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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-31
(54)【発明の名称】光学アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F03G 7/00 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
F03G7/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571907
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 US2020035901
(87)【国際公開番号】W WO2020247481
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】62/856,599
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】322011298
【氏名又は名称】フィッシャー グレゴリー スコット
(71)【出願人】
【識別番号】322011302
【氏名又は名称】カルヴァリョ パウロ アルベルト
(71)【出願人】
【識別番号】322011313
【氏名又は名称】ザオ ジャンユエ
(71)【出願人】
【識別番号】322011324
【氏名又は名称】ニクズ クリストファー ジュリアス
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー グレゴリー スコット
(72)【発明者】
【氏名】カルヴァリョ パウロ アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ザオ ジャンユエ
(72)【発明者】
【氏名】ニクズ クリストファー ジュリアス
(57)【要約】
フォトニックエネルギーによって動力が供給される本発明によるアクチュエータは、電磁放射線に露出されたときに第1の非変形状態から第2の変形状態に変形し且つ電磁放射線を除去したときに第1の非変形状態に戻り始める材料を含む本体を有する。アクチュエータは更に、本体に固定された定置要素と、少なくとも本体が第2の変形状態にあるときに定置要素に係合する移動要素を有する。移動要素の動作を生じさせるために、適用された電磁放射線に応答する変形可能な材料の変形は、定置要素と移動要素の間の摩擦によって、定置要素を介して移動要素に伝達される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニックエネルギーによって動力が供給されるアクチュエータであって、
電磁放射線に露出されたときに第1の非変形状態から第2の変形状態に変形し且つ電磁放射線を除去したときに第1の非変形状態に戻り始める材料を含む本体と、
前記本体に固定された定置要素と、
少なくとも前記本体が第2の変形状態にあるときに前記定置要素に係合する移動要素と、を有し、
前記移動要素の動作を生じさせるために、適用された電磁放射線に応答する変形可能な前記材料の変形は、前記定置要素と前記移動要素の間の摩擦によって、前記定置要素を介して前記移動要素に伝達される、アクチュエータ。
【請求項2】
変形可能な前記材料は、ランタンをドープしたチタン酸ジルコン酸鉛(PLZT)、マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛(PMN-PT)、BiFeО3、及びアゾベンゼンを含有した液晶ポリマー(LCP)から選択される、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記変形は、前記本体の変形可能な前記材料の弾性的な体積寸法変化を含む、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
更に、出力を発生させるように構成された電磁放射線源を有し、前記電磁放射線源は、光出力が前記本体の表面を放射するように配置される、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
