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特表2022-545346清掃装置および光学センサデバイスをクリーニングする方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】清掃装置および光学センサデバイスをクリーニングする方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20221020BHJP
   B60S 1/08 20060101ALI20221020BHJP
   B60S 1/46 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B60S1/62 110B
B60S1/08 M
B60S1/46 G
B60S1/62 120B
B60S1/62 120A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507751
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 NL2020050525
(87)【国際公開番号】W WO2021040517
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】2023712
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510126416
【氏名又は名称】エムシーアイ(ミラー コントロールズ インターナショナル)ネザーランド ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】ブラウエル, スティーフェン フリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ウィジンジェッツ, ヤニック ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ソルケス, メインデルト ジャン
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA04
3D225AA11
3D225AC01
3D225AC02
3D225AD11
3D225AD22
3D225AE02
3D225AE05
3D225AE10
3D225AE57
3D225AE76
3D225AE79
3D225AE84
3D225AE85
3D225AF07
(57)【要約】
本発明は、自動車の光学センサデバイス、光学距離測定装置、特にLiDARセンサデバイスのセンサ窓を清掃するための清掃装置に関する。清掃装置はワイパを備える。清掃装置は更に、ワイパがセンサ窓を拭き取るように構成される駆動部を備える。清掃装置は、例えば、第1のワイパ先端部分であるワイパの第1部分を、第1の位置から第2の位置に向かって移動させて、例えば、第1の位置と第2の位置との間に位置するセンサ窓の少なくとも第1の部分を拭くように構成され得る。清掃装置は、ワイパの第1部分がセンサ窓の第1の部分を拭くことなく、ワイパを第2の位置から実質的に第1の位置へと向かって戻すべく移動させるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の光学センサデバイス、特に光学距離測定装置、特にLiDARセンサデバイスのセンサ窓を清掃するための清掃装置であって、前記清掃装置は、ワイパと駆動部とを備え、前記センサ窓上を前記ワイパで拭くように構成されている、清掃装置。
【請求項2】
前記ワイパは、水、洗浄液および沈殿物等のその他の流体、ならびに/または光透過に対するその他の障害物を、前記センサ窓の少なくとも一部から外に押し出すように構成され、
前記ワイパは、好ましくはワイパブレードを含む、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記清掃装置は、例えば、第1のワイパ先端部分である前記ワイパの第1部分で第1の位置から第2の位置に向かって前記センサ窓上の拭き取りを行うように構成され、例えば、前記第1の位置と前記第2の位置との間に位置する前記センサ窓の少なくとも第1の部分を拭くように構成されており、
前記清掃装置は、前記ワイパの前記第1部分が前記センサ窓の前記第1の部分を拭くことなく、前記ワイパを前記第2の位置から実質的に前記第1の位置へと向かって戻すべく移動させるように構成されている、請求項1または2に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記清掃装置は、前記ワイパを前記第1の位置と前記第2の位置との間で往復移動させるように構成され、
前記ワイパが前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動する時、前記ワイパの前記第1部分が前記センサ窓に接触し、前記ワイパが前記第2の位置から前記第1の位置に向かって戻る時、前記ワイパの前記第1部分は前記センサ窓から離間する、請求項3に記載の清掃装置。
【請求項5】
前記清掃装置は、前記ワイパを前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動させて第1の方向に拭くように構成され、
前記清掃装置は更に、前記ワイパを前記第2の位置から前記第1の位置に向かって、前記第1の方向とは実質的に反対方向である第2の方向に戻すように構成されている、請求項3または4に記載の清掃装置。
【請求項6】
前記ワイパ、特に前記ワイパブレードが、第2のワイパ部分、特に第2のワイパ先端部を含み、
好ましくは、前記清掃装置が、前記ワイパの前記第2の部分が、実質的に前記第2の位置から前記第1の位置に向かって前記センサ窓上を拭き取るように構成され、
前記清掃装置は更に、前記ワイパの前記第2部分が前記センサ窓の前記第1の部分を拭くことなく、前記ワイパを実質的に前記第1の位置から前記第2の位置へと向かって移動させるように構成されている、請求項3から5の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項7】
前記清掃装置は、前記ワイパの少なくとも一部を傾けるように構成されており、例えば、前記ワイパの少なくともワイパブレードを、好ましくは前記センサ窓に対して実質的に平行に延びる軸および/または前記ワイパもしくは前記ワイパブレードの実質的に長手方向に延びる軸に対して傾けるように構成されている、請求項1から6の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項8】
前記清掃装置は、前記ワイパの前記少なくとも一部が、前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動する時に前記センサ窓に対して第1の向きになり、前記第2の位置から前記第1の位置に向かって戻る時に前記センサ窓に対して第2の向きになり、前記第2の向きは前記第1の向きに対して傾斜しており、特に前記ワイパの長手方向に延びるワイパ軸に対して傾斜するように構成される、請求項3から7の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項9】
前記清掃装置は、前記ワイパを前記センサ窓から退避させるように構成され、
前記清掃装置は更に、前記ワイパが前記センサ窓と接触していない退避状態にある時に、前記ワイパを前記第2の位置から前記第1の位置に戻すように構成されており、
前記清掃装置は、前記ワイパを前記センサ窓から持ち上げ、特に前記ワイパを前記センサ窓の表面を少なくとも部分的に横切る方向に退避させるように構成される、請求項3から5の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項10】
前記清掃装置は、前記センサ窓の前記表面に実質的に平行な方向に少なくとも部分的に延びる方向に前記ワイパを退避させるように構成される、請求項9に記載の清掃装置。
【請求項11】
前記清掃装置は、前記退避させた前記ワイパを、前記第1の位置の近くに移動させるように構成され、好ましくは、前記ワイパが前記センサ窓の前に実質的に位置せずおよび/または前記光学センサデバイスの視野内に実質的に位置しないように構成される、請求項10に記載の清掃装置。
【請求項12】
