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特表2022-545974抗CD47モノクローナル抗体及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-01
(54)【発明の名称】抗CD47モノクローナル抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20221025BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20221025BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221025BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221025BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20221025BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20221025BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221025BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221025BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20221025BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20221025BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221025BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20221025BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221025BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221025BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20221025BHJP
   C12N 5/20 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/46 ZNA
C07K16/28
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K19/00
A61K39/395 N
A61K39/395 L
A61K47/68
A61P35/00
A61P35/02
G01N33/531 A
C12N5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513964
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 CN2020113287
(87)【国際公開番号】W WO2021043220
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】201910836601.9
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910835819.2
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517031177
【氏名又は名称】アケソ・バイオファーマ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ペン
(72)【発明者】
【氏名】リ,バイヨン
(72)【発明者】
【氏名】シア,ユ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジョンミン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AB05
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085AA26
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045BA57
4H045BA70
4H045BA71
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、寄託番号CCTCCNO:C2018135を有するハイブリドーマ細胞株により分泌される、抗CD47モノクローナル抗体及びその使用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD47に特異的に結合する抗体又はその抗原結合性断片であって、
前記抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域に含まれる以下:
(1)配列番号2に記載の重鎖可変領域に含まれるHCDR1、HCDR2及びHCDR3、及び
配列番号4に記載の軽鎖可変領域に含まれるLCDR1、LCDR2及びLCDR3か;又は
(2)配列番号12に記載の重鎖可変領域に含まれるHCDR1、HCDR2及びHCDR3、及び
配列番号14に記載の軽鎖可変領域に含まれるLCDR1、LCDR2及びLCDR3か;又は
(3)配列番号16に記載の重鎖可変領域に含まれるHCDR1、HCDR2及びHCDR3、及び
配列番号18に記載の軽鎖可変領域に含まれるLCDR1、LCDR2及びLCDR3か;又は
(4)配列番号20に記載の重鎖可変領域に含まれるHCDR1、HCDR2及びHCDR3、及び
配列番号22に記載の軽鎖可変領域に含まれるLCDR1、LCDR2及びLCDR3
のCDR配列から選択されるCDR配列を含み;
好ましくは、前記抗体が、
配列番号5に記載の配列、前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2又は3個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなるHCDR1;
配列番号6に記載の配列、前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2又は3個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなるHCDR2;及び
配列番号7に記載の配列、前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2又は3個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなるHCDR3
を含み、
前記抗体がさらに、
配列番号8に記載のアミノ酸配列、前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2又は3個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなるLCDR1;
配列番号9に記載のアミノ酸配列、前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2又は3個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなるLCDR2;及び
配列番号10に記載の配列、前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2又は3個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなるLCDR3を含む、
抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項2】
請求項1記載の抗体又はその抗原結合性断片であって、
前記抗体が、以下:
(1)重鎖可変領域におけるFRが、FR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4を含み(ここで、FR-H1は、配列番号23に記載のアミノ酸配列、配列番号23に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号23に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-H2は、配列番号24に記載のアミノ酸配列、配列番号24に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号24に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-H3は、配列番号25に記載のアミノ酸配列、配列番号25に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号25に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-H4は、配列番号26に記載のアミノ酸配列、配列番号26に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号26に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる)、
軽鎖可変領域におけるFRが、FR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4を含む(ここでFR-L1は、配列番号27に記載のアミノ酸配列、配列番号27に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号27に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-L2は、配列番号28に記載のアミノ酸配列、配列番号28に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号28に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-L3は、配列番号29に記載のアミノ酸配列、配列番号29に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号29に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、そしてFR-L4は、配列番号30に記載のアミノ酸配列、配列番号30に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号30に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる);
(2)重鎖可変領域におけるFRが、FR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4を含み(ここで、FR-H1は、配列番号31に記載のアミノ酸配列、配列番号31に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号31に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-H2は、配列番号32に記載のアミノ酸配列、配列番号32に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号32に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-H3は、配列番号33に記載のアミノ酸配列、配列番号33に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号33に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-H4は、配列番号34に記載のアミノ酸配列、配列番号34に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号34に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる)、
軽鎖可変領域におけるFRが、FR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4を含む(ここで、FR-L1は、配列番号35に記載のアミノ酸配列、配列番号35に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号35に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-L2は、配列番号36に記載のアミノ酸配列、配列番号36に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号36に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-L3は、配列番号37に記載のアミノ酸配列、配列番号37に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号37に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、そしてFR-L4は、配列番号38に記載のアミノ酸配列、配列番号38に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号38に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる);
(3)重鎖可変領域におけるFRが、FR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4を含み(ここで、FR-H1は、配列番号39に記載のアミノ酸配列、配列番号39に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号39に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、R-H2は、配列番号40に記載のアミノ酸配列、配列番号40に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号40に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-H3は、配列番号41に記載のアミノ酸配列、配列番号41に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号41に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-H4は、配列番号42に記載のアミノ酸配列、配列番号42に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号42に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる)、
軽鎖可変領域におけるFRが、FR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4を含む(ここで、FR-L1は、配列番号43に記載のアミノ酸配列、配列番号43に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号43に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-L2は、配列番号44に記載のアミノ酸配列、配列番号44に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号44に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-L3は、配列番号45に記載のアミノ酸配列、配列番号45に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号45に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、そしてFR-L4は、配列番号46に記載のアミノ酸配列、配列番号46に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号46に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる);及び
(4)重鎖可変領域におけるFRが、FR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4を含み(ここで、FR-H1は、配列番号47に記載のアミノ酸配列、配列番号47に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号47に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-H2は、配列番号48に記載のアミノ酸配列、配列番号48に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号48に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-H3は、配列番号49に記載のアミノ酸配列、配列番号49に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号49に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-H4は、配列番号50に記載のアミノ酸配列、配列番号50に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号50に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる)、
軽鎖可変領域におけるFRが、FR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4を含む(ここで、FR-L1は、配列番号51に記載のアミノ酸配列、配列番号51に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号51に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-L2は、配列番号52に記載のアミノ酸配列、配列番号52に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号52に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-L3は、配列番号53に記載のアミノ酸配列、配列番号53に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号53に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、FR-L4は、配列番号54に記載のアミノ酸配列、配列番号54に記載の前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号54に記載の前記アミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる)
からなる群より選択される、重鎖可変領域におけるFRと軽鎖可変領域におけるFRとの組み合わせをさらに含む、抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項3】
請求項1又は2記載の抗体又はその抗原結合性断片であって、前記抗体が、
(1)配列番号2に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号2に記載の前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号2に記載の前記アミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる重鎖可変領域、及び
配列番号4に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号4に記載の配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号4に記載のアミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる軽鎖可変領域;
(2)配列番号12に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号12に記載の前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号12に記載の前記アミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる重鎖可変領域、及び
配列番号14に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号14に記載の前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号14に記載の前記アミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる軽鎖可変領域;
(3)配列番号16に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号16に記載の前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号16に記載の前記アミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる重鎖可変領域、及び
配列番号18に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号18に記載の前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号18に記載の前記アミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる軽鎖可変領域;及び
(4)配列番号20に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号20に記載の前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号20に記載の前記アミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる重鎖可変領域、及び
配列番号22に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号22に記載の前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号22に記載の前記アミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる軽鎖可変領域
を含む、抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項4】
以下に示すようなHCDR1~3及びLCDR1~3を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の抗体又はその抗原結合性断片であって、
前記重鎖可変領域の3つのCDR領域のアミノ酸配列は、以下:
HCDR1:GYTFTSYW(配列番号5)、
HCDR2:IDPSDSET(配列番号6)、及び
HCDR3:ARLYRWYFDV(配列番号7)であり;そして
前記軽鎖可変領域の3つのCDR領域のアミノ酸配列は、以下:
LCDR1:EIVGTY(配列番号8)、
LCDR2:GAS(配列番号9)、及び
LCDR3:GQSYNFPYT(配列ID番号:10)である、
抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片であって、前記抗体が、重鎖定常領域及び軽鎖定常領域をさらに含み、そして前記定常領域が、マウス以外の種、例えば、ヒト抗体、好ましくはヒトIgG又はIgM、より好ましくはIgG1に由来し;好ましくは、前記重鎖定常領域が、Igγ-1鎖C領域、アクセッション番号P01857(配列番号58)又はIgγ-4鎖C領域、アクセッション番号P01861.1(配列番号56)であり;前記軽鎖定常領域が、Igκ鎖C領域、アクセッション番号P01834(配列番号57)である、抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項記載の抗体又はその抗原結合性断片であって、前記抗体が、以下:
(1)配列番号59に記載の重鎖及び配列番号60に記載の軽鎖;
(2)配列番号61に記載の重鎖及び配列番号62に記載の軽鎖;
(3)配列番号63に記載の重鎖及び配列番号64に記載の軽鎖;
(4)配列番号65に記載の重鎖及び配列番号66に記載の軽鎖;
(5)配列番号67に記載の重鎖及び配列番号68に記載の軽鎖;及び
(6)配列番号69に記載の重鎖及び配列番号70に記載の軽鎖
からなる群より選択される重鎖と軽鎖との組み合わせを含む、
抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片であって、前記抗体が、EUナンバリングシステムによる位置234及び/又は235に導入されたアミノ酸突然変異をさらに含む、抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片抗体であって、前記抗体が、EUナンバリングシステムによる突然変異L234A及び/又はL235Aを含む、抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項9】
請求項8記載の抗体又はその抗原結合性断片であって、前記抗体が、以下:
(1)配列番号59に記載の重鎖及び配列番号60に記載の軽鎖;
(2)配列番号61に記載の重鎖及び配列番号62に記載の軽鎖;及び
(3)配列番号63に記載の重鎖及び配列番号64に記載の軽鎖
からなる群より選択される重鎖と軽鎖との組み合わせを含む、抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項10】
(1)配列番号5、6及び7に記載の配列(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記抗体は、配列番号8、9及び10に記載の配列をさらに含む)か;
(2)配列番号8、9及び10に記載の配列(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記抗体は、配列番号5、6及び7に記載の配列をさらに含む)か;
(3)配列番号2、12、16及び20に記載の配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列
から選択される配列(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記抗体は、配列番号4、14、18及び22に記載の配列から選択される配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列から選択される配列をさらに含む)か;又は
(4)配列番号4、14、18及び22に記載の配列から選択される配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記モノクローナル抗体は、前記配列番号2、12、16及び20に記載の配列から選択される配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列から選択される配列をさらに含む)
を含む、単離されたポリペプチド。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片であって、前記抗原結合性断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、Fv、dAb、Fab/c、相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(例えば、scFv)、二価抗体、及びドメイン抗体から選択される、抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片であって、前記抗体が、ヒト化抗体、キメラ抗体又は多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である、抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片であって、前記抗体が、約10-5M未満、例えば約10-6M、10-7M、10-8M、10-9M未満又は10-10M以下のKDでヒトCD47タンパク質に結合する、抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片抗体であって、前記抗体が、約100nM未満、例えば約10nM、1nM、0.9nM、0.8nM、0.7nM、0.6nM、0.5nM、0.4nM、0.3nM、0.2nM未満、又は0.1nM以下のEC50でヒトCD47タンパク質に結合する、抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項15】
(1)配列番号5、6及び7に記載の配列を含むポリペプチド(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、配列番号8、9及び10に記載の配列をさらに含む)か;
(2)配列番号8、9及び10に記載の配列を含むポリペプチド(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、配列番号5、6及び7に記載の配列をさらに含む)か;
(3)配列番号2、12、16及び20に記載の配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列から選択される配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記抗体は、配列番号4、14、18及び22に記載の配列から選択される配列、前記抗体に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列から選択される配列を更に含む;又は
(4)配列番号4、14、18及び22に記載の配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列から選択される配列を含むポリペプチド(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記抗体は、配列番号2、12、16及び20に記載の配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列から選択される配列をさらに含む)
から選択されるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項16】
請求項15記載の単離されたポリヌクレオチドであって、
(1)前記ポリヌクレオチド分子が、配列番号1、11、15又は19に記載のヌクレオチド配列、又は前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列を含むか又はそれらからなる;
(2)前記ポリヌクレオチド分子が、配列番号3、13、17又は21に記載のヌクレオチド配列、又は前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列を含むか又はそれらからなる、
単離されたポリヌクレオチド。
【請求項17】
請求項15又は16記載のポリヌクレオチド分子を含むベクター。
【請求項18】
請求項15又は16記載のポリヌクレオチド分子、又は請求項17記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項19】
