(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびこれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/35 20210101AFI20221021BHJP
H01M 50/358 20210101ALI20221021BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20221021BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20221021BHJP
【FI】
H01M50/35 201
H01M50/358
H01M50/211
H01M50/505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513348
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 KR2021001482
(87)【国際公開番号】W WO2021201408
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0039761
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョンファ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ミュンキ・パク
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012BB08
5H012CC08
5H012CC10
5H040AA33
5H040AA37
5H040AS05
5H040AS07
5H040AT04
5H040AY03
5H040AY10
5H043AA04
5H043BA11
5H043CA08
5H043FA04
(57)【要約】
本発明は、ベンティング構造を含む電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関し、本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体;前記電池セル積層体を収容するモジュールフレーム;および前記電池セル積層体の前後面を覆うエンドプレートを含み、前記モジュールフレームの上面にはベンティング部が形成され、前記電池セルは、セル本体;前記セル本体の両端から突出形成された電極リード;および前記電極リードが突出した方向に前記セル本体から延長形成されたテラス部を含み、前記ベンティング部は、前記セル本体より前記テラス部が位置した部分に隣接して形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体;
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレーム;および
前記電池セル積層体の前後面を覆い、前記モジュールフレームと結合するエンドプレートを含み、
前記モジュールフレームの上面にはベンティング部が形成され、
前記電池セルは、
セル本体;
前記セル本体の両端から突出形成された電極リード;および
前記電極リードが突出した方向に前記セル本体から延長形成されたテラス部を含み、
前記ベンティング部は、前記セル本体より前記テラス部が位置した部分に隣接して形成される電池モジュール。
【請求項2】
前記ベンティング部は、前記テラス部が位置した部分と対応する位置に形成される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記エンドプレートは、前記電池セル積層体の前後面をそれぞれ覆う二つのエンドプレートで形成され、
前記ベンティング部は、前記二つのエンドプレートのうち、より近いところに位置したエンドプレートと反対の方向にベンティングされるように形成される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記ベンティング部は、
前記モジュールフレームの上面上に形成されて前記電池セル積層体と向かい合う流入口;
前記流入口を通じて流入されたガスを排出する排出口を含み、
前記排出口は、前記流入口と垂直な方向に形成される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記ベンティング部は、
前記流入口と前記排出口の間に形成されて前記流入口に流入されたガスを前記排出口が位置した方向に案内する連結部を含み、
前記連結部の上面は傾斜して形成された、請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記ベンティング部は、前記電池セル積層体を基準として上側方向にベンティングされるように形成される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記ベンティング部は、
前記電池セル積層体と連結され、前記モジュールフレームの上面上で上側方向に形成された流入口;
上側方向に形成されて前記流入口を通じて流入されたガスを排出する排出口;および
