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特表2022-545752電気自動車充電装置、システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(54)【発明の名称】電気自動車充電装置、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20221021BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221021BHJP
   H02H 7/12 20060101ALI20221021BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20221021BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20221021BHJP
   B60L 53/53 20190101ALI20221021BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20221021BHJP
【FI】
H02J7/10 A
H02J7/00 P
H02J7/00 S
H02H7/12
H02M3/00 W
H02M3/00 C
B60L53/66
B60L53/53
B60L53/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513943
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 US2020048413
(87)【国際公開番号】W WO2021041814
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/892,800
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522078107
【氏名又は名称】スパークチャージ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SPARKCHARGE, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】エリス,クリストファー アール.
(72)【発明者】
【氏名】ホイットニー,リチャード
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
5H125
5H730
【Fターム(参考)】
5G053AA05
5G053BA01
5G053BA04
5G053CA01
5G053FA05
5G503FA06
5G503FA17
5G503GB03
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125BE02
5H125CC06
5H125DD02
5H125EE61
5H125FF14
5H730AS01
5H730AS02
5H730AS04
5H730AS17
5H730BB82
5H730BB88
5H730FD11
5H730FD41
5H730FG05
5H730FG10
5H730XX01
5H730XX41
(57)【要約】
電気自動車充電システムは、電気自動車バッテリへの電荷の供給を容易にするように構成されたインターリーブDC-DC制御システムを含み、インターリーブDC-DC制御システムに通信可能に結合されたコントローラを含む。インターリーブDC-DC制御システムは、突入電流制限回路と、それぞれが離散位相で動作するように構成された3つの並列昇圧コンバータと、一方向電流回路と、を含む。コントローラは、インターリーブDC-DC制御システムを制御するように構成された電子制御回路と、インターリーブDC-DC制御システムと電気自動車のバッテリとの間に充電プロトコルを確立するように構成された車両通信回路と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車充電システムであって、
エネルギー蓄積装置から電気自動車バッテリへの電荷の供給を容易にするように構成されたインターリーブDC-DC制御システムを含み、前記インターリーブDC-DC制御システムは、
突入電流制限回路と、
3つの並列昇圧コンバータであって、前記3つの並列昇圧コンバータの各昇圧コンバータが離散位相で動作するように構成され、前記3つの並列昇圧コンバータが前記突入電流制限回路に通信可能に結合される、3つの並列昇圧コンバータと、
前記3つの並列昇圧コンバータに通信可能に結合された一方向電流回路と、
前記インターリーブDC-DC制御システムに通信可能に結合されたコントローラと、を含み、前記コントローラは、
前記インターリーブDC-DC制御システムを制御するように構成された電子制御回路と、
前記インターリーブDC-DC制御システムと前記電気自動車バッテリとの間に充電プロトコルを確立するように構成された車両通信回路であって、前記電気制御回路に通信可能に結合される、車両通信回路と、
を含む、電気自動車充電システム。
【請求項2】
