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特表2022-545646医療機器用の形状センシングシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(54)【発明の名称】医療機器用の形状センシングシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20221021BHJP
【FI】
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022509077
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 US2020044801
(87)【国際公開番号】W WO2021030092
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/885,702
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン、チェイス
(72)【発明者】
【氏名】メサリー、シェイン
(72)【発明者】
【氏名】マイゼナー、アンソニー ケント
(57)【要約】
医療機器用の形状センシングシステムおよび方法。形状センシングシステムは、医療機器、光インテロゲータ、コンソール、および表示画面を含み得る。医療機器は統合型光ファイバスタイレットを含み、該統合型光ファイバスタイレットは、前記光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分に沿う複数のファイバブラッググレーティングセンサ(FBG)センサを有し得る。光インテロゲータは、入力光信号を光ファイバスタイレットに送信し、そこからFBGセンサで反射された光信号を受信するように構成され得る。コンソールは、プロットを表示画面に表示するために反射光信号をプロット可能なデータに変換するように構成され得る。プロットは、医療機器の先端が患者の上大静脈に進入したときの光ファイバスタイレットの歪みの特徴的な変化を特定するために、光ファイバスタイレットの遠位端部分に位置するFBGセンサの中から選択した各FBGセンサに対する曲率対時間のプロットを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器の先端が上大静脈(SVC)内に位置することを判定するための方法であって、
前記医療機器の前記先端を患者の血管系を通して前記SVCに向かって前進させることであって、前記医療機器は統合型光ファイバスタイレットを含み、該統合型光ファイバスタイレットは、前記医療機器を含む形状センシングシステムで形状をセンシングするために前記光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分に沿って多数のファイバブラッググレーティングセンサを有することと、
前記患者の前記血管系を通じて前記医療機器の前記先端を前進させながら、入力光信号を前記光ファイバスタイレットに送信可能とすることと、
前記患者の前記血管系を通じて前記医療機器の前記先端を前進させながら、FBGセンサ反射光信号を前記光ファイバスタイレットから受信可能とすることと、
前記医療機器の前記先端が前記SVC内に進入した瞬間に、前記光ファイバスタイレットの前記遠位端部分に位置するFBGセンサの選択によって感知された前記光ファイバスタイレットの歪みの特徴的な変化を前記形状センシングシステムの表示画面上で特定することによって前記医療機器の前記先端がSVC内に位置していることを判定することと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法は、前記光ファイバスタイレットから受信した前記FBGセンサ反射光信号を、前記表示画面上に表示するための多数の異なるプロットにアルゴリズム的に変換することを可能にすることを更に含む、方法。
【請求項3】
前記多数の異なるプロットのうちの各プロットは、前記光ファイバスタイレットの少なくとも前記遠位端部分について、曲率対弧長のプロット、ねじれ対弧長のプロット、角度対弧長のプロット、及び位置対時間のプロットから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記多数の異なるプロットは、前記光ファイバスタイレットの前記FBGセンサから選択された各FBGセンサの曲率対時間のプロットを含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法は、前記光ファイバスタイレットから受信した前記FBGセンサ反射光信号を、前記表示画面上に表示するための前記医療機器用の表示可能な形状にアルゴリズム的に変換することを可能にすることを更に含む方法。
【請求項6】
前記光ファイバスタイレットの前記歪みの前記特徴的な変化は、該光ファイバスタイレットのプロットされた曲率における瞬間的な増加とそれに続く前記プロットされた曲率における瞬間的な減少である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記光ファイバスタイレットの前記プロットされた曲率における前記瞬間的な減少の大きさは、前記プロットされた曲率の前記瞬間的な増加の大きさの約2倍である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記FBGセンサの前記選択は、前記光ファイバスタイレットの前記遠位端部分に位置する最後の3つのFBGセンサである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法はさらに、
前記医療機器の前記先端が前記SVCに位置していると判定した後、前記医療機器の前記先端を前記患者の前記血管系を通して進めることをやめることと、
前記FBGセンサの前記選択によってセンシングされた前記光ファイバスタイレットの前記歪みの周期的な変化によって、前記医療機器の前記先端が前記SVC内にあることを確認することと
を含み、
前記歪みの前記周期的な変化は、患者の心臓が鼓動するときのSVC内の血流の周期的な変化に起因するものである、方法。
【請求項10】
前記患者の前記血管系を通して前記医療機器の前記先端を前進させることは、右内頸静脈、右腕頭静脈、及びSVC内を通して前記医療機器の前記先端を前進させることを含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記医療機器が中心静脈カテーテル(CVC)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記患者の前記血管系を通して前記医療機器の前記先端を前進させることは、右脚静脈、右腋窩静脈、右鎖骨下静脈、右腕頭静脈、及びSVC内を通して前記医療機器の前記先端を前進させることを含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記医療機器が末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC)である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
医療機器の先端が上大静脈(SVC)内に位置することを判定するための方法であって、
前記医療機器の前記先端を患者の血管系を通して前記SVCに向かって前進させることであって、前記医療機器は統合型光ファイバスタイレットを含み、該統合型光ファイバスタイレットは、前記医療機器を含む形状センシングシステムで形状をセンシングするために前記光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分に沿って多数のファイバブラッググレーティングセンサを有することと、
前記患者の前記血管系を通じて前記医療機器の前記先端を前進させながら、入力光信号を前記光ファイバスタイレットに送信可能とすることと、
前記患者の前記血管系を通じて前記医療機器の前記先端を前進させながら、FBGセンサ反射光信号を前記光ファイバスタイレットから受信可能とすることと、
前記光ファイバスタイレットから受信した前記FBGセンサ反射光信号を、表示画面上に表示するための複数の異なるプロットにアルゴリズム的に変換することを可能にすることと、
前記医療機器の前記先端が前記SVC内に進入した瞬間に、前記光ファイバスタイレットの前記遠位端部分に位置する最後の3つのFBGセンサのうちの各FBGセンサによって感知される、前記光ファイバスタイレットの歪みの瞬間的な増加とそれに続く瞬間的な減少を前記形状センシングシステムの表示画面上で特定することによって、前記医療機器の前記先端がSVC内に位置していることを判定することと、
前記光ファイバスタイレットの前記遠位端部分における前記FBGセンサのうちの1または複数によってセンシングされた前記光ファイバスタイレットの前記歪みの周期的な変化によって、前記医療機器の前記先端が前記SVC内にあることを確認することと
を含み、
