT材料は、
図12の材料、たとえば、最初に単斜晶(または斜方晶)相を含んでいるPMN-PT材料よりも多いPT含有量を有し得る。そのような材料は、単斜晶(または斜方晶)~正方晶相変態、すなわち、第1のスロープ1301を有するプロットされた領域によって特徴づけられる単斜晶(または斜方晶)相から、第1のスロープ1301よりも小さい第2のスロープ1302を有するプロットされた領域によって特徴づけられる正方晶相への相変態が起き得る。
【0098】
光学的に、多磁区菱面体晶または単斜晶相から、単磁区正方晶相へのE界誘起変換は、実質的に、バルク複屈折散乱を減少させ、電気活性層の透過率および透明度を改善し得る。すなわち、磁区は、印加された電界の方向に向かって再配向するので、磁区間誤配向は減少し、これは、隣接する磁区の間の屈折率差の大きさを減少させ得る。その上、
図11~
図13を参照しながら諒解されるように、正方晶相への変態に関連する相変態界(E
c)は、PMN-PTのPT含有量の増加とともに減少し得る。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、E界誘起相変化に関連する複屈折の減少は、透明アクチュエータの光学的性能に対する有益な影響を有し得る。n=2.6、0.025の複屈折、および500nmの平均磁区サイズをもつ、50マイクロメートルの厚さで、優先的に配向された(単結晶)透明電気活性セラミックについての、選択された光学的特性に対するE界の効果が、赤色(700nm)入射光と青色(400nm)入射光の両方について、様々な相変態について
図14~
図25中に示されている。
【0100】
例として、
図14および
図15は、印加された界、および菱面体晶(R)相から正方晶(T)相への付随するE界誘起相変態に応じた、<100>配向された単結晶PMN-PT材料についての、シミュレートされたバルク散乱光、バルクヘイズ、およびバルク反射率(損失)を示す。
図14および
図15中のデータは、
図10中に概略的に図示されている磁区回転に対応し、入射青色光(
図14)および入射赤色光(
図15)の両方について、約6V/ミクロンの印加された界についての複屈折散乱の著しい減少を図示する。
【0101】
図16および
図17を参照すると、斜方晶(O)相から正方晶(T)相へのE界誘起相変態に関連する印加された界に応じた、<100>配向された単結晶PMN-PT材料についての、バルク散乱光、バルクヘイズ、およびバルク反射率(損失)についてのシミュレートされたデータが示されている。
図16および
図17中のデータは、入射青色光(
図16)および入射赤色光(
図17)の両方について、約2V/ミクロンの印加された界についての複屈折散乱の著しい減少を示す。0V/ミクロンおよび2V/ミクロンの印加された界についての
図14~
図17からのデータが、表1中に要約されている。
【0102】
表1を参照すると、斜方晶相から正方晶相への変態に関連する相変態界(Ec)は、菱面体晶相から正方晶相への変態に関連する相変態界よりも小さいことがある。その上、非バイアス(0V/ミクロン)状態における斜方晶相についてのバルク散乱光、バルクヘイズ、およびバルク反射損失は、菱面体晶相についてのそれぞれの値よりも小さいことがあり、これは、隣接する菱面体晶磁区の場合の54.7度と比較して、隣接する斜方晶磁区の間の45度というより小さい角度に起因し得る。
【0103】
赤色入射光についての、正方晶<111>配向されたPMN-PTの、菱面体晶<111>配向されたPMN-PTへのE界誘起相変態、および関連する光学的特性のシミュレーションが、
図18中に示されており、赤色入射光についての、正方晶<110>配向されたPMN-PTの、斜方晶<110>PMN-PTへのE界誘起相変態、および関連する光学的特性のシミュレーションが、
図19中に示されている。
【0104】
様々なE界誘起相変態についてのさらなるシミュレートされた光学的データが、
図20~
図25中に示されており、ここで、データは、関連する相変態界(E
c)に関して正規化された電界に応じてプロットされている。青色入射光についての、正方晶<111>配向されたPMN-PTの、菱面体晶<111>配向されたPMN-PTへのE界誘起相変態に関連するモデル化光学的データが、
図20中に示されており、青色入射光についての、正方晶<110>配向されたPMN-PTの、斜方晶<110>PMN-PTへのE界誘起相変態に関連するモデル化光学的データが、
図21中に示されている。
【0105】
図22および
図23を参照すると、それぞれ、青色入射光および赤色入射光について、印加された界、および<110>配向された菱面体晶相から<110>配向された斜方晶相への付随するE界誘起相変態に応じた、バルク散乱光、バルクヘイズ、およびバルク反射損失の動的プロットが示されている。
【0106】
図24および
図25を参照すると、それぞれ、青色入射光および赤色入射光について、印加された界、および<111>配向された斜方晶相から<111>配向された菱面体晶相への付随するE界誘起相変態に応じた、バルク散乱光、バルクヘイズ、およびバルク反射損失の動的プロットが示されている。
【0107】
多結晶電気活性材料において、複数の局所的に配向された粒子および付随粒界の存在が、明らかな光学的散乱に寄与し得る。この点について、出願人は、テクスチャ加工多結晶セラミック、すなわち、複数の粒子の間の好ましい配向を呈する多結晶セラミック材料が、粒子のランダム配向を有する多結晶電気活性セラミックに対して、改善された光学的特性を実証し得ることを示した。すなわち、いくらかの実施形態では、印加された電圧および関連する磁区再構築によって誘起された相変態は、複屈折散乱を減少させ得る。
【0108】
高密度で、光学的に透明なテクスチャ加工電気活性セラミックを形成する例示的方法は、セラミック粉末を形成することと、混合と、か焼と、ミリングと、シーディングと、グリーンボディ形成と、高温焼結とを含み得る。