前記流入口と前記排出口を連結する連結部を含み、
前記連結部は、前記流入口および前記排出口の流入および排出方向と垂直な方向に形成される、請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記連結部には、前記排出口を通じて入る異物を遮断する異物遮断部が形成される、請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記ベンティング部は、複数個が前記テラス部が位置した部分と対応する位置に形成される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレームの上面中央および両側にそれぞれ形成される、請求項9に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレームの上面で四角形状のベンティング空間が複数個配置されるように形成される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレーム上面で斜めに貫通したホール構造で形成された、請求項1~11のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記ベンティング部は、前記電池セル積層体の前後面に形成された二つの前記エンドプレートのうち、前記ベンティング部からより遠く位置したエンドプレート方向に斜めに貫通形成された、請求項12に記載の電池モジュール。
【請求項14】
第1電池セル積層体を収容する第1モジュールフレーム、前記第1電池セル積層体の前後面を覆い、前記第1モジュールフレームと結合する第1エンドプレート、前記第1電池セル積層体の複数の電池セルから延長形成された第1テラス部集合体および前記第1エンドプレート上に位置する第1端子バスバーと第1コネクタを含む第1電池モジュール;および
前記第1電池モジュールと隣り合った第2電池モジュールを含み、
前記第1モジュールフレームの上面に第1ベンティング部が形成され、前記第1ベンティング部が形成された部分は前記第1テラス部集合体が位置した部分と対応する位置に形成され、
前記第2電池モジュールに含まれている第2エンドプレートは、第2端子バスバーと第2コネクタを含み、
前記第1電池モジュールと前記第2電池モジュールは、前記第1端子バスバーと前記第2端子バスバーが互いに向かい合い、前記第1コネクタと前記第2コネクタが互いに向かい合うように配置される電池パック。
【請求項15】
前記第1端子バスバーと前記第2端子バスバーは、それぞれ互いに向かい合う一側に開口部が形成され、前記第1コネクタと前記第2コネクタは、それぞれ互いに向かい合う一側に開口部が形成される、請求項14に記載の電池パック。
【請求項16】
前記第1ベンティング部は、前記第2電池モジュールが位置した方向と反対方向にガスを排出するように形成される、請求項14に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2020年4月1日付韓国特許出願第10-2020-0039761号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
【0002】
本発明は、電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関し、より詳しくは、安定性が強化された電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、モバイル機器および電気自動車などの多様な製品群においてエネルギー源として大きな関心を受けている。このような二次電池は、化石燃料を使用する既存製品の使用を代替できる有力なエネルギー資源であって、エネルギー使用による副産物が発生せず、環境にやさしいエネルギー源として脚光を浴びている。
【0004】
最近、二次電池のエネルギー貯蔵源としての活用をはじめとして大容量の二次電池構造に対する必要性が高まり、多数の二次電池が直列/並列に連結された電池モジュールを集合させたマルチモジュール構造の電池パックに対する需要が増加している。
【0005】
一方、複数個の電池セルを直列/並列に連結して電池パックを構成する場合、少なくとも一つの電池セルからなる電池モジュールを構成し、このような一つの電池モジュールを利用してその他の構成要素を追加して電池パックを構成する方法が一般的である。このような中大型電池モジュールを構成する電池セルは、充放電が可能な二次電池で構成されているため、このような高出力大容量二次電池は充放電過程で多量の熱を発生させる。
【0006】
電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、前記電池セル積層体を収容するフレーム、前記電池セル積層体の前後面を覆うエンドプレートを含む。
【0007】
図1は従来の電池パックに装着された電池モジュールの発火時の様子を示す図面である。
図2は
図1のA-A部分で、従来の電池パックに装着された電池モジュールの発火時に隣接した電池モジュールに影響を与える火炎の様子を示す図面である。
【0008】
図1および
