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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(54)【発明の名称】磁性粒子、その作製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/33 20060101AFI20221021BHJP
   C08K 3/10 20180101ALI20221021BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20221021BHJP
   H01F 1/37 20060101ALI20221021BHJP
   H01F 1/34 20060101ALI20221021BHJP
   H01F 1/147 20060101ALI20221021BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
H01F1/33
C08K3/10
C08L101/00
H01F1/37
H01F1/34 140
H01F1/147 108
C01G53/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512823
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 US2020047580
(87)【国際公開番号】W WO2021041286
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/893,872
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521138305
【氏名又は名称】ロジャーズ・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤジエ・チェン
【テーマコード(参考)】
4G048
4J002
5E041
【Fターム(参考)】
4G048AA03
4G048AA05
4G048AB01
4G048AB04
4G048AC03
4G048AD03
4G048AD06
4G048AE05
4G048AE08
4J002AA001
4J002BB031
4J002BD141
4J002BD151
4J002BG041
4J002BG051
4J002CH091
4J002CN031
4J002DB006
4J002DE076
4J002DE096
4J002DE106
4J002DE116
4J002DE146
4J002GQ00
5E041AA07
5E041AA19
5E041AB01
5E041AB12
5E041AB19
5E041BB03
5E041BC01
5E041BD12
5E041CA01
5E041CA08
5E041CA13
5E041HB09
5E041HB11
5E041HB14
5E041NN02
5E041NN04
5E041NN06
5E041NN18
(57)【要約】
一態様において、組成物は、複数の磁性粒子を含む。磁性粒子は、式Ni1-xFe2+y(式中、Mは、Zn、Mg、Co、Cu、Al、Mn、又はCrの少なくとも1つであり、xは、0~0.95であり、y=-0.5~0.5である)を有するニッケルフェライトコアと、コアを少なくとも部分的に包囲している鉄ニッケルシェルであって、鉄、ニッケル、及び任意選択でMを含む鉄ニッケルシェルとをそれぞれ独立に含む。別の態様において、磁性粒子を形成する方法は、複数のニッケルフェライト粒子を水素雰囲気中で熱処理して、ニッケルフェライトコアの上に鉄ニッケルシェルを有する複数の磁性粒子を形成する工程を含む。更に別の態様において、複合体は、磁性粒子及びポリマーを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁性粒子を含む組成物であって、磁性粒子が、
式Ni1-xFe2+y(式中、Mは、Zn、Mg、Co、Cu、Al、Mn、又はCrの少なくとも1つであり、xは、0~0.95であり、y=-0.5~0.5である)を有するニッケルフェライトコアと、
コアを少なくとも部分的に包囲している鉄ニッケルシェルであって、鉄、ニッケル、及び任意選択でMを含む鉄ニッケルシェルと
をそれぞれ独立に含む、組成物。
【請求項2】
Mが、Zn又はCoの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ニッケルフェライトコアが、5~100ナノメートル又は10~40ナノメートルの平均粒度を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
xが、0.05~0.95である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
Mが、Co又はZnの少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
シェルが、酸素を含まない、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
複数の磁性粒子が、不規則な形状の粒子、球状粒子、楕円状粒子、桿状粒子、フレーク、又は繊維の少なくとも1つを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
複数の磁性粒子が、0.5~800マイクロメートル又は0.5~100マイクロメートルのメジアン粒径D50を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