電源異常により前記電気自動車充電システムを放電するように構成された安全回路をさらに含み、前記安全回路は、
抵抗器と、
前記抵抗器と並列である複数のキャパシタと、
を含む、請求項1に記載の電気自動車充電システム。
【請求項3】
前記安全回路は、エネルギー貯蔵構成要素をさらに含み、前記エネルギー貯蔵構成要素は、前記電気自動車充電システムが電力を失った場合に自動的に係合するように構成される、請求項2に記載の電気自動車充電システム。
【請求項4】
前記突入電流制限回路は、前記コントローラによって制御される複数の選択的に切り替え可能な構成要素を含み、前記複数の選択的に切り替え可能な構成要素のうちの少なくとも1つの切り替え構成要素は、前記複数の選択的に切り替え可能な構成要素のうちの少なくとも1つの他の切り替え構成要素よりも高いインピーダンス経路を含む、請求項1に記載の電気自動車充電システム。
【請求項5】
前記一方向電流回路は、前記電気自動車バッテリからの放電を防止するように構成される、請求項1に記載の電気自動車充電システム。
【請求項6】
前記電子制御回路は、前記インターリーブDC-DC制御システムの絶縁電流センサのセンサ値を読み取るようにさらに構成され、前記3つの並列昇圧コンバータのデューティ比を120度に設定するように構成される、請求項1に記載の電気自動車充電システム。
【請求項7】
前記インターリーブDC-DC制御システムは、前記電気自動車バッテリへのノイズの伝達を抑制するように構成された電磁干渉フィルタを含む、請求項1に記載の電気自動車充電システム。
【請求項8】
前記インターリーブDC-DC制御システムは、合計6つの昇圧コンバータが存在するように、前記3つの並列昇圧コンバータに加えて3つの追加の並列昇圧コンバータを含み、前記6つの昇圧コンバータの各昇圧コンバータは、互いに60度位相がずれて動作するように構成される、請求項1に記載の電気自動車充電システム。
【請求項9】
前記3つの並列昇圧コンバータは、第1の組の3つの並列昇圧コンバータであり、前記インターリーブDC-DC制御システムは、合計9つの昇圧コンバータが存在するように、第2の組の3つの並列昇圧コンバータおよび第3の組の3つの並列昇圧コンバータを含み、前記9つの昇圧コンバータの各昇圧コンバータは、互いに40度位相がずれて動作するように構成される、請求項1に記載の電気自動車充電システム。
【請求項10】
前記電気自動車充電システムは、輸送可能な電気自動車充電システムであり、前記輸送可能な電気自動車充電システムは、前記エネルギー蓄積装置上に積層された多層プリント回路基板を含み、前記エネルギー蓄積装置は、DCバッテリモジュールを含み、前記多層プリント回路基板は、前記インターリーブDC-DC制御システムおよび前記コントローラを含む、請求項1に記載の電気自動車充電システム。
【請求項11】
前記3つの並列昇圧コンバータの各々は、入力電圧を前記電気自動車バッテリのより高い電圧に昇圧するように構成された20kWコンバータを含む、請求項1に記載の電気自動車充電システム。
【請求項12】
電気自動車充電システムの製造方法であって、
磁気コアインダクタ、ヒートシンク、およびマルチストランドワイヤを含むインターリーブDC-DC制御システムを形成するために電気めっきを使用するステップであって、前記電気めっきが3つの並列昇圧コンバータを含む単一のプリント回路基板を生成する、ステップと、
前記インターリーブDC-DC制御システムをエネルギー蓄積装置上に積層するステップであって、前記積層するステップは、前記単一のプリント回路基板が前記エネルギー蓄積装置と同じ長さおよび幅になるように前記インターリーブDC-DC制御システムを位置合わせする、ステップと、
を含む製造方法。
【請求項13】
コントローラを形成するステップをさらに含み、前記コントローラは、
前記インターリーブDC-DC制御システムを制御するように構成された電子制御回路と、
前記インターリーブDC-DC制御システムと前記電気自動車バッテリとの間に充電プロトコルを確立するように構成された車両通信回路と、
を含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記電気めっきによって形成された前記インターリーブDC-DC制御システムは、
突入電流制限回路と、
電気自動車のバッテリへのノイズの伝達を抑制するように構成された電磁干渉フィルタと、
前記電気自動車バッテリからの放電を防止するように構成された一方向電流回路と、をさらに含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項15】
前記方法は、電源異常により前記電気自動車充電システムを放電するように構成された安全回路を形成するステップをさらに含み、前記安全回路は、
抵抗器と、
前記抵抗器と並列である複数のキャパシタと、
を含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項16】
電気自動車バッテリを充電する方法であって、
インターリーブDC-DC制御システムによって、エネルギー蓄積装置から電力入力を受け取るステップであって、前記電力入力が、前記インターリーブDC-DC制御システムの突入電流制限回路で受け取られ、前記突入電流制限回路が、複数の切り替え構成要素を含む、ステップと、
