(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】マイクロ構造体を製造するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A61M37/00 505
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512436
(86)(22)【出願日】2020-08-18
(85)【翻訳文提出日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2020073039
(87)【国際公開番号】W WO2021032701
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】102019122648.1
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】クーリック,ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ティシン,ニコライ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA71
4C267CC05
4C267FF00
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、マイクロ構造体を製造するための少なくとも1つの、特に円錐状に窪んだ部分を上側(24)に有する雌型(22)を備えている、マイクロ構造体、特にマイクロニードル、より具体的にはマイクロニードルアレイを製造するためのデバイスに関する。雌型(22)は、例えばシリコーンキャップの形態であり、特に保持要素(30)を介して中空シリンダ(14)に連結されている。プランジャ(18)が、中空シリンダ内に移動可能に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ構造体、特にマイクロニードルを製造するためのデバイスであって、
マイクロ構造体を製造するために、少なくとも1つの好ましくは円錐状の空隙を上側に有する雌型(22)と、
中空シリンダ(14)を有する基本要素(16)と、
前記雌型(22)が前記中空シリンダ(14)の開口部(44)に跨るように前記雌型(22)を前記中空シリンダ(14)に保持するための、前記雌型(22)に連結されている保持要素(30)と、
前記中空シリンダ(14)内に配置されて、前記中空シリンダ(14)の長手方向(20)に移動可能なプランジャ(18)と
を備えている、デバイス。
【請求項2】
前記保持要素(30)は、伸長可能な、特に弾性の中間要素(28)を有しているか、又は中間要素(28)に連結されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記保持要素(30)は、特に前記中空シリンダ(14)への形状嵌合式連結のための連結要素(32, 34)を有しているか、又は前記連結要素に連結されている、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記中間要素(28)は、前記連結要素(32, 34)及び前記雌型(22)に連結されており、特に前記連結要素(32, 34)及び前記雌型(22)と一体に形成されている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記保持要素(30)は、前記中空シリンダ(14)を周方向に好ましくは完全に囲んでいる、請求項1~4のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項6】
前記保持要素(32, 34)は、前記中空シリンダ(14)の内側に周方向に完全に位置する、請求項1~4のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項7】
前記中間要素(28)と前記中空シリンダ(14)との間に間隙(48)が設けられている、請求項3~5のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項8】
前記プランジャ(18)は、挿入位置で前記雌型(22)の下側(40)に位置する平坦な上側(38)を有する、請求項1~7のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項9】
