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特表2022-545932アンテナ較正装置およびアンテナ較正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-01
(54)【発明の名称】アンテナ較正装置およびアンテナ較正方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20221025BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
H04B7/06 982
H04B7/08 982
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513341
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 CN2019103763
(87)【国際公開番号】W WO2021035705
(87)【国際公開日】2021-03-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲敏▼
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲カン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 放
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲徳▼正
(57)【要約】
本出願は、アンテナ較正装置の組立技術を簡素化し、アンテナ較正装置の実装コストを削減するのに役立つアンテナ較正装置およびアンテナ較正方法を提供する。アンテナ較正装置は、l個のアンテナと、l個のアンテナフィルタであって、l個のアンテナフィルタの第1の端部がl個のアンテナにそれぞれ接続されている、アンテナフィルタと、l個のアンテナフィルタの第2の端部にそれぞれ接続されたl個の無線周波数リンクと、l個のアンテナフィルタの第2の端部の各々に接続され、l個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタと各アンテナフィルタの第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して第1の較正信号を送信または受信し、第1の較正信号に基づいて各アンテナを較正するように構成された較正回路と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ較正装置であって、
l個のアンテナであって、lは2以上の整数である、アンテナと、
l個のアンテナフィルタであって、前記l個のアンテナフィルタの第1の端部が前記l個のアンテナにそれぞれ接続されている、アンテナフィルタと、
前記l個のアンテナフィルタの第2の端部にそれぞれ接続されたl個の無線周波数リンクと、
前記l個のアンテナフィルタの前記第2の端部の各々に接続され、前記l個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタと各アンテナフィルタの前記第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して第1の較正信号を送信または受信し、前記第1の較正信号に基づいて前記l個のアンテナの各アンテナを較正するように構成された較正回路と
を備えるアンテナ較正装置。
【請求項2】
前記較正回路は、具体的には、
各アンテナの第1の補償パラメータを決定し、
前記第1の補償パラメータおよび前記第1の較正信号に基づいて各アンテナの第2の補償パラメータを決定し、
前記第2の補償パラメータに基づいて各アンテナを較正する
ように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記l個のアンテナのi番目のアンテナが基準アンテナとして使用され、前記l個のアンテナのj番目のアンテナの第1の補償パラメータδjは、
【数1】
を満たし、
前記j番目のアンテナに対応する無線周波数リンクは受信機リンクおよび送信機リンクを含み、前記受信機リンクは受信機モジュールに接続され、前記送信機リンクは送信機モジュールに接続され、前記j番目のアンテナは試験に使用されるアンテナに接続され、ajは、前記受信機モジュールによって受信され、かつ試験に使用される前記アンテナによって送信された第2の較正信号を表し、bjは、前記受信機モジュールによって受信され、かつ前記較正回路によって送信された第2の較正信号を表し、cjは、試験に使用される前記アンテナによって受信され、かつ前記送信機モジュールによって送信された第2の較正信号を表し、djは、前記較正回路によって受信され、かつ前記送信機モジュールによって送信された第2の較正信号を表し、iは整数で、1≦i≦lであり、jは1からlの範囲の整数である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の較正信号はejおよびfjを含み、ejは、前記較正回路によって受信され、かつ前記j番目のアンテナに対応する送信機モジュールによって送信された較正信号を表し、fjは、前記j番目のアンテナに対応する受信機モジュールによって受信され、かつ前記較正回路によって送信された較正信号を表し、
前記j番目のアンテナの第2の補償パラメータは、前記j番目のアンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数2】
および前記j番目のアンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数3】
を含み、
前記l個のアンテナの前記i番目のアンテナは前記基準アンテナとして使用され、前記l個のアンテナの前記j番目のアンテナに対応する前記送信機リンクの前記第2の補償パラメータ
【数4】

【数5】
を満たし、
前記l個のアンテナの前記j番目のアンテナに対応する前記受信機リンクの前記第2の補償パラメータ
【数6】

【数7】
を満たす、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記較正回路は、
各アンテナに対応する前記第1の較正信号ejおよびfjを取得し、
各アンテナの前記第1の補償パラメータδjおよび各アンテナに対応する前記第1の較正信号ejに基づいて、各アンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数8】
を決定し、
各アンテナの前記第1の補償パラメータδjおよび各アンテナに対応する前記第1の較正信号fjに基づいて、各アンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数9】
を決定し、
各アンテナに対応する前記送信機リンクを各アンテナに対応する前記送信機リンクの前記第2の補償パラメータ
【数10】
で補償し、各アンテナに対応する前記受信機リンクを各アンテナに対応する前記受信機リンクの前記第2の補償パラメータ
【数11】
で補償する
ように構成された、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記l個のアンテナは第1の周波数帯域に対応し、前記装置は、
第2の周波数帯域に対応するk個のアンテナであって、kは2以上の整数である、アンテナと、
k個のアンテナフィルタであって、前記k個のアンテナフィルタの第1の端部が前記k個のアンテナにそれぞれ接続されている、アンテナフィルタと、
前記k個のアンテナフィルタの第2の端部にそれぞれ接続されたk個の無線周波数リンクと
をさらに備え、
前記較正回路は、前記k個のアンテナフィルタの前記第2の端部の各々に接続され、
前記k個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタと前記k個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタの前記第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して第3の較正信号を送信または受信し、前記第3の較正信号に基づいて前記k個のアンテナの各アンテナを較正する
ように構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記較正回路は、具体的には、
前記k個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータを決定し、
前記k個のアンテナの各アンテナの前記第1の補償パラメータおよび前記第3の較正信号に基づいて前記k個のアンテナの各アンテナの第2の補償パラメータを決定し、
前記k個のアンテナの各アンテナの前記第2の補償パラメータに基づいて前記k個のアンテナの各アンテナを較正する
ように構成された、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記k個のアンテナの各アンテナの前記第1の補償パラメータを決定するために使用される基準アンテナは、前記k個のアンテナのq番目のアンテナであり、qは整数であり、1≦q≦kである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
l個のアンテナを備えるアンテナ較正装置に適用されるアンテナ較正方法であって、前記l個のアンテナは、l個のアンテナフィルタの第1の端部にそれぞれ接続され、前記l個のアンテナフィルタの第2の端部は、l個の無線周波数リンクにそれぞれ接続され、各々が較正回路に接続され、前記方法は、
第1の較正信号を取得するステップであって、前記第1の較正信号が、前記l個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタと各アンテナフィルタの前記第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して前記較正回路によって送信または受信される、ステップと、
