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特表2022-545736小児治療のためのカテーテルシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(54)【発明の名称】小児治療のためのカテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513524
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 US2020046218
(87)【国際公開番号】W WO2021041047
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/892,738
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/989,243
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モハンクマル ナテーサン
(72)【発明者】
【氏名】オング シュエ グワン ジョン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267BB02
4C267BB24
4C267CC08
4C267GG04
4C267GG05
4C267HH08
(57)【要約】
小児用カテーテルシステムは、遠位端、近位端、および、それらの間に延びる管腔を有するカテーテルアダプタを含み得る。管腔は、上面および下面を含み、接着剤が下面に結合され得る。システムは、カテーテルアダプタから外向きに延びる複数の翼部を含み得る。複数の翼部は、上向きに折り畳むように構成され得る。システムは、カテーテルアダプタから遠位に延びるカテーテルカニューレを含み得る。システムは、カテーテルアダプタの近位端に取り外し可能に結合された針ハブと、カテーテルチューブを通って延びる導入針とを含み得る。導入針の近位端は、ニードルハブ内に固定され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小児用カテーテルシステムであって、前記小児用カテーテルシステムは、
遠位端、近位端、および、それらの間に延びる管腔を有するカテーテルアダプタであって、前記管腔の外面は上面および下面を含み、前記下面は接着剤を含む、前記カテーテルアダプタ、
前記カテーテルアダプタから遠位に延びるカテーテルカニューレ、
前記カテーテルアダプタの近位端に取り外し可能に結合された針ハブ、および、
前記カテーテルカニューレを通って延びる導入針であって、前記導入針の近位端は、前記針ハブ内に固定される、前記導入針、
を含むことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記カテーテルカニューレが、24ゲージまたは26ゲージであることを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記カテーテルカニューレの長さが約14mmであることを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記カテーテルアダプタは、さらに、複数の翼部を含み、前記複数の翼部は、前記カテーテルアダプタから外向きに延び、前記複数の翼部は、上方に折り畳むように構成されることを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の小児用カテーテルシステムであって、さらに、ハウジングを含み、前記ハウジングは、前記カテーテルアダプタ上に適合し、前記複数の翼部を上向きの位置に固定することを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記ハウジングは、前記ハウジングの遠位端から外向きに延びるフィンガーグリップを含み、前記ハウジングは、前記複数の翼部を延ばすために取り外されることを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項7】
請求項4に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記カテーテルアダプタが、さらに、前記カテーテルアダプタの前記上面から上方に延びるプッシュタブを含むことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項8】
請求項7に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記プッシュタブが、第1のプッシュタブであり、前記カテーテルアダプタは、さらに、前記複数の翼部の間から上方に延びる第2のプッシュタブを含むことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項9】
