(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】がんの処置方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/496 20060101AFI20221020BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
A61K31/496
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022509196
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 US2020046229
(87)【国際公開番号】W WO2021030619
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(71)【出願人】
【識別番号】516026343
【氏名又は名称】イグナイタ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】メネセス-ロレンテ ジョージナ
(72)【発明者】
【氏名】マネヴァル エドナ チョウ
(72)【発明者】
【氏名】マルタニ プラティク エス.
(72)【発明者】
【氏名】エン スーザン ダイアン
(72)【発明者】
【氏名】レイ アコスタ セルジオ レネ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA06
4C086NA10
4C086ZB26
(57)【要約】
肝機能の障害を有している患者に治療有効量のエントレクチニブを投与することを含む、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法、及び患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法が本明細書で提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、前記患者に治療有効量のエントレクチニブを投与することを含み、前記患者が肝機能の障害を有している、方法。
【請求項2】
前記肝機能の障害が、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される軽度の肝機能障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記肝機能の障害が、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される中等度の肝機能障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記肝機能の障害が、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される重度の肝機能障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記Child-Pughスコアリング・システムが、脳症グレード、腹水症、血清ビリルビン濃度、血清アルブミン濃度及びプロトロンビン時間の評価を含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記軽度、中等度又は重度の肝機能障害が、肝硬変から生じる、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記肝硬変が実質性肝疾患の結果である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記肝機能の障害が、国立がん研究所臓器機能障害ワーキンググループシステムによって評価される軽度、中等度又は重度の肝機能障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記国立がん研究所臓器機能障害ワーキンググループシステムが、総ビリルビン濃度及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ濃度を測定する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記患者が、正常値の上限の約1.5倍超~正常値の上限の約3倍の総ビリルビン濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記患者が、正常値の上限の約1.6倍~正常値の上限の約3倍の総ビリルビン濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記治療有効量が600mg以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記治療有効量が、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
エントレクチニブが1日1回投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
エントレクチニブが1日2回投与される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記患者が、ROS1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される少なくとも1つの標的遺伝子に少なくとも1つの遺伝子変化を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記患者が、ROS1における遺伝子変化を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記患者が、NTRK1、NTRK2、NTRK3、又はそれらの任意の組合せにおける遺伝子変化を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記がんが、肉腫、非小細胞肺がん、乳腺相似分泌癌腫、乳がん、甲状腺がん、結腸直腸がん、神経内分泌がん、膵臓がん、婦人科がん、及び胆管がんから選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記がんが、1つ又は複数のNTRK遺伝子融合陽性固形腫瘍を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記がんが、ROS-1陽性非小細胞肺がんである、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
肝機能の障害を有する患者におけるがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【請求項23】
.肝機能の障害を有する患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【請求項24】
必要とする患者における、がんを処置する方法又はエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
前記患者にエントレクチニブを投与する前に、
(i)任意に、エントレクチニブの投与による1つ若しくは複数の有害反応のリスクを前記患者に告知すること;及び/又は
(ii)任意に、有害反応に関連する前記患者の1つ若しくは複数のパラメータを評価すること;
初期用量での前記患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について前記患者を監視すること;並びに
前記患者が重度の有害反応を示さない場合、がんが進行するまでエントレクチニブの投与を継続すること;或いは
前記患者に重度の有害反応が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者の回復時に前記初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することであって、患者の回復は前記重度の有害反応の非存在若しくは減少である、再開すること、又は前記重度の有害反応が4週間以内に解消しないか若しくは前記重度の有害反応が再発する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止すること、を含む、方法。
【請求項25】
前記有害反応が、うっ血性心不全、心臓障害(例えば、うっ血性心不全及びQT間隔延長)、中枢神経系(CNS)有害反応、骨折(例えば、骨格骨折)、肝毒性、高尿酸血症、視覚障害、貧血/好中球減少症、認知障害、トランスアミナーゼ上昇、胚胎児毒性、失神、又は間質性肺疾患である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記有害反応がうっ血性心不全であり、前記重度の有害反応が少なくともグレード2の重症度のうっ血性心不全であり、患者の回復が、グレード1以下の重症度のうっ血性心不全として判定され、前記患者がグレード4の重症度のうっ血性心不全を示す場合、前記方法は、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること、及び前記患者へのエントレクチニブの投与を低用量で再開すること、又は恒久的に中止することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記有害反応が中枢神経系(CNS)有害反応であり、前記重度の有害反応が少なくともグレード2の重症度の中枢神経系有害反応であり、患者の回復が、グレード1以下の重症度の中枢神経系有害反応として判定され、前記患者へのエントレクチニブの投与に先立って、前記方法は、前記患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系有害反応が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように前記患者にアドバイスすることをさらに含み;前記方法は、前記患者がグレード2の重症度の中枢神経系有害反応を示す場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者の回復時に前記初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含み、又は前記患者にグレード3の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者に対して前記低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含み、又は前記患者にグレード4の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記有害反応が認知障害であり、前記重度の有害反応が少なくともグレード2の重症度の認知障害であり、前記患者へのエントレクチニブの投与に先立って、前記方法は、前記患者にエントレクチニブの投与による認知変化の可能性を告知することと、前記患者にエントレクチニブの投与によって認知変化の1つ又は複数の症候が認められる場合、前記患者に危険な機械類を運転又は操作しないようアドバイスすることとをさらに含み;前記方法は、前記患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含み、又は前記患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与することを含み、又は前記患者に認知障害の長期、重症若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
認知変化又は認知障害が、錯乱、精神状態変化、記憶障害、及び幻覚のうちの1つ又は複数を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記有害反応が骨格骨折であり、前記患者が骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候を示す場合、前記方法は、前記患者を迅速に評価することと、適切な医学的管理を開始することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記有害反応が肝毒性であり、前記監視が、投与の最初の1ヶ月間は2週間ごとの、その後は毎月の、且つ臨床的に指示されるような、ALT及びASTの測定を含む肝臓検査を含み、前記重度の有害反応が、少なくともグレード3の重症度の肝毒性であり、患者の回復が、グレード1以下の重症度の肝毒性として判定され;前記方法は、前記患者にグレード3の重症度の肝毒性が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、4週間以内の患者の回復時に前記初期用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含み、又は4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でのエントレクチニブの投与を再開することを含み、又はグレード3の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しない場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含み、又は前記患者にグレード4の重症度の肝毒性が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、4週間以内の患者の回復時に前記低用量でのエントレクチニブの投与を再開することを含み、又はグレード4の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含み、又は前記患者が正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはASTを示し、同時に、胆汁うっ滞又は溶血の非存在下で正常値の上限の1.5倍を超える総ビリルビンを示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記有害反応がトランスアミナーゼ上昇であり、前記重度の有害反応は、少なくともグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇であり、患者の回復が、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇として判定され、前記方法は、前記患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留することと、4週間以内の患者の回復時に用量を変更することなく前記患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、又は4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開することを含み、或いはグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合、前記患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含み、或いは前記患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留することと、4週間以内の患者の回復時に用量を変更することなく前記患者へのエントレクチニブの投与を再開することとを含み、或いはグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は、前記患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含み、或いは前記患者が正常値の上限の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下で正常値の上限の2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、前記患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記有害反応が高尿酸血症であり、前記1つ又は複数のパラメータが、前記患者の血清尿酸レベルを含み、前記方法が、エントレクチニブの投与中に定期的に血清尿酸レベルを再評価することをさらに含み、前記重度の有害反応が高尿酸血症又はグレード4の高尿酸血症の症候であり、前記患者が高尿酸血症の症候性であるか又はグレード4の高尿酸血症である場合、前記方法は、臨床的に指示されるような尿酸低下薬による処置を開始することと、エントレクチニブを保留することと、高尿酸血症の徴候又は症候の改善時に前記初期用量又は低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記有害反応がQTc間隔の延長であり、前記1つ又は複数のパラメータが、前記患者のQT間隔及び電解質を含み、前記方法が、エントレクチニブの投与中に定期的にQT間隔及び電解質を再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整することを含み;前記方法が、前記患者が481ms~500msのQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留することと、前記初期用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含み、或いは前記患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留することと、QT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には前記初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又はQT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含み、或いは前記患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍、又は重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記有害反応が視覚障害であり、前記重度の有害反応は、少なくともグレード2の重症度の視覚障害であり、前記患者にグレード2以上の重症度の視覚障害が認められる場合、前記方法が、前記視覚障害の改善又は安定化までエントレクチニブを保留することと、前記初期用量又は低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記有害反応が貧血又は好中球減少症であり、前記重度の有害反応は、少なくともグレード3の重症度の貧血又は好中球減少症であり、前記患者にグレード3又はグレード4の重症度の貧血又は好中球減少症が認められる場合、前記方法が、エントレクチニブを保留することと、グレード2以下の重症度の貧血又は好中球減少症への患者の回復時に、前記初期用量又は低用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項37】
前記有害反応が胚-胎児毒性であり、前記患者が妊娠する場合、前記方法が、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項38】
前記初期用量が600mgであり、1日1回経口投与され、前記低用量が400mgであり、1日1回経口投与される、請求項24から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記初期用量が100mgであり、1日1回経口投与され、前記低用量が100mgであり、週に5日間1日1回経口投与される、請求項24から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記初期用量が200mgであり、1日1回経口投与され、前記低用量が200mgであり、週に5日間1日1回経口投与される、請求項24から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記初期用量が300mgであり、1日1回経口投与され、前記低用量が200mgであり、1日1回経口投与される、請求項24から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記初期用量が400mgであり、1日1回経口投与され、前記低用量が300mgであり、1日1回経口投与される、請求項24から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、前記処置が、
前記患者にエントレクチニブを投与する前に、
(i)任意に、エントレクチニブの投与による1つ若しくは複数の有害反応のリスクを前記患者に告知すること;及び/又は
(ii)任意に、有害反応に関連する前記患者の1つ若しくは複数のパラメータを評価すること;
初期用量での前記患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について前記患者を監視すること;並びに
前記患者が重度の有害反応を示さない場合、がんが進行するまでエントレクチニブの投与を継続すること;或いは
前記患者に重度の有害反応が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者の回復時に前記初期用量又は低用量でのエントレクチニブの投与を再開することであって、患者の回復は前記重度の有害反応の非存在若しくは減少である、再開すること、又は前記重度の有害反応が4週間以内に解消しないか若しくは前記重度の有害反応が再発する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止すること
を含む、エントレクチニブ又はエントレクチニブの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月14日に出願された米国仮特許出願第62/886,948号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、本明細書に開示される医薬組成物を利用して肝機能の障害を有する患者のがんを処置する方法に関する。本開示はまた、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
概要
一態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、患者に治療有効量のエントレクチニブを投与することを含み、患者が肝機能の障害を有する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、肝機能の障害は軽度の肝機能障害であり、このことは、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される。いくつかの実施形態において、肝機能の障害は中等度の肝機能障害であり、このことは、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される。いくつかの実施形態において、肝機能の障害は重度の肝機能障害であり、このことは、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される。いくつかの実施形態では、Child-Pughスコアリング・システムは、脳症グレード、腹水症、血清ビリルビン濃度、血清アルブミン濃度及びプロトロンビン時間の評価を含む。いくつかの実施形態では、軽度、中等度又は重度の肝機能障害は、肝硬変から生じる。いくつかの実施形態では、肝硬変は、実質性肝疾患の結果である。いくつかの実施形態において、肝機能の障害は、国立がん研究所臓器機能障害ワーキンググループシステムによって評価される軽度、中等度又は重度の肝機能障害である。いくつかの実施形態では、国立がん研究所臓器機能障害ワーキンググループ(NCI-ODWG)システムは、総ビリルビン濃度及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ濃度を測定する。いくつかの実施形態では、患者は、正常値の上限の約1.5倍超~正常値の上限の約3倍の総ビリルビン濃度を有する。いくつかの実施形態では、患者は、正常値の上限の1.5倍超~正常値の上限の約3倍の総ビリルビン濃度を有する。いくつかの実施形態では、治療有効量は600mg以下である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、100mg、200mg、300mg、400mg、又は500mgである。
【0004】
別の態様では、必要とする患者における、がんを処置する方法又はエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法、がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、以下を含む方法が本明細書において提供される:
患者にエントレクチニブを投与する前に、
(i)任意に、エントレクチニブの投与による1つ若しくは複数の有害反応のリスクを患者に告知すること;及び/又は
(ii)任意に、有害反応(例えば、CHFについてはLVEF、高尿酸血症については血清尿酸レベル、QT間隔延長についてはQT間隔及び電解質)に関連する患者の1つ若しくは複数のパラメータを評価すること;
初期用量(例えば、1日当たり600mgの経口投与)での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について患者を監視すること;並びに
患者における任意の有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度の有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の有害反応が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード2以下の重症度の有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開することを含む。
【0005】
別の態様では、必要とする患者における、がんを処置する方法又はエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法、がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、以下を含む方法が本明細書において提供される:
患者にエントレクチニブを投与する前に、
(i)任意に、エントレクチニブの投与による1つ若しくは複数の有害反応のリスクを患者に告知すること;及び/又は
(ii)任意に、有害反応(例えば、CHFについてはLVEF、高尿酸血症については血清尿酸レベル、QT間隔延長についてはQT間隔及び電解質)に関連する患者の1つ若しくは複数のパラメータを評価すること;
初期用量(例えば、1日当たり600mgの経口投与)での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について患者を監視すること;並びに
患者が重度の有害反応を示さない場合、がんが進行するまでエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に重度の有害反応が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者の回復時に、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することであって、患者の回復は、重度の有害反応の非存在若しくは減少である、再開すること、又は重度の有害反応が4週間以内に解消しないか、若しくは重度の有害反応が再発する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、方法は、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法である。いくつかの実施形態において、方法は、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法である。いくつかの実施形態では、有害反応は、心臓障害(例えば、うっ血性心不全及びQT間隔延長)、中枢神経系(CNS)有害反応、骨折(例えば、骨格骨折)、肝毒性、高尿酸血症、視覚障害、貧血/好中球減少症、認知障害、トランスアミナーゼ上昇、胚胎児毒性、失神、又は間質性肺疾患である。いくつかの実施形態では、有害反応は、うっ血性心不全、中枢神経系(CNS)有害反応、肝毒性、高尿酸血症、QT間隔延長、視覚障害、又は貧血/好中球減少症である。いくつかの実施形態では、有害反応は、うっ血性心不全、認知障害、高尿酸血症、QT間隔延長、トランスアミナーゼ上昇、又は貧血/好中球減少症である。いくつかの実施形態では、有害反応は、貧血/好中球減少症、中枢神経系(CNS)有害反応、肝毒性、高尿酸血症、失神、うっ血性心不全、QT間隔延長、又は視覚障害である。いくつかの実施形態では、有害反応は、心臓障害(QT間隔延長を除く)、QT間隔延長、認知障害若しくは運動失調、失神、貧血/好中球減少症、又は間質性肺疾患である。いくつかの実施形態では、有害反応は、貧血/好中球減少症、認知障害、うっ血性心不全、又はQT間隔延長である。
【0007】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者にエントレクチニブを投与する前に患者の左室駆出率(LVEF)を評価すること;
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
息切れ及び浮腫を含む、うっ血性心不全(CHF)の臨床徴候及び症候について患者を監視すること;
任意に、CHFの診断を行うためにMRI又は心臓生検を得ること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2若しくは3の重症度のCHFが認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、適切な医学的管理を開始することと、LVEF及びCHFの重症度を再評価することと、並びに患者がグレード1以下の重症度のCHFへの回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者にグレード4の重症度のCHFが認められる場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0008】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系(CNS)の有害反応のリスクを患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数のCNS有害反応が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
1つ又は複数のCNS有害反応について患者をモニタリングすること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2の重症度のCNS有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度のCNS有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード3の重症度のCNS有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度のCNS有害反応への回復時に、低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード4の重症度のCNS有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0009】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること(例えば初期用量で);
骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候について患者を監視すること;
患者が骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候を示す場合、迅速に患者を評価し、適切な医学的管理を開始すること;及び
患者におけるさらなる有害反応の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0010】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
ALT及びASTを含む肝臓検査を用いて、投与の最初の1ヶ月間は2週間ごとの、その後は毎月の、かつ臨床的に指示されるような、患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード3の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しない場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者にグレード4の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード4の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはASTを示し、同時に、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下でULNの1.5倍を超える総ビリルビンを示す場合は、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0011】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
エントレクチニブの投与を開始する前に患者の血清尿酸レベルを評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中に定期的に血清尿酸レベルを再評価し、高尿酸血症の徴候及び症候について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に高尿酸血症の症候性であるか若しくはグレード4の高尿酸血症が認められる場合、臨床的に指示されるような尿酸低下薬による処置を開始することと、エントレクチニブを保留することと、高尿酸血症の徴候若しくは症候が改善したら、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0012】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0013】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
新たな視覚障害について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2以上の重症度の視覚障害が認められる場合、視覚障害の改善若しくは安定化までエントレクチニブを保留することと、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0014】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
貧血又は好中球減少について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の貧血若しくは好中球減少が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード2以下の重症度の貧血若しくは好中球減少への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0015】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による認知変化の可能性について患者にアドバイスすること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の認知変化の症候が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
認知障害について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害へ回復するまで、エントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;又は
患者に認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0016】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
トランスアミナーゼ上昇について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下でULNの2倍を超える総ビリルビ上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0017】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
うっ血性心不全について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2若しくはグレード3の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全へ回復するまで、エントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード4の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全へ回復するまで、エントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0018】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が481~500msのQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること;及び、QT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは、QT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0019】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
胚-胎児毒性の可能性について患者に告知すること;
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること(例えば初期用量で);及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が妊娠する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0020】
別の態様では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の有害反応が認められる場合はエントレクチニブを保留することと、患者がグレード1以下の重症度の有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は有害反応が4週間以内に解消しないか、若しくはグレード4の重症度の有害反応が再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0021】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者にエントレクチニブを投与する前に患者の左室駆出率(LVEF)を評価すること;
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
息切れ及び浮腫を含む、うっ血性心不全(CHF)の臨床徴候及び症候について患者を監視すること;
任意に、CHFの診断を行うためにMRI又は心臓生検を得ること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2若しくは3の重症度のCHFが認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、適切な医学的管理を開始することと、LVEF及びCHFの重症度を再評価することと、並びに患者がグレード1以下の重症度のCHFへの回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者にグレード4の重症度のCHFが認められる場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0022】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系(CNS)の有害反応のリスクを患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数のCNS有害反応が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
1つ又は複数のCNS有害反応について患者をモニタリングすること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2の重症度のCNS有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度のCNS有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード3の重症度のCNS有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度のCNS有害反応への回復時に、低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード4の重症度のCNS有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0023】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること(例えば初期用量で);
骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候について患者を監視すること;
患者が骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候を示す場合、迅速に患者を評価し、適切な医学的管理を開始すること;及び
患者におけるさらなる有害反応の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0024】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
ALT及びASTを含む肝臓検査を用いて、投与の最初の1ヶ月間は2週間ごとの、その後は毎月の、かつ臨床的に指示されるような、患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード3の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しない場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者にグレード4の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード4の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはASTを示し、同時に、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下でULNの1.5倍を超える総ビリルビンを示す場合は、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0025】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
エントレクチニブの投与を開始する前に患者の血清尿酸レベルを評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中に定期的に血清尿酸レベルを再評価し、高尿酸血症の徴候及び症候について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に高尿酸血症の症候性であるか若しくはグレード4の高尿酸血症が認められる場合、臨床的に指示されるような尿酸低下薬による処置を開始することと、エントレクチニブを保留することと、高尿酸血症の徴候若しくは症候が改善したら、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0026】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0027】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
新たな視覚障害について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2以上の重症度の視覚障害が認められる場合、視覚障害の改善若しくは安定化までエントレクチニブを保留することと、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0028】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
貧血又は好中球減少について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の貧血若しくは好中球減少が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード2以下の重症度の貧血若しくは好中球減少への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0029】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による認知変化の可能性について患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の認知変化の症候が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
認知障害について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;又は
患者に認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0030】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
トランスアミナーゼ上昇について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下でULNの2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0031】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
うっ血性心不全について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2若しくはグレード3の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード4の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0032】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が481~500msのQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること;及びQT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは、QT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0033】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
胚-胎児毒性の可能性について患者に告知すること;
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること(例えば初期用量で);及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が妊娠する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0034】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に失神が認められる場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に失神の再発が認められる場合、エントレクチニブの投与を中止することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0035】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の有害反応が認められる場合はエントレクチニブを保留することと、患者がグレード1以下の重症度の有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は有害反応が4週間以内に解消しないか、若しくはグレード4の重症度の有害反応が再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0036】
いくつかの実施形態において、初期用量は600mg、500mg又は400mgである。いくつかの実施形態において、低用量は400mg、300mg又は200mgである。いくつかの実施形態において、初期用量は600mgであり、低用量は400mg又は200mgである。いくつかの実施形態において、初期用量は600mgであり、低用量は400mgである。
【0037】
いくつかの実施形態では、認知変化又は認知障害は、錯乱、精神状態変化、記憶障害、及び幻覚のうちの1つ又は複数を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、初期用量は600mgであり、1日1回経口投与され、低用量は400mgであり、1日1回経口投与される。いくつかの実施形態では、初期用量は600mgであり、1日1回経口投与され、低用量は200mgであり、1日1回経口投与される。いくつかの実施形態では、初期用量は100mgであり、1日1回経口投与され、低用量は100mgであり、1日1回、週に5日間経口投与される(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)。1つのバリエーションでは、低用量は100mgであり、毎日1回、週に3日間経口投与される(例えば、月曜日、木曜日及び土曜日)。いくつかの実施形態では、初期用量は200mgであり、1日1回経口投与され、低用量は200mgであり、1日1回、週に5日間経口投与される(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)。1つのバリエーションでは、初期用量は200mgであり、1日1回経口投与され、低用量は100mgであり、1日1回、週に5日間経口投与される(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)。いくつかの実施形態では、初期用量は300mgであり、1日1回経口投与され、低用量は200mgであり、1日1回経口投与される。1つのバリエーションでは、初期用量は300mgであり、1日1回経口投与され、低用量は100mgであり、1日1回経口投与される。いくつかの実施形態では、初期用量は400mgであり、1日1回経口投与され、低用量は300mgであり、1日1回経口投与される。1つのバリエーションでは、初期用量は400mgであり、1日1回経口投与され、低用量は200mgであり、1日1回、週に5日間経口投与される(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)。いくつかの実施形態では、初期用量は500mgであり、1日1回経口投与され、低用量は400mgであり、1日1回経口投与される。いくつかの実施形態では、初期用量は500mgであり、1日1回経口投与され、低用量は200mgであり、1日1回経口投与される。これらの実施形態のいくつかでは、患者は成人患者である。これらの実施形態のいくつかでは、患者は小児患者である。いくつかの実施形態では、患者は、12歳以上の小児患者である。いくつかの実施形態では、1.50m2以下の体表面積を有する12歳以上の小児患者について、初期用量は600mgであり、1日1回経口投与される。いくつかの実施形態では、1.11~1.50m2の体表面積を有する12歳以上の小児患者について、初期用量は500mgであり、1日1回経口投与される。いくつかの実施形態では、0.91~1.10m2の体表面積を有する12歳以上の小児患者について、初期用量は400mgであり、1日1回経口投与される。いくつかの実施形態では、患者は1.51m2以下の体表面積を有する小児患者であり、初期用量は600mgであり、1日1回経口投与される。いくつかの実施形態では、患者は1.11~1.50m2の体表面積を有する小児患者であり、初期用量は400mgであり、1日1回経口投与される。いくつかの実施形態では、患者は0.81~1.10m2の体表面積を有する小児患者であり、初期用量は300mgであり、1日1回経口投与される。いくつかの実施形態では、患者は0.51~0.80 m2の体表面積を有する小児患者であり、初期用量は200mgであり、1日1回経口投与される。いくつかの実施形態では、患者は0.43~0.50m2の体表面積を有する小児患者であり、初期用量は100mgであり、1日1回経口投与される。
