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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(54)【発明の名称】半導体ウェハホルダー用熱拡散板
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20221021BHJP
   H05B 3/74 20060101ALI20221021BHJP
   H05B 3/48 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H05B3/74
H05B3/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513132
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(85)【翻訳文提出日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 US2020048159
(87)【国際公開番号】W WO2021041643
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】16/552,790
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501162454
【氏名又は名称】ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、サンホン
(72)【発明者】
【氏名】プタシエンスキ、ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ワリンガー、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】パーキンソン、ブレイク
【テーマコード(参考)】
3K092
5F131
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA05
3K092QB17
3K092RF03
3K092RF11
3K092RF27
3K092SS17
3K092SS24
5F131AA02
5F131BA04
5F131BA19
5F131BA23
5F131CA03
5F131EA04
5F131EB14
5F131EB52
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB85
(57)【要約】
静電チャックは、静電パック上に拡散層を形成し、拡散層の領域を除去して、間隙によって分離された離散拡散セグメントを形成することによって形成される。離散拡散セグメントは、連続同心円、不連続同心円、または連続同心円と不連続同心円の組み合わせで構成されている。離散拡散セグメントは、拡散層に少なくとも1つの溝を形成することによって互いに分離される。溝は、拡散層を部分的に貫通して延伸してもよく、静電パックまで完全に拡散層貫通して延伸してもよく、又は部分的に拡散層を貫通して延伸する第1部分と完全に拡散層を貫通して延伸する第2部分とを有していてもよい。また、溝は一定の幅を有することも、可変の幅を有することもできる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電パックに拡散層を堆積させ、
前記拡散層の領域を除去して、間隙によって分離された離散拡散セグメントを形成し、
前記静電パックをヒータに結合し、前記拡散層を前記静電パックと前記ヒータとの間に配置し、
前記ヒータを冷却板に接着させることにより形成される、静電チャック。
【請求項2】
前記離散拡散セグメントは、連続同心円、不連続同心円、および連続同心円と不連続同心円の組み合わせのうち少なくとも1つである、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
前記拡散層に少なくとも1つの溝を形成することにより、前記離散拡散セグメントを分離する、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項4】
前記少なくとも1つの溝が、前記拡散層を部分的に貫通し、前記静電パックまで前記拡散層を完全に貫通し、または前記拡散層を部分的に貫通し及び前記静電パックまで前記拡散層を完全に貫通して延伸して、可変深さが規定される、請求項3に記載の静電チャック。
【請求項5】
前記少なくとも1つの溝には、可変幅が規定される、請求項3に記載の静電チャック。
【請求項6】
少なくとも1つの溝が、酸エッチング、レーザ切断および機械加工のうちの1つにより形成される、請求項3に記載の静電チャック。
【請求項7】
静電パックはセラミック材料である、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項8】
前記ヒータは、少なくとも2つの加熱ゾーンを有し、
前記離散拡散セグメントは、前記少なくとも2つの加熱ゾーンと軸方向に整列されることにより、前記少なくとも2つの加熱ゾーンが互いに熱結合解除される、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項9】
前記ヒータは外側加熱ゾーンと内側加熱ゾーンを有し、
前記離散拡散セグメントは、前記外側加熱ゾーンを前記内側加熱ゾーンから熱結合解除するために、前記外側加熱ゾーン及び前記内側加熱ゾーンと軸方向に整列することにより、前記静電パック上のターゲットの加熱中に、前記外側加熱ゾーン及び前記内側加熱ゾーンとの間で所望の熱勾配が維持される、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項10】
前記拡散層は、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ニッケル、亜鉛、シリコン、及びそれらの合金のうちの1つの材料から形成される、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項11】
