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  • 特表-逆流反応器のためのプロセス強化 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(54)【発明の名称】逆流反応器のためのプロセス強化
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/38 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
C01B3/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512860
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 US2020026404
(87)【国際公開番号】W WO2021040812
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/891,638
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023630
【氏名又は名称】エクソンモービル・テクノロジー・アンド・エンジニアリング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ExxonMobil Technology and Engineering Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【弁理士】
【氏名又は名称】新免 勝利
(74)【代理人】
【識別番号】100138885
【弁理士】
【氏名又は名称】福政 充睦
(72)【発明者】
【氏名】スコウリダス,アナスタシオス アイ
(72)【発明者】
【氏名】オニール,エベレット ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ガット,ジョセフ イー
(72)【発明者】
【氏名】コバリ,アンジャネヤ エス
【テーマコード(参考)】
4G140
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EA05
4G140EA06
4G140EB14
4G140EB33
(57)【要約】
少なくとも1つの吸熱反応及び少なくとも1つの補足的な発熱反応の実行のための逆流反応器を含む反応システムの熱管理及び/又は効率を改善するためのシステム及び方法が提供される。補足的な発熱反応は、逆流反応器システムの復熱領域において実行可能である。補足的な発熱反応を復熱領域に集積化することによって、補足的な発熱反応から生じる熱は、復熱領域中の熱伝達表面に吸収されることが可能である。次いで、吸収された熱を使用して、再生の間に実行される燃焼反応のための燃料及び酸化体の少なくとも一部を加熱することができ、したがって、再生ステップの終了時に所望の温度プロファイルを達成するために必要とされる燃焼の量が減少する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆流反応器の作動方法であって、逆流反応器の復熱領域において、燃料及び0.1体積%以上のOを含む燃料混合物の少なくとも一部分を、少なくとも1つの加熱された表面に暴露し、前記燃料混合物の少なくとも一部分を加熱すること;前記復熱領域において、燃焼条件下で前記燃料混合物を反応させ、燃焼ガスを形成し、前記逆流反応器の反応領域において、1つ又はそれ以上の再生表面を再生表面温度まで加熱し、前記反応領域は吸熱反応のための触媒組成物を含み、前記復熱領域は補足的な発熱反応のための触媒組成物を含むこと;前記反応領域において反応物の流れを前記1つ又はそれ以上の再生表面に暴露し、前記反応物の流れの温度を増加させること;前記反応領域において、吸熱反応条件下での前記吸熱反応のための前記触媒組成物に前記反応物の流れを暴露して、生成物の流れを形成し、前記反応領域中の前記反応物の流れの流れ方向が、前記燃料混合物の流れの方向に対して逆であること;前記復熱領域において、補足的な発熱反応条件下での前記補足的な発熱反応のための前記触媒組成物に前記生成物の流れを暴露して、反応した生成物の流れを形成し、前記復熱領域において、前記少なくとも1つの加熱された表面を加熱することを含む、方法。
【請求項2】
前記吸熱反応のための前記触媒組成物が改質触媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応物の流れが改質可能な炭化水素及び蒸気を含み、且つ前記生成物の流れが水素を含み、且つ前記改質可能な炭化水素がメタンを任意選択的に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記補足的な発熱反応のための前記触媒組成物が水性ガスシフト触媒を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記水性ガスシフト触媒が高温水性ガスシフト触媒、前記反応領域における前記改質触媒と任意選択的に異なる第2の改質触媒、又はその組合せを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記補足的な発熱反応のための前記触媒組成物が、メタノール合成触媒、メタノール変換触媒又はその組合せを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記補足的な発熱反応のための前記触媒組成物が、オレフィンオリゴマー化触媒を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記補足的な発熱反応のための前記触媒組成物が、オレフィン製造用のフィッシャー-トロプシュ触媒を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記燃料混合物は、前記燃料混合物の流れの方向に対して、前記補足的な発熱反応のための前記触媒組成物の下流で燃焼する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記燃料及び前記Oの少なくとも1つは、前記補足的な発熱反応のための前記触媒組成物に暴露されない、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記生成物の流れが、外部熱交換段階を通過する前に、前記補足的な発熱反応のための前記触媒組成物に暴露される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記燃焼ガスが420℃以上の温度を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記吸熱反応条件が600℃以上の温度を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆流反応器における改善された作動及び熱管理に関する。
【背景技術】
【0002】
逆流反応器は、サイクル反応条件のプロセスにおいて使用するために有益である反応器の種類の一例である。例えば、改質反応の吸熱性のため、一貫した基準上で改質反応環境に追加的な熱を導入する必要がある。逆流反応器は、反応環境に熱を導入するための効率的な様式を提供することが可能である。改質又は別の吸熱反応のために使用される反応サイクルの一部分の後に、次の改質ステップに備えて反応環境に熱を加えるための燃焼又は別の発熱反応のための反応サイクルの第2の部分を使用することが可能である。特許文献1及び特許文献2は、サイクル反応環境において種々の吸熱プロセスを実行するための逆流反応器を使用することの例を提供する。吸熱プロセスに使用される高い温度のため、増加した熱効率を提供する逆流反応システムへのさらなる改善が望ましい。
【0003】
特許文献3は、蒸気改質と、それに続く、高温及び高圧での残留炭化水素の不完全燃焼による、逆流反応器中での合成ガスの製造を記載する。追加的な合成ガスを提供することに加えて、不完全燃焼によって、反応器に熱が提供される。特許文献3に記載される方法では、流れの逆転は、蒸気改質及び不完全燃焼を実行するための反応物の流れのインプットに使用される反応器の終端を交互させることによって達成される。得られた合成ガスは、次いで、メタノールの製造用に使用することができる。
【0004】
特許文献4は、圧力スイング改質器などの交互フローシステムでの使用に適切な、その場の気化器及び復熱器を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,815,873号明細書
【特許文献2】米国特許第8,754,276号明細書
【特許文献3】米国特許第7,740,289号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2012/0111315号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
