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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-01
(54)【発明の名称】アンテナ及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/50 20060101AFI20221025BHJP
   H01Q 9/30 20060101ALI20221025BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
H01Q1/50
H01Q9/30
H01Q1/24 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512425
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 CN2020107867
(87)【国際公開番号】W WO2021036753
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】201910794483.X
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ジアミーン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ,リヤーン
(72)【発明者】
【氏名】チュウ,ジアホゥイ
(72)【発明者】
【氏名】ヨウ,ジアチーン
(72)【発明者】
【氏名】イーン,リージュイン
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046AB06
5J046AB07
5J047AA02
5J047AA04
5J047AB06
5J047AB07
5J047FD01
(57)【要約】
本願は、アンテナ及びこのアンテナを含む電子装置を提供する。アンテナは、アンテナ本体と、アンテナ本体に位置する給電点及び接地点とを含む。アンテナ本体は、互いに交差する第1のセクション及び第2のセクションを含む。給電点とアンテナ本体の第1の端部との間の電気的長さは、給電点と第1の端部の反対側の第2の端部との間の電気的長さよりも大きい。アンテナ本体は、給電点と第1の端部との間で1/4波長モードでの第2の波長の共振を発生させ、アンテナ本体は、第1の端部と第2の端部との間で1/2波長モードでの第2の波長の共振を発生させる。本願では、1/4波長モードでの第2の波長の共振に基づいて発生するモード励起は、1/2波長モードでの第2の波長の共振を使用して強化することができ、それによって、アンテナの水平モード励起及び垂直モード励起は、比較的バランスが取れたものになる。従って、アンテナは、電子装置が自由空間(FS)にあるか、ハンドヘルド状態にあるかに関係なく、比較的良好な放射性能を有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
L字型のアンテナ本体を含むアンテナであって、前記アンテナ本体は、第1のセクションと、該第1のセクションと交差する第2のセクションとを含み、前記アンテナ本体は、間隔を置いて配置された給電点及び接地点を含み、前記給電点は無線周波数フロントエンドに接続されるように構成され、前記接地点は接地に使用され、
前記アンテナ本体は、互いに離れている第1の端部及び第2の端部を含み、前記第1の端部は、前記第1のセクションの一部であり且つ前記第2のセクションから遠くに離れた端部であり、前記第2の端部は、前記第2のセクションの一部であり且つ前記第1のセクションから遠くに離れた端部であり、前記給電点と前記第1の端部との間の電気的長さは、前記給電点と前記第2の端部との間の電気的長さよりも大きく、前記アンテナ本体は、前記給電点と前記第1の端部との間で1/4波長モードでの第1の波長の共振を発生させ、前記アンテナ本体は、前記第1の端部と前記第2の端部との間で1/2波長モードでの第2の波長の共振を発生させ、前記第1の波長は前記第2の波長よりも大きい、
アンテナ。
【請求項2】
前記給電点と前記第1の端部との間に発生する共振の周波数と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に発生する前記共振の周波数との差が、50MHz~200MHzの範囲である、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
当該アンテナは第1のスイッチング回路を含み、第1の接続点が前記アンテナ本体に配置され、前記第1の接続点は、前記給電点及び前記接地点の側であり且つ前記第2の端部から遠くに離れた側に配置され、前記第1のスイッチング回路の一端が前記第1の接続点に接続され、他端が接地され、前記第1のスイッチング回路は、前記給電点と前記第1の端部との間の前記電気的長さを変更するように構成される、請求項1又は2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記アンテナは第2のスイッチング回路を含み、第2の接続点が前記アンテナ本体にさらに配置され、前記給電点及び前記接地点は、前記第1の接続点と前記第2の接続点との間に位置し、前記第2のスイッチング回路の一端が前記第2の接続点に接続され、他端が接地され、前記第2のスイッチング回路は、前記給電点と前記第2の端部との間の前記電気的長さを変更するように構成される、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記第1のスイッチング回路は、第1の切替えスイッチと、接地される複数の異なる第1のチューニング素子とを含み、前記第1の切替えスイッチは、スイッチングによって前記異なる第1のチューニング素子に接続されて、前記給電点と前記第1の端部との間の前記電気的長さを変更する、請求項3又は4に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記第1のスイッチング回路は、第1の切替えスイッチと、接地される複数の異なる第1のチューニング素子とを含み、前記第2のスイッチング回路は、第2の切替えスイッチと、接地される複数の異なる第2のチューニング素子とを含み、前記複数の第1のチューニング素子は、前記複数の第2のチューニング素子と1対1で対応し、前記第1の切替えスイッチが、スイッチングによって前記異なる第1のチューニング素子に接続されるときに、前記第2の切替えスイッチは、スイッチングによって、前記第1の切替えスイッチに接続される第1のチューニング素子に対応する第2のチューニング素子に接続される、請求項4に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記第1の切替えスイッチは、複数の第1の固定端部と、スイッチングによって前記複数の第1の固定端部に接続される第1の可動端部とを含み、該第1の可動端部は前記第1の接続点に接続され、各第1の固定端部は1つの第1のチューニング素子に接続され、
前記第2の切替えスイッチは、複数の第2の固定端部と、スイッチングによって前記複数の第2の固定端部に接続される第2の可動端部とを含み、該第2の可動端部は前記第2の接続点に接続され、各第2の固定端部は1つの第2のチューニング素子に接続される、請求項6に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記第1のチューニング素子又は前記第2のチューニング素子は、並列に接続された又は直列に接続されたコンデンサ、インダクタ、及び抵抗器のいずれか1つ又は複数で得られる、請求項6又は7に記載のアンテナ。
【請求項9】
第3のチューニング素子が、前記接地点と該接地点の接地位置との間に接続され、前記第3のチューニング素子は、前記アンテナ本体の電気的長さを調整するように構成される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記第1のエッジの長さが第2のエッジの長さよりも長く、前記第1のスロットと前記第2のエッジとの間の距離が、前記第2のスロットと第1のエッジとの間の距離よりも大きい、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記第1のスロットと前記第2のエッジとの間の前記距離は90mm以上である、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記給電点は、前記第1のエッジに位置する、請求項10又は11に記載のアンテナ。
【請求項13】
導電性フレーム、無線周波数フロントエンド、及び請求項1乃至12のいずれか一項に記載のアンテナを含む電子装置であって、前記フレームは、第1のエッジと、該第1のエッジと交差する第2のエッジとを含み、第1のスロットが前記第1のエッジに配置され、第2のスロットが前記第2のエッジに配置され、前記フレームの一部であり且つ前記第1のスロットと前記第2のスロットとの間に位置する部分が、前記アンテナの前記アンテナ本体を形成し、前記フレームの一部であり且つ前記第1のスロットと前記第2のエッジとの間にあるセクションが、前記アンテナ本体の第1のセクションであり、前記フレームの一部であり且つ前記第2のスロットと前記第1のエッジとの間にあるセクションが、前記アンテナ本体の第2のセクションであり、
前記無線周波数フロントエンドは、前記アンテナ本体の前記給電点に接続され、且つ無線周波数信号を前記アンテナ本体に供給するか、又は前記アンテナ本体から送信された無線周波数信号を受信するように構成される、
電子装置。
【請求項14】
絶縁性フレーム、無線周波数フロントエンド、及び請求項1乃至12のいずれか一項に記載のアンテナを含む電子装置であって、前記フレームは、第1のエッジと、該第1のエッジと交差する第2のエッジとを含み、前記アンテナの第1のセクションが前記第1のエッジに隣接して配置され、前記アンテナの第2のセクションが前記第2のエッジに隣接して配置され、
前記無線周波数フロントエンドは、前記アンテナ本体の前記給電点に接続され、且つ無線周波数信号を前記アンテナ本体に供給するか、又は前記アンテナ本体から送信された無線周波数信号を受信するように構成される、
電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年8月23日に中国国家知識産権局に出願した、“ANTENNA AND ELECTRONIC DEVICE”という表題の中国特許出願第201910794483.Xに対する優先権を主張するものであり、この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、通信技術の分野に関連し、特に、アンテナ及びこのアンテナを含む電子装置に関連する。
【背景技術】
【0003】
現在、携帯電話等の電子装置のアンテナソリューションの設計では、通常、金属の貫通スロットが通信機能を実現するために使用される。具体的には、複数の間隔を置いたスロットが導電性フレームに配置され、隣接するスロットの間の部分がアンテナのアンテナ本体を形成する。現在の電子装置では、スロットは、通常、電子装置のフレームの2つの反対側のエッジに位置するため、アンテナは、主に水平モード励起又は垂直モード励起を発生させる。その結果、水平モードの励起及び垂直モードの励起は、バランスが取れていない。電子装置を手で持つと、フレームのスロットは容易に塞がれる。この場合に、アンテナの水平モード励起又は垂直モード励起が弱まり、デスグリップが発生する。その結果、アンテナの放射性能が影響を受ける。
【発明の概要】
【0004】
本願は、アンテナ及び電子装置を提供し、アンテナの水平モード励起及び垂直モード励起のバランスが取れていないという問題を解決し、それによって、アンテナは、ハンドヘルド状態で依然として比較的良好なアンテナ放射性能を有する。
【0005】
第1の態様によれば、本願はアンテナを提供する。アンテナはL字型のアンテナ本体を含む。アンテナ本体は、第1のセクションと、第1のセクションと交差する第2のセクションとを含む。アンテナ本体は、間隔を置いて配置される給電点及び接地点を含む。給電点は、無線周波数フロントエンドに接続されるように構成される。接地点は接地に使用される。アンテナ本体は、互いに離れている第1の端部及び第2の端部を含む。第1の端部は、第1のセクションに関し且つ第2のセクションから遠くに離れた端部である。第2の端部は、第2のセクションに関し且つ第1のセクションから遠くに離れた端部である。給電点と第1の端部との間の電気的長さは、給電点と第2の端部との間の電気的長さよりも大きい。アンテナ本体は、給電点と第1の端部との間で1/4波長モードでの第1の波長の共振を発生させ、アンテナ本体は、第1の端部と第2の端部との間で1/2波長モードでの第2の波長の共振を発生させる。第1の波長は第2の波長よりも大きい。
【0006】
アンテナは、フレームアンテナ(すなわち、アンテナ本体が電子装置のフレームであるアンテナ)、フレキシブルプリント回路(Flexible Printed Circuit, FPC)のアンテナ形態、レーザ直接構造化(Laser-Direct-structuring, LDS)、又はマイクロストリップディスクアンテナ(Microstrip Disk Antenna, MDA)等のアンテナ形態であり得る。アンテナがフレキシブルプリント回路のアンテナ形態である場合に、アンテナ本体は線形ストリップ構造に関するものであり得、使用中に、アンテナ本体はL字型のアンテナ本体を形成するように曲げられる。
【0007】
アンテナ本体は、給電点と第1の端部との間で1/4波長モードでの第1の波長の共振を発生させる。換言すれば、給電点と第1の端部との間の電気的長さは、1/4波長モードでの略第1の波長であり、それによって、アンテナ本体は、給電点と第1の端部との間で1/4波長モードでの第1の波長の共振を発生させることができる。アンテナ本体は、第1の端部と第2の端部との間で1/2波長モードでの第2の波長の共振を発生させる。換言すれば、第1の端部と第2の端部との間の電気的長さは、1/2波長モードでの略第2の波長であり、それによって、アンテナ本体は、第1の端部と第2の端部との間で1/2波長モードでの第2の波長の共振を発生させることができる。いくつかの実施形態では、第1の波長及び第2の波長は、それらの放射周波数がLTE規格の同じ周波数帯域(例えば、B28、B5、又はB8)内にある信号の動作波長である。
【0008】
本願のこの実施形態では、給電点と第1の端部との間の電気的長さが、給電点と第2の端部との間の電気的長さよりも大きいため、比較的長い電気的長さのセクション(給電点と第1の端部との間のセクション)の電気的長さは、約1/4波長であり、給電点と第1の端部との間で1/4波長モードでの第2の波長の共振を発生させ、それによって、本願のこの実施形態における1/4波長モードでの第2の波長の共振は、比較的大きな放射開口を有することができる。従って、アンテナは、比較的良好な放射性能を有する。第1の端部が位置する側に直交する方向のモード励起は、給電点と第1の端部との間での1/4波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナ本体が発生させる共振に基づいて発生させることができる。本願のこの実施形態では、第1の端部は、第1のセクションに関し且つ第2のセクションから遠くに離れた端部である。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1のセクションは、水平方向又は垂直方向に配置され、すなわち、水平モード励起又は垂直モード励起は、1/4波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生させることができる。1/2波長モードでの第2の波長の共振は、第1の端部と第2の端部との間に形成され、アンテナ本体はL字型であるため、第1のセクションに直交する方向のモード励起、及び第2のセクションに直交する方向のモード励起を、発生させることができる。いくつかの実施形態では、水平モード励起及び垂直モード励起を発生させることができ、これは、1/4波長モードでの第2の波長の共振に基づいて発生するモード励起を強化するのを助けることができ、それによって、アンテナの水平モード励起及び垂直モード励起のバランスを比較的取ることができる。従って、アンテナは、ハンドヘルド状態でも依然として比較的良好なアンテナ放射性能を有する。換言すれば、本願では、アンテナ本体は、1/4波長モードでの第2の波長の共振と、1/2波長モードでの第2の波長の共振との両方を発生させることができ、1/4波長モードでの第2の共振に基づいて発生するモード励起、及び他の方向のモード励起は、1/2波長モードでの第2の波長の共振を使用して強化でき、それによって、アンテナの水平モード励起及び垂直モード励起のバランスが比較的取れている。
【0009】
モード励起は、アンテナが異なるモードを発生できるようにするために、ポート励起がアンテナに追加されることを意味する。モード励起は、アンテナ接地での励起によって発生する特性電流の様々な分布によって表される。例えば、本願のこの実施形態では、第1の端部が位置する側に直交する方向のモード励起は、1/4波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生する。すなわち、アンテナ接地に励起を加えた後に発生する特性電流の主な流れの方向は、第1の端部が位置する側の方向に直交する。第1の端部が位置する側の方向が水平方向である場合に、垂直モード励起が主に発生する。第1の端部が位置する側の方向が垂直方向である場合に、水平モード励起が主に発生する。第1のセクションに直交する方向のモード励起及び第2のセクションに直交する方向のモード励起は、1/2波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生し、すなわち、アンテナ接地に励起を加えた後に発生する特性電流の主な流れの方向は、第1の端部が位置する側の方向、及び第2の端部が位置する側の方向に直交する。
【0010】
本願のこの実施形態では、第1の波長は第2の波長よりも大きい、すなわち、1/4波長モードでの第1の波長の共振及び1/2波長モードでの第2の波長の共振が同じ動作周波数帯域にあるときに有効ピット(efficiency pit)を生成することを回避するために、給電点と第1の端部との間に発生する共振周波数は、第1の端部と第2の端部との間に発生する共振周波数よりも小さく、それによって、アンテナは、動作周波数帯域で良好な放射性能を有することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、給電点と第1の端部との間に発生する共振周波数と、第1の端部と第2の端部との間に発生する共振周波数との間の差が、50MHz~200MHzの範囲であり、1/4波長モードでの第1の波長の共振と1/2波長モードでの第2の波長の共振との間の適合性(compatibility)をより良好に実現する。従って、アンテナは、自由空間とハンドヘルド状態との両方で良好な放射性能を有することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、アンテナは第1のスイッチング回路を含み、第1の接続点がアンテナ本体に配置され、第1の接続点は、給電点及び接地点の側であり且つ第2の端部から遠く離れた側に配置され、第1のスイッチング回路の一端が第1の接続点に接続され、他端が接地され、第1のスイッチング回路は、給電点と第1の端部との間の電気的長さを変更するように構成される。本願のこの実施形態では、第1のスイッチング回路は、第1の接続点に接続される、すなわち、第1のスイッチング回路は、第1の接続点を介してアンテナ本体に接続される。このようにして、第1のスイッチング回路を使用して、給電点と第1の端部との間の電気的長さ、及び第1の端部と第2の端部との間の電気的長さを変更して、1/4波長モードでの第1の波長の共振、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数を変更することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の接続点は、給電点及び接地点の側であり且つ第1の端部から遠くに離れた側に代替的に配置され、給電点と第2の端部との間の電気的長さ、及び第1の端部と第2の端部との間の電気的長さを変えて、1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数を変更することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、アンテナは第2のスイッチング回路を含み、第2の接続点がアンテナ本体にさらに配置され、給電点及び接地点は、第1の接続点と第2の接続点との間に配置され、第2のスイッチング回路の一端が第2の接続点に接続され、他端が接地され、第2のスイッチング回路は、給電点と第2の端部との間の電気的長さを変更するように構成される。本願のこの実施形態では、第2のスイッチング回路は、第2の接続点に接続される、すなわち、第2のスイッチング回路は、第2の接続点を介してアンテナ本体に接続され、給電点と第2の端部との間の電気的長さを変更する。第1のスイッチング回路は、給電点と第1の端部との間の電気的長さを変更して、1/4波長モードでの第1の波長の共振の動作周波数を変更する。第2のスイッチング回路は、第1のスイッチング回路と協調して、アンテナ本体の電気的長さ(すなわち、第1の端部と第2の端部との間の電気的長さ)を変更し、1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数を変更する。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1のスイッチング回路の位置と第2のスイッチング回路の位置とを交換することができることが理解され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1のスイッチング回路は、第1の切替えスイッチと、接地される複数の異なる第1のチューニング素子とを含み、第1の切替えスイッチは、スイッチングによって異なる第1のチューニング素子に接続されて、給電点と第1の端部との間の電気的長さ変更する。第1の切替えスイッチは、スイッチングによって異なる第1のチューニング素子に接続され、それによって、異なる第1のチューニング素子はアンテナ本体に接続される。異なる第1のチューニング素子は、異なるタイプのチューニング素子であり得、例えば、コンデンサ、インダクタ、又は抵抗器であり得る。あるいはまた、異なる第1のチューニング素子は、同じタイプに関するものであり且つ仕様及びサイズが異なるチューニング素子であり得る。例えば、全てのチューニング素子はインダクタであるが、チューニング素子のインダクタンス値は異なる。異なる第1のチューニング素子がアンテナ本体に接続され、アンテナ本体の第1の端部と第2の端部との間の電気的長さ、及び給電点と第1の端部との間の電気的長さを変更し、アンテナ本体によって発生する1/4波長モードでの第1の波長の共振と、1/2波長モードでの第2の波長の共振とを調整する。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1のスイッチング回路は、第1の切替えスイッチと、接地される複数の異なる第1のチューニング素子とを含み、第2のスイッチング回路は、第2の切替えスイッチと、接地される複数の異なる第2のチューニング素子とを含む。複数の第1のチューニング素子は、複数の第2のチューニング素子と1対1で対応し、第1の切替えスイッチがスイッチングによって異なる第1のチューニング素子に接続されるときに、第2の切替えスイッチは、スイッチングによって、第1の切替えスイッチに接続される第1のチューニング素子に対応する第2のチューニング素子に接続される。異なる第2のチューニング素子は、異なるタイプのチューニング素子であり得、例えば、コンデンサ、インダクタ、又は抵抗器であり得る。あるいはまた、異なる第2のチューニング素子は、同じタイプに関するものであり且つ仕様及びサイズが異なるチューニング素子であり得る。例えば、全てのチューニング素子はインダクタであるが、チューニング素子のインダクタンス値は異なる。
