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特表2022-545876炭化水素の触媒水素化異性化のための改良方法
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  • 特表-炭化水素の触媒水素化異性化のための改良方法 図1
  • 特表-炭化水素の触媒水素化異性化のための改良方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-01
(54)【発明の名称】炭化水素の触媒水素化異性化のための改良方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 65/04 20060101AFI20221025BHJP
   C10G 45/62 20060101ALI20221025BHJP
   C10G 45/10 20060101ALI20221025BHJP
   B01J 29/068 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
C10G65/04
C10G45/62
C10G45/10 Z
B01J29/068 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510995
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2020074823
(87)【国際公開番号】W WO2021048026
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】102019124731.4
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596081005
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】397040605
【氏名又は名称】クラリアント ジャパン 株式会社
(72)【発明者】
【氏名】ラコッツィ,ライナー,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ハルダー,ヨハネス
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA15
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA02A
4G169BA05A
4G169BA07A
4G169BA13A
4G169BA17
4G169BA22A
4G169BA36A
4G169BA42A
4G169BB04A
4G169BB08A
4G169BB10A
4G169BC32A
4G169BC33A
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4G169BC69A
4G169BC75B
4G169BD12A
4G169CB02
4G169CB41
4G169DA06
4G169EB18X
4G169ZA32B
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4H129KD26X
4H129KD26Y
4H129KD38X
4H129KD38Y
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4H129KD44Y
4H129MA01
4H129MA12
4H129MB14A
4H129MB19B
4H129NA03
4H129NA04
4H129NA12
4H129NA22
4H129NA25
4H129NA30
4H129NA37
(57)【要約】
【要約】
本発明は、炭化水素の水素化異性化のための反応器中に直列に配置された複数層の触媒の配置、炭化水素の水素化異性化のための方法、および炭化水素の水素化異性化のための配置の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの触媒層が反応器内に配置され、第1触媒層が上流に配置され、第2触媒層が下流に配置され、第1触媒層の触媒が反応流体の水素化のための担持貴金属触媒であり、第2触媒層の触媒が第1触媒層を通過した後の反応流体の異性化のための二元機能性担持貴金属触媒であり、担体が酸性または塩基性特性を有する、炭化水素の水素化異性化のための反応器内の触媒配置。
【請求項2】
第1触媒層の触媒の担体が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、金属発泡体、セラミックまたは熱安定性ポリマーを含む、請求項1に記載の触媒配置。
【請求項3】
第2触媒層の触媒が、活性成分として、非晶質アルミノケイ酸塩、ゼオライト、塩素化酸化アルミニウム、タングステン化酸化ジルコニウムまたはスルホン酸化酸化ジルコニウムを含む、請求項1および2のいずれかに記載の触媒配置。
【請求項4】
前記第2触媒層の触媒が、活性成分として、タングステン化酸化ジルコニウムまたは硫酸化ジルコニウムを含み、遷移元素または希土類元素で促進されている、請求項3に記載の触媒配置。
【請求項5】
前記下流触媒が、前記担体上に固定化された酸またはイオン性液体を有する、請求項1~4のいずれかに記載の触媒配置。
【請求項6】