前記l個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータを決定するステップと、
前記第1の補償パラメータおよび前記第1の較正信号に基づいて各アンテナの第2の補償パラメータを決定するステップと、
前記第2の補償パラメータに基づいて各アンテナを較正するステップと
を含む、アンテナ較正方法。
【請求項10】
前記l個のアンテナのi番目のアンテナが基準アンテナとして使用され、前記l個のアンテナのj番目のアンテナの第1の補償パラメータδjは、
【数12】
を満たし、
前記j番目のアンテナに対応する無線周波数リンクは受信機リンクおよび送信機リンクを含み、前記受信機リンクは受信機モジュールに接続され、前記送信機リンクは送信機モジュールに接続され、前記j番目のアンテナは試験に使用されるアンテナに接続され、ajは、前記受信機モジュールによって受信され、かつ試験に使用される前記アンテナによって送信された第2の較正信号を表し、bjは、前記受信機モジュールによって受信され、かつ前記較正回路によって送信された第2の較正信号を表し、cjは、試験に使用される前記アンテナによって受信され、かつ前記送信機モジュールによって送信された第2の較正信号を表し、djは、前記較正回路によって受信され、かつ前記送信機モジュールによって送信された第2の較正信号を表し、iは整数で、1≦i≦lであり、jは1からlの範囲の整数である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の較正信号はejおよびfjを含み、ejは、前記較正回路によって受信され、かつ前記j番目のアンテナに対応する送信機モジュールによって送信された較正信号を表し、fjは、前記j番目のアンテナに対応する受信機モジュールによって受信され、かつ前記較正回路によって送信された較正信号を表し、
前記j番目のアンテナの第2の補償パラメータは、前記j番目のアンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数13】
および前記j番目のアンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数14】
を含み、
前記l個のアンテナの前記i番目のアンテナは前記基準アンテナとして使用され、前記l個のアンテナの前記j番目のアンテナに対応する前記送信機リンクの前記第2の補償パラメータ
【数15】

【数16】
を満たし、
前記l個のアンテナの前記j番目のアンテナに対応する前記受信機リンクの前記第2の補償パラメータ
【数17】

【数18】
を満たす、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1の較正信号を取得する前記ステップは、
各アンテナに対応する前記第1の較正信号ejおよびfjを取得するステップ
を含み、
前記第1の補償パラメータおよび前記第1の較正信号に基づいて各アンテナの第2の補償パラメータを決定する前記ステップは、
各アンテナの前記第1の補償パラメータδjおよび各アンテナに対応する前記第1の較正信号ejに基づいて、各アンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数19】
を決定するステップと、
各アンテナの前記第1の補償パラメータδjおよび各アンテナに対応する前記第1の較正信号fjに基づいて、各アンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数20】
を決定するステップと
を含み、
前記第2の補償パラメータに基づいて各アンテナを較正する前記ステップは、
各アンテナに対応する前記送信機リンクを各アンテナに対応する前記送信機リンクの前記第2の補償パラメータ
【数21】
で補償し、各アンテナに対応する前記受信機リンクを各アンテナに対応する前記受信機リンクの前記第2の補償パラメータ
【数22】
で補償するステップ
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記l個のアンテナは第1の周波数帯域に対応し、前記アンテナ較正装置は第2の周波数帯域に対応するk個のアンテナをさらに備え、kは2以上の整数で、前記k個のアンテナは、k個のアンテナフィルタの第1の端部にそれぞれ接続され、前記k個のアンテナフィルタの第2の端部は、k個の無線周波数リンクにそれぞれ接続され、各々が前記較正回路に接続され、前記方法は、
第3の較正信号を取得するステップであって、前記第3の較正信号が、前記k個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタと前記k個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタの前記第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して前記較正回路によって送信または受信される、ステップと、
前記k個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータを決定するステップと、
前記k個のアンテナの各アンテナの前記第1の補償パラメータおよび前記第3の較正信号に基づいて前記k個のアンテナの各アンテナの第2の補償パラメータを決定するステップと、
前記k個のアンテナの各アンテナの前記第2の補償パラメータに基づいて前記k個のアンテナの各アンテナを較正するステップと
をさらに含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記k個のアンテナの各アンテナの前記第1の補償パラメータを決定するために使用される基準アンテナは、前記k個のアンテナのq番目のアンテナであり、qは整数であり、1≦q≦kである、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、通信分野に関し、特に、通信分野におけるアンテナ較正装置およびアンテナ較正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術がますます広く使用されるにつれて、マルチアンテナ技術が無線送信のための重要な技術の1つになっている。無線周波数チャネルで信号が送信されるとき、チャネルの非線形特徴に起因して信号の振幅および位相が変化する。したがって、アンテナ較正機能が設計される。マルチチャネルアンテナ較正は、送信機チャネル間ならびに受信機チャネル間の振幅一貫性および位相一貫性、さらに受信機チャネルと送信機チャネルの間の振幅相互性および位相相互性を確保するよう、無線周波数チャネルの振幅および位相を補償するために、無線周波数チャネルの振幅および位相特徴を取得することを意図している。
【0003】
従来のアンテナ較正結合ポートの位置は、アンテナフィルタとアンテナの間、すなわちアンテナフィーダユニットに位置される。アンテナ較正回路は、無線周波数リンクが位置される無線周波数ユニットに位置される。この場合、アンテナ較正回路は、信号を受信または取得するためにアンテナフィーダユニットに接続され、次いで信号を処理するために無線周波数ユニットに接続される必要がある。アンテナ較正回路のリンクは、前述のアンテナフィーダユニットおよび無線周波数ユニットにまたがる必要があり、1つまたは複数のケーブル(またはコネクタ)およびコンバイナユニットが追加される必要がある。その結果、より多くの構成要素が必要とされ、組立技術が複雑であり、実装コストが比較的高い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願は、アンテナ較正装置の組立技術を簡素化し、アンテナ較正装置の実装コストを削減するのに役立つアンテナ較正装置およびアンテナ較正方法を提供する。
【0005】
第1の態様によれば、アンテナ較正装置が提供される。装置は、l個のアンテナであって、lは2以上の整数である、アンテナと、l個のアンテナフィルタであって、l個のアンテナフィルタの第1の端部がl個のアンテナにそれぞれ接続されている、アンテナフィルタと、l個のアンテナフィルタの第2の端部にそれぞれ接続されたl個の無線周波数リンクと、l個のアンテナフィルタの第2の端部の各々に接続され、かつl個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタと各アンテナフィルタの第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して第1の較正信号を送信または受信し、第1の較正信号に基づいてl個のアンテナの各アンテナを較正するように構成された較正回路とを含む。
【0006】
本出願のこの実施形態におけるアンテナ較正装置によれば、アンテナ較正結合ポートの位置は、アンテナフィルタと無線周波数リンクの間に配置される。これにより、較正回路は、ケーブル、コネクタ、コンバイナユニットなどの構成要素を追加することなく、無線周波数ユニットを通して較正信号を直接送受信してアンテナ較正を実行することができる。これは、アンテナ較正装置の組立技術を簡素化し、アンテナ較正装置の実装コストを削減するのに役立つ。
【0007】
アンテナは、アンテナ素子、フィーダアンテナ、または別の名前で呼ばれる場合もあり、アンテナチャネルは、チャネルまたは別の名前で呼ばれる場合もあり、較正回路は、アンテナ較正回路または別の名前で呼ばれる場合もあることを理解されたい。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。
【0008】
アンテナおよびアンテナフィルタはアンテナフィーダユニットに属し、無線周波数リンクおよび較正回路は無線周波数ユニットに属することをさらに理解されたい。アンテナ較正結合ポートは、較正回路の接続ポートであり、アンテナ較正ポートまたは別の名前で呼ばれる場合もある。本出願のこの実施形態では、各アンテナのアンテナ較正結合ポートの位置は、アンテナフィルタと無線周波数リンクの間にある。このようにして、較正回路は、アンテナ較正結合ポートを通して第1の較正信号を送信または受信することができる。言い換えれば、較正回路は、アンテナフィルタと、アンテナフィルタの第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して第1の較正信号を送信または受信することができる。第1の較正信号は、ライブネットワークの実行プロセスにおいて生成された較正信号である。
