(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(54)【発明の名称】圧電駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
H02N 2/00 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
H02N2/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513290
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2020073594
(87)【国際公開番号】W WO2021037779
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505060288
【氏名又は名称】ミニスイス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】MINISWYS S.A.
【住所又は居所原語表記】Quai du Bas 31a, Biel / Bienne Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホースリー,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ローテン,マキシム
(72)【発明者】
【氏名】バウム,ロアン
(72)【発明者】
【氏名】ブルマン,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA19
5H681BB12
5H681BB13
5H681BB14
5H681DD23
5H681DD44
5H681DD76
5H681DD82
(57)【要約】
能動要素(1)に対して受動要素(4)を駆動するための駆動ユニットが、共振器(2)および励起手段(23)を備え、少なくとも第1のアーム(21)が、アームの外側端に、第1のアーム(21)の振動運動によって運動可動な第1の接触要素(31)を備えることにより、受動要素(4)を能動要素(1)に対して駆動する。受動要素(4)は、第1のアーム(21)の第1の接触要素(31)と接触するように配置された第1の接触領域(41)を備える。磁気要素(9)が、能動要素(1)と受動要素(4)との間に相対力を生じさせる磁気力を及ぼすように配置されることにより、第1の接触領域(41)がプレストレス力によって第1の接触要素(31)に押し付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動要素(1)に対して受動要素(4)を駆動するための駆動ユニットであって、
前記能動要素(1)は、
・共振器(2)、および前記共振器(2)における振動を励起するための少なくとも1つの励起手段(23)
を備えており、
・前記共振器(2)は、前記共振器(2)の接続領域(20)から延びる第1のアーム(21)を少なくとも備え、
・前記第1のアーム(21)は、前記アームの外側端に第1の接触要素(31)を備え、
・前記第1の接触要素(31)は、前記第1のアーム(21)の振動運動によって可動であり、
・前記受動要素(4)は、これらの振動運動によって前記能動要素(1)に対して駆動されて移動するように配置され、
・前記受動要素(4)は、第1の接触領域(41)を備え、前記第1の接触領域(41)は前記第1の接触要素(31)と接触するように配置され、
磁気要素(9)が、前記能動要素(1)と受動要素(4)との間に相対力を生じさせる磁気力を作用させることによって、前記第1の接触領域(41)を前記第1の接触要素(31)に対してプレストレス力で押し付けるように配置されている、ことを特徴とする、駆動ユニット。
【請求項2】
前記受動要素(4)と前記能動要素(1)との間の相対運動によって前記磁気要素(9)によって生成される磁場が変化し、前記駆動ユニットは、前記磁場の変化を検出するように配置された磁場センサ(8)を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記磁気要素(9)または前記磁場に影響を及ぼす別の磁気的相互作用要素が、前記要素が互いに対して移動するときに前記磁場に一時的な不均等性を生じさせる形状を有する、請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記能動要素(1)と受動要素(4)との間の相対回転を測定するために、前記磁気要素(9)または前記別の磁気的相互作用要素の形状が、
-n倍(nは有限かつ1よりも大きい)の回転対称性を有する永久磁石(91)、および
-n倍(nは有限かつ1よりも大きい)の回転対称性を有する別の要素(92)
のうちの少なくとも1つによる、請求項3に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記能動要素(1)と受動要素(4)との間の相対並進を測定するために、前記磁気要素(9)または前記別の磁気的相互作用要素の形状が、
-長手方向に沿って直線的に延びており、前記方向に沿って断面が変化している永久磁石(91)、および
-長手方向に沿って直線的に延びており、前記方向に沿って断面が変化している別の要素(92)
のうちの少なくとも1つによる、請求項3に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
前記能動要素(1)と受動要素(4)との間の前記相対力は、前記磁気要素9が前記能動要素1と前記受動要素(4)との間に力を作用させるように配置されることによって引き起こされる、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項7】
前記能動要素(1)と受動要素(4)との間の前記相対力は、前記磁気要素(9)が前記受動要素(4)の別個の要素間に力を作用させるように配置されることによって引き起こされる、請求項1~5のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項8】
