(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(54)【発明の名称】ボイルオフガスの冷却方法およびそのための装置
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20221026BHJP
F25J 1/00 20060101ALI20221026BHJP
F25J 5/00 20060101ALI20221026BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20221026BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
F25J1/00 B
F25J5/00
B63B25/16 D
F28D9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573587
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 GB2020052017
(87)【国際公開番号】W WO2021038205
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521358235
【氏名又は名称】エルジーイー アイピー マネジメント カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LGE IP Management Company Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【氏名又は名称】冨田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ フェルバブ
【テーマコード(参考)】
3E172
3L103
4D047
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172BA06
3E172BD01
3E172HA04
3E172HA12
3L103BB30
3L103CC26
3L103CC30
3L103DD53
4D047AA10
4D047AB08
4D047BA09
4D047CA06
4D047CA12
4D047CA16
4D047DA17
(57)【要約】
液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流を冷却する方法であって、熱交換器においてBOG流を第1冷媒と熱交換するステップを少なくとも含み、熱交換器が、入口ポートおよび温熱出口ポートを有し、以下のステップ:(a)第1の冷媒を熱交換器の入口ポートおよび熱交換器の第1ゾーンに通過させてBOG流と熱交換し、第1温熱冷媒流を提供するステップ、(b)入口ポートと温熱出口ポートとの間の中間出口ポートにおいて、熱交換器から第1温熱冷媒流を引き出すステップ、(c)第1ゾーンよりも暖かい熱交換器の第2ゾーンに位置する入口ポートに、第1温熱冷媒流を通過させるステップ、(d)第1ゾーンよりも暖かい熱交換器の第2ゾーンに位置する入口ポートに、オイル含有冷媒流を通過させるステップ、(e)熱交換器内で、第1温熱冷媒流とオイル含有流とを混合して、複合冷媒流を形成するステップ、および、(f)複合冷媒流を、温熱出口ポートを介して熱交換器から排出するステップ、を少なくとも含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流を冷却する方法であって、熱交換器においてBOG流を第1冷媒と熱交換するステップを少なくとも含み、熱交換器は、入口ポートおよび温熱出口ポートを有し、以下のステップを少なくとも含む方法。
(a)第1冷媒を熱交換器の入口ポートおよび熱交換器の第1ゾーンに通過させてBOG流と熱交換し、第1温熱冷媒流を提供するステップ、
(b)入口ポートと温熱出口ポートとの間の中間出口ポートにおいて、熱交換器から第1温熱冷媒流を引き出すステップ、
(c)第1ゾーンよりも暖かい熱交換器の第2ゾーンに位置する入口ポートに、第1温熱冷媒流を通過させるステップ、
(d)第1ゾーンよりも暖かい熱交換器の第2ゾーンに位置する入口ポートに、オイル含有冷媒流を通過させるステップ、
(e)熱交換器内で、第1温熱冷媒流とオイル含有流とを混合して、複合冷媒流を形成するステップ、および、
(f)複合冷媒流を、温熱出口ポートを介して熱交換器から排出させるステップ。
【請求項2】
BOGが浮体式船舶の液化カーゴタンクからのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
BOGが液化天然ガス(LNG)カーゴタンクからのものである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
オイル含有冷媒が、単一混合冷媒(SMR)または単一混合冷媒の一部である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
熱交換器が、BOG液化熱交換器システムの単一の液化熱交換器である、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
熱交換器が、マルチユニット液化熱交換からなる液化熱交換器システムであって、2つ以上の熱交換器ユニットを備え、BOG流と第1冷媒とが、熱交換器ユニットのうち少なくとも最も冷たいユニットを通過する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
熱交換器が垂直または垂直に近い熱交換器である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
熱交換器がプレートフィン式熱交換器またはプリント回路式熱交換器からなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
オイル含有冷媒流中のオイルが、圧縮機潤滑油である、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(a)の前に、第1冷媒を膨張させるステップをさらに含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(e)の温度が、熱交換器の第1ゾーンの温度よりも高い、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
中間出口ポートが、第1ゾーンよりも暖かい熱交換器の第2ゾーン内にある、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
オイル含有冷媒流を熱交換器に進入させるための入口ポートが、第1温熱冷媒流のための入口ポートと同じ第2ゾーン内にある、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2ゾーンの温度が、オイル含有冷媒のオイルの凍結温度よりも暖かい、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
単一混合冷媒(SMR)を使用し、冷却されたBOG流を提供するために、液化熱交換器システムにおいてBOG流をSMRと熱交換するステップを少なくとも含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法であって、
SMRが、少なくとも以下のステップを含むSMR再循環システムで提供されることを特徴とする、方法。
(a)少なくとも1つの給油式スクリュー圧縮機を用いてSMRを圧縮し、圧縮後SMR流を提供するステップ、
(b)圧縮後SMR流を分離して、油性流と第1のSMR蒸気流とを提供するステップ、
(c)第1のSMR蒸気流を液化熱交換器システムに通して、第1のSMR蒸気流を冷却し、冷却された第1のSMR蒸気流を提供するステップ、
(d)冷却された第1のSMR蒸気流を液化熱交換器システムから引き出すステップ、
(e)冷却された第1のSMR蒸気流を分離して、オイル含有液相SMR流およびオイルフリーSMR蒸気流を提供するステップ、
