IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャンハイ ジモン バイオファーマ カンパニー リミテッドの特許一覧

特表2022-5458722―アミノピリミジン化合物ならびにその医薬組成物および用途
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-01
(54)【発明の名称】2―アミノピリミジン化合物ならびにその医薬組成物および用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 519/00 20060101AFI20221025BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20221025BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20221025BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20221025BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20221025BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221025BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221025BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C07D519/00 301
C07D519/00 CSP
A61K31/5377
A61K31/519
A61P31/00
A61P31/12
A61P35/00
A61P37/02
C07D471/04 117Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510913
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2020108722
(87)【国際公開番号】W WO2021031960
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】201910764971.6
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518358228
【氏名又は名称】シャンハイ ジムン バイオファーマ,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI ZHIMENG BIOPHARMA INC.
【住所又は居所原語表記】Room A302, A304, Building 1, 1976 Gaoke Middle Road, China(Shanghai)Pilot Free Trade Zone, Pudong New Area, Shanghai 201210, China
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】リャン,ボウ
(72)【発明者】
【氏名】ジン,チウ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ファンミン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ツィジュン
(72)【発明者】
【氏名】シア,ティアン
(72)【発明者】
【氏名】フア,ボウ
(72)【発明者】
【氏名】リュー,ガン
【テーマコード(参考)】
4C065
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA01
4C065AA04
4C065BB10
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065HH08
4C065JJ07
4C065JJ09
4C065KK01
4C065LL07
4C065PP01
4C065PP03
4C065PP08
4C065PP16
4C072MM02
4C072MM10
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB07
4C086ZB26
4C086ZB32
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、2―アミノピリミジン化合物ならびにその医薬組成物および用途に関する。具体的には、本発明の化合物は、式Iに示される構造を有し、ここで、各基および置換基の定義は、本明細書に記載されるようである。本発明は、抗ウイルス、抗感染症、自己免疫、腫瘍等の疾患分野の用途をさらに開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示される化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩であって、
【化1】
ここで、
Xは、N、CRからなる群から選択され、
Yは、NH、Oからなる群から選択され、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲン、C―Cアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基からなる群から選択され、前記アルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、C―Cアルキルアミン基、C―Cアルコキシ基、シアノ基、C―Cアルキル―C(O)NH―、C―Cアルキル―NH―C(O)―、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン置換C―Cアルキル基、C―C10ヘテロアリール基、C―C12アリール基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、―NR、―OR、―SR、―S(O)、―N(R10)COR11、―N(R10)S(O)11、―CONR1011、―COR10、―S(O)NR1011からなる群から選択され、前記シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、C―Cアルキルアミン基、C―Cアルコキシ基、シアノ基、C―Cアルキル―C(O)NH―、=O、C―Cアルキル―NH―C(O)―、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン置換C―Cアルキル基、C―C10ヘテロアリール基、C―C12アリール基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
、RおよびRは、独立して、ハロゲン、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基およびC―C12アリール基からなる群から選択され、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基およびアリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、C―Cアルキルアミン基、C―Cアルコキシ基、シアノ基、C―Cアルキル―C(O)NH―、C―Cアルキル―NH―C(O)―、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン置換C―Cアルキル基、C―C10ヘテロアリール基、C―C12アリール基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、水素、ハロゲン、C―Cアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基およびC―C10アリール基からなる群から選択され、前記シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基およびアリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、C―Cアルキルアミン基、C―Cアルコキシ基、シアノ基、C―Cアルキル―C(O)NH―、C―Cアルキル―NH―C(O)―、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン置換C―Cアルキル基、C―C10ヘテロアリール基、C―C12アリール基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
、R10およびR11は、独立して、水素、ヒドロキシル基、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基およびC―C10アリール基からなる群から選択され、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基およびアリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルコキシ基、シアノ基、C―Cアルキル―C(O)NH―、C―Cアルキル―NH―C(O)―、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン置換C―Cアルキル基、C―C10ヘテロアリール基、C―C12アリール基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
またはR10およびR11とそのそれぞれに結合したN、CまたはSは、C―C10ヘテロシクロアルキル基、6~12員縮合複素環またはC―C10ヘテロアリール基を形成し、前記ヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルコキシ基、シアノ基、C―Cアルキル―C(O)NH―、C―Cアルキル―NH―C(O)―、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン置換C―Cアルキル基、C―Cアルコキシ基、C―C10ヘテロアリール基、C―C12アリール基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
また、前記ヘテロシクロアルキル基は、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含み、
前記ヘテロアリール基は、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含み、
前記6~12員縮合複素環は、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含むことを特徴とする、前記化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲン、C―Cアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲンからなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、―NR、―CONR1011、―COR10、―S(O)NR1011からなる群から選択され、
は、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基およびシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、C―Cアルキルアミン基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
およびRは、それぞれ独立して、C―Cアルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲンからなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、C―C10シクロアルキル基からなる群から選択され、前記シクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、Hであり、
10およびR11は、独立して、水素、ヒドロキシル基、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基およびC―C12アリール基からなる群から選択され、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基およびアリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
またはR10およびR11とそのそれぞれに結合したNは、C―C10ヘテロシクロアルキル基を形成し、前記ヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルコキシ基、C―C10ヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換されることを特徴とする
請求項1に記載の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、―CONR1011であり、
は、CH―、
【化2】
であり、
およびRは、それぞれ独立して、C―Cアルキル基であり、
10およびR11は、独立して、水素、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基およびシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
またはR10およびR11とそのそれぞれに結合したNは、C―C10ヘテロシクロアルキル基を形成し、前記ヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルコキシ基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換されることを特徴とする
請求項2に記載の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、―CONR1011であり、
は、メチル基であり、
は、メチル基であり、
は、n―ブチル基であり、
10およびR11は、独立して、水素、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基およびシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
またはR10およびR11とそのそれぞれに結合したNは、C―C10ヘテロシクロアルキル基を形成し、前記ヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルコキシ基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換されることを特徴とする
請求項3に記載の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、―CONR1011であり、
は、メチル基であり、
は、メチル基であり、
は、n―ブチル基であり、
10およびR11は、独立して、水素、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基およびシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換されることを特徴とする
請求項3に記載の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、―COR10であり、
は、メチル基であり、
は、メチル基であり、
は、n―ブチル基であり、