前記インターリーブDC-DC制御システムに通信可能に結合されたコントローラによって、電流が前記インターリーブDC-DC制御システムの3つの並列昇圧コンバータに連続的に流れるように、突入電流位相中に前記複数の切り替え構成要素をオンおよびオフに切り替えるステップと、
前記3つの並列昇圧コンバータによって、前記電力入力の入力電圧を前記電気自動車バッテリのより高い電圧に昇圧するステップと、
前記インターリーブDC-DC制御システムの電磁干渉フィルタによって、前記電力入力からのノイズを除去するステップと、
一方向電流回路を介して、前記電気自動車バッテリに前記電力入力を伝送するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
前記3つの並列昇圧コンバータの各々は、離散位相オフセットで動作し、各位相は120度オフセットされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、電源異常の検出に基づいて、前記電力入力を放電するように構成された安全回路を作動させるステップをさらに含み、前記安全回路は、キャパシタと並列の抵抗器を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の切り替え構成要素のうちの1つの切り替え構成要素は、前記複数の切り替え構成要素のうちの別の切り替え構成要素よりも高いインピーダンス経路を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラのコンバータ制御回路は、前記3つの並列昇圧コンバータの電流センサからセンサ値を読み取り、それに基づいて前記3つの並列昇圧コンバータのデューティ比を設定する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年8月28日に出願された「3-PHASE INTERLEAVED 20 kW DC-DC EV CHARGER」という名称の米国仮出願第62/892,800号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
1つまたは複数の態様は、電気自動車充電に関し、より具体的には、DC-DC電気自動車充電装置、システム、および関連する方法に関する。
【背景】
【0003】
充電式バッテリは、車両、電動工具、ラップトップコンピュータ、携帯電話、双方向ラジオ、照明、および無停電電源装置での使用を含む広範囲の用途で電気エネルギー蓄積に使用されている。充電式バッテリを使用する車両は、自動車、バッテリ電気自動車、ハイブリッド電気自動車、ボート、ゴルフカート、および航空機を含むことができる。これらの充電式バッテリを充電するために、充電器および充電方法が開発され、使用されている。固定充電器は、電力網からの電力を使用し、充電式バッテリを充電するためにも広く使用されている。例えば、交流電流を使用し、1つまたは複数の巻線変圧器を使用して交流電流をある電圧から別の電圧に変換する電気充電器が開発されており、これにより、いくつかの充電器はかさばるかまたは重くなる可能性がある。
【0004】
充電装置を電気自動車で容易に輸送できるようにするために、充電器のサイズおよび質量を低減する必要がある。さらに、電気自動車の充電器は、信頼性が高く、安全で、使いやすく、効率的である必要がある。
【概要】
【0005】
電気自動車充電システムは、エネルギー蓄積装置から電気自動車バッテリへの電荷の供給を容易にするように構成されたインターリーブDC-DC制御システムを含む。インターリーブDC-DC制御システムは、突入電流制限回路および3つの並列昇圧コンバータを含み、3つの並列昇圧コンバータの各昇圧コンバータは離散位相で動作するように構成され、3つの並列昇圧コンバータは突入電流制限回路に通信可能に結合される。さらに、インターリーブDC-DC制御システムは、3つの並列昇圧コンバータに通信可能に結合された一方向電流回路を含む。電気自動車充電システムはまた、インターリーブDC-DC制御システムに通信可能に結合されたコントローラを含む。コントローラは、インターリーブDC-DC制御システムを制御するように構成された電子制御回路と、インターリーブDC-DC制御システムと電気自動車バッテリとの間に充電プロトコルを確立するように構成された車両通信回路とを含み、車両通信回路は、電気制御回路に通信可能に結合される。
【0006】
さらに、電気自動車充電システムを製造する方法が提供される。本方法は、磁気コアインダクタ、ヒートシンク、およびマルチストランドワイヤを含むインターリーブDC-DC制御システムを形成するために電気めっきを使用するステップを含み、電気めっきが3つの並列昇圧コンバータを含む単一のプリント回路基板を生成する。さらに、本方法は、インターリーブDC-DC制御システムをエネルギー蓄積装置上に積層するステップを含み、積層するステップは、単一のプリント回路基板がエネルギー蓄積装置と同じ長さおよび幅になるようにインターリーブDC-DC制御システムを位置合わせする。
【0007】