(f)オイルフリーSMR蒸気流を液化熱交換器システムに通して、凝縮したSMR流を提供するステップ、
(g)凝縮したSMR流を膨張させて、膨張した最低温度のSMR流を提供し、BOG流に対して熱交換するために液化熱交換器システムを通過させて、温熱SMR流を提供するステップ、
(h)中間出口ポートで、液化熱交換器システムから温熱SMR流を引き出すステップ、
(i)ステップ(e)のオイル含有液相SMR流を膨張させて、少なくとも部分的に膨張したオイル含有冷媒流を提供するステップ、
(j)ステップ(h)の温熱SMR流およびステップ(i)の少なくとも部分的に膨張したオイル含有冷媒流を、第1ゾーンよりも暖かい液化熱交換器システムの第2ゾーンに位置する別々の入口ポートを介して液化熱交換器システムに通過させるステップ、
(k)熱交換器において、温熱SMR流をオイル含有冷媒流と組み合わせて、複合冷媒流を提供するステップ、
(l)第1ゾーンよりも暖かい液化熱交換器システムの第2ゾーンに位置する入口ポートを介して、複合冷媒流を液化熱交換器システムに通すステップ、および、
(m)複合冷媒流を、温熱出口ポートを介して液化熱交換器システムから排出するステップ。
【請求項16】
単一混合冷媒(SMR)を使用して液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流を冷却する方法に使用するためのSMR再循環システムであり、液化熱交換器システムにおいてBOG流をSMRと熱交換するステップを少なくとも含み、冷却されたBOG流を提供するSMR再循環システムであって、
SMRが、少なくとも以下のステップを含むSMR再循環システムで提供されることを特徴とする、SMR再循環システム。
(a)少なくとも1つの給油式スクリュー圧縮機を用いてSMRを圧縮し、圧縮後SMR流を提供するステップ、
(b)圧縮後のSMR流を分離して、油性流と第1のSMR蒸気流とを提供するステップ、
(c)第1のSMR蒸気流を分離して、オイル含有液相SMR流およびSMR蒸気流を提供するステップ、
(d)SMR蒸気流を液化熱交換器システムに通して、凝縮されたSMR流を提供するステップ、
(e)凝縮したSMR流を膨張させて、膨張した最低温度のSMR流を提供し、BOG流に対して熱交換するために、液化熱交換器システムの第1ゾーンに通過させて、温熱SMR流を提供するステップ、
(f)中間出口ポートにおいて、熱交換器から温熱SMR流を引き出すステップ、
(g)第1ゾーンよりも暖かい熱交換器の第2ゾーンに位置する入口ポートに、第1の温熱SMR流を通過させるステップ、
(h)オイル含有液相SMR流を、第1ゾーンよりも暖かい熱交換器の第2ゾーンに位置する入口ポートに通過させるステップ、
(i)熱交換器内で、第1温熱冷媒流とオイル含有液相SMR流とを混合して、複合冷媒流を形成するステップ、および、
(j)複合冷媒流を、温熱出口ポートを介して熱交換器から排出するステップ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の冷媒システムと、BOG流に対して熱交換を行う熱交換器とを含む、液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流を冷却する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一混合冷媒(SMR)などの冷媒を用いて、浮動船上等のカーゴタンク等の液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流を冷却する方法およびそのための装置に関するものである。特に、浮体式LNG貯蔵タンクからのBOGを冷却する方法であるが、それだけではない。
【背景技術】
【0002】
プレートフィン式熱交換器などのマルチストリーム熱交換器を用いた極低温用途では、交換器に側流を注入して交換器内の内部流と合流させるのが一般的な特徴である。複合化した流れは、合流する前の元の内部流の方向に沿って進む。
【0003】
これを応用した一例として、混合冷媒サイクルをLNGのボイルオフガスの再液化に用いることが考えられる。従来、LNGを貨物として積んでいる船舶(一般的には、LNG船)上の液化天然ガス(LNG)貯蔵タンクから発生するボイルオフガスは、船舶の動力源としてエンジンに使用されてきた。そして、余ったBOGは、「廃ガス」と考えられ、通常は、ガス燃焼装置(GCU)に送られ、燃焼処理される。
【0004】
しかし、船のエンジンは、ますます効率が向上しており、エンジンに必要なBOGの量は、少なくなっている。これは、大部分のBOGが廃ガスとしてGCUに送られるということを意味する。廃ガスを再液化してカーゴタンクに戻すことで、このガスの損失を減らすことが経済的にも魅力的になってきている。
【0005】
LNGのBOGを再液化する標準的な方法では、単一混合冷媒(SMR)サイクルを使用し、混合冷媒の再循環システムに給油式スクリュー圧縮機を使用する。給油式スクリュー圧縮機は、産業界で実績があり、費用対効果が高いため、可能な限り使用することが望ましい。しかし、給油式スクリュー圧縮機では、圧縮時にSMR内へと、ある程度のオイルが「キャリーオーバー」し、キャリーオーバーしたオイルがLNG熱交換器で必要とされる最低温度にさらされると、オイルが固化してLNG交換器が閉塞し、性能低下を招き、最終的には、システムの故障につながる。
【0006】
そのため、圧縮後のSMRでは、少なくとも1回のオイル/ガス分離工程を経て、十分に「オイルフリー」の流れを作り、「オイルの固化」温度以下の温度まで膨張させてから、主冷却流として使用する必要がある。
【0007】
添付の
図1は、給油式スクリュー圧縮機を用いた従来のSMRサイクルを示す。カーゴタンクからのボイルオフガスは、コンプレッサ(図示せず)で圧縮され、パイプライン20を介して冷却のために送られる。圧縮されたボイルオフガスは、まずアフタークーラ14で、容易に入手できる周囲冷却媒体(海水、淡水、エンジンルーム冷却水、空気など)を用いて冷却され、その後、熱交換器12でさらに冷却される。この予冷されたBOGは、マルチストリーム(すなわち、3つ以上の流れ)の熱交換器7(典型的には、ろう付けアルミニウムプレートフィン式熱交換器)に送られ、SMR再循環システムを使用して冷却・凝縮される。
【0008】
熱交換器12は、パイプライン32を介して供給され、別の冷媒カスケード13から供給される冷媒(典型的には、プロパン)を使用する。
【0009】
SMR再循環システムでは、冷媒レシーバ1からの混合冷媒ガスは、パイプライン22を通って給油式スクリュー圧縮機2に流れる。SMRガスは、パイプライン23へと圧縮された後、オイル分離器3に入り、ここでオイルの大部分が油性流25として(重力および/または濾過によって)除去され、オイルポンプ4によって圧送され、オイル冷却器5によって冷却され、最終的に圧縮機2に再注入される。
【0010】
オイル分離器3からのガスは、パイプライン24に送られる。このパイプラインのガスは、ほぼオイルフリーであるが、わずかな割合(重量比で100万分の1以下)のオイルを含む。パイプライン24内のガスは、容易に入手可能な冷却媒体(海水、淡水、エンジンルーム冷却水、空気など)を使用するアフタークーラ6に送られる。
【0011】
アフタークーラ6の下流では、凝縮器11内の低温の外部冷媒(典型的には、プロパン)との熱交換を利用して冷媒ガスの凝縮が行われる。この外部冷媒の低温化は、外部冷媒カスケード13で行われる。パイプライン24内の冷媒は、凝縮器11を通過した後、少なくとも部分的に凝縮され、その後、気液分離器8に入り、気相および液相を提供する。凝縮器11での凝縮および、分離器8(任意に一体型または別個のフィルタを有する)での分離(一般的には、重力および任意に濾過による)の重要な特徴は、分離器3の後に運ばれたオイルが、もう実質的にすべて液相であり、パイプライン29に入り、パイプライン26に本質的にオイルフリーな蒸気を残すことである。
【0012】