【0009】
第1の態様を参照すると、第1の態様のいくつかの実装形態では、較正回路は、具体的には、各アンテナの第1の補償パラメータを決定し、
第1の補償パラメータおよび第1の較正信号に基づいて各アンテナの第2の補償パラメータを決定し、
第2の補償パラメータに基づいて各アンテナを較正するように構成される。
【0010】
アンテナ較正結合ポートの位置はアンテナフィルタと無線周波数リンクの間にあるため、較正回路によって送信または受信された信号はアンテナフィルタを通過しない場合があることを理解されたい。アンテナとアンテナフィルタの間のリンクの誤差(これは、例えば、PCBケーブル誤差、コネクタ誤差、アンテナフィルタ誤差、アンテナネットワーク誤差、またはアンテナ素子誤差を含み得る)は、機器にテーブルを作成すること(機器テーブル化)によって取得される必要がある。言い換えれば、機器テーブル化は、ハードウェアリンクの不整合を補償することを意図している。装置の製造プロセスでは、信号測定が実行され、得られた補償パラメータが、その後の較正のためにメモリ(例えば、メモリ)に記憶される。本出願のこの実施形態では、機器テーブル化プロセスにおける補償パラメータは、第1の補償パラメータと呼ばれる。しかしながら、第1の補償パラメータは、機器テーブル化補償パラメータまたは別の名前と呼ばれる場合もあることを理解されたい。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。装置が実現されると、第1の補償パラメータは既に記憶されている。可能な実装形態では、第1の補償パラメータは、テーブル(例えば、機器テーブル)の形態でメモリに記憶される。ただし、これは本出願のこの実施形態では限定されない。
【0011】
ライブネットワークの実際の実行プロセスにおいて、較正回路は、メモリから各アンテナの第1の補償パラメータを取得し、第1の補償パラメータおよびアンテナ較正結合ポートから取得された第1の較正信号に基づいて各アンテナの第2の補償パラメータを決定し、第2の補償パラメータを使用してアンテナをさらに較正することができる。第2の補償パラメータは、ライブネットワークの実際の実行プロセスにおける補償パラメータである。第2の補償パラメータは、較正補償パラメータまたは別の名前で呼ばれる場合もある。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。
【0012】
第1の態様を参照すると、第1の態様のいくつかの実装形態では、l個のアンテナのi番目のアンテナが基準アンテナとして使用され、l個のアンテナのj番目のアンテナの第1の補償パラメータδj
【数1】
を満たし、j番目のアンテナに対応する無線周波数リンクは受信機リンクおよび送信機リンクを含み、受信機リンクは受信機モジュールに接続され、送信機リンクは送信機モジュールに接続され、j番目のアンテナは試験に使用されるアンテナに接続され、ajは、受信機モジュールによって受信され、かつ試験に使用されるアンテナによって送信された第2の較正信号を表し、bjは、受信機モジュールによって受信され、かつ較正回路によって送信された第2の較正信号を表し、cjは、試験に使用されるアンテナによって受信され、かつ送信機モジュールによって送信された第2の較正信号を表し、djは、較正回路によって受信され、かつ送信機モジュールによって送信された第2の較正信号を表し、iは整数で、1≦i≦lであり、jは1からlの範囲の整数である。
【0013】
第2の較正信号は、機器テーブル化プロセスにおいて生成された較正信号である。機器テーブル化プロセスでは、1つまたは複数の機器テーブル化アンテナが必要とされ、これらは本明細書では試験に使用されるアンテナとも呼ばれる。機器テーブル化アンテナが1つしかない場合、機器テーブル化アンテナの位置は、l個のアンテナの各アンテナを掃引するために毎回調整され得ることを理解されたい。加えて、基準アンテナと別のアンテナの間の誤差を計算するために、l個のアンテナから1つのアンテナが基準アンテナとして選択される必要がある。本出願のこの実施形態では、i番目のアンテナは基準アンテナである。
【0014】
第1の態様を参照すると、第1の態様のいくつかの実装形態では、第1の較正信号はejおよびfjを含み、ejは、較正回路によって受信され、かつj番目のアンテナに対応する送信機モジュールによって送信された較正信号を表し、fjは、j番目のアンテナに対応する受信機モジュールによって受信され、かつ較正回路によって送信された較正信号を表し、j番目のアンテナの第2の補償パラメータは、j番目のアンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数2】
およびj番目のアンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数3】
を含み、l個のアンテナのi番目のアンテナが基準アンテナとして使用され、l個のアンテナのj番目のアンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数4】

【数5】
を満たし、
l個のアンテナのj番目のアンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数6】

【数7】
を満たす。
【0015】
ライブネットワークの実際の実行プロセスでは、アンテナの受信機チャネルおよび送信機チャネルは別々に較正される必要がある。したがって、第1の較正信号は、送信機リンクに対応する較正信号ejおよび受信機リンクに対応する較正信号fjを含むことができる。これに対応して、第2の補償パラメータは、送信機リンクに対応する補償パラメータ
【数8】
および受信機リンクに対応する補償パラメータ
【数9】
を含むことができる。第2の補償パラメータは、第1の補償パラメータおよび第1の較正信号に基づく計算によって取得され得る。
【0016】
第1の態様を参照すると、第1の態様のいくつかの実装形態では、較正回路は、各アンテナに対応する第1の較正信号ejおよびfjを取得し、各アンテナの第1の補償パラメータδjおよび各アンテナに対応する第1の較正信号ejに基づいて、各アンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数10】
を決定し、各アンテナの第1の補償パラメータδjおよび各アンテナに対応する第1の較正信号fjに基づいて、各アンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数11】
を決定し、
各アンテナに対応する送信機リンクを各アンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数12】
で補償し、各アンテナに対応する受信機リンクを各アンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数13】
で補償するように構成される。
【0017】
第1の態様を参照すると、第1の態様のいくつかの実装形態では、l個のアンテナは第1の周波数帯域に対応し、アンテナ較正装置は、第2の周波数帯域に対応するk個のアンテナであって、kは2以上の整数である、アンテナと、k個のアンテナフィルタであって、k個のアンテナフィルタの第1の端部がk個のアンテナにそれぞれ接続される、アンテナフィルタと、k個のアンテナフィルタの第2の端部にそれぞれ接続されたk個の無線周波数リンクとをさらに含む。較正回路は、k個のアンテナフィルタの第2の端部の各々に接続され、k個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタと、k個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタの第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して第3の較正信号を送信または受信し、第3の較正信号に基づいてk個のアンテナの各アンテナを較正するように構成される。
【0018】
l個のアンテナに対応する第1の周波数帯域と同様に、第2の周波数帯域の場合、k個のアンテナにおける各アンテナのアンテナ較正結合ポートの位置は、アンテナフィルタと無線周波数リンクの間にある。このようにして、較正回路は、アンテナ較正結合ポートを通して第3の較正信号を送信または受信することができる。言い換えれば、較正回路140は、アンテナフィルタと、アンテナフィルタの第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して第3の較正信号を送信または受信することができる。第3の較正信号は、ライブネットワークの実行プロセスにおいて生成された較正信号である。第2の周波数帯域のk個のアンテナの関連する説明については、第1の周波数帯域のl個のアンテナの説明を参照されたい。本明細書では詳細は重ねて説明されない。
【0019】
第1の態様を参照すると、第1の態様のいくつかの実装形態では、較正回路は、具体的には、k個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータを決定し、k個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータおよび第3の較正信号に基づいてk個のアンテナの各アンテナの第2の補償パラメータを決定し、k個のアンテナの各アンテナの第2の補償パラメータに基づいてk個のアンテナの各アンテナを較正するように構成される。
【0020】
