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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(54)【発明の名称】流体温度制御システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
A61M1/16 171
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505212
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 US2020043425
(87)【国際公開番号】W WO2021034446
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】62/888,301
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/891,156
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/948,717
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522031722
【氏名又は名称】ベルモント インストゥルメント, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ランディ, ジョン ジョゼフ ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】リック, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ディオン, トリスタン
(72)【発明者】
【氏名】ネシェイム, スカイラー
(72)【発明者】
【氏名】ドゥマイス, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ツェン, イェウ ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ヴー, チュオン
(72)【発明者】
【氏名】シア, ロバート チャールズ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077CC08
4C077DD18
4C077EE02
4C077EE03
4C077JJ02
4C077JJ04
4C077JJ15
4C077KK09
(57)【要約】
本明細書に記載するのは、底部プレートと底部プレートにヒンジ結合された上部プレートとを有する温度強制デバイスを含む、流体を加熱及び/または冷却するシステムである。底部プレート及び上部プレートのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの可撓性流体ホルダ(例えば、ポリマ袋)を受け入れるための凹部または他の領域を有する。底部プレート及び/または上部プレートはまた、その内壁(複数可)に、少なくとも1つの突起部及び/または凹部を有し、それによって、流体ホルダが上部プレートと底部プレートの間に配置され、プレートが一緒に閉じられるときに、可撓性流体ホルダ内に流体通路が画定される。流体ホルダはさらに、加熱及び/または冷却される流体を受け入れるための流体入口と、その流体を送達するための流体出口とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を加熱及び/または冷却するシステムであって、
少なくとも1つの可撓性流体ホルダと、
底部プレートと前記底部プレートにヒンジ結合された上部プレートとを含む温度強制デバイスとを含み、前記底部プレートと前記上部プレートのうちの少なくとも1つは、その中またはその上に配置された、前記少なくとも1つの可撓性流体ホルダ(例えば、ビニール袋)を受け入れるための凹部または他の領域を含み、前記少なくとも1つの流体ホルダは、加熱及び/または冷却される前記流体を受け入れるための流体入口と、前記加熱及び/または冷却された流体を前記温度強制デバイスから送達するための流体出口とを含む、
前記システム。
【請求項2】
前記流体が治療液である(例えば、前記システムが熱伝達流体を必要とせずに動作する)、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流体が熱伝達流体である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの可撓性流体ホルダ及び前記温度強制デバイスが、加熱及び/または冷却されている前記流体が、前記温度強制デバイスに直接接触しないように配置される、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
完全に使い捨ての流体通路を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記上部プレート及び/または前記底部プレートが、前記温度強制デバイスが閉じられると、前記上部プレートと前記底部プレートとの間に流体通路を作成するための少なくとも1つの凹部及び/または少なくとも1つの突起部を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記温度強制デバイスが閉じられると、前記流体通路は、前記上部プレート及び/または前記底部プレートの内壁(複数可)の前記少なくとも1つの凹部及び/または前記少なくとも1つの突起部によって前記可撓性流体ホルダに画定され、前記可撓性流体ホルダは、前記温度強制デバイスを閉じる前に、前記上部プレートと前記底部プレートとの間に挿入されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記流体通路が、前記流体ホルダの入口と出口との間に別個のチャネルを画定する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記流体通路が、前記温度強制デバイスが閉じた状態にあるときにのみ形成され、そうでないときは、前記流体ホルダが、前記流体ホルダの入口と出口の間に別個のチャネルを画定する通路を有さない、請求項6から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記温度強制デバイスが、前記流体を加熱すること及び冷却することの両方を行う、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記温度強制デバイスが、固体デバイス(例えば、ペルチェデバイス及び/または熱電クーラ)を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記固体デバイスが、前記上部プレート及び前記底部プレートのうちの少なくとも1つの中、上、または下に配置される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記温度強制デバイスが抵抗ヒータを含む、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記温度強制デバイスの1つまたは複数の加熱及び/または冷却要素(複数可)に電気的に結合された少なくとも1つの電源をさらに備える、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記底部プレート及び前記上部プレートのうちの少なくとも1つに配置された少なくとも1つのフィンを含む、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記底部プレート及び前記上部プレートを閉位置に解放可能に固定するための少なくとも1つのラッチを含む、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの流体ホルダのそれぞれが取り付けシートに取り付けられている、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの流体ホルダ(例えば、及び/または前記取り付けシート(複数可))が、前記温度強制デバイスに挿入され、そこから取り外される形状及びサイズにされる、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記底部プレートから突出する少なくとも1つのピンを含み、前記少なくとも1つのピンは、前記少なくとも1つの流体ホルダ(例えば、及び/または前記取り付けシート(複数可))のうちの1つまたは複数の少なくとも1つの穴を通して挿入されて、前記流体ホルダが前記温度強制デバイス内に取り外し可能に配置されるのを維持する、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記温度強制デバイスが、約40℃から約60℃、または約40℃から約50℃、または約40℃から約45℃の最大動作温度を有する、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記温度強制デバイスが、約1℃から約60℃、約20℃から約50℃、または約30℃から約45℃の範囲を包含する動作温度範囲を有する、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記システムが、約5L/分から約15L/分、または約7L/分から約13L/分、または約9L/分から約12L/分の前記温度強制デバイスを通る最大流量に対応する(例えば、可能にする)、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記治療液が、血液及び透析液のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項24】