パイプライン29内の「液体およびオイル」またはオイル含有冷媒は、フラッシュバルブ9によって減圧され、部分的に気化して温度が低下する。この温度は、オイルの固化(ワックス化または凍結)を引き起こすほど低くはない。部分的に気化した冷媒液およびオイルの流れ42は、その後、マルチストリーム交換器7に送られ、そこで完全に気化され、それによって交換器7内の高温の流れに部分的な冷却を与える。一方、パイプライン26内のオイルフリー冷媒蒸気は、交換器7に送られ、そこで実質的に冷却される。オイルフリー冷媒蒸気は、交換機7から、完全にまたは一部が凝縮された状態で、パイプライン27を通って出ていき、その圧力が絞り弁10によって低減され、パイプライン34に入り、SMR再循環システム内の最低温度まで下げられ、交換器7で必要な冷却を達成する。これにより、交換器7のための主要なコールドストリームが提供される。パイプライン27の前に交換器11および分離器8を使ってオイルをできるだけ多く除去する必要があるのは、パイプライン34内の冷媒の温度がオイルの固化温度以下になるためである。
【0013】
パイプライン34内の低温冷媒は、交換器7に送られ、そこで気化して高温の流れを冷却する。部分的に気化した液体およびオイルの流れ42と合流し、複合冷媒流44は、パイプライン28を経由して蒸気として交換器7を出て、冷媒レシーバ1に再流入する。
【0014】
全体として、
図1に示す従来のSMRサイクルにおける再液化プロセスの冷却をする役目は、SMR再循環システムと外部冷媒カスケード13との両方によって果たされる。
【0015】
潜在的な課題の1つは、分離器8からの部分的に気化した冷媒の液体およびオイルの流れ42が、パイプライン34から上向きに通過する冷媒と交換器7で合流することである。液体およびオイルの流れ42は、パイプライン26および34内の流れと比較して、当然ながら高い、典型的には、非常に高い量のオイルを有しており、これが凍結した場合には、交換器7内ですぐに目詰まりを起こすことになる。そのため、これらの流れの合流は、交換器7の十分に暖かい部分で、オイルの凝縮温度よりも高温の部分で、起こるように設計される。
【0016】
一方、パイプライン34から上向きに通過する冷媒は、交換器7を上向きに通過する際に加熱され(交換器7内の様々な高温の流れによって温度および/または蒸気率が上昇する)、合流点において交換器7内で十分な上向きの速度を有し、複合流44に含まれるオイルが、上向きに運ばれて交換器7から出ることを確保する。
【0017】
しかしながら、熱交換器7が設計条件で動作しない場合(例えば、部分負荷で動作している、または外部のプロセス妨害がある、またはシャットダウンされているなど)、まだ熱交換器7内にある複合流44の速度が、部分的に気化した冷媒液およびオイルの流れ42に導入された油粒子の終端速度よりも低くなる可能性がある。これにより、油粒子は、合流点よりも下にある熱交換器7の低温部に向かって落下し、そこで凍結して熱交換器7を急速に詰まらせてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、BOG流の冷却中にこのようなオイル含有流を合流させる改良されたプロセスおよび装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明の第1の態様によれば、熱交換器においてBOG流を第1冷媒と熱交換するステップを少なくとも含む、液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流を冷却する方法が提供され、熱交換器は、入口ポートおよび温熱出口ポートを有し、該方法は、以下のステップを少なくとも含むものである。
【0020】
(a)第1冷媒を熱交換器の入口ポートおよび熱交換器の第1ゾーンに通過させてBOG流と熱交換し、第1温熱冷媒流を提供するステップ、
(b)入口ポートと温熱出口ポートとの間の中間出口ポートにおいて、熱交換器から第1温熱冷媒流を引き出すステップ、
(c)第1ゾーンよりも暖かい、熱交換器の第2ゾーンに位置する、入口ポートに、第1温熱冷媒流を通過させるステップ、
(d)第1ゾーンよりも暖かい、熱交換器の第2ゾーンに位置する、入口ポートに、オイル含有冷媒流を通過させるステップ、
(e)第1温熱冷媒流とオイル含有流とを混合して、熱交換器内で、複合冷媒流を形成するステップ、および、
(f)複合冷媒流を、温熱出口ポートを介して熱交換器から排出するステップ。
【0021】
液化ガスタンクは、当技術分野では、よく知られている。すべての液化ガスタンクは、液化ガス輸送船、バージ船、および輸送船を含む他の船舶上のタンクを含めて、公知の理由でボイルオフガスを生成または放出する。液化ガスには、0℃よりも低い、典型的には、少なくとも-40℃よりも低い標準沸点(1気圧で)を有するもの、例えば、様々な石油ガスまたは石油化学ガス、および-160℃よりも低い標準沸点を有する液化天然ガス(LNG)を含むことができる。
【0022】
任意で、BOGは、浮体式船の液化カーゴタンク、任意で、LNGカーゴタンクからのものである。
【0023】
ボイルオフガス(BOG)流を冷却するための多くのシステム、装置、およびプロセスが知られており、これらは、通常、BOGの再液化のために、様々な単一、混合、および複数の冷媒を使用し、1つ以上の回路、熱交換器、および他のバリエーションの冷却プロセスを含むことがあり、典型的には、必要なエネルギー入力を最小限にするために、典型的には、スペースなどの他の制約がある。当業者は、多くのそのようなシステムを知っている。
【0024】
そのようなシステムの多くは、少なくとも1つの冷媒圧縮機を含み、しばしば潤滑剤を含む。一般的な潤滑剤は、オイルである。給油式スクリュー圧縮機は、産業界で実績があり、費用対効果に優れるため、可能な限り使用することが望ましい。しかし、給油式スクリュー圧縮機は、圧縮時に、ある程度のオイルが冷媒へと「キャリーオーバー」し、キャリーオーバーしたオイルが一部の熱交換器で必要とされる最低温度にさらされると、オイルが固化して熱交換器を塞ぎ、性能低下を招き、最終的には、システムの故障につながる。
【0025】
本明細書で使用される用語「オイル含有流」は、給油式スクリュー圧縮機を通過した冷媒流の中にオイルを有する流れを含む。このようなオイルは、典型的には、全体的または実質的に圧縮機の潤滑油である。本明細書で使用される用語「油性流」は、冷媒流中に、多くの、一般的には、かなりの量のオイルを有する流れであって、例えば、給油式スクリュー圧縮機を通過した冷媒流からの液体分離流に関するものである。「オイル含有流」という用語は、本明細書では、典型的には、油性流よりも少ないオイルを、その中に有する流れを指すために使用される。
【0026】
本発明の熱交換器は、液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流に求められる冷却を効果的に行うために必要な唯一の熱交換器であってもよく、または、複数の熱交換器ユニットからなる、より大きなまたはより広範囲な液化熱交換器システムの一部であってもよい。本明細書での「液化熱交換器システム」への言及は、そのような液化熱交換器システムが本発明の熱交換器を含むことを意味する。
【0027】
BOGを再液化する1つの方法は、単一混合冷媒(SMR)サイクルと、混合冷媒再循環システムの給油式スクリュー圧縮機とを使用する。SMRは、1つ以上の炭化水素、特に通常は、メタン、エタン、およびプロパン、あるいは、少なくともブタン、および窒素の混合物からなる一般的な冷媒の範囲を指すために使用される技術用語であり、任意にペンタンなどの1つ以上の他のあり得る冷媒を伴う。特定のSMRを形成するための様々な成分およびその比率が公知であり、本明細書では、これ以上説明しない。
【0028】
したがって、本発明の一実施形態によれば、第1冷媒は、単一混合冷媒(SMR)または単一混合冷媒の一部である。
【0029】
SMRは、少なくとも以下のステップを含むSMR再循環システムにて提供され得る。
(a)少なくとも1つの給油式スクリュー圧縮機を用いてSMRを圧縮し、圧縮後のSMR流を提供するステップ、
(b)圧縮後のSMR流を分離して、油性流と第1のSMR蒸気流とを提供するステップ、
(c)第1のSMR蒸気流を液化熱交換器に通して、凝縮されたSMR流を提供するステップ、および、