シェルが、0.05~20マイクロメートル、又は0.1~10マイクロメートルの平均厚さを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
複数の磁性粒子の少なくとも一部分がプレートレットであり、プレートレットが、0.5~100マイクロメートル若しくは5~100マイクロメートルの最大寸法又は0.05~1マイクロメートル若しくは0.05~0.5マイクロメートルのプレートレット厚さの少なくとも1つを有し、ただし、最大寸法は、プレートレット厚さより大きい、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物を形成する方法であって、複数のニッケルフェライト粒子を水素雰囲気中で熱処理して、ニッケルフェライトコアの上に鉄ニッケルシェルを有する複数の磁性粒子を形成する工程を含む、方法。
【請求項12】
熱処理が、ニッケルフェライト粒子を300~1,000℃又は325~500℃の温度に加熱する工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
水素雰囲気が、窒素又はアルゴンの少なくとも1つを更に含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
不活性雰囲気が、1~10体積%の水素及び90~99体積%のアルゴン又は窒素を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
複数のニッケルフェライト粒子を高エネルギーボールミキシングによって形成する工程を更に含み、高エネルギーボールミキシングが、ニッケルフェライト前駆体化合物を複数の硬化クロム鋼ボールを含む硬化クロム鋼バイアル中で混合する工程を含み、複数の硬化クロム鋼ボールのニッケルフェライト前駆体化合物に対する質量比が、高エネルギーボールミリング中において20:1~40:1である、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から10のいずれか一項に記載の複数の磁性粒子と、ポリマーとを含む複合体。
【請求項17】
ポリマーが、フルオロポリマー(例えば、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、又は低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリ(アリーレンエーテルケトン)(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、ポリアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、又はポリ(エーテルスルホン)の少なくとも1つを含む、請求項16に記載の複合体。
【請求項18】
複合体の総体積に対して10~95体積%又は30~70体積%の磁性粒子と、複合体の総体積に対して10~90体積%又は30~70体積%のポリマーとを含む、請求項16又は17に記載の複合体。
【請求項19】
1GHz、又は0.5~3ギガヘルツ、又は1~5GHzにおいて1.4以上、又は1.4~2.5の透過率、
1~3ギガヘルツにおいて0.05以下、又は0.5~2.5ギガヘルツ若しくは0.5~2ギガヘルツにおいて0.001~0.02若しくは0.01~0.01の磁気損失正接、
1GHz、又は1~3ギガヘルツ、又は1~5GHzにおいて60以下、又は10~60の誘電率、或いは
1GHz、又は1~3ギガヘルツ、又は1~5GHzにおいて0.2以下、又は0.05以下、又は0.005以下、又は0.001~0.2の誘電損失正接
の少なくとも1つを有する、請求項16から18のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項20】
請求項16から18のいずれか一項に記載の複合体を含む物品。
【請求項21】
アンテナ、変圧器、反電磁インターフェース材、若しくはインダクターであり、及び/又は、マイクロ波デバイスである、請求項20に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月30日出願の米国特許仮出願第62/893,872号の利益を主張する。当該関連出願は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
より新しい設計及び製造技法が、電子部品、例えば電子集積回路チップのインダクター、電子回路、電子パッケージ、モジュール、筺体、及びアンテナ等の部品の小型化をますます推進してきた。電子部品の小型化への一手法は、基材としての磁気誘電材料の使用であった。特に、フェライト、強誘電体、及びマルチフェロイクスが、向上したマイクロ波特性を有する機能材料として広く研究された。しかし、これらの材料は、所望の帯域幅を提供しないことが多く、ギガヘルツ範囲等の高周波において高磁気損失を示すことがあるという点で完全に満足がいくというわけではない。
【0003】
スピネルフェライトは、比較的低い誘電損失のために高周波用途に対して潜在的に魅力的である。しかし、これらの材料は、高抵抗率を有することがあり、渦電流が妨げられ、最終的に追加のエネルギー損失が生じる。一般に、スピネルフェライトは、正スピネル及び逆スピネルと分類することができる。ZnFe等の正スピネル構造では、Zn2+イオンは四面体(A)部位に存在し、Fe3+イオンは八面体(B)部位に存在する。NiFe等の逆スピネル構造では、Ni2+イオンはB部位に存在し、Fe3+イオンは、A部位とB部位に均一に分布されている。或いは、Ni-Znフェライトは、化学式(Zn1-xFe1-y)[NiFe1+y]Oの混合スピネル構造を有することがあり、A部位は、Zn2+及びFe3+イオンによって占有され、B部位は、Ni2+及びFe3+イオンによって占有されている。
