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特表2022-545340アンテナシステムに使用するためのポリマー組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】アンテナシステムに使用するためのポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20221020BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20221020BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20221020BHJP
   C08L 67/03 20060101ALI20221020BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20221020BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/22
C08K7/02
C08L67/03
H01Q1/38
H01Q21/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022506888
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(85)【翻訳文提出日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 US2020046902
(87)【国際公開番号】W WO2021034882
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】62/889,792
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/898,188
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/925,271
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/951,033
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/958,003
(32)【優先日】2020-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/972,201
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/024,579
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/038,980
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヤン・シン
【テーマコード(参考)】
4J002
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
4J002CF161
4J002CF181
4J002DA028
4J002DE096
4J002DE106
4J002DE116
4J002DE136
4J002DE146
4J002DL008
4J002FA048
4J002FD018
4J002FD099
4J002FD206
4J002FD207
4J002GQ00
5J021AA05
5J021AA07
5J021AA09
5J021AB02
5J021AB05
5J021AB06
5J021CA03
5J021HA10
5J046AA03
5J046AB02
5J046AB03
5J046AB06
5J046AB13
5J046PA07
(57)【要約】
ポリマーマトリックス内に分配された誘電材料を含むポリマー組成物が提供される。誘電材料は、約0.1オーム・cm~約1×1012オーム・cmの体積抵抗率を有し、ポリマーマトリックスは少なくとも1種のサーモトロピック液晶ポリマーを含有し、さらにポリマー組成物は、2GHzの周波数で決定される約4以上の比誘電率および約0.3以下の誘電正接を示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーマトリックス内に分配された誘電材料を含むポリマー組成物であって、誘電材料が約0.1オーム・cm~約1×1012オーム・cmの体積抵抗率を有し、ポリマーマトリックスが少なくとも1種のサーモトロピック液晶ポリマーを含有し、さらにポリマー組成物が、2GHzの周波数で決定される約4以上の比誘電率および約0.3以下の誘電正接を示す、ポリマー組成物。
【請求項2】
約-30℃~約100℃の温度サイクルに曝露された後に比誘電率を示し、温度サイクル後の比誘電率の熱サイクル前の比誘電率に対する比が約0.8以上である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
約-30℃~約100℃の温度サイクルに曝露された後に誘電正接を示し、温度サイクル後の誘電正接の熱サイクル前の誘電正接に対する比が約1.3以下である、請求項1または2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
約-30℃~約100℃の温度サイクルに曝露された後に誘電正接を示し、温度サイクル後の誘電正接の熱サイクル前の誘電正接に対する比が約1.0以下である、請求項1から3のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項5】
誘電材料が無機酸化物材料を含有する、請求項1から4のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項6】
無機酸化物材料が二酸化チタン粒子を含む、請求項5に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
無機酸化物材料が無機酸化物ウィスカーを含む、請求項5に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記ウィスカーが酸化亜鉛ウィスカーである、請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記ウィスカーが、中心体およびそこから放射状に延伸する複数の針状結晶を有する、請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
誘電材料が、0.1オーム・cm~約500オーム・cmの体積抵抗率を有する無機酸化物材料を含む、請求項1から9のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項11】
誘電材料が、約1×10~約1×1012オーム・cmの体積抵抗率を有する炭素材料を含む、請求項1から10のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項12】
誘電材料が、約0.1オーム・cm未満の体積抵抗率を有する導電性材料および約1×1012オーム・cmより大きい体積抵抗率を有する絶縁材料を含む、請求項1から11のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項13】
導電性材料が炭素材料を含み、絶縁材料が無機酸化物材料を含む、請求項12に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
無機酸化物材料の重量パーセンテージの炭素材料の重量パーセンテージに対する比が約3~約100である、請求項13に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
サーモトロピック液晶ポリマーが、4-ヒドロキシ安息香酸に由来する繰り返し単位を含有する芳香族ポリエステルである、請求項1から14のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項16】
サーモトロピック液晶ポリマーが、約10mol.%以上のナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはナフテン系ジカルボン酸に由来する繰り返し単位の合計量を有する、請求項1から15のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項17】
サーモトロピック液晶ポリマーが、約10mol.%以上のナフタレン-2,6-ジカルボン酸に由来する繰り返し単位の合計量を有する、請求項16に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
レーザー活性化可能添加剤をさらに含む、請求項1から17のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項19】
レーザー活性化可能添加剤が、以下の一般式:
AB
(式中、
Aは、2の価数を有する金属カチオンであり;
Bは、3の価数を有する金属カチオンである)
を有するスピネル結晶を含有する、請求項18に記載のポリマー組成物。
【請求項20】
スピネル結晶が、MgAl、ZnAl、FeAl、CuFe、CuCr、MnFe、NiFe、TiFe、FeCr、MgCrまたはこれらの組合せを含む、請求項19に記載のポリマー組成物。
【請求項21】
繊維状充填剤をさらに含む、請求項1から20のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項22】
繊維状充填剤がガラス繊維を含む、請求項21に記載のポリマー組成物。
【請求項23】
1,000秒-1のせん断速度および350℃の温度で決定される約5~約100Pa・sの溶融粘度を有する、請求項1から22のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項24】
約15wt.%~約85wt.%のサーモトロピック液晶ポリマーおよび約10wt.%~約70wt.%の誘電材料を含む、請求項1から23のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項25】
請求項1から24のいずれかに記載のポリマー組成物を含む成型部品。
【請求項26】
請求項25に記載の成型部品であって、1つまたは複数の導電素子が当該部品の表面上に形成される、前記成型部品。
【請求項27】
請求項1から24のいずれかに記載のポリマー組成物、および無線周波数信号を送受信するように構成された少なくとも1つのアンテナ素子を含む基板を含み、アンテナ素子が当該基板に結合されている、アンテナシステム。
【請求項28】
無線周波数信号が5G信号である、請求項27に記載のアンテナシステム。
【請求項29】
少なくとも1つのアンテナ素子が約1,500マイクロメートル未満の特徴サイズを有する、請求項27に記載のアンテナシステム。
【請求項30】
少なくとも1つのアンテナ素子が複数のアンテナ素子を含む、請求項27に記載のアンテナシステム。
【請求項31】
複数のアンテナ素子が、約1,500マイクロメートル未満の間隔距離によって離間されている、請求項30に記載のアンテナシステム。
