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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(54)【発明の名称】導入方法及びデポジッタプレート
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/50 20060101AFI20221026BHJP
   A23G 1/54 20060101ALI20221026BHJP
   A23G 1/21 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
A23G3/50
A23G1/54
A23G1/21
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511115
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2020073506
(87)【国際公開番号】W WO2021037727
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】19194283.8
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】エステバネス ビジャコルタ, フアン
(72)【発明者】
【氏名】クリア, セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ボリソフ, ボリスラフ, ズドラヴコフ
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB01
4B014GB04
4B014GE04
4B014GG09
4B014GQ07
4B014GU04
4B014GU23
(57)【要約】
菓子製品、好ましくはチョコレート製品のシェルを製造するための方法及び装置。本発明は、1つ以上の含有物をモールドキャビティ内に導入する工程と、複数のノズルを備えるデポジッタプレートを通してモールドキャビティ内に食品製品を導入する工程と、を含む。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側から見える含有物を含む菓子製品を製造する方法であって、
1つ以上の含有物をモールドキャビティ内に導入する工程と、
デポジッタプレートを通して前記モールドキャビティ内に食品製品を導入する工程であって、前記デポジッタプレートが、前記食品製品の少なくとも一部分を前記モールドキャビティの壁の方に導くように構成された複数のノズルを備える、工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のノズルは、
前記食品製品の第1の量を前記モールドキャビティの中央部分の方に導くように構成された第1のノズル群と、
前記食品製品の第2の量を前記モールドキャビティの前記壁の方に導くように構成された第2のノズル群と、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のノズル群のノズルが、前記第1のノズル群に対して円周方向に配列されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のノズル群のノズルが、前記第1のノズル群のノズルの軸線に対して角度を付けられている、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記デポジッタプレートが、追加のモールドキャビティ内に前記食品製品を導入するための追加のノズル群を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記モールドキャビティ内にスタンプを挿入して前記食品製品を前記モールドキャビティの前記壁の方に押し付けて、菓子材料用のシェルを形成する追加の工程を含み、
前記スタンプの第1の部分が、前記モールドキャビティの形状に概ね相補的な形状を有し、前記スタンプの前記第1の部分の外面の中央領域と前記モールドキャビティの内面との間の距離が前記1つ以上の含有物の直径よりも大きくなるように、前記モールドキャビティに入り込み、
前記スタンプの第2の部分が、前記モールドキャビティに入り込まない、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記スタンプの前記第2の部分が、前記第1の部分に近接して位置する面取り部を追加的に備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スタンプの前記第2の部分が、前記モールドキャビティの縁部に当接する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上の含有物をモールドキャビティ内に導入する工程は、含有物デポジッタを通してモールドキャビティ内に1つ以上の含有物を導入する工程を含み、前記含有物デポジッタは、
1つ以上の穴を備える上部プレートと、
1つ以上を含む下部プレートであって、前記中間プレートは、前記1つ以上の含有物の導入中に前記モールドキャビティに近接して配置されている、下部プレートと、
1つ以上の穴を備える中間プレートであって、前記上部プレートと前記下部プレートとの間に配置されている、中間プレートと、を備え、
前記中間プレートが、前記中間プレートの前記1つ以上の穴が前記上部プレートの前記1つ以上の穴と整列する第1の位置と、前記中間プレートの前記1つ以上の穴が前記下部プレートの前記1つ以上の穴と整列する第2の位置との間で摺動可能であり、
前記1つ以上の含有物を前記モールドキャビティ内に導入する間に、前記1つ以上の含有物が、前記上部プレート、前記中間プレート、及び前記下部プレートを順次通過する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記含有物デポジッタの前記下部プレートの前記1つ以上の穴が、前記含有物デポジッタの前記上部プレートの前記1つ以上の穴の直径よりも大きい直径を有し、
前記中間プレートの前記1つ以上の穴が円錐形状を有し、前記中間プレートの前記1つ以上の穴が、前記上部プレートの前記1つ以上の穴の直径に等しい最小直径を有し、前記中間プレートの前記1つ以上の穴が、前記下部プレートの前記1つ以上の穴に等しい最大直径を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記上部プレートの前記1つ以上の穴が、前記下部プレートの前記1つ以上の穴から横方向にオフセットされている、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記食品製品を前記モールドキャビティ内に導入した後に、前記モールドキャビティを振動させる追加の工程を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
外側から見える含有物を含む菓子製品を製造するための方法であって、請求項6から12に記載の外側から見える含有物を含む菓子製品を製造する方法の工程を含み、
前記モールドキャビティから前記スタンプを取り除いた後、前記菓子製品用の前記シェルのキャビティ内に第2の食品製品を導入する工程と、
第2のデポジッタプレートを通して前記モールドキャビティに第3の食品製品を導入する工程であって、前記第2のデポジッタプレートが、前記第3の食品製品を前記モールドキャビティ上に導いて前記第1及び第3の食品製品内に前記第2の食品製品を封止するように構成された複数のノズルを備える、工程と、を更に含む、方法。
【請求項14】
含有物をモールドキャビティ内に導入するための含有物デポジッタであって、
1つ以上の穴を備える上部プレートと、
1つ以上を含む下部プレートであって、前記中間プレートは、前記1つ以上の含有物の導入中に前記モールドキャビティに近接して配置される、下部プレートと、
1つ以上の穴を備える中間プレートであって、前記上部プレートと前記下部プレートとの間に配置される、中間プレートと、を備え、
前記中間プレートが、前記中間プレートの前記1つ以上の穴が前記上部プレートの前記1つ以上の穴と整列する第1の位置と、前記中間プレートの前記1つ以上の穴が前記下部プレートの前記1つ以上の穴と整列する第2の位置との間で摺動可能である、含有物デポジッタ。
【請求項15】
外側から見える含有物を含む菓子製品用のシェルの製造に使用するためのデポジッタプレートであって、
食品製品の少なくとも一部をモールドキャビティの壁の方に導くように構成された複数のノズルを備える、デポジッタプレート。
【請求項16】
