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特表2022-545664異なるエッジ形状をもつカッティングブレードを含む粥腫切除デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(54)【発明の名称】異なるエッジ形状をもつカッティングブレードを含む粥腫切除デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
A61B17/3207
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510964
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2020073555
(87)【国際公開番号】W WO2021032887
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】62/890,150
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515122402
【氏名又は名称】フィリップス イメージ ガイディッド セラピー コーポレイション
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】エスクデロ パウル キュー
(72)【発明者】
【氏名】ロー ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ポンボ オーガスト クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】デ シコ ディノ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM36
(57)【要約】
粥腫切除デバイスは、外側シースと駆動シャフトとを含む。駆動シャフトは、外側シース内に位置し、及び外側シースに対して回転可能である。粥腫切除デバイスは、外側シースに結合された、及び外側シースから遠位方向に延びたハウジングを含むカッター組立体を更に含む。カッター組立体は、ハウジングにより回転可能に保持された近位カッティング要素を更に含む。近位カッティング要素は、駆動シャフトに結合されており、及び駆動シャフトから遠位方向に延びており、近位カッティング要素は、少なくとも1つの近位カッティングブレードを含む。カッター組立体は、ハウジングに対して近位カッティング要素とともに回転可能な遠位カッティング要素を更に含む。遠位カッティング要素は、第1のカッティングエッジをもつ第1の遠位カッティングブレードと、第2のカッティングエッジをもつ第2の遠位カッティングブレードとを含む。第1のカッティングエッジと第2のカッティングエッジとは異なる形状をもつ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーにより操作されるハンドルと、
前記ハンドルに結合されたカテーテルであって、前記カテーテルが、外側シースと駆動シャフトとを備え、前記駆動シャフトが、前記外側シース内に位置して前記外側シースに対して回転可能である、カテーテルと、
カッター組立体とを備える粥腫切除デバイスであって、
前記カッター組立体が、
前記外側シースに結合され前記外側シースから遠位方向に延びたハウジングと、
前記ハウジングにより回転可能に保持された近位カッティング要素であって、前記近位カッティング要素が、前記駆動シャフトに結合され前記駆動シャフトから遠位方向に延びており、少なくとも1つの近位カッティングブレードを備える、近位カッティング要素と、
前記ハウジングに対して前記近位カッティング要素とともに回転可能な遠位カッティング要素とを備え、
前記遠位カッティング要素が、
第1のカッティングエッジをもつ第1の遠位カッティングブレードであって、第1の形状をもつ、第1の遠位カッティングブレードと、
第2のカッティングエッジをもつ第2の遠位カッティングブレードであって、前記第1の形状と異なる第2の形状を持つ、第2の遠位カッティングブレードとを備える、粥腫切除デバイス。
【請求項2】
前記第1のカッティングエッジが、第1の近位部と第1の遠位部とを備え、前記第2のカッティングエッジが、第2の近位部と第2の遠位部とを備え、前記第2の近位部が、前記第1の近位部に対して半径方向内側に位置し、前記第2の遠位部が、前記第1の遠位部に対して半径方向外側に位置する、
請求項1に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項3】
前記第1の形状が、滑らかな曲線である、
請求項1に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項4】
前記第1の形状と前記第2の形状とが、滑らかな曲線である、
請求項1に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項5】
前記遠位カッティング要素が、第3のカッティングエッジをもつ第3の遠位カッティングブレードを更に備える、
請求項1に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項6】
前記第3のカッティングエッジが、前記第1の形状及び前記第2の形状と異なる第3の形状を持つ、
請求項5に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項7】
前記第1のカッティングエッジが、第1の近位部と第1の遠位部とを備え、前記第2のカッティングエッジが、第2の近位部と第2の遠位部とを備え、前記第3のカッティングエッジが、第3の近位部と第3の遠位部とを備え、前記第1の近位部が、前記第2の近位部と前記第3の近位部とに対して半径方向外側に位置し、前記第2の遠位部が、前記第1の遠位部と前記第3の遠位部とに対して半径方向外側に位置する、
請求項6に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項8】
前記第1のカッティングエッジが、前記第1の近位部と前記第1の遠位部との間に位置する第1の中間部を更に備え、前記第2のカッティングエッジが、前記第2の近位部と前記第2の遠位部との間に位置する第2の中間部を備え、前記第3のカッティングエッジが、前記第3の近位部と前記第3の遠位部との間に位置する第3の中間部を備え、前記第3の中間部が、前記第1の中間部と前記第2の中間部とに対して半径方向外側に位置する、