10は、ヒドロキシル基、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基からなる群から選択され、前記アルキル基、シクロアルキル基およびヘテロアリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、C―Cアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換されることを特徴とする
請求項2に記載の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、―COR10であり、
は、メチル基であり、
は、メチル基であり、
は、n―ブチル基であり、
10は、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基からなる群から選択されることを特徴とする
請求項2に記載の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、―NRであり、
は、CH―、
【化3】
からなる群から選択され、
は、メチル基であり、
は、n―ブチル基であり、
は、C―C10シクロアルキル基であり、前記シクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、水素であることを特徴とする
請求項2に記載の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
前記化合物は、以下からなる群から選択されることを特徴とする
【化4】
請求項1に記載の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
医薬組成物であって、
i)請求項1に記載の一つまたは複数の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩、および
ii)薬学的に許容される担体を含むことを特徴とする、前記医薬組成物。
【請求項11】
1)抗腫瘍に用いられる薬物の調製、
2)抗ウイルスに用いられる薬物の調製、
3)抗感染症に用いられる薬物の調製、および
4)自己免疫に関連する疾患を予防および/または治療するための薬物の調製からなる群から選択される使用に用いられることを特徴とする、
請求項1に記載の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学の分野に関し、具体的には、2―アミノピリミジン化合物ならびにその医薬組成物および用途に関する。
【背景技術】
【0002】
Toll様受容体(TLR)ファミリーは、病原体の識別および自然免疫の活性化に重要な役割を果たす。Toll様受容体8(TLR8)は、主に骨髄免疫細胞によって発現され、当該受容体の活性化は、広範囲な免疫応答を刺激する。TLR8のシグナル伝達経路は、細菌の一本鎖RNA、小分子アゴニストおよびmicroRNAsによって活性化される。TLR8を活性化した後、例えば、IL―12、IL―18、TNF―aおよびIFN―γ等のTh1極性サイトカイン、および例えば、CD80およびCD86等の様々な共刺激因子の生成をもたらす。これらのサイトカインは、自然免疫応答および適応性免疫応答を活性化および拡大し、自己免疫、炎症、アレルギー、喘息、移植片の拒絶、移植片対宿主病、感染症、腫瘍、および免疫不全に関する様々な病症で治療上の利益を提供する。例えば、B型肝炎については、プロの抗原提示細胞(pAPC)および他の肝内免疫細胞に対するTLR8の活性化は、IL―12および炎症性サイトカインの誘導と相関し、これにより、HBV特異的T細胞応答が増強され、肝内NK細胞が活性化され、かつ抗ウイルス免疫の再構築が駆動されることが期待される。
【0003】
現在、toll様受容体(例えば、TLR8)の調節剤は販売されていない。広範囲な疾患を治療する潜在力を考えると、高活性、高選択性、低毒性、および優れた薬物動態を有するTLR8調節剤の開発が非常に望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、式Iに示される化合物および抗ウイルス、抗感染症、自己免疫、腫瘍等の疾患の分野におけるその用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、式Iに示される化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩を提供し、
【化1】
ここで、
Xは、N、CRからなる群から選択され、
Yは、NH、Oからなる群から選択され、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲン(halogen)、C―Cアルキル基(alkyl group)、ヒドロキシル基(hydroxyl group)、アミノ基(amino group)からなる群から選択され、前記アルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、C―Cアルキルアミン基(alkylamine group)、C―Cアルコキシ基(alkoxy group)、シアノ基(cyano group)、C―Cアルキル―C(O)NH―、C―Cアルキル―NH―C(O)―、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基(cycloalkyl group)、C―C10ヘテロシクロアルキル基(heterocycloalkyl group)、ハロゲン置換C―Cアルキル基、C―C10ヘテロアリール基(heteroaryl group)、C―C12アリール基(aryl group)からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、―NR、―OR、―SR、―S(O)、―N(R10)COR11、―N(R10)S(O)11、―CONR1011、―COR10、―S(O)NR1011からなる群から選択され、前記シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、C―Cアルキルアミン基、C―Cアルコキシ基、シアノ基、C―Cアルキル―C(O)NH―、=O、C―Cアルキル―NH―C(O)―、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン置換C―Cアルキル基、C―C10ヘテロアリール基、C―C12アリール基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
、RおよびRは、独立して、ハロゲン、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基およびC―C12アリール基からなる群から選択され、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、C―Cアルキルアミン基、C―Cアルコキシ基、シアノ基、C―Cアルキル―C(O)NH―、C―Cアルキル―NH―C(O)―、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン置換C―Cアルキル基、C―C10ヘテロアリール基、C―C12アリール基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、水素、ハロゲン、C―Cアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基およびC―C10アリール基からなる群から選択され、前記シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、C―Cアルキルアミン基、C―Cアルコキシ基、シアノ基、C―Cアルキル―C(O)NH―、C―Cアルキル―NH―C(O)―、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン置換C―Cアルキル基、C―C10ヘテロアリール基、C―C12アリール基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
、R10およびR11は、独立して、水素、ヒドロキシル基、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基およびC―C10アリール基からなる群から選択され、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルコキシ基、シアノ基、C―Cアルキル―C(O)NH―、C―Cアルキル―NH―C(O)―、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン置換C―Cアルキル基、C―C10ヘテロアリール基、C―C12アリール基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
またはR10およびR11とそのそれぞれに結合したN、CまたはSは、C―C10ヘテロシクロアルキル基、6~12員縮合複素環またはC―C10ヘテロアリール基を形成し、前記ヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルコキシ基、シアノ基、C―Cアルキル―C(O)NH―、C―Cアルキル―NH―C(O)―、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、ハロゲン置換C―Cアルキル基、C―Cアルコキシ基、C―C10ヘテロアリール基、C―C12アリール基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
また、前記ヘテロシクロアルキル基は、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含み、
前記ヘテロアリール基は、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含み、
前記6~12員縮合複素環は、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む。
【0006】
別の好ましい例において、Xは、N、CRからなる群から選択され、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲン、C―Cアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲンからなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、―NR、―OR、―SR、―S(O)、―N(R10)COR11、―N(R10)S(O)11、―CONR1011、―COR10、―S(O)NR1011からなる群から選択され、前記シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、=O、ハロゲンからなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基、シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、C―Cアルキルアミン基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
およびRは、それぞれ独立して、C―Cアルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲンからなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、水素、ハロゲン、C―Cアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲンからなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基およびC―C12アリール基からなる群から選択され、前記シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基およびアリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
、R10およびR11は、独立して、水素、ヒドロキシル基、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基およびC―C12アリール基からなる群から選択され、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基およびアリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
またはR10およびR11とそのそれぞれに結合したN、CまたはSは、C―C10ヘテロシクロアルキル基、6~12員複素環またはC―C10ヘテロアリール基を形成し、前記ヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルコキシ基、C―C10ヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換される。
別の好ましい例において、Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲン、C―Cアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲンからなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、―NR、―CONR1011、―COR10、―S(O)NR1011からなる群から選択され、
は、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基およびシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、C―Cアルキルアミン基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
およびRは、それぞれ独立して、C―Cアルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲンからなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、C―C10シクロアルキル基からなる群から選択され、前記シクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、Hであり、
10およびR11は、独立して、水素、ヒドロキシル基、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基およびC―C12アリール基からなる群から選択され、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基およびアリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
またはR10およびR11とそのそれぞれに結合したNは、C―C10ヘテロシクロアルキル基を形成し、前記ヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルコキシ基、C―C10ヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換される。
【0007】
別の好ましい例において、Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、―CONR1011であり、
は、CH―、
【化2】
であり、
およびRは、それぞれ独立して、C―Cアルキル基であり、
