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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス素子
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0225 20210101AFI20221020BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20221020BHJP
【FI】
H01S5/0225
H01L33/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508929
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2020072292
(87)【国際公開番号】W WO2021028352
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】102019121896.9
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン ランケス
(72)【発明者】
【氏名】デニス シュプレンガー
【テーマコード(参考)】
5F142
5F173
【Fターム(参考)】
5F142AA02
5F142DA15
5F142DA73
5F142DB60
5F173MC15
5F173ME22
5F173ME32
5F173MF03
5F173MF40
(57)【要約】
ここに示されているのは、第1波長範囲の電磁ビームを放射するように構成された活性領域(100)を有する少なくとも1つの半導体エミッタ(10)を含むオプトエレクトロニクス素子(1)である。オプトエレクトロニクス素子(1)はさらに、出力結合面(20A)、および出力結合面(20A)に対して側方に配置されておりかつ出力結合面(20A)と交わる方向に配向された側面(20B)を有する少なくとも1つの波長変換プレート(20)と、半導体エミッタ(10)および波長変換プレート(20)が配置されている支持体(30)と、を有する。出力結合面(20A)は、支持体(30)とは反対側を向いている。半導体エミッタ(10)は、電磁ビームにより、波長変換プレート(20)を側面(20B)において照射するように構成されている。波長変換プレート(20)は、第1波長範囲のビームの少なくとも一部分と、第2波長範囲の変換されたビームとを含む混合ビームを出力結合面(20A)から放射するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクス素子(1)であって、前記オプトエレクトロニクス素子(1)は、
第1波長範囲の電磁ビームを放射するように構成された活性領域(100)を有する少なくとも1つの半導体エミッタ(10)と、
出力結合面(20A)、および前記出力結合面(20A)に対して側方に配置されておりかつ前記出力結合面(20A)と交わる方向に配向された側面(20B)を有する少なくとも1つの波長変換プレート(20)と、
前記半導体エミッタ(10)および前記波長変換プレート(20)が配置されている支持体(30)と、を有し、
前記出力結合面(20A)は、前記支持体(30)とは反対側を向いており、
前記半導体エミッタ(10)は、電磁ビームにより、前記波長変換プレート(20)を前記側面(20B)において照射するように構成されており、
前記波長変換プレート(20)は、前記第1波長範囲の前記ビームの少なくとも一部と、第2波長範囲の変換されたビームとを含む混合ビームを前記出力結合面(20A)から放射するように構成されている、オプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項2】
前記半導体エミッタ(10)は、レーザダイオードである、請求項1記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項3】
前記半導体エミッタ(10)は、放射楕円錐を有し、前記放射楕円錐の断面は、前記放射楕円錐の軸線に対して垂直方向に楕円形をしており、前記半導体エミッタ(10)は、楕円の長軸が、前記側面(20B)の主延在方向に対して平行に配向されるように前記支持体(30)に配置されている、請求項1または2記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項4】
前記側面(20B)は、前記放射楕円錐の前記軸線に対してブリュースター角で配向されている、請求項3記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項5】
前記側面(20B)には、光学コーティング(70)が被着されている、請求項3または4記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項6】
前記半導体エミッタ(10)と前記波長変換プレート(20)との間に、前記半導体エミッタ(10)の前記ビームを前記波長変換プレート(20)に導く導光体が配置されている、請求項1から5までのいずれ1項記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項7】
