(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】アラビアガム
(51)【国際特許分類】
C08B 37/00 20060101AFI20221020BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20221020BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20221020BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20221020BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20221020BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20221020BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20221020BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20221020BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20221020BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20221020BHJP
A23L 29/25 20160101ALN20221020BHJP
A23L 2/52 20060101ALN20221020BHJP
【FI】
C08B37/00 G
A61K9/107
A61K47/36
A61K47/44
A61Q13/00 102
A61K8/06
A61K8/73
A61K8/92
A61K8/64
A61K47/42
A23L29/25
A23L2/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507914
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020045447
(87)【国際公開番号】W WO2021041005
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】512035620
【氏名又は名称】コーンプロダクツ ディベロップメント インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】ホルトハウス、デレク
(72)【発明者】
【氏名】パテル、サルファラズ
(72)【発明者】
【氏名】マグネス、スコット
(72)【発明者】
【氏名】マカリウス、アファフ
【テーマコード(参考)】
4B041
4B117
4C076
4C083
4C090
【Fターム(参考)】
4B041LH09
4B041LK14
4B041LK18
4B117LE10
4B117LK08
4B117LK11
4B117LK13
4B117LL01
4B117LL03
4B117LP17
4C076AA17
4C076BB01
4C076EE30
4C076EE30F
4C076EE41
4C076EE41F
4C076EE52
4C076EE53
4C076FF11
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB051
4C083AB052
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC422
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD411
4C083AD412
4C083BB11
4C083BB41
4C083DD31
4C083FF01
4C083KK03
4C090AA02
4C090AA05
4C090BA61
4C090BC11
4C090BD37
4C090CA04
4C090CA06
4C090CA15
4C090CA19
4C090DA04
4C090DA23
4C090DA26
4C090DA27
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、修飾アラビアガムを生成するための方法であって、この方法は、アラビアガムを提供することと、該アラビアガムを加熱し、熱処理されたアラビアガムをもたらすことと、該熱処理されたアラビアガムを溶液中に溶解することと、任意選択で、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を濾過することと、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を噴霧乾燥に供することと、を含む。更に本明細書に開示されるのは、(i)≧3.8・106Daの重量平均分子量(Mw)及び/又は(ii)≧140nmのRMS回転半径(Rg)を有する、Acacia Senegal由来のアラビアガムである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾アラビアガムを生成するための方法であって、
アラビアガムを提供することと、
前記アラビアガムを加熱し、熱処理されたアラビアガムをもたらすことと、
前記熱処理されたアラビアガムを溶液中に溶解することと、
任意選択で、前記溶解したアラビアガムを含有する前記溶液を濾過することと、
前記溶解したアラビアガムを含有する前記溶液を噴霧乾燥に供することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記加熱が、≧0.9・10
6Da、≧1.0・10
6Da、≧1.5・10
6Da、≧2.0・10
6Da、≦4.0・10
6Da、≦3.5・10
6Da、又は≦3.0・10
6Daの重量平均分子量(M
w)を有する熱処理されたアラビアガムをもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱が、≧100℃、≧105℃、≧110℃、≦180℃、≦160℃、又は≦145℃の温度である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱が、少なくとも10分、少なくとも30分、少なくとも1時間、48時間未満、又は5時間未満の期間である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記加熱が、≦5%、≦3%、又は≦1%の乾燥減量を有するアラビアガムを加熱することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
修飾アラビアガムを生成するための方法であって、
≧0.9・10
6Da、≧1.0・10
6Da、≧1.5・10
6Da、≧2.0・10
6Da、≦4.0・10
6Da、≦3.5・10
6Da、又は≦3.0・10
6Daの重量平均分子量(M
w)を有するアラビアガムを提供することと、
前記アラビアガムを溶液中に溶解することと、
任意選択で、前記溶解したアラビアガムを含有する前記溶液を濾過することと、
前記溶解したアラビアガムを含有する前記溶液を噴霧乾燥に供することと、を含む、方法。
【請求項7】
前記M
wを有する前記アラビアガムが、アラビアガムを加熱することによって提供される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記M
wを有する前記アラビアガムが、請求項3~5のいずれか一項に定義されるような条件下でアラビアガムを加熱することによって提供される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶解が、5~50重量%、10~40重量%、又は20~30重量%の前記アラビアガムを含有する溶液をもたらす、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記噴霧乾燥工程が、100~250℃の入口温度及び70~120℃の出口温度で達成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記アラビアガムが、Acacia Senegal由来のアラビアガムである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法によって入手可能であるアラビアガム。
【請求項13】
(i)≧3.8・10
6Daの重量平均分子量(M
w)及び/又は(ii)≧140nmのRMS回転半径(R
g)を有する、Acacia Senegal由来のアラビアガム。
【請求項14】
噴霧乾燥アラビアガムである、請求項13に記載のアラビアガム。
【請求項15】
熱処理されたアラビアガムの噴霧乾燥によって、及び/又は≧0.9・10
6DaのM
wを有するアラビアガムの噴霧乾燥によって入手可能である、請求項13又は14に記載のアラビアガム。
【請求項16】
≦500cPの粘度(20%)を有し、粘度(20%)が、25℃の温度で測定される、水中の前記アラビアガムの20重量%溶液の粘度を指す、請求項13~15のいずれか一項に記載のアラビアガム。
【請求項17】
≦400cP、≦300cP、≦250cP、≧50cP、≧100cP、又は≧150cPの粘度(20%)を有する、請求項13~16のいずれか一項に記載のアラビアガム。
【請求項18】
≧3.8・10
6Da、≧4.0・10
6Da、≧4.2・10
6Da、≧4.5・10
6Da、≦8.0・10
6Da、又は≦6.5・10
6DaのM
wを有する、請求項13~17のいずれか一項に記載のアラビアガム。
【請求項19】
≧140nm、≧150nm、≧160nm、≦250nm、又は≦200nmのR
gを有する、請求項13~18のいずれか一項に記載のアラビアガム。
【請求項20】
≧6.0、≧7.0、≧8.0、≦15、又は≦12の多分散性(P)を有する、請求項13~19のいずれか一項に記載のアラビアガム。
【請求項21】
≧18重量%、≧20重量%、≧22重量%、≦30重量%、又は≦28重量%のアラビノガラクタンタンパク質(AGP)含有量を有する、請求項13~20のいずれか一項に記載のアラビアガム。
【請求項22】
前記アラビアガムが、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法によって得られるか、又は入手可能である、請求項13~21のいずれか一項に記載のアラビアガム。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載のアラビアガムを含む、乳化剤組成物。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載のアラビアガム及び/又は請求項23に記載の乳化剤組成物を含む、エマルション。