請求項7に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項9】
前記第1の形状と前記第2の形状と前記第3の形状とが、滑らかな曲線である、
請求項8に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項10】
前記遠位カッティング要素が、第1の数の遠位カッティングブレードを含み、前記近位カッティング要素が、第2の数の近位カッティングブレードを含み、前記第2の数が、前記第1の数の2倍である、
請求項1に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項11】
ユーザーにより操作されるハンドルと、
前記ハンドルに結合されたカテーテルであって、前記カテーテルが、外側シースと駆動シャフトとを備え、前記駆動シャフトが、前記外側シース内に位置して前記外側シースに対して回転可能な、カテーテルと、
カッター組立体とを備える、粥腫切除デバイスであって、
前記カッター組立体が、
前記外側シースに結合されて前記外側シースから遠位方向に延びたハウジングと、
前記ハウジングに対して回転可能な第1のカッティングブレードであって、第1の形状を持つ第1のカッティングエッジを持つ、第1のカッティングブレードと、
前記ハウジングに対して前記第1のカッティングブレードとともに回転可能な第2のカッティングブレードであって、前記第1の形状と異なる第2の形状を持つ第2のカッティングエッジを持つ、第2のカッティングブレードと、
前記ハウジングに対して前記第1のカッティングブレード及び前記第2のカッティングブレードとともに回転可能な第3のカッティングブレードであって、前記第1の形状及び前記第2の形状と異なる第3の形状を持つ第3のカッティングエッジを持つ、第3のカッティングブレードとを備える、粥腫切除デバイス。
【請求項12】
前記第1のカッティングエッジが、第1の近位部と第1の遠位部とを備え、前記第2のカッティングエッジが、第2の近位部と第2の遠位部とを備え、前記第2の近位部が、前記第1の近位部に対して半径方向内側に位置し、前記第2の遠位部が、前記第1の遠位部に対して半径方向外側に位置する、
請求項11に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項13】
前記第1のカッティングエッジが、第1の近位部と第1の遠位部とを備え、前記第2のカッティングエッジが、第2の近位部と第2の遠位部とを備え、前記第3のカッティングエッジが、第3の近位部と第3の遠位部とを備え、前記第1の近位部が、前記第2の近位部と前記第3の近位部とに対して半径方向外側に位置し、前記第2の遠位部が、前記第1の遠位部と前記第3の遠位部とに対して半径方向外側に位置する、
請求項11に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項14】
前記第1のカッティングエッジが、前記第1の近位部と前記第1の遠位部との間に位置する第1の中間部を更に備え、前記第2のカッティングエッジが、前記第2の近位部と前記第2の遠位部との間に位置する第2の中間部を備え、前記第3のカッティングエッジが、前記第3の近位部と前記第3の遠位部との間に位置する第3の中間部を備え、前記第3の中間部が、前記第1の中間部と前記第2の中間部とに対して半径方向外側に位置する、
請求項13に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項15】
前記第1の形状が、滑らかな曲線である、
請求項11に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項16】
前記第1の形状と前記第2の形状とが、滑らかな曲線である、
請求項11に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項17】
前記第1の形状と前記第2の形状と前記第3の形状とが、滑らかな曲線である、
請求項11に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項18】
ユーザーにより操作されるハンドルと、
前記ハンドルに結合されたカテーテルであって、前記カテーテルが、外側シースと駆動シャフトとを備え、前記駆動シャフトが、前記外側シース内に位置して前記外側シースに対して回転可能な、カテーテルと、
カッター組立体とを備える粥腫切除デバイスであって、
前記カッター組立体が、
前記外側シースに結合されて前記外側シースから遠位方向に延びたハウジングと、
前記ハウジングにより回転可能に保持された近位カッティング要素であって、前記近位カッティング要素が、前記駆動シャフトに結合されて前記駆動シャフトから遠位方向に延びており、少なくとも1つの近位カッティングブレードを備える、近位カッティング要素と、
前記ハウジングに対して前記近位カッティング要素とともに回転可能な遠位カッティング要素とを備え、
前記遠位カッティング要素が、
閉塞物質に第1のプロファイル形状に切り込む第1の遠位カッティングブレードと、
閉塞物質に第2のプロファイル形状に切り込む第2の遠位カッティングブレードであって、前記第2のプロファイル形状が、前記第1のプロファイル形状と異なる、第2の遠位カッティングブレードとを備える、粥腫切除デバイス。
【請求項19】
前記遠位カッティング要素が、閉塞物質に第3のプロファイル形状に切り込む第3の遠位カッティングブレードを更に備える、
請求項18に記載の粥腫切除デバイス。
【請求項20】
前記第3のプロファイル形状が、前記第1のプロファイル形状及び前記第2のプロファイル形状と異なる、
請求項19に記載の粥腫切除デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本明細書において説明されているデバイス及び方法は概して、例えば血管又は他の体の部位からの閉塞物質の除去といった、閉塞した体管腔の処置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 末梢及び介入型心臓学は、冠動脈疾患及び末梢脈管疾患を含む心臓血管疾患の様々な形態の処置に関連した医療専門分野である。冠動脈疾患及び末梢脈管疾患は、(動脈硬化とも呼ばれる)粥状硬化による動脈の狭窄に起因して発生し得る。冠動脈疾患は概して、心筋及び周辺組織に血液を搬送する心臓動脈の動脈に影響を与える。末梢脈管疾患は、例えば足に血液を搬送する、心臓及び脳の外部における脈管系の様々な疾患を表す。