【0018】
本願のこの実施形態では、第1の切替えスイッチがスイッチングによって異なる第1のチューニング素子に接続されるときに、第2の切替えスイッチは、スイッチングによって、第1の切替えスイッチに接続される第1のチューニング素子に対応する第2のチューニング素子に接続され、それによって、アンテナ本体に接続される第1のチューニング素子及び第2のチューニング素子のサイズを変更して、給電点と第1の端部との間の電気的長さ、及び第1の端部と第2の端部との間の電気的長さを変えて、アンテナ本体によって発生する1/4波長モードでの第1の波長の共振及び1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数を調整する。さらに、第2の切替えスイッチに接続される第2のチューニング素子は、第1の切替えスイッチに接続される第1のチューニング素子に対応し、従って、アンテナ本体によって発生する1/4波長モードでの第1の波長の共振及び1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数は、常に、50MHz~200MHzの範囲であり、1/4波長モードでの第1の波長の共振と、1/2波長モードでの第2の波長の共振との間の適合性をより良好に実現する。従って、アンテナは、自由空間とハンドヘルド状態との両方で良好な放射性能を有することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の切替えスイッチは、複数の第1の固定端部と、スイッチングによって複数の第1の固定端部に接続される第1の可動端部とを含み、第1の可動端部は、第1の接続点に接続され、各第1の固定端部は、1つの第1のチューニング素子に接続される。第2の切替えスイッチは、複数の第2の固定端部と、スイッチングによって複数の第2の固定端部に接続される第2の可動端部とを含み、第2の可動端部は、第2の接続点に接続され、各第2の固定端部は、1つの第2のチューニング素子に接続される。本願のこの実施形態では、第1の可動端部は、スイッチングによって異なる第1の固定端部に接続され、それによって、異なる第1の固定端部に接続される第1のチューニング素子はアンテナ本体に接続される。第2の可動端部は、スイッチングによって異なる第2の固定端部に接続され、それによって、異なる第2の固定端部に接続される第2のチューニング素子はアンテナ本体に接続される。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の切替えスイッチは、単極多投スイッチ又は多極多投スイッチであり得る。第1の切替えスイッチが単極多投スイッチである場合に、1つの第1の可動端部が存在し、第1の可動端部は、スイッチングによって複数の第1の固定端部に接続される。第1の切替えスイッチが多極多投スイッチである場合に、複数の第1の可動端部が存在する。いくつかの実施形態では、第1の可動端部の数量は、第1の固定端部の数量と同じであり、複数の第1の可動端部は、複数の第1の固定端部と1対1で対応している。各第1の可動端部は、第1の可動端部に対応する第1の固定端部に接続する又はこれから接続解除することができる。
【0021】
第1のチューニング素子又は第2のチューニング素子は、並列に接続された又は直列に接続されたコンデンサ、インダクタ、及び抵抗器のうちの任意の1つ又は複数を用いて得られる。
【0022】
いくつかの実施形態では、第3のチューニング素子が、接地点と接地点の接地位置との間に接続され、第3のチューニング素子は、アンテナ本体の電気的長さを調整するように構成される。本願のこの実施形態では、第3のチューニング素子が接地点と接地位置との間に接続され、それによって、第1の端部と第2の端部との間の電気的長さ、及び給電点と第1の端部との間の電気的長さを変化させて、アンテナ本体の第1の端部と第2の端部との間に発生する共振と、給電点と第1の端部との間に発生する共振とを調整して、必要な共振モード(例えば、本願のいくつかの実施形態における1/4波長モードでの第1の波長の共振及び1/2波長モードでの第2の波長の共振)を得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1のエッジの長さが、第2のエッジの長さよりも長く、第1のスロットと第2のエッジとの間の距離が、第2のスロットと第1のエッジとの間の距離よりも大きい。
【0024】
本願のこの実施形態では、第1のスロットと第2のエッジとの間の距離は、第2のスロットと第1のエッジとの間の距離よりも大きい。換言すれば、いくつかの実施形態では、アンテナ本体は、互いに交差する第1のセクション及び第2のセクションを含み、第1のセクションは、第1のエッジの第1のスロットと第2のエッジとの間のセクションであり、第2のセクションは、第2のエッジの第2のスロットと第1のエッジとの間のセクションである。比較的短い長さであり且つアンテナ本体に関する第2のセクションは、比較的短い長さであり且つフレームに関する第2のエッジに位置し、比較的長い長さであり且つアンテナ本体に関する第1のセクションは、比較的長い長さであり且つフレームに関する第1のエッジに位置するため、より多くのL字型アンテナをフレームにさらに配置して、フレームに比較的適切なアンテナ構成を実現することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のスロットと第2のエッジとの間の距離は、90mm以上であり、電子装置を手で持ったときに、第1のスロットが保持される(hold:閉じる)ケースをある程度回避する。従って、アンテナは、ハンドヘルド状態でも依然として比較的良好な放射性能を有することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、給電点は第1のエッジに位置する。いくつかの実施形態では、アンテナ本体の第1のセクションの長さが、アンテナ本体の第2のセクションの長さよりも長く、従って、給電点が第1のエッジに位置することは、アンテナ本体が第1のセクションに位置することを意味する。アンテナ本体の第1のセクションの長さは、アンテナ本体の第2のセクションの長さよりも長く、従って、いくつかの実施形態では、給電点と第1の端部との間の物理的長さは、給電点と第2の端部との間の物理的長さよりも大きい。従って、給電点と第1の端部との間の電気的長さが給電点と第2の端部との間の電気的長さよりも長く、1/4波長モードでの第1の波長の共振が給電点と第1の端部との間で発生し得るケースは、比較的小さなチューニング素子のみを接続することによって、又は給電点と第1の端部との間にチューニング素子を接続せずに実現することができる。このようにして、製造コストを削減することができる。
【0027】
第2の態様によれば、本願は、電子装置を提供する。電子装置は、導電性フレーム、無線周波数フロントエンド、及びアンテナを含む。フレームは、第1のエッジと、第1のエッジと交差する第2のエッジとを含む。第1のスロットが第1のエッジに配置され、第2のスロットが第2のエッジに配置される。フレームの一部であり且つ第1のスロットと第2のスロットとの間にある部分が、アンテナのアンテナ本体を形成する。フレームの一部であり且つ第1のスロットと第2のエッジとの間にあるセクションが、アンテナ本体の第1のセクションであり、フレームの一部であり且つ第2のスロットと第1のエッジとの間にあるセクションが、アンテナ本体の第2のセクションである。無線周波数フロントエンドは、アンテナ本体の給電点に接続され、且つ無線周波数信号をアンテナ本体に供給するか、又はアンテナ本体から送信された無線周波数信号を受信するように構成される。本願のいくつかの実施形態では、電子装置の第1のエッジは垂直方向にあり、第2のエッジは水平方向にある。あるいはまた、電子装置の第1のエッジは水平方向にあり、第2のエッジは垂直方向にある。
【0028】
本願のこの実施形態では、フレームの一部であり且つ第1のスロットと第2のエッジとの間にあるセクションは、アンテナ本体の第1のセクションであり、フレームの一部であり且つ第2のスロットと第1のエッジとの間にあるセクションは、アンテナ本体の第2のセクションである。水平方向の励起又は垂直方向の励起は、1/4波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生させることができ、水平方向の励起及び垂直方向の励起は、1/2波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生させることができ、それによって、アンテナの水平モード励起と垂直モード励起との両方が比較的強く、アンテナの水平モード励起及び垂直モード励起は比較的バランスが取れている。従って、アンテナを含む電子装置が自由空間(FS)にあるかハンドヘルド状態にあるかに関係なく、アンテナは、比較的良好な放射性能を有することができる。また、フレームの一部であり且つ第1のスロットと第2のスロットとの間にある部分をアンテナ本体として使用することにより、アンテナの占有サイズを小さくすることができ、電子装置の構造を簡素化することができ、製造プロセスを簡素化することができる。
【0029】
第3の態様によれば、本願は、電子装置を提供する。電子装置は、絶縁性フレーム、無線周波数フロントエンド、及びアンテナを含む。フレームは、第1のエッジと、第1のエッジと交差する第2のエッジとを含む。アンテナの第1のセクションが第1のエッジに隣接して配置され、アンテナの第2のセクションが第2のエッジに隣接して配置される。無線周波数フロントエンドは、アンテナ本体の給電点に接続され、且つ無線周波数信号をアンテナ本体に供給するか、又はアンテナ本体から送信された無線周波数信号を受信するように構成される。本願のいくつかの実施形態では、電子装置の第1のエッジは垂直方向であり、第2のエッジは水平方向である。あるいはまた、電子装置の第1のエッジは水平方向であり、第2のエッジは垂直方向である。本願のいくつかの実施形態では、電子装置の第1のエッジは垂直方向であり、第2のエッジは水平方向である。あるいはまた、電子装置の第1のエッジは水平方向であり、第2のエッジは垂直方向である。
【0030】
本願のこの実施形態では、アンテナの第1のセクションは第1のエッジに隣接して配置され、アンテナの第2のセクションは第2のエッジに隣接して配置される。水平方向の励起又は垂直方向の励起は、1/4波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生させことができ、水平方向の励起及び垂直方向の励起は、1/2波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生させることができ、それによって、アンテナの水平モード励起と垂直モード励起との両方が比較的強く、アンテナの水平モード励起及び垂直モード励起のバランスが比較的取れている。従って、アンテナを含む電子装置が自由空間(FS)にあるかハンドヘルド状態にあるかに関係なく、アンテナは、比較的良好な放射性能を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本願の構造的特徴及び機能をより明確に説明するために、以下では、添付の図面及び特定の実施形態を参照して、本願について詳細に説明する。
図1】本願の一実施形態による電子装置の構造の概略図である。
図2】本願の一実施形態によるアンテナの構造の概略図である。
図3】本願の図1に示される一実施形態による電子装置の内部構造の概略図である。
図4】電子装置の内部構造の別の概略図である。
図5】電子装置がポートレートモードである場合の、電子装置のハンドヘルド状態の概略図である。
図6図3に示される電子装置のアンテナの異なるステータスの反射減衰量係数(S11)の曲線の図である。
図7図3に示される電子装置のアンテナが自由空間にあるときに存在する電流及び放射方向のシミュレーション図である。
図8図3に示される電子装置のアンテナの放射効率の図である。
図9】本願による電子装置のアンテナの反射減衰量係数(S11)の曲線の別の図である。
図10図9に表されるアンテナのシステム効率の図である。
図11】電子装置がランドスケープモードである場合の、電子装置の別のハンドヘルド状態の概略図である。
図12図3に示される電子装置の例示的な構造のアンテナが、自由空間にあり、ハンドヘルド状態であるときに存在するシステム効率及び放射効率の図である。
図13図3に示される電子装置のアンテナの異なるステータスのシステム効率及び放射効率の図である。
図14】別の実施形態によるアンテナの構造の概略図である。
図15a】別の実施形態によるアンテナの構造の概略図である。
図15b】別の実施形態によるアンテナの構造の概略図である。
図16】別の実施形態によるアンテナの構造の概略図である。
図17図16に示されるアンテナの切替えスイッチの可動端部が、スイッチングによって3つの異なるチューニング素子に個別に接続されるときに存在する反射減衰量の図である。
図18図16に示されるアンテナの切替えスイッチの可動端部が、スイッチングによって3つの異なるチューニング素子に個別に接続されるときに存在するシステム効率及び放射効率の図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本願の実施形態における添付の図面を参照して、本願の実施形態における技術的解決策について明確且つ完全に説明する。
【0033】
本願は、電子装置を提供し、電子装置は、外部と通信するためのアンテナを含む。電子装置が自由空間(free style, FS)又は手で持って頭を傍にしたモード(beside head and hand mode)(左手で持って頭を傍にしたモード(beside head and hand left side mode)と右手で持って頭を傍にしたモード(beside head and hand right side mode)とを含む)である場合に、アンテナは比較的良好な動作効果を達成して、電子装置を手に持ったときのアンテナの信号送信への影響を回避し、特に、電子装置を手に持ったときのアンテナの低周波数(low band, LB)信号の送信への影響を回避することができる。アンテナの低周波信号の周波数は、通常699MHz~960MHzの範囲である。電子装置は、携帯型電子装置又は別の適切な電子機器であり得る。例えば、電子装置は、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、時計、アクセサリ装置、或いは別のウェアラブル又はマイクロ装置、携帯電話、又はメディアプレーヤー等の比較的小さな装置であり得る。
【0034】
図1は、本願の一実施形態による電子装置100の構造の概略図である。この実施形態では、電子装置100は携帯電話である。電子装置100は、フレーム10及びディスプレイ20を含む。フレーム10は、ディスプレイ20の周りに配置される。フレーム10は、互いに反対側に配置される2つの第1のエッジ11と、2つの第1のエッジと交差する2つの第2のエッジ12とを含む。2つの第1のエッジ11及び2つの第2のエッジ12は、頭部から尾部に(head-to-tail)接続されて、四角形のフレーム10を形成する。この実施形態では、電子装置100は四角形の平板構造である、すなわち、フレーム10は四角形の形状である。いくつかの実施形態では、フレーム10は、フレーム10に対してより審美的に心地よい効果を提示するために面取りを含む。第2のエッジ12の伸長方向は、水平方向(図に示されるX方向)であり、第1のエッジ11の伸長方向は垂直方向(図に示されるY方向)である。この実施形態では、第1のエッジ11の長さは、第2のエッジ12の長さよりも大きい。いくつかの実施形態では、第1のエッジ11の伸長方向及び第2のエッジ12の伸長方向は、変更され得、第1のエッジ11の長さ及び第2のエッジ12の長さも変更され得る。これは、本明細書では特に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、第1のエッジ11の伸長方向は水平方向であり得、第2のエッジ12の伸長方向は垂直方向であり得る。第1のエッジ11の長さは、第2のエッジ12の長さよりも短くてもよい。この実施形態では、フレーム10は、金属等の導電性材料で作製しても、或いはプラスチック又は樹脂等の非導電性材料で作製してもよい。
【0035】
ディスプレイ20は、画像、ビデオ等を表示するように構成される。ディスプレイ20は、フレキシブルディスプレイ又はリジッド(rigid:剛性)ディスプレイであり得る。例えば、ディスプレイ20は、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode, OLED)ディスプレイ、アクティブマトリックス有機発光ダイオード(active-matrix organic light-emitting diode, AMOLED)ディスプレイ、ミニ有機発光ダイオード(mini organic light-emitting diode)ディスプレイ、マイクロ発光ダイオード(micro organic light-emitting diode)ディスプレイ、マイクロ有機発光ダイオード(micro organic light-emitting diode)ディスプレイ、量子ドット発光ダイオード(quantum dot light emitting diode, QLED)ディスプレイ、又は液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display, LCD)であり得る。
【0036】
図2を参照すると、電子装置100は、アンテナ40及び無線周波数フロントエンド50をさらに含む。アンテナ40は、アンテナ本体41を含む。アンテナ本体41は、無線周波数信号を外部に放射するか、又は外部から無線周波数信号を受信するように構成され、それによって、電子装置100は、アンテナ本体41を使用して外部と通信することができる。無線周波数フロントエンド50は、アンテナ本体41に接続され、且つ無線周波数信号をアンテナ本体41に供給するか、又はアンテナ本体41によって受信される外部無線周波数信号を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、無線周波数フロントエンド50は、送信チャネル及び受信チャネルを含む。送信チャネルには、電力増幅器及びフィルタ等のコンポーネントが含まれる。信号は、電力増幅及びフィルタリング等の処理が電力増幅器及びフィルタ等のコンポーネントを使用して実行された後に、アンテナ本体41に送信され、アンテナ本体41によって外部に送信される。受信チャネルには、低ノイズ増幅器及びフィルタ等のコンポーネントが含まれる。アンテナ本体41で受信した外部信号は、低ノイズ増幅及びフィルタリング等の処理が低ノイズ増幅器及びフィルタ等のコンポーネントを使用して実行された後に無線周波数チップに送信され、無線周波数フロントエンド50及びアンテナ40を使用して電子装置100と外部との間の通信を実現する。
【0037】
アンテナ本体41は、L字型構造であり、第1のセクション411と、第1のセクション411と交差する第2のセクション412とを含む。第1のセクション411の一部であり且つ第2のセクション412から遠くに離れた端部が、第1の端部Aであり、第2のセクション412の一部であり且つ第1のセクション411から遠くに離れた端部が、第2の端部Bである。本願のいつくかの他の実施形態では、第1の端部A及び第2の端部Bは交換できることを強調しておく。換言すれば、いくつかの実施形態では、第2のセクション412の一部であり且つ第1のセクション411から遠くに離れた端部が、第1の端部Aであり、第1のセクション411の一部であり且つ第2のセクション412から遠くに離れた端部が、第2の端部Bである。
【0038】
アンテナ本体41は、間隔を置いて配置された給電点413及び接地点414を含む。接地点414は、給電点413と第1の端部Aとの間に位置し得るか、又は給電点413と第2の端部Bとの間に位置し得る。給電点413は、無線周波数フロントエンド50に電気的に接続されるように構成され、それによって、無線周波数フロントエンド50によって生成された信号は、給電点413を介してアンテナ本体41に送信され、アンテナ本体41を介して外部に送信され得る。あるいはまた、アンテナ本体41によって受信された外部信号が給電点413を介し無線周波数フロントエンド50に送信される。本願における給電点413は実際の点ではなく、無線周波数フロントエンド50がアンテナ本体41に接続される位置が、本願の給電点413である。