図2を参照すると、従来の電池モジュールは、複数の電池セル10が積層形成された電池セル積層体、電池セル積層体を収容するフレーム20、電池セル積層体の前後面に形成されたエンドプレート30、エンドプレート外部に突出形成された端子バスバー40などを含む。
【0009】
フレーム20とエンドプレート30は、溶接を通じて密封されるように結合することができる。このように電池セル積層体を収容するフレーム20とエンドプレート30が結合されると、電池モジュールの過充電時、電池セル10の内部圧力が増加して電池セル10の融着強度の限界値を超える場合、電池セル10で発生した高温の熱、ガスおよび火炎が電池セル10の外部に排出されることがある。
【0010】
この時、高温の熱、ガスおよび火炎は、エンドプレート30に形成された開口部を通じて排出され得るが、エンドプレート30同士で互いに向かい合うように複数の電池モジュールを配置する電池パック構造において、高温の熱、ガスおよび火炎を噴出する電池モジュールに隣り合った電池モジュールに影響を与えることがある。これによって、隣り合った電池モジュールのエンドプレート30に形成された端子バスバー40が損傷することがあり、高温の熱、ガスおよび火炎が隣り合った電池モジュールのエンドプレート30に形成された開口部を通じて電池モジュールの内部に入って複数の電池セル10に損傷を与えることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は、電池モジュール内に発火現象の発生時に排出される高温の熱と火炎を分散させることができる電池モジュールおよびこれを含む電池パックを提供することにある。
【0012】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を実現するための本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体;前記電池セル積層体を収容するモジュールフレーム;および前記電池セル積層体の前後面を覆い、前記モジュールフレームと結合するエンドプレートを含み、前記モジュールフレームの上面にはベンティング部が形成され、前記電池セルは、セル本体;前記セル本体の両端から突出形成された電極リード;および前記電極リードが突出した方向に前記セル本体から延長形成されたテラス部を含み、前記ベンティング部は、前記セル本体より前記テラス部が位置した部分に隣接して形成される。
【0014】
また、前記課題を実現するための本発明の一実施形態による電池パックは、第1電池セル積層体を収容する第1モジュールフレーム、前記第1電池セル積層体の前後面を覆い、前記第1モジュールフレームと結合する第1エンドプレート、前記第1電池セル積層体の複数の電池セルから延長形成された第1テラス部集合体および前記第1エンドプレート上に位置する第1端子バスバーと第1コネクタを含む第1電池モジュール;および前記第1電池モジュールと隣り合った第2電池モジュールを含み、前記第1モジュールフレームの上面に第1ベンティング部が形成され、前記第1ベンティング部が形成された部分は前記第1テラス部集合体が位置した部分と対応する位置に形成され、前記第2電池モジュールに含まれている第2エンドプレートは、第2端子バスバーと第2コネクタを含み、前記第1電池モジュールと前記第2電池モジュールは、前記第1端子バスバーと前記第2端子バスバーが互いに向かい合い、前記第1コネクタと前記第2コネクタが互いに向かい合うように配置される。
【0015】
前記ベンティング部は、前記テラス部が位置した部分と対応する位置に形成され得る。
【0016】
前記エンドプレートは、前記電池セル積層体の前後面をそれぞれ覆う二つのエンドプレートで形成され、前記ベンティング部は、前記二つのエンドプレートのうち、より近いところに位置したエンドプレートと反対の方向にベンティングされるように形成され得る。
【0017】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレームの上面上に形成されて前記電池セル積層体と向かい合う流入口;前記流入口を通じて流入されたガスを排出する排出口を含み、前記排出口は、前記流入口と垂直な方向に形成され得る。
【0018】
前記ベンティング部は、前記流入口と前記排出口の間に形成されて前記流入口に流入されたガスを前記排出口が位置した方向に案内する連結部を含み、前記連結部の上面は傾斜して形成され得る。
【0019】
前記ベンティング部は、前記電池セル積層体を基準として上側方向にベンティングされるように形成され得る。
【0020】
前記ベンティング部は、前記電池セル積層体と連結され、前記モジュールフレームの上面上で上側方向に形成された流入口;上側方向に形成されて前記流入口を通じて流入されたガスを排出する排出口;および前記流入口と前記排出口を連結する連結部を含み、前記連結部は、前記流入口および前記排出口の流入および排出方向と垂直な方向に形成さ得る。
【0021】
前記連結部には、前記排出口を通じて入る異物を遮断する異物遮断部が形成され得る。
【0022】
前記ベンティング部は、複数個が前記テラス部が位置した部分と対応する位置に形成され得る。
【0023】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレームの上面で四角形状のベンティング空間が複数個配置されるように形成され得る。
