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特表2022-546090化粧品及びパーソナルケアのためのバイオベース及び生分解性のエラストマー
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  • 特表-化粧品及びパーソナルケアのためのバイオベース及び生分解性のエラストマー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(54)【発明の名称】化粧品及びパーソナルケアのためのバイオベース及び生分解性のエラストマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/42 20060101AFI20221026BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20221026BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20221026BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20221026BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
C08G18/42
A61K8/87
A61K8/02
A61Q17/04
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513559
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 US2020046170
(87)【国際公開番号】W WO2021041046
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/893,968
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/976,015
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522074833
【氏名又は名称】グラント インダストリーズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クルーム,アンナ ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】レラム,ロナルド ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ゴームリー,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C083
4J034
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB222
4C083AB232
4C083AB242
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4J034RA02
(57)【要約】
化粧品用エモリエントの存在下で、ウレタン化触媒、例えばビスマス触媒を使用してバイオベースイソシアネートと架橋されたバイオベースポリオールを含有するポリウレタンエラストマーゴム組成物が開示される。架橋ポリウレタンエラストマーゴムは、本発明のさらなる態様において、バイオベースエモリエント又はバイオベースエモリエントの混合物の存在下で粉砕された後、ゲルに含まれる。ポリウレタンエラストマーゲルは、化粧品用オイル及び天然オイルと良好な相溶性を有し、他の望まれる化粧品処方の役割の中でも、これらのオイルに対するゲル化剤として使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)架橋ポリウレタンエラストマーゴム、
(b)化粧品用エモリエント、及び
(c)ウレタン化触媒
を含む架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物であって、
化粧品用エモリエントが、架橋ポリウレタンエラストマーゴムを実質的に取り囲む溶媒マトリックスを形成する、架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物。
【請求項2】
任意の粉砕又は希釈の前に、テクスチャーアナライザーによって測定された、200gより大きい、好ましくは500gより大きい、及び4000g未満の硬度力を有し、70%以上、好ましくは90%以上の復元力を有する、請求項1に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物。
【請求項3】
架橋ポリウレタンゴムが、少なくとも2個の遊離ヒドロキシル基を有するプレポリマーで形成される、請求項1に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物。
【請求項4】
溶媒マトリックスが、1種以上の化粧品用エモリエントを含む、請求項1に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物。
【請求項5】
ポリウレタンエラストマーゴムが、少なくとも2個の遊離ヒドロキシル基を有するプレポリマー約5~約25重量パーセントで形成される、請求項1に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物。
【請求項6】
ポリウレタンエラストマーゴムが、イソシアネート官能性分子約1~約20重量パーセント及びOH基を有するプレポリマーで形成される、請求項1に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物。
【請求項7】
プレポリマーが、ジオールと二量体酸とのポリエステル反応生成物である、請求項3に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物。
【請求項8】
ポリウレタンエラストマーゴムが、NCO約15~約38重量%、好ましくはNCO約15~約28重量%を含有するポリイソシアネートで形成される、請求項1に記載の架橋ポリウレタンゴムエラストマー組成物。
【請求項9】
ウレタン化触媒の量が約0.1~約2.5重量%である、請求項1に記載の架橋ポリウレタンゴムエラストマー組成物。
【請求項10】
ウレタン化触媒が、ビスマス、亜鉛又はアミン触媒である、請求項1に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物。
【請求項11】
未反応イソシアネート基を反応停止させるのに十分な量の、アルコール又はアミンを含有する仕上げ剤を更に含む、請求項1に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物。
【請求項12】
ポリイソシアネートのNCOとプレポリマーのOH基との全体のモル比が2:1~1:2である、請求項6に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物。
【請求項13】
架橋ポリウレタンエラストマーゴムが、バイオベース及び生分解性のプレポリマーで形成される、請求項1に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物。
【請求項14】
プレポリマー、ポリイソシアネート、及び化粧品用エモリエントが、バイオベース及び生分解性であり、架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物が、約85%より多い、好ましくは約95%より多い、又は約99%より多い再生可能バイオベース原料で構成される、請求項13に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物。
【請求項15】
バイオベース及び生分解性のポリイソシアネートが、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート三量体である、請求項14に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物。
【請求項16】
架橋ポリウレタンゴムを形成するのに十分な条件の下、ウレタン化触媒及び化粧品用エモリエントの存在下で、少なくとも2個の遊離ヒドロキシル基を有するプレポリマーとポリイソシアネートを反応させるステップ
を含む、架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物を調製する方法。
【請求項17】
