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特表2022-545822チダミド医薬組成物、その調製方法及びその適用
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  • 特表-チダミド医薬組成物、その調製方法及びその適用 図1
  • 特表-チダミド医薬組成物、その調製方法及びその適用 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-31
(54)【発明の名称】チダミド医薬組成物、その調製方法及びその適用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4406 20060101AFI20221024BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221024BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221024BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20221024BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20221024BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20221024BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20221024BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221024BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221024BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20221024BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20221024BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20221024BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
A61K31/4406
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P37/06
A61P31/12
A61P7/00
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61K9/14
A61K9/70 401
A61K47/38
A61K47/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513289
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(85)【翻訳文提出日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 CN2020111540
(87)【国際公開番号】W WO2021037091
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】201910803057.8
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521129554
【氏名又は名称】シェンチェン チップスクリーン バイオサイエンシズ カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルー、シエンビン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シーガン
(72)【発明者】
【氏名】シャン、ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ、チュアントン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ユー
(72)【発明者】
【氏名】デン、シンギュー
(72)【発明者】
【氏名】パン、デシ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA72
4C076BB01
4C076BB05
4C076BB31
4C076CC07
4C076CC14
4C076CC27
4C076CC29
4C076CC35
4C076EE07
4C076EE09
4C076EE33
4C076FF04
4C076FF25
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA32
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA63
4C086NA10
4C086NA14
4C086ZA51
4C086ZB08
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZC41
(57)【要約】