前記熱伝達流体が、水、油、シリコーン流体、プロピレングリコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載のシステム。
【請求項25】
前記温度強制デバイスを通して流体を圧送するためのポンプ(例えば、蠕動ポンプ)をさらに備える、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
患者の体温を管理するために前記患者と物理的に接触しているときに、前記患者の体に少なくとも部分的に適合するようなサイズ及び形状のコンポーネントをさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記コンポーネントが、前記流体を含む毛布、ラップ、またはマットレスである、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
流体の温度を調整する方法であって、
温度強制デバイスを設けることであって、前記温度強制デバイスは、底部プレートと前記底部プレートにヒンジ結合された上部プレートとを含み、前記底部プレートと前記上部プレートのうちの少なくとも1つは、その中またはその上に配置された、加熱及び/または冷却する流体が流れる可撓性流体ホルダ(例えば、ビニール袋)を受け入れるための領域(例えば、凹部)を含み、前記上部プレート及び/または前記底部プレートは、前記温度強制デバイスを閉じると、前記上部プレートと前記底部プレートとの間に流体通路を作成するための少なくとも1つの凹部及び/または少なくとも1つの突起部を含み、前記流体通路は、前記可撓性流体ホルダの流体入口と流体出口の間にチャネルを画定する(例えば、前記上部プレート及び/または前記底部プレートは、その中、その上、または、その下に配置された固体デバイス及び/または抵抗ヒータを含む)、前記設けることと、
前記少なくとも1つの可撓性流体ホルダを受け入れるために、その中またはその上に配置された前記底部プレートまたは前記上部プレートの前記領域に前記少なくとも1つの可撓性流体ホルダを配置することと、
前記可撓性流体ホルダが前記上部プレートと前記底部プレートの間に配置された(例えば、前記温度強制デバイスを閉じる)状態で、前記上部プレートを前記底部プレートの近くに配置することと、
前記少なくとも1つの流体ホルダに配置された前記流体入口に前記流体を送達することと、
前記温度強制デバイスの前記上部プレートと前記底部プレートの間の前記可撓性流体ホルダの前記流体入口から前記流体出口に前記流体が流れるとき、前記流体の前記温度を調整するために、前記温度強制デバイスに電気的に結合された少なくとも1つの電源の電力を供給することと
を含む、前記方法。
【請求項29】
前記流体が治療液である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記流体が熱伝達流体である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
流体を収容するための可撓性流体ホルダであって、
前記流体ホルダが、
流体入口であって、前記流体が前記流体ホルダに流入することを可能にする前記流体入口と、
流体出口であって、前記流体が前記流体ホルダから流出することを可能にする前記流体出口と、
前記流体ホルダ内に配置された少なくとも1つの流体通路であって、前記流体入口を前記流体出口に流体接続する前記少なくとも1つの流体通路と、を含み、
前記少なくとも1つの流体通路は、(例えば、前記デバイスが閉じているとき、すなわち、上部プレート及び底部プレートが結合されるとき)前記流体ホルダが挿入される温度強制デバイスの前記上部プレート及び前記底部プレートのうちの少なくとも1つによって画定される、
前記可撓性流体ホルダ。
【請求項32】
前記流体が治療液である、請求項31に記載の流体ホルダ。
【請求項33】
前記流体が熱伝達流体である、請求項31に記載の流体ホルダ。
【請求項34】
前記上部プレート及び前記底部プレートのうちの少なくとも1つが、前記温度強制デバイスが閉じられたときに前記少なくとも1つの流体通路を画定する凹部及び突起部のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項31に記載の流体ホルダ。
【請求項35】
流体を収容するための可撓性流体ホルダであって、
前記流体ホルダが、
流体入口であって、前記流体が前記流体ホルダに流入することを可能にする前記流体入口と、
流体出口であって、前記流体が前記流体ホルダから流出することを可能にする前記流体出口と、
前記流体ホルダ内に配置された少なくとも1つの流体通路であって、前記流体入口を前記流体出口に流体接続する前記少なくとも1つの流体通路と、を含み、
前記少なくとも1つの流体通路は、前記流体ホルダが挿入される温度強制デバイスの内壁の少なくとも1つにおける少なくとも1つの突起部及び/または少なくとも1つの凹部によって画定される、
前記可撓性流体ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月16日に出願された米国仮出願番号62/888,301号、2019年8月23日に出願された米国仮出願番号62/891,156号、及び、2019年12月16日に出願された米国仮出願番号62/948,717号の優先権を主張し、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の主題は、特に医療で使用するための、流体を加熱及び冷却するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現代の医療システムと治療方法では、血液、生理食塩水、晶質液、透析液などの治療液は、患者に送達される前に、温度調整(加熱及び/または冷却)を必要とすることが多い。治療には、温度管理デバイスを使用した患者の体温の調整が含まれる場合がある。温度調整は、抵抗ヒータを使用して熱伝達流体を暖め、必要に応じて冷却システムを使用して同じ熱伝達流体を冷却することによって行われることが多い。熱伝達流体は、次に、熱エネルギが治療液及び/または温度管理デバイスに伝達される、またはそれらから伝達される熱交換器を通してポンプで送られてよい。
【0004】
他のシステムは、固体ヒータ/冷却デバイスを利用して、熱伝達流体を介して加熱機能と冷却機能の両方を行ってよい。これらのシステムでは、熱伝達流体が熱交換器にポンプで送られ、そこで熱エネルギが治療液に伝達される。
【0005】
これらの方法及びシステムの1つの欠点は、熱伝達流体が通常、正常温度(すなわち、華氏98.6度)で(またはそれに近い)温度で動作することである。これにより、細菌の成長、培養、及び増殖を特に受けやすくなり、患者の感染のリスクが増加する。このような方法及びシステムの場合、成長を抑制するには、高温(例えば、121℃を超える温度)及び/または消毒液が必要となり、これは、機械の損傷の原因となり得る。
【0006】