10およびR11は、独立して、水素、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基およびシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
またはR10およびR11とそのそれぞれに結合したNは、C―C10ヘテロシクロアルキル基を形成し、前記ヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルコキシ基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換される。
【0008】
別の好ましい例において、Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、―CONR1011であり、
は、メチル基(methyl group)であり、
は、メチル基であり、
は、n―ブチル基(n-butyl group)であり、
10およびR11は、独立して、水素、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基およびシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
またはR10およびR11とそのそれぞれに結合したNは、C―C10ヘテロシクロアルキル基を形成し、前記ヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルコキシ基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換される。
【0009】
別の好ましい例において、Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、―CONR1011であり、
は、メチル基であり、
は、メチル基であり、
は、n―ブチル基であり、
10およびR11は、独立して、水素、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基からなる群から選択され、前記アルキル基およびシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換される。
【0010】
別の好ましい例において、Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、―COR10であり、
は、メチル基であり、
は、メチル基であり、
は、n―ブチル基であり、
10は、ヒドロキシル基、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基からなる群から選択され、前記アルキル基、シクロアルキル基およびヘテロアリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、C―Cアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換される。
【0011】
別の好ましい例において、Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、―COR10であり、
は、メチル基であり、
は、メチル基であり、
は、n―ブチル基であり、
10は、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基からなる群から選択される。
【0012】
別の好ましい例において、Xは、Nであり、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、―NRであり、
は、CH―、
【化3】
からなる群から選択され、
は、メチル基であり、
は、n―ブチル基であり、
は、C―C10シクロアルキル基であり、前記シクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、水素である。
【0013】
別の好ましい例において、Xは、N、CRからなる群から選択され、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、CH―、
【化4】
からなる群から選択され、
およびRは、それぞれ独立して、C―Cアルキル基であり、
は、水素、ハロゲンからなる群から選択される。
別の好ましい例において、Xは、N、CRからなる群から選択され、
Yは、NHであり、
Zは、―N(H)C(O)R、―OHからなる群から選択され、
およびRは、独立して、水素、ハロゲンからなる群から選択され、
は、メチル基であり、
は、メチル基であり、
は、n―ブチル基であり、
は、水素、ハロゲンからなる群から選択される。
【0014】
別の好ましい例において、Xは、Nであり、
は、―CONR1011、―COR10、―S(O)NR1011からなる群から選択され、
10およびR11は、独立して、水素、ヒドロキシル基、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基およびC―C12アリール基からなる群から選択され、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基およびアリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
またはR10およびR11とそれに結合したNは、C―C10ヘテロシクロアルキル基、6~12員縮合複素環またはC―C10ヘテロアリール基を形成し、前記ヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルコキシ基、C―C10ヘテロシクロアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換される。
【0015】
別の好ましい例において、Xは、Nであり、
は、―NR、―OR、―SR、―S(O)からなる群から選択され、
は、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基およびC―C12アリール基からなる群から選択され、前記シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基およびアリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換され、
は、水素、ヒドロキシル基、C―Cアルキル基、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基およびC―C12アリール基からなる群から選択され、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基およびアリール基は、任意選択で、水素、ハロゲン、(C―Cアルキル)N―、C―Cアルキル基からなる群から選択される1~3個の置換基によって置換される。
【0016】
別の好ましい例において、Rは、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基からなる群から選択され、前記シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、任意選択で、水素、=O、ハロゲンからなる群から選択される1~3個の置換基によって置換される。
【0017】
別の好ましい例において、前記化合物は、以下からなる群から選択される。
【化5】
【化6】
【化7】
【0018】
別の好ましい例において、前記化合物は、以下からなる群から選択される。
【化8】
【化9】
【0019】
本発明の第2の態様は、
i)本発明の第1の態様に記載の一つまたは複数の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩、および
ii)薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0020】
本発明の第3の態様は、
1)抗腫瘍に用いられる薬物の調製と、
2)抗ウイルスに用いられる薬物の調製と、
3)抗感染症に用いられる薬物の調製と、および
4)自己免疫に関連する疾患を予防および/または治療するための薬物の調製とからなる群から選択される使用に用いられる本発明の第1の態様に記載の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0021】
別の好ましい例において、前記腫瘍は、肺がん、肝臓がん、食道がん、乳がん、脳がん、前立腺がん、黒色腫、白血病からなる群から選択される。
別の好ましい例において、前記ウイルスは、インフルエンザウイルス(influenza virus)、コクサッキーウイルス(Coxsackie virus)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、デング熱ウイルス(dengue virus)、ポリオウイルス(poliovirus)からなる群から選択される。
【0022】
別の好ましい例において、前記感染症は、ウイルス、クラミジア(chlamydia)、マイコプラズマ(mycoplasma)、細菌、真菌、寄生虫からなる群から選択される感染症である。
別の好ましい例において、前記自己免疫に関連する疾患は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、インスリン依存性糖尿病、動脈硬化症、炎症性腸疾患からなる群から選択される。
【0023】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様に記載の一つまたは複数の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩を含む、TLR8調節剤を提供する。
【0024】
本発明の第5の態様は、本発明の第1の態様に記載の調節有効量の一つまたは複数の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩を必要とする患者に投与するにとによって、TLR8を調節する方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の範囲内で、本発明の上記の各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に説明される各技術的特徴との間を、互いに組み合わせることにより、新しいまたは好ましい技術的解決策を構成することができることに理解されたい。スペースに限りがあるため、ここでは繰り返さない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明者らは、長期にわたる詳細な研究の後、特定の位置(特に、R位置)での構造改善を通じて、TLR8に対して顕著な高い活性および選択性を有する式Iに示される化合物のクラスを予期せずに調製した。当技術分野で知られている同様の化合物と比較して、本発明の化合物は、より高い活性、より良好な選択制、より良好なインビボ有効性、より良好な安全性、より優れた薬物動態特性およびより良好な創薬可能性を有する。これに基づいて、本発明者らは本発明を完了した。
【0027】
用語
本発明において、特に指摘しない限り、使用される用語は、当業者に知られいている一般的な意味を有する。
本発明において、「ハロゲン」という用語は、F、Cl、BrまたはIを指す。
本発明において、「C―Cアルキル基」とは、メチル基、エチル基(ethyl group)、プロピル基(propyl group)、イソプロピル基(isopropyl group)、ブチル基(butyl group)、イソブチル基(isobutyl group)、tert―ブチル基(tert-butyl group)、ネオペンチル基(neopentyl group)、tert―ペンチル基(tert-pentyl group)、または類似の基等の1~6個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキル基を指す。
【0028】
本発明において、「C―C10シクロアルキル基」という用語は、シクロプロピル基(cyclopropyl group)、シクロブチル基(cyclobutyl group)、シクロペンチル基(cyclopentyl group)、シクロヘキシル基(cyclohexyl group)、シクロヘプチル基(cycloheptyl group)、シクロオクチル基(cyclooctyl group)等のモノシクロアルキル基(monocycloalkyl group)、スピロシクロアルキル基(spirocycloalkyl group)および架橋シクロアルキル基(bridged cycloalkyl group)を含むがこれらに限定されない、環内に3~10個の炭素原子を有する環状アルキル基を指す。
【0029】
本発明において、「C―Cアルコキシ基」という用語は、メトキシ基(methoxy group)、エトキシ基(ethoxy group)、プロポキシ基(propoxy group)、イソプロポキシ基(isopropoxy group)およびブトキシ基(butoxy group)等を含むがこれらに限定されない、1~6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルコキシ基を指す。好ましくは、C―Cアルコキシ基である。
【0030】
本発明において、「ヘテロシクロアルキル基」という用語は、例えば、
【化10】
等の単複素環基および例えば、
【化11】
等のスピロ複素環基を含む(これらに限定されない)、N、O、Sから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む4~10員複素環基である。
【0031】
本発明において、「縮合複素環」という用語は、C―C10シクロアルキル基、C―C10ヘテロシクロアルキル基、C―C10ヘテロアリール基、C―C12アリール基からなる群から選択される二つの隣接する炭素原子を共有する二つの構造によって形成される縮合環を指し、前記縮合複素環は、
【化12】
等のN、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む。
【0032】
本発明において、「芳香環」または「アリール基」という用語は、同じ意味を有し、好ましくは、「C―C10アリール基」である。「C―C10アリール基」という用語は、フェニル基(phenyl group)、ナフタレン基(naphthyl group)等の環内にヘテロ原子を含まない6~10個の炭素原子を有する芳香族環基を指す。
本発明において、「アミノ基」という用語は、―NH等の構造を有する。
【0033】
本発明において、「C―Cアルキルアミン基」という用語は、C―Cアルキル―NH―等の構造を有する。
本発明において、「芳香族複素環」または「ヘテロアリール基」という用語は、同じ意味を有し、一つから複数のヘテロ原子を含むヘテロ芳香族基を指す。例えば、「C―C10ヘテロアリール基」とは、酸素、硫黄および窒素から選択される1~4個のヘテロ原子および3~10個の炭素原子を含む芳香族複素環を指す。非限定的な例としては、フリル基(furyl group)、チエニル基(thienyl group)、ピリジル基(pyridyl group)、ピラゾリル基(pyrazolyl group)、ピロリル基(pyrrolyl group)、N―アルキルピロリル基(N-alkylpyrrolyl group)、ピリミジニル基(pyrimidinyl group)、ピラジニル基(pyrazinyl group)、イミダゾリル基(imidazolyl group)、テトラゾリル基(tetrazolyl group)等を含む。前記ヘテロアリール環は、アリール基、複素環基またはシクロアルキル環に縮合することができ、ここで母体構造に結合された環はヘテロアリール環である。ヘテロアリールは任意選択選択で置換されていても置換されなくてもよい。
【0034】
