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特表2022-545710高屈折率導光層を有するバックライト散乱要素、マルチビューディスプレイ及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(54)【発明の名称】高屈折率導光層を有するバックライト散乱要素、マルチビューディスプレイ及び方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20221021BHJP
   G02B 30/26 20200101ALN20221021BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221021BHJP
【FI】
F21S2/00 434
F21S2/00 435
F21S2/00 433
G02B30/26
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512853
(86)(22)【出願日】2019-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 US2019048055
(87)【国際公開番号】W WO2021040683
(87)【国際公開日】2021-03-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514274546
【氏名又は名称】レイア、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】ファタル,デイヴィッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】マー,ミン
(72)【発明者】
【氏名】ロウニー,ジョセフ ディー.
【テーマコード(参考)】
2H199
3K244
【Fターム(参考)】
2H199BA07
2H199BA17
2H199BB17
2H199BB22
2H199BB27
2H199BB29
2H199BB52
2H199BB58
2H199BB59
2H199BB62
3K244AA01
3K244BA24
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA02
3K244DA03
3K244DA04
3K244DA05
3K244DA17
3K244EA02
3K244EA12
3K244EA32
3K244EA34
3K244EC16
3K244ED16
3K244ED22
3K244ED27
(57)【要約】
バックライト散乱要素、マルチビューディスプレイ、及びバックライト散乱要素の動作方法は、放射光を提供するために、導光体及び回折格子と共に高屈折率導光層を使用する。バックライト散乱要素は、導波光として光を導く導光体と、導光体と光学的に接続され、且つ導光体の厚さを拡大するように構成された高屈折率導光層とを含む。バックライト散乱要素はまた、高屈折率導光層に隣接して、導波光の一部を放射光として回折的に散乱出力させる回折格子を含む。マルチビューディスプレイは、第1の層及び第2の層を有する導光体を含み、第2の層の屈折率は、第1の層の屈折率よりも大きい。マルチビューディスプレイは、回折的に散乱出力された指向性光ビームを変調して、マルチビュー画像を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライト散乱要素であって、
導波光として光を導くように構成された導光体と、
前記導光体の表面に光学的に接続され、前記導光体の厚さを拡大するように構成された高屈折率導光層であって、前記高屈折率導光層の材料の屈折率は、前記導光体の材料の屈折率よりも大きい、高屈折率導光層と、
前記高屈折率導光層に隣接する回折格子であって、前記導波光の一部を放射光として回折的に散乱出力させるように構成された回折格子と、
を備える、バックライト散乱要素。
【請求項2】
前記回折格子と位置合わせされ、前記回折格子の範囲に相当する範囲を有する反射性アイランドをさらに備え、前記反射性アイランドは、前記回折格子によって回折的に散乱された光を前記放射光の方向に対応する方向に反射するように構成され、前記回折格子及び前記反射性アイランドは、組み合わされて、反射モード回折格子を表す、請求項1に記載のバックライト散乱要素。
【請求項3】
前記高屈折率導光層は、前記反射性アイランドと前記導光体との間にあり、前記回折格子は、(a)前記高屈折率導光層と前記導光体との間の界面、及び(b)前記高屈折率導光層と前記反射性アイランドとの間の一方又は両方に位置する、請求項2に記載のバックライト散乱要素。
【請求項4】
前記回折格子が、前記高屈折率導光層と前記導光体との間の界面に位置する第1の回折格子と、前記界面とは反対側の前記高屈折率導光層の表面に位置する第2の回折格子とを含む、請求項1に記載のバックライト散乱要素。
【請求項5】
前記第1の回折格子は、前記第2の回折格子からの横方向のオフセットを有し、前記横方向のオフセットは、前記第1及び前記第2の回折格子の、回折特徴部間の間隔よりも大きい、請求項4に記載のバックライト散乱要素。
【請求項6】
前記高屈折率導光層の表面で、前記第2の回折格子に隣接する反射性アイランドをさらに備える、請求項4に記載のバックライト散乱要素。
【請求項7】
前記高屈折率導光層は、導光体の表面に隣接し、それを介して前記導波光の一部を前記放射光として回折散乱する、請求項1に記載のバックライト散乱要素。
【請求項8】
前記導光体内の前記導波光は、コリメーション係数に従ってコリメートされる、又は前記導光体の導光面に対して非ゼロ伝播角度で伝播するように構成される、或いはその両方である、請求項1に記載のバックライト散乱要素。
【請求項9】
請求項1に記載のバックライト散乱要素を含むマルチビューバックライトであって、前記回折格子が、前記導光体の長さに沿って互いに離間したマルチビーム要素アレイのマルチビーム要素として構成され、前記マルチビーム要素アレイの各マルチビーム要素は、マルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する複数の指向性光ビームを含む、前記放射光として、前記導波光の一部を回折的に散乱出力させるように構成された、マルチビューバックライト。
【請求項10】
請求項9に記載のマルチビューバックライトを含むマルチビューディスプレイであって、前記複数の指向性光ビームの指向性光ビームをマルチビュー画像として変調するように構成されたライトバルブアレイをさらに含み、前記マルチビーム要素のサイズが、前記ライトバルブアレイのライトバルブのサイズに対して半分~2倍である、マルチビューディスプレイ。
【請求項11】
マルチビューディスプレイであって、
第1の層及び第2の層を含む導光体であって、前記第2の層の屈折率が前記第1の層の屈折率よりも大きい、導光体と、
前記導光体に沿って互いに離間したマルチビーム要素アレイであって、前記マルチビーム要素アレイの各マルチビーム要素が、前記導光体の前記第2の層に隣接する回折格子を備え、前記マルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する複数の指向性光ビームとして前記導光体内から導波光の一部を回折的に散乱出力させるように構成されている、マルチビーム要素アレイと、
マルチビュー画像を提供するために前記複数の指向性光ビームの指向性光ビームを変調するように構成されたライトバルブのアレイと、
を備える、マルチビューディスプレイ。
【請求項12】
前記マルチビーム要素の前記回折格子が、前記第1の層と前記第2の層との間の界面に位置する、請求項11に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項13】
前記マルチビーム要素の前記回折格子が、前記第1の層と前記第2の層との間の界面とは反対側の、前記第2の層の表面に位置する、請求項11に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項14】
前記マルチビーム要素アレイのマルチビーム要素の前記回折格子が、前記第1の層と前記第2の層との間の界面に位置し、前記マルチビーム要素は、前記第1の層と前記第2の層との間の前記界面とは反対側の、前記第2の層の表面に位置する、別の回折格子をさらに備える、請求項11に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項15】
前記マルチビーム要素の前記回折格子及び前記別の回折格子は、互いに横方向のオフセットを有し、前記横方向のオフセットは、前記マルチビーム要素の回折散乱効率を最適化するように構成された、請求項14に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項16】
前記マルチビーム要素が、前記回折格子と位置合わせされ、且つ前記回折格子に相当するサイズを有する反射性アイランドをさらに備え、前記反射性アイランドは、前記回折格子によって散乱された光を、前記複数の指向性光ビームの方向に対応する方向に反射的に方向転換するように構成された反射材料を含む、請求項15に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項17】
前記マルチビーム要素の前記回折格子の回折特徴部が、前記反射性アイランドの前記反射材料を含む、請求項16に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項18】
バックライト散乱要素の動作方法であって、
導光体内で光を導波光として導くステップであって、前記導光体は、第1の層及び第2の層を備えるステップと、
前記導光体の前記第2の層に隣接して配置された回折格子を使用して、前記導光体からの前記導波光の一部を放射光として回折的に散乱出力させるステップとを含み、
前記導光体について、前記第2の層は、前記第1の層に含まれる材料の屈折率よりも大きい屈折率を有する材料を含む、動作方法。
【請求項19】
前記回折格子と位置合わせされ、且つ前記回折格子の範囲に相当する範囲を有する反射性アイランドを使用して、前記回折格子によって回折散乱された光を前記放射光の方向に反射するステップをさらに含み、前記回折格子及び前記反射性アイランドは、組み合わされて、反射モード回折格子となる、請求項18に記載のバックライト散乱要素の動作方法。
【請求項20】