前記歪みの前記周期的な変化は、患者の心臓が鼓動するときのSVC内の血流の周期的な変化に起因するものである、方法。
【請求項15】
医療機器用の形状センシングシステムであって、
統合型光ファイバスタイレットを含む医療機器であって、該統合型光ファイバスタイレットは、前記光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分に沿って多数のファイバブラッググレーティング(FBG)センサを有する、医療機器と、
入力光信号を光ファイバスタイレットに送信し、光ファイバスタイレットからFBGセンサで反射された光信号を受信するように構成された光インテロゲータと、
多数の光信号変換アルゴリズムによってFBGセンサで反射された光信号を光ファイバスタイレットからプロット可能なデータに変換するように構成された1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを含むコンソールと、
前記プロット可能なデータからなる多数のプロットのうちの任意のプロットを表示するように構成された表示画面であって、前記多数のプロットは、前記医療機器の先端が患者の上大静脈(SVC)に進入した瞬間の前記光ファイバスタイレットの歪みの特徴的な変化を特定するために、前記光ファイバスタイレットの前記遠位端部分に位置する前記FBGセンサの中から選択された1つまたは複数のうち各FBGセンサに対する曲率対時間のプロットを少なくとも含む、表示画面と
を備える形状センシングシステム。
【請求項16】
請求項15に記載の形状センシングシステムは、前記医療機器の前記先端が前記患者の前記SVCに進入した瞬間の前記光ファイバスタイレットの前記歪みの前記特徴的な変化を自動的に判定するように構成されたSVC判定アルゴリズムをさらに含み、前記歪みの前記特徴的な変化は、該歪みの瞬間的な増加とそれに続く歪みの瞬間的な減少である、形状センシングシステム。
【請求項17】
前記SVC判定アルゴリズムは、前記FBGセンサの選択によってセンシングされた前記光ファイバスタイレットの前記歪みの周期的な変化によって、前記医療機器の前記先端が前記SVC内にあることを確認するように構成され、前記歪みの前記周期的な変化は、患者の心臓が鼓動するときの前記SVC内の血流の周期的な変化に起因する、請求項15又は16記載の形状センシングシステム。
【請求項18】
請求項15乃至17のいずれか一項に記載の形状センシングシステムは光ファイバ接続モジュールをさらに含み、該光ファイバ接続モジュールは、前記医療機器から前記光ファイバ接続モジュールへの第1の光接続、及び前記光ファイバ接続モジュールから前記光インテロゲータへの第2の光接続を確立するように構成され、前記第1の光接続は、滅菌ドレープによって形成される滅菌領域内の前記医療機器と、前記滅菌ドレープによって形成される非滅菌領域内の前記光ファイバ接続モジュールとともに前記滅菌ドレープを介して行われる、形状センシングシステム。
【請求項19】
前記光ファイバ接続モジュールは、ジャイロスコープ、加速度計、および磁力計から選択される1つまたは複数のセンサを含み、前記1つまたは複数のセンサは、前記光ファイバスタイレットを使用した形状センシングの基準面をアルゴリズムで決定するために、1つまたは複数のデータワイヤを介してセンサデータを前記コンソールに提供するように構成される、請求項18に記載の形状センシングシステム。
【請求項20】
前記光インテロゲータは、前記コンソールに統合された統合型光インテロゲータである、請求項15乃至19のいずれか一項に記載の形状センシングシステム。
【請求項21】
前記表示画面は、前記コンソールに統合された統合型表示画面である、請求項15乃至20のいずれか一項に記載の形状センシングシステム。
【請求項22】
医療機器であって、
患者の血管系を通って前進するように構成された長尺状の実装体と、
クラッドと、該クラッド内に空間的に配置された1つまたは複数のコアファイバとを含む光ファイバであって、前記1つまたは複数のコアファイバの各々が、対応するコアファイバの長手方向の長さに沿って分散された複数のセンサを含み、該複数のセンサの各センサが、
(i)受信した入射光に基づいて異なるスペクトル幅の光信号を反射し、かつ
(ii)前記光ファイバの物理的状態を判断するために使用される反射された前記光信号の特性を変更するように構成されている、光ファイバと
を備える医療機器。
【請求項23】
前記光ファイバがマルチコア光ファイバである、請求項22に記載の医療機器。
【請求項24】
前記長尺状の実装体は、スタイレット、カテーテル、およびガイドワイヤのうちの1つである、請求項22又は23に記載の医療機器。
【請求項25】
請求項22乃至24のいずれか一項に記載の医療機器が絶縁層をさらに備え、前記光ファイバが前記絶縁層内にカプセル化され、導電性媒体が前記絶縁層の内側にカプセル化されている、医療機器。
【請求項26】
前記複数のセンサの各々は、前記対応するコアファイバの前記長手方向の長さに沿って分散された前記対応するコアファイバの異なる領域に配置された反射型グレーティングを構成する、請求項22乃至25のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項27】
反射光の特性の変化が、少なくとも歪みの種類を特定するために反射光信号に適用される波長のシフトを含む、請求項22乃至26のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項28】
歪みの前記種類が圧縮または張力である、請求項27に記載の医療機器。
【請求項29】
請求項22乃至28のいずれか一項に記載の医療機器は導電性媒体をさらに備え、該導電性媒体は、前記導電性媒体の遠位部分で検出される電気信号のための経路を提供するように構成されている、医療機器。
【請求項30】
前記電気信号が心電図(ECG)信号を含む、請求項22乃至29のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項31】
患者の血管系内の標的部位にある医療機器の位置決めを検出するための医療機器システムであって、
前記医療機器であって、1つまたは複数のコアファイバを有する光ファイバを含み、前記1つまたは複数のコアファイバの各々は、対応するコアファイバの長手方向の長さに沿って分散された複数のセンサを含み、前記複数のセンサの各センサは、(i)受信した入射光に基づいて異なるスペクトル幅の光信号を反射し、かつ(ii)前記光ファイバの物理的状態を判断するために使用される反射された前記光信号の特性を変更するように構成されている、前記医療機器と、
1つまたは複数のプロセッサと、ロジックを格納した非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体とを含むコンソールと
を備え、
前記コンソールは、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行される場合に、
前記光ファイバに広帯域入射光信号を提供することと、
前記複数のセンサのうちの少なくとも1つまたは複数から、前記広帯域入射光の異なるスペクトル幅の反射光信号を受信することと、
前記複数のコアファイバに関連する前記反射光信号を処理することと、
前記反射光信号に基づいて、前記医療機器が前記患者の前記標的部位に位置決めされていることを判定することと
を含む動作を生じさせる、医療機器システム。
【請求項32】
前記光ファイバがマルチコア光ファイバである、請求項31に記載の医療機器システム。
【請求項33】
前記医療機器は、スタイレット、カテーテル、およびガイドワイヤのうちの1つである、請求項31又は32に記載の医療機器システム。
【請求項34】
前記標的部位が、前記患者の前記血管系の上大静脈(SVC)、右心房、および下大静脈(IVC)のうちの1つにある、請求項31乃至33のいずれか一項に記載の医療機器システム。
【請求項35】
前記ロジックは、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行される場合に、前記反射光信号の特性に基づいて前記医療機器の少なくとも一部の物理的状態の視覚的表現を生成することを含むさらなる動作を生じさせる、請求項31乃至34のいずれか一項に記載の医療機器システム。
【請求項36】
前記視覚的表現は、反射光信号の前記特性に基づく前記医療機器の少なくとも前記一部の前記物理的状態の3次元(3D)視覚的表現である、請求項35に記載の医療機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療機器用の形状センシングシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC:peripherally inserted central catheter)または中心静脈カテーテル(CVC:central venous catheter)の先端が動いて、患者の上大静脈(SVC:superior vena cava)の理想的な位置からずれることがある。そのようなPICCまたはCVCが変位したと信じている臨床医は、通常、胸部X線で変位を確認し、必要に応じてPICCまたはCVCを交換する。しかしながら、X線は患者を電離放射線にさらすことになる。したがって、臨床医は、PICCおよびCVCの変位を簡単かつ安全に確認して、必要に応じて交換するというニーズがある。