適切な条件下で請求項18記載の宿主細胞を培養すること、及び前記細胞培養物から抗体又はその抗原結合性断片を単離することを含む、請求項1~14のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片を調製する方法。
【請求項20】
請求項1~14のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片及びそれに結合したコンジュゲート部分を含む抗体コンジュゲートであって、前記コンジュゲート部分が、精製タグ(例えば、Hisタグ)、細胞障害性薬剤又は検出可能な標識であり、好ましくは、コンジュゲート部分が、放射性同位体、発光物質、着色物質、酵素又はポリエチレングリコ-ルである、抗体コンジュゲート。
【請求項21】
請求項1~14のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片、及び別の抗原及び/又は別の抗原エピトープに対する抗体又は抗原結合性断片を含む、多重特異性抗体、好ましくは二重特異的抗体。
【請求項22】
請求項1~14のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片を含む融合タンパク質。
【請求項23】
請求項1~14のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片、又は請求項20記載の抗体コンジュゲート、請求項21記載の多重特異性抗体又は請求項22記載の融合タンパク質を含むキット。
【請求項24】
前記抗体又はその抗原結合性断片を特異的に同定する第二の抗体;場合により、放射性同位元素、発光物質、着色物質、酵素又はポリエチレングリコ-ルなどの検出可能な標識をさらに含む第二の抗体をさらに含む、請求項23記載のキット。
【請求項25】
前記ハイブリドーマ細胞株により産生されるハイブリドーマ細胞株及びモノクローナル抗体であって、前記ハイブリドーマ細胞株がCCTCC番号2018135に基づくハイブリドーマ細胞株LT012である、ハイブリドーマ細胞株及びモノクローナル抗体。
【請求項26】
試料中のヒトCD47の存在又はレベルの検出における、又は試料中のヒトCD47の存在又はレベルを検出するためのキットの調製における、請求項1~14のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片、請求項20記載の抗体コンジュゲート、請求項21記載の多重特異性抗体又は請求項22記載の融合タンパク質の使用。
【請求項27】
請求項1~14のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片、請求項20記載の抗体コンジュゲート、請求項21記載の多重特異性抗体又は請求項22記載の融合タンパク質、及び場合により、薬学的に許容され得る担体及び/又は賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項28】
ヒトSIRPαに対するヒトCD47の結合を遮断する薬剤、
ヒトCD47の活性を遮断するか、又はヒトCD47のレベルをダウンレギュレートするための薬剤、又は
CD47に対するヒトSIRPαの結合により媒介される細胞応答を遮断する薬剤
の調製における、請求項1~14のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片、請求項20記載の抗体コンジュゲート、請求項21記載の多重特異性抗体又は請求項22記載の融合タンパク質の使用。
【請求項29】
腫瘍の処置における、又は腫瘍の処置のための薬剤の調製における、請求項1~14のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片、請求項20記載の抗体コンジュゲート、請求項21記載の多重特異性抗体又は請求項22記載の融合タンパク質の使用であって、前記腫瘍が、好ましくはCD47を発現する腫瘍、好ましくはがん、例えば血液悪性腫瘍又は固形腫瘍、より好ましくはリンパ腫、結腸がん又は乳がん、より好ましくは非ホジキンリンパ腫、及びさらにより好ましくはB細胞リンパ腫細胞である、使用。
【請求項30】
請求項29記載の使用であって、前記薬剤が、注射に適した形態、好ましくは皮下注射、皮内注射、静脈内注射、筋肉内注射又は病巣内注射による投与に適した形態である、使用。
【請求項31】
請求項1~14のいずれか1項記載の抗体又はその抗原結合性断片、請求項20記載の抗体コンジュゲート、請求項21記載の多重特異性抗体又は請求項22記載の融合タンパク質を含む細胞を投与すること、又は前記抗体又はその抗原結合性断片、前記抗体コンジュゲート、前記多重特異性抗体又は前記融合タンパク質の有効量をそれを必要とする被験体に投与することを含む、インビボ又はインビトロの方法であって、前記方法が、
ヒトSIRPαに対するCD47の結合を遮断する方法、
ヒトCD47の活性を遮断するか、又はヒトCD47のレベルをダウンレギュレートする方法、及び
CD47に対するヒトSIRPαの結合により媒介される細胞応答を遮断する方法
から選択される、インビボ又はインビトロの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己免疫疾患の処置及び分子免疫学の分野に関し、具体的には、抗CD47抗体、それを含む医薬組成物、及びその使用に関する。より具体的には、本発明は、抗CD47モノクローナル抗体に関する。
【0002】
背景
CD47は、インテグリン関連タンパク質(IAP)とも呼ばれる。CD47は、約50kDaの分子量を有する5スパン膜貫通タンパク質であり、免疫グロブリンス-パ-ファミリーに属する。その細胞外N末端は、IgVドメインであり、αvβ3(CD51/CD61)及びαIIbβ3(CD41/CD61)インテグリンに結合している。CD47は、細胞移植、T細胞及び樹状細胞(DC)活性化及び軸索形成などの、様々な生理学的機能に関与している。
【0003】
CD47は、赤血球を含むあらゆる種類の細胞に発現し、腫瘍細胞に高発現する。CD47は、2つのリガンド、すなわちシグナル調節タンパク質-α(SIRPα)及びトロンボスポンジン-1(TSP1)を有する。免疫グロブリンドメインを含むレセプタ膜貫通型糖タンパク質であるSIRPαは、SIRPファミリーに属し、主にマクロファージ及び神経細胞に発現する。CD47-SIRPα経路では、CD47タンパク質は、SIRPαに結合し、その免疫レセプタチロシンに基づく阻害モチ-フ(ITIM)をリン酸化し、次いでSHP-1タンパク質を細胞内に動員してマクロファージ貪食を阻害する一連のカスケ-ド反応を生じる(Matozaki T, Murata Y, Okazawa H, et al. Functions and molecular mechanisms of the CD47-SIRPα signalling pathway. Trends in cell biology, 2009, 19(2): 72-80.)。しかしながら、マクロファージのSIPRαに対して細胞膜表面のCD47が結合することにより生じる阻害シグナルのために、正常な赤血球は貪食されない。(Oldenborg P A, Zheleznyak A, Fang Y F, et al. Role of CD47 as a marker of self on red blood cells. Science, 2000, 288(5473): 2051-2054.)。3つのペプチド鎖から構成されるホモ三量体であるTSP1は、他の細胞表面レセプタ、マトリックス成分及び成長因子との相互作用を通して、細胞増殖、アポトーシス、癒着、移動、血管新生及び他のプロセスに関与する(Jiang P, Lagenaur CF, Narayanan V. Integrin-associated Protein Is a Ligand for the P84 Neural Adhesion Molecule. Journal of Biological Chemistry 1999. 274:559-62)。
【0004】
マクロファージは、単核球に由来し、同様に骨髄における前駆細胞に由来する。それらの主な機能は、固定細胞又は遊離細胞の形態で細胞残屑及び病原体を貪食し、病原体に応答するためにリンパ球又は他の免疫細胞を活性化することである。現在、研究は、腫瘍細胞がマクロファージ貪食を逃れる機序を有することを示す。腫瘍細胞の増殖中に、カルレティキュリンなどの特異的タンパク質が表面に形成され、同一の腫瘍細胞を露出させ、その結果、腫瘍細胞が引き付けられたマクロファージにより貪食される。しかしながら、CD47-SIRPα経路が、マクロファージ貪食の阻害を活性化するため(CD47は、貪食を回避するために循環血液中の造血幹細胞及び白血病細胞でアップレギュレートされる)、高発現したCD47を有する腫瘍細胞は、SIRPαを有するマクロファージにより正常細胞と誤認され、したがってマクロファージ貪食を免れる(Jaiswal S, Jamieson C H M, Pang W W, et al. Cell, 2009, 138(3) 271-285)。
【0005】
現在、研究は、抗CD47抗体が主に2つの機序を通じて腫瘍細胞を殺すことを示唆している。1.抗CD47抗体がCD47に結合することにより、CD47-SIRPα経路が遮断され、マクロファージが貪食を行うことが可能になる。2.抗CD47抗体は、DC細胞及びCD8+T細胞を通じて腫瘍殺傷効果を発揮する。DC細胞は、抗CD47抗体とカルレティキュリンなどの貪食促進性分子との間の相乗効果を通じて腫瘍細胞を貪食し、腫瘍関連抗原をCD8+T細胞に提示し、それによって腫瘍に対してCD8+T細胞の特異的な殺傷効果を発揮する(CD47 blockade as another immune checkpoint therapy for cancer.Vonderheide R H. Nature Medicine, 2015, 21(10):1122)。これら2つの機構により、抗CD47抗体は、非特異的免疫と特異免的免疫の両方を活性化する能力を持つ可能性が非常に高いことが示唆される。
【0006】
現在、抗CD47モノクローナル抗体医薬品は、様々な用途において有望な有用性を有し、腫瘍を処置するのに有効である。これらは、様々な腫瘍の処置に使用できる。抗CD47モノクローナル抗体薬Hu5F9-G4は、前臨床実験において、血液悪性腫瘍及び固形腫瘍の増殖及び転移を効果的に阻害することができる(Abstract PR13: The anti-CD47 antibody Hu5F9-G4 is a novel immune checkpoint inhibitor with synergistic efficacy in combination with clinically active cancer targeting antibodies[J] Chao M P, McKenna K M, Cha A, et al., 2016)。
【0007】
従って、腫瘍を処置するための、CD47のための高い親和性、より高い有効性及びより少ない毒性副作用を有する抗体医薬の開発は、非常に重要である。
【0008】
概要
本発明者らは、哺乳動物細胞発現系を用いて、マウスを免疫する抗原として組換えヒトCD47を発現させ、マウス脾臓細胞と骨髄腫細胞との融合によりハイブリドーマ細胞を得た。多数の試料をスクリーニングすることにより、以下のハイブリドーマ細胞株が得られる。
【0009】
発明者らは以下のことを見出した:
ハイブリドーマ細胞株LT012は、CD47に特異的に結合することができるモノクローナル抗体(6F7と命名)を分泌することができ、前記モノクローナル抗体は、CD47に対する結合についてレセプタSIRPαECD-hFc-ビオチンと競合することができ、CD47に対するSIRPαの結合を効果的に遮断し、マクロファージによる腫瘍細胞の貪食をさらに促進する。
さらに、本発明者らは、ヒト化モノクローナル抗体6F7(6F7H1L1、6F7H2L2及び6F7H3L3と命名した)を調製した。
【0010】
本発明を以下に詳述する。
本発明の1つの態様は、抗体又はその抗原結合性断片に関する(ここで、前記抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域に含まれる以下のCDR配列:
(1)配列番号2に記載の重鎖可変領域に含まれるHCDR1、HCDR2及びHCDR3、及び
配列番号4に記載の軽鎖可変領域に含まれるLCDR1、LCDR2及びLCDR3;又は
(2)配列番号12に記載の重鎖可変領域に含まれるHCDR1、HCDR2及びHCDR3、及び
配列番号14に記載の軽鎖可変領域に含まれるLCDR1、LCDR2及びLCDR3;又は
(3)配列番号16に記載の重鎖可変領域に含まれるHCDR1、HCDR2及びHCDR3、及び
配列番号18に記載の軽鎖可変領域に含まれるLCDR1、LCDR2及びLCDR3;又は
(4)配列番号20に記載の重鎖可変領域に含まれるHCDR1、HCDR2及びHCDR3、及び
配列番号22に記載の軽鎖可変領域に含まれるLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
から選択されるCDR配列を含み、
好ましくは、前記抗体は、
配列番号5に記載の配列、前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2又は3個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなるHCDR1;
配列番号6に記載の配列、前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2又は3個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなるHCDR2;及び
配列番号7に記載の配列、前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2又は3個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含む、又はそれからなるHCDR3を含み、
さらに前記抗体は、
配列番号8に記載のアミノ酸配列、前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2又は3個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなるLCDR1;
配列番号9に記載のアミノ酸配列、前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2又は3個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなるLCDR2;及び
配列番号10に記載の配列、前記配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2又は3個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなるLCDR3を含む)。
【0011】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体は、
(1)配列番号2に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号2に記載の配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号2に記載のアミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる重鎖可変領域、及び
配列番号4に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号4に記載の配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号4に記載のアミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる軽鎖可変領域;
(2)配列番号12に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号12に記載の配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号12に記載のアミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる重鎖可変領域、及び
配列番号14に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号14に記載の配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号14に記載のアミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる軽鎖可変領域;
(3)配列番号16に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号16に記載の配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号16に記載のアミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる重鎖可変領域、及び
配列番号18に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号18に記載の配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号18に記載のアミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる軽鎖可変領域;及び
(4)配列番号20に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号20に記載の配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号20に記載のアミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる重鎖可変領域;及び
配列番号22に記載のアミノ酸配列、又は
配列番号22に記載の配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は
配列番号22に記載のアミノ酸配列と比較して、1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる軽鎖可変領域
を含む。
上記(1)から(12)における前記抗体のCDR領域のアミノ酸配列は、当業者に周知の技術的手段、例えば、VBASE2データベースを通して分析される。
【0012】
本明細書に開示された抗体6F7、6F7H1L1、6F7H2L2及び6F7H3L3は、同じHCDR1~3及びLCDR1~3を共有する。
重鎖可変領域の3つのCDR領域のアミノ酸配列は以下:
HCDR1:GYTFTSYW(配列番号5)、
HCDR2:IDPSDSET(配列番号6)、及び
HCDR3:ARLYRWYFDV(配列番号7)の通りであり;
軽鎖可変領域の3つのCDR領域のアミノ酸配列は以下:
LCDR1:EIVGTY(配列番号8)、
LCDR2:GAS(配列番号9)、及び
LCDR3:GQSYNFPYT(配列番号10)の通りである。
【0013】
いくつかの実施態様では、本明細書に開示された抗体は、
6F7H1L1(G1M)重鎖(配列番号59)のアミノ酸配列、
6F7H1L1(G1M)軽鎖(配列番号60)のアミノ酸配列、
6F7H2L2(G1M)重鎖(配列番号61)のアミノ酸配列、
6F7H2L2(G1M)軽鎖(配列番号62)のアミノ酸配列、
6F7H3L3(G1M)重鎖(配列番号63)のアミノ酸配列、
6F7H3L3(G1M)軽鎖(配列番号64)のアミノ酸配列、
6F7H1L1(hG4)重鎖(配列番号65)のアミノ酸配列、
6F7H1L1(hG4)軽鎖(配列番号66)のアミノ酸配列、
6F7H2L2(hG4)重鎖(配列番号67)のアミノ酸配列、
6F7H2L2(hG4)軽鎖(配列番号68)のアミノ酸配列、
6F7H3L3(hG4)重鎖(配列番号69)のアミノ酸配列、
6F7H3L3(hG4)軽鎖(配列番号70)のアミノ酸配列
6からなる群より選択される。
【0014】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体(好ましくは6F7抗体)は、重鎖可変領域におけるFR、好ましくはFR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4を含むFRをさらに含む(ここで、前記FR-H1は、配列番号23に記載のアミノ酸配列、配列番号23に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号23に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-H2は、配列番号24に記載のアミノ酸配列、配列番号24に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号24に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-H3は、配列番号25に記載のアミノ酸配列、配列番号25に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号25に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-H4は、配列番号26に記載のアミノ酸配列、配列番号26に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号26に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる)。
【0015】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体(好ましくは6F7抗体)は、軽鎖可変領域におけるFR、好ましくはFR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4を含むFRをさらに含む(ここで、前記FR-L1は、配列番号27に記載のアミノ酸配列、配列番号27に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号27に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-L2は、配列番号28に記載のアミノ酸配列、配列番号28に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号28に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-L3は、配列番号29に記載のアミノ酸配列、配列番号29に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号29に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり、前記FR-L4は、配列番号30に記載のアミノ酸配列、配列番号30に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号30に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる)。
【0016】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体(好ましくは6F7H1L1抗体)は、重鎖可変領域におけるFR、好ましくはFR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4を含むFRをさらに含む(ここで、前記FR-1は、配列番号31に記載のアミノ酸配列、配列番号31に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号31に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-H2は、配列番号32に記載のアミノ酸配列、配列番号32に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号32に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-H3は、配列番号33に記載のアミノ酸配列、配列番号33に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号33に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上の保存的なアミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-H4は、配列番号34に記載のアミノ酸配列、配列番号34に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号34に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる)。
【0017】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体(好ましくは6F7H1L1抗体)は、軽鎖可変領域におけるFR、好ましくはFR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4を含むFRをさらに含む(ここで、前記FR-L1は、配列番号35に記載のアミノ酸配列、配列番号35に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号35に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-L2は、配列番号36に記載のアミノ酸配列、配列番号36に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号36に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-L3は、配列番号37に記載のアミノ酸配列、配列番号37に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号37に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-L4は、配列番号38に記載のアミノ酸配列、配列番号38に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号38に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる)。
【0018】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体(好ましくは6F7H2L2抗体)は、重鎖可変領域におけるFR、好ましくはFR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4を含むFRをさらに含む(ここで、前記FR-H1は、配列番号39に記載のアミノ酸配列、配列番号39に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号39に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-H2は、配列番号40に記載のアミノ酸配列、配列番号40に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号40に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-H3は、配列番号41に記載のアミノ酸配列、配列番号41に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号41に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-H4は、配列番号42に記載のアミノ酸配列、配列番号42に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号42に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる)。
【0019】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体(好ましくは6F7H2L2抗体)は、軽鎖可変領域におけるFR、好ましくはFR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4を含むFRをさらに含む(ここで、前記FR-L1は、配列番号43に記載のアミノ酸配列、配列番号43に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号43に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-L2は、配列番号44に記載のアミノ酸配列、配列番号44に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号44に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-L3は、配列番号45に記載のアミノ酸配列、配列番号45に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号45に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-L4は、配列番号46に記載のアミノ酸配列、配列番号46に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号46に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる)。
【0020】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体(好ましくは6F7H3L3抗体)は、重鎖可変領域におけるFR、好ましくはFR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4を含むFRをさらに含む(ここで、前記FR-H1は、配列番号47に記載のアミノ酸配列、配列番号47に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号47に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-H2は、配列番号48に記載のアミノ酸配列、配列番号48に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号48に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-H3は、配列番号49に記載のアミノ酸配列、配列番号49に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号49に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-H4は、配列番号50に記載のアミノ酸配列、配列番号50に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号50に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる)。