菓子製品の製造に使用するためのスタンプであって、
前記モールドキャビティに入り込むように構成された第1の部分であって、前記スタンプの前記第2の部分が、前記モールドキャビティの形状に相補的な形状を有し、前記第1の部分が前記モールドキャビティ内に挿入されたときに前記スタンプの前記第1の部分の外面と前記モールドキャビティの内面との間の距離が前記1つ以上の含有物の直径よりも大きくなるように、前記第1の部分が形成されている、第1の部分と、
前記モールドキャビティに入り込まないように構成された第2の部分と、を備える、スタンプ。
【請求項17】
外側から見える含有物を含む菓子製品を製造するための装置であって、
請求項14に記載の含有物デポジッタと、
請求項15に記載のデポジッタプレートと、
請求項16に記載のスタンプと、を備える、装置。
【請求項18】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法に従って製造されたシェルを備える、菓子製品、又は請求項1から13のいずれか一項に記載の方法に従って製造された、菓子製品。
【請求項19】
前記食品製品がチョコレートを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法、又は請求項18に記載の菓子製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、但し限定的にではなく、外側から見える含有物(inclusion)を含む菓子製品を製造する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子製品は、通常、充填されたセンターと、例えばチョコレートから作製される外側シェルとで製造される。
【0003】
充填されたセンターを有する係る菓子製品を製造するための1つの既存の方法では、冷間形成法を使用する。冷間形成方法では、最初にチョコレートのシェルがモールド内に製造されてから、内部フィリングがシェル内に加えられる。チョコレートをモールドに加え、冷間スタンプをチョコレートに挿入して、スタンプの周りのチョコレートを押し込んでシェルを形成する。フィリングがシェル内に加えられた後、製品はチョコレートで裏打ちされ(すなわち、チョコレートの層がシェル及びフィリングの上部に導入(deposit)され)て、フィリングをシェル内に封止する。
【0004】
充填されたセンターを有する菓子製品を製造するための代替的な既存の方法は、いわゆる「シングルショット」導入である。この技術では、チョコレート及びフィリングが同時にモールド内に導入される。
【0005】
菓子製品は時には、製品の風味及び審美性を増進させるために、ナッツ又は果物又は種子などの含有物を含んで提供される。これらの含有物は、伝統的に、チョコレートの層で覆われている、又は囲まれており、よって常に外側から見えるわけではない。
【0006】
これらのプロセスによって、精巧かつ審美的な菓子を好都合に製造することが可能になる。
【0007】
しかしながら、本発明者らは、より容易に外側から見える含有物を有する菓子製品用のシェルを製造するための、確実かつ効率的なプロセスを提供する改善されたプロセスを特定した。したがって、それにより、美観が改善され、かつ菓子製品の視覚効果を生成するために必要な原材料の量が低減される。このプロセスを使用することにより、含有物はチョコレートシェル内に係止され、そのことで表面上には結合が弱い片が存在しない、又は非常に限定される。
【発明の概要】
【0008】
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0009】
本発明の第1の態様では、外側から見える含有物を含む菓子製品を製造する方法であって、1つ以上の含有物をモールドキャビティ内に導入する工程と、デポジッタプレートを通してモールドキャビティ内に食品製品を導入する工程であって、デポジッタプレートが、食品製品の少なくとも一部分をモールドキャビティの壁の方に導くように構成された複数のノズルを備える、導入する工程と、を含む、方法が提供される。
【0010】
したがって、本発明によれば、外側から見える含有物を有する菓子製品を製造するための方法が提供される。一例として、含有物は、ナッツ、果物、チョコレート、及び/又はビスケット、又は任意の他の好適な含有物であり得、食品製品は、チョコレート又は任意の他の好適な食品製品であり得る。
【0011】
好ましい実施形態では、本発明は、菓子製品用のシェル、菓子製品のタブレット(例えば、板チョコ)又は菓子製品片(例えば、ボンボン)を製造する方法を提供する。上記の各々は、フィリングで充填されていてもよく、充填されていなくてもよい。以下の好ましい実施例は菓子シェルを参照して記載されているが、実施形態は、適切な場合には、タブレット又は菓子片を製造するために適用可能であり得る。
【0012】
好ましい実施形態では、菓子製品は、シェル内に少なくとも1つのウェハシートを含み得る。シェルはまた、フィリング及び少なくともウェハ上のシートを含み得る。ウェハシートは、個々に、又はフィリングとの複合層状構造として組み込まれ得る。
【0013】
更に、一例として、チョコレート材料は、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、又はホワイトチョコレートであり得る。チョコレートシェル材料は、少なくとも1種の脂肪を含む。脂肪は、ココアバター、乳脂肪、ココアバター相当品(CBE)、ココアバター代用品(CBS)、標準環境温度と圧力(SATP、25℃及び100kPa)では液体である植物性脂肪、又は上記の任意の組み合わせであり得る。特定の実施形態では、チョコレートシェル材料はココアバターを含む。
【0014】
食品製品の少なくとも一部をモールドキャビティの壁の方に導くように構成された複数のノズルを備えるデポジッタプレートを通して、食品製品を導入することによって、本方法は、導入した食品製品がモールドキャビティ全体に広げられるか、又は導かれることを有利に確実にする。
【0015】
好ましくは、食品製品は、導入するときには液体形態である。これは、食品製品、好ましくは液体チョコレート又は液体化合物を加熱することによって達成され得る。「液体」という用語は、当該技術分野で標準的なもの、すなわち力(例えば、重力又は印加された力)の下で流動性があることを意味する。液体を提供してチョコレートを導入するための温度及び時間は当該技術分野において既知であり、例えば、28~32℃の間である。好ましい実施形態では、加熱されたチョコレート又は化合物は、1000~15000mPas、好ましくは5000~10000mPasの粘度を有する。
【0016】
一実施形態では、食品製品は、液体形態に調質される、例えば、は40~45℃の温度に加熱され、次いで28~32℃まで冷却される。
【0017】
モールド活性の壁は、概して、モールドキャビティの非中央側部である。例えば、長方形(又はほぼ長方形)断面の菓子製品用のモールドキャビティでは、モールドキャビティの壁は、モールドキャビティの実質的に垂直な側部である。同様に、半円形(又はほぼ半円形)断面の菓子製品については、モールドキャビティの壁は、モールドキャビティの非中央側部である。
【0018】
食品製品の一部分をモールドキャビティの壁の方に導くことは、複数の異なる形態をとることができる。例えば、食品製品を、デポジッタプレートの表面に垂直なノズルを通して導いて、食品製品を垂直方向に導入することができる。モールドキャビティの壁の角度により、食品製品は、この構成を使用してモールドキャビティの壁に向けることができる。
【0019】
代替例として、ノズルの軸線は、デポジッタプレートの表面に対して角度を付けられ得る。したがって、食品製品は、この代替的な構成でモールドキャビティの壁の方に導かれ得る。
【0020】
更に、食品製品の一部をモールドキャビティの壁の方に導くことに加えて、デポジッタプレートは、食品製品の一部分をモールドキャビティの中央部分の方に追加的に導くことができる。
【0021】
食品製品をモールドキャビティの壁に分配することにより、食品製品全体がモールドの中央に導入されて含有物を食品製品内に包み込むのを防ぐ。これは、含有物が最終的な菓子製品において外側から見えることを確実にするのに役立ち、したがって、消費者に対する美観を改善し、より魅力的な製品をもたらす。
【0022】
更に、デポジッタプレートを使用することで、食品製品がモールドキャビティ内に導入されるときに含有物がモールドキャビティ内で変位する、又はモールドキャビティから排出されるのを防止する。これにより、含有物(例えば、果物又はナッツなどの高コストの高級原材料であり得る)が、それらが見える製品の周縁部に位置し、製品内の必要とされない箇所に含まれないことを確実にする。
