(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(54)【発明の名称】エッジ堆積測定法
(51)【国際特許分類】
B21C 47/26 20060101AFI20221026BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20221026BHJP
C23C 2/20 20060101ALN20221026BHJP
【FI】
B21C47/26 A
B21C51/00 R
C23C2/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513174
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 IB2019057275
(87)【国際公開番号】W WO2021038278
(87)【国際公開日】2021-03-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スローン,デイビッド
【テーマコード(参考)】
4E026
4K027
【Fターム(参考)】
4E026AA11
4E026BA14
4E026EA10
4K027AA05
4K027AC52
4K027AE23
4K027AE24
(57)【要約】
本発明は、巻回されている金属被覆コイルについて、被覆厚さの均一性を制御するための方法に関し、前記方法は、以下のステップ:
A)第1の基準点とコイル面上の第1の点との間の第1の距離を測定するステップ、B)第2の基準点とコイル面上の第2の点との間の第2の距離を測定するステップであって、- コイル上の前記第1及び第2の点がコイル幅に沿って異なる地点に配置されるステップ、C)前記第1の距離と前記第2の距離との間の差を計算するステップであって、前記差がΔ12trueと注記される、ステップ、D)前記差Δ12trueを保存するステップと、- 閾値を定義するステップ、- 各保存された差Δ12trueを前記閾値と比較、又は、差Δ12trueの合計を前記閾値と比較するステップ、- 前記差Δ12true又は差Δ12trueの前記合計が前記閾値よりも高いときにアラートを発するステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回されている金属被覆コイルについて、被覆厚さの均一性を制御するための方法であって、以下のステップ、
A)第1の基準点R1とコイル面上の第1の点C1との間の第1の距離D1を測定するステップ、
B)第2の基準点R2とコイル面上の第2の点C2との間の第2の距離D2を測定するステップであって、
- コイル上の前記第1及び第2の点がコイル幅に沿って異なる地点に配置される、ステップ、
C)前記第1の距離D1と前記第2の距離D2との間の差を計算するステップであって、前記差がΔ12trueと注記される、ステップ、
D)前記差Δ12trueを保存するステップ、
E)コイル幅全体の少なくとも10分の1に沿って、コイル面上の第1の点又は第2の点の少なくとも一方を動かしながら、前記ステップA、B、C及びDを繰り返すステップ、
- 閾値Mを定義するステップ、
- 各保存された差Δ12trueを前記閾値Mと比較、又は、差Δ12trueの合計を前記閾値Mと比較するステップ、
- 前記差Δ12true又は差Δ12trueの前記合計が前記閾値Mよりも高いときにアラートを発するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
第1の距離D1及び第2の距離D2が、0.15mから2.00mの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップA及びBが、同時に行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1及び第2の距離D1及びD2の前記測定が、レーザ変位センサを用いて行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザ変位センサが、380nmから500nmの間に含まれる波長を有する光を発する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基準点R1及びR2が、コイル回転軸線から同じ距離上にある、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