【0003】
[0003] 粥状硬化は通常、中程度の、及び大きい動脈に影響を与え、脂肪、コレステロール、及び他の物質が動脈壁において成長し、及び、プラーク/病変と呼ばれる肉質の、又は硬質/石灰化構造物を形成するときに発生する。プラークが動脈壁内に形成されるにつれて、動脈が狭くなり、柔軟が低くなり、このことは、血液が動脈を通って流れることをより困難にする。末梢動脈内では、プラークは典型的には限局されておらず、10mm程度以上(幾つかの例において、最大400mm以上)にわたって動脈の軸に沿って長さ的に延び得る。
【0004】
[0004] プラークの一部が崩壊し得、罹患した動脈を通って、より小さい血管まで動き得、このようなプラークは、幾つかの例においてより小さい血管を閉塞させ、組織の損傷又は組織の壊死(塞栓形成)をもたらす。幾つかの例において、アテローム性動脈硬化プラークは、動脈瘤をもたらし得る罹患した動脈の壁の弱化と関連する。粥状硬化の合併症を軽減すること、又は防止するために役立てることを目的として動脈からプラークを除去するために、低侵襲性手術が実施される。
【0005】
[0005] 多くの介入型の外科的手法が、粥状硬化を処置するために使用される。バルーン脈管形成では、例えば、医師は、狭窄動脈内に潰れた脈管内バルーンカテーテルを前進させ、バルーンを膨張させて、プラークを浸軟させ、及び/又は、脈管壁に対してプラークを移動させる。脈管形成の成功は動脈を再び開くことに役立ち、改善された血流を可能にする。多くの場合、バルーン脈管形成は、動脈の再狭窄を最小化することに役立つように、動脈内におけるステント又は足場構造物の配置と組み合わされて実施される。しかし、バルーン脈管形成は、ステントの配置が動脈組織を切り得、更には瘢痕組織形成を誘発し得るとともに、動脈を伸ばし得、及び瘢痕組織形成を誘発し得る。瘢痕組織形成は動脈の再狭窄をもたらす。幾つかの例において、バルーン脈管形成は更に脈管壁を裂き得る。
【0006】
[0006] 粥腫切除は、粥状硬化に対する別の処置手法であり、動脈の壁からプラークを機械的に除去する(すなわち摘除する)ために脈管内デバイスの使用を伴う。粥腫切除デバイスは、動脈の壁からプラークの除去を可能にし、伸ばすこと、カッティング、又は動脈壁を切ること、及び、再狭窄をもたらす組織の損傷をもたらすことの危険性を減らす。幾つかの例において、粥腫切除は、瘢痕組織を除去することにより再狭窄を処置するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007] 残念ながら、幾つかの粥腫切除デバイスは、構造上の、及びパフォーマンスの制限に悩まされている。例えば、幾つかの粥腫切除デバイスのカッティング要素又は組立体は、物質(例えば、カルシウム、プラーク、コラーゲン、線維素など)の不均一混合体を含む閉塞物を効果的に処置することができない。したがって、改善された粥腫切除デバイス及び方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008] 本開示は粥腫切除デバイスを提示する。粥腫切除デバイスは、ユーザーにより操作されるように構成されたハンドルを含む。カテーテルはハンドルに結合され、カテーテルは、外側シースと駆動シャフトとを含む。駆動シャフトは外側シース内に位置し、及び外側シースに対して回転可能である。粥腫切除デバイスは、外側シースに結合された、及び外側シースから遠位方向に延びたハウジングを含むカッター組立体を更に含む。カッター組立体は、ハウジングにより回転可能に保持された近位カッティング要素を更に含む。近位カッティング要素は、駆動シャフトに結合され、及び駆動シャフトから遠位方向に延びており、近位カッティング要素は、少なくとも1つの近位カッティングブレードを含む。カッター組立体は、ハウジングに対して近位カッティング要素とともに回転可能な遠位カッティング要素を更に含む。遠位カッティング要素は、第1のカッティングエッジをもつ第1の遠位カッティングブレードを含み、第1のカッティングエッジは、第1の形状をもつ。遠位カッティング要素は、第2のカッティングエッジをもつ第2の遠位カッティングブレードを更に含み、第2のカッティングエッジは、第1の形状と異なる第2の形状をもつ。
【0009】
[0009] 第1のカッティングエッジが、第1の近位部と第1の遠位部とを含み、第2のカッティングエッジが、第2の近位部と第2の遠位部とを含み、第2の近位部が、第1の近位部に対して半径方向内側に位置し、第2の遠位部が、第1の遠位部に対して半径方向外側に位置する、前述の段落に記載の粥腫切除デバイスである。
【0010】
[0010] 第1の形状が、滑らかな曲線である、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0011】
[0011] 第1の形状と第2の形状とが、滑らかな曲線である、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0012】
[0012] 遠位カッティング要素が、第3のカッティングエッジをもつ第3の遠位カッティングブレードを更に含む、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0013】
[0013] 第3のカッティングエッジが、第3の形状をもち、第3の形状が、第1の形状及び第2の形状と異なる、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0014】
[0014] 第1のカッティングエッジが、第1の近位部と第1の遠位部とを含み、第2のカッティングエッジが、第2の近位部と第2の遠位部とを含み、第3のカッティングエッジが、第3の近位部と第3の遠位部とを含み、第1の近位部が、第2の近位部と第3の近位部とに対して半径方向外側に位置し、第2の遠位部が、第1の遠位部と第3の遠位部とに対して半径方向外側に位置する、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0015】