洗浄液を前記センサ窓に噴射するための1つ以上のノズルを更に備える、請求項1から4の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項13】
少なくとも前記1つ以上のノズルが前記センサ窓に洗浄液を噴射する噴射状態にある時に、前記1つ以上のノズルが前記センサ窓に向けられる、請求項12に記載の清掃装置。
【請求項14】
前記1つ以上のノズルが、前記ワイパおよび/または前記ワイパを運ぶワイパ支持体に設けられている、請求項12または13に記載の清掃装置。
【請求項15】
前記センサ窓の少なくとも一部を覆い、前記センサ窓対して可動なカバーを更に備える、請求項1から14の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項16】
前記1つ以上のノズルは、前記カバーに設けられる、請求項12から15の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項17】
前記可動カバーが、ワイパおよび/またはワイパを支持するワイパ支持体を含む、および/または、前記可動カバーが、前記ワイパおよび/または前記ワイパを支持するワイパ支持体に取り付けられて移動可能となっている、請求項15または16に記載の清掃装置。
【請求項18】
前記センサ窓に沿って前記カバーを移動させることにより、前記ワイパまたは前記ワイパ支持体を前記センサ窓の少なくとも一部に沿って移動させるように構成される、請求項17に記載の清掃装置。
【請求項19】
前記可動カバーには、前記ワイパまたは前記ワイパブレードを前記センサ窓に沿って案内するためのガイドが設けられている、請求項17または18に記載の清掃装置。
【請求項20】
前記清掃装置は、前記可動カバーの移動とは独立して前記ワイパを移動させるように構成されており、および/または、
前記ワイパの前記センサ窓に対する移動とは独立して前記可動カバーを移動させるように構成されている、請求項1から14の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項21】
前記センサ窓上を前記ワイパが拭き取りを行うように構成された前記駆動部は、前記可動カバーを移動させるようにも構成され、
特に、前記可動カバーが前記センサ窓の少なくとも一部を覆う第1のカバー位置から、前記センサ窓の少なくとも一部が前記カバーから実質的に開放状態になる第2のカバー位置に向かって、前記可動カバーを移動させるように前記駆動部が構成される、請求項15から19の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項22】
前記駆動部は、好ましくは電気モータによって駆動可能であり回転可能な駆動歯車を含み、前記駆動歯車が回転した時に前記ワイパを前記センサ窓に沿って駆動するように、前記ワイパが回転可能な前記駆動歯車に機械的に結合されており、前記カバーが回転可能な前記駆動歯車に滑り結合によって結合されており、
回転可能な前記駆動歯車が第1の回転方向に回転すると、前記駆動部が前記可動カバーを前記第2のカバー位置から前記第1のカバー位置へと駆動するように前記清掃装置が構成されており、
前記清掃装置は、前記カバーが前記第2のカバー位置から前記第1のカバー位置へ移動される際に、前記カバーが前記第1のカバー位置を超えて移動することを防止するべく前記カバーと協働する第1の停止面を備え、
前記清掃装置は、前記可動カバーが前記第1のカバー位置に到達して前記第1停止面によって停止されている時に、回転可能な前記駆動歯車を前記第1の回転方向に回転させ続けるように構成されており、
前記滑り結合は、前記第1の停止面によって前記カバーが前記第1のカバー位置に保持されている間、回転可能な前記駆動歯車が前記ワイパを駆動し続けることを可能にし、
前記清掃装置は、前記回転可能な駆動歯車が前記第2の回転方向に回転され前記カバーが前記第1のカバー位置にある時、前記駆動部が前記可動カバーを前記第1の位置から前記第2のカバー位置へと駆動するように構成されている、請求項21に記載の清掃装置。
【請求項23】
前記清掃装置は、前記カバーが前記第1のカバー位置から前記第2のカバー位置へ移動される際に、前記カバーが前記第2のカバー位置を超えて移動することを防止するべく前記カバーと協働する第2の停止面を備え、
前記清掃装置は、回転可能な前記駆動歯車が前記第2の回転方向に回転され、前記カバーが前記第1のカバー位置にある時、前記駆動部が前記可動カバーを前記第1の位置から前記第2のカバー位置へと駆動し、前記ワイパも駆動するように構成され、
前記清掃装置は、前記可動カバーが前記第2のカバー位置に到達して前記第2の停止面によって停止されている時に、回転可能な前記駆動歯車を前記第2の回転方向に回転させ続けるように構成されており、前記滑り結合は、前記第2の停止面によって前記カバーが前記第2のカバー位置に保持されている間、回転可能な前記駆動歯車が前記ワイパを駆動し続けることを可能にする、請求項22に記載の清掃装置。
【請求項24】
前記可動カバーは転動可能である、請求項15から23の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項25】
前記センサ窓、好ましくは実質的に平坦なセンサ窓は、実質的に直立して延在しており、
前記ワイパは、実質的に水平に延びる実質的に細長いワイパブレードを含み、
前記清掃装置は、例えば、前記ワイパブレードの第1のワイパ先端部である前記ワイパの第1部分が、望ましくは前記窓の最上部である第1の位置から望ましくは最下部である第2の位置へと前記センサ窓を拭くように構成され、少なくとも前記第1の位置と前記第2の位置との間に位置する前記センサ窓の第1の部分を拭くように構成される、請求項1から24の何れか一項に記載の清掃装置。
【請求項26】
前記清掃装置は、前記ワイパの前記第1部分が前記センサ窓の前記第1の部分を拭くことなく、前記ワイパを前記第2の位置から実質的に前記第1の位置へと向かって戻すべく移動させるように構成されている、請求項25に記載の清掃装置。
【請求項27】
光学センサデバイス、特に光学距離測定装置、特にLiDARセンサデバイスを備えるアセンブリであって、
前記光学センサデバイスはセンサ窓を有し、
前記アセンブリは更に、請求項1から26の何れか一項に記載の前記清掃装置を備える、アセンブリ。
【請求項28】
請求項1から27の何れか一項に記載の前記清掃装置を備える自動車。
【請求項29】
自動車の光学センサデバイス、特に光学距離測定装置、特にLiDARセンサデバイスのセンサ窓を清掃する方法であって、
前記センサ窓の少なくとも第1部分をワイパで拭き取る工程を備える、方法。
【請求項30】
前記ワイパは最初に、第1の移動ルートに沿って前記センサ窓上を拭き取り、
前記ワイパは次に、前記第1の移動ルートが開始する第1の位置へと実質的に戻り、
前記ワイパは、前記第1の位置へと実質的に戻る時に前記センサ窓上を拭かず、
前記ワイパは次に、前記第1の移動ルートに実質的に対応する移動ルートに沿って、前記センサ窓上を再び拭き取る請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置に関し、特に光学センサデバイスをクリーニングする清掃装置に関する。より詳細には、本発明は、自動車のLiDARセンサデバイス等の光学距離測定装置のための清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人間が運転する車両だけでなく自動運転/自動走行車も含めて、車両は、例えば、車両の周囲のマップを生成するための様々なセンサデバイスを備えている。典型的には、車両は、車両と車両周囲の物体との間の距離、および/または、車両に対する物体の相対速度を推定するための光学センサデバイスを備えている。光学センサ技術の中でも、特に、ライダー/LIDAR//LiDAR(Light Detection And RangingまたはLaser Imaging Detection And Ranging)が知られており、LADAR(LAser Detection And Ranging)または3Dレーザスキャンとも称される。
【0003】
光学距離測定デバイス、特にLiDARセンサデバイス等の光学センシング装置は、その周囲に1つ以上の(レーザ)光線を射出するための1つ以上の(レーザ)光源を備える。射出された1つまたは複数のレーザ光線の反射を検出するための1つまたは複数の光学検出器も備えており、処理ユニットは、射出された光および検出された光の反射に基づいて、環境のマッピングを生成してもよい。
