(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】コーティング材料組成物の回転霧化を監視するための装置
(51)【国際特許分類】
B05B 3/10 20060101AFI20221020BHJP
B05D 1/04 20060101ALI20221020BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20221020BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20221020BHJP
B05B 5/04 20060101ALI20221020BHJP
B05B 12/08 20060101ALI20221020BHJP
G01N 11/14 20060101ALN20221020BHJP
【FI】
B05B3/10 B
B05D1/04 A
B05D3/00 D
B05D3/06 Z
B05B5/04 A
B05B12/08
G01N11/14 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511254
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020073275
(87)【国際公開番号】W WO2021032812
(87)【国際公開日】2021-02-25
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ホルツァペル,ヤン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッガー,ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ブリーゼニック,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シェファー,カイ
(72)【発明者】
【氏名】リブッツキー,ハリー
【テーマコード(参考)】
4D075
4F033
4F034
4F035
【Fターム(参考)】
4D075AA13
4D075AA76
4D075AA81
4D075AA85
4D075BB16X
4D075BB48Y
4D075BB91Y
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA27
4D075DC11
4D075EA05
4D075EA06
4D075EB22
4D075EB32
4D075EB35
4D075EB38
4D075EC01
4D075EC04
4D075EC07
4D075EC10
4D075EC11
4D075EC13
4D075EC30
4D075EC54
4F033PA11
4F033PB16
4F033PD06
4F034BA23
4F034BB04
4F034BB28
4F035AA03
4F035BB04
4F035BB06
4F035BB07
(57)【要約】
本発明は、コーティング材料組成物の回転霧化を実行及び光学的に監視するための装置(1)であって、前記装置(1)は、回転可能で取付可能なベルカップ(3)を塗布要素として備えている、少なくとも1つの回転霧化装置(2)と、前記回転霧化装置(2)にコーティング材料組成物を供給するための、少なくとも1つの供給ユニット(4)と、少なくとも1つのカメラ(5)と、少なくとも1つの光学測定ユニット(6)と、を備える装置(1)、及び、コーティング材料組成物の回転霧化を実行及び光学的に監視するための前記装置の使用方法、及び、コーティング材料組成物の回転霧化中に回転霧化装置のベルカップのエッジで形成されるフィラメントの平均長さを決定し、及び/又は、噴霧内の液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数及び/又は前記噴霧の均質性を決定するための方法であって、前記噴霧がコーティング材料組成物の回転霧化で形成され、前記方法が装置(1)を利用して実施される方法、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング材料組成物の回転霧化を実行及び光学的に監視するための装置(1)であって、前記装置(1)は
回転可能で取付可能なベルカップ(3)を塗布要素として備えている、少なくとも1つの回転霧化装置(2)と、
前記回転霧化装置(2)にコーティング材料組成物を供給するための、少なくとも1つの供給ユニット(4)と、
前記ベルカップ(3)のエッジで前記コーティング材料組成物の霧化によって形成されるフィラメントを光学的に捕捉するための、少なくとも1つのカメラ(5)と、
前記コーティング材料組成物の霧化によって形成される噴霧の液滴を、噴霧全体を通るトラバース光学測定によって光学的に捕捉するための、少なくとも1つの光学測定ユニット(6)と、を備える、装置。
【請求項2】
前記霧化装置(2)は傾斜した位置にあり、前記少なくとも1つのカメラ(5)及び前記少なくとも1つの光学測定ユニット(6)は、それぞれが互いに独立して、前記傾斜した霧化装置(2)に対して、0°から90°の傾斜角で、前記装置(1)内に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのカメラ(5)及び前記少なくとも1つの光学測定ユニット(6)の両方が、前記装置(1)内で移動可能及び/又は調整可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの回転霧化装置(2)及び前記少なくとも1つの供給ユニット(4)はそれぞれ、前記装置(1)内で固定位置を有していること、又は、少なくとも前記回転霧化装置(2)は調整可能な位置を有していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのカメラ(5)は、霧化の間、毎秒前記ベルカップ(3)及びそのエッジの少なくとも30000~250000画像を記録することができることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光学測定ユニット(6)は、少なくとも1つのレーザー(7)及び任意で少なくとも1つの検知器(9)を含み、霧化時に形成される噴霧内に含まれる液滴について散乱光調査を実行することができることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光学測定ユニット(6)は、位相ドップラー流速測定(PDA)の実行のための、及び/又は、時間的推移技法(TS)の実行のための手段であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記回転霧化装置(2)の前記ベルカップ(3)は、ストレート鋸歯状、クロス鋸歯状、又は非鋸歯状であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置(1)は、測定チャンバであり、噴霧された前記コーティング材料組成物を回収するための遮蔽ユニット(8)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置(1)の、前記少なくとも1つの回転霧化装置(2)、前記少なくとも1つの供給ユニット(4)、前記少なくとも1つのカメラ(5)及び前記少なくとも1つの光学測定ユニット(6)は、前記装置(1)の少なくとも一部が移動可能となるように、移動式ラックに配置されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置(1)は、スプレーブース又はスプレーステーション内に配置されているか、又は、スプレーブース又はスプレーステーションの前に配置されていることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
コーティング材料組成物の回転霧化を実行及び光学的に監視するための請求項1~11のいずれか1項に記載の装置の使用方法。
【請求項13】
コーティング材料組成物の回転霧化によって形成されるフィラメントの平均長さを決定し、及び/又は、噴霧内の液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数及び/又は前記噴霧の均質性を決定するための方法であって、前記噴霧がコーティング材料組成物の回転霧化中に回転霧化装置のベルカップのエッジで形成される、方法において、
前記方法は請求項1~11のいずれか1項に記載の装置を利用して実施されることを特徴とする、方法。
【請求項14】
コーティング材料組成物の回転霧化中に回転霧化装置のベルカップのエッジで形成されるフィラメントの平均長さ、及び前記噴霧内の液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数及び/又は前記噴霧の均質性を同時に決定するための方法であるか、
又は、コーティング材料組成物の回転霧化中に回転霧化装置のベルカップのエッジで形成されるフィラメントの平均長さ、及び前記噴霧内の液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数及び/又は前記噴霧の均質性を逐次的に決定するための方法であって、特別な順序が要求されない方法であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、少なくとも以下の工程(Ia)、(IIa)及び(IIIa)、及び/又は、(Ib)、(IIb)及び(IIIb)を含む方法であって:
(Ia) 装置(1)の回転霧化装置(2)を用いてコーティング材料組成物を霧化する工程と、
(IIa) 少なくとも1つのカメラ(5)を用いて、ベルカップ(3)のエッジで、工程(Ia)による霧化で形成されたフィラメントを光学的に捕捉する工程と、
(IIIa) 前記ベルカップ(3)のエッジに位置する霧化で形成されたそれらのフィラメントの平均長さを得るために、工程(IIa)による光学的捕捉によって得られた光学的データをデジタル評価する工程と、を含む方法、
及び/又は
(Ib) 装置(1)の回転霧化装置(2)を用いてコーティング材料組成物を霧化する工程であって、前記霧化によって噴霧を生成する工程と、
(IIb) 少なくとも1つの光学測定ユニット(6)を用いて、噴霧全体を通るトラバース光学測定によって、工程(Ib)による霧化によって形成された噴霧の液滴を光学的に捕捉する工程と、
(IIIb) 工程(IIb)による光学的捕捉によって得られた光学データに基づいて、前記噴霧内の液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数及び/又は前記噴霧の均質性を決定する工程と、を含む方法であることを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング材料組成物の回転霧化を実行及び光学的に監視するための装置(1)であって、該装置(1)は、回転可能で取付可能なベルカップ(3)を塗布要素として備える少なくとも1つの回転霧化装置(2)と、コーティング材料組成物を回転霧化装置(2)に供給するための少なくとも1つの供給ユニット(4)と、少なくとも1つのカメラ(5)と、少なくとも1つの光学測定ユニット(6)とを備える、装置(1)、及び、コーティング材料組成物の回転霧化を実行及び光学的に監視するための前記装置の使用方法、及び、コーティング材料組成物の前記回転霧化中に回転霧化装置のベルカップのエッジに形成されるフィラメントの平均長さを決定し、及び/又は、噴霧内の液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数及び/又は前記噴霧の均質性を決定するための方法であって、前記噴霧はコーティング材料組成物の回転霧化で形成され、前記方法は装置(1)を利用して実施される方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、特に自動車産業において、コーティングされる特定の基材に回転霧化(rotational atomization)によって塗布される、ベースコート材料などの一連のコーティング材料組成物がある。このような霧化装置は、例えばベルカップのように、塗布されるコーティング材料組成物を霧化する高速回転塗布要素を特徴としており、該霧化は特に遠心力の作用によって生じ、フィラメントが形成されて、液滴の形で噴霧ミストが生成される。コーティング材料組成物は、塗布効率を最大化し、オーバースプレーを最小化するために、典型的には静電的に塗布される。ベルカップのエッジでは、特に遠心力によって霧化されたコーティング材料が、塗布のためにコーティング材料組成物に高電圧を直接印加されて帯電される(直接帯電)。それぞれのコーティング材料組成物を基材に塗布した後、必要に応じてその上にさらなる膜の形で他のコーティング材料組成物を追加塗布した後に、硬化又は焼成して、結果としての所望のコーティングを得る。
【0003】
コーティングの最適化、特にこのようにして得られるコーティングの特定の所望のコーティング特性、例えば、ピンホール、曇り、及び/又はレベリングのような光学的欠陥及び/又は表面欠陥の形成及び/又は発生の傾向の防止又は少なくとも低減などのコーティングの最適化は、比較的複雑であり、典型的には経験的手段によってのみ可能である。これは、このようなコーティング材料組成物、又は典型的には、その中で異なるパラメータが変更されていくその一連の試験の全体が最初に行われなければならず、次いで、前段落で説明したように、基材に塗布され、硬化又は焼成されなければならないことを意味している。その後に、得られた一連のコーティングを所望の特性に関して調査し、調査した特性の改善の可能性を評価しなければならない。典型的には、この手順は、硬化及び/又は焼成後にコーティングの調査された1つ又は複数の特性の所望の改善が達成されるまで、パラメータをさらに変化させながら何度も繰り返す必要がある。
【0004】
したがって、コーティング材料組成物の霧化挙動を調査することにより、この霧化によって生成されるコーティングの特定の所望の特性の改善、例えば、光学的欠陥及び/又は表面欠陥の形成及び/又は発生の傾向の防止又は少なくとも低減などのコーティングの特定の所望の特性の改善を、そのようなコーティングを生成するために一般的に必要とされるコーティング及び焼成の完全な操作を経ることなく達成することを可能にする方法が必要とされている。
【0005】