チダミド医薬組成物、その調製方法及びその適用。医薬組成物は、チダミド、及び担体として機能する薬学的に許容される腸溶性賦形剤を含む。医薬組成物において、チダミドはゲスト分子として使用され、薬学的に許容される腸溶性賦形剤は担体分子として使用される。動物に対する経口薬物動態試験は、チダミド及び薬学的に許容される腸溶性賦形剤を含む組成物のバイオアベイラビリティは大幅に改善され、一方で、胃腸管内の薬物によって引き起こされる有害反応は減少し、更に、治療効果を維持しながら投与量を減少させることができ、したがって、市販のチダミド錠剤よりもより重要な臨床的有意性を有していることを証明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チダミド、及び担体として薬学的に許容される腸溶性賦形剤を含む、チダミド医薬組成物。
【請求項2】
前記薬学的に許容される腸溶性賦形剤が、ヒプロメロースアセタートスクシナート、セルロースアセタートフタラート、ポリビニルアルコールフタラート、セルロースアセタートトリメリテート、ヒプロメロースフタラート及びアクリル樹脂のうちの1つ以上から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
チダミドと前記薬学的に許容される腸溶性賦形剤との質量比が1:1~1:100の範囲である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のチダミド医薬組成物を含む、チダミド製剤。
【請求項5】
錠剤、カプセル剤、丸剤、経口液体製剤、顆粒剤、粉末剤、膏薬又は滴丸剤である、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
チダミド製剤の製造における、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項7】
ヒストン脱アセチル化酵素の作用機序に関連する疾患を治療するための薬剤の製造における、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物又は請求項5若しくは6に記載のチダミド製剤の使用。
【請求項8】
前記ヒストン脱アセチル化酵素の作用機序に関連する疾患が、癌、ウイルス性疾患、自己免疫疾患及び血液系疾患を含む、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
溶媒蒸発法又はホットメルトエクストルージョン法により、チダミド及び前記薬学的に許容される腸溶性賦形剤を有する前記医薬組成物を調製する工程を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物を調製する方法。
【請求項10】
前記溶媒蒸発法で使用される溶媒が、薬学的に許容されるアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン又はそれらの任意の組合わせから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、tert-ブタノール及びプロパノールのうちの少なくとも1つ又は2つから選択される、請求項10に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、出願日が2019年8月28日の中国特許出願第201910803057.8号に基づいており、その優先権を主張する。中国特許出願の開示は、本明細書においてその全体が本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医薬技術の技術分野に関し、特に、チダミド医薬組成物並びにその調製方法及び適用に関する。
【背景技術】
【0003】
チダミドは、Shenzhen Microchip Biotechnology Co.,Ltd.によって独占的に発見された新しい分子実体薬物であり、新規な作用機序を有し、世界で最初のサブタイプ選択的ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤であり、末梢T細胞リンパ腫の治療のための世界で最初に承認された経口薬物であり、エピジェネティック調節薬物に属する。
【0004】
チダミドは、水への溶解性が非常に小さく、バイオアベイラビリティが低いため、薬物吸収が不十分であり、投与量が多く、胃腸毒性が高いという欠点がある。したがって、チダミドのバイオアベイラビリティを改善して、薬物投与量を低下させ、薬物製造コストを低下させ、胃腸毒性を低減することは非常に重要である。
【0005】
中国特許第201310364845.4号は、活性成分及びポリビニルピロリドン(PVP)を含む、チダミドの固体分散体製剤を開示している。これは便宜上経口投与されるが、チダミドの溶解性、安定性及びバイオアベイラビリティは研究されておらず、改善されていない。
【0006】
中国特許第201410016221.8号は、チダミドの固体分散体並びにその調製方法及び適用を開示しており、好ましい製剤は、重量比1:5のチダミド及びポビドンK30で作られる固体分散体の錠剤である。固体分散体では、チダミドは分子形態又は非晶質状態で水溶性担体材料に高度に分散され得る。結果は、固体分散体は、66.7μg/mlの溶解度及び79.1%の水への溶解を有することを示す。市販のチダミド固体分散体錠剤は、まさにこの製剤である。
【0007】
中国特許第201610855106.9号は、E配置のベンズアミド化合物の固体分散体を開示しており、ここで、チダミドをコポビドンと組み合わせることにより(特に1:2~1:10の重量比で)、式(I)の化合物を分子形態又は非晶質状態でコポビドン中に高度に分散させることができ、これは式(I)の化合物の水溶性及び溶解速度を改善し、形成された固体分散体の安定性も改善する。
