(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】少なくとも1つの保護層を有する光電子部品を導電接触させるための方法及びこのタイプの接触を有する光電子部品
(51)【国際特許分類】
H02S 40/34 20140101AFI20221020BHJP
H01L 31/042 20140101ALI20221020BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221020BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20221020BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20221020BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H02S40/34
H01L31/04 500
H05B33/14 A
H05B33/04
H05B33/02
H05B33/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510918
(86)(22)【出願日】2020-08-18
(85)【翻訳文提出日】2022-04-06
(86)【国際出願番号】 DE2020100720
(87)【国際公開番号】W WO2021032250
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】102019122213.3
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512286163
【氏名又は名称】ヘリアテク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HELIATEK GMBH
【住所又は居所原語表記】Treidlerstrasse 3, 01139 Dresden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリット, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】キルヒホーフ, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, ズザンネ
(72)【発明者】
【氏名】パーニケ, イングリッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジンガー, クリスティアン
【テーマコード(参考)】
3K107
5F151
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC21
3K107CC45
3K107DD17
3K107DD39
3K107DD44Z
3K107EE46
3K107EE57
3K107FF15
3K107GG14
3K107GG28
3K107GG42
5F151JA27
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの保護層(7)を有する光電子部品(10)を導電接触させるための方法に関し、この方法においては、a)少なくとも1つの保護層(7)を有する光電子部品(10)であって、少なくとも1つの保護層(7)の下に配置された少なくとも1つの母線(1)を有する光電子部品(10)が設けられ、b)レーザの波長範囲が8pm~12pmである少なくとも1つのレーザビームを使用したレーザアブレーションによって、少なくとも1つの保護層(7)内に少なくとも1つの開口(8)が形成され、少なくとも1つの保護層(7)の下に配置された少なくとも1つの母線(1)が少なくとも部分的に露出されることで、少なくとも1つの母線(1)が損傷されないようになっており、c)少なくとも1つの保護層(7)の少なくとも1つの開口(8)の中に低融点はんだ付けが導入され、少なくとも1つの母線(1)とは反対側の少なくとも1つの開口(8)の側で、可撓性導電性素子(2)が位置合わせされ、固定され、d)均一な入熱で誘導はんだ付けによって、少なくとも1つの開口(8)に導電性接続素子(11)が形成されることで、導電性素子(2)及び少なくとも1つの母線(1)が、少なくとも1つの接続素子(11)を介して導電接触されるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの保護層(7)を有する光電子部品(10)、特に、可撓性光電子部品(10)を導電接触させるための方法であって、以下の方法ステップ、すなわち、
a)前記少なくとも1つの保護層(7)を有する前記光電子部品(10)であって、前記少なくとも1つの保護層(7)よりも下に配置された少なくとも1つの母線(1)を有する前記光電子部品(10)を設けるステップと、
b)レーザの波長範囲が8μm~12μmである少なくとも1つのレーザビームを使用したレーザアブレーションによって、前記少なくとも1つの保護層(7)内に少なくとも1つの開口(8)を形成するステップであって、前記少なくとも1つの保護層(7)よりも下に配置された少なくとも1つの母線(1)が部分的に露出されることで、前記少なくとも1つの母線(1)が損傷されないようにするステップと、
c)前記少なくとも1つの保護層(7)の前記少なくとも1つの開口(8)の中に低融点はんだ付けを導入し、前記少なくとも1つの母線(1)とは反対側の前記少なくとも1つの開口(8)の側で、可撓性導電性素子(2)を位置合わせし、固定するステップと、
d)均一な入熱で誘導はんだ付けによって、前記少なくとも1つの開口(8)に導電性接続素子(11)を形成することで、前記導電性素子(2)及び前記少なくとも1つの母線(1)が、前記少なくとも1つの接続素子(11)を介して導電接触されるようにするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
ステップd)の後に、前記少なくとも1つの導電性素子(2)が、接続箱(3)であって、前記光電子部品(10)上に、好ましくは、前記光電子部品(10)の角部から距離を置いた領域に配置された前記接続箱(3)に導電接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)における前記少なくとも1つのレーザビームの前記レーザの媒質は、CO
2である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップc)において、はんだプリフォームが前記少なくとも1つの開口(8)の中に導入される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの開口(8)が、0.1~75mm
2の、好ましくは1~30mm
2の断面積を有するとともに、好ましくは、前記接続素子(11)の、前記少なくとも1つの母線(1)との接触面積、及び/又は前記導電性素子(2)との接触面積が、前記接続素子(11)に面する前記少なくとも1つの母線(1)の面積よりも小さい、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記接続素子(11)を形成するための前記低融点はんだ付けが、ビスマス、銅、銀及びスズ、並びにこれらの元素のうちの少なくとも1つの合金からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの接続材(9)、好ましくは接着剤が、前記少なくとも1つの保護層(7)と、前記少なくとも1つの母線(1)との間に配置されているとともに、ステップb)において、前記少なくとも1つの開口(8)が、前記少なくとも1つの保護層(7)内、及び前記少なくとも1つの保護層(7)上に配置された前記接続材(9)に形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記導電性素子(2)が、プレート又はストリップであって、好ましくは10μm~100μmの、好ましくは10μm~60μmの層厚を有する前記プレート又は前記ストリップとして具現化されているか、又は、ワイヤであって、好ましくは0.1mm
2~2mm
2の、好ましくは0.5mm
2~1mm