既存のシステムのもう1つの欠点は、熱伝達流体と治療液の偶発的な混合であり、これは、システムの細菌汚染及び/または患者へのリスクの増加を引き起こし得る。さらに、既存の流体加熱システムは、蛇行した流体通路の形で溶接されたチャネルによって画定される流体通路を含む可撓性の袋を採用する場合がある。既存のシステムは、閉じた狭いスロット付きチャンバにカートリッジを介して血液を挿入することによって血液を温める場合もある。このような狭いスロット付きチャンバは閉じているため、洗浄と液漏れの検出が困難な場合があり、滅菌が課題となる。さらに、既存の流体加熱システムは簡単に開くことができない場合があるため、洗浄が必要かどうかを可視化することは困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載するのは、底部プレートと底部プレートにヒンジ結合された上部プレートとを有する温度強制デバイスを備える、流体を加熱及び/または冷却するシステムである。底部プレート及び上部プレートのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの流体ホルダを受け入れるための凹部または他の領域を有する。このシステムはまた、少なくとも1つの可撓性流体ホルダを備える。特定の実施形態では、可撓性流体ホルダは、ポリ塩化ビニール(PVC)、及び/または、例えば、エチレン酢酸ビニール(EVAM)、ポリプロピレン、及び/またはコポリエステルエーテルなどの他のポリマを含むビニール袋を含む。流体ホルダは、加熱及び/または冷却される流体を受け入れるための流体入口と、その流体を送達するための流体出口とを有する。流体は、温度強制デバイスによって加熱及び/または冷却されると、次に、患者に送達されるか、または、さらに加熱/冷却するために別のシステムコンポーネントに送達されてよい。いくつかの実施形態では、システムコンポーネントは、患者の体温を管理するために、患者の体に直接、物理的に接触する。例えば、いくつかの実施形態では、システムコンポーネントは、流体を含む毛布、ラップ、またはマットレスである。いくつかの実施形態では、流体は治療液である。例えば、いくつかの実施形態では、流体は治療液であり、システムは、熱伝達流体を必要とせずに動作する。いくつかの実施形態では、流体は熱伝達流体である。いくつかの実施形態では、加熱及び/または冷却されている流体(例えば、治療液または熱伝達流体)は、温度強制デバイスに直接、接触しないので、温度強制デバイスは、医療環境内で病原体のすみかとなるリスクが少なくなる。いくつかの実施形態では、流体通路及び残りの流体を完全に処分することができ、それにより、温度強制デバイスの汚染のリスクを低減する。
【0008】
いくつかの実施形態では、上部プレート及び/または底部プレートは、デバイスの閉鎖時に上部プレートと底部プレートとの間に流体通路を作成するために少なくとも1つの凹部及び/または少なくとも1つの突起部を含む。閉鎖とは、上部プレートと底部プレートを結合するヒンジによって、上部プレートと底部プレートを互いに近接させる(例えば、接触する、または、接触しない)ことを意味する。閉位置では、上部プレートと底部プレートがエッジ、突起部、及び/または他の位置(複数可)で互いに接触し得る。デバイスが閉鎖すると、上部プレート及び/または底部プレートの内壁(複数可)の少なくとも1つの凹部及び/または少なくとも1つの突起部によって可撓性流体ホルダ内に流体通路が画定され、当該流体ホルダは、デバイスの閉鎖前にプレートの間に挿入されている(例えば、当該流体ホルダは、閉鎖前に底部プレートまたは上部プレートの凹部または他の領域の中または上に配置されている)。特定の実施形態では、通路は、(例えば、事前に溶接されている)流体ホルダの入口と出口との間に別個のチャネルを画定する。特定の実施形態では、流体通路は、デバイスが閉鎖状態にあるときにのみ形成され、そうでないとき、流体ホルダは、流体ホルダの入口と出口との間の別個のチャネルを画定する通路を有さない。
【0009】
いくつかの実施形態では、温度強制デバイスは、流体を冷却すること及び加熱することの両方が可能である。いくつかの実施形態では、温度強制デバイスは、固体デバイス(例えば、ペルチェデバイス及び/または熱電クーラ)を含む。いくつかの実施形態では、温度強制デバイスは抵抗ヒータを含む。いくつかの実施形態では、温度強制デバイスは圧縮機を含む。いくつかの実施形態では、温度強制デバイスは、底部プレート及び/または上部プレートの少なくとも1つに配置された少なくとも1つのフィンを含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、システムは、底部プレート及び上部プレートのうちの少なくとも1つの中もしくは上に、または底部プレート及び上部プレートのうちの少なくとも1つのための支持体もしくはハウジングの中もしくは上に、配置された少なくとも1つのラッチを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、システムは、取り付けシートに取り付けられた少なくとも1つの流体ホルダを有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、システムは、デバイスに挿入され、そこから取り出されるような形状及びサイズの少なくとも1つの流体ホルダ(例えば、取り付けシート)を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、システムは、上部プレート及び底部プレートのうちの少なくとも1つの中または上または下に配置された抵抗ヒータに電気的に結合された少なくとも1つの電源を備える。いくつかの実施形態では、システムは、上部プレート及び底部プレートのうちの少なくとも1つの中または上または下に配置された固体デバイス(例えば、ペルチェデバイス、及び/または熱電クーラ、例えば、乾式固体デバイス)に電気的に結合された少なくとも1つの電源を備える。
【0014】
いくつかの実施形態では、システムは、底部プレート及び/または上部プレートから突き出ている少なくとも1つのピンを含み、温度強制デバイス内に配置されるとき、少なくとも1つのピンのそれぞれが、流体ホルダ及び/またはその取り付けシートの対応する穴を通して挿入されて、流体ホルダ及び/またはその取り付けシートを固定する。
【0015】
いくつかの実施形態では、システムは、いかなる熱伝達流体も含まない。
【0016】
いくつかの実施形態では、温度強制デバイスは、約40℃から約60℃、または約40℃から約50℃、または40℃から約45℃の最大動作温度(例えば、流体の最大制御温度)を有する。いくつかの実施形態では、温度強制デバイスは、約1℃から約60℃、または約20℃から約50℃、または約30℃から約45℃の範囲を包含する動作温度範囲(例えば、流体の制御温度範囲)を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、システムは、約5L/分から約15L/分、または約7L/分から約13L/分、または約9L/分から約12L/分の温度強制デバイスを通る最大流量に対応する(例えば、を可能にする)。
【0018】
いくつかの実施形態では、治療液は、血液、晶質液、及び透析液のうちの少なくとも1つを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、熱伝達流体は、水、生理食塩水、油、シリコーン流体、プロピレングリコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0020】
また、本明細書に記載するのは、流体(例えば、治療液または熱伝達流体)を収容するための可撓性流体ホルダであり、当該流体ホルダは、流体が流体ホルダに流入することを可能にする流体入口と、流体が流体ホルダから流出することを可能にする流体出口と、流体入口を流体出口に流体接続する流体ホルダ内の少なくとも1つの流体通路とを含む。特定の実施形態では、流体通路は、流体ホルダが挿入される固体デバイスの上部プレート及び/または底部プレートによって画定され、当該通路は、上部プレートと底部プレートの閉鎖時に形成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、上部プレート及び/または底部プレートは、(例えば、上部プレート及び底部プレートの閉鎖時に当該通路を作成するための、例えば、当該上部プレート及び底部プレートが、閉鎖時にエッジに沿って近接または接触するための)少なくとも1つの凹部及び/または少なくとも1つの突起部を備える。
【0022】
別の実施形態では、治療液を収容するための流体ホルダは、治療液が流体ホルダに流入することを可能にする流体入口と、治療液が流体ホルダから流出することを可能にする流体出口と、流体入口を流体出口に流体接続する流体ホルダ内に配置された少なくとも1つの流体通路とを含む。流体通路は、流体ホルダが挿入される固体デバイスの内壁の少なくとも1つの突起部及び/または少なくとも1つの凹部によって画定される(例えば、当該通路は、デバイスが閉じた状態のときに形成される)。
【0023】