請求項1に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記接着剤が、取り外し可能な裏打ち層を有する一体型テープストリップを含むことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項10】
小児用カテーテルシステムであって、前記小児用カテーテルシステムは、
遠位端、近位端、および、それらの間に延びる管腔を有するカテーテルアダプタであって、前記管腔の外面が上面および下面を含み、接着剤が前記下面に結合される、前記カテーテルアダプタ、
前記カテーテルアダプタから外向きに延びる複数の翼部であって、前記複数の翼部は上向きに折り畳むように構成される、前記複数の翼部、
前記カテーテルアダプタから遠位に延びるカテーテルカニューレ、
前記カテーテルアダプタの近位端に取り外し可能に結合された針ハブ、および、
前記カテーテルカニューレを通って延びる導入針であって、前記導入針の近位端が前記針ハブ内に固定される、前記導入針、
を含むことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項11】
請求項10に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記カテーテルアダプタが、さらに、前記カテーテルアダプタの前記上面から上方に延びるプッシュタブを含むことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項12】
請求項11に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記プッシュタブが第1のプッシュタブであり、前記カテーテルアダプタが、さらに、前記複数の翼部の間から上方に延びる第2のプッシュタブを含むことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項13】
請求項10に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記カテーテルカニューレの長さが約14mmであることを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項14】
請求項10に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記接着剤が、取り外し可能な裏打ち層を有する一体型テープストリップを含むことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項15】
請求項10に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記複数の翼部が上面および下面を含み、前記下面が接着剤を含むことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項16】
請求項10に記載の小児用カテーテルシステムであって、さらに、ハウジングを含み、前記ハウジングは、前記カテーテルアダプタ上に適合し、前記複数の翼部を上向きの位置に固定し、前記ハウジングは、取り外されて前記複数の翼部を伸ばすことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項17】
小児用カテーテルシステムであって、前記小児用カテーテルシステムは、
遠位端、近位端、および、それらの間に延びる管腔を有するカテーテルアダプタであって、前記管腔の外面が上面および下面を含み、第1の接着剤が前記下面に結合される、前記カテーテルアダプタ、
前記カテーテルアダプタから外向きに延びる複数の翼部であって、前記複数の翼部は、上向きに折り畳むように構成され、前記複数の翼部は、第1の表面および第2の表面を含み、第2の接着剤は前記第2の表面に結合される、前記複数の翼部、
前記カテーテルアダプタから遠位に延びるカテーテルカニューレ、
前記カテーテルアダプタの前記上面から上向きに伸びるプッシュタブ、
前記カテーテルアダプタの近位端に取り外し可能に結合された針ハブ、および、
前記カテーテルカニューレを通って延びる導入針であって、前記導入針の近位端が前記針ハブ内に固定される、前記導入針、
を含むことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項18】
請求項17に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記第1の接着剤および前記第2の接着剤は、取り外し可能な裏打ち層を有する一体型テープストリップを含むことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項19】
請求項17に記載の小児用カテーテルシステムであって、さらに、ハウジングを含み、前記ハウジングがカテーテルアダプタ上に適合し、前記複数の翼部を上向きの位置に固定し、前記ハウジングが取り外されて前記複数の翼部を伸ばすことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【請求項20】