前記条件が、約20℃~約100℃の温度で、少なくとも2個の遊離ヒドロキシル基を有するプレポリマー、ウレタン化触媒及び化粧品用エモリエントを反応させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ウレタン化触媒が、ビスマス、亜鉛又はアミン触媒である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
プレポリマー、ポリイソシアネート及び化粧品用エモリエントが、バイオベース及び生分解性である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物が、約85%より多い、好ましくは約95%より多い、又は約99%より多いバイオベース原料で構成される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
微粉化形態の、請求項1に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物と少なくとも1種の化粧品用エモリエントとの混合物を含むゲル組成物。
【請求項22】
微粉化架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物の量が約30~約5重量%である、請求項21に記載のゲル組成物。
【請求項23】
微粉化架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物の量が約5~約17重量%である、請求項22に記載のゲル組成物。
【請求項24】
化粧品用エモリエントの量が約70~約95重量%である、請求項21に記載のゲル組成物。
【請求項25】
化粧品用エモリエントの量が約83~約95重量%である、請求項22に記載のゲル組成物。
【請求項26】
第2の溶媒を更に含む、請求項21に記載のゲル組成物。
【請求項27】
第2の溶媒が、トリヘプタノイン、ウンデカン、トリデカンからなる群から選択されるか、又は第2の溶媒が天然由来アルカン若しくは天然由来エステルである、請求項26の記載のゲル組成物。
【請求項28】
場合により、ビタミン、日焼け止め剤、植物抽出物、フレグランス及びその混合物からなる群から選択される、活性組成物を更に含む、請求項24に記載のゲル組成物。
【請求項29】
フレグランス、着色剤、保存料、活性組成物及びその混合物からなる群の構成要素を更に含む、請求項21に記載のゲル組成物。
【請求項30】
微粉化架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物が、断面直径約1~約61ミクロンを有する、請求項21に記載のゲル組成物。
【請求項31】
約15,000cP~約1,000,000cP、好ましくは約40,000~約1,000,000cPの範囲の粘度を有する、請求項21に記載のゲル組成物。
【請求項32】
ゲルが非ニュートン流体又はチキソトロピー流体である、請求項21に記載のゲル組成物。
【請求項33】
a)化粧品用エモリエントの存在下で、請求項1に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物を微粉化するステップ、及び場合により
b)ステップa)から得られた混合物を第2の溶媒と組み合わせるステップ
を含む、ゲル組成物を調製する方法。
【請求項34】
第2の溶媒が、トリヘプタノイン、ウンデカン、トリデカンからなる群から選択されるか、又は第2の溶媒が天然由来アルカン若しくは天然由来エステルである、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品で使用するための、ポリエステルタイプ及びポリウレタンタイプの原料を調製するための組成物及び処理/方法を含む。組成物は、本質的に生分解性である、再生可能バイオベース(bio-based)原料85%以上をベースとしたエラストマー系を含む。組成物は、ゲル中に組み込むことができ、中鎖エステル及び低極性炭化水素中で安定な混合物を形成することができる。
【背景技術】
【0002】
シリコーンエラストマーは、三次元ポリマー構造を形成する三次元架橋ジメチコーンポリマーの広範な分類であり、化粧品に有益なテクスチャー及び外観を与える。それらは、一般に製品に配合されて、ラインフィラー又はソフトフォーカス粒子のものとして機能しながら、好ましい感覚的な美的プロファイルを生じることによって消費者へのアピールを高める。加えて、それらは、皮脂吸収剤として作用し得、肌表面の過剰な油分を減らし、肌のテカリを抑えるものとして定められるマット化剤(mattifying agent)として作用する。更に、これらの架橋ジメチコーンポリマーは、制御されたリリースポリマーとして作用することによって、活性物を送達することができ、高いオイル含有率フォーミュラの油性テクスチャーを減らすこともできる。スキンケア及び化粧品の洗練された日常的な着用をもたらすために、シリコーンエラストマーは、通例の成分、例えば日焼け防止活性物及び顔料と共配合することができる。シリコーンエラストマーは完全に安全な成分であるが、合成起源のものであり、それらが環境において分解可能であっても、容易に生分解可能でないという認識を受けている。
【0003】
ポリエステルは合成又は天然由来であってもよく、硬い熱可塑性固体から低粘度オイルまで変化することができる。Spiratexの文献より、熱可塑性ポリエステルエラストマーすなわちTPEは、高性能エラストマーと可撓性ポリマーの特性を組み合わせる。これらは、時に熱可塑性ゴムと称され、繰り返される屈曲サイクルをするその能力並びに多くの化学品及びオイルに対するその耐性で知られている高強度材料である。エラストマーの特性決定の重要なパラメーターは、硬度及び復元力の測定である。硬度又は剛性及び復元力、すなわちASTM D-2240によって説明されるデュロメータ硬さを測定する様々な方法がある。試験方法では、デュロメータとして既知であるゴム硬度測定装置の12タイプ:各タイプA、B、C、D、DO、E、M、O、OO、OOO、OOO-S及びRが説明される。適切な規模内であること、及び材料の挙動に基づいて適応させることが必要とされる。エラストマーポリマーが多様な硬度を有しながら、本発明の硬度がゲル状材料と整合性をとったことが分かった。ASTM D2240は、経験的な試験方法であり、軟質ゲル、すなわちポリペプチドで構成されるバイオポリマーゼラチンを評価するために通例使用される手順であるように変更され、適応させた。簡潔には、方法は、本発明の硬度と弾性(復元力)との両方を評価するテクスチャーアナライザーを使用し、本発明の特定の深さまでの圧子の圧縮力及び減圧力のプロファイルに基づく。
【0004】
一般に化粧品として使用されるシリコーンエラストマーは、イソドデカン、シクロメチコーン又はライトシリコーンオイル等の担体相中に分散させ、準膨潤させた、シリコーンゴムの微粉化粒子(約1~100ミクロン)である。化粧品用のシリコーンエラストマーは、化粧品に許容される特性の正しい均衡を得るために、広範な粉砕及び担体相への希釈を必要とする。この高度に処理された形態において、屈折率がシリコーンエラストマーと担体相との間で一致する場合、最終混合物は、ゲル状均一系の外観を与えることができ、感覚的な試験におけるエラストマーの存在を唯一更に明らかにする。例えば、担体相が揮発性である場合、シリコーンエラストマー混合物を肌に広げる動作により、肌での担体相蒸発及び望ましいテクスチャーを示し、肌での皮脂吸収用のマット化特性をもたらす、エラストマーの微粉化「ボールベアリング」粒子の放出がもたらされる。化粧品において使用されるシリコーンエラストマー分散系の技術水準は、処方者及び消費者共に極めてよく注目されるテクスチャー及び機能を生じる、ほぼ全てのプレミアムリーブオンスキンケア製品形態を含む。
【0005】
分散されたシリコーンエラストマーの性能は類まれなものであるが、シリコーンが、一部、石油起源の非再生可能原料からのものであるので、シリコーンエラストマーの代替物に対する要求がある。それ故に、第一目標は、再生可能バイオソース起源の原料を主にベースとする高性能分散エラストマーを作製することである。第2に、環境においてシリコーンは、経時的に化学的に分解することができるが、本質的に微生物作用による生分解性ではない。それ故に、第2の基準は、本質的に生分解性であるエラストマー分散系である。第3に、シリコーンエラストマーの固有の性質は、イソドデカン等の分枝鎖炭化水素との官能基相溶性及びシリコーン流体との良好な相溶性を表す。それらは、それ故に本来、中極性、準疎水性であり、結果として、他の相溶性成分又は乳化剤の添加がなければ、より極性のエステルから相分離することになる。それ故に、さらなる目標は、シリコーンエラストマーで直接得られない成分と配合するために、最初の2つの基準を満たすが、より極性の化粧品用成分、例えばエステル及び中鎖トリグリセリド(MCT)との相溶性も提供する、分散ゲル化された、又は増稠化された高性能エラストマーを作製することである。第4に、シリコーンゲルの代替物は、同等の感覚的な美的プロファイルを有するべきである。
【0006】