また、本明細書に記載するのは、底部プレートと底部プレートにヒンジ結合された上部プレートとを有する温度強制デバイスを提供することを含む、流体の温度を調整する方法である。底部プレート及び上部プレートのうちの少なくとも1つは、その中にまたはその上に、可撓性流体ホルダの中を加熱及び/または冷却される流体が流れる、可撓性流体ホルダ(例えば、ビニール袋)を受け入れるために配置された領域(例えば、凹部)を備える。上部プレート及び/または底部プレートは、温度強制デバイスの閉鎖時に上部プレートと底部プレートとの間に流体通路を作成するための少なくとも1つの凹部及び/または少なくとも1つの突起部を備え、当該流体通路は、可撓性流体ホルダの流体入口と流体出口との間にチャネルを画定する。上部プレート及び/または底部プレートは、その中、その上、またはその下に配置された固体デバイス及び/または抵抗ヒータ、及び/または圧縮サイクルからのヒータ熱交換器を含み得る。この方法はさらに、底部プレートと上部プレートの間に流体ホルダを挿入することと、上部プレートを底部プレートの近くに配置すること(例えば、それによって、流体が流体ホルダ内を入口から出口に流れ得るチャネルを形成し、当該チャネルは、隆起部、溝部、及び/または、上部プレート及び/または底部プレートの他のテクスチャ特徴によって形成される)と、流体ホルダに配置された流体入口に流体を送達することと、流体が温度強制デバイスの上部プレートと底部プレートとの間の可撓性流体ホルダの流体入口から流体出口に流れるときに流体の温度を調整するために、温度強制デバイスに電気的に結合された少なくとも1つの電源に電力を供給することと、を含む。この方法は、本明細書に記載のシステムの実施形態の1つまたは複数の特徴を実装することを含み得る。
【0024】
説明を通して、装置、システムまたは組成物が、特定の構成要素を有する、含む、もしくは備えると記載される場合、または、方法が特定のステップを有する、含む、もしくは備えると記載される場合、それらに加えて、記載される構成要素から基本的に構成されるか、もしくは構成される本発明のシステムもしくは組成物が存在すること、ならびに、記載される処理ステップから基本的に構成されるか、もしくは構成される本発明による方法が存在することが企図される。
【0025】
ステップの順序または特定の行為を行う順序は、本発明が動作可能である限りは、重要でないことを理解されたい。さらに、2つ以上のステップまたは行為を、同時に行ってもよい。
【0026】
以下の説明は、本開示の説明及び例示のみを目的としており、本発明を記載された具体的な実施形態に限定することを意図するものではない。
【0027】
本明細書における、例えば、背景技術のセクションにおける任意の刊行物の言及は、本明細書に提示された特許請求の範囲のいずれかに関して、その刊行物が先行技術となることを認めるものではない。背景技術セクションは、明確にするために提示されており、いかなる請求項に関する先行技術の説明として意図されているものではない。
【0028】
当業者に向けられた、最良の形態を含む、本開示の実施形態の完全かつ実施可能な開示は、添付の図を参照する本明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一体型の溶接された蛇行した流体通路を備えた使い捨ての袋の例示的な上面図を示す。
図2】一体型の溶接された蛇行した流体通路を備えた使い捨ての袋の例示的な斜視図を示す。
図3】例示的な実施形態による、組み込みの一体型流体通路及びヒンジ付き開口部を備えた固体乾式温度制御システムの閉じた構成の斜視図を示す。
図4】例示的な実施形態による、組み込みの一体型流体通路及びヒンジ付き開口部を備えた固体乾式温度制御システムの開いた構成の斜視図を示す。
図5】例示的な実施形態による、図3及び4の固体乾式温度制御システムと共に使用し得る空の流体ホルダを示す。
図6】本明細書に記載の固体デバイスと共に使用し得る満杯の流体ホルダを示す。
図7】例示的な実施形態による、組み込みの一体型流体通路及びヒンジ付き開口部を備えた固体乾式温度制御システムの開いた構成の斜視図を示す。
図8】例示的な実施形態による、組み込みの一体型流体通路及びヒンジ付き開口部を備えた固体乾式温度制御システムの開いた構成の正面図を示す。
図9】本開示の実施形態の態様による、固体デバイスを使用して治療液を加熱及び/または冷却する方法のフローチャート図を示す。
図10】例示的な実施形態による、流体を加熱及び/または冷却するシステムの温度強制デバイスを示す。
図11】例示的な実施形態による、上部プレート及び底部プレートが閉じられたときに形成される流体通路の入口及び出口を示す、図10の温度強制デバイスの図を示す。
図12】例示的な実施形態による、図10の温度強制デバイスの正面図を示す。
図13】例示的な実施形態による、図10の温度強制デバイスの側面図を示す。
図14】例示的な実施形態による、デバイスが閉じられたときの図10の温度強制デバイスの上面図を示す。
図15】例示的な実施形態による、デバイスが閉じられたときに図10の温度強制デバイスによって形成される流体通路を備えた可撓性流体ホルダ(使い捨ての袋)を示す。
図16】例示的な実施形態による、(例えば、図10の温度強制デバイス内にないときに)流体通路が形成されていない可撓性流体ホルダ(使い捨ての袋)を示す。
図17】例示的な実施形態による、重力によって提供される流体の流れを備えた直接的な流体加温及び/または冷却システムを示す。
図18】例示的な実施形態による、ポンプアシストを備えた直接的な流体の加温及び/または冷却システムを示す。
図19】例示的な実施形態による、調整された流体の加温及び/または冷却システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
これから本開示の実施形態について詳細に言及するが、それらの1つまたは複数の例は添付の図面に示されている。詳細な説明は、図面の特徴を指すために数字及び/または文字を使用している。図面及び説明における類似の指定は、本実施形態の類似の部分を指すために使用されている。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態は、熱伝達流体を使用しない乾式の固体加熱及び冷却デバイスを利用して、治療液を加熱及び冷却するためのシステム及び方法を提供する。本実施形態の固体システムは、治療液に熱を出し入れするために熱伝達流体(グリコール、水など)を使用しないので、「乾式」である。しかしながら、他の実施形態では、本開示のシステム及び方法は、熱伝達流体を加熱及び/または冷却するために使用されてもよい。システムは、袋の配置及び取り外しを容易にするためのヒンジを含んでもよい。システムはまた、熱伝達を助けるために複数のフィンを含んでもよい。さらに、システムは、動作中に固体加熱及び冷却デバイスが閉じたままであることを確実にするために、1つまたは複数のラッチを含んでもよい。
【0032】
図1は、流体入口12、流体出口14、蛇行通路16、及び蛇行通路16が溶接される取り付けプレート18を含む例示的な流体ホルダ10の上面図を示す。
【0033】
図2は、図1の例示的な流体ホルダの斜視図を示す。図1及び2の両方において、流体ホルダに出入りする流体は、血液及び/または透析液などの治療液ではなく、熱伝達流体である。図1及び2の例示的な実施形態では、熱伝達流体から治療液及び/または温度管理デバイスに熱を伝達するために、または、その逆を行うために、他の熱交換器(図示せず)も含み得る。
【0034】
図3は、本実施形態による固体デバイス20の斜視図を示す。図3に示される描写では、固体デバイス20は閉位置にある。固体デバイス20は、患者及び/またはポンプから治療液(血液または透析液など)を受け取るための流体入口22と、加熱及び/または冷却された流体を患者に送達し戻すための流体出口24とを備えてよい。流体入口22及び流体出口24は、それぞれ、図3の実施形態では固体デバイス20内にある流体ホルダ44(図示せず)に流体的に結合されている。したがって、流体ホルダ44(図示せず)が固体デバイス20に挿入されるとき、流体入口22及び流体出口24のそれぞれが固体デバイス20に挿入される。流体入口22及び流体出口24は、それぞれ、様々な接続機構(例えば、ニップル、カップリング、バルブ、エルボ、ユニオン、ティー、オスアダプタ、メスアダプタ、圧縮フィッティング、フェイスシールフィッティング、バードチューブフィッティング、クイックディスコネクトフィッティング、及び他の適切な流体結合機構)を介して他のシステムの管及び/またはコンポーネントに流体接続され得る円筒形の管を含み得る。固体デバイス20は、上部プレート26及び底部プレート28を備えてよく、上部プレート26及び底部プレート28は、1つまたは複数のヒンジ30によってヒンジ結合されている。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒンジ30は、流体入口22に近接し、他の実施形態では、1つまたは複数のヒンジ30は、流体出口24に近接する。1つまたは複数のヒンジ30は、上部プレート26がヒンジ30を中心に回転して開くことを可能にし、それにより、上部プレート26と底部プレート28との間に空間を提供し、流体ホルダ44(図示せず)を挿入できるようにする。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヒンジ30は、流体入口22及び流体出口24の反対側に配置されてよい。いくつかの実施形態では、固体デバイス20は、血液検出器、流体温度センサ(例えば、抵抗性、赤外線、光ファイバ温度センサ)、圧力変換器、患者温度プローブ、空気検出器(例えば、流体中の空気を検出する超音波センサ)、及び/または流体流量検出器をさらに備える。
