(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】低電圧セル検出方法およびその方法を提供するバッテリー管理システム
(51)【国際特許分類】
B60L 58/12 20190101AFI20221020BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20221020BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221020BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221020BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20221020BHJP
【FI】
B60L58/12
H02J7/02 H
H02J7/00 P
H01M10/48 P
B60L3/00 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508489
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(85)【翻訳文提出日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 KR2021005022
(87)【国際公開番号】W WO2021215824
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0048646
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウイソン
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503DA07
5G503EA05
5G503FA06
5G503HA01
5H030AA06
5H030AS06
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF23
5H030FF24
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC08
5H125BC16
5H125DD05
5H125EE22
5H125EE23
5H125EE27
5H125EE47
5H125EE48
5H125EE51
(57)【要約】
本発明は、低電圧セル検出方法およびこれを提供するバッテリー管理システムに関し、本発明のバッテリー管理システムは、低電圧セルを検出してバッテリーを管理するシステムにおいて、複数のバッテリーセルのそれぞれの両端に連結されて前記複数のバッテリーセルのそれぞれのセル電圧およびバッテリー電流を測定するセルモニタリングIC、そして前記測定された複数のバッテリーセルのそれぞれのセル電圧および前記バッテリー電流のうちの少なくとも一つに基づいて前記複数のバッテリーセルのそれぞれのSOCを計算するメイン制御回路を含み、前記メイン制御回路は、自動車の運行が終了する前に計算された前記複数のバッテリーセルのそれぞれの第1SOCと前記自動車の運行が再開された時点に同期して計算された前記複数のバッテリーセルのそれぞれの第2SOC間の差値を所定の放電臨界値と比較し、前記比較結果により前記複数のバッテリーセルのそれぞれに対して低電圧であるか否かを判断して前記低電圧セルを検出し、前記放電臨界値は、前記自動車の運行が中断された期間の間の正常セルのSOC変化量に基づく。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーにおける低電圧セルを検出するシステムにおいて、
複数のバッテリーセルに連結されて前記複数のバッテリーセルのそれぞれのセル電圧およびバッテリー電流を測定するセルモニタリングIC、そして
前記測定された複数のバッテリーセルのそれぞれのセル電圧および前記バッテリー電流のうちの少なくとも一つに基づいて前記複数のバッテリーセルのそれぞれのSOCを計算する制御回路を含み、
前記制御回路は、自動車の運行が終了する前に計算された前記複数のバッテリーセルのそれぞれの第1SOCと前記自動車の運行が再開された時点に同期して計算された前記複数のバッテリーセルのそれぞれの第2SOC間の差値を所定の放電臨界値と比較し、前記比較結果により前記複数のバッテリーセルのそれぞれに対して低電圧であるか否かを判断して前記低電圧セルを検出し、
前記放電臨界値は、前記自動車の運行が中断された期間の間の正常セルのSOC変化量に基づく、システム。
【請求項2】
前記放電臨界値は、
前記自動車の運行が中断された期間である停車期間、前記停車期間の間の前記バッテリーセル自体の放電による第1SOC減少率、および前記システムのエネルギー消費による第2SOC減少率に基づいて算出される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記放電臨界値は、
