IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナノメティクス エルエルシー (ディー.ビー.エー ピーエイチディー バイオサイエンシズ)の特許一覧

<>
  • 特表-ウラシル皮膚医薬製剤 図1
  • 特表-ウラシル皮膚医薬製剤 図2
  • 特表-ウラシル皮膚医薬製剤 図3
  • 特表-ウラシル皮膚医薬製剤 図4
  • 特表-ウラシル皮膚医薬製剤 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ウラシル皮膚医薬製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/513 20060101AFI20221020BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20221020BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
A61K31/513
A61P17/00
A61K47/14
A61K47/02
A61K47/32
A61K47/18
A61K47/10
A61K47/34
A61K47/12
A61K47/26
A61K9/107
A61K47/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022509061
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 US2020046095
(87)【国際公開番号】W WO2021030542
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/886,643
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】522055496
【氏名又は名称】ナノメティクス エルエルシー (ディー.ビー.エー ピーエイチディー バイオサイエンシズ)
【氏名又は名称原語表記】NANOMETICS LLC (D.B.A PHD BIOSCIENCES)
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アイザックマン, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】マホン, アンドリュー ビー.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD08F
4C076DD09F
4C076DD22
4C076DD31Z
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD45R
4C076DD50Z
4C076DD59N
4C076EE09P
4C076EE23F
4C076EE27
4C076FF34
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC43
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA22
4C086MA63
4C086NA11
4C086ZA89
(57)【要約】
本開示は、ウラシル及び浸透促進剤を含む局所医薬製剤、その投与方法を提供する。5-フルオロウラシル又はその前駆体若しくはプロドラッグ、例えばカペシタビンの投与に関連する皮膚病を処置又は予防する方法も提供される。浸透促進剤はジメチルイソソルビド、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクチルドデカノール、オレイン酸、オレイルアルコール、ポリオキシルグリセリド、ピロリドン、チモール、トリカプリリン、トリオレイン、ミリスチン酸、中鎖トリグリセリド、リノール酸、ラウリン酸、グリコフロール、モノオレイン酸グリセリル、オレイン酸エチル、ジメチルスルホキシド、セバチン酸ジブチル、及びその混合物からなる群から選択される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.05~約0.8%w/wのウラシル、
約2~約8%w/wの浸透促進剤、
約0.01~約4%w/wのアルカリ化剤、
約0~約5%w/wの抗菌防腐剤、
約10~約40%w/wの、ポリエチレングリコール400、グリセリン、プロピレングリコール、及びその混合物からなる群から選択される溶媒、
約0.01~約3%w/wの酸性化剤、
約0.1~約3%w/wの、カルボマー、ポリカルボフィル、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒプロメロース、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ペクチン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、デキストリン、コポビドン、セラトニア、カラギーナン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、及びアルギン酸カリウム、並びにその混合物からなる群から選択されるゲル形成剤、
約1~約5%w/wの油性内相媒体、
約0~約5%w/wのイオン性乳化剤、
約0~約7%w/wの非イオン性乳化剤、並びに
約40~約70%w/wの水
を含む、局所医薬製剤。
【請求項2】
IVTPを使用して測定される前記製剤からのウラシルの透過量が約150.6ng/cm未満である、請求項1に記載の局所医薬製剤。
【請求項3】
浸透促進剤がジメチルイソソルビド、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクチルドデカノール、オレイン酸、オレイルアルコール、ポリオキシルグリセリド、ピロリドン、チモール、トリカプリリン、トリオレイン、ミリスチン酸、中鎖トリグリセリド、リノール酸、ラウリン酸、グリコフロール、モノオレイン酸グリセリル、オレイン酸エチル、ジメチルスルホキシド、セバチン酸ジブチル、及びその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の局所医薬製剤。
【請求項4】
アルカリ化剤がアンモニア溶液、トロラミン、トロメタミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、メグルミン、及びその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の局所医薬製剤。
【請求項5】
抗菌防腐剤がメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、安息香酸、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、ソルビン酸、乳酸ナトリウム、乳酸、チモール、キシリトール、イミド尿素、ヘキセチジン、EDTA、クレゾール、クロロキシレノール、クロロクレゾール、クロロブタノール、クロルヘキシジン、セトリミド、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、ブチレングリコール、ブロノポール、ホウ酸、ベンジルアルコール、及びその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の局所医薬製剤。
【請求項6】
酸性化剤が塩酸、硫酸、酢酸、硝酸、クエン酸、プロピオン酸、アジピン酸、乳酸、リン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、及びその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の局所医薬製剤。
【請求項7】
油性内相媒体がジメチコン、様々なグレードの植物油、ミネラルオイル、パルミチン酸イソプロピル、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ワセリン、シメチコン、トリカプリリン、トリオレイン、ミリスチルアルコール、中鎖トリグリセリド、モノオレイン酸グリセリル、オレイン酸エチル、セバチン酸ジブチル、シクロメチコン、及びその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の局所医薬製剤。
【請求項8】
イオン性乳化剤がステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、アニオン性乳化ろう、ミリスチン酸、リノール酸、レシチン、ラウリン酸、ドクサートナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、及びその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の局所医薬製剤。
【請求項9】
非イオン性乳化剤がモノオレイン酸ソルビタン;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリソルベート;ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体;ステアリン酸ポリオキシエチレン;ポリオキシルグリセリド;ソルビタンラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、トリオレイン酸エステル、セスキオレイン酸エステル、ジオレイン酸エステル、セスキイソステアリン酸エステル、セスキステアリン酸エステル、トリイソステアリン酸エステル、トリステアリン酸エステル、ジイソステアリン酸エステル、又はモノイソステアリン酸エステル;非イオン性乳化ろう;ミリスチルアルコール;中鎖トリグリセリド;ヒドロキシステアリン酸マクロゴール15;モノオレイン酸グリセリル;コレステロール;セチルアルコール;セトステアリルアルコール;モノグリセリド;ジグリセリド;トリトン(triton)X-100;及びその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の局所医薬製剤。