コイル面上の前記第1及び第2の点C1及びC2が、0<D
C12<0.50Wである、コイル幅Wに沿って距離D
C12によって離隔される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
コイル面上の前記第1及び第2の点C1及びC2が、コイル回転軸線に平行な軸線上にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記閾値Mが、ラップ当たり0.10μmから3μmの間にある、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
コイル面上の前記第1の点及び/又は第2の点が、速度S
CAPTORSで移動され、前記コイルが、幅Wを有し、S
CAPTORS>W/T
COILINGであるように時間T
COILINGで巻かれる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コイル幅に沿った堆積プロファイルが、前記計算された差Δ12を用いることによって行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記被覆が、コイルが巻回される場所の上流の制御された位置を有する少なくとも1つのバッフルを備える払拭ステーションで払拭され、前記少なくとも1つのバッフル位置が、前記堆積プロファイルを用いて調整される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
巻回されている金属被覆コイルについて、被覆厚さの均一性を制御するコイル化ステーションであって、
- 第1の基準点R1とコイル面上の第1の点C1との間の第1の距離D1を測定できる第1の距離測定システムM1、
- 第2の基準点R2とコイル面上の第2の点C2との間の第2の距離D2を測定できる第2の距離測定システムM2、
- 少なくともコイル幅全体に沿って前記第1の距離測定システムM1及び/又は前記第2の距離測定システムM2を移動させるのを可能にする変位システムであって、
- 前記第1及び第2の距離測定システムM1及びM2がコイル位置から0.15mから2.00mの間の距離に位置することが可能である、変位システム、
- 前記第1及び第2の距離測定システムM1及びM2に接続される計算手段、
- 前記計算手段に接続されるアラーティング手段、
を具備する、コイル化ステーション。
【請求項14】
請求項1から12の方法を実行する、請求項13に記載のコイル化ステーション。
【請求項15】
前記変位システムが、少なくともコイル幅全体に沿って前記第1の距離測定システムM1及び前記第2の距離測定システムM2を移動させるのを可能にする、請求項13又は14に記載のコイル化ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻回されている金属被覆コイルについて、その幅方向に沿った被覆厚さの均一性を制御するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近頃、スチールストリップは、一般に、それらの表面特性を高めるために、様々な被覆によって被覆される。それらの被覆は、通常、ストリップ面に付着/固着する被覆浴にスチールストリップを通すことによって行われる。前記被覆浴を出た後、被覆厚さは、払拭手段を用いて調整される。その後、ストリップは、通常、熱処理され、次いで、コイル化ステーションで巻かれる。
【0003】
前記払拭手段1は、一般に、
図1に表わされたように、ストリップSの両面に配置されるエアナイフ2と、その両側のバッフル3とを備えている。そのうえ、バッフル位置は、ストリップエッジの被覆品質、即ち、エッジの被覆厚さ及び均一性に非常に影響する。前記バッフル位置が正しく設定されていないとき、被覆の堆積(build-up)は、ストリップに、特に、エッジに形成される傾向がある。巻いたとき、ストリップエッジの被覆堆積は、重ね合わされ、最終的にそのエッジ5まわりがその中心6まわりよりも大きな円周を有するコイル4をもたらし、そのようなコイルが