前記拡散層は、前記静電パックに直接アルミニウムをコールドスプレーで形成したもの、及び、0.040インチ(1.02mm)未満の厚さのアルミニウム拡散層のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項12】
前記ヒータは、ホイルヒータ、層状ヒータ、またはダマシンヒータのうちの1つである、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項13】
前記ヒータは、ポリイミドヒータである、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項14】
前記静電パックは、エラストマで前記ポリイミドヒータに接着されている、請求項13に記載の静電チャック。
【請求項15】
ベースプレートをさらに備え、前記ポリイミドヒータがエラストマで前記ベースプレートに接着されている、請求項13に記載の静電チャック。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本願は、2019年8月27日に出願された、米国出願第16/552,790号「半導体ウェハホルダー用熱拡散板」の優先権を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、静電チャックに関し、より一般的には、複数の加熱ゾーンを有するセラミックチャックに関するものである。
【背景技術】
【0003】
本項の記載は、単に本開示に関連する背景情報を提供するものであり、先行技術を構成するものではない場合がある。
【0004】
静電チャック(本明細書では「Eチャック」とも呼ばれる)などのウェハ支持アセンブリは、その上でウェハを支持し保持するために半導体処理で使用されることがある。例えば、Eチャックは、ウェハに静電クランプ力を加える静電パック(本明細書では「Eパック」とも呼ばれる)を含んでいることがある。Eチャックは、一般に、化学気相成長(CVD)、エッチング、スパッタリング、およびイオン注入などの様々なウェハ処理/処置ステップを実行するプラズマ処理チャンバ内で高熱に曝される。Eチャックは、Eチャックに内蔵されたヒータによって加熱されることがある。一般に、Eチャックの下方には、ウェハ処理中またはウェハ処理完了後にEチャックの温度を調整または低下させる冷却デバイスが配置される。ウェハの処理中、Eチャックは広く急速な温度変化にさらされる一方、ウェハの温度は、エッチング処理中(例えば、約120℃までの処理温度)では約0.5℃未満、堆積(蒸着)処理中(例えば、約400乃至700℃の範囲の処理温度)は約5℃未満といった極めて厳しい公差に制御されなければならない。
【0005】
半導体処理中のウェハの温度を制御するこれらの問題は、半導体処理に関連する他の問題の中でも、本開示によって対処される。
【発明の概要】
【0006】
本項は、本開示の一般的な概要を提供するものであり、その全範囲又はその特徴の全てを包括的に開示するものではない。
【0007】
本開示の一態様では、Eチャックは、Eパック上に拡散層を形成し、拡散層の領域を除去して間隙によって分離された離散拡散セグメントを形成し、拡散層が静電パックとヒータとの間に配置されるようにEパックをヒータに接着し、ヒータを冷却板に接着することによって形成されている。ある変形例では、離散拡散セグメントは連続同心円を形成し、別の変形例では、離散拡散セグメントは不連続同心円を形成する。さらに別の変形例では、離散拡散セグメントは、連続同心円と不連続同心円の組合せにより規定されている。本開示の少なくとも1つの態様では、離散拡散セグメントは、拡散層に少なくとも1つの溝を形成することによって分離される。ある変形例では、少なくとも1つの溝は部分的に拡散層を貫通して延伸し、別の変形例では、少なくとも1つの溝はEパックまで拡散層を完全に貫通して延伸している。さらに別の変形例では、少なくとも1つの溝は、可変の深さが規定されており、これは、部分的に拡散層を貫通して延伸する第1部分と、完全に拡散層を貫通して延伸する第2部分とを有する。また、ある変形例では、少なくとも1つの溝は一定の幅が規定されているが、別の変形例では、少なくとも1つの溝は可変の幅が規定されている。
【0008】
本開示の少なくとも1つの態様において、少なくとも1つの溝は、特に酸エッチング、レーザ切断及び機械加工等のうちの1つによって形成される。
【0009】
少なくとも1つの態様において、静電パックは、セラミック材料である。
【0010】
本開示の形態では、ヒータは少なくとも2つの加熱ゾーンを含み、拡散リングは、少なくとも2つの加熱ゾーンと軸方向に整列されることにより、少なくとも2つの加熱ゾーンが互いに熱結合解除される。
【0011】
本開示の別の態様では、ヒータは外側加熱ゾーン及び内側加熱ゾーンを含み、拡散リングは、外側加熱ゾーンを内側加熱ゾーンから熱結合解除するために、外側加熱ゾーン及び内側加熱ゾーンと軸方向に整列することにより、静電パック上のターゲットの加熱中に外側加熱ゾーン及び内側加熱ゾーンとの間で所望の熱勾配が維持される。
【0012】
拡散層は、高熱伝導性材料から形成され、例えばアルミニウム、モリブデン、タングステン、ニッケル、亜鉛、シリコン、及びそれらの合金のような材料のうちの1つの材料から形成される。例えば、1つの変形例では、拡散層はアルミニウムから形成され、0.040インチ(1.02mm)未満の厚さを有している。
【0013】
本開示の一態様では、拡散層は、アルミニウムを静電パックに直接コールドスプレーすることによって形成される。また、加熱層はホイルヒータ、層状ヒータ、またはダマシンヒータである。
例えば、1つの形態では、ヒータはポリイミドヒータであり、Eパックはエラストマでポリイミドヒータに接着される。
【0014】
本開示の1つの形態では、Eチャックはベースプレートを含み、ポリイミドヒータはエラストマでベースプレートに接着される。
【0015】