前記側面(20B)を照射する少なくとも2つの半導体エミッタ(10)が設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項8】
少なくとも2つの半導体エミッタ(10)の前記放射楕円錐は、少なくとも部分的に重なり合っている、請求項7記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項9】
前記波長変換プレート(20)は、前記波長変換プレート(20)の放射特性に所期のように影響を及ぼすための少なくとも1つの吸収性または反射性を具備する部分領域(201)を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項10】
前記波長変換プレート(20)は、変換粒子および散乱粒子を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項11】
前記波長変換プレート(20)の前記出力結合面(20A)にわたる前記混合ビームの所望の強度分布は、前記波長変換プレート(20)における散乱作用の変化によって調整される、請求項10記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項12】
前記波長変換プレート(20)の前記出力結合面(20A)にわたる前記混合ビームの所望の強度分布および/または色分布は、前記波長変換プレート(20)における変換作用の変化によって調整される、請求項10または11記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項13】
前記波長変換プレート(20)は、両端の値を含めて3μm~500μm、好ましくは両端の値を含めて70μm~150μmの厚さを有する、請求項1から12までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項14】
前記半導体エミッタ(10)の前記第1波長範囲は、両端の値を含めて380nm~500nmの範囲、好ましくは両端の値を含めて440nm~460nmの範囲を含む、請求項1から13までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項15】
前記支持体(30)は、次の材料、すなわち、窒化アルミニウム、金属および/または炭化ケイ素のうちの1つによって形成される、請求項1から14までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【請求項16】
前記支持体(30)と前記波長変換プレート(20)との間に、前記波長変換プレート(20)によって放射されるビームに対する反射増大コーティング(60)が配置される、請求項1から15までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス素子(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明では、オプトエレクトロニクス素子が示される。オプトエレクトロニクス素子は特に、電磁ビーム、特に人間の眼に見える光を生成するように構成される。
【0002】
解決すべき課題は、特に高い光密度を有するオプトエレクトロニクス素子を提供することである。
【0003】
少なくとも1つの実施形態によれば、このオプトエレクトロニクス素子は、第1波長範囲の電磁ビームを放射するように構成された活性領域を有する少なくとも1つの半導体エミッタを含む。活性領域は好ましくは、ビーム生成のためにpn接合部、ダブルヘテロ構造、単一量子井戸構造(SQW:Single Quantum Well)または多量子井戸構造(MQW:Multi Quantum Well)を含む。半導体エミッタは、例えば、発光ダイオードまたはレーザダイオードである。第1波長範囲は好ましくは、電磁ビームの、人間の眼に見えるスペクトル範囲の少なくとも一部を含む。
【0004】
少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス素子または上で説明したその実施形態は、出力結合面、およびこれに対して側方に配置されておりかつこれと交わる方向に配向された側面を有する少なくとも1つの波長変換プレートを含む。特に側面は、複数の部分に分割されている。
【0005】
波長変換プレートは特に、第1波長範囲の電磁ビームを、第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の電磁ビームに変換するように構成されている。波長変換プレートは、例えば、変換材料の粒子が混入されているセラミックスマトリクス材料を有する。特に、波長変換プレートは、次の材料のうちの少なくとも1つによって形成される。すなわち、YAG、LuAG、窒化ケイ素またはそれぞれ対応するドーパント原子を有する量子ドットのうちの1つによって形成される。ドーパント原子は、例えば、Ce、Gd、Gaである。
【0006】
波長変換プレートの出力結合面は好ましくは、波長変換プレートの主延在平面に対して平行に配向されている。出力結合面は特に、波長変換プレートからの電磁ビームを出力結合するように構成されている。出力結合面に対して側方にかつこれと交わる方向に配向された側面により、波長変換プレートが、特にその主延在方向に画定される。この側面は好ましくは、波長変換プレートに電磁ビームを入力結合するように構成されている。
【0007】