【0023】
有利には、複数のノズルは、食品製品の第1の量をモールドキャビティの中央部分の方に導くように構成された第1のノズル群と、食品製品の第2の量をモールドキャビティの壁の方に導くように構成された第2のノズル群と、を備えてもよい。この様態でのノズルの構成は、食品製品がモールドキャビティ全体に導入されることを確実にする。
【0024】
一実施形態では、全ノズルは、モールドキャビティの開口部の表面積の以下のパーセンテージ、好ましくは2.5%~25%、好ましくは5%~20%、及び好ましくは7.5%~15%をカバーする。好ましい実施形態では、第1のノズル群(内側)は、モールドキャビティの開口部の表面積の以下のパーセンテージ、好ましくは1%~10%、好ましくは2%~8%、及び好ましくは3%~5%をカバーする。好ましい実施形態では、第2のノズル群(外側)は、モールドキャビティの開口部の表面積の以下のパーセンテージ、好ましくは1.5%~15%、好ましくは3%~12%、及び好ましくは4.5%~10%をカバーする。
【0025】
一実施形態では、全ノズルは、デポジッタプレートの各個々の製品(例えば、図3A、301)に対する導入領域の表面積の以下のパーセンテージ、好ましくは5%~40%、好ましくは10%~30%、及び好ましくは15%~25%をカバーする。好ましい実施形態では、第1のノズル群(内側)は、モールドキャビティの開口部の表面積の以下のパーセンテージ、好ましくは2%~15%、好ましくは3%~12%、及び好ましくは5%~10%をカバーする。好ましい実施形態では、第2のノズル群(外側)は、モールドキャビティの開口部の表面積の以下のパーセンテージ、好ましくは3%~25%、好ましくは7%~18%、及び好ましくは10%~15%をカバーする。
【0026】
上記のパーセンテージは、含有物を過度に変位させないようにモールドキャビティ内への食品製品の流れの好適な制御を可能にするが、最終製品中の含有物を食品製品にしっかりと取り付けることをも可能にする。この特徴は、好ましくは、以下のノズル構成と併せて機能する。更に、モールドキャビティのサイズよりも小さい導入領域を有することにより、無駄になる食品製品の量が最小化される。
【0027】
ノズルの形状は特に限定されないものの、好ましくは実質的に円形、正方形、長方形、三角形、六角形、五角形、八角形などであるが、好ましくは円形である。
【0028】
2つのノズル群が本明細書では記載されているが、当業者であれば、必要に応じて、食品製品をモールドキャビティ内に導入するために、任意の数のノズル群を使用することができることを理解するであろう。これ、含有物を菓子製品シェル内により正確に配置することができる。
【0029】
更に、第2のノズル群のノズルは、第1のノズル群に対して円周方向に配列され得る。係る配置は、例えば、ノズルを特定の方向に角度を付ける潜在的に複雑な製造技術を必要とせずに、食品製品をモールドキャビティの壁に向けることを可能にする。すなわち、第1及び第2のノズル群のノズルの軸線は、食品製品をモールドキャビティの壁に依然として導く一方で、デポジッタプレートの表面に対して垂直であり得る。
【0030】
好ましい実施形態では、互いに最も近い第1の群内のノズルと第2の群内のノズルの中心は、導入部(301)の半径の30%~70%、好ましくは40%~60%、及び最も好ましくは45%~55%にわたる距離だけ分離されている。例えば、図4Aを参照すると、線Aに沿って、左から右へのノズル312の中心とノズル311の中心との間の距離は、導入部301の半径の30%~70%である。これらの範囲は、導入が壁に十分に向けられて、また、含有物の位置及び固定性を制御するために十分に中央にあることを可能にする。
【0031】
一例として、第1のノズル群は4つのノズルを備え得、第2のノズル群は、第2のノズル群に対して実質的に中央に位置する第1のノズル群のノズルの周縁部の周りに位置する、8個のノズルを含み得る。ノズルの総数及びノズル群当たりのノズルの数は、特定の要件に適合するように容易に修正され得ることが理解される。
【0032】
例えば、第1のノズル群は、1~10個のノズル、好ましくは2~8個のノズル、より好ましくは3~6個のノズルを含み得る。更に、第2のノズル群は、4~20個のノズル、好ましくは6~16個のノズル、より好ましくは8~12個のノズルを含み得る。
【0033】
有利には、第2のノズル群のノズルは、第1のノズル群のノズルの軸線に対して角度を付けられ得る。この様態でノズル群を角度付けることにより、食品製品の配置に対するより良い制御をもたらすことによって、モールドキャビティ内の含有物の変位を回避するのに役立つ。
【0034】
ノズルの軸線は、モールドキャビティ内への導入中に食品製品がノズルを通って流れる方向におけるノズルの軸線である。ノズルの軸線は直線状であってもよく、又は、例えば、弧状であってもよく、導入中の食品製品の流れの方向においてより高い精度を可能にする。
【0035】
いくつかの実施形態では、デポジッタプレートは、食品製品を追加のモールドキャビティ内に導入するための追加のノズル群を備え得る。事実上、ノズル群のアレイを提供することによって、食品製品を、同時に充填することができるモールドキャビティのアレイ内に導入することができる。
【0036】
一例として、デポジッタプレートは、食品製品が導入中にノズルを通して排出される前に食品製品を収集するために、ノズル群が形成されるプレートに1つ以上の凹部を備え得る。各凹部は、概して、単一の菓子製品に対応する。しかしながら、単一の凹部は、複数の菓子製品に対応し得る。凹部ごとに複数のノズル群を設けて、単一の菓子製品に対して食品製品の一部を異なる角度で導くことができるようにしてもよい。
【0037】
このように、デポジッタプレートは、その中に複数のノズル群を各々有する凹部のアレイを含み得て、各凹部は、モールドキャビティのアレイ内の、菓子製品用の特定のモールドキャビティに対応する。
【0038】
これは、単一のデポジッタプレートを使用して複数の菓子製品用シェルを同時に製造することを可能にし、それによって生産速度及び効率を高めることを可能にする。
【0039】
いくつかの実施形態では、本方法は、スタンプをモールドキャビティ内に挿入して食品製品を冷却し、好ましくは食品製品をモールドキャビティの壁の方に押し付ける、追加の工程を含み得る。配置などにて、スタンプは、スタンプの第2の部分の外面の中央領域とモールドキャビティの内面との間の距離が含有物の最大寸法よりも大きくなるように、スタンプの挿入中にモールドに入り込むように構成されたスタンプの第1の部分(モールドキャビティの形状に相補的な形状を有し得る)と、スタンプの挿入中にモールドキャビティに入り込まないスタンプの第2の部分と、の2つの部分の形態であり得る。概して球状の含有物については、これは、例えば、1つ以上の含有物の直径であり得る。
【0040】
この様態におけるスタンプの使用は、含有物を破砕する(かつそれに損傷を与える)又は含有物を潰すことなく食品製品をモールドキャビティの形状に成形しながら、好ましくは追加的に(スタンプを完全に挿入することによって)食品製品がモールドキャビティからあふれることを防ぐのに有用である。
【0041】
スタンプの相補的な形状は、シェルの所望の外形及び使用されるモールドキャビティの特定の形状に依存する。例えば、断面半円形のモールドキャビティに対しては、すなわち、成形された側又は任意選択の平坦な底部ではなく側面から見た場合、半円形部分を使用することができ、スタンプの半円形部分の半径は、半円形モールドキャビティの半径よりも小さい。これにより、均一な厚さの半円形シェルが製造される。ここには、モールドキャビティの内面とスタンプの半円形部分の外面との間に食品製品(及び任意の含有物)の余地又は空間がある。
【0042】
一実施形態では、モールドキャビティは、湾曲した底面を備える。当業者であれば、具体的には、湾曲した底部の半径が、対応する菓子製品を製造するために使用される特定の含有物に適合され得て、それによって湾曲した底部と含有物との間の空間/角度を調整することができることを理解する。以下に指定される含有物の%及び/又は(好ましくは及び)含有物のサイズは、本発明の方法によって提供される視認性%を確保するのに役立つことに留意されたい。
【0043】
一実施形態では、モールドキャビティは、平坦な底面を備え得る。湾曲した面の利点は、含有物の視認性を最大化することである。
【0044】
一実施形態では、例えば、図5に点403で示すように、壁は垂直から角度を付けられ、好ましくは、底部側から成形側への垂直線に対して少なくとも1°、より好ましくは少なくとも5°、又は少なくとも10°傾斜している。最大傾斜は、好ましくは20°未満又は15°未満であり得る。したがって、この実施形態を例示するために、上方から見たときに上部成形面は円形であり、底面は、上部成形面から離れて壁が傾いていくにつれて、より大きな円である。