【0008】
当分野では、より高いバイオアベイラビリティを有するチダミド製剤を得るための高い需要が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、チダミドのバイオアベイラビリティを向上させるようなチダミド医薬組成物及びその調製方法を提供することである。医薬組成物及び調製方法は、チダミドに関連する薬物調製及び疾患治療の分野に適用することができる。
【0010】
本明細書で使用される「担体」という用語は、チダミドを埋め込むために使用される材料を指し、これはチダミドを材料中に溶解又は分散させることができる。
【0011】
本明細書で使用される「固体分散体」という用語は、分散媒体(例えば、本明細書に記載の担体)中の分子、非晶質又は微結晶状態等の高度に分散した状態の薬物の均一な分散又は分布によって形成された固体形態の分散系を指す。
【0012】
本発明の上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様では、本発明は、チダミド及び担体として薬学的に許容される腸溶性賦形剤を含むチダミド医薬組成物を提供する。
【0014】
本発明のチダミドは、式(1)に示す構造を有し、その化学名は、N-(2-アミノ-4-フルオロフェニル)-4-[N-[(E)-3-(3-ピリジル)アクリロイル]アミノメチル]ベンズアミドである。その構造式中、3-ピリジルアクリロイルはE配置である。
【化1】
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート、セルロースアセタートフタラート、ポリビニルアルコールフタラート、セルロースアセタートトリメリテート、ヒプロメロースフタラート及びアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1つ又は2つである、バイオアベイラビリティを改善するためのより良好な効果を有する薬学的に許容される腸溶性賦形剤を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態では、チダミドと薬学的に許容される腸溶性賦形剤との質量比は、1:1~1:100、より好ましくは1:1~1:20、最も好ましくは1:1~1:10の範囲であり、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90又は1:100である。いくつかの実施形態では、質量比は、1:3、1:5、1:8、1:50又は1:100である。
【0017】
本発明では、従来の薬学的に許容されるチダミド製剤用賦形剤ポリビニルピロリドンK30(K30は他の薬剤においてバイオアベイラビリティを向上させる機能を有する)を担体として使用して調製した固体分散体を対照として、バイオアベイラビリティの点で本発明のチダミド医薬組成物と比較する。結果は、固体分散体のAUC(薬物時間曲線下面積)が本発明の医薬組成物のAUCのわずか約60%であり、前者の最大濃度はわずか836.1ng/mlであるが、一方本発明の医薬組成物の最大濃度は2059.9ng/mlに達し得ることを示す。一方、市販のチダミド固体分散体と比較して、本発明の医薬組成物の異なる時点における血漿中濃度は全て、市販の薬物の血漿中濃度よりも有意に高い。
【0018】
上記の重要な技術的利点に基づいて、本発明は、ヒストン脱アセチル化酵素の作用機序に関連する疾患を治療するためのチダミド製剤及び/又は薬剤の製造における医薬組成物の使用を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態では、ヒストン脱アセチル化酵素の作用機序に関連する疾患は、癌、ウイルス性疾患、自己免疫疾患及び血液系疾患からなる群から選択される。
【0020】
前述の出願に基づいて、本発明の別の態様はまた、本発明のチダミド医薬組成物を含むチダミド製剤を提供する。いくつかの実施形態では、製剤に含まれる全ての物質の総重量に基づいて、製剤は、20重量%~60重量%、例えば、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%又は60重量%の前述のチダミド医薬組成物を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、製剤は、前述のチダミド医薬組成物及び薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、錠剤、カプセル剤、丸剤、経口液体製剤、顆粒剤、粉末剤、膏薬又は滴丸剤である。いくつかの実施形態では、製剤は、徐放性製剤、制御放出製剤等の任意の放出形態の剤形に調製され得る。
【0022】