さらに、自動車のOEM又は補修用途で使用されている従来のスプレーブースの能力を妨げる必要がなく、簡単な調査を行うことを可能にし、迅速かつ効率的な塗料開発を可能にする、そのような手段を提供する要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明によって解決される問題は、従来の塗装プロセスによって基材に使用するそれぞれのコーティング材料組成物を塗装することなく、具体的にはコーティングを生成するために得られた膜を硬化及び/又は焼成することなく(そのようにすることは比較的にコストがかかり不便であり、少なくとも経済的理由において不利である)、回転霧化によって生成されるコーティングの特定の所望の特性、例えば、光学的欠陥及び/又は表面欠陥の形成及び/又は発生の傾向の防止又は少なくとも低減などのコーティングの特定の所望の特性を、調査すること、及びより具体的には改善可能な手段を提供することにある。同時に、このような手段は、自動車のOEM又は補修用途に使用されている従来のスプレーブースの能力を妨げる必要がなく、簡単な調査を行うことを可能にし、迅速かつ効率的な塗料開発を可能にするべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題は、特許請求の範囲に記載されている主題によって解決され、また、以下の説明に記載されるその主題の好ましい実施形態によっても解決される。
【0008】
本発明の第1の主題は、コーティング材料組成物の回転霧化を実行及び光学的に監視するための装置(1)であって、前記装置(1)は
回転可能で取付可能なベルカップ(3)を塗布要素として備えている、少なくとも1つの回転霧化装置(2)と、
回転霧化装置(2)にコーティング材料組成物を供給するための、少なくとも1つの供給ユニット(4)と、
ベルカップ(3)のエッジ(edge)でコーティング材料組成物の霧化によって形成されたフィラメントを光学的に捕捉するための、少なくとも1つのカメラ(5)と、
コーティング材料組成物の霧化によって形成される噴霧の液滴を、噴霧全体を通るトラバース光学測定(traversing optical measurement)によって光学的に捕捉するための、少なくとも1つの光学測定ユニット(6)と、
を備える。
【0009】
本発明のさらなる主題は、コーティング材料組成物の回転霧化を光学的に監視するための本発明の装置(1)の使用方法である。
【0010】
本発明のさらなる主題は、コーティング材料組成物の回転霧化中に回転霧化装置のベルカップのエッジに形成されるフィラメントの平均長さを決定し、及び/又は、噴霧内の液滴粒度分布少なくとも1つの特性変数及び/又は前記噴霧の均質性を決定するための方法であって、前記噴霧は、コーティング材料組成物の回転霧化で形成され、前記方法は本発明の装置(1)を利用して実施されることを特徴とする方法である。
【0011】
驚くべきことに、本発明の装置(1)は、従来の塗装方法によって使用するそれぞれのコーティング材料組成物を基材に塗装することなく、具体的にはコーティングを生成するために得られた膜を硬化及び/又は焼成することなく、回転霧化によって生成されるコーティングの特定の所望の特性、例えば、発生する光学的欠陥及び/又は表面欠陥の形成及び/又は発生の傾向の防止又は少なくとも低減などのコーティングの特定の所望の特性の改善に関する簡単な調査を可能にすることが判明した。さらに驚くべきことに、該装置(1)は、自動車のOEM又は補修用途で使用されている従来のスプレーブースの能力を妨げる必要がなく、迅速かつ効率的な塗料開発を可能にすることが判明した。
【0012】
驚くべきことに、本発明の装置(1)は、コーティング材料組成物の回転霧化中に回転霧化装置のベルカップのエッジに形成されるフィラメントの平均長さと、噴霧内の液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数及び/又は前記噴霧の均質性(ここで前記噴霧はコーティング材料組成物の前記回転霧化で形成される)の逐次的に行われる決定を可能にするだけでなく、特に代替的に、フィラメントの平均長さと、噴霧の液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数/均質性の両方の同時の決定をも可能にする。
【0013】
驚くべきことに、確定された平均フィラメント長さに基づく本発明の方法を実施することにより、特に、光学的欠陥及び/又は表面欠陥の形成及び/又は発生傾向を防止又は少なくとも低減することに関して、この場合コーティングを生成するために従来の塗装手順によって使用する特定のコーティング材料組成物を基材に塗布し、得られた膜の硬化及び/又は焼成を実施することを要することなく、回転霧化によって生成されるコーティングの特定の所望の特性の調査、特に改善を実現することが可能である。
【0014】
驚くべきことに、塗料配合の開発におけるコーティング材料組成物のスクリーニングのための本発明の方法は、コストが低く、したがって、対応する従来の方法よりも(時間)経済及び資金的な利点を有することが判明した。本発明の装置(1)によれば、驚くべきことに、コーティングを全く生じることなく、確定された平均フィラメント長さ、及び/又は確認された液滴粒度分布及び/又は均質性に基づいて、十分高い確率で、生成されるコーティングにおいて特定の光学的欠陥及び/又は表面欠陥が予想されるかどうかを推定することが可能である。このことは、驚くべきことに、霧化時に生じる回転霧化装置のベルカップのエッジに位置するフィラメントの平均長さの決定によって、及び/又は霧化時に生じる噴霧ミストを形成する液滴の液滴粒度分布及び/又は均質性の決定によって、及び、これらの確認された特性変数の相関によって、及び/又はこれらの確定されたフィラメント長さと前記光学的欠陥及び/又は表面欠陥の発生、又はそれらの防止/低減との相関によって達成される。霧化中に生じるこれらの平均フィラメント長さにより、及び/又は霧化中に生じるこれらの粒度分布及び/又は液滴の均質性により、生成されるコーティングの光学特性及び表面特性などの結果として生じる特性を監視することができ、特に光学的欠陥及び/又は表面欠陥の発生を防止し又は少なくとも低減させることができる。換言すると、本発明の方法によれば、コーティング材料組成物の霧化の挙動の調査により、最終的なコーティングの質的特性(例えば、ピンホールの発生、曇り、レベリング、又は外観など)に関する予測を行うことが可能である。したがって、このように本発明の方法及び本発明の装置(1)は、品質保証のための単純かつ効率的な技術を可能にし、及び、(モデル)基材への比較的高価で不便なコーティング手順に頼る必要がなく、コーティング材料組成物の目的に応じた開発を可能にする。特に、ここでは、硬化及び/又は焼成の工程を省略することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の装置の例示的な実施形態を示す。
【
図2】
図2は、本発明の装置の例示的な実施形態を示す。
【
図3】
図3は、本発明の装置の例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
発明の装置(1)
発明の装置(1)は、回転可能で取付可能なベルカップ(3)を塗布要素として備えている少なくとも1つの回転霧化装置(2)と、前記回転霧化装置(2)にコーティング材料組成物を供給するための少なくとも1つの供給ユニット(4)と、少なくとも1つのカメラ(5)と、少なくとも1つの光学測定ユニット(6)と、を備える。
【0017】
霧化装置(2)とベルカップ(3)
本装置(1)の霧化装置(2)は、回転霧化装置であり、該回転霧化装置は塗布要素として回転可能である取付可能なベルカップ(3)を備えている。
【0018】
霧化装置(2)を用いて達成される、「回転霧化」又は、好ましくは「高速回転霧化」の概念は、当業者に知られているものである。このような回転霧化装置は、遠心力の作用により、塗布されるコーティング材料組成物を、液滴の形状の噴霧又は噴霧ミストに霧化する回転塗布要素を特徴とする。この場合の塗布要素は、ベルカップ(3)、好ましくは金属製のベルカップ(3)である。
【0019】
霧化装置による回転霧化の過程において、いわゆるフィラメントは、最初に、ベルカップ(3)のエッジで発達し、その後、霧化プロセスのさらなる過程で、分断して前述の液滴になり、それらが噴霧又は噴霧ミストを形成する。したがって、フィラメントは、これらの液滴の前駆体を構成する。フィラメントは、そのフィラメント長さ(「スレッド長さ」とも呼ばれる)及びその直径(「スレッド径」とも呼ばれる)によって表され、特徴付けられることができる。
【0020】
任意で、霧化されたコーティング材料組成物は、ベルカップ(3)のエッジで電圧の印加によって静電帯電を受けてもよい。しかし、これは、本発明の場合では、必須ではなく、任意でしかない。
【0021】
霧化装置(2)のベルカップ(3)の回転スピード(回転速度)は調整可能である。この場合、回転スピードは、好ましくは少なくとも10000回転/分(rpm)であり、多くとも70000回転/分である。回転速度は、好ましくは15000~70000rpmの範囲、より好ましくは17000~70000rpmの範囲、より具体的には18000~65000rpm、又は18000~60000rpmの範囲である。毎分15000回転以上の回転スピードでは、本発明の意味でのこの種の回転霧化装置は、高速回転霧化装置と称されるのが好ましい。一般的な回転霧化、及び特に高速回転霧化は、自動車産業の中で広く普及している。これらのプロセスに使用される(高速)回転霧化装置は市販されており、例としては、Duerr社製のEcobell(登録商標)シリーズの製品が挙げられる。このような霧化装置は、好ましくは、自動車産業で使用される塗料などの多数の異なるコーティング材料組成物の静電塗装に適している。本発明の方法内でコーティング材料組成物として特に好ましく使用されるのは、ベースコート材料、より具体的には水性ベースコート材料である。コーティング材料組成物は、静電的に塗装されてもよいが、そうである必要はない。静電塗装の場合は、ベルカップエッジで、好ましくは電圧、例えば塗装されるコーティング材料組成物に高電圧などを直接印加すること(直接帯電)によって、遠心力により霧化されるコーティング材料組成物への静電帯電が行われる。間接帯電も可能である。この場合、液滴はコーティング材料を霧化することによって形成され、該液滴は、次いで、噴霧を形成しつつ、「飛行中」に帯電される。
【0022】
霧化のためのコーティング材料組成物の吐出速度は、調整可能である。霧化のためのコーティング材料組成物の吐出速度は、好ましくは50~1000ml/分の範囲、より好ましくは100~800ml/分の範囲、非常に好ましくは150~600ml/分の範囲、より具体的には、200~550ml/分の範囲である。
【0023】
霧化のためのコーティング材料組成物の吐出速度は、好ましくは100~1000ml/分の範囲、又は200~550ml/分の範囲、及び/又はベルカップの回転スピードは、15000~70000回転/分、又は15000~60000rpmの範囲である。
【0024】
好ましくは、回転霧化装置(2)の取付可能なベルカップ(3)は、ストレート鋸歯状、クロス鋸歯状、又は非鋸歯状である。「取付可能」という用語は、この点について、ベルカップ(3)が別のベルカップ(3)と交換可能であることを意味し:例えば、非鋸歯状のベルカップ(3)は、使用されるコーティング材料組成物の性質及び組成に応じて、クロス鋸歯状のベルカップ(3)と交換されてよい。例えば、クロス鋸歯状ベルカップ(3)の使用はクリアコートの場合に、ストレート鋸歯状ベルカップ(3)の使用はベースコートに対して、非鋸歯状ベルカップ(3)の使用はフィラー/プライマーの使用に対して、特に有利である。
【0025】
好ましくは、装置(1)の霧化装置(2)は傾斜した位置にあり、少なくとも1つのカメラ(5)及び少なくとも1つの光学測定ユニット(6)は、それぞれが互いに独立して、傾斜した霧化装置(2)に対して、0°から90°の範囲、より好ましくは0°超~90°未満、例えば10°から80°の範囲の傾斜角で、装置(1)内に配置されている。
【0026】
好ましくは、少なくとも1つの回転霧化装置(2)は、装置(1)内に固定位置を有する。したがって、好ましくは、霧化装置(2)は移動可能ではない。好ましくは、供給ユニット(4)についても同様である。しかしながら、代替的に、少なくとも1つの回転霧化装置(2)は、装置(1)内で調整可能な位置を有することができ、すなわち、移動可能であり得る。
【0027】
供給ユニット(4)
装置(1)は、コーティング材料組成物を回転霧化装置(2)に供給するための少なくとも1つの供給ユニット(4)を備えている。
【0028】
好ましくは、装置(1)の少なくとも1つの供給ユニット(4)は、装置(1)内で固定された位置を有している。したがって、好ましくは、供給ユニット(4)は移動可能ではない。好ましくは、霧化装置(2)についても同様である。
【0029】
好ましくは、供給ユニット(4)は、コーティング材料組成物を含有する。好ましくは、装置(1)の供給ユニット(4)は、特にそれが1Kコーティング材料組成物である場合に、コーティング材料組成物を含有することができる少なくとも1つの容器(4a)と、少なくとも1つの容器(4a)から霧化装置(2)にコーティング材料組成物を提供するための手段(4b)とを備えている。任意に、装置(1)の供給ユニット(4)は、水及び/又は少なくとも1つの有機溶媒を含有する少なくとも1つのさらなる容器(4c)を含んでよい。容器(4c)内に存在する水及び/又は有機溶媒、及び/又はさらに任意に存在する空気圧ユニットからの空気圧は、霧化後の塗料供給物をすすぐために使用されることができる。
【0030】
少なくとも1つの容器(4a)が、特に2Kコーティング材料組成物である場合には、コーティング材料組成物の一部のみを含有することも可能である。この場合、容器(4a)は、例えば、2Kコーティング材料組成物の「結合剤成分」を含むことができ、そして、少なくとも1つのさらなる容器(4d)が、順に、2Kコーティング材料組成物の「架橋剤成分」を含むことができる。この場合、供給ユニット(4)は、少なくとも「結合剤成分」と「架橋剤成分」とを混合するための混合ユニットをさらに備えることが好ましい。この場合、混合ユニットを含む供給ユニット(4)は、混合された成分を霧化装置(2)に供給するためのパイプなどの1つの手段(4b)をさらに備える。さらに、供給ユニット(4)は好ましくは、少なくとも2つの手段(4b)、すなわち、少なくとも1つの容器(4a)から霧化装置(2)に「結合剤成分」を提供するための手段(第一手段)と、少なくとも1つの容器(4d)から霧化装置(2)に「架橋剤成分」を提供するための手段(第二手段)とを含むことも可能である。これは、特に、2K霧化装置が使用される場合がそうである。任意に、装置(1)の供給ユニット(4)は、水及び/又は少なくとも1つの有機溶媒を含有する少なくとも1つのさらなる容器(4c)を含んでよい。容器(4c)内に存在する水及び/又は有機溶媒、及び/又は、さらに任意に存在する空気圧ユニットからの空気圧が、霧化後の塗料供給物をすすぐのに使用されることができる。
【0031】