【請求項32】
複数のアンテナ素子が少なくとも16個のアンテナ素子を含む、請求項30に記載のアンテナシステム。
【請求項33】
複数のアンテナ素子がアレイに配置されている、請求項30に記載のアンテナシステム。
【請求項34】
前記アレイが、少なくとも8つの送信チャネルおよび少なくとも8つの受信チャネル用に構成されている、請求項33に記載のアンテナシステム。
【請求項35】
前記アレイが、平方センチメートルあたり1,000個より多いアンテナ素子の平均アンテナ素子密度を有する、請求項33に記載のアンテナシステム。
【請求項36】
基地局をさらに含み、基地局が少なくとも1個のアンテナ素子を含む、請求項27に記載のアンテナシステム。
【請求項37】
ユーザコンピューティングデバイスまたはリピーターのうちの少なくとも1つをさらに含み、ユーザコンピューティングデバイスまたは当該リピーター基地局のうちの少なくとも1つが少なくとも1個のアンテナ素子を含む、請求項27に記載のアンテナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出題の相互参照
[0001]本出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年8月21日の出願日を有する米国仮特許出願第62/889,792号;2019年9月10日の出願日を有する米国仮特許出願第62/898,188号;2019年10月24日の出願日を有する米国仮特許出願第62/925,271号;2019年12月20日の出願日を有する米国仮特許出願第62/951,033号;2020年1月7日の出願日を有する米国仮特許出願第62/958,003号;2020年2月10日の出願日を有する米国仮特許出願第62/972,201号;2020年5月14日の出願日を有する米国仮特許出願第63/024,579号;および2020年6月15日の出願日を有する米国仮出願第63/038,980号の出願利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]種々の電子構成部品のアンテナシステムを形成するために、成形回路部品(molded interconnect device)(「MID」)は、多くの場合、その上に導電素子または経路が形成されるプラスチック基板を含有する。したがって、そのようなMIDデバイスは、集積印刷導体または回路レイアウトを有する三次元成型部品である。レーザー直接構造化(「LDS」)プロセスを使用したMIDの形成がますます普及しており、このプロセスでは、コンピュータ制御されたレーザービームがプラスチック基板上を移動し、導電路が位置すべき場所でその表面を活性化する。レーザー直接構造化プロセスを用いると、150ミクロン以下の導電素子の幅および間隔を得ることができる。結果として、このプロセスから形成されるMIDは、最終用途における空間および重量を削減する。レーザー直接構造化の別の利点は、その柔軟性である。レーザー直接構造化MIDデバイスのプラスチック基板を形成するために種々の材料が提案されてきた。例えば、1つのそのような材料は、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(「ABS」)、銅クロム酸化物スピネルおよびビスフェノールAジフェニルホスフェート(「BPADP」)難燃剤のブレンドである。しかし、そのような材料に関する1つの問題は、難燃剤が組成物の機械的特性(例えば、荷重変形温度)に悪影響を及ぼす傾向があり、そのためレーザー直接構造化プロセスでの使用が困難であることである。そのような材料はまた、高温耐性を必要とする鉛フリーはんだ付けプロセス(表面実装技術)に好適ではない。別の問題は、材料が低い比誘電率および高い誘電正接(dissipation factor)を有する傾向にあり、そのためデバイスに1つより多くのアンテナを含むことが所望される用途での使用が困難であることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]したがって、アンテナシステムに使用するための、比較的高い比誘電率および低い誘電正接を有するポリマー組成物に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本発明の一実施形態によると、ポリマーマトリックス中に分配された誘電材料を含むポリマー組成物が開示される。誘電材料は、約0.1オーム・cm~約1×1012オーム・cmの体積抵抗率を有する。ポリマーマトリックスは、少なくとも1種のサーモトロピック液晶ポリマーを含有し、ポリマー組成物は、2GHzの周波数で決定される約4以上の比誘電率および約0.3以下の誘電正接を示す。
【0005】
[0005]本発明の他の特色および態様が、以下により詳細に記載される。
[0006]本発明の完全かつ実施可能な開示が、当業者に対するその最良の形態を含め、添付の図面への参照を含む本明細書の残り部分でより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0007]アンテナシステムを利用できる電子構成部品の一実施形態の正面斜視図である。
図2】アンテナシステムを利用できる電子構成部品の一実施形態の背面斜視図である。
図3】[0008]アンテナシステムの一実施形態のための例示的な逆Fアンテナ共振素子の上面図である。
図4】[0009]アンテナシステムの一実施形態のための例示的なモノポールアンテナ共振素子の上面図である。
図5】[0010]アンテナシステムの一実施形態のための例示的なスロットアンテナ共振素子の上面図である。
図6】[0011]アンテナシステムの一実施形態のための例示的なパッチアンテナ共振素子の上面図である。
図7】[0012]アンテナシステムの一実施形態のための例示的な多分岐逆Fアンテナ共振素子の上面図である。
図8】[0013]本開示の態様による基地局、1つまたは複数の中継局、1つまたは複数のユーザコンピューティングデバイス、1つもしくは複数またはそれ以上のWi-Fiリピーターを含む5Gアンテナシステムの図である。
図9A】[0014]本開示の態様による5Gアンテナを含む例示的なユーザコンピューティングデバイスを上から見た図である。
図9B】[0015]本開示の態様による5Gアンテナを含む、図9Aの例示的なユーザコンピューティングデバイスの側面図である。
図10】[0016]図9Aのユーザコンピューティングデバイスの一部の拡大図である。
図11】[0017]本開示の態様による同一平面導波管アンテナアレイ構成の側面図である。
図12A】[0018]本開示の態様による大規模多入力多出力構成のためのアンテナアレイの図である。
図12B】[0019]本開示の態様によるレーザー直接構造化によって形成されたアンテナアレイの図である。
図12C】[0020]本開示の態様による例示的なアンテナ構成の図である。
図13A】[0021]図13Aは、アンテナシステムを形成するために使用可能なレーザー直接構造化製造方法の簡潔なシーケンス図である。
図13B図13Bは、アンテナシステムを形成するために使用可能なレーザー直接構造化製造方法の簡潔なシーケンス図である。
図13C図13Cは、アンテナシステムを形成するために使用可能なレーザー直接構造化製造方法の簡潔なシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0022]本考察は、例示的な実施形態の説明にすぎず、本発明のより広範な態様を制限するものではないことが当業者によって理解される。
[0023]概して、本発明は、サーモトロピック液晶ポリマーを含むポリマーマトリックス内に分配された誘電材料を含有するポリマー組成物に関する。本発明者らは、組成物の種々の態様(例えば、誘電材料の体積抵抗率)を選択的に制御することにより、得られる組成物がアンテナシステムに使用するための高い比誘電率と低い誘電正接の独特な組合せを維持できることを発見した。例えばポリマー組成物は、2GHzの周波数でスプリットポスト共振法によって決定して、約4以上、一部の実施形態では約8以上、一部の実施形態では約10以上、一部の実施形態では約10~約30、一部の実施形態では約11~約25、一部の実施形態では約12~約24の高い比誘電率を示してもよい。そのような高い比誘電率は、薄い基板を形成する能力を促進させ、さらにほんの最小レベルの電気的干渉と同時に動作する複数の導電素子(例えば、アンテナ)の利用を可能にすることができる。エネルギー損失率の測定値である誘電正接も比較的低い場合があり、例えば2GHzの周波数でスプリットポスト共振法によって決定して、約0.3以下、一部の実施形態では約0.1以下、一部の実施形態では約0.06以下、一部の実施形態では約0.04以下、一部の実施形態では約0.01以下、一部の実施形態では約0.001~約0.006であってもよい。特に、本発明者はまた、比誘電率および誘電正接は、約-30℃~約100℃の温度などの種々の温度に曝露された場合でも上述の範囲内に維持できることを驚くべきことに発見した。例えば、本明細書に記載される熱サイクル試験に供された場合、熱サイクリング後の比誘電率の初期比誘電率に対する比は、約0.8以上、一部の実施形態では約0.9以上、一部の実施形態では約0.91~約1であってもよい。同様に、高温への曝露後の誘電正接の初期誘電正接に対する比は、約1.3以下、一部の実施形態では約1.2以下、一部の実施形態では約1.1以下、一部の実施形態では約1.0以下、一部の実施形態では約0.95以下、一部の実施形態では約0.1~約0.9、一部の実施形態では約0.2~約0.8であってもよい。誘電正接の変化(すなわち、初期誘電正接-熱サイクリング後の誘電正接)も、約-0.1~約0.1、一部の実施形態では約-0.05~約0.01、一部の実施形態では約-0.001~0の範囲でありうる。
【0008】
[0024]従来的に、高い比誘電率と低い誘電正接の組合せを有するポリマー組成物は、特定の種類の用途でのそれらの使用を可能とするのに十分良好な熱的、機械的特性および加工容易性(すなわち、低粘度)を同時に有さないと考えられていた。しかし、従来の思想とは対照的に、ポリマー組成物は、優れた熱的、機械的特性および加工性の両方を有することが見出された。組成物の溶融温度は、例えば約250℃~約440℃、一部の実施形態では約270℃~約400℃、一部の実施形態では約300℃~約380℃であってもよい。そのような溶融温度であっても、短期的な耐熱性の測定値である荷重たわみ温度(「DTUL」)の溶融温度に対する比は、依然として比較的高いままであってもよい。例えば、比は約0.5~約1.00、一部の実施形態では約0.6~約0.95、一部の実施形態では約0.65~約0.85の範囲であってもよい。特定のDTUL値は、例えば約200℃~約350℃、一部の実施形態では約210℃~約320℃、一部の実施形態では約230℃~約290℃の範囲であってもよい。そのような高いDTUL値は、とりわけ、構造体と電気構成部品の他の構成部品を嵌合するための高速かつ確実な表面実装プロセスを使用可能とすることができる。
【0009】