さらに、電気自動車のバッテリを充電する方法が提供される。本方法は、インターリーブDC-DC制御システムによって、エネルギー蓄積装置からの電力入力を受信するステップを含み、電力入力はインターリーブDC-DC制御システムの突入電流制限回路で受信され、突入電流制限回路は複数の切り替え構成要素を含む。インターリーブDC-DC制御システムに通信可能に結合されたコントローラは、電流がインターリーブDC-DC制御システムの3つの並列昇圧コンバータに連続的に流れるように、突入電流位相中に複数の切り替え構成要素をオンおよびオフに切り替える。3つの並列昇圧コンバータは、電力入力の入力電圧を電気自動車バッテリのより高い電圧に昇圧する。インターリーブDC-DC制御システムの電磁干渉フィルタは、電力入力からのノイズを除去する。一方向電流回路は、電力入力を電気自動車バッテリに伝送する。
【0008】
追加の特徴および利点は、本明細書に記載の概念によって実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に記載の態様は、本明細書の最後に特許請求の範囲の例として特に指摘され、明確に特許請求される。本開示の前述および他の目的、特徴、および利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかである。
【0010】
図1】本明細書に記載の態様による、EV充電システム用のコントローラおよびコンバータの例示的な図を示すブロック図である。
【0011】
図2】本明細書に記載の態様による、図1のEV充電システムのコンバータおよびコントローラの例示的な構成要素を示すブロック図である。
【0012】
図3】本明細書に記載の態様による、電気自動車充電システムを製造するための例示的なプロセスを示す図である。
【0013】
図4】本明細書に記載の態様による、電気自動車のバッテリを充電するための例示的なプロセスを示す図である。
【詳細な説明】
【0014】
電気自動車(EV)バッテリを充電するEV充電システムについて説明する。EV充電システムは、直流-直流(DC-DC)変換を使用して電荷の一方向の流れを提供することができ、電気入力は、エネルギー蓄積装置から受け取られ、EV充電システムを介してEVバッテリに伝送される。様々な実施形態によれば、EV充電システムは、広いDC電圧出力範囲にわたって定電流(CC)または定電圧(CV)の出力をEVバッテリに提供することができる。直流(DC)電圧出力範囲は、例えば、エネルギー蓄積装置からより低いバッテリ電圧をより高い車両バッテリ電圧に転送するために、インターリーブDC-DC制御システムを介して入力電圧の6倍まで昇圧することができる。有利には、本明細書に記載の態様によれば、EV充電システムの効率は、99%を超える高いピーク効率を含むことができる。
【0015】
図1は、EV充電システム100用のコントローラ104およびコンバータ102の例示的な図を示すブロック図である。コンバータ102は、後述するように、エネルギー蓄積装置150などの電力入力からEVバッテリ160などの電力出力に電荷を供給することを容易にするように構成され得るインターリーブDC-DC制御システムを含む。コンバータ102は、コントローラ104に通信可能に結合することができ、コントローラ104は、コンバータ102のインターリーブDC-DC制御システムを制御するための構成要素を含むことができる。
【0016】
図2は、図1のEV充電システム100のコンバータ102およびコントローラ104の例示的な構成要素を示すブロック図である。例えば、コンバータ102は突入電流制限回路106を含む。突入電流制限回路106は、絶縁電流センサ108および高インピーダンス電圧センサ110を含むことができ、これは、故障の場合にコントローラ104の電子制御回路130が電気的に絶縁されることを保証することができる。一実施形態によれば、突入電流制限回路106は、EVバッテリがEV充電システム100に電気的に接続されているときに、EV充電システム100が制御された速度で充電することを保証することができる。有利には、突入電流制限回路106は、EV充電システム100のすべての電力構成要素に対してより長い平均寿命およびより安全な動作を提供することができる。
【0017】
一実施形態によれば、突入電流制限回路106の選択的に切り替え可能な構成要素は、エネルギー蓄積装置から電力入力を受け取るように構成される。選択的に切り替え可能な構成要素は、高電力伝送を容易にすることができる絶縁電流センサ108と、高インピーダンス電圧センサ110とを含むことができ、絶縁電流センサ108および高インピーダンス電圧センサ110の両方をコントローラ104によって制御することができる。コントローラ104は、EV充電システム100の動作が開始されたときに、選択的に切り替え可能な構成要素の様々なスイッチを選択的にオンおよびオフに切り替えるように構成することができる。例えば、スイッチは、スイッチを流れる電流が所定の上限しきい値に達したときにオフにされ得る。一実施形態によれば、切り替え可能な構成要素の切り替え周波数は固定されてもよい。さらに、高インピーダンス電圧センサ110は、突入電流制限回路106の他の切り替え構成要素よりも高いインピーダンス経路を含むことができ、この場合、より高いインピーダンス経路は、充電時間の制御を容易にする。絶縁電流センサ108は、故障の場合に出力回路からの入力の迅速な絶縁を容易にすることができる。さらに、突入電流制限回路106に含まれる選択的に切り替え可能な構成要素は、出力切り替え素子が存在する必要性を低減することができる。