前記基本要素(16)は、好ましくは互いに連結されている複数の中空シリンダ(14)を有している、請求項1~8のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項10】
複数のプランジャ(18)が設けられており、前記複数のプランジャは、好ましくは連結板(26)を介して互いに連結されている、請求項1~9のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載のデバイスを用いて、マイクロ構造体、特にマイクロニードルを製造するための方法であって、
少なくとも1つのプランジャ(18)の上側(38)が前記雌型(22)の下側(40)に位置するように、前記少なくとも1つのプランジャ(18)を少なくとも1つの中空シリンダ(14)に夫々挿入する工程、
前記雌型(22)の少なくとも1つの空隙に配合物を充填する工程、
前記プランジャ(18)を引っ込める工程、及び
好ましくはマイクロ構造体の硬化後に前記マイクロ構造体を外す工程
を有する、方法。
【請求項12】
前記中間要素(28)を伸ばし、前記中空シリンダ(14)の開口部(44)を囲む縁部(42)から前記雌型(22)を好ましくは持ち上げるように、前記少なくとも1つのプランジャ(18)を挿入する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプランジャ(18)を引っ込めると、前記雌型(22)の下側(40)が前記開口部(44)を囲む前記中空シリンダ(14)の縁部(42)に位置するように、前記中間要素(28)は短くなるか又は縮まる、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
複数の雌型(22)が設けられている場合、前記複数の雌型を、前記少なくとも1つのプランジャ(18)によって個別に順々に、同時的に又はグループで特に持ち上げる、請求項11~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの雌型(22)に分配手段を介して配合物を充填する、請求項11~14のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ構造体、特にマイクロニードルを製造するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造するマイクロニードルは、特にマイクロニードルアレイに配置されているマイクロニードルであることが好ましい。マイクロニードルは、経皮送達とも称されるが、有効成分を皮膚に直接送達するために使用される。このため、マイクロニードルは、皮膚の外層のみに入り込んで、好ましくは神経及び血管に達しないように、神経及び血管を傷つけない状態にしておくのにちょうど十分な長さを有する。それにもかかわらず、マイクロニードルは皮膚の上層に小さな穴を作るため、有効成分の吸収が、有効成分を皮膚に純粋に外部から塗布する場合と比較すると大幅に高まる。
【0003】
例えば、支持面に取り付けられた複数のマイクロニードルを有するマイクロニードルアレイは、短期送達又は長期適用に使用されてもよい。有効成分をマイクロニードルから皮膚に送達する好ましい可能性は、有効成分を含むマイクロニードルの一部又はマイクロニードル全体が溶解するか又は分離して、ひいては皮膚を介して身体に吸収されるということである。このために、マイクロニードルは、特に水溶性の成分又は材料から少なくとも部分的に形成されている。マイクロニードル自体を通して有効成分を直接送達することに加えて、皮膚への有効成分のこのような送達を可能にすべく、マイクロニードルが細孔若しくは空隙を有するか、又は中空針として形成されることが更に可能である。更に、マイクロニードル自体が有効成分を含まなくてもよい。この場合、マイクロニードルを使用して有効成分を送達するために、例えば、マイクロニードルの外側に有効成分を外部から塗布してもよく、又は、マイクロニードルを皮膚から外した後でのみ有効成分を含む物質を対応する皮膚領域に塗布することができる。
【0004】
マイクロニードルは、セラミック、金属又はポリマーから形成されてもよい。一又は複数の有効成分がこれらの材料に追加されることにより、マイクロニードルの製剤が得られることが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
治療用又は診断用のマイクロニードル又はマイクロニードルアレイを製造するための既知の方法は、十分な品質及び/又は十分な数で製造するために適していないか、又は限られた範囲のみで適している。