前記第1SOC減少率と前記第2SOC減少率の合算値に前記停車期間と誤差補正値を掛けて算出される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記停車期間と臨界期間を比較して前記停車期間が前記臨界期間以上である時、前記複数のバッテリーセルのそれぞれに対して前記低電圧であるか否かを判断して前記低電圧セルを検出する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1SOCは、自動車の運行が終了する前に最後に計算されたSOCであり、
前記第2SOCは、前記自動車の運行が再開された後に最初に計算されたSOCであり、
前記臨界期間は、前記第1SOCと前記第2SOC間の差値を算出できる最小限の期間である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記第1SOCと前記第2SOC間の差値が前記放電臨界値以上であれば前記低電圧と判断して対応するバッテリーセルを前記低電圧セルと検出する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
複数のバッテリーセルおよび前記複数のバッテリーセルを管理するバッテリー管理システムを含むバッテリーシステムの低電圧セルを検出する方法において、
自動車の運行が終了する前に計算された前記複数のバッテリーセルのそれぞれの第1SOCを抽出する段階、
前記自動車の運行が再開された時点に同期して計算された前記複数のバッテリーセルのそれぞれの第2SOCを抽出する段階、
前記複数のバッテリーセルのそれぞれの前記第1SOCと前記第2SOC間の差値を所定の放電臨界値と比較する段階、そして
前記比較結果により前記複数のバッテリーセルのそれぞれに対して低電圧であるか否かを判断して前記低電圧セルを検出する段階を含み、
前記放電臨界値は、前記自動車の運行が中断された期間の間の正常セルのSOC変化量に基づく、低電圧セル検出方法。
【請求項8】
前記放電臨界値は、
前記自動車の運行が中断された期間である停車期間、前記停車期間の間の前記バッテリーセル自体の放電による第1SOC減少率、および前記バッテリー管理システムのエネルギー消費による第2SOC減少率に基づいて算出される、請求項7に記載の低電圧セル検出方法。
【請求項9】
前記放電臨界値は、
前記第1SOC減少率と前記第2SOC減少率の合算値に前記停車期間と誤差補正値を掛けて算出される、請求項8に記載の低電圧セル検出方法。
【請求項10】
前記所定の放電臨界値と比較する段階の前に、
前記停車期間と臨界期間を比較する段階をさらに含み、
前記比較結果、前記停車期間が前記臨界期間以上であれば前記所定の放電臨界値と比較する段階を検討する、請求項9に記載の低電圧セル検出方法。
【請求項11】
前記第1SOCは、前記自動車の運行が終了する前に最後に計算されたSOCであり、
前記第2SOCは、前記自動車の運行が再開された後に最初に計算されたSOCであり、
前記臨界期間は、前記第1SOCと前記第2SOC間の差値を算出できる最小限の期間である、請求項10に記載の低電圧セル検出方法。
【請求項12】
前記低電圧セルを検出する段階は、
前記第1SOCと前記第2SOC間の差値が前記放電臨界値以上であれば前記低電圧と判断して対応するバッテリーセルを前記低電圧セルと検出する、請求項11に記載の低電圧セル検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2020年4月22日付韓国特許出願第10-2020-0048646号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
【0002】
本発明は、複数のバッテリーセルのうち、バッテリーの安定性を阻害する低電圧セルを検出する低電圧セル検出方法およびこれを提供するバッテリー管理システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ガソリンや重油を主燃料として使用する内燃エンジンを利用する自動車は、大気汚染など公害発生に深刻な影響を与えている。したがって、最近は公害発生を減らすために、電気自動車(Electric vehicle)またはハイブリッド自動車(Hybrid vehicle)が開発されている。
【0004】
電気自動車は、バッテリー(Battery)から出力される電気エネルギーにより動作するバッテリーエンジンを利用する自動車である。このような電気自動車は、充放電が可能な複数のバッテリーセル(battery cell)がバッテリーモジュールまたはバッテリーパック(pack)で形成されたバッテリーを主動力源として利用する。そのために、電気自動車は、排気ガスを発生させず、騒音を低減することにおいて長所がある。
【0005】
ハイブリッド自動車は、内燃エンジンを利用する自動車と電気自動車の中間段階の自動車として、2種類以上の動力源、例えば内燃エンジンおよびバッテリーモータを使用する自動車である。現在は、内燃エンジンと水素と酸素を連続的に供給しながら化学反応を起こして直接電気エネルギーを得る燃料電池を利用したり、バッテリーと燃料電池を利用するなど、混合された形態のハイブリッド自動車が開発されている。
【0006】