【0039】
いくつかの実施形態では、エントレクチニブは、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、エントレクチニブは、1日2回投与される。いくつかの実施形態では、患者は、ROS1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される少なくとも1つの標的遺伝子に少なくとも1つの遺伝子変化を有する。いくつかの実施形態では、患者はROS1における遺伝子変化を有する。いくつかの実施形態では、患者は、NTRK1、NTRK2、NTRK3、又はそれらの任意の組合せにおける遺伝子変化を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、がんは、肉腫、非小細胞肺がん、乳腺相似分泌癌腫(MASC)、乳がん、甲状腺がん、結腸直腸がん、神経内分泌がん、膵臓がん、婦人科がん、及び胆管がんから選択される。いくつかの実施形態では、がんは、1つ又は複数のNTRK遺伝子融合陽性固形腫瘍を含む。いくつかの実施形態では、がんは、ROS-1陽性非小細胞肺がんである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
様々な実施形態を以下に説明する。特定の実施形態は、網羅的な説明として、又は本明細書で説明されるより広い態様に対する限定として意図されていないことに留意されたい。特定の実施形態に関連して説明される1つの態様は、必ずしもその実施形態に限定されず、任意の他の実施形態(単数又は複数)で実施することができる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変化する。当業者には明確でないこの用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約」は、特定の用語のプラス又はマイナス10%までを意味する。
【0043】
要素を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」及び「an」及び「the」並びに同様の指示対象の使用は、本明細書で特に指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。例えば、「細胞(a cell)」という用語は、それらの混合物を含む1つ又は複数の細胞を含む。「A及び/又はB」は、本明細書では、代替形態:「A」、「B」、「A又はB」、及び「A及びB」の全てを含むように使用される。
【0044】
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書中に別段の指示がない限り、エンドポイントを含む範囲内に入るそれぞれの別個の値を個々に言及する簡略な方法として役立つことを意図しているにすぎず、それぞれの別個の値は、あたかも本明細書中に個々に列挙されているかのように本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、実施形態をよりよく明らかにすることを意図しているにすぎず、特に明記しない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる言語も、特許請求されていない要素を必須として示すと解釈されるべきではない。
【0045】
本明細書で使用される場合、「エントレクチニブ」という用語は、Chemical Abstracts Service Registry No.1108743-60-7を有し、以下の化学構造を有する化合物である「N-[5-(3,5-ジフルオロベンジル)-1H-インダゾール-3-イル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンズアミド」を指す。
【化1】
【0046】
以下、本明細書におけるエントレクチニブへの全ての言及は、その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、錯体、多形体、互変異性体、及び同位体標識バージョンへの言及を含む。薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体、多形体、互変異性体及び同位体標識バージョンのエントレクチニブを含む医薬組成物も本明細書中に提供される範囲内に含まれる。
【0047】
本明細書で使用される場合、「投与」及び「投与する」という用語は、経口、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所、又はそれらの組合せを含むがこれらに限定されない投与経路による対象への生物活性組成物又は製剤の送達を意味する。いくつかの実施形態では、対象への投与は経口である。
【0048】
本明細書で使用される場合、「ALK」という用語は、ヒトにおいてALK遺伝子によってコードされ、UniProtでALK_HUMANと同定された酵素である、未分化リンパ腫キナーゼ受容体又はCD246(分化クラスター246)を意味する。
【0049】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、別の分子の特定の空間的及び極性の構成に特異的に結合し、それによってそれと相補的であると定義される免疫グロブリンを意味する。抗体はモノクローナル又はポリクローナルであり得、宿主の免疫化及び血清の収集などの当技術分野で周知の技術によって(ポリクローナル)、又は連続ハイブリッド細胞株を調製し、分泌タンパク質を収集することによって(モノクローナル)、又は天然抗体の特異的結合に必要なアミノ酸配列を少なくともコードするヌクレオチド配列又はその突然変異誘発バージョンをクローニング及び発現することによって調製され得る。抗体は、完全な免疫グロブリン又はそのフラグメントを含んでよく、免疫グロブリンは、IgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2b及びIgG3、IgMなどの様々なクラス及びアイソタイプを含む。そのフラグメントには、Fab、Fv及びF(ab’)2、Fab’などが含まれ得る。また、免疫グロブリン又はそのフラグメントの凝集体、ポリマー、コンジュゲートは、特定の標的に対する結合親和性が維持される限り、適宜用いることができる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「AUC」という用語は、対象の血漿中の化合物の濃度対時間のプロットの曲線下面積を意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「生物学的試料」という用語は、診断又は監視アッセイで使用され得る生物から得られた試料を意味する。試料は、健康な組織、疾患組織、又は疾患組織であると疑われる組織のものであり得る。試料は、例えば外科的処置中に採取された生検であり得る。試料は、体腔を穿刺吸引、掻き取り、又は洗浄して、そこから細胞又は組織を収集することによって収集することができる。試料は、例えば、固形及び造血腫瘍などの腫瘍並びに隣接する健康な組織の試料であり得る。試料は、対象細胞のスメア又は組織切片であり得る。この用語は、生物学的起源の血液及び他の液体試料、固形組織試料、例えば、生検標本又はそれ由来の組織培養物若しくは細胞、並びにそれらの子孫を包含する。この用語は、試薬による処置、可溶化、又はある特定の成分の富化によって等、それらの調達後に何らかの手法で操作された試料を包含する。この用語は、臨床試料を包含し、細胞培養中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、細胞抽出物、細胞ホモジネート、並びに合成タンパク質、血清、血漿、体液及び他の生物学的流体を含む細胞内成分、並びに組織試料も含む。生物学的試料は、保存料、抗凝固剤、バッファー、定着剤、栄養素又は抗生物質等、本質的に細胞又は組織とは自然に混ざり合わない化合物を含有することができる。いくつかの実施形態において、試料は、凍結試料として保存され、又は、ホルムアルデヒド固定若しくはパラホルムアルデヒド固定パラフィン包理(FFPE)組織調製物として保存される。例えば、試料は、マトリックス、例えば、FFPEブロック又は凍結試料中に包埋され得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「バイオマーカー」という用語は、核酸又はタンパク質産物のレベルが対象の生物学的状態の一態様に関して定量的に異なる濃度又はレベルを有する1つ又は複数の化合物を意味する。「バイオマーカー」という用語は、本明細書では「マーカー」という用語と互換的に使用され得る。バイオマーカーのレベルは、核酸レベル及びポリペプチドレベルの両方で測定することができる。核酸レベルでは、例えばミトコンドリアゲノムを含む、対象の染色体及び染色体外ゲノムの任意の部分から転写される核酸遺伝子又は転写物を測定することができる。好ましくは、RNA転写物、より好ましくはRNA転写物が一次転写物、スプライシングされた転写物、選択的にスプライシングされた転写物を含むか、又はバイオマーカーのmRNAが測定される。ポリペプチドレベルでは、バイオマーカーのプレプロペプチド、プロペプチド、成熟ペプチド又は分泌ペプチドを測定することができる。バイオマーカーは、本明細書で定義される目的の生物学的状態との相関を可能にするために、単独で、又は1つ若しくは複数の他の同定されたバイオマーカーと組み合わせて使用することができる。本開示によって包含されるバイオマーカーの具体例としては、ALK、ROS1、TrkA、TrkB、及びTrkCに関連するバイオマーカーが挙げられる。
【0053】
本明細書で使用される場合、「Cmax」という用語は、化合物、又は化合物を含む医薬組成物が対象に投与された後に化合物が対象の血漿中で達成するピーク濃度を意味する。いくつかの実施形態では、化合物、又は化合物を含む医薬組成物は、特定のCmaxを達成するために対象に経口投与される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「がん」又は「腫瘍」という用語は互換的に使用され得る。これらの用語は、制御されない増殖、不死性、転移能、急速な成長及び増殖速度、並びにある特定の特質的な形態学的特徴など、がんを引き起こす細胞の典型的な特質を保有する細胞の存在を意味する。がん細胞は、腫瘍の形態であることが多いが、このような細胞は、動物内に単独で存在し得るか、又は非腫瘍化がん細胞、例えば、白血病細胞などであり得る。これらの用語には、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、又は転移性病巣が含まれる。本明細書で使用されるとき、「がん」という用語は、前悪性、並びに悪性のがんを含む。特定の実施形態では、がんは、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、又は転移性病変である。また、この用語は、それを形成する細胞の種類から名付けられた固形腫瘍、血液、骨髄、又はリンパ系のがんを指す。固形腫瘍の例には、肉腫及び癌腫が含まれるが、これらに限定されない。血液のがんの例には、白血病、リンパ腫及び骨髄腫が含まれるが、これらに限定されない。これらの用語には、身体の特定の部位に起源を有する原発性がん、それが始まった場所から身体の他の部分に広がった転移性がん、寛解後の元の原発性がんからの再発、及び後者とは異なるタイプの以前のがんの病歴を有する人における新たな原発性がんである第2の原発性がんが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「がん」は、異常な細胞増殖によって引き起こされる任意の悪性及び/又は浸潤性増殖又は腫瘍を指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「化学療法剤」という用語は、症状、特にがんを処置するために使用される、細胞傷害剤又は細胞増殖抑制剤などの化学物質を意味する。
【0056】
本明細書で使用される場合、「組合せ」及び「組み合わせて」という用語は、連続的又は同時に、少なくとも1つの追加の医薬又は医薬品(例えば、抗がん剤)と共にエントレクチニブを投与することを意味する。それは、同時に、又は互いに数分以内若しくは数時間以内に、又は同じ日に、又は交互の日に投与すること、又は本明細書で提供される医薬組成物を毎日、又は週に複数日、又は毎週投与することを含み、一方で、例えば、化学療法剤などの別の化合物を、同じ日に、又は交互の日若しくは週に、又はそれと同時若しくはそれに伴う時間中に定期的に、又は本明細書に開示される医薬組成物が投与される時間の少なくとも一部に投与する。例えば、エントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬組成物は、毎日又は週に複数日投与することができ、一方で、化学療法剤は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日ごと又はそれ以上の日ごとなど、交互の日又は交互の週又は他の期間に投与される。
【0057】
本明細書で使用される場合、「接触」という用語は、特異性又は特異的結合に関して使用される場合、ファンデルワールス力、水素結合、疎水性相互作用などの短距離非共有結合化学相互作用が分子の相互作用を支配するように2つの分子が十分に近いことを意味する。
【0058】
本明細書で使用される場合、「細胞株」という用語は、クローン細胞に由来する1つ又は複数の世代の細胞を意味する。「クローン」又は「クローン細胞」という用語は、表現型が類似した細胞の単離された集団(すなわち、「クローン細胞集団」)を産生するように拡大された単一細胞を意味する。
【0059】
本明細書で使用される場合、「免疫組織化学」という用語は、抗原に特異的に結合する抗体の原理を利用して、生物学的試料、細胞及び/又は組織切片の細胞において抗原(例えばタンパク質)を局在化させるプロセスを意味する。免疫組織化学染色は、がん性腫瘍において見出される異常細胞等の異常細胞の診断において広く使用される。特異的な分子マーカーは、細胞増殖又は細胞死等の特定の細胞事象に特徴的である。抗体-抗原相互作用の可視化は、いくつかの方法で達成することができる。最も一般的な例では、抗体は、発色反応を触媒することができるペルオキシダーゼなどの酵素にコンジュゲートされる。あるいは、抗体をフルオロフォアにタグ付けして、免疫蛍光の原理を使用することもできる。qPCR結果が存在する腫瘍組織の量によって影響されるという事実を説明するために、免疫組織化学を使用して、qPCRが実行される試料中の腫瘍含有量を評価することもできる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「肝機能の障害(impaired hepatic function)」及び「肝機能障害(hepatic dysfunction)」という用語は、異常な肝臓活性を指す。いくつかの実施形態では、Child-Pughスコアリング・システムを肝機能障害の評価に使用する。Child-Pughスコアリング・システムを表1に記載する。
【表1】
【0061】
いくつかの実施形態では、国立がん研究所(NCI)臓器機能障害ワーキンググループ(NCI-ODWG)システムが肝機能障害の評価に使用される。NCI-ODWGシステムを表2に記載する。
【表2】
【0062】
肝機能の様々な指標のULNは、使用されるアッセイ、患者集団、及び指定されたバイオマーカーの値の各検査室の正常範囲に依存するが、当業者によって容易に決定することができる。健康な成人集団の正常範囲の例示的な値は以下の通りである。ALT:8~20U/L;AST:8~20U/L;ビリルビン:0.2~1.0mg/dL又は3.4~17.1μmol/L。(Cecil Textbook of Medicine,pp.2317-2341,W.B.Saunders&Co.(1985)を参照のこと。)いくつかの実施形態では、総ビリルビンのULNは、1.0mg/dL、1.1mg/dL、又は1.2mg/dL以上である。いくつかの実施形態では、総ビリルビンのULNは、1.2mg/dL又は20.5μmol/Lである。いくつかの実施形態では、ALTのULNは56単位/Lである。いくつかの実施形態では、ALTのULNは40単位/Lである。いくつかの実施形態では、ALTのULNは35単位/L~40単位/Lである。いくつかの実施形態では、ASTのULNは40単位/Lである。いくつかの実施形態では、ASTのULNは35単位/L~40単位/Lである。
【0063】
本明細書で使用される場合、「トランスアミナーゼ」という用語は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、又はそれらの組合せを指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」、「mAb」及び「MAB」という用語は、抗原上の単一のエピトープのみを認識するリンパ球の単一クローンによって産生される免疫グロブリンである抗体を意味する。例えば、本明細書で提供される方法に有用なモノクローナル抗体は、1つ又は複数のチロシンキナーゼの特定のエピトープに対して単一の結合特異性及び親和性を示す。
【0065】
本明細書で使用される場合、「多重化アッセイ」という用語は、複数のアッセイ反応、例えば複数の標的バイオマーカーの同時アッセイが単一の反応チャンバ内で行われ、及び/又は単一の分離及び検出フォーマットで分析されるアッセイを意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「多重同定」という用語は、単一の混合物中の1つ又は複数の標的バイオマーカーの同時同定を意味する。例えば、2プレックス・アッセイは、単一の反応混合物における2つの異なる標的バイオマーカーの同時同定を意味する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「1つ又は複数の分子変化」という用語は、対応する野生型の遺伝子又はタンパク質と比較して、対象の1つ又は複数の細胞における遺伝子又はタンパク質配列の任意の変異を意味する。1つ又は複数の分子変化には、遺伝子突然変異、遺伝子増幅、スプライス変異体、欠失、挿入/欠失、遺伝子再編成、単一ヌクレオチド変異(SNV)、挿入、及び異常なRNA/タンパク質発現が含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
「本明細書で提供される医薬組成物」などへの言及は、本明細書の実施形態として記載される医薬組成物を意味することが当業者によって理解される。ほんの一例として、がんを有する対象を処置する方法であって、本明細書で提供される医薬組成物を該対象に投与することを含む方法は、がんを有する対象を処置する方法であって、エントレクチニブを含む本明細書中に記載の任意の組成物を該対象に投与することを含む方法を意味する。
【0069】
本明細書で使用される場合、「ポリクローナル抗体」という用語は、同じ又は異なる抗原上のいくつかの異なる特異的抗原決定基に結合するか又はそれと反応することができる異なる抗体分子の組成物を意味する。ポリクローナル抗体の抗原特異性の可変性は、ポリクローナル抗体を構成する対象抗体の可変領域、特に相補性決定領域(CDR)に位置する。好ましくは、ポリクローナル抗体は、標的チロシンキナーゼ又はその一部による動物の免疫化によって調製される。あるいは、ポリクローナル抗体は、標的チロシンキナーゼに対して所望の特異性を有する複数のモノクローナル抗体を混合することによって調製され得る。
【0070】
本明細書で使用される場合、「ROS1」は、UniProt名称ROS1_HUMANを有するROS1受容体チロシン-プロテインキナーゼを意味する。
【0071】
本明細書で使用される場合、「選択的に結合する」という用語は、特定の種内又は種間結合対の1つのメンバーが、その特定の種内又は種間結合パートナー以外の分子に有意な結合を示さない状況(例えば、約100倍低い親和性)を意味し、これは、最小の交差反応性のみが生じることを意味する。
【0072】
2つの分子又は1つ若しくは複数の化合物と分子の複合体の結合に関して本明細書で使用される場合、「特異的」という用語は、その他の分子の認識が実質的に少なく、そのような他の分子との安定な複合体の形成がないことと比較して、一方が他方に対して特異的に認識され、安定な複合体が形成されることを意味する。好ましくは、結合に関して「特異的」とは、1つ又は複数の化合物が他の分子又は複合体と複合体を形成する限り、それが特異性を有する分子又は複合体と、複合体の少なくとも50%を形成することを意味する。一般に、分子又は複合体は、それらの表面上又は空洞内に領域を有し、2つの結合部分間の特異的認識を生じさせる。特異的結合の例は、抗体-抗原相互作用、酵素-基質相互作用、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション及び/又は二重鎖の形成、細胞受容体-リガンド相互作用などである。
【0073】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト、イヌ又はネコを含むがこれらに限定されない哺乳動物を意味する。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象はイヌである。いくつかの実施形態では、対象はネコである。
【0074】
本明細書で使用される場合、「Tmax」という用語は、化合物、又は化合物を含む医薬組成物を対象に投与した後に、対象の血漿中の化合物のピーク濃度に達する時間を意味する。
【0075】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、処置されている障害の症候の1つ又は複数をある程度軽減する対象に投与される化合物(単数若しくは複数)又はその薬学的に許容され得る塩の量を意味する。がんの処置に関して、治療有効量は、(1)癌腫瘍のサイズを縮小する、(2)癌腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度遅くすること、好ましくは停止させること)、(3)癌腫瘍の成長をある程度阻害する(すなわち、ある程度遅くすること、好ましくは停止させること)、及び/又は(4)がんに関連する1つ又は複数の症候をある程度緩和する(又は、好ましくは、排除すること)効果を有する量を意味する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「トロポミオシン受容体キナーゼ」、「Trks」及び「Trk」という用語は、ニューロトロフィンファミリーのペプチドホルモンによって活性化されるトロポミオシン受容体キナーゼ(Trk)のファミリーを意味し、TrkA、TrkB、及びTrkCを含むがこれらに限定されない。本明細書で使用される場合、「TrkA」という用語は、UniProt識別子NTRK1_HUMANを有する野生型トロポミオシン受容体キナーゼAを意味する。本明細書で使用される場合、「TrkB」という用語は、UniProt識別子NTRK2_HUMANを有する野生型トロポミオシン受容体キナーゼBを意味する。本明細書で使用される場合、「TrkC」という用語は、UniProt識別子NTRK3_HUMANを有する野生型トロポミオシン受容体キナーゼCを意味する。TrkA、TrkB及びTrkCは、当業者によって、それぞれTrk1、Trk2及びTrk3とも呼ばれる。TrkAへの言及はTrk1への言及である。TrkBへの言及はTrk2への言及である。TrkCへの言及はTrk3への言及である。
【0077】
エントレクチニブ及びその調製は米国特許第8,299,057号に開示されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。エントレクチニブは、チロシンキナーゼ、NTRK1/2/3形質転換チロシンキナーゼタンパク質(TrkA、TrkB、TrkC)、がん原遺伝子チロシン-プロテインキナーゼ1(ROS1)、及び未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の強力な阻害剤である。様々なインビトロ研究において、エントレクチニブは、増殖及び生存についてTrkAキナーゼ活性に依存するCRC細胞株KM12の増殖を阻害した。ALK依存性未分化大細胞リンパ腫細胞株の細胞増殖の阻害においても強力であった。
【0078】
ヒトにおける初期の臨床研究において、エントレクチニブは、ALK、ROS1、TrkA、TrkB及びTrkCのうちの1つ又は複数に少なくとも1つの分子変化を有する様々な形態のがんを有する患者において抗腫瘍効果を有することが示されている。
【0079】
インビトロ試験は、エントレクチニブのクリアランスが主に肝臓代謝によるものであり、エントレクチニブは主にシトクロムP450 3A4(CYP3A4)によって代謝され(約76%)、いくつかの他のシトクロムP450酵素及びUDP-グルクロニルトランスフェラーゼ1A4(UGT1A4)からのわずかな寄与があることを示す。活性代謝産物M5(CYP3A4によって形成される)は、同定された唯一の主要な活性循環代謝産物である。M5は、インビトロでエントレクチニブと同様の薬理学的効力を有し、患者における定常状態での循環M5曝露は、対応するエントレクチニブ曝露の40%であった。さらに、強力なCYP3A4阻害剤(イトラコナゾール)の同時投与は、エントレクチニブの総曝露を約5倍増加させ、強力な誘導剤(リファンピン)の同時投与は、エントレクチニブの総曝露を約77%減少させた。したがって、結果は、エントレクチニブがCYP3A4の感受性基質であり、したがって肝機能の障害がエントレクチニブの曝露を変化させる可能性を有することを示している。したがって、本開示の目的は、エントレクチニブ若しくはその薬学的に許容され得る塩又はこれを含有する医薬組成物を利用して、肝機能の障害を有する患者におけるがんを処置する方法を提供することである。
【0080】
いくつかの実施形態は、肝機能の障害を有する対象においてALK、ROS1、TrkA、TrkB若しくはTrkC活性又はそれらの組合せを阻害する方法であって、有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬組成物を該対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0081】
いくつかの実施形態では、哺乳動物における異常な細胞増殖を処置するための方法であって、治療有効量のエントレクチニブ又は本明細書において提供する1つ若しくは複数の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含み、哺乳動物は肝機能の障害を有する、方法が提供される。いくつかの実施形態では、異常な細胞増殖は、肝機能の障害を有する哺乳動物におけるALK、ROS1、TrkA、TrkB及びTrkCの1つ又は複数の少なくとも1つの分子変化によって媒介される。いくつかの実施形態では、異常な細胞増殖は、肝機能の障害を有する哺乳動物におけるALKの少なくとも1つの分子変化によって媒介される。いくつかの実施形態では、異常な細胞増殖は、肝機能の障害を有する哺乳動物におけるROS1の少なくとも1つの分子変化によって媒介される。いくつかの実施形態では、異常な細胞増殖は、肝機能の障害を有する哺乳動物におけるTrkAの少なくとも1つの分子変化によって媒介される。いくつかの実施形態では、異常な細胞増殖は、肝機能の障害を有する哺乳動物におけるTrkBの少なくとも1つの分子変化によって媒介される。いくつかの実施形態では、異常な細胞増殖は、肝機能の障害を有する哺乳動物におけるTrkCの少なくとも1つの分子変化によって媒介される。いくつかのそのような実施形態では、分子変化は、EML4-ALK融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、分子変化は、少なくとも1つの変異を有するEML4-ALK融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、突然変異は、L1196Mである。いくつかの実施形態において、突然変異は、C1156Yである。
【0082】
いくつかの実施形態では、肝機能の障害を有する哺乳動物における異常な細胞増殖を処置するための医薬品として使用するための本明細書で提供される医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態では、異常な細胞増殖はがんである。いくつかの実施形態では、医薬は、肝機能の障害を有する哺乳動物におけるALK、ROS1、TrkA、TrkB及びTrkCの1つ又は複数によって媒介される異常な細胞増殖の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、医薬は、肝機能の障害を有する哺乳動物におけるALK、ROS1、TrkA、TrkB及びTrkCの1つ又は複数における少なくとも1つの分子変化によって媒介される異常な細胞増殖の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、医薬は、肝機能の障害を有する哺乳動物におけるALKにおける少なくとも1つの分子変化によって媒介される異常な細胞増殖の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、医薬は、肝機能の障害を有する哺乳動物におけるROS1における少なくとも1つの分子変化によって媒介される異常な細胞増殖の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、医薬は、肝機能の障害を有する哺乳動物におけるTrkAにおける少なくとも1つの分子変化によって媒介される異常な細胞増殖の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、医薬は、肝機能の障害を有する哺乳動物におけるTrkBにおける少なくとも1つの分子変化によって媒介される異常な細胞増殖の処置に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、医薬は、肝機能の障害を有する哺乳動物におけるTrkCにおける少なくとも1つの分子変化によって媒介される異常な細胞増殖の処置に使用するためのものである。いくつかのそのような実施形態では、分子変化は、EML4-ALK融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、分子変化は、少なくとも1つの変異を有するEML4-ALK融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、突然変異は、L1196Mである。いくつかの実施形態において、突然変異は、C1156Yである。
【0083】
いくつかの実施形態では、哺乳動物における異常な細胞増殖を処置するための方法であって、ある量の本明細書中に提供される1つ又は複数の医薬組成物をある量の抗腫瘍剤と組み合わせて哺乳動物に投与することを含み、その量は合わせて、上記の異常な細胞増殖を処置するのに有効であり、哺乳動物は肝機能の障害を有する、方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、放射線、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、抗体、細胞毒性薬、抗ホルモン剤、及び抗アンドロゲンからなる群から選択される。
【0084】
いくつかの実施形態では、肝機能の障害を有する哺乳動物における異常な細胞増殖の処置のための本明細書に記載の1つ又は複数の医薬組成物の使用が提供される。
【0085】
さらに別の態様では、肝機能の障害を有する哺乳動物における異常な細胞増殖の処置のための医薬を調製するための本明細書に記載の1つ又は複数の医薬組成物の使用が本明細書に開示される。
【0086】
本明細書に記載される方法及び使用の頻繁な実施形態では、異常な細胞増殖はがんである。いくつかの実施形態では、がんは、肺がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚又は眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん、結腸がん、乳がん、ファロピウス管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰の癌腫、ホジキン病、食道のがん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟部組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、前立腺がん、慢性又は急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱のがん、腎臓又は尿管のがん、腎細胞癌腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊椎軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、及びそれらの組合せから選択される。
【0087】
いくつかの実施形態では、がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)、扁平上皮癌腫、ホルモン抵抗性前立腺がん、乳頭状腎細胞癌腫、結腸直腸腺がん、神経芽細胞腫、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)及び胃がんからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、1つ又は複数の固形腫瘍である。
【0088】
いくつかの実施形態では、脱調節されたプロテインキナーゼ活性、特にPLKファミリー、異なるアイソフォーム中のプロテインキナーゼC、Met、PAK-4、PAK-5、ZC-1、STLK-2、DDR-2、Aurora 1、Aurora 2、Bub-1、Chk1、Chk2、HER2、raf1、MEK1、MAPK、EGF-R、PDGF-R、FGF-R、FLT3、JAK2、IGF-R、ALK、PI3K、weelキナーゼ、Src、Abl、Akt、MAPK、ILK、MK-2、IKK-2、Cdc7、Nek、Cdk/サイクリンキナーゼファミリー、より具体的にはAurora 2、IGF-1R及びALK活性、並びにROS1活性、さらにより詳細には、ALK活性及び/又はROS1活性によって引き起こされる及び/又は関連する疾患を処置する方法が提供され、方法は、有効量のエントレクチニブ又は本明細書で提供される1つ以上の医薬組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含み、哺乳動物が肝機能の障害を有する。
【0089】
いくつかの実施形態では、肝機能の障害を有する対象において、がん及び細胞増殖性障害からなる群から選択される調節不全のプロテインキナーゼ活性によって引き起こされる及び/又は関連する疾患を処置する方法が提供される。
【0090】
本明細書において提供される医薬組成物は、制限されないが以下のがんを含むがんの処置に有用である:循環系、例えば、心臓(肉腫[血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫]、粘液腫、横紋筋腫、維腺腫、脂肪腫及び奇形腫)、縦隔及び胸膜、並びに他の胸郭内臓器、血管腫瘍及び腫瘍関連の血管組織;呼吸器、例えば、鼻腔及び中耳、副鼻腔、喉頭、気管、気管支及び肺、例えば小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、気管支原性癌腫(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺がん)、肺胞(細気管支)癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;胃腸系、例えば、食道(扁平上皮細胞癌腫、腺がん、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、胃、膵臓(乳管腺がん、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポマ)、小腸(腺がん、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、維腺腫)、大腸(腺がん、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);泌尿生殖路、例えば、腎臓(腺がん、ウィルム腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び/又は尿道(扁平上皮細胞癌腫、移行細胞癌腫、腺がん)、前立腺(腺がん、肉腫)、精巣(セミノーマ、奇形腫、胚性癌腫、奇形癌腫、絨毛がん、肉腫、間質細胞癌腫、維腺腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓、例えば、肝細胞腫(肝細胞癌腫)、胆管細胞がん、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、膵臓内分泌腫瘍(例えば褐色細胞腫、膵島細胞腺腫、血管作用性小腸ペプチド腫瘍、膵島細胞腫瘍及びグルカゴン産生腫瘍);骨、例えば、骨肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞性腫瘍腱索腫、骨膜症(骨軟骨外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨腫及び巨細胞性腫瘍;神経系、例えば、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、頭蓋骨がん(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳のがん(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形膠芽腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);生殖器系、例えば婦人科、子宮(子宮内膜癌腫)、頸部(頸部癌腫、前腫瘍頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌腫[漿液性嚢胞腺がん、粘液性嚢胞腺がん、未分類の癌腫]、顆粒膜-包膜細胞腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮細胞癌腫、上皮内癌腫、腺がん、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞がん、扁平上皮細胞癌腫、ブドウ状肉腫(胚性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫)及び女性生殖器と関連する他の部位;胎盤、ペニス、前立腺、精巣、及び男性生殖器と関連する他の部位;血液系、例えば、血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン疾患、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];口腔、例えば、口唇、舌、歯肉、口底、口蓋、及び口の他の部分、耳下腺、及び唾液腺の他の部分、扁桃、中咽頭、鼻咽頭、歯髄洞、下咽頭、並びに口唇、口腔及び咽頭の他の部位;皮膚、例えば、悪性黒色腫、皮膚黒色腫、基底細胞がん、扁平上皮細胞癌腫、カポジ肉腫、ほくろ異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫及びケロイド;副腎:神経芽細胞腫;並びに結合組織及び軟組織を含む他の組織、後腹膜及び腹膜、眼、眼球内黒色腫、及び付属器、乳房、頭部又は/及び頸部、肛門領域、甲状腺、副甲状腺、副腎及び他の内分泌腺並びに関連構造、リンパ節の二次性及び不明の悪性新生物、呼吸器系及び消化器系の二次性悪性新生物並びに他の部位の二次性悪性新生物。
【0091】
いくつかの実施形態では、がんは、肺がん(NSCLC及びSCLC)、頭頸部がん、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、前立腺がん、肛門領域のがん、胃がん、乳がん、腎臓又は尿管のがん、腎細胞癌腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、又は前述のがんの1つ若しくは複数の組合せから選択される。
【0092】
いくつかの実施形態では、がんは、非小細胞肺がん、乳頭状甲状腺がん、神経芽細胞腫、膵臓がん及び結腸直腸がんから選択される。いくつかの実施形態では、がんは、非小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、がんは、甲状腺乳頭がんである。いくつかの実施形態では、がんは、神経芽細胞腫である。いくつかの実施形態では、がんは、膵臓がんである。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸がんである。
【0093】
いくつかの実施形態では、がんはROS-1陽性NSCLCである。いくつかの実施形態では、がんは、身体の他の部分に広がっており、異常なROS1遺伝子によって引き起こされる非小細胞肺がん(NSCLC)である。いくつかの実施形態では、がんは、腫瘍がROS1陽性である転移性非小細胞肺がん(NSCLC)である。いくつかの実施形態では、がんは、ROS-1陽性、局所進行性又は転移性NSCLCである。
【0094】
いくつかの実施形態では、がんはNTRK遺伝子融合陽性固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、特定の異常なNTRK遺伝子によって引き起こされ、伝播した固形腫瘍であるか、又はそれらのがんを除去するための手術が重度の合併症を引き起こす可能性があり、満足のいく代替処置選択肢がないか、又はがんが他の処置で増殖若しくは伝播した場合である。いくつかの実施形態では、がんは、既知の後天性耐性突然変異のない神経栄養性チロシン受容体キナーゼ(NTRK)遺伝子融合を有し、転移性であるか、又は外科的切除が重度の罹患率をもたらす可能性が高く、処置後に進行しているか、若しくは満足のいく代替療法を有さない固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、NTRK融合陽性の局所進行性又は転移性固形腫瘍である。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される医薬組成物は、スピッツメラノーマ、神経周囲浸潤、肺大細胞神経内分泌癌腫、子宮癌腫、若年性乳がん、鼻咽頭癌腫、腺様嚢胞がん、中膜甲状腺がん、唾液がん、先天性乳児線維肉腫、中胚葉腎腫、食道がん(扁平上皮)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、乳頭状甲状腺がん、及び乳腺相似分泌癌腫を含むがんの処置に有用である。
【0096】
いくつかの実施形態では、肝機能の障害を有する対象における、癌腫、扁平上皮癌腫、骨髄系統又はリンパ系統の造血腫瘍、間葉起源の腫瘍、中枢神経系及び末梢神経系の腫瘍、黒色腫、セミノーマ、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症、血管肉腫、神経膠芽腫、胆管癌腫、炎症性筋線維芽細胞腫、類上皮血管内皮腫、星状細胞腫、髄膜腫、血管肉腫、類上皮血管皮腫、角化細胞腫、甲状腺濾胞腺がん、カポジ肉腫及び膵臓がんを含む特定の種類のがんを処置する方法が提供される。
【0097】
いくつかの実施形態では、限定されないが、肝機能の障害を有する対象における、乳がん、肺がん、結腸直腸がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮内膜がん、胃がん、明細胞腎細胞癌腫、浸潤性乳管癌腫(乳房)、ブドウ膜黒色腫、多発性骨髄腫、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、膵臓がん、神経芽腫、及び髄芽腫などの特定の種類のがんを処置する方法が提供される。
【0098】
いくつかの実施形態では、肝機能の障害を有する対象における、ALK+未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、及び神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、神経膠芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫及びある種の黒色腫、乳癌腫、ユーイング肉腫、網膜芽細胞腫並びに非小細胞肺癌腫(NSCLC)などのALK活性が役割を果たす可能性がある他の適応症を処置する方法が提供される。
【0099】
いくつかの実施形態では、膵臓がん、及び、任意に、ALK、ROS1、TrkA、TrkB若しくはTrkC活性又はそれらの組合せの調節の欠陥、又はそれらの上方調節、誤調節若しくは欠失が、エントレクチニブ又は本明細書で提供される1つ又は複数の医薬組成物を肝機能の障害を有する対象に投与することによって役割を果たす可能性がある他の適応症を、処置し、その症候を軽減し、その症候を改善し、その発症を遅延させ、又はそれ以外で薬学的に対処する方法が提供される。いくつかの実施形態では、膵臓がん、及び、任意に、ROS1、TrkA、TrkB若しくはTrkC活性又はそれらの組合せの調節の欠陥、活性、又はそれらの上方調節、誤調節若しくは欠失が、エントレクチニブ又は本明細書で提供される1つ又は複数の医薬組成物を肝機能の障害を有する対象に投与することによって役割を果たす可能性がある他の適応症を、処置し、その症候を軽減し、その症候を改善し、その発症を遅延させ、又はそれ以外で薬学的に対処する方法が提供される。
【0100】
いくつかの実施形態では、膵臓がん、及び、任意に、ROS1の調節の欠陥、活性、又はそれらの上方調節、誤調節若しくは欠失が、エントレクチニブ又は本明細書で提供される1つ又は複数の医薬組成物を肝機能の障害を有する対象に投与することによって役割を果たす可能性がある他の適応症を、処置し、その症候を軽減し、その症候を改善し、その発症を遅延させ、又はそれ以外で薬学的に対処する方法が提供される。
【0101】
いくつかの実施形態では、ROS1の下方調節の欠陥、例えば、肝機能の障害を有する対象におけるがん又は前がん性膵臓細胞におけるROS1欠失などのヌル突然変異を特定することによって、また、対象にエントレクチニブ又は本明細書において提供される1つ若しくは複数の医薬組成物を投与することによって、ROS1の下方調節の欠陥に関連する膵臓がん、例えば、ROS1欠失などのヌル突然変異を処置し、その症候を軽減し、その症候を改善し、その発症を遅延させ、又はそれ以外で薬学的に対処するための方法が提供される。
【0102】
いくつかの実施形態では、肝機能の障害を有する対象における膵がん(このがんは、ALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCの下方調節の欠陥、例えば、ALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCの欠失などのヌル突然変異に関連する)を、対象におけるがん又は前がん性膵細胞におけるALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCの下方調節の欠陥、例えば、ALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCの欠失などのヌル突然変異を同定することによって、また、対象にエントレクチニブ又は本明細書において提供される1つ若しくは複数の医薬組成物を投与することによって、処置し、その症候を軽減し、その症候を改善し、その発症を遅延させ、又はそれ以外で薬学的に対処するための方法が提供される。
【0103】
いくつかの実施形態では、非小細胞肺がん、乳頭状甲状腺がん、神経芽細胞腫、膵臓がん及び結腸直腸がん、並びに、ALK、ROS1、TrkA、TrkB若しくはTrkC活性の調節の欠陥、又はそれらの組合せ、又はそれらの上方調節、誤調節若しくは欠失が、対象にエントレクチニブ又は本明細書で提供される医薬組成物の1つ又は複数を投与することによって役割を果たす可能性がある他の適応症から選択される肝機能の障害を有する対象の症状を処置し、その症候を軽減し、その症候を改善し、その発症を遅延させ、又はそれ以外で薬学的に対処する方法が提供される。
【0104】
いくつかの実施形態では、非小細胞肺がん、乳頭状甲状腺がん、神経芽細胞腫、膵臓がん及び結腸直腸がん、並びに、ROS1、TrkA、TrkB若しくはTrkC活性の調節の欠陥、又はそれらの組合せ、活性、又はそれらの上方調節、誤調節若しくは欠失が、対象にエントレクチニブ又は本明細書で提供される医薬組成物の1つ又は複数を投与することによって役割を果たす可能性がある他の適応症から選択される肝機能の障害を有する対象の症状を処置し、その症候を軽減し、その症候を改善し、その発症を遅延させ、又はそれ以外で薬学的に対処する方法が提供される。
【0105】
いくつかの実施形態では、上方調節欠陥又は下方調節欠陥などのROS1調節欠陥、例えば、肝機能の障害を有する対象におけるがん又は前がん性膵細胞における構成的に活性なROS1キナーゼをコードするROS1欠失又はROS1キメラ遺伝子座などのヌル突然変異を同定することは、膵がん性又は前がん性細胞集団からの細胞抽出物におけるROS1活性についてアッセイすることを含む。いくつかの実施形態では、上方調節欠陥又は下方調節欠陥などのROS1調節欠陥、例えば、肝機能の障害を有する対象におけるがん又は前がん性膵細胞における構成的に活性なROS1キナーゼをコードするROS1欠失又はROS1キメラ遺伝子座などのヌル突然変異を同定することは、膵がん性又は前がん性細胞集団からのRNA集団におけるROS1転写物蓄積についてアッセイすることを含む。いくつかの実施形態では、上方調節欠陥又は下方調節欠陥などのROS1調節欠陥、例えば、肝機能の障害を有する対象におけるがん又は前がん性膵細胞における構成的に活性なROS1キナーゼをコードするROS1欠失又はROS1キメラ遺伝子座などのヌル突然変異を同定することは、膵がん性又は前がん性細胞集団からの細胞(単数若しくは複数)を含む細胞(単数若しくは複数)又は細胞集団中のゲノムデオキシリボ核酸配列などの核酸配列を決定することを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、ALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCの下方調節の欠陥、例えば、ALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCの欠失などのヌル突然変異に関連する非小細胞肺がん、乳頭状甲状腺がん、神経芽細胞腫、膵臓がん及び結腸直腸がんから選択される肝機能の障害を有する対象における症状を、対象におけるがん又は前がん性細胞におけるALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCの下方調節の欠陥、例えば、ALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCの欠失などのヌル突然変異を同定することによって、また、対象にエントレクチニブ又は本明細書において提供される1つ若しくは複数の医薬組成物を投与することによって、処置し、その症候を軽減し、その症候を改善し、その発症を遅延させ、又はそれ以外で薬学的に対処するための方法が提供される。