薬学的に許容される賦形剤は、調製される剤形に応じて調整及び選択され得る。本発明において、賦形剤は、充填剤、崩壊剤、結合剤及び潤滑剤からなる群から選択される少なくとも1つ又は2つであり得る。充填剤の量は、0%~90%、好ましくは30%~80%、例えば40%~80%、5%~20%、更に例えば5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%又は80%であり得、崩壊剤の量は、0%~10%、好ましくは3%~8%、例えば0.5%~6%、更に例えば0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%又は10%であり得、結合剤の量は、0%~20%、好ましくは0%~5%、例えば0%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%又は5%であり得、pH調整剤の量は0%~20%、好ましくは0%~5%であり得、潤滑剤の量は、0%~5%、好ましくは0.2%~1%、例えば0%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%又は5%であり得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、充填剤は、ラクトース、コーンスターチ、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セチルアルコール、オクタデシルアルコール、エチルセルロース、アルファ化澱粉、スクロース、結晶セルロース、マンニトール、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、キサンタンガム及びコロイド状シリカのうちの少なくとも1つ又は2つから選択され、
崩壊剤は、澱粉、結晶セルロース、クロスカルメロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチル澱粉ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのうちの少なくとも1つ又は2つから選択され、
結合剤は、水、エタノール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びコポビドンのうちの少なくとも1つ又は2つから選択され、
潤滑剤は、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムステアリルフマラート、ポリエチレングリコール4000~8000、アエロジル及びタルク粉末のうちの少なくとも1つ又は2つから選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、チダミド製剤はカプセル剤である。カプセル剤の総重量に基づいて、カプセル剤は、
i)25重量%~35重量%の本明細書に記載の医薬組成物、
ii)62重量%~72重量%の充填剤、
iii)1重量%~3重量%の崩壊剤、及び
iv)1重量%~2重量%の潤滑剤、
又は、
25重量%~35重量%の本明細書に記載の医薬組成物及び好ましくは結晶セルロースブランクペレットであるブランクペレットを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、チダミド製剤はカプセル剤であり、カプセル剤の総重量に基づいて、1000のカプセル剤ごとに、カプセル剤は以下のものを含む。
チダミド 5g
アクリル樹脂L100-55 15g
マンニトール 20g
結晶セルロース 35g
クロスカルメロース 2g
ヒプロメロース 2g、及び
ステアリン酸マグネシウム 1g
【0026】
いくつかの実施形態では、チダミド製剤はカプセル剤であり、カプセル剤の総重量に基づいて、1000のカプセル剤ごとに、カプセル剤は以下のものを含む。
チダミド 5g
ヒプロメロースアセタートスクシナート 40g、及び
結晶セルロースブランクペレット 100g
【0027】
いくつかの実施形態では、チダミド製剤は錠剤であり、錠剤の総重量に基づいて、錠剤は、
i)20重量%~50重量%の本明細書に記載の医薬組成物、
ii)40重量%~70重量%の充填剤、
iii)3重量%~8重量%の崩壊剤、
iv)0.5重量%~2重量%の潤滑剤、
v)0重量%~5重量%の結合剤を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、チダミド製剤は錠剤であり、錠剤の総重量に基づいて、1000の錠剤ごとに、錠剤は以下のものを含む。
チダミド 5g
ヒプロメロースフタラート 25g
マンニトール 40g
結晶セルロース 51g
カルボキシメチル澱粉ナトリウム 5g
ポリビニルピロリドン 3g、及び
ステアリン酸マグネシウム 1g
【0029】
いくつかの実施形態では、チダミド製剤は錠剤であり、錠剤の総重量に基づいて、1000の錠剤ごとに、錠剤は以下のものを含む。
チダミド 5g
セルロースアセタートトリメリテート 50g
リン酸水素カルシウム 15g
コーンスターチ 40g
クロスポビドン 5g
ヒドロキシエチルセルロース 3g
ナトリウムステアリルフマラート 1g
Eudragit L100-55 4.5g
クエン酸トリエチル 0.45g、及び
タルク粉末 1.1g
【0030】
いくつかの実施形態では、チダミド製剤は、顆粒剤であり、顆粒剤の総重量に基づいて、顆粒剤は、
i)50重量%~60重量%の本明細書に記載の医薬組成物、
ii)30重量%~50重量%の充填剤、及び
iii)1重量%~5重量%の崩壊剤を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、チダミド製剤は顆粒剤であり、顆粒剤の総重量に基づいて、1000の顆粒剤ごとに、顆粒剤は以下のものを含む。
チダミド 5g
ポリビニルアルコールフタラート 250g
ラクトース 200g
ヒドロキシプロピルセルロース 10g
低置換度ナトリウムヒドロキシプロピルセルロース 5g、及び
シリカ 2g
【0032】
いくつかの実施形態では、チダミド製剤は、乾燥懸濁剤であり、乾燥懸濁剤の総重量に基づいて、乾燥懸濁剤は、
i)40重量%~50重量%の本明細書に記載の医薬組成物、