このように電気エネルギーを利用する自動車は、動力源であるバッテリーの管理が非常に重要である。バッテリーに異常現象が発生してバッテリーが発火につながり得る状況が起こる前にバッテリーの充電/放電を制御したりバッテリーとの連結を制御しなければならない。
【0007】
一方、バッテリーを構成する複数のバッテリーセルのうち、多様な理由で電圧が特定値より低い低電圧セル(low voltage cell)があり得る。低電圧セルが含まれると、バッテリー全体の電圧は落ち、頻繁なセルバランシング(Cell Balancing)およびUV(Under Voltage)診断を誘発してバッテリー全体の安定性を威嚇するようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、複数のバッテリーセルのそれぞれの自動車の運行が中断される前と自動車の運行が再開された後の充電状態(SOC;state of charge)変化量に基づいて低電圧セルを検出する低電圧セル検出方法およびこれを提供するバッテリー管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一特徴による低電圧セル検出方法は、複数のバッテリーセルおよび前記複数のバッテリーセルを管理するバッテリー管理システムを含むバッテリーシステムの低電圧セルを検出する方法において、自動車の運行が終了する前に計算された前記複数のバッテリーセルのそれぞれの第1SOCを抽出する段階、前記自動車の運行が再開された時点に同期して計算された前記複数のバッテリーセルのそれぞれの第2SOCを抽出する段階、前記複数のバッテリーセルのそれぞれの前記第1SOCと前記第2SOC間の差値を所定の放電臨界値と比較する段階、そして前記比較結果により前記複数のバッテリーセルのそれぞれに対して低電圧であるか否かを判断して前記低電圧セルを検出する段階を含み、前記放電臨界値は、前記自動車の運行が中断された期間の間の正常セルのSOC変化量に基づく。
【0010】
前記放電臨界値は、前記自動車の運行が中断された期間である停車期間、前記停車期間の間の前記バッテリーセル自体の放電による第1SOC減少率、および前記バッテリー管理システムのエネルギー消費による第2SOC減少率に基づいて算出され得る。
【0011】
前記放電臨界値は、前記第1SOC減少率と前記第2SOC減少率の合算値に前記停車期間と誤差補正値を掛けて算出され得る。
【0012】
前記所定の放電臨界値と比較する段階の前に、前記停車期間と臨界期間を比較する段階をさらに含み、前記比較結果、前記停車期間が前記臨界期間以上であれば前記所定の放電臨界値と比較する段階を検討することができる。
【0013】
前記第1SOCは、前記自動車の運行が終了する前に最後に計算されたSOCであり、前記第2SOCは、前記自動車の運行が再開された後に最初に計算されたSOCであり、前記臨界期間は、前記第1SOCと前記第2SOC間の差値を算出できる最小限の期間であり得る。
【0014】
前記低電圧セルを検出する段階は、前記第1SOCと前記第2SOC間の差値が前記放電臨界値以上であれば前記低電圧と判断して対応するバッテリーセルを前記低電圧セルと検出することができる。
【0015】
本発明の他の特徴によるバッテリー管理システムは、低電圧セルを検出してバッテリーを管理するシステムにおいて、複数のバッテリーセルのそれぞれの両端に連結されて前記複数のバッテリーセルのそれぞれのセル電圧およびバッテリー電流を測定するセルモニタリングIC、そして前記測定された複数のバッテリーセルのそれぞれのセル電圧および前記バッテリー電流のうちの少なくとも一つに基づいて前記複数のバッテリーセルのそれぞれのSOCを計算するメイン制御回路を含み、前記メイン制御回路は、自動車の運行が終了する前に計算された前記複数のバッテリーセルのそれぞれの第1SOCと前記自動車の運行が再開された時点に同期して計算された前記複数のバッテリーセルのそれぞれの第2SOC間の差値を所定の放電臨界値と比較し、前記比較結果により前記複数のバッテリーセルのそれぞれに対して低電圧であるか否かを判断して前記低電圧セルを検出し、前記放電臨界値は、前記自動車の運行が中断された期間の間の正常セルのSOC変化量に基づく。
【0016】
前記放電臨界値は、前記自動車の運行が中断された期間である停車期間、前記停車期間の間の前記バッテリーセル自体の放電による第1SOC減少率、および前記バッテリー管理システムのエネルギー消費による第2SOC減少率に基づいて算出され得る。
【0017】
前記放電臨界値は、前記第1SOC減少率と前記第2SOC減少率の合算値に前記停車期間と誤差補正値を掛けて算出され得る。
【0018】
前記メイン制御回路は、前記停車期間と臨界期間を比較して前記停車期間が前記臨界期間以上である時、前記複数のバッテリーセルのそれぞれに対して前記低電圧であるか否かを判断して前記低電圧セルを検出することができる。
【0019】
前記第1SOCは、自動車の運行が終了する前に最後に計算されたSOCであり、前記第2SOCは、前記自動車の運行が再開された後に最初に計算されたSOCであり、前記臨界期間は、前記第1SOCと前記第2SOC間の差値を算出できる最小限の期間であり得る。
【0020】