図2に表わされている。これは、ストリップエッジが伸張され、巻き出し中、波状エッジをもたらすことになることから、高品質製品にとって有害である。産業上、決定された堆積量だけが許容可能であり、例えば、コイル幅に沿って決定された円周の変動だけが許容可能である。この量を超えると、波状エッジは、除去されなければならない可能性があり、コイルは、グレード落ちされなければならず、経済的に有害である。
【0004】
ストリップ幅、所望の被覆厚さ、被覆組成、払拭手段の損耗、使用ガスの特性、及び、ストリップ速度、などの様々なパラメータに応じて、バッフル位置及び払拭手段位置などの払拭パラメータは、エッジ堆積を抑制するために調整されなければならない。その結果、バッフル位置は、1度で全てを設定できず、定期的に調整しなければならない。
【0005】
コイル化ステーションにおいて、幅方向に沿った被覆厚さ均一性は、一般に、幾つかの欠点を呈するオペレータによって手動で制御される。第1に、安全上の懸念が存在し、その理由は、オペレータがその巻き工程中に動いているストリップの近くにいなければならないからである。第2に、測定は、正確でなく、また、オペレータに依存する。第3に、遅延が、堆積測定と、バッフルが調整可能である時間との間に存在し、その理由は、測定に時間がかかり、データ転送が即時でないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、巻回されているコイルの堆積測定を最適化するのを可能にする解決策を提供し、上述の課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に係る方法を提供することによって達成される。方法は、請求項2から12の任意の特徴を含むこともできる。この目的は、請求項13から15に係る装置を提供することによっても達成される。
【0008】
他の特徴及び利点は、本発明の次の詳細な説明から明らかになっていくことになる。
【0009】
本発明を例証するために、様々な実施形態は、特に、次の図面を参照して、説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】エアナイフ及びバッフルを備える払拭手段によって払拭されているストリップを示す図である。
【
図2】エッジ堆積をそのエッジに有するコイルを示す図である。
【
図3】コイルと、コイル面上の3点と、それらのコイル回転軸線との距離とを示す図である。
【
図4】2つの測定距離手段及びコイルを備える本発明の実施形態を示す図である。
【
図5】コイル面上の第2の点に対するコイル面上の第1の点の4つの異なるケースを示す図である。
【
図6】Δ12trueが何であるかを解説している3つの異なるケースを示す図である。
【
図7】被覆堆積をより受けるコイル部分の実施形態を示す図である。
【
図8】1層コイル(A)と100層コイル(B)との堆積差を示す図である。
【
図9】測定手段及びコイルのスキーム(A)と、コイル幅に沿った差Δ12trueのプロット(B)とを示す図である。
【
図10】測定手段及びコイルのスキーム(A)と、コイル幅に沿った合計差Δ12trueのプロット(B)とを示す図である。
【
図11】レーザ変位センサの実施形態を示す図である。
【
図12】コイル、その回転軸線、及びその面上の2つの点(A)と、その面上の点及びその回転軸線によって形成される角度の投影(B)とを示す図である。
【
図13】コイル化ステーションの実施形態の2つの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、巻回されている金属被覆コイルについて、被覆厚さの均一性を制御するための方法に関し、前記方法は、以下のステップ:
A)第1の基準点R1とコイル面上の第1の点C1との間の第1の距離D1を測定するステップ、
B)第2の基準点R2とコイル面上の第2の点C2との間の第2の距離D2を測定するステップであって、
- コイル上の前記第1及び第2の点がコイル幅に沿って異なる点に配置される、ステップ、
C)前記第1の距離D1と前記第2の距離D2との間の差を計算するステップであって、前記差がΔ12trueと注記される、ステップ、
D)前記差Δ12trueを保存するステップ、
E)コイル幅全体の少なくとも10分の1に沿って、コイル面上の第1の点又は第2の点の少なくとも一方を動かしながら、前記ステップA、B、C及びDを繰り返すステップ、
F)閾値Mを定義するステップ、
G)各保存された差Δ12trueを前記閾値Mと比較、又は、差Δ12trueの合計を前記閾値Mと比較するステップ、