【請求項25】
連続水相及び分散油相を含む、請求項24に記載のエマルション。
【請求項26】
≦1:1.2、≦1:1.5、≦1:2.0、≧0.2:1、又は≧0.4:1のアラビアガム対油の重量比を有する、請求項24又は25に記載のエマルション。
【請求項27】
≧15重量%、≧20重量%、又は≦30重量%の油含有量を有する、請求項24~26のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項28】
前記油相が、(i)密度≦0.90g/mlを有する、例えば、密度0.70~0.90g/ml、例えば0.80~0.90g/mlを有する油、及び任意選択で(ii)植物油を含む、請求項24~27のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項29】
前記油相が、(i)香油、及び任意選択で(ii)植物油を含む、請求項24~27のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項30】
前記油相が、植物油を含む、請求項24~29のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項31】
密度≦0.90g/mlを有する前記油及び/又は前記香油が、精油、テルペン含有油、又は抽出物、含油樹脂である、請求項24~30のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項32】
密度≦0.90g/mlを有する前記油及び/又は前記香油が、ミント油又はかんきつ油、例えば、オレンジ油、レモン油、ライム油、又はグレープフルーツ油である、請求項24~31のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項33】
前記植物油が、中鎖トリグリセリド(MCT)油、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、菜種油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、及びキャノーラ油からなる群から選択される、請求項28~32のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項34】
(i)密度≦0.90g/mlを有する油又は香油対(ii)植物油の重量比が、1:0.1~1:9、例えば、1:3~3:1である、請求項28~33のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項35】
エマルションが、増量剤を含まない、請求項24~34のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項36】
乳化剤又はテクスチャ改良剤としての、請求項12~22のいずれか一項に記載のアラビアガムの使用。
【請求項37】
請求項24~27又は30~35のいずれか一項に記載のエマルションを調製するための方法であって、高圧均質化を使用して油相を水相に分散させることを含む、方法。
【請求項38】
請求項12~22のいずれか一項に記載のアラビアガムを含む、食品。
【請求項39】
請求項24~27又は30~35のいずれか一項に記載のエマルションを含む、食品。
【請求項40】
前記食品が、飲料である、請求項38又は39に記載の食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されるのは、アラビアガム、及び修飾アラビアガムを生成するための方法である。
【背景技術】
【0002】
アラビアガムは、多種多様な食品に使用される既知の乳化剤である。
【0003】
アラビアガムは、Acacia Senegal又はAcacia Seyal由来のものであり得る。Acacia Senegal由来のアラビアガムは、エマルションに最も一般的に使用されている。
【0004】
アラビアガムの乳化特性は、アラビアガムを熱処理することによって改善され得ることが知られている。これは、例えば、特開平2-49001号、出願公開第2000/166489(A)号、国際公開第2004/089991号、及び欧州特許第1666502(A1)号に記載されている。
【0005】
国際公開第2004/089991号は、アラビアガムが、アラビノガラクタン(arabinogalactan、AG)、糖タンパク質(glycoprotein、GP)、及びアラビノガラクタンタンパク質(arabinogalactan protein、AGP)をその主要な成分として含むことを述べている。「GPC-MALLS」と称される分析プロセスも記載され、これは、ゲル浸透クロマトグラフィーを伴い、3つの検出器(すなわち、多角レーザー光散乱(multi angle laser light scattering、MALLS)検出器、屈折率(refractive index、RI)検出器、及び紫外線(ultraviolet、UV)検出器)が、オンラインに連結されている。この技術は、とりわけ、そのAGP含有量、重量平均分子量(Mw)、多分散性(P)、及びRMS回転半径(Rg)に関してアラビアガムを分析することを可能にし、国際公開第2004/089991号によれば、後者は、分子サイズの指標である。国際公開第2004/089991号は、AGP含有量及び重量平均分子量(Mw)がアラビアガムを加熱することによって増加し得、乳化能力は、Mw及びAGP含有量が増加するにつれて改善すると更に述べている。国際公開第2004/089991号によれば、Mwは、好ましくは少なくとも0.9・106ダルトン及び2.5・106ダルトン未満であるべきであり、Acacia Senegal由来のアラビアガムの例示的な最高値は、約2・106ダルトンである。実施例では、42.3~138nmで変動するRg値が得られる。
【0006】
欧州特許第1 666 502(A1)号は、小さい粒度を適用しながら、乾燥条件下でアラビアガムを加熱するプロセスを記載している。欧州特許第1 666 502(A1)号は、乳化能力が通常、Mw又はAGP含有量の増加により改善されるが、アラビアガムが過剰に修飾されると、乳化能力が低下することを開示している。それはまた、高い(P)が、不十分な程度の修飾及び効率を有するアラビアガムを提供し、アラビアガムの粒径が大きい場合、(P)が高くなりすぎることを開示している。
【0007】
国際公開第2004/089991号及び欧州特許第1 666 502(A1)号は、熱処理されたアラビアガムを使用して、安定したエマルションを得ることができることを言及しているが、これらの文書は、一般に、乳化される油の量に対して高いアラビアガムの使用レベル、すなわち、約1:1のアラビアガム対油の比での乳化能力の試験を開示している。高いアラビアガムの使用レベルは、経済的ではないため、商業的に不利である。国際公開第2004/089991号は、一例において、より低い使用レベルを開示しているが、これは、比較的大きな粒径を有するエマルションをもたらすことが報告され、これは、不利である。
【0008】
国際公開第2004/089991号及び欧州特許第1 666 502(A1)号は、噴霧乾燥アラビアガムが熱処理プロセスに供されてもよいことを開示している。しかしながら、本発明者らは、噴霧乾燥アラビアガム又は加熱噴霧乾燥アラビアガムが溶液に添加される場合、溶液がある特定の状況下で濁ることを見出した。これは、特に透明な溶液、例えば、透明な飲料が望ましい場合、不利である。
【0009】
更に、本発明者らは、Mwを熱処理によって増加させることは、アラビアガムが添加される溶液の粘度を増加させることを見出した。しかしながら、高すぎる粘度を有する溶液は、例えばエマルションの加工を困難にするため、不利である。
【0010】
上記を考慮して、改善された特性を有するアラビアガム、及びそのような改善されたアラビアガムを生成する方法が必要である。
【発明の概要】
【0011】
本明細書に開示される第1の態様は、修飾アラビアガムを生成するための方法を対象とし、この方法は、アラビアガムを提供することと、該アラビアガムを加熱し、熱処理されたアラビアガムをもたすことと、該熱処理されたアラビアガムを溶液中に溶解することと、任意選択で、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を濾過することと、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を噴霧乾燥に供することと、を含む。
【0012】
本明細書に開示される第2の態様は、修飾アラビアガムを生成するための方法を対象とし、この方法は、≧0.9・106DaのMwを有するアラビアガムを提供することと、該アラビアガムを溶液中に溶解することと、任意選択で、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を濾過することと、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を噴霧乾燥に供することと、を含む。
【0013】
本明細書に開示される第3の態様は、本明細書に開示される第1又は第2の態様による方法によって得られるか、又は入手可能であるアラビアガムを対象とする。
【0014】
本明細書に開示される第4の態様は、(i)≧3.8・106DaのMw及び/又は(ii)≧140nmのRgを有するAcacia Senegal由来のアラビアガムを対象とする。本明細書に開示される第4の態様によるアラビアガムは、本明細書に開示される第1又は第2の態様による方法によって得られるか、又は入手可能であり得る。
【0015】
本明細書に開示される第5の態様は、本明細書に開示される第3又は第4の態様によるアラビアガムを含む乳化剤組成物を対象とする。
【0016】
本明細書に開示される第6の態様は、本明細書に開示される第3又は第4の態様によるアラビアガム及び/又は本明細書に開示される第5の態様による乳化剤組成物を含むエマルションを提供する。
【0017】
本明細書に開示される第7の態様は、乳化剤として本明細書に開示される第3又は第4の態様によるアラビアガムの使用を提供する。
【0018】
本明細書に開示される第8の態様は、本明細書に開示される第6の態様によるエマルションを調製するための方法を提供し、この方法は、高圧均質化を使用して油相を水相に分散させることを含む。
【0019】
本明細書に開示される第9の態様は、本明細書に記載の第3又は第4の態様によるアラビアガム及び/又は本明細書に記載の第6の態様によるエマルションを含む食品を提供する。
【0020】
驚くべきことに、熱処理されたアラビアガム及び/又は増加したMwを有するアラビアガムを噴霧乾燥することにより、Mw及び/又はRgが十分に増加した修飾アラビアガムが得られることがわかる。この増加したMw及び/又はRgを有するアラビアガムは、優れた乳化能力を呈示する。
【0021】