好ましくは、供給ユニット(4)は、塗料供給ユニットである。
【0032】
カメラ(5)
好ましくは、少なくとも1つのカメラ(5)と少なくとも1つの光学測定ユニット(6)の両方が、装置(1)内で移動可能及び/又は調整可能である。調整は、特に電気的な調整によって達成されることができる。
【0033】
カメラ(5)は、ベルのベルカップ(3)のベルカップエッジで霧化プロセスを光学的に捕捉されるために使用され得る。このようにして、霧化中に直接ベルカップエッジで形成されるフィラメントの分解に関する情報を得ることができる。霧化プロセスは、好ましくは写真撮影され、及び/又は対応するビデオ録画がカメラ(5)の利用によってして用意される。
【0034】
使用されるカメラは、好ましくは高速カメラである。そのようなカメラの例は、日本のPhotron TokyoからのFastcam(登録商標)シリーズ、例えばFastcam(登録商標)SA-Zモデルなどがある。
【0035】
好ましくは、少なくとも1つのカメラ(5)は、霧化の間、毎秒ベルカップ及びそのエッジの少なくとも30000~250000画像、より好ましくは毎秒ベルカップより具体的にはベルカップエッジの40000~220000画像、さらにより好ましくは毎秒50000~200000画像、非常に好ましくは毎秒60000~180000画像、さらに好ましくは毎秒70000~160000画像、より具体的には毎秒80000~120000画像を記録することができる。画像の解像度は可変的に設定されてもよい。例えば、1画像当たり512×256ピクセルの解像度が可能である。
【0036】
光学測定ユニット(6)
少なくとも1つの光学測定ユニット(6)は、コーティング材料組成物の霧化によって形成された噴霧の液滴を、噴霧全体を通るトラバース光学測定によって光学的に捕捉することができる。
【0037】
トラバース測定の実行は、噴霧全体、そしてその結果、噴霧を形成する液滴スペクトルの全体が、全体で捕捉されることを可能にする。その結果として、噴霧を形成する全てのサイズの液滴を捕捉することが可能になる。噴霧は、その全体(噴霧の個々の領域だけでなく)で測定され得る。トラバース測定は、霧化噴霧中の多数の位置での液滴の位置的に分解された(locationally resolved)-すなわち点特異的な-光学測定を可能にし、それは測定がトラバース的に行われなかった場合よりもはるかに正確である。
【0038】
少なくとも1つの光学測定ユニット(6)は、移動可能であることが好ましく、特に、装置(1)内で電気的に移動可能及び/又は調整可能であることが好ましい。この場合、装置の霧化装置(2)の噴霧ヘッドは、好ましくは固定位置にある。調整は、特に電気的な調整によって達成され得る。
【0039】
好ましくは、少なくとも1つの光学測定ユニット(6)は、少なくとも1つのレーザー(7)又はレーザー源(7)を含み、霧化時に形成される噴霧内に含まれる液滴について散乱光調査の実行を可能にし、これらの液滴に対して実行される。この測定は、好ましくは少なくとも1つのレーザー(7)を用いて達成される。
【0040】
好ましくは、少なくとも1つの光学測定ユニット(6)は、位相ドップラー流速測定(PDA)の実行のための、及び/又は、時間的推移技法(TS)の実行のための手段である。PDAによって得られる光学的データから、液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数を決定することが可能である。TSによって得られる光学的データから、液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数と、噴霧の均質性の両方を決定することが可能である。
【0041】
好ましくは、少なくとも1つの光学測定ユニット(6)は、少なくとも1つの検出器(9)をさらに含み、該検出器は、特に、噴霧の液滴によって散乱される光を検出することができる。
【0042】
液滴粒度分布を決定する手順は、少なくとも1つの光学測定ユニット(6)が位相ドップラー流速測定(PDA)の実行のための手段である場合には、位相ドップラー流速測定(PDA)によって行われる。この技法は、例えば、F.Onofri等による、Part.Part.Sys.Charact.1996年、13巻、112~124頁、及びA.Tratnig等による、J.Food.Engin.2009年、95巻、126~134頁から、当業者にとって基本的には公知である。PDA技法は、2つのコヒーレントレーザービームの交差体積中の干渉面パターンの形成に基づく測定法である。流れの中で移動する粒子、例えば、本発明に従って調査される霧化噴霧ミスト、すなわち噴霧は、レーザービームの交差体積を通過するとき、測定の位置での粘度に正比例するドップラー周波数と称される周波数で光を散乱させる。使用される好ましくは少なくとも2つの検出器(これらの検出器は空間の異なる位置に設置される)における散乱光信号の位相位置の違いから、粒子表面の曲率半径を決定することが可能である。球状微粒子の場合には、これが粒径につながり;したがって、液滴の場合には、それぞれの液滴直径につながる。高い測定精度のために、単一の散乱メカニズム(反射又は一次屈折)が支配的であるような方法で、測定システムを、特に散乱角に関して設計することが有利である。散乱光信号は、典型的には、光電子増倍管によって電子信号に変換され、該電子信号は、共分散プロセッサを使用することにより、又はFFT分析(高速フーリエ変換分析)により、ドップラー周波数及び位相位置の違いについて評価される。ここでBraggセルの使用は、好ましくは、2つのレーザービームのうちの1つの波長の制御された操作の実行を可能にし、及び、そのようにして、進行中の干渉面パターンを発生させることを可能にする。PDAシステムは、異なる受信開口部(マスク)の使用によって、慣習的に受信光信号における位相シフト(すなわち、位相位置の違い)を測定する。PDAによる実行の場合、518.8μmの可能な最大液滴直径を有する液滴を検出するために使用されることができるマスクが、好ましくは使用される。
【0043】
PDA方法を実行するのに適切な対応する機器は、市販されており、例としてDantecDynamicsからのSingle-PDAがある(P60,Lexel argon laser,FibreFlow)。好ましくは、PDAは、60~70°の角度で、反射において514.5nmの波長(直交偏光)で、前方散乱で操作される。受信光学系は、この場合、好ましくは500mmの焦点距離を有し;送信光学系は、好ましくは400mmの焦点距離を有する。好ましくは、PDAによる光学測定は、使用される傾斜している霧化装置に関して、好ましくは45°の傾斜角で半径-軸方向にトラバース的に行われる。しかし、原則的に、上述したように、傾斜角は、0~90°の範囲、好ましくは、0°超~90°未満、例えば10~80°の範囲が可能である。光学測定は、好ましくはトラバース軸に対して傾斜している霧化装置の側面から垂直に25mm下で行われる。測定は、液滴形成のプロセスがこの位置で終わることを示している。検知された個々の事象の位置の分解が、関連する時間-分解信号を介して行われるように、定義されたトラバーススピードが好ましくは求められる。ラスタ-分解測定との比較は、加重グローバル特性分布値についての同一結果を与えるが、しかし、トラバース軸上のいかなる所望の間隔範囲の調査をも可能にする。この技法は、さらに、ラスタ法よりも複数の因子によって高速であり、それによって材料の消費が一定流速で低減されることを可能にする。
【0044】
液滴粒度分布を決定するための手順は、少なくとも1つの光学測定ユニット(6)が(TS)を実行するための手段である場合は追加的又は代替的に、時間的推移技法(TS)によって行われてよい。時間的推移技法(TS)も、同様に基本的に、例えば、W.Schaeferらによる論文、ICLASS 2015,13th Triennial International Conference on Liquid Atomization and Spray Systems, Tainan,Taiwan、1~7頁、及びM.Kuhnhennらによる論文、ILASS Europe 2016,27th Annual Conference on Liquid Atomization and Spray Systems、2016年9月4~7日、Brighton UK、1~8頁、及びまた、W.Schaeferら、Particuology 2016年、29巻、80~85頁から当業者に知られている。
【0045】
時間的推移技法(TS)は、粒子(例えば本発明の場合には、噴霧化によって生じる噴霧ミスト(噴霧)の液滴など)による光(例えば、レーザー光)の後方散乱に基づく測定法である。TS技法は、レーザービームなどの成形された光ビームからの個々の粒子の光散乱に基づく。個々の粒子の散乱光は、使用される検出器の位置に存在する散乱のすべての次数の合計として解釈される。幾何光学との近似において、これは、内部反射の数の変動をともなって粒子を通る個々の光線の伝播の分析に対応する。時間的推移技法の実行に使用されるレーザービームは、典型的にはレンズによって集束される。粒子によって散乱された光は垂直偏光と平行偏光に分割され、好ましくは少なくとも2つの光検出器によって別々に捕捉される。検出器から来る信号は、次には、液滴粒度分布及び/又は均質性の決定を確認するために必要な情報を供給する。使用される照射ビームの光の波長は、測定される粒子のそれと同じ程度の大きさか、又は短い。したがって、レーザービームは、それが時間的推移信号を与えるためには液滴の大きさを超えないように選択されるべきである。この値を超える場合、信号は、上で言及した大きさの決定についてもはや適切な根拠とはいえない。そうでなければ、異なる散乱の信号成分は重なり合い、したがって、捕捉され、個々に識別されることができないという問題が生じる。時間的推移技法は、液滴粒度分布の決定のためなど、粒子の特徴的特性の決定に使用することができる。さらに、時間的推移技法(TS)は、気泡、すなわち透明な液滴(T)と固形分含有粒子、すなわち不透明な液滴(NT)の間の識別を可能にする。
【0046】
これらの目的のために適している対応する機器は市販されており、例としては、AOM SystemsからのSpraySpy(登録商標)シリーズからの機器である。基本的に知られている、SpraySpy(登録商標)シリーズからの機器によるトラバース測定の実行は、しかしながら、先行技術においては噴霧ジェットの幅を決定するためにのみ使用され、噴霧の均質性及び/又は液滴粒度分布の特性変数を決定するためではなかった。
【0047】
TSによる光学測定は、使用される傾斜している霧化装置に関して、好ましくは45°の傾斜角で半径-軸方向にトラバース的に行われる。原則として、しかし、上述したように、0~90°、好ましくは0°超~90°未満、例えば10~80°の範囲の傾斜角が可能である。光学測定は、好ましくはトラバース軸に対して傾斜した霧化装置のベルカップの、好ましくは垂直方向25mm下で行われる。測定は、液滴形成のプロセスがこの位置で終わることを示している。検出される個々の事象の位置の分解が関連する時間分解信号を介して行われるように、定義されたトラバーススピードが好ましくは求められる。ラスタ-分解測定との比較が、加重グローバル特性分布値についての同一結果を与えるが、しかし、トラバース軸上の任意の所望の間隔範囲の調査を可能にする。この技法は、さらに、ラスタ法よりも複数の因子によって高速であり、それによって材料の消費が一定流速に低減されることを可能にする。
【0048】
装置(1)
好ましくは、装置(1)は、測定チャンバであり、さらに、噴霧されたコーティング材料組成物を回収するための遮蔽ユニット(8)を含む。より好ましくは、前記測定チャンバは移動不可能である。この場合、装置(1)は、好ましくは、独立した噴霧プロファイラである。
【0049】
あるいは、好ましくは、装置(1)の、少なくとも1つの回転霧化装置(2)、少なくとも1つの供給ユニット(4)、少なくとも1つのカメラ(5)及び少なくとも1つの光学測定ユニット(6)は、装置(1)の少なくとも一部が移動可能となるように、移動式ラック(11)に配置される。好ましくは、そのような装置(1)の全体が移動可能である。特に、そのような装置(1)は、スプレーブース又はスプレーステーション内に配置されるか、又は、スプレーブース又はスプレーステーションの前に配置される。
【0050】
好ましくは、本発明の装置(1)は、少なくとも1つの制御ユニット(10)をさらに備える。特に、制御ユニット(10)は、霧化装置(2)、少なくとも1つのカメラ(5)及び少なくとも1つの光学測定ユニット(6)の制御を可能にする。
【0051】
本発明の装置(1)の例示的な実施形態を、
図1、
図2及び
図3に示す。
【0052】
図1による本発明の装置(1)は、測定チャンバの形態をしている。好ましくは、前記測定チャンバは移動不可能である。この場合、装置(1)は、好ましくは、独立した噴霧プロファイラである。装置(1)は、回転可能で取付可能なベルカップ(3)を塗布要素として備える回転霧化装置(2)と、該回転霧化装置(2)にコーティング材料組成物を供給するための少なくとも1つの供給ユニット(4)と、ベルカップ(3)のエッジでコーティング材料組成物の霧化によって形成されるフィラメントを光学的に捕捉するための少なくとも1つのカメラ(5)と、コーティング材料組成物の霧化によって形成される噴霧の液滴を、噴霧全体を通るトラバース光学測定によって光学的に捕捉するための少なくとも1つの光学測定ユニット(6)と、を備える。装置(1)は、噴霧されたコーティング材料組成物を回収するための遮蔽ユニット(8)をさらに含む。塗料供給ユニット(4)は、コーティング材料組成物を含む少なくとも1つの容器(4a)と、溶媒を含む少なくとも1つの容器(4c)と、供給手段(4b)とを備える。容器(4c)は、霧化後に塗料供給をすすぐために使用される。好ましくは、
図1による本発明の装置(1)は、チャンバ内に空気を供給するための供給空気ユニットと、排気空気ユニットとをさらに備える。
【0053】
図2及び
図3による本発明の装置(1)は、少なくとも部分的に移動式ラック(11)上に配置され、及び、スプレーブースもしくはスプレーステーション内に配置され(
図2)、又は、スプレーブースもしくはスプレーステーションの前に配置される(
図3)。移動式ラック(11)上には、回転可能で取付可能なベルカップ(3)を塗布要素とする回転霧化装置(2)と、回転霧化装置(2)にコーティング材料組成物を供給するための供給ユニット(4)と、カメラ(5)と、光学測定ユニット(6)とが配置されている。塗料供給ユニット(4)は、コーティング材料組成物を含む少なくとも1つの容器(4a)と、溶媒を含む少なくとも1つの容器(4c)と、供給手段(4b)とを備える。容器(4c)は、霧化後の塗料供給をすすぐために使用される。
【0054】
本発明の使用方法