【0107】
いくつかの実施形態では、ROS1の下方調節の欠陥、例えば、ROS1の欠失などのヌル突然変異に関連する非小細胞肺がん、乳頭状甲状腺がん、神経芽細胞腫、膵臓がん及び結腸直腸がんから選択される肝機能の障害を有する対象における症状を、対象におけるがん又は前がん性細胞におけるROS1の下方調節の欠陥、例えばROS1の欠失などのヌル突然変異を同定することによって、また、対象にエントレクチニブ又は本明細書において提供される1つ若しくは複数の医薬組成物を投与することによって、処置し、その症候を軽減し、その症候を改善し、その発症を遅延させ、又はそれ以外で薬学的に対処するための方法が提供される。
【0108】
いくつかの実施形態では、限定されないが、肝機能の障害を有する対象における、良性前立腺過形成、家族性腺腫性ポリポーシス、神経線維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化症、及び血管平滑筋増殖又は新生内膜形成を伴う症状、例えば血管形成術又は手術後の再狭窄、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎、糖尿病性網膜症及び新生児網膜症及び加齢性黄斑変性を含む網膜症、移植血管疾患、例えば血管又は臓器移植後に起こり得るもの、先端巨大症及び先端巨大症に続発する障害、並びにIGF/IGF-1Rシグナルが関与する他の肥大症状、例えば線維性肺疾患、慢性又は急性の酸化ストレス又は高酸素による組織損傷に関連する病態、及びIGFレベル又はIGF-1R活性の上昇が関与する代謝障害、例えば肥満を処置する方法が提供される。
【0109】
いくつかの実施形態では、腫瘍血管新生及び転移阻害に影響を及ぼす方法が提供される。
【0110】
いくつかの実施形態は、抗腫瘍活性を有する医薬の製造における本明細書で提供される1つ又は複数の医薬組成物の使用が提供される。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、少なくとも1つの細胞増殖抑制剤又は細胞毒性剤と組み合わせた放射線療法又は化学療法レジメンに、それを必要とする哺乳動物を曝すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、活性ALKタンパク質を阻害することをさらに含み、該タンパク質を有効量のエントレクチニブ又は本明細書に提供される1つ又は複数の医薬組成物と接触させることを含む。
【0112】
いくつかの実施形態は、有効量のエントレクチニブ又は本明細書で提供される1つ又は複数の医薬組成物を対象に投与することによって、該対象においてALK、ROS1、TrkA、TrkB若しくはTrkC活性、又はそれらの組合せを阻害することを含む、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、該対象は肝機能の障害を有する、方法を提供する。
【0113】
いくつかの実施形態は、肝機能の障害を有する対象における腫瘍を処置する方法であって、該方法は、有効量のエントレクチニブ又は本明細書中に提供される1つ若しくは複数の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態は、肝機能の障害を有する対象における腫瘍を処置する方法であって、該方法は、有効量のエントレクチニブ又は有効量のエントレクチニブを含む本明細書中に提供される医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0114】
いくつかの実施形態は、腫瘍が、肝機能の障害を有する対象における非小細胞肺がん、乳頭状甲状腺がん、神経芽細胞腫、膵臓がん又は結腸直腸がんの存在によって引き起こされる方法を提供する。いくつかの実施形態は、対象における腫瘍を含む細胞の1つ若しくは複数が、ALK、ROS1、TrkA、TrkB若しくはTrkCキナーゼの少なくとも1つを発現する遺伝子の存在について陽性と試験されるか、又は該対象における腫瘍を含む細胞の1つ若しくは複数が、ALK、ROS1、TrkA、TrkB若しくはTrkCキナーゼ活性の少なくとも1つを示す方法を提供する。
【0115】
いくつかの実施形態は、対象における腫瘍を含む細胞の1つ又は複数が、ALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCキナーゼの少なくとも1つを発現する遺伝子又はそのフラグメントを含む少なくとも1つの遺伝子再編成について陽性と試験される方法を提供する。いくつかの実施形態は、細胞が、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCキナーゼの少なくとも1つについて陽性と試験される方法を提供する。いくつかの実施形態は、細胞がROS1キナーゼについて陽性と試験される方法を提供する。いくつかの実施形態は、細胞がTrkA、TrkB及びTrkCキナーゼの少なくとも1つについて陽性と試験される方法を提供する。いくつかの実施形態は、細胞がTrkAキナーゼについて陽性と試験される方法を提供する。いくつかの実施形態は、細胞がTrkBキナーゼについて陽性と試験される方法を提供する。いくつかの実施形態は、細胞がTrkCキナーゼについて陽性と試験される方法を提供する。
【0116】
いくつかの実施形態は、肝機能の障害を有する対象においてがんを処置する方法であって、(1)ALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCキナーゼの少なくとも1つの存在について対象における腫瘍を含む1つ又は複数の細胞を試験すること;及び(2)有効量のエントレクチニブ又は本明細書中に提供される1つ又は複数の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0117】
いくつかの実施形態は、肝機能の障害を有する対象においてがんを処置する方法であって、(1)ALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCキナーゼにおける少なくとも1つの分子変更の存在について対象における腫瘍を含む1つ又は複数の細胞を試験すること;及び(2)有効量のエントレクチニブ又は本明細書中に提供される1つ又は複数の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0118】
いくつかの実施形態は、肝機能の障害を有する対象においてがんを処置する方法であって、該対象における1つ又は複数のがん性細胞がROS1、TrkA、TrkB又はTrkCキナーゼの少なくとも1つを発現し、有効量のエントレクチニブ又は本明細書で提供される1つ又は複数の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0119】
いくつかの実施形態は、がんを有する対象を処置する方法であって、該対象からの腫瘍がROS1、TrkA、TrkB又はTrkC陽性、それらの組合せであり、方法が有効量のエントレクチニブ又は本明細書で提供される1つ又は複数の医薬組成物を対象に投与することを含み、対象が肝機能の障害を有する、方法を提供する。
【0120】
いくつかの実施形態は、肝機能の障害を有するがん対象を処置する方法であって、(a)がん対象における少なくとも1つの標的遺伝子における少なくとも1つの遺伝子変化の存在の知識を得ることであって、少なくとも1つの標的遺伝子が、ALK1、BDNF、NGF、NGFR、NTF3、NTF4、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される、知識を得ること;(b)がん対象の処置として本明細書で提供される1つ又は複数の医薬組成物を、該医薬組成物が、該少なくとも1つの標的遺伝子に該少なくとも1つの遺伝子変化を有するがん対象を処置するのに有効であるという認識に基づいて選択すること;並びに(c)治療有効量のエントレクチニブ又は該医薬組成物の1つ又は複数を該がん対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0121】
いくつかの実施形態は、肝機能の障害を有するがん対象を処置する方法であって、治療有効量の本明細書で提供される1つ又は複数の医薬組成物を該がん対象に投与することを含み、該1つ又は複数の医薬組成物の該投与の前に、該がん対象が、ALK1、BDNF、NGF、NGFR、NTF3、NTF4、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される少なくとも1つの標的遺伝子に少なくとも1つの遺伝子変化を有することが知られている、方法を提供する。
【0122】
いくつかの実施形態は、肝機能の障害を有するがん対象を処置する方法であって、該処置の前に、該対象が少なくとも1つの標的遺伝子に少なくとも1つの遺伝子変化を有することが知られており、治療有効量のエントレクチニブ又は本明細書において提供される1つ若しくは複数の医薬組成物を該がん対象に投与することを含み、該少なくとも1つの標的遺伝子が、ALK1、BDNF、NGF、NGFR、NTF3、NTF4、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される、方法を提供する。
【0123】
一態様では、肝機能の障害を有する対象においてがんを処置する方法であって、(a)がん対象からの生物学的試料中の1つ又は複数の分子変化の存在の知識を得ることであって、1つ又は複数の分子変化は、ALK、ROS1、TrkA、TrkB及びTrkCバイオマーカーの1つ又は複数に結合する1つ又は複数の抗体を含むアッセイによって検出される、知識を得ること;(b)がん対象のための処置として化学療法剤を選択すること(アッセイは、1つ又は複数の分子変化の存在を検出し、選択された化学療法剤は、本明細書中に提供される医薬組成物又はその薬学的に許容され得る塩の1つ又は複数である);並びに(c)治療有効量の1つ又は複数の選択された化学療法剤をがん対象に投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【0124】
別の態様では、治療レジメンの投与に応答すると予測されるがん対象を選択する方法であって、(a)がん対象由来の生体試料中の1つ又は複数の分子変化の存在の知識を得ることであって、1つ又は複数の分子変化が、ALK、ROS1、TrkA、TrkB及びTrkCバイオマーカーの1つ又は複数に結合する1つ又は複数の抗体を含むアッセイによって検出される、知識を得ること;及び(b)1つ若しくは複数の分子変化が1つ若しくは複数のバイオマーカーにおいて検出された場合は治療レジメンの投与に応答すると予測される対象を選択すること、又は1つ若しくは複数の分子変化がバイオマーカーにおいて検出されず対象が肝機能の障害を有する場合は治療レジメンの投与に応答しないと予測される対象を選択することを含む、方法が本明細書で提供される。本開示のこの態様による方法では、治療レジメンは、選択された対象に、治療有効量のエントレクチニブ又は本明細書で提供される1つ又は複数の医薬組成物を投与することを含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、上方調節欠陥又は下方調節欠陥などのALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC調節欠陥、例えば、肝機能の障害を有する対象におけるがん又は前がん性細胞における構成的に活性なALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキナーゼをコードするALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC欠失又はALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキメラ遺伝子座などのヌル突然変異を同定することは、がん性又は前がん性細胞集団からの細胞抽出物におけるALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC活性についてアッセイすることを含む。いくつかの実施形態では、上方調節欠陥又は下方調節欠陥などのALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC調節欠陥、例えば、肝機能の障害を有する対象におけるがん又は前がん性細胞における構成的に活性なALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキナーゼをコードするALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC欠失又はALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキメラ遺伝子座などのヌル突然変異を同定することは、がん性又は前がん性細胞集団からのRNA集団におけるALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC転写物の蓄積についてアッセイすることを含む。いくつかの実施形態では、上方調節欠陥又は下方調節欠陥などのALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC調節欠陥、例えば、肝機能の障害を有する対象におけるがん又は前がん性細胞における構成的に活性なALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキナーゼをコードするALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC欠失又はALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキメラ遺伝子座などのヌル突然変異を同定することは、がん性又は前がん性細胞集団からの細胞(単数若しくは複数)を含む細胞(単数若しくは複数)又は細胞集団中のゲノムデオキシリボ核酸配列などの核酸配列を決定することを含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、上方調節欠陥又は下方調節欠陥などのALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC調節欠陥、例えば、肝機能の障害を有する対象におけるがん又は前がん性膵細胞における構成的に活性なALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキナーゼをコードするALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC欠失又はALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキメラ遺伝子座などのヌル突然変異を同定することは、膵がん性又は前がん性細胞集団からの細胞抽出物におけるALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC活性についてアッセイすることを含む。いくつかの実施形態では、上方調節欠陥又は下方調節欠陥などのALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC調節欠陥、例えば、肝機能の障害を有する対象におけるがん又は前がん性膵細胞における構成的に活性なALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキナーゼをコードするALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC欠失又はALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキメラ遺伝子座などのヌル突然変異を同定することは、膵がん性又は前がん性細胞集団からのRNA集団におけるALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC転写物の蓄積についてアッセイすることを含む。いくつかの実施形態では、上方調節欠陥又は下方調節欠陥などのALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC調節欠陥、例えば、肝機能の障害を有する対象におけるがん又は前がん性膵細胞における構成的に活性なALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキナーゼをコードするALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC欠失又はALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキメラ遺伝子座などのヌル突然変異を同定することは、膵がん性又は前がん性細胞集団からの細胞(単数若しくは複数)を含む細胞(単数若しくは複数)又は細胞集団中のゲノムデオキシリボ核酸配列などの核酸配列を決定することを含む。
【0127】
いくつかの実施形態は、有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬組成物を対象に投与することによって、該対象においてALK、ROS1、TrkA、TrkB若しくはTrkC活性、又はそれらの組合せを阻害することを含む、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、対象は肝機能の障害を有する、方法を提供する。
【0128】
いくつかの実施形態は、肝機能の障害を有する対象において非小細胞肺がん、甲状腺乳頭がん、神経芽腫、膵臓がん又は結腸直腸がんを処置する方法であって、有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬組成物を該対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0129】
いくつかの実施形態は、腫瘍が、対象における非小細胞肺がん、乳頭状甲状腺がん、神経芽細胞腫、膵臓がん又は結腸直腸がんの存在によって引き起こされる方法を提供する。いくつかの実施形態は、対象における腫瘍を含む細胞の1つ若しくは複数が、ALK、ROS1、TrkA、TrkB若しくはTrkCキナーゼの少なくとも1つを発現する遺伝子の存在について陽性と試験されるか、又は該対象における腫瘍を含む細胞の1つ若しくは複数が、ALK、ROS1、TrkA、TrkB若しくはTrkCキナーゼ活性の少なくとも1つを示す方法を提供する。
【0130】
いくつかの実施形態は、対象における腫瘍を含む細胞の1つ又は複数が、ALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCキナーゼの少なくとも1つを発現する遺伝子又はそのフラグメントを含む少なくとも1つの遺伝子再編成について陽性と試験される方法を提供する。いくつかの実施形態は、細胞が、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCキナーゼの少なくとも1つについて陽性と試験される方法を提供する。いくつかの実施形態は、細胞がROS1キナーゼについて陽性と試験される方法を提供する。いくつかの実施形態は、細胞がTrkA、TrkB及びTrkCキナーゼの少なくとも1つについて陽性と試験される方法を提供する。いくつかの実施形態は、細胞がTrkAキナーゼについて陽性と試験される方法を提供する。いくつかの実施形態は、細胞がTrkBキナーゼについて陽性と試験される方法を提供する。いくつかの実施形態は、細胞がTrkCキナーゼについて陽性と試験される方法を提供する。
【0131】
いくつかの実施形態は、対象においてがんを処置する方法であって、(1)ALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCキナーゼの少なくとも1つの存在について対象における腫瘍を含む1つ又は複数の細胞を試験すること;及び(2)該1つ又は複数の細胞がALK、ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCキナーゼの少なくとも1つについて陽性と試験され、かつ対象が肝機能の障害を有する場合に、有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0132】
いくつかの実施形態は、対象においてがんを処置する方法であって、(1)ROS1、TrkA、TrkB又はTrkCキナーゼの少なくとも1つの存在について対象における腫瘍を含む1つ又は複数の細胞を試験すること;及び(2)該1つ又は複数の細胞がROS1、TrkA、TrkB又はTrkCキナーゼの少なくとも1つについて陽性と試験され、かつ対象が肝機能の障害を有する場合に、有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬製剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0133】
いくつかの実施形態は、対象においてがんを処置する方法であって、該対象における1つ又は複数のがん性細胞がROS1、TrkA、TrkB又はTrkCキナーゼの少なくとも1つを発現し、かつ該対象が肝機能の障害を有しており、有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0134】
いくつかの実施形態は、がんを有する対象を処置する方法であって、該対象からの腫瘍がALK、ROS1、TrkA、TrkB、若しくはTrkC陽性、又はそれらの組合せであり、該対象が肝機能の障害を有し、有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0135】
いくつかの実施形態は、ALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC陽性のがんを有する対象を処置する方法であって、又はそれらの組合せであり、該対象が肝機能の障害を有し、有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される製剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0136】
いくつかの実施形態は、がん対象を処置する方法であって、(a)がん対象における少なくとも1つの標的遺伝子における少なくとも1つの遺伝子変化の存在の知識を得ることであって、少なくとも1つの標的遺伝子が、ALK1、BDNF、NGF、NGFR、NTF3、NTF4、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される、知識を得ること;並びに(b)治療有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬組成物を該がん対象に投与することを含み、該がん対象は肝機能の障害を有する、方法を提供する。
【0137】
いくつかの実施形態は、がん対象を処置する方法であって、治療有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬組成物を該がん対象に投与することを含み、該医薬組成物の該投与の前に、該がん対象が、ALK1、BDNF、NGF、NGFR、NTF3、NTF4、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される少なくとも1つの標的遺伝子において少なくとも1つの遺伝子変化を有することが知られており、該対象は肝機能の障害を有する、方法を提供する。
【0138】
いくつかの実施形態は、対象におけるがんを処置する方法であって、肝機能の障害を有することが知られており、かつ、ALK1、BDNF、NGF、NGFR、NTF3、NTF4、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される少なくとも1つの標的遺伝子における少なくとも1つの遺伝子変化を有することが知られている該がん対象に、治療有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0139】
いくつかの実施形態は、がん対象を処置する方法であって、該がん対象が肝機能の障害を有することが知られており、かつ少なくとも1つの標的遺伝子に少なくとも1つの遺伝子変化を有することが知られており、治療有効量のエントレクチニブを含む医薬組成物を該がん対象に投与することを含み、該標的遺伝子が、ALK1、BDNF、NGF、NGFR、NTF3、NTF4、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される、方法を提供する。
【0140】
いくつかの実施形態は、がん対象を処置する方法であって、該処置の前に該対象が肝機能の障害を有することが知られており、かつ少なくとも1つの標的遺伝子に少なくとも1つの遺伝子変化を有することが知られており、治療有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬組成物を該がん対象に投与することを含み、該標的遺伝子が、ALK1、BDNF、NGF、NGFR、NTF3、NTF4、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される、方法を提供する。
【0141】
いくつかの実施形態は、がん対象を処置する方法であって、治療有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬組成物を該がん対象に投与することを含み、該医薬組成物が該対象に投与される前に、該がん対象が肝機能の障害を有することが知られており、かつ、ALK1、BDNF、NGF、NGFR、NTF3、NTF4、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される少なくとも1つの標的遺伝子において少なくとも1つの遺伝子変化を有することが知られている、方法を提供する。
【0142】
いくつかの実施形態は、(a)ALK1、BDNF、NGF、NGFR、NTF3、NTF4、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される少なくとも1つの標的遺伝子における少なくとも1つの遺伝子変化の存在の知識を得ること;及び(b)治療有効量のエントレクチニブを含む本明細書で提供される医薬組成物を該対象に投与することを含む、がん対象を処置するための方法であって、該対象は肝機能の障害を有する、方法を提供する。
【0143】
いくつかの実施形態は、対象又は対象ががんに罹患しており、がんが非小細胞肺がん、乳頭状甲状腺がん、神経芽細胞腫、膵臓がん及び結腸直腸がんの少なくとも1つから選択される、本明細書に記載の方法のいずれかを提供する。いくつかの実施形態は、対象又は対象が非小細胞肺がんに罹患している、本明細書に記載の方法のいずれかを提供する。いくつかの実施形態は、対象又は対象が乳頭状甲状腺がんに罹患している、本明細書に記載の方法のいずれかを提供する。いくつかの実施形態は、対象又は対象が神経芽細胞腫に罹患している、本明細書中に記載される方法のいずれかを提供する。いくつかの実施形態は、対象又は対象が膵臓がんに罹患している、本明細書中に記載される方法のいずれかを提供する。いくつかの実施形態は、対象又は対象が結腸直腸がんに罹患している、本明細書に記載の方法のいずれかを提供する。
【0144】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、上記異常な細胞増殖を処置するのに共に有効な量の抗がん治療剤又は緩和剤を哺乳動物に投与することをさらに含む。いくつかのこのような実施形態では、1つ又は複数の抗がん治療剤は、抗腫瘍剤、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤及び抗増殖剤から選択され、これらの量は、上記異常な細胞増殖を処置するのに共に有効である。
【0145】
他の実施形態では、本明細書に記載される使用は、抗腫瘍剤、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤及び抗増殖剤から選択される1つ又は複数の物質と組み合わせた、本明細書に提供される1つ又は複数の医薬組成物の使用を含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、抗腫瘍剤、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤及び抗増殖剤から選択される1つ又は複数の物質と組み合わせて使用するために適合される。
【0147】
本明細書で提供される医薬組成物の実施形態のそれぞれは、それが組み合わされる実施形態(単数又は複数)と矛盾しない、本明細書に記載される医薬組成物の1つ又は複数の他の実施形態と組み合わせることができる。
【0148】
併用療法が使用される場合、1つ又は複数のさらなる薬剤は、本明細書中に提供される医薬組成物と連続的に又は同時に投与され得る。いくつかの実施形態では、さらなる薬剤は、本明細書で提供される医薬組成物の投与前に哺乳動物(例えば、ヒト)に投与される。いくつかの実施形態では、さらなる薬剤は、本明細書で提供される医薬組成物の投与後に哺乳動物に投与される。いくつかの実施形態では、さらなる薬剤は、本明細書で提供される医薬組成物の投与と同時に哺乳動物(例えば、ヒト)に投与される。
【0149】
いくつかの実施形態はまた、ヒトを含む哺乳動物における異常な細胞増殖を処置するための医薬組成物であって、抗血管新生剤及びシグナル伝達阻害剤からなる群から選択される1つ又は複数(好ましくは1~3つ)の抗がん剤並びに薬学的に許容され得る担体と組み合わせてエントレクチニブを含む本明細書において提供されるある量の1つ又は複数の医薬組成物を含み、エントレクチニブ及び組合せの抗がん剤の量は、全体として考慮した場合、上記異常な細胞増殖を処置するために治療的に有効であり、哺乳動物は肝機能の障害を有する、医薬組成物に関する。
【0150】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される医薬組成物と併せて使用される抗がん剤は、抗血管新生剤(例えば、腫瘍が新しい血管を発達させるのを止める薬剤)である。抗血管新生剤の例としては、例えばVEGF阻害剤、VEGFR阻害剤、TIE-2阻害剤、PDGFR阻害剤、アンジオポエチン阻害剤、PKC-β阻害剤、COX-2(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤、インテグリン(α-v/β-3)、MMP-2(マトリックス-メタロプロテイナーゼ2)阻害剤及びMMP-9(マトリックス-メタロプロテイナーゼ9)阻害剤が挙げられる。好ましい抗血管新生剤には、スニチニブ(Sutent(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、アキシチニブ(AG 13736)、SU 14813(ファイザー)及びAG 13958(ファイザー)が含まれる。
【0151】
さらなる抗血管新生剤としては、バタラニブ(CGP 79787)、ソラフェニブ(Nexavar(登録商標))、ペガプタニブ八ナトリウム(Macugen(登録商標))、バンデタニブ(Zactima(登録商標))、PF-0337210(ファイザー)、SU 14843(ファイザー)、AZD 2171(アストラゼネカ)、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、Neovastat(登録商標)(AE 941)、テトラチオモリブデン(Coprexa(登録商標))、AMG 706(Amgen)、VEGF Trap(AVE 0005)、CEP 7055(Sanofi-Aventis)、XL 880(Exelixis)、テラチニブ(BAY 57-9352)及びCP-868,596(ファイザー)が挙げられる。
【0152】
他の抗血管新生剤としては、エンザスタウリン(LY 317615)、ミドスタウリン(CGP 41251)、ペリホシン(KRX 0401)、テプレノン(Selbex(登録商標))及びUCN 01(協和発酵)が挙げられる。
【0153】
本明細書中に記載される1つ又は複数の医薬組成物と併せて使用され得る抗血管新生剤の他の例としては、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、パレコキシブ(Dynastat(登録商標))、デラコキシブ(SC 59046)、ルミラコキシブ(Preige(登録商標))、バルデコキシブ(Bextra(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))、イグラチモド(Careram(登録商標))、IP 751(Invedus)、SC-58125(Pharmacia)及びエトリコキシブ(Arcoxia(登録商標))が挙げられる。
【0154】
他の抗血管新生剤としては、エクシスリンド(Aptosyn(登録商標))、サルサラート(Amigesic(登録商標))、ジフルニサル(Dolobid(登録商標))、イブプロフェン(Motrin(登録商標))、ケトプロフェン(Orudis(登録商標))ナブメトン(Relafen(登録商標))、ピロキシカム(Feldene(登録商標))、ナプロキセン(Aleve(登録商標)、Naprosyn(登録商標))ジクロフェナク(Voltaren(登録商標))、インドメタシン(Indocin(登録商標))、スリンダク(Clinoril(登録商標))、トルメチン(Tolectin(登録商標))、エトドラク(Lodine(登録商標))、ケトロラック(Toradol(登録商標))及びオキサプロジン(Daypro(登録商標))が挙げられる。
【0155】
他の抗血管新生剤としては、ABT 510(Abbott)、アプラタスタット(TMI 005)、AZD 8955(アストラゼネカ)、インシクリニド(Metastat(登録商標))及びPCK 3145(Procyon)が挙げられる。
【0156】
他の抗血管新生剤としては、アシトレチン(ネオチガソン(登録商標))、プリデプシン(アプリジン(登録商標))、シレンチド(EMD 121974)、コンブレタスタチンA4(CA4P)、フェンレチニド(4HPR)、ハロフギノン(テムポスタチン(登録商標))、パンゼム(登録商標)(2-メトキシエストラジオール)、PF-03446962(ファイザー)、レビマスタット(BMS 275291)、カツマキソマブ(Removab(登録商標))、レナリドミド(Revlimid(登録商標))スクアラミン(EVIZON(登録商標))、サリドマイド(Thalomid(登録商標))、Ukrain(登録商標)(NSC 631570)、ビタキシン(登録商標)(MEDI 522)及びゾレドロン酸(Zometa(登録商標))が挙げられる。
【0157】
いくつかの実施形態では、抗がん剤は、いわゆるシグナル伝達阻害剤である(例えば、細胞増殖、分化及び生存の基本的なプロセスを支配する調節分子が細胞内で伝達される手段を阻害する)。シグナル伝達阻害剤には、小分子、抗体及びアンチセンス分子が含まれる。シグナル伝達阻害剤には、例えば、キナーゼ阻害剤(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤又はセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤)及び細胞周期阻害剤が含まれる。より具体的には、シグナル伝達阻害剤としては、例えば、ALK阻害剤、ROS1阻害剤、TrkA阻害剤、TrkB阻害剤、TrkC阻害剤、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、EGF阻害剤、ErbB-1(EGFR)、ErbB-2、pan erb、IGF1R阻害剤、MEK、c-Kit阻害剤、FLT-3阻害剤、K-Ras阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、JAK阻害剤、STAT阻害剤、Rafキナーゼ阻害剤、Akt阻害剤、mTOR阻害剤、P70S6キナーゼ阻害剤、WNT経路の阻害剤及びいわゆるマルチターゲットキナーゼ阻害剤が挙げられる。
【0158】
好ましいシグナル伝達阻害剤には、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、スニチニブ(Sutent(登録商標))イマチニブ(Gleevec(登録商標))及びPD325901(ファイザー)が含まれる。
【0159】
本明細書中に提供される1つ又は複数の医薬組成物と併せて使用され得るシグナル伝達阻害剤のさらなる例としては、BMS 214662(Bristol-Myers Squibb)、ロナファルニブ(Sarasar(登録商標))、ペリトレキソール(AG 2037)、マツズマブ(EMD 7200)、ニモツズマブ(TheraCIM h-R3(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、バンデタニブ(Zactima(登録商標))、パゾパニブ(SB 786034)、ALT 110(Alteris Therapeutics)、BIBW 2992(Boehringer Ingelheim)及びCervene(登録商標)(TP 38)が挙げられる。
【0160】
シグナル伝達阻害剤の他の例としては、PF-2341066(ファイザー)、PF-299804(ファイザー)、カネルチニブ(CI 1033)、ペルツズマブ(Omnitarg(登録商標))、ラパチニブ(Tycerb(登録商標))、ペリチニブ(EKB 569)、ミルテホシン(Miltefosin(登録商標))、BMS 599626(Bristol-Myers Squibb)、ラプレウセル-T(Neuvenge(登録商標))、NeuVax(登録商標(E75がんワクチン)、Osidem(登録商標)(IDM 1)、ムブリチニブ(TAK-165)、CP-724、714(ファイザー)、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、ラパチニブ(Tycerb(登録商標))、PF-299804(ファイザー)、ペリチニブ(KB 569)、及びペルツズマブ(Omnitarg(登録商標))が挙げられる。
【0161】
シグナル伝達阻害剤の他の例としては、ARRY 142886(Array Biopharm)、エベロリムス(Certican(登録商標))、ゾタロリムス(Endeavor(登録商標))、テムシロリムス(Torisel(登録商標))、AP 23573(ARIAD)及びVX 680(Vertex)が挙げられる。
【0162】
さらに、他のシグナル伝達阻害剤としては、XL 647(Exelixis)、ソラフェニブ(Nexavar(登録商標))、LE-AON(Georgetown University)及びGI-4000(GlobeImmune)が挙げられる。
【0163】
他のシグナル伝達阻害剤としては、ABT 751(Abbott)、アルボシジブ(フラボピリドール)、BMS 387032(Bristol Myers)、EM 1421(Erimos)、インジスラム(E 7070)、セレシクリブ(CYC 200)、BIO 112(One Bio)、BMS 387032(Bristol-Myers Squibb)、PD 0332991(ファイザー)、AG 024322(ファイザー)、LOXO-101(Loxo Oncology)、クリゾチニブ及びセリチニブが挙げられる。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、古典的な抗新生物剤と共に使用される。古典的な抗新生物剤としては、ホルモン調節剤、例えばホルモン、抗ホルモン、アンドロゲンアゴニスト、アンドロゲンアンタゴニスト及び抗エストロゲン治療剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、遺伝子サイレンシング剤又は遺伝子活性化剤、リボヌクレアーゼ、プロテオソミクス、トポイソメラーゼI阻害剤、カンプトテシン誘導体、トポイソメラーゼII阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ-1(PARP-1)阻害剤、マイクロチューブリン阻害剤、抗生物質、植物由来スピンドル阻害剤、白金配位化合物、遺伝子治療剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、血管標的化剤(VTA)及びスタチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
本明細書で提供される1つ又は複数の医薬組成物と(任意に1つ又は複数の他の薬剤と)の併用療法で使用される古典的な抗新生物剤の例としては、限定されないが、グルココルチコイド、例えばデキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、及びプロゲスチン、例えばメドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール(Megace)、ミフェプリストン(RU-486)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERMs;例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、アフィモキシフェン、アルゾキシフェン、バゼドキシフェン、フィスペミフェン、オルメロキシフェン、オスペミフェン、テスミリフェン、トレミフェン、トリロスタン及びCHF 4227(Cheisi))、選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(SERD’s;フルベストラントなど)、エキセメスタン(アロマシン)、アナストロゾール(アリミデックス)、アタメスタン、ファドロゾール、レトロゾール(フェムラ)、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH;一般に黄体形成ホルモン放出ホルモン[LHRH]とも呼ばれる)アゴニスト、例えばブセレリン(Suprefact)、ゴセレリン(ゾラデックス)、ロイプロレリン(ルプロン)、及びトリプトレリン(Trelstar)、アバレリクス(Plenaxis)、ビカルタミド(Casodex)、シプロテロン、フルタミド(Eulexin)、メゲストロール、ニルタミド(Nilandron)、及びオサテロン、デュタステリド、エプリステリド、フィナステリド、セレノア・レペンス、PHL 00801、アバレリクス、ゴセレリン、ロイプロレリン、トリプトレリン、ビカルタミド、タモキシフェン、エキセメスタン、アナストロゾール、ファドロゾール、ホルメスタン、レトロゾール、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0166】
本明細書で提供される医薬組成物と組み合わせて使用される古典的な抗新生物剤の他の例としては、限定されないが、スベロアニリドヒドロキサム酸(SAHA、Merck Inc./Aton Pharmaceuticals)、デプシペプチド(FR901228又はFK228)、G2M-777、MS-275、酪酸ピバロイルオキシメチル及びPXD-101;オンコナーゼ(ランピルナーゼ)、PS-341(MLN-341)、Velcade(ボルテゾミブ)、9-アミノカンプトテシン、ベロテカン、BN-80915(Roche)、カンプトテシン、ジフロモテカン、エドテカリン、エキサテカン(Daiichi)、ギマテカン、10-ヒドロキシカンプトテシン、イリノテカンHCl(Camptosar)、ルトテカン、オラテシン(ルビテカン、Supergen)、SN-38、トポテカン、カンプトテシン、10-ヒドロキシカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、イリノテカン、SN-38、エドテカリン、トポテカン、アクラルビシン、パクリタキセル、アモナフィド、アムルビシン、アンナマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エルサマイシン、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、ガラルビシン、ヒドロキシカルバミド、ネムビシン、ノバントロン(ミトキサントロン)、ピラルビシン、ピキサントロン、プロカルバジン、レベッカマイシン、ソブゾキサン、タフルポシド、バルルビシン、ジンカード(デキスラゾキサン)、ナイトロジェンマスタードN-オキシド、シクロホスファミド、AMD-473、アルトレタミン、AP-5280、アパジコン、ブロスタリシン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルボコン、カルムスチン、クロラムブシル、ダカルバジン、エストラムスチン、フォテムスチン、グルフォスファミド、イホスファミド、KW-2170、ロムスチン、マフォスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、マイトマイシンC、ミトキサトロン、ニムスチン、ラニムスチン、テモゾロミド、チオテパ、及び白金配位アルキル化化合物、例えばシスプラチン、パラプラチン(カルボプラチン)、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、エロキサチン(オキサリプラチン、サノフィ)、ストレプトゾシン、サトラプラチン、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0167】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される医薬組成物は、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤(メトトレキサート及びNeuTrexin(トリメトレキセート)など)、プリン拮抗薬(例えば、6-メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、6-チオグアニン、クラドリビン、クロファラビン(Clolar)、フルダラビン、ネララビン及びラルチトレキセド)、ピリミジン拮抗薬(例えば、5-フルオロウラシル(5-FU)、Alimta(プレメトレキセド二ナトリウム、LY231514、MTA)、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、シトシンアラビノシド、Gemzar(登録商標)(ゲムシタビン、Eli Lilly)、Tegafur(UFT Orzel又はUforal、テガフール、ギメスタット及びオトスタットのTS-1組合せを含む)、ドキシフルリジン、カルモフル、シタラビン(オクホスフェート、ホスフェートステアレート、徐放性及びリポソーム形態を含む)、エノシタビン、5-アザシチジン(Vidaza)、デシタビン及びエチニルシチジン)及び他の代謝拮抗薬、例えばエフロルニチン、ヒドロキシ尿素、ロイコボリン、ノラトレキセド(Thymitaq)、トリアピン、トリメトレキセート、N-(5-[N-(3,4-ジヒドロ-2-メチル-4-オキソキナゾリン-6-イルメチル)-N-メチルアミノ]-2-テノイル)-L-グルタミン酸、AG-014699(ファイザー株式会社)、ABT-472(Abbott Laboratories)、INO-1001(Inotek Pharmaceuticals)、KU-0687(KuDOS Pharmaceuticals)及びGPI 18180(Guilford Pharm Inc)並びにそれらの組合せと共に使用される。
【0168】
本明細書において提供する1つ以上の医薬組成物と(任意に1つ以上の他の薬剤と)の併用療法において使用される古典的な抗新生物細胞傷害剤の他の例としては、限定されないが、アブラキサン(Abraxis BioScience,Inc)、Batabulin(Amgen)、EPO 906(ノバルティス)、Vinflunine(Bristol-Myers Squibb Company)、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ネオカルジノスタチン(Zinostatin)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン(Navelbine)、ドセタキセル(Taxotere)、オルタタキセル、パクリタキセル(Taxoprexin a DHA/パクリタキセル複合体を含む)、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン(エロキサチン)、サトラプラチン、カンプトサール、カペシタビン(Xeloda)、オキサリプラチン(エロキサチン)、タキソテアリトレチノイン、カンフォスファミド(Telcyta(登録商標))、DMXAA(Antisoma)、イバンドロン酸、L-アスパラギナーゼ、ペガスパルガーゼ(Oncaspar(登録商標))、Efaproxiral(Efaproxyn(登録商標)-放射線療法)、ベキサロテン(Targretin(登録商標))、テスミリフェン(DPPE-細胞毒性の有効性を高める)、Theratope(登録商標)(Biomira)、トレチノイン(Vesanoid(登録商標))、チラパザミン(Trizaone(登録商標))、モテキサフィンガドリニウム(Xcytrin(登録商標))、コタラ(登録商標)(mAb)及びNBI-3001(Protox Therapeutics)、ポリグルタミン酸-パクリタキセル(Xyotax(登録商標))並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0169】
本明細書で提供される1つ又は複数の医薬組成物と(任意に1つ又は複数の他の薬剤と)の併用療法で使用される古典的な抗新生物剤のさらなる例としては、限定するものではないが、Advexin(ING 201)、TNFerade(GeneVec、放射線療法に応答してTNFアルファを発現する1つ又は複数の化合物)、RB94(Baylor College of Medicine)、Genasense(Oblimersen、Genta)、コンブレタスタチンA4P(CA4P)、Oxi-4503、AVE-8062、ZD-6126、TZT-1027、アトルバスタチン(リピトール、ファイザー社)、プロバスタチン(Pravachol、Bristol-Myers Squibb)、ロバスタチン(メバコール、メルク社)、シンバスタチン(Zocor、メルク社)、フルバスタチン(レスコール、ノバルティス)、セリバスタチン(Baycol、バイエル)、ロスバスタチン(クリストール、アストラゼネカ)、ロボスタチン、ナイアシン(アドビクター、Kos Pharmaceuticals)、Caduet、Lipitor、トルセトラピブ及びそれらの組合せが挙げられる。
【0170】
いくつかの実施形態は、乳がんの処置を必要とするヒトにおける乳がんの処置のための方法に関し、ここで、ヒトは肝機能の障害を有する。いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、トラスツズマブ、タモキシフェン、ドセタキセル、パクリタキセル、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビン、エキセメスタン、レトロゾール及びアナストロゾールからなる群から選択される1つ又は複数(好ましくは1~3つ)の抗がん剤と組み合わせて、本明細書で提供されるある量の1つ又は複数の医薬組成物を上記ヒトに投与することを含む。
【0171】
