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特表2022-545766シンボル間干渉を考慮し、かつ複雑さの少ない組み合わせ信号を受信するための受信機、組み合わせ信号の受信方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-31
(54)【発明の名称】シンボル間干渉を考慮し、かつ複雑さの少ない組み合わせ信号を受信するための受信機、組み合わせ信号の受信方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/00 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
H04L27/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021578211
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2020068735
(87)【国際公開番号】W WO2021001509
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】102019209801.0
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522000500
【氏名又は名称】イノベーションズツェントルム フューア テレコムニカティオンテヒニーク ゲーエムベーハー イーツェットテー
【氏名又は名称原語表記】Innovationszentrum fuer Telekommunikationstechnik GmbH IZT
【住所又は居所原語表記】Am Weichselgarten 5, 91058 Erlangen, Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】ヒルシュベック マルティン
(57)【要約】
パルスが互いに相対的にシフトされ、及び/又は搬送波が位相差を有する2つの別々の信号部分からなる組み合わせ信号を受信するための受信機は、第1のサンプリングを用いて第1のサンプルシリーズを得るように構成されており、第2のサンプリングを用いて第2のサンプルシリーズを得るようにさらに構成されている。第1のサンプリングは、第1の信号部分のシンボル位相に調整され、第2のサンプリングは、第2の信号部分のシンボル位相に調整される。受信機は、第1のサンプルシリーズに基づく複数のサンプリング時間および第2のサンプルシリーズに基づく複数のサンプリング時間について、第1の信号部分の送信シンボルの確率および第2の信号部分の送信シンボルの確率を取得するようにさらに構成される。受信機は、第1のサンプリングのサンプルにおける第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮することなく、第1のサンプリングのサンプルと第2の信号部分の送信シンボルに対する推定または計算された確率とに基づいて第1の信号部分の送信シンボルの確率を決定するように構成される。受信機は、さらに、対応する方法で、第2の信号部分のシンボルに対する確率を決定する。対応する方法およびコンピュータプログラムも記載されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスが互いに相対的にシフトしているおよび/または、搬送波が位相差を有する2つの別々の信号部分を含む組み合わせ信号(310)を受信するための受信機(300)であって、
前記受信機は、第1のサンプリングを用いて第1のサンプルシリーズ(342、y[k])を得るように構成され、ここで前記第1のサンプリングは、前記第1の信号部分のシンボル位相に調整され、
前記受信機は、第2のサンプリングを用いて第2のサンプルシリーズ(344、y[k])を得るように構成され、ここで前記第2のサンプリングは、前記第2の信号部分のシンボル位相に調整され、
前記受信機は、前記第1のサンプルシリーズおよび前記第2のサンプルシリーズに基づいて、複数のサンプリング時間(k)について、前記第1の信号部分の送信シンボルの確率(312;492;p1,m[k])および前記第2の信号部分の送信シンボルの確率(314;432;p2,m[k])を得るように構成されており、
前記受信機は、前記第1のサンプリングのサンプル(342,y[k])における前記第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮せずに、前記第1のサンプリングの前記サンプル(342,y[k])、および、前記第2の信号部分のシンボルに対する推定又は計算された確率(314;432;p2,m[k])に基づいて、前記第1の信号部分のシンボルに対する確率(312;492;p1,m[k])を決定するよう構成されており、および、
前記受信機は、前記第2のサンプリングのサンプル(344,y[k])における前記第2の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮せずに、前記第2のサンプリングの前記サンプル(344,y[k])、および、前記第1の信号部分のシンボルに対する推定または計算された確率(312;492;p1,m[k])に基づいて、前記第2の信号部分のシンボルに対する確率(314;432;p2,m[k])を決定するよう構成されている、受信機(300)。
【請求項2】
前記第1のサンプリングのサンプリング時間は、前記第1の信号部分に基づく信号調整フィルタの出力信号部分が実質的にシンボル間干渉なしにサンプリングされるように、前記信号調整フィルタ(330)の出力信号(332)をサンプリングするように設定されており、および、
前記第2のサンプリングのサンプリング時間は、前記第2の信号部分に基づく信号調整フィルタの出力信号部分が実質的にシンボル間干渉なしにサンプリングされるように、前記信号調整フィルタ(330)の出力信号(332)をサンプリングするように設定されている、請求項1に記載の受信機(300)。
【請求項3】
前記受信機は、前記第1の信号部分の前記シンボル位相および前記第2の信号部分の前記搬送波位相に前記第1のサンプリングを調整するように構成される、および、
前記受信機は、前記第2の信号部分の前記シンボル波位相および前記第1の信号部分の前記搬送波位相に前記第2のサンプリングを調整するように構成される、請求項1または2に記載の受信機(300)。
【請求項4】
前記受信機は、前記第1のサンプリングの現在のサンプル(342,y[k])が存在している場合、前記第2の信号部分の送信シンボルのシーケンス(a2,0;a2,0;...;a2,0))による重畳(i1,p)が存在している場合、および、ノイズ障害(v)が存在している場合における、前記第1の信号部分の送信シンボル(a1,m)の確率(312;492;p1,m[k])を記述する確率関数を評価し、前記第1の信号部分の送信シンボルの前記確率(312;492;p1,m[k])を決定するように構成され、および、
前記受信機は、前記第2のサンプリングの現在のサンプル(344,y[k])が存在している場合、前記第1の信号部分の送信シンボルのシーケンス(a1,0;a1,0;...;a1,0))による重畳(i2,p)が存在している場合、および、ノイズ障害(v)が存在している場合における、前記第2の信号部分の送信シンボル(a2,m)の確率(314;432;p,m[k])を記述する確率関数を評価し、前記第2の信号部分のシンボルの前記確率(314;432;p,m[k])を決定するように構成される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の受信機(300)。
【請求項5】
前記受信機は、前記第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスから生じる複数の異なる重畳(i,p)について、前記第1の信号部分の送信シンボル(a1,m)の確率(312;492;p1,m[k])を記述する前記確率関数を評価し、前記第2の信号部分の送信シンボルのそれぞれの前記シーケンスの関連確率(Pr{i[k]=i1,p})に従って前記評価の結果を重み付けして前記第1の信号部分の送信シンボル(m)の確率(312;492;p1,m[k])に対する確率寄与を得て、前記第1の信号部分の等しい送信シンボル(m)に関連する前記確率寄与を合計して前記第1の信号部分の前記送信シンボル(m)の前記確率(312;492;p1,m)を得るように構成される、および/または、
前記受信機は、前記第1の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスから生じる複数の異なる重畳(i2,p)について、前記第2の信号部分の送信シンボル(a2,m)の確率(314;432;p2,m[k])を記述する前記確率関数を評価し、前記第1の信号部分の送信シンボルのそれぞれの前記シーケンスの関連確率(Pr{i[k]=i2,p})に従って前記評価の結果を重み付けして前記第2の信号部分の送信シンボル(m)の確率(314;432;p2,m[k])に対する確率寄与を得て、前記第2の信号部分の等しい送信シンボル(m)に関連する前記確率寄与を合計して前記第2の信号部分の前記送信シンボル(m)の前記確率(314;432;p2,m[k])を得るように構成される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の受信機(300)。
【請求項6】
前記受信機は、前記第1の信号部分の送信シンボル(a1,m)の確率(312;492;p1,m[k])を記述する前記第1の確率関数の評価において、前記第1の信号部分の搬送周波数と前記第2の信号部分の搬送周波数との差から生じる前記第1の信号部分の送信シンボルの時間的に変動可能な寄与(a1,m[k])を考慮するように構成される、および/または、
前記受信機は、前記第2の信号部分の送信シンボル(a2,m)の確率(314;432;p2,m[k])を記述する前記第2の確率関数の評価において、前記第2の信号部分の搬送周波数と前記第1の信号部分の搬送周波数との差から生じる前記第2の信号部分の送信シンボルの時間的に変動可能な寄与(a2,m[k])を考慮するように構成される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の受信機(300)。
【請求項7】
【請求項8】
前記受信機は、前記2つの信号部分のうちの1つの信号部分の送信シンボルの前記確率(312;492;p1,m[k];314;432;p2,m[k])の更新された評価に基づいて、前記2つの信号部分のうちのもう一方の信号部分の送信シンボルの前記確率(312;492;p1,m[k];314;432;p2,m[k])の改善された推定を得るように構成される、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の受信機(300)。
【請求項9】
パルスが互いに相対的にシフトしている、および/または、搬送波発信において位相差がある2つの別々の信号部分を含む組み合わせ信号(310)を受信するための方法(600)であって、
前記方法が、第1のサンプリングを用いて第1のサンプルシリーズ(342、y[k])を得るステップ(610)を含み、ここで前記第1のサンプリングは、前記第1の信号部分のシンボル位相に調整され、
前記方法が、第2のサンプリングを用いて第2のサンプルシリーズ(344、y[k])を得るステップ(620)を含み、ここで前記第2のサンプリングは、前記第2の信号部分のシンボル位相に調整され、
前記方法が、前記第1のサンプルシリーズおよび前記第2のサンプルシリーズに基づいて、複数のサンプリング時間(k)についての前記第1の信号部分の送信シンボルの確率(312;492;p1,m[k])および前記第2の信号部分の送信シンボルの確率(314;432;p2,m[k])を得るステップ(630)を含み、
前記第1のサンプリングの前記サンプルにおける前記第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮せずに、前記第1のサンプリングのサンプル(342,y[k])、および、前記第2の信号部分のシンボルに対する推定または計算された確率(314;432;p2,m[k])に基づいて、前記第1の信号部分のシンボルに対する確率(312;492;p1,m[k])が決定され、
前記第2のサンプリングの前記サンプルにおける前記第2の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮せずに、前記第2のサンプリングのサンプル(342,y[k])、および、前記第1の信号部分のシンボルに対する推定または計算された確率(312;492;p1,m[k])に基づいて、前記第2の信号部分のシンボルに対する確率(314;432;p2,m[k])が決定される、方法(600)。
【請求項10】
コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、請求項9に記載の前記方法を実行するためのプログラムコードを含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、パルスが互いにシフトしている、および/または搬送波が位相差を有する2つの別々の信号部分を含む組み合わせ信号を受信するための受信機に関するものである。
【0002】
本発明による更なる実施形態は、組み合わせ信号を受信するための方法に関するものである。
【0003】
本発明による更なる実施形態は、対応するコンピュータプログラムに関するものである。
【0004】
一般に、本発明による実施形態は、2-ユーザ受信機の最適化に関するものである。
【背景技術】
【0005】
デジタル情報伝送では、2つ以上の類似したデータ搬送メッセージ信号が、伝送路上に加算重畳されるか、すでに送信機から重畳信号として送出されることがよくあるか、あるいは最も多いケースである。これらの信号が、例えば、異なる周波数範囲(周波数分割多重(Frequency Division Multiplex):FDM)、分割された時間スロット(時分割多重(Time Division Multiplex):TDM)、異なる符号(符号分割多重アクセス(Code Division Multiplex Acces):CDMA)、異なる空間伝搬方向および複数の空間的に離れた受信アンテナによる解決(空間多重(spatial multiplex)またはMIMO送信による「空間分割多重アクセス(Space-Division Multiple Access):SDMA」)などの多重手順を用いて送信側に分離できる限りにおいて、これは問題を引き起こさず、電気通信技術の当初以来知られている。
【0006】
また、同じ周波数帯で同時に無調整で信号を重畳すると、状況はより複雑になる。受信信号が受信電力、伝送速度(ビット/シンボル(bits per symbol))、および/または電力効率に関して大きく異なる限り、連続した復調、検出、復号、すなわち、それぞれの最強信号の検出と検出データに基づく再符号化と再変調後の受信和信号からの減算は、しばしば可能である。特定の境界条件下では、この手順は情報理論の観点から最適な解を示すことさえある。
【0007】
個々の信号の受信電力および/または電力効率の顕著な差が少ない場合、データシンボルの推定確率に対応する干渉信号の部分減算が実行され、確率は、それぞれのデータシンボルに有利なようにいくつかの反復ステップで実装することができる反復手順が望ましいかもしれないということが認識された。
【0008】