前記下流触媒の活性成分が、3D印刷法(ラピッドプロトタイピング)を使用することによって、熱的安定性有機物、セラミックまたは金属マトリックスに埋め込まれている、請求項1~5のいずれかに記載の触媒配置。
【請求項7】
第1触媒層の触媒および/または第2触媒層の触媒が、900℃での強熱減量後の触媒の重量に基づいて、0.05重量%~5.0重量%、好ましくは0.1重量%~4.0重量%、より好ましくは0.1重量%~3.0重量%の範囲内の貴金属含有量を有する、請求項1~6のいずれかに記載の触媒配置。
【請求項8】
前記触媒層が、同じ反応器ハウジング内にあるか、または連続して配置された反応器ハウジング内で互いに別々にある、請求項1~7のいずれかに記載の触媒配置。
【請求項9】
芳香族化合物、オレフィン、有機硫黄化合物、有機窒素化合物、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化カルボニルまたは二硫化炭素またはそれらの混合物の存在下での炭化水素混合物の触媒水素化異性化のための請求項1~8のいずれかに記載の触媒配置の使用。
【請求項10】
芳香族化合物、オレフィン、有機硫黄化合物、有機窒素化合物、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化カルボニルまたは二硫化炭素またはそれらの混合物の存在下での炭化水素混合物の触媒水素化異性化のための、請求項1~8のいずれかに記載の触媒配置を用いた方法であって、当該方法は、次の工程を含む:
―水素化異性化のための反応器を提供する;
―少なくとも2つの触媒層を配置する、ここで第1触媒層が上流に配置され、第2触媒層が下流に配置され、第1触媒層の触媒が反応流体の水素化のための担持貴金属触媒であり、第2触媒層の触媒が第1触媒層を通過した後の反応流体の異性化のための二元機能性担持貴金属触媒であり、担体が酸性または塩基性特性を有する;
―反応器に炭化水素混合物を充填する;
―当該炭化水素混合物を水素化異性化条件下で変換する;
―生成した水素化異性化炭化水素を反応器から取り出す。
【請求項11】
分解反応または転位反応による炭化水素混合物の沸騰曲線および密度の変化のための請求項10に記載の方法。
【請求項12】
芳香族をアルキル化メチルシクロペンタンに水素化異性化するための請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも2つの触媒層が、反応蒸留のための単一の蒸留プラントにおいて、別々のカラム中に存在するか、またはカラム充填材料として別々に存在する、請求項10~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記2つの触媒層が、微細構造反応器中に別々に存在する、または、別個の微細構造反応器中に存在する、請求項10~12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記2つの触媒層の少なくとも1つが、膜反応器中の触媒活性膜の形態である、請求項10~12のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
入口温度が220~320℃の範囲、好ましくは220~260℃の範囲、より好ましくは230~250℃の範囲、最も好ましくは235~245℃の範囲である、請求項10~12のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
1つ以上のさらなる触媒層が、前記下流に配置された触媒層の下流に配置される、請求項10~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記反応流体が軽質ガソリン留分である、請求項10~17のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素の水素化異性化のための反応器中の複数の連続した触媒層の配置、および炭化水素の水素化異性化のための方法、および炭化水素の水素化異性化のための当該配置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒水素化異性化は、炭素質資源を利用して、化学工業および石油化学工業において燃料または化学用品などの製品を得るための重要なプロセス工程である。炭素または対応する炭化水素の供給源は、硬質コールタール、石炭のコークスからの留出物および凝縮物、天然ガス、関連する石油ガス、原油、バイオマス、廃棄物、特にプラスチック廃棄物である。
【0003】
これらの供給源の多くは、酸素、窒素および硫黄のようなヘテロ原子を有する化合物をなお含有する。特に、硫黄含有源、例えば原油または硬質コールタールの場合、硫黄化合物および他のヘテロ原子化合物は、例えばNiMo、CoMoまたはNiW触媒上での水素転化によって、脱硫される。付加的な、通常は二元機能性触媒と組み合わせて、炭化水素化合物の結合開裂(クラッキング)または転位反応(異性化)が水素化条件下で可能である。このさらなる転化の目的は、例えば沸騰範囲(水素化分解)または粘度(脱パラフィン化、脱ロウとも呼ばれる)の調節である。
【0004】
鉱油処理の分野では、例えば貴金属を使用する二元機能性触媒を使用して既に脱硫された炭化水素流を水素化異性化する方法があり、例えば、
・塩素化塩化アルミニウム上でのn―ブタンからイソブタンへの異性化、
・ゼオライト上でのペンタンおよびヘキサンリッチの軽質ガソリン留分の異性化、
・ゼオライト上での高アルカンからイソアルカンへの異性化(C7+異性化)、