少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス素子、または上で説明したその複数の実施形態の1つは、半導体エミッタおよび波長変換プレートが配置されている支持体を有する。特に、半導体エミッタおよび波長変換プレートは、支持体における共通の平面内に配置されている。例えば、半導体エミッタは、波長変換プレートに対して傾いた、支持体の平面に配置されている。支持体は、例えば、後続の複数の素子用の取付け面として使用される。支持体は好ましくは、オプトエレクトロニクス素子を機械的に支持する構成部材であり、この構成部材により、素子に十分な安定性が付与される。例えば、支持体は、実質的に平坦なプレートとして実施される。支持体は好ましくは,支持体に取り付けられた素子の放熱に役立つようにするために高い熱伝導率を有する。
【0008】
例えば、半導体エミッタおよび波長変換プレートは、支持体との形状結合を有する。これによって特に、支持体と、半導体エミッタと、波長変換プレートとの間の熱交換が改善される。半導体エミッタおよび波長変換プレートを支持体に直接に配置することによって有利には、半導体エミッタおよび波長変換プレートの特に良好な放熱が可能になる。
【0009】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、出力結合面は、支持体とは反対側を向いている。波長変換プレートの出力結合面とは、支持体とは反対側の面に設けられている、波長変換プレートの面のことをいう。この出力結合面は特に、波長変換プレートから電磁ビームを出力結合するために使用される。
【0010】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体エミッタは、電磁ビームにより、波長変換プレートを側面において照射するように構成されている。言い換えると、半導体エミッタは、これが、電磁ビームにより、波長変換プレートの側面を照射するように支持体に配置されている。これによって特に、半導体エミッタと波長変換プレートとの間の光学素子が省略される。
【0011】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、波長変換プレートは、第1波長範囲のビームの少なくとも一部と、第2波長範囲の変換されたビームとを含む混合ビームを出力結合面から放射するように構成されている。例えば、混合ビームにより、観察者において白色の色印象が生成される。
【0012】
少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス素子、または上で説明したその複数の実施形態の1つは、
-第1波長範囲の電磁ビームを放射するように構成された活性領域を有する少なくとも1つの半導体エミッタと、
-出力結合面、およびこれに対して側方に配置されておりかつこれと交わる方向に配向された側面を有する少なくとも1つの波長変換プレートと、
-半導体エミッタおよび波長変換プレートが配置されている支持体と、を有し、
-出力結合面は、支持体とは反対側を向いており、
-半導体エミッタは、電磁ビームにより、波長変換プレートを側面において照射するように構成されており、
-波長変換プレートは、第1波長範囲のビームの少なくとも一部と、第2波長範囲の変換されたビームとを含む混合ビームを出力結合面から放射するように構成されている。
【0013】
本発明で説明するオプトエレクトロニクス素子は特に、以下の考察に基づいている。すなわち、オプトエレクトロニクス素子の使用、例えば自動車ヘッドランプにおける使用には、付加的なセンサ、特に、同様にヘッドランプもしくは自動車の前面領域に配置されるべきであるカメラに起因して、ますます狭くなる取付けスペースにオプトエレクトロニクス素子を組み込むことが要求されるという考察に基づいている。オプトエレクトロニクス素子によって生成される光量についての要求が同じままで、このようにオプトエレクトロニクス素子の大きさが小さくなることに起因して、より光密度が高い素子が有利になる。十分に高い光密度は、例えばレーザダイオードによって提供され、このレーザダイオードは、例えば、白色の色印象を有する電磁ビームを放射するために、波長変換プレートを用いて使用される。しかしながらオプトエレクトロニクス素子の大きさがより小さくなることは、素子の熱発生が多くなることを意味する。さらに、レーザダイオードを使用する際には、レーザダイオードからの電磁ビームが、観察者において直接に当たってしまうことを回避するために、より高いコストが必要である。
【0014】
本明細書で説明するオプトエレクトロニクス素子およびその複数の実施形態は特に、支持体において共通の平面に半導体エミッタおよび波長変換プレートを取り付けるという着想を使用している。半導体エミッタおよび波長変換プレートを直接に取り付けることにより、半導体エミッタおよび波長変換プレートの特に良好な放熱が可能である。波長変換プレートへの電磁ビームの入力結合は、例えば、側方に、したがって支持体の主延在方向に対して平行に行われる。したがって有利には、半導体エミッタからの電磁ビームが直接に出力結合されてしまう危険性が低減される。
【0015】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体エミッタは、レーザダイオードである。レーザダイオードは特に、高い光密度および特に高い偏光度を有する。さらにレーザダイオードは好ましくは、コヒーレントビームを放射するように構成される。コヒーレントビームは、実質的に単色であり、かつ極めて狭いスペクトル波長範囲を含む。