【0018】
電力入力が突入電流制限回路106を通過した後に、電力入力の電圧は、突入電流制限回路106に通信可能に結合されたインターリーブ昇圧コンバータ112によって昇圧され得る。特に、インターリーブ昇圧コンバータ112は、電力入力の入力電圧をEVバッテリの電圧に対応するより高い電圧に昇圧することができる。一実施形態によれば、インターリーブ昇圧コンバータ112は、絶縁電流センサ120に加えて、各々が20kWである3つの並列昇圧コンバータ114、116、118を含む。昇圧コンバータ114、116、118の各々は、インターリーブ昇圧コンバータ112の磁気インダクタのリップル電流を最小にするために離散位相で動作するように構成される。例えば、コントローラ104の電子制御回路130は、120度でオフセットされた各昇圧コンバータ114、116、118のデューティ比を設定することができる。
【0019】
一実施形態によれば、インターリーブ昇圧コンバータ112は、3つより多くの並列昇圧コンバータ114、116、118を含むことができる。例えば、インターリーブ昇圧コンバータ112は、合計6つの昇圧コンバータが存在するように、昇圧コンバータ114、116、118に加えて3つの追加の並列昇圧コンバータ(図示せず)を含むことができる。これらの6つの昇圧コンバータの各々は、互いに60度位相がずれて動作するように構成され得る。他の実施形態は、6つを超える昇圧コンバータを有してもよい。例えば、インターリーブ昇圧コンバータ112は、互いに40度位相がずれて動作するように構成された合計で9つの昇圧コンバータ(図示せず)を含んでもよい。
【0020】
電力入力がインターリーブ昇圧コンバータ112を通過した後に、電磁干渉(EMI)フィルタ122は、EVバッテリへのノイズの伝達を抑制することができる。フィルタリングされた後に、電力入力は、EVバッテリがEV充電システム100に電力を戻す(すなわち、放電)ことを防止する一方向電流回路124を通過する。有利には、一方向電流回路124は、電力がEVバッテリに供給されているだけであり、EVバッテリから電力を除去しないことを保証する。一方向電流回路124はまた、絶縁電流センサ126および高インピーダンス電圧センサ128を含んでもよい。
【0021】
上述した電子制御回路130を含むコントローラ104は、コンバータ102のインターリーブDC-DC制御システムを制御する。さらに、コントローラ104は、インターリーブDC-DC制御システムとEVバッテリとの間に充電プロトコルを確立するように構成された車両通信回路132を含む。
【0022】
一実施形態によれば、EV充電システム100は、電源異常によりEV充電システム100を迅速に放電するように構成された安全回路を含むことができる。安全回路は、抵抗器と、抵抗器と並列の複数のキャパシタと、を含むことができる。さらに、安全回路は、例えば緊急シャットダウンモードなどでEV充電システム100が電力を失った場合に自動的に作動するように構成されたエネルギー蓄積構成要素を含んでもよい。特に、安全回路は、外部負荷なしでEV充電システム100を動作させることを容易にする。一実施形態によれば、安全回路は、通常動作中のより速いシャットダウンを容易にするためにオンコマンドでオンおよびオフにすることができる。
【0023】
一実施形態によれば、EV充電システム100は、輸送可能であり、電荷を提供するエネルギー蓄積装置上に積層された多層プリント回路基板を含む。一実施形態によれば、エネルギー蓄積装置はDCバッテリモジュールを含み、多層プリント回路基板は、インターリーブDC-DC制御システムを含むコンバータ102と、コントローラ104と、を含む。
【0024】
図3は、電気自動車充電システムを製造するための例示的なプロセス300を示す。ブロック302において、電気めっきを使用して、磁気コアインダクタ、ヒートシンク、および例えばリッツ線などのマルチストランドワイヤを含むインターリーブDC-DC制御システムを形成する。ヒートシンクは、電子および/または機械装置によって生成された熱を、例えば空気または液体冷却剤などの流体媒体に伝達するように構成された任意の受動熱交換器を含むことができる。一実施形態によれば、ヒートシンクは、所望のサイズを得るために使用される押出カットを介して切断されてもよい。電気めっきは、すべて同じ回路基板上に配置された3つの並列昇圧コンバータを含む単一のプリント回路基板を生成することができる。有利には、磁気コアインダクタとヒートシンクとの組み合わせは、小さなフォームファクタで高電力伝送を提供することができる。電気めっきによって形成されたインターリーブDC-DC制御システムは、突入制限回路、ならびに電気自動車バッテリへのノイズの伝達を抑制するように構成された電磁干渉フィルタを含むことができる。形成されるインターリーブDC-DC制御システムはまた、電気自動車バッテリからの放電を防止するように構成された一方向電流回路を含むことができる。