ほぼ等しい強度と等しい電力効率の信号に対しては、通常、最適マルチユーザー受信機(または少なくとも近似最適マルチユーザー受信機)適用することのみが実行可能であることが示されている。重畳された信号は、変調ステップごとに、単一信号の重畳に対応するすべてのデータシンボルを表す1つの信号とみなされる。それぞれが変調ステップごとにM個の信号要素を持つN個の個別の信号に対して同一の変調方式(identical modulation methods)の場合(Mステップ送信方式)、これにより、最大M個の信号要素を持つ受信側に対して同等の変調方式が得られる。ここで、個々のデータシンボルの異なる組み合わせに対して、時には不利な形で等しいか非常に似た信号要素が生成される可能性がある。このため、容量が極端に低下することがある。
【0009】
例えば、2つのBPSK信号(M=N=2)の同相加算では、受信側で2つのコンスタレーション{-1;+1}を重ね合わせたコンスタレーション{-2;0;+2}が得られる。受信シンボル0が検出されたときの送信シンボルに関する明確な結論は、障害がない場合でさえ、もはや不可能である。
【0010】
分散歪み(例えば、マルチパス伝搬および/又は反射の結果として)により個々の信号にシンボル間干渉(ISI)が発生する場合、最適マルチユーザ検出のために最大MNLステップの信号が生成される。ここで、Lは、シンボル間距離Tに従って、シンボル間干渉、ISIの最大長を示す。受信信号の生成は、最大(ML-1メモリ状態を有するミーリー自動機械(Mealy automatic machine)の動作モードにより変調することが可能である。
【0011】
すべての信号の共通の最適な検出は、トレリス復号法(trellis decoding method)、好ましくはビタビ(Viterbi)またはBCJRアルゴリズムによって可能であると認識されており、これは例えば、書籍「Trellis-Codierung(Grundlagen und Anwendungen in der digitalen Ubertragungstechnik", Vol.21 of Nachrichtentechnik" by J. Huber (Springer-Verlag, 1992))」に記載されている。
【0012】
また、多くの場合、メモリの状態数が膨大になり、最適マルチユーザー検出のためのトレリス復号器をリアルタイムに実装することが不可能になることが認識されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そのため、マルチユーザー通信の複雑さと受信品質の間の妥協点を改善するアプローチが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による実施形態は、パルスが互いにシフトしている、および/または搬送波が位相差を有する2つの別々の信号部分を含む組み合わせ信号を受信するための受信機を提供する。
【0015】
選択的に、受信機は、信号部分の少なくとも1つのパルスの送信パルス形状に調整された(または整合させられた)少なくとも1つのフィルタを具備する。
【0016】
受信機は、第1のサンプリングを用いて第1のサンプルシリーズ(例えばy[k])を得るように構成され、第1のサンプリングは、第1の信号部分のシンボル位相に調整される(例えば、第1の信号部分のシンボル位相に同期している)。
【0017】
受信機は、第2のサンプリングを用いて第2のサンプルシリーズ(例えば、y[k])を得るように構成され、第2のサンプリングは、第2の信号部分のシンボル位相に調整される(例えば、第2の信号部分のシンボル位相に同期している)。
【0018】
受信機は、第1のサンプルシリーズおよび第2のサンプルシリーズに基づいて、複数のサンプリング時間(k)についての第1の信号部分の送信シンボルの確率(例えばp1,m[k])および第2の信号部分の送信シンボルの確率(例えばp2,m[k])を得るように構成される。
【0019】
受信機は、第1のサンプリングのサンプルにおける第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮せずに(または無視して)、第1のサンプリング(例えば、第1の信号部分のシンボルクロック(symbol clock)に同期したサンプリング)のサンプル(例えば、y[k])、および、第2の信号部分のシンボル(例えばm=0...M-1)に対する推定又は計算された確率(例えばp2,m[k])に基づいて、第1の信号部分のシンボル(例えば、m=0...M-1)に対する確率(例えば、p1,m[k])を決定する。
【0020】
受信機はさらに、第2のサンプリングのサンプルにおける第2の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮せずに、第2のサンプリング(すなわち、第2の信号部分のシンボルクロックに同期したサンプリング)のサンプル(例えばy[k])および、第1の信号部分のシンボル(例えば、m=0・・・M-1)に対する推定または計算された確率(例えば、p1,m[k])に基づいて、第2の信号部分のシンボル(例えばm=0...M-1)に対する確率(例えばp2,m[k])を決定(例えば更新)するように構成されている。
【0021】
本発明によるこの実施形態は、状況によっては、それぞれの信号部分のシンボル位相に合わせてサンプリングを調整して組み合わせ信号を別々にサンプリングし、その後、それぞれの考慮される信号部分の送信シンボルの確率が、それぞれの(現在考慮されている)信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮せずに、しかしそれぞれの他の信号部分の送信シンボルによる干渉を考慮して決定されるならば、2つの別々の信号部分を持つ組み合わせ信号に対して十分に良好な受信結果を得ることができるという発見を基礎とするものである。
【0022】
例えば、第1の信号部分のシンボル位相に調整された第1のサンプリングに基づいて第1の信号部分の送信シンボルの確率を求めることにより、例えば第1のサンプリングのサンプリングクロックの適切な選択によって、る第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉がここでは無視できることを達成すことが可能である。第2の信号部分の送信シンボルの確率に関する確率情報を使用することによって、第1の信号部分の送信シンボルの確率の推定の品質は、さらに、第2の信号部分の送信シンボルに関して既に利用可能な情報が利用されるので、適度な労力で大幅に改善することができ、ここで、情報は、例えば、反復的に改善することもできる。しかしながら、本概念では、例えばパルス成形のために実行されるフィルタリングに起因する、現在検討中の信号部分(例えば、第2の信号部分)の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮する必要はない。送信シンボルの確率が決定されるそれぞれの信号部分の送信シンボルについてシンボル間干渉を考慮することは、場合によっては送信シンボル確率のわずかな改善しかもたらさないことが認識されており、状況によっては、関与する追加の労力に比例する利点がないことが分かっている。
【0023】
場合によっては、第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉が第1のサンプルシリーズにおいて無視できるように(例えば、サンプリング時間の適切な選択によって)、および第2の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉が第2のサンプルシリーズにおいて無視できるように(例えば、サンプリング時間の適切な選択によって)、組み合わせ信号を2度サンプルすることが著しく効率的であることが認識されている。対応するデュアルサンプリングは合理的な労力で実現可能であり、場合によってはデュアルサンプリングの観点からのシンボル間干渉の対応する無視は受信品質の実質的な劣化を伴わないことが認識されている。
【0024】
受信機の一実施形態では、第1のサンプリングのサンプリング時間は、信号調整フィルタの出力信号のサンプリングが、第1の信号部分に基づいている信号調整フィルタの出力信号部分がシンボル間干渉が本質的にないようにサンプリングされるように、設定されている(または、受信機は、例えば、関連するシンボル位相を選択することによって第1のサンプリングのサンプリング時間を設定するように構成されている)。(例えば、シンボルクロックでサンプリングすることによって、第1の信号部分が「最適な時間に」サンプリングされるように、すなわち、例えば、ISIなしでサンプリングされるように、シンボル位相が選択される。例えば、サンプリング時間が、信号調整フィルタの応答のゼロ交差から第1の信号部分の単一の送信シンボルへのシンボル位相の最大5%または最大10%異なるように、シンボル位相が選択される。)
【0025】
さらに、第2のサンプリングのサンプリング時間は、信号調整フィルタの出力信号のサンプリングが、第2の信号部分に基づく信号調整フィルタの出力信号部分が実質的にシンボル間干渉なしにサンプリングされるように設定される(または、受信機は、例えば、関連するシンボル位相を選択することにより第2のサンプリングのサンプリング時間を設定するように構成されている)。
【0026】
第1サンプリングと第2サンプリングのサンプリング時間を適切に選択することにより、例えば、第1のサンプルシリーズでは、第1信号部分のシンボル間のシンボル間干渉が無視でき、第2のサンプルシリーズでは、第2信号部分のシンボル間のシンボル間干渉が無視できるということが実現される。このように、適切に調整されたデュアルサンプリングにより、シンボル確率が現在計算されているその信号部分のシンボル間のシンボル間干渉の複雑なシンボル間干渉モデルの使用は省略することができる。他の信号部分の送信シンボルの寄与のみが「障害影響」として考慮され、対応する確率で重み付けされるが、これは合理的な労力で行うことができる。
【0027】
一実施形態では、受信機は、第1の信号部分のシンボル位相および第2の信号部分の搬送波位相に第1のサンプリングを調整する(またはそれに同期する)ように構成される。さらに、受信機は、第2の信号部分のシンボル位相および第1の信号部分の搬送波位相に第2のサンプリングを調整する(またはそれに同期する)ように構成される。
【0028】
例えば、第1のサンプリングを第1の信号部分のシンボル位相に調整することにより、第1のサンプルシリーズにおける第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉が無視できるようにすることが実現され得る。同様に、第2のサンプリングを第2の信号部分のシンボル位相に調整することにより、第2のサンプリングのサンプルにおける第2の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉が無視できるようにすることが実現され得る。第1サンプリングを第2の信号部分の搬送波位相に調整することにより、第2の信号部分の送信シンボルが第1のサンプルシーケンスに与える影響を決定する際に、第1のサンプリングの所定値に対する前記第2の信号部分の異なる送信シンボルの障害寄与間の位相回転が回避されることがさらに達成され得る。同様に、第2サンプリングを第1の信号部分の搬送波位相に調整することにより、第2のサンプリングのサンプルに対する第1の信号部分の障害寄与は、互いに対して位相回転がない(または無視できる)。このように、第1のサンプリングと第2のサンプリングを対応して調整することにより、一方では、シンボル確率が現在決定されているその信号部分の連続するシンボル間のシンボル間干渉が無視できることが達成され、他方では、少なくとも関連の時間間隔において、それぞれ他の信号部分による影響または障害が、著しい位相回転の影響を受けないこともまた達成される。
【0029】
これにより、2つの信号部分の送信シンボルの決定または推定がより容易になる。
【0030】
一実施形態では、受信機は、確率関数(例えば、式(2.5)の指数関数)(例えば、第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスから生じる複数の異なる重畳i1,pについて)を評価するように構成される。これは、第1のサンプリングの現在のサンプル(例えばy[k])が存在している場合、第2の信号部分の送信シンボルシーケンス(例えばa2,0;a2,0;・・・;a2,0)による重畳(例えばi1,p)が存在している場合、および、ノイズ障害(例えばv)が存在している場合における、第1の信号部分の送信シンボル(例えばm=0・・・M-1)に対する確率(例えばp1,m[k])を決定するために、第1の信号部分の送信シンボル(例えばa1,m)の確率を記述する。
【0031】
さらに、受信機は、確率関数(例えば、式(3・4)の指数関数)(例えば、第1の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスから生じる複数の異なる重畳i2,pについて)評価するように構成される。これは、第2サンプリングの現在のサンプル(例えばy[k])が存在している場合、第1の信号部分の送信シンボルのシーケンス(例えば、a1,0;a1,0;...a1,0)による重畳(例えば、i2,p)が存在している場合、および、ノイズ障害(例えばv)が存在している場合における、第2の信号部分のシンボル(例えばm=0・・M-1)に対する確率(例えばp2,m[k])を決定するために、第2の信号部分の送信シンボル(例えば、a2,m)の確率を記述する。
【0032】
したがって、例えば、対応する確率関数を評価することにより、関連する時間環境において第2の信号部分のある送信シンボルのシーケンスが送信されたと仮定した場合に、第1の信号部分の送信シンボルがどの程度の確率で送信されたかを決定することが可能である。この点で、第2の信号部分の送信シンボルの異なる組み合わせまたはシーケンスに起因する異なる重畳または重畳値と、それらの確率を考慮することも可能である。言い換えれば、送信シンボルの第1のシーケンスのサンプルから開始して、第1の信号部分の異なる送信シンボルが、考慮された時間ステップにおいてどの程度の確率であるかを決定することができる。第2の信号部分の送信シンボルの異なる可能な組み合わせまたはシーケンスが第1のサンプルシーケンスのちょうど考慮したサンプルに与える影響と、これら第2の信号部分の送信シンボルの異なる組み合わせまたはシーケンスの確率も考慮される。したがって、第1の信号部分の送信シンボルの確率は、確実かつ効率的に決定され得、ここで、例えば、第1の信号部分の送信シンボルの確率の計算のために、現在の時間ステップの関連する(時間)環境における第2の信号部分の送信シンボルに対する仮定、推定または決定された確率、第1のサンプルシーケンスの(単一の)サンプル、およびノイズ障害に関する情報(これは例えば仮定、推定または計算することができる)が要求または評価される。これに対応して、第2の信号部分の送信シンボルの確率も非常に効率的に決定することができる。
【0033】
一実施形態において、受信機は、第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスから生じる複数の異なる重畳(例えばi1,p)について、第1の信号部分の送信シンボル(例えばa1,m)の確率を記述する確率関数(例えば式(2.5)の指数関数)を評価するように構成され、また、第1の信号部分の送信シンボル(例えばm)の確率(例えばp1,m[k])に対する確率寄与を得るために、第2の信号部分の送信シンボルのそれぞれの(関連する)シーケンスの関連する確率(例えばPr{i[k]=i1,p})に従って評価結果に重み付けするように構成され、また、第1の信号部分の送信シンボル(例えばm)に対する確率(例えばp1,m[k])を得るために、第1の信号部分の等しい送信シンボル(例えばm)に関連する確率寄与を合計するように構成されている。
【0034】
一実施形態では、受信機は、確率関数(2.5)の評価において、第1の信号部分と第2の信号部分との搬送周波数の差に起因する第1の信号部分の送信シンボルの時間的に変動する寄与を考慮するように構成される。
【0035】
