(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(54)【発明の名称】アーク経路形成部及びそれを含む直流リレー
(51)【国際特許分類】
H01H 50/00 20060101AFI20221026BHJP
H01H 9/44 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H01H50/00 D
H01H9/44 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513514
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 KR2020004654
(87)【国際公開番号】W WO2021040175
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0106066
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジンヒ
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ジョンウ
【テーマコード(参考)】
5G027
【Fターム(参考)】
5G027AA03
5G027BA10
5G027BB03
(57)【要約】
アーク経路形成部及びそれを含む直流リレーを開示する。本発明の実施形態によるアーク経路形成部は、複数の磁石部を含む。
複数の磁石部のいずれかは、磁石フレームの一面に配置される。複数の磁石部のうち他の磁石部は、磁石フレームの他の面にそれぞれ配置される。前記一面に配置される磁石部は、他の磁石部より長く形成される。また、他の面にそれぞれ配置される磁石部は、互いに最大限離隔されて配置される。
よって、各磁石部間に形成される磁場により、各固定接触子から発生する電磁力が中心部から遠ざかる方向に発生する。その結果、中心部に配置される構成要素の損傷が防止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間が形成され、前記空間を囲む複数の面を有する磁石フレームと、
前記複数の面に結合され、前記空間に磁場を形成するように構成される磁石部とを含み、
前記複数の面は、
一方向に延設される第1面と、
前記第1面に対向するように配置され、前記一方向に延設される第2面と、
前記第1面及び前記第2面の前記延設方向の各一端部と各他端部間でそれぞれ前記第1面及び前記第2面と所定の角度をなして延び、互いに対向するように配置される第3面及び第4面とを含み、
前記磁石部は、
前記第1面及び前記第2面のいずれか一方の面に位置する第1磁石部と、
前記第3面及び前記第4面のいずれか一方の面に位置する第2磁石部と、
前記第1面及び前記第2面の他方の面、又は前記第3面及び前記第4面の他方の面に位置する第3磁石部とを含み、
前記第1面及び前記第2面の前記他方の面に対向する前記第1磁石部の第1対向面は、
前記第1面及び前記第2面の前記いずれか一方の面に対向する前記第2磁石部の第2対向面、及び前記第3磁石部の第3対向面の少なくとも1つの面とは異なる極性(polarity)になるように構成される、
アーク経路形成部。
【請求項2】
前記第1磁石部、前記第2磁石部及び前記第3磁石部は、それぞれ一方向に延設され、
前記第1磁石部の前記延設長さは、前記第2磁石部や前記第3磁石部の延設長さより長く形成される、
請求項1に記載のアーク経路形成部。
【請求項3】
前記第2磁石部と前記第3磁石部間の最短距離は、
前記第1磁石部と前記第2磁石部間の最短距離や前記第1磁石部と前記第3磁石部間の最短距離より長く形成される、
請求項2に記載のアーク経路形成部。
【請求項4】
前記第1磁石部は、前記第1面に配置され、
前記第2磁石部は、前記第3面及び前記第4面のいずれか一方の面に配置され、
前記第3磁石部は、前記第2面に配置される、
請求項2に記載のアーク経路形成部。
【請求項5】
前記第2磁石部は、前記第3面に配置され、
前記第3磁石部は、前記第4面に隣接して配置され、
前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、
前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の前記第3対向面は、S極になるように構成される、
請求項4に記載のアーク経路形成部。
【請求項6】
前記第2磁石部は、前記第4面に配置され、
前記第3磁石部は、前記第3面に隣接して配置され、
前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、
前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の前記第3対向面は、S極になるように構成される、
請求項4に記載のアーク経路形成部。
【請求項7】
前記第1磁石部は、前記第1面に配置され、
前記第2磁石部は、前記第3面及び前記第4面のいずれか一方の面に配置され、
前記第3磁石部は、前記第3面及び前記第4面の他方の面に配置される、
請求項2に記載のアーク経路形成部。
【請求項8】
前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、
前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の第3対向面のいずれか一方はN極になり、他方はS極になるように構成される、
請求項7に記載のアーク経路形成部。
【請求項9】
前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、
前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の第3対向面は、S極になるように構成される、
請求項7に記載のアーク経路形成部。
【請求項10】
一方向に延設される固定接触子と、
前記固定接触子に接離するように構成される可動接触子と、
内部に前記固定接触子及び前記可動接触子が収容される空間が形成され、前記空間に磁場が形成され、前記固定接触子と前記可動接触子が離隔されることにより発生するアークの放出経路を形成するように構成されるアーク経路形成部とを含み、
前記アーク経路形成部は、
内部に空間が形成され、前記空間を囲む複数の面を有する磁石フレームと、
前記複数の面に結合され、前記空間に磁場を形成するように構成される磁石部とを含み、
前記複数の面は、
一方向に延設される第1面と、
前記第1面に対向するように配置され、前記一方向に延設される第2面と、
前記第1面及び前記第2面の前記延設方向の各一端部と各他端部間でそれぞれ前記第1面及び前記第2面と所定の角度をなして延び、互いに対向する第3面及び第4面とを含み、
前記磁石部は、
前記第1面及び前記第2面のいずれか一方の面に位置する第1磁石部と、
前記第3面及び前記第4面のいずれか一方の面に位置する第2磁石部と、
前記第1面及び前記第2面の他方の面、又は前記第3面及び前記第4面の他方の面に位置する第3磁石部とを含み、
前記第1面及び前記第2面の前記他方の面に対向する前記第1磁石部の第1対向面は、
前記第1面及び前記第2面の前記いずれか一方の面に対向する前記第2磁石部の第2対向面、及び前記第3磁石部の第3対向面の少なくとも1つの面とは異なる極性になるように構成される、
直流リレー。
【請求項11】
前記第1磁石部、前記第2磁石部及び前記第3磁石部は、それぞれ一方向に延設され、
前記第1磁石部の前記延設長さは、前記第2磁石部や前記第3磁石部の延設長さより長く形成され、
前記第2磁石部と前記第3磁石部間の最短距離は、
前記第1磁石部と前記第2磁石部間の最短距離や前記第1磁石部と前記第3磁石部間の最短距離より長く形成される、
請求項10に記載の直流リレー。
【請求項12】
前記第1磁石部は、前記第1面に配置され、
前記第2磁石部は、前記第3面に配置され、
前記第3磁石部は、前記第4面に隣接して配置され、
前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、
前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の前記第3対向面は、S極になるように構成される、
請求項11に記載の直流リレー。
【請求項13】
前記第1磁石部は、前記第1面に配置され、
前記第2磁石部は、前記第4面に配置され、
前記第3磁石部は、前記第3面に隣接して配置され、
前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、
前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の前記第3対向面は、S極になるように構成される、
請求項12に記載の直流リレー。
【請求項14】
前記第1磁石部は、前記第1面に配置され、
前記第2磁石部は、前記第3面及び前記第4面のいずれか一方の面に配置され、
前記第3磁石部は、前記第3面及び前記第4面の他方の面に配置され、
前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、
前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の第3対向面のいずれか一方はN極になり、他方はS極になるように構成される、
請求項12に記載の直流リレー。
【請求項15】
前記第1磁石部は、前記第1面に配置され、
前記第2磁石部は、前記第3面及び前記第4面のいずれか一方の面に配置され、
前記第3磁石部は、前記第3面及び前記第4面の他方の面に配置され、
前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、
前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の第3対向面は、S極になるように構成される、
請求項12に記載の直流リレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク経路形成部及びそれを含む直流リレー(Direct current relay)に関し、より具体的には、電磁力を用いてアーク(arc)の放出経路を形成すると共に、直流リレーの損傷を防止する構造のアーク経路形成部及びそれを含む直流リレーに関する。
【背景技術】
【0002】
直流リレーは、電磁石の原理を用いて機械的な駆動又は電流信号を伝達する装置である。直流リレーは、電磁開閉器(Magnetic switch)ともいい、通常、電気回路開閉装置に分類される。
【0003】
直流リレーは、固定接点と、可動接点とを含む。固定接点は、外部の電源及び負荷に通電可能に接続される。固定接点と可動接点は接離する。
【0004】
固定接点と可動接点の接離により、直流リレーを介した通電が許容又は遮断される。前記移動は、可動接点に駆動力を供給する駆動部により達成される。
【0005】
固定接点と可動接点が離隔されると、固定接点と可動接点間にはアークが発生する。アークは、高圧、高温の電流の流れである。よって、発生したアークは、所定の経路を介して直流リレーから迅速に放出されなければならない。
【0006】
アークの放出経路は、直流リレーに備えられる磁石により形成される。前記磁石は、固定接点と可動接点が接触する空間内に磁場を形成する。形成される磁場及び電流の流れに応じて発生する電磁力により、アークの放出経路が形成される。
【0007】
図1には、従来技術による直流リレー1000に備えられる固定接点1100と可動接点1200が接触する空間を示す。前述したように、前記空間には、永久磁石1300が備えられる。
【0008】
永久磁石1300は、上側に位置する第1永久磁石1310と、下側に位置する第2永久磁石1320とを含む。第1永久磁石1310の下側はN極に、第2永久磁石1320の上側はS極に磁化(magnetize)される。よって、磁場は、上側から下側に向かう方向に形成される。
【0009】
図1の(a)には、電流が左側の固定接点1100から流入し、右側の固定接点1100から流出する状態を示す。フレミングの左手の法則(Fleming's left hand rule)により、電磁力は、斜線の矢印のように外側を向くように形成される。よって、発生したアークは、電磁力の方向に沿って外側に放出される。
【0010】
それに対して、
図1の(b)には、電流が右側の固定接点1100から流入し、左側の固定接点1100から流出する状態を示す。フレミングの左手の法則により、電磁力は、斜線の矢印のように内側を向くように形成される。よって、発生したアークは、電磁力の方向に沿って内側に移動する。
【0011】
直流リレー1000の中央部分、すなわち各固定接点1100間の空間には、可動接点1200を上下方向に駆動させるための様々な部材が備えられる。例えば、シャフト、シャフトに貫挿されるスプリング部材などが前述した位置に備えられる。
【0012】
よって、
図1の(b)に示すように、発生したアークが中央部分に向かって移動すると、前述した位置に備えられる様々な部材がアークのエネルギーにより損傷する恐れがある。
【0013】
また、
図1に示すように、従来技術による直流リレー1000の内部で形成される電磁力の方向は、固定接点1200に流れる電流の方向に依存する。よって、固定接点1100には、所定の方向、すなわち
図1の(a)に示す方向にのみ電流が流れることが好ましい。
【0014】
すなわち、ユーザは、直流リレーを使用する度に電流の方向を考慮しなければならない。これは、直流リレーの使用に不便をもたらす。また、ユーザの意図とは関係なく、操作未熟などにより、直流リレーに供給される電流の方向が変わる状況もあり得る。
【0015】
その場合、発生したアークにより、直流リレーの中央部分に備えられる部材が損傷することがある。よって、直流リレーの耐用年数が短縮されるだけでなく、事故が発生する恐れもある。
【0016】
特許文献1(2017年1月16日)には、直流リレーが開示されている。具体的には、複数の永久磁石を用いて、可動接点の移動を防止する構造の直流リレーが開示されている。
【0017】
しかし、上記構造の直流リレーは、複数の永久磁石を用いて可動接点の移動を防止することはできるが、アークの放出経路の方向を制御する方法についての考察がないという限界がある。
【0018】
特許文献2(2012年12月28日)には、直流リレーが開示されている。具体的には、減衰磁石を用いて、可動接点と固定接点間の任意の離隔を防止する構造の直流リレーが開示されている。
【0019】
しかし、上記構造の直流リレーは、可動接点と固定接点の接触状態を維持する方法のみ提示している。すなわち、可動接点と固定接点が離隔されると発生するアークの放出経路を形成する方法を提示していないという限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1696952号
【特許文献2】韓国登録特許第10-1216824号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、上記問題を解決できる構造のアーク経路形成部及びそれを含む直流リレーを提供することを目的とする。
【0022】
まず、発生したアークが中央部分まで伸びない構造のアーク経路形成部及びそれを含む直流リレーを提供することを目的とする。
【0023】
また、固定接点に供給される電流の方向とは関係なく、アークの放出経路が外側を向くように形成される構造のアーク経路形成部及びそれを含む直流リレーを提供することを目的とする。
【0024】
さらに、発生したアークにより中央部分に位置する部材が損傷することを最小限に抑えることのできる構造のアーク経路形成部及びそれを含む直流リレーを提供することを目的とする。
【0025】
さらに、発生したアークが移動し、十分に消弧(extinguish)される構造のアーク経路形成部及びそれを含む直流リレーを提供することを目的とする。
【0026】
さらに、アークの放出経路を形成するための磁場の強度を強化できる構造のアーク経路形成部及びそれを含む直流リレーを提供することを目的とする。
【0027】
さらに、構造の過大な変更を伴うことなく、アークの放出経路を変更できる構造のアーク経路形成部及びそれを含む直流リレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記目的を達成するために、本発明は、内部に空間が形成され、前記空間を囲む複数の面を有する磁石フレームと、前記複数の面に結合され、前記空間に磁場を形成するように構成される磁石部とを含み、前記複数の面は、一方向に延設される第1面と、前記第1面に対向するように配置され、前記一方向に延設される第2面と、前記第1面及び前記第2面の前記延設方向の各一端部と各他端部間でそれぞれ前記第1面及び前記第2面と所定の角度をなして延び、互いに対向するように配置される第3面及び第4面とを含み、前記磁石部は、前記第1面及び前記第2面のいずれか一方の面に位置する第1磁石部と、前記第3面及び前記第4面のいずれか一方の面に位置する第2磁石部と、前記第1面及び前記第2面の他方の面、又は前記第3面及び前記第4面の他方の面に位置する第3磁石部とを含み、前記第1面及び前記第2面の前記他方の面に対向する前記第1磁石部の第1対向面は、前記第1面及び前記第2面の前記いずれか一方の面に対向する前記第2磁石部の第2対向面、及び前記第3磁石部の第3対向面の少なくとも1つの面とは異なる極性(polarity)になるように構成されるアーク経路形成部を提供する。