【0021】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体(好ましくは6F7H3L3抗体)は、軽鎖可変領域におけるFR、好ましくはFR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4を含むFRをさらに含む(ここで、前記FR-L1は、配列番号51に記載のアミノ酸配列、配列番号51に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号51に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-L2は、配列番号52に記載のアミノ酸配列、配列番号52に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号52に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-L3は、配列番号53に記載のアミノ酸配列、配列番号53に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号53に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなり;前記FR-L4は、配列番号54に記載のアミノ酸配列、配列番号54に記載の配列に対して少なくとも80%、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は配列番号54に記載のアミノ酸配列と比較して1つ以上(好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むか又はそれらからなる)。
【0022】
本発明の1つの態様は、配列番号5、6及び7に記載の配列を含む単離されたポリペプチドに関する(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記抗体は、配列番号8、9及び10に記載の配列をさらに含む)。
【0023】
本発明の1つの態様は、配列番号8、9及び10に記載の配列を含む単離されたポリペプチドに関する(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記抗体は、配列番号5、6及び7に記載の配列をさらに含む)。
【0024】
本発明の1つ態様は、配列番号2、12、16及び20に記載の配列から選択される配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドに関する(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記抗体は、配列番号4、14、18及び22に記載の配列から選択される配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列をさらに含む)か;又は
本発明の1つの態様は、配列番号4、14、18及び22に記載の配列から選択される配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドに関する(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記モノクローナル抗体は、配列番号2、12、16及び20に記載の配列から選択される配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は当前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列から選択される配列をさらに含む)。
【0025】
本発明の1つの実施態様では、前記抗原結合性断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、Fv、dAb、Fab/c、相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(例えば、scFv)、二価抗体及びドメイン抗体から選択される。
【0026】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体は、ヒト化抗体、キメラ抗体又は多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。
【0027】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体は、約10-5M未満、例えば、約10-6M、10-7M、10-8M、10-9M未満又は10-10M以下のKDでヒトCD47タンパク質に結合する。好ましくは、KDは、Fortebio分子相互作用解析装置により測定される。
【0028】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体は、約100nM未満、例えば約10nM、1nM、0.9nM、0.8nM、0.7nM、0.6nM、0.5nM、0.4nM、0.3nM、0.2nM未満又は0.1nM以下のEC50でヒトCD47タンパク質に結合する。具体的には、EC50は、間接ELISA法により測定される。
【0029】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体は、定常領域を含み、そして前記定常領域は、マウス以外の種、例えば、ヒト抗体、好ましくはヒトIgG、より好ましくはIgG1又はIgG4に由来する。
【0030】
本発明の1つの実施態様では、前記抗体の定常領域はヒト化され、例えば、前記重鎖定常領域は、Igγ-1鎖C領域、より好ましくはGenBankアクセッション番号P01857(配列番号58)に基づくIgγ-1鎖C領域であるか、又はIgγ-4鎖C領域、より好ましくはGenBankアクセッション番号P01861.1(配列番号56)に基づくIgγ-4鎖C領域であり;前記軽鎖定常領域は、Igκ鎖C領域であり、より好ましくはGenBankアクセッション番号P01834(配列番号57)に基づくIgκ鎖C領域である。本明細書に開示された抗体は、6F7H1L1、6F7H2L2及び6F7H3L3の可変領域に基づいて、以下の定常領域を使用する:重鎖定常領域は、アクセッション番号P01857(配列番号58)に基づくIgγ-1鎖C領域又はアクセッション番号P01861.1(配列番号56)に基づく重鎖定常領域Igγ-4鎖C領域であり;前記軽鎖定常領域は、アクセッション番号P01834(配列番号57)に基づくIgκ鎖C領域である。本発明の別の態様は、配列番号5、6及び7に記載の配列を含むポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記抗体は、配列番号8、9及び10に記載の配列をさらに含む)。
【0031】
本発明の1つの態様は、配列番号8、9及び10に記載の配列を含むポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記抗体は、配列番号5、6及び7に記載の配列をさらに含む)。
【0032】
本発明の1つ態様は、配列番号2、12、16及び20に記載の配列から選択される配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記抗体は、配列番号4、14、18及び22に記載の配列から選択される配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列をさらに含む)か;又は
本発明の1つ態様は、配列番号4、14、18及び22に記載の配列から選択される配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する(ここで、前記ポリペプチドは、抗ヒトCD47抗体の一部として、ヒトCD47に特異的に結合し、前記抗体は、配列番号2、12、16及び20に記載の配列から選択される配列、前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列、又は前記配列と比較して1つ以上(好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の保存的アミノ酸突然変異(好ましくは置換、挿入又は欠失)を有するアミノ酸配列をさらに含む)。
【0033】
具体的には、前記ポリヌクレオチド分子は、配列番号1、配列番号11、配列番号15又は配列番号19に記載の配列、又は前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列を含むか又はそれらからなる。
【0034】
具体的には、前記ポリヌクレオチド分子は、配列番号3、配列番号13、配列番号17又は配列番号21に記載のヌクレオチド配列、又は前記配列に対して少なくとも85%、好ましくは86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の配列同一性を有する配列を含むか又はそれらからなる。
【0035】
本発明のさらに別の態様は、上記のように本明細書に開示されたポリヌクレオチド分子のいずれか1つを含むベクターに関する。
【0036】
本発明のさらに別の態様は、上記のように本明細書に開示されたポリヌクレオチド分子、又は本明細書に開示されたベクターのいずれか1つを含む宿主細胞に関する。
【0037】
本発明のさらに別の態様は、上記のように本明細書に開示された抗体又はその抗原結合性断片のいずれか1つを調製すること、本明細書に開示された宿主細胞を適切な条件下で培養すること、及び前記細胞培養物から抗体又はその抗原結合性断片を単離することを含む方法に関する。
【0038】
本発明の1つの態様は、抗ヒトCD47抗体又はその抗原結合性断片、及びそれに結合したコンジュゲート部分を含む抗体コンジュゲートをさらに提供する(ここで、前記コンジュゲート部分は、精製タグ(例えば、Hisタグ)、細胞傷害性薬剤又は検出可能な標識である)。好ましくは、前記コンジュゲート部分は、放射性同位体、発光物質、着色物質、酵素又はポリエチレングリコ-ルである。
【0039】
本発明の1つの態様は、抗ヒトCD47抗体又はその抗原結合性断片、及び別の抗原及び/又は別の抗原エピトープに対する抗体又は抗原結合性断片を含む、多重特異性抗体、好ましくは二重特異的抗体をさらに提供する。
【0040】
本発明の1つの態様は、上記のように本明細書に開示された抗ヒトCD47抗体又はその抗原結合性断片のいずれか1つを含む融合タンパク質をさらに提供する。
【0041】
本発明の1つの態様は、本明細書に開示された抗体又はその抗原結合性断片のいずれか1つを含むか、又は上記のように本明細書に開示された抗体コンジュゲート、多重特異性抗体、又は融合タンパク質を含むキットをさらに提供する。
【0042】
好ましくは、前記キットは、抗体又はその抗原結合性断片を特異的に同定する第2の抗体をさらに含み;場合により、前記第2の抗体は、放射性同位元素、発光物質、着色物質、酵素又はポリエチレングリコ-ルなどの検出可能な標識をさらに含む。
【0043】
本発明の1つの態様は、CCTCC番号2018135に基づくハイブリドーマ細胞株LT012ハイブリドーマ細胞株、及び前記ハイブリドーマ細胞株により産生されるモノクローナル抗体から選択されるハイブリドーマ細胞株をさらに提供する。
【0044】
本発明のさらに別の態様は、試料中のヒトCD47の存在又はレベルの検出における、又は試料中のヒトCD47の存在又はレベルを検出するためのキットの調製における、上記のように本明細書に開示された抗体又はその抗原結合性断片又は抗体コンジュゲート、多重特異性抗体又は融合タンパク質のいずれか1つの使用に関する。
【0045】
本発明のさらに別の態様は、上記のように本明細書に開示された抗体又はその抗原結合性断片又は本明細書に開示された抗体コンジュゲート、多重特異性抗体又は融合タンパク質のいずれか1つ、及び場合により、薬学的に許容され得る担体及び/又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0046】
本発明のさらに別の態様は、
ヒトSIRPαへのヒトCD47の結合を遮断する薬剤、
ヒトCD47の活性を遮断する薬剤又はヒトCD47のレベルをダウンレギュレートする薬剤、又は
CD47へのヒトSIRPαの結合により媒介される細胞応答を遮断する薬剤
の調整における、
上記のように本明細書に開示された抗体又はその抗原結合性断片、又は本明細書に開示された抗体コンジュゲート、多重特異性抗体又は融合タンパク質のいずれか1つの使用に関する。
【0047】
本発明の1つの態様は、腫瘍の処置における、又は腫瘍の処置のための薬剤の調製における、上記のような抗体又はその抗原結合性断片又は本明細書に開示された抗体コンジュゲート、多重特異性抗体又は融合タンパク質のいずれか1つの使用に関する。
【0048】
本発明のさらに別の態様は、本明細書に開示された抗体又はその抗原結合性断片、本明細書に開示された抗体コンジュゲート、多重特異性抗体又は融合タンパク質を含む細胞を投与すること、又は上記の抗体又はその抗原結合性断片又は本明細書に開示された抗体コンジュゲート、多重特異性抗体又は融合タンパク質のいずれか1つの有効量を必要とする被験体に投与することを含む、インビボ又はインビトロの方法に関する。前記方法は、
ヒトSIRPαに対するCD47の結合を遮断するための方法、
ヒトCD47の活性を遮断するか又はヒトCD47のレベルをダウンレギュレートするための方法、及び
CD47に対するヒトSIRPαの結合により仲介される細胞応答を遮断するための方法
から選択される。
【0049】
本発明の1つの実施態様では、前記インビトロの方法は、非治療目的及び/又は非診断目的のためのものである。
【0050】
本発明のさらに別の態様は、関連する腫瘍の予防及び/又は治療及び/又はアジュバント治療及び/又は診断における、又は関連する腫瘍の予防及び/又は治療及び/又はアジュバント治療及び/又は診断のための薬剤の調製における、本明細書に開示された抗体又はその抗原結合性断片、又は上記のように本明細書に開示された抗体コンジュゲート、多重特異性抗体又は融合タンパク質のいずれか1つの使用に関する。
【0051】
本発明の1つの態様では、前記腫瘍は、好ましくは、CD47を発現する腫瘍であり、好ましくは、がん、例えば、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍であり、より好ましくは、リンパ腫、結腸がん又は乳がんであり、より好ましくは、非ホジキンリンパ腫であり、さらにより好ましくは、B細胞リンパ腫細胞である。
【0052】
本発明の1つの実施態様では、前記薬剤は、注射に適した形態、好ましくは皮下注射、皮内注射、静脈内注射、筋肉内注射又は病巣内注射による投与に適した形態である。
【0053】
本発明において、特に定義されない限り、本明細書において使用される科学的及び技術的用語は、当業者により一般的に理解される意味を有する。さらに、本発明において使用される細胞培養、分子遺伝学、核酸化学及び免疫学の実験室操作は、対応する分野において広く使用される日常的な操作である。なお、本発明をよりよく理解するために、関連する用語の定義及び説明が以下に提供される。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「抗原結合性領域」は、所与の抗原に特異的に結合するタンパク質又はタンパク質の一部を意味する。例えば、抗原と相互作用し、その抗体に、前記抗原に対する特異性及び親和性を付与するアミノ酸残基を含む抗体の一部は、「抗原結合性領域」と呼ばれる。前記抗原結合性領域は、一般に、1つ以上の「相補性決定領域」(CDR)を含む。特定の抗原結合性領域は、1つ以上の「フレームワーク」領域(FR)をさらに含む。CDRは、抗原結合の特異性及び親和性に寄与するアミノ酸配列である。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、標的抗原に特異的に結合するためにインタクトな抗体と競合することができ、そして、例えば、キメラ、ヒト化、完全ヒト化、及び二重特異性抗体又はそれらの抗原結合性断片を含む、任意なアイソタイプ又はその抗原結合性断片を指す。そのような「抗体」は抗原結合性タンパク質である。インタクトな抗体は、一般に、少なくとも2つの全長重鎖及び2つの全長軽鎖を含むが、いくつかの場合では、重鎖のみを含み得るラクダ科の動物に自然に存在する抗体のように、より少ない鎖を含んでもよい。抗体又はその抗原結合性断片は、単一の供給源のみに由来してもよく、又は「キメラ」、すなわち、抗体の異なる部分が、以下にさらに記載するように2つの異なる供給源に由来してもよい。抗体又はその抗原結合性断片は、組換えDNA技術により、又はインタクトな抗体の酵素的又は化学的切断によりハイブリドーマにおいて産生されてもよい。別段の記載がない限り、用語「抗体」は、2つの全長重鎖及び2つの全長軽鎖を含む抗体に加えて、その誘導体、変異体及び断片も含む。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語の「抗体」又は「免疫グロブリン鎖」(重鎖又は軽鎖)の「抗原結合性断片」(又は「断片」と略される)は、抗体の全長中に存在するアミノ酸の少なくともいくつかを欠くが、その抗原に特異的に結合することができる抗体(入手した又は合成したかを問わず)の一部を含む。そのような断片は、標的抗原に特異的に結合するので生物学的に活性であり、他の抗体又はそれらの抗原結合性断片と競合して、所与のエピトープに特異的に結合することができる。1つの態様では、そのような断片は、抗体の全長軽鎖又は重鎖に存在する少なくとも1つのCDRを保持し、そしていくつかの実施態様では、そのような断片は、単一の重鎖及び/又は軽鎖又はその一部を含む。そのような生物学的に活性な断片は、組換えDNA技術により、又は、例えば、インタクトな抗体の酵素的又は化学的切断により生成することができる。免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fab/c、dAb、Fv、ドメイン抗体、及び一本鎖抗体を含むが、これらに限定されず、ヒト、マウス、ラット、ラクダ科の動物、及びウサギを含むがこれらに限定されない任意の哺乳動物源に由来することができる。1つ以上のCDRのような、本明細書に開示された抗体の機能的部分は、第2のタンパク質又は小分子に共有結合して、体内の特定の標的に向けられた治療剤を生成することができ、それによって融合タンパク質のように二機能性の治療特性を有するか、又は延長された血清半減期を有することがさらに意図される。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「抗体全長鎖」、「全長抗体」、「インタクトな抗体」及び「全抗体」は、本明細書中で交換可能に使用され、本明細書中で定義されるように、天然の抗体構造と実質的に類似した構造を有する抗体、又はFc領域に重鎖を有する抗体を指す。
【0058】
用語「軽鎖」は、結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有する全長軽鎖及びそれらの断片を含む。前記全長軽鎖は、可変領域ドメインV及び定常領域ドメインCを含む。前記軽鎖の可変領域ドメインは、そのポリペプチドのアミノ末端にある。軽鎖は、κ鎖及びλ鎖を含む。
【0059】
用語「重鎖」は、結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有する全長重鎖及びそれらの断片を含む。前記全長重鎖は、可変領域ドメインV及び3つの定常領域ドメインCH、CH及びCHを含む。前記Vドメインは、そのポリペプチドのアミノ末端にあり、前記Cドメインは、そのカルボキシル末端にあり、前記CHは、そのポリペプチドのカルボキシル末端に最も近い。前記重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4サブタイプを含む)、IgA(IgA1及びIgA2のサブタイプを含む)、IgM及びIgEを含むいずれのアイソタイプであってもよい。
【0060】
本明細書中で使用される場合、用語「Fab断片」は、1つの軽鎖であるCH1及び1つの重鎖の可変領域からなる。Fab分子の前記重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成できない。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語Fc領域は、抗体の前記CH1ドメイン及びCH2ドメインを含む2つの重鎖断片を含む。前記2つの重鎖断片は、2つ以上のジスルフィド結合により及び前記CH3ドメインの疎水性相互作用により一緒に保持される。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「Fab’断片」は、2つのFab’断片の前記2つの重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合が形成され、F(ab’)分子を形成することができるような、1つの軽鎖及び1つの重鎖の一部(前記Vドメイン、前記CH1ドメイン、及び前記CH1ドメインとCH2ドメインとの間の領域の一部を含む)を含む。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「F(ab’)」断片は、鎖間ジスルフィド結合が前記2つの重鎖の間に形成されるような、前記CH1ドメインとCH2ドメインとの間の定常領域の一部を含む2つの軽鎖及び2つの重鎖を含む。したがって、F(ab’)断片は、前記2つの重鎖間のジスルフィド結合により一緒に保持された2つのFab’断片からなる。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「Fv領域」は、前記重鎖及び軽鎖由来の可変領域を含むが、前記定常領域を欠く。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「Fd」断片は、Vドメイン及びCH1ドメインからなる抗体断片を指す(Ward et al., Nature, 341:544-546 (1989))。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「dAb」断片は、Vドメインからなる(Ward et al., Nature 341:544-546 (1989))。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「Fab’-SH」は、Fab’に対する本明細書での呼称であり、ここで前記定常ドメインの1つ以上のシステイン残基は、遊離チオール基を含む。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「Fab/c」断片は、免疫グロブリンのペプシン消化により形成される中間体であり、高い親和性を保持しながら、FabとFc領域の利点、すなわち、インビボでの強い拡散性と低い代謝クリアランスを兼ね備えている(Liu Jianjun, Chinese Journal of Cellular and Molecular Immunology, 1989(4):29-29)。
【0069】
本明細書で使用される場合、用語「一本鎖抗体」は、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が柔軟なリンカーにより連結されて、単一のポリペプチド鎖(それは抗原結合性領域を形成する)(例えば、Bird et al., Science, 242:423-426 (1988), 及びHuston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:5879-5883 (1988)を参照のこと)を形成するFv分子である。単鎖抗体は、国際特許公開番号88/01649号及び米国特許第4,946,778号及び5,260,203号に詳細に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
本明細書で使用される場合、用語「ドメイン抗体」は、多価ドメイン抗体又は二価ドメイン抗体を含む、前記重鎖又は前記軽鎖の可変領域のみを含む免疫機能性免疫グロブリン断片である。いくつかの場合では、2つ以上のV領域は、ペプチドリンカーにより共有結合的に連結されて、多価ドメイン抗体(特に2価のドメイン抗体)を形成する。前記二価のドメイン抗体の2つのV領域は、同じ又は異なる抗原を標的としてもよい。
【0071】
本明細書で使用される場合、用語「二価の抗原結合性タンパク質」又は「二価の抗体」は、2つの抗原結合性部位を含む。いくつかの場合では、前記2つの結合性部位は、同じ抗原特異性を有する。前記二価の抗体は、二重特異性であってよい。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「多重特異的抗原結合性タンパク質」又は「多重特異性抗体」は、複数の抗原又はエピトープを標的とする抗原結合性タンパク質又は抗体である。
【0073】
本明細書中で使用される場合、用語「二重特異的な」、「二重特異性」又は「二機能性の」抗原結合性タンパク質又は抗体は、それぞれ、2つの異なる抗原結合性部位を有するハイブリッド抗原結合性タンパク質又は抗体である。二重特異的な抗体は、多重特異的抗原結合性タンパク質又は多重特異性抗体であり、ハイブリドーマの融合又はFab’断片の連結を含むがこれらに限定されない、様々な方法により産生することができる。例えば、Songsivilai and Lachmann, 1990, Clin. Exp. Immunol. 79:315-321; Kostelny et al., 1992, J. Immunol. 148:1547-1553を参照のこと。二重特異的抗原結合性タンパク質又は抗体の前記2つの結合性部位は、同じか又は異なるタンパク質標的に存在する2つの異なるエピトープに結合する。
【0074】
本明細書で使用される場合、用語「mAb」及び「モノクローナル抗体」は、高度に相同な抗体の群に由来する、すなわち、自発的に起こり得る天然の突然変異を除いて、同一の抗体分子の群に由来する、抗体又は抗体の断片を指す。前記モノクローナル抗体は、抗原上の単一のエピトープに対して高度に特異的である。前記ポリクローナル抗体は、前記モノクローナル抗体と比較して、一般に、抗原上の異なるエピトープを一般的に認識する少なくとも2つ以上の異なる抗体を含む。モノクローナル抗体は、一般に、Kohlerら(Nature, 256:495, 1975)により最初に報告されたハイブリドーマ技術を用いて得ることができるが、組換えDNA技術(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)を用いて得ることもできる。
【0075】
本明細書で使用される場合、用語「ヒト化抗体」は、ヒト免疫グロブリン(レセプタ抗体)のCDR領域の全て又は一部が、非ヒト抗体(ドナー抗体)のCDR領域により置き換えられる場合に得られる抗体又は抗体断片を指し、ここで、前記ドナー抗体は、期待される特異性、親和性又は反応性を有する非ヒト(例えば、マウス、ラット又はウサギ)抗体であってもよい。さらに、前記レセプタ抗体のフレームワーク領域(FR)におけるいくつかのアミノ酸残基はまた、対応する非ヒト抗体のアミノ酸残基により、又は他の抗体のアミノ酸残基により置き換えられて、前記抗体の性能をさらに改善又は最適化することができる。ヒト化抗体のさらなる詳細については、例えば、Jonesetal., Nature, 321:522-525 (1986); Reichmann et al., Nature, 332:323-329 (1988); Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992);及びClark, Immunol. Today 21:397-402 (2000)を参照のこと。
【0076】
本明細書で使用される場合、用語「エピトープ」は、免疫グロブリン又は抗体が特異的に結合する抗原上の部位を指す。「エピトープ」は、前記分野において「抗原性決定基」とも呼ばれる。前記エピトープ又は抗原性決定基は、一般に、アミノ酸、炭水化物又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基からなり、通常、特異的な三次元構造特性及び特異的な電荷特性を有する。例えば、前記エピトープは、一般に、独特の空間的コンフォーメーションにおいて、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個の連続の又は非連続のアミノ酸を含み、それは「線状」又は「配座」であることができる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, G. E. Morris, Ed. (1996)を参照のこと。線状エピトープ(linear epitope)では、タンパク質と相互作用分子(例えば、抗体)との間のすべての相互作用部位は、タンパク質の一次アミノ酸配列に沿って線状に配置される。配座エピトープ(conformational epitope)では、前記相互作用部位は、互いに分離されたタンパク質のアミノ酸残基にまたがって配置される。
【0077】
用語「ポリペプチド」又は「タンパク質」は、本明細書で交換可能に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。前記用語はまた、その中の1つ以上のアミノ酸残基が、天然に存在するアミノ酸の類似体又は模倣体であるアミノ酸ポリマー、及び天然に存在するアミノ酸ポリマーを指すためにも使用される。前記用語はまた、例えば、糖残基の付加により修飾されて糖タンパク質を形成したアミノ酸ポリマー、又はリン酸化されたアミノ酸ポリマーを含んでもよい。ポリペプチド及びタンパク質は、天然に存在する細胞及び非組換え細胞により産生され得るか、又はポリペプチド及びタンパク質は、遺伝子操作された細胞又は組換え細胞により産生されてもよく、そして天然のタンパク質のアミノ酸配列を有する分子、又は天然の配列の1つ以上のアミノ酸において欠失、挿入及び/又は置換を有する分子を含む。
【0078】
いくつかの態様では、用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、特に、抗ヒトCD47抗体(CD47抗体とも呼ばれる)、CD47結合タンパク質、又はその変異体などの抗体、例えば、1つ以上のアミノ酸の欠失、挿入、及び/又は置換を有する抗体又は配列を含む。
【0079】
用語「ポリペプチド断片」は、全長タンパク質と比較したとき、アミノ末端欠失、カルボキシル末端欠失、及び/又は内部欠失を有するポリペプチドを指す。そのような断片はまた、全長タンパク質と比較したとき、修飾されたアミノ酸を含んでもよい。特定の実施態様では、そのような断片は、長さが約5から500のアミノ酸である。例えば、断片は、長さが少なくとも5、6、8、10、14、20、50、70、100、110、150、200、250、300、350、400又は450のアミノ酸であり得る。有用なポリペプチド断片は、結合性ドメインを含む抗体の免疫学的に機能的な断片を含む。ヒトp40抗体の場合、有用な断片としては、CDR領域、重鎖又は軽鎖の可変ドメイン、抗体鎖の一部、2つのCDRを確実に含む可変ドメインなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
ポリペプチドの「誘導体」は、挿入、欠失又は置換以外の方法、例えば、別の化学的部分(例えば、PEGをコンジュゲートしたポリペプチド)とのコンジュゲーションにより、化学的に修飾されるポリペプチド(例えば、抗原結合性タンパク質又は抗体)である。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「単離された」は、自然の状態から人工的な手段により得られることを指す。ある特定の「単離された」物質又は成分が自然界に存在する場合、その自然環境において変化が生じるか、自然環境から単離されるか、又はその両方の場合であってもよい。例えば、ある特定の単離されていないポリヌクレオチド又はポリペプチドは、ある特定の生きている動物中に自然に存在し、そのような自然の状態で単離された高純度の同じポリヌクレオチド又はポリペプチドは、単離されたポリヌクレオチド又はポリペプチドと呼ばれる。前記用語「単離された」は、前記物質の活性に影響を与えない、人工又は合成の物質又は他の不純物の存在を排除しない。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「ベクター」は、その中にポリヌクレオチドを挿入することができる核酸ビヒクルを指す。ベクターが、挿入されるポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質の発現を可能にする場合、前記ベクターは発現ベクターと呼ばれる。前記ベクターは形質転換、形質導入、又は形質移入(トランスフェクション)により宿主細胞に導入することができ、その結果、ベクターにより運ばれる遺伝物質の要素を宿主細胞において発現させることができる。当業者に周知である、ベクターとしては、プラスミド;ファージミド;コスミド;酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、又はP1由来の人工染色体(PAC)などの人工染色体;ラムダファージ又はM13ファージなどのファージ;及び動物ウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