(d)凝縮したSMR流を膨張させて、膨張した最低温度のSMR流を提供し、BOG流に対して熱交換するために液化熱交換器システムを通過させるステップ。
【0030】
本明細書で定義される1つ以上の流れの分離は、任意の適切な分離器で実施することができ、その多くは、当技術分野で知られており、一般に、少なくとも1つの気体の流れ、典型的には、分離器の上部またはその近くで手に入る、より軽い流れ、および、典型的には、分離器の下端で利用可能な、少なくとも1つの液相からなる、より重い流れを提供することを意図する。
【0031】
流れの膨張は、一般的にバルブなどを含む1つ以上の適切な膨張デバイスを通じて可能である。
【0032】
本明細書で使用される「周囲冷却」という用語は、通常、周囲温度で提供される周囲冷却媒体の使用に関するものである。これには、海水、淡水、エンジンルーム冷却水、空気、およびそれらの任意の組み合わせが含まれ、これらは、通常、流れに周囲冷却を与えるための使用に容易に利用可能である。
【0033】
冷媒の圧縮は、圧縮後の流れを提供するために、任意に並列または直列またはその両方で、複数の圧縮機を使用することが可能である。
【0034】
ボイルオフガス(BOG)流の冷却は、液化熱交換器システムの一部であってもよく、このシステムは、1つ以上のユニットまたはステージに配置された1つ以上の熱交換器の任意の形態であってもよく、2つ以上の流れ間の熱交換を可能にし、任意に、システムの一部または部分において1つ以上の他の流れと逆流する少なくとも1つの流れを有し、特にBOG流と冷媒流の1つとの間に配置される。
【0035】
液化熱交換器システムが複数の熱交換器からなる場合、複数の熱交換器は、直列または並列、または直列と並列の組み合わせであってよく、複数の熱交換器は、分離していても結合していても連続していてもよく、任意に、単一の冷却ユニットまたはボックス内にあり、任意に、BOG流を液化するためにBOG流と必要な熱交換を行う1つ以上のユニットまたはステージの形態であってもよい。
【0036】
液化熱交換器システムは、1つ以上の接続されたセクション、ユニット、またはステージに配置された2流またはマルチストリーム熱交換器の任意の適切な配置で構成されてもよく、任意で、1つのセクション、ユニット、またはステージは、その中の平均温度という意味で、他のセクション、ユニット、またはステージよりも「暖かい」。
【0037】
任意で、本発明の熱交換器は、BOG液化熱交換器システムにおける単一の液化熱交換器である。この熱交換器は、1つの熱交換器で1つの入口ポートから1つの出口ポートまでBOGを液化するマルチストリーム熱交換器である。
【0038】
任意に、本発明の熱交換器は、液化熱交換器システムであり、マルチユニット液化熱交換から構成され、2つの、任意に3つ以上の、熱交換器ユニットから構成され、BOG流および第1冷媒は、熱交換器ユニットのうち少なくとも最も低温のユニットを通過する。
【0039】
当技術分野では、液化熱交換器システムの一部となる、または液化熱交換器システムを提供することができる多くの液化熱交換器が公知であり、典型的には、プレートフィン、シェル&チューブ、プレート&フレーム、シェル&プレート、コイル巻き、およびプリント回路熱交換器、またはそれらの任意の組み合わせで構成される。
【0040】
任意に、本発明の熱交換器は、プレートフィン式熱交換器またはプリント回路式熱交換器からなる。
【0041】
任意に、本発明の熱交換器は、垂直または垂直に近いまたは傾斜した熱交換器である。
【0042】
熱交換器は、一般的に、1つ以上の流れの入口点またはポートと、1つ以上の流れの出口点またはポートとを有し、その間に温度勾配または勾配経路がある。熱交換器を通過するほとんどの流れは、典型的には、熱交換器の「すべて」、つまり、熱交換器の一端または側面にある入口点またはポートから、任意に別の端または側面にある出口点またはポートまで、を通過するが、これに限定されるものではなく、入口と出口の間で可能な最大の熱交換、すなわち温度勾配経路に沿って可能な最大の温度変化または相変化を達成するように、熱交換器を通過するほとんどの流れが熱交換器の「すべて」を通過する。そのような流れは、「完全に」又は「全体的に」熱交換器を通過する。
【0043】
一部の流れは、熱交換器の、部分的な部分または一部のみを通過する場合があり、一般的には、可能な最大温度勾配経路に沿った中間温度で、または中間の位置に入口点またはポートを有するか、温度勾配経路に沿った中間温度で出口点またはポートを有するか、またはその両方を有する。このような流れは、熱交換器の一部のみを通過したものであり、一般に「側流」と呼ばれる。
【0044】
液化熱交換が複数の液化熱交換器ユニットおよび/またはステージによって提供される場合、任意に、第1冷媒流は第1のユニットおよび/またはステージへ通過し、オイル含有冷媒流は第2のユニットおよび/またはステージへ通過する。
【0045】
任意で、本発明の方法は、さらに冷却する役目のため、熱交換器の後で複合冷媒流をリサイクルすることをさらに含む。
【0046】
任意で、本発明の方法は、本発明の第1の態様のステップ(a)の前に、第1冷媒を膨張させるステップをさらに含む。
【0047】
任意で、本発明の第1の態様のステップ(e)の温度は、熱交換器の第1ゾーンの温度よりも高い。さらに任意で、第2ゾーンの温度は、オイル含有冷媒のオイルの凝縮温度よりも高い。
【0048】
任意で、中間出口ポートは、熱交換器の第2ゾーン内にあり、この第2ゾーンは、第1ゾーンよりも暖かい。
【0049】
本発明の特定の一実施形態では、SMR再循環システムが提供され、このシステムは、単一混合冷媒(SMR)を使用して液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流を冷却する方法に使用することを目的としており、液化熱交換器システムにおいてBOG流をSMRと熱交換するステップを少なくとも含み、冷却されたBOG流を提供し、
前記SMRが、少なくとも以下のステップを含むSMR再循環システムで提供されることを特徴とする。
(a)少なくとも1つの給油式スクリュー圧縮機を用いてSMRを圧縮し、圧縮後のSMR流を提供するステップ、
(b)圧縮後のSMR流を分離して、油性流および第1のSMR蒸気流を提供するステップ、
(c)第1のSMR蒸気流を分離して、オイル含有液相SMR流およびSMR蒸気流を提供するステップ、
(d)SMR蒸気流を液化熱交換器システムに通して、凝縮されたSMR流を提供するステップ、
(e)凝縮したSMR流を膨張させて、膨張した最低温度のSMR流を提供し、BOG流に対して熱交換するために液化熱交換器システムの第1ゾーンへと通過させて、温熱SMR流を提供するステップ、
(f)中間出口ポートにおいて、熱交換器から温熱SMR流を引き出すステップ、
(g)第1の温熱SMR流を、第1のゾーンよりも暖かい熱交換器の第2のゾーンに位置する入口ポートに通過させるステップ、
(h)オイル含有液相SMR流を、第1のゾーンよりも暖かい熱交換器の第2のゾーンに位置する入口ポートに通過させるステップ、
(i)第1温熱冷媒流とオイル含有液相SMR流とを、熱交換器内で混合して、複合冷媒流を形成するステップ、および、
(j)複合冷媒流を、温熱出口ポートを介して熱交換器から排出するステップ。
【0050】
任意で、第1のSMR蒸気流を分離すること(オイル含有液相SMR流およびSMR蒸気流を提供すること)は、液化熱交換器における第1のSMR流蒸気流のある程度の冷却後に行うことができる。
【0051】
したがって、本発明の別の特定の実施形態によって、単一混合冷媒(SMR)を使用して液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流を冷却する方法が提供され、この方法は、液化熱交換器システムにおいてBOG流をSMRと熱交換するステップを少なくとも含み、冷却されたBOG流を提供し、
前記SMRが、少なくとも以下のステップを含むSMR再循環システムで提供されることを特徴とする。
(a)少なくとも1つの給油式スクリュー圧縮機を用いてSMRを圧縮し、圧縮後のSMR流を提供するステップ、