[0015] 第1のカッティングエッジが、第1の近位部と第1の遠位部との間に位置する第1の中間部を更に含み、第2のカッティングエッジが、第2の近位部と第2の遠位部との間に位置する第2の中間部を含み、第3のカッティングエッジが、第3の近位部と第3の遠位部との間に位置する第3の中間部を含み、第3の中間部が、第1の中間部と第2の中間部とに対して半径方向外側に位置する、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0016】
[0016] 第1の形状と第2の形状と第3の形状とが滑らかな曲線である、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0017】
[0017] 遠位カッティング要素が、第1の数の遠位カッティングブレードを含み、近位カッティング要素が、第2の数の近位カッティングブレードを含み、第2の数が、第1の数の2倍である、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0018】
[0018] 本開示は、粥腫切除デバイスを更に提示する。粥腫切除デバイスは、ユーザーにより操作されるように構成されたハンドルを含む。カテーテルは、ハンドルに結合され、カテーテルは、外側シースと駆動シャフトとを含む。駆動シャフトは外側シース内に位置し、及び外側シースに対して回転可能である。粥腫切除デバイスは、外側シースに結合されて外側シースから遠位方向に延びたハウジングを備えるカッター組立体を更に含む。カッター組立体は、ハウジングに対して回転可能な第1のカッティングブレードを更に含む。第1のカッティングブレードは、第1のカッティングエッジをもち、第1のカッティングエッジは、第1の形状をもつ。カッター組立体は、ハウジングに対して第1のカッティングブレードとともに回転可能な第2のカッティングブレードを更に含む。第2のカッティングブレードは、第2のカッティングエッジをもち、第2のカッティングエッジは、第1の形状と異なる第2の形状をもつ。カッター組立体は、ハウジングに対して第1のカッティングブレード及び第2のカッティングブレードとともに回転可能な第3のカッティングブレードを更に含む。第3のカッティングブレードは、第3のカッティングエッジをもち、第3のカッティングエッジは第1の形状及び第2の形状と異なる第3の形状をもつ。
【0019】
[0019] 第1のカッティングエッジが、第1の近位部と第1の遠位部とを含み、第2のカッティングエッジが、第2の近位部と第2の遠位部とを含み、第2の近位部が、第1の近位部に対して半径方向内側に位置し、第2の遠位部が、第1の遠位部に対して半径方向外側に位置する、前述の段落に記載の粥腫切除デバイスである。
【0020】
[0020] 第1のカッティングエッジが、第1の近位部と第1の遠位部とを含み、第2のカッティングエッジが、第2の近位部と第2の遠位部とを含み、第3のカッティングエッジが、第3の近位部と第3の遠位部とを含み、第1の近位部が、第2の近位部と第3の近位部とに対して半径方向外側に位置し、第2の遠位部が、第1の遠位部と第3の遠位部とに対して半径方向外側に位置する、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0021】
[0021] 第1のカッティングエッジが、第1の近位部と第1の遠位部との間に位置する第1の中間部を更に含み、第2のカッティングエッジが、第2の近位部と第2の遠位部との間に位置する第2の中間部を含み、第3のカッティングエッジが、第3の近位部と第3の遠位部との間に位置する第3の中間部を含み、第3の中間部が、第1の中間部と第2の中間部とに対して半径方向外側に位置する、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0022】
[0022] 第1の形状が、滑らかな曲線である、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0023】
[0023] 第1の形状と第2の形状とが、滑らかな曲線である、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0024】
[0024] 第1の形状と第2の形状と第3の形状とが、滑らかな曲線である、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0025】
[0025] 本開示は、粥腫切除デバイスを更に提示する。粥腫切除デバイスは、ユーザーにより操作されるように構成されたハンドルを含む。カテーテルは、ハンドルに結合され、カテーテルは、外側シースと駆動シャフトとを含む。駆動シャフトは、外側シース内に位置し、及び外側シースに対して回転可能である。粥腫切除デバイスは、外側シースに結合された、及び外側シースから遠位方向に延びたハウジングを含むカッター組立体を更に含む。カッター組立体は、ハウジングにより回転可能に保持された近位カッティング要素を更に含む。近位カッティング要素は、駆動シャフトに結合され、及び駆動シャフトから遠位方向に延びており、近位カッティング要素は、少なくとも1つの近位カッティングブレードを含む。カッター組立体は、ハウジングに対して近位カッティング要素とともに回転可能な遠位カッティング要素を更に含む。遠位カッティング要素は、閉塞物質に第1のプロファイル形状に切り込むように構成された第1の遠位カッティングブレードを含む。遠位カッティング要素は、閉塞物質に第2のプロファイル形状に切り込むように構成された第2の遠位カッティングブレードを更に含み、第2のプロファイル形状は、第1のプロファイル形状と異なる。
【0026】
[0026] 遠位カッティング要素が、閉塞物質に第3のプロファイル形状に切り込むように構成された第3の遠位カッティングブレードを更に含む、前述の段落に記載の粥腫切除デバイスである。
【0027】
[0027] 第3のプロファイル形状が、第1のプロファイル形状及び第2のプロファイル形状と異なる、前述の段落のいずれか1つに記載の粥腫切除デバイスである。
【0028】