前記能動要素(1)と受動要素(4)との間の前記相対力は、前記磁気要素(9)が前記能動要素(1)の別個の要素間に力を作用させるように配置されることによって引き起こされる、請求項1~5のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項9】
前記能動要素(1)と受動要素(4)との間の前記相対力は、前記磁気要素(9)が前記能動要素(1)と前記受動要素(4)に取り付けられた被駆動部(7)との間に力を作用させるように配置されることによって引き起こされ、特に、前記被駆動部(7)は、前記受動要素(4)に堅固に取り付けられ、または、特に、前記被駆動部(7)は、ばね要素によって前記受動要素(4)に弾性的に取り付けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項10】
前記能動要素(1)と受動要素(4)との間の前記相対力は、前記磁気要素(9)が前記受動要素(4)と前記能動要素(1)に取り付けられたベース要素(5)との間に力を作用させるように配置されることによって引き起こされ、特に、前記ベース要素(5)は、前記能動要素(1)に堅固に取り付けられ、または、特に、前記ベース要素(5)は、ばね要素によって前記能動要素(1)に取り付けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項11】
前記能動要素(1)と受動要素(4)との間の前記相対力は、前記磁気要素(9)がベース要素(5)と被駆動部(7)との間に力を作用させるように配置されることによって引き起こされ、前記ベース要素(5)は、前記能動要素(1)に取り付けられ、前記被駆動部(7)は、前記受動要素(4)に取り付けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項12】
少なくとも2つの共振器(2、2’)を備え、各々が、関連の第1のアーム(21、21’)と、随意による関連の第2のアーム(22、22’)とを有し、前記アームは、同じ前記受動要素(4)を駆動するように配置されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項13】
前記受動要素(4)および前記能動要素(1)は、被駆動部(7)をベース要素(5)に対して運動させるように配置され、前記被駆動部(7)の前記ベース要素(5)に対する運動は、ジョイント(51、52、53)によって部分的に制約され、前記受動要素(4)は、前記プレストレス力によって前記ジョイントに保持される、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項14】
前記接続領域(20)から延びる第2のアーム(22)を備え、
前記第2のアーム(22)は、前記第1のアーム(21)の振動運動と釣り合う振動運動によって運動するように配置され、
前記少なくとも2つのアーム(21、22)は、前記接続領域(20)から実質的に対称な様相で延び、
前記第2のアーム(22)は、前記受動要素(4)に接触しないように配置されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項15】
前記接続領域(20)から延びる第2のアーム(22)を備え、
前記第2のアーム(22)は、前記第1のアーム(21)の前記振動運動と釣り合う振動運動によって運動するように配置され、
前記少なくとも2つのアーム(21、22)は、前記接続領域(20)から実質的に対称な様相で延び、
前記第2のアーム(22)は、前記アームの外側端に第2の接触要素(32)を備え、
前記第2の接触要素(32)は、前記第2のアーム(22)の振動運動によって可動であり、
前記受動要素(4)は、前記振動運動によって前記能動要素(1)に対して駆動されて移動するように配置され、
前記受動要素(4)は、前記第2の接触要素(32)と接触するように配置された第2の接触領域(42)を備え、
前記能動要素(1)と受動要素(4)との間のプレストレス要素が作用させる前記相対力は、前記第2の接触領域(42)を前記第2の接触要素(32)に対してプレストレス力で押し付ける、請求項1~14のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動式駆動装置の分野に関する。それは、対応する独立請求項の冒頭部分に記載の駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2019/068708号が、アームの振動によって受動要素を駆動するように構成された2つのアームを有する共振器を備える能動要素を有する駆動ユニットを開示している。プレストレス要素が、共振器の延在の平面に垂直な成分を有するプレストレス力によって能動要素と受動要素との間に相対力を及ぼすように配置されている。
【0003】
米国特許第6’768’245号明細書が、圧電モータを開示しており、圧電素子と接触要素とを備える能動要素が、弾性的に懸架され、圧電素子によって振動して、さらなる物体または受動要素を接触要素によって駆動する。
【0004】
米国特許第7’429’812号明細書が、共振器を備える圧電駆動ユニットを開示しており、共振器は、共振器の同じ側から延びるように配置された少なくとも2つのアームを備えている。接触要素が、アームの外側端に配置され、アーム対の振動運動によって互いに近付き、あるいは離れるように移動可能であり、これにより、共振器を担持する能動要素に対する受動要素の相対運動を達成することができる。受動要素自体を弾性的であるように製作することができる。これに代え、あるいはこれに加えて、受動要素をアーム対に対して弾性的に支持することができる。これらの手段により、2つのアームがもたらす振動運動および結果として生じる力を効率的に伝達することができ、かつ/または部品の不完全な整列を補償することができる。
【0005】
特開昭63-294279号公報が、1対のアームが、アームの方向に対して横方向に、アームが位置する平面と平行に、しかしながらアームが位置する平面から離して配置された物体を駆動する圧電駆動装置を示している。
【0006】
欧州特許出願公開第2 824 824号明細書が、アームの振動くし状構造を有する同様の構成を示しており、駆動される物体は、アームの構造から横方向に配置される。