l個のアンテナに対応する第1の周波数帯域と同様に、第2の周波数帯域では、第1の補償パラメータを取得するために機器テーブル化も実行される必要があり、第1の補償パラメータは後続の較正のためにメモリに書き込まれる。第2の周波数帯域では、k個のアンテナの機器テーブル化および較正プロセスは、第1の周波数帯域での機器テーブル化および較正プロセスと同様である。本明細書では詳細は重ねて説明されない。
【0021】
本出願のこの実施形態におけるアンテナ較正装置によれば、アンテナ較正装置の組立技術が簡素化され、アンテナ較正装置の実装コストが削減される。加えて、マルチバンドおよびマルチアンテナチャネルのアンテナ較正が実施され得、開発コストがさらに削減される。
【0022】
第1の態様を参照すると、第1の態様のいくつかの実装形態では、k個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータを決定するために使用される基準アンテナは、k個のアンテナのq番目のアンテナであり、qは整数であり、1≦q≦kである。
【0023】
機器テーブル化および較正プロセスでは、基準アンテナが選択される必要があることを理解されたい。周波数帯域における基準アンテナは、本明細書では異なる。具体的には、第1の周波数帯域では、基準アンテナは、第1の周波数帯域に対応するl個のアンテナから選択される必要があり、第2の周波数帯域では、基準アンテナは、第2の周波数帯域に対応するk個のアンテナから選択される必要がある。
【0024】
周波数帯域の各々におけるアンテナの較正プロセスのシーケンスは、本出願では限定されないことをさらに理解されたい。較正回路は、アンテナに対応する第2の補償パラメータを取得すると、1つのアンテナを較正することができる。代替的に、較正回路は、すべてのアンテナに対応する第2の補償パラメータを取得した後、すべてのアンテナを一緒に較正する。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。
【0025】
第2の態様によれば、アンテナ較正方法が提供される。本方法は、l個のアンテナを含むアンテナ較正装置に適用される。l個のアンテナは、l個のアンテナフィルタの第1の端部にそれぞれ接続され、l個のアンテナフィルタの第2の端部は、l個の無線周波数リンクにそれぞれ接続され、各々が較正回路に接続される。本方法は、第1の較正信号を取得するステップであって、第1の較正信号が、l個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタと各アンテナフィルタの第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して較正回路によって送信または受信される、ステップと、l個のアンテナにおける各アンテナの第1の補償パラメータを決定するステップと、第1の補償パラメータおよび第1の較正信号に基づいて各アンテナの第2の補償パラメータを決定するステップと、第2の補償パラメータに基づいて各アンテナを較正するステップと、を含む。
【0026】
第2の態様を参照すると、第2の態様のいくつかの実装形態では、l個のアンテナのi番目のアンテナが基準アンテナとして使用され、l個のアンテナのj番目のアンテナの第1の補償パラメータδj
【数14】
を満たし、j番目のアンテナに対応する無線周波数リンクは受信機リンクおよび送信機リンクを含み、受信機リンクは受信機モジュールに接続され、送信機リンクは送信機モジュールに接続され、j番目のアンテナは試験に使用されるアンテナに接続され、ajは、受信機モジュールによって受信され、かつ試験に使用されるアンテナによって送信された第2の較正信号を表し、bjは、受信機モジュールによって受信され、かつ較正回路によって送信された第2の較正信号を表し、cjは、試験に使用されるアンテナによって受信され、かつ送信機モジュールによって送信された第2の較正信号を表し、djは、較正回路によって受信され、かつ送信機モジュールによって送信された第2の較正信号を表し、iは整数で、1≦i≦lであり、jは1からlの範囲の整数である。
【0027】
第2の態様を参照すると、第2の態様のいくつかの実装形態では、第1の較正信号はejおよびfjを含み、ejは、較正回路によって受信され、かつj番目のアンテナに対応する送信機モジュールによって送信された較正信号を表し、fjは、j番目のアンテナに対応する受信機モジュールによって受信され、かつ較正回路によって送信された較正信号を表し、j番目のアンテナの第2の補償パラメータは、j番目のアンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数15】
およびj番目のアンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数16】
を含み、l個のアンテナのi番目のアンテナが基準アンテナとして使用され、l個のアンテナのj番目のアンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数17】

【数18】
を満たし、
l個のアンテナのj番目のアンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数19】

【数20】
を満たす。
【0028】
第2の態様を参照すると、第2の態様のいくつかの実装形態では、第1の較正信号を取得するステップは、各アンテナに対応する第1の較正信号ejおよびfjを取得するステップを含む。第1の補償パラメータおよび第1の較正信号に基づいて各アンテナの第2の補償パラメータを決定するステップは、各アンテナの第1の補償パラメータδjおよび各アンテナに対応する第1の較正信号ejに基づいて、各アンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数21】
を決定するステップと、各アンテナの第1の補償パラメータδjおよび各アンテナに対応する第1の較正信号fjに基づいて、各アンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数22】
を決定するステップと、を含む。第2の補償パラメータに基づいて各アンテナを較正するステップは、各アンテナに対応する送信機リンクを、各アンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数23】
で補償するステップと、各アンテナに対応する受信機リンクを、各アンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数24】
で補償するステップと、を含む。
【0029】
第2の態様を参照すると、第2の態様のいくつかの実装形態では、l個のアンテナは第1の周波数帯域に対応し、アンテナ較正装置は、第2の周波数帯域に対応するk個のアンテナをさらに含み、kは2以上の整数であり、k個のアンテナはk個のアンテナフィルタの第1の端部にそれぞれ接続され、k個のアンテナフィルタの第2の端部はk個の無線周波数リンクにそれぞれ接続され、各々が較正回路に接続される。本方法は、第3の較正信号を取得するステップであって、第3の較正信号が、k個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタとk個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタの第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して較正回路によって送信または受信される、ステップと、k個のアンテナにおける各アンテナの第1の補償パラメータを決定するステップと、k個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータおよび第3の較正信号に基づいてk個のアンテナの各アンテナの第2の補償パラメータを決定するステップと、k個のアンテナの各アンテナの第2の補償パラメータに基づいてk個のアンテナの各アンテナを較正するステップと、をさらに含む。
【0030】
第2の態様を参照すると、第2の態様のいくつかの実装形態では、k個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータを決定するために使用される基準アンテナは、k個のアンテナのq番目のアンテナであり、qは整数であり、1≦q≦kである。
【0031】
第3の態様によれば、第1の態様または第1の態様の可能な実装形態のいずれか1つのアンテナ較正装置を含む、基地局が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本出願の一実施形態によるアンテナ較正装置の構造の概略図である。
図2】本出願の一実施形態による機器テーブル化プロセスのアンテナ較正装置の構造の概略図である。
図3】本出願の一実施形態による機器テーブル化プロセスの別のアンテナ較正装置の構造の概略図である。
図4】本出願の一実施形態によるアンテナ較正方法の概略的流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、添付図面を参照して本出願の技術的解決策について説明する。
【0034】
以下に示される実施形態では、「第1」、「第2」、「第3」、および様々な数値は、単に説明を容易にするために区別するために使用され、本出願の実施形態の範囲を限定するために使用されない。例えば、異なる信号および異なるパラメータは区別される。加えて、「含む」および「有する」ならびにそれらの任意の変形は、非排他的な包含、例えば、一連のステップもしくはユニット、またはデバイスに固有の他のステップもしくはユニットを含むプロセス、方法、システムおよび製品をカバーすることが意図されている。
【0035】