【0004】
さらに、光学センサデバイスは、光学センサデバイスの外側の面を構成しているセンサ窓を備える。センサ窓は、その下に位置する壊れやすいセンサ部品を保護するための光透過性の保護層を形成している。光はセンサの窓を透過した後に検出される。物によって遮られない車両周囲のビューを得るため、典型的には、光検出器は車両の外に配置され、センサ窓は車両周囲の環境の方を正面としている、すなわち、車両に背を向けて配置される。
【0005】
このように車両の外に配置されるため、センサデバイス、特にセンサ窓は、(雨)液滴、微粒子、虫等の障害物を集めやすく、センサ窓を透過する光信号を妨害、偏光、その他の緩衝を起こし、誤ったセンサデータをもたらす可能性がある。
【0006】
本発明は、少なくとも上記の問題を軽減することを目的とする。特に、自動車の光学センサデバイスのセンサデータを改善することが望まれる。より具体的には、光学センサデバイスのセンサ窓上に、光学的障害物、例えば、(雨)液滴、微粒子、虫等の集積および/または蓄積を最小限に抑えることが望まれる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、自動車の光学センサデバイス、特に光学距離測定装置、特にLiDARセンサデバイスのセンサ窓を清掃するための清掃装置を提供する。清掃装置は、ワイパと、センサ窓上をワイパで拭くように構成されている駆動部とを備える。ワイパは、好ましくは、ワイパブレードを含むおよび/またはワイパブレードによって構成されている。ワイパ、特にワイパブレードは、窓の材料に対して相対的に可撓性および/または弾力性を有する材料で作られてもよい。例えば、ワイパ、特にワイパブレードは、ゴムまたはゴム状の材料で形成されてもよい。センサ窓は、例えば、局所的な屈折率変化を避けるために実質的に平滑なおよび/または均質な光透過性材料から構成されてもよい。センサ窓は、例えば、実質的に平坦であるまたはこれに代えて、例えば、光学センサデバイスの視野角を最適化するために所望の曲率半径を有する所望の形状で湾曲していてもよい。ワイパの形状、特にワイパブレードの形状は、センサ窓の最適な清掃のために、センサ窓の形状に対応するようにしてもよい。駆動部は、例えば、ワイパが実質的にセンサ窓全体を拭くように、センサ窓上で予め定められた軌跡に沿ってワイパを駆動してもよい。
【0008】
清掃装置の一実施形態において、ワイパは、水、洗浄液および沈殿物等のその他の流体ならびに/または光透過に対するその他の障害物を、拭き取る、センサ窓の少なくとも一部から外に押し出す、掃き出すおよび/または擦り取るように構成され、
ワイパは、好ましくはワイパブレードを含む。センサ窓の少なくとも一部は、光学センサデバイスの視野を画定する部分であってもよい。例えば、水および/または光透過に対するその他の障害物は、例えば、センサ窓の視野を画定する部分から、視野内に位置していない第2の部分に向かって拭い去られてもよい。センサ窓の拭き取りの間、ワイパはセンサ窓に接触するように配置されてもよく、駆動装置によって引き起こされる拭き取り動作によってワイパがセンサ窓上を拭き、センサ窓または少なくともセンサ窓の一部分から液体および/または微粒子を除去する。ワイパは、雨滴、洗浄液等の洗剤、不凍液、界面活性剤等の様々な流体、および、虫、雪・あられ、交通に伴うちり、砂、鳥の糞などに由来する微粒子等をセンサ窓から収集し取り除いてもよい。
【0009】
一実施形態において、ワイパ、特にワイパブレードは、駆動部によって、センサ窓上で、ワイパブレードの実質的に横方向へと駆動されてもよい。ワイパ、特にワイパブレードおよび/または当該ワイパのワイパ先端部の長手方向を横切る方向に駆動されてもよい。幾つかの実施形態において、清掃装置は、ワイパがセンサ窓の少なくとも一部を拭く時に、ワイパ、特にワイパブレードをセンサ窓に沿った直線経路に沿って移動させるように配置されてもよい。これに代えてにまたは加えて、ワイパブレードのワイパは異なる態様で移動してもよく、例えば、ワイパまたはワイパブレードは、特に、センサ窓に対して実質的に横方向に延びる回転軸を中心に回転してもよい。これに代えてにまたは加えて、ワイパまたはワイパブレードは、センサ窓に沿って移動させるべく、平行移動させてもよい。特に、拭き取りの間、ワイパ、特にワイパブレードは、直線的に移動、回転および/または平行移動されてもよく、その長手方向に対して実質的に垂直に移動されてもよい。
【0010】
例えば、拭き取り時にセンサ窓に接触するワイパ先端部を有するワイパ本体を含むワイパまたはワイパブレードは、センサ窓を効率よく拭くために、ワイパブレードの長手方向に実質的に細長い形状であってもよい。ワイパまたはワイパブレードは、特に、実質的に直線的に伸びた形状であってもよい。例えば、ワイパブレードは、ワイパの1ストロークで実質的に視野を確定する部分および/または実質的にセンサ窓全体をカバーするべく、センサ窓の視野を画定する部分の幅に対応するおよび/または清掃されるセンサ窓の幅に対応する長手方向ブレード長さを有してもよい。これに代えて、ワイパブレードの長手方向におけるワイパブレードのブレード長さは、センサ窓の幅より小さくてもよく、および/または、センサ窓の視野を画定する部分の幅未満、例えば、センサ窓の幅の半分程度および/または視野を画定する部分の半分に対応する長さであってもよく、センサ窓の視野を画定する部分の実質的に全体および/またはセンサ窓の実質的に全体をワイパブレードの往復移動動作でカバーできるようにしてもよい。特に、ワイパブレードは、センサ窓に接触するように構成された弾力性のあるワイパブレード部分を含んでもよい。この場合、ワイパブレードとセンサ窓との間に効果的な係合が得られると同時に、ワイパがセンサ窓に沿って移動する際に、センサ窓に対してワイパブレードの引っ掻きによる損傷を防ぐことができる。弾力性のあるワイパブレード部分は、特に、耐久性があり製造が容易なゴムまたはゴム状材料から構成されてもよい。
【0011】
別の実施形態では、清掃装置は、ワイパを第1の位置から第2の位置に向かって移動させて、第1の位置と第2の位置との間に位置するセンサ窓の少なくとも第1の部分を拭くように構成される。また、清掃装置は、ワイパがセンサ窓の第1の部分を拭くことなく、ワイパを第2の位置から実質的に第1の位置へと向かって戻すべく移動させるように構成されている。一方向の拭き取り動作、例えば、第1の位置から第2の位置に向かって拭き取りし、第2の位置から第1の位置に向かっての移動では実質的に拭き取り動作を控えることは、双方向拭き取り動作と比較して、最適な清掃結果となることが分かっている。特に、第1の位置から第2の位置へとワイパが移動する往路の拭き取り動作でセンサ窓から拭き取られたごみが、第2の位置から第1の位置へとワイパが移動する復路の動作でセンサ窓に再導入されることが回避される。ワイパが第2の位置から第1の位置へ戻る際に拭き取りを行わないようにすることで、復動作中にセンサ窓に液膜が付着するのを防ぐこともできる。ワイパの形状は、拭き取り動作の方向、例えば、第1の位置から第2の位置への方向に対して最適化されてもよい。ワイパは、第1の位置から第2の位置への拭き取り動作の間はセンサ窓と接触し、ワイパが第2の位置から第1の位置に向かって実質的に移動する間はセンサ窓から離間されてもよい。特に、駆動部は、センサ窓上のワイパを第1の位置から第2の位置まで駆動した後、ワイパを第1の位置に向かって実質的に戻すように駆動するように構成される。
【0012】
更なる実施形態において、清掃装置は、ワイパを第1の位置と第2の位置との間で往復移動させるように構成され、ワイパが第1の位置から第2の位置に向かって移動する時、ワイパはセンサ窓に接触し、ワイパが第2の位置から第1の位置に向かって戻る時、ワイパはセンサ窓から離間する。第1の位置から第2の位置への往動作と、第2の位置から第1の位置への復動作とからなる拭き取りサイクルを、例えば複数回繰り返すことによりセンサ窓を徹底的に清掃し、センサ窓に付着したごみを拭き取ることができる。清掃装置は、例えば、予め定められた期間にセンサ窓を清掃してもよく、この期間中に、拭き取りサイクルが複数回繰り返される。このような期間は、例えば、自動車の光学センサデバイスが比較的長い時間使用できなくなることを防ぐため、20秒、好ましくは長くても15秒、より好ましくは長くても10秒、さらに好ましくはさらに短い時間に制限されてもよい。特に、駆動部はワイパを第1の位置と第2の位置との間で往復移動させるように構成され、ワイパを第1の位置から第2の位置に向かって移動させる時にワイパをセンサ窓に接触させ、ワイパを第2の位置から第1の位置に向かって戻す時にワイパをセンサ窓から非接触にさせる。駆動装置は、例えば、電源に接続されたアクチュエータ、例えば、DCモータのような電気モータで構成されてもよい。アクチュエータは、カップリング装置によってワイパに機械的または電気機械的に結合される。この結合は、アクチュエータの運動が、例えば回転運動から平行移動運動としてワイパに伝達されるように構成される。結合装置は、さらに、ワイパをセンサ窓上の所望の軌跡に沿って移動させ、好ましくは、ワイパの復動作でワイパをセンサ窓から離間させるように構成されてもよい。この目的のために、結合は、例えば、スピンドル配置、カム配置、ベルト駆動、棒リンク機構、チェーン、案内軌道等の、当業者に公知の結合構成を含んでもよい。