【0024】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレームの上面中央および両側にそれぞれ形成され得る。
【0025】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレーム上面で斜めに貫通したホール構造で形成され得る。
【0026】
前記ベンティング部は、前記電池セル積層体の前後面に形成された二つの前記エンドプレートのうち、ベンティング部からより遠く位置したエンドプレート方向にガスを排出するように斜めに貫通形成され得る。
【0027】
前記第1端子バスバーと前記第2端子バスバーは、それぞれ互いに向かい合う一側に開口部が形成され、前記第1コネクタと前記第2コネクタは、それぞれ互いに向かい合う一側に開口部が形成され得る。
【0028】
前記第1ベンティング部は、前記第2電池モジュールが位置した方向と反対方向にガスを排出するように形成され得る。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施形態による電池モジュールおよびこれを含む電池パックは、モジュールフレームの上面に形成されたベンティング部を通じて電池モジュールの発火時に発生する高温の熱、ガスおよび火炎を分散させることによって、前記電池モジュールと向かい合う電池モジュールの端子バスバーおよび複数の電池セルの部分の損傷を最小化させることができる。
【0030】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】従来の電池パックに装着された電池モジュールの発火時の様子を示す図面である。
【
図2】
図1のA-Aに沿って切断した部分で、従来の電池パックに装着された電池モジュールの発火時に隣接した電池モジュールに影響を与える火炎の様子を示す図面である。
【
図3】本発明の一実施形態による電池モジュールを示す分解斜視図である。
【
図4】
図3の電池モジュールが結合し、電池モジュールにベンティング部が形成された様子を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による電池パックにおいて電池モジュールが配置された様子と電池モジュールのベンティング部で高温の熱、ガスおよび火炎が排出される様子を示す図面である。
【
図6】
図5のB-Bに沿って切断した部分で、本発明の一実施形態による電池パックにおいて電池モジュールのベンティング部で高温の熱、ガスおよび火炎が排出される様子を示す断面図である。
【
図7】本発明の他の一実施形態による電池モジュールのベンティング部の様子を示す図面である。
【
図8】
図7の電池モジュールを含む電池パックにおいて、電池モジュールのベンティング部で高温の熱、ガスおよび火炎が排出される様子を示す断面図である。
【
図9】本発明の他の一実施形態による電池モジュールのベンティング部を示す図面である。
【
図10】本発明の他の一実施形態による電池モジュールのベンティング部を示す図面である。
【
図11】本発明の他の一実施形態による電池モジュールのベンティング部を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下で説明される実施形態は、発明の理解のために例示として示したものであって、本発明はここで説明される実施形態とは異なるように多様に変形して実施され得ることが理解されるべきである。ただし、本発明を説明するに当たり、関連した公知の機能あるいは構成要素に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明および具体的な図示を省略する。また、添付した図面は、発明の理解のために実際の縮尺のとおり図示されたものでなく、一部の構成要素の寸法が誇張して図示され得る。
【0033】
本出願で使用される第1、第2用語は、多様な構成要素を説明することに使用され得るが、構成要素は用語により限定されてはならない。用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0034】
また、本出願で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、権利範囲を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で「含む」、「なる」または「構成される」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0035】
以下、
図3乃至
図6を参照して本発明の一実施形態によるベンティング部400が形成された電池モジュールについて説明する。
【0036】
図3は本発明の一実施形態による電池モジュールを示す分解斜視図である。
図4は
図3の電池モジュールが結合し、電池モジュールにベンティング部が形成された様子を示す斜視図である。
図5は本発明の一実施形態による電池パックにおいて、電池モジュールが配置された様子と電池モジュールのベンティング部で高温の熱、ガスおよび火炎が排出される様子を示す図面である。
図6は