【0039】
接地点414は接地され、アンテナ本体41の電気的長さは、接地点414の位置を調整することによって調節することができる。電気的長さが変更されると、アンテナ本体41の共振周波数を変更することができる。いくつかの実施形態では、接地点414は、接地ピン又は接地ワイヤ等の接地部材を使用して接地される。接地部材の一端がアンテナ本体41の接地点414に接続され、他端が接地され、それによって、接地点414は接地される。なお、本願における接地点414は実際の点ではなく、接地ピン又は接地ワイヤ等の接地部材がアンテナ本体41に接続される位置が、接地点414であることに留意されたい。
【0040】
本願におけるアンテナ本体41の電気的長さは、複数の方法で測定され得ることに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、アンテナ本体41の電気的長さは、受動的な試験方法を使用して測定され得る。具体的には、アンテナはジグ(jig)に製造され、アンテナ本体41の第1の端部A及び第2の端部Bのそれぞれが銅シートで密封され、異なる瞬間に測定されたアンテナの反射減衰量図の変化が観察され、アンテナ本体41の第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さ、及び給電点413と第1の端部A又は第2の端部Bとの間の電気的長さを決定する。
【0041】
図3は、図1に示される電子装置100の内部構造の概略図である。電子装置100は、中間フレーム30をさらに含む。ディスプレイ20は、中間フレーム30と積み重ねられ、フレーム10は、中間フレーム30の周りに配置される。この実施形態では、中間フレーム30は、金属等の導電性材料(例えば、金属材料)で作製され、中間フレーム30は接地される。フレーム10が導電性材料で作製される場合に、フレーム10の少なくとも一部は、中間フレーム30に電気的に接続されて、この中間フレーム30を使用してフレーム10を接地することができる。本願のいくつかの実施形態では、電子装置100は、中間フレーム30を含まない場合があり、フレーム10は、接地を実施するために、接地部材を使用して別の接地位置に接続され得る。
【0042】
本願のいくつかの実施形態では、フレーム10は金属材料で作製され、フレーム10のいくつかのセクションをアンテナ本体41として使用して、アンテナ40によって占有されるスペースを削減することができる。図3に示される実施形態では、第1のスロット111が、第1のエッジ11に配置され、第2のスロット121が、第2のエッジ12に配置され、第1のスロット111と第2のスロット121との間のフレーム10は、この実施形態ではアンテナ本体41を形成する。第1のエッジ11にあり且つ第1のスロット111と第2のエッジ12との間にある部分が、アンテナ本体41の第1のセクション411であり、第2のエッジ12にあり且つ第2のスロット121と第1のエッジ11との間にある部分が、アンテナ本体41の第2のセクション412である。アンテナ本体41は、第1のスロット111及び第2のスロット121を使用して、フレーム10上のアンテナ本体41以外の部分から電気的に絶縁される。さらに、アンテナ本体41と中間フレーム30との間にギャップ42があり、アンテナ本体41の良好なクリアランス環境を確保し、それによって、アンテナ40は良好な信号送信機能を有する。いくつかの実施形態では、フレーム10上のアンテナ本体41以外の部分は、中間フレーム30に接続され得、中間フレーム30と一体的に形成され得る。フレーム10上のアンテナ本体41以外の部分が、電子装置の別のアンテナ(例えば、Wi-Fiアンテナ又はGPSアンテナ)のアンテナ本体として使用される場合に、フレーム10上のアンテナ本体以外の部分と中間フレーム30との間にギャップ42もあり、アンテナの良好なクリアランス環境を確保することが理解され得る。
【0043】
アンテナ本体41は、第1の端部A及び第2の端部Bを含む。この実施形態では、第1の端部Aの端面が第1のスロット111に面し、第2の端部Bの端面が第2のスロット121に面する。この場合に、第1の端部Aは電子装置100の垂直方向に位置し、第2の端部Bは電子装置100の水平方向に位置する。アンテナ本体Aの第1のエッジ11の伸長方向が水平方向であり、第2のエッジ12の伸長方向が垂直方向である場合に、端面が第1のスロット111に面する第1の端部Aは、水平方向に位置し、端面が第2のスロット121に面する第2の端部Bは、垂直方向に配置される。
【0044】
本願では、第1のスロット111と第2のエッジ12との間の距離、及び第2のスロット121と第1のエッジ11との間の距離は、特に制限されない。いくつかの実施形態では、第1のスロット111と第2のエッジ12との間の距離、又は第2のスロット121と第1のエッジ11との間の距離は、90mmより大きく、電子装置を手で持ったときに、第1のスロット111又は第2のスロット121が保持されるケースをある程度回避する。従って、アンテナ40は、ハンドヘルド状態でも比較的良好な放射性能を有することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1のエッジ11の長さは、第2のエッジ12の長さよりも長く、第1のスロット111と第2のエッジ12との間の距離は、第2のスロット121と第1のエッジとの間の距離よりも大きい、すなわち、第1のセクション411の長さは、第2のセクション412の長さよりも大きい。比較的短い長さであり且つアンテナ本体41に関する第2のセクション412は、比較的短い長さであり且つフレーム10に関する第2のエッジ12に位置する。比較的長い長さであり且つアンテナ本体41に関する第1のセクション411は、比較的長い長さであり且つフレーム10に関する第1のエッジ11に位置する。従って、より多くのL字型アンテナをフレーム10上にさらに配置して、フレーム10上に比較的適切なアンテナ構成を実現することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1のスロット111及び第2のスロット121は、誘電体材料で満たされ、アンテナ本体41とフレーム10上のアンテナ40の本体以外の部分との間の電気的絶縁効果をさらに高めることができる。
【0047】
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、電子装置100のフレーム10が非導電性材料で作製される場合に、フレーム10をアンテナ本体41として使用することはできない。この実施形態と図3に示される実施形態との差は、アンテナ本体41が電子装置100内に配置されることである。この実施形態では、アンテナ本体41は、アンテナ40が占めるサイズを最小化し、アンテナ40を電子装置100の外側により近付けるようにするために、フレーム10に隣接して(abut to)配置され、より良い信号送信効果を実現する。この用途では、アンテナ本体41がフレーム10に隣接して配置されることは、アンテナ本体41がフレーム10と密接に接触して配置され得るか、又はフレーム10の近くに配置され得ることを意味し、すなわち、アンテナ本体41とフレーム10との間に小さなギャップが存在し得ることに留意されたい。この実施形態では、第1のスロット111及び第2のスロット121をフレーム10上に配置する必要はなく、アンテナ本体41によって出力又は受信される無線周波数信号は、フレーム10を介して送信され、フレーム10がアンテナ40の信号送信を制限するのを防ぐことができる。アンテナ40は、フレキシブルプリント回路(Flexible Printed Circuit, FPC)、レーザ直接構造化(Laser-Direct-structuring, LDS)アンテナ、マイクロストリップディスクアンテナ(Microstrip Disk Antenna, MDA)等のアンテナ形態であり得る。
【0048】
図3及び図4に示される実施形態では、アンテナ本体41は、接地ピン44を使用して中間フレーム30に接続される。中間フレーム30は接地され、従って、接地点414は、接地ピン44を使用して接地される。具体的には、接地ピン44の一端が、アンテナ本体41に接続され、他端が中間フレーム30に接続される。接地ピン44がアンテナ本体41に接続される位置は、アンテナ本体41の接地点414である。図3及び図4に示される実施形態では、アンテナ本体41は、給電ピン43を使用して無線周波数フロントエンド50に接続される。具体的には、給電ピン43の一端がアンテナ本体41に接続され、他端が無線周波数フロントエンド50に接続される。給電ピン43がアンテナ本体41に接続される位置は、アンテナ本体41の給電点413である。本願の他のいくつかの実施形態では、アンテナ本体41は、接続リード等の別の構造を使用して中間フレーム30に接続され得るか、又は接続リード等の別の構造を使用して無線周波数フロントエンド50に接続され得る。これは、本明細書では特に限定されない。
【0049】
いくつかの実施形態では、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さは、給電点413と第2の端部Bとの間の電気的長さよりも大きく、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さは、1/4波長モードでの略第1の波長であり、それによって、1/4波長モードでの第1の波長の共振は、給電点413とアンテナ本体10の第1の端部Aとの間のセクションで発生し得る。アンテナ40が作動するときに、第1の端部Aに直交する方向のモード励起は、1/4波長モードでの第1の波長に関し且つ給電点413とアンテナ本体41の第1の端部Aとの間のセクションで発生する共振に基づく励起によって発生させることができる。第1の波長は、1/4波長モードでの第1の波長の共振の動作波長である。例えば、図3に示される実施形態では、第1のエッジ11の伸長方向が垂直方向(図のY方向)である場合に、第1の端部Aの端面は、第1のエッジ11の第1のスロット111に面し、すなわち、第1の端部Aは垂直方向に位置する。この場合に、水平モード励起は、1/4波長モードでの第1の波長に関し且つ給電点413とアンテナ本体41の第1の端部Aとの間で発生する共振に基づく励起によって発生する。いくつかの実施形態では、第1のエッジ11の伸長方向が水平方向(図のX方向)である場合に、第1の端部Aの端面は、第1のエッジ11の第1のスロット111に面し、すなわち、第1の端部Aは水平方向に位置する。この場合に、垂直モード励起は、1/4波長モードでの第1の波長に関し且つ給電点413と第1の端部Aとの間のセクションで発生する共振に基づく励起によって発生する。
【0050】
本願のこの実施形態では、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さは、給電点413と第2の端部Bとの間の電気的長さよりも大きい。従って、比較的長い電気的長さのセクション(給電点413と第1の端部Aとの間のセクション)は、1/4波長モードでの略第1の波長であり、1/4波長モードでの略第1の波長の共振を発生させ、それによって、1/4波長モードでの第1の波長の共振は、比較的大きな放射開口を有することができる。従って、アンテナ40は、比較的良好な放射性能を有する。
【0051】
本願のこの実施形態では、給電点413は、アンテナ本体41の任意の位置に配置され得る。具体的には、給電点413の位置又は第1の端部Aの位置は、電子装置100の特定の実際の状況に基づいて対応して変更されて、モード励起を発生させる方向を制御することができる。例えば、図3に示される電子装置100が、狭い顎(chin)構造で設計される場合に、電子装置100の底部エッジ(図3のX軸の方向に延びるエッジ)に比較的小さなクリアランススペースがある。電子装置100のサイドエッジ(図3のY方向に延びるエッジ)に比較的良好なクリアランス環境がある場合に、フレーム10の第1のエッジ11は、電子装置のサイドエッジの位置に配置され得、それによって、第1のエッジ11の伸長方向はY方向であり、第1の端部Aは垂直方向に位置し、水平モード励起が得られる。電子装置100のサイドエッジでのクリアランス環境が不十分であり、底部エッジに比較的良好なクリアランス環境がある場合に、フレーム10の第1のエッジ11は、電子装置の底部エッジの位置に配置され得、それによって、第1のエッジ11の伸長方向はX方向であり、第1の端部Aは水平方向に位置し、垂直モード励起が得られる。この実施形態では、第1のエッジ11の伸長方向はY方向であり、第1の端部Aは垂直方向に位置する。給電点413は、アンテナ本体41の第1のセクション411に位置する。この実施形態では、アンテナ本体41の第1のセクション411の長さは、第2のセクション412の長さよりも長く、従って、給電点413が第1のセクション411に配置された場合に、給電点413と第1の端部Aとの間の物理的長さは、通常、給電点413と第2の端部Bとの間の物理的長さよりも大きい。従って、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さが、給電点413と第2の端部Bとの間の電気的長さよりも大きく、1/4波長モードでの第1の波長の共振が、給電点413と第1の端部Aとの間に発生し得るケースは、比較的小さな仕様のチューニング素子のみを接続するか、又は給電点413と第1の端部Aとの間にチューニング素子を接続せずに実現することができる。このようにして、製造コストを削減することができる。
【0052】
本願のいくつかの実施形態では、第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さは、1/2波長モードでの略第2の波長であり、アンテナ本体41は、第1の端部Aと第2の端部Bとの間で1/2波長モードでの第2の波長の共振を発生させることができる。第2の波長は、1/2波長モードでの第2の波長に関し且つ第1の端部Aと第2の端部Bとの間に形成される共振の波長である。いくつかの実施形態では、第1の波長及び第2の波長は、その放射周波数がLTE規格の同じ周波数帯域(例えば、B28、B5、又はB8)内にある信号の動作波長である。アンテナ本体41はL字型であり、従って、第1のセクション411に直交する方向のモード励起、及び第2のセクション412に直交する方向のモード励起を発生させることができ、すなわち、水平モード励起及び垂直モード励起を発生させることができる。これは、1/4波長モードでの第1の波長の共振に基づいて発生するモード励起を強化するのを助けることができ、それによって、アンテナ40の水平モード励起及び垂直モード励起は、比較的強くすることができ、すなわち、アンテナの水平モード励起と垂直モード励起との両方のバランスを比較的とることができる。従って、アンテナ40は、ハンドヘルド状態でも依然として比較的良好なアンテナ放射性能を有する。換言すれば、本願では、アンテナ本体41は、1/4波長モードでの第1の波長の共振と、1/2波長モードでの第2の波長の共振との両方を発生させることができ、1/4波長モードでの第1の波長の共振に基づいて発生するモード励起は、1/2波長モードでの第2の波長の共振を使用して増強することができ、それによって、アンテナ40の水平モード励起及び垂直モード励起のバランスが比較的とれる。従って、アンテナ40は、電子装置100が自由空間(FS)にあるかハンドヘルド状態にあるかに関係なく、比較的良好な放射性能を有することができる。例えば、図3の実施形態では、水平モード励起は、1/4波長モードでの第1の波長の共振に基づいて発生し、水平モード励起及び垂直モード励起は、1/2波長モードでの第2の波長の共振に基づいて発生し、それによって、電子装置100が自由空間にある場合に、水平モード励起と垂直モード励起との両方が比較的強くなる。従って、アンテナ40は、比較的良好な放射性能を有する。電子装置100を手で持って、電子装置100がポートレートモードである場合に、電子装置100の第1のエッジ11の保持は、水平方向での電子装置100のモード励起の大きさに部分的に影響を与えるが、垂直モード励起の強度には影響を与えない。従って、アンテナ40は依然として良好な放射性能を有する。電子装置100を手で持って、電子装置100がランドスケープモードである場合に、電子装置100の第2のエッジ12の保持は、垂直方向の電子装置100のモード励起の大きさに部分的に影響を与えるが、水平モード励起の強度には影響を与えない。従って、アンテナ40は依然として良好な放射性能を有する。
【0053】
本願では、アンテナ40が作動すると、1/4波長モードでの第1の波長の共振、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振が発生する。いくつかの実施形態では、第1の波長は第2の波長よりも大きい、すなわち、1/4の波長モードでの第1の波長の共振周波数は、1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数よりも小さく、同じ動作周波数帯域(例えば、周波数帯域B28、B5、又はB8)で効率ピット(efficiency pit)の発生を回避し、それによって、アンテナ40は、動作周波数帯域で良好な放射性能を有することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、給電点と第1の端部との間に発生する共振周波数と、第1の端部と第2の端部との間に発生する共振周波数との間の差は、50MHz~200MHzの範囲であり、1/4波長モードでの第1の波長の共振と、1/2波長モードでの第2の波長の共振との間のより良好な互換性を実現する。従って、アンテナは、自由空間とハンドヘルド状態との両方で良好な放射性能を有することができる。いくつかの実施形態では、1/4波長モードでの第1の波長の共振の周波数と、1/2波長モードでの第2の波長の共振の周波数との間の差が、50MHz~150MHzの範囲であり得る。
【0055】
図5図8を参照されたい。図6は、図3に示される電子装置100のアンテナ40の異なるステータス(自由空間、左手で持って頭を傍にしたモードと、右手で持って頭を傍にしたモードとを含む)の反射減衰量係数(return loss coefficient)(S11)の曲線の図である。図3に示される実施形態では、第1の端部Aは、フレーム10の第1のエッジ11に位置し、第1のエッジ11は、垂直方向に位置する。図6において、水平座標は周波数(単位:GHz)、垂直座標は反射減衰量係数(単位:dB)である。曲線aは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図を表す。曲線b及びcは、電子装置100を手で持って、電子装置100がポートレートモード(図5に示されるハンドヘルド状態)で保持されるときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図である。曲線bは、電子装置100が左手で持って頭を傍にしたモード(すなわち、電子装置100が左手で保持され、顔の左側に近付けられるモード)のときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図を表す。曲線cは、電子装置100が右手で持って頭を傍にしたモード(すなわち、電子装置100が右手で保持され、顔の右側に近付けられるモード)のときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図を表す。図7は、図3に示される電子装置100のアンテナ40が自由空間にあるときに存在する電流及び放射方向のシミュレーション図である。図8は、図3に示される電子装置100の例示的な構造のアンテナ40の放射効率の図である。図8では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は放射効率(単位:dB)である。曲線aは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40の放射効率の曲線図を表す。曲線bは、電子装置100が左手で持って頭を傍にしたモード(すなわち、電子装置100が左手で保持され、顔の左側に近付けられるモード)であるときに存在するアンテナ40の反射効率の曲線図を表す。曲線cは、電子装置100が右手で持って頭を傍にしたモード(すなわち、電子装置100が右手で保持され、顔の右側に近付けられるモード)であるときに存在するアンテナ40の反射効率の曲線図を表す。
【0056】