ベクターとして用いることができる動物ウイルスとしては、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルスなど)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、パピローマウイルス、及びパポバウイルス(SV40など)が挙げられるが、これらに限定されない。ベクターは、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択要素、及びレポーター遺伝子を含むがこれらに限定されない、発現を制御する様々な要素を含んでもよい。さらに、前記ベクターは、複製開始部位をさらに含んでもよい。
【0083】
本明細書で使用される場合、用語「宿主細胞」は、大腸菌(E. coli)又は枯草菌(B. subtilis)などの原核細胞、酵母細胞又はアスペルギルス(aspergillus)などの真菌細胞、S2ショウジョウバエ細胞又はSf9などの昆虫細胞、又は線維芽細胞、CHO細胞、COS細胞、NSO細胞、HeLa細胞、BHK細胞、HEK293細胞、又はヒト細胞などの動物細胞を含むが、これらに限定されないベクターを用いて導入することが出来る細胞を指す。
【0084】
本明細書で使用される場合、用語「特異的に結合する」は、抗体とそれが標的とする抗原との間の反応のような、2つの分子間の非ランダム結合反応を指す。いくつかの実施態様では、抗原に特異的に結合する抗体(又は抗原に特異的である抗体)は、前記抗体が、約10-5M未満、例えば約10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、未満又は10-10M以下の親和性(K)で抗原に結合することを指す。
【0085】
本明細書で使用される場合、用語「K」は、抗体と抗原との間の結合親和性を記載するために使用される、特異的な抗体-抗原相互作用についての解離平衡定数を指す。分子結合速度論により測定されるいくつかのパラメータのうち、K値は解離平衡定数である。抗体医薬の研究において、KD値は、対象となる抗体と標的抗原分子との間の親和性効果の強さを特徴づけるパラメータであり、式:KD=kdis/onにより計算される。より小さい平衡解離定数は、より強い抗体-抗原結合及び抗体と抗原との間のより高い親和性を示す。kon(会合速度定数)は抗原-抗体複合体の形成速度であり、より小さいkonは、抗原に対する抗体の結合速度がより速いことを示唆する。kdis(解離速度定数)は、抗体が抗原-抗体複合体から解離する速度であり、より小さいkdisは、抗体が抗原から解離する速度がより遅く、抗体と抗原との間の結合がより強固であることを示唆する。一般に、抗体は、例えば、BIACORE表面プラズモン共鳴(SPR)装置又はFortebio分子相互作用解析装置により測定して、約10-5M未満、例えば、約10-6M、10-7M、10-8M、10-9M未満又は10-10M以下の解離平衡定数(K)で抗原(例えば、L1タンパク質)に結合する。
【0086】
本明細書で使用される場合、用語「モノクローナル抗体」及び「McAb」は、同じ意味を有し、交換可能に使用することができ;用語「ポリクローナル抗体」及び「PcAb」は、同じ意味を有し、交換可能に使用することができ;用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は同じ意味を有し、交換可能に使用することができる。加えて、本明細書では、アミノ酸は一般に、当技術分野で公知の1文字及び3文字の省略形で表される。例えば、アラニンは、A又はAlaで表すことができる。
【0087】
本明細書で使用される場合、用語「ハイブリドーマ」及び「ハイブリドーマ細胞株」は、交換可能に使用することができ、用語「ハイブリドーマ」及び「ハイブリドーマ細胞株」を参照する場合、ハイブリドーマのサブクローン及び子孫細胞も含まれる。
【0088】
本明細書で使用される場合、用語「パーセント配列同一性」及び「パーセント配列相同性」は、交換可能に使用される。
【0089】
本明細書で使用される場合、用語「類似性」、「配列類似性」及び「同一性」は、配列を整列させ、比較することにより決定される、2つ以上のタンパク質又はポリペプチド分子の配列間の相関を指す。「パーセント同一性」は、比較される分子中の同一のアミノ酸残基のパーセンテージを指し、比較される最小分子のサイズに基づいて計算することができる。そのような計算のためには、アラインメントにおけるギャップ(もしあれば)は、特定の数学的モデル又はコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)により対処されなければならない。ポリペプチドのために使用される場合、用語「実質的同一性」は、例えば、プログラムにより提供されるデフォルトのギャップ重みを使用し、プログラムGAP又はBESTFITを使用して、最適にアライメントした場合、2つのペプチド配列が、少なくとも70%、75%又は80%の配列同一性、少なくとも90%又は95%の配列同一性、又は少なくとも97%、98%又は99%の配列同一性を有することを意味する。いくつかの場合では、同一でない残基の位置は、保存的なアミノ酸置換により異なる。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷、又は親水性)を所有する側鎖R基を有する別のアミノ酸残基で置換されたものである。一般に、保存的アミノ酸置換は、そのタンパク質の機能及び特性を実質的に保持する。2つ以上のアミノ酸配列が、保存的置換によって互いに異なる場合、前記置換の保存的性質を補正するために、前記パーセント配列同一性を高めてもよい。この調整を行う方法は、当業者には周知である。例えば、Pearson, Methods Mol. Biol., 243:307-31 (1994)を参照のこと。類似の化学的特性を所有する側鎖を有するアミノ酸の基の例としては、1)脂肪族ヒドロキシル側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン、2)脂肪族ヒドロキシル側鎖:セリン及びスレオニン、3)アミド含有側鎖:アスパラギン及びグルタミン、4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン、5)塩基性側鎖:リジン、アルギニン及びヒスチジン、6)酸性側鎖:アスパラギン酸及びグルタミン酸、及び7)硫黄含有側鎖:システイン及びメチオニンが挙げられる。例えば、保存的アミノ酸置換基は、バリン-ロイシン-イソロイシン-グリシン-アラニン、フェニルアラニン-チロシン、スレオニン-セリン、リジン-アルギニン、グルタミン酸-アスパラギン酸及びアスパラギン-グルタミンである。
【0090】
場合により、保存的置換は、Gonnet et al., Science, 256:1443-45 (1992)に開示されたPAM250対数尤度行列において正の値を有する任意の変化であり、これは参照により本明細書に組み込まれる。「適度に保存的な」置換とは、PAM250対数尤度行列において負でない値を有する任意の変化である。
【0091】
ポリペプチドの配列同一性は、通常、配列分析ソフトウェアにより測定される。タンパク質分析ソフトウェアは、異なる置換、欠失及び他の修飾(保存的アミノ酸置換を含む)に割り当てられた類似性の尺度を使用して配列を照合する。例えば、(プログラムにより特定されるデフォルトパラメータを使用する)「Gap」や「Bestfit」などのプログラムを含むGCGは、密接に関連するポリペプチド(例えば、異なる生物種由来の相同ポリペプチド)間の、又は野生型タンパク質とその突然変異タンパク質との間の、配列相同性又は配列同一性を決定するために使用することができる。例えば、GCG Version 6.1 (University of Wisconsin, WI)を参照のこと。ポリペプチド配列は、FASTAを使用して、デフォルト又は推奨されるパラメータで比較することもできる。チャレンジ及びクエリ配列とパーセント配列同一性との間の最適な重複の領域のためのアラインメント及びを提供するGCGバージョン6.10FASTA(例えばFASTA2及びFASTA3)を参照のこと(Pearson, Methods Enzymol. 183:63-98 (1990); Pearson, Methods Mol. Biol., 132:185-219 (2000))。異なる生物由来の大規模な配列を含むデータベースと配列を比較する場合に使用される別の好ましいアルゴリズムは、コンピュータプログラムBLAST、特に、blasp又はblasn(プログラムにより提供されるデフォルトパラメータを使用)である。例えば、Altschul et al., Mol. Biol., 215:403-410 (1990); Altschul et al., Nucleic Acids Res., 25:3389-402 (1997)を参照のこと。従来技術と比較して、本発明は以下の利点を有する:
本明細書に含まれる抗CD47モノクローナル抗体は、CD47に特異的に結合することによりCD47に対するSIRPαの結合を効果的に遮断することができ、それによってマクロファージによる腫瘍細胞の貪食を促進する。腫瘍細胞のCD47に対する本明細書に開示された抗体(6F7H1L1など)の親和性は、対照抗体Hu5F9-G4の親和性に匹敵するが、正常なヒトRBCに対する親和性は、対照抗体Hu5F9-G4の親和性よりも低い。したがって、本明細書に開示された抗体は、正常なヒト赤血球にできるだけ影響を与えないことを基にして腫瘍を処置するためのより良好な可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1】ヒトCD47IgVTEV-Hisに対する6F7H1L1(hG4)の結合活性についてのアッセイの結果を示す。
図2】6F7H1L1(hG1DM)が6F7H1L1(G1M)である、ヒトCD47IgVTEV-Hisに対する6F7H1L1(G1M)の結合活性についてのアッセイの結果を示す。
図3】ヒトCD47IgVTEV-HisについてのヒトSIRPαECD-hFc-ビオチンに対する6F7H1L1(hG4)の競合的結合活性についてのアッセイの結果を示す。
図4】6F7H1L1(hG1DM)が6F7H1L1(G1M)である、ヒトCD47IgVTEV-HisにおけるヒトSIRPαECD-hFc-ビオチンに対する6F7H1L1(G1M)の競合的結合活性についてのアッセイの結果を示す。
図5】ヒトCD47に対するマウス抗体6F7の親和定数の測定結果を示す。
図6】ヒトCD47に対する6F7H1L1(hG4)の親和定数の測定結果を示す。
図7】ヒトCD47に対するHu5F9-G4の親和定数の測定結果を示す。
図8】ヒトRBCに対する6F7H1L1(G1M)の結合曲線を示す(FACS)。
図9】腫瘍細胞Rajiに対する6F7H1L1(G1M)の結合活性を示す(FACS)。
図10】LOVOについてのSIRPに対する6F7H1L1(G1M)の競合的結合活性についてのアッセイを示す(FACS)。
図11】6F7H1L1(G1M)抗体によるヒト赤血球の凝集を示す。
図12】ヒトRBCに対する6F7H1L1(hG4)の結合曲線を示す(FACS)。
図13】腫瘍細胞Rajiに対する6F7H1L1(hG4)の結合活性を示す(FACS)。
図14】腫瘍細胞RajiについてのSIRPに対する6F7H1L1(hG4)の競合的結合活性を示す(FACS)。
図15】腫瘍細胞LOVOに対する6F7H1L1(hG4)の結合曲線を示す(FACS)。
図16】LOVOについてのSIRPに対する6F7H1L1(hG4)の競合的結合活性についてのアッセイを示す(FACS)。
図17】抗CD47抗体によるヒト赤血球の凝集を示す。
図18】皮下移植されたMDA-MB-231腫瘍に対する6F7H1L1(hG4)の治療効果を示す。
図19】カニクイザルに対して6F7H1L1(hG4)及びHu5F9-G4を単回投与した後のヘモグロビン濃度の変化を示す。
図20】カニクイザルに6F7H1L1(hG4)及びHu5F9-G4を単回投与した後のヘマトクリットの変化を示す。
【0093】
生物学的材料の寄託に関する注釈
ハイブリドーマ細胞株LT012は、CCTCC番号C2018135として2018年6月21日に、China Center for Type Culture Collection(CCTCC)に寄託した。寄託場所は、中国武漢市武漢大学、郵便番号:430072であった。
【0094】
詳細な説明
以下、実施例を参照して本発明の実施態様について詳細に説明する。以下の実施例が、本発明を例示するためだけのものであり、本発明の範囲を限定するものとして企図されないことを当業者は理解するであろう。前記技術又は条件が特定されない場合、実施例は、当技術分野における文献(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, authored by J. Sambrook et al., and translated by Huang Peitang et al., Third Edition, Science Pressを参照のこと)に記載の技術又は条件に従って、又は製品マニュアルに従って実施された。使用した試薬又は装置は、その製造業者が特定されていない場合には、市販されている従来の製品である。
【0095】
本発明の以下の実施例では、BALB/Cマウスは、Guangdong Medical Laboratory Animal Centerから購入した。
【0096】
使用した対照抗体薬剤は、Hu5F9-G4(Forty Seven,Inc.,から得たCD47抗体Hu5F9-G4の配列を用いて、すなわち重鎖可変領域として米国特許第20150183874号の配列番号37、軽鎖可変領域として配列番号42、及びIgγ-4鎖定常領域(GenbankID番号P01861.1)を用いて、Zhongshan Akeso Biopharma Ltd.,により合成された)であった。
【0097】
[実施例1]抗ヒトCD47抗体6F7の調製
【0098】
1.ハイブリドーマ細胞株6F7の調製
ハイブリドーマ細胞株6F7の抗CD47抗体を調製するために用いた抗原は、C47IgVTEV-His(Zhongshan Akeso Biopharma Ltd.,により合成された、GenbankID番号NP942088.1の位置19~141のヒトCD47成熟ペプチド及びTEV(アミノ酸配列:ENLYFQG、配列番号74)-hisタグ融合タンパク質を含む)及び3T3-CD47細胞(NIH/3T3、製造者:ATCC、カタログ番号CRL-1658;ヒトCD47成熟ペプチドをNIH/3T3に基づく細胞にトランスフェクトし、3T3-CD47安定発現株を構築した)であった。免疫マウスの脾臓細胞をマウスの骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を調製した。抗原として別々に採取したCD47IgVTEV-Hisと3T3-CD47細胞とを用いて、ハイブリドーマ細胞を間接ELISAによりスクリーニングして、CD47に特異的に結合することが可能な抗体を分泌することができるハイブリドーマ細胞を得た。ELISAスクリーニングにより得たハイブリドーマ細胞を競合ELISAによりスクリーニングして、CD47IgVTEV-HisがレセプタヒトSIRPαECD-hFc-ビオチン(「SIRPαECD」は、タンパク質GenBankアクセッション番号NP_542970.1の位置31~373であるSIRPαの細胞外領域を指し;hFcは、ヒトIgGFc精製標識、具体的には、GenbankID番号P01857の位置114~330であるIgγ-1鎖C領域を指す)と結合するために競合することが可能なモノクローナル抗体を分泌することができるハイブリドーマ細胞株を得、次いでこれを限定希釈に供して、安定なハイブリドーマ細胞株を得た。前記ハイブリドーマ細胞株をハイブリドーマ細胞株LT012と表し、それによって分泌されるモノクローナル抗体を6F7と表した。
ハイブリドーマ細胞株LT012(CD47-6F7)を、CCTCC番号C2018135として2018年6月21日に、China Center for Type Culture Collection(CCTCC)に寄託し、寄託場所は中国、武漢市、武漢大学、郵便番号:430072であった。
【0099】
2.抗CD47抗体6F7の調製
上記で調製した細胞株LT011、LT012及びLT015を、5% CO、37℃のインキュベ-タ-中で、化学的に定義された培地(CD媒体;1% ストレプトマイシン含有)で別々に培養した。7日後、上清を収集し、高速遠心分離及び精密濾過膜を通した真空濾過、そしてHiTrapタンパク質A HPカラムを通して精製し、抗体6F7を得た。
【0100】
[実施例2]抗CD47抗体6F7の配列分析
RNAprep pure Cell/Bacteria Kit(Tiangen、カタログ番号DP430)のマニュアルに記載の方法に従って、実施例1で培養した細胞株LT012からmRNAを抽出した。
cDNAを、RT-PCRのためにInvitrogen SuperScript(登録商標)IIIFirst-Strand Synthesis Systemのマニュアルに従って合成し、PCRにより増幅した。
PCRで増幅した産物を、pEASY-T1 Cloning Kit(Transgen CT101)のマニュアルに従って直接TAクローニングに供した。
TAクローニングした産物を直接配列決定し、配列決定結果は以下の通りである:
重鎖可変領域の核酸配列は、351bpの長さを有する配列番号1に記載される。
コードされたアミノ酸配列は、117アミノ酸の長さを有する配列番号2に記載され、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3の配列は、それぞれ、配列番号5、6及び7に記載される。
軽鎖可変領域の核酸配列は、321bpの長さを有する配列番号3に記載される。
コードされたアミノ酸配列は、107アミノ酸の長さを有する配列番号4に記載され、軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3の配列は、それぞれ、配列番号8、9及び10に記載される。
【0101】
[実施例3]ヒト化抗ヒトCD47抗体6F7H1L1(hG4)、6F7H2L2(hG4)及び6F7H3L3(hG4)の軽鎖及び重鎖の設計及び調製
【0102】
1.ヒト化抗ヒトCD47抗体6F7H1L1(hG4)、6F7H2L2(hG4)及び6F7H3L3(hG4)の軽鎖及び重鎖の設計
ヒトCD47タンパク質の三次元結晶構造(Hage T, Reinemer P, Sebald W., Crystals of a 1:1 Complex Between Human Interleukin-4 and the Extracellular Domain of Its Receptor Alpha Chain, Eur. J. Biochem., 1998; 258(2):831-6.)及び実施例2で得た抗体6F7の配列に基づいて、抗体6F7H1L1、6F7H2L2及び6F7H3L3の可変領域配列をコンピュータモデリング及び突然変異設計(NCBIデータベースから得た抗体定常領域配列:重鎖定常領域は、Igγ-4鎖C領域、アクセッション番号P01861.1;軽鎖定常領域は、Igκ鎖C領域、アクセッション番号P01834である)により得た。
設計された可変領域配列は以下の通りである:
(1)ヒト化モノクローナル抗体6F7H1L1の重鎖及び軽鎖可変領域配列
重鎖可変領域の核酸配列は、351bpの長さを有する配列番号11に記載される。
コードされたアミノ酸配列は、117アミノ酸の長さを有する配列番号12に記載され、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3の配列は、それぞれ、配列番号5、6及び7に記載される。
軽鎖可変領域の核酸配列は、321bpの長さを有する配列番号13に記載される。
コードされたアミノ酸配列は、107アミノ酸の長さを有する配列番号14に記載され、軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3の配列は、それぞれ、配列番号8、9及び10に記載される。
(2)ヒト化モノクローナル抗体6F7H2L2の重鎖及び軽鎖可変領域配列
重鎖可変領域の核酸配列は、351bpの長さを有する配列番号15に記載される。
コードされたアミノ酸配列は、117アミノ酸の長さを有する配列番号16に記載され、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3の配列は、それぞれ、配列番号5、6及び7に記載される。
軽鎖可変領域の核酸配列は、321bpの長さを有する配列番号17に記載される。
コードされたアミノ酸配列は、107アミノ酸の長さを有する配列番号18に記載され、軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3の配列は、それぞれ、配列番号8、9及び10に記載される。
(3)ヒト化モノクローナル抗体6F7H3L3の重鎖及び軽鎖可変領域配列
重鎖可変領域の核酸配列は、351bpの長さを有する配列番号19に記載される。
コードされたアミノ酸配列は、117アミノ酸の長さを有する配列番号20に記載され、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3の配列は、それぞれ、配列番号5、6及び7に記載される。
軽鎖可変領域の核酸配列は、321bpの長さを有する配列番号21に記載される。
コードされたアミノ酸配列は、107アミノ酸の長さを有する配列番号22に記載され、軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3の配列は、それぞれ、配列番号8、9及び10に記載される。
【0103】
2.ヒト化抗体6F7H1L1(hG4)、6F7H2L2(hG4)及び6F7H3L3(hG4)の調製
重鎖定常領域は、Igγ-4鎖C領域、アクセッション番号P01861.1であり;軽鎖定常領域は、Igκ鎖C領域、アクセッション番号P01834である。
6F7H1L1(hG4)の重鎖cDNA及び軽鎖cDNA、6F7H2L2(hG4)の重鎖cDNA及び軽鎖cDNA、及び6F7H3L3(hG4)の重鎖cDNA及び軽鎖cDNAを、pUC57単純(Genscriptにより提供される)ベクターに別々にクローニングして、pUC57単純-6F7H1、pUC57単純-6F7L1;pUC57単純-6F7H2、pUC57単純-6F7L2;及びpUC57単純-6F7H3、pUC57単純-6F7L3を得た。Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Second Edition)に記載されている標準的な技術を参照して、遺伝子のEcoRI及びHindIII消化により合成された重鎖及び軽鎖全長遺伝子を、EcoRI及びHindIII消化を制限することにより発現ベクターpcDNA3.1にサブクローニングし、発現プラスミドpcDNA3.1-6F7H1、pcDNA3.1-6F7L1、pcDNA3.1-6F7H2、pcDNA3.1-6F7L2、pcDNA3.1-6F7H3及びpcDNA3.1-6F7L3を得、組換え発現プラスミドの重鎖及び軽鎖遺伝子をさらに配列決定した。次いで、対応する軽鎖及び重鎖組換えプラスミド(pcDNA3.1-6F7H1/pcDNA3.1-6F7L1、pcDNA3.1-6F7H2/pcDNA3.1-6F7L2、及びpcDNA3.1-6F7H3/pcDNA3.1-6F7L3)を含む設計された遺伝子の組合せを293F細胞に別々にコトランスフェクトし、培養液を収集し、精製した。配列を確認した後、エンドトキシンを含まない発現プラスミドを調製し、抗体発現のためにHEK293細胞に一時的にトランスフェクトした。培養液を7日後に収集し、プロテインAカラム(MabSelectSURE(GE))上でアフィニティ-精製に供して、ヒト化抗体を得た。
【0104】
[実施例4]ヒト化抗ヒトCD47抗体6F7H1L1(G1M)、6F7H2L2(G1M)及び6F7H3L3(G1M)の軽鎖及び重鎖の設計及び調製
【0105】
1.ヒト化抗ヒトCD47抗体6F7H1L1(G1)、6F7H2L2(G1)及び6F7H3L3(G1)の軽鎖及び重鎖の設計
ヒトCD47タンパク質の三次元結晶構造(Hage T, Reinemer P, Sebald W., Crystals of a 1:1 Complex Between Human Interleukin-4 and the Extracellular Domain of Its Receptor Alpha Chain, Eur. J. Biochem., 1998; 258(2):831-6.)及び実施例2で得た抗体6F7の配列に基づいて、抗体6F7H1L1、6F7H2L2及び6F7H3L3の可変領域配列を、コンピュータモデリング及び突然変異設計(NCBIデータベースから得た抗体定常領域配列:重鎖定常領域は、Igγ-1鎖C領域、アクセッション番号P01857;軽鎖定常領域は、Igκ鎖C領域、アクセッション番号P01834である)により得た。実施例3のヒト化抗体と区別するために、上記のヒト化抗体を6F7H1L1(G1)、6F7H2L2(G1)及び6F7H3L3(G1)と表した。
この実施例において設計されたヒト化抗体6F7H1L1(G1)、6F7H2L2(G1)及び6F7H3L3(G1)の可変領域配列は、実施例3の6F7H1L1(hG4)、6F7H2L2(hG4)及び6F7H3L3(hG4)の可変領域配列と同一であった。
【0106】
2.ヒト化抗体6F7H1L1(G1)、6F7H2L2(G1)及び6F7H3L3(G1)の調製
重鎖定常領域は、すべてIgγ-1鎖C領域、アクセッション番号P01857であり、軽鎖定常領域は、すべてIgκ鎖C領域、アクセッション番号P01834であった。
6F7H1L1の重鎖cDNA及び軽鎖cDNA、6F7H2L2の重鎖cDNA及び軽鎖cDNA、及び6F7H3L3の重鎖cDNA及び軽鎖cDNAを、pUC57単純(Genscriptにより提供される)ベクターに別々にクローニングして、pUC57単純-6F7H1、pUC57単純-6F7L1;pUC57単純-6F7H2、pUC57単純-6F7L2;及びpUC57単純-6F7H3、pUC57単純-6F7L3をそれぞれ得た。Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Second Edition)に記載されている標準的な技術を参照して、遺伝子のEcoRI及びHindIII消化により合成された重鎖及び軽鎖全長遺伝子を、EcoRI及びHindIII消化を制限することにより発現ベクターpcDNA3.1にサブクローニングし、発現プラスミドpcDNA3.1-6F7H1、pcDNA3.1-6F7L1、pcDNA3.1-6F7H2、pcDNA3.1-6F7L2、pcDNA3.1-6F7H3及びpcDNA3.1-6F7L3を得、組換え発現プラスミドの重鎖及び軽鎖遺伝子をさらに配列決定した。次いで、対応する軽鎖及び重鎖組換えプラスミド(pcDNA3.1-6F7H1/pcDNA3.1-6F7L1、pcDNA3.1-6F7H2/pcDNA3.1-6F7L2、及びpcDNA3.1-6F7H3/pcDNA3.1-6F7L3)を含む設計された遺伝子の組合せを、293F細胞に別々にコトランスフェクトし、培養液を収集し、精製した。配列を確認した後、エンドトキシンを含まない発現プラスミドを調製し、抗体発現のためにHEK293細胞に一時的にトランスフェクトした。培養液を7日後に収集し、プロテインAカラム(MabSelectSURE(GE))上でアフィニティ-精製に供して、ヒト化抗体を得た。
【0107】
3.ヒト化抗体6F7H1L1(G1)、6F7H2L2(G1)及び6F7H3L3(G1)に基づく非可変領域アミノ酸突然変異の設計
6F7H1L1(G1)、6F7H2L2(G1)及び6F7H3L3(G1)に基づいて、重鎖のヒンジ領域における位置234でのロイシンからアラニンへの点突然変異(L234A)及び位置235でのロイシンからアラニンへの点突然変異(L235A)を導入することにより新たなヒト化抗体を得て、それぞれ、6F7H1L1(G1M)、6F7H2L2(G1M)及び6F7H3L3(G1M)と表した。
【0108】
[実施例5]ELISAによる抗原に対する抗体の結合活性のアッセイ
【0109】
1.ELISAによる抗原ヒトCD47IgVTEV-Hisに対する抗体6F7H1L1(hG4)の結合活性のアッセイ
実験手順:マイクロプレートを2μg/mLのヒトCD47IgV-TEV-Hisでコーティングし、4℃で12時間インキュベートした。抗原をコートしたマイクロプレートをPBSで3回洗浄し、次いでPBS中の1% BSAで2時間遮断した。マイクロプレートをPBSで3回洗浄した。PBST溶液で連続的に希釈した抗体をマイクロプレートのウェルに加えて、抗体の希釈勾配を表2に詳述した。試験抗体を含むマイクロプレートを37℃で30分間インキュベートし、次いでPBSTで3回洗浄した。1:5000の比で希釈したHRP標識ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(JacksonImmunoResearchInc.,から購入、カタログ番号109-035-088)二次抗体希釈標準溶液を加えて、マイクロプレートを37℃で30分間インキュベートした。マイクロプレートをPBSTで3回洗浄した。発色させるために暗所で5分間TMB(Neogen、308177)を加え、次いで停止溶液を加えて発色を停止させた。その後、直ちにマイクロプレートをマイクロプレートリーダーに入れ、マイクロプレート中の各ウェルのOD値を450nmで読み取った。データは、SoftMaxPro6.2.1により分析した。
抗原ヒトCD47IgVTEV-Hisに対する抗体6F7H1L1(hG4)の結合を検出した結果を図1に示す。全投与量でのOD値を表1に示す。横軸に抗体濃度、縦軸に吸光度値を用いた曲線フィッティングにより抗体の結合EC50を算出し、その結果を下の表1に示す。
結果は、ヒトCD47IgVTEV-Hisに対する6F7H1L1(hG4)の結合EC50が0.078nMであり、これはHu5F9-G4のそれに匹敵することを示す。
【0110】
【表1】
【0111】
2.ELISAによる抗原ヒトCD47IgVTEV-Hisに対する抗体6F7H1L1(G1M)の結合活性のアッセイ
実験手順:マイクロプレートを2μg/mLのヒトCD47IgV-TEV-Hisでコーティングし、4℃で12時間インキュベートした。抗原をコートしたマイクロプレートをPBSで3回洗浄し、次いでPBS中の1% BSAで2時間遮断した。マイクロプレートをPBSで3回洗浄した。PBST溶液で連続的に希釈した抗体をマイクロプレートのウェルに加え、抗体の希釈勾配を表2に詳述した。試験抗体を含むマイクロプレートを37℃で30分間インキュベートし、次いでPBSTで3回洗浄した。1:5000の比で希釈したHRP標識ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(JacksonImmunoResearchInc.,から購入、カタログ番号109-035-088)二次抗体希釈標準溶液を加えて、マイクロプレートを37℃で30分間インキュベートした。マイクロプレートをPBSTで3回洗浄した。発色させるために暗所で5分間TMB(Neogen、308177)を加え、次いで停止溶液を加えて発色を停止させた。その後、直ちにマイクロプレートをマイクロプレートリーダーに入れ、マイクロプレート中の各ウェルのOD値を450nmで読み取った。データをSoftMaxPro6.2.1により分析した。
抗原ヒトCD47IgVTEV-Hisに対する抗体6F7H1L1(G1M)の結合を検出した結果を図2に示す。全投与量でのOD値を表2に示す。横軸に抗体濃度、縦軸に吸光度値を用いて曲線フィッティングにより抗体の結合EC50を算出し、その結果を下の表2に示す。
【0112】
【表2】