更に、前記電磁放射線源を変形可能な前記材料に光結合させる光学ガイドを有する、請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記光学ガイドは、光ファイバである、請求項5に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記電磁放射線源は、出力を発生させる光源である、請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記光源は、光出力を合焦させるように構成された光整形光学デバイスを含む、請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記光整形光学デバイスは、光学レンズを含む、請求項8に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記光源は、パルス光出力を発生させるように構成される、請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記光源は、レーザ源を含む、請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項12】
更に、重力に逆らって前記移動要素を前記定置要素に押し付けるように配置されたばね又は大規模な物体を有する、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記動作は、回転であり、前記移動要素は、ロータを含み、
更に、前記ロータに結合された回転可能な出力シャフトを有する、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項14】
前記動作は、1つ又は2つ以上の自由度に沿う並進である、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項15】
更に、前記移動要素と一緒に動作するように作動的に連結された物体を有する、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項16】
前記光源は、光学デマルチプレクサに結合される、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項17】
前記光学デマルチプレクサは、ビームスプリッタであり、前記ビームスプリッタは、前記電磁放射線源から伝達された出力を前記本体の複数の表面への伝達のために分配するように構成される、請求項16に記載のアクチュエータ。
【請求項18】
圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータに連結された光電コンバータと、を有する光学アクチュエータ。
【請求項19】
光学アクチュエータであって、
電磁放射線に露出されたときに第1の非変形状態から第2の変形状態に変形し且つ電磁放射線を除去したときに第1の非変形状態に戻り始める材料を含む本体と、
前記本体に固定された定置要素と、
前記定置要素に結合された媒体と、を有し、
様々な圧力を前記媒体内に形成する変位を生じさせるために、適用された電磁放射線に応答する変形可能な前記材料の変形は、前記定置要素を介して前記媒体に伝達される、光学アクチュエータ。
【請求項20】
前記定置要素の形状は、円錐形状、平らな形状、及び円形平面から選択される、請求項13に記載のアクチュエータ。
【請求項21】
前記移動要素の連続的な動作を発生させるために、前記電磁放射線源からの出力は、周期的な変形が前記本体内に発生するように連係された仕方で制御される、請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項22】
発生させた連続的な動作は、回転動作である、請求項21に記載のアクチュエータ。
【請求項23】
発生させた連続的な動作は、線形動作である、請求項21に記載のアクチュエータ。
【請求項24】
前記パルス光出力は、前記本体の往復動変形を生じさせる、請求項10に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔政府の権利〕
本発明は、国立衛生研究所によって与えられたNCI Grant♯ROI CA166379の下で、政府の支援を得てなされた。政府は、本発明の幾つかの権利を有する。
【0002】
光学アクチュエータが記載され、さらに詳細には、直接作業させるための機械式移動を創出する光学アクチュエータが記載される。
【背景技術】
【0003】
アクチュエータの設計は、使用目的によって変化する。例えば、MRI機械は、強い磁場を有し、MRIに適合可能なロボット工学は、成長分野である。MRIに適合可能な在来の非鉄圧電モータを作ることができるけれども、MRIセーフ(MRI安全)ではない。在来の圧電アクチュエータの非鉄材料は、MRIのBO磁場(外部静磁場)の均質性に影響を及ぼし、歪みを生じさせ、画質を低下させる。空気式及び液圧式アクチュエータを、金属構成要素なしで作ることができるけれども、正確さを低下させ、寸法を増大させることがある。
