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特表2022-545383電気自動車の電磁結合圧電給電装置及びシステム並びに方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】電気自動車の電磁結合圧電給電装置及びシステム並びに方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/12 20190101AFI20221020BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20221020BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20221020BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221020BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20221020BHJP
【FI】
B60L53/12
B60L50/60
B60C19/00 F
B60C19/00 G
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022509160
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 US2020046535
(87)【国際公開番号】W WO2021030760
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】16/993,527
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/886,994
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522056220
【氏名又は名称】シアバシュ モタメド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シアバシュ モタメド
【テーマコード(参考)】
3D131
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
3D131BC07
3D131LA20
5G503AA01
5G503AA08
5G503BA01
5G503BB02
5G503FA06
5G503GB08
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC26
5H125DD02
5H125FF07
5H125FF15
5H125FF16
(57)【要約】
【課題】電気自動車の電磁結合圧電給電装置を提供する。
【解決手段】ここに開示された装置は、車両のタイヤに埋め込まれた複数の圧電素子を有する充電部と、タイヤに機械的に結合され、複数の圧電要素に電気的に結合されたキャパシタと、タイヤに機械的に結合され、放電部を介してキャパシタに電気的に結合された送信器コイルとを備える。車両が動くことにより、タイヤに半径方向外部圧力が作用して複数の圧電素子に圧力が生じることに応答して、を含み、前記複数の圧電要素に圧力を生じさせる車両の動きに起因する車両への外部半径方向圧力に応答して、複数の圧電要素はキャパシタに電荷を生成する。放電部は、キャパシタ上の電荷を送信器コイルに電気的に接続して、電磁電力を車両に送る。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタイヤに埋め込まれた複数の圧電素子を有する充電部と、
タイヤに機械的に結合され、前記複数の圧電素子に電気的に結合されたキャパシタと、
タイヤに機械的に結合され、前記充電部を介して前記キャパシタに電気的に結合された送信器コイルと、を備え、
車両の動きによってタイヤに作用する半径方向の外部圧力が前記複数の圧電素子に圧力を及ぼすことに応答して、前記複数の圧電素子は、前記キャパシタ上に電荷を生成するものであり、
前記放電部は、前記キャパシタ上の電荷を前記送信器コイルに電気的に接続し、車両に電磁電力を送ることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記圧電素子は、前記圧電素子上の圧縮力の時間変化に応答して、前記圧電素子の上面と底面との間に対応する時間変化電圧差を発生させるように構成されており、これにより、前記キャパシタに対応充電電流をもたらす、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記タイヤの周囲に連続的に配置された複数の充電部および放電部をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の充電部は、少なくとも1つの素子モジュールと、整流器と、抵抗器とを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの要素モジュールは、
複数の圧電素子のうちの少なくとも1つの圧電素子と、
前記少なくとも1つの圧電素子を機械的に支持する素子モジュールハウジングと、
前記素子モジュールハウジングの底面上の底部導電性圧力パッドと、
前記素子モジュールハウジングの上面上の上部導電性圧力パッドと、を備え、
前記素子モジュールハウジングは、タイヤに加えられた圧縮力によって前記圧電素子が前記キャパシタに電荷を生成させるように、前記圧電素子よりも低いデュロメータ材料である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記放電部は、前記キャパシタを放電して前記送信器コイルを通る時変キャパシタ放電電流とするための圧力スイッチとして作用し、
前記送信器コイルは、前記コイルを通る時変放電電流に応答して、前記送信器コイルの周囲の時変磁界を確立して、前記車両上に位置する受信器コイルに電力を送信するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記キャパシタは、第1のプレートと、前記第1のプレートから離間された第2のプレートとを含むキャパシタ蓄積層であり、
前記送信器コイルは導体を含み、この導体は導体第1端部と、導体第2端部と、ループを形成する部分とを有し、
前記ループは第1の巻線軸を有し、この巻線軸は前記タイヤの中心軸と同一直線上にあり、
前記導体第1端部は前記第1のプレートに電気的に結合され、前記導体第2端部は前記第2のプレートに結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記送信器コイルは第1の巻線軸を有し、
前記装置は、さらに、車両によって支持されている受信器コイルを備え、
前記受信器コイルは第2の巻線軸を有し、
前記受信器コイルは、前記第2の巻線軸を前記第1の巻線軸と同一直線上に整列させるように構成された受信器コイル支持体によって車両上に支持され、
前記受信器コイル支持体は、前記送信器コイルの周囲の時変磁場に応答して、受信器コイルに時変受信器コイル電流が誘導されるように、受信器コイルを送信器コイルに対して位置決めするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記受信器コイルは、前記時変受信器コイル電流を使用して前記車両に電力を供給するために、前記車両上の調整回路に接続される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記送信器コイルはタイヤの側壁構造に埋め込まれ、タイヤが車輪に装着されて車輪-タイヤの組合せを形成し、車輪-タイヤの組合せが車両に装着される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
車両のタイヤの円周に充電部と放電部とを交互に設けることと、
タイヤが回転して前記充電部が圧縮され、前記充電部内の圧電素子に圧力が加わったときに、前記充電部内の圧電素子でタイヤ内の容量蓄積層を電気的に充電することと、