結果は、ヒトCD47IgVTEV-Hisに対する6F7H1L1(G1M)の結合EC50が0.037nMであり、これはHu5F9-G4のそれより僅かに高いことを示す。
【0113】
3.競合ELISAによるヒトCD47IgVTEV-HisについてのヒトSIRPαECD-hFc-ビオチンに対する抗体6F7H1L1(hG4)の競合的結合活性のアッセイ
実験手順:マイクロプレートをウェル当たり50μLで、2μg/mLのヒトCD47IgV-TEV-Hisでコーティングし、4℃で16時間インキュベートした。マイクロプレートを1回洗浄し、軽くたたいて乾燥し、ウェル当たり300μLで1% BSA(PBS中)を用いて遮断し、37℃で2時間インキュベートし、3回洗浄し、軽くたたいて乾燥した。抗体を初期濃度として3μg/mL(最終濃度:1.5μg/mL)に希釈し、1:3で連続的に希釈を行い、ブランク対照に加えて、合計7つの濃度のものを与えた。2つの複製ウェルをウェル当たり50μLの最終容量で上記濃度に設定し、プレートを10分間インキュベートした。0.2μg/mL(最終濃度:0.1μg/mL)のヒトSIRPαECD-hFc-ビオチン(Zhongshan Akeso BiopharmaLtd.により合成された)を、ウェル当たり50μLでマイクロプレートに加え、1:1の体積比で抗体と穏やかに混合し、マイクロプレートを37℃で30分間インキュベートした。マイクロプレートを3回洗浄し、軽くたたいて乾燥した。50μLのSA-HRP(KPL,14-30-00)希釈標準溶液を各ウェルに加え、マイクロプレートを37℃で30分間インキュベートした。マイクロプレートを4回洗浄し、軽くたたいて乾燥した。発色させるために各ウェルに50μLのTMB発色溶液を暗所で、室温で5分間加え、次いで各ウェルに50μLの停止溶液を加えて発色を停止させた。その後、直ちにマイクロプレートをマイクロプレートリーダーに入れ、マイクロプレート中の各ウェルのOD値を450nmで読み取った。データは、SoftMaxPro6.2.1により分析及び処理した。
結果を図3に示す。全投与量でのOD値を表3に示す。結合抗体の吸光度強度による定量分析により、曲線シミユレーションを行い、抗体の結合効率EC50を与えた(表3)。
結果は、6F7H1L1(hG4)が、抗原ヒトCD47IgVTEV-Hisの、そのレセプタであるヒトSIRPαECD-hFc-ビオチンに対する結合を効果的に遮断することができ、その遮断効率が用量依存性の関係を示すことを示す。6F7H1L1(hG4)のブロッキングEC50は0.194nMであり、Hu5F9-G4のそれと同じである。
【0114】
【表3】
【0115】
4.競合ELISAによるヒトCD47IgVTEV-HisにおけるヒトSIRPαECD-hFc-ビオチンに対する抗体6F7H1L1(G1M)の競合的結合活性のアッセイ
実験手順:マイクロプレートをウェル当たり50μLで、2μg/mLのヒトCD47IgV-TEV-Hisでコーティングし、4℃で16時間インキュベートした。マイクロプレートを1回洗浄し、軽くたたいて乾燥し、ウェル当たり300μLで、1% BSA(PBS中)を用いて遮断し、37℃で2時間インキュベートし、3回洗浄し、軽くたたいて乾燥した。抗体を初期濃度として3μg/mL(最終濃度:0.5μg/mL)に希釈し、1:3で連続的に希釈を行い、ブランク対照に加えて、合計7つの濃度のものを与えた。2つの複製ウェルをウェル当たり50μLの最終容量で上記濃度に設定し、プレートを10分間インキュベートした。0.2μg/mL(最終濃度:0.1μg/mL)のヒトSIRPαECD-hFc-ビオチンをマイクロプレートにウェル当たり50μLで加え、1:1の体積比で抗体と穏やかに混合し、マイクロプレートを37℃で30分間インキュベートした。マイクロプレートを3回洗浄し、軽くたたいて乾燥した。50μLのSA-HRP(KPL、14-30-00)希釈標準溶液を各ウェルに加えて、マイクロプレートを37℃で30分間インキュベートした。マイクロプレートを4回洗浄し、軽くたたいて乾燥した。発色させるために各ウェルに50μLのTMB発色溶液を暗所で、室温で5分間加え、次いで各ウェルに50μLの停止溶液を加えて発色を停止させた。その後、直ちにマイクロプレートをマイクロプレートリーダーに入れ、マイクロプレート中の各ウェルのOD値を450nmで読み取った。データは、SoftMaxPro6.2.1により分析及び処理した。
結果を図4に示す。全投与量でのOD値を表4に示す。結合抗体の吸光度強度による定量分析により、曲線シミユレーションを行い、抗体の結合効率EC50を与えた(表4)。
【0116】
【表4】