【0003】
本明細書に開示されるのは、前述に対処する医療機器用の形状センシングシステムおよび方法である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で開示されるのは、いくつかの実施形態では、医療機器、光インテロゲータ、コンソール、および表示画面を含む医療機器用の形状センシングシステムである。医療機器は、光ファイバを含む実装体を含み、光ファイバは、該光ファイバの少なくとも遠位端部分に沿った多数のファイバブラッググレーティング(FBG:fiber Bragg grating)センサから構成される。主に本開示を通して説明されるように、実装体のうちの一実施形態は、光ファイバ統合スタイレットである。しかしながら、実装体のうちの他の実施形態は、統合光ファイバガイドワイヤ、または統合光ファイバカテーテルを含むが、これらに限定されない。光インテロゲータは、入力光信号を光ファイバスタイレットに送信し、光ファイバスタイレットからFBGセンサで反射された光信号を受信するように構成されている。コンソールは、1つまたは複数のアルゴリズムを含む多数の光信号変換ロジックによってFBGセンサで反射された光信号を光ファイバスタイレットからプロット可能なデータに変換するように構成された1つまたは複数のプロセッサおよびメモリとを含む。前記表示画面は、前記プロット可能なデータからなる多数のプロットのうちの任意のプロットを表示するように構成されている。前記多数のプロットは、前記医療機器の先端が患者のSVCに進入した瞬間の前記光ファイバスタイレットの歪みの特徴的な変化を特定するために、前記光ファイバスタイレットの前記遠位端部分に位置する前記FBGセンサの中から選択した各FBGセンサに対する曲率対時間のプロットを少なくとも含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、形状センシングシステムは、医療機器の先端が患者のSVCに進入した瞬間の前記光ファイバスタイレットの歪みの特徴的な変化を自動的に判定するように構成されたSVC判定アルゴリズムをさらに含む。前記歪みの前記特徴的な変化は、該歪みの瞬間的な増加とそれに続く歪みの瞬間的な減少である。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記SVC判定アルゴリズムは、前記FBGセンサの前記選択によってセンシングされた前記光ファイバスタイレットの前記歪みの周期的な変化によって、前記医療機器の前記先端が前記SVC内にあることを確認するように構成される。前記歪みの前記周期的な変化は、患者の心臓が鼓動するときのSVC内の血流の周期的な変化に起因する。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記形状センシングシステムは光ファイバ接続モジュールをさらに含み、該光ファイバ接続モジュールは、前記医療機器から前記光ファイバ接続モジュールへの第1の光接続、及び前記光ファイバ接続モジュールから前記光インテロゲータへの第2の光接続を確立するように構成されている。前記第1の光接続は、滅菌ドレープによって形成される滅菌領域内の前記医療機器と、前記滅菌ドレープによって形成される非滅菌領域内の前記光ファイバ接続モジュールとともに前記滅菌ドレープを介して行われる。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記光ファイバ接続モジュールは、ジャイロスコープ、加速度計、および磁力計から選択される1つまたは複数のセンサを含む。前記1つまたは複数のセンサは、前記光ファイバスタイレットを使用した形状センシングの基準面をアルゴリズムで決定するために、1つまたは複数のデータワイヤを介してセンサデータを前記コンソールに提供するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記光インテロゲータは、前記コンソールに統合された統合型光インテロゲータである。
いくつかの実施形態では、前記表示画面は、前記コンソールに統合された統合型表示画面である。
【0010】
また、本明細書に開示されるのは、医療機器の先端が患者のSVC内に位置することを判定するための方法である。前記方法は、いくつかの実施形態では、前記医療機器の前記先端を前記患者の血管系を通して前記SVCに向かって前進させることを含む。前記医療機器は統合型光ファイバスタイレットを含み、該統合型光ファイバスタイレットは、前記医療機器を含む形状センシングシステムで形状をセンシングするために前記光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分に沿って多数のFBGセンサを有する。また、前記方法は、前記患者の前記血管系を通じて前記医療機器の前記先端を前進させながら、入力光信号(例えば、広帯域入射光)を前記光ファイバスタイレットに送信可能とすることを含む。一実施形態では、広帯域入射光は、調整可能な掃引レーザーであり得る光源によって提供されるが、セミコヒーレント光源、LED光源などを含む他の適切な光源もレーザーに加えて使用され得る。また、前記方法は、前記患者の前記血管系を通じて前記医療機器の前記先端を前進させながら、FBGセンサ反射光信号を前記光ファイバスタイレットから受信可能とすることを含む。また、前記方法は、前記医療機器の前記先端が前記SVC内に進入した瞬間に、前記光ファイバスタイレットの前記遠位端部分に位置するFBGセンサの選択によって感知された前記光ファイバスタイレットの歪みの特徴的な変化を前記形状センシングシステムの表示画面上で特定することによって前記医療機器の前記先端がSVC内に位置していることを判定することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記光ファイバスタイレットから受信した前記FBGセンサ反射光信号を、前記表示画面上に表示するための多数の異なるプロットにアルゴリズム的に変換することを可能にすることを更に含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記多数の異なるプロットのうちの各プロットは、前記光ファイバスタイレットの少なくとも前記遠位端部分について、曲率対弧長のプロット、ねじれ対弧長のプロット、角度対弧長のプロット、及び位置対時間のプロットから選択される。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記多数の異なるプロットは、前記光ファイバスタイレットの前記FBGセンサから選択された各FBGセンサの曲率対時間のプロットを含む。
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記光ファイバスタイレットから受信した前記FBGセンサ反射光信号を、前記表示画面上に表示するための前記医療機器用の表示可能な形状にアルゴリズム的に変換することを可能にすることを更に含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記光ファイバスタイレットの前記歪みの前記特徴的な変化は、該光ファイバスタイレットのプロットされた曲率における瞬間的な増加とそれに続く前記プロットされた曲率における瞬間的な減少である。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記光ファイバスタイレットの前記プロットされた曲率における前記瞬間的な減少の大きさは、前記プロットされた曲率の前記瞬間的な増加の大きさの約2倍である。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記FBGセンサの前記選択は、前記光ファイバスタイレットの前記遠位端部分に位置する最後の3つのFBGセンサである。
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記医療機器の前記先端が前記SVCに位置していると判定した後、前記医療機器の前記先端を前記患者の前記血管系を通して進めることをやめることを更に含む。また、前記方法は、前記FBGセンサの前記選択によってセンシングされた前記光ファイバスタイレットの前記歪みの周期的な変化によって、前記医療機器の前記先端が前記SVC内にあることを確認することを含む。前記歪みの前記周期的な変化は、患者の心臓が鼓動するときのSVC内の血流の周期的な変化に起因する。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記患者の前記血管系を通して前記医療機器の前記先端を前進させることは、右内頸静脈、右腕頭静脈、及びSVC内を通して前記医療機器の前記先端を前進させることを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記医療機器はCVCである。