本発明のさらなる主題は、コーティング材料組成物の回転霧化を光学的に監視するための本発明の装置(1)の使用方法である。本発明の装置(1)は、もちろん、前記回転霧化の実行にも使用されることができる。
【0055】
さらに、本発明の装置(1)は、コーティング材料組成物の回転霧化で形成されるフィラメントの平均長さを決定するため、及び/又は、噴霧内の液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数及び/又は前記噴霧の均質性を決定するためにも(前記噴霧はコーティング材料組成物の回転霧化で形成される)、好ましくは使用される。
【0056】
本発明の装置(1)に関連してこれまで記載されたすべての好ましい実施形態は、装置(1)の本発明の使用方法に関連しても好ましい実施形態である。
【0057】
本発明の方法
本発明のさらなる主題は、コーティング材料組成物の回転霧化中に回転霧化装置のベルカップのエッジに形成されるフィラメントの平均長さを決定するための方法、及び/又は、噴霧内の液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数及び/又は前記噴霧の均質性を決定するための方法(前記噴霧はコーティング材料組成物の回転霧化で形成される)であって、前記方法は装置(1)を利用して実施されることを特徴とする。
【0058】
本発明の装置(1)及びその発明の使用に関連してこれまで記載されたすべての好ましい実施形態は、本発明の方法に関連しても好ましい実施形態である。
【0059】
好ましくは、本発明の方法は、コーティング材料組成物の回転霧化中に回転霧化装置のベルカップのエッジに形成されるフィラメントの平均長さ、及び噴霧内の液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数及び/又は前記噴霧の均質性を同時に決定するための方法である。しかし、本発明の方法は、フィラメントの平均長さと、液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数/噴霧の均質性とを逐次的に決定するために使用されることも可能である。この場合、特別な順序は必要ない。
【0060】
本発明の意味での噴霧の均質性は、噴霧内の2つの異なる位置で透明及び不透明な液滴の局所的分布の尺度としての2つの商TT1/T合計1及びTT2/T合計2の互いに対する比に対応し、ここで、TT1は第1の位置1における透明液滴の数に対応し、TT2は第2の位置2における透明液滴の数に対応し、T合計1は位置1における噴霧の全液滴の数、したがって、位置1における透明液滴と不透明液滴の合計に対応し、T合計2は、位置2における噴霧の全液滴の数、したがって、位置2における透明液滴と不透明液滴の合計に対応し、位置1は位置2よりも噴霧の中心に近い。位置1は、位置2よりも噴霧の中心に近く、好ましくは、位置2とは異なる噴霧内の領域セグメントを表す。位置1(位置2より噴霧の中心に近くに位置する)は、それに対応して噴霧のさらに外側に、そして位置1よりいずれにしてもさらに外側に位置する位置2より、噴霧のさらに内側に位置する。噴霧が円錐形に想像される場合、位置1は位置2よりも円錐形の内部にさらに位置する。位置1と位置2の両方は、好ましくは、噴霧全体を通る測定軸上に位置する。噴霧内に位置し、100%の数字に対応する測定軸の一部分の全長に基づく噴霧内の2つの位置1及び2の間の距離は、測定軸のこの長さの好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、非常に好ましくは少なくとも20%、より特に少なくとも25%である。
【0061】
本発明による、霧化によって形成される液滴粒度分布の決定は、当業者に公知の少なくとも1つの特性変数、例えば液滴の適切な平均直径、特に、D10(算術的直径;「1,0」モーメント)、D30(体積等価平均直径;「3,0」モーメント)、D32(Sauter直径(SMD);「3,2」モーメント)、dN,50%(数基準中央値)及び/又はdV,50%(体積基準中央値)などの決定を伴う。ここでの液滴粒度分布の決定は、少なくとも1つのそのような特性変数の決定、より具体的には、液滴のD10の決定を包含する。前述の特性変数は各場合において、液滴粒度分布の対応する数値の平均である。分布のモーメントは、ここで、大文字「D」を使用して標識化され;指数は対応するモーメントを指定する。ここで小文字「d」を用いて標識化された特性変数は、対応する累積分布曲線の百分位数(10%、50%、90%)であり、50%の百分位数は中央値に対応する。指数「N」は数基準の分布に、指数「V」は体積基準の分布に関係する。前述の少なくとも1つの特性変数のさらなる例として、液滴速度が挙げられ、これも本発明の装置(1)で測定されることができる。
【0062】
より好ましくは、本発明の方法は、少なくとも以下の工程(Ia)、(IIa)及び(IIIa)、及び/又は、(Ib)、(IIb)及び(IIIb)を含む方法であって:
(Ia) 装置(1)の回転霧化装置(2)を用いてコーティング材料組成物を霧化する工程と、
(IIa) 少なくとも1つのカメラ(5)を用いて、ベルカップ(3)のエッジで、工程(Ia)による霧化で形成されたフィラメントを光学的に捕捉する工程と、
(IIIa) ベルカップ(3)のエッジに位置する霧化で形成されたそれらのフィラメントの平均長さを得るために、工程(IIa)による光学的捕捉によって得られた光学的データをデジタル評価する工程と、を含む方法、
及び/又は
(Ib) 装置(1)の回転霧化装置(2)を用いてコーティング材料組成物を霧化する工程であって、前記霧化によって噴霧を生成する工程と、
(IIb) 少なくとも1つの光学測定ユニット(6)を用いて、噴霧全体を通るトラバース光学測定によって、工程(Ib)による霧化によって形成された噴霧の液滴を光学的に捕捉する工程と、
(IIIb) 工程(IIb)による光学的捕捉によって得られた光学データに基づいて、噴霧内の液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数及び/又は噴霧の均質性を決定する工程と、
を含む方法である。
【0063】
好ましくは、一方の工程(Ia)、(IIa)及び(IIIa)並びに他方の工程(Ib)、(IIb)及び(IIIb)も本発明の方法において実行される。より好ましくは、2つの一連の工程が同時に実行される。特に、工程(Ia)及び工程(Ib)の両方が同時に実行され、及び/又は工程(IIa)及び工程(IIb)の両方が同時に実行され、及び/又は工程(IIIa)及び工程(IIIb)の両方が同時に実行される。しかし、代替的に、2つの一連の工程を順次実行することも可能である。この場合、特に順序は必要ではない。
【0064】
工程(Ia)、(IIa)及び(IIIa)
工程(Ia)は、装置(1)の回転霧化装置(2)によるコーティング材料組成物の霧化である。本発明の方法の工程(IIa)では、工程(Ia)によって霧化でベルカップのエッジで形成されたフィラメントを、少なくとも1つのカメラ(5)によって光学的に捕捉する。
【0065】
本発明の方法の工程(IIIa)は、工程(IIa)により、光学的取得によって得られた光学データのデジタル評価を提供する。このデジタル評価の目的は、霧化中にベルカップマージン、すなわちベルカップエッジに直接形成されるそれらのフィラメントの平均長さを決定することにある。
【0066】
工程(IIIa)によるデジタル評価は、工程(IIa)により得られた光学データ、例えば工程(IIa)内のカメラ(5)によって記録された画像及び/又はビデオなどの画像解析及び/又はビデオ解析によって達成されてよい。
【0067】
工程(IIIa)は、好ましくは、MATLAB(登録商標)コードに基づくMATLAB(登録商標)ソフトウェアなどのソフトウェアの支援を受けて実施される。
【0068】
工程(IIIa)によるデジタル評価は、好ましくは、工程(IIa)で得られた光学データの画像及び/又はビデオの処理の2つ以上の段階を包含する。工程(IIa)で記録された画像のうち、好ましくは、少なくとも1000画像、より好ましくは少なくとも1500画像、非常に好ましくは少なくとも2000画像が、工程(IIIa)によるデジタル評価のための光学データのベースとして使用される。
【0069】
工程(IIIa)による平均フィラメント長さの確定は、好ましくは、平均フィラメント長さの標準偏差を含む。
【0070】
工程(IIIa)は、好ましくは複数段階で行われる。
【0071】
工程(IIIa)によるデジタル評価は、好ましくは少なくとも6つの段階(3a)~(3f)で行われ、具体的には
(3a)画像からベルカップを除去するために、ガウスフィルタを用いて、工程(IIa)の実施後に光学データとして得られた画像の平滑化を行う段階、
(3b)段階(3a)により平滑化された画像を二値化及び反転する段階、
(3c)ベルカップエッジのない二値化画像を得るために、段階(3a)で使用した画像の二値化し、こうして二値化された画像を段階(3b)からの反転画像へ追加し、及び、このようにして得られた画像を反転する段階、
(3d)残りの配置された物体のすべてがフィラメントである画像を得るために、段階(3c)より得られた画像から、液滴、断片化されたフィラメント、及びベルカップエッジに位置していないフィラメントを除去する段階、
(3e)段階(3d)により得られた画像から、完全には画像内に配置されていないそれらのフィラメントを除去する段階、及び
(3f)段階(3e)の後に画像に残っている全てのフィラメントをそれらのピクセル数に漸減(tapering)し、各フィラメントのピクセル数を加算し、ピクセルサイズに基づく各フィラメントのフィラメント長さを決定し、及び、測定された全てのフィラメントの全体についての平均フィラメント長さを確定する段階、
を含む。
【0072】
段階(3d)による除去は、好ましくは、(i)画像上に位置する全ての物体の全ての斜辺の長さを決定すること、(ii)これらの物体の確定された斜辺の値が定義された値hを下回った場合には、画像の物体を液滴及び/又は断片化されたフィラメントとしてラベリングし、これらの物体を除去すること、及び、(iii)画像上の位置に基づいて、残りの物体、すなわちフィラメントを、ベルカップエッジに位置していたかどうかを検証し、これに当てはまらないフィラメントを除去すること、によって達成される。ここでの値hは15ピクセル(又は300μm)に相当する。
【0073】
個々の段階については、以下で詳しく説明する。
【0074】
第1段階(3a)では、ベルカップは、好ましくは記録されたそれぞれの画像内で除去され、デジタル評価の基礎として使用される。この目的のために、ガウスフィルタを使用して、ベルカップ全体、特にベル全体がもはや見えなくなる程度までに、各画像を平滑化する。
【0075】
第2の段階(3b)では、このようにして平滑化された画像を、好ましくは二値化し、反転する。
【0076】
第3の段階(3c)では、元の画像、すなわち、段階(3a)で使用された画像を同様に好ましくは二値化し、段階(3b)からの反転画像と一緒に加算する。その結果、ベルエッジのない二値化された一連の画像が得られ、この一連の画像は、好ましくは、次にさらなる評価のために反転される。
【0077】
二値化は、各場合において、特に画像の背景から測定用フィラメントをより効果的に区別するために行われる。
【0078】
第4の段階(3d)では、好ましくは、フィラメントが液滴などの他の物体から区別され得る条件が定義される。ここでは、まず、各ピクチャ内のフィラメントを含む全ての物体の斜辺を、物体のxmin、xmax、ymin、及びymaxによって計算し、決定する。値は、これらの極値を報告するMATLAB関数によって得られ、したがって、各物体についてx方向の対応するxの値、すなわちxminとxmaxが、及び、各物体についてy方向の対応するyの値、すなわちyminとymaxが得られる。物体の斜辺は、その物体がフィラメントであるとみなされるために、特定の値hよりも大きくなければならない。ここで値hは15ピクセル(又は300μm)に相当する。その結果、液滴などの小さな物体のすべてが、進行中の評価から除外される。さらに、各物体は、ベルエッジ(画像上では既に除去されている)のすぐ近傍に位置するy値を有する必要がある。ここで、y値は、ベルエッジに位置するフィラメントであるとみなされるために、各物体が存在しなければならないy方向の定義された距離の値に相当している。この文脈における「すぐ近傍」という概念は、ベルエッジから5ピクセル以内の距離、及び/又はベルエッジから最大でも5ピクセル下の位置を有するy値を包含する。したがって、ベルカップエッジに接続されていない全てのフラグメント、特に相対的に長い全てのフラグメントは、フィラメント長さの決定の評価から除外され、考慮されるフィラメントはベルカップエッジに位置するフラグメントのみとなる。
【0079】
第5の段階(3e)では、段階(3d)の実施後にそれぞれの画像内にまだ残っているすべての物体が、好ましくは、それらの最小x値が0より大きく、最大x値が256より小さいかどうかについて検証される。この条件を満たす物体のみが、さらなる過程で考慮される。したがって、評価されるフィラメントは、記録された画像フレーム内に完全に配置されるもののみである。画像内に残っているすべての物体には、好ましくは番号が付けられる。
【0080】
第6の段階(3f)では、段階(3e)の後に残っている全ての物体は、好ましくは個別に呼び出され、好ましくはスケルトン法によって漸減される。この方法は当業者に知られている。その結果、各物体の1つのピクセルが、続いて最大で1つの他のピクセルに接続される。続いて、物体又はフィラメントごとにピクセル数が一緒にカウントされる。ピクセルサイズが既知であるため、フィラメントの実際の長さが計算され得る。この画像評価は、1つの画像につき約15000個のフィラメントを評価する。これにより、フィラメント長さを決定する際の統計的根拠が高いことが保証される。調査されたフィラメントについてこのように確定されたすべてのフィラメント長さの全体から、これらのフィラメントの平均長さが結果として得られる。このようにして、ベルカップのベルカップエッジに位置する霧化時に形成されるフィラメントの平均長さが得られる。
【0081】
本発明の方法は、少なくとも工程(Ia)、(IIa)及び(IIIa)-その1つの代替案-を含むが、任意にさらなる工程を含んでもよい。工程(Ia)、(IIa)及び(IIIa)は、好ましくは番号順に実施される。
【0082】
工程(Ib)、(IIb)、(IIIb)
工程(Ib)は、装置(1)の回転霧化装置(2)によってコーティング材料組成物を霧化することであって、該霧化によって噴霧を生成する。工程(IIb)は、少なくとも1つの光学測定ユニット(6)を用いて、噴霧全体を通るトラバース光学測定により、工程(Ib)の霧化によって形成された噴霧の液滴の光学的捕捉である。