【0006】
マイクロニードルを製造するための一般的な方法では、例えばシリコーンで形成された型を使用してマイクロニードル又はマイクロニードルアレイ全体を成型する。特に、型と型に導入される主に液体の配合物との疎水性により、このような製造工程に様々な問題が生じる。
【0007】
特に、マイクロニードルに観察される公差が極めて小さいという問題がある。一方では、相応に小さい公差を雌型、つまり、特にシリコーン型に確保する必要があり、他方では、相応に小さい公差で製造工程を行うことが更に必要である。
【0008】
有効成分を製造環境でオープンに処理する必要があるため、マイクロニードルの製造には無菌処理が必要である。有効成分が多いため、後滅菌が不可能である。このため、無菌性使い捨て製品を使用する無菌製造が必要である。無菌性使い捨て製品を使用することにより、汚染のリスクを回避する。
【0009】
本発明の目的は、マイクロ構造体を非常に小さい公差で製造することができる、マイクロ構造体、特にマイクロニードルを製造するためのデバイス及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、請求項1に係るデバイス及び請求項11に係る方法によって夫々達成される。
【0011】
本発明のデバイスは、特に溶解するマイクロニードルなどのマイクロ構造体を製造する機能、特に好ましくはマイクロニードルアレイを製造する機能を特に果たす。デバイスは、少なくとも1つの、好ましくは円錐状のくぼみを上側に有する雌型を備えている。くぼみは、特に成型法によって、つまり、主に液体の配合物を雌型の上側に特に分配するように導入し分散させ、マイクロ構造体を製造すべく配合物を硬化することにより、マイクロ構造体を製造する機能を果たす。
【0012】
更に、デバイスは中空シリンダを備えている。中空シリンダは、好ましくは基本要素の一部であるか、基本要素を形成している。本発明によれば、雌型が中空シリンダに固定され得るか又は保持され得るように、雌型は保持要素を有しているか又は保持要素に連結されている。雌型は、中空シリンダの開口部に跨っているか又は中空シリンダの開口部を覆っている。特に、雌型を使用する前又は雌型に配合物を充填する前に、雌型が最初の状態又は静止状態で中空シリンダの開口部の縁部に位置する。中空シリンダは、特に円形の断面を有するシリンダである。
【0013】
プランジャが、中空シリンダ内に配置されている。プランジャは、中空シリンダの長手方向に移動可能である。特に、プランジャの上側が雌型の下側に位置するように、プランジャは、最初の位置又は静止位置から挿入位置又は上方位置に中空シリンダに挿入されてもよい。雌型の下側は中空シリンダの内部の方を向いている。ここで、雌型の縁部が中空シリンダの開口部の縁部と接しなくなり、開口部の縁部から持ち上げられる程度まで、プランジャが中空シリンダに挿入されることが特に好ましい。このようにして、小さな公差を達成することができる。雌型が最初の位置又は静止位置で中空シリンダの開口部に位置するかに関係なく、本発明は、雌型がプランジャの上側のみに位置するようにプランジャを中空シリンダに挿入することにより、場合によっては追加される公差を低下させることができるという本質的な利点を有する。挿入位置又は上方位置では、雌型の厚さの公差のみが依然として問題とされる。そのため、中空シリンダによって生じるであろう公差は除外される。このため、加工公差がプランジャを介して確立されるので、中空シリンダ及び中空シリンダの保持要素の公差品質を低下させることが可能である。従って、雌型を持ち上げることにより、一連の公差を断ち切って、公差を雌型の厚さまで低下させる。
【0014】
特に好ましい実施形態では、雌型に連結されている保持要素は、伸長可能な、特に弾性の中間要素を有している。そのため、プランジャを挿入する際に雌型を中空シリンダの開口部の縁部から簡単に持ち上げることが可能である。プランジャを引っ込めると、雌型が中空シリンダの開口部の縁部にもう一度位置するように、中間要素は自動的に再び短くなる。この位置では、雌型の空隙に導入された配合物を硬化させることが可能である。
【0015】
更に、保持要素が、中空シリンダに連結するための連結要素を有していることが好ましい。ここで、連結が摩擦によって生じてもよいが、形状嵌合式連結が好ましい。
【0016】