2の断面積を有する前記ワイヤとして具現化されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの母線(1)が、少なくとも1つの金属又はその合金で構成された、好ましくは銅及びスズで構成された金属層として具現化されているとともに、好ましくは前記少なくとも1つの母線(1)及び前記導電性素子(2)が、同じ材料から具現化されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記光電子部品(10)を導電接触させるための方法が、ロールツーロール法において使用される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
光電子部品(10)、特に、可撓性光電子部品(10)であって、少なくとも1つの保護層(7)を有し、且つ、前記少なくとも1つの保護層(7)よりも下に配置された少なくとも1つの母線(1)を有する光電子部品(10)であり、好ましくは請求項1~10のいずれか一項に記載の方法に従って生成された、少なくとも1つの導電接触を有する光電子部品(10)であり、前記少なくとも1つの導電接触が、導電性接続素子(11)によって前記少なくとも1つの母線(1)を可撓性導電性素子(2)に導電接触させるとともに、好ましくは接続箱(3)に導電接続されている光電子部品(10)。
【請求項12】
少なくとも1つの接続材(9)、好ましくは接着剤が、前記少なくとも1つの保護層(7)と、前記少なくとも1つの母線(1)との間に配置されている、請求項11に記載の光電子部品(10)。
【請求項13】
前記可撓性光電子部品(10)が、可撓性太陽電池であり、電極(6)と、対電極(5)と、少なくとも1つの光活性層を有する層システム(4)と、を有し、前記層システム(4)が、前記2つの電極(5、6)間に配置されているとともに、前記少なくとも1つの母線(1)が、前記電極(6)及び/又は前記対電極(5)で少なくとも部分的に導電接触されている、請求項11又は12に記載の光電子部品(10)。
【請求項14】
第1の母線(1)が前記少なくとも1つの電極(6)を導電接触させ、第2の母線(15)が前記少なくとも1つの対電極(5)を導電接触させ、前記第1の母線(1)が、第1の導電性素子(2)につながり、前記第2の母線(15)が、第2の導電性素子(16)につながり、好ましくは、前記2つの導電性素子(2、16)が、前記接続箱(3)に導電接続されている、請求項11~13のいずれか一項に記載の光電子部品(10)。
【請求項15】
前記接続箱(3)が、前記光電子部品の、好ましくは太陽電池の、意図した通りに太陽の方向に向いている側に配置され、前記導電性素子(2)が、前記光電子部品の、好ましくは太陽電池の、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側に配置されている、請求項11~14のいずれか一項に記載の光電子部品(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの保護層を有する光電子部品を導電接触させるための方法、及びこのタイプの接触を有する光電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
光電子工学は、光学及び半導体電子工学の分野で構成される。それは、特に、電子的に生成されたエネルギーの発光への変換、又は発光のエネルギーへの変換を可能にするシステム及び方法を包含している。光電子部品、特に、有機光起電力素子(OPV:organic photovoltaic element)及び有機発光ダイオード(OLED)は、電気エネルギーを生成するか、又は電気エネルギーを発光に変換するが、この電気エネルギーは、後で適用する目的で光起電力素子外へ送出するか、又は光起電力素子内に引き込まなければならない。それは、いわゆる母線を必要とし、可撓性光起電力素子の要件を満たさなければならない。母線は、光電子部品内に、変換されたエネルギーがそこに集中し、電流の形で伝達されるポイントを構成する。光起電力素子の分野では、光起電力素子の表面側又は裏面側で適用される母線が知られている。母線の断面寸法は、伝送される電流の強度に応じて決まる。しかしながら、外的影響から保護するために、特に、光起電力素子を機械的に、且つ、環境上の影響、例えば、湿気、又は酸素の拡散に対して保護するために、それらは通常、保護層が設けられているか、又は保護層に封入されている。母線は保護層よりも下に配置される。生成された電気エネルギーを光起電力素子から保護層を貫通させて送出するためには、保護層内に位置する母線は、保護層を貫通させて導電接触させなければならない。
【0003】
国際公開第2009/13468A1号パンフレットは、光電子部品を接触させるための方法を開示しており、同開示では、接触はドリル又はフライス削りによって行われている。この事例では、光電子部品を完全に積層化した後、積層の特定の領域が完全に貫通、又は除去され、露出した接触領域が外部からタップすることが可能な接続素子によって接触されている。
【0004】
独国特許出願公開第102007052972A1号明細書は、ポリマー支持体上の金属薄層、例えば、太陽電池を接続させるための方法であって、金属層を接続させるために、レーザビームを使用してポリマー層に開口を形成し、次に、金属薄層をリベット留めするための方法を開示している。この方法では、レーザは、エネルギーを変化させて使用され、ポリマー支持体フィルムの中へと開口を導入し、金属薄層をリベット留めするために加えられるレーザのエネルギーは、時間的に制御されている。
【0005】
特開2015154049A号公報は、太陽電池の表面側に保護層を、裏面側に保護層を有する可撓性薄膜太陽電池であって、接続素子と、この接続素子に接続された接続連結部と、を有する可撓性薄膜太陽電池を開示している。接続連結部は、電流を引き出す目的で太陽電池の側面に配置された接続端子であって、太陽電池の層厚に比べ、薄い厚さを有する接続端子に接続されている。
【0006】
米国特許出願公開第20110308562A1号明細書は、保護層を有する光起電力素子用の接続箱を開示しており、同開示では、接続箱は、保護層を突き抜けるように構成された接触ポイントを有することにより、保護層を有する光起電力素子との導電接触を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、先行技術に関する不利な点は、少なくとも1つの保護層を有する光電子部品を導電接触させるための既知の方法が、保護層の機能に悪影響を及ぼし、且つ/又はその下にある素子を少なくとも部分的に損傷させることである。さらに、既知の方法は、特に、光起電力素子を製造するためのロールツーロール法に適していない。
【0008】
したがって、本発明は、少なくとも1つの保護層を有する光電子部品を導電接触させるための方法を提供するという目的に基づくものであり、この方法では、上述した不利な点が生じず、特に、少なくとも1つの保護層を有する光電子部品の簡単で、信頼性の高い電気接触が、特に、ロールツーロール法において提供され、特に、少なくとも1つの保護層、及び/又はその下に配置された素子の機能が悪影響を受けず、これらは、特に、損傷を受けていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は独立特許請求項の主題によって実現される。有利な構成は、従属特許請求項から明らかである。
【0010】
この目的は、特に、少なくとも1つの保護層を有する光電子部品、特に、可撓性光電子部品を導電接触させるための方法を提供することによって実現される。方法は、以下の方法ステップ、すなわち、
a)少なくとも1つの保護層を有する光電子部品であって、少なくとも1つの保護層よりも下に配置された少なくとも1つの母線を有する光電子部品を設けるステップと、
b)レーザの波長範囲が8μm~12μmである少なくとも1つのレーザビームを使用したレーザアブレーションによって、少なくとも1つの保護層内に少なくとも1つの開口を形成するステップであって、少なくとも1つの保護層よりも下に配置された少なくとも1つの母線が部分的に露出されることで、少なくとも1つの母線が損傷されないようにするステップと、
c)少なくとも1つの保護層の少なくとも1つの開口の中に低融点はんだ付けを導入し、少なくとも1つの母線とは反対側の少なくとも1つの開口の側で、可撓性導電性素子を位置合わせし、固定するステップと、