本出願の実施形態の技術的解決策は、様々な通信システム、例えば、ロングタームエボリューション(long term evolution、LTE)システム、LTE周波数分割複信(frequency division duplex、FDD)システム、LTE時分割複信(time division duplex、TDD)システム、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(universal mobile telecommunication system、UMTS)、マイクロ波アクセスのための世界規模の相互運用性(worldwide interoperability for microwave access、WiMAX)通信システム、第5世代(5th generation、5G)システム、新無線(new radio、NR)システム、または別の発展型通信システムに適用されてもよいことを理解されたい。
【0036】
図1は、本出願の一実施形態によるアンテナ較正装置100の概略ブロック図である。図1に示されるように、アンテナ較正装置100は、l個のアンテナ110と、l個のアンテナフィルタ120と、l個の無線周波数リンク130と、較正回路140とを含み、lは2以上の整数である。
【0037】
図1に示されるように、l個のアンテナ110は、それぞれアンテナ1、アンテナ2、...、およびアンテナlである。l個のアンテナ110は、l個のアンテナフィルタ120(これらはそれぞれアンテナフィルタ1、アンテナフィルタ2、...、およびアンテナフィルタlであり、図中ではマークされていない)およびl個の無線周波数リンク130(これらはそれぞれ無線周波数リンク1、無線周波数リンク2、...、および無線周波数リンクlであり、図中ではマークされていない)にそれぞれ接続され、それによってl個のアンテナチャネルを形成する。さらに、l個の無線周波数リンク130は、l個のアンテナおよびl個のアンテナフィルタを伴うl個のアンテナ送信機チャネルおよびl個のアンテナ受信機チャネルをそれぞれ形成する、l個の無線周波数送信機リンク131およびl個の無線周波数受信機リンク132を含むことができる。
【0038】
図1では、l個のアンテナ110は、l個のアンテナフィルタ120の第1の端部にそれぞれ接続され、l個の無線周波数リンク130は、l個のアンテナフィルタ120の第2の端部にそれぞれ接続される。l個のアンテナフィルタの第2の端部の各々は、較正回路140に接続される。アンテナ1が一例として使用される。アンテナ1はアンテナフィルタ1の第1の端部に接続され、アンテナフィルタ1の第2の端部は無線周波数リンク1に接続され、アンテナフィルタ1の第2の端部は較正回路140にさらに接続される。l個のアンテナフィルタの第2の端部の各々は、較正回路140に接続される。
【0039】
アンテナは、アンテナ素子、フィーダアンテナ、または別の名前で呼ばれる場合もあり、アンテナチャネルは、チャネルまたは別の名前で呼ばれる場合もあり、較正回路は、アンテナ較正回路または別の名前で呼ばれる場合もあることを理解されたい。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。
【0040】
アンテナおよびアンテナフィルタはアンテナフィーダユニットに属し、無線周波数リンクおよび較正回路は無線周波数ユニットに属することをさらに理解されたい。アンテナ較正結合ポートは、較正回路の接続ポートであり、アンテナ較正ポートまたは別の名前で呼ばれる場合もある。本出願のこの実施形態では、図1に示されるように、各アンテナのアンテナ較正結合ポートの位置は、アンテナフィルタと無線周波数リンクの間にある。このようにして、較正回路140は、アンテナ較正結合ポートを通して第1の較正信号を送信または受信することができる。言い換えれば、較正回路140は、アンテナフィルタと、アンテナフィルタの第2の端部に接続された無線周波数リンクの間の位置を通して第1の較正信号を送信または受信することができる。第1の較正信号は、ライブネットワークの実行プロセスにおいて生成された較正信号である。
【0041】
本出願のこの実施形態におけるアンテナ較正装置によれば、アンテナ較正結合ポートの位置は、アンテナフィルタと無線周波数リンクの間に配置される。これにより、較正回路は、ケーブル、コネクタ、コンバイナユニットなどの構成要素を追加することなく、無線周波数ユニットを通して較正信号を直接送受信してアンテナ較正を実行することができる。これは、アンテナ較正装置の組立技術を簡素化し、アンテナ較正装置の実装コストを削減するのに役立つ。
【0042】
例えば、較正回路は、具体的にはプリント回路基板(printed circuit board、PCB)であってもよく、または別の構成要素を含んでもよく、またはチップシステムに統合されてもよい。較正回路は、信号を送信するように構成された入力回路またはインターフェースと、信号を受信するように構成された出力回路またはインターフェースとを含み得ることを理解されたい。さらに、較正回路は、メモリおよびプロセッサをさらに含むことができ、メモリは、較正回路によって取得された信号および対応する処理プログラムを記憶することができ、プロセッサは、メモリに記憶された処理プログラムに基づいて較正処理を実行することができる。任意選択として、1つまたは複数のプロセッサ、および1つまたは複数のメモリがあり得る。任意選択として、メモリおよびプロセッサは一緒に統合されてもよく、または別々に配置されてもよい。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。
【0043】
加えて、アンテナ較正装置は、前述の機能を実現することができる任意のマルチアンテナ装置であってもよい。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。可能な実装形態では、アンテナ較正装置は、基地局、例えば、LTEシステムの進化型NodeB(evolved NodeB、eNB、またはeNodeB)もしくはホーム基地局(例えば、home evolved NodeB、またはhome NodeB、HNB)、または新無線(new radio、NR)システムのgNBである。
【0044】
一任意選択の実施形態では、較正回路は、具体的には、l個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータを決定し、第1の補償パラメータおよび第1の較正信号に基づいて各アンテナの第2の補償パラメータを決定し、
第2の補償パラメータに基づいて各アンテナを較正するように構成される。
【0045】
アンテナ較正結合ポートの位置はアンテナフィルタと無線周波数リンクの間にあるため、較正回路によって送信または受信された信号はアンテナフィルタを通過しない場合があることを理解されたい。アンテナとアンテナフィルタの間のリンクの誤差(これは、例えば、PCBケーブル誤差、コネクタ誤差、アンテナフィルタ誤差、アンテナネットワーク誤差、またはアンテナ素子誤差を含み得る)は、機器テーブル化によって取得される必要がある。言い換えれば、機器テーブル化は、ハードウェアリンクの不整合を補償することを意図している。装置の製造プロセスでは、信号測定が実行され、得られた補償パラメータが、その後の較正のためにメモリ(例えば、メモリ)に記憶される。本出願のこの実施形態では、機器テーブル化プロセスにおける補償パラメータは、第1の補償パラメータと呼ばれる。しかしながら、第1の補償パラメータは、機器テーブル化補償パラメータまたは別の名前と呼ばれる場合もあることを理解されたい。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。装置が実現されると、第1の補償パラメータは既に記憶されている。可能な実装形態では、第1の補償パラメータは、テーブル(例えば、機器テーブル)の形態でメモリに記憶される。ただし、これは本出願のこの実施形態では限定されない。
【0046】
図1に示されるアンテナ較正装置によれば、ライブネットワークの実際の実行プロセスにおいて、較正回路は、メモリから各アンテナの第1の補償パラメータを取得し、第1の補償パラメータおよびアンテナ較正結合ポートから取得された第1の較正信号に基づいて各アンテナの第2の補償パラメータを決定し、第2の補償パラメータを使用してアンテナをさらに較正することができる。第2の補償パラメータは、ライブネットワークの実際の実行プロセスにおける補償パラメータである。第2の補償パラメータは、較正補償パラメータまたは別の名前で呼ばれる場合もある。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。
【0047】
一任意選択の実施形態では、l個のアンテナのi番目のアンテナは基準アンテナとして使用され、l個のアンテナのj番目のアンテナの第1の補償パラメータδjは以下を満たす。
【数25】
【0048】
j番目のアンテナに対応する無線周波数リンクが受信機リンクおよび送信機リンクを含み、受信機リンクは受信機モジュールに接続され、送信機リンクは送信機モジュールに接続され、j番目のアンテナは試験に使用されるアンテナに接続され、ajは、受信機モジュールによって受信され、かつ試験に使用されるアンテナによって送信された第2の較正信号を表し、bjは、受信機モジュールによって受信され、かつ較正回路によって送信された第2の較正信号を表し、cjは、試験に使用されるアンテナによって受信され、かつ送信機モジュールによって送信された第2の較正信号を表し、djは、較正回路によって受信され、かつ送信機モジュールによって送信された第2の較正信号を表し、iは整数で、1≦i≦lであり、jは1からlの範囲の整数である。
【0049】
第2の較正信号は、機器テーブル化プロセスにおいて生成された較正信号である。機器テーブル化プロセスでは、1つまたは複数の機器テーブル化アンテナが必要とされ、これらは本明細書では試験に使用されるアンテナとも呼ばれる。機器テーブル化アンテナが1つしかない場合、機器テーブル化アンテナの位置は、l個のアンテナの各アンテナを掃引するために毎回調整され得ることを理解されたい。加えて、基準アンテナと別のアンテナの間の誤差を計算するために、l個のアンテナから1つのアンテナが基準アンテナとして選択される必要がある。本出願のこの実施形態では、i番目のアンテナは基準アンテナである。
【0050】