特に、本発明によるアラビアガムは、アラビアガムの低い使用レベルをエマルションに使用することを可能にし、及び/又は高い油含有量を有するエマルションを安定化させる。更に、本発明によるガムの乳化特性は、(P)が高い場合でも優れていることがわかる。従来技術は、低い(P)が望ましいことを主張するため、これは驚くべきことである。更に、本明細書に記載の1つ以上の態様によるアラビアガムを含有する溶液は、粘度の比較的限られた増加を有し、濁度を増加させない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による方法の実施形態の概略図を提供する。
【0023】
【
図2】ピーク1、ピーク2、及びピーク3選択を示す屈折率(RI)クロマトグラムの例を提供する。
【0024】
【
図3】参照実験F、並びに実施例1、2、及び3についてのMwと粘度(20%)との間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
修飾アラビアガムを生成するための方法
本発明の第1の態様は、修飾アラビアガムを生成するための方法を提供し、この方法は、アラビアガムを提供することと、該アラビアガムを加熱し、熱処理されたアラビアガムをもたらすことと、該熱処理されたアラビアガムを溶液中に溶解することと、任意選択で、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を濾過することと、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を噴霧乾燥に供することと、を含む。
【0026】
本発明の第2の態様は、修飾アラビアガムを生成するための方法を提供し、この方法は、≧0.9・106Daの重量平均分子量(Mw)を有するアラビアガムを提供することと、該アラビアガムを溶液中に溶解することと、任意選択で、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を濾過することと、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を噴霧乾燥に供することと、を含む。
【0027】
アラビアガムの熱処理は、アラビアガムの重量平均分子量(Mw)を増加させる。したがって、当業者は、第2の態様による方法において定義されるようなMwを有するアラビアガムを提供することが、例えば、本明細書に開示される条件下でアラビアガムを加熱することを有利に含み得ることを理解するであろう。したがって、加熱に関して本明細書に開示される例示的な特徴及び条件は、必要な変更を加えて、本明細書に記載される第1及び第2の態様による方法に適用可能である。また、溶解、濾過、及び噴霧乾燥工程に関して本明細書に開示される例示的な特徴及び条件、並びに方法に関連する他の特徴は、必要な変更を加えて、本明細書に記載される第1及び第2の態様の方法に適用可能である。
【0028】
第1の態様では、任意の好適なアラビアガムが提供され得る。例えば、提供されるアラビアガムは、粗製又は未修飾アラビアガムであり得る。例えば、≦0.9・106DaのMwを有するアラビアガムが提供され得る。しかしながら、より高いMwを有するアラビアガムを提供することも可能である。
【0029】
(加熱に供されるために)提供されるアラビアガムは、任意の好適な形態、例えば、キブルの形態、又は噴霧乾燥形態であり得る。本発明の一実施形態では、噴霧乾燥形態ではないアラビアガムが提供される。これは、比較的低い濁度を有する溶液及び/又はエマルションを生成することが望ましい場合に有利である。提供されるアラビアガムは、粒子形態であり得る。粒子は、任意のサイズであり得る。均一な粒度分布は、均一な乾燥及び/又は加熱を促進するため有利である。平均粒径は、例えば、0.1mm~10mm、0.1mm~5mm、1.8mm~2.5mm、又は2.0mm~2.2mmであり得る。
【0030】
加熱は、例えば、油ジャケット付き真空反応器(例えば、Littleford)、流動床反応器、及びマイクロ波反応器などを含む任意の好適な方法を使用して実行され得る。好適な方法は、アラビアガムのMwの増加をもたらす任意の方法を含み得る。例えば、特開平2-49001号及び出願公開第2000/166489(A)号の方法のいずれかを使用することができる。国際公開第2004/089991号又は欧州特許第1666502(A1)号に記載されている条件のうちの1つ以上を使用することも可能であるが、これは重要ではない。
【0031】
加熱は、任意の好適な温度で実行され得る。本発明による方法は、例えば、≧100℃、≧105℃、≧110℃、又は≧115℃の温度でアラビアガムを加熱することを含み得る。高温での加熱は、より短い期間内に所望のMw及び/若しくはRgを達成するか、又は特定の期間内に増加したMw及び/若しくはRgを達成するかのいずれかの利点を有する。アラビアガムの加熱について、特定の上限はない。本発明による方法は、例えば、≦180℃、≦160℃、≦150℃、又は≦140℃の温度でアラビアガムを加熱することを含み得る。本発明による方法は、例えば、100~180℃、105~160℃、110~150℃、又は115~140℃の温度で加熱することを含み得る。
【0032】
所望のMw及び/又はRgを達成するための好ましい加熱期間は、一般に、加熱温度に依存する。本明細書に記載の第1及び第2の態様による方法は、例えば、アラビアガムを少なくとも10分間、少なくとも30分間、又は少なくとも1時間加熱することを含み得る。アラビアガムが加熱される期間について、特定の上限はない。加熱は、例えば、48時間未満、10時間未満、又は5時間未満であり得る。加熱は、例えば、10分~48時間、30分~10時間、又は1~5時間の期間であり得る。加熱は、例えば、115~140℃の温度で、1~5時間の期間にわたって実行され得る。
【0033】
加熱は、任意の好適な圧力で実行され得る。本明細書に記載の本発明による方法は、例えば、アラビアガムを減圧又は大気圧で加熱することを含み得る。本発明の一実施形態では、条件は、効率的な方法で水分がなくなるように選択される。
【0034】
加熱は、任意の好適な乾燥減量を有するアラビアガムを加熱することを含み得る。加熱は、例えば、≦5重量%、≦3重量%、又は≦1重量%の乾燥減量を有するアラビアガムを加熱することを含み得る。
【0035】
加熱は、例えば、熱処理されたアラビアガムが≧0.9・106Da、≧1.0・106Da、≧1.5・106Da、又は≧2.0・106DaのMwを有する条件下で実行され得る。当業者は、これらの値が十分に高い加熱温度を十分に長い時間適用することによって達成され得ることを理解するであろう。本明細書に提供される教示に基づいて、当業者は、本明細書で定義されるMwの例示的な値を達成するために適切な加熱時間及び加熱期間を選択することができる。上記の値を超えるMwを有する熱処理されたアラビアガムを得ることは、その後の噴霧乾燥工程から生じるMw及び/又はRgの値が更に高いという利点を有することがわかる。
【0036】
加熱は、例えば、熱処理されたアラビアガムが≦3.8・106Da、≦3.5・106Da、又は≦3.0・106DaのMwを有するような条件下で実行され得る。これらの値を下回るMwを維持することは、噴霧乾燥工程及び任意選択の濾過が最適な条件下で実行され得るように、粘度が十分に低く保たれ得るという利点を有する。
【0037】
加熱は、例えば、熱処理されたアラビアガムが、0.9・106Da~3.8・106Da、1.5・106Da~3.5・106Da、又は2.0・106Da~3.0・106DaのMwを有するこのような条件下で実行され得る。
【0038】
本明細書に記載の第2の態様による方法は、≧0.9・106DaのMwを有するアラビアガムを提供することを含む。本明細書に記載の第2の態様による方法は、例えば、≧1.0・106Da、≧1.5・106Da、又は≧2.0・106DaのMwを有するアラビアガムを提供することを含み得る。本明細書に記載の第2の態様による方法は、例えば、≦3.8・106Da、≦3.5・106Da、又は≦3.0・106DaのMwを有するアラビアガムを提供することを含み得る。本明細書に記載の第2の態様による方法は、例えば、0.9・106Da~3.8・106Da、1.5・106Da~3.5・106Da、又は2.0・106Da~3.0・106DaのMwを有するアラビアガムを提供することを含み得る。当業者は、本発明の第1の態様に関して記載されるMwの値の利点が、必要な変更を加えて、本発明の第2の態様に適用されることを理解するであろう。
【0039】
本明細書に記載の第1及び第2の態様による方法は、熱処理されたアラビアガム及び/又は定義されるようなMwを有するアラビアガムを溶液中に溶解することを含む。一般に、溶液は、水溶液である。溶液中のアラビアガムの濃度は、重要ではない。濃度が比較的低い場合、噴霧乾燥工程は、あまり経済的ではない可能性がある。濃度が比較的高い場合、粘度が比較的高くなり、これにより噴霧乾燥があまり効果的でなくなる可能性がある。例えば、5~50重量%のアラビアガム、10~40重量%のアラビアガム、又は20~30重量%のアラビアガムを含有する溶液が得られてもよい。
【0040】
溶液は、任意の好適な粘度を有し得る。粘度は、例えば、噴霧乾燥の条件が最適であるような粘度であり得る。溶液は、例えば、≧100cP又は≧140cPの粘度を有し得る。溶液は、例えば、≦250cP又は≦200cPの粘度を有し得る。溶液は、例えば、100~250cP又は140~200cPの粘度を有し得る。本明細書で使用される場合、溶液の粘度は、25℃の温度で測定される。
【0041】
本明細書に記載の第1及び第2の態様による方法は、例えば、噴霧乾燥の前に溶液を濾過することを含み得る。濾過は、例えば、加熱中に形成され得るゲル粒子が除去され得るという利点を有する。濾過工程はまた、熱処理中に発生する望ましくない臭気及び味を除去するための炭素濾過を含み得る。当業者は、そのようなゲル粒子を除去するための適切なフィルタを選択することができる。例えば、0.1~100μm又は1~50μmの孔径を有するフィルタを使用することができる。
【0042】
噴霧乾燥は、当業者に周知の技術であり、任意の好適な様式で実行され得る。噴霧乾燥は、例えば、100~250℃の入口温度及び70~120℃の出口温度で達成され得る。
【0043】
本明細書に記載の第1及び第2の態様による方法は、Acacia Senegal由来のアラビアガム及びAcacia Seyal由来のアラビアガムを含む任意のアラビアガムを修飾するために使用され得る。アラビアガムは、例えば、Acacia Senegalからのものであり得る。
アラビアガム
【0044】
本発明の第3の態様は、本発明の第1又は第2の態様による方法によって得られるか、又は入手可能であるアラビアガムを提供する。
【0045】
本発明の第4の態様は、(i)≧3.8・106Daの重量平均分子量(Mw)及び/又は(ii)≧140nmのRMS半径(Rg)を有するAcacia Senegal由来のアラビアガムを提供する。