d)均一な入熱で誘導はんだ付けによって、少なくとも1つの開口に少なくとも1つの導電性接続素子を形成することで、導電性素子及び少なくとも1つの母線が、少なくとも1つの接続素子を介して導電接触されるようにするステップと、
を含む。
【0011】
1つの好適な実施形態では、d)の後に、導電性素子は、少なくとも局部的に外側に向かって絶縁層で被覆される。
【0012】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの開口は、母線の、導電性素子との導電接触が可能であるようなやり方で、保護層内にレーザアブレーションによって形成される。
【0013】
1つの好適な実施形態では、ステップb)においてレーザアブレーションによって少なくとも1つの開口を形成するために、パラメータ、好ましくはエネルギー密度、パルス継続時間、パルス波形、パルス周波数、及び/又は少なくとも1つのレーザビームの波長は、少なくとも1つの保護層の材料及び層厚に応じて適合されている。
【0014】
1つの好適な実施形態では、連続レーザが使用される。1つの代替的に好適な実施形態では、パルスレーザが使用される。1つの好適な実施形態では、ステップb)におけるレーザのパルス継続時間は、60μs未満、好ましくは40μs未満、好ましくは20μs未満、好ましくは10μs未満、好ましくは8μs未満、好ましくは6μs未満、又は、好ましくは4μs未満である。
【0015】
1つの好適な実施形態では、ステップb)におけるレーザの波長範囲は、8μm~12μm、好ましくは9μm~12μm、好ましくは10μm~12μm、好ましくは11μm~12μm、好ましくは8μm~11μm、好ましくは8μm~10μm、好ましくは8μm~9μm、好ましくは9μm~11μm、好ましくは9μm~10μm、又は、好ましくは10μm~11μmである。
【0016】
1つの好適な実施形態では、ステップd)において誘導はんだ付けによって接続素子を形成するために、形成される接続素子の材料及び寸法に応じて、パラメータを適合させることで、誘導はんだ付けにより、少なくとも1つの母線と導電性素子とを導電接触させるための接続素子が確実に形成されるように、且つ、プロセス中に少なくとも1つの母線及び層システムを損傷しないようになっている。
【0017】
1つの好適な実施形態では、ステップb)におけるレーザアブレーションの間、及び/又はステップd)における誘導はんだ付けの間に、蒸発した材料が吸収によって抽出される。
【0018】
1つの好適な実施形態では、ステップb)におけるレーザアブレーションの場合の少なくとも1つのレーザビームのエネルギー密度が、少なくとも1つの保護層の除去深さに応じてアブレーションの間に適合される。
【0019】
1つの好適な実施形態では、ステップb)におけるレーザアブレーションのサイクル時間は、4秒未満、好ましくは2秒未満であり、且つ/又はステップd)における誘導はんだ付けのサイクル時間は、10秒未満、好ましくは4秒未満である。
【0020】
1つの好適な実施形態では、ステップb)において、少なくとも1つの開口は、光電子部品の、好ましくは太陽電池の、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側で、少なくとも1つの保護層の中に導入される。
【0021】
母線とは、呼び名の通り、特に、電気エネルギーの中央分配器として、好ましくは、少なくとも1つの電極及び/又は少なくとも1つの対電極と電気接触する目的で、入力ライン及び出力ラインに導電接続されている配置を意味すると理解される。母線は、特に、リボン、ストリップ、プレートのような平面状で、又は金属層として具現化されている。
【0022】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの母線は、10μm~500μmの、好ましくは100μm~500μmの、好ましくは10μm~200μmの、好ましくは10μm~100μmの、好ましくは10μm~50μmの、又は、好ましくは20μm~40μmの層厚を有する。
【0023】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの母線は、熱に対する低い吸収性、及び/又は少なくとも1つのレーザビームの波長の高い反射性を有することで、ステップb)におけるレーザアブレーションの間に、少なくとも1つの母線がわずかに加熱されるだけであるようになっている。
【0024】
光電子部品とは、特に、光起電力素子を意味すると理解される。
【0025】
光起電力素子とは、特に光起電力セル、特に太陽電池を意味すると理解される。光起電力素子は、好ましくは、直列に、又は並列に相互接続させることが可能な複数の光起電力セルから構築されている。複数の光起電力セルは、様々なやり方で、光電子部品内に配置及び/又は相互接続させることができる。
【0026】
1つの好適な実施形態では、光電子部品、特に、光起電力素子は、少なくとも1つの電極と、対電極と、少なくとも1つの光活性層を有する層システムと、を含み、層システムは、2つの電極間に配置されているとともに、少なくとも1つの母線は、電極及び/又は対電極で少なくとも部分的に導電接触されている。
【0027】
1つの好適な実施形態では、電極、層システム、及び対電極は、レーザ構造化されることで、電極及び/又は対電極が、各場合において、光電子部品の、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側から、又は各場合において、前記光電子部品の、意図した通りに太陽の方向に向いている側から、少なくとも1つの母線と導電接触可能であるようになっている。これにより、特に、少なくとも1つの母線を介して、光電子部品の1つの平面、特に、層システムの広がりに平行な平面上で異なる電位の導電接触が可能になる。1つの好適な実施形態では、2つの母線が電極及び/又は対電極に配置されており、第1の母線が第1の電位に割り当てられ、第2の母線が第2の電位に割り当てられている。
【0028】
1つの好適な実施形態では、光電子部品は可撓性光電子部品である。1つの好適な実施形態では、可撓性光電子部品は、可撓性光起電力素子、特に可撓性有機光起電力素子である。
【0029】
可撓性光電子部品とは、特に、特定の領域において曲げ可能及び/又は伸張可能な光電子部品を意味すると理解される。
【0030】
1つの好適な実施形態では、光起電力素子は、少なくとも1つの光活性層を有するセル、特に、CIS、CIGS、GaAs、若しくはSiセル、ペロフスカイトセル、又は有機光起電力素子(OPV)、いわゆる有機太陽電池を含む。有機光起電力素子とは、特に、少なくとも1つの有機光活性層を有する光起電力素子、特に、有機高分子光起電力素子又は小分子に基づく有機光起電力素子を意味すると理解される。ポリマーは、蒸発性ではないため、溶液からしか塗布することができないという事実によってそれと区別されるが、小分子は、通常、蒸発性であり、ポリマーのように溶液としてだけでなく、蒸発技術によって、特に、真空からの蒸発によってもまた塗布することができる。特に好ましくは、光起電力素子は、小分子に基づく可撓性有機光起電力素子である。
【0031】
1つの好適な実施形態では、層システムの光活性層は、真空中で蒸発性である小分子を含む。1つの好適な実施形態では、少なくとも層システムの光活性層は、真空中での気相成長によって塗布される。
【0032】
小分子とは、特に、100~2000g/モルの間の単分散モル質量を有する非有機高分子を意味すると理解され、それらは、標準圧力(我々を取り巻く大気の圧力)下で、且つ、室温で固相に存在する。特に、小分子は光活性である。なお、光活性であるとは、光入射を受けると、分子がその電荷の状態及び/又は分極状態を変化させることを意味すると理解される。
【0033】
保護層とは、特に、起こり得る外的影響、特に、大気中の酸素及び/又は湿気の通過を防止するためのバリア層、機械的耐久性、特に、引っかき抵抗性を高めるための保護層、及び/又はフィルタ層、好ましくはUVフィルタを有する層を意味すると理解される。
【0034】
保護層よりも下に配置された素子とは、特に、保護層が外的影響からその素子を保護するようなやり方で保護層に配置された素子を意味すると理解される。
【0035】
1つの好適な実施形態では、光電子部品は、光電子部品の表面側に少なくとも1つの保護層、及び裏面側に少なくとも1つの保護層を有する。1つの好適な実施形態では、表面側の少なくとも1つの保護層のうちの少なくとも1つは、裏面側の少なくとも1つの保護層のうちの1つに接着剤で接合されている。