【0109】
電気活性セラミック組成物のための高純度原材料は、PbO、Pb3O4、ZrO2、TiO2、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、MnO2、Nb2O5、およびLa2O、ならびにそれらのそれぞれの水和物を含み得る。いくつかの実施形態では、原材料は、少なくとも約99.9%純粋、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、99.9%、99.95%、または99.99%純粋であり得る。
【0110】
好適な反応体組成物の前駆体粉末は、たとえば、それによって、適切な金属塩、キレート、配位化合物などのエアロゾルが、炉中に噴霧され、溶剤を蒸発させ、ナノスケール粒子を形成するのに十分な温度に加熱され得る、火炎溶射熱分解によって準備され得る。前駆体粉末はまた、当業者に知られているように、熱水プロセス、ゾルゲルプロセス、またはソルボサーマルプロセスによって合成され得る。
【0111】
混合の前または後に、前駆体粉末は、所望の粒子サイズをもたらすために、ミリングされ得る。例示的ミリングプロセスは、ボールミリング、たとえば、遊星ボールミリング、および摩擦摩鉱を含むが、他のミリングプロセスが、企図される。ミリング中に、粒子は、ドライであることも、エタノールなど、液体と混合されることもある。すなわち、焼結より前の、例示的前駆体粉末は、約500nm未満、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約50nm未満、または約25nm未満の平均粒子サイズを有し得るが、より大きい平均粒子サイズを有する前駆体粉末が、使用され得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、ミリングされた粉末は、約300℃から約1000℃に及ぶ温度、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃、900℃または1000℃で、約1時間~約24時間、たとえば、1、2、4、10、15、20または24時間の期間の間、か焼され得る。か焼は、たとえば、酸化環境において実施され得、炭素など、有機不純物を含む、不要な不純物を取り除くために使用され得る。
【0113】
様々な実施形態によれば、粉末混合物は、所望のフォームファクタをもたらすために、ペレットに締め固められるか、または液体中に分散され、薄膜中に鋳造され得る。たとえば、粉末混合物は、約10MPa~約500MPa、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、10、15、20、25、30、50、100、200、300、400、または500MPaの一軸圧力を加えることによって、締め固められ得る。
【0114】
いくつかの実施形態によれば、テクスチャ加工電気活性セラミックは、テンプレート化粒子成長(TGG)プロセスによって準備され得、ここで、シード結晶(またはテンプレート)は、たとえば、テープ鋳造を使用して、セラミックマトリックス粉末中で整合され得る。追加の整合技法は、磁界または電界への曝露を含む。後続の焼結は、好ましい結晶学的配向を有する電気活性セラミックを形成する整合されたテンプレート上での、マトリックス結晶の核形成および成長を誘起し得る。例示的シード結晶は、電気活性セラミックのターゲット組成物と組成的に一致することもしないこともある、SrTiO3、BaTiO3、PMN-PT、PZT、PIN-PMN-PTなどを含み得る。
【0115】
整形体は、焼結され得る。いくつかの実施形態では、焼結温度は、約750℃から約1400℃に及び得、たとえば、下記の値のうちのいずれかの間の範囲を含む、750℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃、1200℃、1300℃、または1400℃である。いくらかの実施形態では、粉末は、酸化雰囲気、還元雰囲気、または真空下でなど、制御雰囲気において焼結され得る。いくらかの実施形態では、圧力、たとえば、一軸圧力が、焼結中に加えられ得る。例示的焼結プロセスは、従来の焼結、スパークプラズマ焼結、またはマイクロ波を使用する焼結を含む。
【0116】
いくつかの実施形態によれば、焼結セラミックは、酸素化学量論を調整するために、たとえば、酸化条件または還元条件下で加熱され得る。そのような焼結後アニールは、真空下で、または約大気圧において実施され得る。いくつかの実施形態では、焼結後加熱ステップ中に、セラミックは、鉛の蒸発を妨げ得る、前駆体粉末混合物のベッド内でアニールされ得る。様々な実施形態では、高密度化セラミックは、滑らかな表面を実現するために、研削され、ラッピングされ、および/または研磨され得る。例示的実施形態では、透明なテクスチャ加工電気活性セラミックは、約50nm未満の表面粗さを有し、10%未満のヘイズを呈し得る。
【0117】
例示的方法では、酸化マグネシウムおよび酸化ニオブ粉末は、エタノール中でボールミリングされ、1~24時間の間、300℃~1000℃でか焼され得る。非ペロブスカイト相の形成を妨げるために、酸化鉛および酸化チタン粉末が、上記のか焼ステップに続いて加えられ得、混合物は、次いで、エタノール中でボールミリングされ、0.5~12時間の間、500℃~1200℃でか焼され得る。第2のか焼ステップに続いて、粉末混合物は、ミリングされ、10~500MPaの単軸圧力の下で締め固められ、加えられた圧力を維持しながら、750℃~1150℃でスパークプラズマ焼結によって焼結され得る。いくつかの実施形態では、焼結セラミックは、酸化環境において、2~24時間の間、400℃~1400℃に加熱され得る。焼結に続いて、チタン酸ジルコニウムマグネシウム鉛セラミック組成物は、約99%よりも大きい相対密度、約200nm未満の平均粒度、および約20°未満の半値全幅を有する結晶配向の分布を有し得る。