石油系ポリマーの代替物の選択肢は、パーソナルケア産業の用途で重要性を増している。バイオベース及び生分解性のエラストマーポリマーは、化粧品用組成物のテクスチャー特質を高めるための材料の、重要な一分類である。様々な化粧品用流体中に膨潤させた、且つ分散させたエラストマーポリマーは、従来のエラストマーポリマー、すなわちヒドロゲル、シリコーンゲル、オイル系増稠剤等で実現されない、新規の配合自由度をもたらすことができる。結果として、シリコーンゲル、ヒドロゲル、オイル系増稠剤等のものと同様にテクスチャー特質を高めた、新規のエラストマーポリマーを開発する必要がある。本発明で表されるバイオベース及び生分解性のゲルは、化粧品用オイル及び天然オイルと良好な相溶性を有し、これらのオイルに対するゲル化剤として使用することができる。
【0007】
リーブオン化粧品産業に関連した先行技術には、多様な機能を果たすポリエステル及びポリウレタンの、数多くの分類が含まれる。数千ものポリエステル及びポリウレタンが、COSING(EUの公的な化粧品用成分データベース)において商業用に列挙される。これらの成分の多くは、ヘアスプレー又は水を含む、他の溶媒と組み合わせた場合のバインダーとして作用する、通例の完全に合成で製造された膜形成ポリマーである。これらは、しばしば、ジアミノ鎖延長剤又はトリアミノ鎖延長剤と架橋してカルバミン酸塩を形成するプレポリマーから製造される、水中の格子又は分散系として分散される。アミン系構成ブロックは、高い臭気プロファイルの蔓延及び最終製品配合物を黄ばませる通例の現象のために化粧品用原材料の開発には望ましくない。ウレタンの別の分類は、石油ソースからの合成原料に基づいた、固体の、圧倒的に非膨潤性の微粉化粉末として販売される。例えば、Grant Industriesは、INCI名HDI/トリメチロールヘキシルラクトン架橋ポリマーの微粉化非膨潤性ウレタン粉末30~40%を含有する製品Granpowder USQを販売する。それは、優れた触感及びソフトフォーカス(任意の)特性を表すが、シリコーンエラストマーに類似した弾性特性はもたない。それは、中極性分散媒、例えばMCTに分散される場合、わずかな弾性特性から非弾性特性までを有する自由流動性粉末である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に関して、本発明は、ウレタン化触媒、例えばビスマス触媒を使用して、本明細書において化粧品用エモリエントとも称される天然起源反応溶媒中で、多官能性、例えば三官能性のポリウレタン架橋剤の間で結合したポリエステルを使用した、バイオベース及び生分解性の膨潤性、弾性非イオン性、非水の材料を含む。好ましい触媒は、一般に、アミン系、有機水銀系又は有機スズ系のウレタン触媒に対する無毒/安全な代替物であるものと考えられる。この溶媒の分類は、MCTを含むことができる。
【0009】
本発明はまた、ゲルを調製する方法も含む。方法は、同時又は後続の、溶媒で希釈するステップを含む、MCTベースゴムエラストマーの粉砕プロセスを含み、溶媒は、反応溶媒と同じであっても、異なっていてもよい。再生可能原料の揮発性化粧品用アルカンは、所望の感覚的な美的プロファイルを実現するのに好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様において、
(a)架橋ポリウレタンエラストマーゴム、
(b)化粧品用エモリエント、及び
(c)ウレタン化触媒
を含む架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物であって、
化粧品用エモリエントが、架橋ポリウレタンエラストマーゴムを実質的に取り囲む溶媒マトリックスを形成する、架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物が提供される。本発明において、「実質的に取り囲む」は、溶媒マトリックスが、ゴムの表面に密接に接触しており、ゴム表面の相当な部分を被覆することを意味するものと理解されたい。エモリエントは、必ずしも、ゴムを完全に包囲するものではない。
【0011】
本発明の別の態様において、本明細書に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物を調製する方法が提供される。方法は、架橋ポリウレタンゴムを形成するのに十分な条件の下、ウレタン化触媒及び化粧品用エモリエントの存在下で、少なくとも2個の遊離ヒドロキシル基を有するプレポリマーとポリイソシアネートを反応させるステップを含む。
【0012】
本発明のさらなる態様は、粉砕形態の、本明細書に記載の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物と少なくとも1種の化粧品用エモリエントとの混合物を含有するゲル組成物、及びゲル組成物を製造する方法を含む。上記ゲル組成物は、1種以上の粉砕ステップ及び希釈ステップを介して精製されたゴム分散系であり、それによってそれぞれのステップが、目的の平衡粒子サイズ範囲を生じ、1~100ミクロン範囲、好ましくは1~60ミクロンの最終製品をもたらす。また、本発明のさらなる態様は、化粧品、乳液、ローション、クリーム等、並びに本発明の組成物及びゲルを含有する製品を含む。
【0013】
本発明の結果として、バイオベース材料少なくとも85%又は更に>98%のシリコーン代替エラストマーゲルが提供される。このバイオベースエラストマーは、「究極生分解性/本質的生分解性」を実現することをもたらす試験に出され、実現されない場合は、性能属性の主要部分に関して、先行技術において未確認である。主な発明は、シリコーンベースではないが、従来、シリコーン化学を介してのみ実現可能な高価値のテクスチャーに近づくエラストマーである。開示された発明は、Gransense(商標)として商標登録され、Grant Industries(Elmwood Park、New Jersey、USA)から化粧品用材料として市販されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例21に対応する生分解のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一態様において、本発明は、化粧品用エモリエントの存在下で、ウレタン化触媒、例えばビスマス触媒を使用して、バイオベースイソシアネートと架橋されたバイオベースポリオールを含むポリウレタンエラストマーゴム組成物に関する。イソシアネートは、イソシアネート基(-NCO)を含有する化合物である。それらは、アルコール(ヒドロキシル)基を含有する化合物と反応してポリウレタンポリマーを生成する。本発明のさらなる態様において、架橋ポリウレタンエラストマーゴムは、バイオベースエモリエント又はバイオベースエモリエントの混合物の存在下で粉砕された後、ゲルに含まれる。ポリウレタンエラストマーゲルは、化粧品用オイル及び天然オイルと良好な相溶性を有し、他の望まれる化粧品処方の役割の中でも、これらのオイルに対するゲル化剤として使用することができる。ポリウレタンエラストマーゲル対シリコーンエラストマー同等物の増した極性により、シリコーンエラストマーが相溶性ではない、ますます極性の配合媒体中にそれを組み込むことができる。
【0016】
本発明の架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物は、好ましくは、プレポリマー、ポリイソシアネート及び化粧品用エモリエントがバイオベース及び生分解性であるものである。本発明の一部の好ましい態様において、架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物は、約85%より多い、好ましくは約95%より多い、一部の代替的な実施形態において約99%より多い再生可能バイオベース原料で、別の言い方をすれば、植物由来(非石油系)原料で構成される。代替的な実施形態において、ゴム組成物は、バイオベース原料よりもむしろ全体的に合成原料又は石油系原料に由来するポリエステルプレポリマーを使用して製造することができる。同様に、代替的な実施形態において、エモリエント又はエモリエントの混合物及び/又はイソシアネートは、バイオベース原料よりもむしろ合成原料又は石油系原料に由来してもよい。
【0017】
粉砕及び希釈プロセスによって、ポリウレタンゴム組成物は、肌に滑らかな非粘着性、非油性、保湿肌感触を高められた作用時間と共にもたらすエラストマーゲルに変換される。本発明のエラストマーゲルは、オイル系化粧品の油相中に通例組み込まれる、より極性の化粧品用エモリエント、活性物、及び添加剤に対して改善された相溶性を有する、安定な化粧品用フォーミュラを創出するための、化粧品処方者のツールボックスへの洗練された追加である。
【0018】
本発明において、ポリウレタンゴム組成物を調製する汎用方法、及びポリウレタンエラストマーゲルへの後続の変換は、これらのステップに従う:
第1に、ウレタン化触媒、例えばビスマス触媒を使用して、好適な制御された温度、例えば約20℃~約100℃で、溶媒(複数可)として作用してエラストマーポリウレタンゴム組成物を形成する、バイオベースエモリエントの反応媒体又はバイオベースエモリエントの混合物において、バイオベースプレポリマーをバイオベースイソシアネートと反応させる。或いは、方法は、約24時間にわたって、室温で撹拌せずにゴム組成物を形成するステップを含み得る。
【0019】
反応条件の結果として、エモリエントは、ポリウレタンゴムを実質的に取り囲む、及び/又は膨潤させる溶媒マトリックスを形成する。
【0020】
第2に、形成されたゴムは、高せん断粉砕によって分散系に変換され、それによって、同じ又は異なるバイオベースエモリエントの任意的な追加の装入が、粉砕の前後でゴム組成物に加えられる。混合物は、好ましくは、当業者に既知の好適な装置、例えば高せん断分散機ミキサーを使用して、ポリウレタンゲル濃縮物中に粉砕される。粉砕により、好ましくは断面直径において、好ましくは約100ミクロン未満まで、より好ましくは約1~約60ミクロンの範囲までゴム組成物の粒子サイズが減じられる。
【0021】
第3に、エラストマー濃縮物は、完成したエラストマーゲルの目的の用途及び所望の肌感触特性に応じて、揮発性特性又は非揮発性特性のいずれかを有するバイオベースエモリエントであり得る第2の溶媒で更に希釈することによって、化粧品用に適切な粘度に仕上げられる。したがって、ゲルは、美的肌感触を高める、及び/又は化粧品用配合相溶性を高める、バイオベースエモリエント又はエモリエントの混合物を含むことができる。
【0022】
一部の態様において、ゴム組成物は、約5~約25重量パーセントの量のプレポリマーで構成される。プレポリマーは、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する。好ましくは、バイオベースイソシアネートは、約1~約20重量パーセントの量で存在することができ、場合により、イソシアネートは、-NCO基約15~約38%、或いは約15~約28%を含有する。イソシアネートの-NCOとポリオールの-OHとの全体のモル比は、約2:1~約1:2であってもよい。ポリオールは、場合によりヒドロキシル価50~200mg KOH/g、或いは90~200mg KOH/gを有することができる。
【0023】
ゴム組成物はまた、触媒約0.1~約2.5重量パーセントを含むこともできる。
【0024】
本発明のゴムの他の好ましい態様には、任意の粉砕又は希釈の前にテクスチャーアナライザーによって測定された、200gより大きい、或いは500gより大きい、及び4000g未満の硬度力を有すること、並びに70%以上の、或いは90%以上の復元力を有することが含められる。
【0025】
本発明のゴムは、一部の態様において、OECD 301-Bに準拠した究極生分解性/本質的生分解性として分類することができ、ASTM D6866-18に準拠して、>97.0%もの高いバイオベース炭素を含有するように製造され得る。
【0026】
化粧品用に洗練された且つ安定なゲルに変換され得る粉砕可能なエラストマーゴムの形成は、ゴム形成に固有の幾つかの物理的パラメーターの考慮を要する。ポリウレタンゴムの硬度は、容易にゲル中に処理することができるかどうか決定する重要な要素である。ポリウレタンゴムが硬すぎる場合、ゴム細粒は、適正に膨潤しないか、又はエモリエントによる処理で滑らかなゲル中に砕かれない。その一方で、ポリウレタンゴムが柔らかすぎる場合、粘性及び膨潤性細粒の不足のために、容易にゲル中に処理されない。3つの重要な要素により、ポリウレタンゴムの硬度が決定される:
第1に、ポリマー含有率と分散媒との比は、最適なポリウレタンゴムを合成することを考えるのに重要である。バイオベースエモリエントの全重量パーセントは、ポリウレタンゴムにおいて70~95%、或いは70~90%の範囲であるべきである。多すぎる分散媒が使用される場合、エラストマー網目構造の密度は、低すぎて粘度を維持できないであろう。少なすぎる分散媒が使用される場合、ポリマー含有率は、濃密すぎて、粉砕される場合に適切に分散することができない。
第2に、バイオベースプレポリマーのバイオベースヒドロキシル官能性とポリイソシアネートのNCO官能性との比は、2:1から1:2までの間、好ましくは1:1であることができる。
第3に、ポリウレタンゴムの合成で使用される触媒の量は、ゲル中に処理されるその能力を決定する別の要素である。多すぎる触媒が使用される場合、ゴムは過度に硬化し、ゲル中に処理するには、硬すぎることになる。少なすぎる触媒が使用される場合、ゴムは形成しないことになる。実際に、触媒の量は、約0.1~2.5重量%であることができる。
【0027】
本発明のゲル組成物は、本発明の多くの実施形態において、約15,000~約1,000,000cPの範囲の粘度を有し、代替的な実施形態において、約40,000~約1,000,000cPの範囲の粘度を有することができる。ゲルは、場合により、OECD 301-Bに準拠して、究極生分解性/本質的生分解性として分類することができるもの、及び/又はASTM D6866-18に準拠して、バイオべース炭素を最高で97%まで含有し得るものである。場合により、アルコール又は場合によりアミンを含有する仕上げ剤が、未反応イソシアネート基を反応停止させるために、本発明の組成物に添加されてもよい。本発明のゲルは、非ニュートン流体又はチキソトロピー流体であってもよい。本発明のゲルは、任意的なパーソナル又はヘルスケアの活性物、例えば限定されないが、ビタミン、例えばビタミンC及びビタミンA、日焼け止め剤、植物抽出物、並びに/又はフレグランスを含むことができる。
【0028】
定義
チキソトロピーゲル特性
エラストマーゲルにおける好ましいポリエステル結合及び/又はポリウレタン結合により、経時的に水素結合を形成する能力が可能になる。このゲルの挙動により、チキソトロピー特性が可能になる。チキソトロピー流体は、時間に応じて非ニュートン擬塑性挙動変化を呈する。静的条件の下、これらのタイプのゲル(本発明の範囲内)は、「擬塑性」として現れるが、一定力(撹拌、混合、振動、せん断)が加えられる場合、流れ始め、粘度が低下し始めることになる。力が加えられない場合、一定時間後に、ゲルはその初期の定常状態まで回復することになる。チキソトロピー流体の一般例は、ヨーグルト及びポリビニルアルコール接着糊ゲルである。従来のオイル、ワックス、ゴム又は粉末と比較して、チキソトロピーゲルをフォーミュラに組み込む場合、多くの配合の利点がある。例には、それに限定されないが、柔らかく、洗練された感触を付与するために、塗布時の膜厚を維持すること、並びに用途中及び使用中の化粧品の展延性を改善することが挙げられる。
【0029】
チキソトロピーゲルは、処方者に多くの利点、例えば、スプレーにおける懸濁化剤及び増稠化剤としての挙動、並びにスキンケア及びパーソナルケアの両方におけるメモリータイプ用途(memory type application)をもたらす。加えて、チキソトロピー材料は、プロセス助剤と考えられ、パーソナルケア製品の高められた安定性及び制御された展延性をもたらすことができる。シリコーンエラストマーと比較して、せん断減粘挙動は、フォーミュラに他の成分を組み込む場合、混合の容易性を高めることができる。低減された粘度は、混合及びせん断分散処理装置で、より少ない歪み並びにパーソナルケア活性物のより迅速な組み込みを要することになり、それによって、生産において費用の削減及び時間の節約がもたらされる。チキソトロピーゲルの別の利点は、フォーミュラを安定化させ、相分離を最小限にし、粒子懸濁液、すなわち顔料を潜在的に安定化させることである。
【0030】
究極生分解性 - 試験化合物が完全に微生物によって利用される場合に達成される分解レベルであり、二酸化炭素、水及び無機塩の生成並びに新しい微生物細胞構成物質(バイオマス)をもたらす。
【0031】
本質的生分解性 - 生分解性の任意の試験について、生分解の明白な証拠(初期又は最終)がある化学品の分類。
【0032】
弾性 - 多様性及び変化を包含することが可能であること。可撓性及び適合性であること。
【0033】
エラストマー - 物理的応力によって歪ませる場合、形状に戻ることができる弾性特性を有する天然又は合成のポリマー/高分子材料、例えばゴム。
【0034】
ポリマー - 主に又は完全に、多数の結合した同じ単位からなる分子構造を有する物質、例えばプラスチック及び樹脂として使用される多くの合成有機材料;タンパク質は、ポリペプチド分子を有し、様々なアミノ酸モノマー単位からつくられた天然ポリマーである。核酸は、数百万のヌクレオチド単位でつくられた巨大な天然ポリマーである。
【0035】
適切なポリマー及びプレポリマーには、それに限定されないが:
アゼレートポリオール
ブタンジオール/アジピン酸コポリマー
ブタンジオール/アゼライン酸コポリマー
ブタンジオール/セバシン酸コポリマー
カプリロイルグリセリン/セバシン酸コポリマー