(b)圧縮後のSMR流を分離して、油性流および第1のSMR蒸気流を提供するステップ、
(c)第1のSMR蒸気流を液化熱交換器システムに通して、第1のSMR蒸気流を冷却し、冷却された第1のSMR蒸気流を提供するステップ、
(d)冷却された第1のSMR蒸気流を液化熱交換器システムから引き出すステップ、
(e)冷却された第1のSMR蒸気流を分離して、オイル含有液相SMR流およびオイルフリーSMR蒸気流を提供するステップ、
(f)オイルフリーSMR蒸気流を液化熱交換器システムに通して、凝縮したSMR流を提供するステップ、
(g)凝縮したSMR流を膨張させて、膨張した最低温度のSMR流を提供し、BOG流に対して熱交換するために液化熱交換器システムを通過させて、温熱SMR流を提供するステップ、
(h)中間出口ポートにおいて、液化熱交換器システムから温熱SMR流を引き出すステップ、
(i)ステップ(e)のオイル含有液相SMR流を膨張させて、少なくとも部分的に膨張したオイル含有冷媒流を提供するステップ、
(j)ステップ(h)の温熱SMR流およびステップ(i)の少なくとも部分的に膨張したオイル含有冷媒流を、第1ゾーンよりも暖かい液化熱交換器システムの第2ゾーンに位置する別々の入口ポートを介して液化熱交換器システムに通過させるステップ、
(k)熱交換器において、温熱SMR流をオイル含有冷媒流と合流させて、複合冷媒流を提供するステップ、
(l)第1ゾーンよりも暖かい液化熱交換器システムの第2ゾーンに位置する入口ポートを介して、複合冷媒流を液化熱交換器システムに通すステップ、および、
(m)複合冷媒流を、温熱出口ポートを介して液化熱交換器システムから排出するステップ。
【0052】
このような方法は、外部の冷媒カスケードを使用せずにBOG流を冷却することができる。SMR再循環システムを備えたこの方法は、液化ガスタンクからのボイルオフガス流を冷却するためのすべてのサブ周囲冷却媒体が冷却を行う役目を提供することができる。
【0053】
任意で、液化熱交換器システムが単一の液化熱交換器である場合、ステップ(d)における液化熱交換器システムからの冷却された第1のSMR蒸気流の引き出しを、熱交換器内で発生する熱交換に沿った中間温度で発生させることができて、任意で、凝縮したSMR流を提供するために液化熱交換器システムへのオイルフリーSMR蒸気流の進入に類似した温度で、発生させることができる。したがって、任意に、本発明のこの実施形態のステップ(d)は、液化熱交換器システムの最も冷たい部分の前に、すなわち液化熱交換器システムを通る部分的な通路を達成する前に、冷却された第1のSMR蒸気流を液化熱交換器システムから引き出すことを含む。
【0054】
オイルフリーSMR蒸気流は、本発明のこの実施形態のステップ(d)で引き出された冷却された第1のSMR蒸気流の温度よりも高い、低い、同じ、または類似した温度で、液化熱交換器システムへと通過する(戻る)ことができる。任意で、オイルフリーSMR蒸気流は、本発明のこの実施形態のステップ(d)で引き出された、冷却された第1のSMR蒸気流の温度と同様の温度で、液化熱交換器システムへと通過する。
【0055】
あるいは、本発明のこの実施形態の液化熱交換器システムは、マルチユニット液化熱交換または熱交換器であってもよく、これらの熱交換器は、2つの、任意に3つ以上の、ユニット、ステージ、システム、またはフレームなどを含んでいてもよい。
【0056】
本発明のこの実施形態の液化熱交換が、複数の液化熱交換器ユニット等によって提供される場合、任意に、第1のSMR蒸気流が第1のユニットに通過し、オイルフリーSMR蒸気流が第2のユニットへ通過する。あるいは、任意に、第1のSMR蒸気流は、第1の熱交換器ユニットなどに通過し、オイルフリーSMR蒸気流は、第1の熱交換器ユニットおよび第2の熱交換器ユニットの両方へと通過する。あるいは任意に、第1のSMR蒸気流は、複数の別々の熱交換器ユニットなどに分割され、複数の別々の熱交換器ユニットなどへと通過する分割されたオイルフリーSMR蒸気流が存在する。当業者は、複数ユニットの液化熱交換配置を使用する液化熱交換器システムに、さらなる変形が可能であることを理解でき、この変形は、任意に、冷却されるBOG流の分割も伴う。
【0057】
本発明のこの実施形態の液化熱交換が、複数の液化熱交換器ユニットおよび/またはステージによって提供される場合、また、任意で、第1ステージまたは温熱ステージは、プレートフィン式熱交換器などのマルチストリーム熱交換器、または一連の別個の熱交換器のいずれかで構成され、任意で、連続して、並列で、またはその両方で構成される。そのうちの少なくとも1つは、第1のSMR蒸気流を冷却することができ、冷却された第1のSMR蒸気流を分離してオイル含有液相SMR流およびオイルフリーSMR蒸気流を提供する前に、冷却された第1のSMR蒸気流を提供することができる。
【0058】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義された冷媒システムと、BOG流に対して熱交換するための熱交換器とを含む、液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流を冷却するための装置が提供される。
【0059】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義されている液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流を冷却する方法を有する容器を設計または統合的に設計する方法が提供される。
【0060】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載されたものと同一または類似のステップを含む、液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流を冷却する方法に使用するシステムを設計または統合的に設計する方法が提供される。
【0061】
本発明のさらに別の態様によれば、冷媒を用いて液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流を冷却するプロセスを設計する方法であって、本明細書に記載されているのと同じまたは類似のステップを含む方法が提供される。
【0062】
本発明のさらに別の態様によれば、液化ガスタンクからのボイルオフガス(BOG)流を冷却する方法に使用するシステムを設計する方法であって、本明細書に記載されているのと同じまたは類似のステップを含む方法が提供される。
【0063】
本明細書で説明する設計方法は、関連する操作機器および制御装置を全体的な容器構造に組み込むためのコンピュータ支援プロセスを組み込んでもよく、関連するコスト、操作能力のパラメータを方法論および設計に組み込んでもよい。本明細書に記載されている方法は、コンピュータでの読み取りおよび処理に適した媒体にエンコードされてもよい。例えば、本明細書で説明した方法を実行するためのコードは、パーソナルコンピュータまたはメインフレームコンピュータで読み取りおよびコピーができる磁気媒体または光学媒体にエンコードしてもよい。そして、そのようなパーソナルコンピュータまたはメインフレームコンピュータを使用して、設計エンジニアがこの方法を実行してもよい。
【0064】
本発明は、マルチストリーム熱交換器、特にプレートフィン式熱交換器を用いた極低温用途において、特定の側流を熱交換器の外側の上向きに流れる内部の流れと合流させるという便利な配置を提供する。合流されたまたは複合された流れは、その後、合流前の元の内部流の方向に沿って進むことができる。
【0065】
任意で、本発明は、マルチストリーム熱交換器に関するものであり、この交換器内の主な流路方向が少なくとも上向きであり、典型的には、垂直または傾斜しており、熱交換器の高温端が低温端よりも物理的に上に位置する。
【0066】
引き出された温熱第1冷媒流とオイル含有流との複合化または合流のプロセス、位置決めまたは配置には、熱交換器内の任意の適切な配置を使用してもよい。これには、1つ以上の合流パイプまたはパイプラインが含まれるが、これらに限定されず、任意に、各流を多数の経路に分散させ、好ましくは、例えばプレートフィン式熱交換器で起こり得るような、多数の経路にわたる均等または一貫した合流を提供することが可能である。