【0046】
当業者は、本明細書に開示されるアラビアガムの例示的な特徴及び特性が、必要な変更を加えて、本発明の第3及び第4の態様のアラビアガムに適用可能であることを理解する。本明細書で使用される場合、本明細書に記載の第3及び第4の態様のアラビアガムはまた、本発明によるアラビアガムと呼ばれるであろう。
【0047】
本発明によるアラビアガムは、例えば、≧3.8・106Da、≧4.0・106Da、≧4.2・106Da、又は≧4.5・106DaのMwを有し得る。本発明によるアラビアガムの乳化特性は、Mwの増加とともに改善することが見出された。Mwについて、特定の上限はない。本発明によるアラビアガムは、例えば、≦8.0・106Da又は≦6.5・106DaのMwを有し得る。本発明によるアラビアガムは、例えば、3.8・106~8.0・106Da、4.0・106~6.5・106Da、又は4.5・106~6.5・106DaのMwを有し得る。
【0048】
本発明によるアラビアガムは、例えば、≧140nm、≧150nm、又は≧160nmのRgを有し得る。本発明によるアラビアガムの乳化特性は、Rgの増加とともに改善することが見出された。Rgについて、特定の上限はない。本発明によるアラビアガムは、例えば、≦250nm、≦200nm、又は≦190nmのRgを有し得る。本発明によるアラビアガムは、例えば、140~250nm、150~200nm、又は160~190nmのRgを有し得る。
【0049】
本発明によるアラビアガムは、例えば、噴霧乾燥アラビアガムであり得る。本発明によるアラビアガムは、例えば、熱処理されたアラビアガムを噴霧乾燥することによって、及び/又は≧0.9・106DaのMwを有するアラビアガムを噴霧乾燥することによって入手可能であり得る。
【0050】
本発明によるアラビアガムは、溶液として存在する場合、比較的低い粘度を有し得る。本発明によるアラビアガムは、例えば、500cP以下の粘度(20%)を有し得、粘度(20%)は、25℃の温度で測定される、水中のアラビアガムの20重量%溶液の粘度を指す。本発明によるアラビアガムは、例えば、≦400cP、≦300cP、又は≦250cPの粘度(20%)を有し得る。粘度(20%)について、特定の下限はない。粘度(20%)は、例えば、≧50cP、≧100cP、又は≧150cPであり得る。粘度(20%)は、例えば、50~500cP、50~400cP、100~300cP、又は150~250cPであり得る。
【0051】
本発明によるアラビアガムは、多分散性(P)の任意の好適な値を有し得る。本発明によるアラビアガムは、例えば、≧6.0、≧7.0、又は≧8.0の(P)を有し得る。従来技術は、十分な乳化特性を得るために(P)を低く保つことを主張する。驚くべきことに、本発明によるアラビアガムは、(P)が高い、例えば上記の値よりも高い場合であっても、優れた乳化能力を呈示することが見出された。(P)について、特定の上限はない。本発明によるアラビアガムは、例えば、≦15又は≦12の(P)を有し得る。本発明によるアラビアガムは、例えば、6.0~15、7.0~12、又は8.0~12の(P)を有し得る。
【0052】
本発明によるアラビアガムは、例えば、≧18重量%、≧20重量%、又は≧22重量%のアラビノガラクタンタンパク質(AGP)含有量を有し得る。AGP含有量について、特定の上限はない。本発明によるアラビアガムは、例えば、≦30重量%又は≦28重量%のAGP含有量を有し得る。本発明によるアラビアガムは、例えば、18~30重量%、18~28重量%、又は20~28重量%のAGP含有量を有し得る。
使用及び用途
【0053】
本発明によるアラビアガムは、優れた乳化特性を提供する。
【0054】
本発明の第5の態様は、本発明によるアラビアガムを含む乳化剤組成物を提供する。乳化剤組成物は、例えば、水防腐剤、酸、可溶化助剤(例えば、プロピレングリコール又はグリセリン)、油、増量剤、酸化防止剤、及び/又は色を含有し得る。
【0055】
本発明の第6の態様は、本発明によるアラビアガム及び/又は本発明の第5の態様による乳化剤組成物を含むエマルションを提供する。エマルションは、例えば、連続水相及び分散油相を含み得る。第6の態様のエマルションは、任意選択の増量剤を更に含み得る。
【0056】
油相は、任意の好適な油、例えば、精油、テルペン含有油、抽出物、含油樹脂、フラボノイド、β-カロチン、スピルリナ抽出物、パプリカ抽出物、又はターメリック抽出物を含み得る。
【0057】
油相は、色油を含み得る。当業者は、本発明の文脈における色油が、色又は濁度を供給することを意図した疎水性化合物を指すことを理解するであろう。色油は、例えば、フラボノイド、β-カロチン、スピルリナ抽出物、パプリカ抽出物、又はターメリック抽出物であり得る。
【0058】
油相は、香油を含み得る。当業者は、本発明の文脈における香油が、味若しくは香り、又は感覚調整を供給することを意図した疎水性化合物を指すことを理解するであろう。香油は、例えば、精油、テルペン含有油、抽出物、又は含油樹脂であり得る。例示的な香油としては、ミント油又はかんきつ油、例えば、オレンジ油、レモン油、ライム油、又はグレープフルーツ油が挙げられる。
【0059】
本明細書に記載の本発明によるエマルションは、任意の特定の種類のエマルションに限定されない。例えば、エマルションは、香味エマルション、色エマルション、飲料エマルション、芳香エマルション、ビタミンエマルション、又は食品エマルションであり得る。
【0060】
本発明によるエマルションは、本発明によるアラビアガムと油との任意の好適な重量比を有し得る。本明細書で使用される場合、油の重量は、油の重量に加えて、存在する場合、任意の増量剤の重量を指す。重量剤は、当業者に周知であり、例えば、エステルガム、臭素化植物油、ダマーガム、及び酢酸スクロースイソブタレート(sucrose acetate isobutarate、SAIB)を含む。本発明によるアラビアガムは、その優れた乳化特性により、アラビアガムの使用を低くすることを可能にする。有利には、本発明によるエマルションは、≦1:1.2、≦1:1.5、又は≦1:2.0のアラビアガム対油の重量比を有する。アラビアガム対油の重量比について、特定の下限はない。エマルションは、例えば、≧0.2:1、≧0.3:1、又は≧0.4:1のアラビアガム対油の重量比を有し得る。本発明によるエマルションは、例えば、0.2:1~1:1.2、0.3:1~1:1.5、又は0.4:1~1:2.0のアラビアガム対油の重量比を有し得る。
【0061】
本発明によるエマルションは、任意の好適な油含有量を有し得る。本発明によるアラビアガムは、その優れた乳化特性により、高い油含有量を有するエマルションが安定化されることを可能にする。本発明によるエマルションは、例えば、≧15重量%又は≧20重量%の油含有量を有し得る。本発明によるエマルションの油含有量について、特定の上限はない。エマルションは、例えば、≦30重量%又は≦25重量%の油含有量を有し得る。エマルションは、例えば、15~30重量%又は20~25重量%の油含有量を有し得る。
【0062】
本発明によるアラビアガムは、他の成分、例えば、キラヤサポニン、OSA変性デンプン、tween、プロピレングリコールアルギン酸塩、リン脂質(例えば、レシチン)、ゼラチン、タンパク質、ペクチン、スクロースエステル、並びにモノ及び/又はジグリセリドから選択される1つ以上の成分と組み合わせて使用され得る。
【0063】
本発明の第7の態様は、乳化剤としての本発明によるアラビアガムの使用を対象とする。
【0064】
本発明の第8の態様は、本発明の第6の態様によるエマルションを調製するための方法を対象とし、該方法は、高圧均質化を使用して油相を水相に分散させることを含む。例えば、2000~30,000psi(137.9~2069バール)の圧力が適用され得る。任意の好適な数のパスを使用することができる。当業者は、最適なパス数を決定することができる。
【0065】
本発明の第9の態様は、本明細書に記載の本発明による、有効量のエマルション及び/又は乳化剤組成物を含有する生成物を対象とする。生成物は、例えば、食品及び飲料製品、サプリメント、カンナビノイド製品、医薬品、栄養補助食品、乳児用製品、紙製品、動物ケア製品、家庭用製品、農産物、農業用途、工業製品、及びパーソナルケア製品を含み得る。
【0066】
食品及び飲料製品は、例えば、ジュース、飲料、炭酸飲料、インスタントコーヒー及びお茶、ソース及びグレイビー、スープ、シリアル、ドレッシング、ベーカリー製品、インスタント及び即席ミックス、非乳製品クリーマー、アイスクリーム、アイシング、サラダドレッシング、並びに甘味付与された濃縮クリーマーを含む。
【0067】
飲料の例としては、例えば、炭酸化されたレディ・トゥ・ドリンク製品(例えば、コーラ若しくは他の炭酸飲料、ソフトドリンク、スパークリング飲料、カンナビノイド製品を含有する飲料、及びモルト)又は非炭酸(例えば、果物ジュース、ネクター、野菜ジュース、スポーツドリンク、栄養ドリンク、強化された水、ココナツ水、お茶、コーヒー、ココア飲料、ミルクを含有する飲料、シリアル抽出物を含有する飲料、カンナビノイド製品を含有する飲料、スムージー、及びアルコール飲料)、及び例えば、水、ミルク、若しくはクラブソーダなどの液体ベースと組み合わされる粉末飲料製品が挙げられる。
【0068】
パーソナルケア製品としては、例えば、制汗剤、脱臭剤、石鹸、香水、化粧品、ヘアケア製品(例えば、ヘアスプレー、ムース、シャンプー、及びクリームリンスなど)、浴製品、及びゲルが挙げられる。
【0069】
紙製品としては、例えば、おむつ、生理用ナプキン、紙タオル、ティッシュ、及びトイレットペーパーが挙げられる。
【0070】
動物ケア製品としては、例えば、動物食品及び猫用トイレが挙げられる。
【0071】
家庭用製品としては、例えば、洗浄剤、洗剤、布地柔軟剤、及び空気清浄剤が挙げられる。
本発明の第6の態様による様々なエマルション
【0072】
本発明によるアラビアガムは、例えば、香油などの比較的低い密度を有する油を含むエマルションの調製において特定の利点を提供する。
【0073】
不連続(油)相と連続(水性)相との間の大きな密度差は、不安定性に至らせ、エマルションを安定化させるのが困難になる。ストークの法則によれば、不連続相と連続相との間の密度差が大きいほど、連続相に分散された油滴は、エマルションの上部にクリームを、又は底部に沈降物を得、合体により粒度を増加させ、最終的にエマルションの物理的分離につながる。飲料に希釈されると、増加した粒度に起因して、これらのエマルションは、分離し、飲料の上部の周りに環を形成し得、これは、粒度も、連続相に分散した油滴の移動速度において重要な役割を果たすためである。
【0074】