【発明の概要】
【0004】
真空環境において、在来のモータを遠隔操作し且つそれに搭載型バッテリーによって動力を供給することができる。しかしながら、作動時間は、バッテリーの寿命に制限される。モータケーブルが真空シールを横切る特別なシールを形成することができるけれども、このことは、真空チャンバの設計に複雑さを追加し、故障原因を引き起こす。
【0005】
爆発性の環境、例えば、航空機の燃料タンクでは、モータは、遮蔽され、即ち、火花発生のおそれを減少させた低電圧で作動されるのがよい。例えば、圧電モータは、アーク放電しない。
【0006】
上述した理由で、電子機器又は金属構成要素を作動箇所のところで又はその近くで必要としない新規なアクチュエータの要望がある。アクチュエータは、MRIセーフであるべきであり、真空環境及び爆発性の環境でも使用可能であるべきである。理想的には、アクチュエータは、射出成型可能又は3D印刷可能である。
【0007】
光学アクチュエータのより完全な理解のために、添付図面に示し且つ以下に説明する実施形態をこれから参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】光学作動フォトストリクティブアクチュエータの実施形態の斜視図である。
図2】フォトストリクティブアクチュエータの別の実施形態の斜視図である。
図3図1及び図2に示すフォトストリクティブアクチュエータと一緒に使用される光源の概略的な側面図である。
図4】圧電アクチュエータの実施形態の斜視図である。
図5図1及び図2に示すフォトストリクティブアクチュエータと一緒に使用される複数の光源の概略図である。
図6図1及び図2に示すフォトストリクティブアクチュエータと一緒に使用される複数移動可能な光源の概略的な側面図である。
図7】振動又は音を供給するためのフォトストリクティブアクチュエータの実施形態の図である。
図8】フォトストリクティブアクチュエータの別の実施形態の概略図である。
図9図8に示すアクチュエータの光発生器に供給されるパルス光出力の2つのパターンを示すグラフである。
図10】450nmの波長の紫外光に露出されたときに変形し且つ365nmの波長の紫外光に露出されたときに非変形状態に戻るアゾベンゼンLCPを示す図である。
図11】フォトストリクティブアクチュエータの別の実施形態の概略図である。
図12図11に示すアクチュエータの光発生器に供給されるパルス光出力の2つのパターンを示すグラフである。
図13】回転モータの実施形態の概略図である。
図14】2面駆動式リニアモータの実施形態の概略図である。
図15a】緩和状態の多指向性スタックモータの実施形態の概略図である。
図15b】活性化状態の多指向性スタックモータの実施形態の概略図である。
図16図15a及び図15bに示す多指向性スタックモータの照明表面上の光出力の概略図である。
図17図15a及び図15bに示す多指向性スタックモータに供給されるパルス光出力の4つのパターンを示すグラフである。
図18】水面下の環境内で使用される装置の実施形態の概略図である。
図19】真空環境内で使用される装置の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
幾つかの用語は、本明細書において便宜のためだけに使用され、限定として解釈されるべきではない。例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、「水平」、「鉛直」、「上向き」、「下向き」、「トップ」、「ボトム」等の語は、図に示した形態を記述するにすぎない。実際、構成要素は、いずれの方向に向けられてもよく、したがって、かかる用語を、それが特定されていなければ、変形例を包含するように理解すべきである。「内側」、「外側」の語はそれぞれ、コア及びその指定された部分の幾何学的中心に向かう方向及びそれから遠ざかる方向を参照する。用語は、特に上述した語、その派生語、及び同様の外来語を含む。
【0010】