【0118】
さらなる例示的方法では、Pb(OH)2、MgNb2O6、およびTiO2粉末は、ともに混合され、次いで、その後、1から10容量%の間のSrTiO3マイクロプレートレットと混合され得る。得られた粉末混合物は、テープ鋳造され得る。テープ鋳造に関連するせん断力は、マイクロプレートレットを、すなわち、鋳造方向に対して垂直に整合させ得る。キャスト層は、グリーンボディを作り出すために、形状に切断され、積み重ねられ、積層され得る。
【0119】
バインダを取り除くための加熱ステップに続いて、グリーンボディテープが、焼結中の鉛損失を制限するために、同等の組成物の粉末のベッド中に置かれ得る。いくつかの実施形態では、グリーンボディテープは、高密度で高度に配向されたサンプルを実現するために、アルゴンまたは酸素中でホットプレスされ得る。いくつかの実施形態では、グリーンボディテープは、最初に、アルゴン中でホットプレスされ、その後、酸素が豊富な環境においてアニールされ得る。
【0120】
さらなる例示的方法によれば、2ステップ「コロンバイト」プロセスが、Pb3O4、Nb2O5、MgO、In2O3、およびTiO2粉末をか焼するために使用され得る。酸化鉛を除いて、粉末は、化学量論的量で混合され得る。余分な酸化鉛は、焼結中の鉛損失を相殺するために使用され得る。か焼の後に、PIN-PMN-PT混合物は、ミリングされ、1から10容量%の間のBaTiO3マイクロプレートレットと混合され得る。得られた混合物は、テープ鋳造され得、これは、鋳造方向に対して垂直なマイクロプレートレットの整合を誘起することができる。キャスト層は、グリーンボディを作り出すために、形状に切断され、積み重ねられ、積層され得る。
【0121】
バインダを取り除くための加熱ステップに続いて、グリーンボディテープが、焼結中の鉛損失を制限するために、同等の組成物の粉末のベッド中に置かれ得る。いくつかの実施形態では、焼結は、閉鎖るつぼにおいて実施され得る。さらなる実施形態では、焼結は、酸素が豊富な環境において実施され得る。
【0122】
またさらなる例示的方法では、Pb(OH)2、MgNb2O6、およびTiO2粉末は、ともに混合され、次いで、その後、1から10容量%の間のPbTiO3マイクロプレートレットと混合され得る。粉末シートが、テープ鋳造によって形成され得、磁界への粉末シートの曝露は、プレートレットを優先的に配向させるために使用され得る。
【0123】
テープ鋳造およびプレートレット整合に続いて、キャスト層は、グリーンボディを作り出すために、形状に切断され、積み重ねられ、積層され得る。バインダバーンアウトの後に、グリーンボディテープが、焼結中の鉛化学量論変化を制限するために、同等の組成物の粉末のベッド中に置かれ得る。いくつかの実施形態では、グリーンボディテープは、高密度で高度に配向されたサンプルを実現するために、アルゴンまたは酸素中でホットプレスされ得る。いくつかの実施形態では、グリーンボディテープは、最初に、アルゴン中でホットプレスされ、その後、酸素が豊富な環境においてアニールされ得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、セラミック粉末は、1つまたは複数の塩、キレート、ならびに/またはたとえば、鉛、ジルコニウム、およびチタンの配位化合物の溶液に由来し得るが、さらなるまたは代替の金属化合物が、使用され得る。溶液は、組成的に均質な粉末混合物を形成するために、蒸留、蒸発、および乾燥され得る。粉末混合物は、約300nm未満の平均粒子サイズにミリングされ、残存炭素を取り除くためにか焼され、締め固められ、200nm未満の平均粒度、および少なくとも99%の相対密度を有する高密度で、透明な、結晶学的に配向された電気活性セラミックを形成するために焼結され得る。
【0125】
本明細書で開示されるように、光学的に透明なアクチュエータは、透明電極のペアと、電極の間に配設された電気活性セラミックの層とを含み得る。十分に高い印加された界の下で、電気活性セラミック層は、相変態、および1つまたは複数の極性配向に沿った磁区の付随再整合が起き得る。電界誘起散乱、ならびに関連する透過率の減少およびヘイズの増加を呈する、ランダムに配向されたセラミックに対して、開示される相変態セラミックは、相変態セラミックの光学的特性に有益に影響を与える、減少された複屈折を呈し得る。よって、相変態セラミックの透過率、光学的透明度、およびヘイズ特性は、高光学的品質層、および上記の特性のうちの1つまたは複数の付随するE界誘起改善を与え得る。たとえば、例示的セラミック層は、0.5MV/m以上の印加された界下で、少なくとも25%のヘイズの減少を呈し得る。電気活性セラミック層は、粉末変更(たとえば、サブミクロン粒子サイズを実現するためのミリング)、か焼、TGGシーディンググリーンボディ形成、および高温焼結を含む、粉末処理を介して形成され得る。セラミックは、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)ベース材料、または別のペロブスカイトセラミックなど、強誘電組成物を含み得る。
【0126】
特定の実施形態では、所望のアクチュエータ性能を実現するために、無極性軸に沿ってセラミックを配向およびポーリングすることが一般的である、多くの従来のアクチュエータ適用例とは対照的に、開示される電気活性セラミックは、極性軸に沿って配向およびポーリングされ得、これは、有益な変位および光学的特性を同時に実現するために使用され得る。すなわち、隣接する粒子の間の誤配向角度が、減少されるにつれて、光が、テクスチャ加工セラミックを横断する間に経験する屈折率差の大きさも、減少され、これは、材料の光学的品質を改善し得る。
【0127】