図6及び図7から、アンテナ40は自由空間に2つのアンテナモードを有しており、従ってアンテナ40は比較的高い帯域幅を有することが容易に分かり得る。また、2つのアンテナモードの指向性パターンは、特定の空間において相補的であり、それによって、アンテナ40は、各方向に比較的良好な放射効率を有することができ、電子装置100を手で持ったときにアンテナ40がデスグリップに遭遇するケースが回避される。いくつかの実施形態では、補完後に得られる指向性パターンは斜めであり、従って、デスグリップの問題はない。さらに、図6及び図8から、左手で持って頭を傍にしたモードと右手で持って頭を傍にしたモードとの両方で、アンテナ40の放射性能は僅かに低下するが、アンテナ40はデスグリップに遭遇しないことが分かり得る。図8から、手で持って頭を傍にしたモード(左手で持って頭を傍にしたモード又は右手で持って頭を傍にしたモードを含む)での放射効率が自由空間での放射効率と比較して、アンテナ40の放射効率に約5dBの低下が存在するが、アンテナ40は、依然として比較的良好な放射効率を有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、アンテナ40の第1の端部Aがフレーム10の第2のエッジ12に位置する場合に、アンテナ40は、自由空間及び手で持って頭を傍にしたモードで依然として比較的良好な放射性能を有することができる。図9及び図10を参照されたい。図9は、本願による電子装置100の例示的な構造のアンテナ40の反射減衰量係数(S11)の曲線の別の図である。図9に表されるアンテナ40の第1の端部Aは、電子装置100のフレーム10の第2のエッジ12に位置する。図9では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は反射減衰量係数(単位:dB)である。曲線aは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図を表す。曲線b及びcは、電子装置100が手で保持され、電子装置100がポートレートモードであるときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図である。曲線bは、電子装置100が左手で持って頭を傍にしたモード(すなわち、電子装置100が左手で保持され、顔の左側に近付けられるモード)のときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図を表す。曲線cは、電子装置100が右手で持って頭を傍にしたモード(すなわち、電子装置100が右手で保持され、顔の右側に近付けられるモード)のときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図を表す。図10は、図9に表されるアンテナ40のシステム効率の図である。図10では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は放射効率(単位:dB)である。
【0058】
図9及び図10から、第1の端部Aがフレーム10の第2のエッジ12に位置する場合に、アンテナ40は自由空間に2つのアンテナモードを有しており、従ってアンテナ40は比較的高い帯域幅を有することが分かり得る。さらに、左手で持って頭を傍にしたモードと右手で持って頭を傍にしたモードとの両方で、アンテナ40の放射性能は僅かに低下するが、アンテナ40はデスグリップに遭遇しない。さらに、手で持って頭を傍にしたモード(左手で持って頭を傍にしたモード又は右手で持って頭を傍にしたモードを含む)での放射効率を、自由空間での放射効率と比較すると、アンテナ40の放射効率が低下するが、アンテナ40は、依然として比較的良好な放射効率を有する。
【0059】
図11及び図12を参照されたい。図12は、図3に示される電子装置100の例示的な構造のアンテナ40が自由空間及びハンドヘルド状態であるときに存在するシステム効率及び放射効率の図である。電子装置が手で保持される場合に、電子装置は、図11に示されるランドスケープモードである。この場合に、電子装置100の第2のエッジ12は手で保持される。図12では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は効率(単位:dB)である。曲線aは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40の放射効率の曲線図を表す。曲線bは、電子装置100がランドスケープモードであり、電子装置100の第2のエッジ12が手で保持されるときに存在するアンテナ40の放射効率の曲線図を表す。曲線cは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40のシステム効率の曲線図を表す。曲線dは、電子装置100がランドスケープモードであり、電子装置100の第2のエッジ12が手で保持されるときに存在するアンテナ40のシステム効率の曲線図を表す。曲線c及びdから、電子装置100がランドスケープモードであるときに、電子装置100の2つの対向する第2のエッジ12が手で保持されている場合に、アンテナ40はデスグリップに遭遇しないことが分かり得る。さらに、曲線a及びbから、電子装置100がハンドヘルド状態であるときに存在する放射効率を自由空間の放射効率と比較すると、アンテナ40の放射効率が約5dB低下するが、アンテナ40は、依然として比較的良好な放射効率を有することが分かり得る。
【0060】
例えば、図13は、図3に示される電子装置100のアンテナ40の異なるステータスのシステム効率及び放射効率の図である。図13では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は効率(単位:dB)である。曲線aは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40の放射効率の曲線図を表す。曲線bは、電子装置100が手で保持され、フレーム10の第1のスロット111及び第2のスロット121が塞がれたときに存在するアンテナ40の放射効率の曲線図を表す。曲線cは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40のシステム効率の曲線図を表す。曲線dは、電子装置100が手で保持され、フレーム10の第1のスロット111及び第2のスロット121が塞がれているときに存在するアンテナ40のシステム効率の曲線図を表す。曲線c及びdから、電子装置100が手で保持され、フレーム10の第1のスロット111及び第2のスロット121が塞がれている場合に、アンテナ40はデスグリップに遭遇しないことが分かり得る。さらに、曲線a及びbから、電子装置100がハンドヘルド状態であり、フレーム10の第1のスロット111及び第2のスロット121が塞がれているときに存在する放射効率を、自由空間の放射効率と比較すると、アンテナ40の放射効率が約7dB低下するが、アンテナ40は、依然として比較的良好な放射効率を有していることが分かり得る。
【0061】
図14は、本願の他のいくつかの実施形態によるアンテナ40の構造の概略図である。図14に示される実施形態のアンテナ40と図2に示される実施形態のそのアンテナとの差は、第3のチューニング素子45がアンテナ本体41の接地点414と接地位置との間に接続されることである。この実施形態では、第3のチューニング素子45は、コンデンサ又はインダクタであり得るか、或いは並列に配置された又は直列に配置されたコンデンサ及びインダクタを用いて得られ得る。第3のチューニング素子45は、接地点414と接地位置との間に接続され、アンテナ本体41の第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さ、及びアンテナ本体41の給電点413と第1の端部A又は第2の端部Bとの間の電気的長さを変更して、アンテナ本体41の共振に基づいて発生するアンテナモードの動作周波数を調整する。この実施形態では、接地位置は、接地ピン44が中間フレーム30の一端に接続される位置である。
【0062】
本願のいくつかの実施形態では、アンテナ40は、少なくとも1つのスイッチング回路をさらに含む。アンテナ40は、スイッチング回路を使用して異なる動作周波数帯域に切り替わり、それによって、アンテナ40は、複数の異なる動作周波数帯域で通信を実施することができる。図15aは、本願の他のいくつかの実施形態によるアンテナ40の構造の概略図である。図15aに示される実施形態のアンテナ40と図3に示される実施形態のそのアンテナとの差は、アンテナ40が第1のスイッチング回路46をさらに含むことである。第1の接続点415が、アンテナ本体41に配置され、第1の接続点415は、給電点413及び接地点414の側であり且つ第1の端部Aから遠くに離れた側か、又は給電点413及び接地点414の側であり且つ第2の端部Bから遠くに離れた側に位置する。本願では、第1の接続点415は実際の点ではなく、第1のスイッチング回路46がアンテナ本体41に接続される位置が、第1の接続点415であることに留意されたい。第1のスイッチング回路46は、第1の切替えスイッチ461及び少なくとも1つの接地された第1のチューニング素子を含む。第1のチューニング素子462は、容量性素子又は誘導性素子であり得るか、或いは並列に接続された又は直列に接続された容量性又は誘導性素子を用いて得られ得る。少なくとも1つは1つ又は複数を意味する。並列又は直列に接続された容量性又は誘導性素子は、第1のチューニング素子462が、並列に配置された又は直列に配置された複数の容量性素子を用いて得られ得、並列に接続された又は直列に接続された複数の容量性素子を用いて得られ得、或いは並列に接続された又は直列に接続された容量性素子及び誘導性素子を用いて得られ得る。第1の切替えスイッチ461の一端が、第1の接続点415に接続され、他端が、スイッチングによって異なる第1のチューニング素子462に接続されて、異なる第1のチューニング素子462(異なるタイプの第1のチューニング素子462であり得る、又は同じタイプであり且つ仕様及びサイズが異なる第1のチューニング素子462であり得る)をアンテナ本体41に接続することができる。この実施形態では、第1の接続点415は、給電点413及び接地点414の側であり且つ第2の端部Bから遠く離れた側に位置しており、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さ、及びアンテナ本体41のアンテナ長さの電気的長さ(第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さ)を変更して、1/4波長モードでの第1の波長の共振周波数、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数を変更し、それによって、アンテナ10は、様々な動作周波数帯域をカバーすることができる。いくつかの実施形態では、代替的に、第1の接続点415は、給電点413及び接地点414の側であり且つ第1の端部Aから遠くに離れた側に配置され、給電点413と第2の端部Bとの間の電気的長さ、及び第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さを変更することができ、これにより、1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数が変化する。
【0063】
第1の切替えスイッチ461は、様々なタイプの切替えスイッチであり得る。例えば、第1の切替えスイッチ461は、単極単投スイッチ、単極多投スイッチ、又は多極多投スイッチ等の物理的スイッチであり得るか、又はモバイルインダストリプロセッサインターフェイス(Mobile Industry Processor Interface, MIPI)又は汎用入力/出力(General-purpose input/output, GPIO)インターフェイス等の切り替え可能なインターフェイスであり得る。第1の切替えスイッチ461は、第1の可動端部461a及び複数の第1の固定端部461bを含む。第1の可動端部461aの一部であり且つ第1の固定端部461bから遠くに離れた一端が、第1の接続点415に接続され、他端が、スイッチングによって第1の固定端部461bに電気的に接続され得る。第1のチューニング素子462の一端が、第1の固定端部461bに接続され、他端が接地される。第1の可動端部461aがスイッチングによって異なる第1の固定端部461bに接続されるときに、異なる第1のチューニング素子462がアンテナ本体41に接続されて、アンテナ本体41の電気的長さを調整し、1/4波長モードでの第1の波長の共振周波数と、1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数とを変更する。異なるタイプの第1の切替えスイッチ461に基づいて、第1の切替えスイッチ461は、1つ又は複数の第1の可動端部511を含み得る。異なる第1の可動端部461aに対して異なる第1の固定端部461b同士の間のスイッチングが実行され、それによって、サイズ、タイプ、及びアンテナ本体41に接続される第1の共振素子52の数量を変更することができる。例えば、図15aに示される実施形態では、第1の切替えスイッチ461は、単極多投スイッチである、すなわち、第1の切替えスイッチ461は、複数の第1の固定端部461bを含む。各第1の固定端部461bは、1つの第1のチューニング素子462に接続され、異なる第1の固定端部461bは、異なる第1のチューニング素子462(タイプ又は仕様及びサイズが異なり得る)に接続される。従って、第1の切替えスイッチ461の第1の可動端部461aがスイッチングによって異なる第1の固定端部461bに接続されるときに、アンテナ本体41は、異なる第1のチューニング素子462に接続されて、アンテナ本体41の各セクション(給電点413と第1の端部Aとの間のセクション、第1の端部Aと第2の端部Bとの間のセクション等を含む)の電気的長さを変更する。このようにして、アンテナ40は、実際の要件に基づいて異なる動作周波数帯域を切り替えることができ、それによって、電子装置100のアンテナ40は、より多くの動作周波数帯域をカバーすることができる。例えば、図15aに示される実施形態では、具体的には4つの第1の固定端部461bがあり、4つの第1の固定端部461bはそれぞれ異なるサイズのインダクタに接続され、次に接地される。第1の可動端部461aがスイッチングによって第1の固定端部461bから別の第1の固定端部461bに接続されるときに、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さが変化し、従って、1/4波長モードでの第1の波長に関し且つ給電点413と第1の端部Aとの間に発生する共振周波数が変化する。さらに、第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さが変化し、従って、1/2波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナ40に関する共振周波数が変更される。
【0064】
図15bは、本願によるアンテナ40の構造の別の概略図である。この実施形態では、第1の切替えスイッチ461は多極多投スイッチであり、第1の可動端部461aの数量は、第1の固定端部461bの数量と同じである。具体的には、この実施形態では、4つの第1の可動端部461a及び4つの第1の固定端部461bがあり、第1の可動端部461aは、第1の固定端部461bと1対1で対応している。4つの第1の可動端部461aのそれぞれの一端が、第1の接続点415に接続され、他端が、第1の可動端部461aに対応する第1の固定端部461bに接続されるか、又はこれから接続解除される。このようにして、アンテナ本体41に接続される第1のチューニング素子462の数量を制御して、アンテナ本体41の給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さ、及び第1の端部Aと第2の端部Bとの間の全体的な電気的長さを変更し、1/4波長モードでの第1の波長の共振周波数、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数を変更する。例えば、2つの第1の可動端部461aが2つの第1の可動端部461aに対応する第1の固定端部461bに接続され、他の2つの第1の可動端部461aが、他の2つの第1の可動端部461aに対応する第1の固定端部461bから接続解除される場合に、2つの第1のチューニング素子462はアンテナ本体41に接続され、2つの第1のチューニング素子462は並列に配置される。
【0065】
図16は、本願の他のいくつかの実施形態によるアンテナ40の構造の概略図である。図16に示される実施形態と図15aに示される実施形態との差は、アンテナ40が第2のスイッチング回路47をさらに含むことである。第2の接続点416はアンテナ本体41に配置され、第2のスイッチング回路47は第2の接続点416に接続される。本願では、第2の接続点416は実際の点ではなく、第2のスイッチング回路47がアンテナ本体41に接続される位置は、第2の接続点416であることに留意されたい。給電点413及び接地点414は、第1の接続点415と第2の接続点416との間に位置する。第2のスイッチング回路47は、第1のスイッチング回路46と同様の構造であり、第2の切替えスイッチ471及び複数の第2のチューニング素子472を含む。第2の切替えスイッチ471は、スイッチングによって異なる第2のチューニング素子472に接続され得る。第1のスイッチング回路46は、第2のスイッチング回路47と協調して、1/4波長モードでの第1の波長の共振の動作周波数、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数を変更する。具体的には、第1のスイッチング回路46の第1の切替えスイッチ461に対してスイッチングが行われ、それによって、異なる第1のチューニング素子462がアンテナ本体41に接続され、第2のスイッチング回路47の第2の切替えスイッチ471が、スイッチングによって異なる第2のチューニング素子に接続され、給電点413と第1の端部A又は第2の端部Bとの間の電気的長さ、及び第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さを変更して、1/4波長モードでの第1の波長の共振の動作周波数、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数を変更する。このようにして、アンテナ40は、より多くの動作周波数帯域をカバーすることができる。この実施形態では、第2のスイッチング回路47は、給電点413及び接地点414の側であり且つ第1の端部Aから遠く離れた側に配置され、第2のスイッチング回路47の第2の切替えスイッチ471は、スイッチングによって異なる第2のチューニング素子472に接続され、給電点413と第2の端部Bとの間の電気的長さ、及び第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さを変更し、第2のスイッチング回路47を使用して、1/2波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナ10に関する共振の周波数を変更する。
【0066】
第2の切替えスイッチ471はまた、単極単投スイッチ、単極多投スイッチ、又は多極多投スイッチ等の物理的スイッチであり得るか、又はモバイルインダストリプロセッサインターフェイス(Mobile Industry Processor Interface, MIPI)又は汎用入力/出力(General-purpose input/output, GPIO)インターフェイス等の切り替え可能なインターフェイスであり得る。この実施形態では、第2の切替えスイッチ471は、単極多投スイッチであり、第2の可動端部471a及び複数の第2の固定端部471bを含む。各第2のチューニング素子472の一端が、対応して1つの第2の固定端部471bに接続され、他端が接地される。第2の可動端部471aの一端が、第2の接続点416に接続され、他端が、スイッチングによって異なる第2のチューニング素子472に接続され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、第2のスイッチング回路47の第2の固定端部471bに接続される第2のチューニング素子472は、第1のスイッチング回路46の第1の固定端部461bに接続される第1のチューニング素子462と1対1で対応する。第1の切替えスイッチ461がスイッチングによって任意の第1のチューニング素子462に接続されるときに、第2の切替えスイッチ471は、スイッチングによって、第1の切替えスイッチ461に接続される第1のチューニング素子462に対応する第2のチューニング素子472に接続され、アンテナ40の各セクションの電気的長さを対応して調整し、それによって、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さが、常に、給電点413と第2の端部Bとの間の電気的長さより長くなるようにすることができ、そして、1/4波長モードでの第1の波長の共振の動作周波数が、1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数よりも低いこと、及び1/4波長モードでの第1の波長の共振周波数と1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数との間の差が、50MHz~200MHzの範囲であることが保証される。
【0068】
図17及び図18は、それぞれ、図16に示されるアンテナ40の第1の切替えスイッチ461の第1の可動端部461aがスイッチングによって3つの異なる第1のチューニング素子462に別々に接続され、切替えスイッチ62が、それに対応して、スイッチングによって、第1の切替えスイッチ461に接続される第1のチューニング素子462に対応する第2のチューニング素子472に接続されるときに存在する反射減衰量の図及びシステム効率及び放射効率の図である。図17では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は反射減衰量係数(単位:dB)である。図18では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は効率(単位:dB)である。
【0069】