【0013】
幾つかの実施形態において、清掃装置は、例えば、第1のワイパと一体化されるおよび/または共通の支持体によって支持される第2のワイパを備えてもよい。第1のワイパは、第1および第2のワイパの往動作時にセンサ窓上を拭く一方、第2のワイパは、第1および第2のワイパの復動作時にセンサ窓上を拭く。第1のワイパおよび第2のワイパの往動作時には第2のワイパを非接触としてセンサ窓から離間させる一方、第1のワイパおよび第2ワイパの復動作時には第1のワイパを非接触としてセンサ窓から離間させる。このように、ワイパの往動作と復動作の両方においてセンサ窓が拭かれ、第1のワイパおよび第2のワイパはセンサ窓を一方向に拭う。
【0014】
一実施形態において、清掃装置は、ワイパを第1の位置から第2の位置に向かって移動させて第1の方向に拭くように構成される。清掃装置は更に、ワイパを第2の位置から第1の位置に向かって、第1の方向とは実質的に反対方向である第2の方向に戻すように構成されている。第1の位置から第2の位置へのワイパの往動作の軌跡、および、第2の位置から第1の位置へのワイパの復動作の軌跡を、センサ窓の形状に適合させてもよい。往動作の軌跡と復動作の軌跡とは、実質的に重なっていてもよいし、実質的に平行であってもよい。ワイパを初期位置、例えば、第1の位置に戻すことにより、センサ窓の効果的な清掃のために繰り返される拭き取りサイクルを得ることができる。必要に応じて、ワイパの往動作の軌跡および/または復動作の軌跡は、実質的に直線的であってもよい。あるいは、ワイパの往動作の軌跡および/または復動作の軌跡は、実質的に曲線状、例えば、枢軸周りの枢動ワイパまたはワイパブレードの円弧状であってもよい。必要に応じて、往動作の軌跡および/または復動作の軌跡は、例えば、棒リンク機構によって実現可能な偏心円弧のような、より複雑な形状を描いてもよい。
【0015】
更なる実施形態では、清掃装置は、ワイパの少なくとも一部を傾けるように構成されており、例えば、ワイパの少なくともワイパブレードを、好ましくはセンサ窓に対して実質的に平行に延びるワイパ軸および/またはワイパもしくはワイパブレードの実質的に長手方向に延びる軸に対して傾けるように構成されている。特に、清掃装置の駆動部は、ワイパの少なくとも一部を傾斜させるように構成されてもよい。ワイパの少なくとも一部が傾斜することにより、ワイパのエネルギー効率の良いセンサ窓への接触および/または離間を可能にする。ワイパが第1の位置から第2の位置へと移動する往動作においてワイパはセンサ窓に接触し、第2の位置から第1の位置へと移動する復動作でワイパはセンサ窓から離間する。さらに、ワイパまたはワイパブレードを傾けることによって、センサ窓に対するワイパの拭き取り角度を制御することができ、清掃性能を最適化することができる。
【0016】
幾つかの実施形態において、清掃装置は、ワイパの少なくとも一部が、第1の位置から第2の位置に向かって移動する時にセンサ窓に対して第1の向きになり、第2の位置から第1の位置に向かって戻る時にセンサ窓に対して第2の向きになり、第2の向きは第1の向きに対して傾斜している。好ましくは、ワイパが傾いた状態または傾斜した状態において、ワイパは第2の位置と第1の位置との間の復動作軌跡に沿って移動する時に、センサ窓に接触しない。ワイパが第1のワイパおよび第2のワイパからなる場合、ワイパの傾き動作または傾斜動作によって、第1のワイパをセンサ窓に接触させる一方、第2のワイパをセンサ窓から離間させることが想定される。
【0017】
さらなる実施形態において、清掃装置は、ワイパをセンサ窓から退避させるように構成される。清掃装置は更に、ワイパがセンサ窓と接触していない退避状態にある時に、ワイパを第2の位置から第1の位置に戻すように構成されている。センサ窓からのワイパを退避させることは、ワイパをセンサ窓から離間させて、ワイパを第1の位置に戻るように移動させることを含む。特に、駆動部は、センサ窓からワイパを退避させるように構成される。
【0018】
幾つかの実施形態において、清掃装置は、ワイパをセンサ窓から持ち上げ、特にワイパをセンサ窓の表面を少なくとも部分的に横切る方向に退避させるように構成される。例えば、ワイパは、第2の位置でセンサ窓の上方に離間して持ち上げられた後、第2の位置から第1の位置への復動作においてワイパはセンサ窓の表面と実質的に平行に移動させられる。復動作の間、ワイパとセンサ窓との間の距離が維持される。例えば、ワイパとセンサ窓との間の距離は、復動作に沿って実質的に一定となるように維持されてもよい。あるいは、ワイパとセンサ窓との間の距離は、復動作に沿って、楕円形または円弧形の関数を描くように変化してもよい。第1の位置またはその近傍で、ワイパをセンサ窓まで下降させてセンサ窓に接触させ、その後、ワイパを駆動部によりセンサ窓に接触させながら第2の位置まで往動作させてもよい。ワイパとセンサ窓との間の距離に関係なく、ワイパは、センサ窓に平行な平面内で様々な軌道をとり得ることは明らかである。
【0019】
幾つかの実施形態において、清掃装置は、センサ窓の表面に実質的に平行な方向に少なくとも部分的に延びる方向にワイパを退避させるように構成される。例えば、ワイパをセンサ窓に接触させずに初期位置、例えば、第1の位置に戻すために、センサ窓の外縁においてワイパをセンサ窓から退避させてもよい。このようにすれば、ワイパが復動作でセンサ窓を拭かない場合に、ワイパをセンサデバイスの視野の外に移動させて、ワイパとセンサデバイスとの干渉を低減することができる。これは、拭き取りストロークの直後および次の拭き取りストロークの間に、センサデバイスがデータを取得することを可能にするため、センサ窓清掃時のセンサデバイスのダウンタイムを最小限に抑えることができる。例えば、拭き取られたちりの広がりを最小限にするために、ワイパをワイパの長手方向にセンサ窓から退避させてもよい。必要に応じて、ワイパは、拭き取られたちりをセンサ窓の外縁から押し出して収集および排出させるために、センサ窓の外縁において、ワイパに対して横方向、すなわちワイパの長手方向を横切る方向にセンサ窓から退避される。
【0020】
更なる実施形態において、清掃装置は、退避させたワイパを、第1の位置の近く、好ましくは実質的にセンサ窓の前でない位置に向かって戻すように構成される。
【0021】
更なる実施形態において、清掃装置は、洗浄液をセンサ窓に噴射するための1つ以上のノズルを更に備える。洗浄液を使用することにより、最小限の拭き取り量でセンサ窓の効率的な洗浄を可能にし得る。洗浄液は、水、凍結防止剤、洗剤、溶媒またはこれらの組合せ等の洗浄液であってもよい。清掃装置は、圧力下で洗浄液をセンサ窓に塗布するためのポンプを備えてもよい。
【0022】
センサ窓に噴霧される洗浄液の量を最小限にするために、1つ以上ノズルは、センサ窓に洗浄液を付着させてもよい。洗浄液をセンサ窓に付着させることにより、センサ窓に強い衝撃を与えることがないため、洗浄液の使用量を最小限に抑えることができる。一方、洗浄液の衝撃噴射は、センサ窓の障害物を機械的に除去するため、大量の洗浄液を必要とする。センサ窓を拭く前に、センサ窓全体を覆うように洗浄液の薄膜を付着させることが好ましい。洗浄液でセンサ窓を濡らすことにより、センサ窓に付着した障害物を緩くし、その後に、付着した洗浄液と共にワイパはセンサ窓から障害物を機械的に除去することができる。
【0023】
清掃装置はノズルを使用して、特に1回の拭き取りサイクルで、2~20mLの洗浄液をセンサ窓に噴射するように構成してもよい。洗浄液を効率的に使用するために、放出された洗浄液の実質的に全てがセンサ窓上に堆積し、付着することが好ましい。センサ窓に付着した洗浄液は、ワイパでセンサ窓を拭く前に、所定時間センサ窓を浸漬してもよい。