【0004】
したがって、当技術分野においては、ギガヘルツ範囲で低磁気損失の磁性材料が依然として求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書には、磁性粒子、その作製方法、及びそれを含む複合体が開示されている。
【0006】
一態様において、組成物は、複数の磁性粒子を含む。磁性粒子は、式Ni1-xFe2+y(式中、Mは、Zn、Mg、Co、Cu、Al、Mn、又はCrの少なくとも1つであり、xは、0~0.95であり、y=-0.5~0.5である)を有するニッケルフェライトコアと、コアを少なくとも部分的に包囲している鉄ニッケルシェルであって、鉄、ニッケル、及び任意選択でMを含む鉄ニッケルシェルとをそれぞれ独立に含む。
【0007】
別の態様において、磁性粒子を形成する方法は、複数のニッケルフェライト粒子を水素雰囲気中で熱処理して、ニッケルフェライトコア上に鉄ニッケルシェルを有する複数の磁性粒子を形成する工程を含む。
【0008】
更に別の態様において、複合体は、磁性粒子及びポリマーを含むことができる。
【0009】
更に別の態様において、物品は、磁性粒子を含むことができる。
【0010】
上記及び他の特徴は、以下の図、詳細な説明、及び特許請求の範囲によって例示される。
【0011】
以下の図は、例示的態様であり、同様のエレメントは同様に番号付けされている。図は、本開示を例示するものであり、本開示に従って作製されるデバイスを本明細書に記載される材料、条件、又はプロセスパラメータに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】球状の磁性粒子の横断面の様相を示す図である。
図2】プレートレット状の磁性粒子の横断面の様相を示す図である。
図3】磁性粒子を含む複合体の様相を示す図である。
図4】実施例1の磁性粒子の走査型電子顕微鏡像を示す図である。
図5】実施例1の磁性粒子のX線回折分析を示すグラフ図である。
図6】実施例1の複素透過率スペクトルを示すグラフ図である。
図7】実施例2の複素透過率スペクトルを示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ニッケルフェライトコア及び鉄ニッケルシェルを含む磁性粒子が開発された。鉄ニッケルシェルは、ニッケルフェライトコアより高い飽和磁化及び透過率を有し、したがって鉄ニッケルシェルの存在は、磁性粒子の透過率改善にとって有益でありうる。例えば、鉄ニッケルシェルの厚さが表皮厚さ未満であるように制御された場合、鉄ニッケルシェルは高透過率及び低磁気損失を示すことがある。磁性粒子は、ポリマー複合体中で使用することができ、複合体が低磁気損失及び高透磁率を有することが可能になる。
【0014】
ニッケルフェライトコアは、式Ni1-xFe2+yを有することができ、式中、Mは、Zn、Mg、Co、Cu、Al、Mn、又はCrの少なくとも1つであり、xは、0~0.95、又は0.05~0.95であり、yは、-0.5~0.5である。Mは、Coを含むことができる。
【0015】
ニッケルフェライトコアは、構造がナノ結晶でありうる。このナノ結晶構造は、粒子における結晶粒界数を増加させることによって材料の電気抵抗を改善することができる。結晶粒界は、極めて乱されることがあり、担体(電子又は空孔)にとって「トラップ」として働くことができ、ギガヘルツ範囲における磁気損失の主因でありうる渦電流の形成を最終的に抑制する。ニッケルフェライトコアは、5~100ナノメートル、又は10~40ナノメートルの粒度を有するナノ結晶構造を有することがある。粒度は、透過型電子顕微鏡法又は電界放射型走査電子顕微鏡法を使用して測定することができる。
【0016】
磁性粒子のシェルは、コアを少なくとも部分的に包囲する。例えば、シェルは、コア材料の総表面積の5~100%、又は50~100%、又は60~95%を覆うことができる。鉄ニッケルシェルは、鉄とニッケルを両方含み、コアの元素Mを任意選択で含む。シェルは、式FeNi又はFeNi1-xを有することができ、式中、xは、0~0.95である。鉄ニッケルシェルは、酸素を含まなくてもよい。本明細書では、酸素を含まないとは、鉄ニッケルシェル中の総原子に対して5原子%以下、又は0~1原子%、又は0原子%の酸素が存在することを意味することができる。
【0017】
磁性粒子は、高周波、例えば0.1~6ギガヘルツ又は1~6ギガヘルツにおいて有益に使用できる。
【0018】
磁性粒子の形状は限定されず、不定形の粒子、球状粒子、フレーク、繊維、桿状粒子、又は針状粒子の少なくとも1つを含むことができる。磁性粒子は、中実又は中空粒子でありうる。磁性粒子の体積によるメジアン粒径D50は、0.5~800マイクロメートル又は0.5~100マイクロメートルとすることができる。粒径は、Horiba LA-910レーザー光散乱PSD分析装置を使用して又はASTM D4464-15に従って決定されるように決定することができる。磁性粒子は、0.5~100マイクロメートル若しくは5~100マイクロメートルの最大寸法(長さ)又は0.05~1マイクロメートル若しくは0.05~0.5マイクロメートルのプレートレット厚さの少なくとも1つを有する複数のプレートレット状の磁性粒子を含むことができる。ただし、最大寸法は、プレートレット厚さより大きいことを条件とする。磁性粒子は、最大寸法の最小寸法に対する(例えば、繊維長の繊維径に対する又はプレートレット長さのプレートレット厚さに対する)アスペクト比が1以上又は10以上とすることができる。
【0019】