請求項17に記載の小児用カテーテルシステムであって、前記プッシュタブが第1のプッシュタブであり、前記カテーテルアダプタが、さらに、前記複数の翼部の間から上方に延びる第2のプッシュタブを含むことを特徴とする小児用カテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カテーテル挿入を容易にするように構成されたカテーテルシステム、および、関連する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な医療処置である注入療法は、血管アクセス装置によって促進され得る。入院、在宅医療、および、その他の患者は、血管系に挿入された血管アクセス装置を介して、液体、医薬品、および、血液製剤を受け取る。採血は、血管アクセス装置によって促進され得る、別の一般的な医療処置である。
【0003】
血管アクセス装置は、患者の末梢または中枢血管系にアクセス得る。血管アクセス装置は、短期(数日)、中期(数週間)、または長期(数ヶ月から数年)の間留置し得る。血管アクセス装置は、持続注入療法または間欠療法に使用され得る。
【0004】
一般的なタイプの血管アクセス装置は、オーバーザニードル末梢静脈カテーテル(PIVC)である。その名前が示すように、「オーバーザニードル」PIVCは、鋭い遠位先端を有する導入針の上に取り付けられ得る。鋭い遠位端は、患者の皮膚および血管系を穿刺するために使用され得る。血管系へのPIVCの挿入は、針による血管系の穿刺に続き得る。針とPIVCは、一般に、皮膚を通して患者の血管系に浅い角度で挿入され、針の斜面は、患者の皮膚から離れる方向に向く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
新生児を含む小児患者では、PIVCを静脈内に配置する試みにおいて、静脈が、より小さく、アクセスするのにより困難であり得る場合、カテーテルの留置がより困難であり得る。したがって、場合によっては、子供を含むより易損性の患者は、より多くの針刺しを受け得、それは、痛みや他の併発症を引き起こし得る。従来の血管アクセス装置は、これらの問題に適切に対処していない。したがって、小児医療で発生する困難を軽減するカテーテルシステムが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において特許請求される主題は、いずれかの不利な点を解決する、または、上記のような環境でのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景は、本明細書で説明されるいくつかの実装が実施され得る、一例の技術領域を説明するためにのみ提供される。
【0007】
本開示は、カテーテル挿入を容易にするように構成されたカテーテルシステム、および、関連する装置および方法に関する。カテーテルシステムは、患者の静脈へのカテーテルチューブの挿入に関連し得る併発症を軽減し得る。カテーテルシステムは、より小さな静脈へのカテーテル配置を改善するために、新生児を含む小児患者にとって、特に有用であり得る。それは、また、これらのより易損性の患者が、不必要な針刺しを経験するリスクを軽減し得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、カテーテルシステムは、遠位端、近位端、およびそれらの間に延びる管腔を有するカテーテルアダプタを含み得る。管腔の外面は、上面および下面を含み得る。下面は、接着剤を含み得る。接着剤は、取り外し可能な裏打ち層を含む、一体型テープストリップであり得る。システムは、カテーテルアダプタから遠位に延びるカテーテルカニューレを含み得る。カテーテルアダプタの近位端に取り外し可能に結合され得る針ハブが、また、システムに含まれ得、そして、導入針が、カテーテル管を通って延びる。導入針の近位端は、針ハブ内に固定され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、カテーテルシステムは、小児用カテーテルシステムを含み得る。そのような小児用カテーテルシステムでは、カテーテルチューブは、24ゲージまたは26ゲージであり得る。カテーテルチューブの長さは、約14mmであり得、カテーテルカニューレは、末梢静脈内カテーテルを含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタは、1つまたは複数の翼部を含み得、それは、カテーテルアダプタから外向きに延び得る。翼部は、上向きに折り畳むように構成され得る。1つまたは複数の翼部は、第1の表面、および、第2の表面を含み得、接着剤が第2の表面に結合され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、カテーテルシステムは、カテーテルアダプタに取り外し可能に結合され得るハウジングを含み得る。ハウジングは、カテーテルアダプタ上に適合し、翼部を上向きの位置に固定し得る。ハウジングは、また、フィンガーグリップを含み得、それは、ハウジングの遠位端から外向きに延び得る。ハウジングは、カテーテルアダプタ上から取り外され得、複数の翼部を伸ばす。