[0025]さらに、ポリマー組成物は、薄い基板を形成する際に有用な高い衝撃強度を有してもよい。組成物は、例えば温度23℃でISO試験No.ISO 179-1:2010に従って決定して、約0.5kJ/m以上、一部の実施形態では約1~約60kJ/m、一部の実施形態では約5~約50kJ/m、一部の実施形態では約20~約45kJ/mのノッチ付きシャルピー衝撃強度を有してもよい。組成物の引張および曲げ機械的特性も良好である場合がある。例えば、ポリマー組成物は、約20~約500MPa、一部の実施形態では約50~約400MPa、一部の実施形態では約70~約350MPaの引張強度;約0.4%以上、一部の実施形態では約0.5%~約10%、一部の実施形態では約0.6%~約3.5%の引張破断歪み;および/または約5,000MPa~約20,000MPa、一部の実施形態では約8,000MPa~約20,000MPa、一部の実施形態では約10,000MPa~約20,000MPaの引張弾性率を示してもよい。引張特性は、温度23℃でISO試験No.527:2012に従って決定されてもよい。さらに、ポリマー組成物は、約20~約500MPa、一部の実施形態では約50~約400MPa、一部の実施形態では約100~約350MPaの曲げ強度;約0.4%以上、一部の実施形態では約0.5%~約10%、一部の実施形態では約0.6%~約3.5%の曲げ伸び;および/または約5,000MPa~約20,000MPa、一部の実施形態では約8,000MPa~約20,000MPa、一部の実施形態では約10,000MPa~約15,000MPaの曲げ弾性率を示してもよい。曲げ特性は、温度23℃で178:2010に従って決定されてもよい。
【0010】
[0026]ここで、本発明の種々の実施形態をより詳細に記載する。
I.ポリマー組成物
A.ポリマーマトリックス
[0027]ポリマーマトリックスは、1種または複数の液晶ポリマーを、概して全ポリマー組成物の約15wt.%~約85wt.%、一部の実施形態では約20wt.%~約75wt.%、一部の実施形態では約30wt.%~約50wt.%の量で含有する。液晶ポリマーは、一般的に棒状構造を有し、それらの溶融状態(例えば、サーモトロピックネマチック状態)で結晶挙動を示すことができる限り、「サーモトロピック」と分類される。ポリマー組成物に利用される液晶ポリマーは、典型的に約200℃以上、一部の実施形態では約220℃~約350℃、一部の実施形態では約240℃~約300℃の溶融温度を有する。溶融温度は、示差走査熱量測定(「DSC」)を使用し当技術分野で周知のように決定されてもよく、例えばISO試験No.11357-3:2011によって決定されてもよい。そのようなポリマーは、当技術分野で公知のように、1つまたは複数の種類の繰り返し単位から形成されてもよい。液晶ポリマーは、例えば、以下の式(I):
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、
環Bは、置換または非置換の6員アリール基(例えば、1,4-フェニレンまたは1,3-フェニレン)、置換または非置換の5または6員アリール基に縮合した置換または非置換の6員アリール基(例えば2,6-ナフタレン)、あるいは置換または非置換の5または6員アリール基に連結した置換または非置換の6員アリール基(例えば4,4-ビフェニレン)であり;
およびYは、独立してO、C(O)、NH、C(O)HN、またはNHC(O)である)
によって一般的に表される1つまたは複数の芳香族エステル繰り返し単位を含有してもよい。
【0013】
[0028]典型的に、YおよびYの少なくとも1つはC(O)である。そのような芳香族エステル繰り返し単位の例として、例えば芳香族ジカルボン酸繰り返し単位(式I中YおよびYはC(O)である)、芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位(式I中YはOであり、YはC(O)である)、ならびにこれらの種々の組合せを挙げることができる。
【0014】
[0029]例えば、4-ヒドロキシ安息香酸;4-ヒドロキシ-4’-ビフェニルカルボン酸;2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸;3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸;4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸など、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、アリール、およびハロゲン置換体、ならびにこれらの組合せなどの芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位が利用されてもよい。特に好適な芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4-ヒドロキシ安息香酸(「HBA」)および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)である。利用される場合、ヒドロキシカルボン酸(例えばHBAおよび/またはHNA)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約20mol.%以上、一部の実施形態では約30mol.%~約70mol.%、一部の実施形態では約35mol.%~60mol.%を構成する。
【0015】
[0030]テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン、ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3-カルボキシフェニル)エタンなど、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、アリール、およびハロゲン置換体、ならびにこれらの組合せなどの芳香族ジカルボン酸に由来する芳香族ジカルボン酸繰り返し単位も利用されてもよい。特に好適な芳香族ジカルボン酸として、例えばテレフタル酸(「TA」)、イソフタル酸(「IA」)、および2,6-ナフタレンジカルボン酸(「NDA」)を挙げることができる。利用される場合、芳香族ジカルボン酸(例えば、IA、TA、および/またはNDA)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約1mol.%~約50mol.%、一部の実施形態では約10mol.%~約45mol.%、一部の実施形態では約20mol.%~約40mol.%を構成する。
【0016】
[0031]他の繰り返し単位もポリマーに利用することができる。例えば、特定の実施形態では、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(または4,4’-ビフェノール)、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなど、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換体、ならびにこれらの組合せなどの芳香族ジオールに由来する繰り返し単位が利用されてもよい。特に好適な芳香族ジオールとして、例えばヒドロキノン(「HQ」)および4,4’-ビフェノール(「BP」)を挙げることができる。利用される場合、芳香族ジオール(例えば、HQおよび/またはBP)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約1mol.%~約50mol.%、一部の実施形態では約10~約45mol.%、一部の実施形態では約20mol.%~約40mol.%を構成する。また、芳香族アミド(例えばアセトアミノフェン(「APAP」))、および/または芳香族アミン(例えば、4-アミノフェノール(「AP」))、3-アミノフェノール、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミンなど)に由来するものなどの繰り返し単位が利用されてもよい。利用される場合、芳香族アミド(例えば、APAP)および/または芳香族アミン(例えば、AP)に由来する繰り返し単位は、典型的に、ポリマーの約0.1mol.%~約20mol.%、一部の実施形態では約0.5mol.%~約15mol.%、一部の実施形態では約1mol.%~約10mol.%を構成する。また、ポリマーに種々の他のモノマー繰り返し単位が導入されてもよいことが理解されるべきである。例えば、特定の実施形態では、ポリマーは、脂肪族または脂環式ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール、アミド、アミンなどの非芳香族モノマーに由来する1つまたは複数の繰り返し単位を含有してもよい。当然ながら、他の実施形態では、ポリマーは非芳香族(例えば、脂肪族または脂環式)モノマーに由来する繰り返し単位を含まないという点で「全芳香族」であってもよい。
【0017】
[0032]必ずしも必要ではないが、液晶ポリマーは、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸(「NDA」)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(「HNA」)またはこれらの組合せなどの、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸およびナフテン系ジカルボキシ酸に由来する繰り返し単位を比較的高い含有量で含有する限り、「高ナフテン」ポリマーであってもよい。つまり、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸(例えば、NDA、HNAまたはHNAとNDAの組合せ)に由来する繰り返し単位の合計量は、典型的にポリマーの約10mol.%以上、一部の実施形態では約15mol.%以上、一部の実施形態では約20mol.%~約60mol.%である。多くの従来の「低ナフテン」ポリマーと異なり、得られる「高ナフテン」ポリマーは、良好な熱的および機械的特性を示すことができると考えられる。1つの特定の実施形態では、例えばナフタレン-2,6-ジカルボン酸(「NDA」)に由来する繰り返し単位は、ポリマーの約10mol.%~約40mol.%、一部の実施形態では約12mol.%~約35mol.%、一部の実施形態では約15mol.%~約30mol.%を構成してもよい。
【0018】
B.誘電材料
[0033]所望の誘電特性の達成を促すために、ポリマー組成物は誘電材料も含有する。誘電材料は、典型的に組成物の約10wt.%~約70wt.%、一部の実施形態では約20wt.%~約60wt.%、一部の実施形態では約30wt.%~約50wt.%の量で利用される。上述のように、誘電材料の体積抵抗率は、概して半導電性の性質であるように選択的に制御される。例えば、誘電材料は、例えばASTM D257-14に従って約20℃の温度で決定される、約0.1オーム・cm~約1×1012オーム・cm、一部の実施形態では約0.5オーム・cm~約1×1011オーム・cm、一部の実施形態では約1~約1×1010オーム・cm、一部の実施形態では約2~約1×10オーム・cmの体積抵抗率を有してもよい。これは、所望の体積抵抗率を有する単一の材料を選択することによって、または得られるブレンドが所望の体積抵抗を有するように複数の材料をまとめて(例えば、絶縁性および導電性)ブレンドすることによって達成されてもよい。
【0019】