本開示の実施形態は、様々なタイプの人工現実システムを含むか、または様々なタイプの人工現実システムとともに実装され得る。人工現実は、たとえば、仮想現実、拡張現実、複合現実、ハイブリッド現実、あるいはそれらの何らかの組合せおよび/または派生物を含み得る、ユーザへの提示の前に何らかの様式で調整された現実の形態である。人工現実コンテンツは、すべて生成されたコンテンツ、またはキャプチャされた(たとえば、現実世界の)コンテンツと組み合わせられた生成されたコンテンツを含み得る。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、触覚フィードバック、またはそれらの何らかの組合せを含み得、これらのうちのいずれかが、単一チャネルで、または(閲覧者に対して3次元効果をもたらすステレオビデオなど)複数チャネルで提示され得る。追加として、いくつかの実施形態では、人工現実はまた、たとえば、人工現実中のコンテンツを作り出すために使用され、および/または場合によっては、人工現実中で(たとえば、アクティビティを実行するために)使用される、アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組合せに関連し得る。
【0128】
図17は、いくつかの実施形態による、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)1700の図である。HMD1700は、1つまたは複数のディスプレイデバイスを含み得る、レンズディスプレイアセンブリを含み得る。描かれている実施形態は、レンズディスプレイアセンブリ1710と総称される、左レンズディスプレイアセンブリ1710Aおよび右レンズディスプレイアセンブリ1710Bを含む。レンズディスプレイアセンブリ1710は、HMD1700の透明開口内に位置決めされ、ユーザにメディアを提示するように構成され得る。
【0129】
レンズディスプレイアセンブリ1710によって提示されるメディアの例は、1つまたは複数の画像、一連の画像(たとえば、ビデオ)、オーディオ、またはそれらの何らかの組合せを含む。いくつかの実施形態では、オーディオは、レンズディスプレイアセンブリ1710、コンソール(図示せず)、またはレンズディスプレイアセンブリ1710とコンソールの両方からオーディオ情報を受信し、オーディオ情報に基づいてオーディオデータを提示する、外部デバイス(たとえば、スピーカーおよび/またはヘッドフォン)を介して提示され得る。レンズディスプレイアセンブリ1710は、概して、ユーザが、レンズディスプレイアセンブリ1710によって投影されたメディアを見、また、レンズディスプレイアセンブリ1710を通して現実世界の環境を見ることができるような、拡張現実ニアアイディスプレイ(NED)として動作するように構成され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、レンズディスプレイアセンブリ1710は、仮想現実NED、複合現実NED、またはそれらの何らかの組合せとして動作するように変えられ得る。したがって、いくつかの実施形態では、レンズディスプレイアセンブリ1710は、コンピュータ生成された要素(たとえば、画像、ビデオ、音など)を用いて物理的な現実世界の環境の眺めを増補し得る。
【0130】
図17中に示されているHMD1700は、レンズディスプレイアセンブリ1710が、別個の左および右ディスプレイを含む実施形態では、ユーザの頭上の所定の位置にレンズディスプレイアセンブリ1710を止着するサポートまたはフレーム1705を含み得る。いくつかの実施形態では、フレーム1705は、アイウェア眼鏡のフレームであり得る。より詳細に本明細書で説明されるように、レンズディスプレイアセンブリ1710は、いくつかの例では、ホログラフィックまたは容積ブラッグ格子をもつ導波路を含み得る。いくつかの実施形態では、格子は、1つまたは複数のドーパントまたは感光性媒体を導波路の表面の所定の部分に塗布するプロセスと、後続の、紫外(UV)光露光または他の活性化電磁放射線の印加とによって生成され得る。
【0131】
人工現実システムが、様々な異なるフォームファクタおよび構成において実装され得る。いくつかの人工現実システムは、ニアアイディスプレイ(NED)なしに動くように設計され得、これの一例が、
図26中の拡張現実システム2600である。他の人工現実システムは、実世界中への可視性をも提供する(たとえば、
図27中の拡張現実システム2700)、または人工現実中にユーザを視覚的に没入させる(たとえば、
図28中の仮想現実システム2800)、NEDを含み得る。いくつかの人工現実デバイスは、自己完結型システムであり得るが、他の人工現実デバイスは、ユーザに人工現実体感を提供するために、外部デバイスと通信および/または協調し得る。そのような外部デバイスの例は、ハンドヘルドコントローラ、モバイルデバイス、デスクトップコンピュータ、ユーザによって着用されるデバイス、1人または複数の他のユーザによって着用されるデバイス、および/または任意の他の好適な外部システムを含む。
【0132】
図26に目を向けると、拡張現実システム2600は、概して、ユーザの身体部位(たとえば、頭)の周りにフィットするように寸法決定されたウェアラブルデバイスを表す。
図26中に示されているように、システム2600は、フレーム2602と、フレーム2602に結合され、局所環境を観測することによって局所環境に関する情報を集めるように構成されたカメラアセンブリ2604とを含み得る。拡張現実システム2600は、出力オーディオトランスデューサ2608(A)および2608(B)ならびに入力オーディオトランスデューサ2610など、1つまたは複数のオーディオデバイスをも含み得る。出力オーディオトランスデューサ2608(A)および2608(B)は、ユーザにオーディオフィードバックおよび/またはコンテンツを提供し得、入力オーディオトランスデューサ2610は、ユーザの環境中のオーディオをキャプチャし得る。