種々の態様において、逆流反応器の作動方法が提供される。本方法は、逆流反応器の復熱領域において、燃料及び0.1体積%以上のOを含む燃料混合物の少なくとも一部分を、少なくとも1つの加熱された表面に暴露し、燃料混合物の少なくとも一部分を加熱することを含む。本方法は、復熱領域において、燃焼条件下で燃料混合物を反応させ、燃焼ガスを形成し、逆流反応器の反応領域において、1つ又はそれ以上の再生表面を再生表面温度まで加熱することをさらに含む。反応領域は吸熱反応のための触媒組成物を含むことができる。復熱領域は補足的な発熱反応のための触媒組成物を含むことができる。本方法は、反応領域において反応物の流れを1つ又はそれ以上の再生表面に暴露し、反応物の流れの温度を増加させることをさらに含む。本方法は、反応領域において、吸熱反応条件下での吸熱反応のための触媒組成物に反応物の流れを暴露し、生成物の流れを形成することをさらに含む。反応領域中の反応物の流れの流れ方向は、燃料混合物の流れの方向に対して逆であるが可能である。加えて、本方法は、復熱領域において、補足的な発熱反応条件下での補足的な発熱反応のための触媒組成物に生成物の流れを暴露して、反応した生成物の流れを形成し、そして復熱領域において、少なくとも1つの加熱された表面を加熱することを含む。
【0007】
いくつかの態様において、吸熱反応のための触媒組成物の一例は、改質触媒であることが可能である。そのような態様において、反応物の流れは、改質可能な炭化水素及び蒸気を含むことができ、そして生成物の流れは水素を含むことができる。
【0008】
補足的な発熱反応のための触媒組成物の例としては、限定されないが、水性ガスシフト触媒、メタノール合成触媒、メタノール変換触媒、オレフィンオリゴマー化触媒、オレフィン製造のためのフィッシャー-トロプシュ(Fischer-Tropsch)触、又はその組合せを挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】逆流反応器を使用する炭化水素の改質のための配置の例を示す。
図2】逆流反応器の作動の例を概略的に示す。
図3】逆流反応器の例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書中の詳細な説明及び請求の範囲内の全ての数値は、示された値が「約(about)」又は「およそ(approximately)」によって修飾され、当業者によって予期される実験誤差及び変動が考慮される。
【0011】
種々の態様において、少なくとも1つの吸熱反応及び少なくとも1つの補足的な発熱反応の実行のための逆流反応器を含む反応システムの熱管理及び/又は効率を改善するためのシステム及び方法が提供される。補足的な発熱反応は、逆流反応器システムの復熱領域において実行可能である。補足的な発熱反応を復熱領域に集積化することによって、補足的な発熱反応から生じる熱は、復熱領域中の熱伝達表面に吸収されることが可能である。次いで、吸収された熱を使用して、再生の間に実行される燃焼反応のための燃料及び酸化体の少なくとも一部を加熱することができ、したがって、再生ステップの終了時に所望の温度プロファイルを達成するために必要とされる燃焼の量が減少する。追加的に、補足的な発熱反応を逆流反応システムに集積化することによって、失われる熱量、及び/又は熱交換器の使用などによって別の熱回収ステップから回収される必要がある熱量を減少又は最小化することができる。
【0012】
高温で吸熱反応を実行する場合、逆流反応器及び/又は反応サイクルの異なる段階で反対方向の流れを有する他の反応器が有用となる可能性がある。高温の例は、600℃以上、又は800℃以上、例えば1600℃まで、若しくは可能であればそれより高い温度に相当する。逆流反応器を作動させる際の種々の課題は、反応サイクルの間の熱管理に関連する。例えば、インプット流を加熱するために実質的なエネルギーの量が必要とされる。追加的に、逆流反応器からの排出流は実質的な熱を含有し、追加的な熱回収を必要とする。これは、改質の間に生じる合成ガス生成物、又は脱水素反応の間に生じるオレフィン及び芳香族生成物などの吸熱反応からの生成物に相当する排出流を含む。そのような熱回収ステップは熱交換器をしばしば含み、それによって熱効率が制限される。
【0013】
逆流反応器の作動の間、第1の方向からの流れは燃焼又は再生流に相当し、所望の温度まで反応器内の反応領域を加熱するために使用することができる。次いで、反対方向での流れを使用して、所望の吸熱反応のための試薬を反応器に通過させることができる。再生ステップの間に反応器内に貯蔵された熱は、所望の吸熱反応に熱を提供するために使用される。吸熱反応からの反応生成物を復熱領域に通すことが可能であり、そこでは反応生成物からの熱の一部分は復熱領域の熱伝達表面に伝達される。次いで、復熱領域で貯蔵された熱を使用して、燃焼又は再生流の少なくとも一部分を加熱することができる。
【0014】
種々の態様において、生成物排出流において補足的な発熱反応を実行することによって、復熱領域で追加的な熱を回収することができる。補足的な発熱反応のための触媒を、逆流反応システムの復熱領域に集積化することができる。復熱領域において補足的な発熱反応を実行することによって、補足的な発熱反応によって生じる熱は、復熱器中にすでに存在する熱伝達表面によって吸着されることが可能である。次いで、追加的な吸着された熱は、再生の間に燃焼反応のために使用される燃料及び/又は酸化体に伝達されることが可能である。
【0015】
補足的な発熱反応を復熱領域に集積化することによって、いくつかの利点を潜在的に提供することができる。第一に、復熱領域で補足的な発熱反応を実行することによって、高温に維持されることが必要とされる別個のプロセス要素の数を減少させることができる。それぞれの別個の高温プロセス要素は、環境へのエネルギー(熱)損失に影響を受けやすいため、高温プロセス要素の数を減少させることによって全体的な熱効率を改善することができる。別の利点は、プロセス効率を改善するために必要とされる熱交換器の数を減少又は最小化することができる。補足的な発熱反応が別々の容器で実行される場合、第1の反応器容器及び補足的な発熱反応のための容器の両方の後の熱回収のために別々の熱交換器が必要とされる。対照的に、復熱領域中で補足的な発熱反応を実行することによって、単一の熱交換段階を、第1の反応器で生じる反応の全てからの熱回収のために使用することができる。その結果として、反応器からの排出を外部熱交換段階に通過させる前に、補足的な発熱反応を実行することができる。追加的に、復熱領域内で生じる熱伝達は、熱を提供する材料及び熱を受け取る材料が直接接触している直接熱伝達に相当する。これは、熱交換器で生じる間接熱伝達とは対照的である。間接熱伝達では、第1の流体からの熱を第2の流体に通過させるために、導管又は容器の壁を通して伝達する。
【0016】
実行される補足的な発熱反応の種類は、吸熱反応の性質次第であることが可能である。炭化水素改質が、反応サイクルの間に実行される吸熱反応である場合、1つの適切な補足的な発熱反応は、改質によって生じる合成ガス中のCOに対するHの比率を調整するための高温水性ガスシフト反応であることが可能である。この議論において、炭化水素改質及び水性ガスシフト反応は、本発明の原理を示すための吸熱反応及び補足的な発熱反応の一例として使用される。吸熱反応及び補足的な発熱反応の他の都合のいい組合せを使用することもできるものと理解される。例えば、別の選択肢は、発熱ステップとしての合成ガスからのオレフィンのフィッシャー-トロプシュ(Fischer-Tropsch)合成と組み合わせた、吸熱ステップとしての炭化水素改質であることが可能である。そのような態様において、補足的な反応は、フィッシャー-トロプシュプロセスによるオレフィンの合成のために適切な触媒の存在下で実行することができる。フィッシャー-トロプシュプロセスによるオレフィン製造のための適切な触媒としては、例えば、鉄ベースのフィッシャー-トロプシュ触媒、例えば、非反応性の担体上に担持された鉄粒子に相当する触媒及び/又はマンガン促進鉄ベース触媒が含まれる。さらに別の例として、アルカン脱水素が吸熱ステップとして実行される場合、補足的な発熱ステップとしてオレフィンオリゴマー化を実行することができる。
【0017】
この議論において、逆流反応器での反応サイクルは、吸熱反応が実行される反応ステップ、及び「第1の」発熱反応が実行される再生ステップを含むことができる。「第1の」発熱反応は、再生ステップの間に反応領域を加熱するために使用される燃焼反応に相当する。補足的な発熱反応は、反応ステップの間に復熱領域で実行される発熱反応に相当する。
【0018】
この議論において、特に明記されない限り、全ての体積比は、比率の量が標準温度及び圧力(20℃、100kPa)における体積に基づいて示される体積比に相当する。これによって、比較される2つの燃焼ガス体積が異なる温度及び圧力で存在し得るとしても、体積比率を一貫して明示することが可能となる。反応器中に供給される燃焼ガスに関して体積比が示される場合、標準条件下の単位時間の間のガスの相当する流速を比較のために使用することが可能である。
【0019】
プロセス例-集積化された水性ガスシフトによる逆流改質及び再生