例えば、このような手順により、第1の信号部分と第2の信号部分との搬送周波数のずれを効率的に考慮することができる。第1の信号部分の送信シンボルの寄与は、実際には、例えば、それを時間的に可変な複素数ポインタで乗算することによって、時間的に可変な方法で重み付けすることができる。したがって、搬送周波数が多少異なる場合にも、大きな問題なく異なる信号部分を検出することができる。
【0036】
代替的または追加的に、受信機は、第1の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスから生じる複数の異なる重畳(例えばi2,p)について、第2の信号部分の送信シンボル(例えばa2,m)の確率を記述する確率関数(例えば式(3.4)の指数関数)を評価するように構成され、また、第2の信号部分の送信シンボル(例えば、m)に対する確率(例えば、p2,m[k])に対する確率寄与を得るために、第1の信号部分の送信シンボルのそれぞれの(関連する)シーケンスの関連する確率(例えばPr{i[k]=i2,p})に従って評価結果に重み付けするように構成され、また、第2の信号部分の送信シンボル(例えば、m)に対する確率(例えば、p2,m[k])を得るために、第2の信号部分の等しい送信シンボル(例えば、m)に関連する確率寄与を合計するように構成されている。
【0037】
一実施形態では、受信機は、第2の確率関数の評価において、第1の信号部分と第2の信号部分の搬送周波数の差に起因する、第2の信号部分の送信シンボルの時間的に変動する寄与を考慮するように構成される。
【0038】
このような手順により、2つの信号部分の搬送周波数の差を非常に簡単かつ効率的な方法で考慮することができる。
【0039】
第1信号部分の(可能性のある)送信シンボルの確率を決定する際に、第2信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスによって生じる異なる可能な重畳(すなわち、第2信号部による「障害」)を考慮に入れることによって、確率の特に信頼性の高い決定が達成され得る。例えば、確率は、現在の計算に使用される第1のサンプルシーケンスのサンプルに影響を及ぼす第2の信号部分の送信シンボルの様々な可能な組み合わせ又はシーケンスについて決定され得、第2の信号部分の送信シンボルのシーケンス又は組み合わせの全体的な確率は、シーケンス又は組み合わせに属する個々の送信シンボルの確率を乗算することによって難なく決定することが可能である。第1の信号部分の特定の送信シンボルが、第1のサンプルシーケンスの(単一の)サンプルを与えられ、第2の信号部分の特定の(障害)寄与(第2の信号部分の送信シンボルの特定のシーケンスに起因して生じる)を与えられる確率に関する情報は、次に、例えば、第2の信号部分の送信シンボルの特定のシーケンスに対する確率により重み付けされてもよい。この点で、例えば、第2の信号部分の送信シンボルの異なる可能なシーケンスから生じる、第1の信号部分の送信シンボルに対する重み付けされた確率は、第1の信号部分のちょうど考慮された送信シンボルに対する確率を決定するために組み合わせまたは合計され得る。このようにして、確率は、その後、所定の時間ステップにおいて、第1の信号部分のすべての可能な送信シンボルについて決定され得る。このようにして、第1のサンプリングのサンプルに対する第2の信号部分の影響を効率的に考慮することができ、第1の信号部分の送信シンボルの確率の信頼性の高い推定を、適度な複雑さで行うことができる。第2の信号部分の送信シンボルの異なる可能なシーケンスから生じる特定の送信シンボルの確率は、ここでは確率寄与として考えることができ、したがって、第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスの確率に従って合計され、重み付けされることが可能である。対応する操作は容易に行うことができ、サンプリング時間および第2の信号部分の送信シンボルの送信シンボル波形が分かっている場合、第1のサンプルシーケンスの現在考慮されているサンプルに対する第2の信号部分の送信シンボルの組み合わせの寄与は、それほど困難なく決定することができる。この点で、対応する計算を効率的に行うことができる。
【0040】
これに対応して、第2の信号部分の送信シンボルの確率についても計算を行うことができる。
【0041】
【0042】
ここで、c1,sbsは正規化係数であり、pは第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスから生じる異なる重畳i1,pを示す制御変数であり、Mは第2の信号部のコンスタレーションポイント(constellation points、例えば、異なる可能な送信シンボルの)の数であり、Ldecは第2の信号部分の送信シンボル間の関連するシンボル間干渉の程度を記述している。Pr{i[k]=i1,p}は、重畳i1,pをもたらす第2の信号部分の送信シンボルのシーケンスが存在している場合における確率を記述し、y[k]は時間ステップkにおける第1のサンプリングのサンプルである。vは第1の信号部分の利得係数、a1,mは送信シンボルインデックス(またはコンスタレーションポイントインデックス)mを有する第1の信号部分の(例えば複素値の)送信シンボル(例えば、コンスタレーションポイントで表される)であり、またはa1,mは、第1の信号部分の搬送周波数と第2の信号部の搬送周波数との間の差に起因するサンプルy[k]に対する送信シンボルインデックスmを有する第1の信号部分の送信シンボルの時間的に可変な寄与を記述する(すなわち、式(3.10)に従うa1,m[k]に従って定義される)。i1,pは第2信号部分の送信シンボルシーケンスから得られる重畳である。vはノイズ強度を表す。
【0043】
【0044】
ここで、c2,sbsは正規化係数であり、pは第1の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスから生じる異なる重畳i2,pを示す制御変数であり、Mは第1の信号部分のコンスタレーションポイント(例えば、異なる可能な送信シンボルの)の数であり、Ldecは、第1の信号部分の送信シンボル間の関連するシンボル間干渉の程度を記述している。Pr{i[k]=i2,p}は、重畳i2,pをもたらす第1の信号部分の送信シンボルのシーケンスが存在している場合における確率を記述し、y[k]は時間ステップkにおける第2のサンプリングのサンプルであり、vは第2の信号部分の利得係数、a2,mは送信シンボルインデックス(またはコンスタレーションポイントインデックス)mを有する第2の信号部分の(例えば複素値)送信シンボル(例えばコンスタレーションポイントで表される)であり、またはa2,mは、第2の信号部分の搬送周波数と第1の信号部分の搬送周波数との間の差に起因するサンプルy[k]に対する送信シンボルインデックスmを有する第2の信号部分の送信シンボルの時間的に可変な寄与を記述する(すなわち、式(3.11)に従うa2,m[k]に従って定義される)。i2,pは第1信号部分の送信シンボルシーケンスから得られる重畳である。vはノイズ強度を表す。
【0045】
第1信号部分の送信シンボルの確率と第2信号部分の送信シンボルの確率を対応させて計算することは、比較的複雑でないにもかかわらず、多くの状況で非常に効率的で良い結果をもたらすことが証明された。さらに、様々な被加数(summands)を比較的少ない労力で計算することができる。例えば、第2の信号部分の送信シンボルが第1のサンプルシーケンスの現在考慮されているサンプルy[k]に対して寄与i1,pを与える程度を示す確率Pr{i[k]=i1,p}は、値i1,pに寄与する第2の信号部分の送信シンボルの仮定、推定または計算された確率を乗算することによって決定することができる。言い換えれば、第2の信号部分の送信シンボルの特定のシーケンスがサンプルy[k]に寄与i1,pを提供すると仮定すると、第2の信号部分の送信シンボルのそのシーケンスの確率は、第2の信号部分の個々の送信シンボルの仮定、推定または計算された確率を使用して(例えば、関連時間範囲にわたって)容易に推定または計算され得る。第2の信号部分の送信シンボルのどの寄与i1,pの異なるシーケンスがサンプルy[k]に提供できるかは、例えば、第1のサンプリングと第2のサンプリングのサンプリング時間の知識に基づいて、または第1の信号部分の送信シンボルと第2の信号部分の送信シンボルの間の時間シフトの知識に基づいて、さらに、第2の信号部分の送信シンボルの送信信号パルス形状の知識に基づいて、大きな問題なく可能である。なお、この点で、典型的には、第2の信号部分の時間的に連続する複数の送信シンボルが単一のサンプルy[k]に寄与し、この寄与は個々の送信シンボルの部分的な寄与の合計である。
【0046】
また、第1信号部分の強度を記述する利得係数vやノイズ強度vも容易に決定または推定することができる。
【0047】
この点に関して、例えば、第2の信号部分の送信シンボルの複数の異なる組み合わせが、同様または等しい(障害)寄与i1,pをもたらすので、(例えば、被加数の数を減らすことによって)和が任意に短縮され得ることに留意すべきである。
【0048】
したがって、第1の信号部分の送信シンボルに対する確率の決定は、上記で説明した式に従って非常に効率的に行うことができ、一方では、述べた式の入力変数を大きな労力なしに決定でき、他方では、式を大きな問題なしに評価することもできることに注目されたい。
【0049】
同じことが、第2の信号部分の送信シンボルの確率の決定に適用され、この目的のために用いられる方程式は、第1の信号部分の送信シンボルの確率の決定のために用いられる方程式と構造的な点で対応する。
【0050】
一実施形態では、受信機は、2つの信号部分(例えば、第1の信号部分および第2の信号部分それぞれ)のうちの1つの信号部分の送信シンボルの確率の更新された推定に基づいて、2つの信号部分(例えば、第2の信号部分および第1の信号部分それぞれ)のうちのもう一方の信号部分の送信シンボルの確率の向上した推定を(例えば、繰り返し)得るよう構成される。
【0051】
対応する反復アプローチによって、第1の信号部分の送信シンボルの確率、好ましくは第2の信号部分の送信シンボルの確率は、さらに改善され得る。例えば、第2の信号部分の送信シンボルの仮定された確率は、第1の信号部分の送信シンボルの確率の初期決定において(例えば、第1のサンプルシーケンスの所定のサンプルに対する第2の信号部分の異なる寄与の確率を決定するために)使用されてもよい。したがって、例えば、第1の信号部分の送信シンボルの確率が決定されてもよく、第1の信号部分の送信シンボルのこれらの決定された確率は、第2の信号部分の送信シンボルの確率を決定するとき、例えば、第2のサンプルシーケンスの所与のサンプルに対する第1の信号部分の寄与の確率を決定するときに使用されてもよい。したがって、第2の信号部分の送信シンボルの確率を初めて決定するとき、第1の信号部分の送信シンボルの仮定された確率に頼る必要はなく、第1のステップで実行された第1の信号部分の送信シンボルの確率の決定を使用することが可能である。第1の信号部分の送信シンボルの確率の決定を繰り返す場合、第2の信号部分の送信シンボルの確率のための仮定値または開始値を用いて作業する必要はもはやなく、第2の信号部分の送信シンボルの確率の以前に決定または計算された確率を使用することが可能である。したがって、例えば、複数の反復ステップにおいて第1の信号部分の送信シンボルの確率を改善することが可能であり、第1の信号部分の送信シンボルの確率に関する個々の計算ステップの間に、第2の信号部分の送信シンボルの改善された、または、より正確な確率が決定される(逆もしかり)。この点で、第1の信号部分の送信シンボルおよび第2の信号部分の送信シンボルの両方が未知の状態から出発して、第1の信号部分の送信シンボルの確率および第2の信号部分の送信シンボルの確率のための改良された推定が得られ、信号部分のうちの一方の送信シンボルの確率の改良された推定は、典型的には、信号部分のうちの対応する他の送信シンボルの確率の改良された推定に帰着する。したがって、比較的少ない反復ステップ数で、両方の信号部分の送信シンボルの確率の良好な推定を得ることが可能である。
【0052】
本発明による実施形態は、パルスが互いに対してシフトされ、および/または搬送波が位相差を有する2つの別々の信号部分を含む組み合わせ信号を受信するための方法を提供する。
【0053】
この方法は、第1のサンプリングを用いて第1のサンプルシリーズ(例えばy[k])を得るステップを含み、第1のサンプリングは、第1の信号部分のシンボル位相に調整される(例えば、同期される)。
【0054】
本方法は、第2のサンプリングを用いて第2のサンプルシリーズ(例えば、y[k])を得るステップをさらに含み、第2のサンプリングは、第2の信号部分のシンボル位相に調整される(例えば、第2の信号部分のシンボル位相に同期される)。
【0055】
この方法は、第1のサンプルシリーズおよび第2のサンプルシリーズに基づいて、複数のサンプリング時間(k)について、第1の信号部分の送信シンボルの確率(例えばp1,m[k])および第2の信号部分の送信シンボルの確率(例えばp2,m[k])を得るステップをさらに含む。
【0056】
第1の信号部分のシンボル(例えばm=0...M-1)に対する確率(例えばp1,m[k])は、第1のサンプリングのサンプルにおける第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮せずに(または無視しながら)、第1のサンプリング(すなわち、第1の信号部分のシンボルクロックに同期したサンプリング)のサンプル(例えばy[k])、および、第2の信号部分のシンボル(例えばm=0...M-1)に対する推定または計算した確率(例えばp2,m[k])に基づいて決定され、第2信号部分のシンボル(例えばm=0・・・M-1)に対する(例えば更新された)確率(例えばp2,m[k])は、第2のサンプリングのサンプルにおける第2の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮せずに、第2信号部分(すなわち、第2信号部分のシンボルクロックに同期したサンプリング)のサンプル(例えばy[k])、および、第1の信号部分のシンボル(例えばm=0...M-1)に対する推定または計算された確率(例えばp1,m[k])に基づいて決定される。
【0057】
本方法は、上述した装置と同様の考察に基づいている。本方法は、さらに、本発明による装置に関して本明細書に記載または開示されたすべての特徴、機能性、および詳細によって補足されてもよい。本方法は、これらの特徴、機能性、および詳細によって、個別に、および組み合わせて補足されてもよい。方法に関して本明細書に記載された特徴、機能性および詳細は、もちろん、記載された装置によって実現することも可能である。
【0058】
実施形態は、プログラムがコンピュータ上で実行されるときに、方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムを提供する。
【0059】
当然ながら、コンピュータプログラムは、本明細書に記載されたすべての特徴、機能性、および詳細によって補足され得る。
【0060】
例えば、第1信号部分のシンボルの確率を第2信号部分のシンボルの確率と同様に求めることで、両信号部分のシンボルを一様に高い信頼性で推定することができる。また、シンボル間干渉の知識は、過剰な複雑さを導入することなく、両信号部分の決定に関しても使用することができる。
【0061】
本発明による実施形態は、添付の図を参照して以下にさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1a図1aは、本発明の実施形態に係る受信機のブロック図である。
図2a図2aは、本発明の実施形態に係る2つの信号部分の送信シンボルの確率を決定するための概念のフローチャートである。
図2b図2bは、本発明の実施形態による2つの信号部分の送信シンボルの確率を決定するための概念のフローチャートである。
図3図3は、本発明のさらなる実施形態による受信機のブロック図である。