図17から、第1の切替えスイッチ461に対してスイッチングが実行され、それに対応して第2の切替えスイッチ471に対してスイッチングが実行され、それによって、アンテナ40は3つの異なる周波数帯域で反射減衰量曲線を生成することができることが分かり得る。具体的には、図17の曲線a、b、及びcは、それぞれ、電子装置100が自由空間にあるときに、アンテナバンドB28(703MHz~803MHz)、B5(824MHz~894MHz)、及びB8(880MHz~960MHz)でのアンテナ40が発生させる反射減衰量曲線を表すことが分かり得る。図17から、アンテナ40は、第1の切替えスイッチ461及び第2の切替えスイッチ471に対してスイッチングを実行することによって、異なる動作周波数帯域で共振することができることが分かり得る。さらに、アンテナ40は、異なる動作周波数帯域での2つのアンテナモード(1/4波長モードでの第1の波長の共振、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振)を発生させることができる。従って、アンテナ40は、自由空間と手で持って頭を傍にしたモードとの両方で比較的高い放射性能を有することができる。図から、第1の切替えスイッチ461と第2の切替えスイッチ471に対してスイッチングを行うと、第1の切替えスイッチ461に接続される第1のチューニング素子462が、第2の切替えスイッチ471に接続される第2のチューニング素子472に対応するように設定され、1/4波長モードでの第1の波長に関し且つアンテナ10に関する共振周波数は、常に、1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数よりも低く、1/4波長モードでの第1の波長の共振周波数と、1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数との間の差が、50MHz~200MHzの範囲であることがさらに分かり得る。図18では、曲線a、b、及びcは、それぞれ、電子装置100が自由空間にあるときに、アンテナ周波数帯域B28(703MHz~803MHz)、B5(824MHz~894MHz)、及びB8(880MHz~960MHz)でアンテナ40が発生させる放射効率の曲線図を表し、曲線d、e、及びfは、それぞれ、アンテナ周波数帯域B28、B5、及びB8においてアンテナ40が発生させるシステム効率の曲線図を表す。図18から、異なる動作周波数帯域(B28、B5、及びB8を含む)のそれぞれの80MHzの帯域幅において、アンテナ40の効率は-6dB未満であり、従ってアンテナ40は良好な放射性能を有することが分かり得る。
【0070】
この実施形態では、第1のスイッチング回路46及び第2のスイッチング回路47の第1の切替えスイッチ461は、単極4投スイッチであり、それによって、アンテナ40は、4つの異なる動作周波数をカバーすることができる。実際の要件に基づいて、アンテナ40は、異なる第1の切替えスイッチ461及び第2の切替えスイッチ471等を使用して、スイッチング回路の数量を増やすことによって、より多くの動作周波数帯域をカバーできることが理解され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1のスイッチング回路46及び第2のスイッチング回路47の第1の切替えスイッチ461は、多極4投スイッチであり、それによって、アンテナ40は、24個の動作周波数をカバーすることができる。
【0071】
前述の説明は、本願の好ましい実施態様である。当業者は、本願の原理から逸脱することなく、さらにいくつかの改良又は改善(polishing)を行うことができ、改良又は改善は、本願の保護範囲に含まれることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15a
図15b
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2022-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
L字型のアンテナ本体を含むアンテナであって、前記L字型のアンテナ本体は、
第1の端部及び第2の端部と、
給電点と、を含み、
該給電点と前記第1の端部との間の物理的長さが、前記給電点と前記第2の端部との間の物理的長さよりも大きく、前記アンテナ本体は、前記給電点と前記第1の端部との間で第1の波長の共振を発生させ、前記アンテナ本体は、前記第1の端部と前記第2の端部との間で第2の波長の共振を発生させ、前記第1の波長は前記第2の波長よりも大きい、
アンテナ。
【請求項2】
前記第1の波長の共振周波数が、699MHz~960MHzの範囲である、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記第1の波長の共振周波数と前記第2の波長の共振周波数との間の差が、50MHz~200MHzの範囲である、請求項1又は2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記給電点と前記第1の端部との間で前記アンテナ本体が発生させる前記第1の波長の共振が、当該アンテナの1/4波長モードに対応し、前記第1の端部と前記第2の端部との間で前記アンテナ本体が発生させる前記第2の波長の共振が、当該アンテナの1/2波長モードに対応する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項5】
当該アンテナの前記1/4波長モードの指向性パターン、及び当該アンテナの前記1/2波長モードの指向性パターンが、空間において相補的である、請求項4に記載のアンテナ。
【請求項6】
当該アンテナは、
前記給電点と前記第1の端部との間で前記アンテナ本体に配置された第1の接続点に接続される第1のスイッチング回路、及び/又は、
前記給電点と前記第2の端部との間で前記アンテナ本体に配置された第2の接続点に接続される第2のスイッチング回路をさらに含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記L字型のアンテナ本体は、前記給電点と間隔を置いて配置された接地点をさらに含み、当該アンテナが前記第1のスイッチング回路及び前記第2のスイッチング回路を含む場合に、前記給電点及び前記接地点は両方とも、前記第1の接続点と前記第2の接続点との間に配置される、請求項6に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記第1のスイッチング回路は、第1のスイッチ及び複数の異なる第1のチューニング素子を含み、前記第1のスイッチは、スイッチングによって前記異なる第1のチューニング素子に接続される、請求項6又は7に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記第2のスイッチング回路は、第2のスイッチ及び複数の異なる第2のチューニング素子を含み、前記第2のスイッチは、スイッチングによって異なる前記第2のチューニング素子に接続される、請求項6乃至8のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記第1のスイッチは、単極単投スイッチ、又は単極多投スイッチ、又は多極多投スイッチであり、及び/又は前記第2のスイッチは、単極単投スイッチ、又は単極多投スイッチ、又は多極多投スイッチである、請求項8又は9に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記第1のチューニング素子及び/又は前記第2のチューニング素子は、コンデンサ、インダクタ、及び抵抗器のうちの任意の1つ又は複数を含む、請求項8又は9に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記L字型のアンテナ本体は、
前記給電点と間隔を置いて配置される接地点と、
該接地点に接続される第3のチューニング素子であって、コンデンサ及び/又はインダクタを含む第3のチューニング素子と、をさらに含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記L字型のアンテナ本体にスロットが配置されていない、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項14】
前記第1の波長の共振周波数は、B28周波数帯、B5周波数帯、及びB8周波数帯のいずれか1つにある、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項15】
前記第1の波長の共振周波数及び前記第2の波長の共振周波数は、異なる周波数帯域にある、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載のアンテナを含む電子装置であって、当該電子装置は、
導電性フレームをさらに含み、該フレームは、第1のエッジと該第1のエッジと交差する第2のエッジとを含み、第1のスロットが前記第1のエッジに配置され、第2のスロットが前記第2のエッジに配置され、前記フレームの一部であり且つ前記第1のスロットと前記第2のスロットとの間に位置する部分が、前記L字型のアンテナ本体を形成する、
電子装置。
【請求項17】
前記第1のスロットと前記第2のエッジとの間の距離が90mm以上である、請求項16に記載の電子装置。
【請求項18】
前記L字型のアンテナ本体は、前記フレームの前記第1のエッジに第1のクリアランスを有しており、前記L字型のアンテナ本体は、前記フレームの前記第2のエッジに第2のクリアランスを有しており、前記第1のクリアランスは前記第2のクリアランスよりも大きい、請求項16又は17に記載の電子装置。

【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年8月23日に中国国家知識産権局に出願した、“ANTENNA AND ELECTRONIC DEVICE”という表題の中国特許出願第201910794483.Xに対する優先権を主張するものであり、この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、通信技術の分野に関連し、特に、アンテナ及びこのアンテナを含む電子装置に関連する。
【背景技術】
【0003】
現在、携帯電話等の電子装置のアンテナソリューションの設計では、通常、金属の貫通スロットが通信機能を実現するために使用される。具体的には、複数の間隔を置いたスロットが導電性フレームに配置され、隣接するスロットの間の部分がアンテナのアンテナ本体を形成する。現在の電子装置では、スロットは、通常、電子装置のフレームの2つの反対側のエッジに位置するため、アンテナは、主に水平モード励起又は垂直モード励起を発生させる。その結果、水平モードの励起及び垂直モードの励起は、バランスが取れていない。電子装置を手で持つと、フレームのスロットは容易に塞がれる。この場合に、アンテナの水平モード励起又は垂直モード励起が弱まり、デスグリップが発生する。その結果、アンテナの放射性能が影響を受ける。
【発明の概要】
【0004】
本願は、アンテナ及び電子装置を提供し、アンテナの水平モード励起及び垂直モード励起のバランスが取れていないという問題を解決し、それによって、アンテナは、ハンドヘルド状態で依然として比較的良好なアンテナ放射性能を有する。
【0005】
第1の態様によれば、本願はアンテナを提供する。アンテナはL字型のアンテナ本体を含む。アンテナ本体は、第1のセクションと、第1のセクションと交差する第2のセクションとを含む。アンテナ本体は、間隔を置いて配置される給電点及び接地点を含む。給電点は、無線周波数フロントエンドに接続されるように構成される。接地点は接地に使用される。アンテナ本体は、互いに離れている第1の端部及び第2の端部を含む。第1の端部は、第1のセクションに関し且つ第2のセクションから遠くに離れた端部である。第2の端部は、第2のセクションに関し且つ第1のセクションから遠くに離れた端部である。給電点と第1の端部との間の電気的長さは、給電点と第2の端部との間の電気的長さよりも大きい。アンテナ本体は、給電点と第1の端部との間で1/4波長モードでの第1の波長の共振を発生させ、アンテナ本体は、第1の端部と第2の端部との間で1/2波長モードでの第2の波長の共振を発生させる。第1の波長は第2の波長よりも大きい。
【0006】
アンテナは、フレームアンテナ(すなわち、アンテナ本体が電子装置のフレームであるアンテナ)、フレキシブルプリント回路(Flexible Printed Circuit, FPC)のアンテナ形態、レーザ直接構造化(Laser-Direct-structuring, LDS)、又はマイクロストリップディスクアンテナ(Microstrip Disk Antenna, MDA)等のアンテナ形態であり得る。アンテナがフレキシブルプリント回路のアンテナ形態である場合に、アンテナ本体は線形ストリップ構造に関するものであり得、使用中に、アンテナ本体はL字型のアンテナ本体を形成するように曲げられる。
【0007】
アンテナ本体は、給電点と第1の端部との間で1/4波長モードでの第1の波長の共振を発生させる。換言すれば、給電点と第1の端部との間の電気的長さは、1/4波長モードでの略第1の波長であり、それによって、アンテナ本体は、給電点と第1の端部との間で1/4波長モードでの第1の波長の共振を発生させることができる。アンテナ本体は、第1の端部と第2の端部との間で1/2波長モードでの第2の波長の共振を発生させる。換言すれば、第1の端部と第2の端部との間の電気的長さは、1/2波長モードでの略第2の波長であり、それによって、アンテナ本体は、第1の端部と第2の端部との間で1/2波長モードでの第2の波長の共振を発生させることができる。いくつかの実施形態では、第1の波長及び第2の波長は、それらの放射周波数がLTE規格の同じ周波数帯域(例えば、B28、B5、又はB8)内にある信号の動作波長である。
【0008】
本願のこの実施形態では、給電点と第1の端部との間の電気的長さが、給電点と第2の端部との間の電気的長さよりも大きいため、比較的長い電気的長さのセクション(給電点と第1の端部との間のセクション)の電気的長さは、約1/4波長であり、給電点と第1の端部との間で1/4波長モードでの第の波長の共振を発生させ、それによって、本願のこの実施形態における1/4波長モードでの第の波長の共振は、比較的大きな放射開口を有することができる。従って、アンテナは、比較的良好な放射性能を有する。第1の端部が位置する側に直交する方向のモード励起は、給電点と第1の端部との間での1/4波長モードでの第の波長に関し且つアンテナ本体が発生させる共振に基づいて発生させることができる。本願のこの実施形態では、第1の端部は、第1のセクションに関し且つ第2のセクションから遠くに離れた端部である。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1のセクションは、水平方向又は垂直方向に配置され、すなわち、水平モード励起又は垂直モード励起は、1/4波長モードでの第の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生させることができる。1/2波長モードでの第2の波長の共振は、第1の端部と第2の端部との間に形成され、アンテナ本体はL字型であるため、第1のセクションに直交する方向のモード励起、及び第2のセクションに直交する方向のモード励起を、発生させることができる。いくつかの実施形態では、水平モード励起及び垂直モード励起を発生させることができ、これは、1/4波長モードでの第の波長の共振に基づいて発生するモード励起を強化するのを助けることができ、それによって、アンテナの水平モード励起及び垂直モード励起のバランスを比較的取ることができる。従って、アンテナは、ハンドヘルド状態でも依然として比較的良好なアンテナ放射性能を有する。換言すれば、本願では、アンテナ本体は、1/4波長モードでの第の波長の共振と、1/2波長モードでの第2の波長の共振との両方を発生させることができ、1/4波長モードでの第の共振に基づいて発生するモード励起、及び他の方向のモード励起は、1/2波長モードでの第2の波長の共振を使用して強化でき、それによって、アンテナの水平モード励起及び垂直モード励起のバランスが比較的取れている。
【0009】
モード励起は、アンテナが異なるモードを発生できるようにするために、ポート励起がアンテナに追加されることを意味する。モード励起は、アンテナでの励起によって発生する特性電流の様々な分布によって表される。例えば、本願のこの実施形態では、第1の端部が位置する側に直交する方向のモード励起は、1/4波長モードでの第の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生する。すなわち、アンテナ接地に励起を加えた後に発生する特性電流の主な流れの方向は、第1の端部が位置する側の方向に直交する。第1の端部が位置する側の方向が水平方向である場合に、垂直モード励起が主に発生する。第1の端部が位置する側の方向が垂直方向である場合に、水平モード励起が主に発生する。第1のセクションに直交する方向のモード励起及び第2のセクションに直交する方向のモード励起は、1/2波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生し、すなわち、アンテナ接地に励起を加えた後に発生する特性電流の主な流れの方向は、第1の端部が位置する側の方向、及び第2の端部が位置する側の方向に直交する。
【0010】
本願のこの実施形態では、第1の波長は第2の波長よりも大きい、すなわち、1/4波長モードでの第1の波長の共振及び1/2波長モードでの第2の波長の共振が同じ動作周波数帯域にあるときに有効ピット(efficiency pit)を生成することを回避するために、給電点と第1の端部との間に発生する共振周波数は、第1の端部と第2の端部との間に発生する共振周波数よりも小さく、それによって、アンテナは、動作周波数帯域で良好な放射性能を有することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、給電点と第1の端部との間に発生する共振周波数と、第1の端部と第2の端部との間に発生する共振周波数との間の差が、50MHz~200MHzの範囲であり、1/4波長モードでの第1の波長の共振と1/2波長モードでの第2の波長の共振との間の適合性(compatibility)をより良好に実現する。従って、アンテナは、自由空間とハンドヘルド状態との両方で良好な放射性能を有することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、アンテナは第1のスイッチング回路を含み、第1の接続点がアンテナ本体に配置され、第1の接続点は、給電点及び接地点の側であり且つ第2の端部から遠く離れた側に配置され、第1のスイッチング回路の一端が第1の接続点に接続され、他端が接地され、第1のスイッチング回路は、給電点と第1の端部との間の電気的長さを変更するように構成される。本願のこの実施形態では、第1のスイッチング回路は、第1の接続点に接続される、すなわち、第1のスイッチング回路は、第1の接続点を介してアンテナ本体に接続される。このようにして、第1のスイッチング回路を使用して、給電点と第1の端部との間の電気的長さ、及び第1の端部と第2の端部との間の電気的長さを変更して、1/4波長モードでの第1の波長の共振、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数を変更することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の接続点は、給電点及び接地点の側であり且つ第1の端部から遠くに離れた側に代替的に配置され、給電点と第2の端部との間の電気的長さ、及び第1の端部と第2の端部との間の電気的長さを変えて、1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数を変更することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、アンテナは第2のスイッチング回路を含み、第2の接続点がアンテナ本体にさらに配置され、給電点及び接地点は、第1の接続点と第2の接続点との間に配置され、第2のスイッチング回路の一端が第2の接続点に接続され、他端が接地され、第2のスイッチング回路は、給電点と第2の端部との間の電気的長さを変更するように構成される。本願のこの実施形態では、第2のスイッチング回路は、第2の接続点に接続される、すなわち、第2のスイッチング回路は、第2の接続点を介してアンテナ本体に接続され、給電点と第2の端部との間の電気的長さを変更する。第1のスイッチング回路は、給電点と第1の端部との間の電気的長さを変更して、1/4波長モードでの第1の波長の共振の動作周波数を変更する。第2のスイッチング回路は、第1のスイッチング回路と協調して、アンテナ本体の電気的長さ(すなわち、第1の端部と第2の端部との間の電気的長さ)を変更し、1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数を変更する。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1のスイッチング回路の位置と第2のスイッチング回路の位置とを交換することができることが理解され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1のスイッチング回路は、第1のスイッチと、接地される複数の異なる第1のチューニング素子とを含み、第1のスイッチは、スイッチングによって異なる第1のチューニング素子に接続されて、給電点と第1の端部との間の電気的長さ変更する。第1のスイッチは、スイッチングによって異なる第1のチューニング素子に接続され、それによって、異なる第1のチューニング素子はアンテナ本体に接続される。異なる第1のチューニング素子は、異なるタイプのチューニング素子であり得、例えば、コンデンサ、インダクタ、又は抵抗器であり得る。あるいはまた、異なる第1のチューニング素子は、同じタイプに関するものであり且つ仕様及びサイズが異なるチューニング素子であり得る。例えば、全てのチューニング素子はインダクタであるが、チューニング素子のインダクタンス値は異なる。異なる第1のチューニング素子がアンテナ本体に接続され、アンテナ本体の第1の端部と第2の端部との間の電気的長さ、及び給電点と第1の端部との間の電気的長さを変更し、アンテナ本体によって発生する1/4波長モードでの第1の波長の共振と、1/2波長モードでの第2の波長の共振とを調整する。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1のスイッチング回路は、第1のスイッチと、接地される複数の異なる第1のチューニング素子とを含み、第2のスイッチング回路は、第2のスイッチと、接地される複数の異なる第2のチューニング素子とを含む。複数の第1のチューニング素子は、複数の第2のチューニング素子と1対1で対応し、第1のスイッチがスイッチングによって異なる第1のチューニング素子に接続されるときに、第2のスイッチは、スイッチングによって、第1のスイッチに接続される第1のチューニング素子に対応する第2のチューニング素子に接続される。異なる第2のチューニング素子は、異なるタイプのチューニング素子であり得、例えば、コンデンサ、インダクタ、又は抵抗器であり得る。あるいはまた、異なる第2のチューニング素子は、同じタイプに関するものであり且つ仕様及びサイズが異なるチューニング素子であり得る。例えば、全てのチューニング素子はインダクタであるが、チューニング素子のインダクタンス値は異なる。