【0016】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体エミッタは、放射楕円錐を有し、この放射楕円錐の断面は、放射楕円錐の軸線に対して垂直方向に楕円形をしている。半導体エミッタは、楕円の長軸が、波長変換プレートの側面の主延在方向に対して平行に配向されるように支持体に配置される。この平行な配向は必ずしも正確に平行である必要はなく、例えば、製造許容差の枠内において、平行な配向からわずかにずれていてよい。これにより、第1波長範囲の電磁ビームにより、側面を直接に照射することができる。放射楕円錐を変形するための光学素子は有利には省略される。
【0017】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、側面は、放射楕円錐の軸線に対してブリュースター角で配向されている。したがって半導体エミッタから放射された光の、波長変換プレートの側面への入射は特に、ブリュースター角で行われ、これによって有利には、ビームの反射が低減される。これによって有利には、電磁ビームの入力結合効率が向上する。入力結合効率は特に、電磁ビームの偏光度と、偏光面の配向とから決定される。有利には高い偏光度により、高い入力結合効率が生じる。
【0018】
特に側面は、支持体の方向に傾けられているが、これは、半導体エミッタから放射されるビームの反射の、場合によっては残存している部分が、妨げられることなく出力結合されてしまうことを阻止するためである。これによって有利には、半導体エミッタからのビームの直接の放射が回避され、これにより、眼の安全性が向上する。
【0019】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、側面には光学コーティングが被着されている。光学コーティングは、例えば、反射防止コーティングまたはダイクロイックコーティングである。光学コーティングは、例えば、特定の入射角に依存することなく、入力結合効率を向上させるのに役立つ。言い換えると、反射防止コーティングまたはダイクロイックコーティングを使用することにより、側面をブリュースター角で配向しなくても入力結合効力を向上させることができる。これにより、例えば、放射楕円錐に対して、側面の特定の角度を維持する必要がないため、側面を作製する簡単な方法が可能になる。
【0020】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体エミッタと波長変換プレートとの間に、半導体エミッタのビームを波長変換プレートに導く導光体が配置されている。したがって、例えば、半導体エミッタの取り付けは、放射楕円錐の幾何学形状、および波長変換プレートに対するその間隔には依存せずに行われる。導光体は好ましくは、ビーム透過性材料によって形成される。導光体の材料の屈折率は、これを包囲する材料の屈折率よりも大きい。これにより、例えば、導光体において全反射によって電磁ビームを導くことができる。
【0021】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、波長変換プレートの側面を照射する少なくとも2つの半導体エミッタが設けられている。波長変換プレートの反対側の面にある2つの半導体エミッタにより、例えば、波長変換プレートの特に均一な照明が得られる。
【0022】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも2つの半導体エミッタの放射楕円錐は、少なくとも部分的に重なり合っている。半導体エミッタの放射楕円錐は、電磁ビームの特に高い強度が有利である、側面の領域において少なくとも部分的に重なり合っている。
【0023】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、波長変換プレートは、波長変換プレートの放射特性に所期のように影響を及ぼすために、少なくとも1つの吸収性または反射性を具備する部分領域を有する。吸収性または反射性を具備する部分領域は、例えば、出力結合面から放射されるビーム分布を形成するために使用される。自動車ヘッドランプでは、例えば、車線の所望の照明に対応して、所望のビーム分布が可能になる。したがって、例えば、企業ロゴの投影も可能である。部分領域は好ましくは、波長変換プレートの、支持体とは反対側を向いた面にコーティングとして配置される。択一的には、部分領域は、波長変換プレートに挿入される。
【0024】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、波長変換プレートは、変換粒子および散乱粒子を有する。変換粒子は特に、第1波長の電磁ビームを第2波長の電磁ビームに変換するのに適している。散乱粒子は特に、電磁ビームを空間的に分散させるように構成されている。
【0025】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、波長変換プレートの出力結合面にわたる混合ビームの所望の強度分布は、波長変換プレートにおける散乱作用の変化によって調整される。散乱作用は、例えば、散乱中心の密度、大きさおよび/または種類の変化によって調整される。散乱中心として特に、ガスが充填された孔、散乱粒子および/または変換粒子が使用される。例えば、これにより、第1波長範囲の入射する電磁ビームの強度低下を、外側から内側に補償することができる。したがって特に、波長変換プレートから出力結合面を介して出力結合される混合ビームの所望のビーム分布が所期のように調整される。散乱作用は、例えば、その中央値の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%だけ変化する。