【0007】
米国特許第6 201 339号明細書が、駆動される回転プレートが、プレートにおおむね平行かつプレートに押し付けられる1組のアームに平行に位置する圧電駆動装置を示している。
【0008】
米国特許第7 429 812号明細書が、駆動される物体に作用する平行アームを有する圧電駆動装置の種々の構成を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
製造の複雑性およびコストの低減、ならびに信頼性の向上に役立つことができるように、そのような振動駆動ユニットの構造を単純化する必要がある。
【0010】
本発明の目的は、最初に述べた形式の駆動ユニットであって、先行技術に対する改善を構成する駆動ユニットを生み出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的は、特許請求の範囲に記載の駆動ユニットによって達成される。
いくつかの実施形態において、請求項1に記載の駆動ユニットが実現される。
【0012】
いくつかの実施形態において、共振器およびその部品は、単一の材料片として一体的に形作られる。
【0013】
一般に、磁気要素とは、磁気的に活性な材料で作られた要素を意味する。磁気的に活性な材料は、恒久的に磁化された材料であってよく、そのような材料で作られた要素は、永久磁石と呼ばれる。磁気的に活性な材料は、強磁性材料であってよく、そのような材料で作られた要素は、強磁性要素と呼ばれる。
【0014】
一般に、磁気力が2つの要素(例えば、能動要素、受動要素、ベース要素、または被駆動部、など)の間に作用すると言われる場合、これは、これら2つの要素上に位置する点の間に磁気力が作用することを意味する。これは、そのような要素の一部として磁気要素を組み込むことによって実現でき、または要素を磁気的に活性な材料で製作することによって実現できる。
【0015】
典型的にはばねによる物理的な接続と比較して、磁気要素によってプレストレス力を生成する利点は、摩擦損失の低減、ばねがその主な力を作用させるように設計されている方向以外の方向の偏倚力または寄生力の低減、サイズの縮小、構造の単純化、および組み立てプロセスの単純化のうちの少なくとも1つであり得る。これらの単純化は、部品および機械的接続の数の削減に起因し得る。単純化および/または摩擦の低減は、製造の複雑性およびコストを低減し、信頼性を高めることができる。
【0016】
一緒に移動する2つの要素間に磁気力が作用する場合、プレストレス力がばねによって生成される構成に対するこの構成の利点は、これら2つの要素間の摩擦の低減を含まないかもしれないが、構造の単純化を依然として含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態においては、請求項2に記載の駆動ユニットが実現される。
典型的には、磁場の変化は、磁場の空間分布の変化に対応する。これを、永久磁石の移動、または永久磁石に対する強磁性要素の移動によって引き起こすことができる。そのような要素の形状を、磁場の空間的な不均等性を生じるように選択することができる。そのような要素が移動するとき、結果として、センサによって検出することができる磁場の一時的な不均等性がもたらされる。
【0018】
いくつかの実施形態において、そのような要素の形状の輪郭は、駆動部の運動の種類に応じて、直線寸法または回転寸法に沿って周期的に変化する。
【0019】
いくつかの実施形態においては、請求項3に記載の駆動ユニットが実現される。
いくつかの実施形態においては、請求項4に記載の駆動ユニットが実現される。
【0020】
いくつかの実施形態においては、請求項5に記載の駆動ユニットが実現される。
典型的には、別の磁気的相互作用要素は、強磁性要素である。
【0021】
永久磁石および/または別の要素を、例えば円対称性などの滑らかな輪郭を有する非磁性材料に埋め込むことができる。このようにして、円形要素を別の要素と機械的に接触するロータとして作用するように形成することができ、非磁性材料が、埋め込まれた磁気的に活性な要素を機械的な摩耗および腐食から保護する。
【0022】
一般に、すべての実施形態について、永久磁石または強磁性要素を備える要素とは、要素自体をそれぞれ恒久的に磁化された材料または強磁性材料で製作できることを意味すると理解される。
【0023】
いくつかの実施形態においては、請求項6に記載の駆動ユニットが実現される。
本実施形態において、これは、能動要素および受動要素のそれぞれに位置する点の間に磁気力が作用することを意味する。
【0024】
いくつかの実施形態においては、請求項7に記載の駆動ユニットが実現される。
これにより、これらの別個の要素の間に1つ以上の能動要素を保持するクランプ力を加えることができる。
【0025】
いくつかの実施形態においては、請求項8に記載の駆動ユニットが実現される。
いくつかの実施形態においては、請求項9に記載の駆動ユニットが実現される。
【0026】
いくつかの実施形態においては、請求項10に記載の駆動ユニットが実現される。
いくつかの実施形態においては、請求項11に記載の駆動ユニットが実現される。
【0027】
いくつかの実施形態においては、請求項12に記載の駆動ユニットが実現される。
第2の共振器を、さらなる能動要素の一部であると考えることができる。
【0028】
いくつかの実施形態においては、さらなる能動要素が存在し、接触体は、回転運動軸に対して回転対称であり、2つ以上の能動要素は、同じ受動要素を回転させるように配置される。
【0029】
いくつかの実施形態においては、さらなる能動要素が存在し、接触体は、回転-直線運動軸に対して回転対称であり、能動要素の一方は、運動軸を中心にして同じ受動要素を回転させるように配置され、他方の能動要素は、運動軸に沿って受動要素を並進させるように配置される。
【0030】
いくつかの実施形態においては、請求項13に記載の駆動ユニットが実現される。
いくつかの実施形態においては、請求項14に記載の駆動ユニットが実現される。
【0031】
いくつかの実施形態において、接続領域ならびに第1のアームおよび第2のアームの両方は、基準面に平行に延在する。
【0032】