図4a図4aは、本発明の実施形態による2つの信号部分のシンボルに対する確率を決定するための概念のフローチャートを示す図である。
図4b図4bは、本発明の実施形態による2つの信号部分のシンボルに対する確率を決定するための概念のフローチャートを示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態による方法のフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施形態による方法のフローチャートである。
図7a図7aは、2つの異なる2ユーザー受信機の概念を模式的に示したものである。
図7b図7bは、2つの異なる2ユーザー受信機の概念を模式的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
1. 図1による受信機
図1は、本発明の一実施形態に係る受信機のブロック図である。図1による受信機は、その全体が100で指定される。
【0064】
受信機100は、組み合わせ信号110を受信し、それに基づいて、第2の信号部分のシンボルに対する確率に関する情報112と、第1の信号部分のシンボルに対する確率に関する情報114とを提供するように構成されている。
【0065】
例えば、組み合せ信号110は、パルスが互いに対して相対的にシフトされ、および/または搬送波が位相差を有する2つの別々の信号部分を含むことが想定される。組み合せ信号110に含まれる2つの信号部分は、例えば、時分割多重または周波数分割多重または符号分割多重を用いずに、等しいまたは重なる周波数範囲で同時に送信する異なる送信機から発信されてもよい。
【0066】
受信機100は、任意に、送信パルス形状に調整されたフィルタ130を含み、これは、例示的に、組み合わせ信号110を受信し、組み合わせ信号110のフィルタリングされたバージョン132を提供する。しかしながら、フィルタ130は、組み合せ信号110が組み合せ信号のフィルタリングされたバージョン132の代わりとなるように省略されてもよい。
【0067】
受信機100は、第1のサンプリングを用いて第1のサンプルシリーズ142を得るように構成されたサンプル決定またはサンプル決定器140をさらに備え、第1のサンプリングは第1の信号部分のシンボル位相に調整される。サンプル決定またはサンプル決定器140は、第2のサンプリングを用いて第2のサンプルシリーズ144を得るようにさらに構成され、第2のサンプリングは、第2の信号部分のシンボル位相に調整される。この目的のために、サンプル決定器140は、例えば、組み合せ信号110または組み合せ信号のフィルタリングされたバージョン132を受信する。しかしながら、サンプル決定器140は、任意選択で、組み合せ信号110の更なる前処理されたバージョンを受信してもよい。そのようなオプションの前処理は、例えば、フィルタリングまたは周波数変換、または受信機入力段で典型的に使用される他の任意のタイプの前処理を含んでもよい。
【0068】
この点に関して、サンプル決定140またはサンプリング決定器140(これは、例えば、時間オフセットで動作する2つのアナログデジタル変換器から構成されてもよく、そのサンプリング時間は対応して設定または規制される)の入力信号は、例えば、互いに相対的に時間的にシフトされた2つの重畳された信号部分を含んでいてもよいことに留意するべきである。2つの重畳された信号部分のうちの例えば第1の信号部分は、シンボル間干渉なしに第1の時間フレームでサンプリングされ得、そのうちの例えば第2の信号部分は、シンボル間干渉なしに第1の時間フレームに対して時間的にシフトされた第2の時間フレームでサンプリングされ得るものである。例えば、送信シンボルに関連する第1の信号部分の波形は、時間t=0において最大値を有し、その後、時間T、2T、3Tにおいてゼロを有してもよい。例えば、第1の信号部分は、それぞれがTだけシフトされた対応する波形からなり得る。ここで、時間T、2T、3Tなどでは、第1の信号部分の1つの送信シンボルのそれぞれの部分のみがサンプルに寄与することが明らかである。
【0069】
同様に、例えば、送信シンボルに関連する第2の信号部分の波形は、時間tで最大値を持ち、時間t1+T、t1+2T、t1+3Tで0を持つことがある。したがって、第2の信号部分が時間t1、t1+T、t1+2T、t1+3Tなどでサンプリングされる場合、対応するサンプルはそれぞれ、第2の信号部分の単一の送信シンボルの寄与のみを含む。
【0070】
ここで、第1の信号部分と第2の信号部分、例えば第1の信号部分の多くの送信シンボル(Tの整数倍でタイムシフトされている)と第2の信号部分の多くの送信シンボル(同じくTの整数倍でタイムシフトされているが、第1の信号部分の送信シンボルに対してタイムシフトされている)がサンプル決定器140の入力信号に重畳して含まれていると仮定すれば、ここでは分離困難な混合信号が生じていることが明らかになる。また、例えば、時間t=0(又は時間t=k・T)でサンプリングした場合、サンプルは、例えば、第1の信号部分の単一の送信シンボルのみからの寄与を有するが、第2の信号部分の複数の送信シンボルからの寄与を有することが明らかである。同様に、時間t(または時間t=t+k・T)にサンプリングされたサンプルは、第2の信号部分の単一の送信シンボルのみからの寄与を有するが、第1の信号部分の複数の送信シンボルからの寄与も有する(シンボル間干渉)。
【0071】
したがって、サンプリング決定器140は、第1のサンプリングを用いて第1のサンプルシリーズ142を得るように構成され、第1のサンプリングは、第1の信号部分のシンボル位相に調整される。例えば、第1のサンプリングは、第1の信号部分が少なくとも実質的にシンボル間干渉を受けずにサンプリングされ、第2の信号部分がシンボル間干渉を受けてサンプリングされるように(例えば、第1の信号部分の単一の送信シンボルのみがサンプルの1つに(有意または無視できない)影響を与え、第2の信号部分のいくつかの送信シンボルがサンプル値に(有意または無視できない)影響を与えるように)時間t=0+k・Tで実行される。
【0072】
サンプル決定器140は、例えば、第2のサンプリングを用いて第2のサンプルシリーズ144を得るようにさらに構成され、第2のサンプリングは、第2の信号部分のシンボル位相に調整される。例えば、第2のサンプリングは、時間t=t+k・T(ここで、kは自然数である)で実行されてもよい。したがって、例えば、第2の信号部分は、少なくとも実質的にシンボル間干渉を受けずにサンプリングされ、対照的に、第1の信号部分は、シンボル間干渉を受けてサンプリングされる。例えば、サンプルは、第2の信号部分の単一の送信シンボルによって影響を受ける(または実質的に影響を受ける)が、第1の信号部分の複数の送信シンボルによって影響を受ける。
【0073】
ただし、第1のサンプリングと第2のサンプリングは、必ずしも理想的な方法で行われる必要はないことに留意する必要がある。むしろ、サンプリング時間に関して許容範囲が可能であり、それは、例えば、サンプリング周期Tの±5%または±10%または±20%であってもよい。したがって、例えば、第1のサンプリングは、第1の信号部分に関して少なくともほぼシンボル間干渉がなくてもよく、一方、第2の信号部分に関して(無視できない)シンボル間干渉があってもよい。例えば、サンプリングにおけるシンボル間干渉は、例えば、第1のサンプルに関するシンボル間干渉が、現在の送信シンボルに起因する信号値の5%未満または10%未満または20%未満であるような、第1の信号部分に関して無視できるものであってよい。第2のサンプルに関しても同様とすることができる。
【0074】
さらに、対応するサンプリング時間は、例えば、組み合わせ信号110を分析することによって設定または調整できることに留意が必要である。以下では、φ1-φ2またはφ2-φ1と表記される位相シフトも決定することができる。
【0075】
受信機100は、第1のサンプルシリーズ142を取得し、それに基づいて、第2の信号部分のシンボルに対する確率112を取得するように構成された第1の確率決定または第1の確率決定器150をさらに備える。受信機100は、第2のサンプルシリーズ144を取得し、それに基づいて、第1の信号部分のシンボルに対する確率114を決定するように構成された第2の確率決定または第2の確率決定器160をさらに具備している。全体として、このように、受信機は、第1のサンプルシリーズ142および第2のサンプルシリーズ144に基づいて、複数のサンプリング時間(例えば、kで示される)について、第1の信号部分の送信シンボルの確率および第2の信号部分の送信シンボルの確率を得るように構成される。
【0076】
例えば、第1の確率決定150は、第1のサンプル(または第1のサンプルシリーズ142)のサンプルにおける第2の信号部分の送信シンボル間のシンボル干渉を考慮して、第1のサンプルシリーズ142のサンプルに基づいた第1のサンプルのサンプル、および、推定または計算された第1の信号部分のシンボルに対する確率に基づいて、第2の信号部分のシンボルに対する確率112を決定するよう構成される。
【0077】
さらに、第2の確率決定160は、第2のサンプルのサンプルにおける(すなわち、第2のサンプルシリーズ144のサンプルにおける)第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮して、第2のサンプリングのサンプル(すなわち、第2のサンプルシリーズ144のサンプル)、および、推定または計算された第2の信号部分のシンボルに対する確率に基づいて、第1の信号部分のシンボルに対する確率114を決定するよう構成される。
【0078】
例えば、第1の確率決定は、様々な方法で第1の信号部分のシンボルまたは送信シンボルに対する確率の情報を得ることができる。例えば、第1の信号部分のシンボルまたは送信シンボルの確率は、例えば、評価の開始時に、受信側でまだ追加の情報が利用できない場合に、デフォルト値によって形成されてもよい。しかしながら、第1の信号部分のシンボルまたは送信シンボルの確率は、例えば、第1の確率決定が行われるときにこれが既に実行されている場合、第2の確率決定160によっても提供されてもよい。同様に、第2の確率決定160によって用いられる、第2の信号部分のシンボルまたは送信シンボルの確率に関する情報は、予め定められた値または初期値に基づいてもよいし、第1の確率決定150によって決定された第2の信号部分112のシンボルまたは送信シンボルの確率に基づくものであってもよい。
【0079】
すなわち、それぞれの他の信号部分のシンボルに対する確率決定150,160によって使用される確率は、予め例えば初期値として決定されていてもよいし、他の装置によって決定されていてもよいし、またそれぞれの他の確率決定中に決定されてもよい。特に、信号部分のシンボルまたは送信シンボルに対する確率を交互に向上させるように、本方法を反復して実行することも可能である。
【0080】
要約すると、2つのサンプルシリーズ142、144がサンプル決定において受信機100において生成され、第1のサンプルシリーズ142が得られる第1のサンプリングは、第1の信号部分をシンボル間干渉なしで、または低シンボル間干渉の態様でサンプルするように設定され、第2のサンプルシリーズ144が得られる第2のサンプリングは、第2の信号部分に関する第2のサンプルシリーズ44をシンボル間干渉なしで、または低シンボル間干渉の態様でサンプルするように設定される。それに基づいて、第2の信号部分のシンボルまたは送信シンボルに対する確率112は、次に、第1の信号部分の送信シンボルに関する想定されたまたは予め決定された確率と第2の信号部分のシンボル間のシンボル間干渉に関する情報との両方を考慮して、第1の確率決定150において決定される。例えば、第1のサンプリングおよび第2のサンプリングのサンプリング時間の知識に基づいて、および/または第1の信号部分の送信シンボルクロックと第2の信号部分の送信シンボルクロックとの間の時間シフトの知識に基づいて、さらに、例えば第1の信号部分および第2の信号部分の送信シンボル波形の知識(これらは典型的には受信機100に知られている)にも基づいて、どのシンボル間干渉が、第1のサンプルシリーズにおける第2の信号部分の送信シンボルの特定の(異なる)シーケンスをもたらすか、およびどのシンボル間干渉が、第2のサンプルシリーズ144のサンプルにおける第1の信号部分の送信シンボルの特定の(異なる)シーケンスをもたらすかが決定される。したがって、第1の信号部分および第2の信号部分のシンボル間干渉特性の知識は、第1の確率決定150および第2の確率決定160の両方で利用されて、第2の信号部分および第1の信号部分のシンボルまたは送信シンボルに対する確率112、114をそれぞれ、特に高い信頼性で得ることが可能である。上記で説明した第1のサンプリングまたは第2のサンプリングのサンプリング時間の適切な選択は、さらに、第1の確率決定150において第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮することを無視することができ、第2の確率決定160において第2の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮することを無視することができることが達成される。従って、複雑さが管理可能な範囲に抑えられる。
【0081】
さらに、受信機100は、以下に説明するすべての特徴、機能性、および詳細によって補完され得ることに留意すべきである。相関する特徴、機能性、および詳細は、個別に、および組み合わせて、受信機100に含まれ得る。
【0082】
2.図2aおよび図2bによる概念
図2aおよび図2bは、2つの信号部分のシンボルまたは送信シンボルに対する確率を決定するための概念のフローチャートである。図2aおよび図2bによる概念の全体を200で示す。
【0083】
図2aおよび図2bに示される概念200は、例えば、受信機100によって実施され得ることに留意されたい。例えば、概念200の主要な処理ステップは、第1の確率決定150および第2の確率決定160によって実行されてもよい。処理に用いられるサンプルy[k]及びy[k]は、例えば、サンプル決定器140によって得られてもよい。
【0084】
以下、処理手順について詳しく説明する。
【0085】
第1の処理部210は、第1の信号部分のシンボルまたは送信シンボルの確率292に基づいて、または、第1の信号部分の複数のシンボルまたは送信シンボルの確率に基づいて、第2の信号部分のシンボルの確率252を決定することを含む。もちろん、第1の処理部210において、第2の信号部分の複数のシンボルまたは送信シンボルの確率も決定されてもよい。
【0086】
特に、第1の処理部は、例えば、第1のサンプルシリーズ142のサンプル212(y[k]とも表記される)を使用することに留意すべきである。付加的に、第1の処理部210は、(例えば時間インデックスkを有する時間における)第1の信号部分のシンボルまたは送信シンボルの仮定されたまたは予め決定された確率を取り入れる。確率は、例えば、初期値として仮定されてもよいし、例えば、第2の処理部260において決定されてもよい。
【0087】