図5のB-Bに沿って切断した部分で、本発明の一実施形態による電池モジュールおよびこれに形成されたベンティング部で高温の熱、ガスおよび火炎が排出される様子を示す断面図である。
【0037】
図3乃至
図6を参照すると、本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セル110が積層されている電池セル積層体120、上下左右面で形成されて電池セル積層体120を収容するモジュールフレーム200、および電池セル積層体120の前後面をそれぞれ覆い、モジュールマウンティング部310を含む第1、2エンドプレート300を含み、モジュールフレーム200の上面には、複数の電池セル110から発生するガスを外部に排出するベンティング部400が形成される。
【0038】
電池セル110は、セル本体111、セル本体111の両端から突出形成された電極リード112、および電極リード112が突出した方向にセル本体111から延長形成されたテラス部113を含む。本実施形態によるベンティング部400は、セル本体111よりテラス部113が位置した部分に隣接して形成されることによって、高温の熱、ガスおよび火炎を即時に電池モジュール100外部に排出することができる。一例として、ベンティング部400はテラス部113と対応する位置に形成され得る。
【0039】
ベンティング部400は、第1、2エンドプレート300のうち、より近いところに位置したエンドプレートと反対の方向にガスが排出されるように形成され得る。
【0040】
電池セル110は、二次電池であって、パウチ型二次電池で構成され得る。このような電池セル110は、複数個で構成され得、複数の電池セル110は、互いに電気的に連結され得るように互いに積層されて電池セル積層体120を形成することができる。このような複数個の電池セル110は、それぞれ電極組立体、前記電極組立体を収容するセル本体111、および電極組立体から両端に突出形成された電極リード112を含む。
【0041】
電極組立体は、正極板、負極板およびセパレータなどで構成され得る。セル本体111は、電極組立体をパッケージングするためのものであって、樹脂層と金属層を含むラミネートシートからなることができる。
【0042】
電極リード112とセル本体111の間には、電極リード112が突出した方向にセル本体111から延長形成されたテラス部113を含む。具体的には、セル本体111を覆うセルケースから延長形成されたテラス部113は、終端が密封されて形成され得る。テラス部113は、セル本体111から延長形成される電極リード112を囲むように形成され得る。上部プレート130は、電池セル積層体120の上側に位置し、電池セル積層体の前後面に形成されたバスバーフレームを連結することができる。
【0043】
モジュールフレーム200は、電池セル積層体120の上下左右面で電池セル積層体120およびこれと結合されたバスバーフレームを収容するように形成され得る。電池セル積層体120の下端とモジュールフレーム200の下面の間には、熱伝導性樹脂が注液され、注液された熱伝導性樹脂により電池セル積層体120の下面とモジュールフレーム200の下面の間に熱伝導性樹脂層が形成され得る。モジュールフレーム200によりモジュールフレーム200内部に収容された電池セル積層体120およびこれと連結された電装品を外部の物理的衝撃から保護することができる。
【0044】
エンドプレート300は、電池セル積層体120の前後面を覆うように形成される。エンドプレート300は、外部の衝撃からバスバーフレームおよびこれと連結された多くの電装品を保護し、電池モジュールを電池パックに装着することができるモジュールマウンティング部310を含む。エンドプレート300には、バスバーフレームに形成された端子バスバーおよびコネクタが外部と連結されるための端子バスバー開口部およびコネクタ開口部が形成され、前記開口部を通じて電池セルから発生したガスが外部に排出され得る。エンドプレート300とモジュールフレーム200は、溶接により結合し、モジュールフレーム200およびエンドプレート300内部に位置した複数の電池セル110は、溶接により密封されたエンドプレート300とモジュールフレーム200結合構造を通じて、前述した開口部を除いては外部との連結が遮断され得る。
【0045】
本発明の一実施形態によると、モジュールフレーム200の上面にベンティング部400が形成され得る。ベンティング部400は、テラス部113が位置した部分と対応する位置に形成されて、密封されたテラス部113部分が電池モジュール内部の圧力変化により密封が解除されながら高温の熱、ガスおよび火炎が排出される場合、テラス部113が位置した部分と対応する位置に形成されたベンティング部400を通じて高温の熱、ガスおよび火炎を即時に外部に排出することができる。
【0046】
また従来はエンドプレート300に形成された開口部を通じてこそ排出が可能であるため、電池モジュール内部の排出経路を多様化させて発火時に電池モジュールの一部分にのみ排出が集中する現象を防止し、高温の熱、ガスおよび火炎の排出を分散させることができる。
【0047】