カプリロイルグリセリン/セバシン酸コポリマー
カプリロイルグリセリン/セバシン酸コポリマー
ヒマシ油由来ポリヒドロキシステアリン酸
セルロース
コラーゲン
コハク酸ジヘプチル(及び)カプリロイルグリセリン/セバシン酸コポリマー
ジリノール酸/プロパンジオールコポリマー
二量体酸ジオール
レシチン
ポリ(ポリオールセバケート)
ポリブチレンサクシネート
ポリブチレンサクシネート
ポリカプロラクトン
ポリエステル
ポリエチレングリコール
ポリグリセロール
ポリグリコリド
ポリヒドロキシアルカノエート
ポリヒドロキシブチレート
ポリ乳酸及びポリラクチド
ポリラクチド-co-グリコリド
ポリサッカライド
プロパンジオール/アジピン酸コポリマー
プロパンジオール/アゼライン酸コポリマー
プロパンジオール/セバシン酸コポリマー
プロピレングリコール/アジピン酸コポリマー
プロピレングリコール/アゼライン酸コポリマー
プロピレングリコール/セバシン酸コポリマー
プルラン
デンプン
トリメチルペンタンジオール/アジピン酸コポリマー
及びその混合物が挙げられる。
【0036】
エラストマーゴムの合成に好ましいポリオールは、有効分子量280~3000g/mol、或いは500~3,000g/molを有する、ジオール官能性又はポリオール官能性のポリエステルである。ポリオールは、酸価<2(mg KOH/g)、ヒドロキシル価50~200又は90~200(mg KOH/g)及び水含有率<0.1(K.F.、w/w%)を有するべきである。好ましいプレポリマーは、バイオベースソース100%に由来するジリノール酸/プロパンジオールコポリマーであり、化粧品用オイルと良好な相溶性を有する。好ましくは、コポリマーは、ヒドロキシル基の末端をなすべきであり、ヒドロキシル基がカルボン酸よりもより容易にイソシアネートと反応するので、低い酸価を有するべきである。ヒマシ油は、多数のヒドロキシル基を天然で含有する故に、ポリウレタンゴムの合成でポリオールとして使用することもできる。加えて、ポリウレタンエラストマーゲルの合成で使用され得る、利用可能な多くのポリオールがある。
【0037】
適切なポリオールには、それに限定されないが:
1,2-エタンジオール
1,2-プロパンジオール
1,3-プロパンジオール
カプリリルグリコール
ヒマシ油
トウモロコシ油
ジエチレングリコール
エチレングリコール
エチレンオキシド
グリセロール
ヘプタンジオール
ヘキサンジオール
硬化植物油又はエポキシ化植物油
異性体ブタンジオール
イソソルビド
アマニ油
オリーブ油
他のヒドロキシ含有化合物
ペンタエリスリトール
ペンタンジオール
ポリテトラメチレンエーテルグリコール
プロピレングリコール
プロピレンオキシド
シラノール
糖アルコール
トリエチレングリコールエーテルグリコール
及びその混合物が挙げられる。
【0038】
適切なカルボン酸には、それに限定されないが
アゼライン酸
クエン酸
ジリノール酸
二量体酸
イタコン酸
乳酸
ポリ乳酸
セバシン酸
トリリノール酸
及びその混合物が挙げられる。
【0039】
ポリウレタンゴムの合成で使用されるエモリエントは、エステル、エーテル、アルカン又はその混合物であってもよい。このゴムのゲル中への処理で使用されるエモリエントは、エステル、エーテル、アルカン又はその混合物であってもよい。エモリエントは、好ましくは20℃で1~65(mPas)の粘度を有する。エモリエントの展延性の値(spreading value)(mm2/10分)は、好ましくは500~2500である。
【0040】
適切なエモリエント又は溶媒には、それに限定されないが:
乳酸ブチル
ブチレングリコール
C12~15乳酸アルキル
C12~C15安息香酸アルキル
C13~C15アルカン
C16~18アルカン
C18~C22アルカン
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド
カプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリド
(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル
ヒマシ油
エチルヘキサン酸セチル
(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル
ココグリセリド
オレイン酸デシル
アジピン酸ジブチル
炭酸ジカプリリル
ジカプリリルエーテル
コハク酸ジヘプチル
ドデカン
乳酸エチル
イソノナン酸エチルヘキシル
グリセリン
トリヘキサン酸グリセリル
グリセリルトリへプタノエート
グリセリルトリオクタノエート
ヘミスクワラン
ウンデシレン酸ヘプチル
イソドデカン
イソノナン酸イソノニル
ミリスチン酸イソプロピル
パルミチン酸イソプロピル
ホホバオイル
ミリスチン酸ミリスチル
ネオペンチルグリコールジヘプタノエート
パルミチン酸オクチル
エルカ酸オレイル
オリーブスクワラン
ポリブテン
炭酸プロピレン
プロピレングリコール
ジカプリル酸プロピレングリコール/ジカプリン酸
シアバターエチルエステル
スクワラン
トリデカン
トリエチルヘキサノイン
トリヘプタノイン
ウンデカン
及びその混合物が挙げられる。
【0041】
1,5-ペンタメチレンジイソシアネート三量体は、ポリウレタンエラストマーの合成に好ましいイソシアネートとして使用された。バイオベース原料に由来する、このイソシアネートは、ポリウレタン触媒及びエモリエントの存在下でポリオールと容易に反応してポリウレタンゴムを形成する。加えて、産業において広く利用される多量の二官能性イソシアネートが利用可能である。
【0042】
適切な官能性イソシアネートには、それに限定されないが:
1,1'-メチレンビス(4-イソシアナートシクロヘキサン)
1,3,3-トリメチル-1-(イソシアナートメチル)-5-イソシアナートシクロヘキサン
1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[(5-イソシアナート-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル)メチル]
1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン
1,3-ジアゼチジン-2,4-ジオン、1,3-ビス[4-[(2-イソシアナートフェニル)メチル]フェニル]
1,3-ジアゼチジン-2,4-ジオン、1,3-ビス[4-[(4-イソシアナートフェニル)メチル]フェニル]
1,3-フェニレンジイソシアネート
1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-、反応生成物5-イソシアナート-1-(イソシアナートメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン
1,4-フェニレンジイソシアネート
1,5-ジイソシアナート-2-メチルペンタン
1,5-ペンタメチレンジイソシアネート
1,5-ペンタメチレンジイソシアネート二量体
1,5-ペンタメチレンジイソシアネート三量体
1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート
1,8-ジイソシアナート-2,4-ジメチルオクタン
2,2,4-トリメチルヘキサン1,6-ジイソシアネート
2,2'-ジイソシアナートジフェニルメタン
2,4,4-トリメチルヘキサン1,6-ジイソシアネート
2,4,6-トリイソプロピル-m-フェニレンジイソシアネート
2,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート
2,4-トルエンジイソシアネート
2,4-トルエンジイソシアネート三量体
2,4-トルエンジイソシアネート二量体
2,5(6)-ビス(イソシアナートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン
2,6-トルエンジイソシアネート
3,3'-ジメトキシ-4,4'-ビフェニレンジイソシアネート
3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンイソシアネート
4,4',4''-トリイソシアナートトリフェニルメタン
4,4-MDIウレチジノン
4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート
2,4-TDI80%;2,6-TDI20%、異性体のブレンド
ベンゼン、1-[(2,4-ジイソシアナートフェニル)メチル]- 3-イソシアナート-2-メチル
ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン
ジフェニルオキシド4,4'-ジイソシアネート
ジフェニルメタンジイソシアネート
ヘキサメチレンジイソシアネートビウレット
ヘキサメチレンジイソシアネート二量体
ヘキサメチレンジイソシアネートイソシアヌレート