前記放電部で送信器コイルに向かって前記容量蓄積層を放電し、車両上の受信器コイルに電力を送信することとを備え、
前記送信器コイルは、タイヤに機械的に結合され、前記放電部を介してキャパシタに電気的に結合されている、方法。
【請求項12】
前記圧電素子は、前記圧電素子上の圧縮力の時間変化に応答して、前記圧電素子の上面と底面との間に対応時変電圧差を生成するように構成され、これにより、対応する充電電流を前記容量蓄積層に誘導する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数の充電部及び放電部が、前記タイヤの周囲に順次配置されている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
複数の充電部は、少なくとも1つの素子モジュールと、整流器と、抵抗器とを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの素子モジュールは、
複数の圧電素子のうちの少なくとも1つの圧電素子と、
少なくとも1つの圧電素子を機械的に支持する素子モジュールハウジングと、
前記素子モジュールハウジングの上面上の下部導電性圧力パッドと、
前記素子モジュールハウジングの底面上の上部導電性圧力パッドとを備え、
前記素子モジュールハウジングは、タイヤに加えられた圧縮力によって圧電素子がキャパシタに電荷を発生させるように、圧電素子よりも低いデュロメータ材料である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記放電部は、前記キャパシタを放電し、前記送信器コイルを通る時変キャパシタ放電電流電圧にする圧力スイッチとして作用し、
前記送信器コイルは、前記コイルを通る時変放電電流に応答して、前記送信器コイルの周囲の時変磁界を確立して、車両上に位置する前記受信器コイルに電力を送信するように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記キャパシタは、第1のプレートと、前記第1のプレートから離間している第2のプレートとを含む容量蓄積層であり、
前記送信器コイルは導体を含み、前記導体は導体第1端部と、導体第2端部と、ループを形成する部分とを有し、
前記ループは第1の巻線軸を有し、前記第1の巻線軸はタイヤの中心軸と同一線上にあり、前記導体第1端部は前記第1のプレートに電気的に結合され、前記導体第2端部は前記第2のプレートに結合される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記送信器コイルは第1の巻線軸を有し、
前記方法は、さらに、車両によって支持される受信器コイルを設けることを備え、
前記受信器コイルは第2の巻線軸を有し、
前記受信器コイルは、第2の巻線軸を第1の巻線軸と同一直線上に整列させるように構成された受信器コイル支持体によって車両上に支持され、
前記受信器コイル支持体はさらに、送信器コイルの周囲の時変磁場に応答して、受信器コイルに時変受信器コイル電流が誘導されるように、受信器コイルを送信器コイルに対して位置決めするように構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記受信器コイルは、前記時変受信器コイル電流を用いて前記車両に電力を供給するために、前記車両上の調整回路に接続され、
前記送信器コイルは、タイヤの側壁構造に埋め込まれており、
タイヤが車輪に取り付けられて車輪-タイヤの組合せを形成し、前記車輪-タイヤの組合せが前記車両に取り付けられると、前記巻線軸が前記車輪-タイヤの組合せの回転軸と同一線上にある、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
電気自動車の電磁結合給電のためのシステムであって、
複数の充電部及び放電部と、
キャパシタと、
送信器コイルとを備え、
前記充電部及び放電部は、車両のタイヤの周囲に連続的に配置して埋め込まれており、
前記複数の充電部は、各々が少なくとも1つの圧電素子と、整流器と、抵抗器とを含む複数の素子モジュールを含み、
前記キャパシタは、前記タイヤに埋め込まれて前記複数の圧電素子に電気的に結合されており、
前記圧電素子は、圧電素子上の圧縮力の時間経過に伴う時間変動に応答して、圧電素子の上面と底面との間に対応する時間変動電圧差を生成するように構成され、これは、キャパシタに対応充電電流を誘導するものであり、
前記送信器コイルは、タイヤに埋め込まれ、放電部を介して前記キャパシタに電気的に結合されており、
前記放電部は、圧力スイッチとして作用して、前記キャパシタを放電して送信器コイルを通る時間変化キャパシタ放電電流電圧にし、
前記送信器コイルは、コイルを通る時間変化放電電流に応答して、送信器コイルの周りに時間変化磁場を確立するように構成されており、
車両の動きによってタイヤに半径方向外部圧力が作用し、前記複数の圧電素子に圧力が生じたことに応答して、前記複数の圧電素子は前記キャパシタに電荷を生成し、
前記キャパシタは、前記第1のプレートと、前記第1のプレートから離間する第2のプレートとを含む容量蓄積層であり、
前記送信器コイルは導体を含み、前記導体は導体第1端部と、導体第2端部と、ループを形成する部分とを有し、
前記ループは第1の巻線軸を有し、前記巻回軸は前記タイヤの中心軸と同一線上にあり、前記導体第1端部は前記第1のプレートに電気的に結合され、前記導体第2端部は前記第2のプレートに結合され、
前記放電部は、前記キャパシタ上の電荷を前記送信器コイルに電気的に接続して、前記車両上の受信器コイルに電磁電力を送り、
前記受信器コイルは、受信器コイルを送信器コイルに整列させるように構成された受信器コイル支持体によって車両上に支持され、
前記受信器コイル支持体は、送信器コイルの周囲の時間変動磁場に応答して、時間変動受信器コイル電流が受信器コイルを通して誘導されるように、受信器コイルを送信器コイルに対して位置決めするように構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電気自動車の電磁結合圧電給電装置及びシステム並びに方法が開示される。
【0002】
本出願は、2019年8月15日に、発明の名称「自動車バッテリーの電磁結合圧電充電装置及び方法」として出願された係属中の米国仮特許出願第62/886,994号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電気自動車(EV)は、ハイブリッド(HEV)、プラグインハイブリッド(PHEV)、バッテリー電気自動車(BEV)および燃料電池電気自動車(FCEV)に分類できる。HEVは、内燃機関(ICE)と電気モーターを組み合わせ、運動エネルギーを電気エネルギーに変換する回生制動技術を用いてバッテリーを充電する。PHEVはHEVと似ているが、そのバッテリーはコンセントからの電力を使って充電することもできる。BEVはガソリンエンジンを持たず、車載のバッテリーに蓄えた電力を使って運転する電気モーターを搭載し、コンセントから充電する。また、FCEVには、車載タンクに蓄えた水素と空気中の酸素を組み合わせて発電した電気で動く電動機が搭載されている。
【0004】
BEVやFCEVはテールパイプからの排出はゼロであるが、地球規模の排出に寄与している。これらの排出レベルは、BEVの充電やFCEVのための水素燃料の製造に使用される電力を製造するために使用されるエネルギー源に依存している。EVの(電気モードでの)限られた範囲は、これらの車両の広範囲な採用を減らしてきた欠点であった。
【0005】
EVの採用率に悪影響を及ぼす別の障害は、充電時間であった。レベル1(家庭用充電)は、120V、15Ampのコンセントを使用し、8時間の深夜充電で40マイルの範囲を追加できる。レベル2(家庭用および公共用の充電)は、240V,30Ampの回路に基づいて、8 時間の深夜充電で最大180 マイルを追加できる。DC高速充電(公共充電)は、現在利用可能な最速の充電方法であり、通常、30分で50~90マイルを追加できる。
【0006】
