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特表2022-546020内部コンダクタンスが改良され破壊電圧能力がより高いアルミニウムポリマーコンデンサ
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  • 特表-内部コンダクタンスが改良され破壊電圧能力がより高いアルミニウムポリマーコンデンサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(54)【発明の名称】内部コンダクタンスが改良され破壊電圧能力がより高いアルミニウムポリマーコンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/02 20060101AFI20221026BHJP
   H01G 9/028 20060101ALI20221026BHJP
   H01G 9/035 20060101ALI20221026BHJP
   H01G 9/045 20060101ALI20221026BHJP
   H01G 9/042 20060101ALI20221026BHJP
   H01G 9/145 20060101ALI20221026BHJP
   H01G 9/15 20060101ALI20221026BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H01G9/02
H01G9/028 F
H01G9/028 G
H01G9/035
H01G9/045
H01G9/042
H01G9/145
H01G9/15
H01G9/00 290H
H01G9/00 290C
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022512414
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 US2020044393
(87)【国際公開番号】W WO2021045857
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】16/558,500
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511231986
【氏名又は名称】ケメット エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】アンドラロフ ヴィクター
(72)【発明者】
【氏名】エヴァリスト ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】モンテイロ ルイ エー.
(72)【発明者】
【氏名】レスナー フィリップ エム.
(57)【要約】
改良されたコンデンサを提供する。このコンデンサは、作業要素を備え、作業要素は、アノード上に第1の誘電体を含むアノードと、カソードと、第1の誘電体とカソードとの間に設けられた導電性セパレータと、を備える。導電性セパレータは、セパレータと、第1の導電性ポリマーと、を備え、第1の導電性ポリマーは、少なくとも部分的に、セパレータを包囲する。第2の導電性ポリマーは、少なくとも部分的に、第1の導電性ポリマーを包囲し、第1の導電性ポリマーは、第2の導電性ポリマーよりも高い導電性を有する。アノードリードは、アノードと電気的に接触し、カソードリードは、カソードと電気的に接触する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサであって、
作動要素を備え、前記作動要素は、
アノード上に第1の誘電体を含む前記アノードと、
カソードと、
前記第1の誘電体と前記カソードとの間に設けられ、セパレータと第1の導電性ポリマーとを含み、前記第1の導電性ポリマーは、少なくとも部分的に、前記セパレータを包囲する導電性セパレータと、
少なくとも部分的に、前記第1の導電性ポリマーを包囲し、前記第1の導電性ポリマーは、第2の導電性ポリマーより高い導電性を有する前記第2の導電性ポリマーと、
前記アノードと電気的に接触するアノードリードと、
前記カソードと電気的に接触するカソードリードとを備えるコンデンサ。
【請求項2】
前記第1の導電性ポリマーは、事前形成された導電性ポリマーのスラリーにより、又は現場重合により形成された高導電性ポリマーで形成される請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第2の導電性ポリマーは、事前形成された導電性ポリマーのスラリーから形成される請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の導電性を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の導電性を有し、前記第1の導電性は、前記第2の導電性の少なくとも150%~2500%以下である請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の破壊電圧を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の破壊電圧を有し、前記第2の破壊電圧は、前記第1の破壊電圧より高い請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記第2の破壊電圧は、前記第1の破壊電圧の120%~700%である請求項5に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の仕事関数を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の仕事関数を有し、前記第2の仕事関数は、前記第1の仕事関数より高い請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記第2の仕事関数は、前記第1の仕事関数より少なくとも0.2eV~1.2eV以下高い請求項7に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記第1の導電性ポリマーは、前記第2の導電性ポリマーの平均粒径よりも大きな平均粒径を有する請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記誘電体と前記カソードとの間に液体電解質をさらに含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記液体電解質を50重量%まで含む請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記第1の導電性ポリマーは、前記セパレータ上にコーティングされるか、又は前記第1の導電性ポリマーは、前記セパレータを浸漬する請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記第1の導電性ポリマー又は前記第2の導電性ポリマーの少なくとも一方は、ポリアニリン、ポリチオフェン、及びポリピロールからなる群より選択された導電性ポリマーを含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項14】
前記第1の導電性ポリマー又は前記第2の導電性ポリマーの層は、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンを含む請求項13に記載のコンデンサ。
【請求項15】
前記第1の導電性ポリマー又は第2の導電性ポリマーは、自己ドープポリマーである請求項13に記載のコンデンサ。
【請求項16】
複数のアノードリード又は複数のカソードリードを備える請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項17】
前記アノード又は前記カソードのうちの少なくとも一方は、バルブメタルを含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項18】
前記バルブメタルは、タンタル、アルミニウム、ニオビウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、これらの元素の合金、及びこれらの導電性酸化物からなる群より選択される請求項17に記載のコンデンサ。
【請求項19】
前記バルブメタルは、アルミニウムである請求項18に記載のコンデンサ。
【請求項20】
前記セパレータは、少なくとも0.1mg/cm~10mg/cm以下の第1の導電性ポリマーコーティングを有する請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項21】
少なくとも15ボルト~500ボルト以下の定格電圧を有する請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項22】
コンデンサの形成方法であって、
以下により、作動要素を形成することを含み、以下とは、
第1の誘電体とアノードリードとを備えるアノードを設けることと、
カソードリードを備えるカソードを設けることと、
セパレータと第1の導電性ポリマーとを備える導電性セパレータを形成することであって、前記第1の導電性ポリマーは、少なくとも部分的に、前記セパレータを包囲することと、