【0133】
示されているように、拡張現実システム2600は、ユーザの眼の前に配置されるNEDを必ずしも含むとは限らないことがある。NEDがない拡張現実システムは、ヘッドバンド、帽子、ヘアバンド、ベルト、時計、リストバンド、アンクルバンド、指輪、ネックバンド、ネックレス、チェストバンド、アイウェアフレーム、および/あるいは任意の他の好適なタイプまたは形態の装置など、様々な形態をとり得る。拡張現実システム2600は、NEDを含まないことがあるが、拡張現実システム2600は、他のタイプのスクリーンまたは視覚フィードバックデバイス(たとえば、フレーム2602の側面に一体化されたディスプレイスクリーン)を含み得る。
【0134】
本開示で考察される実施形態はまた、1つまたは複数のNEDを含む拡張現実システム中で実装され得る。たとえば、
図27中に示されているように、拡張現実システム2700は、ユーザの眼の前に左ディスプレイデバイス2715(A)および右ディスプレイデバイス2715(B)を保持するように構成されたフレーム2710をもつアイウェアデバイス2702を含み得る。ディスプレイデバイス2715(A)および2715(B)は、ユーザに画像または一連の画像を提示するために、ともにまたは独立して作用し得る。拡張現実システム2700は、2つのディスプレイを含むが、本開示の実施形態は、単一のNEDまたは3個以上のNEDをもつ拡張現実システム中で実装され得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、拡張現実システム2700は、センサー2740など、1つまたは複数のセンサーを含み得る。センサー2740は、拡張現実システム2700の動きに応答して測定値信号を生成し得、フレーム2710の実質的に任意の部分上に位置決めされ得る。センサー2740は、位置センサー、慣性測定ユニット(IMU)、深度カメラアセンブリ、またはそれらの任意の組合せを表し得る。いくつかの実施形態では、拡張現実システム2700は、センサー2740を含むことも含まないこともあるか、または2個以上のセンサーを含み得る。センサー2740がIMUを含む実施形態では、IMUは、センサー2740からの測定値信号に基づいて、較正データを生成し得る。センサー2740の例は、限定はしないが、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、動きを検出する他の好適なタイプのセンサー、IMUの誤り訂正のために使用されるセンサー、またはそれらの何らかの組合せを含み得る。
【0136】
拡張現実システム2700は、音響トランスデューサ2720とまとめて呼ばれる、複数の音響トランスデューサ2720(A)~2720(J)をもつマイクロフォンアレイをも含み得る。音響トランスデューサ2720は、音波によって誘起された空気圧変動を検出するトランスデューサであり得る。各音響トランスデューサ2720は、音を検出し、検出された音を電子フォーマット(たとえば、アナログまたはデジタルフォーマット)に変換するように構成され得る。
図27中のマイクロフォンアレイは、たとえば、10個の音響トランスデューサ、すなわち、ユーザの対応する耳の内側に置かれるように設計され得る2720(A)および2720(B)、フレーム2710上の様々なロケーションに配置され得る音響トランスデューサ2720(C)、2720(D)、2720(E)、2720(F)、2720(G)、および2720(H)、ならびに/または対応するネックバンド2705上に配置され得る音響トランスデューサ2720(I)および2720(J)を含み得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、音響トランスデューサ2720(A)~(F)のうちの1つまたは複数は、出力トランスデューサ(たとえば、スピーカー)として使用され得る。たとえば、音響トランスデューサ2720(A)および/または2720(B)は、イヤバッドあるいは任意の他の好適なタイプのヘッドフォンまたはスピーカーであり得る。
【0138】
マイクロフォンアレイの音響トランスデューサ2720の構成は、変動し得る。拡張現実システム2700は、10個の音響トランスデューサ2720を有するものとして
図27中に示されているが、音響トランスデューサ2720の数は、10よりも大きくまたは小さくなり得る。いくつかの実施形態では、より多数の音響トランスデューサ2720を使用することは、収集されるオーディオ情報の量ならびに/またはオーディオ情報の感度および精度を増加させ得る。対照的に、より少数の音響トランスデューサ2720を使用することは、収集されたオーディオ情報を処理するためにコントローラ2750によって必要とされる計算力を減少させ得る。加えて、マイクロフォンアレイの各音響トランスデューサ2720の位置は、変動し得る。たとえば、音響トランスデューサ2720の位置は、ユーザ上の定義された位置、フレーム2710上の定義された座標、各音響トランスデューサに関連する向き、またはそれらの何らかの組合せを含み得る。
【0139】
音響トランスデューサ2720(A)および2720(B)は、耳介の後ろに、あるいは外耳または耳窩内になど、ユーザの耳の異なる部位上に配置され得る。または、耳道の内側の音響トランスデューサ2720に加えて、耳上のまたは耳を囲む追加の音響トランスデューサがあり得る。ユーザの耳道の隣に配置される音響トランスデューサを有することは、音が耳道にどのように到着するかに関する情報をマイクロフォンアレイが収集することを可能にし得る。(たとえば、バイノーラルマイクロフォンとして)ユーザの頭の両側に音響トランスデューサ2720のうちの少なくとも2つを配置することによって、拡張現実デバイス2700は、バイノーラル聴覚をシミュレートし、ユーザの頭の周りの周囲の3Dステレオ音場をキャプチャし得る。いくつかの実施形態では、音響トランスデューサ2720(A)および2720(B)は、ワイヤード接続2730を介して拡張現実システム2700に接続され得、他の実施形態では、音響トランスデューサ2720(A)および2720(B)は、ワイヤレス接続(たとえば、Bluetooth接続)を介して拡張現実システム2700に接続され得る。さらに他の実施形態では、音響トランスデューサ2720(A)および2720(B)は、拡張現実システム2700とともにはまったく使用されないことがある。