・シクロヘキサンリッチの軽質ガソリン留分からメチルシクロペンタンへの異性化である。
【0005】
本発明の文脈における二元機能性触媒は、担持触媒を意味すると解され、その担体は押出物、球、錠剤または他の凝集体の形態、ならびに金属成分の触媒活性を有し、さらなる成分中で混合することによって、または既に活性な均一な担体材料を使用することによって生成され得るさらなる触媒活性を有する。ほとんどの場合、これらは、ゼオライト、ハイドロタルサイト、最も広い意味での活性混合酸化物などの酸性または塩基性特性を有する固体化合物であるが、しかしイオン性液体または錯体でもある。
【0006】
特に、軽質ガソリン留分の異性化は重要な工業規模のプロセスであり、このプロセスは特に、エンジン内の燃料の制御されない自己着火を防止するために、ガソリンのいわゆる耐ノック性を増大させるための必須の工程である。
【0007】
最大硫黄含有量が10ppm質量である硫黄フリーディーゼル(ULSD)に対する需要が増大することにつれて、ほとんどの製油所は、従来の水蒸気改質による別個の水素製造を必要とする。供給流として重質軽質ガソリンを含む、オリジナル水素源、セミ再生触媒改質装置(CRU)、または連続触媒改質装置(CCR)は、もはや適切ではない。精油所における追加の、はるかに効率的な水素源の利用可能性は、触媒改質装置の明らかに経済的に実行可能な運転モードを可能にする。原油の品質に応じて、未処理の天然(直留)軽質ガソリン流を、原油からの大気蒸留によって、15~25質量%のオーダーで直接得ることが可能である。複雑さの程度および原油蒸留からのより重い留分の利用のレベルに応じて、製油所におけるガソリン範囲内の沸点留分の割合を50質量%まで増加させることが可能である。
【0008】
直留軽ガソリン流に必要な耐ノック性を達成するためのベースロードは、主に触媒改質装置の運転による。より軽い成分(C5とC6)の耐ノック性は、異性化を介して増加する。異性化は一般に、非常に複雑な製油所におけるガソリン自体収率のさらなる最適化のためのまさに最後のツールである。水蒸気改質からの追加の水素の利用可能性のために、今日では、耐ノック性、蒸気圧、および経済的実行可能性の観点から、触媒改質装置と異性化との相互作用をより一致させることが可能である。
【0009】
ガソリン中のベンゼン含有量のより大きな制限の結果として、異性化は今日ではベンゼンの飽和のために触媒の貴金属成分の水素化特性を付加的に、そしていくつかの場合には主に利用するための、さらにより重要な方法である。
【0010】
さらに、より多くのプラントオペレーターが、触媒改質装置からのより軽い留分を異性化供給物にブレンドする傾向がある。これは、異性化供給油中にオレフィンおよびジオレフィンの存在をもたらす。これらの非常に活性化合物は、異性化プロセスに非常に悪影響を及ぼす。
【0011】
Hidalgoら(Eur.J.Chem.,12(1),2014,p.1―13)は、反応流体が水素化異性化触媒を含む反応器に導かれる水素化異性化のための種々の方法を開示している。
【0012】
異性化プロセスの選択にかかわらず、一般に、反応物または生成物流から分岐または環状炭化水素を分離し、水素化異性化ステップのために反応器に導かれる反応物流中にこれらを濃縮するために、分岐炭化水素を再循環させることを含む、生成物のオクタン価の最適化のためのさらなる改変体が存在する。これは、蒸留または吸着によって達成される(E.A.Yasakova,A.V.Sitdikova,A.F.Achmetov,TENDENCY OF ISOMERIZATION PROCESS DEVELOPMENT IN RUSSIA AND FOREIGN COUNTRIES, Oil and Gas Business(2010))。
【0013】
米国特許第5,948,948号に記載されているさらなる変形は、プロセス流を反応性蒸留に供することによって水素化異性化を実施することを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,948,948号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Hidalgoら(Eur.J.Chem.,12(1),2014,p.1―13)
【非特許文献2】E.A.Yasakova,A.V.Sitdikova,A.F.Achmetov,TENDENCY OF ISOMERIZATION PROCESS DEVELOPMENT IN RUSSIA AND FOREIGN COUNTRIES, Oil and Gas Business(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
二元機能触媒水素化異性化は平衡反応であり、所望のイソアルカンに向かう反応の方向は低温が好ましい。反応流体中に存在する副生成物も、反応条件下および水素化異性化のための触媒の存在下で発熱反応において変換されるので、これは反応温度を増加させ、これは所望のイソアルカンに対する選択性を低下させる。さらに、所望の水素化異性化のための副生成物の触媒組成の結果として、利用可能な遊離触媒部位がより少なく、同様に、所望のイソアルカンに対する選択性に悪影響を及ぼす。
【0017】
天然軽質ガソリン留分は、5重量%までの芳香族、例えばベンゼン及びトルエンを含有することができる。これらは、プロセス条件下で水素化することができ、その結果、反応器内の温度がさらに増加し、さらに平衡が不利に動く。メルカプタンの存在下でも同様である。
【0018】