【0045】
底面の形状、例えば、裏打ちによって調製された表面は、限定されない。本発明の実施例では、この表面は円形であるが、正多面体であり得る。
【0046】
しかしながら、シェルが均一な厚さを有する必要があることは必須ではない。したがって、スタンプの形状は、モールドキャビティの形状に正確に相補的であり得るが(均一なシェル厚さを可能にする)、スタンプの形状は、シェルの厚さがシェルの異なる部分にわたって変化することを可能にするためにほぼ相補的であるだけであり得る。
【0047】
例えば、シェルの中央領域(含有物が位置する場合がある)は、シェルの側部又は周辺部分よりも大きな厚さを有し得る。
【0048】
スタンプの第2の部分の外面の中央領域とモールドキャビティの内面との間の距離が、1つ以上の含有物の直径よりも大きくなるように設定され得るが、その代わりに、その距離は、含有物への損傷を防止することを可能にする1つ以上の含有物の任意の他の好適な寸法又は体積に従って設定することができる。
【0049】
一例として、スタンプの第2の部分の外面の中央領域は、スタンプがモールドキャビティ内に完全に挿入されたときに、モールドキャビティの内面から3~6mm(例えば4mm)であり得、一方で(モールドキャビティの壁に対応する)スタンプの第2の部分の外面の非中央(又は側部)領域は、スタンプが完全にモールドキャビティ内に挿入されたときに、例えば、モールドキャビティの内面から2mm未満であり得る。
【0050】
有利には、スタンプの第2の部分は、スタンプをモールド内に完全に挿入するために、スタンプの挿入中にモールドキャビティの縁部に当接してもよい。(スタンプの第2の部分がモールドキャビティの縁部に当接するように)スタンプを完全に挿入することは、例えばモールドキャビティ内にスタンプを部分的にのみ挿入することと比較して、モールドキャビティの縁部付近を含むシェルの非中央(又は側面)部分におけるシェル厚さの制御を可能にする。
【0051】
しかしながら、スタンプは、代替的に、スタンプの第2の部分がモールドキャビティの縁部に当接しないように、モールドキャビティ内に部分的にのみ挿入され得る。この構成により、過剰の食品製品がモールドから出ることを可能にする。
【0052】
有利には、スタンプは、第1の部分と第2の部分との間に位置する面取り部を更に備え得る。面取り部は、モールドキャビティの開口部に近いシェルの表面積を増加させる。その結果、菓子製品の「裏打ち」中に作製された封止部の表面積が増加し、封止の品質を改善させる。面取り部は、例えば、第2の表面に対して約45度に角度を付けられ得るが、異なる角度の範囲が可能である。「裏打ち」という用語は、内容物を封入するために、菓子(又は他の)製品の開口端上に食品製品(例えばチョコレート)の層を置くプロセスを指す。
【0053】
この実施形態によれば、スタンプの温度は、スタンプをモールドキャビティ内に挿入したときに食品製品を少なくとも部分的に固化させるように選択され得る。これは、所望のシェル厚さを確実に製造することを可能にする。スタンプは、例えば、食品製品の特定の特性に応じて、約-5℃の温度又は-15℃又は-21℃まで冷却され得るが、特定の原材料に応じて他の温度が可能である。
【0054】
スタンプは、食品製品が固化できるよう、モールドキャビティ内の所定の位置に約2秒~5秒間保持することができるが、他の持続時間もまた、原材料によっては可能である。必要な正確な時間は、食品製品の特定の特性に依存する。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の含有物をモールドキャビティ内に導入することは、含有物デポジッタを通して導入することを含み得る。含有物デポジッタは、1つ以上の穴を備える上部プレートと、1つ以上の穴を備える下部プレートであって、中間プレートが1つ以上の含有物の導入中にモールドキャビティに近接して配置されている、下部プレートと、1つ以上の穴を備える中間プレートであって、上部プレートと下部プレートとの間に配置されている、中間プレートと、を備え得る。
【0056】
有利には、ここで中間プレートは、中間プレートの1つ以上の穴が上部プレートの1つ以上の穴と整列する第1の位置と、中間プレートの1つ以上の穴が下部プレートの1つ以上の穴と整列する第2の位置との間で摺動可能であり得る。したがって、1つ以上の含有物のモールドキャビティ内への導入中に、1つ以上の含有物は、上部プレート、中間プレート、及び下部プレートを順次通過する。
【0057】
含有物デポジッタの使用は、モールドキャビティ内の含有物の正確な量制御、及びモールドキャビティにわたる含有物の均一な分布を生成することを可能にし、菓子製品のシェルの見えるところに含有物を保持するのに役立つ。含有物デポジッタの各々のプレートの穴の数は、充填されるモールドキャビティの数に対応し得る。
【0058】
導入中に含有物を損傷させることを避けるために、上部プレートの1つ以上の穴は、面取り部を含み得る。更に、上部プレートには、含有物を、1つ以上のモールドキャビティ内に導入する前に収容する縁部が設けられ得る。
【0059】
導入中に中間プレートを作動させるためにアクチュエータを追加的に設けて、中間プレートを第1の位置と第2の位置との間で摺動させてもよい。
【0060】
更に、含有物デポジッタの下部プレートの1つ以上の穴は、含有物デポジッタの上部プレートの1つ以上の穴の直径よりも大きい直径を有し得る。中間プレートの1つ以上の穴は円錐形状を有し得て、中間プレートの1つ以上の穴は、上部プレートの1つ以上の穴の直径に等しい最小直径を有し得る。最後に、中間プレートの1つ以上の穴は、下部プレートの1つ以上の穴に等しい最大直径を有し得る。
【0061】
この構成は、有利に、含有物デポジッタに追加される全ての含有物を導入することを可能にし、含有物が含有物デポジッタ内に閉じ込められるのを回避する。更に、この実施形態の含有物デポジッタは、含有物のサイズにおける均質性、及びモールドキャビティにわたる分布を制御することを可能にする。
【0062】
有利には、上部プレートの1つ以上の穴は、下部プレートの1つ以上の穴から横方向にオフセットされ得る。これは、含有物の偶発的な導入を防止し、より良い量の制御及び含有物の配置をもたらす。
【0063】
いくつかの実施形態では、本方法は、食品製品をモールドキャビティ内に導入した後にモールドキャビティを振動させる追加の工程を含む。これは、滑らかで均一なシェルを作成するのに役立ち、シェルの厚さのより良い制御を可能にする。しかしながら、使用される振動の強度及び持続時間は、本発明のデポジッタプレートが食品製品をモールドキャビティ内に導入するために使用されない状況と比較して、低減され得る。
【0064】
本発明の更なる態様では、外側から見える含有物を含む菓子製品を製造するための方法が提供され、方法は、本明細書に記載の菓子製品を製造する方法を含み、更に、スタンプを取り除いた後にモールドキャビティを形成し、菓子製品用のシェルのキャビティ内に第2の食品製品を導入する工程と、第2のデポジッタプレートを使用してモールドキャビティに第3の食品製品を導入して、第1及び第3の食品製品内に第2の食品製品を封止する工程と、を含む。
【0065】
したがって、外側から見える含有物を含有する充填された菓子製品を確実かつ効率的に製造することができる。第3の食品製品を導入するときに第2のデポジッタプレートを使用することで、第3の食品製品が第2の食品製品と混合するのを防ぐ。
【0066】
第2の食品製品は、ゼリー、ムース、ガナッシュ、キャラメル、チョコレート、ハニカム、又は任意の他の好適なフィリング、特に菓子産業で通常使用される任意のフィリング、好ましくはチョコレートシェルを充填するためのフィリングであり得る。更に、第2の食品製品は、複数の異なる食品製品からなり得る。第3の食品製品は、シェルを形成する食品製品と同じであり得る、又は異なる食品製品であり得る。
【0067】
この態様によれば、第3の食品製品が第2のデポジッタを通して導入される断面積は、モールドキャビティの縁部におけるモールドキャビティの断面積よりも小さくてもよい。これは、菓子製品を封止するのに役立ち、一方で、(潜在的に高価な)原材料の廃棄を引き起こす、モールドキャビティ外に第3の食品製品が漏れ出るのを防止する。
【0068】
一例として、菓子製品は、25mm~35mm(例えば、31mm)の直径を有する円形の断面形状を有し得るが、第2のデポジッタプレートは、第3の食品製品を20mm~24mm(例えば、22.34mm)にわたってのみ導入する。第1の食品製品のデポジッタプレートでも同様の割合が存在し得る。
