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特表2022-545907成形品を生産するための3Dスクリーン印刷装置及び3Dスクリーン印刷方法
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  • 特表-成形品を生産するための3Dスクリーン印刷装置及び3Dスクリーン印刷方法 図1
  • 特表-成形品を生産するための3Dスクリーン印刷装置及び3Dスクリーン印刷方法 図2
  • 特表-成形品を生産するための3Dスクリーン印刷装置及び3Dスクリーン印刷方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-01
(54)【発明の名称】成形品を生産するための3Dスクリーン印刷装置及び3Dスクリーン印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 67/08 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
B29C67/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513114
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2020073745
(87)【国際公開番号】W WO2021037848
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】102019123128.0
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518249937
【氏名又は名称】エス.ア.エス. スリーディーセラム - シントー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルーア、ズザンネ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213WA24
4F213WB01
4F213WC04
(57)【要約】
本発明は、成形品が層ごとに作られる3Dスクリーン印刷方法で、少なくとも1つの成形品20を生産するための3Dスクリーン印刷装置10に関し、前記3Dスクリーン印刷装置は、少なくとも1つの成形品が層ごとに生産されることができる印刷台18と、層ごとに成形品を生産するための層の幾何学的形状を有する少なくとも1つの印刷マスク26を含む印刷スクリーン24と、印刷スクリーン24へ印刷材料32を塗布し且つ印刷マスク26に前記材料を加工して成形品層を生産するように構成された塗布部30と、各成形品層の生産後に第1の相対移動によって印刷台18と印刷スクリーン24との間の距離を長くするように構成された第1の位置決め部16とを備える。印刷スクリーン24は複数の印刷マスク26を有し、3Dスクリーン印刷装置10は、1つの印刷スクリーン24の異なる印刷マスク26が、個々の成形品が作られる成形品位置で次々に位置決めされることができるように印刷台18と印刷スクリーン24との間で第2の相対移動を行うように構成された第2の位置決め部28を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形品(20)が層ごとに作られる3Dスクリーン印刷方法で、少なくとも1つの成形品(20)を生産するための3Dスクリーン印刷装置(10)であって、
前記少なくとも1つの成形品(20)が層ごとに生産されることができる印刷台(18)と、
層ごとに前記成形品(20)を生産するための層の幾何学的形状を有する少なくとも1つの印刷マスク(26)を有する印刷スクリーン(24)と、
前記印刷スクリーン(24)上へ印刷材料(32)を塗布し且つ前記印刷マスク(26)に前記材料を加工して成形品層(22)を生産するように構成された塗布部(30)と、
各成形品層(22)の前記生産後に第1の相対移動(R)によって前記印刷台(18)と前記印刷スクリーン(24)との間の距離を長くするように構成された第1の位置決め部(16)とを備え、
前記印刷スクリーン(24)は複数の印刷マスク(26)を備え、前記3Dスクリーン印刷装置(10)は、前記1つの印刷スクリーン(24)の異なる印刷マスク(26)が個々の成形品(20)が作られる成形品位置で次々に位置決め可能となるように前記印刷台(18)と前記印刷スクリーン(24)との間で第2の相対移動(R)を行うように構成された第2の位置決め部(28)を備えることを特徴とする、3Dスクリーン印刷装置(10)。
【請求項2】