第1信号部分の強度に関する情報214(vとも表記する)は、第1処理部210に含まれる。さらに、第1の信号部分の送信シンボルまたは第1の信号部分の複数の送信シンボル(例えばインデックスm)(a1,mとも表記される)に関する情報216も、第1の処理部210に含められる。言い換えれば、第1の信号部分の送信シンボルに関する情報216は、例えば複素値の形で、第1のサンプルシリーズの現在のサンプル値y[k]に対する第1の信号部分のm番目の送信シンボルの(予想)寄与を記述し、第1のサンプルシリーズにおける第1の信号部分の送信シンボル間の小さなまたは無視できるシンボル間干渉が想定されるので、以前のサンプリング時間または後のサンプリング時間に属する第1の信号部分の送信シンボルは無視される。第1の処理部210は、さらに、例えば218またはφ1-φ2で示される、第1信号部分の送信シンボルと第2信号部分の送信シンボルとの間の位相シフトの情報を使用する。第1処理部210は、さらに、第1サンプルシリーズ212のサンプル(y[k])における第2信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉の情報を使用する。シンボル間干渉の情報219は、i1,p[i,j]とも表記される。例えば、第2の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉に関する情報219は、第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスについて、受信機に典型的に知られている送信シンボルの波形に基づき、第1のサンプリングのサンプリング時間に対する第2の信号部分の送信シンボルの位相位置に基づいて計算されてもよい。例えば、これは、現在のサンプルy[k]に影響を与える第2の信号部分の送信シンボルの全てのシーケンスを考慮してもよい。したがって、例えば、情報219は、シンボル間干渉(すなわち、異なる時間に送信された第2の信号部分の送信シンボルの送信波形の重畳)による第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスによって作られるサンプルy[k]への寄与を記述するために使用されてもよい。例えば、第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスは、インデックスiおよびjによって記述され、iおよびjは、第2の信号部分の送信シンボルのシーケンスの生成を記述するステートマシン(state machine)の状態として理解され得る。この点で、状態iから状態jへの遷移は、例えば、第2の信号部分の送信シンボルのシーケンスを特徴付ける状態遷移として理解することができる。
【0088】
全体として、シンボル間干渉値i1,p[i,j]は、受信側において、第2の信号部分の送信シンボルの送信波形または受信波形の知識に基づいて、およびサンプリング時間の知識に基づいて決定可能である(そして、例えば、各反復ステップまたは個々の送信シンボルの受信のために計算する必要はなく、むしろサンプリング時間がより詳細に知られると同時に、一度だけ決定すればよく、あるいは値テーブルまたはメモリ領域に予め決定された方法で提供することも可能である)。
【0089】
第1の方法部210は、例えばγ1,k[i,j]のような分岐遷移確率(branch transition probabilities)の計算220を含み、これは、例えば、式(2.3)を用いて実行される。したがって、計算220は、例えばγ1,k[i,j]のような分岐遷移確率を提供する。例えば、分岐遷移確率は、インデックス又は状態インデックスi及びjの異なる組み合わせについて計算されてもよい。例えば、第1のサンプルシリーズの(現在の)サンプルy[k]は、計算220に含まれてもよい。さらに、計算220は、(例えばサンプリング時間kについて)第1の信号部分のシンボルの以前に評価された又は決定された確率p1,m[k]を考慮にいれてもよい。さらに、第1の信号部分の強度v、受信機に典型的に知られている第1の信号部分の(例えば、複素数値の)送信シンボルa1,m、受信機に典型的に知られている第1のサンプリングと第2のサンプリングの間の位相シフト、および受信機によって決定可能な第2の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉も計算220において考慮されてもよい。さらに、受信機によって決定可能なノイズの強度または信号対ノイズ比も、計算220によって考慮されてもよい。可能なアプローチに関する詳細については、例示的に、以下の式(2.3)のディスカッションを参照されたい。
【0090】
このようにして計算220は、分岐遷移確率、例えばγ1,k[i,j]を求め、これを状態確率(例えばα1,k[i]、β1,k+1[j])の計算230で使用することができる。例えば、状態確率の計算230は、予め決定された、または想定された初期確率と最終確率を仮定して、前方再帰(forward recursion)法および後方再帰(backward recursion)法を用いて実行されてもよい。例えば、当業者に馴染みのある、いわゆるBCJR法をこの目的のために用いてもよい。あるいは、同じく当業者に馴染みのある他のトレリス復号化法を用いてもよい。
【0091】
したがって、計算230は、例えば、時間ステップkの状態確率、例えばα1,k[i]、さらに時間ステップk+1の状態確率、例えばβ1,k+1[j]を求め、これらは、例えば、最初の(第1の)状態確率、例えばp1,k[i,j]の決定240の際に分岐移行確率、例えばγ1,k[i,j]とともに用いることが可能である。この状態遷移確率p1,k[i,j]の決定は、例えばiとjの異なる組み合わせについて行われてもよく、あるいは例えばiとjの全ての意味のある組み合わせについて行われてもよく、例えば以下にさらに説明する式(2.4)を用いて行われてもよい。
【0092】
例えば、状態遷移確率p1,k[i,j]は、時間kにおける第2の信号部分のシンボルまたは送信シンボルの確率(例えばp2,m[k])を決定するための確率決定250において使用されてもよい。これは、例えば、好適には、p1,k[i,j]の値を合計することによって行われてもよい。
【0093】
要約すると、第1の方法部210において、第2の信号部分のシンボルの確率または第2の信号部分の異なるシンボルの確率または第2の信号部分のすべての可能なシンボルの確率は、第1のサンプルシリーズの(現在の)サンプルに基づいて、また、第1の信号部分のシンボルの仮定されたまたは予め決定された確率に基づいて決定されてもよい。第2の信号部分の送信シンボル間の意図的なシンボル間干渉は、例えば、分岐遷移確率を計算することによって、状態確率を導出することによって、および状態遷移確率を決定することによって、効率的に利用され、トレリス復号法またはBCJR法は、第2の信号部分の送信シンボル間干渉を効率的に考慮するのに使用されてもよい。
【0094】
第2の方法部260は同様の方法で動作し、第2の信号部分のシンボルまたは送信シンボルの確率は、第1の信号部分のシンボルまたは送信シンボルの仮定されたまたは予め決定された確率(例えばp2,m[k])に基づいて、第2のサンプルシリーズのサンプル(例えばy[k])を用いて決定される。図2bに示すように、第2の方法部260は、分岐遷移確率(例えば、γ2,k[i,j])の計算270を含む。例えば、分岐遷移確率の計算270は、以下にさらに説明する式(3.2)に従って実行されてもよい。分岐遷移確率の計算270は、例えば、第2のサンプルシリーズの(現在の)サンプルy[k]を考慮してもよい。さらに、計算270は、第2の信号部分のシンボルまたは送信シンボルの確率(例えば、p2,m[k])を考慮にいれてもよい。さらに、計算270は、受信機によって決定された第2の信号部分の強度(v)(絶対的または相対的であり、例えば、第1の信号部分の強度との関係で定義され、またはノイズとの関係で定義される)を考慮に入れることができる。さらに、分岐遷移確率の計算270は、典型的には、送信シンボルまたは受信シンボル(例えば、複素数値表現の形で)(例えば、a2,mで示される)の受信機側の知識を考慮する。さらに、計算270は、第1のサンプリングと第2のサンプリングとの間の位相シフトを好ましくは考慮する。さらに、計算270は、第2のサンプルシリーズのサンプルにおける第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉の情報を考慮する。シンボル間干渉に関する情報(例えばi2,p[i,j])は、例えば、第1の信号部分の送信シンボルの送信波形または受信波形の知識に基づいて、また第2のサンプリングのサンプリング位相の知識にも基づいて、受信機によって得られてもよい。したがって、例えば、第1の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンス(例えば、iおよびjによって定義される)が第2のサンプルシリーズの(現在の)サンプルy[k]にどのような寄与を与えるかが、受信機によって決定されてもよい。特に、受信機は、第2のサンプルシリーズが第1の信号部分の送信シンボルに関してシンボル間干渉のない状態でサンプリングされないので、第1の信号部分のいくつかの送信シンボルがサンプル値y[k]に有意な(無視できない)寄与を与えることを考慮に入れてもよい。一方、分岐遷移確率を計算するとき、特に、第2の信号部分の送信シンボルのみが現在のサンプルy[k]に有意な寄与を提供すると仮定してもよく、一方、例えば、サンプルy[k]に対する第2の信号部分のさらなる送信シンボルの寄与(例えば、先に送信または後に送信)が計算270により無視されてもよい。したがって、計算270は、状態確率(例えば、α2,k[i])およびβ2,k+1[j])の計算280において使用され得る分岐遷移確率(例えば、γ2,k[i,j])を得てもよい。
【0095】
計算280では、例えば、時間ステップkの状態確率(例えばα2,k[i])と時間ステップk+1の状態確率(例えばβ2,k+1[j])とが得られる。時間ステップkの状態確率と時間ステップk+1の状態確率は、状態遷移確率(例えばp2,k[i,j])の決定290の際に、分岐遷移確率と一緒に使用することができる。
【0096】
この第1の状態遷移確率292の決定290は、例えば、さらに後述する式(3.3)を用いて行うことができる。こうして、状態iから状態jへの異なる状態遷移に対する状態遷移確率p2,k[i,j]を求めることができる。
【0097】
その後、状態遷移確率291は、例えば、第1の信号部分292のシンボルの確率(例えば、p1,m[k])を計算するために、確率決定294で使用されてもよい。第1の信号部分のシンボルの確率の決定は、例えば、状態遷移確率(例えばp2,k[i,j])の適切な総和によって行われてもよく、ここで、例えば、特定の送信シンボル(例えばa1,m)に属するそれらの状態の状態遷移確率が総和されうる。
【0098】
要約すると、計算270は実質的に計算220に対応し、計算280は実質的に計算230に対応し、決定290は実質的に決定240に対応し、確率決定294は実質的に確率決定250に対応し、それぞれは適切な信号部分に調整された量を使用する。
【0099】
さらに、概念200に関しては、例えば、その概念が第1の方法部210から、または第2の方法部260から開始し、それぞれの他の方法部がその後に実施されてもよいことに留意すべきである。ちなみに、このプロセスは反復的であってもよく、2つの方法部210、260が、例えば、連続して、そして交互に数回実行される。このようにすれば、2つの信号部分のシンボルの確率の決定又は推定を繰り返し向上させることができる。したがって、例えば、確率決定294において決定された第1の信号部分の送信シンボルの確率を、計算220における入力量として用い、確率決定250において得られた第2の信号部分の送信シンボルの確率を、計算270における入力量として用いても良い。
【0100】
概念200に関するさらなる詳細については、後述する。特に、式(2.3)、(2.4)、(3.2)及び(3.3)の説明、並びに他の付随する説明を参照することができる。
【0101】
図2に示されるような概念200は、本明細書に記載される特徴、機能性、および詳細のいずれかによって、個別にまたは組み合わせて補足され得ることにさらに留意すべきである。
【0102】
3. 図3による受信機
図3は、本発明の実施形態に係る受信機300のブロック図である。
【0103】
受信機300は、例えば、第1信号部分と第2信号部分とを有する組み合わせ信号310を受信するように構成される。受信機300は、さらに、第1の信号部分のシンボルに対する確率312を求め、第2の信号部分のシンボルに対する確率314を求めるように構成されている。受信機300は、任意に、送信パルス形状に調整されたフィルタ330を含み、これは、例えば、組み合わせ信号110を受信し、フィルタリングされた信号332を提供する。フィルタ330は、例えば、受信機100のフィルタ130に対応してもよく、フィルタリングされた信号332は、例えば、フィルタリングされた信号132に対応してもよい。受信機100に関して説明した、組み合わせ信号110の可能な前処理に関する残りの説明も、受信機300に適用される。
【0104】
受信機300は、例えば、受信機100のサンプル決定部140に対応するサンプル決定340をさらに備える。サンプル決定またはサンプル決定器340は、例えば、第1のサンプルシリーズ342(例えばy[k])および第2のサンプルシリーズ344(y[k])を提供する。第1のサンプルシリーズ342は、例えば、第1のサンプルシリーズ142に対応し、第2のサンプルシリーズ344は、例えば、第2のサンプルシリーズ144に対応するので、サンプルシリーズ142,144に関してなされた上記の議論は、同様に適用される。
【0105】
要約すると、このようにして、受信機300は、パルスが互いに関連してシフトされ、および/または搬送波が位相差を有する2つの別々の信号部分を含む組み合わせ信号310を得るように構成されている。受信機300は、例えば(必ずしもそうではないが)、少なくとも1つの信号部分のパルスの送信パルス形状に調整されたフィルタを含む。受信機は、例えば、サンプル決定340による第1のサンプリングを用いて第1のサンプルシリーズ342を得るようにさらに構成され、第1のサンプリングは、第1の信号部分のシンボル位相に調整される(例えば、第1の信号部分のシンボル位相に同期させる)。受信機は、例えば、サンプル決定340による第2のサンプリングを用いて第2のサンプルシリーズ344を得るようにさらに構成され、第2のサンプリングは、第2の信号部分のシンボル位相に調整される(例えば、第2の信号部分のシンボル位相に同期している)。
【0106】
受信機300は、第1のサンプリングのサンプルにおける第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮せずに(または無視しながら)、第1のサンプリング(または第1のサンプルシリーズ342)のサンプル、および、第2の信号部分のシンボルに対する推定または計算された確率に基づいて、第1の信号部分のシンボルに対する確率を決定するように構成される第1の確率決定350をさらに備える。受信機は、第2のサンプリングのサンプルにおける第2の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮に入れずに、第2のサンプリングのサンプル(または第2のサンプルシリーズ344)、および、第1の信号部分のシンボルに対する推定または計算された確率に基づいて、第2の信号部分のシンボルに対する確率を決定(例えば、更新)するように構成された第2の確率決定360をさらに備えている。つまり、受信機は、第1のサンプルシリーズ342および第2のサンプルシリーズ344に基づいた複数のサンプリング時間に対して、第1の信号部分の送信シンボルの確率312と、第2の信号部分の送信シンボルの確率314を得るように構成される。
【0107】
受信機300の機能性に関して、例えば仮定に基づくかまたは以前に決定された第2の信号部分のシンボルまたは送信シンボルに対する確率は、第1の信号部分のシンボルに対する確率312を決定する際に考慮されることに留意するべきである。したがって、例えば、第1の信号部分のシンボルまたは送信シンボルに対する確率を決定する際に、第1のサンプルシリーズの(現在の)サンプル(例えばy[k])に対する第2の信号部分の送信シンボルの寄与または障害寄与が考慮に入れられる(または一定の確率で考慮に入れられる)。これは、時間的に連続して送信される第2の信号部分の複数の送信シンボルの影響も考慮するものであり、これらは通常、すべて第1のサンプルシリーズの現在のサンプル値に影響を与えるからである。しかしながら、第2の信号部分の送信シンボルは、第1の信号部分のシンボルに対する確率を決定する際に「障害」または「障害寄与」としてのみ考慮され、さらに、第1のサンプリングに基づいて、第1のサンプルシリーズ342における第1の信号部分のシンボル間にシンボル間干渉が存在しないまたは著しいシンボル間干渉が存在しないことが仮定されるので、確率決定350は比較的低い複雑さで実行することが可能である。