[0028] 「少なくとも1つの」、「1つ又は複数の」、及び「及び/又は」という表現は、論理において連言的なものと選言的なものとの両方である非排他的な表現である。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1つ又は複数」、「A、B、又はCのうちの1つ又は複数」及び「A、B、及び/又はC」という表現の各々が、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとの組み合わせ、AとCとの組み合わせ、BとCとの組み合わせ、又は、AとBとCとの組み合わせを意味する。上記の表現におけるA、B、及びCの1つ1つが、例えばX、Y、及びZといった要素、又は、例えばX~X、Y~Y、及びZ~Zといった要素の集合を表す場合、その表現はX、Y、及びZから選択された1つの要素、同じ集合(例えばX及びX)から選択された要素の組み合わせ、及び、2つ以上の集合(例えばY及びZ)から選択された要素の組み合わせを表すことを意図したものである。
【0029】
[0029] 1つの実体という表現は、その実体のうちの1つ又は複数を表す。したがって、「1つの」、「1つ又は複数の」、及び「少なくとも1つの」という表現は、本明細書では相互に置換して使用されてもよい。「備える」、「含む」、及び「有する(もつ)」という表現は、置換して使用されてもよいことにも留意されたい。
【0030】
[0030] 本明細書において使用される「手段」という表現は、米国特許法第112条(f)に従ってそのできる限り最も広い解釈を与えられるものとする。したがって、「手段」という表現を含む請求項は、本明細書に記載されている全ての構造物、物質、又は動作、及びそれらと均等な全てのものを包含することとする。更に、構造物、物質、又は動作、及びその均等なものが、概要、図面の簡単な説明、詳細な説明、要約書、及び請求項自体において説明されている全てのものを含むこととする。
【0031】
[0031] 本開示を通して与えられる最大の数値限定の各々は、より低い数値限定が本明細書に明示的に記述されている場合のように、代替例としてこのようなより低い数値限定の各々を含むと考えられることが理解されなければならない。本開示を通して与えられる最小の数値限定の各々は、より高い数値限定が本明細書に明示的に記述されている場合のように、代替例としてこのようなより高い数値限定の各々を含むと考えられる。本開示を通して与えられる各数値範囲は、より狭い数値範囲が本明細書に明示的に全て記述されている場合のように、このようなより広い数値範囲内に入るこのようなより狭い数値範囲の各々を含むと考えられる。
【0032】
[0032] 前述の内容は、本開示の幾つかの態様の理解を提供するための本開示の簡略化した概要である。この概要は、本開示及びその様々な態様、実施形態、及び構成の広範囲にわたる概観でも網羅的な概観でもない。意図本開示の重要な、又は決定的な要素を特定することを意図したものではなく、本開示の範囲を表すことを意図したものでもなく、以下に提示されるより詳細な説明への導入として簡略化された形態により本開示の選択された概念を提示することを意図したものである。理解されるように、上述の、又は後で詳細に説明される特徴のうちの1つ又は複数を単独で、又は組み合わせて使用した、本開示の他の態様、実施形態、及び構成が可能である。
【0033】
[0033] 添付図面が本開示の幾つかの例を示すために本明細書に組み込まれ、及び本明細書の一部を形成する。これらの図面は説明とともに、本開示の原理を説明する。図面は、本開示がどのように製造され、及び使用されるかの好ましい、及び代替的な例を単に示すだけであり、示される、及び説明される例のみに本開示を限定するとは解釈されない。更なる特徴及び利点が、以下で参照される図面に示されているように、本開示の様々な態様、実施形態、及び構成の以下のより詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】[0034] 本開示の実施形態による粥腫切除システムの側面図である。
図2A】[0035] 図1の粥腫切除システムの遠位部の詳細な側面図である。
図2B】[0036] 図1の粥腫切除システムの遠位部の詳細な斜視図である。
図2C】[0037] 図2Aの粥腫切除システムの遠位部の詳細な断面図である。
図3A】[0038] 図1の粥腫切除システムの遠位カッティング要素の斜視図である。
図3B】[0039] 図3Aの遠位カッティング要素の側面図である。
図3C】[0040] 図3Bの3C-3C線に沿った遠位カッティング要素の断面図である。
図4】[0041] 図3Aの遠位カッティング要素のカッティングエッジにより形成されたカッティングプロファイル形状の概略図である。
図5A】[0042] 図1の粥腫切除システムの近位カッティング要素の斜視図である。
図5B】[0043] 図5Aの近位カッティング要素の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[0044] 図は一定の縮尺とは限らないことが理解されなければならない。特定の例において、本開示の理解に必要とは限らない詳細事項、又は知覚することが困難な他の詳細を表す詳細事項は省略されている場合がある。本開示が本明細書に示されている特定の実施形態に限定されるとは限らないことが当然に理解されるはずである。
【0036】
[0045] 本開示の任意の実施形態が詳細に説明される前に、本開示がその用途において、以下の説明に記載されている、又は以下の図面に示されている詳細な構造及びコンポーネントの配置に限定されないことが理解される。本開示は、他の実施形態であることが可能であり、様々な手法により実施されること、又は実行されることが可能である。更に、本明細書において使用される術語及び用語が説明を目的としていること、及び限定と考えられてはならないことが理解される。本明細書における「備える」、「含む」、又は「有する(もつ)」、及びそれらのバリエーションの使用は、その後に列記された項目、及びそれらと同等なもの、並びに更なる項目を包含することを意味する。
【0037】
[0046] 本開示は概して機械的粥腫切除のためのデバイス、システム、及び方法に関する。図1を参照すると、本明細書において説明されている粥腫切除システムの例示的な実施形態が示されている。粥腫切除システム100は、脈管内粥腫切除デバイス102とガイドワイヤ104とを含み、ガイドワイヤ104を介して粥腫切除デバイス102が配備される。幾つかの実施形態において、ガイドワイヤ104はシリコンコーティングされており、又はコーティングされておらず(むき出しであり)、又は別様にはPTFEコーティングを含まない。本開示の幾つかの実施形態による粥腫切除システムは、PTFEコーティングを含むガイドワイヤ104を備え、又は本開示の幾つかの実施形態による粥腫切除システムは、ガイドワイヤ104を含まない。
【0038】