【0012】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタは、さらに、カテーテルアダプタの上面から上方に延びるプッシュタブを含む。カテーテルアダプタは、第1のプッシュタブ、および、複数の翼部の間から上方に延びる第2のプッシュタブを含み得る。
【0013】
前述の一般的な説明、および、以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的であり、特許請求される本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。様々な実施形態は、図面に示される配置および手段に限定されないことが理解されるべきである。また、実施形態が組み合わせられ得ること、または、他の実施形態が利用され得ること、および、そうと特許請求されない限り、構造変更が、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0014】
例示的な実施形態は、添付の図面の使用を通して、追加の特定性および詳細さを備えて、記述および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】カテーテルアセンブリの一実施形態の上面図である。
図2A】カテーテルシステムの一実施形態の側面斜視図である。
図2B図2Aのカテーテルシステムの上面斜視図である。
図2C図2Aのカテーテルシステムの底面斜視図である。
図2D図2Aのカテーテルシステムの側面斜視図である。
図2E図2Aのカテーテルシステムの正面斜視図である。
図2F図2Aのカテーテルシステムの断面図である。
図3図2Aのカテーテルシステムの例示的なハウジングの正面図である。
図4】例示的なカテーテルアダプタに取り付けられたハウジングを示す、カテーテルシステムの一実施形態の断面図である。
図5図2Aのカテーテルシステムの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
これらの図は、本開示の概念を説明するためのものであり、縮尺に合わせて描かれるわけではないことが理解されるべきである。さらに、図は例示的な実施形態を示しており、本開示の範囲に対する限定を表すものではない。
【0017】
本開示の例示的な実施形態は、図への参照によって最もよく理解されるであろうし、同様の部分は、全体を通して同様の数字によって示される。本開示の構成要素は、本明細書において、一般的に記載され、図に示されているように、多種多様な異なる構成で配置および設計され得るであろうことが、容易に理解されるであろう。したがって、図に示されるような、装置およびシステムの実施形態の以下のより詳細な説明は、本出願または本出願に優先権を主張する他の出願で特許請求される、本開示の範囲を限定することを意図されないが、本開示の例示的な実施形態の単なる代表である。
【0018】
ここで図1を参照すると、カテーテルシステム10の実施形態が示される。カテーテルシステム10は、BD社の「Neoflon(商標)」IVカニューレシステム、または、別の好適なカテーテルシステムと同様であり得る。小児科での使用、特に毛細血管の脆さを伴う新生児患者に対して、非外傷性で繊細な針が選ばれる場合、カテーテル挿入、および/または、留置期間中の患者の快適さのために、より小さなゲージのカニューレとカテーテルが選ばれ得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、カテーテルシステム10は、カテーテルアダプタ12、および、カテーテルカニューレ14を含み得る。カテーテルカニューレ14は、カテーテルアダプタ12から遠位に延び得る。いくつかの実施形態では、カテーテルカニューレ14は、例えば、新生児患者を含み得る、小児患者用のサイズの小さなゲージのカテーテルを含み得る。例えば、カテーテルカニューレ14は、24以下のゲージサイズを有し得る。これらおよび他の実施形態では、カテーテルカニューレ14は、0.7mmにほぼ等しい外径、および/または、14mmにほぼ等しい長さを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルチューブを通る水の流量は、約20ml/分であり得る。別の例として、カテーテルカニューレ14は、26のゲージサイズを有し得る。これら、および、他の実施形態では、カテーテルカニューレ14は、0.6mmにほぼ等しい外径、および/または、14mmにほぼ等しい長さを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルチューブを通る水の流量は、約13ml/分であり得る。適切な針のゲージと長さは、標的の体組織、注射液製剤、および/または、粘度、ならびに、患者のプロポーションを含む、多くの要因によって決定され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、カテーテルカニューレ14は、熱可塑性ポリウレタン(「TPU」)、または、別の好適な材料で構成され得る。