前記第2の位置決め部(28)は、前記印刷台(18)と前記1つの印刷スクリーン(24)との間の前記第2の相対移動(R)が、前記印刷台(18)又は前記印刷スクリーン(24)によって画定された平面内で行われるように設計されることを特徴とする、請求項1に記載の3Dスクリーン印刷装置(10)。
【請求項3】
前記第2の位置決め部(28)は、前記印刷台(18)と前記1つの印刷スクリーン(24)との間の前記第2の相対移動(R)を回転及び/又は並進移動として行うように構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の3Dスクリーン印刷装置(10)。
【請求項4】
前記3Dスクリーン印刷装置(10)は、前記成形品(20)及び/又は個々の成形品層(22)の温度を制御するように構成された加熱部を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の3Dスクリーン印刷装置(10)。
【請求項5】
前記第2の位置決め部(28)は、回転軸(D)を中心として前記印刷台(18)と前記1つの印刷スクリーン(24)との間で回転相対移動(R、R)を行うように構成され、複数の印刷マスク(26)が前記回転軸(D)を中心とする少なくとも1つの同心円上の前記印刷スクリーン(24)に配置されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の3Dスクリーン印刷装置(10)。
【請求項6】
前記回転軸(D)を中心とした複数の同心円が前記印刷スクリーン(24)に設けられ、前記同心円のそれぞれに複数の印刷マスク(26)が配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の3Dスクリーン印刷装置(10)。
【請求項7】
前記回転軸(D)を中心とする共通の同心円上の前記印刷スクリーン(24)に配置された全ての印刷マスク(26)が、生産される層の幾何学的形状及び/又は前記マスクの幾何学的配列に関して同一であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の3Dスクリーン印刷装置(10)。
【請求項8】
前記印刷スクリーン(24)における全ての印刷マスク(26)が前記回転軸(D)を中心とした前記共通の同心円上に等距離に配置され、2つの印刷マスク(26)間の角度が完全な円の整数倍数に対応することを特徴とする、請求項5から7までのいずれか一項に記載の3Dスクリーン印刷装置(10)。
【請求項9】
成形品(20)が層ごとに作られる3Dスクリーン印刷方法で、少なくとも1つの成形品(20)を生産するための方法であって、
印刷台(18)上で層ごとに前記少なくとも1つの成形品(20)を生産するために、それぞれが層の幾何学的形状を有する複数の印刷マスク(26)を有する印刷スクリーン(24)上へ印刷材料(32)を塗布し、成形品層(22)を生産するために、前記印刷材料(32)を前記印刷スクリーン(24)の少なくとも1つの印刷マスク(26)に加工するステップを備え、
各成形品層(22)の前記生産後、第1の相対移動(R)によって、前記印刷台(18)と前記印刷スクリーン(24)との間の距離が長くなり、
第2の位置決め部(28)によって、前記1つの印刷スクリーン(24)の異なる印刷マスク(26)が前記少なくとも1つの成形品(20)が作られる成形品位置で次々に位置決めされるように前記印刷台(18)と前記印刷スクリーン(24)との間で少なくとも1つの第2の相対移動(R)を行うステップを備える、方法。
【請求項10】
前記3Dスクリーン印刷方法を行うために請求項1から8までのいずれか一項に記載の3Dスクリーン印刷装置(10)が設けられることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記印刷台(18)と前記1つの印刷スクリーン(24)との間の前記第2の相対移動(R)は、前記印刷台(18)又は前記印刷スクリーン(24)によって画定された平面内で前記第2の位置決め部(28)によって行われることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記印刷台(18)と前記1つの印刷スクリーン(24)との間の前記第2の相対移動(R)は回転及び/又は並進移動として行われることを特徴とする、請求項9から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記成形品(20)及び/又は各個々の成形品層(22)の温度が加熱部によって制御されることを特徴とする、請求項9から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記印刷台(18)と前記1つの印刷スクリーン(24)との間の回転相対移動(R、R)は、前記第2の位置決め部(28)によって回転軸(D)を中心として行われ、前記印刷材料(32)は、複数の印