【0069】
本発明の更なる態様によれば、含有物をモールドキャビティ内に導入するための含有物デポジッタが提供され、含有物デポジッタは、1つ以上の穴を備える上部プレートと、1つ以上を含む下部プレートであって、中間プレートは、1つ以上の含有物の導入中にモールドキャビティに近接して配置される、下部プレートと、上部プレートと下部プレートとの間に配置される、1つ以上の穴を備える中間プレートと、を備え、中間プレートが、中間プレートの1つ以上の穴が上部プレートの1つ以上の穴と整列する第1の位置と、中間プレートの1つ以上の穴が下部プレートの1つ以上の穴と整列する第2の位置との間で摺動可能である。
【0070】
含有物デポジッタは、モールドキャビティ内の含有物の正確な量制御、及びモールドキャビティにわたって含有物の均一な分布をもたらすことを可能にし、含有物を、菓子製品のシェルの見えるところに保持するのに役立つ。含有物デポジッタの各々のプレートの穴の数は、充填されるモールドキャビティの数に対応し得る。
【0071】
導入中に含有物を損傷させることを避けるために、上部プレートの1つ以上の穴は、面取り部を含み得る。更に、上部プレートには、含有物を、1つ以上のモールドキャビティ内に導入する前に収容する縁部が設けられ得る。
【0072】
導入中に中間プレートを作動させるためにアクチュエータを追加的に設けて、中間プレートを第1の位置と第2の位置との間で摺動させてもよい。
【0073】
本発明の更なる態様によれば、外側から見える含有物を含む菓子製品用のシェルの製造に使用するためのデポジッタプレートであって、第1の量の食品製品をモールドキャビティの中央部分の方に導くように構成された第1のノズル群と、第2の量の食品製品をモールドキャビティの壁の方に導くように構成された第2のノズル群と、を備え、第2のノズル群のノズルは、第1のノズル群のノズルの軸線に対して角度を付けられ、第1のノズル群のノズルの軸線は、デポジッタプレートの表面に対して概ね垂直であり、第2のノズル群のノズルは、第1のノズル群に対して円周方向に配列されている、デポジッタプレートが提供される。構成は、食品製品を追加のモールドキャビティ内に導入するための追加のノズル群を更に備え得る。
【0074】
したがって、この態様によれば、食品製品がモールドキャビティの壁の方に導入することを可能にして、導入された食品製品がモールドキャビティ全体に広がることを確実にするデポジッタプレートが提供される。これにより、食品製品の全てがモールド内の中央に導入されて、それによって食品製品中に含有物が包み込まれるのを防ぎ、均一なシェル厚さを生成するためにモールドを振動させる必要性を低減する。更に、デポジッタプレートは、食品製品がモールドキャビティ内に導入されるときに、含有物が食品製品で浸されて覆われるのを防止する。
【0075】
本発明の更なる態様によれば、菓子製品の製造に使用するためのスタンプが提供され、スタンプは、モールドキャビティに入り込むように構成された第1の部分であって、スタンプの第1の部分はモールドキャビティの形状に相補的な形状を有し、第1がモールドキャビティ内に挿入されたときにスタンプの第2の部分の外面とモールドキャビティの内面との間の距離が1つ以上の含有物の直径よりも大きくなるように、第1の部分が形成されている、第1の部分と、モールドキャビティに入り込まないように構成された第2の部分と、を備える。
【0076】
したがって、この態様によれば、モールドキャビティ内に完全に挿入され得るスタンプが提供され、これにより、含有物を潰すことの粉砕を回避しながら、食品キャビティから排出される食品製品を減少させる。
【0077】
本発明の更なる態様によれば、外側から見える含有物を含む菓子製品を製造するための装置が提供され、装置は、本明細書に記載の含有物デポジッタプレートと、本明細書に記載のデポジッタプレートと、本明細書に記載のスタンプと、を備える。
【0078】
装置の様々な構成要素は、上記のとおり、外側に見える含有物を有する菓子製品の製造を助けるために各々互いに協働する。任意の1つの構成要素の使用は必須ではないが、それらの使用は、最終製品及び/又はシェルの品質を改善するのに役立つ。
【0079】
更に、追加の構成要素が装置に含まれてもよい。例えば、本装置は、本明細書に記載の第3の食品製品を導入するための第2のデポジッタプレートを更に含み得る。
【0080】
本発明の更なる態様によれば、本明細書に記載の方法に従って製造されたシェルを含む菓子製品が提供される。
【0081】
本発明の更に別の態様によれば、本明細書に記載の方法に従って製造された菓子製品が提供される。
【0082】
本発明の上記態様のいずれかによれば、食品製品はチョコレートを含み、含有物は、ナッツ、果物、種子、チョコレート、及びビスケットのうちの1つ以上、又はそれらの任意の組み合わせを含む。しかしながら、他の好適な食品製品及び含有物の使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
以下の図を参照して、本発明の実施形態を、単に例として、ここで記載する。
本発明の1つ(又は複数)の実施形態によれば、図は以下のものを示す。
図1A】菓子製品のチョコレートシェルを製造するための従来の方法を示す。
図1B】菓子製品のチョコレートシェルを製造するための従来の方法を示す。
図1C】菓子製品のチョコレートシェルを製造するための従来の方法を示す。
図2A】本開示の一例による、第1の位置に中間体を有する含有物デポジッタの断面図である。
図2B】本開示の一例による、第2の位置に中間体を有する含有物デポジッタの断面図である。
図3A】食品製品をモールドキャビティ内に導入するためのデポジッタプレートを示す。
図3B図3Aに示すデポジッタプレートを別の角度から示す。
図4A図3A及び図3Bに示すデポジッタプレートの拡大図である。
図4B図4Aに示すデポジッタプレートの断面図である。
図5】食品製品の導入のためのデポジッタプレート及びモールドキャビティを示す。
図6A】導入したチョコレートを形成するためのスタンプ及びモールドキャビティを示す。
図6B】モールドキャビティに挿入されたときの図6Bのスタンプを示す。
図6C】スタンプがモールドキャビティから取り除かれた後の、モールドキャビティ内の菓子製品用のシェルを示す。
図7】菓子製品用のシェルを製造するための方法の工程のフロー図である。
図8図7に示すフロー図から続く、充填された菓子製品を製造するためのフロー図である。
図9A】本明細書に記載の例示的な技術に従って製造された本発明の例示的な菓子製品を示す。
図9B】本明細書に記載の例示的な技術に従って製造された本発明の例示的な菓子製品を示す。
図9C】本明細書に記載の例示的な技術に従って製造された本発明の例示的な菓子製品を示す。
図9D】本明細書に記載の例示的な技術に従って製造された本発明の例示的な菓子製品を示す。
図10A】菓子製品を裏打ちするためのデポジッタプレートを示す。
図10B】菓子製品を裏打ちするためのデポジッタプレートを示す。
図11A】「シングルショット」導入技術及び本出願の本発明の実施例を使用した比較例の対照比較を示す。
図11B】「シングルショット」導入技術及び本出願の本発明の実施例を使用した比較例の対照比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
本明細書における先行技術文献のいかなる参照も、係る先行技術が周知であること、又は当分野で共通の全般的な認識の一部を形成していることを認めるものとみなされるべきではない。
【0085】
本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」という単語、及び類似の単語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは「含むが、これらに限定されない」ことを意味することを目的としている。
【0086】
上述のように、本発明は、見える含有物を含む食品製品、好ましくは菓子製品、好ましくはチョコレート製品を提供することに関する。
【0087】
好ましい実施形態では、本発明は、菓子製品用のシェル、菓子製品のタブレット(例えば、板チョコ)又は菓子製品片(例えば、ボンボン)を製造する方法を提供する。上記の各々は、フィリングで充填されていてもよく、充填されていなくてもよい。以下の好ましい実施例は菓子シェルを参照して記載されているが、実施形態は、適切な場合には、タブレット又は菓子片を製造するために適用可能であり得る。しかしながら、本発明の最も好ましい実施形態は、菓子製品用のシェルを調製することに関する。
【0088】