前記導電性セパレータを前記第1の誘電体と前記カソードとの間にして、前記アノード及び前記カソードを巻き付けて、巻き付けコンデンサ前駆体を形成することと、
第2の導電性ポリマーを前記巻き付けコンデンサ前駆体に導入することであって、前記第2の導電性ポリマーは、少なくとも部分的に、前記第1の導電性ポリマーを包囲することと、を含む方法。
【請求項23】
前記第1の導電性ポリマーは、現場重合技術によって形成される請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項24】
前記スラリーを前記巻き付けコンデンサ前駆体内に導入すること、前記スラリーは、事前形成された導電性ポリマーを含む請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項25】
前記第1の導電性ポリマーは、前記第2の導電性ポリマーよりも高い導電性を有する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項26】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の導電性を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の導電性を有し、前記第1の導電性は、前記第2の導電性の少なくとも150%~2500%以下である請求項25に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項27】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の破壊電圧を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の破壊電圧を有し、前記第2の破壊電圧は、前記第1の破壊電圧より高い請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項28】
前記第2の破壊電圧は、前記第1の破壊電圧の120%~700%である請求項27に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項29】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の仕事関数を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の仕事関数を有し、前記第2の仕事関数は、前記第1の仕事関数より高い請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項30】
前記第2の仕事関数は、前記第1の仕事関数より少なくとも0.2eV~1.2eV以下高い請求項29に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項31】
前記作動要素に液体電解質を添加することであって、前記液体電解質は、前記誘電体と前記カソードとの間に含まれることをさらに備える請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項32】
前記導電性セパレータは、少なくとも0.1mg/cm~10mg/cm以下の第1の導電性ポリマーコーティング重量を有する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項33】
前記導電性セパレータは、前記セパレータ上に前記第1の導電性ポリマーをコーティングされたセパレータを備えるか、又は前記第1の導電性ポリマーは、前記セパレータを浸漬する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項34】
前記第1の導電性ポリマー又は前記第2の導電性ポリマーのうちの少なくとも一方は、ポリアニリン、ポリチオフェン、及びポリピロールからなる群より選択されるポリマーを含む請求項33に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項35】
前記ポリチオフェンは、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンである請求項34に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項36】
前記第1の導電性ポリマー又は前記第2の導電性ポリマーは、自己ドープポリマーである請求項34に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項37】
複数のアノードリード又は複数のカソードリードを形成することを含む請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項38】
前記アノード又は前記カソードのうちの少なくとも一方は、バルブメタルを含む請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項39】
前記バルブメタルは、タンタル、アルミニウム、ニオビウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、これらの元素の合金、及びこれらの導電性酸化物からなる群より選択される請求項38に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項40】
前記バルブメタルは、アルミニウムである請求項39に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項41】
少なくとも15ボルト~500ボルト以下の定格電圧を有する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項42】
前記第1の導電性ポリマーは、前記第2の導電性ポリマーの平均粒径より大きい平均粒径を有する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項43】
前記第2の導電性ポリマーは、可溶性の導電性ポリマーである請求項42に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項44】
前記第2の導電性ポリマーは、200nm以下の粒径を有する請求項42に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項45】
前記粒径は、少なくとも1nmである請求項42に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項46】
前記粒径は、少なくとも20nmである請求項45に記載のコンデンサの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形導電性ポリマー電解質と、任意で液体電解質とを含むコンデンサに関する。特に、本発明は、導電性セパレータを含むコンデンサと、巻き付け構造の間質部分内における導電性ポリマーのカバーを改良したハイブリッドコンデンサの形成方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサは、歴史的に、2つの一般的な種別内で規定されてきており、一方の種別では、液体電解質を利用し、他方の種別では固形電解質を使用する。液体電解質コンデンサは、通常、典型的にすべて容器内に封止された液体電解質に浸漬されたアノードコンダクタ、カソードコンダクタ、及び交互セパレータを伴う巻き付けとしての層状構造を備える。固形電解質コンデンサは、通常、導電性モノリス又はフォイルを含み、その上に誘電体層を備え、誘電体上に導電性ポリマー又は二酸化マンガン等の固形カソードを備える。通常の種別のコンデンサは双方とも、商業的取引において幅広く広まり、使用されてきており、各々、互いに共通でない利点及び欠点を有する。例えば、液体電解質コンデンサは、高い容量を有し、高い電圧の能力を備えるものの、典型的には、約0.015S/cm以下である電解質の導電性の乏しさが故に、等価直列抵抗(ESR)が乏しい。導電性ポリマーは、600S/cmまでの高い導電性を有するため、導電性ポリマーカソードを利用するコンデンサのESRはより低い。
【0003】
導電性ポリマーカソードは、少なくとも部分的に、等価直列抵抗(ESR)が低いことと、非破壊障害モードが故に、商業的取引において幅広く広まり、使用されていることが見受けられる。これは、ハイブリッドコンデンサであって、固形導電性ポリマー電解質と共通のより低いESRを維持しつつ、液体電解質コンデンサと共通の高い容量及び高い電圧を達成することを目的として、固形電解質コンデンサで共通に採用される導電性ポリマーが液体電解質構造の巻き付け内に利用されるハイブリッドコンデンサを形成したいという要望に繋がっている。米国特許第8,462,484号及び第8,767,377号は、例としてのハイブリッドコンデンサを教示している。
【0004】
ハイブリッドコンデンサの形成には、典型的に、アノード、カソード、及びセパレータを含む交互巻き付け構造の形成と、次いで導電性ポリマーへの浸漬とが含まれる。浸漬は、モノマーの現場重合、又は巻き付け交互構造の間質領域内への事前形成ポリマースラリーの拡散によって行われる。
【0005】