ii)40重量%~60重量%の充填剤、及び
iii)0.2重量%~1重量%の崩壊剤を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、チダミド製剤は乾燥懸濁剤であり、乾燥懸濁剤の総重量に基づいて、1000の丸剤ごとに、乾燥懸濁剤は以下のものを含む。
チダミド 5g
セルロースアセタートフタラート 500g
マンニトール 500g
ナトリウムカルボキシメチルセルロース 5g
キサンタンガム 5g、及び
シリカ 5g
【0034】
更に、別の態様では、本発明はまた、溶媒蒸発法又はホットメルトエクストルージョン法によって、本明細書に記載のチダミド及び薬学的に許容される腸溶性賦形剤を有する医薬組成物を調製する工程を含む、医薬組成物を調製する方法を提供する。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明は、溶媒蒸発法を採用して、医薬組成物を調製し、溶媒は、薬学的に許容されるアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン又はそれらの任意の組合わせから選択される。
【0036】
いくつかの実施形態では、アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、tert-ブタノール、及びプロパノールのうちの少なくとも1つ又は2つから選択される。
【0037】
いくつかの具体的な実施形態では、医薬組成物の調製方法は、チダミド及び薬学的に許容される腸溶性賦形剤を溶媒に溶解し、得られた溶液を回転蒸発又は噴霧乾燥させることである。
【0038】
別の態様では、本発明は、HDAC阻害剤の製造におけるチダミド医薬組成物又はチダミド製剤の使用を提供する。
【0039】
別の態様では、本発明は、HDACを阻害する方法を提供し、それを必要とする対象に有効量の本明細書に記載のチダミド医薬組成物又はチダミド製剤を投与する工程を含む。
【0040】
別の態様では、本発明は、ヒストン脱アセチル化酵素の作用機序に関連する疾患を治療する方法を提供し、それを必要とする対象に有効量の本明細書に記載のチダミド医薬組成物又はチダミド製剤を投与する工程を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、ヒストン脱アセチル化酵素の作用機序に関連する疾患は、癌、ウイルス性疾患、自己免疫疾患及び血液系疾患から選択される。
【0042】
上記の技術的解決策から分かるように、本発明は、チダミド及び特定の薬学的に許容される腸溶性賦形剤を含む医薬組成物を提供し、チダミドはゲスト分子として使用され、薬学的に許容される腸溶性賦形剤は担体分子として使用される。動物に対する経口薬物動態試験は、チダミド及び薬学的に許容される腸溶性賦形剤を含む組成物のバイオアベイラビリティは大幅に改善され、一方で、胃腸管内の薬物によって引き起こされる有害反応は減少し、更に、治療効果を維持しながら投与量を減少させることができ、したがって、市販のチダミド錠剤よりもより重要な臨床的有意性を有していることを証明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】チダミド医薬組成物のラット薬物動態実験の結果を示す図である。
図2】市販のチダミド錠剤、例4のチダミド錠剤、例6のチダミドカプセル剤、及び例8のチダミドカプセル剤に関する、イヌ血漿における平均血漿中濃度-時間曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、本明細書に記載の内容から学習し、プロセスパラメータを適切に改善することによって、当業者が達成することができる、チダミド医薬組成物並びにその調製方法及び適用を開示する。全ての同様の置換及び修正は当業者には明らかであり、それらは本発明に含まれると見なされることが特に指摘されるべきである。本発明の医薬組成物並びにその調製方法及び適用は、好ましい例を通して記載されており、関係者は、本発明の内容、趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の医薬組成物及びその調製方法を変更するか、又は適切な修正をし、組み合わせることによって、本発明の技術を明白に実現及び適用することができる。
【0045】
本発明によって提供されるチダミド医薬組成物、その調製方法及び適用は、以下で更に解明される。
【0046】
例1:対照としてのチダミド固体分散体の調製
ポリビニルピロリドンK30を担体とすることによって、チダミドとポリビニルピロリドンK30との比が1:5であるチダミド固体分散体を調製し、チダミド固体分散体の調製方法は以下の通りであった。
処方:
チダミド 2g
ポリビニルピロリドンK30 10g
エタノール 適量
調製方法は以下の通りであった。
(1)チダミド及びポリビニルピロリドンK30を正確に秤量し、90℃の水浴中で適切な量のエタノールに溶解して、透明溶液を形成した。
(2)工程(1)で形成された溶液を90℃で回転蒸発させ、乾燥させて、固体分散体を形成した。
(3)工程(2)で得られた固体分散体を取り出し、粉砕して、チダミド固体分散体粉末を調製した。
【0047】
例2:本発明のチダミド医薬組成物
担体としてヒプロメロースアセタートスクシナートを使用することによって、チダミドとヒプロメロースアセタートスクシナートとの比率が1:3である、チダミド医薬組成物を調製し、チダミド医薬組成物の調製方法は以下の通りであった。
処方:
チダミド 2g
ヒプロメロースアセタートスクシナート 6g