またベンティング部400は、電池セル積層体120の前後面のそれぞれに形成された第1、2エンドプレート300のうち、より近いところに位置したエンドプレートと反対の方向にベンティングされるように形成される。つまり、ベンティング部400の位置と対応する位置に形成されたテラス部113と連結された電極リード112と隣接した部分に形成されたエンドプレートが、電池セル積層体を基準として向こう側の部分に位置したエンドプレートより近いため、近いところのエンドプレート方向にベンティングされる場合、近いところに位置したエンドプレートと隣接した他の電池モジュールに高温の熱、ガスおよび火炎が放出されて他の電池モジュールに損傷を与えることがある。したがって、ベンティング部のベンティング方向は相対的に遠い部分に位置したエンドプレートが位置した方向にベンティングされるように形成されて、隣接した他の電池モジュールに被害を最小化させることができる。
【0048】
本発明の一実施形態によるベンティング部400は、モジュールフレーム200の上面上に形成されて電池セル積層体120と連結される流入口410、流入口410を通じて流入されたガスを排出する排出口420を含み、排出口420は流入口410と垂直な方向に形成され得る。またベンティング部400は、流入口410と排出口420の間に形成されて流入口410に流入されたガスを排出口420が位置した方向に案内する連結部430を含み、連結部430の上面は傾斜して形成され得る。
【0049】
排出口420が流入口410およびモジュールフレーム200の上面と垂直な方向に形成されて、空気中に漂う異物が重力により排出口420内部に入る現象を防止することができる。また連結部430の上面が排出口に向かって傾斜して形成されて、流入口410に流入された高温の熱、ガスおよび火炎が連結部430を通じて方向が転換されて排出口420を通じて自然に排出され得る。
【0050】
前述した電池モジュールは、電池パックに含まれ得る。本発明の一実施形態による電池パックは、第1電池セル積層体120を収容する第1モジュールフレーム200、第1電池セル積層体120の前後面を覆い、第1モジュールフレーム200と結合する第1エンドプレート300、第1電池セル積層体120の複数の電池セルから延長形成された第1テラス部集合体113および第1エンドプレート300上に位置する第1端子バスバー320と第1コネクタ330を含む第1電池モジュールM1、および第1電池モジュールM1と隣り合った第2電池モジュールM2を含む。この時、第1テラス部集合体113は、積層形成された複数の電池セル110から延長形成されたテラス部が集まって集合体をなすことができる。
【0051】
本発明の一実施形態によると、第1モジュールフレーム200の上面に第1ベンティング部400が形成され、第1ベンティング部400が形成された部分は第1テラス部集合体113が位置した部分と対応する位置に形成され、第2電池モジュールM2に含まれている第2エンドプレート300’は、第2端子バスバー320’と第2コネクタ330’を含む。第1ベンティング部400は第2電池モジュールM2が位置した方向と反対方向にガスを排出するように形成され得る。
【0052】
第1電池モジュールM1と第2電池モジュールM2は、第1端子バスバー320と第2端子バスバー320’が互いに向かい合い、第1コネクタ330と第2コネクタ330’が互いに向かい合うように配置される。この時、第1端子バスバー320と第2端子バスバー320’は、それぞれ互いに向かい合う一側に開口部が形成され、第1コネクタ330と第2コネクタ330’は、それぞれ互いに向かい合う一側に開口部が形成され得る。
【0053】
第1電池モジュールM1で形成された高温の熱、ガスおよび火炎が開口部が形成された第1端子バスバー320および第1コネクタ330を通じて向かい合うように配置された第2電池モジュールM2の第2端子バスバー320’および第2コネクタ330’に排出され得るため、第2電池モジュールM2に形成された第2端子バスバー320’および第2コネクタ330’が高温の熱、ガスおよび火炎による損傷が発生することがある。
【0054】
また高温の熱、ガスおよび火炎が第2端子バスバー320’および第2コネクタ330’に形成された開口部を通過して第2電池モジュールM2内部の電池セル積層体110’にも損傷を与えることがある。本発明の一実施形態によると、第1電池モジュールM1に形成された第1ベンティング部400を通じて、第1端子バスバー320および第1コネクタ330に形成された開口部と共に第1テラス部集合体113で発生する高温の熱、ガスおよび火炎を分散して排出させることができるため、第1端子バスバー320および第1コネクタ330と向かい合うように配置された第2端子バスバー320’および第2コネクタ330’に伝達される被害を最小化することができる。
【0055】
第2電池モジュールM2は、第2電池セル積層体が挿入される第2モジュールフレーム200’および第2電池セル積層体の前後面を覆い、第2モジュールフレームと結合される第2エンドプレート300’を含み、第2モジュールフレーム200’の上面に第2ベンティング部が形成され得る。この時、第2ベンティング部の排出口は第1ベンティング部400の排出口と互いに異なる方向に向かうことができる。
【0056】
また第2電池モジュールM2は、第2電池セル積層体の複数の電池セルから延長形成された第2テラス部集合体113’をさらに含み、第2ベンティング部が形成された部分は、第2テラス部集合体113’が形成された位置と対応する位置に形成され得る。