いくつかの実施形態では、前記患者の前記血管系を通して前記医療機器の前記先端を前進させることは、右脚静脈、右腋窩静脈、右鎖骨下静脈、右腕頭静脈、及びSVC内を通して前記医療機器の前記先端を前進させることを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、医療機器は、末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC)である。
また、本明細書に開示されるのは、医療機器の先端が患者のSVC内に位置することを判定するための方法である。前記方法は、いくつかの実施形態では、前記医療機器の前記先端を前記患者の血管系を通して前記SVCに向かって前進させることを含む。前記医療機器は統合型光ファイバスタイレットを含み、該統合型光ファイバスタイレットは、前記医療機器を含む形状センシングシステムで形状をセンシングするために前記光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分に沿って多数のFBGセンサを有する。また、前記方法は、前記患者の前記血管系を通じて前記医療機器の前記先端を前進させながら、入力光信号を前記光ファイバスタイレットに送信可能とすることを含む。また、前記方法は、前記患者の前記血管系を通じて前記医療機器の前記先端を前進させながら、FBGセンサ反射光信号を前記光ファイバスタイレットから受信可能とすることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、前記光ファイバスタイレットから受信した前記FBGセンサ反射光信号を、前記表示画面上に表示するための複数の異なるプロットにアルゴリズム的に変換することを可能にすることを更に含む。また、前記方法は、前記医療機器の前記先端が前記SVC内に進入した瞬間に、前記光ファイバスタイレットの前記遠位端部分に位置する最後の3つのFBGセンサのうちの各FBGセンサによって感知される、前記光ファイバスタイレットの歪みの瞬間的な増加とそれに続く瞬間的な減少を前記形状センシングシステムの表示画面上で特定することによって、前記医療機器の前記先端がSVC内に位置していることを判定することを含む。また、前記方法は、前記光ファイバスタイレットの前記遠位端部分に位置する最後の3つのFBGセンサによってセンシングされる、前記光ファイバスタイレットの前記歪みの周期的な変化によって、前記医療機器の前記先端が前記SVC内にあることを確認することを含む。前記歪みの前記周期的な変化は、患者の心臓が鼓動するときのSVC内の血流の周期的な変化に起因する。
【0020】
本明細書で提供される概念のこのよう特徴および他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、いくつかの実施形態による第1の形状センシングシステムのブロック図である。
図2図2は、いくつかの実施形態による第2の形状センシングシステムのブロック図である。
図3図3は、いくつかの実施形態による第2の形状センシングシステムを示す。
図4A図4Aは、いくつかの実施形態による、医療機器のカテーテルチューブの横断面を示す。
図4B図4Bは、いくつかの実施形態による、医療機器のカテーテルチューブの縦断面を示す。
図5図5は、いくつかの実施形態による光ファイバ接続モジュールの詳細な部分を示す。
図6図6は、いくつかの実施形態による、第1の光ファイバ接続モジュールを備えた第2の形状センシングシステムを示す。
図7図7は、いくつかの実施形態による、外科用ドレープの開窓内に第1の光ファイバ接続モジュールを備えた第2の形状センシングシステムを示す。
図8図8は、いくつかの実施形態による、第2の光ファイバ接続モジュールを備えた第2の形状センシングシステムを示す。
図9図9は、いくつかの実施形態による、外科用ドレープの下に第2の光ファイバ接続モジュールを備えた第2の形状センシングシステムを示す。
図10図10は、いくつかの実施形態による、形状センシングシステムの表示画面上の多数の異なるプロットを提供する。
図11図11は、図10のプロットの1つとして、光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分の曲率対弧長およびねじれ対弧長の詳細なプロットを示す。
図12図12は、図10のプロットの1つとして、光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分の角度対弧長の詳細なプロットを示す。
図13図13は、図10のプロットの1つとして、光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分の位置対時間の詳細なプロットを示す。
図14図14は、いくつかの実施形態による、医療機器または光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分の表示可能な形状を提供する。
図15図15は、図10のプロットの一部として、光ファイバスタイレットの多数のFBGセンサから選択された各FBGセンサの曲率対時間の詳細なプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0023】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数のステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または特定するために使用され、連続的な限定または数値制限を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、または他の同様の用語などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0024】
「近位」に関しては、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0025】
「遠位」に関しては、例えば、本明細書に開示されているカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0026】
「ロジック」という用語は、1つまたは複数の機能を実行するように構成されたハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアを表し得る。ハードウェアとして、ロジックという用語は、データ処理および/またはストレージ機能を有する回路を指してもよいし、または含んでもよい。そのような回路の例は、限定または制限されないが、ハードウェアプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、1つまたは複数のプロセッサコア、デジタル信号プロセッサ、プログラム可能なゲートアレイ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路「ASIC」、など)、半導体メモリ、または組み合わせ素子を含む。
【0027】
追加的にまたは代替として、ロジックという用語は、1つ以上のプロセス、1つ以上のインスタンス、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、サブルーチン、関数、アプレット、サーブレット、ルーチン、ソースコード、オブジェクトコード、共有ライブラリ/動的リンクライブラリ(DLL:dynamic link library)、あるいは1つ以上の命令などのソフトウェアを指すか、または含み得る。このソフトウェアは、任意のタイプの適切な非一時的記憶媒体、または一時的記憶媒体(例えば、搬送波、赤外線信号、またはデジタル信号などの電気、光、音響、または他の形態の伝搬信号)に格納されてもよい。非一時的記憶媒体の例は、プログラマブル回路、揮発性メモリ(例えば、任意のタイプのランダムアクセスメモリ「RAM」)のような非一時的記憶、または不揮発性メモリ(例えば、読み取り専用メモリ「ROM」、パワーバックアップ型RAM、フラッシュメモリ、相変化メモリなど)、半導体ドライブ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブまたは持ち運び可能なメモリデバイスのような一時的記憶を含むが、それらに限定されるわけではない。ファームウェアとして、ロジックは永続ストレージに保存され得る。
【0028】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
上記のように、臨床医は、PICCおよびCVCの変位を簡単かつ安全に確認して、必要に応じて交換するというニーズがある。本明細書に開示されるのは、上記に対処する医療機器用の形状センシングシステムおよび方法である。
【0029】