【0035】
さらに図3を参照すると、固体デバイス20は、上部入口凹部32A及び底部入口凹部32Bを含んでもよく、これらはそれぞれ、固体デバイスが閉位置にある間、流体入口22が上部入口凹部32A及び底部入口凹部32Bを通る流体導管として機能することを可能にするために、上部プレート26及び底部プレート28のそれぞれの中に配置された輪郭及び/または凹部を含んでよい。同様に、固体デバイス20は、上部出口凹部34A及び底部出口凹部34Bを含んでもよく、これらはそれぞれ、固体デバイスが閉位置にある間、流体出口24が上部出口凹部34A及び底部出口凹部34Bを通る流体導管として機能することを可能にするために、上部プレート26及び底部プレート28のそれぞれの中に配置された輪郭及び/または凹部を含んでよい。上部入口凹部32A及び底部入口凹部32Bはそれぞれ、流体入口22の近くに配置されて、流体が固体デバイスに入ることを可能にしてよく、上部出口凹部34A及び底部出口凹部34Bはそれぞれ流体出口24に近接して配置されて、流体が固体デバイスを出るのを可能にしてよい。固体デバイス20はまた、上部プレート26から垂直に上向きに延び、底部プレート28から垂直に下向きに延びる1つ以上の、複数のフィン36を含んでもよい。1つまたは複数のスペース38が、複数のフィン36を互いに分離し得る。各フィンは、上部プレート26または底部プレート28のそれぞれの近くにある近位部分40、ならびに上部プレート26または底部プレート28のそれぞれから離れて延びる遠位部分42を含み得る。いくつかの実施形態では、複数のフィン36の各フィンは、近位部分40よりも遠位部分42の方が薄くてよい。別の言い方をすれば、各近位部分40は、各遠位部分42よりも厚くてよい。他の実施形態では、複数のフィン36の各フィンは、近位端40から遠位端42まで均一な厚さを有し得る。
【0036】
さらに図3を参照すると、1つ以上の、複数のフィン36は、幅方向(図3に示す)、縦方向(図示せず)に整列してよい、または、幅方向、縦方向、対角線及び/または他の構成で整列された1つ以上の、複数のフィン36を含むハイブリッド構成で整列してよい。1つ以上の、複数のフィン36は、それらが上部プレート26及び底部プレート28から離れてある角度で延びるように配向されてよい(すなわち、各フィンの中心を通って画定される平面は、上部プレート26及び/または底部プレート28によって画定される平面と90度以外の角度で交差する)。固体デバイス20は、上部プレート26及び底部プレート28のそれぞれに様々な数の複数のフィン36、ならびに各複数のフィン36内に様々な数のフィンを含んでよい。例えば、それぞれが10個のフィンを含む3つの複数のフィン36を、上部プレート26及び底部プレート28のそれぞれに配置してよい。他の実施形態では、それぞれ約8から約12個のフィンを含む約2から約4の複数のフィン36を、上部プレート26及び底部プレート28のそれぞれに配置してよい。他の実施形態では、それぞれ約1から約20個のフィンを含む約1から約10の複数のフィン36を、上部プレート26及び底部プレート28のそれぞれに配置してよい。他の実施形態は、他の数の複数のフィン36、ならびに各複数のフィン36内に他の数のフィンを含み得る。いくつかの実施形態では、上部プレート26及び底部プレート28は、同じ数及び配置の複数のフィン36を有してよく、他の実施形態では、上部プレート26及び底部プレート28は、異なる数の複数のフィン36及び/またはフィンの配置を有してよい。固体デバイス20は、固体デバイス20が動作している間、上部プレート26が底部プレート28に結合されたままであることを確実にするための1つまたは複数のラッチ42を含んでもよい。1つまたは複数のラッチ42は、上部プレート26及び/または底部プレート28にヒンジで結合されてよい。上部プレート26及び底部プレート28を一緒に結合する、ならびに1つまたは複数のラッチ42を上部プレート26及び/または底部プレート28に結合するための他の適切な機構も可能である。
【0037】
図3をさらに参照すると、固体デバイス20は、加熱及び冷却の両方に使用されてよい。上部プレート26及び底部プレート28のそれぞれは、1つまたは複数の埋め込まれた抵抗ヒータ(図示せず)または1つまたは複数のペルチェヒータ/クーラを含んでもよく、固体デバイス20の内部に加熱及び/または冷却を提供するために、1つまたは複数の電源(図示せず)に電気的に結合されてよい。例えば、上部プレート26及び底部プレート28のそれぞれに配置された温度強制デバイスは、ペルチェデバイス(またはペルチェヒートポンプ)として構成されてよく、ペルチェデバイスを流れる電流の方向に応じて、上部プレート26及び底部プレート28のそれぞれが加熱及び/または冷却を固体デバイスの内部に提供できるようにする。各ペルチェデバイス及び/または他の温度強制デバイスは、固体デバイス20の内部に冷却を提供することが望ましい使用例では、1つ以上の、複数のフィン36と接続して使用されてよい。さらに、1つ以上の、複数のフィン36は、室温(通常、華氏55度から華氏85度の間)が、通常の温度である華氏約98.6度よりも低い(+/-華氏2~3度)ことが多いため、固体デバイス20の内部に受動的冷却を提供し得る。フィンの形状、フィンを構成する材料、フィンの数、フィンのグループ、フィン間の間隔、及びフィンの向きは、固体デバイス20の熱伝達効率を高めるために様々であってよい。固体デバイス20は、専用の熱伝達流体や可動部品を必要とせずに、冷却及び/または加熱を治療液に提供し得る。いくつかの実施形態では、抵抗加熱要素及び複数のフィン36は、上部プレート26内及び底部プレート28内の両方に配置されてよい。他の実施形態では、抵抗加熱要素及び/または複数のフィン36は、上部プレート26または底部プレート28の両方ではなく、いずれかに配置されてよい。複数のフィン36は、熱伝達を高めるために、上部プレート26及び底部プレート28の材料とは異なる材料(複数可)で構成されてよい。固体デバイス20はまた、1つ以上の、複数のフィン36にわたって空気の流れを増加させるためのファン(図示せず)を備えてよい。
【0038】
図4は、流体ホルダ44が内部に配置された、開位置にある固体デバイス20の斜視図を示す。図4の実施形態では、1つまたは複数のラッチ42が解放され、上部プレート26がヒンジ30を中心に回転して開位置になり、流体ホルダ44を固体デバイス20内に配置できるようになっている。流体ホルダ44は、流体入口22に近接する第1の部分46と、流体出口24に近接する第2の部分48とを含み得る。第1の部分46と第2の部分48との間に、流体ホルダは、固体デバイス20の反対側に丸みを帯びた部分45を含み得る。流体ホルダ44は、流体ホルダ44が固体デバイス20内の厳密に正しい位置に配置されることを確実にすること、及び、固体デバイス20から流体ホルダ44への熱伝達の均一な分布を確実にすることの両方を助ける取り付けシート60を含み得る。固体デバイスは、流体ホルダ44が固体デバイス20内に正確に配置されることを確実にするために、取り付けシート60の開口部を通って底部プレート28の上面29から上方に突出し得る第1のピン50及び第2のピン52を含み得る。
【0039】
図4はさらに、流体入口22の一端の周りに円周方向に配置された入口カップリング53と、流体出口24の周りに円周方向に配置された出口カップリング55とを示す。入口カップリング53及び出口カップリング55のそれぞれは、流体ホルダ44の内部と流体入口22及び/または流体出口24との間の各移行部を形成する。入口カップリング53及び出口カップリング55はそれぞれ、流体入口22及び流体出口24が圧縮フィッティング及び/または他の機構(エポキシ、接着、焼結、調整可能なホースクランプ及び/またはリングクランプ)を介して入口カップリング53及び出口カップリング55にしっかりと挿入され得るように、流体入口22及び流体出口24よりわずかに大きい直径を含み得る。入口カップリング53及び出口カップリング55は、流体入口22及び流体出口24(ならびに流体入口22及び流体出口24が接続されているあらゆる関連する管)より硬い及び/または剛性の高い材料で構成されてよく、それによって、入口カップリング53及び出口カップリング55が上部プレート26の重量(及び固体デバイスが閉じているときのラッチ42に関連するあらゆる圧縮)を支えるのを助ける。例えば、上部プレート26が底部プレート28の上に載ると、上部プレート26の凹部32A、34Aが入口カップリング53及び出口カップリング55と接触及び/またはインタフェースし、それにより、上部プレートの重量及び/または下向きの力が入口カップリング53及び出口カップリング55(及び、第1のピン50及び第2のピン52)にわたって分散されるのを可能にする。第1のピン50及び第2のピン52の高さ、(ならびに、入口カップリング53及び出口カップリング55の直径)は、固体デバイス20が閉位置にあるとき、動作の観点から、上部プレート26及び底部プレート28の間の間隔が最適になるように設計されてよい。例えば、上部プレート26及び底部プレート28を一緒にきつく締めすぎると、流体ホルダ44に損傷が生じ、流体ホルダ44を通る流れが制限される可能性がある。上部プレート26及び底部プレート28が十分に結合されない場合、流体ホルダ44への及び流体ホルダ44からの熱伝達が妨げられる可能性がある。第1のピン50及び第2のピン52ならびに入口カップリング53及び出口カップリング55はまた、取り付けシート60及びそれに取り付けられた流体ホルダ44が、不正確な向きで固体デバイス20内に配置されないことを確実にする。