逆流反応器システム中で実行可能な吸熱反応の例は、HOの存在下の蒸気改質条件下、COの存在下の乾燥改質条件下、又は反応環境中にHO及びCOの両方が存在する条件下での炭化水素の改質である。逆流反応器などのスイング反応器中での改質の間の作動の一般概要として、反応サイクルの再生ステップ又は部分を使用して反応器のための熱を提供することができる。次いで、改質はサイクルの改質ステップ又は部分の間に生じることが可能であり、改質反応によって、反応器再生ステップの間に提供された熱が消費される。反応器再生の間、反応器の再生終端から燃料及び酸化体が反応器に導入される。燃料及び酸化体は、反応器の再生終端から反応領域の方へ移動して、復熱領域を通過する。反応器の復熱領域の層及び/又はモノリスは、熱を吸収することができるが、典型的に改質のための触媒を含まない。しかしながら、補足的な発熱反応のための触媒は、復熱領域に含まれることが可能である。燃料及び酸化体が復熱領域を通過すると、熱は復熱領域から燃料及び酸化体に伝達する。燃焼はすぐには生じないが、その代わりに、燃焼の位置は、反応器の中央の部分で生じるように制御される。再生ステップの間、反応物の流れは続き、反応器の改質終端(したがって、反応領域)中への燃焼から生じる熱の追加的な伝達が導かれる。
【0020】
十分な時間の後、燃焼反応は停止される。いずれの残留燃焼生成物及び/又は反応物も、任意選択的に除去が可能である。次いで、反応サイクルの改質ステップ又は部分を開始することができる。改質のための反応物は、反応器の改質端部中に導入可能であり、したがって、再生の間のフローに対して反対方向で有効に流動することができる。反応器の改質部分中の層及び/又はモノリスは、改質のための触媒を含むことができる。種々の態様において、触媒の少なくとも一部分は、本明細書中に記載されるセラミック組成物から形成される触媒に相当することが可能である。改質が生じると、燃焼の間に改質領域に導入される熱は、吸熱改質反応によって消費されることが可能である。改質領域を出た後、改質生成物(及び未反応反応物)は、改質触媒にもはや暴露されない。改質生成物が復熱領域を通り抜けた後、生成物から再生領域へ熱を伝達することができる。追加的に、補足的な発熱反応のための触媒が存在する態様において、追加的な熱を生じるために、補足的な発熱反応を実行することができる。十分な時間の後、改質プロセスは停止可能であり、残りの改質生成物は、任意選択的に反応器から回収又は除去されることが可能であり、そしてサイクルを再び再生ステップによって開始することができる。
【0021】
反応器内で実行される改質反応は、HOの存在下、蒸気改質を使用して、COの存在下、乾燥改質を使用して、又はHO及びCOの両方の存在下、「バイ(bi)」改質を使用して、メタン及び/又は他の炭化水素を改質することに相当すること可能である。メタンの蒸気、乾燥及び「バイ」改質に関する化学量論の例は方程式(1)~(3)に示される。
(1)乾燥改質:CH+CO=2CO+2H
(2)蒸気改質:CH+HO=CO+3H
(3)バイ改質:3CH+2HO+CO=4CO+8H
【0022】
方程式(1)~(3)に示すように、乾燥改質は、蒸気改質よりも低いCOに対するHの比率を生じることが可能である。蒸気のみで実行される改質反応は、2.5~3.5などの約3のCOに対するHの比率を一般に生じることが可能である。対照的に、COの存在下で実行される改質反応は、COに対するHのより低い比率、おそらく約1.0以下の比率を生じることが可能である。改質の間にCO及びHOの組合せを使用することにより、改質反応は、得られる合成ガス中で広範囲のCOに対するHの比率を生じるように潜在的に制御可能である。
【0023】
方程式(1)~(3)に示される改質反応は吸熱反応である。商業規模の改質での課題の1つは、所望の合成ガス生成物中への追加成分の導入を減少又は最小化しながら、効率的な様式で改質反応を実行するために熱を提供することである可能性がある。逆流反応器システムなどの周期的反応システムは、改質ステップ及び再生ステップを含むサイクルを有することによって、望ましい様式で熱を提供することができる。再生ステップの間、燃焼は反応器の選択された領域内で実行可能である。再生の間のガスフローは、この熱を燃焼領域から反応器中の改質領域の追加的な部分の方へ伝達することを補助することができる。燃焼からの生成物を反応物及び/又は改質からの生成物中に組み込むことを減少又は最小化することができるように、サイクル内での改質ステップは別々のステップであることが可能である。改質ステップは熱を消費することが可能であり、そして、それによって改質領域の温度を減少することができる。
【0024】
合成ガスのCOに対するHの比率が水性ガスシフト平衡に依存する可能性もあることに留意されたい。方程式(1)~(3)の化学量論は、乾燥改質及び蒸気改質のために、それぞれ約1又は約3の比率を示すが、合成ガス中のH及びCOの平衡量は、反応化学量論とは異なる可能性がある。平衡量は、反応(4)HO+CO<=>H+COに基づく、H、CO、CO及びHOの濃度に関連する、水性ガスシフト平衡に基づいて決定することができる。
【0025】
ロジウム及び/又はニッケルなどのほとんどの改質触媒は、水性ガスシフト触媒としても有用となることが可能である。したがって、H及びCOを製造するための反応環境にHO及び/又はCOも含まれる場合、改質反応からの最初の化学量論は、水性ガスシフト平衡に基づいて変更されてもよい。しかしながら、この平衡は温度依存性でもあり、CO及びHOの製造のためにより高い温度が好ましい。結果として、合成ガスを形成する時に生じるCOに対するHの比率は、合成ガスが製造される時の反応領域における温度での水性ガスシフト平衡によって抑制される。
【0026】
合成ガス中のHOに対するCOの比率をさらに変更するために、別の高温水性ガスシフト触媒を逆流反応器の復熱領域中に含ませることができる。高温水性ガスシフト触媒の例は、酸化鉄及び酸化クロムの混合物を含む触媒である。上記の通り、本明細書に記載される改質触媒は、高温環境で水性ガスシフト活性を提供することもできる。水性ガスシフト反応によってCOに対するH量の増加が得られるように、復熱領域は、反応領域よりも低温であることが可能である。例えば、反応領域の温度は600℃以上であることが可能であるが、復熱領域の温度は300°C~450℃であることが可能である。任意選択的に、希釈剤中に存在する水の量を増加させること及び/又は希釈剤中のCOの量を減少させることによって、Hの製造の方へ平衡をさらに引き起こすことができる。
【0027】
復熱領域中で補足的な水性ガスシフト反応(又は別の補足的な発熱反応)を実行することによって、いくつかの利点を達成することができる。第一に、上記の通り、反応領域よりも低い温度で水性ガスシフトを実行することにより、COに対するHの潜在的により好ましい比率を合成ガス中で達成することができる。第二に、その後の再生ステップで使用するために、追加的な熱を回収することができる。水性ガスシフト反応において、HO及びCOからのH及びCOの形成は発熱性である。したがって、復熱領域は、合成ガス生成物から熱を吸着することに加えて、発熱水性ガスシフト反応によって放出される熱を吸着することもできる。復熱領域において利用可能な熱を増加させることによって、再生の間に燃焼する燃料の量の相当する減少が可能になる。第三に、復熱領域で水性ガスシフト反応を実行することは、追加的な容器及び/又は反応器体積が高温で維持されないことを意味する。これによって、反応システムに関するフットプリントは減少し、そしてまた環境への熱の損失も減少又は最小化される。
【0028】
メタンのための1つの共通供給源は、天然ガスである。いくつかの用途において、関連する炭化水素及び不純物ガスを含む天然ガスは、改質反応のための供給として使用されてもよい。供給される天然ガスは、スイートイングされ、且つ/又は脱水された天然ガスであってもよい。天然ガスは、一般に、好ましくはメタンより低い濃度で、種々の濃度のエタン及び他のアルカンなどの関連ガスを含む。供給される天然ガスは、HS及び窒素などの不純物を含み得る。より一般に、改質のための炭化水素供給は、メタン及び/又は他の炭化水素のいずれかの都合のよい組合を含むことができる。任意選択的に、改質供給物は、アルコール又はメルカプタンなどのいくつかの炭化水素系化合物を含んでもよい。炭化水素系化合物は、炭化水素と類似であるが、炭素及び水素とは異なる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含む。いくつかの態様において、供給物中に存在する追加的な成分は、改質サイクルなどの還元サイクルの間に触媒モノリスに吸着可能な硫黄などの不純物に相当することができる。そのような不純物は、その後のサイクルで酸化されて、硫黄酸化物を形成することが可能であり、これは、次いで、反応環境中に追加的な硫黄含有成分(又は他の不純物含有成分)を放出するために、還元することが可能である。
【0029】