前記回折格子が、前記導光体の長さに沿って互いに離間したマルチビーム要素アレイのマルチビーム要素として構成され、前記マルチビーム要素アレイの各マルチビーム要素が、マルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する複数の指向性光ビームを含む前記放射光として、前記導波光の一部を回折的に散乱出力させるステップを含む、請求項18に記載のバックライト散乱要素の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
なし
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
なし
【背景技術】
【0003】
電子ディスプレイは、多種多様なデバイス及び製品のユーザに情報を伝達するための、ほぼどこにでもある媒体である。最も一般的に利用される電子ディスプレイとしては、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンスディスプレイ(EL)、有機発光ダイオード(OLED)及びアクティブマトリクスOLED(AMOLED)ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ(EP)、並びに電気機械的又は電気流体的光変調を利用する様々なディスプレイ(例えば、デジタルマイクロミラーデバイス、エレクトロウェッティングディスプレイなど)が挙げられる。一般に、電子ディスプレイは、アクティブディスプレイ(すなわち、光を放射するディスプレイ)、又はパッシブディスプレイ(すなわち、別の光源によって供給される光を変調するディスプレイ)のいずれかに分類することができる。アクティブディスプレイの最も明白な例には、CRT、PDP、及びOLED/AMOLEDがある。放射光を考慮したときに通常パッシブとして分類されるディスプレイは、LCD及びEPディスプレイである。パッシブディスプレイは、限定するものではないが本質的に低消費電力であることを含め、魅力的な性能特性を示すことが多いが、発光する能力がないために、多くの実用的なアプリケーションにおいて、いくらか使用が限られるように感じられることがある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態の様々な特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解することができ、図面では、同様の参照番号は同様の構造要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【0006】
図1B】本明細書に記載の原理による一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの、ビュー方向に対応する特定の主角度方向を有する光ビームの角度成分の、視覚的表現を示す。
【0007】
図2】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における回折格子の断面図を示す。
【0008】
図3A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素の断面図を示す。
【0009】
図3B】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素の断面図を示す。
【0010】
図3C】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素の断面図を示す。
【0011】
図3D】本明細書に記載の原理と一致する、さらに別の実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素の断面図を示す。
【0012】
図4A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素の断面図を示す。
【0013】
図4B】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素の断面図を示す。
【0014】
図4C】本明細書に記載の原理と一致する、さらに別の実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素の断面図を示す。
【0015】
図5】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素の断面図を示す。
【0016】
図6】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素の断面図を示す。
【0017】
図7A】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの断面図を示す。
【0018】
図7B】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの平面図を示す。
【0019】
図7C】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの斜視図を示す。
【0020】
図8】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのブロック図を示す。
【0021】
図9】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライトの動作方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
特定の例及び実施形態は、上記の参照図面に示したある特徴に加えて、またその代わりとなる他の特徴を有する。これら及び他の特徴については、上記の図を参照しながら以下で詳述する。
【0023】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態は、マルチビューディスプレイを含むディスプレイへの応用を伴う、バックライト散乱要素を提供する。バックライト散乱要素は、いくつかの実施形態では、導光体と、導光体に光学的に接続され、且つ導光体の厚さを拡大する高屈折率導光層とを含む。高屈折率導光層は、導光体の屈折率よりも高い屈折率を有する。さらに、バックライト散乱要素は、高屈折率導光層に隣接して回折格子を含み、この回折格子は、導光体及び高屈折率導光層からの導波光の一部を、放射光として回折的に散乱出力するように構成される。いくつかの実施形態では、回折格子に隣接する高屈折率導光体の存在により、バックライト散乱要素の散乱効率を高めることができる。様々な実施形態によれば、バックライト散乱要素は、単一の広角ビューを提供する2次元(2D)ディスプレイ、並びに様々なビュー方向に対応する複数の異なるビューを有するマルチビューディスプレイと、組み合わせて使用することができる。
【0024】
本明細書では、「2次元ディスプレイ」又は「2Dディスプレイ」は、画像が見られる方向に関係なく(すなわち、2Dディスプレイの所定の視野角又は範囲内で)実質的に同じ画像のビューを提供するように構成されたディスプレイとして定義される。多くのスマートフォン及びコンピュータモニタに見られる従来の液晶ディスプレイ(LCD)が、2Dディスプレイの例である。ここで対照的に「マルチビューディスプレイ」は、様々なビュー方向で、又は様々なビュー方向からマルチビュー画像の様々なビューを提供するように構成された、電子ディスプレイ又は電子ディスプレイシステムとして定義される。具体的には、様々なビューは、マルチビュー画像のシーン又はオブジェクトの様々な斜視図を表すことができる。本明細書で説明される、指向性バックライト及びバックライト付きディスプレイの用途は、携帯電話(例えば、スマートフォン)、腕時計、タブレットコンピュータ、モバイルコンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ)、パーソナルコンピュータ及びコンピュータモニタ、自動車のディスプレイコンソール、カメラのディスプレイ、並びに他の様々なモバイル及び実質的に非モバイルの表示アプリケーションやデバイスを含むが、これらに限定されない。
【0025】
図1Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ10の斜視図を示す。図1Aに示すように、マルチビューディスプレイ10は、見られることになるマルチビュー画像を表示するためのスクリーン12を備える。マルチビューディスプレイ10は、スクリーン12に対して様々なビュー方向16にマルチビュー画像の様々なビュー14を提供する。ビュー方向16は、スクリーン12から様々な異なる主角度方向(又は単に異なる方向)に延びる矢印として示されており、様々なビュー14は、それらの矢印(すなわち、ビュー方向16を示す矢印)の終端において、多角形のボックスとして示されており、4つのビュー14及び4つのビュー方向16のみが示されているが、すべて例示を目的としてものであり、限定を目的としたものではない。図1Aでは様々なビュー14がスクリーンの上方にあるものとして示されているが、マルチビュー画像がマルチビューディスプレイ10に表示されるとき、これらのビュー14は、実際にはスクリーン12上、又はスクリーン12の近傍に現れることに留意されたい。ビュー14をスクリーン12の上方に示しているのは、単に説明を簡略にするためであり、ビュー方向16のうち、特定のビュー14に対応するそれぞれのビュー方向からマルチビューディスプレイ10を見ていることを表すためである。
【0026】
本明細書の定義によれば、ビュー方向、又は同等にマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向(すなわち、指向性光ビーム)を有する光ビームは、通常、角度成分{θ,φ}で与えられる主角度方向を有する。本明細書では、角度成分θは、光ビームの「仰角成分」又は「仰角」と呼ばれる。角度成分φは、光ビームの「方位角成分」又は「方位角」と呼ばれる。定義によれば、仰角θは、垂直面(例えば、マルチビューディスプレイスクリーンの平面に対して直交する面)内の角度であり、方位角φは、水平面(例えば、マルチビューディスプレイスクリーンの平面に対して平行な面)内の角度である。図1Bは、本明細書で説明される原理による実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの、ビュー方向(例えば、図1Aのビュー方向16)に対応する特定の主角度方向を有する、光ビーム20の角度成分{θ,φ}を視覚的に表す図である。加えて、本明細書の定義によれば、光ビーム20は特定の点から放射される、又は発出するものである。つまり、定義によれば、光ビーム20は、マルチビューディスプレイ内の特定の原点に関連付けられた中心光線を有する。図1Bはまた、光ビーム(又はビュー方向)の原点Oも示している。
【0027】