【0036】
光電子部品の表面側とは、特に、光電子部品の、意図した通りに太陽の方向に向いている側を意味すると理解される。したがって、光電子部品の裏面側とは、特に、光電子部品の、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側を意味すると理解される。
【0037】
1つの好適な実施形態では、光電子部品は、少なくとも1つの保護層で構成された封入を有し、この封入が、光電子部品を拡散に対して気密に密閉、すなわち封止する。1つの好適な実施形態では、封入はポリマー封入である。
【0038】
1つの好適な実施形態では、光電子部品は、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側から、導電性素子と導電接触されている。
【0039】
1つの好適な実施形態では、導電性素子は、少なくとも1つの保護層の上に直接配置されている。1つの代替的に好適な実施形態では、導電性素子は、少なくとも1つの保護層上に塗布された導電接続層の上に配置されている。
【0040】
1つの好適な実施形態では、導電性素子は、交差接続子として具現化されている。
【0041】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの保護層と、導電性素子との間に、少なくとも部分的に、機能層、好ましくは色層、フィルタ層、及び/又は接着剤層が配置されている。1つの好適な実施形態では、機能層は、ロールツーロール法によって少なくとも1つの保護層に塗布されている。
【0042】
1つの好適な実施形態では、ステップc)及び/又はd)において、可撓性導電性素子が、少なくとも1つの母線とは反対側の少なくとも1つの開口の側で固定されている。
【0043】
1つの好適な実施形態では、ステップc)において、可撓性導電性素子が、少なくとも1つの母線とは反対側の少なくとも1つの開口の側で、固定テープ、好ましくは接着テープによって、固定されている。
【0044】
1つの好適な実施形態では、ステップc)及び/又はd)において、導電性素子が、少なくとも1つの母線とは反対側の少なくとも1つの開口の側で、加圧により固定されている。
【0045】
1つの好適な実施形態では、接続材、特に接着剤が、少なくとも1つの母線と、少なくとも1つの保護層との間に塗布され、好ましくは、少なくとも1つの保護層及び少なくとも1つの母線は、ポジティブロック式で接続されている。1つの好適な実施形態では、接続材は、可視光に対して少なくとも実質的に透光性を有する。
【0046】
1つの好適な実施形態では、光電子部品は、互いに上下に重なって配置された2つの保護層、好ましくは互いに上下に重なって配置された3つの保護層、又は、好ましくは互いに上下に重なって配置された4つの保護層を有する。1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの接続材、特に接着剤は、保護層間に配置されており、少なくとも1つの接続材のタイプは、個々の保護層で異なっている場合がある。
【0047】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの保護層は、好ましくはラッカー又はポリマーで構成されたフィルム又はコーティングから具現化されている。
【0048】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの保護層は、光電子部品の少なくとも1つの表面側フィルム及び少なくとも1つの裏面側フィルムから具現化されている。1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの保護層は、封入として具現化されている。
【0049】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの母線は、少なくとも1つの保護層によって被覆されることで、少なくとも1つの母線が、保護層を越えて延在しないように、したがって、少なくとも1つの保護層の外側のケーブルを介して電気的に接触できないようになっている。
【0050】
本発明との関連において、均一な入熱とは、特に、はんだ付け位置において可能な限り均等な温度分布を実現するために、特に、誘導はんだ付けの間に、すべての側から均一に加熱されるはんだ付け位置を意味すると理解される。
【0051】
本発明との関連において、低融点はんだ付けとは、特に、光電子部品の少なくとも電極及び層システムが損傷されない特定の温度未満で溶融するはんだ付けを意味すると理解され、好ましくは、低融点はんだ付けは、フラックスなしではんだ付けされる。
【0052】
本発明による、少なくとも1つの保護層を有する光電子部品を導電接触させるための方法は、先行技術に比べ、利点を有する。有利な点としては、簡単で、信頼性の高い光電子部品の導電接触が確実に得られる。有利な点としては、層システム及び/又は電極への損傷が回避される。有利な点としては、入熱を時間的にも熱的にも制限し、これにより、隣接する層システムへの損傷を回避する。有利な点としては、母線、特に、金属薄層として具現化された母線、並びに電極及び/又は対電極と、少なくとも1つの母線との間に配置された導電性接続材は、損傷されない。有利な点としては、少なくとも1つの保護層の拡散に対する気密は、低減されない。有利な点としては、方法は、特にコスト効率が良い。有利な点としては、方法は、ロールツーロール法において実施することが可能である。有利な点としては、非接触、且つ均一な入熱によって、少なくとも1つの母線と導電性素子との間の機械的ストレス、ひいては、亀裂の形成が回避される。有利な点としては、少なくとも1つの母線を接続箱に導電接触させるのにケーブルは必要ではない。有利な点としては、複数の母線、特に、複数の接続素子を、導電接触を介して接続させることができる。有利な点としては、光電子部品を導電接触させるのに必要な接続箱は、1つだけである。有利な点としては、短いサイクル時間で正確な繰り返し精度、及び高度な自動化が可能である。有利な点としては、接続箱は、光電子部品の様々な領域で容易に組み込むことができる。有利な点としては、接続箱を組み込む場合に起こり得る弱点の数が減る。有利な点としては、光起電力素子は、このような接触を用いて、ポジティブロック式で表面にしっかり固定させることができる。
【0053】
本発明の1つの発展形態によれば、ステップd)の後に、少なくとも1つの導電性素子は、接続箱に導電接続され、接続箱は、光電子部品上に、好ましくは、光電子部品の角部から距離を置いた領域に配置されることが提供される。
【0054】
1つの好適な実施形態では、接続箱は、光電子部品の表面上に直接配置されている。
【0055】
1つの好適な実施形態では、接続箱は、少なくとも1つの保護層のエッジ、及び/又は光電子部品の封入に配置されている。1つの好適な実施形態では、接続箱は、光電子部品の表面に接着剤で接合されている。
【0056】
接続箱とは、特に、光電子部品を電気回路に接続させるための素子を意味すると理解される。接続箱は、特に、光電子部品の少なくとも1つの保護層よりも下に配置された少なくとも1つの母線を、電気回路に導電接続させるのに役立つ。
【0057】
1つの好適な実施形態では、接続箱は、光電子部品の、層システムのない領域、特に、光活性層のない領域に配置されている。その結果、光活性層の劣化プロセスが回避される。
【0058】
本発明の1つの発展形態によれば、ステップb)における少なくとも1つのレーザビームのレーザの媒質は、CO2であることが提供される。
【0059】
本発明の1つの発展形態によれば、ステップc)において、はんだプリフォームが少なくとも1つの開口の中に導入されることが提供される。1つの好適な実施形態では、はんだプリフォームは、低融点はんだ付けから形成される。
【0060】
本発明の1つの発展形態によれば、少なくとも1つの開口は、0.1~75mm2の、好ましくは1~30mm2の断面積を有するとともに、好ましくは、接続素子の、少なくとも1つの母線との接触面積、及び/又は導電性素子との接触面積が、接続素子に面する母線の面積よりも小さいことが提供される。
【0061】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの開口は、0.1~75mm2の、好ましくは0.1~30mm2の、好ましくは1~75mm2の、好ましくは1~30mm2の、好ましくは1~10mm2の、好ましくは0.1~10mm2の、好ましくは20~50mm2の、又は、好ましくは10~30mm2の断面積を有する。