結果は、6F7H1L1(G1M)が、抗原ヒトCD47IgVTEV-Hisの、そのレセプタヒトSIRPαECD-hFc-ビオチンに対する結合を効果的に遮断することができ、その遮断効率が用量依存性の関係であることを示す。6F7H1L1(G1M)のブロッキングEC50は0.274nMであり、Hu5F9-G4と同等である。
【0117】
[実施例6]ヒトCD47に対するマウス抗体6F7の親和定数の測定
Fortebioシステム(Forteio、モデル:QKe)を用いて、抗原ヒトCD47IgVTEV-Hisに対するマウス抗体6F7の結合の速度論的パラメータを測定した。
AR2Gセンサ(Forteio、カタログ番号18-5092)をEDC/NHSを用いて活性化し、抗体を活性化AR2Gセンサ上にアミンカップリングさせることにより固定化した。センサをPBST中で300秒間平衡化した。センサ上に固定化した抗原を、3.125~100nM(連続的な2倍希釈)の濃度の抗原で、抗体に420秒間結合させた。抗原及び抗体をPBST中で600秒間解離させた。
ヒトCD47IgVTEV-Hisに対するマウス抗体6F7及びHu5F9-G4(対照抗体として)の親和定数を測定した結果を表5及び図5に示す。
【0118】
【表5】