刷マスク(26)が前記回転軸(D)を中心とする少なくとも1つの同心円上に配置された印刷スクリーン(24)へ塗布され、前記印刷材料(32)は、前記成形品層(22)を生産するために、前記印刷マスク(26)に加工されることを特徴とする、請求項9から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項9から14までのいずれか一項に記載の3Dスクリーン印刷方法で達成可能である、成形品(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品が層ごとに作られる3Dスクリーン印刷方法で、少なくとも1つの成形品を生産するための3Dスクリーン印刷装置に関する。本発明は、また、3Dスクリーン印刷方法で、このような成形品を生産するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生成的又は付加的製造方法において、成形品(三次元物)は層ごとに作ることによって生産される。この製造技術の代表として広く使用されている3D印刷は、液体又は固体材料のいずれかが、所定の位置で印刷ヘッドから出力され、又は材料が熱源によって構造空間内で固化されるので、ほぼ無限の複雑さの三次元幾何学的形状物の生産を可能にする。
【0003】
さらに、これまで、それほど広く使用されていない付加的製造方法は、3Dスクリーン印刷、又は3Dスクリーン印刷方法である。本明細書において、印刷材料は、印刷マスクを備える印刷スクリーンに塗布され、印刷スクリーンにおいて印刷マスクによって設けられている空洞が印刷材料で充填されるようにドクター・ブレードによって印刷マスクに加工される。印刷材料は、通常、粉末ベースの懸濁液、又はペースト状材料である。続いて、成形品が生産されている、印刷スクリーンと印刷台との間の距離は、成形品の別の層が成形品の既存部分上の印刷マスクによって生産されることができるように印刷スクリーンの厚さの量だけ長くなる。通常、成形品の既存の部分は、さらなる加工のために乾燥又は設定により成形品の一定の最低強度を確保するように加熱部によって温度制御される。
【0004】
これにより、成形品の層は次々に、3Dスクリーン印刷方法で生産されることができるが、この方法では、いわゆる2.5D構造しか作られることができず、それは印刷スクリーンが、印刷スクリーン及びビルド・プラットフォームの平面における構成要素の断面の変更ごとに交換されなければならないからである。
【0005】
したがって、これまでに知られた3Dスクリーン印刷方法は、例えば、他の付加的又は生成的製造方法の場合のように、完全に柔軟というわけではなく、それは、他の付加的又は生成的製造方法によって提供される形状及び幾何学的形状に関する設計の自由度が提供されないからである。むしろ、3Dスクリーン印刷方法は、長さ(いわゆる2.5D幾何学的形状)にわたって不変の断面を有する成形品が生産されるときに、通常、使用される。
【0006】
しかしながら、いくつかの異なる断面から構成される成形品については、印刷マスクが含まれる印刷スクリーンが断面の変更ごとに交換されなければならないので、結果として、対応する装置の段取り時間が長くなるという問題がある。これは、不要になった印刷スクリーンは、装置から取り外され、所望の断面を有する新しい印刷スクリーンが設置されなければならないからである。
【0007】
3つの空間方向全てにおいて常に変化する断面を有する構成要素又は成形品は、3Dスクリーン印刷方法には全く適していない。これらの構成要素の幾何学的形状は、特に、スクリュー状又はプロペラ状の構造である。
【0008】
3Dスクリーン印刷方法は、多数の構成要素を生産するための付加的製造方法として特に好適であるので、このような付加的製造方法によって、変化する、常に変化する又は交互である断面を有する構成要素の幾何学的形状も生産することができることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、本発明の目的は、変化する、常に変化する又は交互である、任意の所望の複雑の断面が生産されることができる、改良された3Dスクリーン印刷装置及び改良された3Dスクリーン印刷方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、本方法は、請求項1に記載の3Dスクリーン印刷装置、及び請求項9に記載の3Dスクリーン印刷方法によって達成される。本発明の有利な実施例は、対応する従属請求項から導き出されることができる。
【0011】
請求項1によると、付加的製造方法、すなわち、少なくとも1つの成形品が、3Dスクリーン印刷装置によって層ごとに作られる3Dスクリーン印刷方法において少なくとも1つの成形品、好ましくは同時に複数の成形品を製造するために好適である3Dスクリーン印刷装置が提供される。