本明細書で使用される場合、「含有物」という用語は、食品組成物中に全体的又は部分的に埋め込まれる(又は埋め込まれ得る)別個の組成物の食用体及び/又は粒子を意味する。含有物は、多くの場合、それらが埋め込まれる材料とは対照的な食感、硬度、視覚的外観、及び/又は風味を提供するために使用され、それにより、製品を消費する消費者にとって独特の食事及び感覚経験をもたらす。典型的には、2つ以上の含有物が、含有物を含む食品組成物の単一の部分に組み込まれる。多くの製品で、製品内(又はその層若しくはフィリングなどの製品のサブセット内)にて可能な限り均一に含有物が分散されて、製品をひと口ごとに一貫した食事経験を提供するようにすることが望ましい場合がある。
【0089】
好都合には、含有物は、以下の非限定的なリストのうちのいずれかを含む(より好都合には、以下からなる群から選択される)。
堅果(例えば、種子や、ヘーゼルナッツ、アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ピーナッツ、ピーカン、及び/又は類似体などのナッツ);柔らかい果物(例えば、レーズン、クランベリー、ブルーベリー、ブラックカラント、りんご、セイヨウナシ、オレンジ、アプリコット及び/若しくは類似物);並びに/又はフリーズドライされた果物片、糖果及び/若しくはアルコール漬けの果物を含み得る果物又は果物片であって、好ましい柔らかい果物はドライフルーツである、果物又は果物片;
パリパリの含有物(例えば、キャラメル、コーヒー、ビスケット、ウエハなど);
ハーブ(例えば、あさつき、ディル、コリアンダー、パセリ);
穀物(例えば、膨化米、膨化小麦、押出穀物片);
チョコレート又はチョコ材料(例えば、チョコレートバーミセリ、チョコレート形成物)、
砂糖菓子(例えば、シンダートフィー片、トフィー、ファッジ、キャラメル、フォンダン片、ゼリー片;
マシュマロ、商標名mini SMARTIES(登録商標)でNesleから市販されているものなどの糖衣でくるまれたセンター);及び/又は
任意の好適な混合物及び/又はそれらの組み合わせ。
【0090】
好ましい含有物は、1~50mm、2~40mm、3~25mm、又は5~10mm、又は2~6mmの平均サイズを有する。
【0091】
更なる例では、本明細書に記載の方法及び装置に従って製造された製品は、2mmを超える平均直径、例えば、2mmの開口を有するふるいによって保持される含有物を含む。含有物は、2mm~22.6mmの範囲の直径を有し得る、例えば、22.6mmの開口を有するふるいを通過するが、2mmの開口を有するふるいによって保持される含有物であり得る。含有物は、2.83mm~11.2mmの範囲の直径を有し得る、例えば、11.2mmの開口を有するふるいを通過するが、2.83mmの開口を有するふるいによって保持される含有物であり得る。
【0092】
上述のように、例えば果実、ナッツ、ドライフルーツなどの「見える含有物」という用語は、好ましくは粒子状の含有物が製品の外面で見えることを意味し、すなわち、チョコレート製品の外面に面している果物又は果物片の少なくとも一部が、材料、好ましくはチョコレート材料で覆われていないが、消費者にとっては見えることを意味する。含有物は、好ましくは、平坦な底部側とは反対側にあるチョコレート製品の成形側で見える。
【0093】
本発明の文脈内で、製品の「成形側」という用語は、底部側とは反対の側、態様又は表面であり、本発明によるモールドで成形することによって形成される側、態様、又は表面を示す。明確にするために、製品の成形側は、成形プロセス中にモールド面と接触している製品の側、態様、又は表面に対応する。
【0094】
好ましくは、製品は、25~100%の表面積カバレージ、例えば、製品の成形側表面に対して30~95%、40~90%、又は50%~80%の見える含有物、を含む。
【0095】
図1A図1Cは、菓子製品用のチョコレートシェルを製造するための従来の方法の例を示す。まず、図1Aに示すように、チョコレート101が、モールドキャビティ102内に導入される。チョコレート101が導入された後、図1Bに示すように、スタンプ103がモールドキャビティ102内に挿入されて、チョコレートをシェル104に形成する。次いで、図1Cに示すように、スタンプ103が取り除かれ、その後、充填された菓子製品を製造するために、フィリングの上にチョコレートの薄層が導入されることでチョコレート内のフィリングを密封して製品が「裏打ち」される前に、チョコレートシェル104はフィリングで充填されてもよい。次いで、完成した製品を、包装とその後の分配のためにモールドキャビティ102から取り除くことができる。
【0096】
係る方法は、通常、「冷間加工」又は「冷間スタンピング」と称される。これらの動作は、菓子製品の大量生産を促進するために、大きな単列又は複数列のモールドキャビティで同時に実行することができる。
【0097】
しかしながら、これらの従来の方法は、外側から見える(すなわち、チョコレートの層で完全には覆われていない)含有物を含む菓子製品のシェルを製造するのには適していない。含有物がシェル内に含有されるチョコレートシェルを製造するために係る方法を使用することが当技術分野で知られていることは受け入れられているが、先行技術の方法は、シェルにしっかりと取り付けられた見える含有物を有し、かつ工業的に実行可能な様式で製品を生成するためのプロセス工程に必要な制御を提供しない。
【0098】
本開示の例示的な教示によれば、係るシェルを製造するために、含有物は最初にモールドキャビティ内に導入される。
【0099】
図2Aは、本開示の例示的な教示に従って含有物201をモールド内に導入するために使用され得る、含有物デポジッタ200の断面図を示す。デポジッタは、含有物201が通過することができる1つ以上の穴211を含む上部プレート210と、含有物が通過することができる1つ以上の穴231を含む下部プレート230とを含む。デポジッタはまた、上部プレート210と下部プレート230との間に配置された中間プレート220を含み、中間プレート220は1つ以上の穴221を備えている。
【0100】
示すように、上部プレート210及び下部プレート230の穴は、含有物201が両方の穴セットに直接通ることができないように、互いに整列されていなくてもよい(すなわち、横方向にオフセットされていてもよい)。
【0101】
本実施例では、上部プレート210、中間プレート220、及び下部プレート230の穴のそれぞれは、菓子製品のための特定のモールドキャビティに対応する。しかしながら、上部プレート210、中間プレート220、及び下部プレート230のそれぞれは、モールドキャビティごとに複数の穴を含むことができる。
【0102】
この実施例では、上部プレート210の穴211の直径は、下部プレート230の穴231の直径よりも小さい。示すように、中間プレート220の穴221は、(上部プレート210に近接する)上部直径が上部プレート210の穴211の直径と等しく、(下部プレート230に近接する)下部直径が下部プレート230の穴231の直径と等しい円錐形であり得る。図示されていないが、上部プレート210、中間プレート220、及び/又は下部プレート230の任意の穴に面取り部(又は縁部R)を提供して、導入中に含有物201を切断すること、又は他の方法で損傷することを回避することができる。
【0103】
中間プレート220は、アクチュエータ250を使用して導入プロセス中に第1の位置と第2の位置との間で摺動可能である。図2Aは、中間プレート220が第1の位置にあるデポジッタ200を示している。第1の位置では、中間プレート220の穴221は、上部プレート210の穴211に整列されて、含有物201が上部プレート210の穴211を通って中間プレート220の穴221内に落下することを可能にする。
【0104】
図2Bは、中間プレート220が第2の位置にあるデポジッタ200を示している。この位置では、中間プレート220の穴221は下部プレート230の穴231に整列されて、含有物が中間プレート220の穴221から下部プレート230の穴231を通ってモールドキャビティ内に落下することを可能にする。
【0105】
含有物201の導入中に、中間プレート220は最初に第1の位置にある。含有物201は上部プレート210の上面に配置され、上部プレート210の縁部240によって収容される。上部プレート210と中間プレート220との穴の整列により、含有物201の一部又は全てが中間プレート220の穴221内に落下する。
【0106】
次いで、アクチュエータ250は、中間プレート220を第2の位置に摺動させる。以前に中間プレート220の穴221内に配置されていた含有物201は、下部プレート230の穴231を通過することができ、モールドキャビティ内に落下することができる。