この問題を解決するために、当該技術分野では増量剤を使用して、不連続相の密度を増加させ、その結果、それが連続相とより密接に一致するため、分散油滴の速度を低下させ、安定性が増加する。当業者に周知であるように、増量剤は、特定の油の比重を増加させ、水の比重よりも大きい比重を呈示することを意図する油溶性成分を指す。しかしながら、増量剤を使用することにいくつかの欠点があり、それらは、それらの除去に対する要望をもたらす、消費者知覚が不十分である、それらの使用に制御限界がある、製剤に著しいコストを与える、処理に時間がかかる、飲料中に沈殿を引き起こす傾向がある、というものである。したがって、食品及び飲料産業において、増量剤を必要としないか、又はより少量の増量剤を必要とするエマルションの強い要望がある。本発明は、この必要性に対処する。より具体的には、本発明によるアラビアガムは、比較的低い密度を有する油を含むエマルションが得られることを可能にし、増量剤の量は、低減され得るか、又は増量剤は必要とされない。
【0075】
上記を考慮して、本発明の第6の態様に記載のエマルションが提供され、油相は、密度≦0.90g/mlを有する、例えば、密度0.70~0.90g/ml、例えば0.80~0.90g/mlを有する油、及び任意選択で植物油を含む。
【0076】
密度≦0.90g/mlを有する油は、該密度を有する任意の好適な油であり得る。密度≦0.90g/mlの密度を有する油は、例えば、精油、テルペン含有油、抽出物、又は含油樹脂であり得る。密度≦0.90g/mlを有する油は、例えば、以下で論じられるような香油であり得る。
【0077】
本発明の第6の態様によるエマルションが更に提供され、油相は、(i)香油、及び任意選択で(ii)植物油を含む。当業者は、本発明の文脈における香油が、味若しくは香り、又は感覚調整を供給することを意図した疎水性化合物を指すことを理解するであろう。香油は、例えば、精油、テルペン含有油、抽出物、又は含油樹脂であり得る。例示的な香油としては、ミント油又はかんきつ油、例えば、オレンジ油、レモン油、ライム油、又はグレープフルーツ油が挙げられる。
【0078】
本発明の第6の態様によるエマルションが更に提供され、油相は、植物油を含む。植物油は、種子から抽出された任意のトリグリセリド油であり得る。任意の好適な植物油、例えば、中鎖トリグリセリド(MCT)油、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、菜種油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、キャノーラ油、及びそれらの混合物から選択される植物油が使用され得る。一般に、植物油は、水のより低い密度、したがって1.0g/ml未満の密度を有する。
【0079】
上記に開示されたような植物油の存在は、上記に開示されたような低密度を有する油を含む安定なエマルションを得ることを容易にすることが見出された。いかなる科学理論にも拘束されることを望むものではないが、上記に開示されたような低密度を有する油の密度と、水の密度との間の密度を有する植物油は、不連続相と連続相との間の密度差を最小化するのを助け、それによってエマルションの安定性を更に高めることができると考えられる。
【0080】
本明細書に提供される教示に基づいて、当業者は、(i)密度≦0.90g/mlを有する油又は香油と、(ii)植物油との間の好適な比率を決定することができる。(i)密度≦0.90g/mlを有する油又は香油対(ii)植物油の重量比は、1:0.1~1:9、例えば1:3~3:1であり得る。
【0081】
当業者は、(i)密度≦0.90g/mlを有する油及び(ii)植物油を含む油相が、密度≦0.90g/mlを有する油が植物油と混合している油相、及び/又は密度≦0.90g/mlを有する油を植物油と混合することによって得られるか、若しくは入手可能である油相であり得ることを理解するであろう。
【0082】
同様に、当業者は、(i)香油及び(ii)植物油を含む油相が、香油が植物油と混合している油相、及び/又は香油を植物油と混合することによって得られるか、若しくは入手可能である油相であり得ることを理解するであろう。
【0083】
本発明の第6の態様によるエマルションが更に提供され、エマルションは、増量剤を含まない。
【0084】
有利には、本発明の第6の態様によるエマルションは、≦1:1.2、≦1:1.5、又は≦1:2.0のアラビアガム対油の重量比を有する。アラビアガム対油の重量比について、特に下限はない。エマルションは、例えば、≧0.2:1、≧0.3:1、又は≧0.4:1のアラビアガム対油の重量比を有し得る。本発明によるエマルションは、例えば、0.2:1~1:1.2、0.3:1~1:1.5、又は0.4:1~1:2.0のアラビアガム対油の重量比を有し得る。当業者は、本明細書で使用される場合、油の重量が油相全体の合計重量を指すことを理解するであろう。
【0085】
本発明の第6の態様によるエマルションは、任意の好適な油含有量を有し得る。本発明によるアラビアガムは、その優れた乳化特性により、高い油含有量を有するエマルションが安定化されることを可能にする。本発明によるエマルションは、例えば、≧15重量%又は≧20重量%の油含有量を有し得る。本発明によるエマルションの油含有量について、特定の上限はない。エマルションは、例えば、≦30重量%又は≦25重量%の油含有量を有し得る。エマルションは、例えば、15~30重量%又は20~25重量%の油含有量を有し得る。上述のように、当業者は、油の重量が油相全体の合計重量を指すことを理解するであろう。
【0086】
本開示によって企図される主題は、以下の付番した実施形態に記載される。
1.修飾アラビアガムを生成するための方法であって、この方法は、アラビアガムを提供することと、該アラビアガムを加熱し、熱処理されたアラビアガムをもたらすことと、該熱処理されたアラビアガムを溶液中に溶解することと、任意選択で、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を濾過することと、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を噴霧乾燥に供することと、を含む。
2.該加熱が、≧0.9・106Da、≧1.0・106Da、≧1.5・106Da、≧2.0・106Da、≦4.0・106Da、≦3.5・106Da、又は≦3.0・106Daの重量平均分子量(Mw)を有する熱処理されたアラビアガムをもたらす、実施形態1に記載の方法。
3.該加熱が、≧100℃、≧105℃、≧110℃、≦180℃、≦160℃、又は≦145℃の温度である、実施形態1又は2に記載の方法。
4.該加熱が、少なくとも10分、少なくとも30分、少なくとも1時間、48時間未満、又は5時間未満の期間である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
5.該加熱が、≦5%、≦3%、又は≦1%の乾燥減量を有するアラビアガムを加熱することを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.修飾アラビアガムを生成するための方法であって、この方法は、≧0.9・106Da、≧1.0・106Da、≧1.5・106Da、≧2.0・106Da、≦4.0・106Da、≦3.5・106Da、又は≦3.0・106Daの重量平均分子量(Mw)を有するアラビアガムを提供することと、該アラビアガムを溶液中に溶解することと、任意選択で、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を濾過することと、該溶解したアラビアガムを含有する該溶液を噴霧乾燥に供することと、を含む。
7.該Mwを有する該アラビアガムが、アラビアガムを加熱することによって提供される、実施形態6に記載の方法。
8.該Mwを有する該アラビアガムが、実施形態3~5のいずれか1つに定義されるような条件下でアラビアガムを加熱することによって提供される、実施形態7に記載の方法。
9.該溶解が、5~50重量%、10~40重量%、又は20~30重量%の該アラビアガムを含有する溶液をもたらす、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.該噴霧乾燥工程が、100~250℃の入口温度及び70~120℃の出口温度で達成される、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.該アラビアガムが、Acacia Senegal由来のアラビアガムである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法によって入手可能である、アラビアガム。
13.(i)≧3.8・106Daの重量平均分子量(Mw)及び/又は(ii)≧140nmのRMS回転半径(Rg)を有する、Acacia Senegal由来のアラビアガム。
14.噴霧乾燥アラビアガムである、実施形態13に記載のアラビアガム。
15.熱処理されたアラビアガムの噴霧乾燥によって、及び/又は≧0.9・106DaのMwを有するアラビアガムの噴霧乾燥によって入手可能である、実施形態13又は14に記載のアラビアガム。
16.≦500cPの粘度(20%)を有し、粘度(20%)が、25℃の温度で測定される、水中のアラビアガムの20重量%溶液の粘度を指す、実施形態13~15のいずれか1つに記載のアラビアガム。
17.≦400cP、≦300cP、≦250cP、≧50cP、≧100cP、又は≧150cPの粘度(20%)を有する、実施形態13~16のいずれか1つに記載のアラビアガム。
18.≧3.8・106Da、≧4.0・106Da、≧4.2・106Da、≧4.5・106Da、≦8.0・106Da、又は≦6.5・106DaのMwを有する、実施形態13~17のいずれか1つに記載のアラビアガム。
19.≧140nm、≧150nm、≧160nm、≦250nm、又は≦200nmのRgを有する、実施形態13~18のいずれか1つに記載のアラビアガム。
20.≧6.0、≧7.0、≧8.0、≦15、又は≦12の多分散性(P)を有する、実施形態13~19のいずれか1つに記載のアラビアガム。
21.≧18重量%、≧20重量%、≧22重量%、≦30重量%、又は≦28重量%のアラビノガラクタンタンパク質(AGP)含有量を有する、実施形態13~20のいずれか1つに記載のアラビアガム。
22.該アラビアガムが、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法によって得られるか、又は入手可能である、実施形態13~21のいずれか1つに記載のアラビアガム。
23.実施形態1~22のいずれか1つに記載のアラビアガムを含む、乳化剤組成物。
24.実施形態1~23のいずれか1つに記載のアラビアガム及び/又は実施形態23に記載の乳化剤組成物を含む、エマルション。
25.連続水相及び分散油相を含む、実施形態24に記載のエマルション。
26.≦1:1.2、≦1:1.5、≦1:2.0、≧0.2:1、又は≧0.4:1のアラビアガム対油の重量比を有する、実施形態24又は25に記載のエマルション。