例えば、形状センシングシステムは、医療機器、光インテロゲータ、コンソール、および表示画面を含み得る。一実施形態では、前記医療機器は統合型光ファイバスタイレットを含み、該統合型光ファイバスタイレットは、前記光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分に沿う複数のFBGセンサを有する。上述したように、光ファイバスタイレットの代替物は、光ファイバ統合型ガイドウェイまたは光ファイバ統合型ガイドワイヤを含むが、これらに限定されない。光インテロゲータは、入力光信号を光ファイバスタイレットに送信し、光ファイバスタイレットからFBGセンサで反射された光信号(例えば、広帯域入射光)を受信するように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態において、光ファイバスタイレットは、(i)スタイレットの一部(例えば、スタイレットの先端、セグメント等)またはスタイレットの少なくとも一部を含むカテーテルの一部(例えば、カテーテルの先端、セグメント等)もしくは、(ii)患者の体内におけるスタイレットまたはカテーテルの全体または大部分の物理的状態(例えば、形長、形、及び/又は形態)(以下、「スタイレットの物理的状態」または「カテーテルの物理的状態」と記載する)を特定するために用いる情報を返すように構成されている。本開示の一実施形態によれば、返される情報は、異なるスペクトル幅の反射光信号から得られてもよく、各反射光信号は、光ファイバ(以下、「コアファイバ」)のコアに沿って伝播し、コアファイバ上に位置する特定のセンサによってコアファイバ上で反射される広帯域入射光の一部分に対応する。返される情報の一例は、センサから返される反射光信号の信号特性の変化に関係し、波長シフトはコアファイバの(機械的)歪みと相関している。光ファイバは、複数のコアを含むことができ、複数のコアを含む光ファイバは、「マルチコア光ファイバ」と呼ばれることを理解されたい。
【0031】
スタイレットがマルチコア光ファイバを含むいくつかの実施形態では、各コアファイバは複数のセンサを利用し、各センサは、入射光の異なるスペクトル範囲(例えば、異なる光周波数範囲)を反射するように構成される。各コアファイバにかかる歪みの種類と程度に基づいて、そのコアファイバに関連するセンサは、センサが占めるスタイレットの位置におけるコアファイバの汚れの種類および程度を伝えるべく、反射光の波長を変更(シフト)することができる。センサは、スタイレットの近位端と遠位端との間のコアファイバの様々な位置に空間的に分散されているため、波長シフトの分析に基づいてスタイレットの形状センシングを行うことができます。いくつかの実施形態では、形状センシング機能は、スタイレットの一部として含まれる導電性媒体を介して同じ部材(スタイレット)を介して電気信号を同時に通す能力と対になっている。
【0032】
より具体的には、いくつかの実施形態では、マルチコア光ファイバの各コアファイバは、センサのアレイで構成され、これらセンサは、該センサによって占められるコアファイバのそれら領域において一般に外部歪みを感知すべく、コアファイバの所定の長さにわたって空間的に分散されている。同じコアファイバに配置された各センサは、それぞれ異なる特定のスペクトル幅の光を反射するように構成されていれば、センサアレイによってマルチコア光ファイバの所定の長さ全体を分散して測定することが可能である。これらの分散測定は、センサが受ける歪みと相関関係がある波長シフトを含み得る。
【0033】
動作中、マルチコア光ファイバの複数のコアファイバのそれぞれから、複数の反射光(「反射光信号」ともいう)がコンソールに戻される。各反射光信号は、異なるスペクトル幅に一意に関連付けられ得る。反射光信号に関連する情報は、患者の体内のスタイレットの物理的状態の3次元表現を決定するために使用され得る。コアファイバは、光ファイバのクラッドで空間的に分離されてもよく、各コアファイバは、コアファイバの各々に製造されたセンサの分散アレイから反射した異なるスペクトル幅(例えば、特定の光波長又は光波長の範囲)の光を別々に返すように構成されている。(基準として動作する)中央のコアファイバと取り囲んでいる外周コアファイバとの反射光の波長変化を比較することで、スタイレットの物理的な状態を判断することができる。
【0034】
カテーテルの血管系への挿入中及びカテーテルの前進中、臨床医は、潜在的な経路の逸脱を回避するために、スタイレットによって誘導されるカテーテルの現在の物理的状態(例えば、形状)を視覚化するためにコンソールに依存することができる。マルチモード光ファイバのクラッド内には空間的に異なる位置に外周コアファイバが存在するため、スタイレットの角度方向(中心コアファイバに対する曲げなど)の変化により、中心コアファイバのみではなく外周コアファイバにもそれぞれ異なる種類(例えば、圧縮や引張)の歪みが加わる。歪みの種類および/または程度が異なると、コアファイバのセンサに異なる波長シフトが適用され得るため、これを測定することでスタイレット(カテーテル)の物理的状態を推定することができる。
【0035】
コンソールは、プロットを表示画面に表示するために反射光信号をプロット可能なデータに変換するように構成されている。前記プロットは、前記医療機器の先端が患者の上大静脈に進入したときの前記光ファイバスタイレットの歪みの特徴的な変化を特定するために、前記光ファイバスタイレットの前記遠位端部分に位置する前記FBGセンサの中から選択した各FBGセンサに対する曲率対時間のプロットを含む。
【0036】
コンソールはさらに、スタイレットから1つ又は複数の電気信号を受信するように構成されてもよく、上記で言及したように、電気接続および光接続の両方をサポートするように構成されてもよい。電気信号は、表示用のECG波形を判定するために、プロセッサによって実行されている間、コンソールのロジックによって処理され得る。
【0037】
本明細書で提供される形状センシングシステムおよび方法のこのような特徴および他の特徴は、形状センシングシステムおよび方法の特定の実施形態をより詳細に提供する添付の図面および以下の説明を参照することにより、より明らかになるであろう。
【0038】
形状センシングシステム
図1は、いくつかの実施形態による第1の形状センシングシステム100のブロック図である。図2は、いくつかの実施形態による第2の形状センシングシステム200のブロック図である。図3は、いくつかの実施形態による第2の形状センシングシステム200を示す。図10は、いくつかの実施形態による、形状センシングシステム100または200の表示画面150または250を提供する。図11乃至図15は、図10の表示画面150または250上の多数の異なるプロットの詳細なプロットを示す。
【0039】
図示されるように、形状センシングシステム100は、医療機器110、スタンドアロン光インテロゲータ130、コンソール140、およびスタンドアロンモニタのような表示画面150を含む。形状センシングシステム200は、医療機器110、統合型光インテロゲータ230、コンソール240、および統合型表示画面250を含み、統合型光インテロゲータ230および統合型表示画面250の両方がコンソール240に統合されている。形状センシングシステム100及び200の各形状センシングシステムは、光インテロゲータ130又は統合型光インテロゲータ230を含むコンソール240などの形状センシングシステム100又は200の残りの部分に医療機器110を接続するために構成された光ファイバ接続モジュール120をさらに含むことができる。
【0040】
以下により詳細に説明するように、医療機器110は統合型光ファイバスタイレットを含み、該統合型光ファイバスタイレットは、形状センシングシステム100又は200で形状をセンシングするために光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分に沿って多数のFBGセンサを有する。(医療機器110の統合型光ファイバスタイレットの例については、図4Bの統合型光ファイバスタイレット424を参照されたい。)
医療機器110の特定の特徴は、PICC310などの医療機器110の特定の実施形態に関して、以下により詳細に説明される。とはいえ、医療機器110の1つまたは複数の実施形態に関して以下に記載されるいくつかの特徴は、医療機器110の複数の実施形態の間で共通である。したがって、「医療機器110」は、説明の便宜のために必要とされる場合、医療機器110の二以上の実施形態を総称的に参照するために本明細書で使用される。これは、特定の特徴が、PICC310などの医療機器110の特定の実施形態に関して説明された場合であってもである。
【0041】
コンソール240についてのみ示されているが、コンソール140及び240の各コンソールは、1つまたは複数の光信号変換アルゴリズムなどの多数のアルゴリズム246を含む1つまたは複数のプロセッサ242及びメモリ244を含む。1つまたは複数の光信号変換アルゴリズムは、医療機器110の光ファイバスタイレットからのFBGセンサ反射光信号を、医療機器110に対応する表示可能な形状のためのプロット可能なデータに変換するように構成される。また、1つまたは複数の光信号変換アルゴリズムは、医療機器110の光ファイバスタイレットからの反射光信号を、プロット可能なデータの他の多数のプロット用のプロット可能なデータに変換するように構成される。表示画面150又は250は、医療機器110に関する表示可能な形状を3次元グリッド1002上に表示するか、又は他のプロット可能なデータからなる多数のプロットのうちの任意のプロットを表示するように構成される。