[0047] 続けて図1を参照すると、粥腫切除デバイス102は、概してハンドル106とカテーテル108とを含む。ハンドル106は、粥腫切除工程中にユーザー(例えば医療専門家)により把持されるように、及び操作されるように構成されている。カテーテル108は、ハンドル106に結合されており、及びハンドル106に対して遠位方向に延びている。カテーテル108は、脈管構造からの閉塞物質(例えばプラーク)の除去を円滑化するために、粥腫切除工程中に対象者(例えば患者)の脈管構造内に位置するように構成されている。幾つかの実施形態において、及び図示されているように、カテーテル108の遠位部110は、湾曲形状又は構成をもつ。幾つかの実施形態において、カテーテル108の遠位部110は通常、湾曲した構成をもち(「通常」は、カテーテル108が例えば血管壁との接触に起因した外部の接触力を全く受けていないことと理解される)、他の構成に偏向させられる。他の実施形態において、カテーテル108の遠位部110は通常、直線形又は構成をもち、他の構成に偏向させられる。幾つかの実施形態において、カテーテル108は、粥腫切除工程中にカテーテル108の遠位部110を適切に配置すること、及び/又は、「スイープ」することを円滑化するために、ハンドル106に対してカテーテル回転軸112の周りで選択的に回転可能である。幾つかの実施形態において、及び図示されているように、ハンドル106は、ハンドル106に対してカテーテル108を選択的に回転させるための回転可能ノブ又はダイヤル114を保持している。カテーテル108は、外側シース116を含み、外側シース116は、外側シース116から遠位方向に延びたカッター組立体118に結合している。カッター組立体118は、以下で更に詳細に説明される。
【0039】
[0048] 図2A図2Cは、他のコンポーネントの中でも、外側シース116とカッター組立体118とを含むカテーテル108の遠位部110を示す。カッター組立体118は、外側シース116に結合した、及び外側シース116から遠位方向に延びたフェルール200を含む。カッター組立体118は、フェルール200に結合した、及びフェルール200から遠位方向に延びたハウジング202を更に含む。ハウジング202は、カッティング要素を回転可能に保持する。特に図2B図2Cを参照すると、ハウジング202は、第1の、すなわち遠位カッティング要素204と、第2の、すなわち近位カッティング要素206とを回転可能に保持している。ハウジング202に対する回転方向210における回転軸208の周りでの第1のカッティング要素204と第2のカッティング要素206との回転は、カッティング要素204、206に閉塞物質を切らせ、及びハウジング202内に閉塞物質を搬送させる(「摘除」とも呼ばれる工程)。
【0040】
[0049] 更に図2B図2Cを参照すると、第1のカッティング要素204は概して、第2のカッティング要素206とハウジング202とから遠位方向に延びている。第1のカッティング要素204は、第2のカッティング要素206に結合するための中央開口212(図2C参照)を含む。第2のカッティング要素206は概してハウジング202内に位置しており、幾つかの実施形態において、及び図示されているように、ハウジング202内に完全に位置する。第2のカッティング要素206は更に概して、第1のカッティング要素204より近位に位置するが、第2のカッティング要素206は、中央開口212に受容されたシャフト又はステム214を含む。ステム214は、様々な手法により第1のカッティング要素204に結合する。例えば、ステム214は、溶接により第1のカッティング要素204に結合する。幾つかの実施形態において、及び図示されているように、ステム214は、第1のカッティング要素204に対して遠位方向に延びている。ステム214は、ガイドワイヤ(別途示されている)を受容するための内側管腔216を含む。
【0041】
[0050] 特に図2Cを参照すると、粥腫切除デバイス102は、第1のカッティング要素204と第2のカッティング要素206とを原動機(例えば、図示されていないハンドル106により保持されたモーター)に結合する回転可能駆動シャフト218を更に含む。すなわち、原動機が駆動シャフト218を回転させ、駆動シャフト218が更に第1のカッティング要素204と第2のカッティング要素206とを回転させて、閉塞物質を切ること、及びハウジング202内に閉塞物質を搬送することを円滑化する。幾つかの実施形態において、カッター組立体118は、真空吸引を使用せずに血液から切られた閉塞物質を捕捉する。他の実施形態において、真空吸引が、切られた閉塞物質の捕捉を補助する。
【0042】
[0051] 続けて図2Cを参照すると、幾つかの実施形態において、粥腫切除デバイス102は、駆動シャフト218に結合された、及び駆動シャフト218とともに回転する内部コンベヤー220を更に含む。閉塞物質は、第1のカッティング要素204と第2のカッティング要素206とによりカッターハウジング202内に搬送され、コンベヤー220は、対象者の体の外部に排出するためにカテーテル108を通して切られた閉塞物質を近位に移動させる。幾つかの実施形態において、この搬送は、真空吸引補助を使用せずに行われる。他の実施形態において、真空吸引が、切られた閉塞物質の搬送を補助する。
【0043】
[0052] ここで図3A図3Cを参照すると、第1のカッティング要素204は、ハウジング202に対して遠位方向に延びた1つ又は複数の第1の、すなわち遠位カッティングフルート又はブレードを含む。幾つかの実施形態において、及び図示されているように、第1のカッティング要素204は、3つの遠位カッティングブレード300A、300B、及び300Cを含む。幾つかの実施形態において、第1のカッティング要素204は、例えば2つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、又は更に多くのカッティングブレードといった異なる数のカッティングブレードを含む。幾つかの実施形態において、及び図示されているように、遠位カッティングブレード300A、300B、及び300Cのうちの1つ又は複数は、第1のカッティング要素204及び第2のカッティング要素206の回転軸208に対して螺旋状に延びている。
【0044】