いくつかの実施形態において、ジョイントは、ベース要素と被駆動部との間に配置されたローラを備える転がりジョイントである。
【0033】
いくつかの実施形態において、ジョイントは、直線軸に沿い、または平面内で、ベース要素に対する被駆動部の相対運動を可能にし、前記直線軸または平面に垂直な方向の相対運動を制限し、反対方向の相対運動を制限せず、プレストレス力が反対方向の相対運動を制限する。
【0034】
いくつかの実施形態において、ジョイントは、回転軸を中心とするベース要素に対する被駆動部の相対運動を可能にし、前記回転軸に垂直な方向の相対運動を制限し、反対方向の相対運動を制限せず、プレストレス力が反対方向の相対運動を制限する。
【0035】
いくつかの実施形態においては、請求項15に記載の駆動ユニットが実現される。
いくつかの実施形態においては、能動要素に対して受動要素を駆動するための駆動ユニットが提供され、能動要素は、
・ 共振器と、共振器内の振動を励起するための少なくとも1つの励起手段と
を備え、
・ 共振器は、共振器の接続領域から接続領域の同じ側において延在する少なくとも2つのアームを備え、
・ 随意により、共振器およびアームは、基準面に平行に延在し、
・ アームの各々は、アームの外側端に接触要素を備え、
・ 接触要素は、アームの振動運動によって運動可能であり、
・ 受動要素は、これらの振動運動によって能動要素に対して駆動されて移動するように構成され、
・ 受動要素は、接触領域を備え、各々の接触領域は、接触要素のそれぞれ1つと接触するように配置される。
【0036】
ここで、磁気要素が、能動要素と受動要素との間に相対力を生じさせる磁気力を及ぼすように配置されることにより、各々の接触領域がプレストレス力によってそれぞれの接触要素に押し付けられる。
【0037】
接続領域から延在する各々のアームを、アームの近位端において接続領域に接続されていると言うことができ、その接触要素は、アームの遠位端に配置されている。アームの延在の方向は、共振器軸に対応する。励起手段を備え、アームを含まない共振器は、例えば基準面への投影において見たときに、共振器軸に関して鏡面対称であってよい。アームを含む共振器は、共振器軸に関して実質的に鏡面対称であってよい。しかしながら、(基準面において見たときに)アーム間の中点が一方側にずらされていてもよいという点で、わずかな非対称性が存在し得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、第1のアームおよび第2のアームは、互いに2倍の回転対称に配置され、対称軸は、共振器および2つのアームの延在と平行な基準面に垂直である。
【0039】
いくつかの実施形態において、第1のアームおよび第2のアームは、互いに鏡面対称に配置され、鏡面は、共振器および2つのアームの延在と平行な基準面に垂直であり、第1のアームおよび第2のアームは、鏡面の両側に配置され、
・ 第1のアームおよび第2アームのいずれかが、鏡面に垂直な方向に延び、
・ または、第1のアームおよび第2のアームが、鏡面に垂直な方向に延びる。
【0040】
いくつかの実施形態において、受動要素は、回転運動軸を中心にして回転するように構成され、とくには、回転運動軸は、基準面に垂直である。
【0041】
いくつかの実施形態において、受動要素は、回転-直線運動軸を中心として回転し、かつ回転-直線運動軸に沿って並進するように構成される。
【0042】
いくつかの実施形態において、受動要素は、直線運動軸に沿って並進するように構成され、とくには、直線運動軸は、基準面に平行であり、とくには共振器軸にも平行である。
【0043】
いくつかの実施形態において、受動要素の直線運動の方向および/または回転運動軸は、基準面などの共振器の面に対して平行であっても、直交しても、または斜めであってもよい。
【0044】
すべての実施形態において、接触要素(能動要素の一部分)が接触領域において接触体(受動要素の一部分)に接触する場合があり得る。プレストレスに関連する接触力は、接触部位の接触面におおむね垂直であり、とくには接触領域内の接触面に垂直であり、とくにはその接平面に垂直である。
【0045】
いくつかの実施形態において、共振器は、どちらも基準面に平行な第1の表面および反対側の第2の表面を備え、第1の接触領域および第2の接触領域は、接触領域の接触縁部のみと接触するように配置され、接触縁部は、接触領域が第1および第2の表面にそれぞれ隣接する場所に位置する。
【0046】
接触しているとは、振動アームが接触体上のそれぞれの領域に断続的に接触したり離れたりするため、駆動ユニットの動作中に断続的に接触することを意味すると理解される。
【0047】
すべての実施形態において、1つ以上のアームの振動運動が、それぞれの接触要素を楕円形の経路上で移動させることができる場合があり得る。2つのアームが存在する場合、これは、それらを互いに近付いたり離れたりするように移動させることができる。各々の経路上の移動は、時計回りまたは反時計回り(共振器の平面において見た場合)であってよく、励起手段の励起周波数を調整することによって制御することができる。励起手段は、典型的には圧電素子である。そのような駆動装置のさらなる詳細は、冒頭で引用した米国特許第’768’245号明細書および米国特許第’429’812号明細書に記載されている。
【0048】
駆動ユニットを動作させるための方法において、励振手段に異なる時点において異なる周波数で振動する電圧が供給されることにより、周波数に応じてアームおよび接触領域の異なる移動パターンが生成される。対応する駆動信号生成ユニットまたは電圧生成器を、少なくとも2つの異なる周波数で周期的な駆動信号を生成するように構成することができる。
【0049】
異なる移動パターンは、能動要素に対する受動要素の懸架によって定められる自由度に従って、受動要素を回転および/または直線的に移動させることができる。さらに、異なる運動パターンは、回転運動および/または直線運動の両方について、異なる運動方向を生じさせることができる。
【0050】
とくに、第1の駆動周波数で回転駆動ユニットを駆動すると、それが時計回りに回転し、第2の駆動周波数で回転駆動ユニットを駆動すると、それが反時計回りに回転する場合があり得る。
【0051】