いくつかの態様において、改質のための供給物は、改質のための供給物中の炭化水素の全重量と比較して、5重量%以上、又は10重量%以上、又は15重量%以上、又は20重量%以上、例えば最高50重量%まで、又は可能であればさらに高い重量%のエタン又はプロパンなどのC2+化合物を含むことができる。なお、HO及びCOなどの燃焼環境中で非反応性である窒素及び/又は他のガスも改質のための供給物中に存在してもよい。改質器がオンボード改質環境に相当する態様において、そのような非反応性生成物は、例えば改質器中への排気ガスのリサイクルに基づき、供給物に任意選択的に導入可能である。その上、又は代わりに、改質のための供給物は、40重量%以上、又は60重量%以上、又は80重量%以上又は95重量%以上のメタンを含むことが可能であり、例えば供給物はメタンから実質的に構成される(98重量%以上)ことができる。改質が蒸気改質に相当する態様において、供給物中の炭素原子に対する蒸気分子のモル比は0.3~4.0であることが可能である。なお、エタンは1分子あたり2個の炭素原子を有するが、メタンは1分子あたり1個の炭素原子を有する。改質が乾燥改質に相当する態様において、供給物中の炭素原子に対するCO分子のモル比は、0.05~3.0であることが可能である。
【0030】
逆流反応器の改質領域内で、温度は、熱がどのように反応器に加えられるかという性質、及び/又は改質反応の動力学のために、領域を越えて異なることが可能である。領域の最高温度部分は、典型的に反応器の中央部分の付近に見ることができる。この中央部分を、再生の間に燃焼が開始する混合領域と記載することができる。混合領域の少なくとも一部分は、改質触媒を有するモノリスが混合領域に延在する場合、改質領域の部分に相当することができる。その結果として、再生の間に燃焼が開始する位置は、典型的に反応器内の改質領域の端部に近くなることが可能である。なお、反応器のいくつかの部分が燃焼領域及び反応領域の両方に相当することが可能であるように、反応器内の燃焼触媒の位置が反応器内で改質触媒の位置と重なり合うことが可能である。反応器の中心から反応器の端部へと温度が減少することができる。その結果として、(反応器の端部の)改質領域の開始における温度は、(反応器の中央部分の)改質領域の端部における温度より冷たくなることが可能である。
【0031】
改質反応が起こると、改質領域内の温度は減少することが可能である。温度の減少速度は、改質するために利用可能な炭化水素の量及び/又は改質領域の所与の位置における温度の動力学因子に関連することが可能である。改質供給物が改質領域を端部まで移動すると、供給物の反応物を消費することが可能であり、それによって、下流位置で生じる改質の量を減少させることができる。しかしながら、反応物が改質領域を横切って移動する時の改質領域の温度の増加によって、反応速度の増加を導くことができる。
【0032】
約500℃において、改質のための反応速度を十分に減少させることが可能であり、追加的な改質がほとんど生じないか、生じないであろう。その結果として、いくつかの態様において、改質反応が進行すると、改質領域の開始部分は十分に冷却することが可能であり、改質領域の一部分の範囲内で改質反応を有効に停止させる。これによって、反応器内での改質が開始する位置を、改質領域の開始に対してさらに下流である位置に移動させることが可能である。改質領域の十分な部分が500℃未満、又は600℃未満の温度を有する場合、反応サイクル中の改質ステップを停止させて、再生を実行することが可能となる。代わりに、再生の間に反応器に導入される熱量に基づいて、改質の間に消費される熱(及び環境への熱損失)量は、再生の間に加えられる熱量とほぼバランスがもたらされるように、反応時間の量に基づき、反応サイクルの改質部分を停止させることができる。改質プロセスが停止された後、まだ反応器中にあるいずれの残留する合成ガス生成物も反応サイクルの再生ステップを開始する前に任意選択的に回収することができる。
【0033】
次いで、再生プロセスを開始することができる。再生の間にメタン、天然ガス又はH及び酸素などの燃料を反応器に導入し、燃焼することができる。燃料及び酸化体を混合することのできる位置は、別々のチャネルを通して燃料及び酸化体を導入するなどのいずれかの都合のよい方法によって制御可能である。再生の間、反応物が反応器の中心部に到達するまで、燃焼を遅らせることによって、反応器の非改質終端をより低い温度に維持することができる。これによって、反応器の中央部分で温度ピークを得ることができる。温度ピークは、改質触媒も含む反応器の一部分の範囲内にあることができる。再生サイクルの間、サイクルの改質部分の間に改質が可能となるために十分に、改質反応器内の温度を増加させることができる。これによって、1100℃以上、又は1200℃以上、又は1300℃以上、或いは潜在的にさらにより高い温度の反応器内ピークの温度を得ることができる。
【0034】
プロセスサイクルの改質及び再生部分に関する相対的な時間の長さ及び反応物流速は、再生の間に提供される熱と、改質の間に消費される熱との間でバランスがもたらされるように選択可能である。例えば、1つの選択肢は、再生ステップと類似の長さを有する改質ステップを選択することであることが可能である。改質ステップの間の炭化水素、HO及び/又はCOの流速に基づき、改質反応に関する吸熱性の熱需要を決定することができる。次いで、この熱需要を使用して、再生ステップの間の燃焼反応物に関する流速を算出することができる。もちろん、他の態様において、改質及び再生の間の熱のバランスを、反応物の所望の流速を決定して、次いで、再生によって提供される熱と改質の間に消費される熱とのバランスがもたらされるようにサイクル長さを選択することによってなどの他の様式で決定することができる。
【0035】
熱を提供することに加えて、反応サイクルの間の反応器再生ステップは、改質領域中で触媒からのコーク除去を可能にすることもできる。種々の態様において、再生ステップの間、1つ又はそれ以上の種類の触媒再生が潜在的に起こることが可能である。触媒再生の1種は、触媒からのコークの除去に相当することが可能である。改質の間、改質領域に導入される炭化水素の一部分は、CO又はCOを形成する代わりにコークを形成することができる。このコークは、触媒の触媒部位(金属部位など)へのアクセスを潜在的に妨害する可能性がある。いくつかの態様において、形成速度は、800℃以上、又は900℃以上、又は1000℃以上の温度まで暴露される改質領域の部分などの、より高い温度に暴露される改質領域の部分において増加することが可能である。再生ステップの間、改質領域の温度が増加した時に、酸素が存在することが可能である。再生の間に達する温度において、改質の間に生じるコークの少なくとも一部分はCO又はCOとして除去されることが可能である。
【0036】
反応器内での温度の変動のため、反応器内、及び/又は反応器の改質領域内の温度を特徴づけるために、いくつかの選択肢を使用することができる。温度を特徴づけるための1つの選択肢は、改質領域内の平均的層又は平均モノリス温度に基づくものであることが可能である。実際的な設定において、反応器内の温度の決定は、熱電対などの測定デバイスの存在を必要とする。改質領域内の温度を測定することを試みるよりは、むしろ、改質領域内の平均(層又はモノリス)温度は、改質領域の開始における温度及び改質領域の端部における温度の平均に基づいて定義することができる。別の選択肢は、反応サイクルの再生ステップ後の改質領域内のピーク温度を特徴づけることであることが可能である。一般に、ピーク温度は、改質領域の端部又はその付近で生じることが可能であり、燃焼が反応器中で開始する位置次第であり得る。さらに別の選択肢は、反応サイクル内の異なる時間における反応領域内の所与の位置における温度差を特徴づけることであることが可能である。例えば、温度差は再生ステップの端部における温度と改質ステップの端部における温度との間で決定することができる。そのような温度差は、反応器内のピークの温度の位置、改質領域への入口、改質領域からの出口、又は他のいずれかの都合のよい位置で特徴づけることができる。
【0037】
種々の態様において、炭化水素改質のための反応条件は、400℃~1200°(又はそれ以上)の範囲の平均改質領域温度;800℃~1500℃の改質領域内のピークの温度;25℃以上、又は50℃以上、又は100℃以上、又は200℃以上、例えば最高800℃、又は可能であればさらにより高い温度の再生ステップの端部とその後の改質ステップの端部との間のピーク温度の位置における温度差;25℃以上、又は50℃以上、又は100℃以上、又は200℃以上、例えば最高800℃、又は可能であればさらにより高い温度の再生ステップの端部とその後の改質ステップの端部との間の改質領域への入口における温度差;及び/又は25℃以上、又は50℃以上、又は100℃以上、又は200℃以上、例えば最高800℃、又は可能であればさらにより高い温度の再生ステップの端部とその後の改質ステップの端部との間の改質領域からの出口における温度差の1つ又はそれ以上を含むことができる。
【0038】