【0029】
また、前記アーク経路形成部の前記第1磁石部、前記第2磁石部及び前記第3磁石部は、それぞれ一方向に延設され、前記第1磁石部の前記延設長さは、前記第2磁石部や前記第3磁石部の延設長さより長く形成されてもよい。
【0030】
さらに、前記アーク経路形成部の前記第2磁石部と前記第3磁石部間の最短距離は、前記第1磁石部と前記第2磁石部間の最短距離や前記第1磁石部と前記第3磁石部間の最短距離より長く形成されてもよい。
【0031】
さらに、前記アーク経路形成部の前記第1磁石部は、前記第1面に配置され、前記第2磁石部は、前記第3面及び前記第4面のいずれか一方の面に配置され、前記第3磁石部は、前記第2面に配置されてもよい。
【0032】
さらに、前記アーク経路形成部の前記第2磁石部は、前記第3面に配置され、前記第3磁石部は、前記第4面に隣接して配置され、前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の前記第3対向面は、S極になるように構成されてもよい。
【0033】
さらに、前記アーク経路形成部の前記第2磁石部は、前記第4面に配置され、前記第3磁石部は、前記第3面に隣接して配置され、前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の前記第3対向面は、S極になるように構成されてもよい。
【0034】
さらに、前記アーク経路形成部の前記第1磁石部は、前記第1面に配置され、前記第2磁石部は、前記第3面及び前記第4面のいずれか一方の面に配置され、前記第3磁石部は、前記第3面及び前記第4面の他方の面に配置されてもよい。
【0035】
さらに、前記アーク経路形成部の前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の第3対向面のいずれか一方はN極になり、他方はS極になるように構成されてもよい。
【0036】
さらに、前記アーク経路形成部の前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の第3対向面は、S極になるように構成されてもよい。
【0037】
また、本発明は、一方向に延設される固定接触子と、前記固定接触子に接離するように構成される可動接触子と、内部に前記固定接触子及び前記可動接触子が収容される空間が形成され、前記空間に磁場が形成され、前記固定接触子と前記可動接触子が離隔されることにより発生するアークの放出経路を形成するように構成されるアーク経路形成部とを含み、前記アーク経路形成部は、内部に空間が形成され、前記空間を囲む複数の面を有する磁石フレームと、前記複数の面に結合され、前記空間に磁場を形成するように構成される磁石部とを含み、前記複数の面は、一方向に延設される第1面と、前記第1面に対向するように配置され、前記一方向に延設される第2面と、前記第1面及び前記第2面の前記延設方向の各一端部と各他端部間でそれぞれ前記第1面及び前記第2面と所定の角度をなして延び、互いに対向する第3面及び第4面とを含み、前記磁石部は、前記第1面及び前記第2面のいずれか一方の面に位置する第1磁石部と、前記第3面及び前記第4面のいずれか一方の面に位置する第2磁石部と、前記第1面及び前記第2面の他方の面、又は前記第3面及び前記第4面の他方の面に位置する第3磁石部とを含み、前記第1面及び前記第2面の前記他方の面に対向する前記第1磁石部の第1対向面は、前記第1面及び前記第2面の前記いずれか一方の面に対向する前記第2磁石部の第2対向面、及び前記第3磁石部の第3対向面の少なくとも1つの面とは異なる極性になるように構成される直流リレーを提供する。
【0038】
さらに、前記直流リレーの前記第1磁石部、前記第2磁石部及び前記第3磁石部は、それぞれ一方向に延設され、前記第1磁石部の前記延設長さは、前記第2磁石部や前記第3磁石部の延設長さより長く形成され、前記第2磁石部と前記第3磁石部間の最短距離は、前記第1磁石部と前記第2磁石部間の最短距離や前記第1磁石部と前記第3磁石部間の最短距離より長く形成されてもよい。
【0039】
さらに、前記直流リレーの前記第1磁石部は、前記第1面に配置され、前記第2磁石部は、前記第3面に配置され、前記第3磁石部は、前記第4面に隣接して配置され、前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の前記第3対向面は、S極になるように構成されてもよい。
【0040】
さらに、前記直流リレーの前記第1磁石部は、前記第1面に配置され、前記第2磁石部は、前記第4面に配置され、前記第3磁石部は、前記第3面に隣接して配置され、前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の前記第3対向面は、S極になるように構成されてもよい。
【0041】
さらに、前記直流リレーの前記第1磁石部は、前記第1面に配置され、前記第2磁石部は、前記第3面及び前記第4面のいずれか一方の面に配置され、前記第3磁石部は、前記第3面及び前記第4面の他方の面に配置され、前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の第3対向面のいずれか一方はN極になり、他方はS極になるように構成されてもよい。
【0042】
さらに、前記直流リレーの前記第1磁石部は、前記第1面に配置され、前記第2磁石部は、前記第3面及び前記第4面のいずれか一方の面に配置され、前記第3磁石部は、前記第3面及び前記第4面の他方の面に配置され、前記第1磁石部の前記第1対向面は、N極になるように構成され、前記第2磁石部の前記第2対向面、及び前記第3磁石部の第3対向面は、S極になるように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0044】
まず、アーク経路形成部は、アークチャンバの内部に磁場を形成する。磁場は、固定接触子及び可動接触子に流れる電流と共に電磁力を形成する。前記電磁力は、アークチャンバの中心から遠ざかる方向に形成される。
【0045】
よって、発生したアークは、電磁力の方向と同じく、アークチャンバの中心から遠ざかる方向に移動する。よって、発生したアークがアークチャンバの中心部分に向かって移動しなくなる。
【0046】
また、対向する磁石部は、対向する一側が異なる極性を有するように構成される。
【0047】
すなわち、各固定接触子の近傍に形成される電磁力は、電流の方向に関係なく、中心部から遠ざかる方向に形成される。
【0048】
よって、ユーザは、アークが移動する方向を考慮して直流リレーに電源を接続する必要がない。よって、ユーザの利便性が向上される。
【0049】
また、いずれかの磁石部より短く形成される他の複数の磁石部は、互いに離隔されて配置される。前記複数の磁石部は、同じ極性又は異なる極性になるが、複数の磁石部の少なくとも1つは、前記いずれかの磁石部と同じ極性になるように構成される。
【0050】
よって、前記磁場により形成されるアークの経路は、発生したアークがアークチャンバの中心部から遠ざかる方向に移動するように形成される。よって、発生したアークにより中心部に位置する様々な構成要素が損傷することが防止される。
【0051】
また、発生したアークは、狭い空間である磁石フレームの中心、すなわち固定接触子間ではなく、より広い空間、すなわち固定接触子の外側に向かって伸びる。
【0052】
よって、アークが長い経路を移動し、十分に消弧される。
【0053】
また、アーク経路形成部は、複数の磁石部を含む。各磁石部は、互いの間に主磁場を形成する。各磁石部は、それら自体が副磁場を形成する。副磁場は、主磁場の強度を強化するように構成される。
【0054】
よって、主磁場により形成される電磁力の強度が強化される。よって、アークの放出経路が効果的に形成される。
【0055】
また、各磁石部は、配置方法や極性を変更するだけでも、様々な方向に電磁力を形成することができる。ここで、各磁石部が備えられる磁石フレームは、構造や形状を変更する必要がない。
【0056】
よって、アーク経路形成部の全体構造を大きく変更しなくても、アークの放出方向を容易に変更することができる。よって、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】従来技術による直流リレーにおいてアークの移動経路が形成される過程を示す概念図である。
【
図2】本発明の実施形態による直流リレーの斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるアーク経路形成部の概念図である。
【
図7】
図6の実施形態の変形例によるアーク経路形成部の概念図である。
【
図8】本発明の他の実施形態によるアーク経路形成部の概念図である。
【
図9】
図8の実施形態の変形例によるアーク経路形成部の概念図である。
【
図10】本発明のさらに他の実施形態によるアーク経路形成部の概念図である。
【
図11】
図10の実施形態の変形例によるアーク経路形成部の概念図である。
【
図12】本発明のさらに他の実施形態によるアーク経路形成部の概念図である。
【
図13】
図12の実施形態の変形例によるアーク経路形成部の概念図である。
【
図14】
図6の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図15】
図6の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図16】
図7の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図17】
図7の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図18】
図8の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図19】
図8の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図20】
図9の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図21】
図9の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図22】
図10の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図23】
図10の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図24】
図11の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図25】
図11の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図26】
図12の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図27】
図12の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図28】
図13の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【
図29】
図13の実施形態によるアーク経路形成部によりアークの経路が形成された状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるアーク経路形成部及びそれを含む直流リレーについて詳細に説明する。
【0059】
以下の説明において、本発明の特徴を明確にするために一部の構成要素についての説明を省略することもある。
【0060】
1.用語の定義
ある構成要素が他の構成要素に「連結されている」又は「接続されている」と言及される場合、他の構成要素に直接連結又は接続されていることもあり、中間にさらに他の構成要素が存在することもあるものと解すべきである。
【0061】
それに対して、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されている」又は「直接接続されている」と言及される場合、中間にさらに他の構成要素が存在しないものと解すべきである。
【0062】
本明細書において用いられる単数表現には、特に断らない限り複数表現が含まれる。
【0063】
以下の説明における「磁化(magnetize)」とは、磁場内で物体が磁性を有するようになる現象を意味する。
【0064】
以下の説明における「極性(polarity)」とは、電極の陽極や陰極などが有する異なる性質を意味する。一実施形態において、極性は、N極とS極に分けられる。
【0065】
以下の説明における「通電(electric current)」とは、少なくとも2つの部材が電気的に接続される状態を意味する。
【0066】
以下の説明における「アーク経路(arc path)」とは、発生したアークが移動するか、又は消弧されて移動する経路を意味する。
【0067】
以下の説明における「左側」、「右側」、「上側」、「下側」、「前方」及び「後方」については、
図2に示す座標系を参照されたい。
【0068】
2.本発明の実施形態による直流リレー10の構成についての説明
図2及び
図3に示すように、本発明の実施形態による直流リレー10は、フレーム部100と、開閉部200と、コア部300と、可動接触子部400とを含む。
【0069】
また、
図4~
図13に示すように、本発明の実施形態による直流リレー10は、アーク経路形成部500、600、700、800を含む。アーク経路形成部500、600、700、800は、発生したアークの放出経路を形成する。
【0070】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による直流リレー10の各構成について説明するが、アーク経路形成部500、600、700、800については別項で説明する。
【0071】
(1)フレーム部100についての説明
フレーム部100は、直流リレー10の外形を形成する。フレーム部100の内部には、所定の空間が形成される。前記空間には、直流リレー10が外部からの電流を供給又は遮断する機能を実現する様々な装置が収容される。
【0072】
すなわち、フレーム部100は、一種のハウジングとして機能する。
【0073】
フレーム部100は、合成樹脂などの絶縁性素材で形成される。フレーム部100の内部と外部が任意に通電するのを防止するためである。
【0074】
フレーム部100は、上部フレーム110と、下部フレーム120と、絶縁プレート130と、支持プレート140とを含む。
【0075】
上部フレーム110は、フレーム部100の上部を形成する。上部フレーム110の内部には、所定の空間が形成される。
【0076】
上部フレーム110の内部空間には、開閉部200及び可動接触子部400が収容される。また、上部フレーム110の内部空間には、アーク経路形成部500、600、700、800が収容される。
【0077】
上部フレーム110は、下部フレーム120に結合される。上部フレーム110と下部フレーム120間の空間には、絶縁プレート130及び支持プレート140が備えられる。
【0078】
上部フレーム110の一側、すなわち同図に示す実施形態における上側には、開閉部200の固定接触子220が位置する。固定接触子220は、上部フレーム110の上側に一部が露出し、外部の電源又は負荷に通電可能に接続される。
【0079】
そのために、上部フレーム110の上側には、固定接触子220が貫通して結合される貫通孔が形成される。
【0080】
下部フレーム120は、フレーム部100の下部を形成する。下部フレーム120の内部には、所定の空間が形成される。下部フレーム120の内部空間には、コア部300が収容される。
【0081】
下部フレーム120は、上部フレーム110に結合される。下部フレーム120と上部フレーム110間の空間には、絶縁プレート130及び支持プレート140が備えられる。
【0082】
絶縁プレート130及び支持プレート140は、上部フレーム110の内部空間と下部フレーム120の内部空間を電気的及び物理的に分離するように構成される。
【0083】
絶縁プレート130は、上部フレーム110と下部フレーム120間に位置する。絶縁プレート130は、上部フレーム110と下部フレーム120を電気的に離隔するように構成される。そのために、絶縁プレート130は、合成樹脂などの絶縁性素材で形成される。
【0084】
絶縁プレート130により、上部フレーム110の内部に収容される開閉部200、可動接触子部400及びアーク経路形成部500、600、700、800と、下部フレーム120の内部に収容されるコア部300間の任意の通電が防止される。
【0085】