このため、連結要素は係止要素として構成されていることが好ましい。連結要素として、保持要素は、例えば、中空シリンダに設けられた凹部に係合するタブを有している。同様に、中空シリンダは、保持要素の対応する凹部に係合するタブを有してもよい。このため、雌型を中空シリンダ上の正確な位置に配置することが可能になる。特に好ましい実施形態では、中空シリンダに連結されている雌型が無菌性ユニットとして使用されるか、又は無菌性ユニットとして製造現場に供給される。マイクロ構造体の製造後、このユニットを、プランジャを除いて処分することが好ましく、又は、妥当な場合は滅菌処理して再使用する。
【0017】
特に好ましい実施形態では、中間要素は連結要素及び雌型に連結されている。雌型及び中間要素、特に中間要素の雌型及び連結要素が一体に形成されていることが特に好ましい。材料としてシリコーンが特に適している。保持要素が中空シリンダを好ましくは周方向に特に完全に囲んでいることが特に好ましい。特に、雌型を保持要素と、場合によっては中間要素及び連結要素と共に一体に構成する場合、雌型はキャップ状であり、例えば中空シリンダ上に滑ってもよく、又は中空シリンダに挿入されてもよい。
【0018】
特に好ましい実施形態では、保持要素は中空シリンダを中空シリンダの外側で周方向に特に完全に囲んでいるか、又は、中空シリンダの内側に周方向に好ましくは完全に位置する。
【0019】
本発明の特に好ましい実施形態では、例えば共通の基本要素に連結されている複数の中空シリンダが設けられている。ここで、中空シリンダは、特に列及び行に配置されており、例えばプラスチック射出成形要素として一体に製造されている。雌型が、夫々の個々の中空シリンダに連結されており、この雌型は、上記に説明したように、特に中空シリンダ上に滑る及び/又は中空シリンダに挿入されるシリコーンのキャップとして構成されてもよい。更に、特にグループとして互いに更に連結されて共に移動する複数のプランジャが設けられていることが好ましい。
【0020】
ここで、全てのプランジャを中空シリンダに挿入するときに全ての雌型がプランジャの上側に位置して、特に個々の中空シリンダの縁部から持ち上げられるように、プランジャの数が中空シリンダの数に対応してもよい。しかしながら、マイクロニードルが常にグループで製造されるように、グループ内のプランジャの数が中空シリンダの数より小さくてもよい。例えば、雌型が相応にプランジャの上側に位置することができ、特に中空シリンダの縁部から持ち上げられるように、1グループの4つのプランジャが中空シリンダに挿入されてもよい。その後、雌型の空隙に、特にノズルによって配合物を充填する。次の工程で、雌型が中空シリンダの縁部に再び位置するように、プランジャを引っ込める。その後、プランジャが別のグループの雌型の下に配置されて、対応する処理を繰り返すことができるように、1グループのプランジャ及び/又は1グループの中空シリンダが移動する。
【0021】
本発明は、マイクロ構造体、特にマイクロニードル、より好ましくはマイクロニードルアレイを製造するための方法に更に関する。この方法は、上述したデバイスを使用して実行されることが好ましい。
【0022】
第1の工程で、プランジャの上側が雌型の下側に位置するように、少なくとも1つのプランジャを夫々の関連付けられた中空シリンダに挿入する。最後に、雌型の少なくとも1つの空隙に配合物を充填する。適した配合物は、特にPVP 、PLGA、ポリマー、糖である。その後、少なくとも1つのプランジャを引っ込めて、特に硬化後、マイクロ構造体を雌型から外す。
【0023】
達成可能な公差を得るために、雌型が中空シリンダの開口部を囲む縁部から持ち上げられるように、少なくとも1つのプランジャを中空シリンダに挿入することが好ましい。
【0024】
少なくとも1つのプランジャを引っ込めるとき、雌型の下側が中空シリンダの開口部を囲む縁部に再び位置するように、雌型に連結されて特に一体に形成されている保持要素の中間要素が短くなることが好ましい。この位置で、少なくとも1つの空隙に導入された配合物を硬化させることが可能である。
【0025】
デバイスを参照して上述したように有利に具体化された本発明の方法を用いて、個別に順々に又はグループで充填される複数の雌型が設けられることが好ましい。
【0026】
本発明を、好ましい実施形態及び添付図面を参照して更に詳細に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】デバイスの第1の好ましい実施形態を示す断面略図である。
【
図2】デバイスの第2の好ましい実施形態を示す断面略図である。
【
図3】
図1又は
図2に示されている複数の個々のデバイスが組み合わされている、本発明に係るデバイスの別の実施形態を示す斜視略図である。
【
図4】
図1又は