さらに本明細書では、「マルチビュー画像」及び「マルチビューディスプレイ」という用語で使用される「マルチビュー」という用語は、様々な視点を表す、又は複数のビューのビュー間における角度視差を含む、複数のビューとして定義される。加えて、本明細書では、「マルチビュー」という用語は、本明細書におけるいくつかの定義により、2つを超える異なるビュー(すなわち、少なくとも3つのビューであり、一般的には3つを超えるビュー)を明示的に含む。そのため、いくつかの実施形態によれば、本明細書で用いる「マルチビューディスプレイ」は、シーン又は画像を表すために2つの異なるビューしか含まない立体視ディスプレイとは明示的に区別される。ただし、マルチビュー画像及びマルチビューディスプレイは、本明細書の定義によれば、2つを超えるビューを含むが、マルチビュー画像は、マルチビュービューのうちの2つのみ(例えば、各眼あたり1つのビュー)を一度に見るように選択することにより、(例えば、マルチビューディスプレイ上で)画像の立体視対として見る場合があることに留意されたい。
【0028】
「マルチビューピクセル」は、本明細書では、マルチビューディスプレイの複数の異なるビューの各ビュー内のビューピクセルを表す、ライトバルブアレイ内のライトバルブのセット又はグループとして定義される。具体的には、マルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューのそれぞれのビューピクセルに対応する、又はビューピクセルを表す、ライトバルブアレイ内の個々のライトバルブを有することができる。さらに、マルチビューピクセルのライトバルブによって提供されるビューピクセルは、本明細書の定義によれば、ビューピクセルのそれぞれが、様々なビューのうちの対応するビューの所定のビュー方向に関連付けられるという点で、いわゆる「指向性ピクセル」である。さらに、様々な例及び実施形態によれば、マルチビューピクセルのライトバルブによって表される異なるビューピクセルは、異なるビューのそれぞれにおいて、同等又は少なくとも実質的に同様の位置又は座標を有することができる。例えば、第1のマルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューのそれぞれにおける{x,y}に位置するビューピクセルに対応する個々のライトバルブを有することができ、第2のマルチビューピクセルは、異なるビューのそれぞれにおける{x,y}に位置するビューピクセルに対応する個々のライトバルブを有することができ、以下同様である。
【0029】
いくつかの実施形態では、マルチビューピクセル内のライトバルブの数は、マルチビューディスプレイの異なるビューの数と等しくすることができる。例えば、マルチビューピクセルは、64個(64)の異なるビューを有するマルチビューディスプレイと関連付けられた、64個のライトバルブを提供することができる。別の例では、マルチビューディスプレイは、8×4個のビューのアレイ(すなわち、32個のビュー)を提供することができ、マルチビューピクセルは、32個のライトバルブ(すなわち、各ビューに対して1つ)を含むことができる。さらに、それぞれの異なるライトバルブは、例えば、異なるビューのビュー方向に属する、個々の1つに対応する関連方向(例えば、光ビームの主角度方向)を有する、ビューピクセルを提供することができる。さらに、いくつかの実施形態によれば、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルの数は、マルチビュー画像内のビューピクセル(すなわち、選択されたビューを構成するピクセル)の数と実質的に等しくすることができる。
【0030】
本明細書では、「導光体」は、全内部反射を用いて構造内で光を導く構造体として定義される。特に、導光体は、導光体の動作波長において実質的に透明なコアを含むことができる。様々な例では、「導光体」という用語は、通常、全内部反射を利用して、導光体の誘電体材料とその導光体を取り囲む材料又は媒体との間の界面で光を導く、誘電体光導波路を指す。定義によれば、全内部反射のための条件は、導光体の屈折率が、導光体材料の表面に隣接する周囲の媒体の屈折率より大きいことである。いくつかの実施形態では、導光体は、全内部反射をさらに促進するために、前述の屈折率差に加えて、又はその代わりに、コーティングを含むことができる。このコーティングは、例えば、反射性コーティングでもよい。導光体には、プレート又はスラブガイド、及びストリップガイドの一方又は両方が含まれるが、これらに限定されない、いくつかの導光体の任意のものにすることができる。
【0031】
さらに本明細書では、「プレート導光体」のように導光体に適用される場合の「プレート」という用語は、「スラブ」ガイドと呼ばれることもある、区分的又は微分的に平坦な層又はシートとして定義される。特に、プレート導光体は、導光体の頂面及び底面(すなわち、対向面)によって境界を定められた、2つの実質的に直交する方向に光を導くように構成された導光体として定義される。さらに、本明細書の定義によれば、頂面及び底面は互いに分離されており、少なくとも微分的な意味で、互いに実質的に平行にすることができる。すなわち、プレート導光体の任意の微分的に小さな区画内で、頂面及び底面は実質的に平行又は同一平面上にある。
【0032】
いくつかの実施形態では、プレート導光体は実質的に平坦(すなわち、平面に限定される)であり、したがって、プレート導光体は平面導光体である。他の実施形態では、プレート導光体は、1つの次元、又は2つの直交する次元で湾曲していてもよい。例えば、プレート導光体は、一次元に湾曲させて、円筒形状のプレート導光体を形成することができる。しかしながら、いかなる曲率も、光を導くためにプレート導光体内で全内部反射が維持されることを確実にするように、十分に大きい曲率半径を有する。
【0033】
本明細書では、「回折格子」は、回折格子に入射する光の回折をもたらすように配置された、複数の特徴部(すなわち、回折特徴部)として広義に定義される。いくつかの例では、この複数の特徴部は、周期的又は準周期的に配置することができる。他の例では、回折格子は、複数の回折格子を含む混合周期回折格子にすることができ、この複数の回折格子の各回折格子は、特徴の異なる周期的配置を有する。さらに、回折格子には、一次元(1D)アレイに配置された複数の特徴部(例えば、材料表面の複数の溝又は隆起部)を含むことができる。或いは、回折格子には、特徴部のニ次元(2D)アレイ、又は二次元で定義される特徴部のアレイを含んでもよい。回折格子は、例えば、材料表面上のバンプ、又は材料表面内の穴の2Dアレイとすることができる。いくつかの例では、回折格子は、第1の方向又は次元において実質的に周期的であり、回折格子を横切る又は回折格子に沿った別の方向において、実質的に非周期的であってもよい(例えば、一定、ランダムなど)。
【0034】
このように、また本明細書の定義によれば、「回折格子」は、回折格子に入射する光の回折をもたらす構造体である。光が導光体から回折格子に入射すると、もたらされる回折又は回折散乱は、回折格子が回折によって又は回折を使用して、導光体から光を結合出力又は散乱出力させることができるという点で、「回折結合」又は「回折散乱」と呼ばれることがある。回折格子はまた、回折によって(すなわち、回折角で)光の角度を方向転換、すなわち変化させる。特に、回折の結果として、回折格子を出る光は、一般に、回折格子に入射する光(すなわち、入射光)の伝播方向とは異なる伝播方向を有する。回折による光の伝播方向の変化を、本明細書では、「回折的方向転換」と呼ぶ。したがって、回折格子は、回折格子に入射した光を回折的に方向転換する回折特徴部を含む構造体であると理解することができ、光が導光体から入射した場合に、回折格子は、導光体からの光を回折的に結合出力することもできる。
【0035】
さらに、本明細書の定義によれば、回折格子の特徴部は、「回折特徴部」と呼ばれ、材料表面、材料表面内、材料表面上のうちの、1つ又はそれ以上に存在し得る(すなわち、2つの材料間の境界)。この表面は、例えば導光体の頂面より下にあってもよい。回折特徴部は、表面、表面内、又は表面上にある、溝、隆起部、穴及びバンプのうちの1つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されない、光を回折させる様々な構造体のうちの、いずれかを含むことができる。例えば、回折格子は、材料表面内に複数の実質的に平行な溝を含むことができる。別の例では、回折格子は、材料表面から立ち上がる複数の平行な隆起部を含むことができる。回折特徴部(例えば、溝、隆起部、穴、バンプなど)には、正弦波形プロファイル、方形プロファイル(例えば、バイナリ回折格子)、3角形プロファイル、及び鋸歯形プロファイル(例えば、ブレーズド回折格子)のうちの1つ又はそれ以上が含まれるが、これらに限定されない、回折をもたらす様々な断面形状又はプロファイルのうちの、いずれかを有することができる。
【0036】
本明細書に記載の様々な例によれば、回折格子(例えば、以下に説明するような、複数の回折格子のうちの1つ)を利用して、光を光ビームとして導光体(例えば、プレート導光体)から回折的に散乱出力させる、又は結合出力することができる。特に、局所的に周期的な回折格子の、又は局所的に周期的な回折格子によって提供される、回折角θは、式(1)で与えることができる。
【数1】
ここで、λは、光の波長であり、mは、回折次数であり、nは、導光体の屈折率であり、dは、回折格子の特徴部間の距離又は間隔であり、θは、回折格子への光の入射角である。簡潔にするために、式(1)では、回折格子が導光体の表面に隣接しており、導光体外部の材料の屈折率が1に等しい(すなわち、nout=1)と仮定する。一般に、回折次数mは、整数(すなわち、m=±1、±2、)で与えられる。回折格子によって生成される光ビームの回折角θは、式(1)で与えることができる。回折次数mが1に等しい(すなわち、m=1)とき、1次回折、より具体的には1次回折角θがもたらされる。
【0037】
図2は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における回折格子30の断面図を示す。例えば、回折格子30は、導光体40の表面上に配置することができる。さらに、図2は、入射角θiで回折格子30に入射する光ビーム50を示す。この光ビーム50は、導光体40内で導かれた光ビームである。また、図2には、回折格子30によって回折的に生成され、外部に結合出力又は散乱出力された、入射した光ビーム50の回折結果としての指向性光ビーム60も示されている。指向性光ビーム60は、式(1)で与えられる回折角θ(又は本明細書では「主角度方向」)を有する。指向性光ビーム60は、例えば、回折格子30の回折次数「m」に対応することができる。
【0038】