【請求項10】
浸透促進剤がジメチルイソソルビドであり、ウラシル対ジメチルイソソルビドのw/w濃度の比が約0.3~5である、請求項1に記載の局所医薬製剤。
【請求項11】
浸透促進剤がジメチルイソソルビドであり、ウラシルの濃度が約0.3%w/wであり、ジメチルイソソルビドの濃度が約5.0%w/wである、請求項1に記載の局所医薬製剤。
【請求項12】
製剤がエマルジョンであり、前記製剤の粘度が約100,000~約400,000cpsである、請求項1に記載の局所医薬製剤。
【請求項13】
製剤がエマルジョンであり、前記製剤の粘度が約250,000~約320,000cpsである、請求項1に記載の局所医薬製剤。
【請求項14】
約0.05~約0.6%w/wのウラシル、
約3.0~約10%w/wのジメチルイソソルビド、
約0.1~約2%w/wのアンモニア溶液(約29%)、
約0~約2%w/wのメチルパラベン、
約0~約2%w/wのプロピルパラベン、
約10~約20%w/wのポリエチレングリコール、
約10~約20%w/wのグリセリン、
約0~約3%w/wのプロピレングリコール、
約0~約3%w/wの塩酸(約20%)、
約0.1~約5%w/wのカルボマー、
約0.1~約2%w/wのトロラミン、
約1~約5%w/wのジメチコン、
約1~約7%w/wの非イオン性乳化剤、
約0~約5%w/wのイオン性乳化剤、及び
約40~約80%w/wの水
を含む、局所医薬製剤。
【請求項15】
ウラシルの濃度が約0.3%w/wであり、ジメチルイソソルビドの濃度が約5.0%w/wである、請求項14に記載の局所医薬製剤。
【請求項16】
ウラシル対ジメチルイソソルビドのw/w濃度の比が約0.3~5である、請求項14に記載の局所医薬製剤。
【請求項17】
製剤がエマルジョンであり、前記製剤の粘度が約100,000~約400,000cpsである、請求項14に記載の局所医薬製剤。
【請求項18】
製剤がエマルジョンであり、前記製剤の粘度が約250,000~約320,000cpsである、請求項14に記載の局所医薬製剤。
【請求項19】
約0.05~約0.6%w/wのウラシル、
約3.0~約10%w/wのジメチルイソソルビド、
約0.1~約4%w/wのアルカリ化剤、
約0.1~約2%w/wのメチルパラベン、
約0.01~約1%w/wのプロピルパラベン、
約10~約40%w/wの、ポリエチレングリコール400、グリセリン、プロピレングリコール、及びその混合物からなる群から選択される溶媒、
約0.01~約3%w/wの酸性化剤、
約0.1~約3%w/wのカルボマー940、
約1~約5%w/wのジメチコン、
約1~約5%w/wのステアリン酸、
約0.5~約4%w/wのポリソルベート80、
約0.1~約3%w/wのモノオレイン酸ソルビタン、並びに
約40~約60%w/wの水
を含む、局所医薬製剤。
【請求項20】
約0.05~約0.5%w/wのウラシル、
約3.0~約8%w/wのジメチルイソソルビド、
約0.1~約2%w/wのアンモニア溶液(約29%)、
約0.1~約2%w/wのメチルパラベン、
約0.01~約1%w/wのプロピルパラベン、
約10~約20%w/wのポリエチレングリコール400、
約10~約20%w/wのグリセリン、
約0.1~約3%w/wのプロピレングリコール、
約0.01~約3%w/wの塩酸(約20%)、
約0.1~約3%w/wのカルボマー940、
約0.1~約2%w/wのトロラミン、
約1~約5%w/wのジメチコン、
約1~約5%w/wのステアリン酸、
約0.5~約4%w/wのポリソルベート80、
約0.1~約3%w/wのモノオレイン酸ソルビタン、及び
約40~約60%w/wの水
を含む、局所医薬製剤。
【請求項21】
ウラシルの濃度が約0.3%w/wであり、ジメチルイソソルビドの濃度が約5.0%w/wである、請求項20に記載の局所医薬製剤。
【請求項22】
約0.3%w/wのウラシル、
約5.0%w/wのジメチルイソソルビド、
約0.9~約1.1 w/wのアンモニア溶液(約29%)、
約0.4~約0.6%w/wのメチルパラベン、
約0.04~約0.06%w/wのプロピルパラベン、
約14~約16%w/wのポリエチレングリコール400、
約13~約15%w/wのグリセリン、
約1~約2%w/wのプロピレングリコール、
約0.01~約0.1%w/wの塩酸(約20%)、
約1~約2%w/wのカルボマー940、
約0.4~約0.6%w/wのトロラミン、
約3~約4%w/wのジメチコン、
約2~約3%w/wのステアリン酸、
約1~約2%w/wのポリソルベート80、
約0.9~約2%w/wのモノオレイン酸ソルビタン、及び
約50~約60%w/wの水
を含む、局所医薬製剤。
【請求項23】
メチルメタクリレートポリマーを含まない、請求項1~14及び19のいずれか一項に記載の局所医薬製剤。
【請求項24】
約0.08~約1.0グラムの請求項1~23のいずれか一項に記載の局所医薬製剤を哺乳動物に適用するステップを含む、投与方法。
【請求項25】
約0.1~約0.5グラムの請求項1~23のいずれか一項に記載の局所医薬製剤を哺乳動物に適用するステップを含む、投与方法。
【請求項26】
哺乳動物がヒトであり、製剤がヒトの手掌に適用される、請求項25に記載の投与方法。
【請求項27】
哺乳動物がヒトであり、製剤がヒトの足裏に適用される、請求項25に記載の投与方法。
【請求項28】
適用される製剤の量が約0.3~約0.4グラム、又は約0.5~約0.7グラムである、請求項25に記載の投与方法。
【請求項29】
それを必要とする哺乳動物において5-フルオロウラシル又はそのプロドラッグの投与に関連する皮膚病を処置又は予防する方法であって、それを必要とする哺乳動物に請求項1~23のいずれか一項に記載の製剤を局所投与するステップによる方法。
【請求項30】
哺乳動物がヒトであり、製剤がヒトの手掌に適用される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
哺乳動物がヒトであり、製剤がヒトの足裏に適用される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
適用される製剤の量が約0.3~約0.4グラム、又は約0.5~約0.7グラムである、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
全身化学療法に関連する手足症候群(HFS)を予防する方法であって、HFSを引き起こしうる全身化学療法を受けている、それを必要とするヒトの手掌及び/又は足裏に、請求項1~23のいずれか一項に記載の製剤を投与するステップを含む方法。
【請求項34】
前記ヒトがカペシタビンによる全身処置を受けている、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ヒトがカペシタビン治療を受けている間に、前記投与ステップが1日2回行われる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
カペシタビン投与の約5~約30分前に前記投与ステップが最初に行われる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ヒトが5-フルオロウラシルによる全身処置を受けている、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
それを必要とする哺乳動物において、5-フルオロウラシル又はそのプロドラッグの投与に関連する皮膚病の処置又は予防に使用するための、請求項1~23のいずれか一項に記載の局所医薬製剤。
【請求項39】
哺乳動物がヒトであり、製剤がヒトの手掌又は足裏に適用される、請求項38に記載の局所医薬製剤。
【請求項40】
適用される製剤の量が約0.1~約0.5グラムである、請求項39に記載の局所医薬製剤。
【請求項41】
適用される製剤の量が約0.3~約0.4グラム、又は約0.5~約0.7グラムである、請求項39に記載の局所医薬製剤。
【請求項42】
それを必要とする哺乳動物において、全身化学療法に関連する手足症候群(HFS)の予防に使用するための、請求項1~23のいずれか一項に記載の局所医薬製剤。
【請求項43】
哺乳動物がヒトであり、製剤がヒトの手掌又は足裏に適用される、請求項42に記載の局所医薬製剤。
【請求項44】
適用される製剤の量が約0.1~約0.5グラムである、請求項43に記載の局所医薬製剤。
【請求項45】
適用される製剤の量が約0.3~約0.4グラム、又は約0.5~約0.7グラムである、請求項43に記載の局所医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウラシル皮膚医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]カペシタビンは、当初はゼローダ(XELODA)(Roche)という商標が付けられたものであり、化学療法剤5-フルオロウラシル(5-FU)の広く処方されている経口で利用可能なプロドラッグである。カペシタビンは、米国、カナダ、及び世界において、転移性乳癌(mBC)、アジュバント大腸癌、及び転移性結腸直腸癌を適応症としている。また、特に胃癌及び食道癌の患者を処置するためにも一般的に「適応外」使用されている。
【0003】
[0002]カペシタビンは、消化管から無変化で吸収され、3つの酵素的段階において5-FUに代謝される。チミジンホスホリラーゼ(TP)は、特定の腫瘍において高濃度で見られるものであり、RNA合成の妨害及びチミジル酸合成酵素の阻害を通じて抗癌活性を実現する活性代謝産物への5-FUの活性化における第3の代謝段階を選択的に触媒する。
【0004】