図2に示されている複数の個々のデバイスが組み合わされている、本発明に係るデバイスの別の実施形態を示す斜視略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に概略的に示されている本発明の第1の好ましい実施形態では、特にシリコーン材料で形成されて、中心線12に対して回転対称に形成されているキャップ10が設けられている。キャップ10は、基本要素16に連結されている中空シリンダ14上に配置されている。図示されている実施形態では、中空シリンダ14は円筒形状を有し、長手軸芯12に対して回転対称である。
【0029】
プランジャ18が、矢印20の方向に移動するために中空シリンダ14内に配置されている。プランジャ18は円筒形状を有し、更に長手軸芯に対して回転対称である。
【0030】
図示されている実施形態では、キャップ10は一体に形成されて雌型22を有しており、雌型22の上側24に、特に複数の、好ましくは円錐台形状の空隙が設けられている。このため、マイクロニードルアレイに配合物を充填することにより、マイクロニードルアレイを製造することが可能になる。図示されている実施形態では、雌型22は、雌型の縁部を補強する環状の補強要素26で囲まれている。補強要素は円形の中間要素28に連結されており、中間要素によって保持要素30への連結がなされている。図示されている実施形態では、保持要素30は、形状嵌合式の連結要素32, 34を使用して中空シリンダ14の外側36に連結されている。連結要素は、例えば中空シリンダ14の外側に設けられた環状のビード32として形成されており、スナップイン連結の方法で対応する環状の凹部34と協働する。
【0031】
図示されている実施形態では、キャップ10全体がシリコーン材料で形成されて、中間要素28の壁の厚さがより薄いため、中間要素28は伸長可能な、特に弾性の中間要素である。中間要素28と中空シリンダ14との間に間隙48が設けられている。
【0032】
プランジャ18を
図1では上方に移動させることにより、プランジャの平坦な上側38が、雌型22の内側40に位置するようになる。これにより、雌型22は、中空シリンダの開口部44を囲む中空シリンダの縁部42から持ち上げられる。
【0033】
代替の実施形態では、雌型22の内側は中空シリンダの縁部42に位置しない。それにもかかわらず、雌型22をプランジャ18によって持ち上げることにより、一連の公差が断ち切られるため、雌型22の厚さの公差のみが問題とされ、中空シリンダ14の公差を考慮する必要がなくなるか、又は、中空シリンダ14の公差は、製造するマイクロ構造体の品質に悪影響を及ぼさなくなる。
【0034】
雌型22が持ち上げられているこの状態では、雌型の上側に配合物を、特に噴霧により導入することができるため、噴霧された材料が空隙に入り込む。その後、プランジャ18が引っ込められるため、雌型22の内側40が中空シリンダ14の縁部42に再び位置し、この位置で硬化され得る。
【0035】
図2に示されている代替の実施形態では、同様又は同一の要素が同一の参照番号で示されている。
【0036】
図1及び
図2に示されている2つの実施形態の本質的な差異は、
図1に示されている実施形態のシリコーンのキャップ10が中空シリンダ14を囲んでいるか又は中空シリンダ上に滑ることが可能である一方、
図2に示されている実施形態では、キャップが中空シリンダ14内に配置されている点である。この点に関して、特にキャップの保持要素30及び連結要素32, 34は中空シリンダ14内に配置されている。この実施形態では、雌型22は中空シリンダ14の縁部に位置しない。その他の点に関しては、機能が同一である。
【0037】
図3及び
図4は、
図1又は
図2に示されている複数のデバイスのパネル又はアレイを示す斜視略図である。ここで、複数の中空シリンダ14が基本要素16を介して連結されている。図示されている実施形態の対応する数のプランジャ18が、特に板状の連結要素26を介して互いに連結されている。
図3及び
図4に概略的に示されている3×3の中空シリンダ及びプランジャを備えたパネルの代わりに、例えば10×10、15×15、20×20の中空シリンダ及びプランジャの非常により大きなアレイが設けられ得る。
【0038】
対応する数のプランジャ18を備えたパネルを設ける代わりに、雌型の一部がプランジャによって夫々持ち上げられて材料で充填され、その後、プランジャが再び引っ込められるように、1グループの、例えば4、8又は16個のプランジャを設けることが更に可能である。その後、雌型のパネル及び/又は1グループのプランジャを移動させる。
【国際調査報告】