【0040】
さらに図4を参照すると、流体ホルダ44は、入口テーパ部分57及び出口テーパ部分59を含んでもよく、それぞれが流体ホルダ44を入口カップリング53及び出口カップリング55にそれぞれ、結合する。入口テーパ部分57及び出口テーパ部分59のそれぞれはまた、入口カップリング53及び出口カップリング55と流体ホルダ44との間に段階的な移行部を提供し、流体ホルダ44が、入口カップリング53及び出口カップリング55にしっかりと結合されたままでありながら、必要に応じて膨張することを可能にする。入口テーパ部分57及び出口テーパ部分59は、流体ホルダ44が接続され得る入口カップリング53及び出口カップリング55の周りの表面積を増加させるのに役立ち、それにより、より強固な取り付けを可能にする。流体ホルダ44は、エポキシ、接着、接着剤、焼結、融合、圧縮フィッティング、テープ及び/または他の適切な機構を介して、入口カップリング53及び出口カップリング55に(すなわち、入口テーパ部分57及び出口テーパ部分59で)取り付けられてよい。流体入口22及び流体出口24と入口カップリング53及び出口カップリング55との間、ならびに入口カップリング53及び出口カップリング55と流体ホルダ44との間の接続及び/または取り付けは、定常状態デバイス20からの取り外し時に、流体ホルダ44が流体入口22及び流体出口24から懸架され、流体で満たされている場合でも、流体ホルダ44が流体入口22及び/または流体出口24から離れないように、十分に頑丈である必要がある。
【0041】
さらに図4を参照すると、取り付けシート60は、流体入口22及び流体出口24に近接した端部に、角度を付けられた及び/またはテーパされた角部54を含んでもよく、これは、固体デバイス内の流体ホルダ44の挿入及び/または取り外しを助け得る。取り付けシート60はまた、流体入口22及び流体出口24の反対側の端部に丸い角部56を含み得る。底部プレート28は、取り付けシート60が底部プレート28内に容易に受け入れられるように、取り付けシート60の一般的な形状及び厚さに一致する第1の凹部58を含み得る。動作時(すなわち、固体デバイス20が図3に示される閉位置にある間)、治療液は、流体入口22を介して、第1の部分46で流体ホルダ44に流れ込み、丸みを帯びた部分45から、第2の部分48に向かい、そして流体出口24を通って流れ出る。したがって、流体入口22は、流体ホルダ44を介して流体出口24に流体的に結合されている。
【0042】
さらに図4を参照すると、第1の部分46、第2の部分48、及び丸みを帯びた部分45のそれぞれは、上部プレート26の対応する凹部及び突起部を介して流体ホルダ44内に形成される。上部プレート26は、凹部及び突起部(図示せず)を含み、凹部及び突起部は、流体ホルダ44の中に流体が満ち始めるときに、その間を流れる流体のため、流体ホルダ44内に形成される流体通路を画定する。別の言い方をすれば、流体ホルダ44自体は、固体デバイス20に挿入される前は、いずれの流体通路も含まない。通路(すなわち、第1の部分46、第2の部分48、及び丸みを帯びた部分45)は、固体デバイス20が閉じられ、治療液が流体ホルダ44を通って流れているとき、流体ホルダ44が上部プレート26(底部プレート28)の突起部及び凹部に沿って曲がり、突起部及び凹部に適合する結果として、流体ホルダ44に形成される。流体ホルダ44内に流体通路を画定する凹部及び突起部は、上部プレート26及び/または底部プレート28内の両方に配置されてよい。図4は、通路の第1の部分46と第2の部分48との間の境界を画定する障壁として機能する通路の中心壁61も示す。固体デバイス20が動作しているとき、治療液は、通路の中心壁61の周りを流れ得る。通路の中心壁61は、上部プレート26の対応する突起部(図示せず)結果として流体ホルダ44に形成される(上部プレート26(及び、同様に、底部プレート28)の突起部は、流体ホルダ44内に流体通路を画定する上部プレート26の凹部によって囲まれる)。
【0043】
図5は、第1の穴64(第1のピン50が挿入されてよい)が配置され、且つ、第2の穴62(第2のピン52が挿入されてよい)が配置された空の流体ホルダ44の斜視図を示す。図4(及び、図6)と比較すると、図5の流体ホルダ44は空であり、図4及び6の流体ホルダ44は満たされている。図5の実施形態では、流体入口22及び流体出口24は、入口カップリング53及び出口カップリング55内に配置され、入口カップリング53及び出口カップリング55は、入口テーバ部分57及び出口テーパ部分59を介して流体ホルダ44に接続されている。図5の実施形態では、取り付けシート60は、流体ホルダ44と一体(及び、モノリシック)であるように見える。別の言い方をすれば、いくつかの実施形態では、取り付けシート60は、流体ホルダ44の連続部分であり、流体ホルダ44が固体デバイス20内で使用される(例えば、デバイスが閉じる)と形成される流体通路を形成する(またはその一部になる)ことはない。
【0044】
さらに図5を参照すると、他の実施形態では、取り付けシート60(すなわち、流体ホルダ44のエッジ及び/または周辺の流体ホルダ44の部分)は、流体ホルダ44の中央部分よりも取り付けシート60の可撓性が低くなるように、流体ホルダ44の中央部分とは異なる材料特性を有してよく、それにより、流体ホルダ44の取り扱いが容易になり、損傷に対してより耐性があり、固体デバイス20内に挿入するのがより容易になる。他の実施形態では、流体ホルダ44の内部は、流体ホルダ44の周囲に延びるシームによって接合される2枚の材料(例えば、他の可能な材料の中でも特に、ポリマ及び/または熱可塑性材料)によって形成されてよい。この実施形態では、流体ホルダ44の周囲に延びるシームは、そこを通って配置された第1の穴62及び第2の穴64を含み、上記のように、流体ホルダ44の容易な取り扱い及び固体デバイス20への挿入を可能にする。流体ホルダ44の周囲に延びるシームは、接着、接着剤、エポキシ、焼結及び/または溶融を含む(が、これらに限定されない)2枚のシートを付着させるための任意の適切な機構を介して形成されてよい。流体ホルダ44、ならびに流体ホルダ44と流体入口22及び流体出口24との間の接続は、動作中に流体ホルダ44が常に気密で無菌状態を保ち、使用中、及び/または固体デバイス20への挿入または固体デバイス20からの取り外し中、流体ホルダ44が破れたり、裂けたり、穴が開いたりしないように、構築(及び/または適切な材料で構成)されてよい。
【0045】
図6は、満たされた流体ホルダ44の斜視図であり、治療液がその中にあり、流体ホルダ44の周囲の部分(すなわち、取り付けシート部分)は、上部プレート26及び底部プレート28内の突起部によって流体ホルダ44がそれらの部分で膨張できないため、治療液で満たされていないように見られる。上記のように、流体ホルダ44内の通路中心壁61の周りに形成される流体通路は、上部プレート26及び底部プレート28の凹部及び突起部によって画定される(特定の実施形態では、凹部及び/または突起部は、上部プレートと底部プレートの一方または両方に存在する場合がある)。したがって、底面斜視図(すなわち、図6の上面斜視図と同様)は、流体ホルダ44の下側に画定された同様の流体通路を示す。流体ホルダ44は、入口カップリング53及び出口カップリング55、ならびにその中に配置された流体入口22及び流体出口24と共に、固体デバイス20が使用されるたびに、新しい事前に組み立てられた流体ホルダ44を固体デバイス20内に配置し、その後廃棄することができるように、事前に組み立て及び/または事前に製造されてよく、それによって、固体デバイス20または流体ホルダ44(及び取り付けシート60)の洗浄及び/または消毒の必要性を排除する。固体デバイス20が洗浄または滅菌を必要とする場合、固体デバイス20を図4(及び図7)に示される開いた構成に配置することによって、固体デバイスの内部に容易にアクセスすることができる。流体ホルダ44は、接着(例えば、エポキシ)、圧縮フィッティング、及び他の適切な手段を含む任意の適切な手段を使用して、取り付けシート60に取り付けられてよい。さらに、流体ホルダ44及び取り付けシート60は、流体ホルダ44及び取り付けシート60が単一の一体型モノリシック構造を形成するように、同じ連続的な構築または製造プロセス中に一体的に形成及び/または製造されてよい。