【0140】
フレーム2710上の音響トランスデューサ2720は、テンプルの長さに沿って、ブリッジにわたって、ディスプレイデバイス2715(A)および2715(B)の上側または下側に、あるいはそれらの何らかの組合せに配置され得る。音響トランスデューサ2720は、マイクロフォンアレイが、拡張現実システム2700を着用するユーザを囲む広範囲の方向において音を検出することが可能であるように向けられ得る。いくつかの実施形態では、最適化プロセスが、マイクロフォンアレイ中の各音響トランスデューサ2720の相対的配置を決定するために、拡張現実システム2700の製造中に実行され得る。
【0141】
いくつかの例では、拡張現実システム2700は、ネックバンド2705など、外部デバイス(たとえば、ペアにされたデバイス)を含むかまたは外部デバイスに接続され得る。ネックバンド2705は、概して、任意のタイプまたは形態のペアにされたデバイスを表す。これにより、ネックバンド2705の以下の考察は、充電ケース、スマートウォッチ、スマートフォン、リストバンド、他のウェアラブルデバイス、ハンドヘルドコントローラ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータおよび他の外部計算デバイスなど、様々な他のペアにされたデバイスにも適用され得る。
【0142】
示されているように、ネックバンド2705は、1つまたは複数のコネクタを介してアイウェアデバイス2702に結合され得る。コネクタは、ワイヤードまたはワイヤレスであり得、電気的および/または非電気的(たとえば、構造的)構成要素を含み得る。いくつかの場合には、アイウェアデバイス2702およびネックバンド2705は、アイウェアデバイス2702とネックバンド2705との間のワイヤードまたはワイヤレス接続なしに独立して動作し得る。
図27は、アイウェアデバイス2702およびネックバンド2705上の例示的ロケーションにおいてアイウェアデバイス2702およびネックバンド2705の構成要素を図示しているが、構成要素は、他の場所に位置決めされ、ならびに/あるいはアイウェアデバイス2702および/またはネックバンド2705上で別様に分散され得る。いくつかの実施形態では、アイウェアデバイス2702およびネックバンド2705の構成要素は、アイウェアデバイス2702、ネックバンド2705、またはそれらの何らかの組合せとペアにされた1つまたは複数の追加の周辺デバイス上に位置決めされ得る。
【0143】
拡張現実アイウェアデバイスとの、ネックバンド2705など、ペアリング外部デバイスは、アイウェアデバイスが、十分なバッテリーと拡張された能力のための計算力とを依然として提供しながら、一対の眼鏡のフォームファクタを実現することを可能にし得る。拡張現実システム2700のバッテリー電力、計算リソース、および/または追加の特徴の一部または全部は、ペアにされたデバイスによって提供されるか、またはペアにされたデバイスとアイウェアデバイスとの間で共有され、これにより、所望の機能性を依然として保ちながら、全体的に、アイウェアデバイスの重み、熱プロファイル、およびフォームファクタを低減し得る。たとえば、ユーザは、自分の頭上で許容するであろうよりも重い重み負荷を自分の肩上で許容し得るので、ネックバンド2705は、アイウェアデバイス上に場合によっては含まれるであろう構成要素が、ネックバンド2705中に含まれることを可能にし得る。ネックバンド2705はまた、周辺の環境に熱を拡散および分散させるためのより大きい表面積を有し得る。これにより、ネックバンド2705は、スタンドアロンアイウェアデバイス上で場合によっては可能であったかもしれないよりも大きいバッテリーおよび計算キャパシティを可能にし得る。ネックバンド2705中で運ばれる重みは、アイウェアデバイス2702中で運ばれる重みよりもユーザに対して侵襲的でないことがあるので、ユーザは、ユーザが、重いスタンドアロンアイウェアデバイスを着用することを許容するであろうよりも、軽いアイウェアデバイスを着用すること、および長い時間の長さの間、ペアにされたデバイスを運ぶまたは着用することを許容し、それにより、ユーザが、人工現実環境を日々のアクティビティ中により十分に組み込むことを可能にし得る。
【0144】
ネックバンド2705は、アイウェアデバイス2702と、および/または他のデバイスに通信可能に結合され得る。これらの他のデバイスは、拡張現実システム2700に、いくらかの機能(たとえば、トラッキング、位置特定、深度マッピング、処理、ストレージなど)を提供し得る。
図27の実施形態では、ネックバンド2705は、マイクロフォンアレイの一部である2つの音響トランスデューサ(たとえば、2720(I)および2720(J))を含み(または音響トランスデューサ自体のマイクロフォンサブアレイを潜在的に形成する)得る。ネックバンド2705は、コントローラ2725および電源2735をも含み得る。
【0145】
ネックバンド2705の音響トランスデューサ2720(I)および2720(J)は、音を検出し、検出された音を電子フォーマット(アナログまたはデジタル)に変換するように構成され得る。