すべての実施形態において、励起手段は、以下のやり方で接続領域上に配置される場合があり得る。
-1つのアームが存在する場合、励起手段を、能動要素がベース要素に取り付けられる領域に配置することができ、とくには、この領域は、好ましくは受動要素を駆動するために使用されるすべての振動モードにおいて、振動の節を備える。
-2つのアームが存在し、そのうちの一方のアームまたは両方のアームが受動要素を駆動するように配置され得る場合、励起手段を、2つのアームを接続する接続領域に配置することができる。両方のアームを同じ励起手段によって駆動できる場合があり得る。
【0052】
いくつかの実施形態においては、共振器の両側に配置された2つの励起手段が存在する。励起手段は、好ましくは、基準面に平行に延びる平面形状である。励起手段は、同じ形状を有することができ、それらの形状が基準面の法線に沿って投影されたときに一致するように配置されてよい。
【0053】
すべての実施形態において、さらなる能動要素および能動要素の共振器が一体に製造される場合があり得る。例えば、金属薄板などの単一のシート材料片から製造され得る。
【0054】
本明細書を通して、部品が金属薄板などの単一のシート材料片から製造される場合、これを切断またはプレスまたはエッチングなどの引き算のプロセスによって行うことができる。
【0055】
共振器が磁気要素のうちの1つではないすべての実施形態において、共振器が非磁性材料、とくには非強磁性材料で作られる場合があり得る。これにより、磁場との干渉および磁気力の影響が防止される。
【0056】
本発明の主題は、添付の図面に示されている例示的な実施形態を参照して、以下の文章においてさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図2】受動要素に軸方向の力を作用させる磁気要素のさまざまな配置を概略的に示している。
【
図3】受動要素に軸方向の力を作用させる磁気要素のさまざまな配置を概略的に示している。
【
図4】受動要素に軸方向の力を作用させる磁気要素のさまざまな配置を概略的に示している。
【
図5】受動要素に軸方向の力を作用させる磁気要素のさまざまな配置を概略的に示している。
【
図6】受動要素が能動要素の対向面の縁部と接触する接触縁部をより詳細に示す断面図を概略的に示している。
【
図7】2つの能動要素を有する駆動装置を概略的に示している。
【
図8】2つの能動要素を有する駆動装置を概略的に示している。
【
図9】受動要素の対応する配置を概略的に示している。
【
図10】3つの能動要素を有する駆動装置を概略的に示している。
【
図11】3つの能動要素を有する駆動装置を概略的に示している。
【
図12】3つの能動要素を有する駆動装置を概略的に示している。
【
図13】単一の駆動アームを有する駆動ユニットを概略的に示している。
【
図14】単一の駆動アームを有する駆動ユニットを概略的に示している。
【
図15】さまざまな受動要素を概略的に示している。
【
図16】さまざまな受動要素を概略的に示している。
【
図17】さまざまな受動要素を概略的に示している。
【
図18】さまざまな受動要素を概略的に示している。
【
図19】2つの能動要素を有するさらなる駆動装置を概略的に示している。
【
図20】受動要素の対応する配置を概略的に示している。
【
図21】駆動装置およびジョイントに作用するプレストレス力を有する駆動装置を概略的に示している。
【
図22】駆動装置およびジョイントに作用するプレストレス力を有する駆動装置を概略的に示している。
【
図23】2つの能動要素を有するさらなる駆動装置を概略的に示している。
【
図24】2つの能動要素と、被駆動部上の磁気要素とを有する駆動装置を概略的に示している。
【
図25】直列な運動学的構造を有する一般的な構造を概略的に示している。
【
図26】並列な運動学的構造を有する一般的な構造を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0058】
原則として、同一または機能的に同一な部分には、図中で同じ参照符号が与えられている。
【0059】
図1は、能動要素1および受動要素4を有する駆動ユニットの要素を分解図にて概略的に示している。能動要素1は、共振器2または共振器プレート2と、2つの励起手段23とを備える。共振器2の接続領域20から、第1のアーム21および第2のアーム22が、共振器軸24に対応する同じ方向に延びている。各々のアームの端部に、受動要素4の第1の接触領域41および第2の接触領域42に接触することによって受動要素4に接触して受動要素4を移動させるように設計されたそれぞれの第1の接触要素31および第2の接触要素32が存在する。これらの接触領域は、必ずしも移動する受動要素4に対して固定された関係にあるとは限らず、むしろ、受動要素4が(
図1において)回転運動軸25を中心にして回転し、または(他の実施形態において)能動要素1に対して並進するにつれて、現時点において接触領域31、32が受動要素4に接触している場所である。
【0060】
上述した米国特許第7’429’812号明細書で説明されているように、圧電素子であってよい励起手段23を駆動する電圧発生器99の励起周波数を変化させることができ、周波数に応じて、アームの機械的振動のさまざまなモードが生じる。例えば、或るモードにおいて、接触領域31、32は、基準面への投影において見たとき、両方とも時計回りに回転し、別のモードにおいては、両方とも反時計回りに回転し、別のモードにおいては、一方が時計回りに回転し、もう一方が反時計回りに回転する。受動要素の懸架、すなわち回転式もしくは直線式または回転式と直線式との組み合わせに応じて、受動要素は相応に移動する。
【0061】
受動要素4は、接触領域31、32において生じる接触力が基準面28に対して垂直になるように、能動要素1に押し付けられる。基準面28は、共振器2に平行である。
【0062】