酸化剤の存在下でモノマーの現場重合を使用して、ハイブリッドコンデンサの第1生成の製造を行った。現場重合は、モノマー及び酸化剤による最終生成物の汚染を含む多数の問題を抱えた複雑な方法であり、作業環境条件が複雑であるため、特に、現場ポリマーが巻き付けに付与される場合、プロセスの信頼性が乏しくなる。このような問題は、コンデンサ巻き付けの間質スペースを浸漬するために、事前形成された導電性ポリマーの水系分散体又はスラリーを使用することによって軽減された。
【0006】
ハイブリッドコンデンサの改良については、共通に譲渡された米国特許第10,068,713号に提示されており、巻き付けに先立ってポリマー層を形成することにより、巻き付けの間質領域内への移行の乏しさに関連付けられた問題を取り除いている。これは有利であるものの、ポリマー層は隣接しており、連続的でないため、導電層の導電性を限定してしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在尽力中であるにも関わらず、当業者は、ハイブリッドコンデンサの改良と、改良されたハイブリッドコンデンサの作成方を望んでいる。本発明は、電気的品質及び再現性を改良したハイブリッドコンデンサの作成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、改良されたハイブリッドコンデンサの形成方法と、その改良された方法によって形成される、改良されたコンデンサとを提供することである。
【0009】
特別な利点として、電気的性能、特に、破壊電圧能力の高さとコンデンサの導電性ポリマー部分の導電性の改良との双方の点で改良されたハイブリッドコンデンサを提供する能力である。
【0010】
これら及び他の利点は、認識されるとおり、コンデンサであって、作業要素を備え、作業要素は、アノード上に第1の誘電体を含むアノードと、カソードと、第1の誘電体とカソードとの間に設けられた導電性セパレータと備えるコンデンサにおいて提供される。導電性セパレータは、セパレータと、第1の導電性ポリマーを含み、第1の導電性ポリマーは、少なくとも部分的に、セパレータを包囲する。第2の導電性ポリマーは、少なくとも部分的に、第1の導電性ポリマーを包囲し、第1の導電性ポリマーは、第2の導電性ポリマーより高い導電性を有する。アノードリードは、アノードと電気的に接触し、カソードリードは、カソードと電気的に接触する。
【0011】
さらに他の実施形態は、コンデンサの形成方法において提供される。この方法は、以下により、作業要素を形成することを備え、以下とは、第1の誘電体とアノードリードとを備えるアノードを設けることと、カソードリードを備えるカソードを設けることと、セパレータと第1の導電性ポリマーとを含む導電性セパレータを形成することであって、第1の導電性ポリマーは、少なくとも部分的に、セパレータを包囲することと、導電性セパレータを第1の誘電体とカソードとの間にして、アノードとカソードとを巻き付けることにより、巻き付けコンデンサ前駆体を形成することと、第2の導電性ポリマーを巻き付けコンデンサ前駆体内に導入することであって、第2の導電性ポリマーは、少なくとも部分的に、第1の導電性ポリマーを包囲することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係る、部分的に巻き付けを解除した模式斜視図である。
図2図2は、図1の2-2戦に沿った横断面模式図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る模式的表現である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る模式的表現である。
図5図5は、本発明の実施形態を横断面図中に模式的に示している。
図6図6は、本発明の効果を図式的に実証している。
図7図7は、本発明の効果を図式的に実証している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明は、固形導電性ポリマー電解質と、任意で、巻き付けコンデンサ内に介在する液体電解質を備え、交互アノード、カソード、及び導電性セパレータを備えるコンデンサに特化したものである。特に、本発明は、コンデンサと、品質の改良されたコンデンサを作成する方法とに係る。特に、この発明により、性能が向上され、具体的には破壊電圧が高く、及び/又は、ESRがより低いコンデンサの製造を可能にする。
【0014】
この発明の要素は、第1の導電性ポリマー層を含む導電性セパレータを利用することであり、第1の導電性ポリマー層は、少なくとも部分的に、巻き付け後に付与される第2の導電性ポリマー層内に収容される。第2の導電性ポリマー層は、導電体からカソードまで延在し、第1の導電性ポリマー層を少なくとも部分的に収容して、誘電体からカソードまで、好ましくは連続的に、導電層を形成する。2つの導電性ポリマー層を組み込むことにより、導電性において相乗的な改良を達成することができるため、コンデンサの性能を改良することができる。
【0015】
特に好適な実施形態において、第1の導電性ポリマー層は、現場技術で形成される。現場形成されたポリマーは、別々に形成されたものよりも高い導電性を有し、事前形成されたポリマーとして付与される。事前形成されたポリマーは、導電性ポリマーの粒子又は可溶化されたポリマー粒子のいずれかを含むスラリーとして付与される。事前形成された導電性ポリマーは、高い破壊電圧能力を有する。この組み合わせにより、ハイブリッドコンデンサを提供し、異なる層の相乗により、破壊電圧能力が高く、等価直列抵抗(ESR)の低いハイブリッドコンデンサを提供する。ESRが低いことで、コンデンサのリップル電流を改良する。
【0016】
本開示の一体的且つ非限定的な構成要素を形成する種々の図面を参照して、本発明を説明する。本開示全体を通して、同様の要素にはそれに応じて番号を付す。
【0017】
図1を参照して本発明の実施形態を説明するが、作動要素については、容器への挿入と、任意で好ましくは液体電解質への浸漬に先立った、模式的且つ部分的に巻き付けを解除した図で示す。図1において、10で全般的に表される作動要素は、導電性セパレータ16を間に介在させて、アノード12と、カソード14とを備える。導電性セパレータは、第1の導電性ポリマー18を、セパレータ上にコーティングされるか、又はセパレータが浸漬され、好ましくは導電性ポリマーと飽和した状態で有している。アノードリード20及びカソードリード22は、巻き付けコンデンサから延設され、最終的に回路への電気的導電性を形成する。説明より、アノードリードがアノードと電気的に接触し、カソードリードがカソードと電気的に接触し、アノード又はアノードリードからは電気的に分離されることが理解されるであろう。タブ24及び26は、当分野で既知のとおり、アノードリードをアノードに電気的に接続し、カソードリードをカソードに電気的に接続するために、共通に採用される。接着テープ等の閉塞28により、取り扱い及び組み立て中に作動要素の巻き付けがほどけてしまうのを妨げ、その後、この閉塞は、完成品のコンデンサの一部ではあるものの、その役割をほぼ有さない。
【0018】
図1の2-2線に沿った横断面図が、図2に模式的に示されている。図2において、セパレータの寸法が導電性ポリマーを含むことで目に見えて変化しないように、セパレータが導電性ポリマーに浸漬されてもよく、好ましくは導電性ポリマーで飽和されてもよい旨を理解した上で、図示を目的として、セパレータ16は、導電性ポリマー18とともにそのいずれかの側が示されている。アノード12及びカソード14は、セパレータ16によって分離されて挟まれた関係にある。セパレータは、任意で好適にはセパレータを通じて自在に移動する液体電解質を伴う多孔質であることが好ましい。
【0019】
図3を参照して本発明の実施形態を説明するが、巻き付けコンデンサの一部は、横断面図に示されている。図3において、アノード12及びカソード14は、その間に誘電体20及びセパレータ総22を有し、容量結合を形成する。本明細書中、巻き付けコンデンサは、アノード/誘電体/セパレータ層/誘電体の交互且つ反復の組み合わせを有することを理解した上で、1つの容量結合が示されている。セパレータ層は、一実施形態において、織り合わせた繊維24を含むセパレータを含む。セパレータは、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、第1の導電性ポリマー18内にカプセル化される。第1の導電性ポリマー層は、半重合ポリマーを含むスラリーから、又は現場重合により、形成される。導電性セパレータを形成するための現場重合技術が好適である。本明細書中、さらに検討されるとおり、巻き付け後に導入される第2の導電性ポリマー26は、導電体から第1のポリマー層までの導電経路をカソードまで形成し、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、第1の導電性ポリマーをカプセル化する。第2の導電性ポリマーは、事前形成された導電性ポリマーの導入によって形成されることが好ましいが、これに限定されるものでない。任意で好適に、液体電解質28は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、セパレータの間質エリア全体を充填する。
【0020】
第1の導電性ポリマー層18は、第2の導電性ポリマー26よりも導電性が高いことが好適である。より好ましくは、第1の導電性ポリマーの導電性は、第2の導電性ポリマーの導電性の少なくとも150%~2500以下である。非限定的な例として、第2の導電性ポリマーが40S/cmの導電性を有する場合、第1の導電性ポリマーは、少なくとも60S/cm~1000S/cm以下の導電性を有する。第1の導電性ポリマーの平均粒径は、第2の導電性ポリマーの平均粒径より大きいことが好ましい。