公共の充電スタンドは、それらの使用を実行可能な選択肢にするために、実質的なインフラストラクチャ開発を必要とする。上記の充電ソリューションは、国の電力グリッドへの負荷を増加させることは明らかであり、これにより、特にピーク時の使用時には、電力生産と配電ネットワークの両方において、追加のインフラストラクチャが必要となる可能性がある。
【0007】
バッテリーコストは、EVの採用に関心のあるもう一つの領域である。現在、ほとんどのEVにはリチウムイオン(Li-ion)電池が装着されている。過去10年間、Liイオン電池のコスト($/Kwh)は劇的に削減されてきたが、Liイオン電池は依然としてEVの総コストのかなりの割合を占めている。さらに、Liイオン電池の製造に不可欠な材料であるコバルトの採鉱・生産実務は、過去数年間、国際社会からますます注目されている。
【発明の概要】
【0008】
ここに開示された装置は、車両のタイヤに埋め込まれた複数の圧電素子を有する充電部と、タイヤに機械的に結合され、複数の圧電素子に電気的に結合されたキャパシタ(コンデンサ)と、タイヤに機械的に結合され、放電部を介してキャパシタに電気的に結合された送信器コイルと、を含む。車両の動きによってタイヤに半径方向外部圧力が作用し、複数の圧電素子に圧力が加わることに応答して、複数の圧電素子はキャパシタに電荷を生成する。放電部は、キャパシタ上の電荷を送信器コイルに電気的に接続して、電磁電力を車両に送る。
【0009】
ここに開示された方法は、車両のタイヤの周囲に交互に充電部及び放電部を設けるステップと、タイヤの回転に伴って各充電部が圧縮され、圧電素子に圧力を加えるときに、充電部内の圧電素子を伴うタイヤ内の容量蓄積層を電気的に充電するステップと、放電部で容量蓄積層を送信器コイルに向けて放電して車両上の受信器コイルに電力を送るステップとを含む。送信器コイルは、タイヤに機械的に結合され、放電部を通してキャパシタに電気的に結合される。
【0010】
ここに開示されたシステムは、電気車両の電磁結合給電のためのものであり、複数の充電部及び放電部と、キャパシタと、送信器コイルとを備える。充電部及び放電部は、車両のタイヤの周囲に連続的に配置して埋め込まれている。複数の充電部は、各々が少なくとも1つの圧電素子と、整流器と、抵抗器とを含む複数の素子モジュールを含む。キャパシタは、タイヤに埋め込まれて複数の圧電素子に電気的に結合されている。圧電素子は、圧電素子上の圧縮力の時間経過に伴う時間変動に応答して、圧電素子の上面と底面との間に対応する時間変動電圧差を生成するように構成され、これは、キャパシタに対応充電電流を誘導するものである。送信器コイルは、タイヤに埋め込まれ、放電部を介してキャパシタに電気的に結合されている。放電部は、圧力スイッチとして作用して、キャパシタを放電して送信器コイルを通る時間変化キャパシタ放電電流電圧にする。送信器コイルは、コイルを通る時間変化放電電流に応答して、送信器コイルの周りに時間変化磁場を確立するように構成されている。車両の動きによってタイヤに半径方向外部圧力が作用し、複数の圧電素子に圧力が生じたことに応答して、複数の圧電素子はキャパシタに電荷を生成する。キャパシタは、第1のプレートと、第1のプレートから離間する第2のプレートとを含む容量蓄積層である。送信器コイルは導体を含み、導体は導体第1端部と、導体第2端部と、ループを形成する部分とを有する。ループは第1の巻線軸を有し、この巻線軸はタイヤの中心軸と同一線上にある。導体第1端部は第1のプレートに電気的に結合され、導体第2端部は前記第2のプレートに結合される。放電部は、キャパシタ上の電荷を送信器コイルに電気的に接続して、車両上の受信器コイルに電磁電力を送る。受信器コイルは、受信器コイルを送信器コイルに整列させるように構成された受信器コイル支持体によって車両上に支持される。受信器コイル支持体は、送信器コイルの周囲の時間変動磁場に応答して、時間変動受信器コイル電流が受信器コイルを通して誘導されるように、受信器コイルを送信器コイルに対して位置決めするように構成されている。
【0011】
上記に記載の概要は、以下に記載する詳細な説明をシンプルな形態で概念を紹介するためのものである。この概要は、特許請求の範囲に記載の重要な特徴を識別することを意図しておらず、また、特許請求の範囲を制限することも意図していない。主題の重要な特徴または本質的な特徴を識別することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものでもない。さらに、特許請求の範囲に記載の主題は、本明細書部分に記載される任意のまたはすべての欠点を解決する実装形態に限定されるものではない。
【0012】
以下に記載の図面は、本教示に従った1つまたは複数の実装を、限定としてではなく、単なる例として示す。図面において、同様の参照番号は、同じまたは類似の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】圧電材料の幾何学的形状を、静止中立状態で示すとともに、圧縮下で電圧を発生させている状態および電位に曝されて変形している状態を示す図である。
図2A】軸方向に距離z離れた地点、および半径方向に距離p離れた地点における円形電流ループの磁界の軸方向成分および半径方向成分を示す図である。
図2B】導体ループを通る電流によって生成される磁界を表す磁力線を示す図である。
図3A】円形電流ループの中心から離れる半径方向距離の関数としての、磁界および誘起Emfのプロットを示す図である。
図3B】円形電流ループの中心から離れる軸方向距離の関数としての磁界のプロットを示す図である。
図4】電気自動車の電磁結合給電および充電のために車輪に装着されたタイヤの実施形態の部分断面図である。
図5】電気自動車の電磁結合給電および充電のために車輪に装着されたタイヤの実施形態の側面図である。
図6】実施形態の電気ブロック図である。
図7A】充放電層の充電部分の斜視図である。
図7B】充電部分の2つのモジュールの分解図である。
図7C】充放電層の充電部分の電気図である。
図8】充電/放電層の充電部分の分解図である。
図9】タイヤアセンブリの三次元斜視図であり、受信機コイルおよび送信機コイル、ならびに充放電層、容量性蓄積層およびバスバーのそれぞれの位置を示す。
図10】送信機コイルおよび受信機コイルの寸法を示すタイヤの平面図である。
図11】本明細書に記載のシステムを有する車両の図である。
図12】電気自動車の電磁結合給電及び充電のためのプロセスの実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明では、関連する教示の完全な理解を提供するために、例として多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、本主題は、そのような詳細構造なしに実施され得ることが明らかである。他の例では、開示される主題の態様を不必要に曖昧にすることを回避するために、周知の方法、手順、部品、および/または回路が詳細なく、比較的高レベルで説明される。
[参照記号一覧]
SIユニット
内燃機関(ICE)
ハイブリッド車(HEV)
プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)
電池電気自動車/全電気自動車(BEV)
燃料電池電気自動車(FCEV)
ゼロエミッション車(ZEV)
システムオンチップコンピュータ(SoC)
シングルボードコンピュータ(SBC)
温室効果ガス(GHG)
[選択された電気的測定定義]
【0015】
【表1】
【0016】
電気自動車(EV)のための電力生産のための自己完結方法の実施形態を以下に記載する。この自己充電システムにより、車両の走行中に車両のバッテリーを充電するための永久的な電力の発生が可能になる。外部電源を必要とすることなく、システムは、ドライビング範囲を拡大し、EVコスト及び運転コストを削減し、温室効果ガス排出量を削減し、充電に必要な時間とインフラストラクチャを削減/排除し、電気グリッドへの歪みを減らし、化石燃料への依存を減らし、真のゼロエミッションEVの出現を先導する。
【0017】