本出願のこの実施形態では、aj=hjCjRj、bj=DjRj、cj=TjCjhj、およびdj=TjDjと仮定する。hjは、j番目のアンテナと機器テーブル化アンテナの結合度(結合損失とも呼ばれる)を表す。Cjは、j番目のアンテナの共通部分のシステム送信機能(送信機リンクおよび受信機リンクが組み合わされた後に存在するPCBケーブル誤差、コネクタ誤差、アンテナフィルタ誤差、アンテナネットワーク誤差、またはアンテナ素子誤差を含み得る)を表す。Rjは、j番目のアンテナに対応する受信機リンクの送信機能を表す。Tjは、j番目のアンテナに対応する送信機リンクの送信機能を表す。Djは、j番目のアンテナと較正回路の間のリンクの送信機能を表す。
【0051】
【数26】

【数27】
に等しいことを理解されたい。以下の実施形態では、説明を簡略化するために、「×」が省略される。
【0052】
【数28】
は、絶対式を意味するのではなく、量子化範囲を満たす式を意味することをさらに理解されたい。本明細書における「=」とはすべて、量子化範囲を満たす式である。以下では詳細は繰り返し説明されない。
【0053】
図2は、一機器テーブル化プロセスにおけるアンテナ較正装置を示す。例えば、アンテナ1(すなわち、第1のアンテナ)は基準アンテナである。最初に、機器テーブル化アンテナ10は、アンテナ1と整合するように掃引を行い、以下のステップが実行される。
【0054】
機器テーブル化アンテナ10は第2の較正信号を送信し、受信機モジュールは第2の較正信号を受信し、測定結果al=hlClRl(1)を取得する。
【0055】
較正回路は、アンテナ較正結合ポートを通して第2の較正信号を送信し、受信機モジュールは、第2の較正信号を受信し、測定結果bl=DlRl(2)を取得する。
【0056】
送信機モジュールは第2の較正信号を送信し、機器テーブル化アンテナ10は第2の較正信号を受信し、測定結果cl=TlClhl(3)を取得する。
【0057】
送信機モジュールは、第2の較正信号を送信し、較正回路は、アンテナ較正結合ポートを通して第2の較正信号を受信し、測定結果dl=TlDl(4)を取得する。
【0058】
次いで、機器テーブル化アンテナ10は、アンテナ2と整合するように掃引を行い、上記ステップと同様のステップを行い、測定結果a2=h2C2R2(5)、b2=D2R2(6)、c2=T2C2h2(7)、d2=T2D2(8)を取得する。
【0059】
【数29】
は、前述の式(1)および(5)により取得され得る。
【0060】
【数30】
は、前述の式(2)および(6)により取得され得る。
【0061】
【数31】
は、前述の式(3)および(7)により取得され得る。
【0062】
【数32】
は、前述の式(4)および(8)により取得され得る。
【0063】
さらに、
【数33】
は、前述の式(9)および(10)により取得され得る。
【0064】
【数34】
は、前述の式(11)および(12)により取得され得る。
【0065】
したがって、式(13)および(14)によれば、アンテナ1に対するアンテナ2の第1の補償パラメータを表す、
【数35】
が取得され得る。この実施形態では、機器テーブル化アンテナとアンテナの間の結合度が等しい、すなわちh1=h2であると仮定する。
【0066】
類推によって、l個のアンテナにおけるアンテナ1に対する各アンテナの第1の補償パラメータは、次のように計算される。
【数36】
このようにして、l個のアンテナにそれぞれ対応するl個の第1の補償パラメータが取得され、メモリに記憶され、例えば機器テーブルに書き込まれる。
【0067】
アンテナ1が基準アンテナとして使用される一例は、説明のために上記で使用されているにすぎないことを理解されたい。実際の用途では、基準アンテナは、l個のアンテナの任意の1つであってもよい。加えて、l個のアンテナの各々に対して機器テーブル化を連続して実行するプロセスを説明するために、図2の一例として1つの機器テーブル化アンテナのみが使用される。別の可能な実装形態では、より多くの機器テーブル化アンテナが存在し得る。例えば、l個の機器テーブル化アンテナが存在する。このようにして、l個のアンテナのすべてまたは一部のアンテナに対して機器テーブル化が同時に実行され得、機器テーブル化の効率を改善するのに役立つ。
【0068】
一任意選択の実施形態では、第1の較正信号は、ejおよびfjを含む。ejは、較正回路によって受信され、かつj番目のアンテナに対応する送信機モジュールによって送信された較正信号を表し、fjは、j番目のアンテナに対応する受信機モジュールによって受信され、かつ較正回路によって送信された較正信号を表す。j番目のアンテナの第2の補償パラメータは、j番目のアンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数37】
と、j番目のアンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数38】
とを含む。l個のアンテナのi番目のアンテナが基準アンテナとして使用され、l個のアンテナのj番目のアンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数39】
は、
【数40】
を満たし、
l個のアンテナのj番目のアンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数41】
は、
【数42】
を満たす。
【0069】
ライブネットワークの実際の実行プロセスでは、アンテナの受信機チャネルおよび送信機チャネルは別々に較正される必要がある。したがって、第1の較正信号は、送信機リンクに対応する較正信号ejおよび受信機リンクに対応する較正信号fjを含むことができる。これに対応して、第2の補償パラメータは、送信機リンクに対応する補償パラメータ
【数43】
および受信機リンクに対応する補償パラメータ
【数44】
を含むことができる。第2の補償パラメータは、第1の補償パラメータおよび第1の較正信号に基づく計算によって取得され得る。
【0070】
本出願のこの実施形態では、ej=T’jD’j、およびfj=D’jR’jであると仮定され、R’jは、実際の実行中のj番目のアンテナに対応する受信機リンクの送信機能を表し、T’jは、実際の実行中のj番目のアンテナに対応する送信機リンクの送信機能を表し、D’jは、実際の実行中のj番目のアンテナと較正回路の間のリンクの送信機能を表す。
【0071】
一任意選択の実施形態では、較正回路は、各アンテナに対応する第1の較正信号ejおよびfjを取得し、各アンテナの第1の補償パラメータδjおよび各アンテナに対応する第1の較正信号ejに基づいて、各アンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数45】
を決定し、各アンテナの第1の補償パラメータδjおよび各アンテナに対応する第1の較正信号fjに基づいて、各アンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数46】
を決定し、各アンテナに対応する送信機リンクを各アンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数47】
で補償し、各アンテナに対応する受信機リンクを各アンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数48】
で補償するように構成される。
【0072】
図2に示されるように、アンテナ1(すなわち、第1のアンテナ)が基準アンテナである例を参照されたい。送信機リンクに対応する第2の補償パラメータを取得するために、以下のステップが実行される。
【0073】
送信機モジュールは、第1の較正信号を送信し、較正回路は、アンテナ較正結合ポートを通して第1の較正信号を受信し、測定結果e1=T’1D’1(17)およびej=T’jD’j(18)を取得する。
【0074】
【数49】
は、前述の式(17)および(18)により取得され得る。
【0075】
第1の補償パラメータの結果に前述の式(19)が乗算されて
【数50】
が取得され、これは、送信機リンクに対応しており、アンテナ1に対してj番目のアンテナのものである第2の補償パラメータを表す。この実施形態では、Tj=T’jおよびDj=D’jであると仮定される。
【0076】
同様に、受信機リンクに対応する第2の補償パラメータを取得するために、以下のステップが実行される。
【0077】
較正回路は、アンテナ較正結合ポートを介して第1の較正信号を送信し、受信機モジュールは、第1の較正信号を受信し、測定結果f1=D’1R’1(21)およびfj=D’jR’j(22)を取得する。
【0078】
【数51】
は、前述の式(21)および(22)により取得され得る。
【0079】
第1の補償パラメータの結果に前述の式(23)が乗算されて
【数52】
が取得され、これは、受信機リンクに対応しており、アンテナ1に対してj番目のアンテナのものである第2の補償パラメータを表す。この実施形態では、Dj=D’jおよびCj=C’jであると仮定される。
【0080】
最後に、対応する受信機リンクおよび送信機リンクは、式(20)の結果および式(24)の結果でそれぞれ補完されて、アンテナ較正を完了する。
【0081】
受信機リンクの較正および送信機リンクの較正は、2つの独立した較正プロセスであり、順番に実行されてもよく、並列に処理されてもよいことを理解されたい。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。
【0082】
加えて、式(20)および式(24)より、以下の条件1が取得され得る。
T1C1=δ2σT2T2C2=...=δlσTlTlCl (25)
C1R1=δ2σR2C2R2=...=δlσRlClRl (26)
【0083】
以下の条件2は、(25)を(26)で割ることによって取得され得る。
【数53】
【0084】