【0062】
1つの好適な実施形態では、開口は円形状に形成されているが、1つの代替的に好適な実施形態では、開口は、異なる多角形状又は楕円形状、特に、正方形状、三角形状、六角形状、又は八角形状に形成することができる。
【0063】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの開口は、10μm~5mmの、好ましくは100μm~5mm、1mm~5mmの、好ましくは1mm~2mmの、好ましくは10μm~1mmの、好ましくは100μm~1mmの、又は、好ましくは10μm~100μmの直径を有する。
【0064】
1つの好適な実施形態では、接続素子は、0.1~75mm2の、好ましくは0.1~30mm2の、好ましくは1~75mm2の、好ましくは1~30mm2の、好ましくは1~10mm2の、好ましくは0.1~10mm2の、好ましくは20~50mm2の、又は、好ましくは10~30mm2の断面積を有する。
【0065】
1つの好適な実施形態では、接続素子は円形状に形成されているが、1つの代替的に好適な実施形態では、開口は、異なる多角形状又は楕円形状、特に、正方形状、三角形状、六角形状、又は八角形状に形成することができる。
【0066】
1つの好適な実施形態では、接続素子は、10μm~5mmの、好ましくは100μm~5mmの、好ましくは1mm~5mmの、好ましくは1mm~2mmの、好ましくは10μm~1mmの、好ましくは100μm~1mmの、又は、好ましくは10μm~100μmの直径を有する。
【0067】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの開口の断面積は、接続素子の断面積に少なくとも実質的に対応する。
【0068】
本発明の1つの発展形態によれば、接続素子を形成するための低融点はんだ付けは、ビスマス、銅、銀及びスズ、並びにこれらの元素のうちの少なくとも1つの合金からなる群から選択されることが提供される。1つの特に好適な実施形態では、接続素子を形成するための低融点はんだ付けは、スズ及びビスマス、又はその合金から、好ましくはスズ、ビスマス、銅及び銀から形成される。1つの好適な実施形態では、低融点はんだ付けは、重量で最大5%の、好ましくは重量で最大2%の量のさらなる元素の汚染物質を有する。
【0069】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの保護層は、フィルム、特に、透光性を有するフィルムから具現化されている。1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの保護層は、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)から具現化されている。
【0070】
本発明の1つの発展形態によれば、少なくとも1つの接続材、好ましくは、接着剤は、少なくとも1つの保護層と、少なくとも1つの母線との間に配置されるとともに、ステップb)において、少なくとも1つの開口が、少なくとも1つの保護層内、及び少なくとも1つの保護層上に配置された接続材に形成されることが提供される。
【0071】
1つの好適な実施形態では、接続材は、ポジティブロック式で少なくとも1つの保護層及び/又は少なくとも1つの母線に接続されている。1つの好適な実施形態では、接続材は、少なくとも実質的に透光性を有する接着剤である。
【0072】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの母線の、導電性素子との導電接触、及び導電性素子の、接続箱との導電接触は、ケーブルなしで実施される。1つの代替的に好適な実施形態では、導電性素子の、接続箱との導電接触は、少なくとも1つのケーブルを介して実施される。
【0073】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの保護層は、10μm~500μmの、好ましくは100μm~500μmの、好ましくは10μm~100μmの、好ましくは10μm~50μmの、又は、好ましくは20μm~40μmの層厚を有する。
【0074】
本発明の1つの発展形態によれば、導電性素子は、プレート又はストリップであって、好ましくは10μm~100μmの、好ましくは10μm~60μmの層厚を有するプレート又はストリップとして具現化されるか、又は、ワイヤであって、好ましくは0.1mm2~2mm2の、好ましくは0.5mm2~1mm2の断面積を有するワイヤとして具現化されることが提供される。
【0075】
1つの好適な実施形態では、導電性素子は、10μm~500μmの、10μm~200μmの、好ましくは100μm~200μmの、好ましくは10μm~100μmの、好ましくは10μm~60μmの、又は、好ましくは20μm~40μmの層厚を有する。
【0076】
1つの好適な実施形態では、導電性素子は、0.1mm2~2mm2の、好ましくは0.1mm2~1.5mm2、好ましくは0.2mm2~1.5mm2の、好ましくは0.5mm2~1.5mm2の、好ましくは0.2mm2~1mm2の、又は、好ましくは0.5mm2~1mm2の断面積を有する。
【0077】
本発明の1つの発展形態によれば、少なくとも1つの母線は、少なくとも1つの金属又はその合金で構成された、好ましくは銅及びスズで構成された金属層として具現化されるとともに、好ましくは、少なくとも1つの母線及び導電性素子が同じ材料から具現化されていることが提供される。
【0078】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの母線は、接続素子に密着させて接続され、且つ/又は導電性素子は、接続素子に密着させて接続される。
【0079】
1つの好適な実施形態では、ステップd)において誘導はんだ付けした後に、接続素子を有する開口内及び/又は開口上に、封止材が塗布されることで、接続素子を有する少なくとも1つの開口が封止されるようになっている。
【0080】
本発明の1つの発展形態によれば、ステップd)の後に、少なくとも1つの導電性素子は、接続箱であって、光電子部品上に配置された接続箱に導電接続されることが提供される。
【0081】
1つの好適な実施形態では、ステップd)の後に、少なくとも1つの保護層を有する光電子部品の導電性素子に接続箱を導電接続させる目的で、ステップe)において、レーザの波長範囲が8μm~12μmである少なくとも1つのレーザビームを使用したレーザアブレーションによって、少なくとも1つの保護層内に、好ましくは、少なくとも1つの保護層を有する光電子部品の、意図した通りに太陽の方向に向いている側から、ステップd)において得られた導電性素子との少なくとも1つの接続開口が形成され、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側の少なくとも1つの保護層の背後に配置された導電性素子が、少なくとも部分的に露出されることで、導電性素子が損傷されないようになっている。
【0082】
1つの代替的に好適な実施形態では、ステップe)において、少なくとも1つの接続開口は、光電子部品の、好ましくは太陽電池の、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側で、導電性素子の絶縁層の中に導入される。
【0083】
関連するパラメータを用いたステップe)におけるレーザアブレーションの実施は、ステップb)のそれに実質的に相当する。
【0084】
1つの好適な実施形態では、ステップe)においてレーザアブレーションによって少なくとも1つの接続開口を形成する目的で、パラメータ、好ましくはエネルギー密度、パルス継続時間、パルス波形、パルス周波数、及び/又は少なくとも1つのレーザビームの波長は、少なくとも1つの保護層の材料及び層厚に応じて適合されている。
【0085】
1つの好適な実施形態では、ステップe)における少なくとも1つのレーザビームのレーザの媒質は、CO2である。
【0086】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの接続開口は、0.1~75mm2の、好ましくは1~40mm2の、又は、好ましくは1~30mm2の断面積を有する。
【0087】