【0083】
工程(IIb)によるトラバース光学測定は、異なるトラバーススピードで実施されてよい。この速度は線形でも非線形でもよい。トラバーススピードの選択により、エリアの重み付けを単純化することができ:例えば、領域セグメントの増加に伴うトラバーススピードの増加はこの目的を達成し、したがってエリアと滞留時間の積は一定となる。トラバーススピードは,噴霧の領域セグメントごとに少なくとも10,000カウントを得るように選択されるのが好ましい。この文脈で「カウント」という用語は、噴霧内又は噴霧の異なる領域セグメント内の測定で検出される液滴数である。時間的推移技法(TS)の場合、透明液滴のカウント数と不透明液滴のカウント数をさらに区別することができる。領域セグメントは噴霧内の位置を表す。
【0084】
本発明の方法の工程(IIb)による光学的捕捉は、好ましくは、位相ドップラー流速測定(PDA)及び/又は時間的推移技法(TS)によって行われる。PDAによって工程(IIb)を実行する場合に得られる光学データから、工程(IIIb)において、液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数を決定することが可能である。TSによって工程(IIb)を実行する場合に得られる光学データから、工程(IIIb)において、液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数と噴霧の均質性の両方を決定することが可能である。
【0085】
工程(IIb)の光学的捕捉は、好ましくは、繰り返し横断される測定軸上で行われる。該繰り返しは、好ましくは1~5回、より好ましくは少なくとも5回行われる。特に好ましくは、測定は、1回の測定につき少なくとも10,000カウント、及び/又は噴霧内の1つの領域セグメントにつき少なくとも10,000カウントで行わる。個々のイベントの二重測定は、システムに含まれる評価機能によって好ましくは防止される。
【0086】
工程(IIb)は、工程(IIb)によって測定を実施する測定設備に対して霧化装置(2)の異なる傾斜角度で実施することができる。したがって、傾斜角度を0~90°で変化させることが可能である。
【0087】
本発明の方法の工程(IIIb)は、工程(IIb)による光学的捕捉によって得られた光学データに基づいて、噴霧内の液滴粒度分布の少なくとも1つの特性変数及び/又は噴霧の均質性を決定することを想定している。
【0088】
すでに上述したように、本発明によって、工程(Ib)による霧化によって形成された液滴粒度分布の決定は、当業者に公知の対応する特性変数、例えばD10(算術的直径;「1,0」モーメント)、D30(体積等価平均直径;「3,0」モーメント)、D32(Sauter直径(SMD);「3,2」モーメント)、dN,50%(数基準中央値)及び/又はdV,50%(体積基準中央値)などの決定を伴い、ここで、液滴粒度分布のこれらの特性変数の少なくとも1つは工程(IIIb)内で決定される。特に、液滴粒度分布の決定は、液滴のD10の決定を包含する。これは特に、工程(IIb)がPDA及び/又はTSによって実施される場合に行われる。
【0089】
工程(IIb)がPDAによって実施される場合、工程(IIb)の実施後に得られた光学データは、任意の所望の許容誤差について、工程(IIIb)でアルゴリズムを介して評価されることが好ましい。使用されたPDAシステムについて約10%の許容誤差は、球状粒子の検証を制限し;増加は、少し変形した液滴をも評価するようにする。その結果、測定される液滴の球形度を測定軸に沿って評価することが可能になる。
【0090】
工程(IIb)がTSによって行われる場合、工程(IIb)の実施後に得られた光学データは、好ましくは、同様に、任意の所望の許容誤差についてアルゴリズムを介して評価される。
【0091】
噴霧の均質性は、特に工程(IIb)を実施するときにTSが使用される場合に決定されることができる。したがって、工程(IIb)の実施によってTSを用いて得られたデータは、液滴の透明スペクトル(T)及び不透明スペクトル(NT)について評価されることができる。両方のスペクトルで測定された液滴の数の比率は、透明液滴と不透明液滴の局所的分布の尺度として役立つ。測定軸に沿った積分評価が可能である。具体的には、液滴の総数(Total)に対する透明な液滴の比率(T)は、測定軸に沿ってx=5mm又はx=25mmの位置で決定されるのが好ましい。これらの位置は、前述の位置1(x=5mm)及び位置2(x=25mm)に対応する。内側から外側に向かって変化する噴霧ジェットの均質性を記述するために、対応する値から順番に比率が形成される。
【0092】
本発明に使用されるコーティング材料組成物
本発明により使用されるコーティング材料組成物は、好ましくは、
・成分(a)として、結合剤(バインダー)として採用可能な少なくとも1つのポリマー、
・成分(b)として少なくとも1つの顔料及び/又は少なくとも1つのフィラー、及び、
・成分(c)として水及び/又は少なくとも1つの有機溶媒、
を含む。
【0093】
本発明の意味での「含む」又は「包含する」という用語は、特に本発明により使用されるコーティング材料組成物に関して、好ましくは「からなる」という意味を有する。本発明により使用されるコーティング材料組成物に関して、例えば、成分(a)、(b)及び(c)のみならず、以下に特定される1つ以上の他の任意の成分を含んでもよい。これらの全ての成分は、それぞれ、以下に述べるような好ましい実施形態において存在してもよい。
【0094】
本発明により使用されるコーティング材料組成物は、好ましくは、自動車産業で採用可能なコーティング材料組成物である。ここでは、OEM塗装システムの一部として採用することができるコーティング材料組成物、及び補修システムの一部として採用することができるコーティング材料組成物を使用することが可能である。自動車産業で採用可能なコーティング材料組成物の例としては、電着塗装材料、プライマー、サーフェイサー、フィルタ、ベースコート材料、特に水性ベースコート材料(waterborne basecoat)(水性ベースコート材料(aqueous basecoat material))、クリアコート材料、特に溶媒系クリアコート材料を含むトップコート材料が挙げられる。水性ベースコート材料の使用が特に好ましい。
【0095】
ベースコート材料の概念は当業者に知られており、例えば、Roempp Lexikon,Lacke und Druckfarben,Georg Thieme Verlag出版,1998年,第10版,57頁に定義されている。したがって、ベースコート材料は、自動車の仕上げ及び一般産業のコーティングで使用される、色及び/又は色と光学効果を付与する中間コーティング材料である。それは、一般に、サーフェイサーで前処理された又はプライマーで前処理された金属若しくはプラスチックの基材に、又は場合によっては直接プラスチック基材に塗布される。他の可能な基材は、既存の仕上げを含み、可能性としてさらに前処理(例えば、サンディングによって)を必要とする。現在では、複数のベースコートを塗布するのがまったく通例になっている。したがって、このような場合、第1ベースコートは、第2ベースコートの基材となる。ベースコートを、特に環境の影響から保護するために、少なくとも1つの追加のクリアコートがその上に塗布される。水性ベースコート材料は、水性ベースコート材料内の水と有機溶媒の総質量(質量%)に基づいて、水の割合が有機溶媒の割合よりも大きい水性ベースコート材料である。
【0096】
本発明により使用されるコーティング材料組成物中に存在する全成分、例えば成分(a)、(b)、及び(c)、並びに任意で以下に特定されるさらなる任意成分のうちの1つ又は複数は、コーティング材料組成物の総質量に基づいて100質量%に合計される。
【0097】
本発明により使用されるコーティング材料組成物の固形分は、好ましくは、コーティング材料組成物の全質量に基づいて、それぞれ10~45質量%、より好ましくは11~42.5質量%、非常に好ましくは12~40質量%、より具体的には13~37.5質量%の範囲である。固形分、すなわち不揮発性画分は、後述する方法により決定される。
【0098】
成分(a)
「結合剤」という用語は、本発明の意味で、及びDIN EN ISO 4618(ドイツ語版、日付:2007年3月)に一致して、好ましくは、本発明により採用されるコーティング材料組成物などの組成物の、含有する顔料及び/又はフィラーは除く不揮発性画分(膜の形成に関与する画分)を指す。不揮発性画分は、後述する方法により決定することができる。したがって、結合剤成分とは、本発明により使用されるコーティング材料組成物などの組成物の結合剤含有量に寄与する任意の成分である。一例は、例えば後述するSCSポリマー;メラミン樹脂などの架橋剤;及び/又はポリマー添加剤など、成分(a)として結合剤として採用可能な少なくとも1つのポリマーを含む水性ベースコート材料などのベースコート材料である。
【0099】
成分(a)として使用するために特に好ましいのは、いわゆるシード-コア-シェルポリマー(SCSポリマー)である。このようなポリマー、及びそのようなポリマーを含む水系分散体は、例えばWO2016/116299A1から知られている。該ポリマーは、好ましくは(メタ)アクリルコポリマーである。該ポリマーは、好ましくは水系分散体の形で使用される。成分(A)として使用するのに特に好ましいのは、水中のオレフィン性不飽和モノマーの、好ましくは互いに異なる3つのモノマー混合物(A)、(B)、及び(C)の、逐次ラジカル乳化重合によって調製可能な100~500nmの範囲の平均粒子径を有するポリマーであって、ここで、
混合物(A)は、25℃で0.5g/l未満の水溶解度を有するモノマーの少なくとも50質量%を含み、混合物(A)から調製されるポリマーは、10~65℃のガラス転移温度を有し、混合物(B)は、少なくとも1つの多価不飽和モノマーを含み、混合物(B)から調製されるポリマーは、-35~15℃のガラス転移温度を有し、及び、混合物(C)から調製されるポリマーは、-50~15℃のガラス転移温度を有し、
そこでは、
i.まず、混合物(A)が重合され、
ii.次いで、i.の下で調製されたポリマーの存在下で混合物(B)が重合され、
iii.その後、ii.の下で調製されたポリマーの存在下で混合物(C)が重合される。
【0100】
ポリマーの調製は、それぞれの場合に水中における、オレフィン性不飽和モノマーの3つの混合物(A)、(B)、及び(C)の逐次ラジカル乳化重合を含む。したがって、それは多段ラジカル乳化重合であり、そこでは、i.最初に混合物(A)が重合され、次にii.混合物(B)がi.の下で調製されたポリマーの存在下で重合され、さらに、iii.混合物(C)がii.の下で調製されたポリマーの存在下で重合される。したがって、3つのモノマー混合物はすべて、それぞれの場合に別々に行われるラジカル乳化重合(すなわち、段階又は重合段階)によって重合され、これらの段階は連続して行われる。時間的には、該段階は、互いに続いて直後に行われてよい。一つの段階の終了後、その後に次の段階が実施されるためだけに、問題の反応溶液を一定期間保存し、及び/又は別の反応容器に移すことも同様に可能である。好ましくは、ポリマーの調製は、モノマー混合物(A)、(B)及び(C)の重合以外の重合工程を含まない。
【0101】
混合物(A)、(B)、及び(C)は、オレフィン性不飽和モノマーの混合物である。適切なオレフィン性不飽和モノマーは、モノ又はポリオレフィン性不飽和であってよい。適切なモノオレフィン性不飽和モノマーの例としては、特に、(メタ)アクリレートをベースとするモノオレフィン性不飽和モノマー、アリル基を含むモノオレフィン性不飽和モノマー、及びビニル基を含む他のモノオレフィン性不飽和モノマー、例えばビニル芳香族モノマーなどが挙げられる。本発明の目的のための(メタ)アクリル又は(メタ)アクリレートという用語は、メタクリレート及びアクリレートの両方を包含する。任意の割合で使用するために好ましいのは、必ずしも排他的ではないが、(メタ)アクリレートをベースとするモノオレフィン性不飽和モノマーである。
【0102】
混合物(A)は、25℃で0.5g/l未満の水溶解度を有するオレフィン性不飽和モノマーの少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも55質量%を含む。このような好ましいモノマーの1つは、スチレンである。これらのモノマーの水の溶解度は、後述する方法により決定される。好ましくは、モノマー混合物(A)は、ヒドロキシ官能性モノマーを含まない。同様に好ましくは、モノマー混合物(A)は、酸官能性モノマーを含まない。非常に好ましくは、モノマー混合物(A)は、ヘテロ原子を含む官能基を有するモノマーを全く含まない。これは、ヘテロ原子が存在する場合は、架橋基の形でのみ存在することを意味する。これは、例えば、ラジカルRとしてアルキルラジカルを有する上述の(メタ)アクリレートをベースとするモノオレフィン性不飽和モノマーの場合に該当する。モノマー混合物(A)は、好ましくは、モノオレフィン性不飽和モノマーのみを含む。モノマー混合物(A)は、好ましくは、アルキルラジカルを有する(メタ)アクリル酸の少なくとも1つの一価不飽和エステルと、ビニル基を含有し、ビニル基上に配置された芳香族又は飽和脂肪族-芳香族混合物であるラジカルを有する少なくとも1つのモノオレフィン性不飽和モノマーを含み、この場合、ラジカルの脂肪族画分はアルキル基である。混合物(A)中に存在するモノマーは、それらから調製されたポリマーが10~65℃、好ましくは30~50℃のガラス転移温度を有するように選択される。ここでのガラス転移温度は、後述する方法によって決定することができる。モノマー混合物(A)の乳化重合により段階i.で調製されるポリマーは、シードとも呼ばれる。このシードは、好ましくは20~125nmの平均粒子径を有する。
【0103】
混合物(B)は、少なくとも1つのポリオレフィン性不飽和モノマー、好ましくは少なくとも1つのジオレフィン性不飽和モノマーを含む。対応する好ましいモノマーは、ヘキサンジオールジアクリレートである。モノマー混合物(B)は、好ましくは、ヒドロキシ官能性モノマーを含まない。同様に好ましくは、モノマー混合物(B)は、酸官能性モノマーを含まない。非常に好ましくは、モノマー混合物(B)は、ヘテロ原子を含む官能基を有するモノマーを全く含まない。これは、ヘテロ原子が存在する場合には、架橋基の形でのみ存在することを意味する。これは、例えば、ラジカルRとしてアルキルラジカルを有する上述の(メタ)アクリレートをベースとするモノオレフィン性不飽和モノマーの場合に該当する。少なくとも1つのポリオレフィン性不飽和モノマーに加えて、モノマー混合物(B)は、好ましくは、任意の割合で以下のモノマーを含む:第1に、アルキルラジカルを有する(メタ)アクリル酸の少なくとも1つの一価不飽和エステル、及び第2に、ビニル基を含有し、ビニル基上に配置された、芳香族又は飽和脂肪族-芳香族混合物であるラジカルを有する少なくとも1つのモノオレフィン性不飽和モノマーを含み、この場合、ラジカルの脂肪族画分はアルキル基である。多価不飽和モノマーの割合は、モノマー混合物(B)中のモノマーの総モル量に基づいて、好ましくは0.05~3モル%である。混合物(B)中に存在するモノマーは、そこから調製されたポリマーが-35℃から15℃、好ましくは-25℃から+7℃のガラス転移温度を有するように選択される。段階ii.でシードの存在下で、モノマー混合物(B)の乳化重合によって調製されるポリマーは、コアとも呼ばれる。したがって、段階ii.の後、得られるポリマーは、シードとコアを含む。段階ii.の後に得られるポリマーは、好ましくは80~280nm、好ましくは120~250nmの平均粒子径を有する。