本発明において、「ハロ」という用語は、ハロゲンによって置換されることを指す。
本発明において、「置換」という用語は、特定の基上の一つまたは複数の水素原子が特定の置換基によって置換されることを指す。特定の置換基は、前の段落で対応して説明された置換基、または各実施例に現れる置換基である。特に明記しない限り、ある置換された基は、当該基の任意の置換可能な位置に、特定の基から選択される置換基を有することができ、前記置換基は、各位置で同じであっても異なっていてもよい。当業者は、本発明によって企図される置換基の組み合わせが、あれらの安定であるか、または化学的に達成可能な組み合わせであることを理解されたい。前記置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル基、カルボキシ(―COOH)、C―Cアルキル基、C―Cシクロアルキル基、3~12員複素環基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、C―Cアルコキシ基等である(これらに限定されない)。
【0035】
化合物
本発明は、式Iに示される化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩を提供し、
【化13】
ここで、各基は、上記で定義されたとおりである。
【0036】
別の好ましい例において、前記化合物において、X、Y、Z、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11のいずれか一つは、本発明に記載の具体的な化合物における対応する基である。
前記「立体異性体」または「光学異性体」とは、本発明の化合物に関するキラル炭素原子がR配置、S配置、またはその組み合わせであり得ることを指す。
【0037】
本明細書に使用されるように、「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物と、酸または塩基とによって形成された薬物としての使用に適した塩を指す。薬学的に許容される塩は、無機塩および有機塩を含む。好ましい塩は、本発明の化合物と酸とによって形成された塩である。塩形成に適した酸は、塩酸(hydrochloric acid)、臭化水素酸(hydrobromic acid)、フッ化水素酸(hydrofluoric acid)、硫酸(sulphuric acid)、硝酸(nitric acid)、リン酸(phosphoric acid)等の無機酸、ギ酸(formic acid)、酢酸(acetic acid)、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)、プロピオン酸(propionic acid)、シュウ酸(oxalic acid)、マロン酸(malonic acid)、コハク酸(succinic acid)、フマル酸(fumaric acid)、マレイン酸(maleic acid)、乳酸(lactic acid)、リンゴ酸(malic acid)、酒石酸(tartaric acid)、クエン酸(citric acid)、ピクリン酸(picric acid)、安息香酸(benzoic acid)、メタンスルホン酸(methanesulfonic acid)、エタンスルホン酸(ethanesulfonic acid)、p―トルエンスルホン酸(p-toluenesulfonic acid)、ベンゼンスルホン酸(benzenesulfonic acid)、ナフタレンスルホン酸(naphthalenesulfonic acid)等の有機酸、およびプロリン(proline)、フェニルアラニン(phenylalanine)、アスパラギン酸(aspartic acid)、グルタミン酸(glutamic acid)等のアミノ酸(amino acid)を含むが、これらに限定されない。
【0038】
別の好ましい塩は、例えば、アルカリ金属塩(alkali metal salt)(例えば、ナトリウム塩(sodium salt)またはカリウム塩(potassium salt))、アルカリ土類金属塩(alkaline earth salt)(例えば、マグネシウム塩(magnesium salt)またはカルシウム塩(calcium salt))、例えば、メチルアミン塩(methylamine salt)、エチルアミン塩(ethylamine salt)、プロピルアミン塩(propylamine salt)、ジメチルアミン塩(dimethylamine salt)、トリメチルアミン塩(trimethylamine salt)、ジエチルアミン塩(diethylamine salt)、トリエチルアミン塩(triethylamine salt)、tert―ブチルアミン塩(tert-butylamine salt)、エチレンジアミン塩(ethylenediamine salt)、ヒドロキシエチルアミン塩(hydroxyethylamine salt)、ジヒドロキシエチルアミン塩(dihydroxyethylamine salt)、トリヒドロキシエチルアミン塩(trihydroxyethylamine salt)のアンモニウム塩(ammonium salt)(例えば、低級アルカノラモニウム塩および他の薬学的に許容されるアミン塩)およびそれぞれモルホリン(morpholine)、ピペラジン(piperazine)、リジン(lysine)によって形成されたアミン塩等の、本発明の化合物と塩基とによって形成された塩である。
【0039】
医薬組成物および投与方法
本発明は、
i)上記の一つまたは複数の化合物またはその立体異性体またはその薬学的に許容される塩とおよび
ii)薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物をさらに提供する。
本発明の医薬組成物は、安全かつ有効な量の範囲内の本発明の化合物またはその薬理学的に許容される塩および薬理学的に許容される賦形剤または担体を含む。
【0040】
前記「安全かつ有効な量」とは、化合物の量が深刻な副作用を引き起こさず病状を明らかに改善するのに十分であることを指す。通常、医薬組成物は、0.1~2000mgの本発明の化合物/用量、より好ましくは、0.1~200mgの本発明の化合物/用量を含む。好ましくは、前記「1回投与」は、一つのカプセルまたは錠剤である。
【0041】
「薬学的に許容される担体」とは、人間の使用に適し、十分な純度および十分に低い毒性でなければならない、一つまたは複数の適合性のある固体または液体の充填剤またはゲル化物質を指す。「適合性」とは、組成物の各成分が、化合物の効力を著しく低下させることなく、本発明の化合物およびそれらの間に互いに混合されることができることを指す。薬学的に許容される担体の一部の例としては、セルロース(cellulose)とその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(sodium carboxymethyl cellulose)、エチルセルロースナトリウム(sodium ethyl cellulose)、酢酸セルロース(cellulose acetate)等)、ゼラチン(gelatin)、タルク、固体潤滑剤(例えば、ステアリン酸(stearic acid)、ステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate))、硫酸カルシウム(Calcium sulfate)、植物油(例えば、大豆油、ごま油、落花生油、オリーブ油等)、ポリオール(polyol)(例えば、プロピレングリコール(propylene glycol)、グリセリン(glycerin)、マンニトール(mannitol)、ソルビトール(sorbitol)等)、乳化剤(例えば、トゥイーン(登録商標))、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate))、着色剤、香料、安定剤、抗酸化剤、防腐剤、パイロジェンフリー水等が挙げられる。
【0042】
前記医薬組成物は、注射剤、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤または顆粒剤である。
本発明の化合物または医薬組成物の投与方式は特に限定されず、代用的な投与方式は、経口、直腸、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)、および局所投与を含む(これらに限定されない)。
【0043】
経口投与に使用される固形剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤および顆粒剤を含む。これらの固形剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウム(sodium citrate)またはリン酸二カルシウム(dicalcium phosphate)等の少なくとも一つの従来の不活性賦形剤(または担体)と混合されるか、または(a)例えば、澱粉、乳糖(lactose)、ショ糖(sucrose)、ブドウ糖、マンニトールおよび、ケイ酸(silicic acid)等の充填剤または増量剤、(b)例えば、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxymethyl cellulose)、アルギン酸塩(alginate)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ショ糖およびアラビアガム等の結合剤、(c)例えば、グリセリンなどの保湿剤、(d)例えば、寒天(agar)、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、ジャガイモ澱粉またはタピオカ澱粉、アルギン酸(alginic acid)、特定の複合ケイ酸塩および炭酸ナトリウム(sodium carbonate)等の崩壊剤、(e)例えば、パラフィン(paraffin)等の溶解緩衝剤、(f)例えば、第四級アミン化合物等の吸収促進剤、(g)例えば、セチルアルコール(cetyl alcohol)およびモノステアリン酸グリセリル(glyceryl monostearate)等の湿潤剤、(h)例えば、カオリン(kaolin)等の吸着剤、ならびに(i)例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム(calcium stearate)、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール(solid polyethylene glycol)、ラウリル硫酸ナトリウム、またはその混合物等の潤滑剤等の成分と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤において、剤形は、緩衝剤も含み得る。
【0044】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤等の固形剤形は、腸溶コーティングおよび当技術分野で知られている他の材料等のコーティングおよびシェル材料を使用して調製することができる。それらは、混濁剤を含み、また、このような組成物中の活性化合物または化合物の放出は、消化管の特定の部分に遅延して放出することができる。使用できる埋め込み成分の例は、高分子物質およびワックス物質である。必要に応じて、活性化合物は、上記の賦形剤中の一つまたは複数を含むマイクロカプセル化された形態であり得る。
【0045】
経口投与に使用される液体剤形は、薬学的に許容される乳濁液、溶液、懸濁液、シロップまたはチンキ剤を含む。活性化合物に加えて、液体剤形は、水または他の溶媒等の当技術分野で従来から使用される不活性希釈剤、例えば、エタノール(ethanol)、イソプロパノール(isopropanol)、炭酸エチル(ethyl carbonate)、酢酸エチル(ethyl acetate)、プロピレングリコール、1,3―ブタンジオール(1,3-butyleneglycol)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)および油、特に綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、蓖麻子油およびごま油またはこれらの物質の混合物等の可溶化剤と乳化剤を含み得る。
【0046】
これらの不活性希釈剤に加えて、組成物は、湿潤剤、乳化剤と懸濁剤、甘味剤、香味剤および芳香剤などの補助剤も含み得る。
活性化合物に加えて、懸濁液は、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール(ethoxylated isooctadecanol)、ポリオキシエチレンソルビトール(polyoxyethylene sorbitol)と脱水ソルビタンエステル(sorbitan ester)、微結晶性セルロース、アルミニウムメトキシド(aluminum methoxide)および寒天(agar)またはこれらの物質の混合物等の懸濁剤を含み得る。
【0047】
非経口注射に使用される組成物は、生理学的に許容される滅菌水溶液または無水溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、および無菌に再構成する注射可能な溶液または分散液の無菌の粉末を含み得る。適切な巣性和非水性担体、希釈剤、溶媒または賦形剤は、水、エタノール、ポリオールおよびその適切な混合物を含む。
【0048】
局所投与に使用される本発明の化合物の剤形は、軟膏剤、粉末剤、パッチ剤、スプレー剤および吸入剤を含む。有効成分は、無菌条件下で、生理学的に許容される担体および任意の防腐剤、緩衝剤,または必要に応じて必要となる可能性の推進剤と混合される。
本発明の化合物は、単独で投与されるか、または他の薬学的に許容される他の化合物と組み合わせて投与されることができる。
【0049】
本発明の治療方法は、単独で投与されるか、または他の治療手段または治療薬物と組み合わせて投与されることができる。
医薬組成物を使用する場合、安全かつ有効な量の本発明の化合物が治療を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に適用され、ここで、投与時の用量は、薬学的に有効な投与量であると考えられ、体重が60kgであるヒトの場合、1日投与量は、通常0.1~2000mg、好ましくは、0.1~500mgである。もちろん、具体的な用量は、投与経路、患者の健康状況等の要因も考慮に入れる必要があり、これらのすべては、熟練した医師のスキルの範囲内である。
【0050】
適応症
本発明の化合物は、TLR8に対して非常に高い活性および選択性を有するため、本発明の化合物および本発明の化合物を主要な有効成分として含む医薬組成物は、関連する疾患を治療、予防および緩和するために使用されることができる。従来の技術に基づいて、本発明の化合物は、自己免疫、炎症、アレルギー、喘息、移植片の拒絶、移植片対宿主病、感染症、腫瘍、および免疫不全等の疾患の治療使用されることができる(これらに限定されない)。
【0051】
従来の技術と比較して、本発明は、以下の主な利点を有する。
1)前記化合物は、TLR8に対して顕著に高い活性および選択性を有する。
2)前記化合物は、より高い活性、より良好な選択制、より良好なインビボ有効性、より良好な安全性、より優れた薬物動態特性およびより良好な創薬可能性を有する。
3)本発明は、当該化合物を含む医薬組成物ならびに抗腫瘍、抗ウイルス、抗感染症、自己免疫等の疾患の分野における当該化合物または組成物の用途をさらに提供する。
【0052】