【0042】
より具体的には、いくつかの実施形態において、アルゴリズム246は、スタイレット、カテーテル又はガイドワイヤの同じ測定領域(又は同じスペクトル幅)において各外側コアファイバに配置されたセンサによって測定された波長シフトを、中心軸に沿って配置されて曲げの中立軸として動作する中心コアファイバにおける波長シフトと比較するように構成される形状センシングロジックを含むことができる。これらの分析から、形状センシングロジックは、コアファイバが3D空間で取った形状を判断してもよく、さらに、ディスプレイ150又は250にレンダリングするために、3D空間におけるスタイレット、カテーテル又はガイドワイヤの現在の物理的状態を判断してもよい。
【0043】
図10を参照すると、多数のプロットは、光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分について、曲率対弧長のプロット1004、ねじれ対弧長のプロット1006、角度対弧長のプロット1008、又は位置対時間のプロット1010を含むことができる。多数のプロットはさらに、光ファイバスタイレットの遠位端部分に位置するFBGセンサの中から選択した各FBGセンサに対する曲率対時間のプロット1012a、1012b、1012c、…、1012nを少なくとも含むことができる。医療機器110の先端が患者のSVCに進入する瞬間の光ファイバスタイレットの曲率のプロットの特徴的な変化により、光ファイバスタイレットの歪みの特徴的な変化を手動で特定すべく、光ファイバスタイレットの遠位端部分のFBGセンサの選択に関する曲率対時間のプロット1012a,1012b,1012c,…,1012nのいずれか1つまたは複数が使用され得る。しかしながら、図10および図15に示す曲率対時間の3つのプロット1012a、1012b、1012cは、光ファイバスタイレットの遠位端部分にある最後の3つのFBGセンサのものである。光ファイバスタイレットの遠位端部分にある最後の3つのFBGセンサは、医療機器110の先端が患者のSVC内に進入するときに、光ファイバスタイレットの引張歪み及び圧縮歪みに起因する曲率の物理的変化をFBGセンサが直接経験するという点で、光ファイバスタイレットの曲率のプロットの特徴的な変化を特定するのに特に有効である。光ファイバスタイレットのプロットされた曲率の特徴的な変化は、図15に示す曲率対時間のプロット1012a、1012b、1012cのいずれかに矢印で示すように、プロットされた曲率の瞬間的な増加と、その後に続く瞬間的な増加の約2倍の大きさを有するプロットされた曲率の瞬間的な減少とによって例示される。
【0044】
医療機器110の先端が患者のSVCに進入した瞬間の光ファイバスタイレットの歪みの特徴的な変化を手動で識別するために、曲率対時間のプロットのいずれか1つまたは複数を使用できることに加えて、光ファイバスタイレットの遠位端部分におけるFBGセンサの選択に関して、医療機器110の先端がSVC内にあることを光ファイバスタイレットの歪みの周期的な変化によって手動で特定するために、曲率対時間のプロット1012a、1012b、1012c、…、1012nのいずれか1つまたは複数を使用することができる。光ファイバスタイレットの歪みの周期的な変化は、FBGセンサの選択によって検出された光ファイバスタイレットのプロットされた曲率の周期的な変化によって証明される。(位置対時間1010のプロットで示されるように、光ファイバスタイレットの遠位端部分がSVC内の位置に保持されている場合の約860秒から1175秒の間の、図10および図15の曲率対時間1012a、1012b、1012cの三つのプロットを参照されたい。)プロットされた曲率の周期的な変化は、患者の心臓の拍動に伴ってFBGセンサの選択により検出されたSVC内の血流の周期的な変化によるものである。
【0045】
コンソール140及び240の各コンソールは、医療機器110の先端が患者のSVC内に進入した瞬間に、光ファイバスタイレットのプロットされた曲率の特徴的な変化、即ちプロット可能データによって光ファイバスタイレットの歪みの特徴的な変化を自動的に判定するように構成された1つまたは複数のアルゴリズム246のSVC判定アルゴリズムを更に含むことができる。この場合も、プロットされた曲率の特徴的な変化は、プロットされた曲率の瞬間的な増加と、それに続くプロットされた曲率の瞬間的な増加の約2倍の大きさを有するプロットされた曲率の瞬間的な減少である。また、SVC判定アルゴリズムは、FBGセンサの選択によってセンシングされた光ファイバスタイレットのプロットされた曲率の周期的な変化を自動的に判定することによって、医療機器110の先端がSVC内にあることを確認するように構成され得る。(位置対時間1010のプロットで示されるように、光ファイバスタイレットの遠位端部分がSVC内の位置に保持されている場合の約860秒から1175秒の間の、図10および図15の曲率対時間1012a、1012b、1012cの三つのプロットを参照されたい。)プロットされた曲率の周期的な変化は、患者の心臓の拍動に伴ってFBGセンサの選択により検出されたSVC内の血流の周期的な変化によるものである。
【0046】
光インテロゲータ130または230は、入力光信号を医療機器110の光ファイバスタイレットに送信し、光ファイバスタイレットから反射された光信号を受信するように構成されている。光ファイバ接続モジュール120が形状センシングシステム100または200に存在する場合、光インテロゲータ130または230は、光ファイバ接続モジュール120を介して入力光信号を医療機器110の光ファイバスタイレットに送信し、光ファイバスタイレットから反射された光信号を光ファイバ接続モジュール120を介して受信するように構成されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、光インテロゲータ130または230は、P型-I型-N型の「PIN」フォトダイオード、アバランシェフォトダイオードなどのような光検出器であってもよい。そのような実施形態に関して、光インテロゲータ130又は230は、(i)戻り光信号、即ちスタイレット、カテーテル、ガイドワイヤなどの内部に配置されたコアファイバの各々の中に形成された光ファイバベースの反射型グレーティング(センサ)から受け取った反射光信号を受信し、(ii)反射光信号を反射データ、すなわち歪による波長シフトを含む反射光信号を表す電気信号形式のデータへ変換するように構成されてもよい。異なるスペクトル幅に関連する反射光信号は、スタイレット、カテーテル、ガイドワイヤなどのマルチコア光ファイバの中心コアファイバ(基準)に配置されたセンサから提供される反射光信号と、スタイレット、カテーテル、ガイドワイヤなどの外側コアファイバに配置されたセンサから提供される反射光信号とを含む。
【0048】
光ファイバ接続モジュール120は、ハウジング324、ハウジング324から延びるケーブル326、および少なくともケーブル326内の光ファイバ528を含む。(光ファイバ528については、図5を参照されたい。)光ファイバ接続モジュール120は、医療機器110の光ファイバスタイレットと光ファイバ接続モジュール120の光ファイバ528との間に第1の光接続を確立するように構成される。また、光ファイバ接続モジュール120は、光ファイバ接続モジュール120の光ファイバ528と光インテロゲータ130または230との間に第2の光接続を確立するように、ケーブル326の終端にプラグ330を備えて構成されている。光ファイバ接続モジュール120の光ファイバ528は、光インテロゲータ130又は230からの入力光信号を医療機器110の光ファイバスタイレットに伝達し、光ファイバスタイレットからの反射光信号を光インテロゲータ130又は230に伝達するように構成される。
【0049】
光ファイバ接続モジュール120は、ハウジング324内に配置された、少なくともジャイロスコープ、加速度計、および磁力計から選択される1つまたは複数のセンサ222をさらに含むことができる。1つまたは複数のセンサ222は、医療機器110の光ファイバスタイレットで形状センシングするための1つまたは複数のアルゴリズム246の基準面決定アルゴリズムで基準面を決定するための少なくともケーブル326内の1つまたは複数のデータ線によってコンソール140または240にセンサデータを提供するように構成される。
【0050】
光ファイバ接続モジュール120の特定の特徴は、光ファイバ接続モジュール620および820などの光ファイバ接続モジュール120の特定の実施形態に関して、以下により詳細に説明される。つまり、光ファイバ接続モジュール120の1つまたは複数の実施形態に関して以下に規定するいくつかの特徴は、光ファイバ接続モジュール120の複数の実施形態間で共有される。したがって、「光ファイバ接続モジュール120」は、説明の便宜のために必要とされる場合に、光ファイバ接続モジュール120の複数の実施形態を総称的に指すために本明細書で使用される。これは、光ファイバ接続モジュール620及び820などの光ファイバ接続モジュール120の特定の実施形態に関して、特定の特徴が説明された場合であってもである。