図1の実施形態において、受動要素4は、基準面28に垂直なプレストレス力Fpで能動要素1に向かって押される。接触領域31、32において生じる結果としての力は、接触縁部において生じ、接触領域31、32は、受動要素4の接触体43のうちの受動要素4の直径がより小さい直径drからより大きい直径Drに増加する部分に接触し、したがって、接触体43は、接触領域31、32に対して、基準面28に垂直かつ受動要素4の対称軸でもある回転運動軸25に平行な方向に力を作用させることができる。この力は、接触領域31、32と第1の接触領域41および第2の接触領域42との間に作用する接触力Fnの成分Fnzに相当する。これらの力Fnは、基準面28に対して角度αに向けられる。
【0063】
接触領域31、32間の距離に対応する直径Dmは、これらの2つの直径dr、Drの範囲内にある。したがって、典型的には、
図6にさらに詳細に示される接触縁部のみが受動要素4と接触し、共振器2の表面のうちの共振器平面に垂直な部分は接触しない。
【0064】
図2~
図5が、
図1の構成に基づいて、軸方向のプレストレス力Fpを生成するために受動要素に軸方向の力を及ぼす磁気要素のさまざまな配置を示している。
【0065】
図2の実施形態においては、受動要素4が永久磁石91を備え、または永久磁石91に取り付けられ、共振器2、とくにはそのアームが、強磁性材料で作られ、したがって強磁性要素92を構成する。永久磁石91は、共振器2が位置する平面から距離を置いて位置し、したがって回転運動軸25の方向のプレストレス力を発生させる。この力は、受動要素4と共振器2との間に作用する。
【0066】
図3の実施形態においては、受動要素4が永久磁石91を備え、さらなる永久磁石91’がベース要素5に取り付けられている。2つの永久磁石91、91’は互いに引き寄せられるように向けられている。
【0067】
図4の実施形態においては、受動要素4上の永久磁石91が、接触領域41、42と比べ、さらなる永久磁石91’に近付けて配置される。これにより、共振器2に対する受動要素4の向きが安定する。
【0068】
図5の実施形態においては、2つの永久磁石91、91’が、互いに反発するように向けられている。
【0069】
図3~
図5の実施形態の各々において、プレストレス力は、受動要素4とベース要素5との間に作用する。能動要素1を、ベース要素5に堅固に、または弾性的に取り付けることができる(取り付け部は図示せず)。
【0070】
図3および
図4の実施形態の各々において、図示の永久磁石91、91’のうちの一方を強磁性要素92で置き換えることができる。
【0071】
図6が、接触縁部をより詳細に示す断面図を示しており、受動要素4が能動要素1の同じ側の縁部に接触している。この断面図は、先の図の実施形態に対応し、相違点は、第1の接触領域41および第2の接触領域42が位置する円錐形の部分が、球形の部分で置き換えられていることである。磁気要素9の構成は、
図3と同じである。リンク44の直径は、接触領域31、32によって定められる内径よりも明らかに小さくなるように図示されている。これにより、受動要素の回転軸25に特定の運動の自由度が与えられ、したがって、回転運動軸25は、接触領域31、32の直径によって決定される直径を通る仮想の軸に平行でなくてもよい。換言すると、軸25は、必ずしも能動要素の基準面28に垂直でなくてもよい。他の実施形態において、リンク44の直径は、回転運動軸25を案内して安定させるために、接触領域31、32間の内径よりもわずかに小さいだけでよい。縁部に関する状況は、(第1の)能動要素1の鏡像であるさらなる能動要素1’を備える2つの能動要素1、1’を有する実施形態において同じである。共振器2は、互いに平行かつ基準面28に平行な第1の表面11および第2の表面12を有する。第1のアーム21および第2のアーム22の各々は、受動要素4に面するそれぞれの第1の接触要素31および第2の接触要素32を端部に有する。第1の接触要素31は、第1および第2の表面11、12に隣接する場所に、第1のアームの第1の接触縁部311および第1のアームの第2の接触縁部312をそれぞれ備える。同様に、第2の接触要素32は、第2のアームの第1の接触縁部321および第2のアームの第2の接触縁部322を備える。接触体43の直径の変化ゆえに、第1のアームの第2の接触縁部312および第2のアームの第2の接触縁部322だけが、接触体43に接触する。これは、接触体43上に対応する第1の接触領域41および第2の接触領域42を定める。すでに説明したように、接触体43の直径の変化が、受動要素4をプレストレス要素6によって能動要素1に押し付け、基準面28に垂直な接触力を生じさせることを可能にする。プレストレス要素6が作用させる力は、ブロック矢印によって示されている。
【0072】
図7、
図8、
図19、
図23、および
図24が、受動要素を回転させるように配置された2つの能動要素、すなわち能動要素1(または、第1の能動要素1)およびさらなる能動要素1’を有する駆動構成を示している。2つの能動要素1、1’は、
図1の能動要素と本質的に同じ構造であるが、2つの励起手段23を備え、または単一の励起手段23のみを備えることにより、各々が2つの能動アームを備え、または各々が能動アームを1つだけ備えることによって変化し得る。さらに、2つの能動要素1、1’を、それらの共振器2を同じ材料片から一体に製作して製造することができる。とくには、それらを、金属薄板片などの同じシート材料片から製造することができる。2つの能動要素1、1’の励起手段を、同じ励起周波数を有する同じ電圧信号によって駆動することができ、または、とくには異なる励起周波数の別個の電圧信号によって駆動することができる。
【0073】
図7が、2つの能動要素、すなわち能動要素1(または、第1の能動要素1)およびさらなる能動要素1’を有する駆動構成を示しており、各々の能動要素が、被駆動部(図示せず)の一部であってよい対応する受動要素4およびさらなる受動要素4’をそれぞれ回転させるように配置されている。受動要素4、4’は、共通の回転運動軸25を有する。回転運動軸25は、2つの能動要素1、1’、すなわちそれらのそれぞれの共振器2の基準面28に対して実質的に垂直である。各々の受動要素4、4’は、それぞれの能動要素1、1’の2つのアームの間に保持され、駆動される。受動要素4、4’を、互いに別個に回転するように構成することができる。
【0074】