図27の実施形態では、音響トランスデューサ2720(I)および2720(J)は、ネックバンド2705上に配置され、それにより、ネックバンド音響トランスデューサ2720(I)および2720(J)と、アイウェアデバイス2702上に配置された他の音響トランスデューサ2720との間の距離を増加させ得る。いくつかの場合には、マイクロフォンアレイの音響トランスデューサ2720の間の距離を増加させることは、マイクロフォンアレイを介して実行されるビームフォーミングの精度を改善し得る。たとえば、音が、音響トランスデューサ2720(C)および2720(D)によって検出され、音響トランスデューサ2720(C)および2720(D)の間の距離が、たとえば、音響トランスデューサ2720(D)および2720(E)の間の距離よりも長い場合、検出された音の決定されたソースロケーションは、音が音響トランスデューサ2720(D)および2720(E)によって検出された場合よりも正確であり得る。
【0146】
ネックバンド2705のコントローラ2725は、2705上のセンサーおよび/または拡張現実システム2700によって生成された情報を処理し得る。たとえば、コントローラ2725は、マイクロフォンアレイによって検出された音について説明する、マイクロフォンアレイからの情報を処理し得る。各検出された音について、コントローラ2725は、検出された音がマイクロフォンアレイにそちらから到着した方向を推定するために、到着方向(DoA)推定を実行し得る。マイクロフォンアレイが音を検出すると、コントローラ2725は、情報を用いてオーディオデータセットをポピュレートし得る。拡張現実システム2700が慣性測定ユニットを含む実施形態では、コントローラ2725は、アイウェアデバイス2702上に位置決めされたIMUからすべての慣性および空間算出を計算し得る。コネクタは、拡張現実システム2700とネックバンド2705との間で、および拡張現実システム2700とコントローラ2725との間で情報を搬送し得る。情報は、光データ、電気データ、ワイヤレスデータの形態、または任意の他の送信可能なデータ形態にあり得る。拡張現実システム2700によって生成された情報の処理をネックバンド2705に移動することは、アイウェアデバイス2702中の重みおよび熱を低減し、アイウェアデバイス2702をユーザにとってより快適にし得る。
【0147】
ネックバンド2705中の電源2735は、アイウェアデバイス2702におよび/またはネックバンド2705に電力を供給し得る。電源2735は、限定はしないが、リチウムイオンバッテリー、リチウムポリマーバッテリー、1次リチウムバッテリー、アルカリバッテリー、または任意の他の形態の電力蓄積を含み得る。いくつかの場合には、電源2735は、ワイヤード電源であり得る。アイウェアデバイス2702上の代わりにネックバンド2705上に電源2735を含むことは、電源2735によって生成された重みおよび熱をより良く分散させるのを助け得る。
【0148】
述べられたように、いくつかの人工現実システムは、人工現実を実現実と混ぜ合わせる代わりに、実質的に、実世界のユーザの知覚認知のうちの1つ以上を仮想体感と置き換え得る。このタイプのシステムの一例は、ユーザの視野をほぼまたは完全にカバーする、
図28中の仮想現実システム2800など、頭部装着型ディスプレイシステムである。仮想現実システム2800は、前面剛体2802と、ユーザの頭の周囲にフィットするように整形されたバンド2804とを含み得る。仮想現実システム2800は、出力オーディオトランスデューサ2806(A)および2806(B)をも含み得る。その上、
図28中には示されていないが、前面剛体2802は、1つまたは複数の電子ディスプレイ、1つまたは複数の慣性測定ユニット(IMU)、1つまたは複数のトラッキングエミッタまたは検出器、および/あるいは人工現実体感を作り出すための任意の他の好適なデバイスまたはシステムを含む、1つまたは複数の電子要素を含み得る。
【0149】
人工現実システムは、様々なタイプの視覚フィードバックメカニズムを含み得る。たとえば、拡張現実システム2800および/または仮想現実システム2800中のディスプレイデバイスは、1つまたは複数の液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED(OLED)ディスプレイ、および/あるいは任意の他の好適なタイプのディスプレイスクリーンを含み得る。人工現実システムは、両方の眼について単一のディスプレイスクリーンを含み得るか、またはそれぞれの眼についてディスプレイスクリーンを提供し得、これは、可変焦点調整のためのまたはユーザの屈折誤差を補正するための追加の柔軟性を可能にし得る。いくつかの人工現実システムは、1つまたは複数のレンズ(たとえば、従来の凹または凸レンズ、フレネルレンズ、調整可能な液体レンズなど)を有する光学サブシステムをも含み得、ユーザは、光学サブシステムを通してディスプレイスクリーンを眺め得る。
【0150】
ディスプレイスクリーンを使用することに加えてまたはディスプレイスクリーンを使用する代わりに、いくつかの人工現実システムは、1つまたは複数の投影システムを含み得る。たとえば、拡張現実システム2700および/または仮想現実システム2800中のディスプレイデバイスは、周辺の光が通過することを可能にするクリアなコンバイナレンズなど、ディスプレイデバイス中に(たとえば、導波路を使用して)光を投影する、マイクロLEDプロジェクタを含み得る。ディスプレイデバイスは、ユーザの瞳孔に向かって、投影された光を屈折させ得、ユーザが、人工現実コンテンツと実世界の両方を同時に眺めることを可能にし得る。人工現実システムはまた、任意の他の好適なタイプまたは形態の画像投影システムを用いて構成され得る。
【0151】