以下、本発明は、具体的実施例と併せてされに説明される。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例において、具体的条件を示さない実験方法は、通常、例えば、Sambrookら、分子クローニング:実験マニュアル(New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)に記載される条件等の従来の条件、またはメーカーによって提案された条件に従う。特に明記されない限り、パーセンテージおよび部数は、重量によって計算される。
【0053】
別に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての専門用語および科学的用語は、当業者によく知られている用語と同じ意味を持つ。さらに、記載された内容と類似または同等の任意の方法および材料は、すべて本発明の方法に適用されることができる。本明細書に記載の好ましい実施方法と材料とは、デモンストレーションのみの目的として使用される。
【0054】
実施例1.化合物Aの調製
【化14】
【0055】
段階1.化合物2
1.5gのラネーニッケルを無水エタノール(50mL)に加え、次に化合物1(3.0g、13mmol)を加え、システム内の空気を水素ガスで置換し、反応物を水素ガスの雰囲気中(水素気球)で室温下で30時間攪拌する。システム内の水素ガスを空気で置換した後、反応液をろ過し、ろ液を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(現像溶剤:石油エーテル/酢酸エチル=10/1)によって精製して、化合物2(黄色の固体、1.3g、収率46%)を得る。
LCMS:[M+H]=216.0、[M+H]=218.0。
【0056】
段階2.化合物4
化合物2(800mg、3.7mmol)、トリホスゲン(1.1g,3.7mmol)を1,4―ジオキサン(10mL)に溶解し、反応液を100℃に昇温し、かつ2時間攪拌する。反応液を室温に冷却した後、ろ過して、黄色の固体を得、1,4ジオキサンで洗浄した後、化合物4(黄色の固体、870mg、収率97%)を得る。
LCMS:[M+H]=242.0、[M+H]=243.9。
【0057】
段階3.化合物5
化合物4(500mg、2.08mmol)をオキシ塩化リン(10mL)に溶解し、N,N―ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、538mg、4.16mmol)を加え、反応液を130℃に昇温し、かつ3時間攪拌する。反応液を室温に冷却した後、濃縮し、かつ氷水を加え、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機相を濃縮し、かつシリカゲルカラムクロマトグラフィー(現像溶剤:石油エーテル/酢酸エチル=3/1)によって精製して、化合物5(黄色の固体、522mg、収率91%)を得る。
LCMS:[M+H]=277.9、[M+H]=279.9、[M+H]=281.9、[M+H]=283.9。
【0058】
段階4.化合物7
化合物5(100mg、0.36mmol)、化合物6(123mg、0.72mmol、特許WO2018233648を参照)、DIEA(231mg、1.79mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、反応液を40℃に昇温し、かつ16時間攪拌する。反応液を室温に冷却した後、酢酸エチル(30mL)を加え、得られた溶液をそれぞれ水(30mL)および飽和塩化ナトリウム溶液(2×30mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(現像溶剤:ジクロロメタン/メタノール=20/1)によって精製して、化合物7(黄色の油状物、100mg、収率67%)を得る。
LCMS:[M+H]=414.1、[M+H]=416.0。
【0059】
段階5.化合物9
化合物7(100mg、0.24mmol)を2,4―ジメトキシベンジルアミン(1mL)に溶解し、100℃に昇温し、かつ2時間攪拌する。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(現像溶剤:ジクロロメタン/メタノール=10/1)で精製して、化合物9(黄色の油状物、60mg、収率46%)を得る。
LCMS:[M+H]=545.2、[M+H]=547.2。
【0060】
段階6.化合物11
化合物9(600mg、1.10mmol)をDMF(20mL)に溶解し、次にDPPP(227mg、0.55mmol)、酢酸パラジウム(123mg、0.55mmol)および化合物10のTHF溶液(2M、2.5mL、5mmol)を順次に加える。反応液中の空気を一酸化炭素で3回置換し、反応液を一酸化炭素雰囲気中で80℃に加熱し、かつ16時間を攪拌し、次に120℃に昇温し、かつ8時間攪拌する。室温に冷却した後、反応液を酢酸エチル(300mL)で希釈し、有機相を順次に水(100mL)および飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機相を濃縮し、かつシリカゲルカラムクロマトグラフィー(現像溶剤:ジクロロメタン/メタノール=100/3)によって精製し、化合物11(200mg、収率34%)を得る。
LCMS:[M+H]=538.4。
【0061】
段階7.化合物A
化合物11(390mg、0.72mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(4mL)を加え、反応液を室温下で2時間攪拌する。反応液を濃縮してトリフルオロ酢酸を除去し、残留物を酢酸エチル(200mL)で溶解し、有機相を順次に飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)および飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。有機相を濃縮し、かつシリカゲルカラムクロマトグラフィー(現像溶剤:ジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール=5/5/1)によって精製して、化合物A(黄色の固体、133.8mg、収率49%)を得る。
LCMS:[M+H]=388.3。
H NMR(400MHz、CDCl)δ 8.41(d、J=2.0Hz、1H)、7.66(d、J=2.0Hz、1H)、7.19(br s、1H)、6.61(br s、1H)、5.19(br s、2H)、3.84―3.69(m、2H)、3.16(s、3H)、3.02(s、3H)、2.10―2.06(m、1H)、2.00(s、3H)、1.75―1.65(m、1H)、1.46(s、3H)、1.42―1.24(m、4H)、0.90(t、J=7.2Hz、3H)。
【0062】
実施例2.化合物Bの調製
【化15】
【0063】
段階1.化合物3
室温下で、化合物1(50mg、0.092mmol)、化合物2(52mg、0.092mmol)、Pd(dba)(17mg、0.018mmol)、BrettPhos(10mg、0.018mmol)およびナトリウムtert―ブトキシド(26mg、0.276mmol)を5mLトルエンに加え、窒素ガスで置換した後、80℃に昇温して18時間反応する。反応液を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(現像溶剤:ジクロロメタン/メタノール=100/5)によって精製して、淡黄色の油状物である化合物3(25mg、52%)を得る。
LCMS:[M+H]=522.3。
【0064】
段階2.化合物B
化合物3(25mg、0.048mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1mL)を加え、室温下で1時間攪拌する。反応液を濃縮した後、逆相カラムクロマトグラフィー(0.05%ギ酸/アセトニトリル/水)によって精製して、白色の固体である化合物B(11.2mg、収率63%)を得る。
LCMS:[M+H]=372.3。
H NMR(400MHz、MeOD)δ 8.54(s、1H)、8.03(d、J=2.2Hz、1H)、6.84(d、J=2.3Hz、1H)、3.90(d、J=13.8Hz、1H)、3.55(d、J=13.8Hz、1H)、2.49(td、J=6.5、3.4Hz、1H)、2.19―2.10(m、1H)、1.96―1.79(m、4H)、1.50―1.27(m、7H)、0.88(ddd、J=11.4、10.0、5.8Hz、5H)、0.57―0.49(m、2H)。
【0065】
実施例3.化合物Cの調製
【化16】
【0066】
段階1.化合物2
化合物1(50mg、0.092mmol、1.0eq)をDMF/メタノール(4mL/1mL)に溶解し、次に酢酸パラジウム(5mg、0.018mmol、0.2eq)、1,3―ビス(ジフェニルホスフィン)プロパン(10mg、0.018mmol、0.2eq)およびトリエチルアミン(40mg、0.368mmol、4eq)を順次に加える。反応液を1気圧の一酸化炭素雰囲気下で80℃に加熱して16時間反応させる。室温に冷却した後、反応液を水(40mL)に注ぎ、次に酢酸エチル(20mL×2)で抽出する。有機相を合併した後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後得られた粗生成物を分取薄層クロマトグラフィーによって精製して、化合物2(25mg、52.4%)を得る。
LCMS:[M+H]=525.2。
【0067】
段階2.化合物3
化合物2(25mg、0.048mmol、1eq)をメタノール(2mL)に溶解し、次に水酸化ナトリウム水溶液(2M、1mL)を加える。反応液を室温下で2時間攪拌し、次に2Mの塩酸水溶液でPH値を5~6に調節し、かつ酢酸エチル(10mL×2)で抽出する。有機相を合併した後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後得られた粗生成物を分取薄層クロマトグラフィーによって精製して、化合物3(23mg、94.5%)を得る。
LCMS:[M+H]=511.3。
【0068】
段階3.化合物C
化合物3(30mg、0.059mmol)をDCM(2mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(1mL)を加え、室温下で2時間反応させる。反応完了後、濃縮し、残留物をpre―HPLC(0.05%ギ酸/アセトニトリル/水)によって精製した後、白色の固体である化合物C(4.3mg、20%)を得る。
LCMS:[M+H]=361.2。
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.86(s、1H)、8.70―8.24(m、2H)、4.50―3.71(m、2H)、2.67―2.11(m、1H)、1.99(s、3H)、1.89―1.80(m、1H)、1.71―1.35(m、7H)、1.05―0.89(m、3H)。
【0069】
実施例4.化合物Dの調製
【化17】
【0070】
段階1.化合物3
化合物1(260mg、0.509mmol、1.0eq)をDMF(7mL)に溶解し、次に化合物2(124mg、1.273mmol、2.5eq)、HATU(290mg、0.763mmol、1.5eq)およびDIEA(394mg、3.055mmol、6.0eq)を順次に加え、反応液を室温下で3時間攪拌する。反応液を酢酸エチル(50mL)で希釈し、次に順次に水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、残留物をシリカゲル調製プレート(ジクロロメタン/メタノール=10/1)によって精製した後、褐色の固体である化合物3(190mg、67%)を得る。
LCMS:[M+H]=554.3。
【0071】
段階2.化合物5
化合物3(118mg、0.213mmol、1.0eq)をテトラヒドロフラン(8mL)に溶解し、室温下で化合物4(1M、2.13mL、2.13mmol、10.0eq)を加え、反応液を室温下で50分間攪拌する。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、次に酢酸エチル(3×20mL)で抽出する。合併した後の有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、残留物をシリカゲル調製プレート(ジクロロメタン/メタノール=10/1)によって精製した後、黄色の固体である化合物5(20mg、17%)を得る。
LCMS:[M+H]=537.3。
【0072】
段階3.化合物D
化合物5(20mg、0.0372mmol、1.0eq)をジクロロメタン(0.5mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(1.5mL)を加え、反応液を室温下で1.5時間攪拌する。反応液を濃縮し、残留物をpre―HPLC(0.1%ギ酸/アセトニトリル/水)によって精製した後、黄色の固体である化合物D(2.3mg、16%)を得る。
LCMS:[M+H]=387.3。
H NMR(400MHz、CDCl)δ 8.89(d、J=2.0Hz、1H)、8.17(d、J=2.0Hz、1H)、7.52(s、1H)、6.35(s、1H)、3.87(dd、J=14.0、5.6Hz、1H)、3.68(dd、J=14.0,6.0Hz、1H)、3.55―3.50(m、1H)、2.11―2.05(m、1H)、2.01(s、3H)、1.77(s、1H)、1.49(s、3H)、1.40―1.29(m、4H)、1.25(d、J=6.8Hz、6H)、0.90(t、J=7.0Hz、3H)。
【0073】
実施例5.化合物Eの調製
【化18】
【0074】
段階1.化合物2
化合物1(400mg、0.78mmol、1.0eq)をDCM(10mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(5mL)を加え、室温下で2時間攪拌し、反応完了後、濃縮し、重炭酸ナトリウム溶液でpH>7に調節し、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮して、黄色の固体である化合物2(300mg、98%)を得る。
LCMS:[M+H]=395.1。
【0075】
段階2.化合物3
化合物2(300mg、0.76mmol、1.0eq)、(BOC)O(497mg、2.28mmol、3.0eq)および炭酸カリウム(315mg、2.28mmol、3.0eq)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶解し、次に75℃に昇温して18時間反応させ、反応完了後、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル=70/30)によって精製した後、黄色の固体である化合物3(260mg、58%)を得る。
LCMS:[M+H]=595.1。
【0076】
段階3.化合物5
化合物3(260mg、0.44mmol、1.0eq)、Pd(dba)(40mg、0.044mmol、0.1eq)、XantPhos(25mg、0.044mmol、0.1eq)、DIPEA(170mg、1.32mmol、3.0eq)および化合物4(101mg、0.66mmol、1.5eq)をジオキサン(15mL)に溶解し、窒素ガスで置換し、次に90℃に昇温して15時間反応させ、反応完了後、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル=2/1)によって精製した後、黄色の固体である化合物5(160mg、54%)を得る。
LCMS:[M+H]=669.1。
【0077】
段階4.化合物6
化合物5(150mg、0.22mmol、1.0eq)を酢酸(5mL)および水(1.5mL)に溶解し、窒素ガスで置換し、次に十分な量の塩素ガス(20mLの濃塩酸20gの次亜塩素酸カルシウムに滴下して塩素ガスを生成する)、室温下で2時間攪拌し、反応完了後、氷水でクエンチし、飽和重炭酸ナトリウム溶液をpH>7に調節し、次に酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮して、黄色の固体である粗生成物の化合物6(50mg、44%)を得、次の段階に直接使用される。