[0003]カペシタビンに関連する主要な毒性は、手掌足裏発赤知覚不全としても知られている手足症候群(HFS)であり、カペシタビンを受け取っている患者の60~70%において発生する。この有害作用によって、カペシタビンが投与可能な用量及び/又は期間の長さが限定され、これにより患者がカペシタビンの最適な用量又は投与スケジュールを受けることが妨げられる。HFSの発生率、発症までの時間、及び重症度は、カペシタビン処置の用量及び期間の両方に関連している。処置期間が増加するに従い、HFSの重症度は、紅斑及び浮腫などの無痛皮膚変化(グレード1[NCI有害事象(AE)共通用語規準のHFSに関するグレード分類スケール])から、日常生活に影響する有痛変化(グレード2)、皮膚剥離、水疱形成、出血などの重度の変化(グレード3)、及び強力な鎮痛剤を必要とする疼痛まで特徴的に進行する。ゼローダ処方情報(2015年3月)によれば、患者の17~24%においてグレード3以上のHFSが発生している。カペシタビン誘発HFSの薬理学的根拠はまだ完全には解明されていないが、手及び足の手掌及び足裏での基底細胞増殖率の増加と、角化細胞TPレベルの上昇との組み合わせが、主因機序であると考えられる。
【0005】
[0004]現在、HFSの処置又は予防について承認された治療薬は存在しない。最も有効な治療戦略はカペシタビン処置の中断又は中止を必要とする。通常、カペシタビン投与スケジュールの変更はグレード2 HFSの発生時に実行されており、処置中断又は用量減少の長期化がカペシタビンの承認適応症における有効性を減少させ得るというエビデンスが存在する。
【発明の概要】
【0006】
[0005]本発明は、ウラシル及び浸透促進剤を含む、医薬製剤に関する。この皮膚製剤を局所適用することで、ウラシルを皮膚に送達し、それによりHFSの発症及び/又は進行を有意に遅延させることができる。
【0007】
[0006]一部の実施形態では、局所医薬製剤は約0.05~約0.8%w/wのウラシル、約2.0~約8%w/wの浸透促進剤、約0.01~約4%w/wのアルカリ化剤、約0.01約5%w/wの抗菌防腐剤、約10~約20%w/wのポリエチレングリコール、約10~約20%w/wのグリセリン、約0.1~約3%w/wのプロピレングリコール、約0.01~約3%w/wの酸性化剤、約0.1~約3%w/wのカルボマー、約1~約5%w/wの油性内相媒体、約1~約5%w/wのイオン性乳化剤、約0.1~約7%w/wの非イオン性乳化剤、及び約40~約70%w/wの水を含む。
【0008】
[0007]本発明はまた、約0.08~約1.0グラムの上記局所医薬製剤を哺乳動物に適用するステップを含む、投与方法に関する。本方法の他の実施形態では、約0.1~約0.5グラムの局所医薬製剤が哺乳動物に適用される。
【0009】
[0008]さらに、本発明は、必要とする哺乳動物において5-フルオロウラシル又はそのプロドラッグの投与に関連する皮膚病を処置又は予防する方法であって、必要とする哺乳動物に上記製剤を局所投与するステップによる方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書において提供されるウラシル製剤(UTC、表3の組成物7である)のスキル細胞に対する保護機序を示す。図1Aは、皮膚細胞中で、5-フルオロウラシル(5-FU)が、HFSを引き起こす毒性代謝産物に酵素的に変換されることを示す。図1Bは、手掌及び足裏に適用された組成物7が、皮膚中のウラシル濃度の局所的な大過剰を生じさせることを示す。ウラシルは、5-FUを異化する酵素の天然基質であり、局所での皮膚毒性の形成を防止し、毒性種を皮膚細胞から拡散させ、HFSの可能性を低下させる。
図2】実施例2において処置群(ウラシルクリーム-組成物2)及びプラセボ群(PTC、表1の組成物1である)の各患者について観察された最高グレードのHFSを示す。
図3】実施例2の各試験群でのランダム化からのグレード2以上のHFSを有さない患者の割合のカプランマイヤープロットを示す。
図4】5-FU及びウラシルの存在下で培養されたヒト表皮角化細胞(HPEK)の生存率を示す。5-FUに対して保護されたウラシルの存在によって、培養HPEK細胞中で細胞死が誘導された。
図5】増加する濃度のジメチルイソソルビド(DMI)を有するウラシル局所製剤に関するフランツ拡散実験の結果のプロットを示す。ウラシル0.3%及びDMI 5%を含む製剤は、DMI 15%を含む製剤との比較であっても、試験したすべての他の製剤を性能で上回った。レシーバ区画から12時間の時点で回収された透過ウラシルの総量は、すべての製剤を比較した場合にほぼ同一であった。浸透促進剤を有するウラシル製剤(UTC、表3の組成物7である)は、浸透促進剤を有さないウラシル製剤(1UO、表1の組成物2である)を性能で上回り、送達されたウラシルは1UO製剤に比べて6.5倍増加した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0014]本開示は、ウラシル及び浸透促進剤を含む、医薬製剤に関する。この皮膚製剤を局所適用することで、ウラシルを皮膚に送達し、それにより、5-フルオロウラシル又はその前駆体若しくはプロドラッグ、例えばカペシタビン、或いは他の化学療法剤による全身処置で生じうる、HFS、すなわち手及び足の皮膚の有痛性の発赤及びひび割れの発症及び/又は進行を有意に遅延させることができる。
【0012】
[0015]ウラシルは、天然代謝産物であり、手足症候群(HFS)の一因である毒性代謝産物にカペシタビンを異化する酵素に対する競合的な基質である。HFSの重症度とカペシタビン処置に対する応答率とが正の相関関係にあることが実証されており、このことは、薬物曝露が増加するほど治療成績が改善されうることを示唆している。例えばChuaら、Proceedings of ASCO 22(2003);Chuaら、Jpn J Clin Oncol 38:244-249(2008);Kurtら、Acta Oncol 45:625-626(2006);Yunら、J Korean Soc Coloproctol 26:287-292(2010);Zielinskiら、British Journal of Cancer 114:163-170(2016);及びClarkら、Support Cancer Ther 1:213-218(2004)を参照。
【0013】
[0016]有利なことに、本開示の医薬製剤は、HFSの発生を減少させ、審美的特性の向上を示し、また、皮膚を通じて体循環に透過するウラシルの量を増加させることなく、より多くの量(例えば他の製剤の6.5倍)のウラシルを皮膚中に、すなわちウラシルの作用部位中に送達する。
【0014】
[0017]したがって、本製剤の投与によって、カペシタビンの化学療法効果を妨げることなく、十分な用量のカペシタビン治療薬(又は他の化学療法剤)をさらに長期間投与し、したがってカペシタビン処置に対する治療応答を向上させることができる。これにより、ウラシル製剤は患者の生活の質、応答率、無進行生存期間、及び全生存期間を改善することができる。
【0015】
[0018]本製剤のさらなる利点は、再現可能な製品仕様、分析プロファイル、及び安定性で大規模な(例えばバッチサイズ75kg)製造が可能であることである。
【0016】
[0019]一部の実施形態では、本開示は、約0.05~約0.8%w/wのウラシル、約2~約8%w/wの浸透促進剤、約0.01~約4%w/wのアルカリ化剤、約0~約5%w/wの抗菌防腐剤、約10~約40%w/wのポリエチレングリコール400、グリセリン、プロピレングリコール、及びその混合物からなる群から選択される溶媒、約0.01~約3%w/wの酸性化剤、約0.1~約3%w/wのカルボマー、ポリカルボフィル、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒプロメロース、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ペクチン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、デキストリン、コポビドン、セラトニア、カラギーナン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、及びアルギン酸カリウム、並びにその混合物からなる群から選択されるゲル形成剤、約1~約5%w/wの油性内相媒体、約0~約5%w/wのイオン性乳化剤、約0~約7%w/wの非イオン性乳化剤、並びに約40~約70%w/wの水を含む、局所医薬製剤を提供する。
【0017】
[0020]他の実施形態では、本開示は、約0.05~約0.5%w/wのウラシル、約3~約6%w/wの浸透促進剤、約0.01~約4%w/wのアルカリ化剤、約0.01~約5%w/wの抗菌防腐剤、約10~約20%w/wのポリエチレングリコール、約10~約20%w/wのグリセリン、約0.1~約3%w/wのプロピレングリコール、約0.1~約3%w/wの酸性化剤、約0.1~約3%w/wのカルボマー、約1~約5%w/wの油性内相媒体、約1~約5%w/wのイオン性乳化剤、約0.1~約7%w/wの非イオン性乳化剤、及び約40~約70%w/wの水を含む、局所医薬製剤を提供する。
【0018】
[0021]さらに他の実施形態では、本開示は、約0.05~約0.6%w/wのウラシル、約3.0~約10%w/wのジメチルイソソルビド、約0.1~約2%w/wのアンモニア溶液(約29%)、約0~約2%w/wのメチルパラベン、約0~約2%w/wのプロピルパラベン、約10~約20%w/wのポリエチレングリコール、約10~約20%w/wのグリセリン、約0~約3%w/wのプロピレングリコール、約0~約3%w/wの塩酸(約20%)、約0.1~約5%w/wのカルボマー、約0.1~約2%w/wのトロラミン、約1~約5%w/wのジメチコン、約1~約5%w/wのステアリン酸、約0~約4%w/wのポリソルベート、約0~約3%w/wのモノオレイン酸ソルビタン、及び約40~約80%w/wの水を含む、局所医薬製剤を提供する。
【0019】
[0022]一部の実施形態では、本開示は、約0.05~約0.6%w/wのウラシル、約3.0~約10%w/wのジメチルイソソルビド、約0.1~約2%w/wのアンモニア溶液(約29%)、約0~約2%w/wのメチルパラベン、約0~約2%w/wのプロピルパラベン、約10~約20%w/wのポリエチレングリコール、約10~約20%w/wのグリセリン、約0~約3%w/wのプロピレングリコール、約0~約3%w/wの塩酸(約20%)、約0.1~約5%w/wのカルボマー、約0.1~約2%w/wのトロラミン、約1~約5%w/wのジメチコン、約1~約7%w/wの非イオン性乳化剤、約0~約5%w/wのイオン性乳化剤、及び約40~約80%w/wの水を含む、局所医薬製剤を提供する。