機器テーブル化の誤差(機器テーブル化の精度とも呼ばれる場合がある)はδjの値に影響し、これは条件1のみに影響し、条件2とは無関係である。較正アルゴリズムはσjの値に影響を及ぼし、これは条件1と条件2の両方に影響を及ぼす。結論として、機器テーブル化の誤差は、開ループビームの形成精度にのみ影響し、アップリンクおよびダウンリンクの相互性には影響を有さない。マルチアンテナシステムに対する開ループビームの形成精度の影響は比較的弱いため、本出願のこの実施形態におけるアンテナ較正装置は、満たされる可能性が高い、機器テーブル化の精度に対する低い要求を有する。
【0085】
前述の実施形態では、l個のアンテナの周波数帯域は同じであり、すべて第1の周波数帯域に対応する。本出願は、アンテナ較正装置が別の周波数帯域をさらに含む場合を排除しない。言い換えれば、アンテナ較正装置は、マルチバンドマルチアンテナチャネルである。
【0086】
一任意選択の実施形態では、l個のアンテナは第1の周波数帯域に対応し、アンテナ較正装置は、第2の周波数帯域に対応するk個のアンテナであって、kは2以上の整数である、アンテナと、k個のアンテナフィルタであって、k個のアンテナフィルタの第1の端部がk個のアンテナにそれぞれ接続される、アンテナフィルタと、k個のアンテナフィルタの第2の端部にそれぞれ接続されたk個の無線周波数リンクとをさらに含む。較正回路は、k個のアンテナフィルタの第2の端部の各々に接続され、k個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタと、k個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタの第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して第3の較正信号を送信または受信し、第3の較正信号に基づいてk個のアンテナの各アンテナを較正するように構成される。
【0087】
アンテナ較正装置は、第2の周波数帯域に対応するk個のアンテナをさらに含む。第1の周波数帯域と同様に、第2の周波数帯域の場合、k個のアンテナは、k個のアンテナフィルタおよびk個の無線周波数リンクに接続されて、k個のアンテナチャネルを形成する。さらに、k個の無線周波数リンクは、k個のアンテナおよびk個のアンテナフィルタを伴うk個のアンテナ送信機チャネルおよびk個のアンテナ受信機チャネルをそれぞれ形成する、k個の無線周波数送信機リンクおよびk個の無線周波数受信機リンクを含むことができる。k個のアンテナは、k個のアンテナフィルタの第1の端部にそれぞれ接続され、k個の無線周波数リンクは、k個のアンテナフィルタの第2の端部にそれぞれ接続される。k個のアンテナフィルタの第2の端部の各々は、較正回路にさらに接続される。
【0088】
l個のアンテナに対応する第1の周波数帯域と同様に、第2の周波数帯域の場合、k個のアンテナにおける各アンテナのアンテナ較正結合ポートの位置は、アンテナフィルタと無線周波数リンクの間にある。このようにして、較正回路は、アンテナ較正結合ポートを通して第3の較正信号を送信または受信することができる。言い換えれば、較正回路140は、アンテナフィルタと、アンテナフィルタの第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して第3の較正信号を送信または受信することができる。第3の較正信号は、ライブネットワークの実行プロセスにおいて生成された較正信号である。第2の周波数帯域のk個のアンテナの関連する説明については、第1の周波数帯域のl個のアンテナの説明を参照されたい。本明細書では詳細は重ねて説明されない。
【0089】
一任意選択の実施形態では、較正回路は、具体的には、k個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータを決定し、k個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータおよび第3の較正信号に基づいてk個のアンテナの各アンテナの第2の補償パラメータを決定し、k個のアンテナの各アンテナの第2の補償パラメータに基づいてk個のアンテナの各アンテナを較正するように構成される。
【0090】
l個のアンテナに対応する第1の周波数帯域と同様に、第2の周波数帯域では、第1の補償パラメータを取得するために機器テーブル化も実行される必要があり、第1の補償パラメータは後続の較正のためにメモリに書き込まれる。第2の周波数帯域では、k個のアンテナの機器テーブル化および較正プロセスは、第1の周波数帯域での機器テーブル化および較正プロセスと同様である。本明細書では詳細は重ねて説明されない。
【0091】
本出願のこの実施形態におけるアンテナ較正装置によれば、アンテナ較正装置の組立技術が簡素化され、アンテナ較正装置の実装コストが削減される。加えて、マルチバンドおよびマルチアンテナチャネルのアンテナ較正が実施され得、開発コストがさらに削減される。
【0092】
一任意選択の実施形態では、k個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータを決定するために使用される基準アンテナは、k個のアンテナのq番目のアンテナであり、qは整数であり、1≦q≦kである。
【0093】
機器テーブル化および較正プロセスでは、基準アンテナが選択される必要があることを理解されたい。周波数帯域における基準アンテナは、本明細書では異なる。具体的には、第1の周波数帯域では、基準アンテナは、第1の周波数帯域に対応するl個のアンテナから選択される必要があり、第2の周波数帯域では、基準アンテナは、第2の周波数帯域に対応するk個のアンテナから選択される必要がある。
【0094】
図3は、一機器テーブル化プロセスの別のアンテナ較正装置の構造の概略図である。図3に示されるアンテナ較正装置はN個の周波数帯域を含み、Nは2以上の整数である。N個の周波数帯域は、同じまたは異なる数のアンテナを含むことができる。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。周波数帯域1は、前述の第1の周波数帯域に対応し、l個のアンテナを含む。周波数帯域2は、前述の第2の周波数帯域に対応し、k個のアンテナを含む。加えて、周波数帯域Nはm個のアンテナを含み、mは2以上の整数である。
【0095】
図2の例では、周波数帯域1の基準アンテナはアンテナ1である。図2の対応する説明によれば、式(20)および(24)、すなわち第2の補償パラメータが、取得され得る。例えば、周波数帯域2の基準アンテナはアンテナl+1であってもよく、周波数帯域Nの基準アンテナはアンテナl+k+1であってもよい。周波数帯域1と同様に、第2の周波数帯域の場合、各周波数帯域に対応する第2の補償パラメータが取得され得る。次いで、アンテナ較正を完了するために、対応する受信機リンクおよび対応する送信機リンクが、各周波数帯域に対応する第2の補償パラメータで補償される。
【0096】
図3は、ただ1つの機器テーブル化アンテナを示していることを理解されたい。l+k+m個のアンテナで各アンテナを掃引するために、機器テーブル化アンテナの位置が毎回調整され得る。別の可能な実装形態では、1つまたは複数の機器テーブル化アンテナが周波数帯域ごとに別々に配置され得、その結果、すべての周波数帯域の機器テーブル化プロセスが並列に実行され得る。これは、機器テーブル化の効率を向上させるのに役立つ。
【0097】
周波数帯域の各々におけるアンテナの較正プロセスのシーケンスは、本出願では限定されないことをさらに理解されたい。較正回路は、アンテナに対応する第2の補償パラメータを取得すると、1つのアンテナを較正することができる。代替的に、較正回路は、すべてのアンテナに対応する第2の補償パラメータを取得した後、すべてのアンテナを一緒に較正する。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。
【0098】
上記は、図1から図3を参照して、本出願の実施形態におけるアンテナ較正装置を詳細に記載した。以下は、図4を参照して、本出願の実施形態におけるアンテナ較正方法を詳細に説明する。
【0099】
図4は、本出願によるアンテナ較正方法400の概略的流れ図である。方法400は、l個のアンテナを含むアンテナ較正装置に適用される。l個のアンテナは、l個のアンテナフィルタの第1の端部にそれぞれ接続され、l個のアンテナフィルタの第2の端部は、l個の無線周波数リンクにそれぞれ接続され、各々が較正回路に接続される。方法400は、以下のステップを含む。
【0100】
S410:第1の較正信号を取得し、第1の較正信号は、l個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタと各アンテナフィルタの第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して較正回路によって送信または受信される。
【0101】
S420:l個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータを決定する。
【0102】
S430:第1の補償パラメータおよび第1の較正信号に基づいて各アンテナの第2の補償パラメータを決定する。
【0103】
S440:第2の補償パラメータに基づいて各アンテナを較正する。
【0104】
本出願のこの実施形態におけるアンテナ較正方法によれば、アンテナ較正結合ポートの位置は、アンテナフィルタと無線周波数リンクの間に配置される。これにより、較正回路は、ケーブル、コネクタ、コンバイナユニットなどの構成要素を追加することなく、無線周波数ユニットを通して較正信号を直接送受信してアンテナ較正を実行することができる。これは、アンテナ較正装置の組立技術を簡素化し、アンテナ較正装置の実装コストを削減するのに役立つ。
【0105】
方法400は、図1から図3に示されるアンテナ較正装置に適用され得る。しかしながら、本出願のこの実施形態はそれに限定されない。具体的な較正プロセスについては、前述のアンテナ較正装置の関連説明を参照されたい。本明細書では詳細は重ねて説明されない。
【0106】
一任意選択の実施形態では、l個のアンテナのi番目のアンテナは基準アンテナとして使用され、l個のアンテナのj番目のアンテナの第1の補償パラメータδj
【数54】