【0057】
以下、
図7および
図8を参照して本発明の他の一実施形態によるベンティング部500が形成された電池モジュールについて説明する。
【0058】
図7は本発明の他の一実施形態による電池モジュールのベンティング部の様子を示す図面である。
図8は
図7の電池モジュールを含む電池パックにおいて、電池モジュールのベンティング部を示す断面図である。
【0059】
図7および
図8に示されているように、本実施形態によるベンティング部500は、電池セル積層体120を基準として上側方向にベンティングされるように形成され得る。ベンティング部500は、電池セル積層体120と連結され、モジュールフレーム200の上面上で上側方向に形成された流入口510、上側方向に形成されて流入口を通じて流入されたガスを排出する排出口520、および流入口510と排出口520を連結する連結部530を含み、連結部530は、流入口510および排出口520の流入および排出方向と垂直な方向に形成され得る。
【0060】
ベンティング部500は、電池モジュール内部の高温の熱、ガスおよび火炎を電池モジュールの上側方向に向かって排出して、エンドプレートを合わせて配置された他の電池モジュールに被害を最小化させることができる。しかし、排出口520が上側方向に向かって形成されて空気中の異物が重力により排出口520に入ることがあるため、連結部530を排出口520と垂直な方向に形成されるようにして排出口520に流入された異物が流入口510を通じて電池モジュール内部に流入される現象が最小化され得る。
【0061】
また連結部530上には排出口520を通じて入る異物を遮断する異物遮断部540が形成されて、異物が排出口520部分から連結部530を通じて流入口510部分に入らない防止することができる。
【0062】
前述した電池モジュールは、電池パックに含まれ得る。本発明の一実施形態による電池パックは、第1電池セル積層体120を収容する第1モジュールフレーム200、第1電池セル積層体120の前後面を覆い、第1モジュールフレーム200と結合する第1エンドプレート300、第1電池セル積層体120の複数の電池セルから延長形成された第1テラス部集合体113および第1エンドプレート300上に位置する第1端子バスバー320と第1コネクタ330を含む第1電池モジュールM1、および第1電池モジュールM1と隣り合った第2電池モジュールM2を含む。この時、第1テラス部集合体113は、積層形成された複数の電池セル110から延長形成されたテラス部が集まって集合体をなすことができる。
【0063】
本発明の一実施形態によると、第1モジュールフレーム200の上面に第1ベンティング部500が形成され、第1ベンティング部500が形成された部分は第1テラス部集合体113が位置した部分と対応する位置に形成され、第2電池モジュールM2に含まれている第2エンドプレート300’は、第2端子バスバー320’と第2コネクタ330’を含む。この時、第1電池モジュールM1と第2電池モジュールM2は、第1端子バスバー320と第2端子バスバー320’が互いに向かい合い、第1コネクタ330と第2コネクタ330’が互いに向かい合うように配置される。
【0064】
電池パックと関連して前述した説明以外の内容は本発明の一実施形態による第1ベンティング部400が形成された電池パックに関して説明した内容と同一である。
【0065】
以下、
図9を参照して本発明の他の一実施形態によるベンティング部600が形成された電池モジュールについて説明する。
【0066】
図9は本発明の他の一実施形態による電池モジュールのベンティング部を示す図面である。
【0067】
図9に示されているように、本実施形態によるベンティング部600は、複数個のベンティング部600がテラス部が位置した部分と対応する位置に形成され得る。それぞれのベンティング部600は、モジュールフレーム200上面の両端および中央にそれぞれ形成され得る。例えば電池セル積層体の最外側電池セルで高温の熱、ガスおよび火炎が発生するなど、複数の電池セルで特定の電池セルから高温の熱、ガスおよび火炎が局部的に発生することがあるため、
図3および
図6に示されているようにテラス部が形成された部分に沿って複数のベンティング部600を配置して、特定の部分に位置した電池セルから発生した高温の熱、ガスおよび火炎を、当該電池セルと最も近いところに位置したベンティング部600を通じて迅速に外部に排出することができる。本実施形態によると、ベンティング部600は、モジュールフレーム200の上面中央および両側にそれぞれ形成されて、それぞれのベンティング部600と隣接した部分の電池セルで発生する高温の熱、ガスおよび火炎を外部に排出することができる。
【0068】
本実施形態によるベンティング部600は、モジュールフレーム200の上面上に形成されて電池セル積層体と連結される流入口610、流入口610を通じて流入されたガスを排出する排出口620を含み、排出口620は流入口610と垂直な方向に形成され得る。またベンティング部600は、流入口610と排出口620の間に形成されて流入口610に流入されたガスを排出口620が位置した方向に案内する連結部630を含み、連結部630の上面は傾斜して形成され得る。