【0012】
一般に、3Dスクリーン印刷装置は、少なくとも1つの成形品が生産可能であり、又は層ごとに生産されることができる印刷台を有する。さらに、3Dスクリーン印刷装置は、少なくとも1つの印刷マスクであって、それぞれが層ごとに各成形品を生産するために層の幾何学的形状を有する印刷マスクを含む印刷スクリーンを備える。
【0013】
また、3Dスクリーン印刷装置は、印刷スクリーン上へ印刷材料を塗布し且つ成形品層を生産するための印刷マスクに材料を加工するように構成された塗布部を一般に含む。塗布部は、印刷スクリーン上に印刷材料を広げ、印刷マスクの空洞内に押す又は加工するために使用される1つ又は複数のドクター・ブレード(フラッド・ブレード)を含むことができる。
【0014】
最後に、汎用の3Dスクリーン印刷装置は、各成形品層の生産後に第1の相対移動によって印刷台と印刷スクリーンとの間の距離を長くするように適合された第1の位置決め部を有する。これを達成するために、第1の位置決め部は、印刷スクリーンを持ち上げることによって、印刷スクリーンと印刷台との間に相対移動を生じさせて印刷スクリーンと印刷台との間の距離を長くするように印刷スクリーンと協働することができる。しかしながら、第1の位置決め部は、各成形品層の生産後に印刷台が降下させられて印刷スクリーンと印刷台との間に第1の相対移動を生成して印刷スクリーンと印刷台との間の距離を長くするように印刷台と協働することも考えられる。最後に、両者の組み合わせも考えられる。
【0015】
本発明によれば、印刷スクリーンは複数の印刷マスクを含み、3Dスクリーン印刷装置は、印刷スクリーン上の異なる印刷マスクが個々の成形品が作られる成形品位置で次々に位置決め可能となるように印刷台と印刷スクリーンとの間で第2の相対移動を行うように適合された第2の位置決め部を有する。
【0016】
したがって、印刷スクリーンは複数の印刷マスクを含むことが示唆され、スクリーン印刷プロセスが次に基づく異なる印刷マスクが、個々の成形品が生産される特定の成形品位置で次々に位置決めされる。新しい印刷マスクの位置決めは、特に、印刷スクリーンが装置から取り外されないように印刷台と印刷スクリーンとの間の第2の相対移動によって行われる。むしろ、印刷スクリーンは装置に残り、新しい印刷マスクが所定の成形品位置に対してのみ位置決めされる。しかしながら、これは、プロセス時に印刷スクリーンを交換する可能性を妨げない。
【0017】
言い換えると、3Dスクリーン印刷装置は、第1のプロセス・ステップで、印刷スクリーンの第1の印刷マスクを使用して各成形品の第1の成形品層を生産し、次に、この第1の成形品層を生産した後、第2の位置決め部によって、印刷スクリーンの第2の印刷マスクが各成形品の成形品位置に位置決めされるように、印刷台と印刷スクリーンとの間の相対移動を行い、その後、第2のプロセス・ステップで、印刷スクリーンの第2の印刷マスクを使用して第1の成形品層の上に第2の成形品層を生産するように適応される。
【0018】
これらの手段によって、変化する、常に変化する、又は交互であるほぼ任意の複雑さの断面を有する成形品又は構成要素が3Dスクリーン印刷方法で生産されることができる。特に、スクリュー状又はプロペラ状の構造が、以下に、より詳細に示すように、3Dスクリーン印刷方法で生産されることができる。
【0019】
さらに、本発明は、3Dスクリーン印刷装置の長い段取り時間を必要とせずに3Dスクリーン印刷方法で、変化する断面を有する構成要素を生産する可能性を提供する。むしろ、これによって、変化する断面を有する構成要素は、迅速且つ効率的に生産されることができる。
【0020】
印刷マスクとは、本発明で使用されるように、印刷スクリーンにおける領域であり、この領域によって、対応する層の幾何学的形状を有する成形品層が生産されることができる。印刷マスクの領域は、印刷マスクによって事前に画定された層の幾何学的形状を有する成形品層を生産するために印刷材料が加工される1つ又は複数の空洞を有する。本発明によれば、印刷スクリーンは、同じ、すなわち同一、又は異なる層の幾何学的形状を有するいくつかの印刷マスクを有する。
【0021】
第1の相対移動及び第2の相対移動は、本発明で使用されるように、互いに異なる移動であるが、同時に行われることもできる。第1の位置決め部及び第2の位置決め部は個別である、又は組み合わされた位置決め部であることができる。特に、第2の相対移動は、印刷スクリーンと印刷台との間の距離を変えない。
【0022】
第2の位置決め部は、第2の相対移動を行うために印刷台及び/又は印刷スクリーンのいずれかと協働することができる。印刷台の移動は、印刷スクリーンを移動させることなく、第2の相対移動をこのように実施することができる。しかしながら、印刷スクリーンの移動が、印刷台を移動させることなく、第2の相対移動を実施することも考えられる。 最後に、両者の組み合わせも考えられる。