本開示の別の態様では、Eチャックは、Eパック上に拡散層を形成し、拡散層に少なくとも1つの溝を切り、Eパック上に同心状に配置される少なくとも2つの拡散リングを形成し、半径方向に間隔を置いて所定の間隔が規定されることを含むプロセスによって形成されている。Eパックは、少なくとも2つの加熱ゾーンを有するポリイミドヒータに接着され、少なくとも2つの拡散リングは、Eパックとポリイミドヒータとの間に配置される。ポリイミドヒータは冷却板に接着され、少なくとも2つの拡散リングは、少なくとも2つの加熱ゾーンと軸方向に整列されることにより、静電パック上のターゲットの加熱中に少なくとも2つの加熱ゾーンが互いに熱結合解除される。
【0016】
少なくとも1つの変形例において、少なくとも2つの加熱ゾーンは、外側加熱ゾーン及び内側加熱ゾーンを含み、静電セラミックパック上のターゲットの加熱中に、外側加熱ゾーンと内側加熱ゾーンとの間で所望の熱勾配が維持される。
【0017】
1つの変形例では、Eパックは第1エラストマ層でポリイミドヒータに結合され、ポリイミドヒータは第2エラストマ層でベースプレートに結合される。また、拡散層は、アルミニウムを静電パックに直接コールドスプレーすることによってEパック上に形成され、拡散層は0.040インチ(11.0mm)未満の厚さを有する。
【0018】
本開示の別の態様では、ターゲット部分に熱を供給する方法は、少なくとも2つの加熱ゾーンを有するヒータに接着されたEパックを用いて、ターゲット部分をチャックに取り付けることを含んでいる。少なくとも2つの拡散リングは、Eパックに接着された拡散層から形成され、少なくとも2つの拡散リングは、Eパックとヒータとの間に設けられる。また、少なくとも2つの拡散リングは、Eパックに同心円状に配置され、半径方向に間隔をあけて所定間隔が規定される。ヒータは、少なくとも2つの加熱ゾーンからターゲット部分に熱が伝達されるように通電され、少なくとも2つの拡散リングは、少なくとも2つの加熱ゾーンを熱結合解除する。これにより、ターゲット部分の加熱中に少なくとも2つの加熱ゾーンの間で所望の熱勾配が維持される。
【0019】
1つの変形例では、ヒータはポリイミドヒータであり、少なくとも2つの拡散リングは第1エラストマ層でポリイミドヒータに結合され、ポリイミドヒータは第2エラストマ層でベースプレートに接着される。
【0020】
別の変形例では、ポリイミドヒータは、加熱層、誘電体層及びルーティング層を含み、第1エラストマ層は、少なくとも2つの拡散リングと誘電体層との間に配置され、第2エラストマ層は、ルーティング層とベースプレートとの間に配置される。
【0021】
適用可能な更なる領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。説明及び具体例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示がよく理解されるように、次に、添付の図面を参照しながら、例として与えられるその様々な形態を説明する。
【0023】
図1A図1Aは、本開示の一態様に従って構築されたEチャックの断面図である。
【0024】
図1B図1Bは、本開示の他の態様に従って構築されたEチャックの断面図である。
【0025】
図2は、本開示によるEチャックを製造する方法のための一連の工程を描いたものである。
図2A図2Aは、Eパックの断面図である。
図2B図2Bは、その上に拡散層(拡散層)が形成されている、図2AのEパックの断面図である。
図2C図2Cは、拡散層に溝(トレンチ)が形成されている、図2BのEパックの断面図である。
図2D図2Dは、拡散層中に離散拡散セグメント(ディスクリート拡散セグメント)が形成されている、図2CのEパックの断面図である。
図2E図2Eは、機械加工で厚さが低減された拡散層を有する、図2DのEパックの断面図である。
図2F図2Fは、拡散層に形成された離散拡散セグメントを有する、図2EのEパックの上面図である。
図2G図2Gは、ヒータおよび冷却プレートを有する、図2FのEパックのアセンブリの断面図である。
【0026】
図3は、離散拡散セグメントを形成する溝(トレンチ)を有する一連の拡散層を描いたものである。
図3A図3Aは、拡散層内に拡散層を通って延伸する、矩形状の溝の断面図である。
図3B図3Bは、拡散層内に延伸する矩形状の溝の断面図である。
図3C図3Cは、拡散層内に延伸する半球状の溝の断面図である。
図3D図3Dは、拡散層内に延伸するV字状の溝の断面図である。
【0027】
図4図4は、本開示の一態様による、離散拡散セグメントを有する、拡散層の平面図である。
【0028】
図5図5は、本開示の別の態様による、離散拡散セグメントを有する、拡散層の平面図である。
【0029】
図6図6は、本開示のさらに別の態様による、離散拡散セグメントを有する、拡散層の平面図である。
【0030】
図7図7は、本開示の教示に従った、拡散層の厚さの関数としたときのEパックセラミック表面温度及びEパックセラミック表面温度範囲を示すグラフである。
【0031】
本明細書に記載された図面は、説明のためだけのものであり、本開示の範囲をいかなる形でも限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の説明は、単に例示的なものであり、本開示、応用、又は用途を限定することを意図していない。図面全体を通して、対応する参照符号は、同様または対応する部品および特徴を示すことと理解されるものである。実施例は、当業者に本開示の範囲を十分に伝えるために提供される。本開示の変形例の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、装置、及び方法の種類など、多数の特定の詳細が記載されている。特定の詳細が採用される必要はなく、本明細書で提供される例は、代替の実施形態を含み得、本開示の範囲を限定することを意図しないことは、当業者にとって明らかである。いくつかの例において、周知のプロセス、周知のデバイス構造、及び周知の技術は、詳細に説明されない。
【0033】
図1Aには、本開示の一態様に従って構築されたEチャック2が示されている。Eチャック2は、Eパック10と、拡散層20と、上部接合層30と、加熱用ヒータ40と、下部接合層42と、冷却板(冷却プレート)60とを備える。本実施形態では、ヒータ40は、ポリイミド層35(または「層間誘電体」)と、ポリイミド層35上のエッチングホイルヒータ回路44とを含む、エッチングホイルヒータ(エッチング箔ヒータ)である。しかしながら、本開示の範囲内に留まりながら、他のヒータ構造が採用され得ることが理解されるべきである。さらに、上部及び下部接合層30/42の両方は、適切な誘電体がヒータ回路44の周りに設けられ、それが拡散層20および冷却板60に直接固定される場合、任意であってよい。