【0107】
アクチュエータ250は、中間プレート220を、導入中に第1の位置と第2の位置との間で何度も移動させ、潜在的には毎秒、多くの回数で移動させることができる。
【0108】
含有物201がモールドキャビティ内に導入された後、チョコレートは、菓子製品用のシェルを製造するためにモールドキャビティ内に導入される。チョコレートは、図3A及び図3Bに示すようなデポジッタプレートを通して導入され得る。
【0109】
図3Aは、チョコレート(又は任意の好適な食品製品)を複数のモールドキャビティ内に導入するためのデポジッタプレート300を示す。デポジッタプレート300は、複数の導入部301を含み得て、各導入部は複数のノズル310を含む。示すデポジッタプレートは96個の導入部301を含み、したがって、チョコレートを最大96個の別個のモールドキャビティ内に導入することができる。しかしながら、複数の導入部301を使用して、チョコレートを単一のモールドキャビティ内に導入することができる。更に、異なる数の導入部301が可能である。
【0110】
図3Bに示すように、デポジッタプレート300は、上面302及び底面303(図示せず)を含む。底面は、導入中にモールドキャビティに最も近い位置に配置された表面である。更に、導入部301は、示すように、デポジッタプレート300の上面302に凹んで設けられていてもよい。
【0111】
図4Aは、導入部301の拡大図を提供する。示す導入部310は円形であるが、導入部310の形状は、その中にチョコレートが導入されるモールドキャビティの形状に依存しており、したがって、異なり得る。
【0112】
導入部301は複数のノズルを含み、特に、導入部は、第1のノズル群311及び第2のノズル群312を含み得る。第1のノズル群311内のノズルは、導入部301の中央領域に配置されている。導入中、第1のノズル群311内のノズルは、モールドキャビティの中央領域の方にチョコレートを導入するように、モールドキャビティの中央領域の真上に位置する。
【0113】
図3Aの例では、第1のノズル群311は4つのノズルを含み、第1のノズル群312は8つのノズルを含むが、異なるノズル数及び配置が可能である。
【0114】
第2のノズル群312内のノズルは、導入部301の周縁部に位置する。図4Aに示すように、第2のノズル群312内のノズルは、第1のノズル群311内のノズルに対して円周配置に位置し得る。
【0115】
導入中、第2のノズル群312内のノズルはモールドキャビティの壁の真上に位置して、モールドキャビティの壁の方にチョコレートを導入してもよい。代替的に、第2のノズル群312内のノズルは、第1のノズル群のノズルに対して角度を付けられ得て、それにより、ノズルは、導入中にモールドキャビティの壁の真上に位置する必要はない。
【0116】
図4Bは、図4Aに示す線A-Aに沿ったデポジッタプレート300の導入部301の断面を示す。示すように、第1のノズル群311及び第2のノズル群312の両方のノズルの軸線(すなわち、モールドキャビティ内への導入中に食品製品が流れる方向のノズルの軸線である)は、デポジッタプレート300の底面303に対して垂直である。
【0117】
しかしながら、ノズル群のいずれかにおける1つ以上のノズルの軸線は、デポジッタプレート300の底面303に対して異なる角度で形成され得る。特に、第2のノズル群312内のノズルは、第1のノズル群のノズルに対して角度を付けられ得て、食品製品が異なる方向に導入されることを可能にする。
【0118】
例えば、第2のノズル群312のノズルは、第1のノズル群311のノズルの垂直軸線に対して半径方向外向きに角度を付けられ得る。第1のノズル群311のノズルの垂直軸線に対する角度は4~5度であり得るが、他の角度も可能である。
【0119】
更に、ノズルの軸線が真っ直ぐであるように描かれているが、例えば、それらは、代わりに弧状であり得、導入中に食品製品の流れの方向でのより良い精度を可能にする。
【0120】
図5は、モールドキャビティ400に対するデポジッタプレート300の位置決めを示す。モールドキャビティ400は、含有物201が概して位置する中央部分401を含む。モールドキャビティ400はまた、壁402をも含む。モールドキャビティ400の壁402は、チョコレートがデポジッタプレート300を通して壁402上に導入されることを可能にするために、ほぼ垂直であるように示されている。しかしながら、壁402の勾配は、示されているものよりもはるかに浅くてもよく、かつ湾曲していてもよい。モールドキャビティ400は、プレートの上面404から形成され、モールドキャビティ400は、壁402が上面404に交わる縁部403を含む。
【0121】
導入中に、チョコレートがデポジッタプレート300の第1のノズル群311内のノズルを通過して、チョコレートをモールドキャビティの中央部分401の方に導入する。更に、チョコレートは、デポジッタプレート300の第2のノズル群312内のノズルを通過して、チョコレートをモールドキャビティ400の壁402の方に導入する。
【0122】
チョコレート101がモールドキャビティ400内に導入された後、改変されたスタンピング又は「冷間形成」プロセスを用いて、導入されたチョコレート101を形成する。
【0123】
図6Aは、改変されたスタンピングプロセスで使用されるスタンプ600を示す。スタンプ600は、第1の部分610及び第2の部分620を含み、第1の部分610は、第2の部分620から突出している。スタンプの第1の部分610は、スタンピングプロセス中にモールドキャビティ400に入り込むように構成されている。スタンプ600の第1の部分610は、モールドキャビティ400の中央部分401に対応する中央表面611と、モールドキャビティ400の壁402に対応する側面612とを含む。
【0124】
図6Aでは、スタンピングプロセス前のチョコレート101は、モールドキャビティ400の壁402の全高に沿って縁部403まで延在するように示されている。しかしながら、チョコレート101は、壁402の高さ全体に沿って延在する必要はなく、代わりに壁402に沿って部分的にのみ延在してもよく、例えば、壁402の高さの50%(以下)にのみ延在してもよいことが理解される。
【0125】
第2の部分620は、上面404に概ね平行な表面を含み、この表面により、スタンピングプロセス中にモールドキャビティ400が形成される。
【0126】
スタンプ400はまた、第1の部分610と第2の部分620との間に位置する面取り部又は縁部R621を含み得るが、面取り部621は、第2の部分620の一部を形成すると見なされ得る。
【0127】
図6Bに示すように、スタンピングプロセス中に、スタンプ600は、第1の部分610がモールドキャビティ400に入り込むように、モールドキャビティ400の方に下降される。スタンプ600は、第2の部分620又は面取り部621が上面404又は縁部403に当接するまで下降され、それによってスタンプ600をモールドキャビティ内に完全に挿入する。
【0128】
示すように、第1の部分610の中央表面611とモールドキャビティ400の中央部分401との間の距離は、含有物201の直径よりも大きく、スタンプ600がモールドキャビティ400に完全に挿入されたときに含有物201が損傷しない。また、含有物はチョコレートシェルを貫通しない。貫通すれば、完成した菓子製品のフィリングの漏れを生じさせるであろう。更に、第1の部分610の中央表面611とモールドキャビティ400の中央部分401との間の距離は、第1の部分610の側面612とモールドキャビティ400の壁402との間の距離よりも大きい。
【0129】
スタンプ600の第1の部分610をモールドキャビティ400内に挿入することは、制御された厚さを有するシェル形状にチョコレート101を形成するのに役立つ。
【0130】
更に、スタンプ600の少なくとも第1の部分610を冷却して、モールドキャビティ400内のチョコレート101を、スタンプ600と接触したときに少なくとも部分的に固化させることができる。
【0131】
図6Cに示すように、次いで、スタンプ600は、モールドキャビティ400から取り除かれ、モールドキャビティ内に菓子製品用の空のシェルを残す。次いで、空のシェルは、好適なフィリング(ゼリー、チョコレート、ムース、ハニカムなど)、及びフィリングをチョコレート内に封止(裏打ち)するようにモールドキャビティの上に導入されたチョコレートの土台で充填され得る。
【0132】
示すように、モールドキャビティの縁部403に近接するシェルの部分は、スタンプ600の面取り部621によって生成された、上面404に対して角度を付けられた表面を有し得る。シェルの任意の後続の裏打ちの間、縁部403に近接するシェルの角度を付けられた表面は、シェルと裏打ちとの間の封止の品質を改善するために大きな表面積を提供する。