[0034]一実施形態では、例えば、電荷(または分極)対電圧の線形応答を示しうる無機酸化物材料が利用されてもよい。これらの材料は、印加された電場が除去された後、結晶構造内で電荷の総可逆的分極を示してもよい。この目的に好適な無機酸化物材料として、例えば強誘電性および/または常誘電性材料を挙げることができる。好適な強誘電性材料の例として、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸マグネシウム(MgTiO)、チタン酸ストロンチウムバリウム(SrBaTiO)、ニオブ酸ナトリウムバリウム(NaBaNb15)、ニオブ酸カリウムバリウム(KBaNb15)、ジルコン酸カルシウム(CaZrO)、チタナイト(CaTiSiO)、およびこれらの組合せが挙げられる。さらに好適な常誘電性材料の例として、例えば二酸化チタン(TiO)、五酸化タンタル(Ta)、二酸化ハフニウム(HfO)、五酸化ニオブ(Nb)、アルミナ(Al)、酸化亜鉛(ZnO)など、およびこれらの組合せが挙げられる。特に好適な無機酸化物材料は、TiO、BaTiO、SrTiO、CaTiO、MgTiO、BaSrTiおよびZnOを含む粒子である。当然ながら、他の種類の無機酸化物材料(例えば、マイカ)も誘電材料として利用可能である。グラファイト、カーボンブラックなどの炭素材料も同様に利用することができる。
【0020】
[0035]誘電材料の形状およびサイズは特に限定されず、粒子、微粉末、繊維、ウィスカー、テトラポッド、プレートなどが挙げられてもよい。例えば一実施形態では、誘電材料は、約0.01~約100マイクロメートル、一部の実施形態では約0.10~約20マイクロメートルの平均直径を有する粒子を含んでもよい。別の実施形態では、誘電材料は、約0.1~約35マイクロメートル、一部の実施形態では約0.2~約20マイクロメートル、一部の実施形態では約0.5~約15マイクロメートルの平均直径を有する繊維および/またはウィスカーを含んでもよい。利用される場合、ウィスカーは、約1~約100、一部の実施形態では約2~約80、一部の実施形態では約4~約50のアスペクト比を有してもよい。そのようなウィスカーの体積平均長は、例えば約1~約200マイクロメートル、一部の実施形態では約2~約150マイクロメートル、一部の実施形態では約5~約100マイクロメートルの範囲であってもよい。
【0021】
[0036]所望の体積抵抗率の達成を促すために種々の技術が利用されてもよい。例えば、一実施形態では、例えばASTM D257-14に従って約20℃の温度で決定される、0.1オーム・cm~約500オーム・cm、一部の実施形態では約0.5オーム・cm~約250オーム・cm、一部の実施形態では約1~約100オーム・cm、一部の実施形態では約2~約50オーム・cmの体積抵抗率を有する無機酸化物材料が利用されてもよい。そのような材料の一例として、三次元構造を有する無機酸化物ウィスカー(例えば、酸化亜鉛ウィスカー)が挙げられる。例えば、無機酸化物ウィスカーは、中心体およびそこから放射状に延伸して三次元構造を形成する複数の針状結晶を有してもよい。そのようなウィスカーが樹脂に配合される場合、針状結晶は互いに極めて密接されてもよく、それにより安定な導電路を形成する可能性が増大する。針状結晶の数は異なってもよく、例えば約2以上、一部の実施形態では3~8、一部の実施形態では4~6(例えば4)であってもよい。例えば4つの針状結晶が存在する場合、ウィスカーは、それらの針状結晶突出のうちの1つまたは複数が処理および/または製造中に破損する可能性がある場合でも「テトラポッド」形態を有する。針状結晶の中心体および/または基底部分は、上述の範囲内、例えば約0.1~約35マイクロメートル、一部の実施形態では約0.2~約20マイクロメートル、一部の実施形態では約0.5~約15マイクロメートルの平均直径を有してもよい。針状結晶の体積平均長(基底から先端まで)は、同様に上述の範囲内、例えば約1~約200マイクロメートル、一部の実施形態では約2~約150マイクロメートル、一部の実施形態では約5~約100マイクロメートルの体積平均長を有してもよい。そのようなウィスカーは、例えばYoshinakaらの米国特許第4,960,654号に記載されるように、表面に酸化膜を有する金属粉末(例えば、亜鉛)を、分子酸素を含有する雰囲気中で熱処理することによって形成されてもよい。そのような特徴を有する1つの特に好適な種類のウィスカーとして、商品名Pana-Tetra(商標)でPanasonicから入手可能な単結晶テトラポッド酸化亜鉛ウィスカーが挙げられる。
【0022】
[0037]別の実施形態では、例えばASTM D257-14に従って約20℃の温度で決定される、約1×10~約1×1012オーム・cm、一部の実施形態では約1×10~約1×1011オーム・cm、一部の実施形態では約1×10~約1×1010オーム・cm、一部の実施形態では約1×10~約1×10オーム・cmの体積抵抗率を有する炭素材料が利用されてもよい。例えば、上述の範囲内の体積抵抗率を有する炭素材料(例えば、粒子、繊維など)は、例えばNishihataらの米国特許第8,642,682号に記載されるように、有機物質(例えば、石油タール、石油ピッチ、コールタールまたはコールピッチ)を高温(例えば、400℃~900℃)で不活性雰囲気中で焼成することによって得られてもよい。得られる炭素材料は、典型的に、約80wt.%以上、一部の実施形態では約85wt.%以上、一部の実施形態では約90wt.%~約98wt.%などの高い炭素含有量を有する。1つの特に好適な種類のそのような特徴を有する炭素材料は、商品名Krefine(商標)でKureha Extronから入手可能である。
【0023】
[0038]当然ながら、上述のように、所望の体積抵抗の達成を促すために、絶縁材料と組み合わせて導電性材料を利用することもできる。導電性材料は、一般的に約0.1オーム・cm未満、一部の実施形態では約1×10-8~約1×10-2オーム・cmの体積抵抗率を有し、絶縁材料は、一般的に約1×1012オーム・cmより大きい、一部の実施形態では約1×1013~約1×1018オーム・cmの体積抵抗率を有する。好適な導電性材料として、例えば導電性炭素材料(例えば、グラファイト、カーボンブラック、繊維、グラフェン、ナノチューブなど)、金属などを挙げることができる。同様に、好適な絶縁材料として、上述の無機酸化物材料(例えば、粒子)、例えば二酸化チタン(TiO)を挙げることができる。利用される場合、ポリマー組成物中の絶縁材料の重量パーセンテージの、組成物中の導電性材料の重量パーセンテージに対する比は、約3~約100、一部の実施形態では約3~約50、一部の実施形態では約3~約20、一部の実施形態では約7~約18、一部の実施形態では約8~約15であってもよい。例えば、導電性材料は、誘電材料の約1wt.%~約20wt.%、一部の実施形態では約3wt.%~約18wt.%、一部の実施形態では約5wt.%~約15wt.%を構成してもよく、一方で絶縁材料は、誘電材料の約80wt.%~約99wt.%、一部の実施形態では82wt.%~約97wt.%、一部の実施形態では約85wt.%~約95wt.%を構成してもよい。同様に、導電性材料は、ポリマー組成物の約0.1wt.%~約15wt.%、一部の実施形態では約0.5wt.%~約12wt.%、一部の実施形態では約1wt.%~約10wt.%を構成してもよく、一方で絶縁材料は、ポリマー組成物の約20wt.%~約60wt.%、一部の実施形態では25wt.%~約55wt.%、一部の実施形態では約30wt.%~約50wt.%を構成してもよい。
【0024】
C.任意選択の添加剤
[0039]滑剤、繊維状充填剤、粒子状物質充填剤、熱伝導性充填剤、顔料、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、ワックス、難燃剤、垂れ防止添加剤、核形成剤(例えば、窒化ホウ素)、流動改質剤、レーザー活性化可能添加剤、ならびに特性および加工性を向上させるために添加される他の材料などの、多種多様なさらなる添加剤もポリマー組成物に含まれてもよい。
【0025】
[0040]一部の実施形態では、ポリマー組成物は、レーザー直接構造化(「LDS」)プロセスによって活性化され、アンテナ素子を形成できる添加剤を含有するという意味で「レーザー活性化可能」であってもよい。そのようなプロセスでは、添加剤は金属の遊離を引き起こすレーザーに曝露される。それにより、レーザーはその部分に導電素子のパターンを描き、埋め込まれた金属粒子を含有する粗面化表面を残留させる。これらの粒子は、後後のメッキプロセス(例えば、銅メッキ、金メッキ、ニッケルメッキ、銀メッキ、亜鉛メッキ、スズメッキなど)の間に、結晶成長のための核として作用する。利用される場合、レーザー活性化可能添加剤は、典型的に、ポリマー組成物の約0.1wt.%~約30wt.%、一部の実施形態では約0.5wt.%~約20wt.%、一部の実施形態では約1wt.%~約10wt.%を構成する。レーザー活性化可能添加剤は、一般的にスピネル結晶を含み、これは画定可能な結晶形成内に2つ以上の金属酸化物クラスター構成を含んでもよい。例えば、全結晶形成は、以下の一般式:
AB
(式中、
Aは2の価数を有する金属カチオン、例えばカドミウム、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、銅、コバルト、鉄、マグネシウム、スズ、チタンなど、およびこれらの組合せであり;
Bは3の価数を有する金属カチオン、例えばクロム、鉄、アルミニウム、ニッケル、マンガン、スズなど、およびこれらの組合せである)
を有してもよい。
【0026】
[0041]一般的に、上記式中のAは第1の金属酸化物クラスターの主カチオン成分を与え、Bは第2の金属酸化物クラスターの主カチオン成分を与える。これらの酸化物クラスターは、同じまたは異なる構造を有してもよい。例えば、一実施形態では、第1の金属酸化物クラスターは四面体構造を有し、第2の金属酸化物クラスターは八面体クラスターを有する。それにもかかわらず、クラスターは一緒になり、電磁放射線に対して増大した感度を有する単一の特定可能な結晶型構造を与えることができる。好適なスピネル結晶の例として、例えばMgAl、ZnAl、FeAl、CuFe、CuCr、MnFe、NiFe、TiFe、FeCr、MgCrなどが挙げられる。銅酸化クロム(CuCr)が本発明で使用するのに特に好適であり、Shepherd Color Co.から「Shepherd Black 1GM」の名称で入手可能である。
【0027】
[0042]電気的性能に顕著な影響を及ぼさずに組成物の熱的および機械的特性を改善するために、繊維状充填剤もポリマー組成物に利用されてもよい。繊維状充填剤は、典型的に、それらの質量に対して高度な引張強度を有する充填剤を含む。例えば、繊維の最大引張強度(ASTM D2101に従って決定される)は、典型的に約1,000~約15,000メガパスカル(「MPa」)、一部の実施形態では約2,000MPa~約10,000MPa、一部の実施形態では約3,000MPa~約6,000MPaである。所望の誘電特性の維持を促すために、そのような高強度繊維は、一般的に絶縁性の性質の材料、例えばガラス、セラミック(例えば、アルミナまたはシリカ)、アラミド(例えば、E.I.duPont de Nemours、Wilmington、デラウェア州によって販売されるKevlar(登録商標))、ポリオレフィン、ポリエステルなどから形成されてもよい。E-ガラス、A-ガラス、C-ガラス、D-ガラス、AR-ガラス、R-ガラス、S1-ガラス、S2-ガラスなどのガラス繊維が特に好適である。