【0034】
一般に、Eチャック2は、半導体処理用台座アセンブリにおける支持部材の一部として使用される。しかしながら、本開示の教示は、本開示の範囲内に留まりながら、半導体処理装置以外の他の用途、例えば、一例として、工業用製造装置、調理台、及び医療機器などにおいて採用され得ることを理解されたい。
【0035】
Eチャック10は、基板12と、基板12内に埋め込まれた電極4とを含む。基板12には、第1表面6と第2表面8とを規定される。そのうち後者は、その上にあるターゲット(すなわち、ウェハ)を加熱するためのものである。本開示の少なくとも1つの態様では、基板12は、酸化アルミニウム(Al)又は窒化アルミニウム(AlN)などのセラミック材料から形成される。しかしながら、本開示の範囲内に留まりながら、他のセラミック材料、又はセラミック以外の材料が採用されてもよいことが理解されるべきである。
【0036】
拡散層20は、Eパック10とヒータ40との間に配置される。拡散層20には、第1表面22及び第2表面24が規定されている。第1表面22は、Eパック10の第1表面6上に直接配置されている。第2表面24は、ヒータ40上に配置されている。1つの変形例として、拡散層20の第2表面24は、ヒータ40の層間誘電体35上に直接配置され、ヒータ40が拡散層20に直接固定されるようにしてもよい。別の変形例として、接合層30が拡散層20とヒータ40との間に配置され、ヒータ40を拡散層20に固定してもよい。
【0037】
さらに示されるように、拡散層20は、少なくとも1つの溝(トレンチ)又は間隙(ギャップ)26を含む。溝26が設けられることにより、拡散層20内に離散拡散セグメント28が形成される。より詳細な説明は後述する。一般に、拡散層20は、Eパック10の第2表面8における温度均一性を高める。一方、離散拡散セグメント28は、Eパック10上のターゲットの加熱中にセグメント間で所望の温度勾配を維持することを可能にする。その動作のより詳細な説明は後述する。
【0038】
図1Bには、本開示の別の態様に従って構築されたEチャック10が示されている。当該Eチャック10は、一般にルーティング層を含んでいる。Eチャック10は、一般に、Eパック100と、拡散層120と、誘電体層135と、加熱用ヒータ140と、ルーティング層146と、冷却板160と、を備える。
【0039】
Eパック100は、基板102と、基板102内に埋め込まれた電極104とを含んでいる。基板102には、その上にターゲットを加熱するための第1表面106及び第2表面108が規定されている。本開示の少なくとも1つの態様では、基板102は、酸化アルミニウム(Al)又は窒化アルミニウム(AlN)などのセラミック材料から形成されている。
【0040】
拡散層120は、Eパック100と誘電体層135との間に配置される。拡散層120には、第1表面122及び第2表面124が規定されている。第1表面122はEパック100上に直接配置され、第2表面124は誘電体層135上に配置される。
【0041】
さらに示されるように、拡散層120は、少なくとも1つの溝(トレンチ)又は間隙(ギャップ)126を含んでいる。溝126が設けられることにより、拡散層120内に離散拡散セグメント128が形成される。これらは図3図6により詳細に示されている。後により詳述するように、拡散層120は、Eパック100の第2表面108における温度の均一性を高める。一方で、離散拡散セグメント128は、Eパック100上のターゲットの加熱中にセグメント間で所望の熱勾配が維持されることを可能にする。
【0042】
誘電体層135は、拡散層120とヒータ140との間に配置される。本開示の少なくとも1つの変形例にでは、接合層130は、拡散層120と誘電体層135との間に配置される。接合層130は、拡散層120を有するEパック100を誘電体層135に接着又は付着させるものであることを理解されたい。しかしながら、拡散層120は、本開示の範囲内に留まりながら、接合層130なしでEパック100上に直接配置されてもよいことは理解されるべきである。そのような形態では、拡散層120は、例として、Eパック100に直接、熱溶射されてもよい。
【0043】
ヒータ140は、誘電体層135と冷却板160との間に配置される。本開示の少なくとも1つの態様において、ヒータ140は、加熱層142、層間誘電体145、及びルーティング層146を含んでいる。層間誘電体145は、加熱層142とルーティング層146との間に配置される。加熱層142は、加熱層基板143を含んでおり、これは、本開示の一態様におけるエラストマの薄層(約0.001インチ~0.002インチ)である。加熱層基板143は、少なくとも一つの加熱素子144を誘電体層135に貼付けるように機能する。ルーティング層146は、ルーティング層基板147を含んでおり、これは、ルーティング層146を冷却板160に接着しながら、誘電体強度を付加する二重の機能を有する材料である。図示されるように、ルーティング層146は、少なくとも1つのルーティング素子148を含んでいる。少なくとも1つのビアインターコネクト149が、加熱層142とルーティング層146との間に配置されている。よって、少なくとも1つの加熱素子144が、少なくとも1つのルーティング素子148と電気的に接続される。これにより、図視されるように、複数の加熱ゾーンの存在が可能となる。以下により詳細を説明する。図1Bは、上部(+z方向)加熱層142及び下部(-z方向)ルーティング層146を有するヒータ140を示している。しかし、拡散体層120がEパック100上に直接配置されていれば、加熱層142及びルーティング層146は任意の順序であればよい。例えば、加熱層142は層間誘電体145の下方(-z方向)に配置することができ、配線層146は層間誘電体145の上方(+z方向)に配置することができる。また、他の機能層、例として、センサ層が、図示されたもの及び説明されたものに加えて、設けられていてもよい。
【0044】