平均改質領域温度に関して、種々の態様において、改質領域のための平均温度は、500℃~1500℃、又は400℃~1200℃、又は800℃~1200℃、又は400℃~900℃、又は600℃~1100℃、又は500℃~1000℃であることが可能である。その上、又は代わりに、(おそらく再生反応物の燃焼のための位置に近い改質領域における位置に相当する)改質領域のピークの温度に関して、ピークの温度は、800℃~1500℃、又は1000℃~1400℃、又は1200℃~1500℃、又は1200℃~1400℃であることが可能である。
【0039】
その上、又は代わりに、炭化水素改質の反応条件は、0psig~1500psig(10.3MPa)、又は0psig~1000psig(6.9MPa)、又は0psig~550psig(3.8MPa)の圧力;及び1000時間-1~50,000時間-1の改質反応物の気体空間速度を含むことができる。空間速度は、単位時間あたりのモノリスの体積に対する反応物の体積に相当する。モノリスの体積は、固体円柱である場合のモノリスの体積として定義される。
【0040】
いくつかの態様において、高温で改質反応を作動することの利点は、改質供給物中のメタン及び/又は他の炭化水素の実質的に全てを変換する能力であることが可能である。例えば、水が改質反応環境中に存在する改質プロセス(すなわち、蒸気改質又はバイ改質)に関して、反応条件は、改質供給物中のメタンの10重量%~100重量%、又は20重量%~80重量%、又は50重量%~100重量%、又は80重量%~100重量%、又は10重量%~98重量%、又は50重量%~98重量%の変換のために適切であることが可能である。その上、又は代わりに、反応条件は、改質供給物中の炭化水素の10重量%~100重量%、又は20重量%~80重量%、又は50重量%~100重量%、又は80重量%~100重量%、又は10重量%~98重量%、又は50重量%~98重量%の変換のために適切であることが可能である。
【0041】
他の態様において、二酸化炭素が改質反応環境中に存在する改質プロセス(すなわち、乾燥改質又はバイ改質)に関して、反応条件は、改質供給物中のメタンの10重量%~100重量%、又は20重量%~80重量%、又は50重量%~100重量%、又は80重量%~100重量%、又は10重量%~98重量%、又は50重量%~98重量%の変換のために適切であることが可能である。その上、又は代わりに、反応条件は、改質供給物中の炭化水素の10重量%~100重量%、又は20重量%~80重量%、又は50重量%~100重量%、又は80重量%~100重量%、又は10重量%~98重量%、又は50重量%~98重量%の変換のために適切であることが可能である。
【0042】
いくつかの別の態様において、改質反応は、試薬としてCOを用いて改質が実行されるが、反応環境中のHOの量が減少又は最小化される乾燥改質条件下で実行可能である。そのような別の態様において、改質反応のゴールは、1.0以下のCOに対するHの比率を有する合成ガスを生成することであることが可能である。いくつかの態様において、改質の間の温度は、蒸気改質に関して記載された温度範囲に相当することができる。任意選択的に、いくつかの態様において、乾燥改質反応は、500℃~700℃、又は500℃~600℃の間の低温で実行可能である。そのような態様において、COに対するHの比率は、0.3~1.0、又は0.3~0.7又は0.5~1.0であることが可能である。これらの条件下で乾燥改質反応を実行することによって、実質的なコーク生成を導く可能性がある。これは、触媒活性を維持するために再生の間に除去を必要とする可能性がある。
【0043】
図1は、水素製造のための反応システムの一部として逆流反応器を使用するための配置の例を示す。図1に示される例において、明快さのために、単一の逆流反応器及び単一の水素回収段階が示される。逆流反応器及び水素回収段階が再生ステップを含む別々の反応サイクルを有することができるとしても、水素の連続的製造を実行することができるように、いずれかの都合のよい数の逆流反応器をいずれかの都合のよい数の水素回収段階とともに使用することができることは理解される。
【0044】
図1に示される配置の例では、吸熱反応としての蒸気改質を実行するために逆流反応器110が使用される。吸熱反応のための供給物101は、メタン及び蒸気に相当する。供給物101は、反応領域120に最も近い反応器の終端で逆流反応器110に導入される。反応サイクルの反応(改質)ステップの間に供給物は改質され、水素及び一酸化炭素を生じる。改質流出物は、反応器を出る前に復熱領域130を通過する。復熱領域130では、改質流出物は、流出物中の一酸化炭素に対する水素の相対比を増加させる高温水性ガスシフト触媒に暴露される。次いで、シフトされた流出物135は反応器110から排出される。次いで、シフトされた流出物135は熱交換器段階140を通過し、熱が回収される。例えば、蒸気148として熱を回収することができる。次いで、高純度水素流155の発生を可能にするために、冷却された流出物145を、例えば圧力スイング吸着器などの水素回収段階150に通過させることができる。
【0045】
一定期間後、水素流155の製造を止めて、逆流反応器110及び水素回収段階150を再生することができる。図1に示される理想的な例において、水素回収段階150のための再生ステップは、逆流反応器110のための再生ステップと同時に実行することができる。他の態様において、バルブ構成を使用して、1つ又はそれ以上の水素回収段階150のための反応サイクルを、1つ又はそれ以上の逆流反応器のための反応サイクルから独立させることができる。
【0046】
再生ステップの間、パージ流152を水素回収段階(例えば、圧力スイング吸着器)150に導入し、テールガス142を生じさせる。テールガスは、例えば、改質流出物中に存在下CO及び未反応メタンを含むことができる。テールガス142に追加的な燃料107を添加することができる。任意選択的に、CO及び/又はHOのリサイクル流133を、再生ステップのための希釈剤ガスとして添加することもできる。次いで、テールガス142、追加的な燃料107及び任意選択的なリサイクル流133を組み合わせた流れを、復熱領域130により近い反応器110の終端に通過させることができる。この組み合わせた流れは復熱領域130で加熱され、そして復熱領域130及び反応領域120の間の界面で、又はその付近で燃焼される。反応器110から排出される得られた燃焼流出物122の一部分を使用して、任意選択的なリサイクル流133を形成することができる。
【実施例
【0047】
逆流反応器配置の例
炭化水素改質などの高温で実行される吸熱反応のために、逆流反応器は、吸熱反応に熱を提供するために適切な反応環境を提供することができる。
【0048】
逆流反応器において、吸熱反応のために必要とされる熱は、反応器の中央に高温熱バブルを作成することによって提供されてもよい。次いで、熱が(a)その場での燃焼を経て反応器層又はモノリスに添加され、次いで、(b)改質、熱分解又は蒸気分解など吸熱プロセスを経て、その場で除去される、2ステッププロセスを使用することができる。この種の配置は、そのような条件を長期間耐えることができる反応器領域で、一貫して高温バブルを管理し、閉じ込める能力を提供することができる。逆流反応器システムによって、第1の吸熱及び再生プロセスを実質的に連続的な様式で実行することが可能となる。
【0049】
いくつかの態様において、逆流反応器システムは、反応領域及び復熱領域を有する単一反応器に相当することができる。他の態様において、逆流反応器システムは、共通の流れ経路に対して、そして任意選択的であるが、好ましくは共通の軸に沿って、互いに直列関係に配置された第1及び第2の反応器を含むことができる。共通の軸は、水平、又は垂直であり得る。
【0050】
再生ステップの間、反応物(例えば、燃料及び酸素)を、その中でその場で燃焼するために、そして反応システムの中央部分内に高温領域又は熱バブルを作成するために、反応領域中で組み合わせる又は混合することが可能である。熱バブルは、少なくとも吸熱反応のほぼ初期温度である温度に相当することができる。典型的に、熱が反応器の中央の部分で熱バブルから反応器の終端の方へ伝達すると、温度が減少するため、熱バブルの温度は、吸熱反応のための初期温度より高いことが可能である。いくつかの態様において、組み合わせることは、第1及び第2の反応器の間に任意選択的に位置する混合機によって、所望の位置で実質的に完全な燃焼/反応を促進するために、反応物を混合する反応物混合機によって強化されることができる。燃焼プロセスは、第1の反応器中の第1及び第2の反応物の流れが、反応によって生じた熱(例えば熱バブル)の(所望による)実質的な部分を第2の反応器中に、そして少なくとも部分的にそれを通して置き換えるが、好ましくは全てではない様式で第2の反応器を通して置き換え、廃熱及び第2の反応器の加熱を減少又は最小化するためにも役立つように十分長期間、実行可能である。この熱は、例えば、第2の反応器の、及び/又は反応器の吸熱反応のための反応領域の1つ若しくはそれ以上の表面に伝達される。燃焼ガスは、第2の反応器を通して排出されてよいが、好ましくは、大部分の熱は第2の反応器内で保有される。再生ステップの間に第2の反応器へと置き換えられる熱量は、炭化水素供給ガスが吸熱反応環境で有する所望の曝露時間又は空間速度によって制限又は決定されることも可能である。単一反応器が使用される態様において、反応によって生じる熱は、反応器の反応領域中に、及び/又はそれを少なくとも部分的に通して置き換えられることができるが、好ましくは、置き換えは、反応器から加熱されたガスの排出のために、廃熱を減少又は最小化することもできる。