絶縁プレート130の中心部には、貫通孔(図示せず)が形成される。前記貫通孔(図示せず)には、可動接触子部400のシャフト440が上下方向に移動可能に貫通して結合される。
【0086】
絶縁プレート130の下側には、支持プレート140が位置する。絶縁プレート130は、支持プレート140により支持される。
【0087】
支持プレート140は、上部フレーム110と下部フレーム120間に位置する。
【0088】
支持プレート140は、上部フレーム110と下部フレーム120を物理的に離隔するように構成される。また、支持プレート140は、絶縁プレート130を支持するように構成される。
【0089】
支持プレート140は、磁性体で形成される。よって、支持プレート140は、コア部300のヨーク330と共に磁路(magnetic circuit)を形成する。前記磁路により、コア部300の可動コア320が固定コア310に近づくように移動するための駆動力が形成される。
【0090】
支持プレート140の中心部には、貫通孔(図示せず)が形成される。前記貫通孔(図示せず)には、シャフト440が上下方向に移動可能に貫通して結合される。
【0091】
よって、可動コア320が固定コア310に近づく方向、又は固定コア310から遠ざかる方向に移動すると、シャフト440及びシャフト440に連結された可動接触子430も、同じ方向に共に移動する。
【0092】
(2)開閉部200についての説明
開閉部200は、コア部300の動作により、電流の通電を許容又は遮断するように構成される。具体的には、開閉部200は、固定接触子220と可動接触子430が接離することにより、電流の通電を許容又は遮断する。
【0093】
開閉部200は、上部フレーム110の内部空間に収容される。開閉部200は、絶縁プレート130及び支持プレート140により、コア部300から電気的及び物理的に離隔される。
【0094】
開閉部200は、アークチャンバ210と、固定接触子220と、シール(sealing)部材230とを含む。
【0095】
また、アークチャンバ210の外側には、アーク経路形成部500、600、700、800が備えられる。アーク経路形成部500、600、700、800は、アークチャンバ210の内部で発生したアークの経路A.Pを形成するための磁場を形成する。その詳細については後述する。
【0096】
アークチャンバ210は、固定接触子220と可動接触子430が離隔されることにより発生するアークを内部空間で消弧するよう構成される。よって、アークチャンバ210を「アーク消弧部」ともいう。
【0097】
アークチャンバ210は、固定接触子220及び可動接触子430を密閉して収容するように構成される。すなわち、固定接触子220及び可動接触子430は、アークチャンバ210の内部に収容される。よって、固定接触子220と可動接触子430が離隔されることにより発生するアークは、外部に任意に放出されない。
【0098】
アークチャンバ210の内部には、消弧用ガスが充填される。消弧用ガスは、発生したアークを消弧し、所定の経路を介して直流リレー10の外部に放出されるようにする。そのために、アークチャンバ210の内部空間を囲む壁体には、連通孔(図示せず)が貫通して形成される。
【0099】
アークチャンバ210は、絶縁性素材で形成される。また、アークチャンバ210は、耐圧性及び耐熱性が高い素材で形成される。これは、発生するアークが高温、高圧の電子の流れであることに起因する。一実施形態において、アークチャンバ210は、セラミック(ceramic)素材で形成される。
【0100】
アークチャンバ210の上側には、複数の貫通孔が形成される。前記貫通孔のそれぞれには、固定接触子220が貫通して結合される。
【0101】
同図に示す実施形態において、固定接触子220は、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bを含むように2つ備えられる。よって、アークチャンバ210の上側に形成される貫通孔も2つ形成される。
【0102】
前記貫通孔に固定接触子220が貫通して結合されると、前記貫通孔は密閉される。すなわち、固定接触子220は、前記貫通孔に密閉して結合される。よって、発生したアークは、前記貫通孔から外部に放出されない。
【0103】
アークチャンバ210の下側は開放される。アークチャンバ210の下側には、絶縁プレート130及びシール部材230が接触する。すなわち、アークチャンバ210の下側は、絶縁プレート130及びシール部材230により密閉される。
【0104】
よって、アークチャンバ210は、上部フレーム110の外側の空間から電気的、物理的に離隔される。
【0105】
アークチャンバ210において消弧されたアークは、所定の経路を介して直流リレー10の外部に放出される。一実施形態において、消弧されたアークは、前記連通孔(図示せず)からアークチャンバ210の外部に放出される。
【0106】
固定接触子220は、可動接触子430に接離し、直流リレー10の内部と外部の通電を許容又は遮断するように構成される。
【0107】
具体的には、固定接触子220が可動接触子430に接触すると、直流リレー10の内部と外部が通電する。それに対して、固定接触子220が可動接触子430から離隔されると、直流リレー10の内部と外部の通電が遮断される。
【0108】
名称から分かるように、固定接触子220は移動しない。すなわち、固定接触子220は、上部フレーム110及びアークチャンバ210に固定結合される。よって、固定接触子220と可動接触子430の接離は、可動接触子430の移動により達成される。
【0109】
固定接触子220の一端部、すなわち同図に示す実施形態における上端部は、上部フレーム110の外側に露出する。前記一端部には、電源又は負荷がそれぞれ通電可能に接続される。
【0110】
固定接触子220は、複数備えられる。同図に示す実施形態において、固定接触子220は、左側の第1固定接触子220a、及び右側の第2固定接触子220bを含むように、計2つ備えられる。
【0111】
第1固定接触子220aは、可動接触子430の長さ方向の中心から一側寄り、すなわち同図に示す実施形態における左寄りに位置する。また、第2固定接触子220bは、可動接触子430の長さ方向の中心から他側寄り、すなわち同図に示す実施形態における右寄りに位置する。
【0112】
第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bのいずれか一方には、電源が通電可能に接続される。また、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bの他方には、負荷が通電可能に接続される。
【0113】
本発明の実施形態による直流リレー10は、固定接触子220に接続される電源又は負荷の方向とは関係なく、アークの経路A.Pを形成する。これは、アーク経路形成部500、600、700、800により達成されるが、その詳細については後述する。
【0114】
固定接触子220の他端部、すなわち同図に示す実施形態における下端部は、可動接触子430に向かって延びる。
【0115】
可動接触子430が固定接触子220に近づく方向、すなわち同図に示す実施形態における上方に移動すると、前記下端部は、可動接触子430に接触する。よって、直流リレー10の外部と内部が通電する。
【0116】
固定接触子220の前記下端部は、アークチャンバ210の内部に位置する。
【0117】
制御電源が遮断されると、可動接触子430は、復帰スプリング360の付勢力により固定接触子220から離隔される。
【0118】
ここで、固定接触子220と可動接触子430が離隔されることにより、固定接触子220と可動接触子430間にはアークが発生する。発生したアークは、アークチャンバ210の内部の消弧用ガスにより消弧され、アーク経路形成部500、600、700、800により形成される経路に沿って外部に放出される。
【0119】
シール部材230は、アークチャンバ210と上部フレーム110の内部空間の任意の連通を遮断するように構成される。シール部材230は、絶縁プレート130及び支持プレート140と共にアークチャンバ210の下側を密閉する。
【0120】
具体的には、シール部材230の上側は、アークチャンバ210の下側に結合される。また、シール部材230の放射方向内側は、絶縁プレート130の外周に結合され、シール部材230の下側は、支持プレート140に結合される。
【0121】
よって、アークチャンバ210で発生したアーク、及び消弧用ガスにより消弧されたアークは、上部フレーム110の内部空間に任意に流入しない。
【0122】
また、シール部材230は、シリンダ370の内部空間とフレーム部100の内部空間の任意の連通を遮断するように構成される。
【0123】
(3)コア部300についての説明
コア部300は、制御電源の供給により可動接触子部400を上方に移動させるように構成される。また、制御電源の供給が解除されると、コア部300は、可動接触子部400を再び下方に移動させるように構成される。
【0124】
コア部300は、外部の制御電源(図示せず)に通電可能に接続されることにより、制御電源が供給される。
【0125】
コア部300は、開閉部200の下側に位置する。また、コア部300は、下部フレーム120の内部に収容される。コア部300と開閉部200は、絶縁プレート130及び支持プレート140により電気的、物理的に離隔される。
【0126】
コア部300と開閉部200間には、可動接触子部400が位置する。コア部300が印加する駆動力により、可動接触子部400が移動する。よって、可動接触子430と固定接触子220が接触して直流リレー10が通電する。
【0127】
コア部300は、固定コア310と、可動コア320と、ヨーク330と、ボビン340と、コイル350と、復帰スプリング360と、シリンダ370とを含む。
【0128】
固定コア310は、コイル350から発生する磁場により磁化され、電磁引力を発生させる。前記電磁引力により、可動コア320が固定コア310に近づくように移動する(
図3における上方)。
【0129】
固定コア310は移動しない。すなわち、固定コア310は、支持プレート140及びシリンダ370に固定結合される。
【0130】
固定コア310は、磁場により磁化されて電磁力を発生する任意の形態で構成される。一実施形態において、固定コア310は、永久磁石や電磁石などで構成される。
【0131】
固定コア310は、シリンダ370の内部の上側空間に部分的に収容される。また、固定コア310の外周は、シリンダ370の内周に接触するように構成される。
【0132】
固定コア310は、支持プレート140と可動コア320間に位置する。
【0133】
固定コア310の中心部には、貫通孔(図示せず)が形成される。前記貫通孔(図示せず)には、シャフト440が上下移動可能に貫通して結合される。
【0134】
固定コア310は、可動コア320から所定距離だけ離隔されるように位置する。よって、可動コア320が固定コア310に近づくように移動できる距離は、前記所定距離に制限される。よって、前記所定距離は、「可動コア320の移動距離」と定義される。
【0135】
固定コア310の下側には、復帰スプリング360の一端部、すなわち同図に示す実施形態における上端部が接触する。固定コア310が磁化されることにより可動コア320が上方に移動すると、復帰スプリング360が圧縮されて復元力を蓄える。
【0136】
よって、制御電源の供給が解除されて固定コア310の磁化が終了すると、可動コア320が前記復元力により再び下方に復帰する。
【0137】
可動コア320は、制御電源が供給されると、固定コア310が生成する電磁引力により固定コア310に近づく方向に移動するように構成される。
【0138】
可動コア320の移動により、可動コア320に結合されたシャフト440が固定コア310に近づく方向、すなわち同図に示す実施形態における上方に移動する。また、シャフト440が移動することにより、シャフト440に結合された可動接触子部400が上方に移動する。
【0139】
よって、固定接触子220と可動接触子430が接触して直流リレー10が外部の電源又は負荷に通電する。
【0140】
可動コア320は、電磁力による引力を受ける任意の形態で構成される。一実施形態において、可動コア320は、磁性体素材で形成されるか、永久磁石や電磁石などで構成される。
【0141】
可動コア320は、シリンダ370の内部に収容される。また、可動コア320は、シリンダ370の内部において、シリンダ370の長さ方向、すなわち同図に示す実施形態における上下方向に移動する。
【0142】
具体的には、可動コア320は、固定コア310に近づく方向、及び固定コア310から遠ざかる方向に移動する。
【0143】
可動コア320は、シャフト440に結合される。可動コア320は、シャフト440と一体に移動する。可動コア320が上方又は下方に移動すると、シャフト440も上方又は下方に移動する。よって、可動接触子430も上方又は下方に移動する。
【0144】
可動コア320は、固定コア310の下側に位置する。可動コア320は、固定コア310から所定距離だけ離隔される。前記所定距離が可動コア320の上下方向の移動距離であることについては前述した通りである。
【0145】
可動コア320は、長さ方向に延設される。可動コア320の内部には、長さ方向に延びる中空部が所定距離だけ陥没して形成される。前記中空部には、復帰スプリング360及び復帰スプリング360を貫通して結合されるシャフト440の下部が部分的に収容される。
【0146】
前記中空部の下側には、貫通孔が長さ方向に貫通して形成される。前記中空部と前記貫通孔は連通する。前記中空部に挿入されるシャフト440の下端部は、前記貫通孔に近づく方向に進む。
【0147】
可動コア320の下端部には、空間部が所定距離だけ陥没して形成される。前記空間部は、前記貫通孔に連通する。前記空間部には、シャフト440の下側ヘッド部が位置する。
【0148】
ヨーク330は、制御電源が供給されると磁路を形成する。ヨーク330が形成する磁路は、コイル350が形成する磁場の方向を調節するように構成される。
【0149】
よって、制御電源が供給されると、コイル350は、可動コア320が固定コア310に近づくように移動する方向に磁場を生成する。ヨーク330は、通電可能な導電性素材で形成される。
【0150】
ヨーク330は、下部フレーム120の内部に収容される。ヨーク330は、コイル350を囲むように構成される。コイル350は、ヨーク330の内周面から所定距離だけ離隔されてヨーク330の内部に収容される。
【0151】
ヨーク330の内部には、ボビン340が収容される。すなわち、下部フレーム120の外周から放射方向内側に向かって、ヨーク330、コイル350、コイル350が巻回されるボビン340が順に配置される。
【0152】
ヨーク330の上側は、支持プレート140に接触する。また、ヨーク330の外周は、下部フレーム120の内周に接触するか、下部フレーム120の内周から所定距離だけ離隔されるように位置する。
【0153】
ボビン340には、コイル350が巻回される。ボビン340は、ヨーク330の内部に収容される。
【0154】
ボビン340は、平板状の上部及び下部と、長さ方向に延設されて前記上部及び前記下部を連結する円筒形の柱部とを含む。すなわち、ボビン340は、糸巻き(bobbin)状である。
【0155】
ボビン340の上部は、支持プレート140の下側に接触する。ボビン340の柱部には、コイル350が巻回される。コイル350が巻回される厚さは、ボビン340の上部及び下部の直径と同じになるように構成されるか、又はボビン340の上部及び下部の直径より小さく構成される。
【0156】
ボビン340の柱部には、長さ方向に延びる中空部が貫通して形成される。前記中空部には、シリンダ370が収容される。ボビン340の柱部は、固定コア310、可動コア320及びシャフト440と同じ中心軸を有するように配置される。
【0157】
コイル350は、供給される制御電源により磁場を発生させる。コイル350が発生させる磁場により固定コア310が磁化され、可動コア320に電磁引力が印加される。
【0158】
コイル350は、ボビン340に巻回される。具体的には、コイル350は、ボビン340の柱部に巻回され、前記柱部の放射方向外側に積層される。コイル350は、ヨーク330の内部に収容される。
【0159】
制御電源が供給されると、コイル350は磁場を生成する。ここで、ヨーク330により、コイル350が生成する磁場の強度や方向などが制御される。コイル350が生成する磁場により、固定コア310が磁化される。
【0160】
固定コア310が磁化されると、可動コア320は、固定コア310に近づく方向への電磁力、すなわち引力を受ける。よって、可動コア320は、固定コア310に近づく方向、すなわち同図に示す実施形態における上方に移動する。
【0161】
復帰スプリング360は、可動コア320が固定コア310に近づくように移動し、その後制御電源の供給が解除されると、可動コア320が原位置に復帰するための復元力を供給する。
【0162】