実施形態は、タイヤの接触部分にかかる重力の法線力を用いて、圧電材料を圧縮し、その力を電圧に変換する。発生する電圧は、圧電材料の幾何学的形状とそれに加えられる力の関数である。発生した電圧を用いて、キャパシタ(コンデンサ)を導体を通して充電することができる。いったんコンデンサが充電され、タイヤが十分に変位して圧電材料が圧縮されなくなると、放電部分がコンデンサの蓄積電圧を導体を通して放電し、圧電材料が電圧を吸収(消散)しながら変形を受ける。導体は複数の導電性円形電流ループ(送信コイル)から構成される。一旦、コンデンサが送信器コイルを通して放電すると、送信器コイル内の電流が時間に対して指数関数的に変化するので、それは変化する磁場を生成するのであろう。この発生磁界は、送信器コイルの近傍に複数の導電性円形電流ループ(受信器コイル)からなる第2のコイルに誘起Emfを生成することができる。次いで、受信器コイル内の発生電圧(Emf)は、電気調整回路を通して電気自動車に供給され得る。この調整回路は当業者には周知であり、この記載の範囲外である。調整された電力出力は、電気自動車に搭載されたバッテリーを充電するため、および/または電気自動車を直接動作させるために使用することができる。
【0018】
本実施形態によれば、EVの車載バッテリーの小型化が可能になる。これは、EVの正味重量の減少をもたらし、より小さいバッテリーサイズによるコスト節約をもたらす。更に、リチウムイオンバッテリーは、ニッケルカドミウム(NiCd)及びニッケル-金属水素化物(NiMH)のような(しかしこれに限定されない)他のより安価なバッテリー技術と並んで、交換及び/又は展開することができる。また、実施形態は、EVの走行中にバッテリーを再充電することが可能となるため、EVの走行距離を効果的に増加させる。
【0019】
実施形態は、EVを充電するために必要な時間、民間または公共の充電インフラストラクチャの費用、およびEVを充電するために使用される電気の費用を低減または排除することができる。また、全国の電力網および配電網への追加需要を削減または排除する。おそらく最も重要なことは、CO2を含む温室効果ガス排出量(GHG)を削減できることである。生成された過剰な電力は電気調整回路における損失を補償するために、および/またはピーク性能(加熱または冷却)のためにバッテリー温度を維持するために使用することができる。過剰電力の他の潜在的な使用には、(1)吸着のようなCO2捕捉技術を使用する活性炭捕捉、(2)高速無線データネットワークと共に、複数の低コスト、低電力システムオンチップ(SoC)、シングルボードコンピュータ(SBC)を使用する分散コンピューティングが含まれる。
【0020】
以下に説明する例はBEVのためのものであるが、それらはHEV、PHEV、e-バス、軽、中、重量商用車、eScooter、電気オートバイ等を含むが、これらに限定されない、実用的にあらゆるタイプの車輪付きEVに適用することができる。
【0021】
図1は、ピエゾ効果による様々な状態にある圧電材料の幾何学的形状100の描写である。静止中立状態110では、圧電材料に電気的又は機械的な力が印加されない。圧縮状態112では、圧電材料に機械的力が加えられ、圧電材料が電圧を発生する。電位に曝されると、圧電材料は物理的に変形した状態114にもたらされる。
【0022】
ピエゾ効果とは、特定の材料がそれらに加えられる機械的な力に応じて電荷(材料の分極)を生成する能力のことである。さらに、これらの材料は、逆ピエゾ効果として知られる電場に曝されると、制御された変形を受ける。前述の力は、とりわけ圧縮および引張を含む。チタン酸ジルコン酸鉛セラミックは、そのような材料の1つである。これらの材料の性能特性と分類は、MIL‐STD‐1376B(Navy型圧電材料)に記載されている。任意の圧電材料を使用することができるが、より高い機械的品質ファクタとヤング率、より低い電気抵抗および誘電損失の組み合わせを示す材料が望ましい。硬質PZT、ネイビー(海軍)Iタイプおよびネイビー(海軍)IIIタイプは、要件を満たす適切な材料である。
【0023】
ピエゾ効果では、材料によって生成される電荷が印加される力と圧電材料の幾何学的形状に比例する。ロッドの場合、圧電材料の電圧及び変位(寸法の変化)は、次式で与えられる。
【0024】
【数1】
【0025】
鉛フリー圧電材料の開発における研究は、10年以上にわたり行われてきた。NBT、チタン酸ビスマスナトリウム; KNN、ニオブ酸ナトリウムカリウム; BF、フェライトビスマス;およびBT、チタン酸バリウムは、研究の成果である新しい種類の材料である。これらの新しく開発された材料は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)の市場支配に置き換わっていない。圧縮及びその後の減圧に対する圧電材料の応答は、直流電圧を形成させるために全波整流回路を用いて整流できる正及び負の部分を有する三角波形によって密接に近似することができる。三角波形の平均電圧は、ピーク電圧の1/2に等しいことを示すことができる。
【0026】
図2Aは、軸方向に距離z離れた地点、および半径方向に距離p離れた地点における円形電流ループの磁界の軸方向成分および半径方向成分を示す。図2Bは、導体ループを通る電流によって生成される磁界を表す磁力線を示す。
【0027】
[電流と磁場(磁界)]
Biot-Savartの法則およびより一般化されたアンペアの法則は、磁場を電流源としての電流に関連付ける。電流のまわりの空間の磁場は、その源となる電流に比例する。ちょうど、空間の電場(電界)がその源となる電荷に比例するのと同じである。アンペアの法則は、任意の閉ループ経路について、長さ要素と長さ要素の方向における磁場との積の合計が、透磁率とループ内に囲われた電流との積に等しいことを述べている。
【0028】
図3Aは、円形電流ループの中心から離れた半径方向距離の関数としての、磁場および誘起Emf(例1 EV-A)のプロットである。このプロットから、磁場は中心からの距離が増加すると最大値に達し、半径方向距離が円形電流ループの半径より大きくなると急激に減少することが分かった。
【0029】
[円形電流ループの磁場]
円形電流ループによって生成される空間内で、導体の外側の任意の点における磁場の軸方向(Bz)および半径方向(Bp)成分は、一般化された公式を使用して計算することができる。
【0030】
【数2】
【0031】
ループから距離z離れた円形電流ループの軸上の磁界は次式である。
【0032】
【数3】
【0033】
円形電流ループの幾何学的対称性により、半径方向成分の和がゼロであることを示すことができる。ループの中心にある円形の電流ループに対する磁場の大きさは、次式で与えられる。
【0034】
【数4】
【0035】
複数の円形電流ループの磁場は加算的であるため、ループの中心のN個のループの磁場は次式で与えられる。
【0036】
【数5】
【0037】
[磁界の変化によるEmf]
Faradayの誘導法則は、ワイヤのコイルの磁気環境のいかなる変化も、コイルに電圧(Emf)を「誘導」させることになると述べている。どのような変化が生じても、電圧が発生する。この変化は、磁場強度を変化させること、磁石をコイルに向かってまたはコイルから離れるように移動させること、コイルを磁場の中にまたは磁場の外に移動させること、コイルを磁場に対して回転させることなどによって生成することができる。コイル中の誘導Emfは、コイル中の巻数に対する磁束の変化率の負の値に等しく、コイルを通る磁束の時間変化率に正比例する。
【0038】
【数6】
【0039】
磁束Φは、磁場の平均法線成分とそれが侵入する領域の積である。レンツの法則は、誘導されたEmfの極性がコイルを通る磁束の変化に対抗するような磁束を作り出す電流を作り出す傾向があるようになっていると述べている(図2a、2b)。
【0040】
図3Bは、円形電流ループの中心から離れた軸方向距離の関数としての磁場(例1 EV-A)のプロットである。プロットは、軸方向距離が増加することにつれて減少する磁場を示している。
【0041】
[指数関数的に減衰する磁場]
指数関数的に減衰する磁場によって生成されるEmfは、以下のように計算することができる。
【0042】