一形態として、冷却板160は、冷却流体が流れる冷却チャネル162を含む。これによりヒータ140やEチャック10に関連する他の構成素子又はターゲットからの熱を、1つ又は複数のウェハの半導体処理中に、Eパック100から放熱させることができる。
【0045】
図1Bは、1つの接合層、すなわち接合層130のみを示しているが、1つ以上の接合層が含まれ、Eパック10の様々な層間に配置することができることを理解されたい。例えば、接合層(図示せず)は、ヒータ140と冷却板160との間に配置することができる。
【0046】
図2A乃至2Gには、本開示の教示によるEチャック10の製造方法が示されている。当該方法は、Eパック100を製造することを示しており、これは、図2Aに示すように、少なくとも1つの電極104が基板102内に埋め込まれたEパック100である。当該方法は、図2Bに示すように、第1表面106上に拡散層120を形成することを含むことを示している。拡散層120は、第1表面122と、第2表面124と、第1表面122と第2表面124との間の厚さ(z方向、表示されていない)とを含んでいる。本開示の少なくとも1つの変形例では、拡散層120の第1表面122は、Eパック100の第1表面106上に直接配置される。他の変形例では、拡散層120の第1表面122は、Eパック100の第1表面106上に直接配置されない。例えば、1つ以上の追加の層(図示せず)が、拡散層120の第1表面122とEパック100の第1表面106との間に配置される。拡散層120は、任意の既知の又はまだ開発されていない材料層成膜技術(複数可)を用いて成膜させることができる。材料層成膜技術の非限定的な例としては、陰極アーク放電、コールドスプレー、化学気相成長(CVD)技術、物理気相成長(PVD)技術、ゾルゲル技術、スパッタリング、及び真空プラズマスプレー等がある。本開示の一態様では、コールドスプレー装置「S」を用いて、Eパック100の第1表面106にアルミニウムを成膜させる。
【0047】
拡散層120は、高い熱伝導率を有する材料から形成される。本明細書で使用される場合、「高い熱伝導率」とは、10W/mKより大きい熱伝導率、例えば、50W/mKより大きい、又は100W/mKより大きい熱伝導率を意味する。拡散層120を形成するために使用される材料の非限定的な例としては、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル及びそれらの合金等が挙げられる。拡散層120を形成するために使用される材料の他の非限定的な例としては、特に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)及びAlNが挙げられる。また、拡散層120は、約0.005インチ(0.13mm)~約0.100インチ(2.54mm)の間の厚さを有する。例えば、一変形例として、拡散層120は、約0.010インチ(0.25mm)と約0.020インチ(0.51mm)との間の厚みを有する。別の変形例として、拡散層120は、約0.020インチ(0.51mm)~約0.030インチ(0.76mm)の間の厚さを有する。さらに別の変形例として、拡散層120は、約0.030インチ(0.76mm)と約0.040インチ(1.02mm)の間の厚さを有する。
【0048】
拡散層120は、その厚さ(z方向)に沿ってモノリシック組成を有していてもよいし、あるいは、その厚さ(z方向)に対して傾斜的組成(又は熱膨張係数(CTE)が変動)を有していてもよい。これは、拡散層120の第1表面122とEパック100の第1表面106との間の熱膨張ミスマッチを減少させるためである。一変形例として、拡散層120は、基板102の第1表面106に隣接する第1厚さ(符号なし)と、第1厚さに比べて第1表面106から遠位(さらに離れている)の第2厚さ(符号なし)とを有している。第1厚さは第1組成を有し、第2厚さは第1組成とは異なる第2組成を有する。また、第1組成は、第1熱膨張係数(CTE)を有し、第2組成は、第1CTEとは異なる第2CTEを有する。1つの非限定的な例として、アルミナから形成された基板102と、第1表面106から第2表面108に向かって延びる第1組成を有する第1厚さ(符号なし)と、第1厚さから第2表面108に向かって延びる第2組成を有する第2厚さ(符号なし)を有する拡散層120を含んでいる。第1厚さは約10乃至15μmであり、第1組成物は、アルミナに対するCTEの約1.1倍のCTEを有する。第2厚さは約25乃至50μmであり、第2組成物は、アルミナに対するCTEが約1.2倍である。拡散層がCTE値の勾配を有するように、異なる組成(及び異なるCTE)を有する追加の厚さを拡散層120に含めることができる。また、拡散層120全体が、第1表面122から第2表面124まで連続的に変化する組成を有することができる。これにより、拡散層120は、第1表面122から第2表面124まで勾配のあるCTEを有する。
【0049】
ここで図2Cを参照すると、少なくとも1つの溝126(本明細書では「間隙(ギャップ)」とも呼ばれる)が拡散層120に形成されている。溝126は、拡散層120の第2表面124からEパック100の第1表面106に向かって延びている。本開示のいくつかの変形例では、1つまたは複数の溝126は、拡散層120を完全に貫通する、すなわち拡散層120の第2表面126からEパック100の第1表面106まで延伸している。他の変形例では1つまたは複数の溝126は拡散層120を部分的にのみ貫通して延伸している。さらに他の変形例では、1つ以上の溝126は、溝126が拡散層120を完全に貫通して延びる少なくとも1つの部分(図示せず)と、溝126が拡散層120を部分的にのみ貫通して延びる少なくとも1つの他の部分とを有している。本開示の一態様では、少なくとも1つの溝は、レーザ「L」を用いて、例えば、レーザ加工により形成される。
【0050】