さらに、いくつかの実施形態によれば、回折特徴部は、湾曲していてもよく、また、光の伝播方向に対して所定の向き(例えば、傾斜又は回転)を有してもよい。回折特徴部の湾曲及び向きの一方又は両方は、例えば、回折格子によって外部に結合される光の方向を制御するように構成することができる。例えば、指向性光の主角度方向は、入射光の伝播方向に対して、光が回折格子に入射する点における、回折特徴部の角度の関数とすることができる。
【0039】
本明細書の定義によれば、「マルチビーム要素」は、複数の光ビームを含む光を生成する、バックライト又はディスプレイの構造又は要素である。「回折」マルチビーム要素は、定義によれば、回折結合によって、又は回折結合を使用して、複数の光ビームを生成するマルチビーム要素である。特に、いくつかの実施形態では、回折マルチビーム要素は、バックライトの導光体に光学的に結合されて、導光体内で導かれた光の一部を回折的に散乱出力させることによって、複数の光ビームを提供することができる。さらに、本明細書の定義によれば、回折マルチビーム要素は、マルチビーム要素の境界又は範囲内に複数の回折格子を含む。マルチビーム要素によって生成された複数の光ビーム(すなわち、「複数の光ビーム」)の各光ビームは、本明細書の定義によれば、互いに異なる主角度方向を有する。特に、定義によれば、複数の光ビーム内のある光ビームは、複数の光ビーム内の別の光ビームとは異なる、所定の主角度方向を有する。したがって、光ビームは「指向性」光ビームと呼ぶことができる。様々な実施形態によれば、回折マルチビーム要素の回折格子内における回折特徴部の間隔又は格子ピッチは、サブ波長(すなわち、導波光の波長未満)の寸法であってもよい。
【0040】
以下の説明では、回折格子を含むマルチビーム要素が例示的な例として使用されるが、いくつかの実施形態では、マイクロ反射要素及びマイクロ屈折要素の少なくとも一方など、他の構成要素をマルチビーム要素に使用することができる。例えば、マイクロ反射要素には、三角形のミラー、台形のミラー、ピラミッド形のミラー、長方形のミラー、半球形のミラー、凹面ミラー及び/又は凸面ミラーを含むことができる。いくつかの実施形態では、マイクロ屈折要素には、三角形の屈折要素、台形の屈折要素、ピラミッド形の屈折要素、長方形の屈折要素、半球形の屈折要素、凹面の屈折要素及び/又は凸面の屈折要素を含むことができる。
【0041】
様々な実施形態によれば、マルチビーム要素によって生成された複数の指向性光ビームは、ライトフィールドを表すことができる。例えば、複数の指向性光ビームは、実質的に円錐形の空間領域に限定されてもよく、又は複数の光ビームにおける様々な光ビームの主角度方向を含む、所定の角度広がりを有してもよい。このように、組み合わされた指向性光ビーム(すなわち、複数の指向性光ビーム)の所定の角度広がりは、ライトフィールドを表すことができる。
【0042】
様々な実施形態によれば、複数の光ビームにおける様々な光ビームの異なる主角度方向は、限定はしないが、「格子ピッチ」又は回折特徴部間隔、及び回折マルチビーム要素内の回折格子の向きと共に、回折マルチビーム要素のサイズ(例えば、長さ、幅、面積などのうちの1つ又はそれ以上)を含む特性によって決定される。いくつかの実施形態では、回折マルチビーム要素は、本明細書の定義によれば、「拡張された点光源」、すなわち、回折マルチビーム要素の範囲にわたって分布した複数の点光源と考えることができる。さらに、回折マルチビーム要素によって生成された指向性光ビームは、本明細書の定義によれば、図1Bを参照して上述したように、角度成分{θ,φ}で与えられる主角度方向を有する。
【0043】
本明細書では、「コリメータ」は、光をコリメートするように構成された、実質的に任意の光学デバイス又は装置として定義される。例えば、コリメータには、コリメートミラー若しくはリフレクタ、コリメートレンズ、回折格子、又はそれらの様々な組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。本明細書では、σで示される「コリメーション係数」は、光がコリメートされる程度として定義される。具体的には、コリメーション係数は、本明細書の定義によれば、コリメートされた光ビーム内の光線の角度広がりを画定する。例えば、コリメーション係数σは、コリメートされた光ビーム内の光線の大部分が、特定の角度広がり(例えば、コリメートされた光ビームの中心角又は主角度方向の周りの±σ度)内にあることを規定することができる。いくつかの例によれば、コリメートされた光ビームの光線は、角度に関してガウス分布を有することができ、角度広がりは、コリメートされた光ビームのピーク強度の半分で決定される角度とすることができる。
【0044】
本明細書では、「光源」は、光の源(例えば、光を生成して放射するように構成された光エミッタ)として定義される。例えば、光源には、起動時又はオン時に光を放射する光エミッタ、例えば発光ダイオード(LED)を含むことができる。特に、本明細書では、光源には、発光ダイオード(LED)、レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード、プラズマベースの光エミッタ、蛍光灯、白熱灯、及び実質的にその他の光源のうちの1つ又はそれ以上が含まれるが、これらに限定されない、実質的に任意の光源であるか、又は実質的に任意の光エミッタを含むことができる。光源によって生成される光は、色を有してもよい(すなわち、特定の波長の光を含んでもよい)し、波長範囲(例えば、白色光)であってもよい。いくつかの実施形態では、光源は、複数の光エミッタを備えることができる。例えば、光源は、光エミッタのセット又はグループを含むことができ、そのうちの少なくとも1つの光エミッタが、そのうちの少なくとも1つの他の光エミッタが生成する光の色又は波長とは異なる、色又は同等に波長を有する光を生成する。これらの異なる色には、例えば原色(例えば、赤、緑、青)を含むことができる。
【0045】
本明細書では、「光学的に接続された」という用語は、接続又は界面を介して光フィールドの伝達をもたらす、接続又は界面として定義される。したがって、光学的接続は、一対の層又は材料(例えば、高屈折率導光層と、別の導光体又は導光層の表面)の間の物理的接触を含むことができる。しかしながら、他の実施形態では、光学的接続は、一対の層間の物理的接触でなくてもよく、又は物理的接触を関与させてもよい(例えば、層の対は、別の材料層又はエアギャップによって分離されてもよい)。したがって、これらの実施形態における「光学的に接続された」は、エバネッセント光フィールドとして、一対の層間のギャップ又は別の材料層を横切って伝播又は延伸する、光信号を含むことができる。
【0046】
さらに、本明細書で使用される場合、冠詞「a」は、特許技術におけるその通常の意味、すなわち「1つ又はそれ以上の」を有することが意図されている。例えば、「要素」は1つ又はそれ以上の要素を意味し、したがって、本明細書では「要素」は「要素(複数可)」を意味する。また、本明細書における「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「上側(upper)」、「下側(lower)」、「上向き(up)」、「下向き(down)」、「正面(front)」、「背面(back)」、「第1の」、「第2の」、「左」、又は「右」に対するいかなる言及も、本明細書では限定を意図するものではない。本明細書では、「約」という用語は、特に明記しない限り、値に適用されたときは通常その値を生成するために用いられる機器の許容範囲内を意味するか、若しくは±10%、又は±5%、又は±1%を意味する。さらに、本明細書で使用される「実質的に」という用語は、大多数、又はほとんどすべて、又はすべて、又は約51%~約100%の範囲内の量を意味する。さらに、本明細書における例は、例示にすぎず、説明の目的で提示されたものであり、限定のためのものではないことが意図される。
【0047】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、バックライト散乱要素が提供される。図3Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素100の断面図を示す。図3Bは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素100の断面図を示す。図3Cは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素100の断面図を示す。図3Dは、本明細書に記載の原理と一致する、さらに別の実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素100の断面図を示す。様々な実施形態によれば、バックライト散乱要素100は、放射光102を提供するように構成される。
【0048】
図示のように、バックライト散乱要素100は、導光体110を備える。導光体110は、その導光体110の長さに沿って、導波光104(すなわち、導波光ビーム104)として光を導くように構成される。特に、導光体110は、光学的に透明、又は少なくとも実質的に光学的に透明な材料を含む。いくつかの実施形態では、導光体110は、光学的に透明な材料が延展された実質的に平面のシートを含む、スラブ又はプレート(すなわち、プレート導光体)にすることができる。様々な例によれば、導光体110の光学的に透明な材料には、これらに限定されないが、様々なタイプのガラス(例えば、シリカガラス、アルミノケイ酸アルカリガラス、ホウケイ塩ガラスなど)、並びに実質的に光学的に透明なプラスチック又はポリマー(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)、アクリルガラス、ポリカーボネートなど)のうちの1つ又はそれ以上を含む、様々な材料のいずれかを含めることができる。いくつかの例では、導光体110は、導光体110の表面の少なくとも一部に、クラッディング層(図示せず)をさらに含むことができる。いくつかの例によれば、クラッディング層を使用して、全内部反射をさらに促進することができる。
【0049】
さらに、いくつかの実施形態によれば、導光体110は、導光体110の表面(第1の表面110’、例えば、「前」面、「頂」面、又は側面)に対して非ゼロ伝播角度で、全内部反射によって、導波光104を導くように構成される。特に、導波光104は、導光体110の第1の表面110’と別の導光面との間で、非ゼロ伝播角度で反射又は「バウンス」することによって伝播する。いくつかの実施形態では、異なる色の光を含む複数の導波光ビームは、異なる色固有の非ゼロ伝播角度のそれぞれで、導波光ビーム104として導光体110によって導かれる。
【0050】