【0067】
任意で、温熱第1冷媒流とオイル含有流との合流は、熱交換器からの第1温熱冷媒流の引き出しよりも(熱交換器の向きに関して)物理的に高くてもよいが、本発明は、これに限定されない。
【0068】
任意で、熱交換器への、オイル含有流の進入、または、第1温熱冷媒流の再進入、または前記流れの両方の進入は、第1温熱冷媒流の引き出しの位置の近くまたは異なる位置であって、典型的には、中間出口ポートの位置の近くまたは隣接した位置にあってもよく、これにより、前記流れまたは流れの戻り温度が中間出口ポートでの温熱第1冷媒流の温度と同じまたは類似する。
【0069】
本発明は、1つ以上のさらなる流れを、第1冷媒流およびオイル含有流のいずれかまたは両方と複合することを含む。
【0070】
本発明は、3つ以上の温度ゾーンを有する熱交換器を含んでもよい。典型的には、BOG流を冷却する方法に関与する熱交換器は、その「長さ」に沿った温度範囲を有し、典型的には「寒い/最も寒い/冷たい/より冷たい端」から「熱い/最も熱い/暖かい/より暖かい/より熱い端」へと向かう。典型的には、熱交換器は、その長さに沿って1つ以上の温度勾配を持ち、ある温度ゾーンおよび別の温度ゾーンの間に明確な温度境界が存在しないようになっている。本発明は、添付の
図2および
図3で「ゾーンA」および「ゾーンB」という用語を用いて説明されているが、これは、純粋に、コンプレッサからの典型的なオイルを凍結し得る熱交換器内の領域と、温度がオイルの凝固点を超える領域との間の温度ポイントまたはラインまたは境界の概念を説明するためである。本明細書では、ある領域またはゾーンの「温度」という表現は、その領域またはゾーン内のすべての点の温度が所望のまたは定義された温度を有することに関して使用され、領域またはゾーン間のあらゆる温度のばらつきを許容する。
【0071】
当業者は、種々の冷媒圧縮機の潤滑油を含む種々のオイルが色々な凝固点温度を有する場合があり、熱交換器の任意の部分でオイルの凝固点よりも低いまたは高い部分の位置が変動することを認識する。しかし、どのようなBOG液化システムも、1つ以上の公知の潤滑油を使用する1つ以上の公知の冷媒圧縮機を用いて構築されるので、特定の冷凍または液化システムの圧縮機のオイル凝固点は、事前に決定され、熱交換器内に形成されるべき中間ポートまたは各中間ポートの位置をプラントの製造者が事前に決定できるようになっている。
【0072】
液化熱交換器システムが複数の熱交換器ユニットから構成される場合、本発明は、第1ユニットおよび第2ユニットの相対的な位置関係によって限定されるものではなく、連続していても分離していてもよい。
【0073】
本発明で使用される任意のSMR流の成分の組成および/または比率は、本発明の各配置において最良の効果を得るために変化させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0074】
次に、本発明の実施形態および実施例を、例示としてのみ、添付の概略図面を参照して説明する。
【0075】
【
図1】
図1は、先行技術のSMRシステムを用いてBOG流を冷却する先行技術の方法を示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の領域200の簡略化された概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態を用いてBOG流を冷却する方法の一部を示す簡略化された概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施形態によるBOG流の冷却方法を示す概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施形態によるBOG流の冷却方法の概略図であり、そして、
【
図6】
図6は、本発明の別の実施形態によるBOG流の冷却方法を示す概略図である。
【0076】
関連する場合、同一の参照数字は、同一または類似の特徴を表すために異なる図で使用される。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図1は、本明細書の上記で説明した先行技術の配置であり、SMR再循環システムおよび給油式スクリュー圧縮機2を用いて圧縮されたBOGの再液化を達成するために、外部冷媒回路およびカスケード13に基づく装置を必要とする。
【0078】
図2は、
図1の領域200の簡略化された概略図を示しており、この図では、第1冷媒流34は、最も低い温度で交換器7に入り、説明のみを目的として指定された「ゾーンA」という領域に入り、その中では、熱交換器7内の温度は、流れ34内に残っている任意の圧縮機潤滑油が凍結するのに十分なほど、低い。しかし、流れ34は、目詰まりによる熱交換器7の重大な閉塞または誤操作を引き起こすのに十分な油分を有してはならない。
【0079】
この流れ34は、熱交換器7内を通過する他のより高温の流れ(
図1の交換器12からのBOG流など。図示せず)によって加熱され、そのエンタルピーは、熱交換器7を上方に通過するにつれて増加し、その結果、温度および/またはその蒸気分率が増加する。
【0080】
交換器7内のより暖かい点(すなわち、図示のより暖かい「ゾーンB」内)で、および、冷たい流れの入口ポートよりも物理的に高い位置で、膨張したオイル含有流42(通常、凍結すると交換器7の目詰まりを引き起こすような十分なオイル分を含有する)を交換器7内に注入し、温熱流と合流させて、上述した元の冷たい流れの経路に沿って続く、複合流28を生成する。
【0081】
「ゾーンB」は、注入された流れ42のオイルが凍結しないほど十分に暖かい。また、
図2に示す配置が適切に設計されていれば、設計条件において交換器7内に十分な上向きの速度があり、流れ42に含まれるあらゆるオイルが常に、そして唯一、複合流28内で上向きに運ばれることが保証される。
【0082】
しかし、プロセスが設計条件で動作しない場合(例えば、部分負荷で動作している、外部のプロセス外乱が発生している、またはシャットダウンされているなど)、複合流28の速度が、オイル含有流42によって導入された油粒子の終端速度よりも低くなる可能性がある。このような事象が発生すると、油粒子が「ゾーンA」に落下し、そこで凍結して交換器7を詰まらせてしまう。すると、熱交換器7にアクセスして、詰まったオイルおよび/またはその固体成分を物理的または化学的に除去するために、冷却プロセス全体をシャットダウンする必要があり、望ましくない遅延およびコストの問題が生じる。
【0083】
本発明は、オイルが熱交換器の最も冷たい、典型的には、極低温のセクションに入ることができないように物理的に防止することによって、上述の問題を回避する代替的な配置を提供するものである。
【0084】
図3は、本発明の説明図である。
図3は、上向きに流れる第1冷媒流34が、まず入口ポート49を介して熱交換器50内の図示の温度「ゾーンA」に入り、次に、図示のより暖かい温度「ゾーンB」に入り、出口ポート60を介して温熱冷媒流52として引き出される様子を示している。そして、温熱冷媒流52は、ゾーンBの入口ポート43を介して熱交換器50に戻される。
【0085】
一方、オイル含有冷媒流42も、ゾーンBの入口ポート63を介して熱交換器50に入り、その後、1つ以上の経路である適切な合流点47で組み合わさり、複合冷媒流54を形成するようになっている。この複合流54は、上向きに流れ続けて、複合出口流28として、温熱出口ポート72を介して熱交換器50を出る。熱交換器50は、
図2の熱交換器7とは異なり、第1冷媒流34を引き出すための追加の引き出しポート60を有している。
【0086】
このようにして、仮に、熱交換器50内の複合流54の流れが、流れの速度がオイル含有流42内に導入された油粒子の終端速度を下回るほど低すぎる場合でも、オイルまたは油粒子は、熱交換器50の「ゾーンA」内に落下または降下することができない。なお、該「ゾーンA」では、オイルまたは油粒子が凍結し、上述したように熱交換器50に問題およびあり得る損傷を引き起こすであろう。