【0028】
[0043]繊維状充填剤において利用される繊維は様々な異なるサイズを有してもよいが、特定のアスペクト比を有する繊維が得られるポリマー組成物の機械的特性の改善を促す場合がある。すなわち、約5~約50、一部の実施形態では約6~約40、一部の実施形態では約8~約25のアスペクト比(平均長を公称直径で除したもの)を有する繊維が特に有益である。そのような繊維は、例えば約100~約800マイクロメートル、一部の実施形態では約120~約500マイクロメートル、一部の実施形態では約150~約350マイクロメートル、一部の実施形態では約200~約300マイクロメートルの重量平均長を有してもよい。繊維は、同様に約6~約35マイクロメートル、一部の実施形態では約9~約18マイクロメートルの公称直径を有してもよい。繊維状充填剤の相対量もまた、組成物の他の特性、例えばその流動性および誘電特性などに悪影響を及ぼさずに所望の機械的および熱的特性を達成することを促すために、選択的に制御されてもよい。例えば、繊維状充填剤は、ポリマー組成物の約1wt.%~約40wt.%、一部の実施形態では約3wt.%~約30wt.%、一部の実施形態では約5wt.%~約20wt.%を構成してもよい。レーザー活性化可能添加剤と組み合わせて利用される場合、繊維状充填剤はまた、誘電材料とレーザー活性化可能材料とを組み合わせた量に対する繊維状充填剤の重量比が約0.05~約1、一部の実施形態では約0.05~約0.5、一部の実施形態では約0.06~約0.4、一部の実施形態では約0.1~約0.3であるように十分な量で利用されてもよい。
【0029】
II.形成
[0044]ポリマー組成物を形成するために使用される成分は、当技術分野で公知の種々の異なる技術のいずれかを使用して一緒に組み合わされてもよい。例えば、1つの特定の実施形態では、液晶ポリマー、誘電材料、および他の任意選択の添加剤を押出機内で混合物として溶融加工し、ポリマー組成物を形成する。混合物は、一軸または多軸押出機で約250℃~約450℃の温度で溶融混錬されてもよい。一実施形態では、混合物は、複数の温度ゾーンを含む押出機で溶融加工することができる。個々のゾーンの温度は、典型的に液晶ポリマーの溶融温度に対して約-60℃~約25℃内に設定される。例として、混合物は、Leistritz 18mm共回転完全噛み合い二軸押出機などの二軸押出機を使用して溶融加工することができる。混合物を溶融加工するために、汎用スクリュー設計を使用することができる。一実施形態では、成分をすべて含む混合物を、定量フィード機によって第一のバレルのフィード口にフィードすることができる。別の実施形態では、公知のように、押出機の別の添加点で異なる成分を添加することができる。例えば、液晶ポリマーをフィード口に適用し、それより下流に位置する同じまたは異なる温度ゾーンで、特定の添加剤(例えば、誘電材料)を供給することができる。いずれにせよ、得られた混合物を溶融し、混合し、次いでダイを通して押し出すことができる。次に、押し出されたポリマー組成物を水浴中でクエンチして固化し、ペレタイザーで造粒し、その後乾燥してもよい。
【0030】
[0045]得られる組成物の溶融粘度は、概して金型の空洞に容易に流動し、小サイズの回路基板を形成できるように十分に低い。例えば1つの特定の実施形態では、ポリマー組成物は、1,000秒-1のせん断速度で決定される、約5~約100Pa・s、一部の実施形態では約10~約95Pa・s、一部の実施形態では約15~約90Pa・sの溶融粘度を有してもよい。溶融粘度は、11443:2005に従って決定されてもよい。
【0031】
III.基板
[0046]形成後、ポリマー組成物は、アンテナシステムで使用するために所望される基板の形状へと成型されてもよい。ポリマー組成物の有益な特性のために、得られる基板は、厚さ約5ミリメートル以下、一部の実施形態では約4ミリメートル以下、一部の実施形態では約0.5~約3ミリメートルなどの非常に小さいサイズを有してもよい。典型的に、成形部品は、乾燥および予熱されたプラスチック顆粒が金型に射出される一成分射出成型プロセスを使用して成型される。導電素子は、メッキ、電気メッキ、レーザー直接構造化などの種々の方法によって形成されてもよい。例えば、レーザー活性化可能添加剤としてスピネル結晶を含有する場合、レーザーでの活性化によって物理化学的反応が生じる場合があり、スピネル結晶が割れて開き、金属原子が遊離する。これらの金属原子は、金属化に対して核として作用してもよい(例えば、還元的銅コーティング)。さらに、レーザーは微視的に不規則な表面を作り出し、ポリマーマトリックスを研磨して多数の微視的なくぼみおよびみぞを作り、その中で金属化の間に銅が固着することが可能になる。
【0032】
[0047]所望される場合、導電素子は、得られる部品がアンテナシステムを形成するように、アンテナ素子(例えば、アンテナ共振素子)であってもよい。導電素子は、パッチアンテナ素子、逆Fアンテナ素子、クローズドおよびオープンスロットアンテナ素子、ループアンテナ素子、モノポール、ダイポール、平面逆Fアンテナ素子、これらの設計の混成などから形成される共振素子を有するアンテナなどの、様々な異なる種類のアンテナを形成することができる。得られるアンテナシステムは、様々な異なる電子構成部品で利用されてもよい。例として、アンテナシステムは、デスクトップコンピュータ、軽量コンピュータ、手持ち型電子デバイス、自動車機器などの電子構成部品に形成されてもよい。1つの好適な構成では、アンテナシステムは、利用可能な内部空間が比較的小さい比較的小型の軽量電子構成部品の筐体に形成される。好適な軽量電子構成部品の例として、携帯電話、ラップトップコンピュータ、小さい軽量コンピュータ(例えば、超軽量コンピュータ、ネットブックコンピュータ、およびタブレットコンピュータ)、腕時計デバイス、ペンダントデバイス、ヘッドフォンおよびイヤーピースデバイス、ワイヤレス通信機能付きメディアプレーヤー、手持ち型コンピュータ(パーソナルデジタルアシスタントと呼ばれる場合もある)、リモートコントローラー、衛星測位システム(GPS)デバイス、手持ち型ゲームデバイスなどが挙げられる。アンテナはまた、手持ち型デバイスのカメラモジュール、スピーカーまたは電池カバーなどの他の構成部品と一体型であってもよい。
【0033】
[0048]図1~2に示される1つの特に好適な電子構成部品は、携帯電話機能付き手持ち型デバイス10である。図1に示されるように、デバイス10は、プラスチック、金属、他の好適な誘電材料、他の好適な導電性材料、またはそのような材料の組合せから形成される筐体12を有してもよい。タッチスクリーンディスプレイなどのディスプレイ14がデバイス10の前面に設けられてもよい。デバイス10はまた、スピーカーポート40および他の入出力ポートを有してもよい。ユーザ入力を集めるために、1つまたは複数のボタン38および他のユーザ入力デバイスが使用されてもよい。図2に示されるように、アンテナシステム26はまた、デバイス10の裏面42に設けられるが、アンテナシステムは一般的に、デバイスの任意の所望の場所に位置してもよいことが理解されるべきである。アンテナシステムは、様々な公知の技術のいずれかを使用して電子デバイス内の他の構成部品に電気的に接続されてもよい。再び図1~2を参照すると、例えば筐体12または筐体12の一部は、アンテナシステム26の導電性グランドプレーンとして機能してもよい。これは図3でより詳細に例示されており、この図はアンテナシステム26が、正のアンテナフィード端子54およびグランドアンテナフィード端子56で無線周波数源52によってフィードされることを示す。正のアンテナフィード端子54は、アンテナ共振素子58に結合されてもよく、グランドアンテナフィード端子56は、グランド素子60に結合されてもよい。共振素子58は、主アーム46および主アーム46をグランド60に接続する短絡分岐48を有してもよい。
【0034】
[0049]アンテナシステムを電気的に接続する種々の他の構成も企図される。例えば図4では、アンテナシステムはモノポールアンテナ構成に基づき、共振素子58は、曲がりくねった蛇行路形状を有する。そのような実施形態では、フィード端子54は共振素子58の一端に接続されてもよく、グランドフィード端子56は、筐体12または別の好適なグランドプレーン素子に結合されてもよい。図5に示される別の実施形態では、導電アンテナ素子62は、クローズドスロット64およびオープンスロット66を画定するように構成される。構造62から形成されるアンテナは、正のアンテナフィード端子54およびグランドアンテナフィード端子56を使用してフィードされてもよい。この種類の配置では、スロット64および66は、アンテナ素子26のためのアンテナ共振素子として機能する。スロット64および66のサイズは、アンテナ素子26が所望される通信帯域(例えば、2.4GHzおよび5GHzなど)で動作するように構成されてもよい。アンテナシステム26のための別の可能な構成が図6に示される。この実施形態では、アンテナ素子26は、パッチアンテナ共振素子68を有し、正のアンテナフィード端子54およびグランドアンテナフィード端子56を使用してフィードされてもよい。グランド60は、筐体12またはデバイス10の他の好適なグランドプレーン素子と結合してもよい。図7は、アンテナシステム26のアンテナ素子に使用されてもよいさらに別の例示的な構成を示す。示されるように、アンテナ共振素子58は、2つの主アーム46Aおよび46Bを有する。アーム46Aはアーム46Bより短く、したがってアーム46Aより高い周波数の動作と関連する。異なるサイズの2つ以上の別個の共振素子構造を使用することにより、アンテナ共振素子58は、より広い帯域幅または1つより多くの目的の通信帯域をカバーするように構成可能である。
【0035】
[0050]本発明の特定の実施形態では、ポリマー組成物は、高周波数アンテナならびに基地局に使用されるアンテナアレイ、リピーター(例えば、「フェムトセル」)、中継局、端子、ユーザデバイスおよび/または5Gシステムの他の好適な構成部品に特に良好に適合してもよい。本明細書で使用される場合、「5G」は、概して無線周波数信号による高速データ通信を指す。5Gネットワークおよびシステムは、前世代のデータ通信規格(例えば、「4G」、「LTE」)よりはるかに高速でデータを通信することができる。例えば、本明細書で使用される「5G周波数」は、1.5GHz以上、一部の実施形態では約2.0GHz以上、一部の実施形態では約2.5GHz以上、一部の実施形態では約3.0GHz以上、一部の実施形態では約3GHz~約300GHz以上、一部の実施形態では約4GHz~約80GHz、一部の実施形態では約5GHz~約80GHz、一部の実施形態では約20GHz~約80GHz、一部の実施形態では約28GHz~約60GHzの周波数を指す場合がある。5G通信の要件を定量化する種々の規格および仕様が公開されている。一例として、International Telecommunications Union(ITU)は、International Mobile Telecommunications-2020(「IMT-2020」)規格を2015年に公開している。IMT-2020規格は、5Gのための種々のデータ送信基準(例えば、ダウンリンクおよびアップリンクデータレート、待ち時間など)を定めている。IMT-2020規格は、アップリンクおよびダウンリンクピークデータレートを、5Gシステムがサポートしなければならないデータをアップロードおよびダウンロードするための最小データレートと規定している。IMT-2020規格は、ダウンリンクピークデータレート要件を20Gbit/秒、アップリンクピークデータレートを10Gbit/秒と設定している。別の例として、3rd Generation Partnership Project(3GPP)は、「5G NR」と称する5G用の新規規格を近年公開した。3GPPは、「Phase1」を5G NRの標準化と規定する「Release 15」を2018年に発行した。3GPPは、5G周波数帯を、概して6GHz未満の周波数を含む「Frequency Range 1」(FR1)として、かつ「Frequency Range 2」(FR2)を20~60GHzの範囲の周波数帯として規定している。本明細書に記載されるアンテナシステムは、Release 15(2018)などの3GPPによって公開された規格および/もしくはIMT-2020規格に基づく「5G」を満たすか、または「5G」とみなされてもよい。