LCMS:[M+H]=515.0。
【0078】
段階5.化合物8
化合物6(50mg、0.1mmol、1.0eq)およびDIEA(39mg、0.3mmol、3.0eq)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、次に化合物7(2Mのテトラヒドロフラン溶液、0.5mL、1mmol、10.0eq)を加え、室温下で1時間攪拌し、反応完了後、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)によって精製した後、黄色の固体である化合物8(30mg、54%)を得る。
LCMS:[M+H]=524.1。
【0079】
段階6.化合物E
化合物8(30mg、0.06mmol、1.0eq)をトリフルオロ酢酸(3mL)およびジクロロメタン(3mL)に溶解し、室温下で2時間反応させる。反応完了後、濃縮し、残留物をpre―HPLC(0.05%ギ酸/アセトニトリル/水)によって精製した後、白色の固体である化合物E(7.3mg、29%)を得る。
LCMS:[M+H]=424.2。
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.66(d、J=2.0Hz、1H)、7.93(d、J=2.0Hz、1H)、3.95―3.92(m、1H)、3.61~3.58(m、1H)、2.78(s、6H)、2.23―2.17(m、1H)、1.95(s、3H)、1.87―1.80(m、1H)、1.49(s、3H)、1.37―1.31(m、4H)、0.92―0.89(m、3H)。
【0080】
実施例6.化合物Fの調製
【化19】
【0081】
段階1.化合物3
化合物1(2g、5.3mmol、1.0eq)をDCM(30mL)に溶解し、次にトリエチルアミン(2.7g、26.3mmol、5.0eq)、化合物2(1.44g、5.8mmol、1.1eq)および1―プロピルリン酸無水物(5g、15.8mmol、3.0eq)を加える。反応液を室温下で2時間攪拌する。反応液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=3/1)によって精製した後、褐色の油状物である化合物3(2.4g、75%)を得る。
LCMS:[M+Na]=634.3。
【0082】
段階2.化合物4
化合物3(0.5g、0.82mmol、1.0eq)をジクロロメタン(2.0mL)およびトリフルオロ酢酸(2.0mL)の混合液に溶解し、反応液を45℃下で16時間攪拌する。室温に冷却し、反応液に飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えてpH=7―8に調節し、水相をジクロロメタン(20×3mL)で抽出する。合併した後の有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=50:1―10:1)によって精製した後、白色の固体である化合物4(200mg、67%)を得る。
LCMS:[M+H]=362.2。
【0083】
段階3.化合物6
化合物4(200mg、0.55mmol、1.0eq)をジメチルスルホキシド(5mL)に溶解し、次に化合物5(462mg、1.66mmol、3eq)およびDIPEA(214mg、1.66mmol、3eq)を順次に加える。反応液を40℃下で5時間反応させる。室温に冷却し、50mLの水を加え、酢酸エチル(3×15mL)で抽出する。合併した後の有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=20/1―2/1)によって精製した後、白色の固体である化合物6(180mg、54%)を得る。
LCMS:[M+H]=603.1。
【0084】
段階4.化合物8
化合物6(180mg、0.29mmol、1.0eq)を化合物7(0.5mL)に溶解し、反応液を窒素ガス保護下で80℃に昇温して2時間攪拌する。室温に冷却し、反応混合液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=100/1)によって精製した後、粗生成物を得、再びシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1―1/1)によって精製して、白色の固体である化合物8(140mg、67%)を得る。
LCMS:[M+H]=734.2。
【0085】
段階5.化合物10
化合物8(34mg、0.1mmol、1.0eq)をDMF(10mL)に溶解し、次にDPPP(42mg、0.1mmol、1.0eq)、酢酸パラジウム(23mg、0.1mmol、1.0eq)および化合物9のTHF溶液(2M、2mL、4mmol、40eq)を順次に加える。混合物を一酸化炭素で3回置換した後、一酸化炭素雰囲気中で75℃に加熱し、かつ16時間攪拌する。室温に冷却した後、反応液を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EA:MeOH=30:1)によって分離および精製して、化合物10(36mg、39%)を得る。
LCMS:[M+H]=727.4。
【0086】
段階6.化合物F
室温下で、化合物10(34mg、0.046mmol、1.0eq)をトリフルオロ酢酸(3mL)に溶解する。反応液を75℃下で3時間攪拌する。反応液を濃縮してトリフルオロ酢酸を除去し、残留物を酢酸エチル(200mL)で溶解し、有機相を順次に飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。粗生成物をpre―HPLC(0.05%ギ酸/アセトニトリル/水)によって精製して、黄色の固体F(7.1mg、35%)を得る。
LCMS:[M+H]=443.3。
H NMR(400MHz、MeOD)δ 8.40(s、1H)、7.65(s、1H)、4.24―4.15(m、1H)、4.00(d、J=13.7Hz、1H)、3.84(d、J=13.7Hz、1H)、3.30―3.21(m、2H)、3.15(s、3H)、3.04(s、3H)、2.40―2.20(m、2H)、1.96(br s、3H)、1.80―1.65(m、1H)、1.48(s、3H)、1.43―1.22(m、4H)、0.91(t、J=7.2Hz、3H)。
【0087】
実施例7.化合物G的調製
【化20】
【0088】
段階1.化合物3
室温下で、化合物1(75mg、0.1mmol、1eq)、化合物2(30mg、0.5mmol、5eq)、Pd(dba)(27mg、0.05mmol、0.5eq)、BrettPhos(46mg、0.05mmol、0.5eq)およびナトリウムtert―ブトキシド(30mg、0.3mmol、3eq)をトルエン(10mL)に加え、窒素ガスで置換した後、80℃に昇温して16時間反応させる。反応液を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=100/5)によって精製して、淡黄色の油状物である化合物3(10mg、14%)を得る。
LCMS:[M+H]=711.1。
【0089】
段階2.化合物G
化合物3(10mg、0.014mmol、1.0eq)をトリフルオロ酢酸(2mL)に溶解し、75℃に昇温して3時間反応させる。反応完了後、まず濃縮し、次に飽和重炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH>7に調節し、酢酸エチル(50mL*3)で抽出する。合併した後の有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後濃縮し、残留物をpre―HPLC(0.1%FA/アセトニトリル/水)によって精製した後、白色の固体である化合物G(1.5mg、25%)を得る。
LCMS:[M+H]=427.3
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.54(br s、1H)、8.01(s、1H)、6.86(s、1H)、4.61(s、1H)、4.09―3.90(m、2H)、3.73(d、J=13.6Hz、1H)、3.18―3.12(m、,2H)、2.50(s、1H)、2.26―2.17(m、2H)、1.88―1.73(m、4H)、1.47―1.33(m、7H)、0.95―0.81(m、4H)、0.54(s、2H)。
【0090】
実施例8.化合物Hの調製
【化21】
【0091】
段階1.化合物3
化合物1(5.5g、純度55%、18.37mmol、1.0eq)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、DIEA(11.87g、91.84mmol、5.0eq)を加え、反応液を室温下で0.5時間攪拌する。反応液に化合物2(5.12g、18.37mmol、1.1eq)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液を加え、次に室温下で一晩攪拌する。反応液を濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=20/1)によって精製して、黄色の固体である化合物3(4.2g、61%)を得る。
LCMS:[M+H]=375.0。
【0092】
段階2.化合物5
化合物3(4.2g、11.24mmol、1.0eq)をDMSO(20mL)に溶解し、次に化合物4(15g、89.92mmol、8.0eq)を加え、反応液を80℃下で2時間攪拌する。室温に冷却した後、反応液に水(80mL)を加え、クエン酸水溶液(1M)でpH値を7~8の間に調節し、次にEA(3×100mL)で抽出する。合併した後の有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮する。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)によって精製して、黄色の固体である化合物5(3.52g、62%)を得る。
LCMS:[M+H]=504.2。
【0093】
段階3.化合物7
化合物5(3.02g、5.99mmol、1.0eq)をDMF(50mL)に溶解し、次にDPPP(1.23g、3.0mmol、0.5eq)、酢酸パラジウム(671mg、3.0mmol、0.5eq)および化合物6のTHF溶液(2M、48mL、96mmol、16eq)を迅速に加える。システムを一酸化炭素で3回置換した後、一気圧の一酸化炭素雰囲気中で80℃に加熱し、かつ16時間攪拌する。反応液を室温に冷却した後、酢酸エチル(300mL)で希釈し、順次に水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮する。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM―DCM:MeOH=100:3)によって分離および精製して、粗生成物7(2.75g、92%)を得る。
LCMS:[M+H]=497.2。
【0094】
段階4.化合物H
化合物7(2.66g、5.36mmol、1.0eq)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(20mL)を加える。反応液を25℃下で2時間攪拌する。反応液を濃縮し、メタノールを加えて濃縮し、このように3回繰り返す。得られた残留物を酢酸エチル(300mL)に溶解し、得られた酢酸エチル溶液をNaCO水溶液でpH値を8に調節し、分離した有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮する。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM~DCM:MeOH=10:1)によって精製して、淡黄色の固体である化合物H(1.07g、58%)を得る。
LCMS:[M+H]=347.1。
H NMR(400MHz、CDCl)δ 8.44(s、1H)、7.75(s、1H)、7.62(s、1H)、6.72(br,2H)、3.89―3.76(m、2H)、3.14(s、3H)、3.00(s、3H)、2.01―1.94(m、1H)、1.79―1.73(m、1H)、1.45(s、3H)、1.42―1.25(m、4H)、0.91(t、J=7.2Hz、3H)。
【0095】
実施例9.化合物Iの調製
【化22】
【0096】
段階1.化合物3
化合物1(30mg、0.059mmol、1.0eq)をDMF(3mL)に溶解し、次にHATU(34mg、0.09mmol、1.5eq)、DIEA(23mg、0.18mmol、3.0eq)および化合物2(7.2mg、0.076mmol、1.3eq)を加え、室温下で1時間反応させる。反応液を水で希釈し、次に酢酸エチル(50mL*3)で抽出する。合併した後の有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=100/8)によって精製した後、黄色の固体である化合物3(20mg、62%)を得る。
LCMS:[M+H]=550.3。
【0097】
段階2.化合物I
化合物3(20mg、0.036mmol、1.0eq)をトリフルオロ酢酸(3mL)に溶解し、室温下で1時間反応させる。反応完了後、濃縮し、残留物をpre―HPLC(0.05%FA/アセトニトリル/水)によって精製した後、白色の固体である化合物I(7.3mg、51%)を得る。
LCMS:[M+H]=400.3。
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.59(d、J=2.0Hz、1H)、7.80(d、J=2.0Hz、1H)、4.42(t、J=7.6Hz、2H)、4.24(t、J=7.6Hz、2H)、3.93(d、J=13.6Hz、1H)、3.63(d、J=13.6Hz、1H)、2.45―2.27(m、2H)、2.24―2.17(m、1H)、1.95(s、3H)、1.83―1.76(m、1H)、1.47(s、3H)、1.41―1.26(m、4H)、0.90(t、J=6.8Hz、3H)。
【0098】
実施例10.化合物Jの調製
【化23】
【0099】
段階1.化合物3
化合物1(30mg、0.059mmol、1.0eq)をDMF(3mL)に溶解し、次にHATU(67mg、0.176mmol、3.0eq)、DIEA(90mg、0.696mmol、11.8eq)および化合物2(38.6mg、0.352mmol、6.0eq)を加え、室温下で3時間反応させる。反応液を水で希釈し、次に酢酸エチル(50mL*3)で抽出する。合併した後の有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)によって精製した後、化合物3(20mg、60%)を得る。
LCMS:[M+H]=566.4。
【0100】
段階2.化合物J
化合物3(20mg、0.035mmol)をDCM(3mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(1mL)を滴下し、反応液を室温下で2時間攪拌する。反応完了後、濃縮し、残留物をpre―HPLC(0.05%ギ酸/アセトニトリル/水)によって精製した後、白色の固体である化合物J(7.3mg、51%)を得る。
LCMS:[M+H]=416.3。
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.63(s、1H)、8.43(s、1H)、7.84(s、1H)、4.70―4.62(m、2H)、4.48―4.39(m、1H)、4.23―4.15(m、1H)、4.00―3.96(m、1H)、3.93(d、J=14.0Hz、1H)、3.60(d、J=14.0Hz、1H)、2.26―2.14(m、1H)、1.95(s、3H)、1.88―1.76(m、1H)、1.49(s、3H)、1.36―1.26(m、4H)、0.90(t、J=6.8Hz、3H)。