図1は、コア12及びシェル14を有する(例えば、球体又は繊維の)磁性粒子の横断面の図である。磁性粒子のコア12は、直径D及びシェル厚さtを有する。図2は、コア12及びシェル14を有する磁性プレートレットの横断面の図である。磁性粒子は、最大寸法(長さ)L及びシェル厚さtを有する。磁性粒子は、(例えば、図1に例示するように)コア12とシェル14の間に離散境界を含むことがあり、又は拡散境界がコア12とシェル14の間に存在することがあり、その場合、酸化鉄の濃度は、粒子の中心からの距離が増加するにつれて、拡散境界上のある位置から、粒子の中心から表面までの距離が更に増加するにつれて濃度が任意選択で横ばい状態になるまでの距離にわたって低下する。
【0020】
シェルの厚さtは、所望の特性によって決定することができる。シェルの厚さが極めて薄い場合、シェルは所望の透磁率をもたらさない。シェルが極めて厚い場合、粒子の磁気損失は、著しく増加する。したがって、シェル厚さは、高い磁気損失値を生じることなく所望の透磁率をもたらすことができるように選択することができる。シェルの厚さtは、0.05~20マイクロメートル又は0.1~10マイクロメートルとすることができる。
【0021】
磁性粒子を形成する方法は、複数のニッケルフェライト粒子を水素雰囲気中で熱処理して、ニッケルフェライト粒子の上に鉄ニッケルシェルを形成する工程を含むことができる。水素雰囲気は水素を含み、窒素又はアルゴンの少なくとも1つを含むことができる。水素雰囲気は、1~10体積%の水素及び90~99体積%のアルゴン又は窒素を含むことができる。熱処理は、300~1,000℃又は325~500℃の温度で行うことができる。熱処理は、0.5~30時間又は1~20時間行うことができる。
【0022】
ニッケルフェライト粒子を形成する方法は限定されない。例として、ニッケルフェライト粒子は、高エネルギーボールミリングによって調製することができる。例えば、ニッケルフェライト粒子は、酸化鉄(例えば、α-Fe)、酸化ニッケル(例えば、NiO)、及び任意選択の追加のM酸化物(例えば、酸化亜鉛)を硬化クロム鋼バイアル中で、複数の硬化クロム鋼ボールを用いて高エネルギーボールミリングすることによって調製することができる。高エネルギーボールミルの例としては、SPEXミル、振動ミル、低温粉砕機、及び摩擦ミルが挙げられる。本明細書では、高エネルギーボールミルという用語は、複数の硬化クロム鋼ボールのニッケルフェライト前駆体化合物に対する質量比が、高エネルギーボールミリング中において20:1~40:1であることを指すことができる。バイアルの回転速度は、毎分400~600回転とすることができる。ミリング時間は、ニッケルフェライト相の形成速度に応じて2~100時間とすることができる。
【0023】
複合体は、磁性粒子及びポリマーを含むことができる。ポリマーは、熱可塑性又は熱硬化性ポリマーを含むことができる。本明細書では、用語「熱可塑性」は、可塑的又は変形可能であり、加熱されると溶融して液体になり、十分に冷却されると凍結して脆性のガラス状態になる材料を指す。使用することができる熱可塑性ポリマーの例としては、環式オレフィンポリマー(ポリノルボルネン及びノルボルネニル単位を含むコポリマー、例えばノルボルネン等の環式ポリマーとエチレン又はプロピレン等の非環式オレフィンとのコポリマーを含む)、フルオロポリマー(例えば、ポリビニルフルオリド(PVF)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(エチレン-テトラフルオロエチレン(PETFE)、又はパーフルオロアルコキシ(PFA))、ポリアセタール(例えば、ポリオキシエチレン及びポリオキシメチレン)、ポリ(C1~6アルキル)アクリレート、ポリアクリルアミド(非置換及びモノ-N-又はジ-N-(C1~8アルキル)アクリルアミドを含む)、ポリアクリロニトリル、ポリアミド(例えば、脂肪族ポリアミド、ポリフタルアミド、又はポリアラミド)、ポリアミドイミド、ポリ無水物、ポリアリーレンエーテル(例えば、ポリフェニレンエーテル)、ポリアリーレンエーテルケトン(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルケトンケトン(PEKK))、ポリアリーレンケトン、ポリアリーレンスルフィド(例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS))、ポリアリーレンスルホン(例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルホン(PPS)等)、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリカーボネート(ホモポリカーボネート、又はポリカーボネート-シロキサン、ポリカーボネート-エステル、若しくはポリカーボネート-エステル-シロキサン等のポリカーボネートコポリマーを含む)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、又はポリエステル-エーテル等のポリエステルコポリマー)、ポリエーテルイミド(例えば、ポリエーテルイミド-シロキサンコポリマー等のコポリマー)、ポリイミド(例えば、ポリイミド-シロキサンコポリマー等のコポリマー)、ポリ(C1~6アルキル)メタクリレート、ポリアルキルアクリルアミド(例えば、非置換又はモノ-N-若しくはジ-N-(C1~8アルキル)アクリルアミド)、ポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、若しくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン、ポリプロピレン、又はそれらのハロゲン化誘導体(ポリテトラフルオロエチレン等)