【0023】
実施例によれば、第2の位置決め部は、印刷台と1つの印刷スクリーンとの間の第2の相対移動が、印刷台又は印刷スクリーンによって画定された平面内で行われるように形成されることが提供される。ここで、印刷台及び/又は印刷スクリーンは、印刷台又は個々の成形品層に対して平行に移動されるので、第2の相対移動を行った後、さらなる成形品層が1つ又は複数の印刷マスクによって生産されることができる。特に、第2の相対移動は、印刷台と印刷スクリーンとの間の距離を変えない。
【0024】
実施例によれば、第2の位置決め部は、印刷台と1つの印刷スクリーンとの間の第2の相対移動を回転及び/又は並進移動として行うように構成されることが提供される。その結果、印刷台及び/又は印刷スクリーンは、回転及び/又は並進で第2の位置決め部によって移動されて1つの印刷スクリーンの異なる印刷マスクを次々に、それぞれの成形品位置に位置決めする。
【0025】
実施例によれば、3Dスクリーン印刷装置は、成形品及び/又は個々の成形品層の温度を制御するように適合された加熱部を含むことが提供される。このように、各成形品層の生産後、最後に生産された成形品層の温度を制御して、この成形品層を、さらなる成形品層が、既に生産された成形品層の上に生産されることができる温度まで硬化/乾燥させることが考えられる。しかしながら、完全な成形品を生産した後、すなわち、最後の成形品層を生産した後、その構成要素全体が温度制御され、焼結プロセスで完全に硬化されることも考えられる。
【0026】
実施例によれば、第2の位置決め部は、回転軸を中心として印刷台と1つの印刷スクリーンとの間で回転相対移動を行うように構成され、ここで複数の印刷マスクが回転軸を中心とする少なくとも1つの同心円上の印刷スクリーンに配置されることが提供される。ここで、印刷台又は印刷スクリーンのいずれか、或いは両方が、回転軸を中心として回転させることができ、所定の成形品位置で回転軸を中心とした同心円上に配置された印刷マスクのそれぞれを次々に位置決めする。
【0027】
このようにして、装置から印刷スクリーンが取り外されることなく、異なる成形品位置で特定の角度の相対移動を生成することによって次々に各新しい印刷マスクを位置決めすることが可能である。むしろ、変化する断面、特にスクリュー状又はプロペラ状の構造を有するいくつかの成形品が同時に且つ並行して生産されることができる。
【0028】
この実施例によれば、複数の同心円が回転軸を中心として印刷スクリーンに設けられ、同心円のそれぞれに複数の印刷マスクが配置されていることが提供される。
【0029】
この実施例によれば、回転軸を中心とする共通の同心円上の印刷スクリーンに配置された全ての印刷マスクが、生産される層の幾何学的形状及び/又はマスクの幾何学的配列に関して同一であることが提供される。
【0030】
所定の成形品位置での印刷マスクの順次的な位置決めによって、このように、印刷マスクが、幾何学的配列に関する成形品位置に対して常に変化することを達成することができ、それによりスクリュー状又はプロペラ状の構造が迅速且つ効率的に生産されることができる。
【0031】
実施例によれば、印刷スクリーンにおける全ての印刷マスクが回転軸を中心とした共通の同心円上に等距離に配置され、2つの印刷マスク間の角度が完全な円の整数倍数に対応することが提供される。
【0032】
請求項9によれば、成形品が層ごとに作られる3Dスクリーン印刷方法で、少なくとも1つの成形品を生産するための方法が提供され、前記方法は、
印刷台上で層ごとに少なくとも1つの成形品を生産するために、それぞれが層の幾何学的形状を有する複数の印刷マスクを有する印刷スクリーン上へ印刷材料を塗布し、成形品層を生産するために、印刷材料を印刷スクリーンの少なくとも1つの印刷マスクに加工するステップを備え、
ここで、各成形品層の生産後、第1の相対移動によって、印刷台と印刷スクリーンとの間の距離が長くなり、
第2の位置決め部によって、1つの印刷スクリーンの異なる印刷マスクが少なくとも1つの成形品が作られる成形品位置で次々に位置決めされるように印刷台と印刷スクリーンとの間で少なくとも1つの第2の相対移動を行うステップを備える。
【0033】
本方法の有利な実施例は、対応する従属請求項から導き出されることができる。
【0034】
スクリーン印刷に使用される材料は、セラミック、金属、ガラス、プラスチック、並びに全てのこれらの材料群の混合物又は複合混合物であることができる。また、セラミックスの群から、炭化ケイ素、コランダム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、コーディエライト、リン酸塩セラミックス及び粘土含有セラミックスが考えられる。ガラス材料の群から、特に、シリコンが考えられる。金属の群から、ステンレス鋼、鉄又は鉄金属、銅、タングステン、モリブデン、アルミニウムが考えられる。アクリル酸又はシリコーンなどのプラスチックも可能である。