有機窒素化合物、特にアミンの存在は、水素化異性化触媒の触媒活性に2つの効果を有する。例えば、白金機能によるアミンのアンモニアへの変換があり、これは異性化の所望の開始に対する競合反応である。さらに、これらの化合物は本質的に塩基性であり、酸性部位との相互作用があり、したがって触媒の活性が大幅に低下する。アミンのアンモニアへの変換は、アンモニアの塩基性度がアミンの塩基性度よりも明らかに低いので、不動態化効果を減少させる。
【0019】
RONの損失(リサーチオクタン価)に関連する温度の極端な上昇による平衡位置への好ましくない影響と同様に、温度の高い上昇はまた、プラントの安全性の実質的な障害となる。
【0020】
したがって、より効率的な転化が可能であり、安全な操作様式も可能にする、炭化水素の水素化異性化のための方法が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0021】
当課題は、本発明の配置および本発明の配置を利用する方法によって解決される。
【0022】
本発明の1つの主題は、炭化水素の水素化異性化のための反応器における触媒の少なくとも2つの連続する層の配置に関する。さらなる主題は、炭化水素の水素化異性化のための方法、および炭化水素の水素化異性化のための当該配置の使用に関する。
【0023】
本発明の配置において、上流に配置された第1触媒層は、その中の物質流の水素化が主に存在するように選択される。下流に配置された第2の層において選択される触媒は、生成物流の水素化異性化をもたらす触媒である。
【0024】
本発明の文脈において上流に配置された層は反応流体が最初に案内される層を意味すると解され、一方、下流に配置された層は反応流体が続いて案内される層を意味すると解される。
【0025】
一実施形態では、反応器は断熱運転反応器である。ここで、「断熱運転」とは、反応器内の状態が断熱的または実質的に断熱的であることを意味する。
【0026】
本発明の配置を利用することによって、副生成物が水素化異性化の条件下および貴金属触媒の存在下で、下流の触媒層において、例えばオレフィンの二量化、対応する反応熱による芳香族の飽和、または塩基性アミンとの反応による貴金属触媒の阻害望などの望ましくない副反応に入ることができない、もしくは入っても非常に低いレベルであり、第1触媒層中の副生成物を選択的に水素化することが可能である。
【0027】
本発明の文脈における反応器は、単一の反応器ハウジングであってもよい。別の実施形態では、反応器が連続して配置された複数の反応器ハウジングからなってもよい。
【0028】
触媒層は同じ反応器ハウジング内に存在していてもよいし、連続して配置された反応器ハウジング内に互いに別々に配置されていてもよい。
【0029】
さらに、触媒層の上、間、および/または下に配置された不活性材料の層があってもよい。これらは、固定された反応器内在部または不活性材料床の形態をとることができる。これらの層は反応器中の反応流体の成分のより良好な分配を達成するために、または反応器中に導入された触媒材料が反応器から落下するのを防止するために役立ち得る。好ましい実施形態では、当該不活性材料が第2触媒層の下に存在する。
【0030】
好適な不活性材料は、好ましくは酸化アルミニウム、セラミック、焼成シリカまたは焼成粘土である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】反応器における触媒層の配置の概略図である。
図2】炭化水素の水素化異性化のための本発明の方法を実施するためのフロー装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明の配置の概略図を示す。反応器(10)内には、上流に配置された触媒層(11)があり、その後に別の触媒層(12)が続く。図1において、上流に配置された触媒層および下流に配置された触媒層の両方の上に不活性材料(13)も存在する。この図において、反応流体は、頂部から反応器(11)に導入され(14)、下端で再び取り出される(15)。
【0033】
下流に配置された触媒層、または任意にその触媒層のさらなる下流に配置された不活性材料層を越えて、1つ以上のさらなる触媒層が存在してもよい。
【0034】
例えば、このさらなる触媒層は存在する硫黄不純物を除去するために、水素化脱硫のための触媒を含むことができる。
【0035】
第1層触媒は、貴金属成分が塗布された多孔質担体からなる。これは、典型的には金属形態である。好ましい実施形態では、貴金属成分が元素Au、Pt、Rh、Pd、Ir、Ag、またはそれらの混合物のうちの1つから選択される。
【0036】
貴金属成分は、典型的には貴金属含有溶液中への多孔質担体の浸漬によって、貴金属含有溶液または懸濁液の塗布によって、または貴金属含有溶液のいわゆる初期湿潤含浸によって適用される。
【0037】
この触媒の貴金属含有量は、900℃での強熱減量後の触媒の重量に基づいて、0.05重量%~5.0重量%、好ましくは0.1重量%~4.0重量%、より好ましくは0.1重量%~3.0重量%の範囲内であってよい。
【0038】