1つの好適な実施形態では、ステップf)において、ステップe)において形成された少なくとも1つの保護層の少なくとも1つの接続開口の中にはんだ付けが導入され、接続箱は、導電性素子とは反対側の少なくとも1つの接続開口の側で、位置合わせ、及び固定され、ステップg)において、誘導はんだ付けによって、少なくとも1つの接続開口に導電性接続素子が形成されることで、導電性素子及び接続箱が、少なくとも1つの接続素子を介して導電接触されるようになっている。
【0088】
1つの好適な実施形態では、接続箱は、ステップf)及び/又はステップg)において導電性素子とは反対側の少なくとも1つの接続開口の側で固定される。
【0089】
1つの好適な実施形態では、ステップe)において、少なくとも1つの接続開口は、光電子部品の、好ましくは太陽電池の、意図した通りに太陽の方向に向いている側で、少なくとも1つの保護層の中に導入される。
【0090】
1つの好適な実施形態では、ステップg)において誘導はんだ付けによって接続素子を形成する目的で、パラメータが、形成される接続素子の材料及び寸法に応じて適合される。
【0091】
1つの好適な実施形態では、ステップf)において、はんだプリフォームが少なくとも1つの開口の中に導入される。1つの好適な実施形態では、接続箱は、はんだプリフォームを有する。1つの代替的に好適な実施形態では、接続箱、特に、接続箱の接続線は、ステップg)において接続素子に密着させて接続される。
【0092】
1つの好適な実施形態では、接続素子は、0.1~75mm2の、好ましくは1~40mm2の、又は、好ましくは1~30mm2の断面積を有する。
【0093】
1つの好適な実施形態では、接続素子を形成するためのはんだ付けは、ビスマス、銅、銀、及びスズ、並びにこれらの元素のうちの少なくとも1つの合金からなる群から選択される。
【0094】
1つの好適な実施形態では、導電性素子及び接続箱は、接続素子を介して直接導電接触され、特に、導電接触の目的で、導電性素子と、接続箱との間に追加のケーブルは配置されない。
【0095】
1つの好適な実施形態では、ステップg)において誘導はんだ付けした後に、接続素子を有する接続開口内及び/又は接続開口上に、封止材が塗布及び/又は導入されることで、接続素子を有する少なくとも1つの接続開口が封止されるようになっており、好ましくは、封止材は、シリコーン及び/又は樹脂である。
【0096】
1つの代替的に好適な実施形態では、接続箱は、プラグ接続によって導電性素子に導電接続されている。その結果、接続箱は、光電子部品に、特に、光電子部品の設置位置に、特に容易に可逆的に設置することができる。
【0097】
1つの好適な実施形態では、接続箱はダイオードを有する。
【0098】
有機光起電力素子、特に、有機太陽電池は、少なくとも1つの光活性層を含む連続した薄層で構成されており、この薄層は、好ましくは真空中での気相成長によって塗布されるか、又は溶液から加工処理される。電気的連結は、金属層、透明導電性酸化物及び/又は透明導電性高分子によって行うことができる。有機層の真空気相成長は、特に、多層の太陽電池、特に、タンデム(二層)セル又はトリプル(三層)セルを製造する際に有利である。
【0099】
1つの好適な実施形態では、光起電力素子、特に、有機光起電力素子は、少なくとも1つのセルから具現化されている。1つの好適な実施形態では、セルはシングル(単層)セル、タンデム(二層)セル、又は多層セルである。少なくとも2つのセルで構成されたタンデムセル及び多層セルが、電極間に互いに上下に重なって配置され、各セルは、少なくとも1つの光活性層を有する。
【0100】
1つの好適な実施形態では、光起電力素子の複数のセルが、互いに隣接した接点を有するストリップとして配置され、直列に相互接続されている。好ましくは、この場合、各セルは、自身の電極及び対電極を有する。直列接続は、隣のセルの対電極に電気的に接続されている1つのセルの電極によって行われる。
【0101】
1つの好適な実施形態では、外的影響の結果として生じる劣化を最小限に抑えるために、光電子部品は、追加でバリア層が設けられ、且つ/又は、バリア層に追加で封入されている。
【0102】
本発明の1つの発展形態によれば、光電子部品を導電接触させるための方法がロールツーロール法において使用されることが提供される。
【0103】
本発明の目的は、少なくとも1つの保護層を有し、且つ、この少なくとも1つの保護層よりも下に配置された少なくとも1つの母線を有する光電子部品であって、好ましくは本発明による方法に従って、特に、上述した例示的な実施形態のうちの1つに従って製造された光電子部品、特に、可撓性光電子部品を提供することによってもまた実現される。この場合、光電子部品は、少なくとも1つの導電接触を有し、この少なくとも1つの導電接触は、導電性接続素子によって、少なくとも1つの母線を可撓性導電性素子に導電接触させ、光電子部品は、好ましくは接続箱に接続されている。この場合、特に、少なくとも1つの保護層を有する光電子部品を導電接触させるための方法に関連して既に述べた利点が、光電子部品にもたらされる。
【0104】
1つの好適な実施形態では、導電性素子は、少なくとも1つの保護層上に直接配置されている。1つの代替的に好適な実施形態では、導電性素子は、少なくとも1つの保護層上に塗布された接続層の上に配置されている。
【0105】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの母線は、電極又は対電極上に配置されている。1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの母線は、光電子部品の、特に、光起電力素子の、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側に配置されている。
【0106】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの母線は、光起電力素子の負極及び正極を含む2つの極を接続ポイントにつなげる層システムの、少なくとも実質的に幅又は長さにわたって配置されている。
【0107】
1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの母線は、電極又は対電極に直接適用されている。1つの代替的に好適な実施形態では、導電層は、少なくとも1つの母線と、電極又は対電極との間に配置されている。
【0108】
本発明の1つの発展形態によれば、少なくとも1つの接続材、好ましくは接着剤が、少なくとも1つの保護層と、少なくとも1つの母線との間に配置されるとともに、少なくとも1つの開口が、少なくとも1つの保護層内、及び少なくとも1つの保護層上に配置された接続材に形成されることが提供される。1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの接続材は、少なくとも1つの保護層の広がり全体にわたって配置されている。
【0109】
本発明の1つの発展形態によれば、可撓性光電子部品は、可撓性太陽電池であり、電極と、対電極と、少なくとも1つの光活性層を有する層システムと、を有し、層システムが、2つの電極間に配置されているとともに、少なくとも1つの母線が、電極及び/又は対電極で少なくとも部分的に導電接触されていることが提供される。
【0110】
本発明の1つの発展形態によれば、第1の母線が少なくとも1つの電極に導電接触し、第2の母線が少なくとも1つの対電極に導電接触しており、第1の母線は、第1の導電性素子につながり、第2の母線は、第2の導電性素子につながり、好ましくは、2つの導電性素子は、接続箱に導電接続されていることが提供される。
【0111】
1つの好適な実施形態では、接続箱は、光電子部品のエッジから距離を置いた領域に配置されている。1つの代替的に好適な実施形態では、接続箱は、少なくとも1つの保護層のエッジに、及び/又は光電子部品の封入に配置されている。
【0112】
1つの好適な実施形態では、接続箱は、太陽電池の表面側に、特に、太陽電池のエッジの領域に配置されている。本発明の1つの代替的な実施形態では、接続箱は、太陽電池の表面側に、特に、光電子部品の層システムから距離を置いた領域に配置されている。
【0113】
1つの好適な実施形態では、接続箱は、太陽電池の、意図した通りに太陽の方向に向いている側に配置されている。1つの代替的に好適な実施形態では、接続箱は、太陽電池の、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側に配置されている。