【0021】
第2の導電性ポリマーの破壊電圧は、初期形成後、又は、125℃で1000時間等の温度ストレスの後、同一の方法で個別に測定したとき、第1の導電性ポリマーの破壊電圧より高い。第2の導電性ポリマーの破壊電圧は、第1の導電性ポリマーの破壊電圧よりも少なくとも20%~700%以下高いことがより好ましい。
【0022】
第2の導電性ポリマーの仕事関数は、第1の導電性ポリマーの仕事関数より高いことが好ましい。第2の導電性ポリマーの仕事関数は、第1の導電性ポリマーよりも少なくとも0.2eV~1.2eV以下高いことがより好ましい。仕事関数の修飾因子は、米国特許第10,340,091号及び第10,204,743号に例示されるように、当分野において周知である。
【0023】
図4を参照して本発明の実施形態を説明するが、コンデンサの形成プロセスが模式図に示されている。図4において、ポリマー層18は、事前形成された導電性ポリマーを含むスラリーの付与により、又は酸化剤と、当分野では現場重合と称されるセパレータ上にポリマー層を形成するためのモノマーとを付与することにより、セパレータ16上に形成される。酸化剤及び前駆体の付与手段42は、本明細書中、特に限定されるものでなく、本発明の実証に好適な現場重合技術により、ポリマーを形成する任意の許容可能な方法による。セパレータ上へのポリマーの形成は、マスターとして実施可能であり、これはその後、44にて、巻き付けコンデンサの形成に好適な導電性セパレータのロールにスリット切込みが入れられる。セパレータは、ポリマー形成に先立った分割可能であるが、製造の簡便性の点で、これは望ましくはない。当分野で既知のとおり、導電性セパレータを間にして、アノードとカソードとを含む層状のロール構造が形成される。必要に応じて、46にて、誘電体もさらに形成可能である。巻き付け構造は、48にて、好ましくは、巻き付けの間質部分に事前形成されたポリマーを導入することにより、第2の導電性ポリマーに浸漬され、次いで乾燥を行う。一実施形態において、第2の導電性ポリマーに浸漬された巻き付け構造は、50にて、組付けられ、次いで52にて、エイジング及び試験を行う。液体電解質が組み込まれない場合、液体電解質は、54にて、従来の技術を使用して添加され、コンデンサは、56にて、組付けられ、次いで58にて、エイジング及び試験を行う。組付けには、ハウジング及びシーリングにコンデンサを組み込むことが含まれる。
【0024】
カソードフォイル、セパレータ、及びアノードフォイルは、典型的に、幅広のロールとして設けられ、サイズに合わせてスリットが入れられる。アノードフォイルは、エッチングされることが好ましく、誘電体がその上に形成される。誘電体は、スリット形成に先立って形成されてもよく、その場合、次のステップはスリットの縁部に誘電体を形成することであるのが望ましい。セパレータは、表面と導電性ポリマー層との間の接着性を向上するため、又は他の特定の表面挙動を与えるために、結合剤で処理されてもよい。導電性セパレータは、導電性ポリマー層の形成又は浸漬の前又は後に洗浄及び乾燥されてもよく、導電性ポリマー層の形成又は浸漬ステップは、必要に応じて、数回反復されてもよい。電気リード又はタブは、典型的に、好ましくは長さを合わせて切断するのに先立って、アノード及びカソードに電気的に接続され、リードは、さらなる変更から保護し、コンデンサ端子への溶着の準備を整えるために、マスキング材料で処理されてもよい。
【0025】
導電性ポリマーは、浸漬、コーティング、及び噴射を含む任意の好適な方法でセパレータに付与される。浸漬において、セパレータは、いずれかの順でモノマーと酸化剤とを連続的に付与する一連のバス又は容器を通じて引っ張られる。セパレータには浸漬が好適である。コーティング及び噴射は、任意の順で連続的に、又はセパレータの表面に同時に、モノマー又は酸化剤のスクリーン印刷又は噴射を含む任意の印刷技術で実施されてもい。導電性ポリマーのコーティングは、少なくとも0.1mg/cmの量でセパレータに付与されることが好ましい。約0.1mg/cmを下回ると、コーティングの重量は、十分な導電性を得るのには足りず、結果として不完全なコーティングを生じてしまうことがある。導電性ポリマーのコーティングは、約10mg/cm以下のコーティング重量を達成するの十分な量で付与されることが好ましい。約10mg/cmを上回ると、添加されたコーティングの厚さが、目に見えて導電性を増加することはない。
【0026】
マルチタブ又はマルチリードにより、フォイルの抵抗効果を最小化するので好適である。単一リードの場合、電流は、フォイルを最大延長したところからタブとリードまで流れなければならず、これはESRに弊害を生じる。複数のアノードリードと複数のカソードリードを利用することにより、導電経路の長さを短くすることが好ましい。
【0027】
コンデンサが、図5の横断面模式図に示されている。図5において、コンデンサは、60で全般的に表されるが、本明細書に記載のとおり、ハウジング64内に作業要素62を備える。ハウジングは、当分野において缶と称されるが、導電性であることが好ましく、リードとして機能してもよく、又はカソードリード6と電気的に接触していてもよい。カソードタブ68は、ハウジング又はカソードリードと電気的に接触されている。アノードタブ70は、アノードリード72と電気的に接触している。蓋74と、ガスケット等のシール76とは、ハウジングを封止して、ハウジングの内部と大気との間の雰囲気交換を阻害する。一実施形態において、封止は、気密封止である。
【0028】
アノードは、好ましくはフォイルの形態の導電性金属である。導電性金属は、バルブメタル又はバルブメタルの導電性酸化物であることが好ましい。特に好適なアノードには、タンタル、アルミニウム、ニオビウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、これらの元素の合金、又はNbO等、これらの導電性酸化物等のバルブ金属が含まれる。アルミニウムは、特に好適なアノード材料である。
【0029】
酸化物膜は、誘電体としてアノード上に形成される。誘電体は、リン酸、リン酸塩含有液、ホウ酸、ホウ酸塩含有液、アジピン酸アンモニウム等、形成電解質と称される任意の好適な電解質液を使用して形成されてもよい。約9V~約450Vの形成電圧が共通に印可される。形成電圧は、典型的に、コンデンサの定格電圧の1.5~3.5倍の範囲である。
【0030】
導電性ポリマー付与プロセスは、通常、現場ポリマー形成と、コーティングプロセス等によるスラリーからの事前形成ポリマーの付与とから選択される。現場プロセスでは、浸漬液が表面に付与され、浸漬液は、モノマー、酸性化剤、ドーパント、及び当業者に既知の他のアジュバントを含有することが好ましい。この溶液に好適な溶媒の選択は、当分野の技術レベル内である。好適な溶媒の例として、ケトン類と、アセトン、ピリジン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、2-プロパノール、及び1-ブタノール等のアルコール類とが挙げられる。モノマー濃度は、本発明を実証するには、約1.5重量%~約20重量%であってもよく、より好ましくは約5重量%~約15重量%であってもよい。導電性ポリマーの調整の好適なモノマーには、アニリ、ピロール、チオフェン、及びこれらの誘導体が含まれるが、これに限定されるものでない。好適なモノマーは、3,4-エチレンジオキシチオフェンである。酸化剤の濃度は、本発明を実証するには、約6重量%~約45重量%であってもよく、より好ましくは約16重量%~約42重量%であってもよい。導電性ポリマーを調製するための酸化剤には、有機及び無機酸のFe(III)塩、過硫酸アルカリ金属、過硫酸アンモニウム、その他が含まれる。本発明を実証するのに好適な酸化剤は、トシル酸Fe(III)である。ドーパントの濃度は、約5重量%~約30重量%であってもよく、より好ましくは約12重量%~約25重量%であってもよい。スルホン酸ポリスチレン、スルホン酸ドデシルベンゼン、p-トシル酸塩、又は塩化物等、任意の好適なドーパントが使用されてもよい。好適なドーパントは、p-トシル酸塩である。基板は、65℃から約160℃、より好ましくは約80℃~約120℃の温度で硬化されることで、モノマーを重合化する。硬化した後、ポリマー層は、脱イオン水又は他の溶媒で洗浄されるのが好ましい。
【0031】
巻き付け後にスラリーから事前形成されたポリマーを付与するのは、第2の導電性ポリマーを巻き付けに導入する好適な方法である。ポリマーは、スラリーとして調製可能であり、又はスラリーとして商業的に入手可能であり、この技術に特に限定されるものでないが、次いで乾燥を行うことが好ましい。スルホン酸ポリスチレン又は他の好適なドーパントでドープされ、溶媒中、200nm以下、好ましくは少なくとも1nm~200nm以下、より好ましくは少なくとも20nm~200nm以下の粒径を備えて重合された3,4-エチレンジオキシチオフェンのスラリーが、本発明を実証する一例である。特に好適なスラリーは、散乱技術により識別不能な粒径を有し、可溶性の導電性ポリマーと称される。
【0032】