結果は、表5及び図5に示すように、ヒトCD47IgVTEV-Hisに対するマウス抗体6F7及びHu5F9-G4の親和定数が、それぞれ、同等に6.52E-10M及び6.38E-10Mであったことを示す。これは、6F7のCDR領域が、Hu5F9-G4のCDR領域と同等に高いCD47に結合する能力を有することを示唆する。
【0119】
[実施例7]ヒトCD47に対する抗体6F7H1L1(hG4)の親和定数の測定
ヒトCD47IgVTEV-Hisに対する抗体6F7H1L1(hG4)の親和定数は、マニュアルに従ってBiacoreシステム(Forteio、モデル:QKe)を用いて測定した。緩衝液はPBSTであった。ヒトCD47IgG-TEV-Hisを、171.6RUの固定化シグナル値でアミンカップリングによりCM5チップの表面に固定化した。抗体を、0.78~12.5nM(二倍希釈)の濃度で、30μL/分の流速で120秒間ヒトCD47に結合させた。抗体とヒトCD47を300秒間解離させた。チップを3M MgClで30秒間、流速30μL/分で再生した。データを1:1モデルフィッティングにより分析して親和定数を得た。データはBiacoreControl2.0ソフトウェアを用いて取得し、BiacoreT200Evaluation2.0ソフトウェアを用いて分析した。ヒトCD47IgVTEV-Hisに対する6F7H1L1(hG4)及びHu5F9-G4(対照抗体として)の親和定数を測定した結果を表6及び図6及び7に示す。
結果は、図に示すように、ヒトCD47IgVTEV-Hisに対する6F7H1L1(hG4)及びHu5F9-G4の親和定数がそれぞれ1.52E-10M及び4.42E-11Mであり、6F7H1L1(hG4)は、ヒトCD47に対して結合する能力がより高いことを示唆する。
【0120】
【表6】
【0121】
[実施例8]6F7H1L1(G1M)の細胞生物活性に関する研究
1.FACSによる正常ヒトRBCに対する6F7H1L1(G1M)の結合の検出
正常なヒト赤血球をバイオセ-フティキャビネット中で単離した:血液緩衝液A及びBを1:9の比でよく混合して血液緩衝液を得た;20mLの新鮮な血液を60mLの血液緩衝液とよく混合した;15mLのFicoll Paque試薬を50mLの遠心分離管に加え、次いで、希釈した新鮮な血液を3:4の比で試薬の表面にゆっくりと加えた、すなわち、希釈した20mLの血液を各管に加えた;遠心分離を1550rpmで30分間行なった;遠心管の底部のRBCをゆっくりピペットで採取し、PBSで3回洗浄し、遠心分離した;細胞ペレットを500μLの1% PBSAに再懸濁し、計数した;RBCの濃度を調整し、細胞を1.5mL遠心管に管当たり30万細胞で移した;遠心分離を5600rpmで5分間行い、上清を廃棄した;対応する濃度(最終濃度:100、10、1、0.1、0.01、0.001nM)を有する抗体の100μLを、実験計画に従って各管に加え、ブランク群(PBSA+細胞)及びアイソタイプ対照(hIgG)群を設計し、次いで氷上で1時間インキュベートした;500μLの1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した;100μLのFITCヤギ抗ヒトIgG(1:500)を各管に加え、得た混合物をよく混合し、暗所で、30分間氷上でインキュベートした;500μLの1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した;200μLの1% 洗浄緩衝液を各管に加え、細胞を再懸濁し、蛍光シグナルをフローサイトメーター上のFITCチャネルで検出した。
結果をFlowing softwareを用いて分析し、曲線フィッティングをMFI及びGraphPad prism 5上の試料濃度を用いて別々に行ない、EC50を計算した。
正常ヒトRBCの細胞膜表面上のCD47に対する6F7H1L1(G1M)の結合結果を図8に示す。結果は、同じ標的に対する6F7H1L1(G1M)と市販薬剤のHu5F9-G4の両方が、正常ヒトRBCの細胞膜表面上のCD47に特異的に結合でき、相当する結合EC50は、それぞれ0.077nMと0.057nMであることを示した。
【0122】
2.FACSによるRajiに対する6F7H1L1(G1M)の結合活性のアッセイ
対数期のRaji細胞を収集し、遠心分離し、洗浄した。細胞ペレットを1% PBSAに再懸濁し、計数し、生存率を測定した。細胞を3.0×105細胞/500μL/管に従って1.5mL管に移し、5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。連続的に希釈した対応する抗体の100μLを実験計画に従って各管に加え、ブランク群(PBSA+細胞)及びアイソタイプ対照(hIgG)群を設計した後、氷上で1時間インキュベートした。次いで1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。100μLのFITCヤギ抗ヒトIgG(1:500)を各管に加え、混合物をよく混合し、暗所で、30分間氷上でインキュベートした。500μLの1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。1% PBSAを各管に加えて細胞を再懸濁し、蛍光シグナルをフローサイトメーター上のFITCチャンネルで検出した。曲線フィッティングを、MFI及びサンプル濃度を用いて別々に行ない、EC50を計算した。
Rajiに対する6F7H1L1(G1M)の結合活性の結果を図9に示す。図に示すように、結果は、6F7H1L1(G1M)とHu5F9-G4の両方が、Raji細胞の細胞膜表面上のCD47に特異的に結合することができ、相当する結合EC50は、それぞれ0.013nM及び0.012nMであることを示す。
【0123】
3.FACSによるLOVOに対するSIRPに対する6F7H1L1(G1M)の競合的結合生物活性のアッセイ
対数期のLOVO細胞(Chinese Academy of Sciences Cell Bankアクセッション番号bio-73085)を慣用的に収集し、遠心分離し、洗浄した。細胞ペレットを1% PBSAに再懸濁し、計数し、生存率を測定した。細胞濃度を1% PBSAを用いて適切な範囲に調整し、細胞を、管当たり500μLで1.5mL管に群分けして、合計30万個の細胞とした。細胞を5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。連続的に希釈した抗体を加え(最終濃度(降順):300,100、10、1、0.3、0.1、0.01、0.001、0.0001nM)、ブランク対照(100μLの1% PBSA+細胞)及びアイソタイプ対照(ヒトhIgG)を設定し、次いで氷上で30分間インキュベートした。100μLのSIRPα-mFcを各管に加え、混合物を最終濃度20nMでよく混合して、氷上で1時間インキュベートした。1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離して、上清を廃棄した。100μLのFITCヤギ抗マウスIgG(1:500希釈)を各管に加え、次いで暗所で、40分間氷上でインキュベートした。1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離して、上清を廃棄した。200μLの1% PBSAを加えて細胞ペレットを再懸濁し、懸濁液をフローサイトメトリー管に移した。蛍光シグナルをフローサイトメーター上のFITCチャンネルで検出した。曲線フィッティングを、MFI及びサンプル濃度を用いて別々に行ない、EC50を計算した。
LOVOにおけるSIRPに対する6F7H1L1(G1M)の競合的結合活性をアッセイした。結果を図10に示す。図に示すように、6F7H1L1(G1M)及とHu5F9-G4の両方が、LOVOの膜表面上のCD47への結合についてSIRPと競合することができ、それによってCD47に対するSIRPの結合を遮断し、それらに相当する競合的結合EC50は、それぞれ0.16nM及び0.24nMである。
【0124】
4.正常ヒト赤血球の凝集に対する6F7H1L1(G1M)の効果
正常ヒト赤血球の調製:ヒト血液PBMCをFicoll Paque Plus試薬のマニュアルに従って単離し、底部に沈殿した赤血球をこの実験に使用した。赤血球をPBSで1×10/mLの濃度に希釈して赤血球懸濁液を得、次いでこれを丸底96ウェルプレートに加えた。対応する濃度を有する陽性抗体を加え、0.1g/mLのデキストランT500を対照に加えて、対応するhIgG又はPBSを陰性対照に加え、次いで37℃で4時間培養した。赤血球の凝集を調べ、写真を撮影した。
正常ヒト赤血球の凝集に対する6F7H1L1(G1M)の効果を図11に示す。図に示すように、抗体濃度が20μg/mLより低い場合、6F7H1L1(G1M)及び対照抗体Hu5F9-G4は、赤血球の凝集に影響を及ぼさない;しかし、抗体濃度が20μg/mLより高いと、Hu5F9-G4により顕著に促進された赤血球の凝集が観察されるが、6F7H1L1(G1M)は赤血球凝集に影響を及ぼさない。
【0125】
[実施例9]6F7H1L1(hG4)の細胞生物活性に関する研究
1.FACSによる正常ヒトRBCに対する6F7H1L1(hG4)の結合の検出
実験手順:血液緩衝液A(D-(+)-グルコース:1g;CaCl:0.0056g;MgCl・6HO:0.1992g;KCl:0.4026g;トリス:17.5650g;1Lの超純水に溶解した)及びB(NaCl:8.19g、超純水1Lに溶解した)を1:9の比で混合して血液緩衝液を得た。新鮮な血液を血液緩衝液(濃縮後の血液希釈比 1:3)とよく混合した。15mLのFicoll Paqueplus試薬(GE、カタログ番号1440-02)を50mLの遠心分離管に加え、希釈した新鮮な血液を3:4の体積比で試薬の表面にゆっくりと加えた、すなわち、20mLの希釈した血液を各管に加えた。平衡化後に、管を、それぞれ1550rpmで30分間遠心分離した。中央のバフィコ-ト層中のPBMCをピペットで採取した。血液緩衝液を、血液緩衝液に対する細胞の体積比 1:4で加えた。得た混合物をよく混合し、950rpmで15分間遠心分離し、上清を廃棄した。20mLの血液緩衝液を加えて、PBMCを再懸濁させた。得た懸濁液を遠心分離し、上清を廃棄した。遠心分離を行ない、次いで2回洗浄した。細胞を10mLのRPMI-1640(FBSを含まない)で一度洗浄した。遠心分離を行ない、上清を廃棄した。細胞を5mLのRPMI-1640(10%のFBSを含む)に再懸濁し、試料当たり3×10細胞で計数した。500μLの1% PBSAを各管に加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離した。上清を廃棄した。対応する濃度を有する100μLの抗体を各管に加え(最終濃度:300,100、10、1、0.1、0.01、0.001nM)、ブランク(PBSA+細胞)及びアイソタイプ対照を設計し、次いで氷上で1時間インキュベートした。1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。100μLのFITCヤギ抗ヒトIgG(Jacson、カタログ番号109-095-098、1:500希釈)又はFITCヤギ抗マウスIgG(BD bioscience、カタログ番号555988)(1:500)を加え、得た混合物をよく混合し、暗所で、氷上で30分間インキュベートした。1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。200μLの1% 洗浄緩衝液を各管に加えて、細胞を再懸濁し、蛍光シグナルをフローサイトメーター上のFITCチャネルで検出した。結果をFlowing softwareを用いて分析し、曲線フィッティングをMFIとGraph Pad prism5上の試料濃度を用いて別々に行い、EC50を計算した。
正常ヒトRBCの細胞膜表面上のCD47に対する6F7H1L1(hG4)の結合結果を、図12及び表7に示す。結果は、同じ標的に対する6F7H1L1(hG4)と市販薬Hu5F9-G4の両方が、正常ヒトRBCの細胞膜表面上のCD47に特異的に結合でき、結合EC50はそれぞれ0.60nMと0.06nMであり、RBCに対するHu5F9-G4の親和性は、6F7H1L1(hG4)のそれより10倍高いことを示す。
【0126】
【表7】
【0127】
2.FACSによるRajiに対する6F7H1L1(hG4)の結合活性のアッセイ
腫瘍細胞Raji(Chinese Academy of Sciences, Shanghai Institutes for Biological Sciences Cell Center、カタログ番号TCHU44)に対するCD47抗体の結合生物活性をフローサイトメトリーでアッセイした。
Raji細胞を計数し、生存率を、試料当たり3×10の細胞で測定した。500μLの1% PBSAを各管に加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。連続的に希釈した抗体を実験計画に従って加え、ブランク(PBSA+細胞)群とアイソタイプ対照群(ヒトIgG)を設計し、次いで氷上で1時間インキュベートした。1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。100μLのFITCヤギ抗ヒトIgG(1:500)又はFITCヤギ抗マウスIgG(1:500)を加え、得た混合物をよく混合し、暗所で、30分間氷上でインキュベートした。500μLの1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。200μLの洗浄緩衝液を各管に加えて、細胞を再懸濁し、蛍光シグナルをフローサイトメーター上のFITCチャネルで検出した。
Rajiに対する6F7H1L1(hG4)の結合活性の結果を図13及び表8に示す。図及び表に示すように、結果は、6F7H1L1(hG4)とHu5F9-G4の両方がRaji細胞の細胞膜表面上のCD47に特異的に結合することができ、それらに相当する結合EC50はそれぞれ0.32nM及び0.22nMであることを示す。
【0128】
【表8】
【0129】
3.FACSによるRajiにおけるSIRPに対する6F7H1L1(hG4)の競合的結合活性のアッセイ
対数期のRaji細胞を慣用的に採取し、遠心分離し、洗浄した。細胞ペレットを1% PBSAに再懸濁し、計数し、生存率を測定した。細胞濃度を1% PBSAを用いて適切な範囲に調整し、細胞を、管当たり500μLで1.5mL管に群分けして、合計30万個の細胞とした。細胞を5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。連続的に希釈した抗体を加え(最終濃度(降順):1、0.3、0.1、0.01、0.001、0.0001nM)、及びブランク対照(100μLの1% PBSA+細胞)及びアイソタイプ対照(ヒトhIgG)を設定し、次いで氷上で30分間インキュベートした。100μLのSIRPα-ECD-mFc(mFcの配列は、配列番号71に記載される)を各管に加え、混合物を最終濃度20nMでよく混合し、1時間氷上でインキュベートした。1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。100μLのFITCヤギ抗マウスIgG(1:500希釈)を各管に加え、次いで暗所で、40分間氷上でインキュベートした。500μLの1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。200μLの1% PBSAを加えて、細胞ペレットを再懸濁した。蛍光シグナルをフローサイトメーター上のFITCチャンネルで検出した。
腫瘍細胞RajiにおけるSIRPに対する6F7H1L1(hG4)の競合的結合の結果を図14及び表9に示す。図及び表に示すように、6F7H1L1(hG4)とHu5F9-G4の両方が、Rajiの膜表面上のCD47に対する結合でSIRPと競合することができ、それによってCD47に対するSIRPの結合を遮断し、それらに相当する競合的結合EC50は、それぞれ0.017nM及び0.014nMである。
【0130】
【表9】
【0131】
4.FACSによるLOVOに対する6F7H1L1(hG4)の結合活性のアッセイ
対数期のLOVO細胞(Chinese Academy of Sciences Cell Bankアクセッション番号bio-73085)を収集し、遠心分離し、洗浄した。細胞ペレットを500μLの1% PBSAに再懸濁し、計数し、生存率を測定した。細胞を3.0×10の細胞/500μL/管に従って1.5mL管に移し、5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。連続的に希釈した対応する抗体の100μLを、実験計画に従って各管に加え、ブランク群(PBSA+細胞)及びアイソタイプ対照群(その重鎖配列が配列番号72であり、軽鎖配列が配列番号73であるヒトhIgG)を設計し、次いで1時間氷上でインキュベートした。次いで、500μLの1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。100μLのFITCヤギ抗ヒトIgG(1:500)を各管に加え、混合物をよく混合し、暗所で、30分間氷上でインキュベートした。500μLの1% PBSAを加え、次いで5600rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。200μLの1% PBSAを各管に加えて細胞を再懸濁し、懸濁液をフローサイトメトリー管に移し、フローサイトメーター BDFACSCaliburにより検出した。結果をFlowing softwareを用いて分析し、曲線フィッティングをMFI及びGraphPad prism5上の試料濃度を用いて別々に行い、EC50を計算した。
LOVOに対する6F7H1L1(hG4)の結合結果を図15及び表10に示す。図及び表に記載のように、6F7H1L1(hG4)とHu5F9-G4の両方は、LOVO細胞の細胞膜表面上のCD47に特異的に結合することができ、それらの結合EC50は、それぞれ0.02nM及び0.06nMである。6F7H1L1(hG4)の結合活性はHu5F9-G4のそれよりもわずかに高かった。
【0132】
【表10】
【0133】
5.FACSによるLOVOにおけるSIRPに対する6F7H1L1(hG4)の競合的結合生物活性のアッセイ
実験手順は、Raji細胞をLOVO細胞に変更した以外は実施例3と同じである。
LOVOについてのSIRPに対する6F7H1L1(hG4)の競合的結合活性についてのアッセイの結果を、図16及び表11に示す。図及び表に示すように、6F7H1L1(hG4)とHu5F9-G4の両方が、LOVOの膜表面上のCD47に対する結合についてSIRPと競合することができ、それによってヒトCD47に対するSIRPの結合を遮断し、それらの競合的結合EC50は、それぞれ0.10nM及び0.24nMである。6F7H1L1(hG4)の競合的結合活性はHu5F9-G4のそれよりもわずかに高かった。
【0134】
【表11】
【0135】
6.正常ヒトRBCの凝集に対する抗CD47抗体の効果
正常ヒトRBCの調製:ヒト血液PBMCをFicoll Paque Plus試薬(GE、カタログ番号17-1440-02)のマニュアルに従って単離し、底に沈殿した赤血球をこの実験に使用した。赤血球をPBSで1×10/mLの濃度に希釈して赤血球懸濁液を得、次いでこれを丸底96ウェルプレートに加えた。対応する濃度を有する陽性抗体を加え、0.1g/mLのDextranT500を対照に加え、対応するヒトIgG1(AkesoBiopharma)又はPBSを陰性対照に加え、次いで37℃で4時間培養した。赤血球の凝集を調べ、写真を撮影した。
正常なヒト赤血球の凝集に対する6F7H1L1(hG4)の効果を図17に示す。図に示すように、6F7H1L1(hG4)は、試験したすべての濃度で赤血球の凝集を引き起こさず、対照抗体Hu5F9-G4は、3.3μg/mL以下の濃度で赤血球の凝集を引き起こさなかった。濃度が10μg/mL以上の場合、Hu5F9-G4による顕著に促進された赤血球の凝集を観察することができる。
【0136】
[実施例10]皮下移植MDA-MB-231腫瘍に対する6F7H1L1(hG4)の治療効果
6F7H1L1(hG4)のインビボ活性を、6F7H1L1(hG4)の投与後のSCID/beigeマウスに皮下移植したヒト乳がん細胞MDA-MB-231腫瘍の体積を測定することにより研究した。採取したMDA-MB-231(ATCC、カタログ番号HTB-26)細胞を、SCID/beigeマウスに、合計40匹のマウス、右側腹部に5×10細胞/マウスで、皮下移植した。腫瘍の体積が約100~120mmに達した時点で、平均腫瘍体積に従って、マウスを7匹からなる5群(モデル群、Hu5F9-G4高投与量群、Hu5F9-G4低投与量群、6F7H1L1(hG4)高投与量群及び6F7H1L1(hG4)低投与量群)に均等に分け、ここで、高投与量群は0.2mg/kgの投与量で、低用量群は0.02mg/kgの投与量で処置した。群分けした日をD0として示し、そしてD0,D3,D7,D10,D1及びD17に投与を実施した。
ノギスを使用してグルーピングした後、腫瘍の大きさを週2回測定し、腫瘍の体積は、式:TV=0.5×abにより計算した。ここで、aは腫瘍の長径、bは腫瘍の短径、そしてTVは腫瘍の体積である。TGI(%)(腫瘍増殖阻害率)は、式:%TGI=(1-(Ti-T0)/(Ci-C0))×100%による腫瘍容積から算出し、ここで、Ti及びCiは、それぞれ処置群とモデル群の第i日目における平均腫瘍容積であり、そしてT0及びC0は、それぞれ処置群とモデル群の第0日目における平均腫瘍容積である。結果は、GraphPad softwareにより処理した群間比較の後の一元配置分散分析により評価した。
結果を図18に示す。群分け後24日目では、対照抗体Hu5F9-G4高投与量群及び6F7H1L1(hG4)高投与量群の両方で、MDA-MB-231腫瘍の増殖が、効果的に阻害され(P<0.01)、そしてHu5F9-G4及び6F7H1L1(hG4)によるMDA-MB-231腫瘍の増殖の阻害は、投与量に対応する関係を示した。対照抗体Hu5F9-G4高投与量群、6F7H1L1(hG4)高投与量群及び6F7H1L1(hG4)低投与量群のTGI値(%)はそれぞれ67%、63%及び25%であった。対照抗体群と比較して、6F7H1L1(hG4)低投与量群は、Hu5F9-G4低投与量群よりも有意に高い有効性を示し、6F7H1L1(hG4)高投与量群と対照抗体高投与量群は同等の有効性を示した(P>0.05)。
【0137】
[実施例11]カニクイザルへの6F7H1L1(hG4)及びHu5F9-G4の単回投与がヘモグロビン及びヘマトクリットに及ぼす影響
カニクイザル4匹を、体重及び性別(半分は雄で半分は雌)に従って2匹の2群に無作為に割り付けた。6F7H1L1(hG4)群及びHu5F9-G4群を設定し、10mg/kgの投与量で静脈内投与した。ヘモグロビン及びヘマトクリットを、血液学的分析装置を用いて検出した。
結果を図19及び20及び表12に示す。
結果は、カニクイザルにH1L1(hG4)及びHu5F9-G4を10mg/kgで単回投与の後に、ヘモグロビン及びヘマトクリットが異なる程度に低下し、2~7日後に最も低い貧血ポイントに達し、Hu5F9-G4群の貧血レベルは、6F7H1L1(hG4)群のそれよりも高かった;サルは、投与後約20日で両抗体に起因する貧血から、ベースラインのレベルまで自然に回復することが出来た。
【0138】
【表12】