人工現実システムは、様々なタイプのコンピュータビジョン構成要素およびサブシステムをも含み得る。たとえば、拡張現実システム2600、拡張現実システム2700、および/または仮想現実システム2800は、2次元(2D)または3次元(3D)カメラ、飛行時間型深度センサー、単一ビームまたは掃引レーザー測距器、3Dライダーセンサー、および/あるいは任意の他の好適なタイプまたは形態の光センサーなど、1つまたは複数の光センサーを含み得る。人工現実システムは、ユーザのロケーションを識別するために、実世界をマッピングするために、ユーザに現実世界の周囲状況に関するコンテキストを提供するために、および/または様々な他の機能を実行するために、これらのセンサーのうちの1つまたは複数からのデータを処理し得る。
【0152】
人工現実システムは、1つまたは複数の入力および/または出力オーディオトランスデューサをも含み得る。
図26および
図28中に示されている例では、出力オーディオトランスデューサ2608(A)、2608(B)、2806(A)、および2806(B)は、ボイスコイルスピーカー、リボンスピーカー、静電スピーカー、圧電スピーカー、骨伝導トランスデューサ、軟骨伝導トランスデューサ、および/あるいは任意の他の好適なタイプまたは形態のオーディオトランスデューサを含み得る。類似的に、入力オーディオトランスデューサ2610は、コンデンサマイクロフォン、ダイナミックマイクロフォン、リボンマイクロフォン、および/あるいは任意の他のタイプまたは形態の入力トランスデューサを含み得る。いくつかの実施形態では、単一のトランスデューサが、オーディオ入力とオーディオ出力の両方のために使用され得る。
【0153】
図26~
図28中には示されていないが、人工現実システムは、ヘッドウェア、グローブ、ボディスーツ、ハンドヘルドコントローラ、環境デバイス(たとえば、椅子、フロアマットなど)、および/あるいは任意の他のタイプのデバイスまたはシステム中に組み込まれ得る、タクティル(すなわち、触覚)フィードバックシステムを含み得る。触覚フィードバックシステムは、振動、力、牽引、テクスチャ、および/または温度を含む、様々なタイプの皮膚性フィードバックを提供し得る。触覚フィードバックシステムはまた、動きおよびコンプライアンスなど、様々なタイプの運動感覚フィードバックを提供し得る。触覚フィードバックは、モーター、圧電アクチュエータ、流体システム、および/または様々な他のタイプのフィードバックメカニズムを使用して実装され得る。触覚フィードバックシステムは、他の人工現実デバイスから独立して、他の人工現実デバイス内に、および/または他の人工現実デバイスとともに実装され得る。
【0154】
触覚感覚、可聴コンテンツ、および/または視覚コンテンツを提供することによって、人工現実システムは、仮想体感全体を作り出すかまたは様々なコンテキストおよび環境中のユーザの現実世界体感を向上させ得る。たとえば、人工現実システムは、特定の環境内のユーザの認知、記憶、または認識を支援または拡大し得る。いくつかのシステムは、実世界中の他の人々とのユーザの相互作用を向上させ得るか、または仮想世界中の他の人々とのより没入できる相互作用を可能にし得る。人工現実システムはまた、教育目的のために(たとえば、学校、病院、政府団体、軍事団体、ビジネス企業などにおける教示またはトレーニングのために)、エンターテインメント目的(たとえば、ビデオゲームをプレイする、音楽を聞く、ビデオコンテンツを見るなどのために)、および/またはアクセシビリティ目的のために(たとえば、補聴器、視覚補助などとして)使用され得る。本明細書で開示される実施形態は、これらのコンテキストおよび環境のうちの1つまたは複数における、ならびに/あるいは他のコンテキストおよび環境におけるユーザの人工現実体感を可能にするかまたは向上させ得る。
【0155】
本明細書で説明および/または図示されたステップのプロセスパラメータおよびシーケンスは、単に例として与えられており、必要に応じて変動させられ得る。たとえば、本明細書で図示および/または説明されたステップは、特定の順序で示されるかまたは考察され得るが、これらのステップは、図示または考察された順序で実行される必要が必ずしもあるとは限らない。本明細書で説明および/または図示された様々な例示的な方法はまた、本明細書で説明または図示されたステップのうちの1つ以上を省略するか、または開示されたものに加えて追加のステップを含み得る。
【0156】
上記の説明は、他の当業者が、本明細書で開示された様々な態様の例示的な実施形態を最も良く利用することを可能にするために提供された。この例示的な説明は、網羅的なものではないか、または開示されたいずれかの厳密な形態に限定されるものではない。多くの変更形態および変形形態が、本開示の範囲から逸脱することなく可能である。本明細書で開示された実施形態は、あらゆる点で限定的ではなく例示的であると見なされるべきである。本開示の範囲を決定する際に、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物への参照が行われるべきである。
【0157】
別段に記載されていない限り、明細書および特許請求の範囲で使用される、「に接続された(connected to)」および「に結合された(coupled to)」という用語(およびそれらの派生語)は、直接的接続と間接的(すなわち、他の要素または構成要素を介した)接続の両方を容認すると解釈されるべきである。加えて、明細書および特許請求の範囲で使用される、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、「のうちの少なくとも1つ(at least one of)」を意味すると解釈されるべきである。最後に、使用が容易なように、明細書および特許請求の範囲で使用される、「含む(including)」および「有する(having)」という用語(およびそれらの派生語)は、「備える(comprising)」という単語と交換可能であり、「備える」という単語と同じ意味を有する。
【国際調査報告】