復帰スプリング360は、可動コア320が固定コア310に近づくように移動することにより、圧縮されて復元力を蓄える。ここで、蓄えられる復元力は、固定コア310が磁化されて可動コア320に及ぼす電磁引力より小さいことが好ましい。制御電源が供給されている間は、可動コア320が復帰スプリング360により任意に原位置に復帰することを防止するためである。
【0163】
制御電源の供給が解除されると、可動コア320は、復帰スプリング360による復元力を受ける。当然ながら、可動コア320の自重(empty weight)による重力も可動コア320に作用する。よって、可動コア320は、固定コア310から遠ざかる方向に移動して原位置に復帰する。
【0164】
復帰スプリング360は、形状が変形することにより復元力を蓄え、元の形状に復帰することにより復元力を外部に伝達することのできる任意の形態で構成される。一実施形態において、復帰スプリング360は、コイルばね(coil spring)で構成される。
【0165】
復帰スプリング360には、シャフト440が貫通して結合される。シャフト440は、復帰スプリング360に結合された状態で復帰スプリング360の形状変形とは関係なく上下方向に移動する。
【0166】
復帰スプリング360は、可動コア320の上部に陥没して形成される中空部に収容される。また、固定コア310に対向する復帰スプリング360の一端部、すなわち同図に示す実施形態における上端部は、固定コア310の下部に陥没して形成される中空部に収容される。
【0167】
シリンダ370は、固定コア310、可動コア320、復帰スプリング360及びシャフト440を収容する。可動コア320及びシャフト440は、シリンダ370の内部において上方及び下方に移動する。
【0168】
シリンダ370は、ボビン340の柱部に形成される中空部に位置する。シリンダ370の上端部は、支持プレート140の下面に接触する。
【0169】
シリンダ370の側面は、ボビン340の柱部の内周面に接触する。シリンダ370の上側開口部は、固定コア310により密閉される。シリンダ370の下面は、下部フレーム120の内面に接触する。
【0170】
(4)可動接触子部400についての説明
可動接触子部400は、可動接触子430と、可動接触子430を移動させるための構成とを含む。可動接触子部400により、直流リレー10は、外部の電源又は負荷に通電する。
【0171】
可動接触子部400は、上部フレーム110の内部空間に収容される。また、可動接触子部400は、アークチャンバ210の内部に上下移動可能に収容される。
【0172】
可動接触子部400の上側には、固定接触子220が位置する。可動接触子部400は、固定接触子220に近づく方向及び固定接触子220から遠ざかる方向に移動可能にアークチャンバ210の内部に収容される。
【0173】
可動接触子部400の下側には、コア部300が位置する。可動接触子部400の前記移動は、可動コア320の移動により達成される。
【0174】
可動接触子部400は、ハウジング410と、カバー420と、可動接触子430と、シャフト440と、弾性部450とを含む。
【0175】
ハウジング410は、可動接触子430及び可動接触子430を付勢する弾性部450を収容する。
【0176】
同図に示す実施形態において、ハウジング410は、一側及びそれに対向する他側が開放される(
図5参照)。その開放された部分には、可動接触子430が貫挿される。
【0177】
ハウジング410の開放されていない側面は、収容される可動接触子430を覆うように構成される。
【0178】
ハウジング410の上側には、カバー420が備えられる。カバー420は、ハウジング410に収容される可動接触子430の上面を覆うように構成される。
【0179】
ハウジング410及びカバー420は、意図しない通電が防止されるように、絶縁性素材で形成されることが好ましい。一実施形態において、ハウジング410及びカバー420は、合成樹脂などで形成される。
【0180】
ハウジング410の下部は、シャフト440に連結される。シャフト440に連結された可動コア320が上方又は下方に移動すると、ハウジング410及びそれに収容される可動接触子430も上方又は下方に移動する。
【0181】
ハウジング410とカバー420は、任意の部材により結合される。一実施形態において、ハウジング410とカバー420は、ボルト、ナットなどの締結部材(図示せず)により結合される。
【0182】
可動接触子430は、制御電源の供給により固定接触子220に接触し、直流リレー10が外部の電源及び負荷に通電するようにする。また、可動接触子430は、制御電源の供給が解除されると固定接触子220から離隔され、直流リレー10が外部の電源及び負荷に通電しないようにする。
【0183】
可動接触子430は、固定接触子220に隣接するように位置する。
【0184】
可動接触子430の上側は、カバー420により部分的に覆われる。一実施形態において、可動接触子430の上面の一部は、カバー420の下面に接触する。
【0185】
可動接触子430の下側は、弾性部450により付勢される。可動接触子430が任意に下方に移動しないように、弾性部450は、所定距離だけ圧縮された状態で可動接触子430を付勢する。
【0186】
可動接触子430は、長さ方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に延設される。すなわち、可動接触子430の長さは、幅より長く形成される。よって、ハウジング410に収容される可動接触子430の長さ方向の両端部は、ハウジング410の外側に露出する。
【0187】
前記両端部には、所定距離だけ上側に突出する接触突出部が形成される。前記接触突出部には、固定接触子220が接触する。
【0188】
前記接触突出部は、各固定接触子220a、220bに対応する位置に形成される。よって、可動接触子430の移動距離が減少し、固定接触子220と可動接触子430の接触信頼性が向上する。
【0189】
可動接触子430の幅は、ハウジング410の各側面が互いに離隔された距離と同じになる。すなわち、可動接触子430がハウジング410に収容されると、可動接触子430の幅方向に対向する両側面がハウジング410の各側面の内面に接触する。
【0190】
よって、可動接触子430がハウジング410に収容された状態が安定して維持される。
【0191】
シャフト440は、コア部300の作動により発生する駆動力を可動接触子部400に伝達する。具体的には、シャフト440は、可動コア320及び可動接触子430に連結される。可動コア320が上方又は下方に移動すると、シャフト440により可動接触子430も上方又は下方に移動する。
【0192】
シャフト440は、長さ方向、すなわち同図に示す実施形態における上下方向に延設される。
【0193】
シャフト440の下端部は、可動コア320に挿入結合される。可動コア320が上下方向に移動すると、シャフト440が可動コア320と共に上下方向に移動する。
【0194】
シャフト440の本体部は、固定コア310に上下移動可能に貫通して結合される。シャフト440の本体部は、復帰スプリング360を貫通して結合される。
【0195】
シャフト440の上端部は、ハウジング410に結合される。可動コア320が移動すると、シャフト440及びハウジング410が共に移動する。
【0196】
シャフト440の上端部及び下端部は、シャフトの本体部より大きい直径を有するように形成される。よって、シャフト440は、ハウジング410及び可動コア320との安定した結合状態を維持することができる。
【0197】
弾性部450は、可動接触子430を付勢する。可動接触子430が固定接触子220に接触すると、電磁反発力により可動接触子430が固定接触子220から離隔されやすくなる。
【0198】
ここで、弾性部450は、可動接触子430を付勢し、可動接触子430が固定接触子220から任意に離隔されることを防止するように構成される。
【0199】
弾性部450は、形状の変形により復元力を蓄え、蓄えられた復元力を他の部材に供給することのできる任意の形態で構成される。一実施形態において、弾性部450は、コイルばねで構成される。
【0200】
可動接触子430に対向する弾性部450の一端部は、可動接触子430の下側に接触する。また、前記一端部とは反対側の他端部は、ハウジング410の上側に接触する。
【0201】
弾性部450は、所定距離だけ圧縮されて復元力を蓄えた状態で可動接触子430を付勢する。よって、可動接触子430と固定接触子220間に電磁反発力が発生しても、可動接触子430が任意に移動することはない。
【0202】
弾性部450の安定した結合のために、可動接触子430の下側には、弾性部450に挿入される突出部(図示せず)が突設される。同様に、ハウジング410の上側にも、弾性部450に挿入される突出部(図示せず)が突設される。
【0203】
3.本発明の実施形態によるアーク経路形成部500、600、700、800についての説明
本発明の実施形態による直流リレー10は、アーク経路形成部500、600、700、800を含む。アーク経路形成部500、600、700、800は、アークチャンバ210の内部で固定接触子220と可動接触子430が離隔されることにより発生するアークを放出するための経路を形成するように構成される。
【0204】
以下、
図4~
図13を参照して、各実施形態によるアーク経路形成部500、600、700、800について詳細に説明する。
【0205】
図4及び
図5に示す実施形態において、アーク経路形成部500、600、700、800は、アークチャンバ210の外側に位置する。アーク経路形成部500、600、700、800は、アークチャンバ210を囲むように構成される。
図6~
図13に示す実施形態において、アークチャンバ210の図示が省略されていることが理解されるであろう。
【0206】
アーク経路形成部500、600、700、800は、アークチャンバ210の内部に磁路を形成する。前記磁路により、アークの経路A.Pが形成される。
【0207】
(1)本発明の一実施形態によるアーク経路形成部500についての説明
以下、
図6及び
図7を参照して、本発明の一実施形態によるアーク経路形成部500について詳細に説明する。
【0208】
同図に示す実施形態において、アーク経路形成部500は、磁石フレーム510と、磁石部520とを含む。
【0209】
磁石フレーム510は、アーク経路形成部500の骨格を形成する。磁石フレーム510には、磁石部520が配置される。一実施形態において、磁石部520は、磁石フレーム510に結合される。
【0210】
磁石フレーム510は、長さ方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に延設され、長方形の断面を有する。磁石フレーム510の形状は、上部フレーム110及びアークチャンバ210の形状に応じて変更される。
【0211】
磁石フレーム510は、第1面511と、第2面512と、第3面513と、第4面514と、アーク放出孔515と、空間部516とを含む。
【0212】
第1面511、第2面512、第3面513及び第4面514は、磁石フレーム510の外周面を形成する。すなわち、第1面511、第2面512、第3面513及び第4面514は、磁石フレーム510の壁として機能する。
【0213】
第1面511、第2面512、第3面513及び第4面514の外側は、上部フレーム110の内面に接触又は固定結合される。また、第1面511、第2面512、第3面513及び第4面514の内側には、磁石部520が位置する。
【0214】
同図に示す実施形態において、第1面511は、背面を形成する。第2面512は、前面を形成し、第1面511に対向する。
【0215】
また、第3面513は、左側面を形成する。第4面514は、右側面を形成し、第3面513に対向する。
【0216】
第1面511は、第3面513及び第4面514につながる。第1面511は、第3面513及び第4面514と所定の角度をなして結合される。一実施形態において、前記所定の角度は直角である。
【0217】
第2面512は、第3面513及び第4面514につながる。第2面512は、第3面513及び第4面514と所定の角度をなして結合される。一実施形態において、前記所定の角度は直角である。
【0218】
第1面511~第4面514が互いにつながる各角部は面取りされる。
【0219】
第1面511の内側、すなわち第2面512に対向する第1面511の一側には、第1磁石部521が結合される。また、第2面512の内側、すなわち第1面511に対向する第2面512の一側には、第3磁石部523が結合される。
【0220】
さらに、第3面513の内側、すなわち第4面514に対向する第3面513の一側、又は第4面514の内側、すなわち第3面513に対向する第4面514の一側には、第3磁石部523が結合される。
【0221】
各面511、512、513、514と磁石部520の結合のために、締結部材(図示せず)が備えられる。
【0222】
第1面511及び第2面512の少なくとも一方には、アーク放出孔515が貫通して形成される。
【0223】
アーク放出孔515は、アークチャンバ210で消弧されて放出されるアークが上部フレーム110の内部空間に放出される通路である。アーク放出孔515は、磁石フレーム510の空間部516と上部フレーム110の空間を連通させる。
【0224】
同図に示す実施形態において、アーク放出孔515は、第1面511及び第2面512にそれぞれ形成される。また、アーク放出孔515は、第1面511及び第2面512の長さ方向の中間部分に形成される。
【0225】
第1面511~第4面514により囲まれる空間は、空間部516と定義される。
【0226】
空間部516には、固定接触子220及び可動接触子430が収容される。また、
図4に示すように、空間部516には、アークチャンバ210が収容される。
【0227】
空間部516において、可動接触子430は、固定接触子220に近づく方向又は固定接触子220から遠ざかる方向に移動する。
【0228】
また、空間部516には、アークチャンバ210で発生したアークの経路A.Pが形成される。これは、磁石部520が形成する磁場により達成される。
【0229】
空間部516の中央部分は、中心部Cと定義される。第1面~第4面511、512、513、514が互いにつながる各角部から中心部Cまでの直線距離は、同一になるように形成される。
【0230】
中心部Cは、第1固定接触子220aと第2固定接触子220b間に位置する。また、中心部Cの垂直下方には、可動接触子部400の中心部分が位置する。すなわち、中心部Cの垂直下方には、ハウジング410、カバー420、可動接触子430、シャフト440、弾性部450などの中心部分が位置する。
【0231】
よって、発生したアークが中心部Cに向かって移動すると、上記構成の損傷が発生する。これを防止するために、本実施形態によるアーク経路形成部500は、磁石部520を含む。
【0232】
磁石部520は、空間部516内に磁場を形成する。磁石部520が形成する磁場は、固定接触子220及び可動接触子430に沿って流れる電流と共に電磁力を生成する。よって、アークの経路A.Pが電磁力の方向に応じて形成される。
【0233】
磁石部520は、隣接する磁石部520間に磁場を形成するか、又は各磁石部520自体が磁場を形成する。
【0234】
磁石部520は、それ自体が磁性を帯びるか、電流の供給などにより磁性を帯びる任意の形態で構成される。一実施形態において、磁石部520は、永久磁石や電磁石などで構成される。
【0235】
磁石部520は、磁石フレーム510に結合される。磁石部520と磁石フレーム510の結合のために、締結部材(図示せず)が備えられる。
【0236】
同図に示す実施形態において、磁石部520は、長さ方向に延び、長方形の断面を有する直方体の形状である。磁石部520は、磁場を形成することのできる任意の形状で構成される。
【0237】
磁石部520は、複数備えられる。同図に示す実施形態において、磁石部520は3つ備えられるが、その数は変更してもよい。
【0238】
磁石部520は、第1磁石部521と、第2磁石部522と、第3磁石部523とを含む。
【0239】
第1磁石部521は、第2磁石部522及び第3磁石部523と共に磁場を形成する。また、第1磁石部521は、それ自体でも磁場を形成する。
【0240】
図6に示す実施形態において、第1磁石部521は、第1面511の内側に位置する。また、第1磁石部521は、第1面511の中間部分に位置する。
【0241】
また、
図7に示す実施形態において、第1磁石部521は、第2面512の内側に位置する。さらに、第1磁石部521は、第2面512の中間部分に位置する。
【0242】
第1磁石部521は、長さ方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に所定距離だけ延設される。第1磁石部521は、その延設長さが第2磁石部522の延設長さや第3磁石部523の延設長さより長く形成される。
【0243】