[0053] 特に図3Bを参照すると、幾つかの実施形態において、遠位カッティングブレード300A、300B、及び300Cは、正のリードイン角302をもつ。すなわち、遠位カッティングブレード300A、300B、及び300Cは、(1)カッティングブレード300A、300B、及び300Cの最遠位点306において回転軸208に対して垂直に延びた仮想線304と、(2)カッティングブレード300A、300B、及び300Cの最遠位点306におけるカッティングブレード300A、300B、及び300Cのカッティングエッジ310A、310B、及び310Cに対する接線308との間において測定されたリードイン角302をもつ。幾つかの実施形態において、リードイン角302は、15度から55度までの範囲内である。幾つかの実施形態において、リードイン角302は、25度から45度までの範囲内である。幾つかの実施形態において、リードイン角302は、30度から40度までの範囲内である。幾つかの実施形態において、リードイン角302は、実質的に35度(すなわち、35度±2.5度)である。
【0045】
[0054] 特に図3Cを参照すると、幾つかの実施形態において、遠位カッティングブレード300A、300B、及び300Cは、正のすくい角312をもつ。すなわち、遠位カッティングブレード300A、300B、及び300Cは、第1のカッティング要素204の回転軸208からカッティングブレード300A、300B、及び300Cの半径方向に最も離れたエッジ316に延びた仮想半径314と、半径方向に最も離れたエッジ316におけるカッティングブレード300A、300B、及び300Cの内面320からの接線318との間において測定されたすくい角312をもつ。すくい角312は、回転軸208の周りにおいて第1のカッティング要素204及び第2のカッティング要素206の回転方向210と同じ方向である。幾つかの実施形態において、すくい角312は、30度から80度までの範囲内である。幾つかの実施形態において、すくい角312は、35度から75度までの範囲内である。幾つかの実施形態において、すくい角312は、40度から70度までの範囲内である。幾つかの実施形態において、すくい角312は、45度から65度までの範囲内である。幾つかの実施形態において、すくい角312は、50度から60度までの範囲内である。幾つかの実施形態において、すくい角312は、実質的に55度(すなわち、55度±2.5度)である。
【0046】
[0055] 幾つかの実施形態において、遠位カッティングブレード300A、300B、及び300Cのうちの1つ又は複数が、異なる形状をもつカッティングエッジ310A、310B、及び310Cを含む。このような異なるカッティングエッジ310A、310B、及び310Cは、閉塞物質の異なる部分を切るように構成されており、このことが、同じ形状をもつカッティングエッジ310A、310B、及び310Cをもつカッティング要素に比べて閉塞物質の比較的小さい部分を切ることを円滑化する。幾つかの例において、閉塞物質の比較的小さい部分を切ることは比較的高効率であり、例えばカルシウムを含む閉塞物といった硬質の閉塞物を処置することを円滑化する。更に、このような異なるカッティングエッジ310A、310B、及び310Cは、物質(例えば、カルシウム、プラーク、コラーゲン、線維素など)の不均一混合体を含む閉塞を効果的に処置することを円滑化する。
【0047】
[0056] 特に図4を参照すると、カッティングブレード300A、300B、及び300Cの異なるカッティングエッジ310A、310B、及び310Cにより形成されたカッティングプロファイル形状400A、400B、及び400Cがそれぞれ示されている。言い換えると、図4は経路を示し、カッティング要素204が回転軸208の周りで回転するときに、各カッティングエッジ310A、310B、及び310Cがこの経路に沿って仮想横断面と交差する。更に言い換えると、図4は、断面図からカッティングエッジ310A、310B、及び310Cにより切られた閉塞物質のエッジを概略的に示す。
【0048】
[0057] 以下の段落は、カッティングエッジ310A、310B、及び310C及びカッティングプロファイル形状400A、400B、及び400Cの特定の形状を説明する。簡潔にするためにカッティングエッジ310A、310B、及び310Cのみが参照されるが、説明がカッティングエッジ310A、310B、及び310Cとカッティングプロファイル形状400A、400B、及び400Cとの両方に適用されることが理解される。幾つかの実施形態において、及び図示されているように、カッティングエッジ310A、310B、及び310Cの各々が、回転軸208に沿った同じ位置に他のカッティングエッジ310A、310B、及び310Cの部分より更に半径方向外側に位置する部分を含む。より詳細には、第1のカッティングエッジ310Aは、第1の近位部402Aと第1の中間部404Aと第1の遠位部406Aとを含み、第2のカッティングエッジ310Bは、第2の近位部402Bと第2の中間部404Bと第2の遠位部406Bとを含み、第3のカッティングエッジ310Cは、第3の近位部402Cと第3の中間部404Cと第3の遠位部406Cとを含む。第1の近位部402Aは、第2の近位部402Bと第3の近位部402Cとに対して半径方向外側に位置し、第2の遠位部406Bは、第1の遠位部406Aと第3の遠位部406Cとに対して半径方向外側に位置し、第3の中間部404Cは、第1の中間部404Aと第2の中間部404Bとに対して半径方向外側に位置する。
【0049】
[0058] 幾つかの実施形態において、及び図示されているように、カッティングエッジ310A、310B、及び310Cは、滑らかな曲線である形状をもつ。すなわち、カッティングプロファイル形状400A、400B、及び400Cは、尖った点を含まない。
【0050】
[0059] 幾つかの実施形態において、カッティングエッジ310A、310B、及び310Cは、上述のものと異なる形状をもっていてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、カッティングエッジ310A、310B、及び310Cのうちの1つ又は複数は、同じ軸方向位置に他のカッティングエッジ310A、310B、及び310Cの部分より更に半径方向外側に位置する複数の部分を含む。別の例として、幾つかの実施形態において、カッティングエッジ310A、310B、及び310Cのうちの1つ又は複数が、滑らかな曲線ではない形状をもつ。すなわち、カッティングプロファイル形状400A、400B、及び400Cのうちの1つ又は複数が、1つ又は複数の尖った点を含む。更に異なる別の例として、幾つかの実施形態において、カッティングエッジ310A、310B、及び310Cのうちの1つ又は複数が、高密度カルシウムを粉砕することを円滑化する鋸歯型の特徴及び/又は半球パターンを含む。