いくつかの実施形態は、1つ又は複数(好ましくは1~3つ)の抗がん剤と組み合わせて、本明細書中に提供されるある量の1つ又は複数の医薬組成物を投与することによって、結腸直腸がんの処置を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)における結腸直腸がんを処置する方法を提供し、ここで、その哺乳動物は、肝機能の障害を有する。特定の抗がん剤の例としては、補助化学療法において典型的に使用されるもの、例えば、FOLFOX、5-フルオロウラシル(5-FU)又はカペシタビン(Xeloda)、ロイコボリン及びオキサリプラチン(エロキサチン)の組合せが挙げられる。特定の抗がん剤のさらなる例としては、FOLFOX又はベバシズマブ(アバスチン)と組み合わせたFOLFOX;及びFOLFIRI、5-FU又はカペシタビン、ロイコボリン及びイリノテカン(Camptosar)の組合せなどの転移性疾患のための化学療法において典型的に使用されるものが挙げられる。さらなる例としては、17-DMAG、ABX-EFR、AMG-706、AMT-2003、ANX-510(CoFactor)、アプリジン(プリチデプシン、アプリジン)、アロプラチン、アキシチニブ(AG-13736)、AZD-0530、AZD-2171、無菌化ウシ型結核菌(BCG)、ベバシズマブ(Avastin)、BIO-117、BIO-145、BMS-184476、BMS-275183、BMS-528664、ボルテゾミブ(Velcade)、C-1311(Symadex)、カンツズマブメルタンシン、カペシタビン(Xeloda)、セツキシマブ(Erbitux)、クロファラビン(Clofarex)、CMD-193、コンブレタスタチン、Cotara、CT-2106、CV-247、デシタビン(Dacogen)、E-7070、E-7820、エドテカリン、EMD-273066、エンザスタウリン(LY-317615)、エポチロンB(EPO-906)、エルロチニブ(Tarceva)、フラボピリドール、GCAN-101、ゲフィチニブ(Iressa)、huA33、huC242-DM4、イマチニブ(Gleevec)、インジスラム、ING-1、イリノテカン(CPT-11、カンプトサール)、ISIS 2503、イキサベピロン、ラパチニブ(Tykerb)、マパツムマブ(HGS-ETR1)、MBT-0206、MEDI-522(アブレグリン)、マイトマイシン、MK-0457(VX-680)、MLN-8054、NB-1011、NGR-TNF、NV-1020、オブリメルセン(Genasense,G3139)、OncoVex、ONYX 015(CI-1042)、オキサリプラチン(Eloxatin)、パニツムマブ(ABX-EGF、ベクティビックス)、ペリチニブ(EKB-569)、ペメトレキセド(Alimta)、PD-325901、PF-0337210、PF-2341066、RAD-001(エベロリムス)、RAV-12、レスベラトロール、レキシン-G、S-1(TS-1)、セレシクリブ、SN-38リポソーム、スチボグルコン酸ナトリウム(SSG)、ソラフェニブ(Nexavar)、SU-14813、スニチニブ(Sutent)、テムシロリムス(CCI 779)、テトラチオモリブデン酸塩、タロミド、TLK-286(Telcyta)、トポテカン(Hycamtin)、トラベクテジン(Yondelis)、バタラニブ(PTK-787)、ボリノスタット(SAHA、Zolinza)、WX-UK1及びZYC300が挙げられ、併用抗がん剤の量と共に活性薬剤の量は、結腸直腸がんの処置に有効である。
【0172】
いくつかの実施形態は、腎細胞癌腫の処置を必要とするヒトにおける腎細胞癌腫を処置する方法であって、カペシタビン(Xeloda)、インターフェロンアルファ、インターロイキン-2、ベバシズマブ(アバスチン)、ゲムシタビン(Gemzar)、サリドマイド、セツキシマブ(Erbitux)、バタラニブ(PTK-787)、Sutent、AG-13736、SU-11248、Tarceva、Iressa、ラパチニブ及びGleevecからなる群から選択される1つ又は複数(好ましくは1~3つ)の抗がん剤と組み合わせて本明細書に提供されるある量の医薬組成物を前記ヒトに投与することを含み、併用抗がん剤の量と共に活性薬剤の量は、腎細胞癌腫の処置に有効であり、ヒトは肝機能の障害を有している、方法を提供する。
【0173】
いくつかの実施形態は、メラノーマの処置を必要とするヒトにおけるメラノーマを処置するための方法であって、インターフェロンアルファ、インターロイキン-2、テモゾロミド(Temodar)、ドセタキセル(Taxotere)、パクリタキセル、ダカルバジン(DTIC)、カルムスチン(BCNUとしても知られる)、シスプラチン、ビンブラスチン、タモキシフェン、PD-325、901、アキシチニブ、ベバシズマブ(アバスチン)、サリドマイド、ソラフェニブ、バタラニブ(PTK-787)、Sutent、CpG-7909、AG-13736、イレッサ、ラパチニブ及びグリベックからなる群から選択される1つ又は複数(好ましくは1~3つ)の抗がん剤と組み合わせて、本明細書において提供されるある量の医薬組成物を前記ヒトに投与することを含み、併用抗がん剤の量と共に本明細書中に提供される医薬組成物の量は、メラノーマを処置するのに有効であり、ヒトは肝機能の障害を有している、方法を提供する。
【0174】
いくつかの実施形態は、肺がんの処置を必要とするヒトにおける肺がんを処置するための方法であって、カペシタビン(Xeloda)、ベバシズマブ(アバスチン)、ゲムシタビン(Gemzar)、ドセタキセル(Taxotere)、パクリタキセル、プレメトレキセド二ナトリウム(Alimta)、タルセバ、イレッサ、ビノレルビン、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン及びパラプラチン(カルボプラチン)からなる群から選択される1つ又は複数(好ましくは1~3つ)の抗がん剤と組み合わせて本明細書で提供されるある量の1つ又は複数の医薬組成物を前記ヒトに投与することを含み、併用抗がん剤の量と共に活性薬剤の量は、肺がんの処置に有効であり、ヒトは肝機能の障害を有している、方法を提供する。
【0175】
いくつかの実施形態は、がんを処置するか、がんの症候を改善するか、がんの発症を予防するか、又はがんの発症を遅延させるために一般的に投与される放射線療法などの1つ又は複数の化学療法剤又は放射線療法と組み合わせた治療有効量のエントレクチニブを含む医薬組成物を提供する。そのような薬剤には、抗エストロゲン、抗アンドロゲン及びアロマターゼ阻害剤などの抗ホルモン剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、微小管を標的とする薬剤、白金系薬剤、アルキル化剤、DNA損傷又は挿入剤、抗新生物代謝拮抗剤、他のキナーゼ阻害剤、他の抗血管新生剤、キネシンの阻害剤、治療用モノクローナル抗体、mTORの阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、及び低酸素応答の阻害剤が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0176】
少なくとも1つの標的遺伝子がALK1、BDNF、NGF、NGFR、NTF3、NTF4、ROS1、SORT1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される、がん対象における少なくとも1つの標的遺伝子における少なくとも1つの遺伝子変化の存在は、ALK、ROS1、TrkA、TrkB及びTrkCバイオマーカーの少なくとも2つ、3つ、4つ又は全てに結合する1つ又は複数の抗体を含むアッセイを使用することによって検出され得る。生物学的試料で検出される1つ又は複数の分子変化は、バイオマーカーの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つを含み得る。生物学的試料中の1つ又は複数の分子変化の存在の知識は、生物学的試料をバイオマーカーに特異的な1つ又は複数の抗体又はそのフラグメントと接触させることを含むアッセイから得ることができる。いくつかの例では、特異的抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの例において、特異的抗体は、D5F3(登録商標)(ALKウサギmAb)、D4D6(登録商標)(ROS1ウサギmAb)、C17F1(登録商標)(pan-TrkウサギmAb)及びそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの例では、生物学的試料を1つ又は複数の特異的抗体と同時に接触させる。いくつかの例では、生物学的試料を特異的抗体と連続的に接触させる。いくつかの例では、1つ又は複数の分子変化は、ALK、ROS1、TrkA、TrkB及びTrkCバイオマーカーの1つ又は複数の発現上昇をもたらす。場合によっては、1つ又は複数の分子変化の知識は、1つ又は複数のバイオマーカーの発現が上昇しているかどうかを判定することが以下を含むアッセイから得られる:(a)生物学的試料中の1つ又は複数のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;及び(b)決定された発現レベルを参照発現レベルと比較することを含む。
【0177】
本明細書で使用される場合、「参照レベル」という用語は、対照となる人又は対象における標的バイオマーカー(単数又は複数)の既知の発現レベルを指す。場合によっては、参照発現レベルは、健康な人又は対象における標的バイオマーカー(単数又は複数)の発現レベルである。場合によっては、参照発現レベルは、健康な対照細胞の集団における標的バイオマーカー(単数又は複数)の発現レベルである。場合によっては、参照発現レベルは、1つ又は複数の分子変化を有することが以前に決定された対照となる人又は対象における標的バイオマーカー(単数又は複数)の発現レベルである。場合によっては、参照発現レベルは、1つ又は複数の分子変化を有することが以前に決定された対照細胞の集団における標的バイオマーカー(単数又は複数)の発現レベルである。
【0178】
いくつかの例では、1つ又は複数の分子変化の知識は、抗体ベースのアッセイから得られる。抗体に基づくアッセイは、一般に、任意の抗体に基づくアッセイであり得、例えば、ELISA、免疫組織化学、ウェスタンブロッティング、質量分析、フローサイトメトリ、タンパク質マイクロアレイ、免疫蛍光、及びマルチプレックス検出アッセイであり得る。いくつかの例において、抗体に基づくアッセイは、免疫組織化学分析を含む。
【0179】
いくつかの例では、上方調節欠陥又は下方調節欠陥などのALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC調節欠陥、例えば、肝機能の障害を有する対象におけるがん又は前がん性膵細胞における構成的に活性なALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキナーゼをコードするALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC欠失又はALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキメラ遺伝子座などのヌル突然変異を同定することは、膵がん性又は前がん性細胞集団からの細胞抽出物におけるALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC活性についてアッセイすることを含む。
【0180】
いくつかの例では、上方調節欠陥又は下方調節欠陥などのALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC調節欠陥、例えば、肝機能の障害を有する対象におけるがん又は前がん性膵細胞における構成的に活性なALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキナーゼをコードするALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC欠失又はALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキメラ遺伝子座などのヌル突然変異を同定することは、膵がん性又は前がん性細胞集団からのRNA集団におけるALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC転写物の蓄積についてアッセイすることを含む。
【0181】
いくつかの例では、上方調節欠陥又は下方調節欠陥などのALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC調節欠陥、例えば、肝機能の障害を有する対象におけるがん又は前がん性膵細胞における構成的に活性なALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキナーゼをコードするALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkC欠失又はALK、ROS1、TrkA、TrkB、又はTrkCキメラ遺伝子座などのヌル突然変異を同定することは、膵がん性又は前がん性細胞集団からの細胞(単数若しくは複数)を含む細胞(単数若しくは複数)又は細胞集団中のゲノムデオキシリボ核酸配列などの核酸配列を決定することを含む。
【0182】
本明細書で使用される「マイクロアレイ」という用語は、他の分子種又は抗体に結合することができる固体支持体に取り付けられたアレイ素子(例えば、組織試料などの対象由来の生物学的試料の小試料)の順序付き配列を意味する。アレイ素子は、好ましくは少なくとも1つ以上の異なるアレイ素子が存在するように配置される。
【0183】
本明細書で使用される「固体支持体」という用語は、例えばタンパク質及び核酸などの様々な成分が物理的に付着し、それによって成分を固定化する、よく理解されている固体材料を意味する。本明細書で使用される「固体支持体」という用語は、非液体物質を意味する。固体支持体は、膜、シート、ゲル、ガラス、プラスチック又は金属であり得るが、これらに限定されない。固定された成分は、共有結合によって、及び/又は非共有結合引力、例えば水素結合相互作用、疎水性引力及びイオン力を介して固体支持体と会合し得る。
【0184】
いくつかの例では、本明細書で提供される方法に適したマイクロアレイは、少なくとも1、2、4、6、8、10スポット/cm2、好ましくは少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、より好ましくは少なくとも210、220、230、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000又は9000スポット/cm2の密度を有する。
【0185】
いくつかの例では、アレイ上のスポットはそれぞれ異なる種のバイオマーカーを表し得るか、又はアレイ上の複数のスポットは同じ種のバイオマーカーを表し得ると考えられる。場合によっては、スポットはそれぞれ、異なる同一性又は特性のアレイ素子を表す。
【0186】
いくつかの例では、本開示のこの態様及び他の態様による方法の実施は、投与工程の前に、第2の分析アッセイから対象のがんにおける遺伝子変化の知識を得ることをさらに含む。第2の分析アッセイは、一般に、当業者に公知の任意の分析アッセイであり得、例えば、抗体ベースのアッセイ、ヌクレオチドベースのアッセイ、又は酵素活性アッセイであり得る。適切な第2の分析アッセイの非限定的な例としては、キャピラリー電気泳動、核酸配列決定、ポリペプチド配列決定、制限消化、核酸増幅に基づくアッセイ、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、比較ゲノムハイブリダイゼーション、リアルタイムPCR、定量的逆転写PCR(qRT-PCR)、PCR-RFLPアッセイ、HPLC、質量分析遺伝子型決定、蛍光in-situハイブリダイゼーション(FISH)、次世代配列決定(NGS)、及びキナーゼ活性アッセイが挙げられる。適切な第2の分析アッセイの他の例としては、ELISA、免疫組織化学、ウェスタンブロッティング、質量分析、フローサイトメトリ、タンパク質マイクロアレイ、免疫蛍光及び多重検出アッセイが挙げられる。
【0187】
場合によっては、FISH分析を使用して、本明細書に記載の融合遺伝子又は遺伝子産物などの1つ又は複数の分子変化をもたらす染色体再編成を同定する。例えば、FISHを実施するために、第1の検出可能な標識でタグ付けされた少なくとも1つの第1のプローブを、融合遺伝子の第1の遺伝子を標的とするように、例えば、遺伝子の1つ又は複数のエクソンにおいて設計することができ、第2の検出可能な標識でタグ付けされた少なくとも1つの第2のプローブを、融合遺伝子の第2の遺伝子を標的とするように、例えば、遺伝子の1つ又は複数のエクソンにおいて設計することができる(例えば、エクソンは、チロシンキナーゼドメインを含むタンパク質の一部を含む)。少なくとも1つの第1のプローブ及び少なくとも1つの第2のプローブは、融合遺伝子又は遺伝子産物を保有していない対象と比較して、融合を保有する対象において互いに近接するであろう。場合によっては、FISHアッセイのバリエーション、例えば「ブレーク・アパートFISH」を使用して、本明細書で提供される方法によって選択される対象を評価する。この方法により、融合接合部を標的とする少なくとも1つのプローブ、及び融合の対象遺伝子、例えば遺伝子の1つ又は複数のエクソン及び又はイントロンを標的とする少なくとも1つのプローブが利用される。正常細胞では、両方のプローブが観察され(又は遺伝子融合の2つの遺伝子が近接しているために二次的な色が観察される)、転座が起こると単一の遺伝子プローブのみが観察されるか、又は異なる色を有するプローブが分離されるので、プローブを観察する当業者は、関連する遺伝子融合又は欠失が試料中に存在すると決定することができる。一般に、FISHアッセイは、スライド上に置かれるホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を使用して行われる。組織試料切片からのDNAを一本鎖形態に変性させ、続いて、当業者に公知の方法及び技術を用いて設計及び調製することができる適切なDNAプローブとハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション後、任意の未結合プローブを一連の洗浄によって除去し得、細胞の核を、青色に蛍光を発するDNA特異的染色剤であるDAPI(4’,6ジアミジノ-2-フェニルインドール)で対比染色する。プローブ(単数又は複数)のハイブリダイゼーションは、適切な励起フィルタ及び発光フィルタを備えた蛍光顕微鏡を使用して観察され、蛍光シグナルの可視化を可能にする。
【0188】
例えば、ブレーク・アパートFISHアッセイを使用して、ALK遺伝子座を含む複数のタイプの再編成を検出することができる。この方法では、非小細胞肺がん(NSCLC)を有する一部の対象由来の腫瘍細胞が、緑色(FITC)、赤色(テキサスレッド)及び青色(4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)並びにデュアル(赤色/緑色)及びトリプル(青、赤、緑)のバンドパスフィルタを含む単一の干渉フィルタセットを用いて検出されるALK陽性FISHパターンを示す。ALK遺伝子の融合は、分裂したオレンジ色及び緑色のシグナル、単一のオレンジ色のシグナル、又は単一のオレンジ色及び単一の緑色のシグナルとして視覚化される。
【0189】
上記と同じ方法を使用するが、標的分子変化に適切であり、当業者によって容易に決定され得る方法でアッセイに使用される試薬、プローブ及び他の材料を改変することによって、がん対象に由来する生物学的試料中のROS1、TrkA、TrkB及びTrkCに関する関連する分子変化に適している。
【0190】
当技術分野で公知のFISH方法の他のバリエーションは、本明細書で提供される方法に従って選択された対象を評価するのに適している。
【0191】
いくつかの例では、1つ又は複数の分子変化の存在の知識が、複数の生物学的試料に対して同時に行われるアッセイから得られる方法が提供される。いくつかの例では、複数の生物学的試料をマルチテスト・プラットフォームでアッセイすることができる。
【0192】
本明細書で使用される場合、「マルチテスト・プラットフォーム」という用語は、1つ又は複数の反応混合物、懸濁液、又は検出反応を含む任意の適切な手段を包含することを意図している。このように、多数のスクリーニング事象の結果を1つの表面上に組み立てることができ、複数の要素又は部品を有するか、又はそれらからなる「マルチテスト・プラットフォーム」が得られ、2つ以上の実験を同時に行うことができる。「マルチテスト・プラットフォーム」という用語は、タンパク質チップ、マイクロタイタープレート、マルチウェルプレート、マイクロカード、試験管、ペトリ皿、トレイ、スライドなどを包含することが意図されている。場合によっては、多重化は、複数の別個の生物学的試料のそれぞれにおいて複数のスクリーニング事象を同時に行うことをさらに含むことができる。例えば、分析される生物学的試料の数は、スライド上のスポットの数及び各スポットで行われた試験の数に基づくことができる(実施例2でより詳細に説明する)。別の例では、分析される生物学的試料の数は、マルチウェルプレート内のウェルの数及び各ウェルで行われる試験の数に基づくことができる。例えば、6ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェル、384ウェル、1536ウェル又は3456ウェルマイクロタイタープレートは、本開示の方法において有用であり得るが、各マイクロタイターウェルが対象の生物学的試料を含む必要はないことが当業者には理解されるであろう。マイクロタイタープレートのサイズ及び各ウェル内の対象生物学的試料の数に応じて、非常に多数の試験を同時に実行することができる。実施例2では、マイクロスライドに関して多重化を例示したが、多重化には他のフォーマットを使用できることが理解されよう。
【0193】
いくつかの例では、複数の生物学的試料が少なくとも6、12、24、48、96、200、384、400、500、1000、1250、1500又は3000個の試料を含む方法が提供される。
【0194】
いくつかの例では、1つ又は複数の分子変化が、遺伝子変異、遺伝子増幅、遺伝子再編成、一塩基変異(SNV)、欠失、挿入、InDel変異、一塩基点変異(SNP)、エピジェネティック変化、スプライシング・バリアント、RNA/タンパク質過剰発現、及び異常なRNA/タンパク質発現から選択される方法が提供される。いくつかの例では、遺伝子改変がバイオマーカー遺伝子のコード配列内への異種核酸配列の挿入を含む方法が提供される。いくつかの例において、挿入が、融合ペプチドをコードするキメラ核酸配列を形成する方法が提供される。
【0195】
いくつかの例では、1つ又は複数の分子変化の知識を得ることが、1つ又は複数の分子変化を含む核酸配列及び/又はアミノ酸配列を決定することをさらに含む方法が提供される。いくつかの例では、選択されたがん対象腫瘍からの1つ又は複数の分子変化を含む核酸配列が配列決定される。いくつかの例では、配列は次世代配列決定法によって決定される。
【0196】
別の態様では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、方法は、有効量(例えば、1日当たり600mgの初期用量)のエントレクチニブを、それを必要とする患者(例えば、ROS1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される少なくとも1つの標的遺伝子に少なくとも1つの遺伝子変化を有する固形腫瘍を有する人)に投与すること(例えば、経口)、患者における有害事象(例えば、肝毒性)を監視すること、及びグレード2以上の重症度の有害事象が患者において観察される場合、エントレクチニブの投与量を変更/減少させること(例えば、グレード4の有害事象が観察された場合、投与量を0に減少させること、又は、エントレクチニブの投与を中断すること;又は、グレード3の有害事象が観察される場合、グレード1以下又はベースラインまでの回復までエントレクチニブ投与を保留し、任意に、回復が4週間以内に起こる場合、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は任意に、再発性のグレード3の有害事象が4週間以内に観察される場合、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること(例えば、1日当たり400mg又は200mg))を含む。有害事象には、うっ血性心不全、中枢神経系作用、肝毒性、高尿酸血症、QT間隔延長、視覚障害、及び貧血又は好中球減少症が含まれるが、これらに限定されない。有害事象を監視することには、(1)うっ血性心不全(CHF)の臨床徴候及び症候(息切れ及び浮腫が含まれる)について患者を監視すること、任意に、CHFの診断を行うためにMRI又は心臓生検を得ること(2)1つ又は複数のCNS有害反応について患者を監視すること;(3)骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候について患者を監視すること;(4)ALT及びASTを含む肝臓検査で患者を監視すること(例えば、投与の最初の1ヶ月間は2週間ごとの、その後は毎月の、かつ臨床的に指示されるような);(5)肝臓の問題の症候について患者を監視すること(例えば、食欲不振、悪心若しくは嘔吐、又は胃の領域の右上の疼痛);(6)血清尿酸値を定期的に評価し、高尿酸血症の徴候及び症候について患者を監視すること;(7)QT間隔及び電解質を評価すること;(8)新たな視覚障害について患者を監視すること;及び(9)貧血又は好中球減少症について患者を監視すること、のうちの1つ以上が含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、初期用量は600mg、500mg又は400mgである。いくつかの実施形態において、低用量は200mg、300mg又は400mgである。いくつかの実施形態において、初期用量は600mgであり、低用量は400mg又は200mgである。いくつかの実施形態では、グレード1以下の重症度の有害反応までの患者の回復には、ベースラインまでの患者の回復が含まれる。
【0197】
いくつかの実施形態では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、エントレクチニブを患者に投与する前に患者の左室駆出率(LVEF)を評価することを含み、患者は、うっ血性心不全(CHF)の症候又は既知の危険因子を有する。いくつかの実施形態では、この方法は、息切れ及び浮腫を含むCHFの臨床徴候及び症候について患者を監視することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、CHFの診断を行うためにMRI又は心臓生検を得ることをさらに含む。いくつかの実施形態では、患者に新たに発症したCHF又はCHFの悪化が認められる場合、この方法は、エントレクチニブを保留することと、適切な医学的管理を導入することと、及びLVEF及びCHFの重症度を再評価することとをさらに含む。さらなる実施形態では、この方法は、患者がベースラインへの回復時に、低用量でエントレクチニブを再開すること、又はエントレクチニブの投与を恒久的に中止することをさらに含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
患者にエントレクチニブを投与する前に患者の左室駆出率(LVEF)を評価すること;
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
息切れ及び浮腫を含む、うっ血性心不全(CHF)の臨床徴候及び症候について患者を監視すること;
任意に、CHFの診断を行うためにMRI又は心臓生検を得ること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2若しくは3の重症度のCHFが認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、適切な医学的管理を開始することと、LVEF及びCHFの重症度を再評価することと、並びに患者がグレード1以下の重症度のCHFへの回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者にグレード4の重症度のCHFが認められる場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、CHFの重症度は、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン4.0によって定義される通りであり、ctep.cancer.gov/protocolDevelopment/electronic_applications/ctc.htm#ctc_40のウェブサイトを参照。
【0200】
CHFの徴候及び症候の非限定的な例としては、持続性の咳又は喘鳴、横になったときの呼吸困難、突然の体重増加、息切れの増加、疲労/脱力/疲労、及び足首、足、又は脚の腫脹が挙げられる。
【0201】
いくつかの実施形態では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、エントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系有害反応のリスクを患者に告知することを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の中枢神経系有害反応は、認知障害、気分障害、眩暈、及び睡眠障害から選択される。いくつかの実施形態では、本方法は、患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系有害反応が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることをさらに含む。いくつかの実施形態では、その方法は、エントレクチニブを保留し、次いで、1つ若しくは複数の中枢神経系有害反応の改善時に初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は1つ若しくは複数の中枢神経系有害反応の重症度に基づいてエントレクチニブの投与を恒久的に中止することをさらに含む。
【0202】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系(CNS)の有害反応のリスクを患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数のCNS有害反応が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
1つ又は複数のCNS有害反応について患者をモニタリングすること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2の重症度のCNS有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度のCNS有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード3の重症度のCNS有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度のCNS有害反応への回復時に、低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード4の重症度のCNS有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む。
【0203】
いくつかの実施形態において、CNS有害反応の重症度は、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン4.0によって定義される通りである。
【0204】
CNS有害反応の徴候及び症候の非限定的な例としては、眩暈、気分の変化、認知障害、幻覚、並びに集中、注意、記憶及び睡眠の問題が挙げられる。認知変化、認知障害、又は認知障害の非限定的な例としては、錯乱、精神状態変化、記憶障害、及び幻覚が挙げられる。
【0205】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による認知変化の可能性について患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の認知変化の症候が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
認知障害について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;又は
患者に認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む。
【0206】
いくつかの実施形態において、認知障害の重症度は、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン4.0によって定義される通りである。
【0207】
いくつかの実施形態では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するまでエントレクチニブを保留することを含む。さらなる実施形態では、4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開し、又は4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開し、又はグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止する。他の実施形態では、4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開し、又はグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか再発する場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止する。いくつかの実施形態では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、患者が、ULNの3倍を超えるALT又はAST上昇を示し、胆汁うっ滞又は溶血の非存在下でULNの2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む。
【0208】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
トランスアミナーゼ上昇について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下でULNの2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む。
【0209】
いくつかの実施形態において、トランスアミナーゼ上昇の重症度は、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン4.0によって定義される通りである。
【0210】
いくつかの実施形態では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候を有する患者を迅速に評価することを含む。いくつかの実施形態では、骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候は、疼痛、可動性の変化、変形、及びそれらの任意の組合せから選択される。いくつかの実施形態では、骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候は、疼痛、異常歩行、可動性の変化、変形、及びそれらの任意の組合せから選択される。
【0211】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候について患者を監視すること;
患者が骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候を示す場合、迅速に患者を評価し、適切な医学的管理を開始すること;及び
患者におけるさらなる有害反応の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続することを含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、処置の最初の1ヶ月間は2週間ごとの、その後は毎月の、かつ臨床的に指示されるような、ALT及びASTを含む肝臓検査を監視することを含む。いくつかの実施形態では、その方法は、エントレクチニブを保留し、次いで、肝毒性の改善時に初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は肝毒性の重症度に基づいてエントレクチニブの投与を恒久的に中止することをさらに含む。
【0213】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
ALT及びASTを含む肝臓検査を用いて、投与の最初の1ヶ月間は2週間ごとの、その後は毎月の、かつ臨床的に指示されるような、患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード3の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しない場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者にグレード4の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード4の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはASTを示し、同時に、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下でULNの1.5倍を超える総ビリルビンを示す場合は、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む。
【0214】
いくつかの実施形態において、肝毒性の重症度は、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン4.0によって定義される通りである。
【0215】
いくつかの実施形態では、肝臓の問題の症候としては、限定されないが、食欲不振、悪心若しくは嘔吐、又は胃の領域の右上の疼痛が挙げられる。
【0216】
いくつかの実施形態では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、エントレクチニブの投与を開始する前及び投与中に定期的に血清尿酸レベルを評価することを含む。いくつかの実施形態では、その方法は、高尿酸血症の徴候及び症候について患者を監視することをさらに含む。いくつかの実施形態では、その方法は、臨床的に指示されるような尿酸低下薬による処置を開始すること、並びに高尿酸血症の徴候及び症候についてエントレクチニブを保留することをさらに含む。さらなる実施形態では、その方法は、高尿酸血症の重症度に基づいて徴候又は症候が改善したときに、初期用量又は低用量でのエントレクチニブの投与を再開することをさらに含む。
【0217】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
エントレクチニブの投与を開始する前に患者の血清尿酸レベルを評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中に定期的に血清尿酸レベルを再評価し、高尿酸血症の徴候及び症候について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に高尿酸血症の症候性であるか若しくはグレード4の高尿酸血症が認められる場合、臨床的に指示されるような尿酸低下薬による処置を開始することと、エントレクチニブを保留することと、高尿酸血症の徴候又は症候が改善したら、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することととを含む。
【0218】
いくつかの実施形態において、高尿酸血症の重症度は、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン4.0によって定義される通りである。
【0219】
いくつかの実施形態では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、既知のQT延長症候群を有する患者、臨床的に有意な徐脈性不整脈を有する患者、重度又は制御されていない心不全を有する患者、又はQT延長に関連する他の医薬品を服用している患者などであるがこれらに限定されない、QTc間隔延長を既に有するか又は発症する有意なリスクがある患者を監視することを含む。いくつかの実施形態では、その方法は、QT間隔及び電解質をベースライン時及びエントレクチニブの投与中に定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの危険因子に基づいて頻度を調整することをさらに含む。いくつかの実施形態では、QTc間隔の延長の重症度に基づいて、その方法は、エントレクチニブを保留し、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又はエントレクチニブの投与を恒久的に中止することをさらに含む。
【0220】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
うっ血性心不全について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2若しくはグレード3の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード4の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む。
【0221】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
うっ血性心不全について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2若しくはグレード3の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード4の重症度のうっ血性心不全が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む。
【0222】
いくつかの実施形態において、うっ血性心不全の重症度は、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン4.0によって定義される通りである。
【0223】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、QT延長を引き起こす因子が同定され補正された場合、エントレクチニブの投与を初期用量で再開する。いくつかの実施形態では、QT延長を引き起こす他の因子が同定されない場合、エントレクチニブの投与を低用量で再開する。
【0225】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が481~500msのQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること;及びQT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはQT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、日常生活の活動を妨げる新たな視覚的変化の改善又は安定化までエントレクチニブを保留すること、及び、初期用量又は低用量でのエントレクチニブの投与を再開することを含む。
【0227】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
新たな視覚障害について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2以上の重症度の視覚障害が認められる場合、視覚障害の改善若しくは安定化までエントレクチニブを保留することと、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む。
【0228】
いくつかの実施形態において、視覚障害の重症度は、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン4.0によって定義される通りである。
【0229】
いくつかの実施形態では、視覚障害は、複視、ぼやけた視力、新しい又は増加したフロータ、フラッシュ光、光感受性、及びそれらの2つ以上の組合せから選択される。いくつかの実施形態では、視覚障害は、かすみ眼、羞明、複視、視力障害、光視症、白内障、硝子体フロータ、及びそれらの2つ以上の組合せから選択される。
【0230】
いくつかの実施形態では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、グレード2以下の重症度の貧血又は好中球減少症まで患者が回復するまでエントレクチニブを保留することを含む。
【0231】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
貧血又は好中球減少について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の貧血若しくは好中球減少が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード2以下の重症度の貧血若しくは好中球減少への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含む。
【0232】
いくつかの実施形態において、貧血又は好中球減少症の重症度は、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン4.0によって定義される通りである。
【0233】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
胚-胎児毒性の可能性について患者に告知すること;
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が妊娠する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、グレード3又はグレード4の有害反応が解消又は改善してグレード1以下に回復又は改善するまでエントレクチニブを保留することを含む。
【0235】
いくつかの実施形態において、患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法は、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の有害反応が認められる場合はエントレクチニブを保留することと、患者がグレード1以下の重症度の有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は有害反応が4週間以内に解消しないか、若しくはグレード4の重症度の有害反応が再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む。
【0236】
いくつかの実施形態において、有害反応の重症度は、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン4.0によって定義される通りである。
【0237】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者にエントレクチニブを投与する前に患者の左室駆出率(LVEF)を評価すること;
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
息切れ及び浮腫を含む、うっ血性心不全(CHF)の臨床徴候及び症候について患者を監視すること;
任意に、CHFの診断を行うためにMRI又は心臓生検を得ること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2若しくは3の重症度のCHFが認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、適切な医学的管理を開始することと、LVEF及びCHFの重症度を再評価することと、並びに患者がグレード1以下の重症度のCHFへの回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者にグレード4の重症度のCHFが認められる場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0238】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系(CNS)の有害反応のリスクを患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数のCNS有害反応が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
1つ又は複数のCNS有害反応について患者をモニタリングすること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2の重症度のCNS有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度のCNS有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード3の重症度のCNS有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度のCNS有害反応への回復時に、低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード4の重症度のCNS有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0239】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による認知変化の可能性について患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の認知変化の症候が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
認知障害について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;又は
患者に認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0240】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
トランスアミナーゼ上昇について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下でULNの2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0241】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候について患者を監視すること;
患者が骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候を示す場合、迅速に患者を評価し、適切な医学的管理を開始すること;及び
患者におけるさらなる有害反応の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0242】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
ALT及びASTを含む肝臓検査を用いて、投与の最初の1ヶ月間は2週間ごとの、その後は毎月の、かつ臨床的に指示されるような、患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード3の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しない場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者にグレード4の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード4の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはASTを示し、同時に、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下でULNの1.5倍を超える総ビリルビンを示す場合は、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0243】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
エントレクチニブの投与を開始する前に患者の血清尿酸レベルを評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中に定期的に血清尿酸レベルを再評価し、高尿酸血症の徴候及び症候について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に高尿酸血症の症候性であるか若しくはグレード4の高尿酸血症が認められる場合、臨床的に指示されるような尿酸低下薬による処置を開始することと、エントレクチニブを保留することと、高尿酸血症の徴候若しくは症候が改善したら、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0244】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