フォトストリクティブ(photostrictive又はphotorestrictive)アクチュエータ、即ち、光作動式機械アクチュエータは、光又はその他の電磁放射線に露出されたときに変形し且つかかる光等を除去したときにヒステリシス効果の下で完全ではないが実質的に最初の非変形状態に戻る材料を含む。変形可能な材料は、ランタンをドープしたチタン酸ジルコン酸鉛(PLZT)の層であるのがよい。他の実施形態では、変形可能な材料は、光活性歪を有する別の材料であってもよく、かかる材料は、限定するわけではないが、マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛(PMN-PT)、BiFeО3、及びアゾベンゼンを含有した幾つかの液晶ポリマー(LCP)を含む。単一の紫外線(UV)光源が、PLZT、PMN-PT、及びBiFeО3を変形させる。材料に露出される光の供給持続時間を制御することにより、所望の変形を生じさせる。様々な種類の光源を使用することができ、かかる光源は、様々なスペクトル(中心波長及びそれと関連した半値全幅(FWHM)を含む)を含む。アクチュエータを制御するのに使用される光源又はその部分は、オンオフパルスであってもよいし、強度が変化可能に制御されていてもよい。
【0011】
1つの形態では、0.5%のWО3でドープされた(Pb0.97 La0.03)(Zr0.52 Ti0.48)1-0.03/4О3[PLZT(3/52/48)]が、波長366nm及び出力密度l0mW/cm2のUV光源の下で、フォトストリクティブ効果を発揮する。例えば、PLZT(3/52/48)の応答時間は、典型的には遅く、1分までの数秒である。変形例として、PMN-PT-32%は、比較的大きい圧電定数及び比較的速い応答時間、約1秒を有する。BiFeО3は、最適化されたPLZTセラミックスよりも低いフォトストリクティブ効率でしか機能しないが、BiFeО3の単結晶は、約100μ秒以下である更に高速な応答時間により、幾つかの適用例により適している。アゾベンゼンLCPは、450nmの波長の紫外光に露出されたときに変形し、365nmの波長の紫外光に露出されたときに非変形状態に戻る(図10)。相変化パルス光システムが、任意の材料に適用されるのがよい。様々な材料は、縮小及び拡張のための様々なタイムスケールを有し、適当な動的パラメータが、材料の選択及び準備並びに光源の形態及び制御によって調整されるのがよい。様々な時間応答又はスペクトル応答を有する様々な材料を組合わせて、動作全体を制御するための単一のアクチュエータにするのがよく、幾つかの実施形態では、アクチュエータの様々な部分の動作を完全に又は部分的に切り離してもよい。
【0012】
光源からの光が制御され、光パターンが、フォトストリクティブ材料への適用のために設計され且つカスタマイズされるのがよい。1つの形態では、光ガイドが、1つ又は2つ以上の光ファイバケーブルで構成され、所望のパターンを出力するのがよい。1つの実施形態では、光出力は、パルス光発生器を介して、予め決められたパターンを有するパルス光出力に変換される。レーザが、300nmと10,000nmの間のスペクトルの光出力を発生させる。適当なレーザは、限定するわけではないが、Arイオンレーザ、Nd:YAGレーザ、Ti:サファイアレーザ、調整可能な固体及び色素レーザ、半導体レーザ、及び炭酸ガスレーザを含むレーザから選択されるのがよい。上述したように、制御システムは、可変強度の光出力を発生されるのに適用されるのがよい。所望の光出力は、光学システムによって発散されるのがよく、光学システムは、可視又は赤外スペクトルの光出力を発生させる装置と、レンズ又は他のカプラを介するその他のガイドを有する。
【0013】
図面を参照すると、フォトストリクティブアクチュエータ、即ち、光作動式機械アクチュエータの実施形態が図1に示され、全体的に符号100で指示されている。アクチュエータは、光又はその他の電磁放射線に露出されたときに変形し且つかかる光等が除去されたときにヒステリシス効果の下で部分的に第1の非変形状態に実質的に戻る材料101を含む。1つの実施形態では、材料101は、アクチュエータ100の他の層に結合された個別の構成要素であってもよいし、他の材料に直接付けられてもよい。
【0014】
図1に見られるようなアクチュエータの実施形態は、更に、ステータ102を有する。光作動材料101は、光作動材料101の変形を伝達する機能を有するステータ102に結合される。
【0015】
材料101の変形は、材料101を照明する複数の光源を含む1つ又は2つ以上の光源103、104によって引き起こされる。光源103、104は、複数のLED又はレーザのように固定物に完全に一体にされていてもよいが、それに限定されない。光源は、アクチュエータ100と一緒に、モータ包囲体内に配置されるのがよい。変形例として、複数の光発生器が、アクチュエータ100又は作動部位から遠隔にあり、光源103、104に例えば光ファイバ又はその他の光ガイドを介して光結合されていてもよい。この形態では、1つ又は2つ以上のレンズがモータ包囲体の本体の中に配置されるのがよい。
【0016】