H)前記差Δ12又は差Δ12trueの前記合計が前記閾値Mよりも高いときにアラートを発するステップ
を含む。
【0012】
コイル幅に沿った被覆厚さの制御は、コイル幅に沿った種々の点でのコイル厚さの比較に基づく。コイル厚さは、コイル幅に沿った決定された点に関して、コイルまわりの任意の点について同じであると仮定される。これは、
図3に表わされており、コイル面上の3点(7a、7b、7c)と、コイルの回転軸線9に対するそれらの距離(8a、8b、8c)と、が表わされ、巻回中に等しいと仮定される。コイル厚さは、コイルの層数、ストリップ厚さ、及び、被覆厚さなどの幾つかのパラメータに依存する。2つの最初のパラメータのコイル幅に沿ったコイル厚さへの影響は、無視できるものと考えられる。その結果、コイル幅に沿ったコイル厚さの変動は、コイル幅に沿った被覆厚さの変動に主として依存する。それで、先に解説されたように、払拭手段が正しく設定されていないとき、より多くの被覆が、スチールストリップの中央よりもエッジに存在する可能性があり、巻回したとき、エッジ堆積が形成されて、
図2に表わされたものと同様のコイルをもたらす。より多くの被覆が、例えば、エアナイフが欠陥のある場合に、ストリップ幅に沿った別の部分に存在することもある。
【0013】
金属被覆コイルは、亜鉛ベースの被覆を有するスチールで作製でき、コイル化ステーションで巻回できる。
【0014】
図4に示されているように、第1のステップAでは、第1の基準点R1と、コイル面上の第1の点C1との間の距離D1が、測定される。基準点R1は、前記距離D1を測定する第1の測定手段M1の先端として近似できる。それで、距離D1は、第1の測定手段M1と、コイル面上の点C1との間の距離である。
【0015】
図4に示されているように、第2のステップBでは、第2の基準点R2と、コイル面上の第2の点C2との間の距離D2が、測定される。第2の基準点R2は、前記距離D2を測定する第2の測定手段M2の先端として近似できる。それで、距離D2は、第2の測定手段M2と、コイル面上の第2の点C2との間の距離である。
【0016】
両第1及び第2の距離D1及びD2は、優先的にそれらの基準点と前記コイルとの間の最短距離である。そのような配置は、D1及びD2の、したがって、Δ12trueの決定を容易にする。
【0017】
コイル上の第1及び第2の点C1及びC2は、コイル幅に沿った種々の点に配置される。コイルと、その回転軸線と、第1及び第2の距離とは、4つの異なるケースに対して
図5に表わされており、コイル面は、幅及び高さによって定義でき、前記高さは、円周に対応する:
A)C1及びC2は、コイル高さに沿って同じ点上にあるが、コイル幅に沿って異なる点にある
B)C1及びC2は、コイル高さに沿って異なる点上にあるが、コイル幅に沿って異なる点にある
C)C1及びC2は、コイル高さに沿って異なる点上にあるが、コイル幅に沿って同じ点にある
D)C1及びC2は、コイル高さに沿って同じ点上にあり、コイル幅に沿って同じ点にあり、その結果、それらは同じ地点にある。
【0018】
その結果、
図5では、C1及びC2が、コイル幅に沿って異なる点に配置されるので、ケースA及びケースBだけが特許請求されている方法に対応する。
【0019】
好ましくは、前記ステップA及びBは、1秒以内に行われる。それは、測定についての層数の仮定がより現実に近づくことを可能にする。なお更、好ましくは、前記ステップA及びBは、0.5秒以内に行われる。
【0020】
次いで、前記第1の距離D1と前記第2の距離D2との間の、Δ12trueと注記された差が、計算される。Δ12trueと注記された差は、第1及び第2の基準点に対するコイル直径への被覆堆積の影響を表わす。しかしながら、基準点R1及びR2が、コイル回転軸線からの、実際にはマンドレル上の、異なる距離にあり得るので、この差Δ12trueは、調整を必要とする可能性がある。Δ12は、D1及びD2間の距離差である。
【0021】
図6は、3つの異なるシナリオを表わしており、D1及びD2は、それらの基準点と前記コイルとの間の最短距離である:
【0022】
A)基準点R1及びR2は、コイル回転軸線9から同じ距離にあるが、単にエッジの堆積のために、距離D1及びD2は異なる。その場合、距離差は、Δ12trueに等しく、その特別なケースでは、Δ12=Δ12trueである。