【0051】
(1つ又はそれ以上の表面を含むことができ、且つ/又はそれに相当することができる)第2の反応媒体を再生又は加熱した後、次の/逆ステップ又はサイクルにおいて、吸熱反応のための反応物、メタン(及び/又は天然ガス及び/又は別の炭化水素)を第2の反応器中に供給することができるか、又は加熱ステップの間の流れ方向とは反対の方向から流すことができる。例えば、改質プロセスでは、メタン(及び/又は天然ガス及び/又は別の炭化水素)を第2の反応器中に供給することができるか、又は流すことができる。メタンを、熱バブル領域において、加熱された第2の反応器及び混合機媒体と接触させ、反応エネルギーのための熱をメタンに伝達することができる。
【0052】
いくつかの態様のために、逆流再生層反応器システムの基本的な2ステップ非対称サイクルは、2つの領域/反応器;第1の又は復熱器/クエンチ領域(7)及び第2の又は反応領域(1)を有する反応器システムに関する、図2図2A及び2B中に示される。反応領域(1)及び復熱領域(7)は、両方とも、ドープされたセラミック組成物から形成される再生モノリス及び/又は他の再生構造を含有することができる。再生モノリス又は他の再生構造は、本明細書で使用される場合、熱を貯蔵及び伝達する際に有効であり、化学反応を実行するために有効である材料を含む。再生モノリス及び/又は他の構造は、熱を貯蔵して、熱を伝達して、反応に触媒作用を及ぼすために適切である、いずれかの都合のよい種類の材料にも相当することができる。構造の例としては、それらが完全性、機能性を維持し、そしていくらかの作動マージンを可能にする1200℃より高い、又は1400℃より高い、又は1600℃より高い温度への長期曝露に耐える能力があることを条件として、成層又は充填材料セラミックビーズ又は球体、セラミックハニカム材料、セラミックチューブ、押出成形モノリスなどを挙げることができる。いくつかの態様において、追加的なウォッシュコートを存在させずに、触媒セラミックモノリス及び/又は他の触媒セラミック構造を使用することができる。
【0053】
図2の説明を容易にするために、改質反応に関する反応器を本明細書に説明する。図2に示される反応器などの逆流反応器を使用して、他の都合のよい種類の吸熱反応を一般に実行可能であることは理解される。
【0054】
図2図2Bに示すように、サイクルの「反応」ステップの開始時に、(本明細書中、第2の反応器とも記載される)反応領域1の第2の終端5は、反応領域1の第1の終端3と比較して高温であることが可能であり、そして(本明細書中、第1の反応器とも記載される)復熱器又はクエンチ領域7の(第1の終端9を含む)少なくとも一部分は、得られる生成物にクエンチ効果を提供するために、反応領域1よりも低温であることが可能である。逆流改質を実行するために反応器が使用される態様において、導管15を介して、メタン含有反応物供給物(又は他の炭化水素含有反応物供給物)を改質又は反応領域1の第1の終端3に導入した。種々の態様において、炭化水素含有反応物供給物は、HO、CO又はその組合せを含有することもできる。
【0055】
インレット15からの供給物の流れは、反応領域1から熱を吸収することができ、吸熱反応し、所望の合成ガス生成物を製造することができる。このステップが進行すると、矢印によって示されるように、システムの熱伝達特性に基づいて、温度プロファイル2のシフトを作成することができる。セラミック触媒モノリス/他の触媒構造が適切な熱伝達性能で設計される場合、このプロファイルは比較的鋭い温度勾配を有することが可能であり、そのような勾配は、改質ステップが進行すると、反応領域1全体に移動することができる。いくつかの態様において、より鋭い温度勾配プロファイルは、反応条件の制御の改善をもたらす。別の種類の吸熱反応が実行される態様において、反応ステップが進行すると温度勾配が反応領域1全体に移動するように、温度プロファイルの類似のシフトが生じることが可能である。
【0056】
未反応の供給物成分(炭化水素、HO、CO)並びに合成ガス成分を含むことが可能である改質反応からの流出物は、高温で第2の終端5を通して反応領域1を出て、復熱反応器7を通過し、そして第2の終端11を通過し、第1の終端9を出ることが可能である。復熱器7は、最初に反応領域1より低温であることが可能である。改質反応からの生成物(及び任意選択的に未反応の供給物)が復熱領域7を通過すると、ガスは第1の終端9において、実質的に、いくつかの実施形態において、サイクルの第2のステップの間に復熱器7中に導管19を通して導入された再生供給物とほぼ同じ温度であることが可能である、復熱領域の温度に近い温度までクエンチ又は冷却されることが可能である。改質流出物が復熱領域7で冷却されると、領域の再生層で温度勾配4が作成されることが可能であり、そしてこのステップの間、復熱領域7全体に移動することが可能である。クエンチによって復熱器7を加熱することが可能であり、これは第2のステップにおいて再び冷却されて、その後別のクエンチの実行を提供すること、そして熱バブルのサイズ及び位置がクエンチ反応器7を通して進行的に増大することを防ぐことが可能である。クエンチ後、反応ガスは導管17を通して9で復熱器を出ることが可能であり、種々の成分の分離及び回収のために加工されることが可能である。いくつかの態様において、復熱領域7に補足的な発熱反応のための触媒が含まれることも可能である。そのような態様において、補足的な発熱反応によって生じる追加的な熱の少なくとも一部分は、復熱領域7の再生層に伝達されることも可能である。例えば、発熱水性ガスシフト反応が復熱領域で生じることが可能であるように、触媒は高温水性ガスシフト触媒に相当することが可能である。高温水性ガスシフト触媒の例としては、酸化鉄及び/又は酸化クロムをベースとする触媒が挙げられる。
【0057】
次いで、再生ステップと呼ばれるサイクルの第2のステップは、導管19を通して第1及び第2の再生反応物の再導入によって開始することができる。第1及び第2の反応物を、復熱器7の第2の終端11の方へ別々に加熱復熱器7を通過させることができる。復熱器7で、それらを、反応器システムの中心領域13で、又はその付近で発熱反応又は燃焼のために組み合わせることができる。
【0058】
再生ステップの例は、図2図2Bに示される。再生は、その後の反応サイクルのために反応層1を熱的に再生するために、復熱領域7から反応領域1への回収されたかなりの熱の伝達を伴うことができる。再生ガス/反応物は、例えば導管19を介して復熱領域7に入り、復熱領域7を通過し、そして反応領域1に流れることができる。その際、図2B中の例示的なグラフ上に矢印によって示されるように、温度勾配6及び8は層全体を移動し得、そして図2図2A中の反応サイクルの間に発達する温度勾配のグラフとは反対方向であるが類似である。燃料及び酸化体反応物は、復熱領域7及び反応領域1の界面13の付近の領域で燃焼し得る。燃焼の熱と一緒に復熱領域から回収される熱は、反応領域に伝達されて、そしてその中に配置される再生反応モノリス及び/又は層1を熱的に再生することができる。
【0059】
いくつかの態様において、チャネル内のいくつかの導管は、少なくとも一部において、第1の反応器の第1の終端(17)におけるいくらかの混合のため、第1及び第2の反応物の混合物を運搬し得る。しかしながら、第1及び第2の反応物の可燃性の混合物を運搬する導管の数は、第1の反応器の第2の終端を出るまで、化学量論的に反応可能な反応物の大部分が反応しないように、十分低いことが可能である。それらの導管中で反応物の混合物を運搬する燃焼又は発熱反応の開始の軸位置は、温度、時間及び流体動力学の組合せによって制御することが可能である。燃料及び酸素は、通常、燃焼するためには温度依存的及び混合物依存的な自己発火時間を必要とする。しかしながら、いくつかの反応が、反応物の混合物を運搬する導管の軸部分内で起こり得る。しかしながら、そのような反応を有するチャネルの数は十分小さく、反応器内での全体的な熱バランスに対する影響の容認可能又は重要ではないレベルのみがあるため、この反応は容認可能である。特定の反応器のデザインの詳細は、合理的にできるだけ多くの導管内での反応物の混合を避けるように選択することができる。
【0060】