うっ血性心不全について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2若しくはグレード3の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード4の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0245】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0246】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が481~500msのQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること;及びQT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはQT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0247】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
新たな視覚障害について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2以上の重症度の視覚障害が認められる場合、視覚障害の改善若しくは安定化までエントレクチニブを保留することと、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0248】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
貧血又は好中球減少について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の貧血若しくは好中球減少が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード2以下の重症度の貧血若しくは好中球減少への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0249】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
胚-胎児毒性の可能性について患者に告知すること;
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が妊娠する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法が本明細書において提供される。
【0250】
いくつかの実施形態では、がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の有害反応が認められる場合はエントレクチニブを保留することと、患者がグレード1以下の重症度の有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は有害反応が4週間以内に解消しないか、若しくはグレード4の重症度の有害反応が再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法が本明細書において提供される。
【0251】
いくつかの実施形態では、初期用量は1日1回600mgである。いくつかの実施形態では、初期用量は1日1回500mgである。いくつかの実施形態では、初期用量は1日1回400mgである。
【0252】
いくつかの実施形態では、患者は、成人患者である。いくつかの実施形態では、患者は成人患者であり、初期用量は1日1回600mgである。いくつかの実施形態では、患者は、1.50m2を超えるBSAを有する12歳以上の小児患者であり、初期用量は1日1回600mgである。いくつかの実施形態では、患者は、1.11~1.50m2のBSAを有する12歳以上である小児患者であり、初期用量は1日1回の500mgである。いくつかの実施形態では、患者は、0.91~1.10m2のBSAを有する12歳以上である小児患者であり、初期用量は1日1回の400mgである。
【0253】
いくつかの実施形態では、患者は小児患者である。いくつかの実施形態では、患者は、カプセルを嚥下する能力を有する小児患者であり、1日用量は300mg/m2である。いくつかの実施形態では、患者は0.43~0.50m2のBSAを有する小児患者であり、1日用量は100mgである。いくつかの実施形態では、患者は0.51~0.80m2のBSAを有する小児患者であり、1日用量は200mgである。いくつかの実施形態では、患者は0.81~1.10m2のBSAを有する小児患者であり、1日用量は300mgである。いくつかの実施形態では、患者は1.11~1.50m2のBSAを有する小児患者であり、1日用量は400mgである。いくつかの実施形態では、患者は1.51m2以下のBSAを有する小児患者であり、1日用量は500mgである。他の実施形態では、患者は1.51m2以下のBSAを有する小児患者であり、1日用量は600mgである。
【0254】
いくつかの実施形態では、患者は0.91~1.10m2のBSAを有する小児患者であり、1日用量は400mgである。いくつかの実施形態では、患者は1.11~1.50m2のBSAを有する小児患者であり、1日用量は500mgである。いくつかの実施形態では、患者は>1.50m2のBSAを有する小児患者であり、1日用量は600mgである。
【0255】
いくつかの実施形態は、本明細書中に記載される方法のいずれかを含み、ここで、エントレクチニブを含む本明細書中に提供される任意の医薬組成物は、対象が投与されるエントレクチニブの量が約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg又は約600mgであるような量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象が受けるエントレクチニブの量は、約50mg~約600mgである。いくつかの実施形態では、量は、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg又は約550mgの下限、及び約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg又は約600mgの上限によって定義される範囲内であり、上限は下限よりも高い。いくつかの実施形態では、対象が投与されるエントレクチニブの量は、約50mgである。いくつかの実施形態では、対象が投与されるエントレクチニブの量は、約100mgである。いくつかの実施形態では、対象が投与されるエントレクチニブの量は、約150mgである。いくつかの実施形態では、対象が投与されるエントレクチニブの量は、約200mgである。いくつかの実施形態では、対象が投与されるエントレクチニブの量は、約300mgである。いくつかの実施形態では、対象が投与されるエントレクチニブの量は、約400mgである。いくつかの実施形態では、対象が投与されるエントレクチニブの量は、約500mgである。いくつかの実施形態では、対象が投与されるエントレクチニブの量は、約600mgである。
【0256】
いくつかの実施形態では、対象は、ある量のエントレクチニブを1日1回、1日2回又は1日3回投与される。いくつかの実施形態では、対象は、ある量のエントレクチニブを1日おきに、2日おきに、又は3日おきに投与される。いくつかの実施形態では、対象は、ある量のエントレクチニブを1週間に1回投与される。
【0257】
いくつかの実施形態は、本明細書中に記載される方法のいずれかを含み、ここで、エントレクチニブを含む本明細書中に提供される任意の医薬組成物は、対象が1日あたりに投与されるエントレクチニブの量が約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg又は約600mgであるような量で対象に1日あたり1回投与される。いくつかの実施形態では、対象が1日あたり1回投与されるエントレクチニブの量は、約50mg~約600mgである。いくつかの実施形態では、対象が1日あたり1回投与されるエントレクチニブの量は、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg又は約550mgの下限、及び約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg又は約600mgの上限によって定義される範囲内であり、上限は下限よりも高い。いくつかの実施形態では、対象が1日あたり1回投与されるエントレクチニブの量は、約50mgである。いくつかの実施形態では、対象が1日あたり1回投与されるエントレクチニブの量は、約100mgである。いくつかの実施形態では、対象が1日あたり1回投与されるエントレクチニブの量は、約150mgである。いくつかの実施形態では、対象が1日あたり1回投与されるエントレクチニブの量は、約200mgである。いくつかの実施形態では、対象が1日あたり1回投与されるエントレクチニブの量は、約300mgである。いくつかの実施形態では、対象が1日あたり1回投与されるエントレクチニブの量は、約400mgである。いくつかの実施形態では、対象が1日あたり1回投与されるエントレクチニブの量は、約500mgである。いくつかの実施形態では、対象が1日あたり1回投与されるエントレクチニブの量は、約600mgである。
【0258】
いくつかの実施形態では、成人患者に対するエントレクチニブの初回の用量減少は、400mgであり、1日1回経口投与される。さらなる実施形態では、成人患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は200mgであり、1日1回経口投与される。なおさらなる実施形態では、エントレクチニブの投与は、成人患者に対する2回の用量減少後に恒久的に中止される。いくつかの実施形態では、成人患者に対するエントレクチニブの開始用量は600mgであり、1日1回経口投与され、成人患者に対するエントレクチニブの初期用量減少は400mgであり、1日1回経口投与され、成人患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は200mgであり、1日1回経口投与され、成人患者が2回目の用量減少に耐えられない場合、2回の用量減少後にエントレクチニブの投与を恒久的に中止する。
【0259】
いくつかの実施形態では、小児患者のためのエントレクチニブの初回の用量減少は100mgであり、週に5日間1日1回経口投与される(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)。さらなる実施形態では、小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は、100mgであり、週に3日間1日1回経口投与される(例えば、月曜日、木曜日、土曜日)。なおさらなる実施形態では、エントレクチニブの投与は、小児患者に対する2回の用量減少後に恒久的に中止される。いくつかの実施形態では、小児患者のためのエントレクチニブの開始用量は100mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの初回の用量減少は100mgであり、週に5日間1日1回経口投与され(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)、小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は100mgであり、週に3日間1日に1回経口投与され(例えば、月曜日、木曜日、土曜日)、小児患者が2回目の用量減少に耐えられない場合、2回の用量減少後にエントレクチニブの投与を恒久的に中止する。いくつかの実施形態では、0.43~0.50m2のBSAを有する小児患者のためのエントレクチニブの開始用量は100mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの初回の用量減少は100mgであり、週に5日間1日1回経口投与され(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)、小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は100mgであり、週に3日間1日に1回経口投与され(例えば、月曜日、木曜日、土曜日)、小児患者が2回目の用量減少に耐えられない場合、2回の用量減少後にエントレクチニブの投与を恒久的に中止する。
【0260】
いくつかの実施形態では、小児患者のためのエントレクチニブの初回の用量減少は200mgであり、週に5日間1日1回経口投与される(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)。さらなる実施形態では、小児患者のためのエントレクチニブの2回目の用量減少は100mgであり、週に5日間1日1回経口投与される(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)。なおさらなる実施形態では、エントレクチニブの投与は、小児患者に対する2回の用量減少後に恒久的に中止される。いくつかの実施形態では、小児患者のためのエントレクチニブの開始用量は200mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの初回の用量減少は200mgであり、週に5日間1日1回経口投与され(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)、小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は100mgであり、週に5日間1日に1回経口投与され(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)、小児患者が2回目の用量減少に耐えられない場合、2回の用量減少後にエントレクチニブの投与を恒久的に中止する。いくつかの実施形態では、0.51~0.80m2のBSAを有する小児患者のためのエントレクチニブの開始用量は200mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの初回の用量減少は200mgであり、週に5日間1日1回経口投与され(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)、小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は100mgであり、週に5日間1日に1回経口投与され(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)、小児患者が2回目の用量減少に耐えられない場合、2回の用量減少後にエントレクチニブの投与を恒久的に中止する。
【0261】
いくつかの実施形態では、小児患者に対するエントレクチニブの初回の用量減少は、200mgであり、1日1回経口投与される。さらなる実施形態では、小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は100mgであり、1日1回経口投与される。なおさらなる実施形態では、エントレクチニブの投与は、小児患者に対する2回の用量減少後に恒久的に中止される。いくつかの実施形態では、小児患者に対するエントレクチニブの開始用量は300mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの初期用量減少は200mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は100mgであり、1日1回経口投与され、小児患者が2回目の用量減少に耐えられない場合、2回の用量減少後にエントレクチニブの投与を恒久的に中止する。いくつかの実施形態では、0.81~1.10m2のBSAを有する小児患者に対するエントレクチニブの開始用量は300mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの初期用量減少は200mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は100mgであり、1日1回経口投与され、小児患者が2回目の用量減少に耐えられない場合、2回の用量減少後にエントレクチニブの投与を恒久的に中止する。
【0262】
いくつかの実施形態では、小児患者に対するエントレクチニブの初回の用量減少は、300mgであり、1日1回経口投与される。さらなる実施形態では、小児患者のためのエントレクチニブの2回目の用量減少は200mgであり、週に5日間1日1回経口投与される(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)。なおさらなる実施形態では、エントレクチニブの投与は、小児患者に対する2回の用量減少後に恒久的に中止される。いくつかの実施形態では、小児患者のためのエントレクチニブの開始用量は400mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの初回の用量減少は300mgであり、毎日1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は200mgであり、週に5日間1日に1回経口投与され(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)、小児患者が2回目の用量減少に耐えられない場合、2回の用量減少後にエントレクチニブの投与を恒久的に中止する。いくつかの実施形態では、1.11~1.50m2のBSAを有する小児患者のためのエントレクチニブの開始用量は400mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの初回の用量減少は300mgであり、毎日1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は200mgであり、週に5日間1日に1回経口投与され(例えば、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日、及び日曜日)、小児患者が2回目の用量減少に耐えられない場合、2回の用量減少後にエントレクチニブの投与を恒久的に中止する。
【0263】
いくつかの実施形態では、小児患者に対するエントレクチニブの初回の用量減少は、400mgであり、1日1回経口投与される。さらなる実施形態では、小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は200mgであり、1日1回経口投与される。なおさらなる実施形態では、エントレクチニブの投与は、小児患者に対する2回の用量減少後に恒久的に中止される。いくつかの実施形態では、小児患者に対するエントレクチニブの開始用量は600mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの初期用量減少は400mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は200mgであり、1日1回経口投与され、小児患者が2回目の用量減少に耐えられない場合、2回の用量減少後にエントレクチニブの投与を恒久的に中止する。いくつかの実施形態では、1.51m2以下のBSAを有する小児患者に対するエントレクチニブの開始用量は600mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの初期用量減少は400mgであり、1日1回経口投与され、小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は200mgであり、1日1回経口投与され、小児患者が2回目の用量減少に耐えられない場合、2回の用量減少後にエントレクチニブの投与を恒久的に中止する。
【0264】
いくつかの実施形態では、1.50m2を超えるBSAを有する成人患者及び12歳以上の小児患者に対するエントレクチニブの初回の用量減少は400mgであり、1日1回経口投与される。さらなる実施形態では、1.50m2を超えるBSAを有する成人患者及び12歳以上の小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は200mgであり、1日1回経口投与される。なおさらなる実施形態では、エントレクチニブの投与は、BSAが1.50m2を超える成人及び12歳以上の小児患者については2回の用量減少後に恒久的に中止される。
【0265】
いくつかの実施形態では、1.11~1.50m2のBSAを有する成人患者及び12歳以上の小児患者に対するエントレクチニブの初回の用量減少は400mgであり、1日1回経口投与される。さらなる実施形態では、1.11~1.50m2のBSAを有する成人患者及び12歳以上の小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は200mgであり、1日1回経口投与される。なおさらなる実施形態では、エントレクチニブの投与は、BSAが1.11~1.50m2の成人及び12歳以上の小児患者については2回の用量減少後に恒久的に中止される。
【0266】
いくつかの実施形態では、0.91~1.10m2のBSAを有する成人患者及び12歳以上の小児患者に対するエントレクチニブの初回の用量減少は300mgであり、1日1回経口投与される。さらなる実施形態では、0.91~1.10m2のBSAを有する成人患者及び12歳以上の小児患者に対するエントレクチニブの2回目の用量減少は200mgであり、1日1回経口投与される。なおさらなる実施形態では、エントレクチニブの投与は、BSAが0.91~1.10m2の成人及び12歳以上の小児患者については2回の用量減少後に恒久的に中止される。
【0267】
いくつかの実施形態では、中程度のCYP3A阻害剤が成人又は小児患者に同時投与される場合、200mgのエントレクチニブが、1.50m2を超えるBSAを有する成人又は12歳以上の小児患者に1日1回経口投与される。いくつかの実施形態では、中程度のCYP3A阻害剤が成人患者に同時投与される場合、200mgのエントレクチニブを成人患者に1日1回経口投与する。いくつかの実施形態では、中程度のCYP3A阻害剤の同時投与は、14日間以下に回避又は制限される。
【0268】
いくつかの実施形態では、強力なCYP3A阻害剤が成人又は小児患者に同時投与される場合、100mgのエントレクチニブが、1.50m2を超えるBSAを有する成人又は12歳以上の小児患者に1日1回経口投与される。いくつかの実施形態では、強力なCYP3A阻害剤が成人患者に同時投与される場合、100mgのエントレクチニブを成人患者に1日1回経口投与する。いくつかの実施形態では、強力なCYP3A阻害剤の同時投与は、14日間以下に回避又は制限される。
【0269】
いくつかの実施形態では、小児患者への中程度又は強力なCYP3A阻害剤の同時投与は回避される。
【0270】
いくつかの実施形態では、成人患者又は小児患者へのCYP3A誘導剤の同時投与は回避される。
【0271】
中程度又は強力なCYP3A阻害剤を3~5の排除半減期で中止した後、成人患者又は小児患者は、CYP3A阻害剤を開始する前に服用したエントレクチニブの初期用量を再開し得る。いくつかの実施形態では、初期用量は600mgである。
【0272】
当業者は、本明細書中に提供されるエントレクチニブを含む医薬組成物に関して、そのような処置を必要とする哺乳動物に1日当たりに与えられる特定の医薬組成物、投与量及び投与回数が、当業者の知識の範囲内で全ての選択肢であり、過度の実験を行うことなく決定され得ることを理解するであろう。
【0273】
したがって、特定の用量及び投与レジメンが本明細書に例示されているが、これらの例は、本開示の方法を実施する際に対象に提供され得る用量及び投与レジメンを決して限定しない。
【0274】
投与量の値は、緩和されるべき症状の種類及び重症度によって異なってもよく、単回又は複数回投与を含んでよいことに留意されたい。いかなる特定の対象に対しても、対象のニーズ、及び、組成物を投与する、又は組成物の投与を監視する人の専門的判断に従って、特定の投薬レジメンが経時的に調節されるべきであり、本明細書で説明される投与量範囲は単に例示的なものであり、特許請求される組成物の範囲又は実践を制限することを意図するものではないことがさらに理解されるべきである。例えば、用量は、毒性作用及び/又は実験値などの臨床効果を含み得る薬物動態学的又は薬力学的パラメータに基づいて調整され得る。本明細書中に提供される実施形態は、当業者によって決定されるような対象内用量漸増を包含することが意図される。化学療法剤の投与のための適切な投与量及びレジメンの決定は、関連技術において周知であり、本明細書で提供される教示が提供されると、当業者に包含されると理解されるであろう。
【0275】
いくつかの実施形態では、エントレクチニブと、1つ又は複数の薬学的に許容され得る賦形剤、担体、及び/又は希釈剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0276】
薬学的に許容され得る担体は、従来の薬学的担体又は賦形剤を含み得る。適切な薬学的担体としては、不活性希釈剤又は充填剤、流動促進剤、潤滑剤、水及び様々な有機溶媒(水和物及び溶媒和物など)が挙げられる。医薬組成物は、必要に応じて、香味料、結合剤、賦形剤などの追加の成分を含有してもよい。したがって、経口投与のために、クエン酸などの様々な賦形剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸及び特定の複合ケイ酸塩などの様々な崩壊剤並びにスクロース、ゼラチン及びアカシアなどの結合剤と共に使用することができる。いくつかの実施形態では、賦形剤はアルファ化デンプンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は流動促進剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はコロイド状二酸化ケイ素を含む。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクなどの潤滑剤は、錠剤化目的に有用であることが多い。同様のタイプの固体組成物を、軟質及び硬質の充填ゼラチンカプセルに使用することもできる。したがって、材料の非限定的な例としては、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0277】
使用される薬学的担体は、固体又は液体のいずれかであり得る。例示的な固体担体は、ラクトース、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などである。例示的な液体担体は、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、水などである。同様に、本発明の組成物は、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの当技術分野で公知の時間遅延又は時間放出材料を単独で、又はワックス、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルメタクリレートなどと共に含んでもよい。所望の製剤特性を達成するために、さらなる添加剤又は賦形剤を添加してもよい。例えば、Labrasol、Gelucireなどのバイオアベイラビリティ増強剤、又はCMC(カルボキシメチルセルロース)、PG(プロピレングリコール)、若しくはPEG(ポリエチレングリコール)などの処方剤を添加してもよい。例えばカプセル製剤を調製するときに、活性成分を光、水分及び酸化から保護する半固体ビヒクルであるGelucire(登録商標)を添加してもよい。
【0278】
固体担体を使用する場合、調製物を打錠するか、粉末若しくはペレット形態の硬質ゼラチンカプセルに入れるか、又はトローチ若しくはロゼンジに形成することができる。固体担体の量は様々であり得るが、一般に約25mg~約1gである。液体担体が使用される場合、調製物は、シロップ、エマルジョン、軟ゼラチンカプセル、滅菌注射液又はアンプル若しくはバイアル中の懸濁液又は非水性液体懸濁液の形態であり得る。半固体担体が使用される場合、調製物は、硬質及び軟質ゼラチンカプセル製剤の形態であり得る。本発明の組成物は、投与様式、例えば非経口又は経口投与に適した単位剤形で調製される。
【0279】
安定な水溶性剤形を得るために、エントレクチニブを有機酸又は無機酸の水溶液、例えばコハク酸又はクエン酸の0.3M溶液に溶解してもよい。可溶性塩形態が利用可能でない場合、エントレクチニブは、適切な共溶媒又は共溶媒の組合せに溶解され得る。適切な共溶媒の例としては、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリソルベート80、グリセリンなどが、総体積の0から60%の範囲の濃度で挙げられる。例示的な実施形態では、エントレクチニブをDMSOに溶解し、水で希釈する。医薬組成物はまた、水又は等張食塩水又はデキストロース溶液などの適切な水性ビヒクル中の塩形態のエントレクチニブの溶液の形態であり得る。
【0280】
適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。注射のために、エントレクチニブは、水溶液中で配合されてもよく、好ましくは、生理学的に適合するバッファー、例えば、Hanks溶液、Ringer溶液又は生理食塩水バッファー中で配合されてもよい。経粘膜投与の場合、浸透されるバリアに適切な浸透剤が製剤に使用される。そのような浸透剤は、当技術分野で一般的に知られている。
【0281】
経口投与のために、エントレクチニブは、当該分野で公知の薬学的に許容され得る担体と組み合わせることによって製剤化され得る。そのような担体は、処置される対象による経口摂取のための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして、エントレクチニブを製剤化することを可能にする。経口使用のための医薬製剤は、固体賦形剤をエントレクチニブと混合して使用し、任意に、得られた混合物を粉砕し、所望であれば適切な補助剤を添加した後に顆粒の混合物を加工して錠剤又は糖衣錠コアを得ることによって得ることができる。適切な賦形剤には、充填剤、例えば、イソマルト、ラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトールを含む糖;セルロース製剤、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプン、ゼラチン、ガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース又はポリビニルピロリドン(PVP)などが含まれる。いくつかの実施形態では、充填剤は、マンニトール、イソマルト、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、又は微結晶セルロースである。いくつかの実施形態では、充填剤はマンニトールである。いくつかの実施形態では、充填剤はイソマルトである。いくつかの実施形態では、充填剤は微結晶セルロースである。いくつかの実施形態では、充填剤はラクトースである。いくつかの実施形態では、充填剤は無水ラクトースである。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を添加してもよい。
【0282】
糖衣錠コアには適切なコーティングが施されている。この目的のために、任意にアラビアゴム、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有する濃縮糖溶液を使用してもよい。染料又は顔料を錠剤又は糖衣錠コーティングに添加してもよい。
【0283】
経口的に使用することができる医薬製剤としては、ゼラチン製のプッシュフィット・カプセル、並びに、ゼラチン及び可塑剤(例えばグリセロール又はソルビトール)製の、封止ソフトカプセルが挙げられる。プッシュフィット・カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び任意に安定剤と混合してエントレクチニブを含有することができる。ソフトカプセルにおいて、エントレクチニブは、脂肪油、流動パラフィン、又は液状ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解又は懸濁され得る。さらに、安定剤を添加してもよい。経口投与のための全ての製剤は、そのような投与に適した投与量でなければならない。頬側投与の場合、組成物は、従来の様式で製剤化された錠剤又はロゼンジの形態をとることができる。
【0284】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約40% w/w~約50% w/wのエントレクチニブ、約10% w/w~約15% w/wの酒石酸、約25% w/w~約30% w/wのラクトース、約3% w/w~約5% w/wのヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、約2% w/w~約4% w/wの微結晶性セルロース、約4% w/w~約7% w/wのクロスポビドン、約0.1% w/w~約1% w/wのコロイド状二酸化ケイ素、及び約0.5% w/w~約2% wのステアリン酸マグネシウムを含む。さらなる実施形態において、ラクトースは無水ラクトースである。
【0285】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、表3に列挙された量の成分を含む。
【表3】
【0286】
いくつかの実施形態では、カプセルの組成は以下の通りである:
【表4】
【0287】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、以下に列挙された量の成分を含む。
【表5】
【0288】
いくつかの実施形態では、カプセルの組成は以下の通りである:
【表6】
【0289】
いくつかの実施形態は、抗がん療法における同時、別個又は逐次使用のための組合せ調製物として、エントレクチニブ及び1つ又は複数の化学療法剤を含む本明細書で提供される医薬組成物を含む製品又はキットを提供する。
【0290】
このように一般的に記載される本発明は、例示として提供され、本発明を限定することを意図しない以下の実施例を参照することによってより容易に理解されるであろう。
【実施例】
【0291】
実施例1A.臨床試験の経験(N=355についての中間結果及び分析)
【0292】
エントレクチニブは、成人における一回の用量設定試験[ALKA(n=57)]、成人における一回の用量設定試験及び活性推定試験[STARTRK-1(n=76)]、小児及び成人患者における一回の用量設定試験及び活性推定試験[STARTRK-NG(n=16)]、及び成人における単群の活性推定試験[STARTRK-2(n=206)]で試験された。これらの355人の患者のうち、172人(48%)の患者が6ヶ月以上エントレクチニブに曝露され、84人(24%)の患者が1年以上エントレクチニブに曝露された。
【0293】
集団特性は以下の通りであった:年齢の中央値55才(範囲:4~86才);5%(n=17)が18才未満であり、55%が女性であり、66%が白人であり、23%がアジア人であり、5%が黒人であり、3%がスペイン系/ラテンアメリカ系であった。最も一般的な腫瘍(≧5%)は、肺(56%)、肉腫(8%)及び結腸(5%)であった。ROS1遺伝子融合物は42%で存在し、NTRK遺伝子融合物は20%で存在した。ほとんどの成人(75%)は、エントレクチニブ600mgを1日1回経口投与された。用量は、成人では1日1回100mg/m2~1600mg/m2、小児患者では1日1回250mg/m2~750mg/m2の範囲であった。
【0294】
有害反応の重症度は、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン4.0によって定義される通りにグレード分けした。
【0295】
重篤な有害反応は患者の39%で発生した。最も頻度の高い重篤な有害反応(≧2%)は、肺炎(3.9%)、呼吸困難(3.7%)、胸水(3.4%)、敗血症(2.5%)、肺塞栓症(2.3%)、呼吸不全(2%)及び発熱(2%)であった。グレード3又は4の有害反応が患者の60%で発生し、最も一般的なもの(≧2%)は、肺感染症(5%)、体重増加(7%)、呼吸困難(6%)、疲労/無力症(5%)、認知障害(4.5%)、失神(2.5%)、肺塞栓症(3.4%)、低酸素症(3.4%)、胸水(3.1%)、低血圧症(2.8%)、下痢(2%)及び尿路感染症(2.5%)であった。致死的事象には、呼吸困難(0.6%)、肺炎(0.6%)、敗血症(0.6%)、自殺完了(0.3%)、大腸穿孔(0.3%)及び腫瘍溶解症候群(0.3%)が含まれた。1名の患者は、エントレクチニブの1回の投与後にグレード4の心筋炎を発症し、これは、エントレクチニブの中止及び高用量コルチコステロイドの投与後に解消した。
【0296】
有害反応による恒久的な中止が、エントレクチニブを受けた患者の9%において生じた。恒久的な中止をもたらした最も頻繁な有害反応(それぞれ1%未満)は、肺炎、心肺停止、呼吸困難、及び疲労であった。
【0297】
有害反応による用量中断は患者の46%で発生した。中断をもたらした最も頻度の高い有害反応(≧2%)は、血中クレアチニン増加(4%)、疲労(3.7%)、貧血(3.1%)、下痢(2.8%)、発熱(2.8%)、眩暈(2.5%)、呼吸困難(2.3%)、悪心(2.3%)、肺炎(2.3%)、認知障害(2%)及び好中球減少症(2%)であった。
【0298】
有害反応による用量減少は、エントレクチニブを投与された患者の29%で起こった。用量減少をもたらす最も頻度の高い有害反応(1%以上)は、眩暈(3.9%)、血中クレアチニン増加(3.1%)、疲労(2.3%)、貧血(1.7%)及び体重増加(1.4%)であった。
【0299】
最も一般的な有害反応(20%以上)は、疲労、便秘、味覚異常、浮腫、眩暈、下痢、悪心、感覚異常、呼吸困難、筋痛、認知障害、体重増加、咳、嘔吐、発熱、関節痛及び視覚障害であった。
【0300】
表7は、これらの355人の患者で観察された有害反応を要約している。
【表7】
*2つの肺炎事象及び2つの呼吸困難事象を含む、致死的有害反応を含むグレード3~5。
1 疲労、無力症を含む
2 顔の浮腫、体液貯留、全身性浮腫、限局性浮腫、浮腫、末梢性浮腫、末梢性腫脹を含む
3 上腹部痛、腹痛、下腹部不快感、腹部圧痛を含む
4 眩暈、回転性眩暈、体位性眩暈を含む
5 知覚異常、知覚過敏、知覚鈍麻、知覚異常、口腔知覚鈍麻、手掌-足底紅感覚異常、口腔知覚異常、生殖器知覚鈍麻を含む
6 記憶喪失、失語症、認知障害、錯乱状態、せん妄、注意障害、幻覚、視覚的幻覚、記憶障害、精神障害、精神状態の変化を含む
7 神経痛、末梢性ニューロパシー、末梢性運動ニューロパシー、末梢性感覚ニューロパシーを含む
8 運動失調、バランス障害、歩行障害を含む
9 過眠症、不眠症、睡眠障害、傾眠を含む
10 不安、情動不安定、情動障害、激越、抑うつ気分、多幸気分、気分変化、気分変動、過敏性、うつ病、持続性うつ病性障害、精神運動遅滞を含む。
11 筋骨格疼痛、筋骨格胸痛、筋痛、頸部痛を含む
12 盲目、白内障、皮質白内障、角膜びらん、複視、眼障害、羞明、光視症、網膜出血、かすみ目、視力障害、硝子体癒着、硝子体剥離、硝子体浮遊物を含む
13 下気道感染、肺感染、肺炎、気道感染を含む
14 低血圧症、起立性低血圧症を含む
15 発疹、黄斑丘疹性発疹、掻痒性発疹、紅斑性発疹、丘疹性発疹を含む
【0301】
10%以下の患者に生じる臨床的に関連する有害反応には、嚥下障害(10%)、転倒(8%)、胸水(8%)、骨折(6%)、低酸素症(4.2%)、肺塞栓症(3.9%)、失神(3.9%)、うっ血性心不全(3.4%)及びQT延長(3.1%)が含まれる。
【0302】
表8は、検査異常をまとめたものである。
【表8】
AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ
1 各検査パラメータの1つの分母は、111~346人の患者に及ぶ利用可能なベースライン及び処置後の検査値を有する患者の数に基づく。
2 NCI CTCAE v5.0に基づく
3 NE=評価不能。空腹時血糖値を収集しなかったため、NCI CTCAE v5.0に従ってグレード1及び2を決定することはできなかった。
【0303】
以下の臨床的に有意な有害反応を以下により詳細に記載する。うっ血性心不全、中枢神経系作用、骨格骨折、肝毒性、高尿酸血症、QT間隔延長、及び視覚障害。
【0304】
うっ血性心不全(CHF)
【0305】
臨床試験にわたってエントレクチニブを投与された355名の患者のうち、グレード3(2.3%)を含むうっ血性心不全(CHF)が3.4%の患者で発生した。臨床試験では、ベースライン心機能及び心電図(ECG)以外の定期的な心臓モニタリングは行われず、適格基準は、試験登録の3ヶ月以内に症候性CHF、心筋梗塞、不安定狭心症及び冠動脈バイパスグラフトを有する患者を除外した。CHF患者12人のうち、発症までの時間の中央値は2ヶ月(範囲:11日~12ヶ月)であり、これらの患者のうち6名(50%)でエントレクチニブを中断し、これらの患者のうち2名(17%)で中止した。エントレクチニブの中断又は中止及び適切な医学的管理の開始後に、6人の患者(50%)においてCHFが解消した。さらに、CHFの非存在下での心筋炎は、患者の0.3%で記録された。
【0306】
中枢神経系の影響
【0307】
認知障害、気分障害、眩暈、及び睡眠障害を含む広範囲の中枢神経系(CNS)有害反応が、エントレクチニブを投与されている患者において発生した。
【0308】
臨床試験にわたってエントレクチニブを投与された355名の患者のうち、96名(27%)に認知障害が認められ、症候は、74人(77%)において、エントレクチニブを開始してから3ヶ月以内に発生した。認知障害には、認知障害(8%)、錯乱状態(7%)、注意障害(4.8%)、記憶障害(3.7%)、健忘症(2.5%)、失語症(2.3%)、精神状態の変化(2%)、幻覚(1.1%)、及び妄想(0.8%)が含まれた。グレード3の認知有害反応が患者の4.5%で発生した。認知障害患者96人のうち、13%は用量減少を必要とし、18%は用量中断を必要とし、1%は認知有害反応のためにエントレクチニブを中止した。
【0309】
臨床試験にわたってエントレクチニブを投与された355名の患者のうち、36名(10%)に気分障害が認められる。気分障害の発症までの時間の中央値は1ヶ月範囲:1日~9ヶ月)であった。患者の1%以上に生じる気分障害には、不安症(4.8%)、うつ病(2.8%)及び激越(2%)が含まれた。グレード3の気分障害が患者の0.6%で発生した。処置終了の11日後に一人の自殺完了が報告された。気分障害が認められる36人の患者のうち、6%が用量減少を必要とし、6%が用量中断を必要とし、気分障害のためにエントレクチニブを中止した患者はいなかった。
【0310】
355人の患者のうち136人(38%)に眩暈が発生した。眩暈が認められる136人の患者のうち、グレード3の眩暈が患者の2.2%で発生した。患者の10%が用量減少を必要とし、7%が用量中断を必要とし、0.7%が眩暈のためにエントレクチニブを中止した。
【0311】
臨床試験にわたってエントレクチニブを投与された355名の患者のうち、51名(14%)に睡眠障害が認められる。睡眠障害には、不眠症(7%)、傾眠(7%)、過眠症(1.1%)及び睡眠障害(0.3%)が含まれた。グレード3の睡眠障害が患者の0.6%で発生した。睡眠障害が認められる51人の患者のうち、6%が用量減少を必要とし、睡眠障害のためにエントレクチニブを中止した患者はいなかった。
【0312】
CNS有害反応の発生率は、CNS転移を有する患者と有さない患者で類似していたが、眩暈(38%対31%)、頭痛(21%対13%)、知覚異常(20%対6%)、バランス障害(13%対4%)及び錯乱状態(11%対2%)の発生率は、事前にCNS照射を受けたCNS転移を有する患者(N=90)では、受けていない患者(N=48)と比較して増加しているようであった。
【0313】
骨格骨折
【0314】
エントレクチニブは骨折のリスクを増加させる。臨床試験にわたってエントレクチニブを受けた338人の成人患者及び30人の小児患者を含む拡大安全集団では、成人患者の5%及び小児患者の23%に骨折が認められる。成人患者では、落下又は患部への他の外傷の状況でいくつかの骨折が発生したが、小児患者では、全ての骨折の外傷が最小限の患者又は外傷のない患者で発生した。一般に、骨折部位での腫瘍関与の評価は不十分であった。しかし、腫瘍関与を示唆し得る放射線学的異常が一部の患者で報告された。成人患者及び小児患者の両方において、ほとんどの骨折は、股関節又は他の下肢の骨折であった(例えば、大腿骨又は脛骨シャフト)。限られた数の患者において、両側大腿骨頸部骨折が発生した。骨折までの時間の中央値は、成人では3.8ヶ月(0.3~18.5ヶ月の範囲)であり、小児患者では4.0ヶ(範囲:1.8ヶ月~7.4ヶ月)であった。エントレクチニブは、骨折のために成人患者の41%及び小児患者の43%で中断された。骨折のためにエントレクチニブを中止した患者はいなかった。
【0315】
肝毒性
【0316】
エントレクチニブを投与された355名の患者のうち、任意のグレードのAST上昇が42%の患者で起こり、任意のグレードのALT上昇が36%で起こった。グレード3~4のAST又はALTの増加は、それぞれ患者の2.5%及び2.8%で発生し、患者の4.5%が処置後の肝機能検査を受けていないので、発生率は過小評価され得る。AST増加の発症までの時間の中央値は2週間(範囲:1日~29.5ヶ月)であった。ALT増加の発症までの時間の中央値は2週間(範囲:1日~9.2ヶ月)であった。用量の中断又は減少をもたらすAST又はALTの増加は、それぞれ患者の0.8%及び0.8%で発生した。0.8%の患者においてAST又はALTが増加したため、エントレクチニブを中止した。
【0317】
高尿酸血症
【0318】
臨床試験にわたってエントレクチニブを投与された355人の患者のうち、32人の患者(9%)が、症候を伴う有害反応として報告された高尿酸血症並びに尿酸レベルの上昇が認められる。グレード4の高尿酸血症が患者の1.7%で発生し、これには腫瘍溶解症候群のために死亡した1名の患者が含まれる。高尿酸血症性有害反応を有する32人の患者のうち、34%が尿酸レベルを低下させるために尿酸低下薬を必要とし、6%が用量減少を必要とし、6%が用量中断を必要とした。高尿酸血症は、エントレクチニブの中断又は用量減少なしに尿酸低下薬の開始後に患者の73%において解消した。高尿酸血症のためにエントレクチニブを中止した患者はいなかった。
【0319】
QT間隔延長
【0320】
臨床試験にわたってエントレクチニブを投与された355人の患者のうち、少なくとも1つのベースライン後のECG評価を受けた患者の3.1%が、エントレクチニブの開始後に60msを超えるQTcF間隔延長が認められ、0.6%が500msを超えるQTcF間隔を有した。
【0321】
視覚障害
【0322】
臨床試験にわたってエントレクチニブを投与された355名の患者のうち、グレード1(82%)、グレード2(14%)及びグレード3(0.8%)を含めて、視覚変化が21%の患者において生じた。1%以上に生じる視覚障害には、かすみ眼(8.7%)、羞明(5.1%)、複視(3.1%)、視力障害(2%)、光視症(1.3%)、白内障(1.1%)及び硝子体浮遊物(1.1%)が含まれた。
【0323】
実施例1B.臨床試験の経験(N=504についての結果及び分析)
【0324】
エントレクチニブの臨床開発プログラムのために、4つの臨床試験(ALKA、STARTRK-1、STARTRK-2及びSTARTRK-NG)において合計504人の患者がエントレクチニブを投与された。これら4つの臨床試験の統合解析として、エントレクチニブの安全性を評価した。エントレクチニブへの曝露期間の中央値は5.5ヶ月であった。
【0325】
成人患者におけるエントレクチニブの安全性は、ALKA、STARTRK-1及びSTARTRK-2の研究において、NTRK融合陽性、ROS1陽性又はALK陽性の固形腫瘍を有する合計475人の患者において評価されている。
【0326】
小児患者におけるエントレクチニブの安全性は、NTRK遺伝子融合を有する固形腫瘍を有する成人患者における3つの非盲検、単群臨床試験からのデータ(ALKA、STARTRK-1及びSTARTRK-2)及び32人の小児患者からのデータ(30人の患者がSTARTRK-NGに登録し、2人の患者がSTARTRK-2に登録した)の外挿に基づいて確立された。これらのうち、2人の患者は2才未満であり、23人の患者は2~11才であり、7人の患者は12~17才であり、18人(56.3%)の患者が転移性疾患を有し、14人(43.8%)の患者が局所進行性疾患を有しており、27人(84.4%)の患者が、手術、放射線療法又は全身療法を含む、がんの事前処置を受けていた。最も一般的ながんは、神経芽細胞腫(N=13)、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(N=3)、神経膠芽腫(N=3)、乳児肉腫(N=2)、神経節神経芽細胞腫(N=2)であった。全ての小児患者の曝露期間の中央値は5.57ヶ月(範囲:0.2ヶ月~29.8ヶ月)であった。
【0327】
成人患者と比較して小児患者でより頻繁に発生する(少なくとも5%の発生率増加)グレード3又は4の重症度の有害反応及び検査異常は、好中球減少症(28.1%対3.4%)、体重増加(21.9%対6.9%)、頭痛(6.3%対0.6%)及び骨折(12.5%対1.9%)であった。
【0328】
臨床試験にわたってエントレクチニブを投与された504名の患者のうち、130名(25.8%)の患者が65才以上であり、34名(6.7%)が75才以上であった。高齢患者におけるエントレクチニブの全体的な安全性プロファイルは、65才未満の患者において観察される安全性プロファイルと同様である。65才未満の患者と比較して高齢者でより頻繁に起こる有害反応は、眩暈(48.5%対36.6%)、血中クレアチニン増加(31.5%対23.3%)、及び低血圧症(21.5%対14.7%)、運動失調(23.8%対12.8%)であった。
【0329】
表9は、これらの504人の患者で観察された有害反応を要約している。臨床試験からの薬物有害反応が、MedDRA器官別大分類によって列挙される。以下の頻度カテゴリが使用されている:非常に一般的≧1/10、一般的(≧1/100~<1/10)、一般的でない(≧1/1,000~<1/100)、稀(≧1/10,000~<1/1000)、非常に稀(<1/10,000)。
【表9A】
【表9B】
ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ
AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
* 致死的有害反応を含むグレード3~5(肺炎2例、呼吸困難2例、腫瘍崩壊症候群1例を含む)
1 好ましい用語:認知障害、錯乱状態、注意障害、記憶障害、健忘症、精神状態の変化、幻覚、嗜眠状態、「幻視」及び精神障害を含む。
2 好ましい用語:神経痛、末梢性ニューロパシー、末梢性運動ニューロパシー、末梢性感覚ニューロパシーを含む
3 好ましい用語:知覚異常、知覚過敏、知覚鈍麻、感覚異常を含む
4 好ましい用語:運動失調、バランス障害、歩行障害を含む
5 好ましい用語:眩暈、回転性眩暈、体位性眩暈を含む
6 好ましい用語:顔の浮腫、体液貯留、全身性浮腫、限局性浮腫、浮腫、末梢性浮腫、末梢性腫脹を含む
7 好ましい用語:背部痛、頸部痛、筋骨格系胸痛、筋骨格系疼痛、四肢の疼痛を含む
8 好ましい用語:気管支炎、下気道感染、肺感染、肺炎、気道感染、上気道感染を含む
9 好ましい用語:急性右室不全、心不全、うっ血性心不全、慢性右室不全、駆出率低下、肺水腫を含む。
10 好ましい用語:好中球減少症、好中球数減少を含む
11 好ましい用語:上腕骨骨折、足骨折、足首骨折、大腿骨頸部骨折、ストレス骨折、腓骨骨折、骨折、肋骨骨折、脊椎骨折、手首骨折、大腿骨骨折、病理学的骨折を含む
12 好ましい用語:発疹、黄斑丘疹性発疹、掻痒性発疹、紅斑性発疹、丘疹性発疹を含む
13 好ましい用語:複視、かすみ目、視力障害を含む
14 好ましい用語:疲労、無力症を含む
15 好ましい用語:低血圧症、起立性低血圧症を含む
16 好ましい用語:過眠症、不眠症、睡眠障害、傾眠を含む