【0114】
1つの好適な実施形態では、導電性素子は、少なくとも2つの母線、好ましくは異なるセルの母線を導電接続させ、それらを接続箱につなげる。
【0115】
本発明の1つの発展形態によれば、接続箱は、光電子部品の、好ましくは太陽電池の、太陽の方向に向いている側に配置され、導電性素子は、光電子部品の、好ましくは太陽電池の、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側に配置されていることが提供される。
【0116】
以下に、図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【
図1】少なくとも1つの保護層を有する光電子部品を導電接触させるための方法の1つの例示的な実施形態を流れ図で概略的に示したものである。
【
図2】導電接触されている保護層を有する光電子部品の1つの例示的な実施形態を側面図で概略的に示したものである。
【
図3】導電接触されている保護層を有する光電子部品の2つの例示的な実施形態を平面図で概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0118】
例示的な実施形態
図1は、少なくとも1つの保護層7を有する光電子部品10を導電接触させるための方法の1つの例示的な実施形態を流れ図で概略的に示したものである。光電子部品10、特に、光起電力素子は、少なくとも1つの電極6と、対電極5と、少なくとも1つの光活性層を有する層システム4と、を含み、層システム4は、2つの電極5、6間に配置されているとともに、少なくとも1つの母線1は、電極6及び/又は対電極5で少なくとも部分的に導電接触されている。
【0119】
少なくとも1つの保護層7を有する光電子部品10、特に、可撓性光電子部品10を導電接触させるための方法は、以下の方法ステップ、すなわち、a)少なくとも1つの保護層7を有する光電子部品10であって、少なくとも1つの保護層7よりも下に配置された少なくとも1つの母線1を有する光電子部品10を設けるステップと、b)レーザの波長範囲が8μm~12μmである少なくとも1つのレーザビームを使用したレーザアブレーションによって、少なくとも1つの保護層7内に少なくとも1つの開口8を形成するステップであって、少なくとも1つの保護層7よりも下に配置された少なくとも1つの母線1が部分的に露出されることで、少なくとも1つの母線1が損傷されないようにするステップと、c)少なくとも1つの保護層7の少なくとも1つの開口8の中に低融点はんだ付けを導入し、少なくとも1つの母線1とは反対側の少なくとも1つの開口8の側で、可撓性導電性素子2を位置合わせし、固定するステップと、d)均一な入熱で誘導はんだ付けによって、少なくとも1つの開口8に導電性接続素子11を形成することで、導電性素子2及び少なくとも1つの母線1が、少なくとも1つの接続素子11を介して導電接触されるようにするステップと、を含む。
【0120】
その結果、簡単で、信頼性の高い導電接触が確実に得られる。さらに、敏感な層システム及び/又は電極への損傷が回避される。有利な点としては、母線、特に、金属薄層として具現化された母線、並びに電極及び/又は対電極と、少なくとも1つの母線との間に配置された導電性接続材は、損傷されない。有利な点としては、入熱を時間的にも熱的にも制限し、これにより、隣接した層システムへの損傷を回避する。有利な点としては、複数の接続素子、特に、複数の母線を、導電接触を介して接続させることができる。有利な点としては、方法は、ロールツーロール法において実施可能である。
【0121】
少なくとも1つの母線及び層システム4に損傷を与えずに母線1を露出させるために、レーザアブレーションのパラメータ、特に、エネルギー密度、パルス継続時間、パルス波形、パルス周波数、及び/又は少なくとも1つのレーザビームの波長は、保護層7のレーザアブレーションにより、保護層7が確実に除去されるようなやり方で、少なくとも1つの保護層7の材料及び層厚に応じて設定される。
【0122】
誘導はんだ付けのパラメータは、誘導はんだ付けにより、少なくとも1つの母線1と導電性素子2とを導電接触させるための接続素子11が確実に形成されるとともに、プロセス中に少なくとも1つの母線1及び層システム4を損傷しないようなやり方で、形成される接続素子11の材料及び寸法に応じて設定される。
【0123】
本発明の1つの構成では、電極6、対電極5、及び層システム4は、レーザ構造化されることで、電極6及び/又は対電極5が、少なくとも1つの母線1と、各場合において、光電子部品10の、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側から、又は各場合において、前記光電子部品の、意図した通りに太陽の方向に向いている側から導電接触が可能であるようになっている。これにより、特に、少なくとも1つの母線1を介して、光電子部品10の1つの平面上、特に、層システム4の広がりに平行な平面上で異なる電位の導電接触が可能になる。本発明の1つの構成では、2つの母線1が、電極6及び/又は対電極5に配置されている。
【0124】
本発明の1つの構成では、ステップd)の後に、少なくとも1つの導電性素子2は、接続箱3に導電接続され、この接続箱3は、光電子部品10上に、好ましくは、光電子部品10の角部から距離を置いた領域に配置される。
【0125】
本発明のさらなる構成では、ステップb)における少なくとも1つのレーザビームのレーザの媒質は、CO2である。
【0126】
本発明のさらなる構成では、ステップc)において、はんだプリフォームが少なくとも1つの開口8の中に導入される。
【0127】
本発明のさらなる構成では、少なくとも1つの開口8は、0.1~75mm2の、好ましくは1~30mm2の断面積を有するとともに、好ましくは、接続素子11の、少なくとも1つの母線1との接触面積、及び/又は導電性素子2との接触面積が、接続素子11に面する少なくとも1つの母線1の面積よりも小さい。
【0128】
本発明のさらなる構成では、少なくとも1つの開口の断面積は、接続素子の断面積に対応する。
【0129】
本発明のさらなる構成では、接続素子11を形成するための低融点はんだ付けは、ビスマス、銅、銀及びスズ、並びにこれらの元素のうちの少なくとも1つの合金からなる群から選択される。
【0130】
本発明のさらなる構成では、少なくとも1つの接続材9、好ましくは、接着剤は、少なくとも1つの保護層7と、少なくとも1つの母線1との間に配置されるとともに、ステップb)において、少なくとも1つの開口8が、少なくとも1つの保護層7内、及び少なくとも1つの保護層7上に配置された接続材9に形成される。
図2に図示されている接続材9は、追加で代替的に具現化されたものである。
【0131】
本発明のさらなる構成では、導電性素子2は、プレート又はストリップであって、好ましくは10μm~100μmの、好ましくは10μm~60μmの層厚を有するプレート又はストリップとして具現化されているか、又は、ワイヤであって、好ましくは0.1mm2~2mm2の、好ましくは0.5mm2~1mm2の断面積を有するワイヤとして具現化されている。
【0132】
本発明のさらなる構成では、少なくとも1つの母線1は、少なくとも1つの金属又はその合金で構成された、好ましくは銅及びスズで構成された金属層として具現化されるとともに、好ましくは、少なくとも1つの母線1及び導電性素子2が同じ材料から具現化されている。
【0133】
本発明のさらなる構成では、ステップd)の後に、導電性素子2は、少なくとも局部的に外側に向かって絶縁層13で被覆される。
【0134】
本発明のさらなる構成では、少なくとも1つの保護層7を有する光電子部品10の導電性素子2に接続箱3を導電接続させる目的で、ステップd)の後、ステップe)において、レーザの波長範囲が8μm~12μmである少なくとも1つのレーザビームを使用したレーザアブレーションによって、少なくとも1つの保護層7内に、好ましくは、少なくとも1つの保護層7を有する光電子部品10の、意図した通りに太陽の方向に向いている側から、ステップd)において得られた導電性素子2との少なくとも1つの接続開口が形成され、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側の少なくとも1つの保護層7の背後に配置された導電性素子2が、少なくとも部分的に露出されることで、導電性素子2が損傷されないようになっている。