エタノール 適量
調製方法は以下の通りであった。
(1)チダミド及びヒプロメロースアセタートスクシナートを正確に秤量し、90℃の水浴中で適切な量のエタノールに溶解して、透明溶液を形成した。
(2)工程(1)で形成された溶液を90℃で回転蒸発させ、乾燥させて、固体分散体を形成した。
(3)工程(2)で得られた固体分散体を取り出し、粉砕して、チダミド医薬組成物粉末を調製した。
【0048】
例3:ラット薬物動態実験
12匹の健康なラットを選択し、各群6匹のラット(雌3匹及び雄3匹)の2群、すなわちチダミド固体分散体群、チダミド-ヒプロメロースアセタートスクシナート(1:3)群に無作為に分けた。実験中、投与前にラットを一晩絶食させ、投与前に眼窩から血液を採取し、血漿を分離し、これを0時間における血漿中濃度試料とした。例1で調製したチダミド固体分散体及び例2で調製したチダミド-ヒプロメロースアセタートスクシナート(1:3)をそれぞれ精製水で分散させて、経管投与溶液を得、各経管投与溶液中のチダミドの濃度は2mg/mlであり、各ラットにはそれぞれチダミド20mg/kgを投与した。投与後、血液試料を15分、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、及び8時間で採取し、採取した各試料は約0.5mlであった。採取後、試料をヘパリンナトリウムで抗凝固処理し、氷上に配置し、1時間以内に遠心分離して、血漿を分離し、次いでこれをその後の試験のために-80℃で保存した。血漿中の薬物濃度をLC-MS/MSによって測定した。試験結果を表1及び図1に示した。
【表1】
【0049】
表1及び図1の試験結果によれば、チダミド固体分散体錠剤と比較して、ヒプロメロースアセタートスクシナートを含むチダミド医薬組成物は、チダミドのバイオアベイラビリティの有意な改善を示した。
【0050】
例4:本発明のチダミド医薬組成物を含む錠剤の調製
担体としてヒプロメロースフタラートを使用することによって、チダミドとヒプロメロースフタラートとの比率が1:5である、チダミド医薬組成物を調製し、チダミド錠剤製剤及びその調製方法は以下の通りであった。
処方:
チダミド 5g
ヒプロメロースフタラート 25g
マンニトール 40g
結晶セルロース 51g
カルボキシメチル澱粉ナトリウム 5g
ポリビニルピロリドン 3g
ステアリン酸マグネシウム 1g
エタノール 適量
水 適量
――――――――――――――――――――
1000個の錠剤(丸剤)を作製した。
調製方法:
(1)チダミド及びヒプロメロースフタラートを正確に秤量し、エタノールに溶解して、透明溶液を形成した。
(2)工程(1)で得られた溶液を噴霧乾燥して、チダミド-ヒプロメロースフタラート組成物を得た。
(3)工程(2)で得られた組成物を、マンニトール、結晶セルロース、カルボキシメチル澱粉ナトリウム、及びポリビニルピロリドンと均一に混合し、水を添加し、湿式造粒を経て、軟質材料を得た。
(4)工程(3)で得られた軟質材料を乾燥させて、乾燥粒子を得た。
(5)工程(4)で得られた乾燥粒子にステアリン酸マグネシウムを添加して、全体の混合を行った。
(6)工程(5)で得られた全体混合材料を錠剤化させて、錠剤製剤を得た。
【0051】
例5:本発明のチダミド医薬組成物を含む顆粒剤の調製
担体としてポリビニルアルコールフタラートを使用することによって、チダミドとポリビニルアルコールフタラートとの比率が1:50である、チダミド医薬組成物を調製し、チダミド顆粒剤製剤及びその調製方法は以下の通りであった。
処方:
チダミド 5g
ポリビニルアルコールフタラート 250g
ラクトース 200g
ヒドロキシプロピルセルロース 10g
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースナトリウム 5g
シリカ 2g
テトラヒドロフラン/エタノール(1:1) 適量
水 適量
――――――――――――――――――――
1000個の錠剤(丸剤)を作製した。
調製方法:
(1)チダミド及びポリビニルアルコールフタラートを正確に秤量し、テトラヒドロフラン/エタノール(1:1)に溶解して、溶液を形成した。
(2)工程(1)で得られた溶液を噴霧乾燥させて、チダミド-ポリビニルアルコールフタラート組成物を得た。
(3)工程(2)で得られた組成物を、ラクトース、ヒドロキシプロピルセルロース及び低置換度ヒプロメロースと均一に混合し、水を添加して、軟質材料を得、振とう法を経て、粒子を得た。
(4)工程(3)で得られた粒子を乾燥させて、乾燥粒子を得た。
(5)工程(4)で得られた乾燥粒子にシリカを添加し、均一に混合した。
(6)工程(5)で得られた混合物を袋詰めして、顆粒剤製剤を得た。
【0052】
例6:本発明のチダミド医薬組成物を含むカプセル剤の調製
担体としてアクリル樹脂L100-55を使用することによって、チダミドとアクリル樹脂L100-55との比率が1:3である、チダミド医薬組成物を調製し、チダミドカプセル剤製剤及びその調製方法は以下の通りであった。
処方:
チダミド 5g
アクリル樹脂L100-55 15g
マンニトール 20g
結晶セルロース 35g
クロスカルメロースナトリウム 2g
ヒプロメロース 2g
ステアリン酸マグネシウム 1g
アセトン 適量
水 適量
――――――――――――――――――――
1000個の錠剤(丸剤)を作製した。
調製方法:
(1)チダミド及びアクリル樹脂L100-55を正確に秤量し、アセトンに溶解して、透明溶液を形成した。