図3は、効率的な再生熱を達成するために、燃料及び酸化体の燃焼を制御及び延期するための、いくつかの用途において適切であり得る、別の例示的な反応器システムを示す。図3は、再生サイクルにおいて作動する単一反応器システムを示す。反応器システムは、2つの反応器領域を含むものとして考えられてもよい。復熱器27は、ガスが図2の反応器コア付近又はその内部に到着するまで燃焼を招くことなく、反応器媒体を通して両方のクエンチ反応ガスが伝達するために、主にクエンチが起こり、そして実質的に単離されたフローパス又はチャネルを提供する領域であることが可能である。いくつかの態様において、そのようなチャネルは、補足的な発熱反応のための触媒への燃料及び/又は酸化体の曝露を減少又は最小化することもできる。改質器2は、再生加熱、並びにメタン(及び/又は炭化水素)改質が主に起こり、本明細書の目的のための第2の反応器として考得られ得る反応器であることが可能である。反応器システムの第1及び第2の反応器は、別々に区別可能な反応器として特定されるが、第1及び第2の反応器は、共通の単一反応器層に製造され得るか、提供され得るか、又は他の様式で組み合わせられ得、それによって、反応器システムは、反応器内に両方のサイクルを集積化する単一反応器のみを含むものとして記載されてもよいことは理解される。「第1の反応器」及び「第2の反応器」は、それによってそれぞれの再生、改質、クエンチなどのステップが生じ、そして2つの反応器のために別々の成分が利用されることを必要としない、反応器システム内のそれぞれの領域を単に意味することができる。しかしながら、種々の態様は、それによって復熱器反応器が本明細書に記載の導管及びチャネルを含み、そして改質器反応器が導管を同様に所有し得る、反応器システムを含むことができる。追加的に、又は代わりに、いくつかの態様は、復熱装置反応器層とは別に配置されて、そして復熱装置反応器層とは異なる材料を含むことさえあり得る改質器反応器層を含み得る。
【0061】
上記で議論された通り、第1の反応器又は復熱器27は、復熱器27の第1の終端29に入った後、そしてその中に配置される再生層を通して、2種以上のガスを別々に流すための種々のガス導管28を含むことができる。第1のガス30は、複数の流導管28の第1の終端に入ることができる。フローチャネルを提供することに加えて、導管28は、第1及び第2の反応物の間でのクロスフロー及び混合を防ぐため、そして主要な反応物を混合が容認されるまで互いに有効に分離した状態に維持するために有効なフローバリア(例えば導管壁として有効に機能するもの)を含むこともできる。上記で議論された通り、第1及び第の2チャネルのそれぞれは、複数のチャネル又はフローパスを含むことができる。第1の反応器は、それぞれが分離した第1及び第2のチャネルを含む、複数の実質的に平行のフローセグメントを含むこともあり得る。
【0062】
いくつかの態様において、復熱器は、上記の通り、1つ又はそれ以上の押出成形されたハニカムモノリスから構成されることが可能である。それぞれのモノリスは、第1又は第2の反応物の1つに対してフローチャネル(例えばフローパス)を提供し得る。それぞれのチャネルは、好ましくは複数の導管を含む。代わりに、モノリスは、それぞれの反応物に対して1つ又はそれ以上のチャネルを含み得、1つ又はそれ以上のチャネル又は導管の群は、反応物の1つ又はそれ以上の流れを流動させるためのものであるが、導管の残りの部分は、他の反応物の1つ又はそれ以上の流れを流動させる。チャネル間の界面で、多数の導管が第1及び第2の反応物の混合物を運搬し得ることは認識されるが、導管のこの数は比例して小さい。
【0063】
モノリスが使用される態様において、モノリスは、触媒表面として使用するために適切ないずれかの都合のよい形状を有し得る。モノリスの一例は、押出成形されたハニカムモノリスであり得る。ハニカムモノリスは、間に薄い壁を有する様式で平行に配置される、多くの(例えば2以上を意味する複数の)小さいガス流路又は導管を含む、押出成形された構造でありえる。小型反応器は単一モノリスを含み得るが、より大きい反応器は多数のモノリスを含むことが可能であり、さらにより大きい反応器は、多数のハニカムモノリスの配列によって実質的に充填されてもよい。それぞれのモノリスは、成形された(例えば正方形又は六角形の)断面を有するモノリスブロックを押出成形することによって、そしてそのようなブロックを上部に、背部に、及び互いに並べて2次元又は3次元的に積層することによって形成され得る。モノリスは、それらが最小限の圧力低下を伴って、高い熱伝達性能を提供するため、反応器内部構造として魅力的となる可能性がある。
【0064】
いくつかの態様において、ハニカムモノリスは、25%~55%の開口前面面積(又は幾何学的空隙体積)を有し、1平方インチあたり50~2000の細孔又はセル(CPSI)、又は1平方インチあたり100~900のセル、又は1平方インチあたり100のセル~1平方インチあたり600のセルの導管密度を有することを特徴とすることが可能である。例えば、一実施形態において、導管は、約1ミリメートルの数ミリメートルのみの直径/特徴的セル側面長さを有し得る。モノリス又は別の層媒体などの反応器媒体成分は、反応物を運搬するために使用される第1の反応器の体積に基づき、50フィート-1~3000フィート-1(約0.16km-1~約10km-1)、又は100フィート-1~2500フィート-1(約0.32km-1~約8.2km-1)、又は200フィート-1~2000フィート-1(約0.65km-1~約6.5km-1)の範囲の単位体積あたりの平均湿潤表面積の充填を含むチャネルを提供することができる。単位体積値あたりのこれらの比較的高い表面積は、図2図2A又は2Bに示される例示的な温度勾配プロファイルグラフ中で比較的急な勾配によって一般に示されるような、反応器中の温度の比較的速い変化を達成するのを助けることができる。
【0065】
反応器媒体成分は、高い体積熱伝達係数(例えば、0.02カロリー/cm秒℃以上、又は0.05カロリー/cm秒℃以上、又は0.10カロリー/cm秒℃以上)を含む充填を含み、低い流れ抵抗(低い圧力低下)を有し;再生の間に発生する最高温度と一致する作動温度範囲を有し;高い熱衝撃抵抗を有し;且つ/又は高い容積熱容量(例えば、0.10カロリー/cm秒℃以上、又は0.20カロリー/cm秒℃以上)を有するチャネルを提供することもできる。高い表面積値と同様に、これらの比較的高い体積熱伝達係数値及び/又は他の特性は、例えば図2図2A及び2B中の例示的な温度勾配プロファイルグラフ中で比較的急な勾配によって一般に示されるような、反応器中の温度の比較的速い変化を達成するのを助けることができる。列挙された値は、反応物の運搬のために使用される反応器の体積に基づく平均である。
【0066】
種々の態様において、適切な熱伝達率は、500℃未満で、又は100℃未満で、又は50℃未満での熱伝達パラメーター(ΔTHT)によって特徴づけることができる。パラメーターΔTHTは、本明細書で使用される場合、層の体積熱伝達係数(hv)に対する、復熱のために必要とされる層平均体積熱伝達率の比率である。復熱のために十分である体積熱伝達率(例えばカロリー/cm秒)は、ガス流速(例えばg/秒)と、ガス熱容量(例えばカロリー/g℃)及び所望の終端間温度変化(いずれかの反応を除く、例えば℃)との積として算出することができ、次いで、この量を、ガスが移動する反応器(又は反応器の一部分)の体積(例えばcm)によって割ることができる。層の体積熱伝達係数(hv)は、面積ベースの係数(例えばカロリー/cm秒℃)と、しばしば充填の湿潤面積とも記載される熱伝達のための表面積(av、例えばcm/cm)との積として典型的に算出することができる。
【0067】
いくつかの態様において、ドーパント金属粒子を形成するために組成物を還元環境に暴露する前に、形成された、焼結セラミック組成物にウォッシュコートを添加することができる。ウォッシュコートは、焼結セラミック組成物を追加的な触媒金属に含浸させることを可能にする。そのような追加的な触媒金属は、ドーパント金属と同一であることが可能であるか、又は異なることが可能である。
【0068】
追加的な触媒金属をウォッシュコートに組み込むための1つの選択肢は、例えば初期湿潤による含浸によって追加的な触媒金属で触媒担体を含浸することであることができる。含浸は、硝酸テトラミン白金又は硝酸ロジウム水和物などの適切な金属塩又は他の触媒金属前駆体の水溶液中で実行することができる。次いで、含浸された担体は、触媒金属前駆体の分解のために、乾燥及び/又は焼成が可能である。加熱ステップのために様々な温度プロファイルを潜在的に使用することができる。担体を乾燥させるために、100℃~200℃の温度で、0.5時間~24時間加熱するなどの1つ又はそれ以上の初期乾燥ステップを使用することができる。含浸された触媒金属化合物の性質次第で、触媒金属前駆体化合物を分解するための焼成は、200℃~800℃の温度で0.5時間~24時間であることが可能である。触媒金属の前駆体次第で、乾燥ステップ及び/又は分解焼成ステップは任意選択的であることが可能である。追加的な触媒金属の例としては、限定されないが、Ni、Co、Fe、Pd、Rh、Ru、Pt、Ir、Cu、Ag、Au、Zr、Cr、Ti、V、W、Mo、Nb、Mn、Sr、La及びその組合せが挙げられる。
【0069】