【0101】
実施例11.化合物Kの調製
【化24】
【0102】
段階1.化合物3
化合物1(33mg、0.065mmol、1.0eq)を無水DMF(5mL)に溶解し、次にHATU(32mg、0.084mmol、1.3eq)、トリエチルアミン(0.3mL、0.194mmol、3.0eq)および化合物2(12mg、0.084mmol、1.5eq)を加える。反応液を室温下で2時間攪拌する。反応液に20mLの水を加え、酢酸エチル(3×20mL)で抽出する。有機相を合併した後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=2/1)によって精製した後、黄色の油状物である化合物3(30mg、80%)を得る。
LCMS:[M+H]=580.3。
【0103】
段階2.化合物K
化合物3(30mg、0.052mmol、1.0eq)をジクロロメタン(1mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(3mL)を加える。反応液を室温下で2時間攪拌する。反応液を濃縮して得られた残留物をpre―HPLC(0.1%アンモニア水/アセトニトリル/水)によって精製した後、白色の固体である化合物K(5.8mg、21%)を得る。
LCMS:[M+H]=430.2。
H NMR(400MHz、DMSO)δ 8.45(s、1H)、7.87(br s、1H)、7.67(s、1H)、7.14(br s、1H)、6.53(br s、2H)、4.49―4.45(m、1H)、4.30―4.26(m、2H)、4.18―4.16(m、1H)、3.88(d、J=7.3Hz、1H)、3.74(dd、J=13.6、5.5Hz、1H)、3.49―3.44(m、1H)、3.22(s、3H)、2.10―2.04(m、1H)、1.82(s、3H)、1.76―1.71(m、1H)、1.37(s、3H)、1.27―1.23(m、4H)、0.84(t、J=6.5Hz、3H)。
【0104】
実施例12.化合物Lの調製
【化25】
【0105】
段階1.化合物3
化合物2(7mg、0.08mmol、1.3eq)をDMF(3mL)に溶解し、HATU(30mg、0.08mmol、1.3eq)および化合物1(30mg、0.06mmol、1.0eq)を加え、次にDIEA(23mg、0.17mmol、3.0eq)を反応液に加え、反応液を室温下で1時間攪拌する。反応液に水を加えて希釈し、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ過および濃縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=20/1)によって精製した後、白色の固体である化合物3(30mg、87%)を得る。
LCMS:[M+H]=586.3。
【0106】
段階2.化合物L
化合物3(30mg、0.05mmol、1.0eq)をジクロロメタン(1mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(5mL)を加える。混合物を室温下で1時間攪拌する。反応液を濃縮し、残留物を逆相カラムクロマトグラフィー(0.05%FA/CHCN/HO)によって精製して、白色の固体である化合物L(14.3mg、66%)を得る。
LCMS:[M+H]=436.2。
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.61(d、J=2.0Hz、1H)、7.83(d、J=2.0Hz、1H)、4.83―4.74(m、2H)、4.58(s、2H)、3.92(d、J=14.0Hz、1H)、3.62(d、J=14.0Hz、1H)、2.23―2.17(m、1H)、1.95(s、3H)、1.84―1.77(m、1H)、1.47(s、3H)、1.40―1.27(m、4H)、0.90(t、J=6.8Hz、3H)。
【0107】
実施例13.化合物Mの調製
【化26】
【0108】
段階1.化合物3
化合物1(30mg、0.059mmol、1.0eq)をDMF(3mL)に溶解し、次にHATU(67mg、0.176mmol、3.0eq)、DIEA(76mg、0.18mmol、3.0eq)および化合物2(35mg、0.352mmol、6.0eq)を加え、室温下で1時間反応させる。反応液を水で希釈し、次に酢酸エチル(50mL*3)で抽出する。合併した後の有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)によって精製した後、化合物3(30mg、85%)を得る。
LCMS:[M+H]=592.4。
【0109】
段階2.化合物M
化合物3(20mg、0.036mmol、1.0eq)をDCM(3mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(1mL)を滴下し、反応液を室温下で2時間攪拌する。反応完了後、濃縮し、残留物をpre―HPLC(0.05%ギ酸/アセトニトリル/水)によって精製した後、白色の固体である化合物M(6.6mg、41%)を得る。
LCMS:[M+H]=442.3。
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.57(s、1H)、7.79(s、1H)、4.83―4.81(m、4H)、4.57(s、2H)、4.37(s、2H)、3.93(d、J=13.6Hz、1H)、3.62(d、J=13.6Hz、1H)、2.26―2.15(m、1H)、1.95(s、3H)、1.86―1.74(m、1H)、1.47(s、3H)、1.43―1.20(m、4H)、0.90(t、J=6.8Hz、3H)。
【0110】
実施例14.化合物Nの調製
【化27】
【0111】
段階1.化合物3
化合物2(10mg、0.1mmol、1.3eq)をDMF(3mL)に溶解し、HATU(38mg、0.1mmol、1.3eq)および化合物1(40mg、0.08mmol、1.0eq)を加え、次にDIEA(30mg、0.23mmol、3.0eq)を反応液に加え、反応液を室温下で1時間攪拌する。反応液に水を加えて希釈し、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過および濃縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=20/1)によって精製した後、白色の固体である化合物3(20mg、43%)を得る。
LCMS:[M+H]=593.3。
【0112】
段階2.化合物N
化合物3(20mg、0.03mmol、1.0eq)をジクロロメタン(1mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(5mL)を加える。混合物を室温下で1時間攪拌する。反応液を濃縮し、残留物を逆相カラムクロマトグラフィー(0.05%FA/CHCN/H2O)によって精製して、白色の固体である化合物N(6.0mg、40%)を得る。
LCMS:[M+H]=443.3。
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.64(s、1H)、7.85(s、1H)、4.61(s、1H)、4.45(s、1H)、4.32―4.18(m、2H)、4.05―4.03(m、1H)、3.95―3.92(m、1H)、3.62―3.59(m、1H)、2.24(s、6H)、2.21―2.17(m、1H)、1.95(s、3H)、1.86―1.81(m、1H)、1.49(s、3H)、1.37―1.29(m、4H)、0.92―0.89(m、3H)。
【0113】
実施例15.化合物Pの調製
【化28】
【0114】
段階1.化合物3
化合物1(30mg、0.0587mmol、1.0eq)をDMF(1.5mL)に溶解し、次に化合物2(8mg、0.0881mmol、1.5eq)、HATU(29mg、0.0763mmol、1.3eq)およびDIEA(23mg、0.176mmol、3.0eq)を順次に加え、反応液を室温下で2時間攪拌する。反応液を酢酸エチル(30mL)で希釈し、次に順次に水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、残留物をシリカゲル調製プレート(ジクロロメタン/メタノール=10/1)によって精製した後、黄色の固体である化合物3(22mg、64%)を得る。
LCMS:[M+H]=580.3。
【0115】
段階2.化合物P
化合物3(22mg、0.0379mmol、1.0eq)をジクロロメタン(0.5mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(1.5mL)を加え、反応液を室温下で2時間攪拌する。反応液を濃縮し、残留物をpre―HPLC(0.1%ギ酸アセトニトリル/水)によって精製した後、白色の固体である化合物P(6.4mg、39%)を得る。
LCMS:[M+H]=430.3。
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.49(d、J=1.8Hz、1H)、8.36(s、1H)、7.70(d、J=1.8Hz、1H)、3.97―3.87(m、1H)、3.79(s、4H)、3.66(s、2H)、3.61―3.55(m、1H)、3.48(s、2H)、2.22―2.17(m、1H)、1.95(s、3H)、1.89―1.83(m、1H)、1.50(s、3H)、1.36―1.29(m、4H)、0.91(t、J=7.2Hz、3H)。
【0116】
実施例16.化合物Qの調製
【化29】
【0117】
段階1.化合物3
化合物1(30mg、0.059mmol、1.0eq)をDMF(3mL)に溶解し、次にHATU(34mg、0.09mmol、1.5eq)、DIEA(23mg、0.18mmol、3.0eq)および化合物2(10.9mg、0.088mmol、1.5eq)を加え、室温下で1時間反応させる。反応液を水で希釈し、次に酢酸エチル(50mL*3)で抽出する。合併した後の有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=100/8)によって精製した後、黄色の固体である化合物3(15mg、44%)を得る。
LCMS:[M+H]=581.3。
【0118】
段階2.化合物Q
化合物3(15mg、0.026mmol、1.0eq)をトリフルオロ酢酸(3mL)に溶解し、室温下で1時間反応させる。反応完了後、濃縮し、残留物をpre―HPLC(0.05%FA/アセトニトリル/水)によって精製した後、白色の固体である化合物Q(5.7mg、50%)を得る。
LCMS:[M+H]=431.2。
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.82(s、1H)、8.06(s、1H)、3.95―3.92(m、1H)、3.76(br s、2H)、3.62―3.58(m、1H)、3.24(br s、2H)、2.86(s、6H)、2.24―2.17(m、1H)、1.95(s、3H)、1.88―1.81(m、1H)、1.50(s、3H)、1.37―1.32(m、4H)、0.90(t、J=6.8Hz、3H)。
【0119】
実施例17.化合物Rの調製
【化30】
【0120】
段階1.化合物5
化合物1(30mg、0.059mmol、1.0eq)をDMF(3mL)に溶解し、次にHATU(67mg、0.176mmol、3.0eq)、DIEA(76mg、0.18mmol、3.0eq)および化合物4(35mg、0.352mmol、6.0eq)を加え、室温下で1時間反応させる。反応液を水で希釈し、次に酢酸エチル(50mL*3)で抽出する。合併した後の有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)によって精製した後、化合物5(30mg、88%)を得る。
LCMS:[M+H]=580.3。
【0121】
段階2.化合物R
化合物5(30mg、0.051mmol、1.0eq))をDCM(3mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(1mL)を滴下し、室温下で2時間反応させる。反応完了後、濃縮し、残留物をpre―HPLC(0.05%ギ酸/アセトニトリル/水)によって精製した後、白色の固体である化合物R(9.1mg、41%)を得る。
LCMS:[M+H]=430.3。
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.54(d、J=4.4Hz、1H)、7.76(d、J=7.2Hz、1H)、4.46(d、J=44Hz、1H)、3.94(d、J=13.6Hz、1H)、3.80―3.53(m、4H)、3.36―3.37(m、1H)、2.23―1.90(m、6H)、1.85―1.79(m、1H)、1.49(s、3H)、1.43―1.21(m、4H)、0.91(t、J=6.8Hz、3H)。
【0122】
実施例18.化合物Sの調製
【化31】
【0123】
段階1.化合物3
化合物1(30mg、0.059mmol、1.0eq)をDMF(3mL)に溶解し、次にHATU(67mg、0.176mmol、3.0eq)、DIEA(76mg、0.18mmol、3.0eq)および化合物2(35mg、0.352mmol、6.0eq)を加え、室温下で1時間反応させる。反応液を水で希釈し、次に酢酸エチル(50mL*3)で抽出する。合併した後の有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)によって精製した後、化合物3(30mg、88%)を得る。
LCMS:[M+H]=580.3。
【0124】
段階2.化合物S
化合物3(20mg、0.036mmol、1.0eq))をDCM(3mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1mL)を滴下し、室温下で2時間反応させる。反応完了後、濃縮し、残留物をpre―HPLC(0.05%FA/アセトニトリル/水)によって精製した後、白色の固体である化合物S(19mg、86%)を得る。
LCMS:[M+H]=430.3。
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.47―8.45(m、1H)、7.70―7.68(m、1H)、4.45(d、J=44Hz、1H)、3.94(d、J=14.0Hz、1H)、3.82―3.47(m、4H)、3.31~3.30(m、1H)、2.25―1.92(m、6H)、1.82―1.74(m、1H)、1.47(s、3H)、1.40―1.24(m、4H)、0.90(t、J=6.8Hz、3H)。
【0125】
実施例19.化合物Tの調製
【化32】
【0126】
段階1.化合物3
化合物1(1.2g、5.4mmol、1.1eq)をトルエン(20mL)に溶解し、次に化合物2(1g、4.9mmol、1.0eq)、Pd(dba)(450mg、0.5mmol、0.1eq)、XantPhos(290mg、0.5mmol、0.1eq)およびカリウムtert―ブトキシド(1.2g、10mmol、2eq)を順次に加える。反応液を100℃下で16時間攪拌する。反応液を濃縮した後得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した後、白色の固体である化合物3(760mg、47%)を得る。
LCMS:[M+H]=303.2。
【0127】
段階2.化合物4
化合物3(76mg、0.25mmol、1eq)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(1mL)を加える。反応液を室温下で2時間攪拌する。飽和重炭酸ナトリウムを加えてPH値を7―8に調節し、次にジクロロメタンで抽出する(10mL×2)。有機相を合併した後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、化合物4(45mg、88.5%)を得る。