液体電解質は、好ましくはその内部に支持塩を含む溶媒である。任意の従来の溶媒を使用することができ、例としての溶媒には、γ-ブチロラクトン、スルホラン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、水、シリコーンオイル、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物が含まれる。要求されるものでないが、支持塩が好適である。例としての支持塩には、無機酸アンモニウム塩、無機酸アミン塩、無機酸アルキル置換アミド塩、有機アンモニウム塩、有機酸アミド塩、有機酸アルキル置換アミド塩、及びこれらの誘導体が含まれる。任意のガス吸収剤又はカソード電気化学消極剤を使用することができる。例としての支持対象添加剤には、o-、m-、p-ニトロアニソール、o-、m-、p-ニトロ安息香酸、o-、m-、p-ニトロベンゼンアルコール等、有機アルコール類、酸類、エステル類、芳香族誘導体のニトロ誘導体が含まれる。特に好適なハイブリッドコンデンサは、50重量%までの液体電解質を含む。
【0033】
セパレータは、本明細書中、特に限定されるものでなく、任意の市販のセパレータを使用して、本発明を実証することができるが、導電性セパレータに使用される材料が導電性ポリマーでコーティングされるか、又は導電性ポリマーに浸漬されることを条件とする。導電性ポリマーの代替又は追加として、セパレータは、それ自体が導電性材料であってもよい。この導電性セパレータの例としてのセパレータは、導電性ポリマーの骨格層として機能する。セパレータは、ロールに巻き付け可能な異なる寸法のシートの形態で製造可能である。アノードフォイルは、セパレータのサポートとして機能可能であり、アノードフォイルは、導電性コーティングを絶縁体上に設け、導電性セパレータ層をポリマーコーティング上に形成した状態で、絶縁層がその表面上に形成される。アノードをサポートとして使用することで、動作の困難さを最少化してもよい。セパレータは、アノード導電性ポリマー層とカソードとの間の直接の電気的接触を生じる多孔質導電層を含む。好ましくは、セパレータは、液体電解質が透過する孔部容積を有する。紙、又はポリマー等他の非導電性材料を導電性ポリマーのサポートとして使用することができる。紙は、幅広く使用されており入手可能であるため、例としてのセパレータである。従来のコンデンサとは異なり、紙は、導電性セパレータとしての使用に合わせて炭化される必要はない。従来のコンデンサの製造において、紙は、多くの場合、作動要素の形成後に炭化されて、紙に吸収されるポリマーの量を最少化した。本発明によると、セパレータが、導電性ポリマーでコーティングされるか、又は導電性ポリマーに浸漬されて導電性セパレータを形成するため、これが不要である。セパレータは、物理的に混ぜ合わせられるか、又は架橋されて、紙繊維、層等の連続繊維を形成するように、紙繊維等の繊維材料であってもよい。繊維間の空間には、導電性の高い構成要素が部分的又は完全に充填されてもよい。紙ベースのセパレータは、完成品の紙の層を変化させることにより、又は、紙の層の形成、導電繊維、断片、又は液体又は固体状態の粒子又は塊の分散、又は導電性繊維、断片、粒子の蒸着に先立って、導電性の高い構成要素の繊維を備えた紙を変化させることにより、製造可能である。導電性の繊維、断片、又は粒子には、導電性ポリマー、カーボンブラック、グラファイト、金属等の導電性材料が含まれてもよく、又は、導電性ポリマー、カーボンブラック、グラファイト、金属等の導電性材料で変更された、紙、プラスチック等の非導電性コアからなる複合材料とすることができる。
【0034】
導電性セパレータ及び非導電性セパレータは、同一の材料を含んでもよく、導電性セパレータがその上に導電性コーティングを有するか、又は導電体に浸漬されたものであり、これらのいずれも、非導電性セパレータでは必要とされない。
【0035】
特に好適なセパレータは、作動要素の長さに好適な幅を有しており、1.5cm~500cmの幅での製造プロセスが、本発明を実証する例である。この長さは、容量がアノードの機能であり、カソードが重なるために、カソード及びアノードの長さ及び幅と直接関連するため、所望の容量に基づいて選択される。0.1m~400mの長さと、10μm~300μmまでの厚さのセパレータが、本発明を実証する例である。
【0036】
導電性ポリマーは、ポリアニリン、ポリピロール、及びポリチオフェン、又はこれらの置換誘導体から選択されることが好ましい。
【0037】
特に好適な導電性ポリマーは、式Iで表され、
【0038】
【化1】

【0039】
式中、R及びRは、環のβサイトの重合を阻害するように選ばれる。αサイトの重合のみが進行可能であることが最も好ましい。したがって、R及びRは、水素でないことが好ましい。R及びRは、αディレクタであることが好ましい。したがって、エーテル結合がアルキル結合よりも好ましい。立体障害を回避するために、基が小さいことが最も好ましい。このような理由により、R及びRはともに、-O-(CH-O-であることが最も好ましい。式I中、XはS、N、又はOであり、XがSであるのが最も好ましい。特に好適な導電性ポリマーは、重合した3,4-ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)である。
【0040】
及びRは、独立して、直鎖又は分岐のC~C16のアルキル又はC~C18のアルコキシアルキルを表すか、C~Cのアルキル、C~Cのアルコキシ、ハロゲン、又はORで置換されないか、又は置換されるC~Cのシクロアルキル、フェニル、又はベンジルであるか、又はR及びRはともに、C~Cのアルキル、C~Cのアルコキシ、ハロゲン、C~Cのシクロアルキル、フェニル、ベンジル、C~Cのアルキルフェニル、C~Cのアルコキシフェニル、ハロフェニル、C~Cのアルキルベンジル、C~Cのアルコキシベンジル又はハロベンジル、2つの酸素元素を含む5員、6員、又は7員の複素間構造で置換されないか、又は置換される直鎖のC~Cのアルキレンである。Rは、水素、直鎖又は分岐のC~C16のアルキル、又はC~C18のアルコキシアルキルを表すことが好ましく、又は、C~Cのアルキルで置換されないか、又は置換されるC~Cのシクロアルキル、フェニル、又はベンジルである。特に好適な実施形態において、Rは、対応するカチオン基を備えたアニオン基を備え、式Iは、本質的に導電性ポリマーであるが、自己ドープポリマーと称される対イオンである必要はない。
【0041】
従来、典型的に採用されるものとして、種々のドーパントを重化プロセス中にポリマー内に組み込むことができる。ドーパントは、芳香族スルホン酸類、芳香族ポリスルホン酸類、ヒドロキシ基を備えた有機スルホン酸類、カルボキシルヒドロキシル基を備えた有機スルホン酸類、脂環式スルホン酸類、ベンゾキノンスルホン酸類、ベンゼンジスルホン酸、スルホサリチル酸、スルホイソフタル酸、カンファ―スルホン酸、ベンゾキノンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸を含む種々の酸又は塩から誘導可能である。他の好適なドーパントには、米国特許大6,381,121号に例示のように、スルホキノン、アントラセンモノスルホン酸、置換ナフタレンモノスルホン酸、置換ベンゼンスルホン酸、又は複素環式スルホン酸が含まれ、同特許を参照として本明細書中に含む。
【0042】
バインダ及び架橋剤も、所望に応じて、導電性ポリマー層内に組み込むことができる。好適な材料には、ポリ(酢酸ビニル)、ポリカーボネート、ポリ(ブチルブチレート)、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエーテル類、ポリエステル類、シリコーン類、及びピロール/アクリレート、酢酸ビニル/アクリレート、及びエチレン/酢酸ビニルのコポリマーが含まれる。
【0043】
他のアジュバント、コーティング、及び関連要素を、当分野で既知のとおり、且つ、本発明から逸脱することなく、コンデンサに組み込むことができる。上述のとおり、非限定的な概要として、保護層、複数の容量レベル、端子、リード等を含む。
【0044】
本発明のコンデンサは、少なくとも15ボルト~400ボルト以下、より好ましくは500ボルト以下の定格電圧を有し、この定格電圧は、誘電体形成電圧の約50%である。
【実施例
【0045】
セルロース繊維をベースとし、0.35g/cm3の密度、50μmの厚さを有する材料をセパレータとして使用し、少なくとも部分的にカプセル化されたコントロール導電性セパレータを形成するためのスラリーとして提供された、市販の重合された3,4-ポリエチレンジオキシチオフェンで処理を行った。コントロールセパレータをスラリー中に2度浸漬し、スラリーは最初は80℃で、次いで150℃で乾燥して、固形コーティングを形成した。同一のセルロース繊維セパレータを、酸化剤としてのトシル酸鉄を含む溶液中に浸漬し、周辺温度で3時間乾燥した後、3,4-エチレンジオキシチオフェンモノマーを含む溶液中に浸漬することで処理を行った。モノマーの重合は、周辺温度で3時間進行させ、次いで、40℃で3時間進行させることで、重合された3,4-ポリエチレンジオキシチオフェンを形成することにより、本発明の導電性セパレータを形成した。本発明の導電性セパレータを、エタノールで洗浄し、40℃で1時間、125℃で3時間乾燥して硬化させた。各導電性セパレータの抵抗を、同一のプローブにより、複数回テストした結果、本発明の導電性セパレータに対しては4.6(±0.44)Ω、コントロール導電性セパレータに対しては8.1(±0.49)Ωの抵抗であった。本発明の導電性セパレータは、コントロールに対して、約76%の導電性を向上することを実証した。
【0046】