【0023】
B)基準点R1及びR2は、コイル回転軸線から異なる距離にあり、コイル上に検出可能な堆積が存在せず、その結果、距離D1及びD2は、単にコイル回転軸線から離隔している基準点のために異なることになる。その場合、コイル回転軸線に対する各基準点の距離ΔR1R2及び/又は一方の基準点と他方との間の間隔を知ることで、算出された距離は、調整される必要がある。その場合、Δ12true=Δ12-ΔR1R2=0である。
【0024】
C)基準点R1及びR2は、コイル回転軸線から異なる距離にあり、被覆堆積は、検出できる。それで、D1及びD2間の距離差Δ12は、堆積及びコイル回転軸線に対する各基準点の距離によって影響を及ぼされる。その結果、Δ12true=Δ12-ΔR1R2≠0である。
【0025】
第4のステップでは、計算された差Δ12trueは、保存され、更なる使用のためにアクセス可能である。
【0026】
次いで、コイル幅全体の少なくとも10分の1に沿って、コイル面上の第1又は第2の点の少なくとも一方を動かしながら、第4の第1のステップが繰り返される。好ましくは、コイル面上の点の変位は、コイル幅に沿って関連付けされる測定手段の変位を介して行われる。そのような変位は、コイル幅に沿って幾つかの円周差を測定すること、したがってコイル幅の少なくとも10分の1を制御するのを可能にし、好ましくは全体コイル幅Wの前記少なくとも10分の1は、このコイル部分が縞模様ゾーンによって
図7に表わされたように被覆堆積をより受けるので、コイル先端に配置される。好ましくは、コイル幅全体に沿って、コイル面上の第1又は第2の点の少なくとも一方を動かしながら、前記ステップA、B、C、及びDが繰り返される。
【0027】
別のステップでは、閾値Mが、定義される。そのような閾値は、コイルにとって許容可能である最大円周変化と定義できる。前記閾値は、被覆厚さの不均一性が重畳される可能性があるので、コイルの被覆スチールの層数、又は、マンドレルによってなされる回転に応じて定義できる。例えば、ストリップのエッジとその中心との間の被覆厚さ差が常に0.1mm存在する場合に、コイル層数、例えば、マンドレル回転数にもよるが、堆積10は、
図8に示されているように、1層コイル(A)と100層コイル(B)に関して異なることになる。例えば、厚さ0.38mmのライトゲージに許容される最大堆積は、0.15μmと定義される場合がある。一般に、それらのコイルは、約2000のラップを有し、その結果、許容される最大円周差は、0.3mm(0.15μm×2000)である。対して、厚さ2mmのヘビーゲージに許容される最大堆積は、2.6μmと定義できる。一般に、それらのコイルは、約380のラップを有し、その結果、許容される最大円周差は、0.9mm(2.6μm×380)である。最後のケースでは、閾値Mは、M=2.6μm×ラップと定義できる。それで、100マンドレル回転の後又はコイルが100ラップを有するとき、閾値は、0.26mmと定義されることになる。
【0028】
その後、閾値は、各保存された差Δ12true、又は、差Δ12trueの合計、と比較される。比較を容易にするために、閾値は、各保存された差Δ12trueの絶対値、及び/又は、差Δ12trueの合計、と比較できる。ある比較は、必要とされる制御に応じて、及び、幅方向の面上の2つの点C1及びC2間の間隔に応じて、別の比較より好まれる場合がある。閾値が絶対値と比較されないケースでは、閾値は、正の値Mと、負の値-Mとで作られ、その結果、差Δ12trueが負の閾値-Mよりも小さい場合に、アラートが発せられる。このアラートのトリガは、後で詳述される。好ましくは、閾値は、各保存された差Δ12true、及び、差Δ12trueの合計と比較される。
【0029】
例えば、閾値は、幅に沿ったコイル面上の2つの点間の最大円周変化差であると定義される場合に、C
1C
2と注記されるC1及びC2間の間隔に応じて、検出できるか又はできないかである。
図9に示されているように、面上の2つの点C1及びC2間の間隔が小さいケースでは、Δ12trueは、閾値よりも小さいことがある。
図9では、コイル幅に沿ってΔ12trueがプロットされており、その結果、コイル幅に沿ったこの位置のコイルの円周Circ1を代表する点C1と、コイル幅に沿ったこの位置のコイルの円周Circ2を代表する点C2とにおけるコイル厚さの差がプロットされている。その結果、たとえ幅に沿ったコイル面上の2つの点間の円周差が閾値Mより高くても、その場合検出されないが、その理由は、2つの周囲が、又は、前記閾値Mよりも大きな差を有するC