27.≧15重量%、≧20重量%、又は≦30重量%の油含有量を有する、実施形態24~26のいずれか1つに記載のエマルション。
28.該油相が、(i)密度≦0.90g/mlを有する、例えば、密度0.70~0.90g/ml、例えば、0.80~0.90g/mlを有する油、及び任意選択で(ii)植物油を含む、実施形態24~27のいずれか1つに記載のエマルション。
29.該油相が、(i)香油、及び任意選択で(ii)植物油を含む、実施形態24~27のいずれか1つに記載のエマルション。
30.該油相が、植物油を含む、実施形態24~29のいずれか1つに記載のエマルション。
31.密度≦0.90g/mlを有する該油及び/又は該香油が、精油、テルペン含有油、抽出物、又は含油樹脂である、実施形態24~30のいずれか1つに記載のエマルション。
32.密度≦0.90g/mlを有する該油及び/又は該香油が、ミント油又はかんきつ油、例えば、オレンジ油、レモン油、ライム油、又はグレープフルーツ油である、実施形態24~31のいずれか1つに記載のエマルション。
33.該植物油が、中鎖トリグリセリド(MCT)油、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、菜種油、サバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、及びキャノーラ油からなる群から選択される、実施形態28~32のいずれか1つに記載のエマルション。
34.(i)密度≦0.90g/mlを有する油又は香油対(ii)植物油の重量比が、1:0.1~1:9、例えば、1:3~3:1である、実施形態28~33のいずれか1つに記載のエマルション。
35.エマルションが、増量剤を含まない、実施形態24~34のいずれか1つに記載のエマルション。
36.乳化剤又はテクスチャ改良剤としての、実施形態12~22のいずれか1つに記載のアラビアガムの使用。
37.実施形態24~27又は30~35のいずれか1つに記載のエマルションを調製するための方法であって、高圧均質化を使用して油相を水相中に分散させることを含む、方法。
38.実施形態12~22又は30~35のいずれか1つに記載のアラビアガムを含む、食品。
39.実施形態24~27又は30~35のいずれか1つに記載のエマルションを含む、食品。
40.該食品が、飲料である、実施形態38又は39に記載の食品。
測定方法
【0087】
本明細書で使用される場合、重量平均分子量(Mw)、RMS回転半径(Rg)、AGP含有量、及び多分散度(P)は、複数角度レーザー光散乱を伴うゲル浸透クロマトグラフィー(GPC-MALLS)を使用することによって決定された。Mw及びPは、屈折率(RI)クロマトグラム上のすべてのピークが1つのピークとして処理されたときに決定された。Rg及びAGP含有量は、RIクロマトグラムのデータが2つのピークとして処理されたときに決定され、Rg及びAGP含有量は、第1のピークから決定された。当業者は、これがどのように実行されるべきかを十分に認識している。完全性のために、以下の説明が提供される。
GPC-MALLS-Mw、AGP含有量、Rg、及び(P)
【0088】
Mw、AGP含有量、Rg、及び(P)は、多角レーザー光散乱検出器(MALLS)、RI検出器、及び紫外線(UV)検出器がオンラインに結合されたマルチ検出器システムを含むGPC-MALLSを使用することによって決定され、得られたデータは、後にASTRAバージョン6.1(Wyatt Technology Corporation)ソフトウェアを介して処理された。MALLS検出器を使用して分子量を測定し、RI検出器を使用して各成分の濃度(組成比)を測定し、UV検出器を使用してタンパク質含有量を測定した。したがって、分子量及び組成は、標準(すなわち、既知の分子量のアラビアガム)を参照せずに得た。
GPC-MALLSを使用した測定条件
【0089】
GPC-MALLSの場合、以下の測定条件が適用される。
-カラム:Superose 6 Increase 10/300GL(GE Life Sciences)
-流量:0.4mL/分
-溶離液:0.1MのNaNO3
-試料の調製:分析される試料を溶離液(0.1MのNaNO3)で希釈し、測定した
-試料濃度:0.4%(w/w)
-試料溶液の注入量:100μL
-dn/dc:0.141
-温度:25℃
-検出器:
-MALLS検出器:Dawn Heleos II-18個の角度(Wyatt Technology Corp)
-RI検出器:Optilab T-rEX(Wyatt Technology Corp)
-UV検出器-Flexar UV/VIS(Perkin Elmer)
重量平均分子量
【0090】
RIクロマトグラム上のすべてのピークを1つのピークとして(Astra 6.1ソフトウェアを介して)処理した場合、Mwは、重量に基づいて計算されたMwとして定義される。クロマトグラム上の単一ピークは、「出発点」から「終点」までの面積を指し、「開始点」は、RI信号がベースラインから上昇し始めるRIクロマトグラム上の点として定義され、「終点」は、RI信号がクロマトグラムのベースラインに戻る(と交差する)RIクロマトグラム上の点として定義される。
AGP含有量
【0091】
上記条件によって得られたRIクロマトグラムに基づいて、最初に溶出する高分子量画分(ピーク1)と、後に溶出する低分子量画分(ピーク2)との2つの可視画分が存在する。ピーク1の質量分率(%)は、GPC-MALLSに供されたアラビアガムのAGP含有量(重量%)と同等であり、これは、データがAstra 6.1ソフトウェアを介して処理された後に決定された。前述の「開始点」と「終点」との間で、RI信号が最小値を示した点が「境界」として定義された。「出発点」と「境界」との間の面積は、RIピーク画分1(ピーク1)として定義され、「境界」と「終点」との間の面積は、RIピーク画分2(ピーク2)として定義された。ピーク1は、アラビノガラクタン-タンパク質(AGP)複合体に対応したため、ピーク1の質量分率(%)は、AGP含有量と同等である。
RMS回転半径
【0092】
Rgは、サイズ測定であり、質量中心の周りの質量分布によって重み付けされた分子サイズの尺度である。この場合、回転半径は、ASTRA 6.1ソフトウェアによって決定されたz平均平方根半径を指す。z平均平方根半径は、MALLS検出器によって直接測定されたパラメータである。Rgは、RIデータを2つのピークとして処理するときに測定される。
多分散度
【0093】
(P)は、Mw対数平均分子量(Mn)の比として定義され、前述の方法によって得られたRIクロマトグラムが、ASTRAバージョン6.1によって1つのピークとして処理されたときに計算され、P=Mw/Mnとして計算される。当業者に周知であるように、(P)は、所与のピークがそのモル質量に対して均質である場合を示す。均質な試料は、定義された分子量を有する1つの種類の分子のみを含有するものであり、したがって平均質量は、平均化方法とは無関係であり、(P)は、1に等しい。試料が様々な分子量の種の混合物を含有する場合、(P)は、1とは異なる。
データ処理
【0094】
当業者は、データ処理がどのように実行されるべきかを十分に認識している。完全性のために、以下を提供する。
【0095】
ベースライン選択:ベースラインは、測定のための基点として使用される線として定義される。分析に使用したすべての検出器(18光散乱信号、1RI信号、及び1UV信号)についてベースラインが設定された。ベースラインは、最も平坦な「ゼロ点」を選択することによって選択され、一方は、「開始点」の前にあり、他方は、「終点」の後にある。これは、「信号なし」の線を表すRI信号の下の線を作成するべきであり、これは、RI信号の増加と比較される。
【0096】
3つのピークがピーク測定中に選択された。
図2を参照されたい。ピーク1は、「出発点」から「境界」までのピークであり、AGP画分を表す。ピーク2は、「境界」から「終点」までであり、ピーク3は、「開始点」から「終点」までである。AGP含有量及びR
gは、ピーク1から決定し、分子量及び(P)は、ピーク3から決定した。
【0097】
「LS分析」では、100~200nmの範囲の分子(本発明に記載の試料など)に最も好適であるため、Berryプロット形式を使用して、LSデータを適合させた。Berryモデルが線形であることがわかったため、一次適合度を使用した。
【0098】
有効検出器:角度依存性(sin2(θ/2)対√(K*c/R(θ))グラフが、LS信号のピークについて生成された。角度依存性データ(sin2(θ/2)対√(K*c/R(θ))を適合させるとき、最低及び最高角度検出器(2~4及び16~18)は、(R2として測定された)データの適合を改善するために選択解除された。光散乱がすべての方向で等しくなかったため、最も広い角度での検出器は、信号が不十分になる傾向があり、したがって、信号:雑音比が低かった。これらの検出器を有効にすると、分子量の全体的な計算に対してあまり正確ではない結果の一因となり、Mwの計算に重大な誤差がもたらされる。したがって、貢献度が低い広角検出器(一次Berry適合モデルを使用してR2を減少させる)は、選択解除された。角度依存性適合上のR2は、例えば>0.95、及び例えば>0.99であった。
【0099】
結果適合:ASTRA 6.1の「結果適合」タブでは、モル質量データとrmsデータの両方を適合させたときに、3つすべてのピークについて適合R2を最大化したモデル及び順序が選択された。モデル及び順序の選択は、計算されたモル質量及びRMS半径に大きな影響を及ぼすため、最良の適合が好ましい。本発明の試料について、より高い順序指数適合が一般に使用された。適合についてのR2は、>0.97であることが好ましく、より好ましくは>0.99であった。
乾燥減量(LOD)
【0100】
LOD(重量%)は、試料がもう重量を失わなくなるまで105℃で加熱することによってアラビアガムを乾燥させたときの重量による水分損失量を指す。LODは、Mettler Toledo HB43-Sシリーズのハロゲン水分分析装置を使用することによって決定された。分析装置は、加熱ユニットと、バランスユニットとの2つの構成要素を有した。材料の初期重量を記録し、試料は、積分バランスが試料重量を連続的に測定すると同時に、ハロゲンランプにより105℃で加熱された。試料がそれ以上重量を失わなくなったとき、機器が遮断され、最終重量が記録された。その後、LODが総重量損失から計算された。造粒キブルとして熱処理された試料については、LODは、熱処理直後に測定され、次いで生成物が噴霧乾燥されると再び測定された。
粘度(10%)
【0101】
粘度(10%)は、25℃の温度で測定される、水中のアラビアガムの10重量%溶液の粘度を指す。
【0102】