【数7】
【0043】
[相互インダクタンスと結合係数]
2つの同軸フィラメント電流ループ間の相互インダクタンスは、一方を半径r1とし、他方を半径r2とし、中心間距離をxとして、Neumannの式を用いて計算することができる。
【0044】
【数8】
【0045】
[ホイーラー近似]
Harold A.Wheelerは、種々のコイル構成に対する近似インダクタンスを与える公式を開発した。これらは、主として経験的測定に基づいており、数パーセントまで正確である。
【0046】
【数9】
【0047】
[導体の通電容量]
I. M. Onderdonkは、アーク放電(短絡)による高圧送電線の導体故障を調査しながら、方程式を開発した。彼の式は、電流、時間および導体サイズを関係づけ、断熱プロセスを推定している。この方程式を用いて、ジュール加熱による導体の所定の温度上昇に要する時間を確かめることができる。
【0048】
【数10】
【0049】
図4は、電気自動車の電磁結合された給電および充電のために車輪412に取り付けられたタイヤ410の実施例の部分断面図を示す。タイヤ410は、路面に接触するためのタイヤの周囲の周りにトレッドプライ層414を含む。トレッドプライ層414の下には、充電/放電層416がある。充放電層416は以下の図5を参照して説明されるように、タイヤの周囲の連続した充電部分と放電部分に分割される。充電/放電層416の下には、容量蓄積層418がある。容量蓄積層418は以下でさらに説明するように、1つまたは複数の層内に1つまたは複数のキャパシタを備えることができる。タイヤ410はタイヤの他の要素を電気的に接続するために、タイヤの周囲に多数の埋め込みループ導体又はバスバーを更に含むことができる。図4に示す実施例では、タイヤ410が正のバスバー420と、共通のバスバー422と、放電バスバー424とを含む。タイヤ410は、タイヤの周囲に送信器コイル426をさらに含む。この実施形態では、送信器コイル426はタイヤの側壁に配置される。タイヤ410は、図4には明示的に示されていないライナプライ、カーカスプライ、ベルトプライ、ホイールビード等のような他の基本的な車両タイヤ構造を含むことができる。
【0050】
図5は、上述した電気自動車の電磁結合充電のためのタイヤ410及び車輪412の実施例の側面図を示す。タイヤ410の周囲の充放電層416は、連続する充電部分510と放電部分512とに分割される。図示の実施例では、タイヤ410の円周の周囲で交互に10個の充電部分510及び10個の放電部分512が存在する。充電部分510及び放電部分512の長さは、特定のタイヤ寸法に依存するタイヤ接触部領域の長さとほぼ等しいか、又は相対的であるように選択される。タイヤ接触部領域は、接触部長さおよび接触部幅によって特徴付けられる、任意の時点で支持面と接触するタイヤの領域である。充電部分510および放電部分512の数は、タイヤの寸法に応じて変化してもよい。充電部分510は以下でさらに説明するように、モジュールのアレイ(m×n)から構成される。各電荷部分からの発生電圧は、タイヤ接触部面積、タイヤ接触部面積に対する力、最終的に圧電モジュールに力を及ぼす導電性圧力パッドのサイズ、アレイモジュールの数、モジュール当たりの圧電要素の数、ならびにそれらの要素の高さおよび面積の関数である。各電荷部分510が支持面に接触すると、それは、後述するようにバスバーを介して容量蓄積層418に電荷を生成する。上述したように、各充電部分510の後には放電部分512が続く。放電部512は、先行する充電部510によって容量蓄積層418上に置かれた電荷を放電する。このように、放電部分は、放電部分が圧縮状態になると、容量蓄積層と送信器コイル426(図4)との間の回路を閉じる接点スイッチとして作用する。排出部分512は、図8を参照して以下にさらに説明される。
【0051】
コンデンサ(キャパシタ)は、電界中にエネルギーを蓄積することができる受動的な2端子電気デバイスである。その最も基本的な形態のキャパシタは、一般に誘電体と呼ばれる絶縁体によって分離された2つの導体を含む。コンデンサの特徴は、2本の平行導体の領域とそれらの間の分離距離(誘電体材料の厚さ)の関数である静電容量値(C)である。キャパシタのSIユニットはFaradである。各導体上の正または負の電荷Qと、それらの間の電圧Vとの比として定義される。キャパシタに蓄積されたエネルギはEcap = 1/2 CV2 を用いて計算することができ、ここで、Cは静電容量であり、Vは電位である。コンデンサに蓄えられたエネルギーは、導体を通して急速に放電させることができる。直流(直流)充放電回路において、時定数はτ = RCと定義される。ここで、Rは回路中の抵抗であり、Cは静電容量である。コンデンサは指数関数的に充電および放電し、5つの時定数内で完全に(99%)充電または放電されることが一般に受け入れられている。RC 回路のコンデンサの電圧は、次の式で決まる。
【0052】
【数11】
【0053】
プラスチックフィルムコンデンサは、フィルム/箔コンデンサとメタライズフィルムコンデンサに大別できる。フィルム/箔コンデンサの基本構造は、2つの金属箔電極とその間のプラスチックフィルム誘電体から成る。金属化フィルムキャパシタは、誘電体としてプラスチックフィルムを持つ2つの金属化フィルムで作られている。プラスチックフィルムは、亜鉛またはアルミニウムの薄層でコーティングされる。最も一般的に使用されるプラスチックフィルム誘電体のいくつかは、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリプロピレン(PP)を含む。フィルム/箔コンデンサは、高い絶縁抵抗、高いパルス処理能力、優れた通電能力、良好な静電容量安定性を備えている。
【0054】
図6は、電気自動車または車両の電磁結合された電力供給および充電のための実施形態の電気ブロック図である。図6の電気ブロック図は、タイヤ内に存在するタイヤ回路610と、車両上または車両内に存在する車両回路612とに分割されている。タイヤ回路610は上述したように、多数の充電部510を含む。図6に示される充電部は充電部A(510A)、充電部B(510B)、および充電部N(510N)を含み、ここで、Nは、特定の実施形態に応じて、可変数の充電部および放電部を示すものである。充電部510A~510Nは、集合的に充電部510と呼ばれる。充電部510は、それぞれ、容量蓄積層418に接続される。充電部510の容量蓄積層への接続は以下にさらに説明するように、正のバスバーおよび共通のバスバー(図6には示されていない)によって達成される。容量蓄積層418は放電部512A~512Nの各々に接続され、ここで、再び、放電部512A~512Nは、放電部512と総称される。容量蓄積層418はまた、後述するように、正のバスバー及び共通のバスバーを用いて放電部512に接続される。こうして、充電部510及び放電部512の両方が、正のバスバーを介してコンデンサに接続される。放電部512の各々は後述するように、放電バスバーおよび共通バスバーを介して送信器コイル426に接続される。送信器コイル426は本明細書に記載されるように、車両に給電および充電するために、車両上の受信器コイル614に電力を送信するための電磁場を生成する。
【0055】
再び図6を参照すると、電気ブロック図は、車両回路612をさらに示す。車両回路612は図11に示すように、車両上または車両内に存在し、車両回路は、受信器コイル614を含む。受信器コイル614は好ましくは図10および図11に示されるように、送信器コイルの近傍に存在する。受信器コイル614はタイヤ回路610から生成された電力を受け取るために、送信器コイル426の電磁場内に位置する車両上に配置される。受信器コイル614は、車両上の調整回路616に接続される。調整回路616は受信器コイル614の電力を入力し、車両のバッテリを充電するための充電回路(図示せず)を含む車両に供給する。調整回路616は、特定の車両実施形態に応じて変化するのであろう。
【0056】