【0051】
医療機器
図3は、いくつかの実施形態による医療機器110としてのPICC310を示している。図4Aは、いくつかの実施形態による、統合型光ファイバスタイレット424を含む、PICC310のカテーテルチューブ312の横断面を示している。図4Bは、いくつかの実施形態による、統合型光ファイバスタイレット424を含む、PICC310のカテーテルチューブ312の長手方向の断面を示している。
【0052】
図示されるように、PICC310は、カテーテルチューブ312、分岐ハブ314、2つの延長レッグ316、および前述の順序で動作可能に接続された2つのルアーコネクタ318を含む。カテーテルチューブ312は、押し出されたときに、2つのカテーテルチューブ内腔413と、2つのカテーテルチューブ内腔413の間など、カテーテルチューブ312の長手方向のビード425内に配置された光ファイバスタイレット424とを含む。いくつかの実施形態では、光ファイバスタイレット424は単一のコアファイバを含む。他の実施形態では、光ファイバスタイレット424は、マルチコア光ファイバスタイレットである。任意選択で、カテーテルチューブ312の同じまたは異なる長手方向のビードにおいて、PICC310は、心電図(「ECG」)スタイレットをさらに含んでもよい。分岐ハブ314は、2つのカテーテルチューブ内腔413に対応して流体接続された2つのハブ内腔を有する。2つの延長レッグ316の各延長レッグは、2つのハブ内腔のうち1つのハブ内腔に流体接続された延長レッグ内腔を有する。PICC310は、分岐ハブ314から延びるスタイレット延長チューブ320をさらに含む。スタイレット延長チューブ320は、光ファイバスタイレット424を含むカテーテルチューブ312の削られた部分、または別のチューブに配置されたカテーテルチューブ312の削られた部分であり得、そのいずれもが、光ファイバ接続モジュール120の光ファイバ528とPICC310の光ファイバスタイレット424との間の光接続を確立するためのプラグ322で終端することが可能である。
【0053】
医療機器424は、形状センシングシステム100又は200で形状をセンシングするために構成された光ファイバスタイレット424の少なくとも遠位端部分に沿って配置された多数のFBGセンサ426a、426b、426c、…、426nを有する。FBGセンサ426a、426b、426c、…、426nは、光ファイバスタイレット424の光ファイバの屈折率の周期的な変動を含むため、光インテロゲータ130又は230によって光ファイバスタイレット424に送られる入力光信号を反射するように構成された特定波長の反射器を形成している。光ファイバスタイレット424がマルチコア光ファイバスタイレットである実施形態では、各コアファイバは、多数のFBGセンサ426a、426b、426c、…、426nを含む。図4Bは、特に、光ファイバスタイレット424の遠位端部分における最後の3つのFBGセンサ426a、426b、および426cを示し、このFBGセンサ426a、426b、および426cは、いくつかの実施形態において、上記のように光ファイバスタイレット424のプロット曲率の特徴的な変化を特定するために特に有効である。これは、最後の3つのFBGセンサ426a、426b、および426cが、この場合には、PICC310の先端が患者のSVC内に進入するときに、光ファイバスタイレット424の曲率の物理的変化を直接経験するためである。しかしながら、他の実施形態では、最も遠位の3つのFBGセンサ426a、426b、及び426cに加えて、又は代替として、FBGセンサから受信した反射光は、形状センシングシステム100又は200の形状センシング機能において使用されてもよい。
【0054】
PICC310は、形状センシングシステム100または200の医療機器110の特定の実施形態として提供されるが、CVCなどのカテーテルを含む多数の医療機器のうちの任意の医療機器は、任意選択で光ファイバ接続モジュール120の光ファイバ528を介して、医療機器の光ファイバスタイレットと光インテロゲータ130または230との間の光接続を確立するためのプラグで終端する少なくとも光ファイバスタイレットおよびスタイレット延長チューブを含み得ることを理解されたい。
【0055】
光ファイバ接続モジュール
図6は、いくつかの実施形態による、第1の光ファイバ接続モジュール620を備えた第2の形状センシングシステム200を示している。図7は、いくつかの実施形態による、外科用ドレープ603の開窓601内に第1の光ファイバ接続モジュール620を備えた第2の形状センシングシステム200を示している。図8は、いくつかの実施形態による、第2の光ファイバ接続モジュール820を備えた第2の形状センシングシステム200を示している。図9は、いくつかの実施形態による、外科用ドレープ603の下に第2の光ファイバ接続モジュール820を備えた第2の形状センシングシステム200を示している。図5は、第1の光ファイバ接続モジュール620または第2の光ファイバ接続モジュール820などのいくつかの実施形態による光ファイバ接続モジュール120の詳細な断面を示している。
【0056】
図示のように、光ファイバ接続モジュール620又は820は、ハウジング324と、ハウジング324内に配置されたレセプタクル532と、ハウジング324から延びるケーブル326と、少なくともケーブル326の内部に位置する光ファイバ528とを含む。
【0057】
レセプタクル532は、プラグがレセプタクル532に挿入されたときに、光ファイバ接続モジュール620又は820と医療機器110の光ファイバスタイレット(例えば、PICC310の光ファイバスタイレット424)との間の光接続を確立するために、医療機器110のプラグ(例えば、PICC310のプラグ322)の光端子の挿入を受容するように構成された受光器を含む。
【0058】
ケーブル326は、光ファイバ接続モジュール620または820とコンソール240の光インテロゲータ230との間の光接続を確立するためのプラグ330を含む。
光ファイバ528は、レセプタクル532からケーブル326を通ってプラグ330まで延びる。光ファイバ528は、光インテロゲータ230からの入力光信号を医療機器110(例えば、PICC310の光ファイバスタイレット424)の光ファイバスタイレットに伝達し、光ファイバスタイレットからの反射光信号を光インテロゲータ230に伝達するように構成される。
【0059】
上述したように、光ファイバ接続モジュール620または820は、ハウジング324内に配置されたジャイロスコープ、加速度計、および磁力計から選択される1つまたは複数のセンサ222をさらに含むことができる。1つまたは複数のセンサ222は、医療機器110の光ファイバスタイレット(例えば、PICC310の光ファイバスタイレット424)を用いて形状センシングするための基準面を決定するためのセンサデータを提供するように構成される。
【0060】
図示されていないが、光ファイバ接続モジュール620又は820は、1つまたは複数のセンサ222からケーブル326を通ってプラグ330又は別のプラグまで延びる電力線及びデータ線を更に含むことができる。電力線及びデータ線は、1つまたは複数のセンサ122が光ファイバ接続モジュール620又は820に存在する場合、1つまたは複数のセンサ122へ電力を伝達し、1つまたは複数のセンサ122からのデータをコンソール240にそれぞれ伝達するように構成される。
【0061】
光ファイバ接続モジュール620は、医療機器110(例えば、PICC310などのカテーテル)の経皮挿入部位に隣接する外科用ドレープ603の開窓601内に位置するように構成される。光ファイバ接続モジュール620は、外科用ドレープ603の開窓601内に収まるように構成されているため、光ファイバ接続モジュール620は、消毒又は滅菌に適している。例えば、光ファイバ接続モジュール620のハウジング324は、非多孔性であるか、または酸化剤に対して化学的に耐性を有し得る。光ファイバ接続モジュール620は、ベクトン・ディッキンソンアンドカンパニー(Becton、Dickinson and Company)(ニュージャージー州、フランクリンレイクス所在)の製品ChloraPrep(登録商標)による手動消毒のために構成することができ、または光ファイバ接続モジュール620は、ナノソニックス社(Nanosonics Inc)(インディアナ州、インディアナポリス所在)のTrophon(登録商標)による気化Hによる自動高レベル消毒または滅菌のために構成することも可能である。
【0062】
光ファイバ接続モジュール620とは対照的に、光ファイバ接続モジュール820は、患者Pの胸部の手術用ドレープ603の下に載置するように構成されているため、光ファイバ接続モジュール820は、光ファイバ接続モジュール620と同じレベルの消毒又は滅菌を必要とすることはない。
【0063】