前記メイン制御回路は、前記第1SOCと前記第2SOC間の差値が前記放電臨界値以上であれば前記低電圧と判断して対応するバッテリーセルを前記低電圧セルと検出することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、迅速かつ高い精密度で低電圧セルを検出してバッテリーの全体の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態によるバッテリーシステムを示す図面である。
【
図2】一実施形態による低電圧セル検出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して本明細書に開示された実施形態を詳細に説明するが、同一または類似の構成要素には同一または類似の図面符号を付与し、これについての重複説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」および/または「部」は、明細書作成の容易さだけを考慮して付与されたり混用されるものであって、それ自体で互いに区別される意味または役割を果たすものではない。また、本明細書に開示された実施形態を説明するに当たり、関連した公知技術に対する具体的な説明が本明細書に開示された実施形態の要旨を不明確にし得ると検出される場合、その詳細な説明を省略する。また、添付した図面は、本明細書に開示された実施形態を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付した図面により本明細書に開示された技術的な思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0024】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明することに使用され得るが、前記構成要素は前記用語により限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0025】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、または「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、または接続されていることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか、または「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0026】
本出願で、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0027】
図1は一実施形態によるバッテリーシステムを示す図面である。
【0028】
図1に示されているように、バッテリーシステム1は、バッテリーパック2、バッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)3、リレー11、および電流センサー12を含む。
【0029】
バッテリーパック2は、電気的に連結されている複数のバッテリーセルCell1-Cellnを含む。一実施形態において、バッテリーセルは、充電可能な二次電池であり得る。所定の個数のバッテリーセルが直列に連結されてバッテリーモジュールを構成し、所定の個数のバッテリーモジュールが直列および並列に連結されてバッテリーパック2を構成して所望の電力を供給することができる。
【0030】
複数のバッテリーセルCell1-Cellnのそれぞれは、配線を通じてBMS3に電気的に連結されている。BMS3は、複数のバッテリーセルCell1-Cellnに対する情報を含むバッテリーセルに関する多様な情報を収集および分析してバッテリーセルの充電および放電、セルバランシング、保護動作などを制御し、リレー11の動作を制御することができる。例えば、BMS3は、複数のバッテリーセルCell1-Cellnに対する多様な情報を収集および分析して低電圧セル(low voltage cell)を検出することができる。
【0031】
図1では、バッテリーパック2は、直列に連結されている複数のバッテリーセルCell1-Cellnを含み、バッテリーシステム1の二つの出力端OUT1、OUT2の間に連結されており、バッテリーシステム1の正極と出力端OUT1の間にリレー11が連結されており、バッテリーシステム1の負極と出力端OUT2の間に電流センサー12が連結されている。
図1に示された構成および構成間の連結関係は一例であり、発明がこれに限定されるのではない。
【0032】
リレー11は、バッテリーシステム1と外部装置間の電気的連結を制御する。リレー11がオンされると、バッテリーシステム1と外部装置が電気的に連結されて充電または放電が行われ、リレー11がオフされると、バッテリーシステム1と外部装置が電気的に分離される。外部装置は負荷または充電器であり得る。
【0033】
電流センサー12は、バッテリーパック2と外部装置間の電流経路に直列に連結されている。電流センサー12は、バッテリーパック2に流れる電流、つまり、充電電流および放電電流を測定し、測定結果をBMS3に伝達することができる。
【0034】
BMS3は、セルバランシング回路10、セルモニタリングIC20、およびメイン制御回路30を含む。