少なくとも1つの溝126、及び本明細書に開示される他の溝は、任意の既知の又はまだ開発されていない材料除去技術を使用して形成できることが理解されるべきである。材料除去技術の非限定的な例としては、特に、研削、レーザ切断、エッチング、機械加工、フォトリソグラフィ、及びサンドブラスト又はグリットブラストが挙げられる。また、図2B及び2Cは、拡散層120を成膜し、次に材料を除去して溝126を形成することにより、少なくとも1つの溝126を有する拡散層が示されている。しかし他の技術又は方法を使用して、拡散層120及び溝126を形成できる。例えば、1つの変形例として、溝126の位置又は場所を覆うように第1表面106をマスクし(図示せず)、拡散層120を第1表面106上に成膜し、その後、マスクを除去して拡散層120の溝126を露出させる。あるいは、またはそれに加えて、溝126を有する拡散層120は、付加製造技術(例えば、3D印刷)を用いて、本明細書に記載されるようなマスキングまたはその後の除去工程なしに、形成される。
【0051】
ここで図2D及び図2Eを参照すると、当該方法は、離散拡散セグメント128が形成され、溝126によって分離されるように、複数の溝126を形成することと、Eパック100の第2表面108に概ね平行な概ね平坦な第2表面124が設けられるように、拡散層120(図2E)を機械加工することとを含んでいる。すなわち、第2表面126は、ヒータ140が固定されるべき界面に平坦な拡散層120が設けられるように機械加工される。拡散層を機械加工するための機械加工技術又はプロセスの非限定的な例は、特に、ラッピング、研磨、及び化学機械研磨(CMP)を含む。図2Eは、少なくとも1つの溝126が形成された後の拡散層120の機械加工を示している。しかし、少なくとも1つの溝126が形成される前に、または溝の形成と同じ工程中に、拡散層120を機械加工してもよい。
【0052】
図2Fは、完成した拡散層120を示している。これは、溝126aによって第2離散拡散セグメント128bから分離された、中央または第1離散拡散セグメント128aと、溝126bによって第2離散拡散セグメント128bから分離された第3離散拡散セグメント128cと、溝126cによって第3離散拡散セグメント128cから分離された第4離散拡散セグメント128dを有している。
【0053】
ここで図2Gを参照すると、当該方法は、図1Bに示されるEチャック10を得るために、拡散層120、誘電体層135、ヒータ140及び冷却板160を備えたEパック100を組み立てることを含んでいる。特に、拡散層120を有するEパック100は誘電体層135に結合され、誘電体層はヒータ140に結合され、ヒータ140は冷却板160に結合される。本開示者の少なくとも一つの変形例では、接合層130は、拡散層120とヒータ140の間に配置される。また、Eチャック10の様々な層の間に追加の接合層を配置することもできる。少なくとも1つの溝126は、空気、エラストマ材料、誘電材料、及び/又は接合材料で充填されてもよい。これにより、隣接する離散拡散セグメント128の間に低熱伝導率の間隙(ギャップ)ができる。
【0054】
誘電体層135は、ヒータ140を拡散層120から電気的に絶縁する。誘電体層135を形成するために使用される材料の非限定的な例としては、エラストマ、ポリイミド、熱溶射誘電体(例えば、Al、イットリア)、厚膜誘電体、液体ポリイミド、及び他の誘電体ポリマ等がある。ヒータ140は、Eチャックに熱を供給し、Eチャックと共に使用するために既知の、またはまだ開発されていない任意のヒータであり得る。ヒータ140の非限定的な例としては、特に、ポリイミドホイルヒータ(ポリイミド箔ヒータ)、層状ヒータ、またはダマシンヒータが挙げられる。本開示の少なくとも1つの態様では、ヒータ140は、エラストマ加熱層基板143とエラストマ配線層基板147との間に配置された層間誘電体145を含む。
【0055】
図3A乃至3Dには、拡散層120に形成された溝126の非限定的な例が示されている。例えば、図3Aは、拡散層120の第2表面124からEパック100の第1表面106まで延伸する矩形状の溝126を示している。すなわち、図3Aの矩形状の溝126は、拡散層120を完全に貫通して延伸している。これにより、離散拡散セグメント128L及び128Rは、溝によって分離される。あるいは、図3Bは、矩形状の溝126を示しており、これは、拡散層120の第2表面124からEパック100の第1表面106に向かって、しかし完全には貫通していない状態で延伸している。すなわち、図3Bは、図3Aの矩形状の溝126が、拡散層120を部分的にのみ通って延伸することを示している。これにより、離散拡散セグメント128L及び128Rが溝によって分離される。図3Cは、拡散層120内に延伸する半球形状の溝126を示し、図3Dは、拡散層120内に延びるV形状の溝126を示す。よって、離散拡散セグメント128Lおよび128Rが溝によって分離される。溝126は、他の形状を有していてもよく、それは拡散層120を完全に又は部分的に通って延伸する。これにより、離散拡散セグメントは溝によって分離される。
【0056】
図2Eは、半径方向に配置された離散拡散セグメント128a乃至128dを有する拡散層120を示している。しかし、拡散層120は、方位角方向に配置された離散拡散セグメントを含んでいてもよい。例えば、図4を参照すると、拡散層120は、溝126aによって第1半径方向離散拡散セグメント128bから分離された中央離散拡散セグメント128aと、溝126bによって第1半径方向離散拡散セグメント128bから分離され、溝127aによって互いに方位角方向に離された、複数の第2半径方向離散拡散セグメント128cと、を含んでいる。図4に示すように、1つの変形例では、複数の第2半径方向離散拡散セグメント128cは、4つの第2半径方向離散拡散セグメント128cを含む。しかしながら、第2半径方向離散拡散セグメント128cの数は4未満または4以上であってもよい。また、複数の第3半径方向離散拡散セグメント128dは、溝126cによって第2半径方向離散拡散セグメント128cから分離されており、溝127bによって互いに方位角方向に分離されている。図4に示すように、1つの変形例では、複数の第3半径方向離散拡散セグメント128dは4つの第3半径方向離散拡散セグメント128dを含んでいる。しかしながら、第3半径方向離散拡散セグメント128dの数は4より少なくてもよく、4より多くてもよい。加えて、拡散層120は、任意の数の半径方向離散拡散セグメント及び任意の数の方位角離散拡散セグメントを含むことができる。例えば、図5に示される拡散層120は、中央離散拡散セグメント128と、溝126によって分離された9つの半径方向離散拡散セグメント128と、溝127によって分離された所定の半径方向離散拡散セグメント内の24までの方位角離散拡散セグメント128と、を含む。さらに、隣接する半径方向離散拡散セグメントは、図4に示すように整列させることができ、または図5に示すように互いにオフセットさせることができる。