【0046】
図7は、流体ホルダが設置されていない固体デバイス20の斜視図を示す。固体デバイス20は、1つまたは複数のヒンジ30を介して底部プレート28にヒンジで接続された上部プレート26を含む。ラッチ44は、固体デバイス20が閉位置にあるとき、上部プレート26を底部プレート28の近くに保つ。上記のように、上部プレート26及び底部プレート28は、流体入口22及び流体出口24が固体デバイス20に出入りする流体導管として機能することを可能にするために、上部入口凹部32A、底部入口凹部32B、上部出口凹部34A、及び底部出口凹部34Bを含む。第1のピン50及び第2のピン52は(これもまた上で説明したように)底部プレート28の上面29から上方に突き出ている。
【0047】
引き続き図7を参照すると、固体デバイス20は、底部プレート28の第1の凹部58内に配置された底部プレート凹部66及び底部プレート突起部68を備えてよい。第1の凹部58は、取り付けプレート60の厚さ及び/または流体ホルダ44の満たされていない部分を考慮して、底部プレート28の上面29からわずかに凹んでいる。底部プレート凹部66は、さらに凹んでおり(すなわち、底部プレート28の上面29と第1の凹部58の両方から)、流体ホルダ44が固体デバイス20に挿入され、治療液で満たされたとき、流体ホルダ44が膨張するのを可能にし、それによって、流体ホルダ44内に流体通路の外側境界を画定する。底部プレート突起部68は、底部プレート凹部66から上方に延び、それにより、袋が固体デバイス20内で使用されているときに、流体ホルダ44内の通路中心壁61(図4及び6に示される)を画定する。
【0048】
図8は、上部プレート26が部分的に開いており、1つまたは複数のヒンジ30を中心に回転している固体デバイス20の側面図を示す。図8は、上部プレート26内に配置された上部入口凹部32A及び上部出口凹部34A、ならびに上部プレート26に結合されたラッチ42を示す。図8の実施形態では、第2の凹部80は、取り付けプレート60の厚さ及び/または流体ホルダ44の満たされていない部分(すなわち、流体ホルダ44が固体デバイス20に挿入されたとき)を可能にするために、上部プレート26の底面78からわずかに凹んでいる。上部プレート凹部70は、さらに凹んでおり(すなわち、上部プレート26の底面78と第2の凹部80の両方から)、流体ホルダ44が固体デバイス20に挿入され、治療液で満たされたとき、流体ホルダ44内が膨張するのを可能にし、それによって、流体ホルダ44内に流体通路の外側境界を画定する。上部プレート突起部72は、上部プレート凹部70から上方に延び、それにより、袋が固体デバイス20内で使用されているときに、流体ホルダ44内の通路中心壁61(図4及び6に示される)を画定する。図8はまた、固体デバイス20が閉じられたときに第1のピン50及び第2のピン52を受け入れるための第2の凹部80内に配置された第1のピン穴74及び第2のピン穴76を示す。
【0049】
図9は、本請求の実施形態による、治療液の加熱及び/または冷却の方法900を示す。ステップ902で、この方法は、流体入口管及び流体出口管(図示せず)を流体入口22及び流体出口24に取り付けることを含み得る。ステップ902は、流体ホルダ44が、患者、透析システム、血液加温システム、及び/または他の同等のシステムに流体的に結合されることを可能にする。ステップ904で、方法900は、流体ホルダ44を固体デバイス20に挿入することを含み得る。ステップ924で、方法900は、上部プレート26及び底部プレート28内に配置された凹部、輪郭、及び突起部によって画定される流体通路を流体ホルダ44内に形成する(例えば、デバイスを閉じることによって、すなわち、上部プレートと底部プレートを結合させることによって、当該流体通路を形成する)ことを含み得る。ステップ926で、方法900は、流体入口22、流体ホルダ44、及び流体出口24を通る治療液(血液または透析液など)の流れを開始することを含み得る。ステップ928で、方法900は、固体デバイス20を通って流れる治療液の温度を調整するために、その中に配置された1つまたは複数の温度強制デバイスを介して、上部プレート26及び底部プレート28内の加熱及び/または冷却を開始することを含み得る。方法900は、他のステップを含んでもよく、上記に詳述されたステップをスキップしてもよい。さらに、ステップは、図9に示されているものとは異なる順序で実行されてもよい。追加のステップは、固体デバイス20を通る治療液の流れを停止することと、固体デバイス20内の加熱及び/または冷却を中断することと、固体デバイス20を開くことと、流体ホルダ44を取り外すことと、流体ホルダ44から管を取り外すことと、流体ホルダ44を廃棄することとを含み得る。さらに、方法900は、以下に詳述するように、(流体ホルダ44を固体デバイスに挿入する)ステップ904にいくつかのサブステップを含み得る。
【0050】
さらに図9を参照すると、この方法は、流体ホルダ44が固体デバイス20内に正しく設置されることを確実にするいくつかのサブステップを含み得る。多くの場合、これらのサブステップのいくつかは行う必要の無いことがある。方法900によれば、これらのサブステップは、ステップ906で、固体デバイス20の上部プレートを開くことと、ステップ908で、流体入口22及び流体出口24を底部プレート28の第1の凹部32B及び第2の凹部34Bと位置合わせすることと、ステップ910で、流体ホルダ44の第1の穴62及び第2の穴64を底部プレート26の第1のピン50及び第2のピン52と位置合わせすることと、ステップ912で、1つまたは複数のヒンジ30を介して上部プレート26を回転させて、部分的に閉じることと、ステップ914で、上部プレート26上の第1の凹部32A及び第2の凹部34Aが流体入口22及び流体出口24と位置合わせされていることをチェックすることと、ステップ916で、第1のピン50及び第2のピン52が、上部プレート26の第1のピン穴74及び第2のピン穴76と位置合わせされていることをチェックすることと、ステップ918で、流体ホルダ44が上部プレート26及び底部プレート28の凹部58、80と位置合わせされていることをチェックすることと、ステップ920で、固体デバイス20を閉じることと、ステップ922で、1つまたは複数のラッチ42を取り付けることと、を含み得る。図9に示されているステップのいくつかは任意選択であってよく、スキップされてよい、及び/または図9に示されているものとは異なる順序で実行されてよい。
【0051】
本実施形態の固体デバイス20は、専用の熱伝達流体の必要性を排除する。本実施形態の固体デバイス20は、治療液を直接的または間接的に加熱及び冷却し、それにより、熱伝達流体に起因する感染のリスクを低減及び/または排除する。動作時、固体デバイス20は、約40℃から約60℃、または約40℃から約50℃、または、約40℃から約45℃の最大動作温度を含み得る。動作時、固体デバイス20は、約5L/分(つまり、リットル毎分)から約15L/分、または約7L/分から約13L/分、または約9L/分から約12L/分、または約10L/分から約11L/分の最大流量に対応し得る。既存の患者治療デバイスにおける院内病原菌の1つの原因は、熱伝達流体であり、これは、本開示に記載されているシステムのいくつかの実施形態から排除されている。さらに、本実施形態は、流体ホルダ44内に事前に画定された流体通路またはチャネルを有さない流体ホルダ44の使用を可能にする。上部プレート26及び底部プレート28の凹部、突起部及び輪郭58、66、68、72、78、80を介して流体ホルダ44に流体通路を画定することを可能にすることにより、流体ホルダ44の製造がはるかに簡単かつ容易になり得る。上部プレート26及び底部プレート28を接続するヒンジ30は、流体ホルダ44の固体デバイス20への挿入及び固体デバイス20からの取り外しを迅速かつ容易にし、同時に、洗浄及び滅菌操作のために固体デバイス20の内部への便利なアクセスを提供する。
【0052】
図10は、例示的な実施形態による、流体を加熱及び/または冷却するシステムの温度強制デバイスを示す。温度強制デバイスの上部プレートに配置されたバーは、デバイスが閉じられたとき、デバイスに配置された使い捨ての袋に流体通路を形成する。デバイスが開いているときは、流体通路は画定されていない。この実施形態では、熱電ペルチェヒータ/クーラコンポーネントは、温度強制デバイスの上部プレートと底部プレートとの両方に示されている。
【0053】