第1の層中の触媒の多孔質担体は、典型的には酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ケイ素―アルミニウム、セラミック、金属発泡体および熱安定性ポリマーのリストから選択される材料である。担体は、わずかに酸性またはわずかに塩基性の性質しか有さない。このような担体は、クラッキングおよび異性化活性を実質的に全く有していない。したがって、一実施形態では、アンモニアの温度プログラム脱離(NH4―TPD)によって決定される酸性部位の数が100μmol/g未満、好ましくは50μmol/g未満である。酸性度を測定するために、200~400μmの粒子画分の形態のサンプル1~2gをHe流下で550℃まで加熱し、次いで110℃まで冷却し、ヘリウム中のNH3流をその温度でサンプルに通す。サンプルがNH3で飽和すると、最初に余分なNH3がサンプル領域からパージされる。続いて、試料を750℃に加熱し、脱着NH3を質量分析計(質量番号16)によって検出する。
【0039】
Roessner et al.(N.Supamathanon,J.Wittayakun,S.Prayoonpokarach,W.Supronowicz and F.Roessner,Quim.Nova,vol.35,no.9,1719―1723,2012)に記載されているように、弱塩基性の特性を有する担体は、2―メチル―3―ブチン―2―オールをアセトンまたはアセチレンに変換する能力を有する。本発明の文脈では、この目的のために、20mgの試料を固定床反応器に入れ、窒素気流下で350℃で4時間加熱する。続いて、試料を120℃に冷却し、その温度で、95体積%の2―メチル―3―ブチン―2―オールおよび5体積%のトルエンからなるガス流を反応器に通す。ガスクロマトグラフィーの手段による反応器の下流のガス流の解析を用いて、アセトンおよびアセチレンに対する全選択率を計算することができる。この全体的な選択性が30%未満、好ましくは20%未満の値を有する場合、担体は、本発明の目的のための弱塩基性担体である。
【0040】
一実施形態では、担体がDIN66133に対する水銀ポロシメトリーの手段によって決定される細孔容積を、少なくとも100mm/g、好ましくは少なくとも200mm/g、非常に好ましくは少なくとも300mm/gで有する。さらなる実施形態では、担体がDIN66133に対する水銀ポロシメトリーの手段によって決定される細孔容積を、最大800mm/g、好ましくは最大500mm/gで有する。さらなる実施形態では、担体が細孔容積を100~800mm/gの範囲、好ましくは200~500mm/gの範囲で有する。
【0041】
この触媒の担体は、押出、打錠、球状化、ペレット化、射出成形または3D印刷法によって形成することができる。
【0042】
下流の第2触媒層は、多孔質の酸性または塩基性担体および貴金属成分からなる二元機能性触媒である。好ましい実施形態では、貴金属成分がAu、Pt、Rh、Pd、Ir、Ag、Reまたはそれらの混合物のうちの1つの元素から選択される。
【0043】
当該貴金属成分は、典型的には貴金属含有溶液中への多孔質担体の浸漬によって、貴金属含有溶液または懸濁液の塗布によって、または貴金属含有溶液のいわゆる初期湿潤含浸によって適用される。
【0044】
この触媒のための当担体は、酸性または塩基性活性成分およびバインダーからなる。好ましいバインダーは、例えば擬ベーマイト、ベーマイトまたはコランダムなどの酸化アルミニウム、シリカ、非晶質アルミノケイ酸塩、または、ベントナイトのような酸化アルミニウム、またはそれらの混合物である。好ましい活性成分は、ゼオライト、塩素化酸化アルミニウム、タングステン化酸化ジルコニウムまたはスルホン酸化酸化ジルコニウムまたはそれらの混合物である。適切なゼオライトは、以下の骨格構造を有するものである:ETR、VFI、AET、SFH、SFN、AFI、AFR、AFS、AFY、ATO、BEA、BEC、BOG、CON、DFO、EMT、EON、EZT、FAU、IFR、IWR、IWV、IWW、LTL、MAZ、MEI、MOS、MTW、OFF、SFE、SFO、SSY、AEL、AFO、EUO、FER、HEU、LAU、MEL、MFI、MFS、MW、MTT、NES、SFF、STF、STI、SZR、TER、TONまたはERI。ゼオライトは、好ましくは以下の骨格構造:AFI、BEA、BOG、CON、EMT、EON、FAU、IWW、MAZ、MFI、MOSR、MTW、OFF、SFE、SFO、SSY、AEL、EUO、FER、HEU、MEL、MFI、MTT、MWW、NES、STI、TONまたはERIのうちの1つを有する。ゼオライトは、より好ましくは以下の骨格構造:AFI、BEA、EMT、FAU、MFI、MOR、MTW、AEL、EUO、FER、HEU、MEL、MFI、MTT、MWW、NES、TONまたはERIのうちの1つを有する。これらの骨格構造は「Atlas of Zeolite Framework Types」(Ch.Baerlocher,W.M.Meier,D.H.Olson,Elsevier,Sixth Revised Edition,2007)に記載されており、この点に関する開示は、本明細書に組み込まれる。
【0045】
一実施形態では、第2触媒層の触媒が活性成分として、タングステン化酸化ジルコニウムまたは硫酸化ジルコニウムを含み、遷移元素または希土類元素で促進されている。
【0046】
この触媒の担体は、押出、打錠、球状化、ペレット化、射出成形またはラピッドプロトタイピング法によって形成することができる。
【0047】
一実施形態では、第2だ触媒が担体上に固定化された酸またはイオン性液体を有する。
【0048】
一実施形態では、酸性または塩基性活性成分が膜の製造のために透過性ポリマーマトリックスに組み込まれる。従って、多孔質担体に貴金属成分を適用した後、膜反応器での使用が可能である。
【0049】