本明細書で定義されるように、「非ゼロ伝播角度」は、導光体110の表面(例えば、第1の表面110’)に対する角度である。さらに、様々な実施形態によれば、非ゼロ伝播角度は、ゼロよりも大きく、且つ導光体110内の全内部反射の臨界角よりも小さい。例えば、導波光104の非ゼロ伝播角度は、約10度(10°)~約50度(50°)の間、又はいくつかの例では、約20度(20°)~約40°(40°)の間、又は約25度(25°)~約35度(35°)の間であり得る。例えば、非ゼロ伝播角度は約30度(30°)であってもよい。他の例では、非ゼロ伝播角度は約20°、又は約25°、又は約35°であってもよい。さらに、特定の非ゼロ伝播角度が、導光体110内の全内部反射の臨界角よりも小さくなるように選択される限り、特定の実装に対して特定の非ゼロ伝播角度を(例えば、任意に)選択することができる。
【0051】
さらに、いくつかの実施形態によれば、光を導光体110に取り込むことによって生成された、導波光104又は同等に導波光ビーム104は、コリメートされた光ビームであってもよい。本明細書では、「コリメート光」又は「コリメート光ビーム」は、一般に、光ビームの光線が光ビーム(例えば、導波光104)内で互いに実質的に平行である、光ビームとして定義される。さらに、本明細書での定義によれば、コリメートされた光ビームから発散する、又は散乱される光線は、コリメート光ビームの一部とは見なされない。いくつかの実施形態(図示せず)では、上述のように、コリメータ、例えばレンズ、回折格子、リフレクタ又はミラー(例えば、傾斜コリメータリフレクタ)は、例えば光源からの光をコリメートすることができる。いくつかの実施形態では、光源自体がコリメータを備える。導光体110に提供され、それによって導波光104として導かれるコリメート光は、コリメートされた導波光ビームであってもよい。特に、様々な実施形態において、導波光104は、コリメーション係数σに従って、又はコリメーション係数σを有するようにコリメートされてもよい。或いは、他の実施形態では、導波光104はコリメートされていなくてもよい。
【0052】
様々な実施形態によれば、図3A図3Dに示すバックライト散乱要素100は、導光体110の表面に光学的に接続された、高屈折率導光層120をさらに含む。例えば、高屈折率導光層120は、例えば図示のように、導光体110の第1の表面110’とは反対側にある第2の表面110’’に、光学的に接続することができる。他の実施形態では、高屈折率導光層120は、第1の表面110’に、光学的に接続されてもよい(例えば、以下に説明する図4A図4C参照)。さらに他の実施形態では、高屈折率導光層120は、例えば、導光体110の複数の部分、又は複数の層の間に挟まれた層として、導光体110内に埋め込まれてもよい。各実施形態では、光学的接続は、本明細書の定義によれば、導光体110と高屈折率導光層120との間の界面にあるか、又は界面を備える。
【0053】
いくつかの実施形態では、高屈折率導光層120は、例えば、図3A図3Cに示すように、導光体110の厚さを拡大する、又は事実上拡大するように構成される。すなわち、導波光104は、導光体110内、及び界面で導光体110に光学的に接続された高屈折率導光層120内の両方で導かれる。したがって、いくつかの実施形態では、導光体110は、高屈折率導光層120を事実上含むものとして特徴付けることができる。
【0054】
導光体110と同様に、高屈折率導光層120の材料は、光学的に透明、又は実質的に光学的に透明である。様々な実施形態によれば、高屈折率導光層120の材料の屈折率は、導光体110の材料の屈折率よりも大きい。例えば、導光体110の屈折率は、約1.4~約1.6の範囲(例えば、1.5)であってもよく、高屈折率導光層120は、約1.7~約2.5の屈折率を有してもよい。
【0055】
図3A図3Dに示すように、バックライト散乱要素100は、高屈折率導光層120に隣接する回折格子130をさらに備える。回折格子130は、導波光104の一部を放射光102として回折的に散乱出力させるように構成される。例えば、図3Aに示すように、回折格子130は、導光体110の第2の表面110’’に画定された回折特徴部を含むことができる(例えば、回折特徴部は、第2の表面110’’の溝又は隆起部であってもよい)。限定ではなく例として図3Aに示されるように、回折特徴部は、高屈折率導光層120の材料で充填されてもよく、又は回折特徴部間に高屈折率の導光体材料を含んで、回折格子130を実現してもよい。
【0056】
様々な実施形態によれば、放射光102は、指向性光ビーム、例えば複数の指向性光ビームを含むことができる。いくつかの実施形態では、放射光102の指向性光ビームは、2次元(2D)ディスプレイのビューに対応する方向を有する。例えば、指向性光ビームは、2Dディスプレイ上に表示される2D画像を表す単一のビューを提供するように、実質的に同方向に向けることができる。同方向ではあるが、2D表示ビューに対応する指向性光ビームは、例えば、2Dディスプレイに対してある角度範囲から2D画像を見ることを容易にするために、広角の広がりを有することができる。他の実施形態(例えば、図7A図8を参照して以下に説明する)では、放射光102の指向性光ビームは、マルチビュー画像を表示するために使用されるマルチビューディスプレイの、様々なビュー又は同等に様々なビュー方向に対応する、様々な主角度方向を表す複数の異なる方向を有することができる。例えば、図3A図3Dの放射光102を示す矢印は、マルチビューディスプレイ又はマルチビュー画像の、5つの異なるビュー又はビュー方向に対応する、5つの異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビームを表すものといえる。
【0057】
いくつかの実施形態では、バックライト散乱要素100は、リフレクタ又は反射性アイランド140をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、リフレクタ又は反射性アイランド140は、回折格子130の範囲と位置合わせされ、その範囲に相当する範囲を有することができる。いくつかの実施形態では、反射性アイランド140のサイズs’は、図示のように、回折格子130のサイズsと等しいか、又はそれよりもいくらか大きくてもよい。例えば、反射性アイランドのサイズは、回折格子130のサイズsよりも約5パーセント(5%)~約30パーセント(30%)大きくてもよい。他の例では、反射性アイランドのサイズは、回折格子130のサイズsよりも、約2パーセント(2%)、約10パーセント(10%)、約15パーセント(15%)、約20パーセント(20%)又は約25パーセント(25%)大きくてもよい。
【0058】
様々な実施形態によれば、反射性アイランド140は、回折格子130によって回折散乱された光を、放射光102の方向に対応する方向に反射するように構成された、反射性材料又は反射性材料層を含む。すなわち、反射性アイランド140に向けられた回折散乱光は、反射性アイランド140によって反射的に方向転換され、したがって、回折格子130によって放射光102の方向に回折的に散乱された光に付加する、又はそれを増強することができる。結果として、様々な実施形態によれば、回折格子130及び反射性アイランド140は、組み合わされて、反射モード回折格子を表す。様々な実施形態によれば、反射性アイランド140の反射性材料には、反射性金属(例えば、アルミニウム、銀、金など)又は反射性ポリマー(例えば、アルミニウムポリマー複合材)、並びに様々な反射性フィルム、例えば、ミネソタ州セントポールの3M社によって製造されたVikuiti(商標)ESRなどの増強された鏡面リフレクタ(ESR)フィルムが含まれるが、これらに限定されない、実質的に任意の反射性材料を含むことができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、高屈折率導光層120は、反射性アイランド140と導光体110との間にあってもよい。これらの実施形態では、回折格子130は、(a)高屈折率導光層120と導光体110との間の界面、及び(b)高屈折率導光層120と反射性アイランド140との間の、一方又は両方に配置することができる。例えば、図3Aは、高屈折率導光層120と導光体110との間の界面に回折格子130を有しつつ、反射性アイランド140と導光体110との間に位置する、高屈折率導光層120を示す。さらに、反射性アイランド140は、図3Aに示すように、界面とは反対側の高屈折率導光層120の面に隣接している。
【0060】
図3Bでは、図示のように、高屈折率導光層120は、回折格子130と導光体110との間にある。さらに図3Bでは、反射性アイランド140は、導光体110と高屈折率導光層120との間の界面と反対側の、高屈折率導光層120の表面で回折格子130に隣接して配置されている。いくつかの実施形態では、反射性アイランド140の反射性材料は、回折格子130を実現する回折特徴部内に延在し、したがって回折特徴部を実質的に被覆又は充填する(例えば、隆起部又は溝を覆う)コンフォーマル層とすることができる。例えば、図3Bは、回折格子130の回折特徴部としての働きをする、高屈折率導光層120内の溝を充填するコンフォーマル層としての、反射性材料(例えば、金属又はアルミニウムポリマー複合材)を示す。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、回折格子130は、複数の回折格子を備えることができる。特に、図3Cに示されるように、回折格子130は、第1の回折格子130a、及び第2の回折格子130bを備えてもよい。第1の回折格子130aは、例えば、高屈折率導光層120と導光体110との界面に位置してもよく、第2の回折格子130bは、高屈折率導光層120の界面とは反対側の表面に位置してもよい。高屈折率導光層120の厚さ、又は同等に第1の回折格子130aと第2の回折格子130bの間隔は、10ミクロン(10μm)程度までであってもよい。いくつかの実施形態では、高屈折率導光層の厚さを、約10ナノメートル(10nm)~約5ミクロン(5μm)とすることができる。いくつかの実施形態では、高屈折率導光層の厚さを、約50ナノメートル(50nm)~約1ミクロン(1μm)とすることができる。さらに他の実施形態では、この厚さを、いくつかの実施形態で、約100ナノメートル(100nm)~約500ナノメートル(500nm)又はそれ以上としてもよい。例えば、この間隔を、約200ナノメートル(200nm)とすることができる。いくつかの実施形態では、この間隔又はこの厚さは、ピクセルのサイズ(例えば、ビューピクセル)に関連する。例えば、より大きなピクセルは、より大きな間隔、又は第1の回折格子130aと第2の回折格子130bとの間の高屈折率導光層の、より大きな厚さに対応する。いくつかの実施形態では、この間隔又は高屈折率導光層の厚さを、ピクセルサイズの約半分とすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、複数の回折格子には、3つ以上の回折格子(図示せず)を含むことができる。