送信器コイル426は、好ましくは多数の緊密に巻かれた導体からなり、その導体は、WTx巻線、LTx層、ODTx 外径およびブレーキ上でタイヤの側壁内に埋め込まれたWGTx導線ゲージによって特徴付けられ、一方の端子は共通バスバー422に接続され、他方の端子は放電バスバー424(図4)に接続されている。
【0057】
受信器コイル614は、好ましくは多数の緊密に巻かれた導体からなり、その導体は、WRx巻線、LRx層、ODRx 外径およびWGRx導線ゲージによって特徴付けられる。受信器コイル614を損傷から保護し、コイルの幾何学的安定性を保持するために、受信器コイル614は受信器コイルハウジング内に囲われる。受信器コイルハウジングはまた、以下に説明するように、受信器コイルを車両のボディ、シャシ、またはフレームに固定するためのアンカーポイントを提供する。受信器コイル614は、車両の電力調整回路に2つの端子を提供する。好ましくは、送信器コイル426の領域は、受信器コイル614の領域を取り囲む。また、送信器コイル426および受信器コイル614は、好ましくは同心であり、それぞれの外接面は互いに対して平行であり、それらの中心は、図10に示されているように、互いから軸方向距離zだけ離れており、それは、好ましくは実行可能な限り、かつ車両の動作中に維持されるべきコイル間の相対幾何学的形状に対して、できる限り近接している。
【0058】
図7Aは、上述した充放電層416の充電部510の上面斜視図を示す。充電部510は、ゴム製ハウジング712に封入された充電モジュール710のアレイ(m×n)から構成されてもよい。図7に示される例におけるモジュールのアレイは、直列に接続されて示される。直列および並列モジュールの他の組合せをアレイに使用することができる。充電部510は、充電モジュール710の電気出力を整流する整流部714を含む。整流部714は好ましくは1つまたは複数のダイオード716を含み、また、図7Cを参照して後述するような抵抗器を含んでもよい。整流部714は、共通バスバー422への共通接続部718と、正バスバー420への正接続部720とを含む。
【0059】
図7Bは、充電部510の2つのモジュール710の分解図を示す。この例では、充電モジュール710がそれぞれ、モジュールハウジング724内に収容された3つの圧電要素722を含む。各充電モジュール710は、上部導電性圧力パッド728および下部導電性圧力パッド726を有する。上部導電性圧力パッド728及び下部導電性圧力パッド726は、圧電要素への機械的接続及び電気的接続の両方を提供する。この例では、下部導電性圧力パッド726が隣接する充電モジュールの上部導電性圧力パッドに接続されるか、または一体的に形成される。モジュールハウジング724は下部デュロメータエラストマーで作られており、このエラストマーはタイヤ部分が圧縮されている間に、上部及び下部の導電性圧力パッドによって圧電要素722を圧縮することを可能にするために、圧力下で圧縮されることを可能にする。さらに、モジュールハウジング724は、導電性圧力パッドの支持体としても機能するのであろう。充電モジュール710は、タイヤトレッドの下のタイヤに埋め込まれ、モジュールを収容する充電部分を収容するタイヤ部分が舗装に接触すると圧縮される。各充電部分からの発生電圧は、タイヤ部分面積、タイヤ部分面積に対する力、最終的に圧電モジュールに力を及ぼす導電性圧力パッドのサイズ、アレイモジュールの数、モジュール当たりの圧電素子の数、ならびにそれらの高さの関数である。複数の圧電素子を用いて、欠陥箇所の数を低減すると共に力の分布を行なう。モジュールは、容量蓄積層を充電するための発生電圧を増加させるために直列に接続されてもよい。各充電部分は2つの接続部を有し、1つは正のバスバーへの接続部であり、1つは共通のバスバーへの接続部である。
【0060】
図7Cは、充放電層416(図4)の充電部分510(図5)の電気図を示す。上で紹介したように、各充電部分510は、各々が多数の圧電素子を含む多数の充電モジュールを含む。充電部分510のための全ての充電モジュールの圧電素子は、組み合わされ、圧電素子730として図7Cに表される。圧電素子730は図7Aを参照して上述したように、整流部714に接続される。この例では、整流部714が、全波整流器734として接続された4つのダイオード732を含む。全波整流器の正極端子736は正のバスバー420(図4)に接続され、負極端子738は共通バスバー422(図4)に接続される。充電部分510は、正端子736と正バスバー420との間の整流セクション714内に抵抗器740を含んでもよい。抵抗器740は、容量蓄積層418を充電するためのRC時定数のための抵抗を提供する。
【0061】
図示の実施形態における容量蓄積層414は、タイヤの長さ(円周)に沿って巻かれた複数のフィルム/箔/誘電体層からなる。フィルム/箔/誘電体層の幅は、好ましくは接触部幅よりも小さい。フィルム/箔/誘電体層および端子は、タイヤの層内のゴム製ハウジング内に包まれる。容量蓄積層414は2つの接続部を有し、1つは正のバスバーに接続され、1つは共通のバスバーに接続される。容量蓄積層の電圧定格は、凹凸路面に起因して発生する可能性のある突然の電圧スパイクに対処できるようにするために、通常動作中に充電部によって発生するピーク電圧よりも約50%以上高いことが好ましい。
【0062】
図8は、充電/放電層416の放電部512の分解図を示す。充放電層の放電部分512は、タイヤトレッドの下のタイヤに埋め込まれ、タイヤ部分が舗装に接触すると圧縮される。放電部512は、図6を参照して上述したように、容量蓄積層418を送信器コイル426に接続するために回路を閉じるスイッチとして作用する。図示の例では、放電部512が頂部層810および底部層812を含む。放電部512の底部層812は、放電部512が圧縮されたときに頂部層810内の1つまたは複数の頂部導体818を介して接触する2つの下部導体814、816を含む。放電部512は、放電部512が圧縮されていないときに、下部導体814、816を頂部導体818から離間させるために、1つ以上のスペーサを含んでもよい。この例では、放電部が、下部導体814、816の輪郭内に中心スペーサ822及び導体スペーサ820を含む。一方の導体814は連結具824を介して正のバスバー420に接続され、他方の導体816は連結具826を介して放電バスバー424(図4)に接続される。放電部512は、容量蓄積層418を送信器コイル426に接続するための感圧スイッチを提供するために、他の構成の接点を含むことができる。例えば、放電部は、放電部が圧縮されたときに頂部導体によって接続されるように挟まれた導電性フィンガーを備えた下部接点を含むことができる。
【0063】
図9は、電気自動車の電磁結合された給電および充電のためのタイヤアセンブリの三次元図である。図9は、タイヤ410の内側の送信器コイル426、および受信器コイルハウジング910の内側に位置する受信器コイル614のそれぞれの位置を示す。受信器コイルハウジング910は、1つまたは複数のシャシアタッチメント腕912で車両に取り付けられる。図9は、タイヤ410の切り取られた部分における充放電層416、正のバスバー420、放電バスバー424及び共通バスバー422の位置を更に示す。蓄積層418(部分的にのみ見える)は、充電/放電層416の下にある。
【0064】
図10は、送信器コイル426および受信器コイル614の寸法を図示するために、車輪412上のタイヤ410の平面図を示している。送信器コイル426は、上述のようにタイヤ410内に配置される。受信器コイル614は、受信器コイルハウジング910内に位置する。送信器コイル426と受信器コイル614との間の水平距離は、距離「z」によって表される。受信器コイル614は車輪412の中心軸から垂直距離「p」の位置にあり、送信器コイル426は、車輪412の中心軸から垂直距離「a」の位置にある。受信器コイル614および送信器コイル426の垂直方向の分離距離は、距離「a」から距離「p」を引くことによって決定することができる。
【0065】