【0020】
[0023]他の実施形態では、本開示は、約0.05~約0.6%w/wのウラシル、約3.0~約10%w/wのジメチルイソソルビド、約0.1~約4%w/wのアルカリ化剤、約0.1~約2%w/wのメチルパラベン、約0.01~約1%w/wのプロピルパラベン、約10~約40%w/wのポリエチレングリコール400、グリセリン、プロピレングリコール、及びその混合物からなる群から選択される溶媒、約0.01~約3%w/wの酸性化剤、約0.1~約3%w/wのカルボマー940、約1~約5%w/wのジメチコン、約1~約5%w/wのステアリン酸、約0.5~約4%w/wのポリソルベート80、約0.1~約3%w/wのモノオレイン酸ソルビタン、並びに約40~約60%w/wの水を含む、局所医薬製剤を提供する。
【0021】
[0024]他の実施形態では、本開示は、約0.05~約0.5%w/wのウラシル、約3.0~約8%w/wのジメチルイソソルビド、約0.1~約2%w/wのアンモニア溶液(約29%)、約0.1~約2%w/wのメチルパラベン、約0.01~約1%w/wのプロピルパラベン、約10~約20%w/wのポリエチレングリコール400、約10~約20%w/wのグリセリン、約0.1~約3%w/wのプロピレングリコール、約0.01~約3%w/wの塩酸(約20%)、約0.1~約3%w/wのカルボマー940、約0.1~約2%w/wのトロラミン、約1~約5%w/wのジメチコン、約1~約5%w/wのステアリン酸、約0.5~約4%w/wのポリソルベート80、約0.1~約3%w/wのモノオレイン酸ソルビタン、及び約40~約60%w/wの水を含む、局所医薬製剤を提供する。
【0022】
[0025]他の実施形態では、本開示は、約0.3%w/wのウラシル、約5.0%w/wのジメチルイソソルビド、約0.9~約1.1 w/wのアンモニア溶液(約29%)、約0.4~約0.6%w/wのメチルパラベン、約0.04~約0.06%w/wのプロピルパラベン、約14~約16%w/wのポリエチレングリコール400、約13~約15%w/wのグリセリン、約1~約2%w/wのプロピレングリコール、約0.01~約0.1%w/wの塩酸(約20%)、約1~約2%w/wのカルボマー940、約0.4~約0.6%w/wのトロラミン、約3~約4%w/wのジメチコン、約2~約3%w/wのステアリン酸、約1~約2%w/wのポリソルベート80、約0.9~約2%w/wのモノオレイン酸ソルビタン、及び約50~約60%w/wの水を含む、局所医薬製剤を提供する。
【0023】
[0026]一部の実施形態では、本製剤は約0.07~約0.4%w/w、約0.08~約0.4%、約0.09~約0.38%、約0.09~約0.35%、約0.1~約0.3%、又は約0.1~約0.6%のウラシルを含む。
【0024】
[0027]一部の実施形態では、本製剤は約10~約60%w/w、約15~約60%、又は約20~約50%の溶媒を含む。
【0025】
[0028]一部の実施形態では、本製剤は約1.0~約20%、約2~約15%、約3~約10%、約3.5~約6%、又は約4~約5.5%、又は約4%若しくは約5%w/wの浸透促進剤を含む。
【0026】
[0029]一部の実施形態では、本製剤は約0.1~約4%、約0.5~約3%、又は約0.9~約2%w/wのアルカリ化剤を含む。
【0027】
[0030]一部の実施形態では、本製剤は約0.01~約5%、約0.1~約2%、約0.2~約1.5%、約0.4~約1%、又は約0.4~約0.8%w/wの抗菌防腐剤を含む。
【0028】
[0031]一部の実施形態では、本製剤は約0.01~約5%、約0.01~約5%、又は約0.05~約4%w/wの酸性化剤を含む。
【0029】
[0032]一部の実施形態では、本製剤は約0.1~約5%、約0.9~約4%、又は約1~約2%w/wのゲル形成剤を含む。
【0030】
[0033]一部の実施形態では、本製剤は約1~約10%、約1~約3%、又は約3~約4%w/wの油性内相媒体を含む。
【0031】
[0034]一部の実施形態では、本製剤は約0.5~約10%、約1~約5%、約1~約4%、又は約2~約4%w/wのイオン性乳化剤を含む。
【0032】
[0035]一部の実施形態では、本製剤は約0.1~約10%、約0.5~約5%、又は約0.9~約2%w/wの非イオン性乳化剤を含む。
【0033】
[0036]一部の実施形態では、本製剤は約0.5~約20%、約1~約15%、約1~約10%、約3.0~約6%、約3.5~約5.5%、又は約4~約5.5%w/wのジメチルイソソルビド、約0.1~約4%、約0.5~約3%、又は約0.9~約1.1 w/wのアンモニア溶液(約29%)、約0.1~約2%w/w、約0.3~約1%、又は約0.4~約0.6%w/wのメチルパラベン、約0.01~約2%w/w、約0.03~約1%、又は約0.04~約0.06%w/wのプロピルパラベン、約5~約20%、約10~約18%、又は約12~約16%w/wのポリエチレングリコール400、約5~約20%、約10~約18%、又は約12~約15%w/wのグリセリン、約0.1~約5%、約0.5~約3%、又は約1~2%w/wのプロピレングリコール、約0.02~約3%、約0.03~約2%、約0.03~約1%、又は約0.04~約0.06%w/wの塩酸(約20%)、約0.1~約5%、約0.9~約4%、又は約1~約2%w/wのカルボマー940、約1~約5%、約2~約4%、又は約3~約4%w/wのジメチコン、約0.1~約2%、約0.3~約1%、又は約0.4~約0.8%w/wのトロラミン、約1~約5%、約1~約4%、又は約2~約4%w/wのステアリン酸、約1~約5%、約1~約4%、約1~約3%w/w、又は約1~約2%w/wのポリソルベート80、約0.1~約7%、約0.5~約5%、又は約0.9~約2%w/wのモノオレイン酸ソルビタン、及び約40~約70%、約45~約65%、約50~約60%、又は約50~約56%w/wの水を含む。
【0034】
[0037]一部の実施形態では、浸透促進剤はジメチルイソソルビド(グランソルブ(Gransolve)DMI)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクチルドデカノール、オレイン酸、オレイルアルコール、ポリオキシルグリセリド、ピロリドン、チモール、トリカプリリン、トリオレイン、ミリスチン酸、中鎖トリグリセリド、リノール酸、ラウリン酸、グリコフロール、モノオレイン酸グリセリル、オレイン酸エチル、ジメチルスルホキシド、セバチン酸ジブチル、及びその混合物からなる群から選択される。
【0035】
[0038]一部の実施形態では、アルカリ化剤はアンモニア溶液、トロラミン、トロメタミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、メグルミン、及びその混合物からなる群から選択される。
【0036】
[0039]一部の実施形態では、抗菌防腐剤はメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、安息香酸、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、ソルビン酸、乳酸ナトリウム、乳酸、チモール、キシリトール、イミド尿素、ヘキセチジン、EDTA、クレゾール、クロロキシレノール、クロロクレゾール、クロロブタノール、クロルヘキシジン、セトリミド、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、ブチレングリコール、ブロノポール、ホウ酸、ベンジルアルコール、及びその混合物からなる群から選択される。
【0037】
[0040]一部の実施形態では、酸性化剤は塩酸、硫酸、酢酸、硝酸、クエン酸、プロピオン酸、アジピン酸、乳酸、リン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、及びその混合物からなる群から選択される。
【0038】
[0041]一部の実施形態では、油性内相媒体はジメチコン、様々なグレードの植物油、ミネラルオイル、パルミチン酸イソプロピル、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ワセリン、シメチコン、トリカプリリン、トリオレイン、ミリスチルアルコール、中鎖トリグリセリド、モノオレイン酸グリセリル、オレイン酸エチル、セバチン酸ジブチル、シクロメチコン、及びその混合物からなる群から選択される。
【0039】
[0042]一部の実施形態では、イオン性乳化剤はステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、アニオン性乳化ろう、ミリスチン酸、リノール酸、レシチン、ラウリン酸、ドクサートナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、及びその混合物からなる群から選択される。
【0040】
[0043]一部の実施形態では、非イオン性乳化剤はモノオレイン酸ソルビタン;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリソルベート;ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体;ステアリン酸ポリオキシエチレン;ポリオキシルグリセリド;ソルビタンラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、トリオレイン酸エステル、セスキオレイン酸エステル、ジオレイン酸エステル、セスキイソステアリン酸エステル、セスキステアリン酸エステル、トリイソステアリン酸エステル、トリステアリン酸エステル、ジイソステアリン酸エステル、又はモノイソステアリン酸エステル;非イオン性乳化ろう;ミリスチルアルコール;中鎖トリグリセリド;ヒドロキシステアリン酸マクロゴール15;モノオレイン酸グリセリル;コレステロール;セチルアルコール;セトステアリルアルコール;モノグリセリド;ジグリセリド;トリトン(triton)X-100;及びその混合物からなる群から選択される。