第1磁石部521は、第2磁石部522に対して垂直になるように配置される。具体的には、第1磁石部521は、長さ方向に延ばした仮想の線が、第2磁石部522の長さ方向に延ばした仮想の線と直交するように配置される。
【0244】
第1磁石部521は、第3磁石部523に対向するように配置される。具体的には、第1磁石部521は、空間部516を介して対角線方向となるように第3磁石部523に対向するように構成される。
【0245】
第1磁石部521と第3磁石部523とは、前後方向に部分的に重なる。すなわち、第1磁石部521の一側、すなわち同図に示す実施形態における左側端部は、前後方向における第3磁石部523上に位置する。同様に、第3磁石部523の一側、すなわち同図に示す実施形態における右側端部は、前後方向における第1磁石部521上に位置する。
【0246】
第1磁石部521は、第1対向面521aと、第1反対面521bとを含む。
【0247】
第1対向面521aは、空間部516に対向する第1磁石部521の一側面と定義される。言い換えれば、第1対向面521aは、第3磁石部523に対向する第1磁石部521の一側面と定義される。
【0248】
第1反対面521bは、第1面511又は第2面512に対向する第1磁石部521の他の側面と定義される。言い換えれば、第1反対面521bは、第1対向面521aとは反対側の第1磁石部521の他の側面と定義される。
【0249】
第1対向面521aと第1反対面521bは、異なる極性になるように構成される。すなわち、第1対向面521aは、N極とS極のいずれか一方に磁化され、第1反対面521bは、N極とS極の他方に磁化される。
【0250】
よって、第1対向面521a及び第1反対面521bのいずれか一方から他方に向かう磁場が第1磁石部521自体により形成される。
【0251】
同図に示す実施形態において、第1対向面521aの極性は、第2磁石部522の第2対向面522a、及び第3磁石部523の第3対向面523aとは異なる極性になるように構成される。
【0252】
よって、第1磁石部521と第2磁石部522間、又は第1磁石部521と第3磁石部523間には、いずれか一方の磁石部から他方の磁石部に向かう方向の磁場が形成される。
【0253】
第2磁石部522は、第1磁石部521と共に磁場を形成する。また、第2磁石部522は、それ自体でも磁場を形成する。
【0254】
第2磁石部522は、長さ方向、すなわち同図に示す実施形態における前後方向に所定距離だけ延設される。第2磁石部522は、その延設長さが第1磁石部521の延設長さより短く形成される。
【0255】
同図に示す実施形態において、第2磁石部522は、第4面514の内側に位置する。第2磁石部522は、第4面514の長さ方向の中心部分に位置する。
【0256】
あるいは、第2磁石部522は、第3面513の内側に位置するようにしてもよい。
【0257】
第2磁石部522は、第1磁石部521から所定距離(D1)離隔されて位置する。また、第2磁石部522は、第3磁石部523から所定距離(D3)離隔されて位置する。第2磁石部522と第3磁石部523間の離隔距離D3は、第2磁石部522と第1磁石部521間の離隔距離D1より長く形成される。
【0258】
第2磁石部522は、第2対向面522aと、第2反対面522bとを含む。
【0259】
第2対向面522aは、空間部516に対向する第2磁石部522の一側面と定義される。言い換えれば、第2対向面522aは、第1磁石部521に対向する第2磁石部522の一側面と定義される。
【0260】
第2反対面522bは、第4面514に対向する第2磁石部522の他の側面と定義される。言い換えれば、第2反対面522bは、第2対向面522aとは反対側の第2磁石部522の他の側面と定義される。
【0261】
第2対向面522aと第2反対面522bは、異なる極性になるように構成される。すなわち、第2対向面522aは、N極とS極のいずれか一方に磁化され、第2反対面522bは、N極とS極の他方に磁化される。
【0262】
よって、第2対向面522a及び第2反対面522bのいずれか一方から他方に向かう磁場が第2磁石部522自体により形成される。
【0263】
同図に示す実施形態において、第2対向面522aの極性は、第1磁石部521の第1対向面521aとは異なる極性になるように構成される。
【0264】
よって、第1磁石部521と第2磁石部522間には、いずれか一方の磁石部から他方の磁石部に向かう方向の磁場が形成される。
【0265】
また、第2対向面522aの極性は、第3磁石部523の第3対向面523aと同じ極性になるように形成される。
【0266】
よって、第2対向面522aと第3対向面523a間には、互いに押し合う方向の磁場が形成される。
【0267】
第3磁石部523は、第1磁石部521と共に磁場を形成する。また、第3磁石部523は、それ自体でも磁場を形成する。
【0268】
図6に示す実施形態において、第3磁石部523は、第2面512の内側左寄りに位置する。すなわち、第3磁石部523は、アーク放出孔515より左側に位置する。
【0269】
図7に示す実施形態において、第3磁石部523は、第1面511の内側左寄りに位置する。すなわち、第3磁石部523は、アーク放出孔515より左側に位置する。
【0270】
すなわち、第3磁石部523は、第2磁石部522からの離隔距離D3が最大となるように、第2磁石部522が配置される第4面514に対向する第3面513に隣接して配置される。
【0271】
第3磁石部523は、長さ方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に所定距離だけ延設される。第3磁石部523は、その延設長さが第1磁石部521の延設長さより短く形成される。一実施形態において、第3磁石部523の延設長さは、第2磁石部522の延設長さと同じ長さになるように形成される。
【0272】
第3磁石部523は、第1磁石部521に対向するように配置される。具体的には、第3磁石部523は、空間部516を介して左の対角線方向となるように第1磁石部521に対向するように構成される。
【0273】
第3磁石部523は、第2磁石部522から所定距離(D3)離隔されて位置する。また、第3磁石部523は、第1磁石部521から所定距離(D2)離隔されて位置する。
【0274】
第3磁石部523は、第3対向面523aと、第3反対面523bとを含む。
【0275】
第3対向面523aは、空間部516に対向する第3磁石部523の一側面と定義される。言い換えれば、第3対向面523aは、第1磁石部521に対向する第3磁石部523の一側面と定義される。
【0276】
第3反対面523bは、第1面511又は第2面512に対向する第3磁石部523の他の側面と定義される。言い換えれば、第3反対面523bは、第3対向面523aとは反対側の第3磁石部523の他の側面と定義される。
【0277】
第3対向面523aと第3反対面523bは、異なる極性になるように構成される。すなわち、第3対向面523aは、N極とS極のいずれか一方に磁化され、第3反対面523bは、N極とS極の他方に磁化される。
【0278】
よって、第3対向面523a及び第3反対面523bのいずれか一方から他方に向かう磁場が第3磁石部523自体により形成される。
【0279】
同図に示す実施形態において、第3対向面523aの極性は、第1磁石部521の第1対向面521aとは異なる極性になるように構成される。
【0280】
よって、第1磁石部521と第3磁石部523間には、いずれか一方の磁石部から他方の磁石部に向かう方向の磁場が形成される。
【0281】
また、第3対向面523aの極性は、第2磁石部522の第2対向面522aと同じ極性になるように形成される。
【0282】
よって、第2対向面522aと第3対向面523a間には、互いに押し合う方向の磁場が形成される。
【0283】
本実施形態において、第1磁石部521は、第2磁石部522や第3磁石部523より長く延設される。また、第2磁石部522と第3磁石部523は、所定距離(D3)だけ離隔されて配置される。
【0284】
第2磁石部522と第3磁石部523の離隔距離D3は、第1磁石部521と第2磁石部522の離隔距離D1や第1磁石部521と第3磁石部523の離隔距離D2より長く形成される。
【0285】
すなわち、第2磁石部522と第3磁石部523は、その離隔距離D3が最大となるように配置される。
【0286】
よって、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bの近傍に形成される磁場は、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bに対してより大きい傾斜を有するように形成される。
【0287】
その結果、これらの磁場により各固定接触子220a、220bの近傍に発生する電磁力は、中心部Cから遠ざかる方向に形成される。よって、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0288】
(2)本発明の他の実施形態によるアーク経路形成部600についての説明
以下、
図8及び
図9を参照して、本発明の他の実施形態によるアーク経路形成部600について詳細に説明する。
【0289】
同図に示す実施形態において、アーク経路形成部600は、磁石フレーム610と、磁石部620とを含む。
【0290】
本実施形態による磁石フレーム610は、前述した実施形態の磁石フレーム510と構造及び機能が同一である。よって、前述した磁石フレーム510についての説明を援用して磁石フレーム610についての説明に代える。
【0291】
本実施形態による磁石部620は、前述した実施形態の磁石部520と構造及び機能が概して同様である。しかし、本実施形態による磁石部620は、前述した実施形態の磁石部520と配置方法において差異がある。
【0292】
よって、以下では、本実施形態による磁石部620と前述した実施形態による磁石部520の差異を中心に説明する。
【0293】
磁石部620は、第1磁石部621と、第2磁石部622と、第3磁石部623とを含む。
【0294】
第1磁石部621は、第2磁石部622及び第3磁石部623と共に磁場を形成する。また、第1磁石部621は、それ自体でも磁場を形成する。
【0295】
第2磁石部622は、第1磁石部621と共に磁場を形成する。また、第2磁石部622は、それ自体でも磁場を形成する。
【0296】
第2磁石部622は、第3面613の内側に配置される。第2磁石部622は、第3面613の中間部分に位置する。
【0297】
第3磁石部623は、第1磁石部621と共に磁場を形成する。また、第3磁石部623は、それ自体でも磁場を形成する。
【0298】
第3磁石部623は、第2面612の内側に配置される。第3磁石部623は、第2面612の右寄りに位置する。すなわち、第3磁石部623は、第2磁石部622からの離隔距離D3が最大となるように、第2磁石部622が配置される第3面613に対向する第4面614に隣接して配置される。
【0299】
本実施形態において、第1磁石部621は、第2磁石部622や第3磁石部623より長く延設される。また、第2磁石部622と第3磁石部623は、所定距離(D3)だけ離隔されて配置される。
【0300】
第2磁石部622と第3磁石部623の離隔距離D3は、第1磁石部621と第2磁石部622の離隔距離D1や第1磁石部621と第3磁石部623の離隔距離D2より長く形成される。
【0301】
すなわち、第2磁石部622と第3磁石部623は、その離隔距離D3が最大となるように配置される。
【0302】
よって、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bの近傍に形成される磁場は、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bに対してより大きい傾斜を有するように形成される。
【0303】
その結果、これらの磁場により各固定接触子220a、220bの近傍に発生する電磁力は、中心部Cから遠ざかる方向に形成される。よって、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0304】
(3)本発明のさらに他の実施形態によるアーク経路形成部700についての説明
以下、
図10及び
図11を参照して、本発明のさらに他の実施形態によるアーク経路形成部700について詳細に説明する。
【0305】
同図に示す実施形態において、アーク経路形成部700は、磁石フレーム710と、磁石部720とを含む。
【0306】
本実施形態による磁石フレーム710は、前述した実施形態の磁石フレーム510、610と構造及び機能が同一である。よって、前述した磁石フレーム510、610についての説明を援用して磁石フレーム710についての説明に代える。
【0307】
本実施形態による磁石部720は、前述した実施形態の磁石部520、620と構造及び機能が概して同様である。
【0308】
よって、以下では、本実施形態による磁石部720と前述した実施形態による磁石部520、620の差異を中心に説明する。
【0309】
磁石部720は、第1磁石部721と、第2磁石部722と、第3磁石部723とを含む。
【0310】
第1磁石部721は、第2磁石部722又は第3磁石部723と共に磁場を形成する。また、第1磁石部721は、それ自体でも磁場を形成する。
【0311】
第1磁石部721は、前述した実施形態の第1磁石部521、621と構造及び機能が同一である。
【0312】
しかし、第1対向面721aは、第2磁石部722の第2対向面722aと同じ極性になるように構成される。また、第1対向面721aは、第3磁石部723の第3対向面723aとは異なる極性になるように構成される。
【0313】
よって、第1磁石部721と第2磁石部722間には、互いに押し合う方向の磁場が形成される。また、第1磁石部721と第3磁石部723間には、いずれか一方の磁石部から他方の磁石部に向かう方向の磁場が形成される。
【0314】
第2磁石部722は、第1磁石部721又は第3磁石部723と共に磁場を形成する。また、第2磁石部722は、それ自体でも磁場を形成する。
【0315】
本実施形態において、第2磁石部722は、第3面713の内側に配置される。第2磁石部722は、第3面713の中間部分に位置する。
【0316】
第2磁石部722は、第3磁石部723との離隔距離D3が最大となるように配置される。
【0317】
第2磁石部722は、前述した実施形態の第2磁石部522、622と構造及び機能が同一である。
【0318】
しかし、第2対向面722aは、第1磁石部721の第1対向面721aと同じ極性になるように構成される。また、第2対向面722aは、第3磁石部723の第3対向面723aとは異なる極性になるように構成される。
【0319】
よって、第2磁石部722と第1磁石部721間には、互いに押し合う方向の磁場が形成される。また、第2磁石部722と第3磁石部723間には、いずれか一方の磁石部から他方の磁石部に向かう方向の磁場が形成される。
【0320】
第3磁石部723は、第1磁石部721又は第2磁石部722と共に磁場を形成する。また、第3磁石部723は、それ自体でも磁場を形成する。
【0321】
本実施形態において、第3磁石部723は、第4面714の内側に配置される。第3磁石部723は、第4面714の中間部分に位置する。
【0322】
第3磁石部723は、第2磁石部722との離隔距離D3が最大となるように配置される。すなわち、第2磁石部722が第3面723に配置されるので、第3磁石部723は、その離隔距離D3が最大となる第4面724に配置される。
【0323】
第3磁石部723は、前述した実施形態の第3磁石部523、623と構造及び機能が同一である。
【0324】
しかし、第3対向面723aは、第1磁石部721の第1対向面721a、及び第2磁石部722の第2対向面722aとは異なる極性になるように構成される。
【0325】
よって、第3磁石部723と第1磁石部721間、及び第3磁石部723と第2磁石部722間には、いずれか一方の磁石部から他方の磁石部に向かう方向の磁場が形成される。
【0326】
本実施形態において、第1磁石部721は、第2磁石部722や第3磁石部723より長く延設される。また、第2磁石部722と第3磁石部723は、所定距離(D3)だけ離隔されて配置される。
【0327】
第2磁石部722と第3磁石部723の離隔距離D3は、第1磁石部721と第2磁石部722の離隔距離D1や第1磁石部721と第3磁石部723の離隔距離D2より長く形成される。
【0328】
また、第1磁石部721と第2磁石部722の離隔距離D1と、第1磁石部721と第3磁石部723の離隔距離D2とは、同一である。
【0329】
すなわち、第2磁石部722と第3磁石部723は、その離隔距離D3が最大となるように配置される。
【0330】
また、第3対向面723aは、第1対向面721a及び第2対向面722aとは異なる極性になるように構成される。よって、磁場は、第1磁石部721及び第2磁石部722から第3磁石部723に向かう方向又はその逆方向に形成される。
【0331】