【0087】
図2の配置と比較して、
図3の配置は、オイルのあり得る流路が、オイルの凍結温度が存在する熱交換器のセクションに入ることができないように、物理的に隔離する。
【0088】
図4は、本発明の第1の一般的な実施形態による、液化ガスタンクからのボイルオフガス流を冷却する方法であって、単一混合冷媒(SMR)を使用し、冷却されたBOG流を提供するために、液化熱交換器システムにおいてBOG流をSMRと熱交換するステップを少なくとも含み、SMRがSMR再循環システム内に提供される方法を示す。
【0089】
より詳細には、
図4は、1つ以上のLNGカーゴタンク(図示せず)から提供され、圧縮機(これも図示せず)で既に圧縮されているBOG流20を示す。BOG流20は、第1の周囲熱交換器14において、容易に利用可能な冷却媒体(例えば、海水、淡水、エンジンルーム冷却水、空気)を用いて、および/または、冷媒カスケード13から流れ30を介して供給される外部冷媒の部分流32を用いる熱交換機12を用いて、任意に周囲冷却される。この任意に冷却された(および圧縮された)BOG流は、次に、液化熱交換器システム62に通される。
【0090】
液化熱交換器システム62は、2つ以上の流れの間、任意に複数の流れの間での、熱交換を可能にすることができる1つ以上の熱交換器の任意の形態または配置を含んでいてもよく、任意に、システムの一部または部分において、特にBOG流と冷媒の1つとの間で、1つ以上の他の流れと逆流する少なくとも1つの流れを有していてもよい。1つ以上の熱交換器の任意の配置は、直列、並列、または直列と並列の組み合わせであってもよく、熱交換器は、分離していても、結合していても、連続していてもよく、任意に単一の冷却ユニットまたはボックス内にあり、任意に、BOG流を液化するためにBOG流と必要な熱交換を行う1つ以上のステージの形態であってもよい。
【0091】
1つ以上の熱交換器からなる液化熱交換システムは、一般に、セクション、ユニット、またはステージが、その中の平均温度の意味で、他のセクション、ユニット、またはステージよりも「暖かい」。
【0092】
適切な液化熱交換器システムのいくつかの変形例を、以下で議論し、示す。当業者は、他の変形例を認識することができ、本発明は、それによって限定されるものではない。
【0093】
図4に示す一般的な液化熱交換器システム62では、冷却された(および圧縮された)BOG流は、より冷たい流れによって凝縮され、凝縮されたBOG流は、パイプライン21を介して交換器システム62を出て、LNGカーゴタンクに戻ることができる。
【0094】
SMRシステムでは、冷媒レシーバ1からのSMR冷媒ガス22の初期流が、給油式スクリュー圧縮機2に送られる。給油式スクリュー圧縮機は、当技術分野でよく知られており、ここではさらなる説明はしない。給油式スクリュー圧縮機は、産業界で十分に実績があり、特に小規模または少量の圧縮のための費用対効果に優れており、一部の、おそらくは微細な量のオイルが、圧縮機を通過するガスに巻き込まれ、その結果、そこから排出されるガスの一部となるという欠点を有することが知られている。
【0095】
図4では、1つの給油式スクリュー圧縮機2を用いて初期SMR流22を圧縮すると、圧縮後SMR流23が得られ、この流れ23は、任意にフィルタを有する第1のオイル分離器3に入り、第1のオイル分離器3は、圧縮後SMR流23を分離して、油性流25と第1のSMR蒸気流24を提供する。オイルの大部分は、典型的には、重力および/または濾過によって、分離器3で除去される。回収された油性流25は、パイプラインに排出され、圧力差または任意のオイルポンプ4によって、オイルがオイルクーラー5に送られてオイルが冷却され、その後、流れとしてコンプレッサ2に再注入される。
【0096】
第1のSMR蒸気流24は、ほぼオイルフリーであるが、ある程度のオイルキャリーオーバーを含んでいる。第1のSMR蒸気流24は、容易に入手可能な冷却媒体(例えば、海水、淡水、エンジンルーム冷却水、空気)を用いる第2の周囲熱交換器6で冷却され、別の回路13を用いて別の冷却器11でさらに冷却されて分離器8に送られる。分離器8は、液化熱交換器62に通過する蒸気流26を第1冷媒として供給し、冷媒は、冷却され、少なくとも部分的に凝縮される。
【0097】
一方、気液分離器8は、一般に液体および残留オイル量からなる底部液相SMR流29を提供する。その後、オイル含有液相SMR流29の圧力をフラッシュバルブ9によって低下させることができ、その結果、一部の気化およびそれに伴う温度の低下が生じて、少なくとも部分的に気化された液相オイル含有SMR流42を提供する。
【0098】
図4では、第1冷媒蒸気流26は、一部または全部が凝縮するまで冷却され、凝縮したSMR流27として熱交換器システム62を出る。その後、絞り弁10を介して圧力が低減され、部分的な気化と温度低下とをもたらして、膨張した最低温度SMR流34を提供する。膨張された最低温度SMR流34は、SMRシステム内で最も低温のSMR冷媒流であり、給油式スクリュー圧縮機2内のオイルのオイル凍結温度またはオイル固化温度よりも低い温度を有する。
【0099】
膨張した最低温度のSMR流34は、入口ポート49を介して熱交換器62に送り返され、そこで加熱されながら気化し、そうすることで熱交換器システム62内の温熱流を冷却して、冷却する役目の大部分を果たす。次に、温熱SMR冷媒流は、ポート60を介して引き出されて、温熱SMR冷媒流52を提供することができ、この冷媒流は、入口ポート63を介して熱交換器62に戻される。一方、液相オイル含有SMR流42も、適切かつ別個の入口ポート(図示せず)を介して熱交換器に通過し、次いで、熱交換器62内の適切な位置または場所で、温熱SMR冷媒流52と複合または合流して、単一または複合流54を形成する。複合流54は、熱交換器システム62を通過して温熱出口ポート72を通って出て行き、冷却後の蒸気流28として出て、冷媒レシーバ1に戻される。
【0100】
図5は、本発明の第2の一般的な実施形態による、液化ガスタンクからのボイルオフガス流を冷却する方法であって、単一混合冷媒(SMR)を使用し、液化熱交換器システムにおいてBOG流をSMRと熱交換して冷却されたBOG流を提供するステップを少なくとも含み、SMRがSMR再循環システムに設けられている方法を示す。
図4と比較して、
図5に示す方法では、外部カスケード13を必要としない。明確にするために、
図4から7に示した熱交換器の入口および出口ポートのすべてが特にラベル付けされているわけではない。
【0101】
図5は、1つ以上のLNGカーゴタンク(図示せず)から供給され、圧縮機(これも図示せず)で既に圧縮されたBOG流70を示す。BOG流70は、第1の周囲熱交換器64において、容易に入手可能な冷却媒体(例えば、海水、淡水、エンジンルーム冷却水、空気)を用いて、任意に周囲冷却される。この任意に冷却された(および圧縮された)BOG流71は、次に、液化熱交換器システム57(典型的には、ろう付けアルミニウムプレートフィン式熱交換器)に送られ、ここで、冷却された(および圧縮された)BOG流71は、SMR再循環システム101において、本明細書で上述した、より冷たい流れによって凝縮され、パイプライン73を介して交換器システム57を出て、任意にLNGカーゴタンクに戻る。
【0102】
SMRシステム101では、冷媒レシーバ51からのSMR冷媒ガス74の初期流が、給油式スクリュー圧縮機65に送られる。オイルは、圧縮機を通過するガスに巻き込まれることがあり、その結果、そこから排出されるガスの一部となる。
【0103】
図5では、1つの給油式スクリュー圧縮機65を用いて初期SMR流74を圧縮すると、圧縮後SMR流75が提供され、この流れ75は、任意にフィルタを有するオイル分離器53に入り、この分離機53は、圧縮後SMR流75を分離して、油性流76および第1のSMR蒸気流79を提供する。オイルの大部分は、典型的には、重力および/または濾過によって分離器53で除去される。回収された油性流76は、パイプラインに排出され、圧力差または任意のオイルポンプ66がオイルを流れ77に送り、オイルクーラー55がオイルを冷却し、冷却されたオイルが、流れ78として圧縮機65に再注入される。