【0041】
[0044]一部の実施形態では、浸透促進剤はジメチルイソソルビドであり、ウラシル対ジメチルイソソルビドのw/w濃度の比は約0.3~5である。一部の実施形態では、ウラシルの濃度は約0.3%w/wであり、ジメチルイソソルビドの濃度は約5.0%w/wである。
【0042】
[0045]一部の実施形態では、IVTPを使用して測定される本製剤からのウラシルの透過量は約150.6ng/cm未満である。一部の実施形態では、IVTPを使用して測定される本製剤からのウラシルの透過量は約160.0、約145.0、約140.0、又は約135.0ng/cm未満である。
【0043】
[0046]一部の実施形態では、局所医薬製剤はメチルメタクリレートポリマーを含まない。
【0044】
[0047]他の実施形態では、本製剤は乳剤であり、本製剤の粘度は約100,000~約400,000cps、又は約250,000~約320,000cpsである。粘度は、例えばT-Fスピンドル付きのBrookfield LVDV II+粘度計(Brookfield Engineerng Labs,Inc.)によって、ヘリパスをオンにして2rpmで1分間測定することができる。
【0045】
[0048]本明細書において使用される有効成分とは、意図する作用部位において所望の薬理学的効果を実現する、製剤の成分のことである。製剤中で使用可能な有効成分としてはウラシルがある。
【0046】
[0049]本明細書において使用される溶媒とは、製剤の1種又は複数の他の成分を溶解させるか又は溶解させることに役立つ、製剤の成分のことである。製剤中で使用可能な1種の溶媒は水である。製剤は、水以外にも下記の1種又は複数の溶媒を含みうる:プロピレングリコール、グリセリン、様々なグレードのポリエチレングリコール(例えば200、300、400、540、600、900、1000、1450、1540、2000、3000、3350、4000、4600、8000)、ポリエチレンオキシド、ポロキサマー、炭酸プロピレン、ピロリドン、ソルビトール、キシリトール、グリコフロール。
【0047】
[0050]本明細書において使用される浸透促進剤とは、有効成分が皮膚を浸透可能な速度を増加させるために皮膚の通常のバリア性に干渉する、製剤の成分のことである。浸透量とは、薬物の局所適用後の特定の時点で皮膚(すなわち作用部位)に送達及び保持される、薬物の量のことである。透過量とは、皮膚を通過して、体循環に流入し(ウラシルレベルが化学療法に干渉しないようにするには、ウラシルレベルの全身的増加は望ましくない)、実施例5に記載のようにインビトロ透過試験(IVPT)においてはレシーバ液に流入する、薬物の量のことである。好ましくは、本発明の局所製剤からのウラシルの透過量は12時間にわたって150.6ng/cm未満である。
【0048】
[0051]製剤は1種又は複数の浸透促進剤、例えばジメチルイソソルビド(グランソルブDMI)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクチルドデカノール、オレイン酸、オレイルアルコール、ポリオキシルグリセリド、ピロリドン、チモール、トリカプリリン、トリオレイン、ミリスチン酸、中鎖トリグリセリド、リノール酸、ラウリン酸、グリコフロール、モノオレイン酸グリセリル、オレイン酸エチル、ジメチルスルホキシド、及びセバチン酸ジブチルを含むことが好ましい。
【0049】
[0052]本明細書において使用されるアルカリ化剤とは、当該成分が導入される混合物のpHを増加させる、製剤の成分のことである。製剤は2種のアルカリ化剤を含むことが好ましい。製剤は1種又は複数のアルカリ化剤、例えばアンモニア溶液、トロラミン、トロメタミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びメグルミンを含むことが好ましい。
【0050】
[0053]本明細書において使用される抗菌防腐剤とは、単独で、又は他の成分との組み合わせで、細菌、真菌、及び/若しくは酵母などの微生物を死滅させること、又はその増殖を阻害することに役立つ、製剤の成分のことである。製剤は1種又は複数の抗菌防腐剤、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、安息香酸、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、ソルビン酸、乳酸ナトリウム、乳酸、チモール、キシリトール、イミド尿素、ヘキセチジン、EDTA、クレゾール、クロロキシレノール、クロロクレゾール、クロロブタノール、クロルヘキシジン、セトリミド、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、ブチレングリコール、ブロノポール、ホウ酸、及びベンジルアルコールを含むことが好ましい。
【0051】
[0054]本明細書において使用される酸性化剤とは、当該成分が導入される混合物のpHを減少させる、製剤の成分のことである。製剤は1種又は複数の酸性化剤、例えば塩酸、硫酸、酢酸、硝酸、クエン酸、プロピオン酸、アジピン酸、乳酸、リン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、塩化カルシウム、及び塩化アンモニウムを含むことが好ましい。
【0052】
[0055]本明細書において使用されるゲル形成剤とは、好適な溶媒に溶解/分散されると粘性ゲルを形成する、製剤の成分のことである。製剤は1種又は複数のゲル形成剤、例えばカルボマー(例えばカルボマー940、又は他のグレードのカルボマー、例えば934、934P、941、1342)共重合体、ホモポリマー、インターポリマー)、ポリカルボフィル、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒプロメロース、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ペクチン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、デキストリン、コポビドン、セラトニア、カラギーナン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、及びアルギン酸カリウムを含むことが好ましい。
【0053】
[0056]本明細書において使用される油性内相(エマルジョンの)媒体とは、単独で、又は他の成分との組み合わせで、水中油型エマルジョンの内相(不連続相)を構成する、製剤の疎水性成分のことである。製剤は1種又は複数の油性内相(エマルジョンの)媒体、例えばジメチコン、様々なグレードの植物油、ミネラルオイル、パルミチン酸イソプロピル、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ワセリン、シメチコン、トリカプリリン、トリオレイン、ミリスチルアルコール、中鎖トリグリセリド、モノオレイン酸グリセリル、オレイン酸エチル、セバチン酸ジブチル、及びシクロメチコンを含むことが好ましい。
【0054】
[0057]本明細書において使用されるイオン性乳化剤とは、(1)当該成分が使用される混合物のpHにおいて実質的にイオン化される少なくとも1個の官能基を含み、(2)乳剤を形成すること、及び/又はエマルジョンの製剤を安定化することに役立つ、製剤の成分のことである。製剤は1種又は複数のイオン性乳化剤、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、アニオン性乳化ろう、ミリスチン酸、リノール酸、レシチン、ラウリン酸、ドクサートナトリウム、及びモノステアリン酸アルミニウムを含むことが好ましい。
【0055】
[0058]本明細書において使用される非イオン性乳化剤とは、(1)当該成分が使用される混合物のpHにおいて実質的にイオン化される官能基を含まず、(2)エマルジョンを形成すること、及び/又はエマルジョンの製剤を安定化することに役立つ、製剤の成分のことである。製剤は1種又は複数の非イオン性乳化剤、例えばモノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、様々なポリソルベートのグレード(20、21、40、60、61、65、80、81、85、及び120)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリオキシルグリセリド、他のソルビタンエステル(ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、トリオレイン酸エステル、セスキオレイン酸エステル、ジオレイン酸エステル、セスキイソステアリン酸エステル、セスキステアリン酸エステル、トリイソステアリン酸エステル、トリステアリン酸エステル、ジイソステアリン酸エステル、モノイソステアリン酸エステル)、非イオン性乳化ろう、ミリスチルアルコール、中鎖トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸マクロゴール15、モノオレイン酸グリセリル、コレステロール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、モノグリセリド及びジグリセリド、並びにトリトンX-100を含むことが好ましい。
【0056】
[0059]製剤中の非有効成分は製剤中で2つ以上の機能を果たすことができる。
【0057】
[0060]溶媒(特に水)は希釈液としても役割を果たすことができ、このことは、溶媒が製剤中の他の成分の濃度を減少させることを意味している。溶媒は湿潤剤としても役割を果たすことができる。湿潤剤とは、皮膚に適用される際に、皮膚の水和レベルを増加させるように皮膚の外層に水分を保持させる、製剤の成分のことである。いくつかの溶媒は安定剤としても役割を果たすことができ、このことは、溶媒がエマルジョン中での相分離を防止することに役立つことを意味している。いくつかの溶媒又は油性内相媒体は潤滑剤としても役割を果たすことができ、このことは、皮膚に適用されるとき、溶媒が滑り感を付与することを意味している。いくつかの溶媒はコーティング剤としても役割を果たすことができ、このことは、製剤が皮膚の表面にわたって均一に展延することに溶媒が役立つことを意味している。いくつかの溶媒は皮膚軟化剤としても役割を果たすことができ、このことは、溶媒が皮膚を軟化することを意味している。