カテーテルカニューレ14は、TPUのみで、または、部分的にTPUで構成され得る。TPUまたは他の好適な材料は、患者の静脈へのカテーテルカニューレ14の円滑な挿入を容易にし得るか、または、使用者が静脈にカテーテルカニューレ14を挿入する際の抵抗を、標準的なカテーテルチューブよりも少なくし得る。標準的なカテーテルチューブは、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、または、同様の材料で構成され得るが、これは、患者の静脈に挿入するのが困難であり得、標準的なカテーテルチューブの折れにつながり得る抵抗をもたらす。TPUまたは他の好適な材料で構成されたカテーテルカニューレ14は、患者の静脈への挿入を容易にし、挿入中のカテーテルカニューレ14の折れを回避するのを支援し得る。さらに、TPUで構成されたカテーテルカニューレ14は、静脈炎のリスクを低減し、カテーテルカニューレ14の留置期間を延ばし得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ12は、遠位端、近位端、および、それらの間に延びる管腔を含み得る。いくつかの実施形態では、管腔の外面は、上面および下面を含み得る。管腔の上面は、挿入後に針を引き抜くためのプッシュタブ16を含み得る。いくつかの実施形態では、管腔の上面は、第2のプッシュタブ17を含み得る。いくつかの実施形態では、プッシュタブ16、および/または、プッシュタブ17は、臨床医が使用中のカテーテルアダプタ12の制御を改善することを可能にし得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ12は、1つまたは複数の翼部18を含み得、これは、カテーテルを所定の位置に保持するために、カテーテルアダプタ12から外向きに延び得る。翼部18は、カテーテルアダプタ12の下部から延び得る。カテーテルアダプタ12は、比較的柔軟なプラスチックで構成され得る。いくつかの実施形態では、翼部18は、翼部18を上向きおよび/または下向きの位置に折り畳むのを容易にするための折り畳み線20を含み得る。
【0023】
ここで図2A-2Bを参照すると、カテーテルシステム22が示される。いくつかの実施形態では、カテーテルシステム22は、カテーテルアダプタ12、カテーテルカニューレ14、ハウジング24、針ハブ26、針28、流量制御プラグ30、および、エンドキャップ32のうちの1つまたは複数を含み得る。ハウジング24は、カテーテルアダプタ12に取り外し可能に結合され得る。ハウジング24は、カテーテルカニューレ14を患者の静脈に挿入する間に、臨床医などの使用者にとって把持するのに有用であり得る。また、ハウジング24は、カテーテルアダプタ12自体と比較して、把持するためのより大きな表面積を提供し得る。いくつかの実施形態では、ハウジング24は、カテーテルシステム10の患者への挿入、および/または、患者からの引き抜きを支援するように構成されたフィンガーグリップ34をさらに含み得る。ハウジングのフィンガーグリップ34は、ハウジング24の遠位端から外向きに延び得る。ハウジング24は、翼部上に取り付けられ、それらを上向きの位置に保持するために、大体において正方形であり得る。カテーテルシステム22が、カテーテルシステム22を患者に挿入する前の、挿入位置にあるとき、翼部18は、さらに詳細に説明されるように、ハウジング24内で上向きの位置に配置され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、針28の近位端は、針ハブ26内に固定され得る。針28の近位端は、針ハブ26内に圧入され得る。針28は、患者の静脈へのカテーテルカニューレ14の挿入を容易にするために、鋭い遠位先端を有する導入針を含み得る。いくつかの実施形態では、針ハブ26は、サムグリップ36を含み得、これは、カテーテルカニューレ14が患者の静脈に挿入された後、カテーテルシステム10からの針ハブ26および針28の除去を支援するように構成され得る。針28は、ステンレス鋼または別の好適な材料で構成され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、流量制御プラグ30は、例えば、流量制御プラグ30内に配置された、半透膜、多孔質膜、および/または、マイクロ溝で、空気を排出するように構成され得るが、血液を含み得る。エンドキャップ32は、流量制御プラグ30の近位端に結合され得る。エンドキャップ32が流量制御プラグ30に固定されているとき、エンドキャップ32は、流量制御プラグ30の通気を防止し得る。エンドキャップ32、および/または、流量制御プラグ30の近位端は、スリップ式、または、ねじ式の、雄型、または、雌型のルアーアダプタのようなルアーアダプタ、または、別の好適なコネクタを含み得、これは、エンドキャップ32と流量制御プラグ30の結合を容易にし得る。いくつかの実施形態では、延長チューブが、ルアーアダプタに結合され得る。
【0026】