、或いはそれらのコポリマー、例えばエチレン-α-オレフィンコポリマー)、ポリオキサジアゾール、ポリオキシメチレン、ポリフタリド、ポリシラザン、ポリシロキサン(シリコーン)、ポリスチレン(例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)又はメチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)等のコポリマー)、ポリスルフィド、ポリスルホンアミド、ポリスルホネート、ポリスルホン、ポリチオエステル、ポリトリアジン、ポリ尿素、ポリウレタン、ビニルポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルハライド(例えば、ポリビニルクロリド)、ポリビニルケトン、ポリビニルニトリル、又はポリビニルチオエーテル)、パラフィンワックス等が挙げられる。上記の熱可塑性ポリマーの少なくとも1つを含む組合せを使用することができる。
【0024】
熱硬化性ポリマーは、熱硬化性モノマー又はプレポリマー(樹脂)に由来し、熱又は放射線(例えば、紫外光、可視光、赤外光、又は電子ビーム(e-ビーム)放射線)への曝露によって誘導することができる重合又は硬化によって、不可逆的に硬化し、不溶になりうる。熱硬化性ポリマーとしては、アルキド、ビスマレイミドポリマー、ビスマレイミドトリアジンポリマー、シアン酸エステルポリマー、ベンゾシクロブテンポリマー、ベンゾオキサジンポリマー、ジアリルフタレートポリマー、エポキシ、ヒドロキシメチルフランポリマー、メラミン-ホルムアルデヒドポリマー、フェノリック(ノボラックやレゾール等のフェノール-ホルムアルデヒドポリマーを含む)、ベンゾオキサジン、ポリブタジエン(ホモポリマー及びそのコポリマー、例えばポリ(ブタジエン-イソプレン)を含む)等のポリジエン、ポリイソシアネート、ポリ尿素、ポリウレタン、トリアリルシアヌレートポリマー、トリアリルイソシアヌレートポリマー、ある種のシリコーン、又は重合性プレポリマー(例えば、不飽和ポリエステル、ポリイミド等のエチレン性不飽和を有するプレポリマー)等が挙げられる。プレポリマーは、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、(C1~6アルキル)アクリレート、(C1~6アルキル)メタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、アリルアセテート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、又はアクリルアミド等の反応性モノマーと重合、共重合、又は架橋することができる。
【0025】
ポリマーは、フルオロポリマー(例えば、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、又は低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリ(アリーレンエーテルケトン)(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、ポリアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、又はポリ(エーテルスルホン)の少なくとも1つを含むことができる。
【0026】
複合体を形成する方法は限定されず、圧縮成形、射出成形、反応射出成形、押出等の少なくとも1つを含むことができる。
【0027】
複合体は、複合体の総体積に対して10~95体積%、又は30~70体積%の磁性粒子を含むことができる。複合体は、複合体の総体積に対して10~90体積%又は30~70体積%のポリマーを含むことができる。
【0028】
複合体の様相の図は、図3に示されている。図3は、複合体10が、ポリマーマトリックス16とコア12及びシェル14を含む複数の磁性粒子とを含むことを示している。
【0029】
磁性粒子を含むポリマー複合体は、1GHz、又は0.5~3ギガヘルツ、又は1~5GHzにおいて1.4以上、又は1.4~2.5の透過率を有することができる。磁性粒子を含むポリマー複合体は、1GHz、又は1~3ギガヘルツ、又は1~5GHzにおいて1以上、又は1.5~3、又は3~5の透過率を有することができる。磁性粒子を含むポリマー複合体は、1~3ギガヘルツにおいて0.05以下、又は0.5~2.5ギガヘルツ若しくは0.5~2ギガヘルツにおいて0.001~0.02若しくは0.01~0.01の磁気損失正接を有することができる。そのような低磁気損失の磁性材料は、有利なことにアンテナ用途等の高周波用途で使用することができる。
【0030】
磁性粒子を含むポリマー複合体は、1GHz、又は1~3ギガヘルツ、又は1~5GHzにおいて60以下、又は30以下、又は10~60の誘電率を有することができる。磁性粒子を含むポリマー複合体は、1GHz、又は1~3ギガヘルツ、又は1~5GHzにおいて0.2以下、又は0.05以下、又は0.005以下、又は0.001~0.2、又は0.3~0.5の誘電損失正接を有することができる。
【0031】
磁性粒子の電磁特性は、同軸ラインを備えたVector Network Analyzer(VNA)を使用し、Nicholson-Ross-Weir(NRW)法を用いて決定することができる。誘電率及び透過率は、23℃の温度で決定することができる。
【0032】
物品は、磁性粒子を含むことができる。物品は、アンテナ又はインダクター等のマイクロ波デバイスとすることができる。物品は、変圧器、インダクター、又は反電磁インターフェース材とすることができる。物品は、パッチアンテナ、逆Fアンテナ、又は平面逆Fアンテナ等のアンテナとすることができる。物品は、例えばワイヤレス充電のための磁性バスバー;NFC遮蔽材料;又は電子バンドギャップメタ材料とすることができる。磁性粒子は、マイクロ波吸収又はマイクロ波遮蔽用途で使用することができる。