【0051】
[0060] ここで図5A図5Bを参照すると、第2のカッティング要素206は、1つ又は複数の第2の、すなわち近位カッティングフルート又はブレード500を含む。幾つかの実施形態において、第2のカッティング要素206は、第1のカッティング要素204の場合の2倍の数のブレード500を含む。幾つかの実施形態において、及び図示されているように、第2のカッティング要素206は、6つのカッティングブレード500を含む。幾つかの実施形態において、及び図示されているように、近位カッティングブレード500は、第1のカッティング要素204及び第2のカッティング要素206の回転軸208に対して螺旋状に延びている。幾つかの実施形態において、及び特に図5Bを参照すると、近位カッティングブレード500は、負のすくい角502をもつ。言い換えると、近位カッティングブレード500は、第2のカッティング要素の回転軸208からカッティングブレード500の半径方向に最も離れたエッジ506まで延びた仮想半径504と、半径方向に最も離れたエッジ506におけるカッティングブレード500の内面510からの接線508との間において測定されたすくい角502をもつ。すくい角502は、回転軸208の周りにおいて第1のカッティング要素204及び第2のカッティング要素206の回転方向210と逆方向にある。更に言い換えると、近位カッティングブレード500の内面510は、カッティングエッジの外向きに、又は前方に傾斜する。幾つかの実施形態において、すくい角502は、5度から45度まで(-5度から-45度までとも表現される)の範囲内である。幾つかの実施形態において、すくい角502は、6度から35度まで(-6度から-35度までとも表現される)の範囲内である。幾つかの実施形態において、すくい角502は、8度から24度まで(-8度から-24度までとも表現される)の範囲内である。幾つかの実施形態において、すくい角502は、実質的に16度である(すなわち、16度±2.5度である。実質的に-16度(すなわち、-16度±2.5度)とも表現される)。
【0052】
[0061] 幾つかの実施形態において、第1のカッティング要素204の正のすくい角312、及び、第2のカッティング要素206の負のすくい角502は、改善されたカッティング効率を促進し、及び/又は、ハウジング202内における閉塞物質の詰まりを抑制する。より詳細には、幾つかの実施形態において、第1のカッティング要素204の正のすくい角312は、閉塞物質を切ること、及び第2のカッティング要素206に向けて搬送することを円滑化し、第2のカッティング要素206の負のすくい角502は、閉塞物をハウジング202に向けて半径方向外向きに、及び近位方向に大きく移動させることを円滑化し、以てハウジング202内における閉塞物質の詰まりを抑制する。
【0053】
[0062] 幾つかの実施形態において、及び図示されているように、カッティングステム214は、閉塞物質を、粥腫切除システム100により捕捉される、及び除去される小粒子に分解することを円滑化する1つ又は複数のカッティング特徴512を更に含む。幾つかの実施形態において、及び図示されているように、カッティングステム214は、9つのカッティング特徴512を含む。他の実施形態において、カッティングステム214は、異なる数のカッティング特徴512(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10個、又は更に多くのカッティング特徴512)を含む。幾つかの実施形態において、カッティング特徴512は負の特徴(例えば、図示されているようにカッティングステム214の表面に形成された経路部、又は、カッティングステム214の表面に形成された窪み)である。幾つかの実施形態において、カッティング特徴512は、正の特徴(例えば、カッティングステム214の表面から延びた隆起部又は突出部)である。幾つかの実施形態において、及び図示されているように、カッティング特徴512は、カッティングステム214の前端部514から実質的に近位方向に延びている。幾つかの実施形態において、カッティング特徴512は前端部514から離れて位置し、及び/又は、ステム214に沿って近位に延びていない。
【0054】
[0063] ここまでの説明は例示及び説明を目的として提示されている。前述の事項は、本明細書において開示されている1つ又は複数の形態に本開示を限定することを意図したものではない。例えば前述の概要において、本開示の様々な特徴は、本開示を簡略化することを目的として1つ又は複数の態様、実施形態、及び/又は、構成において相互にグループ化される。本開示の態様、実施形態、及び/又は構成の特徴は、上述のもの以外の代替的な態様、実施形態、及び/又は構成において組み合わされてもよい。この開示方法は、請求項が各請求項に明示的に記載されている特徴より多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとは解釈されない。むしろ、後述の請求項が示すように、発明の態様は1つの前述の開示されている態様、実施形態、及び/又は構成のすべての特徴より少ないものの中に存在する。したがって、後述の特許請求の範囲は、ここでこの発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項自体が本開示の別々の好ましい実施形態として成立する。
【0055】
[0064] 更に、本説明は1つ又は複数の態様、実施形態、及び/又は構成及び特定の変形例及び変更例の説明を含んでいるが、他の変形例、組み合わせ、及び変更例が、例えば本開示を理解した後に当業者の技量及び知識に含まれるのと同様に、本開示の範囲に入る。代替的な、交換可能な、及び/又は均等な構造物、機能、範囲、又はステップが本明細書において開示されているか否かによらず、及び、いかなる特許可能な主題も公に捧げることを意図せず、請求項に記載されたものに対するこのような代替的な、交換可能な、及び/又は均等な構造物、機能、範囲、又はステップを有する、代替的な態様、実施形態、及び/又は構成を許容される範囲で含む権利を取得することが意図されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】