1C
2の離隔されたコイル厚さが、存在しないからである。
【0030】
その結果、コイル幅上の1つの点からコイル幅上の別の点までの差Δ12trueを合計することが可能である。この技術は、閾値よりも大きな差を有する少なくとも2つの円周又は2つの堆積が存在する場合を知ることと、コイルプロファイルを得ることとを可能にする。
図10では、
図9に関してと同じコイルに関するコイル幅に沿った差の合計がプロットされている。したがってコイルのプロファイルが得られる。
【0031】
最後に、前記差Δ12true又は差Δ12trueの前記合計が、前記閾値Mよりも高いとき、アラートが発せられる。アラートは、限定されないが、視覚的アラートや音響アラート或いはそれらの組合せにできる。視覚的アラートは、スクリーン及び/又はヒューマンマシンインターフェース(HMI)に表示でき、また、欠陥を含むゾーンをハイライト化できる。可聴的アラートは、クラクション音のようにできる。好ましくは、前記差Δ12true及び差Δ12trueの前記合計が、前記閾値Mよりも高いとき、アラートが発せられる。
【0032】
その結果、本発明は、巻回されているコイルの堆積測定を最適化するのを可能にする。この最適化は、コイル幅に沿った被覆厚さを評価して被覆欠陥を検出するのを可能にするコイルの円周プロファイルを確立する可能性を含む。
【0033】
好ましくは、コイル面上の前記第1及び/又は第2の点の払拭中の前記コイル化ステーションの上流の払拭ステーションの少なくとも1つの払拭パラメータは、保存される。好ましくは、前記少なくとも1つの払拭パラメータは、その対応するΔ12trueと関連付けされる。そのような払拭パラメータは、払拭手段形式(エアナイフ、他の可能性)、バッフル位置及び設計、ストリップ幅に沿ったエアジェット速度、特性及び再配分、被覆性質及び所望厚さ、ストリップ速度、払拭手段摩耗、にすることができる。前記払拭パラメータは、先に述べたパラメータに限定されず、払拭に影響を及ぼす全てのパラメータは、払拭パラメータと考えられる。そのような関連性は、払拭パラメータと最終被覆との間のリンクを確立するのを可能にする。
【0034】
好ましくは、前記ステップA及びBは、同時に行われる。それは、測定での振動の影響を低減させるので、測定品質を改善するのを可能とする。
【0035】
好ましくは、第1の距離D1及び第2の距離D2は、0.15mから2.00mの間である。振動のために、前記距離が0.15メートルより下である場合、コイルデュー(coil due)は、概ね距離測定手段の点である基準点と抵触することがあり、したがって距離測定手段を損傷させることになる。距離が2メートルより大きい場合、大きい自由空間が必要とされ、したがってコイル化ステーションのサイズに否定的な影響を及ぼす。
【0036】
好ましくは、前記第1及び第2の距離D1及びD2の前記測定は、レーザ変位センサ12を用いて行われる。そのようなセンサは、非接触、高速、及び正確であるので有利である。
図11に示されているように、そのようなレーザ変位センサ11は、レーザ12、送信レンズ13、受信レンズ14、及び、受光素子15を備える。前記レーザは、コイル面16上の点を照準する。受光素子とコイル面上の点との間の距離は、基準点とコイル面上の点との間の距離と考えることができる。その場合、基準点は、受光素子である。
【0037】
好ましくは、前記レーザ変位センサは、380nmから500nmの間に含まれる波長を有する光を発する。そのような光は、少ないスペックルを提供し、信号ノイズを低減し、したがって測定を改善させる。
【0038】
好ましくは、前記基準点R1、R2は、コイル回転軸線から同じ距離にある。そのような配置決めは、Δ12true=Δ12の決定を容易にする。
【0039】
好ましくは、コイル面上の前記第1及び第2の点C1及びC2は、コイル幅Wに沿った距離DC12、0<DC12<0.50xW、によって離隔される。スペーシングがコイル幅の半分を超えると、コイル幅に沿った被覆厚さの部分は、推定できない。
【0040】
好ましくは、コイルの回転軸線、コイル面上の第1及び第2の点C1及びC2がコイル側に平行なディスク上に投影される場合に、投影された回転軸線及びコイル上の第1の点からの線と、投影された回転軸線及びコイル上の第2の点からの線とによって形成される角度は、0度から30度の間に含まれる。