【0033】
組成物は、複数の磁性粒子を含むことができ、磁性粒子は、式Ni1-xFe2+y(式中、Mは、Zn、Mg、Co、Cu、Al、Mn、又はCrの少なくとも1つであり、xは、0~0.95であり、y=-0.5~0.5である)を有するニッケルフェライトコアと、コアを少なくとも部分的に包囲している鉄ニッケルシェルであって、鉄、ニッケル、及び任意選択でMを含む鉄ニッケルシェルとをそれぞれ独立に含む。Mは、Zn又はCoの少なくとも1つを含むことができる。ニッケルフェライトコアは、5~100ナノメートル又は10~40ナノメートルの平均粒度を有することができる。式中、xは、0.05~0.95とすることができる。Mは、Co又はZnの少なくとも1つを含むことができる。シェルは、酸素を含まなくてもよい。複数の磁性粒子は、不定形の粒子、球状粒子、楕円状粒子、桿状粒子、フレーク、又は繊維の少なくとも1つを含むことができる。複数の磁性粒子は、0.5~800マイクロメートル又は0.5~100マイクロメートルのメジアン粒径D50を有することができる。シェルは、0.05~20マイクロメートル又は0.1~10マイクロメートルの平均厚さを有することができる。複数の磁性粒子の少なくとも一部分は、プレートレットとすることができ、プレートレットは、0.5~100マイクロメートル若しくは5~100マイクロメートルの最大寸法又は0.05~1マイクロメートル若しくは0.05~0.5マイクロメートルのプレートレット厚さの少なくとも1つを有することができる。ただし、最大寸法は、プレートレット厚さより大きいことを条件とする。物品は、組成物を含むことができる。物品はアンテナ、変圧器、反電磁インターフェース材、若しくはインダクターとすることができ、及び/又は物品はマイクロ波デバイスとすることができる。
【0034】
組成物を形成する方法は、複数のニッケルフェライト粒子を水素雰囲気中で熱処理して、ニッケルフェライトコア上に鉄ニッケルシェルを有する複数の磁性粒子を形成する工程を含むことができ、磁性粒子は、式Ni1-xFe2+y(式中、Mは、Zn、Mg、Co、Cu、Al、Mn、又はCrの少なくとも1つであり、xは、0~0.95であり、y=-0.5~0.5である)を有するニッケルフェライトコアと、コアを少なくとも部分的に包囲している鉄ニッケルシェルであって、鉄、ニッケルを含み、Mを任意選択で含む鉄ニッケルシェルとをそれぞれ独立に含む。熱処理は、ニッケルフェライト粒子を300~1,000℃又は325~500℃の温度に加熱する工程を含むことができる。水素雰囲気は、窒素又はアルゴンの少なくとも1つを更に含むことができる。不活性雰囲気は、1~10体積%の水素及び90~99体積%のアルゴン又は窒素を含むことができる。方法は、複数のニッケルフェライト粒子を高エネルギーボールミキシングによって形成する工程を含むことができ、高エネルギーボールミキシングは、ニッケルフェライト前駆体化合物を複数の硬化クロム鋼ボールを含む硬化クロム鋼バイアル中で混合する工程を含み、複数の硬化クロム鋼ボールのニッケルフェライト前駆体化合物に対する質量比は、高エネルギーボールミリング中において20:1~40:1である。
【0035】
複合体は、ポリマーと複数の磁性粒子とを含むことができ、磁性粒子は、式Ni1-xFe2+y(式中、Mは、Zn、Mg、Co、Cu、Al、Mn、又はCrの少なくとも1つであり、xは、0~0.95であり、y=-0.5~0.5である)を有するニッケルフェライトコアと、コアを少なくとも部分的に包囲している鉄ニッケルシェルであって、鉄、ニッケル、及び任意選択でMを含む鉄ニッケルシェルとを、それぞれ独立に含む。ポリマーは、フルオロポリマー(例えば、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、又は低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリ(アリーレンエーテルケトン)(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、ポリアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、又はポリ(エーテルスルホン)の少なくとも1つを含むことができる。複合体は、複合体の総体積に対して10~95体積%又は30~70体積%の磁性粒子と、複合体の総体積に対して10~90体積%又は30~70体積%のポリマーとを含むことができる。複合体は、1GHz、又は0.5~3ギガヘルツ、又は1~5GHzにおいて1.4以上、又は1.4~2.5の透過率を有することができる。複合体は、1~3ギガヘルツにおいて0.05以下、又は0.5~2.5ギガヘルツ若しくは0.5~2ギガヘルツにおいて0.001~0.02若しくは0.01~0.01の磁気損失正接を有することができる。複合体は、1GHz、又は1~3ギガヘルツ、又は1~5GHzにおいて60以下、又は10~60の誘電率を有することができる。複合体は、1GHz、又は1~3ギガヘルツ、又は1~5GHzにおいて0.2以下、又は0.05以下、又は0.005以下、又は0.001~0.2の誘電損失正接を有することができる。物品は、複合体を含むことができる。物品はアンテナ、変圧器、反電磁インターフェース材、若しくはインダクターとすることができ、及び/又は物品はマイクロ波デバイスとすることができる。
【0036】
以下の実施例は、本開示を例示するために記載する。実施例は例示にすぎず、本開示に従って作製されるデバイスを本明細書に記載される材料、条件、又はプロセスパラメータに限定するものではない。