【0108】
同様に、第1の信号部分のシンボルに対する確率を決定する際に第2の信号部分のシンボルは現在のサンプル(例えばy[k])に対する障害または障害寄与としてのみ考慮されるので、また確率決定360はさらに、第2のサンプルシリーズ344における第2の信号部分の送信シンボル間にシンボル間干渉がないまたは著しいシンボル間干渉がないことを仮定するので、確率360を決定する際に確率決定360の複雑さは比較的に低いものとなっている。
【0109】
さらに、第2の信号部分のシンボルに対する推定または以前に計算された確率は、確率決定350、つまり、第1の信号部分のシンボルに対する確率を決定するときに含まれることに留意するべきである。同様に、第1の信号部分のシンボルに対する推定されたまたは予め決定された確率は、確率決定360に含まれる、それは、第2の信号部分のシンボルに対する確率を決定するときである。また、確率決定350と確率決定360は、2つの信号部分のシンボルに対する対応する確率がそれぞれ向上するように、順次または交互に反復して実行されてもよい。例えば、最初の反復ステップでは、仮定された確率が使用されてもよく、以降の反復ステップでは、予め決定された確率が使用されてもよい。
【0110】
以上のことから、受信機300は、2つの信号部分のシンボルに対する確率を、特に効率的に決定することができる。サンプル決定340において2つのサンプルシリーズ342,344を取得し、第1の信号部分のシンボル位相に調整するようにサンプリングされた第1のサンプルシリーズに基づいて第1の信号部分のシンボルに対する確率を求め、第2の信号部分のシンボル位相に調整するようにサンプリングされた第2のサンプルシリーズに基づいて第2の信号部分のシンボルに対する確率を求めることによって、非常に効率的に2つの信号部分のシンボルに対する確率を求めることができる。シンボル間干渉は、好ましくはここでは段階的に評価されず、サンプルへの障害寄与として要約して考慮されるだけであるが、それにもかかわらず、信号部分のシンボルの確率の信頼できる推定は、多くの状況下で少しの労力で得られることが示された。
【0111】
さらなるオプションの詳細については、以下で説明する。
【0112】
特に、受信機300は、本明細書に記載された特徴、機能性、及び詳細のいずれかによって、個別に又は組み合わせて任意に補完され得る。
【0113】
4. 図4a、図4bによる概念
図4a及び図4bは、組み合せ信号又は前処理された(例えば、フィルタリングされ信号調整される)組み合せ信号のサンプルに基づいて、第1の信号部分のシンボルに対する確率及び第2の信号部分のシンボルに対する確率を決定する概念のフローチャートを示す。図4a及び図4bによる概念の全体を400で示す。
【0114】
概念400は、第1の方法部410と第2の方法部460とを含む。
【0115】
第1の方法部410において、例えば、第2の信号部分のシンボルに対する確率432(例えばp2,m[k])は、第1の信号部分のシンボルに対する想定または予め決定された確率492(例えばp1,m[k])に基づき、また第2のサンプルシリーズの(現在の)サンプル(例えばy[k])に基づき判断される。
【0116】
概念400は、第1の信号部分のシンボルに対する確率492(例えばp1,m[k])が、例えば第2の信号部分のシンボルに対する(想定または所定の)確率(例えばp2,m[k])に基づいて、また第1のサンプルシリーズの(現在の)サンプル(例えばy[k])に基づいて決定される第2の方法部460をさらに含む。
【0117】
この点で、状況に応じて、第1の方法部410を最初に実行し、次に第2の方法部460を実行してもよいことに留意するべきである。あるいは、第2の方法部460が最初に実行され、その後、第1の方法部410が実行されてもよい。さらに、第1の方法部410と第2の方法部460は、例えば、第1の信号部分と第2の信号部分のシンボルに対する、ある時点(例えば「k」)に関連する確率を反復的に改善するために、交互に実行されてもよい。両方の方法部410、460が同じ回数だけ実行されるかどうか、または一方の方法部が他方よりも頻繁に実行されるかどうかは、本質的に無関係である。
【0118】
以下では、第1の方法の部分について説明する。ただし、対応する説明は、第2の方法に関しても同様に当てはまる。
【0119】
例えば、第1の方法部410は、第1の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスp(pはシーケンスのインデックス)の確率の決定420を含む。例えば、確率Pr{i[k]=i2,p}を決定することができる。例えば、対応する確率は、第2のサンプルシリーズのサンプルy[k]において干渉値i2,pを生成する第1信号部の送信シンボルのシーケンスpを有する確率を記述している。この目的のために、例えば、第1信号部分の送信シンボルによって導出される送信波形または受信波形の知識に基づいて、第1信号部分の送信シンボルのどのシーケンスまたは第1信号部分の送信シンボルのどのシーケンスによってサンプルy[k]に(障害)寄与i2,pが与えられるかが決定される。そして、第1の信号部分の送信シンボルの対応するシーケンスの確率を決定する、あるいは、例えば、全てが(障害)寄与i2,pにつながる、第1の信号部分の複数の送信シンボルの複数のシーケンスの確率を合計する。例えば、第1の信号部分の送信シンボルのうち(複数の可能なシーケンスまたは可能なシーケンスの全セットのうち)1つのシーケンスのみが(障害)寄与i2,pにつながる場合、第1の信号部分の送信シンボルのこのシーケンスの確率は、例えば式(3・6)に従って、第1の信号部分の送信シンボルに対する確率(492)に基づいて容易に計算することが可能である。言い換えれば、第1の信号部分の送信シンボルの特定のシーケンスがサンプルy[k]への(障害)寄与i2,pをもたらすと受信機によって判断される場合、第1の信号部分の送信シンボルのこのシーケンスの確率は、例えば、それぞれのシーケンスに属する第1の信号部分の送信シンボルの確率を乗算することによって決定することが可能である。一方、第1の信号部分の送信シンボルのいくつかの異なるシーケンスがサンプルy[k]に対して同じまたは非常に類似した(障害)寄与をもたらす場合、これらの個々のシーケンスの確率は、再び、それぞれのシーケンスに属する送信シンボルの確率を乗算することによって求めることができ、そして、それぞれのシーケンスに対する確率を合計してそれぞれの(障害)寄与i2,pに対する全体の確率を得ることができる。
【0120】
【0121】
要約すると、ステップ420において、例えば、第1の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスの確率が決定されてもよいし、代替的に、(障害)寄与i2,pの異なる値の確率が決定されてもよい。送信シンボルのシーケンスごとに異なる(障害)寄与i2,pが提供される場合、2つの計算は同一である。一方、同一またはほぼ同一の(障害)寄与i2,pが、第1の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスによって得られる場合、異なる(障害)寄与i2,pの数は、例えば、第1の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスの数より少なくてもよい。
【0122】
要約すると、ステップ420は、第1の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスpの確率の決定と、別法として、(第1の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスから生じる)異なる(障害)寄与i2,pの確率の決定の両方を含んでいてもよい。したがって、ステップ420において、例えば、第1の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスpの確率、または異なる(障害)寄与i2,pの確率が得られる。
【0123】
また、第1方法部410は、第2信号部分のシンボルに対する確率(例えば、p2,m[k])の計算430を含む。この計算は、例えば、式(3.4)を用いて実行されてもよい。この点に関して、式(3.4)に示される総和は、例えば、第1の信号部分の送信シンボルのすべての異なるシーケンスpに対して行われてよいことに注意されたい(これは(障害)寄与i2,p≠0に寄与する)(この場合、異なるシーケンスpの確率が好ましくは考慮される場合)。和算は、代替的に、すべての異なる(障害)寄与i2,pにわたって実行されてもよく、この場合、例えば、対応する(障害)寄与が、第1の信号部分の送信シンボルによって生成されるi2,pである確率が考慮されてもよい。
【0124】
さらに、第2の信号部分のシンボルに対する確率の計算430は、第2のサンプルシリーズの(現在の)サンプル(例えばy[k])を考慮に入れることができる。さらに、例えば、受信機によって推定または決定され得る第2の信号部分の強度422(例えば、v)が考慮されてもよい。例えば、第2の信号部分の強度vは、絶対的な用語で決定されてもよく、又は相対的な用語で(例えば、第1の信号部分に関して、又はノイズに関して、例えば信号対ノイズ比の観点で)決定されてもよい。さらに、計算430は、典型的には、受信機に知られている第2の信号部分の(例えば、複素数値の)送信シンボル(例えば、a2,m)を考慮に入れる。さらに、計算430は、第1の信号部分の送信シンボルのシーケンスpからの干渉(例えばi2,p;「サンプルy[k]に対する第1の信号部分の送信シンボルの(障害)寄与」とも称される)も考慮に入れる。
【0125】
前述のように、第2の信号部分のシンボルに対する確率の計算430は、例えば、式(3.4)を用いて実行される。これはまた、ノイズの強度(例えばv)または信号対ノイズ比を考慮してもよい。
【0126】
このようにして、計算は、例えば、第2の信号部分の様々なシンボルの確率を決定し、ここで、例えば、様々な(障害)寄与i2,pを仮定して、部分確率が合計される。例えば、ノイズのガウス分布を仮定して、サンプルy[k]、干渉i2,p、第2の信号部分の強度(例えばv)およびノイズの強度(例えばv)が与えられたときに、送信シンボルa2,mがどの程度の確率であるかがチェックされる。
【0127】
そして、ステップ430で決定された第2の信号部分のシンボル(例えばp2,m[k])に対する確率232は、例えば出力してもよいし、第2の方法部460で用いてもよい。
【0128】
第2の方法部460は、第1の方法部410と実質的に並行して実行されるので、上記の説明にも対応するように適応されて適用される。
【0129】
第2の方法部460において、第1の信号部分のシンボルに対する確率492(例えばp1,m[k])は、第2の信号部分のシンボルに対する確率432(例えばp2,m[k])に基づき、また第1のサンプルシリーズの(現在の)サンプル(例えばy[k])に基づき、決定される。
【0130】
第2の方法部460は、第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスの確率(例えばPr{i[k]=i1,p})の決定470を含み、これは、例えば、第2の信号部分のシンボルに対する確率に関する情報432に基づいて実行されてもよい。第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスの確率を決定することと同等に、現在のサンプルy[k]に対する第2の信号部分の異なる(障害)寄与の確率(例えばi1,p)の決定も決定されてもよい。この点で、決定420に関してなされた上記の議論は、ここで対応して適用される。例えば、決定470は、式(2.7)を用いて、または式(2.7)に対応する式を用いて、特定のシンボルシーケンスに調整されて行われてもよい。すなわち、現在検討されている第2信号部分の送信シンボルのシーケンスに属する第2信号部分の送信シンボルの確率が乗算されてもよい。任意選択で、例えば、異なる(障害)寄与の確率が決定される場合、同じ(障害)寄与i1,pをもたらす第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスの確率は、合計されてもよい。
【0131】
第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスの確率472、または異なる(障害)寄与i1,pの確率は、例えば、決定470によって決定される。
【0132】
第2の方法部460は、第1の信号部分のシンボルに対する確率480(例えばp1,m[k])の計算をさらに含む。この計算480は、例えば、式(2.5)を用いて実行されてもよい。第1の信号部分のシンボルに対する確率の計算は、例えば、第1のサンプルシリーズの現在のサンプルy[k]を含んでもよい。さらに、ステップ470で決定された第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスの確率、またはステップ470で決定された異なる(障害)寄与i1,pの確率は、第1の信号部分のシンボルに関する確率の計算480の際に考慮されてもよい。さらに、第1の信号部分の強度(例えばv)に関する情報482が計算480に含まれてもよく、第1の信号部分の強度に関する情報482は、例えば、受信機によって(例えば、第2の信号部分に関して、またはノイズに関して)絶対的または相対的に決定されてもよい。さらに、計算480は、典型的には、484で示される第1の信号部分の送信シンボル(a1,m)に関する、受信機にとって既知の情報を含んでいる。例えば、情報484は、第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉がない場合、(障害)寄与i1,pがない場合、および、ノイズがない場合(同様に他の障害がない場合)に、(インデックスmで)第1の信号部分の種々の送信シンボルがどんな(例えば複素)サンプルを生じるかを記述してもよい。言い換えれば、情報484は、理想的な場合の送信シンボル、または異なる送信シンボルによって引き起こされる受信シンボルを記述する。さらに、計算480は、第2の信号部分の送信シンボルの異なるシーケンスpから生じる干渉(または(障害)寄与)i1,pを考慮する。対応する寄与はまた、486で示される。さらに、例えば受信機によって決定され得るノイズの強度488も、計算480において考慮される。
【0133】
したがって、計算480は、492で示される第1の信号部分の送信シンボルに対する総確率(例えばp1,m[k])を得る。確率492は、例えば、出力されてもよいし、第1の方法部410において、決定420に対して使用または再利用されてもよい。
【0134】
例えば、計算420に関して述べたように、第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を無視しつつ、第2の信号部分の送信シンボルの様々な可能なシーケンスpによる干渉i1,pと、ノイズの強度と、第1の信号部分の推定強度とが考慮されるとき、計算480は、時間ステップkにおいて特定の送信シンボルが(インデックスがmである)送信された可能性が、第1のサンプルシリーズの現在のサンプルy[k]を与えられた場合にどれほど高いかを決定しうる。
【0135】
要約すると、概念400では、第1の信号部分の送信シンボルに対する確率と第2の信号部分の送信シンボルに対する確率の両方を非常に効率的に決定することができる。効率的な決定法は、2つのサンプルシリーズを取得し、シンボル間干渉の詳細を考慮しないことによって実現される。
【0136】
さらなる説明は、以下にある。
【0137】