【0035】
セルバランシング回路10は、複数のスイッチSW1-SWnおよび複数の抵抗R1-Rnを含む。複数のスイッチSW1-SWnのそれぞれは、セルモニタリングIC20から供給される複数のスイッチング信号SC[1]-SC[n]のうち、対応するスイッチング信号によりスイッチング動作する。複数のバッテリーセルCell1-Cellnのそれぞれに対して、対応するスイッチSWiおよび抵抗Riは当該セルCelliの正極と負極の間に直列に連結されている。スイッチSWiがターンオンされると、当該セルCelli、スイッチSWi、および抵抗Riの間に放電経路が形成され、当該セルCelliが放電する。この時、iは1からnまでの自然数のうちの一つである。
【0036】
セルモニタリングIC20は、複数のバッテリーセルCell1-Cellnのそれぞれの正極および負極に電気的に連結されて、セル電圧を測定する。電流センサー12により測定された電流(以下、バッテリー電流という)値はセルモニタリングIC20に伝達され得る。セルモニタリングIC20は、測定されたセル電圧およびバッテリー電流に対する情報をメイン制御回路30に伝達する。具体的に、セルモニタリングIC20は、充放電が発生しない休息(rest)期間に複数のバッテリーセルCell1-Cellnのそれぞれのセル電圧を所定の周期ごとに測定し、測定されたセル電圧に基づいてバッテリー電流を計算することができる。セルモニタリングIC20は、複数のバッテリーセルCell1-Cellnのそれぞれのセル電圧およびバッテリー電流をメイン制御回路30に伝達する。
【0037】
セルモニタリングIC20は、メイン制御回路30から伝送されるセルバランシング制御信号により複数のバッテリーセルCell1-Cellnのうちのセルバランシング対象セルをセルバランシング回路10を通じて放電させることができる。例えば、セルモニタリングIC20は、メイン制御回路30のセルバランシング制御信号により複数のスイッチング信号SC[1]~SC[n]を生成することができる。スイッチング信号SC[1]~SC[n]のそれぞれは、対応するスイッチSWiのスイッチング動作を制御することができる。オンレベルのスイッチング信号SC[i]が対応するスイッチSWiに供給されると、スイッチSWiがターンオンされて当該セルCelliが放電する。
【0038】
例えば、複数のバッテリーセルCell1-Cellnのうち、所定の基準電圧より電圧が低い低電圧セルが存在すると、セルモニタリングIC20はメイン制御回路30の制御により頻繁なセルバランシングを行うようになる。低電圧セルが存在して頻繁なセルバランシングが行われると、バッテリーパック2の安全性を損なうようになる。
【0039】
メイン制御回路30は、複数のバッテリーセルCell1-Cellnのそれぞれのセル電圧およびバッテリー電流のうちの少なくとも一つに基づいてSOC(state of charge)を計算することができる。メイン制御回路30は、自動車の運行が終了してBMS3がスリップモードに進入すると複数のバッテリーセルCell1-CellnのそれぞれのSOCのうち、最後に計算されたSOC、つまり、第1SOCを保存する。その後、電気自動車の運行が再開されてBMS3がウェークアップすると、メイン制御回路30は電気自動車の運行が再開された時点に同期して複数のバッテリーセルCell1-CellnのそれぞれのSOCを計算する。電気自動車の運行が再開された後に最初に計算されたSOCは第2SOCである。
【0040】
メイン制御回路30は、複数のバッテリーセルCell1-Cellnのそれぞれの第1SOCと第2SOCとの差を求める。メイン制御回路30は、第1SOCと第2SOCとの差値が所定の放電臨界値(K)以上であれば低電圧と判断し、対応するバッテリーセルを低電圧セルと検出する。この時、放電臨界値(K)は、電気自動車の運行が中断された期間の間の正常セルのSOC変化量に基づく。低電圧セルは、所定の基準電圧より電圧が低いバッテリーセルであり、電気自動車の運行が中断された期間の間のSOC変化量は正常セルのSOC変化量より大きい。
【0041】
以下、
図1および
図2を参照して、メイン制御回路30の低電圧セル検出方法およびその方法を提供するバッテリー管理システム1を説明する。
【0042】
図2は一実施形態による低電圧セル検出方法を示すフローチャートである。
【0043】
まず、メイン制御回路30は、電気自動車の運行が終了すると、複数のバッテリーセルCell1-Cellnのそれぞれの第1SOCを保存する(S10、S20)。この時、第1SOCは、電気自動車の運行が終了する前に最後に計算されたSOCである。
【0044】
バッテリーセルのSOCは直接測定が不可である。バッテリーセルのSOCを間接測定する方法として、バッテリーの電解質の比重とPHを測定してSOCを計算したり、バッテリーセルの電圧を測定してSOCを計算したり、バッテリー電流を測定し、これを時間に対して積分してSOCを計算したり、NiMHバッテリーは充電する時にバッテリー内部圧力が急速に増加する性質を利用してSOCを計算することができる。メイン制御回路30は、従来知られた多様な方法で複数のバッテリーセルCell1-CellnのそれぞれのSOCを充放電が発生しない休息(rest)期間に所定の周期ごとに計算したり、リアルタイムで計算することができる。