【0026】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、波長変換プレートの出力結合面にわたる混合ビームの所望の強度分布および/または色分布は、波長変換プレートにおける変換作用の変化によって調整される。したがって、例えば、出力結合面を介して波長変換プレートから出力結合されるビームの所望のビーム分布が所期のように調整される。変換作用は、例えば、変換粒子における異なるドーパント、変換粒子の密度の変化、変換粒子の大きさ、または使用される変換材料によって調整可能である。
【0027】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、波長変換プレートは、両端の値を含めて3μm~500μm、好ましくは両端の値を含めて70μm~150μmの厚さを有する。特に薄い波長変換プレートによって有利には、波長変換プレートの特に良好な放熱が可能になる。
【0028】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体エミッタの第1波長範囲は、両端の値を含めて380nm~500nmの範囲、好ましくは両端の値を含めて440nm~460nmの範囲を含む。この波長範囲内では特に容易に、例えば黄色光への波長変換が可能になる。これにより、例えば、観察者において白色の色印象を引き起こす混合光が生成される。
【0029】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、支持体は、次の材料、すなわち、窒化アルミニウム、金属および/または炭化ケイ素のうちの1つによって形成される。窒化アルミニウム、金属および炭化ケイ素は、特に高い熱伝導率を有する。金属は、特にAu、Agおよび/またはCu、またはこれらの金属から成る合金を含む。高い熱伝導率は有利には支持体に被着される素子の特に効率的な放熱に役立つ。
【0030】
オプトエレクトロニクス素子の、または上で説明したその複数の実施形態の少なくとも1つの実施形態によれば、支持体と波長変換プレートとの間に、波長変換プレートによって放射されるビームに対する反射増大コーティングが配置される。波長変換プレートによって放射されるビームは、第1波長範囲の電磁ビームと、変換されたビームとを含む。したがって有利には、波長変換プレートから放射されるビームは、好ましくは出力結合面の方向に出力結合される。例えば、コーティングは、一部の領域にのみ被着される。
【0031】
コーティングは、例えば、まず波長変換プレートに被着される。波長変換プレートによって特に、滑らかかつ平坦な表面が提供され、この表面により、特に容易にコーティングを配置することができる。択一的には、支持体に波長変換プレートを取り付ける前に、支持体にコーティングが被着される。これによって有利には、極めて薄い、例えばスプレーされたコーティングを配置することが容易になる。
【0032】
本明細書で説明するオプトエレクトロニクス素子およびその複数の実施形態は特に、自動車におけるヘッドランプとして使用するのに適している。
【0033】
オプトエレクトロニクス素子の別の利点および有利な実施形態および発展形態は、図に関連して示した、以下の実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子を示す概略図である。
図2】第1実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子の概略図の一部分を示す図である。
図3】第2実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子を示す概略図である。
図4】第3実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子を示す概略断面図である。
図5】第1実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子を示す概略断面図である。
図6】第1実施例にしたがい、本明細書で説明している波長変換プレートを示す概略平面図である。
図7】第4実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子を示す概略断面図である。
図8】第5実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子を示す概略断面図である。
【0035】
同じ、同種の、または同じ作用の要素には、複数の図面において同じ参照符号が付されている。図、およびこれらの図に示した要素相互の大きさの比は、縮尺通りとみなしてはならない。むしろ、よりよく表せるようにするために、かつ/またはよりよく理解できるようにするために、個々の要素は、誇張して大きく表されていることがある。
【0036】