【0018】
本願のこの実施形態では、第1のスイッチがスイッチングによって異なる第1のチューニング素子に接続されるときに、第2のスイッチは、スイッチングによって、第1のスイッチに接続される第1のチューニング素子に対応する第2のチューニング素子に接続され、それによって、アンテナ本体に接続される第1のチューニング素子及び第2のチューニング素子のサイズを変更して、給電点と第1の端部との間の電気的長さ、及び第1の端部と第2の端部との間の電気的長さを変えて、アンテナ本体によって発生する1/4波長モードでの第1の波長の共振及び1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数を調整する。さらに、第2のスイッチに接続される第2のチューニング素子は、第1のスイッチに接続される第1のチューニング素子に対応し、従って、アンテナ本体によって発生する1/4波長モードでの第1の波長の共振及び1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数同士の間の差は、常に、50MHz~200MHzの範囲であり、1/4波長モードでの第1の波長の共振と、1/2波長モードでの第2の波長の共振との間の適合性をより良好に実現する。従って、アンテナは、自由空間とハンドヘルド状態との両方で良好な放射性能を有することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1のスイッチは、複数の第1の固定端部と、スイッチングによって複数の第1の固定端部に接続される第1の可動端部とを含み、第1の可動端部は、第1の接続点に接続され、各第1の固定端部は、1つの第1のチューニング素子に接続される。第2のスイッチは、複数の第2の固定端部と、スイッチングによって複数の第2の固定端部に接続される第2の可動端部とを含み、第2の可動端部は、第2の接続点に接続され、各第2の固定端部は、1つの第2のチューニング素子に接続される。本願のこの実施形態では、第1の可動端部は、スイッチングによって異なる第1の固定端部に接続され、それによって、異なる第1の固定端部に接続される第1のチューニング素子はアンテナ本体に接続される。第2の可動端部は、スイッチングによって異なる第2の固定端部に接続され、それによって、異なる第2の固定端部に接続される第2のチューニング素子はアンテナ本体に接続される。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1のスイッチは、単極多投スイッチ又は多極多投スイッチであり得る。第1のスイッチが単極多投スイッチである場合に、1つの第1の可動端部が存在し、第1の可動端部は、スイッチングによって複数の第1の固定端部に接続される。第1のスイッチが多極多投スイッチである場合に、複数の第1の可動端部が存在する。いくつかの実施形態では、第1の可動端部の数量は、第1の固定端部の数量と同じであり、複数の第1の可動端部は、複数の第1の固定端部と1対1で対応している。各第1の可動端部は、第1の可動端部に対応する第1の固定端部に接続する又はこれから接続解除することができる。
【0021】
第1のチューニング素子又は第2のチューニング素子は、並列に接続された又は直列に接続されたコンデンサ、インダクタ、及び抵抗器のうちの任意の1つ又は複数を用いて得られる。
【0022】
いくつかの実施形態では、第3のチューニング素子が、接地点と接地点の接地位置との間に接続され、第3のチューニング素子は、アンテナ本体の電気的長さを調整するように構成される。本願のこの実施形態では、第3のチューニング素子が接地点と接地位置との間に接続され、それによって、第1の端部と第2の端部との間の電気的長さ、及び給電点と第1の端部との間の電気的長さを変化させて、アンテナ本体の第1の端部と第2の端部との間に発生する共振と、給電点と第1の端部との間に発生する共振とを調整して、必要な共振モード(例えば、本願のいくつかの実施形態における1/4波長モードでの第1の波長の共振及び1/2波長モードでの第2の波長の共振)を得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1のエッジの長さが、第2のエッジの長さよりも長く、第1のスロットと第2のエッジとの間の距離が、第2のスロットと第1のエッジとの間の距離よりも大きい。
【0024】
本願のこの実施形態では、第1のスロットと第2のエッジとの間の距離は、第2のスロットと第1のエッジとの間の距離よりも大きい。換言すれば、いくつかの実施形態では、アンテナ本体は、互いに交差する第1のセクション及び第2のセクションを含み、第1のセクションは、第1のエッジの第1のスロットと第2のエッジとの間のセクションであり、第2のセクションは、第2のエッジの第2のスロットと第1のエッジとの間のセクションである。比較的短い長さであり且つアンテナ本体に関する第2のセクションは、比較的短い長さであり且つフレームに関する第2のエッジに位置し、比較的長い長さであり且つアンテナ本体に関する第1のセクションは、比較的長い長さであり且つフレームに関する第1のエッジに位置するため、より多くのL字型アンテナをフレームにさらに配置して、フレームに比較的適切なアンテナ構成を実現することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のスロットと第2のエッジとの間の距離は、90mm以上であり、電子装置を手で持ったときに、第1のスロットが保持される(hold:閉じる)ケースをある程度回避する。従って、アンテナは、ハンドヘルド状態でも依然として比較的良好な放射性能を有することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、給電点は第1のエッジに位置する。いくつかの実施形態では、アンテナ本体の第1のセクションの長さが、アンテナ本体の第2のセクションの長さよりも長く、従って、給電点が第1のエッジに位置することは、アンテナ本体が第1のセクションに位置することを意味する。アンテナ本体の第1のセクションの長さは、アンテナ本体の第2のセクションの長さよりも長く、従って、いくつかの実施形態では、給電点と第1の端部との間の物理的長さは、給電点と第2の端部との間の物理的長さよりも大きい。従って、給電点と第1の端部との間の電気的長さが給電点と第2の端部との間の電気的長さよりも長く、1/4波長モードでの第1の波長の共振が給電点と第1の端部との間で発生し得るケースは、比較的小さなチューニング素子のみを接続することによって、又は給電点と第1の端部との間にチューニング素子を接続せずに実現することができる。このようにして、製造コストを削減することができる。
【0027】
第2の態様によれば、本願は、電子装置を提供する。電子装置は、導電性フレーム、無線周波数フロントエンド、及びアンテナを含む。フレームは、第1のエッジと、第1のエッジと交差する第2のエッジとを含む。第1のスロットが第1のエッジに配置され、第2のスロットが第2のエッジに配置される。フレームの一部であり且つ第1のスロットと第2のスロットとの間にある部分が、アンテナのアンテナ本体を形成する。フレームの一部であり且つ第1のスロットと第2のエッジとの間にあるセクションが、アンテナ本体の第1のセクションであり、フレームの一部であり且つ第2のスロットと第1のエッジとの間にあるセクションが、アンテナ本体の第2のセクションである。無線周波数フロントエンドは、アンテナ本体の給電点に接続され、且つ無線周波数信号をアンテナ本体に供給するか、又はアンテナ本体から送信された無線周波数信号を受信するように構成される。本願のいくつかの実施形態では、電子装置の第1のエッジは垂直方向にあり、第2のエッジは水平方向にある。あるいはまた、電子装置の第1のエッジは水平方向にあり、第2のエッジは垂直方向にある。
【0028】
本願のこの実施形態では、フレームの一部であり且つ第1のスロットと第2のエッジとの間にあるセクションは、アンテナ本体の第1のセクションであり、フレームの一部であり且つ第2のスロットと第1のエッジとの間にあるセクションは、アンテナ本体の第2のセクションである。水平方向の励起又は垂直方向の励起は、1/4波長モードでの第の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生させることができ、水平方向の励起及び垂直方向の励起は、1/2波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生させることができ、それによって、アンテナの水平モード励起と垂直モード励起との両方が比較的強く、アンテナの水平モード励起及び垂直モード励起は比較的バランスが取れている。従って、アンテナを含む電子装置が自由空間(FS)にあるかハンドヘルド状態にあるかに関係なく、アンテナは、比較的良好な放射性能を有することができる。また、フレームの一部であり且つ第1のスロットと第2のスロットとの間にある部分をアンテナ本体として使用することにより、アンテナの占有サイズを小さくすることができ、電子装置の構造を簡素化することができ、製造プロセスを簡素化することができる。
【0029】
第3の態様によれば、本願は、電子装置を提供する。電子装置は、絶縁性フレーム、無線周波数フロントエンド、及びアンテナを含む。フレームは、第1のエッジと、第1のエッジと交差する第2のエッジとを含む。アンテナの第1のセクションが第1のエッジに隣接して配置され、アンテナの第2のセクションが第2のエッジに隣接して配置される。無線周波数フロントエンドは、アンテナ本体の給電点に接続され、且つ無線周波数信号をアンテナ本体に供給するか、又はアンテナ本体から送信された無線周波数信号を受信するように構成される。本願のいくつかの実施形態では、電子装置の第1のエッジは垂直方向であり、第2のエッジは水平方向である。あるいはまた、電子装置の第1のエッジは水平方向であり、第2のエッジは垂直方向である。本願のいくつかの実施形態では、電子装置の第1のエッジは垂直方向であり、第2のエッジは水平方向である。あるいはまた、電子装置の第1のエッジは水平方向であり、第2のエッジは垂直方向である。
【0030】
本願のこの実施形態では、アンテナの第1のセクションは第1のエッジに隣接して配置され、アンテナの第2のセクションは第2のエッジに隣接して配置される。水平方向の励起又は垂直方向の励起は、1/4波長モードでの第の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生させことができ、水平方向の励起及び垂直方向の励起は、1/2波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナに関する共振に基づいて発生させることができ、それによって、アンテナの水平モード励起と垂直モード励起との両方が比較的強く、アンテナの水平モード励起及び垂直モード励起のバランスが比較的取れている。従って、アンテナを含む電子装置が自由空間(FS)にあるかハンドヘルド状態にあるかに関係なく、アンテナは、比較的良好な放射性能を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本願の構造的特徴及び機能をより明確に説明するために、以下では、添付の図面及び特定の実施形態を参照して、本願について詳細に説明する。
図1】本願の一実施形態による電子装置の構造の概略図である。
図2】本願の一実施形態によるアンテナの構造の概略図である。
図3】本願の図1に示される一実施形態による電子装置の内部構造の概略図である。
図4】電子装置の内部構造の別の概略図である。
図5】電子装置がポートレートモードである場合の、電子装置のハンドヘルド状態の概略図である。
図6図3に示される電子装置のアンテナの異なるステータスの反射減衰量係数(S11)の曲線の図である。
図7図3に示される電子装置のアンテナが自由空間にあるときに存在する電流及び放射方向のシミュレーション図である。
図8図3に示される電子装置のアンテナの放射効率の図である。
図9】本願による電子装置のアンテナの反射減衰量係数(S11)の曲線の別の図である。
図10図9に表されるアンテナのシステム効率の図である。
図11】電子装置がランドスケープモードである場合の、電子装置の別のハンドヘルド状態の概略図である。
図12図3に示される電子装置の例示的な構造のアンテナが、自由空間にあり、ハンドヘルド状態であるときに存在するシステム効率及び放射効率の図である。
図13図3に示される電子装置のアンテナの異なるステータスのシステム効率及び放射効率の図である。
図14】別の実施形態によるアンテナの構造の概略図である。
図15a】別の実施形態によるアンテナの構造の概略図である。
図15b】別の実施形態によるアンテナの構造の概略図である。
図16】別の実施形態によるアンテナの構造の概略図である。
図17図16に示されるアンテナのスイッチの可動端部が、スイッチングによって3つの異なるチューニング素子に個別に接続されるときに存在する反射減衰量の図である。
図18図16に示されるアンテナのスイッチの可動端部が、スイッチングによって3つの異なるチューニング素子に個別に接続されるときに存在するシステム効率及び放射効率の図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本願の実施形態における添付の図面を参照して、本願の実施形態における技術的解決策について明確且つ完全に説明する。
【0033】
本願は、電子装置を提供し、電子装置は、外部と通信するためのアンテナを含む。電子装置が自由空間(free space, FS)又は手で持って頭を傍にしたモード(beside head and hand mode)(左手で持って頭を傍にしたモード(beside head and hand left side mode)と右手で持って頭を傍にしたモード(beside head and hand right side mode)とを含む)である場合に、アンテナは比較的良好な動作効果を達成して、電子装置を手に持ったときのアンテナの信号送信への影響を回避し、特に、電子装置を手に持ったときのアンテナの低周波数(low band, LB)信号の送信への影響を回避することができる。アンテナの低周波信号の周波数は、通常699MHz~960MHzの範囲である。電子装置は、携帯型電子装置又は別の適切な電子機器であり得る。例えば、電子装置は、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、時計、アクセサリ装置、或いは別のウェアラブル又はマイクロ装置、携帯電話、又はメディアプレーヤー等の比較的小さな装置であり得る。
【0034】
図1は、本願の一実施形態による電子装置100の構造の概略図である。この実施形態では、電子装置100は携帯電話である。電子装置100は、フレーム10及びディスプレイ20を含む。フレーム10は、ディスプレイ20の周りに配置される。フレーム10は、互いに反対側に配置される2つの第1のエッジ11と、2つの第1のエッジと交差する2つの第2のエッジ12とを含む。2つの第1のエッジ11及び2つの第2のエッジ12は、頭部から尾部に(head-to-tail)接続されて、四角形のフレーム10を形成する。この実施形態では、電子装置100は四角形の平板構造である、すなわち、フレーム10は四角形の形状である。いくつかの実施形態では、フレーム10は、フレーム10に対してより審美的に心地よい効果を提示するために面取りを含む。第2のエッジ12の伸長方向は、水平方向(図に示されるX方向)であり、第1のエッジ11の伸長方向は垂直方向(図に示されるY方向)である。この実施形態では、第1のエッジ11の長さは、第2のエッジ12の長さよりも大きい。いくつかの実施形態では、第1のエッジ11の伸長方向及び第2のエッジ12の伸長方向は、変更され得、第1のエッジ11の長さ及び第2のエッジ12の長さも変更され得る。これは、本明細書では特に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、第1のエッジ11の伸長方向は水平方向であり得、第2のエッジ12の伸長方向は垂直方向であり得る。第1のエッジ11の長さは、第2のエッジ12の長さよりも短くてもよい。この実施形態では、フレーム10は、金属等の導電性材料で作製しても、或いはプラスチック又は樹脂等の非導電性材料で作製してもよい。
【0035】
ディスプレイ20は、画像、ビデオ等を表示するように構成される。ディスプレイ20は、フレキシブルディスプレイ又はリジッド(rigid:剛性)ディスプレイであり得る。例えば、ディスプレイ20は、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode, OLED)ディスプレイ、アクティブマトリックス有機発光ダイオード(active-matrix organic light-emitting diode, AMOLED)ディスプレイ、ミニ有機発光ダイオード(mini organic light-emitting diode)ディスプレイ、マイクロ発光ダイオード(micro organic light-emitting diode)ディスプレイ、マイクロ有機発光ダイオード(micro organic light-emitting diode)ディスプレイ、量子ドット発光ダイオード(quantum dot light emitting diode, QLED)ディスプレイ、又は液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display, LCD)であり得る。
【0036】
図2を参照すると、電子装置100は、アンテナ40及び無線周波数フロントエンド50をさらに含む。アンテナ40は、アンテナ本体41を含む。アンテナ本体41は、無線周波数信号を外部に放射するか、又は外部から無線周波数信号を受信するように構成され、それによって、電子装置100は、アンテナ本体41を使用して外部と通信することができる。無線周波数フロントエンド50は、アンテナ本体41に接続され、且つ無線周波数信号をアンテナ本体41に供給するか、又はアンテナ本体41によって受信される外部無線周波数信号を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、無線周波数フロントエンド50は、送信チャネル及び受信チャネルを含む。送信チャネルには、電力増幅器及びフィルタ等のコンポーネントが含まれる。信号は、電力増幅及びフィルタリング等の処理が電力増幅器及びフィルタ等のコンポーネントを使用して実行された後に、アンテナ本体41に送信され、アンテナ本体41によって外部に送信される。受信チャネルには、低ノイズ増幅器及びフィルタ等のコンポーネントが含まれる。アンテナ本体41で受信した外部信号は、低ノイズ増幅及びフィルタリング等の処理が低ノイズ増幅器及びフィルタ等のコンポーネントを使用して実行された後に無線周波数チップに送信され、無線周波数フロントエンド50及びアンテナ40を使用して電子装置100と外部との間の通信を実現する。
【0037】
アンテナ本体41は、L字型構造であり、第1のセクション411と、第1のセクション411と交差する第2のセクション412とを含む。第1のセクション411の一部であり且つ第2のセクション412から遠くに離れた端部が、第1の端部Aであり、第2のセクション412の一部であり且つ第1のセクション411から遠くに離れた端部が、第2の端部Bである。本願のいつくかの他の実施形態では、第1の端部A及び第2の端部Bは交換できることを強調しておく。換言すれば、いくつかの実施形態では、第2のセクション412の一部であり且つ第1のセクション411から遠くに離れた端部が、第1の端部Aであり、第1のセクション411の一部であり且つ第2のセクション412から遠くに離れた端部が、第2の端部Bである。
【0038】
アンテナ本体41は、間隔を置いて配置された給電点413及び接地点414を含む。接地点414は、給電点413と第1の端部Aとの間に位置し得るか、又は給電点413と第2の端部Bとの間に位置し得る。給電点413は、無線周波数フロントエンド50に電気的に接続されるように構成され、それによって、無線周波数フロントエンド50によって生成された信号は、給電点413を介してアンテナ本体41に送信され、アンテナ本体41を介して外部に送信され得る。あるいはまた、アンテナ本体41によって受信された外部信号が給電点413を介し無線周波数フロントエンド50に送信される。本願における給電点413は実際の点ではなく、無線周波数フロントエンド50がアンテナ本体41に接続される位置が、本願の給電点413である。
【0039】
接地点414は接地され、アンテナ本体41の電気的長さは、接地点414の位置を調整することによって調節することができる。電気的長さが変更されると、アンテナ本体41の共振周波数を変更することができる。いくつかの実施形態では、接地点414は、接地ピン又は接地ワイヤ等の接地部材を使用して接地される。接地部材の一端がアンテナ本体41の接地点414に接続され、他端が接地され、それによって、接地点414は接地される。なお、本願における接地点414は実際の点ではなく、接地ピン又は接地ワイヤ等の接地部材がアンテナ本体41に接続される位置が、接地点414であることに留意されたい。
【0040】
本願におけるアンテナ本体41の電気的長さは、複数の方法で測定され得ることに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、アンテナ本体41の電気的長さは、受動的な試験方法を使用して測定され得る。具体的には、アンテナはジグ(jig)に製造され、アンテナ本体41の第1の端部A及び第2の端部Bのそれぞれが銅シートで密封され、異なる瞬間に測定されたアンテナの反射減衰量図の変化が観察され、アンテナ本体41の第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さ、及び給電点413と第1の端部A又は第2の端部Bとの間の電気的長さを決定する。
【0041】