(2)工程(1)で得られた溶液を真空回転蒸発させて、チダミド-アクリル樹脂L100-55組成物を得た。
(3)工程(2)で得られた組成物を、マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びヒプロメロースと均一に混合し、水を添加して、軟質材料を得、振とう法を経て、粒子を得た。
(4)工程(3)で得られた粒子を乾燥させて、乾燥粒子を得た。
(5)工程(4)で得られた乾燥粒子にステアリン酸マグネシウムを添加し、全体的に混合させた。
(6)工程(5)で得られた全体混合材料をカプセルに充填して、カプセル剤製剤を得た。
【0053】
例7:本発明のチダミド医薬組成物を含む乾燥懸濁剤の調製
担体としてセルロースアセタートフタラートを使用することによって、チダミドとセルロースアセタートフタラートとの比率が1:100である、チダミド医薬組成物を調製し、チダミド乾燥懸濁剤製剤及びその調製方法は以下の通りであった。
処方:
チダミド 5g
セルロースアセタートフタラート 500g
マンニトール 500g
ナトリウムカルボキシメチルセルロース 5g
キサンタンガム 5g
シリカ 5g
アセトン 適量
水 適量
――――――――――――――――――――
1000個の錠剤(丸剤)を作製した。
調製方法:
(1)チダミド及びセルロースアセタートフタラートを正確に秤量し、エタノールに溶解して、透明溶液を形成した。
(2)工程(1)で得られた溶液を噴霧乾燥して、チダミド-セルロースアセタートフタラート組成物を得た。
(3)撹拌条件下、精製水にナトリウムカルボキシメチルセルロースを添加し、完全に溶解するまで撹拌を続けた。
(4)工程(2)で得られた組成物をマンニトールと均一に混合し、次いで工程(3)で得られたナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液に添加し、湿式造粒を経た。
(5)工程(4)で得られた粒子を乾燥させて、乾燥粒子を得た。
(6)工程(5)で得られた乾燥粒子にキサンタンガム及びシリカを添加し、混合して粉砕した。
(7)工程(6)で得られた乾燥懸濁剤粉末は個別包装される。
【0054】
例8:本発明のチダミド医薬組成物を含むカプセル剤の調製
担体としてヒプロメロースアセタートスクシナートを使用することによって、チダミドとヒプロメロースアセタートスクシナートとの比率が1:8である、チダミド医薬組成物を調製し、チダミドカプセル剤製剤及びその調製方法は以下の通りであった。
処方:
チダミド 5g
ヒプロメロースアセタートスクシナート 40g
結晶セルロースブランクペレット 100g
――――――――――――――――――――――――
1000個の錠剤(丸剤)を作製した。
調製方法:
(1)チダミド及びヒプロメロースアセタートスクシナートを正確に秤量し、エタノールに溶解して、透明溶液を形成した。
(2)工程(1)で得られた溶液を、流動層を使用することによって結晶セルロースブランクペレットにロードして、チダミド含有ペレットを得た。
(3)工程(2)で得られたペレットをカプセルに充填して、カプセル剤製剤を得た。
【0055】
例9:本発明のチダミド医薬組成物を含む錠剤の調製
担体としてセルロースアセタートトリメリテートを使用することによって、チダミドとセルロースアセタートトリメリテートとの比率が1:10である、チダミド医薬組成物を調製し、チダミド錠剤製剤及びその調製方法は以下の通りであった。
処方:
チダミド 5g
セルロースアセタートトリメリテート 50g
リン酸水素カルシウム 15g
コーンスターチ 40g
クロスポビドン 5g
ヒドロキシエチルセルロース 3g
ナトリウムステアリルフマラート 1g
Eudragit L100-55 4.5g
クエン酸トリエチル 0.45g
タルク粉末 1.1g
エタノール 適量
水 適量
――――――――――――――――――――――
1000個の錠剤(丸剤)を作製した。
調製方法:
(1)チダミド及びセルロースアセタートトリメリテートを正確に秤量し、均一に混合した。
(2)工程(1)で得られた混合物はホットメルトエクストルージョンを経て、チダミド-ヒプロメロースフタラート組成物を調製した。
(3)工程(2)で得られた組成物を、リン酸水素カルシウム、コーンスターチ、クロスポビドン、及びヒドロキシエチルセルロースと均一に混合し、水を添加して、湿式造粒を行って、軟質材料を得た。
(4)工程(3)で得られた軟質材料を乾燥させて、乾燥粒子を得た。
(5)工程(4)で得られた乾燥粒子にナトリウムステアリルフマラートを添加し、全体的に混合させた。
(6)工程(5)で得られた全体混合材料を錠剤化させて、錠剤製剤を得た。
(7)Eudragit L100-55、クエン酸トリエチル及びタルク粉末を適量のエタノール中に添加し、よく撹拌して、腸溶性コーティング溶液を調製した。
(8)工程(6)で得られた錠剤製剤を工程(7)で得られた腸溶性コーティング溶液でコーティングして、チダミド腸溶性コーティング錠剤を得た。
【0056】
例10:ビーグル犬における薬物動態試験
12匹の健康なビーグル犬を選択し、各群3匹のイヌの4つの群、すなわち市販のチダミド錠剤群、例1のチダミド錠剤群、例3のチダミドカプセル剤群及び例5のチダミドカプセル剤群に無作為に分けた。実験中、投与前にビーグル犬を一晩絶食させ、投与前に静脈血を採取し、0時間における血漿中濃度試料として血漿を分離した。各イヌに、チダミド20mg(4つの丸剤、5mg/丸剤)を投与した。投与後、血液試料をそれぞれ15分、0.5時間、1時間、2時間、4時間、及び8時間で採取し、採取した各試料は約0.5mlであり、採取後、試料をヘパリンナトリウムで抗凝固処理し、氷上に配置し、1時間以内に遠心分離して、血漿を分離し、次いでこれをLC-MS/MSによって測定して、血漿中の薬物濃度を決定した。試験結果を表2及び図2に示した。