ステータ102は、移動要素105に摩擦結合される。変形は、ステータ102によって移動要素105に伝達され、移動要素105は、ステータ102によって伝達された変形を移動要素105の動作に変換する。1つの実施形態では、ステータ102は、変形の予め定められた周期的パターンを有する。
【0017】
1つの実施形態では、アクチュエータ100は、回転モータである。ステータ102に結合された光作動材料101は、光源103、104に露出されたときに変形し、移動要素105の回転を生じさせる。かくして、移動要素105は、ロータとして機能する。この回転モータの実施形態では、回転シャフト106又は取付け孔パターン等のアタッチメントの形態が、モータに機械的に結合され、回転モータの動作が外部装置によって使用される。
【0018】
1つの適用例では、材料101及びステータ102は、空間内に固定され、ロータ105は、材料101及びステータ102に対して移動する。この構成は、光源103、104も固定されたままであることを可能にする利点を有する。しかしながら、材料101及びステータ102は、固定要素のように留まるロータ105に対して移動してもよいことを理解すべきである。
【0019】
フォトストリクティブアクチュエータの別の実施形態を図2に示す。アクチュエータのこの実施形態は、光又はその他の電磁放射線に露出されたときに変形し且つかかる光等が除去されたときに非変形状態に実質的に戻る材料201を含む。材料201は、ステータ202の上に配置される。ステータ202は、隣接した平らな又は球形移動本体205に一致する1つ又は2つ以上の自由度に沿う並進動作を発生させるのに使用される。移動本体205は、ばね又は巨大物体207を介して重力に逆らってステータ202に押し付けられるように配置されるのがよい。移動本体205は、突起又は取付け孔パターン206を介して取付けられてもよいし、別の物体を直接押したり引いたりするのに使用されてもよい。この構成は、移動本体205が、作動される別の物体の一部分であってもよい状況を排除しないことを理解すべきである。この構成はまた、移動本体205が並進されることに加えて又はそれに変えて回転させられてもよい形態を排除しない。
【0020】
図3を参照すると、光源301は、光又はその他の電磁放射線を生じさせるのに使用される。光源301は、光学デマルチプレクサ303に結合されるのがよい。光学デマルチプレクサは、ビームスプリッタ及び音響シャッタを含むのがよく、ビームスプリッタ及び音響シャッタは、生成された光又はその他の電磁放射線を、光等に露出されたときに変形する材料101、201まで延びるファイバ304又はその他のガイドの中に所定のタイミングで差し向ける。しかしながら、音響デマルチプレクサ303からの出力は、目標部分に直接結合されてもよいことを理解すべきである。図5に示す別の実施形態では、多数の光源501の各々が、レンズ503又は別のカプラに結合されてファイバ―又はその他のガイド504を経由する。
【0021】
正規の圧電アクチュエータ400(図4)又はその均等物を、光電コンバータ403の追加により、光学アクチュエータに変換することができる。光電コンバータ403は、圧電材料401又は電気的に従属した歪特性を有する別の材料に直接取り付けられるのがよい。
【0022】
図6に示すように、光学末端602は、材料603から間隔をあけていてもよいし、材料603に結合されてもよく、材料603は、光又はその他の電磁放射線に露出されたときに変形し且つかかる光等が除去されたときに実質的に非変形状態に戻る。光学末端602は、材料603に対して移動可能であってもよいことを理解すべきである。
【0023】
図7に示すアクチュエータの実施形態は、音を生じさせる必要があるような媒体内に様々な圧力を形成するのに使用されるのがよい。アクチュエータのこの実施形態は、光又はその他の電磁放射線に露出されたときに変形する材料701を含む。この材料は、層702に接着され、層702は、振動を要素703上に伝達し、結合させ又は増幅し、要素703は、媒体に結合され、又は、媒体を移動させる。要素703は、媒体の中に存在しており、円錐形状であってもよいし、平らな形状であってもよいし、円形であってもよいし、媒体を変位させるように形成された他の形態であってもよい。しかしながら、アクチュエータはまた、媒体の中に完全に、即ち、全く存在せずに、媒体内に圧力を形成してもよいことを理解すべきである。
【0024】