さらに、活性成分は、ウォッシュコートの形態で、ハニカム、構造化金属箔またはカラム充填材料に適用され得る。カラム充填材料は、ランダムまたは構造化された様式でカラム中に配置され得る。したがって、貴金属成分の適用後、反応蒸留または微細構造反応器での使用が可能である。
【0050】
本発明はさらに、芳香族化合物、オレフィン、有機硫黄化合物、有機窒素化合物、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化カルボニルまたは二硫化炭素またはそれらの混合物の存在下での炭化水素混合物の触媒水素化異性化のための、本発明の触媒配置を用いた方法に関し、当該方法は、以下の工程を含む:
―水素化異性化反応器の提供;水素化異性化のための反応器を提供する;
―少なくとも2つの触媒層を配置する、ここで第1触媒層が上流に配置され、第2触媒層が下流に配置され、第1触媒層の触媒が反応流体の水素化のための担持貴金属触媒であり、第2触媒層の触媒が第1触媒層を通過した後の反応流体の異性化のための二元機能性担持貴金属触媒であり、担体が酸性または塩基性特性を有する;
―反応器に炭化水素混合物を充填する;
―当該炭化水素混合物を水素化異性化条件下で変換する;
―生成した水素化異性化炭化水素を反応器から取り出される。
【0051】
入口温度は、炭化水素混合物が反応器に入る際に有する温度である。これは、典型的には220~320℃の範囲、好ましくは220~260℃の範囲、より好ましくは230~250℃の範囲、最も好ましくは235~245℃の範囲である。
【0052】
出口温度とは、生成流体が反応器から出る際の温度である。これは、典型的には240~340℃の範囲、好ましくは240~300℃の範囲、より好ましくは250~300℃の範囲、さらにより好ましくは255~295℃の範囲、最も好ましくは265~295℃の範囲である。
【0053】
反応器に導入される反応流体は、C4+炭化水素、すなわち構造中に少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素を含む。一実施形態では、反応流体は軽質ガソリン留分である。軽質ガソリン留分は、C4~C8炭化水素、すなわち少なくとも4個の炭素原子から多くとも8個の炭素原子を有する炭化水素の混合物を意味すると当業者には理解される。軽質ガソリンは、典型的にはASTMD86で測定して、少なくとも20℃の初期沸点および最大95℃の最終沸点を特徴とする。さらなる実施形態では、反応流体は灯油留分である。さらなる態様において、反応流体は、50℃の初期沸点および多くとも200℃の平均沸点を有する炭化水素の混合物である。さらなる実施形態では、反応流体はディーゼル留分である。
【0054】
反応器に入る炭化水素混合物は、水素化異性化される炭化水素と同様に、不純物および副生成物を含んでいてもよい。
【0055】
例えば、硫黄含有量は10000ppmまで、好ましくは5000ppmまで、特に好ましくは1000ppmまで、より好ましくは50~1000ppmである。一実施形態では、硫黄含有量が100~10000ppmの範囲、好ましくは500~5000ppmの範囲、より好ましくは500~1000ppmの範囲である。
【0056】
炭化水素混合物中の窒素含有量は、典型的には1~100ppmの範囲、好ましくは5~10ppmの範囲である。
【0057】
炭化水素混合物中の芳香族化合物の割合は、典型的には最大7%、特に最大5%であり、好ましくは1%~5%の範囲である。
【0058】
当該方法では、不純物および副生成物の水素化が第1触媒層で起こり;炭化水素の水素化異性化が第2触媒層で起こる。
【0059】
反応器から取り出された生成物流体は、水素化異性化炭化水素と同様に、副生成物および未変換炭化水素も含み得る。
【0060】
一実施形態では、当該方法が芳香族化合物のアルキル化メチルシクロペンタンへの水素化異性化のための方法である。
【0061】
さらなる実施形態では、本発明の方法が分解反応または転位反応によって反応器に導入される反応流体の沸騰曲線および密度に変化をもたらす。
【0062】
当該方法は、反応器ハウジング内で、または連続して配置された別個の反応器ハウジング内で実施することができる。少なくとも2つの触媒層が存在する。触媒層は、同じ反応器ハウジング内に存在してもよく、または連続して配置された反応器ハウジング内に互いに別々に配置されてもよい。
【0063】
当該方法の一実施形態では、少なくとも2つの触媒層が、反応蒸留のための単一の蒸留プラントにおいて、別々のカラムに、またはカラム充填材料として別々に存在する。カラム充填材料は、蒸留プラント内にランダムまたは構造的に配置されてもよい。
【0064】
さらなる実施形態では、少なくとも2つの触媒層が一つの微細構造反応器内に、または、別個の微細構造反応器内に、別々に存在する。
【0065】
さらなる実施形態において、少なくとも2つの触媒層は、膜反応器中の触媒活性膜の形態である。
【0066】
当該方法のさらなる実施形態では、不活性材料の層が触媒層の上、間、および/または下にさらに配置される。これらは、固定反応器内部または不活性材料床の形態をとることができる。これらの層は反応器中の反応流体の成分のより良好な分配を達成するために、または反応器中に導入された触媒材料が反応器から落下するのを防止するために役立ち得る。好ましい実施形態では、当該不活性材料が第2触媒層の下に存在する。好適な不活性材料は、好ましくは酸化アルミニウム、セラミック、焼成二酸化ケイ素または焼成粘土である。
【0067】