【表2】
【0057】
表2及び図2の試験結果によれば、市販のチダミド固体分散体錠剤(登録商標:Epidaza)と比較して、本発明のチダミド及び薬学的に許容される賦形剤は組成物を形成した後、インビボのチダミドのバイオアベイラビリティが効果的に改善された。
【0058】
上記は、本発明の好ましい実施形態のみである。当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改良及び修正を行うことができ、これらの改良及び修正は本発明の範囲内にあると見なされるべきであることが指摘されるべきである。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
例5:本発明のチダミド医薬組成物を含む顆粒剤の調製
担体としてポリビニルアルコールフタラートを使用することによって、チダミドとポリビニルアルコールフタラートとの比率が1:50である、チダミド医薬組成物を調製し、チダミド顆粒剤製剤及びその調製方法は以下の通りであった。
処方:
チダミド 5g
ポリビニルアルコールフタラート 250g
ラクトース 200g
ヒドロキシプロピルセルロース 10g
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースナトリウム 5g
シリカ 2g
テトラヒドロフラン/エタノール(1:1) 適量
水 適量
――――――――――――――――――――
1000個の錠剤(丸剤)を作製した。
調製方法:
(1)チダミド及びポリビニルアルコールフタラートを正確に秤量し、テトラヒドロフラン/エタノール(1:1)に溶解して、溶液を形成した。
(2)工程(1)で得られた溶液を噴霧乾燥させて、チダミド-ポリビニルアルコールフタラート組成物を得た。
(3)工程(2)で得られた組成物を、ラクトース、ヒドロキシプロピルセルロース及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースナトリウムと均一に混合し、水を添加して、軟質材料を得、振とう法を経て、粒子を得た。
(4)工程(3)で得られた粒子を乾燥させて、乾燥粒子を得た。
(5)工程(4)で得られた乾燥粒子にシリカを添加し、均一に混合した。
(6)工程(5)で得られた混合物を袋詰めして、顆粒剤製剤を得た。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
例9:本発明のチダミド医薬組成物を含む錠剤の調製
担体としてセルロースアセタートトリメリテートを使用することによって、チダミドとセルロースアセタートトリメリテートとの比率が1:10である、チダミド医薬組成物を調製し、チダミド錠剤製剤及びその調製方法は以下の通りであった。
処方:
チダミド 5g
セルロースアセタートトリメリテート 50g
リン酸水素カルシウム 15g
コーンスターチ 40g
クロスポビドン 5g
ヒドロキシエチルセルロース 3g
ナトリウムステアリルフマラート 1g
Eudragit L100-55 4.5g
クエン酸トリエチル 0.45g
タルク粉末 1.1g
エタノール 適量
水 適量
――――――――――――――――――――――
1000個の錠剤(丸剤)を作製した。
調製方法:
(1)チダミド及びセルロースアセタートトリメリテートを正確に秤量し、均一に混合した。
(2)工程(1)で得られた混合物はホットメルトエクストルージョンを経て、チダミド-セルロースアセタートトリメリテート組成物を調製した。
(3)工程(2)で得られた組成物を、リン酸水素カルシウム、コーンスターチ、クロスポビドン、及びヒドロキシエチルセルロースと均一に混合し、水を添加して、湿式造粒を行って、軟質材料を得た。
(4)工程(3)で得られた軟質材料を乾燥させて、乾燥粒子を得た。
(5)工程(4)で得られた乾燥粒子にナトリウムステアリルフマラートを添加し、全体的に混合させた。
(6)工程(5)で得られた全体混合材料を錠剤化させて、錠剤製剤を得た。
(7)Eudragit L100-55、クエン酸トリエチル及びタルク粉末を適量のエタノール中に添加し、よく撹拌して、腸溶性コーティング溶液を調製した。
(8)工程(6)で得られた錠剤製剤を工程(7)で得られた腸溶性コーティング溶液でコーティングして、チダミド腸溶性コーティング錠剤を得た。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
例10:ビーグル犬における薬物動態試験
12匹の健康なビーグル犬を選択し、各群3匹のイヌの4つの群、すなわち市販のチダミド錠剤群、例のチダミド錠剤群、例のチダミドカプセル剤群及び例のチダミドカプセル剤群に無作為に分けた。実験中、投与前にビーグル犬を一晩絶食させ、投与前に静脈血を採取し、0時間における血漿中濃度試料として血漿を分離した。各イヌに、チダミド20mg(4つの丸剤、5mg/丸剤)を投与した。投与後、血液試料をそれぞれ15分、0.5時間、1時間、2時間、4時間、及び8時間で採取し、採取した各試料は約0.5mlであり、採取後、試料をヘパリンナトリウムで抗凝固処理し、氷上に配置し、1時間以内に遠心分離して、血漿を分離し、次いでこれをLC-MS/MSによって測定して、血漿中の薬物濃度を決定した。試験結果を表2及び図2に示した。
【表2】

【国際調査報告】