よって、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bの近傍に形成される磁場は、左右方向又は左右の対角線方向に形成される。
【0332】
その結果、これらの磁場により各固定接触子220a、220bの近傍に発生する電磁力は、中心部Cから遠ざかる方向に形成される。よって、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0333】
(4)本発明のさらに他の実施形態によるアーク経路形成部800についての説明
以下、
図12及び
図13を参照して、本発明のさらに他の実施形態によるアーク経路形成部800について詳細に説明する。
【0334】
同図に示す実施形態において、アーク経路形成部800は、磁石フレーム810と、磁石部820とを含む。
【0335】
本実施形態による磁石フレーム810は、前述した実施形態の磁石フレーム510、610、710と構造及び機能が同一である。よって、前述した磁石フレーム510、610、710についての説明を援用して磁石フレーム810についての説明に代える。
【0336】
本実施形態による磁石部820は、前述した実施形態の磁石部520、620、720と構造及び機能が概して同様である。
【0337】
よって、以下では、本実施形態による磁石部820と前述した実施形態による磁石部520、620、720の差異を中心に説明する。
【0338】
磁石部820は、第1磁石部821と、第2磁石部822と、第3磁石部823とを含む。
【0339】
第1磁石部821は、第2磁石部822又は第3磁石部823と共に磁場を形成する。また、第1磁石部821は、それ自体でも磁場を形成する。
【0340】
第1磁石部821は、前述した実施形態の第1磁石部521、621、721と構造及び機能が同一である。
【0341】
しかし、第1対向面821aは、第2磁石部822の第2対向面822a、及び第3磁石部823の第3対向面823aとは異なる極性になるように構成される。
【0342】
よって、第1磁石部821と第2磁石部822間、及び第1磁石部821と第3磁石部823間には、いずれか一方の磁石部から他方の磁石部に向かう方向の磁場が形成される。
【0343】
第2磁石部822は、第1磁石部821又は第3磁石部823と共に磁場を形成する。また、第2磁石部822は、それ自体でも磁場を形成する。
【0344】
第2磁石部822は、前述した実施形態の第2磁石部522、622、722と構造及び機能が同一である。また、第2磁石部822は、前述した実施形態の第2磁石部722と配置方法が同一である。
【0345】
しかし、第2対向面822aは、第1磁石部821の第1対向面821aとは異なる極性になるように構成される。また、第2対向面822aは、第3磁石部823の第3対向面823aと同じ極性になるように構成される。
【0346】
よって、第2磁石部822と第1磁石部821間には、いずれか一方の磁石部から他方の磁石部に向かう方向の磁場が形成される。また、第2磁石部822と第3磁石部823間には、互いに押し合う方向の磁場が形成される。
【0347】
第3磁石部823は、第1磁石部821又は第2磁石部822と共に磁場を形成する。また、第3磁石部823は、それ自体でも磁場を形成する。
【0348】
第3磁石部823は、前述した実施形態の第3磁石部523、623、723と構造及び機能が同一である。また、第3磁石部823は、前述した実施形態の第3磁石部723と配置方法が同一である。
【0349】
しかし、第3対向面823aは、第1磁石部821の第1対向面821aとは異なる極性になるように構成される。また、第3対向面823aは、第2磁石部822の第2対向面823aと同じ極性になるように構成される。
【0350】
よって、第3磁石部823と第1磁石部821間には、いずれか一方の磁石部から他方の磁石部に向かう方向の磁場が形成される。また、第3磁石部823と第2磁石部822間には、互いに押し合う方向の磁場が形成される。
【0351】
本実施形態において、第1磁石部821は、第2磁石部822や第3磁石部823より長く延設される。また、第2磁石部822と第3磁石部823は、所定距離(D3)だけ離隔されて配置される。
【0352】
第2磁石部822と第3磁石部823の離隔距離D3は、第1磁石部821と第2磁石部822の離隔距離D1や第1磁石部821と第3磁石部823の離隔距離D2より長く形成される。
【0353】
また、第1磁石部821と第2磁石部822の離隔距離D1と、第1磁石部821と第3磁石部823の離隔距離D2とは、同一である。
【0354】
すなわち、第2磁石部822と第3磁石部823は、その離隔距離D3が最大となるように配置される。
【0355】
また、第1対向面821aは、第2対向面822a及び第3対向面823aとは異なる極性になるように構成される。よって、磁場は、第1磁石部821から第2磁石部822及び第3磁石部823に向かう方向又はその逆方向に形成される。
【0356】
よって、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bの近傍に形成される磁場は、左右の対角線方向に形成される。
【0357】
その結果、これらの磁場により各固定接触子220a、220bの近傍に発生する電磁力は、中心部Cから遠ざかる方向に形成される。よって、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0358】
4.本発明の実施形態によるアーク経路形成部500、600、700、800により形成されるアークの経路A.Pについての説明
本発明の実施形態による直流リレー10は、アーク経路形成部500、600、700、800を含む。アーク経路形成部500、600、700、800は、アークチャンバ210の内部に磁場を形成する。
【0359】
前記磁場が形成された状態において、固定接触子220と可動接触子430が接触して電流が流れると、フレミングの左手の法則に従って電磁力が発生する。
【0360】
前記電磁力により、固定接触子220と可動接触子430が離隔されることにより発生するアークが移動するアークの経路A.Pが形成される。
【0361】
以下、
図14~
図29を参照して、本発明の実施形態による直流リレー10においてアークの経路A.Pが形成される過程について詳細に説明する。
【0362】
以下の説明においては、固定接触子220と可動接触子430が離隔された直後に、固定接触子220と可動接触子430が接触していた部分からアークが発生することを前提とする。
【0363】
また、以下の説明において、各磁石部520、620、720、820同士が影響を及ぼす磁場を「主磁場M.M.F(Main Magnetic Field)」といい、各磁石部520、620、720、820自体により形成される磁場を「副磁場S.M.F(Sub Magnetic Field)」という。
【0364】
(1)本発明の一実施形態によるアーク経路形成部500により形成されるアークの経路A.Pについての説明
図14~
図17には、本発明の一実施形態によるアーク経路形成部500においてアークの経路A.Pが形成された状態を示す。
【0365】
図14の(a)、
図15の(a)、
図16の(a)及び
図17の(a)における電流の通電方向は、電流が第2固定接触子220bに流入し、可動接触子430を経て、第1固定接触子220aから流出する方向である。
【0366】
また、
図14の(b)、
図15の(b)、
図16の(b)及び
図17の(b)における電流の通電方向は、電流が第1固定接触子220aに流入し、可動接触子430を経て、第2固定接触子220bから流出する方向である。
【0367】
図14に示すように、第1対向面521aは、N極に磁化される。また、第2対向面522a及び第3対向面523aは、S極に磁化される。
【0368】
周知の通り、磁場は、N極から発散してS極に収束する方向に形成される。
【0369】
よって、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fは、第1対向面521aから第2対向面522aに向かう方向に形成される。
【0370】
ここで、第1磁石部521は、第1対向面521aから第1反対面521bに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。また、第2磁石部522は、第2反対面522bから第2対向面522aに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。
【0371】
これらの副磁場S.M.Fは、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fと同じ方向に形成される。よって、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fの強度が強化される。
【0372】
よって、
図14の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方右側に向かうように形成される。
【0373】
同様に、
図14の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方左側に向かうように形成される。
【0374】
また、第1磁石部521と第3磁石部523間に形成される主磁場M.M.Fは、第1対向面521aから第3対向面523aに向かう方向に形成される。
【0375】
ここで、第1磁石部521は、第1対向面521aから第1反対面521bに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。また、第3磁石部523は、第3反対面523bから第3対向面523aに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。
【0376】
これらの副磁場S.M.Fは、第1磁石部521と第3磁石部523間に形成される主磁場M.M.Fと同じ方向に形成される。よって、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fの強度が強化される。
【0377】
よって、
図14の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方左側に向かうように形成される。
【0378】
同様に、
図14の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方右側に向かうように形成される。
【0379】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0380】
図15に示すように、第1対向面521aは、S極に磁化される。また、第2対向面522a及び第3対向面523aは、N極に磁化される。
【0381】
よって、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fは、第2対向面522aから第1対向面521aに向かう方向に形成される。
【0382】
ここで、第1磁石部521は、第1反対面521bから第1対向面521aに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。また、第2磁石部522は、第2対向面522aから第2反対面522bに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。
【0383】
これらの副磁場S.M.Fは、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fと同じ方向に形成される。よって、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fの強度が強化される。
【0384】
よって、
図15の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方左側に向かうように形成される。
【0385】
同様に、
図15の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方右側に向かうように形成される。
【0386】
また、第1磁石部521と第3磁石部523間に形成される主磁場M.M.Fは、第3対向面523aから第1対向面521aに向かう方向に形成される。
【0387】
ここで、第1磁石部521は、第1反対面521bから第1対向面521aに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。また、第3磁石部523は、第3対向面523aから第3反対面523bに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。
【0388】
これらの副磁場S.M.Fは、第1磁石部521と第3磁石部523間に形成される主磁場M.M.Fと同じ方向に形成される。よって、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fの強度が強化される。
【0389】
よって、
図15の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方右側に向かうように形成される。
【0390】
同様に、
図15の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方左側に向かうように形成される。
【0391】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0392】
図16に示すように、第1対向面521aは、N極に磁化される。また、第2対向面522a及び第3対向面523aは、S極に磁化される。
【0393】
よって、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fは、第1対向面521aから第2対向面522aに向かう方向に形成される。
【0394】
ここで、第1磁石部521は、第1対向面521aから第1反対面521bに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。また、第2磁石部522は、第2反対面522bから第2対向面522aに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。
【0395】
これらの副磁場S.M.Fは、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fと同じ方向に形成される。よって、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fの強度が強化される。
【0396】
よって、
図16の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方左側に向かうように形成される。
【0397】
同様に、
図16の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方右側に向かうように形成される。
【0398】
また、第1磁石部521と第3磁石部523間に形成される主磁場M.M.Fは、第1対向面521aから第3対向面523aに向かう方向に形成される。
【0399】
ここで、第1磁石部521は、第1対向面521aから第1反対面521bに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。また、第3磁石部523は、第3反対面523bから第3対向面523aに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。
【0400】
これらの副磁場S.M.Fは、第1磁石部521と第3磁石部523間に形成される主磁場M.M.Fと同じ方向に形成される。よって、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fの強度が強化される。
【0401】
よって、
図16の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方右側に向かうように形成される。
【0402】
同様に、
図16の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方左側に向かうように形成される。
【0403】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0404】
図17に示すように、第1対向面521aは、S極に磁化される。また、第2対向面522a及び第3対向面523aは、N極に磁化される。
【0405】
よって、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fは、第2対向面522aから第1対向面521aに向かう方向に形成される。
【0406】