図1には、第1実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子1の概略図が示されている。図示されたオプトエレクトロニクス素子1は、4つの半導体エミッタ10と、これらの半導体エミッタと共に支持体30に配置されている波長変換プレート20とを含んでいる。
【0037】
半導体エミッタ10は、レーザダイオードとして実施されており、かつコヒーレントな電磁ビームを放射するように構成されている。さらに半導体エミッタ10は、それぞれ楕円の長軸および楕円の短軸を備えた楕円形の放射楕円錐をそれぞれ有する。楕円の長軸は特に、大きな放射角によって生じるのに対し、楕円の短軸は、小さな放射角によって生じる。
【0038】
半導体エミッタ10は、側面20Bが特に均一に照射されることを保証するために、波長変換プレート20の反対側の面に取り付けられている。半導体エミッタ10の放射楕円錐は、放射楕円錐の軸線と交わる方向の断面において、楕円形をしている。半導体エミッタ10は、楕円の長軸が、製造許容差の範囲内で、波長変換プレート20の主延在方向に対して平行に配向されるように支持体30に配置されている。半導体エミッタ10は、取り付けられる半導体エミッタ10の十分な機械的安定性を保証するために、補助支持体301によって取り付けられている。
【0039】
さらに、補助支持体により、放射楕円錐の主軸線に沿って90°だけ回転させた、半導体エミッタ10の配置が可能になる。半導体エミッタ10の楕円の長軸は好適には、波長変換プレート20の主延在平面に対して平行に配向されている。これによって有利には、ブリュースター角を利用した側面20Bの簡単な照明が可能になる。補助支持体301は、窒化アルミニウムまたは炭化ケイ素によって形成されており、付加的に半導体エミッタ10の放熱を改善する。支持体30に半導体エミッタ10を直接に配置することによって有利には、特に良好な放熱が可能になり、このことはさらに、共通の平面に半導体エミッタ10および波長変換プレート20を均一に配向することに役立つ。
【0040】
波長変換プレート20は、次の材料、すなわち、YAG、LuAG、窒化ケイ素またはそれぞれ対応するドーパント原子を有する量子ドットの1つによって形成される。ドーパント原子は、例えば、Ce、Gd、Gaである。波長変換プレート20は、出力結合面20Aを含み、これを通って電磁ビームが出力結合される。出力結合面20Aは、その短い方の辺が300μmの辺長を有し、その長い方の辺が1mmの辺長を有する。波長変換プレート20は、所望の放射特性を得るために、所期のように形成された出力結合面20Aを有する。
【0041】
例えば、これにより、自動車のロービームに所望されるシャドウエッジ(Schattenkante)が生成される。出力結合面20Aと交わる方向に、波長変換プレート20の周りに配置される側面20Bが設けられている。波長変換プレート20の厚さは、側面20Bの高さと同じであり、それぞれ両端の値を含め70μm~100μmである。半導体エミッタ10の電磁ビームの入力結合は、波長変換プレート20の側面20Bにおいて行われる。
【0042】
支持体30は、窒化アルミニウムによって形成されており、特に高い熱伝導率を有する。半導体エミッタ10および波長変換プレート20を外部の環境影響から保護するために、支持体30の上面には保護層50が設けられている。保護層50は、ビーム透過性に実施され、例えば、ガラスまたはサファイアによって形成される。
【0043】
図2には、第1実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子の概略図の一部分が示されている。この部分は、半導体エミッタ10、補助支持体301および波長変換プレート20を含んでいる。半導体エミッタ10から波長変換プレートの側面20Bへの電磁ビームの入力結合が良好に見て取れる。
【0044】
側面20Bは、支持体30の方を向いている傾斜部を有する。傾斜部は、半導体エミッタ10からの電磁ビームが、ブリュースター角で波長変換プレート20の側面20Bに当たることが保証されるような角度で実現される。これにより、波長変換プレート20への電磁ビームの特に効率的な入力結合が保証される。
【0045】
図3には、第2実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子1の概略図が示されている。オプトエレクトロニクス素子1は、4つの半導体エミッタ10を含み、これらは、波長変換プレート20と、4つの導光体40と、4つの補助支持体301と共に支持体30に配置されている。外部の環境影響から保護するために、支持体30の上方には、放射される光に対して透過性を有するように実施されている保護層50が設けられている。
【0046】
導光体40は、支持体30においてそれぞれ、半導体エミッタ10と波長変換プレート20との間に配置されている。導光体40は、半導体エミッタ10によって送出される電磁ビームを波長変換プレート20の方向に案内するのに使用される。導光体40の屈折率は、これを包囲する材料の屈折率よりも高い。これにより、例えば、半導体エミッタ10から送出される電磁ビームの放射楕円錐の開口角を考慮することなく、半導体エミッタ10の取り付けが行われる。
【0047】