本発明の実施態様について上記に詳述したが、本発明は前記実施態様に限定されない。当業者は、本発明の精神に違反することなく、様々な同等の修正又は置換を行うことができる。これらの同等の修正又は置換は、本出願の請求項により定義される範囲に含まれる。
【0139】
配列リスト
6F7重鎖可変領域:
【化1】

【化2】

6F7軽鎖可変領域:
【化3】

【化4】

6F7CDR
HCDR1:GYTFTSYW(配列番号5)
HCDR2:IDPSDSET(配列番号6)
HCDR3:ARLYRWYFDV(配列番号7)
LCDR1:EIVGTY(配列番号8)
LCDR2:GAS(配列番号9)
LCDR3:GQSYNFPYT(配列番号10)
6F7H1:
【化5】

【化6】

6F7L1:
【化7】

【化8】

6F7H2:
【化9】

【化10】

6F7L2:
【化11】

【化12】

6F7H3:
【化13】

【化14】

6F7L3:
【化15】

【化16】

6F7重鎖フレームワーク領域
FR-H1:QVQLQQPGAELVRPGASVKLSCKAS(配列番号23)
FR-H2:MNWVKQRPGQGLEWIGM(配列番号24)
FR-H3:HNNQMFKDKATLTVDKSSNTAYMHLSSLTSEDSAVYHC
(配列番号25)
FR-H4:WGAGTTVTVSS(配列番号26)
6F7軽鎖フレームワーク領域
FR-L1:NIVMTQSPKSMSMSLGERVTLSCKAS(配列番号27)
FR-L2:VSWFQQKPHQSPKLLIY(配列番号28)
FR-L3:NRYTGVPDRFTGSGSATDFTLTISNVQAEDLADYHC(配列番号29)
FR-L4:FGGGTKLEIK(配列番号30)
6F7H1フレームワーク領域
FR-H1:QVQLVQSGAEVVKPGASVKLSCKAS(配列番号31)
FR-H2:MNWVRQRPGQGLEWIGM(配列番号32)
FR-H3:HNAQKFQGKATLTVDKSTSTAYMHLSSLRSEDTAVYYC(配列番号33)
FR-H4:WGAGTTVTVSS(配列番号34)
6F7L1フレームワーク領域
FR-L1:NIVMTQSPATMSMSPGERVTLSCRAS(配列番号35)
FR-L2:VSWFQQKPGQAPRLLIY(配列番号36)
FR-L3:NRYTGVPARFSGSGSGTDFTLTISSVQPEDLADYHC(配列番号37)
FR-L4:FGGGTKLEIK(配列番号38)
6F7H2フレームワーク領域
FR-H1:QVQLVQSGAEVVKPGASVKVSCKAS(配列番号39)
FR-H2:MNWVRQRPGQGLEWIGI(配列番号40)
FR-H3:SNAQKFQGRVTLTVDKSTSTAYMHLSSLRSEDTAVYYC(配列番号41)
FR-H4:WGAGTTVTVSS(配列番号42)
6F7L2フレームワーク領域
FR-L1:NIVMTQSPATLSLSPGERVTLSCRAS(配列番号43)
FR-L2:VSWFQQKPGQAPRLLIY(配列番号44)
FR-L3:NRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDLADYYC(配列番号45)
FR-L4:FGGGTKLEIK(配列番号46)
6F7H3フレームワーク領域
FR-H1:QVQLVQSGAEVVKPGASVKVSCKAS(配列番号47)
FR-H2:MNWVRQAPGQGLEWIGI(配列番号48)
FR-H3:SYAQKFQGRVTLTVDKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYC(配列番号49)
FR-H4:WGAGTTVTVSS(配列番号50)
6F7L3フレームワーク領域
FR-L1:NIVMTQSPATLSLSPGERVTLSCRAS(配列番号51)
FR-L2:LSWYQQKPGQAPRLLIY(配列番号52)
FR-L3:TRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYC(配列番号53)
FR-L4:FGGGTKLEIK(配列番号54)
IgG1M重鎖定常領域
【化17】

重鎖定常領域Igγ-4鎖C領域
【化18】

軽鎖定常領域Igκ鎖C領域
【化19】

重鎖定常領域Igγ-1鎖C領域
【化20】

6F7H1L1(G1M)重鎖のアミノ酸配列
【化21】

6F7H1L1(G1M)軽鎖のアミノ酸配列
【化22】

6F7H2L2(G1M)重鎖のアミノ酸配列
【化23】

6F7H2L2(G1M)軽鎖のアミノ酸配列
【化24】

6F7H3L3(G1M)重鎖のアミノ酸配列
【化25】

6F7H3L3(G1M)軽鎖のアミノ酸配列
【化26】

6F7H1L1(hG4)重鎖のアミノ酸配列
【化27】

6F7H1L1(hG4)軽鎖のアミノ酸配列
【化28】

6F7H2L2(hG4)重鎖のアミノ酸配列
【化29】

6F7H2L2(hG4)軽鎖のアミノ酸配列
【化30】

6F7H3L3(hG4)重鎖のアミノ酸配列
【化31】

6F7H3L3(hG4)軽鎖のアミノ酸配列
【化32】

mFcタグの配列:(配列番号71)
【化33】

hIgGの重鎖配列(配列番号72)
【化34】

hIgGの軽鎖配列(配列番号73)
【化35】

TEVのアミノ酸配列はENLYFQG(配列番号74)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【配列表】
2022545974000001.app
【国際調査報告】