メチル2,6-ジイソシアナートヘキサノエート
ナフタレン、1,5-ジイソシアナート
オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンジメチルジイソシアネート
ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート
トリス(4-イソシアナートフェニル)チオホスフェート
及びその混合物が挙げられる。
【0043】
ビスマス系又は亜鉛系のポリウレタン触媒は、その相対的に低い毒性のために、ポリウレタンゴムの合成に好ましい。しかし、有機金属系及びアミン系のポリウレタン触媒も使用することができる。ビスマス系触媒は、アミン系、水銀系又はスズ系の触媒に比べて低い毒性のために化粧品用途に好ましい。
【0044】
可能なウレタン化触媒には、それに限定されないが:
鉛化合物
水銀化合物(すなわち、水銀塩、水酸化水銀、デカン酸水銀、ビス(フェニル水銀)ドデセニルサクシネート)及び
第一スズ化合物(すなわち、オクタン酸第一スズ、塩化第一スズ)が挙げられる。
【0045】
スズ、水銀及び鉛に比べて低減された毒性を有する好ましいウレタン化触媒には、それに限定されないが:
酸性リン酸塩錯体
アルミニウム
ビス-(2-ジメチルアミノエチル)-エーテル
ビスマスカルボキシレート
ビスマスエステル
クエン酸ビスマス
ビスマスアルカノエート
ネオデカン酸ビスマス
ジメチルアミノプロピルアミン
DABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン及びDABCO誘導体
金属錯体
混合カルボキシレート
N-メチルイミダゾール
N-メチルモルホリン
第三級アミン
トリエチルアミン
酢酸亜鉛
亜鉛アセチルアセトネート
亜鉛錯体
亜鉛エステル及び亜鉛アルカノエート
ネオデカン酸亜鉛
ネオデカン酸亜鉛
オクタン酸亜鉛
シュウ酸亜鉛
ジルコニウム
及びその混合物が挙げられる。
【0046】
化粧品用粉末を本発明のエラストマーと組み合わせてゲルの性能を高めることができ、完成した化粧品に望ましい、そのテクスチャー、吸収性、フォーミュラ安定性及びソフトフォーカス特徴を変える。粉末を使用して、構造的な支持体をもたらし、又はフィラーとして挙動し、又はより「マット化、ソフトフォーカス」外観を有するようにゲルの最終の外観を変えることができる。粉末を使用して、製品の最終配合物、それに限定されないが、プレスパウダー、ローション、クリーム、ヘアゲル、ヘアクリーム、マスカラ、ボディクリーム、セラム、リップケア等に良好な滑り及び滑らかさをもたらすことができる。粉末を使用して、フォーミュラから限られた量の液体を吸収する、その固有の性質のために、最終フォーミュラの粘度も調節することができる。
【0047】
適切な粉末には、それに限定されないが、(合成及び天然)並びにそのブレンド:
アクリレートコポリマー
アルミナ
酸化アルミニウム
ケイ酸アルミニウム
窒化ホウ素
バター被覆粉末(但し、バターは、それに限定されないが、シア、マンゴー、ココア、アーモンドであってもよく、粉末は、それに限定されないが、マイカ、タルク、アルミニウム、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエートである)
カルシウムデンプンオクテニルサクシネート
セルロース
酢酸セルロース
ジメチコーン/ビニルジメチコーン架橋ポリマー
ガラスビーズ
カオリン粘土
マイカ
天然ワックス(例えば、それに限定されないが、カルナウバロウ、蜜ロウ、ヒマシ油等)
ナイロン
ポリブチレンサクシネート
ポリエステル
ポリエチレン
ポリヒドロキシアルカノエート
ポリ乳酸
ポリメチルシルセスキオキサン(Polymethylsilsequioxane)
ポリプロピレン
ポリテトラフルオロエチレン
ポリウレタン粉末(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールヘキシルラクトンとのコポリマーの粉末)
ポリビニルアルコール
ポリビニルクロリド
セリサイト
シリカ
デンプン
合成ワックス
パラフィンワックス
タルク
トリメトキシシリケート
ゼオライト
ステアリン酸亜鉛
酸化亜鉛、及び
二酸化チタンが挙げられる。
【0048】
ポリウレタンエラストマーゴムをゲル中に処理する場合、新しく形成したポリマー微粒子を反応させるために、相溶性エモリエントを使用せねばならない。高い極性を有する、トリグリセリド、エステル及びエーテルを使用して、反応及び粉砕プロセス中に粒子を膨潤させることができる。好ましいエモリエントには、植物起源中鎖トリグリセリド(MCT)、例えばトリヘキサン酸グリセリル、トリヘプタン酸グリセリル及びトリオクタン酸グリセリル又はその混合物が挙げられる。エラストマーゴムを濃縮ゲル中に処理すると、乾燥した肌感触を有する揮発性エモリエントを、所望の粘度が得られるまでゲルに添加することができる。トリグリセリド、エステル、エーテル及びアルカンをこのプロセス中に使用することができる。
【0049】
ポリウレタンエラストマーゲルの安定性は、ゴムの合成及び処理されたゲルにおいて使用されるエモリエント又はエモリエントの混合物に応じて決まる。エモリエント/各エモリエントの極性が低すぎる場合、ゲルは初めに形成され得るが、経時的に分離することになる。一般に、トリグリセリド、エステル、エーテル及びアルカンを様々な組み合わせで使用することができる。好ましくは、植物起源エモリエント、例えば、中鎖トリグリセリド、C9~C12アルカン及び短鎖脂肪酸に由来するエステル、及びアルコール、例えばカプリル酸/カプリン酸の混合物。一部の態様において、エモリエントは、第2の溶媒であると考えられ、例えば、トリヘプタノイン、ウンデカン、トリデカンの中から選択することができる。或いは、第2の溶媒は天然由来アルカン又は天然由来エステルである。
【0050】
ゲル組成物は、好ましくは微粉化形態の、本明細書に記載の架橋ポリウレタンエラストマー組成物と化粧品用エモリエントとの混合物を含むことができる。例えば、一部のゲル組成物は、微粉化架橋ポリウレタンエラストマーゴム組成物約5~約30重量%又は約5~約17重量%を含むことができる。
【0051】
ゲル組成物は、1種以上の、化粧品に許容される成分又はエモリエントを約70~約95重量%又は約83~約95重量%の量で含むこともできる。
【実施例
【0052】
以下の実施例において、バイオベース及び生分解性の架橋ポリウレタンエラストマーゴム並びにバイオベース及び生分解性の架橋ポリウレタンエラストマーゲルが説明される。エラストマーゴムは、化粧品用成分としての最適な性能のために更に処理され得る、エラストマーゲル中に処理される。
【0053】
本明細書の記載において説明されたように、ポリウレタンゴムの形成は、触媒及び十分な量のバイオベース化粧品用エモリエントの存在下での、少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するバイオソースのプレポリマーとポリイソシアネートとの架橋結合を包む。例として選択されるプレポリマーは、C18-不飽和脂肪酸二量体と60~80mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する1,3-プロパンジオール(DAPD)とのコポリマー、及びNCO含有率およそ20%を含有する、バイオベース脂肪族ポリイソシアネート、ペンチレンジイソシアネート三量体(PDT)であった。ビスマス触媒はネオデカン酸ビスマスであった。化粧品用エモリエントは、(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキルとトリヘプタン酸グリセリルとの混合物であった。
【0054】
[実施例1]
ポリウレタンゴムの合成
8オンスガラス瓶に、DAPDポリオール11.25g(12.5wt%)、PDT3.15g(3.5wt%)、トリヘプタン酸グリセリル18.81g(20.9wt%)及び(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル56.34g(62.6wt%)を加えた。混合物をプロペラミキサーで10分間撹拌し、ビスマス触媒0.45g(0.5wt%)を添加した。混合物を更に5分間撹拌した後、撹拌を止め、反応器を油槽中に置き、60℃まで加熱した。混合物を、硬化ゴムが形成されるまで加熱し、それから反応器を加熱から取り出す。典型的なゲル化時間は5分から2時間までの範囲である。
【0055】
[実施例2]
高密度ポリウレタンゴムの合成
8オンスガラス瓶に、DAPDポリオール17.05g(18.9wt%)、PDT4.77g(5.3wt%)、トリヘプタン酸グリセリル16.9g(18.78wt%)及び(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル50.6g(56.2wt%)を加えた。混合物をプロペラミキサーで10分間撹拌し、ネオデカン酸ビスマス0.68g(0.76wt%)を添加した。混合物を更に5分間撹拌した後、撹拌を止め、反応器を油槽中に置き、60℃まで加熱した。混合物を、硬化ゴムが形成されるまで加熱し、それから反応器を加熱から取り出す。典型的なゲル化時間は5分から2時間までの範囲である。