【0045】
次に、メイン制御回路30は、電気自動車の運行が再開されると、複数のバッテリーセルCell1-Cellnのそれぞれの第2SOCを計算して保存する(S30、S40)。この時、第2SOCは、電気自動車の運行が再開された直後に最初に計算されたSOCである。
【0046】
電気自動車の運行が終了すると、BMS3は、スリップモードに進入してバッテリーセルの電圧測定、バッテリーセルのSOC計算などを行わない。電気自動車の運行が再開されると、BMS3は、ウェークアップして正常動作する。この時、メイン制御回路30は、電気自動車の運行が再開された時点に同期して複数のバッテリーセルCell1-CellnのそれぞれのSOCを計算して保存する。
【0047】
例えば、メイン制御回路30は、電気自動車の運行が再開された後、既保存された複数のバッテリーセルCell1-Cellnのそれぞれの第1SOCおよび第2SOCを抽出し、これに基づいて低電圧セルを検出することができる。
【0048】
次に、メイン制御回路30は、電気自動車の運行が中断された期間、つまり、停車期間(Tp)と臨界期間(critical period)(Tt)を比較する(S50)。電気自動車の運行が中断された期間が過度に短ければSOC変動率が小さくて低電圧セルの検出が難しい。この時、臨界期間(Tt)は、第1SOCと第2SOC間の差値を算出することができる最小限の期間である。例えば、停車期間(Tp)が長くなれば第1SOCと第2SOC間の差値も増加する。
【0049】
次に、電気自動車の停車期間(Tp)が臨界期間(Tt)未満であれば(S50、No)、メイン制御回路30は故障診断(Diagnostic Trouble Code;DTC)が不可であると判断することができる(S60)。この時、故障診断不可(NO DTC)は、複数のバッテリーセルCell1-Cellnのうち、低電圧セルを検出することができない場合、または低電圧セルが一つも存在しない場合を含むことができる。
【0050】
次に、電気自動車の停車期間(Tp)が臨界期間(Tt)以上であれば(S50、Yes)、メイン制御回路30は既保存された複数のバッテリーセルCell1-Cellnのそれぞれの第1SOCと第2SOC間の差値と所定の放電臨界値(K)を比較する(S70)。
【0051】
放電臨界値(K)は、電気自動車の運行が中断された期間、つまり、停車期間(Tp)の間の正常セルのSOC変化量に基づくことができる。例えば、放電臨界値(K)は、停車期間(Tp)の間のバッテリーセル自体の放電による第1SOC減少率とBMS3のエネルギー消費による第2SOC減少率との合計に、誤差補正値と停車期間をかけて計算され得る。この時、第1SOC減少率および第2SOC減少率は複数の正常セルの実験データに基づいて平均値などで算出され得る。
【0052】
第1SOC減少率は、バッテリーパック2が外部装置に電力を供給しなくてもバッテリーセル自体でエネルギーを消費して一日間に減少したSOC変化量である。第2SOC減少率は、バッテリーパック2が外部装置に電力を供給しなくてもBMS3により消費されるエネルギーによりバッテリーセルで一日間に減少したSOC変化量である。誤差補正値は、誤診断防止のためにバラつきおよびエラー(error)を反映するための値であり、例えば、150%(1.5)と算定され得る。
【0053】
例えば、第1SOC減少率が0.15(SOC loss/Day)であり、第2SOC減少率が0.3(SOC loss/Day)であり、停車期間(Tp)が10日であると仮定する。放電臨界値(K)=(0.15+0.3)(SOC loss/Day)×1.5×10(Day)=0.675%に計算され得る。
【0054】
次に、比較結果、第1SOCと第2SOC間の差値が放電臨界値(K)以上であれば(S70、Yes)、メイン制御回路30は比較結果を低電圧と判断し、対応するバッテリーセルを低電圧セルと検出する(S80)。
【0055】
例えば、停車期間(Tp)10日間に第1バッテリーセルの第1SOCと第2SOC間の差値が0.7%であれば、メイン制御回路30は差値0.7%が放電臨界値(K)0.675%より大きいため、低電圧と判断し、対応する第1バッテリーセルを低電圧セルと検出する。
【0056】
次に、比較結果、第1SOCと第2SOC間の差値が放電臨界値(K)未満であれば(S70、No)、メイン制御回路30は比較結果を低電圧と判断せず、対応する第2バッテリーセルを正常セル、つまり、故障診断不可(NO DTC)と判断することができる(S60)。
【0057】
例えば、停車期間(Tp)10日間に第2バッテリーセルの第1SOCと第2SOC間の差値が0.5%であれば、メイン制御回路30は差値0.5%が放電臨界値(K)0.675%より小さいため、低電圧と判断せず、対応する第2バッテリーセルを正常セルと判断することができる。
【0058】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲がこれに限定されず、本発明の属する分野における通常の知識を有する者が多様に変形および改良した形態も本発明の権利範囲に属する。
【国際調査報告】