図12Aは、コイル4、その回転軸線9、コイル面上の第1及び第2の点C1及びC2を表わす。
図12Bは、コイルの投影と、C1、回転軸線9、及び、C2によって形成される角度αを例証する。それは、測定時の振動の影響が低減され、仮定がより現実に近いので、測定精度を改善するのを可能にする。
【0041】
好ましくは、コイルの回転軸線、コイル面上の第1及び第2の点C1及びC2がコイル側部に平行なディスク上に投影される場合に、投影された回転軸線及びコイル上の第1の点からの線と、投影された回転軸線及びコイル上の第2の点からの線とによって形成される角度は、0度から10度の間に含まれる。
【0042】
好ましくは、コイル面上の前記第1及び第2の点C1及びC2は、コイル回転軸線に平行な軸線上にある。そのような整列は、測定に関する振動の影響が低減され、仮定がより現実に近いので、測定精度を改善するのを可能にする。
【0043】
好ましくは、前記閾値Mは、ラップ当たり0.10μmから3μmの間にある/その間に含まれる。
【0044】
好ましくは、前記閾値Mは、0.1mmから0.3mmの間にある/その間に含まれる。そのような範囲は、幾つかのスチールグレードのために被覆堆積を検出するのを可能にする。
【0045】
好ましくは、コイル面上の第1の点及び/又は第2の点は、速度SCAPTORSで移動され、前記コイルは、幅Wを有し、時間TCOILINGで、SCAPTORS>W/TCOILINGであるように、巻かれる。そのような速度は、堆積を検出してコイル化が行われる前に訂正行動を起こすのを可能にし、コイルの被覆品質を向上させるのを可能にする。
【0046】
好ましくは、コイル幅に沿った堆積プロファイルは、前記計算された差Δ12trueを用いて行われる。前記堆積プロファイルは、コイル幅上の1点から他点までの計算された差の全部を合計することによって作製できる。前記堆積プロファイルは、必須ではないが、コイル幅上の一端から他端までプロットされる場合がある。
【0047】
好ましくは、前記被覆は、コイルが巻回される場所の上流の制御された位置を有する少なくとも1つのバッフルを備える払拭ステーションで払拭され、前記少なくとも1つのバッフル位置は、前記堆積プロファイルを用いて調整される。
【0048】
図13に示されているように、本発明は、巻回されている金属被覆コイル4について、被覆厚さの均一性を制御するコイル化ステーション17にも関し、前記コイル化ステーション17は、
- 第1の基準点R1とコイル面上の第1の点C1との間の第1の距離D1を測定できる第1の距離測定システムM1、
- 第2の基準点R2とコイル面上の第2の点C2との間の第2の距離D2を測定できる第2の距離測定システムM2であって、
- コイル上の前記第1及び第2の点が、コイル幅に沿って異なる地点に配置されており、
- 少なくともコイル幅全体に沿って、前記第1の距離測定システムM1及び/又は前記第2の距離測定システムM2を移動させるのを可能にする変位システム18であって、
- 前記第1及び第2の距離測定システムM1及びM2がコイル位置から0.15mから2.00mの間の距離に位置することが可能である、変位システム18、
- 前記第1及び第2の距離測定システムM1及びM2に接続される計算手段19、
- 前記計算手段に接続されるアラーティング手段20
を備える。
【0049】
変位システムは、
図13に示されているように、測定システム毎の変位システムで構成でき、変位システム18は、測定システムM2を移動でき、変位システム18’は、測定システムM1を移動できる。
【0050】
好ましくは、前記コイル化ステーション17は、請求項1から12の方法を実行する。
【0051】
好ましくは、前記コイル化ステーション17及び前記変位システム18は、少なくともコイル幅W全体に沿って前記第1の距離測定システムM1及び前記第2の距離測定システムM2を移動させるのを可能にする。
【0052】
本発明は、現時点で実用的でより好ましいと考えられる実施形態について説明されてきた。しかしながら、本発明が、本明細書に開示された実施形態に限定されず、また、添付された特許請求の範囲及び本明細書全体から読むことのできる本発明の主旨又は精神から逸脱しない範囲内で適切に修正できることを理解されたい。
【国際調査報告】