【0024】
清掃装置は、特に洗浄液がセンサ窓に付着した後、所定の浸漬時間の間は、拭き取り軌跡に沿ったワイパの移動を中断するように構成されてもよい。所定の浸漬時間は、例えば、0.2~8秒の範囲、特に0.5~2秒の範囲、例えば、約1秒であってもよい。所定の浸漬時間は、サイクル時間全体の大部分を占めてもよく、このサイクル時間全体は、ワイパがワイパ軌跡の1サイクルを完了するための時間として定義される。例えば、所定の浸漬時間は、サイクル時間全体の10~50パーセント、特に20~40パーセント、例えば、約25パーセントとすることができる。浸漬時間の期間にセンサ窓に洗浄液を浸漬させることにより、ワイパによってセンサ窓から障害物を容易に除去することができる。さらに、センサ窓から障害物を機械的に除去するために洗浄液を使用する必要がないため、洗浄液の使用量を最小限にすることができる。
【0025】
洗浄液の噴射がセンサ窓から遠ざけられる可能性のある車両の走行風のような風によるノズルの噴射乱れを回避するため、および/またはセンサ窓に対する洗浄液の力衝撃を低減させるため、
幾つかの実施形態において、少なくとも1つ以上のノズルがセンサ窓に洗浄液を噴射する噴射状態にある時に、1つ以上のノズルがセンサ窓に向けられる。好ましくは、1つ以上のノズルは、噴射状態において、洗浄液をセンサ窓に対して垂直な方向に向けるよう構成される。これにより、1つ以上のノズルとセンサ窓との間の噴射距離を最小にし、噴射の乱流を最小にすることができる。
【0026】
更なる実施形態において、1つ以上のノズルが、ワイパおよび/またはワイパを運ぶワイパ支持体に設けられている。こうすることで、コンパクトな清掃装置を得ることができる。また、センサ窓への洗浄液の塗布とワイパの拭き取りを効率よく連携させることができ、清掃装置の清掃時間を最短にすることができる。また、洗浄液の噴射量を低減することができる。さらなる利点は、単一の駆動部および/または単一のアクチュエータ(好ましくは、DCモータ等の電気アクチュエータ)を使用して、ワイパおよび1つ以上のノズルの両方を動かすことができる。このように、清掃装置の駆動部は、1つ以上のノズルと同様にワイパを駆動するように構成されてもよい。
【0027】
システムは、特に、第1の方向にセンサ窓を横切って直線的に延在するノズルのアレイを備えてもよく、清掃装置は走査運動でセンサ窓上に洗浄液の膜を堆積させるように、第1の方向と直交する第2の方向にセンサ窓上にノズルのアレイを駆動するように構成される。ノズルのアレイは、例えば、アレイの長さ100mmあたり5~20個のノズルを含み、好ましくはアレイの長さ100mmあたり10~15個程度のノズルを含む。ノズルは、直線的かつ等距離に配列されていてもよい。
【0028】
センサ窓上に洗浄液の均一な膜を堆積させるべく、ノズルの配列をセンサ窓と平行に駆動してもよい。また、システムは、少なくとも洗浄液を堆積させる間、センサ窓上で、実質的に一定の速度でノズルのアレイを駆動するように構成されることが好ましい。
センサデバイスが例えば移動中の車両に設けられている場合に、洗浄液がセンサ窓に当たる前にセンサ窓から吹き飛ばされることを防止するため、および/または、ワイパによって拭き取られる前に洗浄液がセンサ窓から吹き飛ばされることを防止するため、センサ窓の少なくとも一部を覆い、センサ窓対して可動なカバーを更に備える。好ましくは、ノズルは、少なくともノズルの噴射状態において、カバーとセンサ窓との間に設けられる。必要に応じて、可動カバーは、ノズルの噴霧状態において、実質的にセンサ窓の全体を覆うように構成される。清掃装置の駆動部は、カバーを駆動するように構成されてもよい。好ましくは、清掃装置は、センサ窓が清掃された後、例えば、駆動部によってセンサデバイスの視野からカバーを退避させるように構成される。
【0029】
清掃装置の実施形態において、1つ以上のノズルがカバーに設けられ、1つ以上のノズルおよびカバーを単一のアクチュエータによって作動させることを可能にしてもよい。好ましくは、ノズルは、少なくともノズルの噴射状態において、カバーとセンサ窓との間に設けられ、カバーが噴射ノズルおよびセンサ窓の少なくとも一部を(見かけ上の)風から遮蔽するように構成される。
【0030】
清掃装置の幾つかの実施形態において、可動カバーがワイパおよび/またはワイパを支持するワイパ支持体を含み、ならびに/もしくは、可動カバーがワイパおよび/またはワイパを支持するワイパ支持体上に担持される。カバーおよびワイパは、単一のアクチュエータによって作動させてもよい。ワイパまたはワイパブレードは、可動カバーに取り付けることができるまたは可動カバーと一体化させることができる。ワイパまたはワイパブレードは、可動カバーに直接または間接的に取り付けられてもよい。言い換えれば、可動カバーは、ワイパのためのワイパ支持体の少なくとも一部を形成してもよい。あるいは、ワイパ(支持体)は可動カバーに含まれず、可動カバーはワイパ(支持体)とは独立して移動可能である。
【0031】
清掃装置の幾つかの実施形態では、センサ窓に沿ってカバーを移動させることにより、ワイパまたはワイパ支持体をセンサ窓の少なくとも一部に沿って移動させるように構成される。
【0032】
幾つかの実施形態では、可動カバーには、ワイパまたはワイパブレードをセンサ窓に沿って案内するためのガイドが設けられている。ガイドは、1つまたは複数の案内チャネルおよび/または案内軌道を含んでもよい。他の実施形態では、可動カバーを有する実施形態と有しない実施形態の両方において、清掃装置の1つ以上の他の部品または要素が、センサ窓に沿ってワイパまたはワイパブレードを案内するために配置されたガイドを備えてもよいことが理解されるであろう。
【0033】
清掃装置の幾つかの実施形態において、清掃装置は、可動カバーの移動とは独立してワイパを移動させるように構成されており、および/または、
ワイパの移動とは独立して可動カバーを移動させるように構成されている。例えば、カバーを動かす都度ワイパを動かしてもよいが、ワイパを別個に、つまりカバーを動かさずにワイパを動かしてもよい。
【0034】
清掃装置の幾つかの実施形態において、センサ窓上をワイパが拭き取りを行うように構成された駆動部は、可動カバーを移動させるようにも構成され、
特に、可動カバーがセンサ窓の少なくとも一部を覆う第1のカバー位置から、センサ窓の少なくとも一部がカバーから実質的に開放状態となる第2のカバー位置に向かって、可動カバーを移動させるように駆動部が構成される。さらに、駆動部は、可動カバーを、センサ窓の少なくとも一部がカバーから開放された状態となる第2のカバー位置から、可動カバーがセンサ窓の少なくとも一部を覆う第1のカバー位置に向かって移動させるように構成されてもよい。駆動装置は、センサ窓が清掃されていない時に、センサデバイスの視野からカバーを退避させるように構成されていることが好ましい。
【0035】
清掃装置の幾つかの実施形態において、駆動部は、好ましくは電気モータによって駆動可能であり回転可能な駆動歯車を含み、駆動歯車が回転した時にワイパを駆動するように、ワイパが回転可能な駆動歯車に機械的に結合されており、カバーが回転可能な駆動歯車に滑り結合によって結合されており、回転可能な駆動歯車が第1の回転方向に回転すると、駆動部が可動カバーを第2のカバー位置から第1のカバー位置へと駆動するように清掃装置が構成されている。清掃装置は、カバーが第2のカバー位置から第1のカバー位置へ移動される際に、カバーが第1のカバー位置を超えて移動することを防止するべくカバーと協働する第1の停止面を備える。清掃装置は、可動カバーが第1のカバー位置に到達して第1停止面によって停止されている時に、回転可能な駆動歯車を第1の回転方向に回転させ続けるように構成されている。滑り結合は、第1の停止面によってカバーが第1のカバー位置に保持されている間、回転可能な駆動歯車がワイパを駆動し続けることを可能にする。清掃装置は、回転可能な駆動歯車が第2の回転方向に回転され、カバーが第1のカバー位置にある時、駆動部が可動カバーを第1の位置から第2のカバー位置へと駆動するように構成されている。モータ/ギアを逆方向に駆動することによって、モータ/ギアは、カバーがその第2の位置にあるとき、すなわちセンサ窓を覆っていないときに、センサ窓を拭くためにワイパを駆動することを可能にし得る。これは、例えば、カバーによってセンサ窓を閉じる必要なく、同じモータ/歯車を使用することによって、結露または雨滴を拭き取るのに有利であり得る。したがって、カバーを使用する必要がないため、清掃時間を最小にすることができる。別の実施形態では、カバーがセンサデバイスの視野から退避される別の位置に配置されてもよいことに留意されたい。