【0058】
[0061]1種又は複数のアルカリ化剤は可溶化剤としても役割を果たすことができ、このことは、アルカリ化剤が接触している溶媒に製剤中の別の成分が溶解する速度及び/又は程度を、アルカリ化剤が増加させることを意味している。アルカリ化剤は緩衝剤としても役割を果たすことができ、このことは、少量の酸又は塩基が加えられると、アルカリ化剤によって混合物がpHの変化に耐えるようになることを意味している。
【0059】
[0062]ゲル形成剤及びいくつかの溶媒は増粘剤としても役割を果たすことができ、このことは、単独で、又は別の成分との組み合わせで、それが導入された混合物の粘度をそれが増加させることを意味している。
【0060】
[0063]いくつかの油性内相媒体は消泡剤としても役割を果たすことができ、このことは、気泡を製剤が消散させること及び/又は気泡の形成を製剤が防止することに油性内相媒体が役立つことを意味している。
【0061】
[0064]いくつかのイオン性乳化剤は剛化剤としても役割を果たすことができ、このことは、イオン性乳化剤が特にエマルジョンの粘度を増加させることを意味している。
【0062】
[0065]一部の実施形態では、本開示は、約0.08~約1.0グラムの局所医薬製剤を哺乳動物に適用するステップを含む、投与方法を提供する。本方法の他の実施形態では、約0.1~約0.5グラムの局所医薬製剤が哺乳動物に適用される。
【0063】
[0066]一部の実施形態では、本開示は、必要とする哺乳動物において5-フルオロウラシル又はそのプロドラッグの投与に関連する皮膚病を、必要とする哺乳動物に上記局所医薬製剤を局所投与するステップにより処置又は予防する方法を提供する。
【0064】
[0067]一部の実施形態では、哺乳動物はヒトであり、製剤はヒトの手掌に適用される。一部の実施形態では、哺乳動物はヒトであり、製剤はヒトの足裏に適用される。
【0065】
[0068]一部の実施形態では、適用される製剤の量は約0.333グラム~約0.666グラムである。一部の実施形態では、適用される製剤の量は約0.1~約0.7グラム、約0.3~約0.4グラム、又は約0.5~約0.7グラムである。
【0066】
[0069]一部の実施形態では、本開示は、化学療法に関連する手足症候群(HFS)を予防する方法であって、5-フルオロピリミジン、例えば5-フルオロウラシル、又はその前駆体若しくはプロドラッグ、例えばカペシタビンによる全身処置を受けている、必要とする哺乳動物の手掌及び/又は足裏に、前記製剤を投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、哺乳動物は全身カペシタビンを受け取っている。一部の実施形態では、哺乳動物は5-フルオロウラシルを受け取っている。一部の実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0067】
[0070]一部の実施形態では、前記哺乳動物がカペシタビン治療を受けている期間に投与ステップが1日2回行われる。一部の実施形態では、カペシタビン投与の約5約30分前に投与が最初に行われる。一部の実施形態では、カペシタビン投与の約15分前に投与が最初に行われる。処置はカペシタビン投与の少なくとも約15分前に開始することが好ましいが、処置はこれよりも早く開始してもよく、処置はカペシタビンの使用中終始継続する。
【0068】
[0071]一部の実施形態では、両手掌又は両足裏当たり約3分の1グラムの製剤(ウラシル約1mgを含む)が投与される。一部の実施形態では、両手掌又は両足裏当たり約0.8mg~約1.2mgのウラシルが投与される。
【0069】
[0072]製剤は両手掌及び両足裏に1サイクル当たり21日間、1日2回(BID)局所適用され、加えて、カペシタビン1000mg/m2が21日毎の1日目~14日目に1日2回経口(PO)投与される。
【0070】
[0073]哺乳動物が5-フルオロピリミジン、例えば5-フルオロウラシル、又はその前駆体若しくはプロドラッグ、例えばカペシタビンによる全身処置を受けている間、製剤は処置中断なしに連続的スケジュールで適用される。
【0071】
[0074]一部の実施形態では、本発明の製剤は、必要とする哺乳動物において5-フルオロウラシル又はそのプロドラッグの投与に関連する皮膚病を処置又は予防することにおける使用のための製剤である。他の実施形態では、本製剤は、必要とする哺乳動物において全身化学療法に関連する手足症候群(HFS)を予防することにおける使用のための製剤である。
【0072】
[0075]本製剤のこれらの使用の一部の実施形態では、哺乳動物はヒトであり、製剤はヒトの手掌又は足裏に適用される。一部の実施形態では、適用される製剤の量は約0.1~約0.5グラムである。他の実施形態では、適用される製剤の量は約0.3~約0.4グラム、又は約0.5~約0.7グラムである。
【0073】
[定義]
[0076]本明細書において使用される「a」又は「an」は、別途規定がない限り、1つ又は複数を意味する。本明細書において使用される、用語「comprising(含む)」との組み合わせで使用される用語「a」又は「an」は、別途規定がない限り、1つ、又は2つ以上を意味する。本明細書において使用される「別の」又は「さらなる」とは、少なくとも2番目以上のものを意味しうる。
【0074】
[0077]用語「約」は、数値又は範囲との組み合わせで使用される際に、記載される数値の上方及び下方に境界を広げることで当該の値又は範囲を修正する。一般に、本明細書において、用語「約」は、数値を、記載される値の上方及び下方に、当該の値に対して10パーセント上方又は下方(高値又は低値)の変動、すなわち±10%の変動で修正するように使用されるが、異なる変動(例えば±30%、±20%、±5%、±1%、±0.5%など)が示される場合はこの限りではない。
【0075】
[0078]本明細書において使用される「パーセント」又は「%」とは、別途規定が無い限り、重量(w/w)パーセントを意味する。
【0076】
[0079]特許請求の範囲における用語「又は」の使用は、代替選択肢のみを指すことが明確に示されていない限り、又は代替選択肢同士が相互に排他的でない限り、「及び/又は」を意味するように使用されるが、本開示は、代替選択肢のみと「及び/又は」との両方を指す定義を裏付けている。
【0077】
[0080]本明細書において使用される用語「comprising(含む)」(並びにcomprisingの任意の変形若しくは形態、例えば「comprise」及び「comprises」)、「having(有する)」(並びにhavingの任意の変形若しくは形態、例えば「have」及び「has」)、「including(含む)(並びにincludingの任意の変形若しくは形態、例えば「includes」及び「include」)、又は「containing(含む)」(並びにcontainingの任意の変形若しくは形態、例えば「contains」及び「contain」)は、包括的又は非限定的であり、さらなる未記載の要素又は方法ステップを排除しない。
【0078】
[0081]本開示又は特許請求の範囲の特徴又は態様がマーカッシュ群によって記載される場合、当業者は、本開示がマーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーの部分群によっても本明細書に記載されることを認識するであろう。
【0079】
[0082]さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、そのあらゆる可能な部分範囲及びその部分範囲の組み合わせも包含する。列挙される任意の範囲は、同範囲が少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、十等分などに分割されることを十分に記述し可能にするものと容易に認識されうる。非限定的な例として、本明細書において説明される各範囲を下3分の1、中3分の1、及び上3分の1などに容易に分割することができる。当業者がやはり理解するように、「最大」、「少なくとも」、「超」、「未満」などのすべての文言は、記載される数を含むものであり、上記で説明したように部分範囲に引き続き分割可能な範囲を指す。最後に、当業者が理解するように、範囲は個々の各メンバーを含む。例えば、1つ~3つのメンバーを有する群は、1つ、2つ、又は3つのメンバーを有する群を指す。同様に、1つ~5つのメンバーを有する群は、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのメンバーを有する群を指し、他も同様である。
【0080】
[0083]本明細書において使用されるメチルメタクリレートポリマーとは、ポリ(メタクリル酸メチルエステル)(PMMA)と呼ばれる、メチルメタクリレート(有機メチルエステル)の合成ポリマーを意味する。
【0081】
[0084]用語「例えば」及びその対応する略語「e.g.」(イタリック体であってもそうでなくても)の使用は、別途明確な記載がない限り、記載される特定の用語が、言及されるか又は引用される特定の例に限定されるように意図されていない本開示の代表的な例及び実施形態であることを意味する。
【0082】
[0085]本明細書において使用される「間の(between)」とは、範囲の両端を包含する範囲のことである。例えば、xとyとの間の数は、数x及びy、並びにx及びyの範囲内にある任意の数を明確に含む。
【0083】
[0086]特許、特許出願、論文、教科書など、及びそれらに引用されている参考文献を含む、本明細書に引用されているすべての参考文献は、それらがまだ組み込まれていない限りにおいて、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0084】