図11は、本明細書に記載される電気自動車の電磁結合充電のためのシステムを備えた車両1110の図である。タイヤ410は、送信器コイル(図示せず)を含む上述の構成要素を含む。受信器コイル(目に見えない)は、いくつかのシャシ取り付けアーム912とともに車両110に取り付けられた受信器コイルハウジング910の内側に取り付けられている。当業者であれば、他のアタッチメントアーム構成を使用して、受信器コイルハウジング910を車両110に取り付けることができることを認識するのであろう。
【0066】
図12は、電気自動車の電磁結合給電及び充電のためのプロセスの実施形態のフローチャートである。実施例の第1のステップ(1210)は、車両用に構成されたタイヤの周囲の周りに交互の充電部および放電部を設けるステップを含む。充電部は1つまたは複数の素子モジュールを含むことができ、各素子モジュールは、素子モジュールハウジング内に少なくとも1つの圧電素子を有する。モジュールはさらに、素子モジュールハウジングの上面上の下側導電性圧力パッドと、素子モジュールハウジングの底面上の上部導電性圧力パッドとを含むことができ、素子モジュールハウジングはタイヤに加えられる圧縮力によって圧電素子がキャパシタ上に電荷を生成するように、圧電素子よりもデュロメータ硬度の低い材料である。放電部は、送信器コイルを通る時変放電電流でコンデンサを放電するための圧力スイッチとして作用し、送信器コイルは、コイルを通る時変放電電流に応答して、送信器コイルの周囲の時変磁界を確立して、車両上に位置する受信器コイルに電力を送信するように構成される。
【0067】
図12の実施形態の第2のステップ(1220)は、タイヤの回転に伴って各充電部が圧縮下にあるときに、タイヤ内の容量蓄積層を、充電部内の圧電要素で電気的に充電するステップを含む。容量蓄積層は、1つ以上のキャパシタを含んでもよい。容量蓄積層のコンデンサ(キャパシタ)は第1のプレートと、第1のプレートから離間された第2のプレートとを含んでもよく、送信器コイルは導体を含み、導体は導体の第1の端部と、導体の第2の端部と、ループを形成する部分とを有し、ループは第1の巻線軸を有し、巻線軸はタイヤの中心軸と同一線上にあり、導体の第1の端部は第1のプレートに電気的に結合され、導体の第2の端部は第2のプレートに結合される。
【0068】
図12の実施形態の最終ステップ(1230)は、車両上の受信器コイルに電力を送信するために、容量蓄積層を放電部で送信器コイルに放電することを含む。このプロセスはさらに、車両によって支持される受信器コイルを含んでもよい。受信器コイルは第2の巻線軸を有する。受信器コイルは、第2の巻線軸を第1の巻線軸と同一直線上に整列させるように構成される受信器コイル支持体によって車両上に支持される。受信器コイル支持体はさらに、送信器コイルの周囲の時変磁界に応答して、受信器コイルを通る時変受信器コイル電流が誘導されるように、受信器コイルを送信器コイルに対して位置決めするように構成される。このプロセスは、さらに、受信器コイルが車両上の調整回路に接続されることを含み、それによって時変受信器コイル電流を用いて車両に電力を供給する。送信器コイルがタイヤの側壁構造に埋め込まれているので、タイヤが車輪に取り付けられると車輪-タイヤの組合せを形成する。車輪-タイヤの組合せは、車両に取り付けられ、巻き線軸が車輪-タイヤの組合せの回転軸線と同一軸線上になる。
【0069】
[実施例1]-電気自動車 A(EV-A)
この第1の実施例では、車両の重量は1,085kgである。車両の重量は、45/55の前部後部重量分布で、2つの後車輪のそれぞれのタイヤ部分に約2,927Nの力を及ぼす。このクラスの車両の後輪に指定されているOEM タイヤは、無負荷外径603mm のP185/60R15 84T タイヤである。タイヤ周長は、1.89mであり、速度2.78m/s(約10km/h)で1秒間に1回転以上となる。EV-Aの平均必要電力は255 W/mi(158 W/km)である。40km/hでは、平均必要電力は約6.3kWである。
【0070】
実施例1では、タイヤの接触部の長さは97mm(長さ)であり、これはタイヤの円周に沿った9つの充放電部分に換算される。電圧発生(充電部)は3×4構成に配置された12個のモジュールの任意のアレイからなり、各15mm直径のモジュールハウジングは3つのネイビー(Navy)タイプI圧電素子を有し、モジュールの直径の半分の同心リングに配置される。これらの要素は、好ましくは2.7mmの外径および3mmの高さで角度的に等距離に配置される。要素は、上述の導電性圧力パッドのような導電性電気接続部と直列に相互接続される。充電部は、全波整流器と2オーム抵抗(R1)を通して共通バスバーと正のバスバーに接続されている。蓄積層、すなわち容量蓄積層は、共通および正のバスバーに接続された定格2,000ボルトの220マイクロファラドコンデンサで構成される。放電部は、放電部が圧縮を受けたときに接触する2つの導体から成り、正と放電バスバーの間の回路を完成させる。送信器コイル(導電性マグネット/エナメル線の円形電流ループ)は、タイヤの側壁に埋め込まれた外径520mmの3層4 AWGエナメル線による2巻線で構成される。送信器コイルの長さは9.8メートル、重さは1.84kgである。送信器コイルは放電及び共通バスバーに接続され、これにより容量蓄積層は、放電部が圧縮される毎に(2オームブリード抵抗(R2)と直列に)送信器コイルを通して放電することができる。
【0071】
再度、実施例1を参照すると、受信器コイルは、6層10 AWGエナメル線による6巻線で構成され、外径は460mmである。送信器コイルの長さは52メートル、重さは2.43kgである。送信器コイルと受信器コイル間の結合係数はWheeler近似を用いて0.44である。受信器コイルは、送信器コイルに近接して配置しなければならない。この場合、2つのコイルの外接面を互いに平行にして、軸方向距離50mmである。磁場の軸方向成分(Bz)は、上述の公式を用いて空間の任意の点で評価することができる。受信器コイルの中心で計算したBzmax(図10)は、指数関数的に減衰する場である8.89 E-03テスラである。この分野は、直流24.76ボルトの平均電圧と、2.2オームの定負荷にわたる11.23アンペアの平均電流とで、717ワットの平均電力(P = I2 R)を生成する。両方の後輪アセンブリからの複合発電量は、10 kphを超える速度で、1回転あたり約1,434ワットである。出力は、車速とタイヤの回転の関数として増加する。一例として、現在の構成では、40km/h(~25mph)では総出力は7.2kWであり、90km/h(~56mph)では電力出力は約18.6kWである。
【0072】
[実施例2]-電気自動車 B(EV-B)
車両の重量は1,343kgである。車両の重量は、50/50の前部後部重量分布で、2つの後車輪のそれぞれのタイヤの部分領域に約3,294 Nの力を及ぼす。後輪に指定されているOEM タイヤは、無負荷時外径696mm のP155/70R19 84Q タイヤである。タイヤ周長は2.18mで、速度2.78m/s(約10km/h)で1秒間に1周を通り過ぎる。EV-Bの平均必要電力は260 Wh/mi(161 Wh/km)である。40km/hでは、平均必要電力は約6.5kWである。タイヤの接触部分の長さは136mm(長さ)で、これはタイヤの周囲に沿った8つの充放電部分に換算される。電圧発生(充電部)は3×4の構成で配置された任意のアレイ12個のモジュールからなり、各15mm直径モジュールハウジング3個のネイビー(Navy)タイプIの圧電素子がモジュールの直径の1/2の同心円状に配置され、それは角度的に等距離に配置された素子を持ち、2.5mmの外径および3mmの高さの素子が上述の導電性圧力パッドのような導電性電気接続部と直列に相互接続されている。充電部は、全波整流器と2オーム抵抗(R1)を通して共通バスバーと正のバスバーに接続されている。
【0073】