【0135】
本発明のさらなる構成では、ステップf)において、ステップe)において形成された少なくとも1つの保護層7の少なくとも1つの接続開口の中にはんだ付けが導入され、接続箱3は、導電性素子2とは反対側の少なくとも1つの接続開口の側で、位置合わせ、及び固定され、ステップg)において、誘導はんだ付けによって、少なくとも1つの接続開口に導電性接続素子12が形成されることで、導電性素子2及び接続箱3が、少なくとも1つの接続素子12を介して導電接触されるようになっている。
【0136】
本発明のさらなる構成では、方法は、ロールツーロール法において光電子部品10を導電接触させるために使用される。
【0137】
図2は、導電接触されている保護層7を有する光電子部品10の1つの例示的な実施形態を側面図で概略的に示したものである。同一の素子、及び機能的に同一の素子には同じ参照符号が付されているため、この点に関しては、上述の説明を参照されたい。光電子部品10、特に、可撓性光電子部品10は、少なくとも1つの保護層7と、光電子部品10の少なくとも1つの保護層7よりも下に配置された少なくとも1つの母線1と、を有する。さらに、光電子部品10は、少なくとも1つの保護層7を有する光電子部品10を導電接触させるための、特に、本発明による方法に従って生成された少なくとも1つの導電接触を有し、この少なくとも1つの導電接触が、導電性接続素子11によって、少なくとも1つの母線1を可撓性導電性素子2と導電接触させる。
【0138】
本発明の1つの構成では、少なくとも1つの導電性素子2は、接続箱3に導電接続されており、この接続箱3は、光電子部品10上に配置されている。
【0139】
本発明の1つの構成では、接続箱3は、光電子部品10の角部から距離を置いた領域に配置されている。
【0140】
本発明のさらなる構成では、少なくとも1つの接続材9、好ましくは接着剤は、少なくとも1つの保護層7と、少なくとも1つの母線1との間に配置されている。
【0141】
本発明のさらなる構成では、少なくとも1つの保護層7と、導電性素子2との間に、少なくとも部分的に、機能層14、好ましくは色層、フィルタ層、及び/又は接着剤層が配置されている。
【0142】
本発明のさらなる構成では、可撓性光電子部品10は、可撓性太陽電池であり、電極6と、対電極5と、少なくとも1つの光活性層を有する層システム4と、を含み、層システム4は、2つの電極5、6間に配置されているとともに、少なくとも1つの母線1が、電極6及び/又は対電極5で少なくとも部分的に導電接触されている。2つの電極5、6、及びそれらの間に配置された層システム4は、太陽電池の基本構造を構成している。層システム4は、様々なやり方で具現化することができ、特に、様々な数の吸収材、及び/又は様々な数の光活性層を含むことができる。光電子部品10の製造、特に、層システム4を有する光起電力素子の製造は、例えば、コーティング又はプリンティングの場合のように、キャリヤーガスの有無を問わず、真空中での蒸発、又は溶液若しくは懸濁液からの処理によって、実施することができる。個々の層も同様に、スパッタリングによって塗布することができる。真空中で小分子を蒸発させることにより層を生成することが優先される。
【0143】
本発明のさらなる構成では、第1の母線1が少なくとも1つの電極6を導電接触させ、第2の母線15が少なくとも1つの対電極5を導電接触させ、第1の母線1は、第1の導電性素子2につながり、第2の母線15は、第2の導電性素子16につながり、好ましくは、2つの導電性素子2、16は、接続箱3に導電接続されている。
【0144】
本例示的な実施形態では、光電子部品10は、可撓性光電子部品10、特に、可撓性太陽電池である。可撓性太陽電池は、特に、小分子に基づく少なくとも1つの光活性層を有する有機太陽電池である。ただし、他の可撓性有機太陽電池を使用することもまた想定可能である。
【0145】
本発明のさらなる構成では、接続箱3は、光電子部品10の、好ましくは太陽電池の、意図した通りに太陽の方向に向いている側に配置され、導電性素子2は、光電子部品10の、好ましくは太陽電池の、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側に配置されている。
【0146】
本発明のさらなる構成では、少なくとも1つの保護層7と、導電性素子2との間に、少なくとも部分的に、機能層14、好ましくは色層、フィルタ層、及び/又は接着剤層が配置されている場合がある。
【0147】
図3は、導電接触されている保護層7を有する光電子部品10の2つの例示的な実施形態を平面図で概略的に示したものである。同一の素子、及び機能的に同一の素子には同じ参照符号が付されているため、この点に関しては、上述の説明を参照されたい。
【0148】
これらの例示的な実施形態では、2つの母線1、15が、電極6及び/又は対電極5上に配置されており、第1の母線1が第1の電位に割り当てられ、第2の母線15が第2の電位に割り当てられている。電極6、対電極5、及び層システム4は、レーザ構造化され、電極6及び/又は対電極5は、各場合において、光電子部品10の、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側から、又は各場合において、前記光電子部品の、意図した通りに太陽の方向に向いている側から母線1、15と導電接触されている。
【0149】
第1の例示的な実施形態(
図3A)では、2つの導電接触が存在しており、それらは、本発明による、少なくとも1つの保護層7を有する光電子部品10を導電接触させるための方法による、ステップa)~d)に従って生成されている。この場合、母線1が接続素子11を介して導電性素子2に導電接続され、母線15が接続素子11を介して導電性素子16に導電接続されている。本発明の1つの構成では、導電性素子2、16は、少なくとも局部的に外側に向かって絶縁層13で被覆される。さらに、接続箱3を導電性素子2、16に導電接続させる目的で、好ましくは、少なくとも1つの保護層を有する光電子部品10の、意図した通りに太陽の方向に向いている側から、ステップe)に従って、少なくとも1つの保護層7内に、レーザの波長範囲が8μm~12μmである少なくとも1つのレーザビームを使用したレーザアブレーションによって、2つの接続開口が形成されている。その結果、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側の少なくとも1つの保護層7の背後に配置された導電性素子2、16が部分的に露出されることで、導電性素子2、16が損傷されないようになっている。少なくとも1つの保護層7の2つの接続開口の中に、ステップf)及びg)に従って、導電性接続素子12が2つの接続開口に形成されていることで、導電性素子2、16、及び接続箱3が、2つの接続素子12を介して導電接触されるようになっている。平面図に見られるように、接続箱3は、部分的に少なくとも1つの保護層7の背後に位置している。
【0150】
第2の例示的な実施形態(
図3B)では、2つの導電接触が存在しており、それらは、本発明による、少なくとも1つの保護層7を有する光電子部品10を導電接触させるための方法による、ステップa)~d)に従って生成されている。この場合、母線1が接続素子11を介して導電性素子2に導電接続され、母線15が接続素子11を介して導電性素子16に導電接続されている。本発明の1つの構成では、導電性素子2、16は、少なくとも局部的に外側に向かって絶縁層13で被覆される。導電性素子2、16は、ワイヤ又は細いストリップの形で具現化されており、光電子部品10の表面上を接続箱3までつながれ、接続箱3に導電接続されている。
【0151】
本発明の1つの構成では、導電性素子2、16は、少なくとも局部的に外側に向かって絶縁層13で被覆される。導電性素子2、16は、光電子部品10の、意図した通りに太陽から離れる方向に向いている側の接続箱3までつながっている。或いは、導電性素子2、16は、ステップe)~g)に従って、少なくとも1つの保護層7のエッジ領域、特に、層システム4がその上に配置されていない領域を通して、光電子部品10の、意図した通りに太陽の方向に向いている側までつながること、及び/又はそこで接続箱3に導電接続させることもまた想定可能である。平面図に見られるように、接続箱3は、部分的に少なくとも1つの保護層7の背後に位置している。
【国際調査報告】