管腔は、カテーテルアダプタ12の遠位端から、カテーテルアダプタの近位端まで延び得る。カテーテルアダプタ12の近位端は、スリップ式、または、ねじ式の、雄型、または、雌型のルアーアダプタのようなルアーアダプタ、または、別の好適なコネクタを含み得る。針ハブ26の遠位端は、カテーテルアダプタ12の近位端のコネクタと結合するように構成されたコネクタを含み得る。例えば、針ハブ26の遠位端は、スリップ式、または、ねじ式の、雄型、または、雌型のルアーアダプタのようなルアーアダプタ、または、別の好適なコネクタを含み得る。
【0027】
ここで図2Cを参照すると、図2A-2Cのカテーテルシステム22は、患者の静脈へのカテーテルカニューレ14の挿入後であるが、針28の除去前に対応する位置に示される。この位置では、翼部18は、接着剤38を介した、患者の皮膚への固定のために、下向きの位置に配置され得る。いくつかの実施形態では、翼部18は、第1の表面および第2の表面を含む。翼部18の第2の表面は、翼部が下向きの位置に配置されたときに患者の皮膚に接触するように構成され得る。接着剤38が第2の表面に塗布され、翼部18は皮膚に固定され得る。接着剤38は、一体型テープストリップであり得る。いくつかの実施形態では、接着剤38は、患者の皮膚に翼部を固定する前に取り外し可能な、裏打ち層を含み得る。カテーテルアダプタ12は、上面および下面を含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタの下面は、カテーテルアダプタ12を患者の皮膚に固定する、接着剤40を含む。接着剤38、40は、患者による予期しない動きがあった場合に、カテーテルの脱落を回避し得る。
【0028】
ここで図2D~2Fを参照すると、いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ12の上面は、プッシュタブ16を含み得る。プッシュタブ16は、カテーテルアダプタ12の上面から上向きに延び得る。プッシュタブ16は、使用者にとってよりアクセスしやすいように、ハウジング24の遠位に存在し得る。いくつかの実施形態では、プッシュタブ16は、第1のプッシュタブであり得、カテーテルアダプタ12は、複数の翼部の間から上方に延びる第2のプッシュタブ17を含み得る。第2のプッシュタブ17は、第1のプッシュタブ16まで延び得ず、その結果、第2のプッシュタブ17は、ハウジング24の下方に適合する。第1のプッシュタブ16、および/または、第2のプッシュタブ17は、臨床医が、除去、および/または、挿入中に、カテーテルアダプタ12を制御することを可能にし得る。
【0029】
針28およびカテーテルカニューレ14の患者への挿入前に、ハウジング24は取り外され得る。取り除かれると、第1のプッシュタブ16、および/または、第2のプッシュタブ17は、臨床医が、患者の静脈への挿入後に、針28を引き抜くことを可能にし得る。第1のプッシュタブ16、および/または、第2のプッシュタブ17は、臨床医が、針ハブ26をカテーテルアダプタ12から分離するために使用する、表面またはグリップを提供し得る。さらに、第1のプッシュタブ16、および/または、第2のプッシュタブ17は、使用者が、片手で、針ハブ26をカテーテルアダプタ12から分離することを可能にし得る。
【0030】
ここで図3を参照すると、いくつかの実施形態では、ハウジング24は、第1のアーチ型ゲート44を含み得る、遠位壁42、および、第2のアーチ型ゲート48を含み得る、近位壁46(例えば、図4に示される)を含み得る。第1のアーチ型ゲート44と第2のアーチ型ゲート48は、それぞれ、カテーテルアダプタ12の直径よりわずかに大きい幅を含み得、その結果、ハウジング24は、カテーテルアダプタ12上にスライド式のはめ込みで押し込まれ得る。ゲート44、48は、翼部18の前、および/または、後ろで、カテーテルアダプタ12を取り囲み得る。また、ハウジング24の高さ50は、翼部18の長さと少なくとも同じ寸法であり得る。
【0031】
ここで図4を参照すると、いくつかの実施形態では、翼部18は、上向きに折り畳まれ得、次に、少なくとも底部に開口部を有するハウジング24が、カテーテルアダプタ12上にスライド式はめ込みで押し込まれて、ハウジング内に翼部を固定し得る。通常の操作、すなわち、静脈穿刺、静脈へのカテーテルチューブの積極的な挿入、および、カテーテルアダプタ12からの針ハブ26の分離が、ハウジングのフィンガーグリップ34、および/または、サムグリップ36によって行われた後、または、前に、ハウジング24は、カテーテルアダプタ12から取り外され得、翼部18は拡開されて、その後、患者の皮膚に固定され得る。
【0032】
ここで図5を参照すると、いくつかの実施形態による、ウェッジ52が示される。ウェッジ52は、カテーテルカニューレ14をカテーテルアダプタ12内に固定し得る。ウェッジ52は、金属、プラスチック、または、別の好適な材料で構成され得る。
【0033】