17 好ましい用語:不安、情動不安定、情動障害、激越、抑うつ気分、多幸気分、気分変化、気分変動、過敏性、うつ病、持続性うつ病性障害、精神運動遅滞を含む。
【0330】
表10は、検査異常をまとめたものである。
【表10】
【0331】
選択された薬物有害反応は、以下でさらに詳細に論じられる。
【0332】
認知障害
【0333】
様々な認知症候が臨床試験にわたって報告された。これらには、認知障害(6.3%)、錯乱状態(7.3%)、注意障害(3.8%)、記憶障害(4.2%)、健忘症(2.8%)、精神状態変化(1.2%)、幻覚(1.0%)、妄想(0.8%)、幻視(0.4%)及び精神障害(0.2%)として報告された事象が含まれた。グレード3の事象が患者の4.4%で報告された。小児集団では、3.4%(1/29)の小児患者にグレード1の重症度の注意障害が認められる。ベースライン時に脳転移を有していた患者(29.7%)は、脳転移を有しない患者(23.1%)と比較して、これらの事象の頻度が高かった。
【0334】
骨折
【0335】
成人患者の5.3%(N=475)及び小児患者の20.7%(N=29)に骨折が認められる。一般に、骨折部位での腫瘍関与の評価は不十分であった。しかし、腫瘍関与を示唆し得る放射線学的異常が一部の患者で報告された。成人患者及び小児患者の両方において、ほとんどの骨折は、股関節又は他の下肢の骨折であった(例えば、大腿骨又は脛骨シャフト)。2人の小児患者において、両側大腿骨頸部骨折が発生した。骨折のためにエントレクチニブを中止した患者はいなかった。
【0336】
成人患者では、落下又は患部への他の外傷の状況でいくつかの骨折が発生した。骨折までの時間の中央値は、成人では3.42ヶ月(範囲:0.26ヶ月~18.5ヶ月)であった。エントレクチニブは、成人患者の36.0%において骨折のため中断された。
【0337】
小児患者では、全ての骨折は、外傷が最小限であるか、又は外傷がない患者で発生した。小児患者では、骨折までの時間の中央値は3.38ヶ月(範囲:1.77ヶ月~7.39ヶ月)であった。小児患者の33.3%において、骨折のためにエントレクチニブが中断された。
【0338】
運動失調
【0339】
運動失調(運動失調、バランス障害、及び歩行障害の事象を含む)が患者の15.7%で報告された。運動失調の発症までの時間の中央値は0.36ヶ月(範囲:0.03ヶ月~28.19ヶ月)であり、持続期間の中央値は0.66ヶ月(範囲:0.03ヶ月~11.99ヶ月)であった。患者の大部分(67.1%)は運動失調から回復した。運動失調関連の有害事象は、65才未満の患者(12.8%)と比較して、高齢患者(23.8%)においてより頻繁に観察された。
【0340】
失神
【0341】
失神事象は患者の4.6%で報告された。一部の患者では、低血圧、脱水、又はQTc延長と同時に失神が報告され、他の患者では、他の同時に関連する症状は報告されなかった。
【0342】
QTc間隔延長
【0343】
臨床試験にわたってエントレクチニブを投与された504名の患者のうち、少なくとも1つのベースライン後のECG評価を受けた17名(4.0%)の患者が、エントレクチニブの開始後に60msを超えるQTcF間隔延長が認められ、12名(2.8%)の患者が500ms以上のQTcF間隔を有した。
【0344】
末梢性感覚ニューロパチー
【0345】
末梢性感覚ニューロパチーは患者の15.7%で報告された。発症までの時間の中央値は0.49ヶ月(0.03ヶ月~20.93ヶ月の範囲)であり、持続期間の中央値は0.76ヶ月(範囲:0.07ヶ月~6.01ヶ月)であった。患者の大部分(55.7%)は末梢性ニューロパチーから回復した。
【0346】
眼障害
【0347】
臨床試験にわたって報告された眼障害には、かすみ目(8.5%)、複視(2.6%)及び視力障害(1.6%)の事象が含まれた。眼障害の発症までの時間の中央値は1.87ヶ月(範囲:0.03ヶ月~21.59ヶ月)であった。眼障害の持続期間の中央値は1.02ヶ月(0.03ヶ月~14.49ヶ月の範囲)であった。患者の大部分(61.7%)が眼障害事象から回復した。
【0348】
実施例2.肝機能の障害を有する患者における臨床試験
【0349】
これは、異なるレベルの肝機能を有するボランティアにおけるエントレクチニブの薬物動態に対する肝機能の障害の影響を調査するための非ランダム化非盲検1処置4群並行群試験である。軽度、中等度又は重度の肝機能障害(「軽度」、「中等度」及び「重度」群)を有するボランティア、及び正常な肝機能を有する対照対象(「正常」群)はそれぞれ、標準的な食事の摂取後に単回100mg用量のエントレクチニブを受ける。
【0350】
主な目的は、(1)エントレクチニブの薬物動態に対する、肝機能の障害の影響を調査すること、及び(2)エントレクチニブの薬物動態パラメータと肝機能の測定値との間の関係を調査することである。副次的な目的は、肝機能が低下したボランティアの群及び肝機能が正常なボランティアの対照群におけるエントレクチニブの単回100mg経口用量の安全性及び忍容性を調べることである。
【0351】
主要評価項目は以下である:
(1)総エントレクチニブ及び未結合エントレクチニブ並びにM5 AUCinf及びCmaxパラメータの幾何平均比及び関連する90%信頼区間を、肝機能が低下したボランティアの群と肝機能が正常なボランティアの対照群との間で計算すること Child-Pugh分類及びNCI-ODWG分類に基づく群について、二重分析を行う。
(2)エントレクチニブ薬物動態パラメータ(例えば、Cmax及びAUCinf)と選択された肝機能パラメータ(例えば、Child-Pughスコア、アルブミン、ビリルビン又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ[AST]濃度、プロトロンビン時間)との間の関係の線形若しくは非線形モデル又は回帰分析を使用すること
【0352】
副次的評価項目は、有害事象の発生率及び重症度、検査安全性試験の異常の発生率、12誘導ECG、及びバイタルサイン測定である。
【0353】
肝機能が低下したボランティアを、スクリーニング来院時の評価に基づいて機能カテゴリに割り当てる。各個体は、肝機能障害を分類するためのChild Pughシステムに従って、また米国国立がん研究所(NCI)臓器機能障害ワーキンググループ(NCI-ODWG)システムに従って分類される。
【0354】
正常な肝機能を有するボランティアの対照群は、軽度、中等度及び重度の群と一致させ、その結果、対照群の重要な人口統計学的特徴は、肝機能障害を有するボランティアの全集団のものと同等であり、すなわち、体重及び年齢の範囲、並びに各性別のボランティアの数は類似している。
【0355】
試験処置は、1×100mgカプセルとして経口投与され、標準化された食事の摂取から30分以内に約240mLの水とともに与えられる。
【0356】
血漿濃度エントレクチニブ及びその活性代謝産物M5を測定するための血液試料を、試験薬物投与の前及び144時間後までの間隔で収集する。さらに、血漿タンパク質結合のエクスビボ測定のために試料を採取する。安全性及び忍容性は、試験全体を通して間隔を置いて臨床評価及び検査評価によって監視される。
【0357】
各登録対象(スクリーニングから試験終了まで)の試験の総期間は最大8週間であり、以下のように分ける:
● スクリーニング:試験薬の初回投与の28日前まで
● 1回の処置期間
● 安全性のフォローアップ:試験薬投与後12~14日
【0358】
以下の参加基準を満たすボランティアは、試験への参加に適格である。
全ボランティア
1.男性又は女性
2.スクリーニング時に年齢18才以上75才以下。
3.スクリーニング時のボディマス指数(BMI)が18.0~35.0kg/m2であり、体重が少なくとも50kgであること。
4.妊娠を防止するための措置及び精子提供の制限を遵守することを約束する。
5.書面によるインフォームドコンセントを与え、研究プロトコル及び試験の制限を遵守することができ、その意思があること。
正常な肝機能を有するボランティア
6.正常な肝機能及び臨床的に有意な肝機能障害の病歴なし。
7.治験責任医師の意見では健康。健康とは、詳細な病歴、身体検査、バイタルサイン及び12誘導ECG評価、及び検査安全性試験結果に基づく、いかなる活動性疾患又は臨床的に有意な症状の証拠もないことによって定義される。
肝機能障害を有するボランティア
8.実質性肝疾患の結果としての肝臓の肝硬変から生じる軽度、中等度又は重度の肝機能障害(すなわち、Child-Pugh A、B又はC)。肝硬変は、肝生検、肝超音波、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン又は磁気共鳴画像法(MRI)スキャンによる診断の確認を含む病歴によって実証されるべきである。
9.安定した肝機能及び安定した処置レジメンの投与。安定な肝機能は、対象の最近の病歴(例えば、肝機能障害の臨床徴候の悪化なし、又は総ビリルビン若しくはプロトロンビンの50%超の悪化なし)によって実証されるように、スクリーニング前の30日間以内に疾患状態の臨床的に有意な変化がないと定義される。安定した処置は、治験責任医師の臨床判断に従って、スクリーニング前の30日間以内に関連する併用療法処置レジメンに変更がないこととして定義される。
【0359】
以下の基準のいずれかが満たされる場合、参加者は試験に適格ではない:
全ボランティア
1.平均余命1年未満。
2.経頸静脈性肝内門脈体循環シャント又は他の大動脈-大静脈シャント。
3.スクリーニング前3ヶ月以内の食道静脈瘤又は消化性潰瘍による胃腸出血の病歴。
4.最近の病歴(すなわち、スクリーニング前の最後の6ヶ月以内)又は重度の肝性脳症の徴候(例えば、門脈性全身性脳症スコア>2)。
5.重度の腹水又は胸水。
6.肝細胞癌腫、急性肝疾患(例えば、感染又は薬物毒性によって引き起こされる)又は血清ALT又はASTがスクリーニング時に正常値の上限の5倍を超える。
7.肝臓移植のレシピエント。
8.SBP>160mmHg及び/又はDBP≧105mmHgとして定義される制御されない高血圧。
9.適切な方法を用いて血清クレアチニン濃度から推定された<60mL/分のクレアチニンクリアランスとして定義される腎機能の臨床的に有意な障害。
10.胃腸手術(例えば、胃バイパス)又は胃腸管からの薬の吸収に影響を及ぼし得る他の胃腸障害(例えば、吸収不良症候群)の病歴。胆嚢切除術は許容される。
11.治験責任医師によって判断される健康状態の臨床的に有意な変化、又はスクリーニング前の4週間以内の何らかの大きな病気、又はスクリーニング前の14日間以内の臨床的に有意な急性感染症若しくは発熱性の病気。
12.肝機能障害、任意の他の進行中の症状若しくは疾患、又は検査試験結果とは別に、参加者を試験に不適当にし、対象を過度のリスクに置き、対象が試験を完了する能力を妨害し、又は試験データの解釈を混乱させると治験責任医師が考えるもの。高血圧及び糖尿病などの同時性慢性障害は、それらが安定しており、十分に制御されているならば許容される。
13.妊娠中又は授乳中の女性。
14.QTcF間隔>470msec、又は治験責任医師の意見では臨床的に重要な他の異常なECG所見の存在。
15.スクリーニング前28日間の中程度若しくは強力なシトクロムP450 3A4酵素若しくはP糖タンパク質輸送体の阻害剤若しくは誘導剤の使用、又はスクリーニング前7日間の他の禁止薬物の使用。
16.スクリーニング前3ヶ月以内の治験医薬品又はデバイスを含む任意の他の臨床試験への参加。
17.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)についての陽性試験結果。
18.アルコール依存症、薬物乱用、若しくは薬物中毒の最近の病歴(すなわち、スクリーニング前の最後の6ヶ月以内)、又はアルコール若しくは乱用薬物に対する陽性検査。平均して1日当たり2杯を超えないアルコール摂取(すなわち、アルコール約20g未満の平均1日アルコール摂取量)が許容されるが、ボランティアは、試験センター訪問の48時間前又は患者の入院期間中にアルコールを摂取すべきではない。
19.エントレクチニブ若しくは関連化合物又はエントレクチニブ製剤中の他の賦形剤に対する臨床的に有意な過敏症又は重度のアレルギー反応の既知の病歴。
20.スクリーニング前の3ヶ月以内の500mLを超える血液の提供又は喪失。
【0360】
エントレクチニブ及びその活性代謝産物M5の血漿中濃度、並びに導出された血漿薬物動態パラメータを、記述統計学を使用して群別に列挙し、要約する。個々の濃度及び平均濃度対時間プロファイルをプロットする。肝機能を分類するためのChild Pugh及びNCI-ODWGシステムに従って分類された群について、別々の要約を提示する。実際には、8つの分析群(すなわち、正常なChild-Pugh、正常なNCI-ODWG、軽度のChild-Pugh、軽度のNCI-ODWG、中等度のChild-Pugh、中等度のNCI-ODWG、重度のChild-Pugh、及び重度のNCI-ODWG)が存在し得る。
【0361】
以下の薬物動態パラメータは、標準的な非コンパートメント法を用いて導出される。
● Cmax:観察された最大血漿濃度
● AUCinf:無限大に外挿した時間0からの血漿エントレクチニブ濃度-時間曲線下面積。
● Tmax:観察された最大血漿濃度の時間
● t1/2:見かけ上の最終消失半減期
● M:P比:AUCinfに基づく親比に対する分子量調整代謝産物
● CL/F:見かけの経口クリアランス(エントレクチニブのみ)
● V/F:見かけの分布容積(エントレクチニブのみ)
● fu:血漿中の未結合薬物画分
【0362】
血漿中のエントレクチニブ及びM5非結合画分(fu)をエクスビボタンパク質結合アッセイによって決定し、タンパク質結合について調整された曝露パラメータ(すなわち、非結合Cmax、非結合AUCinf)を計算するために使用する。
【0363】
分散分析(ANOVA)を使用して、対数変換された一次薬物動態パラメータに対する肝機能障害の影響を推定し、肝機能障害因子(すなわち、軽度、中等度及び重度、並びに無し)を含める。元のスケールでの幾何平均比の推定値を、対応する90%信頼区間(CI)と共に、各肝機能障害群と正常な肝機能を有する対照群との間の比較のために導き出す。Child-Pugh分類及びNCI-ODWG分類に基づく群について、二重分析を行う。
【0364】
エントレクチニブ薬物動態パラメータ(例えば、Cmax及びAUCinf)と肝機能の測定値(例えば、Child-Pughスコア、アルブミン、ビリルビン又はAST濃度、プロトロンビン時間など)との間の関係は、必要に応じて線形若しくは非線形モデル又は回帰分析を使用して調査される。
【0365】
Para.A.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、患者に治療有効量のエントレクチニブを投与することを含み、患者が肝機能の障害を有している、方法。
【0366】
Para.B.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、患者に治療有効量のエントレクチニブを投与することを含み、処置前に患者が肝機能の障害を有していると同定されている、方法。
【0367】
Para.C.肝機能の障害が、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される軽度の肝機能障害である、Para.A又はPara.Bに記載の方法。
【0368】
Para.D.肝機能の障害が、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される中等度の肝機能障害である、Para.A又はPara.Bに記載の方法。
【0369】
Para.E.肝機能の障害が、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される重度の肝機能障害である、Para.A又はPara.Bに記載の方法。
【0370】
Para.F.Child-Pughスコアリング・システムが、脳症グレード、腹水症、血清ビリルビン濃度、血清アルブミン濃度及びプロトロンビン時間の評価を含む、Para.C~Eのいずれか1つに記載の方法。
【0371】
Para.G.軽度、中等度又は重度の肝機能障害が、肝硬変から生じる、Para.C~Fのいずれか1つに記載の方法。
【0372】
Para.H.肝硬変が実質性肝疾患の結果である、Para.Gに記載の方法。
【0373】
Para.I.肝機能の障害が、国立がん研究所臓器機能障害ワーキンググループシステムによって評価される軽度、中等度又は重度の肝機能障害である、Para.A又はPara.Bに記載の方法。
【0374】
Para.J.国立がん研究所臓器機能障害ワーキンググループシステムが、総ビリルビン濃度及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ濃度を測定する、Para.Iに記載の方法。
【0375】
Para.K.患者が、正常値の上限の約1.5倍超~正常値の上限の約3倍の総ビリルビン濃度を有する、Para.A又はPara.Bに記載の方法。
【0376】
Para.L.患者が、正常値の上限の約1.6倍~正常値の上限の約3倍の総ビリルビン濃度を有する、Para.A又はPara.Bに記載の方法。
【0377】
Para.M.治療有効量が600mg以下である、Para.A~Lのいずれか1つに記載の方法。
【0378】
Para.N.治療有効量が、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgである、Para.A~Mのいずれか1つに記載の方法。
【0379】
Para.O.エントレクチニブが1日1回投与される、Para.A~Nのいずれか1つに記載の方法。
【0380】
Para.P.エントレクチニブが1日2回投与される、Para.A~Nのいずれか1つに記載の方法。
【0381】
Para.Q.患者が、ROS1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される少なくとも1つの標的遺伝子に少なくとも1つの遺伝子変化を有する、Para.A~Pのいずれか1つに記載の方法。
【0382】
Para.R.患者が、ROS1における遺伝子変化を有する、Para.A~Pのいずれか1つに記載の方法。
【0383】
Para.S.患者が、NTRK1、NTRK2、NTRK3、又はそれらの任意の組合せにおける遺伝子変化を有する、Para.A~Pのいずれか1つに記載の方法。
【0384】
Para.T.がんが、肉腫、非小細胞肺がん、乳腺相似分泌癌腫、乳がん、甲状腺がん、結腸直腸がん、神経内分泌がん、膵臓がん、婦人科がん、及び胆管がんから選択される、Para.A~Sのいずれか1つに記載の方法。
【0385】
Para.U.がんが、1つ又は複数のNTRK遺伝子融合陽性固形腫瘍を含む、Para.A~Pのいずれか1つに記載の方法。
【0386】
Para.V.がんが、ROS-1陽性非小細胞肺がんである、Para.A~Pのいずれか1つに記載の方法。
【0387】
Para.AA.肝機能の障害を有する患者におけるがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0388】
Para.AB.肝機能の障害を有すると同定されている患者のがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0389】
Para.AC.処置前に肝機能の障害を有すると同定されている患者のがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0390】
Para.AD.肝機能の障害を有する患者におけるがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0391】
Para.AE.肝機能の障害を有すると同定されている患者におけるがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0392】
Para.AF.処置前に肝機能の障害を有すると同定されている患者におけるがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0393】
Para.AG.肝機能の障害を有する、処置されている対象におけるがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0394】
Para.AH.肝機能の障害を有すると同定されている、処置されている対象におけるがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0395】
Para.AI.処置前に肝機能の障害を有すると同定されている、処置されている対象におけるがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0396】
Para.AJ.処置される患者が肝機能の障害を有している、患者におけるがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0397】
Para.AK.処置される患者が肝機能の障害を有すると同定されている、患者のがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0398】
Para.AL.処置される患者が処置前に肝機能の障害を有すると同定されている、患者のがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0399】
Para.AM.肝機能の障害が患者において判定されている、患者におけるがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0400】
Para.AN.処置前に肝機能の障害が患者において判定されている、患者におけるがんの処置に使用するためのエントレクチニブ。
【0401】
Para.AO.肝機能の障害が、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される軽度の肝機能障害である、Para.AA~ANのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0402】
Para.AP.肝機能の障害が、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される中等度の肝機能障害である、Para.AA~ANのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0403】
Para.AQ.肝機能の障害が、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される重度の肝機能障害である、Para.AA~ANのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0404】
Para.AR.Child-Pughスコアリング・システムが、脳症グレード、腹水症、血清ビリルビン濃度、血清アルブミン濃度及びプロトロンビン時間の評価を含む、Para.AO~AQのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0405】
Para.AS.軽度、中等度又は重度の肝機能障害が、肝硬変から生じる、Para.AO-ARのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0406】
Para.AT.肝硬変が実質性肝疾患の結果である、Para.ASに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0407】
Para.AU.肝機能の障害が、国立がん研究所臓器機能障害ワーキンググループシステムによって評価される軽度、中等度又は重度の肝機能障害である、Para.AA~ANのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0408】
Para.AV.国立がん研究所臓器機能障害ワーキンググループシステムが、総ビリルビン濃度及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ濃度を測定する、Para.AUに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0409】
Para.AW.患者が、正常値の上限の約1.5倍超~正常値の上限の約3倍の総ビリルビン濃度を有する、Para.AA~ANのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0410】
Para.AX.患者が、正常値の上限の約1.6倍~正常値の上限の約3倍の総ビリルビン濃度を有する、Para.AA~ANのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0411】
Para.AY.治療有効量が600mg以下である、Para.AA~AXのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0412】
Para.AZ.治療有効量が100mg、200mg、300mg、400mg,又は500mgである、Para.AA~AYのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0413】
Para.BA.1日1回投与される、Para.AA~AZのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0414】
Para.BB.1日2回投与される、Para.AA~AZのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0415】
Para.BC.患者が、ROS1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される少なくとも1つの標的遺伝子に少なくとも1つの遺伝子変化を有する、Para.AA~BBのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0416】
Para.BD.患者が、ROS1における遺伝子変化を有する、Para.AA-BBのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0417】
Para.BE.患者が、NTRK1、NTRK2、NTRK3、又はそれらの任意の組合せにおける遺伝子変化を有する、Para.AA-BBのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0418】
Para.BF.がんが、肉腫、非小細胞肺がん、乳腺相似分泌癌腫、乳がん、甲状腺がん、結腸直腸がん、神経内分泌がん、膵臓がん、婦人科がん、及び胆管がんから選択される、Para.AA~BEのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0419】
Para.BG.がんが、1つ又は複数のNTRK遺伝子融合陽性固形腫瘍を含む、Para.AA~BBのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0420】
Para.BH.がんが、ROS-1陽性非小細胞肺がん、Para.AA-BBのいずれか1つに記載の処置での使用のためのエントレクチニブ。
【0421】
Para.CA.患者が肝機能の障害を有する、患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0422】
Para.CB.患者が肝機能の障害を有すると同定されている、患者のがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0423】
Para.CC.患者が処置前に肝機能の障害を有すると同定されている、患者のがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0424】
Para.CD.肝機能の障害を有する患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0425】
Para.CE.肝機能の障害を有すると同定されている患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0426】
Para.CF.処置前に肝機能の障害を有すると同定されている患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0427】
Para.CG.肝機能の障害を有する、処置されている対象におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0428】
Para.CH.肝機能の障害を有すると同定されている、処置されている対象におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0429】
Para.CI.処置前に肝機能の障害を有すると同定されている、処置されている対象におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0430】
Para.CJ.処置される患者が肝機能の障害を有する、患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0431】
Para.CK.処置される患者が肝機能の障害を有すると同定されている、患者のがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0432】
Para.CL.処置される患者は、処置前に肝機能の障害を有すると同定されている、患者のがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0433】
Para.CM.肝機能の障害が患者において判定されている、患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0434】
Para.CN.処置前に肝機能の障害が患者において判定されている、患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用。
【0435】
Para.CO.肝機能の障害が、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される軽度の肝機能障害である、Para.CA~CNのいずれか1つに記載の使用。
【0436】
Para.CP.肝機能の障害が、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される中等度の肝機能障害である、Para.CA~CNのいずれか1つに記載の使用。
【0437】
Para.CQ.肝機能の障害が、Child-Pughスコアリング・システムによって評価される重度の肝機能障害である、Para.CA~CNのいずれか1つに記載の使用。
【0438】
Para.CR.Child-Pughスコアリング・システムが、脳症グレード、腹水症、血清ビリルビン濃度、血清アルブミン濃度及びプロトロンビン時間の評価を含む、Para.CO~CQのいずれか1つに記載の使用。
【0439】
Para.CS.軽度、中等度又は重度の肝機能障害が、肝硬変から生じる、Para.CO~CRのいずれか1つに記載の使用。
【0440】
Para.CT.肝硬変が実質性肝疾患の結果である、Para.CSに記載の使用。
【0441】
Para.CU.肝機能の障害が、国立がん研究所臓器機能障害ワーキンググループシステムによって評価される軽度、中等度又は重度の肝機能障害である、Para.CA~CNのいずれか1つに記載の使用。
【0442】
Para.CV.国立がん研究所臓器機能障害ワーキンググループシステムが、総ビリルビン濃度及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ濃度を測定する、Para.CUに記載の使用。
【0443】
Para.CW.患者が、正常値の上限の約1.5倍超~正常値の上限の約3倍の総ビリルビン濃度を有する、Para.CA~CNのいずれか1つに記載の使用。
【0444】
Para.CX.患者が、正常値の上限の約1.6倍~正常値の上限の約3倍の総ビリルビン濃度を有する、Para.CA~CNのいずれか1つに記載の使用。
【0445】
Para.CY.治療有効量が600mg以下である、Para.CA~CXのいずれか1つに記載の使用。
【0446】
Para.CZ.治療有効量が100mg、200mg、300mg、400mg、又は500mgである、Para.CA~CYのいずれか1つに記載の使用。
【0447】
Para.DA.エントレクチニブが1日1回投与される、Para.CA~CZのいずれか1つに記載の使用。
【0448】
Para.DB.エントレクチニブが1日2回投与される、Para.CA~CZのいずれか1つに記載の使用。
【0449】
Para.DC.患者が、ROS1、NTRK1、NTRK2及びNTRK3から選択される少なくとも1つの標的遺伝子に少なくとも1つの遺伝子変化を有する、Para.CA~DBのいずれか1つに記載の使用。
【0450】
Para.DD.患者が、ROS1における遺伝子変化を有する、Para.CA~DBのいずれか1つに記載の使用。
【0451】
Para.DE.患者が、NTRK1、NTRK2、NTRK3、又はそれらの任意の組合せにおける遺伝子変化を有する、Para.CA~DBのいずれか1つに記載の使用。
【0452】
Para.DF.がんが、肉腫、非小細胞肺がん、乳腺相似分泌がん癌腫、乳がん、甲状腺がん、結腸直腸がん、神経内分泌がん、膵臓がん、婦人科がん、及び胆管がんから選択される、Para.CA~DEのいずれか1つに記載の使用。
【0453】
Para.DG.がんが、1つ又は複数のNTRK遺伝子融合陽性固形腫瘍を含む、Para.CA~DBのいずれか1つに記載の使用。
【0454】
Para.DH.がんが、ROS-1陽性非小細胞肺がんである、Para.CA~DBのいずれか1つに記載の使用。
【0455】
Para.EA.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について前記患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード3の重症度の有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の有害反応が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード1以下の重症度の有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
有害反応が4週間以内に解消しない場合、若しくはグレード4の重症度の有害反応が再発する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0456】
Para.EB.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者にエントレクチニブを投与する前に患者の左室駆出率(LVEF)を評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
息切れ及び浮腫を含む、うっ血性心不全(CHF)の臨床徴候及び症候について患者を監視すること;
任意に、うっ血性心不全の診断を行うためにMRI又は心臓生検を得ること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度のうっ血性心不全の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2若しくは3の重症度のうっ血性心不全が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、適切な医学的管理を開始することと、LVEF及びうっ血性心不全の重症度を再評価することと、及び患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全への回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード4の重症度のうっ血性心不全が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0457】
Para.EC.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
うっ血性心不全について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が少なくともグレード1の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0458】
Para.ED.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
うっ血性心不全について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度のうっ血性心不全の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2若しくはグレード3の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード4の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0459】
Para.EE.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
心臓障害について患者を監視すること;並びに
有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が少なくともグレード1の重症度の心臓障害(例えば、心不全、心室性期外収縮、心筋炎など)を示す場合、患者がグレード1以下の重症度の心臓障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でのエントレクチニブの投与を再開することを含む、方法。
【0460】
Para.EF.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系(CNS)の有害反応のリスクを患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系有害反応が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
1つ又は複数の中枢神経系有害反応について患者をモニタリングすること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度の中枢神経系有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度の中枢神経系有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード3の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度の中枢神経系有害反応への回復時に、低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード4の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0461】
Para.EG.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候について患者を監視すること;
患者が骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候を示す場合、迅速に患者を評価し、適切な医学的管理を開始すること;及び
患者におけるさらなる有害反応の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続することを含む、方法。
【0462】
Para.EH.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
ALT及びASTを含む肝臓検査を用いて、投与の最初の1ヶ月間は2週間ごとの、その後は毎月の、かつ臨床的に指示されるような、患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード3の重症度の肝毒性の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード3の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しない場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者にグレード4の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード4の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはASTを示し、同時に、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下で総ビリルビンが正常値の上限の1.5倍を超える場合は、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0463】
Para.EI.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
トランスアミナーゼ上昇について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留すること及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留すること及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下で正常値の上限の2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0464】
Para.EJ.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
トランスアミナーゼ上昇について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留すること及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留すること及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに低用量で患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限の3倍を超えるALT又はAST上昇を示し、胆汁うっ滞又は溶血の非存在下で正常値の上限の2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0465】
Para.EK.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
エントレクチニブの投与を開始する前に患者の血清尿酸レベルを評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中に定期的に血清尿酸レベルを再評価し、高尿酸血症の徴候及び症候について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に高尿酸血症の症候性であるか若しくはグレード4の高尿酸血症が認められる場合、臨床的に指示されるような尿酸低下薬による処置を開始することと、エントレクチニブを保留し、高尿酸血症の徴候若しくは症候が改善したら、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法。
【0466】
Para.EL.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0467】
Para.EM.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQT間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度のQT間隔延長の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブを保留し、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード3若しくはグレード4の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブを保留し、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、及び、患者が重篤な不整脈の徴候及び症候を示す場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0468】
Para.EN.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度のQT間隔延長の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のQT間隔延長に回復するまでエントレクチニブを保留し、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード3の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のQT間隔延長に回復するまでエントレクチニブを保留し、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;若しくは7日以内の患者の回復がグレード1以下の重症度のQT間隔延長になるまで、エントレクチニブを保留し、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;若しくは7日以内にグレード1以下の重症度のQT間隔延長までの患者の回復がない場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者がグレード4の重症度のQT間隔延長を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0469】
Para.EO.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること;及びQT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはQT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0470】
Para.EP.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が481~500msのQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること;及びQT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはQT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0471】
Para.EQ.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
新たな視覚障害について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度の視覚障害の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2以上の重症度の視覚障害が認められる場合、視覚障害の改善若しくは安定化までエントレクチニブを保留することと、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法。
【0472】
Para.ER.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
貧血又は好中球減少について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下又は少なくともグレード3の重症度の貧血若しくは好中球減少症の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の貧血若しくは好中球減少が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード2以下の重症度の貧血若しくは好中球減少への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法。
【0473】
Para.ES.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
貧血又は好中球減少について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下又は少なくともグレード3の重症度の貧血若しくは好中球減少症の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3の重症度の貧血若しくは好中球減少が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード2以下の重症度の貧血若しくは好中球減少への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード4の重症度の貧血若しくは好中球減少が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード2以下の重症度の貧血若しくは好中球減少への回復時に、低用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法。
【0474】
Para.ET.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による認知変化の可能性について患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の認知変化の症候が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
認知障害について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度の認知障害の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;又は
患者に認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0475】
Para.EU.認知変化又は認知障害は、錯乱、精神状態変化、記憶障害、及び幻覚のうちの1つ又は複数を含む、Para.ETに記載の方法。
【0476】
Para.EV.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
認知障害(例えば、錯乱、精神状態の変化、記憶障害、幻覚、構音障害など)又は運動失調について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下又は少なくともグレード2の重症度の認知障害若しくは運動失調の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害若しくは運動失調の第1の事象が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害若しくは運動失調に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者が少なくともグレード2の重症度の認知障害若しくは運動失調の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;若しくはエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0477】
Para.EW.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による認知変化の可能性について患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の認知変化の症候が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