【0036】
[0051]高速データ通信を高周波数で達成するために、アンテナ素子およびアレイは、アンテナ性能を改善することができる小さい特徴サイズ/間隔(例えば、ファインピッチ技術)を利用してもよい。例えば、特徴サイズ(アンテナ素子間の間隔、アンテナ素子の幅)などは、一般的に、その上にアンテナ素子が形成される基板の誘電体を通って伝搬する、所望の送信および/または受信無線周波数の波長(「λ」)に依存する(例えば、nλ/4であり、ここでnは整数である)。さらに、ビーム形成および/またはビームステアリングを利用し、複数の周波数範囲またはチャネルにわたって送受信を促進することができる(例えば、多入力多出力(MIMO)、大規模MIMO)。
【0037】
[0052]高周波数5Gアンテナ素子は、種々の構成を有してもよい。例えば、5Gアンテナ素子は、同一平面導波管素子、パッチアレイ(例えば、メッシュグリッドパッチアレイ)、他の好適な5Gアンテナ構成であってもよいか、またはこれらを含んでもよい。アンテナ素子は、MIMO、大規模MIMO機能、ビームステアリングなどをもたらすように構成されてもよい。本明細書で使用される「大規模」MIMO機能は、一般的に、アンテナアレイによって多数の送受信チャネル、例えば8つの送信(Tx)チャネルおよび8つの受信(Rx)チャネル(8×8と略記される)を提供することを指す。大規模MIMO機能は、8×8、12×12、16×16、32×32、64×64以上を備えてもよい。
【0038】
[0053]アンテナ素子は、種々の構成および配置を有してもよく、種々の製造技術を使用して製作されてもよい。一例として、アンテナ素子および/または関連素子(例えば、グランド素子、フィードラインなど)は、ファインピッチ技術を利用してもよい。ファインピッチ技術は、一般的に、それらの構成部品またはリード間の小さなまたは微細な間隔を指す。例えば、アンテナ素子間(またはアンテナ素子とグランドプレーンとの間)の特徴寸法および/または間隔は、約1,500マイクロメートル以下、一部の実施形態では1,250マイクロメートル以下、一部の実施形態では750マイクロメートル以下(例えば、1.5mm以下の中心間間隔)、650マイクロメートル以下、一部の実施形態では550マイクロメートル以下、一部の実施形態では450マイクロメートル以下、一部の実施形態では350マイクロメートル以下、一部の実施形態では250マイクロメートル以下、一部の実施形態では150マイクロメートル以下、一部の実施形態では100マイクロメートル以下、一部の実施形態では50マイクロメートル以下であってもよい。しかし、より小さいおよび/またはより大きい特徴サイズおよび/または間隔が本開示の範囲内で利用されてもよいことが理解されるべきである。
【0039】
[0054]そのような小さい特徴寸法の結果として、小さな設置面積内に多数のアンテナ素子を有するアンテナシステムを達成することができる。例えば、アンテナアレイは、平方センチメートルあたり1,000個より多いアンテナ素子、一部の実施形態では平方センチメートルあたり2,000個より多いアンテナ素子、一部の実施形態では平方センチメートルあたり3,000個より多いアンテナ素子、一部の実施形態では平方センチメートルあたり4,000個より多いアンテナ素子、一部の実施形態では平方センチメートルあたり6,000個より多いアンテナ素子、一部の実施形態では平方センチメートルあたり約8,000個より多いアンテナ素子の平均アンテナ素子密度を有してもよい。アンテナ素子のそのような緻密な配置により、アンテナ領域の単位面積あたりより多数のMIMO機能用チャネルを提供することができる。例えば、チャネル数は、アンテナ素子の数に対応してもよい(例えば、それと同等であってもよく、または比例してもよい)。
【0040】
[0055]図8を参照すると、基地局102、1つもしくは複数の中継局104、1つもしくは複数のユーザコンピューティングデバイス106、1つもしくは複数のWi-Fiリピーター108(例えば、「フェムトセル」)および/または5Gアンテナシステム100の他の好適なアンテナ構成部品も含む5Gアンテナシステム100の一実施形態が示される。中継局104は、基地局102とユーザコンピューティングデバイス106および/または中継局104との間の信号を中継するまたは「反復する」ことにより、ユーザコンピューティングデバイス106および/または他の中継局104による基地局102との通信を促進するように構成されてもよい。基地局102は、中継局104、Wi-Fiリピーター108と、および/または直接的にユーザコンピューティングデバイス106と無線周波数信号112を受信および/または送信するように構成されたMIMOアンテナアレイ110を含んでもよい。ユーザコンピューティングデバイス306は、必ずしも本発明によって制限されず、5Gスマートフォンなどのデバイスを含む。
【0041】
[0056]MIMOアンテナアレイ110は、ビームステアリングを利用して無線周波数信号112を中継局104に対して集中させるまたは方向付けてもよい。例えば、MIMOアンテナアレイ110は、仰角114を、X-Y面および/またはZ-Y面に画定されるヘディング角116に対して、ならびにZ方向に対して調整するように構成されてもよい。同様に、中継局104、ユーザコンピューティングデバイス106、Wi-Fiリピーター108のうちの1つまたは複数は、ビームステアリングを利用し、基地局102のMIMOアンテナアレイ110に対するデバイス104、106、108の感度および/または送電を方向的に同調させることにより(例えば、それぞれのデバイスの相対仰角および/または相対方位角のうちの1つまたは両方を調整することにより)、MIMOアンテナアレイ110に対する受信および/または送信能力を改善することができる。
【0042】
[0057]図9Aおよび9Bは、それぞれ例示的なユーザコンピューティングデバイス106を上から見た図および側面図である。ユーザコンピューティングデバイス106は、1つまたは複数のアンテナ素子200、202(例えば、各アンテナアレイとして配置される)を含んでもよい。図9Aを参照すると、アンテナ素子200、202は、X-Y面でビームステアリング(矢印204、206によって示され、相対方位角に対応する)を行うように構成されてもよい。図9Bを参照すると、アンテナ素子200、202は、Z-Y面でビームステアリング(矢印204、206によって示される)を行うように構成されてもよい。
【0043】
[0058]図10は、各フィードライン304を使用して(例えば、フロントエンドモジュールと)接続される複数のアンテナアレイ302の簡潔な概略図である。アンテナアレイ302は、本発明のポリマー組成物から形成可能な基板308の側面306に取り付けることができる。アンテナアレイ302は、複数の垂直接続された素子(例えば、メッシュグリッドアレイ)を含んでもよい。したがって、アンテナアレイ302は、一般的に基板308の側面306と平行に延伸してもよい。アンテナアレイ302が基板308に対してシールドの外側に位置するように、基板308の側面306にシールドが任意選択で設けられてもよい。アンテナアレイ302の垂直接続された素子間の垂直間隔距離は、アンテナアレイ320の「特徴サイズ」に対応してもよい。したがって、一部の実施形態では、これらの間隔距離は、アンテナアレイ302が「ファインピッチ」アンテナアレイ302であるように比較的小さくてもよい(例えば、約750マイクロメートル未満)。
【0044】
[0059]図11は、同一平面導波管アンテナ400の構成の側面図である。1つまたは複数の同一平面グランド層402は、アンテナ素子404(例えば、パッチアンテナ素子)と平行に配置されてもよい。別のグランド層406は、本発明のポリマー組成物から形成可能な基板408によってアンテナ素子から離間されてもよい。1つまたは複数のさらなるアンテナ素子410は、同様に本発明のポリマー組成物から形成可能な第2の層または基板412によってアンテナ素子404から離間されてもよい。寸法「G」および「W」は、アンテナ400の「特徴サイズ」に対応してもよい。「G」寸法は、アンテナ素子404と同一平面グランド層406との間の距離に対応してもよい。「W」寸法は、アンテナ素子404の幅(例えば、線幅)に対応してもよい。したがって、一部の実施形態では、寸法「G」および「W」は、アンテナ400が「ファインピッチ」アンテナ400であるように比較的小さくてもよい(例えば、約750マイクロメートル未満)。
【0045】
[0060]図12Aは、本開示の別の態様によるアンテナアレイ500の図である。アンテナアレイ500は、本発明のポリマー組成物から形成可能な基板510およびその上に形成された複数のアンテナ素子520を含んでもよい。複数のアンテナ素子520は、Xおよび/またはY方向でほぼ均等なサイズであってもよい(例えば、正方形または長方形)。複数のアンテナ素子520は、XおよびY方向でほぼ均等に離間されてもよい。アンテナ素子520の寸法および/またはその間の間隔は、アンテナアレイ500の「特徴サイズ」に対応してもよい。したがって、一部の実施形態では、寸法および/または間隔は、アンテナアレイ500が「ファインピッチ」アンテナアレイ500であるように比較的小さくてもよい(例えば、約750マイクロメートル未満)。省略記号522によって図示されるように、図12に図示されるアンテナ素子520の列数は、単なる例として示される。同様に、アンテナ素子520の行数は、単なる例として示される。
【0046】
[0061]同調されたアンテナアレイ500を使用し、例えば基地局に大規模MIMO機能を設けることができる(例えば、図8に関して上述された通り)。より詳細には、種々の素子間の無線周波数の相互作用が制御または同調され、複数の送信および/もしくは受信チャネルが提供されてもよい。送信電力および/または受信感度は、例えば図8の無線周波数信号112に関して記載されたように、無線周波数信号を集中させるまたは方向付けるように方向的に制御されてもよい。同調されたアンテナアレイ500は、小さい設置面積内に多数のアンテナ素子522を設けることができる。例えば、同調されたアンテナ500は、平方cmあたり1,000個以上のアンテナ素子の平均アンテナ素子密度を有してもよい。アンテナ素子のそのような緻密な配置により、単位面積あたりより多数のMIMO機能用チャネルを提供することができる。例えば、チャネル数は、アンテナ素子の数に対応してもよい(例えば、それと同等であってもよく、または比例してもよい)。