当該方法のさらなる実施形態では、下流に配置された触媒層を越えてさらなる1つ以上の触媒層、または任意にそれを越えて配置された不活性材料の層も存在する。
【0068】
例えば、このさらなる触媒層は存在する硫黄不純物を除去するために、水素化脱硫のための触媒を含むことができる。
【0069】
本発明はさらに、芳香族化合物、オレフィン、有機硫黄化合物、有機窒素化合物、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化カルボニルまたは二硫化炭素またはそれらの混合物の存在下で、炭化水素混合物の触媒水素化異性化のための本発明の触媒配置の使用を提供する。
【0070】
以下、添付図面を参照しながら、複数の実施例により本発明を詳細に説明する。図面は、図1反応器における触媒層の配置の概略図、図2炭化水素の水素化異性化のための本発明の方法を実施するためのフロー装置の概略図を示す。
【実施例
【0071】
本発明の文脈における強熱減量の測定は、分析される材料のサンプルの約1~2gの重量を測定し、次いで、それを周囲雰囲気下で900℃に加熱し、そしてそれを当温度で3時間貯蔵して、DIN51081に従った。その後、試料を保護雰囲気下で冷却し、残留重量を測定した。熱処理前後の重量差は、強熱減量に相当する。
【0072】
実験装置
比較例および本発明の実施例は図2に記載したような実験装置を用いて実施した。反応器の実質的に断熱的な特性のために設定を選択した。反応器(20)の寸法は、少なくとも2500cmの全触媒容積を収容できる大きさであった。また、15~30バールゲージの作動圧力で作動できるように設計した。
体積流量の厳密な制御のために、流量指示調節計FIC(21)と呼ばれる標準的な電子式質量流量調整器が使用された。窒素(22)は爆発性の空気―水素または空気―炭化水素混合物が形成されないように、単にプラントをパージする目的に役立った。供給オイル(23)は、はかり(25)上に置かれた冷却容器(24)中に最初に充填され、ポンプ(26)の手段により水素(27)と共にクロスフローマイクロスケール熱交換器I(28)中にポンプ輸送された。クロスフローマイクロスケール熱交換器(28)は、1.5kg/h(最小5kW)の上記規定圧力範囲で400℃まで水素流を加熱することができるように選択された。反応器(20)へのパイプラインを温度指示調節計TIC(29)の温度調節によって加熱し、所望の反応器入口温度が維持されるようにした。反応器出口には反応器出口温度を測定するための熱電対(30)があった。動作圧力は、背圧制御バルブ(31)を使用して調整されました。オンラインガスクロマトグラフ(34)の助けを借りて反応流体の成分を分析するために、減圧反応流体は、温度指示調節計TIC(32)の温度制御によって加熱された管継手内をサンプルループ(33)へと進んだ。あるいは、サンプルループ接続がクロスフローマイクロスケール熱交換器II(35)へのパイプ接続の一定の接続を許容した。液体試料採取容器(37)中でのさらなる特徴付けのための一体的試料を収集するために、温度調節計(36)の手段によって、反応液を少なくとも―10℃に冷却し、同様に天秤(38)上に置いて物質収支を確認した。漏出ガスをオフガス導管(39)に供給し、流量指示計FI(40)で質量流量を決定した。
【0073】
収率Yの算出、すなわち炭素数≧4を有する分子に基づく生成物分率の算出は、容器(37)に収集された炭素数≧4を有する分子の質量m(C4+)liq、および、ガスクロマトグラフィーで決定されるオフガス流中の炭素数≧4を有する分子の質量m(C4+)gasの和を、容器(24)に最初に充填された炭素数≧4を有する分子の質量m(C4+)inletで割った値として見出された:
【数1】
【0074】
表1~5に報告される重量比は、それぞれ、対応する試料中に存在するC4+炭化水素の総重量に基づく。
【0075】
比較例1および2ならびに本発明の実施例1~3では、2つの軽質ガソリン留分、すなわち、オレフィンを含まない供給油Aおよびオレフィン含有供給油Bを使用した。組成および計算された特性を表2にまとめる。
【0076】
表2:使用した供給油の組成及び性質(RONTHEO:組成から算出したリサーチオクタン価)
【表2】
【0077】
比較例1
反応器に、1.6mmの平均径および0.35質量%の白金含有量を有する押出物形態のクラリアント社からの市販のゼオライト触媒HYSOPAR(登録商標)5000を1790g入れた。触媒床を、寸法4.75×4.75mmの錠剤からなる酸化アルミニウム床の上に配置した。
【0078】
反応器を充填した後、それを耐圧密封し、プラントを周囲圧力に対して少なくとも500dm(STP)/hの窒素流で1時間パージした。続いて、窒素流および背圧調整器を調節し、同じガス流量が30バールゲージとなるようにした。10分後、システムに漏れがないか確認するため、ガス供給を停止した。その後、この手順を水素を用いて繰り返した。触媒の乾燥および活性化のために、反応器入口温度を、まず、周囲圧力に対して1000dm(STP)/hの水素ガス流量下で、3時間にわたって150℃まで上昇させた。続いて、この温度をさらに3時間維持した。これに続いて、反応器入口温度を8時間かけて300℃へと一定に上昇させた。続いて、この温度をさらに3時間維持した。
【0079】
触媒実験を開始する前に、反応器入口温度を1K/分の一定冷却速度で200℃に低下させ、水素流量を20バールゲージに対して905dm(STP)/hに調整した。
【0080】