図4に示されるような概念400は、任意に、本明細書に記載される特徴、機能性、および詳細のいずれかによって補完され得る。特に、以下に説明する式は、様々な方法ステップを実行するために使用されてもよい。しかしながら、代替的に、対応する機能性を達成するために修正された式が使用されてもよい。さらに、概念400は、本明細書に記載される特徴、機能性及び詳細によって、単独で又は組み合わせて補足され得ることに留意されたい。
【0138】
5. 図5による方法
図5は、パルスが互いに対してシフトされ、及び/又は搬送波が位相差を有する2つの別々の信号部分を有する組み合わせ信号を受信するための方法500のフローチャートである。
【0139】
この方法は、第1のサンプリングを用いた第1のサンプルのシリーズの取得510を含み、第1のサンプリングは、第1の信号部分のシンボル位相に調整される。
【0140】
本方法は、第2のサンプリングを用いた第2のサンプルシリーズの取得520をさらに含み、第2のサンプリングは、第2の信号部分のシンボル位相に調整される。例えば、サンプリングは、並列に行われてもよいし、順次に行われてもよい。第1のサンプルシリーズの取得510と第2のサンプルシリーズの取得520は、例えば、並列にまたは順次に実行されてもよい。
【0141】
方法500は、第1のサンプルシリーズおよび第2のサンプルシリーズに基づいて、複数のサンプリング時間に対する、第1の信号部分の送信シンボルの確率および第2の信号部分の送信シンボルの確率の取得530をさらに含む。確率の取得530は、例えば、第1のサンプリングのサンプルにおいて第2の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮しつつ、第1のサンプリングのサンプル、および、推定または計算された第1の信号部分のシンボルの確率に基づいて、第2の信号部分のシンボルの確率を決定することを含んでもよい。確率の取得530は、さらに、第2のサンプリングのサンプルにおける第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮しながら、第2のサンプリングのサンプル、および、推定または計算された第2の信号部分のシンボルの確率に基づいて、第1の信号部分のシンボルの確率を決定することを含んでもよい。
【0142】
方法500は、任意選択的に、本明細書に記載された特徴、機能、および詳細のいずれかによって、個別にまたは組み合わせて補足され得る。特に、方法500はまた、本発明装置に関して本明細書で説明される任意の特徴、機能性、および詳細によって補足されてもよい。
【0143】
6. 図6による方法
図6は、パルスが互いに相対的にシフトされ、及び/又は搬送波が位相差を有する2つの別々の信号部分を有する組み合わせ信号を受信するための方法600のフローチャートを示す。この方法は、第1のサンプリングを用いた第1のサンプルシリーズの取得610を含み、第1のサンプリングは、第1の信号部分のシンボル位相に調整される。方法600は、第2のサンプリングを用いた第2のサンプルシリーズの取得620をさらに含み、第2のサンプルは、第2の信号部分のシンボル位相に調整される。第1のサンプルシリーズの取得610および第2のサンプルシリーズの取得620は、例えば、並列または順次に実行されてもよい。
【0144】
方法600は、第1のサンプルシリーズおよび第2のサンプルシリーズに基づいた、複数のサンプリング時間に対する、第1の信号部分の送信シンボルの確率および第2の信号部分の送信シンボルの確率の取得630をさらに含む。例えば、確率の取得630は、第1のサンプリングのサンプルにおける第1の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮せずに、第1のサンプリングのサンプル、および、第2の信号部分のシンボルの推定または計算された確率に基づいて、第1の信号部分のシンボルの確率を決定することを含む。確率の取得630は、第2のサンプリングのサンプルにおける第2の信号部分の送信シンボル間のシンボル間干渉を考慮することなく、第2のサンプリングのサンプル、および、第1の信号部分のシンボルに対する推定または計算された確率に基づいて、第2の信号部分のシンボルの確率を決定することをさらに含む。
【0145】
方法600は、本明細書に記載された特徴、機能性及び詳細のいずれかによって、個別に又は組み合わせて補足され得る。特に、方法600はまた、本発明装置に関して本明細書に記載された任意の特徴、機能性、および詳細によって補足されてもよい。
【0146】
7. さらなる実施形態
以下、さらなる実施形態について説明する。特に、技術的環境と背景について説明する。さらに、非公開のドイツ特許出願10 2018 202 648および10 2018 202 649(文献[1]および[2])に準拠した反復分離を説明する。最適化された2-ユーザ受信機のための受信機の概念が説明される。初期状況および前処理が説明される。さらに、修正BCJRアルゴリズムを使用した反復分離が説明される。この点に関して、例えば、第1のステップ(ステップ1)および第2のステップ(ステップ2)が説明される。
【0147】
さらに、本発明の態様に従った拡張または修正の提案について説明する。したがって、デュアルシンボル間干渉(ISI)の活用に対する拡張または修正が説明される。さらに、BCJRを用いないデュアル複雑性低減処理への拡張または修正が説明される。さらに、相互に異なる搬送周波数に対する拡張または修正が説明される。
【0148】
さらに、いくつかの実施形態について説明する。
【0149】
7.1 技術環境と背景
技術環境に関しては、例えば、非公開のドイツ特許出願10 2018 202 647、10 2018 202 648及び10 2018 202 649が参照される。
【0150】
7.2. 非公開のドイツ特許出願10 2018 202 648及び10 2018 202 649(文献[1]及び[2])による反復分離
7.2.1 最適化された2ユーザーレシーバのための受信機の概念
例えば修正された形で使用することができる最適化された2ユーザー受信機のための受信機の概念を以下に説明する。
【0151】
図7aは、分離処理にチャンネルデコードを統合した受信機の概略図である。図7aによる受信機のエンティティーは、700で指定される。受信機700は、例えば、第1の信号(信号1)および第2の信号(信号2)、または第1の信号部分および第2の信号部分を含む受信信号710を受信する。
【0152】
受信機700は、例えば、受信信号710を中間周波数範囲またはベースバンドなどの周波数に変換するように構成された受信信号変換720を含む。変換720は、例えば、同相成分及び直交成分を有する複素値の出力信号を生成してもよい。変換720の出力信号は、722で指定される。
【0153】
受信機700は、例えば、受信信号710または変換された受信信号722を分析し、例えば、受信信号または変換された信号722の1つ以上のパラメータを決定してもよい同期730をさらに備える。例えば、同期730は、搬送周波数、搬送波位相、シンボル持続時間、またはシンボル位相を決定してもよく、例えば、サンプルまたは複数のサンプルをそれに応じて制御するか、または同じものを受信信号710または変換された受信信号722に同期させてもよい。
【0154】
受信機700は、さらに、復号化を伴う分離740を備える。例えば、分離と復号は、受信信号または変換された受信信号722に基づいて、または受信信号710または変換された受信信号722に基づくサンプルに基づいて、第1の信号(例えば信号1)または第1の信号部分の復号データ742と第2の信号(例えば信号2)または第2の信号部分の復号データ744を決定してもよい。
【0155】
さらなる詳細については、以下で説明する。
【0156】
図7bは、分離後の各信号に対して別々のチャンネル復号を行う受信機の模式図である。図7bによる受信機の全体は、750で指定される。受信機750は、例えば、受信信号710に対応する受信信号760を受信するように構成される。受信機750は、さらに、例えば、受信機700の変換720に対応する変換770を備える。受信機750は、例えば、受信機700の同期730に対応する同期780をさらに具備する。受信機750は、例えば、第1の信号(例えば、信号1)または第1の信号部分792と、第2の信号(例えば、信号2)または第2の信号部分794とを得るように構成された分離790をさらに具備している。例えば、分離790は、受信信号または変換された受信信号772に基づいて、あるいは受信信号760または変換された受信信号772に基づいているサンプルに基づいて、第1の信号792および第2の信号794を得てもよい。
【0157】
受信機750は、例えば、第1信号792に基づいて第1の復号化データ794を得るように構成された第1の復号化796をさらに具備する。受信機750は、第2の信号または信号部分794に基づいて第2の復号化データ797を得るように構成された第2の復号化798をさらに具備する。
【0158】
さらなる詳細については、以下で説明する。
【0159】
要約すると、図7aおよび図7bは、2ユーザ受信機のための2つの受信機の概念を説明する。両方の受信機の概念において、マルチキャリア信号(例えば、受信信号710、760)は、受信後に等価な複素ベースバンドに変換され(図7a、7bのブロック変換720、770)、パラメータまたは変調パラメータ(例えば、搬送周波数および/または搬送波位相および/またはシンボル持続時間および/またはシンボル位相および/または変調方法および/または信号電力)は評価される(例えば、ブロック「同期」730、780において)。しかし、その後の処理において、概念が互いに異なる。
【0160】
図7aによる第1の概念では、分離プロセスにおいてチャンネル復号が実行される(例えば、図7aのブロック「復号化を伴う分離」740において)。出力では、両方の信号または信号部分の復号化データ742、744が互いに分離されるように存在する。
【0161】
図7bによる第2の概念では、チャンネル符号化は分離手順に利用されないので、分離後(ブロック「分離」790)、チャンネル復号化によって(例えば、第1の復号化796及び第2の復号化798によって)チャンネルビットの信頼性情報から復号化データが計算される(例えば、第1の信号792及び第2の信号794の)。ここで、送信機で使用されるチャンネル符号化方式は、既知であることが望ましい(場合によっては、既知でなければならない)。
【0162】
分離方法として、反復手順が提案されており、これについては、以下の項で説明する。
【0163】
要約すると、図7aおよび図7bに示されるような機能性または機能ブロックは、例えば、図1および図3による受信機100および300に、個別にまたは組み合わせて含まれ得る。例えば、変換720、770は、受信機100、300における前処理の一部として使用されてもよい。同様に、同期化730、780は、受信機100、300において採用されてもよく、例えば、サンプル決定140、340を好適に駆動するか、送信シンボルクロックに同期化するか、送信シンボル位相に同期化することができる。さらに、確率決定150、160は、分離790(または分離740)に対応してもよい。あるいは、例えば、確率決定350、360は、分離790(または分離740)に対応してもよい。
【0164】
さらに、2つの信号部分の送信シンボルの確率を決定するために本明細書に記載された概念は、例えば、分離740のコンテキストおよび/または分離790のコンテキストで使用されてもよいことに留意されたい。
【0165】
例えば、図2による概念200は、分離740の文脈で使用されてもよく、分離790の文脈で使用されてもよい。あるいは、図4による概念400は、分離740のコンテキストで使用されてもよいし、分離790のコンテキストで使用されてもよい。
【0166】
言い換えれば、図7a及び図7bを参照して説明した受信機の概念は、本明細書に記載した特徴、機能性及び詳細のいずれかによって、個別に又は組み合わせて任意に補完されてもよい。特に、以下に説明する概念は、受信機700、750において送信シンボルの確率を決定するため、または信号分離のために使用することもできる。
【0167】
7.2.2 初期状況
以下では、本発明の実施形態において満たすべきいくつかの条件について説明する。
【0168】
以下の条件を仮定する。
-周波数帯域が重なり、観測時間フレームで連続的に送信される2つの信号を受信する。これらの信号または信号部分は、例えば、組み合せ信号110または組み合せ信号310または受信信号710または受信信号760に含まれる。
-両方の信号(または信号部分)は、振幅シフトキーイング(ASK:amplitude-shift keying)、位相シフトキーイング(PSK:phase-shift keying)、および直交振幅変調(QAM:quadrature amplitude modulation)、ならびにすべての混合形態および差動プリコーディングを含むデジタルパルス振幅変調(PAM:digital pulse amplitude modulation)を使用する。
-パルス整形には、一般的に送信側でルートレイズコサイン(RRC:root-raised cosine)パルスなどの平方根ナイキストパルスが使用される。
-両信号(または信号部分)のシンボルレートと搬送周波数はほぼ同じである。
【0169】
ここで、上記の条件は必ずしも満たされる必要はないことに留意する必要がある。むしろ、場合によっては、上記の条件の一つ以上、あるいは全てを逸脱してもよい。
【0170】
7.2.3 前処理
以下では、例えば本発明による開始例で使用することができる可能な前処理を説明する。例えば、受信信号は、最初に等価な複素ベースバンドに変換される。これは、例えば、受信機100又は300における前処理の一部として、又は変換720又は変換770の一部として行われてもよい。例えば、信号は、推定された搬送周波数でベースバンドにシフトされる。
【0171】
シンボルレートを推定した後、信号は、例えば、信号調整フィルタ(signal-adjusted filter)または「整合フィルタ(matched filter)」(すなわち、最大ノイズ制限のために送信フィルタをマッチングする)を通過し、シンボルレートでサンプリングされる。フィルタリングは、例えば、送信パルス形状調整フィルタ130または送信パルス形状調整フィルタ330によって行われてもよく、サンプリングは、例えば、サンプル推定器140またはサンプル推定器340によって行われてもよい。また、シンボルレートの推定は、例えば、同期730又は同期780で行い、フィルタリング及びサンプリングは、例えば、分離740又は分離790で行うようにしてもよい。
【0172】
【0173】
【0174】
例えば、インデックス1は第1処理部を表すが、第2処理部は7.3.1節の拡張機能で導入される。
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
言い換えれば、シンボル位相T1、T2、全体のパルス整形g(T)、異なるデータ搬送シンボルに関連するコンスタレーションポイントを知ることにより、受信機は、第2の信号部分のデータシンボル及び送信シンボルの異なる可能なシーケンスに対する値i[k]及びi1,pを決定することが可能である。シンボル位相T及びTは、例えば、受信機による同期の受信信号の分析によって決定されてもよい。総パルスg(t)は、受信機が典型的には所定の送受信フィルタを知っており、チャンネル特性の推定を行うことができるので、受信機750に等しく知られ得る。したがって、例えば、i1,pまたはi2,pを決定することが容易に可能となる。もちろん、i1,pを決定するための他のアプローチも可能である。
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
7.2.4.2 ステップ2
ステップ2では、信号2の事後確率からの信号1の事後確率の推定を、可能性のあるすべてのISIポイントの個々の確率を加算することによって行う。
【0185】
【0186】
【0187】
7.3.拡張機能の提案