アクチュエータの別の実施形態が図8に示され、全体的に符号800で指示される。この実施形態では、アクチュエータ800は、光作動材料801を含み、光作動材料801は、他の層に結合された個別の構成要素であってもよいし、ステータとして作用する別の材料に直接取付けられてもよい。ロータ802は、図8において矢印809によって指示されるようなステータに向かう方向の高圧で、光作動材料801の表面と組合せられる。光源805は、光ガイド808の中を通る光出力を発生させる。1つの実施形態では、光ガイド808は、1つ又は2つ以上の光ファイバからなる。1つの形態では、光ガイド808は、マルチモード光ファイバケーブルである。光出力は、光ファイバケーブル808の中を通して光学システム803、804のうちの一方の形態に伝達され、光学システム803、804は、光出力を光作動材料801の照明表面上に差し向け、照明領域を活性化させる。1つの実施形態では、光出力は、パルス光発生器806、807を介してパルス光出力に変換される。図9に示すように、複数の第1のパルス光発生器806は、パターン901を供給し、複数の第2のパルス光発生器807は、別のパターン902を供給する。活性化された領域の形状は、これらのパターンと一緒に変形し、矢印810で指示される方向移動波を発生させる。移動波は、楕円形軌道811の個々の波ピークの各々のところで、ロータ802の表面に係合し、かかる表面のところで、ロータ802は、動作を発生させる出力のために、光作動材料801に摩擦結合される。矢印812によって指示されるロータ802移動方向812は、移動波が進む方向810と反対の方向である。
【0025】
図11に示す別の実施形態では、光作動材料1101は、アゾベンゼンLCPを含む。光作動材料1101は、他の層に結合された個別の構成要素であってもよいし、ステータとして作用する別の材料に直接取付けられてもよい。ロータ1102は、図10において矢印1110によって指示されるステータに向かう方向の高圧で、光作動材料1101の表面と組合せられる。光源905、906は、光ガイド1109の中を通る様々な光出力を発生させる。1つの実施形態では、光ガイド1109は、1つ又は2つ以上の光ファイバを含む。この形態では、365nmの波長及び450nmの波長の紫外光はそれぞれ、マルチモード光ファイバケーブル1109の中に進入し。1つの実施形態では、各光出力は、パルス光発生器1107、1108を介してパルス光出力に変換される。パルス光は、図12に示すパターンに従う。1つの形態では、一方の光出力1107は、2つのパルスパターン1001、1003を有し、他方の光出力1108は、別の2つのパルスパターン1202、1204を有する。
【0026】
光出力は、光ファイバケーブルを介して2つの光学システム形態1103、1104に伝達され、各光学システム形態は、光出力を光作動材料1101の照明表面上に差し向けるように設計され、照明された領域を活性化させる。活性化させた領域の形状は、変形し、矢印1112で指示する方向移動波を発生させる。移動波は、楕円形軌道の個々の波ピークの各々のところで、ロータ1102の表面に係合し、かかる表面のところで、ロータは、動作を発生させる出力のために、光作動材料1101に摩擦結合される。矢印1113によって指示されるロータ1102移動方向は、移動波が進む方向1112と反対の方向である。ロータ1102は、移動波の方向1112と反対である矢印1113で指示される方向に回転する。
【0027】
回転モータの実施形態が、図13に示され、全体的に符号1300で指示される。回転モータ1300は、ステータとして機能するフォトストリクティブ材料1301を含む。ロータ1302は、矢印1306によって指示される方向の高圧の下で、ステータの表面と組合せられる。1つの形態では、光出力は、光ケーブル1305を介して光学システム1303、1304の一方の形態に伝達され、光学システム1303、1304は、光出力をフォトストリクティブ材料1301の照明表面上に差し向けるように設計される。上述したように、供給される光は、活性化されたパターンに従う。フォトストリクティブ材料の活性化された領域の形状は、変形し、矢印1308で指示される方向移動波を発生させる。ロータ1302は、楕円形軌道の個々の波ピークの各々のところだけで、ステータに係合し、係合しているところで、ロータは、動作を発生させる出力のために、フォトストリクティブ材料1301に摩擦係合される。ロータ1302移動方向1309は、矢印1308で指示する移動波が進む方向と反対の方向である。ロータ1302は、移動波の方向1308と反対の方向1309に回転する。
【0028】