図3は、図1に示される電子装置100の内部構造の概略図である。電子装置100は、中間フレーム30をさらに含む。ディスプレイ20は、中間フレーム30と積み重ねられ、フレーム10は、中間フレーム30の周りに配置される。この実施形態では、中間フレーム30は、金属等の導電性材料(例えば、金属材料)で作製され、中間フレーム30は接地される。フレーム10が導電性材料で作製される場合に、フレーム10の少なくとも一部は、中間フレーム30に電気的に接続されて、この中間フレーム30を使用してフレーム10を接地することができる。本願のいくつかの実施形態では、電子装置100は、中間フレーム30を含まない場合があり、フレーム10は、接地を実施するために、接地部材を使用して別の接地位置に接続され得る。
【0042】
本願のいくつかの実施形態では、フレーム10は金属材料で作製され、フレーム10のいくつかのセクションをアンテナ本体41として使用して、アンテナ40によって占有されるスペースを削減することができる。図3に示される実施形態では、第1のスロット111が、第1のエッジ11に配置され、第2のスロット121が、第2のエッジ12に配置され、第1のスロット111と第2のスロット121との間のフレーム10は、この実施形態ではアンテナ本体41を形成する。第1のエッジ11にあり且つ第1のスロット111と第2のエッジ12との間にある部分が、アンテナ本体41の第1のセクション411であり、第2のエッジ12にあり且つ第2のスロット121と第1のエッジ11との間にある部分が、アンテナ本体41の第2のセクション412である。アンテナ本体41は、第1のスロット111及び第2のスロット121を使用して、フレーム10上のアンテナ本体41以外の部分から電気的に絶縁される。さらに、アンテナ本体41と中間フレーム30との間にギャップ42があり、アンテナ本体41の良好なクリアランス環境を確保し、それによって、アンテナ40は良好な信号送信機能を有する。いくつかの実施形態では、フレーム10上のアンテナ本体41以外の部分は、中間フレーム30に接続され得、中間フレーム30と一体的に形成され得る。フレーム10上のアンテナ本体41以外の部分が、電子装置の別のアンテナ(例えば、Wi-Fiアンテナ又はGPSアンテナ)のアンテナ本体として使用される場合に、フレーム10上のアンテナ本体以外の部分と中間フレーム30との間にギャップ42もあり、アンテナの良好なクリアランス環境を確保することが理解され得る。
【0043】
アンテナ本体41は、第1の端部A及び第2の端部Bを含む。この実施形態では、第1の端部Aの端面が第1のスロット111に面し、第2の端部Bの端面が第2のスロット121に面する。この場合に、第1の端部Aは電子装置100の垂直方向に位置し、第2の端部Bは電子装置100の水平方向に位置する。アンテナ本体41の第1のエッジ11の伸長方向が水平方向であり、第2のエッジ12の伸長方向が垂直方向である場合に、端面が第1のスロット111に面する第1の端部Aは、水平方向に位置し、端面が第2のスロット121に面する第2の端部Bは、垂直方向に配置される。
【0044】
本願では、第1のスロット111と第2のエッジ12との間の距離、及び第2のスロット121と第1のエッジ11との間の距離は、特に制限されない。いくつかの実施形態では、第1のスロット111と第2のエッジ12との間の距離、又は第2のスロット121と第1のエッジ11との間の距離は、90mmより大きく、電子装置を手で持ったときに、第1のスロット111又は第2のスロット121が保持されるケースをある程度回避する。従って、アンテナ40は、ハンドヘルド状態でも比較的良好な放射性能を有することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1のエッジ11の長さは、第2のエッジ12の長さよりも長く、第1のスロット111と第2のエッジ12との間の距離は、第2のスロット121と第1のエッジとの間の距離よりも大きい、すなわち、第1のセクション411の長さは、第2のセクション412の長さよりも大きい。比較的短い長さであり且つアンテナ本体41に関する第2のセクション412は、比較的短い長さであり且つフレーム10に関する第2のエッジ12に位置する。比較的長い長さであり且つアンテナ本体41に関する第1のセクション411は、比較的長い長さであり且つフレーム10に関する第1のエッジ11に位置する。従って、より多くのL字型アンテナをフレーム10上にさらに配置して、フレーム10上に比較的適切なアンテナ構成を実現することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1のスロット111及び第2のスロット121は、誘電体材料で満たされ、アンテナ本体41とフレーム10上のアンテナ本体41以外の部分との間の電気的絶縁効果をさらに高めることができる。
【0047】
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、電子装置100のフレーム10が非導電性材料で作製される場合に、フレーム10をアンテナ本体41として使用することはできない。この実施形態と図3に示される実施形態との差は、アンテナ本体41が電子装置100内に配置されることである。この実施形態では、アンテナ本体41は、アンテナ40が占めるサイズを最小化し、アンテナ40を電子装置100の外側により近付けるようにするために、フレーム10に隣接して(abut to)配置され、より良い信号送信効果を実現する。この用途では、アンテナ本体41がフレーム10に隣接して配置されることは、アンテナ本体41がフレーム10と密接に接触して配置され得るか、又はフレーム10の近くに配置され得ることを意味し、すなわち、アンテナ本体41とフレーム10との間に小さなギャップが存在し得ることに留意されたい。この実施形態では、第1のスロット111及び第2のスロット121をフレーム10上に配置する必要はなく、アンテナ本体41によって出力又は受信される無線周波数信号は、フレーム10を介して送信され、フレーム10がアンテナ40の信号送信を制限するのを防ぐことができる。アンテナ40は、フレキシブルプリント回路(Flexible Printed Circuit, FPC)、レーザ直接構造化(Laser-Direct-structuring, LDS)アンテナ、マイクロストリップディスクアンテナ(Microstrip Disk Antenna, MDA)等のアンテナ形態であり得る。
【0048】
図3及び図4に示される実施形態では、アンテナ本体41は、接地ピン44を使用して中間フレーム30に接続される。中間フレーム30は接地され、従って、接地点414は、接地ピン44を使用して接地される。具体的には、接地ピン44の一端が、アンテナ本体41に接続され、他端が中間フレーム30に接続される。接地ピン44がアンテナ本体41に接続される位置は、アンテナ本体41の接地点414である。図3及び図4に示される実施形態では、アンテナ本体41は、給電ピン43を使用して無線周波数フロントエンド50に接続される。具体的には、給電ピン43の一端がアンテナ本体41に接続され、他端が無線周波数フロントエンド50に接続される。給電ピン43がアンテナ本体41に接続される位置は、アンテナ本体41の給電点413である。本願の他のいくつかの実施形態では、アンテナ本体41は、接続リード等の別の構造を使用して中間フレーム30に接続され得るか、又は接続リード等の別の構造を使用して無線周波数フロントエンド50に接続され得る。これは、本明細書では特に限定されない。
【0049】
いくつかの実施形態では、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さは、給電点413と第2の端部Bとの間の電気的長さよりも大きく、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さは、1/4波長モードでの略第1の波長であり、それによって、1/4波長モードでの第1の波長の共振は、給電点413とアンテナ本体41の第1の端部Aとの間のセクションで発生し得る。アンテナ40が作動するときに、第1の端部Aに直交する方向のモード励起は、1/4波長モードでの第1の波長に関し且つ給電点413とアンテナ本体41の第1の端部Aとの間のセクションで発生する共振に基づく励起によって発生させることができる。第1の波長は、1/4波長モードでの第1の波長の共振の動作波長である。例えば、図3に示される実施形態では、第1のエッジ11の伸長方向が垂直方向(図のY方向)である場合に、第1の端部Aの端面は、第1のエッジ11の第1のスロット111に面し、すなわち、第1の端部Aは垂直方向に位置する。この場合に、水平モード励起は、1/4波長モードでの第1の波長に関し且つ給電点413とアンテナ本体41の第1の端部Aとの間で発生する共振に基づく励起によって発生する。いくつかの実施形態では、第1のエッジ11の伸長方向が水平方向(図のX方向)である場合に、第1の端部Aの端面は、第1のエッジ11の第1のスロット111に面し、すなわち、第1の端部Aは水平方向に位置する。この場合に、垂直モード励起は、1/4波長モードでの第1の波長に関し且つ給電点413と第1の端部Aとの間のセクションで発生する共振に基づく励起によって発生する。
【0050】
本願のこの実施形態では、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さは、給電点413と第2の端部Bとの間の電気的長さよりも大きい。従って、比較的長い電気的長さのセクション(給電点413と第1の端部Aとの間のセクション)は、1/4波長モードでの略第1の波長であり、1/4波長モードでの略第1の波長の共振を発生させ、それによって、1/4波長モードでの第1の波長の共振は、比較的大きな放射開口を有することができる。従って、アンテナ40は、比較的良好な放射性能を有する。
【0051】
本願のこの実施形態では、給電点413は、アンテナ本体41の任意の位置に配置され得る。具体的には、給電点413の位置又は第1の端部Aの位置は、電子装置100の特定の実際の状況に基づいて対応して変更されて、モード励起を発生させる方向を制御することができる。例えば、図3に示される電子装置100が、狭い顎(chin)構造で設計される場合に、電子装置100の底部エッジ(図3のX軸の方向に延びるエッジ)に比較的小さなクリアランススペースがある。電子装置100のサイドエッジ(図3のY方向に延びるエッジ)に比較的良好なクリアランス環境がある場合に、フレーム10の第1のエッジ11は、電子装置のサイドエッジの位置に配置され得、それによって、第1のエッジ11の伸長方向はY方向であり、第1の端部Aは垂直方向に位置し、水平モード励起が得られる。電子装置100のサイドエッジでのクリアランス環境が不十分であり、底部エッジに比較的良好なクリアランス環境がある場合に、フレーム10の第1のエッジ11は、電子装置の底部エッジの位置に配置され得、それによって、第1のエッジ11の伸長方向はX方向であり、第1の端部Aは水平方向に位置し、垂直モード励起が得られる。この実施形態では、第1のエッジ11の伸長方向はY方向であり、第1の端部Aは垂直方向に位置する。給電点413は、アンテナ本体41の第1のセクション411に位置する。この実施形態では、アンテナ本体41の第1のセクション411の長さは、第2のセクション412の長さよりも長く、従って、給電点413が第1のセクション411に配置された場合に、給電点413と第1の端部Aとの間の物理的長さは、通常、給電点413と第2の端部Bとの間の物理的長さよりも大きい。従って、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さが、給電点413と第2の端部Bとの間の電気的長さよりも大きく、1/4波長モードでの第1の波長の共振が、給電点413と第1の端部Aとの間に発生し得るケースは、比較的小さな仕様のチューニング素子のみを接続するか、又は給電点413と第1の端部Aとの間にチューニング素子を接続せずに実現することができる。このようにして、製造コストを削減することができる。
【0052】
本願のいくつかの実施形態では、第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さは、1/2波長モードでの略第2の波長であり、アンテナ本体41は、第1の端部Aと第2の端部Bとの間で1/2波長モードでの第2の波長の共振を発生させることができる。第2の波長は、1/2波長モードでの第2の波長に関し且つ第1の端部Aと第2の端部Bとの間に形成される共振の波長である。いくつかの実施形態では、第1の波長及び第2の波長は、その放射周波数がLTE規格の同じ周波数帯域(例えば、B28、B5、又はB8)内にある信号の動作波長である。アンテナ本体41はL字型であり、従って、第1のセクション411に直交する方向のモード励起、及び第2のセクション412に直交する方向のモード励起を発生させることができ、すなわち、水平モード励起及び垂直モード励起を発生させることができる。これは、1/4波長モードでの第1の波長の共振に基づいて発生するモード励起を強化するのを助けることができ、それによって、アンテナ40の水平モード励起及び垂直モード励起は、比較的強くすることができ、すなわち、アンテナの水平モード励起と垂直モード励起との両方のバランスを比較的とることができる。従って、アンテナ40は、ハンドヘルド状態でも依然として比較的良好なアンテナ放射性能を有する。換言すれば、本願では、アンテナ本体41は、1/4波長モードでの第1の波長の共振と、1/2波長モードでの第2の波長の共振との両方を発生させることができ、1/4波長モードでの第1の波長の共振に基づいて発生するモード励起は、1/2波長モードでの第2の波長の共振を使用して増強することができ、それによって、アンテナ40の水平モード励起及び垂直モード励起のバランスが比較的とれる。従って、アンテナ40は、電子装置100が自由空間(FS)にあるかハンドヘルド状態にあるかに関係なく、比較的良好な放射性能を有することができる。例えば、図3の実施形態では、水平モード励起は、1/4波長モードでの第1の波長の共振に基づいて発生し、水平モード励起及び垂直モード励起は、1/2波長モードでの第2の波長の共振に基づいて発生し、それによって、電子装置100が自由空間にある場合に、水平モード励起と垂直モード励起との両方が比較的強くなる。従って、アンテナ40は、比較的良好な放射性能を有する。電子装置100を手で持って、電子装置100がポートレートモードである場合に、電子装置100の第1のエッジ11の保持は、水平方向での電子装置100のモード励起の大きさに部分的に影響を与えるが、垂直モード励起の強度には影響を与えない。従って、アンテナ40は依然として良好な放射性能を有する。電子装置100を手で持って、電子装置100がランドスケープモードである場合に、電子装置100の第2のエッジ12の保持は、垂直方向の電子装置100のモード励起の大きさに部分的に影響を与えるが、水平モード励起の強度には影響を与えない。従って、アンテナ40は依然として良好な放射性能を有する。
【0053】
本願では、アンテナ40が作動すると、1/4波長モードでの第1の波長の共振、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振が発生する。いくつかの実施形態では、第1の波長は第2の波長よりも大きい、すなわち、1/4の波長モードでの第1の波長の共振周波数は、1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数よりも小さく、同じ動作周波数帯域(例えば、周波数帯域B28、B5、又はB8)で効率ピット(efficiency pit)の発生を回避し、それによって、アンテナ40は、動作周波数帯域で良好な放射性能を有することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、給電点と第1の端部との間に発生する共振周波数と、第1の端部と第2の端部との間に発生する共振周波数との間の差は、50MHz~200MHzの範囲であり、1/4波長モードでの第1の波長の共振と、1/2波長モードでの第2の波長の共振との間のより良好な互換性を実現する。従って、アンテナは、自由空間とハンドヘルド状態との両方で良好な放射性能を有することができる。いくつかの実施形態では、1/4波長モードでの第1の波長の共振の周波数と、1/2波長モードでの第2の波長の共振の周波数との間の差が、50MHz~150MHzの範囲であり得る。
【0055】
図5図8を参照されたい。図6は、図3に示される電子装置100のアンテナ40の異なるステータス(自由空間、左手で持って頭を傍にしたモードと、右手で持って頭を傍にしたモードとを含む)の反射減衰量係数(return loss coefficient)(S11)の曲線の図である。図3に示される実施形態では、第1の端部Aは、フレーム10の第1のエッジ11に位置し、第1のエッジ11は、垂直方向に位置する。図6において、水平座標は周波数(単位:GHz)、垂直座標は反射減衰量係数(単位:dB)である。曲線aは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図を表す。曲線b及びcは、電子装置100を手で持って、電子装置100がポートレートモード(図5に示されるハンドヘルド状態)で保持されるときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図である。曲線bは、電子装置100が左手で持って頭を傍にしたモード(すなわち、電子装置100が左手で保持され、顔の左側に近付けられるモード)のときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図を表す。曲線cは、電子装置100が右手で持って頭を傍にしたモード(すなわち、電子装置100が右手で保持され、顔の右側に近付けられるモード)のときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図を表す。図7は、図3に示される電子装置100のアンテナ40が自由空間にあるときに存在する電流及び放射方向のシミュレーション図である。図8は、図3に示される電子装置100の例示的な構造のアンテナ40の放射効率の図である。図8では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は放射効率(単位:dB)である。曲線aは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40の放射効率の曲線図を表す。曲線bは、電子装置100が左手で持って頭を傍にしたモード(すなわち、電子装置100が左手で保持され、顔の左側に近付けられるモード)であるときに存在するアンテナ40の反射効率の曲線図を表す。曲線cは、電子装置100が右手で持って頭を傍にしたモード(すなわち、電子装置100が右手で保持され、顔の右側に近付けられるモード)であるときに存在するアンテナ40の反射効率の曲線図を表す。
【0056】
図6及び図7から、アンテナ40は自由空間に2つのアンテナモードを有しており、従ってアンテナ40は比較的高い帯域幅を有することが容易に分かり得る。また、2つのアンテナモードの指向性パターンは、特定の空間において相補的であり、それによって、アンテナ40は、各方向に比較的良好な放射効率を有することができ、電子装置100を手で持ったときにアンテナ40がデスグリップに遭遇するケースが回避される。いくつかの実施形態では、補完後に得られる指向性パターンは斜めであり、従って、デスグリップの問題はない。さらに、図6及び図8から、左手で持って頭を傍にしたモードと右手で持って頭を傍にしたモードとの両方で、アンテナ40の放射性能は僅かに低下するが、アンテナ40はデスグリップに遭遇しないことが分かり得る。図8から、手で持って頭を傍にしたモード(左手で持って頭を傍にしたモード又は右手で持って頭を傍にしたモードを含む)での放射効率が自由空間での放射効率と比較して、アンテナ40の放射効率に約5dBの低下が存在するが、アンテナ40は、依然として比較的良好な放射効率を有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、アンテナ40の第1の端部Aがフレーム10の第2のエッジ12に位置する場合に、アンテナ40は、自由空間及び手で持って頭を傍にしたモードで依然として比較的良好な放射性能を有することができる。図9及び図10を参照されたい。図9は、本願による電子装置100の例示的な構造のアンテナ40の反射減衰量係数(S11)の曲線の別の図である。図9に表されるアンテナ40の第1の端部Aは、電子装置100のフレーム10の第2のエッジ12に位置する。図9では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は反射減衰量係数(単位:dB)である。曲線aは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図を表す。曲線b及びcは、電子装置100が手で保持され、電子装置100がポートレートモードであるときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図である。曲線bは、電子装置100が左手で持って頭を傍にしたモード(すなわち、電子装置100が左手で保持され、顔の左側に近付けられるモード)のときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図を表す。曲線cは、電子装置100が右手で持って頭を傍にしたモード(すなわち、電子装置100が右手で保持され、顔の右側に近付けられるモード)のときに存在するアンテナ40の反射減衰量係数の曲線図を表す。図10は、図9に表されるアンテナ40のシステム効率の図である。図10では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は放射効率(単位:dB)である。
【0058】