【0036】
一実施形態において、可動式カバーは、転動可能であり、特に、転動軸を中心に転動するように構成される。カバーは可撓性であってもよく、および/または、転動可能なカバーを形成するように互いに枢動可能に接続された複数のカバーセグメントを含んでもよい。これに代えてまたは加えて、カバーは、折り畳み可能であり、および/または、清掃装置に摺動可能に配置される。
【0037】
本発明の第2の態様は、光学センサデバイス、特に光学距離測定装置、特にLiDARセンサデバイスを備えるアセンブリを提供する。アセンブリは更に、本発明の第1の態様に係る清掃装置を備える。
【0038】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に係る清掃装置または本発明の第2の態様に係るアセンブリを備える自動車を提供する。
【0039】
本発明の第4の態様では、光学センサデバイスのセンサ窓を清掃する方法を提供する。光学センサデバイスは、自動車の光学距離測定装置であるおよび/または光学距離測定装置の光学データを検出するように構成されており、特にLiDARセンサデバイスである。方法は、センサ窓の少なくとも第1部分をワイパで拭き取る工程を備える。
【0040】
本発明の第4の態様に係る方法の一実施形態において、ワイパは最初に、第1の移動ルートに沿ってセンサ窓上を拭き取り、ワイパは次に、第1の移動ルートが開始する第1の位置へと実質的に戻り、ワイパは、第1の位置へと実質的に戻る時にセンサ窓上を拭かず、ワイパは次に、第1の移動ルートに実質的に対応する移動ルートに沿って、センサ窓上を再び拭き取る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明の様々な態様および実施形態について、各図面を参照して以下に説明する。
図1A】センサ窓上のワイパの拭き取り軌跡を概略的に示している。
図1B】センサ窓上のワイパの拭き取り軌跡を概略的に示している。
図1C】センサ窓上のワイパの拭き取り軌跡を概略的に示している。
図1D】センサ窓上のワイパの拭き取り軌跡を概略的に示している。
図1E】センサ窓上のワイパの拭き取り軌跡を概略的に示している。
図1F】センサ窓上のワイパの拭き取り軌跡を概略的に示している。
図1G】センサ窓上のワイパの拭き取り軌跡を概略的に示している。
図1H】センサ窓上のワイパの拭き取り軌跡を概略的に示している。
図1I】センサ窓上のワイパの拭き取り軌跡を概略的に示している。
図2】センサ窓の一方向拭き取り用に構成された清掃装置用の駆動部の少なくとも一部である10の異なる例a)~j)を示す概略図である。
図3A】本発明の一態様に係る清掃装置を部分的に切り取った概略的な斜視図である。
図3B】本発明の一態様に係る清掃装置を部分的に切り取った概略的な斜視図である。
図3C】本発明の一態様に係る清掃装置を部分的に切り取った概略的な斜視図である。
図3E】本発明の一態様に係る清掃装置を部分的に切り取った概略的な分解図である。
図3F】本発明の一態様に係る清掃装置を部分的に切り取った概略的な分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1A図1Iは、センサ窓1に関して例示的な構成として、清掃装置の1つまたは複数のワイパ3が設けられたセンサ窓1を概略的に示している。センサ窓3上の1つまたは複数のワイパ3の例示的な軌跡も同時に概略的に示されている。図1A~Iのそれぞれにおいて、ワイパ3の往動作時には、駆動装置(図示せず)によってワイパ3は、第1の位置7から第2の位置9へと移動する。ワイパ3の復動作時には、ワイパ3は、第2の位置9から第1の位置7へと移動する。実線の矢印で示されるように、ワイパ3の第1の位置7から第2の位置9へと移動する往動作の間、ワイパはセンサ窓1上のちりを掃除するべくセンサ窓1の上を拭う。第2の位置9では、例えば、ワイパをセンサ窓の上方に距離を置いて持ち上げることによってワイパ3をセンサ窓から離間する。第1の位置7へと戻る復動作の間、ワイパ3はセンサ窓から離間されたまま、すなわちワイパ3がセンサ窓1に接触しないようにして、ワイパ3によって拭き取られたちりが再び侵入するのを防止している。ワイパ3の復動作は、図1Fおよび図1Hにおいて破線矢印で示されている。ワイパ3の往動作と復動作とは、実質的に異なっていてもよいし、重複したものであってもよい。
【0043】
図1A図1Dは、旋回ワイパ3の旋回軸5における構成を示す図である。ワイパ3がセンサ窓1を拭く動作は一方向で行われることが好ましい。すなわち、ワイパ3が第1の位置7から第2の位置9へと移動する往動作時には、ワイパ3はセンサ窓1に接触し、ワイパ3が第2の位置9から第1の位置7へと戻る復動作時には、ワイパはセンサ窓1に接触しないことが好ましい。図1Aおよび図1Bは、2つのワイパ3.1および3.2を備えた構成を示しており、ワイパ3.1および3.2はそれぞれ、センサ窓1上を拭きながら、駆動装置(図示せず)により第1の位置7.1および7.2から第2の位置9.1および9.2へとそれぞれ移動される。第2の位置9.1および9.2では、ワイパ3.1および3.2はセンサ窓から離間し、例えば、センサ窓1の上方に離間して持ち上げられた状態で、それぞれの第1の位置7.1および7.2へとに戻る。ワイパ3.1および3.2は、DCモータのような単一のアクチュエータによって駆動されてもよいし、2つのそれぞれのアクチュエータによって駆動されてもよい。清掃装置は、3つ以上のワイパ、例えば、3つまたは4つのワイパから構成されてもよいことは明らかであり、同様の構成または代替的な構成を有してもよい。
【0044】
図1Cおよび図1Dは、ワイパ3を1つ備え、このワイパ3を枢軸5で第1の位置と第2の位置との間で往復移動させる構成を示している。図1Dに示すワイパの軌跡は、センサ窓1上におけるワイパ3の被覆率を最大にするために、実質的に偏心円弧状となっている。このような偏心円弧形状またはその他の所望の形状は、ワイパ3のアクチュエータに接続された専用の機構、例えば、棒リンク機構によって達成され得る。
【0045】
図1E図1Iは、ワイパ3が第1の位置7から第2の位置9まで直線経路に沿って移動する構成を示した図である。図1Eは、2つのワイパ3.1および3.2がワイパ支持部を共有する構成を示している。ワイパ3.1および3.2はそれぞれディレクショナルワイパであり、第1位置7から第2位置9へと移動する往動作時には、第1ワイパ3.1はセンサ窓1に接触するが、第2ワイパ3.2はセンサ窓1に接触しないように構成されている。同様に、第2の位置9から第1の位置7への復動作の間に、第2のワイパ3.2はセンサ窓1に接触するが、第1のワイパ3.1はセンサ窓1に接触しないように構成される。図1Fにおいて、ワイパ3は、少なくともセンサ窓1と実質的に平行な方向に、センサ窓1から退避させた状態となっている。特に、ワイパ3は、ワイパ3の長手方向に退避される。このようにして、ワイパ3を、センサデバイスの視野の外側の第1の位置7に戻すことができる。第2の位置9から第1の位置7への戻り径路は、破線の矢印で示されている。復動作の間、ワイパ3はセンサ窓1を拭かない。別の実施形態では、ワイパは、例えば、センサデバイスの背面側で、センサデバイスの視野の外にその他の方法で戻ってもよい。図1Fに示されるように、同じまたは類似の軌跡を描く2つ以上のワイパが設けられてもよい。図1Hは、図1Fと同様の構成を示すが、ワイパ3がセンサ窓1から退避していない。第2の位置9において、図1Hのワイパは、センサ窓の第1の部分が往動作時に拭かれ、ワイパ3の復動時に残りの部分が拭かれるように、反転した構成となっている。このワイパ3は、実線の矢印で示すように、往路の移動中だけでなく復路の移動中にもセンサ窓1上を拭く。例えば、ワイパ3は、1回の拭き取りサイクル、すなわち往路と復路とで実質的にセンサ窓1全体が拭き取りされるような長さ寸法を有していてもよい。例えば、ワイパ3は、ワイパ3の長手方向において、センサ窓1の幅の約半分または半分以上に相当する長さ寸法を有していてもよい。また、図1Hに示すように、同一または類似の軌跡を描く2つ以上のワイパが設けられていてもよい。
【0046】
図1Gは、ワイパ3が第1の位置7から第2の位置9まで、特に横方向一方から他方まで、例えば左側から右側まで、または、右側から左側まで直線経路に沿って移動される構成を示している。
【0047】