【0035】
本発明は、添付の図面を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】3Dスクリーン印刷装置の概略図を示す図である。
図2】本発明による3Dスクリーン印刷装置の印刷スクリーンの図を概略的に示す図である。
図3】第2の相対移動による印刷マスクの変形形態の例示的な図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明による、汎用の、特に、新規な要素を含む3Dスクリーン印刷装置10を概略的に示す。装置10は、支持フレーム14が第1の位置決め部16によって垂直に可動であるように配置されたフレーム12を有する。
【0038】
さらに、支持フレーム14上に、印刷台18が配置され、この台上に、1つ又は複数の成形品20が、個々の成形品層22から層ごとに生産される。印刷台18の上方で、フレーム12上に、さらに、印刷スクリーン24が固定配置され、個々の成形品層22は印刷スクリーン24に設けられた印刷マスク26によって生産されることができる。
【0039】
ここで、支持フレーム14が第1の位置決め部16によって垂直に移動された場合、印刷台18も垂直に移動され、この第1の相対移動Rにより印刷台18と印刷スクリーン24との間の距離は変更されることができ、特に、長くすることができる。
【0040】
さらに、装置10は、印刷材料32が印刷スクリーン24の上面に塗布されることができる塗布部30を備える。ドクター・ブレード34は、印刷スクリーン24に対して横切らせることができるが、印刷材料32は印刷スクリーン24に広げられて、印刷スクリーン24の印刷マスク26に加工されることができる。
【0041】
さらに、3Dスクリーン印刷装置10は、支持フレーム14と印刷台18との間に配置され且つ印刷台が回転軸Dを中心として回転可能に移動されることができるように印刷台18と協働する第2の位置決め部28を備える。印刷台18は、印刷台18が支持フレーム14及び印刷スクリーン24に対して相対的に移動されることができるように3Dスクリーン印刷装置10内で第2の位置決め部28の上方に取り付けられる。このように生成された相対移動はRとして示される。
【0042】
このように印刷台18を回転させることにより、特定の成形品20が生産される成形品位置で異なる印刷マスク26の位置決めが可能となり、それによってスクリーン印刷装置に新しい印刷スクリーンを設けることなく異なる断面を実装する。
【0043】
図2は、印刷マスク26が印刷スクリーン24上で回転軸Dを中心とした同心円において等距離に分類された有利な実施例を示す。印刷スクリーン24に印刷マスク26がある各位置では、個々の成形品は、回転軸Dを中心とした共通の同心円上に等距離に配置された2つの印刷マスク26間の角度が完全な円の整数倍数に対応している限り生産されることができ、これは、印刷マスク26が互いに回転されないことを意味する。相対移動によって、印刷台と印刷スクリーンとの間の配列が、印刷マスク26が回転方向に対して先行して、同心円上で、構成要素の幾何学的形状の次の後続の印刷マスク26又はその後の1つ又はその後の1つ等々に落ちるようにする角度を正確に変えるとき、それぞれのその後のもの、後に続くもの等々の印刷マスクが、対応する成形品位置で、印刷スクリーン24における対応する印刷マスク26によって形成された各位置に位置決めされる。
【0044】
図2の実施例は、また、印刷スクリーン24における各印刷マスク26が同一の層の幾何学的形状及び同一の幾何学的な配列を有することを示す。印刷台18と印刷スクリーン24との間の相対移動によって、対応する成形品位置に対する印刷マスク26の幾何学的な配列は、スクリュー状又はプロペラ状の成形品が特に生産されることができる同心円上で一方のマスクから他方のマスクへの並進運動に必要とされた角度が正確に変化する。
【0045】
対応する成形品位置に対する印刷マスクのこのような変化が図3に示される。対応する成形品位置では、印刷マスク26は、印刷マスク26に設けられている1つの凹部26aが各相対移動に対して異なる配列を有するように対応する角度を中心とした各相対移動で幾何学的な配列に関して変化する。
【符号の説明】
【0046】
10 3Dスクリーン印刷装置
12 フレーム
14 支持フレーム
16 第1の位置決め部
18 印刷台
20 成形品
22 成形品層
24 印刷スクリーン
26 印刷マスク
28 第2の位置決め部
30 塗布部
32 印刷材料
34 ドクター・ブレード
D 回転軸
第1の相対移動
第2の相対移動
図1
図2
図3
【国際調査報告】