【0069】
排出口620が流入口610およびモジュールフレーム200の上面と垂直な方向に形成されて、空気中に漂う異物が重力により排出口620内部に入る現象を防止することができる。また連結部630の上面が排出口に向かって傾斜して形成されて、流入口610に流入された高温の熱、ガスおよび火炎が連結部630を通じて方向が転換されて排出口620を通じて自然に排出され得る。
【0070】
以下、
図10を参照して本発明の他の一実施形態によるベンティング部700が形成された電池モジュールについて説明する。
【0071】
図10は本発明の他の一実施形態による電池モジュールのベンティング部を示す図面である。
【0072】
図10を参照すると、本実施形態によるベンティング部700は、モジュールフレーム200の上面で四角形状のベンティング空間が複数個配置されるように形成され得る。複数の電池セルから同時多発的な発火現象が起こり得るため、本発明の他の一実施形態によるベンティング部700のように、モジュールフレーム200の上面に四角形状のベンティング空間が複数個配置されるように形成して、相当量のガス、熱および火炎を外部に迅速に排出させることができる。
【0073】
以下、
図3および
図11を参照して、本発明の他の一実施形態によるベンティング部800が形成された電池モジュールについて説明する。
【0074】
図11は本発明の他の一実施形態による電池モジュールのベンティング部を示す図面である。
【0075】
図3および
図11を参照すると、本実施形態による電池モジュールに形成されたベンティング部800は、電池モジュールの両端に形成された二つのエンドプレートのうち、ベンティング部800からより遠く位置したエンドプレート方向にガスを排出するように形成され得る。この時、ベンティング部800は、モジュールフレーム200上面に形成されたホール構造であり得、さらには傾斜を有するように斜めに貫通したホール構造であり得る。
【0076】
ベンティング部800は、電池セル積層体120の前後面に形成された二つのエンドプレート301、302のうち、ベンティング部800からより遠く位置したエンドプレート方向に斜めに貫通形成され得る。具体的には、斜めに貫通したベンティング部800の内側流入口は外側排出口より第1-1エンドプレート301に近く形成され、外側排出口は内側流入口より第1-2エンドプレート302に近く形成され得る。
【0077】
このような構造により、ベンティング部800を通じて排出される熱やガスに自然に方向性を付与することができる。つまり、より遠く位置した第1-2エンドプレート302方向にガスを排出するように誘導することができ、このため、第1-1エンドプレート301と隣接した他の電池モジュールの損傷を防止することができる。
【0078】
また、本実施形態によるベンティング部800は、貫通したホール構造であって、別途の追加空間が不要であり、モジュールフレーム200を貫通するだけでも簡単に排出されるガスの方向性を付与することができるという長所がある。
【0079】
前述した電池パックは、本実施形態による電池モジュールを一つ以上集めて電池の温度や電圧などを管理する電池管理システム(Battery Management System;BMS)と冷却装置などを追加してパッキングした構造であり得る。
【0080】
前記電池パックは、多様なデバイスに適用され得る。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用され得るが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールを使用することができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0081】
以上では本発明の好ましい実施形態について図示して説明したが、本発明は前述した特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱せずに当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により多様な変形実施が可能であることはもちろん、このような変形実施は本発明の技術的な思想や展望から個別的に理解されてはならない。
【符号の説明】
【0082】
110:電池セル
111:セル本体
112:電極リード
113:テラス部(第1テラス部集合体)
113’:テラス部(第2テラス部集合体)
120:電池セル積層体
130:上部プレート
200:第1モジュールフレーム(モジュールフレーム)
200’:第2モジュールフレーム
300:第1エンドプレート(エンドプレート)
301:第1-1エンドプレート
302:第1-2エンドプレート
300’:第2エンドプレート
310:モジュールマウンティング部
320:第1端子バスバー
320’:第2端子バスバー
330:第1コネクタ
330’:第2コネクタ
400、500、600、700、800:ベンティング部(第1ベンティング部)
410、510、610:流入口
420、520、620:排出口
430、530、630:連結部
540:異物遮断部
【国際調査報告】