図1Gと同様に、図1Iは、ワイパ3が第1の位置7から第2の位置9まで直線経路に沿って移動する構成を示した図である。図1Iの例示的な実施形態では、センサ窓1は、実質的に細長いまたは長方形の設計、特に細長い長方形の設計であってよく、より詳細にはその長さ方向が実質的に水平方向に延在している。好ましくは実質的に平坦なセンサ窓であるセンサ窓1は、実質的に直立に、特に実質的に垂直に延在していてもよく、例えば自動車、軌道またはブッシュ等の自動車の前側に設けられてもよい。これに加えてまたは代えて、実質的に細長いワイパブレードからなるワイパ3を、センサ窓1の長さ方向と実質的に平行におよび/または実質的に水平に延在さえてもよい。清掃装置は、例えば、ワイパ3のワイパブレードの第1ワイパ先端部であるワイパ3の第1部分が、望ましくは最上部である第1の位置7から望ましくは最下部である第2の位置9へとセンサ窓1を拭くように配置されてもよく、少なくとも第1の位置7と第2の位置9との間に位置するセンサ窓の第1の部分を拭く。
【0048】
いくつかの実施形態において、清掃装置は、ワイパ3の第1部分がセンサ窓1の第1の部分を拭くことなく、ワイパ3が第2の位置9から第1の位置7へと向かって実質的に戻るように構成されてもよい。別の実施形態では、ワイパ3が第1の位置7に戻る時、ワイパの第の部分がセンサ窓1と接触したままであってもよい。そのような実施形態では、ワイパ3を下方に移動させる時およびワイパ3を第1の位置7に戻す時の両方においてセンサ窓1を拭くことができる。
【0049】
図1Iのこのような構成は、図1Gの構成に対して比較的大きなワイパおよび/またはワイパブレードを必要とする場合がある。しかしながら、ワイパ3が長方形のセンサ窓の長さ方向と実質的に平行に延在する場合、センサ窓または清掃されるべきそれぞれの部分を比較的迅速に清掃できることが利点となりうる。したがって、センサが塞がれる時間を相対的に短くすることができる。これに加えてまたは代えて、下方向に拭くことにより、水、汚れおよび/または類似のものを比較的効率的に除去することができる。
【0050】
図1A図1Iのそれぞれにおける構成は、センサ窓1上に洗浄液を塗布するための1つ以上のノズルを備えてもよい。洗浄流体は、例えば、水、洗剤、凍結防止剤またはそれらの組合せを含んでもよい。1つ以上のノズルは、例えば、支持体を共有してワイパ3と一体化されてもよい。洗浄流体は、センサ窓1に対して実質的に垂直な方向に噴霧することが好ましい。洗浄液がセンサ窓1に到達する前に駆動によって起きる風によって吹き飛ばされることを防ぐため、および/または、ワイパ3の拭き取り動作の前に洗浄液がセンサ窓1から吹き飛ばされることを防止するため、1つまたは複数のノズルはカバーで遮蔽されてもよい。カバーおよびノズルは、好ましくは、センサデバイスの視野から退避するように可動に配置される。カバーは、センサ窓を完全に覆うように配置されてもよいし、ノズルが洗浄液を噴霧している部分を覆ってもよい。ワイパ3、1つ以上のノズルおよびカバーは、例えば、支持体を共有して一体化して構成されており、1つ以上のノズルは、カバーによって遮蔽されセンサ窓1上に洗浄液を塗布する構成となっている。この構成において、1つ以上のノズルは、好ましくは、ワイパの往動作においてワイパの前方に洗浄液を噴霧し、ワイパがちりと共に洗浄液をセンサ窓1から拭き取るように配置される。清掃装置は、例えば、2個のノズル、3個のノズル、または、4個、5個もしくはそれ以上、例えば、約10個、約20個または約30個のノズルを備えてもよく、これらは、ワイパに対しておよび/またはセンサ窓に対して実質的に均一に分配されてもよい。清掃装置は、一定量の洗浄液を保持するための洗浄液容器をさらに備えてもよい。清掃装置は、例えば、センサ窓に塗布され拭き取られた後の洗浄液を再利用するように構成されてもよい。ワイパは、洗浄液を回収するために、例えば、洗浄液を回収するための溝または排水口が設けられたセンサ窓の端部まで塗布された洗浄液を押し出すような形状を有してもよい。洗浄液をセンサ窓のちりから分離するために、ろ過装置を採用し、洗浄液をろ過してもよい。回収した洗浄液は、溝もしくは排水口またはろ過装置から直接センサ窓に再導入してもよいし、洗浄液容器に貯めてもよい。
【0051】
図2は、センサ窓1上の直線経路に沿って1つ以上のワイパ、ノズル、カバーまたはこれらの組み合わせを案内するガイドの一実施形態を示している。ガイドには、直線経路に沿って接続ピース24を案内するための、具体的には溝構造である1つ以上の案内軌道22.iを画定するフレーム20またはハウジング20が形成されている。接続ピース24に接続されているのは、ワイパ、カバーおよび/またはノズルであるが、図示を分かり易くするために、これらは図2には描かれていない。ハウジングには、ハウジングの長手方向に互いに平行に延在する3つの案内軌道22.1、22.2、22.3が形成されている。ハウジング20は、案内軌道22.iがセンサ窓1と平行な方向に延在するように、センサ窓に隣接して配置される。接続ピース24は、案内軌道22.iに設けられた案内ピン26.1、26.2を含む。使用時には、接続ピース24は駆動装置によって駆動されて、ハウジング20の第1の端部27から第2の端部29へと案内される。このように、接続ピース24に接続されたワイパは、第1の位置から第2の位置までセンサ窓上を移動することができ、第1の位置および第2の位置は、ハウジング20の第1の端部27および第2の端部29に対応する。
【0052】
いずれの端部においても、ピン26.1および26.2が、ハウジングの第1の端部および/または第2の端部で軌道を変更できるように、複数の案内軌道22.i,は互いに接続されている。これによりセンサ窓に対してワイパを傾けるおよび/または退避させることが可能となり、第2の端部29から第1の端部27への復動作においてワイパがセンサ窓に接触するのを防ぐことができる。
【0053】
このガイドは、ハウジングの第1の端部27と第2の端部29との間で接続ピース24を平行移動させた後、第1の端部27および第2の端部29で接続ピース24を傾けるまたは回転させて、ワイパをセンサ窓に対して接触させるまたは窓と非接触にする。特に、案内手段は、接続ピース24を回転軸26.3周りに回転させるように配置されている。回転軸26.3は、仮想軸であってもよいし、軸体からなるものであってもよい。必要に応じて、軸体は、案内軌道22.iに案内されるように、第3の案内ピンとして機能するよう構成されてもよい。
【0054】
接続ピース24は、特に、回転する2本の案内ピン26.1および26.2を含む。回転軸26.3と案内ピン26.1および26.2とは互いに、回転軸とピンを結ぶ仮想線が直角三角形を囲むように配置されている。より具体的には、第1のピン26.1と第2のピン26.2との間の仮想線が、回転軸26.3と第2のピン26.2との間の仮想線に垂直となるようにピンが配置されている。
【0055】
さらに、第1のピン26.1と第2のピン26.2との間の距離が、第1の軌道22.1と第3の軌道22.3との間の距離に対応するように、案内手段が構成されている。このように構成することにより、回転軸26.3が第3の軌道22.3に沿って移動すると同時に、第1のピン26.1および第2のピン26.2をそれぞれ第1の軌道22.1および第3の軌道22.3を通じて案内することができる。また、第2のピン26.2と回転軸26.3との距離は、第1の軌道22.1と第2の軌道22.2との距離に対応する。このようにして、第1のピン26.1と同様に第2のピン26.2も第2の軌道22.2で案内されると同時に、回転軸26.3が第3の軌道22.3に沿って移動させることが可能である。ピン26.1および26.2ならびに軌道22.iのこの配置では、接続ピース24は、第1の端部27から第2の端部29への往動作の向きに対して傾いたまたは傾斜した向きで第2の端部29から戻って来てもよく、回転軸26.3は第3の軌道に沿って第1の端部27と第2の端部29との間で直線的に平行移動してもよい。
【0056】
図2には、ハウジング20に沿った接続ピース24の移動における様々なステップが模式的に描かれている。具体的には、ステップa)において、接続ピース24はハウジング20の第1の端部27に位置している。ピン26.1および26.2は共に第2の軌道22.2に位置し、回転軸26.3は第3の軌道22.3に位置している。接続ピース24がこの向きの時、ワイパは、ハウジングから離間する方向に軌道22.iに対して実質的に垂直に延在する。接続ピース24は駆動され、ハウジングの第1の端部27から第2の端部29まで案内される。