本発明を実証する目的で、3つのコンデンサを作成した。各々、スリットを形成した後、ホウ酸溶液中で500Vまで誘電体を形成した、720Vfのアルミニウムフォイルをベースとした。コンデンサ1は、トシル酸鉄で3,4-エチレンジオキシチオフェンを重合することを含む、誘電体上への現場ポリマーの形成により、形成した。コンデンサ2は、コンデンサ1と同一の導電性セパレータで調製し、組み付け後に、重合した3,4-ポリエチレンジオキシチオフェンのポリマースラリーを第2の導電性ポリマーとして組み込んだ。コンデンサ3は、高電圧液体電解質(Vs-450V)を含んだ以外、コンデンサ2と同一に調製した。結果として得られたものを図6及び図7に示す。図6において、情報の軌跡は、コンデンサ1の結果を表し、下方の軌跡は、コンデンサ3の結果を表している。図7は、コンデンサ2の結果を表している。
【0047】
図6及び図7に示されるとおり、コンデンサ2及び3は、図3に表される方式に対応し、プロトタイプに対する電圧能力は、200Vよりも高かった。第1のスパークは、コンデンサ2に対しては300Vで発生したものの、漏れ電流は、安定のままであり、電流の不安定な複数のスパークが400Vで発生した。この構造では、300Vが電圧の限界であった。本発明のサンプルでは、良好な漏れ電流性能が実証され、400Vで電流の不安定さとして、複数の障害が観察及び検出された。完全な現場コンデンサ構造では、より悪い結果を実証した。まず、漏れ電流は、10V~30Vとといった非常に低い電圧であっても、本発明のコンデンサに対してほぼ2倍高かった。50Vでは、漏れ電圧が顕著に上昇し始め、これが既に電圧の限界と考えることができる。100Vでは、コンデンサ2は、短絡障害モードで障害を生じた。
【0048】
本発明について、好適な実施形態を参照して説明を行ってきたが、これに限定されるものでない。当業者は、本明細書に具体的に記載がないものの、本明細書に添付の請求書により具体的に記載のある本発明の範囲内である追加の実施形態及び改良を認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサであって、
作動要素を備え、前記作動要素は、
アノード上に第1の誘電体を含む前記アノードと、
カソードと、
前記第1の誘電体と前記カソードとの間に設けられ、セパレータと第1の導電性ポリマーとを含む層状構造を含み、前記第1の導電性ポリマーは、前記セパレータ上の第1の層であり、少なくとも部分的に、前記セパレータを包囲する導電性セパレータと、
少なくとも部分的に、前記第1の導電性ポリマーを包囲し、前記第1の導電性ポリマーは、第2の導電性ポリマーより高い導電性を有する前記第2の導電性ポリマーと、
前記アノードと電気的に接触するアノードリードと、
前記カソードと電気的に接触するカソードリードとを備えるコンデンサ。
【請求項2】
前記第1の導電性ポリマーは、事前形成された導電性ポリマーのスラリーにより、又は現場重合により形成された高導電性ポリマーで形成される請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第2の導電性ポリマーは、事前形成された導電性ポリマーのスラリーから形成される請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の導電性を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の導電性を有し、前記第1の導電性は、前記第2の導電性の少なくとも150%~2500%以下である請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の破壊電圧を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の破壊電圧を有し、前記第2の破壊電圧は、前記第1の破壊電圧より高い請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記第2の破壊電圧は、前記第1の破壊電圧の120%~700%である請求項5に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の仕事関数を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の仕事関数を有し、前記第2の仕事関数は、前記第1の仕事関数より高い請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記第2の仕事関数は、前記第1の仕事関数より少なくとも0.2eV~1.2eV以下高い請求項7に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記第1の導電性ポリマーは、前記第2の導電性ポリマーの平均粒径よりも大きな平均粒径を有する請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記誘電体と前記カソードとの間に液体電解質をさらに含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記液体電解質を50重量%まで含む請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記第1の導電性ポリマーは、前記セパレータ上にコーティングされるか、又は前記第1の導電性ポリマーは、前記セパレータを浸漬する請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記第1の導電性ポリマー又は前記第2の導電性ポリマーの少なくとも一方は、ポリアニリン、ポリチオフェン、及びポリピロールからなる群より選択された導電性ポリマーを含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項14】
前記第1の導電性ポリマー又は前記第2の導電性ポリマーの層は、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンを含む請求項13に記載のコンデンサ。
【請求項15】
前記第1の導電性ポリマー又は第2の導電性ポリマーは、自己ドープポリマーである請求項13に記載のコンデンサ。
【請求項16】
複数のアノードリード又は複数のカソードリードを備える請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項17】
前記アノード又は前記カソードのうちの少なくとも一方は、バルブメタルを含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項18】
前記バルブメタルは、タンタル、アルミニウム、ニオビウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、これらの元素の合金、及びこれらの導電性酸化物からなる群より選択される請求項17に記載のコンデンサ。
【請求項19】
前記バルブメタルは、アルミニウムである請求項18に記載のコンデンサ。
【請求項20】
前記セパレータは、少なくとも0.1mg/cm~10mg/cm以下の第1の導電性ポリマーコーティングを有する請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項21】
少なくとも15ボルト~500ボルト以下の定格電圧を有する請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項22】
コンデンサの形成方法であって、
以下により、作動要素を形成することを含み、以下とは、
第1の誘電体とアノードリードとを備えるアノードを設けることと、
カソードリードを備えるカソードを設けることと、
セパレータと第1の導電性ポリマーとを含む層状構造を備える導電性セパレータを形成することであって、前記第1の導電性ポリマーは、前記セパレータ上の第1の層であり、少なくとも部分的に、前記セパレータを包囲することと、
前記導電性セパレータを前記第1の誘電体と前記カソードとの間にして、前記アノード及び前記カソードを巻き付けて、巻き付けコンデンサ前駆体を形成することと、
第2の導電性ポリマーを前記巻き付けコンデンサ前駆体に導入することであって、前記第2の導電性ポリマーは、前記第1の導電性ポリマー層上の第2の層であり、少なくとも部分的に、前記第1の導電性ポリマーを包囲することと、を含む方法。
【請求項23】
前記第1の導電性ポリマーは、現場重合技術によって形成される請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項24】
前記スラリーを前記巻き付けコンデンサ前駆体内に導入すること、前記スラリーは、事前形成された導電性ポリマーを含む請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項25】
前記第1の導電性ポリマーは、前記第2の導電性ポリマーよりも高い導電性を有する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項26】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の導電性を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の導電性を有し、前記第1の導電性は、前記第2の導電性の少なくとも150%~2500%以下である請求項25に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項27】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の破壊電圧を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の破壊電圧を有し、前記第2の破壊電圧は、前記第1の破壊電圧より高い請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項28】