【0047】
[0062]図12Bは、任意選択でアンテナ素子を形成するために利用可能なレーザー直接構造化によって形成されたアンテナアレイ540の図である。アンテナアレイ540は、複数のアンテナ素子542、およびアンテナ素子542を(例えば、他のアンテナ素子542、フロントエンドモジュールまたは他の好適な構成部品と)接続する複数のフィードライン544を含んでもよい。アンテナ素子542は、各幅「w」ならびにその間の間隔距離「S」および「S」(例えば、それぞれX方向およびY方向に)を有してもよい。これらの寸法は、所望の5G周波数で5G周波数通信を達成するように選択されてもよい。より詳細には、寸法は、アンテナアレイ540を、5G周波数スペクトル内の無線周波数信号を使用してデータを送信および/または受信するように同調するために選択されてもよい。寸法は、基板の材料特性に基づいて選択されてもよい。例えば、「w」、「S」または「S」のうちの1つまたは複数は、基板材料を通る所望の周波数の複数の伝搬波長(「λ」)に対応してもよい(例えば、nλ/4であり、ここでnは整数である)。
【0048】
[0063]一例として、λは、以下:
【0049】
【数1】
【0050】
(式中、cは真空中の光の速度であり、εは基板(または周囲材料)の比誘電率であり、fは所望の周波数である)
のように計算されてもよい。
【0051】
[0064]図12Cは、本開示の態様による例示的なアンテナ構成560の図である。アンテナ構成560は、本発明のポリマー組成物から形成可能な基板564の平行な長辺に配置される複数のアンテナ素子562を含んでもよい。種々のアンテナ素子562は、アンテナ構成560を、所望の周波数および/または周波数範囲で受信および/または送信するように同調する各長さ「L」(およびその間の間隔距離)を有してもよい。より詳細には、そのような寸法は、例えば図12Bを参照して上述されたように、基板材料のための所望の周波数で伝搬波長λに基づいて選択されてもよい。
【0052】
[0065]図13A~13Cは、本開示の態様によるアンテナ素子および/またはアレイを形成するために使用できるレーザー直接構造化製造方法の簡潔なシーケンス図である。図13Aを参照すると、基板600は、任意の所望の技術(例えば、射出成型)を使用して本発明のポリマー組成物から形成されてもよい。特定の実施形態では、図13Bに示されるように、レーザー602を使用してレーザー活性化可能添加剤を活性化し、アンテナ素子および/またはアレイの1つまたは複数を含みうる回路パターン604を形成してもよい。例えば、レーザーはポリマー組成物中の導電性粒子を溶融し、回路パターン604を形成することができる。図13Cを参照すると、基板600を無電解銅浴に浸漬して回路パターン604にメッキを施し、アンテナ素子、素子アレイ、他の構成部品および/またはその間の導電ラインを形成してもよい。
【0053】
[0066]本発明は、以下の実施例を参照してより良好に理解することができる。
試験方法
[0067]溶融粘度:溶融粘度(Pa・s)は、Dynisco LCR7001キャピラリーレオメーターを使用して、せん断速度400s-1および溶融温度を15℃超える温度(例えば、約350℃)でISO試験No.11443:2005に従って決定されてもよい。レオメーターオリフィス(ダイ)は、直径1mm、長さ20mm、L/D比20.1、および入口角180°を有していた。バレルの直径は9.55mm+0.005mm、ロッド長さは233.4mmであった。
【0054】
[0068]溶融温度:溶融温度(「Tm」)は、当技術分野で公知のように示差走査熱量測定(「DSC」)によって決定されてもよい。溶融温度は、ISO試験No.11357-2:2013によって決定される示差走査熱量測定(DSC)のピーク溶融温度である。DSC手順に基づき、TA Q2000装置上で行うDSC測定を使用し、ISO標準10350に記述されるように、試料を1分あたり20℃で加熱および冷却した。
【0055】
[0069]荷重たわみ温度(「DTUL」):荷重たわみ温度は、ISO試験No.75-2:2013(技術的にASTM D648-07と同等である)に従って決定されてもよい。より詳細には、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmの試験片試料を、指定の荷重(最大外部繊維応力)が1.8メガパスカルであるエッジワイズ三点屈曲試験に供してもよい。検体をシリコーン油浴中に下げ、検体が0.25mm(ISO試験No.75-2:2013では0.32mm)たわむまで温度を1分あたり2℃で上昇させる。
【0056】
[0070]引張弾性率、引張応力および引張伸び:引張特性は、ISO試験No.527:2012(技術的にASTM D638-14と同等である)に従って試験されてもよい。弾性率および強度の測定は、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmの同じ試験片試料で行われてもよい。試験温度は23℃であってもよく、試験速度は1または5mm/分であってもよい。
【0057】
[0071]曲げ弾性率、曲げ応力および曲げ伸び:曲げ特性は、ISO試験No.178:2010(技術的にASTM D790-10と同等である)に従って試験されてもよい。この試験は、64mmの支持スパン上で実施されてもよい。試験は、切断されていないISO 3167マルチパーパスバーの中心部で行われてもよい。試験温度は23℃であってもよく、試験速度は2mm/分であってもよい。
【0058】
[0072]ノッチなしおよびノッチ付きシャルピー衝撃強度:シャルピー特性は、ISO試験No.ISO179-1:2010(技術的にASTM D256-10、方法Bと同等である)に従って試験されてもよい。この試験は、タイプ1検体サイズ(長さ80mm、幅10mm、および厚さ4mm)を使用して行われてもよい。ノッチ付き衝撃強度を試験する場合、ノッチはタイプAノッチ(0.25mmベース半径)であってもよい。検体は、一本歯フライス盤を使用してマルチパーパスバーの中心から切り出してもよい。試験温度は23℃であってもよい。
【0059】
[0073]比誘電率(「Dk」)および誘電正接(「Df」):比誘電率(または相対静的誘電率)および誘電正接は、Baker-Jarvisら、IEEE Trans. on Dielectric and Electrical Insulation、5(4)、571頁(1998年)およびKrupkaら、Proc. 7th International Conference on Dielectric Materials:Measurements and Applications、IEEE Conference Publication No.430(1996年9月)に記載されるものなどの公知のスプリット-ポスト誘電共振法を使用して決定される。より詳細には、サイズ80mm×80mm×1mmの板状試料を2つの固定された誘電共振器の間に挿入した。共振器により、検体の面における誘電率成分を測定した。5つの試料を試験し、平均値を記録する。スプリット-ポスト共振器を使用し、低ギガヘルツ領域、例えば1GHz~2GHzで誘電測定を行うことができる。
【0060】
[0074]熱サイクル試験:検体を温度制御チャンバに入れ、-30℃~100℃の温度範囲内で加熱/冷却する。まず、100℃の温度に達するまで試料を加熱し、その時点ですぐに冷却した。温度が-30℃に達したとき、検体を100℃に達するまですぐに再び加熱した。3時間にわたって23回の加熱/冷却サイクルを実施してもよい。
【0061】
実施例1
[0075]試料1~5を、液晶ポリマー(LCP1、LCP2、LCP3またはLCP4)、二酸化チタン、グラファイト、亜クロム酸銅充填剤(CuCr)、ガラス繊維およびアルミナ三水和物の種々の組合せから形成する。LCP1は、48%HNA、2%HBA、25%BPおよび25%TAから形成される。LCP2は、43%HBA、20%NDA、9%TAおよび28%HQから形成される。LCP3は、73%HBAおよび27%HNAから形成される。LCP4は、60%HBA、4.2%HNA、17.9%TAおよび17.9%BPから形成される。配合は、18mmの単軸押出機を使用して実施した。部品を射出成型し、試料を板(60mm×60mm)にする。
【0062】
【表1】
【0063】
[0076]試料1~5を熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表2に記載する。
【0064】
【表2】
【0065】
実施例2
[0077]試料6~10を、液晶ポリマー(LCP1、LCP2またはLCP3)、二酸化チタン、グラファイトまたは炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ三水和物およびPPSの種々の組合せから形成する。配合は、18mmの単軸押出機を使用して実施した。部品を射出成型し、試料を板(60mm×60mm)にする。
【0066】
【表3】
【0067】
[0078]試料6~10を熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表4に記載する。
【0068】
【表4】
【0069】
実施例3
[0079]試料11~15を、液晶ポリマー(LCP2、LCP3またはLCP4)、二酸化チタン、グラファイト、亜クロム酸銅充填剤(CuCr)、ガラス繊維およびアルミナ三水和物の種々の組合せから形成する。配合は、18mmの単軸押出機を使用して実施した。部品を射出成型し、試料を板(80mm×80mm×3mm)にする。
【0070】
【表5】
【0071】
[0080]試料11~15を熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表6に記載する。
【0072】
【表6】
【0073】
実施例4
[0081]試料16~22を、液晶ポリマー(LCP2、LCP3またはLCP4)、グラファイト、炭素繊維、亜クロム酸銅充填剤(CuCr)、およびガラス繊維の種々の組合せから形成する。配合は、18mmの単軸押出機を使用して実施した。部品を射出成型し、試料を板(60mm×60mm)にする。
【0074】
【表7】
【0075】
[0082]試料16~22を熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表8に記載する。
【0076】
【表8】
【0077】
実施例5
[0083]試料23~27を、液晶ポリマー(LCP2、LCP3またはLCP4)、亜クロム酸銅(CuCr)、ガラス繊維、酸化亜鉛単結晶、テトラポッドウィスカー(Panasonic製Pana-Tetra(商標))、導電性グラファイトおよび/または半導電性グラファイト(Kureha Extron製Krefine(商標)、体積抵抗率3×10オーム・cm)の種々の組合せから形成する。配合は、18mmの単軸押出機を使用して実施した。部品を射出成型し、試料を板(60mm×60mm)にする。
【0078】
【表9】
【0079】