30gのアラビアガム試料が270gの脱イオン水に25℃で溶解され(10%濃度)、600mLのステンレス鋼ビーカー中で、600rpmで2時間、オーバーヘッドで混合された(製造業者:Heidolph、モデル:RZR 50)。100mLの試料を120mLのガラス瓶(直径2インチ、4オンス)に移動させ、25℃の水浴中で30分間静置させた。その後、試料の粘度が測定された(Brookfield LV、Spindle 61、60rpm、25℃)。
粘度(20%)
【0103】
粘度(20%)は、25℃の温度で測定された、水中のアラビアガムの20重量%溶液の粘度を指す。
【0104】
80gのアラビアガム試料が320gの脱イオン水に25℃で溶解され(20重量濃度)、600mLのステンレス鋼ビーカー内で、600rpmで2時間、オーバーヘッドで混合された(製造業者Heidolph、モデル:RZR 50)。その後、試料の粘度が測定された(Brookfield RV、Spindle 1、20rpm、25℃)。
濁度
【0105】
粘度溶液(脱イオン水中の20%のアラビアガム)は、Hach 2100N濁度計を使用して濁度について室温(20℃)で測定された。
乳化能力中央値
【0106】
生成された各エマルションの平均粒径(中央直径)(ミクロン)が、粒度分析器(製造業者:Malvern、モデル:Mastersizer 2000)及び(製造業者Beckman Coulter、モデル:LS 13 320)を使用して測定された。平均粒径は、中央粒度(d(0.50))を指す。
粒度の測定
【0107】
平均粒度は、「ふるい法(JIS Z 8815(1994))」に従って測定された幾何学的直径を示す(乾式法)。JIS Z 8801(1994)に準拠した次の8つの試験用ふるいを使用した。5メッシュ(4.00mm)、7メッシュ(2.83mm)、10メッシュ(2.00mm)、12メッシュ(1.68mm)、14メッシュ(1.41mm)、18メッシュ(1.00mm)、35メッシュ(0.50mm)、及び60メッシュ(0.25mm)。最大メッシュサイズ(5メッシュ、4.00mm)を上部及び最小メッシュサイズ(60メッシュ、0.25mm)を下部にして、8つの試験用ふるいは、上下に降順で積み重ねられた。20.0gのアラビアガムを上部のふるいの上に置き、以下に列挙される条件に従って撹拌された。撹拌後、各ふるい上に残っている試料の重量を測定し、縦座標が累積重量(%)を表し、横座標がふるいのメッシュサイズ(mm)の対数を表す半対数グラフでプロットされた。ふるいのメッシュサイズによる試料の累積重量についての対数近似線及び関連近似式が得られた。平均粒径は、累積重量(%)が総量(20g)の50重量%に達する平均メッシュサイズ(mm)を決定するために、近似式を使用して得られた。
【0108】
撹拌条件:
-ふるい:Rotap RX-29(W.S.Tyler)、
-撹拌期間:15分、
-1分当たりの振動:278±10、
-1分当たりのタップ:150±10
【実施例】
【0109】
本明細書に記載のすべての実施例及び比較実験は、Acacia Senega由来のアラビアガムの使用を伴った。
参照実験A及びB
実施例1
【0110】
粗アラビアガムキブルを、Central Trading Company(Sudan)から造粒キブル(平均粒度=2.1mm)として調達した。
【0111】
参照実験Aは、2kgの粗キブルを水中に溶解することと(25重量%のアラビアガムの濃度を得る)、25ミクロンのフィルタバッグを通して濾過することと、216℃の入口/104℃の出口で噴霧乾燥させることと、を伴った。
【0112】
参照実験Bは、9.1kgの粗キブルを3000Wの真空マイクロ波反応器(Marion Process Solutions、Marion,IA)内で、132℃及び減圧(100トール/0.133バール)で40分間熱処理することを伴った。
【0113】
実施例1は、参照実験Bで得られた熱処理されたアラビアガムを水中に溶解することと(25重量%のアラビアガムの濃度を得る)、25ミクロンのフィルタバッグを通して濾過することと、216℃の入口温度/104℃の出口温度で噴霧乾燥させることと、を伴った。
【0114】
AGP含有量、Mw、Rg、及びPを、参照実験A、参照実験B、及び実施例1の各々について決定し、その結果を表1に示す。
【表1】
【0115】
熱処理された生成物の噴霧乾燥は、AGPの%、Mw、及び/又はRgの著しい増加をもたらすことが観察される。
【0116】
実施例1で得られた生成物の粘度(10%)及び粘度(20%)を各々分析し、19.9cP(粘度10%)及び187cP(粘度20%)であることがわかった。
参照実験C
実施例2
【0117】
参照実験Cは、2.9kgの粗キブル(参照実験A及びB並びに実施例1で使用されたものと同じ)を3000Wの真空マイクロ波反応器内で、154℃にて減圧(100トール/0.133バール)で15分間加熱することを伴った。
【0118】
実施例2は、参照実験Cで得られた熱処理されたアラビアガムを水中に溶解することと(25重量%のアラビアガムの濃度を得る)、25ミクロンのフィルタバッグを通して濾過することと、216℃の入口温度/104℃の出口温度で噴霧乾燥することと、を含んだ。
【0119】
AGP含有量、M
w、R
g、及び(P)を決定し、その結果を表2に示す。
【表2】
【0120】
熱処理された生成物の噴霧乾燥は、AGPの%、Mw、及び/又はRgの著しい増加をもたらすことが観察される。
【0121】
実施例2で得られた生成物の粘度(10%)及び粘度(20%)を各々分析し、19.7cP(粘度10%)及び179cP(粘度20%)であることがわかった。
参照実験D
実施例3
【0122】
参照実験Dは、5.9kgの粗キブルを22リットルの油ジャケット付き真空反応器(B&P Littleford、Saginaw,MI)内で、138℃にて2時間熱処理することを伴った。
【0123】
実施例3は、参照実験Dで得られた熱処理されたアラビアガムを水中に溶解することと(25重量%のアラビアガムの濃度を得る)、25ミクロンのフィルタバッグを通して濾過することと、216℃の入口温度/104℃の出口温度で噴霧乾燥することと、を伴った。
【0124】
AGP含有量、重量平均分子量(M
w)、及びRMS回転半径(R
g)を決定した。結果を表3に示す。
【表3】
【0125】
熱処理された生成物を噴霧乾燥することは、AGPの%、Mw、及び/又はRgの著しい増加をもたらすことが観察される。
【0126】
実施例3で得られた生成物の粘度(10%)及び粘度(20%)を各々分析し、21.2cP(粘度10%)及び201cP(粘度20%)であることがわかった。
参照実験E
実施例4
【0127】
参照実験Eは、5.9kgの粗キブル22リットルの油ジャケット付き真空反応器(Littleford)内で、143℃にて2時間熱処理することを伴った。
【0128】
実施例4は、参照実験Eで得られた熱処理されたアラビアガムを水中に溶解することと(25重量%のアラビアガムの濃度を得る)、25ミクロンのフィルタバッグを通して濾過することと、216℃の入口温度/104℃の出口温度で噴霧乾燥させることと、を伴った。
【0129】
AGP含有量、M
w、及びR
gを決定し、結果を表4に示す。
【表4】
【0130】
熱処理された生成物の噴霧乾燥は、AGPの%、Mw、及び/又はRgの著しい増加をもたらすことが観察される。
参照実験F
【0131】
粗アラビアガム(粗キブル)を減圧(635トール)で加熱した一連の実験を実行した。温度及び加熱時間を変化させた。結果を表5に示し、
図3にプロットする。
【表5】
【0132】
粘度は、AGP%及びMwの増加とともに体系的に増加することが見られる。
参照実験F対実施例1~3
粘度を比較する
【0133】
実施例1~3で得られた生成物(加熱、続いて噴霧乾燥によって得られた)のM
wの値及び粘度の値を表6に示す。
【表6】
【0134】
表5及び6におけるデータの比較は、実施例1~3で得られた生成物(本発明による)が、380・104Daを優に上回るMwに対して約200cP以下の粘度(20%)を有する一方で、参照実験F(加熱、それに続く噴霧乾燥なし)で得られた生成物が、Mwの著しく低い値、例えば、約300 104Daに対して、粘度(20%)の著しく高い値、例えば約250cPを有することを示している。したがって、実施例1~3で得られた生成物は、高分子量と低粘度を組み合わす。
比較実験I~III
【0135】
噴霧乾燥した粗アラビアガムを、強制空気安全オーブン(製造業者:VWR、モデル:1350FMS)内で、異なる温度にて異なる時間にわたって大気圧条件下で加熱した。オーブンが雰囲気に開放されると、湿気は、凝固及び感覚変化を回避することができ、0%の乾燥損失をもたらす可能性がある。これらの熱処理によって得られるAGPの%、Mw、及びRgの値を表7に示す。
【0136】
AGPの%、M
w、及び/又はR
gが噴霧乾燥粗粉末の熱処理の結果として増加することがわかったが、この値は、熱処理後の噴霧乾燥によって得られた試料について見られるものほど高くないことが見られた。
【表7】
実施例5
エマルション及び飲料の調製及び分析
【0137】
エマルション(10重量%のアカシアガム、20重量%の油相)を表8に記載の配合物を使用して調製した。
【表8】
【0138】
アラビアガムとして、参照実験A及びB、比較実験I及びIIで得られたアラビアガム、並びに実施例2、3、及び4で得られたアラビアガムをそれぞれ使用した。
【0139】
エマルションを以下のように調製した。1.5gの安息香酸ナトリウムを、オーバーヘッド混合を介して695.5gの室温の脱イオン水中に5分間溶解した。3.0gのクエン酸を溶液に添加し、5分間混合した。100.0gのアカシアガムを溶液に添加し、2時間混合した。別個のビーカー内で同時に、96.0gの1倍オレンジ油を、オーバーヘッド混合を介して24.0gの5倍オレンジ油と室温で5分間混合した。80.0gのエステルガムを油溶液に添加し、2時間混合した。プレエマルションは、200.0gの油相を高剪断混合条件下で、5500rpmで2分間水相に添加することによって作製した(製造業者:Ross、モデル:HSM-LCI-T)。プレエマルションを、高圧均質化(製造業者:APV)を介して2つのパスに対して5000psi(第1段階=4500psi/第2段階=500psi)で更に処理した。エマルションの粒度を、直ちにレーザー回折粒度分析装置(製造業者:Beckman Coulter)を使用して試験し、そこで、中央粒度(d.(0.50))、粒子の%>0.6μm、及び粒子の%>1μmを記録した。続いて、エマルションを、6ヶ月の貯蔵寿命をシミュレートするために57℃で24時間インキュベーター内に保管し、その後、エマルションを、中央粒度、粒子の%>0.6μm、及び粒子の%>1μmについて再度試験した。
【0140】
表9に記載の配合物を使用して、エマルションから飲料を調製した。
【表9】
【0141】