認知障害について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度の認知障害の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2の重症度の認知障害が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード3の重症度の認知障害が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0478】
Para.EX.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
胚-胎児毒性の可能性について患者に告知すること;
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が妊娠する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0479】
Para.EY.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;及び
有害反応について前記患者を監視すること;及び
患者における失神の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に少なくともグレード1の重症度の失神の第1の事象が認められる場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に少なくともグレード1の重症度の失神の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;若しくはエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0480】
Para.EZ.がんの処置を必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;及び
間質性肺疾患について患者を監視すること;及び
患者における間質性肺疾患の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード1若しくはグレード2の重症度の間質性肺疾患の第1の事象が認められる場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード1若しくはグレード2の重症度の間質性肺疾患の再発が認められる場合、又は患者がグレード3若しくはグレード4の重症度の間質性肺疾患が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0481】
Para.FA.必要とする患者における、がんを処置する方法又はエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者にエントレクチニブを投与する前に、
(i)任意に、エントレクチニブの投与による1つ若しくは複数の有害反応のリスクを患者に告知すること;及び/又は
(ii)任意に、有害反応(例えば、CHFについてはLVEF、高尿酸血症については血清尿酸レベル、QT間隔延長についてはQT間隔及び電解質)に関連する患者の1つ若しくは複数のパラメータを評価すること;
初期用量(例えば、1日当たり600mgの経口投与)での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について前記患者を監視すること;並びに
患者が重度の有害反応を示さない場合、がんが進行するまでエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に重度の有害反応が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者の回復時に、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することであって、患者の回復は、前記重度の有害反応の非存在若しくは減少である、再開すること、又は前記重度の有害反応が4週間以内に解消しないか、若しくは前記重度の有害反応が再発する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0482】
Para.FB.有害反応が、息切れ及び浮腫を含むうっ血性心不全の臨床徴候及び症候であり;並びに重度の有害反応は、少なくともグレード2の重症度のうっ血性心不全であり;1つ又は複数のパラメータが左室駆出率(LVEF)を含み;方法は、うっ血性心不全の診断を行うためにMRI又は心臓生検を任意に得ることをさらに含み;患者にグレード2又は3の重症度のうっ血性心不全が認められる場合、方法は、エントレクチニブの投与を保留することと、適切な医学的管理を開始することと、LVEF及びうっ血性心不全の重症度を再評価することと、及び患者の回復時に低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は、患者にグレード4の重症度のうっ血性心不全が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.FAに記載の方法。
【0483】
Para.FC.有害反応がうっ血性心不全であり、重度の有害反応が少なくともグレード1の重症度のうっ血性心不全であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度のうっ血性心不全として判定され、患者が少なくともグレード1の重症度のうっ血性心不全を示す場合、方法は、患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること、及び患者へのエントレクチニブの投与を低用量で再開すること、又は恒久的に中止することを含む、Para.FAに記載の方法。
【0484】
Para.FD.有害反応がうっ血性心不全であり、重度の有害反応が少なくともグレード2の重症度のうっ血性心不全であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度のうっ血性心不全として判定され、患者が少なくともグレード2の重症度のうっ血性心不全を示す場合、方法は、患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること、及び患者へのエントレクチニブの投与を低用量で再開すること、又は恒久的に中止することを含む、Para.FAに記載の方法。
【0485】
Para.FE.有害反応が、心臓障害(例えば、心不全、心室性期外収縮、心筋炎など)であり;重度の有害反応は、少なくともグレード1の重症度の心臓障害であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度の心臓障害として判定され;患者が少なくともグレード1の重症度の心臓障害を示す場合、方法は、患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び患者へのエントレクチニブの投与を低用量で再開すること、又は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.FAに記載の方法。
【0486】
Para.FF.有害反応が中枢神経系(CNS)有害反応であり、重度の有害反応が少なくともグレード2の重症度の中枢神経系有害反応であり、患者の回復が、グレード1以下の重症度の中枢神経系有害反応として判定され、患者へのエントレクチニブの投与に先立って、方法は、患者がエントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系有害反応が認められる場合は危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることをさらに含み、患者にグレード2の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、方法は、エントレクチニブの投与を保留することと、及び患者の回復時に初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者にグレード3の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者の回復時に低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者にグレード4の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.FAに記載の方法。
【0487】
Para.FG.有害反応が骨格骨折であり、患者が骨格骨折の1つ以上の徴候又は症候を示す場合、方法は、患者を迅速に評価し、適切な医学的管理を導入することをさらに含む、Para.FAに記載の方法。
【0488】
Para.FH.有害反応が肝毒性であり、監視が、投与の最初の1ヶ月間は2週間ごとの、その後は毎月の、かつ臨床的に指示されるような、ALT及びASTの測定を含む肝臓検査を含み、重度の有害反応が、少なくともグレード3の重症度の肝毒性であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度の肝毒性として判定され、患者にグレード3の重症度の肝毒性が認められる場合、方法は、エントレクチニブの投与を保留することと、4週間以内の患者の回復時に初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又はグレード3の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しない場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること、又は、患者にグレード4の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、4週間以内の患者の回復時に低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又はグレード4の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること、又は、患者が、正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはASTを示し、同時に、胆汁うっ滞又は溶血の非存在下で正常値の上限の1.5倍を超える総ビリルビンを示す場合は、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.FAに記載の方法。
【0489】
Para.FI.有害反応がトランスアミナーゼ上昇であり、重度の有害反応は、少なくともグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇として判定され、患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、方法は、エントレクチニブの投与を保留し、4週間以内の患者の回復時に用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、又は4週間以内に解消するトランスアミナーゼ上昇の再発性のグレード3の重症度に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又はグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること、又は患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留し、4週間以内の患者の回復時に用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、又はグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は、患者が正常値の上限の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下で正常値の上限の2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.FAに記載の方法。
【0490】
Para.FJ.有害反応がトランスアミナーゼ上昇であり、重度の有害反応は、少なくともグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇として判定され、患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、方法は、患者の回復までエントレクチニブの投与を保留し、4週間以内の患者の回復時に用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、又は4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又はグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること、又は患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、患者の回復までエントレクチニブの投与を保留し、4週間以内の患者の回復時に低用量で患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、又はグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は、患者が正常値の上限の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下で正常値の上限の2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.FAに記載の方法。
【0491】
Para.FK.有害反応が高尿酸血症であり、1つ又は複数のパラメータが、患者の血清尿酸レベルを含み、方法が、エントレクチニブの投与中に定期的に血清尿酸レベルを再評価することをさらに含み、重度の有害反応が高尿酸血症又はグレード4の高尿酸血症の症候であり、患者に高尿酸血症の症候性であるか、又はグレード4の高尿酸血症が認められる場合、方法は、臨床的に指示されるような尿酸低下薬による処置を開始することと、エントレクチニブを保留することと、及び高尿酸血症の徴候又は症候の改善時に初期用量又は低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、Para.FAに記載の方法。
【0492】
Para.FL.有害反応がQTc間隔の延長であり、1つ又は複数のパラメータが、患者のQT間隔及び電解質を含み、方法は、エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整することをさらに含み、患者が500msよりも高いQTcを示す場合、方法は、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍、若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.FAに記載の方法。
【0493】
Para.FM.有害反応がQT間隔延長であり、重度の有害反応は、少なくともグレード2の重症度のQT間隔延長であり、1つ又は複数のパラメータが、患者のQT間隔及び電解質を含み、方法は、エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQT間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整することをさらに含み、患者がグレード2の重症度のQT間隔延長を示す場合、方法は、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量でのエントレクチニブの投与を再開することを含み、又は、患者がグレード3若しくはグレード4の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び減少した用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、及び、患者が重篤な不整脈の徴候及び症候を示す場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.FAに記載の方法。
【0494】
Para.FN.有害反応はQT間隔延長であり、重度の有害反応は、少なくともグレード2の重症度のQT間隔延長であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度のQT間隔延長であると決定され、患者がグレード2の重症度のQT間隔延長を示す場合、方法は、患者が回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量でのエントレクチニブの投与を再開することを含み、又は、患者がグレード3の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者が回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は、患者が7日以内に回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は、7日以内に患者の回復がない場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は患者がグレード4の重症度のQT間隔延長を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.FAに記載の方法。
【0495】
Para.FO.有害反応がQTc間隔の延長であり、1つ又は複数のパラメータが、患者のQT間隔及び電解質を含み、方法は、エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整することをさらに含み、患者が500msを超えるQTcを示す場合は、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及びQT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又はQT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍、若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.FAに記載の方法。
【0496】
Para.FP.有害反応がQTc間隔の延長であり、1つ又は複数のパラメータが、患者のQT間隔及び電解質を含み、方法は、エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整することをさらに含み、患者が481ms~500msのQTcを示す場合、方法は、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者が500msを超えるQTcを示す場合は、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及びQT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又はQT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍、若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することをさらに含む、Para.FAに記載の方法。
【0497】
Para.FQ.有害反応が視覚障害であり、重度の有害反応は、少なくともグレード2の重症度の視覚障害であり、患者にグレード2以上の重症度の視覚障害が認められる場合、方法は、視覚障害の改善又は安定化までエントレクチニブを保留することと、及び初期用量又は低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、Para.FAに記載の方法。
【0498】
Para.FR.有害反応が貧血又は好中球減少症であり、重度の有害反応は、少なくともグレード3の重症度の貧血又は好中球減少症であり、患者にグレード3又はグレード4の重症度の貧血又は好中球減少症が認められる場合、方法は、エントレクチニブを保留することと、及びグレード2以下の重症度の貧血又は好中球減少症まで患者が回復するときに初期用量又は低用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含む、Para.FAに記載の方法。
【0499】
Para.FS.有害反応は貧血又は好中球減少症であり、重度の有害反応は、少なくともグレード3の重症度の貧血又は好中球減少症であり、患者の回復は、グレード2以下の重症度の貧血又は好中球減少症として判定され、患者にグレード3の重症度の貧血又は好中球減少症が認められる場合、方法は、エントレクチニブを保留することと、及び患者の回復時に初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は、患者にグレード4の重症度の貧血若しくは好中球減少症が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者の回復時に低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、Para.FAに記載の方法。
【0500】
Para.FT.有害反応が認知障害であり、重度の有害反応が少なくともグレード2の重症度の認知障害であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度の認知障害として判定され、患者へのエントレクチニブの投与に先立って、方法は、患者にエントレクチニブの投与による認知変化の可能性についてアドバイスし、患者にエントレクチニブの投与によって認知変化の1つ以上の症候が認められる場合、患者に危険な機械類を運転又は操作しないようアドバイスすることをさらに含み、患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象が認められる場合、方法は、患者の回復までエントレクチニブの投与を保留することと、及び低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含み、又は患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること、又は患者が認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.FAに記載の方法。
【0501】
Para.FU.認知変化又は認知障害が、錯乱、精神状態変化、記憶障害、及び幻覚のうちの1つ又は複数を含む、Para.FTに記載の方法。
【0502】
Para.FV.有害反応が認知障害又は運動失調であり、重度の有害反応は、少なくともグレード2の重症度の認知障害又は運動失調であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度の認知障害又は運動失調として判定され、患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害又は運動失調の第1の事象が認められる場合、方法は、患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、及び低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は、患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害又は運動失調の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること、又はエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.FAに記載の方法。
【0503】
Para.FW.有害反応が認知障害であり、重度の有害反応が少なくともグレード2の重症度の認知障害であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度の認知障害として判定され、患者へのエントレクチニブの投与に先立って、方法は、患者にエントレクチニブの投与による認知変化の可能性についてアドバイスし、患者にエントレクチニブの投与によって認知変化の1つ以上の症候が認められる場合、患者に危険な機械類を運転又は操作しないようアドバイスすることをさらに含み、患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象が認められる場合、方法は、患者の回復までエントレクチニブの投与を保留することと、及び低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含み、又は患者がグレード3の重症度の認知障害が認められる場合、患者の回復までエントレクチニブの投与を保留することと、及び初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者が認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.FAに記載の方法。
【0504】
Para.FX.有害反応が胚-胎児毒性であり、患者が妊娠する場合、方法は、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することをさらに含む、Para.FAに記載の方法。
【0505】
Para.FY.有害反応が失神であり、重度の有害反応は、少なくともグレード1の重症度の失神であり、患者の回復は、ベースラインまでの回復として判定され、患者に少なくともグレード1の重症度の失神の第1の事象が認められる場合、方法は、患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は、患者に少なくともグレード1の重症度の失神の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;又はエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.FAに記載の方法。
【0506】
Para.FZ.有害反応が間質性肺疾患であり、重度の有害反応は、少なくともグレード1の重症度の間質性肺疾患であり、患者の回復は、ベースラインまでの回復として判定され、患者にグレード1又はグレード2の重症度の失神の第1の事象が認められる場合、方法は、患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、及び初期用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は、患者にグレード1若しくはグレード2の重症度の間質性肺疾患の再発が認められる場合、又は患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の間質性肺疾患が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.FAに記載の方法。
【0507】
Para.GA.有害反応が、うっ血性心不全、中枢神経系(CNS)有害反応、骨折(例えば、骨格骨折)、肝毒性、高尿酸血症、QT間隔延長、視覚障害、貧血/好中球減少症、認知障害、トランスアミナーゼ上昇、又は胚胎児毒性である、Para.FAに記載の方法。
【0508】
Para.HA.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について前記患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード3の重症度の有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の有害反応が認められる場合はエントレクチニブを保留することと、患者がグレード1以下の重症度の有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は有害反応が4週間以内に解消しないか、若しくはグレード4の重症度の有害反応が再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0509】
Para.HB.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者にエントレクチニブを投与する前に患者の左室駆出率(LVEF)を評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
息切れ及び浮腫を含む、うっ血性心不全(CHF)の臨床徴候及び症候について患者を監視すること;
任意に、うっ血性心不全の診断を行うためにMRI又は心臓生検を得ること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度のうっ血性心不全の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2若しくは3の重症度のうっ血性心不全が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、適切な医学的管理を開始することと、LVEF及びうっ血性心不全の重症度を再評価することと、及び患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全への回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者にグレード4の重症度のうっ血性心不全が認められる場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0510】
Para.HC.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
うっ血性心不全について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が少なくともグレード1の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0511】
Para.HD.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
うっ血性心不全について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度のうっ血性心不全の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2若しくはグレード3の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード4の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0512】
Para.HE.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
心臓障害について患者を監視すること;並びに
有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が少なくともグレード1の重症度の心臓障害(例えば、心不全、心室性期外収縮、心筋炎など)を示す場合、患者がグレード1以下の重症度の心臓障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でのエントレクチニブの投与を再開することを含む、方法。
【0513】
Para.HF.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系(CNS)の有害反応のリスクを患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系有害反応が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
1つ又は複数の中枢神経系有害反応について患者をモニタリングすること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度の中枢神経系有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度の中枢神経系有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード3の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度の中枢神経系有害反応への回復時に、低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード4の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0514】
Para.HG.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候について患者を監視すること;
患者が骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候を示す場合、迅速に患者を評価し、適切な医学的管理を開始すること;及び
患者におけるさらなる有害反応の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続することを含む、方法。
【0515】
Para.HH.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
ALT及びASTを含む肝臓検査を用いて、投与の最初の1ヶ月間は2週間ごとの、その後は毎月の、かつ臨床的に指示されるような、患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード3の重症度の肝毒性の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード3の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しない場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者にグレード4の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード4の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはASTを示し、同時に、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下で正常値の上限の1.5倍を超える総ビリルビンを示す場合は、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0516】
Para.HI.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
トランスアミナーゼ上昇について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留すること及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留すること及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下で正常値の上限の2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0517】
Para.HJ.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
トランスアミナーゼ上昇について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留すること及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留すること及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに低用量で患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下で正常値の上限の2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0518】
Para.HK.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
エントレクチニブの投与を開始する前に患者の血清尿酸レベルを評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中に定期的に血清尿酸レベルを再評価し、高尿酸血症の徴候及び症候について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に高尿酸血症の症候性であるか若しくはグレード4の高尿酸血症が認められる場合、臨床的に指示されるような尿酸低下薬による処置を開始することと、エントレクチニブを保留することと、高尿酸血症の徴候若しくは症候が改善したら、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法。
【0519】
Para.HL.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0520】
Para.HM.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQT間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度のQT間隔延長の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブを保留し、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード3若しくはグレード4の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブを保留し、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、及び、患者が重篤な不整脈の徴候及び症候を示す場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0521】
Para.HN.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度のQT間隔延長の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のQT間隔延長に回復するまでエントレクチニブを保留し、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード3の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のQT間隔延長に回復するまでエントレクチニブを保留し、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;若しくは7日以内の患者の回復がグレード1以下の重症度のQT間隔延長になるまで、エントレクチニブを保留し、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;若しくは7日以内にグレード1以下の重症度のQT間隔延長までの患者の回復がない場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者がグレード4の重症度のQT間隔延長を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0522】
Para.HO.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること;及びQT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはQT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0523】
Para.HP.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が481~500msのQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること;及びQT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはQT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0524】
Para.HQ.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
新たな視覚障害について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度の視覚障害の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2以上の重症度の視覚障害が認められる場合、視覚障害の改善若しくは安定化までエントレクチニブを保留することよ、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法。
【0525】
Para.HR.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
貧血又は好中球減少について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード3の重症度の有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の貧血若しくは好中球減少が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード2以下の重症度の貧血若しくは好中球減少への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法。
【0526】
Para.HS.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
貧血又は好中球減少について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下又は少なくともグレード3の重症度の貧血若しくは好中球減少症の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3の重症度の貧血若しくは好中球減少が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード2以下の重症度の貧血若しくは好中球減少への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード4の重症度の貧血若しくは好中球減少が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード2以下の重症度の貧血若しくは好中球減少への回復時に、低用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含む、方法。
【0527】
Para.HT.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による認知変化の可能性について患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の認知変化の症候が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
認知障害について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度の認知障害の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留し、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;又は
患者に認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0528】
Para.HU.認知変化又は認知障害が、錯乱、精神状態変化、記憶障害、及び幻覚のうちの1つ又は複数を含む、Para.HTに記載の方法。
【0529】
Para.HV.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
認知障害(例えば、錯乱、精神状態の変化、記憶障害、幻覚、構音障害など)又は運動失調について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下又は少なくともグレード2の重症度の認知障害若しくは運動失調の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害若しくは運動失調の第1の事象が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害若しくは運動失調に回復するまでエントレクチニブの投与を保留し、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害若しくは運動失調の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;若しくはエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0530】
Para.HW.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による認知変化の可能性について患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の認知変化の症候が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
認知障害について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度の認知障害の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2の重症度の認知障害が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード3の重症度の認知障害が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0531】
Para.HX.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
胚-胎児毒性の可能性について患者に告知すること;
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が妊娠する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、方法。
【0532】
Para.HY.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;及び
有害反応について前記患者を監視すること;及び
患者における失神の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に少なくともグレード1の重症度の失神の第1の事象が認められる場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に少なくともグレード1の重症度の失神の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;若しくはエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0533】
Para.HZ.患者におけるエントレクチニブの投与の有害反応を管理する方法であって、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;及び
間質性肺疾患について患者を監視すること;及び
患者における間質性肺疾患の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード1若しくはグレード2の重症度の間質性肺疾患の第1の事象が認められる場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード1若しくはグレード2の重症度の間質性肺疾患の再発が認められる場合、又は患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の間質性肺疾患が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、方法。
【0534】
Para.IA.初期用量が600mgであり1日1回経口投与され、低用量が400mgであり1日1回経口投与される、Para.EA~EF、EH~EW、EY、EZ、FA~GA、HA~HF、HH~HW、HY、又はHZのいずれか1つに記載の方法。
【0535】
Para.IB.初期用量が100mgであり1日1回経口投与され、低用量が100mgであり週に5日間1日1回経口投与される、Para.EA~EF、EH~EW、EY、EZ、FA~GA、HA~HF、HH~HW、HY、又はHZのいずれか1つに記載の方法。
【0536】
Para.IC.初期用量が200mgであり1日1回経口投与され、低用量が200mgであり週に5日間1日1回経口投与される、Para.EA~EF、EH~EW、EY、EZ、FA~GA、HA~HF、HH~HW、HY、又はHZのいずれか1つに記載の方法。
【0537】
Para.ID.初期用量が300mgであり1日1回経口投与され、低用量が200mgであり1日1回経口投与される、Para.EA~EF、EH~EW、EY、EZ、FA~GA、HA~HF、HH~HW、HY、又はHZのいずれか1つに記載の方法。
【0538】
Para.IE.初期用量が400mgであり1日1回経口投与され、低用量が300mgであり1日1回経口投与される、Para.EA~EF、EH~EW、EY、EZ、FA~GA、HA~HF、HH~HW、HY、又はHZのいずれか1つに記載の方法。
【0539】
Para.JA.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について前記患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード3の重症度の有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の有害反応が認められる場合はエントレクチニブを保留することと、患者が有害反応のグレード1以下の重症度への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は有害反応が4週間以内に解消しないか、若しくはグレード4の重症度の有害反応が再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0540】
Para.JB.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
患者にエントレクチニブを投与する前に患者の左室駆出率(LVEF)を評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
息切れ及び浮腫を含む、うっ血性心不全(CHF)の臨床徴候及び症候について患者を監視すること;
任意に、うっ血性心不全の診断を行うためにMRI又は心臓生検を得ること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度のうっ血性心不全の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2若しくは3の重症度のうっ血性心不全が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、適切な医学的管理を開始することと、LVEF及びうっ血性心不全の重症度を再評価することと、及び患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全への回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者にグレード4の重症度のうっ血性心不全が認められる場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0541】