LCMS:[M+H]=203.2。
【0128】
段階3.化合物8
化合物7(23mg、0.045mmol、1.0eq)をDMF(2mL)に溶解し、次に化合物4(18mg、0.090mmol、2.0eq)、HATU(21mg、0.054mmol、1.2eq)およびDIPEA(12mg、0.090mmol、2eq)を順次に加える。反応液を室温下で16時間攪拌し、次に水(20mL)に注ぐ。混合物を酢酸エチル(10mL×2)で抽出し、有機相を合併した後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後得られた粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10:1)によって精製して、化合物8(15mg、47.9%)を得る。
LCMS:[M+H]=695.4。
【0129】
段階4.化合物T
化合物8(15mg、0.022mmol、1eq)をジクロロメタン(4mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(1mL)を加える。反応液を室温下で3時間攪拌した後、飽和重炭酸ナトリウムを加えてPH値を7―8に調節する。混合物を酢酸エチル(10mL×2)で抽出し、有機相を合併した後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後の粗生成物をHPLC(0.1%ギ酸/アセトニトリル/水)によって精製した後、白色の固体である化合物T(2.0mg、17.0%)を得る。
LCMS:[M+H]=545.3。
H NMR(400MHz、CDCl)δ 8.66(s、1H)、7.84(s、1H)、7.25―7.21(m、2H)、6.93(d、J=8.0Hz、2H)、6.87(t、J=8.0Hz、1H)、6.59(s、1H)、5.43―5.26(m、2H)、4.08(s、2H)、3.99(s、2H)、3.89―3.82(m、1H)、3.75―3.69(m、1H)、3.20―3.00(m、4H)、2.09(t、J=8.0Hz、1H)、2.00(s、3H)、1.96―1.91(m、3H)、1.74―1.67(m、1H)、1.46(s、3H)、1.40―1.21(m、6H)、0.90(t、J=4.0Hz、3H)。
【0130】
実施例20.化合物Uの調製
【化33】
【0131】
段階1.化合物2
化合物1(500mg、6.164mmol、1.0eq)をテトラヒドロフラン(7mL)に溶解し、―55℃に冷却し、次にn―ブチルリチウム(2.4M、2.56mL、1.0eq)溶液を滴下する。反応液を―55℃下で5分間攪拌し、次に室温に昇温し、かつ室温下で3時間攪拌して、中間体2(0.65M、9.5mL、6.164mmol、100%)であるテトラヒドロフラン溶液を得、次に反応に直接使用される。
【0132】
段階2.化合物4
化合物3(100mg、0.180mmol、1.0eq)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、室温下で化合物2のテトラヒドロフラン溶液(0.65M、2.77mL、1.806mmol、10.0eq)を加え、反応液を室温下で0.5時間攪拌する。反応液を氷水に注ぎ、次に酢酸エチル(3×10mL)で抽出する。合併した後の有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、残留物をシリカゲル調製プレート(ジクロロメタン/メタノール=12/1)によって精製した後、黄色の固体である化合物4(25mg、24%)を得る。
LCMS:[M+H]=574.4。
【0133】
段階3.化合物U
化合物4(25mg、0.0436mmol、1.0eq)をジクロロメタン(0.7mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(2mL)を加え、反応液を室温下で1時間攪拌する。反応液を濃縮し、残留物をジクロロメタン(20mL)に溶解し、次にジョン時に炭酸ナトリウム水溶液(0.5M、20mL)および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、かつ濃縮する。得られた粗生成物の化合物をpre―HPLC(0.1%アンモニア水/アセトニトリル/水)によって精製した後、黄色の固体である化合物U(5.6mg、30%)を得る。
LCMS:[M+H]=424.1。
H NMR(400MHz、CDCl)δ 8.76(d、J=1.6Hz、1H)、8.06(d、J=2.0Hz、1H)、7.72(s、1H)、7.00(s、1H)、6.73(d、J=4.0Hz、1H)、6.48(s、1H)、6.20―6.18(m、1H)、5.99(br s、2H)、4.06(s、3H)、3.90―3.87(m、1H)、3.71~3.68(m、1H)、2.11―2.05(m、1H)、2.02(s、3H)、1.81―1.75(m、1H)、1.50(s、3H)、1.42―1.27(m、4H)、0.91(t、J=6.8Hz、3H)。
【0134】
実施例21.化合物Vの調製
【化34】
【0135】
段階1.化合物3
化合物1(100mg、0.183mmol、1.0eq)、化合物2(200mg、0.550mmol、3.0eq)、Pd(dppf)Cl(134mg、0.183mmol、1.0eq)をジオキサン(dioxane)(20mL)に溶解し、混合物を窒素ガスで3回置換した後、窒素ガス雰囲気中で85℃加熱し、かつ16時間攪拌する。室温に冷却した後、反応液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1~EA)によって分離および精製して、粗生成物3(200mg)を得る。
LCMS:[M+H]=537.3。
【0136】
段階2.化合物V
化合物3(200mg、0.183mmol、crude)をDCM(10mL)に溶解し、次にトリフルオロ酢酸(5mL)を滴下し、反応液を室温下で一晩攪拌する。反応完了後、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10/1)によって分離および精製して、粗生成物(100mg)を得、粗生成物をpre―HPLC(0.05%ギ酸/アセトニトリル/水)によって精製した後、化合物V(22.6mg、2段階の総収率は34%である)を得る。
LCMS:[M+H]=359.2。
H NMR(400MHz、CDOD)δ 8.93(s、1H)、8.14(s、1H)、3.94(d、J=14.0Hz、1H)、3.60(d、J=14.0Hz、1H)、2.69(s、3H)、2.26―2.13(m、1H)、1.94(s、3H)、1.88―1.75(m、1H)、1.49(s、3H)、1.42―1.23(m、4H)、0.90(t、J=6.4Hz、3H)。
【0137】
実施例22.ヒトToll様受容体7(TLR7)およびヒトToll様受容体8(TLR8)のインビトロ受容体結合活性スクリーニング実験
1.実験目的
インビトロ受容体結合実験を応用して、TLR7およびTLR8をそれぞれ活性化する本発明の化合物の能力を評価する。
【0138】
2.実験原理
HEK―Blue(商標)hTLR7(カタログ番号:hkb―hTLR7)およびHEK―Blue(商標)hTLR8(カタログ番号:hkb―hTLR8)細胞は、InvivoGen会社から購入した。HEK―Blue(商標)hTLR7/8細胞は、NF―κBシグナル伝達経路の活性化のレベルを検出することにより、TLR7/8の活性化を示すことができる。HEK―Blue(商標)hTLR7/8細胞は、ヒト胎児腎臓293細胞に由来し、それぞれヒトTLR7またはヒトTLR8、および発現を誘導できる分泌型塩基性ホスファターゼ(SEAP)レポーター遺伝子システムを安定的に発現する。ここで、SEAPレポーター遺伝子の発現は、IFN―β簡易プロモーターによって制御され、当該プロモーターは、五つのNF―κB結合配列とAP―1結合配列とが融合して構成される。従って、これらの二つの細胞でTLR7/8が活性化された後、NF―κBおよびAP―1を活性化し、SEAPの発現および細胞外分泌を誘導する。細胞外SEAP活性を検出することにより、TLR7/8の活性化レベルを示すことができる。
【0139】
3.実験手順
(1)化合物を3倍に勾配希釈した後、細胞培養プレートに合計10個の濃度で、各濃度に二つのデュープリケートウェルを加える。陰性対照ウェルの各ウェルに0.5μlのDMSOを加え、陽性対照ウェルの各ウェルに0.5μl、2.0mg/ml(5.7mM)のR848(構造式は
【化35】
である)を加える。
(2)HEK―Blue(商標)hTLR7/8細胞を別々に消化し、カウントした後、ウェルあたり5.0×10細胞で、化合物を含む96ウェル細胞培養プレートに加える。
(3)化合物を加えた細胞を37℃、5%COインキュベーターに入れて、24時間培養する。
(4)化合物活性の検出:20μl/ウェルの細胞培養上清を取り、180μlのQUANTI―Blue(商標)試薬を含む96ウェルプレートに加える。37℃で1時間インキュベートし、多機能マイクロプレートリーダーを使用して、650nmでの光学密度吸収値(OD650)を検出する。
(5)細胞活性の検出:Celltiter―Gloの説明書の方法に従って操作し、化学発光シグナル(RLU)を多機能マイクロプレートリーダーEnvisionで検出する。
(6)データ分析:
化合物の活性:OD650値をGraphPad Prismソフトウェアで分析し、化合物の用量反応曲線をフィッティングし、化合物のEC50値を計算する。
【0140】
細胞活性の検出:細胞活性をGraphPad Prismソフトウェアで分析し、化合物の用量反応曲線をフィッティングし、細胞に対する化合物のCC50値を計算する。
【0141】
4.実験結果:
【表1】
【0142】
上記の実験結果から、本発明の化合物は、TLR7およびTLR8のインビトロ受容体結合活性実験において、TLR8に対する特異的な活性化能力を示し、細胞毒性は観察されなかったことが分かる。化合物Xは、文献に知られている化合物であり、その構造は、
【化36】
であり、上記の試験結果から、化合物Xと比較して、本発明の化合物A、BおよびVは、TLR8活性化に対してより高い選択性を有することが分かる。
【0143】
実施例23.ヒト末梢血単核細胞(PBMC)実験
1.実験目的
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)実験およびIL―12p40のELISA検出方法を応用して、ヒトPBMCにおけるIL―12p40に対する本発明の化合物の誘導活性を検出する。
【0144】
2.実験原理
Toll様受容体(Toll―like receptors、TLRs)は、人間の免疫系を制御し、自然免疫(非特異的免疫)および特異的免疫の療法で重要な役割を果たす一連のスイッチである。TLR8は、主に単核細胞、マクロファージ、および骨髄性樹状細胞で発現する。TLR8は、細胞内のエンドソーム(Endosome)の内膜に発現し、GU(グアニル酸/ウリジル酸)含有量の高い一本鎖RNAを識別する。TLR8シグナル伝達経路が活性化された後、一連の下流サイトカイン(IL―12、TNF―alpha、IFN―gamma等)の分泌が活性化され、抗ウイルス免疫応答を引き起こす。本実験は、化合物を用いてヒトPBMCを刺激し、培養上清中のIL―12p40タンパク質のレベルを検出することにより、TLR8シグナル伝達経路に対する化合物の活性化レベルを評価する。
【0145】
3.実験手順
(1)化合物を3倍に勾配希釈した後、細胞プレートに合計8個の濃度で、各濃度に二つのデュープリケートウェルを加える。陰性対照ウェルの各ウェルに1μlのDMSOを加え、陽性対照ウェルの各ウェルに1μl、5.0mg/ml(14.25mM)のR848を加える。
(2)冷凍されたヒトPBMCを37℃のウォーターバス鍋に入れ、解凍後、15mlの遠心分離管に移し、10mLの予熱したRPMI1640培地を徐々に加え、均等に混合し、200xgで15分間遠心分離し、上清を除去する。再懸濁し、細胞をカウントし、細胞懸濁液を培養液で2.5×10細胞/mlに調節する。次に化合物を含む96ウェルプレートの各ウェルに、200μlの希釈された細胞(5.0×10細胞/ウェル)を加える。
(3)化合物と細胞とを37℃、5%COインキュベーターで24時間共培養する。
(4)化合物活性の検出:70μl/ウェルの細胞培養上清を取り、ELISAキットの説明書の方法に従って操作し、上清中のIL―12p40の含有量を検出し、多機能マイクロプレートリーダーを使用して、450nmでの各ウェルの光学密度吸収値(OD450)を検出する。
(5)細胞活性の検出:Celltiter―Glo説明書の方法に従って操作し、化学発光シグナル(RLU)を多機能マイクロプレートリーダーEnvisionで検出する。
(6)データ分析:
化合物の活性:OD450値をGraphPad Prismソフトウェアで分析し、化合物の用量反応曲線をフィッティングし、化合物のEC50値を計算する。
細胞活性の検出:細胞活性をGraphPad Prismソフトウェアで分析し、化合物の用量反応曲線をフィッティングし、細胞に対する化合物のCC50値を計算する。
【0146】
4.実験結果:
【表2】
【0147】
上記の実験結果から、本発明の化合物は、ヒトPBMCにおけるIL―12p40に対する誘導活性の試験において高い活性および安全性を示すことが分かる。IL―12p40に対する化合物AおよびBの誘導活性EC50値は、それぞれ0.031μMおよび0.020μMであることが分かる。ヒトPBMCに対する化合物AおよびBの細胞毒性CC50値は、療法とも>10 μMを超える。
【0148】
実施例24.薬物動態研究
1)研究目的:雄SDラット体内における試験化合物の薬物動態特徴および肝臓分布状況を得ることである。
【0149】
2)実験内容
薬物動態研究:6匹の健康な雄SDラット(SPF級)を二つのグループ、3匹のラット/グループに分け、一晩絶食させた後(経口投与グループのみ)、化合物Aを静脈内5mg/kg、経口50mg/kgを投与させ、0.083(IVのみ)、0.25、0.5、1、2、4、6(POのみ)、8および24時間の時点で頸静脈穿刺によって血液を収集し、少なくとも0.3mLの全血をEDTA―K抗凝固チューブに収集し、30分内に、遠心分離して血漿(6000rpm、8分間、4℃)を収集し、―20℃で凍結して後に使用する。
【0150】
肝臓と血液の比率の研究:4匹の健康な雄SDラット(SPF級)を二つのグループ、2匹のラット/グループに分け、一晩絶食させた後、化合物Aおよび化合物Xをそれぞれ経口投与し、1時間および4時間の時点で心臓穿刺により血液を収集し、少なくとも0.5mLの全血をEDTA―K抗凝固チューブに収集し、30分内に遠心分離して血漿を有終止(6000rpm、8分間、4℃)、―20℃で凍結して後に使用する。同時に、肝臓組織を収集し、生理食塩水で綺麗に洗浄した後、吸収紙で吸い取って乾かし、秤量し、―20℃で凍結して後に使用する。
【0151】
実験結果:得られた血漿中濃度データに基づいて、WinNonlin(登録商標) 8.1ソフトウェア(米国Certara会社)の非コンパートメントモデルを使用して、投与後の薬物動態のパラメーターを計算する。
【0152】
【表3】
【0153】
【表4】
【0154】
本発明で言及されたすべての文書は、あたかも各文書が個別に参照として引用されたかのように、本出願における参照として引用される。さらに、本発明の上記の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も、本出願の添付の請求範囲によって定義される範囲に含まれる。
【国際調査報告】