【0056】
[実施例3]
低密度ポリウレタンゴムの合成
8オンスガラス瓶に、DAPDポリオール6.82g(7.58wt%)、PDT1.91g(2.12wt%)、トリヘプタン酸グリセリル20.27g(22.5wt%)及び(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル60.73g(67.5wt%)を加えた。混合物をプロペラミキサーで10分間撹拌し、ネオデカン酸ビスマス0.27g(0.3wt%)を添加した。混合物を更に5分間撹拌した後、撹拌を止め、反応器を油槽中に置き、60℃まで加熱した。混合物を、硬化ゴムが形成されるまで加熱し、それから反応器を加熱から取り出す。典型的なゲル化時間は5分から2時間までの範囲である。
【0057】
[実施例4]
トリヘプタン酸グリセリル中のポリウレタンゴムの合成
8オンスガラス瓶に、DAPDポリオール11.25g(12.5wt%)、PDT3.15g(3.5wt%)及びトリヘプタン酸グリセリル75.15g(83.5wt%)を加えた。混合物をプロペラミキサーで10分間撹拌し、ネオデカン酸ビスマス0.45g(0.5wt%)を添加した。混合物を更に5分間撹拌した後、撹拌を止め、反応器を油槽中に置き、60℃まで加熱した。混合物を、硬化ゴムが形成されるまで加熱し、それから反応器を加熱から取り出す。典型的なゲル化時間は5分から2時間までの範囲である。
【0058】
[実施例5]
(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキルにおけるポリウレタンゴムの合成
8オンスガラス瓶に、DAPDポリオール11.25g(12.5wt%)、PDT3.15g(3.5wt%)及び(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル75.15g(83.5wt%)を加えた。混合物をプロペラミキサーで10分間撹拌し、ネオデカン酸ビスマス触媒0.45g(0.5wt%)を添加した。混合物を更に5分間撹拌した後、撹拌を止め、反応器を油槽中に置き、60℃まで加熱した。混合物を24時間加熱し、その時間でエラストマーゲルは形成されなかった。
【0059】
【表1】
【0060】
[実施例6]
揮発性化粧品用エモリエントを含有するエラストマーゲルを調製する方法
混合容器に実施例1ゴム100g及びトリヘプタン酸グリセリル11.1gを装入する。混合物は、高せん断混合を施すことによって粉砕され、全体的に100ミクロン未満の粒子を含有する粘性ペーストを生じる。混合物をトリヘプタン酸グリセリル12.3gで更に希釈して、高せん断混合によって軟質の濃縮プレエラストマーを形成し、次いで高せん断ミルによって分散され、ポリウレタン粒子を約60ミクロン未満にする。粒子濃縮物は、C9~C12アルカン18g(Vegelight1214、Grant Industries、USA)を添加することによって混合と共に更に希釈されて、やや揮発性のテクスチャープロファイル及び粘度102,440cP(Brookfield DV-I+、スピンドルTD、1.5RPM)を有する滑らかな化粧品用エラストマーを生成する。このエラストマーゲルは、Grant Industries(Elmwood Park、NJ、USA)よりGransense(商標)製品ラインの一部として市販される。
【0061】
[実施例7]
非揮発性化粧品用エモリエントを含有するエラストマーゲルを調製する方法
混合容器に、実施例1ゴム100g及びトリヘプタン酸グリセリル11.1gを装入する。混合物を、前述の実施例で説明されたように粉砕する。混合物をトリヘプタン酸グリセリル12.3gで希釈して、高せん断混合によって軟質の濃縮プレエラストマーを形成し、ポリウレタン粒子を約60ミクロン未満まで減ずる。粒子濃縮物は、トリヘプタン酸グリセリル30gを添加することによって、混合と共に更に希釈されて、保湿肌感触及び粘度416,667cP(Brookfield DV-I+、スピンドルTE、0.6 RPM)を有する弾力のある化粧品用エラストマーを生成する。このエラストマーゲルは、Grant Industries (Elmwood Park、NJ、USA)よりGransense(商標)製品ラインの一部として市販される。
【0062】
[実施例8]
非揮発性化粧品用エモリエントを含有する低粘度エラストマーを調製する方法
混合容器に、実施例1ゴム100g及びトリヘプタン酸グリセリル11.1gを装入する。混合物を、前述の実施例で説明されたように粉砕する。混合物をトリヘプタン酸グリセリル12.3gで希釈して、高せん断混合によって軟質の濃縮プレエラストマーを形成し、ポリウレタン粒子を約60ミクロン未満まで減ずる。粒子濃縮物は、トリヘプタン酸グリセリル58.4gを添加することによって混合と共に更に希釈されて、保湿及びビロードのように柔らかな肌感触及び粘度37,500cP(Brookfield DV-I+、スピンドルTC、3.0RPM)を有する、注ぐことが可能な化粧品用エラストマーを生成する。このエラストマーゲルは、Grant Industries(Elmwood Park、NJ、USA)よりGransense(商標)製品ラインの一部として市販される。
【0063】
本発明の記載で説明されたように、ポリウレタンゴムの形成は、実施例1~実施例5で提供された構成成分に限定されない。実施例9について、プレポリマーは、C18不飽和脂肪酸二量体と、80~100mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有するバイオ由来1,4-ブタンジオール(DABD)とのコポリマーであった。実施例10について、化粧品用エモリエントは、イソドデカンと(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキルとの混合物であった。実施例11について、選択されたプレポリマーはヒマシ油(CO)であった。実施例12について、選択された触媒は、ネオデカン酸亜鉛であった。実施例13について、使用されたポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体(HDT)であった。ゴムは、実施例1~実施例5のプロトコルに従うことによって、表2で提供された反応均等物から調製された。
【0064】
【表2】
【0065】
[実施例14]
パーソナルケア活性物を含有するエラストマーゲルを調製する方法
サイドスイープ(side-sweep)を備えた混合容器に、実施例6を90g装入し、120RPMで撹拌する。これに、細かく粉砕されたアスコルビン酸20gを1時間にわたって少量ずつ添加した。混合物を均一になるまで撹拌し、粘性の不透明の白色ペーストを生じた。
【0066】
[実施例15]
SPF-50日焼け止め剤
SPF-50日焼け止め剤を調製するために、実施例6からのエラストマーを含むA相の成分を、主ケトルでホモジナイザーを用いて組み合わせ、均質になるまで混合した。次いで、サイドスイープ撹拌ブレードで均質になるまで混合しながらB相を主ケトルに加えた。SPFは、Grant Industriesからの酸化亜鉛製品及び二酸化チタン製品についての使用推奨書に基づいてin vitro測定された。
【0067】
【表3】
【0068】
[実施例16]
W/O乳液クリーム
本発明からのエラストマーの組み込みにより、5,000~50,000cPsの範囲の粘度を有するW/O乳液クリームの安定化が可能になる。本発明のエラストマーの存在により、このフォーミュラの極性油相及び天然ポリグリセリル系乳化剤とのより高い相溶性がもたらされ、その一方で通常、シリコーンエラストマー配合物でのみ得られる、望ましいクッション/雲のような感触が実現される。天然由来の界面活性剤、エモリエント及び増稠助剤についての処方者の選択に関して、化粧品用フォーミュラにおけるより高い天然含有率に対する市場の需要がある。この配合で示されるように、本発明のエラストマーは、天然及びバイオ由来の配合状況においてより広範な配合可能性をもたらし、やはり望ましいテクスチャープロファイル及び性能プロファイルを有する製品の開発を可能にする。
【0069】
実施例6からのGransense(商標)エラストマーを含有するW/O乳液クリームを調製するために、初めに容器内で、表4からのA相成分を組み合わせ、均質一貫性が得られるまで、室温で、ホモジナイザーで混合する。副容器において、B相成分を組み合わせる。均質になるまで均一化し、混合しながら、B相成分をA相に添加する。
【0070】
【表4】
【0071】
[実施例17]
クリームトゥパウダーファンデーション