【0057】
ステップb)~e)において、接続ピース24が第2の端部29に近づくと、先行している第1のピン26.1が第2の軌道22.2の停止部である傾斜面に当たり、この傾斜面は第1のピンが第2の軌道22.2から第1の軌道22.1へと軌道を変更するよう案内する。その結果、接続ピース24の回転運動が誘発されて、それに伴って第2のピン26.2は第2の軌道22.2から第3の軌道22.3へと軌道が変更される。回転軸26.3は第3の軌道22.3に留まる。接続ピース24に接続されているワイパも、ワイパがセンサ窓に接触しないように接続ピース24と共に回転する。
【0058】
ステップe)では、接続ピース24が終点位置に達しており、すなわち、回転軸26.3がハウジングの第2の端部29における終点に達したており、接続ピース24はステップa)およびb)に示された向きから約90度回転している。また、ステップe)において、接続ピース24の駆動方向は、接続ピースを第1の端部27に向かって戻すように駆動するべく反転される。駆動方向は、いくつかの方法で反転させることができる。例えば、機械的または電気機械的なスイッチによって、アクチュエータ、例えば、電気モータの駆動方向を反転させてもよいし、棒リンク機構等をアクチュエータに結合して接続ピース24の駆動方向が反転させてもよい。
【0059】
ステップf)では、接続ピース24は、第1の端部27に向かって駆動される。ステップg)からステップi)において、接続ピース24が第1の端部27に近づくと、第1のピン26.1が第1の軌道22,1の停止部に当たり、それに伴って接続ピース24の回転運動が誘発され、第2のピン26.2が第3の軌道22.3から第2の軌道22.2へと軌道変更される。第1の端部27に向かう接続ピースの継続的な移動により、第1のピン26.1が第1の軌道22.1から第2の軌道22.2へと軌道変更される。回転軸26.3は第3の軌道22.3内に留まる。ワイパは接続ピースに接続され、接続ピース24と共に回転してセンサ窓に再び接触する。接続ピース24の回転移動はステップj)において完了し、サイクルが完了となる。ステップj)において、ワイパは、ハウジングから離れる方向に軌道22.iに対して垂直な方向に向けられ、接続ピースの駆動方向も再び反転されてセンサ窓を拭きながら接続ピース24を第2の端部へ移動させる。
【0060】
図3A図3Dは、光センサデバイス11のセンサ窓1を清掃するための清掃装置10の一実施形態を部分的に示す斜視図である。清掃装置10は、ワイパブレード30を備えるワイパ3を、図示しない駆動装置によってセンサ窓1に沿って往復移動可能に構成されている。例えば、電気モータを備えるおよび/または電気モータで構成されてもよい駆動部は、例えば、駆動系により、ワイパ3を担持する1つまたは複数のワイパキャリア4を移動させるように構成されてもよい。例えば、ワイパまたはワイパブレードは細長いデザインであってよく、その遠位端、好ましくはその遠位端および近位端の両方は、それぞれのキャリア4によって支持されている。ここでは、清掃装置10は、キャリア4およびそれに取り付けられたワイパ3を、実質的に真っ直ぐな長手方向D1、D2に動かすように構成されているが、別の実施形態では、例えば、これに代えてまたは加えて、ワイパ3を回転および/または平行移動させることにより異なる方法で動かしてもよい。
【0061】
図3E図3Fは、図3A図3Dに示す清掃装置10の実施形態の一部を切り取った分解斜視図である。図3Eに示されるように、キャリア4は、スライド式キャリッジ等として形成されてもよいが、別の実施形態では他の方法で形成されてもよい。この実施形態では、ワイパ3またはワイパブレード30は、ある範囲まで回転可能にキャリア4に取り付けられている。具体的には、ワイパブレード30は、キャリア4に対して少なくとも部分的に回転可能に取り付けられるワイパホルダ61に固定され得る。
【0062】
図3A図3Bに示されるように、キャリア4がセンサ窓1に沿って移動する時、ワイパブレード30、より詳細にはそのワイパチップ31によって構成されてもよいワイパ3の第1部分は、センサ窓1の少なくとも第1の部分と接触しその上に押し付けられて、少なくとも窓の当該第1の部分をきれいに拭く。例えば、光透過に対する水および/またはその他の障害物を、例えば、センサ窓1の外縁12から押し出し、および/または、排水チャネルまたは排水溝18等に押し込むことによって、光学センサデバイス11の視野の一部となっている少なくとも第1の部分または領域から押し出してもよい。
【0063】
使用中、ワイパ3が最初の第1の位置から第2の位置、例えば、外縁12に、その近くにまたはそれを越えて位置する第2の位置置に向かって移動した後は、ワイパ3の第1部分がセンサ窓1の第1の部分と接触せずに窓上を拭くことなく、実質的に第2の位置から第1の位置に向かって戻ってもよい。例えば、ワイパ3を第1のセンサ窓1に沿って戻す前に、ワイパ3をおよび/またはワイパの第1部分をセンサ窓1から持ち上げるために、ワイパ3の長軸を中心に傾けてもよい。図示の実施形態では、ワイパ3は傾動機構を備えており、ここでは、ワイパホルダ61を介してワイパ3に取り付けられたギア62を含む。ギア62は、滑り結合によってワイパホルダ61に取り付けられている。駆動装置がワイパキャリア4を逆方向D2に戻すように動かすと、ラック63に噛み合うピニオンを形成するギア62は、当該ラック63によって回転される。滑り結合は、ホルダ61およびワイパ3をギア62とともに回転させ、それにより、ワイパ先端部31によって構成されてもよいワイパの第1部分をセンサ窓1から浮き上がらせている。ワイパ3が第2の位置から第1の位置に向かって戻る時に、ワイパの第1部分がセンサ窓1から離間されるようになっている。
【0064】
図3A図3Cおよび図3Fに示されるように、本実施形態では、ワイパ3は第1の爪81を備え、ここではワイパホルダ61によって形成および画定されているが、これに代えて、例えばワイパ3および/またはワイパブレード30の一体的部分であってもよい。ワイパ3が第1の方向D1に移動してセンサ窓1のそれぞれの部分を拭いているとき、第1の爪81はキャリア4に設けられた対応する第1の爪41に突き当たり、それによってワイパ3の回転を防止しする一方で、滑り結合によってギア62がラック63に沿って転がり続けることを可能にする。ワイパ3が逆方向D2に移動すると、ラック63によって回転されるギア62は、ワイパ3に設けられた、例えばワイパホルダ61によって形成された第2の爪82がキャリア4に設けられた第2の対応する爪42に突き当たるまで、回転方向R2にホルダ61およびワイパ3を回転させる。爪42に突き当たることにより、ワイパ3がさらに回転することを防ぎ、ワイパ3が逆方向D2に戻る時にワイパの第1部分がセンサ窓1から離間した状態を維持する。
【0065】
本実施形態では、単一のワイパブレード30によって形成された単一のワイパ3が提供されている。しかしながら、別の実施形態では、第2のワイパが提供されてもよく、この第2のワイパは、特に第2のワイパ先端部によって構成されるおよび/または第2のワイパ先端部を備える。センサ窓1から離間した第1のワイパ部分が逆方向D2に戻る時に、この第2のワイパがセンサ窓1と接触してもよい。反対に、第1のワイパ部分がセンサ窓1の少なくとも第1の部分を拭きながら、ワイパ3または第1のワイパが第1の位置から第2の位置に向かって移動する時には、第2のワイパ部分はセンサ窓1から離間してもよい、具体的には、持ち上げられてもよい。共に同じ方向または平行な長手方向に延在してもよい第1および第2のワイパは、例えば、当該長手方向で見たときに互いにある角度をなして配置されてもよい。
【0066】
明瞭化および簡潔な説明のために、特徴は同じまたは別個の実施形態の一部として本明細書に記載されるが、本発明の範囲は、記載された特徴の全てまたは一部の組み合わせを有する実施形態を含み得ることが理解されるであろう。さらに、本発明は、本明細書に記載された実施形態に限定されることを意図していない。多くの変形例が可能であることが理解されよう。そのような変形は、当業者にとって明らかであり、以下の特許請求の範囲に定式化された本発明の範囲内にあるものと考えられる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2(a-e)】
図2(f-j)】
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
【国際調査報告】