容量蓄積層は、定格2,000ボルトの220マイクロファラドコンデンサで構成され、共通および正のバスバーにも接続される。放電部は、放電部が圧縮を受けたときに接触する2つの導体から成り、正と放電バスバーの間の回路を完成させる。送信器コイル(導電性マグネット/エナメル線の円形電流ループ)は、タイヤの側壁に埋め込まれた外径580mmの3層4 AWGエナメル線による2巻線で構成される。送信器コイルの長さは11メートル、重さは2.1kgである。送信器コイルは放電及び共通バスバーに接続され、これにより容量蓄積層は、放電部が圧縮される毎に、(2オームブリード抵抗(R2)と直列に)送信器コイルを通して放電することができる。受信器コイルは、6層10 AWGエナメル線による6巻線で構成され、外径は520mmである。送信器コイルの長さは58.8メートル、重さは2.75kgである。送信器コイルと受信器コイル間の結合係数はWheeler近似を用いて0.47である。受信器コイルは、送信器コイルに近接して配置しなければならない。この場合、2つのコイルの外接面を互いに平行にして、軸方向距離50mmである。磁場の軸方向成分(Bz)は、上述の公式を用いて空間の任意の点で評価することができる。
【0074】
受信器コイルの中心で計算したBzmax(図3)は、指数関数的に減衰する場である8.97 E-03テスラである。この場は、925ワットの平均電力(P = I2 R)を生成し、31.94ボルトDCの平均電圧および2.8オームの定荷重にわたる11.24アンペアの平均電流を有する。両方の後輪アセンブリからの組合せ発電は、10 kphを超える速度で、1回転あたり約1,850ワットである。出力は、車速とタイヤの回転の関数として増加する。一例として、現在の構成では40km/h(~25mph)では総出力は9kWであり、90km/h(~56mph)では電力出力は約20kWである。
【0075】
[実施例3]- 電気自動車 C(EV-C)
車両の重量は2,208kgである。車両の重量は、50/50の前部後部重量分布で、2つの後車輪のそれぞれのタイヤ部分領域に約5,321 Nの力を及ぼす。後輪に指定されているOEM タイヤは、無負荷外径758mm のP235/65R18 106V タイヤである。タイヤ周長は2.38mで、速度2.78m/s(約10km/h)で1秒間に1周以上する。EV-Cの平均必要電力は360 Wh/mi(224 Wh/km)である。40km/hでは、平均必要電力は約9.3kWである。タイヤの接触部長さは167mm(長さ)で、これはタイヤの周囲に沿った7つの充放電部分に換算される。電圧発生(充電部)は12モジュールのアレイからなり、それらは、3×4の構成で配置され、各々は15mm直径モジュールハウジング3個のネイビータイプ(Navy type) I型圧電素子を持ち、それは、角度的に等距離に配置された素子をもってモジュールの直径の1/2の同心円状に配置され、2.3mm外径および3mm高さの素子が上述の導電性圧力パッドのような導電性電気接続と直列に相互接続されている。充電部は、全波整流器と2オーム抵抗(R1)を通して共通バスバーと正のバスバーに接続されている。
【0076】
容量蓄積層は、定格2,000ボルトの270マイクロファラドコンデンサで構成され、共通および正のバスバーにも接続される。放電部は放電部が圧縮を受けたときに接触する2つの導体から成り、正と放電バスバーの間の回路を完成させる。送信器コイル(導電性マグネット/エナメル線の円形電流ループ)は、タイヤの側壁に埋め込まれた外径620mmの3層4 AWGエナメル線による2巻線で構成される。送信器コイルの長さは11.7メートル、重さは2.2kgである。
【0077】
送信器コイルは放電及び共通バスバーに接続され、これにより容量蓄積層は、放電部が圧縮される毎に、(2オームブリード抵抗(R2)と直列に)送信器コイルを通して放電することができる。受信器コイルは、7層10 AWGエナメル線による6巻線で構成され、外径は560mmである。送信器コイルの長さは73.9メートル、重さは3.46kgである。送信器コイルと受信器コイル間の結合係数はWheeler近似を用いて0.49である。受信器コイルは、送信器コイルの近くに配置しなければならない。この場合、2つのコイルの外接面を互いに平行にして、軸方向距離50mmである。磁場の軸方向成分(Bz)は、上述の公式を用いて空間の任意の点で評価することができる。
【0078】
受信器コイルの中心で計算したBzmax(図3)は、指数関数的に減衰する場である8.66 E-03テスラである。この場は、33.95ボルトの直流の平均電圧および3.2オームの定荷重にわたる11.24アンペアの平均電流で、984ワットの平均電力(P = I2 R)を生成する。両方の後輪アセンブリからの結合発電は、10 kphを超える速度で、1回転あたり約1,969ワットである。出力は、車速とタイヤの回転の機能として増加する。一例として、現在の構成では40km/h(~25mph)では、総出力は7.8kWであり、90km/h(~56mph)では、電力出力は約19.6kWである。
【0079】
上記の実施例におけるコイルは、正方形および/または長方形の断面を有する単純な円形密巻コイルであるが、他の断面形状を有するコイルも使用することができる。受信器コイルは、軸方向距離及び/又は角度偏差が受信器コイルの電力出力に悪影響を及ぼす可能性があるため、実質的に変位がないように車両にしっかりと固定される必要がある。タイヤの側壁は、ランフラットタイヤの場合と同様に、補強される必要がある。これは、送信器コイル上の応力を減少させ、コイル形状の維持を助け、また、タイヤ圧力損失の場合の変形に対して送信器コイルを保護するためである。
【0080】
(i)受信器コイル構成(層および巻線)、(ii)受信器コイル外径、(iii)キャパシタサイズ(キャパシタンス)、(iv)送信器コイルと受信器コイルとの間の分離距離の調整、(v)送信器電圧発生およびコイル外径などのパラメータのチューニングは、所望の電力出力を生成するように調整することができることに留意されたい。
【0081】
上記では最良の形態および/または他の例であると考えられるものを説明したが、様々な修正をそこで行うことができ、本明細書で開示される主題を様々な形態および例で実施することができ、その教示を、本明細書でその一部のみを説明した多数の用途に適用することができることを理解されたい。
【0082】
特に明記しない限り、以下の要約点を含む本明細書に記載されるすべての測定結果、値、評価、位置、大きさ、サイズ、および他の仕様は近似的であり、正確ではない。それらは、それらが関係する機能と、それらが関係する当技術分野で慣習的なものと一致する妥当な範囲を有することが意図される。
【0083】
言語は本開示の文脈で使用される言語の通常の意味と一致するように広く解釈されることを意図し、解釈されるべきであり、すべての構造的および機能的等価物を包含する。
【0084】
直前に述べたものを除いて、述べられ、または図示されたものは、任意の部品、ステップ、特徴、目的、利益、利点、または公衆に対する同等物の専用化を引き起こすことを意図され、または解釈されるべきではない。
【0085】
本明細書で使用される用語および表現は、特定の意味が本明細書で別段に記載されている場合を除いて、それぞれの照会および研究分野において、そのような用語および表現に与えられる通常の意味を有することが理解されるのであろう。第1および第2などの関係用語は、そのような実態または動作間のそのような実際の関係または順序を必ずしも要求または暗示することなく、1つの実態または動作を別の実態または動作から区別するためにのみ使用され得る。「備える」という用語およびその他の変形は、非排他的な表現を含むことを意図している。要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素を含むだけでなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に対して明示的にリストされていない、または固有でない他の要素を含むことができる。「a」または「An」によって先行される要素は、さらなる制約なしに、その要素を含むプロセス、方法、物品、または装置における追加の同一の要素の存在を排除しない。
【0086】
前述の「発明を実施するための形態」では、本開示を合理化する目的で、様々な特徴が様々な例で一緒にグループ化されていることが分かる。この開示方法は、任意の要約点が明示的に列挙されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】