【0062】
これらの実施形態のいくつかでは、複数の回折格子の回折格子は、互いに横方向にオフセット、変位、又はシフトすることができる。例えば、第1の回折格子130aは、第2の回折格子130bから横方向にオフセット(すなわち、横方向にシフト)することができる。いくつかの実施形態では、横方向のオフセットは、第1の回折格子130a及び第2の回折格子130bの、回折特徴部間の間隔よりも大きくてもよい。例えば、図3Cは、第2の回折格子130bからの横方向のオフセットlを有する、第1の回折格子130aを示しており、横方向のオフセットlは回折特徴部の間隔よりも大きい。他の実施形態では、第1の回折格子130aと第2の回折格子130bとの間の横方向オフセットlは、回折特徴部の間隔よりも小さくてもよく、さらに他の例では、第1の回折格子130a及び第2の回折格子130bは、互いに位置合わせされてもよく、すなわち、横方向のオフセットlは、実質的に0(l=約0)であってもよい。いくつかの実施形態によれば、第1の回折格子130aと第2の回折格子130bとの間の横方向オフセットlは、バックライト散乱要素100の回折散乱効率を調整、制御、又はさらには最適化するように構成することができる。
【0063】
上述した反射性アイランド140は、第1の回折格子130a及び第2の回折格子130bを含む、回折格子130と併せて使用することができる。例えば、図3Cは、高屈折率導光層120の表面上にある第2の回折格子130bに隣接する反射性アイランド140を示す。いくつかの実施形態では、反射性アイランド140の存在、及び横方向のオフセットlの両方によって、バックライト散乱要素100の回折散乱効率を高めることができる。
【0064】
図3Dは、導光体110、高屈折率導光層120、回折格子130、及び反射性アイランド140を備える、バックライト散乱要素100のさらに別の実施形態を示す。しかしながら、図3Dでは、高屈折率導光層120は、回折格子130の回折特徴部内にあるように実質的に閉じ込められている。例えば、高屈折率導光層120の厚さは、高屈折率導光層120の材料が、回折格子130を形成する導光体110の溝又はボイドにのみ残るような程度まで低減することができる。図3Dはまた、限定ではなく例として、ギャップgだけ導光体110から離れている反射性アイランド140を示す。例えば、ギャップgは、エアギャップであってもよく、又は導光体110の材料よりも小さい屈折率を有する光学材料(例えば、光学的に透明な接着剤)で充填されてもよい。明示的に示されていないが、上述のものを含むがこれらに限定されない様々な実施形態において、反射性アイランド140とバックライト散乱要素100の他の部分(例えば、高屈折率導光層120)との間にギャップを使用することもできる。
【0065】
上述の図3A図3Dは、放射光102が回折格子130によって散乱される、導光体110の第1の表面110’とは反対側の、第2の表面110’’で、又はそれに隣接して導光体110に光学的に接続された、バックライト散乱要素100の高屈折率導光層120を示す。しかしながら、様々な他の実施形態によれば、高屈折率導光層120は、第2の表面110’’の代わりに、第1の表面110’に光学的に接続されてもよく、又は導光体110自体の中に埋め込まれてもよい。
【0066】
図4Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素100の断面図を示す。具体的には、図4Aは、前述のように、導光体110、高屈折率導光層120、回折格子130を含むバックライト散乱要素100を示す。しかしながら、図4Aに示されるように、高屈折率導光層120は、第1の表面110’に光学的に接続され、回折格子130は、高屈折率導光層120の導光体110とは反対側の表面に設けられる。図4Aでは、回折格子130は、放射光102として導波光104の一部を回折的に散乱出力させるための、透過モード回折格子として動作することができる。
【0067】
図4Bは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素100の断面図を示す。具体的には、図4Bは、前述のように、導光体110、高屈折率導光層120、回折格子130を含むバックライト散乱要素100を示す。図4Aと同様に、図4Bでは、高屈折率導光層120は、導光体110の第1の表面110’に光学的に接続されている。ただし、本実施形態では、導光体110と高屈折率導光層120との間に回折格子130が設けられている。また、図4Bに示すように、回折格子130は、高屈折率導光層120を介して、導波光104の一部を回折的に散乱出力させて放射光102を提供する、透過モード回折格子として動作することができる。
【0068】
図4Cは、本明細書に記載の原理と一致する、さらに別の実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素100の断面図を示す。具体的には、図4Cは、図4Bに示す配置と同様の配置で、導光体110、高屈折率導光層120、回折格子130を含む、バックライト散乱要素100を示す。図4Cに示されるバックライト散乱要素100は、回折格子130に隣接する反射性アイランド140をさらに備える。回折格子130及び反射性アイランド140は、図示のように、高屈折率導光層120を介して導波光104の一部を回折的に散乱出力させて放射光102を提供する、反射モード回折格子として動作することができる。
【0069】
図5は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素100の断面図を示す。具体的には、図5は、上述のように、導光体110及び回折格子130を含む、バックライト散乱要素100を示す。さらに、図5に示すように、高屈折率導光層120は、回折格子130が導光体110内に埋め込まれたものである。具体的には、高屈折率導光層120は、限定ではなく例として図5に示すように、回折格子130の回折特徴部に閉じ込められている(例えば、回折特徴部は、高屈折率導光層120の材料を含む)。いくつかの実施形態では、導光体110は、最初に2つの別個の層(例えば、破線で示される)として設けてもよく、次いで高屈折率導光層120は、回折格子130の回折特徴部内に設けてもよく、2つの別個の層は接続されてもよい(例えば、導光体110又は高屈折率導光層120のいずれかの屈折材料に一致する屈折率を有する光学接着剤を用いて)。
【0070】
いくつかの実施形態(図示せず)では、図5のバックライト散乱要素100は、回折格子130に隣接する反射性アイランド140をさらに備えることができる。反射性アイランド140がある場合、回折格子130は、放射光102として導波光104の一部を回折的に散乱出力させる反射モード回折格子として動作することができ、反射性アイランド140がない場合、回折格子は、透過モード回折格子として動作することができる。
【0071】
高屈折率導光層120は、回折格子130の回折特徴部に閉じ込められたものとして図5に示されているが、代わりに、いくつかの実施形態では、高屈折率導光層120は、導光体110の2つの部分又は層の間に挟まれた層であってもよいことに留意されたい。さらに、回折格子130は、高屈折率導光層120と、導光体110の2つの層の一方又は両方との間の界面に画定されるか、又はそこに配置されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、高屈折率導光層120は、高屈折率材料の比較的薄い層であるか、又はそれを含むものとすることができる。いくつかの実施形態では、この薄い層は、回折格子130の回折特徴部をコーティング又は充填するように構成することができる。例えば、回折特徴部を約50ナノメートル(50nm)~約200ナノメートル(200nm)の高さにし、高屈折率導光層120の比較的薄い層を、回折特徴部の高さよりも小さくして、充填材のコンフォーマルコーティングを設けることができる。別の例では、回折格子130の回折特徴部を、約100ナノメートル(100nm)~約500ナノメートル(500nm)とし、比較的薄い層を、回折特徴部の高さよりも小さくすることができる。例えば、回折特徴部を約150ナノメートル(150nm)とし、高屈折率導光層120を約100~150nm未満とすることができる。
【0073】
図6は、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素100の断面図を示す。図示のように、バックライト散乱要素100は、前述のように、導光体110、高屈折率導光層120、回折格子130、及び反射性アイランド140を含む。しかしながら、この高屈折率導光層120は、図示のように、比較的薄い層である。特に、高屈折率導光層120は、回折格子130の回折特徴部をコンフォーマルにコーティング又は充填するのに十分な薄さのものとして示されている。例えば、図6に示す比較的薄い層を約100nmの厚さとし、回折格子130の回折特徴部を約200nmの高さにすることができる。図6に示すバックライト散乱要素100は、導光体110内にあるが、比較的薄い層を含む高屈折率導光層120は、例えば、少なくとも図3A図3C及び図4A図4Cに関して、上述した実施形態のいずれかを実施するために使用することができる。
【0074】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、バックライト散乱要素を含むマルチビューバックライトが提供される。図7Aは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト100’の断面図を示す。図7Bは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト100’の平面図を示す。図7Cは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューバックライト100’の斜視図を示す。
【0075】
図7A図7Cに示すマルチビューバックライト100’は、互いに異なる主角度方向を有する、複数の指向性光ビームとして(例えば、ライトフィールドとして)、放射光102を提供するように構成される。特に、様々な実施形態によれば、放射光102である提供された複数の指向性光ビームは、マルチビューバックライト100’を含むマルチビューディスプレイの、様々なビューのそれぞれのビュー方向に対応する様々な主角度方向に回折的に散乱出力され、マルチビューバックライト100’から離れるように向けられる。いくつかの実施形態では、放射光102の指向性光ビームは、マルチビューコンテンツ、例えばマルチビュー画像を有する情報の表示を容易にするために(例えば、以下で説明するように、マルチビューディスプレイにライトバルブを使用する)変調することができる。図7A図7Cはまた、以下でさらに詳細に説明される、ライトバルブアレイ150を示す。