【0104】
第1のSMR蒸気流79は、ほぼオイルフリーであるが、ある程度のオイルキャリーオーバーを含む。第1のSMR蒸気流79は、第2周囲熱交換器56において、容易に利用可能な冷却媒体(例えば、海水、淡水、エンジンルーム冷却水、空気)を用いて冷却され、より低温の第1蒸気流80を提供する。冷媒の組成および圧力、ならびに第2の周囲熱交換器56で達成される温度に応じて、SMRのいくらかの凝縮が起こり始める場合がある。
【0105】
冷却された第1蒸気流80は、液化熱交換器システム57に通過し、そこで冷媒が冷却され、少なくとも部分的に凝縮される。冷却される温度は、オイルの固化温度よりも高い。冷却された第1のSMR蒸気流81は、液化熱交換器システム57に沿って中間温度で取り出され、気液分離器58に入る。分離器58では、一般的に液体および残留オイル量からなるオイル含有液相SMR流82が、流れ82として経由して排出され得る。
【0106】
分離器58では、オイルフリー(または本質的にオイルフリー)のSMR蒸気流84が熱交換器システム57に送られる。
図5では、オイルフリーのSMR蒸気流84は、中間温度で、任意に、冷却された第1のSMR蒸気流81の引き出し時の温度と同様の温度で、熱交換器システム57に入る。熱交換器システム57において、このオイルフリーSMR蒸気流84は、一部または全部が凝縮するまで冷却され、凝縮したSMR流85として熱交換器システム57を出る。その後、絞り弁61を介して圧力を下げ、部分的な気化と温度低下をもたらし、膨張した最低温度SMR流86を提供する。膨張した最低温度SMR流86は、SMRシステム101内で最も低温のSMR冷媒流であり、給油式スクリュー圧縮機65内のオイルのオイル固化温度以下の温度を有する。
【0107】
膨張した最低温度のSMR流86は、熱交換器システム57に送り返され、そこで加熱されて温熱SMR冷媒流67となり、そうすることで、熱交換器システム57内の温熱流を冷却して、冷却役目の大部分を果たす。
【0108】
次に、温熱SMR冷媒流67は、適切な中間出口ポートを介して引き出されて、外部SMR流68を提供し、その後、中間出口ポートと同じレベルまたは場所の近くにある適切な入口ポートを介して熱交換器57に戻ることができる。
【0109】
一方、オイル含有液相SMR流82の圧力は、フラッシュバルブ59によって低下させることができ、その結果、一部の気化およびそれに伴う温度の低下が生じる。SMRシステム101は、この低い温度が依然としてオイルの固化温度以上であるように設計される。膨張した流れ83は、適切な入口ポートを介して熱交換器57に送られ、その後、戻されたSMR流と合流して、熱交換器57の内部で単一のまたは複合した流れ69を形成する。複合流69は、熱交換器システム57を通過して出て行き、冷却後の蒸気流89として出て行き、冷媒レシーバ51に戻される。
【0110】
図5に示す液化熱交換器システムは、2つ以上の流れの間、任意に複数の流れの間で熱交換を行うことができる1つ以上の熱交換器の任意の形態または配置で構成することができ、任意に、システムの一部または部分において、特にBOGの流れと冷媒の1つとの間で1つ以上の他の流れと逆流する少なくとも1つの流れを有する。複数の熱交換器の任意の配置は、直列、並列、または直列と並列との組み合わせであり、熱交換器は、分離していても、結合していても、連続していてもよく、任意に単一の冷却ユニットまたはボックス内にあり、任意に、BOG流を液化するためにBOG流と必要な熱交換を行う1つ以上のステージの形態である。
【0111】
複数の熱交換器からなる液化熱交換システムは、一般的に、1つのセクション、ユニット、またはステージが、その中の平均温度の意味で、他のセクション、ユニット、またはステージよりも「暖かい」。
【0112】
適切な液化熱交換器システムの変形例は、2つの熱交換器からなる液化熱交換器システムを含めて公知である。当業者は、本発明の範囲内で実施可能な他の変形例を認識している。
【0113】
例えば、
図5に示す単一の液化熱交換器システムの代わりに、第1および第2の並列液化熱交換器システムを使用することができ、それぞれが本発明によるBOG流を冷却する方法を使用し、場合によっては、
図5の冷却された第1の蒸気流80または膨張された最低温度SMR流86のいずれか、または同様の流れを分割して、各熱交換器のための分割流を形成することに基づいて、使用することができる。第1および第2の液化熱交換器システムは、同一または類似のもの、すなわち、同一または類似のサイズおよび/または容量を有するものであり得るが、本発明は、第1および第2の液化熱交換器システムが異なるもの、例えば、異なるサイズまたは容量を有するものにも及ぶ。
【0114】
2つの熱交換器システムの利点は、特に貨物船上の限られたまたは制限された空間または間隔内で、熱交換器システムをよりよく収容することを可能にし、および/または、特に再液化されるBOG流の量または性質の変動によって、その変動があるかもしれない場合に、必要な負荷、積載義務、冷却、冷却義務を共有することを助ける。
【0115】
図6は、本発明の別の実施形態による、液化ガスタンクからのボイルオフガス流を冷却する方法であって、単一混合冷媒(SMR)を使用する方法を示す。
図6は、1つ以上のLNGカーゴタンクから提供され、本明細書で上述した本発明の第1、第2および第3の実施形態に関連して説明した方法で再液化を必要とするBOG流70を示す。
【0116】
図6は、2つの液化および分離システム、110Aおよび110Bを示す。各システムは、
図5の110とラベル付けされた部分に基づいており、液化熱交換器システム57、気液分離器58、およびそれに関連する流れおよびパイプラインで110の境界内にあるものを包含する。
【0117】
したがって、
図6は、2つの別々の液化および分離システム110Aおよび110Bの提供を表す。
【0118】
図6は、冷却された第1の蒸気流80の分割と、任意に冷却されて圧縮されたBOG流71の分割とを、分割されたBOG流71Aおよび71Bに示しており、分割された各流れは、それぞれの第1および第2の液化および分離システム、110Aおよび110Bに入る。
図6は、また、第1および第2の液化および分離システム、110Aおよび110Bによって提供される、結果的に生じた液化BOG流73Aおよび73Bを示しており、これらの流れは、その後、上述のように単一の戻りBOG流73に複合することができる。
【0119】
第1および第2の液化および分離システム、110Aおよび110Bのそれぞれの温度および/または操作は、
図5のシステム110について示されているものと同じまたは異なるものであり得る。
図6に示す本発明の実施形態は、本明細書で説明した利点をユーザに提供し、特に、液化および分離システムの位置および/または場所におけるいくつかの変形、および/または、典型的には、再液化されるべきBOGの供給における変形に起因する、液化および分離システム110Aおよび110Bのそれぞれの容量における変形を許容するものである。
【0120】
当業者は、本発明が、3つ以上のユニット、ステージ、フレーム等の使用、例えば、3つ以上の液化熱交換器の使用、3つ以上の気液分離器の使用等によって提供されることができ、それによって提供されるBOGを冷却するための最も効率的な全体的方法を提供する一方で、1つのSMR冷媒システムの提供を必要とするだけであることを理解し得る。
【0121】
本発明は、BOG冷却用の冷媒サイクル、特にLNG再液化用の冷媒サイクルを改良したもので、冷媒システムに対費用効果の高い給油式スクリュー圧縮機を使用することができる。本発明は、また、第1冷媒流およびオイル含有冷媒流の流量または流速が異なる可能性に対応することができ、オイル含有冷媒流の流量または流速の変動に起因するオイルの凍結や熱交換器の目詰まりの可能性に関して、プロセスの使用者の懸念が、軽減される、または、ゼロになる。さらに、凍結したオイルを除去するために、熱交換器のメンテナンスを定期的に行う必要性が、特に熱交換器の中で、典型的には最も冷たい部分や、少なくともオイルの凝縮点以下の温度で動作している部分では、減少または完全に除去される。
【国際調査報告】