図示されていないが、光ファイバ接続モジュール820のハウジング324は、ネックストラップを光ファイバ接続モジュール820に取り付けるために構成された、ハウジング324から延びるループ、ハウジング324に統合されたテザーポイント、ハウジング324に統合されたボールロックピン受け等を含む。ループ、テザーポイント、ボールロックピン受け等により、患者の胸部に載置した状態で光ファイバ接続モジュール820を患者Pの首に固定することが可能である。追加的または代替的に、ハウジング324は、患者の胸部に接着されるように構成された患者対向面(例えば、光ファイバ接続モジュール820の背面)を含む。患者対向面は、光ファイバ接続モジュール820が患者の首にも固定されているか否かにかかわらず、患者の胸に載置した状態で光ファイバ接続モジュール820を患者の胸に固定することを可能にする。
【0064】
ここでも、レセプタクル532は、医療機器110のプラグ(例えば、PICC310のプラグ322)の光端子の挿入を受容するように構成され、プラグがレセプタクル532に挿入されると光接続を形成するように構成された受光器を含むが、光ファイバ接続モジュール820では、光ファイバ接続モジュール820と医療機器110との間の外科用ドレープ603を用いて光接続が形成される。医療機器110のレセプタクル532及びプラグは、少なくとも、PICC310等の医療機器110を含む非滅菌野(例えば、外科用ドレープ603の上)から、外科用ドレープ603を破ることによって、光ファイバ接続モジュール820を含む非滅菌野(例えば、外科用ドレープ603の下)へ光接続できるようにするものである。
【0065】
方法
医療機器110の先端が患者のSVC内に位置するかどうかを判定するための多数の方法のうちの各方法は、医療機器110の先端を患者の血管系を通してSVCに向かって前進させることを含む。上記のように、医療機器110(例えば、PICC310)は、統合光ファイバスタイレット(例えば、光ファイバスタイレット424)を含み、該統合光ファイバスタイレットは、医療機器110を含む形状センシングシステム100又は200で形状センシングするために光ファイバスタイレットの少なくとも遠位端部分に沿って多数のFBGセンサ(例えば、FBGセンサ426a、426b、426c、…、426n)を有する。医療機器110がPICC310である場合、患者の血管系を通してPICC310の先端を前進させることは、右内頸静脈、右腕頭静脈、及びSVC内を通してPICC310の先端を前進させることを含む。医療機器がCVCである場合、患者の血管系を通してCVCの先端を前進させることは、右脚静脈、右腋窩静脈、右鎖骨下静脈、右腕頭静脈、及びSVC内を通してCVCの先端を前進させることを含む。
【0066】
方法は、コンソール140又は240をオンにすることによって形状センシングシステム100又は200の特定の機能を有効にすること、コンソール140又は240上で1つ又は複数のプログラムを実行すること、曲率対時間のプロット1012a、1012b、1012c、…、1012nのための光ファイバスタイレットの遠位端部分におけるFBGセンサの選択を行うこと(例えば、FBGセンサ426a、426b、426c、…、426nの選択)、光学接続または電気接続を行うことなど、形状センシングシステム100または200の種々の機能に対して必要なことを行うことを含む。形状センシングシステム100又は200の特定の機能を可能にすることは、患者の血管系を通して医療機器110の先端を前進させながら、形状センシングシステム100又は200の光インテロゲータ130又は230によって入力光信号を光ファイバスタイレットに送信することを可能にすることを含むことができる。形状センシングシステム100又は200の特定の機能を可能にすることは、医療機器110の先端を患者の血管系を通して前進させながら、FBGセンサ反射光信号を光インタロゲータ130又は230によって光ファイバスタイレットから受信することを可能にすることを含むことができる。形状センシングシステム100又は200の特定の機能を可能にすることは、光ファイバスタイレットから受信したFBGセンサ反射光信号を多数の異なるプロット(例えば、曲率対弧長1004のプロット、ねじれ対弧長1006のプロット、角度対弧長1008のプロット、位置対時間1010のプロット、曲率対時間1012a、1012b、1012c、…、1012n等のプロットのうちの1又は2以上)を、表示画面150又は250に表示するためにアルゴリズム的に変換することを可能にすることを含むことができる。形状センシングシステム100又は200の特定の機能を可能にすることは、光ファイバスタイレットから受信したFBGセンサ反射光信号を、表示画面150又は250に表示するために医療機器110のための3次元グリッド1002上の表示可能形状にアルゴリズム的に変換することを可能にすることを含むことができる。
【0067】
方法は、医療機器110の先端がSVC内に進入した瞬間に、光ファイバスタイレットの遠位端部分に位置するFBGセンサの選択によって感知された光ファイバスタイレットのプロットされた曲率の特徴的な変化を表示画面150又は250上で手動で特定することによって医療機器110の先端がSVC内に位置していることを判定することを含ことができる。表示画面150又は250上で特徴的な変化を特定することは、医療機器110の先端がSVC内に進入した瞬間に、光ファイバスタイレットの遠位端部分の最後の3つのFBGセンサ(例えば、FBGセンサ426a、426b、426c)の各FBGセンサによって感知され、プロットされた曲率が瞬間的に増加し、続いて瞬間的に減少することを特定することを含むことができる。加えて又は代替的に、方法は、医療機器110の先端がSVC内に前進した瞬間に光ファイバスタイレットの遠位端部分におけるFBGセンサの選択によって感知された光ファイバスタイレットのプロットされた曲率における特徴的変化、又はそのプロット可能データをSVC判定アルゴリズムで自動的に判定することを含んでもよい。
【0068】
方法は、医療機器110の先端がSVC内に位置していると判定した後、医療機器110の先端を患者の血管系を通して進めることをやめることを含むことができる。方法は、FBGセンサの選択によってセンシングされた光ファイバスタイレットのプロットされた曲率の周期的な変化によって、医療機器110の先端が前記SVC内にあることを確認することを含むことができる。プロットされた曲率の周期的な変化は、患者の心臓が鼓動するときのSVC内の血流の周期的な変化に起因する。
【0069】
いくつかの代替または追加の実施形態において、形状センシングシステム100または200のロジックは、ヒューリスティックまたは実行時分析に基づいて、スタイレットの現在の物理的状態およびその結果としてのカテーテルのレンダリングを生成するように構成されてもよい。例えば、ロジックは、機械学習技術に従って、コアファイバが類似または同一の波長シフトを経験したスタイレットの異なる領域に関連するデータ(例えば、画像など)が予め記憶されたデータストア(ライブラリ)にアクセスするように構成されてもよい。また、予め記憶されたデータから、スタイレットおよび/またはカテーテルの現在の物理的な状態を表示することができる。あるいは、別の例として、ロジックは、少なくとも(i)コアファイバが経験する波長シフトの結果、および(ii)スタイレット(またはカテーテル)の同じ断面領域で異なる外側コアファイバに沿って配置されたセンサによって発生するこれらの波長シフトと同じ断面領域の中央コアファイバのセンサによって発生する波長シフトとの関係に基づいて、実行中にスタイレット(およびカテーテル)のそれぞれの領域の物理状態の変化を判定するように構成されてもよい。コアファイバの各々に沿ったセンサで測定した波長シフトを利用して、スタイレットやカテーテルの物理的状態を適切に変化させるために、他のプロセスおよび手順が実行されることも想定されます。
【0070】
特に、形状センシングシステム100または200の方法は、医療機器110の先端が患者のSVC内にあるかどうかを判定するためにX線を必要としない。したがって、形状センシングシステム100または200が使用される場合、患者は電離X線放射に曝される必要はない。さらに、形状センシングシステム100または200の方法は、医療機器110の先端が患者のSVC内に位置するかどうかを判定するための追加の磁気センサを資本設備として必要としない。また、形状センシングシステム100または200は、医療機器の先端を患者のSVCに配置するための既存のシステムのように、信頼できるECG P波を使用する必要がないため、形状センシングシステム100または200は、心房細動または他の心臓不整脈を有する患者にも使用することができる。
【0071】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。当業者は、より広い態様において、付加的な適応をおこなったり、および/または改変を行ったりすることを理解することができ、これらの適応および/または改変も包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から外れて実施されてもよい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
【国際調査報告】