Para.JC.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
うっ血性心不全について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が少なくともグレード1の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0542】
Para.JD.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
うっ血性心不全について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度のうっ血性心不全の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2若しくはグレード3の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード4の重症度のうっ血性心不全を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のうっ血性心不全に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0543】
Para.JE.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
心臓障害について患者を監視すること;並びに
有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が少なくともグレード1の重症度の心臓障害(例えば、心不全、心室性期外収縮、心筋炎など)を示す場合、患者がグレード1以下の重症度の心臓障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び低用量でのエントレクチニブの投与を再開することを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0544】
Para.JF.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系(CNS)の有害反応のリスクを患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系有害反応が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
1つ又は複数の中枢神経系有害反応について患者をモニタリングすること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度の中枢神経系有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度の中枢神経系有害反応への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード3の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者がグレード1以下の重症度の中枢神経系有害反応への回復時に、低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード4の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0545】
Para.JG.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候について患者を監視すること;
患者が骨格骨折の1つ又は複数の徴候又は症候を示す場合、迅速に患者を評価し、適切な医学的管理を開始すること;及び
患者におけるさらなる有害反応の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続することを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0546】
Para.JH.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
ALT及びASTを含む肝臓検査を用いて、投与の最初の1ヶ月間は2週間ごとの、その後は毎月の、かつ臨床的に指示されるような、患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード3の重症度の肝毒性の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード3の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しない場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者にグレード4の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、患者が4週間以内にグレード1以下の重症度の肝毒性への回復時に、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;若しくはグレード4の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはASTを示し、同時に、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下で正常値の上限の1.5倍を超える総ビリルビンを示す場合は、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0547】
Para.JI.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
トランスアミナーゼ上昇について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留すること及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留すること及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下で正常値の上限の2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0548】
Para.JJ.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
トランスアミナーゼ上昇について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留すること及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくは4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留すること及び4週間以内にグレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇まで患者が回復するときに低用量で患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者が、正常値の上限の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下で正常値の上限の2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0549】
Para.JK.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
エントレクチニブの投与を開始する前に患者の血清尿酸レベルを評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中に定期的に血清尿酸レベルを再評価し、高尿酸血症の徴候及び症候について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に高尿酸血症の症候性であるか若しくはグレード4の高尿酸血症が認められる場合、臨床的に指示されるような尿酸低下薬による処置を開始することと、エントレクチニブを保留することと、高尿酸血症の徴候若しくは症候が改善したら、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0550】
Para.JL.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0551】
Para.JM.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQT間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度のQT間隔延長の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブを保留し、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード3若しくはグレード4の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブを保留し、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、及び、患者が重篤な不整脈の徴候及び症候を示す場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0552】
Para.JN.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度のQT間隔延長の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者がグレード2の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のQT間隔延長に回復するまでエントレクチニブを保留し、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がグレード3の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がグレード1以下の重症度のQT間隔延長に回復するまでエントレクチニブを保留し、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;若しくは7日以内の患者の回復がグレード1以下の重症度のQT間隔延長になるまで、エントレクチニブを保留し、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;若しくは7日以内にグレード1以下の重症度のQT間隔延長までの患者の回復がない場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は
患者がグレード4の重症度のQT間隔延長を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0553】
Para.JO.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること;及びQT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはQT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0554】
Para.JP.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
患者におけるQT間隔及び電解質を、エントレクチニブの投与を開始する前に評価すること;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整すること;並びに
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が481~500msのQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者が500msを超えるQTcを示す場合、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること;及びQT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、若しくはQT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0555】
Para.JQ.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
新たな視覚障害について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度の視覚障害の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2以上の重症度の視覚障害が認められる場合、視覚障害の改善若しくは安定化までエントレクチニブを保留することと、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0556】
Para.JR.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
貧血又は好中球減少について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下又は少なくともグレード3の重症度の貧血若しくは好中球減少症の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の貧血若しくは好中球減少が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者が貧血若しくは好中球減少のグレード2以下の重症度への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0557】
Para JS.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
貧血又は好中球減少について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下又は少なくともグレード3の重症度の貧血若しくは好中球減少症の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード3の重症度の貧血若しくは好中球減少が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード2以下の重症度の貧血若しくは好中球減少への回復時に、初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード4の重症度の貧血若しくは好中球減少が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者がグレード2以下の重症度の貧血若しくは好中球減少への回復時に、低用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0558】
Para.JT.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による認知変化の可能性について患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の認知変化の症候が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
認知障害について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度の認知障害の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;又は
患者に認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0559】
Para.JU.認知変化又は認知障害は、錯乱、精神状態変化、記憶障害、及び幻覚のうちの1つ又は複数を含む、Para.JTの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0560】
Para.JV.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
認知障害(例えば、錯乱、精神状態の変化、記憶障害、幻覚、構音障害など)又は運動失調について患者を監視すること;及び
患者における有害反応の非存在下又は少なくともグレード2の重症度の認知障害若しくは運動失調の非存在下で、又はがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害若しくは運動失調の第1の事象が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害若しくは運動失調に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害若しくは運動失調の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;若しくはエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0561】
Para.JW.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
エントレクチニブの投与による認知変化の可能性について患者に告知すること;及び
患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の認知変化の症候が認められる場合、危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることと;
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
認知障害について患者を監視すること;並びに
患者における有害反応の非存在下若しくは少なくともグレード2の重症度の認知障害の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード2の重症度の認知障害が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード3の重症度の認知障害が認められる場合、患者がグレード1以下の重症度の認知障害に回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0562】
Para.JX.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
患者へのエントレクチニブの投与前に、
胚-胎児毒性の可能性について患者に告知すること;
患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;及び
患者における有害反応の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者が妊娠する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0563】
Para.JY.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;及び
有害反応について前記患者を監視すること;及び
患者における失神の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に少なくともグレード1の重症度の失神の第1の事象が認められる場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者に少なくともグレード1の重症度の失神の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;若しくはエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0564】
Para.JZ.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
初期用量での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;及び
間質性肺疾患について患者を監視すること;及び
患者における間質性肺疾患の非存在下で、若しくはがんの進行まで、患者へのエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者にグレード1若しくはグレード2の重症度の間質性肺疾患の第1の事象が認められる場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は
患者にグレード1若しくはグレード2の重症度の間質性肺疾患の再発が認められる場合、又は患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の間質性肺疾患が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0565】
Para.KA.がんの処置に使用するためのエントレクチニブ、又はがんの処置を必要とする患者におけるがんの処置のための医薬の製造におけるエントレクチニブの使用であって、処置が、
患者にエントレクチニブを投与する前に、
(i)任意に、エントレクチニブの投与による1つ若しくは複数の有害反応のリスクを患者に告知すること;及び/又は
(ii)任意に、有害反応(例えば、CHFについてはLVEF、高尿酸血症については血清尿酸レベル、QT間隔延長についてはQT間隔及び電解質)に関連する患者の1つ若しくは複数のパラメータを評価すること;
初期用量(例えば、1日当たり600mgの経口投与)での患者へのエントレクチニブの投与を開始すること;
有害反応について前記患者を監視すること;並びに
患者が重度の有害反応を示さない場合、がんが進行するまでエントレクチニブの投与を継続すること;又は
患者に重度の有害反応が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者の回復時に、初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開することであって、患者の回復は、重度の有害反応の非存在若しくは減少である、再開すること、又は前記重度の有害反応が4週間以内に解消しないか、若しくは重度の有害反応が再発する場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、エントレクチニブ又はその使用。
【0566】
Para.KB.有害反応が、息切れ及び浮腫を含むうっ血性心不全の臨床徴候及び症候であり;及び重度の有害反応は、少なくともグレード2の重症度のうっ血性心不全であり;1つ又は複数のパラメータが左室駆出率(LVEF)を含み;処置は、うっ血性心不全の診断を行うためにMRI又は心臓生検を任意に得ることをさらに含み;患者にグレード2又は3の重症度のうっ血性心不全が認められる場合、処置は、エントレクチニブの投与を保留することと、適切な医学的管理を開始すること、LVEF及びうっ血性心不全の重症度を再評価することと、及び患者の回復時に低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は、患者にグレード4の重症度のうっ血性心不全が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0567】
Para.KC.有害反応がうっ血性心不全であり、重度の有害反応が少なくともグレード1の重症度のうっ血性心不全であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度のうっ血性心不全として判定され、患者が少なくともグレード1の重症度のうっ血性心不全を示す場合、処置は、患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること、及び患者へのエントレクチニブの投与を低用量で再開すること、又は恒久的に中止することを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0568】
Para.KD.有害反応がうっ血性心不全であり、重度の有害反応が少なくともグレード2の重症度のうっ血性心不全であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度のうっ血性心不全として判定され、患者が少なくともグレード2の重症度のうっ血性心不全を示す場合、処置は、患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること、及び患者へのエントレクチニブの投与を低用量で再開すること、又は恒久的に中止することを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0569】
Para.KE.有害反応が、心臓障害(例えば、心不全、心室性期外収縮、心筋炎など)であり;重度の有害反応は、少なくともグレード1の重症度の心臓障害であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度の心臓障害として判定され;患者が少なくともグレード1の重症度の心臓障害を示す場合、処置は、患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留すること;及び患者へのエントレクチニブの投与を低用量で再開すること、又は患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0570】
Para.KF.有害反応が中枢神経系(CNS)有害反応であり、重度の有害反応が少なくともグレード2の重症度の中枢神経系有害反応であり、患者の回復が、グレード1以下の重症度の中枢神経系有害反応として判定され、患者へのエントレクチニブの投与に先立って、処置は、患者にエントレクチニブの投与による1つ又は複数の中枢神経系有害反応が認められる場合は危険な機械類を運転又は操作しないように患者にアドバイスすることをさらに含み、患者がグレード2の重症度の中枢神経系有害反応を示す場合、処置は、エントレクチニブの投与を保留することと、及び患者の回復時に初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者にグレード3の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を保留することと、患者の回復時に低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者にグレード4の重症度の中枢神経系有害反応が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0571】
Para.KG.有害反応が骨格骨折であり、患者が骨格骨折の1つ以上の徴候又は症候を示す場合、処置は、患者を迅速に評価し、適切な医学的管理を導入することをさらに含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0572】
Para.KH.有害反応が肝毒性であり、監視が、投与の最初の1ヶ月間は2週間ごとの、その後は毎月の、かつ臨床的に指示されるような、ALT及びASTの測定を含む肝臓検査を含み、重度の有害反応が、少なくともグレード3の重症度の肝毒性であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度の肝毒性として判定され、患者にグレード3の重症度の肝毒性が認められる場合、処置は、エントレクチニブの投与を保留することと、4週間以内の患者の回復時に初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度の肝毒性に対して低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又はグレード3の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しない場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること、又は、患者にグレード4の重症度の肝毒性が認められる場合はエントレクチニブの投与を保留することと、4週間以内の患者の回復時に低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又はグレード4の重症度の肝毒性が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合はエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること、又は、患者が、正常値の上限(ULN)の3倍を超えるALT若しくはASTを示し、同時に、胆汁うっ滞又は溶血の非存在下で正常値の上限の1.5倍を超える総ビリルビンを示す場合は、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0573】
Para.KI.有害反応がトランスアミナーゼ上昇であり、重度の有害反応は、少なくともグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇として判定され、患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、処置は、エントレクチニブの投与を保留し、4週間以内の患者の回復時に用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、又は4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又はグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること、又は患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留し、4週間以内の患者の回復時に用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、又はグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は、患者が正常値の上限の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下で正常値の上限の2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0574】
Para.KJ.有害反応がトランスアミナーゼ上昇であり、重度の有害反応は、少なくともグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度のトランスアミナーゼ上昇として判定され、患者がグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、処置は、エントレクチニブの投与を保留し、4週間以内の患者の回復時に用量を変更することなく患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、又は4週間以内に解消する再発性のグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇に対して低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又はグレード3の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しない場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること、又は患者がグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇を示す場合、エントレクチニブの投与を保留し、4週間以内の患者の回復時に低用量で患者へのエントレクチニブの投与を再開すること、又はグレード4の重症度のトランスアミナーゼ上昇が4週間以内に解消しないか若しくは再発する場合は、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は、患者が正常値の上限の3倍を超えるALT若しくはAST上昇を示し、胆汁うっ滞若しくは溶血の非存在下で正常値の上限の2倍を超える総ビリルビン上昇を示す場合、患者へのエントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0575】
Para.KK.有害反応が高尿酸血症であり、1つ又は複数のパラメータが、患者の血清尿酸レベルを含み、処置が、エントレクチニブの投与中に定期的に血清尿酸レベルを再評価することをさらに含み、重度の有害反応が高尿酸血症又はグレード4の高尿酸血症の症候であり、患者に高尿酸血症の症候性であるか、又はグレード4の高尿酸血症が認められる場合、処置は、臨床的に指示されるような尿酸低下薬による処置を開始することと、エントレクチニブを保留することと、及び高尿酸血症の徴候又は症候の改善時に初期用量又は低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0576】
Para.KL.有害反応がQTc間隔の延長であり、1つ又は複数のパラメータが、患者のQT間隔及び電解質を含み、処置は、エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整することをさらに含み、患者が500msよりも高いQTcを示す場合、処置は、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍、若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0577】
Para.KM.有害反応がQT間隔延長であり、重度の有害反応は、少なくともグレード2の重症度のQT間隔延長であり、1つ又は複数のパラメータが、患者のQT間隔及び電解質を含み、処置は、エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQT間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整することをさらに含み、患者がグレード2の重症度のQT間隔延長を示す場合、処置は、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量でのエントレクチニブの投与を再開することを含み、又は、患者がグレード3若しくはグレード4の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者がベースラインまで回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び減少する用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、及び、患者が重篤な不整脈の徴候及び症候を示す場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0578】
Para.KN.有害反応がQT間隔延長であり、重度の有害反応は、少なくともグレード2の重症度のQT間隔延長であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度のQT間隔延長であると決定され、患者がグレード2の重症度のQT間隔延長を示す場合、処置は、患者が回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量でのエントレクチニブの投与を再開することを含み、又は、患者がグレード3の重症度のQT間隔延長を示す場合、患者が回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は、患者が7日以内に回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は、7日以内に患者の回復がない場合には、エントレクチニブの投与を恒久的に中止すること;又は患者がグレード4の重症度のQT間隔延長を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0579】
Para.KO.有害反応がQTc間隔の延長であり、1つ又は複数のパラメータが、患者のQT間隔及び電解質を含み、処置は、エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整することをさらに含み、患者が500msを超えるQTcを示す場合は、処置は、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及びQT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又はQT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍、若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0580】
Para.KP.有害反応がQTc間隔の延長であり、1つ又は複数のパラメータが、患者のQT間隔及び電解質を含み、処置は、エントレクチニブの投与中にQT間隔及び電解質を定期的に再評価すること、うっ血性心不全、電解質異常、又はQTc間隔を延長することが知られている併用薬などの患者の危険因子に基づいて頻度を調整することをさらに含み、患者が481ms~500msのQTcを示す場合、処置は、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及び初期用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者が500msを超えるQTcを示す場合は、QTc間隔がベースラインに回復するまでエントレクチニブを保留すること、及びQT延長を引き起こす因子が特定され修正された場合には初期用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又はQT延長を引き起こす他の因子が特定されない場合には低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること;又は患者がトルサード・ド・ポアンツ、多形性心室頻拍、若しくは重篤な不整脈の徴候若しくは症候を示す場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0581】
Para.KQ.有害反応が視覚障害であり、重度の有害反応は、少なくともグレード2の重症度の視覚障害であり、患者にグレード2以上の重症度の視覚障害が認められる場合、処置は、視覚障害の改善又は安定化までエントレクチニブを保留することと、及び初期用量又は低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0582】
Para.KR.有害反応が貧血又は好中球減少症であり、重度の有害反応は、少なくともグレード3の重症度の貧血又は好中球減少症であり、患者にグレード3又はグレード4の重症度の貧血又は好中球減少症が認められる場合、処置は、エントレクチニブを保留することと、及びグレード2以下の重症度の貧血又は好中球減少症まで患者が回復するときに初期用量又は低用量でエントレクチニブの投与を再開することとを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0583】
Para.KS.有害反応が貧血又は好中球減少症であり、重度の有害反応は、少なくともグレード3の重症度の貧血又は好中球減少症であり、患者の回復は、グレード2以下の重症度の貧血又は好中球減少症として判定され、患者にグレード3の重症度の貧血若しくは好中球減少症が認められる場合、処置は、エントレクチニブを保留することと、及び患者の回復時に初期用量若しくは低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は、患者にグレード4の重症度の貧血若しくは好中球減少症が認められる場合、エントレクチニブを保留することと、患者の回復時に低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0584】
Para.KT.有害反応が認知障害であり、重度の有害反応が少なくともグレード2の重症度の認知障害であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度の認知障害として判定され、患者へのエントレクチニブの投与に先立って、処置は、患者にエントレクチニブの投与による認知変化の可能性について告知し、患者にエントレクチニブの投与によって認知変化の1つ以上の症候が認められる場合、患者に危険な機械類を運転又は操作しないようアドバイスすることをさらに含み、患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象が認められる場合、処置は、患者の回復までエントレクチニブの投与を保留することと、及び低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含み、又は患者が少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること、又は患者に認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0585】
Para.KU.認知変化又は認知障害は、錯乱、精神状態変化、記憶障害、及び幻覚のうちの1つ又は複数を含む、Para.KTの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0586】
Para.KV.有害反応が認知障害又は運動失調であり、重度の有害反応は、少なくともグレード2の重症度の認知障害又は運動失調であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度の認知障害又は運動失調として判定され、患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害又は運動失調の第1の事象が認められる場合、処置は、患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、及び低用量でのエントレクチニブの投与を再開すること、又は、患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害又は運動失調の事象の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること、又はエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0587】
Para.KW.有害反応が認知障害であり、重度の有害反応が少なくともグレード2の重症度の認知障害であり、患者の回復は、グレード1以下の重症度の認知障害として判定され、患者へのエントレクチニブの投与に先立って、処置は、患者にエントレクチニブの投与による認知変化の可能性について告知し、患者にエントレクチニブの投与によって認知変化の1つ以上の症候が認められる場合、患者に危険な機械類を運転又は操作しないようアドバイスすることをさらに含み、患者に少なくともグレード2の重症度の認知障害の事象が認められる場合、処置は、患者の回復までエントレクチニブの投与を保留することと、及び低用量でのエントレクチニブの投与を再開することとを含み、又は患者がグレード3の重症度の認知障害が認められる場合、患者の回復までエントレクチニブの投与を保留することと、及び初期用量若しくは低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は患者に認知障害の長期、重篤、若しくは耐えられない事象が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0588】
Para.KX.有害反応が胚-胎児毒性であり、患者が妊娠する場合、処置は、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することをさらに含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0589】
Para.KY.有害反応が失神であり、重度の有害反応は、少なくともグレード1の重症度の失神であり、患者の回復は、ベースラインまでの回復として判定され、患者に少なくともグレード1の重症度の失神の第1の事象が認められる場合、処置は、患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、及び低用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は、患者に少なくともグレード1の重症度の失神の再発が認められる場合、エントレクチニブをさらに低用量で投与すること;又はエントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0590】
Para.KZ.有害反応が間質性肺疾患であり、重度の有害反応は、少なくともグレード1の重症度の間質性肺疾患であり、患者の回復は、ベースラインまでの回復として判定され、患者にグレード1又はグレード2の重症度の失神の第1の事象が認められる場合、処置は、患者が回復するまでエントレクチニブの投与を保留することと、及び初期用量でエントレクチニブの投与を再開すること、又は、患者にグレード1若しくはグレード2の重症度の間質性肺疾患の再発が認められる場合、又は患者にグレード3若しくはグレード4の重症度の間質性肺疾患が認められる場合、エントレクチニブの投与を恒久的に中止することとを含む、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0591】
Para.LA.有害反応が、うっ血性心不全、中枢神経系(CNS)有害反応、骨折(例えば、骨格骨折)、肝毒性、高尿酸血症、QT間隔延長、視覚障害、貧血/好中球減少症、認知障害、トランスアミナーゼ上昇、又は胚胎児毒性である、Para.KAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0592】
Para.LB.初期用量が600mgであり1日1回経口投与され、低用量が400mgであり1日1回経口投与される、Para.JA~JF、JH~JW、JY、JZ、又はKA~LAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0593】
Para.LC.初期用量が100mgであり1日1回経口投与され、低用量が100mgであり週に5日間1日1回経口投与される、Para.JA~JF、JH~JW、JY、JZ、又はKA~LAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0594】
Para.LD.初期用量が200mgであり1日1回経口投与され、低用量が200mgであり週に5日間1日1回経口投与される、Para.JA~JF、JH~JW、JY、JZ、又はKA~LAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0595】
Para.LE.初期用量が300mgであり1日1回経口投与され、低用量が200mgであり1日1回経口投与される、Para.JA~JF、JH~JW、JY、JZ、又はKA~LAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0596】
Para.LF.初期用量が400mgであり1日1回経口投与され、低用量が300mgであり1日1回経口投与される、Para.JA~JF、JH~JW、JY、JZ、又はKA~LAの使用のためのエントレクチニブ又はその使用。
【0597】
特定の実施形態を図示及び説明したが、以下の特許請求の範囲に定義されるそのより広い態様の技術から逸脱することなく、当業者に従って変更及び修正を行うことができることを理解されたい。
【0598】
本明細書に例示的に記載された実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素(単数又は複数)、制限(単数又は複数)がない状態で適切に実施することができる。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、広範に、限定することなく読まれるものとする。さらに、本明細書において使用された用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、示されて説明された特徴の均等物又はその一部を除外する意図はないが、特許請求の範囲に記載された技術の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。さらに、「から本質的になる」という語句は、具体的に列挙された要素、及び特許請求の範囲に記載された技術の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素を含むと理解される。「からなる」という語句は、指定されていない要素を除外する。
【0599】
本開示は、本出願に記載された特定の実施形態に関して限定されるべきではない。当業者には明らかであるように、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形を行うことができる。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法及び組成物は、前述の説明から当業者には明らかであろう。そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきであり、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲を伴う。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、又は組成物に限定されず、当然のことながら変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語が特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定するようには意図されていないことも理解されたい。
【0600】
さらに、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載されている場合、当業者は、本開示がそれによってマーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーのサブグループに関しても記載されていることを認識するであろう。
【0601】
当業者によって理解されるように、ありとあらゆる目的のために、特に書面による説明を提供することに関して、本明細書に開示される全ての範囲は、ありとあらゆる可能な部分範囲及びその部分範囲の組合せも包含する。列挙された範囲はいずれも、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割することを十分に説明し、可能にするものとして容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で説明する各範囲は、下3分の1、中央3分の1、及び上3分の1などに容易に分割することができる。また、当業者によって理解されるように、「まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「より大きい(greater than)」、「より小さい(less than)」などの全ての言語は、列挙された数を含み、上記のように部分範囲に後で分割することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は個々のメンバーを含む。
【0602】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、発行された特許、及び他の文書は、あたかも各個々の刊行物、特許出願、発行された特許、又は他の文書がその全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる本文に含まれる定義は、本開示における定義と矛盾する範囲において除外される。
【0603】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に記載される。
【国際調査報告】