図11は、図10の温度強制デバイスの図を示しており、上部プレート及び底部プレートが閉じられたときに形成される流体通路の入口及び出口が見え、矢印が、形成されたチャネルへの流れの方向を示す。
【0054】
図12、13、及び14は、それぞれ、図10の温度強制デバイスの正面図、側面図、及び上面図を示す。
【0055】
図15は、デバイスが閉じられたときに図10の温度強制デバイスによって形成される流体通路を備えた可撓性流体ホルダ(使い捨ての袋)を示す。図16は、(例えば、図10の温度強制デバイス内にないときの)流体通路が形成されていない通常の状態の袋を示す。
【0056】
図17は、例示的な実施形態による、重力によって提供される流体の流れを備えた直接的な流体加温及び/または冷却システムを示す。描かれている流体は治療液である。流体は可撓性流体ホルダ(使い捨ての熱交換袋)の入口に入り、袋が温度強制デバイス(乾式ヒータ/クーラ)の上部プレートと底部プレートの間に配置され、それらのプレートが一緒に閉じられるとき、チャネルが形成される。流体は、熱交換袋の入口から出口に流れるときに乾式ヒータ/クーラによって加熱及び/または冷却され、その後、患者に送達される。流体が乾式ヒータ/クーラに直接接触することはない。
【0057】
図18は、例示的な実施形態による、ポンプアシストを備えた直接的な流体の加温及び/または冷却システムを示す。このシステムは、ポンプ(ここでは蠕動ポンプ)が温度強制デバイスを通る治療液(例えば、血液またはIV溶液)の流れを補助するように描かれていることを除いて、図17に示すものと同じである。流体が乾式ヒータ/クーラに直接接触することはない。
【0058】
図19は、例示的な実施形態による、調整された流体の加温及び/または冷却システムを示す。ここでは、供給源からの調整された流体は、(「Belmont Convective Fluid Disposable」というラベルが付いた)リザーバを通って、温度強制デバイス(ここでは、乾式ヒータ/クーラ)の上部プレートと底部プレートの間に配置された使い捨ての熱交換袋内にポンプで送られる。温度強制デバイスによって加熱及び/または冷却すると、調整された流体は、使い捨ての熱交換袋の出口を通って接続管に流れ込み、システムの別の部分で温度制御された熱交換流体として使用される。流体が乾式ヒータ/クーラに直接接触することはない。さらに、リザーバ、蠕動ポンプ(使用する場合)、接続管、及び熱交換袋を含む流体流路全体を使い捨てにすることができ、汚染のリスクをさらに低減する。
【0059】
いくつかの実施形態では、本開示によるシステムは、患者の体温を管理するために患者の体に直接、物理的に接触するコンポーネントを含む。いくつかの実施形態では、コンポーネントは、流体を含む毛布、ラップ、またはマットレスである。いくつかの実施形態では、コンポーネントは、患者の体の一部を覆って着用されてよい。例えば、コンポーネントは、体の表面の少なくとも約30%、40%、または50%を覆うように設計されてよい。システムは、患者の体温を所望の中核体温で安定させ得る。このようなコンポーネントは、その使用目的に応じて異なる形態を取ってよい。例えば、コンポーネントは、(例えば、非常に高熱を伴う疾患を有する患者のために)中核体温を低下させる目的で、(例えば、温熱治療として、または温熱治療の後)中核体温を上昇させる目的で、またはその両方の目的で、医療用途で設計されてよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、システムは、循環流体の温度、及び/または患者の体温を検出するための1つまたは複数の温度計または他の温度センサをさらに備えてよい。いくつかの実施形態では、温度計(または他の温度センサ)は、流体がコンポーネント(例えば、毛布、ラップ、またはマットレス)に入るときの流体の温度を測定する。いくつかの実施形態では、温度計(または他の温度センサ)は、流体がコンポーネント(例えば、毛布、ラップ、またはマットレス)を出るときの流体の温度を測定する。
【0061】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び添付の請求項を参照すると、よりよく理解されるであろう。この明細書に組み込まれ、この明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を示し、この説明と併せて、本実施形態の原理を説明する役目を果たす。
【0062】
特定の定義
本開示をより容易に理解するために、特定の用語を最初に以下に定義する。以下の用語及び他の用語の追加の定義は、本明細書全体に記載される。
【0063】
1つまたは複数の名前を挙げた要素またはステップを「含む、備える(comprising)」と本明細書に記載する装置、組成物、または方法は、オープンエンドであり、名前を挙げた要素またはステップは必須であるが、他の要素またはステップが、組成物または方法の範囲内に追加されてよいことを意味する。冗長さを回避するために、1つまたは複数の名前を挙げた要素またはステップを「含む、備える(comprisingまたはcomprises)」と記載される任意の装置、組成物、または方法は、同じ名前の要素またはステップ「から基本的に構成される(consisting essentially ofまたはconsists essentially of)」対応する、より限定された組成物または方法も記載し、これは、組成物または方法は、名前を挙げた基本的な要素またはステップを含み、組成物または方法の基本的及び新規の特徴(複数可)に実質的に影響を与えない追加の要素またはステップも含み得ることを意味することも理解されたい。1つまたは複数の名前を挙げた要素またはステップを「含む、備える(comprising)」または「から基本的に構成される(consisting ssentially of)」として本明細書に記載される任意の装置、組成物、または方法は、名前を挙げていない他のあらゆる要素またはステップを除外する、名前を挙げた要素またはステップ「からなる(consisting ofまたはconsists of)」対応する、より限定された、クローズドエンドの組成物または方法も記載することも理解されたい。本明細書に開示される任意の組成物または方法において、任意の名前を挙げた基本的な要素またはステップの既知または開示された均等物は、その要素またはステップの代わりに使用されてよい。
【0064】
本明細書で使用されるとき、用語「患者」または「対象」(本明細書では交換可能に使用される)は、提供される組成物が、例えば、実験、診断、予防、美容、及び/または治療の目的で投与される、または投与されてよい任意の生物を指す。典型的な患者には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類などの哺乳類、及び/またはヒト)が含まれる。特定の実施形態では、患者はヒトである。特定の実施形態では、患者は、1つまたは複数の障害または状態を患っているか、またはその障害または状態になりやすい。特定の実施形態では、患者は、障害または状態の1つまたは複数の症状を示す。特定の実施形態では、患者は、1つまたは複数の障害または状態と診断されている。特定の実施形態では、障害または状態は、細菌感染であるか、または細菌感染を含む。特定の実施形態では、患者は、疾患、障害、または状態を診断及び/または治療するために特定の治療を受けている、または受けたことがある。
【0065】
本明細書で使用されるとき、「実質的に」という用語は、対象とする特徴または特性の全体またはほぼ全体の程度または度合いを示す定性的条件を指す。
【0066】
均等物
本開示をその詳細な説明と併せて記載してきたが、前述の説明は、本発明(複数可)の範囲の例を挙げた説明を意図しており、限定を意図していないことは理解されたい。他の態様、利点、及び修正は、請求項の範囲内にある。
【0067】
この明細書は、例を用いて、最良の形態を含む本発明を開示し、当業者が、任意のデバイスまたはシステムの作製及び使用、ならびに任意の組み込まれる方法の実行を含む、本実施形態を実施することを可能にする。本実施形態の特許可能な範囲は、請求項によって規定され、当業者が想到する他の例を含み得る。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を含む場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言と実質的な差異を有さない同等の構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図16
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図18
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【国際調査報告】