図14を参照すると、2面駆動式リニアモータの実施形態が示され、全体的に符号1400で指示される。リニアモータ1400は、ステータとして作用するフォトストリクティブ材料1401の1対の層を含む。スライダ1402は、ステータの上の層と下の層の間に挟まれる。高圧が、これらの層を矢印1405で指示する方向に横切るように付与される。1つの形態では、光出力は、光ケーブル1404を介して光学アレイシステム1403に伝達され、光学アレイシステム1403は、光出力をフォトストリクティブ材料1401の照明表面上に差し向けるように設計される。光は、上述したようなパターンで供給される。フォトストリクティブ材料1401の活性化された領域のT字形状は変形し、移動波1407を発生させる。スライダ1402は、上面及び下面の両方の波形のピークの各々のところだけで、ステータに接触する。波形の複数のピークは、表面粒子の軌道、例えば楕円形軌道、移動1407を実行する。表面粒子のこの軌道1406移動方向は、移動波1407の方向と反対の方向である。スライダは、移動波1407と反対の方向1408に移動する。
【0029】
図15a及び図15b参照すると、多指向性スタックモータが示され、全体的に符号1500で指示される。1つの実施形態では、スタックモータ1500は、所望のアレイ構造で互いに積重ねられた2形態ポリマーフォトストリクティブ材料を含む。1つの配置では、2形態材料の2x2x5のアレイが積重ねられる。出力要素1502が、アレイ1501の上面の中心に配置される。光源1503が、光ガイドの中を通過する光出力を発生させる。1つの実施形態では、光出力は、図17に示す例示の相シフトパターン1701-1704に従って、パルス光発生器1504を介してパルス光出力に変換される。1つの光源は、1つのパルスパターン1701に従う。2つの光源は、第2のパルスパターン1702に従う。3つの光源は、第3のパルスパターン1703に従う。4つの光源は、第4のパルスパターン1704に従う。光出力は、マルチモード光ファイバケーブル1505の中に伝達され、材料の照明表面上で反射して広がる(図16)。別の実施形態は、ファイバセンサコネクタであってもよいし、ファイバ端部連結及び展開法であってもよい。出力光は、光ファイバケーブル1603から光学システム1602の1つの形態に伝達する。1つの実施形態では、45°反射式マイクロミラー1607、1608の2層アレイが、2形態ポリマーフォトストリクティブ材料1601の2つの層の間に配置される。光出力1606が照明しているとき、光は、マイクロミラーアレイによって反射させられ、材料1601の表面を照明する。1つの形態では、光出力は、フロントミラーの中を通過させられ、エンドミラーに到達する。光のパワーロス及び反射比を考慮する必要がある。図17に示す配列の下では、積重ねアレイ全体がぐるりとねじれ、出力要素が、地面と平行な表面上で回転する。別の実施形態では、パターンは、異なる相シフト設定、例えば、オーパラップさせた30°相シフトであってもよく、この場合、出力要素を地面と平行な表面上で且つより小さい円で回転させる。変形例のスイッチング可能な作動パルスパターンは、例えば、1と3だけの出力パルスであり、2と4の出力は無く、出力要素は、地面に対して垂直な表面上で回転する。
【0030】
図18は、水環境適用例の下での装置の実施形態を示し、装置は、全体的に符号1800で指示されている。1つの実施形態では、装置1800は、水タンク1803内に且つ水1804の表面よりも下に位置するモータ1801を含む。1つの形態では、パルス光出力が、光ケーブル1806を介して光学システム1805に伝達され、光学システム1805は、光出力を差し向けるように設計される。光出力1807は、1808のところの水を照明し、水1808は、光出力を反射させるが、主に、光出力をある角度で水の中に屈折させ1809、それにより、フォトストリクティブ材料1802の表面を照明し、フォトストリクティブ材料1802を励起させて変形させる。反射、屈折、及び水の中の通行による光出力のパワーロスを注意深く考慮する必要がある。また、アクチュエータ1800及び光出力の位置を、最大光パワー密度を伝達するように整列させる必要がある。様々な屈折率を有する様々な液体並びに多層液体を使用してもよいことを理解すべきである。
【0031】
図19は、真空チャンバ環境内で使用するための装置の実施形態を示し、装置は、全体的に符号1900で指示されている。1つの実施形態では、装置1900は、真空チャンバ1903の内側に位置するアクチュエータ1901を有する。1つの形態では、真空チャンバ1903は、上面を有し、上面は、十分な吸光係数を有するガラス窓1904又はその他の透明材料を含む。外部のポンプ1905が、真空チャンバ1903内の真空状態1911を維持する。使用するとき、パルス光出力が、光ケーブル1907を介して光学システム1906に伝達され、光学システム1906は、光出力を差し向けるように設計されている。光出力1908は、1909のところのガラスを照明する。光出力は、反射するが、主に、ガラスを透過し1910、それにより、フォトストリクティブ材料1902の表面を照明し、フォトストリクティブ材料1902を励起させて変形させる。ある形態では、透明材料の吸光係数による光出力のパワーロスを考慮する必要がある。また、アクチュエータ1901及び光出力の位置を、最大光パワー密度を伝達するように整列させる必要がある。別の実施形態では、入れ子式の真空チャンバ形態が適用されてもよい。この形態では、二重の透明材料吸収を考慮する必要がある。別の実施形態では、超低温且つ超高圧の超電導環境がこの形態に適用されてもよい。