ここで、第1磁石部521は、第1反対面521bから第1対向面521aに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。また、第2磁石部522は、第2対向面522aから第2反対面522bに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。
【0407】
これらの副磁場S.M.Fは、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fと同じ方向に形成される。よって、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fの強度が強化される。
【0408】
よって、
図17の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方右側に向かうように形成される。
【0409】
同様に、
図17の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方左側に向かうように形成される。
【0410】
また、第1磁石部521と第3磁石部523間に形成される主磁場M.M.Fは、第3対向面523aから第1対向面521aに向かう方向に形成される。
【0411】
ここで、第1磁石部521は、第1反対面521bから第1対向面521aに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。また、第3磁石部523は、第3対向面523aから第3反対面523bに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。
【0412】
これらの副磁場S.M.Fは、第1磁石部521と第3磁石部523間に形成される主磁場M.M.Fと同じ方向に形成される。よって、第1磁石部521と第2磁石部522間に形成される主磁場M.M.Fの強度が強化される。
【0413】
よって、
図17の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方左側に向かうように形成される。
【0414】
同様に、
図17の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方右側に向かうように形成される。
【0415】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0416】
本実施形態において、第1磁石部521は、第2磁石部522や第3磁石部523より長く延設される。また、第2磁石部522と第3磁石部523は、所定距離(D3)だけ離隔されて配置される。
【0417】
第2磁石部522と第3磁石部523の離隔距離D3は、第1磁石部521と第2磁石部522の離隔距離D1や第1磁石部521と第3磁石部523の離隔距離D2より長く形成される。
【0418】
すなわち、第2磁石部522と第3磁石部523は、その離隔距離D3が最大となるように配置される。
【0419】
よって、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bの近傍に形成される磁場は、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bに対してより大きい傾斜を有するように形成される。
【0420】
その結果、これらの磁場により各固定接触子220a、220bの近傍に発生する電磁力は、中心部Cから遠ざかる方向に形成される。よって、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0421】
(2)本発明の他の実施形態によるアーク経路形成部600により形成されるアークの経路A.Pについての説明
図18~
図21には、本発明の他の実施形態によるアーク経路形成部600においてアークの経路A.Pが形成された状態を示す。
【0422】
図18の(a)、
図19の(a)、
図20の(a)及び
図21の(a)における電流の通電方向は、電流が第2固定接触子220bに流入し、可動接触子430を経て、第1固定接触子220aから流出する方向である。
【0423】
また、
図18の(b)、
図19の(b)、
図20の(b)及び
図21の(b)における電流の通電方向は、電流が第1固定接触子220aに流入し、可動接触子430を経て、第2固定接触子220bから流出する方向である。
【0424】
図18に示すように、第1対向面621aは、N極に磁化される。また、第2対向面622a及び第3対向面623aは、S極に磁化される。
【0425】
第1磁石部621及び第2磁石部622により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図14の実施形態と同様である。
【0426】
よって、
図18の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方右側に向かうように形成される。
【0427】
同様に、
図18の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方左側に向かうように形成される。
【0428】
第1磁石部621及び第3磁石部623により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図14の実施形態と同様である。
【0429】
よって、
図18の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方左側に向かうように形成される。
【0430】
同様に、
図18の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方右側に向かうように形成される。
【0431】
図19に示すように、第1対向面621aは、S極に磁化される。また、第2対向面622a及び第3対向面623aは、N極に磁化される。
【0432】
第1磁石部621及び第2磁石部622により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図15の実施形態と同様である。
【0433】
よって、
図19の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方左側に向かうように形成される。
【0434】
同様に、
図19の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方右側に向かうように形成される。
【0435】
第1磁石部621及び第3磁石部623により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図15の実施形態と同様である。
【0436】
よって、
図19の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方右側に向かうように形成される。
【0437】
同様に、
図19の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方左側に向かうように形成される。
【0438】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0439】
図20に示すように、第1対向面621aは、N極に磁化される。また、第2対向面622a及び第3対向面623aは、S極に磁化される。
【0440】
第1磁石部621及び第2磁石部622により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図16の実施形態と同様である。
【0441】
よって、
図20の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方左側に向かうように形成される。
【0442】
同様に、
図20の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方右側に向かうように形成される。
【0443】
第1磁石部621及び第3磁石部623により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図16の実施形態と同様である。
【0444】
よって、
図20の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方右側に向かうように形成される。
【0445】
同様に、
図20の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方左側に向かうように形成される。
【0446】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0447】
図21に示すように、第1対向面621aは、S極に磁化される。また、第2対向面622a及び第3対向面623aは、N極に磁化される。
【0448】
第1磁石部621及び第2磁石部622により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図17の実施形態と同様である。
【0449】
よって、
図21の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方右側に向かうように形成される。
【0450】
同様に、
図21の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方左側に向かうように形成される。
【0451】
第1磁石部621及び第3磁石部623により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図17の実施形態と同様である。
【0452】
よって、
図21の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方左側に向かうように形成される。
【0453】
同様に、
図21の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方右側に向かうように形成される。
【0454】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0455】
本実施形態において、第1磁石部621は、第2磁石部622や第3磁石部623より長く延設される。また、第2磁石部622と第3磁石部623は、所定距離(D3)だけ離隔されて配置される。
【0456】
第2磁石部622と第3磁石部623の離隔距離D3は、第1磁石部621と第2磁石部622の離隔距離D1や第1磁石部621と第3磁石部623の離隔距離D2より長く形成される。
【0457】
すなわち、第2磁石部622と第3磁石部623は、その離隔距離D3が最大となるように配置される。
【0458】
よって、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bの近傍に形成される磁場は、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bに対してより大きい傾斜を有するように形成される。
【0459】
その結果、これらの磁場により各固定接触子220a、220bの近傍に発生する電磁力は、中心部Cから遠ざかる方向に形成される。よって、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0460】
(3)本発明のさらに他の実施形態によるアーク経路形成部700により形成されるアークの経路A.Pについての説明
図22~
図25には、本発明のさらに他の実施形態によるアーク経路形成部700においてアークの経路A.Pが形成された状態を示す。
【0461】
図22の(a)、
図23の(a)、
図24の(a)及び
図25の(a)における電流の通電方向は、電流が第2固定接触子220bに流入し、可動接触子430を経て、第1固定接触子220aから流出する方向である。
【0462】
また、
図22の(b)、
図23の(b)、
図24の(b)及び
図25の(b)における電流の通電方向は、電流が第1固定接触子220aに流入し、可動接触子430を経て、第2固定接触子220bから流出する方向である。
【0463】
図22に示すように、第1対向面721a及び第2対向面722aは、N極に磁化される。また、第2対向面722a及び第3対向面723aは、S極に磁化される。
【0464】
よって、第1磁石部721と第2磁石部722間に形成される主磁場M.M.Fは、互いに押し合う方向に形成される。
【0465】
すなわち、第1対向面721aから発散した主磁場M.M.Fは、第2対向面722aから遠ざかる方向に形成される。また、第2対向面722aから発散した主磁場M.M.Fも、第1対向面721aから遠ざかる方向に形成される。
【0466】
それと同時に、第1磁石部721と第3磁石部723間に形成される主磁場M.M.Fは、第1対向面721aから第3対向面723aに向かう方向に形成される。
【0467】
同様に、第2磁石部722と第3磁石部723間に形成される主磁場M.M.Fは、第2対向面722aから第3対向面723aに向かう方向に形成される。
【0468】
ここで、第1磁石部721は、第1対向面721aから第1反対面721bに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。また、第2磁石部722は、第2対向面722aから第2反対面722bに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。同様に、第3磁石部723は、第3反対面723bから第3対向面723bに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。
【0469】
これらの副磁場S.M.Fは、第1磁石部721及び第2磁石部722と第3磁石部723間に形成される各主磁場M.M.Fと同じ方向に形成される。よって、第1磁石部721及び第2磁石部722と第3磁石部723間に形成される主磁場M.M.Fの強度が強化される。
【0470】
よって、
図22の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方に向かうように形成される。
【0471】
同様に、
図22の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方に向かうように形成される。
【0472】
また、
図22の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方に向かうように形成される。
【0473】
同様に、
図22の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方に向かうように形成される。
【0474】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0475】
図23に示すように、第1対向面721a及び第2対向面722aは、S極に磁化される。また、第3対向面723aは、N極に磁化される。
【0476】
よって、第1磁石部721と第2磁石部722間に形成される主磁場M.M.Fは、互いに押し合う方向に形成される。
【0477】
すなわち、第1対向面721aから発散した主磁場M.M.Fは、第2対向面722aから遠ざかる方向に形成される。また、第2対向面722aから発散した主磁場M.M.Fも、第1対向面721aから遠ざかる方向に形成される。
【0478】
それと同時に、第1磁石部721と第3磁石部723間に形成される主磁場M.M.Fは、第3対向面723aから第1対向面721aに向かう方向に形成される。
【0479】
同様に、第2磁石部722と第3磁石部723間に形成される主磁場M.M.Fは、第3対向面723aから第2対向面722aに向かう方向に形成される。
【0480】
ここで、第1磁石部721は、第1反対面721bから第1対向面721aに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。また、第2磁石部722は、第2反対面722bから第2対向面722aに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。同様に、第3磁石部723は、第3対向面723aから第3反対面723aに向かう方向の副磁場S.M.Fを形成する。
【0481】
これらの副磁場S.M.Fは、第1磁石部721及び第2磁石部722と第3磁石部723間に形成される各主磁場M.M.Fと同じ方向に形成される。よって、第1磁石部721及び第2磁石部722と第3磁石部723間に形成される主磁場M.M.Fの強度が強化される。
【0482】
よって、
図23の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方に向かうように形成される。
【0483】
同様に、
図23の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方に向かうように形成される。
【0484】