図9及び図10から、第1の端部Aがフレーム10の第2のエッジ12に位置する場合に、アンテナ40は自由空間に2つのアンテナモードを有しており、従ってアンテナ40は比較的高い帯域幅を有することが分かり得る。さらに、左手で持って頭を傍にしたモードと右手で持って頭を傍にしたモードとの両方で、アンテナ40の放射性能は僅かに低下するが、アンテナ40はデスグリップに遭遇しない。さらに、手で持って頭を傍にしたモード(左手で持って頭を傍にしたモード又は右手で持って頭を傍にしたモードを含む)での放射効率を、自由空間での放射効率と比較すると、アンテナ40の放射効率が低下するが、アンテナ40は、依然として比較的良好な放射効率を有する。
【0059】
図11及び図12を参照されたい。図12は、図3に示される電子装置100の例示的な構造のアンテナ40が自由空間及びハンドヘルド状態であるときに存在するシステム効率及び放射効率の図である。電子装置が手で保持される場合に、電子装置は、図11に示されるランドスケープモードである。この場合に、電子装置100の第2のエッジ12は手で保持される。図12では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は効率(単位:dB)である。曲線aは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40の放射効率の曲線図を表す。曲線bは、電子装置100がランドスケープモードであり、電子装置100の第2のエッジ12が手で保持されるときに存在するアンテナ40の放射効率の曲線図を表す。曲線cは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40のシステム効率の曲線図を表す。曲線dは、電子装置100がランドスケープモードであり、電子装置100の第2のエッジ12が手で保持されるときに存在するアンテナ40のシステム効率の曲線図を表す。曲線c及びdから、電子装置100がランドスケープモードであるときに、電子装置100の2つの対向する第2のエッジ12が手で保持されている場合に、アンテナ40はデスグリップに遭遇しないことが分かり得る。さらに、曲線a及びbから、電子装置100がハンドヘルド状態であるときに存在する放射効率を自由空間の放射効率と比較すると、アンテナ40の放射効率が約5dB低下するが、アンテナ40は、依然として比較的良好な放射効率を有することが分かり得る。
【0060】
例えば、図13は、図3に示される電子装置100のアンテナ40の異なるステータスのシステム効率及び放射効率の図である。図13では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は効率(単位:dB)である。曲線aは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40の放射効率の曲線図を表す。曲線bは、電子装置100が手で保持され、フレーム10の第1のスロット111及び第2のスロット121が塞がれたときに存在するアンテナ40の放射効率の曲線図を表す。曲線cは、電子装置100が自由空間にあるときに存在するアンテナ40のシステム効率の曲線図を表す。曲線dは、電子装置100が手で保持され、フレーム10の第1のスロット111及び第2のスロット121が塞がれているときに存在するアンテナ40のシステム効率の曲線図を表す。曲線c及びdから、電子装置100が手で保持され、フレーム10の第1のスロット111及び第2のスロット121が塞がれている場合に、アンテナ40はデスグリップに遭遇しないことが分かり得る。さらに、曲線a及びbから、電子装置100がハンドヘルド状態であり、フレーム10の第1のスロット111及び第2のスロット121が塞がれているときに存在する放射効率を、自由空間の放射効率と比較すると、アンテナ40の放射効率が約7dB低下するが、アンテナ40は、依然として比較的良好な放射効率を有していることが分かり得る。
【0061】
図14は、本願の他のいくつかの実施形態によるアンテナ40の構造の概略図である。図14に示される実施形態のアンテナ40と図2に示される実施形態のそのアンテナとの差は、第3のチューニング素子45がアンテナ本体41の接地点414と接地位置との間に接続されることである。この実施形態では、第3のチューニング素子45は、コンデンサ又はインダクタであり得るか、或いは並列に配置された又は直列に配置されたコンデンサ及びインダクタを用いて得られ得る。第3のチューニング素子45は、接地点414と接地位置との間に接続され、アンテナ本体41の第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さ、及びアンテナ本体41の給電点413と第1の端部A又は第2の端部Bとの間の電気的長さを変更して、アンテナ本体41の共振に基づいて発生するアンテナモードの動作周波数を調整する。この実施形態では、接地位置は、接地ピン44が中間フレーム30の一端に接続される位置である。
【0062】
本願のいくつかの実施形態では、アンテナ40は、少なくとも1つのスイッチング回路をさらに含む。アンテナ40は、スイッチング回路を使用して異なる動作周波数帯域に切り替わり、それによって、アンテナ40は、複数の異なる動作周波数帯域で通信を実施することができる。図15aは、本願の他のいくつかの実施形態によるアンテナ40の構造の概略図である。図15aに示される実施形態のアンテナ40と図3に示される実施形態のそのアンテナとの差は、アンテナ40が第1のスイッチング回路46をさらに含むことである。第1の接続点415が、アンテナ本体41に配置され、第1の接続点415は、給電点413及び接地点414の側であり且つ第1の端部Aから遠くに離れた側か、又は給電点413及び接地点414の側であり且つ第2の端部Bから遠くに離れた側に位置する。本願では、第1の接続点415は実際の点ではなく、第1のスイッチング回路46がアンテナ本体41に接続される位置が、第1の接続点415であることに留意されたい。第1のスイッチング回路46は、第1のスイッチ461及び少なくとも1つの接地された第1のチューニング素子を含む。第1のチューニング素子462は、容量性素子又は誘導性素子であり得るか、或いは並列に接続された又は直列に接続された容量性又は誘導性素子を用いて得られ得る。少なくとも1つは1つ又は複数を意味する。並列又は直列に接続された容量性又は誘導性素子は、第1のチューニング素子462が、並列に配置された又は直列に配置された複数の容量性素子を用いて得られ得、並列に接続された又は直列に接続された複数の誘導性素子を用いて得られ得、或いは並列に接続された又は直列に接続された容量性素子及び誘導性素子を用いて得られ得る。第1のスイッチ461の一端が、第1の接続点415に接続され、他端が、スイッチングによって異なる第1のチューニング素子462に接続されて、異なる第1のチューニング素子462(異なるタイプの第1のチューニング素子462であり得る、又は同じタイプであり且つ仕様及びサイズが異なる第1のチューニング素子462であり得る)をアンテナ本体41に接続することができる。この実施形態では、第1の接続点415は、給電点413及び接地点414の側であり且つ第2の端部Bから遠く離れた側に位置しており、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さ、及びアンテナ本体41の電気的長さ(第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さ)を変更して、1/4波長モードでの第1の波長の共振周波数、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数を変更し、それによって、アンテナ40は、様々な動作周波数帯域をカバーすることができる。いくつかの実施形態では、代替的に、第1の接続点415は、給電点413及び接地点414の側であり且つ第1の端部Aから遠くに離れた側に配置され、給電点413と第2の端部Bとの間の電気的長さ、及び第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さを変更することができ、これにより、1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数が変化する。
【0063】
第1のスイッチ461は、様々なタイプのスイッチであり得る。例えば、第1のスイッチ461は、単極単投スイッチ、単極多投スイッチ、又は多極多投スイッチ等の物理的スイッチであり得るか、又はモバイルインダストリプロセッサインターフェイス(Mobile Industry Processor Interface, MIPI)又は汎用入力/出力(General-purpose input/output, GPIO)インターフェイス等の切り替え可能なインターフェイスであり得る。第1のスイッチ461は、第1の可動端部461a及び複数の第1の固定端部461bを含む。第1の可動端部461aの一部であり且つ第1の固定端部461bから遠くに離れた一端が、第1の接続点415に接続され、他端が、スイッチングによって第1の固定端部461bに電気的に接続され得る。第1のチューニング素子462の一端が、第1の固定端部461bに接続され、他端が接地される。第1の可動端部461aがスイッチングによって異なる第1の固定端部461bに接続されるときに、異なる第1のチューニング素子462がアンテナ本体41に接続されて、アンテナ本体41の電気的長さを調整し、1/4波長モードでの第1の波長の共振周波数と、1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数とを変更する。異なるタイプの第1のスイッチ461に基づいて、第1スイッチ61は、1つ又は複数の第1の可動端部461aを含み得る。異なる第1の可動端部461aに対して異なる第1の固定端部461b同士の間のスイッチングが実行され、それによって、サイズ、タイプ、及びアンテナ本体41に接続される第1のチューニング素子462の数量を変更することができる。例えば、図15aに示される実施形態では、第1のスイッチ461は、単極多投スイッチである、すなわち、第1のスイッチ461は、複数の第1の固定端部461bを含む。各第1の固定端部461bは、1つの第1のチューニング素子462に接続され、異なる第1の固定端部461bは、異なる第1のチューニング素子462(タイプ又は仕様及びサイズが異なり得る)に接続される。従って、第1のスイッチ461の第1の可動端部461aがスイッチングによって異なる第1の固定端部461bに接続されるときに、アンテナ本体41は、異なる第1のチューニング素子462に接続されて、アンテナ本体41の各セクション(給電点413と第1の端部Aとの間のセクション、第1の端部Aと第2の端部Bとの間のセクション等を含む)の電気的長さを変更する。このようにして、アンテナ40は、実際の要件に基づいて異なる動作周波数帯域を切り替えることができ、それによって、電子装置100のアンテナ40は、より多くの動作周波数帯域をカバーすることができる。例えば、図15aに示される実施形態では、具体的には4つの第1の固定端部461bがあり、4つの第1の固定端部461bはそれぞれ異なるサイズのインダクタに接続され、次に接地される。第1の可動端部461aがスイッチングによって第1の固定端部461bから別の第1の固定端部461bに接続されるときに、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さが変化し、従って、1/4波長モードでの第1の波長に関し且つ給電点413と第1の端部Aとの間に発生する共振周波数が変化する。さらに、第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さが変化し、従って、1/2波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナ40に関する共振周波数が変更される。
【0064】
図15bは、本願によるアンテナ40の構造の別の概略図である。この実施形態では、第1のスイッチ461は多極多投スイッチであり、第1の可動端部461aの数量は、第1の固定端部461bの数量と同じである。具体的には、この実施形態では、4つの第1の可動端部461a及び4つの第1の固定端部461bがあり、第1の可動端部461aは、第1の固定端部461bと1対1で対応している。4つの第1の可動端部461aのそれぞれの一端が、第1の接続点415に接続され、他端が、第1の可動端部461aに対応する第1の固定端部461bに接続されるか、又はこれから接続解除される。このようにして、アンテナ本体41に接続される第1のチューニング素子462の数量を制御して、アンテナ本体41の給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さ、及び第1の端部Aと第2の端部Bとの間の全体的な電気的長さを変更し、1/4波長モードでの第1の波長の共振周波数、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数を変更する。例えば、2つの第1の可動端部461aが2つの第1の可動端部461aに対応する第1の固定端部461bに接続され、他の2つの第1の可動端部461aが、他の2つの第1の可動端部461aに対応する第1の固定端部461bから接続解除される場合に、2つの第1のチューニング素子462はアンテナ本体41に接続され、2つの第1のチューニング素子462は並列に配置される。
【0065】
図16は、本願の他のいくつかの実施形態によるアンテナ40の構造の概略図である。図16に示される実施形態と図15aに示される実施形態との差は、アンテナ40が第2のスイッチング回路47をさらに含むことである。第2の接続点416はアンテナ本体41に配置され、第2のスイッチング回路47は第2の接続点416に接続される。本願では、第2の接続点416は実際の点ではなく、第2のスイッチング回路47がアンテナ本体41に接続される位置は、第2の接続点416であることに留意されたい。給電点413及び接地点414は、第1の接続点415と第2の接続点416との間に位置する。第2のスイッチング回路47は、第1のスイッチング回路46と同様の構造であり、第2のスイッチ471及び複数の第2のチューニング素子472を含む。第2のスイッチ471は、スイッチングによって異なる第2のチューニング素子472に接続され得る。第1のスイッチング回路46は、第2のスイッチング回路47と協調して、1/4波長モードでの第1の波長の共振の動作周波数、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数を変更する。具体的には、第1のスイッチング回路46の第1のスイッチ461に対してスイッチングが行われ、それによって、異なる第1のチューニング素子462がアンテナ本体41に接続され、第2のスイッチング回路47の第2のスイッチ471が、スイッチングによって異なる第2のチューニング素子に接続され、給電点413と第1の端部A又は第2の端部Bとの間の電気的長さ、及び第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さを変更して、1/4波長モードでの第1の波長の共振の動作周波数、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振の動作周波数を変更する。このようにして、アンテナ40は、より多くの動作周波数帯域をカバーすることができる。この実施形態では、第2のスイッチング回路47は、給電点413及び接地点414の側であり且つ第1の端部Aから遠く離れた側に配置され、第2のスイッチング回路47の第2のスイッチ471は、スイッチングによって異なる第2のチューニング素子472に接続され、給電点413と第2の端部Bとの間の電気的長さ、及び第1の端部Aと第2の端部Bとの間の電気的長さを変更し、第2のスイッチング回路47を使用して、1/2波長モードでの第2の波長に関し且つアンテナ40に関する共振の周波数を変更する。
【0066】
第2のスイッチ471はまた、単極単投スイッチ、単極多投スイッチ、又は多極多投スイッチ等の物理的スイッチであり得るか、又はモバイルインダストリプロセッサインターフェイス(Mobile Industry Processor Interface, MIPI)又は汎用入力/出力(General-purpose input/output, GPIO)インターフェイス等の切り替え可能なインターフェイスであり得る。この実施形態では、第2のスイッチ471は、単極多投スイッチであり、第2の可動端部471a及び複数の第2の固定端部471bを含む。各第2のチューニング素子472の一端が、対応して1つの第2の固定端部471bに接続され、他端が接地される。第2の可動端部471aの一端が、第2の接続点416に接続され、他端が、スイッチングによって異なる第2のチューニング素子472に接続され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、第2のスイッチング回路47の第2の固定端部471bに接続される第2のチューニング素子472は、第1のスイッチング回路46の第1の固定端部461bに接続される第1のチューニング素子462と1対1で対応する。第1のスイッチ461がスイッチングによって任意の第1のチューニング素子462に接続されるときに、第2のスイッチ471は、スイッチングによって、第1のスイッチ461に接続される第1のチューニング素子462に対応する第2のチューニング素子472に接続され、アンテナ40の各セクションの電気的長さを対応して調整し、それによって、給電点413と第1の端部Aとの間の電気的長さが、常に、給電点413と第2の端部Bとの間の電気的長さより長くなるようにすることができ、そして、1/4波長モードでの第1の波長の共振の動作周波数が、1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数よりも低いこと、及び1/4波長モードでの第1の波長の共振周波数と1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数との間の差が、50MHz~200MHzの範囲であることが保証される。
【0068】
図17及び図18は、それぞれ、図16に示されるアンテナ40の第1のスイッチ461の第1の可動端部461aがスイッチングによって3つの異なる第1のチューニング素子462に別々に接続され、第2のスイッチ471が、それに対応して、スイッチングによって、第1のスイッチ461に接続される第1のチューニング素子462に対応する第2のチューニング素子472に接続されるときに存在する反射減衰量の図及びシステム効率及び放射効率の図である。図17では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は反射減衰量係数(単位:dB)である。図18では、水平座標は周波数(単位:GHz)であり、垂直座標は効率(単位:dB)である。
【0069】
図17から、第1のスイッチ461に対してスイッチングが実行され、それに対応して第2のスイッチ471に対してスイッチングが実行され、それによって、アンテナ40は3つの異なる周波数帯域で反射減衰量曲線を生成することができることが分かり得る。具体的には、図17の曲線a、b、及びcは、それぞれ、電子装置100が自由空間にあるときに、アンテナバンドB28(703MHz~803MHz)、B5(824MHz~894MHz)、及びB8(880MHz~960MHz)でのアンテナ40が発生させる反射減衰量曲線を表すことが分かり得る。図17から、アンテナ40は、第1のスイッチ461及び第2のスイッチ471に対してスイッチングを実行することによって、異なる動作周波数帯域で共振することができることが分かり得る。さらに、アンテナ40は、異なる動作周波数帯域での2つのアンテナモード(1/4波長モードでの第1の波長の共振、及び1/2波長モードでの第2の波長の共振)を発生させることができる。従って、アンテナ40は、自由空間と手で持って頭を傍にしたモードとの両方で比較的高い放射性能を有することができる。図から、第1のスイッチ461と第2のスイッチ471に対してスイッチングを行うと、第1のスイッチ461に接続される第1のチューニング素子462が、第2のスイッチ471に接続される第2のチューニング素子472に対応するように設定され、1/4波長モードでの第1の波長に関し且つアンテナ40に関する共振周波数は、常に、1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数よりも低く、1/4波長モードでの第1の波長の共振周波数と、1/2波長モードでの第2の波長の共振周波数との間の差が、50MHz~200MHzの範囲であることがさらに分かり得る。図18では、曲線a、b、及びcは、それぞれ、電子装置100が自由空間にあるときに、アンテナ周波数帯域B28(703MHz~803MHz)、B5(824MHz~894MHz)、及びB8(880MHz~960MHz)でアンテナ40が発生させる放射効率の曲線図を表し、曲線d、e、及びfは、それぞれ、アンテナ周波数帯域B28、B5、及びB8においてアンテナ40が発生させるシステム効率の曲線図を表す。図18から、異なる動作周波数帯域(B28、B5、及びB8を含む)のそれぞれの80MHzの帯域幅において、アンテナ40の効率は-6dB未満であり、従ってアンテナ40は良好な放射性能を有することが分かり得る。
【0070】
この実施形態では、第1のスイッチング回路46及び第2のスイッチング回路47の第1のスイッチ461は、単極4投スイッチであり、それによって、アンテナ40は、4つの異なる動作周波数をカバーすることができる。実際の要件に基づいて、アンテナ40は、異なる第1のスイッチ461及び第2のスイッチ471等を使用して、スイッチング回路の数量を増やすことによって、より多くの動作周波数帯域をカバーできることが理解され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1のスイッチング回路46及び第2のスイッチング回路47の第1のスイッチ461は、多極4投スイッチであり、それによって、アンテナ40は、24個の動作周波数をカバーすることができる。
【0071】
前述の説明は、本願の好ましい実施態様である。当業者は、本願の原理から逸脱することなく、さらにいくつかの改良又は改善(polishing)を行うことができ、改良又は改善は、本願の保護範囲に含まれることに留意されたい。
【国際調査報告】