[0087]本開示を下記の実施例でさらに説明するが、実施例は単に例示として示されるものであり、本発明の範囲を限定するものではない。特定の改変及び等価物は当業者には明らかであろうし、本開示の範囲内に含まれるように意図されている。本開示は、下記の実施例を示すが、それに限定されない。
【0085】
[0088]
実施例1.製剤
[0089]下記表1に記載の4種のクリーム製剤を作製した。
【表1】
【0086】
[0090]上記表1に記載の各製剤を下記の手順によって調製した。
[0091]適切なサイズの補助容器中で、A相成分を組み合わせることでA相を調製した。ウラシルが完全に溶解するまで成分を混合した。混合物を50℃未満にわずかに昇温させて溶解を促進した。このとき、このA相補助容器は完成したA相を収容した。別の適切なサイズの補助容器(B相補助容器)中で、B相成分を組み合わせて50~60℃に加熱することでB相を調製した。パラベンの大部分が溶解するまで成分を混合した。A相をB相補助容器に移した。A相のアルカリ度がパラベン溶解を助けた。温度を50~60℃に維持しながら、すべての成分が溶解するまでA相及びB相を混合した。このとき、B相補助容器はA相成分とB相成分との組み合わせを収容した。別の適切なサイズの容器(主容器)中で、列挙された順序で成分を加えることでC相を調製した。カルボマー940を非常に素早い撹拌により分散させた。ゲル体が存在する場合、混合物を軽く均質化して均一性を実現し、次にトロラミンを加えた。トロラミンを加えた後、C相は非常に粘稠で透明になった。C相を50℃に加熱し、この温度を維持した。2つの別々の適切なサイズの補助容器中で、D相(補助容器D中)及びE相(補助容器E中)を調製した。D相及びE相をそれぞれ80℃に加熱した後、E相をD相に加えた。このとき、補助容器DはE相とD相との組み合わせを収容する。補助容器Dの内容物を混合しながら45~55℃に冷却した。補助容器Dの内容物を主容器中のC相に加えた。このとき、主容器はC相とD相とE相との組み合わせを収容する。
【0087】
[0092]主容器の内容物がなお温かい間に(約40~55℃)、補助容器BからA相及びB相を主容器に加えた。このとき、主容器はすべての相を収容する。内容物を均一になるまで混合した。滑らかな白色の真珠光沢クリームが形成された。
【0088】
[0093]
実施例2.ウラシル製剤の予備臨床試験
[0094]ウラシル、上記表1の組成物番号2の局所適用の有効性を評価するために、カペシタビンで処置中の18名の転移性乳癌患者においてランダム化二重盲検プラセボ対照第1相~第2相臨床試験を行った。9名の患者をプラセボ(PTO、表1の組成物1)に対してランダム化した。患者は、1日2回の各カペシタビン処置ごとに、製剤(組成物2(ウラシル)又は組成物1(プラセボ))を1日2回、両手の手掌及び両足の足裏に完全に擦り込むように指示された。カペシタビンを各21日サイクルの1日目~14日目に1日2回、承認された用量1250mg/mで経口投与した。腫瘍進行が記録されない限り、許容できない毒性が出現しない限り、又は同意が撤回されない限り、処置を最大6サイクル続けた。
【0089】
[0095]手足症候群(HFS)を含む有害事象(AE)を各投与サイクルの1日目及び15日目並びに試験の完了又は中断時に評価した。各患者において最高グレード(NCI CCTAEスケール)に従ってHFSの発生率を試験群の関数として記録した。
【0090】
[0096]各患者における最高グレードによるHFSの発生率の分布の結果を試験群の関数として図2に示す。
【表2】
【0091】
[0097]上記表2は、各試験群におけるグレード2以上のHFSに対するランダム化からの時間をまとめて示す。患者がグレード2以上のHFSを発生させなかった場合、最後の経過観察評価において無事象として患者を削除した。いずれかのグレードのHFSがウラシルクリーム(組成物2)群の5名の患者(55.5%)及びプラセボ群の7名の患者(77.8%)において観察された。HFS グレード2以上がウラシルクリーム群の4名の患者(44.4%)及びPTO群の7名の患者(77.8%)において観察された。ウラシルクリーム群の2名の患者(22.2%)及びPTO群の6名の患者(66.7%)では、グレード2以上のHFSで用量減少又は中断が必要であった。ゼローダ処方情報では、グレード2以上のHFSの発生時に、重度のグレード3 HFSの発症及び処置中断の長期化を回避するために、カペシタビン投与を中断するか又は減少させることが規定されている。重要なことに、ウラシルクリーム群の患者は、PTO群の患者に比べて、グレード2以上のHFSの発生までの時間が有意に長かった(処置群のハザード比(HR)=0.33、p=0.09)。
【0092】
[0098]図3は、各試験群でのランダム化からのグレード2以上のHFSを有さない患者の割合のカプランマイヤープロットを示す。試験患者の数が少なかったことから、カペシタビン関連HFSに対するウラシルクリームの予防効果の正確な定量化はできないが、試験結果は、臨床的に重要なグレードのHFSの発症をウラシルクリームが遅延させることを示している。各群の1名の患者は局所クリームに起因する1回のAEを経験し、治験薬に起因しうる重大有害事象(SAE)はなかった。各試験群の高い割合の患者がAEを示した。大部分のAEはカペシタビン及び/又は基礎疾患により引き起こされることがよく知られている。
【0093】
[0099]したがって、すべてのグレードのHFSの全発生率は処置群とプラセボ群とで同様であったが、より高いグレードのHFSを経験した割合は、ウラシルクリームで処置された患者よりもプラセボで処置された患者の方が高く、PTO群ではランダム化後に、より高いグレードのHFSがより早く発生した。HFSが、ウラシルグリーム群に比べてPTO群の方がカペシタビン用量減少及び処置中断の件数が多かったことの原因であった。ウラシルクリームは一般に非常によく忍容された。
【0094】
[00100]患者の手掌及び足裏にウラシルクリーム1gを適用した後に、患者血漿試料中のウラシルレベルを経時的に調査した。血漿中ウラシル濃度はベースライン平均値19.20ng/mLからゆっくりと増加した。平均濃度45.40ng/mLで2.5時間の時点でTmaxに到達した。本試験のCmax値を他の報告された経口ウラシル投与(500mg/m)と比較したところ(van Staverenら、Cancer Chemother Pharmacol 68:1611-1617(2011)を参照)、経口経路では本試験で見られたウラシル濃度よりも複数桁高いウラシル濃度が生じた(20mg/L対45.40ng/mL)。ベースラインウラシル濃度はBiら、J Chromatogr B Biomed Sci Appl 738:249-258(2000)で報告された報告値とほぼ同一であり、19.20ng/mL対19.06ng/mLであった。ウラシルクリームを56日間繰り返し適用したとき、ウラシル濃度は一定のままであった。このことは、試験された患者においてウラシルの蓄積がなかったことを示唆している。800~1250mg/mの範囲の用量で投与されたカペシタビンによって、mg/mL範囲のカペシタビン及びその代謝産物のCmax値が生じた(Reignerら、Clin Pharmacokinet 40:85-104(2001)を参照)。1UO適用により生じたウラシル濃度のあらゆる全身変動は、カペシタビンの全身活性に比べて無視できるものであった。
【0095】
[00101]
実施例3.培養ヒト角化細胞中での5-FUに対するウラシルの保護効果
[00102]初代ヒト表皮角化細胞(HPEK細胞)を10μM 5-FU、10μM 5-FU+100μMウラシル、又は10μM 5-FU+300μMウラシルの存在下、標準的培養条件で120時間培養し、120時間のインキュベーション後に細胞生存率を決定した。図4に示すように、ウラシル濃度の増加に伴い相対細胞生存率の増加が観察された。
【0096】
[00103]
実施例4.ウラシル局所クリーム製剤及び製造情報
[00104]実現可能性分析によれば、1UO製剤(表1の組成物2)が、有効ではあるが、完全には最適化されていないことがわかった。したがって、いくつかのさらなる製剤を調製した。製剤の最適化の試みでは、(1)体循環への透過の最小化を伴う皮膚へのウラシルの浸透の向上、並びに(2)展延性の改善、乾燥時間の短縮、及び患者に優しいレオロジー性の向上によって測定される審美特性の改善を示す製剤を開発することに重点が置かれた。最小限の摩擦による容易で均一な適用、並びに適切で効率的な吸収をもたらす優れたコーティング性及び皮膚接着性が可能になるように、製剤を設計した。最適化されたクリームは無臭であり、適用後の手足に目立った残留物又は被膜を残さない。42種の異なる製剤を検討し、いくつかのリード製剤をヒト死体皮膚に対するインビトロ透過試験(IVPT)を使用して試験した。これらの製剤のうち、ジメチルイソソルビド(DMI)を含む下記表3の組成物7の性能が最も高かった。この製剤は、規定の製品仕様、分析プロファイル、及び安定性によって実験室規模(5kg)で再現可能に調製された。
【表3】
【0097】
[00105]上記表1及び表2に記載の各製剤を下記の手順によって調製した。
[00106]適切なサイズの補助容器中で、A相成分を組み合わせることでA相を調製した。ウラシルが完全に溶解するまで成分を混合した。混合物を50℃未満にわずかに昇温させて溶解を促進した。このとき、このA相補助容器は完成したA相を収容した。別の適切なサイズの補助容器(B相補助容器)中で、B相成分を組み合わせて50~60℃に加熱することでB相を調製した。パラベンの大部分が溶解するまで成分を混合した。A相をB相補助容器に移した。A相のアルカリ度がパラベン溶解を助けた。温度を50~60℃に維持しながら、すべての成分が溶解するまでA相及びB相を混合した。このとき、B相補助容器はA相成分とB相成分との組み合わせを収容した。別の適切なサイズの容器(主容器)中で、列挙された順序で成分を加えることでC相を調製した。カルボマー940を非常に素早い撹拌により分散させた。ゲル体が存在する場合、混合物を軽く均質化して均一性を実現し、次にトロラミンを加えた。トロラミンを加えた後、C相は非常に粘稠で透明になった。C相を50℃に加熱し、この温度を維持した。2つの別々の適切なサイズの補助容器中で、D相(補助容器D中)及びE相(補助容器E中)を調製した。D相及びE相をそれぞれ80℃に加熱した後、E相をD相に加えた。このとき、補助容器DはE相とD相との組み合わせを収容する。補助容器Dの内容物を混合しながら45~55℃に冷却した。補助容器Dの内容物を主容器中のC相に加えた。このとき、主容器はC相とD相とE相との組み合わせを収容する。