前記第2の破壊電圧は、前記第1の破壊電圧の120%~700%である請求項27に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項29】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の仕事関数を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の仕事関数を有し、前記第2の仕事関数は、前記第1の仕事関数より高い請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項30】
前記第2の仕事関数は、前記第1の仕事関数より少なくとも0.2eV~1.2eV以下高い請求項29に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項31】
前記作動要素に液体電解質を添加することであって、前記液体電解質は、前記誘電体と前記カソードとの間に含まれることをさらに備える請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項32】
前記導電性セパレータは、少なくとも0.1mg/cm~10mg/cm以下の第1の導電性ポリマーコーティング重量を有する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項33】
前記導電性セパレータは、前記セパレータ上に前記第1の導電性ポリマーをコーティングされたセパレータを備えるか、又は前記第1の導電性ポリマーは、前記セパレータを浸漬する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項34】
前記第1の導電性ポリマー又は前記第2の導電性ポリマーのうちの少なくとも一方は、ポリアニリン、ポリチオフェン、及びポリピロールからなる群より選択されるポリマーを含む請求項33に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項35】
前記ポリチオフェンは、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンである請求項34に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項36】
前記第1の導電性ポリマー又は前記第2の導電性ポリマーは、自己ドープポリマーである請求項34に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項37】
複数のアノードリード又は複数のカソードリードを形成することを含む請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項38】
前記アノード又は前記カソードのうちの少なくとも一方は、バルブメタルを含む請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項39】
前記バルブメタルは、タンタル、アルミニウム、ニオビウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、これらの元素の合金、及びこれらの導電性酸化物からなる群より選択される請求項38に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項40】
前記バルブメタルは、アルミニウムである請求項39に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項41】
少なくとも15ボルト~500ボルト以下の定格電圧を有する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項42】
前記第1の導電性ポリマーは、前記第2の導電性ポリマーの平均粒径より大きい平均粒径を有する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項43】
前記第2の導電性ポリマーは、可溶性の導電性ポリマーである請求項42に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項44】
前記第2の導電性ポリマーは、200nm以下の粒径を有する請求項42に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項45】
前記粒径は、少なくとも1nmである請求項42に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項46】
前記粒径は、少なくとも20nmである請求項45に記載のコンデンサの形成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
図6及び図7に示されるとおり、コンデンサ2及び3は、図3に表される方式に対応し、プロトタイプに対する電圧能力は、200Vよりも高かった。第1のスパークは、コンデンサ2に対しては300Vで発生したものの、漏れ電流は、安定のままであり、電流の不安定な複数のスパークが400Vで発生した。この構造では、300Vが電圧の限界であった。本発明のサンプルでは、良好な漏れ電流性能が実証され、400Vで電流の不安定さとして、複数の障害が観察及び検出された。完全な現場コンデンサ構造では、より悪い結果を実証した。まず、漏れ電流は、10V~30Vとといった非常に低い電圧であっても、本発明のコンデンサに対してほぼ2倍高かった。50Vでは、漏れ電圧が顕著に上昇し始め、これが既に電圧の限界と考えることができる。100Vでは、コンデンサ1は、短絡障害モードで障害を生じた。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサであって、
作動要素を備え、前記作動要素は、
アノード上に第1の誘電体を含む前記アノードと、
カソードと、
前記第1の誘電体と前記カソードとの間に設けられ、セパレータと第1の導電性ポリマーとを含む層状構造からなり、前記第1の導電性ポリマーは、前記セパレータ上の第1の層であり、少なくとも部分的に、前記セパレータを包囲する導電性セパレータと、
少なくとも部分的に、前記第1の導電性ポリマーを包囲し、前記第1の導電性ポリマーは、第2の導電性ポリマーより高い導電性を有する前記第2の導電性ポリマーであって前記第2の導電性ポリマーが前記第1の導電性ポリマー上の第2の層であり、
前記アノードと電気的に接触するアノードリードと、
前記カソードと電気的に接触するカソードリードとを備えるコンデンサ。
【請求項2】
前記第1の導電性ポリマーは、事前形成された導電性ポリマーのスラリーにより、又は現場重合により形成された高導電性ポリマーで形成される請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第2の導電性ポリマーは、事前形成された導電性ポリマーのスラリーから形成される請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の導電性を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の導電性を有し、前記第1の導電性は、前記第2の導電性の少なくとも150%~2500%以下である請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の破壊電圧を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の破壊電圧を有し、前記第2の破壊電圧は、前記第1の破壊電圧より高い請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記第2の破壊電圧は、前記第1の破壊電圧の120%~700%である請求項5に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の仕事関数を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の仕事関数を有し、前記第2の仕事関数は、前記第1の仕事関数より高い請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記第2の仕事関数は、前記第1の仕事関数より少なくとも0.2eV~1.2eV以下高い請求項7に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記第1の導電性ポリマーは、前記第2の導電性ポリマーの平均粒径よりも大きな平均粒径を有する請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記誘電体と前記カソードとの間に液体電解質をさらに含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記液体電解質を50重量%まで含む請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記第1の導電性ポリマーは、前記セパレータ上にコーティングされるか、又は前記第1の導電性ポリマーは、前記セパレータを浸漬する請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記第1の導電性ポリマー又は前記第2の導電性ポリマーの少なくとも一方は、ポリアニリン、ポリチオフェン、及びポリピロールからなる群より選択された導電性ポリマーを含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項14】