別の実施形態では、それによってチャネル導管/フローパスが、限定されないが、反応器の一部を通るチャネルを有する迷路性の多様なフローパス、導管、管、スロット及び/又は細孔構造などの、より屈曲した経路(例えば、回旋状、複雑な、螺旋状及び/又は捻じれているが、線形又は管状ではない)を含み得、そして例えばセグメントの外側表面に沿って、若しくはサブセグメント内に実質的にガスに対して有効な透過性を有さないバリア部分及び/又は反応物ガスの間のクロスフローを防ぐため、そして軸方向に復熱器27を通過する間、互いに実質的に分離された状態で第1及び第2の反応物ガスを維持するために適切な他の手段を含み得るような、モノリス以外の反応媒体が使用され得る。そのような他の種類の反応器媒体は、そのような媒体の少なくとも一部分が、本明細書に記載のセラミック触媒組成物を焼成し、続いて、そのような媒体を還元条件に暴露して、触媒を活性化することによって形成することができる限り、適切であることが可能である。そのような実施形態に関して、錯体フローパスは、延長された有効フローパス、増加した表面積、改善された熱伝達を生じ得る。そのようなデザインは、反応器を通して比較的短い軸の長さを有する反応器の実施形態に関して好ましくなり得る。軸方向がより長い反応器の長さは、反応器全体での圧力低下の増加を経し得る。しかしながら、そのような実施形態に関して、多孔性及び/又は浸透性媒体は、例えば、充填層、タイルの配列、浸透性固体媒体、実質的にハニカム型構造、繊維配列及びメッシュ型格子構造の少なくとも1つを含み得る。
【0070】
いくつかの態様において、逆流反応器は、反応物の1つの流れを導管の選択された部分に導くために、いくつかの種類の装置又は方法を含むことができる。図3の例示的な実施形態において、ガス分配器31は、第2のガス流を、本明細書中、チャネル33として示される、第1のガスチャネルから実質的に単離されているか、又は第1のガスチャネルとは流体連通していない、第2のガス流チャネルに向けることができる。その結果、ガス流33の少なくとも一部分を、復熱器27の軸移動の間、ガス流30から単離した状態にしておくことができる。いくつかの態様において、復熱領域の再生層及び/又はモノリスは、第1の反応物を第2の反応物から単離するガス又は流体バリアを有するチャネルを含むことができる。それによって、チャネル手段を移動する少なくとも2つの反応物ガスの両方は、再生層を完全に通過し得、再生層をクエンチし、熱を反応ガスに吸収させ、その後、燃焼領域中で互いに反応させるために組み合わせられる。
【0071】
種々の態様において、(流体を含む)ガス30及び32は、他の反応物30及び32の成分と反応する成分をそれぞれ含むことができ、組み合わせられる時に発熱反応を生じる。例えば、第1及び第2の反応物のそれぞれは、燃料及び酸化体の他方と組み合わせられる時に燃焼する1つの燃料ガス及び酸化体ガスを含み得る。実質的に反応物を分離しておくことによって、発熱反応により起こる発熱の位置を制御することができる。いくつかの態様において、「実質的に分離される」とは、第1及び第2の反応物流れの間において、最小又は制限的な化学量論的に反応可能な量の反応物を有する反応物の少なくとも50パーセント又は少なくとも75パーセント又は少なくとも90パーセントが、これらのガスが復熱器27のそれらの軸移動を完成させる時点まで、反応によって消費されないことを意味するものとして定義されることができる。このように、第1の反応物30の大多数は第2の反応物32の大多数から単離しておくことができ、そして反応物30及び32を組み合わせる反応による発熱の大多数は、反応物が復熱器27を出始めた後に生じることが可能である。反応物は、ガスであることが可能であるが、任意選択的に、いくつかの反応物は、液体、混合物又は気相を含み得る。
【0072】
これらの再生流のための反応の割合は、全体的な供給物の化学量論に基づいて可能性がある反応の割合を意味する。例えば、ガス30が100体積の空気(80体積のN及び20体積のO)を含み、ガス32が10体積の水素を含む場合、最大化学量論的反応は、10体積のHOが製造される10体積の水素(H)と5体積の酸素(O)による燃焼である。この場合、10体積の水素が復熱領域(27)で実際に燃焼する場合、これは再生流の100%の反応を表す。これは、残留する未反応の酸素の存在にもかかわらず、この例において、未反応の酸素が化学量論的必要条件より多い量で存在するためである。したがって、この例では、水素は化学量論的に制限的な成分である。この定義を使用して、再生流の50%未満の反応、又は25%未満の反応、又は10%未満の反応が、復熱器(27)の軸の移動の間に生じ得る。
【0073】
種々の態様において、チャネル28及び33は、1200℃、又は1400℃、又は1600℃を超える温度に耐えることができるセラミック(酸化ジルコニウムを含む)、アルミナ又は他の耐火性材料を含むことができる。追加的に、又は代わりに、チャネル28及び33は、50フィート-1~3000フィート-1、又は100フィート-1~2500フィート-1、又は200フィート-1~2000フィート-1の湿潤面積を有することができる。
【0074】
再び簡単に図2を参照すると、反応器システムは、第1の終端9及び第2の終端11を含有する第1の反応器7と、第1の終端3及び第2の終端5を含有する第2の反応器1とを含むことができる。図2及び3に示される実施形態は、単に説明的な目的のためだけに提供される単純な例証であり、包括的な実施形態を表すことは意図されない。反応器の「終端」という記載は、単に反応器の軸中間点に関して、反応器の末端部分を意味するのみである。したがって、ガスが反応器の「終端」、例えば終端9に入るか、又は出るという記載は、単にガスが、反応器のそれぞれの終端表面と反応器の中間点との間で、軸に沿って様々な点のいずれかにおいて実質的に入る、又は出ることを意味するが、好ましくは中間点よりも終端表面に近いことが好ましい。それによって、第1及び第2の反応物ガスの一方又は両方が、それぞれの終端表面において入ることができるが、他方は、反応器のそれぞれの終端上の円周又は周辺部の外側表面のスロット又はポートを通して反応器のそのそれぞれの終端に供給される。
【0075】
追加的な実施形態
実施形態1.逆流反応器の作動方法であって、逆流反応器の復熱領域において、燃料及び0.1体積%以上のOを含む燃料混合物の少なくとも一部分を、少なくとも1つの加熱された表面に暴露し、燃料混合物の少なくとも一部分を加熱すること;復熱領域において、燃焼条件下で燃料混合物を反応させ、燃焼ガスを形成し、逆流反応器の反応領域において、1つ又はそれ以上の再生表面を再生表面温度まで加熱し、反応領域は吸熱反応のための触媒組成物を含み、復熱領域は補足的な発熱反応のための触媒組成物を含むこと;反応領域において反応物の流れを1つ又はそれ以上の再生表面に暴露し、反応物の流れの温度を増加させること;反応領域において、吸熱反応条件下での吸熱反応のための触媒組成物に反応物の流れを暴露して、生成物の流れを形成し、反応領域中の反応物の流れの流れ方向が、燃料混合物の流れの方向に対して逆であること;復熱領域において、補足的な発熱反応条件下での補足的な発熱反応のための触媒組成物に生成物の流れを暴露して、反応した生成物の流れを形成し、そして復熱領域において、少なくとも1つの加熱された表面を加熱することを含む、方法。
【0076】
実施形態2.吸熱反応のための触媒組成物が改質触媒を含む、実施形態1の方法。
【0077】
実施形態3.反応物の流れが改質可能な炭化水素及び蒸気を含み、且つ生成物の流れが水素を含み、且つ改質可能な炭化水素がメタンを任意選択的に含む、実施形態2の方法。
【0078】
実施形態4.補足的な発熱反応のための触媒組成物が水性ガスシフト触媒を含む、上記実施形態のいずれかの方法。
【0079】
実施形態5.水性ガスシフト触媒が高温水性ガスシフト触媒、反応領域における改質触媒と任意選択的に異なる第2の改質触媒、又はその組合せを含む、実施形態4の方法。
【0080】
実施形態6.補足的な発熱反応のための触媒組成物が、メタノール合成触媒、メタノール変換触媒又はその組合せを含む、実施形態1~3のいずれかの方法。
【0081】
実施形態7.補足的な発熱反応のための触媒組成物が、オレフィンオリゴマー化触媒を含む、実施形態1~3のいずれかの方法。
【0082】
実施形態8.補足的な発熱反応のための触媒組成物が、オレフィン製造用のフィッシャー-トロプシュ(Fischer-Tropsch)触媒を含む、実施形態1~3のいずれかの方法。
【0083】
実施形態9.燃料混合物は、燃料混合物の流れの方向に対して、補足的な発熱反応のための触媒組成物の下流で燃焼する、上記実施形態のいずれかの方法。
【0084】
実施形態10.燃料及びOの少なくとも1つは、補足的な発熱反応のための触媒組成物に暴露されない、上記実施形態のいずれかの方法。
【0085】
実施形態11.生成物の流れが、外部熱交換段階を通過する前に、補足的な発熱反応のための触媒組成物に暴露される、上記実施形態のいずれかの方法。
【0086】
実施形態12.燃焼ガスが420℃以上の温度を含む、上記実施形態のいずれかの方法。
【0087】
実施形態13.吸熱反応条件が600℃以上の温度を含む、上記実施形態のいずれかの方法。
【0088】
本発明が特定の実施形態を参照することによって説明されて、示されるが、当業者は、本発明が本明細書中に必ずしも示されていない変形に関することを認識する。この理由から、本発明の真の範囲を決定する目的のために、添付の請求の範囲のみが単に参照されるべきである。
図1
図2
図3
【国際調査報告】