図4には、第3実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子1の概略断面図が示されている。支持体30には、補助支持体301により、2つのオプトエレクトロニクス半導体エミッタ10が被着されている。半導体エミッタ10はそれぞれ、電磁ビームを生成するように構成された活性領域100を含む。半導体エミッタ10によって放射された第1波長範囲のビームは、側面20Bを通って波長変換プレート20に入射する。波長変換プレート20内では、第1波長範囲の電磁ビームの少なくとも一部が、第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の電磁ビームに変換される。
【0048】
第1波長範囲のビームと第2波長範囲のビームとは、波長変換プレート20内で混ざり合って混合ビームになる。波長変換プレート20は、出力結合面20Aを有し、これを通って混合ビームが波長変換プレート20から出力結合される。混合ビームは特に、青色光と黄色光とから合成され、観察者において白色の色印象を引き起こす。
【0049】
図5には、第1実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子1の概略断面図が示されている。図5に示された表示形態には、支持体30に向かう、側面20Bの傾斜部が明瞭に示されている。側面20Bの傾斜部により、半導体エミッタ10から波長変換プレート20への、ブリュースター角での電磁ビームの入力結合が可能になる。支持体30の方向に側面20Bを傾けることによって有利には、場合によって起こり得る、第1波長範囲の電磁ビームの直接の出力結合が阻止される。これにより、半導体エミッタ10から出射しかつ側面20Bによって部分的に反射される第1波長範囲のビームは、支持体30の方向にのみ反射され、例えば、そこで吸収される。
【0050】
図6には、第1実施例にしたがい、本明細書で説明している波長変換プレート20の概略平面図が示されている。図示した波長変換プレート20は、吸収性または反射性を具備するように実施されている複数の部分領域201を含んでいる。部分領域201は、例えば、これらの部分領域が、電磁ビームの低減された放射を有するかまたは電磁ビームを放射しないことにより、ロゴの投影に使用される。部分領域201は特に、波長変換プレート20の、支持体30とは反対側を向いた面にコーティングとして配置される。反射性を具備するように実施された部分領域201は、少なくとも部分的に、波長変換プレート20に再び戻るように電磁ビームを反射し、これにより、ビームは、別の箇所において出力結合可能である。
【0051】
図7には、第4実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子1の概略断面図が示されている。オプトエレクトロニクス素子1は、補助支持体301によって複数の半導体エミッタ10が取り付けられている支持体30を含んでいる。半導体エミッタ10はそれぞれ、第1波長範囲の電磁ビームを生成する活性領域を含んでいる。支持体30には、第1波長範囲の電磁ビームを少なくとも部分的に、第2波長範囲の電磁ビームに変換するように構成されている波長変換プレート20が取り付けられている。半導体エミッタ10は、波長変換プレート20の側面20Bを介して、第1波長範囲の電磁ビームを波長変換プレート20に入力結合する。したがって波長変換プレート20から、第1波長範囲および第2波長範囲の電磁ビームの混合ビームが出射する。
【0052】
支持体30はさらに、支持体30と波長変換プレート20との間に配置されている反射増大コーティング60を有する。反射増大コーティング60は、例えば、金属または二酸化チタンによって形成されており、波長変換プレート20内で生成される混合ビームの反射に使用される。反射増大コーティング60によって有利には、オプトエレクトロニクス素子1の効率が向上する。
【0053】
図8には、第5実施例にしたがい、本明細書で説明しているオプトエレクトロニクス素子1の概略断面図が示されている。第5実施例は、図4に示した第3実施例に実質的に対応する。付加的には波長変換プレート20の側面20Bに光学コーティング70が配置されている。光学コーティング70は、反射防止層および/またはダイクロイック層を含んでおり、有利には波長変換プレート20への電磁ビームの入力結合効率を向上させる。側面20Bはこのために、電磁ビームの放射楕円錐に対して特別な角度で配向される必要はない。特にダイクロイック層は、半導体エミッタ10の電磁ビームに対して透過性を具備しているのに対し、このダイクロイック層は、波長変換プレート20内で変換される電磁ビームに対して反射性を具備するように実施されている。
【0054】
本発明は、実施例に基づく説明によって限定されない。むしろ本発明は、あらゆる新たな特徴および特徴のあらゆる組み合わせを含んでおり、これは特に、この特徴または組み合わせそれ自体が、特許請求の範囲または実施例に明示的に示されていない場合であっても、特許請求の範囲における特徴のあらゆる組み合わせを含んでいる。
【0055】
本特許明細書は、独国特許出願第102019121896.9号明細書の優先権を主張するものであり、その開示内容は、参照により、ここに取り込まれものである。
【符号の説明】
【0056】
1 オプトエレクトロニクス素子
10 半導体エミッタ
100 活性領域
20 波長変換プレート
20A 出力結合面
20B 側面
201 部分領域
30 支持体
301 補助支持体
40 導光体
50 保護層
60 反射増大コーティング
70 光学コーティング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】