前記第1の導電性ポリマー又は前記第2の導電性ポリマーの層は、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンを含む請求項13に記載のコンデンサ。
【請求項15】
前記第1の導電性ポリマー又は第2の導電性ポリマーは、自己ドープポリマーである請求項13に記載のコンデンサ。
【請求項16】
複数のアノードリード又は複数のカソードリードを備える請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項17】
前記アノード又は前記カソードのうちの少なくとも一方は、バルブメタルを含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項18】
前記バルブメタルは、タンタル、アルミニウム、ニオビウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、これらの元素の合金、及びこれらの導電性酸化物からなる群より選択される請求項17に記載のコンデンサ。
【請求項19】
前記バルブメタルは、アルミニウムである請求項18に記載のコンデンサ。
【請求項20】
前記セパレータは、少なくとも0.1mg/cm~10mg/cm以下の第1の導電性ポリマーコーティングを有する請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項21】
少なくとも15ボルト~500ボルト以下の定格電圧を有する請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項22】
コンデンサの形成方法であって、
以下により、作動要素を形成することを含み、以下とは、
第1の誘電体とアノードリードとを備えるアノードを設けることと、
カソードリードを備えるカソードを設けることと、
セパレータと第1の導電性ポリマーとを含む層状構造からなる導電性セパレータを形成することであって、前記第1の導電性ポリマーは、前記セパレータ上の第1の層であり、少なくとも部分的に、前記セパレータを包囲することと、
前記導電性セパレータを前記第1の誘電体と前記カソードとの間にして、前記アノード及び前記カソードを巻き付けて、巻き付けコンデンサ前駆体を形成することと、
第2の導電性ポリマーを前記巻き付けコンデンサ前駆体に導入することであって、前記第2の導電性ポリマーは、前記第1の導電性ポリマー層上の第2の層であり、少なくとも部分的に、前記第1の導電性ポリマーを包囲することと、を含む方法。
【請求項23】
前記第1の導電性ポリマーは、現場重合技術によって形成される請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項24】
ラリーを前記巻き付けコンデンサ前駆体内に導入すること、前記スラリーは、事前形成された導電性ポリマーを含む請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項25】
前記第1の導電性ポリマーは、前記第2の導電性ポリマーよりも高い導電性を有する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項26】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の導電性を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の導電性を有し、前記第1の導電性は、前記第2の導電性の少なくとも150%~2500%以下である請求項25に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項27】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の破壊電圧を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の破壊電圧を有し、前記第2の破壊電圧は、前記第1の破壊電圧より高い請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項28】
前記第2の破壊電圧は、前記第1の破壊電圧の120%~700%である請求項27に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項29】
前記第1の導電性ポリマーは、第1の仕事関数を有し、前記第2の導電性ポリマーは、第2の仕事関数を有し、前記第2の仕事関数は、前記第1の仕事関数より高い請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項30】
前記第2の仕事関数は、前記第1の仕事関数より少なくとも0.2eV~1.2eV以下高い請求項29に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項31】
前記作動要素に液体電解質を添加することであって、前記液体電解質は、前記誘電体と前記カソードとの間に含まれることをさらに備える請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項32】
前記導電性セパレータは、少なくとも0.1mg/cm~10mg/cm以下の第1の導電性ポリマーコーティング重量を有する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項33】
前記導電性セパレータは、前記セパレータ上に前記第1の導電性ポリマーをコーティングされたセパレータを備えるか、又は前記第1の導電性ポリマーは、前記セパレータを浸漬する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項34】
前記第1の導電性ポリマー又は前記第2の導電性ポリマーのうちの少なくとも一方は、ポリアニリン、ポリチオフェン、及びポリピロールからなる群より選択されるポリマーを含む請求項33に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項35】
前記ポリチオフェンは、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンである請求項34に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項36】
前記第1の導電性ポリマー又は前記第2の導電性ポリマーは、自己ドープポリマーである請求項34に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項37】
複数のアノードリード又は複数のカソードリードを形成することを含む請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項38】
前記アノード又は前記カソードのうちの少なくとも一方は、バルブメタルを含む請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項39】
前記バルブメタルは、タンタル、アルミニウム、ニオビウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、これらの元素の合金、及びこれらの導電性酸化物からなる群より選択される請求項38に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項40】
前記バルブメタルは、アルミニウムである請求項39に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項41】
少なくとも15ボルト~500ボルト以下の定格電圧を有する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項42】
前記第1の導電性ポリマーは、前記第2の導電性ポリマーの平均粒径より大きい平均粒径を有する請求項22に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項43】
前記第2の導電性ポリマーは、可溶性の導電性ポリマーである請求項42に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項44】
前記第2の導電性ポリマーは、200nm以下の粒径を有する請求項42に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項45】
前記粒径は、少なくとも1nmである請求項42に記載のコンデンサの形成方法。
【請求項46】
前記粒径は、少なくとも20nmである請求項45に記載のコンデンサの形成方法。
【国際調査報告】