【0057】
図2E図4、及び図5では、概ね一定の半径方向幅及び/又は方位角方向長さを有する、規則的形状の離散拡散セグメント128を有する拡散層120を示している。しかしながら、本開示のいくつかの変形例として、拡散層120は不規則形状の離散拡散セグメントを含んでいてもよい。例えば、図6は、溝または溝126’によって分離された、複数の不規則形状の離散拡散セグメント128’を有する拡散層120を示す。
【0058】
ここで図7を参照すると、基板の外面(例えば、第2表面108)の温度及び外面の温度範囲を拡散層の厚さ(図1における+z方向)の関数としての有限要素解析(Finite Element Analysis(FEA)の結果が示されている。特に、平均温度約79℃に加熱されたアルミナ基板のFEAは、拡散層無し、厚さ0.010インチの拡散層、厚さ0.020インチの拡散層、厚さ0.030インチの拡散層について実施されている。FEAから、最高温度、最低温度、温度範囲(すなわち、最高温度-最低温度)が求められ、図7にプロットされている。図7に示すように、厚さ0.030インチの拡散層では、外表面の温度の範囲が約7.6℃から約4.8℃に、すなわちほぼ40%減少している。
【0059】
従って、各離散拡散セグメントは、Eパック外表面の特定の領域または区域の温度均一性を高める。一方、溝は、離散拡散セグメントを互いに少なくとも部分的に熱結合解除させる。これにより、Eパック上のターゲットの加熱中に、所望の熱勾配(例えば、離散拡散セグメント128の中心から端まで20℃)がセグメント間に維持される。用語「少なくとも部分的な熱的結合解除」(及びその変形)は、拡散セグメント28/128間の溝/間隙26/126の熱伝導率が、隣接する拡散セグメント128の熱伝導率より小さい、又は独立していることを意味すると解釈されるべきである。例えば、溝/間隙26/126は、本開示の範囲内に留まりながら、拡散セグメント28/128の熱伝導率の約50%以下を有していてもよい。
【0060】
さらに、拡散セグメント28/128は、円弧状の幾何形状をとるものとして本明細書に図示されているが、所定の拡散層20/120において同じか異なるかにかかわらず、本開示の範囲内に留まりながら、任意の形状または形状の組み合わせであってもよい。これは、Eパック10/100にわたって所望の熱勾配を提供するためである。
【0061】
図および上記で議論したように、拡散層を有するEチャックは、Eパックの表面にわたる温度均一性を高め、それによってEパック上のターゲットの温度均一性を高めることができる。また、拡散層は、離散拡散セグメントを有しており、これは、例えば、離散拡散セグメント間に設けられた溝又は間隙により、互いに熱的結合解除されている。これにより、Eパック上のターゲットの加熱中に、セグメント間の所望の熱勾配が維持される。強化されたEパック表面温度均一性と、Eパック表面の領域間または部分にわたる熱勾配制御との組み合わせは、半導体ウェハ処理中のプロセス制御を強化する。
【0062】
ある要素又は層が、他の要素又は層「上にある(on)」、「係合する(engaged to)」、又は「配置される(disposed on)」と言及されるとき、それは他の要素又は層上に直接、係合、接続又は配置されてもよく、又は介在する要素又は層が存在してもよい。対照的に、ある要素が、他の要素または層「上に直接的に(directly on)」、「直接的に係合する(directly engaged to)」、「直接的に接続される(directly connected to)」、または「直接的に配置される(directly disposed on)」と言及されるとき、介在する要素または層が存在しない場合がある。要素間の関係を説明するために使用される他の単語も同様に解釈されるべきである(例えば、「間(between)」対「直接間(directly between)」、「隣接(adjacent)」対「直接隣接(directly adjacent)」等)。本明細書で使用されるように、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0063】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションを説明するために使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションは、これらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションを、別の要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションから区別するためにのみ使用され得る。本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」、および他の数値用語などの用語は、文脈によって明確に示されない限り、順序または順番を意味することはない。したがって、第1要素、構成要素、領域、層又はセクションは、例示的な形態の教示から逸脱することなく、第2要素、構成要素、領域、層又はセクションと称することができる。さらに、要素、構成要素、領域、層又はセクションは、「第1(の)」要素、構成要素、領域、層又はセクションと称される要素、構成要素、領域、層又はセクションを必要とせずに、「第2(の)」要素、構成要素、領域、層又はセクションと称されることができる。
【0064】