触媒実験の開始時に、オレフィンを含まない供給油Aを質量流量2.628kg/hで供給し、反応器入口の温度を200℃から第1の目標温度に上昇させた。この温度に達した後、これらの条件を3時間にわたって変化させず、次いで反応器入口の温度を所望の温度だけ上昇させた。可能なガスクロマトグラフィー分析の数を、必要な分離時間によって決定した。典型的には、3時間で3回の分析が可能であった。
【0081】
比較例2
反応器充填、手順および実験条件は、オレフィン含有供給油Bを使用したことを除いて、比較例1と同様であった。
【0082】
実施例1
反応器に、1.6mmの平均粒径および0.35Ptの白金含有量を有する押出物形態のクラリアント社からの市販のゼオライト触媒HYSOPAR(登録商標)5000を1432g、で入れた。さらに、この触媒床上に、250kgのHYSOPAR(登録商標)1000型触媒(多孔質の弱酸性酸化アルミニウムの形態であり、白金含有量が0.30質量%)からなる別の床を導入した。HYSOPAR(登録商標)5000触媒の床を、寸法4.75×4.75mmの錠剤の酸化アルミニウム床上に配置した。
【0083】
手順および実験条件は実施例1と同様とし、オレフィンを含まない供給油Aを同様に使用した。
【0084】
実施例2
反応器に、1.6mmの平均粒径および0.35質量%の白金含有量を有する押出物形態でClariantからの市販のゼオライト触媒HYSOPAR(登録商標)5000を1432g入れた。さらに、当該触媒床上に、多孔質、弱酸性酸化アルミニウム、かつ、0.30質量%の白金含有量であるクラリアント社のHYSOPAR(登録商標)1000触媒250kgからなる別の床を導入した。HYSOPAR(登録商標)5000触媒の床を、寸法4.75×4.75mmの錠剤の酸化アルミニウム床の上に配置した。
【0085】
手順および実験条件は、オレフィン含有供給油Bを使用したことを除いて、比較例1のものと一致した。
【0086】
実施例3
反応器に、1.6mmの平均粒径および0.25質量%の白金含有量を有する押出物形態でClariantからの市販のゼオライト触媒HYSOPAR(登録商標)5000を1432g入れた。さらに、当該触媒床上に、多孔質、弱酸性酸化アルミニウム、かつ、0.30質量%の白金含有量であるクラリアント社のHYSOPAR(登録商標)1000触媒250kgからなる別の床を導入した。HYSOPAR(登録商標)5000触媒の床を、寸法4.75×4.75mmの錠剤の酸化アルミニウム床の上に配置した。
【0087】
手順および条件は、オレフィン含有供給油Bを使用したことを除いて、比較例1と同様とした。
【0088】
表3は、異なる反応器入口温度で生成された液体生成物の分析結果を示したものである。結果は、本発明の実施例の場合、比較例におけるよりも低い入口温度でより高い収率が達成されたことを示す。さらに、この結果は、全体として高価な白金がより少量で済んだ。
【0089】
表3:比較例1および2ならびに本発明の実施例1~3から得られた生成物流の反応器温度および主要特性
【表3】
【0090】
実施例4
反応器に、1.6mmの平均粒径および0.25質量%の白金含有量を有する押出物形態でクラリアント社からの市販のゼオライト触媒HYSOPAR(登録商標)7000を860g入れた。さらに、当該触媒床上に、多孔質、弱酸性酸化アルミニウム、かつ、0.30質量%の白金含有量であるクラリアント社のHYSOPAR(登録商標)1000触媒900kgからなる別の床を導入した。HYSOPAR(登録商標)5000触媒の床を、寸法4.75×4.75mmの錠剤の酸化アルミニウム床の上に配置した。
【0091】
手順は水素流量を30バールゲージに対して839dm(STP)/hに調節し、以下の組成および特性を有するベンゼン含有供給油Cを使用したことを除いて、比較例1の手順に従った:
供給油C:n―ヘキサン94重量%及びベンゼン6重量%
RONTHEO=32
15℃での濃度=0.6811kg/dm
平均分子量98.875g/mol
【0092】
表4は、異なる反応器入口温度で2つの実験手順AおよびBで生成された液体生成物の分析からの結果を示したものである。
表4:反応器温度および実施例4から得られた生成物流の主要特性のまとめ
【表4】
【0093】
表4のデータから、本発明の配置は入口温度を低下させ、同時に収率を改善し、RONを上昇させることができることが分かる。
【0094】
実施例5
触媒および手順は、以下の組成および特性を有する供給油Dを使用したことを除いて、実施例4と同様とした:
【0095】
給油D:15℃で0.7691kg/dmの密度を有するケロシン留分、硫黄重量30ppmおよびASTMD2887に対する沸騰特性を表5のようにシミュレートした。
【0096】
表5:使用した供給油DのASTMD2887に対する沸騰曲線
【表5】
【0097】
M.R.Riazi,Characterization and Properties of Petroleum Fractions,ASTM(2005)第一版、131頁によれば、「凍結点」は沸騰進行および密度からFRP=―35℃と計算される。
実験条件は実施例4のものに相当した。
【0098】
表6は、異なる反応器入口温度で実験手順A、BおよびCで生成された液体生成物流の分析結果を示したものである。
【0099】
表6:反応器温度および実施例5から得られた生成物流の主要特性
【表6】
【0100】
表6から、本発明の配置はFRPを低下させることが分かる。また、C4+炭化水素の収率は、プロセスがより低い入口温度で実施される場合に増加し得ることが見出される。
図1
図2
【国際調査報告】