【0133】
図7は、外側から見える含有物を含む菓子製品用のシェルを製造するためのフローチャートである。工程701では、含有物201がモールドキャビティ400内に導入される。含有物は、図2A及び図2Bに示す含有物デポジッタを使用して導入され得るが、当該技術分野で知られている代替的な導入手段を使用して含有物を導入することができる。
【0134】
工程702では、食品製品(例えば、チョコレート)がデポジッタプレートを通してモールドキャビティ400内に導入され、デポジッタプレートは、食品製品の少なくとも一部をモールドキャビティの壁の方に導くように構成された複数のノズルを備える。デポジッタプレートは、図3A図3B図4A及び図4bに示すデポジッタプレート300であってもよいが、食品製品の少なくとも一部をモールドキャビティ400の壁402の方に導くように構成された複数のノズルを含む他のデポジッタプレートを使用することができる。
【0135】
任意選択的に、工程703では、モールドキャビティ(含有物及び食品製品を収容している)を振動させることができる。モールドキャビティの振動は、滑らかなシェルを作り出すのに役立ち、シェルの厚さのより良い制御を可能にする。しかしながら、使用される振動の強度及び持続時間は、本発明のデポジッタプレートが食品製品をモールドキャビティ内に導入するために使用されない状況と比較して、低減され得る。
【0136】
任意選択的に、工程704では、スタンプがモールドキャビティ内に挿入されて、食品製品を滑らかな形状に形成するのを助ける。更に、スタンプは、図6A及び図6Bに示すスタンプ600であり得て、その中に描かれたプロセスに従って挿入され得る。
【0137】
任意選択的に、工程705では、次にスタンプをモールドキャビティから取り除き、菓子製品用のシェルを残す。
【0138】
当業者であれば、菓子製品を形成するために使用され、当業者によって理解される任意の数の追加の工程が、シェルの製造に含まれ得ることを理解するであろう。
【0139】
図8は、図7に示す方法に従って製造されたシェルから菓子製品を製造するためのフローチャートである。ステップ801では、スタンプがモールドキャビティから取り除かれた後、第2の食品製品がモールドキャビティ内に導入される。第2の食品製品は、既知の手段を使用してシェル内に導入することができる。
【0140】
ステップ802では、第3の食品製品が、第1の食品製品及び第3の食品製品内に第2の食品製品を封止するための複数のノズルを備える第2のデポジッタプレートを通して、モールドキャビティ上に導入される。第3の食品製品は、第1の食品製品と同じであり得る。
【0141】
第2のデポジッタプレートは、図3A図3B図4A、及び図4Bに示すようなデポジッタプレートであり得る。代替的に、第2のデポジッタプレートは、第3の食品製品をモールドキャビティ上に導くように構成された複数のノズルを備える異なるデポジッタプレートであり得る。複数のノズルは、第3の食品製品が第2の食品製品と混合するのを防止するのに役立つ。
【0142】
第3の食品製品が第2のデポジッタプレートを通って導入される断面積は、好ましくは、モールドキャビティの縁部におけるモールドキャビティの断面積よりも小さい。これは、菓子製品を封止するのに役立ち、一方で、(潜在的に高価な)原材料の廃棄を引き起こす、モールドキャビティ外に第3の食品製品が漏れ出るのを防止する。一例として、菓子製品は、直径31mmの円形の断面形状を有してもよく、第2のデポジッタプレートは、22.34mmを覆うような第3の食品製品のみを導入する。更に、図6Cに示すようにシェルが縁部に近接する角度を付けられた表面を含む場合、第2の食品製品を第1の食品製品及び第3の食品製品内に効果的に封止するために、シェルの全幅にわたって食品製品を導入する必要はない。
【0143】
本明細書に記載するように、説明された方法及び装置はまた、製品の表面に見える含有物を効率的かつ経済的な方法で提供するのが望ましいスナック食品などの他の消耗品を作製するために使用され得る。
【0144】
以下の実施例を参照し、本発明を更に説明する。特許請求される本発明は、これらの実施例によって限定されることを決して意図するものではないことが理解されよう。当業者であれば、異なる実施形態の整数及び特徴が任意の好適かつ有利な組み合わせで使用され得ることを本明細書の教示から理解することが更に認識されるであろう。
【実施例1】
【0145】
本発明の方法及び装置を使用して、以下の製品を作製した。表に示す値は、各成分の重量パーセント(%)に関する。
【表1】
【0146】
実施例1~4をそれぞれ図9A図9Dに示す。
【0147】
図に示すように、含有物は、含有物デポジッタを使用してモールドに導入した。摺動プレートの導入円錐形孔は、上面に11m穴及び下面に14mmの穴を有し、0.16g(実施例4)と1.16g(実施例4)の間を導入する。
【0148】
原材料は、前方及び後方に移動して原材料をデポジッタの穴に押し込むアームを使用して300ミリ秒にわたって投与される。アームが導入サイクルごとに前方及び後方に移動する回数は、実施例1及び3については3、実施例2については2、及び実施例4については1である。次いで、摺動プレートが含有物を導入する。
【0149】
続いて、29℃の液体チョコレートが、図3A図3B図4A、及び図4Bに示すデポジッタプレートを使用して導入される。デポジッタ部301は22.34mmの直径を有し、モールドキャビティは31mmの直径を有する。
【0150】
第2の外側ノズル構成は、モールドキャビティ開口部の表面積の7.5%、及びそのモールドキャビティに対するデポジッタプレートの部分の表面積の13.6%をカバーする。第1の内側ノズル構成は、モールドキャビティ開口部の表面積の3.7%、及びそのモールドキャビティに対するデポジッタプレートの部分の表面積の6.8%をカバーする。第2及び第1のノズル群の中心は、導入部の半径の50%で分離されている。
【0151】
シェルは、1200ミリ秒又は1400ミリ秒の時間にわたって、-16~-17℃の温度でスタンプを使用して冷間スタンプされる(実施例3)。スタンプはモールド内に完全に挿入されて、成形表面上に4mmのシェル厚さ、及び2mmの壁厚を残す。
【0152】
次いで、フィリングを導入して、製品を冷却する。その後、製品は裏打ちされ、リックローラを使用して余分なチョコレートを取り除き、14℃で冷却される。裏打ちは、図10A及び図10Bに示すようなプレートを使用して達成される。図10A及び図10Bは異なる角度からの同じデポジッタプレートを示す。図10A及び図10Bのデポジッタプレートの構成要素は、図3A及び図3Bに示すデポジッタプレートの構成要素に概して対応するが、図10A及び図10Bのデポジッタプレートは、より小さい表面積にわたってチョコレートを導入し、凹部ごとに3つの導入部を含む。これにより、無駄になるチョコレートの量が最小限に抑えられることを確実にする、すなわち、チョコレートはモールド上ではなく製品上に導入される。
【0153】
含有物の視認性のパーセンテージは、製品の画像を使用して、画素面積を測定し、含有物周りにゲートをマッピングすることによって評価した。
【0154】
「シングルショット」デポジッタを使用して、実施例1~3を繰り返した(比較例1~3)。
【0155】
次の違いが観察された。
【表2】
【0156】
図11A(比較例1~3:「シングルショット」デポジット)及び図11B(発明実施例1~4)に、上記の選択された例の対照比較を図示する。
【0157】
比較例4
本発明の製品の調製における適用性について、2つの先行技術のプロセスを評価した。
【0158】
国際公開第2015/166451号のプロセスは、チョコレート及び含有物が予備混合され、導入が、可視の結論を提供するためにチョコレートの流れの必要な制御を可能にしないため、本発明の製品を得ることができない。チョコレートをどのように導入するかの情報がない。
【0159】
国際公開第2013/006599号のプロセスは、シェルに好適に結合された見える含有物を提供する際の本発明の制御を提供しない。図に示し、かつ実施例における振動工程によって提供されるように、含有物は、冷間スタンピングの前にチョコレートに混合され、視認性の程度を最小限に抑える。チョコレートをどのように導入するかの情報がない。
【0160】
更に、本発明の含有物の導入及び裏打ち方法は、これらの文書の方法よりもこれらのプロセス工程の両方のより良い制御を提供する。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11A
図11B
【国際調査報告】