【0032】
本明細書に記載したようなフォトストリクティブアクチュエータは、多くの利点を有し、かかる利点は、特有の環境、例えば、MRI機械、真空環境、爆発性の環境等において適合可能な種類の光学モータを提供することを含む。フォトストリクティブアクチュエータは、MRI機械、脳磁気図、又はその他のNMR装置の強い磁場において安全に作動することができきる。かくして、フォトストリクティブアクチュエータは、「MRIセーフ」の最高の相互運用等級を達成することができる。真空環境において、フォトストリクティブアクチュエータへの駆動信号を、真空チャンバで典型的に使用される透明な窓を通過させることができる。光学結合により、真空シールを破壊するワイヤを用いることなしに、モータを作動させることを可能にする。このことはまた、水中適用例に適用されてもよい。フォトストリクティブアクチュエータは、バッテリーの寿命制限なしに作動することができる。フォトストリクティブアクチュエータは、爆発性の環境において、電子機器を何も用いることなしに、作動することができ、それにより、モータの火花と関連した危険を取り除く。
【0033】
フォトストリクティブアクチュエータはまた、他の非常に敏感な環境において、例えば、干渉の機会を最小にするために電子機器がフォトストリクティブアクチュエータから除去されなければならない器具の使用のために働く。このことは、地球の研究所並びに宇宙の適用例のための化学的機器の使用に適用可能であろう。さらに、モータの光学的な「後端」は、大きく且つ複雑な装置であることがある。しかしながら、作動の時点において、光学的な後端は、非常に低コストである圧電性結晶(本質的には、まさにセラミックディスク)に結合されてもよく、物理的な(すなわち、滅菌の境界を横切る)接触を必ずしも必要としない。この構成は、滅菌された単一使用の外科キットの作動モジュールに理想的である。マイクロ作動技術は、光学ユニットを遠隔に配置し且つ高度に焦点合せされた小さい光ファイバ又は光ガイドをフォトストリクティブアクチュエータのところに配置することによって可能である。
【0034】
共鳴モータは、それが振動装置又はスピーカー内に作られ且つ腐食しない部品で作られ且つイオン環境内において伝導性を失うワイヤがないのであれば、水中超音波モジュールとして作動する。航空宇宙適用例では、光学結合により、ワイヤ制御設定なしに、モータを作動させることを可能にし、ワイヤ制御設定は、例えば、ハッブル宇宙望遠鏡の回転角におけるリアクションホイールをローリングさせるような使用のためのものである。上述した産業におけるように、他の更なる直接的な解答が、バッテリー、遮蔽等の接線解答の必要なしに可能である。
【0035】
光学アクチュエータを、そのほんのわずかな例示の実施形態に関してかなり詳細に示し且つ説明したけれども、当業者は、発明者がかかる実施形態に自ら限定する意図がないことを理解すべきであり、その理由は、特に上述した技術に照らして本願装置の新規な技術及び利点から実質的に逸脱することなしに、開示した実施形態に種々の変更、省略及び追加を行ってもよいからである。したがって、発明者は、特許請求の範囲によって定められる装置、システム及び方法の精神及び範囲内に含まれるようなかかる変更、省略及び追加のすべて及び均等例をカバーすることを意図している。特許請求の範囲において、機能的手段の記載は、記載された機能を実行するように本明細書に記載された構造、構造的な均等物、及びそれだけでなく、均等な構造を意味するものである。かくして、爪とねじは、爪が木造部品を互いに固着させる円筒面を採用し且つねじが螺旋面を採用している点で構造的な均等ではないかもしれないが、木造部品を締結する環境では、爪とねじは、均等な構造である。
図1
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図5
図6
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図15A
図15B
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【国際調査報告】