を満たす。j番目のアンテナに対応する無線周波数リンクが受信機リンクおよび送信機リンクを含み、受信機リンクは受信機モジュールに接続され、送信機リンクは送信機モジュールに接続され、j番目のアンテナは試験に使用されるアンテナに接続され、ajは、受信機モジュールによって受信され、かつ試験に使用されるアンテナによって送信された第2の較正信号を表し、bjは、受信機モジュールによって受信され、かつ較正回路によって送信された第2の較正信号を表し、cjは、試験に使用されるアンテナによって受信され、かつ送信機モジュールによって送信された第2の較正信号を表し、djは、較正回路によって受信され、かつ送信機モジュールによって送信された第2の較正信号を表し、iは整数で、1≦i≦lであり、jは1からlの範囲の整数である。
【0107】
一任意選択の実施形態では、第1の較正信号は、ejおよびfjを含む。ejは、較正回路によって受信され、かつj番目のアンテナに対応する送信機モジュールによって送信された較正信号を表し、fjは、j番目のアンテナに対応する受信機モジュールによって受信され、かつ較正回路によって送信された較正信号を表す。j番目のアンテナの第2の補償パラメータは、j番目のアンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数55】
と、j番目のアンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数56】
とを含む。l個のアンテナのi番目のアンテナが基準アンテナとして使用され、l個のアンテナのj番目のアンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数57】
は、
【数58】
を満たし、
l個のアンテナのj番目のアンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数59】
は、
【数60】
を満たす。
【0108】
一任意選択の実施形態では、第1の較正信号を取得するステップは、各アンテナに対応する第1の較正信号ejおよびfjを取得するステップを含む。第1の補償パラメータおよび第1の較正信号に基づいて各アンテナの第2の補償パラメータを決定するステップは、各アンテナの第1の補償パラメータδjおよび各アンテナに対応する第1の較正信号ejに基づいて、各アンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数61】
を決定するステップと、各アンテナの第1の補償パラメータδjおよび各アンテナに対応する第1の較正信号fjに基づいて、各アンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数62】
を決定するステップと、を含む。第2の補償パラメータに基づいて各アンテナを較正するステップは、各アンテナに対応する送信機リンクを、各アンテナに対応する送信機リンクの第2の補償パラメータ
【数63】
で補償するステップと、各アンテナに対応する受信機リンクを、各アンテナに対応する受信機リンクの第2の補償パラメータ
【数64】
で補償するステップと、を含む。
【0109】
一任意選択の実施形態では、l個のアンテナは第1の周波数帯域に対応し、アンテナ較正装置は第2の周波数帯域に対応するk個のアンテナをさらに含み、kは2以上の整数である。k個のアンテナは、k個のアンテナフィルタの第1の端部にそれぞれ接続され、k個のアンテナフィルタの第2の端部は、k個の無線周波数リンクにそれぞれ接続され、各々が較正回路に接続される。本方法は、第3の較正信号を取得するステップであって、第3の較正信号が、k個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタとk個のアンテナフィルタの各アンテナフィルタの第2の端部に接続された無線周波数リンクとの間の位置を通して較正回路によって送信または受信される、ステップと、k個のアンテナにおける各アンテナの第1の補償パラメータを決定するステップと、k個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータおよび第3の較正信号に基づいてk個のアンテナの各アンテナの第2の補償パラメータを決定するステップと、k個のアンテナの各アンテナの第2の補償パラメータに基づいてk個のアンテナの各アンテナを較正するステップと、をさらに含む。
【0110】
一任意選択の実施形態では、k個のアンテナの各アンテナの第1の補償パラメータを決定するために使用される基準アンテナは、k個のアンテナのq番目のアンテナであり、qは整数であり、1≦q≦kである。
【0111】
前述のプロセスのシーケンス番号は実行シーケンスを意味しないことを理解されたい。当然、プロセスの実行シーケンスはプロセスの機能および内部ロジックに基づいて決められ、本出願の実施形態の実施プロセスに対するいかなる限定としても解釈されない。
【0112】
本出願において、「少なくとも1つ」は1つまたは複数を意味し、「複数」は2つ以上を意味する。「および/または」は、関連するオブジェクトの関連関係を表し、3つの関係が存在し得ることを示す。例えば、Aおよび/またはBは、以下の場合を、すなわち、Aのみが存在する場合、AおよびBの両方が存在する場合、またはBのみが存在する場合を示してもよく、その場合、AおよびBは、単数または複数であり得る。文字「/」は、概して、関連するオブジェクトが「または」関係にあることを示す。「以下の少なくとも1つの項目(部分)」またはその類似表現は、単一の項目(部分)または複数の項目(部分)の任意の組合せを含む、これらの項目の任意の組合せを意味する。例えば、a、b、またはcの少なくとも1つの項目(部分)は、a、b、c、aおよびb、aおよびc、bおよびc、またはa、b、およびcを示してよく、a、b、およびcは単数形または複数形であってよい。
【0113】
当業者であれば、本明細書で開示された実施形態に記載されている例と組み合わせて、ユニットおよびアルゴリズムのステップが、電子ハードウェア、または、コンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組合せによって実現され得ることに気づくことができる。機能がハードウェアとソフトウェアのどちらによって実現されるかは、技術的な解決策の具体的な用途と設計上の制約に左右される。当業者であれば、特定の用途ごとに異なる方法を用いて、説明されている機能を実施することができるが、その実装形態が、本出願の範囲を超えるものと考えられるべきではない。
【0114】
簡便な説明のために、前述のシステム、装置、およびユニットの詳細な動作プロセスについては、前述の方法の実施形態における対応するプロセスを参照することが当業者によって明確に理解されよう。本明細書では詳細は重ねて説明されない。
【0115】
本出願で提供されるいくつかの実施形態では、開示されたシステム、装置、および方法は、他の方法で実現されてもよいことが理解されるべきである。例えば、記載された装置実施形態は、単なる例である。例えば、ユニットの分割は、単なる論理的な機能の分割であり、実際の実現時には他の分割であってもよい。例えば、複数のユニットや構成要素が別のシステムに組み合わされたり、組み込まれたりしてもよいし、一部の機能が無視されたり実行されなかったりしてもよい。加えて、表示または論述されている相互結合または直接結合または通信接続は、いくつかのインターフェースを通じて実装されてよい。装置間またはユニット間の間接結合または通信接続は、電気、機械、または他の形態で実装されてもよい。
【0116】
別々の部分として記載されるユニットは、物理的に分離していてもいなくてもよく、ユニットとして表示される部分は、物理ユニットでもそうでなくてもよく、一箇所に位置されてもよく、または複数のネットワークユニットに分散させてもよい。ユニットの一部またはすべては、本実施形態の解決策の目的を達成するために実際の要件に応じて選択されてもよい。
【0117】
加えて、本出願の実施形態における機能ユニットは1つの処理ユニットに統合されてもよく、ユニットの各々は物理的に単独で存在してもよく、または2つ以上のユニットが1つのユニットに統合される。
【0118】
機能がソフトウェア機能ユニットの形で実現され、独立した製品として販売または使用される場合は、機能がコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。そのような理解に基づき、本出願の技術的解決策が本質的に、または既存の技術に寄与する部分が、または技術的解決策の一部が、ソフトウェア製品の形で実現され得る。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶され、本出願の実施形態における方法のステップのすべてまたは一部を実行するようにコンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、ネットワークデバイスなどであってもよい)に指示するためのいくつかの命令を含む。前述の記憶媒体は、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、磁気ディスク、または光ディスクなどの、プログラムコードを記憶し得る任意の媒体を含む。
【0119】
前述の説明は、本出願の単なる特定の実装形態であり、本出願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本出願で開示される技術的範囲内で当業者によって容易く考え出されるバリエーションや代替は、本出願の保護範囲に入るものである。したがって、本出願の保護範囲は請求項の保護範囲に従うものである。
【符号の説明】
【0120】
10 機器テーブル化アンテナ
100 アンテナ較正装置
110 アンテナ
120 アンテナフィルタ
130 無線周波数リンク
131 無線周波数送信機リンク
132 無線周波数受信機リンク
140 較正回路
400 アンテナ較正方法
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】