本明細書全体を通して「実施形態」または「前記実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明される特定の態様、構造、または、特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体において表現される引用句またはその変形は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。本開示の実施形態のいずれか、または、本開示の実施形態のいずれかの任意の部分は、任意の数の異なる方法で一緒に組み合わせられ得ることが理解されるべきである。
【0034】
同様に、上記の実施形態の説明では、開示を合理化する目的で、様々な態様が、単一の実施形態、図、またはその説明に、しばしば一緒に寄せ集められることが理解されるべきである。ただし、この開示フォーマットは、任意の特許請求の範囲が、その特許請求の範囲に明示的に表現されているものよりも多くの態様を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の態様は、いずれか単一の、前述の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴の組み合わせにある。したがって、この実施形態の説明に続く特許請求の範囲は、これにより、この実施形態の説明に明示的に組み込まれ、各クレームは、それ自体で、別個の実施形態として成り立つ。この開示は、独立請求項のその従属項とのすべての並べ替えを含む。
【0035】
態様または要素に関する「第1の」という用語の特許請求の範囲における表現は、必ずしも、第2のまたは追加のそのような態様または要素の存在を意味しない。ミーンズプラスファンクション形式で表現される要素は、米国特許法第112条第6段落に従って解釈されることを意図される。本明細書に記載された基礎となる原理から逸脱することなく、上記の実施形態の詳細への変更がなされることは、当業者に明らかであろう。
【0036】
本明細書では、標準的な医療の方向性、参照平面、および、説明的な用語が採用される。たとえば、前部とは体の正面に向かうことを意味する。後部とは、体の背部に向かうことを意味する。上部とは頭に向かうことを意味する。下部とは、足に向かうことを意味する。内側とは、体の正中線に向かうことを意味する。側部とは、体の正中線から離れることを意味する。軸方向とは、体の中心軸に向かうことを意味する。軸外とは、体の中心軸から離れることを意味する。同側とは、体の同じ側を意味する。反対側とは、体の反対側であること意味する。正中面は、体を左右に分割する。正中矢状面は、体を左右両側に対称に、右半分と左半分に分割する。冠状面は、体を前部と後部に分割する。横断面は、体を上部部分と下部部分に分割する。これらの説明的な用語は、生物または無生物の体に適用され得る。
【0037】
「接続される」、「結合される」、「係合される」、および「連通する」という句は、機械的、電気的、磁気的、電磁気的、流体的、および、熱的な相互作用を含む、2つ以上の実体間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、それらが互いに直接接触になくても、機能的に結合され得る。「当接する」という用語は、単位体が必ずしも一緒に取り付けられなくても、互いに直接の物理的接触にある単位体を指す。「流体連通」という句は、一方の態様内の流体が他方の態様に通過できるように接続された2つの態様を指す。
【0038】
本明細書で定義されるように、「実質的に等しい」は、「等しい」、または、互いから、約+10%、または、約-10%の相対的な分散内にあることを意味する。
【0039】
「例示的」という用語は、本明細書では、「例、実例、または、例示として適うこと」を意味するために使用される。本明細書で「例示的」として記載される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいか、または、有利であると解釈されるべきではない。実施形態の様々な態様が図に示されるが、特に示されない限り、図は、必ずしも縮尺に合わせて描かれるわけではない。
【0040】
本開示の特定の実施形態および用途が図示および説明されているが、添付の特許請求の範囲は、本明細書に開示される正確な構造および構成要素に限定されないことが理解されるべきである。当業者に明らかであろう、様々な修正、変更、および、変形は、本明細書に開示される、装置およびシステムの配置、操作、および、詳細においてなされ得る。
【0041】
本明細書に表現されるすべての例および条件付き言語は、本発明、および、当技術分野を進化させるための発明によって提供される概念を理解することにおいて、読者を支援するための教育学的な対象として意図され、そのような具体的に表現された例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本開示の実施形態は詳細に説明されたが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、および、改変が、これに関してなされ得るであろうことが理解されるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
【国際調査報告】