【実施例
【0037】
磁性粒子の電磁特性を決定するために、磁性粒子をパラフィンと混合し、3×7×2ミリメートルのトロイドにプレスし、同軸ラインを用いたVector Network Analyzer(VNA)による電磁特性(透磁率及び誘電率)測定をNicholson-Ross-Weir(NRW)法で行った。誘電率及び透過率は、23℃の温度で決定することができる。
【0038】
(実施例1)
磁性粒子の調製
化学量論量を使用してα-Fe及びNiOの混合物30グラムを形成して、NiFeを得た。混合物を、硬化クロム鋼バイアル(容積500ミリリットル)及び10ミリメートルの硬化クロム鋼ボールを含む遊星ボールミルに装填した。ボールの粉末に対する質量比は30:1であった。ミリングは、空気中において毎分500回転(rpm)で30時間行った。合成されたNiFe粉末を、5体積%のH及び95体積%のArの雰囲気中350℃で熱処理して、ナノ結晶構造を制御し、FeNiシェルを形成した。コア-シェル粒子の走査型電子顕微鏡像を図4に示す。
【0039】
X線回折を用いて、試料をミリング前、ミリング後、及びシェルを形成するための熱処理後に調査した。その結果を図5に示す。図5は、熱処理後にFeNiシェルの形成を示唆するFeNiピークの存在を示す。
【0040】
NiFe-FeNiコア-シェル粒子をパラフィンワックス中でブレンドして、60体積%の磁性粒子を含む複合体を形成し、次に、トロイド形状に圧縮した。次いで、複合体の磁性及び誘電性を0.1~8.5GHzの周波数範囲にわたって決定した。透磁率の実部(実線)及び虚部(破線)を図6に示し、その値をTable 1(表1)に記載する。
【0041】
【表1】
【0042】
Table 1(表1)から、複合体は、0.5~3ギガヘルツの周波数範囲にわたって1.4より大きい透過率及び0.075未満の磁気損失正接を達成できることが示される。
【0043】
(実施例2)
磁性粒子の調製
合成されたNiFe粉末を、5体積%のH及び95体積%のArの雰囲気中380℃で熱処理して、ナノ結晶構造を制御し、FeNiシェルを形成した点を除いて、実施例1に従って、コア-シェル粒子を調製した。温度の上昇は、還元反応を促進し、その結果、最終的にニッケルフェライトシェルの厚さが増大する。NiFe-FeNiコア-シェル粒子をパラフィンワックスとブレンドして、60体積%の磁性粒子を含む複合体を形成し、次に、トロイド形状に圧縮した。次いで、複合体の磁性及び誘電性を0.1~8.5GHzの周波数範囲にわたって決定した。透磁率の実部(実線)及び虚部(破線)を図7に示し、その値をTable 2(表2)に記載する。
【0044】
【表2】
【0045】
Table 2(表2)から、複合体は、0.5~3ギガヘルツの周波数範囲にわたって1.9より大きい透過率及び0.16未満の磁気損失正接を達成できることが示される。
【0046】
本開示のさまざまな非限定的態様を以下に記載する。
態様1:複数の磁性粒子を含む組成物であって、磁性粒子が、式Ni1-xFe2+y(式中、Mは、Zn、Mg、Co、Cu、Al、Mn、又はCrの少なくとも1つであり、xは、0~0.95であり、y=-0.5~0.5である)を有するニッケルフェライトコアと、コアを少なくとも部分的に包囲している鉄ニッケルシェルであって、鉄、ニッケル、及び任意選択でMを含む鉄ニッケルシェルとをそれぞれ独立に含む、組成物。
態様2:Mが、Zn又はCoの少なくとも1つを含む、態様1に記載の組成物。
態様3:ニッケルフェライトコアが、5~100ナノメートル又は10~40ナノメートルの平均粒度を有する、態様1又は2に記載の組成物。
態様4:xが、0.05~0.95である、態様1から3のいずれか1つ又は複数に記載の組成物。
態様5:Mが、Co又はZnの少なくとも1つを含む、態様1から4のいずれか1つ又は複数に記載の組成物。
態様6:シェルが、酸素を含まない、態様1から5のいずれか1つ又は複数に記載の組成物。
態様7:複数の磁性粒子が、不定形の粒子、球状粒子、楕円状粒子、桿状粒子、フレーク、又は繊維の少なくとも1つを含む、態様1から6のいずれか1つ又は複数に記載の組成物。
態様8:複数の磁性粒子が、0.5~800マイクロメートル又は0.5~100マイクロメートルのメジアン粒径D50を有する、態様1から7のいずれか1つ又は複数に記載の組成物。
態様9:シェルが、0.05~20マイクロメートル又は0.1~10マイクロメートルの平均厚さを有する、態様1から8のいずれか1つ又は複数に記載の組成物。
態様10:複数の磁性粒子の少なくとも一部分がプレートレットであり、プレートレットが、0.5~100マイクロメートル若しくは5~100マイクロメートルの最大寸法又は0.05~1マイクロメートル若しくは0.05~0.5マイクロメートルのプレートレット厚さの少なくとも1つを有し、ただし、最大寸法は、プレートレット厚さより大きい、態様1から9のいずれか1つ又は複数に記載の組成物。
態様11:態様1から10のいずれか1つ又は複数に記載の組成物を形成する方法であって、複数のニッケルフェライト粒子を水素雰囲気中で熱処理して、ニッケルフェライトコアの上に鉄ニッケルシェルを有する複数の磁性粒子を形成する工程を含む方法。
態様12:熱処理が、ニッケルフェライト粒子を300~1,000℃又は325~500℃の温度に加熱する工程を含む、態様11に記載の方法。
態様13:水素雰囲気が、窒素又はアルゴンの少なくとも1つを更に含む、態様11又は12に記載の方法。
態様14:不活性雰囲気が、1~10体積%の水素及び90~99体積%のアルゴン又は窒素を含む、態様11から13のいずれか1つ又は複数に記載の方法。