【0076】
図7A図7Cに示すように、マルチビューバックライト100’は、導光体110、高屈折率導光層120、及び回折格子130を含む、バックライト散乱要素100を備える。いくつかの実施形態(例えば、図示されているような)では、マルチビューバックライト100’のバックライト散乱要素100は、反射性アイランド140をさらに含む。図示のように、導光体110及び高屈折率導光層120は、その長さに沿って光を導波光104(すなわち、導波光ビーム104)として導くように構成される。いくつかの実施形態によれば、導波光104は、非ゼロ伝播角度での全内部反射を用いて、コリメーション係数σに従って導かれる。図7Aでは、伝播方向103を示す太い矢印は、導波光104の伝播方向の概略を示す。
【0077】
図7A図7Cに示すように、バックライト散乱要素100の回折格子130は、導光体110の長さに沿って互いに離間した、マルチビーム要素アレイのマルチビーム要素として構成される。さらに、様々な実施形態によれば、マルチビーム要素アレイの各マルチビーム要素の回折格子130は、マルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する、複数の指向性光ビームを含む放射光102として、導波光の一部を回折的に散乱出力させるように構成される。図7A及び図7Cは、放射光102の指向性光ビームを、導光体110の放射面から離れるように描かれた、複数の発散矢印として示している。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、回折格子130、又はより一般にはマルチビーム要素アレイのマルチビーム要素は、一次元(1D)アレイ又は二次元(2D)アレイのいずれかとして構成することができる。例えば、回折格子130は、線形1Dアレイとして配置することができる。別の例では、回折格子130は、長方形の2Dアレイ又は円形の2Dアレイ(例えば、図7B図7Cに示すように)として配置することができる。さらに、このアレイ(すなわち、1D又は2Dアレイ)は、いくつかの例では、規則的又は一様なアレイとすることができる。具体的には、回折格子130間、又は同等に隣接するマルチビーム要素間の格子間距離(例えば、中心間距離又は間隔)は、マルチビーム要素アレイにわたって実質的に均一又は一定とすることができる。他の例では、回折格子130間の格子間距離は、マルチビーム要素アレイにわたって一方又は両方が変化してもよい。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、回折格子130を含むマルチビーム要素のサイズは、ライトバルブ150のアレイのライトバルブ150のサイズに相当する。本明細書では、「サイズ」は、長さ、幅、又は面積を含むがこれらに限定されないように、様々な方法のいずれかで定義することができる。例えば、ライトバルブ150のサイズをその長さとすることができ、マルチビーム要素の相当するサイズも、マルチビーム要素の長さとすることができる。別の例では、サイズとは、マルチビーム要素の面積がライトバルブ150の面積に相当するような、面積を指すこともある。
【0080】
いくつかの実施形態では、マルチビーム要素のサイズは、回折格子サイズがライトバルブのサイズの約25%(25%)~約200%(200%)であるように、ライトバルブサイズに相当する。他の例では、マルチビーム要素のサイズは、ライトバルブのサイズの約50パーセント(50%)超、又はライトバルブサイズの約60パーセント(60%)超、又はライトバルブサイズの約70パーセント(70%)超、又はライトバルブサイズの約80パーセント(80%)超であり、並びに、ライトバルブのサイズの約180パーセント(180%)未満、又はライトバルブサイズの約160パーセント(160%)未満、又はライトバルブサイズの約140パーセント(140%)未満、又はライトバルブサイズの約120パーセント(120%)未満となる範囲内にある。いくつかの実施形態によれば、回折格子130及びライトバルブ150の相当するサイズは、マルチビューディスプレイのビュー間の暗いゾーンを減らす、又はいくつかの例では最小化するように、選択することができる。さらに、回折格子130及びライトバルブ150を含むマルチビーム要素の相当するサイズは、マルチビューディスプレイ又はマルチビューディスプレイによって表示されるマルチビュー画像のビュー(又はビューピクセル)間の重なりを低減し、いくつかの例では最小化するように、選択することができる。
【0081】
図7A図7Cに示すマルチビューバックライト100’は、放射光102内にある複数の指向性光ビームの各指向性光ビームを変調するように構成されたライトバルブアレイ150をさらに備える、マルチビューディスプレイで使用することができる。図7A図7Cに示すように、異なる主角度方向を有する指向性光ビーム(矢印)の個々の1つが、ライトバルブアレイ内にあるライトバルブ150の個々の1つを通過し、それによって変調することができる。さらに、図示のように、ライトバルブ150のセットはマルチビューディスプレイのマルチビューピクセルに対応し、このセットの選択されたライトバルブ150は1つのビューピクセルに対応する。特に、ライトバルブアレイのライトバルブ150の異なるセットは、回折格子130を含むマルチビーム要素の対応する1つからの指向性光ビームを受け、変調するように構成される。すなわち、図示のように、バックライト散乱要素100の回折格子130を有する各マルチビーム要素に対して、ライトバルブ150の固有のセットがある。様々な実施形態では、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、及びエレクトロウェッティングに基づいたライトバルブのうちの1つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されない、様々なタイプのライトバルブをライトバルブアレイのライトバルブ150として、使用することができる。
【0082】
上述のように、マルチビューバックライト100’は、上述のバックライト散乱要素100を含むことができる。したがって、図3Aの配置と同様に見える配置で図7Aに示されているが、マルチビューバックライト100’の導光体110、高屈折率導光層120、回折格子130、及び反射性アイランド140は、例えば、図3A図6を具体的に参照して、バックライト散乱要素100に関して実質的に上述した構成のいずれかで、又は実施形態のいずれかに従って配置することができる。
【0083】
再び図7Aを参照すると、マルチビューバックライト100’は、光源160をさらに備えることができる。様々な実施形態によれば、光源160は、バックライト散乱要素100の導光体110と高屈折率導光層120との組み合わせ内で導かれることになる、光を提供するように構成される。様々な実施形態において、光源160は、LED、レーザ(例えば、レーザダイオード)、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、実質的に任意の光源(例えば、光エミッタ)を備えることができる。いくつかの実施形態では、光源160は、特定の色で示される狭帯域スペクトルを有する、実質的に単色の光を生成するように構成された光エミッタを備えることができる。特に、単色光の色は、特定の色空間又は色モデル(例えば、赤-緑-青(RGB)色モデル)の原色であってもよい。他の例では、光源160は、実質的に広帯域又は多色の光を提供するように構成された、実質的に広帯域の光源であってもよい。例えば、光源160は、白色光を提供することができる。いくつかの実施形態では、光源160は、異なる色の光を提供するように構成された、複数の異なる光エミッタを備えることができる。これらの異なる光エミッタは、異なる色の光の各々に対応する、導波光の異なる色固有の非ゼロ伝播角度を有する光を提供するように構成することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、光源160はコリメータをさらに備えることができる。コリメータは、光源160の光エミッタのうち1つ又はそれ以上から、実質的にコリメートされていない光を受け取るように構成することができる。コリメータはさらに、実質的にコリメートされていない光をコリメート光に変換するように構成することができる。具体的には、コリメータは、いくつかの実施形態によれば、非ゼロ伝播角度を有し、所定のコリメーション係数に従ってコリメートされる、コリメート光を提供することができる。さらに、様々な色の光エミッタが使用される場合、コリメータは、様々な色固有の非ゼロ伝播角度、及び/又は様々な色固有のコリメーション係数を有する、コリメート光を提供するように構成することができる。コリメータはさらに、コリメートされた光ビームを導光体110に伝達して、上述の導波光104として伝播するように構成される。
【0085】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、マルチビューディスプレイが提供される。図8は、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ200のブロック図を示す。図示のように、マルチビューディスプレイ200は、マルチビュー画像を提供するために変調することのできる、複数の指向性光ビーム202を放射するように構成される。具体的には、様々な実施形態によれば、複数の指向性光ビームの変調された指向性光ビーム202は、マルチビューディスプレイ200によって、又はマルチビューディスプレイ上に表示されるマルチビュー画像の、様々なビューのビュー方向のビューピクセルを表すことができる。
【0086】
図8に示すように、マルチビューディスプレイ200は、導光体210を備える。次に、導光体210は、第1の層212及び第2の層214を備える。様々な実施形態によれば、第2の層214の屈折率は、第1の層212の屈折率よりも大きい。いくつかの実施形態では、第1の層212は、導光体110と実質的に同様であってもよく、第2の層214は、上述のバックライト散乱要素100の高屈折率導光層120と実質的に同様であってもよい。特に、導光体210の第1の層212及び第2の層214は、例えば、図3A図6を具体的に参照して、バックライト散乱要素100に関して上述した構成のいずれかで、又は実施形態のいずれかに従って構成することができる。
【0087】