また、
図23の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方に向かうように形成される。
【0485】
同様に、
図23の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方に向かうように形成される。
【0486】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0487】
図24に示すように、第1対向面721a及び第2対向面722aは、N極に磁化される。また、第2対向面722a及び第3対向面723aは、S極に磁化される。
【0488】
第1磁石部721、第2磁石部722及び第3磁石部723により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図22の実施形態と同様である。
【0489】
よって、
図24の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方に向かうように形成される。
【0490】
同様に、
図24の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方に向かうように形成される。
【0491】
また、
図24の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方に向かうように形成される。
【0492】
同様に、
図24の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方に向かうように形成される。
【0493】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0494】
図25に示すように、第1対向面721a及び第2対向面722aは、S極に磁化される。また、第3対向面723aは、N極に磁化される。
【0495】
第1磁石部721、第2磁石部722及び第3磁石部723により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図23の実施形態と同様である。
【0496】
よって、
図25の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方に向かうように形成される。
【0497】
同様に、
図25の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方に向かうように形成される。
【0498】
また、
図25の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方に向かうように形成される。
【0499】
同様に、
図25の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方に向かうように形成される。
【0500】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0501】
本実施形態において、第1磁石部721は、第2磁石部722や第3磁石部723より長く延設される。また、第2磁石部722と第3磁石部723は、所定距離(D3)だけ離隔されて配置される。
【0502】
第2磁石部722と第3磁石部723の離隔距離D3は、第1磁石部721と第2磁石部722の離隔距離D1や第1磁石部721と第3磁石部723の離隔距離D2より長く形成される。
【0503】
また、第1磁石部721と第2磁石部722の離隔距離D1と、第1磁石部721と第3磁石部723の離隔距離D2とは、同一である。
【0504】
すなわち、第2磁石部722と第3磁石部723は、その離隔距離D3が最大となるように配置される。
【0505】
また、第3対向面723aは、第1対向面721a及び第2対向面722aとは異なる極性になるように構成される。よって、磁場は、第1磁石部721及び第2磁石部722から第3磁石部723に向かう方向又はその逆方向に形成される。
【0506】
よって、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bの近傍に形成される磁場は、左右方向又は左右の対角線方向に形成される。
【0507】
その結果、これらの磁場により各固定接触子220a、220bの近傍に発生する電磁力は、中心部Cから遠ざかる方向に形成される。よって、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0508】
(4)本発明のさらに他の実施形態によるアーク経路形成部800により形成されるアークの経路A.Pについての説明
図26~
図29には、本発明のさらに他の実施形態によるアーク経路形成部800においてアークの経路A.Pが形成された状態を示す。
【0509】
図26の(a)、
図27の(a)、
図28の(a)及び
図29の(a)における電流の通電方向は、電流が第2固定接触子220bに流入し、可動接触子430を経て、第1固定接触子220aから流出する方向である。
【0510】
また、
図26の(b)、
図27の(b)、
図28の(b)及び
図29の(b)における電流の通電方向は、電流が第1固定接触子220aに流入し、可動接触子430を経て、第2固定接触子220bから流出する方向である。
【0511】
図26に示すように、第1対向面821aは、N極に磁化される。また、第2対向面822a及び第3対向面823aは、S極に磁化される。
【0512】
第1磁石部821及び第2磁石部822により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図14の実施形態と同様である。
【0513】
よって、
図26の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方右側に向かうように形成される。
【0514】
同様に、
図26の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方左側に向かうように形成される。
【0515】
第1磁石部821及び第3磁石部823により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図14の実施形態と同様である。
【0516】
よって、
図26の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方左側に向かうように形成される。
【0517】
同様に、
図26の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方右側に向かうように形成される。
【0518】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0519】
図27に示すように、第1対向面821aは、S極に磁化される。また、第2対向面822a及び第3対向面823aは、N極に磁化される。
【0520】
第1磁石部821及び第2磁石部822により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図15の実施形態と同様である。
【0521】
よって、
図27の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方左側に向かうように形成される。
【0522】
同様に、
図27の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方右側に向かうように形成される。
【0523】
第1磁石部821及び第3磁石部823により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図15の実施形態と同様である。
【0524】
よって、
図27の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方右側に向かうように形成される。
【0525】
同様に、
図27の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方左側に向かうように形成される。
【0526】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0527】
図28に示すように、第1対向面821aは、N極に磁化される。また、第2対向面822a及び第3対向面823aは、S極に磁化される。
【0528】
第1磁石部821及び第2磁石部822により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図16の実施形態と同様である。
【0529】
よって、
図28の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方左側に向かうように形成される。
【0530】
同様に、
図28の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方右側に向かうように形成される。
【0531】
第1磁石部821及び第3磁石部823により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図16の実施形態と同様である。
【0532】
よって、
図28の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方右側に向かうように形成される。
【0533】
同様に、
図28の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方左側に向かうように形成される。
【0534】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0535】
図29に示すように、第1対向面821aは、S極に磁化される。また、第2対向面822a及び第3対向面823aは、N極に磁化される。
【0536】
第1磁石部821及び第2磁石部822により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図17の実施形態と同様である。
【0537】
よって、
図29の(a)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に後方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方右側に向かうように形成される。
【0538】
同様に、
図29の(b)に示す実施形態において、第1固定接触子220aの近傍に前方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方左側に向かうように形成される。
【0539】
第1磁石部821及び第3磁石部823により主磁場M.M.F及び副磁場S.M.Fが形成される過程及び方向は、前述した
図17の実施形態と同様である。
【0540】
よって、
図29の(a)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に後方左側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って後方左側に向かうように形成される。
【0541】
同様に、
図29の(b)に示す実施形態において、第2固定接触子220bの近傍に前方右側に向かう方向の電磁力が発生する。アークの経路A.Pは、前記電磁力の方向に沿って前方右側に向かうように形成される。
【0542】
よって、発生したアークの経路A.Pは、中心部Cに向かわない。その結果、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0543】
本実施形態において、第1磁石部821は、第2磁石部822や第3磁石部823より長く延設される。また、第2磁石部822と第3磁石部823は、所定距離(D3)だけ離隔されて配置される。
【0544】
第2磁石部822と第3磁石部823の離隔距離D3は、第1磁石部821と第2磁石部822の離隔距離D1や第1磁石部821と第3磁石部823の離隔距離D2より長く形成される。
【0545】
また、第1磁石部821と第2磁石部822の離隔距離D1と、第1磁石部821と第3磁石部823の離隔距離D2とは、同一である。
【0546】
すなわち、第2磁石部822と第3磁石部823は、その離隔距離D3が最大となるように配置される。
【0547】
また、第1対向面821aは、第2対向面822a及び第3対向面823aとは異なる極性になるように構成される。よって、磁場は、第1磁石部821から第2磁石部822及び第3磁石部823に向かう方向又はその逆方向に形成される。
【0548】
よって、第1固定接触子220a及び第2固定接触子220bの近傍に形成される磁場は、左右の対角線方向に形成される。
【0549】
その結果、これらの磁場により各固定接触子220a、220bの近傍に発生する電磁力は、中心部Cから遠ざかる方向に形成される。よって、中心部Cに配置される構成要素の損傷が防止される。
【0550】
前述した本発明の各実施形態によるアーク経路形成部500、600、700、800は、磁場を形成する。前記磁場により、電磁力は、中心部Cから遠ざかる方向に形成される。
【0551】
固定接触子220と可動接触子430が離隔されることにより発生したアークは、前記電磁力により形成されるアークの経路A.Pに沿って移動する。よって、発生したアークは、中心部Cから遠ざかる方向に移動する。
【0552】
よって、中心部Cに配置される直流リレー10の様々な構成要素が発生したアークにより損傷することが防止される。
【0553】
以上、本発明の好ましい実施形態を挙げて説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載される本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲で本発明の様々な修正及び変更が可能であることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0554】
10 直流リレー
100 フレーム部
110 上部フレーム
120 下部フレーム
130 絶縁プレート
140 支持プレート
200 開閉部
210 アークチャンバ
220 固定接触子
220a 第1固定接触子
220b 第2固定接触子
230 シール部材
300 コア部
310 固定コア
320 可動コア
330 ヨーク
340 ボビン
350 コイル
360 復帰スプリング
370 シリンダ
400 可動接触子部
410 ハウジング
420 カバー
430 可動接触子
440 シャフト
450 弾性部
500 本発明の一実施形態によるアーク経路形成部
510 磁石フレーム
511 第1面
512 第2面
513 第3面
514 第4面
515 アーク放出孔
516 空間部
520 磁石部
521 第1磁石部
521a 第1対向面
521b 第1反対面
522 第2磁石部
522a 第2対向面
522b 第2反対面
523 第3磁石部
523a 第3対向面
523b 第3反対面
600 本発明の他の実施形態によるアーク経路形成部
610 磁石フレーム
611 第1面
612 第2面
613 第3面
614 第4面
615 アーク放出孔
616 空間部
620 磁石部
621 第1磁石部
621a 第1対向面
621b 第1反対面
622 第2磁石部
622a 第2対向面
622b 第2反対面
623 第3磁石部
623a 第3対向面
623b 第3反対面
700 本発明のさらに他の実施形態によるアーク経路形成部
710 磁石フレーム
711 第1面
712 第2面
713 第3面
714 第4面
715 アーク放出孔
716 空間部
720 磁石部
721 第1磁石部
721a 第1対向面
721b 第1反対面
722 第2磁石部
722a 第2対向面
722b 第2反対面
723 第3磁石部
723a 第3対向面
723b 第3反対面
800 本発明のさらに他の実施形態によるアーク経路形成部
810 磁石フレーム
811 第1面
812 第2面
813 第3面
814 第4面
815 アーク放出孔
816 空間部
820 磁石部
821 第1磁石部
821a 第1対向面
821b 第1反対面
822 第2磁石部
822a 第2対向面
822b 第2反対面
823 第3磁石部
823a 第3対向面
823b 第3反対面
1000 従来技術による直流リレー
1100 従来技術による固定接点
1200 従来技術による可動接点
1300 従来技術による永久磁石
1310 従来技術による第1永久磁石
1320 従来技術による第2永久磁石
C 空間部516、616、716、816の中心部
M.M.F 主磁場
S.M.F 副磁場
A.P アークの経路
D1 第1磁石部と第2磁石部間の最短距離
D2 第1磁石部と第3磁石部間の最短距離
D3 第2磁石部と第3磁石部間の最短距離
【国際調査報告】