態様15:複数のニッケルフェライト粒子を高エネルギーボールミキシングによって形成する工程を更に含み、高エネルギーボールミキシングが、ニッケルフェライト前駆体化合物を複数の硬化クロム鋼ボールを含む硬化クロム鋼バイアル中で混合する工程を含み、複数の硬化クロム鋼ボールのニッケルフェライト前駆体化合物に対する質量比が、高エネルギーボールミリング中において20:1~40:1である、態様11から14のいずれか1つ又は複数に記載の方法。
態様16:複数の磁性粒子、例えば態様1から10のいずれか1つ又は複数に規定の複数の磁性粒子とポリマーとを含む複合体。
態様17:ポリマーが、フルオロポリマー(例えば、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、又は低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリ(アリーレンエーテルケトン)(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、ポリアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、又はポリ(エーテルスルホン)の少なくとも1つを含む、態様16に記載の複合体。
態様18:複合体の総体積に対して10~95体積%又は30~70体積%の磁性粒子と、複合体の総体積に対して10~90体積%又は30~70体積%のポリマーとを含む、態様16又は17に記載の複合体。
態様19: 1GHz、又は0.5~3ギガヘルツ、又は1~5GHzにおいて1.4以上、又は1.4~2.5の透過率を有する、態様16から18のいずれか1つ又は複数に記載の複合体。
態様20: 1~3ギガヘルツにおいて0.05以下、又は0.5~2.5ギガヘルツ若しくは0.5~2ギガヘルツにおいて0.001~0.02若しくは0.01~0.01の磁気損失正接を有する、態様16から19のいずれか1つ又は複数に記載の複合体。
態様21: 1GHz、又は1~3ギガヘルツ、又は1~5GHzにおいて60以下、又は10~60の誘電率を有する、態様16から20のいずれか1つ又は複数に記載の複合体。
態様22: 1GHz、又は1~3ギガヘルツ、又は1~5GHzにおいて0.2以下、又は0.05以下、又は0.005以下、又は0.001~0.2の誘電損失正接を有する、態様16から21のいずれか1つ又は複数に記載の複合体。
態様23:態様16から22のいずれか1つ又は複数に記載の複合体を含む物品。
態様24:アンテナ、変圧器、反電磁インターフェース材、若しくはインダクターであり、及び/又は物品がマイクロ波デバイスである、態様23に記載の物品。
【0047】
組成物、方法、及び物品は、代替として、本明細書に開示されたいずれか適切な材料、工程、又は成分を含み、それからなり、又はそれから本質的になることができる。組成物、方法、及び物品を、更に又は代替として、組成物、方法、及び物品の機能又は目的の達成に別段必要のない任意の材料(又は種)、工程、若しくは成分を欠き、又は実質的に含まないように構築することができる。
【0048】
用語「a」及び「an」は、量の限定を表さず、むしろ言及された事項が少なくとも1つ存在することを表す。用語「又は」は、文脈によって異なることが明確に指示されていない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書全体にわたって「1つの態様」、「別の態様」、「何らかの態様」等への言及は、態様と関連させて記載されている特定の要素(例えば、特徴、構造、工程、又は特性)が、本明細書に記載されている少なくとも1つの態様に含まれ、他の態様に存在してもしなくてもよいことを意味する。更に、記載された要素を、さまざまな態様においていずれか好適な形式で組み合わせできることを理解すべきである。
【0049】
同じ成分又は特性を対象にするすべての範囲の端点は、端点を含み、独立に組み合わせ可能であり、すべての中間点及び範囲を含む。例えば、「25体積%まで、又は5~20体積%」の範囲は、10~23体積%等の「5~25体積%」の範囲の端点及びすべての中間値を含む。
【0050】
用語「~の少なくとも1つ」は、リストが、各要素を個別に、並びにリストの2つ以上の要素の組合せ、及びリストの少なくとも1つの要素と列挙されていない同様の要素との組合せを含むことを意味する。また、用語「組合せ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物等を含む。
【0051】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される科学技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0052】
すべての引用された特許、特許出願、及び他の参考文献は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。しかし、本出願中の用語が組み込まれた参考文献中の用語と一致しない又は矛盾する場合、組み込まれた参考文献の矛盾する用語より本出願の用語が優先される。
【0053】
特定の態様を説明してきたが、現在予期されていない又は予期されていないことがあり得る代替、修正、変形、改良、及び実質的な均等形態が、出願人ら又は他の当業者に生じることがある。したがって、出願され、補正されることがある添付の特許請求の範囲は、このような代替、修正、変形、改良、及び実質的な均等形態すべてを含むように意図される。
【符号の説明】
【0054】
10 複合体
12 コア
14 シェル
16 ポリマーマトリックス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】