飲料を以下のように調製した。110.00gの糖を、885.77gの脱イオン水に室温で5分間オーバーヘッド混合した。3.00gのクエン酸、0.04gの黄色#5、及び0.04gの黄色#6を溶液に添加し、5分間混合した。0.15gの所望のエマルションを溶液に添加し、軽く混合した。2つの10オンス(約300mL)ボトルを溶液で満たし、蓋をした。21日間操作することなく室温で、一方のボトルを垂直に保管し、他方を水平に保管した。21日後、飲料は、飲料の上部の白色環(香味エマルションのクリーム形成)の存在について、操作することなく視覚的に検査した。結果を表10に示す。
【表10】
【0142】
新鮮なエマルション及び熟成したエマルションの両方に関する小さい中央粒度及び粒子の%>0.6μm及び粒子%>1μmの低い値、並びに飲料環の非存在は、本発明による修飾アラビアガムが、多量の油(20重量%)の場合でも、かつ乳化剤の含有量(10重量%)が油相と比較して非常に低くても、安定したエマルションが得られることを可能にすることを示す。
実施例6
水溶液中のアラビアガムの濁度の分析
【0143】
水中のアラビアガムの20重量%溶液の濁度を、様々な形態のアラビアガムについて分析した。結果を表11に示す。
【表11】
【0144】
本発明によるアラビアガムを含有する溶液の濁度は、熱処理された噴霧乾燥粉末の濁度よりも著しく低いことが観察された。これは、アラビアガムが、例えば、フレーバー水などの糖分の少ない飲料中のテクスチャ加工剤として使用される場合に特に有用である。本発明によるアラビアガムは、フレーバー水に関連する低濁度を維持しながら、糖のテクスチャを置き換えるために、食品(すなわち、糖分の少ないフレーバー水)に添加され得る。未修飾アラビアガム又は噴霧乾燥粉末を熱処理することにより生成されたアラビアガムは、視覚的に望ましくない、食品の濁度の増加をもたらすであろう。
実施例7
アラビアガムの調製
【0145】
9.1kgの粗アラビアガムキブルを、マイクロ波ミキサー内で、132℃にて40分間、真空下で熱処理した。熱処理されたアラビアガムを水中に溶解し(25重量%のアラビアガムの濃度を得る)、25ミクロンのフィルタバッグを通して濾過し、噴霧乾燥させた。得られた生成物は、25.02%のAGP及び565.0x104DaのMwを有した。
実施例8
重み付けされていない香味エマルションの調製
【0146】
エマルション(6重量%のアカシアガム、12重量%の油相)を表12に記載の配合物を使用して調製した。
【表12】
【0147】
エマルションを以下のように調製した。1.5gの安息香酸ナトリウムを、オーバーヘッド混合を介して815.5gの室温の脱イオン水中に5分間溶解した。3.0gのクエン酸を溶液に添加し、5分間混合した。実施例7に従って調製した60.0gのアカシアガムを溶液に添加し、2時間混合した。別個のビーカー内で同時に、60.0gのレモン油(Givaudan、Taste Essentials Nat Lemon CV-167-510-1)を、オーバーヘッド混合を介して室温で2時間、60.0gのMCT油と混合した。プレエマルションは、120.0gの油相を高剪断混合条件下で、5500rpmで2分間水相に添加することによって作製した(製造業者:Ross、モデル:HSM-LCI-T)。プレエマルションを、高圧均質化(製造業者:APV)を介して3つのパスに対して5000psi(第1段階=4500psi/第2段階=500psi)で処理した。エマルションの粒度を、直ちにレーザー回折粒度分析装置(製造業者:Beckman Coulter)を使用して試験し、そこで、d[4,3]の平均粒度、中央粒度(d.(0.50))、粒子の%>0.60μm、及び粒子の%>1μmを記録した。続いて、エマルションを、貯蔵寿命を加速させるために57℃で24時間、別に40℃で4週間インキュベーター内に保管し、その後、エマルションを、d[4,3]の平均粒度、中央粒度(d.(0.50))、粒子の%>0.60μm、及び粒子の%>1μmについて再度試験した。結果を表13に示す。
【表13】
*Alland&Robertからの乳化ガム500i(市販)
**NexiraからのEficacia XE(市販)
【0148】
新鮮なエマルション及び熟成したエマルションの両方に関する小さい平均及び中央粒度、並びに粒子の%>0.6μm及び粒子%>1μmの低い値、並びに飲料環(表15)の非存在は、実施例7のアラビアガムから作製されたエマルションが、乳化剤の含有量(6重量%)が油相と比較して非常に低い場合でも、安定したエマルションが得られることを可能にすることを示す。大きなエマルション粒度及び飲料中の環形成の存在により、比較実験IV及びVで使用される市販のアラビアガムから作製されたエマルションは、安定しているとは見なされない。実施例7で得られたアラビアガムから作製されたエマルションは、加速された貯蔵寿命にわたって最小の粒度成長を示し、これは、比較実験には当てはまらない。
実施例9
重み付けされていないエマルションから調製された飲料
【0149】
表14に記載の配合物を使用して、実施例7、並びに比較実験IV及びVで得られたエマルションから飲料を調製した。
【表14】
【0150】
飲料を以下のように調製した。110.00gの糖を、884.22gの脱イオン水に室温で5分間オーバーヘッド混合した。3.00gのクエン酸、1.00gの安息香酸ナトリウム、0.04gの黄色#5、及び0.04gの黄色#6を溶液に添加し、5分間混合した。1.50gの所望のエマルションを溶液に添加し、軽く混合して、飲料中のフレーバー濃度を90ppmにした。2つの10オンス(約300mL)ボトルを溶液で満たし、蓋をした。15日間操作することなく室温で、一方のボトルを垂直に保管し、他方を水平に保管した。15日後、飲料は、飲料の上部の白色環(香味エマルションのクリーム形成)の存在について操作することなく視覚的に検査した。結果を表5に示す。
【表15】
実施例10
【0151】
高油負荷の重み付けされていない香味エマルションエマルション(10重量%のアカシアガム、20重量%の油相)を表16に記載の配合物を使用して調製した。
【表16】
【0152】
実施例3に記載される手順に従って、エマルションを調製及び分析し、違いは、使用されるアラビアガム、油相、及び水の量である。結果を表17に示す。
【表17】
【0153】
新鮮なエマルション及び熟成したエマルションの両方に関する小さい平均及び中央粒度、並びに粒子の%>0.6μm及び粒子%>1μmの低い値、並びに明確な飲料環(表19)の非存在は、実施例7によるアラビアガムから作製されたエマルションが、乳化剤の含有量(10重量%)が油相と比較して非常に低い場合でも、安定したエマルションが得られることを可能にすることを示す。飲料中に微量の環形成があったが、許容可能と見なされた。大きなエマルション粒度及び飲料中の環形成の存在により、比較実験から作製されたエマルションは、安定しているとは見なされない。実施例7で得られたアラビアガムから作製されたエマルションは、加速された貯蔵寿命にわたって最小の粒度成長を示し、これは、比較実験には当てはまらない。
実施例11
高油負荷の増量剤を含まないエマルションから調製された飲料
【0154】
表18に記載の配合物を使用して、実施例10で得られたエマルションから飲料を調製した。
【表18】
【0155】
実施例9に記載される手順に従って、飲料を調製及び分析し、違いは、使用される香味エマルション及び水の量である。結果を表19に示す。
【表19】
【手続補正書】
【提出日】2022-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾アラビアガムを生成するための方法であって、
アラビアガムを提供することと、
前記アラビアガムを加熱し、熱処理されたアラビアガムをもたらすことと、
前記熱処理されたアラビアガムを溶液中に溶解することと、
任意選択で、前記溶解したアラビアガムを含有する前記溶液を濾過することと、
前記溶解したアラビアガムを含有する前記溶液を噴霧乾燥に供することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記加熱が、0.9・10
6Da、≧1.0・10
6Da、≧1.5・10
6Da、≧2.0・10
6Da、≦4.0・10
6Da、≦3.5・10
6Da、又は≦3.0・10
6Daの重量平均分子量(M
w)を有する熱処理されたアラビアガムをもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱が、≧100℃、≧105℃、≧110℃、≦180℃、≦160℃、又は≦145℃の温度である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱が、少なくとも10分、少なくとも30分、少なくとも1時間、48時間未満、又は5時間未満の期間である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記加熱が、≦5%、≦3%、又は≦1%の乾燥減量を有するアラビアガムを加熱することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記アラビアガムが、Acacia Senegal由来のアラビアガムである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(i)≧3.8・10
6Daの重量平均分子量(M
w)及び/又は(ii)≧140nmのRMS回転半径(R
g)を有する、Acacia Senegal由来のアラビアガム。
【請求項8】
熱処理されたアラビアガムの噴霧乾燥によって、及び/又は≧0.9・10
6DaのM
wを有するアラビアガムの噴霧乾燥によって入手可能である、請求項7に記載のアラビアガム。
【請求項9】
≧6.0、≧7.0、≧8.0、≦15、又は≦12の多分散性(P)を有する、請求項7又は8に記載のアラビアガム。
【請求項10】
≧18重量%、≧20重量%、≧22重量%、≦30重量%、又は≦28重量%のアラビノガラクタンタンパク質(AGP)含有量を有する、請求項7~9のいずれか一項に記載のアラビアガム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のアラビアガム、連続水相、及び分散油相を含む、エマルション。
【請求項12】
≦1:1.2、≦1:1.5、≦1:2.0、≧0.2:1、又は≧0.4:1のアラビアガム対油の重量比を有する、請求項11に記載のエマルション。
【請求項13】
≧15重量%、≧20重量%、又は≦30重量%の油含有量を有する、請求項11又は12に記載のエマルション。
【請求項14】
前記油相が、グループ(i)密度≦0.90g/mlを有する油又は香油である油、及びグループ(ii)植物油である油を含み、グループ(i)の油対グループ(ii)の重量比が、1:0.1~1:9、例えば、1:3~3:1である、請求項11~13のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項15】
エマルションが、増量剤を含まない、請求項11~14のいずれか一項に記載のエマルション。
【国際調査報告】