あるいは、受動要素4、4’を、一緒に回転するように構成することができる。後者の場合、それらを両方とも、それらの回転位置は結合されるが、回転運動軸25に沿って互いに対して制限内で自由に動くことができるように、被駆動部(図示せず)に接続することができる。これにより、2つの能動要素1、1’の両方から被駆動部7にトルクを伝達することができる一方で、回転運動軸25に沿った運動の自由度により、2つの能動要素1、1’に対してプレストレス力を生成することができる。
【0075】
図8が、各々が単一の励起手段23を有している2つの能動要素1、1’の別の実施形態を示している。ここでの受動要素4のさまざまな配置は、
図7の実施形態と同じであってよい。
【0076】
図9が、
図7および
図8の駆動構成と組み合わせて使用するための受動要素の構成を示している。左から右へ:互いに引き付け合うように配置された永久磁石91、強磁性要素92と組み合わせた永久磁石91、および永久磁石91(一方を強磁性要素で置き換えることが可能)の各々が、それぞれの関連の共振器および接触要素から距離を置いて配置され、それぞれの能動要素に対する受動要素の向きを安定させる。
【0077】
図9は、互いに引き合う受動要素の磁気要素9を示しているが、他の実施形態においては、それらを互いに反発するように配置することができる。これに対応して、受動要素は、この反発力に抗して保持されるようにそれぞれの能動要素内に配置される。
【0078】
図10~
図12が、3つの能動要素および3つの受動要素を有する駆動構成を示している。各々がそれぞれの第1のアーム21および第2のアーム22を有している対応する能動要素1、1’、1’’が、破線で示されている。受動要素4、4’、4’’は、共通の回転運動軸25を有する。各々が、それぞれの能動要素1、1’、1’’の2つのアームの間に保持され、駆動される。受動要素4、4’、4’’を、互いに別個に回転するように構成することができる。
【0079】
3つの受動要素4、4’、4’’について信頼できるプレストレス力を生成するために、それらは互いの引き付けおよび反発が交互になるように構成される。それぞれの能動要素1、1’、1’’に対する各々の受動要素4、4’、4’’の幾何学的形状は、それぞれのプレストレス力が受動要素と能動要素(とくには、能動要素の接触要素)との間の接触力と釣り合うような幾何学的形状である。
【0080】
図10の実施形態においては、3つの受動要素4、4’、4’’が同じ直径を有する。それぞれの能動要素1、1’、1’’の対応する内側半径も、同じ直径を有する。
【0081】
図11の実施形態においては、3つの受動要素4、4’、4’’のうちの中央の受動要素が、他の受動要素よりも大きい直径を有する。これに対応して、能動要素1、1’、1’’のうちのそれぞれの中央の能動要素の内側半径は、他の能動要素の内側半径よりも大きい。例えば、少なくとも1.1または1.2または1.5または2倍大きい。これにより、中央の駆動装置によってより大きなトルクを付与することができる。これにより、結果として、中央の駆動装置に作用するプレストレス力が2つの外側の駆動装置に作用するプレストレス力の合計であるという事実によって引き起こされる中央の駆動装置におけるより大きな摩擦を補償することが可能になる。
【0082】
図12の実施形態においては、3つの受動要素4、4’、4’’の各々が、3つの同軸な心棒45、45’、45’’のうちの対応する心棒に取り付けられている。
【0083】
図13および
図14が、単一の駆動アームを有する駆動ユニットを示している。永久磁石91が、受動要素4を引き付け、半径方向のプレストレス力を及ぼすように配置される。受動要素4は、永久磁石91を備える。
【0084】
図13の実施形態において、受動要素4は、受動要素4を駆動する第1のアーム21の第1の接触要素31と、共振器2のうちの支持位置として機能する部分との間で安定化される。すなわち、それは受動要素4を駆動する運動を示さない。あるいは、支持位置をベース要素5の一部に配置することができる。
【0085】
図14の実施形態において、受動要素4は、第1の接触要素31の形状のみによって安定化される。したがって、第1のアーム21は、回転運動軸に垂直な平面内の受動要素4の位置を定める。さらに、磁場センサ8が受動要素4の近くに配置されるが、受動要素4に接触はしていない。受動要素4が移動すると、それは磁場の変動を引き起こす。磁場は、永久磁石91によって生成され、強磁性要素92の影響を被る。このようにして、磁場センサ8は、受動要素4の角度位置の割り出しを可能にする。磁場センサ8は、関連の信号処理ユニットと共に、回転する受動要素4の位置および/または角速度を決定する役割を果たすことができる。
【0086】
そのような磁場センサ8を、移動時に磁場の変化を引き起こす永久磁石および/または強磁性要素の配置と組み合わせて、他の実施形態のいずれにも取り入れることができる。
【0087】
図15~
図18が、回転する受動要素を有する実施形態における使用に適した種々の受動要素を示している。
図15は、強磁性材料で作られ、したがって強磁性要素92を構成する受動要素4の縦断面図を示している。それは周状の溝を備えている。半径方向のプレストレス力が、受動要素4の一方の側の対応する接触領域において、溝の側面を第1のアーム(図示せず)の対応する接触要素に押し付ける。同時に、内側に向かって先細りになる溝が、回転運動軸25に沿った受動要素4の位置を定める。
【0088】
図16が、受動要素4の一実施形態を縦断面図および横断面図にて示している。受動要素4は、受動要素4の内側に埋め込まれた単一片の強磁性要素92を備える。強磁性要素92の形状は、受動要素4の周囲において、周方向に見たときに周期的に変化している。回転時に、これは、対応する永久磁石(図示せず)によって生成される磁場の変化を引き起こす。
図17が、同じ横断面図を有するこの実施形態の一変種を示しており、強磁性要素92の形状の変化は、共振器の平面の領域においてではなく、または共振器の平面の領域に限定されず、回転運動軸25の方向にこの平面から離れている。
図18が、強磁性要素92が単一片ではなく、むしろ上述の単一片の強磁性要素と同じ効果をもたらすいくつかの別個の要素を備えている実施形態を示している。
【0089】