以下では、本発明の実施形態に従った7.2節で説明した概念の拡張または変形を説明する。本明細書に記載された概念は、7.2節に記載された概念に関連して、本発明による実施形態においても使用することができる。
【0188】
特に、本発明による実施形態は、7.3.1項および/または7.3.2項および/または7.3.3項に従った概念に基づいて7.2項に記載の配置を修正することによって得ることができる。
【0189】
7.3.1 デュアルISI活用のための拡張機能
本発明の一態様によるアイデアは、BCJR法(例えば7.2.4節による)を拡張して追加の前処理を含むようにし、それによってBCJRを用いたISI部分の検出を2回適用し、両方の信号のISIメモリを利用できるようにすることである。
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
すなわち、例えば、2回目のサンプリングにより、シーケンスy[k]を得ることができ、これは、サンプリングが適切に設定されていれば、例えば、式(3・1)で記述できる。例えば第2のサンプルシリーズ144または第2のサンプルシリーズ344に対応し得る信号y[k]に基づいて、第1信号部分のシンボルに対する確率p[1,mk]は、次に、式(3.2)および式(3.3)を用いる確率決定器160によって、式(3.3)によって得られた確率の総和を用いて推論され得る。例えば、BCJRアルゴリズムを用いて、式(3.2)で得られた値γ2,k[i,j]に基づいて、確率値a2,k[i]とβ2,k+1[j]を得ることができる。
ただし、別のアプローチも可能である。
【0194】
7.3.2 BCJRを用いないデュアル(二重)の複雑性低減処理への拡張(または修正)
以下では、本発明の一態様に従った上述の手順(例えば7.2項)のさらなる変形例について説明する。
【0195】
7.3.1節で説明したようなデュアルISI利用の代替として、(3.1)を用いた付加的な処理(または(3.1)に従って信号を提供する第2のサンプリング)は、計算複雑さを節約するために、ISIメモリを利用せずに、両方の信号のシンボルを同様に反復的に推定するために用いることが可能である。計算の複雑さの節約は電力効率に悪影響を及ぼすが、これは、あるシンボルエラー率を達成するために必要な信号対障害の電力比を記述する。この電力効率の低下は、シンボル位相差が小さく、信号1と信号2の間の搬送波位相差が良好な場合に減少するため、ISIメモリを利用した分離では、計算の複雑さが増しても電力効率が向上されない場合がある。
【0196】
【0197】
【0198】
つまり、第1の信号部分の送信シンボルの確率を決定する際にも、第2の信号部分の送信シンボルの確率を決定する際にも、それぞれの他の信号部分の送信シンボルの確率を用いて、様々な(障害)寄与(例えばi1,pやi2,p)の確率を決定するという概念を用いることができる。そして、異なる送信シンボルの確率は、(障害)寄与を考慮して決定され、特定の(障害)寄与が存在している場合に生じる個々の送信シンボルに対する部分確率は、異なる(障害)寄与(例えばインデックスpで)に対して合計される。
しかし、関連する概念に修正を加えることも可能である。
【0199】
7.3.3 相互に異なる搬送周波数への拡張
本発明のもう一つのアイデアは、式(2.1)の数学モデルとBCJRアルゴリズムを、2つの互いに異なる搬送周波数fc,1、fc,2を持つ信号の分離に拡張することである。これらの偏差は、送信機または受信機の移動、あるいは送信機で使用されている発振器の不正確さによって引き起こされる。
【0200】
注:搬送周波数の偏差は、原則としてシンボルレートの何倍も小さい。ただし、シンボルレートに対して偏差が大きい場合は、両方の処理経路で同じ整合フィルタを適用できない場合があり、システムモデルを適宜調整する必要がある。
【0201】
【0202】
【0203】
言い換えれば、使用する計算規則や数式を少し変更することで、上述の概念を異なる搬送周波数の存在に拡張することができる。しかし、その拡張はあくまでオプションである。
【0204】
8. 結論
本発明の態様を以下に簡単にまとめる。
【0205】
本発明の第1の側面は、BCJRアルゴリズムによる反復分離法を、両信号の同期を分離した二重前処理(double preprocessing)に拡張し、障害へのクロック同期と有用信号への位相(および周波数)同期を行い、他方の信号に対してBCJRを適用する際に、信号の事後シンボル確率を障害の事前確率(a-priori probabilities)として使用することに関するものである。
【0206】
本発明の第2の態様は、2つの信号に対して別個の同期を伴う二重前処理を伴うBCJRアルゴリズムを伴わない反復分離法への拡張に関するものであり、障害に対するクロック同期と有用信号に対する位相(および周波数)同期を行い、他方の信号に対する推定を適用する際に、その信号の事後シンボル確率を障害の事前確率として使用するものである。
【0207】
本発明の別の態様は、BCJRアルゴリズムによる反復分離法およびBCJRアルゴリズムを用いない反復分離法を、相互に異なる搬送周波数を有する2つの信号を受信することに拡張し、クロック同期信号部分の位相が各時間ステップで回転し続けるように両者を調整することに関する。
【0208】
この点に関して、本発明の対応する態様は、個別に、および上記で記載された実施形態と組み合わせての両方が使用され得ることに留意されたい。
【0209】
言い換えれば、例えば図1、2aおよび2bによる実施形態は、BCJRアルゴリズムによる反復分離法を、両方の信号について別々の同期による二重前処理に拡張することに関して、本明細書に記載したすべての側面、特徴、機能性および詳細によって任意に補完され得る。
【0210】
さらに、例えば図3、4aおよび4bによる実施形態は、両方の信号に対して別々の同期化を伴う二重前処理を伴うBCJRアルゴリズムを用いない反復分離法への拡張に関して、本明細書に記載されたすべての側面、特徴、機能性および詳細を任意に補足することが可能である。
【0211】
任意選択的に、すべての実施形態は、例えば、相互に異なる搬送周波数を有する2つの信号を受信するために両方の反復分離法を拡張することに関して本明細書に記載された特徴、機能性および詳細によって補足され得る。
【0212】
さらに、対応する特徴、機能性、および詳細は、対応する実施形態に個別および組み合わせの両方で含まれてもよいことにも留意されたい。
【0213】
9.実装の選択肢
いくつかの態様を装置の文脈で説明してきたが、これらの態様は、装置のブロックまたはコンポーネントも対応する方法ステップまたは方法ステップの特徴であると理解されるように、対応する方法の説明も表すことが理解される。同様に、方法ステップの文脈で、または方法ステップとして説明される態様は、対応するブロックまたは対応するデバイスの詳細または機能の説明も表す。方法ステップのいくつかまたはすべては、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータ、または電子回路などのハードウェア装置によって(またはそれを使用して)実行されてもよい。いくつかの実施形態では、主要な方法ステップのいくつかまたはそれ以上が、そのような装置によって実行されてもよい。
【0214】
オーディオ信号またはビデオ信号またはトランスポート電流信号などの本発明に従って符号化された信号は、デジタル記憶媒体に格納されてもよいし、無線伝送媒体または有線伝送媒体、例えばインターネットなどの伝送媒体で伝送されてもよい。
【0215】
本発明による符号化音声信号は、デジタル記憶媒体に記憶され得るか、または無線伝送媒体またはインターネットなどの有線伝送媒体などの伝送媒体上で送信され得る。
【0216】
特定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアで実装されてもよいし、ソフトウェアで実装されてもよい。実装は、デジタル記憶媒体、例えばフロッピーディスク、DVD、ブルーレイディスク、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、またはフラッシュメモリ、ハードディスク、またはそれぞれの方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと対話する、または対話できるようにそこに格納された電子的に読み取れる制御信号を有する他の任意の磁気または光学記憶媒体を使用して実行されてもよい。したがって、デジタル記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能であってもよい。
【0217】
したがって、本発明によるいくつかの実施形態は、本明細書に記載される方法のいずれかが実行されるようなプログラマブルコンピュータシステムと相互作用できる電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータ搬送波を含む。
【0218】
一般に、本発明の実施形態は、プログラムコードを有するコムコンピュータプログラム製品として実施することができ、そのプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときに、いずれかの方法を実行するように動作可能である。
【0219】
例えば、プログラムコードは、機械読み取り可能なキャリアに格納されることもできる。
【0220】
他の実施形態は、本明細書に記載された方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムは、機械読み取り可能なキャリア上に格納される。
【0221】
言い換えれば、本発明による方法の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、本明細書に記載された方法のいずれかを実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムである。
【0222】
したがって、本発明の方法の別の実施形態は、本明細書に記載の方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムが記録されたデータキャリア(またはデジタル記憶媒体またはコンピュータ可読媒体)である。データキャリア、デジタル記憶媒体またはコンピュータ読み取り可能な媒体は、典型的には、有形および/または非一過性または不揮発性である。
【0223】
したがって、本発明による方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載された方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムを構成するデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは、例えば、データ通信リンク、例えばインターネットを介して転送されるように構成されてもよい。
【0224】
別の実施形態は、本明細書に記載された方法のいずれかを実行するように構成または適応されたコンピュータまたはプログラマブルロジックデバイスなどの処理手段を具備する。
【0225】
別の実施形態は、本明細書に記載された方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムをその上にインストールしたコンピュータを含む。
【0226】
本発明による別の実施形態は、本明細書に記載の方法の少なくとも1つを実行するためのコンピュータプログラムを受信機に送信するように構成された装置またはシステムである。送信は、例えば、電子的または光学的であってよい。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイルデバイス、ストレージデバイス、または同様のデバイスであってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータ・プログラムを受信機に送信するためのファイルサーバを含んでもよい。
【0227】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ、FPGA)が、本明細書に記載される方法の機能の一部または全部を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、マイクロプロセッサと協働して、本明細書に記載される方法のいずれかを実行してもよい。一般に、いくつかの実施形態において、本方法は、任意のハードウェアデバイスによって実行される。これは、コンピュータプロセッサ(CPU)などの汎用ハードウェアであってもよいし、ASICなどの方法に特有のハードウェアであってもよい。
【0228】
本明細書に記載される装置は、例えば、ハードウエア装置を用いて、又はコンピュータを用いて、又はハードウエア装置とコンピュータの組合せを用いて実施されてもよい。
【0229】
本明細書に記載された装置、又は本明細書に記載された装置の任意の構成要素は、少なくとも一部がハードウェア及び/又はソフトウェア(コンピュータプログラム)において実装されてもよい。
【0230】
例えば、本明細書に記載された方法は、ハードウエア装置を用いて、またはコンピュータを用いて、またはハードウエア装置とコンピュータの組合せを用いて実施することができる。
【0231】
本明細書に記載される方法、又は本明細書に記載される方法の任意の構成要素は、少なくとも部分的にハードウェア及び/又はソフトウェアによって実行されてもよい。
【0232】
以上説明した実施形態は、本発明の原理を説明するためのものに過ぎない。本明細書に記載された配置および詳細の修正および変形は、当業者には明らかであることが理解される。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲の保護範囲によってのみ限定され、実施形態の説明および解説を参照することによって本明細書に示される特定の詳細によって限定されないことが意図される。。
【0233】
参考文献
[1] Johannes Huber, Patent Application 102018202647.5 in Germany: Empfanger und Verfahren zum Empfangen eines Kombinationssignals unter Verwendung von Wahrscheinlichkeitsdichtefunktionen (Receiver and method for receiving a combination signal using probability density functions), Feb 2018.
[2] Johannes Huber, Patent Application 102018202649.1 in Germany: Empfanger und Verfahren zum Empfangen eines Kombinationssignals unter Verwendung getrennter Inphase- und Quadraturkomponenten (Receiver and method for receiving a combination signal using separate in-phase and quadrature components), Feb 2018.
[3] Johannes Huber, Patent application: Aufwandsgunstiger Empfanger fur zwei uberlagerte Datensignale (Two-User-Receiver) (Low-cost receiver for two superimposed data signals (two-user receiver)), Nov 2016
図1a
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
【国際調査報告】