図8に示すように、マルチビューディスプレイ200は、導光体210に沿って互いに離間したマルチビーム要素220のアレイをさらに備える。様々な実施形態によれば、マルチビーム要素アレイの各マルチビーム要素220は、導光体210の第2の層214に隣接する回折格子を含む。したがって、いくつかの実施形態では、マルチビーム要素220は、回折マルチビーム要素220と呼ばれることがある。各マルチビーム要素220の回折格子は、マルチビューディスプレイ200のビュー方向(又は同等に、マルチビューディスプレイ200によって表示されるマルチビュー画像のビュー方向)に対応する方向を有する、複数の指向性光ビーム202として、導光体210内から導波光の一部を回折的に散乱出力させるように構成される。いくつかの実施形態では、マルチビーム要素220の回折格子は、バックライト散乱要素100に関して上述した回折格子130と、実質的に同様であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、導光体210とマルチビーム要素220との組み合わせは、バックライト散乱要素100と実質的に同様であってもよい。
【0088】
特に、いくつかの実施形態では、マルチビーム要素220の回折格子は、導光体210の第1の層212と第2の層214との間の界面に配置することができる。他の実施形態では、回折格子は、界面から離れて配置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、マルチビーム要素220の回折格子は、第1の層212と第2の層214との間の界面とは反対側の、第2の層214の表面に配置することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、マルチビーム要素220の回折格子は、一対の回折格子を含むことができる。例えば、マルチビーム要素220の回折格子は、第1の層212と第2の層214との間の界面に、又はそれに隣接して配置してもよく、マルチビーム要素220は、第1の層212と第2の層214との間の界面とは反対側の、第2の層214の表面に配置された、別の回折格子をさらに備えてもよい。これらの実施形態のいくつかでは、マルチビーム要素220の回折格子及びもう一方の回折格子は、互いに横方向のオフセットさせる、又は互いに対して変位させることができる。横方向のオフセットは、上述したように、これらの実施形態のいくつかに従って、マルチビーム要素220の回折散乱効率を最適化するように構成することができる。
【0090】
図8に示すマルチビューディスプレイ200は、ライトバルブアレイ230をさらに備える。ライトバルブアレイ230は、複数の指向性光ビームである指向性光ビーム202を変調して、マルチビュー画像を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、ライトバルブアレイ230は、マルチビューバックライト100’に関して上述した、ライトバルブアレイ150と実質的に同様であってもよい。具体的には、いくつかの実施形態では、ライトバルブアレイ230のライトバルブ230は、マルチビューピクセルを表し、(例えば、図7A図7Cに示すように)マルチビーム要素220の個々のものに関連付けられたグループ又はセットに配置することができる。
【0091】
いくつかの実施形態(図示せず)によれば、マルチビーム要素220は反射性アイランドをさらに備えることができる。具体的には、反射性アイランドは、マルチビーム要素の回折格子と位置合わせされ、それに対応するサイズを有することができる。様々な実施形態によれば、反射性アイランドは、複数の指向性光ビームの方向に対応する方向に回折格子によって散乱された光を、反射的に方向転換するように構成された反射材料を含む。反射性アイランドは、いくつかの実施形態では、上述のバックライト散乱要素100の反射性アイランド140と実質的に同様であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、マルチビーム要素220の回折格子の回折特徴部には、反射性アイランドの反射材料を含めることができる。
【0092】
マルチビューディスプレイ200は、導波光として光を導光体210に提供するように構成された、光源(図示せず)をさらに備えることができる。光源は、例えば、導光体210の入力端部又は表面に結合することができる。いくつかの実施形態では、光源は、バックライト散乱要素100に関して上述した、光源160と実質的に同様であってもよい。例えば、光源160は、非ゼロ伝播角度で、及び/又は所定のコリメーション係数σに従って、導波光として光を提供するように構成することができる。
【0093】
本明細書に記載の原理の、他の実施形態によれば、バックライト散乱要素の動作方法が提供される。図9は、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例におけるバックライト散乱要素の動作方法300のフロー図を示す。図9に示すように、バックライト散乱要素の動作方法300は、導光体内で導波光として光を導くステップ310を含む。光を導くステップ310に使用される導光体は、第1の層及び第2の層を備える。第2の層は、導光体の第1の層に含まれる材料よりも、高い屈折率を有する材料を含む。いくつかの実施形態によれば、この導光体は、マルチビューディスプレイ200に関して上述した導光体210、或いは上述したバックライト散乱要素100の導光体110と高屈折率導光層120との組み合わせと、実質的に同様であってもよい。したがって、光を導くステップ310では、導光体内の導波光として、全内部反射によって光が導かれる。いくつかの実施形態では、光は、非ゼロ伝播角度で導かれる。また、いくつかの実施形態では、導波光は、所定のコリメーション係数σに従ってコリメートされてもよい。
【0094】
図9に示すように、バックライト散乱要素の動作方法300は、導光体の第2の層に隣接して配置された回折格子を使用して、導光体から導波光の一部を放射光として回折的に散乱出力させるステップ320をさらに含む。いくつかの実施形態では、導波光の一部を回折的に散乱出力させるステップ320に使用される回折格子は、バックライト散乱要素100に関して上述した、回折格子130と実質的に同様であってもよい。
【0095】
いくつかの実施形態(図示せず)では、バックライト散乱要素の動作には、回折格子と位置合わせされ、且つ回折格子の範囲に相当する範囲を有する反射性アイランドを使用して、回折格子によって回折散乱された光を、放射光の方向に反射することを含めることができる。この反射性アイランドは、いくつかの実施形態では、上述のバックライト散乱要素100の反射性アイランド140と、実質的に同様であってもよい。いくつかの実施形態では、回折格子及び反射性アイランドは、組み合わされて、反射モード回折格子となる。
【0096】
いくつかの実施形態(図示せず)では、回折格子は、導光体の長さに沿って互いに離間した、マルチビーム要素のアレイのマルチビーム要素として構成することができる。マルチビーム要素アレイの各マルチビーム要素の回折格子は、マルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する複数の指向性光ビームを含む放射光として、ステップ320で導波光の一部を回折的に散乱出力させることができる。いくつかの実施形態では、回折格子を含むマルチビーム要素は、マルチビューディスプレイ200に関して上述した、マルチビーム要素220と実質的に同様であってもよい。
【0097】
いくつかの実施形態(例えば、図9に示す)では、バックライト散乱要素の動作方法300は、ライトバルブのアレイを使用して、二次元(2D)画像又はマルチビュー画像の一方又は両方を表示するように、放射光を変調するステップ330をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数のライトバルブは、マルチビューディスプレイ200に関して上述した、ライトバルブアレイ150と実質的に同様であってもよい。
【0098】
いくつかの実施形態(図示せず)では、バックライト散乱要素の動作方法は、光源を使用して導光体に光を提供することをさらに含む。提供された光は、導光体内で非ゼロ伝播角度を有することができる。且つ/又は、導波光はさらにコリメートすることができ、例えば、所定のコリメーション係数σに従ってコリメートすることができる。いくつかの実施形態によれば、光源は、バックライト散乱要素100又はマルチビューバックライト100’に関して上述した、光源160と実質的に同様であってもよい。
【0099】
このように、別の導光層の屈折率よりも大きい屈折率を有する導光層に隣接する回折格子を用いて、放射光として回折的に光を散乱出力させる、バックライト散乱要素、マルチビューディスプレイ、及びバックライト散乱要素の動作方法の例、及び実施形態の説明を行ってきた。上述の例は、本明細書に記載の原理を表す多くの具体例の、いくつかの例示にすぎないことを理解されたい。明らかに、当業者は、以下の特許請求の範囲によって規定される範囲から逸脱することなく、多数の他の構成を容易に考案することができる。
【符号の説明】
【0100】
10 マルチビューディスプレイ
12 スクリーン
14 ビュー
16 ビュー方向
20 光ビーム
30 回折格子
40 導光体
50 光ビーム
60 指向性光ビーム
100 バックライト散乱要素
100’ マルチビューバックライト
102 放射光
103 伝播方向
104 導波光、導波光ビーム
110 導光体
110’ 導光体110の第1の表面
110’’ 導光体110の第2の表面
120 高屈折率導光層
130 回折格子
130a 第1の回折格子
130b 第2の回折格子
140 反射性アイランド
150 ライトバルブ
150 ライトバルブアレイ
160 光源
200 マルチビューディスプレイ
202 指向性光ビーム
210 導光体
212 導光体210の第1の層
214 導光体210の第2の層
220 回折マルチビーム要素
230 ライトバルブ
230 ライトバルブアレイ
300 バックライト散乱要素の動作方法
310 導光体内で導波光として光を導くステップ
320 導波光の一部を放射光として回折散乱させるステップ
330 放射光を変調するステップ
O 原点
d 回折格子の機構間の距離
g ギャップ
l 横方向のオフセット
m 回折次数
n 導光体の屈折率
out 導光体外部の材料の屈折率
s 回折格子130のサイズ
s’ 反射性アイランド140のサイズ
λ 光の波長
θ 仰角
θ 入射角
θ 回折角
φ 方位角
σ コリメーション係数
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
【国際調査報告】