【0104】
混合物(C)中に存在するモノマーは、そこから調製されるポリマーが-50~15℃、好ましくは-20~+12℃のガラス転移温度を有するように選択される。このガラス転移温度は、後述する方法で決定することができる。混合物(C)のオレフィン性不飽和モノマーは、好ましくは、得られるポリマーがシード、コア、及びシェルを含み、10~25の酸価を有するように選択される。したがって、混合物(C)は、好ましくは、少なくとも1つのα-β不飽和カルボン酸、特に好ましくは(メタ)アクリル酸を含む。混合物(C)中のオレフィン性不飽和モノマーは、好ましくは、得られるポリマーがシード、コア、及びシェルを含み、0~30、好ましくは10~25のOH価を有するように、追加的に又は代替的に選択される。前述の酸価及びOH価はすべて、採用されるモノマー混合物の全体に基づいて計算される値である。モノマー混合物(C)は、好ましくは、少なくとも1つのα-β不飽和カルボン酸と、ヒドロキシル基で置換されたアルキルラジカルを有する(メタ)アクリル酸の少なくとも1つの一価不飽和エステルとを含む。特に好ましくは、モノマー混合物(C)は、少なくとも1つのα-β不飽和カルボン酸と、ヒドロキシル基で置換されたアルキルラジカルを有する(メタ)アクリル酸の少なくとも1つの一価不飽和エステルと、アルキルラジカルを有する(メタ)アクリル酸の少なくとも1つの一価不飽和エステルとを含む。本発明がさらに特定せずにアルキルラジカルを参照する場合、参照は常に官能基及びヘテロ原子を含まない純粋なアルキルラジカルを指す。シード及びコアの存在下でモノマー混合物(C)の乳化重合によって段階iii.で調製されるポリマーは、シェルとも呼ばれる。したがって、段階iii.の後の結果物は、シード、コア、及びシェルを含むポリマー、つまりポリマー(b)である。調製後、ポリマー(b)は、100~500nm、好ましくは125~400nm、非常に好ましくは130~300nmの平均粒子径を有する。
【0105】
本発明により使用されるコーティング材料組成物は、好ましくは、いずれの場合にもコーティング材料組成物の総質量に基づいて、1.0~20質量%、より好ましくは1.5~19質量%、非常に好ましくは2.0~18.0質量%、より具体的には、2.5~17.5質量%、最も好ましくは3.0~15.0質量%の範囲の画分の少なくとも1つのSCSポリマーなどの成分(a)を含む。コーティング材料組成物内の成分(a)の画分の決定及び特定は、成分(a)を含む水系分散体の固形分(不揮発性画分、固形分、又は固形画分とも呼ばれる)の決定を介して行うことができる。
【0106】
成分(a)としての少なくとも1つの前述のSCSポリマーに追加して又は代替して、好ましくは追加して、本発明により使用されるコーティング材料組成物は、成分(a)の結合剤として、SCSポリマーとは異なる少なくとも1つのポリマー、より具体的には、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリ(メタ)-アクリレート及び/又は前記ポリマーのコポリマー、より具体的には、ポリウレタン-ポリ(メタ)アクリレート及び/又はポリウレアからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含んでよい。
【0107】
好ましいポリウレタンは、例えば、ドイツ特許出願DE19948004A1の4頁、19行目から11頁、29行目(ポリウレタンプレポリマーB1)、欧州特許出願EP0228003A1の3頁、24行目から5頁、40行目、欧州特許出願EP0634431A1の3頁、38行目から8頁、9行目、及び国際特許出願WO92/15405の2頁、35行目から10頁、32行目に記載されている。
【0108】
好ましいポリエステルは、例えば、DE4009858A1のコラム6、53行目からコラム7、61行目及びコラム10、24行目からコラム13、3行目、又はWO2014/033135A2の2頁、24行目から7頁、10行目、さらに28頁、13行目から29頁、13行目に記載されている。
【0109】
好ましいポリウレタン-ポリ(メタ)アクリレートコポリマー((メタ)アクリレートポリウレタン)及びそれらの調製は、例えばWO91/15528A1の3頁、21行目から20頁、33行目まで、及びDE4437535A1の2頁、27行目から6頁、22行目に記載されている。
【0110】
好ましいポリウレタン-ポリウレアコポリマーは、好ましくは、40~2000nmの平均粒子径を有するポリウレタン-ポリウレア粒子であり、ここで、ポリウレタン-ポリウレア粒子は、それぞれの場合、反応した形態で、イソシアネート基を含み、アニオン性基及び/又はアニオン性基に変換可能な基を含む少なくとも1つのポリウレタンプレポリマー、ならびに2つの第1級アミノ基及び1つ又は2つの第2級アミノ基を含む少なくとも1つのポリアミンを含む。このようなコポリマーは、好ましくは水系分散体の形態で使用される。これらの種類のポリマーは、原則的に従来の、例えばポリイソシアネートとポリオール及びポリアミンとの重付加によって調製可能である。
【0111】
SCSポリマーとは異なるこのようなポリマーのコーティング材料組成物の画分は、好ましくはSCSポリマーの画分よりも小さい。記載されているポリマーは、好ましくはヒドロキシ官能性であり、特に好ましくは15~200mgKOH/g、より好ましくは20~150mgKOH/gの範囲のOH価を有する。
【0112】
特に好ましくは、本発明により使用されるコーティング材料組成物は、少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリウレタン-ポリ(メタ)アクリレートコポリマーを含み;さらに好ましくは、それらは、少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリウレタン-ポリ(メタ)アクリレートコポリマー、及びまた少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリエステル、また任意に、好ましくはヒドロキシ官能性ポリウレタン-ポリウレアコポリマーを含む。
【0113】
成分(a)の結合剤としての、SCSポリマーに加えてのさらなるポリマーの画分は、大きく変化してもよく、それぞれの場合にコーティング材料組成物の総質量に基づいて、好ましくは1.0~25.0質量%、より好ましくは3.0~20.0質量%、非常に好ましくは5.0~15.0質量%の範囲である。
【0114】
コーティング材料組成物は、さらに、少なくとも1つの従来の典型的な架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤を含む場合、当該種は、好ましくは少なくとも1つのアミノ樹脂及び/又は少なくとも1つのブロック又は遊離ポリイソシアネートであり、好ましくはアミノ樹脂である。アミノ樹脂の中でも、特にメラミン樹脂が好ましい。コーティング材料組成物が架橋剤を含む場合、これらの架橋剤、より具体的にはアミノ樹脂及び/又はブロック又は遊離ポリイソシアネート、より好ましくはアミノ樹脂、さらに好ましくはメラミン樹脂の画分は、それぞれの場合でコーティング材料組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.5~20.0質量%、より好ましくは1.0~15.0質量%、非常に好ましくは1.5~10.0質量%の範囲である。架橋剤の画分は、好ましくは、コーティング材料組成物中のSCSポリマーの画分よりも小さい。
【0115】
成分(b)
当業者は、「顔料」及び「フィラー」という用語に熟知している。
【0116】
「フィラー」という用語は、例えば、DIN55943(日付:2001年10月)から当業者に知られている。本発明の意味での「フィラー」は、好ましくは、本発明により使用されるコーティング材料組成物、例えば水性ベースコート材料などに実質的に、好ましくは完全に不溶性であり、特に体積を増加させる目的で使用される成分である。本発明の意味での「フィラー」は、好ましくは、屈折率で「顔料」とは異なるものであり、フィラーの屈折率は1.7未満である。当業者に知られている任意の慣用のフィラーを成分(b)として使用することができる。適切なフィラーの例としては、カオリン、ドロマイト、カルサイト、チョーク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、グラファイト、ケイ酸マグネシウムなどのケイ酸塩、特にヘクトライト、ベントナイト、モンモリロナイト、タルク及び/又はマイカなどの対応するフィロケイ酸塩、シリカ、特にフュームドシリカ、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムなどの水酸化物、又は繊維、セルロース繊維、ポリエチレン繊維又はポリマー粉末などの有機フィラーが挙げられる。
【0117】
「顔料」という用語は、例えば、DIN 55943(日付:2001年10月)から、当業者に同様に知られている。本発明の意味での「顔料」は、好ましくは、本発明により使用される例えば水性ベースコート材料などのコーティング材料組成物に実質的に、好ましくは完全に不溶性である粉末又はプレートレット状の成分を指す。これらの「顔料」は、好ましくは、着色剤、及び/又はそれらの磁気的、電気的、及び/又は電磁的特性により顔料として使用することができる物質である。顔料は、好ましくは屈折率において「フィラー」と異なり、顔料についての屈折率は1.7以上である。
【0118】
「顔料」という用語は、好ましくは、着色顔料及び効果顔料を包含する。
【0119】
当業者は、着色顔料の概念に熟知している。本発明の目的のためには、「色付与顔料(color-imparting pigment)」及び「着色顔料(color pigment)」という用語は交換可能である。顔料の対応する定義及びそのさらなる仕様は、DIN 55943(日付:2001年10月)に記載されている。使用される着色顔料は、有機顔料及び/又は無機顔料を含むことができる。特に好ましく使用される色顔料は、白色顔料、有彩顔料及び/又は黒色顔料である。白色顔料の例は、二酸化チタン、亜鉛ホワイト、硫化亜鉛、及びリトポンである。黒色顔料の例は、カーボンブラック、鉄マンガンブラック、スピネルブラックである。有彩顔料の例は、酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン、コバルトグリーン、ウルトラマリングリーン、コバルトブルー、ウルトラマリンブルー、マンガンブルー、ウルトラマリンバイオレット、コバルトバイオレット及びマンガンバイオレット、赤色酸化鉄、カドミウムスルホセレニド、モリブデートレッド及びウルトラマリンレッド、褐色酸化鉄、混合褐色、スピネル相及びコランダム相、及びクロムオレンジ、黄色酸化鉄、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、硫化カドミウム亜鉛、クロムイエロー及びビスマスバナデートである。
【0120】
当業者は、効果顔料の概念に熟知している。対応する定義は、例えば、Roempp Lexikon,Lacke und Druckfarben,Georg Thieme Verlag出版,1998年,第10版,176頁及び471頁に記載されている。顔料の一般的定義とさらなる仕様はDIN 55943(日付:2001年10月)で扱われている。効果顔料は、好ましくは、光学効果又は色及び光学効果、特に光学効果を付与する顔料である。したがって、「光学効果付与顔料及び色付与顔料(optical effect-imparting and color-imparting pigment)」、「光学効果顔料(optical effect pigment)」及び「効果顔料(effect pigment)」という用語は、好ましくは交換可能である。好ましい効果顔料は、例えば、層状アルミニウム顔料、ゴールドブロンズ、酸化ブロンズ及び/又は酸化鉄アルミニウム顔料などの板状の金属効果顔料、パールエッセンスなどの真珠光沢顔料、塩基性鉛カーボネート、ビスマスオキシクロリド及び/又は金属酸化物マイカ顔料、及び/又は層状グラファイト、層状酸化鉄、PVD膜からの多層効果顔料及び/又は液晶ポリマー顔料などの他の効果顔料である。特に好ましいのは、層状の効果顔料、特に層状アルミニウム顔料及び金属酸化物マイカ顔料である。
【0121】
本発明により使用される水性ベースコート材料などのコーティング材料組成物は、例えば、成分(b)として少なくとも1つの効果顔料を含むのが特に好ましい。
【0122】
本発明により使用されるコーティング材料組成物は、好ましくは、成分(b)としての効果顔料の画分を、いずれの場合もコーティング材料組成物の総質量に基づいて、1~20質量%、より好ましくは1.5~18質量%、非常に好ましくは2~16質量%、より具体的には2.5~15質量%、最も好ましくは3~12質量%、又は3~10質量%の範囲で含む。コーティング材料組成物中のすべての顔料及び/又はフィラーの総画分は、いずれの場合もコーティング材料組成物の総質量に基づいて、好ましくは、0.5~40.0質量%、より好ましくは2.0~20.0質量%、非常に好ましくは3.0~15.0質量%の範囲内である。
【0123】
コーティング材料組成物中の、少なくとも1つの効果顔料などの成分(b)と少なくとも1つのSCSポリマーなどの成分(a)の相対的な質量比は、好ましくは4:1から1:4の範囲内、より好ましくは2:1から1:4の範囲内、非常に好ましくは2:1から1:3の範囲内、より具体的には1:1から1:3又は1:1から1:2.5の範囲内である。
【0124】
成分(c)
本発明により使用されるコーティング材料組成物は、好ましくは水性である。それは、いずれの場合にもコーティング材料組成物の総質量に基づいて、その溶媒として(すなわち、成分(c)として)主に水、好ましくは少なくとも20質量%の量の水、及びより小さい画分の有機溶媒、好ましくは20質量%未満の量の有機溶媒を含む系である。
【0125】