「内側(inner)」、「外側(outer」」、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下方(lower)」、「上(above)」、「上方(upper)」などの空間的相対用語は、図に示されるように、ある要素又は特徴の別の要素(複数可)又は特徴(複数可)に対する関係を記述するために、説明を容易にするために、本明細書で使用することができる。空間的に相対的な用語は、図に描かれた向きに加えて、使用又は動作中の装置の異なる向きを包含するように意図され得る。例えば、図中の装置が裏返された場合、他の要素又は特徴の「下方(below)」又は「下(beneath)」として説明された要素は、その後、他の要素又は特徴の「上(above)」に配向されるであろう。したがって、例示的な用語「下方(below)」は、上(above)または下方(below)の配向の両方を包含することができる。装置は、他の向き(90度回転した、又は他の向き)であってもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。
【0065】
本明細書で使用されるように、A、B、及びCの少なくとも1つという語句は、非排他的論理和を用いた論理(A OR B OR C)を意味すると解釈すべきであり、「Aの少なくとも1つ、B少なくとも1つ、及びCの少なくとも1つ」を意味すると解釈すべきではない。
【0066】
特に明示的に示されない限り、機械的/熱的特性、組成割合、寸法及び/又は公差、又は他の特性を示す全ての数値は、本開示の範囲を説明する際に「約」又は「およそ」という言葉によって修正されるものとして理解されるものとする。この修正は、工業的慣行、製造技術、及び試験能力を含む様々な理由から所望される。
【0067】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的形態を説明する目的のみのものであり、限定することを意図するものではない。単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むように意図される場合がある。用語「含む(including)」及び「有する(having)」は包括的であり、したがって、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を規定するが、1以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。本明細書に記載された方法ステップ、プロセス、及び操作は、実行順序として具体的に特定されない限り、議論又は図示された特定の順序でそれらの実行を必ずしも必要とすると解釈されるものではない。また、追加的または代替的なステップが採用されてもよいことが理解される。
【0068】
本開示の説明は、本質的に単なる例示であり、したがって、本開示の本質から逸脱しない例は、本開示の範囲内にあることが意図される。そのような例は、本開示の精神及び範囲から逸脱するものと見なしてはならない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施することができる。したがって、本開示は特定の実施例を含むが、図面、明細書、及び以下の特許請求の範囲の検討により他の変更が明らかになるため、本開示の真の範囲はそれほど限定されるべきではない。
【0069】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(1)
静電パックに拡散層を堆積させ、
前記拡散層の領域を除去して、間隙によって分離された離散拡散セグメントを形成し、
前記静電パックをヒータに結合し、前記拡散層を前記静電パックと前記ヒータとの間に配置し、
前記ヒータを冷却板に接着させることにより形成される、静電チャック。
(2)
前記離散拡散セグメントは、連続同心円、不連続同心円、および連続同心円と不連続同心円の組み合わせのうち少なくとも1つである、(1)に記載の静電チャック。
(3)
前記拡散層に少なくとも1つの溝を形成することにより、前記離散拡散セグメントを分離する、(1)に記載の静電チャック。
(4)
前記少なくとも1つの溝が、前記拡散層を部分的に貫通し、前記静電パックまで前記拡散層を完全に貫通し、または前記拡散層を部分的に貫通し及び前記静電パックまで前記拡散層を完全に貫通して延伸して、可変深さが規定される、(3)に記載の静電チャック。
(5)
前記少なくとも1つの溝には、可変幅が規定される、(3)に記載の静電チャック。
(6)
少なくとも1つの溝が、酸エッチング、レーザ切断および機械加工のうちの1つにより形成される、(3)に記載の静電チャック。
(7)
静電パックはセラミック材料である、(1)に記載の静電チャック。
(8)
前記ヒータは、少なくとも2つの加熱ゾーンを有し、
前記離散拡散セグメントは、前記少なくとも2つの加熱ゾーンと軸方向に整列されることにより、前記少なくとも2つの加熱ゾーンが互いに熱結合解除される、請求項1に記載の静電チャック。
(9)
前記ヒータは外側加熱ゾーンと内側加熱ゾーンを有し、
前記離散拡散セグメントは、前記外側加熱ゾーンを前記内側加熱ゾーンから熱結合解除するために、前記外側加熱ゾーン及び前記内側加熱ゾーンと軸方向に整列することにより、前記静電パック上のターゲットの加熱中に、前記外側加熱ゾーン及び前記内側加熱ゾーンとの間で所望の熱勾配が維持される、(1)に記載の静電チャック。
(10)
前記拡散層は、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ニッケル、亜鉛、シリコン、及びそれらの合金のうちの1つの材料から形成される、(1)に記載の静電チャック。
(11)
前記拡散層は、前記静電パックに直接アルミニウムをコールドスプレーで形成したもの、及び、0.040インチ(1.02mm)未満の厚さのアルミニウム拡散層のうちの少なくとも1つである、(1)に記載の静電チャック。
(12)
前記ヒータは、ホイルヒータ、層状ヒータ、またはダマシンヒータのうちの1つである、(1)に記載の静電チャック。
(13)
前記ヒータは、ポリイミドヒータである、(1)に記載の静電チャック。
(14)
前記静電パックは、エラストマで前記ポリイミドヒータに接着されている、(13)に記載の静電チャック。
(15)
ベースプレートをさらに備え、前記ポリイミドヒータがエラストマで前記ベースプレートに接着されている、(13)に記載の静電チャック。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】