本発明からのエラストマーの組み込みにより、500,000~1,000,000cPsの範囲の粘度を有するW/O乳液クリームの安定化が可能になる。実施例6からの本発明のエラストマーの存在により、アミノ酸処理された無機顔料の使用及び安定化が可能になった。アミノ酸処理顔料は、通例のカラー化粧品において使用されるが、その安定化のために、様々な乳化剤及び湿潤剤の高いパーセント及び無数の組み合わせが一般に要求される。極性油相の存在下での、実施例6からの本発明のエラストマーゲルと天然ポリグリセリル及びリン脂質系乳化剤の組み合わせにより、既知のシリコーンエラストマーのクッション/雲のような感触を実現しながら、安定なW/Oが可能になった。
【0072】
実施例6からのGransense(商標)エラストマーを含有するクリームトゥパウダーファンデーションを調製するために、主容器において表5に列挙されたA相からの成分を組み合わせ、均質になるまでホモジナイザーで混合する。分離コンテナーにおいて、B相成分を組み合わせ、色が完全にブレンドされ、均質になるまで微粉砕する。均質になるまで均一化しながらB相をA相に添加する。副容器において、C相成分を組み合わせ、ホモジナイザーで混合する。均質なファンデーションクリームが得られるまで均一化しながら、C相をAB相に添加する。
【0073】
【表5】
【0074】
[実施例18]
ルミナスリップスティック
本発明のエラストマーは、通例の化粧品用ワックス及び顔料とのその良好な相溶性のために、リップケア用途に理想的である。リップケア配合物に添加される場合、本発明のエラストマーにより、保湿、クッション性感触及び様々に変化した極性成分と無極性成分との間の改善された相溶性がもたらされる。
【0075】
実施例6からのGransense(商標)エラストマーを含有するルミナスリップスティックを調製するために、表6からの成分を、3プロングブレードを備えた主ケトル中に計量した。容器を90~95℃まで加熱し、均質になるまで混合した。リップスティックを75~80℃でアプリケータパッケージ中に注ぐ。
【0076】
【表6】
【0077】
[実施例19]
リペアリングシャンプー
実施例8からのGransense(商標)エラストマーを含有するリペアリングシャンプーを調製するために、表7からの成分を主ケトル中に計量し、均一化した。B相を混合しながらA相中に振りかけた。C相を副ケトルにおいて計量し、適切な温度まで加熱し、そこでAB相に添加し、10~15分間混合した。次いで、D相を添加し、5~10分間混合した。完了するために、E相を添加し、フォーミュラ中に混合した。
【0078】
【表7】
【0079】
[実施例20]
無水配合物
本発明のエラストマーゲルは、有利である場合、無水化粧品用配合物及びパーソナルケア配合物において使用することができる。実施例6からのGransense(商標)エラストマーゲルを含有する無水フォーミュラを調製するために、表8からの成分を、均一になるまで混合によって共に組み合わせた。以下に記載の無水配合物は、他の無水配合物において化粧品用活性成分用の担体として機能することができる。
【0080】
【表8】
【0081】
通例のパーソナルケア成分との相溶性
通例のパーソナルケア成分及びエモリエントを含む、本発明のポリウレタンエラストマーの特有の相溶性を明示するために、実施例6からのエラストマーを1:9、1:1及び9:1の比で選択されたパーソナルケア成分と混合した。固体又はワックスが使用される場合、エラストマー及びワックスをワックスの融点まで加熱し、次いで組み合わせ、冷却させた。混合物は、以下の表の脚注の記号解に従って評価され、格付けされる。Grant Industriesからの市販のシリコーンエラストマーブレンドが参照として使用された。結果を以下に示す。従来のシリコーンエラストマーゲルと比較して、本発明のポリウレタンエラストマーゲルは、化粧品用エステル及び通例の化粧品用ワックスにおいて分散させることができる。興味深いことに、ポリウレタンエラストマーゲルは、シリコーンエラストマーよりも、日焼け止め剤活性物とより相溶性である。
【0082】
【表9】
【0083】
ゴム硬度の評価
エラストマーゴム及びゴムから調製されたゲル化組成物は、その硬度又は堅さによって特徴付けることができる。米国ゼラチン製造者協会(Gelatin Manufacturers Institute of America)は、装置、例えば「テクスチャーアナライザー」(TA.XT Plusモデル、Stable Micro Systems Inc.、Godalming、England)を用いて、本発明に記載のゴム及びゲルの組成物と同様の特性を有する材料の硬度又は堅さを定量化する。テクスチャーアナライザーを使用することによって、ゴム及びゲルの表面に、所定の速度1.0mm/秒で、ゴム中又はゲル中のプログラムされた深さ10mmまで、ロードセルとして重量5.0kgを有するプローブで圧縮を施し、同じ速度で後退させる。ゲル又はゴムの圧縮中にテクスチャーアナライザーのプローブによって検出された抵抗力は、Lin等(米国特許第8,222,363号(B2))によって教示された「硬度」を定義する。テクスチャーアナライザーによって測定された硬度値は、グラム(g)力で記録され、101.97で割ることによってニュートン(N)に変換することができる。
【0084】
本発明において、圧縮された場合、ゴムに加えられたグラムの力としてテクスチャーアナライザーで測定されたゴムの硬度は、それぞれのエラストマーゴム前駆体からのエラストマーゲルの順調な形成の決定的な要素である。ゴム組成物のポリウレタン形成構成成分(すなわち、プレポリマー部分及びポリイソシアネート部分)の濃度を変化させることによって、様々な硬度のゴムが形成された。加えて、マトリックスとして選択された化粧品用エモリエントの独自性は、ゴム硬度に影響を及ぼした。必要とされる構成成分の混合物を組み合わせて、形成されたゴムを粉砕する前又は希釈する前にテクスチャー分析によって測定される最小硬度200.0g、好ましくは500.0gから最大で4000gを有するゲルが形成される場合、好適な硬質ゲルが形成されたと決定された。ゴム硬度が、200.0g未満又は4000gを超える硬度である場合、好適なエラストマーゴムは、上記の粉砕手順によって生じることができなかった。
【0085】
テクスチャーアナライザーによってもたらされた追加のパラメーターは、ゴムの復元力であった。復元力は、圧縮の解除後の力曲線の領域(力-時間領域2~3)を圧縮中の力曲線の領域(力-時間領域1~2)で割って、100%で掛けたものとして定義された。復元力値100%は、理想的な弾性材料を表すことになる。実験を通して、本発明に記載された好適なポリウレタンゴムが少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%の復元力値を要することが決定された。
【0086】
[実施例21]
Gransense(商標)エラストマーゲルの究極生分解性/本質的生分解性の試験
実施例6のエラストマーゲルをSitu Biosciences(Wheeling、IL)のOECD 301 B: CO2 Evolution (Modified Sturm Test)に準拠した生分解試験に出した。
【0087】
試料を出し、結果データ及びグラフを曲線適合によって解析し、生分解率のプラトーを確立した。図1を参照すると、OECD 301B-生分解グラフは、試験チャンバー二酸化炭素(CO2)測定を理論的最大パーセント(ThCO2%)として示す。曲線適合を施して予測される適合(実線曲線)を計算する。曲線適合の下の網掛けは、生分解性の決定についての生分解要件(ThCO2 10~60%)に対して施され、要求される生分解の量が合致したことを示す。その内容が参照によって本明細書に組み込まれた国際公開第2014/167518A号を参照されたい。
【0088】
結論として、試料は、28日の試験時間フレームの終了前に閾値60%を超えることによって、究極生分解性/本質的生分解性の要件を達成した。
【0089】
[実施例22]
Gransense(商標)エラストマーゲルのバイオベース炭素含有率%の試験
実施例6のエラストマーゲルをBeta Analytic Inc(Miami、FL)の放射性炭素同位体分析を使用したASTM D6866-18 Method Bに準拠したバイオベース炭素%に出した。放射性であり、植物又は動物の死後約45,000年後に何も残らないように崩壊する、炭素の天然起源の同位体。結果の説明及び適用は単純である。バイオベース炭素又は生体炭素100%の値は、自然環境に生きる植物又は動物の副生成物(バイオマス)からきた炭素100%を示すことになり、0%の値は炭素の全てが石油化学、石炭、及び化石ソースから由来したことを意味することになる。0~100%の値は、混合物を示すことになる。値が高いほど、材料における天然ソースの構成成分の割合が高くなる。
【0090】
試料を出し、結果データにより、試料が、バイオベース炭素含有率100%(全有機炭素の画分として)を含有したことが結論付けられた。
図1
【国際調査報告】