[0084]試料23~27を電気的、熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表10に記載する。
【0080】
【表10】
【0081】
[0085]試料27も上述の熱サイクル試験に供した。試験後、比誘電率は11.36であり、誘電正接は0.1566と決定された。したがって、熱サイクル試験後の比誘電率の初期比誘電率に対する比は0.96であり、熱サイクル試験後の誘電正接の初期誘電正接に対する比は0.75であった。
【0082】
実施例6
[0086]試料28~30を、液晶ポリマー(LCP2、LCP3またはLCP4)、炭素繊維、亜クロム酸銅充填剤(CuCr)、およびガラス繊維の種々の組合せから形成する。配合は、32mmの二軸押出機を使用して実施した。部品を射出成型し、試料を板(80mm×90mm×3mm)にする。
【0083】
【表11】
【0084】
[0087]試料28~30を熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表12に記載する。
【0085】
【表12】
【0086】
[0088]試料28~30も上述の熱サイクル試験に供した。試験後、試料について得られた誘電正接は、それぞれ0.032、0.025および0.020と決定された。したがって、試料28、29および30の熱サイクル試験後の誘電正接の初期誘電正接に対する比は、それぞれ1.14、1.26および1.13であった。
【0087】
実施例7
[0089]試料31~34を、液晶ポリマー(LCP2、LCP3またはLCP4)、アルミナ三水和物(ATH)、二酸化チタン、炭素繊維、亜クロム酸銅充填剤(CuCr)、およびガラス繊維の種々の組合せから形成する。配合は、32mmの二軸押出機を使用して実施した。部品を射出成型し、試料を板(80mm×90mm×3mm)にする。
【0088】
【表13】
【0089】
[0090]試料31~34を熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表14に記載する。
【0090】
【表14】
【0091】
実施例8
[0091]試料35~40を、液晶ポリマー(LCP2、LCP3またはLCP4)、アルミナ三水和物(ATH)、二酸化チタン、炭素繊維、亜クロム酸銅充填剤(CuCr)、およびガラス繊維の種々の組合せから形成する。配合は、32mmの二軸押出機を使用して実施した。部品を射出成型し、試料を板(80mm×90mm×3mm)にする。
【0092】
【表15】
【0093】
[0092]試料35~40を熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表16に記載する。
【0094】
【表16】
【0095】
[0093]試料38~40も上述の熱サイクル試験に供した。試験後、試料について得られた誘電正接は、それぞれ0.01764、0.0155および0.0142と決定された。したがって、試料38、39、および40の熱サイクル試験後の誘電正接の初期誘電正接に対する比は、それぞれ0.84、0.91および0.89であった。
【0096】
実施例9
[0094]試料41~43を、液晶ポリマー(LCP2、LCP3またはLCP4)、アルミナ三水和物(ATH)、二酸化チタン、炭素繊維、亜クロム酸銅充填剤(CuCr)、およびガラス繊維の種々の組合せから形成する。配合は、32mmの二軸押出機を使用して実施した。部品を射出成型し、試料を板(80mm×90mm×3mm)にする。
【0097】
【表17】
【0098】
[0095]試料41~43を熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表18に記載する。
【0099】
【表18】
【0100】
[0096]試料41~43も上述の熱サイクル試験に供した。試験後、試料について得られた比誘電率は、それぞれ14.1、13.2および16.6と決定された。したがって、試料41、42および43の熱サイクル試験後の比誘電率の初期比誘電率に対する比は、それぞれ0.99、0.99および0.98であった。また、試料について得られた誘電正接は、それぞれ0.020、0.020および0.021と決定された。したがって、試料41、42および43の熱サイクル試験後の誘電正接の初期誘電正接に対する比は、それぞれ1.18、1.18および1.10であった。
【0101】
実施例10
[0097]試料44~47を、様々なパーセンテージの液晶ポリマー(「LCP5」および「LCP3」)、珪灰石繊維(Nyglos(商標)8)、黒色顔料、炭素繊維および滑剤(Glycolube(商標)P)から形成する。LCP5は、60mol.%HBA、5mol.%HNA、12%mol.%BP、17.5mol.%TAおよび5mol.%APAPから形成される。配合は、18mmの単軸押出機を使用して実施した。部品を射出成型し、試料を板(60mm×60mm)にする。
【0102】
【表19】
【0103】
[0098]試料44~47を熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表20に記載する。
【0104】
【表20】
【0105】
[0099]試料46~47も上述の熱サイクル試験に供した。試験後、試料について得られた比誘電率は、それぞれ12.9および12.6と決定された。したがって、試料46および47の熱サイクル試験後の比誘電率の初期比誘電率に対する比は、それぞれ0.99および1.0であった。また、試料について得られた誘電正接は、それぞれ0.021および0.015と決定された。したがって、試料46および47の熱サイクル試験後の誘電正接の初期誘電正接に対する比は、それぞれ1.2および0.83であった。
【0106】
実施例11
[00100]試料48~51を、様々なパーセンテージの液晶ポリマー(「LCP5」および「LCP3」)、Nyglos(商標)8、黒色顔料、グラファイトおよびGlycolube(商標)Pから形成する。配合は、18mmの単軸押出機を使用して実施した。部品を射出成型し、試料を板(60mm×60mm)にする。
【0107】
【表21】
【0108】
[00101]試料48~51を熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表22に記載する。
【0109】
【表22】
【0110】
[00102]試料48~50も上述の熱サイクル試験に供した。試験後、試料について得られた比誘電率は、それぞれ12.6、8.9および6.29と決定された。したがって、試料48、49および50の熱サイクル試験後の比誘電率の初期比誘電率に対する比は、それぞれ1.0、1.0および1.0であった。また、試料について得られた誘電正接は、それぞれ0.0578、0.0214および0.0098と決定された。したがって、試料48、49および50の熱サイクル試験後の誘電正接の初期誘電正接に対する比は、それぞれ1.17、1.06および1.09であった。
【0111】
実施例12
[00103]試料52~56を、液晶ポリマー(LCP2またはLCP3)、アルミナ三水和物(ATH)、二酸化チタン、炭素繊維およびガラス繊維の種々の組合せから形成する。配合は、32mmの二軸押出機を使用して実施した。部品を射出成型し、試料を板(80mm×90mm×3mm)にする。
【0112】
【表23】
【0113】
[00104]試料52~56を熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表24に記載する。
【0114】
【表24】
【0115】
実施例12
[00105]試料57~58を、液晶ポリマー(LCP2、LCP3またはLCP4)、アルミナ三水和物(ATH)、二酸化チタン、炭素繊維、亜クロム酸銅充填剤(CuCr)、およびガラス繊維の種々の組合せから形成する。配合は、32mmの二軸押出機を使用して実施した。部品を射出成型し、試料を板(80mm×90mm×3mm)にする。
【0116】
【表25】
【0117】
[00106]試料58を熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表26に記載する。
【0118】
【表26】
【0119】
[00107]本発明のこれらおよび他の修正および変形は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく当業者によって実施可能である。さらに、種々の実施形態の態様は、全体的または部分的の両方で相互交換可能であることが理解されるべきである。さらに、当業者は、上述の記載が単なる例示であり、したがって添付の特許請求の範囲にさらに記載される本発明を制限するものではないことを理解する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
【手続補正書】
【提出日】2022-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
[0055]図8を参照すると、基地局102、1つもしくは複数の中継局104、1つもしくは複数のユーザコンピューティングデバイス106、1つもしくは複数のWi-Fiリピーター108(例えば、「フェムトセル」)および/または5Gアンテナシステム100の他の好適なアンテナ構成部品も含む5Gアンテナシステム100の一実施形態が示される。中継局104は、基地局102とユーザコンピューティングデバイス106および/または中継局104との間の信号を中継するまたは「反復する」ことにより、ユーザコンピューティングデバイス106および/または他の中継局104による基地局102との通信を促進するように構成されてもよい。基地局102は、中継局104、Wi-Fiリピーター108と、および/または直接的にユーザコンピューティングデバイス106と無線周波数信号112を受信および/または送信するように構成されたMIMOアンテナアレイ110を含んでもよい。ユーザコンピューティングデバイス106は、必ずしも本発明によって制限されず、5Gスマートフォンなどのデバイスを含む。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
[0058]図10は、各フィードライン304を使用して(例えば、フロントエンドモジュールと)接続される複数のアンテナアレイ302の簡潔な概略図である。アンテナアレイ
302は、本発明のポリマー組成物から形成可能な基板308の側面306に取り付けることができる。アンテナアレイ302は、複数の垂直接続された素子(例えば、メッシュグリッドアレイ)を含んでもよい。したがって、アンテナアレイ302は、一般的に基板308の側面306と平行に延伸してもよい。アンテナアレイ302が基板308に対してシールドの外側に位置するように、基板308の側面306にシールドが任意選択で設けられてもよい。アンテナアレイ302の垂直接続された素子間の垂直間隔距離は、アンテナアレイ302の「特徴サイズ」に対応してもよい。したがって、一部の実施形態では、これらの間隔距離は、アンテナアレイ302が「ファインピッチ」アンテナアレイ302であるように比較的小さくてもよい(例えば、約750マイクロメートル未満)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【国際調査報告】