【0098】
[00107]主容器の内容物がなお温かい間に(約40~55℃)、補助容器BからA相及びB相を主容器に加えた。このとき、主容器はすべての相を収容する。内容物を均一になるまで混合した。滑らかな白色の真珠光沢クリームが形成された。
【0099】
実施例5.フランツセル拡散装置によるインビトロ透過試験
[00108]ヒト死体皮膚を通じての皮膚透過試験がインビボヒト試験に代わる最良の試験であると考えられる(Abdら、Clinical Pharmacology 8:163-176(2016))。2名のドナーからのダーマトーム処理ヒト死体皮膚(60歳及び57歳、厚さ250μm)を使用して2種のウラシル製剤、すなわち組成物7(浸透促進剤ジメチルイソソルビドを含む)及び組成物2(浸透促進剤を含まない)を比較した。各製剤を各ドナーからの皮膚について三つ組で試験し(各三つ組に同じ死体からの皮膚試料を使用)、未処理の皮膚を内在性ウラシルの量に関する対照として使用した。フランツセルに装着する前に、皮膚を室温に解凍し、直径28mmの小片に切断した。各ウラシル製剤の1.5mg/cm(臨床量に基づいて計算)を皮膚表面に適用し、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、及び12時間の時点でレシーバ区画の体液を試料採取し、皮膚を透過したウラシルの量の定量化のために試料を質量分析に供した。12時間後に透過なしで皮膚に浸透したウラシルのレベルを測定するために、皮膚を生検穿孔し、皮膚表面のウラシルを除去することが以前に確認された洗浄プロトコールに供した。秤量された皮膚を小片に切断し、水酸化アンモニウム水溶液(pH 9)5ml中で16時間ボルテックスしてウラシルを抽出し、11000rpmで10分間遠心分離した。抽出プロトコールは、皮膚に注入されたウラシルを抽出することにより以前に検証されたものである(回収率98±2%)。
【0100】
[00109]製造された42種の製剤のうち、下記表4の6種をフランツ試験向けに選択した。局所クリーム中のウラシル%にかかわらず、同様の透過が観察された(80.1~143.6ng/cmの範囲)。透過%については表4を参照。
【表4】
【0101】
[00110]図5に示すように、浸透促進剤を有する製剤(組成物7)では、第1相~第2相臨床試験において使用された浸透促進剤を有さないウラシル製剤(組成物2)に比べて、皮膚に浸透するウラシルが6.5倍増加した(p=0.01)。レシーバ区画から12時間の時点で回収された透過ウラシルの累積量は、これら2種の異なるウラシル製剤を比較した場合にほぼ同一であった。このことは、組成物7(浸透促進剤を有する)が、組成物2と同様に、患者の全身ウラシルレベルを増加させることでカペシタビンの有効性に干渉することがありそうにないことを示唆している。図5に示すように、ウラシル0.3%及びDMI 5%を含む製剤(組成物7)は、DMI 15%を含む製剤との比較であっても、試験したすべての他の製剤を性能で上回った。重要なことに、レシーバ区画から12時間の時点で回収された透過ウラシルの総量は、すべての製剤を比較した場合にほぼ同一であった。このことは、カペシタビンの有効性に影響するであろうウラシルレベルの全身変化を引き起こさない組成物2(浸透促進剤を有さない)と同様に、5% DMIを含む組成物7もやはり、カペシタビン及びその代謝産物の抗癌活性に影響しそうにないであろうことを示している。
【0102】
実施例6.UTCの大規模バッチ製造
[00111]さらなる評価をウラシル局所製剤(UTC)の75kgバッチで行う。バッチを規模拡大する際にウラシル又は防腐剤の安定性の変化がないことを確認するために、規模拡大製造をHPLCで試験する。加速安定性試験及びリアルタイム安定性試験をICH条件25℃/60% RH、30℃/65% RH(バックアップ、試験なし)、及び40℃/75% RHで行う。試験は、t=0、及び3ヶ月にわたる5つのさらなる時点の配合物単独、及び臨床試験用に選択された包装中の配合物を含む。薬品を熱、酸、塩基、酸化、及び光(周囲条件及びICH条件)による強制分解でも試験する。
【0103】
[00112]報告閾値(薬品及び投与形態に基づいて判断)での関連物質の検出を可能にするために必要な不純物/関連物質薬品抽出時の薬物濃度を評価する。目標濃度の100%で調製された製剤から薬物を抽出し、各製剤からの回収パーセント(各n=6)を計算することで、薬品抽出方法の精度が「目的に適している」ことを確認する。
【0104】
[00113]防腐効果試験(PET)を、標準的手順(Pharmaceutical Microbiology Manual、2014)に従って、1個の防腐システムを用いて、推奨防腐濃度、及びこのレベルよりも低い防腐濃度(例えば90%)(貯蔵寿命にわたる防腐性分解を模倣する)で行う。防腐効果試験は、薬物を単一強度で配合したクリーム及びそれと対応するプラセボ(合計4バッチ)で行う。
【0105】
実施例7.局所ウラシルクリームのさらなる評価
[00114]カペシタビンを受け取っているmBC患者の第1相~第2相臨床試験(実施例2~3に記載)からのデータは、患者が少数ではあるが、PTOで処置された患者に比べて1UOで処置された患者の方がHFSの発生が減少していること、及び、1UOの安全性プロファイルがプラセボに比べて許容できるものであることを示した。第2相臨床試験は、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験であるが、標本サイズは、カペシタビンを受け取っている組織学的又は細胞学的に確認されたmBCを有する100名の患者とする。
【0106】
[00115]疼痛がHFSの中核症状であることから、本試験の主要な目的は、カペシタビンで処置されたmBCを有する女性におけるUTC(組成物7)による同時処置が、HFSの発生に関連していると予想される手又は足における患者報告疼痛の有意に有害な増加(UTCでの手又は足の24時間で最悪の疼痛の2ポイント以上の増加までの時間のプラセボに対する100%の増加として測定)を遅延させるか否かを評価することにある。本試験では、一次有効性エンドポイントとしての簡易疼痛質問票(BPI)の項目3に基づく疼痛の患者報告アウトカム(PRO)が利用される。本試験は、HFSに関連する疼痛強度のPROアウトカムを確認することを可能にするものであり、登録臨床試験における一次エンドポイントとして役立つ。グレード2以上のHFSの出現までの時間を二次エンドポイントとして評価する。このより大きな患者集団においてUTC並びにカペシタビン及びその代謝産物の安全性及びPKプロファイルを調査する。患者は登録用量1250mg/mよりもむしろ1000mg/mで、但し同じレジメン(21日サイクルの1日目~14日目に1日2回)でカペシタビンを受け取る。臨床試験は、カペシタビン用量1000mg/mで用量1250mg/mに比べて有効性の減少なしに忍容性が改善されることを示した(Leonardら、Clin Breast Cancer 11:349-356(2011);Zielinskiら、Ann Oncol 21:2145-2152(2010))。米国並びにカナダ及び他の場所では、カペシタビンの承認単剤開始量1250mg/mは、HFS、下痢、粘膜炎、及び他の毒性の許容できないほど高い発生率を伴うことから、めったに使用されない。
【0107】
[00116]疼痛の患者報告アウトカム以外に、患者はHFSについて理学的検査及びデジタル写真によっても評価される。NCI CTCAE基準を使用するHFS重症度の評価を下記表5に示す。HFSを各処置サイクルの1日目及び15日目並びに最終来院時に評価する。第1相~第2相試験では、UTCは臨床的に重要なHFSの発生を遅延させるようであったが、UTC処置患者は様々な他の用量関連カペシタビン関連AEを発生させるようであった。米国におけるカペシタビンに関する経験、及び各21日サイクルの1日目~14日目に1250mg/m未満のカペシタビン用量が1日2回使用されるという傾向に基づけば、おそらくは、累積的HFSをなお伴うが他のカペシタビン関連AEの発生率がより低い投与レジメンである、より低用量のカペシタビン(各21日サイクルの1日目~14日目に1000mg/mを1日2回)を受け取っている患者の方が、HFSを予防する上でのUTCの全治療効果は大きいであろう。
【表5】
【0108】
[00117]ウラシル、カペシタビン、並びにカペシタビン代謝産物(5’-DFCR、5’-DFUR、及び5-FU)の血漿PKを評価するために、各処置群に登録された最初の24名の患者から血液試料を採取する:(a)C1D1:UTC/PTC及びカペシタビンの投与前並びにカペシタビン投与の0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、及び8時間後;(b)C1D14:UTC/PTC及びカペシタビンの投与前並びにカペシタビン投与の0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、及び8時間後。ウラシル、カペシタビン、及びカペシタビン代謝産物の血漿中濃度を評価するためのさらなる血液試料を、D1C2及び後続の偶数サイクル時に試験に残っているすべての患者から、UTC/PTC及びカペシタビン投与の前及び2時間後に採取する。Cmax、Tmax、AUC、Cl/F、V/F、t1/2 AUC、T1/2、Cl、及びVを含むがそれに限定されないパラメータを確定する。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】