図19が、被駆動部7の一部としての受動要素4または被駆動部7に一致する受動要素4を並進および/または回転させるように配置された2つの能動要素、すなわち能動要素1(または、第1の能動要素1)およびさらなる能動要素1’を有するさらなる駆動構成を示している。一実施形態において、被駆動部7は、直線-回転運動軸25を有する円柱形であり、2つの能動要素1、1’のアーム間に保持される。被駆動部7の運動は、直線-回転運動軸25の周りの回転および直線-回転運動軸25に沿った並進に拘束される。能動要素1、1’の各々は、受動要素4と接触して受動要素4を駆動する2つの能動アームを備える。アームの幾何学的形状および励起周波数の選択に応じて、受動要素4を、直線-回転運動軸25を中心にして回転し、または直線-回転運動軸25に沿って並進するように、駆動することができる。他の実施形態において、受動要素4は、回転のみまたは並進のみが可能である。後者の場合、破線で示される半径方向突出部を有することができる。
【0090】
図20が、受動要素の対応する構成の横断面図である。左から右へ:強磁性材料で作られた受動要素4、半径方向突出部を有する強磁性材料で作られた受動要素4、非磁性材料で作られ、半径方向突出部に永久磁石91を備える受動要素4。再び
図20に目を向けると、受動要素4のこれらの実施形態が、ベース要素5上に配置された永久磁石91によって引き付けられ、受動要素4と2つの能動要素1、1’との間のプレストレス力を生じさせることが明らかである。突出部は、永久磁石91または強磁性材料のどちらでも、磁力によって受動要素4の角度位置を安定させる。
【0091】
図21および
図22は、駆動部およびジョイントに作用するプレストレス力を有する駆動装置を示している。
図21の駆動装置は、
図19の駆動装置と同様であるが、能動要素のうちの一方が、直線または回転-直線ジョイント52によって置き換えられている。受動要素4が、ベース要素5上に配置された永久磁石91によって引き付けられ、受動要素4と2つの能動要素1との間のプレストレス力およびジョイント52へのプレストレス力を生じさせる。後者は、受動要素4をジョイント52に保持および固定する役割を果たすことができる。能動要素1を介し、磁気相互作用を介し、ジョイント52を介してベース要素5と受動要素4との間に作用する力は、並列に作用する。
【0092】
さらに、運動の直線軸の方向における受動要素4の形状の周期的な変化と協働する磁場センサ8が示されている。当然ながら、磁場センサ8と受動要素4のそのような形状との組み合わせは、本明細書に提示される他の直線駆動装置のいずれにおいても実施することができる。
【0093】
図22の駆動装置においては、永久磁石91が、弾性的に懸架された能動要素1に力を作用させるように配置される。能動要素1は、強磁性要素92であるように実施されてよく、または強磁性要素92を備えることができる。この力は、能動要素1と受動要素4(および、被駆動部7)との間、および受動要素4(および、被駆動部7)とベース要素5との間のジョイント上にプレストレス力を生じさせる。これは、力を作用させる直列リンク機構に対応する。
【0094】
図23が、2つの能動要素を有するさらなる駆動装置を示している。
図23は、トポロジ的には
図19と同じであるが、2つの能動要素1、1’の間の角度が異なる。とくには、それらの基準面28が互いに平行であってよい。
【0095】
図24が、被駆動部7の一部としての受動要素4を回転させるように配置された2つの能動要素、すなわち能動要素1(または、第1の能動要素1)およびさらなる能動要素1’を有する駆動構成を示している。被駆動部7は、回転運動軸25を有する円柱形であり、2つの能動要素1、1’のアーム間、および2つの能動要素1、1’を接合する取付要素29に形成された開口部内に保持される。被駆動部7の運動は、2つの能動要素1、1’の基準面28またはこれら2つの基準面28の2等分面に実質的に平行な回転運動軸25を中心とした回転に拘束される。能動要素1、1’の各々は、受動要素4と接触する単一の能動アームを備える。図は2つの能動要素1、1’を示しているが、他の実施形態においては、3つ以上の能動要素1、1’が存在し、回転運動軸25を中心にして回転対称に配置されてよい。
【0096】
受動要素4は、永久磁石91を備え、または永久磁石91で作られる。共振器2、2’は、強磁性材料で作られ、したがって強磁性要素92を構成する。回転運動軸25に沿った直線方向において、受動要素4と共振器2、2’との間の引力が、プレストレス力を生成する。
【0097】
図25および
図26が、異なる実施形態を表す可能な運動学的配置をきわめて概略的に示しており、駆動力をもたらす能動要素1と受動要素4との間の(断続的な)駆動リンクが矢印で表されている。ジョイントまたは可動リンク44が、ベース要素5と被駆動部7との間に存在する。
【0098】
図25は、直列な運動学的構造を有する駆動ユニットの一般的な構造を示している。
図25によって表される実施形態によれば、力伝達要素の直列配置が存在する。破線によって示されたベース要素5と能動要素1との間および受動要素4と被駆動部7との間の残りの2つのリンクを使用して、駆動リンクおよび/または可動リンク44の両方にプレストレス力を導入することができる。これらの残りの2つのリンクのうちの一方は、プレストレス力を生成するための磁気要素を備えることができ、他方は、剛的な接続部によって置き換え可能である。
【0099】
図26は、並列な運動学的構造を有する駆動ユニットの一般的な構造を示している。
図26によって表される実施形態によれば、力伝達要素の並列配置が存在し、すなわち能動要素1と受動要素4との間の接触力、ベース要素5と被駆動部7との間のジョイントまたは可動リンク44に作用する力、およびベース要素5および被駆動部7にそれぞれ配置された磁気要素9によって生成されるプレストレス力が存在する。この構造の変種は、以下を備えることができる。
【0100】
・ 磁気要素9がベース要素5ではなく能動要素1上にある。
・ 磁気要素9が被駆動部7ではなく受動要素4上にある。
【0101】
・ 磁気要素9が、互いに引き合うのではなく反発するように構成される。
本発明をこれらの実施形態において説明してきたが、本発明がこれらに限定されず、特許請求の範囲の技術的範囲において他の方法でさまざまに具現化および実施が可能であることは明らかである。
【国際調査報告】