本発明により使用されるコーティング材料組成物は、いずれの場合もコーティング材料組成物の総質量に基づいて、好ましくは、少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、非常に好ましくは少なくとも30質量%、より具体的には、少なくとも35質量%の水の画分を含む。
【0126】
本発明により使用されるコーティング材料組成物は、いずれの場合もコーティング材料組成物の総質量に基づいて、好ましくは、20質量%~65質量%の範囲内、より好ましくは25質量%~60質量%の範囲内、非常に好ましくは30質量%~55質量%の範囲内の水の画分を含む。
【0127】
本発明により使用されるコーティング材料組成物は、いずれの場合もコーティング材料組成物の総質量に基づいて、好ましくは、20質量%未満の範囲内、より好ましくは0~20質量%未満の範囲内、非常に好ましくは0.5~20質量%未満の範囲内、又は0.5~15質量%の範囲内にある有機溶媒の画分を含む。
【0128】
このような有機溶媒の例として、ヘテロ環状、脂肪族又は芳香族炭化水素、一価又は多価アルコール、特にメタノール及び/又はエタノール、エーテル、エステル、ケトン、及びアミド、例えば、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、ブタノール、エチルグリコール及びブチルグリコール及びこれらのアセテート、ブチルジグリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、イソホロン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0129】
さらなる任意成分
本発明により使用されるコーティング材料組成物は、任意に、成分(d)として少なくとも1つの増粘剤(thickener)(増粘助剤(thickening agent)とも称する)をさらに含んでもよい。そのような増粘剤の例は、無機増粘剤、例えば、フィロシリケートなどの金属シリケート、及び有機増粘剤、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸増粘剤及び/又は(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリレートコポリマー増粘剤、ポリウレタン増粘剤、及びまたポリマーワックスである。金属シリケートは、好ましくはスメクタイトの群から選択される。スメクタイトは、特に好ましくは、モンモリロナイト及びヘクトライトの群から選択される。モンモリロナイト及びヘクトライトは、より具体的には、アルミニウムマグネシウムシリケート、及びナトリウムマグネシウムフィロシリケート及びナトリウムマグネシウムフッ素リチウムフィロシリケートからなる群から選択される。これらの無機フィロシリケートは、例えば、Laponite(登録商標)の商品名で販売されている。ポリ(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリレートコポリマー増粘剤に基づく増粘剤は、任意に、適切な塩基で架橋及び/又は中和される。そのような増粘剤の例は、「アルカリ膨潤性乳剤」(ASE)、及びその疎水的に修飾された変形、「親水性修飾アルカリ膨潤性乳剤」(HASE)である。これらの増粘剤は、好ましくはアニオン性である。Rheovis(登録商標)AS1130などの対応する製品が市販されている。ポリウレタンに基づく増粘剤(例えば、ポリウレタン会合性増粘剤)は、任意に、適切な塩基で架橋及び/又は中和される。Rheovis(登録商標)PU1250などの対応する製品が市販されている。適したポリマーワックスの例として、エチレン-酢酸ビニルコポリマーに基づく任意で修飾されたポリマーワックスが含まれる。対応する製品は、例えばAquatix(登録商標)8421の名称で市販されている。
【0130】
所望の用途に応じて、本発明により使用されるコーティング材料組成物は、さらなる成分又は成分(d)として、1つ以上の一般的に採用される添加剤を含んでよい。例として、コーティング材料組成物は、反応性希釈剤、光安定剤、酸化防止剤、脱気剤、乳化剤、スリップ添加剤、重合阻害剤、ラジカル重合開始剤、接着促進剤、流動制御剤、膜形成助剤、垂れ制御剤(SCA)、難燃剤、腐食防止剤、乾燥剤、殺生物剤、及び平坦化剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含んでよい。添加剤は、既知の慣例的な割合で使用してよい。
【0131】
本発明により使用されるコーティング材料組成物は、慣例的かつ既知の混合方法及び混合ユニットを使用して製造することができる。
【0132】
決定方法
1.フィラメントの平均長さの決定
ベルエッジでのフィラメントの分断は、高速カメラFastcam SA-Z(Photron Tokyo製、日本)を用いて、毎秒100000画像の画像レートと、512×256ピクセルの解像度で記録される。カメラは、本発明の装置(1)のカメラ(5)を表す。画像分析は、1回の記録につき2000画像を使用する。まず、個々の画像は、フィラメント長さを評価できるように、いくつかの工程で処理される。最初の処理工程では、ベルエッジがそれぞれの画像から除去される。この目的のために、各画像は、ベルエッジのみが見える程度までに、ガウスフィルタを用いて平滑化される。次に、これらの画像は二値化され、反転される(a)。その後に、元の画像も同様に二値化され(b)、反転画像(a)と共に加算される。得られた結果は、ベルエッジのない二値化された一連の画像であり、この一連の画像は、さらなる評価のために反転される(c)。次の工程では、フィラメントが他の物体と区別できるように条件が定義される。まず、物体のxmin、xmax、ymin、ymaxを計算することにより、全ての物体の斜辺が決定される。物体の斜辺は、物体をフィラメントとみなすためには、定義された値hよりも大きくなければならない。液滴のようなより小さい物体は、以降の評価では考慮されなくなる。さらに、各物体は、ベルエッジのすぐ近傍に位置するy値を有していなければならない。したがって、ベルエッジに接合されていない長いフラグメントは、フィラメント長さを評価する目的のために除外される。最後に、残りの物体は、その最小のx値が0より大きく、最大のx値が256より小さいという条件を満たす必要がある。したがって、評価されるフィラメントは、記録された画像フレーム内に全体的に配置されたもののみである。4つの条件を満たすことができる全ての物体が個別に呼び出され、スケルトン法によって漸減される。その結果、各物体の1つのピクセルのみが、最大で1つの他のピクセルに接続される。次に、フィラメント1つ当たりのピクセル数がカウントされる。ピクセルサイズは既知であるため、フィラメントの実際の長さを計算することができる。この画像分析は、1画像当たり約15000個のフィラメントを評価する。これは、フィラメント長さを決定するための高い統計的基盤を確かにする。
【0133】
2.
霧化から生じる噴霧の均質性の測定としての、D
10
及び特性変数T
T1
/T
合計1
とT
T2
/T
合計2
の比を含む粒度分布の決定
親粒度分布は、DantecDynamics(P60、Lexelアルゴンレーザー、FibreFlow)からの市販の単一PDA及びAOM Systems(SpraySpy(登録商標))からの市販の時間的推移器を使用して決定される。製造元情報に従って両方の機器を構築し配列した。時間的推移器SpraySpy(登録商標)の設定は、使用される材料の範囲に対して製造元によって適合された。PDAを、反射で波長514.5nm(直交偏光)で、60~70°の角度で、前方散乱で操作する。ここでの受信光学系は500mmの焦点距離を有し、送信光学系は400mmの焦点距離を有する。両方のシステムについて、構造は霧化装置に関して整列される。測定は、傾斜した霧化装置(傾斜角45°)に関して半径-軸方向に横断して、トラバース軸に対して傾斜した霧化装置の側面から垂直25mm下で行われる。この場合、規定されたトラバーススピードが事前に決定され、そのようにして、検出される個々の事象の空間的分解は、関連する時間分解信号を介して行われる。ラスタ-分解測定に対する比較は、加重グローバル分布特性について同一の結果を与えるが、しかし、トラバース軸のいかなる所望の間隔範囲の調査をも可能にする。さらに、この方法は、ラスタ法より何倍も高速で、それによって一定流速での材料の消費の削減を可能にする。検出可能な液滴は、最大の検証許容誤差で捕捉される。次いで、生データは任意の所望の許容誤差に関してアルゴリズムを介して評価される。使用されるPDAシステムについておよそ10%の許容誤差は、球状粒子の検証を制限し;増加は、少し変形した液滴をも考慮に入れる。その結果、測定軸に沿った測定される液滴の球形度の考慮が可能になる。SpraySpy(登録商標)システムは、透明液滴と不透明液滴を識別することができる。測定軸(
図1の図形を参照)は、繰り返し移動され、両方の測定法が使用される。個々の事象の二重測定がシステムの内部分析設備によって防止される。したがって、このように得られたデータは、透明なスペクトル(T)、及び不透明なスペクトル(NT)について評価されることができる。両方のスペクトルにおける測定された液滴の数の比は、透明及び不透明な液滴の局所的な分布の尺度として役立つ。測定軸に沿った積分評価が可能である。具体的には、粒子総数(Total)に対する透明な粒子(T)の比は、測定軸に沿ってx=5mmの位置1、及びx=25mmの位置2で決定され;内側から外側へ噴霧ジェットの変化する均質性について記述するために、対応する値から順に比が形成される。両方のシステム、単一PDA及びSpraySpy(登録商標)について、生データは、例えばD
10値などの通常の分布モーメントを決定する基礎として使用されることができる。
【0134】
3.膜厚の決定
膜厚は、DIN EN ISO 2808(日付:2007年5月)、方法12Aに従って、ElektroPhysik製のMiniTest(登録商標)3100-4100装置を使用して決定される。
【0135】
4.ピンホールの発生と膜厚依存のレベリングの評価
ピンホールの発生率と膜厚依存のレベリングを評価するために、ウェッジフォーマットのマルチコート塗装システムが、以下の一般的なプロトコルに従って生成される:
標準電着塗装(BASF Coatings GmbH製のCathoGuard(登録商標)800)でコーティングされた寸法30×50cmの鋼製パネルが、コーティング後の膜厚差の決定を可能にするように、一長手方向端部に接着ストリップ(Tesaband、19mm)を設ける。水性ベースコート材料を、0~40μmの目標膜厚(乾燥した材料の膜厚)で、ウェッジとして静電的に塗装する。ここでの吐出速度(discharge rate)は300ml/分と400ml/分の間であり;ESTAベルの回転速度は23000rpmから43000rpmの間で変化し;特に選択された各塗装パラメータの正確な数値は、以下の実験セクションで述べられる。室温(18~23℃)での4~5分のフラッシュオフ時間の後、システムを60℃の強制空気オーブンで10分間乾燥させる。接着ストリップを除去した後、市販の二成分クリアコート材料(BASF Coatings GmbH製のProGloss(登録商標))を、重力供給スプレーガンによって手動で、40~45μmの目標膜厚(乾燥した材料の膜厚)で、乾燥した水性ベースコートに塗布する。結果として得られたクリアコートを、室温(18~23℃)で10分間ブラッシュオフさせ;この後、140℃の強制空気オーブンでさらに20分間硬化させる。
【0136】
ピンホールの発生は、以下の一般的なプロトコルに従って視覚的に評価される:水性ベースコート材料の乾燥膜厚がチェックされ、ベースコート膜厚ウェッジについては、鋼製パネル上の0~20μmの範囲及び20μmからウェッジの端部までの範囲がマークされる。ピンホールは、水性ベースコートウェッジの2つの別々の領域で視覚的に評価される。一領域当たりのピンホールの数が計数する。全ての結果が200cm2の面積に標準化され、総数を得るために合計される。これに加えて、適切な場合は、ピンホールが発生しなくなる水性ベースコートウェッジの乾燥膜厚が記録される。
【0137】
膜厚依存のレベリングは、以下の一般的なプロトコルに従って評価される:水性ベースコート材料の乾燥膜厚がチェックされ、ベースコート膜厚ウェッジについては、異なる領域、例えば、10~15μm、15~20μm、及び20~25μmが鋼製パネル上にマークされる。膜厚依存のレベリングは、Byk-Gardner GmbH製のWave scan装置によって、事前に確定されたベースコート膜厚の領域内で決定及び評価される。この目的のために、レーザービームが60°の角度で調査中の表面に向けられ、短波範囲(0.3~1.2mm)及び長波範囲(1.2~12mm)の反射光における変動が、10cmの距離で装置によって記録される(長波=LW、短波=SW;数値が小さいほど、外観が良好である)。さらに、マルチコート系の表面で反射した像の鮮明さの指標として、「像鮮明性(distinctness of image)」(DOI)の特性パラメータが、装置の助けを借りて決定される(数値が大きいほど、外観が良好である)。
【0138】
5.曇りの決定
曇りを決定するために、マルチコート塗料システムは、以下の一般的なプロトコルに従って生成される:
従来のサーフェイサーシステムでコーティングされた寸法32×60cmの鋼製パネルが、水性ベースコート材料により、二重塗布によってさらにコーティングされる:最初の工程の塗装は、8~9μmの目標膜厚で静電的に行われ、第2の工程では、室温での2分間のフラッシュオフ時間の後に、同様に、4~5μmの目標膜厚で静電的に行われる。室温(18~23℃)でさらに5分間のフラッシュオフ時間の後に、結果として得られた水性ベースコートは80℃の強制空気オーブンで5分間乾燥される。両方のベースコート塗装は、回転速度43000rpm、吐出速度300ml/分で行われる。乾燥した水性ベースコートの上に塗装されるのは、40~45μmの目標膜厚を有する市販の二成分クリアコート材料(BASF Coatings GmbH製のProGloss)である。得られたクリアコートは、室温(18~23℃)で10分間フラッシュオフされ;その後、140℃の強制空気オーブンでさらに20分間硬化される。
【0139】
曇りは、次いで、BYK-Gardner GmbH製のクラウドランナー装置を使用して評価される。該装置は、「mottling15」、「mottling45」、及び「mottling60」の3つの特性パラメータを含むパラメータを出力し、それらは、使用された測定光源の反射角に対して15°、45°、及び60°の角度で測定された曇りの指標とみなされる。この値が大きいほど曇りが顕著である。
【0140】
6.湿潤度の決定