【0025】
プロセス300はまた、ブロック304において、例えばバッテリモジュールなどのエネルギー蓄積装置上にインターリーブDC-DC制御システムを積層することを含む。積層は、3つの並列昇圧コンバータを含む単一のプリント回路基板がエネルギー蓄積装置と同じ長さおよび幅になるように、インターリーブDC-DC制御システムを位置合わせすることを含む。一実施形態によれば、単一のプリント回路基板は、その上に高出力構成要素およびファインピッチ構成要素が配置された多層プリント回路基板であってもよい。有利には、複数の層は、高電流位相の電流共有を容易にすることができる。さらに、製造プロセス300は、より小さい制御構成要素を高出力構成要素とは別個の基板上に配置する必要性を回避する。
【0026】
様々な実施形態によれば、製造プロセス300はまた、インターリーブDC-DC制御システムを制御するように構成された電子制御回路を含み、インターリーブDC-DC制御システムと電気自動車のバッテリとの間に充電プロトコルを確立するように構成された車両通信回路も含むコントローラを形成することを含むことができる。製造プロセス300はまた、電源異常により電気自動車充電システムを放電するように構成された安全回路を形成することを含むことができる。安全回路は、抵抗器および複数のキャパシタを含むことができ、複数のキャパシタは抵抗器と並列である。
【0027】
図4は、電気自動車バッテリ(例えば、EVバッテリ160)を充電するための例示的なプロセス400を示す。ブロック402において、インターリーブDC-DC制御システムは、エネルギー蓄積装置から電力入力を受け取る。電力入力は、インターリーブDC-DC制御システムの突入電流制限回路で受け取ることができ、突入電流制限回路は複数の切り替え構成要素を含む。ブロック404において、インターリーブDC-DC制御システムに通信可能に結合されたコントローラは、電流がインターリーブDC-DC制御システムの3つの並列昇圧コンバータに連続的に流れるように、突入電流位相中に複数の切り替え構成要素をオンおよびオフに切り替えることができる。一実施形態によれば、複数の切り替え構成要素のうちの1つの切り替え構成要素は、別の切り替え構成要素よりも高いインピーダンス経路を含む。ブロック406において、3つの並列昇圧コンバータは、電力入力の入力電圧を電気自動車バッテリのより高い電圧に昇圧することができる。一実施形態によれば、3つの並列昇圧コンバータの各々は、離散的な位相オフセットで動作する20kW DC-DCコンバータであってもよく、各位相は120度でオフセットされる。コントローラはまた、3つの並列昇圧コンバータの電流センサからセンサ値を読み取り、それに基づいて3つの並列昇圧コンバータのデューティ比を設定するコンバータ制御回路を含むことができる。一実施形態によれば、インターリーブDC-DC制御システムは、例えば、60度だけオフセットされた6つの昇圧コンバータ、または40度だけオフセットされた9つの昇圧コンバータなどの4つ以上の並列昇圧コンバータを含むことができる。ブロック408において、インターリーブDC-DC制御システムの電磁干渉フィルタは、電力入力からのノイズを除去することができる。ブロック410において、電力入力は、一方向電流回路を介して電気自動車バッテリに伝送され得る。例えば、電気自動車バッテリは、50kWの標準充電速度を受け取ることができる。一実施形態によれば、例示的なプロセス400はまた、電源異常の検出に基づいて、電力入力を放電するように構成された安全回路を起動するステップを含むことができ、安全回路はキャパシタと並列の抵抗器を含む。
【0028】
様々な例が提供されるが、特許請求される態様の趣旨から逸脱することなく変形が可能である。例えば、EVバッテリの充電に関するシステムおよび方法が上述されている。システムおよび方法は、グリッドバッテリ、携帯用装置バッテリ、および非車両用移動エネルギー蓄積装置用途などの他の携帯用および固定用バッテリを充電するために使用することができる。
【0029】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。
【0030】
以下の特許請求の範囲におけるすべてのミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションの要素の対応する構造、材料、動作、および均等物は、存在する場合には、具体的に特許請求された他の特許請求された要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または動作を含むことが意図されている。1つまたは複数の実施形態の説明は、例示および説明の目的で提示されているが、網羅的であること、または開示された形態に限定されることを意図するものではない。多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。実施形態は、様々な態様および実際の用途を最もよく説明し、当業者が企図される特定の用途に適した様々な修正を伴う様々な実施形態を理解することを可能にするために選択および説明された。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】