評価は、水性ベースコート材料などのコーティング材料組成物を基材に塗布した後に形成される膜の湿潤度について行われる。この場合のコーティング材料組成物は、15μm~40μmの範囲内の目標膜厚などの所望の目標膜厚(乾燥した材料の膜厚)の一定層として、回転霧化によって静電的に塗装される。吐出速度は300~400ml/分であり、回転霧化装置のESTAベルの回転速度は23000~63000rpmの範囲である(それぞれの場合の具体的に選択された塗装パラメータの正確な詳細は、以下、実験セクション内の関連箇所に記載されている)。塗装終了後1分後に、基材上に形成された膜の湿潤度を視覚的に評価する。湿潤度は1から5までのスケールで記録される(1=非常に乾燥した状態~5=非常に湿った状態)。
【0141】
7.ポップの発生の決定
ポッピング傾向を決定するために、マルチコート塗装システムが、DIN EN ISO 28199-1(日付:2010年1月)及びDIN EN ISO 28199-3(日付:2010年1月)に基づく方法で、以下の一般的なプロトコルに従って、製造される:硬化カソード電着塗装(BASF Coatings GmbH製のCathoGuard(登録商標)800)でコーティングされた寸法57×20cmの多孔鋼板(DIN EN ISO 28199-1、セクション8.1、バージョンAに準拠)が、DIN EN ISO 28199-1、セクション8.2(バージョンA)と同様に製造される。これに続いて、DIN EN ISO 28199-1、セクション8.3に基づく方法で、0μmから30μmの範囲の目標膜厚(乾燥した材料の膜厚)でウェッジの形で水性ベースコート材料の1回塗装の静電塗装が行われる。得られたベースコートは、事前のフラッシュオフ時間なしに、80℃の強制空気オーブンで5分間の中間乾燥に付される。ポッピングの限界、すなわち、ポップが発生するベースコートの膜厚の決定は、DIN EN ISO 28199-3、セクション5に従って行われる。
【0142】
8.ランの発生の決定
ランの傾向を決定するために、マルチコート塗装システムは、DIN EN ISO 28199-1(日付:2010年1月)及びDIN EN ISO 28199-3(日付:2010年1月)に基づく方法で、以下の一般的なプロトコルに従って、製造される:硬化カソード電着塗装(EC)(BASF Coatings GmbH製のCathoGuard(登録商標)800)でコーティングされた寸法57cm×20cmの多孔鋼板(DIN EN ISO 28199-1、セクション8.1、バージョンAに準拠)が、DIN EN ISO 28199-1、セクション8.2(バージョンA)と同様に製造される。これに続いて、DIN EN ISO 28199-1、セクション8.3に基づく方法で、0μmから40μmの範囲の目標膜厚(乾燥した材料の膜厚)でウェッジの形で水性ベースコート材料の1回塗装の静電塗装が行われる。得られたベースコートは、18~23℃で10分間のフラッシュオフ時間後に、80℃の強制空気オーブンで5分間の中間乾燥に付される。ここでは、鋼板はフラッシュオフされ、垂直に立てた状態で中間乾燥される。ランの傾向は、DIN EN ISO 28199-3、セクション4に従って決定される。ランが穿孔の下端から10mmの長さを超える膜厚に加えて、穿孔における最初のランの傾向が視覚的に観察できる膜厚が決定される。
【0143】
9.ストリーク(streakiness)の評価
ストリークは、特許明細書DE102009050075B4に記載されている方法によって評価される。そこに記載され定義されている均質性指数、又は平均された均質性指数は、それらの指数が前記特許明細書では曇りを評価する目的で使用されているにもかかわらず、本出願においてはストリークの発生を等しく捕捉することができる。対応する値が大きいほど、基材上の、目に見えるストリークがより顕著になる。
【実施例】
【0144】
本発明の実施例及び比較例
以下の本発明の実施例及び比較例は、本発明を説明するために役立てるが、限定するものと解釈すべきではない。
【0145】
特に明記されていない限り、いずれの場合も、部における数値は、質量部であり、パーセントで表す数値は、質量%である。
【0146】
1.水性ベースコート材料の製造
1.1 水性ベースコート材料WBL1及びWBL2の製造
表1.1の「水相」に示されている成分を記載されている順序で一緒に撹拌して水系混合物を形成した。次の工程では、「アルミニウム顔料予混合物」及び「マイカ予混合物」に示されている成分から予混合物をそれぞれ製造した。これらの予混合物を水系混合物に別々に加えた。それぞれのの予混合物の添加後、10分間撹拌した。次いで、脱イオン水及びジメチルエタノールアミンを用いて、pHを8及び回転式粘度計(Anton Paar製のC-LTD80/QC加熱システムを備えたRheolab QC)を用いて23℃で測定し、1000s-1のせん断荷重下で95±10mPa・sの霧化粘度に設定した。
【0147】
水性分散体AD1は、25.6質量%の固形分と8.85のpHを有する多段SCSポリアクリレートを含み、該ポリアクリレートは、異なる段階i.~iii.で続いて採用される3つの異なるモノマー混合物(A)、(B)及び(C)を利用することによって調製した。水性ポリウレタン-ポリウレア分散体PD1は、40.2質量%の固形分と7.4のpHを有する。ペーストP1~P5は、顔料ペースト(P1~P3)又はフィラーペースト(P4及びP5)である。ML1は、効果顔料ペーストを製造するための混合ワニスである。
【0148】
【0149】
1.2 水性ベースコート材料WBL3~WBL6の製造
表1.2の「水相」に示されている成分を記載されている順序で一緒に撹拌して水性混合物を形成した。次のステップでは、「アルミニウム顔料予混合物」に示されている成分から予混合物を製造した。この予混合物を水性混合物に加えた。添加後、10分間撹拌した。次いで、脱イオン水及びジメチルエタノールアミンを用いて、pH8、及び回転式粘度計(Anton Paar製のC-LTD80/QC加熱システムを備えたRheolab QC)を用いて23℃で測定して1000s-1のせん断荷重下で85±5mPa・sの霧化粘度に設定した。
【0150】
シリーズWBL3~WBL4では、アルミニウム顔料の画分、したがって、顔料/結合剤比がいずれの場合も低下した。WBL5~WBL6についても同様である。
【0151】
【0152】
1.3 水性ベースコート材料WBL7~WBL10の製造
表1.3の「水相」に示されている成分を記載されている順序で一緒に撹拌して水性混合物を形成した。次のステップでは、「アルミニウム顔料予混合物」に示されている成分から予混合物を製造した。この予混合物を水性混合物に加えた。添加後、10分間撹拌した。次いで、脱イオン水及びジメチルエタノールアミンを用いて、pH8、及び回転式粘度計(Anton Paar製のC-LTD80/QC加熱システムを備えたRheolab QC)を用いて23℃で測定して1000s-1のせん断荷重下で85±5mPa・sの霧化粘度に設定した。
【0153】
シリーズWBL7~WBL8では、アルミニウム顔料の画分、したがって、顔料/結合剤比がいずれの場合も低下した。WBL9~WBL10についても同様である。
【0154】
ML2は、効果顔料ペーストを製造するための混合ワニスである。
【0155】
【0156】
2.水性ベースコート材料の特性と結果として得られるコーティングの調査と比較
2.1 上記の水性ベースコート材料をコーティング材料組成物として使用した。これらの各コーティング材料組成物の回転霧化を行い、前記回転霧化プロセスを光学的に監視した。これは、本発明の装置(1)を用いて行われた。供給ユニット(4)からベルカップ(3)を備えた回転霧化装置(2)にコーティング材料組成物を供給し、装置(1)内のカメラ(5)と光学測定ユニット(6)の両方を利用することによって回転霧化プロセスを光学的に監視した。カメラ(5)は、ベルカップ(3)のエッジでコーティング材料組成物の霧化によって形成されたフィラメントを光学的に捕捉するために使用し、光学測定ユニット(6)は、コーティング材料組成物の霧化によって形成された噴霧の液滴を、噴霧全体を通るトラバース光学測定によって光学的に捕捉するために使用した。毎秒100000画像の画像レートと、512×256ピクセルの解像度である、高速カメラ(HSC)Fastcam SA-Z(Photron Tokyo製、日本)をカメラ(5)として使用した。フィラメントの平均長さは、前記の決定方法に従って決定した。DantecDynamicsの市販の単一PDA(P60,Lexelアルゴンレーザー,FibreFlow)及び/又はAOM Systemsの市販の時間的推移器(SpraySpy(登録商標))を光学測定装置(6)として使用した。均質性及びD10値は、前述の決定方法に従って決定した。
【0157】
2.2 水性ベースコート材料WBL5とWBL9の霧化噴霧によるストリークの発生と均質性の比較
水性ベースコート材料WBL5及びWBL9(これらの材料はそれぞれ同一のアルミニウム顔料を同一の量で含有する)のストリーク及び噴霧の均質性に関する調査を、上記の方法で行った。その結果を表2.1にまとめた。
【0158】
【0159】
均質性指数HIに関連する15から110の数字は、測定を実行するときに選択されたそれぞれの角度(°)に関連しており、決定されるそれぞれのデータは、鏡面角度から特定の角度(°)離れて決定される。例えばHI15は、鏡面角度から15度の距離で捕捉されたデータに対する均質性指標であることを示す。
【0160】
WBL5とWBL9は、色素は同じであるが、基本的な組成が異なる。
【0161】
表2.1の数字は、ストリークの発生傾向の違いが(これは特許DE102009050075B4による均質性指数によって決定される)、x=5mm(内側)におけるTT1/T合計1とx=25mm(外側)におけるTT2/T合計2の比と相関していることを示している:
TT1/T合計1とTT2/T合計2から形成される比の値が大きいほど、霧化噴霧において、不透明(NT)粒子、すなわち(効果)顔料を含む粒子が内側から外側に向かって増加する度合いが大きくなる。つまり、塗布中に、材料は、(効果)顔料の濃度が異なる領域により強く分離されるため、より不均一、又はよりストリークが発生しやすくなる。
【0162】
透明粒子のみ又は不透明粒子のみを測定する先行技術の方法とは対照的に、霧化を特徴付けるための本発明の方法は、透明粒子と不透明粒子との間の区別を含み、2つの情報を互いに組み合わせる。上述の例で示されているように、この区別と組み合わせは、顔料塗料の霧化に関わるプロセスを理解するために必要である。
【0163】
2.3 水性ベースコート材料WBL1とWBL2のピンホール発生の比較
ピンホールの発生に関する水性ベースコート材料WBL1及びWBL2の調査を、上記の方法に従って行った。その結果を表2.2a及び2.2bにまとめる。
【0164】
【0165】
WBL1と比較して、WBL2はピンホールの発生に関してはるかに重要であることがわかった。この挙動は、WBL1と比較してWBL2の場合に実験的に得られたD10のより大きな値と相関しており、より粗い霧化と湿潤度の増加の尺度である。
【0166】
【0167】
WBL1と比較して、WBL2は、特に23000rpmという比較的低い回転スピードでピンホールの発生に関してより重要であることがわかった。この挙動は、WBL1と比較してWBL2の場合に実験的に得られたフィラメント長さのより大きな値と相関しており、同時に、より粗い霧化と湿潤度の増加の尺度である。
【0168】
2.4 曇り、ピンホールの発生、及び膜厚依存のレベリングの評価に関する水性ベースコート材料WBL3~WBL10の比較
曇り、ピンホール、及び膜厚依存のレベリングの評価に関する水性ベースコート材料WBL3~WBL10の調査を、上述の方法によって調査を行った。表2.3a、2.3b、2.4a及び2.4bにその結果をまとめた。
【0169】
【0170】
それぞれが同じ顔料、また同じ量の顔料をも含有する試料の組み合わせWBL3とWBL7、WBL4とWBL8、及びWBL6とWBL10をそれぞれ直接比較すると、300ml/分の吐出速度及び43000rpmのスピードで、材料WBL7、WBL8、及びWBL10はそれぞれ、対応する参照試料WBL3、WBL4、及びWBL6よりも小さいD10を有し、したがってより微細な霧化を受けることがわかる。これは、ピンホールの堅牢性が著しく向上し、また曇りが少なくなることにも反映されている。
【0171】
【0172】
それぞれが同じ顔料、また同じ量の顔料をも含有する試料の組み合わせWBL3とWBL7、WBL4とWBL8、WBL5とWBL9、及びWBL6とWBL10をそれぞれ直接比較すると、300ml/分の吐出速度及び43000rpmのスピードで、ベースコート材料WBL7~WBL10はそれぞれ、対応する参照試料WBL3~WBL6より小さいフィラメントの長さを有し、したがってより微細な霧化を受けることがわかる。これは、ピンホールの堅牢性が著しく向上し、また曇りが少なくなることにも反映されている。
【0173】
【0174】
WBL3とWBL5は、それぞれ顔料/結合剤比が0.35であり、WBL4とWBL6はそれぞれ顔料/結合剤比が0.13である。実験結果は、D10値と、結果として生じる霧化特性と、ここでは膜厚の関数としての外観/レベリングとの間の相関関係を示しており:同一の顔料/結合剤比0.35(WBL3とWBL5)及び0.13(WBL4とWBL6)の試料を比較すると、より長いフィラメント長さ、換言すると、より粗く、つまりより湿った霧化は、得られた短波とDOIの数値で示されているように、レベリングの低下につながることがわかる。
【0175】
【0176】
WBL3とWBL5は、それぞれ顔料/結合剤比が0.35であり、WBL4とWBL6はそれぞれ顔料/結合剤比が0.13である。実験結果は、フィラメント長さ、又は結果として生じる霧化特性と、ここでは膜厚の関数としての外観/レベリングとの間の相関関係を示しており:同一の顔料/結合剤比0.35(WBL3とWBL5)及び0.13(WBL4とWBL6)の試料を比較すると、より長いフィラメント長さ、換言すると、より粗く、つまりより湿った霧化は、得られた短波とDOIの数値で示されているように、レベリングの低下につながることがわかる。
【0177】
6.4 実施例では、本発明の装置及び方法を用いることにより、最終的なコーティングの質的特性(ピンホールの数、曇り又はレベリング、及び外観)と相関する塗料の霧化、特に先行技術の他の方法よりも良好に相関する塗料の霧化について、予測を行うことが可能であることを示している。本発明の方法は、したがって、品質保証のための単純かつ効率的な方法を可能にする。このことは、塗料開発に焦点を当て、そうすることで、モデル基材への高価で不便なコーティング作業(材料の焼成を含む)の必要性を少なくとも部分的に取り除くことに役立ち得る。
【国際調査報告】